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1984-03-09 第101回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月九日(金曜日)     午前十時十五分開議 出席委員   委員長 瓦   力君    理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君    理事 中西 啓介君 理事 中村正三郎君    理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       熊谷  弘君    小泉純一郎君       笹山 登生君    椎名 素夫君       塩島  大君    田中 秀征君       平泉  渉君    平沼 赳夫君       藤井 勝志君    宮下 創平君       森  美秀君    山岡 謙蔵君       与謝野 馨君    上田 卓三君       川崎 寛治君    沢田  広君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       藤田 高敏君    堀  昌雄君       柴田  弘君    宮地 正介君       矢追 秀彦君    安倍 基雄君       玉置 一弥君    正森 成二君       簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君  出席政府委員         大蔵政務次官  堀之内久男君         大蔵大臣官房審         議官      大山 綱明君         大蔵省主計局次         長       平澤 貞昭君         大蔵省主税局長 梅澤 節男君         大蔵省理財局長 西垣  昭君         国税庁税部長 渡辺 幸則君         国税庁間税部長 山本 昭市君         資源エネルギー         庁次長     川崎  弘君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君  委員外出席者         食糧庁管理部企         画課長     馬場久萬男君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     堤  富男君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       荻野 清士君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ――――――――――――― 三月二日  所得税大幅減税等に関する請願梅田勝君紹  介)(第四四四号)  同(浦井洋紹介)(第四四五号)  同(小沢和秋紹介)(第四四六号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第四四七号)  同(経塚幸夫紹介)(第四四八号)  同(工藤晃紹介)(第四四九号)  同(佐藤祐弘紹介)(第四五〇号)  同(柴田睦夫紹介)(第四五一号)  同(瀬崎博義紹介)(第四五二号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第四五三号)  同(田中美智子紹介)(第四五四号)  同(津川武一紹介)(第四五五号)  同(辻第一君紹介)(第四五六号)  同(中川利三郎紹介)(第四五七号)  同(中島武敏紹介)(第四五八号)  同(中林佳子紹介)(第四五九号)  同(野間友一紹介)(第四六〇号)  同(林百郎君紹介)(第四六一号)  同(東中光雄紹介)(第四六二号)  同(不破哲三紹介)(第四六三号)  同(藤木洋子紹介)(第四六四号)  同(藤田スミ紹介)(第四六五号)  同(正森成二君紹介)(第四六六号)  同(松本善明紹介)(第四六七号)  同(三浦久紹介)(第四六八号)  同(簑輪幸代紹介)(第四六九号)  同(山原健二郎紹介)(第四七〇号)  消費生活協同組合共済事業に係る税制改善に  関する請願湯山勇紹介)(第四七一号) 同月六日  物品税増税大型間接税導入反対等に関する請  願(梅田勝紹介)(第六二四号)  大企業優遇税制是正大幅減税等に関する請  願(不破哲三紹介)(第六二五号)  大幅減税申告納税制度改悪反対等に関する請  願(正森成二君紹介)(第六二六号) 同月八日  ビールにかかる酒税増税反対に関する請願  (伊藤茂紹介)(第七八三号)  同(戸田菊雄紹介)(第七八四号)  同(野口幸一紹介)(第七八五号)  同(堀昌雄紹介)(第七八六号)  酒税増税反対に関する請願東中光雄紹介)  (第七八七号)  国民本位大幅減税等に関する請願簑輪幸代  君紹介)(第七八八号)  所得税大幅減税等に関する請願経塚幸夫君  紹介)(第八七九号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第八八〇号)  同(田中美智子紹介)(第八八一号)  同(辻第一君紹介)(第八八二号)  同(東中光雄紹介)(第八八三号)  同(藤木洋子紹介)(第八八四号)  同(正森成二君紹介)(第八八五号)  同(簑輪幸代紹介)(第八八六号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  塩専売制度に関する陳情書  (第一四号)  たばこ・塩専売制度の存続に関する陳情書外一  件(第一五  号)  自動車関係諸税に関する陳情書外三件  (第一六号)  出資法及び貸金業規制法等改正に関する陳情  書(第一七号)  公共事業用地譲渡者に対する税制改正に関す  る陳情書  (第一八号)  北海道における燃料手当非課税に関する陳情  書外十四件  (第一九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置  法の一部を改正する法律案内閣提出第五号)  物品税法の一部を改正する法律案内閣提出第  六号)  石油税法の一部を改正する法律案内閣提出第  七号)      ――――◇―――――
  2. 瓦力

    ○瓦委員長 これより会議を開きます。  酒税法及び清酒製造業の安定に関する特別措置法の一部を改正する法律案物品税法の一部を改正する法律案及び石油税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。矢追秀彦君。
  3. 矢追秀彦

    矢追委員 冒頭に大臣にお伺いいたしますが、昨日深夜までいろいろ議論をされました予算の修正をめぐる問題につきまして、当委員会と非常に、関係のあることがございます。特に、酒税から物品税扱い、それからパートの減税問題等ございますが、一応国会はこのように正常化という形になりました。まだまだ合意してない面等がございますが、大臣はきのうの話し合いの中身についてどう認識し、大蔵大臣政府としてこれからどう対処しようとされておるのか、明快にお答えいただきたいと思います。
  4. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、個別問題は別といたしまして、この種の問題でございますが、政府としての正式コメントということになりますと、きょうも私なりに勉強してみましたが、例えば今おっしゃいましたパート問題等々についての扱いにいたしましても、いずれ各党間、なかんずく本委員会等関係者皆さん方でその手法は協議されることになるであろう。その手法そのものが決まっていない段階ではやはりコメントはできぬだろう。言ってみれば、各党間でお決めになったことに従いますという以上のことは正式には言えないじゃないか、こういうふうに思います。  それから、個別問題というか具体的な問題につきましては、税法等はもとより、本委員会において精力的に御審議をこのようにしていただいておるさなかでございますから、政府としては当然のこととして速やかに原案どおり議了していただくことを期待をしておると言うに、言葉としての限界はとどまるではないか、そういうような認識であります。
  5. 矢追秀彦

    矢追委員 ちょっと今の御答弁ではまだまだ私も不満でございます。  それでは具体的にお伺いいたしますが、今いろいろこれからの問題というふうに言われております。私も決して、今どう結論を出せという意味じゃございません。あくまでも委員会等で出てくるわけでございますが、特に大蔵委員会という言葉が出てきておりますのは、それこそ今審議をされておる酒税物品税についてでございまして、これについては大蔵委員会審議をし、その結論を尊重する、こういうことになっておると私は伺っております。この酒税物品税については、これから協議されるにしても、なるべく原案どおりお願いしたいと大臣言われましたが、じゃ政府としてはどの程度まで我々の主張を尊重されるといいますか、例えばこれはどうなるかこれからの問題ですが、仮に酒税物品税の実施時期をおくらせる、こういうふうなことになった場合は、それはされますか、どうですか。仮定の問題です。
  6. 竹下登

    竹下国務大臣 仮定の問題についてお答えすることは大変難しい問題でございますが、正確に申しますと、酒税物品税について所管の大蔵委員会においてまさに精力的に御審議をいただいておるさなかであるし、その御審議をいただいた上で原案どおり年度内に成立さしていただくことを、期待とお願いと両方しておる立場でございますので、いろいろな意見が出た場合にどう対応するかということは、政府サイドとしてはまさに仮定に対して予見を申し上げることになりますから、正確に言えば今のお答えというのが限度ではなかろうか。強いて加えさせていただきますならば、減税財源でもございますので、どうぞよろしくお願いしますと言うに尽きるものではないかというふうに考えます。
  7. 矢追秀彦

    矢追委員 これはこれ以上余り議論いたしませんが、私の要望としては、これだけ国会が長い間空転もし、非常に各党精力的に、きのうも深夜まで行われて、本当にお互いに譲るべきところは譲り、また本当に話し合いの中で大体決められたことでございますから、政府としても決してずるずる延ばして逃げ込むようなことのないように、やはりきちんとしたきのうの線に基づいた結論を出していただきたい。これは強く要望しておきます。  次に、具体的な質問に入ります。  これも議論がずっとされておりますが、現行税制における直間比率、どうも見ておりますと、どんどん間接税をふやしていこう、こういう方向考えられるわけでございますが、大蔵大臣としてはやはりそういった方向、結果論としてなるということではなく、やはりそういう方向へ引っ張っていこう、こういうふうなお考えなのか。仮にある程度ふやすということにしても、じゃあ直間比率というのは大体どの辺が妥当なのか。戦前あたりでは、日本でも直間比率が今とはかなり逆転をしておる時代もございました。しかし、現在では直接の方がふえておることはもう御承知のとおりですが、その辺はどうお考えになっておるのか、お伺いをしたいのです。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる直間比率議論というのは大変難しい議論でございますが、確かに、私も子細に勉強してみますと、臨調の答申の中で直間比率をという言葉がございます。その後どうも、直間比率というのは結果として出るものであって、初めからアプリオリに決めておくべきものでないというある種の反省から、その後の税調とかそのあたり言葉は全部税体系見直し、こう変わってきておるわけでございます。  要するに直間比率という問題は、例えば御審議いただいておる今年度税法を基礎にして計算してみましても、直接税の方が去年よりもまたウエートが高くなるわけです。よしんば間接税というものをかなりふやしたと仮にいたしましても、直接税はいわゆる名目成長率に係る弾性値が高いからこれはまた伸びていく、間接税弾性値が低いから結果としてはまた追い越されていくような、性格そのものがそういうことである。そういうことでございますので、直間比率ということから議論すべきものか、あるいはそれはさておいて、要するに消費段階担税力を求めるのか、所得段階担税力を求めるのかという基本にさかのぼって、いつも言われておりますように、税制全体を絶えず見直していけという中でやはり議論すべきものではなかろうか。直間比率だけを置いて現状をどう思うかという議論なら一人一人に違った議論がございましょうが、直間比率というものだけで税を議論することは非常に難しい問題だなと、素直に私はそういう心境になっております。
  9. 矢追秀彦

    矢追委員 大臣の言われることはわからぬでもないのですが、ただ、これもしばしば言われております大型間接税導入、過去の歴史から見てまいりますとそういった動きということになります。したがって、それはやはり我々としては反対でございますから、その点で伺っておるわけでございまして、まさか大型間接税導入はお考えになってないと、しばしば総理答弁されておりますからないと思いますが、傾向として我々は非常に警戒をしておる、これは指摘をしておきたいと思います。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 総理もしばしば言明しておるところでありますが、一方税制調査会においては、いわゆる幅広く勉強は続けなさいよ、こういう指摘があるわけでございますので、やはり税の問題ですから絶えず勉強はしていなければならぬ。しかし、今おっしゃったような主張国民的背景の中にもあるし、総理もそうお答えしておるという前提は、もとより政策の立案、執行の責任者としては念頭に置いておかなければいかぬ課題だというふうに思っております。
  11. 矢追秀彦

    矢追委員 次に、五十九年度の増減税の抱き合わせについて伺います。  五十九年度に七年ぶりで所得税減税が行われることになるわけでございますが、この規模は、我我主張やまた昨年の与野党合意の、景気浮揚に役立つ規模というものには大変劣っておることでございまして、これは大変不満でございます。しかし今日は減税規模問題の論議はちょっと後に回しまして、間接税三法について伺いますが、物品税酒税を今回増税された背景というのは何でございますか。
  12. 梅澤節男

    梅澤政府委員 五十九年度税制改正に当たりまして一番基本的な大きな問題は、ただいま委員がご指摘になりました幾多の経緯を経まして、四十九年以来本格的な所得減税を行うということでございます。  ただ、この所得減税かなり規模のものでございます。なかんずく特例公債発行下という財政のもとでは、この減税財源特例公債に依存するということは、実は現世代の減税財源を後世代の負担に回すという結果になりますので、これは、昨年秋以来の税制調査会におきまして所得減税議論をされました段階におきましても、その基本的前提といたしましては、現在の財政事情をこれ以上悪化させないという基本的な観点のもとで議論をされてきたわけでございます。私どもは、それを背景にいたしまして、五十九年度税制改正に当たりましては、この所得税減税をきちんと行うと同時に、財源につきましても、現在の財政事情をこれ以上悪化させない、具体的には特例公債財源を依存しないという観点から税制改正に取り組むということでございました。その場合に、現行税制の枠内でこの財源を見出すということになりますと、先ほど来直間比率議論がございましたけれども、現在の我が国国税収入税収構造を見ますると、所得税が四割、法人税が三割、間接諸税が三割、大体こういう構成になっております。したがいまして、この所得税減税財源現行税制の中で見出すとするならば、企業課税のほかに、間接諸税の中で負担調整というような観点から、ぎりぎり負担増をお願いする部分も出てこざるを得ない。  ただ、その場合にも、これは極力限定をいたしまして、間接諸税による増収というものをなるべく圧縮するという努力はしたわけでございますが、結局のところ、まず酒税につきましては、これは従量税率基本といたしておりますので、価格の上昇に従いましてやはり負担水準が下がるということでございます。したがいまして、これは五十九年度に限りませず、常に税制調査会考え方におきましても、酒税については、適当な負担水準を確保するために絶えず見直さなければならないという観点を指示されておるわけでございまして、五十九年度税制改正に当たりましても、実はこれは五十年代に入りまして四度目の酒税負担見直しということになるわけでございますが、最低限の負担引き上げ、あるいは調整をお願いしたということでございます。  物品税につきましても、昨今におきます消費態様等を見まして、現行課税物品バランスそれから、税率構造バランス等考えまして具体的には自動車関係物品につきましては若干の税率引き上げをお願いいたしますとともに、新たに現行課税物品とのバランスにおいて若干の課税範囲の拡大をお願いしておるというところでございます。
  13. 矢追秀彦

    矢追委員 私が聞きたいのは、要するにこのような物品税、まあ法人税もございますが、こういうところに減税財源をどうしても求めなければできなかったのかどうか。例えば租税特別措置法による減収は今度は幾らですか。対前年度比どれくらいですか。
  14. 梅澤節男

    梅澤政府委員 五十八年度予算ベース、昨年の国会に出しましたベースで申し上げますと、一兆一千九百三十億円が減収見込み額でございます。先般国会に提出申し上げました五十九年度ベース減収見込み額一兆二千八百十億円でございます。  なお付言いたしますと、御案内のとおり、このほかに交際費課税の増をいたしておりますので、ネットにおきます租税特別措置による減収額と申しますのは、五十八年度が四千四百四十億円、五十九年度が五千百六十億円でございます。
  15. 矢追秀彦

    矢追委員 要するにその差は大体七百二十億ぐらいになるのじゃないですか、五十九年度が前年度より租特によって減収になる分というのは。私は大体そういう計算をしておるのですが、間違っておればあれします。だから、そういう面を租特もやらなければならぬものはわからぬでもないのですけれども、要するにこういうところで減らしておいて——それをそのままにしておけば七百二十億は浮いてくるわけですから。  それからもう一つ私が言いたいのは、やっぱり不公平税制是正、そういうものでとにかく財源を賄う努力はできなかったものかどうか。あるいは利子配当適正課税あるいは退職給与引当金繰り入れ率是正、こういったことを主張してきたのですが、そういうふうなことで、とにかくできる限り課税をしない、特にこの酒税物品税というような、景気にも影響がありますし、大衆課税につながる、そういったものにはできるだけ触れないで、こういう財源づくりというのは絶対できなかったのか。その点はいかがですか。
  16. 梅澤節男

    梅澤政府委員 租税特別措置法を含めます税負担の公平の確保という問題につきましては、これは単なる財源問題だけではなくて、税制全般の問題として、毎年度税制改正におきまして私ども努力を続けてまいったつもりでございますが、五十九年度税制改正におきましても、いずれ当委員会でご審議いただきます租税特別措置法中心といたしまして、五十九年度におきましても特に企業関係租税特別措置につきましては、期限の到来するものを中心といたしまして、できるだけ縮減を図る、整理合理化を図るという方向努力してまいったわけでございます。  ただ、この租税特別措置につきましては、常々申し上げておりますように、総体の約二割が法人関係特別措置でございまして、残りの非常に大きな部分は実は所得税でございます。その中でも少額非課税貯蓄中心といたします貯蓄の奨励の問題とか、いろいろな問題がございまして、これは五十九年度以降なお引き続き検討し、早急に結論を見出すべき課題であるというふうに私ども考えておるわけでございます。  いずれにいたしましても、五十九年度につきまして、企業関係中心租税特別措置整理合理化をできるだけ図ったわけでございますが、そこで大きな財源期待するということは、私ども現実問題として非常に難しい問題がある。しかも企業関係租税特別措置につきましても、半分近くは中小企業対策でございますし、そのほか政策面ではエネルギー対策とかあるいは科学技術政策税制とか、それはそれなりに一つ一つ政策的な意味合いも持っておるわけでございます。私どもはそういうものを勘案しながら、ぎりぎりの段階整理合理化を図ってまいったつもりでございます。
  17. 矢追秀彦

    矢追委員 私は、今申し上げたように、もう少し努力ができるのではなかったのか、こう思うわけでございます。その点についても答弁不満でございますが、次に法人税率引き上げとそれから法人税の欠損の繰り戻し還付の二つは二年の期限つきとなっておりますね。ところが大衆課税である酒税物品税は極端に言えば永久である、税率を変えない限り。この法人税二年の期限つきでその財源を今回の減税財源に充てたということは、今までこういった財源というものは、単年度減税財源処置というのは認められない、こういうふうなことで来ておったのを、法人税だけ、二年の期限つきにはなっておりますが、こういうふうなことに変えた理由ですね。今までは、補助貨幣回収準備金など、財源を明示して減税をすることはいいということを我々も言ったことがございますが、それは永久の財源でないからだめなんだ、こういう拒否をしてきたわけですね。今度は二年間の臨時時限立法増税、これは恒久財源と言えないと思うのですね。だから、こっちは断っておいてこの法人税は入れる、一年ならだめで二年ならいい、恒久財源になる。その点いかがですか。
  18. 梅澤節男

    梅澤政府委員 五十九年度税制改正に当たりましては、先ほど来申し上げておりますように、所得税減税中心といたしまして税制改正によります減収額、金額で申し上げますと初年度全部で九千三百二十億円の財源を必要とするわけでございます。この財源特例公債に依存しないとすれば、現行税制の中で手当てをしなければならない。(矢追委員局長、そんなに詳しくなく、簡単に答えてください」と呼ぶ)そこだと思います。  先ほど申し上げましたように、間接諸税税負担引き上げに伴います増収額を極力圧縮するといたしますと、残り企業課税に依存せざるを得ないということでございます。その場合も、企業延納制度の廃止とかあるいは今御指摘になりました繰り戻し還付制度というふうな、実質上の税負担引き上げを伴わない措置をできるだけ活用しながら、しかも結局のところ最後に法人税率引き上げに依存せざるを得なかったというのが、五十九年度税制改正作業の実態でございます。  ただ、我が国法人税率につきましては、税制調査会答申にもございますように、国際的に見てもうかなり水準に来ておる。引き上げの余地なしとはしないけれどもかなり水準に来ておるという状況がございます。したがいまして、今回の税制改正におきましては一・三%といういわば端数のついた税率引き上げをお願いしておるわけでございますが、この結果、法人税実効税率は戦後最高の水準になるというふうな事情もございます。かたがた、これは四十年代に租税特別措置法で二回、二年間の暫定措置といたしまして税率引き上げをお願いした経緯がございます。そうした過去の経緯等も踏まえまして、今回の税率引き上げにつきましては二年間のとりあえずの措置としてお願いする。二年後これをどういうふうな手当てをするかという問題につきましては、二年後の財政事情なりそのときの税制全体の見直しの中で、もう一度この法人税率引き上げを含めて税財源の問題を改めて見直すという観点に立ちまして、二年間の暫定措置にしておるわけでございます。
  19. 矢追秀彦

    矢追委員 いや、私聞いているのは、この前我我減税財源として補助貨幣回収準備金などを要求したときには、恒久財源でないからこれは財源処置には充てられない、こういうことで拒否をされた。それに対して今回は、二年ですけれども法人税という期限つきのことなら減税財源として扱っていい。言うなれば全然違うわけですね。これをこういうふうにされた理由はどこにあるのか。  さっき、法人税を上げなければならぬ理由をいろいろ聞きました。それはそれなり政府の言い分としてはそうでしょうが、私が聞いているのは、この期限つき二年ならオーケー、単年度ならだめ。二年ならいいということで二年にされたのか、ないから、しょうがないからかき集めてくる、どこからでも上げなくてはいかぬということでやられたのか。前のときは恒久財源でないからと拒否した。私は二年だって恒久じゃないと思うのですよ。では、永久に法人税を上げていかれる腹づもりを持った上で、とにかく二年とされておるのか。あるいはその時点で大型間接税へのスイッチを考えておられるのか。この問題は局長に伺った後大臣に聞きますから、ちょっとこれは保留しておきます。局長、まず。
  20. 梅澤節男

    梅澤政府委員 委員が御指摘になりますように、形式的に今回お願いしております法人税税率引き上げは二年間の措置でございますから、法的には二年後何らかの手当てをしない限り二年限りの財源であるということは、形式論としては申し上げられると思いますし、そのとおりと思います。ただ、財源の性格といたしましては、先ほど例示として挙げられました補助貨幣の回収準備金の取り崩し、これは文字どおり一過性の財源でございます。今回お願いしておりますのは、もちろん法形式的には、二年後何らかの手当てをしない限り二年間限りの財源になるということは私どもも否定いたしませんけれども、先ほど申し上げましたように、二年後の時点におきまして、この税率引き上げを継続するのか、あるいはかわりの財源で何らかの手当てができるのか等も含めまして、改めて検討させていただくという意味におきまして、昨年来議論になりましたいわゆる特別会計の一部の準備金を一時的に取り崩す一過性の財源とは、やや財源の性格が違うというのが私ども考え方でございます。
  21. 矢追秀彦

    矢追委員 非常に不満でございます。これは大臣お見えになってからもう一回詰めさせてもらいます。したがいまして、あとしばらく、細かい問題たくさんございますので、その辺をちょっと質問させていただいて、また大臣が来られるまで休憩させていただきたいと思います。  今回の酒税の増税ですが、これは非常に安易過ぎると私は思います。所得階層別の税の負担表によりますと、非常に所得の低い層、もちろん当たり前でございますが、酒税負担割合というのは大変所得の低い方により高く出ている、いわゆる逆進性がはっきりしておるわけでございまして、こういったところにしわ寄せさせる酒税の増税は非常に安易である、こういうふうに思うわけでございます。  しかも、この酒税の今回の引き上げを見ておりますと、一つはまずウイスキー。これはもうずっと上がり続けに上がっておりまして、今度、今までで最高になりましたね。お酒の場合は、まだ過去に最高の税率のときはございました。しかしそれでも、お酒をつくっておられる業界からこの間も参考人として来ていただきましたが、現在非常に厳しい中でなおかつ増税という厳しい負担になってきておる。そういった点で酒税ばかり集中砲火を浴びておる。こういうふうなことの理由、これが一つ。  それから次に、物品税の中では今度は自動車が徹底的にやられておるわけでございまして、自動車を持つと、御承知のようにもつの税金がかかるわけです、物品税だけではない。ほかのものは物品税だけというのが多いわけですけれども、これはもう九つもかかって、今度は、もし自動車の免許証に税金がかけられれば十の税目になったのが、それは見送られたわけでございますけれども、そういうことで、やはり物品税の中に占める自動車の税というのは非常に大きいわけです。今までも大きかったし、また今度これが大きくなってくる。こういうことで、これ以上増税することは、自動車だけに、またゆがみを押しつけていく。先ほど物品税については非常に公平にするんだ、こう言われながら、一方においてこういったゆがみを助長しておる。この点はいかがであるか。  それから、自動車の物品税率の引き上げというものは、現在アメリカが日本に対していろいろ貿易摩擦で来ておりますが、この日本の自動車の税金が高いことがけしからぬ、輸出するときは税金がかからぬから、アメリカに安い車が入ってきて日本の車が走り回るんだ、けしからぬ、こういうことになっておりまして、これは非難としては当たらない非難です。現実はそれは違うのですから。ところが、彼らの口実というのは、そういうところからも難癖をつけてきておるわけでございまして、そういう意味では、今回、こういうまだまだ貿易摩擦が非常に厳しいときに、またそういう彼らのよくない議論ですけれども、何か攻撃されるような、そういうふうなことへ持ってこられた。これは非常に私も遺憾であると思うわけでございますけれども、その点についてお伺いをしたいと思います。
  22. 梅澤節男

    梅澤政府委員 幾つかの問題の御指摘をいただいたわけでございますが、まず酒税につきましては、これは先般も予算委員会に提出いたしました五十五年分の家計調査によります私どもの分析によりましても、御指摘のとおり、世帯単位ごとに見ますと、実収入額に対して若干逆進的な負担構造を持っておる税であるということは否定できないと思います。その意味におきまして、税負担引き上げにつきまして、今回の酒税引き上げがそういうふうな傾向に働くであろうということは、私どもは否定する気持ちは毛頭ございません。  ただ、この問題につきましては、常々申し上げておりますように、税負担のトータルとしての負担の姿と申しますのは、やはり所得税その他の諸税全体の相互負担関係が一体どうなっておるのかということで判断されるべきであろう。ということになりますと、我が国の場合、かなりの形でトータルとしては累進的な構造になっており、その限りで、税制全体としては先進国の中でもかなり効果的な所得再配分機能を果たしておると私ども考えております。したがいまして、今回、減税に当たりまして若干の酒税引き上げをお願いするということは、ぜひ御理解を賜りたいと思います。  それから、負担水準が、例えばウイスキー特級等につきましては三十七年の酒税減税以来最高の水準であるという御指摘、これもウイスキー特級に関する限り御指摘は当たっておると思いますけれども、これは三十七年の減税以来各酒類ごとに消費のパターンもいろいろ変わってきております。変わってきておりますが、トータルとしてはずっと負担水準は下がる傾向にございまして、五十年に入りましてこの負担調整をお願いしておるということで、若干の見直しを、今回で四回目でございますが、やらせていただくわけでございまして、代表的なビール等で見ますと、今回の引き上げの結果、およそ昭和四十五年当時の負担水準でお願いする結果になるというふうに私ども考えております。  それから次に物品税の問題でございますが、物品税の中でなぜ税率引き上げを自動車についてのみ行うのかという御指摘でございます。これにつきましても、現行物品税は一五%、これは二種物品でございますが、一五%の税率を軸といたしまして六段階税率構造の展開になっておるわけでございます。私ども常々、自動車につきましては現行小型乗用車一七・五%でございますが、この税率構造は、現在の既存物品税率構造とのバランスから見ますると、もう少し自動車について引き上げをお願いする余地はあるのではないかということを考えておるわけでございまして、今回の税制調査会答申におきましても、そういう税率構造バランスからいって、自動車についてなお若干の税負担引き上げの余地ありというお考えもお示しいただき、今回の税負担引き上げをお願いしておるわけでございます。  ちなみに、今回小型乗用車で一%の税負担引き上げでございますが、これは恐らく小売価格に全部が転嫁されました場合の影響はおよそ〇・六前後ぐらいの負担でございます。もちろん負担の増を招く結果になることは否定しませんけれども、まあその程度の負担引き上げということで、ぜひ御理解を賜りたいということでございます。  それからもう一つ、アメリカとの関係でございますが、これは五十六年の物品税改正におきまして自動車税率引き上げましたときに、日米貿易摩擦との関連で、普通乗用車についてアメリカからいろいろクレームが出たという事情がございました。それから今回の場合も、御指摘のとおり、今度はむしろ内国税を上げることによって輸出ドライブがかかるという批判を招くのではないかという議論がございました。私どももそれはもちろん心配をしたわけでございますが、これはまさに委員が御指摘になりましたように、全く誤解に基づくものでございますし、また今回の引き上げ幅も、いま申しましたような程度の問題でございます。したがいまして、この引き上げによりまして日本の自動車業界に、これを引き金にして輸出ドライブが働くというふうに見るのは、いささか現実とは離れておる。ということでございます。そういう筋の問題が提起されました場合には、私どもとしては、政府といたしまして誠意を持ってアメリカ側に説明し、説得する、それから納得してもらう努力をするということでございます。
  23. 矢追秀彦

    矢追委員 その自動車の問題について、まだ自動車は税をかけてもいけるんではないかというふうなことからかけられたような印象を受けたわけですが、自動車業界の方も大変努力をされております。今アメリカは相当自動車に力を入れて、むしろあと五年先を考えた場合、果たして今のように日本の自動車がアメリカで売れるのかどうかは非常に疑問視されております。ロボット一つにいたしましても、日本の大きな日産自動車に入っているロボット台数と最近GMが入れたロボットの台数は、もう話にならないほど向こうが大きいわけでございまして、必死になって技術革新をやり、日本にやられたのを、劣勢を立て直そうと必死になっている段階でございます。したがって、そういうふうな将来を展望した場合、この自動車業界というのは必ずしも今までのような好景気でいけるかどうかわからない。しかも今申し上げたようなアメリカの非常な時代に、何か自動車だけこのパーセンテージ。今まで四三%だったのが今度は何%になるか、これは私教えていただきたいのですけれども、それはちょっといかがなものなのか、このように思うわけでございます。確かにマーケットが大きい、数も多いから、それは税収の上がりはいいでしょうけれども、ちょっとそういう点では、今回の自動車についてはもう一つ納得できないわけでございまして、その点重ねてお伺いします。
  24. 梅澤節男

    梅澤政府委員 先ほども申し上げましたように、今回小型乗用車については一%ポイントの税率引き上げをお願いしておるわけでございます。もちろん、それが小売価格に転嫁されました場合に負担の増を伴うということは、消費税でございますので当然でございますけれども、その影響は、小売価格に対しまして約〇・六%程度のものでございますので、この点はぜひ御理解を賜りたいと考えておるわけでございます。  それから、先ほどの御質問の中で、若干付言をすることを許していただきますと、今回の物品税、自動車の税率引き上げに関しましては、日米関係の問題というものも非常に考慮に入れまして、実は普通乗用車、いわゆる大型車につきましては、税率引き上げ幅を小型車の半分、〇・五%ポイントに縮減といいますか、圧縮しておるわけでございます。現在の日米間の自動車をめぐる諸問題を考慮に入れまして、これは租税特別措置法でお願いしておるわけでございますが、そういった考慮の結果、〇・五%の引き上げ幅にしておるということを付言させていただきたいと思います。
  25. 矢追秀彦

    矢追委員 この質問で少し休憩させていただきたいのですが、物品税について、先ほど公平にしていくんだと言われておりますが、私は、まだまだこの物品税そのものの定義、それから税率のあり方、かける物とかけない物の違いをどう考えるべきか、その点は非常にあいまいといいますか、いいかげんなような、そのときに来て行き当たりばったりで物品税税率を上げたり、かけたり、外したりしているのではないか、こう思うわけでございます。  いろいろ今から私が聞くと、理屈をつけておっしゃると思いますが、例えばお茶とコーヒー、紅茶、ウーロン茶、こういった点は、お茶はかかっていない、コーヒーはかかる、これはどうしてですか。
  26. 梅澤節男

    梅澤政府委員 この課税物品の範囲の問題につきましては、非常に議論の多いところでございます。特に、昨年十一月の税調の答申におきましても、現行物品税課税範囲につきましては、従来のように奢侈品とかあるいは高級便益品といったようなものに限定するという考え方から一歩踏み出しまして、最近の消費の多様化、均質化の中でもう一度見直すべきであるという方向が示されておるわけでございます。今回の物品税改正に当たりましては、この考え方に基づいて、新しい観点から課税範囲に取り込んだという物品はございませんけれども、私どもは六十年度以降、やはり税制調査会答申で示された方向課税物品を抜本的に見直さなければならないというふうに考えております。  ただいま典型的に御指摘になりました、例えばコーヒーとお茶の問題でございますが、この辺の課税範囲をどこで引くかということは、私どもは率直に言いまして絶対的なものはないと思っております。ただ、従来の考え方に立ちますと、コーヒーとお茶で比較いたしますと、やはりコーヒーの方が嗜好性が非常に強い。嗜好という観点で、食品としてコーヒーとお茶では質的な違いがあるということで、一方は課税物品になり、一方は非課税物品になっておるということでございます。
  27. 矢追秀彦

    矢追委員 今はコーヒーなんというのは、特に若い人はもう日本茶よりたくさん飲む時代になってきておるわけでございまして、そういう意味では、外せと言うとまた物品税——物品税は今度は五百六十億ですから、大したことないわけです。そういうことで、ただそういうふうな理屈だけでかける、かけないということを決めるのではなくて、もっときちんとした基本的なルールづくり、これは大臣がお見えになってからまた聞きますけれども、決めてもらわなければ困ると私は思うわけです。  それからゴルフのボール、これは三〇%ですね。それからダイヤモンドの指輪は、もちろん課税のあれはありますけれども、一五%。こういうふうな税率ですね。この税率の違いというものをどう考えているのですか。
  28. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ゴルフは第二種物品でございますので、課税標準はメーカーの蔵出し価格、税抜き価格でございます。今例示として挙げられましたダイヤモンド、いわゆる貴石とか半貴石のたぐいは第一種物品でございまして、現行税率は一五%でございますが、これは小売の段階の価格が課税標準になるわけでございます。これは税率構造に関するごく大略の考え方でございます。つまり、一種物品の一五%という税率は二種物品で大体三〇%に当たる、そういうバランスとして従来からも一種物品、二種物品税率構造は仕組まれておるわけでございます。
  29. 矢追秀彦

    矢追委員 時間があったら一つずつやりたいのですけれども、そういうことを相当計算に入れても、やはりこの税率の違いというのが私はおかしいと思うわけです。  それからもう一つ、最近非常にいろいろな商品が出てきまして、複合商品という名前をつけたらいいのか、例えばボールペンに時計がついているものは非課税、時計つき電卓それから時計つきそろばん、こういうようなものは非課税ですね。ところが時計つきライターというのは課税されておるわけですね。電卓つき腕時計も課税されております。ラジカメも課税されておる。こういうふうな複合商品のあり方。ボールペンはわからぬでもないですね。時計が主体でなくてボールペンだから、時計がついてもボールペンを主体として非課税非課税が多いのはいいのですけれども、これから非常に複雑な時代になってきた場合、私が心配するのは、何でもかでも税金を取りたいのが大蔵省ですから、そういうのは全部かけてくるような気配を受けるわけです。  現に去年だってそうですが、部分品に税金をかけてきておりますね。今度だってパチンコの表と裏、かえられるからというので、今度はパチンコの表に税金をかける。これは表だけをかえて「新装開店」とやるから税金をかけるのだ、こういう理屈ですね。それなりの理屈はわかるのですけれども、私が心配するのは、今後要するに部分品全部に、一つのでき上がったものではなくて、そういういろいろな分かれたものにどんどんかけていけば非常に負担が上がってこないか。非常に心配をするわけですが、そういう今申し上げた複合商品と税との関連に対するお考えをお伺いしたいのです。
  30. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 お答え申し上げます。  かなり執行の分野に立ち入った問題でございますので、国税庁の方からお答え申し上げますが、ただいま先生御指摘のとおり、最近いろいろそういう便宜的な商品がふえてきておりまして、例えば御指摘の時計つきボールペンのようなものがかなり出回っているわけでございます。こういった課税物品、非課税物品を複合いたしました商品に対します課税の実施可否判定に当たりましては、物品税法の別表、通則二というのがございまして、その物品の性状、機能、用途等を総合的に勘案し、物品の重要な特性がいずれにあるかということによって判断いたしまして、その「重要な特性を与える物品のみから成る」、こういうような取り扱いになっているわけでございます。  ただいまお尋ねの時計つきボールペンにつきまして御説明申し上げますと、この時計つきボールペンは、やはり使用の実態から見ますと、ボールペンにたまたま時計の機能が付加したものであるということでございまして、これはそういった意味におきまして、非課税物品でありますボールペンという取り扱いになっているわけでございます。ただ、時計部分につきましては部品課税がございまして、時計のムーブメントには課税されますので、その部分非課税限度を超えます場合には課税が行われるはずでございます。
  31. 矢追秀彦

    矢追委員 もうちょっと追加いたしますけれども、ちょっと一つ抜かしましたが、漆塗りのライターは非課税ですね。これは、伝統工芸品を守らなければいかぬからというので漆塗りのライターは非課税となっていますけれども、現実にある漆塗りのライターは、輸入品が多いんですよね、ダンヒルとかそういうもの。それは漆塗りというだけでかからない、ほかのものほかかってきている。こういった点も、昔はそれでよかったかもしれません、漆を使うということで。現実はもう全部輸入されているような状況の中で、果たしてこれはいかがなものなのか。  それからもう一つ、化粧品の物品税をかける基準、これはちょっと私もよくわからないですね。マニキュアとパックは非課税ですね。そういった点はどういうところを基準にして、これはかける、かけないと言うのか。私は、さっきから言っている物品税全体のルールというものを、大臣が来られたらきちんと具体的な例も挙げて聞きたいんですけれども、そういったことをきちんとしないと、これからどんどん物品税をふやしてこられる。大衆増税をされている中で、国民の理解というのは得られてこないと思うのですね。そういう点は、私はこういう実例を挙げてお伺いをしておるわけですが、いかがですか。
  32. 梅澤節男

    梅澤政府委員 漆製品が非課税になっておるということは、これはいろいろ経緯がございまして、伝統技術を保護するというふうな政策的な観点もございまして、課税物品から外されたという経緯があるのは御指摘のとおりでございます。現実、いろいろ輸入されているものもあるではないか、むしろそういうものが多いという御指摘でございます。それは原料が輸入という意味でおっしゃったのか、あるいは製品輸入という意味でおっしゃったのか、いろいろあると思いますが、ただ、これは内国消費税でございますので、国内の市場に入ってまいりました場合には内外差別をしないというのが各国の消費税の基本原則でございます。したがいまして、輸入されたものであるからといってそれだけを課税にするということは、内国消費税の体系になじまない、むしろ全体として漆製品を課税対象にしていないのがいいことなのか悪いことなのかという議論であろうと思います。ただ、現段階におきましては、やはり漆につきましては過去の課税物品から外された経緯から見ましても、現状これを課税対象に取り入れることについてはいろいろ問題があるのではないかというふうに考えております。  それから、御質問の趣旨は、化粧品につきまして一〇%と五%の税率構造の違いがある。香水とかマニキュアについては高くなっておる。これは物品税というのは、いろいろ奢侈品とかあるいは趣味・娯楽品、高級便益品ということのほかに、もう一つ装飾品という概念がございます。したがいまして、装飾品の中でも装飾性の高いもの、あるいは装飾性はあるけれども通常の社交的な身の回り品的なものというふうな区別をもちまして、同じ化粧品の部類に属する物品でございましても税率を変えておるというのが、今の物品税考え方でございます。
  33. 矢追秀彦

    矢追委員 今の答弁では、マニキュアとバックが課税されていないというのはちょっとわからぬですけれども……。
  34. 梅澤節男

    梅澤政府委員 物品税法施行令の十六号で定義がございますが、品目1の中に「香水、香紙、香袋及びつめめ化粧料」という定義がございますが、マニキュアはこの「つめ化粧料」ということで課税の対象になっておるわけでございます。
  35. 矢追秀彦

    矢追委員 余りよくわかりませんので、これでちょっと休憩させていただきますが、ただ、一言断っておきます。決して私は漆に税金をかけるという意味で言っているのではないということだけは、ひとつ御理解いただきたいと思います。そうでないとおかしいです。
  36. 瓦力

    ○瓦委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  37. 瓦力

    ○瓦委員長 速記を始めて。  この際、暫時休憩いたします。     午前十一時七分休憩      ————◇—————     午後三時三十一分開議
  38. 瓦力

    ○瓦委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。玉置一弥君。
  39. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 まさに低成長の中で、国会みたいになかなか前へ進まないのですけれども、ちょっと準備が昔の段階でございまして、正確にはこの前にいろいろこういう質問をするということでお願いをしてあった内容と変わってきているかもしれませんけれども、専門家に聞く話でございますから十分答えられると思うので、ぜひ十分なる答弁をいただきたい、かように思います。  まず、やはり今回の間接税増税。これは、本来の財政再建計画が、当初の五十九年度から六十五年にまで延びたわけでございますけれども、延びた割には、五十九年度予算を見ても、公債発行の減額というものが非常に少ない数字が出されております。当初、毎年一兆円近くの減額をやるということで五十九年度をめどにやってきたわけですけれども、七年も延びたということでございまして、七年延びた割には減ってない。そして、減ってない割には、大蔵省の試算を見ますと、六十年に三兆円余りの財源不足が生じてきているということでございまして、どうもその試算によりますと、かなり大きな財政不足が六十五年まで継続して出てくるというような形になっております。その辺について、大蔵省、政府としてどういうふうに対応されていくのか。  毎年、予算関連ということで一年一年しか明確にされておりませんけれども、きょうの参議院の本会議で中曽根総理大臣が、自分の内閣の間には間接税導入はしないと言明されておられるのでございます。我々、あれを見て、中曽根長期政権というのはないのかなというような気持ちを持ったわけですけれども、現内閣でございますから、中曽根さんが言われたことを大蔵省としても守っていかなければいけない立場でございます。そういうふうに考えていきますと、いわゆる六十年以降の財政不足に対する対応、これを考えていくと、今の行革の進め方、個別提案が出ていますけれども、その効果が非常に期待薄であるというところから見ると、これまた大変な作業ではないかというふうに思うわけでございまして、大蔵省試算に対応するいわゆる要調整額、これにどう対応されるか、その辺についてまずお伺いしたいと思います。
  40. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今お話のございましたように、我が国財政を取り巻く環境は非常に厳しいものがあるわけでございます。そういう中で財政の改革を推進して、最終的にはこの財政の対応力を十分に取り戻すということが、我が国経済の発展あるいは国民生活の今後の安定基盤を確かなものにするために極めて重要な課題であるというふうに考えられるわけでございます。  そういうときに、先ほど御指摘の要調整額を今後どういうふうに調整していくかということでございますけれども、まず定性的に申し上げますと、歳出面につきましては、行財政の守備範囲を見直すという見地から、既存の制度あるいは施策についても切り込んだ改革を行っていくということでやっていかざるを得ないのではないかと思うわけでございます。他方、歳入面におきましても、各種の公共サービスの確保は国民の負担により裏づけられるというものであるわけでございますから、そういう観点から、社会経済情勢の変化を踏まえながら、公平適正な税制のあり方についてもあわせて検討を行っていく必要があるのではないか。そういう歳入歳出両面から各般の努力をしながら、毎年度予算編成過程の中でこの調整額を調整していくということではないかと考えるわけでございます。
  41. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 昨年も大蔵省にお聞きをしたときに同じような答弁があったのです。ということは、例年そうなんですね。今の制度に切り込むというときには、必ず負担増加がついて回ってきている。例えば今回の健保がそうですし、そういうふうにいくと、足りない分は今の制度に切り込みながら一般の国民に負担をしてもらう、利用者に負担をしてもらう、こういうふうに考えていいわけですか。
  42. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 財政を改革していく場合には、やはり三つのやり方があるわけでございます。一つが歳出面からどういうふうにやっていくか、それからもう一つは歳入面、いわゆる負担増の問題にどう取り組んでいくか、それから三番目に、その両方を合わせてどう処理していくか、こういうことであります。そういう三つのやり方をどう組み合わせていくかは、最終的には国民の皆さん方の選択の問題に帰するところではないかということでございまして、そういう観点から政府としても幅広く検討していく必要があるのではないか、そのように考えております。
  43. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 今の計画ですと、六十五年までこういう状態が続くというふうに、一応は決められたといいますか、こうなってきているわけですけれども、今の答弁を聞いておりますと、歳出削減、負担増ということで、その両方がある。試算表を見ますと〇%、それから三%、五%というふうに、いろいろなパターンで想定をされて計算されておりますけれども、今年度、来年度と、非常に抑え込んだ予算ということが言われておりまして、かなり苦労してつくられたという話も聞いておりますけれども、要するに抑え込んだ分だけ逆に利用者の負担増という形になっているような気もするわけです。  私たちが心配いたしますのは、財政再建というのは、単なる行政のあるいは政治の失敗を国民に転嫁しているだけではないか。行政改革でいろいろな法案が出ておりますけれども、いわゆる員数合わせで、省庁が減る、あるいは部署が減るという大きなものではないわけですね。その省の下の部分、名称統合とか、考えてみればそういう段階しかない。管理者しか減らない。こういう状態では、財政再建、特に行政に切り込んだと言うことはできないわけです。だから、今おられる国家公務員の何%削減をいつまでやるのだという具体的なことを出していかなければいけないし、また人がいるために仕事がつくられる。ですから、余計なところまで判こをついて回るとかいろいろなことが言われておりますけれども、逆に言えば、そういう部分をなくしていけば仕事も簡素化できて、それと各省庁別の縦系列ですけれども、これもやはり横に見たいわゆる調査部門とか実施部門とかいろんな分野に分けて行政制度を見直していかなければいけないと思うのです。これは大蔵に言ったってしょうがない話で、しかし、そういう状態を見てみますと、出てくる法案すべてがほとんど我々が期待するに足りない、全然頼りない法案でございまして、行政改革の効果というのは財政上は出ないのじゃないか、僕はそういうふうに思うわけです。だから、負担増加というのはすべて国民が受け持たなければいけないというふうに思うわけでございまして、これは思うわけというか、独で断定的に思っているわけです。  ですから、これから負担増加は中曽根内閣が続く限り国民に転嫁できない——いわゆる間接税ですね、間接税は導入できないということでございますから、では、どういう方法で穴埋めをされるのか。もっと具体的に分野が絞られてくると思うので、負担増しかないというふうな見方からいきますと、では、負担増とは何で負担を増加するのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  44. 梅澤節男

    梅澤政府委員 先ほど来主計局の方から御説明申し上げておりますように、今後の財政改革に当たりまして、御議論になっておりますように歳出の側面から徹底的にこれを合理化する、削減するという努力と同時に、公共サービスは国民の負担によって裏づけられなければならないという基本的な考え方に立って、やはり歳入構造についても見直していかなければならないというふうに、今回お出しいたしました「展望」にも基本的な考え方を述べておるわけでございますが、その場合の負担とは一体何かという御指摘でございます。  国民負担というのはいろんな範囲のものがあるわけでございますが、やはり租税負担と社会保障負担というふうに大別できるのではないか。そのほかに、個々のサービスに伴います受益者負担的なものがございます。これももちろん含めて考えなければならないわけでございますけれども財政改革の視点に立った場合には、やはり租税負担と社会保障負担を一体どのように持っていくかということでございます。  この国民負担考え方につきましては、先般出ました臨調答申におきましても、中長期的には、これは我が国の社会の高齢化とともに引き上げ方向にならざるを得ないだろうというふうに展望されておるわけでございますが、その場合におきましても、現在のヨーロッパの水準をやはりかなり下回るところにめどを置いてやっていくのが望ましいというふうな、いわば定性的な考え方が述べられておるわけでございます。  委員の御指摘は、具体的にそれでは一体租税負担をどのようにするのか、あるいは社会保障負担をどのようにするのか、具体的なその展望を示せというふうな問題意識をお持ちであろうと思うわけでございます。私どもも中長期的にはそういう展望を早く構築していかなければならないというふうに考えておるわけでございますけれども、現時点におきまして、例えば国民負担率とかあるいは租税負担率といったものを政策目標値として具体的に、設定し得るような条件にないということは、常々申し上げておるとおりでございます。したがいまして、六十年度以降、毎年度予算編成に当たりまして、歳出削減の努力と同時に、税制あるいは社会保障負担全体の負担のあり方を見直すという方向で、現実的には作業を進めてまいらなければならない。今の時点で、六十五年までの時点に具体的にどういうスケジュールでどういう負担に持っていくかということは、まだ申し上げられる段階にはないということを御理解賜りたいと思います。
  45. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 この前、本会議でお聞きしたら、同じような答弁があったわけですけれども、大体ヨーロッパよりは低い水準ということでございまして、いつの間にか大体四〇%くらいじゃないかという話が出てきたくらいでございまして、当初は三五%、今三五・幾つですね。大体三五%。六十五年の租税負担率をこの前何かの表で見ました。二六・幾つとか、大体二七%前後ということになっていて、二%くらいしかふえない。そうなると、残りがということになるわけですけれども、六十五年とは限ってないわけで、七十年には年金制度の大改定が今計画されているというふうなことを推測すると、大体七十年かなというふうな感じも受けるわけですけれども、大体のめどとしてはまだ全くないわけですか。その場その場で切り張りやって、ふえてきたらしょうがない、こういう感じですか。
  46. 梅澤節男

    梅澤政府委員 今の租税負担率なり国民負担率の議論は、先般の衆議院の予算委員会でも御議論になった点でございます。そのときに私どもが申し上げましたのは、今回試算で出しております。そのままの姿で仮に租税負担率を試算いたしますと、五十九年度予算の見通しで租税負担率が二四・二%でございますが、これが恐らく二四・七%程度になるであろうということでございます。  ただし、これでは試算にお示ししておる要調整額がそのままになっている姿でございますので、仮にそれでは要調整額を全部税収でカバーするという前提に立った場合に、租税負担率はどうなるのかということでございましたので、これは全く機械的な前提でございますということをお断りした上でお示しいたしましたのが、いろいろなケースがございますが、ケースa(1)で要負担調整額の国民所得に対する比率が二・九でございますから、全額を税収で確保するとすれば、少なくとも二・九%は租税負担率の引き上げ要因になるであろう。ただし、どの税目でこれをやるかということでございまして、少なくとも現在の地方交付税制度を前提にします限り、例えばこれを地方交付税の対象税目である三税目によって御負担願うといたしますと、二・九%では済みませんで、私はそのとき二・九%プラスアルファと申し上げたわけでございます。しかし、これはあくまでも機械的な計算でございまして、六十五年度に、ケースa(1)によって、今申しました二四・七%プラス二・九%プラスアルファを租税負担率の目標値にしておるということではないわけでございます。  この辺を手がかりにしながら、将来の租税負担なり国民負担の展望、それも一義的なものではなくて、ただし、何らかの意味で御議論をいただく場合の手がかりになるようなものを早くお示しするような状況になることを私どもも願っているわけでございますけれども、現時点では、そういうものをまだお示しできる段階にはないということを繰り返しお答えせざるを得ないと思います。
  47. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 逆に言えば、歳出がどういう状態になるかということで大分変わってくると思うのです。ただ、今までの状況を見てみると、要調整額は必ず出てくるんじゃないかなというような感じがするわけで、お聞きをいたしました。  借りかえをやるという話が大体本決まりになってきたようでございまして、このままいきますと、六十五年には借りかえなしで百六十六兆の公債発行残高というものが残りまして、借りかえを含めると二百三十幾つとか、二百二十幾つとか、大変なところまで行く。発行は一応なくなりますけれども、今度返していかなければいけないわけでございまして、同じような苦労がまだ続くわけです。  最近何か、二十一世紀に向けてとかいう話がよく出ているようでございまして、そのくらいまで生きているのは我々ぐらいじゃないかというような気持ちも持っているわけですけれども、今度後処理を我々より一我々より上の方も大分おられますし、下の方もおられて、その世代でやっていかなければならない。そうなりますと、将来どういう形まで減らしていくのか、本当に発行残高ゼロまでやるのか、あるいはある程度減ればその辺でいいというのもあると思いますし、逆に言えば、国債費との関係予算の硬直化を防ぐという意味では、国債費を何%に抑えるまでは減らしていかなければいけないとか、いろいろあると思うのですけれども、その辺をどういうふうにお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。
  48. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 今委員指摘のように、仮定計算例によりますと、借換債を発行していくケースの場合に、六十五年度末で国債残高百六十六兆円というふうに試算されるわけでございます。このうち建設公債分が約百兆円、それから特例公債が六十六兆円になるかと思います。建設公債分につきましてどういうふうに考えていくかということにつきましては、一応この仮定計算例では毎年度横ばいということで置いております。その結果、六十五年度百兆円ということになっております。片方、特例公債は、六十五年度までに新規財源債としてはもうゼロとするということでいきますと六十六兆円、こういう姿になるわけでございます。  そこで、先ほどお話がございましたように、それではこのように巨額の国債が累増して六十五年度には残高としてある、それについてどういうふうに考えるかということでございますが、この点につきましては、一つは対GNP比で見ていくと、四一%という非常に高い比率になっております。ちなみに諸外国の数字を申し上げますと、これは国債以外に長期債務全部含めた場合でございますけれども、アメリカの場合で三二%、イギリスは高くて四四でございます。西ドイツが一八、ほかの長期債務を含めておりますので、日本の場合四八ということで、諸外国に比べて非常に高い状況に現在あるわけであります。  かつまた、もう一つの委員指摘の指標でございますけれども、一般会計に占める公債比の割合、これはもうすでに一八%強ということで、諸外国に比べても圧倒的に高い比率を占めておるということでございます。したがいまして、いずれの指標も現在既に非常に高い比率にあるわけでございます。したがって、当面はこの、今後の財政運営の「基本考え方」にお示しいたしましたように、赤字国債については六十五年度までにゼロにすることにもう最大限の努力をする、その後は残高をできるだけ減らしていくことで努力するということでございます。  それでは一体どこまでいったらいいのかという、この最後の御質問でございますが、これはやはり定量的にここまでというのはなかなか難しいと思いますので、考え方としては、今申し上げましたように、当面非常に高い率でございますので、それを減らすことにあらゆる努力を注いでいくということでやっていきたい、そのように考えております。
  49. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 周りの動きも絡んでくる話で、なかなか定量的につかめないと思うのですけれども財政の硬直化というのは経済運営にもかなり影響するという面から見ると、できるだけ早く余裕を持ってもらいたいし、逆の立場からすると、余裕を持つために負担をかけるんだというのは非常に困るというようなことがございまして、どのくらい耐えなければいけないのかなという気持ちで聞いたわけです。  そこで要調整額、何か新しい間接税の導入をしないという話を聞いておりますけれども、研究はいろいろされているようでございまして、諸外国の例を見ると、製造者売上税とかあるいは卸売売上税、小売売上税、取引高税、EC型付加価値税、いわゆる一般消費税、こういうふうな分類があるそうでございます。大蔵省の資料だと思いますけれども、そういう研究をされている方がおられた。今もおられるということらしいですけれども、これは別に大蔵省からいただいた資料でもない、外部で研究されておる方の資料なんですけれども、その各国の実施状況なんかを見て、いろいろな分野あるいは日本の国民性、こういうところから、日本でできるもの、できないものというのはだんだん分類をされていくというふうに思いますし、今の税務体系から見て果たして把握ができるかどうかという問題もあるかと思うので、間接税というのは大体こういう内容があるけれども、日本に合うか合わないか、そこでこれを導入しようと思うとどういうふうにしなければいけないのか、その辺をまずちょっと簡単にお願いしたいと思います。
  50. 梅澤節男

    梅澤政府委員 恐らく委員の御指摘になっております点は、今我が国は個別消費税の体系を持っておるわけでございますけれども税制調査会の累次の答申で示されております課税ベースの広い間接税というものを検討の俎上に上せた場合に、いろいろな類型がある。それで、我が国の国情に一番適合性のあるようなものはどういうものかというふうな御質問でございますけれども、実は、この課税ベースの広い間接税につきましては、この税制に限りませず、あらゆる税制につきまして、私ども税制当局といたしましていろいろな角度から勉強しておることは事実でございます。ただ、当面識論の対象になっております課税ベースの広い間接税につきましては、税制調査会においても検討の課題であるという御指摘はいただいておるわけでございますけれども、五十五年度以降今日に至るまで、具体的な検討なり審議というものが税制調査会の場で行われたわけではございません。  私ども税制議論をいたします場合には、絶えず税制調査会の御議論を酌み取りながら、税制当局としての考え方を申し述べるということでございますので、ただいまの委員の御指摘になりました点について、本日の段階で直接お答えする用意はないわけでございます。その意味で、お答えにならないお答えになるかと思いますけれども、ただ、課税ベースの広い間接税につきましては、従来税制調査会で諸外国の立法例等を参考にいたしまして、五つとか六つの類型で議論されていることは事実でございます。  恐らく今委員がお手持ちになっておると考えられます類型とそう異同はないと思いますけれども、簡単に言ってしまいますと、単段階に分けた場合、これは製造段階、卸売段階、小売段階で、大体三つの間接税の類型が考えられる。それから多段階考えます場合に、累積型としてはいわゆる取引高税タイプのものが考えられる。一般売上税と申しますか、そういったタイプのものが考えられる。それから累積を排除するタイプといたしましては、現在ECでやっております付加価値税。あえて言うならば、かつて五十四年の国会決議で議論の対象になりました、当時政府税制調査会が「一般消費税大綱」という名でまとめられました一般消費税、およそこの五つないし六つの類型があるわけでございます。  この税制につきましては、諸外国の歴史をたどりましても、それから現在それぞれのタイプについて各国がやっておりますいずれのタイプにつきましても、それぞれメリット、デメリットというのはあるわけでございまして、今後これを我が国に具体化するかどうかというのは、これは大きな政治問題でございますので、税制の純理論的な問題としてお答えしているということでお聞き取り願いたいわけでございますが、これはいずれにいたしましてももう少し深く掘り下げながら、それから、それぞれの国の取引の慣習なりそういったものも考えていかなければなりません。したがいまして、どういう類型が我が国に適合するかということについて、具体的にお答えを申し上げる段階には現在ないというところでございます。
  51. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 物品税はいわゆる消費税になっているわけですけれども、日本でやる場合のいろいろな物流の把握とかあるいは商売で現金扱いをしているところとか、いろいろな商売のやり方によっても変わってくると思うのですけれども、今の状態でいろいろな間接税が導入あるなしということじゃなくて、先ほど聞いたのは、日本に合わないものがというか、今の状態で日本でいろいろな間接税が導入できるかということが一つあるわけです。私も毎年、別に言わそうと思って聞いているわけじゃないけれども、今のままじゃ間接税導入はできないのじゃないですかということをいつも質問のときにお話をしているわけです。国民観念といいますか、税に対する考え方あるいは徴税の方法、そして商売の中のしきたり、そういうものを含めても、すぐに出て財政が足りないからさあというわけにはいかないだろう。逆に言えば、税額がはっきりつかめないためにその分を負担するということにもなりかねないし、正直に出した人がばかを見るというようなことにもなりかねない。そういう意味から体質的に合わないのではないかというようなお話をしているわけでございまして、間接税導入をやる、やらないにかかわらず、税の課税及び把握、捕捉の公平という面から見て、ある程度の体系は整えていかなきゃいけないのではないかというふうに思うわけです。その辺について今後どうされていくのか、ちょっとお聞きしたいのです。
  52. 梅澤節男

    梅澤政府委員 税制は、いずれにいたしましても大多数の国民、納税者御自身の理解と御支持あるいは御協力がないと、制度としては適正にワークしない、定着しないということでございますから、とりわけ新しい税制議論する場合に、その基本的な条件といたしまして社会全般の理解あるいは受け入れ可能性あるいはコンセンサスといったものが基本的な条件になると思います。これはお説のとおりでございます。  そこで、その問題はさておきまして、我が国税制を今後考える場合に、やはり今おっしゃいました公平という視点、これが基本的に重要であるということは否定できないところでございます。この税の公平をいかにして確保するかということでございますが、それぞれの税目によってそれぞれ制度的な面あるいは執行の面で対応していかなければならないわけでございます。当面この国会でも御提案を申し上げておるわけでございますけれども所得税それから法人税につきまして、新たに申告納税制度の原点に立ち返るという意味で、今回記録あるいは記帳に基づく申告制度、制度面で整備していくといった点、あるいは所得の捕捉というものが所得課税の場合、公平、不公平の一つの大きな問題点になっておりますので、そういう意味で税務当局の適正な資料をもって課税ができるような、そういう側面からの制度の補強といったようなものもいろいろお願いしておるわけでございます。そういった社会環境が醸成される中で、今後さらに税の公平という観点から、間接税も含めました税体系をどういうふうに考えていったらいいのかというのは、いましばらく息の長い問題として対応していかなければならないというふうに考えております。
  53. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ちょっと時間の配分もありますので、まだいろいろ聞きたいことがあるのですけれども、一応やはり時間をかけてやらなきゃいけない問題でございますから……。賛否はいろいろありますけれども、我々特にサラリーマンをやっていた者にとって、今の重税感そして不公平感、これがあるわけでございまして、その分野をまず取り除いていかなきゃいけないし、逆に言えば中小企業団体なり、あるいはほかの産業についてのいろいろな問題も今度はあるということで、一方的に押しつけるという形ではなかなかできないと思うので、時間をかけてぜひ検討していっていただきたい、かように思います。     〔委員長退席、中西(啓)委員長代理着席〕  お酒の問題に移りたいと思います。たばこの後の値上げに必ずお酒がついてくる。これはどういうわけかそういう順番になっている。  先日の参考人のときに、ビールの需要の予測が何か局長答弁と向こうの見方と食い違いがあったようでございますけれども、この辺どっちが正しいのか、その辺についてお伺いしたいと思います。
  54. 梅澤節男

    梅澤政府委員 五十九年度の、ただいま御審議いただいております予算におきまして、ビールの課税数量は、私どもの見込み数量では五百二十四万二千キロリッターとはじいておるわけでございます。これは五十八年度の当初予算に比べますと、伸び率にいたしまして六・九%ということでございます。  前回、あるいは渋沢委員の御質問もあったかと思いますが、若干あのときに私説明不足の点があったことをおわびしなければならないのでございますが、当初予算に対しましては伸び率は六・九%でございますけれども、御案内のとおり昨年の猛暑等もございまして、五十八年度の現在までのビールの課税数量と申しますか出荷の数量の状況は、私どもが当初予算で見込みましたものよりも相当上回っております。したがいまして、あえて申し上げますなれば、当初予算に対しては六・九%の伸びでございますけれども、今年度におきます現時点におけるビールの数量の伸びの勢いといいますか、そういうものと比べますと、私どもの五十九年度の見込みというのは大体二%ぐらいの伸びを結果として見込んでいる、そういったレベルの見込み数量になっております。若干補足させていただきます。
  55. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 いずれにしてもお酒全体としては微増という感じになっていると思いますけれども、特に税金が上がる時期、これがお酒によって季節感が違うわけで、ピールは夏場、お酒は冬場、ウイスキーは年じゅうというような感じです。その辺各業界から、何とかそれぞれ品種品目別に時期をずらしてくれというようなお話があるようでございまして、その辺についてのお考えをちょっとお聞きしたいと思います。
  56. 梅澤節男

    梅澤政府委員 御指摘のありましたように、お酒の種類によりまして需要期と申しますか、シーズンによって需要の高低がある、季節的な動きがあるということはそのとおりでございます。  ただ、私ども税負担引き上げをお願いいたしますときに、各酒類一斉にある時期、五十九年度で申しますと五月一日から、今回はみりんは除いてございますが、各酒類につきまして税率引き上げをお願いするということにいたしておりますのは、各酒類ごとになるほど需要期は異なるわけでございますけれども、過去の経験に即しましても、税率引き上げのときに前後いたしまして仮需、それからその仮需の反動というものはございますけれども、若干の期間をならしてみますと、それは調整されるということでもございます。  それから、各酒類ごとの税率あるいは現在の価格体系でもって市場が構成されておるわけでございますから、例えば税制改正の時期に酒の種類ごとにそれぞれの季節需要というようなものを考えまして引き上げの時期をまちまちにするということは、かえって税政が市場に不当に介入していく、市場の撹乱要因になるという意味で、租税政策としても余り好ましくないというふうに考えられます。  それから、若干技術的な問題でございますけれども税率引き上げの時期になりますと、手持ち品課税ということで、流通段階の一定量の酒類につきましても課税をさせていただくということで、税務執行の面でも大変手間がかかるわけでございます。それが実は何回にも分けてやられるということになりますと、執行面でもいろいろ混乱が生じるということで、私どもといたしましては、従前どおり引き上げの前後をめぐりまして若干の仮需等の問題はあるにいたしましても、各酒類同じ時点で税率引き上げ、新しい税率構造に移行していただくのがやはり一番適当な方法ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  57. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 例えば品種によって変わってきますけれども、伸びているものは多少なりとも商品力でカバーできるというように思いますけれども、清酒のように需要構造が非常に変わってきて、低成長じゃない、今度は落ち込みに入ってしまっている、こういうものは特に夏場というか五月、非常に暖かくなってくる、三月、四月ぐらいまでしか余り出ない。五月から今度は低需要期といいますか、こういう状態が続くわけで、今度はやはり十月の末ぐらいまでなかなか売れないというようなことで、どうせ上がるんだったらやめちゃおうかというのも出てくるというようなことを言われております。夏場をずらしても全体で百三十億だったかな、ぐらいの税収減といいますか、そういう形にしかならないというようなお話も聞いておりまして、何とか今大蔵、国税庁ともに、清酒業界をいかに守っていくかということでやられておりますけれども、その一番大きな効果は、もう本当にちょっとずらしてもらうだけでもある程度効果がある。逆に不需要期に激減ということになると、幾ら手を打っていただいたって生き延びることができないというような極論まで出ております。そういう意味では課税の時期というものが、毎年の例ではございますけれども、非常に厳しい時期である、こういうこともございますので、その辺をぜひ考えていただきたい。本当につぶれたときどうするのか、それについてもちょっとお伺いしたいと思います。
  58. 梅澤節男

    梅澤政府委員 いま委員が御指摘になっておるのは、清酒の税負担引き上げ、それが流通市場なりあるいは業界に対する影響もおもんぱかっての御指摘だろうと思うわけでございます。  五十九年度酒税引き上げに当たりまして、基本的な枠組みといたしましては、酒類間の税負担の格差を縮小するという意味で、従来の手法とはやや異なって、価格に占める税負担の割合の低い酒類ほど引き上げ幅を大きくしていただくということで見直しをしたわけでございますけれども、清酒につきましては、これはやはり、先ほど来御指摘になっておりますように、この五年あるいは十年のタームで見ましても、消費はほかの酒の種類に比べまして非常に元気がない、伸びが非常に悪いということは否定できないところでございます。かたがた経営あるいは生産の条件といたしましては、食管制度のもとにおける原料米によって手当てをしなければならないというハンディを負っているわけでございますので、そういったものを勘案いたしまして、先ほど申しました原則的な考え方に立ちつつ、しかし清酒につきましてはそういった事情を考慮いたしまして、負担引き上げ幅を調整しておるわけでございます。例えば、その結果、二級酒等につきましては、今回の引き上げの結果、引き上げ額が丸々価格に転嫁されたといたしましても、小売価格に影響する割合は二%を超えない。計算いたしますと一・九%というような数字でもございます。一級酒につきましても、度数にもよりますけれども、四%前後の引き上げ幅ということでもございます。私どもといたしましては、そういったものを考慮しながら今回の税負担引き上げをお願いしておるわけでございます。  同時に、これは後ほど国税庁の方からあるいは補足して説明があるかと存じますが、酒税改正のほかに、そういう清酒業界の現状にも着目しながら、清酒業界の近代化等について必要な措置を、今回の改正であわせてお願いをしておるというところでございます。
  59. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 最初に言い出したことだからなかなかできないと思いますけれども、これは例年のことですから、ぜひ考えていただきたい。多分予算の関連でそういう動きがあると思いますので、その辺はその辺で、そちらの方とも連携をとっていきたい、かように思います。  今回酒類間のバランスというお話が出ましたけれども、例えば清酒の特級あるいはウイスキー特級、これが従価税になっておりまして、製造原価の差以上に拡大をされている。嗜好品でございますから、高くても売れるものはいいじゃないかというのもあるのですけれども、片方では税金のために原価低減を努力してやらなければいけないという問題もございますし、従来のいわゆる特級品、高級品のメーカー、こういうものが今大変苦しい状況にあるわけです。  その辺を考えますと、級別制度なりあるいは従量税、従価税、この辺の問題についても、業界の中でのいろいろな分野がありまして、その分野ごとにそれぞれ反対、賛成があるわけですけれども、どうも実態に合ってないといいますか、もうちょっと工夫すればもっといいものができるのではないかなというような感じがいたしまして、従来から大山さんが長くこれに携わって研究をされているというような話も聞いておりますし、これからの従量税、従価税あるいはそれぞれの級別制度をどういうふうに考えておられるのか、その辺をお聞きしたいと思います。
  60. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ただいま御指摘になりました我が国の酒税制度の中で、幾つか問題があるわけでございますけれども、その中の重要な問題の幾つかは、今御指摘になりました、一つは課税方式を一体どうするのかという問題、それから級別制度につきましては、なかんずく清酒の紋別制度を一体どう考えるのかといった問題があろうかと思います。  課税方式につきましては、五十六年の酒税問題懇談会、これは翌年の十一月に一応のおまとめをいただいたわけでございまして、そのおまとめの結果は大部分昨年の十一月の政府税調の中期答申に反映されておるわけでございますが、基本的には、現在の従量税の基本とする分類差等課税と申しますか、そういう税負担構造の中にもう少し従価税的な要素を組み合わせていく。つまり、酒税負担を求めますのは、嗜好品課税という側面と、一般的な消費に対する担税力を求めるという二つの側面があるわけでございまして、端的に言ってしまいますと、それを従量税と従価税で組み合わせていくという方式になるわけでございます、方向といたしましては。したがいまして、今後従価税の範囲を拡大していく、特に価格帯の広い酒類については従価税の範囲を広げていくというふうな方向も示されておるわけでございますが、少なくとも五十九年度、現在改正をお願いしております酒税法引き上げ改正におきましては、その方向はまだ具体化していないわけでございます。これは今後の研究課題考えております。  もう一つ、級別の問題でございますが、これにつきましては、現在の級別制度、特に清酒につきましては、任意出品制と官能審査という方向で客観的基準がないじゃないか、客観的基準を設けるかどうかも含めて、級別制度のあり方、あるいはそもそも級別制度が必要であるのかないのかといったような点も含めて検討すべきであろうというふうな御示唆もいただいております。そういった点も含めまして、これも五十九年度酒税法改正ではまだ具体化するに至っていないわけでございますが、私どもといたしましては、先ほど申しました酒税問題懇談会あるいは中期答申で問題点を指摘されておりますので、今後ともそれを検討課題として、なるたけ早い時期に一つ一つ改革の方向を見つけてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  61. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 大臣が来られましたので、今までの中での大臣への質問、これをまとめてありますので、十分ぐらいで、あとまた何か用事がございましたら、いつでも退席をしていただきたい。  先ほど、今回の間接税導入に際して、いろいろな今までの大蔵省試算ですね、六十五年までの財政再建ということでお話を申し上げておりまして、その中で、今日の参議院の本会議で中曽根総理が、中曽根政権がある限りといいますか、中曽根政権の間は大型間接税の導入はしませんというお話がございました。ところが、六十年以降の大蔵省試算によりますと、大体三兆円から五兆円までの要調整額というものが出てくるわけでございまして、これを切り詰めていこうと思うと大変なことになるわけでございます。今回の増税、これは一つは所得減税財源手当てである、こういうお話をされております。この要調整額を、逆に言えば埋めていかなければならない増税が将来あるということであれば、それに応じた減税というものはやっていただけるのかどうか、この辺をちょっとお伺いしたいと思います。  もう一回言いましょう。今回の所得減税というのは一兆幾らのいわゆる財源手当て所得減税に対する財源手当てで増税を行います、こういうような話でいろいろな増税が今出されておりますけれども、じゃ逆の場合、増税をやらなければいけないという要調整額の、さっきの負担をふやすか増税するかですね。社会保障負担とかいろいろな形での負担あるいは足りない分の増税というものがありますけれども財源が足りないから増税をする場合に、所得減税をやるとまたその分も増税しなければいけない。本当はそうなるのですよね。ところが、今回の理論からいきますと、要するに増税というのは所得減税に対する財源だというふうな言い方をされておりますので、財政上の歳入欠損といいますか、歳入が足りない分の穴埋めじゃないというような形での説明を合されておりますけれども、逆にとってみて、増税があった場合には必ず所得減税はついて回る、こういうふうに理解していいかということでございます。
  62. 竹下登

    竹下国務大臣 なかなか難しい議論だと思います。今度の場合の減税額に見合う増減チャラという一つの考え方。しかしその中身をそれなりに分析してみますと、法人税についてはまさに租税特別措置でやったものがございますので、そういう感じが一番強い。が一方、この酒税等々から見ますと、減税あるなしにかかわらず、税調におかれてはやはり対象にすべきであるという流れの中に位置づけされておったものだというような考え方に立ってみますと、結果として増減ゼロに、石油税は除きまして、なっておるといたしましても、減税分が増税分で必然性を持ってやってきたものとは必ずしも思いません。  また、今度は減税ということになりますと、所得減税、なかんずくこれはまた数年の中でやはり見直すべきだというのも、言ってみれば我々の税制立案、執行等の教科書である税調の中期答申の中ではそのように言われておるわけです。やはりある時期には見直すべきものである。したがって、その都度増減税というものは歳出とかそのときの経済、財政事情にもかかわりますので、必然性を持ってそういうバランスの上で必ずしも行われるものではない。結局はその都度の財政判断、財政状態等に基礎を置く、いわば選択の問題ということになるではなかろうかというふうに思います。
  63. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 直間比率是正の話が出ておりますけれども、一つの方法として今回もそういう形になっておりますね。直接税の減税をやって間接税の増税をする。負担する人が分かれるからというのもあるわけですけれども。そういうふうに見ていくと、一つの直間比率見直し方向にほぼ出発をしたのではないか。今、筆算でございますけれども、それが五〇、五〇をめどにというお話は聞いておりませんけれども、近い線まではというふうなお考えがあるみたいでございます。これ、特にいろいろな要調整の場合ですね、あるいは減税が行われたりあるいは負担増——負担増といいますか、行われたりしていく場合には、必ず方向としては直間比率是正方向で行くのかどうか、この辺をお伺いしたいと思います。
  64. 竹下登

    竹下国務大臣 これも非常に難しい問題でございますが、直間比率を見直すということは、一番近いところで我々が最も参考にするとすれば臨調の答申にあると思います。ところがその後、やっぱり税の専門家の中でもある種の反省が起きて、言葉の使い方に対する反省でございますが、直間比率というのはあらかじめ決めるべきものでなく、結果として出てくるものじゃないか。  それの一例といたしまして、今度確かに直接税の減税に対して間接税の増税で対応しておりますけれども、さてその直間比率で見ますと、五十八年よりも五十九年が、直の方がまた実際問題高くなるわけでございます。それと、例えば五分五分というような話を前提に置いて考えますと、直接税の方は名目経済成長率に対する弾性値から見ると、まあある程度高く出てくる。間接税というものは、厳密な数字ではわかりませんが、まあまあ十対六、半分よりちょっと上ぐらいに弾性値で出てくるということになりますと、たとえある時期に大変に間接税にウエートを置いた税制を仮に適用しましても、経済成長のまにまにそれはどんどん接近していくものになると思います。  したがって、結局は担税力をどこに求めるかという基本的な議論になるでありましょうが、最終的にはきょうのようなお互いの問答を通じながら、国民の合意がどこにあるかということを選択していく問題ではないか。だから、あらかじめ直間比率はどれぐらいということは、現実問題としては、指標としては非常になりにくい問題じゃないか、こういう感じがいたしております。したがって、このたびの間接税関係のものが将来の間接税の比重をうんと高くしていこうという、そのスタートの一つであるという理解は、私はとるところではないというふうに考えております。
  65. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 大臣もいろいろ用事があるようでございますから、二十分ぐらい抜けて結構でございますが、最後ちょっとまた聞きたいことがあるのですけれども、順番からいくとなかなかそこまで行きませんので、ちょっと私もほかの質問をいたします。  それで、酒米についてお聞きをしたいと思います。(「大臣、酒米専門家じゃないか」と呼ぶ者あり)いや、大臣はやっぱりつくる側だから非常に言いにくいと思うのです。そういうのがありまして、ちょっと抜けていただきます。メーカーのお立場でしょう。だから言いにくいのです。  先日の参考人の御意見の中で、大手にしたって中小にしたって、両方とも非常に酒米の原価が高い。原価が高いというのはなんですけれども、こういう値段が特に清酒の原価に占めるウエート、これが非常に高いというようなお話をされておりまして、何とかこの引き下げをしてほしい、すべての業者がそういうふうなお願いをされていたわけでございます。今まで特に酒米の購入について、大蔵省あるいは国税庁、それぞれどういうふうなことでこの扱いをされてきたのか、あるいは引き下げについてのいろいろな努力をされてきたのか。その辺についてまずお伺いしたいと思います。
  66. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 先生御指摘のように、清酒におきますコストの中で酒米の占める比重は非常に高いわけでございますが、現在清酒の原料米は自主流通米と政府米、これは若干自主流通米より価格が低いわけでございますが、自主流通米を三十五万トン、政府米を十四万五千トンというところで、これは最新の購入見込みの数字でございますけれども、そういうことで食糧庁の方から購入をさせていただいているわけでございます。  私ども、長年にわたりまして食糧庁からも大変御理解をいただいておりまして、まず自主流通米につきましては食用の主食米と同じ補助をいただいております。良質米奨励金ほか各種ございますが、そういったものをいただいております。また、自主流通米以外に価格の安い政府米の量を少しでも多く分けていただくというようなことでお願いいたしております。この量も年々ふえてまいっておりまして、最新の時点で計画ベースが十六万トンというふうになっているわけでございます。そういった補助金並びに低価の原料米の格差の部分を足しますと、合計いたしまして百四十一億円という助成をいただきまして、少しでも原料米の価格を抑制と申しますか、安く購入できるようなことでお願いをいたしているわけでございます。  以上の状況でございます。
  67. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 それにしても政府米のウエートが全然高まらない。一時は何か二十五万トンぐらいまでいったような時期があったと思うのですけれども、全然ふえてこない。そしてその原料米、特に自主流通米のここ十年あたりの値上がり率が、指数で言うと二一八%ということでございまして、非常に高いということになっております。  そういうふうなところを見ていきますと、特に中小零細も含めた中での原価率、これが大体七〇%前後だというふうに聞いておりますけれども、七〇%を占める分野について自分たちがタッチできない、こういうふうなことがあるわけで、残りの三〇%の合理化で、企業経営なりあるいはその業界として細々とやっていかなければいけない。片方では売れても売れなくても、税金の方はがばがばと三年に一回は上げてくるというふうなことでございましたけれども、これからいきますと、どうも税金を取るための一つの手段としての課税をしながら、後の面倒見が悪いじゃないかというような感じがするわけです。今度の業法もありますけれども、ともかくこの酒米についての努力をやはりしていただかなければいけないと思うのです。  食糧庁の方はいますね。——大体言われるのは、こんなに下げられないという話が出てくると思いますけれども、ことしの米の需給関係から見て、自主流通米が上がってくる。というのは、予想よりも需給関係が非常に悪くなってきているということでございまして、それから見ると上がるだろうというように私は思っているわけです。そうなってくると、ますます酒屋さんが苦しんで、せめて政府米の増量をやっていただかなければならぬが、できないかということ。それから他用途米の指定、これができないか。それから値段の引き下げですね。その辺、まとめてお伺いしたいと思います。
  68. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 お答えいたします。  今、国税庁の方から御説明のありましたように、私どもといたしましては、本来は酒造用米というのは自主流通米に最もなじむ性格のものである。それはなぜかというと、どういう品質の、どういう産地のものがいいかということで酒屋さんはいろいろ注文がありますし、政府米というのはいわばあてがいぶちになりますので、自主流通米の制度に一番なじむというふうに思って運用してきているわけでございますが、そうはいってもやはりお酒に使う米、大事な米でございますから、酒屋さんがやっていけるようにということもあり、またアルコールを使っている、それを米にかえてもらうという意味で米の消費拡大にも資するということで、昭和五十一年から後、政府米を年年ふやしてきておるわけでございます。  それで、今御指摘の、ふえておらぬじゃないかとおっしゃいますけれども、最初四万トンぐらいから始まりまして、今、先ほどお話がありましたように計画ベースで十六万トンぐらいまでふえてきておるわけでございます。これは、一方では自主流通の分野を政府米が食っていくということになりますから、生産者団体の方から見ますと、やはり自分たちの品質のいい米を酒屋さんに使ってもらうという意味で、政府米をむやみやたらにふやすということは必ずしも問題がないわけではないという指摘もあるわけでございます。したがいまして、これは毎年の米の需給あるいは酒屋さんの状態等もにらみながら決めてきているわけで、傾向としてはふやすという形でやってきているわけでございます。  しからば本年どうか、こういうお話でございます。自主流通米の価格というのは、大体出来秋に生産者団体と需要者側とで決めるということで、年一本で決めております。昨年の秋に大体値が決まって、今回の、今使っておりますものはもう値段が決まってしまっているというふうに考えていいと思います。ことしの秋については、これは米全体の問題でございますから、まだ何とも申し上げるわけにまいらぬというふうに考えております。  それから、他用途米の指定にしたらどうかという御指摘でございます。他用途利用米というのは、今回、水田利用再編第三期対策ということで新しく導入したわけでございます。これを導入しました契機というのは、一つは水田の持っています高い生産力を維持していくために、地域によっては非常に転作率が高いとかあるいは適切な作物がない、そういう地域において、従来過剰米で対応しておった用途、こういうものについて、過剰米が五年の計画で処理が終わりますので、国内で何とか安い価格で米ができないかということで、生産者団体、実需者団体に自主的に流通契約を結ばせまして実現させるという方向でございます。したがいまして、この他用途利用米の分野というのは、従来の過剰米処理で国内産米を充てていた市場、これに対する国内産米の供給という考えでございます。酒米というのは別の分野でございまして、従来自主流通米なりあるいは政府米という高い水準の価格の分野でございますから、これを他用途利用米の対象にするということはなかなか問題があろうかと思います。しかもこの仕組みが、生産者団体と実需者団体の自主的な流通契約に基づくという形になっておりまして、政府はそれに対する助成はいたしますけれども、そういう観点からいうとなかなか生産者団体も、従来高く売れておった分野に安い米、他用途米を回すということについては納得しないんじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。  それから最後の一点でございますが、では、政府の売る米をもっと安くできないかということでございます。先生御指摘のように、もとは酒屋さんというのはかなり高い米を使っておられたわけでございまして、だんだん政府米の比率が多くなってきていることは事実ですが、主食用よりもさらに安くというのは、これはまた実際に消費者なり何なりから見ればなかなか納得できないだろうと思いますし、私どもとしても、食糧管理制度の中で特に特別の用途について安くということはなかなか困難であろうというふうに思っております。
  69. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 普通の商取引で、例えば百個買うところと毎年何万個と買うところと、一個当たりの値段はどっちが高いと思いますか。
  70. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 買物の性質等によっていろいろあるかと思いますが、一般的には大口ユーザーに対して有利な条件を設定していることが多いだろうと思います。
  71. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 お米屋さん、一社一社見ればいろいろあると思うのですけれども、業界全体で見て、多いときで五十万トンから五十五万トン使っておられる。それは米の消費から見て大口ユーザーか大口ユーザーでないか、それだけちょっと……。
  72. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 お米のユーザーとして一番多いのは一般消費者でございます。
  73. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 消費者は一個人でしょう。それを、業界としてまとめて買う。じゃ、例えば今、純水酒がありますね。純水酒というのは米を拡大していこうという動きではないか。そこについても、食糧庁は何らの措置をしてないというのがあります。それから、例えば加州米。工業米だから加州米を使いたいという話があるわけです。それを、日本の今の米の事情から見て、やはりそういうことは言っていられないということで協力している。大口ユーザーですね。国民一人一人というのは個人なんですよ。一個人なんです。その辺を見て、例えばまとめて買う。物流から見てもそうです、いろいろな経費から見ても非常に割安になるはずだということがある。いろいろな商取引では、それぞれ量によって値引きというものがあるわけです。そういう考えからいくと、方向が違っているのではないかというような気がするのです。  じゃ、個別に対応して、みんなそうなんですけれども、大口ユーザーよりもはるかに全体のシェアが——例えばそこの商品の二〇%を扱っているというところと、あと残りの弱小が寄り集まって八〇%扱っているところと、どっちが経費をかけているかというと、少ないところへ行くほど経費がかかるわけですね。だから、原価から見ると大口の方が絶対安くなるというのは理論が合っているわけです。そうするとやはり安定するということになるわけであって、国民消費で、じゃ、パンを食べている人が、一日に御飯をちょっとしが食べないから、その人は割高になっているかというと、そうじゃないわけでしょう。そういうふうに見ていくと、明らかに大口というふうにわかっているところに対して、非常に冷たい措置をしているのではないかというふうに言いたいわけです。それについてどうですか。
  74. 馬場久萬男

    ○馬場説明員 ちょっと説明が足らずに申しわけございませんが、政府がお米を売る場合は、直接的には卸売業者に売るわけでございます。したがって、実需者であるユーザー、お酒屋さん方は、卸売業者から買っていくというのが多いわけでございます。政府が売る価格の段階で特に差を設けるということはできませんが、今度は流通の段階で、卸がさらに家庭の小口の主食用について、小売を通して小袋に詰めて持っていく場合というのは、これは当然価格が変わってくるわけでございまして、私どもの食糧管理という観点からいえば、政府から出す段階でそれらの取り扱いについて差をつけるということは、食糧管理においてはなかなかできない。しかし、実際の卸、小売の間のマージンのかかり方、それを実際にどういう形で反映させるかというのは商売の上で、家庭の台所へ持ってくる十キログラムの米と酒屋へ持ち込む米とが全く同じ値段だということを申し上げるわけではございません。
  75. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 大体方向は変わらないだろうと思って来てもらったのです。やはり変わらなかったのでもうやめますけれども、本当は今の農政からいうと、酒米の利用度は物すごくあると思うんですね。例えば第三期水田再編、ここでいわゆる農協委託管理の土地だとかあるいは転作作物が見つからないで休耕されているところ、こういうようなところへ今度他用途米あるいは桑園というものをやろうということがありますけれども、今の話を逆手にとっていけば自主流通米だ。じゃどこから買ってもいいということになるので、逆に農協単位で契約をして値段まで決めて、いわゆる休耕地利用対策ということでできないかというのもあると思うのですけれども、これを言うとまた長くなるので言いません。言いませんけれども、実際大口ユーザーの利用度というのはもっと考えてくれよということだけ一言言っておきます。  それから、ちょっと時間がありませんので、今の酒屋さんの小売免許について二言だけお伺いします。  周りの状況を見ておりますと、新興団地ができたり、あるいは過疎地になってきたりということで、販売免許をおろされたときと大変状況が変わってきている。そして、場合によっては細々とやっているところもあって、場合によっては休業中というところもある、こういう問題があるわけです。ですから、おろしたときの条件とその後のフォローですね。これは下手をすると、会社ですと暴力団が乗っ取ったり、いろいろなことがあるというふうにも思いますので、その辺についてちょっと明確にしていただきたいと思います。フォローをどうしているかということです。
  76. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま小売酒販免許後のアフターケアの問題につきましての御質問でございます。酒税法上、酒販店は、酒屋さんが乱立をいたしまして、過当競争によりまして酒税の保全に問題があってはならないということで、御承知のとおり免許制度をしいているわけでございまして、具体的に免許の審査に当たりましては、そういった意味合いからいたしまして、例えば既設の店舗と一定の距離を置かなければならない、これは距離基準と申しております。あるいはまた、一定の販売地域内におきまして新規参入者が参加した場合の一軒当たりの、その販売区域内におきますところの販売数量あるいは世帯数、こういったものが通達で決めております基準の数量を下回ってはならないというふうになっているわけでございます。  ただいまのお尋ねは、そういったことで既に免許を受けた方々が、その後の経営上、例えば休眠をしている、あるいは細々とやっている、そういうような場合におきまして、新規にその免許審査をいたす場合に、どのようなチェックをするのか、こういう御趣旨かと思います。免許の審査に当たりましては、そういった酒税法上の酒税保全の見地と同時に、消費者に対します便宜ということも十分に考えているわけでございまして、例えば今お尋ねの休業中であります場合には、あるいはまた休業いたしておりませんでも、その地域におきますところの平均的な売り上げの一割にも満たないというように細々とやっているような場合、そういった場合につきましてはこれを既存の酒販業者としてカウントしない、すなわちそれと関係なしに免許を考えるというふうな通達になっているわけでございます。  また、新興団地等の周辺に細々と営業しているような酒販店がある場合に、機械的にその通達を適用しているのではないか、こういう御下問もあったわけでございますが、その点につきましても、そういう営業状態は十分に見ておりますし、また新興開発地につきましては、先ほど申し上げました基準の適用につきまして、大幅にそれを緩和をしているという措置でございまして、なるべく早く免許がおりるようにというような要請をいたしております。  以上でございます。
  77. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 いろいろ聞きたいのですけれども、時間の関係でまた次の機会に回したいと思います。新規の状況、いろいろ周りの住宅条件というものは非常に変化しますので、その辺ぜひ慎重なフォロー、そしてまた審査というものをお願いしたいと思います。  通産省、きょう来ていただいておると思いますけれども物品税関係で、特に自動車が今回また引き上げられる。どうも状況から見ていますと、自動車メーカーの決算の絶対額が大きいわけでございまして、幸いといいますか何といいますか、特に五十八年度決算予測あるいは五十七年度これが為替差益によってかなり大幅な利益が出ているというような状況になっているかと思います。しかし、逆に国内の販売状況を見ますと、業界として、もうともかくどうしようもないところにまで来てしまっているというようなことがございまして、その辺を通産としてどういうふうにとらえておられるか、これをまずお聞きしたいと思います。
  78. 堤富男

    ○堤説明員 お答えいたします。  確かに国内販売は、輸出から比べますと、利益面ではやや薄いと言われております。さらに、ディーラー段階になりますと、国内のディーラーの三割が赤字であるというふうに言われております。この点はなかなか問題でございまして、通産省でも今研究会をつくって検討しておる段階でございます。
  79. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 自動車というのは、今までどちらかというと数量の伸びによって合理化をやってきたというところがございまして、オイルショックに遭いましてから、数量が伸びなくても合理化をしなければいけないということで、特に使用材料に対する原価低減というのをやってきたそうでございます。それが、数量は、国内的には昭和四十八年が大体ピークに達した時点で、後は成熟の度合いをふやしていくというような環境になってしまっている。今までは、体力的に体質改善するまで輸出に頼ってきているということで、輸出をかなり力を入れてやってきた。幸いなことに、制限をされているから値段が高いというのもあるのですけれども、逆に輸出が制限をされると、国内に今度また振りかえってくるということもあるので、これから特に五十九年、六十年、自動車は特にその輸出が抑えられたとき、あるいはその体質としてどういう状況になるか。  もう一つは、今回また物品税と地方税で自動車税が上がるわけでございまして、この影響をどのように通産として見ておられるか、この辺についてお聞きしたいと思います。
  80. 堤富男

    ○堤説明員 確かに、ディーラー段階での赤字は多いわけでございますが、それをただ輸出の利益でカバーしているというようなことではなかろうと思っております。いろいろ会社によっては、輸出の利益は海外に還元するというような対策をとっているところもございますし、むしろ積極的な投資に使っているのが現状ではないかと思っております。  物品税につきましては、影響するところが皆無とは申しませんが、今の段階では小幅であったこともあり、大きな打撃にはならないと考えております。自動車税も同じでございます。
  81. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 私が申し上げたいのは、自動車というのは成熟産業であるということと、今までのいろいろな税負担、累計すると大変な数字になるわけです。特に大蔵省と建設省なんかで試算をされております年間税負担の国際比較というもの、これは毎年自動車のときやっていますね。やっていますねというのは変ですけれども、こういうのがありまして、大蔵省の原案では、国によって値段が違うという車、これを採用されて、走行距離は一定量でございまして、あとは六年耐用年数ということでやっております。これが建設省なんかになりますと、車両価格を一応統一して比較をするというような形をとっておられて、耐用年数も八年、走行距離は地形が違うということで個別に採用されているというように、条件が違うわけです。これを見ますと、やはりアメリカが今一番低い状況でございますし、イギリスが一番高い、フランスがその次に高くて、西ドイツが日本より低い。これは大蔵にしたってそうですし、建設省の試案にしても、傾向としては大体同じような形が出てきておる。こういうように見ていきますと、ともかく日本の場合には買うときに税金がかかり、持っているだけでかかり、走ってかかるというような形になっているわけでございます。そういう面で見ていきますと、大体方向としては同じなのですけれども、非常にウエートが高い、値段としても限度に来ているのだというふうな感じがするわけでございます。  自動車の値段は、当初、家一軒。幾らですかね、戦後百万ぐらいですか、百何十万ぐらいですね。飲み過ぎて飲み代が払えないから、家を売って払って、またしばらくしてそのいえを買ったという人がいるらしいですけれども、そういうふうな時代に、家と大体同じぐらいの値段がしていたのです。ところが自動車の方がどんどん安くなり、逆に家の方が高くなりということで、今ではまさに十倍以上の開きがあるわけでございます。その辺から見ても、自動車がいかに日本の経済の中でのウエートを高めてきたか、そして流通なり産業構造の中でのウエート——毎年言いますけれども、自動車は大体全人口の一割の就業人口がございまして、GNPに対しても約一割の貢献をしている。逆に、自動車を使っておられる方までは計算してないわけでございますけれども、自動車を中心にした仕事だけでそれだけになるのだ。ですから、ごく一般的に会社なりで自動車を使われている方、あるいは通勤に使われている方ということでいきますと、まさに国民の足と言っていいような状況になっているわけでございまして、自動車を除いては本当に考えられない。  この中で国際比較を何で話を申し上げたかと言いますと、イギリスが御存じのように経済的に非常に低迷をしているということでございまして、イギリスで今度出るメーカーもあるようでございますけれども、やはりイギリス国内の自動車メーカーが重税のために対外的な競争力もなく、また国内が伸びなかったために衰退してしまった、そういう状況でございます。これからいきますと、まさに重税感が強くなる、ある限度を超える、こういうことになっていきますと、基幹産業にまで発達をした自動車産業が致命的なことになりかねないというふうに思うわけでございます。だから、きょうは局長大臣にいろんな御意見を伺いたかったわけでございますけれども、時間がございませんので……。  お酒にしてもそうだと思うのですね、禁止税的な税率にまで上がってきている。自動車についても、もう一個人では持ち得ないところまで来ている。こういうことも考えられますので、その辺について、これからぜひ考えていただきたいと思いますので、大臣局長と、一言ずつお願いしたいと思います。
  82. 梅澤節男

    梅澤政府委員 自動車に対するオーナーの方の総合税負担ということになりますと、車体課税、取得課税、保有課税それから燃料課税、トータルで見た場合に幾らか、これはアメリカは別格でございますが、我が国の場合、西ドイツよりやや高いくらいの水準にあるということは、ただいま委員指摘のとおりでございます。  ただ、現在御審議を願っております物品税税負担、その単体としての商品に対する税負担だけを比較いたしますと、アメリカの場合は小売税しかございませんが、これを除きますと、ヨーロッパの付加価値税の税負担と比べまして、我が国の自動車の物品税負担は必ずしも高いという水準ではないわけでございます。  それからもう一つ、燃料課税の相当部分は、いわば我が国の場合は特定財源として道路財源に使用されている。その意味ではユーザーに還元されているという側面も、これまた見逃せない点かと存ずるわけでございます。  ただ、先ほど通産省からもお話ございましたけれども、今回の場合、私どももやはり昨今の自動車の生産なり消費の状況のほかに、あわせて今回地方税で自動車税の負担引き上げもお願いしておるというふうなことでございますので、国、地方を通じましてオーナーの税負担が急激に上がらないようにという観点から、物品税につきましては小型乗用車の場合一%ポイント、これは小売価格にいたしますと〇・六%ぐらいの影響かと思いますが、小幅にとどめたわけでございます。  いずれにいたしましても、今後とも私どもは自動車につきまして、やはり適正な負担はお願いしなければなりませんけれども、急激な負担増が、消費者と申しますか、一般のオーナー、ユーザーなりあるいは自動車業界、市場に対して大きな悪い影響を与えないような角度で、今後とも検討してまいらなければならないというふうに考えております。
  83. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、ちょうど私ども国会に出ましたときが年間自動車生産台数五万四千台のときでございます。したがって、自動車というものはそれなり担税力のある人が取得するものであったという認識がございます。そして今日、それがいわば生活必需品あるいは大衆性という方向に進んできておることも私も理解ができますが、やはり担税力という問題については、急激な変化等をもたらすことがない限りにおいて検討をされていくべきものではなかろうか。私もこれは確たる哲学を持っておるわけではございません。
  84. 玉置一弥

    ○玉置(一)委員 ちょっと時間の配分間違いましたが、一応終わります。  ありがとうございました。
  85. 中西啓介

    ○中西(啓)委員長代理 矢迫秀彦君。
  86. 矢追秀彦

    矢追委員 大臣、大変細切れになって恐縮でございます。  主税局長とはいろいろやりとりをさしていただいたのですが、大臣にお伺いしたいことのまず第一番は、減税財源について、今回は物品税あるいは酒税法人税等がそれになっておるわけでございますが、かつてこの減税財源に例の貨幣の回収金を充てよと言ったときに、単年度のものについては減税財源にしてはならぬ、恒久の財源でなければならぬ、こういうことを政府は言っておられたわけでございまして、今回法人税は御承知のように二年の期限がついております。したがって、単年度ではないにせよ、やはり期限がついておる、恒久の財源ではない、こう判断せざるを得ない。今までの考え方とこれは矛盾を感ずる。この点についてどうお考えか。これが一つ。  それから、一応二年という期限はつけられておりますが、結局はそれを永久にされるのではないか。あるいはまたその二年目において、いろいろ言われております大型間接税への切りかえによってそれを補う、こういうふうなことを考えておられるのか。その二点についてお伺いしたいと思います。
  87. 竹下登

    竹下国務大臣 御質問の趣旨を直ちに理解できませんでしたので、ちょっと時間をとりました。申しわけないと思います。  確かに、これは法人税でございますから、貨幣回収準備金のような一過性のものでは必ずしもない。しかしながら、租税特別措置法によって二年間ということにしておる限りにおいては、今日直ちに恒久税制になったものとは言えないと私も思います。したがって、二年後どうするかということにつきましては、やはりその時点における財政、経済状態全体を勘案して決めるべきものであろうというふうに考えております。
  88. 矢追秀彦

    矢追委員 それではもう一度聞きますが、最初私が指摘したのは、補助貨幣回収準備金は一過性のものであるから減税財源としてはなじまない、したがって恒久財源でないのでこれは減税財源にはできない、こういうことですね。これはそれでいいわけですね。——じゃ、今回の二年の制限つきなら、そういうものでいいのかということなんです。私は矛盾を感ずるのです。もしこの二年の期限つき法人税恒久財源でない、こうおっしゃるなら、前のときに拒否をしておいて、今回それを入れたというのは矛盾がある。質問の意味がわかりますか。
  89. 竹下登

    竹下国務大臣 確かにあのときの補助貨幣準備金を財源に充てるという案、案とまでいきませんでしたが、意見。本院における小委員会においても、また各種委員会においても、減税財源として考えられるじゃないか。その際私どもがお答えしたことは、こういう状態下にあって、これはまさに一過性のもので、恒久税制財源にすべきではない、なじまない、こう申しました。それはそのとおりでございます。  そこで今度の場合は、言ってみれば法人税そのものの税率のものでございます。その限りにおいては、法人税の中における税率のアップでございますから、必ずしも私は一過性のものではないと思います。ただ、それに二年の期限を付しておるというのは、二年したら返り得るという可能性もあるわけだから、やや一過性、臨時的措置の性格を持つものではないかとおっしゃれば、私もそのような感じで受けとめるわけでございますが、少なくとも法人税率の問題でございますから、これをして一過性の財源というふうには必ずしも言えないじゃないかという気がいたします。
  90. 矢追秀彦

    矢追委員 私は余り説得力はないと思うのですよ、これは皆さんが判断されると思いますが。どうも大臣答弁はもう一つようわからぬですよ。だから結局変な勘ぐりをしたくなるわけですよ。二年たったらそのまま行くのか、あるいはまたそこで大型間接税を入れるのか、そんなことが出てくる。だから根拠として、この二年——この前我我が要求し、特に野党が強く言ったわけですね。それは一過性だからだめだと断っておいて、今回は二年なら財源として結構です、こういうふうに態度が非常に変わってきている。二年ならいい。じゃ一年ならだめで二年ならいいのかという、その根拠というのも聞きたいわけです。もう一度お願いします。
  91. 竹下登

    竹下国務大臣 結局あの場合はまさに一過性と申しますか、それで二度と再び検討の対象になり得ない税目である。今度の場合は法人税そのものの税率でございまして、時に応じて対象になり得るものであるから、一過ではない。二年なら二通か、こういうわけではございませんけれども、そういう角度で議論すれば、あえて一過ではない。が、いわば恒久税制という角度からの当時の議論からいたしますと、私もじくじたるものがあるということであります。(発言する者あり)
  92. 矢追秀彦

    矢追委員 今、横からもおっしゃっておりますが、一過性という言葉も使われたかと思いますが、私はむしろ恒久財源でないというふうなことの方が強調されて、だから単年度のものはだめだ、こういうふうなことで理解をしておったのです。だから今言った一過性、どうも恒久財源というのがこれは当たるわけでしょう。そうすると、二年間の期限つきであれば、恒久じゃないじゃないですか、もし二年間でもとへ戻したら。それだけやったら。
  93. 竹下登

    竹下国務大臣 一遍でそれでなくなってしまう、いわゆる担税の対象になり得なくなってしまうという意味においては一過性。そして今度の場合は法人税でございますから、これはまさに税法体系の中では一過性ではないということは言えると思いますが、矢追さんのおっしゃっている意味は、私も実は理解できますから、自分でも余り説得力ないなと思いながら答弁しております。
  94. 矢追秀彦

    矢追委員 大臣みずから非常に謙虚に矛盾をお認めになっておりますから、次に、物品税について質問をいたします。  これも先ほど来議論をいたしまして、大臣、大変恐縮ですが、ちょっとクイズにお出になったつもりでお答えをいただきたいのです。  今から申し上げるものは物品税がかかっているか、かかっていないか。そんなに難しいんじゃない、品目は少ないですから。そんな私、意地の悪い人間でございませんので、一般的なものです。難しいもの、特に横文字なんかいっぱい出るようなのはそう使いません。  まず紅茶、いかがですか。物品税がかっているか、かかっていないか。
  95. 竹下登

    竹下国務大臣 かかっていないと思います。
  96. 矢追秀彦

    矢追委員 オーケーです。それから日本茶。
  97. 竹下登

    竹下国務大臣 もともとはよそから来た紅茶にかかっていないので、日本でつくられたものにもやはりかかっていないと思います。
  98. 矢追秀彦

    矢追委員 では、コーヒーはいかがですか。
  99. 竹下登

    竹下国務大臣 コーヒーは私も、豆にかかっておるかどうか正確な……。だから、だめになってもよろしゅうございますが、かかっておると……。
  100. 矢追秀彦

    矢追委員 今のところ、飲み物については、大臣は百点でございました。  ただ、先ほど主税局長とも議論いたしましたが、コーヒーがかかっていて日本茶がかかっていない。その理由は、嗜好性の強いものだからコーヒーはかかっているんだと言われましたが、では紅茶はどうなのか、紅茶を外された理由というのはどこにあるのか、局長
  101. 梅澤節男

    梅澤政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、かつて紅茶、緑茶にも物品税課税しておった時期はあるわけでございますが、ある時期で課税の対象から外したわけでございます。そのときはやはり先ほど御答弁申し上げましたように、コーヒーと比べまして嗜好性の度合いが低いということでございます。  ただ、当時の状況をいろいろ考えてみますと、物品税議論をいたします場合に、これは個別消費税でございますので、そういう嗜好品なら嗜好品としての嗜好性の調査のほかに、これは税率も非常に低うございます。したがいまして、課税上のいろんな内規の問題もございまして、例えば緑茶なんかの場合は非常に小規模の茶の栽培農家がいらっしゃる。しかも、ある地域に集中しているわけでございますね。そういたしますと、課税上のトラブルが起こったり、そういった課税上の難しさの問題等も背景として、緑茶なりそれから紅茶等は課税の範囲から外された。ただ紅茶の場合は、基本的な課税範囲の対象から外しましたのは、やはりコーヒーと比べた場合の嗜好性の度合いということになっております。
  102. 矢追秀彦

    矢追委員 そういうことからいきますと、もうコーヒーも外していいんじゃないか。というのは、先ほど申し上げたように、案外若い人は日本茶よりもむしろコーヒーをたくさん飲みますし、紅茶よりコーヒーの方が飲むんじゃないか。その辺の消費、私調べておりませんけれども、そういうところでございますから、ひとつその点は要望として申し上げておきます。  大臣、なぜこういうことを聞いたかといいますと、物品税をかけているものとかけていないもの、今度はかけているものの中でまた税率が違うもの、あるものは三〇%かかる、あるものは一五%、あるものは一〇%、五%、こういうアンバランスといいますか、税率が違う。その辺をどうすることが最も公平であって、かける場合かけない場合、それからかけた中における税率の違い。私は、やはりある程度ルールというものが基本的になければならぬ。確かに個別個別にいろんな歴史と伝統、いろんなものがあると思いますが、やはりある程度のルールづくりというものが必要ではないか。そうしないと、現実に間接税がどんどんふえている、物品税も枠が広がってきている中で、国民に理解を得られない。  それから、これも午前中申し上げたのですが、クイズはもうやりませんから御安心いただきたいのですが、例えばボールペンについている時計。時計には税金がかかる。しかしボールペンにはかからない。時計つきボールペンはかかっていないわけですね。ところが、ラジオとカメラと、両方くっついているものは両方がかる。こういうふうな複合した商品はこれからどんどん出てくる。そういう時代にあって、やはり私は、物品税というのは何なのかというと、昔はぜいたく品だ、こう言われておったのが、先ほどの自動車でも議論ありましたように、決してぜいたく品ではない、便利なものにかけてくる。便益品だ、こういうことで、じゃ便益品にかける。本当に家庭生活全部に入り込んでいるようなもの、隅々までかなりかかってきているわけですね。  そういうことで、今、一つはコーヒーと紅茶、日本茶で申し上げましたけれども、もう一つあるわけです。これも大臣、聞きたかったのです。もうやめておきますけれども、マニキュアは物品税がかっておらぬのですね。パックもかかっていないのです。ところが、口紅とか香水はかかるわけです。それから整髪料もかかっていますね。そういうふうなことで、今申し上げたルールづくり、物品税とは何ぞや、またそれのかけるかけないのルール、かける中における税率のルール、これは何も方程式までつくれとは私は言いませんから、大体のきちんとしたことを国民に提示をする、これが必要ではないか。  もう一つ、今度は物品税がかかっているものとかかっていないものの違い。今、大臣は満点で、非常に私尊敬しますけれども、私は勉強してない面もございました。やはり表示という問題も、これは一つの検討課題になるかと思いますが、それも含めまして御答弁をお願いしたいと思います。
  103. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題は、いわゆる消費税、消費一般に担税力を求めるか所得に求めるかという議論から実際はしていく議論になると思うのであります。  確かに、消費に際して担税力をそこに求めるというものも一つの考え方であるとは思います。それがある意味においては一般消費税の発想の一つの根拠じゃないか。そうして消費一般にかかる税制の中で必需品とかあるいは食う物とか、そういうものを個別に今度は抜いていくという方法。我が国における消費税、なかんずくこの物品税というものは、ぜいたく品とか嗜好品とか、個別品目から拡大されてきた。こういう状態にありますので、消費一般にかかるのからノータックスのものを抜いたんじゃなくして、個別的に物品税消費に対する課税が広がっていったものというふうな、歴史的根源が違うんじゃないかというふうに私は思っております。  したがって、今日までやってきたものは、とにかく、いわゆる対象の物品をその都度ふやしていく、あるいはやめたものもございますけれども、そういう方向で来ましただけに、税調の答申を見ても、幅広く検討すべきだということが書いてあって、その後に、いわゆる拡大を検討すべきである、まあ両方書かれてあるわけですね。だから、おっしゃるように、少なくとも私自身もある種の哲学というものは持っていなければいかぬなという認識は、お話を聞きながらいたしますが、さて、物品税に対する哲学を言えと言われると、その点についてはとてもじゃないが、私はお答えする能力を欠いておるということです。
  104. 矢追秀彦

    矢追委員 表示の問題はいかがですか。
  105. 梅澤節男

    梅澤政府委員 物品税法の四十二条の規定の問題の御指摘かと思います。  現在、物品税法では、四十二条におきまして、決済の段階あるいは販売の場合に、区分して税額を表示しなければならないという規定があることは御指摘のとおりでございます。     〔中西(啓)委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、率直に申しまして、この規定は励行はされていない状況にございます。これは常々問題になっておるところなんでございますけれども、昭和二十六年にこの法律ができましたときに、実は当時アメリカに物品を輸出いたします場合に、アメリカにおきまして通関するときに価格のダンピングの問題を惹起することを避けるというふうな観点もございまして、日本の場合国内の市場価格、マーケットの価格というのは物品税の税抜き価格であるということを内外に宣明するというふうな意味もあったわけでございます。  ただ、その後、表示なり区分決済が励行されていないというのは、それはそれなりの困難な事情があるわけでございまして、まずメーカーの段階で申し上げますと、課税標準の基本的な考え方は、通常の卸売の取引数量、取引形態における価格となっておりますが、個々の建て値は非常に違うわけでございます。そういたしますと、個々の取引ごとにその都度税額を明示して決済するというのは、どうも個別消費税の現在の建前からいうと非常に技術的に難しいという問題がございます。  それからもう一つ、小売の段階でこれが表示されますことは、結局課税物品だけにつきましてメーカーの段階の価格がわかってしまうという問題がございます。  それからもう一つ、一種物品につきまして小売価格を表示するということは、この制度ができました当時、実際一部の百貨店でこれを実施いたしましたところ、消費者との間で値引きの大変なトラブルが起こった。逆に税抜きでやっておる、いわゆるかばん業者の方へ物品が適脱して逃げるというふうな問題もございます。したがいまして、実際上は一時そういう表示をやりましたけれどもやめたというような経緯がございます。  しょせんこの問題は、煮詰めていきますと個別消費税にまつわる非常に難しい問題があるということでございます。ただ、私ども、せっかくこの制度があるものでございますし、現時点でも内外に、通常の国内の市場価格は税抜き価格であることを宣明するという意味での意義は相変わらず失っていないわけでございますので、この法律の趣旨を生かすという意味で、国税庁とも相談しながら関係業界といろいろ話し合いまして、個々の取引なり物品につきましてそういう表示ができなくとも、いろんな機会に、物品税課税されている物品はこういうものである、あるいはこういう物品には大体これくらいの税負担をお願いしているんだということが納税者に一般的な形でわかるようなPRをするとか、そういった努力は続けていかなければならないというふうに考えているわけでございます。
  106. 矢追秀彦

    矢追委員 私も、今言われたとおり、現在の法律に書かれておるようなことをやることは非常に厳しいと思います。ただ、今最後に主税局長が言われたような形で、やっぱり消費者が見て、これは物品税を払っているか払ってないかぐらいせめて表示はできないものなのか。できればパーセントまで。しかし、それも無理であれば、それぐらいまではやってもいいんじゃないか、こう思うのですが、大臣いかがですか。
  107. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的な議論として、いわゆる直接税、なかんずく所得税が、ある意味における、言葉としては痛税感、税の痛みを感ずるのは、わかるからである。で、消費税というのは比較的痛税感が少ない。なぜならば、わからないからである。したがって、いろいろな国の状態を見ましても、一度いわゆる俗称大型消費税が入りますと、その後の税率等がいじりやすくなって、それが歳出の厳しさをまた減殺した。  だから、私は、やはりこのわからないという状態よりも、いつも思うのですが、まだ実行に移していませんけれども、例えばたばこの場合だって、この中で何ぼ納付金がありますと書いておった方がいいではないかということを個人的に何度か感じたことがございます。それは、いわゆる間接税が直接税に比べて比較的痛税感を与えないから、なおのことそういう方向であった方がよろしいという感じは私も持っております。
  108. 矢追秀彦

    矢追委員 ぜひそういう点では前向きで検討をお願いしたいと思います。  それから、これはちょっと質問通告してなかったのですが、最近円高になってきておりますが、これは大蔵大臣の判断としてはスペキュレーションと思われますか。また、どういうふうな状況になればスペキュレーションなのか。その点いかがですか。
  109. 竹下登

    竹下国務大臣 きょうの終わり値が二百二十三円七十五銭、こういうことでございます。  私は、少し正確さを欠く答弁になりますが、一時ドルに対して、ある意味においてはかなり急激にヨーロッパ通貨が弱くなった。円だけが、言ってみればまことに一円、二円の間で長い間継続した。そして今度はヨーロッパ通貨が戻ってきた。そうしますと、私は、それの連れ戻しで、いずれ円高の状態が来るのはある種の必然性がある、こういう理解の仕方をしておりました。  ただ、通貨当局者でございますから、それを余り言いますと、私個人は力がなくても、日本の大蔵大臣というと、やっぱりGNPがアメリカに次ぐということになりますと、時には投機の対象になることになりますので、非常に注意をして発言をしておりましたが、私のその当時持っておった予測としては、今のような状態になるのがある種の必然性じゃないか、こういう気がしておりました。したがって、円高基調がこれを機にますます定着していくことを期待をする環境にあるというふうな理解を私はいたしております。
  110. 矢追秀彦

    矢追委員 余りスペキュレーションをやると困るので、ぜひそういうことのないようにやっていただきたいと思います。これはこっちがやるなと言ったって向こうがやってくるわけですが、それなりに公定歩合の引き下げとか、いろいろな手だてはできると思います。  この際ですから、大蔵大臣はどういうお考えをお持ちか、ちょっと聞いておきたいのですが、前から言われております緩やかなローザ構想、要するに変動相場制ですね。ある程度固定と変動の真ん中みたいな、いわゆる緩やかなローザ構想というのが言われてまいりましたが、これはどういうふうなお考えですか。各国の事情もございましょうから、日本だけが決めたってなかなかできないと思いますけれども大蔵大臣はどうお考えですか、この問題。
  111. 竹下登

    竹下国務大臣 私は、大蔵大臣になりまして、自分なりに幾らか経験というものが実際にあるとしたら何だろうと思って振り返ってみたことがございますが、ちょうど私は昭和四十六年の内閣官房長官でございます。朝電話がかかりまして、ドルの兌換制停止と言ってきまして、本当は何のことかわかりませんでした。水田大蔵大臣に連絡しましたら、すぐ一緒に勉強しようやということでした。福田外務大臣は、そうだね、おれがロンドンにおるときは二円五十銭だ。田中通産大臣は、燕の洋食器はどうなるかな、それぞれ余り決め手になる話じゃなかったようです。ちょっと申しわけありません、長くなりますが。大蔵省顧問が柏木さん。後に東銀へいらっしゃいました、あの人の言うことを聞いていれば間違いないだろうと思って、外国へ行ってもらってあの人の電信を毎日もらいまして、それを読んで、それが基礎になっておりました。幸いに、当時国対委員長さんとの討論会等に出ますと、私もわかりませんが、恐らくあの方々もかなりわからなかったのじゃないか。だから討論会は余りありませんでしたが、いつも勉強だけはしておりました。そのときからワイダーバンドがどうだとか、いろいろな議論をして、フロートして、一時三百八円のスミソニアン・レートでやってみましたが、結局結論はまたフロートになった。  それから十二年ですか、過ぎ去ってみますと、やはりあのフロート、変動相場制が果たした役割というのはよかったと私は思います。が、今おっしゃいましたような議論が五カ国蔵相会議では大体出なくなりました。いろいろ言ってみても、今度は変動の幅を決めるのにどこにするかということだと、また同じ議論をしなければいかぬじゃないかというようなこと。しかし、これはきょうの問題としてでなく、私とリーガン財務長官の問題もそうでございますが、中長期的に絶えず相談しておる体制を持っていなければいかぬじゃないかということで今日来ておりますので、現状で変動相場制にかわるべきより立派なものは、結局今のところは私は見当たらないという感じがしております。  そうなると、どうするかというと、余りにも乱高下がありましたときには協調介入の問題。ところが、協調介入のときには、投機筋に、対する一つの警告みたいな感じでは効果がございますが、日本が協調じゃなく、余り単独介入をしますと、せっかく日本は作為的な円安誘導はやっていないということが世界にわかりかけたときに、またやったんじゃないか、こういう批判を受けることもありはしないか。そうすると、非常に正確に、しかも静観をしておるべきだな。だから結論から言うと、私は、今変動相場制がベストだ、こう言うといささかじくじたるものを感じ、現状において他に新たな、より効果的な制度が見当たらない、こういうような表現にとどめておるということを率直に申し上げます。
  112. 矢追秀彦

    矢追委員 大臣のお考えは大体わかりましたが、この際ですから、ちょっと国際金融の問題。  私も非常に心配しておりますのは、なぜこういうことを言ったかというと、またスペキュレーションがどんどん出てきても困るし、今以上に不安定な世界の中で、仮に銀行がどこか一つ倒産しても、これは大変なことになる。そういったことはかなり心配している方も世界におられますし、オイルダラー等の動き、またアメリカの一部の資本の動き、今度の円高も、スペキュレーションではないと私は思いますが、いろいろな情報を聞いておりますと、やはり相当日本へ意図的に来ているというふうなことも聞きますし、そういった点で非常に心配なので、安定した国際経済の維持ということは、日本もここまでなったわけですから、さっきアメリカとの連絡、各国との連絡をおっしゃっておりましたが、ぜひお願いしたいと思います。  もうあと時間が七分でございますので、簡単にお答えいただきたいと思います。  これもまた法案審議になっておりませんので恐縮ですが、やはり大きな問題である国債の問題に触れたいと思います。  今たまたま大蔵大臣、四十六年のいわゆるドル・ショックの話を出されましたが、今日このような状況になった、赤字国債が非常にたまってしまった。私ども過去を振り返りますと、まず、あの後の対応からミスの始まりがあるんじゃないか。それは、あの後、内需を喚起しなければいかぬ。今いみじくも燕の洋食器どうなるかという話をされましたが、そっちの方を心配し過ぎて、あの年に組まれた補正予算というのが猛烈に大幅なものであった。それが結局過剰流動性という形になって、その後に列島改造という形でまた走ってしまった。そして第一次、第二次オイルショック。私は特に第二次オイルショックが日本の財政に与えた影響は非常に強いと思っておりますが、その間に政府の立てた経済見通しあるいは経済計画、そういったものは税収の伸びを非常に高く見ていた。もちろん成長率自身も高く見ていた。したがって、税収の伸びも高く見ていた。国民に対して希望を与えるという意味で、五カ年計画あるいは七カ年計画、ずっとございました。やむを得なかったとは思いますが、そういった意味で、いいときは何でもかんでもやりたくなる、これは人情です。しかし、むしろいいときの方が次のことを——オイルショックはわからなかったにせよ、財政の放漫ということは、もっと早い段階で締めることはできなかったのか。ここまで来たら、じゃ、これからどうするか。  今度ついに借換債となったわけでございます。この問題も、法案が出てきたときにもっと詳しく聞かせていただきますが、一つだけ素朴な疑問として、赤字国債については、いわゆる特例公債は今度の法律の中にもきちんと出しておられるわけですね。要するに四条債と明らかに区別をしておる。ところが、今度は借りかえの方は、昭和五十年から五十八年までを一緒くたにして、それで借りかえします。五十九年度から借りかえをするということをやるわけですね。今までの特例公債については、現金償還をするのを借りかえにするということを五十九年度からやろうとしているのに、過去の八年間のものを一緒くたにして、それで借換債にいたします。今までの御答弁、私自身もいろいろやってきましたけれども、絶対現金償還します、しますと言ってこられたわけでして、五十九年度の千六百億、これは借りかえしないでやってもらいたいぐらいなんですよ。現金でまず償還する、そしてことしの国会でこれが決められて、次からこういう形が望ましい。それを、過去を全部ネグってしまうというやり方は非常に乱暴である。やるならむしろ法律を分けてもらいたい。要するに特例債をこれから出すのと、今までの借りかえしたいという法案をむしろ分けて出すぐらいの良心といいますか、極端に言うと、今までのは全部うそになるわけですからね。厳しい言葉で言いますと、うそをつかれるわけですから、何かそれなりの配慮ができなかったのかどうか、その辺、お伺いしたいのです。それで質問を終わります。
  113. 竹下登

    竹下国務大臣 ありがとうございます。  これを議論するときに私が同じ悩みを持ちまして、最初出すときは借りかえ禁止規定なしで、国会の方で、それはやはり厳しい財政の対応としては借りかえ禁止規定をつけるべきだという意見で、イージーに考えて当分の間としておかないで、毎年毎年額と借りかえ禁止規定を出して、財政の節度というものをみずからに厳しく言い聞かしておったわけですね。  それが、六十年度からでありますが、まさに大量償還の時期がやってきた。そこで財政審でも審議してもらった。我々もその都度、一本、一本、ことしはこれだけのものを借りかえしますというので、法律を一度、一度にお願いするのが、財政の節度からいうと、厳しさがあらわれていいじゃないかという議論もしました。しかし、今度出すものから借りかえ禁止規定はついてないわけです。それで、借りかえがやってくるのは既発憤、十年前のものがやってくる。借りかえをさせてください。その借りかえとは、現金償還をやめるんじゃなくして、現金償還のための財源として借換債の発行をお許しください、こういう大きな政策転換である。そうすれば、やはり過去のものもすべてをこの際借りかえ禁止規定をとらしていただくのが、政策転換そのものを明らかにすることにはなる。しかし、それじゃどうしても、かつて考えておった厳しさというものが欠如してくるというそしりは免れない。そこでやはり精神規定というか、訓示規定はちゃんと置いておかなければならぬということで、今度お願いしておる法律の体系になったわけです。  だから、今矢追さんのおっしゃった議論を、どっちかと言えば私が中心になってしてみた。しかし、やはり考えてみると、政策転換でございますから、そうすると、一括してお願いをすべきものだ。そしてその一括してお願いする状態をつくれば、およそ残高、借りかえ時期等々もわかってくれば、もちろんきちんとしたリジッドな計画は立てられないにしても、やはり財政運営の一つの基準として、それを絶えず念頭に置きながら考え得る背景が整うじゃないか。悩みに悩んでお願いをしたということでございます。  いずれもっと御批判なり御議論なりいただくべき時期もあろうと思いますが、きょうはどちらかと言えば、出すに至った経過をお話ししてお答えとさせていただきます。
  114. 矢追秀彦

    矢追委員 それでは、また法案が出た段階でじっくりやらしていただきます。  きょうはこれで終わります。
  115. 瓦力

    ○瓦委員長 正森成二君。
  116. 正森成二

    ○正森委員 日本共産党を代表して、間接税三法について質疑をさせていただきたいと思います。  一巡目の最後でございますので、できるだけ重複しないようにいたしますが、多少は重複する場合がありますのでお許しを願いたいと思います。  まず酒税から伺いますが、酒の中でも特に清酒は、日本人にとっては憩いの酒であり、民族の酒と言ったらおかしいのですが、我々にとって非常に親しみ深いものであります。  そこで、竹下大蔵大臣に伺いたいのですが、日本人が酒を飲み出したのはいつごろからでしょうか。
  117. 竹下登

    竹下国務大臣 私は出雲の国でございますので、ヤマタノオロチをスサノオノミコトが征伐された時代からではないかなと思います。
  118. 正森成二

    ○正森委員 さすが出雲の御出身だけあって御名答でありますが、文献に載っておるのは御存じでしょうか、何らかの意味で、「古事記」とか「日本書紀」というのは、つくられたのはまだ割と新しいんです。私が調べたところでは、一番古い文献は「魏志倭人伝」に載っております。これは三世紀でございますが、それをひもといてみますと、倭人伝のところに、倭人は、ハジカミだとかコショウだとかミョウガだとかいうものが自生しているのに、これを食事に用いることを知らない。ところが、「人性、酒をたしなむ」こう書いてあるんです。つまり、「魏志倭人伝」が著されましたのが三世紀でございますから、弥生人のころには少なくとも我々の祖先は酒をたしなんでいたということになるわけであります。  そこで次に大臣に伺いますが、この時分は恐らく自然にできた酒を飲むことから始めて、非常に素朴な方法でつくっていたと思いますが、これに我が国の歴史で税をかけるようになったのはいつからでしょうか。
  119. 梅澤節男

    梅澤政府委員 いろんな格好で租税負担というのは昔の政治社会体制の中でも求められておったと思うのでございますけれども、まとまった税制として私どもが教わっておりますのは、足利義満、一三〇〇年代であるというふうに聞いております。
  120. 正森成二

    ○正森委員 これも大蔵省はなかなか御勉強でありまして、さすが主税局長であります。  物の本によりますと、穂積忠彦氏などが書いておられるのを見ますと、室町幕府のころに京都を中心として造り酒屋が非常に繁栄するようになりまして、幕府はこの造り酒屋に特権的な保護を与えるかわりに、酒屋役という名の税金を取り立てるようになったんです。これが最初であります。それによって酒づくりを独占的に行うことができれば非常にいいわけで、国といいますか政府と酒屋との結びつきができるようになったわけであります。  その後、下りまして徳川幕府の時代になったんですが、徳川幕府の時代の酒についての政策の特徴はどういう点でしょうか。
  121. 梅澤節男

    梅澤政府委員 大変不勉強で申しわけないのでございますけれども、今担当の方に聞いてみましたら、今の税制考えからいいますと、一種の免許税に類するような課税方式であったというふうに考えていいのじゃないかと思います。
  122. 正森成二

    ○正森委員 それも必ずしも誤っているお答えではございませんけれども、非常な特徴は、家康の政策を反映したのかどうかわかりませんが、米というものを非常に社会の根本にして大事にいたしまして、豊作の場合には酒をたくさんつくらせる、凶作の場合にはその調節弁として酒のつくりを減らすということで、豊作の場合あるいは平年度のときの三分の一しかつくらせない。これを「三分の一つくり」といいます。それから豊作の場合には「勝手づくり」といいまして、これは幾らつくってもよろしいということで、農民も大いに親しんだようであります。そして、税金といたしましては、酒運上という名の酒税に当たるものや、あるいは酒づくりを特権化する造酒株を与えまして、そのかわりに営業税的な冥加金を取るということをやったようです。ですから、主税局長の答えもまんざら間違っているわけではないんです。  ちなみに、学者によりますと、「冥加なやつ」という言葉がございますが、これは、冥加金というのは特権的に酒づくりを許されて幸福なやつだから、それに対して金を納めろ、こういうわけで、おまえは冥加なやつだから冥加金を納めろ、こういうことで起こってきたそうであります。  今までのは歴史に関することでございますから、必ずしも大蔵省が答弁できなくても、別にどうということはないわけですが、これから明治の方に入りますから、これはやはり答えてもらわなければいかぬと思います。  それで、明治で非常に酒が注目されてきたわけでありますが、いつから酒についての税が始まりましたか。
  123. 梅澤節男

    梅澤政府委員 明治四年でございます。清酒、濁酒、醤油醸造鑑札収与並ニ収税方法規則というのが制定されまして、このときの課税対象が清酒、濁酒、みりん、白酒、銘酒類。  負担の求め方でございますが、免許料、これは開業のときに特権料として定額を徴収した。それから免許税というのがございまして、これは雇い人一人に対して定額。それから今日でいいますいわゆる酒税に当たる部分でございますが、この当時は醸造税でございまして、製造者の売上代価に対して定率、いわば従価税の方式で課税をしたということが、近代日本における酒税の始まりであるということでございます。
  124. 正森成二

    ○正森委員 いろいろな費用が要るときに、明治政府財源がございませんでしたので、酒税を急ピッチで上げましたが、一石当たり税がどのくらいのピッチで上がったかお調べになっていますか。
  125. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ちょっと今直ちに資料がございませんので、もし時間をいただけますれば……。
  126. 正森成二

    ○正森委員 はい、結構です。  私が見ました資料を見ますと、明治十一年には一石当たり一円だったものが、十三年に二円になり、十四年には四円になり、二十九年には七円になり、三十一年には十二円になり、三十四年には十五円、三十七年は十七円というように上がったわけですね。これを見てみますと、戦争や事変が起こりました節目節目ですね。そういうときに非常に上がったということが大体推察されるわけであります。  この税は、最初は造石税といいますか、そういう税で、庫出税ではなかったわけですね。ですから、必ずしも消費者に転嫁されるということにはなっていなかったわけであります。そこで造り酒屋は、売れようが売れまいが、酒をつくったら税を課せられる。そのかわり、一たん税をかけられれば、出荷するときには税をかけられないということで、アルコール分の非常に高い酒をつくりまして、それに税をかけて、出すときは人間がうまく飲めるように水増しをするということで、アルコール分が非常に多いともうけも多いということで、酒の技術が非常に発達したということになったそうであります。それがその後、庫出税になりましたから、結局出荷についてかかるということになりましたので、物の考え方が変わってきたということになるわけであります。  そこで伺いたいのですが、酒について税はかかりましたが、自分の家でつくったらいかぬ、自家醸造の禁止、それは明治になりましてからも長い間行われなかったわけですね。日本人、特に日本の農民にとりましては、米をつくればその米でどぶろく、濁り酒をつくって飲むというのは、みそやしょうゆをつくるのと同じようにごく自然なことだったわけであります。それがいつごろから禁止されたか、お答え願いたいと思います。
  127. 梅澤節男

    梅澤政府委員 いろいろな経緯があるわけでございますが……(正森委員「だんだん制限はありましたけれどもね」と呼ぶ)はい。明治十九年に自家用清酒を禁止いたしております。それから二十九年の十月に自家用酒について税金を課しておりまして、三十二年にこれを廃止するということで、いわゆる自家用醸造というのはこの時点で廃止というふうに考えるべきだと思います。
  128. 正森成二

    ○正森委員 正解でありまして、三十二年にこれは全くつくってはいけないということになったわけです。  大体日本では、物の本によりますと、約百九万の農家が自家醸造を行っておった。ところがここでつくらして自分で飲まれると、政府酒税をどんどん上げていかなければいかぬわけですから、それでは非常に都合が悪いということで、税を高くするだけでなしに、飲酒量、販売量を多くして、しかもその中での自家醸造の比率をゼロにして、飲む酒は全部税をかけるということにすれば、これは税収が上がるわけですね。だからそういうぐあいにしたわけでありますが、日本の農民やあるいは今まで自分のつくった酒を非常にこよなく愛してきた者にとっては、明治政府というのは大変な災厄だったわけであります。それが現在も形を変えて続いておるということになるわけですね。  当時、大正六年に警察署や税務署が連名の上で、どぶろくをやめさせるための布告が出ておるのですね。大蔵大臣に聞いていただきたいのですが、  <◎濁酒を造ることなかれ・濁酒を造るは犯罪人なり◎——政府の免許を受けないで酒を造ることは法律で禁ぜられております。・自分の米で自分が造って飲むのに何も悪いことはあるまいと思ふ人もあるかもしれませんが、それは自分の金銭をやりとりする賭博をするのや、自分の腹の胎児をおろすのと同様に悪いことであります。・自分の町村からは、一人も心得ちがひのものを出さぬ様に注意して下さい。 これは大正六年の八月に出たそうであります。  これも大分乱暴なことでありまして、賭博などと一緒に例えてやっておる。ですから、国民の抵抗も非常大きゅうございまして、税務署の役人が摘発をいたしますと、当時は村で電話があるのは学校くらいしかない。学校に通報があると、小使ががらんがらんと鐘をならして、授業は一時中止で子供たちはクモの子を散らすように家に飛んで帰って、酒狩りが来たと言って伝令になって知らせる。そうすると家がばらばらと隠すということをやったというように本には書かれておるわけですね。  私が大蔵大臣にこういうことを申しますのは、事ほどさように酒というものはもともとは自由につくれていたんだけれども、税収を上げる上から、やはり時の政府が目をつける。そして明治三十二年に至って自家醸造を全く禁止するということで、酒づくりをやめさせてしまったということであります。そして税収を上げるために、昭和五、十九年の財政危機において総理が、財政再建でなく財政改革であると言われておりますが、その改革の一環として酒税がまたまた上げられるということになってきておりますね。  そこで大蔵大臣間接税というのは一般に逆累進であると言われておりますが、その中でも酒税は一層逆累進の形をとっておると思うのですね。といいますのは、高価なダイヤモンドだとかも皮というのは余り収入のない人は買わないで、消費というものは担税力を持っておるんだから、それに着目をして税を課するのはやむを得ないんだという理屈が通るわけです。しかしながら、お酒というのは弥生人の時代から親しまれて、そして疲れをいやしたりあるいは気分をよくするために飲まれてきているものですから、まるっきりやめるとか、税が多少高くなったからダイヤモンドを買うのをやめようとか、毛皮を着なくてもほかの物を何枚も着ればやっていけるとかいうものではないのですね。しかも自分がつくる道を禁ぜられておるということになるわけです。  経企庁などの調べで第一分類から第五分類まで所得別の分類がありますが、その中で酒の消費は分類によってどのぐらい違うか、まずお答えいただきまして、それについての大蔵大臣の御意見、御感想を承りたいと思います。
  129. 梅澤節男

    梅澤政府委員 五十七年分の家計調査で私どもやりましたものがございますけれども、第一分位から第五分位までに分類をいたしまして、総消費支出金額に対する酒類支出高の割合で見ますると、第一分位が一・八%、第五分位が一・二%、平均が一・五%ということでございまして、低所得と申しますか、第一分類ほど消費支出に占める酒税の割合が高くなっておるという傾向になっております。
  130. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣が御感想をお述べになります前に、あるいは同じ資料かもしれませんが、昭和五十七年の家計調査年報によりますと、第一分位、一番所得の少ない人でも、全体としてお酒に四万三千五十二円、それから第五分位、一番収入の高い人でも四万八千二百三十四円、平均で四万五千九百六十二円ですから、ほとんど差がないですね。ただ、差があるのは、特級清酒と特級ウイスキーを飲んでいる者は、これは圧倒的にお金を持っている第五分位が多くて、第一分位は少ないというだけでございまして、それ以外ではほとんど変わりがございません。当然ながら、しょうちゅうとか二級清酒、こういうのは第一分位が一番たくさん飲んでおるということになるわけです。そういう点から見ますと、政府にとっては酒税を三年に一遍ぐらい増税するのはやむを得ないということかもしれませんけれども、やはりこれは庶民に与えるいろいろな影響からいうと、できるだけ避けなければならないという点もあるのですが、大臣はいかがお考えですか。
  131. 竹下登

    竹下国務大臣 私の実家も小さい小さい酒造業者でございましたが、なるほど今言われてみれば、私なりに感ずることは、酒狩りとかそういう言葉は、子供のころ私も聞かされております。私は大正十三年生まれでございますから、幼少のころそういう話は聞かされたことがございます。したがって、当時まだ委託醸造、農家の方が米を持ってきて、そういうことも残っておったような気がいたしております。大人になってからはわかりませんが、話にはよく覚えておるわけであります。  しかし、一面、いわばそういう状態になったというのは、これも思い出の中で話すことでございますけれども、簡単にどぶろくをつくるという習性が、今でいえばアル中を非常に醸成をした。したがって、そういう状態になってはならぬ。いつでも思いましたのは、いわば自作農の方が小作農へ転落していく過程の中で必ず大酒飲みがその家におった。そして、それがお医者さんとか地主のところへ、今度は土地でもって徐々に吸収されて、一つの封建制度のいびつをつくった。だから農地解放すべきだということを、少年時代、ある種の正義感を持って私も述べたことがございます。  したがって、そういう健康の問題、ちょっと当時そういう言葉が使われていたかどうかわかりませんけれども、それにはいわゆる清酒メーカーに免許を与え、そこに担税力を持たしたということにおいては、それなりの意義があったと思います。ちょうど清酒が配給になりまして、我々が青年運動しておりますときには、お互いが順番で一生懸命でどぶろくをつくったりというような、これは当時完全な違法行為でございますけれども、そういう思い出は私にもございます。だんだんそういう不自由さがなくなった今日、今の制度というのはそれなりに機能しておるであろう。ただ、一万軒ありましたのは、大体一万ございませんと、てんびん棒で担いでいく範囲がカバーし切れない。それが三千になりまして、今二千六百ぐらいでございますか、そういう状態になっている。  そこで、今おっしゃいましたいわゆる逆進性の問題につきましては、第一分位から第五分位のお話をなさいましたが、それはそのとおりだと私は思っております。ただ、現実の問題につきましては、嗜好がどんどん変わってきて、高級酒というもの、例えば私のうちの酒ですと、特級酒をつくりましても全然売れません。それで時に二級におろしてやっと売れるわけでございますが、そういうような調子でございますだけに、では二級がまずいかというとそうでもないし、そして売れ行きは二級酒の方が、地酒ブームに乗ればいい場合もございますし、私は料亭でしょうちゅうを飲んでいる話をするつもりはございませんけれども、そういういわゆる酒類の嗜好が平準化しておるということだけは言えるのじゃないだろうかと思いますので、逆進性という、その数字における限りの逆進性というものは私も決して否定しませんけれども、いわばそういう平準化しておるという事実は、やはり改正の場合は着目すべき一つのポイントではないかというふうに理解をしております。
  132. 正森成二

    ○正森委員 今大蔵大臣から、御自分の郷里等の田舎で、酒を飲んでとうとう田んぼを地主にとられてしまうというようなお話がございました。そういう事実が農村であったことも事実でございましょうが、しかし、それですべてを説明して合理化するわけにもいくまいというように思うのですね。  その点で、「ジュリスト」という法律家の雑誌に批評が載っておるのですけれども、もし致酔飲料としての酒の性質に着目をして、そして製造や販売を免許制度にするなら、酒を飲料として直接提供している酒場等の方こそが免許の対象になるはずである。ところが、それを一生懸命飲め、飲めと言っているところが免許の対象にならないのに、つくる方と小売、直接飲むわけじゃないのですね、それをなぜ免許制度としているのか、それは非常に疑問が残るという指摘をしております。  あるいはまた別のところで、今大臣がおっしゃたように、もし酒造についていろいろな税の関係その他さまざまなことから免許が必要である、あるいは税収の確保のために免許制度が必要であるというのであれば、物品税の第二種物品の納税義務者である製造業者に対しても免許制度を当然導入しなければならないはずである、それを導入しないのはどういうわけであるかということで、この本に書いている学者は、酒造免許制度は憲法上種々の点で問題があるというように言っておるのですね。この点についてはどう考えておられますか。
  133. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ただいま二つの論点を御指摘になっているわけでございますが、酒類は御指摘のように致酔飲料という特殊な嗜好品ということに着目いたしまして税負担を求めるということでございます。これは各国とも、酒類の致酔飲料としての特性に着目いたしまして、かなり税負担を求めておる。  その根拠としていろいろな論拠が挙げられるわけでございますが、一つは、やはり致酔飲料、嗜好品でございますので、主食のようなものではない。それから致酔飲料という性格上、大量に消費されるという物資でございますので、これは率直に言いまして近代国家発足以来、先ほど御議論がございますように、いずれの国もいわゆる財政物資として、これに税負担を求めるということをやってまいっておるわけでございます。  それからもう一つ税負担を求める根拠といたしましては、これは先ほど大臣答弁でも若干触れられたところでございますけれども、やはり致酔飲料という性格上、保健衛生あるいは社会費用の観点等から、過剰消費抑制という機能も期待される、こういういろいろな側面があると思うわけでございます。  ところで、現在の我が国の酒類の製造並びに販売については、特に製造については既に明治十三年以来免許制度をとっておる。販売免許は昭和の年代に入ってからでございますが、これはいずれにいたしましても財政物資ということで、酒類の保全を図るという観点から、一般的に禁止をして免許するという手法をとっておるところでございます。したがいまして、いろいろな御意見はあるのでございましょうけれども、一番末端の消費のところで免許をするという観点は、今の財政物資の免許という観点からは少し議論がすれ違う面があるのではないかというふうに、私先ほどの「ジュリスト」に載りました論文という御指摘について、率直にそういう感想を持って伺っておるわけでございます。  それから、物品税の第二種物品との比較において、第二種物品は製造段階課税されるものだから、これもなぜ製造免許になっていないのかという御指摘でございますが、物品税は、御承知のとおり、沿革的に見まして恒久税制として確立してまいりましたのが昭和十五年でございます。しかも課税物品の範囲が、財政事情等の状況で、種類も多うございますし、変動幅も大きいということもございます。そういうことで、そもそも販売なり製造免許になじまないという側面があるかと思いますが、基本的にはやはり消費税の体系あるいは財政の体系の中で、財政物資であるかないかという点が違う点ではないかというふうに考えております。
  134. 正森成二

    ○正森委員 財政物資であるということを中心にしての御説明でございます。前に私が申したことに多少返りますが、農民が自分の家で、それぞれの民族の歴史のある酒類をつくるということを全く禁止して、それを密造ということで犯罪にしているような国は、文明国では日本以外に余りないんじゃないですか。どこの国がそれ以外にはございますか。私が承知しているのでは、アメリカもイギリスもフランスもドイツもソ連も、全部が全部を禁止しているというわけではないんじゃないですか。
  135. 梅澤節男

    梅澤政府委員 各国、酒類によって違うわけでございますけれども、醸造酒につきまして、若干その自家用製造の限度がございますけれども、認めておるところがございます。例えばアメリカでございますと、ブドウ酒でございますが、年間二百ガロンを限度として免税で製造ができるとか、あるいはイギリスでございますと、これはビールでございますが、小規模のものにつきまして、しかも農家でございますが、製造してもよろしいというふうな制度もございます。これはそれぞれの国の沿革なり、いろいろな事情もあるわけでございますが、極めて小規模に、かつ例外的に、そういった特別の酒類について認めておるということはあるようでございます。
  136. 正森成二

    ○正森委員 今、二つほどお認めになりましたけれども、それ以外に、私が調べましたのでは、繰り返しませんが、アメリカもイギリスもドイツもフランスも、あるいは社会主義国ではソ連も、あるいはイタリアも、私は無制限にと言っているわけじゃありませんが、農村等で自家用その他でつくっているものについて、禁止されている例はほとんどないということを申し上げておるんです。ですから、やっぱり酒税というのは、日本では非常に厳しく、特にそれは明治になりましてから、三十二年以降厳しくなっているということを申し上げなければならぬと思います。  それから、税率が非常に高いですね。ビールについて、もし資料をお持ちなら、百分比で他の文明国との比率をお答え願いたいと思います。
  137. 梅澤節男

    梅澤政府委員 小売価格に対する負担率で申し上げますと、日本が、これは改正前で四四・四%……(正森委員「それでもいいですが、日本を一〇〇としてほかが幾らかだと、もっとわかりやすいんですが、資料がなければそれでもいいです」と呼ぶ)すぐ計算いたしますが、日本の場合が四四・四、それからアメリカが一四・七、イギリスが三〇・三、西ドイツが二一・三、フランスが一六・七。ただ、これは後ほどもし時間がいただければ、この辺についての私どもの方の考え方を申し述べさせていただきたいと思っております。
  138. 正森成二

    ○正森委員 同じく「ジュリスト」に、載っております論文から引用しますと、これは日本の税額を一〇〇としますと——おたくがそれを計算していただけばすぐ出るわけですが、私が聞いていたら、税負挺率は、私の手元の資料とほとんど変わりません。一ないし二%計算の違いなんかで、あるいはドルのレートでも違いますが、日本を一〇〇としますと、アメリカは一八なんですね。それから一番高いイギリスが六七、西ドイツが大体一八程度、フランスが二〇程度。しかし、梅澤主税局長、また御説明しますがということですが、この税負担には付加価値税が入っているんですね。付加価値税が入らない本当の酒税というのは、日本を一〇〇にして、今私が挙げました五つぐらいの国ではどのぐらいになっていますか。
  139. 梅澤節男

    梅澤政府委員 ちょっと指数化して申し上げるのはあれでございますが、税額で、レートは一ドル二百三十九円の換算でございますが、日本が百二十六円六十六銭、これは大瓶一瓶に対する税額でございます。私の持っております資料で、大瓶が六百三十三ミリリッターで百二十六円六十六銭でございます。同じ数量で換算いたしましたものがございまして、アメリカが十八円、イギリスが五十七円、西ドイツが八円、フランスが二円。これに付加価値税が加わりまして総合的な酒税負担になっている。
  140. 正森成二

    ○正森委員 そうですね。私の手元に持っておりますのは一リットル当たりですから多少数字が違いますが、それを百分比に直しますと、付加価値税のかかる前では、日本を一〇〇とすると、アメリカが大体八、イギリスが一番高くて二四、西ドイツが六ないし八、フランスは二ないし三ということで、一番低いんですね。だから、日本の場合は、付加価値税の代用をしていると考えても、なおかつ非常に高い。ましていわんや酒税としてだけ考えれば、べらぼうな酒税を飲まされておる。私などどうも一生の間に大分奉仕したなということをこの資料を見て思ったのです。  大臣、今私が百分比で申した数字と主税局長がお答えになったのとは、基準のとり方が違いますが、私が数字をにらんでおりましたら、目の子勘定ではそう大きな差はないわけです。ですから、酒税そのものとしてはもう問題にもならないぐらい高い。そしてEC諸国等は付加価値税で——今、日本では付加価値税が非常に問題だということで、国会の決議も、大型間接税あるいは一般消費税(仮称)という格好で決議されたんですが、諸外国のものを入れてもべらぼうに高いということにれば、その高いものをまた上げるというのはやはり非常に問題があって、ここに参考人に来られた方だけでなしに、実際にその税を払う消費者が非常に問題にするというのは、ある意味では当然のことじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  141. 竹下登

    竹下国務大臣 これはいささか主観を交えたお答えになりますが、私も過去、本大蔵委員会に昭和三十三年から十年ほどおりました当時、大体この酒税の全体に占める割合というのは、二十五年ぐらいは税収全体の二割ぐらいだったのじゃないかと思います。それから経済成長いたしまして、全体のシェアは落ちてきておりますものの、その後のいわゆる販売価格からずっと見まして、ある意味においては適正ではないだろうか。  それで、これはとんでもない一つの資料でございますが、私は比較的統計が好きでございますので、いろいろな統計をとっておりましたところ、日本に世界一が何ぼあるか。いっぱいありますが、そのいっぱいあるのは別として、私自身が驚きましたのは、自動車事故による死亡率というものが、イギリスよりわずかに下回って世界で一番少ない。私としては大変多い方だと思っておりましたら、世界で一番少ない。その理由をどこに求めるかといったら、やはりあれは飲酒運転を禁止したからだ。そうして平均寿命がこの二十五年間で大体十一歳弱延びておりますが、それもやはりアル中が少ないからだ。酒にまつわる観点からいいますと、文盲率の低いのも、いわゆる高等学校進学率の高いのも、知識水準の高いのも、すべて酒というものが価格においてある種の調整をしておるからだ、こういう論文がございまして、その限りにおいては、酒屋のせがれがこんなこと言っちゃいけませんけれども、まことに見事な選択を国民自体がしたものだな、こういう印象を本当は持っております。
  142. 正森成二

    ○正森委員 こうなってくると何もかも、いいことは酒の値段が高いからよ、こういうことになるわけで、世の中に「我が田に水を引く」という言葉がありますが、さすが大蔵省という感じで、私見を交えた御意見として私もありがたく拝聴しておきたいと思います。  それで酒税法の問題について、大臣がおられる時間が少なくなりましたので一つ聞いておきますが、物の本にいろいろ書かれておるのは、等級に非常に矛盾があるのじゃないかということで、例えば酒税法の第三条の九号では、ウイスキー類のハのところで、「ウイスキー原酒にアルコール、スピリッツ、しょうちゅう、香味料、色素又は水を加えた酒類で、香味、色沢その他の性状がウイスキー原酒に類似するもの」これがウイスキーであるという定義になっておりますね。ところが二十二条ですか、「従量税の課税標準及び税率」というのを見ますと、それの七のところの「ウイスキー類」で特級を見ますと、結局アルコール分が四十三度を超えれば特級だと読める条文になっているのですね。そうすると、何もこれはモルト、原酒ばかりでなくても、あるいは原酒が同度というのでなしに、平たく言えば工業原料と同じアルコール、それが大量につくられておるのですが、それを入れてもともかく四十三度以上なら特級だということに実際上はなっておるんだということで、品質についての非常な意見があることは御存じだろうと思うのですね。これは清酒についても言われまして、一々数字は読み上げませんが、値段は確かに特級が高いのですけれども、税額を除いた値段で比べてみますと、二級酒と一級酒と特級酒の差というのは非常にわずかなんですね。結局税金によって酒の値段が変わっておるというように育ってもいいぐらいであります。  こういうように、今たまたまウイスキーの例を挙げました。清酒についてもいろいろ同じようなことが言われるわけですが、こういうような規定の仕方で等級をつくっていくというのは、愛酒家から見ては非常に問題があるんじゃないですか。工業原料でも何でもぶち込んで、四十三度以上なら特級だ、したがって税額も高いということを許すような規定になっているのですからね。これはいかがですか。
  143. 梅澤節男

    梅澤政府委員 清酒とウイスキー類等につきまして級別があることは御指摘のとおりでございます。  まずウイスキーにつきましては、これは政令に具体的な紋別の基準が、清酒の場合と違いまして決められておるわけでございますが、今委員が御指摘になりましたように、アルコール度数で四十三度以上のものが特級であるということは、もちろんウイスキー特級の紋別を決める一つの基準になっておりますが、そのほかにモルトの混和率について、原酒の混和率が二七%以上のものも特級である。それから、もちろん原酒そのものは特級であるということでございまして、アルコール度数という側面からだけ現在のウイスキーの級別が決められておるというものでもないわけでございます。  それから清酒につきましては、これは前回の委員会でもある委員から御指摘がございましたように、ウイスキー類と違いまして、三十七年の酒税法改正で、現在ウイスキーの級別のような客観的な基準はございませんで、特級は「品質が優良であるもの」、一級は「品質が佳良であるもの」という基準があるだけでございます。あとは任意出品、官能基準ということで、もちろん酒類審議会の議を経て現実には国税局長が決めるということになっております。  それぞれ沿革なり背景があるわけでございますが、この級別制度をどうするかということにつきましては、五十六年にできました酒税問題懇談会でも、紋別制度のあり方ということは長期の検討課題とされておるわけでございます。  ただ、御案内のとおり、この級別制度は、現在それなりに市場におきまして消費者の選択基準にもなっておりますし、業界の分野調整と申しますか、業界の行動にもそれなりに根をおろしておるという側面もございますので、やはり将来の課題としてどういう方向に持っていくかということを、いろいろな方面の意見を伺いながら考えていかなければならないということでございまして、当面、私どもも、この我が国の酒類の級別についていろいろ問題があることは、もちろん十分意識はしておりますけれども、今日の時点でまだはかばかしい改革の方向をお示しする段階にはないということでございます。
  144. 正森成二

    ○正森委員 清酒については他の委員も御質問になったことは聞いておりますので、三増酒とかいろいろ問題のあることについては省略しますが、ウイスキーについては、確かに今お読みになったのは、通達と国税庁の承認事項というのをお読みになったのだと思いますが、その定義でも、一級は二〇から二七%、モルトの混和率ですね。あるいは二級は一〇から一七%というようにたしか定められていると思うのです。ということは、二七%以上なら特級であるということで、例えば他の委員も言われたと思いますが、スコッチだとかバーボンとかいうのは一〇〇%がモルトなんですね。言ってみれば、平たく言えば工業用アルコールが七〇%もまじっておるものを特級だなんて言っている国は余りないということが、いろいろの物の本に書かれているのです。しかも、それによって税額が非常に違う。高ければいい酒である、いいウイスキーであるという誤解を与えておるというのは非常に問題で、酒類問題懇談会ですか、いろいろ問題になっております。この点は、大きな企業の二級酒へのシフトという問題もございますけれども、それらを勘案して、総合的に将来にわたって早急に考える必要がある。日本の酒の名誉を守るためにもその必要があると思うのです。  お答えいただきたいのですが、大臣がもうあと一、二分でお出にならなければなりませんので、お答えが必要でしたら後でちょっと答えていただいて、石油税の問題について一言だけ伺います。  それで、時間がございませんのであれですが、石油税が今度上げられるわけですけれども大臣財政改革ということで削るべきは削り、国民に我慢していただく点は我慢していただくと言っておられます。それに対して私どもは、石油というのは日本の国のある意味では戦略物資でございますから、これを一定量備蓄しなければならないということについては、大臣にも私にも大きな意見の差はないと思うのです。  問題は、しかし、備蓄するにしても、その方法として現段階で国家備蓄の量をふやして、白島を初め島一つを買い、それに対して大きな金で国のタンクをつくり、そのつくる金も石特では貯えないで、市中銀行だとかいろいろな金を借りてその利子補給をやるというようなことを、今の時点でかくも多額にやる必要があるのであろうかというのは、これは大臣も当然お聞きになったと思いますが、例えば二月二十日に社会党の委員予算委員会の総括質問でもお聞きになったところであります。それらを踏まえて、やはりこれには節度というものがあるんじゃないか。少なくとも現時点でそれだけの予算を投入する必要はないのではないかという気がしてならないのですね。時間がないことはわかっていますから、一言お答えいただいて予算委員会にお出かけいただきたいと思います。
  145. 竹下登

    竹下国務大臣 備蓄の問題は、共通認識がある程度あると思いますが、私どもはいわゆるOPEC、あの第一次、第二次石油ショックの経験から、資源は有限であるという考え方に立って、代替エネルギーの開発とか各種石油政策、備蓄も含めてみんなそこに大きな関心が深まった。そこで私ども恐れますのは、現状のように緩んだとき、まあ、だからいいわいいわ、こういうイージーな考え方になったとき、やっぱりあの当時の厳しさというものをとかく忘れがちだから、これはきちんとしなければいかぬぞという考えは私自身基本にございます。しかし、特会といえども、やはりこれは私どもは特定財源があるから特会の予算査定はイージーでいいなどという考え方は持たないで、これを厳しく抑制する方向で対応しておる。ただ基本的な考えは、緩んだからいいわいいわという考えが、また将来にわたっての大きな危険を残すという認識もございます。  それだけお答えして、たまたま同じ党の方の御質問でございますので、向こうへ行かしていただきます。
  146. 山本昭市

    ○山本(昭)政府委員 先ほどウイスキー特級の制度面につきましては主税局長からお答え申し上げましたが、現実にどのような姿になっているかということ、事実問題でございますが、若干御説明さしていただきたいと存じます。  取り扱い通達というのがございまして、ウイスキー特級につきましてはウィスキー原酒が三〇%以上ということになっているわけでございますが、実態は、原酒はどこのメーカーをとりましても九〇%以上入っているのが実態でございます。(正森委員「本当ですか」と呼ぶ)間違いございません。  それから、先ほどアルコール四十三度以上という規定につきましてのお尋ねがございましたが、確かに法制上は、一滴ある原酒が入っておりまして、アルコール分が四十三度以上あれば特級という格付になる制度ではございますが、実際問題といたしまして、そういったものは、国内の製造にかかるものといたしましては承認をしていないわけでございます。この規定は、輸入ウイスキーが、その中身の検査ができないというような事情にございますものですから、何かそういうおかしなものが入ったら困るということでこのような規定が置かれておりまして、国内的には先生御心配のような実態ではないと思うわけでございます。
  147. 正森成二

    ○正森委員 石油税の方に質問が入っていますのでこれ以上言いませんが、私もいろいろ本を読んでいますから、日本消費者連盟の内部告発もございますし、とても日本のウイスキーに九〇%以上のモルト、原酒が含まれているというようなことは信用できないのですね。しかも自家製でなしに、外国から買い入れているものを入れてもそれだけにはならないというように言われているわけで、それはまた、場合によったら席を変えて論戦しますけれども、もし国税庁の間税部長がそういう認識に立っておるということであれば、それは日本の消費者全体の認識と全く異なるということをやっぱり申し上げておきたいと思うのですね。  それで、主計局に石油の備蓄に限って伺うのですが、今度の予算で石油備蓄関係に使われている金の明細について答えてください。明細といっても余り細かく言わぬで、大きく、国家備蓄についてはどれぐらいで、そのうちの原油購入費用はどれぐらいでという、そういう大まかで結構です。
  148. 平澤貞昭

    ○平澤政府委員 この点につきましては、通産省が来ておりますので、通産から……。
  149. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 五十九年度予算におきましては、国家備蓄関係におきまして千七百七十九億円の予算を計上していただいております。  その内訳は、大きく分けまして四つから成っておりますけれども、一つは国家備蓄基地に対します出資金、これが八十七億五千万円。それから公団が備蓄事業を行うに当たりまして必要な建設事業に対する交付金、これが九百四十一億。それから石油公団の国家備蓄に当たりまして原油を手当てするために必要な借入金の利子補給額、これが五百四十二億などでございます。
  150. 正森成二

    ○正森委員 そういうように千七百億余りのお金が備蓄のために使われているわけでありますが、細かく言えば切りがありませんが、国家備蓄をやるときに、五十三年に計画を立てたんですね、三千万キロリットルということであのときには、計画達成時には一日に百万キロリッター要る。それの三十日分ということで三千万キロリットルにしたんじゃないですか。民間備蓄が九十日ですから、それに三十是して百二十日であればまあまあと。ところが現在ではそれが減っておりまして、これは総括質問で、たしか清水委員だったと思いますが、お聞きになったのでは、五十四万キロリットルというように言われておるんですね。そうしますと、後でお答え願いたいんですが、現在既に国家備蓄は、タンカー備蓄や陸上備蓄、それも借り上げの部分と、実際にむつ小川原ですか、既に作動している部分とがございますが、たしかもう千三百七十万キロリットルを超えているんじゃないですか。現在は幾らですか。
  151. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 国家備蓄は現在、一月末現在ですと、原油のベースで千三百七十五万キロリットルでございます。
  152. 正森成二

    ○正森委員 それはさらに三月末ぐらいになればもう少しふえるわけでしょう。五十四万キロリットルにしますと、既に二十数日備蓄をしていることになるのですね。しかもエネルギーの供給計画その他がいろいろ出ておりますけれども、昭和六十五年−七十年を見ましても、省エネルギーとか景気の動向とか代替エネルギーの使用などで、私の記憶に間違いなければ、一々資料を見ませんが、ほぼ二億四千万キロリッターぐらいで推移するということになっているんではないですか。そういうぐあいになれば、昭和六十五年−七十年を見てもその程度で推移するということであれば、いよいよ、初め五十三年に国家備蓄を考えたときのような事態にはならない。むしろ五十四万キロリットルから足踏みもしくは減少の傾向すら見られるということになりますと、いよいよもって、この国家備蓄のために金を非常にたくさん使う、そしてそのために石油税を大幅に値上げをするという必要性は薄らいでくるんじゃないですか。  この石油税を創設するときには、自民党以外の他の党も、その必要性をお認めになった党がございますし、石油業界も反対ではございませんでしたけれども、最近のいろいろ専門の新聞なんかを見ますと、石油業界自体が非常に問題視しておるという状況なんですね。幾ら業界が問題にしましても、国の将来の百年の大計、百年と言わないまでも、また中東でいろいろあればそのときに大変な困難になるということであれば、これは国家政策としてやらなければなりませんけれども、そういう点を勘案しても、なおかつその緊急の必要性は、この財政事情のもとではないんじゃないですか。
  153. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生御指摘ございましたように、現在の三千万キロリットルを目指す国家備蓄は、五十三年の十月に総合エネルギー調査会におきまして、我が国の石油供給の脆弱性を踏まえまして、備蓄の増強を図ることが必要であるが、民間の備蓄負担能力等を考えまして、少なくともIEA諸国並みの備蓄水準でございます、当時百二十日でございました。そこで、それを達成するため、三千万キロリットルという目標を定めたのは御指摘のとおりでございます。その後、石油の需要が減退を見、さらに将来の見通しといたしましても、六十五年度二億四千万キロリットルという点も、これも先生のおっしゃったとおりなんでございます。したがいまして、現在の、あるいは昭和六十五年度までの見通しに基づきまして、三千万キロリットルの備蓄量が何日分に相当するかということになりますと五十三日分、ということは三十日が五十三日分にふえることになるわけでございます。  しかしながら、出発のときもそうでございましたけれども、何とかIEA諸国並みの水準にせめて持っていきたいというのが当時の考え方でございました。ところが、現段階で民間の九十日備蓄と、ただいまの需要量の減退を踏まえて日数がふえましたけれども、その五十三日分を足しましても、百四十三日分ということになるわけでございますが、実はこれは日本の計算方式とIEAの計算方式で違いがございまして、百四十三日というのは、IEAで計算するときには多分、概算でございますけれども、百二十八日程度ということになるようでございます。こうなりますと、日本はとりわけ脆弱なエネルギー事情にあるわけですけれども、私どもの当初目標といたしました、せめてIEA諸国並みにと思っておったわけですが、その後IEA諸国はどんどん積み増しをいたしまして、昨年の十月現在の数字ですと百六十七日の備蓄をいたしておるわけでございます。そういうことになりますと、我が国といたしましても、目指すべき目標が諸外国において随分引き上げられておる。  日本の場合、振り返って考えてみますと、先ほどもお話に出ましたように、確かに現段階の国際石油情勢は緩んではおるわけでございますけれども、今後のことを考えますと、依然として中東の情勢は不安定なこともあります。その他国際石油情勢は依然流動的なわけでございますので、このようなことを踏まえまして、昨年、総合エネルギー調査会におきましてエネルギー政策の総合点検をお願いいたしたわけでございますが、そこにおきましても、やはり石油の一次エネルギーに占める依然として大きなウエート、そしてまた中東依存度の高さ、欧米の備蓄の増加努力などを勘案いたしまして、我が国としては引き続き従来定めました三千万キロリットルの備蓄目標の達成、維持が要請されるという指摘を受けまして、現在その推進を図るようにいたしているところでございます。
  154. 正森成二

    ○正森委員 あなたがそういうように答弁されたのは、予算委員会の総括質問の議事録を読みましたから、載っておりますから逐一承知しております。しかし、外国との基準といいましても、例えばイギリスは北海油田があるんでしょう。アメリカは自分の国内に物すごく大きな油田があって、外国から輸入する量というのは全体から見れば非常に少ないわけですね。その少ないものについて何日分備蓄するといったって、それは非常にたやすいことなんですね。日本は九九%まで輸入しているんじゃないですか。それについて何日分も備蓄するというのは莫大な量になるわけで、しかも先行きの需要見通しはそういうことであるということだし、今イラン・イラク戦争がありますが、私は最近の新聞の論評を全部調べてみましたが、我が外務省あるいはアメリカの当局でも、これがホルムズ海峡の封鎖に突き進むというようなことはまず考えられないという状況でしょう。そういう状況のもとと、私も、財政がじゃぶじゃぶ余っているのなら、それは油というのはたくさん持っていいと思いますけれども、国民の命を守る健康保険でも一割負担だ、将来は二割負担だ、児童扶養手当は減らすというようにしておる中で、こういうように持つ必要があるのかという疑問を提出しているのですね。  通産省の資料によりますと、仮に一五%カットがあったとするでしょう。そうすると、今ここに資料を持っておりますけれども、民間が九十日を超えて百日前後ですね、民間だけでも百日がちょっと欠けるぐらいでしょう。四十五日というのはランニングストックですね。それだけなければ正常な経営といいますか流通に差しさわりがあるということで、四十五日分はランニングストックで持っていかなければならない。国家備蓄をのけて五十五日ですよ。五十五日あって一五%カットされたら何日もつのですか。通産省は、私が読んだ資料では一年もっと言っているでしょう。そういう計算になるのでしょうが。百日全部じゃないのですよ。四十五日はランニングストックとして置いておいて、残る五十五日になったら五十五日しかもたないというのは誤りなんで、それは石油が全然入らない場合のことなんですね。だから一五%カットなんというのは、四十八年のオイルショックのときだってなかなかそういうところまではいかなかったのですから。そうしたら一五%カットだったら、それをある程度足していけばいいのですね。しかもIEAの規定によれば、そういう状況が起こったときは、各国は何%か節約する義務まで負っているのでしょう。そうなれば通産省は、私ここに資料を持ってきて、これを全部探すのは面倒くさいから、宙で覚えているとおり言うのだけれども、あなた方は一年もつと書いているじゃないですか。そうでしょう。
  155. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 具体的にどういう条件でどのような石油の供給制限が起こるか、事態の見方についてはいろいろ問題があるかと思いますけれども、五十五日の備蓄量を一五%だけカットしたということであれば、今先生おっしゃったような数字になるかとは思います。  ただ、一言つけ加えさせていただきますと、どういう事態が起こるかというのは、実は私どもなかなか想像にかたいものがあります。現在、私どもの統計ですと、ホルムズ海峡を通過している油の量は六五%を占めているということでございますので、そういうことから計算いたしますと、また違った答えも別途出てくるわけではございます。  それからもう一言、恐縮でございますけれども、IEAにおきましては、かねて指摘しておりますのは、何と申しましても輸入がなかなか入らなくなった場合どうしたらいいかということを考えるのが、IEAの各国に対する政策要請でございまして、そういう意味で、国際石油情勢が流動的な今日、昨年の五月のIEAの閣僚理事会におきましても、最近の情勢にかんがみますと一段と石油備蓄の維持増強を図るべきだという指摘もございましたし、対日審査というのが先般IEAでもございましたけれども、ここにおきましても、石油備蓄のさらなる増加について種々コメントを受けているのが実情でございます。
  156. 正森成二

    ○正森委員 答弁が必ずしもはっきりしないので、念のために出典を明らかにしておきます。財団法人の中東経済研究所監修の「データと解説——石油情勢’82」という本があります。それの第四章の「IEAと先進諸国」の中で、「通産省の試算では、日本は仮に一五%の供給カットを受けても、備蓄が一〇〇日分あれば、ランニングストック(平常時の安定供給に必要な在庫水準)一を四五日として五五日分の備蓄の取り崩しにより、約一年間は消費量をカットせずに平常通りの供給を続けることができることになっている。」こう言っているのですよ。自分のところが言っているじゃないですか。私は念のために出典を示してお話をしているのです。  そこで伺いたいのですが、経済事情がこういうことであるにもかかわらず、頑強に国家備蓄が必要だ、必要だということをおっしゃるのですが、国家備蓄に関連して民間の備蓄の点を伺うのですが、民間にとっては四十五日というのが通常の経営に必要なランニングストックなんでしょう。だから民間にとっては、四十五日を著しく超える部分は、通常の企業としては余分な在庫負担なんでしょう。本当はこんなものは持ちたくないのでしょう。しかし国家的目的から、国が九十日を備蓄しろと言うから、企業負担になるけれども、それは持っておる。しかし、それに対しては非常にわずかだけれども国家が補助をしておる、こういうことになるのですね。私は何も石油企業の味方をするわけじゃないのですよ。ないのですが、先方さんは四十五日ランニングストックを持っていればいいのにこれだけ持たされておる、こういう感覚を持っているのですね。  国は基準備蓄量というのを決めておりますね。この基準備蓄量というのは、そもそもどういう基準で決まるのですか。
  157. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 民間備蓄の基準備蓄量につきましては、石油備蓄法の規定に基づきまして、石油業者の生産量または販売量あるいは輸入量を基礎といたしまして、要するに前年の内需量の九十日分に相当する数字を現在定めております。
  158. 正森成二

    ○正森委員 それは現在幾らですか。
  159. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 五十八年度の基準備蓄量は四千七百七十四万六千キロリットルでございます。
  160. 正森成二

    ○正森委員 私の持っている資料に誤りがなければ、五十五年五千九百二十六万八千キロリットルだったでしょう。それが次の年には五千六百二十七万三千キロリットルに減り、次は五千二百六十六万六千キロリットルに減り、次は五千百三十九万七千キロリットルに減り、そして現在四千七百七十四万六千キロリットル、こういうことになっているのじゃないですか。
  161. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生がおっしゃいました数字は、石油備蓄法に基づきます基準備蓄量とは別個に、民間の石油業者に対しまして融資助成をいたしますが、その融資をするに当たりまして定めました指示数量が、おっしゃった数字に当たるのではないかと思います。
  162. 正森成二

    ○正森委員 指示数量のことは伺おうと思っていましたけれども、石浦部長、それは違うのじゃないですか。そうじゃないのじゃないですか。指示数量というのは、最近は変わりましたけれども、それは順番に伺います。私が言ったのは基準備蓄量。細かい数字は十万キロリットルぐらい違うかもしれませんが、指示数量というのはそんなに毎年毎年変わっていないのですよ。
  163. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 基準備蓄量について申し上げますと、五十五年度は五千八百三十四万六千キロリットル、五十六年度は五千五百五十万七千キロリットル、五十七年度につきましては五千百三十四万五千キロリットル、そして五十八年度、先ほどお話に出ました四千七百七十四万六千キロリットルというのが基準備蓄量でございます。
  164. 正森成二

    ○正森委員 それでは伺いますけれども、石油公団には「石油公団備蓄石油購入資金融資運用要領」というのがあるでしょう。その第二条の二項に指示数量というのが決められているのでしょう。これは基準備蓄量とは一定の違いがあるわけでしょう。なぜ指示数量が決められているのですか。それは石油公団が融資をするのだけれども、勝手に数量を少なくしたら一定の備蓄の目的を達しないから、これより下回った場合には——詳しくは申しません、あなたの方から融資の運用要領というのをもらっていますから、そこに細かく書いてありますけれども、一定のペナルティーを科するのでしょう。ある場合には利子補給を返しなさい、ある場合には減った分の二倍の分についての利子補給を返しなさい、ある場合には元本を返しなさい、ある場合には元本の倍返しなさいというようなペナルティーを科しているのでしょう。そのペナルティーを科する基準として指示数量というのがあったのでしょう。  ところが指示数量については、この運用要領で変わったでしょう。最近といいますか、ここ二、三年で変わったんでしょう。昔は、私の調べた限りでは、過去のピークの指示数量を、新しい基準備蓄量が上回らない限りは横ばいで指示していたんでしょう。それがいつから変わったんですか。
  165. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 御指摘のように五十六、七年度につきましては、それまでの最大の基準備蓄量を指示数量として採用しておりましたが、五十八年度から変更をいたしております。
  166. 正森成二

    ○正森委員 今お答えになったことから、私の質問の中で挙げた数字を指示数量だと言っていたのが誤りだということがわかったでしょう。五十八年から変えたんです。五十七年までは過去の最高の数量を指示数量としていたんだ、こう言われたでしょう。私が言うたのは、歴年減っている数字を言っているんですよ。それは基準備蓄量じゃないですか。指示数量というのは五十七年——五十七年というのは、三月十五日以降できるだけ三十一日に近い間に指示をされるんでしょう。そのときまではこの要領を変えないで、過去の最高の数量が指示数量で、それより基準備蓄量が下回っても、やはり前の指示数量を指示数量とするということになっていたんです。それが余り事実に合致しなくなって乖離状況が起こったから、その後数式を変えて三年間の平均ということにしたんでしょう。Sイコール3分のS1プラスS2プラスS3こういう数量にしたんでしょう。
  167. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 指示数量の決め方につきましては、先ほど申し上げましたように、五十六、七年度におきましては過去の最大の基準備蓄量を採用して、できるだけ民間の備蓄の水準を維持したいという考え方でやってまいったわけでございます。しかし、その後、五十七年の十二月にIEAの理事会で、外国のこともあるものですから、純輸入量の過去三年の平均値の九十日分が前年の輸入量の九十日分を上回る場合には、三年平均値の九十日分の方を維持するようにするという合意事項ができたわけでございます。それで私どもといたしましても、このようなIEAの合意を踏まえまして、石油消費の減少という事態の中で備蓄量を急激に低下させるという事態が生じないような配慮も考えまして、過去三年の平均値と前年の数字とのいずれか大きい方を指示数量として定めることといたした次第でございます。
  168. 正森成二

    ○正森委員 今までの答弁の中でそごがあったということは、強くは言いませんが、だから五十七年十二月のIEAのそういう合意があったので、年月日で言えば五十八年の三月十五日以降三十一日までの間に、指示数量についての基準を過去と違うように運用要領で変えたのでしょう。それに基づいて五千八十八万キロリットルというのが出てきたんでしょう。そうじゃないですか。
  169. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 五千八十八万キロリットルという指示数量の出し方は、ただいま御説明のとおりでございます。
  170. 正森成二

    ○正森委員 だから、それ以前は過去の石油公団の指示数量についての運用要領に拘束されるから、やはり一番高い分を指示数量にしていたんです。そこで、高い分を指示数量にすると、石油備蓄法で決める基準備蓄量との間に乖離が大きくなる。その乖離はもう実に大きな数量に達して、六百五十万キロリットル以上、もう一千万キロリットル近くになってきたんですね。そこでペナルティーがありますから、その指示数量どおりやらなければ、基準備蓄量に減らそうと思えば、利子補給金は返さなければならないわ、元本は返さなければならないわということで、石油公団がたまりかねていろいろ通産省にも陳情をする、IEAもそういう状況を見て基準を変えるということになったので、指示数量を下げたわけですね。  そのIEA自体も、あるいは政府も、前の指示数量というのは実態に合わないということで下げたわけでしょう。基準備蓄量に近づけたわけでしょう。そうだとすれば、国家備蓄だけ依然として前の百万キロリットルを維持して、この財政危機の中で莫大な国費を投入して基地建設をやるなんというのはおかしいじゃないですか。もしどうしても、民間に一定の利子補給をしてやっているんだから、これだけは備蓄しなきゃならないというんだったら、指示数量を変えないで頑張らさなければいかぬじゃないですか。民間に対してはそういうように緩和しながら、国だけはなぜこの財政危機のときに、そういう実態に合わないもので、あくまで百万キロリットルも要るということで三千万キロリットルの備蓄を遂行しようとしておるのか。私が資料をもらったら、三千万だって、まるまる石油タンクが使えるわけじゃないから、容量としては四千五百万キロリットルのものが必要なんだ。だからそれにはまだプロジェクトとして開始してない、新しいものも入れて七つですか、何かやらなきゃいけないんだということで、実際に石油をためることができることになっているのはむつだけでしょうが。それ以外はつくっているばっかりで、ちっとも備蓄に役立っていないでしょうが。それをまた新しく土地を買い、そしてタンクをつくる。タンクをつくる金さえ国にはないのですよ。だから市中銀行から借りてきて、その利子補給をやるということでこの予算を計上しているのです。そんなにしなきゃならないのなら、指示数量を変えないで民間にも持たさなければいかぬじゃないですか。ところが民間は、石油会社が陳情すれば、余りにも乖離現象が大きいということで基準を下げているじゃないですか。  だから、二つに一つなんですよ。どうしてもそんなにやらなきゃならないなら、民間にも無理をして指示数量を変えないで、前のとおりで頑張って備蓄しろ、こう言うか、民間に対して数量を下げたのなら国も同じように下げて、国家備蓄計画をトーンダウンしなきゃいけないじゃないですか。それをやらないのなら、民間石油会社には物すごく便宜を与え、そして親方日の丸意識で、国民の税金になる国の備蓄だけは、財政危機にもかかわらず前の基準のままでいく、こういうことになるじゃないか。  だから私は、指示数量のことを事前に通産省に聞いたのです。なかなか答えなかった。それは答えないのですよ。そのことがはっきりすれば、みずからの政策の矛盾が明らかになるから答えられないんじゃないか。そんなことをやっているのに、そのもとになる石油税をどうして我々国会が承認することができますか。当たり前でしょうが。それについて納得できる答弁がなされなければ、こんな石油税で今年度六百七十億ですか、平年度千三百何十億、全部国民に転嫁されるのですよ。石油業者だって望んでないのですよ。そんなものは増税する必要ないじゃないですか。
  171. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、民間の備蓄につきましては、石油備蓄法に基づきまして課しております義務よりも一段と高い結果に、もう現在なっておりますが、指示数量で過去三年の平均値が前年の実績を上回っておる場合には、IEAの合意に基づきまして事実上義務をかけておるというのが実情でございまして、これは国際的な合意をもとに、私どもとしては取り入れた次第でございます。  他方、国家備蓄につきましては、これも先ほど申し上げたこととダブって恐縮でございますけれども、三千万キロリットルを持つことの意味につきましては、当初は、さっき申し上げましたように、IEA諸国並みの水準を維持しようということで始めました。それが百二十日だったわけですけれども、先ほど申し上げましたように、IEA諸国でも現在百六十七日も保有しておる。我が国は、エネルギー情勢が流動的な中で、大変中東依存度も高く、極めて脆弱な基盤の上にある。しかも、そういう情勢の中にあります我が国といたしましては、できるだけそれに近づける努力も必要ではないか。かつ、国際世論の上でも、先ほど申し上げましたように、IEAの閣僚理事会等々で我が国に対する備蓄の増強を期待しておる。そういう背景の中で、私どもはこのような取り組みをしているわけでございます。  ただ、もとより総合エネルギー調査会でも御指摘がありましたけれども、できるだけ現在余っている民間のタンクを活用するとか、国家備蓄基地の完成時期を繰り延べるとか、効率的な運用をできるだけやるようにというご注文もいただいておりますので、私どもといたしましては、そのような方針にのっとってできるだけ効率的に、しかし着実に計画を達成してまいるように取り組んでいる次第でございます。
  172. 正森成二

    ○正森委員 余り時間がなくなっていますので、本当は通産省に答えてもらわなければいかぬのですけれども、民間の空きタンクだって、今二千六百万キロリッターあるのでしょう。これは私はここに資料を持っていますけれども、ごく最近の石油業関係の新聞に出ていますよ。これを活用してほしいのだけれども活用してくれないのだ、空きタンクがそんなにあるんだ、こう言っているのですよ。それを活用してやれば喜ぶのに、そういうことをやると、景気の動向によって先高観なんかになれば、タンクは見る見るいっぱいになってしまう、だから国家備蓄をやらなければならないんだ。これも総括質問で清水委員答弁しているでしょう。  しかし、こんな矛盾はありますか。これだけ広広とあいているタンクが、先高観であれ何であれ、満杯になるほどため込んだら、国の備蓄は十分にできるじゃないですか。今、民間が百日分の備蓄を持っておって、なおかつあいておるんですよ。それを使ってくれと言っているんです。それが仮に先高観で、国が使えないくらい見る見る満杯にしたら、国全体の備蓄は、民間を含めたら物すごい量になるじゃないですか。それならそれで、民間がそれぐらい自分の負担で、石油公団の融資もなくて備蓄したいというなら、させればいいじゃないですか。なぜ国が高い金を出してやらなければならないんですか。矛盾でしょうが。総括質問ではそういうように答えていますね、あなたは。先高観になれば空きタンクは満杯になってしまう、だから国家備蓄をしなければならないんだ。こう言っているんです。しかし、それは言葉の上では説明したように見えるけれども、今の空きタンクというのは百日の備蓄を持っておってなおかつあいているんですよ。そのあいているのが満杯に、なるぐらいになれば、国全体としての備蓄は、百日どころかはるかに大きくなるじゃないですか。目的は達するじゃないですか、民間が備蓄しようと国が備蓄しようと同じことなんですから。しかし、今は民間は基準備蓄量及び指示数量の範囲内で、それほど持っていない。だからあいている。あいていれば、そのあいているタンクを使えばいいじゃないですか。  財政危機のもとでは、あらゆる工夫をして国の支出を減らさなければならないんです。だからこそ、国民生活に関することでも、主計局は大なたを振るっているじゃないですか。主計局次長、どうしてこの問題について大なたを振るわないんですか。私はこんな専門家でも何でもない。今度の質問をするために、僅々一週間か二週間勉強しただけです。それだってこれぐらいのことはわかるじゃないか。国民に対して切って切って切りまくる主計局なら、どうして資源エネルギー庁や石油公団に対して切らないのですか。理屈に合わないじゃないですか。
  173. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、国家備蓄につきましてはできるだけ効率的に進めなければならないことの一環といたしまして、余裕のある民間タンクは極力活用していくということをいたしているつもりでございまして、現にその民間のタンクの利用量もふえてまいっておるわけでございます。私どもが調べましたところでは、会社に全部ヒアリングをいたしたところですと、現在余っているタンクは千五百万キロリットルということが回答でございましたので、それをもとにいろいろ私どもも、今後これが果たして長期の備蓄のために使用し得るかどうかということも勉強いたしてみました。いたしてみましたが、やはり短期的、季節的な需給の変化もございますし、国際的な石油情勢の変化に伴って企業が経営戦略的にいろいろな意図的な在庫調整をすることもあるわけでございまして、例えば五十四年のイラン政情不安のとき、あるいは五十五年のイラン・イラク紛争の本格化のとき、あるいはまた五十六年には、急激に需要が落ちたために、タンカーがどんどん到着するんですけれども、なかなかタンクが満杯で入り切れないということで、日本近海でタンカーが沖待ちをするというようなことまでしてやった経緯もあるわけでございます。  したがいまして、私どもなりに計算をいたしましても、これを長期にわたり安定的に使用することは適当でないということで、可能な限り活用していくということにいたしたいと思います。
  174. 正森成二

    ○正森委員 あなたもいろいろおっしゃりたいこともあるでしょうし、私も反論したいこともございますが、時間が迫ってきましたので、また別の機会にさしていただきたいと思います。  自治省来てますか。  財団法人国民政治協会、これは自民党の資金団体でありますが、ここに対して、昭和五十一年以降五十七年度まで石油鉱業連盟、石油連盟、全国石油政治連盟、この三団体の献金額を発表してください。
  175. 荻野清士

    ○荻野説明員 あらかじめ御通告をいただいております、今述べられました石油連盟、石油鉱業連盟、全国石油政治連盟、この三団体が国民政治協会に行いました政治活動に関します寄附でございますが、官報によりまして調べてまいりましたので、御報告を申し上げます。  三団体合計でよろしゅうございますか。
  176. 正森成二

    ○正森委員 はい、よろしいです。
  177. 荻野清士

    ○荻野説明員 五十一年三千五百三十万円、五十二年五千百九万三千円、五十三年六千五百四十万円、五十四年五千七百六十万円、五十五年一億六千七百万円、五十六年一億七千五百六十万円、五十七年一億六千二百万円でございます。
  178. 正森成二

    ○正森委員 五十五年からずば抜けて大きくなっております。つまり、石油関係の会社は国民政治協会に莫大な政治献金をしているわけです。  そこで伺いますが、政治資金規正法の二十二条の三の「寄附の質的制限」というところがあります。「国から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人は、当該給付金の交付の決定の通知を受けた日から同日後一年を経過する目までの間、政治活動に関する寄附をしてはならない。」こう決められております。石油関係の会社は莫大な利子補給金をもらっているのじゃないですか。そういうところがこういう政治献金をしても、政治資金規正法上は問題がないのですか。
  179. 荻野清士

    ○荻野説明員 私どもが承知しております今お尋ねの利子補給金、これは石油公団という団体からでございまして、規正法二十二条の三の「国」には該当しないということでございます。
  180. 正森成二

    ○正森委員 多分そういう答弁をするだろうと思っておりました。しかし、そんなことで国民が納得するでしょうか。  私が今石油部長に質問をしたのでも、指示数量を一定の範囲で下回ったら、そういうものには通利を適用するという表現になっているのです。つまり、利子補給金は全部返せ、こういうことになっているんですよ。石油公団は単なるトンネルであって、実際に利子補給金を受けているのは石油会社じゃないですか。しかも、それは石油公団がはっきり認めているから、融資運用要領の中に、本当に利子補給金をもらっているのはおまえたちなんだから、国の指示を守らなければその利子補給は返すよ、こうなっているのじゃないですか。本当にもらったのが石油公団なら、どうしてそんなことをするのですか。実際上は石油会社がもらっているからこそ、こういう規定を石油公団もしているのじゃないですか。明らかに国から利子補給金をもらっているじゃないですか。それだのに、そういうところが国民の血税を国民政治協会に対して年に一億数千万円も献金する。その金は、もとはと言えば石油税などの税金から出ておる。そんなことでどうして国民が納得しますか。  あなたがそういう答弁をするだろうと思って、それで私は、そういうことを言わさないために指示数量の問題をちゃんと部長に聞いておるのです。あなた、後ろで聞けたでしょう。それだのに、そんな言いわけをぬけぬけとする。そんなことで法の目的が達せられますか。この問題については、本当はもっと追及しなければならないのですけれども、時間が来ましたので、やめさせていただきます。  最後に、政務次官に一言だけ伺って、やめさせていただ。きます。  政務次官、ここに「大蔵省百年史」を持ってまいりました。その上巻です。あなたの役所がお書きになったところです。  そこで、明治三十七、八年の戦争のときに非常な増税をやったのですね。非常特別税の創設ということをやったのです。明治三十七年に第一次のをやりましたが、それでも足らないのです。それで、明治三十七年中に二遍目の大増税をやったのですね。当時のお金で八千二百七十万円、莫大な金なんです。そのときに、これは議会が、今のように国民主権ではありませんでしたが、大反対をするだろうということで、大蔵省が政党関係者、首脳を招いて説明会をやったのです。そのときの記事が「大蔵省百年史」に載っておりますから、読んでみたいと思うのです。   この時も政党首脳を招いて増税の説明会が開かれたが、その席上阪谷大蔵次官は、「事今日に至っては皆悪税です。皆さんの気にいるような適正なよい税は、もう悲しいかな国が小さいからありませぬ」と了承を請うたが、党人中から「大蔵次官が悪税というのだから同意するほかないじゃないか」との声があがり、政党側は多少の修正で大増税の大筋に同意したという。 こう書いてある。  私はこの増税に同意しようとは思いませんが、阪谷次官ならぬ堀之内政務次官、あなたも、悲しいかな財政危機で、もはやいい税金はありませぬ、悪税だけでございます、こうおっしゃる用意はありませんか。そうおっしゃれば、あるいはこの席におられる各党の大蔵委員の方も、明治時代のように、多少は御考慮の余地があるかと思いますが、あなたに答弁の勇気があるかどうか伺って、私の質問を終わります。
  181. 堀之内久男

    ○堀之内政府委員 最近の国の財政事情から見ますときに、今回の増税と申しますか、増税のお願いをいたしておりますのは、今の税体系の中から精いっぱいのお願いをいたしておるわけでございまして、これも公共サービスなりあるいはまた社会保障、そうした国民のニーズにこたえるための最善の、最大いっぱいの今回の案だ、かように思いまして、私は、明治の阪谷大蔵事務次官でしょうか、その人のように悪税だとは思っておりませんし、精いっぱいお願いいたしておりますので、よろしく御理解賜りたいと思います。
  182. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  183. 瓦力

    ○瓦委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十八分散会