○
山田(勝)
政府委員 お手元の
資料、二つございますが、ただいま
委員長御指摘の表題のもの、それから
参考資料でございます。これを見比べながら三十分
程度御
説明をさせていただきます。
八〇年代の
流通ビジョン、これは
産業構造審議会の
流通部会と
中小企業政策審議会流通小委員会の
合同部会で約一年半にわたりまして
審議をし、昨年の十二月に答申が出されたものでございます。これを使いながら
現状あるいは
課題、
方向というものを御
説明させていただきます。
まず、
流通産業あるいは
商業というものがこれからの
時代においてその
ウエート、
重要性、
役割を増していくのではないかと思います。
現状におきましての
国民経済における
数字的な
シェア、これは
参考資料の三枚目、目次の次に一
ページで「卸・
小売業の国内総
生産」
昭和五十五年基準の
実質ベースでございますけれ
ども、書いてございます。これによりまして、まず五十七年の
数字を右側で見ていただきますと、全体の一四・五%、大体一五%が
国民経済における
数字的な
シェアであるとお考えくださってよろしいかと思います。それから
従業員数でございますが、一番下の
数字でございますが、一八・八%、おおよそ二〇%。我々が
商業あるいは
流通業と呼ぶものの
国民経済における
シェアを
GNP統計で見ますと、
付加価値で一五%、
従業員数で約二〇%というように御
認識をいただければと思います。
その次の
ページをめくっていただきまして、これは
小売と
卸売で分けて考えてみたいと思います。ただいまのは
付加価値額あるいは
従業員数ですが、ここで
商店数というものの数を見ていただきたいと思います。
上の2の一の表、
小売業の
商店数、これが今から十七、八年前の
昭和四十一年には
小売で百三十七万軒ございました。それが逐次拡大をいたしまして、五十七年、これは
商業統計の
数字でございますが、百七十二万軒に
伸びております。各
業種別のブレークダウン、この表はございませんが、
食料品関係がこの数
年間ちょっと減少いたしましたが、ほかのものはすべて上昇をいたしております。
なお、四十七年から五十四年までの間と最近時における三
年間というものの
伸びを見てみますとやや鈍化いたしておりますが、これは
一つには
経済成長の
程度ということにも関連しているのではないかと思います。以前には
年間大体一・六%ずつ上昇いたしておりますが、最近時におきましては〇・九%ということになっております。しかし、これは
商店数でございますが、売り場の面積を平均でとってみますと、こちらの方は年率五%、それから最近時が三・六と、
商店数の数よりは若干ふえております。また
年間の
販売額も、これは
名目値でございますけれ
ども、最近時におきましては八・五%の
伸びを示しておるわけでございます。
それから
卸売業、下の方の表を見ますと、こちらの方の
商店数もかなりふえておりまして、これは
小売の
伸びよりも
卸売業の
商店数の方が
伸びているわけで、大体五%ずつ毎年
伸びております。こちらの方はどういうことであるかとさらに分析をいたしてみますと、
地方都市における
卸売業のお店がふえている、それも多くの場合には支店の数がふえているということでございます。いわば
経済の
地方展開に呼応いたしまして、
卸売業の
商店数が
地方においてふえている、こういうような
現状でございます。
さて、そういうような
動きでございますが、今や
商業あるいは
流通産業の
国民経済における
役割というものが質的に
変化をしつつあるのではないかと思います。
それは
一つは、
経済が
成熟化しておる、
国民の所得も
欧米水準になってきた、と同時に、その
ニーズも単なる量的な充足ということから
個性化、多様化いたしまして、
消費者ニーズが質的に
充実感を要求している、こういうことでございます。それに応じてこの
流通産業がどう呼応していくかというのが現在でございます。
成熟化の
進行とともに、もう
一つは
情報化というものの
進行がございます。少し先走った
言葉で言えばニューメディア、やや着実なことで言えば
POS情報というようなものがございますが、こういう
動きとともに、この
流通産業の
役割というものが次のように
変化をいたしております。従来は
生産者から
消費者へ物を運ぶ
パイプ役が
流通産業でございましたが、現在及び今後は、
消費者ニーズの
情報を川上に向かって、つまり
生産者の方に流す
情報の
パイプ役もまた
役割になってきた、そういう
意味でその
重要性がふえている、こういうふうに思うわけでございます。
それから、これは単に
流通だけではないと思いますけれ
ども、
高度情報技術というものが進めば進むほど、つまり
ハイテクノロジーが進めば進むほど、逆に人間的な
触れ合いあるいは
文化というものへの
志向が
消費者によって望まれているということでございます。そのために私
ども、これはハイテクと
ハイタッチが同時に
進行しなければいけないということを申しておるわけでございますけれ
ども、この
流通産業においては、特にこの辺の感じが重要になっていると思います。どんどん
情報化、そして無
店舗販売のようなものもまたその
ハイテクノロジーとともに出てまいると思いますけれ
ども、それにもおのずから限界がある。逆に言えば、そういった
ハイテクノロジーを活用することの裏側として、実は人間的な
触れ合いというものが
流通あるいは
商業にとって今までよりももっと重要になってくるというふうに考えるわけでございます。そして、こういった
動きというものを先導するというか、あるいは先取りするというか、そういう
役割をまた
流通産業が持っているわけでございまして、
ごろ合わせで恐縮でございますが、
ハイキャッチということが必要ではないかと思います。そういう
意味において、私
ども、
商業あるいは
流通産業の
役割は今後重要になってくるという
意味で
エンカレッジをしたいということで、この
ビジョンでは
商業の再発見というキャッチフレーズを提案いたしておるわけでございます。
それから、次に幾つかの
課題に分けて御
説明いたしますと、まず
消費者ニーズが
個性化し、多様化しているということに関してでございます。
参考資料の方は、表の三というものを見ていただきたいと思います。
従来の
流通政策というものが、とかく
大量生産、
大量販売、
大量消費という、いわば
消費者ニーズが量的な側面での
充足感を求めておりましたし、
生産面におきましてもやや少
品種多量生産という
パターンが六〇年代から七〇年代にかけまして
一つの型でございましたが、これが
変化をしているということでございます。
消費者ニーズがどう変わっているかということは、「
家計消費構造の
変化」という表で見ますと、いわゆる食料のようなもの、あるいは被服の一般的な基礎的な
ニーズというものから、保健あるいは交通あるいは教育・教養、その他という、その他というところが非常にふえているわけですが、そのように質的に非常に
変化をしているわけでございます。
それから、
サービス化ということが現在行われておりますが、下の表を見ますと、
個人消費支出の中において、財、物への
支出と
サービス支出との
変化というものがございます。この中身を見る場合に、
名目値で見る場合と実質億で見る場合と若干の差がございます。これは、財の方と
サービスの方で
生産性の向上の度合いが違うものですから、価格にあらわれてきまして、名目ではかなりの
サービス化が進んでおりますが、
実質ベースで考えますと、
サービス化という
方向にあるが、そのテンポはそれほど遠いわけではない、こういう表でございます。
ただ、これからは物の
販売と
サービスの
提供ということが各独立して行われるというよりは、むしろ財の
販売と
サービスの
提供ということが一緒になりまして
消費者の購入になっていくというケースがふえてくるだろうと思いますし、
サービスの
提供のためにはそれなりのものが必要だという
動きにもなっておりますので、単に、
サービス経済化ということが単純に
サービス提供の
ウエートが増すということではなくて、物の
販売と
サービスの
提供が
相互乗り入れをしていくというふうに私
ども考えております。
それから、
消費者ニーズが
個性化、多様化するわけですから、それだけ多品種少量
生産というふうに
生産面も変わっていくし、先ほどの
情報というものを得まして
生産をしていく必要がございます。
それから各
小売店の
パターンでございますが、ベーシックな
生活ニーズというものは近くの店で、そうしてまた一カ所に寄っていろんな選択ができる、こういう
動きがございますので、
商店の数よりは
商店の大きさというものが大きくなっていくように求められているんではないかと思います。
婦人労働が
労働市場に参入されつつございますので、そういった
生活パターンの
変化ということもあるわけでございます。
一方、趣味とか余暇とか
文化とか、そういうものになりますと、多分に
専門店で買い物をするという風潮になってくると思います。
個性化ということは非常に
専門店を好む。そういう
意味でこちらの方は、大きさは大きくなりませんが、むしろ小さいお店がたくさんできるということがこの
消費者ニーズへの対応の
方向ではないかと思っております。
それから
参考資料の次の
ページをめぐりながら、
地域社会との調和ということが、
流通産業それ自体あるいは
流通政策にとって重要ではないかと思うわけでございます。まさに
人口が
大都市はもとより、
地方の
都市にだんだんその比率を高めているという表が4の1表でございます。
これは世界的に
DID人口比率というような
指標を使いまして、いかに
人口が
都市化しているかということを示しているわけでございます。
DIDというものはどういうものかにつきましては、ちょっと注釈をつけておきましたので見ていただければと思いますが、この
指標によりますと、
昭和三十五年には四三・七であったものが五十五年には五九・七、そして、やがてこれが約七〇%
ポイントまでいくんではないかと思います。そして
都市化が進む
程度というものは、三
大都市圏におきましては、おおよそ昔から東京、大阪というのは
都市化しているわけですが、三
大都市圏でも中核、
中小都市あるいは特に
地方における
中枢都市というものもまた
都市化の率が高こうございます。こういった点で
消費生活が
都市型になってくるというのが
一つございます。
それから今までは
大都市と
地方とで
所得格差、そしてその結果としての一
世帯当たりの
消費支出というものの
格差がございました。したがって、
都市における
消費動向だけを見ていたんでは
日本全体がわからないということだったんですが、最近では、全国における一
世帯当たりの
消費支出がよりバランスがとれてきた、その
格差が少なくなってきたということでございまして、全国津々
浦浦で
商業あるいは
流通というものが登場する、こういうふうに思うわけでございます。ちょっと表の見方は省略いたしますが、一
世帯当たりの
消費支出を見る限り、全国的に
大都市と
地方都市との
格差がなくなっているということでございます。そういう
意味におきまして、特に
地方における
商店街あるいは
流通産業とその
社会とのかかわりというものが重要になってくるということでございます。
まず
一つは、
都市型の
消費生活への
志向ということでございますし、もう
一つは、そういった
都市というものを
中心にした
文化、これが今後の
日本の
社会の
方向であろうと思いますので、
商業というものも、先ほどの
ハイタッチではございませんが、
都市文化というものへのかかわり、あるいは貢献というものがより一層必要になってくる。別の
言葉で言いますと、
都市商業文化というものが創造されるべきであり、その
意味で
都市商業ルネッサンスという
時代を迎えている。その中における
流通産業の
役割は大きいということでございます。
そして
情報化の
進展とか
交通網の
発達とともにモータリゼーションということが起こりますので、
一つ一つの
商店街、
一つ一つの
都市というものの中の
努力がないとお隣様の
都市にお客様をとられてしまうという、いわば非常にきつい
競争環境も出てまいるわけでございます。したがいまして、
一つ一つの
商店街、
一つ一つの
都市におきます御
努力というものが一層重要になってくるんではないかと思います。
それから、私
ども商業調整政策と大型店問題をやらしていただいておりますが、その場合におきましても、
都市計画当局と私
ども都市商業政策を担当する者との間の連携というものがますます重要になってくるんではないかと思いまして、
政策面での
都市計画事業、それから
商店街整備事業、
大型店調整、こういったものを総合的に推進していく必要があるというのが私
どもの
認識でございます。
それから、こういった
調整というものとともに、
振興、特に
中小小売業の方々の
活性化と
振興というものもまた私
どもの
流通政策の大きな
課題でございますけれ
ども、こういった
都市商業ルネッサンスの中において、
中小小売商による自主的な
町づくりというものを積極的に支援するための
コミニュティマート構想というものを五十九年度の予算でお認めをいただいているわけでございます。
ページを次にめくっていただきまして、今度は
情報化技術を
中心にしました
流通技術の
創造的開発というものも、これまた
一つの
課題でございます。
高度情報化社会が胎動しておりますが、その中で
流通産業というものはかなり変革を要求されるようになるのではないかと思います。
流通産業における
情報化を円滑に進めるためには、まず
流通データサービスといいますか、
POSというのがございます。各スーパーマーケット、
小売商店に行きますと、
商品に鮭が二十本ぐらい
大小マークとしてついております。これが
ポイント・オブ・セールスの略でございます
POS情報システムでございますけれ
ども、こういったことによって、どんな品物がどのくらい売れ、そして在庫管埋、
仕入れ管理、お客さんの嗜好を直ちに知る
市場調査、そういったものがたちどころに
コンピューターに入れられまして分析される、こういうものでございますけれ
ども、こういった
データがまず現在あるわけでございます。
なお、この
参考表の5というところを見ていただきますと、
日本における
コンピューターの
実働台数の中で
流通業が所有している
シェアが実に多いということに驚かされるわけでございます。五十八年三月、ちょうど一年前の
データでございますが、
日本で
コンピューターが入っている台数が十二万八千台、そしてその中の約四、五割の五万七千台が実は
流通業が所有し、稼働をさせているという実態でございます。
それから、その次の
ページをめくっていただきますと、ただいま申し上げました
POSというものがどのくらい活用されているかでございます。これは、まず会社で、うちは
POSをつけようということになると、どの
商品につけるかということで
商品ごとに
コードがつくわけですが、その
コードの中には、これは国際的な
統一マークになっておりますので、見本はちょっとここにございませんが、
日本の
マーク、そして次に
メーカーの
マーク、そして
商品の
コード番号、こういうことになっておるわけでございます。
この表を見ていただきますと、五十八年から非常に大きな
伸びを示しているわけでございまして、私
ども約十年がかりでこの
POSシステムの導入をやってまいりましたが、ようやくここへ来て実ってきたということでございます。
まず、
商品メーカーコード登録企業数というものを見ていただきますと、今から二年前、下の方の五十七年三月のところを見ますと、何と二百十七
企業がこれを採用しているだけでありましたのが、現在、五十九年四月のところを見ますと五千七百十
企業がこの
登録企業になっておる。ここのところ急速に
発達をしているわけでございます。これは製品をつくる方、
メーカーの方、あるいは
卸売業など
自己ブランドでやっている場合も含めているわけでございますが、
小売店で
POSシステムを導入しているという
店舗数の表示が点線でございます。こちらも二年前は七十九
店舗数でございましたのが、最近値では三千になっているわけでございまして、こちらの方もまた大きく
伸びていく
方向にございます。これによって
情報というものを一括して処理をしよう、こういうことにこれからなっていくものと思います。
ただ、その場合に、私
どもはこの
情報化というものの
進展がとかく大
企業の方が乗りやすいのではないかということで、むしろ大
企業と
中小企業との
競争力格差がこの
情報化という面であらわれてくることを恐れているわけでございます。現在この点を
認識いたしまして、
中小小売業あるいは
中小企業一般への積極的な助成、
誘導措置を講じていこうということで、ことしの
予算措置な
ども含めまして、今後とも行っていきたい重要な
ポイントでございます。
それから、
POS情報以外にCATVによる
双方通行による無
店舗販売ですとか、あるいはそういった
情報化を活用した
販売方法が出てくるとは思いますけれ
ども、その辺が一体どのくらいの大きさで、どのくらいの時期にあらわれてくるかにつきましては、
産業構造審議会におきます
勉強会におきましても、なかなか見きわめにくいということで、結論がいまだ出ておりません。確実にやってくるだろうという
方向ではあるが、その
程度、その時期については、まだはっきりとわからないというのが正直なところでございます。
恐らくこの
情報化の
進展というものが
流通産業において重要な
役割を果たすであろうが、まずは工場におけるファクトリーオートメーションあるいは事務所における
オフィスオートメーションという形が先に出てまいりまして、
流通産業におきましても、
メーカーと
卸売業との間、あるいは
卸売業と
小売店との間という
情報、あるいは
社内情報化というものは行われると思いますけれ
ども、
小売店と
消費者との間の
情報化というものはもう少し後で出てくるのではないかと思います。ただ、そういう
方向にはなるだろうということで勉強なり、
中小企業と大
企業とのギャップが生じないように現在からもう既にそのスタンスでいかなければいけない、こう思っている次第でございます。
それから、次の
課題は、
組織化とか、先ほど
商工委員会でも御議論が出ました
製品輸入というようなものでございます。まず、
中小企業というものが
流通産業におきまして圧倒的な
ウエートを持っております。そういう関係から、この
中小小売業というものの
地元密着性あるいは
ニーズに直ちに、対応できる
小回り性などの特性を生かしまして、新しい
流通産業として発展をさらに続けていただきたいと思っておるわけでございますけれ
ども、そのためには、先般来御
説明いたしました
町並みづくりですとか、あるいは
文化的な
志向ですとか、そういったものも今後の
商店の
近代化の要素になってくるのではないかと思います。
いろいろアーケードをつくるとか
カラー舗装をするとか、そういういわゆるハードなものも必要ですが、これからもう一歩進めまして、
町並みづくり、
文化的な要素を含めたソフトな面での
商業近代化というものが必要になってくるという
認識でございます。あるいは
情報技術を有効利用するということもあります。そういった面で一軒一軒の
努力にプラスして組織による
努力が加わりますと一層現実的になるということでございますので、ひとつ新しい
方向に向かっても従来以上に、
ボランタリーチェーンとかあるいは
フランチャイズチェーンとか、そういった
組織化というものによって
中小の
小売商店が新しい
時代に呼応できるようにしていくことが必要ではないかと思います。
七
ページの表6を見ていただきますと、現在までの
ボランタリーチェーンの
動きというものがございます。
食料品関係あるいはその他を
小売、
卸売別に四つに分類してございますけれ
ども、ボラシダリー
チェーンに参加をしている
加盟店の数は
ぐぐっと右上がりに上がっているわけでございます。現在把握しておる五十七年度の
データで申し上げますと、五万七百七十三店ということになっておりまして、これが
昭和四十一年度の
データの一万一千に比べまして五倍にふえているわけでございます。
ここで、真ん中辺の棒グラフの方を見てみますと、これは
ボランタリーチェーンの数でございまして、これが五十四年度をピークにいたしまして減少いたしております。五十四年度には百五十三
チェーンございましたが、五十七年度には百二十八
チェーンに減っておる。これはなぜだろうということでございますが、これは
統合化による
効率化ということの結果でございます。したがいまして、
加盟店の方はふえている、
ボランタリーチェーンの数は
統合化が行われておりますためにやや減少しているということでございます。
それから、
フランチャイズチェーンの方もまたふえております。こちらの方は四十八年度の方の
調査からでございますが、現在、五十七年度の段階で
加盟店数が二万五千三百十八店、それから
フランチャイズチェーンの数が百六十四
チェーンということになっておりまして、
ボランタリーチェーンとともに
フランチャイズチェーンも現在
伸びておるということでございます。
それから、こうした
組織化ということと裏腹の関係でございますけれ
ども、優秀な人材に
流通産業で働いていただきたい、また、働いて、
消費者ニーズに応じていただきたいと思うわけでございます。「事業は人なり」ということも言われておりますが、まさに個々の
商店におきます優秀な人材、創造性に富んだ人材をふやしていきたい、そのために研修事業を実施しているわけでございますが、もう
一つ、先ほどの
都市商業ルネッサンスあるいは
町並みづくりということになりますと、やはり
商店街のリーダーという方々がたくさんいらっしゃることが必要で、この
商店街リーダーの育成ということも八〇年代の
流通政策においては非常に重要なことになってくると思います。
それから、
参考資料の最後の
ページでございますが、これは我が国の
製品輸入額あるいは
製品輸入比率というものがどう
変化しておるかということと、この
流通産業の
役割ということでございます。先ほどの
商工委員会におきます御質疑は、基礎素材の製品の輸入ということでございましたが、消費財の輸入に。
流通業あるいは
商業がどうやって貢献するかということでございます。
現在、
日本が世界の一割国家と言われまして、世界
経済の動向とともに歩む、あるいは世界の国際
社会へ貢献するということなしには
日本の生存はないという
認識でございますので、とかく製品を全部
日本でつくっちゃうという
パターンで来ましたが、いろいろ
消費者の
ニーズも多様化していることを踏まえまして、外国のいい製品は積極的に輸入し
販売するということを
流通業の皆様方、御
努力をしていただきたいというのが私
どもの政策スタンスでございます。
ここのところ、この
データのとり方は、石油などの輸入額が減っておりますこともございまして、製品の輸入比率が少し上昇の
方向にあります。この消費財、いいものは紹介し
販売をしていただいて、
日本の国際的な
役割も
流通業は果たしていただきたいということが国際化への対応ということめ
一つの主眼でございます。
以上、概略、
消費者ニーズへの対応、
都市商業、政策としての考え方、
流通技術の創造的な開発、それから柔軟な
流通組織の形成と国際化への対応という
課題を通じまして、
流通産業の
現状を御報告させていただきましたが、最後の6というところに「
流通近代化の新展開と共存共栄への道」ということで、やや締めくくりをいたしたいと思います。
まず、
流通近代化ということは、一九六〇年代、七〇年代にかけての、私
どもを含めましたキャッチフレーズでございました。その中身とするところは、合理化、
効率化を進めることによってよりよい物を安く
販売をすることでございました。特に
消費者物価がやや上がりました一九七〇年初頭におきましては、こうした
流通面でも物価対策をやっていこうという意識があったかと思います。
六〇年代におきましては、
大量生産、
大量販売、
大量消費ということが
国民生活の向上のために必要だという
認識でございました。これからもそういった
効率化という考え方は、
流通近代化の
一つの大きな要素として続行していくと思いますけれ
ども、その内容というものが実は変わってくるわけでございます。従来の
大量生産、
大量販売、
大量消費という
パターンから、多品種少量
生産ということに変わっていかなければ、
消費者の
ニーズの
個性化、多様化に呼応できない。それをこの
流通産業が川上へ向かって
情報を流すわけでございます。また、現場の
商店におきましてもそういう意識を持たなければいけないわけでございますので、そういったことの観点から、私
どもは、新しい
流通近代化の内容として、この
情報化への即応ということを加える必要があるわけでございます。
それからもう
一つ、この
流通近代化あるいは効率性ということだけで
流通産業の
課題は尽きるのであろうかということでございますが、先ほど来の
町並みづくりでございますとか、
地域社会との調和であるとか、
消費者は即生活をしている人たちであるとか、そういうことを一般的に考えますと、その
社会における
役割あるいは
消費者の
ニーズが、単なる物から
サービス、
社会的、
文化的な要素を含めたものに展開をしていくということでございますので、
経済的効率性という
ポイントに、加えまして、その
社会で
流通産業が有効に機能する、こういった
社会的有効性というようなものもまた必要な概念ではないかと思っているわけでございます。そして、大型店、
中小小売店あるいは各業種、業態別にいろいろ地域の
ニーズによりまして存在をいたしているわけでございますけれ
ども、それが
地域社会の構成要素として、そして全体を盛り上げる要素として、ひとつ共存共栄を図っていく必要があるのではないかということが、この
流通ビジョンの
一つの大きな結論でございます。
私
ども、この
流通ビジョンを受けまして
流通政策を行わせていただいておるわけでございますが、八〇年代というのは一般的に転換期であると言われております。明治以来百十年、追いつき型
近代化で
日本の
社会が満身し、そして
日本人の目標でありましたが、一九八〇年代の初頭におきまして、おおよそフローの所得は
欧米水準になったわけでございます。それからまた、技術、生活面におきましてもほぼ欧米並み、あるいは技術の一部は欧米を追い越しておるような状況でございます。そういった面で
一つの歴史的な転換期が現在ではないかと思います。
また、技術面におきましては、新しい
情報化あるいは新素材のような新しい技術革新の波が大きなうねりを持って来ております。これはまだ胎動期でございまして、一九九〇年代から二十一世紀に、かけまして花が咲くと思います。そういった面での
変化、あるいは十九世紀のイギリスを
中心にした石炭文明から二十世紀のアメリカを
中心にした石油文明、そして二十一世紀に向かって、今度は
情報文明とも呼ばれるような
社会が先進国にやってくるのではないか。こういった大きな転換期にあるように思います。
流通産業もそれに呼応しまして
一つの転換期に、ある。それだけこの
競争環境、技術革新等、流動的でございますので、情勢の
変化に応じまして
流通政策をやっていきたい。現在、これだという決め手が、大体決められるものもございますが、まだ流動的なものもございますので、常に情勢の
変化に応じまして対応をいたしていきたいというふうに思っておるわけでございます。
概要を御報告させていただきました。