○坂口
委員 経済企画庁の方の統計技術上の問題という話がございましたけれ
ども、これは当然統計技術上の問題は常にある問題でありまして、完全にこれを避けて通るということはなかなかできない
わけですね。現在なし得る一番よい方法を用いて統計上やっているのでしょうから、統計技術上の問題でこの数字が大きく違ってきたというのは少しいただけない話で、これは確かに私もないとは申せません。私も今まで医療の分野におきまして統計処理をいたしますのに、いかにして統計上のエラーをなくするかということで苦心をした経験がございますので、よくそこはわかります。しかし、その中でいかにすれば一番真実に迫れるかというので苦労しながら統計上の処理をする
わけでありまして、統計上の処理でありますから、その中には平均値なら平均値が出ましても、それに対するスタンダードエラーがどの幅にあるのかというようなことも含めて、これは幅もあることでありますから、私もそこは、何もないとは申せませんけれ
ども、数字が大きく違った最大の項目の
一つに統計技術上の問題を挙げられるのは、経企庁としてはいかがなものか、私はこう思います。
御専門の方の
お話でございますから、専門的な
お話でございますので拝聴をしておきたいと思いますけれ
ども、今御
指摘になりましたように、
石油ショックによる影響があることは当然でございますけれ
ども、現在なおかつ続いております赤字構造というものが、その後遺症としてとらえていいのか、それともそれではない新しいものがそこに芽生えているのかということに対する検討は十分になされてしかるべき問題だと私は思う
わけでございます。
今、両省からの御
答弁をいただきましたが、その辺のところが余り明確にされませんでしたけれ
ども、時間の都合もございますので、少し先へ進みながらこの問題をもう少しまた詰めていきたいと思います。
いずれにいたしましても、日本の国は第一次及び第二次の
石油ショックを経まして大きな変動をした
わけでございます。しかし、他の諸国に比べますと良好なパフォーマンスを示した、こう言われている
わけでございます。この良好なパフォーマンスを示したと言われます、その指標には何がなっているかといえば、これは
成長率と物価上昇率と失業率という
三つの指標をとりまして、この
三つで見ます限り良好なパフォーマンスを日本は示した、こういうふうに言われている
わけでございます。例えば一九八二年を見ますと、これもさっきの「エコノミック・アウトルック」に出ている
わけでございますが、アメリカは一九八二年、
成長率はマイナス一・八、物価上昇率は五・九、失業率は九・七。それに対して日本は三・○、二・九、二・四。西ドイツはマイナス一・一、五・三、六・八。フランス、イギリス、イタリア、その他ございますけれ
ども、こういう数字が出ておりまして、この
三つの指標で見ます限り、良好なパフォーマンスを示しているという言葉は当然出るだろうと思う
わけでございます。
しかし、一方におきまして、この間に
政府の債務残高がどれだけ出たかという対
GNP比で見ました債務残高を見ますと、英国が四七・四%と、これはとり
わけ悪い
わけでございますけれ
ども、日本はそれに次ぎまして四〇・一と、もう
一つ政府債務残高というものを加えてみますと良好とは言いがたくなってくる
わけでございまして、これも指標のとり方によると思う
わけでございますが、こうした大きな債務を残した
わけでございます。
〔
委員長退席、中西(啓)
委員長代理着席〕
このことに関しまして、名古屋市立大学の牛嶋正先生が編集されました「財政危機の日米比較」という書物がございます。この中におきまして竹内信仁助教授、これは名古屋大学の経済学部の助教授でございますが、その先生がお書きになっているのを拝見をいたしますと、財政の不均衡を生じた
原因として二つ挙げておみえになりまして、「第一の
理由は、
昭和四〇年代後半にいたる高度成長による税収の急増と社会保障を中心として諸
関係支出の大幅な増加が挙げられる。社会保障
関係費の一般会計歳出の中に占める割合は、七〇年の一五・八%から七九年の二二・四%にまで上昇した。」これが第一だ。それからもう
一つは、「第二に、日本経済は第一次
石油ショック後深刻な不況にみまわれたが、七六年は輸出が牽引車となって経済は回復
過程に向かった。しかし七七年に入ると、輸出依存による回復が困難となり、
政府は本格的ケインズ政策を七七年から七八年にかけてとった。」このことがもう
一つの
理由である、こういうふうにこの先生は実は挙げておりまして、そして「財政の大幅赤字の
原因として、以上二つの要因を考えてきたが、問題としては第一の
原因」、すなわち社会保障の方ですね、「第一の
原因が重要であり、第二のケインズ政策による財政赤字は、景気が十分回復すれば解消する問題である。」とこの先生は述べておる
わけであります。
私は、挙げられた項目につきましては賛成をいたしますが、その後の、今後のことにつきましてはいささか
意見を異にする
わけでございます。と申しますのは、社会保障の方は、確かに一九七〇年に比べまして七九年ないし八〇年というのは非常なアップになった
わけでございます。しかし、欧米先進国と現
段階で比較をいたしますと、横並びあるいはそれよりも低いという程度でありまして、欧米先進国よりも高過ぎるということは決してない
わけでございます。むしろ低い
わけであります。ですから、現在の社会保障費が多いからという
理由によって、もし赤字が解消されないということになってくれば、これからの高齢化社会あるいは高齢社会に
対応いたしますときに、これは一体どうなるのだろうか。現在をクリアできなくて将来が果たしてクリアできるのだろうか、こう考える
わけでございまして、むしろ今後の問題としては、先日も質問をいたしましたとおり、社会保障費、これはふえてくるしと間違いございませんし、それに対する
対応は考えなければならない
わけでございますが、現
時点におきましては、むしろ私は二番目の方のケインズ政策に重きを置いて考えたい一人でございます。
そういう意味で、これからどういう景気対策をとっていくならば現在の赤字構造から脱却をすることができるのだろうか、そのことをここでもう一度考えてみたい
わけでございます。
そこで、今まで日本経済の優位性が保たれてまいりました
原因は何かということについて、いろいろな人の
意見を読んでみますと、結局のところは、日本経済が今日まで優位性を保ってこれたというのは、いわゆる日本の労働生産性の高さのためであったということが大体の
意見の一致するところのように思います。一九七〇年を一〇〇として見ました場合に、一九八二年までの労働生産性は、日本が六・○、アメリカが三・一、イギリスが二・七、西ドイツが四・三というふうになっておりまして、労働生産性は日本が六・〇で、アメリカやイギリスや西ドイツに比べますと実は高くなっている
わけであります。これにもいろいろの異論はあろうかと思いますけれ
ども、これが日本経済の優位性を保たせた
一つの大きな牽引車であったことは、私も事実ではないかと考える一人でございます。そこで、労働生産性を今後も高め得るかどうかということが、これからの日本の経済をどのような方向に持っていくか、そして、山積した国債をどのように消化していくかということに大きな
かかわりを持っているように思えてなりません。
そこで、労働省にお聞きをしたい
わけでございますけれ
ども、この高い労働生産性なるものを今後も果たして維持できるだろうか。終身雇用制度でございますとか年功序列型の賃金体系が、低成長下といわゆる高齢化の中で変化しようとしておりますやさきでございますが、そうした中でもなおかつ、労働生産性が今後も維持できるであろうかということを危惧する一人でございますけれ
ども、その辺についての御
答弁をひとつお願いをしたいと思います。