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1984-07-11 第101回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十一日(水曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 上坂  昇君    理事 北口  博君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺 省一君 理事 多賀谷真稔君    理事 中西 績介君 理事 斎藤  実君    理事 小渕 正義君       久間 章生君    古賀  誠君       松田 九郎君    三原 朝雄君       岡田 利春君    岡田 春夫君       細谷 治嘉君    大橋 敏雄君       宮崎 角治君    滝沢 幸助君       小沢 和秋君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    平河喜美男君         資源エネルギー         庁長官     柴田 益男君         資源エネルギー         庁石炭部長   檜山 博昭君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       守屋 孝一君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   上野 浩靖君         資源エネルギー         庁石炭部鉱害課         長       井上  毅君         会計検査院事務         総局第四局上席         調査官     井沢 曻司君         参  考  人         (石炭鉱害事業         団理事長)   高木 俊介君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ――――――――――――― 委員の異動 七月十一日  辞任         補欠選任   沼川 洋一君     大橋 敏雄君 同日  辞任         補欠選任   大橋 敏雄君     沼川 洋一君     ――――――――――――― 五月十日  有明鉱坑内火災対策等に関する請願(野田毅  君紹介)(第四四九五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  三井石炭池鉱業所有明鉱に関する陳情書  (第三〇九号) 七月三日  三井有明鉱保安対策等に関する陳情書  (第四〇〇号)  大牟田市に鉱山保安監督署設置に関する陳情書  (第四〇一号  ) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石炭対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 上坂昇

    上坂委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として石炭鉱害事業団理事長高木俊介君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 上坂昇

    上坂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  4. 上坂昇

    上坂委員長 質疑申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
  5. 中西績介

    中西(績)委員 私は、鉱害対策について、先般の本委員会における質疑に継続をいたしまして問題点を明らかにしていきたいと思います。  まず最初に、会計検査院おいででしょうか。――一つは、先般から鉱害問題について石炭鉱害事業団九州支部関係調査に入ったと思うんですけれども、どういうところに入ったのか、この点についてまずお答えください。
  6. 井沢曻司

    井沢会計検査院説明員 石炭鉱害事業団九州支部の本年の検査でございますが、五月十五日から十九日の五日間にわたりまして、調査官等六名をもちまして九州支部並びに支部管内の佐賀、田川等の各事業所について検査をいたしました。
  7. 中西績介

    中西(績)委員 時期的に、五月十五日からということになりますと、ちょうど鉱害事業団事件発生をいたしまして、これらとの関係があったと思いますけれども、そうした時期でありますだけにまた重要な時期と言えると思います。  そこで、まだ十分な精査なり集約がなされておらないと思いますので、一点だけお聞きをしたいと思います。  特にこの鉱業復旧事業というのは、長期にわたる被害者救済を早急にすべきだということでございまして、不公平のない鉱害行政を促進をしなくてはなりません。鉱害行政遅滞と延引があってはならないと私は思うわけであります。ところが、こうした事件があっているために、会計検査院が、行革とのかかわり等を考えまして、極端な言葉を使いますならば悪乗りをして予算削除に手をかすような状態が出てくるということになりますと、そのためにただすべきことがただされずに、今検査院姿勢がまた逆に問われるということにもなるわけであります。  したがって、今後の日程はどういう状況になっていくか、この点だけお聞きします。
  8. 井沢曻司

    井沢会計検査院説明員 今回の検査結果の内容につきましては目下調査検討中でございまして、まだ所見をまとめるという段階には現在至っておりません。  ただ、率直に申し上げまして、本件に係る資料の一部等につきまして警察当局等に押収されているといったようなこともございまして、私どもとしても早急に結論を出すということは極めて困難な状況になっております。  しかしながら、ただいま先生の御指摘もございましたように、しかもこういった問題は新聞等におきましても何回も報道されているといったような重要な問題でございますので、私どもといたしましては重大な関心を持ちまして、引き続き調査検討をすることに努力をいたしたい、このように考えております。
  9. 中西績介

    中西(績)委員 この案件については、日程が、今出てまいりましたように警察当局との関係などいろいろあって、終局的な時期をなかなか決めにくいという問題もあると思いますけれども先ほども申し上げましたように、ただすべきはただすというその姿勢、そしてなおかつ鉱害行政そのもの遅滞なく行われるためのいち早い体制づくりをするための検査院あり方をぜひ追求してほしいと思います。  そこで、もう一点、今度は警察庁おいでですか。――検査院は結構です。  先般から、報道によりますと幾つかの取り調べが行われておるようでありまして、その結果、送検した者もあると言われております。これらの問題について、現状がどうなっておるか、この点についてお答えください。
  10. 上野浩靖

    上野説明員 お尋ねの件につきましては、現在福岡県警察におきまして捜査中でございますが、現在までに贈収賄罪等関係被疑者二十六名を検挙いたしまして、福岡地方検察庁に送致いたしております。
  11. 中西績介

    中西(績)委員 二十六名の関係者を逮捕して取り調べ中だということ、あるいは送検した者もあると聞きますけれども罪種はどういう内容になっていますか。
  12. 上野浩靖

    上野説明員 福岡県警察が検挙いたしました二十六名につきまして、罪種別に申し上げますと、贈収賄で十四名でございます。それから暴力行為等処罰二関スル法律違反で五名、建設業法違反で二名、詐欺罪で二名、職務強要罪で二名、銃砲刀剣類所持等取締法違反で一名、恐喝未遂で一名となっておりまして、被疑者は一名ダブりがございまして、延べ二十七名というふうになります。
  13. 中西績介

    中西(績)委員 この挙げられました幾つかの罪状、これらを見ますと、今までの鉱害行政、そのかかわりでこうした幾つかの問題が出たということになるわけであります。  こうなってまいりますと、なぜこのような事態が出てきたか、こうした分析等についてお聞きをしたいと思いますけれども警察庁、今これらの問題について具体的に提示はできないと思います。そこで、例えば通産省あるいは事業団、こういうところで、収賄の問題であれば癒着の問題とのかかわりが出てくる、あるいは暴力恐喝などを考えますと、今までの不公平さ、そういうものを理由にしながらこうした力づくで物を解決しようという中身が出てくる、こうした幾つかの行政的問題の不明確な面、あるいは不十分さ、そうしたことがやはり大きな問題になると思うのです。  しかし、ただ一つ私が最後に申し上げたいと思いますのは、この問題について中途半端な解決をもしするということになってまいりますと、今まで幾つか私が経験をした、先般も九州産業大学問題で私は文教委員会なりで追及をいたしましたけれども警察庁福岡県警がとった態度というのは、私たち非常に不信感を持つようなものがあったわけであります。理事長が当然やっておるにもかかわらず、副理事長が全部責任を負うということで工作をする、そうすればそこで全部とまってしまって一番肝心なところには手が届いていない。今警察審議会なりでまた再び論議されるようになってきておりますけれども、こうした状況から考えますと、例えば、今事業団の皆さんが本当に困っておるんだけれども、そのことを具体的に明らかにすると後が怖い、したがってしゃべることができないという状況だってあるわけですね。一般の人だってある、被害者だってあるわけです。  こうなってまいりますと、私は今度の事件を契機にして、県警なり警察庁がこうした問題について本当に一番根源になっておるところは何かということの追及を徹底してやらないと、この問題の解決にはならない。逆にこれが中途半端になったときには、むしろ結果的にはさらにこうした悪政を助長するという状況が私は出てくると思うのです。したがって、この点について最後まで徹底的にやるということの決意なり、今まで私たち福岡で経験したそうした政治的な解決みたいなことがないということを明確にしてほしいと思いますが、いかがですか。
  14. 上野浩靖

    上野説明員 先ほども申し上げましたように、現在、福岡県警察におきまして鋭意捜査を推進しているところでございまして、六月二十一日には刑事部長を長といたしますこれら事犯に対します合同捜査本部を設置いたしまして、二百名に近い体制によりまして捜査を続行中のところでございます。したがいまして、今後もこれら事犯に対しましては厳正に対処してまいる所存でございます。
  15. 中西績介

    中西(績)委員 これは、結果を見なければ厳正にしたかどうかということはなかなか判断つきにくいわけでありますから、これから以降のそうした問題について、本当に鉱害行政が円満にいくように、長期にわたって真に困っている人たちが救済できる措置をするためには、この点を徹底的に追及をしていかなくてはならぬと思っております。したがって、この点については自後の対策等について見守っていきたいと思いますので、十分注意をしていただきたいと思います。警察庁、結構です。  そこで、労働省にお聞きをしたいと思います。  こうした事件が起こりましてから、筑豊における離職者受け付け件数と申しますか、あるいは雇用保険受給資格決定者数など、いろいろ計数的なものが出ておりますけれども、私が一つの職安で調べたところでは、最も明らかなのは、四月から六月までの昨年の例とことしの例を、離職者受け付け件数について建設業だけを取り上げてまいりますと極端な差が出始めています。さらにまた、建設業解雇された数、これらについても相当大きな開きが出ています。特に、解雇された者が五十九年の場合には二百十名、六月だけで出ています。しかもこれは六月だけでなしに、これからいよいよ本格的になってくるわけですが、こうした状況等についての集約はされておりますか。
  16. 守屋孝一

    守屋政府委員 失業者動きなり、解雇者動き数字で見ますとき、一番その動きがよくわかりますのは雇用保険の被保険者動きであろうと思います。したがいまして、その数字について若干御説明いたします。  田川、飯塚、直方、この筑豊三所につきまして、まず雇用保険の被保険者がいわゆるその資格を失った数がどうなっているかというようなことを見てまいりますと、四、五、六月、この三カ月につきましては全産業で約六千名、対前年度同月比較で三・四%の増になっております。そのうち、建設業だけを見てまいりますと、その倍の六・八%の増という形になっております。  次に、この方々の中で現実に失業保険保険金を受けに出てこられた方の数字を見てまいりますと、建設業ではこの五月、六月になって昨年より増加傾向に転じております。特にその中で解雇者、いわゆる事業主の都合によって解雇をされた方々の割合は、これは若干のタイムラグがございますので、六月に対前年度比約一三%増という形で離職者が出始めておるというような状況でございます。  なお、ちなみに一つ労働力需給関係を見ますときの有効求人倍率で見てまいりますと、この筑豊三所につきましては、全国平均を大幅に下回っておりまして、全国平均では四月、五月が大体〇・六四という倍率でございますが、このあたりになってまいりますと〇・一四であるとかあるいは〇・一というような非常に極度に悪い状況になってきております。
  17. 中西績介

    中西(績)委員 今言われましたように、有効求人倍率におきましては、全国的には〇・六四、それであるにもかかわらず地域的に見ますと〇・一一あるいは〇・一二、こういう数字が出ておるわけです。極めて異常と思われるような低い数字になっておる。その中で、今言われましたように建設業について急激に六月ごろから解雇状況拡大をしてきておるという、しかもそれは七月に入りまして、この前調査をずっとしてまいりますと、さらにその度合いは強まってきておるということを指摘することができると思います。  その出てきた大きな結果というのは、鉱害復旧問題が一時期的に事件発生以降停止をしてしまっておるという、こうした状況があるということをこの中からつかみ取ることができると思うんですね。したがって、こうした重要な段階に今なっておるし、深刻な状況を生み出しておるということになってまいりますと、先ほど申し上げましたように、警察庁におきましても十分そうしたことを考慮して、いち早い解決を目指す体制づくりをぜひやっていただきたい。しかも根源になるところを十分つくようにしなくてはならぬということが指摘できるんではないだろうか、こう思うわけであります。  そこで、そうした条件の中におきましてこの問題にどう対応していくかということが、これから問題になるわけであります。そこで先般、本委員会におきまして私たちがいろいろ問題提起をし、質疑をしてまいりましたけれども、その問題等につきまして質問を申し上げたいと思います。  時間が大変迫っておりますから、簡単にお答えいただきたいと思いますが、まず一つは、先般委任状問題が大きな問題として発生しました。この問題について、特に私たち指摘をした点について十分なお答えをいただけず、委任状利害得失、分析してないなどという答弁が出ておりましたし、それによって差別されてないということも言われておりましたけれども、しかし、これがあるがためにいろいろ問題が拡大をしていったことは事実です。  したがって、お答えいただきたいと思いますのは、これらの問題について、これから後、公平で科学的な計画を立案をして、被害者が納得する公開された体制づくり組織的対応が私は必要だろうと思うわけでありますけれども、この点についてどう検討いたしておるのか、この点ひとつお答えいただきたいと思います。
  18. 檜山博昭

    檜山政府委員 委任状の取り扱いについて今後どうするかというような御質問かと思いますが、被害者代理人との間で、行政機関との折衝等事務代理人に代行させることを内容とする委任契約を締結すること自体は、これは当事者間の私的法律関係でありまして、一般論としましては行政当局がこれに対して異を挟むということは困難であろうと思います。  しかし、鉱害復旧業務に関しまして被害者が第三者に委任をし得る行為というのは、石炭鉱害事業団あてに行う鉱害復旧申し出に限定されるものでありまして、復旧順位決定とかあるいは業者選定等事業団が主体的に意思決定すべき事項に及ぶものではないというふうに考えております。  この点につきまして、従来必ずしも組織の末端まで徹底していなかったために、本年六月十一日付で資源エネルギー庁長官から事業団理事長あて文書でその徹底方を要請したところでございます。こうした考え方の浸透とあわせて、私ども陳情ルールの確立によりまして、鉱害屋の不当な圧力は排除し得るものというふうに考えております。
  19. 中西績介

    中西(績)委員 この点につきまして、結局問題は、こうした委任状問題とかかわって今まで問題になっておりました認定業務だとかあるいは復旧順位だとかあるいは入札手続だとか、こうしたものが全部関連して特定個人委任された状況みたいになって今まで進行してきたわけですね。だからこそ問題になってきたわけですね。これが生じてくるというのは、やはり行政の側でこれらの問題についてある程度の反省問題点をえぐり出しておかないと、私は不十分な面があるのではないかと思うのです。  ただ単にそれをストップする、こうやれということを言いさえすればできる代物であるかどうかというと  実際に問題になるのは何かというと、被害者がそれぞれ市町村を通じて申請をしますね。ところが、八年も十年も待っても実際にそれが認可されない。認定されない。ところがそういう人たちに依頼をすると、それができるという実態があるわけでしょう。それから、この前も問題になったけれども一つの部落の中で百二十なら百二十で一定の方向性というものを打ち出して、何年かがかりで全部が民主的に決定をしたその順位などについても、今度はそういう人たちが入ってきさえすればそれが全部覆ってしまうという状況が出てくるわけです。そこに、行政とのかかわりの中で何が問題なのかということをやはりえぐり出しておかないと、問題解決にはならないということを私はこの前から指摘しておるわけです。  したがって、やはりそうしたものを解決していくために、今度は委任状からかかわって出てくるいろんな組織上の問題、組織的にどう対応していくのか、これから行政的にどうこれを指導したりあるいは打ち合わせをしながらそうした問題を片づけていくのかということがないと、明確な回答にはなってこないと私は思うのです。ですから、そうした点を率直にどこら辺に問題があったかということをまず出していただいて、そして行政全般かこれからどういうふうにこれを取り扱っていくかというものを具体的に取り上げていただきたいと思います。この点ひとつお答えください。
  20. 檜山博昭

    檜山政府委員 今先生の御指摘があったように、この鉱害復旧業務につきましては、各方面からさまざまな問題点指摘がなされておりまして、私どもの方といたしましても、その点につきましては十分反省といいますか、これまでのところ見直すというようなことで対処したい。去る六月十一日に資源エネルギー庁長官名でもって、通産局長及び石炭鉱害事業団理事長あてに、綱紀の保持並びに業務運営あり方についての見直し及びその結果を踏まえた適切な対応措置実施方を指示したところでございまして、今後これらの改善措置を順次実施に移すということによりまして、この鉱害問題につきまして、通産省通産局及び石炭鉱害事業団が一体となって計画的な鉱害復旧を進めてまいりたいというふうに考えております。
  21. 中西績介

    中西(績)委員 そうした具体的な問題等についてまとめて出し得る時期というのはいつごろになるんですか。
  22. 檜山博昭

    檜山政府委員 その時期でございますが、既に実施した改善措置もございまして、まず、被害者委任状の効力についての解釈、趣旨徹底、これは先ほど申し上げた点でございますけれども資源エネルギー庁から事業団に対してそういうふうな趣旨徹底文書を出しております。第二には、陳情処理要領制定ということでございまして、これは福岡通産局事業団支部陳情処理要領制定をなしております。それから第三には、復旧工事請負業者指名停止等事務処理要領制定、これは事業団でございますが、そういうところでなされております。  なお、さらに幾つかのいろいろの問題について今検討中でございまして、その改善措置ができたものから順次進めてまいりたいというふうに考えております。
  23. 中西績介

    中西(績)委員 今言われました、例えば委任状の問題、それからさらに陳情処理の問題ですね。ですから、陳情処理等についても、ただ一方的に、機械的にやられたのではたまったものじゃないですね。少なくとも、具体的にその地域全体の計画なり何なりが明確にされて、そうした中でそれがまとめられ、そしてそのことが局にあるいは事業団に陳情されるわけですから、そうした中身がより具体的に提示できるという体制づくりを、どうコンセンサスを得るようにするかということ。機械的な、画一的な処理の仕方だけではこれは処理にはならぬと私は思うのです。  したがって、そこらについて、きょうは時間がありませんから一つずつ指摘を行うということはできませんけれども、この点については、十分やり方等についても、ただ時間的にこうだとかそれから人員がこうだ、だからこれでもうよろしいなんという、そうした中身であってはならぬと私は思いますね。ですから、この点十分慎重にやってほしいと思います。  さらに、指名等につきましても、その地域実態に即応して、本当に民主的な手続、そして今度はそのことが逆にまじめな業者を締め出すようなことにならぬようにしておかないと、先ほど私がわざわざ労働省を呼んで指摘をしましたように、例えば大きな企業がどんどん他地域から入ってまいりますと、この地域における労働者は全部あぶれてしまうわけですから、こうした問題等についても十分勘案をしながら、どう育てていくかという、私はここが今までの一番の問題点じゃなかったかと思うのです。むしろ指名する場合に、例えばペーパーだとかあるいはスコップ業者という人がおるわけですね。そういうものをやはり事業団は認知しておるわけですから、こうした問題等をどうこれからやっていくかということが大変重要な項目であって、そこらを抜きにしてやっていますと、まじめな人が全部つぶされるというようなことだって出てくる可能性だってあるわけです。ですから、そうした問題等は、今言われたことだけでも挙げますと幾つもありますから、この点十分勘案をしてやっていただきたいと思います。  そこで、もう一つは、この前残っておりましたのが不当な復旧価格の問題であります。この問題について、制度的に改善をするということをこの前言っておりましたけれども、どういう改善をしようとしていますか。
  24. 檜山博昭

    檜山政府委員 不当な価格といいますか、その問題につきましては、査定の問題、これを制度的、技術的にどう改善していくかということにつながるのじゃないかと思いますが、一般的に、石炭鉱害事業団の行う復旧工事におきましては、工事予定金額について実施計画の審査を通産局が行っているほか、業務方法書あるいは請負工事請負規程等を定めまして、他の公共事業と同様に請負業者選定指名競争入札によって行われておりまして、また、工事完了後には完了検査を行い、仕様書どおりの資材が用いられているか否か、そういった確認をするなど、工事の適正を期するための措置が講じられているところであります。  そういうことで、水増し見積もりとかあるいは手抜き工事とか、そういったことはできない仕組みになっているわけでございますけれども、現在の工事費査定方法につきましては種々批判も聞いておりまして、これを一層厳密に行うため、現在通産局事業団に対しまして現行制度見直しを指示しております。今よくやられております見直し査定という、これが非常に工事費をつり上げる要因というふうに見られておりますが、その見直し査定というのを原則として認めない方向で早急に改善案をまとめていくという方向に向かっております。
  25. 中西績介

    中西(績)委員 問題は、ずっと調査をしてまいりますと、制度的に改善をすると言っておりますけれども、今言う査定には、事前の査定あるいは壊した後の査定、二回あって、さらに完了検査が二回ですね、通産局あるいは事業団、こういうところでやられるということが言われておりますけれども、問題は、事業団などでいろいろ論議されておるのを聞きますと、査定に差があるというのです。例えば、方法だとか考え方が一本化されておらないのではないかというような問題等がある。  だから、そういうものに対する研修だとかあるいは基準の設定だとか、あるいは査定をやる場合に机上での査定を廃止するとか、どうして権威あるものにしていくか、そこに差があると必ずそこにつけ込まれるわけでありますから、こうしたことにならないように権威あるものにするためにはどうするのかということになってくると、そうした教育の体制、研修の体制、それから基準設定をどうするか、あるいは技術的専門家をどう配置をしてやるか。行革からいい、組織からいいますとほとんどそういうことが不可能に近い状況になっているのですね。できなくなっている。技術的専門官などを置くなどということは到底できぬ。ですから、こうしたところあたりをどう補完していくかという機構、組織、そこまで立ち入って物を考えなくちゃならぬと思うのですが、こうした点についてはどうなんですか。
  26. 檜山博昭

    檜山政府委員 査定の専門家という問題でございますけれども、御承知のように、家屋等の鉱害復旧につきましては昭和三十二年度から実施しておりまして、かなりの歴史がありまして、通産局におきましてもこの経験とノーハウが次第に蓄積されてきておりまして、これらの経験を踏まえて、客観的な判断を下すため実は必要な基準、要領等が定まっているわけでありますが、これも逐次整備してきておりまして、新規の職員につきましても、これまでの経験とノーハウ、これを十分活用させるための必要な研修を行い、遺漏なきを期しているところでございます。  今後の問題でございますけれども、特殊な構造の物件等非常に査定が難しいという点もありますが、この辺の問題につきましては、査定担当官の合議制による審査制度を導入するなど、一層公正な判断を行うための措置を講じてまいる考えでございます。
  27. 中西績介

    中西(績)委員 ですから、そうした組織的な体制づくり、機構の見直し、そうしたものと、その専門性をどう高めていくかという問題があるわけでしょう。そうすることによって、さっき言われておったこの見直し工事を手がけることによって、特に実施計画との関係ですね、認可時点で被害度、あるいは材質、こうしたものを正確把握できる体制をどうつくるかということが今一番問題があるわけですから、工事中に見直しをするということで、最初の査定のときに安易にやっておいて見直しのときにこれを見直せばよろしいからという、こういうものがあったのではないかということを、ずっと回ってみると聞けるわけです。非常にそこがルーズになったというか、安易になってきておる。  ですから、やはり一回目のそうした認可あるいは査定をするときに、ここがやはり一つのポイントになってくるということが多くの皆さんの言い分であるわけであります。したがって、そこに、報告をする専門家の意見、このことがどう重要視されるかということになるわけでありますから、ひとつこの点、今言うようにさらに慎重に制度的にあるいは組織的にどう対応していくかということを考えなくてはならぬと思うのですね。この点はぜひお考えいただきたいと思います。  そこで、これとの関連で事業団にお聞きしますけれども、それでは事業団の場合に、これは局の方もそうなんだけれども事業団の方における問題点として、例えばこれは例を見ますと、調べてみましたらこういうことになっている。一つ事業所に百四十六名、四月一日現在でおるわけですね。そうしますと、時限立法でありますために職員は八十一名、それから臨職、嘱託、合わせて三十六名、それからアルバイトが二十六名。ですから、退職してこられた方だとかそうした方、あるいはアルバイト、これが約半分に近い数になっておるのですね。  だから、本当にそこの職員が大変厳しい条件の中に立たされている。一人当たりの事業量などというものは不明確でしょう。例えば調査計画、施工、渉外、支払い、こういうすべての業務を全部やらなくてはならぬというようなことにまでなっていくわけなんですね。こうした問題を、時限立法であるけれども、ここの職員の身分をまず第一にこれからどうするのか、ここで働いておられる皆さんにどう安心できる条件を与えるのか。それから、臨職を含め、嘱託を含めてたくさんおるわけですけれども、こういうところあたりにどのようにこれから対応して、体制立て直し、組織強化をやっていくのか。
  28. 高木俊介

    高木参考人 御質問にお答えする前に、一言述べさせていただきたいと思います。  石炭特別委員の諸先生方には、鉱害復旧事業に深い御理解と温かい御指導を賜っております中に、今回の鉱害に関する一連の不祥事に当団職員の中から現在二名の収賄者を出し、なお、当団業務の運営につきましても現在まで幾多の疑問点が指摘されております。関係の皆様方に大変御迷惑をおかけしておりますことにつきまして、団の最高責任者として深くおわびする次第でございます。  今回の不祥事を深く反省いたしまして、鉱害復旧業務正常化のために諸ルールの整備をできるだけ早急に確立しまして、その定着を図るべく、役職員一国会までにも増しまして努力する所存でございます。よろしくお願いいたしたいと思います。  先生の御質問に返らさせていただきますけれども、恐らく田川の職員の例じゃなかろうかと思います。  今現在、事業団の九州だけの職員でございますけれども、職員としては二百八十七名、そのほか嘱託が百二十九名及び臨時職員が三十名、四百四十六名というのが九州支部の人間でございまして、田川事業所におきまして、先ほど先生指摘のとおり、職員が八十二名、嘱託三十四名、臨時職員が三名、百十九名、このほか、アルバイトの女性の方が少々おいでになりますけれども、こういう陣容をもって業務を遂行しておるわけでございます。  当団の職員構成につきましては今申し上げたとおりでございますけれども、正規職員以外の比率がかなり高くなっているというのも事実でございまして、当団の臨時職員は、鉱害復旧業務に経験を有する者を主体として採用しておるような状態でございまして、いずれも比較的長期間雇用しておりますので、現状では職員と余り変わらないような能力を持っているのじゃなかろうかと期待しております。  また、事業団職員の採用に当たりましては、技術面で優秀な人を優先して選考しておりますが、これを補うために、上述のような鉱害復旧業務に経験を有する臨時職員というものを採用しまして、鉱害復旧事務の一部を分担させているというのが実態でございます。
  29. 中西績介

    中西(績)委員 ところが、そういう問題を例えば嘱託だとかなんとかを入れることによって補強したように言われるけれども、実質的には、ではどうなのかということを考えなければいかぬですよ。臨職ではだめなんです。癒着をしたりいろいろなことが起こってくるのは、全体的にそういうことじゃないですか。  だから、やはり問題は、本当にやる気を起こさせるかどうかという基本的なものをこれからどう考えていくかということを考えてほしいと思うのですね。ただ行革行革でどんどん切り捨てていくという、そうしたことによって国のお金がむだ遣いされ、不正に使われていくということになってきたら、これは大変なことですよ。だから、少なくともこうした問題が起こらぬようにするためには、そうした生きがいを感じさせるような組織、機構というものをどうつくり上げていき、将来身分を安定させるかということを真剣に考えなくてはならぬ。事業団だけでなしに通産省も考えなくてはならぬ。当局も考えなくてはならぬと思うのですよ、第一線でその衝に当たらしているわけですから。この点はぜひ明快な回答をいただきたいと思います。それが一つ。  それから、時間がありませんからもう一つは、復旧順位なんかを決める場合に、とにかく力のある者が入り得るような状況をつくり出しておるのは、やはり事業団の機構そのものの中にあると私は思うのです。ですから、今までの流れではできないわけですから、陳情要求の多い者がその中に入るし、やかましく言う人たちが入っていくわけですから、そういうものでなくて、コンピューターか何かを全部整備しまして、その度合いとあれを全部明快にして、それを積み重ねたものを全部公開できるようにしていかなくてはいかぬと思うのです。密室でやるからこういうものが全部ゆがめられていくのです。これに対する考え方が一つ。  それから、基本計画をつくる場合に、全体的に見えるような基本計画になり得ないというのが今の問題点じゃないですか。全体的に効率的に、予算は限定されているわけでありますから、これをやるとすれば、少なくとも事業所担当ごとで集められた資料を全部集めて、それで計画を立てていくというような狭い範囲での考え方、これではだめだと思いますね。ですから、地域的にどうその地域全体を統合するか、そして総合的なマスタープラン、そういうようなものも組み入れて、基本計画というものは中長期的にやはり立てていくくらいの、こういうものが私は必要だと思います。  今まではそれがないわけですね。我々に資料を示せと言っても、今まで使われた、消費された、出資された額だけは示して、あと何件くらいあるでしょうというようなことは我々に示しますけれども、そうした具体的なものが何もないのですね。ですから、そうしたところあたりがやはり本当の行政になっていない、私はこれをまず改めるべきだと思います。  それから、最後になりますけれども、もう一つ今問題になっているのは縦割り工事です。これは、さっき申し上げたような長期計画がなくて、それが被害者に示され、納得されるという状況になっておりませんから、結局特定の人が強く言えばそれが今度どんどん出てくる。そして五十八年なら五十八年に一つ事業所で百件もそれが出てくる。そのことは、今度は五十九年度の予算を何億と食っているわけでしょう。計画などというものにはならぬわけです。だから、これが割り込みを許す結果にもなっておるわけですね。こういう事態を考えてまいりますと、全く計画がないとしか私指摘をしなくてはならぬと思うのです。  したがって、こうした問題がたくさんございますから、きょうは一つずつすることはできませんでしたから、指摘をしておきますので、これらについての検討をするかどうか、この点についてお答えください。
  30. 高木俊介

    高木参考人 ただいま先生指摘の、将来の身分の保障の問題あるいは機械化の問題。この機械化の問題につきましては、昨年から大型機を導入いたしまして、既にその方向実施しておるところでございます。  基本計画の問題でございますけれども、基本計画につきましてもいろいろ問題がございますけれども、現在、基本計画の作成に当たりましては、広い見地からいわゆる広域鉱害復旧調査、あるいは特定地域の水理解析等の調査結果を参考にいたしまして、しかも鉱害復旧評議員会の了承を得た上で基本計画の方は御承認をとっておるというのが実態でございます。しかし、ただいま先生から御指摘のございました点もあわせて今後検討していきたいというふうに考えております。  なお、縦割り工事の介入の問題でございますけれども、縦割り工事は決して好ましいというふうに考えておるのではございませんで、これを極力減らす方向で努力しなくてはならぬというのは当然のことでございますけれども被害者の方の要望あるいは鉱害屋の圧力というようなことによりまして、やむなく縦割りを実施したといういきさつもあるということを一応御了承いただきたいと思います。  今後これをできるだけ縮小すべく、一遍にはできないと思いますけれども、順次縦割り制度を少なくしていくというふうに検討すべく、現在指示しておるところでございます。
  31. 中西績介

    中西(績)委員 時間が参りましたのでやめますけれども、大臣、大変短い時間でございましたので不十分でありましたけれども、こうした多くの問題がありますだけに、やはり全体的にこの問題については見直しなり再検討して、自後、このことを理由にして予算を削減されたりあるいは鉱害復旧行政遅滞が起こるようなことがあっては、先ほども申し上げたように、地域的な事業者の倒産なりいろいろなものが起こる、あるいは首切りが起こって解雇が起こっておる、こういうような状況等も出てくるわけでありますから、できるだけ慎重にはやるけれども、短期間のうちにこれらの問題については方向性を打ち出して、この行政の再出発をしていただきたいと思いますが、この点についての決意をお答えください。
  32. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 中西委員の議論を踏まえまして、鉱害に対する行政に関し万遺漏なきを期して、おっしゃる中での問題をいろいろ検討してまいりたいと存じます。
  33. 中西績介

    中西(績)委員 終わります。
  34. 上坂昇

    上坂委員長 岡田利春君。
  35. 岡田利春

    岡田(利)委員 鉱害問題で今いろいろ議論されておるわけです。  去る五月九日、石炭対策特別委員会が開かれて、この委員会が終了後、朝日新聞がキャンペーンをしておった鉱害問題に警察当局が動いた、こういう経過をたどって、今日事件の解明が進められておるわけです。  問題は、鉱害は今後十年間で復旧を完了しようではないか、こういうことで二年前に鉱害二法の十年間の延長が行われたわけであります力そして今年度予算でも、石炭予算の四五・五%に匹敵する五百八十三億が組まれておるわけであります。これ以外に産炭地振興あるいはまた労働省関係等の予算を含めると、実に六六・三%のウエートになるわけです。この予算のうち八〇%以上が福岡県一県に集中されておるのが実情であるわけです。こういう点から考えますと、こういう事件発生というものは、意欲的に鉱害復旧しなければならない、十年間で終わらなければならぬ、こういう立場で政策を進めてきた立場からすれば、まことに残念至極と申し上げなければならぬ、こう思います。  特に今回の事件は、今いろいろ質問がありましたけれども、単に工事復旧するという単純な贈収賄事件ではない、そこには暴力団が介在をしている、暴力事犯が介在をしている、これは非常に特殊な側面を持っておる事件ではないか、こう思うのです。それだけに、事件は根深くて非常に問題点が多い、こう私は指摘せざるを得ないのであります。だから、今後鉱害問題について、新しい体制姿勢と方針で、疑惑のないように、事故が発生をしないように進めるとしても、相当な決意を持って対処しなければ正常な軌道に戻らないものと残念ながら私は判断せざるを得ません。  私もかつて九州の三池炭鉱に籍を置いたこともございますから、そういう意味で、まず第一点として、警察当局はもちろん現在捜査を進めておるし、先ほども答弁がありましたけれども、単なる工事贈収賄事件ではなく、やはり私が指摘したようなそういう側面があることを重視して今回の捜査を進めておるのではなかろうか、こう私は思うのですが、そういう点についてのお考え方、あるいはまた今後の姿勢について承っておきたいと思います。
  36. 上野浩靖

    上野説明員 先ほど中西先生の御質問にもお答えいたしましたように、現在、福岡県警察におきまして鋭意捜査を推進しているところでございまして、六月二十一日には刑事部長を長といたしますこれら事犯に対する合同捜査本部を設置いたしまして、約二百名近い体制により捜査を続行中でございます。  警察といたしましては、先生ただいま御指摘のような点も十分に踏まえまして、今後もこれら事犯に対しましては厳正に対処してまいりたいというふうに考えております。
  37. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほど会計検査院の答弁がございました。今回、特に五月十五日から十九日の五日間、六名で調査をされたという報告もございました。佐賀県というのは全鉱害量の復旧の割合でいくと大体一四、五%なんでしょうか、先ほど指摘をしましたように、福岡県は八〇%に達しておるのであります。したがって、検査についても、予算の配分等を判断されて、密度の濃さというものがあるのだと私は思うのです。したがって、会計検査院としても、ある説では、従来の検査状況は鉱害問題というものは余り重要視されていないといううわさもあるわけであります。私はそういうことはないんじゃないかと思うのですが、そういううわさも実はあるわけであります。  件数その他については今すぐお答えはできないと思いますけれども、そういう意味で、今前段に指摘をした面も含めて、今事件発生について会計検査院としてどういう受けとめ方をしているのか。したがって、今後の検査院としての方針についても、もう一度翻ってより的確に充実できるような方向検討すべきではないか、こう思うのでありますけれども、この点、いかがでしょうか。
  38. 井沢曻司

    井沢会計検査院説明員 会計検査院におきます従来の石炭鉱害事業団に対する検査でございますけれども石炭鉱害事業団は多額の予算を執行している団体であるということでもって、私どもは従来からも重点を置いて検査実施してきたというのが実情でございます。  それで、本年の検査はまだ年度途中でございますので、昨年の五十八年の検査状況を申し上げますと、本部は延べ十八人で四十一人日、それから常磐支部で、これは四人で十二人日、それから九州支部でございますが、九州支部は、これは二回行っておりまして、十五人で六十八・五人日ということで、宇部の支部につきましては昨年はたまたま検査実施しておりませんが、そういう形で、特に九州支部並びに本部につきましては相当重点を置いて検査実施いたしているわけです。私ども検査の単位は、主として本部、支部という形の単位でもって検査をやっているわけでございます。  今回のような問題等を踏まえまして、私どもといたしましてもやはり重大な関心を持っておりますので、今後とも検査の密度を高めるように努力していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  39. 岡田利春

    岡田(利)委員 通産省、まあ事業団から二名、福岡通産局から一名の逮捕者が出て、また自治体からも逮捕者が出ている、こういう点、先ほど指摘いたしましたけれども、単にエネルギー庁長官の通達といいますか指示といいますか、先ほど説明がありましたけれども、これは当面この事件発生にかんがみて出されたものと私は思います。しかし、そのようなことだけでこの問題を根本からえぐり出して、そして欠陥を是正するということはそう簡単にできるものではないと思うのですね。やはり全体の協力を得て、そして確固たる不動の信念でやらぬとなかなかこれは是正されるものではない、こう思うのであります。  もう法ははっきりしているわけですね。基本計画を組む、そして実施計画が承認をされる。だから計画的にやるというのが基本原則なわけですよ。それを計画的にやらない。例えば認定する場合でも、その要請に従ってばっぱっとまだらに認定してしまえば、そこから計画的な復旧というものは根本的に崩れ去るのでありますから、そこに不公平感が生まれてくる。力のある者あるいは圧力の強い者がいわば工事を先取りをする、そういうことが常時繰り返されておるのが今回の事件発生だと私は思うのです。  そうしますと、法の精神に基本的に立ち返るということがまず基本でなければならぬと思うのです。的確な基本計画を組む、そして的確な実施計画を組む、その計画は原則的に  多少は弾力的に対応していかなければならぬ面もあるでしょうけれども、それを初めから崩したのでは、計画計画で、実施されるところは全然違う、そこにいろいろな問題が介在していく、それが雪だるまのようにふえていく、これが現状ではなかろうか、私はこう思うのであります。  特に、復旧工事見直しなどについても、これは我々が聞いてもびっくりするようなことが非常に多いのであります。これは炭鉱のあるところに鉱害の復旧が行われているのではなくして、北海道などはこの鉱害二法の適用除外の地域でありますから、九州、常磐、山口県、佐賀、長崎、これらの地域がいわば復旧対象の地域になっておるのでありますから、そういう面から考えても、私は、疑惑のないように厳格にやることが大事だ、こう思うのです。  したがって、今後この対応について、あるいは鉱害の専門家の審議会の意見を聞くなりもう一度構築をし直すくらいの腹がないと、そうしてきちっとした方針を出してそれを確実に実行するという、そういう基本的な姿勢がなくしてこの問題は解明できないと思うのですね。そういう決意が通産省としてあるのかないのか、これは大臣からできれば答弁願いたいと思います。
  40. 檜山博昭

    檜山政府委員 今、先生指摘の、計画的に鉱害復旧を進めるという点の重要性は十分認識しておりまして、鉱害の申し出から認定、調査、あるいはそれを受けて基本計画を作成し、さらに実施計画をつくり、そしてそれも、調査とそれから確認のための調査そういったものを重ねていきまして、そして鉱害復旧を進めるというような体制になっているわけでございます。  この体制につきまして、今般いろいろと通産局及び事業団の職員の被疑事件なんかも生じまして、これで綱紀保持の面あるいは業務運営の面で不十分な点があったのではないか、こういうふうに今反省しているわけでございますけれども、この問題につきましては、早急に国民の信頼を回復しまして、さらに一層その円滑なあるいは計画的な復旧を進めるためにいろいろと今業務全般にわたって見直しを行っておりまして、今後、この見直しの結果、逐次それを進めて、一層公正な鉱害復旧を進めてまいりたいというふうに考えております。
  41. 岡田利春

    岡田(利)委員 石炭部長の答弁は極めてもっともらしい答弁ですけれども、これはみんな実態を知っているわけですよ、私に言わせると。避けて通ってはならない。避けられないとすれば、どうすればいいのかということですよ。これはその実態を知らないで答弁しているわけではないわけです。部長も福岡に行ったことがあるわけですから、よくわかっているわけですね。  ですから、やはり相当な決意を込めないと、先ほど中西さんが質問しましたけれども、十年で終わるということになれば、時間が進むに従って事業団の寿命は短くなっていくわけだから、雇用者が不安定になるのは当たり前でしょう。これは上がり山みたいなものですから、上がり事業団になるわけですから。そういう点で、特にこれからの復旧工事というものについて十分配慮しなければならぬ面があると思うのです。最近また出てきておりますから、何年続くか、今の予算ベースでわかりませんけれども、いずれにしても、鉱害が終わればこれはなくなる事業団ですわね。そういうときまで考えると、人事管理その他についても、とにかくこれからは一工夫しなければならぬという面は当然だと思うのです。  そういう意味で、反省することは反省すると同時に、相当決意を持って、しかもそれは局も、事業団も、関係者も、みんながへそ合わせをしてぴしっとしてかかる、こういう姿勢がないと同じことを繰り返すと私は思うのです。大体この地域状況を知っている人は、中途半端であればまたこういうことが起きる、もとに戻る、こういう心配があるということはみんな思っているのじゃないでしょうか。私の言うのはちょっと言い過ぎでしょうか。どうでしょう。
  42. 檜山博昭

    檜山政府委員 先生のおっしゃる相当覚悟を持ってという点は、私どもそういうふうに考えておりまして、これからは、本省も含めまして通産局とそれから事業団、さらに地方自治体と連携をとって、組織が一体となってこの鉱害の問題に取り組む、そういう姿勢が必要かというふうに考えております。
  43. 岡田利春

    岡田(利)委員 先ほどエネルギー庁長官が一定の通達を出しておりますけれども、通商産業関係を担当している通産省として、こういう事件が起きたことについて大臣も反省をされておると思うのであります。したがって、この際やはり、今後の若干の推移も見る必要があるでしょうし、もう少し詰めてみなければならぬこともあるでしょうが、大臣としても本件については指示を出される、それだけの価値のあるまた重要な問題である、こう私は思うのでありますけれども、この点はいかがでしょうか。
  44. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 福岡通産局及び石炭鉱害事業団の職員が今回起訴されるに至りまして、鉱害復旧業務の公正な実施に対する疑いを持たれたということは、まことに遺憾なことでございます。  鉱害復旧業務につきましては、各方面からさまざまな問題点指摘が見られるところでございまして、通産省といたしましては、去る六月十一日に資源エネルギー庁長官の名前で関係通商産業局長及び石炭鉱害事業団理事長に対しまして、綱紀の保持並びに業務運営あり方見直し及びその結果を踏まえた適切な対応措置実施等を指示いたしたところでございます。  今後、これらの改善措置を、準備のできたものから逐次実施に移すことによりまして、通産省及び石炭鉱害事業団が一体となって公正な鉱害復旧実施を推進してまいりたいと存じます。
  45. 岡田利春

    岡田(利)委員 後からまた多賀谷委員からも質問がありますので、角度を変えて、石炭政策の問題について残された時間お尋ねいたしたいと思います。  まず第一点は、昭和五十九年度の需給計画について、去る六日に需給・価格部会において検討されたように承っております。もちろん、この検討された内容については近く公示されると思うのでありますけれども、この需給計画は、通産大臣、いつ公示されるのか、まず承っておきたい。
  46. 檜山博昭

    檜山政府委員 五十九年度の石炭の需給見通しに関連する問題かと思いますが、この石炭需給見通しは、第七次答申の指摘を踏まえまして石炭鉱業審議会で策定しているものでございまして、五十九年度の需給見通しにつきましては、去る七月六日、石炭鉱業審議会需給・価格部会の専門分科会で実質的に了承を得まして、今後需給・価格部会の委員の了承を得次第、石炭鉱業審議会の見通しとして公表することにいたしております。
  47. 岡田利春

    岡田(利)委員 この審議の内容を見ると、二、三点問題点があると思うのです。  第一点は、原料炭から一般炭への転用、昨年は六十三万トン、本年の計画では五十万トンになっておるのであります。この点はどういう状況にあるのかというのが第一点であります。  それと第二点は、昨年は一般炭雑炭が百七十万トン、原料炭の雑炭はありません。そして、今年も一般炭雑炭が百七十万トン。これも一応見通しでは過欠斤及び雑炭、こう称しております。過欠斤ならば原料炭にもあるはずであります。したがって、この雑炭とは一体何なのか。時代時代によりまして雑炭の内容は随分変わってくるのであります。通産省はどう把握をされておるのかということであります。  それから第三点は、最近のストックの問題でありますけれども、三月末は八十七万トンの在庫であって、最近の傾向として、五月末は二十万トン程度ふえてきておるわけであります。したがって、見通しで言う五十九年度末百二万トンプラス十五万トンという在庫は、これ以上にふえるのではないか、こういう心配を私は持っておるのであります。もちろん多少増産ぎみだという傾向もありますけれども、この見通しからいえば期末在庫はふえるのではないか、こう思うのでありますけれども、この三点について見解を承りたいと思います。
  48. 檜山博昭

    檜山政府委員 まず第一点の転用の問題でございますが、これは原料炭として生産された石炭を一般炭の品位調整剤として使用するためのものでございまして、セメント等の一般炭需要者の使用にこたえるため行っておるものでございます。御承知のように、セメント業界、若干不振でございまして、その関係で転用関係のものが減っておる、こういうことでございます。  それから、第二点の過欠斤と雑炭でございます。これは統計上の供給と需要の差でございまして、内容的にはボタ山の水洗炭あるいは洗炭廃水沈殿粉炭あるいは露天掘りのこぼれ炭、そういうふうなものと推定されますけれども、正確には把握されておりません。これは主として低カロリー炭でございますので、ほとんどが国内炭の専焼火力向けに消費されていると聞いております。  それから、第三点目の貯炭の問題でございますけれども、現在検討中の五十九年度の需給見通しにおきましては、本年度末在庫量は、先ほど指摘のように、年度当初と比べまして十五万トン程度増加するというふうに想定しております。これは、昨年度の在庫が三池災害等による減産によりまして非常に減少したためでありまして、この程度の増加であれば特段の問題はないと考えております。御指摘のように最近は国内炭在庫がちょっとふえておりまして、六月末現在百二十七万トンということで、年度当初に比べまして四十万トン増加しております。  これは先生先ほど指摘のように、一部石炭鉱山の予想以上の増産と、それからもう一つは、電力における定期点検、定検と言っておりますが、この実施に伴う季節変動のためでありまして、昨年同期と比べても三十四万トンの減ということから考えまして、異常な在庫増というふうには考えておりません。
  49. 岡田利春

    岡田(利)委員 昨年三池の災害もありまして、五十六万トンのマイナスを三池炭鉱が来しておるという点もありますし、いずれにしましても、今部長から答弁がありましたけれども、在庫の推移について、今年は注意深く対応してまいらなければならぬではないかということを申し上げておきたいと思います。  次に、同日、同様に石炭協会の方から五十九年度基準炭価についての説明が行われて、各委員もその説明についてどうしたのか知りませんけれども、とにかくその場所で説明が行われた、こういうわけであります。  現在、五社の損失金がトン当たり七百四十五円、八社にすれば九百二十九円、そして石炭協会の出された炭価の値上げ、昨年は凍結でありますけれども、二年分で六百八十五円。その内容によりますと、ベースアップが二年分で六百二十一円、諸経費が五円、労災費が三十円、その他が二十九円、合計六百八十五円になって、五千カロリーは五百三十円、六千カロリーは六百三十五円、原料炭は八百五円、こういう石炭協会の値上げの希望案が説明された、こう言われておるのであります。これに対する通産省の評価について伺っておきたいと思います。
  50. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 昭和五十九年度の基準炭価決定に当たりましては、第七次答申の御指摘を基本といたしまして、石炭企業の賃金、採炭コストの状況、海外炭価格の動向を踏まえるとともに、昨年度基準炭価を据え置きとした事情等を十分考慮いたしまして、石炭鉱業審議会の御意見を聞いた上で早期に適切な価格を決める考え方でございます。
  51. 岡田利春

    岡田(利)委員 第七次政策の実施に当たって、二年間にわたる炭価政策、いわばこれを発射台にして滑り出した、こう言っても正しいと思うのであります。したがって、この五年間の第七次政策の間、炭価政策をどのようにとるか、これが第七次政策の中で最も基本的な問題である、こう思います。今せっかく大臣から答弁をいただきました。そういう点でユーザー等の御理解を十分得て、昨年凍結になりましたけれども、二年分として要求された六百八十五円というのは、そう高くはないと思うのであります。  私は、この前にヨーロッパのイギリス、フランス、ドイツの炭価の動向とかあるいは日本の炭鉱とヨーロッパ三国の炭鉱の比較論とか、そういうことを聞いて今の質問をしたがったわけであります。炭価の面からいっても、日本は決して異常に高いなんというものではないわけであります。能率その他についても、ヨーロッパの炭鉱よりもよくやっておるわけであります。そして石炭の賦存条件はヨーロッパよりずっと悪いのであります。悪い条件の中でよく働いている。また炭価の水準についても決してヨーロッパ三国より高いものではない。あるいはまた、政府の補助政策についてもヨーロッパに比べて非常に低い水準にある。これが日本の今の状況だと思うのですね。そういう点を踏んまえて、五十九年度の炭価の問題について、今大臣から述べられた方向で対処し結論を出されるように、特に強く期待と要望をいたしておきたいと思います。  次に、IQ制度の問題についてこの機会に承っておきたいと思います。  IQ制度の五十八年度の実績は、この運用ではどういう実績になっておるかということが一つであります。  第二点は、IQ制度について、省内の文章として、表現としては一つの表現があるわけでありますけれども、これを横に展開して実際は基準というものが設けられているわけですね。その基準についてきょう正式に説明を願いたいということであります。
  52. 檜山博昭

    檜山政府委員 第一点の実績につきましては、ちょっと今調べておりますので後ほどお答えしたいと思います。  第二点の、どういう基準で運用されているかという点につきましては、御承知のとおり石炭及び練炭、豆炭その他これに類する固形燃料で石炭から製造されたもののうち、揮発分二三%以下、灰分一二%以下であってボタン指数三以上のもの、つまりこれは強粘結炭でございますけれども、それと揮発分一四%以下であってボタン指数一以下のもの、これは無煙炭でございますが、それを除いたものが輸入割り当ての対象とされているわけでございます。  この輸入割り当ての運用に当たりましては、半年ごとに事前に各石炭需要者から石炭の全需要量及び国内炭需要量につきまして報告を受けておりまして、この結果、国内炭の需給から見て適当であると認められれば、当該期の需要量から国内炭需要量を差し引いた残りを輸入割り当て量として承認しているというふうな形になっております。
  53. 岡田利春

    岡田(利)委員 昨年の輸入炭は一般炭が一千五百四十九万トン、これはすべてIQであります。原料炭が六千二百二十四万トンでありますから、そのうちの俗に言う強粘結が外されて、あとは無煙炭を外して、これがIQ対象数量になっている、こう思います。  そこで、一般炭のIQ申請の資格者の問題について伺っておきたいのであります。  原料炭は六業者一般炭の場合には十九業者に指定をされておるわけであります。特に一般炭の申請の業者の中に石炭卸業者とあるわけであります。石炭卸業者といえども無条件でIQの割り当てをするわけではないわけでしょう。石炭卸業者の何にIQの割り当てをするのか、さらにその下の基準があるはずであります。この点御説明を願いたいと思います。
  54. 檜山博昭

    檜山政府委員 先生指摘のとおり、一般炭の輸入割り当て申請の資格者の中に石炭卸売業者というのが入ってございます。石炭卸売業者への輸入割り当てにつきましては、需要者の発注によりまして、内外炭の混炭による品質の調整、これはサルファ調整あるいはカロリー調整等がございますが、この品質調整を行う場合であって石炭卸売業者が輸入することが妥当である場合に限りまして認めでいるということになっていまして、この場合、需要者の発注を受けているかどうかにつきましては、需要者からの発注書または契約書等で確認しているところでございます。  したがいまして、輸入割り当てを受けるためには石炭卸売業者が需要者の発注を受けていることが必要でありまして、御質問の趣旨がもし需要者の発注を離れて輸入割り当てを認めろというのであれば、これは御期待に添えないということになろうかと思います。
  55. 岡田利春

    岡田(利)委員 過去の例において、いわば今部長が説明された趣旨に基づいて石炭卸売業者に割り当てた例はどういう実績がありますか。
  56. 檜山博昭

    檜山政府委員 実績としましては三井、太平洋という、その他ちょっと今はっきりしませんけれども、そういう実績がございます。
  57. 岡田利春

    岡田(利)委員 まあ大体あれでしょう、サルファ調整しかないんじゃないですか。カロリー調整の面でこれを適用したという例はないんではないですか。一時は、暖房用炭が不足したような場合、暖房用炭の一部を輸入を認めたというわずかな時期がありますけれども、普通、この基準が常時適用されるものとしては今まではサルファ調整以外にはないと私は記憶しておりますが、私の記憶は間違いでしょうか。
  58. 檜山博昭

    檜山政府委員 必ずしもそれだけではないようになっております。
  59. 岡田利春

    岡田(利)委員 やっぱり今言われた部長の答弁が正しいと思うのですね。ところが、部長がかわるたびにまた答弁が違うのですよ。前の福川さんの答弁は違うのですよね。例えばサルファ調整であれば、サルファ調整のためにそういう方法がとれるか、とってきた。では、ローカロリーの炭が北海道あたりよく出る、だからカロリー調整の場合はどうなのか、こうなると、どうもそちらの方については考えていないという答弁が行われたり、あるいはまた、その前の高瀬部長の場合には、論理的に全くサルファ調整もカロリー調整も同じですという明確な答弁もあるわけですね。ですから、今の部長の答弁は石炭部の統一見解だ、こう確認していいですか。
  60. 檜山博昭

    檜山政府委員 統一見解でございます。
  61. 岡田利春

    岡田(利)委員 わかりました。今後申し送りしておいてください。  そこで、これらの状況から見て、洗炭設備が非常に従来と違うのですね。したがって、今安定補給金の対象になる石炭というのは四千五百カロリー以上か三千ないし四千五百カロリーであって三ミリアンダー以上のものですか、これが安定補給金の対象になるわけですね。そうすると、安定補給金の対象になるものでも三千カロリーがあるという意味なんですよ。三千カロリーあるわけですよ。だから政策的に四千五百以下三千カロリーまで認めていて、ローカロリー調整あるいはローカロリーの炭をどう活用するかという点について一工夫これからしなければならぬのではないかなと私は思うのですよ、この安定補給金はそういう対象なんですから。そうすると、普通は四千五百カロリー以上だけれども、四千五百カロリー以下三千カロリー以上でも三ミリアンダー以上のものであれば石炭だ、こういうことでしょう、安定補給金の対象基準は。だから、安定補給金の対象基準は、そういうローカロリーのものも石炭であるということを認めておる、こう理解されるべきじゃないでしょうか。したがって、これを活用しなければならないということになるのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
  62. 檜山博昭

    檜山政府委員 先ほど申し上げましたように、需要があれば当然そういった点を含めてまいりたいというふうに考えております。
  63. 岡田利春

    岡田(利)委員 たくさん質問がありましたけれども、その中の一つ取り上げまして、五十八年度の近代化資金、経営改善資金、この貸付総額は私の方でわかっているのです。しかし、五十八年度じゆうに近代化資金と経営改善資金の返済された額についてこの機会にお知らせ願いたいと思います。
  64. 檜山博昭

    檜山政府委員 近代化資金と経営改善資金の五十八年度の返済状況でございますが、近代化資金の方の償還額は百十五億円、経営改善資金の償還額は三百八十七億円というふうになっております。
  65. 岡田利春

    岡田(利)委員 五十八年度、近代化資金は百八十四億若干貸し付けられて百十五億円が返済された、経営改善資金は四百八億貸して三百八十七億だということでありますが、大体経営改善資金というのは返済する時期が極めて短期で決まっておるわけですが、この差額は北炭幌内の分だ、こういう理解でよろしいですか。そうでもないですか。
  66. 檜山博昭

    檜山政府委員 北炭幌内の分と、それから三井の災害の分がちょっとございますので、その二つ合わさっております。
  67. 岡田利春

    岡田(利)委員 もう一つは、五十八年度三補助金、坑道掘進補助金、保安補助金、安定補給金の三補助金の五十八年度のトン当たりの実績はどうなっていますか。それと、各山は難しいでしょうから、この補助金の最低と最高のトン当たり金額をこの機会に明らかにしてもらいたいと思います。
  68. 檜山博昭

    檜山政府委員 対象十一山のうち、御指摘の五十八年度における三補助金の製品炭トン当たり最高は二千九百六十五円でございまして、最低は九百四十円、平均は千六百六十六円というふうになっております。
  69. 岡田利春

    岡田(利)委員 そうしますと、昭和五十九年度はこの差がさらに開く、こういうことがあると思うのですね。例えば海底炭鉱の高島を除くところは五十円減らしてこっちは二百五十円積んだわけですから、その差はトン当たり三百円ありますからね。したがって、今の値差にさらに三百円以上――何ぼになるか、大体三百円ですね、この最低、最高の格差になる、五十九年度の実績は。こういうことになるね。そういう理解でいいわけでしょう。
  70. 檜山博昭

    檜山政府委員 五十九年度はまだこれからでございますが、大体の見通しとしましては差が広がっておりまして、正確に三百円かどうか、ちょっと今計算ができませんが、おおよそそのぐらいになっているかと思います。
  71. 岡田利春

    岡田(利)委員 もちろん坑道補助金などの限度額も引き上げていますから、それ以上になっても以下になることはないはずであります。したがって、格差是正の政策というものがここまで進んできたということになるわけです。今後格差の是正について、来年度予算要求もあるわけですが、五十九年度の格差の是正の政策的な実績の見通しに立ってさらに問題点があると言われておるのでありますけれども、その点について通産省はどういう点がこれから問題があると思いますか。  例えば、格差問題というのは、地域格差と急傾斜格差、二つの要因が今の格差の政策にあらわれておるわけです。ところが、地域格差について言えば、私はこの政策を決めたときと今の時点では石炭の流通構造の構造的な大きな変化があると思うのであります。したがって、国鉄運賃的な地域格差そのものも検討しなければならぬではないかという側面が今日出てきているのではないかな、こう思うのですが、そういう認識を含めて御答弁願います。
  72. 檜山博昭

    檜山政府委員 先生指摘のように、炭鉱間の自然条件等の格差、これは予想以上に厳しいものとなってきておりまして、先ほど申し上げましたように、五十九年度予算におきましては、財源事情が厳しい中ではございますけれども、急傾斜炭鉱への助成強化のためのいろいろな措置を講じたところでございます。  今後につきましても、各炭鉱の一層の自助努力を期待することは当然でございますけれども、政府といたしましても、石炭鉱業の動向に合わせて、従来の施策の効果あるいは内容についてもきめ細かい検討を行っていきたいというふうに考えております。
  73. 岡田利春

    岡田(利)委員 最近の報道関係、新聞によれば、来年度予算概算要求について通産省の考え方、こういうことでいろいろ記事が載っておるのであります。これによりますと、需要を上回ったものについてはいわば引き取り交付金を交付する。かつて増加引き取り交付金というのがあったわけですが、全くそれと同じような趣旨の増加引き取り交付金を交付する、値引きする、こういうことが報道されておるのであります。もちろん概算要求は八月中に大蔵省に出すのでありましょうけれども、この報道はこの方向検討されておるのかどうか、非常に関心がありますので承っておきたいと思います。
  74. 檜山博昭

    檜山政府委員 国内炭の円滑な引き取りのための方策につきまして今後検討していく考えでありますが、現時点で御指摘のような交付金の創設を考えているわけではございません。
  75. 岡田利春

    岡田(利)委員 今年度予算では合理化安定対策費は四百五億円でマイナス五十億、ウエートは三一・六%であることは前回の委員会でも指摘したとおりであります。来年度の予算の展望を見ますと、第二次肩がわりが五十九年度で終わって、四月一カ月ですか、肩がわりが終わるわけでありますから、約二十二億円程度の財源が今年度予算の中から、四百五億の中から出てくるものと当然理解されるのであります。  石炭の予算関係を見ますと、もちろん総出炭量も落ちてきておりますけれども、ウエートがずんずん下がってきておるということは毎回指摘をしておるとおりでございます。しかし、今日のヨーロッパの石炭事情の動向、こういうものを見ながら考える場合に、来年度予算については少なくともことしのようなウエート程度は守っていくという基本的な考え方があって当然しかるべきだ、こう思うのであります。そういう意味で、私の今指摘した考え方について御同意願えるかどうか、考え方を承っておきたいと思います。
  76. 柴田益男

    ○柴田政府委員 来年度の資源エネルギー庁関係の予算につきましては、現在事務当局で検討中でございます。  今の御質問の点でございますけれども、御指摘のとおり、六十年度におきましては、石炭勘定では石炭合理化安定対策費としまして第二次肩がわりの終了等によりまして約二十二億円の当然減が生ずることを我々も承知しております。  六十年度の合理化安定対策費の予算要求につきましては、先ほど申しましたように鋭意検討中でございますが、先生指摘の点も十分頭に入れまして、石炭鉱業の合理化及び安定を図るという観点にかんがみ、他方、原重油関税収入の動向等も考える必要もございまして、その点も考慮しながら適切に対処してまいりたい、そのように考えております。
  77. 岡田利春

    岡田(利)委員 ミッテラン政権が誕生するときにフランスの国民に公約した内容と違って、フランスの石炭産業の規模の縮小、一千八百万トン段階からさらに下回る、四千人の炭鉱従業員を解雇する、こういう方法がとられました。現在イギリスでは、二万人の炭鉱労働者解雇をめぐって三カ月以上に及ぶストライキが続行中、その解決の見通しがないという状況にあるのであります。西ドイツにおきましても若干そういう傾向があるわけであります。  しかし、私に言わせると、今イギリスやフランスでやっておるようなことはもう日本の石炭の合理化の過程では終わっておる内容だ、私はそういう理解をしておるわけであります。だから重油時代になったと思うのですね。極端な非能率の山というのはないわけですから、今日の安定がずっと続けば、本来非能率の山ではないわけでありますから、そういう点ではヨーロッパと日本の場合は違うのではないか、ヨーロッパの今の状態がもう一度日本に来るという状況では決してないのではないかと私は思うのであります。  しかし、そのことを通じていろいろ心配の向きもありますので、ヨーロッパのそういう最近の石炭事情の動向と我が国のこれから進めようとする石炭政策、こういう面では今のヨーロッパで進めようとしておることについては既に日本の場合にはもう終わっておることである、こういう私の認識について、通産省の認識と一致できるかどうか、承っておきたいと思います。
  78. 檜山博昭

    檜山政府委員 先生指摘のとおり、欧州三カ国におきましては、例えばフランスは今後五年間で三万人の雇用を削減する、あるいはイギリスの場合二万人の従業員が整理される予定であるというようなこととか、あるいは西ドイツの場合に合理化として生産能力を一千万トン削減するというような状況に現在なっておりますが、日本の場合は、非常に自然条件が悪い中でこれまで相当合理化を進めてまいっておりまして、能率もかなり上がってきておるというようなことで、私の評価としましては、日本の石炭鉱業は相当よくやっているというふうに考えております。
  79. 岡田利春

    岡田(利)委員 第七次政策というものをずっと読んでみますと、先ほどちょっと質問しました増加引き取り交付金なんていうことは書いていないわけですよ。しかし、増加引き取り交付金ということは、もしこういう政策をとるとすれば第七次政策の補強になる、こう解すべきなのか、いや、そういうことは第七次政策に書いてないから、そういう政策は第七次政策の間には政策変更がない限りとられないと解すべきなのか、いずれの立場に立って考えられるべきものなのか、お考えを承っておきたいと思います。もしそういうことが行われるとすればという前提であります。
  80. 檜山博昭

    檜山政府委員 先生今、もしそういうものが行われるとすればという仮定のお話でございましたが、類似のものを考えるかどうかというのはこれからの問題でございまして、私どもとしましては、いずれにしても石炭鉱業審議会第七次答申の基本的な考え方に沿った施策の推進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  81. 岡田利春

    岡田(利)委員 七次政策に沿った方針でまいりたいということは、例えばそういう増加引き取り交付金的なことは、それはもう第七次政策の補強的な範囲に入る、そういう場合がもしあれば。そういう意味ですか。私はそうだっていいと思うんですよ。別にそうだっていいと思うんですが、そういうことになりませんか。
  82. 檜山博昭

    檜山政府委員 いずれにしましても、七次答申の線に沿った政策を考えていきたいということでございます。
  83. 岡田利春

    岡田(利)委員 随分またかたいですね。僕はそういうことも補強の側面であって、第七次政策を変更したものではないと思うがと、こう聞いているのだけれども、随分おかたくて結構ですわ。  どうもありがとうございました。
  84. 上坂昇

    上坂委員長 多賀谷眞稔君。
  85. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 大臣、四月の初めから実は筑豊においては鉱害問題が毎日、新聞に出ないことはないんですよ。もうスクラップだけでもこんなにある。そうして毎日胸を痛めるような思いがしておるわけですけれども、そこで、大臣はこの問題を聞かれて、どういうお考えとどういう対策を持っておられるか、御所見を承りたいと思います。
  86. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 先ほどもお答えいたしたのでございますが、一連の被疑事件につきまして、福岡通産局及び石炭鉱害事業団の職員が起訴されるに至りまして、その公正な鉱害復旧業務実施に対する疑いを持たれたということは、非常に残念なことでございます。  鉱害復旧業務につきましては、いろいろな方面からいろいろな問題点指摘が見られるところでございまして、通産省といたしましては、この六月十一日に資源エネルギー庁長官名関係通商産業局長及び石炭鉱害事業団理事長に対しまして、綱紀の保持並びに業務運営あり方見直し及びその結果を踏まえた適切な対応措置実施等を指示したところでございます。  今後、これらの改善措置を準備ができたものから逐次実施に移すことによりまして、通産省及び石炭鉱害事業団が一体となって公正な鉱害復旧実施を推進してまいる所存でございます。
  87. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 新聞によりますと、筑豊で二百名と言われる鉱害屋と言われる人がいるそうであります。一体鉱害屋がはびこった原因はどこにあるとお考えですか。部長、御答弁を願いたい。
  88. 檜山博昭

    檜山政府委員 いわゆる鉱害屋被害者から委任状をとって、その代理人がいろいろと鉱害の復旧に関しまして、復旧順位とかあるいは査定等そういったような形の活動をする。  そういう背景には、実は五十七年度から十年間鉱害復旧を進める、これが最後の十年じゃないかというような考え方が地元被害者にありまして、そしてこの十年間の間に鉱害復旧ができるのかどうか、そういう危惧に対して、いわゆる鉱害屋がそれをあおるような形で来ているということが背景にあるんじゃないかというふうに考えておりまして、特に、二、三年前から非常に厳しい陳情攻勢に現地の事業団事務所、通産局はさらされておりまして、そういう中でこういった問題が起こってきておるんじゃないかというふうに考えております。
  89. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 割合に的確に把握されておるようですけれども、要するに、善良といいますか声の小さい者、この人々のいわば要請に対して、やはり通産当局が十分対応してない、やはり声の大きいところに従って行っておるということですね。  それから、鉱害というのは、家屋のような場合は、各家庭でも悠長に待っておられないんですよ。毎日雨漏りがするわけですからね。沈下をしておるわけですからね。そのうちに大きな雨が降れば、床まで水が上がってくるわけです。そういうのが膨大にあるということですよ。そういう中で、しかも、今お話がありましたように、時限立法である、一体法律施行の間に間に合うのだろうか、そういうところに出てきたと思う。  そこで、通産局及び事業団の職員の中には、やはり鉱害屋とうまく話をつけておればスムーズにいくという、そういう体質がだんだんでき上がってきた。もううるさいから、一回ボスに頼んでおくと、あるいはそのボスの言うことを聞いておくと最後までうまくいく、こういう考え方がある。これが双方にある。これが一つ鉱害屋を助長さしておる。ですから膨大な復旧費になっていくわけですね。そういうことが考えられるわけです。  それはそうでしょう。鉱害屋被害者から手数料を取っている。最近は余り取ってないそうですが。それから業者指定をしますから、リベートが入るでしょう。後から申し上げますが、見直し工事をやらすから、それはおれの腕でやったんだというので、そうしてさらに見直し工事については相当の金額を自分が着服する。商売としては非常にいい商売ですね。ですから委任状をとって歩くわけですよ。そうして委任状をとるときには、その被害者からは金を取らぬ。しかし、委任状が今度は売買されておるんですね。金券のように扱われておる。こういう状態の中に今ある。  そこで、先ほどからの答弁をお聞きいたしますと、交渉ルールを確立するという話であります。これも結構だと思います。今までのような無軌道な交渉では、それは職員は疲れてしまう。そうして最後に一筆書かされる、こういうことでありますから、ルールの確立は必要ですけれども、しかし私は、この膨大な筑豊における鉱害の被害者の意見を聞いて、その順位決定する、それには今の通産局やあるいは事業団だけではできないんじゃないかと思うのですね。これはそもそも無理なんですよ。そういうところに私は問題があるんじゃないかと思うのです。  ですから、先ほどから話がありましたように職員の身分関係、これは後に触れていきますけれども、何らか市町村というものを窓口にして、何か市町村にそういう窓口を置いて、市町村と主として事業団並びに通産局が話し合うというような制度を確立しなければなかなか困難です。もちろん今の市町村財政では、引き受け手はおりませんよ。ですから、それはどういう形で財政の援助をやり補助金を出すか、何らかの形を整えなければならぬですけれども、市町村活用というのが非常に考えられるんではないか。  そうすると、大臣、市町村ですとわかるんですよ。町会議員もおり、市会議員もおるんですから、みんな目が多いですよ。ですから、そんな無軌道なことはできない。それをやはり福岡へ行って事業団でやる。もっとも支部はありますよ。支部はありますけれども、少し無理ではないか。もっとも市町村は今喜びませんよ。私は喜ばないと思う。問題になって、そんな重い荷物を市町村にかぶせられたらたまらぬという気持ちもあるでしょうけれども、しかしそれは市町村民のことですから、何らかここに円滑な交渉ルール、交渉の窓口というものを確立する必要がある。ただ、交渉の時間を何時間にするとか深夜に及んだらいかぬとか、それは全くのテクニックの問題ですよ。私は、やはりこういう点を確立して、多くの監視の中にこの問題の解決を図るということが必要じゃないかと思うのです。  これは極めてわかりやすい問題だと思いますから、しかも大きな問題ですから、ひとつ大臣から。専門家よりもむしろ大臣の方がいいのじゃないですか。
  90. 檜山博昭

    檜山政府委員 先生指摘の、市町村とどういうふうに今かかわり合いを持っていくかという問題でございますが、被害者の意向を最も身近に吸収できる立場にあるのは地元の市町村でありまして、従来から私どもも、無資力鉱業権者による鉱害に係る被害者復旧申し出を市町村経由というようなこととしたり、あるいは基本計画の作成に当たりましても市町村長の意見を聞くなど、十分配慮をしておるところでございます。  このように、現在の運用におきましても、被害者及び市町村の意向はかなり反映されているのではないかというふうに考えますが、今後さらに市町村とどのように協力していくかということにつきまして、現在、代表市町村の事務当局と石炭鉱害事業団九州支部との間で検討を行っているところでありまして、その検討結果を待って考えていきたいというふうに考えております。
  91. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 今までは、市町村の窓口が鉱害屋に頼んでおるのですよ、現実は。市町村ではぶつかってうまくいかぬから、鉱害屋に頼んだら早くてきた、残念ながらこれが実態なんですよ。そういう点は、通産局が公務員たるの十分な職責を尽くしていないということもある。あるいは事業団の職員の態度にもある。しかし現実はそういう状態になっておるのですよ。ですから、市町村と事業団なり通産局がいろいろ話し合って査定をして決定するというような状態でないのです。ただ書類を持っていくだけ。市町村が通産局と交渉をしてできたというのはごく少ないですよ。それは道路か河川かの、この公共事業を上げるとか改修するというのが附帯した場合ですよ。それは本来市町村の問題ですから。そういう問題しかできてないということを申し上げておきたいと思います。  そこで私は、一体無資力の場合の鉱害の工事というのは公共事業なのか、それとも、本来有資力であれば当然鉱業権者が行った賠償の代行を通産局なり事業団が行っておるのか。要するに、この賠償工事というのは公共事業なのか民営の事業なのか、これは一体どういうように判断をされておるか、わかる人で結構ですから、御答弁を願いたい。
  92. 井上毅

    ○井上説明員 ただいまの先生の御質問でございますが、鉱害復旧を行います国の立場から申しますと、国土の有効利用あるいは民生の安定という目的でこれを行うものでございまして、被害者鉱害復旧工事の請求の権利があるかないかという点から見ますと、これは法律上明確にそういった請求の権利はないという整理になっております。こういう意味におきまして、鉱害復旧工事は公共工事的な色彩を多分に持っているということが一つ申せると思います。  しかしながら、鉱業権者に鉱業法上の賠償義務が存在しない鉱害被害につきましては復旧工事は行うことができないということに法律上なっておりまして、この限りで私的な権利義務関係の上に乗った制度であるという面も有しておるわけでございます。  しかし、国は無資力企業にかわって賠償義務を有しているわけではございません。その意味で無資力企業の代行ではないということになるわけでございまして、先生指摘のような、どちらかという一方だけの要素で決めることができない、複雑に両面入り組んだ、そういう性格を持った特殊な工事である、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  93. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 非常に難しい問題で、私はここで結論をはっきりしようと思いません。これは非常に影響するところも大きいし、私自身ももう少し研究してみたいと思います。しかし、これが公共的色彩の強いものであるというならば、なぜ交渉が行われて、そうして見直し工事がどんどん行われるのかということですよ。公共工事入札を見てごらんなさい、一回入札してもし損をしたら、それは業者が悪いということですよ、当たり前だという。得をしたら、これは業者が得をした。ところが、そうでないでしょう、実際の扱い方は。私は、これは非常に問題だと思うのです。  先般福岡県が県議会産炭地振興対策特別委員会に出した資料によると、五十六年から五十八年まで、その復旧工事の最初の認定、査定、その次に見直し、その金額をずっとワースト二十を出しておる。これは新聞でも発表されております。そうして、一番大きいのが二十九倍ですね、最初の査定見直し工事の最終金額が。これは、百四十六万五千円を三回にわたって見直して、そうして四千二百八十六万円。それから八百一万六千円の工事を、これは四回にわたって見直しておる。これが二億八十五万二千円。そうしてその他それらに類するものがざあっとリストになって上がってきておるわけです。  一体なぜこの見直しというのがそんなに行われるのか。公共工事的な色彩なら、ばんと決まったらそう動かないはずでしょう。これは一体どういうように考えるのかですな。どういうようにお考えであるのか、お聞かせ願いたい。
  94. 檜山博昭

    檜山政府委員 先生指摘のその見直し工事実態調査でございますが、福岡県が県議会に報告をした資料につきましては現時点でまだ私ども入手しておりませんで、福岡通産局に対しまして、この見直しの経緯等につきまして調査をさせているところでございます。  どうしてこの見直しの結果額が大きくなるかという点でございますが、それぞれの案件についてのものではございませんで、一般論としての見直し額が大きくなる理由としましては、三点ありまして、一つは変更認可をする場合でございますが、大型物件等におきまして、当初、部分工事で認可するわけですが、それが他の物件の工事の進捗状況、全体の工事の進捗状況等の調整の結果、復旧費の予算のやりくりがついたので、先ほど申し上げた当初の部分工事で認可したものがだんだん全体工事として移っていくということが一つ工事の対象が広がるという形で当初の認可額からさらに拡大するというのが一例でございます。  第二点は、通常の家屋の歩掛かりで設計しても十分である、効用を回復できる、そういうふうな判断をして始まるわけですが、解体の結果、非常に構造が複雑であるとかあるいは特別な材料を使っているというようなことが判明して、当初の金額ではとても効用の回復が不可能であるというようなことがわかって拡大するというのが第二点。これが一般の家屋においても当初見積もっていなかった箇所が判明して、見直し査定を行ってふえるというようなケースもあるというような点でふえてきているというふうに、一般には言われております。
  95. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そういう、最初、部分工事を認定して、そうして他の予算関係で金が余ったらつけてやる。大体、そういうことでいいんですか、公共事業的性格、色彩が強いというものが。そういう態度で一体この膨大な予算の執行の正確が期せられるのですか。
  96. 檜山博昭

    檜山政府委員 私ちょっと説明不十分だったかと思いますが、最初の例で、当初、部分認可という形で工事の一部分を認可するわけですが、そのときには全体工事についての査定というのは既に終わっておりまして、全体工事の額もある程度は見積もられておるわけですが、とりあえず、予算の関係その他、他の工事との関係もありまして、部分認可、一部分の工事だけ認可してスタートするということがありまして、その後予算その他の利用可能だという形で全体工事に移っていくということでございまして、最初ずさんな一部の工事を認めて、後で予算が余ったからどんどん全体にふやしていくということではございません。当初から全体の工事査定がありまして、ただ予算的に部分認可しかできないという形で部分認可したものが、後に全体になってきますと全体工事としての復旧費がふえる、こういうふうなことでございます。
  97. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私どもの聞いているのは、最初の査定、認定というのは、どうせ見直しをしますからというのでっけ出しておるというのですよ。その査定官といいますか、その係の職員の態度が、いずれ見直しをするのですから五百万円つけておく、そうして見直しは一千万円、これがかなり現実に行われておるというのですよ。そうすると、職員の方も、ふやしてやったんだという、それから委任状をもらった鉱害屋も、おれがやってやったんだ。言うなれば、労使で賃金交渉をするときに小出しに出すようなものですよ。そしてそれがスムーズにいくんだという。ところが、それは逆に、見直し工事が大きければ大きいほど、いわゆる鉱害屋、ブローカーのところに金が入っていくのですよ。  ですから、今私が最初二つ言ったのは、あるいはそうかもしれません。しかしワースト二十の中には、そうでない、二倍から三倍、六倍、こういうのは、明らかに最初の査定を極めてあいまいに出す、そうしてだんだん追加をしておる。これは、公共事業的な性格が強いものにこんなことはできませんよ。しかも県が出した資料ですよ、これは。ですから、そういう点は、もう見直しはやらないんだ、原則として見直しはやらない、何か特別なことが起こったらやるという態度が必要じゃないですか。  現実問題として、有資力であります現存しております炭鉱、現存といいましても、会社が現存しておるだけで炭鉱はなくなっているのですけれども、その炭鉱のどこを聞いても、最大二〇%だと言うのですよ。見直し工事をやるけれども、それは二〇%である。なぜ事業団だけは二倍でも三倍でもいくのか。ですから、普通の会社が依然として行っているのは、二〇%以上には絶対認めないというのですよ。これはどういうことですか。できないのですか、それは。
  98. 檜山博昭

    檜山政府委員 一般的に鉱害復旧の場合、見直し査定というのをやっております。原則として一回ということでやっておりますが、中にはこれは工事の延期というような形での変更ということもありまして、先生、新聞でこの変更認可の回数が非常に多くなっている、五回とか四回とか、そういうふうな変更認可の数がそもそも見直し査定の回数というふうにお考えになっているとすれば、その回数は、工事の延期といいますか、期間の変更というのも入っておりまして、私どもとしましては、原則見直しは一回ということで進めておりますが、中には一回で済まないという非常に複雑なものがあろうかと思います。
  99. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 困難なのは解体新築ですね。要するに原形復旧の費用を算定をする、そして本人が持ち出すといいますか、前のは全部倒して新しい家になる。これは事実上検査はできないのです、前のは跡形もなくなくなっているのですから。ですから、これはどんなことをやられたってわからないのです。解体新築を認めている、これはいいことですよ。昔は原形復旧しか認めなかったのを、そんな古いのを、文化財ではあるまいし、そのまま置いておいたっていけませんから、それは新築を認める。その分の持ち出しは要するに受益者が負担する。それは結構です。  結構ですけれども、解体新築の場合はほとんど設計変更が行われているのです。これは大部分が見直し工事が行われている。そうして、検査をしに行ってもわからないのです、前の建物がないのですから。ですから、その増加分というのが残念ながらいろいろなところに流れておるのですね。一体この解体新築する場合に、本当の意味の査定、認定ができておるのですか。課長で結構ですよ、今までよく事情を知っておられる人で結構ですから。
  100. 井上毅

    ○井上説明員 先生指摘のとおり、被害者が一部自己資金を投じまして家屋の工事を行ういわゆる解体新築工事の際に、家屋を解体しましたときに、当初の査定では気がつかなかったいろいろな隠れたコストアップの要因というものが被害者側から要求をされまして、それに対してこたえていくということが見直し一つの大きな場面であるということでございますが、この見直しに当たりましては、現在の仕事のやり方といたしましては、事業団の職員が現場確認をいたしまして、さらにそれを通産局が再度査定という形でチェックをするという、いわば二重のチェックを経て査定が行われるということになっておるわけでございます。
  101. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 私は、役所が弁明をしたり、そして何か部下をかばう必要はないと思うのです。こういう時期ですから、洗いざらいやはりはっきりさせた方がいいのですよ。知らない本省の課長がかばって、いやそれはやるようになっているとかなんとか言う必要はないのです、現実はやられていないのですから。天井裏や、それから床下に潜って見れば大体わかりますよ、あなた。そんな複雑な家の構造じゃないのですから。それを、解体してみたら思わぬところに要因があったなんということは考えられないのです。どうせそれは壊すのですから、徹底的に見ればいいのです。ですから、解体してみたら意外なところ、こういうことは考えられないのです。それは最初がずさんだからです。  これは事業団も当然タッチされておるのですが、理事長は現場に詳しいわけですから、どういうようになっておるのか、どういう方法をしたらいいのか。これは完了検査をやりましても、もう家は新しくなっている、全然違うのですから。ですから、その実態の中で、解体するときに金額をはっきりしないと、後で見直すなんということはこれは極めておかしい話じゃないですか。
  102. 高木俊介

    高木参考人 今、多賀谷先生の方から御指摘ございましたように、一部被害者が負担して解体新築という制度を今取り入れておるわけでございますけれども、当初の査定、あるいは解体後の金額の増、見直し、これはいろいろ問題がございます。  確かにただいま先生の御指摘のように、解体時に職員が現地に立ち会って見るという今の制度でございますけれども、今の制度の中の解体新築については、現地に立ち会って見るということを原則としておりますけれども、場合によっては現地へ行ってみたらもう既に壊されていたという話も聞いております。できるだけそういうことのないように事前に連絡をとってやれということは指示しておるのでございますけれども、なかなかその辺が難しい解体新築の業務に携わっているわけでございます。  なお、検査の問題にしましても、これは検査官の方からいろいろクレームもついてきたのでございますけれども、当初の設計とでき上がったときの家は全然別個のものになっております。それをどういう検査の仕方をするのかという難問をぶつけられたこともございます。これに対しましては、一応今解体新築の基準としまして、当初の家の広さに対して、でき上がった家の広さが一定割合以上でなくてはならぬというような幾つかの制限がございます。その制限、制約を満足しているものに対しては認めざるを得ぬのじゃないかというような検査方法しかとれないというのが実態でございます。これは例えば、家の坪数の広さの条件とか、解体新築をやる場合の条件というのがございますので、当初の坪数はわかっておりますので、でき上がった坪数、そういうものを見て検査せざるを得ぬのじゃないか。しかも、事業団が出した金以上の家が完成しておるということを第一の条件にしておるわけでございまして、そういう程度しか今の解体新築では検査ができないというのが実態でございます。  それで、責任の問題、いろいろございましたので、昨年通産省の方ともいろいろ御相談いたしまして、当初の契約時において入り口がいろいろ難しい手続上の問題がございますけれども、解体新築については、当初入り口でしっかりして中へ入ろうということで、契約書を一部訂正させていただきまして、十一月でございますけれども、責任の所在の問題あるいは金の支払いの問題、今、解体新築の場合でも、業者が中小でございますので、中小の方から毎月出来高払いで支払ってくれというのが実態でございますけれども、その辺をどういうように合理的に支払いをやるかというのも今度の契約の中へ入っているわけでございます。  なお、最後検査につきましても、どういう程度ができたときに最終検査をするということで、契約時点からはっきりした一つの方針で進もうということで、昨年の十一月から改正させていただいたいきさつもございます。
  103. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 解体新築の場合に、検査に行ったらもう家は壊されておったというのじゃ、これは復旧費用の算定ができないのじゃないですか。そういうのは認めない、そのぐらい毅然とした態度でやらなければだめです。勝手に解体をして家を建てかけておる、これは算定のしようがないですよ。そういうところにルーズさがあるのですよ。公共事業でそういうことができますか。今会計検査院はおられないけれども、ここのところで考えられないことが行われているのですよ。ですから、それがやはりどこかルーズになっている。  鉱害屋というのが査定官のように思っているのですよ。これは私自身も耳にし、それから新聞にも書いておりましたけれども、ある町で民間が四十センチから一メートル上げた、公民館だけが十五センチだ、なぜ上げてくれないかと言ったら、そんなにぐずぐず言うならその予算はよそへ回すぞ、こう言った。これは鉱害屋が言っているのですよ。そんなに文句を言うなら予算をよそに回すぞ、こんなことを業者鉱害屋が言うというのもおかしいですよ。ですから、通産局事業団というのは、極端に言うならば、鉱害屋それから業者が、思うままに行政の中に立ち入っていると言わざるを得ないですよ、この状態は。予算をよそに回すなんということ、こういうことを平気で公言するような状態というのは、私は非常に残念に思うのです。  それから、なぜ鉱害復旧費の費用を本人に通知しなかったのか。これはこんなことがあり得るんだろうか。大臣、本人も知らないのですよ。知っておるのは鉱害屋が知っておるのです。なぜ本人に、家屋の所有者、被害者に直接通知をしないのですか。これは一体どういうことなんですか。
  104. 高木俊介

    高木参考人 事業団としましては、入札制度をとっておりますので、入札前に家屋復旧費につきまして外部に漏らすということは厳に慎まなければならない問題だと思います。しかし、入札後少なくとも家屋分については被害者の方に通知するようにという指示を現場の方にやったのでございますけれども、なかなかそれが徹底されてないという点が一つございますので、今後これは引き続き、できるならば、入札後、事業所を通じなくて支部から直接連絡するというのも一つ方法じゃないかと考えております。  今、契約上は、あくまでもブローカーといいますか鉱害屋は表面に出てきませんで、契約の当事者は入札した元請業者でございます。その元請業者が善良な人であればその金額は恐らく教えてやっている例もあろうと思いますけれども、大半がそういう点で知らすことを嫌っているんじゃなかろうかと思われます。
  105. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そこで、もとの議論に返るのですが、本人、被害者には全然知らさない、そんなのはまさに公共事業ですよ。国が一定の判断をして復旧する、本人は知らなくともよろしい。しかし、やはり交渉であるという。交渉というのは何か、正式に言うと、被害者とそれから鉱業権者、今は事業団、あるいは通産局も交渉をやるでしょう。そういう点が何かはっきりしないのですよ。大体、本人が知らないというのが被害者としてはちょっと考えられないですよ。  課長、問題整理をしてもらいたいと思うのですけれども、本人に今まで知らさなかった。おまえは復旧だけをすればよろしい、ですから、被害金額は知る必要はないんだ、国の判断でそれは一定の基準で復旧します、これは国土の保全ですからということが貫徹するならばそれでいいですよ。その点はどうなんですか。それから今度は逆に、金額は私の方はこれだけしか出しません、あとは業者をだれにしようとあなたの勝手です、しかし見直しはしません、これも一つの行き方ですね。実に話が中途半端なんです。そういう性格的なものがあるのですよ、この根底には。ですから、本人に通知をしないということについて、今通産省はどういうように考えておるのか。
  106. 檜山博昭

    檜山政府委員 従前の場合ですと、解体新築工事の場合には、被害者または代理人から問い合わせがあれば工事費を知らせてある、こういうふうなことなんですが、今後は、先生指摘の点もありまして、被害者の利益をより一層保護するという観点から、事業団請負業者と契約締結した後に、事業団から被害者本人に工事費を通知する制度を確立するよう事業団を指導してまいりたいというふうに考えております。
  107. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これらも今後の問題点として、被害者にはぜひ通知してもらいたいと思います。  この鉱害復旧、すなわち性格というものは一体どういうふうに考えるべきか、非常に難しい問題が依然として解決されていないままにある、こういうように思います。  そこで、今中西さんからもお話があったわけですが、被害物件が随分多いわけですけれども、それについて、コンピューターなんか入れて、そしてすぐ明確にわかるようにしたらどうかというお話がありました。これはどの程度進んでいるのですか。
  108. 高木俊介

    高木参考人 今までも、小型のものでございますけれども、農地関係を主体にしたコンピューターを採用させていただいておるわけでございますけれども、家屋関係が件数が多くなりまして、どうしてもデータ的に前の機械では入らぬということで、実は昨年新しく大型のコンピューターを設置したわけでございます。四月から稼働しております。  これに対しましては、まだ家屋台帳と申しますか、個々の家屋の実態のあれが整備されていないものでしたから、現在、個々の残された家屋の実態調査、いわゆる家屋台帳の整備をしておるという段階でございまして、それができれば、コンピューターにインプットしまして、できるだけ業務の簡素化を実施したいというふうに考えております。
  109. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それから通産局事業団ですね、この仕事の分担というものは極めて明快ですか。役所の方……。
  110. 井上毅

    ○井上説明員 通産大臣の権限は通産局に大部分委任されておるわけでございますが、これと事業団との責任関係につきましては、おおむね法律で明確に規定をされておるわけでございます。  例えば基本計画について申し上げれば、事業団が原案を作成するということになっておりまして、通産大臣はこれを認可するという立場でございます。また実施計画につきましては、施行者でございます事業団が原案を申請をいたしてまいりまして、通産局はこれを審査し、認可する、こういう立場でございます。そういった形で両者の責任関係は明確になっておるというふうに考えております。
  111. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 そうすると、工事完了検査通産局ですか。  そこで、私は率直な気持ちを言いますと、この通産局体制が従来の状態と余り変わっていない。従来の状態というのはどういうことかといいますと、鉱業権者が現存をしていて、そして被害者が訴え出る、言うならば紛糾したときの鉱業権者と被害者との調整をやる。あるいは、鉱業権者が多数にわたる、あるいはどの鉱業権者かわからない、その調整をやる。言うならば、本当の民事的なものの調整をやるというような考え方ですね。ところが、今日そうでない。九割までは無資力ですよ。公共事業です。ですから、その公共事業でやるならば、建設省のどこどこ工事事務所のような態度でいかなければいかぬですよ、これは。それを、そうでなくて、やはり昔、鉱業権者が現存しておったような、第一、職員の体制からそういうことではないか、そういう感じがあるのですよ。ですから、そういう状態では今日対応できない新しい状態に来ておるんじゃないか、こういうように考えるわけであります。  それから、先ほどからお話がありました、やはり嘱託であるとか臨時であるとかアルバイトという、こんな状態では――命かけてやるわけですからね。私は、新聞社の諸君もこれだけ取材するには命がけでやったと思うのです。ですから、それを不安定な身分のままに置いておくということがそもそも我々を含めて責任がある。安定した身分がない。そこで、一体、時限立法の中における、これだけ重要な仕事をやらせておるのに、将来法律がなくなったときの身分安定は保障されておるのかどうか、これは役所からお聞かせを願いたい。
  112. 柴田益男

    ○柴田政府委員 事業団の職員には、事業団の任務の重要性とその置かれた環境を十分に認識し、適正に業務を運営していくことが期待されるところでございますが、将来の処遇に関し、職員が不安を感じ、このため業務の遂行に支障を来すことがあればゆゆしき問題であると認識しております。  事業団は、時限立法たる石炭鉱害賠償等臨時措置法に基づき設立された特殊法人として、法を廃止し、期限の到来とともに解散することになっておりまして、そのときの事業団職員の身分を現時点において保障し得るものではございませんが、廃止時における職員の立場が著しく不安定なものとならないよう、他の政府関係機関等の協力を求め、職員の習得した技能等を生かした雇用機会を確保するよう努力してまいりたいと考えております。
  113. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 これはもう今の時期には遅いのですけれども、例えばベルギーのボルナージュに、IDEAという市町村連合でこういう産炭地振興や鉱害復旧をしているところがある。これは身分は全都市町村職員ですよ。全部出向しておる。国が七割出して、県が二割出して、一割は市町村が金を出している。しかし、身分は市町村職員である。ですから帰るところもあるし、人事の異動もあるし、その身分的な不安はないわけですね。しかし今日の時点でそのことを言うことはできませんけれども、何かこれだけの仕事をさすのに、事業団をつくって、そうして身分が不安定だ、こういう状態、これは私はやはりこの鉱害復旧の役所の、行政上の対応も十分でないんじゃないか、こういうように思うのですが、大臣、最後にお聞かせ願いたい。  もう一つ大臣、非常に心配しておるのは、先ほどお話がありましたように、予算が、来年度の鉱害復旧費が削られるんじゃないかという不安感があるのですよ。そうすると、この不安感によって逆に一層鉱害屋が出てくる。だんだん予算が削られるなら、早く、だれでもいい、頼むところへ行って復旧してもらわなければ困るというので、また鉱害屋をはびこらせる要因になるわけです。ですから、この点はひとつ大臣、十分考えていただきたいと思うのですが、最後の御答弁を願いたい。
  114. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 いろいろな問題点指摘がございましたけれども、その問題点が事実とすれば、まことに遺憾なことだと存じます。私自身も納得のいく調査をしなければならないと存じますし、また、そのような問題点鉱害屋と称する人たちの乗ずるすきをこしらえるとするならば、十分検討していかなければならないと考えます。  さらに、予算の面のことについて言及がございましたけれども、その予算の確保には私ども万全を期してまいりたいと存じます。
  115. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 どうもありがとうございました。
  116. 上坂昇

    上坂委員長 午後一時二十分より再開することとし、この際、休憩いたします。    午後零時三十分休憩      ――――◇―――――    午後一時二十分開議
  117. 上坂昇

    上坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮崎角治君。
  118. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 石炭政策における重要なポイントは、保安なくして出炭なし、また、出炭に不可欠なものは保安である。そういう石炭政策にまつわる昨今の話題はまことに目を覆うものがあるし、また、非常に胸を痛める要素が浮かんでくる昨今でございます。  今回私は、COマスクー点に絞りまして、通産大臣並びに立地公害局長等々にただしておきたいのであります。  去る三月十六日の石特委での私のCOマスクについての質問の中で、石井前立地公害局長の答弁に事実誤認、誤りがあった、これは六月六日付の朝日新聞にも取り上げられたわけでありますが、まず最初に、この点についての当局の弁明をお伺いしたいのであります。
  119. 平河喜美男

    ○平河政府委員 お答えいたします。  この前の先生の御質問でお答えしました、当時の私どもが存じておりました西独のCOマスクの指針につきましては、昭和五十五年九月より前のものでございまして、これに基づいて答弁を行っております。この点、情報把握の点で不十分な点があったと認識しております。
  120. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 情報把握の点でまずさがあったと言うが、その情報把握の内容はどういう点でまずさがあったのか、もう少し具体的に答弁を求めたいのであります。
  121. 平河喜美男

    ○平河政府委員 例えば、試験法の内容でございますけれども、西独の方で私どもが存じておりました以後の指針の見直しをしておりまして、従来の試験法と違う、例えば従来サーミスタを使っておりました温度の検出法につきまして、熱電対を使うというようなことを改正しております。そういう点について、私どもはその時点で正確な情報をわかってなかった、こういうことでございます。
  122. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 サーミスタと熱電対との温度計の問題等の例が挙げられましたけれども、現在世界の先進国では、この種の温度計の、あるいは測定方法の試験というのが非常に新しい方法で進んでいるわけであります。  ここでひとつ私はこの温度測定についてただしておきたいのでありますけれども、激しく波打っ状況、いわばこういったのは御存じでございましょうか。(資料を示す)この場合に、サーミスタと熱電対との比較対照でございますけれども、これについて局長はどのように認識されているのか。
  123. 平河喜美男

    ○平河政府委員 二つの方法の特徴を端的に申し上げますと、サーミスタの方は、温度の検出をしましてそれがあらわれるに少し時間がかかりますので、かなり平均的な温度のあらわれ方をいたします。熱電対ではかりますと、反応が早いのでピークの温度がかなり際立って出てまいる、かように理解しております。
  124. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 波状でございますね、これを激しく繰り返す。COマスクの温度の変化というのは、変化に敏感な温度計でなければいけないということでございますね、そうしないとその実態というのはわからないです。現在の国産のマスクの検定方法によりますと、六十五度Cで押さえてあるとはいっても、それは反応の遅い温度計ではなかったか。その温度計ではかったために六十五度で押さえているわけです。いわゆる平均値以下の数値でしかない。意味がないじゃないか。この辺について、この上下というのと、いわゆる熱電対というのとサーミスタというものと、今世界的な趨勢の中でどちらが望まれているのかということについての答弁を求めたいのであります。
  125. 平河喜美男

    ○平河政府委員 この種の機器につきまして比較的進んでおるのは西ドイツとアメリカと日本かと思いますけれども、西ドイツが熱電対を使っておると聞いておりますし、アメリカでは従来サーミスタの方法をとっておると聞いております。
  126. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 冒頭に、局長の方の答弁の中で、認識している以前以後の問題を挙げられて、いろいろと温度計の試験の方法等の問題がありましたけれども、実は通産省は西ドイツの鉱山保安委員会の指針が変わったのは知らなかった、どうして変わったのかよくわからないので調べているということを言っておられたわけでありますが、その後、鉱山保安委員会に問い合わせをされたかどうか、この辺についての答弁を求めます。
  127. 平河喜美男

    ○平河政府委員 目下のところジェトロ等を経由して調べておりますけれども、近く現地へ調査団を派遣して詳しく調べる予定にしております。
  128. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 近く現地に調査団を出すということでございますが、実はこの点についてはもう既に四年前に、今国産で使っておるCQマスクの性能とか状況とか触媒とかいろいろな内容のシステムについては、結局世界のそういったマスクに対する研究をし、洞察をし、それに非常に注意深い検討をして、この日本のマスクについてはちょっと頭を振るような、極端に言いますと欠陥マスクである、こういったことについての調査あるいは報告といいますか、この検定の報告が来ておるのじゃないかと思うわけでありますが、通産省並びに公害資源研究所並びに石炭技術研究所の方々がおられたら、ひとつはっきりそれの有無を発表してほしいと思います。  四年前に既に検査報告を通産省の方に送っている、そういう情報を私はつかんでおるわけでありますが、今から調べにやって、現地調査をやって、これからまたいろんな面で精査していくというような話というのは、これはちょっと脇に落ちないのであります。この辺について、もう四年前に既にこれの是非、これの良否、適否、どの辺が、どの部分が否なのか、適なのかについては、これは四年前に既にわかっていたのではないか。わかっていたのを、ドイツのそういった報告とかあるいは基準とかというものについては初めて知ったような、そういった文言をもって私どもに報道として教えてくれておるわけでありますが、この辺についてのひとつ具体的な解明と弁明、その書類は既にあると思いますから、それをひとつ提示してほしいのです。  これは委員長にお願いをしたい。それがなかったら、私は質問は先に進められません。
  129. 平河喜美男

    ○平河政府委員 現在、私どもの方で決めております検定基準、試験方法等につきましては、五十五年以前の資料等に基づいてつくっておりまして、今、先生指摘の五年前のその資料については、私、現在ここにちょっと資料を持ち合わせませんので、調べてからお答えいたしたいと思います。
  130. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 五年前から今まで全然変わってないんですからね。そうでしょう。その変わってない前の、五年前のその器具をもとにして向こうはきちっと調べたわけでありますから、検定したわけでありますから、それの報告書を三つのパートに送ったということですから、ないということはないでしょう。それは至急、今手元にあれば、その文書をひとつ公開してほしい。見せてほしい。結局、基準に合致しない場面もあったわけでありますから、この辺についての解明をしていきたいと思っておりますがゆえに、今尋ねているわけであります。
  131. 平河喜美男

    ○平河政府委員 至急調べたいと思います。
  132. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 委員長、済みません、ちょっと至急だそうですから、しばらく時間をかりて、来られるまでお待ちしたいと思っております。非常に重要な文書であると思いますので、それをお借りしたいと思っております。――ちょっと、その辺にしまっておるんじゃないですか。  四年前だから、四年前と言えば五十五年ですから、あるはずてすよ。――今回、じゃ問い合わせはまだしてないんですか、どうですか。
  133. 平河喜美男

    ○平河政府委員 ドイツの規格でございましょうか。
  134. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今一カ所ですか、我が国でつくっていらっしゃる会社というのは。重松製作所のCOマスクでございますが、これを一九八〇年に西ドイツの鉱山保安委員会が入手しまして検査しましたところが、西ドイツの基準では幾つかの点で不合格である。欠陥である。その検定報告書というものが、今申し上げました通産省とかあるいは公害資研とかあるいは石炭技研とかこういうところに送付してあると思うんですが、今回の問い合わせというのは、今からということでございますけれども、私の情報調べでは、もう四年前にそういう検定報告書は出しているんだから、今回も聞かれたって、同じ製品ならば、もう四年前に出している報告書と同じなんだということを向こうの方から言ってきてないのかどうなのかということを聞いているんです。もし来ているとなれば、その文書をお見せくださいと言っているんです。来ているはずだから見せてほしいと私は今願っているわけです。
  135. 平河喜美男

    ○平河政府委員 私どもが今回新しく調査団を出して調査しようと思っておりますことは、この指針の改定の背景にございます西ドイツにおける一般的な事情を含めましていろいろ調べたいと思っております。  先生の御指摘のその文書につきましては、ちょっと今心当たりございませんけれども、少し時間をいただけければと思います。
  136. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 時間は、待つのは長短いろいろありますけれども、非常に重要な問題でございますから、ぜひひとつこの百一国会が終わる前あたりまで、あるいは今明日、委員会の終了後ひとつぜひ私の方にお願いしたいと思います。  実は、きょうはこのCOマスター本に絞っているのは、いわゆる一月十八日の胸の痛まる有明鉱の事故での死者が八十三名、重傷者が十六名という被害を見ましたときに、COマスクがもっと性能がよかったら助かったのではないか、そういう気がしてならないからであります。  私は昨日、このマスクを何回もかえてはい上がった小鶴幸六さん、四十六歳の方に通信をし、その方の生の声を聞いたときに、マスクはもう使えっこない、使用するには大変な欠陥のマスクだ、二十分間だったであろうか、何回も何回もかえて水を飲みながらと言って、あれからずっと、夕方は、天気の晴雨にかかわらず非常に頭痛がして、今、左の手足がもう大変な苦痛を感じ、リハビリに行っているという話を聞いたときに、私は四年前のこの調査報告書、検定報告書が来ているという情報をキャッチしたために、きょうはぜひその文書の提出を求めて、何が欠点だったのか、どこを改善すればよかったのか、このCOマスクにかわるべきものが本当はないのかどうなのか、この辺についての解明を私はしたがったのでございます。  私は、本当にCOマスクの置かれている重大な立場というものを考えたときに、きょうは声を大にして質問しているのです。メーカーの姿勢がどうのこうのと言うのではないのです。斜陽産業で余り熱意もない、利益も余りない、こういう問題ではないのです。COマスクの開発から製品の購入まで補助金を出している通産省姿勢問題点を、私は非常に大きく考えるわけであります。もし来ているということになれば、今後私の調査で既に来ておったということになれば、これは隠ぺいしようとする姿勢が問題ではないかと私は指摘したいのであります。  COマスク以外の種々のガスマスクについては、もう西ドイツより基準も日本の方が非常に厳しい、性能もすぐれているということでありますが、事COマスクについてはまことにおくれている。他のマスクと今申し上げましたけれども、例えば、労働省管轄でございますか、消防署の日常使っているマスクとか、また事故だけに使うこのCOマスクを比較した場合に大変な違いがあるということでございますが、果たして今から進められる現地踏査の問題については、いつ現地に調査団を派遣されるという意思なのか、念を押しておきたいと思います。
  137. 平河喜美男

    ○平河政府委員 今後二、三カ月の間に行きたいと思っております。
  138. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ちょっと局長、間に合わないですよ。そのうちにもしものことがあったときはどうなるんですか。欠陥という、この二字がもしあって、その間にまた大惨事があったということになれば、今日まで放置したという責任はだれがとるのか。私も、一昨日筑波学園の工業技術院の方に行ってまいりました、あるいは研究所の方に行ってきたわけでありますが、もうこのCOマスクは限界に来ているという第一線の学者、研究グループの話も耳にしているわけであります。酸素マスク等の開発に着手していると聞いたわけでありますけれども、だからといって、今まで欠陥のあるこのCOマスクを放置した責任というのは回避できるものじゃないです。私は、強くここで追及しておきたいと思うわけでございます。  さて、筑波の方に移りました研究所が以前に浮間にあったときに、このCOマスクを検定する機械が途中でなくなっているのじゃないですか。このマスクについてはどこで検査するのですか。そして、機械はもう既にないということを聞いているのですけれども、検定する機械は日本にあるのですか。
  139. 平河喜美男

    ○平河政府委員 御指摘の検定の機械の一部につきましては、公害資源研究所が筑波に移転します際に破棄したものもございます。現在、全体の機械について購入の予定をしております。
  140. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今までその機械がなくて、どこで検査をして適格というように良否を決めておられたのか、答弁を求めたいのです。
  141. 平河喜美男

    ○平河政府委員 機械の検定につきまして、型式認定をまずいたしますけれども、現在のCOマスクについての型式認定は、前に公害資源研究所に機械がございます当時に行っております。その後の、毎年個別の検定を要するものにつきましては、一部の機械は公害資源研究所にもございますけれども、現地で検定をしております。
  142. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 現地というのはどこなんですか。それが一つ。  それから、COマスクのJISの検定委員会委員長であられる房村信雄早稲田大学理工学部教授は、問題のあることがわかった以上は抜本的にこの問題を見直して計測し直さなければならないとコメントを出されているわけであります。今後、原局であります石炭課はどのような対策をとられるのか、伺いたい。
  143. 平河喜美男

    ○平河政府委員 最初の、現地は、メーカーの工場でございます。  それから、JISの問題につきましては、房村先生の御指摘もございましたように、その後の技術の進展等を踏まえまして、我々としても早急に検討を開始する予定でございます。
  144. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 メーカーのところで検定をするというが、そこにはきちっとJIS委員会で認可された検定機械があるのかどうなのか、あるいは多くのCOマスクを製造されておる中から、どのような方法でだれが、具体的にその検定する方法を示していただきたい。
  145. 平河喜美男

    ○平河政府委員 私どもの公害資源研究所の職員が参りまして、規定のやり方に従って検定することになっております。
  146. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 国として、開発から、そして購入から、相当の予算を計上し、補助金を傾注してこのCOマスクの製造にかかっているわけでありますが、そしてまたメーカーは、今一社のようでありますけれども、一社であるから研究の意欲が減退したのか、それはともあれ、本当に何回も申し上げている、今日まで放置した通産省の、開発あるいはまた世界的なレベルアップに合致しようとする努力、それがなかった点について非常に私は残念でならないのであります。  このCOマスクは、今全日本の炭鉱労働者の中に義務づけられているわけでありますが、数的な問題をちょっと聞きたいと思うわけでございます。数の問題がどうなのか、どれくらいの補助金を出して、この一社のメーカーにどれくらいの予算でつくらしているのか、その辺をひとつ定かにしておきたいのであります。
  147. 平河喜美男

    ○平河政府委員 まず個数でございますけれども、五十八年度で七千九百七十三個でございます。これに要しました費用が五千九百七十二万九千円、これに対しまして、補助金額が四千四百七十九万三千円、これは購入者の方に補助金として出しております。
  148. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今までの問題はCOマスクのJIS規格という問題でありましたけれども、私はちょっと観点を変えまして、今の五千九百万に対して四千四百万という補助金、七千九百七十三個という製造等からいきますと、前に申し上げました大きな欠陥、世界的な規格に対する大きな欠陥というものが発見された今日において、「COマスク等救命器の性能及び使用方法の教育の徹底を図ること」とこの事故調査委員会の中間報告には出ているわけでありますけれども、その委員長であられる伊木正二東大名誉教授が、社団法人日本保安用品協会発行の「セイフティダイジェスト」四月号に、「JIS制定当時次のような意見があったように思います。COマスクは救命器ではないので、これを被って作業したり走ったりすると高熱になり、苦しくて耐えられなくなる。出来るだけ静止してCOを含む空気が過ぎ去るのを待つべきである。すなわち待避用であって、長距離脱出は不可能で、せいぜい短距離突破程度のものである。」とのコメントを出されているわけであります。  炭鉱における事故では、今回の有明鉱の事故のように、火災その他爆発とかガス突出など、そもそも空気を浄化する浄化式の呼吸保護具では用をなさないのではないかと考えるわけでありますが、この辺についての見解を求めたいのであります。
  149. 平河喜美男

    ○平河政府委員 先生の御指摘のとおり、炭鉱災害におきましては、例えばガス突出の場合には、空気そのものがなくなりますので酸欠の状態になります。そういう場合には、COマスクでは対応はできないという場合もございます。
  150. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今後こういうCOマスクから、例えば酸素発生式マスクとか、あるいはボンベ式とか、世界ではこういった三つの種類があろうかと思うわけでありますが、今、本省が鋭意研究員スタッフを擁してプロジェクトをつくっているのは酸素マスクだと聞いているわけでありますけれども、この辺についての方向づけなり、いつ装着をして、これが使用ということになるのか、明快な方途をひとつ聞いておきたいのであります。
  151. 平河喜美男

    ○平河政府委員 現在、ガス突出時の酸欠防止対策としましては、当該地域から脱出するために、三分間使用可能な酸素マスクを開発しております。この酸素マスクにつきましては、炭鉱のガス突出警戒区域で作業に従事する坑内員には配備をいたしております。  さらに、先生指摘のように、一般的な災害に備えまして酸素マスクを備えたらどうかという御意見もございますので、今後はいろいろな場合に対処できる酸素マスクといたしまして、三十分程度使用が可能なもの、特に携帯可能なものにつきまして、五十八年度から国としても鉱山保安技術調査委託という事業の中で開発をいたしております。
  152. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 いつ装着して現場にそれが活用できるのかということについての答弁が抜けているようでありますが……。  なお、冒頭に申し上げましたドイツの検定報告書の問題でございますけれども、きょうの帰りまでとか、あるいは明日の午前中あたりまでに状況がわかったら教えてもらうことが一つと、それから最後に私は大臣に、ただいまの局長との応答を聞かれた中で、極めて重大なこのCOマスクの欠陥の一断面が浮き彫りにされたわけでありますが、この辺についての省の責任者としての大臣の御見解なり、今後のこういった問題の開発についてのコメントなり、御決意なりをお伺いしたいのであります。
  153. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 当省の情報の把握がおくれまして、前の質疑の時点で古い資料のもとに答弁をいたしたということは、まことに遺憾に存ずる次第でございます。要は、三池炭鉱のような悲惨な事故がもう起こらない、このような再発の防止ということが私どもの至上命題でございまして、今後はこのマスクの問題等につきましても、外国の実情等も把握しながら、早急に遺憾なきような対処をすることをはっきりこの際申し上げる次第でございます。
  154. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ぜひひとつその点よろしくお願いします。  終わります。
  155. 上坂昇

  156. 大橋敏雄

    大橋委員 遺憾なことではございますが、私の地元筑豊地帯では、今鉱害復旧事業に関しまして大混乱が生じております。午前中にも社会党の先生から問題が提起されたと思うのでございますが、いわゆる鉱害屋問題をめぐりまして、通産局の職員やあるいは関係業者が多数警察に逮捕されました。連日のごとく新聞、テレビ等で報道されているわけでございます。警察の手入れ、調査で日増しに問題点が明らかになってきているところでございますが、住民、特に被害者の皆さんは、今後一体どうなっていくのだろうかと非常に不安を抱き、また深い関心を持ってこれを見守っているわけでございますが、まず、通産大臣はこの責任をどうお感じになっているか、お尋ねします。
  157. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 福岡通産局及び石炭鉱害事業団の職員が起訴されるに至りまして、鉱害復旧業務の公正な実施に対する疑いを持たれることになりましたことは、私どもまことに遺憾に存ずる次第でございます。  鉱害の復旧業務につきましては、各方面からさまざまな問題点指摘が見られるところでございまして、通産省といたしましては、この六月十一日に資源エネルギー庁長官名で、関係通産局長及び石炭鉱害事業団理事長に対しまして、綱紀の保持並びに業務運営あり方見直し及びその結果を踏まえた適切な対応措置実施等を指示いたしたところでございます。  今後、これらの改善措置を準備ができたものから逐次実施に移すことによりまして、通産省及び石炭鉱害事業団が一体となって公正な鉱害復旧実施を推進してまいる所存でございます。
  158. 大橋敏雄

    大橋委員 当然の指示と思うわけでございますが、私は現地の事業団の職員の皆さんと懇談をしたわけですが、そのときにこういうことを言っておりました。我々は鉱害屋と対応する窓口であります。言うならば防波堤にしかすぎないのです。なぜならば、許認可権を持っているのは通産局の方ですから。通産局の弱腰が大変問題なんです。この姿勢が変わらない限りは鉱害屋問題は排除できませんと、切々と訴えておりました。もちろん通産局そして事業団は一体のものだと私は思うわけでございますが、こういう現場の声も重視していただきたい。  後で逐一内容をただしていきたいと思うわけでございますが、今回の事件が契機となりまして、私は非常に心配していることなんですけれども、この鉱害復旧事業が縮小されていっては困るということです。あるいは今年度事業の遅延等も非常に今心配しているところでございますが、まずこういうことがないように特段の御配慮を大臣にお願いしたいと思うのです。  なぜならば、今この筑豊地帯というものは、まさに鉱害復旧事業というものが言うならば基幹産業なのですね。こうした鉱害屋みたいな悪い業者にはどしどしと対処してもらいたいわけでございますが、一方まじめな業者がたくさんいるわけですよ。この問題に絡みまして事業が進まないということで、正直に言いましてまじめな業者が今倒産の危機にさらされつつあるわけでございますが、どうかこういう点を考え、特段の配慮をもって、今後の鉱害事業は縮小しない、あるいは今年度の事業も遅延させない、こういう努力をなさるかどうか、ひとつ大臣のお気持ちを確認しておきたいと思います。
  159. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 ただいま申し上げましたとおり、通産省といたしましては、福岡通産局及び石炭鉱害事業団業務運営あり方につきましてその見直し及びその結果を踏まえた適切な対応措置実施を指示しているところでございます。  今後、これらの改善措置実施することによりまして、鉱害復旧業務の公正な実施に対する国民の信頼を回復するとともに、臨時石炭鉱害復旧法の期限、昭和六十七年七月末までに残存鉱害の計画的かつ効率的な復旧に努力してまいる所存でございます。  詳細、具体的なことについては、政府委員より答弁いたさせます。
  160. 檜山博昭

    檜山政府委員 本年度の事業が遅延しないようにという御質問でございますけれども、ただいま事業団職員の刑事事件の容疑取り調べのために関係書類を捜査当局に多数押収されておりまして、このため、ちょっと五十九年度の発注手続が進められないものがあることは事実でございます。捜査当局に対しましては、極力、関係書類の早期返却を事業団及び通産局から要請するとともに、捜査上返却を得られない書類につきましても、緊急に必要な書類につきましては閲覧を求める等、可能な限り早期発注のために努力していきたいというふうに考えております。
  161. 大橋敏雄

    大橋委員 とにかく、従来決定している問題についても警察当局に書類が押収されてうまく進まない、しかしこれから警察の方に協力を求めて、そういう書類あるいは内容について出してもらうようにというような話でございますが、私は、一刻も早くそういう書類的な問題は、今もお話がありましたように、警察の了解のもとにそれを正しく掌握をして仕事を進めていただきたい。また、新規の問題は、やはり方向がはっきりしてからでないと手をつけてはいかぬ、これは私も厳しく指摘しておきたいと思います。しかし、従来決定しているものはどんどんやっていただきたい、こういうことです。  そこで、鉱害屋の暗躍の最大の原因を私なりに考えてみたわけでございますが、臨時石炭鉱害復旧法が、いわゆる石炭六法というものが期限切れになる昭和五十六年ごろから被害者が非常に不安を感じまして、いわゆる駆け込みという形で認定申請の動きが増大していった。被害者が白紙委任状を持って鉱害屋に走ったというわけですね。なぜならば、鉱害屋に依頼すれば認定が早く、着工順位も早まるという事実が多発したからであったと思うわけでございます。  そこで、先ほど大臣おっしゃったように、六月十一日に現地には改善対策を命じた、こういうことでございますが、新聞報道によりますと、事業団もそれなりにその指示を受けて改善対策を決めたようでございますが、私が今承知している内容は新聞報道によるものでございまして、もしそれが過ちであれば訂正してもらいたいし、そうでなければその問題について具体的に答えていただきたいわけです。  まず初めに、復旧工事に関する交渉、陳情としましては、人数だとかあるいは時間を制限するということが出ているわけでございますが、この点についてお答え願いたいと思います。
  162. 檜山博昭

    檜山政府委員 交渉、陳情のルールというお話でございます。  福岡通産局あるいは事業団九州支部の陳情ルールにつきましては、七月一日から新しい方式でスタートということになっておりまして、御指摘のように細かい点は幾つかありますが、主な点を申し上げますと、まず人数につきましては、通産局につきまして百人が上限ということで、事業団の場合は三十人という人数制限。それから時間につきましては、勤務時間内午後五時まで、従来、御承知のように夜を徹して交渉が続くということもまれではなかったわけですが、職員の健康その他を考えまして、勤務時間内午後五時までということにしております。  それから内容につきましては、陳情項目につきまして事前に決定し、これを陳情者に通知するというようなことで、陳情になじまない点については事業団あるいは局が拒否できるという形のルールになっております。
  163. 大橋敏雄

    大橋委員 今、事業団の場合は三十人、あるいは局の方は百人を大体上限として決めたという話でございますが、それはちょっと多過ぎるんじゃないかと私は感じます。団体交渉的な感じを受けるのですけれども、これはどこが、どのような判断でこういう上限を決められたのかはわかりませんが、私の感じとしてはこれでも多いような気がいたします。  また、交渉、陳情の受け付け時間は午後五時までの勤務時間までだ、勤務時間外は交渉に応じない、こういう話でございますが、それじゃ午前九時から午後五時までずっと受け付けるということですか。何時間でも受け付けるということですか。
  164. 檜山博昭

    檜山政府委員 通産局は百人が限度というのは少し多過ぎるんじゃないかという御指摘でございますけれども通産局の場合、いろいろな関係機関、農政関係あるいは建設関係、いろいろ関係機関が広うございまして、そういったところと一体になって陳情を受け付けるということがございますので、そういった上限にしております。  それから時間。細かい御説明を省略しまして大変申しわけないのですが、局の場合十時から十七時まで、午後五時までと、それから事業団の場合は午後一時から五時までというふうに区切っておりまして、時間はできるだけ短時間にするというような趣旨でございまして、事業団の場合は三時間を限度とするというふうに決めてございます。
  165. 大橋敏雄

    大橋委員 大体はっきりしてきたわけでございますが、ぜひそれは厳守してもらいたいですね。でないと、幾らそういう決まりをつけても、従来のように圧力といいますか、そういうものに負けていったんではしようがないから。また、そういうルールをつくったのならば、やはり警察当局ともよく連携をとらなければ、いわゆる居座りとか、従来の雰囲気からいくとそういう問題が想像されますので、警察とも連携をとって行うということにしていただきたいと思います。  時間の関係で次に移りますが、不正業者に対する措置の問題です。工事に対する指名業者に不正があった場合は、直ちに指名停止等の処分をするということが新聞報道に出ていたわけでございますが、この点について具体的にお願いしたいと思います。
  166. 檜山博昭

    檜山政府委員 ただいま御指摘業者の指名停止関係のことにつきましては、六月二十五日に決めまして、そして以後、その指名停止の要領に従って進めたいというふうに考えております。
  167. 大橋敏雄

    大橋委員 要するに、指名業者というものが登録されている、その中から競争入札で決めていくのが本来の姿ですね。その指名業者に登録されている者が、仮にその業者がその地域でなくてほかの地域で、あるいは指名業者になってなくとも、ほかの地域で不正をしたような者、そういう業者は今後はそういう登録業者にもしない、こういう厳しい姿勢で臨んでもらいたいと思うわけでございますが、その点はどうですか。
  168. 檜山博昭

    檜山政府委員 業者の指名停止の要件といいますか、ケースでございますが、過失による粗雑工事を行うとか、あるいは公衆損害事故を起こすとか、あるいは工事関係者の事故等が安全管理不適切で起こるというようなことだとか、それからいろいろと、今回の事件に見られますように、贈賄の容疑により逮捕された場合、あるいは公訴を提起されたとき、そういった場合には指名停止という措置をとることになっておりますが、最後にお尋ねの、よその地域においてそういったような贈賄罪で逮捕されたような事件につきましても、今回この要領でもって指名停止をしております。
  169. 大橋敏雄

    大橋委員 じゃ、次に移ります。  入札業者選定の問題なんですけれども、従来は事業団の本来の固有の仕事であったわけでございますが、いわゆる鉱害屋の圧力に屈しまして、残念なことですけれども事業団の各事業所がいろいろと逆に推薦するわけですね。そういう各事業団が行っていた推薦は一切認めないことにするということが報道に出ていたわけでございますが、この点についていかがですか。
  170. 檜山博昭

    檜山政府委員 従来は被害者委任状を持った方の推薦業者、その入札の参加ということがあったわけでございます。これは、従来一切その推薦を受け付けないという原則、これが、原則はあったのですが、十分確立されていなかった結果として指名業者となった者があるわけでございますが、今後は、この推薦を一切受け付けないという原則を確立するように事業団等に対しまして指導していく方針でございます。
  171. 大橋敏雄

    大橋委員 要するに、そういうものは一切受け付けないという姿勢のようでございますが、必ずそうしていただきたい。  次に、委任状関係でございますが、要するに、先ほど申しましたように、被害者の皆さんが鉱害屋に頼めば認定も着工も早くなる、多少の手数料は取られてもということで、白紙委任状を渡してお願いしている事実があったわけでございますが、これについて今後どのようなお考えであるのか、お尋ねします。
  172. 檜山博昭

    檜山政府委員 今お尋ねの点につきましても、これから鉱害復旧業務に関して被害者が第三者に委任し得る行為というのは、石炭鉱害事業団あてに行う鉱害復旧申し出に限定されるものであるということで、従来、ややもすれば復旧順位決定業者選定等事業団が主体的に意思決定すべき事項に及ぶ傾向がなかったとは言えませんですが、本年六月十一日付で資源エネルギー庁長官から事業団理事長あて文書で、先ほど申しましたように、委任し得る行為というのを限定いたしまして、事業団あてに行う鉱害復旧申し出に限定するということにいたしております。こうした考え方の浸透と、あと、先ほど申し上げました陳情のルールの確立によりまして、いわゆる鉱害屋の不当な圧力は排除し得るものというふうに期待しております。
  173. 大橋敏雄

    大橋委員 委任するということは民法上認められているわけですね。したがいまして、従来もそういう考えで進められてきたと思うのですけれども、じゃ、今回はどこがどうはっきりしたのか、もう一度、受け付けまでというのは、事業団あるいは通産局の受け付けまでですか。
  174. 檜山博昭

    檜山政府委員 事業団にこの鉱害復旧に関しまして鉱害復旧申し出をする、そこの段階までに限定しているわけでございます。
  175. 大橋敏雄

    大橋委員 それじゃ、委任状を持ってきますね。そうして事業団は受け付けます。そこまではその委任状を認めましょう。その後はどうなるんですか。
  176. 檜山博昭

    檜山政府委員 その後は、仮に鉱害復旧の問題につきましていろいろ陳情ということがあろうかと思いますが、その場合には、先ほど申し上げましたその陳情ルールに従って、その中でいろいろと陳情していただくということになろうかと思います。
  177. 大橋敏雄

    大橋委員 その際、また被害者が、いや私はあの方に委任をしているのだからということで進んできた場合は従来と同じじゃないでしょうか。
  178. 檜山博昭

    檜山政府委員 その点は、先ほどちょっと申し上げましたが、鉱害復旧順位の問題とかそれから認定問題とか、あるいは業者選定の問題、いろいろありますが、そういった問題というのは、あくまでも事業団が主体的に決定する。どうも今まではいろいろと交渉の中で若干事業団もその辺の配慮をするというようなことがあったのではないかと思いますが、あくまでもこれは事業団がそういった点は決めていく。ただ、いろいろと御意見は伺うということで、その陳情はお聞きしましょう、こういうふうなことになっております。
  179. 大橋敏雄

    大橋委員 それじゃ、受け付けまでは委任の効力を認める、しかしその後は被害者本人との対等の問題である、こういうふうに理解していいですね。
  180. 檜山博昭

    檜山政府委員 おおむねそういうふうな考え方で、仮に代理人委任状を持った方が来られても、被害者本人には十分その辺は連絡をとってやっていきたいというふうに思います。
  181. 大橋敏雄

    大橋委員 とにかく、この鉱害屋問題の根源はまさにこの委任状にあると思うのですね。ですから、この委任状の効力、効果といいますか、その範囲を厳守しなければ、これは従来と余り変わらない問題になってくるということを強く指摘しておきます。  次に、復旧工事における見直しの問題があるわけでございますが、新聞報道では、原則これは中止である、こういうふうに報道されておりましたが、住民が非常に疑問視しております。この見直しという名の追加工事でございますけれども被害者本人は、どこがどう見直されて、追加予算は幾らでどうなっているのか全く知らない、わからないという状況に置かれていたわけですね。その内容を承知しているのはいわゆる鉱害屋であったという奇妙なことであるわけでございますが、この見直しの予算が、鉱害屋のいわゆるピンはねという甘い汁の源泉になっていたようでございまして、ここに住民のあるいは被害者の不信と不満の目が光っていたわけであります。  私はこう思うのですが、復旧事業というものは、あくまでも事業団固有の事業でありまして、自主的に公式の手続によって執行するものであろう、一般的に工事見直しはない、例外的に間々ある程度だ、これが普通ではないかと私は思うのですね。ところが、今まではこの見直しというのが恒例化されてしまいまして、新聞報道によれば一千五百万の工事が見直されて十倍の一億五千万になったなんという恐ろしい話もあるわけでありますが、この見直しあり方は根本的に改善せねばならぬと思うわけでございます。今後の取り扱いにつきまして、国民にわかるように説明をしていただきたい、こう思うわけです。いかがですか。
  182. 檜山博昭

    檜山政府委員 見直し査定というのが鉱害屋との関係で疑いを持たれまして、また、これはある意味では石炭鉱害事業団あるいは通産局の職員の業務量の増大にもつながる、そして他の業務の遂行に支障を及ぼすということも考えられます。そういった面から、見直し査定ということにつきましては原則廃止する方向で今進んでおりますが、ただ、どうしてもこれは全部というわけにはいきませんで、例外的なものは出てくると思います。  そういった例外的に見直しするものについてはどういう査察体制をしくかという点が問題でございまして、今、通産局内の審査体制を合議制にするなど、公正な査定を行う体制をつくるようにしていきたいと考えております。
  183. 大橋敏雄

    大橋委員 原則的に見直しはもうやりません、これで進みますけれども、例外はあるでしょう、必要やむを得ないケースについては見直しを行うということでございます。私はそれはそうだろうと思います。  しかし、従来見直し内容被害者には全く知らされないわけですね。これが問題になるわけですよ。被害者に、おたくの工事についてはこう見直しましたよ。予算はこのようになりましたということが明確にわかるような手だてをとっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  184. 檜山博昭

    檜山政府委員 被害者への金額の通知でございますが、特に解体新築の場合は超過工事等がある場合もありまして、工事の金額につきまして、従来は問い合わせがあったらば被害者にお知らせするという形になっていたわけですが、これからは直接被害者にお知らせしていきたいと考えております。
  185. 大橋敏雄

    大橋委員 そこが一番大事なところだと思うのですね。今までは鉱害屋委任を受けてやっていたものですから、鉱害屋さんが通産局の方にその内容を知らせろと希望したわけですよ。そして、希望するから教えたというわけですけれども、今度は、見直しをしたら必ず通産局の方から本人あてに連絡をする、こう決めていただきたいのですが、いかがですか。
  186. 檜山博昭

    檜山政府委員 見直しに限らず、査定段階から被害者には連絡をとっていきたいと考えております。
  187. 大橋敏雄

    大橋委員 大臣、私が今くどく言っているのは、今までは被害者本人あるいはその代理人から要求されればその内容を教えました。要求されればということでしたけれども、そうではなくて、そういう見直しをやれば必ず本人にわかるように連絡をする、これはもうぜひ決めてもらいたいのですが、いかがですか。
  188. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 おっしゃるとおりの方向検討いたしてまいりたいと思います。
  189. 大橋敏雄

    大橋委員 時間の関係もありますので、次に移ります。  鉱害復旧工事に関しまして、前倒し発注という奇妙な言葉が現地で流れているわけでございますけれども、今年度分の予算の枠外に、まだ予算も決定していないうちに次年度分の復旧工事が着工されたりあるいは完成しているという話があるわけです。例えば、予算も決まっていないうちに、まだお金がないのに発注し仕事をさせたというのが事実ならば、これは大問題だと私は思うわけでございますが、この点はどうなんでしょうか。
  190. 檜山博昭

    檜山政府委員 御指摘の、五十九年度予算のかなりの部分が五十八年度の工事に実質的に食われているというような状況でございますが、この中にはいわゆる縦割り工事という工事がございます。  この縦割り工事というのは、部分認可といいますか、前年度に一部着工を認可し、後年度において本体工事をするというような工事でございますけれども、これは、最近被害者及び関係市町村から家屋について早期に着工の要望が非常に強くて、また同一復旧順位にある家屋が多数に及んでいるというようなこと等、それからまた一方においては、限られた予算のやりくりとして、実質的にどうしても家屋等の工事を分割して認可をせざるを得なかったという状況があったわけでございます。その結果が、先ほど申し上げましたように、翌年度の復旧費の一部がこの部分認可の工事に充てられていまして、新年度になってから前年度からの引き継いだ工事をしなければならない、したがって、新年度の新規着工戸数が減少する、そういったような弊害が出てきているわけでございます。  今現在一挙にこういうふうな工事を廃止することは非常に困難な面がございまして、これからの問題としてこういったような認可を段階的に減少させていきたい、将来はなくしたいということですが、とりあえず段階的に減少させていきたい、こういうふうに考えております。
  191. 大橋敏雄

    大橋委員 例えば、五十八年度の予算から見れば百件の復旧工事の予算であった。ところが、認定の方は、あなたの家は復旧をやらねばなりませんね、認めましょうということで、認定が百三十件あったとしますね。予算は百件、設定ば百三十件、こういうことがあったのだろうと思うのです。そういう場合に次年度分に繰り越して着工させたということなんですか。
  192. 檜山博昭

    檜山政府委員 大体そのようなことなんですが、少なくとも、早く認定してもらいたい、あるいは早く着工してもらいたいという要望が強くて、前年度に仮に百戸部分着工を認めるという場合に、百戸分の予算は要らないわけです。例えば五十戸分の予算で百戸を認める、そして次年度にその百戸を完成させる、こういうふうなやり方をとっているわけでございます。
  193. 大橋敏雄

    大橋委員 法的には間違いなかったのだけれども、運用面では多少問題がある、それは段階的に解消していくという話でございます。  今後は鉱害屋というのがそんなに問題になってこなくなると信じたいわけでございますけれども、従来は、もう認定を受けているのだからいずれは工事をするのだということで、業者の方が先取りして工事をしてしまうわけですね。逆に通産局あるいは事業団の方に行って、これはいずれやるのだから認めろ、こういうことで強引に認めさせて予算の先取りをするような形になっていた、これは大問題であると思います。ここはもうしかと注意をして改善をしていただきたい、こう思います。もう一度御返事を願います。
  194. 檜山博昭

    檜山政府委員 縦割り工事の一部で、先生おっしゃったように工事がどんどん進んでというようなことがあったかもしれませんが、一般的には予算の枠内で、前年度分は前年度の工事をする、後年度予算がついたら全体工事に入る、こういうふうなことじゃないかと思います。  いずれにしましても、この点はいろいろ問題がありますので、部分認可予算というのを厳格に統制していくように事業団に対して指導していきたいと考えております。
  195. 大橋敏雄

    大橋委員 今の前倒し発注というような言葉で表現されている問題は、想像以上に深刻な問題だと私は思いますので、通産省の責任者はどうか現地に行ってその実情をつまびらかに掌握していただきたい、そして的確にこれを是正していただきたい、こういうことです。  最後に、今回の事件発生しました後でたまたま会計検査院が入ったわけでございますが、午前中にも中西先生質問があったようでございますけれども、私もこの成り行きを注目をいたしております。と申しますのは、地元の福岡県はやはり鉱害復旧事業費として毎年百億を超す補助金を出しているわけです。もし会計検査院検査の結果、国の段階で不正な執行がなされていたということが明確になれば、福岡県は事業団等に対して返還を要求する、こういうことを議会で、委員会で決めております。役人さんもはっきりと答弁をいたしておりますけれども、もしそういう事態になった場合に通産省としてはどう対処なさるのか、お尋ねしたいと思います。
  196. 檜山博昭

    檜山政府委員 今、この問題につきましては、会計検査院の結論が出ていない段階でございますので、通産省としてどのような措置を講ずるかというのはお答えしづらいわけでございますが、一般論として申しますと、会計検査院検査の結果、もし国が石炭鉱害事業団に補助金の返還を求めるというような場合になりますと、この臨時石炭鉱害復旧法の法律に従って、県の事業団に対する補助金、これは国の補助金の額に一定の割合を乗じて得た額ということになっておりますので、当然県の交付した補助金が結果として剰余を生ずるということになりまして、事業団は県に当該剰余分を返還することになろうかと思います。
  197. 大橋敏雄

    大橋委員 もう時間が迫ってきましたので、最後に大臣にお願いがあるのですが、私の地元にこうした筑豊地帯がありまして、昔は、石炭産業華やかなりしころは大変な貢献をしたところです。しかし、今やもう石炭産業は全部閉山してしまいまして、残ったのは鉱害だけなんです。その鉱害のつめ跡というものは想像以上なんですね。だから、この大変な鉱害予算をめぐって悪いことをする者が出てきたわけでございます。それは徹底的に取り締まりをしていかなければなりませんが、やはり鉱害復旧は大いに促進してもらいたいわけです。してもらわなければ困るんですよ。  そういう立場から、こういう事件が起こったから、あるいは会計検査の結果がああだったから、今後の鉱害予算を縮小してみたりということじゃなくて、それはそれとして、筑豊の現状を十分認識していただいて鉱害復旧を促進していただきたい、こういう願いでございますが、いかがでございますか。
  198. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 鉱害そのものから派生する遺憾な事実ということに関しては、私ども、これを絶滅するような努力をしなければなりませんけれども鉱害復旧そのものに関しましては、予算の確保、また時間的な範囲を超えないような形でもって計画に沿ってこれを行うということに最大の努力をいたす所存でございます。
  199. 大橋敏雄

    大橋委員 終わります。
  200. 上坂昇

    上坂委員長 小渕正義君。
  201. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 きょうは午前中より、特にこの鉱害事業団九州支部に関する汚職事件ですか、不正事件ですか、これを中心にして論議が行われておりますので、話の継続性として、私も一点のみこの点についてお尋ね並びに意見を申し上げたいと思います。  現在の石炭対策予算の約三分の一を使って鉱害復旧工事が行われているわけでありまして、今日までもう五千数百億の国費が投ぜられている鉱害復旧事業でございます。かねてから特にこの筑豊地帯の鉱害復旧についてはとかくのうわさが流れておったわけでありますが、このたび、その氷山の一角と申しますか、そういった一つのうみが一部ようやく司直の手によって白日のもとに出されてきた、こういう感じではないかと思うのであります。  私も一昨年、非公式に筑豊地帯を中心に鉱害復旧のいろいろな状況を見て回りましたが、非常に筑豊地帯は、どなたかも言われたと思いますけれども、この鉱害復旧事業が筑豊の基幹産業だとか、また、それに合わせる同和行政対策がこの筑豊の基幹産業だ、この二つが筑豊地帯における産業の柱だとまで言われるような状況地域であります。そういう中に暴力団が一部加わったような形の中で今日まで事業が進められておるわけでありまして、私もいろいろ見てきましたけれども鉱害復旧御殿だというような立派な屋敷といいますか、まさに城のような建物もあります。  地元の人たちに言わせますと、これは鉱害復旧によって建てた屋敷だというわけであります。そういった普通の鉱害復旧の常識をはるかに超えたようないろいろな建物が散見されたわけであります。しかし、公式的な説明を聞きますならば、それは自己負担分、本人の自己資金を投入して鉱害復旧事業とのセットの中でやったのであるということで実は言われているわけであります。ところが、実際に地域の中でうわさとして流れているのは、必ずしもそういうことを素直に受け取れないような状況をいろいろと散見した次第でございました。  また、農地復旧にいたしましても、特にこれは有資力関係でお聞きをしたわけでありますが、いつまでも本人の同意を得られないために、毎年毎年農地に対する補償費として拠出している。そういうことがあるものだから、もう絶対本人は農地復旧に対する同意を与えない、こういう形の中で毎年毎年農地の補償費としてそういうものが必ず出されているような状況で困っている、こういう話もお聞きしたわけであります。  いずれにいたしましても、長い間のこういった鉱害復旧あり方についてのいろいろな絡みの中で、そういった一つの問題が今回こういう形であらわれたと思います。  したがいまして、先ほど委任状関係を排除するとか、鉱害屋が介入できないような措置を講ずるとか、いろいろこれからの鉱害復旧事業の行政あり方について改善をするということを言われておりますが、ここらあたりでもう一度スタートに戻っていろいろと考え直すべきときに来ているのじゃないか。何も私、鉱害復旧事業をやめろということじゃない、鉱害復旧事業の行政の進め方といいますか、そういうあり方について、ただ単なる大臣の通達とか鉱害復旧事業団における業務のやり方をいろいろ変えるとかいうことじゃなしに、ここらあたりで、第三者的な人たちの意見も聞きながら、こういった行政をどのように進めたらいいか、もう一度スタートに戻って考え直すべきではないか、私はそういう気がしてならないわけであります。  特に審査過程についても、でき得れば公正な第三者機関等を設けながら、そこの中で最終的な審査をしていただくとか、これはいろいろ困難な問題がありましょうけれども、ともかくここらあたりでもう一遍スタートに戻って考え直してみるという段階に今日来ているのじゃないか。  その場合におけるいろいろな鉱害復旧のそういったものの苦情の受け付けとか苦情処理のやり方についても、警察、司法等の関係といろいろと打ち合わせながら、そういったあり方等も含めてもう一度ここらあたりでスタートに戻ってやるべきじゃないか。そうしないことには、単なる窓口上における行政あり方を変えるとかそういうことだけでは、これだけ長い間で蓄積されておるいろいろな問題の解決にはほど遠いのではないかと  いう気が私はしてならないわけであります。  特に、そういった点では、事業団がいろいろな圧力に屈して時価以上に復旧に金をかけてやる、そういうことが今度有資力の復旧事業にはね返ってきて、普通の世間常識での復旧に対してもいちゃもんがつけられて、もっともっとグレードの高いものを要求されて困ってしまう、こういうことにも実はなっているようでありますので、有資力、無資力を含めた鉱害復旧事業のあり方について、ひとつスタートに戻って再検討して出直すべきじゃないか。もちろん復旧事業はどんどんやらなくてはいけませんけれども、とかくこれだけこういう問題をはらんでいる内容でありますから、いい機会だと思いますので、ぜひひとつそこらあたりを再検討していただきたい、かように大臣にお願いするわけでありますが、その点、大臣の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  202. 檜山博昭

    檜山政府委員 根本からこの鉱害復旧事業について見直すべきではないかという御指摘でございますが、鉱害復旧事業、非常に長い間にわたってやってまいりまして、今現在こういうふうな非常に不幸なあるいは遺憾な事態が起こっているわけでございますが、長年やってきた事業団それから通産局、それぞれ知恵を絞ってあらゆる面で再検討して改善をしていきたい。非常に改善の事項というのは多岐にわたると思いますが、大体改善案ができ上がったものから逐次進めてまいりたいというふうに考えております。
  203. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 逐次改善されること、結構ですが、事業の見直しをやれという意味じゃないのです。私はこの事業を推進するに当たって、今までのあり方をもう一度反省してスタートから考え直すべきじゃないかという点で意見を申し上げたわけでありますが、いつだったか、事業団の職員の方が自殺なされたり、有資力関係の会社ではノイローゼになったり、自殺未遂をされたり、こういった不幸な事態が発生しているのがこの問題の行政の中であるわけですね。したがいまして、そういった当事者での努力も結構ですが、私は第三者的な立場の人たちに、今の行政の鉱害事業のあり方進め方について、もう少し意見も聞きながら、取り入れながら見直してみるということも必要ではないかと思いますので、今後の改善の中でこの点も含めて御検討いただきたいということを申し上げておきたいと思います。  余りこの問題に時間をとる気持ちもございませんので、次に移りたいと思います。  次に、五十九年度の国内炭の炭価決定については現状どのようになっているか。昨年は十一月でしたか、やっと結論を出されたのが、据え置き、こういうことであったわけであります。本年については、過日石炭部長その他から、本年は前向に、早目にこの問題については作業を進めて早く決めていきたい、こういう意向も表明されておったわけでございますが、この点、今年度どういう状況に現在あるのか、その点についてお伺いいたします。
  204. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 昭和五十九年度の基準炭価の決定に当たりましては、第七次答申の御指摘を基本といたしまして、石炭企業の賃金、採炭コストの状況、海外炭価格の動向を踏まえるとともに、昨年度基準炭価を据え置きとした事情等を十分に考慮いたしまして、石炭鉱業審議会の御意見を聞いた上で早期に適正な価格を決めたいと考えております。
  205. 檜山博昭

    檜山政府委員 炭価決定に当たりましてのお話は、考え方は今大臣の答弁のとおりでございますか、七月六日石炭鉱業審議会の需給・価格部会専門分科会を開きまして、この分科会において石炭業界からトン当たり平均六百八十五円の炭価値上げの要請が行われたわけでございます。  この要請に対しまして需要業界の反応ですが、業界によって多少の差異はあるものめ、現下の経営環境ば非常に厳しい状況でございまして、炭価の値上げについては厳しい感触でございましたが、昨年は九月に開いておりますので、ことしは一応早目にということで、大臣の御答弁のとおり、なるべく早く前向にこういうふうな会議を開いていって、早目に決めたいというふうに考えております。
  206. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 早期に、早目にというお話でございますが、大体のめどといいますか、いつごろまでには何とか結論を出すということで、一つのそういった目標といいますか、やはりめどなど持ちながらこういったものの作業を進められるべきだと思います。何もめどを示したから、そのとおりいかなかったからどうのこうのということはいささかもございません。しかし、作業をやるからには、そこらあたりに対する目標というか、めどを持ちながらやるのが当然だと私は思いますが、そういう意味で一つのめどをお示しいただければと思います。
  207. 檜山博昭

    檜山政府委員 客観情勢は厳しい面もございまして、内外炭の価格差の動向、格差がさらに若干拡大しているというような状況もございまして、なかなかまとまりが――私どもは早目にと思っておりますが、審議会の意向もこれから聞いていかなければなりませんので、そういった過程がございますので、この場でめどを申し上げることはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
  208. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 大臣が早期にと言われるので、それをそのままお聞きすればいいかもしれませんが、やはりこういう作業といいますか、そういうものは、ある一定の一つのめどを持ちながら、初めていろいろと行われるべきじゃないかと思います。いつになるかわからぬけれどもともかくやっておりますということでは、ちょっとやはり、少なくとも関係者の皆さんには納得を得切れないのじゃないか。政府がいかに真剣に、それはもう本当に努力されておると言いながらも、そこらあたりに対することも何ら示さないで、ただ頑張っています、やりますからということだけではちょっと納得しにくいのじゃないでしょうか、どうでしょうか。その点、先ほども申しますように、目標のずれがあったからどうのこうのと言うことはございません。せめて八月いっぱいとか九月いっぱいぐらいには何とかなりそうだという意味でやりたい、そういう意欲のあるところをひとつお示しいただきたいと思います。
  209. 檜山博昭

    檜山政府委員 意欲はあるのでございますけれども、ここ二、三年の例で申し上げますと、大体炭価が決まるのは年末あるいは三月、年度末ぎりぎりに決まるというケースがこの数年の傾向でございまして、強いて申し上げますならば、それよりはなるべく早く決めたいというふうに考えております。
  210. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 水かけ論争になりますので余り申し上げませんが、春先でしたか、ともかく早目にことしは何とかしますから、何とかしますという言葉はあれですけれども、前の石炭部長の非常に前向きな御答弁等もあったのですよ。だから、そういう意味で関係者は非常に期待をしているわけでありますので、まあ意欲は十分あるとおっしゃられますけれども、そういう意欲というものは、結果的には形の中であらわしてこないことには、行動の中に出ないことにはわからぬわけですから、ぜひひとつそういう意味でよろしく促進方をお願いしておきたいと思います。  これが客観的に、期日を長く置けば置くほど、炭価決定の要因が生産者側から見たならば非常に条件がよくなるとかいうことが何かあればまた別ですけれども、恐らく今の我が国の石炭産業を取り巻いておる状況、エネルギー事情、そのようなことをいろいろ考えますならば、今、中東においていろいろ若干トラブル等が出ておりますが、相対的には期日を長く置いたから置かなかったからといっても、そう大きく炭価決定を左右するような要因にならぬのじゃないか。これは私なりの見解でありますが、これは生産者側から見ますならば経営の一つの大きな柱になりますから、そういう経営の柱になるものがどういうふうになっていくのか、先が一つも目標がわからぬような中では非常に不安でございます。これは当然私は理解できると思いますので、ぜひその点はお願いしておきたいと思います。  次に、第七次石炭政策について、政府はずっと機会あるたびに五十六年度の第七次石炭政策の方針に沿って、これからも我が国の石炭産業の安定の中で生産が確保されるように努力していくということを言われておるわけでありますが、具体的に政府はこのたびの、このたびと言っても五十六年に出たわけでありますが、第七次石炭政策というものは、第六次よりどのように違って出されたというふうに受け取っておられるのか。まずそこらあたりからはっきり確かめないと、どうにも今の状況では少しそこらあたりがあいまいになってしまったんではないかという感じもいたしますので、改めてひとつ第七次石炭政策が第六次と比べてどれだけ、どういうところが違うのか、特徴があるのか、そういうことから第七次石炭政策を、どこらあたりを重点に政府としては取り組んでいっているのか、その辺についてひとつ具体的なものとして、ポイントだけでもいいから御説明いただきたいと思います。
  211. 檜山博昭

    檜山政府委員 第七次石炭対策の特徴でございますが、この第七次答申におきまして、貴重な国内資源である国内炭の安定供給の重要性を考えつつも、経済性についても十分配慮すべきである、こういう考え方のもとに、三点基本としておりますが、第一点は石炭鉱業の自己努力でございます。第二点は政府の適切な指導と助成、第三点は需要業界の協力によって石炭鉱業の自立を目指すことを基本とする三本柱でいきたいということでございます。
  212. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 自立を目指しての自助努力をなお要請するということ、あわせて政府の適切な助成を行うということ、それから需要業界ですか、そういった利用者業界からの協力を得ていくということのようでありますが、現在の我が国の石炭産業のそれぞれの生産企業において、自助努力というものをどのようなものとして行政ではお認めになっておられるわけですか。自助努力の具体的なものとして、行政として考えられている点をひとつお示しいただければと思います。
  213. 檜山博昭

    檜山政府委員 生産性の向上というのが石炭鉱業においては極めて重要なことでございまして、私どもの考えでは、現在の石炭鉱業におきまして年々やはり稼行深度が深くなっていく、あるいは運搬距離といいますか坑道延長が延びていく、そういう非常に厳しい自然条件の悪化といいますか、そういうものを企業としてはできるだけ合理化投資等によりましてこれを吸収していくという方針でありまして、またそれは石炭鉱業にとって可能であるということでございまして、このあたりがこの自助努力の一つのあらわれじゃないかというふうに考えております。
  214. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 生産性を向上していく、そのための合理化対策をあくまで追求しながらやっていくということが自助努力だということでありますが、当然それはそういう理解はできますが、しからば、現在のそれぞれの各石炭生産企業において、このような形のものが自助によって、みずからの力だけでできるというふうに考えておられるのかどうか、その点いかがですか。
  215. 檜山博昭

    檜山政府委員 石炭企業だけで自立が可能であるかどうかという点でございますが、内外炭格差の拡大、需要業界の経営状況の悪化等、国内炭をめぐる環境には非常に厳しいものがございまして、石炭鉱業が安定的に発展していくためには、当然労使一体となった企業の自助努力が重要でございますが、しかしそれだけでは十分でありませんで、やはり政府としても、石炭企業の懸命な合理化努力に対しまして今後とも適切な措置を講じていきたい。また、あわせて需要業界に対しても、国内炭優先引き取りあるいは炭価問題そういった点で相応の協力をお願いしたいというふうに考えております。
  216. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 労使挙げて自助努力として可能な、自分みずからの手によって、みずからの力によってできる範囲については精いっぱい現在のそれぞれの石炭業界においては行われているというふうに見ていいんじゃないかと私は思うんですね。ただしかし、いかにその意欲があろうとも、生産性向上、合理化投資ということになれば、かなりな額の資金を投入しなければいかぬわけでありまして、そういう点で、今の石炭企業の中において、それがそういった計画どおりどんどん推進できるような企業体質的なものが果たして幾らあるのかということになると、私は極めて難しい問題じゃないかと思います。  そういうところから政府の助成策も一つ出てくるのじゃないかと思うわけですね。そういう意味で、現在政府が助成されておるわけでありますが、この助成の対象にする大きな項目は、どういったところを中心にして政府としては助成をしようとなさっておるのか、そこらあたりについて、一応石炭対策費の予算の中で項目的には出ておりますが、やはり石炭産業の自助努力との関係の中で、これはまさに不離不即、一体の中でこの問題は議論されなければならぬと思うわけでありますが、その点についての御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  217. 檜山博昭

    檜山政府委員 石炭企業の自助努力を補完するといいますか、そういった面での政府の助成、これは石炭合理化対策予算でございまして、これを中心に石炭企業の安定生産を図っていきたいというふうに考えております。
  218. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 だから、言葉としては僕は十分わかっているわけなんですよ。それで、具体的なことで数字的に見ますならば、昭和五十九年度、本年度石炭対策関係予算の中で石炭鉱業合理化安定対策費としては約四百億計上されて、それぞれ助成措置等が行われているわけであります。  大体この石炭産業関係予算の大きな柱は、石炭鉱業合理化安定対策費がざっと言って約三分の一、それから鉱害復旧対策費が、これは安定化対策費よりも大きく五百八十二億、それからあと一つ産炭地域振興対策費というふうに、大体主なものではこれくらいの柱の中で行われているわけでありますが、この中で俗に言う石炭鉱業合理化安定対策費、これの推移を見ますならば、残念でありますが、今年度は前年度に比べましてマイナス五十億、そういう形になっておるわけでありまして、経営環境が厳しい状況に置かれているという状況の中で、政府の助成対策としては少し逆にマイナスという方向が出ておるわけでありまして、こういう点で、口では、表現としては、第七次石炭政策を中心に政府としては適切な助成と指導を行うということを言われておりますが、具体的な数字の中で見ますならば、必ずしもそれがそういった裏づけとして出ておらない、こういうふうにしか思えないわけでありますが、その点に対する御見解がありますか。
  219. 柴田益男

    ○柴田政府委員 石炭勘定全体の問題にも関連いたしますので、私の方から答弁させていただきます。  御指摘のとおり、近年、石炭合理化対策費の予算額は減少はしております。しかしながら、これは肩がわりの進展等に伴う当然減、あるいは石炭生産の減少等を反映したものでありまして、合理化対策費の中身をなします安定補給金あるいは坑道補助金、保安補助金につきましては、ここ数年の動きを見てまいりますと、一トン当たりでは助成額が、厳しい財政政策の中ではありますけれども増加しているということでございまして、五十八年の実績で見ますと、この三補助金はトン当たり千五百七十四円ということで、五十七年の千四百六十四円よりも増加しているということでございます。当然減によりまして、五十八年度の予算に対しまして五十九年度の予算は五十億減っているわけでございますけれども、実際は、微増ではございますけれども、合理化対策費の方はふやしているということにはなっているわけでございます。
  220. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 部分的には増減があります。しからば、石炭鉱業安定補給交付金は前年度よりマイナスですね。だから、そういう部分的な増減で見ますならばいろいろありましょうけれども、あと一つ、これは一つの物の見方として申し上げますが、生産トン数は大体五十九年度は一千七百万トン、逐次若干ずつ下降現象ですが、何とか一千七百万トンラインであります。これは、五十五年度は千八百万トン、逐次割りまして千七百五十万トンになり、千七百万トンと、ずっと現在ぎりぎりのところにあるようでありますが、この中での今申し上げました石炭対策予算は、大体、一番多いときで五十六年度の千三百八十七億、これが現在千三百億になっているわけであります。  こういう石炭対策予算の中で、前向き予算と言えばちょっと語弊がありますが、要するに石炭の生産に関係するような、直接石炭の生産に役立つような、そういう対策費としての性格のものを前向きだと、言っているわけでありますが、そういった前向きの対策費のみを予算的に見てみましても、一番多いとき、五十三年度が五百十一億でありましたが、現在五十九年度は四百二十一億、こういうふうになりまして、そういった数字的な傾向からも、これは生産量が低下したから予算が少なくなったんだと言われればそれまででありますが、いずれにいたしましても、そういう傾向の中で逐次下降現象にある。  それから、一応四十九年の消費者物価、政府の対策予算その他すべてをそれぞれ一〇〇として見ました場合においては、こういった石炭関係の対策予算について、先ほど言う前向き的な予算費目を集めた分については〇・六%しか上がってない。これは、物価上昇との関係で見ますならば、消費者物価は、四十九年を一〇〇といたしますと現在一六五・三、こういった関係を見ますならば、実質的にかなりの減少傾向であるということが私は言えると思います。  そういうことからいきまして、先ほどから申しますように、政府は石炭対策を第七次石炭政策の方針に沿って逐次やっておるんだと言われながらも、確かにやっておることはおるわけでありますが、その中身を見ますならば、かえって逐次減少傾向にあるというふうな状況で、石炭を取り巻く環境は極めて厳しいにもかかわりませず、こういった逆の傾向を示しているのじゃないか。そういう中で自助努力をいかに求めたとしても、それはちょっと酷ではないか。しかも、炭価決定に当たりまして再生産費を償うだけの十分な炭価が決定されればこれは問題ないといたしますが、それぞれ生産者側が要求する炭価には、必ずしもなかなかそういうわけにいかない。そういう意味で、経営上大きな問題を抱えながら毎年やっている。  こういうふうに考えますならば、政府は、そこらあたりを言われるならば、そういう裏づけとしてのこういった中身の中でそういうものをもっと示してもらいたい。非常に残念でありますが、そういうことが現在は極めて弱まってしまっているのじゃないか、単なる言葉だけのものに終わってしまっておりはしないか、実はこういうふうな意見を申し上げざるを得ないわけであります。  そういう意味で、政府が示す自助努力、助成、そういったものについて、政府としては、そういう第七次石炭政策というものの中で我が国の安定的な供給を確保して、そして利用の拡大を図っていく、こういうことを言われているわけでありますので、そういった点を考えますならば、ぜひひとつここらあたりに対する再考といいますか、もう一考、もう二考、何回でもいいですが、やはりそういった意味での再考をせざるを得ない状況に来ていると思いますが、その点に対する御見解をお聞きしたいと思います。
  221. 柴田益男

    ○柴田政府委員 来年度の予算につきましては現在事務当局で検討中でございますが、来年度の石炭関係予算の中で、先生今御指摘の石炭鉱業合理化安定対策費、この点につきましては、ただいま先生の貴重な御意見をお聞きしたわけでございますけれども、そういう御意見も十分頭に入れながら、基本的には石炭鉱業の合理化及び安定を図るという観点、こういう観点に立ちまして、一方収入になります原重油関税収入、こういうものの動向等も考慮いたしまして適切に対処してまいりたいと考えている次第でございます。
  222. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 炭価決定がそう大きく変化がない、それから政府の助成といいますか、そういったものについても今より一歩も出ない、そういう中で自立を求めてやれと言われても、労使それぞれ精いっぱい一生懸命で、それぞれの持てる、可能な限りの自立の努力をやっておりますが、結果的には、そういう形でますます企業体質は脆弱になり、経営基盤はどんどん弱まっていってしまうのじゃないか。そういう意味で、果たして今のようなこういう状況の中で本当に自立可能とお考えになっておられるのですか。その点、本音のところをお聞かせをいただきたいと思います。  片一方のところでこういう状態をやりながら、そうしておって自立しろ自立しろと言っても、これはちょっと無理じゃないかと私は思うわけであります。だんだん企業体質は弱まっていく、下降状態になっていくのではないか、そういう状況にだんだん来ているのじゃないかという気がしてならないわけでありますが、その点の中でなお、いやいや石炭業界の努力は足らぬのじゃ、もっともっと努力のやり方次第で自立可能じゃと、そういう目で見ておられるのかどうか。その点いかがですか。
  223. 檜山博昭

    檜山政府委員 自立可能かどうかという点でございますが、先生おっしゃったように、石炭企業も懸命の努力をしているというふうに考えています。しかし、なお一国会業の自助努力を期待し、私どもも、政府としても、この石炭企業の努力に対しまして適切な支援をする、そして需要者側には理解を求めるという形で、この石炭企業の自立を図っていきたいというふうに考えております。
  224. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いや、それは利用者側の理解を求める、自立を図ると言いましても――それで国内炭の炭価の問題ですけれども、それ一つでもそういう形の中で大きく解決できるような見通しがあれば別ですけれども、大体ここ何年米より若干のそういうアップはあったといたしましても、必すしもそういう企業が期待するような状況にはならぬでしょう。なりますか。それなら今のお言葉は素直に受けとめられるわけでありますが、確かにそういう利用者業界の協力もお願いをしなければいかぬわけでありますが、そういう協力をお願いすることだけで自立可能というふうにはとても思える状況ではないと思いますがね。その点で先ほどからいろいろと意見を申し上げておるわけであります。  だから、ただ言葉上お互いが体裁のいいことで、自立や自立や、協力やと言っても、それが中身のあるものでないことには、結果的には我が国の石炭産業は、企業基盤がだんだん弱まって、千七百万トンが千五百万トンになり、千四百万トンにだんだん下降せざるを得ないような状況に追い込まれていくのじゃないか。このことが一番実は懸念されるわけでありまして、政府は国内炭の重要性についても十分認識してそれなりの対策をやりますと言っておられるけれども、その裏づけであるべきその中身を見ますならば、今私が申し上げたような形になっていかざるを得ないのではないか、こういう意味で申し上げておるわけであります。  そういった意味で、本当に政府が我が国のそういった国内資源としての石炭産業に対する一つのはっきりした位置づけをするならば、もっとそれなりの、今まで以上の何らかの対策があってしかるべきだ、かように思うわけでありますが、その点いかがですか。
  225. 檜山博昭

    檜山政府委員 厳しい財政難の中で、石炭企業の自立というのはやはり七次答申の基本的な方向でございます。そういうふうな制約の中で、しかし目標に向かって全力を尽くしていきたいというふうに考えております。
  226. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それはもう今言われていることはわかるわけですけれども、結果として、そういうふうに言われておっても、だんだんだんだん石炭産業が――今病人ですよね、どちらかというと。政府から注射してもらって、そういう中で何とかやっていっている、維持していっているというのが今の石炭産業だと私は思うのです。だから、ここらあたりで思い切ってカンフル注射的なことでもやらないことには、ただ、今のままの薬を少しずつ飲ませながらやっておっては、いつまでたっても回復しないし、健康体にならないし、かえってだんだん体が衰弱していくのではないか、そういう非常な懸念があるからこそ申し上げておるわけでありまして、ひとつぜひ、この点は水かけ論になりますが、本当に政府が我が国の石炭を重要な国内資源として位置づけられておるならば、それにふさわしい、なるほどなと思えるような前向きな対策を、ぜひ来年度の中にでも政策的な配慮をしていただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。  次に、もう時間がありませんので、我が国の石炭産業の保安の大事な点については、これはもう論をまつまでもないわけでありますが、そういう点で一つ非常に大きく考えなければいかぬのは、現在保安教育センターというのがあって、保安技術その他について、いろいろとそれなりの努力、人的養成その他やられているわけでありますが、この点をもっと強化していくということで、今までよりも前向きなそういったものを何か考えておられるかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  227. 平河喜美男

    ○平河政府委員 鉱山保安センターにおきましては、昭和四十三年度から、救護訓練教育を初めとしまして、保安技術教育、有資格者教育、新入者教育、仕繰り教育等々、逐次教育内容の充実を図ってきております。  最近におきましては、五十五年度から救急法、これは現場における保安技術教育でございますけれども、これをつけ加えておりますし、五十六年度からは保安係員を養成するための保安技術職員養成教育、これを新設する等、教育内容の充実を図っているところでございます。  御指摘のとおり、今後とも一層この保安センターの教育の内容の強化充実等を図ってまいる所存でございます。
  228. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いろいろな事故が発生しましてからそれぞれいろいろ言われるわけでありますが、確かに機器類を整備し充実させることも大事であります。そういう意味での設備的なものよりも、安全な状態を追求していかなくてはいけませんけれども、要はやはり最後に動かすのは人でございますから、そういう意味でこういった保安技術職員といいますか、保安技術要員というものの養成ですか、充実ということは、これは石炭産業の中で欠くことのできない一つの非常に大きな柱だと思いますので、ひとつぜひそこらあたりをよろしく充実させていただきたいと思います。  それから、石炭の利用技術の開発状況が現在どの程度までいっているか。たまに新聞等でマスコミの中に散見的に出てくるわけでありますが、これも私、二年ほど前お聞きしたことがありますが、その後の利用技術の研究開発状況について、ポイントのみで結構ですから、現状について御説明いただきたいと思います。
  229. 檜山博昭

    檜山政府委員 石炭利用技術の開発状況でございますが、政府としましては、石炭の利用拡大を図るために石炭利用技術の開発をこれまで積極的に推進してきたところでございます。具体的には、短中期の開発テーマとそれから中長期の開発テーマがございますが、短中期の開発テーマとしましては、御承知の流動床燃焼技術、高濃度スラリー技術、コール・カートリッジ・システム技術、石炭灰の有効利用技術等の開発を推進中でございまして、中長期の方のテーマといたしましては、石炭のガス化技術、液化技術の開発を推進中でございまして、今後も石炭の利用拡大の重要性にかんがみまして、この技術開発を積極的に推進してまいりたいと思っております。  もう既にこの石炭利用技術の中で実用化の段階に入っているものがありまして、流動床燃焼技術につきましては、小中型のものが幾つか実用化されておりますし、御承知のCOM、コール・オイル・ミクスチュア技術でございますが、これも商用化第一歩という状況になりつつございます。そういった面で成果が上がりつつあるということでございます。
  230. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 石炭のガス化について、大体テストパイロットまでいくのにはあとまだどの程度あるのか、そこらあたりは大体どこらあたりまで来ているか、その点ひとつぜひお願いしたいと思います。  それから、ボタの処理との兼ね合いもあるのでありますが、現在、このボタの処理について、余りそういった問題が経営上大きな問題にならないような炭鉱もあれば、ボタの処理をめぐって、これが経営に対して非常に大きな一つの負担になっているような山もありますね。したがいまして、ボタの処理対策についてその後の通産省の取り組みについてひとつお聞かせいただきたい、かように思います。
  231. 檜山博昭

    檜山政府委員 第一点のガス化の技術でございますが、高カロリーガス化と低カロリーガス化がございまして、高カロリーガス化の方はLPG、LNGにかわる工業用、都市ガス用のクリーンガスの製造を目的としまして、現在、七千立米パーデー、これのパイロットプラントの運転試験中でございます。それから低カロリーガス化の方は、発電用クリーンガスの製造及びこれを用いた高効率発電を目的としまして、現在一日四十トンのパイロットプラントの運転試験中でございまして、この後者の方は石炭ガス化技術開発委託費でやっております。  予算関係は、高カロリーガス化の関係は約十七億、低カロリーガス化関係の予算が二十二億ということになっております。
  232. 平河喜美男

    ○平河政府委員 ボタ山の処理につきましてお答えいたします。  鉱山保安法の対象となるボタ山につきましては、鉱業権者に対しまして鉱害の防止のための必要な措置を講ずることを義務づけております。この場合には、私どもの鉱山保安監督局、部におきまして定期的にこれを監督、検査いたしまして、危害、鉱害の防止に努めております。  それから第二に、防災工事実施する義務者が無資力または存在しないボタ山につきましては、昭和三十九年度から、地方公共団体が行います防災工事に対して国が補助金を交付することによりまして事業の促進を図ってきているところでございます。五十八年度までに防災工事を完了いたしましたボタ山が九十八でございます。なお、五十九年度におきましては、新たに工事に着手する八つの山を含めまして、合計三十七のボタ山を対象に防災工事実施する予定でございます。参考のため、五十九年度の予算額は約十七億円を使うことになっております。
  233. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 一つだけ。ボタの処理技術といいますか、石炭化学の分野に入っていくわけですけれども、このボタを処理して、新しい化学物質等の兼ね合いの中で何らか生かしていくようなそういった処理技術というものは、現在どの程度進んでおるのか。時間がございませんので、あと石炭化学の今後の取り組み等についてもお聞きしたがったわけでありますが、これはまた別の機会に譲るといたしまして、とりあえずボタの処理を、何らかのそういった石炭化学の兼ね合いの中での新しい方向への開発というものが現在どの程度研究されておるのか、その点の現状についてお聞かせいただきたいと思います。
  234. 檜山博昭

    檜山政府委員 ボタの関係は、基本的には低品位炭回収の後のものについてというようなこと、その利用関係のことかと思いますけれども、今、主として石炭灰の方からいろいろ有価物が回収できないかというような研究とか、あるいは石炭灰をいろいろ有効利用する技術、こういった技術の関係は、例えば人工骨材とか路盤材とか軽量骨材、そういいった利用ということで研究が進められておりますが、大体現状はそういうことでございまして、これからさらに何か利用価値のあるものを回収できないかという点については検討してみたいというふうに考えております。
  235. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  236. 上坂昇

    上坂委員長 小沢和秋君。
  237. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 初めに大臣にお尋ねをしたいと思うのです。  この二カ月余りの間に、鉱害ボスとかあるいはこれと癒着する一部の職員の逮捕などが進みまして、私たちはこの機会に徹底的にうみを出し、本当に効率的で公正な鉱害復旧行政が推進されることを心から願っておるわけであります。  これに関連して、一部に、いわゆる下級職員が圧力に負けて順位などを変更したのだというような幹部の職員の方の発言なども報道されておりまして、組合なども非常に反発をしておるということが報道されております。私も、筋からいっても、大体上の方ほど今度の事態については責任を感じなければおかしいんじゃないかと思うのです。現に、上の方が直接責任を負わなければならない事態だと思われるような報道も幾つもあるのですよ。  例えば去年九月に、現地の坂本鉱害部長が糸田町というところのある町会議員から交渉を要求されて、徹夜で交渉をやったわけです。きのうの新聞にもちょっと報道されておりましたけれども、その交渉の中で、千枚通しなどをちらちらさせるというような圧力をかけられる中で、夜中、それも明け方の四時ごろ現地まで引っ張り出されて、懐中電灯でちょろちょろっと見て、それで鉱害だというふうに認定し、それからほんの数日のうちに三千五百万円のいわば補償の提案をしたというようなことが報道されているわけです。  私は、千枚通しをちらちらさせたというのはきのうの新聞で初めて承知をしたわけですけれども、こんな脅迫みたいなことがやられておったとすれば、当然それに対して断固たる態度をとるということが筋じゃなかったでしょうか。それをもうその場で認定し、すぐに補償の金額も出す、一番上の部長がこんなようなことをやっておって、末端の方が圧力に負けて順位を変更したんだなどというような無責任な、無反省なことを言ったんじゃいかぬのじゃないかと思うのです。私は、上の方ほど責任を痛感すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
  238. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 事実関係につきましては後ほど政府委員から答弁させますけれども、いずれにしろ、関係の職員が起訴されるに至りまして、鉱害復旧の仕事が公正に行われることに対しまして非常に申しわけないことになったわけでございますが、この点、私ども非常に遺憾に存じておる次第でございます。
  239. 檜山博昭

    檜山政府委員 一般的に、この数年来、大変厳しい交渉あるいは陳情が福岡の管内で行われてきたということは私も聞いておりまして、そういった中で先生指摘の、上がどうだ下がどうだと、こういうようなお話ですが、私どもは、通産局あるいは事業団も含めて、こういった状況に対する対応が必ずしも適切でなかった点もあろうかと、こういうふうに反省しているわけでございます。
  240. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今の事件などというのは、千枚通しなどちらちらさせたということだけでも、これは直ちに告訴をするというぐらいの毅然たる態度をとるのが当然だと私は思いますし、今からでも私は厳しく対処していただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。こういうふうに最高幹部の人たち自身が非常に甘い態度をとっているから、常識では考えられないような鉱害ボスをのさばらせるという現象も起こってくるんじゃないでしょうか。  私が最初に取り上げた例の金田町というところの長浄寺の問題にしても、最初の査定が一千五百万だったものが十倍にもはね上がった。これは私も実際に行ってみなければと思って行ってみたのですけれども、これはとても一億五千万円かかるような工事じゃないですよ。ケヤキの木などは、一緒に宮大工の人にも行って見てもらいましたけれども、これはその木自身がどこにでもあるようなものだ。現にもう一本ゆがんでいるものもあるのですから。こんなお粗末な状態。この間私への答弁の中では、彫刻なども大変金がかかっているということだった。行ってごらんなさい。その彫刻は古いものを洗ってはめてあるのですよ。筑豊は洗う水も高いということで今問題になってはいるけれども、幾ら何でもちょっとこれはひどい。これについては大体主役の人物が逮捕されたりしているから、そういう意味で勝負あったと私は思うので、これは言いません。  しかし、すぐ近くに「貴ノ花」という料亭の問題が起こっている。このことについては、私、ちょっと一言言いもし、また姿勢もただしておきたいと思うのですけれども、この「貴ノ花」については、すぐ横手のところががけになっている。これが鉱害で崩れかけたというので、その擁壁の工事が鉱害認定をされてやられるようになっているわけですけれども、その工事のためだということで、店をほかのところに移して今仮店舗で営業をやっているのですが、驚いたことに、その仮店舗というのは全然許可も何もとらずに勝手につくってしまっているのですよ。それが億という単位の工事だというふうに私を案内してくれた事業団の人も言うのですね。そんな高い仮店舗を許可も何も受けずに勝手につくってしまった。まさかこれを今のような状態のもとで追認することはなかろうと思うのですけれども、これはどういうふうに、だれもが納得できるような形で決着をつけますか。
  241. 檜山博昭

    檜山政府委員 今、先生指摘の「貴ノ花」関係鉱害復旧でございますけれども、この復旧計画の認可というのは土どめ工事でございまして、仮店舗につきましては、通産局実施計画を認可していないということでございまして、この新聞に報道されている店舗は鉱害復旧手続上の仮店舗と認めておりません。今後この事実関係調査しまして、事前着工に当たるかどうか、いろいろ十分検討して実態に即した措置を講じたいというふうに考えます。
  242. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 これは今私がここで初めて問題にしたのじゃないのですね。この前の五月の段階で、私それも言おうかと思うぐらい当時から既に問題になっておったのです。それが今でもまだそういう出発点みたいな御答弁であるということは、私は甚だ残念だと思います。  そこで、具体的な問題で若干お尋ねをしたいと思うのですが、これからは姿勢を正していきたいということで、交渉ルールの問題とかあるいは委任状とか、いろいろ改善すべき点が指摘をされまして、既に中には具体的に実行に移されたものもあります。私は、そのこと自体はあなた方の努力として評価もし、それでどういう成果が上がるかを見守っておきたいと思いますけれども、この中でほとんど問題になっておらないんじゃないかと思うことの一つに、同和諸団体の要求などに対する対処方針、これがあるんじゃないかと私は思うのです。  今、この鉱害ボスの策動などが同和諸団体などの問題などと絡んでいるというようなことを盛んに地元でも報道されておるのですが、こういうようなことに関連して、対処方針について再検討をされるというようなお考えはあるのかないのか、はっきり答えてください。
  243. 檜山博昭

    檜山政府委員 今回の一連の問題は、鉱害復旧実施するに当たっての職員の対応と業務運営あり方に若干反省すべき点があったというふうに考えておりまして、そういう観点から、今各般にわたっていろいろと見直しをし、改善策を講じてきておるところでございますが、その改善策の中で、陳情者あるいは被害者、そういった方々と対応していきたいというふうに考えております。
  244. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そうすると、私が今具体的に挙げたような同和諸団体の要求などに対してどういうふうに対処をしていくかということについては、全く反省すべき点はなかった、問題ないという考え方に立っているわけでしょうか。
  245. 檜山博昭

    檜山政府委員 全く反省すべき点がなかったかどうかというふうに言われますとあれですが、私は、基本的には反省すべき点はないんじゃないかというふうに考えております。
  246. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 ここに、ことしの五月十七日付の朝日新聞の切り抜きがありますけれども、これによりますと、昭和五十五年の八月五日及び七日に、当時の福岡通産局長あるいは事業団九州支部などが同和団体に対して一つの約束をしたということが報道されているのです。  これを見ますと、いわゆる有資力の鉱害で、会社がそれを鉱害だと認めることを拒んだ場合には国が面倒を見ましょうという約束をしたということが報道されているのですね。私どもは有資力の鉱害復旧が非常におくれているということは憂慮をしておりますし、それを促進すべきだという立場には立っておりますけれども、同和地区だけこの有資力について鉱害復旧を国が、会社が拒んだ場合は面倒を見るというのは、これは今の法律から見たら、法律を曲げた運用ということになるんじゃないかと思うのです。こんなことが、いわゆる差別発言を追及されておわびをしたという確認書の内容の一部として許されるものなのかどうか。  私は、謝るということとこういう約束をするということとは全く次元の違う話じゃないかと思うのです。こんなことが事実あったのかどうか、今でもこういうような立場で行政をやっているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  247. 檜山博昭

    檜山政府委員 今の点につきまして、有資力の企業が被害を認定しない場合に国が責任を持って復旧するというような一般論としての表現でありますと、これはそういうことはできないわけでございまして、たまたまこの地区は、有資力企業の鉱害賠償義務の消滅を認めて、そして残された無資力企業の賠償義務が存在するというような事実確認のもとに、現行法の枠内で処理できる、そういう事案であるという判断でもってこの地域鉱害復旧を進めるということになった経緯がございまして、一般論先生指摘のようなお話をされますと、それはできませんということになるわけでございまして、全く有資力の企業の被害が復旧されない場合、国が責任を持ってということはあり得ないことでございます。  それから、この地域がどういうふうな地域かというのは、私ちょっと確認しておりませんが、約束というお話がありますが、この事案に関しましては、いろいろと話し合いがなされて、席上、口頭によっていろいろと話がまとまったというふうに聞いております。
  248. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今、何かそれはもう有資力ではなくなったということを確認して、そこに対していわゆる鉱害復旧がやれるように道を開いたのだというふうに言われましたけれども、この新聞報道を見ますと、福岡通産局長が五十五年八月五日にこういう文書を取り交わしているというわけですね。「賠償義務者(炭鉱会社)から被害者に対し、鉱害賠償責任がないことを確認する訴訟の提起があった場合、国が取り下げさせる。取り下げに応じず、住民が敗訴しても国が責任を負う」との見解を当時の筑豊の鉱害被害者組合と取り交わした。これを確認する形で事業団が実行を約束したとなっているのですよ。  そうすると、これは相手の会社が自分に損害賠償の責任があるかどうかを争っているケースでしょう。あなたが言われるように、それが無資力だということになった場合の話じゃないのですよ。違いますか。
  249. 檜山博昭

    檜山政府委員 有資力が無資力になったということではございませんで、有資力企業の賠償義務の消滅ということがありまして、残された無資力企業の賠償義務が存在している、こういうふうな事実確認から、現行法の枠内で処理し得る事案である、こういうふうに判断をしたわけでございまして、他の地域について同様の方針で臨むということを約束したわけではございません。
  250. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 じゃ、このことについてはその程度にして、私が言いたいのは、そういう部落解放同盟とかその他いろいろな名称の同和団体が、しばしば暴力的な集団交渉を糾弾とかいうような名前でやったりして、途方もない約束をさせる。とにかく同和という名前を掲げれば何でも言うことは通るという気風ができ上がっているという土壌の上で、この前逮捕されたあの飯塚の土建会社の社長である松岡などというのが甘い汁を吸うような状況が生まれたのではないですか。  この人物は、一方で全日本同和会飯塚支部長という看板も掲げて、この地域の同和地区だけでなく広く飯塚市の相田という地域一帯を自分の縄張りのようにして、自分がうんと言わない限りその辺では鉱害の復旧はさせぬ、やるからには全部おれのところでやるんだ、こういったようなむちゃくちゃなことをまかり通らせておったわけですね。こういうような人物が横行するという背景には、今私が言ったように、同和という名前で持ってこられるとあなた方が何でも言うことを聞いてしまうという状態があったからじゃないか。
  251. 檜山博昭

    檜山政府委員 同和であるがゆえに同和の主張されることを聞かなきゃならないということはございませんで、あくまでも現行法内あるいは基準、そういったものに照らしてできるものはできる、できないものはできない、こういうことでやってきておるわけでございます。
  252. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 じゃもう一つお尋ねしますけれども、ことしの五月三十一日というのだから、これもごく最近ですね。部落解放同盟川崎町連絡協議会というところが、通産局あるいは事業団などと鉱害復旧の問題について交渉を現地で行っております。  この交渉の経過を解放同盟が文書でまとめてあるものを私たまたまいただいたのですけれども、これを見ますと、要求の第一項に、「地対法期限内に鉱害復旧を完了するための予算配分を行え」ということが書かれております。具体的には、その中の質疑応答で、「五十九年度は五十八年度の倍増の実施が必要だ」、つまり、予算を倍つけろということを要求しているわけですね。私は、今のような状況の中で倍も予算をつけるなんというのは、本当に途方もない要求じゃないかと思うのですが、途方もない要求だと言ってあなた方が対応したということは、どうもこのまとめた文書の限りではうかがえないのです。  どういうふうに対応したかというと、通産局の菅さん、これは計画課長のようですけれども、「予算は窮迫しているが、効率的活用により期限内完成に努力する。」ということで、最大限にこの要求に前向きで対処をするという姿勢を示しているのです。それから先のやりとりをずっと書いたものを見ると、後の方になりますと、鉱害課長が、「期限内の完全復旧を約束する。各年度の実施計画を年度初め具体的数字により提示する。」提示する先というのは同盟なんだと思うのですね。ということで、もう全面的にこの言い分を認めたという議事録になっているのです。これは事実でしょうか。
  253. 檜山博昭

    檜山政府委員 ただいまの議事録については私ども承知しておりませんが、この問題は、同和家屋の復旧がおくれますと、旧産炭地域におけるさまざまな地域改善対策事業の円滑な実施に影響を及ぼすこと、それから住宅の新築、改築等の際の資金の貸付事業というのがございますが、これが地域改善対策事業の一つとなっておりまして、そういうふうな背景から、地元市町村を中心に同和家屋の鉱害復旧地域改善対策特別措置法、通常地対法と言っていますが、この期限内に終了してほしいという要望が極めて強うございます。  地対法によれば、国は「地域改善対策事業を迅速かつ総合的に推進するように努めなければならない。」というふうに規定されておりまして、この法律の趣旨に基づき、通産省としましても、同和家屋の鉱害復旧を地対法の期限内に終えるべく最大限の努力を払うことにしているわけでございます。御承知のとおり、地対法二条二項には、国は「地域改善対策事業を実施するに当たっては、対象地域とその周辺地域との一体性の確保を図り、公正な運営に努めなければならない。」という規定もありますが、また、「国民は、地域改善対策事業の本旨を理解して、相互に基本的人権を尊重するとともに、地域改善対策事業の円滑な実施に協力するように努めなければならない。」二条三項にこういうふうに規定がございます。これらの規定を十分考慮に入れて制度の運用に当たってまいっているところでございます。今後とも、このような考え方で復旧対象の選定を行うよう、事業団等を指導していきたいと考えております。
  254. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いや、地域改善対策の法律があることは私も承知しておるのですよ。だから、それについての一定の配慮が必要になってくるということは、私はまるっきり否定をしているわけじゃありません。しかし、ここでは最大の努力からさらに進んで、その期限内にやることを事実上約束したようになっているのですよ。だから、そういうようなことを約束した事実があるかということをお尋ねしているのです。正確に答えてください。
  255. 檜山博昭

    檜山政府委員 先ほど申し上げましたように、地対法の期限内に終えるべく最大限の努力を払うというような指導をしております。
  256. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 その場合、今まで私は、鉱害復旧の三原則として、危険度の高いもの、それから公共物件、それから認定順、こういうことで工事が進められるものというふうに理解しておりましたが、この議事録のメモを見ると、その菅さんという方が予算配付の順位ということで言っておられるのは、第一番は危険度を挙げているのですけれども、二番目に同和関連、三番目に公共物件ということを言われているのです。私は、二番目に同和関連が来るというような順序についてはこの会議録のメモで初めて承知をしたのですけれども、これは私が最初に申し上げた鉱害復旧を決めていく場合の今までよく言われている三原則とはどういう関係になるのか。これを修正したということに当たるのですか。
  257. 檜山博昭

    檜山政府委員 復旧順位を決める場合、先生指摘の三つの要素が非常に重要な要素となっております。第一に危険家屋、危険の度合いといいますか、それから第二に公共事業関連家屋、第三に認定の古い順、この三つの重要な要素をベースとしまして復旧順位を決めていくわけでございますが、公共事業の中には道路改良事業等の地域改善対策事業としての公共事業がございまして、これらの実施に支障を生ずることのないように取り扱うことにしておるわけでございます。  同和家屋につきましては地域改善対策事業としての住宅改良事業融資制度が利用可能でありまして、この地域改善対策特別措置法の期限内にこの融資制度を利用したいという鉱害被害者に対して、地対法の趣旨を考慮すれば、できるだけその要求を実現していくことが適当ではないかというふうに考えて、これらを含めて公共事業関連家屋と同様の性格を持つものというふうに考えております。
  258. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いや、だから問題は一般地域とのバランスだと私は思うのですよ。例の同特法が地対法に切りかわっていったときにも、その周辺とのバランスということを配慮しなければならないということが法律の、私、今条文を持ってきていませんけれども、文言の中でもそれは言われたはずだと思うのです。  それからまた、最近六月十九日に地域改善対策協議会が「今後における啓発活動のあり方について」という同和行政の進め方についての意見を具申してきておりますけれども、これを見ましても、「行政機関の中には行政としての主体性の欠如から民間運動団体の要望をそのまま施策として取り上げるものがあり」というふうに、従来のやり方についての批判をしているくだりがありますし、また、「環境改善のための事業量の拡大が他の施策の拡充整備を抑制したり、周辺地域状況に比べて不均衡を生じさせる等そこに摩擦を生ずる事例もあった。」というようなことも指摘をされているわけです。  だから私は、今の川崎地区の解放同盟の皆さんが、それは運動体としてはそういう要求を出すかもしれないけれども、現在の客観的な情勢の中で考えてみれば、五十八年度に比べて五十九年度は倍にしてくれ、そしてこの地対法が終わるあと二年何がしの間には全部終えてしまってくれ、こういうようなことについて、それはもうごもっともです、最大限努力をしますというような姿勢では私は正しくないんじゃないかと思うのですよ。  これが本当に一般人たちの納得を得られますか。これをもし本当にやるということになったら一般地域人たちは相当に抑えられるという事態が生まれてくるんじゃないですか。それともあなたは、今までの、あるいは今回のこの問題をめぐって、何の問題もなかったというさっきの姿勢を貫くことができますか。
  259. 檜山博昭

    檜山政府委員 この問題につきましては、あくまでも地対法の期限内に終わるべく最大限の努力を払うということでありまして、先生指摘の「周辺地域との一体性の確保を図り、公正な運営に努めなければならない。」ということも考慮しなければなりませんが、同時にまた、国民としてこの地域改善対策事業の本旨を理解して、事業の円滑な実施に協力するように努めなければならないという規定もございますので、その辺を勘案して私どもは進めているところでございます。
  260. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この問題ばかりやっていると時間がなくなってしまうから、あと、ほかの問題についても若干お尋ねをしておきたいと思うのです。  改善策がいろいろ示された中で、中には誤解やら誤った報道やらもあるように思うのです。例えば認定以後は委任の効力を認めないということが言われておりますが、そのことをもって、だから陳情も含めて認定以後のことについては一切話を受け付けないというふうに報道した向きもありました。これについては、陳情についてはまじめなものならば積極的に聞くという姿勢であるというふうに私は非公式には聞きましたけれども、この場所で改めてその点を明らかにしていただきたいと思うのです。  それから、縦割りの問題が先ほどからいろいろ言われております。私は、縦割りはやめなければいかぬ、というのは、この縦割りという制度を鉱害ボスがフルに使って、ここで食い込んでくるわけですね。だからこの縦割りについてはきっぱりやめなければいかぬと思うのですが、先ほどからのお話でいくと漸進的に廃止に持っていくというお話でした。漸進的といいますけれども、この鉱害復旧自体がもうあと七年何がしなんですよ。だから、一体何年ぐらいでこれをきちっとさせる立場であるのかということも伺っておきたいと思います。  それから、余り議論にならなかったかもしれませんけれども、長年その指名の登録をしておっても、全く声もかからないという建設業者が大部分なんですね。それはあなた方も御存じだと思うのです。だから、こういう業者人たちからは、せめてまともな競争入札の機会を与えてくれ、それから、筑豊ではこの鉱害復旧というのは非常に大きな事業の分野ですから、みんなが公平に仕事の機会を得られるようにしてくれというのは強い要求ですね。鉱害ボスを排除するというのだったら、こういう業者の切実な声にこたえるということもこの機会にお約束をいただきたいと思うのです。
  261. 檜山博昭

    檜山政府委員 まず第一点の委任状の効力でございますけれども、これは鉱害認定申請まででございます。認定までではございませんで、鉱害認定申請まででございます。あとは陳情に関しましてはこれは別でございまして、陳情ルールの中で陳情していただくというふうにしていきたいと思っております。  それから、現在この縦割り工事、かなりありますが、これを段階的に減らしていきたいということで、ちょっと今めどはいつまでということはお答えできません。なるべく早く――早くといっても一年で終わるわけじゃありませんけれども、なるべく早い時期にこれは解消していきたいと考えています。(小沢(和)委員「およそのめどを示しなさいよ」と呼ぶ)七年の期間があるわけですが、その七年の期間の終わりの方じゃなくてこれを解消したいというふうに考えています。  それから、第三点の指名登録の問題でございますが、これは指名基準につきまして今検討中でございまして、先生指摘の点も踏まえて検討していきたいというふうに考えています。
  262. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それから、逮捕者が出、また関係の書類が押収されたために現地でいろいろ困っている問題も出てきているわけです。それは、既に五十八年度に発注されて工事が完了している分についても完工検査もできない。したがって代金の支払いができないということで、中には倒産第一号だというようなこともこの間新聞に報道されるというような状況になっております。こういうようなことをどうするか。  それから、今私は縦割りは廃止すべきだと言ったのですが、現実問題として縦割りの発注が行われて、したがってこれは五十九年度にいわば本体に当たる部分の注文が当然あるというのは、今までのしきたりからいくとそうなるわけですね。だから、それを当て込んで工事を進めているけれども、しかしこれは、正式の発注がこういう中でできない、その点でも非常に困っている。さらに今年度の二次分、三次分、こういうようなものについてもめどが立たないで困る。だから、さっきもお話がありましたように、もう建設業者の中には働いている人たちを首を切ったりするというような非常に深刻な事態も生まれているわけですね。だから、こういうような困っている人たちを救済するためにも、ここではっきりそれぞれについていつごろどうなるかというめどを示していただきたいと思うのです。  それから、警察の方にもお越しいただいておりますから、この機会に一つお尋ねしたいのですけれども関係書類が押収されているためにこういうような仕事がはかどらない、どうしようもないということも、私ども行くというとよく聞くわけです。そうすると、事件関係のない業者被害者人たちがいわばとばっちりを受けるような格好になっている。これは何とか最低限で救済されるように、警察としても本当に被疑事件について立証する上で必要な書類とそうでない書類と大急ぎで分けて、それ以外のものは仕事ができるようにすぐ返すというようなことも私はぜひやっていただきたいということを考えているわけです。この点についてどうかということもお尋ねをしたいと思います。
  263. 檜山博昭

    檜山政府委員 五十九年度の発注関係につきましては、今関係書類を多数押収されているという状況でありますが、五十八年度部分認可の分でございますが、これは五十九年度、七月二十日ぐらいにできるのではないか。それから、既に完了届けが出ているものがありまして、かなり検査済みの件数がふえております。未検査の分につきましては七月上旬から本格的にやっておりまして、月内に終わらせたいということで相当ここに人をつぎ込んでやっている状況でございます。
  264. 上野浩靖

    上野説明員 お尋ねの件につきましては、一般的には、従来から御承知のとおり必要がなくなりました場合にはそれら書類を速やかに還付しているところでございますが、還付される以前に押収された側で必要となった書類等につきましては、コピーをとっていただくというような措置もとっているところでございます。  なお、御指摘のことにつきましては福岡県警察によく伝えておきたいというように考えております。
  265. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、時間が来たようですからこれで最後にしたいと思いますけれども、私も現地を回ってみて、これがきっかけになって大蔵省などに予算に大なたを振るわれてはたまらぬ。だから、姿勢を正すべき点は正すけれども、むしろ今必要なのは予算の増額ではないか。実際いろいろ聞いてみましても、まだまだ、申請をしてはいないけれども復旧をしなければならないというような鉱害物件はたくさんあるわけですね。私どもが聞くところでは、本省などでは家屋では二万軒ぐらい未復旧があるだろうというふうに言っているようですけれども、しかし、現地の役所の関係者などと雑談していると、いや、三万軒以上あるのじゃないですかというような話がそういう関係者の方からも出てくるぐらいなんですね。ですから、私は、予算を減らすどころか、積極的にふやすように御努力をお願いしたい。  また、そのための事業団の執行体制ですね。これも私、組合の関係者などにも伺ってみたら、四十時間ぐらいの残業というのはもうごく普通だ、こういうような話ですね。しかも、そういうような人たちの中には臨時とか嘱託とかいう身分の不安定な人たちもいて、将来の保障は一体どうなるかという状態、これではこんなに大変な仕事をさせられていて意欲がわいてこないと思うのですね。だから、こういうような問題についてもさらに努力を願うという点で、大臣の決意を伺って終わりたいと思います。
  266. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 鉱害復旧対策の予算につきましては、十分これを確保いたすように最大限の努力をいたします。  なお、この仕事に支障のないようなことにつきましては、万全を期しまして指導をいたす所存でございます。
  267. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  268. 上坂昇

    上坂委員長 以上で本日の質疑を打ち切ります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後四時四分散会