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1984-03-16 第101回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月十六日(金曜日)     午後五時二十二分開議 出席委員   委員長 上坂  昇君    理事 北口  博君 理事 野田  毅君    理事 山崎平八郎君 理事 渡辺 省一君    理事 多賀谷真稔君 理事 中西 績介君    理事 斎藤  実君 理事 小渕 正義君       大島 理森君    鍵田忠三郎君       久間 章生君    古賀  誠君       保利 耕輔君    山下 徳夫君       岡田 春夫君    細谷 治嘉君       沼川 洋一君    宮崎 角治君       滝沢 幸助君    小沢 和秋君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君  出席政府委員         通商産業省立地         公害局長    石井 賢吾君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   村田 文男君         労働省労働基準         局長      望月 三郎君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       守屋 孝一君  委員外出席者         通商産業大臣官         房参事官    島田 隆志君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ――――――――――――― 委員の異動 三月十六日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     大島 理森君   松田 九郎君     鍵田忠三郎君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     金子原二郎君   鍵田忠三郎君     松田 九郎君     ――――――――――――― 三月五日  三井石炭池鉱業所有明鉱に関する陳情書  (第五六  号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件(三井石炭鉱業株式会社三  池鉱業所有明鉱火災事故に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 上坂昇

    上坂委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  本日は、三井石炭鉱業株式会社池鉱業所有明鉱災害について調査を進めてまいりたいと存じます。  この際、去る十二日政府報告されました三池炭鉱坑内火災事故調査委員会中間報告書について、政府から説明を聴取いたします。石井立地公害局長
  3. 石井賢吾

    石井政府委員 三池炭鉱坑内火災事故調査委員会中間報告につきまして御報告を申し上げます。  去る一月十八日発生いたしました三池炭鉱有明鉱坑内火災事故原因を究明するために、通産大臣私的諮問機関といたしまして専門家により構成されます事故調査委員会が設置されたわけでございまして、東大の伊木名誉教授委員長をお願いいたしたわけでございますが、当委員会はこれまで累次現地調査を行い、会議を開催いたしまして、三月十二日に中間報告を取りまとめまして、通産大臣報告書の提出がなされたわけでございます。報告書につきましては、お手元に配付してございます。  この中間報告書骨子は次のとおりでございまして、三つの部から成り立っております。一つ火災発生原因、第二が被害拡大要因、この二つに対する考察の上に立ちまして、それらに対応した当面必要とする保安対策についての提言ということでございます。  まず、火災発生原因でございますが、これは二百二十メーターベルト斜坑坑底部門に近い第一〇番目のベルト調量門近辺火災発生したという特定がございまして、その上に立ちまして、その場における検証等を通じ、火災発生原因ベルトコンベヤー施設と他の物の摩擦熱によって、周辺にございました調量門木材あるいは落炭等を蓄熱発火させたものというふうに絞り込みをいたしてございます。  また、災害拡大原因でございますが、これにつきましては火災発見のおくれ、あるいは連絡指令の手間取り、消火活動中のトラブルといったいろいろな要因が複雑に絡み合いまして八十三名の死者を招くといった大災害になったものではないかというふうに報告をいたしてございます。  さらに、これらの原因究明を踏まえました当面の保安対策事項としましては、ベルトコンベヤー保守管理監視強化あるいは連絡指令体制強化教育訓練徹底等々、いろいろの項目につきまして指摘されておるわけでございます。  以上が中間報告骨子でございます。  続きまして、三池炭鉱有明区域操業再開問題につきまして御報告を申し上げます。  有明区域のうち、今回の災害に関連する掘進部内を除きました部分につきまして操業再開願が三月十三日に提出されまして、十三、十四の両日鉱務監督官等八名が入坑いたしまして保安点検を行ったわけでございます。  この点検の結果、今回の中間報告指摘されました所要の対策を含めまして保安が確保されているという判断が持てましたので、十四日の二十三時四十分、監督局長から操業再開を了承する旨伝達をいたしたわけでございまして、これを受けて会社側としましては三月十五日よりならし採炭に入っております。現在ならし採炭の最中でございまして、三月十九日より本格的な採炭を開始するということに予定されているようでございます。  なお、今回の災害に関連いたします掘進部内操業につきましては、司法捜査状況会社保安対策状況等を勘案して今後検討することとされております。  以上でございます。     —————————————
  4. 上坂昇

    上坂委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。多賀谷眞稔君。
  5. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今回の三池有明鉱の大災害は、我が国最大出炭規模を誇る三池炭鉱において、しかも最も近代的設備を持ち、保安優良鉱といわれた有明鉱において死者八十三名、重傷者十六名の罹災者を出したことは、単に三井労使だけの問題ではなくて、我が国石炭産業に与えた影響は極めて甚大であり、まことに憂慮にたえません。これに対して通産大臣から御所見を承りたいと思います。
  6. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 御指摘のとおりであると存じます。  そこで、通産省といたしましては、去る十三日に鉱山保安監督局を通じまして、管内の各鉱山に対しまして中間報告を十分踏まえて類似災害再発防止に万全を期するよう指示したところでございます。  今後とも鉱山保安行政を適切に推進してまいる所存でございますが、繰り返し申し上げますけれども、保安に万全を期すという決意をもってこれに当たる決意でございます。
  7. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 私は、ここに罹災者の御冥福を祈るとともに、保安なくして生産なしという言葉をかみしめて、労使文字どおり保安第一主義に徹し、かつ国の監督行政の万全を期待しつつ質問を行いたいと思います。  既に衆議院石炭特別委員会は、災害直後一月二十七日、委員長を団長として災害調査を行い、災害実情報告書を本委員会に提出しております。また政府も、本日報告がありましたように、三池炭鉱坑内火災事故調査委員会から中間報告が出されております。また、炭労三池労組有明鉱災害保安調査団からも報告書が出ております。私は、これらの報告書を踏まえ、さらに私自身二回にわたって有明鉱に赴き実情調査いたしました点を加味しながら質問をいたしたい、かように思います。  三池炭鉱は、昭和三十八年十一月九日、戦後炭鉱最大災害炭じん爆発が起こりました。死者四百五十八名、CO患者八百三十九名の大量の犠牲者を出し、いまだに病床に呻吟しておる状態であります。四年後の四十二年九月二十八日にも三川鉱坑内火災が起こり、死者七名、四百二十五名のCO中毒患者を出しております。最近では三川鉱坑道で大崩落が起こり、六名の死者を出しておるわけであります。  私は、総括して言えることは、有明鉱において保安に対する厳しさが全体として欠如しておったのではないか。政府調査団指摘しておるように、火災発生はもちろん、火災発見連絡指令消火活動退避避難、これらの項目のいずれか一つをとってみても的確な対応ができていないわけで、それが大惨事を招いたと思うのであります。そこで私は、一項目ずつ質問をしてみたいと思います。  まず発火の原因について、ベルトコンベヤー保安装置としてスリップリレーが取りつけられていたのかどうか。今回の災害にはそれが作動したのかどうか。また、政府調査団報告書は、ベルトコンベヤーナンバー一〇にベルト蛇行防止機能を持つものがなかった、あるいは箱型調量門の構造を含め、ベルト施設に問題がある、こういうように指摘しております。落ちボタとかそれから焼けた炭とかいろいろ言及しておりますが、こういう炭とかボタ集積物ベルト摩擦をする、あるいは蛇行さす、こういうことは従来指摘されておったところでありまして、一体これらについて今まで監督官庁はどういう指導をされたのか、まず質問をいたしたいと思います。
  8. 石井賢吾

    石井政府委員 第一点の、スリップリレーその他蛇行防止装置があったかなかったかということでございますが、第一〇番ベルト火災発生地点と言われております第一〇番ベルトの第三調量門近辺には、今御指摘のような蛇行防止装置は一切ついておりませんでした。  それから第二点の落炭についてどういうような検査あるいは指導が行われてきたかということでございますが、有明区域に関しましては五十八年におきます巡回検査におきまして、ベルトコンベヤー落炭等清掃除去に関しまして、これまで三回、延べにしまして七カ所でございますが、この改善指示いたしてございます。ところが肝心の今回の火災場所ではございませんで、別の有明区域におきますベルトコンベヤー関係でございます。その指示をする際に、これは文書によって指示をいたしまして、この保安立入検査の後、公表をいたすわけでございますが、その公表段階におきまして、口頭で他に同様な状況箇所があればあわせて改善するように注意はいたしてございますが、今回の箇所についてはこれまで指示は行われておりません。
  9. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 会社側としては、何もその箇所でなくても同様の堆積があれば当然除去するというのは当たり前のことであり、その義務があると思う。  なお、三池労組から一月の九日、十日の両日にわたって有明鉱に入坑した際に、やはり残炭処置を含めて保安体制に対する不安があるということで改善の申し入れがなされておる。この八日後に事件が起こっておるわけです。あるいは箇所が違うかもしれませんよ。けれども、その残炭処置が十分でないということは既に監督官庁が前年度に三回にわたって行っておる。しかも調査の結果はそのことが指摘されておる。これに対してどういうように考えておるのか。それから改善命令を出した後、会社はどういう処置をしたと報告を受けておるのか、お聞かせ願いたい。
  10. 石井賢吾

    石井政府委員 文書によります改善指示の場合に鉱務監督官が確認して、その際の検査において確認できなかったものについては文書によって報告し次回検査をいたすわけでございますが、今回ただいま御指摘ベルトコンベヤー下におきます落炭清掃指示という点につきましては、一回の巡回検査が三ないし四日かけております。指摘をいたしました日の翌日に、その確認をいたしておるというのが実情でございます。
  11. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 既に三川鉱の大爆発のときも、御存じのように政府調査団最終報告において、坑道内に最低爆発限界以上の炭じん堆積しておったということが指摘されておるわけですね。その炭じんが炭車の暴走によって猛烈な勢いで舞い上がって事故が起こった。私の記憶によりますと、この炭じん堆積福岡鉱山監督局は既にその事前において除去するように改善命令を出しておる。そうしてその後に大事件が起こっておるわけですよ。ですから言うならば、炭じん堆積したとかあるいは石炭が落ちてそれがたまっておるとかあるいは大きなボタコンベヤーの中で蛇行しておるとかというような問題は、当然私は会社として除去すべき義務があったと思うのですがね。これが行われていなかったということは一体どういうようにお考えですか。
  12. 石井賢吾

    石井政府委員 昨年の検査結果におきまして、それぞれ三度にわたりまして、別の箇所でございますが、延べ七カ所の指摘をいたしたわけでございまして、私どもとしましてはそういった点を踏まえて、あわせて同様箇所についての清掃の確保ということについて口頭注意もいたしてございますので、会社側徹底しておったものというふうに考えるわけでございますが、今回の場合にまだ最終的な確定はできないものの、少なくともベルト施設の関与によりまして調量門木材かあるいは落炭か、そういった可燃物に蓄熱発火させたということがございますので、こういった点を踏まえまして十分今後の対応策を行ってもらう必要があるということで、今回中間報告を踏まえまして会社側対応につきましてもベルトコンベヤーにかかわる保守管理強化というものの徹底化を図っていただいたわけでございます。
  13. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 このベルト掃除する義務のある人はいるわけですか。ベルト番はいないと書いてあるのですが、従来いたのがなくなったのですか。それとも初めからいなかったのですか、それともそれがサボっておったのか。この点はどういうようにお考えですか。
  14. 石井賢吾

    石井政府委員 これまでの会社側からの事情聴取によりますと、第九番及び第一〇番以降のベルトに関しましては、当日ベルト保守管理に当たります要員配置してなかったということで、当日におきましてはその箇所ベルト保守管理ないし清掃を行なう人間を会社側として張りつけてなかったということでございます。
  15. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 当日と言って、その日にそれだけたまったのですか。事前になかったのですか。急にその日にたまったわけですか。当日はなかったろうけれども、前日はあったわけですから。あるいは何日か掃除しなかったのですか。それはどういうふうに把握していますか。
  16. 石井賢吾

    石井政府委員 舌足らずでございまして……。ナンバー一から八までが二百二十メーターレベルベルトコンベヤーになっておりまして、ナンバー九以降がいわゆる三百二十メーター坑道とつながります連絡斜坑ベルトになるわけでございます。それで、会社側説明によりますと、ナンバー九以下のベルトコンベヤーに関しましては、言うならば掘進部門、これは四百二十メーター坑道におきます掘進中のもの及び三百二十メーター西上層におきます採炭準備段階におきます石炭あるいはその他のボタあるいは岩石を運ぶためのコンベヤーとして使用されておりまして、その量は極めて少なかったということのために、その地点には配置がされてなかったというふうに聞いております。
  17. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 そうすると、当日の掃除が行き届かなかっただけでなくて、これは何日ということもわかりませんでしょうけれども、その前からもその掃除が行き届いていなかったということを示しておると思う。  時間も十分にありませんから、一つ一つ項目別質問をしていきたいと思いますが、例の非常に近代的な監視制御装置ができておるわけです。これが作動していないというわけですね。これは私は極めて重大だと思うのですよ。煙感知器も動いていない、CO感知器も動いていない。もちろんメタンガスはそう出てないと思いますけれども、そういうように動いていない。ですから、言うならばこういう完備をしておっても、末端装置が全然動いていないのですから、これがセンターに来るはずがないのですね。これだけの施設をしながら全然動かなかった。そうして通報を受けたのは、これは誘導無線で初めて知った。私は、この発見のおくれというものですね、これは一体見せかけの保安管理装置なのか、どういうところに原因があったのか、これをお聞かせ願いたい。
  18. 石井賢吾

    石井政府委員 今回の火災発生箇所が第一〇番ベルト坑底に極めて近い第三調量門近辺ということでございますが、第一〇番ベルトにつきましては駆動部門上部にございます。第九番と接続します上部ベルトコンベヤー駆動部門がございまして、その風下煙感知器がつけられておったということでございますので、大体火災発生可能性が高い駆動部風下にございましたために、逆に下手の坑底の方にございます第三調量門の煙の感知には全く役に立ってなかったということになるわけでございます。それ以降につきましては、煙感知器がついていなかった。一二番ベルト煙感知器があったようでございますが、これも当日調整中で取り外してあったというふうに事情聴取では判明いたしております。
  19. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 これは感知器配置が悪かったのですか、数が少なかったのですか。この程度ではとても集中制御装置のところに伝わらない、ある程度の密度を持って煙感知器は必要である、こういうようにお考えなんですか、どうなんですか。
  20. 島田隆志

    島田説明員 お答えいたします。  当該有明鉱区域で十二カ所の煙感知器があったわけでございますが、先生御案内のように煙感知器、特に先ほども局長申し上げましたように、火災可能性の非常に高い原動機室ですとか、あるいはコンプレッサー室ですとか、そういうところから重点的につけているわけでございます。  それからもう一つ煙感知器。この辺にございます建築物に使っております検知器坑内型に、防爆型にするような特殊な坑内用につくってあるわけでございますが、坑内炭じんだとかあるいは風が強いとか、条件によっては非常に使えないようなところがございますので、まだそういう意味では技術的に完全に確立された分野でもないものもございますので、条件の整ったところへつけていく、常時その辺を指導しているところでございます。  今回の当該区域につきましては、先ほど局長から申し上げました原動機、第九、一〇ベルト原動機部分にあったということで、今後やはり今回の中間報告書にもございますように、適宜そういう条件の整ったところはつけていこうということにしてまいりたいと思っております。
  21. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 あなたの方で「当面の対策」として「煙感知器等配置適正化」ということをわざわざうたっておられるから、結局はやはり数が少なかったのでしょう。もう少し数さえあれば感知できたんじゃないですか。結局ばらばらとやっておるから、たまたまそこで起こったから、風下は届かなかった。ですから適正な数だけ煙感知器を、大臣、たばこを吸っても敏感に反応するのですよ。それなのに、火災が起こっても結局動かない。こういう状態では、やはり役に立たなかった。せっかく相当な金を出して集中装置をつくっても意味がない。それは末端が動かなければだめですよ。ですから、こういう点が僕はどうも全体として保安の厳しさが欠如しておったのではないかというように感じる。  そこでもう一つ巡視。これは後からも総括して申し上げますが、巡回とか巡視をなぜ怠っておったか。三時間前に通ったというのでしょう。しかしそのときには気がつかなかった。もっともベルトは、会社説明によると事故が起こる五十分前に稼動した。五十分前ぐらいからですから、巡視をしたときには動いてなかった。動いてないときに見たってそれはわかりませんよ。ですから人、保安要員。余りにも技術や機械にのみ頼っておった。なぜ保安要員を置かなかったのか、巡回をしなかったのか、本当に巡回をしたのかどうか。これは巡回をすると必ず日誌か何かに書いてあるんですよ。必ず自分の方、自分の当番は一回巡視したよと書いてある。それがなぜ行われなかったか。大体巡視をする人はその箇所に何人いるんですか。その一番方なら一番方に何人巡視をするのですか、お聞かせ願いたい。
  22. 島田隆志

    島田説明員 当該ベルトコンベヤーの関連の担当係員としましては、機械保安係員あるいは電気保安係員が担当しておりますので、それから坑内就業箇所という面で坑内保安係員がそれぞれ担当しているということでございますが、主として今回の場合は機械係員あるいは電気係員というところになろうかと思います。各作業時間ごとに一回以上巡回するという規定になっております。
  23. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ですから、その箇所には電気機械と二人が巡回することになっているのですか、一人ですか。純然たる坑内保安係員だけですか。一番方にその箇所は一回だけするのですか。
  24. 石井賢吾

    石井政府委員 一方に一回以上、各主要坑道保安点検するということになっておるわけでございまして、今回のベルトコンベヤーにつきましては機械関係でございますので機械関係、それから駆動部その他コンプレッサー室等にかかわる限りにおきまして電気関係係員巡回をするということになっております。
  25. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 初動が非常におくれた。発見がおくれただけでなくて、連絡指令が大混乱をしていますね。炭鉱は大体水、それからガス、火、これは皆重大災害ですよ。ですから、火災が起こったといえば、これはすぐ全員退避を命じなければならぬ。それが十五分もかかっておるわけでしょう。これは私は極めて重要なことだと思う。一体指令室はだれが責任者で、通報を受けたらすぐ指令をするような仕掛けになっていなかったのかどうか。十五分というのは大変な時間ですよ。一体どういうようにお考えですか。
  26. 石井賢吾

    石井政府委員 火災現場から指令センター火災報告がございまして退避命令まで、先生指摘のように約十五分以上を要したというふうに中間報告指摘いたしておりますが、その間一体何が行われていたのかといいますと、第一に、指令センターにおきましてその風下関係状況把握に努めたということで、誘導無線等を使いまして各坑内状況把握の問い合わせを行ったということが言われております。このほかに、先ほどのセンターにおりました指令員でございますが、指令員は本来であれば管理者の指定した者としまして、保安計画上当然に退避を命ずることができるわけでございますが、この点、私ども把握しております保安計画社内関係がどうだったかというのをいま一度調べておりますが、いずれにいたしましても外出中の鉱長連絡し、その指示を仰いで退避命令を出したというような特殊事情もございました。その意味におきまして、今回の中間報告におきまして退避命令あり方等に問題があったのではないかということで指摘されたものと理解しております。これは鉱山保安法令上では、もう先生十分御承知のように、危険防止措置災害発生いたしました場合に危険防止措置をとりますのは保安統括者にございます。しかし、この保安統括者を補佐する形で保安係員がおるわけでございますが、今回の指令センター配置された者は、管理者の指定した者としてその機能を持つものというふうに私ども理解いたしておりますが、これらにつきましては、今回の中間報告を踏まえまして、権限の明確化社内においても徹底化するような措置をあわせ講じまして、今後の指令連絡体制の整備を図ったところでございます。
  27. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 今回の場合の退避命令は、だれの責任でやったのですか、今回は。
  28. 石井賢吾

    石井政府委員 先ほど申し上げましたように、管理者の指定した者として指令室におりました者が、現実には鉱長連絡をとりまして、鉱長指示に基づいて退避命令が出たというプロセスを私ども承知いたしておりますので、最終的には鉱長指示ではなかろうかと思います。
  29. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ところが、おくれたのはこれだけでありませんね。第一、救護隊出動が非常におくれておる。四十三年五月十二日、やはり三川鉱ベルトコンベヤー火災があったのです。このときは非常に機敏に対処した。百四名、三十分後に出動を開始しておる。今度は災害発生時刻の一時間五十分後に有明隊の本隊の招集があったのですよ。それから一回目の進入が行われたのは二時間五十分後。三川隊あるいは四山隊に対する出動要請は、実に二時間四十分から五十分後に要請をしているのです。  そういうおくれだけでなくて、監督局にはこれは何時間後に通報があったのですか。警察にはどのくらいの通報があったのですか。しかもこれは、火災は一時鎮火したように見えたという。それは火災発見後四十分ですよ。こういう状態ですよ。ですから、全体として全く初動の機敏さが全然なかったということですね。一体監督局はいつ受けたのか。警察にはいつ通報があったのか。出動時間はあなたの方ではどういうように把握しておるのか。この報告書にありませんからお聞かせ願いたい。
  30. 石井賢吾

    石井政府委員 福岡鉱山保安監督局連絡を受けました時刻は十五時五十分近くというふうに私理解いたしておりますが、後刻ちょっと確認させていただきたいと思います。そういうように承知しております。  それで、今回救護隊出動に関しましておくれが著しいという御指摘でございますが、救護隊退避命令が出されました十四時五分に第一班につきましての出動要請が行われておるわけでございます。これが現実に入坑いたしましたのが十四時四十分ごろというふうに承知いたしております。これが第一班有明班の七名でございまして、それで第二班、それから第三班、第四班と、特に第三班以降は四山、三川という他地区の救護隊出動要請いたしたわけでございます。これは先生指摘の、ゆゆしい時間のおくれがあったのではないかというふうに見られますが、これらにつきましては坑内火災状況等に応じてそれぞれ出動要請をしたのではなかろうかというふうに私ども思っておるわけでございます。先ほど先生が御指摘のように、一時、火種は残っておるものの火の手は消えたという時期があったわけでございますが、水のトラブル等によりましてそれが完全なものとならなかったという極めて残念な結果を生んだわけでございます。そういった坑内状況等を判断してそれぞれの出動要請が行われたのではなかろうかというふうに私どもは理解いたしております。
  31. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 全員退避を命じておって、しかも火災は続いておるという状態の中で、余りにも救護隊要請がおくれたというように私は思います。これは総括して後から質問をいたしたいと思います。  それから消火活動についてですね。これは調査報告書にもありますし、また本委員会調査をしたときも言いましたが、停電その他の要因で消火用水が一時切れた、絶たれたということを言っております。しかし、坑内火災の場合は停電というのは普通の状態ですからね。その系統だけでなくて別の水源を求めるというのは当たり前ですよ。その用意が必要なんです。一系統だけで消火をしろというのは、炭鉱についてはそもそも無理なんです。それがどうしてできていなかったのか。これはどういうように判断をされておるのか。  それから消火について、その係員大変御苦労さんでございましたけれども、作業をしておる者を三名ぐらい集めて、そうして火災を消そうという、それは涙ぐましいものがありますけれども、危険の重大性を認識してないんですね。これは炭鉱坑内ですから、本来自分たち四名ぐらいでやれるような代物じゃないんですよ。もう不燃性になればCOが出ることは当たり前です。三池というのは残念ながらCOで、もう嫌というほど経験がある。それが四十分も消火作業を続けておったという。そして救護隊は来なかった、四名でやっておった。このこと自体は、いかに平素火災に対する訓練が欠如しておったかを物語ると思うのですが、どうですか。
  32. 石井賢吾

    石井政府委員 一たん火の手が見えなくなる状態で消火に成功したかに見えたわけでございますが、これが成功をおさめませんでしたのは、消火栓のトラブルから起こったわけでございます。これは、二百二十メーター連絡斜坑坑底の湧水を利用いたしました消火栓で初期消火をいたしたわけでございますが、ちょうど一〇番ベルト坑道を通っておりますケーブルが焼き切れましたために、水の勢いが弱化してしまって有効な消火ができなくなってしまった。そこで、消火栓に関係いたします配管をバルブ操作によりまして他の水源にスイッチしようということでの作業が行われたようでございます。これ自身は、先ほどの二百二十メーター坑道に近い第九ベルトの近くにあるわけでございまして、これからの水源確保ということの作業が行われたわけでございますが、これが何らかの理由によりまして十分な操作ができなかったというふうに聞いております。現在、この関係でどうして十分な水源のスイッチができなかったのか、これにつきましては調査を進めておるところでございます。  それから第二に御指摘の、坑内要員が全部で四名で消火に当たったわけでございますが、確かに危険な地点でございますが、風上からの消火活動を行った。と申しますのは、幸い利用いたしました消火栓がナンバー一〇ベルトの上の方、上の方といいましても中間程度のところにございますので、その消火栓を使って風上からの消火活動を行ったというふうに聞いております。
  33. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 本委員会調査団を派遣して会社側に会いましたときに、指令センター退避避難命令を、十四時五分、排気坑道を通って退避するように指示した、十四時二十二分、巻き場風道から脱出経路に当たる坑道に濃煙が流れているという連絡があったので、十四時二十六分、戻れ、救急センターに籠居せよと指示した、こういう説明を我々にされたのです。まさに説明は二重になっておるわけですね。一方は排気坑道から逃げろ、こう言う。一方は籠居せよ。しかし現実には煙が多くて、救急センターには一人も籠居していないんですね。避難所をわざわざつくるとか、あるいは救急センターを設けるというのは一体何なのですか。なぜそれが煙が多くなって籠居ができないような状態になっておるのか。監督局はその避難所というのは平素点検しているわけでしょう。一体、煙が出るような避難所をどうして是認しておったのか、これをお聞かせ願いたい。
  34. 石井賢吾

    石井政府委員 お尋ねの第一点の方でございます、最初に排気坑道を通って避難せよ、退避せよという指令が出、次いで籠居せよという指令が出たというお話でございます。先生の御指摘のように、排気坑道の立て坑寄りの一番奥の方、立て坑から一番近いところに巻き場からの風道がございまして、そこの風量は極めて弱いのでございますが、不幸にしてそこから黒煙が出てしまって、まさに退路を遮断してしまったということがございまして、それを坑内からの連絡で知りました指令センターが、それでは籠居せよということで指示を変更したというふうに聞いております。  それでは、その籠居すべき肝心の救急センターが十分な機能を果たしてないのではないかということでございますが、御承知のように鉱山保安法令におきまして、避難所におきましては坑内誘導無線機等の連絡装置あるいは空気供給設備を設けることを規定いたしておりまして、監督局巡回検査におきましてこの避難所につきましてこれらの点について重点を置いて検査をいたしてきておるわけでございます。  今回中間報告におきまして、その救急センターに煙が侵入し、かつ籠居した気配が全くない、利用されてないのではないか、となりますと、最初から煙が入っておったのじゃないのかというような疑いもございます。煙が侵入してまいります原因といたしましては、漏風等の構造上の問題と、もう一つは扉の開閉操作の使用上の問題と二つございますが、今回の操業再開に際しましては、これらの構造につきましてビニール張りの強化による漏風防止装置、こういった漏風防止対策強化、それから同時に、退避訓練におきましてこの救急センターの利用方法の周知徹底、こういったことを図ったところでございます。
  35. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 随分前になりますけれども、茂尻炭鉱という炭鉱で、ガス爆発から炭じん爆発、最後はCO跡ガスで亡くなった。ですから、類型は三つの類型で亡くなっておりました。避難所に参りました。その避難所は、着ておった被服を全部ぶら下げて、そうしてきついものですから、土に口をつけて、手で土を、つめを真っ赤にして、COを防ぐために頑張っておった。中には二メートルぐらいの鉛管を口にくわえておったために助かった人もある。こういうことで皆、避難所に籠居しておったわけです。ところが、その後もう二十五、六年になるわけですから、避難所も十分整備されておると私は思うのですが、炭労の報告書によりますと、例の四百二十メートル坑道一日抜き救急センターは気密性が極めて悪い、救急センターの中にレールが通過しておる、また側溝が掘られているために、この部分の被覆が不十分であった、そこで煙が充満したんだ。こんなことは監督官が事前に見ればわかると私は思うのですよ。そこに酸素ボンベがあるとか、誘導無線があるという、その確認だけじゃ役に立たぬでしょう。籠居をする、その籠居をするところに煙が充満をするなんというような、そういう気密性のない避難所をどうして点検しなかったのか、改善命令を出さなかったのか、構造上の大きな欠陥を持った救急センターだというように私は考えるわけですが、どういうように周知されておったのか、お聞かせを願いたい。
  36. 石井賢吾

    石井政府委員 救急センターの漏風防止ということに関しましては、上部構造におきます限りその修復は非常に困難でございますが、下部構造におきますと、この利用のために籠居した方々の対応策というのは比較的容易でございまして、ビニールを垂らし、下におもしをつけるといったような対応策は講じ得るわけでございますが、先生指摘のように今回の退避命令が、先に避難、退避せよという命令でございまして、言うならば最初から籠居の態勢でなかったために逆に煙が先に入ってきてしまっていたということと今推察しているのでございますが、もともとそれがそういう対応策を本来ならば十分にしておくべきではなかったかということで、今回の中間報告を受けまして、それらに対する対応策を十分に改めさせまして、漏風を防止するような措置にいたしたわけでございます。
  37. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 大体、気密性が悪いということの報告書が出ておるのですよ。その気密性がいいか悪いかは監督官も事前にわかるでしょう。見ればわかる、レールが通っているから。それで側溝が掘られておるとか。ですから、煙が入るようになっているんですよ。それを改善命令も出さなくて点検をしておったか、これを聞いておるわけです。  そこで、時間も余りありませんが、総括して以下質問をしたいと思います。  第一、今度の災害を見ますると、炭鉱はどこでもいつでも危険だという認識がないんですな。炭鉱坑内というのは、どこでもいつでも危険なんですよ。万全というのはないのです。そういう認識が労使ともになかったということ、これが第一。まさか有明鉱においてという気持ちがあるんですね。ですから、集中監視装置は立派にできておっても、先端のセンサーがないのですから。こういうことはあり得ないと思うのですよ。  それから第二には、技術、機械というものに過信した。安全対策というものは人間がやるんですよ、やはり人間が。それで技術は、あくまでも機械は補助的なものですよ。人間のこの目で、この耳で、この臭覚で安全を確かめるという態度がなかったということですね。これが非常に欠如した。これは、人員さえ削減をすれば合理化がいくという物の考え方が問われる問題である、こういうふうに思いますね。そうして、ベルト番もいなかったとか、専任の保安の職員もいなかったという。これはまさにそのことを物語るものではないか、こういうように思うのです。  第三は、コンピューターによる集中監視室もあるが、肝心の、今言うように、その煙感知器とかCOの感知器とかいうものが作動をしていない、それの適正配置が行われていない。それから、もしこれが、救急バルブがガス突出区域のように必置義務であったら、私は助かったと思う。エアマントで空気を吸うて皆助かったでしょう。ですから、私はその点は、今日の火災というものを、もうCOの出るのは同じですから、ガス突出区域でなくても同じなんですよ、これに十分な対応ができなかった、三井有明炭鉱が救急バルブを据えていなかったというのは非常に残念に思うのです。第一、鉱山保安規則というのは最低ですからね。これ以上保安施設をしてもいいわけですから、これ以下になってはならぬという罰則までついておる義務ですからね。これは非常に残念。ですから、COマスクをつけたけれども、それが高熱で、やけどをしそうだ、あるいは外した、あるいは一時間しかもたなかった、こういう問題になる。僕らは本当に残念に思うわけです。  第四は、保安教育がほとんど行われていなかったんじゃないか。一体、三カ月に一回の訓練というが、実戦訓練ができていないのですよ。第一、火災がどこどこの地点に起こったらどういうように逃げるのだというのが、だれも鉱員はもともと知らない、だから現実に右往左往したわけでしょう。それは、古い筑豊なんかの炭鉱では、班長が何人かを抱えて籠城して七十二時間も助かったなんていう例は幾らでもある。そういう点が全然見受けられない。どの経路から脱出したらいいかという訓練が全然なされていない。体で知っていないのです。  そうして第五には、今次の災害は初期の段階において重大なミスがある。そして、これを隠ぺいしようとしたのですね。所内だけのものにしようとした。外部に知らせない。それが連絡がおくれ、救護隊出動要請がおくれ、こういうことに全部なっておるのですね。これらを総括して、局長並びに大臣から答弁を願いたい。
  38. 石井賢吾

    石井政府委員 ただいま御指摘の点につきまして、今回の中間報告を踏まえた対応策の中でできるだけの解決を図るということで、例えば先ほどまずベルト関係の人を張りつけろ、人を張りつけた上で、それで足らないところを機械が補助するというようなことにつきまして、坑内火災という観点から十分に危険度を見直しまして、それへの対応策を講じたつもりでございます。  いろいろ御指摘がございましたが、先ほどの退避関係の問題につきましても、退避所の見直し、強化を図ったり、あるいはエアハウスを新設をすることといたしたわけでございますが、そういった今回の中間報告を受けました対応策をとったところでございます。  また、保安訓練について十分なものが行われてないのではないかという御指摘もございましたが、去年の四回にわたります避難訓練におきましては、それぞれ態様の違った災害を想定しての訓練が行われたようでございますが、これにつきましてもすべて坑口までの退避命令ということではなかったようでございます。今回は中間報告を踏まえて、坑口までの退避命令をきちっととるということによりましてこれまで訓練が行われたようでございますが、そういったいわば災害に対する、坑内火災に対する危険度の見直しとそれに対する敏感な対応という観点からの対応策をとったつもりでございます。
  39. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 次に、私は要望したいと思います。  私ども、石炭鉱山保安規則の改正を見ますると、一つ一つ歴史を持っているのですよ。このとき災害があったから、これを直したのだなという非常な思い出がある。しかし、残念ながら、これは悲しい思い出です。そこで、私はやはり今度の場合も防火区域、これはガス突出区域に先ほど申しましたように、いろいろ厳しい条件がある。これと同じようにやはり防火区域というのを、例えば揚炭坑道であるとかそういうところに防火区域というものを、地域を指定して必要な装置の設置義務を課するべきではないか、こういうように思います。  次に、いろいろ新聞にも書かれているのですが、COマスク、これは高熱で一時間しかもたない。何らかこれはひとつ保安器具について、今日のような日進月歩のように科学が進んでいるのですから、金を出して研究開発をすべきではないか、こういうふうに要望したいと思います。  次に、例の学術会議から出ております試験炭鉱、これについてはどういうようにお考えであるのか。  それから、罹災者のその後の救援その他はどうなっているのか。  それから最後に大臣、私どもが非常に残念に思いますのは、最近、あの優良炭鉱の有明でも災害が起こる、だからもう無理をするな、二千万トンをこの際見直すべきだという残念な声が一部にある。私は、日本のエネルギー政策全体としてこれをさせてはならぬと思うのですね。我々はこの経験をさらに生かしながら、保安に万全を期すと同時にやはり二千万トン体制というものを崩してはならない。五千五百万トン体制を崩して総崩れになった歴史を我々は知っている。これについて大臣の御所見を承りたい。
  40. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 もう満二カ月たつわけでございますが、御承知のとおり私は、事故発生の翌々日の閣議の後すぐに現地に飛んだわけでございまして、現地に赴きまして会社側あるいは組合側、さらには自治体側からさまざまな報告を受けたわけでございます。恥ずかしい話でございますが、私は炭鉱というところに行きましたのは生まれて初めてでございます。そういう報告を受けながら、炭鉱災害というものの悲惨さを肌で感じた次第でございます。今さらながら遺族の方々の無念さあるいは犠牲になった方々の悲惨さというものを思うだに、非常に残念なことだと思うわけでございますが、今後はそういう意味で、保安の万全ということをどうしても確保していくことが第一であると思うのでございます。  そこで、今多賀谷委員おっしゃいましたように、第七次答申に対してどういう考え方を持つのかということでございますけれども、いわば貴重な国産エネルギー、その国内炭の重要さというものを我々も十分認識いたしておりますし、第七次答申というものの方策に沿ってこの政策を推進してまいりたいと存ずる次第でございます。
  41. 望月三郎

    ○望月政府委員 不幸にして亡くなられました八十三名の方々に対する労災補償でございますが、二月の二十九日までに遺族等に対しまして遺族補償給付等所定の給付を行ったところでございます。それから遺族補償年金等につきましては、五月の支払い期に第一回目の支払いが行われまして、それ以後、年四回で、五月、八月、十一月、二月という形で年金が支払われるわけでございます。このほか療養継続中の者十六名から休業補償給付等の請求がなされておりまして、三月十二日に保険給付の支給決定を行ったばかりでございまして、きょう十六日に支払いを行うということで、きょう行われたと存じます。なお、一酸化炭素中毒で療養中の者が十六名ございますが、今病院に残っている方は六名でございまして、あとの十名は通院しているということでございますが、今まで聞いているところでは軽い症状でございまして、後遺症はまず考えられぬというような医者の所見でございます。
  42. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 現在のところ私どもの出先である安定所にはまだ遺家族の方々から就職したいという御希望は出ておりません。といいますのは、多分突然の災害のためにまだ今後の生活設計について思いが至らないというのが実情ではないかと思いまして、その点私ども非常に心配しております。  実は昨日、私、大牟田に行ってまいりました。私どもの出先の安定所あるいは大牟田市、それから会社関係者の方々といろいろ打ち合わせてきたような次第でございます。  遺家族の方々は四十九日が済むまではいろいろ御心労もあろうかということで、そっとしておいて差し上げようということでございましたが、三月の七日、ちょうど四十九日が明けました後、会社関係者を中心といたしまして、現在個別に御家庭を訪問して今後の人生設計といいますか、今後の身の振り方について相談を進めている最中でございます。会社の方も、御希望があれば極力三井石炭に直接採用し、あるいは石炭関連の会社に就職あっせん申し上げるということでございますし、私どもも遺家族の方々の御希望に極力沿えるよう安定所、会社一体となりましてこの方々の御面倒を見さしていただきたいというふうに考えております。
  43. 石井賢吾

    石井政府委員 三つ御指摘いただいたわけでございまして、第一の地域指定、坑内火災の危険度の高いところについての地域指定を図ったらどうかという点でございますが、御承知のように坑内には非常に広い範囲におきまして動力ケーブルとか信号線とかあるいは各種の機械が散在いたしておるわけでございまして、こういった言うならば火災発生という観点からいたしますと危険度の高い装置類につきましては、これまで炭則によりましていろいろな対応策義務づけているわけでございますが、今後はこれをさらに充実するということが火災を防止するために何よりも一番必要でございますので、そういう方向で考えさしていただきたいというふうに思うわけでございます。  それから、第二に御指摘のCOマスクの問題でございます。これは御承知のように三十八年の炭じん事故以来、携帯用でないとうまく緊急の用に立たないということで、それまでの設置方式から携帯用に直すべくいろいろ技術開発が進められてきたことは先生御承知のとおりでございます。それで、その過程におきまして百十度を超すような高温になったという報告が四十二年に出たわけでございますが、これはまさに通産省がその携帯用COマスクを開発する過程での実験結果をまとめたものでございまして、その結果を踏まえましてさらに通産省の研究所が基礎研究を行いまして、技術化のめどがつきました段階石炭技研等メーカーに補助金を出しまして、現在の原型といいますかSR20という機器、それから現在SR30というふうに進んでおりますが、これらの機器の開発をしてきたわけでございまして、この機器にかかわります限り、例えば現在ほとんど全世界の三分の一以上を占めております西独メーカーにおきます西独の検定方法と全く匹敵するような基準におきまして性能が確保されておるというのが実情でございます。  確かに調査委員先生方がいろいろ聞かれました段階で、助かった方々の中でCOマスクを装着したという方が大多数でございますが、同時に一部で非常に息苦しかったという報告も受けておるわけでございます。現段階で私どもSR30について聞いております限りでは、吸気温度がCO濃度一%に対しまして約五十八度くらい、要するに六十五度を限界に置いておるわけですが、五十八度くらいに保てるというふうに聞いておるわけでございます。この吸気温度は西独も全く同じ測定方法でやっておるわけでございまして、同じ基準でございます。そういう意味で、これが万全なのかどうかという問題もございますが、まずは装着に非常に手間取ったという報告もございます。こういったことを踏まえまして今後の対応策考えてまいりたいというふうに思っております。  それから、試験炭鉱につきましては島田参事官からお答えいたします。
  44. 島田隆志

    島田説明員 試験炭鉱につきまして、先生も御案内のように、国内炭鉱といいますのは非常に千差万別、地質条件、自然条件も非常に複雑でございまして、北海道の北空知の炭鉱と今回事故のございました三池炭鉱とは全然条件も異なっているというようなこともございます。このために、一つ炭鉱で試験研究をやってその成果が果たしてどの程度応用できるかという問題がございます。私ども、現在生きている炭鉱で、石炭技術研究所等と一緒になって生きた炭鉱で生きた試験をやらせていただこうということで、例えばガス突出対策としまして北空知の赤平炭鉱で実証試験をやりましたり、あるいは九州の高島炭鉱坑内連絡装置の開発等々もやっておるわけでございますが、私どもそういう生きた炭鉱を使いながら、より現場に適応できる研究開発というのが実用的じゃなかろうかということで進めておるわけでございます。諸外国でも、西ドイツあたりでそういう実証炭鉱を持ったところがあるわけでございますが、なかなか採炭関係の試験研究というのも実際ワークしてないような実態でございますので、私どもも現場の生きた炭鉱を使いながら今後ともその辺について強力に進めてまいりたいと思っております。
  45. 多賀谷真稔

    多賀谷委員 ありがとうございました。
  46. 上坂昇

    上坂委員長 宮崎角治君。
  47. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今年初頭、一月十八日の三池炭鉱三池坑有明区域における坑内火災は、後世に幾多の教訓を残した大惨事であろうかと思います。過去十年間、最大級の事故であると存じます。私も何回かこういった惨事に直面したことがございますが、長崎県でもそうではございましたが、この痛ましい事例を見聞いたしますときに、我が子を、しかも二人の御子息を目の前に見ながら、おのれ自身はその大変な煙の中から必死の脱出を果たしたというお父さん、聞くも見るも大変な惨事であったわけでありますが、今ここで改めて罹災者に対する哀悼の意を表するものでございます。この惨事は生涯記憶を失することがないと思うわけでありますが、ただただ悲惨の二字が迫ってくるこのていたらく、この代償を何に求め、どういうように改善していくか、目下、先ほども指摘がありましたように、反省に立って、再発防止への諸条件の整備の構築こそ可及的速やかな問題だ、このように考えるわけでございます。  この二十年間、日本のこういった惨事をひもといてみれば、二十数回という事例がございます。そして、一千三百二十六名という死者を出しているのでございます。私は、今次のこの事故の事実確認と、防災へのワンステップとしての大臣に対するまた関係当局に対する御質問をいたしますので、どうかひとつ事実誤認がないような答弁を求める次第であります。  最初に大臣に対して、このことに対しての御所見を伺っておきたいと思っております。
  48. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 委員の御指摘、全く同感でございます。  私、先ほど申し上げましたように、現地に赴いたときの報告の中で、今、委員のおっしゃったような、お父さんがもう苦しい中からはい出して、幸い命は助かった、ところが、その息子さんの二人が犠牲者になられた、あるいは遺体の数々が九州一円に、例えば鹿児島であるとか宮崎であるとか、出稼ぎに来ている方々の遺体が各地に運ばれていった、そういうようなことを聞くだに、本当に委員のおっしゃるような炭鉱災害の悲惨さというものを肌で味わったわけでございますが、今後はこのような累次災害というものが絶対起こらないように、保安の万全等の監督に強い指示をいたしたわけでございますので、十二日に中間報告、いわゆる事故調査委員会中間報告が出たわけでございますが、十三日にすぐに鉱山保安監督局を通じまして管内の各炭鉱に、このような被害を絶対繰り返すなという指令を強くいたした次第でございます。
  49. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 大臣の並み並みならぬ御決意と、現地出向でのいろいろな御反省とあわせて御決意を聞いたわけでありますが、十五日の一番方から五十七日ぶりに操業再開となったわけでありますけれども、鉱山保安監督局は、この再開に当たってどういった指導を行い、会社は具体的にどのような措置を講じてこの再開に踏み切ったのか、要約してもう少し簡明に御説明を求めたいと思うわけであります。
  50. 石井賢吾

    石井政府委員 三月の十三日早朝に会社側より再開願が提出されたわけでございますが、十三、十四の両日鉱務監督官等八名が現地に入りまして保安点検をいたしたわけでございます。  現実には、例えば十三日の場合、一時から九時まで入坑、保安点検をいたし、また翌日は朝九時から入坑して保安点検をいたしたわけでございまして、出坑後、ソフト面におきます会社側対応策についての事情聴取等を行いまして、全体的にハード、ソフト両面におきます保安対策について一応点検の上で、今回の中間報告に盛り込まれました対応策を含めまして保安対策が一応確保されたという判断に到達したわけでございます。これが十四日の二十三時四十分、非常に遅くなりましたが、この段階におきまして、福岡鉱山保安監督局長から会社側に対しまして再開願を了承するという旨の連絡をいたしたわけでございます。
  51. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そのような指導監督、また立ち会いの中で十三、十四と、これまたハードスケジュール的な状態で一応再開オーケーという状況でございましたが、現在までいろいろと立入検査というものが定期的になされたと思うのですけれども、こういったところで今回のその問題箇所発見できなかったのかどうなのかという点であります。非常にこういったチェックの甘さというものが露呈しているような感じがしてならないわけでありますので、この辺についてもひとつ定かにしておきたい。  それから、監督局の行う点検でございますけれども、これはどのような頻度で、どういう項目で内容で行われているのか、この辺についてひとつ定かにしたいと思いますので、答弁をお願いしたいと思っております。
  52. 石井賢吾

    石井政府委員 有明鉱に関して鉱山保安監督局の立入検査の概況を申し上げますと、昨年、保安法令の遵守ということを中心にいたしまして検査をいたしましたが、巡回検査という方法が一つ、総合検査という方法が一つ、このほかに累次、機械設備等の性能検査等の立入検査がございますが、ほかに自然発火等といった特定項目にかかわります特定検査という方法もございます。  昨年におきましては、三池炭鉱につきまして巡回検査は十回入っておるわけでございまして、このほかに総合検査も行い、かつ特定検査につきましては二十二回実施をいたしております。
  53. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 その二十二回の検査の中で、先ほどの質問のように問題の発見あるいはまた指摘事項の会社に対する行政指導はなされてきたのかどうなのか、これもあわせてひとつ説明を求めたいと思っております。
  54. 石井賢吾

    石井政府委員 今回の火災箇所につきます検査ということは、昨年巡回検査及び総合検査においては行われていなかったというふうに聞いております。ただ、火災原因と思われます落炭等につきましては、先ほどお答え申し上げましたように注意をしてきたところでございます。
  55. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今回の私の非常に素朴な疑問、重大な問題点、この点についてただいまから質問を展開いたしますが、坑内火災発見あるいは連絡、その対応についての質問でございます。  今聞いていた中で、それぞれ時間的な経過、事実関係、非常に私は素朴な疑問を持つ点が幾つかございますので、その十三時三十五分からの問題からずっと時間を追って、何をしてどのようにしたのかということを最後まで、何項目かしかないわけでございましょうから、時間経過と事実関係を具体的に説明願いたいと思うわけであります。
  56. 石井賢吾

    石井政府委員 十三時三十五分に坑内巡視中の保安係員が煙を発見いたしまして、これは三百二十メーター上層西一卸の巻き立て近辺火災を現認したということでございます。物の焼けるにおいがいたしまして発火点に急行したということでございますが、この三百二十メーター上層西一卸からさらに一一番のベルト坑道を通りまして発火点へ向かったわけでございます。その段階ではもうすでに一一番のベルト坑道については煙が相当充満しておったということでございますが、発火点として先ほど申し上げました第一〇番ベルトの第三調量門近辺というところで火の手が見えたわけでございます。この火災発見しました係員は、直ちにこのナンバー一〇のベルトの駆動を停止する、非常スイッチを切ったわけでございまして、ベルトコンベヤーを停止させまして、十三時五十分ごろ誘導無線によりまして指令センター火災通報したということでございます。  火災発生連絡を受けました指令センターでは、指令員が副長にすぐに報告をし、数名の副長が指令センターに入りまして、誘導無線によりまして風下におります坑内員に状況報告せよという連絡をしたようでございます。ところが、これには応答がなかったということで、緊急事態ではないかという判断をいたしまして、直ちに鉱長、たまたま外出しておりました鉱長連絡をとりまして、誘導無線によりまして十四時五分ごろ退避命令を発したというふうに、これまでの調査ではなっております。
  57. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そこまでが中間報告の大体の概要のようでございますが、この退避命令を出した後、十四時二十六分、この時点において指令センターから坑内に対する命令といいますか指令といいますか指示といいますかをやったのじゃないか。例えば委員派遣のときに会社説明があったように見聞するのですけれども、中間報告には含まれていない。現場の籠居命令が出ているはずであります。これによって、そこに黙って籠居しておれば恐らくこのような大惨事がなかったであろうという、これは私の推量でありますが、これがだれの命令で、どういう指揮系統で、非常にろうばいしているために起こった事例なのかどうなのか。あるいは私はこの辺に今回の非常に重大な問題が潜んでいるような気がしてならないのであります。悪く言えば、この問題はいわば黙って隠ぺいして、そして次の処置に出られたのかどうなのか、私はこの辺に非常に素朴な疑問を持つわけであります。現場籠居命令が出たのかどうなのか、この点について有無をはっきりしていただきたい。
  58. 石井賢吾

    石井政府委員 最初の避難命令が出されましたのは、先ほど申し上げましたように排気坑道を通じて全員避難せよ、退避せよということで十四時五分に出されておりまして、先生指摘の十四時二十六分につきましては、先ほど申し上げましたように避難通路で、かつ立て坑に一番近い部分から黒煙が出てしまった、そこで退路が遮断されたということでございます。  これは後ほど図をごらんいただきますと大体わかりますが、ナンバー一一のベルトコンベヤー坑道から西一卸に人気が大部分行くわけでありますが、ほんのわずか巻き場関係に風を送ってございます。その巻き場関係の風、から黒煙が西一卸の連れ延びといいましょうか、その排気坑道に出てしまったということで退路を断ったというふうに聞いておりますが、これが坑内から連絡がありまして、指令センターで、それでは籠居せよというふうな指示に変えたと聞いております。
  59. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そうすると、事実十四時二十六分、いわゆる二十一分後の現場籠居の指令というのは確実に出たというふうに感じてよろしいわけですか。
  60. 石井賢吾

    石井政府委員 会社側事情聴取によりまして、そういう報告を受けております。
  61. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 どうして中間報告にこれを載せないのか、あるいはまた最終的な報告に載せるというお考えで、今回はこれをカットされたのですか。
  62. 石井賢吾

    石井政府委員 退路を断たれたこと、退路を断たれまして、先ほどの救急センターに行きましても籠居の実態がございませんので、退路を断たれたことが極めて重大な要因であったということで、事故調査委員会におきましては被害拡大要因一つとしてそれを指摘したわけでございまして、籠居命令が直接被害拡大要因だったという認識はしなかったということではないかと私どもは理解いたしております。
  63. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それは局長のお考えでございますけれども、これによっていわゆる濃煙のためにまた引き返して、そこで三十名、四十名という方が恐らく亡くなっているのじゃないかという感じもするわけでありますが、事実関係について定かにしておきたいという前からのお話でございますので、できればこれも最終答申、最終報告あるいはまた今後のいろいろな委員質問においても、ぜひこの点については退去命令を出したのだということをはっきりと明示していただきたい。ここでお約束できますか。
  64. 石井賢吾

    石井政府委員 事故調査委員会にただいまのお話を報告いたしまして検討していただきます。
  65. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 先ほどの質問の中で、十五分近く非常に遅延したという問題が指摘されたわけでありますが、坑内ではささいな事故から大事故につながる問題が多うございます。災害あるいは事故報告から避難命令まで十五分かかっているということは、先ほども御指摘があったわけでございますけれども、これは大変大きい問題であるわけであります。石井局長の答弁では、十五分間何をしていたのかという指摘に対して、坑内状況把握をしていたであろう、こういった推量的な言葉が、まだはっきりした最終的なあれでございませんから、であろうという非常に推量的な言葉であります。この問題に対して、坑内状況把握ということでございますが、火災という報告を受けてすぐに指令センターより避難命令が出せぬような体質、ここに問題があるのではないかと私は思うのです。災害を未然に防ぐということよりもなるべく問題を内々に済ませようという、これはどこですか、会社自体ですか、だれがそういった方向でやっているのか、この体質について私は非常に憂えるものであります。胸を痛めるものであります。こういったことに対しまして、どのような当局としてのお考えがあるのか。あるいはまた御所見があればひとつ定かに説明を求めたいと思うわけであります。
  66. 石井賢吾

    石井政府委員 私は十五分間のおくれが先はどのような措置をとっていたことで十分理解できるとは思っておりません。ただ、会社側からその十五分間において何をなしたかということについての項目として理解をしておるだけでございます。  それで、ただいま御指摘のように指令センターにおきます指令というものが臨機応変な対応をしなければいけませんが、それはやはり会社内部において緊急事態におきます対応措置明確化したものをはっきりして、それが全員に徹底化されてなければ緊急時には動かない性格のものであろうと思われますので、今回の教訓を踏まえまして指令権限を明確化する。これは技術管理者通達というものを社内徹底いたしまして、これは会社側の通達でございますが、これで指揮命令系統の権限の明確化をはっきりさせますと同時に、今後の緊急事態における対応方法につきまして、これを定めさしたところでございます。
  67. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 次の項目に移ります。  COマスクでありますが、これはJIS、いわゆる日本工業規格の検定基準では、吸気摂氏六十五度、湿度一〇%を想定しているわけであります。実際に熱くなって、もう使えなかったんだ、使っていなかったという人を耳にするわけでありますが、この基準で果たしてどうなのか。先ほどは西独のいろいろなデータをもとにしてそれに合致するような方向でつくっておるということでございましたけれども、今回の火災事故での実際の使用状況についてお伺いをしておきたいと思っております。
  68. 石井賢吾

    石井政府委員 COマスクにつきましては、昭和四十三年から携帯方式に切りかわったわけでございまして、この段階で必要なことは小型で携帯可能な、いわば坑内作業に支障のない方式でなくてはいかぬわけでございます。そういったCOマスクそのものの何といいますか一つの使用上の制約がございますので、そういう意味でいろいろな問題点があったわけでございます。  昭和四十二年までかけましたいろいろな試験の結果、やはり非常に高温になるということがはっきりいたしましたので、その段階から基礎研究を行い、さらに企業化研究を行って、一応の現段階におきます性能を確保したわけでございますが、昭和四十二年当時におきましては、アメリカのBOMといいますか、ビューロー・オブ・マイン、鉱山局でございましょうか、ここのコードにおきましても百度以上であれば冷却装置をつけることというような基準が決められておりますだけで、具体的にこれへの対応がなかなか各国ともできなかった実態があったわけでございます。  これらにつきまして、先ほど申し上げましたような技術開発を進めることによって何とかCO濃度一%下におきまして吸気温度が六十五度以下となるような機器の開発が一応できたわけでございます。これは西独の場合CO濃度が一・五%で六十五度ということになっておりますが、測定方式は日本と全く同じ方式でございます。今回このCOマスクにつきまして、事故調査委員会に防護具関係の専門家もおられますので、御検討いただきました。結論としましては、COマスク自身には特段の欠陥はないという御意見でございました。  ただ使用状況はどうかというお話でございまして、先ほど申し上げましたように、大半の方が使われたという報告を受けておりますけれども、一部には装着に手間取ってついに使えなかったという方あるいは息苦しかったという報告もございます。こういったようなことを含めて今後どう対応できるか、さらに検討を進めたいというふうに思っております。
  69. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 私は第六次石炭政策の答申、第七次答申等を対照的に見たときに、今後の国内炭並びに輸入炭、そして原料炭、一般炭、このいわゆる値差の問題等ともあわせまして、今後日本の石炭政策について第七次答申をどのように受けとめ、その意見をどのようにお聞きになって、これからの大きなステップを踏まれていくのか、この辺についての御構想を伺っておきたい。政策展開の見通し、第七次答申を踏まえての諸問題につきまして、いろいろと大臣並びに局長かどなたかから御構想を伺っておきたいと思うわけであります。
  70. 村田文男

    ○村田(文)政府委員 私どもといたしましては、国内炭が貴重な国産エネルギーであるという重要性にかんがみまして、保安の確保に最大の配慮を払いながら、引き続き石炭鉱業審議会から五十六年に御答申をいただいております第七次答申の基本的な考え方に沿いまして、政策の展開を行ってまいりたいと考えております。
  71. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 今の政府委員の答弁と全く同じでございますが、第七次答申の基本政策、基本方向、これに沿いまして石炭政策を推進してまいる所存でございます。
  72. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今回の事故を通して、坑内というのは生き物であるという直観、気持ちの中に非常にそんな感じがするわけであります。先ほども指摘があったように、いわゆる火と水とガス、そしてまた保安なくして出炭なし、こういったスローガンのもとにそれぞれ日本の三十四の大手中小等の皆さん方は頑張っているわけでありますが、この第七次石炭政策の意見をしっかりと踏まえて、大臣に対する、大臣は云々という一項もあるわけでございますので、今大臣が言われたような日本の国内炭を可能な限り使うという方針について十分指導育成していただくとともに、需要と供給のバランスを考えてもらいたいと思うわけでありますが、私が先ほどからるる指摘しておりますように、この避難命令が、後でもしもこの命令を出したときに大変な責任問題になるというような心配の方が先に走ってしまう。もう少し行政の立場も企業の立場も、人命尊重という根本的な立場に立っていかなければならぬと思うわけでございます。そして、先ほど局長の方からお話がありましたように、その時間的な経過の中で本当に十四時二十六分の、いわば隠ぺい工作にも相似たるようなこういった、中間報告にもないといったていたらくに対して、もう少し事実確認の上に、そして全体がこの認識に立てるような、そして日本のエネルギー産業、石炭産業の発展のために寄与できるようなありのままの実態を、そして再発防止への強い決意と強い行政指導、そして現場に余りにも窮屈な、余りにも無理したそういった数的な問題の押しつけではなくて、より官民一体になった日本の地下資源の開発に頑張っていただきますことを心から要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  73. 上坂昇

    上坂委員長 小渕正義君。
  74. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私も議員に就任して、長崎県は石炭産出県でありますから、この石炭対策特別委員会に籍を置いておるわけであります。御承知のとおりこの石炭対策特別委員会石炭災害対策特別委員会の性格を持つような、三年前は北炭の事故で、この委員会としてはかなりの時間を費やしてそれらの問題点についての議論を行ったし、また残念ながら本日は、こうして再度九州の三池の有明鉱の問題でこういう悲惨な災害対策についての議論をせざるを得ない、本当にやり切れない気持ちでいっぱいであります。そういう立場で、非常に残念ですけれども、いろいろ言い尽くされておりますが、いま一度原点に戻って質問してみたいと思うのであります。  先ほど来の同僚委員質問の中で、昨年一年間鉱山保安監督局としては二十数回にわたりそれぞれ監督指導を行ってきたということが実は報告されておりました。平均いたしますならば必ず月に二回程度そういった方向で行われたということが推定されるわけでありますが、問題は、これらの監督、立入検査等が行われた後の改善命令といいますか、いろいろ指摘事項等が出てくると思いますが、そういうものに対してどのようなチェックが追跡的に行われておったのか、鉱山保安監督局として昨年一年間改善命令等を出した件数は一体どれくらいあるのか、それに対する次の改善されたかどうかというそういったチェック、追跡というものはどのような形で行われてきたのか、そこらあたりについてもう少し詳細に御説明いただきたいと思います。
  75. 石井賢吾

    石井政府委員 昨年巡回検査及び総合検査を含めまして十回、大体月一同程度の割合で立入検査が行われたわけでございますが、この段階におきまして改善指示をいたしました件数としましては全体で三十四件でございます。一般的に改善指示事項に関しましては、当該検査期間中、大体三、四日、一回の巡回検査において使いますが、できるだけその期間中に改善するように指導しているわけでございます。したがいまして前日指摘されたものについては、例えば翌日ないし翌々日の入坑においてこれをチェックするというフォローアップをいたしているわけでありまして、改善措置に時間を要するものにつきましては要報告事項ということで会社側報告をさせまして、次回の巡回検査においてこの実施状況をチェックするという形で検査を行ってきておるわけでございます。
  76. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それでは、そういったやり方で今日まで行われてきて、結果的にはすべて消化されてきた、こういうふうに監督局としては理解されておられるのかどうか、まだ未処理の部分が幾らか残っておったかどうか、そこらあたりについてはいかがですか。
  77. 島田隆志

    島田説明員 ただいま局長から申し上げましたように、有明の場合でございますが、一カ月に一回ぐらい監督官が一名ないしは二名、あとチームで行く場合もございます。御案内のように非常に広範な範囲でございますし、また監督官がチェックする項目も落盤から火災まで非常に多岐にわたっておるわけでございますので、限られた人員と時間でやりますので、すべてを見るあるいは現場を確認するということもできかねる問題もあろうかと思いますが、会社が自主的にやっておられるものをチェックする意味からやはり重点的にやっていくのが実態かと思います。できるだけそういう災害の芽を摘むという意味から、監督官がいろいろな情報から重点的にやっていくわけでございますが、私ども十分やったつもりでございますが、抜けてないところがないとは言えない、この辺がおのずと限界があるということは御理解いただきたいと思います。
  78. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 鉱山保安監督局として立ち入り、指導改善、その他いろいろ行われるわけでありますが、それらの対象の中で緊急避難体制等についてどのように日常的に行われているか、そういうやり方はどのような形で行われているか、そういうものは対象の中に入って今日までやられておったのかどうか。先ほどの局長のお話をお聞きしておりますと、月に一回程度やられておったようだが、それは退避命令で坑口まで出てくるような避難訓練ではなかったようだ、こういうことも言われておるようであります。そのあたりのこういったこの種関係についてはどのような今日までの対象とされてこられたのか、その点をひとつよろしくお願いします。
  79. 石井賢吾

    石井政府委員 これまでの退避訓練に関しましては三カ月に一回という鉱山保安法令の最低の義務が課せられておりまして、これを有明の場合におきましては四回昨年行っておるわけでございます。これらの退避訓練に関しましては、監督局が原則として年一回総合検査というのを行います。先ほど申し上げました巡回検査二、三名の要員に対しまして、総合検査といいますのは大体七、八名の体制で入るわけでございますが、この総合査のときを中心にしまして退避訓練に関します訓練の実態についてこれの記録をチェックするという格好で退避訓練についてのフォローアップを行っておるのが実情でございます。
  80. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私ども現地入りして会社説明をいただいたときにも、実際の全員の緊急避難訓練は三月に一回、あとはいろいろな状況を想定しての図上訓練といいますか机上訓練といいますか、そういうものはかなり毎月やっているんだという説明でありました。そういう意味で、今お話を承りますと、定められたものとしては三月に一回そういうものをやればよろしいということなので、そういう意味から見るとまあまあそれに触れることはないような形で消化されております。私ども現地に入っていろいろな方とお会いし、いろいろな状況を聞いて、ともかく今回の中間報告を見てもそういうように判断されると思いますが、こういう緊急避難時におけるいろいろな最悪の場合を想定しての訓練というものが本当にみんなのものになっていなかったんじゃないか、現地に行った際に実はそういう感じを強く受けたわけです。  そういう点から考えますと、今の説明では、法に定めてあるのでは三月に一回であったのでやむを得ないと思いますけれども、私はやはりここらあたりに、もちろん災害発生しないのが一番好ましいことですけれども、そういう最悪の場合を想定しての、いかなる条件の場合どのようにするかということについてのそういうものが徹底的に行われていなかったのではないかという気がしてならないわけですね。それが今回の災害を大きくした一つ要因にもなりはしないかと思うのでありますが、そういう点で局長としての御見解がございましたらお聞きしたいと思います。
  81. 石井賢吾

    石井政府委員 今回の中間報告を受けまして、これまでの避難訓練あるいは退避訓練におきまして、例えば年四回行います場合にはそれぞれ想定いたします災害態様を異にして行っておりますが、これについて必ずしも坑口までの避難訓練ではなかったということでございますので、より効果的な訓練内容とすることが必要ではないかというふうに思います。今回、操業再開に関連いたしまして二月及び三月に避難訓練が行われておりまして、こういった訓練の徹底ということで、緊急時に役に立つ訓練が今後積み重ねられていくべきである、私どももそう指導していきたいというふうに思っております。
  82. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それから、先ほどから一つの問題になっておるわけでありますが、この緊急避難時における指示というものをどこでやるのか。この中間報告では、報告を受けて鉱長が副長に連絡し、副長がまた集中管理センターに集まって、何人か呼んでそこでいろいろ検討した結果初めて避難命令を出した、こういう形になっているわけですね。  したがって、この緊急避難の措置についても保安監督局の対象になっておるとするならば、このあたりについての、どこでこういう問題のときにはどういうふうにすべきだという意味でのそういうものをひとつ指導されておってよかったんじゃないかという気がするのでありますが、先ほどの御答弁を聞いておりますと、やっと今度ここらあたりをもっと徹底をしろという形で、初めて再開に当たってのそういう通達が出たということが先ほど報告されております。炭鉱の中における災害で水、ガス、火、これは何物よりもすべて重大災害に連なる要因でありますから、こういう事態が察知されたときはどこからの箇所においてもすぐ緊急避難できるような体制といいますか権限といいますか指示といいますか、そういうものをはっきりしておかなければならぬわけでありますが、どうもこのたびの災害のあれは全部上まで行ってしまって、だれか一番上の責任者の了解をもらわぬとこういうことができないようなシステムのような感じがするわけですが、その点いかがですか。
  83. 石井賢吾

    石井政府委員 会社側が策定し鉱山保安監督局に提出しております保安計画におきましては、指令センターにおきまして管理者、これは保安統括者及び保安技術管理者及び副保安技術管理者でございますが、この管理者またはその管理者の指定した者が避難命令が出せるという体系で整備がされております。  ただ、先ほど申し上げましたように、実態としましては御指摘のような経路をとった上で避難命令が出されたという実態でございます。したがいまして、保安計画で一応明確化されておりましたものが本当に社内徹底したのかどうかという疑問を感ぜざるを得なかったものですから、そういったものをはっきりさしてほしいということで今回の措置に至ったわけでございます。
  84. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 書類上はそういう形できちっと系統的にどれどれのポジションの人たちによってそれが行われるということははっきりしておるけれども、実際の会社の機構の運営の中ではそういうものが生かされてなかった、こういうことが今の局長の答弁からも判断できるわけですが、そのように理解していいでしょうか。
  85. 石井賢吾

    石井政府委員 当日の避難命令の発出その他につきましては現在警察及び鉱務監督官の捜査過程にある対象でございまして、その意味で私どもは、会社側からの事情聴取によって今のような御説明を申し上げたわけでございます。これらについては、そういった調査の進展を待ちまして明らかになるものというふうに理解をいたしております。
  86. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 次に、今回の火災発生箇所と見られるところが、有明鉱独自の設備ですか、調量門というか箱門といいますか、通気の流れを調整する有明鉱独自のものが置かれているようでありまして、このところで実は今回の火災発生したのではないかという、まだはっきりした結論は出ておりませんが、いずれにいたしましても、この調量門内における何らかのトラブルによって火災発生した、こういうように見られているわけであります。私どもお聞きしたところでは、有明鉱だけがこういった方式を採用している、独自のものだというふうに聞いておるのでありますが、その点は間違いありませんか。
  87. 石井賢吾

    石井政府委員 私どももそういう理解でございます。御承知のように、箱型調量門と申しますのは、要するに通気の調量効果を高めるために設けられたものというふうに理解をいたしております。
  88. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 これは災害発生してからの結果論的な話にもなりますが、箱門ですか調量門ですか、ああいうふうな形で仕切って、中の方は見えないような状況であればやはり重点的な巡回地域といいますか、いろいろ気を配って、特にそこらあたりについては巡回その他チェックをやらなければならぬようなものでないのか、そういう感じが我々はするわけです。そういう意味では、結果論にはなりますが、ああいう方式を採用しているのに災害発生してしまった。当時は保安局としてはああいったやり方については、これが何か問題を起こすようなものになるということについては何ら問題意識はなかったというふうに受けとめていいですか。
  89. 石井賢吾

    石井政府委員 確かに通気の調量性能という意味におきましては非常に高くなるわけでございますが、その形状の特異性からベルトコンベヤー機能との関連で果たしてどうであったかという問題に後で気がついたような感じでございます。特段火災発生という観点から箱型調量門について意識をし、あるいはチェックをしておったということではございません。
  90. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それからあと一つ。特に炭鉱の関係者からもお聞きしたのですが、有明鉱の場合は通気といいますか通気坑道といいますか、これがほかの山というか炭鉱と比べると複雑である、何でこんなに通気、排気のそういったものが複雑であるのかという疑問を投げかけられたことを私なりにお聞きしているわけでありますが、その点については当局として何らかこれについての御見解がありましたらお聞きしたいと思います。
  91. 島田隆志

    島田説明員 炭鉱の全般的な骨格構造で申し上げますと、あそこの場合、入排気立て坑と初島の排気坑、それから一方、揚炭が三川の方に行っているわけでございますが、一般的には炭層が非常に傾斜でございますので、地質構造も非常に安定しているということで、どこと比較するかという問題もあろうかと思いますが、全体的な骨格としてはそう他の炭鉱に対して変わっているということは私ども感じないわけでございますが、これは全体としての骨格構造でございます。
  92. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それから、今回の災害状況の中で、やはりこれも炭鉱に関係された方の中での意見として私はお聞きしたのでありますが、あの災害発生した当初、あの事態の中で、専門的な言葉でしょうから我々はっきりわからぬけれども、目抜きというところを開放して通気をそういう方向での制御することをしたならば、このような大きな被害、災害にまでに至らなくて済んだのではないか、実はこういう見方があるということを私どもお聞きしているわけであります。この点、私が言っている意味おわかりですか、であれば、この点については今、当局としてはどのようなお考えをお持ちなのか、その点をひとつ。
  93. 島田隆志

    島田説明員 坑内火災あるいはガス、炭じん爆発等の災害時のいわゆる通気制御の問題かと思いますが、その辺は火災の発火源の位置ですとか、あるいは通気状況、あるいは坑内にどういう方がどういう状態配置されているかということを勘案しながら炭鉱保安技術管理者等の判断によって決めることになろうかと思いますが、今回の災害でどうであったかということかと思いますけれども、あの場で退避命令をかけて、かつその通気遮断というものがどうだったか、これはもし通気遮断することによりまして、あるいは通気系統を変えることによりまして、一歩間違うと非常に大きな災害をまた誘発しかねない、起こしかねないという問題もございますので、一概に通気遮断あるいは通気経路の変更というものができたかどうか、この評価は事実上非常に困難じゃないかと思います。ただ、長期的に何かこういうものを、そういう炭鉱を想定しましたシミュレーションでできないかという大きな一つの研究課題はあろうかと思いますが、今回の災害でどうかと言われると、判断の非常に難しい問題ではなかろうかと思っております。
  94. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 最後になりましたが、大臣炭鉱というのは災害が起こって当たり前だというような、今ではございませんよ、かつてはもう炭鉱の歴史というのは災害の歴史と言ってもいいような、そういう非常に悲惨な災害がずっと発生しましたけれども、逐次改善されて今日まできたわけですね。今日の社会から見るならば、昔の炭鉱災害とは比較にならぬほど非常に産業災害発生件数その他も減っておりますが、度数率もかなり減っておりますが、しかしながら、一たん災害発生すると、このような悲惨な状態がいまだに発生するという状況にあるわけですね。そういう意味鉱山保安監督局責任、その役割は極めて大きいわけでございますので、非常に限られた陣容の中で私は大変なお仕事だと思いますけれども、もっと思い切って徹底的に、もっと強力な一つ指導体制をとるような形で、もっともっと権限を持たして強力にこれをやらぬことには、どうしても災害発生してしまった後では、後からこんなところがだめだった、こんなところがだめだったということになりかねないわけでありますので、そういう意味での、行政当局としてもっと強力なリーダーシップを発揮していただいての指導監督をお願いしたい。  それと、あと一つは、最近いろいろお聞きしておるわけでありますが、こういう今の産業社会の状況の中で、炭鉱関係の技術者不足といいますか、特に高等教育、大学教育でも受けられた若い方が入ってくるようなことがほとんど難しいような状況になっている、今の現有炭鉱の中における技術者の層がだんだん薄くなってきている、そういう意味の中間技術者といいますか、管理的な技術者といいますか、そういう層がだんだん薄くなってきてしまっているということが実はいろいろ言われておるわけでありますが、ここらあたり考えますならば、やはりこういった総合的な炭鉱保安、安全を期するためにも、そういった人たちの質を向上といいますか充実するといいますか、そういう意味でももっと思い切った施策を行政としてはとっていただいて指導していただかないことには、だんだんそういう経験者が不足してくる、新しい次の世代を受け持たなければならぬようなそういう人たちが余り来ない、こういう状況になっていきつつあるのではないかということを非常に憂えているわけでありますので、その点に対してひとつ大臣のこれからの御努力をお願いするわけでありますが、その点に対する御見解をお聞きしたいと思います。
  95. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 何回も申し上げるようでございますが、炭鉱事故の悲惨さというものを私直接味わいまして、先ほども他の委員がおっしゃったように、生産よりも保安であるという考え方を今後も一層高めていかなければいけないということを痛切に味わったわけでございます。  それゆえに、通産省といたしましては、我が国一流の学識経験者を集めて、それによって事故原因というものを徹底的に追及いたしたわけでございますが、その中間報告を踏まえて各鉱山に監督の強化を一層強くしろということを指令いたしたわけでございます。今後もこの保安の万全を期するために施策を進めていく所存でございます。  また、今の炭鉱技術者、そういう人が非常に少なくなっている、また志す人も減少の傾向にあるというような御指摘でございますが、この点は調査して勉強いたしてまいりたいと思います。
  96. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 終わります。
  97. 上坂昇

    上坂委員長 小沢和秋君。
  98. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今回の中間報告によりまして、会社があの火災現場ベルト当番などを事実上なくしておったなど非常に重要なミスがある、これは明らかに会社責任であるということが言われておると思いますけれども、私は同時に、ここまでいわば会社保安サボを許してきたといいますか、会社を甘やかしてきた行政の責任も重大だということをきょうは申し上げたいと思います。  時間も余りありませんので一つの問題に絞ってお尋ねをしたいと思うのですが、今回の事故発生の直後に、会社が下請である三栄工業の労働者七名を入坑させたということがあります。このことについては初め当局は全くそんなことはあり得ないと言って言下に否定をされておったのでありますけれども、今ではお認めになるのじゃないかと私は思うのですが、まず事実関係を確認していただきたい。
  99. 島田隆志

    島田説明員 災害発生後の救護隊あるいはそれに伴います後方等の問題かと思いますが、先生からお尋ねのございましたのは、救護隊として組夫が入っていたかという御指摘質問があったわけでございます。  これにつきましては、救護隊は、先生も御案内のように酸素救命器を使う作業でございますが、それは有資格者という監督局が証明を与えたものでなければその作業についてはならないということで、またさらに、鉱山の内規でいろいろそういう資格だとか編成とかいうのは決められておるわけでございますが、それについて組夫が入っていたという事実はございません。  ただ、重大災害が起こりますと、坑内の入坑につきましては管理者の方でチェックをいたしますので、その後の入坑につきましては救護隊も含めまして係員あるいはそういう者の指示を受けながらやるということで、例えば人の運搬ですとか、あるいは今回の場合は人気の災害でございますので、その風上の方でのいろいろな運搬だとかあるいは消火器のつけかえ作業だとかそういう後方の運搬は、これはただ係員指示を受けながらやるというシステムになっておりますので、先ほどの救護隊について組夫が入っているという事実はございません。
  100. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、救護隊として入ったかというふうにはお尋ねしておらないのですよ。よく質問を聞いて答えていただきたいと思うのです。  坑内火災事故などが起こったようなときには、これは救護隊員でも入ることは非常に危険なことであるわけですね。実際、救護に入ったその救護隊員の方がまた亡くなられたというような痛ましいことだって今まで起こっているわけです。ですから、救護隊員になるということについても、非常に厳格な要件やらもあるし、また、こういう人たちの訓練も日常からやっている。こういう訓練を受けている人たちが入っても非常に危険を覚悟しなければならないのに、まして、坑内火災が起こったというので全員退避命令が出ておるというような状況のところに、全く訓練も何も受けていないような下請の労働者を入れるということは、これはもう暴挙に近いことではないのですか。
  101. 島田隆志

    島田説明員 今回の火災が起こりまして、風下の方には相当な影響を受けたわけでございますが、風上の方で影響を受けていないところ、しかも、そういう管理者あるいは保安技術職員の具体的な指示を受けながら一緒に作業をやると、これは先生の御質問にございましたような、そういう危険なところの消火作業だとかいうものには、救命器を使うような作業については当然、有資格者である救護隊員になるわけでございますが、そういう危険でないところで危険でないような作業をやらせるということと私どもは承知しております。
  102. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今、風上でということを言われたのですけれども、風の向きというのは、例えば風門が壊れたりしたら、向きが変わるということだってあるわけでしょう。だから、そういう風上のところでというようなこと自体が、議論として成り立たないのじゃないかと私は思うのです。ましてこの人たち、私どものところに訴えて来られた人たちは、救護隊の最初の人たちが入ったのと、時間的にはほとんど同じぐらいの時間で入ったというふうに言っているんですよ。そうすると、もう坑内状況も掌握できないで大混乱に陥っている中で、とにかくおまえ入れ、私が聞いているのではパイプのつなぎかえなどに入ってくれというふうに言われて入れられたというのです。その人たちは酸素マスクなんてもちろん持ってもいない、ふだんのときの、入るつもりで格好をしてきたのを、ちょっと何かあったようだから待つとれと言われて、待っておったら、おまえら行けと言われて入ったと言うんですよ。そして、実際にその火が見える現場のところまで行かされて、今ホース一本で消火しているから、ホースをつないで持ってこいというようなことで、ホースをつながされたり、あるいはパイプのつなぎかえなどもやった、火が見えるすぐそばのところまで行かされて、余りどんどん燃えているのでびっくりした、それで上げてくれと言ったけれども、結局上がってきたのは、この人たちは午前二時か三時ごろだった。十二、三時間入っておるんですよ。恐らくパイプのつけかえなんかをやったときじゃないかと思いますけれども、水もかぶってびしょびしょで。  こういうような状態のもとで、こういうふうに長時間危険な坑内にいて、下請だという弱い立場のゆえに有無を言わせずに働かされた。このことがあなたが言うように、安全も確認して大したこともない、ちょっと補助的な仕事を災害の非常時だからということでやらせたというようなことに当たりますか。
  103. 島田隆志

    島田説明員 今、坑内のそういう状況につきましては、司法捜査も兼ねまして、いろいろ詳細は今後詰められていくかと思いますが、私どもが聞いておりますのは、災害が起こりましたと同時ではございませんで、会社から聞いておりますのには、一時間後の十五時四十分ごろ、そういう方が入ってチップラー坑道、風上の、しかも上の方のチップラー坑道の散水管の処理だとか、ホースの運搬だとかそういうものをやらされたと聞いております。これはあくまでも会社からの聴取でございますので、具体的にどうだったかということは今後の調査の中で明らかにされていくかと思いますが、私どもが申し上げましたのは、そういう状況でございます。
  104. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私どもがこの問題を取り上げていろいろ追及を始めたら、この七名の方のほかにもやはり下請の労働者などで、いや、おれも入れられたんだというような人も出てきているんですよ。一体、どれぐらいそういうような人たちが入れられたのかというようなことについて、あなた方は実態をどの程度掌握しているのですか。
  105. 島田隆志

    島田説明員 ちょっと先ほどのあれを修正させていただきたいと思います。火災発生後一時間ではございませんで、救護隊が入って以降一時間ということで修正させていただきたいと思います。  それから後方隊、これは何回にも分けて入っておりますので、細かな数字はちょっとあれですが、延べにしますと、直轄でも約七百五十名近く、あるいは請負の方でも百五十名弱というようなことで、これは十八日から十九日にかけての延べでございますけれども、救護隊を除く数字でございます。そういうことで承知しております。
  106. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 いかにもたくさん入ったようなことを言っているけれども、火が事実上もう翌日には密閉して消えているわけでしょう。安全になってから後片づけやらのために入ったような人たちとごっちゃにして、あなた議論したってだめですよ。私が言っているのは、まだ坑内状態も定かでないような大混乱が起こっている中で入れられるということが、どんなに危険なことかということをあなた方自身が考えて、私に対して返事をしなければいかぬということですよ。  それでもう一つ申し上げると、私どもがこういうようなことについていろいろ調査をしようとすると、会社などが盛んに口封じをやるんですね。テレビなどでも「町は沈黙した」というタイトルの、たしか報道があったと思いますけれども、我々がいろいろ調査をして回ったりすると、後から、だれが来たかとか、左翼や事件屋に注意しろとか言って、訪問者の名刺を持ち帰ってしまう、こんなようなことまで我々のところに言ってきているんですよ。そうして、あなた方が余り取り上げて、うちの会社の仕事を取り上げられたら困るなんというようなことも言っている。これで本当に災害がなくなりますか。これは会社に対して、本当に労働者が、火災の真相を究明するために自分の知っていることを言い、またその意見を自由に言えるようにさせなさい、こういう圧力をかけるようなことをやめなさい、そのことをあなた方からも注意をしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  107. 石井賢吾

    石井政府委員 先ほど来御指摘災害後の入坑者につきましては、これは入坑管理を徹底しておるわけでございますから、その数の把握は会社側できちっといたしておるわけでございますが、我々が報告を受けておる限りにおきまして、十八日、災害が起こりましたのは、ちょうど二番方の時期でございます。二番方の時期についてこれを申し上げますと、直轄で職員及び鉱員分けまして二十九、七十一という数字で百名の直轄が入り、請負は三十四名というふうに私ども聞いております。  したがいまして、小沢委員から、請負だけが危ない時期に、危ないところへ出されたのではないかということにつきましては、私ども、この報告を数字の上から判断する限りにおいて、そのとおりであるかどうかということについては極めて疑問ではないかというふうに思うわけでございますが、いろいろ御調査の上での御質問というふうに承りますので、なお実態については実際上どうだったのかという当日の状況につきまして、今後の捜査を待って明らかにしていきたいというふうに思うわけでございます。
  108. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私どもが聞いているのでは、二番方の入坑を待って、あのケージのところに行っておった。そうしたらちょっと待ってくれということで待たされて、それで二、三十分間して、入れというふうに言われたというのです。だからあなた方が、なるだけ後の方に、坑内状況がわかってから安全なところに限って入れたように描き出したがっているけれども、実際にはこの人たちは自分の体験を語っているのですから、私はそちらの方が真実だと思いますよ。ところで、私どもがこのことについてあなた方に問い合わせをしたら、初めはそういう下請の人などが入ったというようなことは絶対あり得ないと私たちに対して否定をしたわけですよ。本当のところ、もうその段階で下請の人たちがそういうような形で入ったということをあなた方が知っておったのなら、なぜそのときに私たちにそういうふうに言わなかったんですか。
  109. 石井賢吾

    石井政府委員 私が承知しております限りにおいて、救護隊として下請職員を入れたかという御質問を受けたというふうに承っております。したがいまして、救護隊としては入れておりませんという御回答を申し上げたと聞いております。
  110. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だから、救護隊としては入れなかったと言うかもしれないけれども、坑内に下請の人たちがそれだけたくさん入っておったわけでしょう。だったら、私ども素人なんですから、それに対して、実はこういう形でだったら入っておりますということについて十分な説明をして当然じゃないのですか。それを、もう絶対入っておらない。だから、前にも後にも一切入っていない、どんな形にせよ入っていないという意味だと私は思ってさらにいろいろ調査をして、入っておることはもう絶対間違いないというふうに確信したからもう一遍詰めて、その段階で初めてあなた方の態度が変化したんですよ、そうじゃないですか。
  111. 石井賢吾

    石井政府委員 私、直接先生対応いたしませんでしたので、私が報告を受けている限りで申し上げますと、ある機関紙に無資格者である下請が救護隊として入ったという記事が載りまして、その後小沢先生からそれが事実かというお問い合わせを受けたというふうに聞いております。したがいまして、それは事実ではないというお答えをしたというふうに承知しております。
  112. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 それでしたら、あと私の方としてお願いしたいことは、現場の状況もまだほとんどわからないような非常に危険な状態のもとで下請の労働者が、とにかくパイプをちょっとつけかえてくれという程度の話で入れられた、こんなようなことが今後も気軽にやられたのじゃたまったものじゃないと思うのです。本当に私は、下請の労働者も人間としてひとしく人命を尊重されなければならない、そういう立場から、会社がどういうような実態でこういう人たちを入れたのかについて、もっと今からでも厳しくチェックをして、この辺について改善をさせていただきたいのです。
  113. 石井賢吾

    石井政府委員 私が会社側事情聴取を通じまして、消火活動と直接関係のない後方支援活動の一つとして、先生指摘のパイプのすげかえという作業が具体的に御指摘ございましたが、私の理解する限り、火災発生箇所は一〇番ベルト坑底部付近でございまして、その風上にございます一〇番ベルトのちょうど真ん中辺にございます消火栓で一回消火活動をやって、それがある程度成果をおさめましたものの、最終的にはポンプが機能いたしませんで……(小沢(和)委員「時間がないから端的に答えてください」と呼ぶ)それでパイプのすげかえといいますのは、さらに三百メートル上のナンバー九の消火栓の近くで行われたと私は聞いておりますので、その意味におきまして、パイプのすげかえ作業といいますものは火災発生箇所から相当離れておった場所ではないのかというふうに理解いたしております。
  114. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私、もう大臣が急がれるからやめたいと思ったのですけれども、あなたがやめさせてくれないのです。私が言っておるのは、そういう非常に混乱しておる初期に、実情も何もわからない労働者に、とにかく入れと言って入れて、それでこの人たちはホースを一本だけで消火をしているんじゃ足りないから、もう一本持ってこいと言われて、よそからホースを持っていって火災の現場まで運んでおるのですよ。そういうようなことを現にやらされておると訴えてきておる。そういうようなことを今後なくしていくように、これは何も三池だけのことじゃなく、今後は絶対災害があっては困りますけれども、そういうようなときに救護隊以外の人がこういう命がけの目にさらされるようなことがないようにしてもらいたい。そういう立場から実情をもっときちっと調べてもらいたい。だからあなた、調べるかどうかをずばっと答えてください。
  115. 石井賢吾

    石井政府委員 十分実情調査いたし、かつそういった後方支援活動等につきましては、保安規程等におきまして保安係員指示に従って動くような規程になっておるわけでございますから、その厳格な履行を今後とも確保していきたいというふうに思います。
  116. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  117. 上坂昇

    上坂委員長 以上で本日の質疑を終わります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時四十七分散会