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伊藤(茂)
委員 私
ども大蔵委員の一人として今日の状況をいろいろと勉強いたしておりますと、在来型の延長線ではないさまざまの発想、さまざまの努力の仕方が今必要だという気がいたしてなりません。
政府の方もそうでございましょう。それにこたえられるような、やはり
国民が注目をするさまざまの実験、努力というものをしていただきたいと思います。また、議会でもこうやって、一人しかいない
大蔵大臣にあっちでもこっちでも
質問しているというだけではない、やはり議会人としてのさまざまな
各党間の
議論もあってしかるべきだろうという気がいたしますし、いろんな
意味で従来型の延長線ではない、
国民の心配を解消するような真剣なアプローチをしなくちゃならぬと思うわけでありまして、また今後いろんな
議論の中でもお尋ねをしてまいりたいと思いますし、私
どもも努力しなくちゃならぬというふうに思うところであります。
総括的な所見を伺う
機会でございますし、時間もそうございませんから、あと二つ一緒に伺いたいと思います。
その二つとも本音ではっきり
国民の前に言われた方がいいんじゃないかということなんですが、
一つは、今回の
減税の性格づけてあります。細かいことは、これから法案が提出をされてから
議論いたしますが、さっき本
会議で
大臣が読み上げられた文章の中にも、当時の二階堂幹事長のサインで、
減税は景気浮揚に役立ち得る大幅規模とすると書かれております。しかし、だれが考えてみても景気浮揚に役立つという
内容ではないわけであります。
予算委員会の我が党の田邊書記長に対する
大臣のその点についての
お答えも、何か持って回ったように、上手に逃げられておりますけれ
ども、こういうことは率直にはっきり本音で言って、現在こうなんです、
政府としてはこうしますということの言い方をやはりなさるべきではないだろうか。予算自体が景気に対して中立と言っているのですし、また
減税、増税抱き合わせですから、どっちにしたって景気に役立つという理屈は出てこないわけでありまして、できませんでした、景気に役立つような大型のという
中身は非常に困難ですというのが現実となりましたと。
それでは、次は何か。ささやかであっても、長年たまった不公平是正、不公平感を解消する。重税感というのは、これはまあいろいろありますから、せめて不公平感をまず解消する、それに取り組みますということになってくるのじゃないかと思うのですが、その不公平感の方にいたしましても、ちょっと計算をしてみますと、例えば
所得税、
法人税のこの二十年来、三十年来のウエートの置き方の変化などを見ましても、河本さんの四兆円をやらなければ公平感は出てこないというふうな気がいたしますし、あるいはまた平年度にすると、
減税額の六五%ぐらいは大衆課税、
法人税でいってしまうというふうな感じがいたします。しかも、そっちの
財源の方は租税
特別措置の方へいって、
法人税の本格的な改正ではない。
減税の方は恒久立法でしているが、
財源の
法人税の手当ての方は、財界の抵抗が強かったのでしょうけれ
ども、二年間。一体、後はどこで賄うのですか。
法人税の方はもう二年間でやめるのですか。それから、数々
大蔵省が話題としたものがございました。退職給与引当金の問題もそうでございますし、その他幾つか
大蔵省が話題として提起した問題もございます。退職給与など、これらを今あるべき、本来望ましい水準にすれば、酒の値上げの三千五百、ちょうど大体三千か三千五百億ぐらいになると思います。何で酒の方を選んで、不公平
税制の是正の方を選ばなかったのか。
いずれにいたしましても、総理の
答弁その他もそうでありますが、極力努力をいたしました、本格的
減税でありますなんて言っているのですけれ
ども、やはり担当の
大蔵大臣としては、率直に、今回の
減税の性格はここまでしかできませんでしたがこういう
意味合いでありますとか、そういうことはやはりわかるように言わぬと、ますます不安と疑問とが高まってしまって、税に対する不信感が拡大するのじゃないだろうかと思うわけであります。それが
一つ。はっきり言っていただきたい。
もう
一つは、防衛費のGNP一%論争がございました。それについての
大蔵大臣としてのお考えを伺いたいのであります。
予算委員会で、私から申し上げるまでもなく、三木内閣の閣議決定の方針は守ってまいりますと言われました。その後、新しい歯どめも将来の問題として研究しなくちゃならぬということも総理は言われておりまして、どうもわからぬ話になるわけでありますが、しかし、それをどうするのかということはもう遠い将来の話ではないわけでありまして、もう間もなくやってくるわけであります。八月には人勧が出る。七月、早ければ六月の末か何かには六十年度のシーリングに入るわけでありましょう。もう目の前。予算が通ったらすぐその作業をしなくちゃならぬ。来年、再来年のことではないのです。さまざまな細かな、人勧のあれがどうなるか、防衛費はどこが削れるかとか、うちの田邊書記長が言った
三つの選択になるわけでありまして、細かい点までは今は詰めません。しかし、
大蔵大臣としてどう詰められるか。というのは、私は、
大蔵大臣というのは本来軍縮論者であるべきところだろうと思います。NATOやその他を見ましても、NATOの防衛費の強化の義務、三%だ、四%だと決められますが、まじめに守っている国は余りないのじゃないかと思います。この間も西ドイツなんかへ行って聞いてみますと、何といったって
国民生活と経済が第一ですよということを言われますね。ですから、防衛費の突出と言いますが、これは国内的にも他の費目に比較して突出をしているのです。それ以上に国際的に突出をしている。それが今日の状態ではないだろうかというふうな気がいたしますし、さっき申し上げた名
大蔵大臣として歴史に残る井上さん、高橋さんとかそういう方々の場合でも、人生の最後の難問がそれでございましたけれ
ども、デタントの傾向もやや強まっている、何となく生まれてきている。そういう中で我が日本は、世界経済のGNP構成一〇%以上を占める大きな影響力を持った国でありますし、あるいはノー・モア・ヒロシマ、ナガサキ、全世界に平和のアピールをするプライドといいますかビヘービアを持った
一つの国であります。また
皆さん方は軍事同盟とか西側同盟と言われますが、これはシチュエーションからいって、日本は東西南北全体の接点にある貴重な存在、そこから軍縮を説いていく。むしろ
大蔵大臣は、結果論として防衛費突出に貢献されるのではなくて、そういう気概を持たれるのが今日の
財政当局の
国民に対するあるべき責任ではないだろうか。そういう
意味合いも込めながら、もう遠い先ではありません、目の前何カ月か、何カ月というよりも三、四カ月後に
一つの判断を迫られる。人勧やあるいは六十年度シーリングやその他生まれてくるところに、お考え、決意があれば事前の対応もあると思いますし、どういう
姿勢で
財政当局の責任者としては対応されますか。
その二つをお伺いして、終わりたいと思います。