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1984-08-02 第101回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年八月二日(木曜日)     午前九時五十四分開議 出席委員   委員長 上坂  昇君    理事 北口  博君 理事 野田  毅君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺 省一君    理事 多賀谷真稔君 理事 中西 績介君    理事 斎藤  実君 理事 小渕 正義君       金子原二郎君    久間 章生君       古賀  誠君    自見庄三郎君       保利 耕輔君    松田 九郎君       三池  信君    三原 朝雄君       山下 徳夫君    岡田 利春君       岡田 春夫君    細谷 治嘉君       宮崎 角治君    滝沢 幸助君       小沢 和秋君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君         労 働 大 臣 坂本三十次君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    平河喜美男君         資源エネルギー         庁長官     柴田 益男君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       松田  泰君         資源エネルギー         庁石炭部長   檜山 博昭君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       守屋 孝一君  委員外出席者         法務省刑事局公         安課長     則定  衛君         資源エネルギー         庁石炭部計画課         長       米山 揚城君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ————————————— 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件      ————◇—————
  2. 上坂昇

    上坂委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡田利春君。
  3. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間の関係がありまして、運輸省の方に先に質問をいたします。  今回の第二次地方交通線の問題をめぐって、貨物取扱いの場合、四線は貨物取扱廃止について特段の措置をとるということで、歌志内線幌内線、それに足尾線と二俣線の四線が除外をされておるわけであります。前に第一次線に指定をされておったのが第二次線になり、しかも二月の貨物取扱廃止についてはこれが除外をされるという経過をたどってまいったわけですが、最終的にまたこれは第二次地方交通線廃止対象線となっておるわけであります。  今、日本には十一炭鉱あるわけですが、そのうち八炭鉱北海道にあるわけであります。八炭鉱のうちそれぞれ固有の輸送線を持っておりますのが太平洋、南大夕張三井芦別であります。そして、本線に直接積み出しておりますのが赤平であり真谷地であります。残る土砂川幌内、そして空知、この三山の場合にはそれぞれ地方交通線になっており、土砂川の場合には函館本線のひげ線になっておるわけであります。そういう意味で、同質でありながら函館本線のひげ線であるという意味土砂川線は当初から全然対象になっていないのであります。  そして、歌志内線は三十八万トン、幌内線は三十万トンの運炭を図り、今日幌内炭鉱は平常に復しておりますから年間百三十万トンの生産体制に入った。したがって、この輸送量は今年は大きく上回るものと実は期待をされておるわけであります。しかも、この三十八万、四十万近いうちの大体三十万トンぐらいは、それぞれ三十万トンぐらい、合計六十万トン近くのものはそれぞれの山から苫小牧に運ばれておるという内容になっておるわけであります。  したがって、これをもしトラックに切りかえるということになれば大変な問題になるし、私自身に言わせると、国鉄線に対してももちろん国の政策が入っているわけですが、石炭政策もやはり国の政策で支えておるわけです。そういう意味で、いわば省を越えてトータルで政策的な効果というものを考えなければいかぬのではないか、こう判断しますと、他の場合、特に足尾線の場合にも問題がありますけれども、これは危険な硫酸液を扱っているという線でありますけれども、この歌志内線幌内線はそういう意味で極めて質的にも違うのではないのか。言うなれば、私は、こういう線が無造作に廃止されるとするならば、まことに芸のない、政策のないことになるのではないのかなという感じがしてならないのであります。  そういう意味で、この線については、経過からいっても特に慎重に検討しなければならぬ内容ではないかと思うのですが、この機会運輸省見解を承っておきたいと思います。
  4. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、歌志内線幌内線につきましては、特定地方交通線の中でもいわゆるバス等への転換対象路線になっておりますけれども、まず第一次線の選定から外しまして第二次線に移しております。これは石炭産業に与える影響という点を配慮しての措置でございます。  それからまた、貨物駅の廃止、五十九年二月のダイヤ改正でかなり大幅に行ったわけでございますけれども、そのときもこの二線につきましては、いずれ第二次線の転換対象路線になるという事情を配慮いたしまして存続措置ということをとっております。  御指摘のとおりでございますけれども、私どもこの二度の機会におきまして地元方々初め関係方々に申し上げましたのは、今回はいわば見送る格好になりますけれども、いずれ二次線の対象路線としてバス等への転換対象になるわけでございますから、今からその準備を進めていただきたい、今回延びたからということで安心しないでいただきたいと繰り返し申し上げてきたところでございます。  御指摘のとおり、石炭産業の危機的な状況はおっしゃるとおりでございますけれども、一方、国鉄につきましても、臨調答申の言葉によれば危機的な状況を越えまして破産状況にあるということが言われております。そういう中で、例えば五十九年度で申し上げますと、三兆円の運賃収入に対して二十二兆円の借金になっております。民間企業では考えられないことだと思います。  結局、そういう国鉄の負債は国民の負担になるわけですから、国鉄財政健全化を図るということは国家的な緊急の課題であるという指摘がございます。このために国鉄再建監理委員会が設けられまして、経営形態とこの長期債務の処理について検討が行われておりまして、来年夏にもその報告が出ることになっております。  しかし、一方では赤字が毎日出ているわけでございます。五十九年度だけでも国の補助金を出した後でも一兆七千億を超える赤字が見込まれております。こういう赤字を少しでも食いとめ、縮小させることが今日必要であるということが臨調答申でも言われております。このため、緊急対策といたしまして、地方交通線対策あるいは設備投資の抑制、それから貨物営業廃止等緊急対策を逐一実施しているところでございます。地方交通線につきましては、いわゆる鉄道特性を失った分野でございます。貨物につきましては、鉄道特性を有するものは一日当たり貨物輸送密度が四千トン以上という考え方でございます。  この二線につきましてははるかに下回る実績となっておりますので、やはりこれは鉄道特性を失った分野でございますので、他の交通機関への転移を図りたいというのが国鉄再建推進法の基本的な考え方でございまして、その場合も、ただ単にその路線廃止するということではなくて、その地域に適合した輸送形態が何かということを関係者集まって御討議を願いたい、こういうことで、地方交通線対策協議会というのを設けまして、ここで関係者相集まって討議を進めていきたいというのが私ども考えでございますので、石炭産業の置かれた実情は私どもよく理解できるわけでございますが、ひとつ国鉄の置かれている現状につきましても御理解を賜りまして、ぜひその話し合いのテーブルに着いていただきたいというふうに思っているところでございます。
  5. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、歌志内線は全道の鉄道路線の中で幹線も入れて営業指数は第何位にありますか、営業収支係数は第何位にありますか。
  6. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 ただいま第何位というところの数字まで持っておりませんけれども、五十七年度営業損益で申し上げますと、歌志内線が五億九千七百万円の赤字でございまして、営業係数は三九四%、つまり百円の収入を上げるために三百九十四円の経費がかかっておるということでございます。
  7. 岡田利春

    岡田(利)委員 あなたのおっしゃるとおり指数は三九四なんです。これは全道で函館本線に次ぐ第五位なんですよ。これより悪いところをどんどん残されて、北海道的に見れば第五位のこの営業指数の高いところを廃止されるんですよ。論理的に合いますか。いかがですか。
  8. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 御指摘のとおり、数字の点からいけば北海道全道の営業係数が大体三八〇ぐらいだと記憶しておりますので、その平均的な数値だということは御指摘のとおりだと思います。  しかし、先ほど申し上げましたように、私ども考え方は、地方交通線を選びましたときは、やはり鉄道特性鉄道が今後生きていくためには鉄道特性を有する分野に特化すべきであるという考え方でございます。したがいまして、今の歌志内線幌内線につきましては、距離も短うございますし、それから貨物輸送特性というような点から見まして、再建促進法の言いますところの特定地方交通線に該当するということで手続を進めておる次第でございます。
  9. 岡田利春

    岡田(利)委員 あなたの論理でいくと、北海道から鉄道を全部外すというようなことになりかねないわけですね。これは、全国の二二%の面積があって、しかも人口は五%しかいないわけですから、動物が乗るわけじゃないわけでしょう、人間が乗らなければいかぬわけですから、だから北海道自体としてそれぞれ線区ごとにみれば成り立たないわけですよ。だから国有鉄道になっておるわけです。  それをあなたの論理でもって外していくということになれば、隣に土砂川線があって、ひげ線なるがゆえに残って、生産規模からいえば砂川の方は今少ないわけですよ。それが残って隣の歌志内線廃止される、常識で考えてこんなこと地域の住民が理解できますか。歌志内線土砂川線は全くの隣でしょう。そうして営業指数からいえば全道で第五位にあるわけですよ。しかも現在運んでおるのは、苫小牧にほとんど行っているわけですよ、ウエートは。ですから、その線から函館本線あるいは室蘭本線を伝わっていくわけですよ。そういう内容を具体的に分析しないで、単に一定の基準があって、それに当てはめて全部一刀両断で切り捨てるという考え方については納得できないのであります。この機会に、私の今の質問について通産大臣の所感を承っておきたいと思います。
  10. 檜山博昭

    檜山政府委員 ただいまの歌志内線幌内線の問題でございますが、通産省といたしましては、これまで石炭輸送の確保の観点から、他の交通体系の整備の実情等地元状況を十分踏まえて慎重に対処するよう運輸省あるいは国有鉄道に申し入れをしてまいっております。  しかし、去る六月二十二日、この幌内線及び歌志内線につきまして第二次廃止路線として承認されたことは御案内のとおりでございまして、この両線が仮に廃止された場合には石炭輸送等に種々の影響を与えるおそれがあるということは当省としましても十分承知しておりまして、地元協議会の場におきまして、十分地元市町村等意見を尊重しながら協議が行われることを期待しております。当省といたしましても、今後とも必要に応じ運輸省連絡をとりつつ本問題に対処したいというふうに考えております。
  11. 岡田利春

    岡田(利)委員 時間がありませんし、これ以上質問しても部長から前進的答弁をいただけると思いません。今私が述べた点、そういう実態にあることはもう御承知だと思いますので、今後の協議を通じてそういう特殊性について十分ひとつ間違いのないように対応されるように希望いたしまして、この件については質問を終わります。  次に、時間がなくなってまいりましたけれども、ことしの需給動向について質問いたします。  最近、各炭鉱生産状況は非常に順調だと思うのです。したがって、当初見込みよりそのために期末の在庫というものは恐らく二十万トン程度上回るのではないか、こう私は考えるのであります。その見通しと、今政策下における適正な石炭ランニングストックというものはどの程度の量を通産省としては考えられておるか、この点承っておきます。
  12. 檜山博昭

    檜山政府委員 最近の貯炭状況でございますが、五十九年六月末現在の国内炭貯炭、これは百二十七万トンでございまして、原料炭四十二万トン、一般炭が八十五万トン、年度当初に比べまして四十万トン増加となっております。しかし昨年同期と比べますと三十四万トンの減少でございます。この年度当初からの増加は、先生指摘のように、石炭鉱山の予想以上の増産、それと発電所定期点検による一時的な需要減少によるものでございまして、今年度末の貯炭は、石炭鉱業審議会需給見通しによりますと、年度当初に比べまして十五万トン増加して百二万トン程度になるものというふうに考えております。いずれにいたしましても、今後この貯炭動向を見守ってまいりたいというふうに考えております。
  13. 岡田利春

    岡田(利)委員 炭価の問題ですけれども、現在協会側から希望価格として六百八十五円が出されて、それぞれ各方面とも折衝されておるようであります。この解決はやはり上期中に、下期に入るまでには解決しなければいかぬのではないか、こう思うのですが、いつごろ解決の目途で考えられておるか、政府見解を承りたいというのが一点であります。  二点目に、私の質問で明らかになっておりますのは、五千カロリーで九州北海道ではカロリー格差が今日あるわけであります。いわば西高東低型の配置にあるのであります。この点やはり炭価を上げる場合にカロリー格差の是正を図るという視点が大事ではないか、こう思うのですが、この点を含めて御答弁を願いたいと思います。
  14. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 昭和五十九年度基準炭価決定当たりましては、第七次答申の御指摘を基本といたしまして、石炭企業の賃金、採炭コスト状況海外炭価格動向を踏まえますとともに、昨年度基準炭価を据え置きとした事情を十分考慮しまして、石炭鉱業審議会の御意見も聞いた上で早期に適正な価格を決める考えでございます。  詳細につきましては、政府委員から答弁させます。
  15. 檜山博昭

    檜山政府委員 御質問の中に見通しお話が出ておりましたが、御承知のとおり、去る七月六日石炭鉱業審議会需給価格部会専門分科会を開きまして、この分科会におきまして石炭業界から平均六百八十五円の炭価値上げの要請が行われたわけでございます。これに対しまして需要業界の反応は、鉄、セメントいろいろありますが、業界のその業種によりまして多少の差異はありますけれども、現下の経営環境が非常に厳しいという状況から、炭価値上げにつきましては厳しいという感触がございました。それで、いつまでにというのは、大臣お話にありましたように早期に決着したいと考えておりますが、まだ海外炭値決めが済んでいないという状況もありまして、私どもとしましてはその辺をにらみましてできるだけ早期に決めたいと考えています。  なお、カロリー問題、地域差の問題いろいろありますが、その辺はこれから需要業界といろいろ話し合いを進めながら検討されるというふうに考えております。
  16. 岡田利春

    岡田(利)委員 昨年の動向をみますと、例えばフランスの場合には五万七千人の炭鉱労働者で一千八百万トンの石炭を掘りましたから、一年間に一人当たり三百十六トン掘っている、こういう計算になるのであります。イギリスの場合はどうかというと、十八万四千人の炭鉱労働者がいて一億トン若干の石炭を掘りましたから、一年間一人当たり五百四十七トンの石炭を掘ったという実績になるわけです。  そうしますと、日本の場合、これは直轄だけじゃなくして請負から全部入れても二万五千人しかいないわけです。請負から短期から全部入れて炭鉱労働者と見込んで、二万五千人で一千七百万トン掘ったとすれば、一年間に六百八十トン掘ったという計算になるのであります。フランスの三百十六トンに比べて六百八十トンですから、倍以上掘っているという計算になるのであります。イギリスに比べても一年間一人が百四十トン余計に掘っているという計算になるのであります。そして、イギリスと違って条件は非常に悪いのであります。  ですから、前回の質問の中でも、日本炭鉱労働者はよく働いておるし、鋭角的な合理化に耐えて今日一千七百万トン程度のものを維持していることは国際比較においても明確に証明されるのであります。そういう意味で、やはり今石炭賦存状態調査しているということは日本の場合には価値のある仕事である、こう私は思うのであります。  そういう意味で、基礎調査も進んでまいりましたけれども、特に昨年予算編成で大変問題になったのでありますが、今年度実施計画ではどういう決定のもとに行われる予定になっているか、この機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  17. 檜山博昭

    檜山政府委員 石炭資源開発基礎調査の五十九年度実施計画についてお答えしたいと思います。  御承知のように、石炭資源開発基礎調査は、我が国の未調査地域のうち石炭資源がかなり賦存していると推定されている有望地域について、総合的な地質構造及び炭層賦存状況等の把握を目的としまして昭和五十七年度から実施してまいっております。  調査九州北海道海域及び北海道陸域におきまして物理探査及び試錐により実施しているところでございます。昭和五十九年度海域が三地域九州が二地域北海道地域でございます。それに陸域、これは北海道だけでございますが三地域、そこにおきまして物理探査及び試錐による調査を計画しております。
  18. 岡田利春

    岡田(利)委員 そこで、先般も私若干質問いたしましたけれども、現在の合理化安定対策費は四百五億、今年度予算の三一・六%のウエートであります。来年の予算編成に当たって、今概算要求するに当たって、原油関税収入見通しは一体どの程度に見込んでいるのかというのが第一点であります。  第二点は、四百五億の中で第二次肩がわりが二十二億程度あるわけであります。これがさらに合理化安定対策費から外されるということになりますと、さらに極端にウエートが下がる。しかし、先ほど言いましたように、日本石炭は外国に比べて決して劣位にあるのではなくして大変よくやっているという状況でありますから、これを安定化させる非常に重要な時期であります。そういう意味で、先般もこういう私の質問に対して、長官から十分そういうことを頭に入れて来年度予算概算要求をつくりたいという趣旨の御発言がありましたけれども、改めてこの点について長官見解を承っておきたいと思います。
  19. 柴田益男

    柴田政府委員 先生最初の御質問の来年度原重油関税収入見通しということでございますが、現在いろいろ試算中でございます。御承知のような石油情勢でございまして石油の輸入が多くふえるという期待はちょっとなさそうで、そう多くは期待できないだろうと見通しております。  来年度予算でございますけれども、御指摘のとおり、来年度におきましては第二次肩がわり終了等により約二十二億円の当然減が生ずることは我々も十分承知しております。来年度予算をそういうものを頭に入れまして検討中でございますが、石炭鉱業合理化及び安定を図るという先生の御指摘等十分頭に入れまして、先ほど申しました原重油関税収入動向等を考慮いたしまして適切に対処してまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
  20. 岡田利春

    岡田(利)委員 最後の質問ですけれども、今年の三井有明炭鉱災害後、それぞれ原因究明に努力されているわけです。聞くところによりますと、どうしてベルトに火がついたのか、そういう意味原因究明について最終的にベルト着火試験を行って、これが既に終わった、こういうふうに聞いているわけですが、その結果は一体どうなのか、また正式の報告はいつごろに出される予定なのか、同時にまた、並行的に進められておる刑事責任問題の捜査はどういう状況にあるのか、この点について承っておきたいと思います。
  21. 平河喜美男

    平河政府委員 最初調査状況でございますけれども、三月に出されました中間報告指摘されております発火メカニズムの絞り込みのために、今ベルトコンベヤーに関与します各種機材器物等摩擦発熱試験現場付近の落炭の分析等を実施して現在評価検討を進めているところでございます。また、被害の拡大要因につきましても、火災の発見、連絡指令等、細部の事実関係詰め等調査しているところでごさいます。このような調査結果を総合的に検討分析いたしまして、最終報告書にまとまるのは九月になろうかと思っております。  それから、第二の御質問でございますけれども、責任、原因等司法捜査等につきましては、今検察庁の指揮のもとで監察局で鋭意最終捜査を行っている段階でございます。
  22. 岡田利春

    岡田(利)委員 きょう本委員会でも決議案が出され、それぞれ各党も既に意見が一致しておるわけです。その中に保安体制をより万全にするためにダブルチェックの問題があるのであります。私も前に問題を提起してあるわけでありますが、鉱山保安法の場合は、これは石炭だけではなくしてメタルの方も全部対象になるわけですから、これをいじるということになりますと大変制度的に問題があるのだと思うのです。かつて保安監督補佐員制度というものを置くのでも大変問題になった時代があるわけです。しかし、規則の方で受け入れられる面であれば、石炭関係のみを対象にする規則ですから、この面ではメタルの方に影響を及ぼさないわけです。そういう面をも考慮しながら実効の上がるダブルチェック体制というものをぜひ検討してもらいたいと思うわけであります。  これは答弁は要りません。前にも質問いたしておりますし、きょうはそういう決議もありますので、その趣旨に沿って、今言った、特に石炭鉱山関係のこういう今次災害にかんがみてダブルチェックを強化する、より具体的に実効性の上がるようなそういう方法について十分検討してもらいたいということを要望して、終わります。
  23. 上坂昇

  24. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 主として筑豊炭田をめぐるいわゆる鉱害屋と称する問題について、本委員会で二回にわたって質疑をしたわけでありますけれども、きょうは総括的な意味において、今まで検討されました通産省の対応についてひとつお聞かせを願いたい、かように思います。  まず、問題になりました第一点は、鉱害屋がばっこをする原因になった直接の問題は委任状の問題であります。委任状の問題が、単に認定段階でなくて、工事請負あるいはまた金額の見直し等にも及んで、それをまた、言うならば局も事業団も若干利用した面もなきにしもあらず、こういうことが考えられるわけであります。  また、過去に出されました委任状は、石炭鉱害事業団九州支部から「委任行為の取り扱い」という文書が出ておりますが、それによりますと、委任状モデルが書いてあるわけですけれども、そのモデルは、     委任状  私は上記の者を代理人とし、下記事項につき委任します。       記  昭和○○年○月、石炭採掘による鉱害認定された私所有の末尾記載物件につき事業団本来の業務権限を除き、復旧工事にかかわる事業団との協議に関する一切の事項こういうように書いてあるわけであります。  でありますから、認定後の交渉について、これは事業団が本来持っておる業務のほかは一切権限を委任します、こういう委任状の書き方を示しておるわけであります。ですから、これは逆に言うと、むしろ委任状の乱発を防ぐ意味において出されたんだろうと思うのですけれども、これを逆用された面があるわけであります。ですから、これら委任状についてどういう態度で臨まれるのか。これは極めて重要な問題でありますから、明確にお答え願いたいと思います。
  25. 檜山博昭

    檜山政府委員 委任状の取り扱い方針の問題でございますが、鉱害復旧業務に関しまして被害者が第三者に委任をし得る行為は、被害者から市町村を経由して石炭鉱害事業団あてに行われる鉱害復旧の申し出が市町村により受理されるまでの範囲に限定されるものであり、復旧順位の決定や業者の選定等、事業団が主体的に意思決定すべき事項に及ぶものではございません。この点につきまして従来必ずしも組織の隅々まで徹底していなかったために、本年六月十一日付で資源エネルギー庁長官から事業団理事長あてに文書で徹底要請をしたところでございます。  なお、先ほど御指摘の、昭和五十七年一月に事業団九州支部が示した委任状の取り扱い方針は、誤解を招くおそれがございますので、事業団に対しその撤回を指導する方針でございます。
  26. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、委任行為というのは市町村に認定申請をする段階までですね。それ以降はこの委任状の効力というものは認めない、こういうことですか。
  27. 檜山博昭

    檜山政府委員 御指摘のとおりでございます。  なお、鉱害復旧手続におきまして、被害者の同意を求める等事業団から被害者に対し接触を求める場合には、委任状の有無にかかわらず直接被害者に対し行うよう指導しているところでございます。
  28. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、市町村の任務というものは極めて重大なわけであります。そこで、事業団と被害者との関係は市町村が主としてその橋渡しをしなければならぬということになるわけです。私は、これは案としては非常にいい案だと思いますけれども、一体実効があるのかどうか、この点は、予算を含めて、人員を含めて、現体制で果たしてできるのかどうかという点については疑問を持つわけです。しかし、あるべき姿はこうありたいと私は思います。そこで、具体的には一体どういうように考えられておるのか、御所見を承りたい。
  29. 檜山博昭

    檜山政府委員 被害者の意向を最も身近に吸収できる立場にありますのは地元市町村でございまして、従来から、無資力鉱業権者による鉱害に係る被害者の復旧の申し出を地元市町村経由としたり、あるいは基本計画の作成に当たっても市町村長の意見を聞く等十分配慮しておるところでございます。また、実施計画の認可申請に際しましては、被害者の同意を取りつけることを原則としておるところでございます。  このように、現在の運用におきましても被害者及び市町村の意向はかなり反映される仕組みになっておりますが、今後さらに市町村がどのような協力を行い得るかということにつきまして、現在筑豊地区の代表市町村の事務当局と石炭鉱害事業団九州支部との間で検討を行っておるところでございまして、その検討結果を待って考えていきたいというふうに考えております。
  30. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは県にもそれから自治省にも影響がある問題です。あるいは、将来人員の問題とかあるいは予算の問題を伴うならば交付税にも影響がある。できれば特別交付税あるいは一般交付税の産炭地補正等で、その項目のいわば需要費として見てもらわなければならぬ問題も起こるわけです。あるいはまた、通産省の方から鉱害費の一部を市町村にいわば委任するわけですから、これは助成金を出すといいますか、そういう方法も考えなければならぬわけです。  先般私はこの席でちょうど中間市の例を引きました。中間市というのは、多くの炭鉱が閉山をいたしました後にいわば事業団代行を市がやっておるわけです。非常に順調にいっております。もちろん鉱害屋も入る余地はないわけです。ですから、発足に当たってそういうように市町村連合かなんかでやればよかったのでしょうけれども、それが今日の状態、もう麻のごとく乱れておるわけですから、市町村もしり込みをするだろうと思います。  これはひとつ鋭意努力をしていただいて、財政的な裏づけ、定員の裏づけをしてやって、そして円滑にいくようにしなければ、ただ市町村を経由するだけということになりますと、今までの例によりますと、形式的には市町村経由でありますが、事実上市町村の鉱害課が鉱害屋に頼んでおるというのが実情であります。でありますから、これは抜本的な改革になるわけですが、その決意のほどをひとつお聞かせ願いたい。
  31. 檜山博昭

    檜山政府委員 市町村との連携という点につきましては、私ども鉱害問題の解決に非常に重要なポイントじゃないかというふうに考えておりまして、現在この筑豊地区の代表市町村の事務当局と鉱害事業団九州支部との間で検討されている検討結果を待って十分考えたいというふうに思っております。
  32. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ひとつ大臣からも積極的に努力をお願いいたしたい。答弁は後から総括してお願いします。  そこで、続いて認定申請の問題あるいは殊に査定の審査の問題ですが、これはやはり合議制にすべきじゃないか。今、地域を分けて、皆単独で受け持ちを持っておるわけですね。そうして一人一人が受け持ちを持っておるわけですから、そこの職員がまず見積もりをして、あるいは見直しをする、こういう仕組みになっておる。ここにやはり鉱害屋というのが力によってそれを左右していく、介入する余地があるわけです。やはり個人というのは非常に弱いわけです。もちろん職員だけの責任じゃありません。幹部の皆さん方の責任もある。職員は一生懸命頑張ったけれども、実は上層部において、我々が頑張った線以上に支出しなければならなかったというようなことは間々あるわけです。  何にいたしましても、この認定の問題とか査定の審査というのは単独では無理だ、やはり組織で行うべきだと思いますが、その点についてはどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたいと思います。
  33. 檜山博昭

    檜山政府委員 合議制の問題でございますが、現在、認定のための被害状況調査復旧工事の査定のための家屋等の調査は、事業団、通産局、それぞれに原則として二人の担当者により行われておりまして、担当者一人のみの場合の弊害を防止しているところでございます。  今後はこれをさらに徹底させるため、事業団に対し、昨年八月設置されました鉱害復旧等申出物件審査会、これを活用するとともに、復旧手続上の意思決定は極力担当者個人にゆだねないで、組織として行うよう指導してまいる考えでございます。また、通産局におきましても、大型物件あるいは特殊物件の査定及び例外的な見直し査定につきましては合議制による審査を行う等、組織として意思決定を行う体制を整備してまいりたいと考えております。
  34. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この委員会でも非常に問題になりました例の見直し工事ですね、五百万円の査定をしておって、一千万円の見直しをする、もう常識では考えられないことが今まで行われておる。どうせ最初の査定では見直しをするのですからということで行われてきたわけであります。この見直しというのは、建設省なんかの事業は見直しなんてありません。その価格で入札をして、そうして、いわば採算に狂いがあったらそれはもう業者の責任になる。それを、次から次へ見直しをしてくるという、そして、鉱害屋が見直した金額はおれの力でやってやったんだということで、それがかなり鉱害屋の懐に入っておるというのも事実であります。  そこで、現在有資力と言われます鉱業権者ではほとんど見直しがない、見直しをやってもほんのわずかだ、こういうことも聞いておるわけですが、今後の見直しに対する取り扱い方針をお聞かせ願いたい。
  35. 檜山博昭

    檜山政府委員 査定の見直しがいわゆる鉱害屋関係で疑いを持たれ、また石炭鉱害事業団及び通産局の職員の業務量をふやす、他の業務の遂行に支障を及ぼすというようなおそれも否定できないために、査定の見直しにつきましては原則として行わないことといたしまして、所要の制度の改善を現在検討しているところでございます。
  36. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 次に、復旧工事の業者の選定、これは被害者からこの業者にやらしてもらいたいという申し出もあるでしょうし、あるいはまた鉱害屋がおれの関係する業者にやらせる、こういうこともあるのだろうと思います。しかし、果たしてこれらが厳正な工事になるのかどうか、非常に不信を持つわけであります。そこで、鉱害復旧工事に対する業者の選定はどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。
  37. 檜山博昭

    檜山政府委員 石炭鉱害事業団が施行します復旧工事に係る入札につきましては、不要工事の防止及び受注の偏りを防止する観点から、一般の公共工事と同様に指名競争入札方式を採用しておりまして、復旧工事請負規程におきましてこのために必要な規定を設け、指名業者の選定に際しましては、事業団九州支部に設けられております業者選定委員会の議を経る等、厳正な手続をもって対処しているところでございます。  これまでの事業団の制度の運用上は、被害者やその代理人による登録業者の推薦を一切受け付けない、そういう原則が確立していなかったために、結果として推薦を受けた業者のうちに指名業者となった者があったことは否定できないとろでございます。今後は、公正な鉱害復旧業務遂行のためにこうした推薦を一切受け付けない原則を確立することとしまして、現在事業団等に対し指導しているところでございます。
  38. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 次に、これは我々も非常に疑念を持つ点でありますが、従来鉱害復旧について復旧費の金額を被害者に明示してないのですね。鉱害屋には明示しているわけです。あるいは業者は、これは入札するわけですから、それは金額はわかる。ところが被害者は全然知らない。これも制度として極めておかしい話でして、こんな制度があるのだろうかと、こう思う。  純然たる公共事業なら復旧さえすればいいから何も金額は知らす必要がないと言うかもしれないけれども、しかし、被害者が復旧費を知らないという、一体どういう交渉を鉱害屋に委任したのかさっぱりわからないのですね、結果がわからないのですから。ですから、これについて本人に通知をすべきではないか、こういうように考えるわけですが、これはどういうようにお考えですか。
  39. 檜山博昭

    檜山政府委員 解体新築工事の場合と原形復旧の場合と二つあるかと思いますが、解体新築工事の場合、被害者が超過工事分に相当する費用を負担する関係上、従前は被害者または代理人から問い合わせがあった場合に工事費を知らせるというような取り扱いをしておりました。今後は御指摘のとおり、被害者の利益をより一層保護する観点から、被害者等からの問い合わせの有無にかかわらず、事業団請負業者と契約を締結した後に事業団から被害者本人に工事費を通知する制度を確立する考えでございます。  なお、被害者の費用負担を伴わない原形復旧家屋につきましては、従前どおり被害者への家屋工事費の通知は行わない考えでございます。
  40. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そういたしますと、検収はどういうふうにするのですか。解体新築というのは、これは姿が見えなくなるわけですね。前の原形がわからない。原形復旧というのは前の原形がわかりますから、これがどうなっておるか、本当に復旧されたかどうかというのは確認できる。ところが解体新築の場合は、被害者の方から金を出すわけですから原形をとどめない場合もあり得る。そういう場合に、完了検査あるいは役所として完了を認める、検収する、このことについて一体どういうようにされるのか、これをお聞かせ願いたい。
  41. 檜山博昭

    檜山政府委員 解体新築工事の場合、事業団が費用負担し得るのは原形復旧工事に相当する費用のみでございます。このため、入札は原形復旧工事の設計書に基づいて行われ、この結果に従いまして事業団請負業者は復旧工事契約を締結するわけでございます。解体新築工事の検査は、家屋につきましては御指摘のとおり原形と全く異なる建物でございますので、復旧費相当額が工事費に確実に使われているかどうか、その検査をすることとしております。
  42. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 従来、解体新築工事にまつわる問題として、いろいろな不明朗なあるいは不正な問題が起こったわけであります。しかも、金額を決めるまでに事業が始まって、気がついたときにはもう家がなくなっておる、原形がなかったというようなことはまさかないでしょうね。これは復旧費を出すわけですから、役所が金額がはっきりし入札するまでは解体をしてはならぬという歯どめはきくわけですか。
  43. 檜山博昭

    檜山政府委員 今までそういう事例がなかったとは必ずしも言い切れない点がございまして、今後はそういう事例がないように厳正な監督をしていきたい。なおまた、そういったような業者がありますれば、それは指名停止といったような措置をとりまして前のような事例がないように努力したいと思っております。
  44. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 いわゆる縦割り工事の問題です。  縦割り工事といいますとなかなかわかりにくいのですけれども、要するに後年度予算を前年度に一部食いまして、そして少し芽を出して後年度に大部分の予算を支出する、こういう制度であります。これは防衛費にもあるわけですけれども、制度に乗っているわけです。これは制度に乗っていないでそういうことが行われておるわけです。ですから、五十九年度の家屋の工事の中に、五十八年度に着工して五十九年度予算を既に食った分がどのくらいあるのかお聞かせ願いたい。
  45. 檜山博昭

    檜山政府委員 約六十億程度になっております。
  46. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 それは五十九年度予算の何割ぐらいになりますか。
  47. 檜山博昭

    檜山政府委員 全体の四分の一に相当する額になっております。
  48. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大臣、もう既にそういう乱れがあるわけですよ。少し頭を出して、そして次の年度予算を食ってしまう、縦割り工事と言っているのですが、これについては今後どういう方針でいかれるかお聞かせ願いたい。
  49. 檜山博昭

    檜山政府委員 確かに、ここ数年来この被害者及び関係市町村から家屋につきまして早期着工の要望が強く、また同一復旧順位にある家屋が多数に及んでいるために、限られた予算のやりくりとして実質的に家屋等の工事を二年度に分割して認可せざるを得ない状況が生じてきているところでございまして、この結果、翌年度の復旧費の一部がこれらの部分認可の工事に充てられて新規着工戸数が減少する等の弊害も見られております。これを一挙に全廃することは計画的な復旧の観点から困難でありますが、今後このような認可を段階的に減少させてまいる考えでおります。  また、不公正な復旧順位づけの原因であるとの疑いを持たれることのないよう、年度当初から地区別の部分認可予算を厳格に統制していくよう事業団を指導しているところでございます。
  50. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 通産局も、それから事業団にもやはりそういう長い間の慣行があるわけですけれども、通産局は、従来鉱害問題については鉱業権者が健在であったから鉱業権者と被害者の間の調整をするとかあっせんをするという仕事でよかったわけです。あるいは鉱業権者間の調整をする。ところが今やほとんどが無資力鉱害でありますのでいわば公共事業的な性格でありますから、ほとんどが国や県の支出であります。そこで、物の考え方体制というものがそういう点は確立してない、こういうように考えられるわけです。  そこで、一体通産局の中の技術屋というのはどのくらいおるのか。それから、殊に事業団の家屋関係の技術者、農地は最初から農地復旧ということで、しかも農林省の関係もありまして割合に技術屋さんはいるのです。家屋の技術屋さんというのは余りいない、あるいはいても少ない、こういうように思うのですが、その技術者の不足はどういうように考えるのか。
  51. 檜山博昭

    檜山政府委員 通産局の方でございますが、現在七十名のうち半数が技術者でございます。  それから事業団の方は、九州支部の技術者のうち建築を専攻した技術者が六十六名ございまして、現在の体制で十分とは言いがたい状況でございますけれども、研修制度の充実によりこれら職員の能力の向上に努めるとともに、特別な物件につきましては外部の専門家を積極的に活用することを検討するよう事業団を指導しているところでございます。
  52. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 この鉱害復旧法は御存じのように時限立法でありまして、職員の身分が不安定であります。しかも命がけの仕事をしなければならぬという使命を持っておるわけであります。単なる指令その他ではなかなか動き得ない、でありますから相当身分保障をしてやらなければならないと思います。ちょうど本委員会昭和四十三年の四月二十三日に附帯決議があるわけであります。それには「石炭鉱害事業団の発足に当たっては、職員の身分、労働条件等に不利益を生じないよう十分な対策を講ずること。」というふうに出ておるわけです。これらの問題についてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。  最後に大臣から総括をして、この鉱害の問題についてどういう方向でいかれるか、その所信を承りたいと思います。
  53. 柴田益男

    柴田政府委員 事業団の職員には、事業団の任務の重要性とその置かれた環境を十分に認識し、適正に業務を運営していくことが期待されるところでありますが、将来の処遇に関しまして職員が不安を感じ、このため業務の遂行に支障を来すことがあればゆゆしき問題であるという認識をいたしております。  事業団は、御指摘のように時限立法たる石炭鉱害賠償等臨時措置法に基づき設立された特殊法人でございまして、法廃止期限の到来とともに解散することとなっておりますが、その場合の事業団職員の身分を現時点において保障し得るものではございませんが、廃止時における職員の立場が著しく不安定なものとならないよう、他の政府関係機関等の協力を求めまして、職員の習得した技能等を生かした雇用機会を確保するよう努力してまいる所存でございます。
  54. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 通産省といたしましては、本年六月十一日に、関係通産局長及び石炭鉱害事業団理事長に対しまして、綱紀の保持並びに業務運営のあり方の見直し、またその結果を踏まえた適切な対応措置の実施等を指示いたしたところでございます。  現在、これらの改善措置につきまして、準備ができたものから逐次実施に移しておりまして、今後、通産省及び石炭鉱害事業団が一体となりまして、公正な鉱害復旧の実施に万遺漏なきを期してまいる所存でございます。
  55. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ひとつ今までのいわば因襲、悪い慣行を一掃して、相当な決意を持って通産省は当たっていただきたい、こういうように要望をしておきます。  次に、時間もございませんが、一括して、産炭地の振興の問題についてお聞かせ願いたいと思います。  産炭地の中でもいろいろありますけれども、私たちがおります筑豊地域というのが産炭地の中でも特に深刻な問題を依然として抱えておる、こういうように考えるわけであります。そして、いわばいろいろな制度によって購買力を生み、町が支えられておるというのが遺憾ながら現状です。石炭の後遺症で食っているという状態ですね。  ですから、私どもがいろいろ見ますと、例えば失対事業——失対事業の中には、緊急就労、開発就労、これは石炭特別会計でありますが、それから、労働省の一般予算から一般失対、特開、これらの予算があるわけですけれども、事業費のほかに市町村の支出もございますから、国の予算が大体二百三十七億ですから、あるいは実際四百億を超えるのではないかと僕は思います。それから、鉱害が筑豊に約五百億。  それから、意外に思いましたのは厚生年金ですよ。厚生年金が、筑豊といいましても、田川郡市、嘉飯山、直鞍、この地域、直方の社会保険事務所でありますが、五十七年度に保険料が約百三十九億、給付費が四百二十八億ですから、保険料の三倍の給付をもらっておる。しかし、今問題になっております緊就あるいは開就、一般失対の人々は、ほとんど厚生年金の資格はありません。でありますから、そういう状態の中で、生活保護は御存じのように非常に膨大でありまして、やはりこれが、今申しました地域で五十八年の三月で四百二十三億ぐらいある、こういう情勢の中で生活が営まれておる、こういうことであります。  そこで、産炭地振興についてもう少し質問したいのですが、今非常に不安なのは、失対というのが、あるいは一般失対六十五歳といういわば報告書が出ておる、それが六十五歳から打ち切られると大変だという不安が出ておるわけです。この前、雇用保険法の審査をしましたときに、労働省は、六十五歳までは労働省、それ以上はひとつ厚生省というような、いわば雇用保険は六十五歳以上は加入させないのだという法案が出ましたから、我々議会では、そんなばかなことはない、今、年金受給者が成熟していない、現実に失対事業に働いているのは厚生年金をもらっている人あるいは資格のある人はほとんどいない、こういう状態ですよ。それはそうでしょう、失対事業が相当続いておるのですから。ですから、そう画一的に六十五までは労働省、六十五以上は厚生省という役割分担は不可能であるし、また不適当であるというので修正案を出しました。六十五歳以上も保険をもらえるようにしたわけであります。  そういう中で、また上山田線という、各ローカル線が全部廃止になるのですが、上山田線というのが廃止になれば、一番筑豊の南に、奥地に位する山田市、そういうところはもうなくなるわけです。町が全く崩壊をする。かつて三万数千いたのが今一万五、六千ですから、それがさらに落ち込んでいく。でありますから、これは例の産炭地振興のいわば生活権として、この地域は福岡、それから私ども指摘をしておりましたように、北九州は筑豊の東、こういうことでありますが、この北九州がまた牽引車にならない、現在、北九州が失業の町になっておる、こういうことで非常に乱れるわけです。そこで、一体、上山田線の存続をどうするか、どういうようにやるのかというのも一つ大きな問題になっておる。  こういう点を踏まえて、二点ですが、労働省と国鉄、それから産炭地振興の点から通産省はどういうように考えるのか、お聞かせを願いたい。
  56. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 私どもで現在筑豊地区で各種の就労事業をやっておりますが、これは先生承知のように交付金、いわゆる補助金総額で約百七十億を超える額でやっておりまして、年間の延べ吸収人員は二百五十五万人程度でございます。私ども、この事業につきましては、当面、事業そのものは継続実施をせざるを得ないかというように考えておりますが、御承知のように、ついせんだっての閣議了解で、非常に厳しい六十年度の概算要求基準も出ておることでございまして、今後どのようにこの事業を進めていくかというのは、慎重に検討をすべき問題があろうかというように考えております。  特に、六十五歳問題について、今先生、雇用保険との絡みも御指摘がございましたが、私ども昭和五十五年に出ました失対制度研究会の報告の基本方針を踏まえて、近々この事業を、我々労働省が労働政策としてこの就労事業をやっておりますので、その面からの見直しはやる必要があるというように考えております。そのときは、やはり基本としては、六十五歳というのが非常に重要な意味を持つというように考えざるを得ないと考えております。
  57. 檜山博昭

    檜山政府委員 上山田線の問題あるいは北九州市が筑豊地域振興の牽引車たり得るかというようなお話がございましたが、上山田線につきましては、これが仮に廃止されるとすれば産炭地域振興に種々の影響を与えるおそれがあることは私どもも十分承知しておりまして、地元協議会におきまして十分地元意見を尊重しながら協議が行われることを期待しております。  当省としましては、従来から運輸省に対しまして、上山田線を含む産炭地域路線の選定、承認に当たっては、地元意見を踏まえて慎重に対応するよう要請してきたところでございますが、今後とも、必要に応じ十分運輸省連絡をとりつつ本問題に対処する所存でございます。  それから北九州市の問題でございますが、やはり北九州市は百万の人口を有する都市でございまして、かつ、工業も集積しているところでございまして、筑豊内陸部の田川、直方方面から就業者を多数吸収するなど、筑豊地域の経済に大きく貢献しているところでございます。さらに、同市周辺の道路の整備等に伴い、同市の周辺におきましてベッドタウン化が進み、新しい形での発展を周辺部に及ぼしているところでございまして、同市は福岡市とともに筑豊内陸の振興に関し大きな役割を果たしてきているところでございます。今後とも同市がそのような役割を果たしていくことを強く期待しているところでございます。
  58. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 上山田線につきましては、いわゆる旅客の輸送密度二千人未満の線を特定地方交通線の中でも選定いたしましてバス等への転換のための手続を進めておるところでございますが、五十七年度実績を見ますと、この旅客輸送密度は七百二十人となっております。営業損益としては……(多賀谷委員「時間がないから結論だけでいいです」と呼ぶ)はい。  そういう状況でございまして、今後、地元協議会を開催いたしまして、個々に関係地方公共団体などの参加を得まして協議をしながら、地域意見を十分反映しました利用しやすい交通機関を整備するという方向で進めてまいりたいと思っておりますので、いわば地域振興対策の一環として、交通網整備という観点で私どもも取り組んでまいりたいと思っております。
  59. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 質問を終わりますけれども、時間がありませんが、一つ最後に要望しておきます。  それは、大臣、やはり石炭特別会計の予算の確保というのが一番重要な問題です。  それから、今それぞれ答弁がございましたけれども、極めて不満です。また別の機会に就労問題あるいはこの鉄道の問題は質問をいたしたい、かように思います。これで終わります。
  60. 上坂昇

    上坂委員長 宮崎角治君。
  61. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今年一月十八日の有明鉱の大惨事、この事故よりはや六カ月余り経過をいたしました。本委員は、三月十六日、七月十一日、そして本日八月二日と三回にわたって、あの欠陥視されております、また常備を義務づけられておりますCOマスクについての解明を厳しく今日までチェックしてまいったわけでありますが、その間、担当の局長は退任をされ、また栄転をされ、当時の課長は退任をされ、また栄転をされるという極めて人事の異動がある中で、新しい平河局長等々に再度、また再三、この問題についての解明をしたいと思いますがゆえに、納得のいく答弁を要求しておきたいと思うわけでございます。  前回に引き続きまして、COマスクのことについて質問をいたしたいと存じます。  私は、先ほどもお話し申し上げましたように、七月十一日の本委員会で、一九八〇年に西ドイツの鉱山保安委員会が、重松製作所製のCOマスク、SR30でありますが、たまたまきのう通産省より現物をお借りしておりまして、ここに持ってきたこのマスクでありますけれども、このSR30型を手に入れて検査をしていたのではないかということを質問いたしましたが、前回の答弁ではその点についてはっきりお答えがありませんでした。何回も聞かないでよいように答弁期待するものでありますが、もう一回今回お尋ねしたいのでありますけれども、一九八〇年に西ドイツの鉱山保安委員会が検査をしたのは事実でしょうね。その点から。
  62. 平河喜美男

    平河政府委員 COマスクの点でございますけれども、現在私どもの方で配備させておりますC ○マスクは、鉱山保安法に基づきます型式検定及び抜き取り検定に合格したものでございまして、その点、欠陥とは言えないと思いますし、その性能を十分果たすものとして、現場で引き続き携帯しております。  今先生の御質問の、西独で一九八〇年に検査をやったのではないかということにつきましては、私ども、ことしの四月二十六日付で向こうを発信されまして、五月にこちらの特定の個人あてに来ました手紙の中で、昔試験をやったということを聞いております。
  63. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ということは、四年前の検査のことはこのコックさんの手紙で初めて知ったということですね。
  64. 平河喜美男

    平河政府委員 さようでございます。
  65. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 では、その手紙はなぜ来たのでしょうか。通産省が問い合わせをしたから来たのでしょうか、自主的に向こうからぱっとあなたの方に来たのでしょうか。  検査結果については、詳しいデータとかあるいは検査に至ったプロセス、経緯などは書かれていなかったのですか。
  66. 平河喜美男

    平河政府委員 ただいま御指摘のコックさんの手紙は、向こうからの話によりますと、日本の新聞等で三池の事故を知り、そこでCOマスクの問題が議論されている、そういうことを聞いて手紙を出します、こういう趣旨だと聞いておりまして、私どもの方から質問はしておりません。  それから、一九八〇年に試験をいたしました詳しい経緯等につきましては、特に触れておりません。
  67. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 もう一つ再度お尋ねしておきたいと思いますが、後でこれが隠ぺいじみたようなことになっていたら大変でございますから、ひとつ正確にお答え願いたい。  では、どこがその検定試験を依頼したのか。それは通産省ですか、重松製作所ですか、あるいは民間ですか、その点について。
  68. 平河喜美男

    平河政府委員 私どもはその点については何も知りません。
  69. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 では、西独から、だれかが頼んだから勝手に手紙が来て、そして、西独の規格に合わないというだけで詳しいデータも添付されていない、そんな子供の手紙みたいなことで通産省だって納得できないでしょう。どうなんですか。詳しいデータとか検査に至った経緯を問い合わせたから来たのじゃありませんか。その返事についてはどうなんですか。
  70. 平河喜美男

    平河政府委員 先生の御指摘のとおり、その経緯、詳しいデータ等がございませんので、私どもは今後調査団を派遣して十分その点を調査してみたいと思っております。
  71. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 西独からの勝手なコックさんの手紙のようでございますが、それは通産省だけなんですか。それともほかにまだ省関係の外郭団体とか公資研とかあるいは技術研究所とか、詳しく説明願いたい。
  72. 平河喜美男

    平河政府委員 同様の書簡が、通産省のほかに公害資源研究所及び石炭技術研究所の担当者あての私信で送られているというふうに理解しております。
  73. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 公的に来たということに解釈されるわけでありますが、その三機関に来た公的な文書として、この委員会でその内容あるいは規格に合わないというだけで一行で終わったのか、あるいはここで公開できないからそういった答弁がむずむずしているのかよくわかりませんが、この辺についてのもう一遍の解明をひとつ。  それから、それはドイツ語で来ているのでしょうね。英語なんですか。どうなんですか。
  74. 平河喜美男

    平河政府委員 コックさんから担当者あての私信でございますから、ドイツ語でございます。
  75. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは今度は、災害後、どこかを経由して、どこかに依頼をして、どこかを窓口にしてこういった問題についての問い合わせをしたようなニュアンスの答弁を先般は聞いたわけでありますが、これについてもう少し詳細に答弁を求めたいと思います。
  76. 平河喜美男

    平河政府委員 ジェトロの現地の調査員にいろいろ調べさせております。
  77. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 私は、本当に通産省のエリート集団である皆さん方が、こういった問題についてなぜジェトロを介さなければならないのかということが一つと、非常にドイツ語や英語に堪能な人が通産省はいるのじゃありませんか。それで、そういった方々を介して直接あなたの方から西独の方へ問い合わせをして、この欠陥視されているマスクについての解明を本当はあなたの方でやらなくてはいけないのじゃないですか。その点についての決意などというのはどうなんですか。
  78. 平河喜美男

    平河政府委員 たまたまジェトロの現地調査員が通産省から出向した男でございまして、ある程度鉱山のこともわかっている人間でございますが、先生指摘のように、詳しいことを調べるためにはやはりこちらの専門家を直接派遣していろいろ具体的に調査する必要があろうかと思っております。
  79. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 どうも先ほどからの答弁で私は非常に納得しがたい問題があるわけでありますが、四月に発信されて五月の何日かに通産省ほか二機関に来たということでございますが、これは勝手に来たような大体ニュアンスの答弁であります。また、内容的にはデータの添付もないようなニュアンスのようでありますが、再度お聞きいたしますが、その内容については公開できませんか。
  80. 平河喜美男

    平河政府委員 概要をかいつまんで御説明いたしますと、まず第一点が温度の測定方法の変更について触れております。この前も御説明いたしたかと思いますけれども、西独における温度測定につきましては、熱電対にてピーク時の温度を計測するという計測方法に変えております。それから第二は、高温空気の呼吸テストをやったということが触れてございまして、その場合に熱電対計測による百度の吸気について、不快ではあるが我慢し得る程度であったということに触れております。それから、西独は一九八〇年に持続時間を六十分から百二十分に変更したということを書いてございます。それから四番目に、西独の研究所によるテストによれば、日本製のCOマスクは西独の新しい基準を満足しないところがあるということを書いてございます。
  81. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 極めて重大な指摘をやっているのですね。これは大変なことを——きょうは真摯な立場で、そしてまた本当に誠実な答弁として受けとめたいと思いますが、そういう重大な指摘を持った手紙が来ている。初めてわかった。その四番目の問題が一番問題。西独の規格に合わない、要言すれば不適格品であるとこのことは言明しているのです。その規格に合わないものを、しかし、我が方ではもう既に五年前以前の規格でもって答弁をやってきている。今度の問題で初めてわかった。通産省はそういう時代おくれのことをしてはいけない。非常におくれている。  さて、その四番目の問題の不適格製品であるがゆえに——私の調査ではただ一企業にこれをつくらせている。その一企業の重松製のCOマスクというのはドイツの規格からいけば欠陥である。外国にもこのマスクが輸出されている、このように聞くわけでありますが、この点どうなんですか。どの辺ですか。東南アジアですか。中国、韓国、どちらですか。その上で聞くのですから、はっきり説明願いたい。
  82. 平河喜美男

    平河政府委員 向こうの基準日本基準は違いますから、どこでどう違ったかというのを確認しないと欠陥と言えないと思いますけれども、これは今後私ども十分検討したいと思っております。  それから、輸出につきましては、重松製のものが韓国と台湾の二カ所に輸出されております。会社側の報告によりますと、韓国に五十八年度に二百五十個、本年度は七月現在で四千四百四十個、また台湾については、五十四年度に出ておりますけれども、その後はないようでございます。
  83. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 四千七百個輸出されているわけですね。これは日独の規格が違うと言うけれども、現実に今日本にはこれしかない、これが最良なんだということで、千二百グラムのマスクを常備ということになっているわけでありますが、この欠陥マスクを外国に輸出しているということについては、それは大変なことで、通産省としてはここで大きな目を開いてもらわねばならぬのではないかと思うわけでございます。極めてゆゆしい問題ではないかと私は察知いたしますがゆえに、今後のひとつ通産省の姿勢、局長は十分この点についてのチェックをしていただきたいと思うわけであります。  さて、前回の委員会の後に、通産省の当局はこういった問題に関する対応として何点か挙げておられるようであります。それぞれ局として課として鋭意この問題の解決に努力し、その対応が見えるわけでありますけれども、この場で再確認という意味からひとつ答弁を求めたいと思うわけであります。  まず一つは、COマスクのJIS規格の見直しについてでありますが、どのような対応策をとっていかれるのでしょうか、解明をひとつ求めたいと思います。
  84. 平河喜美男

    平河政府委員 JIS規格につきましては、見直しを行うべく既に工業標準調査会に対してその旨七月に諮問をいたしております。
  85. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 二つに、西独の情報収集についてはどのように進めていかれるおつもりですか。
  86. 平河喜美男

    平河政府委員 詳細な向こうの事情を調べるために、専門家を派遣する予定にしております。現在メンバーの選定等を行っておりまして、夏休みが終わります九月上旬にも派遣する予定でございます。
  87. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 COマスクの検定機械は、この前の答弁からいたしますと筑波に移るときに廃棄したということで、新たなこういった検定機の購入に入る方針を打ち出されたようでありますけれども、今ないわけですね。それで、こういった機構とか性能試験を今後どのようにして行っていくのか、どこでやっていかれようというお考えなのか、ひとつ定かに答弁を求めたいと思うわけでございます。
  88. 平河喜美男

    平河政府委員 公害資源研究所におきまして試験装置の整備を今進めているところでございまして、十月下旬には完了する予定でございます。
  89. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それから、携帯用の酸素マスク、COマスクでなくて酸素マスクの開発については、これはまた大惨事前からいろいろなプロジェクトを組んで省として頑張っていらっしゃるわけでありましょうが、この開発については、いつまでに実用に耐えるマスクの開発をなさるつもりなのか、現場でいつから着装されて使用できるような方向にあるのか、ひとつ定かに答弁を求める次第であります。
  90. 平河喜美男

    平河政府委員 酸素マスクの開発状況につきましては、現在過酸化カリ方式及びボンベ方式の二方式を検討しております。スケジュールにつきましては、五十八年度に開発方針の作成、概念設計を行っておりまして、今年度以降試作を行った後、試作マスクにつきまして機構、性能試験等のテストを行い、さらに現場携行試験等を行った結果を踏まえまして、実用化を図るべく進めていきたいと思っております。
  91. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今後の方向として、このCOマスクが、いよいよアメリカも酸素マスクに切りかえるし、我が国としてもCOから酸素へのいろいろな移行体制のプロジェクト、あるいはまた、西ドイツはいろいろな規格の検定の基準のいろいろなチェンジ、世界各国こういった人命に関係する重大なマスクについては、非常に速いペースで研究開発が進められているわけでございます。  こういう中で、人命尊重の立場から使えるマスクの開発、なかんずくただいま開発中であります酸素マスクの開発、これは私も先般マイナス六百五十メートルの高島坑に入坑いたしまして、実際これを着装しながらやったわけでありますが、一・ニキログラムでございますから、初めはそう大したことはないわけでございますけれども、就業を終えて帰るときにはやはりかなり疲労も感じるわけでございます。今後の方策として、例えば籠居する場所あるいはステーションといいますか、その辺にきちっとこれを置いておって有事のときに使えるというような、そういった指導方針というのが打ち出されないのかどうなのか。あるいは酸素マスクの開発において、今後、どこかに置いて直ちに有事の場合にそれを着装できる、そういう体制、そういう着装の教育指導、この辺についての方針なり所信なり見解を求めたいと思うわけでございます。
  92. 平河喜美男

    平河政府委員 COマスク及び酸素マスクの性能及び常時携行するという問題につきまして、いろいろ一長一短ございます。先生指摘のように、炭坑内におきます災害状況に応じまして、うまく救済ができますように、総合的な対策も別途我々としては検討しておるところでございます。
  93. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 いよいよこの問題が大きくクローズアップされて、局としても、来月——あしたまでコック委員長はバカンスであります。夏休みであります。いよいよ九月に何名かを現地に派遣され、世界各国のこういったマスクについての研究調査をされるような方針のようでありますが、その結果については、再度また次の委員会でパンフレットなり経過報告なりを求めたいと思うわけでありますが、それは可能でありましょうか、どうでしょうか。
  94. 平河喜美男

    平河政府委員 調査しました結果につきましては、なるべく適当な報告書をまとめて報告したいと思っております。
  95. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 本日はっきりと四項目の問題あるいは今後の対応の問題等々が打ち出されたわけでありますが、四千七百個も東南アジアの方面に出されているこのマスク、私はこの辺でもう少し局としてあるいはまた通産省として、今回第三十六代目の通産大臣になられた、そしてまたすばらしい通商産業省のビルが改築された中における通産大臣として、今日までのこのマスクの問題にかかる重大な指摘、そして外国は既に進んでいるこの検査実験の結果、さらに我が国で山の人たちが使っているこのマスクの問題、さらには安心して使えるであろう今後の酸素マスクの開発等々について、最後に、大臣の今回のこの一連の問題についての見解あるいは今後の御決意を伺っておきたいと思うわけであります。
  96. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 今後、調査団等を海外に派遣いたしまして積極的な情報を取り入れ、性能の改良の余地があれば大いに努力してまいる考えでございます。
  97. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 よろしくお願いしまして、質問を終わりたいと思います。
  98. 上坂昇

    上坂委員長 小渕正義君。
  99. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほどの質問の中にも触れられておりましたが、現在の貯炭量について、結果的には、これは前年度ですか、十五万トン増の百二十万トンくらいに落ちつくだろう、こういうふうな説明がありましたが、この百二十万トンの貯炭というのは、ここ最近の三、四年間における数値から見てどういう位置づけになっているのか、ちょっとデータが私の方になかったので、その点、そういった状況についてお尋ねいたします。
  100. 檜山博昭

    檜山政府委員 最近時点の貯炭量につきましては、先ほど先生指摘のとおり、五十九年六月末現在百二十七万トンでございまして、原料炭四十二万トン、一般炭八十五万トンでございますが、過去の二、三年の例で申し上げますと、大体国内炭の在庫の推移でございますが、五十七年度末百十四万トンでございまして、五十八年度末が八十七万二千トン、最近時点で四十万トンばかりこの年度末からふえて百二十七万トンということになっておりますが、五十九年度六月時点を前年の同月で対比してみますと、前年の六月は百六十一万トンでございますので、前年六月から比べますと四十万トン近い減になっているという状況でございます。
  101. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうしますと、それぞれの前年度同月をどこに見て比較するかということになるわけでしょうから、総量的な比較で一応見詰めておらなくてはいかぬと思いますが、その問題点についてはまた後日御質問いたすことにしたいと思います。  こういう状況の中で、いつも言われているわけでありますが、国内炭優先の引き取りという形の中での、これは第七次政策の中にも触れられておるわけでありますが、そういう具体的なこれらの問題についての行政指導というものを実際にはどういう形で今日まで行われておるのか。私どもの感じでは、言葉だけに終わって、結果的には強力な国内炭優先引き取りというような行政指導が行われておらぬのじゃないかというような懸念も実は持っているわけでありますので、これらの行政指導の状況について、もう少し具体的なものとして御説明いただきたいと思います。
  102. 檜山博昭

    檜山政府委員 御指摘のとおり、国内炭優先引き取りということで私ども行政指導を行っておりますが、この国内炭優先引き取りは輸入割り当て制度の運用において担保をしているところでございまして、具体的には、半期ごとに事前に各石炭需要者から石炭の全需要量及び国内炭需要量につきまして報告を受けておりまして、この結果、国内炭需給から見て適当であると認められれば、当該期の需要量から国内炭需要量を差し引いた残りを輸入割り当て量として承認しておるところでございまして、現在の貯炭量、先ほど申し上げましたように百二十七万トンということでございますが、これは石炭鉱山の予想以上の増産と発電所定期点検による一時的な需要減少、いわば季節的な要因も重なってそういうふうな状況になっているということでございます。
  103. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 要するに、需要家側からのそれぞれの半期ごとの需要量の見通しですか、そういうものを一つの基礎にして、その数値を基準にしながらあとの残りの海外炭の割り当てを行っている、こういうことですね。そうしますと、その需要量の見通しといいますか、それぞれの需要家側の状況によりましょうけれども、そこらあたりの需要家側が出す需要量の見通し等について、通産省として、これはちょっと数量的にどうなのかな、これはちょっとおかしいんじゃないかな、そういった形での何らかの通産省なりの一つの見解をお持ちの中で、需要家側から出されるそういった数値というものを改めて見直してみるという作業は当然行われているというふうに受けとめるわけでありますが、その点はいかがでしょう。
  104. 檜山博昭

    檜山政府委員 石炭需給見通しにつきましては、御承知のように毎年度石炭鉱業審議会におきましてこういった見通しを決めておりますが、それぞれの需要部門別のトータルでこの需要見通しというのはつくっておりますけれども、この過程では、個々の需要者の需要というものを積み上げて、そしてこの全体の見通しというものをつくっているわけでございます。
  105. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 わかりました。その点は一応の状況として理解いたしておきます。なお、いろいろの問題については、また後の機会に譲りたいと思います。  それからお尋ねいたしますが、我が国の一次燃料の中における石炭の占める割合は現在どの程度の数値になっておるのか、でき得れば五年ぐらい前からの数字を、手元にございませんので示してほしいと思います。
  106. 柴田益男

    柴田政府委員 一次エネルギー総供給に占める石炭の割合につきましては、昭和五十五年度、一九八〇年度になりますけれども昭和五十五年度におきましては一六・七%でありましたが、五十六、五十七年度と一次エネルギー総供給量が減少する中でその割合は増加してまいりまして、五十六年度が一八・〇%、五十七年度が一八・五%というふうに増加いたしております。五十八年度におきましては、一次エネルギー総供給量が大幅に増加したことによりまして逆に一七・七%とその割合は減少しております。ただ、絶対量について見ますと、五十八年度は原油換算で七千三百三十万キロリッターということで微増しておりますが、ただいま申し上げましたように、五十八年度の割合は一七・七%というふうに減少しているという状況でございます。
  107. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 七八年の少し古い数字ですけれども、この中で見ますと、石炭が占める割合は約一八%というふうに出ておるわけです。これは石油が七四、天然ガスが五、水力、原子力が三ということになっておりますが、この傾向から見ますならば、七八年から現在まで五年以上経過している中で、依然として、どちらかというと減少傾向になっているような感じもしますが、長期エネルギー需給暫定見通し等のあれからいきましても、将来急激な数値の異動というのは考えられぬにいたしましても、石炭がエネルギーの中で占める割合を逐次増加させていこうという傾向から見ますならば、まだそういった数字が出ないのはおかしくないのかどうか。  私どもから見ますならば、そういった漸増傾向がそろそろ出ていいのじゃないかという気がするわけでありますが、そこらあたりはどういうふうな状況でこういう数字なんでしょうかね。少しそこらの点について、そういった問題を中心にして御説明いただければと思います。
  108. 柴田益男

    柴田政府委員 石炭の一次エネルギーに占める割合につきまして今先生の御質問の中で、一九七八年、五十三年については一八%と先生おっしゃったかと思いますが、我々の統計によりますと、一三・七%でございまして、現在よりまだ低い数字になっております。ただ、長期需給見通しによりますと、昭和七十年度、目標年度石炭の比率は一八%ということでございまして、現在の数字がほぼ変わらないというような見通しになっております。  全体のエネルギーが若干ですがふえていく中で、中心になってふえてまいりますのが原子力あるいはLNGでございまして、石炭も絶対量はふえてまいりますけれども、比率は今とほとんど変わらない、そういうような内容になっておるわけでございます。
  109. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほど私が申し上げましたこの数値の資料は電発が出しておるパンフレットの中に出ておった数字なんです。だから、これはとり方がいろいろあるのでしょうけれども、念のためにその点だけ申し上げておきます。  次に移りますが、現在、石炭産業に対する政府の助成策の中で石炭鉱業安定補給交付金制度がございまして、それぞれ石炭経営の自立のための政府助成が行われているわけであります。これについてひとつその総枠、五十九年度も若干のあれがあっておりますが、この助成のための交付金の総枠、こういったものは、どういう考え方でこの程度という形で総枠が決められたのか。もちろんこの安定補給交付金というものが多ければ多いほどいい、そういう理屈じゃなしに、何らかの一つのめどといいますか基準考え方があって初めてこれは設定されたものだと思いますが、その基本となるべき大枠、総枠、これはまず何を目安にしてこういう数字的な金額が出されてきたものか、その点をまずお尋ねいたします。
  110. 檜山博昭

    檜山政府委員 石炭鉱業安定補給交付金でございますが、これは石炭鉱業の経営の安定を図るため、各炭鉱の置かれた自然条件、立地条件に応じた一定の単価を乗じた金額を交付するという制度でございまして、昭和五十九年度におきましても各炭鉱の坑内掘りによる生産数量の見通しに基づきまして予算を確保したところでございます。各石炭企業への同交付金の交付は、四半期ごとに前期の坑内掘りによる生産数量を基準として行っているところでございます。
  111. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 その生産数量を基準として決められることはわかります。だから、その生産数量を基準として決められるけれども、その生産数量基準の中で、例えばこの補給交付金というのはそのうちの何%以上はちょっと助成するわけにいかぬだろうとか、どれぐらいの割合までは何とか考慮されていいんじゃないかとか、そういうものが何かないことには、ただお金があったからやるとかいうことじゃないと思うのですね。そういう意味で、何がそういう考え方の基礎になっているのか、そこらあたりをお尋ねしておるわけです。
  112. 檜山博昭

    檜山政府委員 坑内掘りの生産量にそれぞれ先ほど申し上げました自然条件あるいはその炭鉱の置かれた立地条件、これによって一応の単価ができておるわけでございます。御承知のとおり、例えば石狩炭田の急傾斜炭鉱でございますと一トン当たり千四百円という単価が決まっておりますから、それにその坑内掘りの生産量を掛けた金額がその当該炭鉱に交付される、こういうふうな建前になっておるわけでございます。
  113. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いや、それはわかっておるのです。私の質問の仕方が悪いのですかね。要するに、今例を出されたのはトン当たり千四百円かかっておる。それに対して何分の一、例えば五百円程度の分だけは交付金として見ていこうじゃないかとか、八百円ぐらいは見ていってもいいんじゃないかとか、いろいろ議論があるでしょう。だから、そういう金額の決め方は、ただ何らかの形でお金を出せばいいということで決めておるわけではないでしょう。そのところの一番基本になるものは何かということを聞いておるわけです。
  114. 檜山博昭

    檜山政府委員 むしろ私の方の御説明がちょっと不十分だったと思いますが、この補給交付金のトン当たりの単価の構成でございますが、まず坑内加算ということで緩傾斜の場合二百円、さらに内陸輸送というような点で加算され、最後に急傾斜加算という形で石狩内陸の急傾斜の場合には千四百円、そして例えば石狩内陸の急傾斜でない炭鉱につきましては六百五十円というような単価が決まっていまして、それにその当該炭鉱の坑内掘りの生産量を掛けたその金額が交付される、こういうことでございますが、よろしゅうございましょうか。
  115. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほど言われた一トン当たり千四百円というのは、これは補給交付金の金額ですね。私がお尋ねしているのは、要するにいろいろ項目があるでしょう。内陸がどうだとか急傾斜がどうだとかいうことで出されているのはわかりますが、そのもとになる、そこのそれぞれの生産コストに対して何%程度を交付金として見ようかというような、何かそういうものがあるのでしょう。ただ石炭会計でお金がこれだけあるからこれをやろうということじゃないと思いますね。安定補給交付金の総枠というものは、やはり生産コストに対してトン当たりどの程度の部分だけは何とか補給交付金として交付して助成策を図ろう、そういうものがまずベースにないことにはいかぬのじゃないですか。だからそこらあたりが、どういうような考え方で安定補給交付金という制度が設けられたのか、まずそこのベースになる考え方をお聞きしておるわけです。  だから、例えばもらう側、言葉は悪いですが、受ける側から見れば、生産コストの中で今これが何%ぐらいになっておるのかわかりませんけれども、いま少しの分を見てほしいということが当然出てくるかもわかりませんね。しかしそれに対して、少なくとも今のこの制度では生産コストに占める割合の中でこの程度以上は見れぬのじゃ、それは見るべきでないのである、何かそういったものがないことにはこの制度というものはまずでき上がってこなかったんじゃないかと思うのです。だから、この制度をつくり上げたときにベースになる、そういう基礎となるべき考え方は何かということを聞いておるのです。わかりますか。
  116. 檜山博昭

    檜山政府委員 この基礎になる考え方は、やはり炭鉱の置かれた自然条件、それと立地条件が非常にコストに影響する、急傾斜の炭鉱ですと非常にコストがかかる、あるいはその自然条件で内陸の場合には輸送コストその他、そういった点でコストがかかるというようなことから、それぞれに石狩急傾斜の場合は千四百円というような、あるいは非常に内陸で、石狩内陸のその他の炭鉱の場合は六百五十円、あるいは石狩でない地域の緩傾斜、三池、太平洋そういったところは二百円と非常に少ない額になっているわけですが、その基本となる考え方は、やはり自然条件あるいは立地条件によってコストが変わる、そういうことでこういった補給交付金の単価というものを決めているわけでございます。  なお、全体の中でどのぐらいの割合になるかという点につきましては、いろいろ炭鉱によって違いますが、今山元で例えばトン当たり一万八千円というようなことでありますと、それでこの補給交付金の額を割っていただきますと大体一割弱あるいは少ないところでは数%、こういうふうなことになろうかと思います。
  117. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私が聞いているのはそうじゃないのですよ。私の聞き方が悪いんですかね。それとも意識的にそういうふうに言われているんですかね。  それでははっきり申し上げますが、ことしの分は八十七億二千四百万でしょう、この石炭鉱業安定補給交付金の総枠は。財源が許せば百五十億でもくれと言ったらいいわけですか、そうじゃないでしょうが。だから、こういう金額の総枠は何をもって出てきたのかと聞いているのですよ。お金がなかったらもう一銭も上げません、財源さえ許せばもっと上げます、そういうものじゃないわけでしょう。何らかそこにベースになる考え方があるわけでしょうが。それが何かということを聞いているのです。その上に立って、それぞれの炭鉱の自然条件、採掘条件その他いろいろな出炭条件の違いによってそれをまたどう分けていくか、これはわかりますよ。だから、それのもとになるものを聞いているのです。わかりますか。
  118. 檜山博昭

    檜山政府委員 まず各炭鉱ごとに生産量の見通しがあるわけでございます。これは坑内掘りでございますけれども、その坑内掘りの生産量にそれぞれ先ほど申し上げた当該炭鉱の単価というものを掛けていきますと全体の安定補給交付金の額が出てくるわけです。それで決まってしまうわけでございまして、予算が多いから多く配分できるというものではございません。個々の炭鉱の生産量、それに単価を掛けた額が支払われる、そういうことでございます。
  119. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうじゃないんです、聞いているのは。単価を決めるそういう基準、ベースになるものは何かということを聞いているのですよ。要するに今の制度の中では、生産量が増減すれば、それによって単価を掛ければ幾らと出てくるわけでしょう。私が言うのは単価をどういう基準で決めたのかということになるわけでありまして、だから私が先ほど例として申し上げたように、生産コストの中に占める割合の中で一%程度助成しようとか三%程度助成しようとか、何かそういうものがあったからこそこの制度があるわけでしょう。そういうペースにあるものが何かということです。ただやみくもに、お金があったから、これだけで単価を計算してやったんじゃないわけでしょう。わからぬですか、私の言っていることが。ほかの方がわかっておったらひとつ説明してください、時間がなくなりますから。
  120. 檜山博昭

    檜山政府委員 私が単価と申し上げたのは、石炭の値段ではなくて、それぞれの地域ごとに決めている……(小渕(正)委員「それはわかっているのです」と呼ぶ)はい。それにその炭鉱の坑内掘りの生産量を掛けて金額が出るわけで、それを全体を集計しますと……(小渕(正)委員「それはわかっていると言っているじゃないか。大臣、私の言っていることがわかりませんか」と呼ぶ)ちょっと相談しますから、ちょっと待ってください。
  121. 米山揚城

    ○米山説明員 正しいお答えになるかわからないのですけれども、基本的な考え方といたしましては、炭鉱間の格差、具体的には坑内掘りによるコストの増分、あるいは内陸によります運賃コストの増の分、あるいは急傾斜であることによります生産コストの増高、こういった炭鉱間の格差がございますので、その炭鉱間の格差に着目して単価を決めているわけでございまして、例えば内陸輸送費につきましてはコストの差のたしか二分の一だったでございましょうか、そういった基準で単価を計算しているわけでございます。
  122. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 一つもわかっておらぬのです。私の質問が悪いので優秀な通産省のお役人さんにもわからなかったわけでしょうから、これは少し砕いてまた別途の機会にしたいと思います。非常に残念ですけれども、時間がございませんのでもうこの問題は一応やめます。  最後になりましたけれども、これは直接石炭には関係ございませんが、我が国の原子力発電所その他でいろいろな廃棄物が出るわけであります。この低レベルの棄廃物の処理については現在我が国ではどのような状況になっておるのか。私の知る限りでは、恐らくそれぞれのところで保管、管理されたままの状況ではないかと思いますが、この現状はどのようになって、数量的にはどういったものが現在もあるのか、その点をお尋ねいたします。
  123. 松田泰

    松田政府委員 低レベル放射性廃棄物といいますと大部分が原子力発電所から出てまいるものでございまして、そのほかに、研究所あるいは放射性同位原素を使ったものが少しございますが、ここでは発電所の廃棄物について御答弁申し上げます。  現在発電所におきましては、低レベル廃棄物は、これを容積を減らしましてセメント等で固化いたしましてドラム缶に詰めて、サイト内にございます低レベル廃棄物貯蔵庫に安全に貯蔵してございます。  数字でございますが、五十九年五月末現在で申し上げますと、貯蔵の設備の容量は二百リットルドラム缶の約六十九万本程度ございます。現在それに対しまして三十七万本程度が貯蔵されてございます。したがいまして、約半数強貯蔵しているわけでございます。  なお、この貯蔵しておりますドラム缶は、放射能が年数とともに減衰してまいりますが、いずれこれを人間の管理しなくてもいい状況において処分する必要がございます。この処分をどうするかということにつきましては、現在、先生も、御存じのように青森県に電気事業連合会が申し入れをしておりますが、そういった敷地外の集中的な貯蔵処分場というものを設けて、そこで処分をするということで計画を進めておるわけでございます。
  124. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 時間が参りましたのでこの話はまた別の機会に譲りたいと思います。  要するに低レベル廃棄物の処理については、先ほどから言われておる下北半島ですか、あそこでそういう処理のものをやろうということが一つありますね。それ以外に、ひところ海洋投棄その他問題になりましたが、ああいうものは一応やめておるわけでありますが、西ドイツあたり等では廃鉱を利用して処理している例があるようでありますが、そういった方向については現在何も検討はされておらないのですか、その点だけ一つ。
  125. 松田泰

    松田政府委員 私どもも西独で行っておりますことについては調査を行っております。廃鉱の利用の可能性というものは、これまでもいろいろ、鉱山の種類にもよります、岩石の種類にもよりますが検討はしてまいりました。当面は地表における処分ということで、青森県の方に重点というか全力を注いで遂行していくことでいっぱいいっぱいという状況でございます。
  126. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  127. 上坂昇

    上坂委員長 小沢和秋君。
  128. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 初めに法務省に、有明鉱の大災害のその後の捜査状況についてお尋ねをしたいと思うのです。  五月十一日に、この大災害の遺族の方と弁護士の方々が連名で会社の最高責任者を告訴、告発をされております。これは福岡検察庁で受理していると思いますが、その後これに基づいてどのような捜査が行われているかということをお尋ねします。
  129. 則定衛

    ○則定説明員 お答え申し上げます。  今御指摘のとおり、告訴、告発事件につきましては本年五月十一日に福岡地検で受理しております。  一方、御案内のとおり本件有明鉱内の災害事故につきましては、事故発生直後から、地元福岡県警本部及び福岡鉱山保安監督局におきまして、事故原因の解明とそれにかかわる関係者の刑事責任の有無につきまして福岡地方検察庁と密接な協議を遂げつつ捜査を進めておるわけでございます。  お尋ねの告訴、告発事件の中身につきましては、今申しました地元の県警本部及び鉱山保安監督局で捜査しております事案と全く同一のことの法律評価が、殺人あるいは殺人の未遂という点において異なるのみでございますので、福岡地方検察庁といたしましては、今申しました警察本部及び鉱山保安監督局におきます捜査に側面的に協力しつつ、本件告訴、告発事件につきましても並行的に捜査を進めておる現状でございます。
  130. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この告訴、告発状を私もざっと読んでみたのですけれども、非常に重要なことを指摘していると思いますので、そこのくだりだけちょっと読み上げてみたいと思うのです。「これまで繰りかえされてきた炭鉱災害の刑事責任追及は、災害炭鉱経営者の利潤第一主義と保安無視の経営政策の中から必然的に発生したものであることに目をむけず、たかだか現場の下級係員らを業務上過失致死傷罪で処罰するということでお茶をにごしてきた。このような一面的な、捜査、訴追が炭鉱経営者に保安無視の経営政策を継続させ、大災害を続発させてきた大きな要因をなしてきたことは明らかである。」ということを指摘しております。  そしてまた、「昭和三八年一一月九日の三川鉱大爆発のとき、三井鉱山株式会社の幹部らは殺人罪および鉱山保安法違反で告訴され、刑事責任は明白であったにもかかわらず、不当にも不起訴処分とされた。これが会社幹部らを増長させ、生産優先、保安軽視の体質を温存させることになった。その必然的な結果が本件の大量殺人行為である。」というふうに指摘をいたしまして、こういうような大災害を二度と繰り返させないためにも、会社の最高責任の解明こそが最も重要であるということを強調していると思うのですが、こういう指摘をしっかり受けとめて捜査をする必要があるのではないかということを考えますが、この点はどうお考えでしょうか。
  131. 則定衛

    ○則定説明員 御質問の御趣旨、よく理解できるわけでございますし、また、本件の災害におきましては死者が八十三名の多数に上る重大事犯でございます。そういう意味におきまして、現在検察庁及び警察本部並びに鉱山保安監督局におきまして、その責任の有無及び責任があるとするならばどの範囲に及ぶのか、これを鋭意捜査しておる段階でございます。いずれにしましても、重大な事故でございますから、検察庁といたしましては厳正な立場で捜査を進めていくものと考えております。
  132. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは、今も申し上げたように、本当に事故を根絶するために最高責任者の責任こそ明確にする立場で捜査をしていただきたい、このことを申し上げて、次に進みたいと思います。  次にお尋ねをしたいと思いますのは、その後の三池の保安状況についてであります。  今年一月の大災害が人災であるということについては、私もここで何回も指摘をしてまいりました。その後、繰業が再開をされた直後の時期に非常に災害が多いということについては、かつてここに参考人として出席をされた三井石炭松田社長に対して、私自身が質問を兼ねて警告をしたことがあります。ところが、それからまた随分時間がたったわけでありますけれども、最近も災害が多発しておる、あるいは事故が多いということを聞くわけでありますけれども、どういう状況になっておりましょうか。簡潔にお答えください。
  133. 平河喜美男

    平河政府委員 三池における再開後の災害状況でございますけれども、取り扱い中の機材、鉱物運搬等に関連します災害の発生が多くなっていると聞いております。数字で申し上げますと、百万人当たり災害率で計算いたしまして、五十八年平均四十八・五に対しまして、三月から六月の平均が八十四・四でございます。全国平均で申し上げますと、五十八年が八十六でございます。
  134. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今のお答えでも、三池鉱の昨年のいわゆる災害率に比べますと、それが倍近いような状況になっておるということが明らかでございます。私も現地の鉱山保安監督局などから若干資料などもいただいて検討してみたわけでありますけれども、この中に重傷が五件も含まれております。中には右足をひざ上から切断をしたというような大変痛ましい事故もあります。私がざっと見た範囲でも、特に重大災害といいますか、いわゆる重傷の関係でもごく初歩的なミスだと思われるようなものが幾つかあるんです。  例えば、有明鉱の関係でありますけれども、六月の十一日には、発破をかけたときの飛んできた石に当たって重傷を負った、あるいは七月十三日も、やはり発破を、係員が線を結んだ直後ぐらいでまだ全然退避も何もしていないときにスイッチを入れてしまって、その係員が左目失明になるんじゃないかというような重大な傷を負ったというようなことも聞いているわけです。この二件は、いずれも保安の先頭に立つべき立場の人がこういう事故に遭っているという点でも私は重大だと思うのです。  こんな初歩的なミスが続発をするということは、会社は、ああいう大災害が起こったので、何とか生産を取り戻さなきゃいかぬというようなことで、職員を先頭に立てて、またそういう非常に焦ったような姿勢があるんじゃないか、その辺がこういうようなことに結びついていないかということを私は憂慮するわけでありますが、あなた方としてはこの状況をどういうふうに判断され、今どういうふうに指導しておられるのか、引き続いてお尋ねします。
  135. 平河喜美男

    平河政府委員 先生指摘のように、災害内容につきまして、不注意、単純ミスというものが多いようでございますので、会社の方に対しまして保安教育を徹底させるよう注意を喚起することをやっておりますと同時に、私どもの方の監督局では、必要に応じまして監督官を派遣して現地を調査させる、あるいは責任者を監督局に召喚いたしまして厳重注意するというようなきめ細かな監督指導を実施しておるところでございまして、今後とも保安状況の追跡を行い、いやしくも生産を優先させ、保安がおろそかにならないようにということを監督指導をしてまいる所存でございます。
  136. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私のところに三池の労働者の方からその問題について訴えの手紙が来ております。この中で幾つか指摘をされているんですが、私重大だと思うのは、この前の一月の大災害ベルトコンベヤーが火元になったというふうに見られているわけですが、このベルトコンベヤーの摩擦による発煙あるいは発臭などの事故がその後も何件も起こっておるというのです。私もそう言われて、現地の局からいただいた資料を見てみますと、そういう関係が六件。有明で一件、三池で二件、四山で三件、こういうふうな状況です。月で見てみると、四月に一件、五月に一件、六月に一件、七月には三件も二十日過ぎごろにばたばたと発生をしておるのです。こういう、前回火元になったということで一番注意を向け、改善させなければならないようなところでこういう状態が相変わらずある。しかも、発煙というのは火災になる一歩手前だと私は思うのです。この辺は特にどういうふうに指導をされておりますか。
  137. 平河喜美男

    平河政府委員 ベルトコンベヤー関係の問題につきましては、担当者を監督局に呼びまして厳重注意するとともに指導しております。
  138. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いや、だから、その装置などについても抜本的に改善をさせるということを含めて考えてもらわないといけない。現実にこういう状態なんですから、そういう呼びつけてしかりつけてばかりおるということだけではだめです。そこのところ、ぜひもう一度はっきりした答弁をいただきたい。  それから、もう時間がないからもう一つ新しい質問を出しますが、参議院で我が党のたしか小笠原議員だったと思うのですが、雷管が爆発しないでそのまま不発で出てきてしまう、これはまた非常に危ないわけですね。こういうような点についても、六月にも相変わらず不発の雷管が百十二本も発見されているということがこの手紙の中で述べられておりますけれども、こっちの方の改善の指導はどうなっておりますか。
  139. 平河喜美男

    平河政府委員 第一の質問でございますが、ベルトコンベヤーにつきましては、特定検査をやる、それから、今後出てまいります例の原因調査報告書に基づきましてその辺の改造等も行わせることになろうかと思っております。  それから、第二の御質問でございますけれども、雷管につきましても話を聞いておりますので、現在使っております以外のメーカーの製品も使う等々、原因調査をもっと徹底してやれということを指示しております。
  140. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そのほかにも、この手紙を見ますと、問題になったベルトコンベヤーの当番などにしても、三川鉱などでは新規の人を若干入れたというけれども、もともとが人手不足で、今でもこのベルトコンベヤーの当番は固定をしていないで人をやりくりをしている。だから、ボタを取りのけたりするというぐらいのことはできるけれども、専門的な知識を必要とするような事故でも起こったような場合には、今のこういう状態では非常に不安だというようなことも言っておりますね。  それからまた、そういう人手不足で残業が恒常化して、坑内作業では二時間を超える残業というのはたしか労働基準法でできないはずだと思いますけれども、事実上、ただ働きになるような残業ということがしばしば起こっているというようなことも言われている。さらに、四山鉱などでは高温多湿で、最近、熱中症になるというような人も出ている。こんなようなことがいろいろ述べられているのです。  私、時間もないから今、一遍に幾つか述べたのですが、こういうような点についても把握をして対策を打っていただきたい。今、何か把握して打っていらっしゃる手があれば、ちょっとその点お答えいただきたい。
  141. 平河喜美男

    平河政府委員 御指摘ベルトコンベヤーのチェックにつきましては、当番をふやして厳重にチェックするように指導しております。
  142. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでは、時間もありませんから、鉱害復旧の関係であと一回だけ質問をしたいと思うのです。一回で済ませられるように、あなた方の方も端的にお答えを願いたいと思うのです。  これは私、前回の質問の中で触れたことなのですが、五十五年八月に福岡通産局長が部落解放同盟の長時間の糾弾の中で、局長みずからがとんでもない約束をしたということを指摘をしたわけです。それに対して、会議録ができてきたので見てみましたら、檜山部長は、「一般論としての表現でありますと、これはそういうことはできないわけでございまして」というような、何か仮定のような話をしているのですけれども、実際にこういうような約束は現にしたわけなんでしょう。したから、その後のいろんな事態が起こっているのだと私は思うのです。こういう点についてあなた方がはっきりした反省をしているのかどうか。  それから、そういうことはできないわけですというふうに言っておられるなら、これははっきりそういうことはできないということをどこかで態度を表明されているのかどうか、このことを一つはお尋ねをしたい。  それから二番目、その後そういうようなことがきっかけになって、同和という看板をかけるともうかるぞというので、いわゆるえせ同和団体などというのが非常にはびこっておる。  それで私は、この前逮捕された飯塚の松岡という人物の例を引いたわけです。いわゆる全日本同和会飯塚支部長という看板と建設業者の看板とを裏表にしておって、仕事をかき集めるためには同和団体という看板を使う、そして実際の仕事は自分がやる、こういうことをやっているということを指摘したわけですけれども、この捕まった詐欺事件などというのを見ると、いわゆる鉱害復旧で移転新築をしたんだ、現にこういうふうに建ったということで千六百万金をもらったんだけれども、それは全然他人様の新築した家をこれだというふうに言って金を取ったというわけでしょう。こんな初歩的な、他人様が建てた家をこれだと言って金を取ってしまうなんということは、これは私は、事業団がこの松岡の言いなりになっているような事態がなかったらこんなことは起こらないのじゃないかと思うのですよ。  だからこれは、こういう同和という看板をかけたらいかに弱いかということを立証した事件でもあるのじゃないかと私思うのですが、お尋ねしたいのは、こういうえせ同和団体などというのが雨後のタケノコみたいにできているのですね。こういうような連中に今後一切甘い汁を吸わせないという点で、あなた方はきちっと襟を正すということについて、この際ここでお約束を得たい。  それから、これがいよいよ最後ですけれども、今年度の新規発注、これはできるだけ急いでいただきたいということを繰り返して言っておるのですが、現地で聞くのは、いや、これは十月以後になるだろうというようなことが言われるのです。これでは本当に大変なんですね。これはもっと急ぐように努力をしていただきたい。その時期を一言言っていただきたい。  これで終わります。
  143. 檜山博昭

    檜山政府委員 三点の御質問かと思います。  第一点の五十五年八月の件でございますが、この件につきましては、通産局長文書を渡したかどうかという点も一つありますが、それは取り交わしを行ったことはないということでございます。ただ、本件につきましては、話し合いの席上口頭によって行われたものであるということでございまして、この中に若干誤解を招く表現がとられている点はありますが、これは激しい議論の終結のために行われたものであって、これによって運用方針が変わったわけではございません。本件以降、このような誤解を招く表現を用いないよう十分注意してまいりたいというふうに考えております。  それから、第二点の鉱害屋の活動激化、それと同和との関連を何か先生おっしゃっているようでございますけれども、筑豊地区における同和問題の解消のために鉱害復旧が重要な要素となっている、このため同和関係の運動体が鉱害復旧について熱心に活動を行ってきたのは事実でございます。  しかし、近年このいわゆる鉱害屋の活動が激化してきた原因は、一つには、昭和五十七年当時、鉱害二法の期限切れを控えて鉱害復旧の駆け込み申し出が急増したこと、第二点は、今回の鉱害二法の適用期間の延長が最終延長である、そういうふうな認識が広まっている、第三に、近年の鉱害復旧事業予算が伸び悩み傾向にある、こういったような事情を背景に、被害者の間に早期復旧に関する焦りと不安が見受けられまして、これをいわゆる鉱害屋が利用し始めたことにあるというふうに考えておりまして、同和団体に対する役所や事業団の対応に格別大きな原因があったとは考えておりません。  なお、現在、鉱害復旧手続における委任状の効力を限定するとともに、陳情ルールの枠内で各種の要望を聞くことにする等、公正な業務の遂行のため環境整備を行っているところでございます。  最後の第三点でございますが、これは逐次新年度の工事を発注するような段取りになっております。     —————————————
  144. 上坂昇

    上坂委員長 この際、石炭対策に関する件について決議をいたしたいと存じます。  本件につきましては、先般来各党間におきまして御協議いただいたところでありますが、案文がまとまりましたので、便宜、委員長から御提案申し上げます。  案文を朗読し、その趣旨の説明にかえたいと存じます。     石炭対策に関する件(案)   現下の石炭鉱業は、需給緩和基調にあるエネルギー情勢の下で、益々厳しい経営環境にあり、第七次石炭対策が目指す自立の達成は容易でない状況にある。また、石炭鉱業は、先に三井三池有明鉱の大災害を経験し、石炭行政においては鉱害復旧工事をめぐる問題が顕在化するに至っている。   よって政府は、このような状況に対処し、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一 国内炭優先引取りの確実な実行を確保し、需給の安定化を図るとともに、本年度基準炭価について、早急に適切な額を設定するよう努めること。  二 自立を目指した企業の積極的努力を一層効果的なものとするため、合理化安定対策の充実について適切な措置検討すること。  三 保安確保に万全を期するため、各企業の保安管理体制が機動的、効果的に機能するようチェック体制をさらに強化するとともに、保安施設、保安機器の整備、研究開発等の一層の推進を図ること。  四 鉱害行政をめぐる問題の発生にかんがみ、現行諸制度を厳しく見直し、公正かつ計画的な業務推進体制が確立されるよう措置すること。  五 北炭夕張新炭鉱の閉山に伴う離職者の再就職を一層促進すること。   右決議する。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。  お諮りいたします。  ただいま読み上げました案文を本委員会決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  145. 上坂昇

    上坂委員長 起立総員。よって、石炭対策に関する件を本委員会決議とするに決しました。  この際、政府から発言を求められておりますので、順次これを許します。小此木通商産業大臣
  146. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 ただいまの御決議趣旨を体しまして、今後とも石炭政策に全力を尽くしてまいりたいと存じます。
  147. 上坂昇

    上坂委員長 坂本労働大臣
  148. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 ただいまの御決議趣旨を体しまして、労働大臣としても今後全力を挙げて努力をいたします。
  149. 上坂昇

    上坂委員長 なお、本決議の議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  150. 上坂昇

    上坂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時二十三分散会