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1984-02-23 第101回国会 衆議院 石炭対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年二月二十三日(木曜日)     午後零時二十分開議 出席委員   委員長 上坂  昇君    理事 北口  博君 理事 山崎平八郎君    理事 渡辺 省一君 理事 多賀谷眞稔君    理事 中西 績介君 理事 小渕 正義君       金子原二郎君    古賀  誠君       自見庄三郎君    保利 耕輔君       松田 九郎君    三原 朝雄君       山下 徳夫君    岡田 利春君       岡田 春夫君    細谷 治嘉君       沼川 洋一君    宮崎 角治君       滝沢 幸助君    小沢 和秋君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君         労 働 大 臣 坂本三十次君  出席政府委員         通商産業政務次         官       佐藤 信二君         通商産業政務次         官       大木  浩君         通商産業大臣官         房長      福川 伸次君         通商産業省立地         公害局長    石井 賢吾君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石炭部長   村田 文男君         労働政務次官  塚原 俊平君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       守屋 孝一君  委員外出席者         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ――――――――――――― 委員の異動 一月三十日  辞任         補欠選任   中村 重光君     岡田 春夫君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石炭対策に関する件  石炭対策に関する件(三井石炭鉱業株式会社三  池鉱業所有明鉱火災事故に関する問題)  派遣委員からの報告聴取      ――――◇―――――
  2. 上坂昇

    上坂委員長 これより会議を開きます。  石炭対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る一月二十七日、二十八日の両日三井石炭鉱業株式会社池鉱業所有明鉱災害について、現地委員を派遣し、実情調査を行いましたので、派遣委員を代表して、便宜私がこの席から調査概要を御報告いたします。  三井石炭鉱業株式会社池鉱業所有明鉱における坑内火災災害実情調査につきまして、御報告申し上げます。  派遣委員は、私、上坂昇を団長とし、野田毅君、中村重光君、斎藤実君、小渕正義君の五名であり、他に現地で、北口博君、山崎平八郎君、古賀誠君、多賀谷眞稔君、中西績介君、大橋敏雄君、権藤恒夫君、沼川洋一君、稲富稜人君小沢和秋君、三浦久君の十一名が参加されました。  日程は、一月二十七日から二日間であり、福岡空港到着後、有明鉱までの車中において、福岡通産局福岡鉱山保安監督局福岡労働基準局から災害概況等について説明聴取し、有明鉱では、坑口で献花、黙祷し、集中監視装置室の視察、鉱務監督官の激励を行った後、大牟田労働福祉会館において、三井石炭鉱業株式会社から実情説明聴取関係自治体及び三池炭鉱の各労働組合から要望等聴取。その後、三池炭鉱病院に入院中の負傷者をお見舞いしてまいったのであります。  災害概要及び当鉱の概要につきましては、去る一月二十四日、政府から当委員会説明されているものと重複いたしますので省略し、次に、私ども調査の結果について申し上げます。  現在、警察及び監督局による司法捜査並びに政府事故調査団により、鋭意、原因究明等が進められております。詳細は、その結果を待たなければなりませんが、私どもは、次の諸点が主要な問題点となろうと思うのでありまして、今後、これらの諸点を踏まえ当委員会審議が進められることを望むものであります。  第一は、集中監視装置作動状況と同指令センター状況把握の問題であります。今次災宝は、集中監視装置作動より早く、坑内からの誘導無線連絡により判明したのでありますが、情報キャッチ後の指令センターにおける的確な坑内状況把握が、パニック状態があっておくれたと思われる節があります。このことが災害拡大につながったかどうか、重要な点と思われます。  第二は、当該箇所監視体制についてであります。当該箇所は、法規上、作業員等必置義務箇所ではなかったようでありますが、出火したことは事実であり、炭じん等の除去、監視あり方検討されるべきであろうと思われます。  第三は、消防設備作動状況についてであります。現場では停電による水圧低下が生じたため、電源の切りかえが行われたようであります。このため、大事な初期消火が十分行われなかったと思われる節があり、消防等防災設備あり方検討する必要があると思われます。  第四は、避難誘導体制日常訓練状況についてであります。災害当時、全員の退避命令とその後、現場籠居の二通りの指令が出されております。これは、第一の状況把握と密接に関連するものと思われますが、判断の根拠、時期の適否、日常避難訓練とのかかわり等検討すべき点と思われます。  第五は、煙・CO感知器等保安機器設置作動状況の問題であります。煙感知器の場合、まだ機能的に問題が多いようでありますが、それらの設置箇所作動状況そのあり方等明らかにしておく必要があると思われます。  第六は、会社の自主保安体制についてであります。現実の災害発生と指摘した個別の問題点等を踏まえ、詳細な見直し、再検討を行って、必要な場合、全石炭鉱業への適用をも含めて検討すべきであろうと思われます。  第七は、政府監督指導についてであります。この際、政府監督指導あり方、必要な保安法規見直し等点検を行うことも必要なことと思われます。  次に現地における要望事項でありますが、福岡県、大牟田市、荒尾市及び高田町の自治体からは、被災者補償と貴族に対する援助措置保安体制確立早期再開関連中小企業に対する救済策操業休止に伴う地方税減収補てん措置等が要望され、各労働組合からは、保安監督行政強化保安機器開発研究導入保安対策費助成強化保安施設見直し改善被災者援護措置労働力確保災害原因徹底的究明等が要望されました。  最後に、今次災害は、八十三名もの多くの殉職者を出しました。まことに遺憾であります。殉職者に対する最大限補償措置並びに遺家族の今後の生活対策に万全を期するよう、政府並びに関係機関に強く要請いたしまして、報告を終わります。     ―――――――――――――
  3. 上坂昇

  4. 石井賢吾

    石井政府委員 お手元に二枚紙、横書きでございますが、「三池炭鉱有明区域火災発生箇所の取明け状況」という図がございます。この図によりまして御報告を申し上げたいと思います。  二月四日にBC坑道連絡風道、これは、この図の左手に斜めに立っております坑道でございます。チップラー坑道連絡風道、それからその下にBC坑道連絡風道とございます。この箇所よりポンプを投じまして揚水を開始いたしたわけでございます。揚水作業と並行いたしまして、ある水位ごと一酸化炭素の観測をいたし、かつ検証を行うと同時に、今後の検証のための必要最小限度の応急的な補修工事を行ってきたわけでございます。  二月十六日、図によりますと②と書いてございます巻き場裏の密閉取り明け作業に入りまして、救護隊による探検を通じ最終的に同日完全な取り明けをいたしたわけでございます。  さらに、二月十七日に、①というところがございます。西一卸の密閉でございますが、この取り明けに一部入りまして、十九日にこの取り明け作業が完了いたしたわけでございます。  二月二十一日に、さらに左手の方の二百二十メーターベルトコンベヤー連絡斜坑、こちらの方からポンプを投じまして揚水を再開して、現在水没坑道は約五十メーターの範囲ということになっておりまして、水深は約二メーター弱ということでございます。それで、ちょうど真ん中に「当初水位」と書いてあるところに斜線の入った部分がございますが、この部分が現在水没をしておるところでございまして、最初水位は、その両わきに斜線で記したところが最初水位でございました。この水位、約十メーターから揚水をいたし、現在はこの真ん中にございます斜線部分のみが水没をしておるという状況でございます。  これまでわかりました限りで火災状況を申し上げますと、二百二十メーター連絡斜坑、この左手部分に関しまして申し上げますと、ちょうど上に斜線の入った部分がございまして、その右端の部分ぐらいに第二戸門がございますが、その辺まで火が回っておったということが確認されておりまして、これとそれからそのすぐわきのBC坑道連絡風道、これが焼損をしておるということがわかっております。  さらに、右側の方でございますが、②の箇所に「巻き場」とございますが、この辺には火が一切行ってないということでございまして、ナンバー一一のベルトコンベヤー坑道を通りまして右へ流れます三百二十西一卸とございますが、これの密閉箇所の約三十メーター手前ぐらいまで火が来ておったということが、これまでわかっております。現在、両方の密閉箇所を取り除きましたので、今後これが二百二十メーター斜坑と西一卸の方から、双方から応急修理をしながら現場検証を引き続き実施するということで、現在作業が進められておるわけでございます。  なお、政府調査委員会につきましては、一月の三十、三十一日、現場に入りまして、さらに二月の十日、十六日の両日九州在住委員の方だけ現場検証に立ち会っていただきました。それで本日二士一首から二十五日まで、現地におきまして調査委員会を開催し、同時に現場検証に立ち会うという手順で調査委員会作業が進められております。  なお、この有明鉱保安の問題でございますが、現在、坑道及び機器に関しまして保守点検及び監視保案件業実施しておるわけでございますが、切り羽が四つございます。四つございます切り羽につきまして、自然発火等の懸念もございますので、昨日、鉱務監督官と九州大学の内野助教授にお願いいたしまして御同行願いまして切り羽調査してございます。その調査結果は、本日、福岡において検討されることになっておりますが、切り羽のうちの二カ所につきましては何らかの追加的な保案件業が必要ではないかということで検討が行われております。  以上が委員会の御調査の以降の状況でございます。
  5. 上坂昇

    上坂委員長 次に、石炭対策基本施策につきまして、小此木通商産業大臣及び坂本労働大臣から、それぞれ発言の申し出がありますので、順次これを許します。小此木通商産業大臣
  6. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 第百一回国会における衆議院石炭対策特別委員会の御審議に先立ち、石炭政策につきまして私の所信一端を述べさせていただきます。  最近のエネルギー情勢を見ますと石油消費国における省エネルギー努力及び石油代替エネルギー開発導入努力が成果を上げつつあり、世界経済低迷もあって、石油需給緩和基調で推移いたしております。  しかしながら、中東情勢は、依然不安定であり、また、今後の世界経済の成長を見込むと、中長期的には石油需給は再び逼迫化するおそれすらあります。  このようなエネルギー情勢にあって、特にエネルギー供給における石油依存度及び海外依存度がともに主要先進国中最も高い我が国にとって、中長期的な展望のもとに、石炭を初めとする石油代替エネルギー開発及び導入促進を図る等エネルギー安定供給のための基礎づくりを着実に推進することが極めて重要になっております。とりわけ、石炭につきましては、脱石油の重要な担い手の一つとして大きな期待が寄せられており・す。  政府といたしましては、このような観点から総合エネルギー政策の重要な柱の一つとして、石炭の安定的な供給確保とその利用拡大を推進するため、引き続き所要施策を推進してまいりたいと考えております。  まず、貴重な国産エネルギーである国内炭につきましては、保安確保に万全を期すことを大前提とし、経済性との調和に配慮しながらその活用を図っていく必要があると考えており、五十六年八月の石炭鉱業審議会の第七次答申趣旨を尊重し、我が国石炭鉱業自立を目指して、石炭政策を推進してまいる所存であります。  このため、石炭需要確保に努めるとともに、各般にわたる助成措置実施により、石炭鉱業経営の安定を図りつつ生産体制の一層の改善を図ってまいることとしております。  ところで、先月、三池炭鉱におきまして、痛ましい事故が発生し、多数の罹災者を生じましたことは、まことに遺憾であります。  政府といたしましては、災害発生後、直ちに三池炭鉱坑内火災災害対策本部を発足させたわけでありますが、私自身も本部長として関係各省庁の協力もと、諸対策を講じてまいりました。  現在、学識経験者から成る事故調査委員会におきまして事故原因徹底究明を図るため、現地調査等が鋭意進められているところでございます。  今後、この調査結果を踏まえまして、類似災害再発防止対策に万全を期してまいる所存であります。  次に、今後の石炭需要増大に対応するために、重要な地位を占めるに至った海外炭につきましては、その低廉で長期安定的な供給を図るため産炭国における探鉱開発からコールセンター等国内受け入れ施設に至るまでの一連海外炭安定供給システム確立を図っていく必要があります。  このため政府としては、引き続き新エネルギー総合開発機構による融資等所要措置を講じてまいる所存であります。  また、石炭利用技術研究開発につきましても引き続き積極的に推進してまいる考えであります。  鉱害対策産炭地域振興対策につきましても、国土の保全及び民生の安定並びに産炭地域における鉱工業の計画的発展等を図る見地から引き続き各般にわたる施策を推進してまいる所存であります。  鉱害対策につきましては、十年間の延長の措置が講ぜられた臨時石炭鉱害復旧法等関係法律に基づいて、今後期間内に累積鉱害最終的解消を図るべく最大限努力を払ってまいる考えであります。  産炭地域振興対策につきましても、産炭地域振興臨時措置法に基づいて、産炭地域の計画的な発展を図るため、総合的かつ効率的な対策実施に努めてまいる所存であります。  政府といたしましては、ただいま申し上げました一連施策につきまして、昭和五十九年度の石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計電源開発促進対策特別会計予算案において、所要財源措置を講じております。  衆議院石炭対策特別委員会委員各位におかれましては、以上述べました政府の方針を御理解の上、今後とも石炭対策に対し、御支援、御協力をいただきますようお願い申し上げます。
  7. 上坂昇

  8. 坂本三十次

    坂本国務大臣 第百一回特別国会における衆議院石炭対策特別委員会の御審議に先立ちまして、石炭鉱業における当面の労働問題について、一言所信を申し述べます。  私は、労働大臣の重責を担うに当たり、勤労者雇用の安定と福祉向上を願う国民皆様労働行政に対する期待と信頼にこたえ、国民の心をみずからの心としつつ、全力を挙げてまいる決意でありますので、委員長委員各位を初め、国民皆様方の御理解と御協力を賜りたいと存じます。  現在、我が国石炭鉱業におきましては、石炭鉱業審議会の第七次答申に基づき、国内資源としての石炭有効活用を図るため、関係者が一丸となって御努力をいただいているところでありますが、石炭鉱業を取り巻く環境は、採掘条件の悪化、需要低迷など厳しさを増してきております。もとより、国民経済の円滑な運営のために、エネルギー安定供給が要請されることは多言を要しないところであり、今後この要請にこたえるべく、関係機関が一層連携を密にして石炭政策を推進していくことが必要であります。同時に、石炭産業関係労使におかれましても、より一層の努力を重ねられ、経営基盤の安定を図るとともに、保安確保労働環境生活環境整備を進めることにより、労働者の就業の安全と雇用の安定、福祉向上を図ることが必要であると考えております。  労働省といたしましても、石炭鉱業における雇用の安定とあわせて、労働安全衛生法じん肺法等に基づき労働者の保護に努めるとともに、さらに炭鉱離職者臨時措置法等に基づき手厚い援護措置をとりつつ、離職者方々の再就職を強力に進めてまいる所存であります。特に、最近におきましては、北炭夕張炭鉱の閉山に次いで一部炭鉱でも合理化実施されておりますが、その結果離職を余儀なくされた方々に対しましては、関係者の御協力を得ながら、全国の職業安定機関が一体となって、今後とも一層の努力を重ねてまいる所存であります。  先般の三井三池有明鉱事故につきましては、まことに遺憾に存じ、遺家族方々に深く哀悼の意を表する次第であります。労働省といたしましても現地災害対策本部設置するとともに、大牟田労災病院中心負傷者の治療を行う等の措置を講じたところでありますが、今後事故原因究明の結果に基づく対策が講じられ、安全操業確保されることが肝要であると考えております。また、遺家族方々に対する労災補償につきましては、万全を期するとともに、これらの方々就職を希望される場合には、最大限努力を払う所存であります。  以上、石炭鉱業における当面の労働問題につきまして、所信一端を申し上げました。私は、額に汗して働く勤労者がそれにふさわしく報われるようにすることが労働行政に与えられた大きな使命であると考え、この信条にのっとり、労働行政を進めてまいる所存であります。今後とも、委員長初め委員各位の格別の御指導、御鞭撻を賜りまするようにお願いを申し上げます。
  9. 上坂昇

    上坂委員長 次に、佐藤通商産業政務次官大木通商産業政務次官及び塚原労働政務次官から、それぞれ発言を求められておりますので、順次これを許します。佐藤通商産業政務次官
  10. 佐藤信二

    佐藤(信)政府委員 このたび、通商産業政務次官を仰せつかりました佐藤信二でございます。甚だ微力ではございますが、難しい石炭政策推進のために、小此木大臣もとに、大木政務次官ともども全力を尽くす所存でございます。委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を心からお願いいたします。ありがとうございました。
  11. 上坂昇

  12. 大木浩

    大木政府委員 ただいまごあいさつをいただきました佐藤次官ともどもに、今般、通産政務次官を仰せつかりました大木浩でございます。  大変に石炭産業をめぐる情勢も厳しいときでございますので、小此木大臣もとで、佐藤次官ともどもに、力を合わせて所要行政に遺憾なきを期したいと思いますので、どうぞよろしく当委員会委員長初め委員皆様方の御協力をお願いいたします。ありがとうございました。
  13. 上坂昇

  14. 塚原俊平

    塚原政府委員 労働政務次官塚原俊平でございます。  今日、労働行政を取り巻く環境は、高年齢者雇用問題を初めとして極めて厳しい状況にあります。本委員会におかれましても、北炭夕張問題、エネルギー問題等労働行政に密接なかかわりを持つ重要かつ緊急な課題を数多く抱えておられます。特に、先般の三井三池有明鉱事故に関しましては、政府災害対策本部の副本部長として現地を視察いたしましたが、現在、労働省においては、遺家族方々に対する労災補償に万全を期するなど、対策を進めているところでございます。  今後とも、国民期待にこたえ、全力を挙げて職責を全うする所存でございますので、委員長初め委員各位の御指導、御鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
  15. 上坂昇

    上坂委員長 次に、昭和五十九年度通商産業省所管及び労働省所管中、石炭関係予算概要について、政府からそれぞれ説明聴取いたします。資源エネルギー庁村田石炭部長
  16. 村田文男

    村田(文)政府委員 お手元に資料が二種類お配りしてございます。  まず、「昭和五十九年度石炭対策関係予算予定額」に即しまして、石炭勘定中心に御説明申し上げます。  第一は、石炭鉱業合理化安定対策でございます。  現在、石炭鉱業合理化臨時措置法等関連法律に基づきまして各般施策を行っておるところでございますが、昭和五十九年度におきましても、石炭鉱業審議会の第七次答申趣旨にのっとりまして、石炭鉱業自立を目指し、各般施策を引き続き推進することといたしておりまして、そのため、約四百五億円の予算を計上いたしております。  このうち、(2)の②の坑内骨格構造整備拡充事業費補助金について御説明申し上げます。  現存の炭鉱におきましては、今後とも深部化奥部化が進み、これに伴いまして入昇坑時間あるいは運搬距離必要通気量増大等コストアップの吸収に努めてまいる必要がございます。このため、坑内骨格構造整備拡充事業費補助金につきまして、補助限度額の引き上げを行うなど、約百二十七億円を計上いたしております。  次に、(3)の②の石炭鉱業安定補給交付金の問題でございます。各炭鉱とも、炭鉱間における自然条件の差異に基づく損益格差拡大いたしております。これを是正するために、この補給金の単価を改定し、石狩地域傾斜炭鉱に対して重点的に配分することといたしております。  次に、保安確保対策でございます。保安確保対策につきましては、その重要性にかんがみまして、(5)の④でございますが、鉱山保安確保事業費補助金につきまして、急傾斜流し込み充てん工事補助限度額を大幅に引き上げるとともに、総額を約八十八億円に増額いたしております。  それから(5)の①の鉱山保安技術調査委託費につきましても、高精度マルチセンサー新規開発を含め、約五億円を計上いたしております。  第二は、鉱害対策でございます。  昭和五十七年度に策定されました鉱害復旧長期計画に基づきまして、期間内に残存鉱害の最終的な解消を図るべく、昭和五十九年度おきましては約五百八十三億円の予算を計上いたしております。  このうち、(1)の①の鉱害復旧事業規模につきましては、これを七百一億円とし、鉱害復旧事業資金補助金を五百十四億円に増額することといたしております。  また、(3)の項目に関連するわけでございますが、有資力鉱害復旧促進するため、石炭鉱害事業団鉱害賠償資金等融資事業規模を六十七億円に拡大することといたしております。  次のページに移っていただきまして、産炭地域振興対策でございます。産炭地域振興対策につきましても、産炭地域振興臨時措置法に基づきまして、各般施策を引き続き推進することといたしまして、約八十五億円を計上いたしております。  このうち、(1)の③の産炭地域振興臨時交付金につきましては、特定事業促進調整額十五億円を含めまして、全体として三十九億円を確保いたしております。  また、産炭地域における工業団地造成及び企業の誘致を推進するため、(2)並びに③に関連する項目でございますが、地域振興整備公団による土地造成事業及び融資事業に必要な資金を引き続き確保することといたしております。  第四は、炭鉱離職者援護対策及び産炭地域開発雇用対策でございますが、これにつきましては、労働省から後ほど御説明があろうかと存じます。  以上が石炭勘定に計上されている予算概要でございます。  また、昭和五十七年度から石油及び石油代替エネルギー勘定国内炭対策にも資する予算として計上されております石炭資源開発基礎調査費補助金及び石炭生産技術振興費補助金につきましても、合計約二十一億円を計上いたしております。  ただいま申し述べました石炭勘定に計上されております約千二百八十二億円と石油及び石油代替エネルギー勘定に計上されております約二十一億円を合計いたしますと、昭和五十九年度の石炭対策関係予算は約千三百四億円となっております。  次にもう一つの資料でございますが、「昭和五十九年度海外炭石炭利用促進対策関係予算予定額」の資料に即しまして、その主要な項目について御説明申し上げます。  まず、海外炭探鉱開発を推進するための予算につきましては、探鉱資金の融資及び開発資金の債務保証に必要な資金確保を初めとして約二十八億円の予算を計上いたしております。  次に、石炭利用拡大を図るために、一般産業における石炭転換、コールセンターの建設等に必要な資金を日本開発銀行が低利で融資する設備転換等の融資事業につきましては、備考にございますように、百八十億円の事業規模を確保いたしております。  さらに、技術開発につきましては、流動床燃焼技術あるいはスラリー技術等、短中期に開発期待されます石炭利用技術研究開発促進するため、備考の②にございますように三十七億円を計上いたしております。  次のページに移っていただきまして、石炭液化技術並びにガス化技術の開発につきましても、引き続き推進するため、所要資金確保することといたしております。  以上で、通商産業省関係昭和五十九年度石炭関係予算案の御説明を終わらせていただきます。
  17. 上坂昇

    上坂委員長 次に、労働省守屋高齢者対策部長。
  18. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 では、私から石炭勘定労働省所管分について御説明申し上げます。  お手元の資料で一枚紙のものがあると思いますが、まず予算総額につきましては、一番下の合計欄にございますように百八十一億七千万でございます。これは対前年度で約二億八千万の減となっております。  次に、その内訳について御説明申し上げます。  若干説明が前後いたしますが、(項)炭鉱離職者援護対策費の中で、3の炭鉱離職者援護事業費補助金並びに4の炭鉱離職者職業訓練費補助金につきましては、これは援護対策の対象人員が減少いたしましたために、前年度に比べて若干の減となっております。  次に、その下の5の炭鉱離職者就職促進手当の減につきましては、この備考欄に一応書いてございますが、手当の日額の最高限度額の引き上げを図ります一方で、対象人員が再就職等によりまして減少いたしたために若干の減額になっております。  次に、その下の6の炭鉱離職者職業転換特別給付金につきましては、これは五十八年度に引き続きなお一層の再就職促進を図るために増額いたしまして、必要な財源を確保した次第であります。  次いで、就労事業関係について御説明いたします。  その下の、(項)産炭地域開発雇用対策費の部分で、2の産炭地域開発就労事業費補助金というのがございますが、これにつきましては事業費単価の引き上げを図るとともに、五十八年度と同規模でこれを実施することにしております。  また、上に返りまして、炭鉱離職者緊急就労対策事業費等補助金につきましては、実は前年度に比較しまして約三億八千万円の減となっております。これは事業費単価につきましては改善を図っておりますし、対象者の自然減も見込んでございますが、さらに言いますと、民間の建設業における月間の平均就労日数等、また今回失業対策事業につきまして運営上の見直しをいたした次第でございます。これとの均衡を考慮して必要な事業運営の適正化を図ることとしたものであります。具体的には、七十歳未満の方につきましては月間就労日数を一日削減いたしまして月二十二日就労とし、七十歳以上の方につきましては同じく八日削減の十五日とすることにしたものでございます。  以上、炭鉱離職者対策関係予算について説明申し上げました。
  19. 上坂昇

    上坂委員長 以上で終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十六分散会