運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-11-08 第101回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年十一月八日(木曜日)     午前十時十一分開議 出席委員   委員長 上坂  昇君    理事 北口  博君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺 省一君 理事 多賀谷真稔君    理事 中西 績介君 理事 斎藤  実君    理事 小渕 正義君       古賀  誠君    自見庄三郎君       松田 九郎君    岡田 利春君       岡田 春夫君    細谷 治嘉君       小沢 和秋君  出席国務大臣         通商産業大臣  村田敬次郎君         労 働 大 臣 山口 敏夫君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   藤原  享君         大蔵省主計局主         計官      秋山 昌廣君         通商産業政務次         官       与謝野 馨君         通商産業政務次         官       田沢 智治君         通商産業大臣官         房参事官    高木 俊毅君         通商産業省立地         公害局長    平河喜美男君         資源エネルギー         庁長官     柴田 益男君         資源エネルギー         庁石炭部長   檜山 博昭君         資源エネルギー         庁石炭部鉱害課         長       井上  毅君         労働政務次官  浜野  剛君         労働省労働基準         局労災管理課長 新村浩一郎君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       小野 進一君         自治省財政局財         政課長     小林  実君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ————————————— 委員の異動 九月四日  辞任         補欠選任   岡田 利春君     中村 重光君 同月十七日  辞任         補欠選任   中村 重光君     岡田 利春君 十一月一日  辞任         補欠選任   山下徳夫君      綿貫 民輔君     ————————————— 八月八日  一、石炭対策に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 上坂昇

    上坂委員長 これより会議を開きます。  この際、新たに就任されました村田通商産業大臣及び山口労働大臣より発言を求められておりますので、順次これを許します。村田通商産業大臣
  3. 村田敬次郎

    村田国務大臣 このたび通商産業大臣を拝命いたしました村田敬次郎でございます。  御承知のとおり、世界の石油需給は、石油消費国における省エネルギー及び石油代替エネルギー開発導入推進等を反映し、現在のところ緩和基調で推移しておりますが、イラン・イラク戦争等石油をめぐる情勢は極めて不安定な様相を呈しており、また、中長期的に見れば、石油需給は再び逼迫化するものと目されております。  このようなエネルギー情勢下にあって、中長期的な展望のもとに、石炭を初めとする石油代替エネルギー開発導入の促進など、エネルギー安定供給のための基礎づくりを着実に推進することは、脆弱なエネルギー供給構造を有する我が国にとって極めて重要な課題であります。  通商産業省といたしましては、このような観点から、海外炭を含め石炭安定供給確保とその利用拡大のため、従来から所要の施策推進しているところであります。とりわけ、貴重な国産エネルギーである国内炭につきましては、石炭鉱業審議会の第七次答申基本的な考え方に基づき、今後とも引き続きその生産の維持に努めるとともに、石炭鉱業経営基盤の安定や保安確保最大限努力を払っていく所存であります。  また、鉱害復旧に関しましては、一連の鉱害復旧をめぐる事件により、国民に鉱害復旧業務の公正な実施に対する疑念を持たれるに至ったことは、まことに遺憾なことであります。このようなことが二度と起こらないよう、先般、鉱害復旧業務の運営のあり方につき見直しを行い、改善策を講じたところであり、今後、この改善策に即し、公正かつ円滑な鉱害復旧実施に努めてまいる所存であります。  また、産炭地域振興対策につきましても、引き続き努力してまいりたいと考えております。  今後とも委員各位の御意見を十分拝聴いたしまして石炭行政推進に努めてまいりますので、何とぞ御指導並びに御協力をいただきますようお願い申し上げまして、簡単ではございますが、私のごあいさつといたします。(拍手
  4. 上坂昇

  5. 山口敏夫

    山口国務大臣 このたび労働大臣就任いたしました山口敏夫でございます。石炭対策特別委員会の開会に当たり、一言ごあいさつを申し上げます。  御承知のように、今日の労働行政を取り巻く環境は、高年齢者の雇用問題を初めとして、極めて変化が大きく、かつ厳しい状況にございます。本委員会におかれましても、エネルギー問題、鉱山保安問題、石炭の需給問題、旧産炭地振興問題等労働行政にも密接なかかわり合いを持つ重要な課題を抱えております。  私は、労働行政に課せられた責務の重要性を認識し、これらの課題全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。委員長初め、委員各位の一層の御指導、御鞭撻を賜りますようお願いを申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。(拍手
  6. 上坂昇

    上坂委員長 次に、与謝野通商産業政務次官田沢通商産業政務次官及び浜野労働政務次官より発言を求められておりますので、順次これを許します。与謝野通商産業政務次官
  7. 与謝野馨

    与謝野説明員 このたび通商産業政務次官を拝命いたしました与謝野馨でございます。  ただいまの大臣あいさつにもありましたように、エネルギー安定供給を図っていく上で石炭の果たす役割は非常に大きなものがあると考えております。このような重要な石炭行政を一層推進するため、村田大臣を補佐し、今後懸命に努力をしたいと考えておりますので、委員各位の格別の御指導、御鞭撻をお願い申し上げます。(拍手
  8. 上坂昇

  9. 田沢智治

    田沢説明員 このたび通商産業政務次官を拝命いたしました田沢智治でございます。  国内炭は貴重な国産エネルギーであることはもちろんでございますが、我が国石炭鉱業の自立のために克服しなければならない問題が多々あることも事実でございます。今後、村田大臣のもと、与謝野政務次官とともにこれらの問題の解決等石炭行政推進努力をしていく所存でございます。委員各位の格別なる御厚情、御指導、御鞭撻をちょうだいいたしたいと存じます。  これをもちまして、あいさつにいたします。(拍手
  10. 上坂昇

  11. 浜野剛

    浜野説明員 このたび労働政務次官を拝命いたしました浜野剛でございます。  先ほど山口労働大臣からごあいさつがありましたように、労働行政を取り巻く環境には厳しいものもありますが、全力を尽くして職責を全うする所存でございます。  何とぞ、委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、就任のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)      ————◇—————
  12. 上坂昇

    上坂委員長 石炭対策に関する件について調査を進めます。  先般、石炭鉱山等実情調査のため委員派遣を行いましたので、派遣委員を代表して、便宜私がこの席から調査概要を御報告いたします。  調査地域は、福岡県、佐賀県、長崎県の九州地区三県であり、派遣委員は、私、上坂昇を団長として、北口博君、山崎平八郎君、多賀谷眞稔君、中西績介君、斎藤実君、小渕正義君、細谷治嘉君、宮崎角治君、小沢和秋君の十名であり、このほか、現地において、保利耕輔君松田九郎君、三池信君、三原朝雄君、中村重光君、愛野興一郎君、稲富稜人君が参加されました。  日程は、九月十二日から十四日までの三日間であり、この間、福岡県においては、問題が生じた鉱害行政について集中的に関係者から実情を聴取し、その後、佐賀長崎県においては、松島炭鉱高島炭鉱及び電源開発松島火力発電所実情視察したほか、現地関係者から要望等を聴取し、懇談してまいった次第であります。  これらの詳細については、別途、報告書を提出しておりますので御参照いただくこととし、ここでは今回の調査の主要な課題であった鉱害問題について申し上げます。  御案内のとおり、福岡県には昭和五十七年度調査で四千六百九億円の鉱害が残存し、これは全国残存鉱害量の実に七八%に当たるのでありますが、こうした膨大な残存鉱害量に加えて、最近におきましては、鉱害の認否が難しい物件が増加していること、一件当たりの復旧物件が大型化していること、復旧範囲が広域化していること等処理の難しい案件が増加し、内容が質的に変化してきていることが指摘されております。  さらに、最近は、無資力鉱害が全体の九〇%を占めるに至り、これが鉱害復旧業務を総合的に処理している石炭鉱害事業団負担を増大させており、また、復旧事業費微増程度で推移する中で、昭和六十七年に到来する復旧法有効期限内に残存鉱害復旧を完了しなければならないという状況にあるのであります。  今回の鉱害業務をめぐる不正事件は、本年五月以降表面化したものでありまして、福岡通産局及び石炭鉱害事業団の職員を含む多くの逮捕者を出すに至ったのであります。  この事件の背景には、以上申し述べました状況があると思うのでありますが、これをいわゆる鉱害屋最大限に利用し、被害者からの委任状を持ち、常識を超えた陳情攻勢などを通じて不法行為が行われたと思われるのであり、これには、復旧工事のおくれ等に対し被害者不安感を持っていたこと、行政側においてもこれに適切に対応できなかったことなどが要因として指摘されているのであります。  福岡通産局及び石炭鉱害事業団は、これらの事件にかんがみ、また、多くの批判にこたえて業務改善策検討することになり、まず、陳情について一定のルールを定めた陳情処理要領を策定し、七月一日から実施いたしております。次に、業務改善策につきましては、既に公表されておりますように、十項目に及ぶ改善策を定め、一部を残して既に九月一日から実施されているところであります。残されている問題は、市町村との協力体制に関する問題であり、これは鉱害復旧業務を円滑に推進するための前提とも言える問題であると思われます。すなわち被害者復旧申し出等窓口業務等について協力してもらうということでありますから、市町村にとりましては相当の負担になることもあり得るわけで、協力内容については相互に納得のいく十分な協議を行い、早急に協力体制を確立する必要があると思われます。  今後、こうした改善策実施されることになりましたが、重要なことは、鉱害復旧業務が遅滞なく公正かつ計画的に推進されなければならないということであり、当面は綱紀保持全力を挙げるとともに、改善策を円滑に推進するために被害者等関係者の十分な理解と協力を得る必要があると思われます。  以上、鉱害復旧業務について種々問題点指摘いたしましたが、当局においてこの内容を十分検討し、適切な措置を講ずるよう要望いたしまして、以上、報告を終わります。  お諮りいたします。  派遣委員報告書につきましては、これを本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 上坂昇

    上坂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————〔報告書本号末尾に掲載〕     —————————————
  14. 上坂昇

    上坂委員長 次に、去る九月二十八日、政府報告されました三池炭鉱坑内火災事故調査委員会最終報告書について、政府から説明を聴取いたします。平河立地公害局長
  15. 平河喜美男

    平河説明員 去る一月に三池炭鉱池坑有明区域におきまして多数の犠牲者を出しました坑内火災事故につきましては、事故発生後、直ちに伊木東京大学名誉教授委員長とする十七名の専門家から成る事故調査委員会を設け、その原因の究明と今後の対策あり方について鋭意検討していただいてまいりましたが、三月の中間報告に引き続きまして九月末に最終報告書が取りまとめられ、通商産業大臣に提出されましたので、その内容をかいつまんで御報告させていただきます。なお、報告書はお手元に配付してございます。  本報告書の骨子は、大きく二つに分かれております。すなわち、第一は、災害原因推定であり、これは「火災発生箇所及び火災発生原因」と「被害拡大要因」とに分けて考察されております。これらにつきましては、去る三月の中間報告に比べ可能な限りの絞り込みが行われております。  第二は、これらの考察に基づき、「当面の対策」及び「今後の課題」についてまとめられております。特に後者につきましては、中間報告以降の検討結果が盛られております。  以下、これらの内容に関し御説明いたします。  まず、「火災発生箇所」でございますが、これにつきましては、第一発見者等の証言及び現場調査の結果等に基づきまして、坑口から約二千八百メーターの位置にございます通気制御のために設置しておりました第三調量門箱門内と判断されております。  また、「火災発生原因」につきましては、発火メカニズムに関連する調査及び各種摩擦発熱試験等を行った結果も踏まえた上で推定がなされております。すなわち、第三調量門箱門内に位置しますナンバー一〇ベルトコンベヤーキャリア台ローラーの角と、腐食のため溶接部付近でフレームから外れたローラースタンドとの間で異常摩擦を生じ温度が上昇し、このため付近に堆積しておりました落炭が蓄熱発火し、次いで火は、調量門、坑木、落炭ベルト等に延焼するといった経緯をたどった可能性が高いとされております。  さらに、多くの罹災者を生ずることとなった要因といたしましては、人気坑道で多量に発生した煙、一酸化炭素等通気経路に沿って作業場及び退避通路を流れたことのほか種々のことが考えられ、これらは相互に複雑に絡み合っているため被害拡大要因を特定することは困難でございますが、調査の結果、特に次の諸点で問題があり、被害拡大要因を構成したと考えられるとされております。  第一に、火災早期発見に関しましては、火災発生箇所近傍風下煙感知器が設置されていなかったなど監視体制に問題があったものと考えられると指摘されております。  第二に、現場指令センターとの連絡が円滑に行われなかったことや退避命令が迅速に発せられていないこと等から、連絡退避指令体制等に問題があったのではないかと指摘されております。  第三に、消火活動につきましても、消火用配管給水の二系統のうち一系統能力不足であったことに加え、他の水源からの給水に手間取るなど、消火系統及び消火体制に問題があったと考えられるとされております。  第四に、退避避難につきましては、情報不足現場状況の把握不十分があって混乱が生じる等、避難誘導体制に問題があり、さらにこれが救護活動のおくれにもつながつた等の問題があったと考えられる旨述べられております。  以上、災害原因関係について御説明申し上げましたが、委員会は、これに関連して、当該火災発生箇所及び焼損坑道における多量の落炭の存在並びにベルトコンベヤー保守管理の不備等問題があり、また、緊急時の指令体制消火設備等に関しても、速やかに対応できるよう措置を講じておくべきではなかったかと思われる旨指摘しているところでございます。  次に、本災害を教訓とする保安対策について御説明申し上げます。  まず、「当面の対策」につきましては、(一)火災発生防止、(二)早期発見・通報、(三)連絡指令体制強化、(四)消火田退避訓練等について各般のきめ細かい対策指摘されておりますが、これらは去る三月に中間報告で述べられているものと同様の内容でございますので、説明を省かせていただきます。  さらに、今回の最終報告書で新たに取りまとめられました「今後の課題」につきましては、今次災害が、炭鉱坑内火災に対する予防対策強化と緊急時の保安管理システムを整備することの重要性を改めて指摘するに至ったことにかんがみ、さきの当面の対策に加え、抜本的な坑内火災対策を樹立するため総合的な検討を必要とするものとして、次の事項指摘されております。  すなわち、第一に、ベルトコンベヤー等機器の運転に伴う火災発生防止機能の向上及び保守管理適正化であります。また第二に、坑道及び坑内施設不燃化、難燃化並びに消火密閉その他の火災拡大防止対策、第三に、火災早期発見のための各種集中監視センサーと人との適切な配置による監視体制あり方及び異常時における坑内状況の的確な把握方法、第四に、緊急指令体制及び指令員に対する教育あり方、第五に、緊急時における脱出システム救命機器施設等あり方、以上五つの事項でございます。  また、今後研究開発を必要とするものにつきましては、第一に、携帯用酸素マスク、緊急時坑内連絡用通信技術等について引き続き研究開発を進めること、第二に、初期消火火災拡大防止技術多様化及び通気制御技術開発を進めること、第三に、災害時の探検作業等自動化技術開発を進めること、さらに第四に、坑内火災特性把握その他坑内火災防止及び被害拡大防止観点から必要な基礎的研究及び技術開発をさらに積極的に進めること、以上四つの項目指摘されております。以上が報告書概要でございます。     —————————————
  16. 上坂昇

    上坂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  17. 岡田利春

    岡田(利)委員 きょうは、与えられた時間が余り長くありませんので、四、五点、端的に御質問いたしたいと思います。  実は、中曽根総理大臣は内遊の第一号として北海道の釧路を訪れまして、釧路漁業環境視察すると同時に、太平洋炭鉱坑内に入って炭鉱実情について視察をされたわけであります。私の記憶するところでは、総理大臣として炭鉱坑内に入ったのは中曽根さんが初めてではないかと思います。通産大臣としては、かつて中曽根さんは三池炭鉱に入り、あるいはまた佐藤通産大臣が夕張の炭鉱に入るとか、随分今まであったのであります。  先ほど通産大臣のごあいさつを承っておりまして、中曽根内閣通産大臣として、いわゆる我が国石炭産業の歴史的な使命というものをどう間違いなく全うさせるか、これが私は石炭政策施策基本でなければならないと思うのであります。そういう面から考えて、ちょうど第八次政策も恐らく村田通産大臣時代で諮問しなければならない時期も迎えることだと思うのです。したがって、通産大臣として適当な時期に炭鉱実情について十分視察をするお考えをお持ちであるかどうか、まず冒頭承っておきたい、かように存じます。
  18. 村田敬次郎

    村田国務大臣 岡田委員指摘のように、先般中曽根総理大臣釧路市の太平洋炭鉱視察され、貴重な国産エネルギー源である国内炭生産現場をじかに視察されたことは、厳しい自然条件の中で努力している我が国石炭鉱業にとって大きな励ましになるものと考えております。石炭産業を所管する私といたしましても、スケジュールなど諸般の事情が許しますれば、しかるべき機会炭鉱に行くことも十分検討してまいる所存でございます。
  19. 岡田利春

    岡田(利)委員 もう既に十一月も初旬を迎えて、余すところ十二月と一カ月になっておるのでありますが、恒例の六十年度予算概算要求がそれぞれ各省から大蔵省に行われておるわけであります。  六十年度の石炭対策予算概算要求内容をずっと検討してまいりますと{第二次肩がわりが終了する、そういう中で新たに坑内骨格構造の整備とかあるいはまた鉱山保安確保事業、これらに重点を置きながら予算要求をされておるのでありますが、これを分析しますと、我々は前向きの予算と、こう言っておるのでありますが、昨年はこの比率は三一・五六%であります。今年の概算要求では三一・二二%でありますから、〇・三四%ダウンしている、こういうことになるのであります。鉱害関係予算は、昨年が四五・四五%、今年は四五・七〇%、総体の予算が下がっていますから、同じ額であってもちょっと上がっておるのであります。産炭地は六・六二%、六十年度は六・六六%、これも若干比率は上がっています。労働省関係は、一四・一七%に対して六十年度も一四・一七%で全く同じであります。こういう配分から見ますと、石炭合理化関係予算だけが若干でも比率はやはり依然として減っておる、こういう状況であります。  そういう中で、恐らく通産省としてもより自立安定を目指す一つのてこ入れとして、坑内骨格構造に、そしてまた先ほども報告にあっておりますように鉱山保安を一層確保する、こういう二点に重点を置いていわばこういう比率予算要求になったのではないか、かように思うのであります。  私はそういう意味で、これが大きく崩れるということになると、石炭予算構造そのものだけではなくして、本質的に石炭予算が問われなければならぬ、こういう感じがするのでありますけれども、この概算要求するに当たっての基本的な石炭問題の考え方をこの機会に承っておきたいと思います。
  20. 柴田益男

    柴田説明員 昭和六十年度の石炭勘定概算要求額は千二百七十一億円でございまして、五十九年度予算千二百八十二億円に比べまして十一億円の減少となっているわけでございます。比率にいたしまして〇・八%減少しております。これはただいま先生御指摘のとおり、第二次肩がわり終了に伴う再建交付金額減少等の当然減が二十三億円ございまして、これによりまして全体としての要求額が減っておるというふうになっておるわけでございます。  しかしながら、このような状況のもとで、概算要求内容の充実に最大限努力いたしました。この結果、当然減を除きますと、実質的には六十年度要求は約一%の増となるわけでございます。特に合理化安定対策につきましては、坑道補助金保安補助金等を大幅に増額いたしまして、石炭鉱業安定的出炭確保を図ることとしておりまして、この合理化安定対策につきましては、実質的には四%の増というふうになっております。  以上のように、六十年度概算要求額は、実質的には内容のあるものと認識しているわけでございまして、政府といたしましても、今後も引き続き第七次答申基本的考え方に沿った政策の効率的な展開を図ってまいる所存でございます。
  21. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産大臣お聞きのとおりでありますので、私の意見十分参酌をされまして、六十年度の政府予算の策定に当たっては、この面について十分御留意を願って予算の確定が行われますように期待をいたしたいと思います。  次に、予算と若干関連をしまして、近代化資金制度というものがあるのであります。  最近、炭鉱の場合もいろいろな重装備をする段階でありますし、ますます機械化の方向はより多様化して、三池炭鉱あたりではロボットを坑内にも導入する、こういう時代に入っておるのであります。したがって、石炭鉱業の安定には、特に昨今の事情からいって人づくり教育という問題が非常にウエートが高くなってまいりました。  そこで、今までの近代化資金の場合には、それぞれ生産設備関係重点を置いて、これに附帯するものとして福利厚生の住宅、病院、診療所などが近代化資金対象になっておったのであります。しかし、さらに教育研修センターといいますか、こういう施設近代化資金対象になっていいのではないか、またその対象になっても何もおかしくないわけでありますが、残念ながら、現在の石炭鉱業合理化臨時措置法施行規則の内容検討してまいりますと、第三条の五の規定をずっと読んでいきますと研修センターというものを読むことがなかなか難しいのではないかなという感じも私はするのであります。福利厚生で読むというのは難しいと思いますし、そうすると結局保安その他石炭生産に必要な施設、ここで読む以外にないのではないかと思うのでありますが、この点適用になるのか、適用になるとすれば私が今指摘したような理解でいいか、御説明願いたいと思います。
  22. 檜山博昭

    ○檜山説明員 近代化資金は先生御承知のように無利子の資金であるということから、その貸付対象は真に石炭鉱業の近代化に必要な設備と、あと病院等の一定の福利厚生施設に限定されているところでございます。  御指摘の従業員の研修施設につきましては、施設の役割あるいは内容等の詳細が不明でありまして、当該施設生産に真に必要な設備と言えるかどうか現時点で判断できないために、明確なことはお答えできませんけれども、採択はかなり難しいというふうにも考えますが、なお私ども検討させていただきたいと思っております。
  23. 岡田利春

    岡田(利)委員 むしろこういう施設は今日的段階ではある程度福利厚生施設よりも優先するものではないのか。かつては鉱業学校をつくって人づくりをやったわけです。しかし、鉱業学校がなかなかうまくいかなくて、今日ではむしろそれぞれの現場教育を求められている。先ほどの三池災害報告にもいろいろ教育ということが言われておるのであります。したがって係員とか鉱員とか重層的な教育をやっていく、そうでなければこれからの重装備体制に対応できないというのが本当なんです。私はこれらの経験から見てもそうだと思うのですね。ですから、専門的に考えればむしろ福利厚生施設よりも優先する施設だということが言えないですか。いかがですか。
  24. 檜山博昭

    ○檜山説明員 福利厚生施設に優先するかどうかという点については非常に難しい問題じゃないかと思いますが、なお、生産に直接関与する施設であるかどうか、その点を十分検討してみたいと思っております。
  25. 岡田利春

    岡田(利)委員 炭鉱は労働集約型の産業で、人をつくらなければ生産ができないわけです。やはり人づくり基本でしょう。部長、余りかたくならないで。これ以上言いませんけれども、そういう点はむしろ奨励すべきではないか、そういうことをむしろ通産省が推進すべきだということを申し上げておきたい、こう思います。  次に、これは後からそれぞれ各委員も質問することになると思うのですが、来年度予算の編成に当たって、最近地方自治体の高率補助の一律一〇%カットという問題が極めて大きな政治問題になっておるのであります。その中でも、わけて産炭地自治体の場合他の市町村よりも極めて大きな問題になっております。  特に、今産炭地状況は、財政力指数からいえば全国平均〇・六八に対してその半分ないし半分以下という低い水準にある町村が非常に多いのであります。そしてまた、生活保護、一般失対、開発就労、これらをトータルしますと百十八億七百二十一万二千円に及ぶのであります。このうち、福岡県だけで見ると八十七億六千四百八万円です。北海道だけを見ますと、北海道は開発就労がありませんが十億一千百万円程度、こういう内容になっておるのであります。したがって、特に疲弊しているところほど生活保護の率が高くて、また一般失対事業にも依拠しているし、開発就労も行われている、こうなるのであります。したがって、一律一〇%カットされますと、その点においてさらに過重な負担が加わる。  ところが、一方、産炭地域振興臨時交付金は四十億六千五百万を概算要求要求されている。もちろん、この中には特定事業調整額の二十四億三千百万ですか、これも含まれているのであります。産炭地の総合計の予算は八十四億六千二百万概算要求されているのであります。私は、どうもこれは政策の整合性に欠けるのではないかなという感じがします。まだ正式に決定したわけではありませんけれども、そのことが非常に強く伝わってまいりますし、私どもはそういう点について非常に心配をいたしておるのであります。  こういう産炭地の実態からかんがみて、高率補助を一律一〇%削除するということはむしろアンバランスを生み出すのではないのか、こう思うのでありますけれども、この点、きょう特に大蔵省の方から考え方について御説明願いたいと思います。
  26. 秋山昌廣

    ○秋山説明員 御案内のように、現在政府の中で国と地方を通ずる行政改革といったものを推進しているわけでございまして、現下の喫緊の課題であるわけでございます。特に、国と地方公共団体の間の機能分担あるいは役割のあり方、さらには費用負担あり方が一つの大きな問題になっているわけでございます。  予算編成の中で補助金のあり方が一つ大きな問題になっておりまして、補助金の整理合理化という観点から、国と地方を通ずる機能分担のあり方あるいは費用負担あり方というものが検討されているわけでございまして、ただいま先生御指摘のような補助金の整理合理化が一つの大きな課題になっているわけでございます。確かに地方によって財政力指数が違う、あるいはいろいろな要素があるのは今御指摘のとおりでございまして、そういった問題も含めまして今後予算編成過程を通じて関係省庁あるいは政府部内で協議をいたしまして適切な措置を講じてまいりたいと思っております。  補助率の引き下げを行った場合に地方の負担がどうなるのかという問題が一つの御心配の種かと思いますが、その問題につきましては、御案内かと思いますけれども、行革審の意見にもございましたように、地方財政計画上で総体的に検討いたしまして、地方財政の運営に支障がないような措置をしていくといった方向で政府部内で検討していく、先生の御指摘のような点も含めまして今後予算編成過程で十分検討してまいりたい、かように考えております。
  27. 岡田利春

    岡田(利)委員 先般炭鉱閉山した夕張のごときは、五十八年度財政力指数は〇・二九であります。全国平均が〇・六八。また、生活保護率の推移を見ますと四〇・八であります。全国平均は一一・〇であります。夕張なんかは端的にこういう数字が出ているのであります。今主計官からも答弁がありましたけれども、後からまた同僚議員や他党の議員も質問しますが、この点について十分実態を重視をされて検討を進めてほしいということだけを申し上げておきたいと思います。  第五点の質問でありますが、炭価の問題であります。残念ながらまだ今年度の炭価が決定していないわけです。五十八年度は炭価値上げは凍結をされている、五十九年度がどうなるか。せっかくの努力もされておるわけであります。  ただ、「今後の石炭政策の在り方」という第七次政策というものを冷静に分析すると、炭価政策を欠いて第七次政策は成り立たないわけです。非常に重要な部分なわけであります。もちろん労働力とかいろいろありますけれども、第七次政策は前向きの姿勢が出ていて、労働力、保安確保生産技術、ところがそれ以外の特に特色がある点は、「国内炭需要の確保」「国内炭価の在り方」「格差の是正」、第七次政策にして初めて格差の是正が行われたのであります。第六次政策にあったけれども、実施されなかったのであります。その一つとして炭価のあり方ということが第七次政策の目玉商品になっているわけですが、昨年は凍結、今年は協会の方は六百八十五円の値上げを要求しておりますし、もちろんこの炭価は、深部にいくコストアップについては合理化でこれを賄う、賃金とかその他については、やむを得ないものについては炭価アップである程度充当するという理念に立っておるわけです。  炭鉱労働者の賃金は、五十八年には一方百七十五円アップであります。そして、五十九年には一方百八十二円アップであります。これは率にしますと、今年のごときは二・四三%というアップで、他産業に比べても賃金は比較的低い水準にあるのが炭鉱労働者の賃金の実態であります。いわば鉄鋼以下に抑えて、そして我慢しているというのが実情なわけであります。  したがって、今後炭価がどう決まるかということはそういう意味で極めて重要な課題でありまして、もう十一月でありますから下期の二カ月日に入っているのであります。早急に炭価を決めなければならないし、法律上は政府が基準炭価を決める、こうなっておるのでありますから、そういう意味で、炭価問題についてはどこまで一体進んでおるのか。六百八十五円という方向で行っておるのか、あるいはまた、ずっとかけ離れた状況の中でまだ決めかねておるのか、この点についてきょうこの機会に率直な御説明をひとつ願いたいと思います。
  28. 檜山博昭

    ○檜山説明員 五十九年度の炭価問題でございますが、石炭業界からの値上げ要請は、先生御指摘のとおり、平均トン当たり六百八十五円ということでありまして、これを踏まえまして石炭鉱業審議会需給・価格部会専門分科会、これは七月六日に開かれたわけでありますが、ここでの意見、それからその後向坂需給・価格部会長による需給両業界の意見聴聞並びに同部の部会長の御意見等を参考にいたしまして、目下資源エネルギー庁におきまして需要供給両業界の調整に努めているところでございます。  炭価の値上げにつきましては、海外炭の値下がりによる内外炭格差の拡大、需要業界における経営の不振、そういった点を背景にいたしまして、非常に厳しいものがありますが、できる限り早期に決着が図られますよう鋭意努力を行っているところでございます。
  29. 岡田利春

    岡田(利)委員 今月の中旬までに決まる、決定できる、こういう理解でよろしゅうございますか。
  30. 檜山博昭

    ○檜山説明員 十一月中には決着したいというふうに考えております。
  31. 岡田利春

    岡田(利)委員 もう残すところ四カ月なんでありますから、十一月中に決着したいじゃなくして、もう十一月中に確実にこれを決着してもらわなければならない。それはやはりあれですよ、調整もあるが、やはり法律上は基準炭価は通産大臣が決めるという最終的な権限があるのでありますから、その点、したいじゃなくて決める、決める日程で進めておる、こう言えますか。
  32. 檜山博昭

    ○檜山説明員 現段階では私ども十一月中に決めたいということで全力を挙げて努力しているところでございます。
  33. 岡田利春

    岡田(利)委員 一般炭、原料炭、いろいろな関係があるから慎重な答弁でしょう。いずれにしても、この早急な決着を強く要望いたしておきます。  次に、最近の需給の動向について御質問いたしたいと思うのであります。  とにかく電力関係は異常な渇水ですね。したがって、冬の水がどうなるか、こんな状況です。ですから、火力発電所の方にウエートがかかっている。火力発電所の運開で考えれば、原子力があり油があり石炭がある、こういう状況です。そのうち石炭のウエート——水力のウエートが二〇%ですからね、全体の発電の二〇%、二割ですから、その分の代替になるわけであります。  そういう状況でありながら、貯炭の状況を見ますと、そういう状況であればもう少し引き取りが進んでいいのではないか、これはもちろん一般炭の場合でありますが、ということが言えるわけであります。例えば北電にしてもその他にしても、電発の場合には貯炭場が小さいという面もありますけれども、もう少し引き取りが進んでいいのではないか、こう思います。  もう一つは原料炭の問題であります。原料炭というのは、一年間総使用量のうち国内原料炭の比率は、かつて一一、一二%あったものが今もはや七%弱ですね、六・五、六%でしょう。これがさらに今一般炭にシフトしていますから、相対比率は落ちる傾向にあるのですよ。これすらも引き取りが順調にいかないということになると若干問題ではないか。  しかし地域的に分析すると、九州関係は比較的順調な原料炭の引き取りが行われて、そして九州の場合の原料炭の現在の貯炭は三万九千トン、これは下期末の貯炭総数であります。ところが北海道の場合は原料炭は三十七万一千トン、十倍あるわけであります。原料炭の産出量からいえばそう違いがないのに、北海道の場合にはその十倍もあるというのが状況です。そして一般炭の場合には北海道は五十四万五千トン、九州が十七万四千トンという数字であります。  そういう意味で、北海道の厚料炭の引き取りがなぜこういうアンバランスになるのか、単なる北海道から苫小牧まで内陸運賃がかかってその分の負担が伴うというだけの理由なのか、それだけの理由であるとするならば、ある程度通産省の行政指導の中でバランスがとれるはずではないか、こう思うのであります。そういう点について、昨年、今年の傾向をずっと見て私はどうも理解に苦しんでいるのでありますけれども、これらの点についてはどう考えられておるか、どういう対策をお持ちか、承っておきたいと思います。
  34. 檜山博昭

    ○檜山説明員 貯炭の状況でございますが、先生御指摘のとおり、トータルでは五十九年度上期末現在の在庫が百十三万トンでございますから、昨年の同期に比べますと三十一万トン減少しているということでございまして、これはほぼ適正かなという感じでございますが、地域別に見ますとやはり北海道炭が増加しておりまして、九州の方は大幅に減少するという状況でございまして、特に北海道炭の中でも原料炭が少し今多目になっておるという状況でございます。  この原因は、やはり原料炭の需要地が西へ偏っておるということで、その辺の輸送費の問題等がございましてそういう現状があらわれているのじゃないかというふうに考えておりますが、なおこの辺は、今後貯炭がどういうふうに推移するか、その辺の状況を見きわめながら、ユーザーへの販売促進、そういった点の指導をしていきたいというふうに考えております。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 こういう点は、例えば三菱ですと高島があって南夕があるわけですね。高島は確かに島だから山元には貯炭場所がないという傾向があるにしても、ちょっとおかしいと思うのですね。ですから、従来の引き取りの構造そのものが、何らか変更があり変わっておるのではないかという気がするわけです。三菱であれば三菱グループ系、三井であれば三井グループ系とあるわけですね。そういう中で、特に北海道の南夕の貯炭が五十何万トンのうち三十万トンもある、これは異常なわけですよ。そういう点で、ぜひその点の検討も願いたいということを申し上げておきたいと思います。  最後に、先ほど災害報告がありましたけれども、ベルトも難燃性という言葉が使われておるわけであります。難燃性よりも不燃性の方がいいのですよ。絶対燃えないというのが一番いいのであります。やはりそういうベルトを開発していくということは非常に大事だと思うのですね。いわばそういう意味ではユーザーの協力も得なければならないという面が出てくるのではないか。今坑内はほとんどベルトを張りめぐらしておりますからね。ですから、こういう事故が起き得る条件が全坑内的に拡大している、こういう理解に今日の炭鉱の実態を考えることが妥当だと思うのです。そういう意味で、今度の原因も一応推定されたものが発表されましたけれども、私は、これ以外の要因でベルトが燃えないということはないと思うのです。ですからそういう実験も、政府施設があるのですから多面的な角度から実験をしてみる、そしてまた、ベルトを難燃化、不燃化する、こういう点は、単に炭鉱のみならず、これからの近代インダストリーの場合でも役に立つわけでありますから、そういう検討をしてもらいたいということが一つ。これは希望であります。  それからもう一つは、五十七年から第七次政策が始まっておるのですが、いよいよ再来年度で第七次政策が終わるのであります。恒例からいえば、第八次政策については、少なくとも来年の六月ごろには諮問をしてこの作成に着手をするというのが順当な過去の政策形成の歴史的な過程なわけです。ですから、第八次政策についても、今、過去のそういう政策形成過程と同じような手法で第八次政策について諮問する、こういうお考えがあるかどうか、この点を承って終わりたいと思います。
  36. 檜山博昭

    ○檜山説明員 第八次の石炭対策検討するということになりますとどういうふうなスケジュールになるかという点は、御指摘のように第七次石炭対策の期限が昭和六十一年度末でございますので、通常、これまでの例から類推いたしますと、第八次石炭対策につきましては来年夏に石炭鉱業審議会に諮問するということになる見込みでございます。
  37. 平河喜美男

    平河説明員 ベルトの不燃化、難燃化につきましては、先ほど御報告しました調査委員会報告書にも指摘されてございますので、なお今後とも研究、検討を続けてまいりたいと思っております。
  38. 岡田利春

    岡田(利)委員 終わります。
  39. 上坂昇

  40. 小渕正義

    小渕(正)委員 短時間でありますので焦点を絞って御質問申し上げますが、まず、五十九年度の出炭見通しについてどのように通産省としては見ておられるのか。五十九年度の大体の出炭の見通し、それらについて。  それからあと一つは、大体貯炭量はどの程度に推移するというふうに見ておられるのか。この二点についてまずお尋ねいたします。
  41. 檜山博昭

    ○檜山説明員 まず最初の昭和五十九年度の出炭の見通しでございますが、既に本年度上期の実績が出ておりまして、その実績を見ますと約八百四十万トンというのが生産量でございまして、下期につきましても、各炭鉱ともおおむね順調に生産する見通しを持っておりますから、昭和五十九年度石炭鉱業合理化実施計画におきます生産見通しの千七百万トン程度の生産は今年度可能ではないかというふうに考えております。  それから、第二点の貯炭の現状でございますが、五十九年度上期末現在の在庫、これは百十三万トンでございまして、年度当初に比べますと二十六万トンの増加になっておりますけれども、昨年の同期と比べますと三十一万トン減少している状況でございます。ただ、地域別に見ますと、北海道炭が増加し九州炭が大幅に減少、そういったことで、地域格差が生じているところでございます。
  42. 小渕正義

    小渕(正)委員 五十九年度は出炭見通しとしておおむね一千七百万トン程度何とか確保できるというようなお話でございますが、五十八年度がどちらかというと一千七百万トンを少し割るというような状況だったと思います。ここ二、三年来の出炭状況を見ますならば、千七百万トン台に何とかいけるかどうかというところに停滞していると思います。  先ほどもお話が出ておりましたが、第七次の石炭政策でいきますならば、もうあと二年ほどで終わるわけですが、少なくとも一千八百万トン目指して、そういう方向の中で自立自助、それに適切な指導という形の中で石炭政策推進されるということになっておるわけでありますが、これでは第七次石炭政策で示しておった一千八百万トンへ何とかしていこうというようなものは、とてもじゃない、そういう目標達成にはほど遠いという感じがするわけですが、何らかの形で漸進的に少しでもそういう方向に進みつつある、そういう方向にあるというふうにお考えなのかどうなのかどうなのか。これはもうずっと停滞の段階ではないかというように思うわけでありますが、そこらあたりの御見解はいかがですか。
  43. 檜山博昭

    ○檜山説明員 七次答申におきましては、現存炭鉱の安定的な出炭を維持するということを基本にいたしまして、千八百万トン程度ということを掲げておりますが、現在のところは、今年度は先ほど申し上げましたような見通しでございますが、千八百万トンではなくて千七百万トン程度にとどまるというふうな状況でございます。  ただ、この生産増の問題につきましては、個々の山の状況がございますので、それぞれの炭鉱の中で最適な出炭ということを計画しておりまして、その計画に向かって各炭鉱努力しているという状況でございます。
  44. 小渕正義

    小渕(正)委員 この問題はまた後日の機会に譲りたいと思いますが、現状それぞれの炭鉱で大変御苦労なさっておるけれども、一千七百万トン程度出すのにもう精いっぱいという状況で、そのためにいろいろな対策がとられていると言ってもいいと思います。そういう点で、第七次政策で示されながら、将来的には二千万トン体制を目指すということは、これは単なる絵にかいたもちみたいなもので、今のような状況の中ではまさにこれは理想論に近い感じがいたします。そういう点でまた別な機会意見を申し上げることにいたします。  次に、先ほどのお話にも出ておりましたが、五十九年度の基準炭価については、いろいろの御努力をなさっているようでありますが、最終的には今月末何とか決着をしたい、こういうお話でございました。特に本年度は、前の石炭部長の際も、昨年は据え置きであった関係から、何とかでき得れば夏ごろまでには一つのはっきりしたものをぜひ示したいという見解も示されておったわけでありますが、結果的にはいまだに決まってないという状況でございます。  したがって、基準炭価というものについては、もちろん需要者側のいろいろな御意向等があるでしょうから大変難しい問題ではありましょうけれども、しかしそういうことだけでいくならば、やはり一つの何らかのめどを持ちながらきちっと通産当局としての行政指導を強力にやってもらわぬことには、結果的にはまた需要者側のいろいろな関係から日程的にずるずる延びていくのじゃないか、こういう懸念なしといたしません。したがって、この委員会で何とか十一月中には決着をつけたいという決意が表明されましたので、それなりのめどがあるかと思いますが、その点は、もうここまで言った以上はどんなことがあっても引き下がることはできぬということで一命月中の決着をぜひ図っていただきたいということを特にお願いいたします。  あわせて、その決着が昨年みたいにまた炭価据え置きというようなことでの決着ではこれは決着にならぬと思いますので、やはり生産者側として、それぞれ真剣に取り組んで、それなりの一つの希望といいますか、要求するものがあるわけでありますから、それらとの関係の中で、ひとつ行政当局として強力な指導のもとに決着を図っていただきたいと思いますが、その点、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  45. 村田敬次郎

    村田国務大臣 昭和五十九年度の基準炭価につきましては、石炭鉱業審議会第七次答申考え方に従いまして、石炭企業の賃金、採炭コストの状況海外炭価格の動向、昨年度の基準炭価を据え置きとした事情等々を十分考慮した上で、できるだけ早期に適正な価格を定めてまいりたい。また、先ほども御質問がありましたが、小渕委員の今月中に決着が図られるようという御要望でございまして、鋭意努力をする所存でございます。
  46. 小渕正義

    小渕(正)委員 今の御見解を期待いたしておりますので、ぜひよろしくお願い申し上げます。  次に、これは先ほども触れておられましたが、六十年度の石炭勘定概算要求について、一応結果的には、五十九年度と比較いたしますとマイナス十億円程度の概算要求を通産省としてされているわけでありますが、六十年度の石炭政策についての今度の概算要求の中での考え方というものはどこにあるのか。要するに、前年度をそのまま踏襲するというだけで出しておるのかどうか、何か新しいものを少しでも加味した中での政策推進しようということで結果的にこういう数字になったのかどうか、その辺についての、概算要求の中で盛られている考え方をひとつお示しいただきたいと思います。
  47. 檜山博昭

    ○檜山説明員 石炭勘定概算要求が前年度予算に比べて減少しておりますが、これは第二次肩がわり終了に伴う再建交付金額減少等の当然減が二十三億円、非常に大きなものがあったわけでございますが、こういう状況の中で内容を充実ということで、特に合理化安定対策につきましては坑道補助金並びに保安補助金等を大幅に増額しまして、石炭鉱業安定的出炭確保を図ることとしておりまして、実質的には四%の増ということになっております。
  48. 小渕正義

    小渕(正)委員 石炭鉱業合理化安定対策費として総まとめで見るならば、対前年度比から見ますならば、プラスでなしにマイナスじゃございませんか。もちろん、一部先ほど言うようなそういう性格の当然減があるでしょうけれども、石炭鉱業生産体制改善対策に必要な経費としてはプラス、しかしながら石炭鉱業経理改善対策に必要な経費ではマイナス、石炭鉱業保安確保対策に必要な経費は若干のプラス、そういう形の中で、結果的には、これは石炭鉱業合理化安定対策費だけ見ましてもマイナス七億六千四百万ということではないかというように数字を私は見ているのですが、その点、今の御答弁と若干違うのじゃございませんか。
  49. 檜山博昭

    ○檜山説明員 先生御指摘のとおり、合理化安定対策費といたしましては七億六千四百万の減少でございます。ただ、この中に第二次肩がわり終了に伴う当然減という要素が入っておりますので、その点を考慮に入れますと約四%の増ということでございます。
  50. 小渕正義

    小渕(正)委員 これは、生産に直接的な関係をするような項目について見ると先ほど申し上げたような数字が出ておるわけであります。  今のお話はさておくといたしまして、この中で特に石炭鉱業経理改善対策に必要な経費、これは石炭鉱業安定補給交付金でありますが、これが一億程度でございます。その他含めてマイナス約二十三億ということになっておるわけですが、こういった点についてはどのような考え方でこういう数字になっておるのか、その点をお尋ねいたします。
  51. 檜山博昭

    ○檜山説明員 今先生御指摘石炭鉱業安定補給金の要求でございますが、前年度に比べまして若干減少しているのは事実でございます。この石炭鉱業安定補給金につきましては、各炭鉱が策定した六十年度の生産計画を基礎にいたしまして算定した交付対象生産数量が、各炭鉱間での増減はありますものの、五十九年度に比べまして全体で若干の減少が見込まれたことによるものでございまして、そういった積み上げで若干のマイナスが出ているという状況でございます。
  52. 小渕正義

    小渕(正)委員 今の制度の運用からいきますならば、出炭計画の中での出炭、それとの関係で、そのままの単価でありますならば、そのままそういう形で数字としてはね返ってくるから、そういう点で一億程度マイナスになるということは理解いたします。  ただ、全体的に、先ほど申し上げましたように、六十年度の概算要求の中に盛られる石炭政策については、ただもう前年度の考え方そのままを横滑りさせて、あとは当然減として減る分だけ減らしたということでは、一部増強している分はありますが、全体的には十億程度マイナスになっているわけでありますが、そういう意味では、概括的には五十九年度そのままを踏襲したといいますか、そういうことで、六十年度に対しての予算としては、通産省として石炭政策では何らの積極的な姿勢は見られないというふうな感じがするのですが、その点いかがですか。
  53. 檜山博昭

    ○檜山説明員 当然減二十三億、来年度そのうちの三分の二を石炭鉱業合理化安定対策費につぎ込むという形になっておりますので、形の上ではマイナスになっていますが、その二十三億の当然減のうちの三分の二というものをさらに要求しておりますので、その点では実質プラスじゃないかというふうに私どもは考えております。
  54. 小渕正義

    小渕(正)委員 だから、その点はわかります。じゃ、あなた方が言われているプラスのような政策をとったということは、どういうところに力点を置いたというか、中心にしてそういう前向きな政策をとろうとしているのか。どのようにそれが重点的に配分されているのか。その点が、ただ小刻みに少し減っているのであればこれは問題は別にないのですが、そういう意味で、重点的に新しいそういうものを何か考えて配分しているのかどうか、その点はいかがですか。
  55. 檜山博昭

    ○檜山説明員 二点ございまして、一つは坑内骨格構造整備拡充事業費補助金、いわゆる坑道補助金と言われている補助金でございますが、これにつきまして、採掘区域の深部化の一層の進行に対応いたしまして、骨格坑道の造成面においても、ガス突出対策及び通気対策の徹底を図ることを重点にその拡充を図ってまいる考えであります。具体的には、ガス抜き坑道とかあるいは独立分流坑道とかの保安確保坑道の整備を体系的に推進させることというふうにしておりまして、これらにつきましては補助率の改定を要求しておるところであります。  それから、第二点は立地公害局の方の関係でございますけれども、鉱山保安確保事業費補助金、保安補助金、これは本年一月の三池炭鉱坑内火災事故の教訓もありまして、自然発火防止対策を含む坑内火災対策重点としてその強化を図ってまいる考えでおります。
  56. 小渕正義

    小渕(正)委員 わかりました。  なおその上に立って御質問申し上げますが、それぞれ生産されるところで御苦労なさって、非常に大きな一つの期待というか問題にもなっているのが、経営の安定の対策の一助にもなっているわけでありますが、これが石炭鉱業安定補給交付金制度です。これは前年度並みであるわけでありますが、この総枠をもっと上げていく、そういう考え方は採用できないのかどうか、何も固定的に考える必要はないわけでありまして、トン当たりの補給交付金の配分をどうするか、これはまた別の問題として、全体的な補給交付金の総枠をもっと引き上げる、この点についてはどうしても考えられないことなのかどうか。そういった意味で、前回の質問のときにもこの補給交付金の考え方について何か一定の枠組みがあるのかどうかという意味でお尋ねしたのであります。  だから、そういう大事な坑道その他の生産設備の関係で前向きに少しでも予算をふやされておるわけでありますから、そういった点からいっても、この項目についてももっと総枠を引き上げるということでの政策がなぜとられないのか、その点についての御見解をお伺いいたします。
  57. 檜山博昭

    ○檜山説明員 石炭鉱業安定補給金の総枠ということになりますと、その単価の引き上げが基礎になっているわけでございますけれども、この安定補給金の単価引き上げにつきましては、御承知のように、五十九年度、今年度の予算におきまして、厳しい財政状況下にもかかわりませず、交付単価の引き上げを行ったところでありまして、当面はその効果を見守ってまいりたい。そのかわり、来年度予算につきましては、坑道補助金あるいは保安補助金の大幅な拡大という形でもって対処したいというふうに考えております。
  58. 小渕正義

    小渕(正)委員 来年度の様子をもう少し見守るということでありますが、全体的な総枠を引き上げるということが——今の石炭政策の中で、政府は口を開けば必ず長期的な経営の安定を目指してということで、石炭産業の自立を目指して、いろいろと大臣の所信表明にも示されたごとくかなり重要になっているわけでありますが、実態は必ずしもそういうことでないのが現状でございます。したがって、そういう意味ではこの石炭鉱業安定補給交付金等についてももっと総枠を全体的に引き上げるということがまず大事な問題ではないかと思います。  それから、配分のことについてとやかくいろいろ言うことはありませんが、ただ問題は、内陸の関係と九州の海底の炭鉱の関係とで、出炭の層の関係で、それを対象にされていろいろ五十九年度一部是正されたようでありますが、このたび石炭委員会で行かれた人もお聞きになったと思いますが、ただそういうことだけで、それはそれなりの一つの基準であっていいと思いますが、いろいろもっと別な角度から、こういった補給交付金については、経営改善対策であればあるほど、もっとほかの別の要素を取り入れ、またもっと新たなものも取り入れて考えていいのではないかという気がするわけであります。  例えば、この前から切々と訴えられておりましたが、三菱高島鉱では出炭現場まで二時間半もかかるような長いところを行かなければいかぬようなハンディを背負っている。しかも、層からいってあそこは海底で、普通の炭鉱と違って塩分が非常に強いところで、いろいろな機器類がすべて腐食が激しくて耐用年数が極めて短いとか、そういう特殊なことがいろいろ言われておりましたし、池島鉱においては、ああいった島である関係から、生活用の水まで自分たちで造水しなければいかぬ、そういう設備をつくらなければいかぬ、そういうことで、実際には病院や附属設備その他、炭鉱としてそういうものをすべて備えなければいかぬという意味での、また違った立地条件のあるハンディを持っているわけです。また、三井三池等においては、ボタの処理のために四国沖まで持っていくようなそういった経費とか、漁業補償の経費とか、そういうことだけでもかなり内陸の状況と異なった、考えられないような外的要因による出費が強いられているとか、そういう状況がそれぞれ炭鉱の置かれておる立地条件の中でいろいろ違うわけであります。  それをそのまま全部どうかしろということではありませんが、それぞれ置かれている個々のそういった状況についても、何らかの施策の中でそれに対する助成といいますか、何らかの対策というものが別途立てられていいのではないか、私はこういう気がするわけであります。その点に対して、ひとつ御見解を承りたいと思います。
  59. 檜山博昭

    ○檜山説明員 石炭鉱業安定補給金の単価の算定は、現在、自然条件、これは稼行炭層の傾斜度でございますが、それと立地条件の差異、これは内陸輸送距離といったものを基準として行っているところでありますけれども、これらが炭鉱間格差のすべてを規定している条件であるとは必ずしも言えない面もございますので、種々の条件を加味した単価設定の必要性については、各炭鉱の損益の動向を見きわめつつ、今後の問題として検討してまいりたいと考えております。
  60. 小渕正義

    小渕(正)委員 損益の問題もありましょうけれども、実際に自立自助という形の中で、それぞれみんな労使挙げて本当に必死になって、すべて身を切るような感じの中で、福利厚生対策費も削る、労働時間についてもぎりぎり実働的にむだがないようにするとか、かなりそれぞれお互いが可能な限りのものと取り組んで、そういう中で何としてでも必死になって出炭されておるわけでありますので、そういった意味において、それぞれ置かれている立地条件の特殊な状況については、それなりにまた別途の何らかの政策的配慮がなされてしかるべきだと思いますので、その点は特によろしく今後の最重点課題としての検討方をお願いしておきたいと思います。  時間がありませんので、次にお尋ねいたしますが、先ほどもこれに類するお話が出ておりましたが、今それぞれの出炭現場で皆さん非常に深刻に考えられておるのは、炭鉱技術者の養成、研修、こういうものが今のままではもう将来的には、政府の今のような状況のままで推移するならば、結果的にはそれぞれの第一線の炭鉱においては生産を縮小せざるを得ないような状況に追い込まれていくのではないか、そういう意味で、高齢化の問題等もございますけれども、炭鉱技術者の養成というのは、あすを目指す炭鉱としては非常に緊急の課題であるわけであります。  こういった点について、それぞれ個々の企業の中でこれらの問題に取り組んでやれといっても経営基盤が脆弱でとてもそういう余力はないような状況にありますから、政府としては何らかの形でこういった炭鉱技術者の養成、研修といったものを含めた一つの総合的な何か具体的な施策というものをとらないことには、いかに自立自助を目指しての、また政府の適切な助成等をいろいろやったといたしましても、こういった人的な面で結果的にはそういうせっかくの政策効果があらわれない、こういう感じがいたしてならないわけでありますが、ここらあたりについて、何らかの前向きな取り組みをお願いしたいわけでありますが、その点、いかがでしょうか。
  61. 平河喜美男

    平河説明員 先生御指摘炭鉱技術者の養成という問題につきましては、生産を維持すると同時に、保安確保という点で非常に大事な問題だと思っております。  このため、私どもの方としましては、従来から、企業サイドにおいて種々保安教育実施しているのに加えまして、国といたしましても、鉱山労働者に対しまして、保安技術講習所及び鉱山保安センターにおきまして保安教育実施してきております。今後ともその充実に努力してまいる所存でございます。
  62. 小渕正義

    小渕(正)委員 それはそれなりに取り組まれておるでしょうけれども、それでも、今のようなそういうことだけではもうとてもじゃないという感じを、はっきり言いますと、皆さん、そういう意味で不安を持っておられるわけでありますので、もっとそういったものを総合的な形で前向きに取り組んでいただくようにという意味で問題提起をいたしましたので、ひとつその点ぜひ御検討方をお願いしておきたいと思います。これは石炭対策委員会がある間は次から次と必ず出てくる問題ですから、そこに腰を落ちつけていただいて、ひとつ前向きに御検討方をお願いしたいと思います。  それから、政府海外炭開発可能な調査、地質の調査とか、その他探鉱調査とか海外炭開発についていろいろやられておるわけでありますが、それらの地域と現状ですか、要約して結構ですから、ちょっとお知らせいただきたいと思います。
  63. 檜山博昭

    ○檜山説明員 海外炭開発の現状と今後の見通しでございますが、現在、我が国企業が開発に参加したプロジェクトはすべて操業に入っておりまして、その数は原料炭で十二プロジェクト、それから一般炭が六つのプロジェクトでございまして、合計十八でございます。また、将来の石炭需要の増大に対応するため、現在探鉱調査実施しているものもございます。  政府といたしましては、これら我が国民間企業による海外炭開発輸入を促進するため、新エネルギー総合開発機構による地質構造調査等補助、探鉱融資、開発資金の債務保証等の措置を講じてきたところでございますが、石炭需要は中長期的には一般炭を中心に着実に増加していくものと見込まれることから、今後ともこれらの助成措置を通じ、海外炭の長期安定的な確保に遺漏なきを期してまいりたいと考えております。  地域別でございますが、現在操業中のプロジェクトは、豪州が二でカナダが一、これは新エネルギー総合開発機構による助成プロジェクトの状況でございますが、合計三ということになっております。調査中は、豪州七、カナダ六、米国四、インドネシア一、合計十八、こういう状況でございます。
  64. 小渕正義

    小渕(正)委員 将来を目指してそういう準備をなさることは非常に前向きな政策として評価されると思いますが、エネルギー需要は非常に難しいからでしょうけれども、それが結果的にしがらみになって、我が国がそのため海外炭を何としても処理しなければいかぬという形になっても困る問題がまた出てくるような気がしましたので、とりあえず今回はお尋ねいたしただけです。  最後になりましたが、時間がございませんので簡潔で結構です。今度、長崎県松浦市は石炭専焼火力発電所の最大の基地になって、電発と九州電力がそれぞれ石炭専焼火力発電所、最大の二百八十万キロワットぐらいでしたか、つくる計画でいよいよ工事が進むめどがようやくついたわけですけれども、そういった国内の新しい火力専焼発電所の建設の際には、一定の部分だけはぜひ国内炭を使う、こういう国内炭引き取りといいますか、一定量だけは必ずそういった火力専焼発電所の中で使う、これは石炭専焼ですから、そういう一つの指導というものは現在なされているのかどうか。ないとするならば、やはり一定率はそういうものを使うように指導するようなことがあっていいんじゃないかと思うのですが、その点いかがですか。
  65. 檜山博昭

    ○檜山説明員 国内炭の需要関係は、私どもトータルとして海外炭の輸入との対比でもって引き取りをお願いするという形になっておりまして、必ずしも個別の発電所に対して一定割合というようなことはやっておりません。ただ、全体としては国内炭生産に見合う需要が確保できるように、そういった面での指導をやっております。
  66. 小渕正義

    小渕(正)委員 では終わります。
  67. 上坂昇

  68. 中西績介

    中西(績)委員 今回、閉会中の委員派遣について結果が報告されましたけれども、その中でも、異例と思われるような福岡県における鉱害復旧事業をめぐる種々事件がございまして、その結果、当局側としては種々改善策なりを実施をいたしておるようでありますけれども、これらの問題について質問を申し上げたいと存じます。  まず、この種問題が発生をするに当たって、数年前からそうした傾向が出始めておったし、いろいろ問題になってきたわけでありますけれども、こうした事態というのは、何といってもやはり限定された年限、その間における復旧事業の遅滞等を見た場合に、被害者側からいたしますとどうしてもいち早く実施をしてほしいという期待、願いがある、その弱みの中から種々事件が発生するという状況が出てきておるわけであります。  まず第一に、通産省としてはこの種鉱害問題がなぜ発生をしてきたのか、その原因の整理がついておるかどうか。と申しますのは、行政としてのあり方、姿勢がどうなくてはならぬかということをやはりこの際整理をする必要があろうかと思うわけであります。私はこの点についてまずお聞きをしたいと思います。
  69. 檜山博昭

    ○檜山説明員 今回一連の刑事事件が発生をした原因をどういうふうに分析しているかという御質問でございますが、これは、復旧工事の実現を待っている被害者の間に早期復旧の要望が強く、こうした被害者の心理をいわゆる鉱害屋最大限に利用し、被害者の代理人と称して常識を超えた陳情攻勢石炭鉱害事業団福岡通産局にかけてきた中から今回の事件が発生したものというふうに考えます。  こうした事件の発生を阻止できなかった原因といたしましては、この常識を超えた陳情を防ぐためのルールが必ずしも明確でなかったこと、第二には、組織として各種の手続面のチェック機能が陳情に多くの時間を割かざるを得ないこともありましてうまく働かなかったこと、第三には、警察当局との連絡協力体制が必ずしも十分でなかった、こういったことがあるというふうに考えております。  このため、事件発生以来これらの点を含め業務全般の見直しを行い、必要な改善措置を八月末までにまとめ、現在新しい体制のもとで公正な鉱害復旧に取り組んでいるところでございます。
  70. 中西績介

    中西(績)委員 今、組織的な体制、あるいはチェック機能、あるいは警察との連携等幾つか挙げられましたけれども、こうした事件を引き起こした原因というのは、何といってもやはり被害者心理を巧みに利用してきたというのが一つあるわけですから、それでは被害者心理がそのように動揺することを抑えるための措置行政側で十分とられておらなかったという基本姿勢、この点をまず押さえておかないと、今、例えばチェックだとかいろいろ機能的なものだけを追及して技術的なものだけでこれを措置をしようとすると、また再び同じようなことが起こってくるのではないか、私はそのことを一番心配するわけであります。  何といっても、何十年間苦しんでおるそういう多くの人たちがおるわけでありますから、どのように私たちが心理的あるいは精神的な負担、そうしたものを十分とらえておくかが大きな課題であろうと私は思いますから、この点をまずお忘れないようにしておいていただいた上で、二つ目の質問をしたいと思います。  こうした原因を追及していけばいくほど、まず対応する組織がどうあるべきか、編成をどうするかということが大変重要になってくると思います。言いかえますと、人員の配置は万全なのかどうか。さらにまた、限定された中における職員の身分の保障は、この前の答弁では、現在では言えないけれども将来的には各省庁との間における話し合いの中でこれを措置するということを言っておりますけれども、本当に大船に乗った気持ちで安心して働ける、そうした職場になり得るかどうかということがこれから大変大きな問題になるわけです。こうした対応する組織、編成の見直しはどのようにされているのか、人員配置等を含めましてこの点をひとつお答えください。
  71. 檜山博昭

    ○檜山説明員 業務執行体制の強化といいますか、そういった点につきましては、財政の制約と行政改革が進められています非常に厳しい環境の中で、私ども、事業団の業務執行体制を強化するために、本年九月、福岡県の協力を得まして、事業団に建築の専門家二名、うち一級建築士もいらっしゃいますが、その出向がなされたところでございます。このほか、職員一人一人の能力を生かすために、職員研修の実施、適材適所の人員配置を行うとともに、検査につきましてはコンサルタント等外部の専門家の知識経験を活用するなど、業務の適正な遂行に万全を尽くしていきたい、そういった方向に事業団を指導してきているところでございます。
  72. 中西績介

    中西(績)委員 ただ、この問題では、私は今までの場合を考えてみますと、この前も指摘をしたことなのですけれども、一つの事業所で百四十六名中八十一名の正規の職員、嘱託などを含めて他に三十六名、そしてアルバイトが二十六名という、過半数に近い数が臨時あるいは嘱託的なものによってされておる。したがって、この調査、計画、施工、渉外、会計の支払い等を含めましてごっちゃになっておるという実態があるわけですから、こうした問題を含めてすべてが整理をされていったかどうかということが大変重要だと思うのですね。  今言われました業務執行体制の強化という項を見ますと、綱紀の粛正だとか職員研修だとかいろいろ言っておりますし、今、県からわずか二名の職員派遣ということを言われておりますけれども、そうしたことでなくて、もう一つ突っ込んで基本的な問題で整理をしてかかる必要があるのではないかと思っておるのですけれども、この点はどうですか。
  73. 檜山博昭

    ○檜山説明員 そういった点につきましては、直ちにということはなかなか難しいかと思いますが、漸次この適正な鉱害復旧のために業務執行体制というものを強化していきたい、そのためにいろいろ検討していきたいというふうに考えております。
  74. 中西績介

    中西(績)委員 一挙にできないにいたしましても、この分については将来的に年齢構成なり何なりから考えましてもある程度計画的に配置を考えていくということにならぬと、たとえ法律はあと七年わずかであるといたしましても、これを強化しない限り依然として同じような形のものが出てくるのではないかということを私は恐れる余りに言っているわけですから、ぜひ計画的にやってほしいと思います。  そこで、こうした問題とあわせまして、鉱害復旧をする際に今まで根本的な問題としてあったのは、点から面へというこうした体制をつくることが非常に困難であった。点を追及するという格好になるものですから、そこにはやはり競争原理が働き、そして不安を醸成する、こうしたことになってくる。それを今度は力の強い者が、発言力のある者が、こうなってきて、私たちが聞くところではいろいろな政治的な面からのものもあったと聞くこともあるわけであります。  こういうことになってまいりますとこれは大変なことですから、面としてこれを拡大をしていく。言いかえますと、効率的に復旧するためには、財政的に厳しい中でありますから、計画、立案をする際にその地域的な総合プランというものが必要になってまいります。それと基本計画策定とのかかわりをどう追及するか、ここが私はこれから大変重要な課題になってくるし、中長期的なものをここで出すことによって被害者に、あるいは住民の皆さんに安心感を与える、こうした体制にならないとこの問題の根本的な解決には向かわないんではないかと思っています。これから後、また二次鉱害だとかいろいろな問題が出てくるわけですから、そうであればあるほどこうした問題を具体的にどうするかということを考えていかなくてはならぬと思いますが、そのように中長期的なものあるいは地域総合的なものをどうするかという問題については、もう少し立ち入って検討されたかどうか御答弁ください。
  75. 檜山博昭

    ○檜山説明員 先生御指摘の、面的な広がりとして計画的な復旧をということでございますが、総合的な計画に基づく鉱害復旧推進につきましては、鉱害二法の延長に際しまして石炭鉱業審議会から答申のあったところでございまして、現在復旧基本計画及び実施計画の立案の際には多工種にわたる鉱害復旧が必要である地域を広域的にとらえまして、他の公共事業との調整に留意し、整合性、効率性に配慮しつつ進めているところでございます。  このような計画に基づきまして家屋等の復旧が行われることになるわけでございますが、復旧の順序は、認定物件についての被害者事情を参酌しつつ、認定年次、他の公共事業との関連、被害の危険度、工法上の経済性等の要素を総合的に考慮しつつ決定する方針でございまして、この結果、各年次の復旧対象家屋が地区内で点在することになっても、全体としては一つの基本計画に基づいて復旧が進められているため、必ずしも非効率的な復旧が行われているわけではございません。  ただ、御指摘の面的復旧という点につきましては若干これまで欠けているという点があったかと思いますが、今後とも、工法上の経済性の観点から、可能な限りこの面的復旧が実行できるよう検討を加えてまいりたいというぐあいに考えています。
  76. 中西績介

    中西(績)委員 私は、第一問で被害者を中心に据えた行政の姿勢が大変重要だということを言ったわけであります。ただ、刑事事件が発生していく過程の中ではチェックだとかあるいは警察との連携だとか組織的に対応できなかったとかいうことはございますけれども、そのことよりもう一つ大事なことは、今言うように面的なものを総合的な計画の中で実施をしていかないと、こうした点的なものが依然として残されていくということになってまいりますと、どうしても今までの惰性的なこうした行為なり問題を完全に解消するということになってこない。  したがって、まだ期間があるわけですから、七年なら七年、この期間を通じての中長期的な計画というものを、ことしはもう間に合いませんから、来年から実施をするということになれば、少なくともやはり重要視していく必要があろうかと思います。これから後の問題としてこれを実施していけば、こうした問題は、個人的な問題としていろいろ暴力を振るおうったって何たってできなくなってくるのですよ、面的にやれば。だから、ここをもう一度重視する必要があると思いますので、この提言をぜひ検討してほしいと思います。  そこで、計画を立案する際に市町村との関係がございますが、この前から、調査に参った際にも、市町村との関係、自治体との関係がいろいろ出ておりましたけれども、総合計画を立てるに当たって、あるいは基本計画を立てるに当たって、公共的なものだとかいろいろな関係からしますと、これは市町村とのかかわりが当然重要ですから、そういうところにさらに十分な協力体制は必要ですが、この前挙げられておったものの中で、市町村との関係で大体了解のついたものについて挙げてください。
  77. 檜山博昭

    ○檜山説明員 市町村に対しまして協力依頼をしております事項は全体で十二項目ばかりございますが、そのうち鉱害復旧申し出の経由、取りまとめ、提出、そういった点につきましては、市町村との間で原則として協力するという形での合意が得られております。また、公共施設復旧時期、計画内容打ち合わせにつきましても、原則として市町村協力ということで合意が得られております。  あと、一都市町村のみ協力というような状況項目が過半でございまして、なお、これらはこれからさらに全般的な市町村協力という形へ持っていきたいと考えております。
  78. 中西績介

    中西(績)委員 この問題も、やはり鉱害事業を取り扱う際に当初から総合的なものでやっていけば問題なかったわけですけれども、いろいろな変遷があった過程がありますから、その中で現状のような形になって、極めて狭い範囲でしかできなくなる、こうしたことになったと思うのですね。したがって、これから後、いろいろたくさんの問題がございますけれども、可能なものについては、住民とのコンセンサスと同様に、この市町村の問題につきましても努力をしていただいて、こうした問題が再発しないような体制づくりの中でぜひまたお考えいただければと思っています。  そこで、出されておりました約十項目に上る改善計画がありますけれども、時間がございませんから、その中の重要な部分についてまず確認をしておきたいと思います。  ただ一つ、これを実施する場合、九月から実施をしておるということを言っておりますけれども、私が一番心配するのは、ルールの正常化あるいはテーマの設定、限定など、いろいろ制限する部分だけが先行するという形になってまいりますと、これはもう鉱害復旧業務の改善計画にはほど遠いことになってくると思います。  したがって、確かに人が要るわけでありますけれども、技術的な問題で片づけるのではなくて、少なくとも行政側のそうした姿勢を明確にしていくためにも、むしろ相談室みたいなものをつくっていただいて、そこでの検討をしていただく中で、例えば先ほど出てきました陳情の問題にしましても、委任状の問題にしても、復旧申し出の問題にしましても、いろいろなそうした問題は、むしろ積極的に行政側から相談に応じるという、こうした形式のものがとれないものかどうか。そうすることによって、住民とのコンセンサスが深まる中で、業者の選定、登録の問題だとか検査の問題、査定の問題等、いろいろ問題がたくさんありますけれども、そうしたものが被害者の中にどう十分浸透していくのかというものを、最初の取りつきからそうしたソフトな面を出していただければ相当変わってくるのじゃないだろうか、こう思うわけです。そうした陳情される際の窓口みたいなものをぜひつくっていくべきではないかと思っておりますけれども、この点はどうですか。
  79. 檜山博昭

    ○檜山説明員 被害者の声を聞くために事業団の事業所に相談窓口を設けるべきじゃないかという御指摘でございますが、本年六月末に定めました陳情ルールに基づきまして、事業団及び通産局は他の業務に支障のない範囲でできるだけ被害者の声に耳を傾けるよう努力しているところでございまして、個人であれ団体であれ、あらかじめ連絡いただければ一定のルールの中で御相談、御要望は受けるということにしています。この意味で、実質的には相談窓口は既に開かれているというふうに御理解いただきたいと思います。
  80. 中西績介

    中西(績)委員 相談窓口が開かれておるということは、まだ私それは確かめておりませんから、その中身がどういうものであるか、私たちが期待をするようなものになっておるかということが大変重要でありますから、この点はまた後で私なりに調査をいたしまして、この点についての内容を明らかにしていきたいと思いますが、いずれにしてもそうした姿勢があるかどうかということですから、この点を重要視したいと思います。  そこで、時間がいよいよ迫ってまいりましたので、私は査定の問題について触れておきたいと思うのですけれども、この査定をする際にその基礎になっているのは三十二年のペースでしょう。ということになると、その三十二年ベースでよろしいかどうかという面についての根本的な見直しをあるいは検討をということにはならないのですか。この点どうでしょう。
  81. 井上毅

    ○井上説明員 ただいま先生御指摘の三十二年ベースとおっしゃる意味が正確に理解ができないわけでございますので、あるいは的確なお答えにならないかもしれませんが、三十二年ということとの関係で、恐らく、現在の家屋の復旧というのが、国土の一部でございます地盤の復旧の関連という位置づけで家屋の復旧がなされておる、こういう制度でいいのかどうか、こういう議論だろうと思います。  おっしゃるとおり、三十二年に現在の法律によりまして家屋等の復旧を取り込みました経緯と申しますのは、一方に民生の安定という理由もございますけれども、国の事業として私有財産である家屋そのものの復旧をやるというのは制度として全くないわけでございまして、国の事業としてこれをやるための一つの手がかりとして、その家屋が建っておる地盤の復旧というものに関連づけてやっておるというのが現在の制度の考え方でございます。この点につきましては、五十六年の石炭鉱業審議会におきます制度の一連の見直しの必要性の可否の議論の中でも、現行の制度をこの十年守っていくべきである、こういう御答申をいただいておりまして、現在のところ、この制度の根本を変えていくということはなかなか難しいのではないか、こういうふうに考えております。
  82. 中西績介

    中西(績)委員 やはりその点をある程度突っ込んでおかないと、今までのような姿勢の中では、この査定をするに当たっていろいろな問題が出てくるのではないか、こう思うわけです。特にこの解体新築なんかの場合にはすべてが家屋中心になってくるわけでありますから、時間が来ましたのでこの点は後の問題として残しておきますけれども、何としてもやり上げていかなければならぬと思いますから、一つの検討課題としても提起をしておきたいと思います。  そこで、労働省来ておると思いますから、時間がございませんので簡単にお答えいただきたいと思いますが、筑豊地域における雇用不安は依然として変わっておりませんし、その中におきまして、この鉱害問題が発生をしましてから、解雇する数それから求人倍率等がいろいろ問題になっておるのではないかと思っています。この点、傾向はどうなっておるか、お答えください。
  83. 小野進一

    ○小野説明員 筑豊地区の雇用失業情勢を管内の安定所の求人倍率で見ますと、田川が七月が〇・一でございましたものが〇・二に、飯塚の安定所が〇・一一でございましたものが〇・一四に、また直方の安定所が〇・一四でありましたものが〇・二七と、全国の〇・六四に比較いたしますと低い水準ではございますが、現在、上向きの傾向に来ております。  ただ、建設業につきましては、新規求人は前年同期に比べますとこの七、八、九月はやや低位に推移しておりますし、離職者の増加が目立っておりまして、特に解雇者を含む離職者の発生状況を雇用保険の受給資格決定件数で見ますと、昨年同期に比較いたしまして、七月をピークに減少はしているものの、相当上回る水準で現在推移している厳しい状況にございます。
  84. 中西績介

    中西(績)委員 この新規求人あるいは解雇者のデータを見ますと、建設業については大変な事態が出ておりますから、全般的なものは一定の向上的なものがあったといたしましても、具体的にはそうした数値が出ています。  したがって、これから後の事業がこれからどうなっていくかについてお答えいただきたいと思うわけでありますけれども、特にこうした事件から発注等が大変おくれておるわけでありますが、この点、聞くところでは三、四カ月おくれておると言われています。ということになってまいりますと、この事業は「「業務調整室」を設け」云々ということで、この時期からいよいよ再発足をするということになると思うのですけれども、このおくれを年度内に取り返すことができるのかどうか。  それともう一つ、縦割りと申しておる送りのものがございますから、その予算などとのかかわりについてお答えをいただいて、終わりたいと思います。
  85. 檜山博昭

    ○檜山説明員 工事のおくれの問題でございますが、今回の鉱害復旧事業に関する一連の事件によりまして、警察等の事情聴取あるいは書類の押収等に加えまして、正常化へ向けての業務改善対策検討に時間を要したことなどによりまして、本年度の官公需の発注がおくれているのは事実でございます。恐らく三、四カ月、先生御指摘のとおりだと思いますが、現在新しい体制のもとで発注の準備作業を進めておりまして、今後これまでのおくれを取り戻すべく、石炭鉱害事業団及び福岡通産局ではその総力を挙げて業務に取り組んでいく方針でございます。  なお、縦割り関係につきましては、漸次解消する方向で努めたいと思っております。
  86. 中西績介

    中西(績)委員 この点を早急にやっていただきたいと思います。  大臣、そうした意味で、いろいろ事件があったからということで、それを理由にして大蔵省が、あるいは政策的なものを理解できない人たちが、また、現地を見ないとわからぬわけですから、被害者の立場に立った場合には、これはいつときも猶予できない問題ですから、予算の面については、この十二月段階には、新しい大臣でありますけれども、最後までぜひ頑張っていただくようにお願いを申し上げて、終わります。
  87. 上坂昇

  88. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 まず第一に、今の中西さんの質問に続いて。  労働省から求人倍率について答弁がありました。しかし、これは制度事業ですね。言うならば  一般失対、緊就、開就、特開、さらに鉱害復旧、これに支えられた中での求人倍率であるということをよく認識しておかないと、意外に求人倍率もそう低くないではないかという議論が出ると思います。ひとつ注意を喚起しておきたい、こういうように思います。全国平均が〇・六五ですからね。〇・二あるいは〇・一四といいましても、四制度事業があって鉱害復旧があってようやくこうであるということをひとつ認識していただきたい、かように思います。  続いて、有明鉱の災害について質問いたしたいと思います。  一つは、罹災者に対するその後の援護措置が最終的にどうなっておるか。それから続いて、遺族の中には、厚生年金の受給資格のない人が亡くなった遺族があるはずです。加入期間が極めて短かった、採用になって間もなく亡くなった、これがどのくらいあるのか。それから、後遺症で今苦しんでおられる人はどういう状態であるのか。それから、遺族の就職あっせん状態はどういう状態になっておるか。以上四点についてお聞かせ願いたい。それぞれ関係各省からお願いをいたしたいと思います。
  89. 新村浩一郎

    ○新村説明員 まず、遺族に対します会社の上積み補償でございますが、これにつきましては、元請あるいは下請の差異なく一律に親企業より死亡者一人に対しまして二千四百五十万円。ただし、扶養家族のない被災労働者の遺族につきましては一千九百七十五万円が支給されたと我々承知いたしているわけでございます。なお、そのほかに、災害当時入院されました方が十六名おられたわけでございますが、この方々に対しましても親企業の方からそれぞれ上積み補償がなされたと承知いたしております。  それから、労災保険の適用でございますが、八十三名亡くなられました方のうち、労災遺族補償年金が七十七名の方に支給されまして、あと五名の方には労災補償一時金が支給されております。あと一人残られるわけでございますが、この方につきましては遺族補償給付の支給対象となります身寄りの方がいまだわからないということで、この方に対しましては遺族補償給付が行われていないという状況にあるわけでございます。  それから、後遺障害の問題でございますが、災害当時十六名の方が入院されましたが、いずれも軽度のCO中毒の方が大部分でございまして、既に一名の方を除きまして全員退院をされておるわけでございますが、残り一名の方も軽度のCO中毒ということで、憂慮されるような事態にはならないと承知いたしております。  厚生年金との調整でございますが、これは実は我々ちょっと所管が違うわけでございますが、我々の方で把握いたしておりますところによりますと、労災遺族補償年金七十七人の受給者のうち、六十八人の方は厚生年金の遺族年金を受けておられるということで調整の対象になっておるわけでございます。  あと残りの方が九人おられるわけでございますが、そのうち二人の方は厚生年金から老齢年金を受給しておられるということで、あと七人の方が厚生年金も支給されていないという状況にあるわけでございますが、そのうち二人の方は亡くなられた方のお父さんでございまして、六十歳未満のお父さんということで、労災保険では五十五歳以上のお父さんであれば、一応支給停止にはなるわけでございますが年金の受給権は満たすということになっておりまして、厚生年金は御存じのように六十歳以上ということになっておりますので、そこのギャップによりまして厚生年金の方が支給されていない。あと残り五人の方々は、労災の遺族補償年金はいずれも兄弟姉妹の方が受給されておりまして、これはいずれも厚生年金の方の支給要件には該当していないということで、七人の方が厚生年金の方は支給されていないという状況にあると我々承知いたしておるわけでございます。
  90. 小野進一

    ○小野説明員 遺家族の就職問題でございますが、三井石炭鉱業本社あるいは現地の鉱業所とお話を進めてまいりまして、十一月六日現在で、八十一家族のうち就職を希望する方が五十八、それから就職を希望しないという方が二十三でございまして、就職を希望する方五十八人のうち早急に就職を希望する二十六人、そのうち二十三人は既に就職しておりまして、残りの三人は本人の御都合で就職の時期が遅延していると聞いておりまして、都合がつき次第いつでも就職できる状況になっております。  残り三十二人のうち三人の方が来年の四月に学校卒業後御就職の予定でございますし、その他の二十九人の方々の多くは学生、学校在学中でございますので、まだ今日具体的な就職問題になってないという状況にございます。
  91. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 厚生省の問題を労働省から答弁願ったものですから正確さを欠いておるようですが、労災の場合は遺族年金は兄弟姉妹にはありますが、厚生年金はありません。  ところが、そうではなくて、最初から厚生年金の資格がないのです。要するに半年以内に亡くなったという人、この人がいるはずですよ、こういうことを僕は指摘しておったわけです。それは兄弟姉妹の問題ではなくて、やはり普通の厚生年金の加入期間の資格があれば当然遺族年金をもらえるのであるけれども、余りにも短期間であったので資格がなかった、こういう人がいるはずです。それは現地に行ったときにそういう話があったわけですが、それを調べてもらいたかったわけです。今大体報告がありましたが、これらは逐次また報告を願いたい、こういうように思います。  そこで、有明の事故について調査委員会から報告書が出ております。今局長からその骨子についてお話がありました。  そこで、「火災原因推定」の箇所ですけれども、これは結局は大体推定をされるという点、それはコンベヤーによるものですね、そこで過熱が起こったという点でありますけれども、そのキャリア台のキャリアローラーの角と、腐食しており溶接部付近でフレームから外れた内側ローラースタンドとの間で摩擦が起こった。なぜ腐食したのか。腐食に気がつかなかったのか。これはその機材そのものが古いのか。それとももう一つは、古いのを依然として放置をしておる、いわば保安管理の監視体制がなかったのか。これは両方でしょうね。こういう点について、残念ながら指摘がないのですよ。ただ推定をされる。そういう点、報告書は、腐食をしておる、それなら、なぜそんなに腐食をしておったのかという点がどうもはっきりしない。腐食しておっても、管理体制があれば十分発見し得たはずだという点についても言及をされてない。こういう点はどういうようにお考えですか。
  92. 平河喜美男

    平河説明員 御指摘ベルトコンベヤーにつきましては昭和五十二年の十一月に設置されておりまして、その後、多少の延長をいたしております。  今御指摘の、どうして腐食したかという腐食の原因でございますけれども、今回の調査団の報告書の中には腐食の原因は触れられておりません。それで、いろいろ検討された段階で考えられておりますのは、例えば当初からの溶接不良といったような問題、あるいはその後の防食ペイントの塗装の不十分、あるいは折損部分に特に何らかの条件で湿潤というような条件があったか、いろいろな原因等が考えられるのじゃなかろうかということでございますけれども、それについて特定できなかったということで報告書には触れられてないというふうに承知しております。
  93. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 新聞等の報道によると、中古品を使った、今、五十二年のお話がありましたが、五十八年に延長するときに中古品を持ってきたという問題がありましたが、これとは関連があるのかないのか。
  94. 平河喜美男

    平河説明員 一般的には、先生も御承知のように、ベルトコンベヤーにつきましては、炭鉱内では、新品を設置する場合もありますし、それからよその部分から中古品を持ってきて設置する部分もあろうかと存じます。  この部分につきましては、現在まだ調査中でございまして、中古品であったかどうかということの確定はできておりません。
  95. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 中古品であったかどうかの確定ができてないって、これは簡単なことでしょう。これはわかるはずですよね。これはもう実に簡単な話なんですよ。
  96. 平河喜美男

    平河説明員 私どもの方ではまだ確認をしておりません。
  97. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 この報告書の中で、五十八年度にコンベヤーの延長を追加したということがありますが、これは一体新しいものを持ってきたのでしょうか。
  98. 平河喜美男

    平河説明員 その部分について新品であったか中古品であったかの確認ができておらない次第でございます。
  99. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 続いて、時間がありませんから、僕は問題点だけちょっと指摘しておきたいと思いますけれども、いささか報告書が不親切といいますか徹底を欠いておるという感じを受けますのは、例えば救急センターの点に触れている。籠居を命じた。ところが籠居は、煙が入っておったのでそれの中に入らなかった。しかし、入って操作をすれば正常になり得るんだ、こういうことが書いてあるでしょう。それは一体何を意味しているのか。訓練が悪いのか、煙が入っておっても入りなさいという訓練をすべきなのか。それとも、煙が入るようなその施設が悪いというのか。実は、その後検査をしてみると、煙が入っても短時間で正常になるんだ、そういうことが書いてあるのです。これは一体どういう気持ちで報告書を書いたのか、何を指摘しておるのか、我々はちょっと理解に苦しむ。あえてなぜ短期間に正常になるということを言っておるのか。救急センターには側溝や何かが通っているのですから煙が入っても大丈夫なんだ、だから平素からそういう訓練が足らないということを言っているのか。この点も明確でないのですね。これはどういうようにお考えですか。
  100. 平河喜美男

    平河説明員 御指摘のように、救急センターに煙が入っておりまして避難者がそこへ入らなかったという事実があるようでございます。調査委員会中間報告につきましてはいろいろこれに触れておりますけれども、「避難所の使用に関する教育の徹底を図る」という旨の指摘を受けておりますので、教育の問題ではなかろうかと考えております。
  101. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これを読んでみますと、要するに「生存者の一部の者が同センター内には煙が侵入していたと言っていることから、相当の煙が侵入していた模様である。なお当該救急センターについて災害発生後機能テストを行った結果、」「比較的短時間で内部が正圧となり換気されたものと思われる。」そうして、罹災者の方があえて入って操作をすればいいんですよ、こう言っている。  しかし、その点どういう指摘を本当はしようとしているのか。お話しのように訓練が足らないという指摘をしようとしているのか、どうも明確でない。そういう意味においては極めて不親切なんです。煙が入っておるのですから、入れというのはそもそも無理でしょう。ですから、その点、僕はどうもこの報告書について若干の疑問を持つわけです。時間がありませんから、これらの点については後ほどまたお話をしたいと思います。  そこで、役所としては、いろいろ緊急にとった処置は結構ですが、今から何をしようとするのか。具体的には保安規則をどういうように変えようとするのか、体制をどういうようにしようとするのか、ひとつお聞かせ願いたい。
  102. 平河喜美男

    平河説明員 坑内火災対策につきましては、ただいま、私どもの方の諮問機関でございます鉱山保安技術検討委員会の中の坑内火災防止対策部会というところで、今回の最終報告指摘のあった事項を含めましていろいろ御議論をいただいておるところでございます。この検討結果を待ちまして、保安規則の改正等も含めまして必要な措置をとりたいと考えております。
  103. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 有明にはその後も災害があって、死亡者を出しておりますね。これも施設が老朽化をしておったのかどうか。要するにつり具が不備であったのか、あるいは老朽化で破損しておったのか、これらが問題になるわけです。  もう事件内容を言いません。あなたは御存じでありましょうから言いませんけれども、ホースが台車にひっかかった、のけようとしたところがそれがぽんとはねて本人が死んだという事件ですよ、この事件は。ですから、やはり全体的にそういう器具の点検というものが依然として足らないのじゃないかというようにも思うのですけれども、これらについてどういうように対処されるのか、お聞かせ願いたいと思います。  それから最後に、私が最近外国に行ったときに、ある大手の商社の人々が来ました。実はサウジアラビアでセメントの施設の入札をするというので、スイスのオーナーがアセンブルしておったので入札に来た。ところが、一番指摘をされたのは日本の保安施設である。そこで、日本人の場合はそういうことは考えられない、要するに労働者の質が高い、当然それは注意をするんだ、こういうように自分は抗弁をしたのだけれども、そんなことは通用しない。労働者がそれこそ訓練が足らなかったらどうするのだ、訓練が足らない者がそこの中にいて事故が起こったらどういうように防止するのだということで、安全設備について不合格になった、こういうことを言っておりました。  私は、そういう点が日本全体にあるんじゃないか。人間が、機械に頼って大丈夫なんだ、そのぐらいはできるのだ、注意するのが当たり前じゃないか。ところが、言いにくいのですけれども、初級者であるとかレベルの低い労働者がおって何か事故が起こった場合には、それが拡大するじゃないか、それをどうして防ぐのだ、これが問題点だったというのです。ですから私どもは、保安に対する物の考え方をもう少し全体に考えなければならぬ、こういうように思うのです。これはひとつ大臣から御答弁を願いたい。有明の問題は時間がありませんから、後にひとつ御答弁を願いたい。
  104. 平河喜美男

    平河説明員 この前の事故の以後にまた事故が頻発しているのじゃないかというお話でございます。その内容につきましては、運搬、落盤等のいわゆる頻発災害が全国的にも起きておりますし、御指摘の三池でも起きております。  これらの頻発災害の発生につきましては、私どもの方の鉱務監督官による巡回検査の強化等を図って注意しているところでございますけれども、なお、各社の在京の保安部長を召喚いたしまして注意を喚起するということで、監督指導強化しておるところでございます。
  105. 村田敬次郎

    村田国務大臣 多賀谷委員にお答えいたします。  今回このような大事故が発生いたしましたことはまことに遺憾であり、最終報告書に盛られております保安対策強化技術開発推進等について今後鋭意検討を進めまして、この種の災害の再発防止に万全を期してまいる所存でございます。
  106. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今岡田さんからも質問がございましたが、今度の厚生省並びに労働省、要するに社会保障的なものと文教、教育、これに対する国庫補助率の一割カットの問題は、地域経済に大変な影響を及ぼすと同時に、当該生保の対象者だとか失業者というものが大変不安におびえているわけです。そして、言うならばほとんど集中的に打撃を受けるのが産炭地なんです。北海道も九州もそうでありますね。一番大きいのが、福岡県の場合が金額的にも大きいし、そのことはまた、率からいえば非常に大きな率になる。要するに全国平均に同じような状態で補助率削減の影響があるならばまた平準化という問題もあるのですけれども、集中的にあるわけですね。これは、産炭地振興の面からいっても地方財政の面からいっても、一体どういうようになるのか。厚生省は既にそれだけの予算を削って出しておるし、労働省も五十億から削って出しておるわけです。一体各省はなぜそれを出して、どう処置しようとするのか。その点をどういうように考えるのか、私はまず自治省からお尋ねしたいと思うのであります。
  107. 小林実

    ○小林説明員 お答えいたします。  昭和六十年度の概算要求におきまして、今御指摘がございましたように、社会保障関係経費等に係ります国庫負担金につきまして、国と地方との間の機能分担のあり方を見直すことなく国庫補助負担割合を一律に引き下げることとされております。これは、我々からいたしますと国の財政負担を地方に転嫁するにすぎないものでございまして、国、地方を通ずる行政改革の基本理念に合致しないというふうに考えておりまして、まことに遺憾なことであると考えております。  我々の国庫補助負担金の整理合理化に関する基本的な考え方というのは、地方制度調査会とかあるいは臨調の答申にも書いてあるわけでございますが、国、地方を通ずる行財政の簡素合理化、それから地方公共団体の自主性あるいは自律性の尊重の観点から、まず、事務、事業そのものを見直しましてその縮減あるいは廃止を図る、それから、本来地方の自主性にゆだねてよいものにつきましてはそれを一般財源化する、こういう基本的な考え方に立って行うべきものであるというふうに考えておるわけでございます。  今後、この問題につきましては、来年度の予算編成までに地方公共団体の御意見も聞きながら関係省庁と十分協議、調整を行ってまいりたいと考えております。
  108. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣、国務大臣として聞いていただきたいのですが、生活保護の対象者が全国平均で千名について十二・四人なのですよ。それなのに、この筑豊の市町村の中では二百を超しているのが相当多いのです。そういたしますと、千人に二百ですから五人に一人ですよ。そういうのを抱えて今皆気息えんえんとして市町村財政をやっている。殊に市の場合は負担が今までの二割が二・八割、それから県も同様の負担になるわけですから、これはもう北海道と九州は直撃を受けておる。まさか革新知事だからということではないのでしょうけれども、現実にそういうことになっておるわけです。これは単に自治省、大蔵省の問題でなくて、その話し合いがうまくいかなければ現実に対象者に及ぶということも考えられるわけです。ですから、これ以上産炭地市町村財政が苦しくならないように、産炭地について担当であります通産大臣もひとつ御努力を願いたい。  以上で終わりたいと思います。
  109. 村田敬次郎

    村田国務大臣 多賀谷委員にお答えいたします。  私は実は自治省の出身でございまして、地方自治の実態というものは今までいろいろと検討いたしております。ただ、今回の補助率一〇%カットというのは、いわゆる小さな政府を目指すという、国の厳しい財政事情、また行政改革を背景とした全国一律の措置でございまして、産炭地域だけを対象としたものではございません。これは前提でございます。  しかしながら産炭地域の関係地方公共団体については財政需要が多い、そしてまた財政力も脆弱である、そういうことから他地域に比べて影響が大きいことを懸念いたしております。したがって、今後とも実態を十分に把握いたしまして、必要に応じ産炭地域の実情につき、今先生の御指摘になられたような状況も踏まえ、関係省庁に理解を求め、そして対応いたしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  110. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 質問を終わる予定でしたが、大臣にせっかくの御答弁をいただきましたけれども、不満足です。というのは、十倍から差があるわけです。十二人平均に対して二百人という市町村があるのですよ。ですから、割合に均一的な国と市町村の場合ならいろいろ操作できるでしょうけれども、何といいましても十倍以上の差のある状態の中でどう補正をするのか、私はそういう意味では簡単ではないと思うのです。それは確かに画一的におやりになったのでしょうけれども、集中豪雨を受けている地域、これがあるところは本来ならば対象外にすべきである。今自治省の財政課長が言われたように、分担、区分というものを、その考え方について基本的にこの問題は間違っておるのじゃないか、私はこういうことを指摘して、まだ社労委もありますし、予算委員会もありますし、いろいろありますから、その場で質問したいと思います。
  111. 村田敬次郎

    村田国務大臣 大変真剣な御指摘でございまして、私も本当に真剣に対応してまいりたいと思います。  例えば、地方自治法の問題で言えば、今自治省の財政課長もお答えいたしましたが、交付税の問題であるとか具体的に対応することもいろいろあろうかと思います。したがって、今御指摘になりました点は確かに地方の特殊事情、そしてまた産炭地域の特殊事情があると思いますので、十分真剣に対応してまいりたいと思います。  具体的な措置につきましては、今直ちに申し上げることは御猶予をいただいて、先生おっしゃったように御答弁の機会もまたいろいろございますから、これから真剣に対応してまいりたいと思います。
  112. 上坂昇

    上坂委員長 午後一時二十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ————◇—————     午後一時二十八分開議
  113. 上坂昇

    上坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。斎藤実君。
  114. 斎藤実

    斎藤(実)委員 最初に、村田通産大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、冒頭に通産大臣からごあいさつがございまして、貴重な国産エネルギーである国内炭については、石炭鉱業審議会の第七次答申基本的な考え方に基づいて生産の維持に努めるとともに、石炭鉱業経営基盤の安定や保安確保に最大の努力をしていくというごあいさつがございましたし、これはもう当委員会としても、ぜひ大臣にごあいさつのごとくひとつ取り組んでいただきたい、こう思うわけでございます。  先ほど来の同僚委員の質疑を通しても、石炭鉱業の現状については極めて厳しいものがございます。採炭区域の深部化、奥部化に伴ってのコストの上昇。基準炭価については、昨年度ユーザー業界の経営悪化や海外炭の大幅値下げ等によりまして前年と同額に据え置かれているという現状でございます。  石炭五社の経営収支はトン当たり七百四十五円の赤字になっておりまして、昭和五十九年三月の貯炭におきましても百十二万七千トンというものが貯炭されておりまして、大手五社の借入金は昭和五十七年度では千二百九十億円、昭和五十八年度では二千三十三億円、これを見ましても経営基盤が極めて弱体化しておるわけでございます。  当面する問題といたしましては、適正な基準炭価の決定と今後の石炭の需要の確保をどうするか、これが早急な対策を迫られているわけでございます。大臣御就任早々でありますが、これらの石炭鉱業についてどういう御認識をお持ちなのか、最初にお尋ねをいたしたいと思います。
  115. 村田敬次郎

    村田国務大臣 斎藤委員にお答えを申し上げます。  先生御指摘のとおり、我が国石炭鉱業を取り巻く環境が極めて厳しいことは十分に認識をいたしております。このような環境の中で石炭企業も懸命な合理化努力を払っておられる、そしてまた、国としても石炭企業の努力を支援するために、今後とも石炭鉱業審議会第七次答申基本的な考え方に即して、企業の自己努力、また政府の支援、さらに需要業界の協力という三本柱のもとに適切な措置を講じてまいる所存でございます。  炭価につきましては、石炭鉱業審議会の第七次答申考え方に従いまして、石炭企業の賃金、そしてまた先生御指摘になりました採炭コストの状況海外炭価格の動向、それから昨年度基準炭価を据え置きとした事情などを十分考慮いたしました上で、今月中には決着が図られるよう鋭意努力をしてまいる所存でございます。  それから、国内炭の需要の問題でございますが、その優先的な確保が図れるように従来から輸入割り当て制度の厳正な運用を図ってきたところでございます。現在、北海道炭の貯炭が増加しておりますが、これは一時的な要因による部分が多いものと思料いたしております。いずれにいたしましても、今後の在庫の動向について慎重に見守りまして、必要に応じて適切な指導等を行ってまいりたい、真剣に対処してまいります。
  116. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣、十一月中に炭価を決めると今御答弁がございましたけれども、ぜひ適正な基準炭価をお決めになられるように、大臣の責任においてお取り計らいをお願いしたいことを御要望申し上げておきます。  まず最初に、最近の中東石油情勢が混沌といたしておりますので、この問題についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  十月末にジュネーブで開催されましたOPECの臨時総会におきまして、原油価格を引き下げるかどうかをめぐりましてかなり紛糾をしたようでございます。新聞報道によりますと、一応基準原油価格バレル当たり二十九ドルを守る、十一月一日からOPEC全体で日量百五十万バレルを削減をし、生産上限を日量千六百万バレルとするということでようやく合意をされた、このように報道されておるわけでありますが、今回のこの原油削減措置が今後の我が国の原油市況に一体どのような影響を与えるのか、これが第一点でございます。  二点目は、今回の削減措置によりまして需給がタイト化し、石油価格が高騰するような心配はあるのかないのか。  三点目は、我が国の総合エネルギー政策はこれによって再見直しを行う必要があるのかないのか。この三点についてお尋ねをいたしたい。
  117. 柴田益男

    柴田説明員 十月末ジュネーブで開催されたOPEC臨時総会におきましては、先生ただいま仰せられたとおり、OPEC全体の生産シーリングを百五十万バレル削減するということで、今までの千七百五十万バレルの生産枠を千六百万バレルに縮小することが合意されたわけでございます。こういう合意がされた背景といたしましては、ノルウェーが価格を下げた、それに追随してイギリスも価格を下げ、あるいはナイジェリアが価格を下げたというようなことがあって、価格を維持するためにそういう生産削減をやったわけでございます。  我々は、この生産削減がそのまま確実に守られていくということであれば、この基準原油価格の変更はないだろうと見ておるわけでございますけれども、その辺の情勢をもう少し見守ってまいりたいと思っております。  この臨時総会におきましては、基準価格は一応維持するということでございましたけれども、油種間格差、ディファレンシャルにつきましては、専門家の石油相の間で議論をして十二月の通常総会に報告をするということになっておりますので、このディファレンシャルの調整はどうなっていくか、そこも注目しているところでございます。  それで、先生御指摘の三つの点に対する考え方いかんということですが、第一は需給に与える影響はどうかということでございますけれども、全般的に今、日本もそうでございますが、世界的に石油に対する需要は年々落ち込んでまいりまして、昨年来の景気回復で若干需要が回復しておりますけれども、基本的には減少傾向に来たということで、全般的には石油の需給関係は緩和しております。今回の削減の程度によっては需給にそう大きな影響を及ぼすものはない、こういうふうに考えておりまして、日本の石油会社の商談、原油の引き取りのような問題につきましても特別な影響は出てない現状でございます。  それから、石油価格に与える影響でございます。百五十万バレルの削減が決められたわけでありますけれども、きのうまでのスポットの動きを見てまいりますと、アラビアン・ライト、それから北海のブレント物はまだスポットの方がGSPを下回っておりまして、国際的な原油価格の早急な上昇はまだ予想されない状況でございます。現在程度の価格で推移するのではないかと見ておりまして、当面石油価格の上昇ということは考えられないというふうに見ております。  それから、政策の面に対してどう考えるかということでございます。我々としましては、現在のような状況におきましては、従来やっておりますところのエネルギー政策、すなわち石油の安定供給確保、石油にかわる代替エネルギー開発促進、省エネルギー、こういう従来からの政策はこのまま継続してまいりたい、そういうふうに考えているところでございます。
  118. 斎藤実

    斎藤(実)委員 たしか八月の末だと思いましたが、通産省は六十年度の通商産業政策重点施策を発表いたしております。その中で、資源エネルギー政策については「中東情勢の不安定性にかんがみ、セキュリティの確保基本として経済性の観点にも配慮しつつ、総合的資源エネルギー政策を着実に推進する。」こういうふうに言われておるのです。また一方、国内炭につきましては、「我が国石炭鉱業の自立を目指した効率的な石炭政策」、この問題について端的に見解を伺いたいのですが、国内炭我が国唯一の貴重なエネルギー資源であることはもう今さら私が申し上げるまでもありませんが、セキュリティーの確保、安全確保基本であるとすれば、当然国内炭は維持する、少なくとも現状程度の規模は維持をしていくんだという趣旨だと私は考えるのですが、この点について伺いたい。  それから二点目でございますが、「自立を目指した効率的な石炭政策」とは具体的にどういうことを重点的に考えておられるのか、伺いたい。  私は、現行の第七次石炭政策の中心は適正な炭価と需要の確保にある、こう思っております。どうもこのことがすっきりしてないように私は思われるのですが、これらのことに関連をして、その後の炭価問題の推移、国内炭の需要確保状況等について一体どうなっているのか伺いたいと思います。
  119. 檜山博昭

    ○檜山説明員 第一点は、国内炭につきまして、少なくとも現状程度は維持すべきではないかというお尋ね。第二点は、自立を目指した石炭政策は具体的にどういうことかというような御質問かと思います。第三点、炭価問題。こういうことでございます。  まず第一点でございますが、御承知のとおり、昭和五十六年八月の石炭鉱業審議会第七次答申におきまして、「総合的なエネルギー政策の立場に立って考えた場合、国内炭エネルギー供給の安定性と安全保障機能を高める役割を果たし得る」ということから、政府といたしましても、この貴重な国産エネルギーである国内炭重要性を踏まえて、現存炭鉱の安定的な生産の維持を基調とするこの第七次答申基本的な考え方に沿った政策の展開を図っているところでございます。  そこで、第二点の自立を目指した政策でございますが、我が国石炭鉱業は欧州諸国とは異なりまして私企業体制をとっております。それぞれの私企業が企業としての存立を確保していくことが必要であるというふうな考え方で、現在の石炭政策は、石炭鉱業の自己努力、それから政府の適切な指導と助成、第三に需要業界の協力により我が国石炭鉱業の自立を目指すということを基本としているところでございます。  御指摘のように、各炭鉱における深部化、奥部化、このコストアップの問題は、石炭鉱業の自己努力による吸収のための合理化を政府としては支援するということで、従来に引き続き坑内骨格構造整備に対する補助、設備近代化等のための資金の融資等の所要の助成に努めてまいる所存でございます。  なお、炭価問題は、これは現在資源エネルギー庁におきまして、需要供給両業界の調整を鋭意行っているところでございまして、先ほど大臣から御答弁がありましたように、早期に決着、今月中に決着が図られるように努力しているところでございます。
  120. 斎藤実

    斎藤(実)委員 石炭鉱業界は、これは自己努力、あるいは合理化あるいは保安、それから生産性の向上については、私も随分山へ行ってまいりましたけれども、真剣になってやっておるのですね。このままでいきますと、これは外圧とかいろいろな条件のもとでいずれ崩壊をしてしまうだろうというふうに私は見ておるのです。したがいまして、本当にきめ細かな自助努力あるいは合理化プラス政策的な対応というものが必要だろうと思います。後でそれについてはまた申し上げたいと思うのですが、ぜひひとつ現状認識されて、企業としてこれから生き続けるための政策に取り組んでいただきたいと思います。  次に、炭価問題に触れましたが、関連しまして、最近政策の財源となっております原重油関税について根本的に見直せという声も随分聞かれるわけでございますが、こういう動きが具体的に本当にあるのかないのか実は心配をしておるわけですが、万一見直すようなことにでもなれば国内炭は大変なことになってしまう、財源の裏づけがなくて効率的な石炭政策ができるわけはないと思うのですが、この問題についてお答えをいただきたい。
  121. 檜山博昭

    ○檜山説明員 石炭関係の財源問題でございますが、冒頭、先生御指摘にありましたように、我が国石炭企業は現在でも赤字経営基調から脱却できない、企業体質は依然として脆弱であるということから、国としましては、石炭企業の自立のために今後も合理化安定対策を初めとする各種対策推進していくことが必要と考えております。  その財源といたしましては、現行の七次答申におきまして「今次石炭対策の財源の在り方としては、当審議会としては、引き続き「石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計」によって確保すべきであると考える。」こういうふうな御指摘もなされておりますので、原重油関税に依存していかざるを得ない現状かと思います。
  122. 斎藤実

    斎藤(実)委員 ぜひひとつそういう方向で取り組みをいただきたいと思うのです。  次に、国内石炭企業の経営実態と基準炭価問題についてお尋ねをいたしますが、大手八社の五十八年度決算を見ますと、平均実働人員は一万四千九百二十四人で、対前年比で五百二十入減少いたしております。逆に能率は一人当たり月平均八十三・七トンで、対前年比一トンの増加となっておるわけです。このことだけを見ても、我が国石炭鉱業の場合、年々自然条件が悪化している中でこれ以上望むのは酷ではないかと思うほどによくやっていると私は思うのです。通産省はこの決算をどのように受けとめているのか、どう評価しているのか、伺いたいと思います。  また、今後なお合理化の余地があるとするならばどのような点について考えられるのか、具体的な考え方をお示しいただきたい。
  123. 檜山博昭

    ○檜山説明員 石炭企業の決算関係から見ますと、石炭企業は依然として赤字経営を続けております。特に五十八年度は災害等による出炭減、これは五十七年度に比べまして四十七万六千トン減少しております。そういった災害等による出炭減とそれから五十八年度炭価据え置き等によりまして、経営状況はさらに悪化している状況でございます。しかし、この石炭企業の経営は中長期的に見ますと徐々に改善の方向にありまして、企業の合理化努力とそれから私どもの政策的支援と相まって、年々深部化、奥部化する、そういった採掘条件の悪化に伴うコスト上昇、これにつきましては企業の合理化努力でこれを克服してきている状況でございます。今後とも深部化、奥部化の進行は基本的には回避し得ない状況にあると思いますが、浅部開発の促進により自然条件の悪化を最小限にとどめるとともに、運搬系統の合理化あるいは機械化採炭の拡充等の対策によりさらに合理化が推進されるものと期待しております。
  124. 斎藤実

    斎藤(実)委員 石炭鉱業の損益を見ますと、経営損益でトン当たり千八百一円の赤字になっておりまして、対前年比で二百九十三円の悪化になっておりますが、純損益では六百四十二円の赤字で、対前年比では四百八十三円の悪化になっておる。仮に三池災害がなかったとしても、単純計算してもトン当たり二百三十円余りの赤字拡大となるわけでありまして、年々自然条件の悪化、これは深部化、奥部化によるものですが、このコストアップ要因がトン当たり百七十円前後あることを考えますと、自力達成を目指す第七次石炭政策は、昨年の基準炭価据え置きによりまして空文化してしまっているのではないかと思うわけでございます。  この際、炭価のあり方について、ユーザーと生産者の価格交渉ということだけではなくて、総合エネルギー政策の立場で考え直してはどうか。例えばヨーロッパ諸国では我が国に比べて強力な国内炭の保護育成策を講じているわけでございます。経済体制、社会体制も違うことは承知しておりますが、この基準炭価のあり方についてもう一遍考え直す必要があるのではないか、こう思うわけですが、いかがですか。
  125. 檜山博昭

    ○檜山説明員 基準炭価の決定のあり方についてのお尋ねでございますが、国内炭価格のあり方につきましては、石炭鉱業審議会第七次答申で、「国内炭価格は合理的な生産費を反映したものであることが望ましいが、国内炭を巡る市場環境を無視してその価格を定めることは、エネルギー供給の安定性と経済性の調和を図る見地から好ましくない。」として、「内外炭価格差が存在する現状においては、通商産業大臣が毎年石炭鉱業審議会意見を聴き、国内炭生産費及び競合エネルギー価格等を考慮して基準炭価を定める現行制度を維持することが適切であると考えられる。」というふうになっております。  政府といたしましては、本答申の趣旨を尊重することが妥当であると考えておりまして、かかる観点から国内炭価格の決定を行っているところであります。炭価のあり方石炭の引き取り等他の諸問題とも深くかかわりがございますことから、現在の七次策のもとでは国内炭価格政策のみに限って特に見直すことは考えておりません。
  126. 斎藤実

    斎藤(実)委員 昭和五十九年度の基準炭価につきましては、御承知のように石炭業界はトン当たり六百八十五円の値上げ要望額を出して、現在この額をめぐって交渉をしている段階だと承知しておるわけですが、ユーザー業界から見ますと、海外炭との兼ね合い等いろいろな思惑もありまして毎年炭価問題は難航するわけでございますが、これもある意味で私は無理はないと思っておるのです。  先ほど基準炭価のあり方につきまして通産省からお考えを伺いましたが、審議会とか諸般の状況とかいろいろ問題はあろうと思います。しかし、基準炭価問題は極めて政策的な問題だと私は思うのです。単なる価格交渉ということだけではなくて、あくまでも石炭産業という立場をどうするのかということで政策的な立場で判断をして決定すべきだ、これが筋ではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  127. 檜山博昭

    ○檜山説明員 御指摘のとおり、石炭政策の見地から国内炭生産費、コスト、そういった点を十分考えて、しかし、一方におきましては競合エネルギーがございますから、そちらの方の価格等も考慮して決定せざるを得ない状況かと考えております。
  128. 斎藤実

    斎藤(実)委員 率直にお伺いしますが、石炭業界側の要求額について、ちょっと多過ぎないか、過大ではないかという考え方を通産省はお持ちなのかどうか。五十五年、五十六年度は十月に基準炭価が決定をしたという例もあります。昨年は十二月、本年は十一月に入ってまだ決まってないわけですが、具体的な引き上げについては四月から適用となるのか、あるいは引き上げを認めるかわりに引き取り量を減らせとかという危惧も我々はしておるわけですが、この点についていかがですか。
  129. 檜山博昭

    ○檜山説明員 石炭業界の方からのトン当たり六百八十五円の値上げ要請については過大と評価するかどうかというお話でございますが、五十八年度末石炭企業大手五社の赤字は出炭トン当たり七百四十五円ということでございますので、それを考えますと必ずしも過大ということは言えないかと思います。しかし、一方におきまして海外炭との格差、御承知のように原料炭におきましては約一万円、一般炭におきましても四、五千円から八千円というような差が開いている状況でございますので、その辺、生産業界と需要業界の相互の話し合い、その間に私ども石炭政策を推し進める者としての調整が必要じゃないかと考えております。  次に、炭価が引き上げられた場合いつから適用されるかという点につきましては、これは従来の基準炭価の実施という例がございますが、従来どおり四月一日に遡及して適用することになろうかと思います。  また、炭価問題と引き取り問題でございますが、炭価と引き取りは私どもは別個の問題というように考えております。炭価が上がればその引き取りを減らすというようなことのリンクを、私どもはそこは切って考えたいと思っております。
  130. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣に再度お尋ねいたします。  この基準炭価の決定は、大臣御承知のように、石炭鉱業合理化臨時措置法第五十八条の規定によりまして大臣がお決めになるわけでございますが、現実を申しますと、業界の交渉に任せているのではないかというふうに見られておるわけでございまして、業界による交渉を追認する形で政府が基準炭価を決定するということになれば、石炭政策はなきに等しいと思うわけでございます。先ほど私が申し上げましたように、基準炭価はあくまでも政策的な立場でお決めになるべきだと私は思うわけですが、大臣、どうか大臣が主導権をとってこの基準炭価問題をぜひ解決していただきたい。再度御決意のほどをお尋ねしたいと思います。
  131. 村田敬次郎

    村田国務大臣 昭和五十九年度の基準炭価につきましては、石炭鉱業審議会第七次答申考え方に従いまして、石炭企業の賃金、それから採炭コストの状況海外炭価格の動向、それから昨年度の基準炭価を据え置きとした事情などを十分に考慮いたした上で、できる限り早期に適正な価格で定めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  132. 斎藤実

    斎藤(実)委員 ぜひひとつこの基準炭価についてはイニシアチブをおとりになって早急に決めていただきたい、御要望申し上げておきます。  次に、海外炭石炭の需給問題についてお尋ねをいたしますが、海外炭のうち一般炭は年々着実に輸入量が増加をいたしておりまして、五十八年度には千五百五十一万トンにもなっております。同年度の国内一般炭千百八十五万トンを加えると、一般炭合計は二千七百三十六万トンになったのでありますが、一方、我が国の「長期エネルギー需給見通し」によりますと、六十五年度に四千三百万トンの需要を見込んでおります。今後数年間で一千五百万トン以上の海外一般炭を増加輸入することになると思うわけでございますが、しかしこの電力を中心とした一般炭の需要業界の動向を見ますと、例えば石炭火力発電所の建設計画では、工事中のものに苫東二号、これは北海道ですが、新小野田、中国、石川、沖縄の電発があるわけですが、これに続く計画で具体化しておるものは松浦の九州電力、電発ぐらいしか見当たらないわけでございます。したがって、六十五年度にはかなりの見込み違いが出ると思うわけでございまして、現時点で想定している需給見通しを、どうなっているのか明らかにしていただきたい。
  133. 檜山博昭

    ○檜山説明員 「長期エネルギー需給見通し」におきまして、昭和六十五年度の一般炭需要を四千三百万トンと見込んでおりまして、この内訳としましては、電力二千六百万トン、セメント等その他部門千七百万トンというふうに想定しているわけでございます。  この電力用一般炭需要につきましては、電気事業審議会需給部会の報告、これは五十八年十一月にございましたが、これに基づきまして、六十五年度末における石炭火力発電設備を千四百万キロワットと想定したものでございます。また、セメント等その他部門につきましては、紙パルプ業、化学工業等の産業分野での需要増大を見込んだものでございまして、当省といたしましても、石炭火力は供給の安定性、経済性等にすぐれた電源として積極的に推進する考えでありまして、現時点での需給見通しについては大幅な乖離は生じないものと考えております。  なお、我が国の一般炭需要は、昭和五十八年度三千九十四万トン、これは電力が千七百三十一万トン、セメント等その他部門千三百六十三万トンで、着実な伸びを示しておりまして、前年度比増六%ということでございます。
  134. 斎藤実

    斎藤(実)委員 最近特に国内での省エネルギー努力の促進や景気の停滞等もありまして、このエネルギー需要が減少しあるいは横ばいに推移をしているわけでございますが、石炭も同じだろうと思うのですが、このために国際的な石炭取引におきましても、輸入量の削減、価格の引き下げ等の交渉が行われておりまして、生産国サイドからは不協和音が生じておりまして、我が国に対する不信感にも発展しかねない情勢ではないかと思うわけでございます。最近は、これに米国の西部炭、アラスカ炭の開発輸入をめぐる動向も絡みまして、一歩対応を誤ると我が国の将来に大変な影響を与えかねないと心配をしているわけですが、最近の海外炭情勢について、どうなっているのか御説明いただきたい。
  135. 檜山博昭

    ○檜山説明員 最近の海外炭情勢でございますが、我が国の企業が開発参加した海外の新規炭鉱からの出炭が本格化し始める一方、我が国海外炭需給は、粗鋼生産の低迷等予想外の石炭需要の低迷によりまして、従来進めてきた海外炭の手当て量が実は需要を上回っている状況にございます。このため、我が国石炭ユーザーは、豪州、カナダ、中国等各産炭国の輸出業者との間で引き取り数量の削減交渉を行ってきているところでございまして、交渉におきましては、当初予期し得なかった産業構造の変化、省エネルギーの進展等によるエネルギー需要の低迷等の事情を十分説明しておりまして、相互理解のもとに当事者間の合意が得られているものと承知しております。  この点につきましては、今後とも相互信頼に基づく話し合いが必要不可欠でございまして、政府といたしましても、官民それぞれの立場で産炭国との十分な意思疎通を図ってまいりたいと考えております。  米国との間におきましては、先生御指摘のように、日米貿易不均衡が拡大傾向にある中で、米国炭の輸入量が減少傾向にあることから、米国側に西部炭あるいはアラスカ炭を含む米国炭輸入量増大に対する強い期待が存在しております。  この問題につきましては、政府レベルの日米エネルギー・ワーキング・グループ及び民間レベルの日米常設専門委員会、ここにおきまして米国との話し合いを行ってきているところでございますが、我が国海外炭需給状況、米国炭の高価格問題——平均して一、二割高いということでございます。この高価格問題など短期的には困難な問題が多いため、我が国としては価格低減の可能性に関する民間共同調査の提案を行うなど、長期的観点に立って両国に裨益する協力を促進するための方途を検討していく所存でございます。
  136. 斎藤実

    斎藤(実)委員 次は、石炭の需要の確保をどうするかという問題についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、安定出炭を確立したとしても、需要の確保が図られなければ石炭鉱業の安定ということはあり得ないわけでございまして、内外炭の価格差がトン当たり八千円から一万円以上も開いている現状では、国内における石炭需要増にもかかわらず、国内炭の引き取り量は出炭量の減少もありまして漸減するだろうと思っているのです。今年度の炭価をめぐる交渉の中で、需要業界は、これ以上の炭価差を企業が負担することは企業努力の限界だという意見も出されたと聞いているわけでございますが、国内の石炭鉱業がコストダウンを図るための努力をしたとしても、今後とも炭価の格差が拡大するのではないかと危惧されるわけでございます。  そこで、通産省では現在国内炭優先使用の原則に立った輸入割り当て制度の運用によりまして、国内炭海外炭との需要の調整を図り、需要業界の意向も踏まえて、これらの厳正な運用に加え、内外炭の価格差を減少させるための何らかの対策をお持ちかどうか伺いたい。
  137. 檜山博昭

    ○檜山説明員 内外炭格差の是正といいますか縮小という問題につきましては、海外炭の動向、これは五十八年度約二〇%くらい海外炭の炭価が下がっております。ことしに入ってからも、今年度五%程度海外炭が値下がりしております。そういう状況と、一方におきましては、国内炭自然条件の悪化というようなことから、合理化努力で底は抑えられますものの、どうしても賃金あるいは資材コスト、そういった面での増加分というのはなかなか吸収できない、そういうことでございますので、この差を埋めるのはやはり政府政策的な支援、それから需要業界の協力ということであろうかと思います。  そういうことで、国内炭の需要につきましては優先的な確保が図られますよう従来から輸入割り当て制度の厳正な運用を図って、そして価格の方では需要業界の協力をお願いしているという状況で、このギャップを埋めていかざるを得ないという状況かと思います。
  138. 斎藤実

    斎藤(実)委員 大臣、最後に御要望申し上げますけれども、先ほど申し上げましたように、第七次石炭政策は基準炭価と需要の確保ということが柱になっておりまして、当面する石炭問題の柱を十分御認識いただいて積極的な取り組みをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
  139. 上坂昇

  140. 小沢和秋

    小沢(和)委員 私は、去る九月二十八日に発表されました三池炭鉱坑内火災事故についての調査委員会報告を中心にしてお尋ねをしたいと思います。  今回の報告書によりますと、一〇番ベルトの第三号キャリア台の内側スタンド二本が腐ってフレームから外れ、その一本がローラーと激しく摩擦して発熱し、このため周りに堆積していた落炭に火がつき、これが調量門など周辺に燃え移ってこういう大災害になったというふうに推定されております。  これが事実であるとすれば、事故原因は驚くべき初歩的また基本的なものだということになるのではないかと思うのです。このスタンドは断面積が七センチ四万のものだというふうに新聞に載っておりますけれども、七センチ四万の断面を有する鉄製のスタンドが内側に二つある。その二つともが腐って外れてしまって、ゆがんでローラーと激しく摩擦するようになるというのは、全く長期にわたって点検も保守も何にもされずにほったらかしてあったということじゃないかと思うのですけれども、一体この点検保守の実情はどうだったのですか。
  141. 平河喜美男

    平河説明員 現場での保守点検につきましては、定期的に見回っておるということでございます。
  142. 小沢和秋

    小沢(和)委員 そんな答弁で説得力があると思いますか。今言いましたように、七センチ四万の断面積のある鋼材、これは中があるいはパイプになっておるかもしれませんけれども、フレームと溶接してあるのが外れて、それがゆがんでしまった。これがあなたが言われるような定期の点検をやっておって発見できませんか。  松田社長が四月二十日に本石炭特別委員会に参考人として出頭した際にも、「大体月に一回は全鉱にわたって分散しましてベルトを全部点検いたします。その点検に当たっては点検項目というのをたくさんつくっておりまして、それをチェックして回ります。」「ベルトの下の掃除とか、あるいはまたうまくベルトが動いているかというような点検につきましては、実は一月七日にやっております。該ナンバー一〇のベルトをやっております。そのときの報告を聞きますと、こぼれ炭とかこぼれボタは多少ある程度で異常ないというような報告になっております。」こういうことを言っているのですね。しかし、実際一カ月程度で、今私が言っているように、両側にある内側のスタンドが二本とも外れて、そんな状態になりますか。こういうような説明というのは全く外向けに後から取ってつけたようなものだとしかだれにも思えないのじゃないですか。
  143. 高木俊毅

    ○高木説明員 ただいまの先生の御質問でございますけれども、ベルトコンベヤーにつきましては、一番方につき大体一回ぐらいの割合で炭鉱の方では巡回をしておったように私ども聞いております。  それから、当該箇所でございますけれども、この箇所におきます調量門箱門と申しますか、その中というのは、わざわざ入ってみなければいかぬというようなこともございまして、その当時確実にやったかどうかについては、私どもとしては十分つかんでおりません。  以上でございます。
  144. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今あなたが言われたように、今度の火災が起こった場所は箱の中です。だから、とにかくその中については、よほどのことがなければ十分のぞかなかったかもしれないというお話ですから、恐らく実態としては、私も、よほどそこがどうかなったということで飛んでこなければいかぬような事態にならぬ限りは放置してあったということだと思うのですね。私は、その点でもこの保守点検というのは全く事実上行われていなかったというふうに言わざるを得ないのです。  そこへもってきて「多量の落炭の存在」ですね。これは大体技術的な報告ですから、余り形容詞などはほかのところにはないのですが、この落炭についてはわざわざ「多量の」ということが書いてあるのです。それで、どの程度のことを指して多量というのか。恐らく私は、発火したというような状態からすると、スタンドが十五センチぐらい高さがあったそうですけれども、その辺が埋まってしまうくらいの状態にまで大量にフレームの上にたまっておるというような状況であったのではないかと想像するのですが、そうでしょうかね。
  145. 高木俊毅

    ○高木説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、落炭状況でございますけれども、当時を振り返ってみますと、当時の事故現場でございますので、そこにはいわゆる放水だとか、あるいはいろんな関係から注水がなされているわけでございまして、当時そこをあけましたときにはかなりの落炭があったことは事実でございます。  それで、その落炭が最初からあったのかどうかにつきましては、本件につきましては現在捜査当局その他におきまして調査中でございますけれども、私どもとしてはそこまで確実につかんではおりません。  以上でございます。
  146. 小沢和秋

    小沢(和)委員 それと、私は落炭ということについてもちょっと疑問を感ずるのですよ。火災の発生した現場というのは、ちょうどベルトの裏側になるでしょう。そうすると、物がおっこちるときには真っすぐに落ちるわけでしょう。内側のスタンドのところに物はおっこってはこないですよね。そうだとすると、これは事実上——かつて三池で炭じん爆発が起こりました。あしたはその忌まわしい思い出の日でありますけれども、その炭じんなどが立ち込めてだんだんそこにたまっていったというのがむしろこの火災発生源の状態じゃないのですか。この炭じんというのは非常に着火しやすいということは常識だと思うのですけれども、そういったような状況だったんじゃないですか。落炭といったら、何かある程度大きさのあるような物がおっこちてきてそこにとどまっているような感じだけれども、そこに物がおっこちて入り込むはずはないんじゃないですか。
  147. 高木俊毅

    ○高木説明員 先ほども御説明申し上げましたように、当時、放水その他でかなりのそういう炭類が当該地域に流れ込んだことは事実でございます。ただし、その後いろんな観点から調べたところによりますと、先生御指摘のような、そういうリターンローラーと申しますか、そこのフレームの上に炭、落炭等が落ちておったことは事実のようでございます。
  148. 小沢和秋

    小沢(和)委員 だから、その落ちるというのは真っすぐに落ちるのであって、ベルトがかぶさっているその中の方にこういうふうに物は落ちていかないということはあなただっておわかりだと思うのですよ。だから、そこにあったものは、事実上炭じんとでもいうべき状態のものが長期にたまった、だから非常に出火しやすい状態になっておったというふうに考えるのが自然ではないかということですね。あなたがそれ以上お答えになれないならそれはしようがないです。いずれにしろ、ベルトコンベヤーの点検も長期になされず、そして落炭についても掃除もしない、こういう炭じんも放置されておる、これが出火の原因だ。  さらに、火がついてもほかの要因がきちんとしておったらああいう大災害にならなかったといって、その拡大要因というのについてもいろいろ指摘されている。監視体制、それから現場指令センター連絡の問題、退避指令体制、それから消火系統及び消火体制、緊急時における避難誘導体制、こういうようなものがみんなだめだったというわけですね。このうちのどれかでもちゃんとしておったら、あるいは大事故にならずに済んでしまったか事故の規模はうんと小さかったんじゃないかというわけですね。  そうすると、これだけいろいろ原因や拡大要因などが指摘されている。これはどれ一つ挙げてみても、会社がいかに初歩的な災害防止のための日ごろからの努力を怠っておったかということを示していると私は思うのです。だから、そういう会社の責任についてこの報告の中で明確に指摘をしているかなと思って私いろいろ読んでみたのですけれども、原因という形では物は言ってあるけれども、これだけその原因を引き起こしている会社の責任というのは明確であるのに、そのことが触れられていない。これは画竜点睛を欠いているんじゃないだろうかと思うのですけれども、その辺いかがでしょうか。
  149. 平河喜美男

    平河説明員 今回の事故調査委員会の目的は、災害原因を究明し今後の対策の方向を指摘することにあると思います。別途司法捜査を行っておりますので、この調査委員会が司法捜査を行うものではないというふうに考えておりますので、今先生の御指摘のような会社の責任について触れてないんじゃないか、かように考えております。
  150. 小沢和秋

    小沢(和)委員 行政の立場からでも、これだけはっきりした報告書が出るということはなかなか珍しいことだと言われておる。そうだとしたらなおさら、行政の立場からも厳しく会社に対してこういうことを二度と起こさせないためにその責任を追及して、厳しく戒めるというのは当然のことじゃないかと私は思うのです。  私はそういう立場からさらにあなた方の努力を要請したいと思いますが、ここで警察にも、現在この問題についての捜査がどのようになっているかということをお尋ねをしておきたいと思います。
  151. 藤原享

    ○藤原説明員 お尋ねの坑内火災事故の捜査状況でございますが、おおむね検証も終了いたしまして、ただいま御指摘のありました事故調査委員会、通産省の関係でございますが、これの指摘されておりますように、二百二十メートルBC連絡斜坑下部に通気制御のため設置されております第三調量門箱門の場所でございますが、これが出火地点であることは推定いたしたところでございますが、その出火原因等につきましては、現在、科学警察研究所や九州大学の専門家に鑑定を嘱託いたしているところであり、近く鑑定結果が出されるとの連絡を受けておりますので、その結果を踏まえ、速やかに関係者の刑事責任の追及を行ってまいりたいというふうに存じております。
  152. 小沢和秋

    小沢(和)委員 先日、北炭夕張の幹部の責任は結局十分追及できないということで、不起訴という残念な事態になったわけであります。私は、北炭夕張の場合には、事故報告書というのもかなり内容的に責任を明確にするというような状況になっていなかったとは思うのですが、今回の報告書の場合にはこれだけはっきり書いている。だから私は、そういう点で、捜査当局が確信を持ってこの会社の最高の経営責任を追及できる状態になったのではないかというふうに考えるわけであります。  ところが、現地の新聞の報道などを見ますというと、有明鉱の幹部の責任は追及する構えだけれども、それから上、三池鉱業所あるいはさらに最高の会社経営責任、ここまでいくかどうかは微妙だというようなことが書いてあるのですが、私は、これだけはっきりしたものがあってなおかつ微妙だということはちょっと納得がいかないわけであります。  この点について、捜査当局の決意というか姿勢をもう一度お尋ねしておきたいと思うのです。
  153. 藤原享

    ○藤原説明員 ただいま御指摘の、関係者の刑事責任、最上層部までの追及ということでございますが、この点については現在捜査中でございまして、いずれそういった鑑定結果が出されたことを踏まえまして、その上で、関係者の刑事責任をどのように追及するかということをいろいろと検討してまいりたい、こういうふうに考えます。
  154. 小沢和秋

    小沢(和)委員 もっといろいろ言いたいところがありますけれども、時間もありませんから次に進みたいと思います。  次に、対策の点で若干お尋ねをしたいのです。  対策がまず第一にベルトコンベヤー保守管理要員の増員を求めているのは、これは私は当然だと思います。昨日説明を伺ったところでは、会社は二百二十八名を二百四十九名にふやしたということでありまして、この点は結構なんですけれども、問題は、今までもベルトコンベヤーの当番がこれだけおったということになっているけれども、私が災害直後に現地に行っていろいろ聞いてみたところでは、この人たちには、例えばポンプの保守などの仕事とかほかのこともいろいろやらせるようになっておって、実際にはベルトコンベヤーの保守要員というのはもう名目化してほとんどそこにいないことが多いような状況になっている。こんな人を幾ら名目的にふやしたってだめなんですね。だから私は、二百四十九名にふやした、その人たちがいわば専門的にこの仕事にかかわられるような状況になったというふうに今度の措置を理解するが、それでいいかどうか、これを一つお尋ねします。  それから、対策の点でもう一つお尋ねしたいのは、「ベルト周辺の掃除を徹底し、」という言葉があるのです。これは徹底していただかなければいけないんだが、具体的にはその「徹底し」というのはどういうことなのか。さっきも、いろいろ点検やらやってますよというような話でしょう。やっておってああいうこともわからなかった、こんないいかげんな「徹底し」の仕方では話にならぬわけです。今までに比べてどう改善するか、ここで明確にしていただきたい。  それから三番目に、退避訓練というのが今後強化されていくということになっております。これもいいんですけれども、さっきもちょっと話が出ましたね。避難所に一たん入ってみたら、煙がもうもうと立っているんであわてて出てしまって亡くなった方が随分いる。後でテストをしてみても、空気圧の関係で煙はしばらく待ったら外へ出てしまうんだ、こんな初歩的なことを教育もしてなかったかと、むしろ私は腹立たしく思ったわけであります。あるいはCOマスクにしても、もう熱くなってどうにも耐え切れぬというので手離したというけれども、私はこれはちょっと無理じゃないかと思うけれども、我慢できる範囲なんだというような話を盛んにされておるようですけれども、こういうようなことについても、実際にそういう現場に直面したときに役に立つような退避訓練にするようにどうしているか、この辺の新しい工夫をどうしているかという点をちょっとお尋ねしたいんです。以上三つ。
  155. 平河喜美男

    平河説明員 第一の御指摘のベルト番の強化の点でございますが、人数の増加等を行って対策強化をいたしております。それから、先生御指摘の多少その専門化的な面で不十分な点があるんじゃないかというお話でございますが、そういう問題につきましては、当方の監督官が検査時にそういう点がございましたので、管理者を局に呼びまして、厳重に注意し、指導しているところでございます。(小沢(和)委員「それは事故後の話ですか」と呼ぶ)はい。  それから、ベルト周辺の落炭の掃除の徹底でございますけれども、落炭の掃除等につきましては、一定の頻度で実施するということではございませんけれども、日常の点検で必要に応じて実施すべきということで指導しております。その後、私どもの方から参りました追跡検査等におきましても、不十分な点については十分掃除をするようにということを徹底して指導しております。  それから、救急センターやCOマスクの使用法の教育強化でございますけれども、御指摘のように、従来の反省に基づきまして、実際の設備の目的、使用法、性能等につきまして、実技教育を含む訓練をやらせております。
  156. 小沢和秋

    小沢(和)委員 今も念を押したが、事故後もそういうベルトコンベヤーの保守要員にほかのことをさせたりしていてあなた方が注意をする、これくらいまだ反省が足りないんですよ。この辺、厳重に今後も監督の目を光らせていただきたい。  今のことにも関連すると思うんですけれども、私はこの機会に大臣に、今回の災害についての報告書が出されたという時点で、もう一度改めて行政当局としても反省と今後の改善をどう行うかということについてお尋ねをしておきたいんです。  私は事故直後に予算委員会でも申し上げたんですけれども、今まで坑内にたびたび立入検査などをしてこられたわけですけれども、実際には会社が、どこから入るか、事前に監督官が来るということを察知して、もうばたばた片づけちゃって、それできれいになったところをいつも見せると言って、現場の人が悔しがっておったわけです。だから、そういうように幾ら見ても本当のところがわからなかった。今度の災害を防げなかったという点では、やはり当局側にも責任を痛感してもらわなくちゃいかぬのじゃないかということを私は申し上げておるわけですが、この点、どう改善されるかお尋ねします。  それからもう一つは、坑内状況も現在のように技術がどんどん発展したりしていく中で変わってまいります。今度の災害の直接の問題になっているベルトコンベヤーなども、以前に比べたらはるかに坑内を走っている長さというのが長くなってきているわけですね。だから私、こういうベルトコンベヤーだの、あるいは新たに開発されつつある煙センサーとかいうような保安機器をどう整備するかだのというようなことは、ただ行政指導だけではなくて、これは法規の面でももっときちっと整備をしないというと、三池では改善させたけれどもほかでは改善されないとかいうようなちぐはぐもいろいろ起こったりしてくるんじゃないかと思うのです。この辺、今後どういうふうに整備を進めていかれるつもりか、こういうような点についてもお尋ねしたいと思います。
  157. 平河喜美男

    平河説明員 ベルトの問題についての今後の対策でございますけれども、先生おっしゃるとおり、今回の事故にかんがみましていろいろ坑内火災防止対策について今勉強しているところでございます。その坑内火災対策部会の結論を待ちまして必要な規則改正等を行ってまいりたいと思っております。
  158. 村田敬次郎

    村田国務大臣 今回このような大事故が発生いたしましたことはまことに遺憾でございまして、最終報告書に盛られている保安対策強化技術開発推進等について今後鋭意検討を進め、この種の災害の再発防止に万全を期してまいる所存でございます。
  159. 小沢和秋

    小沢(和)委員 まあ大臣、就任したばかりだからそれ以上は深追いしませんけれども、ひとつぜひその決意を忘れないように頑張っていただきたいと思うのです。  時間も来ましたので、あと大臣に続けてもう二問だけして終わります。  一つは、鉱山保安行政の強化を私たちはこうやって要求しているわけですが、そのさなかに、行革審が福岡やあるいは札幌などの鉱山保安監督局を通産局に附置する機関に、これは格下げあるいは縮小という意味だと思いますけれども、するようにと提言していると聞いております。これは私はとんでもない話だと思うのです。ぜひ大臣に今後一層これを拡充するような方向で御奮聞いただきたいと思うけれども、どうお考えか。これが一つ。  それからもう一つは、先ほどからお話が出ております自治体への高率補助の一割カットの問題です。もう時間もないからいろいろ言いませんけれども、今これが何か六十年度の予算編成の目玉みたいに言われているわけですが、これが実施されると、先ほどからいろいろ話が出ておりますように、特に産炭地市町村あるいはそれを抱える福岡県などは大変なんです。全国で一番多額のカットの対象になるのは福岡県やその筑豊の市町村なんですね。だからこれはぜひ自治体全体としてこういうようなカットを押しつけるべきでないということで頑張っていただきたいのですが、特に産炭地を担当する大臣として、産炭地については少なくともこれはもう絶対外せということで頑張っていただきたいのですよ。  先ほど、交付税などで対応できないかというお話があったのですが、交付税というのは、結局はこれは枠の決まっている中での取り合いになってしまうわけですし、福岡県がこれだけ多額の新たな自治体負担を押しつけられるというようなことは、私はこういうような手段じゃとてもカバーし切れないと思うのです。だから、もうはっきり産炭地にはこれは及ぼすなということでやっていただきたいのですが、いかがか。この二点お尋ねして終わります。
  160. 平河喜美男

    平河説明員 保安局の通産局に対します附置、統合をする件につきましては、保安重視の立場に立ちつつ行政の効率化を進めるべきだとの臨調答申が出されておりまして、政府といたしましてもこれを最大限尊重するとの閣議決定がなされているところでございます。ただし、附置、統合に際しましても、人命に直接かかわる鉱山保安行政の重要性にかんがみまして、今後とも保安監督機能の確保には万全を期するつもりでおります。
  161. 村田敬次郎

    村田国務大臣 小沢委員の御質問にお答えいたします。  福岡県また福岡県の産炭地域の市町村状況でございますが、これは御承知のように、高度成長期から現在の低成長期に至って非常にエネルギー事情も変わってきたわけですね。かつての石炭需要というのは今よりずっと大きなものでありましたけれども、石油が非常に世界的な主たるエネルギーになるようになって、福岡県についても産業状況が非常に変わってまいりました。これは、地域開発上の問題として私は多年その状況については調べておるところでございます。  ところで、具体的な先生の御質問について、今回の補助率一〇%カットは、国の厳しい財政事情また行財政改革を背景とした全国一律の措置でございます。そして、産炭地域だけを対象としたものでないことは御承知のとおりでございます。しかし、産炭地域の関係地方公共団体につきましては特に財政需要が多い、また財政力も脆弱でございます。したがって、他地域に比べて影響が大きいことを非常に懸念いたしております。したがって、今後とも産炭地域の実態を十分把握の上、必要に応じて、産炭地域の実情について、関係省庁、これはもちろん大蔵省、自治省さらに労働省、厚生省等、理解を求めて対応してまいる所存でございます。
  162. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  163. 上坂昇

    上坂委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後二時四十一分散会      ————◇—————