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1984-04-27 第101回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十七日(金曜日)     午前十時十六分開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       岸田 文武君    高村 正彦君       辻  英雄君    仲村 正治君       野上  徹君    原田昇左右君       深谷 隆司君    奥野 一雄君       後藤  茂君    佐藤 徳雄君       浜西 鉄雄君    横江 金夫君       和田 貞夫君    渡辺 嘉藏君       中川 嘉美君    日笠 勝之君       福岡 康夫君    青山  丘君       横手 文雄君    小沢 和秋君       工藤  晃君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君  出席政府委員         公正取引委員会         委員長     高橋  元君         公正取引委員会         事務局経済部長 佐藤徳太郎君         通商産業大臣官         房審議官    山田 勝久君         通商産業省貿易         局長      杉山  弘君         通商産業省立地         公害局長    石井 賢吾君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         資源エネルギー         庁公益事業部長 小川 邦夫君  委員外出席者         環境庁大気保全         局自動車公害課         長       加藤  茂君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      管原 敏夫君         商工委員会調査         室長      朴木  正君 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   中村 重光君     佐藤 徳雄君   野間 友一君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 徳雄君     中村 重光君   工藤  晃君     野間 友一君     ————————————— 四月二十四日  武器等の輸出の禁止等に関する法律案後藤茂  君外九名提出、衆法第二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。後藤茂君。
  3. 後藤茂

    後藤委員 きょうは一般質問機会を与えていただきまして、主として大型店出店にかかわる、全国各地に起こっておりますトラブル等状況を踏まえて、大店法法律、さらにまた、その運営について政府見解をただしてみたいと思うわけであります。  大店法が制定をされましてから十年余になるわけでありますけれども、最近の通産省の方の認識についてまずお伺いをしたいのでありますが、集中豪雨的に大型店各地進出をいたしました。そのために地域において、特に商業者に対する影響が非常に大きな問題が起こってまいりました。各地トラブルなり紛争も起こってまいりました。そのために、二年前でしたか、当分の間ということで抑制措置をとる通達を出しながら、これからの法律運用の面において、また法律そのものの見直しということも考えられるのではないか。本委員会におきましても、こういった問題が厳しく追及されてきたことは大臣も御承知のとおりだと思う。  昨年、流通に関するビジョン提起をされ、相次いで大臣談話なりあるいはまた新しい通達が出されたようであります。本委員会でこの問題について十分に説明を受ける、あるいは論議をしていくという機会がございませんでしたので、行政の側の一方的というわけではありませんけれども、そうした大臣談話なりあるいは新通達がなされたまま、その背景あるいはこれまでの状況等についてこの委員会において質疑をしていくという機会がございませんでした。  きょうは冒頭に、大臣の方から、先般出されました大臣談話の意図するところ、そして、その大臣談話が出されてきた背景現状等につきましてまずお答えをいただき、あと山田審議官の方から、最近の情勢について御説明をいただきたいと思います。
  4. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 昨年十二月に取りまとめられました八〇年代流通ビジョンを受けまして、この二月に発表いたしました通産大臣談話に基づく今回の措置なるものは、関係方面からの要請をも踏まえまして、今の段階で適切と考えられる措置を講じたものでございます。  大店法の改正問題につきましては、このビジョンにも指摘されておりますように、現在の小売業がいろいろな点で転換期にある、また、中長期的な観点に立ちまして、小売業全体の活力を維持していく必要がある、そういう諸点にかんがみまして慎重な検討が必要ということになったわけでございますが、いずれにいたしましても、当省といたしましては、先般発表いたしました「大型店出店調整問題の今後の取り扱いについて」、この適切な運用を行いまして、引き続き十分事態の監視を続けながら、この推移に適切に対応するという考え方でございます。詳細につきましては、審議官から説明いたさせます。
  5. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 ただいま大臣答弁のように、二年前から行っております抑制措置につきまして、おおよそ二年ぐらいやりましょうということを表明してまいったわけでございます。そこで、その間事態推移を見守ると同時に、八〇年代の商業環境はどうであろうかということを中心にいたしまして、いわゆる八〇年代の流通ビジョンというものを産業構造審議会流通部会中小企業政策審議会流通小委員会合同会議で御審議をお願いしてまいったわけでございます。その結果が昨年の十二月二十三日に答申されました。  それを受けまして、この二年間の抑制措置を今後どうするかということを検討してまいったわけでございますが、二月十六日でございますが、大臣談話という形で、なるほど三条届出件数というものは相当低水準になった、しかし全国調整を要する案件もまだございます、そういうことで従来の調整措置を継続することが適当である、と同時に、各方面の御意見を承りまして、この調整措置のいろいろな改善ということを取り入れまして、主として商調協、大店審審議円滑化適正化、それから地元商店街ないし町づくり都市計画との関連をよく見守っていこう、こういう改善点をつけ加えまして、大臣談話を発表いたしたわけでございます。その後三月五日に、この大臣談話を骨子といたしまして、産業政策局長通達というものを発出して現在に至っておるわけでございます。
  6. 後藤茂

    後藤委員 審議官、もう一度その点確認をしておきたいのですけれども、二年前の第一次の通達ですね、そのときは当分の間の抑制的な指導、これに大変重点が置かれておった。ところが今回の通達では、当分の間の抑制的な措置を強めていくということから一転いたしまして、地域社会との調和というところに力点が置かれている。つまり、集中豪雨的な大型店進出各地で大きなトラブルを起こす。景気は低迷をしてきている。財布の一定の大きさというのは変わらないのに、そうした大型店進出によって地域商業者が大変な打撃を受けている。したがって私どもも、委員会では、もう出店凍結をしたらどうか、こういうような意見等もしばしば提起をしてきたわけであります。  しかし、その第一次通達におきましては、これは抑制措置事態を回避をしていきたい。さて、二年間たちまして、先ほど大臣から、また審議官から御答弁がありましたように、これは地域社会との調和の点に力点を置いて、抑制的な、確かにそれを継承するというような文言はあるわけでありますけれども、しかし、どうも抑制的な考えというものがどこかへ消えていった。その背景というのは一体どういう状況なのか。この三月五日の通達中身を見てみましても、どうも、共存共栄型の進出が最近出てきている、抑制の効果が出て出店届け出件数が大変少なくなっている、また全国的にも紛争あるいはトラブルというものが減少傾向にあり、あるいは商調協等運営についても大体うまくいっているというような、そういう内容を持った通達になってきているように思うわけであります。  どうも現実はそうではないのじゃないだろうか。なお未調整件数がどのくらいあって、そして特に長期にわたって紛争といいますか調整がまだ終わってないところがどのぐらいあるように認識をしているのか、その点をお答えをいただきたいと思います。
  7. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 先生指摘のように、昭和五十四年度から五十六年度にかけまして、大型店出店届け出が非常に急速、かつ一定地域に集中して行われたわけでございます。その間の消費需要の伸びということもまさに停滞をいたしておりましたので、商業環境は非常に厳しさを増しておったわけでございます。それでちょうど二年前の大型店抑制措置ということが行われたわけでございますけれども、その後の結果を見ますと、昭和五十四年度が五百七十六件、それから五十五年度が三百七十一件と、非常に大きな数字でございました。それが五十七年度百二十二件、五十八年度はさらに下回りまして百二十五件と、かなり低い水準推移しておるわけでございます。  しかしながら、先生今御指摘のように、なお調整中の案件というものが全国でおおよそ四百件強ございます。この四百件をグループ別に分けてみますと、一つは普通の調整手続を経ているもの、それから、開店がもうちょっと先の話だから調整を急がなくていいもの、それから最後に、やはりいろいろ地元での意見調整に手間取っておるという案件、こういったものが合計いたしまして四百件強あるわけでございます。私ども、そういった状況を踏まえまして、抑制という、現下の消費需要の動向ということをも考えまして、二年前にとりました手続考え方を引き続き行うということでございますけれども、その後の消費者ニーズ個性化多様化という点、あるいは商店街なり町づくりという新しい社会要請、こういうことも加えまして、最近決めました調整手続というものとその考え方をはっきりさせたわけでございます。
  8. 後藤茂

    後藤委員 今説明があった中身の問題については、具体的にはまた後で御質問いたします。  大臣にお伺いしたいのですが、二月十六日の「大型店出店調整問題の今後の取り扱いについて」の大臣談話の中に「地域経済社会との調和への配慮」の問題があるわけであります。最近は、いわゆる流通革命というような言葉で言われているように、流通にかかわる情報化の動きというものは非常に急速度に変わってきている。あるいはまた、これまでの一つ地域社会というものが動かない社会としてある上に大型店出店をしていく、そうなれば当然その地域における消費構造は変わってくるわけでありますから、既存中小商工業者というものが大きな犠牲を受ける。当然それぞれの地域において、一方においては都市の再開発といいますか、あるいは商業集積地の再編といったようなものも検討され、あるいは現実には行われているわけです。最近トラブルが起こっているところを見ますと、そことの関連におけるトラブルが大変多いように思うわけです。地域商業計画都市計画に可能な限り反映し得るよう、商業政策当局都市政策当局との連携を強化することとするといったような、そういう今後の取り扱いについての大臣見解もあるようでありますけれども、こうした都市計画との絡みというもの、大型店出店あるいはそれぞれの既存商業圏近代化、こういったものと通産行政とのかかわりを、言葉だけではなしに、具体的には大臣、どのように展望なさっていらっしゃるでしょうか。
  9. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 まず第一に、消費者利益に対してどういうような配慮をするかということがその問題の前提になることだと思います。二番目には、言うところの共存共栄という問題があると思います。三番目には、そうするためには、都市開発の状態に沿ってどう大型店中小小売店との関係調整していくかということでございましょう。  この三つは、それぞれつながりがある問題だと思うのでございますが、共存共栄ということのためには、やはり都市の再開発ということに乗って、大型店中小周辺小売店舗がどうやってその再開発に乗った商店街を形成するかということが大切なことでございまして、地域開発によるところの商店街の特徴ある、持ち味の整った商店街が形成されてこそ、大型店舗共存共栄ということが初めて整っていくのではないかと私は考える次第でございます。
  10. 後藤茂

    後藤委員 私は質問最初の方にそのことを申し上げておりますのは、大店法があるわけであります。それに基づく省令なり政令なり、ずっとある。そしていろいろな調整手続なりルールなりというものも一応は確立されている。  ところが、私も昨日、実は静岡調査に行ってまいりましたが、どうもこれまでの法運用だけでは縛り切れない課題が出てきているわけです。あるいは後で、同僚議員が福島県の二本松調査に行ってまいりました、そのことについても具体的に質問をいたしますので、二本松の問題については私は質問を留保しておきたいと思うわけでありますが、例えば静岡なんかの例を見ましても、駅高架がなされている。そして新しい都市開発が行われてくる。駅には当然駅ビルにテナントを入れていって大型店というような構想計画をされている。あるいはまた、その駅高架による周辺地域が大変大きな都市として発展をしていく中で、既存の百貨店、そして、あそこは古い城下町でありますから、三代、四代、五代というのれんを持っておる商店、それからまた新しいニーズにこたえていく小売商等もたくさん出てきている。そして、そこへ大型店進出がある。都市計画とこれとのかかわりというものが、どこで、だれが一体責任を持って調整をしていくのかということが全く不明確といいますか、責任の所在がないままに、ただ、大型店が出てくる、さあ、それは少し出店規模が大きいからある程度抑えて、何とかこれを認めていこうかというような手先の構想だけで今日まで来ようとする。そうしますと、地元商店街皆さん方というのも大変な危機感を持つわけであります。そしてこれまでの運用を見ておりますと、商調協の場に上ってまいりますと、ほぼこれが、出店面積が少し変更される程度で、そこに上がってまいりますと、大体大型店出店はほぼ間違いなく進んでいくという経過全国的に行われている。  そうなりますと、まず商業者の知恵としては、何とか商調協の場に上す前に地元における合意を取りつけてもらいたい、あるいはまた、地域皆さんとの話し合いがある程度調整がついた段階で、商調協そして大店審方向手続としては上がっていくということが望ましい。ところが、そういうビジョンも何も持たないままに、ただ、出店計画が出された、これは何とかしていかなければならぬ、事前話し合いをしていく、なかなかうまくいかない、それ商調協へでも上げてしまって、後は大店審の方に持っていって既成事実をつくってやってしまえみたいな、少し拙速といいますか、あるいは十分に責任を持った対応をしないままに今日来ている。これは単に静岡だけではなしに、各地でこの問題が起こってきている。  大店法の改正の際に、いわゆる届け出制だけれども、事前審査というものを十分にやるので、許可制的な性格を持つほどの運用というものがなされていって、これからは事前審査というものが十分になされるからトラブルあるいは紛争というものが減少といいますか、うまく調整できるだろうということを通産当局も御答弁をしておったわけでありますけれども、今私が御指摘申し上げた点を審議官、どのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。御答弁によってまた、後、少し細かく質問をしてみたいと思っておりますから。
  11. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 大型店に関する調整制度大店法を頂点といたしまして、現実にいろいろの行政指導も含めましてやらせていただいているわけでございます。  今、先生指摘のように、十分地元意見を聴取していくというプロセスでございますけれども、まず、法律に基づきます三条届け出、それからその次に五条届け出、必要に応じまして大店番、こういう、その段階でも三つございます。しかし、もっと事前によく地元商店街皆様方意見を反映させるという意味で、三条届け出の前にも事前によく説明をしてもらいたい、こういう行政指導を行っているわけでございます。  その場合に、円滑に意見聴取が行われまして、ある程度のコンセンサスが得られることが望ましいのでございますけれども、各地域の実情によりまして、非常に長い期間、その地元との事前話し合いというものがなかなか行き詰まっている、あるいは一部の方々の反対あるいはかなりの方の賛成、いろいろございます。したがいまして、事前話し合いということが最初ステップとして非常に重要だということで行政指導いたしておりますが、もしもその間の過程におきまして、その調整が非常に困難な状況にございますときには、これはひとつ県、市、商工会議所それに通産局で構成されておりますいわゆる四者協というもので判断をいたしまして、次のステップに行くべきか、あるいはもっと事前説明を繰り返すべきか、その辺の判断をしていただくことにしております用地元意見を聞く機会、その長さ、いろいろございますが、できるだけ地元意見事前に聴取するという原則でございますけれども、何らかの理由によりましてそれが非常に長期にわたっておるという場合には、次のステップに入るかどうかを四者協協議をする、現在こういうシステムをとっておるわけでございます。
  12. 後藤茂

    後藤委員 そういたしますと、静岡の場合は確かに約七、八年の歴史があるわけであります。そして、私も昨日調査してまいりますと、時間は確かに六年、七年とかかっているわけですから、大変な時間の経過があるわけであります。ただ、時間がかかったからといって、その大型店出店地域における関係者との話し合い、これが十分なされたかというと、まずほとんどなされていない。なされていない中で四者協議に入っていく。その四者協議というのは、今審議官も言われましたように、県、市、商工会議所通産局、この中に、一つはやはり商業者、一番の利害関係者が欠けるわけですね。それは商調協の方でやることなんだ、つまりどう進めていくかということを四者協議話し合いをしていくのであって、その中身については、もちろん利害関係者である商業者も入った商調協等でやっていくのだからというように逃げられると思うのですけれども、どうも安易に四者協議で、そしてもうこの辺で見切り発車をして商調協にかけていってしまえということになっているのではないだろうか。  そこでは四者が協議をするということの姿勢はとりましても、紛争背景がどういうことなのか、それぞれの当事者に対してどこまで積極的に事前調整の汗をかいてきたのか、その跡がほとんど見られないのですね。そして、ある程度の時間が、日時がたった、もうこの辺でひとつ早く結論を出していって、あとは大店番もあることだし、そこへ任せていったらいいじゃないかということで、だんだん消費者なりあるいは商業者の手の届かないところ、届かないところへ持っていくことを急いでいったことが、今日の長引いた紛争の大きな背景になっているのではないだろうか。  一体、静岡の場合を審議官はどのように、東京通産局というものがやっておるわけですから、すべての報告が上がってきておると思いますが、どういう認識を持っておられるのか、この紛争に対しまして、まずそのことをお伺いしておきたいと思います。
  13. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 先ほど私、御答弁申し上げましたように、十分な事前説明、それから三条での審議、これは商調協でございます。それから五条審議、これも商調協でございます。それから大店審と、四つのプロセスがございます。  例えば、事前段階での意見聴取なり話し合いということがまずございますが、三条審議、これは商調協でございますけれども、その場面で学識経験者消費者代表、そして商店街皆様方代表、こういうことでディスカッションが行われます。しかし、その第三条、あるいは第五条に基づきます商調協審議過程におきましても、商調協委員のほかに地元中小企業の方を中心といたしまして、いろいろ御意見がございます場合にはその御意見を十分拝聴するべきである、この間の通達におきまして、そういう場合には、周辺中小小売関係者意見聴取につきまして一層配慮するために、商調協会長は、調査審議に際して、意見申し出のあった者の意見を紹介するとともに、特に必要と認める場合には、当該申し出者意見陳述機会を設けることとする、こういうふうに新たにこの点を強調いたしておる次第でございます。したがいまして、地元中小小売商皆様方意見の開陳という機会はかなり広がった、そして、そういう方向で行っているということでございます。  ただ、大店法審議に基づきます一つプロセスがございまして、その行政公平性あるいは消費者ニーズ配慮するという法の一つの目標というものを踏まえまして、その商調協審議中心にしながらも、その推移を四者協というものが見守って適切なアドバイスをする、こういうのが現状でございます。いろいろ地元方々が、その地域商店街の再活性化を図ろうというポイント、あるいは消費者ニーズというものにこたえるという商業者の意向、そういうものも踏まえまして、再開発という一つ都市計画との関連中小企業地域近代化計画ということの観点も踏まえまして、行われているわけでございます。  ただいま御指摘静岡案件も、そういったプロセスの中でかなり時間を経ておりますけれども、いろいろの案件を総合的に勘案して、消費者ニーズ静岡の市の商業環境商業者の立場等々、全体をバランスをとって、現在商調協におきまして三条審議ということが行われております。できるだけ十分審議を尽くして、次のプロセスに入っていただきたい、円滑にこの審議が進むことを期待しておるわけでございます。
  14. 後藤茂

    後藤委員 その三条審議商調協が入る前の事前調整なり審査というものが大変不十分である、その中で、三条審議に入っていこうとするわけでありますけれども、その商調協の議論の中で、私は幾つかの問題点調査の中でつかんできたわけであります。     〔委員長退席渡辺(秀)委員長代理着席〕  御承知のように、静岡の場合には、イトーヨーカ堂というのが大型店で、三万五千平米の面積を持って進出をさせてもらいたいという申請が出てきている。これも大変大きな売り場面積でありますけれども、その中身については一応問いません。その後、キミサワという、これは第二種の大型店進出計画している。片一方、都市開発関連をいたしまして、伝馬町開発ビルというものが、約十年、市や県やあるいは地元商業者等と、合意合意を重ねていきながら開発ビル構想が実現をしてきたわけです。そして、これはおくれて申請をしてきている。こういった三つ案件を、通産の方の行政指導としては何としても、これは工業権の先願主義じゃないわけですけれども、先に申請をしたところから審議するのが望ましいのだけれども、どれかを恣意的に最初にやるということは許すわけにはまいらぬ、これは三件一括で審議しろという強い行政指導がなされたようであります。  私は、時間がございませんので、こうした三つ大型店に対する県あるいは地方自治体、市ですね、あるいは地元商業者の対応がどうかということは、審議官の方が十分おわかりだと思うのです。イトーヨーカ堂の進出に対しましては、市議会はこれは困るという決議もしている。あるいは伝馬町の開発ビル等に対しては、これは合意をしているのだから早急に実現をしていくように、推進をしていくようにというような決議もあるわけであります。だから、地方自治体がこれだけ熱心をそれぞれの各大型店に対応する判断を示しておる。それに対して、一括でやらなければまかりならぬということになってまいりますと、一体事前調整なりあるいは審査というものはどう考えたらいいのだろうか。しかも今度の紛争の非常に大きな背景というのは、こうした通産行政が一括でなければまかりならぬということになってまいりますと、私は、先ほど大臣にも御質問申し上げましたように、地域経済計画都市計画に可能な限り反映し得るようにということで、県なり市なりが大変努力をしてきている、それがすべてではありませんけれども、一つの商業圏の確立といいますか、あるいは大型消費サービスというものをつくり上げていくために、伝馬町開発ビルというものをこれはぜひひとつ先にやっていただきたいという市議会の決議もある。私は、何が何でも一括でなければならぬという棒をのんだような通産行政指導といいますか、考えというものは、これは分権実施といいますか、地方自治体における商業圏の確立に対して、それぞれの自治体が知恵を絞って進めようとするのに対して大きな権力の枠をはめようとし過ぎているのではないか、そのことが一つ紛争に、火に油を注ぐ結果になっていはしないだろうかという心配をしているわけであります。審議官、この点についてどうお考えでございましょうか。
  15. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 静岡の場合、先生先ほど御指摘のイトーヨーカ堂が核店舗となりまして静岡ショッピングビルという申請が出されたのは昭和五十四年でございます。その前昭和五十二年に、イトーヨーカ堂は、先ほど御指摘の三万五千平米ということのプログラムを持ってこの案件を提案したわけでございますけれども、五十四年の三条届け出につきましては一万九千八百平米ということに削減をいたして現在に至っているわけでございます。  なお、先生指摘の一種が二件、それから第二種が一件、合計三件現在三条審議を行っているわけでございますけれども、まさに工業法の先願主義ということではございませんけれども、届け出の順にという考え方、これは行政公平性、安定性という意味から考えられる一つの見方だと思います。しかし、静岡の場合につきましては、おおよそ同じような時期に提案をされまして、そして先ほど先生も御指摘のように、一つの大きなパイというものを、それが若干なりともふえるといたしましても、先取りされて一つ案件だけが優先的にその審議の対象になっていくということよりは、静岡三つ案件のような場合には、同じパイ、一つの商圏として見ますれば、それをどういうふうにして分け合っていくかということで三者一括審議というのは非常に合理的なものではないかなと私ども考えておる次第でございます。  いずれにいたしましても、地元におきまして再開発三件の審議促進というものを要請する、こういう声はございます。これは十分承知をしておりますし、尊重すべきことであろうと思っております。しかし、行政手続公平性、安定性を保ちながら、こういったような地元の声にこたえていく、このためにも、県、市、商工会議所とともに三件一括による商調協審議運営というものが適正かつ円滑に推進されるよう努力されるべきであるし、私どももその一環として努力を重ねている次第でございます。
  16. 後藤茂

    後藤委員 審議官、条件がほぼ同じ、背景も大体似たようなものだ、私は、その場合には、工業権の先願主義じゃございませんけれども、先に届け出てきたものから順次、あるいはほぼ似通ったものなら一括しながら、一つの限られた市場の中でどういうようにうまく調整をしていくか、それで結構だと思うのです。しかし、先ほど私が指摘しましたように、ある大型店に対しては本当に地元商業者との話し合いが十分なされていない。いたずらにお互いの不信感が頂点に達してきている。そして、それの調整なりにだれも責任を負って入ろうとしていかない。一方のこの開発ビル等については、これは市議会の決議等もある。それぞれの利害関係者消費者等もこれは早くお進めいただいて結構だという合意がほぼ成立してきている。あと手続をとっていってそう大きな誤りはないだろう。  今、審議官が言われましたように、それを先にやると、一定の市場の中でそれだけが先取りされれば、残されたところを何とかしなければならぬ。しかし、これは大店番だってゼロということはあり得るのですよ。必ずしも申請の八割にするとか半分にするとかあるいは三割にするということはない。どうしてもその地域商業者に対する影響が非常に大きいということになればゼロということもあり得るわけです。だから、一定の枠の中でどれかに当てはめなければならぬということを考え過ぎる点があるわけだから、これは何としても一括審議しなければバスに乗りおくれるということを考え過ぎているのではないだろうか。  私は、通産行政の一番いいところは、行政が非常に柔軟に対応していく指導が一方においてある、ちょっと行き過ぎている面もありますけれども。そういうところはこれからも大切にしてほしいと思うのです。しかも、地方自治体がそれだけ熱心に進めているものと、それからまだ非常な不信感が高まっておりまして、そのこんがらがった糸をどうほぐしていくかという糸口すらまだ見つけ得ないというものを一括でやって、仮に手続的にはすべておっしゃられたような手続を踏んだとして、うまくいくでしょうか。全くどこか洞窟の中で仕事をするならともかく、やはり開かれた市場の中でお客に物を買っていただく、あるいは地域商業者との、通産の新しい通達言葉をもつてするならば、共存共栄といいますか、この運営の動向を見ますと、そういう共存共栄というものにこれからも大きな問題を抱えているということ、何が何でも一括審議しなければならぬという棒をのんだような行政指導というものはぜひ改めていただきたいということを私は強く申し上げたい。そして、もう一度十分に地元皆さん方意見を聞いていきながら、大局に立って、どういうようにすることがその混乱してきた糸の解決の糸口になるのかということをぜひ考え出していただきたい、このことを強く要望しておきたい。  それからもう一つは、行ってみて驚いたのです。商調協というのは、いわゆる三者協議だと思うのですね。学識経験者それから消費者代表商業者代表、これで構成されて、これはどこでも三、三、三といいますか、比率は同じ形で指導されているのだと思うのです。この間、この商調協が開かれまして、つまり商業者委員が入らないままに一応の出店の規模というものをある程度提起をしているわけです。商調協というものがどういう権限あるいは権力を持ってこういう既成事実をつくろうとしてきたのか、私はこういうのこそ行政指導で、これはどうも運営にきずがある、この際はもう一度戻しなさいという指導があってよろしいと思うのです。  商業者の中では、ある人は出欠の返事をしてなかった、これは一つ別にいたしましても、もう一人の人は出席をするということを言っている。ところが過剰防衛といいますか、いやどうも、商業者が大挙して商調協を取り巻いて開催を不能にするのではないかという予断と偏見によりまして、この出席をするという者が出席できないままに、わずか十五分間で、非常に混乱に混乱を重ねてきたこういう重要な問題の解決を図ろうとしてきている。こういうやり方をもしやるとすれば、全国商業者商調協に対する不信感というものを非常に強めるだろうと思うのです。  これは一度頭を冷やして白紙に戻して、そして誠心誠意、商業者あるいは消費者そして関係者が十分に話をするテーブルに者かしていく努力を通産としてはやるべきではないかということを考えるわけですが、この問題をどう認識されておられましょうか。
  17. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 まず一番最初の問題でございますけれども、三件一括審議ということの中で、それぞれの案件についての特色あるいは消費者ニーズなり、地元中小小売商への影響等を勘案しながら審議が進められていくわけでございまして、三条審議中にもうあらかじめ一律ということが決まっているわけでもございません。そういう意味では、三条届け出後の長い間の空白期間というのがございましたので、ちょうど再開発案件の、開店日ということも関係ございます、できるだけこの三件一括での審議が円滑に行われるように私ども努めているところでございます。  さて、先般四月六日についてのことでございますけれども、商調協の開会前に一商業者委員から入室意向の表明があったと聞いております。商調協会長といたしまして、当日の会議場の周辺状況から判断いたしまして、混乱を避けるため、直接本人に入室の方法を指示したようでございます。しかし結局入室されなかったということで、入室を拒否したという事実はないと私ども聞いております。いずれにせよ、商調協審議の適正かつ円滑な運営というものが図られるように努力していくわけでございます。  この商調協審議というものが決まりますと、これが最終的な、よく結審という言葉が使われておりますけれども、この審議過程ということで煮詰まっていくというふうに私ども一つプロセス考えているわけでございます。これで決まったから最終的に決まったということではございません。その審議の中で一つのコンセンサスを得ていく、こういう重要な場面だと思っておりますが、これが最終的に終わりということではございません。一つの重要なプロセスでございますけれども、その後のプロセスがまた入っておりますし、そういう重要性とともに限界というものがあるのがこの商調協制度でございます。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、田原委員長代理着席
  18. 後藤茂

    後藤委員 時間がないので、この問題はもう少し詰めたかったわけですけれども……。  審議官認識一つの誤りは、商業者が出席をするという意思表示をしている。そしてその日は、あるいは混乱をするかわからぬというので入り口を一応指定しておった。国会議事堂じゃあるまいし、商工会議所会議場の入り口がどこであろうと、どこから入ろうと、委員が入ってくるのに対して十分に門戸を開く、あるいは開会の時間が来たのにまだ出席がないが一体どうしているかという配慮があっていいと思うのです。  私はこのことは会長にも聞いてみました。百人も二百人も委員がいるわけじゃないのです。わずか十八名ばかりの委員の中で、顔ぶれを見ればだれが欠席しているというのはすぐわかるはずです。その中で三者構成の商業者代表が一人もいない。恐らく会長のメモの中には、商業者の一人は出席するという返事があったということも承知しているだろうと思う。私がもし会長ならば、これじゃどうもやっぱり開けない。いかに周辺が困難の状況に仮にあったといたしましても、そのときは私なら開かないですね。あくまでも三者の中で十分に話し合いができるような、そういう場というものをつくっていかなければならぬ。なるほど商調協、結審ではない。しかし、これまでの運用を見ますと、商調協で第一段階やられたものがほぼそれで済んでいるということを商業者は皆知っているわけです。それが大店審の方へ行って見直されてどうこうなるということは非常にまれなんです。  ですから、この第一段階における商調協というものを大変に関心を持ち、注目しているわけです。そこで一番の中心になっている、しかもトラブルを言えば、その一方の当事者でしょう、そこのところが一人も入っていない。出席の意思を示していないなら別ですよ。それを入れていかない。あるいは入ってこなかったんだと言うのならば、入るようになぜさせなかったのか。こういうことをやらしていくということは、これは入らなくても、入らないところでやれということを通産指導したというのじゃないのです、現実にはその一方の当事者の委員が入っていないところで、しかも非常に重要なことを決めようとした、こういうことがもし行われるとすると、全国商業者は皆この間の静岡の問題を注目しているわけですから、したがって、うちの方もそういう形でやられるのではないかといって商調協に不信感を投げつけていけば、どんなに大店法が立派であろうと、あるいは冒頭に申し上げました大臣談話なり、あるいはいろいろな運営状況なりをどんなに立派につくり上げたとしても、私は一歩も進まぬだろうと思うのです。  この点は通産行政としてもう一度、大変なことだと思うのです。大変なことだと思いますけれども、この回り道が次の不信感を解決をしてぬぐい去って、そして本当に大臣談話の中にあるような新しい商業地域といいますか、都市開発の中におけるその集積地域をつくり上げ、共存共栄方向を見出すことができるのではないか。一日も早くこの不信感を除去するために、通産当局は全力を挙げて直ちに取り組んでいただきたい。そして商調協のあり方に対しましても誠心誠意話をしていくように、事前調整なりあるいは事前審査というものを踏まえてやっていくのですから、それがたくさん欠けたところがあるということを静かに反省してやっていただきたい。強くこのことを申し上げておいて、また次の機会に、その後の取り組みあるいはその後の地元における状況等も踏まえながら質問機会を持ちたいと思います。  同僚議員二本松の問題を質問させていただきますので、私は、もう答弁は要りません、そのことに対して強く要望をしておいて、私の質問を終わりたいと思います。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕
  19. 梶山静六

    梶山委員長 この際、関連質疑申し出がありますので、これを許します。佐藤徳雄君。
  20. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、今質問をされました後藤委員関連をいたしまして、お話がございましたように福島県二本松大型店出店の問題について具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  さて、時間も限定されておりますから端的に質問いたしますので、御答弁の方も手短に、わかりやすくお答えをいただきたい、冒頭にお願いを申し上げておきたいと存じます。  四月十二日に我が党の清水勇議員を団長といたしまして社会調査団四名が現地に入って調査をしてまいりました。そして多くのことがわかったわけでありますが、特に二本松の市の商店連合会、さらに商工会議所、福島県当局等に参加をいただきまして、それぞれ個別に事情聴取を行いました。とりわけ商店街関係につきましては、二本松市の商連あるいはまた近隣の安達町、東和町、岩代町の各商連からも出席をいただきまして、それぞれ御意見を承ったわけであります。  共通して出されましたのは、売り上げが大幅に減少し、商店街にとってはまさに死活問題である、大型店出店には絶対反対であるという趣旨の内容が訴えられたわけであります。それは単に、既に御承知のとおりジャスコが出店をするということだけを念頭に置いているのではなくて、既に何年か前にヨークベニマルが二本松出店をし、その影響によって多くの中小商店が売り上げが減少している、こういう事実に立って切実な実は訴えをされてきているわけであります。  さらに、私は、同一質問に対してそれぞれの方々から御意見をいただき、お答えをいただいたわけでありますが、多くの問題点、疑問点がここで発生をいたしました。つまり整理をいたしますと、三条受理に至るまでの経過措置の問題。第二は、ジャスコ出店説明をしながら、申請はそのグループでありますところの伊勢甚で申請をしているという問題。第三点は、先ほど来からお話しになっております四者協議の内容と受けとめ方の違い。そしてその次が、かなりの商工会議所に対して商店街皆さんが団結をして、一口減らす、つまり一口減口運動を実施をした過程があるわけでありますが、この問題に対する経過が非常に不明朗であるという実態が判明をいたしました。そしてまた五者協議、この問題につきましても、多くの疑問が出されておりますことをまず冒頭に指摘をしておかなければなりません。  そこで、お尋ねをいたします。その第一は、一般的なことになりますけれども、三条申請をする、ところがこれが却下あるいは預かりとなった場合に、そういう例があることも知っているわけでありますけれども、却下もしくは預かりという事態ができたことを想定した場合に、そのことは地元における条件や合意が整わないから却下もしくは預かりをしたのだと理解をするのが常識なんでありますけれども、どうお考えになりますか、お答えをいただきたいと思います。
  21. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 大規模小売店舗出店につきましては、従来から大店法に基づく調整手続を円滑かつ適正に行えるようにする。このために、三条届け出をしようとする者、または当該店舗に各テナントとして入居する予定の者、こういった者に対しまして、届け出の前に地元市町村等に出店計画について説明をし、その内容について十分に関係者に周知させるよう指導しているところでございます。  また、今回新たに出された通達におきまして、事前説明が十分なされたかどうか、判断をいたします。それが通産局、県、市、商工会議所あるいは商工会の四者が協議して判断をすることにいたしております。事前説明が十分なされているかどうか、そして十分時間がかかり過ぎている場合もございます。それは地元商店街皆様方説明を聞くことを拒否している場合もございます。しかし、できるだけ説明をし、十分徹底をする。そして、それがなされたかどうかは、ひとつ客観的に四者によって判断をしていこう、こういう制度を今とっているわけでございます。  大型店出店調整というものは、大規模小売店舗審議会それから商業活動調整協議会、この二つ、いわゆる大店審商調協審議というものを中心にして行われるのが基本でございます。大店法に基づきまして、この調整手続を適正かつ円滑に行えるようにするために、まさに今先生指摘のような地元市町村等に対する事前説明というものを十分行うことが必要だ、こういうことでございます。今後ともそういう方向指導をしていくわけでございます。事前説明、それから三条審議における審議、それからまたその次の五条審議における審議、また必要に応じまして大店審における審議と、いろいろのプロセスで十分各方面考え方が取り入れられるようにしてまいっておるわけでございます。
  22. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 先ほどの後藤委員質問に対するお答えの中では、大臣及び審議官答弁三条申請に絡んでありましたけれども、それは私も極めて常識的な答えであろうと認識をいたします。つまり、申請をするその者が、あるいは受理する一つ手続というものが、地元調整合意、あるいは説明会が不十分のままにそういう道はたどらない、こういう理解だと私は思うわけでありますけれども、私が第一点でお尋ねをいたしましたのは、五十七年十月二十七日に福島県に対してジャスコ側が三条申請を提出をしたんですけれども、却下をされているわけですね。ですから、具体的な事実なんでありますが、この時点で却下をされたということは、今の御説明の中で理解できますのは、説明が十分なされていないからだ、こういう説明に聞こえるわけですけれども、加えて、やはり地元調整なり合意というものが不十分であった、こういう判断で却下をしたと理解ができますかどうですか、審議官いかがですか。
  23. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 法制的に申しますと、届け出の却下ということはございません。しかし、現実には、その届け出を受理する場合に十分事前説明が行われているかどうかということがございます。  私ども、先ほど御答弁申し上げましたように、十分事前説明するように行政指導いたしているわけでございます。しかし、そこの段階十分地元の市町村等に対して説明が行われたかどうか、その辺の判断でございますけれども、例えば一部関係者が納得いかないなという場合があろうかと思います。しかし、すべての関係者に十分説明がなされたなと判断される場合には、三条届け出が受理されることになる場合が多いと思います。しかしながら、その場合でも、当然のことでございますけれども、商調協、大店番中心とした審議の中におきまして、消費者利益の保護に配慮しながら、周辺中小小売商の事業機会の適正な確保、こういう法の目的の観点から、慎重かつ十分な審議が行われることに相なるわけでございます。  それから、冒頭先生指摘のジャスコと伊勢甚という二つの銘柄がございます。最初ジャスコで申請なり事前説明が行われ、そして後で伊勢甚と名前が変わったことにつきましては、伊勢甚の九割の株主がジャスコでございまして、福島地区におけるジャスコグループの出店は伊勢甚としようということがその過程において決まったようでございます。  事前説明は、私どもの承知しているところでは、六回ございました。最初の三回は、なるほど先生指摘のようにジャスコということで説明がなされたようでございますけれども、後半の三回につきましては、伊勢甚という名前で事前説明がなされておったと私ども聞いておる次第でございます。
  24. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大型出店の問題で紛争が起きるときには、決まって地方自治体がかなりの動きを実は示しているわけであります。二本松の場合についてもまさにそのとおりでありまして、二本松市を初め、近隣の安達、東和、岩代等の町も同じような態度を実はとっているわけです。実は五十七年五月二十七日に、今申し上げました市町村の各商連によって、二本松地方商店街近代協議会が設立をされました。この総会の席上、ジャスコ出店絶対阻止総決起大会が二本松の市民会館で開催をされているわけであります。そこで二本松市内の十八商店会と安達地方中小業者及びサービス業者の生活権を守るという立場に立ちながら、地域の健全な発展を図るために、ジャスコの進出に絶対反対の決議をした上で、さらにまた、大型店の新規参入に関する凍結宣言が行われたことがわかりました。通産省はこの事実を承知しておりますか。
  25. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 ただいま先生指摘状況につきまして、直接私ども承知をいたしておりません。
  26. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 こういう大事な点を仙台の通産局が報告をしてよこさないというところに、私は通産行政の問題のあり方について、やっぱり疑問が出るわけであります。地元にとりましては死活問題だと騒いでいる。そしていたずらな紛争ではなくて、まさに生存権をかけた一つの動きであるのにもかかわらず、地元の人たちの意向を全然酌み取らないまま本省が知らないということについては、私は非常に不満であります。知らないと言いますから、後でひとつ調査をしていただいて、その調査については十分ひとつ報告をいただきたい。  加えて私が申し上げますのは、今日このような態度が、私どもが四月の十二日に調査に行った際でも依然としてこういう状態が継続をされている、変化が全然ないということなのであります。つまり、大臣並びに審議官の、先ほどの質問に対してのお答え中身から判断をいたしますと、地元に対する調整合意方向性が全く見出せないまま申請をして、受理をしてしまったという不信感が実は漂っていることも事実なのであります。審議官見解をお承りいたします。
  27. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 先ほど私、その件につきまして承知をしていないと申し上げましたのは、若干誤解を招いたと思いますので、訂正をいたします。  決議ということにつきましては承知をしておりませんけれども、先生指摘のような地元商店街方々あるいは周辺の市町村の方々からも、私ども十分話を聞いておりまして、その中には反対意見ということもございます。先ほどの決議ということに関しましては承知しておりませんが、地元方々の声というものは十分承知をいたしておりますし、その中で反対の御意見があるということも十分承知をいたしているつもりでございますので、その点、先ほどの私の答弁が少し誤解を招きましたので、訂正をいたします。
  28. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 それでは、それはさておきまして、次に移ります。  五十七年の十二月に二本松の市議会で、ジャスコ出店問題の陳情に対しまして、全会一致でこれを実は採択をしているわけであります。これは五十七年の十二月の二十一日であります。そして、さらにまた引き続きまして、近隣の安達町、東和町、岩代町等の各議会でも同様趣旨の陳情を採択しているわけでありますが、その内容は御承知でしょうか。
  29. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 ただい良御指摘の事実は私ども承知をいたしております。
  30. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 承知しているとすれば、商店会だけではなくて地方行政にあずかる人たちを含めまして、非常に危惧の志あるいは危機感を抱いているというのは、今申し上げました経過で十分おわかりをいただいたと思うのであります。  さて、そういう事実経過の上に立ちまして、次のことをお尋ねいたします。五十八年の四月の二十六日に四者協議が開かれているわけであります。四者協議の性格につきましては、先ほどの後藤委員に対するお答え承知しているつもりでありますけれども、四者協議に出席をされた方はどなたですか。そして日時、場所、そしてその内容を明らかにしていただきたいと思います。
  31. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 五十八年の四月二十六日の四者協議におきまして、事前説明の進捗状況、それから本件に関する地元の情勢等について、意見交換を行った次第でございます。三条届け出の受理を含めまして、今後の商業調整の進め方について協議を行ったものでございます。出席者でございますけれども、福島県商工課長その他、二本松市産業部長ほか、商工会議所専務理事ほか、それから仙台通産局流通消費課長ほかが出席をいたしております。
  32. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 その内容についてはどうですか。時間もありませんから、簡潔にひとつお答えをいただきます。
  33. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 先ほど冒頭私御答弁申し上げましたように、三条届け出について各機関の意見交換、受理の方向というものに関して協議を行ったようでございます。
  34. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 どうも私の質問に答えていただけないようであります。  それじゃ、その質問関連をいたしまして次のことをお尋ねいたしますが、仙台の通産局からもこれは出ているわけでありますけれども、仙台通産局はどういう受けとめ方をしているのか、どういう報告が本省の方に上がっているのか、ひとつ内容を示してお答えをいただきたい、こう思います。
  35. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 当時の四者協議の場面あるいはその相前後する過程におきまして、県なり市なりあるいは通産局というものは、これは三条届け出を受理する時期かなというような感触であったようでございます。  さて会議所でございますけれども、会議所がいろいろ事前説明等の機会をつくり、会議所としてはやれる範囲内ではすべてやったという判断のようでございました。したがいまして、その四者協議におきましては、今後この三条届け出を受理するかどうかという問題につきましては、県と局の判断に任せたようでございます。会議所は十分事前説明機会をつくり、全うしたという判断、そしてその後の処理につきましては、四者協議におきまして局、県にその判断をゆだねたということでございます。
  36. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 時間がありませんから次に進んで、また前に戻りながら確認をお願いしたいと思いますが、二本松地方の商店街近代化協議会という組織があります。この協議会が主催をして緊急経過報告会及び総決起大会が開催された事実があります。そのときに、会議所の大型店に対する姿勢を不満といたしまして、一口減口運動の実施を決議をいたしました。その事実を通産省は御存じでしょうか。
  37. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 ただいま先生指摘のことは事実であったと思います。
  38. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 さらに、五十八年の四月十九日に会議所あるいは商連の代表が集まりまして、一口減口運動の撤回をする約束がなされているわけであります。その際に、約束覚書が取り交わされているわけでありますが、約束覚書の内容をひとつお答えいただきたいと思います。
  39. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 その内容につきましては、私ども承知をいたしておりません。
  40. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 私は、こういう大事なことを仙台通産局が報告をしてこないということであれば、この事実を地元の人が知れば、さらに紛争が激化するし、長期化するに違いない、こういうふうな理解を実はするわけであります。  時間がありませんから端的に申し上げますが、幾つかの問題について、こういう事実と反するような、例えば四者会議中身あるいは五者協議中身、そういう問題につきましても、通産省に報告された事実とは全然違う状況が、私どもの調査の中では実は明らかになってきているわけであります。その実態の違いを強行するとすれば、私は、まさに後藤委員指摘しておりますように権力でこれをねじ伏せる、こう言わざるを得ないわけでありますけれども、私どもの調査だけを信用できないとすれば、通産省そのものが私どもと同じような実態調査をする考えがありますか、ありませんか。
  41. 山田勝久

    山田(勝)政府委員 私ども行政を担当する者として公平にやっているつもりでございますけれども、事実関係なりにつきましては仙台通産局をして十分調査をしてもらい、私どもに報告をさせていただくようにいたします。  いずれにせよ、この大型店問題の商業調整という問題は、先ほど来大臣も申し上げましたように、できるだけ地元消費者の声、それから商店街なり商業者全般の共存共栄という方向話し合いが進められ、そして公平に商業調整が行われるように私どもも努めてまいりたいと思います。行政公平性ということとともに、先ほど後藤先生からも御指摘がありました、通産省の柔軟な態度ということも行政指導の一環として使わせていただくわけでございますけれども、いずれにせよ、公平かつ安定的に共存共栄ということで事態が進んでいくように、私ども今後とも十分努力をいたす所存でございます。
  42. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 時間が過ぎましたので、私は最後の質問をいたしますけれども、実は先ほど私が申し上げました商連の一口減口運動が撤回をされた、その中身は覚書として残っているわけであります。したがいまして、事実関係について大きな違いがあると言ったのはそういうことなんでありまして、ぜひひとつその覚書というものを取り寄せて、中身の検討に入っていただきたいと同時に、実態調査もお願いしたいと要望しておきます。  さらに、つけ加えて申し上げますと、商工会議所がこの撤回を約束したときのその態度というものは、まさに商店連合会の人たちの主張を認めて、同じ立場に立つという確認のもとにこの覚書が実は手交されているわけなんであります。そうなりますと、三条申請をし、そして受理をする条件が、事実経過からいったら実際は整っていない、こういうふうに理解するのが至当だ、こう私は思っているわけであります。十分ひとつ調査をお願いをいたします。  そしてまた、このような事実経過の食い違いによって、権力があたかもごり押しをしているかのような映り方をするのは皆さん方にとりましても本意ではないと私は思いますけれども、大臣どうですか。こういう事実経過の食い違いが歴然としておりながら、どんどん既成事実をつくられている、こういう事実について大臣どうお考えですか、御答弁をいただきます。
  43. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 先ほども審議官が申しましたとおり、実情を十分調査することをお約束いたします。  いずれにしましても、この大型店出店調整につきましては、先ほども私申し上げましたとおり、まず消費者の保護、このようなことに配慮しながら、中小小売商周辺の人たちの商業活動というものを適正に確保する、そのためにはその人たちの意見も十分に聞きまして、そして適切、円滑、時に柔軟な態度でこれをやってまいりますように努力いたす所存でございます。
  44. 佐藤徳雄

    佐藤(徳)委員 大臣調査を実施する約束をいたしましたから、十分ひとつ日程等を勘案されて、できれば現地にお入りになって事実の調査を十分、本省ができないとすれば仙台通産局行政指導をぜひお願い申し上げると同時に、大臣調査をするというその答弁に期待をいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  45. 梶山静六

    梶山委員長 次に、福岡康夫君。
  46. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、きょうは石油産業の問題につきましていろいろお尋ねしてみたいと思うわけでございます。  まず最初に、私は、昨年からことしにかけてやはり天候上の問題で、猛暑、寒波という形、また景気の高揚という形で石油産業そのものが今回の場合潤うのじゃないか、こういう概念を持っておったわけでございます。それを裏づけるかのように、通産省が今月二十三日発表しました石油統計速報によりますと、五十八年度の石油製品の国内販売量というのが前年度に比べまして四・四%増、一億九千七十四万千キロリットルで、五十三年度以来五年ぶりで前年度に比べましてプラスであります。しかし、今後とも石油需要がこのまま順調に伸びるとは私も期待しておりません。そこで、我が国の石油産業の将来を思うとき、構造改善対策として集約化の問題はどうしても避けて通ることができない問題とは考えております。今後この集約化をいかに適正に進めていかれるのか、まず資源エネルギー庁の御見解をお伺いいたしたいと思うわけでございます。
  47. 豊島格

    ○豊島政府委員 我が国石油産業が、エネルギーの大宗を占める石油の安定供給の担い手として、その役割を果たしていくためには、元売の集約化の推進ということを通じまして、石油供給システムの合理化、効率化それから自律的な秩序の確立を図るということが必要であることは先生も御指摘のとおりでございます。  そこで、私どもといたしましては、石油産業の構造改善を図り、石油の安定供給の確保をしていくという観点から、元売の集約化に向けまして企業の対応に積極的に支援していくという考え方でございます。具体的には、その集約化のためのいろいろな支援というものは、金融的なものもございますし、そのほかいろいろあると思うのですが、ただ、ここで十分注意していかなければいけないのは、集約化の推進に当たっては、適切かつ有効な競争が維持されるということも当然念頭に置いて推進していく、こういうことでございます。
  48. 福岡康夫

    ○福岡委員 当然、この問題と関連しまして、石油産業の体質強化を図っていく場合には、どうしても為替の差損益が大きな影響を持ってくると思いますが、その影響緩和をどうするのか、集約化以外の対策も必要であると思うわけでございますが、資源エネルギー庁の御見解はいかがでございますか。
  49. 豊島格

    ○豊島政府委員 石油産業の合理化のためには、先ほど申し上げましたように元売の集約化というのが、何といいましても石油産業の中核的存在であるということで不可欠であろうかと思いますが、それだけでないということは確かに御指摘のとおりでございます。  それで、為替につきましては、従来非常にヘッジが少なかった、予約が少なかったということで、為替が円が高くなるときはもうかるけれども、やはり円安だと物すごい赤字を出すといいますか、そういうことの繰り返しをしてきたわけでございます。したがいまして、そういう観点から、予約比率を上げるようにということで、そういう指導をしてきたわけでございますが、その結果、五十六年の初めごろは四%ぐらいの為替予約であったということでございますが、月によって違いますが、現在では大体三〇%まで予約するということで、非常にそういう意味での為替からの変動による影響というのを緩和しておる。それから、これも徐々にでございますが、円金融にある程度シフトしていく、これも為替リクスから避ける方法でございます。  そのほか為替以外では、例えば過剰施設を持っておる、これは非常に大きな設備を持っておったわけですが、これにつきましては昨年の九月までに九十七万バレル・パー・デーの処理を行う。それからさらに需要の変化といいますか、軽質化に対応するために設備の高度化をする、こういうことに関しまして税制、金融面における助成ということも実施しておるところでございます。
  50. 福岡康夫

    ○福岡委員 今御答弁いろいろお聞きしておりますと、石油元売業者を、こういう形が非常に出てくるのでございますが、長官の御答弁の中に中小企業対策、また消費者対策という問題についてお触れになっておらないのでございますが、この点については通産当局としてはどういう御見解をお持ちでございますか。
  51. 豊島格

    ○豊島政府委員 合理化を進めていく、あるいは体質を強化するということになりますと、元売の集約化というのは欠かせないことでございます。  ただ先ほども有効競争ということを御答弁申し上げたわけでございますが、我々としましては、元売の集約化を通じて企業の枠を超えた合理化が行われる、これは設備の利用につきましても、あるいは二次設備を投資する場合におきましても、あるいは物流の面におきましてもそういうことで合理化が進むわけでございます。したがって、そういう合理化の利益といいますか、体質の強化に一方では充てるとともに、他方その効果のコストの引き下がる部分につきましては消費者に、あるいはその消費者である中小企業、そういうところに還元していく、この両建てでやっていくというのが我々の考え方でございます。
  52. 福岡康夫

    ○福岡委員 石油流通形態を眺めてみるのに、石油業界の川下分野での流通段階では非常に激しい競争が行われておるわけでございますが、その実態と対策についてどういうふうに通産当局の方はお考えでございますか。御見解をちょっとお伺いしたいと思うのです。
  53. 豊島格

    ○豊島政府委員 いわゆるガソリンスタンドでございますが、経営状況、これは揮発油販売業法に基づきます給油所経営実態報告というのがございまして、五十七年度を見ますと営業利益はマイナス〇・二%、いずれにしてもマイナス。それから経常利益もほとんどゼロであるということでございますが、五十八年度はもっと悪くなっているんじゃないか、こういう感じがいたしております。  それで、なぜそういうふうに経営が悪いのかということでございますが、一言で言ってしまえば過当競争ということも言えるわけです。実は市場規模に比べまして非常に企業の数が多いということで、全国で五万九千のスタンドがございまして、しかも石油の小売販売業者は大体一スタンド一企業というのが七割占めておるということで、企業の数が非常に多いということでございます。  それからもう一つは、御承知のように製品というのは普通の商品のように会社によっていろいろ特徴があるということではございませんで、いわば差別がない。そこで、競争ということになりますと、商品の特徴ということではなくて、どうしても価格面で競争をするということが行われるわけでございます。そういう意味で安売りということ、過当競争ということで、先ほど申しましたような非常に悪い経営状態にある、こういうことでございまして、これを改善していくということが必要なわけでございます。これはいわば構造的に問題があるということで、構造改善を進めていくということになるわけでございまして、昨年十一月に揮発油販売業というのを中小企業近代化促進法に基づきまして構造改善を行うべき業種として政令で指定したということでございまして、いわゆる中小企業近代化促進法に基づく構造改善事業を進めるということを一つ方向として持っていっているわけでございます。  ただ、こういう格好だけで解決ができるだろうかということになりますと、基本的にはいろいろ諸外国の実情等々見ましても問題が多いわけでございまして、そういう観点から石油流通業というものの長期的な安定と発展というものを図るためにどうしたらいいのかということをさらに基本的に掘り下げるという検討を並行して実施しておるわけでございます。
  54. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、今年の二月、三月の新聞、テレビ、ラジオ等からいろいろ知り得た知識を根拠として見てみるのに、構造改善対策としての集約化がどうも石油業界のカルテル体質を強めることになるのではないかと心配しておる一人でございますが、集約化によって期待される合理化及び効率化が生かされて消費者並びに中小企業に還元されるよう、集約化対策が進められていくのが必要ではないかと思っておるわけでございます。当局の御見解はいかがでございますか。
  55. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生のおっしゃるとおり、集約化による合理化、効率化というものは、石油産業自身の体質の強化にも必要でございますが、同時に最終消費者たる国民あるいは中小企業のためにいわばコストの低減の恩恵といいますか、そういうものを振り向けていくということは当然必要なことで、今先生おっしゃるとおりでございます。     〔委員長退席、田原委員長代理着席
  56. 福岡康夫

    ○福岡委員 そこで、集約化等によって寡占体制が生ずるおそれが出てくると私は思っておるわけでございますが、通産省当局は、今後石油業界の行政指導を進めるに当たって、この点を十分配慮すべき必要があるんじゃないかと思います。  そこで、本年二月二十四日の最高裁の石油ヤミカルテル有罪判決の教訓をどう受けとめておられるのか、資源エネルギー庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。
  57. 豊島格

    ○豊島政府委員 元売企業の集約化など石油産業の構造改善の推進は非常に必要であるということでございまして、今後とも社会経済の基礎物資である石油の安定供給の確保ということを図るためには、現在のいわゆる非常に流動的な石油情勢に機動的に対応するということのためには、やはり行政指導を必要に応じてしていかなければならない。また、手段としてそれは有効ではなかろうか、こう考えておる次第でございます。こうした考え方は、基本的には今回の最高裁の判決においては否定されておらないと私どもは考えております。  ただ、具体的な行政指導の実施に当たりましては、独禁法上の問題が生じないよう十分配慮するとともに、必要に応じて公正取引委員会とも十分御連絡いたし、調整を図りながら対処していかなければいけない、このように考えております。
  58. 福岡康夫

    ○福岡委員 そこで、次に公正取引委員会委員長にお伺いしたいと思いますが、このたびの最高裁判決の意義についてどのように受けとめられておるのか、また今後どのように独占禁止政策を推進されていかれるのか、判決の趣旨を生かされていくお考えか、あわせてお伺いしたいと思うわけでございます。
  59. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 二月二十四日の最高裁の石油判決でございますが、これはいろいろな点を含んでおりまして、私どもとしても、今後の運用に当たって大変意義のあるものというふうに受けとめておるわけでございます。  例えば不当な取引制限をやる場合の価格協定というものに制裁が伴わない場合でも、協定を締結すれば相互拘束の要件が満たされるとした点、それから不当な取引制限はそれに従って各事業者が実施に移すこと、それから実施の時期が現実に到来することなどが必要でなくて、不当な取引制限が既遂に達するのは一定の取引分野における競争を実質的に制限する合意ができたときであるとした点、それから、いわゆる「公共の利益に反して」という言葉についての解釈が明らかにされたという点、さらには行政指導とカルテルの関係について非常に明確なお考えが示されたという点でございます。  まず、全体についてどのように受けとめておるかというお尋ねでございますから、要約して総括的に申し上げますと、司法府の最終判断として、本件カルテルが刑罰に相当するということが確定されたということが最も大きな意義であろうというふうに思います。公正取引委員会といたしましては、この判決によって自由経済の基本的なルールである独禁法への理解がさらに深まるということを期待しておりますとともに、私どもの立場から、違法なカルテルに対しては今後とも厳正な法の運用を図ってまいる必要があるというふうに考えております。
  60. 福岡康夫

    ○福岡委員 今公正取引委員会委員長の御見解をお伺いしたところ、先ほど資源エネルギー庁長官の方でお話のありましたニュアンスとちょっと違いがあるかのように考えておりますが、行政指導上の問題でどのような見解をお持ちなのか、御答弁願いたいと思います。
  61. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 私どもといたしましては、今回の最高裁の判決におきまして、先ほど長官も御答弁申し上げましたように、私どもの考え方ともとるところは特にないんじゃないかと思っておりますが、最高裁の判決におきましては「一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進する」行政指導は適法である旨指摘されているように私どもとしては理解いたしているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、経済社会の基礎物資でございます石油の安定供給の確保を図るためには、今後とも内外の流動的な石油情勢に機動的に対応するよう、行政指導は必要かつ有用なものとして、そのときどきの情勢に応じまして行っていくことにしたいと考えておるわけでございます。  先ほども申し上げましたことになりますけれども、もとより行政指導の実施に当たりましては、独禁法上の問題が生ずることがないよう十分配慮いたさなければなりませんので、この点につきましては、必要に応じまして公正取引委員会とも十分連絡調整を図りながら対処していきたいと考えておる次第でございます。
  62. 福岡康夫

    ○福岡委員 では次に、公正取引委員会委員長にお伺いいたしますが、五十五年の九月二十六日に石油カルテル事件について高裁判決が出たわけでございますが、その後公正取引委員会の方で発表しました昭和五十六年三月十六日の「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」が公正取引委員会見解として示されておるわけでございますが、この見解はことしの二月最高裁の判決が出た後も変わっていないのかどうか、この御見解をお聞きしたいわけでございます。
  63. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 本年二月の最高裁判決の価格に関する行政指導のくだりにつきまして、私どもが要約して把握しておりますのは、一つは「物の価格が市場における自由な競争によって決定されるべきことは、独禁法の最大の眼目とするところであって、価格形成に行政がみだりに介入すべきでないことは、同法の趣旨・目的に照らして明らかなところである。」というふうにまず言っておられまして、ただし、例外的に許容される場合ももちろんあるわけでありますが、その場合でも「独禁法の究極の目的に実質的に抵触しないものである」必要があるということであります。昭和五十六年に私どもの方の委員会から関係の各省に申し入れをいたしました「独占禁止法と行政指導との関係についての考え方」というガイドラインの考え方と、ただいま御紹介しました最高裁判決の考え方とはその基礎を同じくしておるというふうに思っております。  今後ともこの考え方に沿って、行政指導によっていやしくも独禁法違反行為が誘発されることのないように、関係行政庁と調整を図ってまいりたいというふうに考えております。
  64. 福岡康夫

    ○福岡委員 そこで、今の公正取引委員会委員長の御見解をお伺いした後、御質問するわけでございますが、石油業界の集約化について現在いろいろ新聞、テレビ、ラジオ等で報道され、いろいろ取りざたされておるわけでございますが、この問題についてどのように対処されるのか、お考えをお伺いしたいと思うわけです。
  65. 高橋元

    ○高橋(元)政府委員 先ほど資源エネルギー庁の方からお答えがございましたけれども、私ども、まず一般論として申し上げますと、石油元売業界の集約化の問題は業界全体の合理化、効率化をまず目指しておるわけでございますけれども、何のための合理化、効率化かということは、その効果が需要者を初めとして国民経済全体に及ぶ、集約化による合理化、効率化によって需要者を初め国民全体が潤うということでなくてはならぬものだというふうに考えておるわけであります。  したがいまして、業界全体がこの二月の小委員会の中間報告にありますように「適正かつ有効な競争が維持されるべきことはいうまでもない。」というふうに言っておられます。そういう競争体質を堅持して個々の企業が創意工夫を凝らし、それによって合理化を進めていくということが一番肝要であろうというふうに考えております。  現在、一部の会社の間の合併というような問題がございますけれども、まだ幾つかのグループにつきましては検討中というふうに聞いておりますので、今申し上げましたような考え方を基礎として、今後具体化してまいる段階で独禁法上の問題についても判断していきたいと考えます。
  66. 福岡康夫

    ○福岡委員 次にはちょっと質問を変えまして、一般大衆的な問題としていろいろ話題になっている問題をちょっと取り上げてみたいと思うわけでございます。  ここ二、三年来の話でございますが、燃費効率がよいということで、また騒音も余りやかましくないということで、ガソリン乗用車からディーゼル乗用車に需要者が転換するのが著しく伸びておるということを、私、いろいろ自動車業界の方やらドライバーの方からお話を聞くわけでございますが、この場合、軽油の供給計画にどのように対処されておるのか、今までのガソリンと軽油のバランスが崩れてきておると思うのでございますが、この供給計画資源エネルギー庁はどういうように対策を講じられておるのか、この点について御見解をお伺いしたいわけでございます。
  67. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生指摘のとおり、最近我が国におきます石油製品の需要の中で、軽油の需要の伸びは他の品種に比べまして顕著でございます。これは軽油だけではございませんけれども、いわゆる中間留分と言われております灯油分等々の、比重がちょうどガソリンと重油の相中にあるような中間留分の需要が堅調に推移して、需要構造がいわゆる中軽質化ということが進展しているわけなんでございます。こうした傾向は従来も次第に顕著になってまいりましたけれども、今後とも御指摘のとおり続いていくと見込まれておりまして、私どもが昨年の五月に策定いたしました六十二年度までの石油供給計画におきましても、他の油種の伸びは五十七年度対比六十二年度までに〇・一%ぐらいの伸びにとどまる中で、特に二・六%の年率で増加するような見込みを立てているところでございまして、これに対応した生産を確保していくことが必要になってくるわけでございます。  現に、一〇〇の原油を処理しましてその中で軽油がとれる割合、これを生産得率という面で見ますと、十年ぐらい前に比べまして数%ポイントの上昇を見ているわけでございますけれども、このような需要の傾向は今後とも続くということを前提にいたしまして、できるだけたくさん、このような軽油を初めとする中間留分が一定の原油からとれるようにするために、重質油の分解設備の導入あるいはそのための技術開発等のために金融、税制上の、あるいは技術開発面における予算面の対応等を種々講じているところでございます。
  68. 福岡康夫

    ○福岡委員 ディーゼル車の現在の標準的な価格は大体百五十万円前後のものでございますが、普通のガソリン乗用車に比べまして十万円ぐらい少し高目なんでございます。しかしながら、燃料として同じ距離をはかった場合、ガソリンの場合、大体一般のサラリーマンは月平均三万円程度のガソリンの経費を使っておるわけでございます。ディーゼル車にこれを切りかえた場合は約二万円で済む。標準物でいろいろ考えてみますと、一万円の額の違いが出るんだ。そこで、一般のサラリーマンの方はガソリン車からディーゼル乗用車に切りかえるという形で一万円の差額が出てきて、一年間で大体十二万円ペイができる。そうすれば、自動車の乗用耐用年数というのが大体六年間だという形で、ガソリン乗用車からディーゼル乗用車への転化の率はますます加速度を加えていくと私は考えておるわけでございます。今石油部長の方からお話がありましたように、ぜひともこの問題をひとつお考えになりまして、ディーゼル乗用車に必要な軽油の対策は十分御考慮をお願いしたい、かように思うわけでございます。よろしくお願いします。  次にお伺いしたいのは、ディーゼル車に伴いまして公害問題がいろいろ問題になってくるわけでございます。いわゆるガソリン車の場合には公害に与える比率というものが余りございません。あるのはあるのですが、その比率がディーゼル車に転化することによって相当数の公害問題があるという話を聞いておるわけでございますが、現在これに伴う環境庁の方での対応はどういう対応策をお持ちなのか、その御見解をお伺いしたいと思うわけでございます。
  69. 加藤茂

    加藤説明員 お答えを申し上げます。  近年の自動車排出ガスの規制は、五十二年十二月の中央公害対策審議会の答申で窒素酸化物の低減目標値が示されております。これに基づきまして、車種別に技術的に対応可能なものから逐次規制を実施してきておるところでございます。したがいまして、ディーゼル乗用車につきましても、五十四年及び五十七年と二段階に分けて規制を実施してきておるところでございます。  ディーゼル乗用車につきましては、その後技術的にさらに低減が可能であるとの検討結果に基づきまして、五十六年に規制強化の目標値をさらに設定をいたしております。ただいまはその設定目標値の早期達成のため、専門家で構成をいたします自動車公害防止技術評価検討会におきまして、自動車メーカーから排出ガス対策技術の開発状況につきましてヒアリングをする等実施をしながら技術評価検討を行っておるところでございます。  環境庁といたしましては、当検討会において技術的に目標値達成の目途が得られたと判断されたものから逐次規制を実施してまいりたいと考えております。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕
  70. 福岡康夫

    ○福岡委員 通産省にお聞きしたいわけでございますが、ガソリン乗用車からディーゼル乗用車に転化する場合の全乗用車数の割合を大体九対一に分ける、一割程度に抑えるんだという基準があるんだというようなお話を業界の中で聞いておるわけでございますが、そういう事実はあるのですか、ないのですか、ちょっとお伺いしたいと思うわけでございます。
  71. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 恐縮でございますが、担当部局がちょっと参っておりませんで、私ども資源エネルギー庁の立場では特にさようなことは考えておりませんが、担当部局の方でどのような考えがございますか、ちょっと私の段階ではお答えできませんので、お許しいただきたいと思います。
  72. 福岡康夫

    ○福岡委員 環境庁、いかがでございますか、そういう話があるのかないのか。
  73. 加藤茂

    加藤説明員 話はございません。
  74. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、今いろいろディーゼル車の問題につきまして御質問させていただいたわけでございますが、ディーゼル乗用車の普及に伴って排出ガスの問題がいろいろ出てくると思います。環境庁当局も排出ガスの規制基準と大気汚染防止の立場から、ぜひともこの対策もいろいろお考えになりまして、今後庶民の足となるディーゼル乗用車の技術開発に対応した適正な規制基準の設定を、今後ともよろしく行政指導をお願いしたいということを御要望いたしまして、私の質疑を終わらせていただきます。
  75. 梶山静六

    梶山委員長 次に、日笠勝之君。
  76. 日笠勝之

    ○日笠委員 五十八年度の電力販売量は五年ぶりに六%台の高い伸び率をいたしました。これは景気回復を反映いたしまして産業界の電力需要が上向いたこと、特に昨年夏の猛暑、またこの冬の厳しい寒さで冷暖房の電力需要がふえたと言われております。そしてまた原油も値下がりをし、円高基調が継続をしておりますし、電力九社の収益は大幅な好転を示し、本年三月末の決算におきましては、五月にならなければ決算が確定しないわけでありますが、現状今の予測では、電力九社の合計といたしまして約九千億円の経常利益が見込まれております。これは昨年と比較いたしましても五〇%以上も上回っておりますし、史上最高でありました昭和五十五年一兆八百億円に次ぐものでございます。  そこで、過去昭和五十三年におきまして電力料金を引き下げたこともございます。今回もこれだけの経常利益が出ておるではないか、電力料金を下げたらどうかという多くの国民の皆さんの声があることも事実でございます。確かに山中元通産大臣もたびたび引き下げを委員会で表明されておられましたし、国民の安定した生活基盤を守るということから考えましても、大臣がかわっても通産行政は不変だと思いますので、大臣ひとつ、先日十九日に電力業界の首脳の会談といいましょうか、朝食会がございましたけれども、その点も踏まえまして、電力料金値下げということにつきましてのお考えをお聞きしたいと思います。
  77. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 電力料金の問題につきましては、石油の値下がりというようなこともございますけれども、私はここでたびたび申し上げておりますように、一方資本費等のコスト増あるいは国際情勢つまり中東情勢が非常に不安定である、あるいは為替の動向というような問題も見きわめていかなければならない。そういうことに配慮しながら、この料金というものは長期安定ということがどうしても必要であるということを常に私は申し上げているわけでございます。  そこで、値下げというような委員のお話もございましたけれども、長期安定ということのためには、電力業界が余剰利益を出した、例えば五十八年度に余剰利益が見込まれるということであるならば、私の考え方として、その余剰利益を明確な形で積み立てて電力料金の長期安定に資することがよろしいということで、私は、今委員のおっしゃったようなことを業界に要請いたしたわけでございます。
  78. 日笠勝之

    ○日笠委員 先日の報道によりますと、石油の元売各社も、今年に入りまして円高傾向が定着して業績が回復したということで、特約店に差益を還元しよう、石油製品の値下げを検討していると言われております。私の試算によりますと、電力業界も原油値下げで年間三千六百億円の差益が生じ、また、一円の円高でも年間燃料費が二百二十億ほど軽減される、このように言われております。  そういう意味では、どうしても国民の皆様方の感情として、厳しい家計でございます、可処分所得もなかなか伸びないというところで、この値下げということを要望していると思います。重ねてお伺いしますが、やはり無理でしょうか。
  79. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 正直なことを申し上げて、値下げということは、私の在任中にこれを行えばある意味において非常によろしいことであるかもしれませんけれども、しかし、過去の例等を考えてみて、値下げを行ってまたいろいろな条件が変わった場合に、国民経済全体のことから考えてむしろ条件の悪いような結果が生じないとも限らないわけでございます。したがいまして、私は、そのような観点から、何としても、国民生活を安定させるにはかような公共料金というものは長期に安定させるのが一番よろしいことであるという考え方からこの処置をとったものでございます。
  80. 日笠勝之

    ○日笠委員 それではちょっと観点を変えまして、確かに電力九社の経常利益は九千億円見込まれる、純利益も約八百億円から九百億円と言われております。値下げの方は、各世帯平均にしますと月四十円から五十円という説もあります。いわゆる干天の慈雨までいかない、こういうこともあります。しかし、現在の電力料金を一度見直ししていく必要もあると私は思います。そういう意味で、ひとつ御提案を申し上げたいと思います。  昭和五十三年だったかと思いますが、会計検査院が、日本中央競馬会、これは福島競馬場でありますけれども、不当事項ということでこのような事項を指摘されております。「電力の使用実績が契約電力を著しく下回っているのに、契約電力変更の処置をとらなかったため、電気料金が不経済に支払われていた」ということで「約六百七十万円が不経済になった」、こういう指摘がありますが、この点は御存じでしょうか。
  81. 小川邦夫

    ○小川政府委員 御指摘の福島競馬場の例につきましては、五十三年九月に開催季節の変更に伴いまして千三百キロワットが九百キロワットに減少ということになった。ただ、それが五十五年の五月になりまして、五十四年に開催日をもとの季節に変更したということで九百キロワットの契約を上回るという事態が出て、違約料を取られて会計検査で問題になった、こういう事実があったということを承知しております。
  82. 日笠勝之

    ○日笠委員 これが引き金になりまして、契約電力の基本料金といいましょうか、これを見直す動きが最近各地で見受けられておるわけであります。  先日もNHKテレビでも報道になったわけでありますが、品川であるとか長野県の松本市、また東京都かの三鷹、多摩市、こういうところで、大き過ぎる受電設備を転換する、そして契約電力の見直しを迫るということで相当の効果を上げたようであります。  例えば長野県の松本市では、昭和五十六年、小中学校三十三校の契約電力は大体九十キロワットから百五キロワットだったわけでありますが、これを見直したところ、小学校では二十一校中十一校、中学校では十二校中三校について五十五キロワットに変更いたしました。そして年間で一千三十八万円の基本料金が節減できた。ただ、これには工事費が千二百九十万円ほどかかっておりますけれども、翌年からは着実に基本料金だけで一千万ほどの大幅な節減ができる、こういう実態もございます。  また、先ほど言いましたNHKテレビ、五十九年三月十日に放映になりましたが、品川区の小中学校も、小学校二校、中学校一校、三校だけでありますけれども、契約電力を二〇%程度縮小できることが判明をいたしました。そして年間二億円品川区では基本電力料金が要っておったわけでありますが、これを見直していけば一億円基本料金が安くなる、こういうふうな目安が立ちまして、五十九年度からこれに踏み切っていく、こういう話もございます。  また、我が党の方でも、これにつきましては今大変関心を持ちまして、全国的に電力代節減ということでいろいろと各地域で行動を起こしておるわけでございますが、東京の三鷹市でも、先ほど言いました基本料金の契約電力の見直しをいたしまして、年間で、三鷹市で二千五十万、多摩市で千六十万、こういうふうな電力料金の節減ができた。以来、荒川区、豊島区、目黒区、清瀬市等々でも経費節減の波紋が広がっておるところでございます。  確かに電力九社は相当の利益が現実にあるわけであります。先ほど大臣がおっしゃったように、このことを大切に内部留保して、今後の料金の長期安定に役立てていく、これも一理あると思います。しかし、先ほど言いました余分な契約電力、そんなに使わないのに余分なものを払っているということも、一部の例でありますけれども現実にあるわけであります。  そういうことで、私がここで提案申し上げたいのは、各電力会社、支店、営業所にはサービスカーというのがありまして、各市町村の方からそこに申し込みをすれば調査をしていただける、こういうふうに電事連の方からもお伺いしております。資源エネルギー庁は、いわゆる省資源ということ、これも一つの大きな立場でもございますし、どうでしょうか、以上のことを踏まえまして、他省庁であるとか地方自治体であるとか、そういうところに今言ったようなことを積極的に働きかけてみるお気持ちがあるかどうか、ひとつ私はお聞きしたいと思います。
  83. 豊島格

    ○豊島政府委員 公共施設に供給される場合の契約電力でございます。  これは五百キロワット以上と以下ということですが、大体五百キロワット以下が多いのじゃないかと思いますが、その場合には負荷設備といいますか、どういう電気を使う設備かということと、それからいわゆる受電設備、変圧器、この容量から一定の方法で計算をして契約電力が決まっておるということでございます。したがって、必ずしも個々の需要の実態に応じてないという場合もあろうか、そういうこともあろうかと思いますが、いずれにいたしましても、受電設備の容量、変圧器をどのくらいつけるかということになりますと、これは個々の需要家によって違う場合もあるということでございますし、それから最初は余っていても、将来設備を拡張する、そのとき一々変圧器をふやすということはかえってコストが高くなりますので、初めからある程度余裕のあるものをつける、こういうようなことがございまして、いずれにしても需要家がどういうふうに判断していくか、こういうことでなくてはいけないということでなくて、需要家の将来設計、それから設備の利用方法ということで判断されるというのが、第一義的な問題であろうかと思います。  ただ、正直言いまして、学校その他専門家がいるわけでもございませんので、そういう点から申しますと、当然需要家から電力会社に、契約電力をどうしたらいいか、自分のところはこういう設備で使う、将来こういう計画があるということを具体的に相談していただければ、それは当然そういうことについて親切に、一番需要家のためになるように、そういう相談に応じるということをやる必要があると思います。  それからまた、この程度の規模でございますと、いわゆる主任技術者というのも置けないということで、恐らく学校等は保安協会等に実際維持管理、保守管理を委託しておるという場合がございまして、そういう保安協会等は維持管理、保守管理をしている立場からいいますと、当然電力の使い方等々もよくわかっているわけでございます。したがって、そこへ相談するというのがまた実質的な面もあるんじゃないか、こういうことでございまして、地方公共団体に見直したらどうかということも一つの方法かと思いますが、いずれにいたしましても、そういう観点で電力業界によく、自分のところに相談に来れば応じてあげますよ、親切にする、それからさらに、保安協会等にもそういうことについて十分相談に乗ってやるようにということを、電力業界が積極的にやるというふうに指導していきたい、このように考えております。
  84. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひ指導方をよろしくお願いを申し上げたいと思いますが、通産省所轄の建物の年間の光熱、水道、私、この明細書を全部調べ上げましたら、約七億六千万ほど年間要っているそうでございますが、当然長官御存じだと思います。まず、通産省所轄の建物からひとつ見直していただいたらいかがかと思います。  それともう一つは、モデル都市といいましょうか、私、言い出しっぺでございますから、選挙区の岡山市あたりにきのう実は市の当局にもお話しいたしましたので、岡山市で積極的にそういう見直しをした。もちろん先ほど言いました何年先の需要ということも考えまして、適正な契約電力をさらに更新をしていく、こういうことでこれだけの効果があったという一つのモデル的なものをつくって、地方自治体も非常に財政が逼迫しておるわけでございますので、私は蛍光灯三本を一本にしようとか、エレベーターを片一方とめようとか、そうでなくて、基本電力でありますから、これは使用料金とはまた別の問題でありますので、そういうふうにも提案を先ほどすると申し上げましたので申し上げるわけでございますが、いかがなものでございましょうか。  まず通産省所轄、通産省が見本を示して他省庁へ一つの啓蒙をする、岡山市がやる、こういうのはどうでしょうか。
  85. 豊島格

    ○豊島政府委員 通産省におきまして庁舎管理をいたしておりますのは私どものところではございませんので、その責任者ということではございませんが、今おっしゃいましたように、適切な契約をしてやることが大事であるという御趣旨はそのとおりでございまして、それによって庁費の節減ができるということは、先生に勧めていただくまでもなく、我々自身の考えることでございます。具体的にどういう契約になっておりますか、私も存じませんが、そういう趣旨で努力するということは大切なことだと思っております。
  86. 日笠勝之

    ○日笠委員 先ほどある委員の方が、通産省と言えば非常に膨大な許認可権を持つ恐ろしい官庁である、こういうふうにも言われましたけれども、そういうふうなイメージをひとつ払拭するためにも、これはいいことでありますから、大いにひとつ指導方を進めて、モデル地区、またモデル省庁としてやっていただければと、このように思うわけです。一石二鳥ならず一石三鳥である、このようにも思いますので、ひとつよろしく御検討をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  さて、この問題について、大臣、先ほどやりとりをお聞きになりまして、財政非常に厳しいときでありますので、簡単で結構でございます、今の私の提案でございますけれども、どうでございましょうか。
  87. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 電力会社は、要するにそのような公益事業が需要家に対してサービスをすることは当然でございまして、需要家の要請にこたえてどのような相談にも応ずる、あるいは諸制度につきましても需要家の理解を求めるよう、通産省といたしましては電力会社を指導してまいる所存でございます。
  88. 日笠勝之

    ○日笠委員 ひとつその点よろしくお願いを申し上げたいと思います。  続いて、テクノポリスの件でお伺いをしたいと思います。立地局長おられますか。  これはもう既に国民周知のことでございます。いわゆる技術先端産業と学術研究施設そして住環境のいわゆる産学住のバランスを保ちながら、有機的な結合を持ちながら二十一世紀を目指す新しいまちづくりということで、大変国民の皆様方の関心を引いておるところでございます。  これは御存じのように、三月二十四日でございましたか、第一次指定というのでしょうか、第一陣の承認とか、新聞によってはいろいろと言い方が違うようでございますけれども、いわゆる九地区の指定承認がなされたわけでございます。ここで問題なのは、残っている五地域でございますが、これがことしも、今回御質問をするに当たりまして、ずっと過去からの新聞情報でございますが、全部切り抜きを集めてみました。大変な、各社ばらばらの考えでございまして、例えば、残りの五地区の承認指定も六月をめどにするという稻村国土庁長官の御意見もありますし、立地公害局の方ではそうではなくて、五月雨指定だ、こうもあります。また、ある新聞によりますと、この秘めどにやるという、またほかの新聞によりますと、来年の春だとか、関係省庁四つありますので、それぞれのニュースソースが違うからこうなっておると思うのですが、公式に局長の方から、残りの五地区の指定についての御見解を承りたいと思うわけであります。
  89. 石井賢吾

    ○石井政府委員 ただいま先生指摘の九地域の承認にかかわりますものは、二月十日に十四地域につきまして、承認の前に解決をしておいていただきたい課題というものを各地域ごとに示したわけでございますが、その課題の解決を終えたところを九地域まず承認をいたしたわけでございます。したがいまして、残る五地域につきましては、その課題の対応が若干おくれておるという実情でございますが、現在非常に精力的にその解決のための検討が行われておるというふうに承知しております。基本的には、いつまでに、あるいはどういう手順でというものを私どもがアプリオリに持っておるわけではございません。あくまで当該地域かかわります課題を解決したという状況に応じまして承認をいたすということで考えておりまして、あらかじめ国のサイドでどういう手順あるいはどういう時期というものは、一切決めておりません。
  90. 日笠勝之

    ○日笠委員 それにいたしましては、新聞情報乱れ飛んでおるわけでありますけれども、具体的にちょっとお聞きしたいと思うんですが、いわゆる吉備高原地域テクノポリス、これは宿題、課題が与えられたわけでありますが、現時点、一昨日ですか、県の商工部との打ち合わせもあったそうでありますけれども、現時点での課題、これは何なのでしょうか。
  91. 石井賢吾

    ○石井政府委員 吉備高原テクノポリス構想に関しましては、二月十日に、開発計画の中長期的な目標である吉備高原都市開発に至るまでの間、新岡山空港周辺部の整備による工業立地の促進等を中心とする事業を着実に進めるべきである、また、これに関連いたしまして、関連道路の整備を図ることが必要であるという点を第一の課題として指摘をいたしたわけでございます。それから第二に、地域企業の技術高度化利用のための支援体制の整備を図ること。この二点をお願いいたしておりまして、一昨日行いましたヒアリングに関しましても、各省庁個別に対応いたしておりますが、一応この二つの課題をめぐって、これまでの岡山県の検討状況、また今後対応できる見通し、これらについて承ったわけでございます。したがいまして、今後は、そういう課題に対する解決の方向というのは、大体我々の認識する方向と同一方向で県側の作業が進められておりますが、その内容を充実していただくということがこれからの問題であろうというふうに考えております。
  92. 日笠勝之

    ○日笠委員 確かに大変難しい宿題でございまして、私も言わんとすることはよく理解できるわけでありますが、岡山の吉備高原地域テクノポリスはほかの地区とはちょっと過去のいきさつが違うということは、当然局長も御存じだと思います。すなわち、昭和五十年代から、いわゆる五十五年の八〇年代における通商政策ビジョン、産構審が出しました答申の中にありますテクノポリス構想より、すでに吉備高原都市ということで、岡山県の中央部に位置する吉備高原を、二十一世紀への福祉都市といいましょうか、そういうことで開発をすでに進めておったわけであります。  そこへ五十五年のビジョンが出てきて、五十六年の構想が発表になったということで、岡山県とすれば、吉備高原都市の一角に、またその一部にテクノポリスを取り入れるといいましょうか、上乗せをしてさらに吉備高原都市構想というものを充実していこう、実はこういう過去のいきさつがあるわけでございます。ですから、早く言えば、通産省のいわゆるテクノポリス構想の先取りをして進んでおったわけであります。うがった見方をすると、何かその辺の計画をうまくとらえたのじゃないか、ということはございませんけれども、すでに走っておったということでございます。  そういう過去のいきさつというものをよく御理解をいただきまして、確かに道路整備といいましても、これは県単独ではなかなか厳しいものがあります。私も分科会で質問いたしましたが、確かに建設省におきましても、とにかく関連道路、これが今なのだということで、吉備新線という県道につきましても、傾斜配分とは言いませんけれども、特段の配慮ということで分科会でもお願いをしたところでございます。そういういきさつ、経過があるということをひとつよく御承知の上、今後対処していただきたい。そして、余りキャッチボールが長く続きますと、いよいよマウンドに上がったときに力が出てこないということにもなりますので、キャッチボールはなるたけ早く切り上げて、本格的に第二次指定ということでスタートをさせてやっていただきたいと思うわけでございます。  と同時に、第一次指定九地区がすでにスタートいたしました。これは、先日もお聞きしたら、第二次指定であろうと、第三次指定といいましょうか、後発の指定でも別に問題ない、積極的にどんどん進めればいい、こういうふうにおっしゃるわけでありますけれども、私も昨年十二月の岡山県議会の知事さんの定例会の答弁を議事録から見ましたけれども、やはり担当の知事さんも、第一次指定を受けるということは、今後の企業誘導、導入のことですね、また地域づくりを進める上で有利にもなるしメリットもある、そういう無形なものがある、このようにおっしゃっておるわけでございます。  そういう意味で私は、この第二次以降の指定、承認というものを急いでやっていただきたい。地元の自助努力というのが最大の問題でありますけれども、一生懸命進めておるわけでございますので、ひとつ早くお願いしたいと思うのです。  もう一度お聞きしますが、どうでしょうか、あと一年も二年もかかるというようなこともあるのでしょうか、それともことし中くらいには何とか決着をつけたいという、また、六月ぐらいには何とか決着をつけたいという局長の腹づもり、決意ですね、もちろん地元の対応にもよりますけれども、いかがでしょうか。
  93. 石井賢吾

    ○石井政府委員 課題への地元対応、これは、キャッチボールというよりか、非常に積極的に相談に乗り、指導もいたしておりまして、私どもは、一日、あるいは一カ月でも早く承認できればというふうに思っておりまして、地元の対応及び関係省庁の調整を積極的に進めてまいりたいというふうに思っております。
  94. 日笠勝之

    ○日笠委員 このテクノポリスについては、金は出さないが知恵は出す、こういうふうな構想でございますので、ひとつ局長の方からも、こうやれば早く指定になりますよという知恵を出してやっていただければ、と最後にお願いをしたいわけでございます。  それでは、時間の関係で、次に海洋開発の件につきまして若干お聞きをしたいと思うわけでございます。  御存じのように、今百一国会の決算委員会でも、中曽根総理は、我が党の委員の海洋開発につきましての質問にこのように答えております。「海洋開発は、海洋国家日本にとりましては非常に重大な問題であると考えております。」「私も重大関心を持っておるのであり、これらについてしっかりとした国策を推進していく基準をつくる必要を私自体も感じております。」という御答弁をされて、海洋開発に取り組む姿勢を表明されているところでございます。  海洋というのは、全地表面積の七割を占め、まだ十分に開発されておらず、人類に残された宝庫と言われております。この海洋には、生物資源、鉱物資源、エネルギー資源、海水、また空間、スペース、こういうものも多種多様に、豊富に存在をするわけであります。日本は、小さな国ではございますけれども、二百海里経済水域というふうに考えますと、四面海に囲まれておりますので、国土の十二・八倍の広さとなり、海と陸を合わせますと世界で八位の大国となるそうでございます。そういう意味におきましても、今後大きな問題となるのがこの海洋開発でございます。資源エネルギー庁長官の私的諮問機関で海洋開発産業研究委員会というものができまして、積極的に今取り組んでおられると思いますが、長官、どうでしょうか、この海洋開発というものの重要性、また御所見というもの、簡単で結構でございます。
  95. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生ただいまおっしゃいましたように、海洋開発産業というものは、宇宙開発産業とともに二十一世紀を担う先端産業であるということで、この重要性は非常に我々も認識しておるわけでございます。  それから、先ほどの総理のお言葉にもございましたように、エネルギー資源あるいはスペースとして、無限のというのは大げさかもしれませんけれども、活用したら大変なものになる、こういうことでございます。  ただ、いずれにいたしましても海洋という特殊性でございまして、自然的な条件、特に気象的なものあるいは地形的なもの、いろいろとございまして、そういうことでこれに取り組むには相当大がかりなことをしなくてはいけない。特に技術開発の面において、そういう自然的条件を克服していくというためには相当その技術開発を進めなくてはいけないということでございますし、さらには、そういう開発を進めるときの体制をどうするかということも大事なことでございまして、そういう観点から、先ほど先生指摘になりました海洋開発産業研究委員会というもので、学識経験者関係業界等の方々にお願いして今鋭意検討をしていただいておるわけでございまして、その線に沿って我々将来にわたって非常に明るい展望で進めていきたい、このように考えておるわけでございます。
  96. 日笠勝之

    ○日笠委員 時間もありませんので、マンガン団塊、マンガンノジュールにつきまして現在の開発状況をお聞きをしたいと思います。これはマンガン、海底マンガンでございますけれども、ジャガイモ大ということで、これにはニッケル、コバルト、貴重な金属資源が多く含有されておるところでございます。いわゆるレアメタル、これについての備蓄ということがありますけれども、先ほど言いましたマンガン、ニッケル、コバルト含めまして、現在、レアメタルの備蓄状況はどうでございますか。
  97. 豊島格

    ○豊島政府委員 希少金属の備蓄につきましては、五十七年度から民間の行う備蓄に対して助成措置を行うということでございましたけれども、五十八年度から新しく国家備蓄、共同備蓄、民間備蓄という三本立ての制度を創設いたしまして、七鉱種、ニッケル、クロム、タングステン、コバルト、モリブデン、マンガン、バナジウム、この七鉱種につきまして、現在、備蓄を実施しているところですが、五十八年までのところ、国家備蓄は五日分、それから共同備蓄五日分、民間備蓄二日分というのを既に実施済みでございますが、大体、将来これを六十日分に持っていくということを目標にいたしております。
  98. 日笠勝之

    ○日笠委員 そこで、深海にあります海底マンガンの開発状況でございますが、この採鉱システムの開発でございますが、現状はどこまで進んでおりますでしょうか。
  99. 豊島格

    ○豊島政府委員 マンガン団塊の開発につきましては、五十年度から国の予算を使いまして、金属鉱業事業団に対して委託事業として深海底鉱物資源の賦存状況調査ということをいたしておりまして、この国のベースの調査というのは、大体、現在第三段階まで、ハワイ周辺の太平洋の海底でございますが、一番粗いのは八十キロ平方のところをやっていたのですけれども、大体現在は第三段階で、二十キロ平方のところまでの調査をいたしております。  それから、さらに五十七年七月に深海底鉱業暫定措置法というのを制定していただきまして、我が国の政府プロジェクトの承継者として深海資源開発株式会社というのを設立して、五十八年度から同社に上る詳細な調査を行うための自主探鉱、これはさらに精密な企業探鉱でございますが、それを実施しておる、五十九年度以降もこれを続けていく、こういうことになっております。
  100. 日笠勝之

    ○日笠委員 海洋開発につきましては、総理大臣の御見解も表明がなされておるわけでございますし、これは関係省庁、十四省庁でございましたか、関係省庁の連絡会議も最近行われておるように聞いておりますけれども、ぜひともひとつ各省庁と連携をとりまして、少資源の日本にとりまして海洋開発は残された大きな一つの使命だと思いますので、真剣にお取り組みのほどをお願いを申し上げたいと思います。  時間が三分ほど前ですけれども、お昼御飯の時期でございます。関係皆さんの御協力をいただきましてスムーズに済みましたので、終わりたいと思います。
  101. 梶山静六

    梶山委員長 和田貞夫君。
  102. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 一昨年の二月にアメリカの農務省動植物検疫局から農林省に対して、アメリカ向けの農産物以外の日本の輸出品、これに係る木製のこん包材あるいはダンネージが、ややもすると低品質のものが使われたり、あるいは特に樹皮つきの木材が使われておって、害虫が非常に多い、こういうことで、何とかならぬか、そういう依頼を受けたかのように聞いておるわけです。  今日まで農林省の方でそれを検討中であるわけですが、近々にこれが問題について、これらのこん包材を薫蒸させて、その証明書を発給する、そういう内容を骨子とした事業をやって制度化をする、こういうように聞くわけなんですが、これが農林省のサイドで、アメリカからの要請を受けてやられることは必要であろうと思いますが、これに伴って、輸出をする側、輸出メーカー、時に中小の輸出メーカーにとってはその薫蒸費用というものは非常にかさばってきて、コストがアップされて、輸出に非常に大きく関係してくるのじゃないかという危惧の念を抱くわけなんです。したがいまして、今日まで通産省としてはこの問題についてどういうように対応してこられたのかということをこの機会にひとつ御説明いただきたいと思うのです。
  103. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいま先生から御指摘のとおり、我が国からアメリカに向けて輸出されております貨物の木材によるこん包部分に虫が発見されたということで、このままではアメリカ側で所要の措置をとらなければいけないけれども、日本側で何らかの対応は考えられないかという要請がアメリカからございまして、農水省においてその対応策が検討されておるわけでございまして、私どもといたしましては、ことしに入りましてから農水省において、日本側においてこん包用の木材について先生おっしゃいますように薫蒸をいたしましてそれを使う、それについてはアメリカ側で手続をなしに済ませる、こういうことで日本側の体制づくりが進められている、こういうことを聞きました。  それはそれといたしまして、今御指摘のございましたように、日本の輸出業者に、そういうことになった場合に一体どういう影響が出るのか、特に御指摘のコスト、それからまた手続等に時間を要するというようなこともございますので、この点につきましては日本の輸出業者、特に中小の輸出業者の負担にならないようにという観点から、現在、農水省との間で具体的に幾つかの点について御相談を申し上げている段階でございます。
  104. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 農水、来てもらっておると思いますが、農水の方では今日まで、この問題についてどういうような内容でこの事業化を進めようとしておるのか、あるいはこれの実施の時期を、大体いつの時期を目標にしておるのか、農水の方からひとつ明らかにしてもらいたいと思います。
  105. 管原敏夫

    ○管原説明員 お答えいたします。  アメリカ農務省からの要望につきましては、ただいま先生お話しございましたようなことでございまして、特に機械類とかそういう工業製品のこん包材に使われている木材が非常に低品質のものが多いというようなことで、特に害虫の米国への侵入防止という観点から話があったわけでございます。  私ども、実は国際植物防疫条約というものがございまして、これに米国も加入しておりますし、日本も加入しておるわけでございますけれども、この趣旨は、植物の病害虫が国際的に蔓延するということを防止するというのが趣旨でございまして、その場合、輸出入両国が協力して行う、また輸入国はその侵入防止を図るために必要な措置を行使することができるというような規定になっておりまして、そういう趣旨からアメリカ側から要望があったわけでございますので、その点は私どもも十分その点を含んで検討しなければいくまいというふうなことで検討してきたわけでございます。  また、今回の、アメリカ側から日本側へそういう要望があったあと一つの趣旨は、この侵入防止を図る際に、輸出時点でやる場合と、輸入の、港に着いた時点でやる場合とあるわけでございますけれども、輸入の時点で、輸入港でやりますと非常に手間がかかる、コストも高くなるということから、輸出の際に措置をやった方がお互いにベターではなかろうかというようなことも、アメリカ側の要望の基礎になっているわけでございます。したがいまして、私ども、その両面から関係の省庁とも御相談しておるわけでございますが、現在やはり、虫が見つかるのは低品質のものとか、樹皮がついているものが主であるというようなこともございますので、そこらの点を含めまして、消毒の対象にできるものを限定できないかどうか、そういう点も、今、アメリカの植物検疫当局と折衝しているところでございます。
  106. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これはうがった見方ですが、最近における貿易摩擦のいわば米側の日本に対する嫌がらせというような見方もあるのですが、そうじゃないのですね。
  107. 管原敏夫

    ○管原説明員 ただいまの御指摘の点につきましては、私どもは、これは純技術的な問題であろうというふうに思っております。と申しますのは、アメリカから私どもの方へ要望してきているその中にも、技術的な観点からの説明事項が十分含まれておりまして、その点を考慮いたしますと、これは技術的にそういう要望もわかる、理解できるというふうに考えております。  それから、これは私ども、今回の問題だけでなくて、これは外国から我が国へ輸入する際には同様のことを私どもの方から要求するわけでございまして、そういう際にも、外国側にとっては非常に厳しいという措置も要求しておるわけでございまして、これは私ども、従来から、科学技術的な観点からの措置ということで対処してきているわけでございます。
  108. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これらの制度化について、いわゆる輸出業者と、その輸出業者の団体等々と今日まで事前協議をしたり、相談をしたりはされているのですか。
  109. 杉山弘

    ○杉山政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、私どもはこの一月に、農水省の方からお話を受けまして、それ以来、貿易業者の団体と、一応本件について、先ほど申し上げましたように輸出業者、特に中小輸出業者の負担にならないような方法で実施する必要があるという観点から、いろいろと協議を続けていると、ころでございます。
  110. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 今農林省の方からお話がありましたように、特に木製のこん包材の使用している材質が極めて低品質であって害虫が見つかるというような場合、あるいは樹皮つきの木材、そういうところが問題になっておるのでありますから、それに限定して、国内においては行政指導をするとか、あるいは米側と、その限りにおいてということで、一般的な制度化にならないような手だてというものを考える必要があると思うのですが、先ほども少し触れられたと思いますが、そのことと合わせて、先ほどお答えがなかったこの問題については、大体いつの時期から実施しようというように考えておられるのか、もう一度お答え願いたいと思います。
  111. 管原敏夫

    ○管原説明員 ただいま申し上げましたように、樹皮つきとか低品質のものに発見される度合いが非常に大きいということがございますので、それを中心にやるということが第一段階だろうとは思いますけれども、これはまだ交渉中で、向こう側でもそれだけに限って発見されたということはございませんけれども、私ども極力、今お話のありましたような発見される度合いの多いもの、それに限定するという方向で交渉してまいりたいというふうに思っております。  それから実施時期でございますが、これはただいま通産省からもお話がございましたように、私ども現在関係省庁とも協議しておりますし、またそういう対象を限定するという点から、アメリカ側とも折衝しておりますので、今ここでいつからというはっきりしためどを申し上げる段階ではございませんけれども、向こうから言ってきた時点、それから今までのこともございますので、なるべく早く、そういう話し合いの結果が出次第というふうに思っておりますが、今のところ、例えば当初の段階では非常に早い段階からやろうというふうに考えておりましたが、その話し合いを待ってというふうに考えております。
  112. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 これはもう既に制度化が準備されているわけですよ。それぞれまた輸出者に対しても調査をやったり、あるいは五月一日からその制度を実施するのだという説明もやっているでしょう。特にこの証明機関を社団法人日本くん蒸技術協会に一元化してやらす、そうして薫蒸業者が薫蒸をやり、一定の資格のある者が立ち会いをしたものに対して証明を発給するとか、あるいは証明の発給のための申請の受け付けはどうするというふうな具体的なところまで、あなたのところは進んでいるじゃないですか。しかも五月一日から実施をするということで、少し時期はおくれてはおりますけれども、一応目標を立てて、今まで業者指導をやってきたわけでしょう。だから、私の発言になるわけなんですよ。だから、まだ折衝していると言うが、折衝はもう終わっているじゃないですか、米側と。国会で質問したらまじめに答弁してくださいよ。
  113. 管原敏夫

    ○管原説明員 ただいまの実施時期、それから内容でございますけれども、私ども、アメリカの最初申し出は全面的な木材の消毒措置であろうというふうに思います。したがいまして、それにつきまして、今までアメリカとの交渉で、直接国が関与するわけにはいかない。関与といいますか、直接国が消毒をやるわけにはいかない、それからまた、これ以上輸入港での手続が非常に複雑になってはいけない、そういうような点。それから国内の問題等も考慮いたしまして、私ども、準備をするに当たって最低限必要なことはどういうことであろうかということでアメリカと折衝したわけでございまして、その点についてのアメリカとの交渉は基本的なものにつきましては既に終わっております。  ただ、先ほど申し上げましたように、対象を限定するとか、そういうことにつきましてはただいま交渉中でございますし、また、末端には五月一日から、また証明機関がどうだということを通知しているではないかというお話でございますけれども、私ども、こういう消毒措置をやっていくということになりますと、やはり私どもの指導のもとにやるという観点から、責任のある体制もしいていかなければいけないということで、そういう際に当たってはどういう体制がいいだろうかということで、そこの基本的な枠組みをつくらしていただいたわけでございまして、その枠組みは、今お話のありましたように決めております。  それから、当初五月一日を目標にしてきたことも事実でございますけれども、現在いろいろ各省からもこの点はこうした方がいいではないかというようなお話もございますので、そういう点も含めて検討ないし折衝しているわけでございますので、この五月一日から発足ということは、私ども現在全然考えておりません。これは延ばす予定でございます。しかし、できるだけ早く話し合いを済ませまして、害虫の侵入防止という観点でございますので、なるべく早くやった方がいいというふうに考えております。そういう観点から今検討している段階でございます。
  114. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 実施に当たって、例えば今のあなたの方の考えられておる向きでは、輸出ロットごとに証明書を発給するというようなことを考えられておるわけですね。そうすると、これは輸出業者としては大変なことなんですよ。だから、こん包材を一括して薫蒸するということであれば、これはまたやりやすい面もありますが、わざわざ証明書をロットごとにやるというようなことになりましたら、こん包してからというようなことにもなっていくわけでありまして、その点を非常に中小の輸出業者、輸出メーカーとしては頭を痛めているわけです。それがためにわざわざ薫蒸倉庫というものをつくらなければいかぬというようなことで、非常に経費の支出が莫大なものになるということで心配しておるのです。だから、ひとつ材料の限りでこれを薫蒸して、そして薫蒸した材料を使ってこん包材にしていくということにしてもらわないと非常に困る。  あわせて申し上げますと、現在私の大阪にも、かつて貯木場をつくりましたけれども、今この貯木場はがらあきです。原木のままで入ってこないで製材化した木材の輸入化になってきているわけですよ。しかも、恐らく予想されるこん包材というのは松か杉ですが、松というのは全国至るところで松枯れで、国内産の松でこん包材にするということは考えられないし、あるいは杉についても大方やはり外材でありますから、むしろ国内産の木材が虫がついて輸出されていくというのじゃなくて、輸入した外材がこん包材になって輸出されていくということになっておるんじゃないか、こういうことも考えるわけでございますので、これは一つは自由だ、薫蒸しようがしまいが自由だ、できるだけ樹皮のついたような木材を使わないようにしたらいいんだというようなことであっても、一たん証明書がついてアメリカに行くということになりますと、どうしても米側としては、証明書のついておるものとついておらないものということになりますと、一般的に証明書がついたものを当然のことながら望んでくるだろうと思いますし、そうなってまいりますと、これがきちっとした制度化になってくると、冒頭申し上げましたように、中小の輸出業者としては非常にコスト高になって輸出することさえも事欠くということになってくるわけでございますので、せっかく検討しておるということであるならば、今申し上げましたようなことを内容とした、しかも中小の輸出業者の意見というものを十分に聴取し、十分に納得ずくで、その相談の上に立ってこの事業というものを考える必要があると思うのですが、そういう点は配慮されますか。
  115. 管原敏夫

    ○管原説明員 第一点の、こん色の段階でなくて材料の段階で消毒してはいかがということでございますが、この点は二つの問題点があろうかと思います。  一つは、消毒実施をどの段階でやるのかということと、証明そのものをどの段階でやるかということかと思います。したがいまして、証明は荷物そのものにやるものですから、やはりロットごとにやらざるを得ないということでございます。ただし、消毒措置につきましては、これはそういうことをやりますと非常に手間もかかりますし、コストもかかりますので、これは材料の段階で行うというのが適当ではなかろうかというふうに考えております。ただ、その材料が確実にそのこん包に、証明したものに使われているかというその保証を確実にするという問題はあろうかと思います。  それから、外材を使っているのでというお話でございますが、外材につきましては、輸入時点で輸入検疫を私どもやっておりまして、外国からの侵入防止を図っておるわけでありまして、この点は、国内に一回入ったものにつきまして、相当時日がたっておるということでございますので、これはそういう観点から措置していく必要があろうというふうに思っております。  それから第三点の、任意であっても対象が広がるのではなかろうかということでございますけれども、これにつきましては、お話しのように任意で実施するというふうにやっておりますが、この証明措置をとれば輸入時点での手続は非常に簡素化されるというようなことがございます。しかしながら、証明書を添付しない場合でも、現状よりも厳しい検疫が課せられるということはないというふうに思っております。
  116. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 時間が参りましたので終わりたいと思いますが、通産大臣、今指摘をいたしましたような問題がございますので、より以上に特に中小の輸出業者、輸出メーカーのことを配慮していただきまして、これらの中小輸出業者が実行可能な内容のものにもっていっていただいて、輸出に支障を来すということのないように、通産省は通産のサイドでひとつぜひとも善処方をお願いしたいと思いますが、どうでございますか。
  117. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 この検疫制度につきましては、内容その他農林省から相談を受けているということでございます。しかし、輸出品にこん包材を使うということは百年の歴史があるわけです。百年の歴史のある中で木材のこん包にそのようなことがあるということは私は聞いたことがありませんし、今大阪港の問題も出ましたが、神戸、横浜港等においては、この部屋ぐらいの大きさといってはオーバーですが、この部屋の半分ぐらいの機械を輸出する場合に、それを木材でこん包する、これは内地材でこん包できるわけがない、外材を使わなければそのような大きなものはこん包できるわけがございません。そういう点からちょっと私も頭をひねるような気がいたしますけれども、現実にそのような事実があるとすれば、また現実にそれがあったということでございますので、これは委員の御指摘のように輸出関連業者、特に中小企業関係の輸出関連業者にとって大きな負担になっては大変でございますから、そのようなことのないよう、通産省といたしましては、その方向で農林省と相談したいと思います。
  118. 和田貞夫

    ○和田(貞)委員 終わります。
  119. 梶山静六

    梶山委員長 次回は、来る五月九日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時十二分散会