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1984-05-18 第101回国会 衆議院 商工委員会流通問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    本小委員会昭和五十九年四月十八日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 四月十八日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       浦野 烋興君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       糟谷  茂君    高村 正彦君       田原  隆君    野上  徹君       野田  毅君    深谷 隆司君       後藤  茂君    城地 豊司君       中村 重光君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    中川 嘉美君       日笠 勝之君    福岡 康夫君       横手 文雄君    野間 友一君 四月十八日 後藤茂君が委員長指名で、小委員長選任さ  れた。 ————————————————————— 昭和五十九年五月十八日(金曜日)     午前十一時五十三分開議  出席小委員   小委員長 後藤  茂君        浦野 烋興君   奥田 幹生君        加藤 卓二君   田原  隆君        深谷 隆司君   松田 九郎君        城地 豊司君   和田 貞夫君        渡辺 嘉藏君   中川 嘉美君        日笠 勝之君   福岡 康夫君        横手 文雄君   野間 友一君  出席政府委員        公正取引委員会        事務局取引部長  奥村 栄一君        経済企画庁物価        局審議官     佐藤 満秋君        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君  小委員外出席者        農林水産省食品        流通局企画課長  古澤松之丞君        商工委員会調査        室長       朴木  正君     ————————————— 五月十八日  小委員中村重光君及び野間友一君四月二十七日  委員辞任につき、その補欠として中村重光君及  び野間友一君が委員長指名で小委員選任さ  れた。 同日  小委員奥田幹主君及び日笠勝之君同月九日委員  辞任につき、その補欠として奥田幹主君及び日  笠勝之君が委員長指名で小委員選任され  た。 同日  小委員高村正彦君同日委員辞任につき、その補  欠として松田九郎君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員松田九郎君同日委員辞任につき、その補  欠として高村正彦君が委員長指名で小委員に  選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  流通問題に関する件      ————◇—————
  2. 後藤茂

    後藤委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  先般、私が流通問題小委員長選任されました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。  流通問題に関する件について調査を進めてまいりたいと存じます。  本日は、本問題の現状課題等について政府から順次報告を求めます。  それでは、まず「八〇年代の流通ビジョンと今後の流通対策」について通商産業省から説明を聴取いたします。山田大臣官房審議官
  3. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 お手元の資料、二つございますが、ただいま委員長御指摘の表題のもの、それから参考資料でございます。これを見比べながら三十分程度説明をさせていただきます。  八〇年代の流通ビジョン、これは産業構造審議会流通部会中小企業政策審議会流通小委員会合同部会で約一年半にわたりまして審議をし、昨年の十二月に答申が出されたものでございます。これを使いながら現状あるいは課題方向というものを御説明させていただきます。  まず、流通産業あるいは商業というものがこれからの時代においてそのウエート重要性役割を増していくのではないかと思います。  現状におきましての国民経済における数字的なシェア、これは参考資料の三枚目、目次の次に一ページで「卸・小売業の国内総生産昭和五十五年基準の実質ベースでございますけれども、書いてございます。これによりまして、まず五十七年の数字を右側で見ていただきますと、全体の一四・五%、大体一五%が国民経済における数字的なシェアであるとお考えくださってよろしいかと思います。それから従業員数でございますが、一番下の数字でございますが、一八・八%、おおよそ二〇%。我々が商業あるいは流通業と呼ぶものの国民経済におけるシェアGNP統計で見ますと、付加価値で一五%、従業員数で約二〇%というように御認識をいただければと思います。  その次のページをめくっていただきまして、これは小売卸売で分けて考えてみたいと思います。ただいまのは付加価値額あるいは従業員数ですが、ここで商店数というものの数を見ていただきたいと思います。  上の2の一の表、小売業商店数、これが今から十七、八年前の昭和四十一年には小売で百三十七万軒ございました。それが逐次拡大をいたしまして、五十七年、これは商業統計数字でございますが、百七十二万軒に伸びております。各業種別のブレークダウン、この表はございませんが、食料品関係がこの数年間ちょっと減少いたしましたが、ほかのものはすべて上昇をいたしております。  なお、四十七年から五十四年までの間と最近時における三年間というものの伸びを見てみますとやや鈍化いたしておりますが、これは一つには経済成長程度ということにも関連しているのではないかと思います。以前には年間大体一・六%ずつ上昇いたしておりますが、最近時におきましては〇・九%ということになっております。しかし、これは商店数でございますが、売り場の面積を平均でとってみますと、こちらの方は年率五%、それから最近時が三・六と、商店数の数よりは若干ふえております。また年間販売額も、これは名目値でございますけれども、最近時におきましては八・五%の伸びを示しておるわけでございます。  それから卸売業、下の方の表を見ますと、こちらの方の商店数もかなりふえておりまして、これは小売伸びよりも卸売業商店数の方が伸びているわけで、大体五%ずつ毎年伸びております。こちらの方はどういうことであるかとさらに分析をいたしてみますと、地方都市における卸売業のお店がふえている、それも多くの場合には支店の数がふえているということでございます。いわば経済地方展開に呼応いたしまして、卸売業商店数地方においてふえている、こういうような現状でございます。  さて、そういうような動きでございますが、今や商業あるいは流通産業国民経済における役割というものが質的に変化をしつつあるのではないかと思います。  それは一つは、経済成熟化しておる、国民所得欧米水準になってきた、と同時に、そのニーズも単なる量的な充足ということから個性化、多様化いたしまして、消費者ニーズが質的に充実感を要求している、こういうことでございます。それに応じてこの流通産業がどう呼応していくかというのが現在でございます。  成熟化進行とともに、もう一つ情報化というものの進行がございます。少し先走った言葉で言えばニューメディア、やや着実なことで言えばPOS情報というようなものがございますが、こういう動きとともに、この流通産業役割というものが次のように変化をいたしております。従来は生産者から消費者へ物を運ぶパイプ役流通産業でございましたが、現在及び今後は、消費者ニーズ情報を川上に向かって、つまり生産者の方に流す情報パイプ役もまた役割になってきた、そういう意味でその重要性がふえている、こういうふうに思うわけでございます。  それから、これは単に流通だけではないと思いますけれども高度情報技術というものが進めば進むほど、つまりハイテクノロジーが進めば進むほど、逆に人間的な触れ合いあるいは文化というものへの志向消費者によって望まれているということでございます。そのために私ども、これはハイテクとハイタッチが同時に進行しなければいけないということを申しておるわけでございますけれども、この流通産業においては、特にこの辺の感じが重要になっていると思います。どんどん情報化、そして無店舗販売のようなものもまたそのハイテクノロジーとともに出てまいると思いますけれども、それにもおのずから限界がある。逆に言えば、そういったハイテクノロジーを活用することの裏側として、実は人間的な触れ合いというものが流通あるいは商業にとって今までよりももっと重要になってくるというふうに考えるわけでございます。そして、こういった動きというものを先導するというか、あるいは先取りするというか、そういう役割をまた流通産業が持っているわけでございまして、ごろ合わせで恐縮でございますが、ハイキャッチということが必要ではないかと思います。そういう意味において、私ども商業あるいは流通産業役割は今後重要になってくるという意味エンカレッジをしたいということで、このビジョンでは商業の再発見というキャッチフレーズを提案いたしておるわけでございます。  それから、次に幾つかの課題に分けて御説明いたしますと、まず消費者ニーズ個性化し、多様化しているということに関してでございます。参考資料の方は、表の三というものを見ていただきたいと思います。  従来の流通政策というものが、とかく大量生産大量販売大量消費という、いわば消費者ニーズが量的な側面での充足感を求めておりましたし、生産面におきましてもやや少品種多量生産というパターンが六〇年代から七〇年代にかけまして一つの型でございましたが、これが変化をしているということでございます。消費者ニーズがどう変わっているかということは、「家計消費構造変化」という表で見ますと、いわゆる食料のようなもの、あるいは被服の一般的な基礎的なニーズというものから、保健あるいは交通あるいは教育・教養、その他という、その他というところが非常にふえているわけですが、そのように質的に非常に変化をしているわけでございます。  それから、サービス化ということが現在行われておりますが、下の表を見ますと、個人消費支出の中において、財、物への支出サービス支出との変化というものがございます。この中身を見る場合に、名目値で見る場合と実質億で見る場合と若干の差がございます。これは、財の方とサービスの方で生産性の向上の度合いが違うものですから、価格にあらわれてきまして、名目ではかなりのサービス化が進んでおりますが、実質ベースで考えますと、サービス化という方向にあるが、そのテンポはそれほど遠いわけではない、こういう表でございます。  ただ、これからは物の販売サービス提供ということが各独立して行われるというよりは、むしろ財の販売サービス提供ということが一緒になりまして消費者の購入になっていくというケースがふえてくるだろうと思いますし、サービス提供のためにはそれなりのものが必要だという動きにもなっておりますので、単に、サービス経済化ということが単純にサービス提供ウエートが増すということではなくて、物の販売サービス提供相互乗り入れをしていくというふうに私ども考えております。  それから、消費者ニーズ個性化、多様化するわけですから、それだけ多品種少量生産というふうに生産面も変わっていくし、先ほどの情報というものを得まして生産をしていく必要がございます。  それから各小売店パターンでございますが、ベーシックな生活ニーズというものは近くの店で、そうしてまた一カ所に寄っていろんな選択ができる、こういう動きがございますので、商店の数よりは商店の大きさというものが大きくなっていくように求められているんではないかと思います。婦人労働労働市場に参入されつつございますので、そういった生活パターン変化ということもあるわけでございます。  一方、趣味とか余暇とか文化とか、そういうものになりますと、多分に専門店で買い物をするという風潮になってくると思います。個性化ということは非常に専門店を好む。そういう意味でこちらの方は、大きさは大きくなりませんが、むしろ小さいお店がたくさんできるということがこの消費者ニーズへの対応の方向ではないかと思っております。  それから参考資料の次のページをめぐりながら、地域社会との調和ということが、流通産業それ自体あるいは流通政策にとって重要ではないかと思うわけでございます。まさに人口大都市はもとより、地方都市にだんだんその比率を高めているという表が4の1表でございます。  これは世界的にDID人口比率というような指標を使いまして、いかに人口都市化しているかということを示しているわけでございます。DIDというものはどういうものかにつきましては、ちょっと注釈をつけておきましたので見ていただければと思いますが、この指標によりますと、昭和三十五年には四三・七であったものが五十五年には五九・七、そして、やがてこれが約七〇%ポイントまでいくんではないかと思います。そして都市化が進む程度というものは、三大都市圏におきましては、おおよそ昔から東京、大阪というのは都市化しているわけですが、三大都市圏でも中核、中小都市あるいは特に地方における中枢都市というものもまた都市化の率が高こうございます。こういった点で消費生活都市型になってくるというのが一つございます。  それから今までは大都市地方とで所得格差、そしてその結果としての一世帯当たり消費支出というものの格差がございました。したがって、都市における消費動向だけを見ていたんでは日本全体がわからないということだったんですが、最近では、全国における一世帯当たり消費支出がよりバランスがとれてきた、その格差が少なくなってきたということでございまして、全国津々浦浦商業あるいは流通というものが登場する、こういうふうに思うわけでございます。ちょっと表の見方は省略いたしますが、一世帯当たり消費支出を見る限り、全国的に大都市地方都市との格差がなくなっているということでございます。そういう意味におきまして、特に地方における商店街あるいは流通産業とその社会とのかかわりというものが重要になってくるということでございます。  まず一つは、都市型の消費生活への志向ということでございますし、もう一つは、そういった都市というものを中心にした文化、これが今後の日本社会方向であろうと思いますので、商業というものも、先ほどのハイタッチではございませんが、都市文化というものへのかかわり、あるいは貢献というものがより一層必要になってくる。別の言葉で言いますと、都市商業文化というものが創造されるべきであり、その意味都市商業ルネッサンスという時代を迎えている。その中における流通産業役割は大きいということでございます。  そして情報化進展とか交通網発達とともにモータリゼーションということが起こりますので、一つ一つ商店街一つ一つ都市というものの中の努力がないとお隣様の都市にお客様をとられてしまうという、いわば非常にきつい競争環境も出てまいるわけでございます。したがいまして、一つ一つ商店街一つ一つ都市におきます御努力というものが一層重要になってくるんではないかと思います。  それから、私ども商業調整政策と大型店問題をやらしていただいておりますが、その場合におきましても、都市計画当局と私ども都市商業政策を担当する者との間の連携というものがますます重要になってくるんではないかと思いまして、政策面での都市計画事業、それから商店街整備事業大型店調整、こういったものを総合的に推進していく必要があるというのが私ども認識でございます。  それから、こういった調整というものとともに、振興、特に中小小売業の方々の活性化振興というものもまた私ども流通政策の大きな課題でございますけれども、こういった都市商業ルネッサンスの中において、中小小売商による自主的な町づくりというものを積極的に支援するためのコミニュティマート構想というものを五十九年度の予算でお認めをいただいているわけでございます。  ページを次にめくっていただきまして、今度は情報化技術中心にしました流通技術創造的開発というものも、これまた一つ課題でございます。高度情報化社会が胎動しておりますが、その中で流通産業というものはかなり変革を要求されるようになるのではないかと思います。  流通産業における情報化を円滑に進めるためには、まず流通データサービスといいますか、POSというのがございます。各スーパーマーケット、小売商店に行きますと、商品に鮭が二十本ぐらい大小マークとしてついております。これがポイント・オブ・セールスの略でございますPOS情報システムでございますけれども、こういったことによって、どんな品物がどのくらい売れ、そして在庫管埋、仕入れ管理、お客さんの嗜好を直ちに知る市場調査、そういったものがたちどころにコンピューターに入れられまして分析される、こういうものでございますけれども、こういったデータがまず現在あるわけでございます。  なお、この参考表の5というところを見ていただきますと、日本におけるコンピューター実働台数の中で流通業が所有しているシェアが実に多いということに驚かされるわけでございます。五十八年三月、ちょうど一年前のデータでございますが、日本コンピューターが入っている台数が十二万八千台、そしてその中の約四、五割の五万七千台が実は流通業が所有し、稼働をさせているという実態でございます。  それから、その次のページをめくっていただきますと、ただいま申し上げましたPOSというものがどのくらい活用されているかでございます。これは、まず会社で、うちはPOSをつけようということになると、どの商品につけるかということで商品ごとコードがつくわけですが、そのコードの中には、これは国際的な統一マークになっておりますので、見本はちょっとここにございませんが、日本マーク、そして次にメーカーマーク、そして商品コード番号、こういうことになっておるわけでございます。  この表を見ていただきますと、五十八年から非常に大きな伸びを示しているわけでございまして、私ども約十年がかりでこのPOSシステムの導入をやってまいりましたが、ようやくここへ来て実ってきたということでございます。  まず、商品メーカーコード登録企業数というものを見ていただきますと、今から二年前、下の方の五十七年三月のところを見ますと、何と二百十七企業がこれを採用しているだけでありましたのが、現在、五十九年四月のところを見ますと五千七百十企業がこの登録企業になっておる。ここのところ急速に発達をしているわけでございます。これは製品をつくる方、メーカーの方、あるいは卸売業など自己ブランドでやっている場合も含めているわけでございますが、小売店POSシステムを導入しているという店舗数の表示が点線でございます。こちらも二年前は七十九店舗数でございましたのが、最近値では三千になっているわけでございまして、こちらの方もまた大きく伸びていく方向にございます。これによって情報というものを一括して処理をしよう、こういうことにこれからなっていくものと思います。  ただ、その場合に、私どもはこの情報化というものの進展がとかく大企業の方が乗りやすいのではないかということで、むしろ大企業中小企業との競争力格差がこの情報化という面であらわれてくることを恐れているわけでございます。現在この点を認識いたしまして、中小小売業あるいは中小企業一般への積極的な助成、誘導措置を講じていこうということで、ことしの予算措置ども含めまして、今後とも行っていきたい重要なポイントでございます。  それから、POS情報以外にCATVによる双方通行による無店舗販売ですとか、あるいはそういった情報化を活用した販売方法が出てくるとは思いますけれども、その辺が一体どのくらいの大きさで、どのくらいの時期にあらわれてくるかにつきましては、産業構造審議会におきます勉強会におきましても、なかなか見きわめにくいということで、結論がいまだ出ておりません。確実にやってくるだろうという方向ではあるが、その程度、その時期については、まだはっきりとわからないというのが正直なところでございます。  恐らくこの情報化進展というものが流通産業において重要な役割を果たすであろうが、まずは工場におけるファクトリーオートメーションあるいは事務所におけるオフィスオートメーションという形が先に出てまいりまして、流通産業におきましても、メーカー卸売業との間、あるいは卸売業小売店との間という情報、あるいは社内情報化というものは行われると思いますけれども小売店消費者との間の情報化というものはもう少し後で出てくるのではないかと思います。ただ、そういう方向にはなるだろうということで勉強なり、中小企業と大企業とのギャップが生じないように現在からもう既にそのスタンスでいかなければいけない、こう思っている次第でございます。  それから、次の課題は、組織化とか、先ほど商工委員会でも御議論が出ました製品輸入というようなものでございます。まず、中小企業というものが流通産業におきまして圧倒的なウエートを持っております。そういう関係から、この中小小売業というものの地元密着性あるいはニーズに直ちに、対応できる小回り性などの特性を生かしまして、新しい流通産業として発展をさらに続けていただきたいと思っておるわけでございますけれども、そのためには、先般来御説明いたしました町並みづくりですとか、あるいは文化的な志向ですとか、そういったものも今後の商店近代化要素になってくるのではないかと思います。  いろいろアーケードをつくるとかカラー舗装をするとか、そういういわゆるハードなものも必要ですが、これからもう一歩進めまして、町並みづくり文化的な要素を含めたソフトな面での商業近代化というものが必要になってくるという認識でございます。あるいは情報技術を有効利用するということもあります。そういった面で一軒一軒の努力にプラスして組織による努力が加わりますと一層現実的になるということでございますので、ひとつ新しい方向に向かっても従来以上に、ボランタリーチェーンとかあるいはフランチャイズチェーンとか、そういった組織化というものによって中小小売商店が新しい時代に呼応できるようにしていくことが必要ではないかと思います。  七ページの表6を見ていただきますと、現在までのボランタリーチェーン動きというものがございます。食料品関係あるいはその他を小売卸売別に四つに分類してございますけれども、ボラシダリーチェーンに参加をしている加盟店の数はぐぐっと右上がりに上がっているわけでございます。現在把握しておる五十七年度のデータで申し上げますと、五万七百七十三店ということになっておりまして、これが昭和四十一年度のデータの一万一千に比べまして五倍にふえているわけでございます。  ここで、真ん中辺の棒グラフの方を見てみますと、これはボランタリーチェーンの数でございまして、これが五十四年度をピークにいたしまして減少いたしております。五十四年度には百五十三チェーンございましたが、五十七年度には百二十八チェーンに減っておる。これはなぜだろうということでございますが、これは統合化による効率化ということの結果でございます。したがいまして、加盟店の方はふえている、ボランタリーチェーンの数は統合化が行われておりますためにやや減少しているということでございます。  それから、フランチャイズチェーンの方もまたふえております。こちらの方は四十八年度の方の調査からでございますが、現在、五十七年度の段階で加盟店数が二万五千三百十八店、それからフランチャイズチェーンの数が百六十四チェーンということになっておりまして、ボランタリーチェーンとともにフランチャイズチェーンも現在伸びておるということでございます。  それから、こうした組織化ということと裏腹の関係でございますけれども、優秀な人材に流通産業で働いていただきたい、また、働いて、消費者ニーズに応じていただきたいと思うわけでございます。「事業は人なり」ということも言われておりますが、まさに個々の商店におきます優秀な人材、創造性に富んだ人材をふやしていきたい、そのために研修事業を実施しているわけでございますが、もう一つ、先ほどの都市商業ルネッサンスあるいは町並みづくりということになりますと、やはり商店街のリーダーという方々がたくさんいらっしゃることが必要で、この商店街リーダーの育成ということも八〇年代の流通政策においては非常に重要なことになってくると思います。  それから、参考資料の最後のページでございますが、これは我が国の製品輸入額あるいは製品輸入比率というものがどう変化しておるかということと、この流通産業役割ということでございます。先ほどの商工委員会におきます御質疑は、基礎素材の製品の輸入ということでございましたが、消費財の輸入に。流通業あるいは商業がどうやって貢献するかということでございます。  現在、日本が世界の一割国家と言われまして、世界経済の動向とともに歩む、あるいは世界の国際社会へ貢献するということなしには日本の生存はないという認識でございますので、とかく製品を全部日本でつくっちゃうというパターンで来ましたが、いろいろ消費者ニーズも多様化していることを踏まえまして、外国のいい製品は積極的に輸入し販売するということを流通業の皆様方、御努力をしていただきたいというのが私どもの政策スタンスでございます。  ここのところ、このデータのとり方は、石油などの輸入額が減っておりますこともございまして、製品の輸入比率が少し上昇の方向にあります。この消費財、いいものは紹介し販売をしていただいて、日本の国際的な役割流通業は果たしていただきたいということが国際化への対応ということめ一つの主眼でございます。  以上、概略、消費者ニーズへの対応、都市商業、政策としての考え方、流通技術の創造的な開発、それから柔軟な流通組織の形成と国際化への対応という課題を通じまして、流通産業現状を御報告させていただきましたが、最後の6というところに「流通近代化の新展開と共存共栄への道」ということで、やや締めくくりをいたしたいと思います。  まず、流通近代化ということは、一九六〇年代、七〇年代にかけての、私どもを含めましたキャッチフレーズでございました。その中身とするところは、合理化、効率化を進めることによってよりよい物を安く販売をすることでございました。特に消費者物価がやや上がりました一九七〇年初頭におきましては、こうした流通面でも物価対策をやっていこうという意識があったかと思います。  六〇年代におきましては、大量生産大量販売大量消費ということが国民生活の向上のために必要だという認識でございました。これからもそういった効率化という考え方は、流通近代化一つの大きな要素として続行していくと思いますけれども、その内容というものが実は変わってくるわけでございます。従来の大量生産大量販売大量消費というパターンから、多品種少量生産ということに変わっていかなければ、消費者ニーズ個性化、多様化に呼応できない。それをこの流通産業が川上へ向かって情報を流すわけでございます。また、現場の商店におきましてもそういう意識を持たなければいけないわけでございますので、そういったことの観点から、私どもは、新しい流通近代化の内容として、この情報化への即応ということを加える必要があるわけでございます。  それからもう一つ、この流通近代化あるいは効率性ということだけで流通産業課題は尽きるのであろうかということでございますが、先ほど来の町並みづくりでございますとか、地域社会との調和であるとか、消費者は即生活をしている人たちであるとか、そういうことを一般的に考えますと、その社会における役割あるいは消費者ニーズが、単なる物からサービス社会的、文化的な要素を含めたものに展開をしていくということでございますので、経済的効率性というポイントに、加えまして、その社会流通産業が有効に機能する、こういった社会的有効性というようなものもまた必要な概念ではないかと思っているわけでございます。そして、大型店、中小小売店あるいは各業種、業態別にいろいろ地域のニーズによりまして存在をいたしているわけでございますけれども、それが地域社会の構成要素として、そして全体を盛り上げる要素として、ひとつ共存共栄を図っていく必要があるのではないかということが、この流通ビジョン一つの大きな結論でございます。  私ども、この流通ビジョンを受けまして流通政策を行わせていただいておるわけでございますが、八〇年代というのは一般的に転換期であると言われております。明治以来百十年、追いつき型近代化日本社会が満身し、そして日本人の目標でありましたが、一九八〇年代の初頭におきまして、おおよそフローの所得欧米水準になったわけでございます。それからまた、技術、生活面におきましてもほぼ欧米並み、あるいは技術の一部は欧米を追い越しておるような状況でございます。そういった面で一つの歴史的な転換期が現在ではないかと思います。  また、技術面におきましては、新しい情報化あるいは新素材のような新しい技術革新の波が大きなうねりを持って来ております。これはまだ胎動期でございまして、一九九〇年代から二十一世紀に、かけまして花が咲くと思います。そういった面での変化、あるいは十九世紀のイギリスを中心にした石炭文明から二十世紀のアメリカを中心にした石油文明、そして二十一世紀に向かって、今度は情報文明とも呼ばれるような社会が先進国にやってくるのではないか。こういった大きな転換期にあるように思います。  流通産業もそれに呼応しまして一つの転換期に、ある。それだけこの競争環境、技術革新等、流動的でございますので、情勢の変化に応じまして流通政策をやっていきたい。現在、これだという決め手が、大体決められるものもございますが、まだ流動的なものもございますので、常に情勢の変化に応じまして対応をいたしていきたいというふうに思っておるわけでございます。  概要を御報告させていただきました。
  4. 後藤茂

    後藤委員長 次に、「流通政策現状課題」について、経済企画庁から説明を聴取いたします。佐藤物価局審議官
  5. 佐藤満秋

    ○佐藤(満)政府委員 お手元の資料によりまして、経済企画庁から「流通政策現状課題」につきまして説明させていただきます。  ただいま通産省の方から、現状及び将来の流通のあり方、見通し等を御説明ございましたが、それらを踏まえまして、我々がやっております流通政策の問題を御説明いたしたいと思います。  まず一ページ目の右の方を見ていただきますと、流通部門の国民経済に占める割合というのが書いてございます。これは先ほど通産省の方から御説明のありました数字によりますと、このパーセンテージが一五%ということでございましたが、ここにございますように、我々の場合は流通部門というところに卸、小売のほかに運輸、通信業を加えておりますので、大体二〇%強というところで把握しておるわけでございます。  それから、もう一つコメントを加えておきますと、国内総生産、これが先ほどの通産省の説明とかなり額が違うじゃないかということでございますが、通産省の方は実質をとっておられまして、我々の方は名目をとっておりますので、そこのところが、例えば五十六年の場合、二百五十一兆という数字でこの二〇%の数字をはじき出しておるわけでございます。  このような国民経済にかなり大きなウエートを占める流通部門につきまして、経済企画庁が取り組んでおる観点と申しますのは、主として国民生活及び物価の面からの流通問題という形で取り組んでおるわけでございます。  では、物価の面でどの程度の関連があるのかというのは、一ページ目の左の方に「機能別流通費の推計結果」というのがございます。これは、実は五十六年に推計しましたものでございまして、その後その推計をいたしておりませんので、ちょっと古い数字で御説明をいたします。  ここにございますように、五十年の産業関連表を使いまして、流通部門のコストがどの程度ウエートを占めておるかというのを計算しております。これは総供給額——総供給額というのは、総生産額から輸出を引きまして、輸入を足した額でございますが、それに占める各段階別の流通コスト、例えば生産者段階における流通費、卸、小売における流通費等を足しまして、それを先ほど申しました総供給額の比率で見たものでございます。それで見ますと、合計のところにございますが、四十年が一八・三%、二割程度、それが四十五年で二〇%、五十年で二二%、約二ポイントずつの上昇を示しておるわけでございます。この形で将来行くかどうかということでございますが、この趨勢で伸びるとすれば、五十五年は二四%という形で、生産の約四分の一程度流通コストで占められるというようなことになるわけでございます。  このようなことからいたしますと、御案内のとおり、最近の五十八年度の消費者物価、CPIが一・九%の上昇、約二%でございますが、この流通部門の合理化、仮に一割いたしましても二・五%、二・四%という形で下がるわけでございますから、いかに物価に与える流通部門の合理化の影響が大きいかということがおわかりいただけるかと思います。この点から、経済企画庁といたしましては、流通問題に物価政策の観点からも取り組んでおるわけでございます。  では次に、二ページに入りまして、政策絡みで申しまして、ではどういう形の物価政策、その中における流通政策にどう取り組んでおるかということでございますが、二ページに、半庁、経済企画庁と申しますか政府が取り組んでおります物価政策の一覧表をまとめて書いてございます。  きょうは物価政策の御説明ではございませんので、ほかのところは簡単にいたしまして、流通絡みで申しますと、二番目の「供給の安定及び効率化対策」というところの下に「流通の合理化」というのがございます。ここにございますように、「一般的流通の合理化、個別物資流通の合理化」という形で物価政策絡みの流通政策を講じておるということでございます。そのほかのところはいわゆる物価政策絡みの総需要管理政策等々が書いてございます。  これを踏まえまして、それでは流通の合理化、ただいま申しました一般的流通の合理化、物資別の流適合理化の施策はどのようなものが講じられておるかというのが三ページ目に一覧表としてまとめてございます。「流通政策の概要」というのでございますが、「一般的流通の合理化」、「個別物資流通の合理化」という大きな二つの柱の中で、それぞれまた二つずつに分けてございます。一つは物流の合理化、それから商的流通の合理化ということでまとめてございます。  物流の合理化につきましては、御案内のとおり、非常に間接的ではございますが、道路の整備に始まりまして、海上輸送、流通業務市街地の整備、これは法律もあるわけでございますが、物流拠点施設の整備、域内物流の合理化、効率的な輸送体制の整備というような形の、いわゆる物流面の合理化を図っておるわけでございます。  それから二番目の商的流通の合理化でございますが、これは先ほど通産省の方からも御説明がありましたように、最近の情報化というものを踏まえました各般の施策が行われておりましたり、それから、グルーピングと申しますか、そういうものを踏まえた施策でございますが、流通機能の高度化、商業立地の適正化、流通活動の適正化、中小商業者の近代化、合理化というようなことを施策として行っておるわけでございます。  それから個別物資流通の合理化でございますが、これは後ほど詳しく農水省の方から御説明があるかと思いますが、食料品の流通の合理化、木材等の流通の合理化、その他、石炭、医薬品の流通の合理化、改善という形で行っております。  では、このすべての施策の予算をどのくらいの規模で行っておるかということでございますが、ここに数字は書いておりませんが、我々がこれを踏まえまして、これらすべてについて合計して計算いたしますと、約三兆円の予算を計上しておるということでございます。  今申しました三兆円というのは流通の合理化という施策からの総予算でございますが、四ページに入りまして、他面それでは物価政策という観点からの予算がどのくらいあるかということでございます。これは毎年経済企画庁として取りまとめいたしまして国会の方にも御提出いたしておりますので、既に御案内のとおりの数字でございますが、五十九年度、本年度の予算規模で四兆三千億という数字でございます。このうち、先ほど申しました流通対策、これが約四百二十億、約一%程度でございますが、先ほどの三兆との絡み合いではどうかということになるかと思います。  先ほど申しましたように、流通関係と思われる諸施策を足しますと三兆、それから物価政策という形から予算をつかまえますと四兆三千億ということでございます。流通政策、それから物価政策の観点からつかまえました部分でオーバーラップする部分がこの四百二十億ということになろうかと思います。ということは、直接的というか一義的に物価政策として絡んでくる流通予算が四百二十億、そのほか、先ほど申しました三兆円からこの四百二十億を引きました予算が間接的にせよ物価絡みというか流通の合理化に寄与しているという予算になっておるわけでございます。  このようにかなりの額の予算が流適合理化に使われておりますが、経済企画庁といたしましては、この予算それぞれの執行に当たりましては、各省に今お願いしておるわけですが、流通政策に対する基本的な考えを、長期的な経済運営の方針、短期的な経済運営の方針の中でうたっておるわけでございます。  その一つといたしまして、昨年八月に御案内のとおり「一九八〇年代経済社会の展望と指針」という長期的な経済運営の指針を発表したわけでございますが、五ページのところにそこの抄録を抜粋で流通部門だけを抜き書きしておきました。ここにございますように、ここにおきましても長期的な流通政策といたしまして、従来の施策に加えまして、今後も流通部門の一層の効率化と機能の拡充を図るための誘導もしくは市場機能の補完的施策を講じていくべきであるということをうたっておるわけでございます。  その中身は、一つ消費者ニーズに適応した流通機能の高度化の推進と、先ほど通産省の方から御説明のありました方向と一致しておるわけでございます。それから二番目に、物流面における効率化の推進ということでうたっておるわけでございます。詳しくは省略いたしますが、今言ったようなところが昨年の「八〇年代経済社会の展望と指針」に盛られているところでございます。  このような形で、経済企画庁といたしましても流通の合理化のための施策を推進しておるわけでございますが、最近、御案内のとおり諸外国から日本流通問題につきまして、これがNTBではないかとか後進的であるという趣旨の批判が出ております。ちなみに当庁でいろいろ諸外国との絡みでその辺のところの比較をしてみましたが、例えば諸外国から、日本流通経路というのは長過ぎる、先進国に比べて長過ぎるというような批判がございます。確かにこれをつかまえる指標というのは難しいのでございますが、我々一つ試算してみましたのは、小売販売額分の卸売販売額という形の比率でその辺のところを把握してみますと、アメリカ、イギリス、フランス等の比率、これが約一・五でございますが、これに対しまして日本の場合五・二ということで約三倍ぐらいの、小売販売額で割りました卸売額の比率がそうなっております。ということは、日本の場合一次、二次卸というような形での流通経路の長さを、この係数は表示しておるのではなかろうかというようなことは言えるかと思います。  それからもう一つ試算してみましたのは、絶対数といたしましての商店数、これは先ほど通産省の方からも御説明ございましたが、日本の場合百六十万ぐらいの小売商店数がございますが、アメリカで見ますとこれが百三十万、市場規模がかなり向こうは大きいわけですから、英国で三十五万、フランスで六十万、西独で三十万というような形で日本は非常に多いということが言えるかと思います。ただ、市場規模との関係で見なければ、今の絶対数、小売商店数だけで議論するというのは当を得た議論ではございませんので、仮に千人当たりの小売店の数ということを見ましても、日本の場合は十四軒ぐらいでございます。ちなみにアメリカの場合は六軒、イギリスも六軒、ドイツも六軒、フランスはちょっと多くなりまして十一軒ぐらい。日本よりも多いのは先進国のうちではイタリーが非常に多うございまして、日本の十四軒に対しまして十六軒ということで、イタリーだけが多いというようなことになっております。  こういうことで、日本流通部門の合理化、近代化は今後も進めるべき問題であろうということで経済企画庁としても考えておりまして、経済企画庁の物価局の局長の諮問機関として流通問題研究会というのを設けまして、我々も流通問題の勉強をしておるわけですが、その報告を来月にでもまとめて発表したいというふうに考えております。  最後に一つ、当庁がかんでおります法律がございますが、先ほどちょっと申しました流通業務市街地の整備に関する法律ということで、経済企画庁とほかの五省庁で基本方針をつくるということになっておりますが、これにつきましての最近の実績を申し上げますと、一番最近時点では、本年の一月に広島の東部流通業務地区の追加という形で基本方針を変更いたしまして、いわゆる流通業務市街地等の込み合っている地域についての流通の合理化についての基本方針を作成したということがございます。  以上で経済企画庁を終わります。
  6. 後藤茂

    後藤委員長 次に、「流通行政の現状課題」について、公正取引委員会から説明を聴取いたしますが、時間の関係でひとつ簡潔に御説明をお願いしたいと思います。奥村取引部長。
  7. 奥村栄一

    ○奥村政府委員 平素公正取引委員会の業務につきましては、いろいろと御指導をいただいてありがとうございます。まずもってお礼を申し上げます。  早速御説明申し上げます。  近年の我が国経済を見ますと、産業構造の変化に伴いまして、流通業を含む第三次産業のウエートの上昇、役割の増大が見られるわけでございますが、特に流通分野におきましては、流通系列化あるいは不当な取引慣行等競争政策上種々の問題がございますので、自由な取引の維持、促進とともに、取引の公正さを確保することが重要になってきておるわけでございます。  また、外国の方から、我が国の流通機構が閉鎖的であり、一種の参入障壁ではないかという御指摘もございまして、この面からも流通問題に取り組むことが要請されておるわけでございます。  このような中におきまして、公正取引委員会では、これまで流通問題に対しまして、メーカーの行う流通系列化の問題、例えて申しますと、再販売価格の維持でございますとか、一店一帳合い制、テリトリー制などにつきまして、独占禁止法研究会を設けまして理論的実証的研究なども行っております。また個別の業種として、二十余りにつきまして業種、業態について流通実態調査を実施いたしまして、その実態の把握に努めるとともに、競争政策上問題があると認められる場合には、所要の是正指導をいたしてまいったわけでございます。  このほか、もちろん独占禁止法に違反する個別の事件に対しましても厳正に対処いたしておりまして、この面からも流通分野における公正かつ自由な競争の確保に努めてまいりました。  二ページに参りまして、せっかくの機会でございますので、流通実態調査のうち主要なものの若干につきまして御紹介申し上げたいと思います。  まず、メーカー流通系列化、販売業者に対する優越的地位の乱用に関する問題といたしましては、例えば自動車の押し込み販売、リベート制、テリトリー制などであります。あるいはまた家庭電器製品のテリトリー制、取引先の制限、化粧品につきましては、行き過ぎた美容部員の派遣、コーナー制といった問題がございます。これはそれぞれ、自動車については責任販売台数制にするとか、白地手形制度を是正させるとか、リベートの是正を図るというふうなことを行いまして、家庭電器製品につきましても、競争制限的な契約条項の是正を行っております。化粧品につきましても、美容部員の派遣基準を設けるとか、コーナー設置基準の明確化などの指導をしております。  それから、大規模小売業者の納入業者に対する購買力、優越的地位の乱用に関する問題としましては、御存じかと思いますが、例の三越事件に代表されるものでございますが、百貨店、大型スーパーによる納入業者に対する押しつけ販売、協賛金の要請、こういった問題、あるいはカメラの量販店による手伝い店員の派遣の要請などがございまして、それぞれ是正のために、例えば自主規制基準をつくっていただいて、そのように実施していただく。あるいはカメラにつきましても、手伝い店員、協賛金に関する自主規制基準をつくらせる、こういったことで指導したわけでございます。  また、小売業者による不当な顧客誘引行為、不当廉売あるいは不当表示に関する問題でございますが、例えば眼鏡、腕時計、家庭電器製品につきまして調査を実施しまして、不当廉売に該当する事実は見当たりませんでしたけれども、例えば根拠のない比較対照価格を付すといういわゆる不当な二重価格表示がございましたので、これについて是正を警告するとともに、業界団体に対して、表示の適正化を図るよう会員を指導するように要望しております。  また、貿易摩擦に関連する問題といたしましては、諸外国から指摘のございました輸入自動車とか医療機器、スポーツ用品等につきまして実態調査を実施いたしたわけでございますが、その結果、国産品と輸入品との間につきまして差別取り扱いなどは見られず、独禁法上の観点から問題となる事実は認められませんでした。  そのほか、フランチャイズシステムなどにつきましても、調査をいたしまして、指導をいたしております。また、新聞業における販売の正常化につきましても、所要の指導をいたしておるわけでございます。  最後に、近時、流通分野において情報システムの高度化、多様化が急速に進展しまして、流通分野は新たな変革を見せているというふうに言われております。  公正取引委員会としましては、このような新しい状況も踏まえまして、今後とも、流通分野における諸問題に対し、公正かつ自由な競争を促進する観点から、引き続き所要の調査、是正措置を講じていくつもりでございます。今後ともどうぞよろしく御指導をお願いいたします。
  8. 後藤茂

    後藤委員長 次に、「食品流通現状と施策の概要」について農林水産省から説明を聴取いたしますが、一言で要点だけお述べいただきたいと思います。
  9. 古澤松之丞

    ○古澤説明員 お手元に配付しました資料でございますが、簡単にポイントだけ御説明したいと思います。  まず、第一ページでございますが、私たちの方は食品の生産から流通を所管しておるわけでございますが、食品産業の現状でございます。表で見ていただきまして、食料品製造業で全体の一一%、それから卸売業で二〇%、小売業では販売額で三〇%、店舗の数で四二%というシェアを占めております。先ほど経済企画庁さんの方でございましたが、流通の長さを小売と卸の比率で計算いたしますと、食品の場合は二・七倍となっております。  そういう現状を踏まえまして、私たちの方ではどういう政策展開をしているかということが次の二ページでございまして、四つの点に分けて整理してあるわけでございますが、一つは、流通効率化の推進ということで、情報のシステム化、物的流通効率化ということでございます。その次が、生鮮食料品の流通体制の整備ということで、産地出荷体制の整備、卸売市場の整備ということでございます。それから、小売業卸売業近代化。第四番目が公正取引と効率的な流通秩序の確保。そういう四点に整理してあるわけでございます。  その中の効率化の話では、特に具体的な話として私たちやっているわけでございますが、第一番目は、生鮮食料品に関する共通取引コードの設定でございまして、加工食品につきましては、雑貨と一緒に、先ほどお話ございましたように、流通システム開発センターでコードをつくっていただいておりますが、生鮮食料品についても検討を進めているということでございます。  第二番目は、卸売市場関係業者による情報処理システム化の推進でございまして、関係者を集めまして鋭意検討を進めているところでございます。  第三番目は、加工食品のPOS情報を収集、加工して、メーカー、問屋等に還元するシステム化の推進でございまして、基本的には、POS情報小売屋さんが一番情報を持っているわけでございますが、その情報を具体的に活用いたしまして、メーカーそれから問屋も利用したいということで、その実験に着手しているわけでございます。  さらに、食品産業におけるニューメディアの活用ということも検討しているわけでございまして、その右側にございますように各種の予算をお認めいただきまして、鋭意検討を進めているところでございます。  三ページに入りまして、物流の効率化でございますが、(ア)、(イ)、(ウ)というようなことがございますが、具体的に言いますと、三ページの右側の「参考」にございますように、食料品問屋の共同輸配送システムの開発というようなことで、都内百貨店は大変混雑する場所にあるものでございますので、問屋さんが共同いたしまして、従来であると七台で毎日運んでいたものを一台で配送するというような実験をいたしまして、大変成果をおさめているのが現状でございます。  第四ページに入りまして、生鮮食料品の流通体制の整備ということでございまして、一つは、これは中心的に農林省がやっているわけでございますが、産地出荷体制の整備ということで、野菜の産地、果実の産地、それから畜産物、水産物、それぞれ産地につきましては、右にございますような予算を使いまして、総合的な施設整備をやり、合理化を図っております。  その次の卸売市場の整備でございますが、現在、第三次卸売市場整備基本方針に基づきまして鋭意やっておりまして、中央卸売市場それから地方卸売市場、そのほかの卸売市場の施設の整備をやると同時に、金融につきましても、農林漁業金融公庫の資金等を使いまして、鋭意その合理化を図っているところでございます。  最後に、五ページに参りまして、食料品卸小売業近代化の促進というようなことで、総合食料小売センターの整備であるとか、小売屋さんが共同でやりますストックポイントの整備であるとか、外食向け食材のための施設の整備であるとか、もろもろの事業をやっておりますと同時に、生鮮食料品の小売屋に対しましては、国民金融公庫の特別貸付枠を設けまして融資も行っているところでございます。  第四番目は、公正取引と効率的な流通秩序の確保でございまして、これは具体的な指導の話でございますが、食品産業センター等におきまして取引改善委員会を設けるとか、量販店に対する指導を行うとか、ガイドラインの設定をやるとか、公取委員会との連絡を強化するというようなことで、鋭意合理化に努めているところでございます。以上でございます。
  10. 後藤茂

    後藤委員長 以上をもちまして政府からの説明聴取は終わりました。  政府に対する質疑は後日行うことといたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十七分散会