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上田(卓)
委員 私が
大蔵大臣に申し上げたいのは、
先ほどの繰り返しになりますけれ
ども、幾ら簡易な
記帳といっても、到底その
記帳ができない人たちがたくさんできてぐるのではないか、このように思うのです。今の青のそういう特典があっても、それが非常に簡易なものにまで引き下げられておるにもかかわらず、それでさえできない人たちが半数以上おるのに、幾ら法制化して
義務化してもできない人がたくさんできるだろう。だからこそ恐らく罰則規定も、最初考えていられただろうけれ
ども、そんなのをつくってもどうにもならぬということで、恐らく反対があったということもあるだろうけれ
ども、やはりそういう罰則規定をつくっても仕方がないということにもなってきただろう。それも、初めからこんな
法律をつくっても守られないだろうということを
前提に考えておるからではないか、私はこういうように思うのです。
そういう現実を知りながらあえて
義務化しようというのは、勘ぐれば、
先ほど言いましたように、例えば一枚の領収証が足らない、そういう書類が不備である、
記帳が不十分であるということを口実に、安易な推計課税をして徴税攻撃をしようとしているのではないか、こういうように我々
自身考えざるを得ない。それについては、当然
納税者からのいろいろな反発が出てきて、例えばそういう処分取り消し訴訟に対しては、国税通則法の百十六条の
改正で、いわゆる挙証責任というものを
納税者側に一方的に転嫁しようというのですか、本当に大
国税庁というものと一
納税者である立場の弱い人間との裁判ざたの場合に、
納税者に有利なものは先へ出さなければ、後から出したやつは認めないというような、そういうやり方
自身に非常に問題があるのではないか、私はこういうように思っておるわけであります。
いずれにいたしましても、そういうことからいろいろなトラブルが起こってくるのではないか、こういうように思うわけでありまして、税務行政のそういう矛先といいますか、そういう職員の立場からいうと、増差万能主義といいますか、ノルマを課せられるというような形でいろいろな問題が起きてきはしないだろうか、こういうように思っておるわけであります。当然税務職員の、心意気と言えば語弊があるかもわかりませんけれ
ども、やはりそれは弱い者いじめではなく、やるからには、先般の福島交通の使途不明金の摘発というような、大口の脱税といいますか、そういう不正を暴くことにもっと意欲を燃やすべきであって、本当に人手のない、能力のない人たちに
義務化を押しつけるという弱い者いじめをするやり方はいかがなものだろうか、こういうように思うわけでございます。私たちは、そういう
記帳の
義務化というものについては絶対に反対をしてまいりたいし、また、そういう徴税攻撃というやり方じゃなしに、もっと
景気回復といいますか、内需の拡大で、
増税じゃなしに増収を図ることが一番大事ではないか、こういうように思っておるわけでございます。
きょうは政府税調の方もお見えのようでございますので、それに関連して、今回の
記帳の
義務化というのは、総収入の
申告の導入で、結局は大型間接税の布石になるのではないか、すべてのそういう売り上げをつかむことによって一般消費税の地ならしを図るということにもなりかねない、こういうように思うわけてございまして、そういう点についてもお答えをいただきたいと思います。
時間の
関係で、さらにもう一点突っ込んだ形でお尋ねいたしますが、政府税調の
答申は、いわゆる課税ベースの広い間接税の導入が検討課題である、こういうように言っておられるようであります。
大蔵大臣もこれを受けて、検討する姿勢は捨てていないのではないかというように私は思うのですけれ
ども、これは哲学的な勉強であるとかいうこと、あるいは、
中曽根総理も再三大型間接税は導入しないというようなことを言っておるようでございますが、政府税調としてはどのように考えておられるのかをお聞かせいただきたい、このように思います。
幾つかの
質問をまとめて申し上げましたので、
大蔵大臣からひとつ答えられる範囲で答えていただきたい、このように思います。