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1984-05-18 第101回国会 衆議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十八日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       粕谷  茂君    岸田 文武君       辻  英雄君    仲村 正治君       原田昇左右君    深谷 隆司君       古屋  亨君    松田 九郎君       後藤  茂君    浜西 鉄雄君       横江 金夫君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    木内 良明君       中川 嘉美君    日笠 勝之君       福岡 康夫君    横手 文雄君       小沢 和秋君    野間 友一君  出席政府委員        通商産業大臣官        房審議官     山田 勝久君        通商産業省基礎        産業局長     野々内 隆君        通商産業省生活        産業局長     黒田  真君        資源エネルギー        庁長官      豊島  格君        中小企業庁長官  中澤 忠義君  委員外出席者        運輸省自動車局        業務部貨物課長  浅見 喜紀君        商工委員会調査        室長       朴木  正君     ――――――――――――― 委員の異動 五月十八日  辞任         補欠選任   高村 正彦君     松田 九郎君   深谷 隆司君     山中 貞則君 同日  辞任         補欠選任   松田 九郎君     高村 正彦君     ――――――――――――― 五月十八日  官公需についての中小企業者受注確保に関  する法律の一部を改正する法律案小沢和秋君  外一名提出衆法第三一号)  下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法  律案小沢和秋君外一名提出衆法第三二号)  大企業者等小売業事業活動の規制に関する  法律案小沢和秋君外一名提出衆法第三三号  ) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 五月十四日  官公需についての中小企業者受注確保に関  する法律の改正に関する陳情書  (第二七一号)  中小企業に対する融資と助成の強化拡充に関す  る陳情書  (第二七二号)  ソフトウェア保護制度の確立に関する陳情書  (第二七三号)  ワールドファッションフェアの開催及びファッ  ションコミュニティセンターの建設に関する陳  情書  (第二七四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ――――◇―――――
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。木内良明君。
  3. 木内良明

    木内委員 現在、我が国は世界第二位のダイヤモンド消費国ということになっておりまして、他方一部に、ダイヤモンド神話というものが崩壊しつつある、こういったことも言われているわけでありますけれども、現実にはダイヤ財産性というものは高いものになっているわけであります。申し上げたこの財産性ということから、また今後における蓄財の対象としての消費傾向はさらに増大するであろうと私は考えるわけであります。したがって、消費者における資産価値の保全が今後さらに必要であり、消費者保護という観点からが一つ、それから、さらには健全な業者保護育成という観点からも、行政における具体的対応の充実が行われなければならない、こう思うわけであります。  諸点についてきょうは質疑を行うわけでありますけれども、初めに、我が国ダイヤ輸入状況がどうなっているか、この点まずお聞きするわけです。  輸入国別実績を示していただくとともに、国別ダイヤ大粒小粒を初めとして、研磨グレード等の諸傾向というものが出てきているわけでありまして、この点について、初めにどう掌握されているか、お聞きします。
  4. 黒田真

    黒田政府委員 お答えいたします。  ダイヤモンドはすべて輸入により賄われておりますが、その輸入原石及び研磨をいたしましたカットダイヤモンド、製品という二つの形がございます。しかし、実際には原石輸入というのは全体の一%程度でございますので、大部分がカットされたダイヤモンドというふうにお考えいただいてよろしいかと思います。  通関統計をチェックいたしますと、ダイヤモンド輸入実績というものはここ数年、数量ベースでは増加しつつございます。しかし、金額でこれを見ますと、実は余りふえていないということでございます。  五十八年の数字を申し上げますと、全体では、数量で九十二万カラット、金額では千二百四十七億円ということでございまして、国別にはイスラエル、ベルギー、インドからそれぞれ三百億円強、アメリカから百七十六億円、ソ連から三十六億円というようなところが主要な輸入ソースでございます。  先ほど申しましたように、数量はふえているが金額は横ばいだということは、とりもなおさず平均価格が下がるということでございまして、内容をチェックいたしてみますと、最近の傾向といたしまして、アメリカ等からの大粒高級品輸入というものはむしろほとんどふえていない状況でございまして、むしろインドあたりからの非常に小粒で単価の比較的低いものというのが増加をしておるということが大変特徴的でございます。この辺は、国内需要状況を反映したものだというふうに考えられるわけでございます。
  5. 木内良明

    木内委員 今御説明いただいたわけでありますけれども、これまでの輸入状況の推移から見まして、このダイヤ輸入増加傾向についてどういう見通しを今後において持っておられるか、お聞きします。  今も、インド産のダイヤ小粒傾向の増大ということが答弁ありましたけれども国内需要増加要因としてダイヤ大衆化が挙げられるわけであります。例えば、今、若い人たちが結婚をするときに、ダイヤ指輪を贈る割合というのが実は全体の七割に及んでいるわけであります。しかも、ダイヤ宝飾品需要の約三割が婚約指輪、こういう大変な普及実態があるわけですね。こうした社会的背景といいますか、状況を勘案されて、今後の国内需要増加傾向をどう見ておられるか、御答弁願います。
  6. 黒田真

    黒田政府委員 ただいま御指摘のように、非常に小さな粒のものが最近ふえているということがございます。本来、資産価値のあるというふうに言われますものは、相当大粒のものというものが非常に高い価格がつけられておるわけでございますが、小粒のものは、どちらかといいますと非常に装飾品としてファッション性の高いものとして使われているというようなことが言えようかと思うわけでございます。  御指摘ございましたように、婚約指輪というものも、〇・二カラットから〇・三カラット程度というような比較的小粒のものが婚約指輪として利用されているようでございまして、御指摘ございましたように、ダイヤモンド宝飾品販売の中で三割近いものが婚約指輪というものによって占められている、そして、その比率は逐年高まっているというような傾向がございます。  さらに、最近は、〇・一カラット以下のものをファッション的な指輪でありますとかネックレスでございますとか、いろいろファッション高級化といいましょうか、高度化するにつれて、そういったアクセサリーとして利用されるということがございまして、そういう意味から、ダイヤ小粒ダイヤを中心として非常に大衆化し、国民にとって非常に身近な商品になってきているということが一般的な傾向として言えようかと思っております。したがいまして、今後の見通してございますが、非常にこの傾向は急激にあるいは非常に大きく変化をするということもとりあえず見当たりませんので、今までのような状況が今後もなお継続するのではないだろうか、かように考えておるところでございます。
  7. 木内良明

    木内委員 各国別ダイヤ傾向という点について話を申し上げたわけですけれども資産価値としては比較的低いと言われる極めて小粒のものをちりばめたり、装飾品として購入する際に、商品知識がないために、実は換金ルートに乗せたりするときにその実態を初めて知るというような消費者ケースも非常にあるわけでありまして、こうした点については後ほど触れるわけでありますけれども苦情実態についてここでお聞きします。  実は五十五年の三月でありますけれども、私は当委員会におきまして、当時の佐々木通産大臣とこの問題について質疑行いました。その後の傾向ということについても、後ほど触れるわけでありますけれども、当時相当ダイヤをめぐるトラブル苦情等があったわけでありますが、今日に至って相当数これが減っているという事実は確かにございますけれども、今なおトラブルあるいは新たなケースというようなものが引き続いて出てきているわけであります。  そこで、消費者からのダイヤに関するトラブル苦情等実態について聞くわけでありますけれども、まず、この苦情を吸い上げる機関ですけれども、聞くところによりますと、通産省消費者相談室ですか、あるいは地方通産局等でも相当、全体として数千件のトラブルを受けた中で、わずか一けたというようなことも聞いております。しかし、私ども調査では、東京都の消費者センターというところがございますけれども、ここに寄せられた苦情相談というのは、昨年までの二年間に限って言えば、主なものだけでも実は二十八件に上っているわけでありまして、この数字は全体のごく一部というふうに考えられるわけであります。  特に、この苦情内容というものを類別してみますと、一つ鑑別鑑定に関する問題、さらに販売に関する問題、三番目としては価格品質に関するものに分けられるわけであります。この辺についても、通産省の掌握と我々の認識というものがちょっと違うのじゃないかというふうに受けとめざるを得ないわけであります。この点、どうでしょう。
  8. 黒田真

    黒田政府委員 最初に、通産省としての消費者からの苦情の吸い上げという点について申し上げますと、御指摘ございましたように、本省及び各地方通産局消費者相談室というものを設けておりまして、いろいろな苦情相談問い合わせというものに対応しているところでございます。  最近の数字は、実は五十七年しかまとまっておらないのでございますが、全体で六千四百三十八件というものが私どもにいろいろな形で寄せられているということでございますが、この中で、ダイヤモンドに限りませず、宝石貴金属関係というカテゴリーを設けますと、実は十九件ということで、それほど大きな数字ではございませんし、さらに、その十九件の中身を見ますと、十四件が、解約したいが解約できないじゃないかといったような、あるいは委託販売に関連するような、先生の御分類で申しますと販売方法に関するものでございまして、五件が価格なり品質に関するものだというふうに承知しております。ただ、この中には、実はダイヤモンドというものについて提起されたものは、五十七年についてはなかったということのようでございます。  ただ、五十八年につきまして、全体の数字を申し上げるだけまだまとめておりませんが、三件ほどダイヤモンド鑑定価格というものについての苦情といいますか、問い合わせが来ているということでございます。これを具体的に見てみますと、どうも相当割引されたということで買ったのだけれども、人に見せたら、市価の標準よりは相当高いというような、なかなかうまい話はないぞというようなことを考えさせられるようなケースだったように思います。  それから、先生指摘のように、確かに東京都が消費者からのいろいろな苦情について、おるいは相談について引き受けられました中に、非常に鑑定に関するものが多いということも確かにあるということは承知しております。この辺は、どういうことでございましょうか、この鑑定も、だれかしかるべき公正な鑑定者を紹介してほしいというような形の問い合わせが多かったようにも思いますし、役所性格上、消費者方々のアプローチの考え方といいましょうか、態度の差が、あるいはこういう形であらわれたのではないかというふうにも考えられるわけでございます。
  9. 木内良明

    木内委員 今答弁ありましたように、消費者苦情の中で極めて件数の多いのが実は鑑定に関するものでありまして、先ほど申し上げたように、東京都の消費者センターで受け付けた苦情相談の五割以上を占めるのが、実は鑑定機関を紹介してほしいというものを初めとして、鑑定鑑別に関するものなのですね。今も局長の方から答弁がありましたけれども、そういうケースが実は今頻発しているわけでありまして、同じダイヤを複数の鑑定機関に依頼してみると、それぞれ違う判定が下される、また、同じ鑑定機関に依頼しても、その同じ鑑定機関の中の違う鑑定人によって鑑定されますと、またそこでも違う判定が行われるというように、極めてまちまちなわけであります。  一説には、鑑定機関というものが二百ないしは三百、任意団体としてあるというふうにも言われているわけでありますけれども消費者サイドからこういう実態を見るとき、極めて問題である、こういうふうに考えられるわけであります。そこで、我が国ダイヤ鑑定方式がどうなっているのか、鑑定人の組織、人員の実態について答弁願いたいと思います。
  10. 黒田真

    黒田政府委員 実は、御指摘のように鑑定機関が非常に乱立しているという状況にあるようでございまして、私どもも、率直に申し上げまして正確な実態の把握ということはできておりません。ただ、私どもとしては、百社ぐらい、そういう鑑定機関という看板をかけておられる方がいるのではないだろうかというふうに考えております。そしてまた各社まちまちでございまして、大きなところでは十人以上の鑑定人が所属しているというようなものもあるようでございますし、あるいは二、三人といったような非常に小規模なものもあるということのようでございます。  鑑定人がどういう成り立ちであるかということでございますけれども、それぞれの鑑定機関がそれぞれの鑑定についていろいろな勉強、研修をしているようでございますが、一番多数を占めておりますのがアメリカGIA宝石に関する機関研修を経た免状の持ち主というものが一番多いというふうに聞いております。このほかにはヨーロッパ系統、例えばイギリス等で勉強してその免状を持っているという人も一部あるようには聞いております。  このように、鑑定方式自身、国際的にも必ずしも統一されておりませんし、また日本の場合にも、個別の会社独自性を発揮して鑑定をするというような人もあらわれているというようなことでございますので、御指摘がございましたように、なかなか客観的な鑑定が行われているかということになりますと、いささか疑念の余地なしとしないように考えるわけでございます。
  11. 木内良明

    木内委員 鑑定のあり方について率直な見解を述べていただいたわけでありますけれども国内の今後の鑑定に関するコンセンサスづくりは後に触れるとしまして、国際的な鑑定方式傾向というものについてお聞きします。  今お話にありましたように、世界的な鑑定方式として、CIBJO方式あるいは英国方式スカンジナビア方式GIA、いろいろとあるわけであります。いわゆるカラット、カットカラー、クラリティー、四Cといった基本的な基準の扱い方、あるいは理想カット基準に五段階に区分したり、さらにまたカラーについて、無色透明から黄色がかったものまでの十二段階方式に分類するものなど、いろいろその手法というものはあるわけでありますけれども、世界的な傾向はどんなぐあいでしょうか。さらに、これが収れんされ、今一本化の方向に向かうような傾向にあるのかどうか、簡単に答えてもらいたい。
  12. 黒田真

    黒田政府委員 ただいま御指摘ございましたように、アメリカGIA方式のほか、ヨーロッパには英国方式ドイツ方式スカンジナビア方式等々、いろいろな方式があるようでございます。しかし、その普及程度ということになりますと、やはり一番大きなアメリカ・マーケットを控えましたアメリカ方式というものが比較的広がりを持っているということが一方にあるようでございます。他方ヨーロッパ方式、いろいろございましたが、伝統もあるということでございまして、彼らは最近体制を立て直すべく、CIBJO国際貴金属宝飾品連盟というようなものを組織いたしまして、その鑑定方式、各種ございますが、その間のいわば相互にリンクをする、GIA方式での鑑定CIBJO方式においても対応するものができるような、そういう対応関係を何かつくり出そうというようなことでマスターズトーンを用意するなど、各方式間の接点を求めるような国際的な動きがあるというふうに承知しておりまして、我が国の場合も、そういったCIBJO日本機関というようなものが既に設立をされて、そういった方向での国際活動に参加し、また努力をしているということだと理解しております。
  13. 木内良明

    木内委員 そこで、国内の問題になりますけれども、申し上げましたように、五十五年の当委員会における質疑の中で私はある提案を申し上げたわけであります。当時の会議録でこれを実は振り返ってみたいのですけれども、   今後の健全な宝石業界発展あるいはまた健全な業者のそうした誠意ある商売のやり方というのを守るためにも、やはり鑑定基準というものを設定するような方向政府考え方を改める必要があるのではないか。また、あえて申し上げれば、業界の中からそういうコンセンサスづくりが行われるような取り組み方が必要ではないかというふうに思うのです。 また、これは消費者の立場を保護する意味からも極めて重要なことである、こういうことを申し上げたところ、当時、佐々木通産大臣が、   お話しのように、消費者保護をしたりトラフルを除去するためには、鑑定基準についてのコンセンサスの形成が一番重要なことだと思います。業界内のルールづくり等によりまして、関係業界学識経験者等意見も十分聞きながら、前向きに対処してまいりたいというふうに考えます。 前向きに対処していくとはどういうことかということを確認しましたら、   いまの鑑定基準をつくるのが一番いいわけですね。 こういう答弁がありました。これが五十五年のことであります。  その後、今日に至も経過の中で通産省はそれなりに業界に呼びかけを行って、この私の提案に対してコンセンサスづくりの具体的な作業に入られた、こういうふうにも聞いているわけでありますけれども、その内容はどんなものでしょうか。
  14. 黒田真

    黒田政府委員 昭和五十五年三月に、ただいま先生指摘のような御質問、御意見がございました。私どもといたしましても、理想的な姿としては、そういった鑑定基準というようなものについてのコンセンサスがつくられることであるというふうな認識を持ったわけでございます。しかしながら、まさにそういうことが必要であるということは、裏返して申しますと、実態が極めて混沌としているということでもございまして、なかなか、役所が先頭に立って入ってまいりまして旗を振ればまとまるというような状況にも必ずしもないというようなことで、私どもとしても、やや間接的ではございますけれども、そういった業界コンセンサスへ向けての動きを側面から指導支援をする、こういうことにとどまってきているわけでございます。  ただ、先生の御質問等一つの当時のある問題意識の極めて端的な御表明だったと思いますし、そういうものも契機になりまして、業界の方でもこれではいけないということで、消費者問題、要するにせっかく確立されたダイヤモンドに対する非常な信用というものが、鑑定混乱等々あるいは値段の問題も当時はあったようでございますが、非常に混乱してくるということは業界発展のためにも好ましくないということで、少なくとも鑑定については共通の問題を協議する場を設けようということで、実は五十六年五月に宝石鑑別団体協議会というようなものが鑑定者のグループによって設けられて、いろいろ作業をしている。あるいは先ほどのCIBJO日本の支部というようなものの設立、その後の活動というようなものもそういった問題意識の上に立って進められているということだと考えております。私どもはそういった動きに対して、やや側面的ではございますが、支援を行っている、こういうことでございます。
  15. 木内良明

    木内委員 間接的ではあるけれども、側面的に指導支援されて、今日まで通産省としても二足の御努力をされて、私の提案に対して具体的な対応が行われていることについて評価をさせていただくものでございます。  そこで、ただいまのこの宝鑑協でございますけれども宝鑑協については関係者方々の大変な御努力が今行われているわけでございまして、所期の目的に向かっての作業が進められている現状だと思います。しかし、今も局長の方からいろいろ答弁ありましたように、今後クリアしていかなくてはならない課題というものが実は相当にあるわけなんですね。そこで宝鑑協性格づけ、活動状況等でございますけれども提出していただいた資料によりますと、「協会の中に四つの委員会を設け鑑定書記載事項統一用語統一等を実施しており、また、消費者苦情相談案件情報を収集し提供する等の事業行い消費者信用確保努力している。」こういう資料を実はいただいているわけでございます。  そこで宝石鑑別団体協議会宝鑑協開催頻度あるいは、先ほど通産省は、間接的ではあるけれども側面的な指導支援を行っておられるというお話がございましたが、この通産省との連絡というのはどんなぐあいになっておりますか、あるいは掌握しておられなければまた次の機会に譲りますけれども、お伺いします。
  16. 黒田真

    黒田政府委員 宝石鑑別団体協議会という任意団体でございますが、宝石鑑別鑑定を行っている会社が二十九社集まってつくっております。その二十九社に属する鑑定技術者は約百八十名いるということで、先生今おっしゃられましたように、協会の中にダイヤモンド委員会色石委員会広報委員会総務委員会というようなものを置いて、鑑別鑑定書記載事項統一用語統一情報交換消費者相談というようなことを行っているわけでございます。  これらの委員会活動状況でございますが、それぞれの委員会は二月に一回開催をするということを原則としているようでございまして、さらに全体会合としての合同委員会というものも年に三回開催するということで、この種の団体としてはなかなか活発に活動をしている団体というふうに承知いたしております。私どもも、これらの活動状況については必要に応じて聴取をしているということでございます。
  17. 木内良明

    木内委員 またあわせて、このいわゆる宝鑑協活動状況の中にこういうところがある。「消費者苦情相談案件情報を収集し提供する等の事業行い」というのがあるのですけれども、これは実は大変なお仕事だと思うのです。先ほど申し上げましたけれども東京都の消費者センターにおける苦情相談は、窓口に相談される方の苦情の五割以上というものが、しかるべき鑑定鑑別機関を紹介願えないか、実はこういう申し出というものが相当あるわけなんです。ところが、消費者センター性格からしましても、あるいはただいまの鑑定方式実態からしましても、ここなら間違いありませんよというようなことは、今のシステムとしましては言えないわけなんです。ただ、ごくごくプライベートな形なのか、あるいは現場のニュアンスはわかりませんけれども、例えばこういうところがあります、比較的評判もよろしいようですというような、何か奥歯に物が挟まったような紹介しかできない、紹介と言っていいかどうかわかりませんけれども、示唆することしかできないというのが実態なんです。  そこで、今申し上げたように、この宝鑑協にこういう機能といいますか、性格が付されているというふうな報告の資料をもらっているわけなんですけれども、これは今後窓口である消費者センターあたりからの相談の引き受けをしたり鑑定の助言を行う等の機能を考えていいんでしょうか。また、これは後ほどいろいろと具体的な問題がございますので、そのときに時間があれば触れたいと思います。  次に、申し上げたように、この鑑定のあり方というのは今大変にばらばらでございまして、相当主観が入ったり、あるいは同じ鑑定機関の人によっても評価、判定というものは違ってくるというようなばらつきがあるわけなんですけれども、実は私どもの調べでは、ごくごくシビアに科学的な鑑定方法が機械によって行われ得るという資料があるのです。  例えば天然か合石かを識別する蛍光エックス線分析装置、天然か合石が、天然でも処理を加えていないかどうかを見分ける軟エックス線透視鑑別機、さらにダイヤ鑑定で評価がばらばらになりやすいカラーとクラリティーを数値で出せる分光光度計、あるいは宝石の断層写真まで撮影するレーザートホグラフや赤外トホグラフといったものも実は考えられている。いろいろなこういう科学的な分析、吟味のできる技術というものがあるんですけれども、実は鑑定機関が、それぞれの財政的基盤であるとかそうした事情等もございまして、物によっては相当高価なものもあるわけで、これをなかなか導入し切れないというのが実態なんです。  しかし、申し上げてまいりましたような我が国鑑定のあり方がまちまち、ばらばらであるという実態を考えると、こうしたものも一つ検討の材料にこれを導入するかどうか、いかに利用するかというようなことも、あるいはしかるべき鑑定機関等あるいは団体等がこうしたものに対する研究を行うようなことも検討されてよいのではないか。これについては明確な御答弁は結構ですけれども、検討されるかどうかということだけ簡単にお答え願えませんか。
  18. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のように、ダイヤモンドというものは幾つかの基準、特に四つのCというようなものがその評価の基準になるというふうに言われておりますが、しからば、そういったものがすべて客観的な形で出得るものかということになりますと、まことに問題でございまして、相当主観的な要素が入ってくることは否定できないと思います。しかし、すべてが主観的だというわけではございませんでして、御指摘がありましたような幾つかの要素については、検査機器等の近代的な装置を駆使いたしますならば、客観的に表示可能な要素もまた数少なくあるわけでございまして、私は当然、最近のいろいろな計測機器の進歩等を反映いたしまして、鑑定に当たってもそういうものが利用されるということは基本的に見て好もしい傾向だろうと思います。  そして、そういうものを使った鑑定というものが世間的に客観性を持ち、評価をされるという形で、すぐれた鑑定人たち信用が増すという格好で、余り信用がおけないようなと言うと言い過ぎかもしれませんが、信用度の低い人たちが淘汰されるというような進展が実は一番好もしいものではないかというふうに考えます。
  19. 木内良明

    木内委員 次に人工石の問題ですけれども消費者にとって極めて紛らわしいという意見苦情が多いのが人工石あるいは人造石における呼称の問題なんです。人工宝石とか人造宝石という言葉が使われているわけでありますけれども、実は天然石ではないわけであります。  時間の関係で詳述は避けるわけでありますけれども消費者宝石という話感、言葉の持つ響き、これによって著しく混同することがあるわけでありまして、高価な買い物をして、たまたまこれを換金ルート、例えば質屋さんなんかに持っていきます。何十万あるいは百万、二百万単位というものを持っていくわけです。現実にお金を出しているわけですから。ところが質屋さんでも換金ルートへ持って行きますと、これは実は天然石じゃありませんよ、資産価値ゼロですよと言われることがあるんです。  これはセールストーク等の販売現場の問題もあるんでしょうけれども、この対策が十分に講ぜられなくてはいけない。いわゆる人工石における呼称の問題については、例えば合成エメラルドであるとか人造ルビーであるとかはっきりと明示をするなり、あるいはその成分表示というものが必要だと思われるのです。この点についての検討を当然されておられると思いますけれども答弁願いたいと思います。
  20. 黒田真

    黒田政府委員 科学技術の進展によりまして、高温である物を溶かしてもう一遍固めることによりまして天然宝石と同一成分、同一結晶を持つような人造石がつくり出されているということがございます。そして、それらは合成宝石というふうな形で消費者に、特に値段が天然のものに比べて割安であるというようなことから需要が成立をしていると思います。  ここでの問題は、御指摘のように、そこで天然のものと人造のものが誤認、混同されるような表示がなされるということだろうと考えられるわけでございまして、私どもといたしましては、消費者保護観点から業界が秩序立った対応を行うということを希望するものでございます。そして、もし虚偽表示というような非常に悪質なケースが起こりました場合には、当然のことながら関係当局と協力をして景表法の厳正な運用により対処すべきだ、かように考えております。
  21. 木内良明

    木内委員 業界の秩序立った対応を考えておられるということでございますので、これは今局長も言われましたように、消費者保護という観点からぜひとも前向きに取り組んでいただきたい、このことを要望したいんです。一言だけお答え願いたい。
  22. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のラインに沿って検討し、かつ実現するようにしてみたいと思っております。
  23. 木内良明

    木内委員 私の時間が参りました。あくまでもまだまだ商品知識のない消費者が多いわけでございまして、ぜひとも資産の保全という問題からも、あるいは正常な、本来あるべき宝石の流通というものが行われるように、今後具体的な諸問題についての検討をお願いしたいし、また、消費者に対する知識の啓蒙等についてもお願いしたい。あわせて、これまで業界を支えてこられました健全な業者の方もおられるわけでありまして、そうした方々の経営の安定、さらにまた、業界発展を願う上からも諸問題の解決方を要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
  24. 梶山静六

    梶山委員長 次に、中川嘉美君。
  25. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 私は、製品輸入の急増に直面する素材産業に関連をして、きょうは若干伺ってみたいと思います。  国際収支が大幅に黒字と言われながら、我が国輸入は昨年来大幅にふえてきているわけでありまして、ドルベースで見ても数量ベースで見てもそうでありますけれども、特に数量ベースで見ますと、五十五年度以降前年比マイナスを続けていたものが五十八年にはプラスに転じてきている。特に昨年九月以降は、季調値でありますけれども、本年一月を除いて前年比二けたの伸びになってきているわけであります。こうした輸入の伸び、これは国際収支の大幅な黒字で、摩擦に悩んでいる我が国にとってはむしろ好ましいことかと思いますけれども、製品原材料というか、あるいは素材製品といいますか、そういったものが大変ふえてきているわけであります。通産省として、こういった傾向をどのように見ておられるのか、お答えをいただきたいと思います。
  26. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘のように、素材関係の輸入が最近増大傾向にございます。     〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕 ただ、これはそれぞれの製品によりましてかなり事情が異なっておりますので、それぞれのものについてポイントを申し上げるという方法もございますが、ちょっと時間がかかるかもしれませんが、私どもは、素材製品につきましては、昨年成立いたしました産構法に基づきまして構造改善を実施するということを現在いたしておりますが、これは輸入は制限をしないという前提のもとでいたしておりますので、そういう輸入がふえても困らないようにという形で現在構造改善を進めております。  しかし、御指摘のように、素材の輸入がふえるということによってかなり影響の出てくるものがございます。例えば、最近非常に輸入がふえましたのはアルミの地金でございますが、これは昭和五十四年度以降非常にふえておりまして、五十八年度では前年度比で百二十八万トン程度ふえております。既に輸入比率が八〇%に達しているということでございます。この原因は、御承知のように、アルミ製錬は電力を非常に消費いたしますので電力コストの差ということが大きいかと思っておりますが、そのために、昭和六十年度に国内の製錬設備七十万トンということを考えて合理化をいたしてまいりましたが、実態国内の生産がかなり落ち込んでおりますので、改めて将来のアルミ産業のあり方というものを勉強する必要があるというふうに考えております。  そういうふうに、輸入増加というものが一部では国内の産業のあり方に大きな影響を与えておりますし、また他のものはそれを乗り越えて国内の合理化を進めている、産業によりましてまちまちであるというふうにお答えせざるを得ないかと考えております。
  27. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 今回の輸入増大は、もちろん我が国を初め世界の経済が活性化してきた、そのためであることも事実でありますけれども、非常に特徴的である、こう思えるのが先ほど指摘したところの製品原材料というか素材製品、こういったものの輸入が急増しているということもこれは事実です。主要な素材、例えばナフサとかただいま御答弁いただいたところのアルミ地金、フェロシリコン、エチレングリコール、綿糸、普通鋼鋼材、段ボール原紙、板ガラス、こういったものの輸入比率が非常に高まっていると思いますけれども、これらの最近の輸入比率は過去に比べてどのように変化しているのか、こういった製品をめぐって御答弁いただければと思います。
  28. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘の品目のうち、基礎産業局系統のものについて御説明をさせていただこうと思います。  ナフサにつきましては五十四年度に輸入比率が二八%でございましたが、これが五十七年四月以降実質的に輸入が自由になってきたという制度上の原因もございまして、五十八年度には輸入比率が五九%、大体六割が輸入依存ということになっております。  それからアルミ地金につきましては、先ほど申し上げましたように、電力コストの差ということが原因で現在では八割ぐらいが輸入の品物になっております。  それからフェロシリコンにつきましては、五十四年度に輸入比率が二七%でございましたが、五十八年度ではこれが六七%というふうに輸入が非常にふえております。これも、フェロシリコンの場合も電力の需要量が非常に多うございますので、電力料金の差ということが原因でございますし、他方、世界的な需要の低迷ということで安値の輸出が行われております。これにつきましては、不公正な輸入があるということで、フェロシリコン業界から不公正輸入に関して政府に対して申し入れがございます。  それからエチレングリコールでございますが、これは五十四年は一二%という輸入比率でございましたが、五十八年には三二%というふうにふえております。これは天然ガスを原料にいたしますアメリカ、カナダあたりは日本に比べまして原価が安うございますので、このあたりが原因ではないかというふうに考えております。  それから普通鋼鋼材でございますが、これは最近急激にふえておりまして、例えば厚板あたりでございますと、前年度に比較いたしまして八〇%というふうにふえております。これは主として韓国、台湾、ブラジルというような中進国の鉄綱業が最近発達をいたしてまいりまして、鋼材といたしましてはどちらかといえば安い部類に入ります厚板というようなホットコイル、そういうようなところに競争力がついてきたという事情で日本国内需要がふえております。比率は、普通鋼鋼材では五十八年に六%でございますが、これは五十四年では一・三%でございましたので、かなりの増加という形になっております。  御指摘の中の基礎産業関係だけについて御報告申し上げました。
  29. 黒田真

    黒田政府委員 生活産業局で所掌しております品目につきまして最近の状況を御報告させていただきます。  最初に綿糸でございますが、これは五十七年、五十八年は日本の見かけ内需の二割程度のものが輸入をされるという相当高水準の輸入状況でございますが、ことしに入りましてからさらにその水準が高まりまして、一月は三〇%を超えるような高水準になってきているということで、このような高水準の輸入が続くということになりますと、当面非常な混乱が起こっているということではございませんけれども、もしこういう高水準が続くということだと反動安というものが起こるのではないかというような懸念も表明されております。  綿織物につきましては、ここ二、三年、大体内需の一四、五%というものが輸入の水準でございます。これも、ことしになりましてから輸入相当な勢いでふえておりまして、一月が一七・七、二月が二二・六、三月が二二・八というような、それぞれ内需に対する輸入の比率でございますが、非常な高水準ということでございます。私どもといたしましては、輸出国、この場合は主として中国でございますが、余り急激な先方からの輸出の増加によって国内市場の混乱を起こすことのないようにというような点について注意を喚起したい、かように考えているわけでございます。  段ボール原紙は大体内需の五%程度のものが輸入により賄われているということでございまして、今年特に増加しているということはございませんが、基本的なコスト競争力というようなものにつきまして北米の力が非常に強いということがございますので、長期的には今後輸入が増大するのではないかという懸念があることは事実でございます。  板ガラスの輸入は水準が極めて低くございまして、五十八年は相当ふえたといいましても内需の一・三%程度でございまして、今年に入りましてからの状況も大体同じようなレベルということでございます。
  30. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 今の八品目のほかに、パルプとかセメント、銅地金、合成ゴムなど、こういった輸入もこれまた急増しているわけですけれども、これらについても最近の輸入比率がどうなっているか、あわせて伺っておきたいと思います。
  31. 黒田真

    黒田政府委員 セメントでございますが、セメントの輸入水準というものは極めて少量でございまして、コンマ以下ということでございます。そういう低いレベルで最近やや輸入動きがあるというようなことは聞いております。ただ、水準としてはコンマ以下の低い水準でございます。  パルプにつきましては、大体二割弱というところが内需に対する輸入比率でございまして、内需に対する輸入比率の顕著な変化が起こっているということはございません。じりじりと上がってきてはおりますが、特に急激な変化があるというふうには見受けられないわけでございます。
  32. 野々内隆

    ○野々内政府委員 合成ゴムにつきましては、最近輸入が比較的落ちついておりまして、大体年間五万トンか六万トン程度というような状態で、特に急増しているというような状態はございません。
  33. 豊島格

    ○豊島政府委員 銅地金について申し上げますと、最近の輸入状況は、五十四年度が三十一万トンでピークでございまして、このときはたしか一九%の輸入比率であったと思いますが、五十七年二十八万トン、五十八年二十七万トンということで、そう大きな変化はございません。ただ、本年に入りましてから、銅地金の輸入は非常にふえる傾向にございまして、ことしは、五十九年度は四十万トン近くになるんじゃないか、こういう感じがいたすわけでございます。  ただ、その原因は、海外の銅鉱石の手当てが非常に困難である。したがって、鉱石で輸入して地金にするというのだけに頼れないので、地金を輸入せざるを得ないということでございまして、この原因は、世界経済が停滞して、銅山が一部休止するというようなことで、鉱石の供給が減っておる、こういうことでございますので、必ずしも地金の日本における国際競争力がなくなったから、こういうことではないということでございます。
  34. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 先ほど御答弁いただいたとおり、ナフサとかアルミ地金、フェロシリコン、こういったものの輸入比率は非常に高い。需要の大半が輸入品によって占められていると言っても過言ではないと思うわけですが、合繊原料であるところのエチレングリコールの輸入比率、これは五十三年に五%程度だったものが、五十八年には三〇%を超えている。板ガラスの輸入も年率四、五割の勢いで急増しております。高級な磨きガラスの輸入が非常に目立ってきている。また、鉄鋼もそうですけれども、これも最近では高級鋼材、特に冷延の薄板の輸入等がやはりふえてきている。  このように素材製品の輸入が急増している原因、先ほど製品によって差があるというようなお話がありましたけれども、全体をカバーするところの原因について、通産省としてはどう見ておられるのか、どういったことが主な原因なのか、お答えをいただきたいと思います。     〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
  35. 野々内隆

    ○野々内政府委員 やはり基本的には価格の問題になるわけでございますが、非常に大きいのは、石油ショック以降の原料の値段が非常に上がってきた。例えばアルミとかフェロシリコン、こういうものは日本の電力料金が上がってきたというようなことが原因でございますし、それからエチレングリコールですと、これももとは石油でございますので、アメリカとかカナダの非常に安い天然ガスに比べて、日本の原料である石油が高いというような原因があると思いますが、そのあたり、石油ショック以降の原燃料のコスト差というものが非常に大きくあらわれているということを言えるかと思います。  それからもう一つは、中進国におきまして工業が発達をしてきたということが言えるかと思います。これは特に、韓国、台湾、ブラジル、あるいは東欧圏ではルーマニア、それからシンガポールというような中進国において工業が発達をしたということから、どちらかというと低級品におきまして競争力が衰えてきて、日本としては、構造改善その他によりまして、より高度の製品へ移行していくという努力が必要かと思いますが、そういうふうに中進工業国における工業の発展、このあたりが一般的にいった原因ではないかというふうに考えております。
  36. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 今の御答弁で、日本の側の電力が上がったとか、あるいは中進国の工業が発達したとか、いろいろありましたけれども、まだまだいろいろな要素が考えられるのじゃないかと思うのですね。例えば台湾とか韓国あたりの人件費の問題、いろいろな要素をもっともっとここで原因として考えていかなければならないのじゃないか。またそのほかには、こういった素材製品の輸入が急増した原因のもう一つの理由といいますか、これはやはり最近輸入品の品質が非常に向上してきている。そういったことも通産省としては、当然今の御答弁の中に入ってこなければいかぬと思うのですね。  昨年、五年間の時限立法であった特定不況産業安定臨時措置法、特交法を改正して、新たに名称も特定産業構造改善臨時措置法、産構法として、素材を中心とする不況産業に対する特別措置を五年間延長した。そして今、輸入が急増している素材をつくっているアルミ製造業とか、あるいは化学繊維製造業とか合金鉄製造業、洋紙製造業あるいは板紙製造業、石油化学工業など、こういったいろいろな業種がありますけれども、特定産業としてこの産構法第二条で指定されているわけでありますが、これらの産業の構造改善を進めて、そして国際競争力というものを持たせるというのが産構法のねらいじゃないだろうか。ナフサ、アルミ、フェロシリコンなどの業界においては、先ほども指摘したとおり輸入比率が八〇%を超えるものも出てきている。稼働率が低稼働率ですね。こういったものが恒常化し、また国内生産が休止に追い込まれる、このようにも聞いているわけですけれども、これら特定産業の構造改善事業はどのようになっているのか、概要で結構ですから伺っておきたいと思います。
  37. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 先生指摘の産構法、特定産業構造改善臨時措置法でございますけれども、これは昨年五月に施行されまして、現在二十二業種が同法の特定産業として指定されております。先般来御議論のように、エネルギーあるいは原材料コストが上がりまして、このために輸入が急増する、あるいは過剰設備が発生する、そしてまた収益が悪化するということがございましたものですから、こういった基礎素材産業を中心といたしまして、法律の対象業種として指定したわけでございます。  現在、このような産業がこの法律のもとで、それぞれ抱えております構造的な問題を克服すべく、一に過剰設備の処理、二に生産の共同化あるいは事業提携、そして三番目に活性化設備投資あるいは技術開発というものを促進して、それぞれ構造改善に努めているというのが現状でございます。もちろん、ちょうど一年たったところでございますし、その間順次指定しておりますから、業種によって進んでいるところもあれば、まだ途上にあるところもございますけれども、まず簡単に御説明をいたしたいと思います。  第一番目の過剰設備の処理一これにつきましては、構造改善基本計画というものによって定められた処理目標というものがございます。この達成に向けて現在努力をしているところでございます。例えばアルミ製錬につきましては、その目標額を一〇〇%現在達成しておりますし、まだこれからというフェロシリコンのようなものもございますが、総じて三割前後の達成率で現在おるところでございます。まず業種別に着実に進められておると私ども考えております。  それから第二番目の事業提携でございますけれども、ポリオレフィン製造業におきましては、四つの共販会社設立いたしました。また、エチレン製造業でございますが、共回生産会社への生産集中、それから塩化ビニール樹脂製造業におきましては、やはり四つの共販会社を核といたしまして、生産、流通面における合理化を行っているわけでございます。この事業提携につきましては、二十二業種中七業種、十五件というものについて承認が行われておるわけでございます。  それから、第三番目に御指摘申し上げました技術開発あるいは活性化投資ということにつきましても、例えばアルミの溶鉱炉法というエネルギーを節約する一つの方法でございますけれども、この技術開発が推進されておりまして、通産省からの予算補助ということも一部行われているわけでございます。  以上のような各業種それぞれ構造改善基本計画というものを決めて、その目標に向かいまして行われていもところでございます。なお目標年度は昭和六十三年六月末、アルミにつきましてだけ昭和六十一年三月末ということになっておりますけれども、この目標年次に向けて、業界が自主的に努力を進めていると同時に、私ども政府といたしましてもこれを支援していくということでございます。
  38. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この産構法は去年アメリカからも中傷が来たりして、大変苦労をしてつくった法律です。この法律の目的が達成できないとなると、これはもう政府の責任問題にも発展しかねないと私は思うわけなんですが、そこでこの法律そのものが本来の目的を達成しつつあるのかどうか、現在疑問を抱かざるを得ない、こんなふうに実は思います。  輸入品が、先ほどの御答弁にあったとおり、価格が安いとか、あるいはまた最近では品質においても非常によくなってきておる、国内品に比べて遜色がない、このようにさえ言われているわけです。例えば鋼材の場合は、従来は強度が足りないとか表面がでこぼこしているとか、あるいは加工中にひびが入るとか、こんないろいろなことが言われました。最近では台湾、韓国、ブラジルあたりの製品は国内品とほとんど変わりがないとさえ言われています。また、段ボール原紙でも、積み重ねるとつぶれやすいとか、あるいは表面が粗いとか、こんなふうに言われてきましたけれども、これまた最近では国内品と遜色がない、このようにも言われてきております。したがって、輸入品は価格の安さと相まって、非常に魅力のある商品になってきていることも事実である。そこで、一部の大生家電メーカーでは、系列品メーカーのために、この輸入鋼材を一括購入しているというふうなうわさも出てきているわけですけれども通産省はこの辺を御存じかどうか、伺っておきたいのです。
  39. 野々内隆

    ○野々内政府委員 具体的にどのメーカーがどういう鋼材を傘下の部品メーカーのために購入しているかということにつきましては、実は詳細は承知いたしておりませんけれども、これはメーカーグループによって差があるかと思いますが、企業グループ全体の合理化のためにそういうような試みがあるということは当然あり得ることかというふうには考えております。
  40. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 輸入比率のふえる理由の一つとして、流通が非常にスムーズになったということ、これが挙げられるのじゃないかと思います。輸入品の最大の泣きどころは、納期が不正確であるという、こういったことがあったわけですけれども、最近では、例えば鉄鋼の場合を例にとりますと、大手の鋼材問屋が積極的に輸入鋼材を取り扱うようになっている。さらには、最近では問屋が加工能力を持っているわけですから、ユーザーの仕様に合わせて切断をしたり、あるいは細切りにしたりして、極めてスピーディーに納入されるようになっている。石化製品たついて見ても、最近では大手総合商社が大型の輸入基地を建設したわけですから、納期面での不安もまずはないんじゃないか、こんなふうにも言われてきておりますが、通産省、これらについても承知しておられるかどうか、伺いたいと思います。
  41. 野々内隆

    ○野々内政府委員 御指摘のように、素材につきましては、消費財に比べまして非常に流通が短こうございますし、最近では商社あるいは需要家が輸入に積極的に目を向けるようになったという事情がございます。御指摘は多分波方の化学関係の基地かと思いますが、そういうものが稼働しているということは承知いたしております。
  42. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 輸入比率がふえたもう一つの理由として、これは先ほど御答弁があった中進国の工業化が非常に進んだことですね。そのほかに先進国でも輸出強化策をとっていることが挙げられると思うわけですが、こうしたことから海外メーカーの輸出余力が非常に高まってきている。例えば鉄鋼では韓国あるいは台湾などにおける主要中進国ですね。これらの国々の輸出余力を三菱銀行において計算が行われたわけですけれども、五十五年当時一千万トン程度であったものが五十八年には四千万トンに拡大している。石油化学でも中近東、東南アジアで大規模な石化プラント、これが相次いで操業を始めたわけですが、五十三年に四百万トンであった輸出余力が五十八年には五百九十万トンに達している。また板ガラスでも、一昨年台湾が内需の倍近くに及ぶ生産設備の増強を行ったそうであります。  こうしたことから我が国の素材製品の輸入がふえてきているわけですけれども、問題は、昨年の産構法によって、今後五年間のうちに我が国の素材産業の構造改善を進める中で、既に輸入がふえてしまって、アルミやフェロシリコンなどは輸入比率が七割から八割にも達している。稼働率が下がってメーカーとして機能していない会社もあるやに聞いているわけですけれども通産省は今後この産構法を施行していく上でどのように対処していこうとされるのか、この方針について、もう一度ここで伺っておきたいと思います。
  43. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 産構法、昨年五月に施行されまして、現在まで一年間たちました。二十二業種が指定されまして、基本計画を決め、それぞれの目標に向かって邁進をしているところでございます。五年間の時限立法でございますから五年という一つのタームがございます。ちょうどその初年度が終わったところでございます。  先ほど御説明申し上げましたように、過剰設備の処理が第一、第二が共販会社等、生産、流通の合理化、それから第三番目が活性化投資あるいは技術開発による前向きの対策でございます。私ども、民間の努力に加えまして金融、税制上の措置等に万全を期すことによりまして、この構造改善を要する指定業種二十二業種につきまして、先生指摘のようなことのないよう、あとの残りの四年間というものに向けて、本年度第二年度目になるわけでございますが、一生懸命努力をするつもりでございます。
  44. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 この産構法の概要の資料をここにいただいているわけですが、この一番最後のところに、助成措置というのがありますけれども、この構造改善基本計画に沿って行われる過剰設備の処理、事業提携、活性化設備投資、新商品、新技術の開発について金融、税制上の特別措置、予算措置を講じている、こういうふうに出ておりますが、これらの実施状況はどうなっていますか、伺っておきたいと思います。
  45. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 お手元の先生指摘資料、多分、私現在ここに持っております「基礎素材産業関連措置の概要」というものかと思います。  まず予算でございますけれども、例えば、挙げますと、多分に今まで重油で行ってまいりました発電所、それを石炭火力に転換をしようというようなものにつきまして、補助率一五%で五十九年度は三十七億円を支出することになっております。  それから例えば技術開発でございますと、先ほど私御答弁申し上げましたアルミニウムの溶鉱炉法新製錬技術開発というものにつきましては、五十八年度に続きまして五十九年度も三億五千万円の補助をいたすことにいたしております。フェロアロイもございますし、あるいは廃液利用の高能率の製紙技術開発につきましても十億円、先ほどのフェロアロイは六億七千万円というぐあいでございます。  それから税制につきましても、活性化投資関係につきましての特別償却、あるいは設備処理につきましては法人税法上の繰越控除というものを十年間、本則は五年間でございますけれども、特例といたしまして十年間とするという措置を講じておるわけでございます。  それから事業の集約化というものも、またこの税制によって支援をいたしておりまして、産業体制整備に資するための現物出資というものによって、例えば株式を取得した場合に無税の特例をとる、圧縮記帳の制度でございます。あるいは合併、現物出資等、登記の場合の登録免許税の軽減でございますとか、あるいは不動産取得税の軽減でございますとか、そういった税制を講じて現在実施をいたしておるところでございます。  それから第三番目に財投でございますけれども、基礎素材産業の活性化設備投資に対する低利の融資というものを日本開発銀行で百七十億円の規模で行っておるわけでございます。特利ということになっております。それからエネルギーの有効利用あるいは産業技術の振興のための融資、これがまた開発銀行の融資の対象となっております。  それから、こういったことはやや設備投資関係が多うございますけれども、この過剰設備の処理でございますとか、一部休止でございますとかということになりますと、いろいろ労働者の移転あるいは退職等につきまして万全を期すための運転資金というものが必要でございますけれども、これにつきましても、低利の融資制度を約九十億円でございますけれども盛っておるわけでございます。  そのほか、特定産業信用基金の活用など、財政、税制、財投、この三面にわたりまして行っておるところでございます。
  46. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 時間が来ましたので、もう一点だけ伺って終わりますが、石化製品などは輸入品の価格にスライドして国内価格が設定されている、こんなふうに言われています。綿糸、パルプ、アルミ地金、厚板、中板、段ボール原紙、こういったものなども、実質的に輸入価格国内市況の基準価格になっている、こんな現状です。また流通面においても、鉄鋼の場合に一次問屋であるところの総合商社、これらが輸入品を取り扱うようになっている、こんなふうになってきています。家電や自動車メーカーが直接輸入に乗り出してきているとも言われているわけです。素材メーカーにとってこれらへの対応が難しいということになれば、産構法の目的が達せられないということにもなりかねないと私は思うわけですが、最後になりますけれども、もう一度これらに対する通産省の決意をここでお聞きして、質問を終わっておきたいと思います。
  47. 野々内隆

    ○野々内政府委員 日本経済の活性化を図りますためには、やはり外国との競争に打ちかてるような産業をつくり上げるということが非常に重要であると思っておりますので、今後の輸入動向を見ながら、これに打ちかてるように素材産業の構造改善に一層努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
  48. 中川嘉美

    ○中川(嘉)委員 終わります。
  49. 梶山静六

    梶山委員長 次に、野間友一君。
  50. 野間友一

    ○野間委員 最初にお聞きしますのは、産構審が出しました「今後のセメント製造業及びその施策のあり方」、いわゆるセメント業界の今後の構造改善について質問をしてみたいと思います。  これを私は拝見したのですが、この中には、今も若干の質疑がありましたけれども、セメント業界の今後について過剰設備の廃棄が挙げられております。しかし、いろいろな専門家の話やあるいは業界の人に聞きましても、これは表向きの口実で、デッドキルンあるいはスリーピングキルン、こういうものを除けば過剰設備はほとんどないというのが大体業界の見方のように私は物の本で承知をしております。  それはそれとして、共同事業会社をつくるということがこの答申の中にもありますが、このグルーピングによってどういうメリットがあるのかということについては、市場支配力の強化、それでセメント価格の高値安定になるのじゃないかという懸念と、それから物流コストの徹底的な削減が運送業者に対して大変な圧力あるいはダメージになるのではないか、私はこういう感じがして仕方がないわけです。  そこで、きょうは物流合理化の点についてお伺いしますが、この関連物流業界へどういう影響が出てくると見ておるのか。これらに関して物流業界からいろいろな意見を聞かれたことがあるのか。これはセメント関係で海運が百九十隻、貨車が四千台、トラックが七千台あるいはその他のサービスステーションとか倉庫、たくさんあるわけですけれども、これについてまずお答えをいただきたいと思います。
  51. 黒田真

    黒田政府委員 セメント製造業というものが、特に公共事業費の頭打ち、あるいは建設投資の低迷というような状況下で、四年続き前年対比減少というような非常に厳しい状況にございます。したがいまして、今後長期的に非常に重要な基礎素材を提供するセメント製造業というものがその基礎を固める必要があるということで、主として昨年の後半でございますが、産業構造審議会に住宅・都市産業部会というところがございますが、そこにセメント製造業の今後の施策について諮問を申し上げ、本年の三月末に御答申をいただいたということでございます。  そのポイントは、セメント製造業の社会的重要性にかんがみ、中長期的に経済的合理性を持った産業として活性化をするということを目的としております。したがいまして、そういった合理化を進める際には、一方で過剰設備を処理すると同時に、やはり個々の企業が従来大変な合理化努力を行ってきておりますが、極めて物流コストの大きいセメントというような商品につきましては、グループ化を行うことにより一段とその合理化ができる、コストの引き下げが可能になるという状況がございます。したがいまして、一つの大きな眼目がグループ化による、交錯輸送等をできるだけ排しまして、最も近地点の、需要地と生産地点とをできるだけ短縮化をする、それは生産の集中という方法でも可能でございますし、また、需要地に対して一番近い生産拠点から出荷をするというような手段を講じまして、物流コストの引き下げを図るということが重要な要素になっているということは御指摘のとおりでございまして、そういう意味では、物流に携わっておられる方々に何らかの影響があるということはもちろん否定できないかと思います。  しかし、これは一つの目標でございますが、これから共同事業会社をつくり、グループ化の活動を逐次進めてまいりまして、できるだけ早くそういう理想的な状態に近づきたいというのが業者の願望でございますが、実態的には徐々に進行をしていくということになっていくというのが実情であろうということでございますから、物流関係者への影響がある意味で出てくることは避けられないと思いますが、できるだけそういうものが漸進的な形で出てくるということを期待したいと考えております。
  52. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので、簡潔に、聞いたことだけに答えてください。必要なことはまだ聞きますから。  ですから、この産構審の答申を読みましても、物流コストを下げる、これはコストの中に占める割合が二二%というあれが出ていますね。そうすると、これは物流コストが一つの大きな柱になっておりますが、大変な影響を与えるというふうに私は思うわけです。今局長答弁は、非常に穏やかな影響しかないような感じを私は受けたのですけれども。この産構審の中を見ましても、委員のメンバーにセメント業界とか、あるいは労働組合としてはセメントの関係の人がいることは承知しておりますけれども、トラック運送業者を初め、こういう既存の今のセメント業界と関連する人たち意見は聞いていないというふうに私は考えるわけですけれども、なぜ聞かなかったのか、本当に聞いたのかどうか、このあたりをお聞きしているわけです。
  53. 黒田真

    黒田政府委員 産構審で議論していただく段階では、関連事業者ということで生コン等二次製品業界を含んでおりますし、また関連の労働組合の方々はメンバーに加わっていただきましたが、御指摘のように物流関係者というものをメンバーには含めておりません。
  54. 野間友一

    ○野間委員 これは意見をぜひ聞くべきだと思いますが、この点についてどうなんでしょうか。
  55. 黒田真

    黒田政府委員 現在セメント製造業につきましては、産構法、特定産業構造改善臨時措置法に基づく指定が行われたところでございます。これからこの業種につきまして構造改善基本計画というものを通商産業大臣が定めるということになります。そして通商産業大臣が定めますに当たりましては、産業構造審議会の意見を聞くということも必要条件になっておりますが、また関係各省庁とも御相談をするということが確立されたプラクティスになっておるわけでございますので、そういう過程の中で、影響を受けることになるであろう関連事業者の方々意見というものも伺う機会がある、かように考えております。
  56. 野間友一

    ○野間委員 機会があるじゃ困るんだね。今、新聞報道等でも取りざたされております五つのグルービングで二十二社あるいは二十三社、この事業提携計画、これについて今申し上げたこういう構想が出ておりますし、近くこの計画を通産大臣が承認するかどうかという日程にも上っておるやに聞いておりますが、この五つに分けて、しかも答申の中にもあります共同事業会社設立、これについて今もう具体的に進捗をしておるというのが新聞報道にもありますし、私も業界から聞いておりますけれども、今のこういうセメント業界の構想、これに対して通産省はどういう考え方を持っておりますか。
  57. 黒田真

    黒田政府委員 先ほどもちょっと触れましたが、今後セメント産業というものが長期的に経済合理性を持った立派な産業になっていくという観点から、各種の措置が必要であるということはこの答申にも述べられているところでございまして、一つの柱が過剰設備の処理であり、もう一つの柱が各般の合理化、主として生産あるいは流通の合理化ということでございますし、また技術開発というような要素がいろいろ入っておるわけでございます。そして私ども、こういういろいろな合理化措置を進めるに当たりまして、現在二十二社というものがセメント業界に存在しておりますが、これらが事業を集約化する、共同化するということが、それぞれの項目に掲げられました目標達成のための重要なステップである、そういう認識を持っております。  御指摘のように、現在業界では五つのグループをつくろうということでいろいろ準備も行われているというところでございます。  政府としての段取りを申し上げますと、先ほども申しましたように、これからセメント製造業にかかわります構造改善基本計画というものを政府が定めます。そして、その中に集約化に関する事項というものを含むことになります。そして、その計画が示された後に、その集約化に関する事項に即しまして、この五グループがそれぞれ提携の計画というものを通商産業省に提出をし、承認をしていく、かような段取りになっていこうかと考えられるわけでございます。その方向に向けて業界は準備をしているし、私どもも、そういう方向が基本的には望ましい方向である、基本的には構造改善基本計画に沿った方向であるということで、準備の段階から事実上の支援を行っておるわけでございますが、形式的に申しますと、今後計画が定められ、その中に盛り込まれた事業提携計画の項目に従って個別の事業提携計画が審査をされる、こういうような段取りになるわけでございます。     〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
  58. 野間友一

    ○野間委員 答申の中での「施策のあり方」というところで「関連中小企業対策との連携」も含めまして「総合的かつ計画的に」ということがうたわれていますね。「関連業界の利益を不当に害することがないよう」ということも一応の歯どめとしてくぎを刺しておると思うのですね。  そこで、今問題になります産構法ですが、ここでは大臣の事業提携計画の承認基準として、その八条で「一般消費者及び関連事業者の利益を不当に害するおそれがあるものでないこと。」これが一つの要件になっておりますね、先ほども答弁されましたが。そこで、特にこの八条もこれあり、また答申をするメンバーの中に物流業者、特に運送業者が入ってないということもありますので、多大の影響を受けるそういう方たちから特に意見や要望を聞くということがあってしかるべきだと思う。今、聞くこともあり得るという話がありましたが、そうではなくて、やはり聞くべきだと思うのです。と同時に、これらの業界の労働者で構成しておる労働組合、こういうところからも十分に意見を聞くべきだ、これがやはり法の趣旨であり、あるいは今後のセメントの流適合理化の中で不可避の問題としてこれから出てくるのじゃないかと私は思いますが、いかがですか。
  59. 黒田真

    黒田政府委員 今後、構造改善基本計画というものを通商産業大臣が定めるわけでございます。その際には関連中小企業者の経営の安定について十分な考慮を払うということでございますし、また個々の事業提携等の実施に当たって不当な影響というようなものが起こってならないことは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、今後そういう影響を受けるであろう人たち意見を聞くかというお尋ねでございますが、今御指摘の物流関係者につきましては、今後構造改善基本計画というようなものを策定する過程で関係各省、その中には運輸省を含めて御相談をさせていただきたいと思っておりますので、そういう関係の方々の御意見等も吸い上げた形で運輸省の御意見が例える観ないか、かように考える次第でございます。
  60. 野間友一

    ○野間委員 今のお話では、直接業界から話を聞くような姿勢ではないと思うのですが、運輸省、これについてどうなんですか。
  61. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 お答えをいたします。  今問題になっておりますセメント業界の構造改善の問題につきましては、セメント事業というものを産構法の対象業種にするというための政令での指定に際しまして、そのセメント業界の実層等について通産省当局から運輸省も一応の説明を受けております。  それから今、先生がおっしゃいましたような産構審の答申の概要等についても一応の御説明は伺っておるわけでございますが、今通産省からも御答弁ございましたように、今後具体的に基本計画が策定される過程で運輸省にも十分説明があり、協議をされるということでございますので、そういう際に私どもとしても十分、物流関係業界に対する影響等についても通産省御当局と協議をしていきたいというふうに考えております。
  62. 野間友一

    ○野間委員 運輸省の協議でなくて、例えば一次輸送の二七%、二次輸送の五七%ですね、これがトラック業者を中心として関係するわけなんですね。七千台トラックあるわけでしょう、セメント関係で。だからこういうような業界とかあるいは労働組合、こういう方々意見が十分反映できるような形で進めなければならぬ。当然だと思うんですね。ですから、運輸省と通産省との関係でなくて、運輸省は私の今の要求に対してどう考えるのかということです。
  63. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 この問題につきましては、既にトラック業界に働く労働組合の方々からも運輸省に対して問題が提起されておりますし、またトラック運送業界そのものからも私どもとしてもいろいろ事情を聞きまして、必要な意見通産省に対して申し上げたいと思っております。
  64. 野間友一

    ○野間委員 物流コスト削減合理化の中身としては、先ほどありましたけれども、交錯輸送の排除、交換出荷の拡大、それから輸送手段の共用化、SSの共用化、それから、統一的なコントロールのもとでの物流管理の一元化、こういう方向づけが出ていますね。  冒頭に申し上げたんですが、各グループが共同事業会社をつくる、もう既に大日本セメントとか幾つかの共同事業会社の構想が報道もされておるわけですね。これは私は運輸省もよく聞いてもらってほしいんですが、今はやりのいわゆる物流子会社ですね、これとの直接の関係というか同じようなことが出てくると思うんですね。つまり共同事業者をつくる、そういう五つのグループ、その五つのグループの共同事業者が物流関係、つまり運送の部門に出るのか、あるいは共同事業会社が運送取扱業者として、そして運送業者をその下に使っていくのか、あるいは五つのグループが横断的に共同輸送会社をつくるのか、これはいろいろなことが言われていますね、そうでしょう、皆さん。  そこで、今トラック運送業界で大変問題になっております、いわゆる物流子会社、もしこれが今のセメントの共同事業会社が同じようなことになれば運送業者はたまったものではない、こういうことになるわけです。  そこで聞きたいのは、いわゆる運送取扱業、これは道路運送法上四項でしたか、ありますね。この運送取扱業者から運送事業者が運送契約によって物を運ぶという場合に、果たして認可運賃の適用があるのかないのか、これは運輸省の見解をまず承りたいと思います。
  65. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 道路運送法上の自動車運送取扱事業者が実際に運送を担当する運送事業者に支払う運賃につきましては、認可制は及ばないというふうに解釈されておりまして、そのように運用しております。
  66. 野間友一

    ○野間委員 通産省の今の法解釈は、運送取扱業者、共同事業会社ないしは共同事業会社が出資して別の会社をつくる取扱会社ですね、それから運送会社が下請としてやる、あるいは別の形があるかもわかりませんが、少なくとも運送会社がその下におる場合には認可運賃の適用はないというのが運輸省の見解なんですね。今までの物流子会社実態が、今荷主が強いですから、荷主の強要の中でダンピングや認可運賃どおり払われていない。ましてや、これが認可運賃の適用がないとするならば、もっともっとひどい状態が来る。しかも共同事業会社あるいはその横断的な共同輸送会社というものができるということになったら、セメントの輸送、運送の部門の中で認可運賃は全く働かない、こういうことにもなりかねない問題を含んでいるわけですね。こういう認識は運輸省は持っておるのですか、これが具体的にされた場合に。
  67. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 このセメント業界の構造改善が進められた場合に、その共同事業会社というものが道路運送法上どういう立場に立つのかという点については、今後通産省とも十分協議していきたいと思っておりますが、仮に今先生がおっしゃいましたような形で取扱事業者の登録を受けるということになりますと、セメント輸送について事実上認可運賃制が働かなくなるという点については認識しております。
  68. 野間友一

    ○野間委員 通産省、これはえらいことでしょうが。だからこそ、私、意見を聞けと言っているのですよ、実際に。死活問題ですよ。先ほど道路運送法の条文の番号を私間違っていました。今の取扱事業というのは二条の四項ですね。四項には一号、二号、三号と三つあるんです。そこで、今運輸省が言うたこの取扱業者と運送業者との間においては認可運賃の適用がないんだというお話がありました。  そこで私はお聞きするんですが、これは間違いだと思うのです。運輸省は誤っておる。「自動車運送取扱事業の法的関係」これは運輸省、あなたの方からもらった法律関係ですね。これは運輸省が今とっておる見解を図式したものだというふうに理解しますが、この第二条の四項の一号ですね、いわゆる取次の場合、取次というのは自己の名で他人のために法律行為の引き受けをするということは、これは商法でも確定しておるわけですが、この取り扱いについては私はこの図式が正しいと思うのですね。つまり、取扱業者と自動車運送業者との間には運送契約がある、荷主と取扱業者との間には委任関係だけしかないんだ。そうなりましたら、この取扱業者と自動車運送業者の間には運送契約があるわけですから、ここには認可運賃が働くのは当たり前じゃありませんか。
  69. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 道路運送法におきましては、第八十五条という規定がございまして、ここで自動車運送取扱事業の運賃、料金については運輸大臣の認可が必要だということになっておるわけでございますが、この第八十五条に言うところの、運賃、料金というのは取扱事業者が荷主から収受する運賃であるというふうに解釈しておりまして、取扱事業者みずからが報酬としての手数料等については認可の対象にはならないというふうに解釈をしておるところでございます。  今先生指摘のように、自動車運送取扱事業というのは道路運送法上三つの契約形態に分類されておるわけでございますが、第一の取次、いわゆる取次といっておりますが、それから第二のいわゆる代弁につきましても、実質的に荷主にかわって取扱事業者が運送事業者と運送契約を結ぶわけでございまして、その際の取扱手数料あるいは代理手数料といったものに認可制が及ばないために、結果的に運送事業者が実質的に収受する運賃に認可制が及ばない、こういう解釈でございます。
  70. 野間友一

    ○野間委員 それは理屈が逆立ちしておるのです。あなたのところの解釈でも、取扱業と代弁業については、取扱業の場合には自動車運送業者と取扱業者との間の運送契約、法律関係ですね、それから代弁業の場合には荷主と直接自動車運送業者との運送契約、こういうことでしょう。つまり自動車運送業者はこの取扱業あるいは代弁業の場合には荷主ないしは取扱業者との間で運送契約を結ぶ、これが正しい法律関係なんですね。そうでしょう。  そこで手数料の問題が今出ましたけれども、手数料というのは、認可運賃を運送業者が受け取るという行為と、その際に運送業者がその取扱業者に手数料を払うというのは別個の法律関係でしょう。結果的にじゃなくて、まず運送契約があるわけでしょう。その運送契約の当事者が取扱業者として手数を払った、その手数料を別個の法律関係ですが払うということで、運送契約は当然基本的にあるわけですから、八条の認可運賃が働くのは当たり前じゃありませんか。
  71. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 道路運送法上は、第一号、第二号それぞれの場合について取扱事業者がみずからの報酬を留保した上で実質的な運賃を実際に運送を担当する運送事業者に支払うというふうに解釈をしておりまして、現在、道路運送法の施行規則におきましても、そういう解釈の前提に立ってこの手数料の率等を添付資料として取扱事業の登録の際に提出するということになっております。
  72. 野間友一

    ○野間委員 施行規則というのは法律じゃありませんよ。法の下ですよ。法律に違反する施行規則はあり得るはずはありませんよ。  そこで、もう少し具体的に詰めてみますけれども、いわゆる取り次ぎの場合には、運送契約の当事者は取扱業者と運送業者、それから二番目の委託の場合、これは荷主と取扱業者との間では委任契約ですね。委任ですから、運送契約上の直接の当事者というのは荷主と自動車運送業者。これは運輸省の図式にもありますけれども、契約の当事者は取扱業の場合には取扱業者と運送業者、代弁業の場合には荷主と直接自動車運送業者、この関係でしょう。
  73. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 一号の取り次ぎの場合には、先生おっしゃいましたように、荷主と取扱事業者との関係は委任関係、取扱事業者と運送事業者との関係は運送契約ということで、荷主と運送事業者との直接の契約関係はないということになります。  それから二号につきましては、荷主と取扱事業者との関係は代理関係でありまして、取扱事業者と運送事業者との契約の効果が荷主に及ぶというふうに解釈しております。
  74. 野間友一

    ○野間委員 そうでしょう。ですから、これはいずれにしても道路運送法上の運送契約上の当事者ですから、この運送事業者は当然認可運賃を請求する権利があるのは当たり前でしょう。
  75. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 先ほども申し上げましたように、取扱事業者がみずから手にする報酬につきましては認可制が及ばないということで、自動車運送取扱事業者からトラック事業者へ支払われる運賃、トラック事業者が取扱事業者に取扱手数料を支払う場合には、取扱手数料を控除した実質的な取得運賃には認可制が及ばないという解釈をしております。
  76. 野間友一

    ○野間委員 だから、その解釈は、法律解釈では全くでたらめでしょう。運輸省は今まで何をやっておったのかと思うんです。実際にこの道路運送法は昭和二十六年にできた法律で、改正する必要は全くないんですよ。まちまちで、でたらめな解釈をやっておるわけですね。契約の当事者でありながら何で認可運賃の適用がないというようなことが出てくるんですか。  じゃ、八条について聞きますが、八条は認可運賃を上回っても下回っても百二十九条で処罰される、これは当然ですね。
  77. 浅見喜紀

    ○浅見説明員 そのとおりでございます。
  78. 野間友一

    ○野間委員 ですから、荷主の保護と運送業者の保護、特に運送業者について見れば、認可運賃制度が非常に安いです。それでも原価プラス適正な利潤というのが認可運賃の中身としてきちっと法律で基本的に押さえてある。ところが今の変な曲がった運輸省の法解釈の中で、実際には取扱業者から運送契約を受けながら運送業者が認可運賃の適用がないというようなばかげた解釈をとっておる。ここに大きな混乱があるし、誤りがあるんですよ。大体東京の上場一部、二部の会社の中でも、計算しましたら約三分の一が物流子会社をつくっておるんですよ。これは取扱業者ですよ。御存じでしょう。そこから受ける運送業者には全く認可運賃は働いてないんですよ。通産省どうですか、知っていますか。
  79. 黒田真

    黒田政府委員 ただいま御指摘のような状況について私ども必ずしも十分承知はいたしておりませんが、セメント製造業の物流の合理化というときは、交錯輸送を排するということでセメントの輸送の距離をできるだけ短縮しようということが趣旨でございます。グループ内で一番近いところから運べるようにしようということで、運ぶ距離を短縮するということが私どもの申します物流の合理化でございまして、共同会社設立に伴って物流関係をどうするかということまで含んだ形でここで述べているわけではないのでございますので、今後の共同会社事業等の実行に当たりましては、運輸省ともよく御相談しながらやらせていただきたいと思っております。
  80. 野間友一

    ○野間委員 時間が来ましたので……。  中小企業庁に聞きますが、今申し上げたように上場会社の約三分の一が物流子会社をつくっておるわけでしょう。しかも取扱業の場合には運送業者との間の運送契約が働かない、認可運賃が働かない、こんなことを言っておるわけです。ここで非常に深刻な事態、これはダンピングですね。今大変でしょう。そこへ今度はセメントが出てくればこれは大変なことになるわけです。これは中小企業庁としても物流子会社実態、役割、特に運送会社は大体中小企業が多いわけですから、そういう点の実態を調べて、運送業者に被害とかダメージがないように対応をするべきじゃないか、このことについての見解を聞きまして、質問を終わりたいと思います。
  81. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 特定の業種の構造改善を進めるに当たりましては、その関連の中小企業者に悪影響が生じないように、中小企業庁の立場でも従来十分配慮してきたつもりでございますが、今回のセメントの場合には、まだ構造改善計画の基本計画ができておりません。具体的な影響がどのように出るかというのは現時点では不明のようでございますが、いずれにいたしましても、私どもといたしましても、関連の中小企業者への影響を極力、あるいは関連の中小企業者の経営の安定に十分配慮するように、関係の部局と御相談してまいりたいと思っております。
  82. 森清

    ○森(清)委員長代理 次回は、来る二十三日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午前十一時四十九分散会