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伊藤(茂)委員 あと残された時間で、今後の考え方を幾つか
伺いたいと思います。
最初に申し上げましたが、財政改革、それは、単に収支のつじつまを合わせるだけではなくて、今後の社会
経済構造に合う財政の姿をどうつくっていくのか、
大蔵省の
基本的な考え方にも昨年はそう書いてございました。ことしは書いてないので、どうしたのかなと思っているのですが、財政再建と言われるものは単なる帳じり合わせではない。これからの時代に合った構造をどうつくるのか。しかもこれからの社会の目標といいますか、高齢化社会が進む、福祉も大事ですし、平和も大事です、さまざまなものも大事です、そういう
状況に合わせた
一つの構造をどうつくっていくのかという意味での財政改革であろうというふうに私は思うわけでありまして、そういう意味では、極めて政治の責任が大きい。
同時に、当面の段階からいたしましても、政治の選択、政策の選択、それが直接に財政再建、財政改革にかかわってくるということが特徴的な今日の
状況ではないだろうかというふうに思います。総理の好んで言われる二十一世紀という十数年後だけではなくて、当面の段階でもそれが言えるのではないだろうか。例えば防衛についてどういう政治選択をするか社会保障についてどういう政治選択をしていくのか、公共事業費でどうか、国と地方との関係、私どもは、分権型財政論といいますか、というものが非常に大事になっているというふうに思いますけれども、そういう発想とか、今
政府がどのような政治的な選択、姿勢をとるのかということが、財政をこれからあるいは六十五年どう持っていくのかということと直接にかかわり合いを持ってくる、そういう特徴的な
状況があるんではないだろうか。そうなってまいりますと、やはり政治路線の選択がどう行われるのかということと常に関連をして、重要な
判断材料にしなければならないという段階だと思います。
幾つもお
伺いできませんので、
一つだけ
伺いたいのですが、例えば安全保障、防衛という問題があります。総理も御承知のとおりに、私ども社会党も、東西南北いろんな
方向に向けて積極的な役割を果たす野党外交を展開する。先般の石橋
委員長の訪米もございましたが、野党なりに、必要な何か緊張緩和をして平和の構図をつくり出す
努力をしていきたいと思って、いろんな
努力を開始をいたしていると思うのであります。
私は思いますが、総理が今とられている選択というものは、東西の緊張を、つの与件として受け入れて、それをさらに加速をする
方向ではないだろうか。ことしの予算にあらわれた姿、去年の予算にあらわれた姿、中曽根さんが総理におなりになってからできた
方向というのは、そういう印象で内外に受け取られているということではないだろうかという気がしてならないのであります。
しかし、私は思いますが、我が
日本は、総理のおっしゃるように西側同盟の一員ということだけではないと思います。
経済的にもあるいは社会関係からいいましても、地理的にも東西南北の接点、東西南北全体の接点に置かれている、貴重であり重要なポジションを
日本は占めている。そして
経済的にも、
世界経済の一割を超す大きな責任と力を持った国になっている。しかもノーモア・ヒロシマ、ナガサキではありませんが、憲法に書いてございますように、平和国家として
国際社会に名誉ある地位を占めていくという気持ちを持ってやらなければならないという憲法がある。
そういうことを考えますと、私は、かつて
西ドイツでブラントさんが、東欧政策とか、あるいはヨーロッパの安全保障で重要な役割を果たされて、今でも東西双方に大きな発言権を持っておられるわけでありますが、ヨーロッパの安全保障でブラントさんがやられた以上の
条件あるいは
可能性あるいは将来性というものを、言うならば使命というものを我が
日本が持っているんではないだろうかという気がするわけであります。ですから、そのコースをとるのか。私の考えからすれば、東西の緊張を
一つの
前提にして、さらにそれを加速させるような
方向に、いわば軍拡路線に進んでいくということだと思うのです。そういう
判断というものがもう財政再建の将来の重要な柱となってくるという気がするわけであります。
いろんなものがありますけれども、例えば防衛の問題ですね。やはりドイツのブラントさんのことを例にとって私は申し上げましたが、それ以上の大きな
可能性を果たすべき、果たし得る
日本という道を我が
日本国
政府は進んでいただきたい。それが財政にも、今とは異なった危機を解消する
方向への
一つの有力なプラスになっていく。それが、これから総理もインド、パキスタンなど訪問される、あるいはサミットでも途上国の問題、南北問題を積極的にお取り上げになりたいと言われているようでありますが、
世界のさまざまな問題を前向きに解決する契機となっていくんじゃないかと思いますが、いかがでございましょう。