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1984-04-18 第101回国会 衆議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十八日(水曜日)委員長の指名 で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。  エネルギー基礎素材及び鉱物資源問題小委員       甘利  明君    木部 佳昭君       岸田 文武君    辻  英雄君       仲村 正治君    原田昇左右君       古屋  亨君    森   清君       綿貫 民輔君    渡辺 秀央君       奥野 一雄君    城地 豊司君       浜西 鉄雄君    水田  稔君       横江 金夫君    長田 武士君       木内 良明君    青山  丘君       宮田 早苗君    小沢 和秋君  エネルギー基礎素材及び鉱物資源問題小委員  長              渡辺 秀央君  流通問題小委員       浦野 烋興君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       粕谷  茂君    高村 正彦君       田原  隆君    野上  徹君       野田  毅君    深谷 隆司君       後藤  茂君    城地 豊司君       中村 重光君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    中川 嘉美君       日笠 勝之君    福岡 康夫君       横手 文雄君    野間 友一君  流通問題小委員長       後藤  茂君 ————————————————————— 昭和五十九年四月十八日(水曜日)     午前十時三十二分開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       岸田 文武君    高村 正彦君       辻  英雄君    仲村 正治君       西山敬次郎君    野上  徹君       野田  毅君    原田昇左右君       深谷 隆司君    古屋  亨君       綿貫 民輔君    奥野 一雄君       後藤  茂君    中村 重光君       浜西 鉄雄君    横江 金夫君       和田 貞夫君    渡辺 嘉藏君       木内 良明君    中川 嘉美君       日笠 勝之君    福岡 康夫君       青山  丘君    木下敬之助君       小沢 和秋君    野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君  出席政府委員         経済企画庁国民          生活局長    及川 昭伍君         通商産業大臣官         房長      福川 伸次君         通商産業大臣官         房審議官    棚橋 祐治君         通商産業省産業         政策局長    小長 啓一君         中小企業庁小規         模企業音長   藤咲 浩二君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第二課長   上野 浩靖君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   照井 清司君         法務省刑事局刑         事課長     北島 敬介君         大蔵省銀行局調         査課長     秋山 昌廣君         文部省初等中等         教育局職業教育         課長      阿部 憲司君         運輸大臣官房観         光部業務課長  小柳 皓正君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ————————————— 委員の異動 四月十八日  辞任         補欠選任   岸田 文武君     西山敬次郎君   横手 文雄君     木下敬之助君 同日  辞任         補欠選任   西山敬次郎君     岸田 文武君   木下敬之助君     横手 文雄君     ————————————— 四月十八日  割賦販売法の一部を改正する法律案長田武士  君外四名提出衆法第四号) は委員会許可を得て撤回された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置に関する件  割賦販売法の一部を改正する法律案内閣提出  第五七号)  割賦販売法の一部を改正する法律案長田武士  君外四名提出衆法第四号)の撤回許可に関す  る件      ————◇—————
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出割賦販売法の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長田武士君。
  3. 長田武士

    長田委員 ただいま議題となっております割賦販売法の一部改正につきましては、御承知のとおり既に去る三月二十四日我が党独自の改正案を国会に提出をいたしまして、四月十三日の当委員会で既に提案理由説明をさせていただいたわけであります。  消費者保護強化をさらに充実させた我が党の改正案につきましては、多くの方々から将来の割賦販売法の姿を先取りしたものだという高い評価を受けておるわけであります。そういう意味におきまして、私は本委員会で我が党の改正案の趣旨を踏まえまして、現実の割賦販売法に関する問題につきまして質問をしてまいりたいと考えております。  まず初めに、信用供与に関する問題についてお尋ねをいたします。  消費者信用市場における新規信用供与が、昭和五十六年に販売信用では十二兆二千七百三十五億円、それから消費者金融では九兆九千八百六十四億円、合わせますと二十二兆二千五百九十九億円。この規模は、同年の最終民間消費支出が百四十三兆九千六百九十億円でありますからその約一五%に当たります。また同年の可処分所得は百七十七兆一千九百十億円、こういう金額でありますから約一二%に当たるわけであります。非常に大きな規模になってまいりました。しかも、その伸び率はGNPあるいは個人消費、それを大きく上回る伸び率を示しておるわけであります。そして、五十七年にも新規信用供与は恐らく一八%から一九%伸びるだろうと予測されておりまして、その規模は恐らく二十六兆円規模には達していくだろうと言われております。  しかし、これを残高で見てまいりますと、五十六年では十八兆二千九百三十億円、また可処分所得比では一〇・三%に値しております。アメリカの例を見てまいりますと、同じく五十六年では可処分所得は一兆九千六百五十五億ドル、それに対して消費者信用残高は四千百二億ドルということでありますから、このパーセンテージは二〇・九%、将来の日本の規模といたしましては、当然アメリカ規模の二〇・九%に達するであろうと言われておるわけであります。そういう意味で、消費者信用の果たす役割は種々ありますけれども、いずれにいたしましても、こうした消費者信用の発達というのは消費を量的に拡大させる、そして国民生活にとっては非常に便利となってきておりまして、経済発展にも大きな貢献を果たしてきておると私は考えております。  こうした状況から、今やクレジットカード発行枚数というのは非常に枚数が出ておりまして、銀行系が一千五百七十八万五千枚、さらには信販系が一千九百四十五万枚、小売系といたしまして一千百七十万枚、それら合わせまして五千七百五万五千枚、このようなカードの数に達しております。これは国民十人で大体八人ぐらいの方はカードを利用していらっしゃる、持っていらっしゃる、そういう状況でございます。そうした消費者信用市場の急成長に伴いまして、販売信用取引方式も非常に多様化いたしております。  私も実はびっくりしておるわけでありますけれども、この消費者信用でも販売信用とそれから金融とに分かれます。さらに販売信用割賦方式あるいは非割賦方式、このように分かれてまいります。さらに割賦方式というのはまず初めのうちは販売業者みずからが信用供与するいわゆる自社割賦方式、これは今独立方式と呼んでおりますけれども、百貨店であるとか量販店、あるいは月賦百貨店自動車ディーラー、こういうものがいわゆるこの割賦法の始まりだと言われております。  しかし、系列方式というのも最近ふえてまいりまして、電機メーカー系クレジット会社あるいは自動車メーカー系クレジット会社、さらには専門機関媒介方式というのがございまして、これは信販会社それから中小小売商団体、さらには提携ローンがございまして民間金融機関、このように非常に形態が多種多様であります。さらに非割賦方式といたしましてはマンスリークリアカード方式、これは銀行系クレジットカード会社がやっておるわけでありますけれども、そういうものがございます。その他といたしまして、百貨店量販店等カードその他として非割賦方式を扱っておるわけであります。  さらに、金融といたしましては割賦方式、これは消費者ローン消費者金融会社がやっておるわけでありますが、金融会社とかあるいは民間金融機関信販会社銀行系クレジットカード会社、これらが消費者ローンをやっております。さらには非割賦方式といたしましては、預貯金を担保といたしまして簡単に消費者ローンを提供する。これは民間金融機関であるとかあるいは郵便局がやっております。さらには動産担保貸し付けといいまして、これは質屋さん、物を持っていって動産担保として金を借りる、こういう方式もあります。さらに、その他としましては、民間金融機関銀行系クレジット方式クレジット会社。  私は、消費者信用分類を見まして、実は私も長い間金融機関におりましたから、こういう点はわかっているつもりだったのですけれども、非常に広範であります。多種多様でありまして、大臣、こういうことを御存じだったのでしょうか。後でまた伺いますけれども、こんなにあるのですよ。そういう意味で、消費者がなかなか理解しにくい、専門家でなくてはこういう形態というのはなかなか理解できないというものも多く含まれていると思いますね。そういうことが理由になりまして、現在、社会の非常に大きな問題となっておるわけであります。  そうして、今考えてみますと、この取引形態に対する法律がどうも不十分だったために訴訟問題にも大きく発展をいたしております。参考のために、これを見てまいりますと、民事第一審の訴訟のうち、クレジット関係事件は、昭和五十三年には二万一千五百八件、五十四年には二万七千五百八十九件、それから五十五年には三万五千四百二十八件、昭和五十六年には四万三千二百七十二件、昭和五十七年には七万二百十六件ございます。そうして、この民事第一審の訴訟は全体で十二万五千六百九十六件です。これに対して、クレジットが、今申し上げましたとおり七万二百十六件ですから、何と五五・九%にも達しておるのですね、そういう意味で、法律の手当てが非常におくれたためにこのような事件を引き起こしておる、甚だ遺憾であると私は考えております。そこで、お尋ねしたいのでありますが、通産省は、かかる事態の招来について、率直に対応のおくれを認めるかどうか、まず第一点、この点についてお尋ねをいたします。
  4. 小長啓一

    小長政府委員 これまで、通産省といたしましては、消費者トラブルの増大に対処するために、約款の適正化であるとか、あるいは通達による指導等によりまして対応をしてきたわけでございますけれども、これらの行政的措置では必ずしも十分な対応ができない実態になっておるというのが現状でございます。このため、昭和五十七年から、消費者信国産業懇談会という産業政策局長私的諮問機関でございますが、そういう場をつくりまして、クレジット産業に対する今後の政策あり方について御審議を願ったわけでございますし、さらに、昨年の秋以降、産業構造審議会消費経済部会割賦販売法改正あり方について検討をいただいたわけでございまして、これらを踏まえまして本改正案が作成されたという次等でございます。
  5. 長田武士

    長田委員 いろいろな諮問もあったわけでありますけれども、私が今申し上げましたのは、通産省対応が、これだけ多様化した消費社会において、余りにもおくれたために、このような事件発展しておるということを素直にお認めになりますかということを聞いたのです。一言でいいから答えてください。
  6. 小長啓一

    小長政府委員 社会の進歩が非常に急速でございまして、それに対しまして行政対応が多少おくれぎみであったということは率直に認めざるを得ないと思います。
  7. 長田武士

    長田委員 多少じゃないのじゃないですか。これは大分おくれていますよ。  通産大臣、先ほど私が申し上げましたね。この消費者信用分類、物すごくございますけれども、大臣御存じでしょうか。
  8. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 今、長田委員からお示しいただいて、初めて知ったわけでございますが、非常に勉強になりました。
  9. 長田武士

    長田委員 私も、実は、これだけ多様化した、カード社会と言ってもいいと思いますけれども、そういう点では、取り巻く環境というのは消費者にとっては非常に厳しいなという感じがいたしております。どうか通産大臣、所管でございますから、ひとつ勉強していただきたいと思っております。  次に、「生活行政情報」というのがございます。これ、御存じですね。これは国民生活センターから出されておりまして、大体月一回発行されておりまして、私がきょうお持ちしましたのは、三百号です。この中に「割賦販売法の一部改正について」という二月七日付の通産省PR文書が載っております。この「生活行政情報」といいますのは、既に御存じのとおりでありまして、消費者に関するあらゆる行政情報国民生活センターがまとめまして、発行をいたしておりまして、すぐれた情報誌として全国に頒布されておるわけであります。  ところが、どういうわけか、私、よく理解できないのでありますけれども、ここに「割賦販売法の一部改正について」二月七日、通商産業省ということで、PR文書をちょっと読んでみます。この「改正目的」といたしまして、「近年販売に付随して信用が供与される取引が著しい伸長をみせているが、こうした取引形態に対して十分な法の手当がなされていないため、消費者トラブルが増大しており、消費者団体地方自治体等から早急に法制整備を図るべきことが強く要望されている。 今回の法改正では、これらの要望を踏まえ、法律知識契約知識等の乏しい消費者が不利益を被ることのないよう、消費者保護の一層の徹底を図ることを目的としている。」こういうふうに前文で書いています。改正目的ですよ。ですから、あなたが今おっしゃったとおり、ちょっとおくれたどころじゃなくて、十分なされていないと書いてある。これは通商産業省で出しているのですよ、僕が言っているのじゃないですよ、後で見せますから。  そこで、「改正内容」ですが、二番目に「割賦取引が増大している役務関係取引も法の対象に追加すること。」と書いてあります。いいですか。「すなわち、近年消費者トラブルが増大している役務関連取引について、商品に係る取引と同様に購入者保護等のための規定の整備を図る。」というふうに書かれておるわけであります。これは五十九年二月七日の通産省のいわゆるPR通達であります。これは間違いなんでしょうか。間違いじゃないのでしょうか。
  10. 小長啓一

    小長政府委員 そのPR資料通産省の作成したものでございます。
  11. 長田武士

    長田委員 そうしますと、これはいつの時点通産省は方針を転換されたのでしょうか。
  12. 小長啓一

    小長政府委員 通産省の作成したものでございますが、その時点におきましては、通産省産業構造審議会消費経済部会の中におきまして、割賦販売法改正あり方について具体的な検討をお願いしたわけでございます。その消費経済部会検討の中では、役務対象に加えるべきであるという御意見が有力であり、それが答申の中に書き込まれたことも事実でございます。その時点におけるPR資料ということであったと思います。その後、具体的な法案作成の段階で、特に法律技術的に法制局等との検討をいろいろ行ったわけでございますが、その過程におきまして、幾つかの問題点が出てまいりまして、引き続き検討するということにしたわけでございます。
  13. 長田武士

    長田委員 この資料はきちっと通商産業省で出しておりまして、生活行政情報でありますから、広く国民の皆さんにPRしているのじゃないですか。そうでしょう。それをある時点で、法制局といろいろ相談したけれども、うまくいかないと、だから引っ込めてしまったということなんですか。そうすると、通産省の言っていることは、どうも当てにならぬということでいいのですか、そう受け取って。
  14. 小長啓一

    小長政府委員 これは昨日の参考人の御意見の中にも出ておりましたけれども、消費経済部会の中における検討では、役務につきましてはいろんなトラブルも生じていることでもあり、具体的にその対象にすべきであるということで意見がまとまったわけでございますが、ただ、法律的側面からの検討というのが消費経済部会においては必ずしも十分になされてなかったという点はあったわけでございまして、その後法律的な側面、主として法律技術的な側面ということになるわけでございますが、その検討過程におきまして、さらに役務実態を詳細に調査分類することによりまして、今後規制のあり方を具体的に検討すべきであるというふうな結論に到達したわけでございます。
  15. 長田武士

    長田委員 どうも甚だ納得できないですね。そうしてしかも次のページに、これは五十二ページでありますけれども、「消費者トラブルの事例」というのが書いてあるのですよ。これをちょっと読みますと、「役務の提供を目的とする取引例」で、「家庭教師派遣学習塾の開催を条件に個品割賦購入あっせん契約を締結したが、教師派遣されず、しばらくして塾も閉鎖されてしまっているのに、信販会社からは支払請求がきている。」こういう具体例通産省は出していますね。そういう点で、こういう役務に対する問題意識というのは、通産省は相当強く持っておった。これに対する改正決意も持っておった。こういうことじゃないんでしょうかね。具体例まで載っていますよ。まだいっぱいあるけれども、読んでいると時間がなくなっちゃうから。どうでしょうか。
  16. 小長啓一

    小長政府委員 通産省の本問題に対する決意については、全然揺らいでいるところはないわけでございまして、当面の法律改正案の中では見送りということになったわけでございますけれども、引き続きその役務実態検討することによりまして対応していきたいと思いますし、たまたま先生指摘のような役務とその商品とが関連をしているような取引につきましては、当面省令の改正等の手続によりまして具体的に対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  17. 長田武士

    長田委員 通産大臣、今「生活行政情報」というのを私はお読みしましたね。これは通産省PR文書なんですよ。それに対して、役務についてもトラブルが非常に多いので、これをきちっと改正をしたい、対象の項目にきちっと加えるということを明文化されております。こういう文章を出しておきながら、今度は役務を外してしまうということについては、通産省としても責任があるんじゃないでしょうか。
  18. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 役務そのものでなしに、役務にまつわることでいろいろなことがあることは承知しております。しかし、通産省というところは考え方や文筆活動言論において非常に自由なところがございまして、そういうことを自由に出してしまった後で審議会でもってとやこうということになるということが往々にあることでございます。しかし、余りこれを厳密にためてしまって、自由な雰囲気を壊してしまうということもどうかと思いますけれども、十分私は今後注意して指導することにいたします。
  19. 長田武士

    長田委員 言論の自由は私は認めるのですけれども、しかし、やると言っておいて突如やめてしまうというのは、これは自由と違うんじゃないでしょうか。信義の問題ですよ。通産省というのは優秀な国の機関でございますから、やっぱり国民の信頼に足りる、そういう真実なPRをしてもらいたいですね。これ以上言ってもまたあれですから……。  そこで経企庁にお尋ねをいたします。  指定商品に付随した役務についてトラブルが多発しておるという報告を私受けておりますけれども、先ほども学習教材家庭教師とか学習塾が付随した例を申し上げたわけでありますけれども、そのほかにどのようなものがあるんでしょうか。簡単に御説明をいただきたいと思います。
  20. 照井清司

    照井説明員 お答えいたします。  実は長田委員指摘のように、役務つき商品トラブルが多発しておりますのは、ほとんどのものが学習教材英会話教材、その教材に尽きるかと言ってよろしいかと思います。実は経済企画庁国民生活センターあるいは全国消費生活センター等に依頼して調査をした取引多様化に関する消費者苦情調査先生承知調査かと思いますが、その調査によりまして見た場合に、全国消費生活センター苦情を受け付けたものの学習教材の約四割、それから英会話教材の約三割が役務と申しますか、学習塾に行かせる、あるいは家庭教師派遣します、あるいは英会話教材ですと、その会話クラブに行くことができるというような内容でございます。  その場合にどういう苦情が実際に出てくるかと申しますと、一つは、家庭教師派遣してきたとしても、その指導内容が全く初歩的で余り役に立たない。それから、これは非常に悪質だと思いますが、教えるといっても全然もう契約した後来ない。それから、これは結構多いのですけれども、実は学習塾が倒産してしまいまして、もう教師派遣とか、それから塾がなくなってしまったというような例。それからもう一つの多い実例は、購入する方が別に役務は要らないと言っても役務と抱き合わせで販売をしてしまいまして、それが実はその教材を購入してしまった後にわかって、解約したいと言ってもそれがなかなかスムーズにいかないというような、大きく言いまして実例は四つぐらいに分かれるかと思います。ですから、ほとんどのものは英会話教材なり学習教材役務つき商品の場合の苦情に出ておるということでございます。
  21. 長田武士

    長田委員 通産省お尋ねしますけれども、立法技術上非常に難しいということが先ほどございましたけれども、役務を除外するといいましても、学習教材の場合など、家庭教師とかあるいは学習塾といった付随役務ですね、この内容契約書面に明記させれば、契約の不履行があった場合には、ここいらははっきりできるんじゃないですか、付随役務の場合は。この点どうでしょう。
  22. 小長啓一

    小長政府委員 今先生指摘のような商品役務が付随するといったようなものにつきましては、今後その付随役務を明確に契約書面に記載をさせるというようなことを考えまして、取引明確化を図ってまいりますとともに、業者に対しましては、取引適正化のための指導を徹底するという方向で対処してまいりたいと考えております。
  23. 長田武士

    長田委員 クレジット契約対象品目となる役務には今いろいろあると思いますね。美容施術とか痩身術あるいは歯の治療とか、そういういろんなものがクレジットを利用されておるというのが現状であります。同じ役務といいましても、その役務の価値を評価しにくいとかあるいは定義が難しい、そういうものが私はあるとは思いますけれども、一概に全部が全部役務が規定できないというものじゃないように私は思います。そういう非常に判定しにくい役務については除外してもいいんじゃないかと私は思っておるんです。  割賦販売法についてはもう何年も何年もこの欠陥が指摘されておるわけでありますから、法改正に当たりまして、この役務関係は重要な改正の要素である、このように私たちは考えておりました。したがいまして、産構審の答申等にもこのことが具体的に事例を引かれてうたわれておるわけであります。消費支出のサービス化というのは既に家計調査等によりまして明らかでありますが、去る四月五日に発表されました経企庁の消費構造研究会によりますところの「消費構造変化の実態と今後の展望」、これによりますと、昭和三十八年当時は家計消費サービスの消費の三五%程度であった、ところが現在は四八%程度までにそれが伸びておる、恐らく二十一世紀になりますと五〇%程度に伸びていくだろうということを予測されておるわけであります。現在でも既にローンなどを利用いたしました海外旅行とかあるいはゴルフ会員権、そういう購入などが行われております。この役務の関係を積み残したまま、こういう問題を残したままこの割賦販売法改正されるということになりますと、基本的にこの問題は割賦販売法の解決にはならない、このように私は理解するわけであります。例えばゴルフの会員権は、会員が千八百名だなんて言われていまして、実は三千三百名いたとか、そうしてスタートがとれないとか、いろんな、がたがたしているわけですね。そういう具体例も実はあります。  そこで、きのうも外国の例が随分引かれたわけでありますけれども、きょう私はアメリカの例とイギリスの例を調べてまいりました。  アメリカでも消費者信用保護法というものがございまして、一九七三年に改正をされました。このとき、これの百七十条でありますけれども、要約でありますけれども、買い主が売り主との間に取引に関する紛争につき納得のできる解決を得るための努力を誠実に行ったこと、取引金額が五十ドルを超えていること等の条件を満たした場合、買い主であるカード保有者は売り主に対して抗弁をもってカード会社に対抗し得る、こういう法律があります。これは五十ドルですから、きのうのドルの値段が二百二十五円でありますから大体一万一千二百五十円以上、こういうことですね。アメリカは抗弁できます、役務についても。  イギリスについては、七十五条でありますけれども、これは消費者信用法というのがございまして、一九七四年に制定をされております。これによりますと、信用供与者が売り主との取り決めに基づいて買い主に信用供与する場合、買い主は売り主に対する抗弁(三十ポンド以下または一万ポンドを超える現金価格の商品に係るものは除く一をもって信用供与者に対抗できる、このような抗弁権が認められております。これは全部サービスですね。イギリスの場合、三十ポンドといいますと、きのうの為替レートですと三百十九円五十三銭ですから大体九千五百八十六円、そしてまたそれ以上、一万ポンドですから三百十九万円以上、以下とそれ以上はこれは認められませんよということはありますけれども、非常にこれはイギリスもアメリカもこの役務に対しては前向きであります。  くどいようでありますけれども、外国の立法例で役務がぴしっと取り入れていられるわけでありますから、私は、我が国でもこの立法措置というのはそう難しい問題ではない、このように思いますが、どうでしょうか。
  24. 小長啓一

    小長政府委員 確かに、先生指摘のように、英米法におきまして役務を含む販売信用対象になっているということは御指摘のとおりでございます。ただ、幾つかの事例を先生も御引用されながらお話をいただいたわけでございますが、私どもの調べたところでも、役務についてはかなり複雑な要素があるわけでございまして、例えば取引の態様が複雑な役務ということで、その提供の媒介、取り次ぎ及び代理を行う業者が複雑に介入をしておるというような役務といたしましては、旅行業であるとかスポーツクラブというようなのがあるわけでございますし、それから対価の概念が非常に不明確な役務ということ、具体的にはその対価の中に預託金を含めるのがいいのか悪いのかというようなこととか、あるいはその場合の割賦手数料率をどのように算定するのかというようなことで非常に困難に直面をいたしますのが、ゴルフ会員権であるとかあるいはレジャークラブの会員権といったようなものもあるわけでございますし、それからさらに提供の時期の概念が不明確な役務といたしまして、これは業規制の体系をとる前払いになるのか、あるいは行為規制のみの対象になります後払いになるのかということで、その区別をすることが大変重要なわけでございますが、その区別が困難であるという役務も幾つか存在するわけでございまして、例えば塾であるとか総合美容であるとかあるいはゴルフ会員権というようなのがこれに該当するわけでございます。  それから、その提供内容に問題がある役務といたしまして、ゴルフ会員権、これは会員権を発行したがまだオープンしてないというふうな問題がある場合とか、あるいは総合美容ということで例えば脱毛を行ったが効果がないばかりか痛みがひどいといったような場合どうするのかといったような問題もあるわけでございまして、このように非常に複雑多岐にわたる役務に対しましてどういう形の規制をやっていくのが適当かということで、はたと法律的な問題に直面をしたわけでございまして、我々といたしましては、こういう複雑な役務割賦販売法対象ということだけで規制するのには逆に大変問題のある要素もあるんではないか、したがって、むしろこの際、割賦販売法対象とすることは見送りまして、さらにその役務実態を詳細に調査いたしまして、それに対応した規制のあり方というのを具体的に詰めていくべきではないかという結論に達したわけでございまして、英米法の実態につきましてもさらに並行して十分検討し、参考にしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  25. 長田武士

    長田委員 役務につきましては、今御答弁がありましたとおり、私は難しい問題は多々あると思います。しかし、そういう問題が非常にあるので、今回はこの役務については除外いたしましたということでは済まされないんじゃないでしょうか。割賦販売審議会昭和四十七年の答申でも既にこの問題を提起していますね。これは四十七年ですから、ことしは五十九年でしょう、もう十二年もたつんですよ。そうなりますと、今小長局長は、これからまた検討しますなんて言っていますけれども、十二年たって結論が出ない。これは未来永劫にもうだめだということなんですか。十二年というのは結構検討期間が長かったんじゃないですか。そうすると、未来永劫に役務の問題は解決できないんじゃないんでしょうか。どうでしょう。
  26. 小長啓一

    小長政府委員 先ほどの答弁でも申し上げましたごとく、役務についての何らかの規制が必要であるということについては、私どもは産業構造審議会消費経済部会における議論等を通じまして十分認識をしておるところでございまして、したがって当面は見送りになったわけでございますが、今後の対応の中でできるだけ早く具体的な対策が詰まりますよう努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  27. 長田武士

    長田委員 通産大臣、この役務の問題、私は重要な問題と思いますので、これから検討検討というのも、四十七年に、もう十二年前に答申もされておりまして、一体どうなんでしょうか、これは。もうそろそろ結論を出しませんと、私は時期を失うような感じがいたしますが、通産大臣の率直なひとつ意見を述べてみてください。
  28. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 未来永劫と言っているわけではございませんし、また十二年もたつのになぜこの間にできなかったかといいますけれども、逆に十二年たったら社会の様相が余計複雑になって役務あり方というものがさらに検討を要するというような事態になったとも考えられるわけでございます。しかし、小長局長が再三答弁いたしておりますように、より一層実態の把握に努めて、どういう形でもって規制をしていくか、今後何らかの結論を得ると言っておるのでございますから、慎重の中にもなるべく早く結論を出すべきではないかと私は率直に思います。
  29. 長田武士

    長田委員 次は、抗弁の接続の対象となる金額の問題であります。これは第三十条の二第一項第二号あるいは第五項第二号のところにございます。購入者は「その書面を提出するよう努めなければならない。」これはまた後で触れます。そして、「第一項の支払分の支払であって次に掲げるものについては、適用しない。 一 政令で定める金額に満たない支払総額に係るもの」、ということは、政令によって金額を決めましょうということですね。この金額をどのくらいにするとお考えでしょうか。
  30. 小長啓一

    小長政府委員 先生お話しのように、この政令の中身はまさに下限額を決めようという趣旨でございますが、この下限額を決めるという考え方は、業者側の事情と購入者の期待とを総合的に勘案する形で決めることになるわけでございますが、割賦購入あっせん業者はその抗弁について調査が必要になるわけでございますし、そうなりますと、少額な取引ということになりますと、いたずらに社会的コストが増大をするということになりますので、ある程度すそ切りをしてほしいという要望が一方にあるわけでございます。一方また、購入者の側から見ますと、やはり抗弁権の接続を期待するのは一定の金額以上の取引ということを内心期待をしておられるのではないかというふうに思うわけでございまして、その両面を加味しながら具体的にどう決めていくかということになるわけでございます。 そこで、私どもといたしましては、これから政令を決めるまでの段階で実態をよく調査をいたしまして、トラブル実例なんかも具体的に踏まえながら金額を確定してまいりたいと思っておりますが、まだ現段階ではどれくらいまでということを申し上げるまで詰まっていないのが現状でございます。
  31. 長田武士

    長田委員 本来不良品を買わされた消費者は、私はすべて救済されるべきだと考えますね。そういう意味で、私は金額の下限というのは決めない方がいいんじゃないかと考えますが、どうでしょうか。
  32. 小長啓一

    小長政府委員 消費者だけの観点から見ますとそういう御所論もあろうかと思うわけでございますが、一方割賦購入あっせん業者の方の立場も考えてみますと、抗弁についてかなり調査も必要である、そのためには経費もかかるということになりますと、余り少額のものを対象にして、全部が全部その調査対象になって社会的コストが増大をするということになりますと、かえって流通秩序の円滑なる運行に支障を来す面もあるのではないかということでございまして、そういう意味からある程度下限額を決める、すそ切りをすることは不可避と申しましょうか、必要なのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
  33. 長田武士

    長田委員 小長局長、これは金額を設定する場合、政令で定めるということでありますけれども、これでは、国会が政府に対して白紙委任状を渡すみたいなものですね。そうでしょう。そういう点、金額がはっきりしませんと、国会審議をやっている意味合いというものがなくなっちゃうんじゃないでしょうか。大きな目玉ですよ。ここらをあいまいにしておいて、政令にお任せくださいということじゃ、我々が審議していても、この目玉が外されて審議をおやりなさいと言ってもちょっと無理じゃありませんか。
  34. 小長啓一

    小長政府委員 今、長田先生指摘の、消費者の意向を踏まえた御意見をよく頭に置きながら、これから実態調査もした上で具体的に決めてまいりたいというふうに考えます。
  35. 長田武士

    長田委員 これから実態調査をやるんですか。とても間に合いませんね、ことしぐらいじゃ。これから調査をやってトラブルの金額の対象の範囲を決めるとか、そういうことでは、とてもじゃないけれどもこれは政令で定めるなんというのはあと十年ぐらいかかるんじゃないですか。
  36. 小長啓一

    小長政府委員 これは新たに調査票を配ってどうのこうのということではございませんで、幾つか消費者相談室等を通じて出てまいっております消費者トラブル現状なんかから見まして判断をしていくわけでございますから、時日はそんな長期間を要する話ではないと思っております。
  37. 長田武士

    長田委員 じゃ、ある程度目安はついているんですか、ついてないんですか。
  38. 小長啓一

    小長政府委員 この席で自信を持ってお答えするほど目安はついておりませんが、そう時間はかからないと思っております。
  39. 長田武士

    長田委員 それじゃ、この一番問題でありますところの抗弁の接続、拒否を認めましょう、一番問題であります金額については下限を政令で決めますよということであったのでは、この割賦販売法審議する大きな柱が外れていると同じじゃありませんか。私たちはこれ以上審議できませんよ、こんなことを言われては。あとは任せなさい、金額は任せろということだったんじゃ、国会無視も甚だしい。委員長、これじゃ審議できないよ、こんなことをはっきりしなくちゃ。
  40. 小長啓一

    小長政府委員 欧米の例で見ますと、大体下限額は一万円というのが、具体的に判断をする場合の一つ参考材料ということになろうかと思います。ただ、我が国の場合のトラブル実態から見て、その一万円というのが適当かどうかというのはもう少し時間をいただいて決めたいと考えておるわけでございます。
  41. 長田武士

    長田委員 小長局長、例えば化粧品の場合は三千円とか五千円というのが多いんですよ。いいですか。一万円以下じゃ全然対象にならないじゃないですか。だから私は、金額なんか設定するのはやめなさいと言っているんです。そういう点で、政令で定めるといいますけれども、ここらをしっかりしませんと、これは大問題になりますよ。幾ら法律をつくったって、抜け穴が幾らでもできてしまう。もう一度答弁してください。
  42. 小長啓一

    小長政府委員 化粧品等につきましてその取引金額が一万円よりも少額であるという点は、私どもも承知はしておるつもりでございます。ただ、先ほどもちょっと触れましたように、抗弁権の接続ということで割賦購入あっせん業者が具体的に調査をするわけでございますが、その調査のための社会的コストが非常に高くかかるということになりますと、国民経済全体から見ましてマイナスになる点もあるわけでございますから、その辺のあんばいをどの辺の金額で定めるかということがポイントだと思いますので、長田先生指摘の点もよく踏まえまして、これから具体的に詰めてまいりたいと考える次第でございます。
  43. 長田武士

    長田委員 そういう意味で、今回の法律というのは基本的には消費者保護なんですから、私は下限の金額を決めるべきではないというふうに考えるんです。その意味で、ここで三十条の項目の「政令で定める金額に満たない支払総額」の場合には、これに抗弁が及びませんよということですね。そういうことなんですから、金額の設定というのは事重大である、私はこのように考えておるわけであります。そういう意味では通産大臣、私は金額の制限というのは撤廃するべきだと思いますが、どうでしょうか。
  44. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 これは、今金額がそのような形で撤廃すべきということになりますれば、いろいろなコストの面で、非常に大きいものも小さいものもお金がかかるということは、私はもう少し検討して考える余地のあることだと思いますし、またそういうことがあるからこそ、もっともっと慎重に検討したいという通産省側の考え方も、やはり尊重していただかなければならないと思います。
  45. 長田武士

    長田委員 小長局長、もう一度伺いますが、例えば一万円と言っていましたね。(小長政府委員「英米法」と呼ぶ)一万円と言いましたね。私の聞いたところでは二万円から五万円なんという話がちらほら聞こえておりますから、随分差があるなどいう感じがいたしております。ここである程度の金額は明示した方がいいんじゃないでしょうか。やはり委員会もそのくらいの重みを持たないと、後はお任せというようなことじゃ、私は委員会というのは余り意味がないなどいう感じがする。
  46. 小長啓一

    小長政府委員 私が先ほど言及をさせていただきましたのは、英米法の場合に一万円ということでございますが、これはかなり前の時点における一万円ということでございますので、現状において一万円というのが妥当なのかどうかということも含めて、先ほど長田先生の御指摘の事情もよく頭に置いた上で、具体的な金額はこれから詰めてまいりたいということでございまして、よく御意見の存するところを頭に置きながら、具体的な政令の中で対応してまいりたいというふうに考える次第でございます。
  47. 長田武士

    長田委員 私がこの金額にこだわると申しますのは、消費者がいろいろな形で被害を受ける−消費者に責任がないとは私は言いません。責任の一端はありますけれども、消費者保護を中心とした割賦販売法の一部改正ですから、そこらの目玉を外したまま政令でお任せくださいということでは、ちょっとまずいなということを感じておりますから。  委員長、この点どうでしょうか、金額を設定するまで委員会をストップするとか、そのくらいしないとちょっと私たちも次の質問に移れない。
  48. 梶山静六

    梶山委員長 長田委員に申し上げます。  後刻、理事会を開いてこの問題の処置を講じたいと思いますので、質問を続行してください。
  49. 長田武士

    長田委員 次に、抗弁の方法でありますけれども、ここのところをさっき私ちょっと読みましたけれども、「その書面を提出するよう努めなければならない。」これは訓示規定でありますから、これを出さなくてはならないといってもペナルティーはないようでありますけれども、この書面提出通産省で出しているいろいろな指導要綱がありまして、「付録3 個別割賦購入あっせん契約の業界資料」これを出しておりますね。知っているでしょう。この項目を見ると、すごい書類ですね、これ。こういうものをお年寄りに書けなんて言ったって、とてもじゃないけど眼鏡かけても読めないですよ。こういうたくさんの項目のものを出して、そうしなかったならば抗弁できないなどという書類では、私はこれはまずいのではないかと思うのです。そういう意味で、私は三十条の中にありますところの書面提出の努力規定、これは削除すべきである、こう思いますが、どうでしょうか。
  50. 小長啓一

    小長政府委員 ここの規定が入っております趣旨は、割賦購入あっせん業者というのが売買契約の直接の当事者ではないわけでございますから、購入者からの抗弁を受けた場合におきまして、その購入者販売業者との間にどのような事由が生じておるのかというのを明確に知り得ない場合が多いものと想定されるわけでございます。このために、両当事者間での問題の解決が迅速かつ円滑に図られるようにするために、抗弁事由を記載した書面の提出に関する義務を購入者に課したということになっておるわけでございますので、一方において消費者保護、一方において取引秩序の安定ということを考えました場合に、訓示規定としての書面の提出というのは必要なのではないかというふうに私どもは考えております。
  51. 長田武士

    長田委員 そうしますと、訓示規定ですから出さなくてもいいわけですか。出さなくても抗弁できますか。
  52. 小長啓一

    小長政府委員 書面を提出しなかったからといって、司法手続におきます。その購入者の抗弁の主張に何らの瑕疵が生ずるものではないというふうに考えております。
  53. 長田武士

    長田委員 次に、我が党の改正案では、クーリングオフを四日から一週間にすべきであるというふうに提案をいたしております。これは、消費者保護を図るために重要な点であると私たちは考えております。現在、週休二日制は各企業で取り入れられて非常に普及しておりますし、この四日間では非常に不十分であるということも、消費者の皆さんからよく訴えられます。ヨーロッパあたりの立法例を見てまいりますと、フランスの訪問販売法、ベルギーの割賦販売法、西ドイツの割賦販売法、スウェーデンの個別訪問販売法、これはいずれも一週間、七日間であります。さらに、イギリスの消費者信用法は十四日間、あるいは西ドイツの通信教育法というのは、これも十四日間です。各外国の例を見てまいりますと、大体一週間がその趨勢であろうと考えております。そういう意味で、私は現在の四日間を三日延長して七日間にすべきであると思いますが、この点どうでしょうか。
  54. 小長啓一

    小長政府委員 現行のクーリングオフの期間は、昭和四十七年の割賦販売法改正時におきます諸外国の例も勘案して定めたということで四日ということになっておるわけでございますが、最近の事例につきましては、今、長田先生指摘のように七日の国がかなり多いようでございますし、国によっては十四日というのもあるようでございます。したがって、四日間では短過ぎるという御指摘でございますけれども、この点に関しましては、私どもといたしましては今後の検討課題といたしまして、前向きに検討してまいりたいと考えております。
  55. 長田武士

    長田委員 次に、きょう私は、昭和五十八年九月の二十一日に判決が出ました松江簡易裁判所の判決例を実は持ってまいりました。これはどういう事件かと申しますと、昭和五十六年四月十五日に、ある消費者がある家具センターに参りまして、婚礼の家具四点セットを購入いたしました。代金九十万円で売買契約を結んだわけであります。そうしてその九十万円の代金に加えまして、信販会社は取扱手数料二十四万三千円を加えまして、合計百十四万三千円を三十六回に分割して支払いましょうという立てかえ払い契約を結んでおるわけであります。そうして、これが七回まで払ったのですね、二十万九千四百円。ところが、この販売会社がつぶれてしまいまして、四点セットが届かないままに依然として請求が来ておったということで、いよいよ訴訟を起こしたというものであります。  今回の改正案で私が危惧いたしておりますのは、販売会社が倒産等の理由によりまして商品等の購入契約が消滅した場合、クレジット契約も支払い停止が認められることになりました。しかし問題は、私は、支払い停止の抗弁のみに限定するのではなくて、信販会社販売会社と連帯して原状回復義務というものを当然負わなければいけない、このように考えております。そうして、購入者信販会社に対しまして、既に支払った既払い金、この場合は二十万九千四百円ですが、この返還請求が認められるということを当然この条文で明確化させるべきだと私は考えております。支払いのストップはできるけれども、いわゆる既払い金の請求まで、この原状回復の条文がないのですね、今回の法改正では。そうなりますと、私は今回の改正が、具体的な判例を見てまいりますと、既払い金二十万九千四百円を被告は払えというふうな判決が出ておりますけれども、これに対して一歩後退してしまうんじゃないかということを実は心配をいたしております。この点についてはどうでしょうか。
  56. 小長啓一

    小長政府委員 既払い金の返還請求というのは大変難しい問題でございまして、先ほど先生の御指摘の裁判所の判例は、既払い金の返還請求を認めた唯一の判例ということでございまして、これが一般化しているわけではないということをまず申し上げたいと思うわけでございますが、購入者はその販売業者に対しまして売買契約を解除することによりまして既払い金の返還請求を行うことができるわけでございますが、販売業者が倒産している場合などにおいては、このような請求権の実現は困難となるというのが現状なわけでございます。  しかし、これはいわゆる現状の自社割賦においても同じでございまして、そういう場合にあっせん業者への返還請求を認めるということになりますと、自社割賦に比べまして購入者をより有利な状況に置くということにもなるわけでございまして、その点は妥当ではないんではないかというふうに考えておるわけでございます。ちなみにアメリカ法でも既払い金の返還請求を認めてはいないようでございます。ただ、このような一応の考え方の整理というのは、現行私法の督促規定としての本規定を置くに際しての考え方ということでございますから、個別事案ごとに裁判所が購入者にこのような返還請求を認めることを排除しているものではないということを申し添えておきたいと思います。
  57. 長田武士

    長田委員 そこらはちょっと問題が残っているようでありますから、次の機会にやりたいと思っております。  時間が参りましたので最後に御質問をいたしますが、マンスリークリア方式、つまり銀行系クレジットカードであります。これは購入代金を翌月か翌々月一括して支払う方式ですね。割賦方式ではないのでありますけれども、私は、これもクレジットという機能においても信販会社によりますところの割賦購入あっせん、これとそう形態は変わらないだろう、機能そのものから考えれば形態は変わらないだろう、このように考えております。  これも先ほど申し上げました二月七日の通産省PR文書、これによりますと、消費者トラブルの事例といたしまして、銀行系カード会社、つまりマンスリークリア方式によるものが示されておるわけですね。しかし今回これも脱落しちゃっております。この点はいかなる理由で脱落したのか、ひとつ私にわかるように説明してください。
  58. 小長啓一

    小長政府委員 マンスリークリアの方式取引につきましては、先生も御指摘のように消費者トラブルが現実にほとんど起こってないというのがまず挙げられるわけでございますし、それから割賦取引の有する危険から購入者保護することを目的としております割賦販売法になじまない面もあるということでございまして、本規定を及ぼさないということにしたわけでございますが、確かに審議会の議論の中ではマンスリークリアの方式についても具体的に考えたらどうだという意見があったことは事実でございますが、これも私どもが具体的に法技術論を詰めていく過程割賦販売法の体系にはなじまないということで外したということになっておるわけでございます。
  59. 長田武士

    長田委員 以上で終わります。
  60. 梶山静六

  61. 福岡康夫

    福岡委員 まず最初に通産大臣お尋ねしたいのでございますが、私、昨日参考人の方からいろいろ御意見を拝聴させていただいたわけでございますが、特に二名の消費者代表の方から、今回の法改正案については役務関連取引の問題を初め幾つかの不備を指摘されたわけでございますが、今後これらの不備を一日も早く是正する必要があるのではないかと私は思うわけでございますが、通産大臣としては今後の取り組む姿勢についてはどういう方針でいかれるのか、御方針をお示し願いたい、かように考えておるわけでございます。
  62. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 今回の法改正では、割賦販売をめぐる緊急の課題に対応いたしましてできる限りの措置を講じたつもりでございます。特に割賦購入あっせんを法の適用対象にしたこと、あるいは抗弁権の規定を新たに設けたことなどは大いに評価していただけるものと私どもは考えておるところでございます。  ただ、委員指摘役務の問題などにつきましては、そのような考え方、そのような説があることは私どもも十分承知しておりまして、今後引き続き消費者保護という観点から万全を期するように諸般の検討を進めてまいりたいと存じます。
  63. 福岡康夫

    福岡委員 次に、大蔵省当局にお尋ねしたいのでございますが、昭和五十九年の三月二十七日の大蔵省の金融問題研究会から出されております「我が国における消費者信用あり方」と題する報告書の中にあるのを私見させていただいたわけでございますが、この中にサラ金禍の多くが、金利が高過ぎることから生じているので、銀行が消費者信用市場に参加し、自由競争を促進することで悪質なサラ金業者を追放できないものかと指摘されておるわけでございますが、このことは消費者の利益につながることでありますので、大蔵省当局の思い切った対策を望むものでありますが、当局の御見解をお伺いしたいと思うわけでございます。
  64. 秋山昌廣

    ○秋山説明員 お答えいたします。  金融問題研究会は銀行局長の私的研究会ということで、昨年の九月からこの消費者問題について検討をいたしてきたわけでございますが、今御指摘がございましたように、先月の二十七日にレポートを一応取りまとめいたしました。今委員の方から御指摘がございましたように、その報告書の中で、「金融機関自身による消費者への安定的かつ良質な資金の供給により、消費者信用市場を競争原理を通じて健全化していくことが不可欠である。」ということが書かれてございます。これはすなわち金融機関消費者信用に積極的に取り組み、その拡充を図ることによりまして、消費者信用市場全体の健全化に寄与するのではないかという趣旨でございます。  我々一般的に考えまして、金融市場全般の問題がそうでございますけれども、消費者信用市場一つの大きな市場として現在形成されてきておりますので、その金融市場の一つとしての市場の中でやはり良質な資金の供給が行われれば、結果としてその市場機能ないしは競争原理を通じまして質の悪い資金供給が駆逐されていくであろうという一般的な考え方は持っておるわけでございます。したがいまして、金融機関による、これは相対的にでございますけれども、サラ金業者と比較すれば低利で良質な消費者信用の供与が積極化すれば、消費者信用市場全体が健全化に向かうのではないかというふうに我々も考えております。  御承知のとおり、金融機関の直接消費者に対する信用自体は、アメリカなんかと比較いたしましてもそれほど量的にも多くございません。従来から我々金融機関に対しまして、消費者信用に直接積極的に乗り出すように指導しておりますし、同時に貸金業者に対して日常の行政あるいは検査を通じまして、その健全化のための指導を行っておりますが、これが両々相まって消費者信用市場全体の健全化に役立つのではないかというふうに我々は考えております。
  65. 福岡康夫

    福岡委員 本案をいろいろ検討している中に、これは通常の場合は国民の方から言われておったわけでございますが、いわゆる省際行政、本件につきましては緊急に必要なのは大蔵省所管の貸付信用、それと通産省所管の販売信用との整合性を図ることではないかと私は思っておるわけでございますが、消費者信国産業の市場規模が大きくなった今日、縦割り行政の弊害の影響から消費者に犠牲を強いることのないよう大蔵、通産両省はよく話し合っていくべきだと思います。またその場合に、この成長産業を健全に発展させるためにも無用な行政介入や規制を加えることのないように配慮すべきだと思っておりますが、大蔵省当局の御見解をお願いしたいと思います。
  66. 秋山昌廣

    ○秋山説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘がございましたように、貸付信用販売信用で規制にいろいろとアンバランスがあることは事実でございます。金融問題研究会のレポートでもその辺が随所に指摘されておるわけでございますが、やはりこういうアンバランスがありますと、消費者信用市場全体の中で自由かつ公正な競争の確保がなかなか難しくなるのではないか、それがひいては消費者信用を利用する消費者にとっても、いろいろな意味でニーズに合致しないとかあるいは規制が異なることによりましていろいろ不利益をこうむるといったことがあるわけでございます。  消費者信用にはいろいろな取引形態がございますし、また御承知のように参加する業者も多種多様にわたっております。これらについて、規制をしなければならないという場合には、できるだけいろいろな形の取引形態あるいは参加するいろいろな業者に対しまして公平な取り扱いをする必要があるだろうと考えております。ただ、しかし一方で消費者信用市場における個々の取引形態はそれぞれ大変特徴もございますし歴史もございます。したがいまして、規制を行う場合は、ただいま先生から御指摘がございましたように、無用な規制をむやみに持ち込むことはよろしくないだろうと考えております。  いずれにいたしましても、規制のあり方につきまして、あるいは消費者信用行政全体につきまして、我々といたしましても通産省初め関係省庁と十分連絡をとり合いながら今後着実に検討してまいりたい、かように考えております。
  67. 福岡康夫

    福岡委員 今の御説明によりますと、そういう事実はあるということをお認めになっておるわけでございますが、こういう問題は十年くらい前からもう問題点として発生しておるわけでございます。なぜそれを前向きに対処していくつもりがないのか、今のお話ではそういう事実があることだけお認めになっておりまして、その改善策は何ら示しておりません。この点についての御見解はいかがでございますか。
  68. 秋山昌廣

    ○秋山説明員 ただいま御説明いたしましたように、消費者信用に関係いたしますいろいろな法律がございます。割賦販売関連いたしましては割賦販売法あるいは宅地建物取引業法、それから貸金行為に関連いたしまして貸金業法、それからいわゆる消費者信用を供与している金融機関に対しましてはもちろんのこと、銀行法ですとか相互銀行法ですとかそういった金融業法、さらには質屋営業法、さらに申し上げれば、消費者信用にとって一つの大きな問題でございます金利の問題につきましても、利息制限法あるいは出資法あるいは臨時金利調整法といったようなたくさんの法律があるわけでございます。  これらの法律がいろいろな省庁にまたがっております。それぞれの省庁の行政とかあるいはそれぞれの法律もそれぞれ目的を持っておりまして、我々今回金融問題研究会でも御検討いただきました点は、消費者信用市場そのものが一つの市場としてかなり大きなものに発展してきている、今後も消費者にとりまして消費者信用自体がある意味で重要な意義を持ってくるという観点から、今回総合的な観点で検討してみた。今指摘のとおりそれぞれの法律による、それぞれの法律目的に従ってその規制の違いがあることは事実でございまして、我々としても研究会の中で総合立法といったようなものをつくるべきではないかという意見がたくさん出たことは事実でございますので、今後よくレポートを検討いたしまして、関係省庁とも協議いたしながら研究してまいりたい、かように考えております。
  69. 福岡康夫

    福岡委員 ぜひともそうしていただきたいと思います。本案につきましても、通産省当局と大蔵省当局とが十分対話と相互理解を持ちまして、この消費者行政の推進をやっていただくことをお願いいたします。  次に、経済企画庁お尋ねいたすわけでございますが、クーリングオフ制度とかいろいろ権利がこのたびの法律案によって認められたとしても、肝心の消費者がその存在、そういうものがあることを知らないのでは全く絵にかいたもちになってしまいます。そこで経済企画庁にお願いしたいことは、新聞紙上でもたしか政府の名前で広告がいろいろ出ておりますが、これは本当に年に一回形式的にぽつっと出るくらいのもので、またそれもほとんど目にとまりません。確かに政府の広告にも費用がかかると思います、また予算も厳しい折でございますが、せめて現在の倍のペースでも、また年に二回か三回でも、少しPRが足らないのではないかと思いますので、そういう形でひとつ予算の獲得に努めて、こういう問題についてはこういう権利がある、こういう場合にはこうだということをできるだけ一般国民に知らしめていただく努力をしていただきたいと思うわけでございます。  また、現在情報化社会下では重要な機能を持っているのは、テレビでのPR活動というのが非常に大きい役割を果たしておりますので、ぜひともテレビを通じてのPRも本案についての御協力を経済企画庁の方でお考え願いたいと思うわけでございますが、この点につきまして経済企画庁の方の御意見をお伺いしたいと思います。
  70. 及川昭伍

    ○及川政府委員 訪問販売や割賦販売に認められておりますクーリングオフ制度は、消費者の間の周知度を何回か調べておりますが、おおむね六割程度は承知しておるかと思います。ただその中で制度の中身まで詳しく知っているのは一割程度ということで、周知度は御指摘のように必ずしも高いとは思われません。消費者にいろいろな権利を与えても、権利の上に消費者が眠るようなことであっては消費者の利益が保護されませんので、御指摘のようにクーリングオフ制度やその他の問題について消費者向け啓発活動をさらに続けたいと思っておりますが、特に経済企画庁といたしましては、国民生活センターあるいは全国各地に二百カ所余りの消費生活センターがあるわけですが、そこで一万回程度の消費者講習会を一年にやっておりますし、あるいはパンフレットやテレビ等の媒体も持っておりますし、各省と協力しながら、特に経済企画庁消費者啓発面では中心になって消費者啓発に努めてまいりたいと思っております。
  71. 福岡康夫

    福岡委員 では、次に通産省当局にお尋ねいたしますが、内閣提出法案の第四十二条の四についてお尋ねいたすわけでございますが、この第一項には「割賦販売業者等及び信用情報機関は、信用情報を購入者の支払能力の調査以外の目的のために使用してはならない。」と禁止規定を新設しております。この規定を実効あらしめる担保規定としての罰則規定は整備されておるのかどうか、いかがでございましょうか。
  72. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘の四十二条の四の規定は、訓示規定ということでございまして、罰則担保ではございません。
  73. 福岡康夫

    福岡委員 今の御返答によりますと、担保規定としての罰則規定はない。すると、全くの訓示規定と言われるわけでございますが、法律上の単なる道徳的義務をうたっただけで個人のプライバシーの保護が保たれると通産省当局はお思いになっておられるのかどうか、いかがでございましょうか。
  74. 小長啓一

    小長政府委員 罰則担保ということで厳しく規制をいたしますと、私どもは、逆に信用情報の円滑な蓄積が妨げられることになりまして、ひいては法律の別の目的でございます多重債務者の発生の未然防止を図っていくことができなくなるおそれがあるのではないかというふうに考えておるわけでございます。  ただ、プライバシーの保護の問題につきましては、当省といたしましても、大変重大な問題として受けとめておるわけでございまして、改正法第四十二条の四の規定に基づきまして、業者購入者信用情報を信用情報機関に登録する際には、当該購入者の承諾を得るようにすること、それからまた業者及び信用情報機関は、信用情報が関連のない第三者に漏れることのないよう、適切な管理を行うべきことなどを指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  75. 福岡康夫

    福岡委員 今の局長の御答弁によりますと、あくまで指導だ、こういう形で、これは重大な問題なんです。昨日の参考人のお話によりましても、三者の信用情報機関が一本になる、こういう形で五月を目途にしてやるのだ、こういう形になるわけでございますね。そういう形の一元化された信用情報機関によって、この国民のプライバシーの保護の問題が、一本で漏れた場合には全部わかっちゃうということになります。特に経済的なまたいろいろのその人の財産、信用状況その他が全部わかるわけでございますが、これについて、なぜ通産省は罰則規定を設けなかったのか、円滑な運用という御答弁でございますが、どちらに重点が、大事な問題があるか、私は第一義的には、国民のプライバシーの権利を守る、こういうことを第一義的に考えて進んでいく必要があるのじゃないかと思うわけでございます。  特に、御承知のように電気通信事業法等においては、電気通信の機密についてはやはり罰則規定を設けております。特にここ二、三年、国民信用、プライバシーの問題というのは多々国会でも問題になっておるわけでございますが、これに対して、なぜ訓示規定だけにとどめ、これの保護を加えないのか、通産当局の姿勢を疑うものでございます。この点についての御見解をもう一度お願いしたいと思います。
  76. 小長啓一

    小長政府委員 先ほども申し上げたことでございますが、先生指摘のように、信用情報の適正な使用等につきまして、この罰則担保で厳しく規制をするということになりますと、やはり信用情報の円滑な蓄積が妨げられることになりまして、それはひいては、多重債務者の発生の未然防止ということを図れなくなるおそれがあるのではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。もちろん、プライバシーの保護の問題につきましても、私どもは重大な関心を持っておるわけでございまして、先ほど申しました二点の指導を通じまして、当面の目的は達し得るのではないかというふうに考えておるわけでございます。なお、ちなみに貸金業の規制等に関する法律もあるわけでございますが、その中におきましては同様な訓示規定が設けられておるということでございます。
  77. 福岡康夫

    福岡委員 意見としては不服でございますが、次に進めてまいります。  割賦販売法の第三十一条についてお尋ねいたすわけでございますが、現在、百貨店等大規模小売業者は割賦購入あっせん業者登録簿に登録を受けることができないと聞いておりますが、事実でしょうか。
  78. 小長啓一

    小長政府委員 事実でございます。
  79. 福岡康夫

    福岡委員 事実とすれば、多分、中小小売業者との間の無用の摩擦を生じないようにとの中小企業保護の観点からの配慮と私は思うわけでございますが、しかし消費者サービスの観点からは、せめて自社のカードの取り扱いについて子会社、関連会社及びテナント等に対しては自社同様に割賦販売ができるよう配慮しても弊害がないのではないかと思いますが、通産省当局の御見解はいかがでございますか。
  80. 小長啓一

    小長政府委員 先生ただいま御指摘のように、割賦購入あっせんの登録制度等の運用につきましては、消費者信用の沿革とかあるいは中小クレジット団体保護等の観点も込めまして、御指摘のとおり幾つかの参入規制を行っておるのが現状でございます。  今後、今先生指摘のような、多少それを緩めたり、あるいは新しく参入を認めたりというような問題に関しましては、クレジット産業の今後の基本的な方向にかかわる問題ということでもあるわけでございますので、割賦販売審議会の場等を活用することによりまして、具体的、個人別的な事案も含めて検討を行っていく必要があるのではないかということでございます。
  81. 福岡康夫

    福岡委員 実は私、いろいろ一般の消費者との接点を持ちますたびに一般の消費者の方が言われるわけでございますが、買い物に行く、デパート、スーパーへ行く、それから商店街でも買いたい、いろいろなところでいろいろこういう形での規制があるために非常な不便を感じておるのだ、もう時代は現金で物を買ったり売ったりするよりも、ほとんどが信用確認の上の商売の取引秩序にこの二、三年なっておるから、何とかこの問題については通産省もひとつ、二十年前の通達に基づくような形でおやりになっていると思いますが、経済状況も現在変わっておるので、もうちょっとこれに対処する体制をとる必要があるのじゃないかということを訴えられるわけでございます。この点について今後の通産省当局の御方針なり御見解をちょっとお示し願いたい、かように考えております。
  82. 小長啓一

    小長政府委員 これからのクレジット社会の進展に対応いたしまして、先生指摘のように、消費者サイドからそういう要望があることは、私どもも十分承知はしておるところでございます。ただ他方、クレジットをめぐります流通秩序の維持、中小企業者保護という観点もあるわけでございまして、そういうものを総合勘案をいたしまして、これから具体的にどうしていくかという問題につきまして、私どもの割賦販売審議会の中の具体的な場でこういう問題を取り上げてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  83. 福岡康夫

    福岡委員 これで質問を終わらせていただきます。
  84. 梶山静六

    梶山委員長 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。木内明君
  85. 木内良明

    木内委員 第三十条の四第三項、書面の提出の問題について聞きます。  先ほども長田委員の方からこの問題、質疑がございましたけれども、まず本法の本来の趣旨である消費者保護ということを考えますと、この第三項の規定というものは削除すべきである、このように、私は長田委員と同意見でございまして、まず主張をいたします。  なお、仮にこれが通った場合の運用の問題、これは、手続あるいは消費者保護という点から考えれば、かなり重大な問題があるわけでありまして、この点について、短時間でありますけれどもお聞きをしたいと思います。  まず、産構審の答申の中では、この書面による手続の前の段階として、誠実な交渉が消費者業者とで行われるべきである、しかる後に、この手続書面の提出が妥当である、こういうような趣旨の表現があるわけであります。成案としてでき上がった条文は、申し上げたような「書面の提出を求められたときは、その書面を提出するよう努めなければならない。」という訓示規定になっておる。  そこで、お聞きするわけでありますけれども、この手続の構成要件としての書面の提出が必要であるかどうか、この必要性の有無についての判断は、実は、業者によって行われると聞いているわけであります。それが仮に事実だとすれば、これは大変な問題であります。したがって、この点について、短時間で結構ですから、まず答弁を願いたい。
  86. 小長啓一

    小長政府委員 この条文を挿入いたしております趣旨は、先ほど長田委員にも答弁をさせていただいたわけでございますが、割賦購入あっせん業者は売買契約の直接の当事者ではないわけでございますから、購入者からの抗弁を受けた場合に、その購入者販売業者との間にどのような事由が生じておるのかを明確に知り得ない場合が多いものと想定されるわけでございます。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕 したがいまして、当事者間での問題の解決が迅速かつ円滑に図られるように、抗弁事由を記載した書面の提出に関する義務を購入者に課したものであるというのが、この訓示規定の趣旨ということでございます。そういう意味では、業者の方に具体的な書面を求める立場というのがあるわけでございます。  ただ、先生指摘の産構審の答申との関係でございますけれども、書面の提出というのは、基本的には産構審答申を踏まえたものでございまして、この書面には、販売店との交渉の経緯が記載されるのが妥当ではないかと私どもは考えておるわけでございます。  なお、申すまでもないことでございますが、書面の提出について、改正法案で規定をしておりますのは、当事者間での問題の迅速かつ円滑な解決のために特に重要と考えられるということによっておるわけでございます。
  87. 木内良明

    木内委員 当事者間における手続の円滑化、簡素化ということでありますけれども、本来の立法の趣旨というものは、消費者保護に当然力点が置かれるべきでありまして、いわばあっせん業者における手続の円滑化のために、過重な負担を消費者に課することは断じて避けなければならないわけであります。したがって、運用の段階で、当委員会における審議内容というものは、これは大変に意味を持ってくるものでありますから、まず答弁を一ついただきたいのは、あっせん業者が、この書類の提出が行われなかったことによって、いわゆる抗弁の手続が成立しないというような判断は断じてできるものではない、義務化ではないわけでありますから。この点を一点確認したい。御丁寧な答弁は結構です。一言で結構です。
  88. 小長啓一

    小長政府委員 書面の提出は、行政法上の訓示規定ということにとどまっておるわけでございますから、この書面を提出しなかったからといって、司法手続におきます購入者の抗弁の主張に瑕疵が生ずるものではないと理解をしております。
  89. 木内良明

    木内委員 法律的に手続に支障はないということでありますけれども、実際の運用に当たって、例えば消費者が、本法のこのたびの改正案の詳しい事情について知悉をしていない場合が考えられるわけであります。あっせん業者が、実はこのように改正になっておりますから出してください、こういうようなことで消費者に言いますと、消費者はそういうものかというような、正確な法律知識を持たないまま、いわゆるあっせん業者主導型の対応をしなければいけないことが起こってくればこれは問題でありますので、業者への、今申し上げた面の指導も徹底していただきたいし、この点についての明快な、一言で結構ですから、答弁を願いたい。
  90. 小長啓一

    小長政府委員 業者への指導の徹底を図るのは当然でございますし、先生指摘の点も踏まえまして、関係消費者団体等を通じまして、消費者に対する啓蒙活動にも力を入れてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  91. 木内良明

    木内委員 次に、書面のあるべき姿について、ただしたいと思います。  先ほど長田委員も提示をされました「個品割賦購入あっせん契約の業界資料」というのがございます。この審議の中で、あるべき書面の姿というものは、必要最低限の記載事項にとどめて簡略化すべきであるということをまずお訴えしたいし、同時に、これまでこれに類する資料としてございます現物を見てみますと、これは消費者における煩雑な記入作業あるいはまた心理的に相当なプレッシャーのかかる実態になっておりますから、これはぜひとも改めなければいかぬ。例えば見本、カタログ等と現物との相違しているところについての記述項目というのがあるのです、これまで使われていたもの。わずか四ミリか、四ミリ半ぐらいの幅で、目測ですけれども、十二、三センチの間に、こんなわずかの帯の状態の中に、相違しているところを箇条書きに書いてくれ、書けるわけがないじゃないですか、こういうようなものが書面として考えられているなら、大問題です。  また、るると数十項目にわたって記入しなければ、資料として成立し得ないということになっているわけです。そうして、聞いてみると、作成は社団法人全国信販協会、指導通商産業省産業政策消費経済課が指導している。それは通産省のお役人の皆さんみたいに、優秀な方ばかりならいいですよ。可能ですか。実際に、こういう資料の中に、記述式のものを米粒に書くような字で箇条書きにするのですか。  書面の形態の問題を聞きます。あえて記述式は避けて、マル・バツ式、選択式、それも項目については、購入者販売業者、買った日時、商品名、あと状態については大きな字でわかりやすくマル・バツ選択にすべきである、これを明確に答弁してください。また同じようなものが出てしまったら、それこそ字の書けないお年寄りあるいは忙しい中で書く作業のための時間もないような人は、結局作業が面倒だからというので、抗弁の手続が、成立要件としてのものがなければ成立しないのだから、面倒くさいからやめてしまおうじゃないか、抗弁の接続の手続を忌避する結果になってしまう、これは大事な問題ですよ。
  92. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘の点に関しましては、書面については一定の書式を定めて、関連業界を指導することにしてまいりたいと思いますし、消費者に対する啓発も充実をしてまいりたいと考えております。
  93. 木内良明

    木内委員 この書面のひな形はどこでつくられますか。
  94. 小長啓一

    小長政府委員 ひな形は、その取引に熟知をしております信販協会で作成することになろうと思いますが、記載例にもございますように、消費経済課の指導といいますか、その入る余地は十分あるわけでございますので、御指摘の点も踏まえまして、私ども、十分指導をしてまいりたいと思います。
  95. 木内良明

    木内委員 今の御答弁ですと、どうしても業界主導の書面になりがちな危惧を抱かざるを得ないわけでありまして、指導される余地があるどころか、指導しなければならない立場の通産省でございますし、これはぜひお約束願いたい、指導する前の段階で、私どももその書面の準備作業の段階でぜひ拝見したいので、見せていただけるように、委員長を通じてひとつお願いします。
  96. 小長啓一

    小長政府委員 その点まで御関心を持っていただいておりますことにつきまして、大変敬意を表したいと思います。  私どもといたしましては、最善の努力をして先生の御要望に沿いたいと思います。
  97. 木内良明

    木内委員 実行方をお願いします。ぜひ拝見したい。  それから、この書面の消費者購入者の入手方法です。抗弁接続の手続をしたいと発意を消費者がした場合に、どのようなルートで手に入りますか。
  98. 小長啓一

    小長政府委員 抗弁書面用紙につきましては、購入者が容易に入手できるよう、関連業界を指導してまいりたいと思います。例えば具体的には、信販会社の本支店とか、あるいは全国信販協会などの業界団体や国及び地方公共団体消費者相談窓口等に書面を備えておくことにしたいと思いますし、それから、販売店で請求すれば入手できるような体制をつくるというようなことも考えまして、そういうことを念頭に置いた上で、関連業界を指導してまいりたいと考えております。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  99. 木内良明

    木内委員 今、局長ははっきりおっしゃいましたね、販売業者にも置くようにお考えになると。ということは、商品を購入した、手元に来た、見てみたらきずがあった、抗弁の接続手続をしたい、電話一本入れると販売業者から消費者のところに送られてくる、こういうことですね。これは問題なんですよ。業界の人に聞きますと、結婚するときに離婚届けを一緒にポケットに入れて物を売るようなものだ、こういう議論があるのです。  ところが、考えてみると、いわゆる購買意識の問題として、消費者というのは、あっせん業者よりも自分が物を買った売り主の販売業者との心理的連携が強いのですね。ですから、信販協会あるいは相談室、センターだ何だかんだと言いますけれども、実際に売り主のところに電話を入れる、抗弁接続の手続をこれからあっせん業者にするから書類を送ってくれと。用意したがらない、送りたがらないのが販売業者。きのうも木島参考人のところからそういう御意見がありましたね。産構審の答申にあったのだけれども、訓示規定とはいえ、こういう形になってしまって非常に困惑している、きのう木島参考人はこう言っていました。いいですか。木島さんのようなお立場の方が困惑しているところに加えて、局長がいみじくも言われたけれども、販売業者のところにこれを置いて、そして消費者から話があったときに、すぐ送ります、私はぜひそうあるべきであると思うし、置くことを義務づけできますか。
  100. 小長啓一

    小長政府委員 販売店を通じて入手できる体制ということで、私ども、具体的に考えてまいりたいと思います。
  101. 木内良明

    木内委員 それについては、消費者販売業者にクレームをつけた、その段階で、例えば納得できない電話連絡の内容であった、販売業者にその抗弁接続の手続のための書面を送ってくれと言えば、送るような行政指導が行われますね。
  102. 小長啓一

    小長政府委員 関連業界の指導を通じまして、販売店で請求すれば入手できるような体制をつくるということを指導してまいりたいと思います。
  103. 木内良明

    木内委員 何ですか、今のは。関連業界を通じて……。
  104. 小長啓一

    小長政府委員 いや、個別販売店に具体的に指導するということではなくて、その関連販売業界を通じてそういうことができる体制を用意していきたいということでございます。
  105. 木内良明

    木内委員 確認ですけれども、関連業界を通じて云々というのは、消費者がやることじゃないですね、直接に販売業者でいいのですね。そういうことですね。  それから、私が心配しておりましたのは、この手続の前段階での誠実な交渉という産構審の答申があったものですから、確認のために聞いたわけですけれども、一回の電話でこの書面の送付を消費者は要求できるという、そういう答弁であったように受けとめておりますので、この点の確認をして私の質問を終わります。1局長、考えることはないですよ、そういうふうにはっきり言ったじゃないですか。
  106. 小長啓一

    小長政府委員 おっしゃいますように、販売店で請求すれば入手できるような体制をつくるべく関係業界を指導してまいるということでございますし、私どもとしましては、できるだけ消費者のサイドにも、書面を通じてその具体的な対応を考えていただくということをやってまいりたいというふうに思っております。
  107. 木内良明

    木内委員 最後にしようと思いましたけれども、答弁になっていないですよ。電話でクレームをつけたら、送ってくださいと言って送らせるのでしょう。そういうふうに受けとめていいのですね。
  108. 小長啓一

    小長政府委員 抗弁書面の用紙につきましては、先生のおっしゃったように、そういう電話なり何なりの手段を通じまして要求があれば、販売店を通じて入手できるような体制を考えてまいりたいというふうに思っておるわけでございますが、ただ、先生のおっしゃっている御趣旨が、書面を提出しないであっせん業者に対抗できるのかどうかというようなことだとしますと、これはちょっと別のお答えになるわけでございます。物理的にその抗弁書面用紙を請求すればすぐ届くような体制になるのかという御趣旨でございますと、そういう体制にするべく最善の努力を尽くしてまいりたいということでございます。
  109. 木内良明

    木内委員 時間が参りましたので以上にします。
  110. 梶山静六

    梶山委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十七分休憩      ————◇—————     午後一時七分開議
  111. 梶山静六

    梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮田早苗君。
  112. 宮田早苗

    宮田委員 割賦販売法目的は、法第一条にもありますとおり、取引の公正化と購入者の利益を保護するとともに、商品の流通を円滑にして、割賦を行います中小商業者の事業の安定と振興にあると思います。今回の改正が、近年の割賦関連取引の多様化と拡大によってそのトラブルが増大をして、かつ多様化していることから、一層の消費者保護を図らんとして提案されていることは時宜に適したものとして基本的には賛成するところであります。  そこで、まず第一にお聞きいたしますのは、今回の割販法の改正だけでなしに、消費者取引に適用されます他の法律並びにその運用に関しまして、さらに一層消費者保護を徹底して追求すべきと考えるところでございますが、通産大臣決意のほどをまずお伺いをいたします。
  113. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 通商産業省といたしましては、従来からも消費者保護の充実を図るために各般の施策を行ってきたところでございます。具体的には消費生活用製品安全法、家庭用品品質表示法などに基づきまして、製品の安全の確保あるいは品質表示の適正化を図るとともに、近年特に契約関連消費者トラブルが増大しておりますところから、昨年の一月には海外商品市場における先物取引の受託等に関する法律を施行しまして、また今回も割賦販売法の一部改正を提案しておる次第でございます。今後も訪問販売取引適正化について検討を始めることとしているなど、消費者保護の一層の徹底を図るべく施策の充実に努めてまいる所存でございます。
  114. 宮田早苗

    宮田委員 次に、最近の新聞報道にもございますように、割賦販売を悪用した悪質な販売業者の存在が明らかになっております。例えば、今までの質問者の中でもおっしゃった方がございますが、四月九日あるいは四月十三日の東京新聞が報道いたしましたコーキ出版の例のように、大量の信販契約書を偽造して実体のない取引をもって支払いを受けていたというもの、さらには三月十四日の読売新聞が報道しております教材販売の創文の例のように、倒産によって契約が履行されなくなった例など、私文書偽造、詐欺の疑いが強いものすら起きております。しかも、これらは氷山の一角とも見られております。こうした事実に対しまして、監督官庁でございます通産省信販会社に対しましてどのような指導をしようとしておるのか、その辺をお伺いいたします。
  115. 小長啓一

    小長政府委員 ただいま先生指摘のコーキ出版等の具体的な事案につきましては、通産省といたしましても実態調査中でございます。信販業者に対しましては、従来からも商品の供給等を円滑に行うことのできない販売業者あるいは倒産のおそれのある販売業者を加盟店としないよう指導を行ってきたところでございますが、今後とも、先ほどのような事例にもかんがみまして加盟店に対する審査、指導を充実させるとともに、いやしくも加盟店の悪質な商法に加担することのないよう、厳重に信販会社指導してまいる所存でございます。
  116. 宮田早苗

    ○富田委員 このようなトラブルは、割賦関連取引に起因することとあわせて訪問販売に関するトラブルとも言えるものでございますが、この訪問販売法によります消費者保護規定を今回の割販法改正の趣旨にのっとって強化する必要はないのか、そのために訪問販売法の見直しなどを検討すべきであると考えますが、その辺についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  117. 小長啓一

    小長政府委員 割賦販売適正化と並びまして訪問販売適正化が重要なことは先生指摘のとおりでございます。本件につきましては、クーリングオフの期間の見直しなどが既に一部から指摘をされておるところでもございますので、今後産業構造審議会消費経済部会等の場におきまして具体的に検討を行う予定でございます。
  118. 宮田早苗

    宮田委員 このような悪質な販売業者の詐欺あるいは詐欺まがいの押しつけ販売が可能となります背景には、信販業者の過当競争によって過剰与信を安易に行っているということにもその要因があるのではないかと考えるわけですが、その点についての見解はどうですか。
  119. 小長啓一

    小長政府委員 悪質な販売業者の出現の背景には、ただいま先生の御指摘のような点があるわけでございます。したがいまして、その加盟店に対する厳格な審査、指導を行うよう信販業界を指導していきますとともに、改正法案第四十二条の三の規定に基づきまして、適正な与信が行われるよう指導してまいりたいと考えておるわけでございます。  なお、今回の法改正によりまして抗弁権の接続というのが実現されることになりますと、信販業者販売業者への監督も従来よりより一層厳重になるのではないかということでもございますので、御指摘のような事態も改善されるのではないかと私どもは期待しておるわけでございます。
  120. 宮田早苗

    ○富田委員 今回の割賦販売法改正を初めといたします商取引の公正化と、購入者保護目的とするさまざまな法律の趣旨を生かすためには、悪質な消費者に対する対策、そして一般の善意の消費者に対する保護施策、これを明確に区分をして、悪質の賦払い者の負債が回り回って善良な債務者の負担増となることを防止して消費者保護を図るべきと考えておりますが、この点についての通産省の御見解を聞きます。
  121. 小長啓一

    小長政府委員 全体的な感じといたしましては、一部に存在し得る悪質な消費者への対策を考える余りに、大多数の善良な消費者保護がおろそかになってはならないというのが基本的な考え方であるわけであります。今回の法改正もこのような基本的な考え方から立案をしたものでございます。ただし、消費者も権利の乱用があってはならないことはもちろんでございますので、行政といたしましても、そのようなことがないよう指導を行ってまいりたいと考えております。
  122. 宮田早苗

    宮田委員 同様に、今回の改正消費者保護を貫徹することによって商取引の拡大、商品流通の円滑化を図り、さらには国民経済発展を推進することにあるわけでございますが、そのためにも販売業界、とりわけ中小商業者の体質改善、安定、振興を図る施策が特に重要であると考えますが、この点についての見解を聞かしていただきたいと思います。
  123. 小長啓一

    小長政府委員 今回の法改正が実現をいたしますと、割賦関連業界の基本的な法制整備をされることになるわけでございますから、今後の業界の発展に貢献することになるものと期待をしておるわけでございます。  また、その御指摘の点でございますけれども、昨年七月の消費者信国産業懇談会の報告にもございますように、産業の機械化、システム化の推進、信用情報機関整備、経理基準の標準化等の課題を解決することが必要でございますので、当省といたしましても、今後ともそのための指導を行ってまいる所存でございます。  それから、特に中小クレジット団体につきましては従来からの金融面の助成措置に加えまして今後の情報化の進展の中でその発展の方策を検討すべく、五十九年度においても所要の調査研究を行うこととしておりますし、今後とも中小クレジット団体の一層の振興に努めてまいる所存でございます。
  124. 宮田早苗

    ○富田委員 そこで、現在割賦関連取引は爆発的とも言えるペースで増大しております。その形態も多様化していると思いますが、増大の実情、多様化の実態のデータ、これはどうなっておるかということと、さらに、これら割賦関連取引は今後どのような伸びを見せるものと予測をなさっておるか、その点をお聞きいたします。
  125. 小長啓一

    小長政府委員 割賦関連取引の取扱高でございますが、昭和四十八年の段階では約四兆四千億円であったわけでありますが、昭和五十七年におきましては約十三兆六千億円に達しておりまして、急速にその規模が拡大をしておるわけでございます。中でも割賦購入あっせんが飛躍的な伸びを示しておるわけでございまして、昭和四十八年には割賦関連取引全体の八%を占めるにすぎなかったわけでございますが、昭和五十七年には四一%を占めるに至っておるわけでございます。今回の法改正によりまして基本的な法制あるいは信用情報機関整備が進めば、割賦関連取引がより一層国民生活に浸透していくことになるのではないかと考えております。  今後の予測でございますが、具体的な数字ではなかなか申し上げにくい点があるわけでございますけれども、私どもは国民のニーズの動向等、まだこれからの取引の多様化、消費者ニーズの進展等を考えますと、クレジット産業分野は飛躍的な拡大をしていくのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  126. 宮田早苗

    宮田委員 こうした割賦関連取引の増大に伴って、消費者苦情相談もまた増大しておると思います。通産省消費者相談室、それから国民生活センターなどの受け付けた苦情とか相談の実態、さらには内容について把握しておいでになりますならば、御説明をしていただきたいと思います。
  127. 小長啓一

    小長政府委員 通産省消費者相談室におきます相談件数で見てまいりますと、契約関係のトラブルは、昭和五十三年度におきまして約千九百件であったわけでございますが、昭和五十七年度には約三千九百件と、倍増をしておるわけでございまして、これらのうちでも割賦関連取引にかかわるトラブルが大きな割合を示しておるわけでございます。このような動向は、国民生活センターが行った調査結果からも認められるわけでございます。
  128. 宮田早苗

    宮田委員 現在、トラブルが多くなってきております個品割賦購入あっせんについて、今回の改正によって措置を講ずることとしたことは適切な措置と思いますが、その内容についてあらかじめ明確にしていただきたいと思います。
  129. 小長啓一

    小長政府委員 個品割賦購入あっせんにつきましては、現行法で自社割賦に適用されております条件の表示、書面の交付、クーリングオフ、契約の解除の制限等の購入者保護規定を同様に及ぼすこととしておるわけでございます。さらに、特に近年におきましてトラブルの増加しておることにかんがみまして、抗弁権をあっせん業者に接続するという抗弁権の接続の規定も設けたわけでございます。
  130. 宮田早苗

    宮田委員 前払い式特定取引で指定されております冠婚葬祭互助会等について、解約などをめぐってトラブルが発生をして、通産省指導を行い、標準約款を定めるなどの適正化が図られてあると聞いておるわけでございますけれども、この実態はどういうことか、お知らせ願いたいと思います。
  131. 小長啓一

    小長政府委員 互助会に関するトラブルといたしましては、先生指摘のように、解約の問題、役務表示の適正化が行われておるかどうかというような点にトラブルが集中をしておったわけでございまして、通産省といたしましては、約款の適正化によって対応することを第一義的に考えまして、昨年九月、割賦販売審議会から答申が出されたところでございます。業界は、この答申を受けまして、解約の自由化、役務表示の適正化等を盛り込みました約款改正を行いまして、今春から実施をされておるわけでございます。通産省といたしましては、今後ともこの約款の遵守状況等につきまして厳しく監視をいたしまして、そしてまた指導をしてまいる所存でございます。
  132. 宮田早苗

    宮田委員 最近、役務関連取引について紛争がふえておるわけでございますが、今回の改正対象に加えられていない。どうして加えられなかったか、この辺もお伺いをいたします。
  133. 小長啓一

    小長政府委員 産業構造審議会消費経済部会検討段階では、役務を規制の対象に加えるべきではないかという答申がなされたことは先生指摘のとおりでございます。ただ、具体的に法律立案の段階で、法の対象に追加すべきかどうかということを法律技術的な問題も含めて細かく検討したわけでございますが、結論的には、役務は規制の対象に今回はしないということに相なったわけでございます。  その理由といたしましては、まず第一に、役務につきましてはさまざまな形態取引が存在をしておりまして、しかもその実態を解明する必要がまだ存在をしておるということが第一点、第二点は、役務関連した消費者トラブルは、支払い方法のあり方というよりも、むしろ提供される役務内容関連して発生している場合が多いという、その二つの点から見まして、今回の改正では見送りまして、引き続き実態調査しながら、どのような規制を行うのが妥当なのかどうかということにつきまして産業構造審議会等の場で検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、役務関連する消費者トラブルの中で、例えば教材と塾というように商品役務が附帯をするというような取引があるわけでございますが、そういうものについてトラブルが多発しておる面もあるわけでございますが、そういう商品に付随した役務につきましては、今後、附帯役務契約書面に明確に記載をさせるというようなことをやらせまして取引明確化を図るとともに、業者に対しましては取引適正化のための指導を徹底してまいる所存でございます。     〔委員長退席、田原委員長代理着席〕
  134. 宮田早苗

    宮田委員 消費者保護の徹底を図る観点から、購入意思が不安定なまま契約の申し込みまたは契約をしてしまった購入者等の救済の充実を図るため、クーリングオフが四日と、こうなっておりまして、今までの質問の中にもたびたび出ておるわけでございますが、延長すべきであるという意見です。局長の答弁を聞いておりますと、前向きに検討するという答弁をなさっておりますが、もう一歩踏み込んでお考えがありましたら聞かしていただきたいと思います。
  135. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のクーリングオフの期間でございますが、これは昭和四十七年の割賦販売法改正時点におきまして、その当時の諸外国の例も勘案をいたしまして四日というふうに決めておるわけでございます。  それで、四日間では短過ぎるという御指摘なわけでございますが、実は内部でも具体的な議論をしておる過程では、四日の最後の日が休日という場合には少なくともその翌日まで延ばすべきではないかというふうな議論とか、確かに昭和四十七年の諸外国の例から見ると四日というのが適切であったかもしれないけれども、最近の諸外国の実例を見てまいりますと、アメリカは確かに三日ということでございますが、その他の諸先進国の場合には大体七日になっておる、一部の国、西ドイツとかあるいはイギリスの場合には十四日になっている例もあるというようなこともございまして、最近の消費者の御要望も踏まえまして、もう少し長くすべきではないかという点も検討課題としてはあるわけでございます。私どもといたしましては、今後の課題といたしまして前向きに対処してまいりたいと考えております。
  136. 宮田早苗

    宮田委員 運輸省の方、お見えですね。  役務関連取引のうち旅行につきましては、割賦取引の場合においても割賦販売法によらず、旅行業法で定められていると聞いておるわけですが、取引の公正化並びに消費者保護、さらには苦情の解決など、内容はどのようになっておるか、まずお伺いをいたします。
  137. 小柳皓正

    ○小柳説明員 お答えいたします。  旅行業法は、旅行業者の業務の適正な運営を確保することなどにより、旅行取引の公正、消費者保護などを図ることを目的としております。一昨年、この観点から消費者保護の立場を大幅に取り入れた法改正をしたばかりでございます。  この目的を達成するため旅行業法及びこれに基づく標準旅行業約款では、次のような定めをしております。すなわち、旅行業者契約締結時に取引条件について旅行者に説明しなければならないこと、旅行業者は旅行者に対し、サービスの内容などを記載した書面を交付しなければならないこと、旅行業者の側から契約を解除できる場合を制限していること、取り消し料及び違約料の限度を明確に定めていること、旅行に関する消費者からの苦情を処理するための旅行業協会制度を法律上設けていること、旅行業者が倒産しても旅行者の保護が図られるよう、営業保証金制度及び旅行業協会による弁済業務保証金制度を確立していること等が挙げられるのでございます。これらによりまして、旅行取引一般について、取引の公正、消費者保護の観点からの規定の整備がなされていると考えております。  なお、旅行役務にかかわる取引のうち、クレジット取引について見ますと、今後、旅行業務においてもクレジット取引が増大していくことが予想されますので、さらにきめ細かくクレジット取引に関する消費者保護対策を検討してまいりたいと思っております。
  138. 宮田早苗

    宮田委員 ただいまの質問に関連するわけですが、クレジット取引がこれからますます増大をし、小まめに取り組まなければならぬとおっしゃっておりまして、これはひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。  もう一つ、ついでというのはあれですけれども、産構審の答申では、役務まで含めてひとつ検討しろというような答申がなされていたわけでございますが、旅行の関係で、皆さんの旅行業法の関係で見ますと、役務がほとんどじゃないか。とてもじゃございませんが、私ども素人考えでは、この法律の中にというのはちょっと無理があるような気がするのですが、もし産構審の答申どおりひとつ検討ということになった場合に、どの辺に隆路といいますか問題があるかということについて、余り多くは必要ありませんが、基本的なことだけを言っていただければ幸いと思います。
  139. 小柳皓正

    ○小柳説明員 割賦販売法消費者保護法律でございまして、旅行業法にも同様の消費者保護の規定があるわけでございます。  旅行業は、役務について消費者保護をしているということでございますが、一つ、旅行業というのは、従来から取引の慣行というのが決まっておりまして、クーリングオフというようなものにつきまして、例えばホテルの部屋それから航空機の座席、こういったものは、きょうの商品をあす売るということができないわけでございます。商品につきましては、きょう商品が売れなくてもあす売ることができるということがございます。したがいまして、旅行者の方から直前になってキャンセルをするというようなことがございますと、旅行業者の方は非常に困る立場に置かれるわけでございます。相手方の宿泊施設あるいは輸送施設については違約金を払わないといけない、こういうことがございますが、ペナルティーなしで消費者の方はクーリングオフすることができるということになりますと、その辺、旅行業者だけが損害をこうむるということになりますので、役務については、その辺が少し違ってくるのじゃなかろうかと思っております。  以上でございます。
  140. 宮田早苗

    宮田委員 運輸省のお方には大変忙しいところ、ありがとうございました。よろしゅうございます。  次に、さきにも申し上げましたように、過剰与信が安易に行われることによりまして、多重債務者が増加しつつあります。こうした多重債務者は、割販、金融などもろもろの債務が重なっているのが通例でございまして、私がここで実例を持っている例だけを取り上げてみましても、ここにございますが、例えば年収三百二十四万円の人で三百五十万、これだけの負債がある、そして年収二百四十万の人で八百七十三万ある。信販会社だけでなしに、自社の関係もございますし、十社、二十社とずっと影響しておるわけでございます。極端な例を挙げますと、これは余り極端過ぎるわけですが、六千七百九十万負債がある、こういう人もおるわけでございまして、このように年収などに比べて多額の信用供与がなされて、社会問題を引き起こすことになっておるわけでございまして、これは業界の過当競争が指摘できるとも思いますけれども、またその結果、付随してほかの実例が出てくるわけであります。それは高額の欠陥商品について、紛争中であるにもかかわらず、督促あるいは取り立てにかかっている例や、それだけならともかくとして、代金不払いの悪質者氏名の公表通知とか、あるいは訴訟提起予告通知など、ここに持っておるわけでございますが、おどしに近いような取り立ても招いていると考えるところでございます。  そこで、お問いいたしますのは、過剰与信を防止するためには、業界の自助努力もぜひ期待したいところでございますが、多重債務者を未然に防止する規定の整備、さらには具体的対応が必要であると考えますが、どのような措置を講じようとしておいでになるか、その点をお聞きいたします。
  141. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のように、割賦関連取引の分野でも、自己の返済能力を超えて支払い債務を負担いたしますいわゆる多重債務者の発生が問題になっておるわけでございます。したがいまして、改正法案の四十二条の三でございますが、これは支払い能力を超える購入の防止に関する規定でございますが、この規定に基づきまして、クレジットカード発行とかあるいは個々の取引の段階で、信用情報機関の利用等によりまして、過剰な与信が行われることのないよう、厳に業界及び関連企業を指導してまいりたいと考えております。
  142. 宮田早苗

    宮田委員 本法の対象となります信用情報機関とはどのようなものがあるか、またその情報量、さらには利用実態はどうなっておるか、この点もちょっと聞いておきます。
  143. 小長啓一

    小長政府委員 本文の対象となります信用情報機関とは、信用情報の収集並びに割賦販売業者等に対する信用情報の提供を業とする者でございます。したがいまして、具体的には社団法人日本割賦協会の信用情報交換所及び株式会社日本信用情報センターの二つの機関を想定をしておるわけでございます。  先生御質問の情報量、利用実態でございますが、まず、社団法人日本割賦協会信用情報交換所におきます情報量は、約千四百五十万件の情報量を所有をしておるわけでございます。一月当たりの利用実態は約六十七万件ということになっております。それから、株式会社日本信用情報センターでございますが、これは情報量は約五百五十万件でございまして、一月当たりの利用実態は約四十六万件ということになっております。
  144. 宮田早苗

    宮田委員 ただいまおっしゃったように、想像以上にたくさんあるわけでございますが、どうしても過剰与信の防止を図るためには、信用情報機関の間での信用情報の相互利用を促進しなければ余り意味ないのではないかと思うのです。さらに一歩進めて、一層権威あります信用情報機関の統合あるいは新設なども必要であると考えるところですが、この辺についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
  145. 小長啓一

    小長政府委員 実は昨年の七月の段階で、産業政策局長私的諮問機関でございます消費者信国産業懇談会は次のような報告をしておるわけでございます。つまり、多重債務者の発生を未然に防ぐためには、与信の際に申込者の信用状況を十分に調査することが必要であり、そのためには既存の情報機関を統合する方向で整備を進めていくことが望ましいという趣旨の報告をしておるわけでございます。  この報告を受けまして、通産省といたしましては、既存の機関でございます、先ほど報告をさせていただきました社団法人日本割賦協会及び株式会社日本信用情報センター並びに関連業界に対しまして、信用情報機関整備のための体制づくりを進めるよう要請を行ったところでございます。  この結果、上記二機関及び現在独自の情報機関を持たない社団法人全国信販協会が、販売信用分野における信用情報機関整備統一を図ることで、基本的に合意に達しておるわけでございます。現在、その実現化へ向けて具体的な話し合いが進められておる状況になっておるわけでございます。
  146. 宮田早苗

    宮田委員 過剰与信を未然に防止をして、支払い能力を超えて消費者信用取引を利用する消費者に対して、それが正常に戻らない限り、再び消費者信用は使えないというシステムを確立するためには、今お伺いいたしました個人信用情報のデータバンクといいますか、その構築が重要であろうと思いまして、こういう点をぜひ推進をしていただきたいと思うわけでございます。  そうしてさらに突っ込んで言いますと、過剰与信を未然に防止するシステムの確立、個人信用情報のデータバンクの整備の上に立って、不幸にして多重債務を抱えることになった消費者に対する対策として、債権の保全とかあるいは消費者に対する第三者によります指導というものを含んだ機能のありますシステム、こういうものを考えたらどうかと思うのでございますが、その辺はどういうお考えですか。
  147. 小長啓一

    小長政府委員 御指摘の点につきましては、関連企業にとりましても、またクレジット社会の信頼を確保するためにも、大変重要かつ必要なことではないかと考えておるわけでございまして、今後、諸外国の状況をも調査をいたしまして、前向きに検討してまいりたいと考えております。
  148. 宮田早苗

    宮田委員 個人信用情報機構の拡充については、一方ではプライバシーの保護などの、自己の信用情報を提供することになる消費者保護も重要と考えますが、信用情報の利用の適正化を図るためどのような措置を講じようとしておいでになるか、この点もひとつお聞かせ願いたいと思います。
  149. 小長啓一

    小長政府委員 割賦関連業者あるいは信用情報機関が、購入者の支払い能力に関する事項を漏らしたり、あるいは誤った情報に基づいて与信判断を行うというようなことのないように、改正法の第四十二条の四の規定に基づきまして、具体的な指導をしてまいる所存でございます。
  150. 宮田早苗

    宮田委員 ただいま信用情報の関係について四、五件質問申し上げて御答弁をしてもらったわけでございますが、消費者保護といいましても、この割賦販売法という形の中でクレジット購入というものが盛んになりますと、便利がいいわけでございますから、ついつい欲望の赴くままに買い過ぎるということですね。だから、買い過ぎて後でああしまったというようなことになりかねない。  これは私どもの一つの例でございますが、ある大きな組合で共済制度なるものをつくっておるわけでございます。そして、組合員の皆さんが奥さんと同伴で、こうこうで三百万あるいは八百万の借銭をしてにっちもさっちもならぬから、この共済制度で貸してくれないか、そのかわり組合本部の生活指導には応じます、ぎりぎりの生活で結構でございますからと、こういうことで立ち直らせる例がたくさんございまして、そういう面から私はさっきからこういう質問をしておるわけでございますので、私の希望を申し上げますと、消費者保護の一方の考え方といたしましては、ぜひそういうことが起こらないように、事前に防止するということが一番大切と考えておりますので、その辺を当局としてはひとつ十分に考慮していただきたいということでございますが、何か別なお考えがありましたら聞かせてください。
  151. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のとおりでございまして、これからクレジット社会がますます発展をしていくわけでございますから、その中におきます消費者行動の適正化というのは極めて重要な課題でございます。したがいまして、これから特に消費者教育につきまして、いわゆる学校教育の中で、そのクレジット社会における消費者の役割といいますか消費者の位置づけ等につきまして、具体的な議論を重ねていくことが必要なのではないかというふうに考えております。
  152. 宮田早苗

    ○富田委員 本年三月、大蔵省の諮問に応じて金融問題研究会のレポートが出されましたが、内容には重要な問題提起もなされておると思います。特に、割賦取引関連する内容として統一消費者信用法の提言もなされておりますが、これについて通産省としてどのように考えられておるか。  また、その中で、金融機関によります消費者信用あり方についても提起されております。例えば、銀行系カードの割賦販売自由化については、昭和五十二年の分野調整法附帯決議によって、中小商業者の安定、保護のため認められていないわけですが、今後もその方向を堅持するつもりがあるかどうか、その辺をお伺いいたします。
  153. 小長啓一

    小長政府委員 今回の法改正を御提案申し上げましたのは、割賦関連取引の急速な拡大に伴いまして消費者トラブルが増大をしておる、特に割賦購入あっせんのように、消費者利益の保護のための法的手当てがないものについてトラブルが拡大をしている、それを一刻も早く是正し、対処していく必要があるということが、今回の改正案の趣旨ということになっておるわけでございます。  そこで、今先生指摘の大蔵省サイドの研究会の報告でございますが、確かに統一消費者信用法なるものの提言がなされておるようでございます。また、そういうことを主張されておる有力な学者の先生もいらっしゃるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、この消費者信用法の問題は将来の課題ということでございますので、私どもは大蔵省とも密接な連携をとりながら、これからの取引実態を踏まえて具体的な対応を考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。  それから、先生指摘銀行系クレジット会社についての割賦購入あっせんが認められるかどうかという問題でございますが、現在は認められてないわけでございまして、これは先生の御指摘のとおり、中小クレジット団体と既存業界の立場を配慮いたしまして、昭和五十二年の分野調整法制定時の附帯決議に基づいてとられた措置であるわけでございます。当省といたしましては、今後とも当該附帯決議を尊重いたしまして、銀行系クレジット会社の割賦購入あっせん事業への進出につきましては、既存クレジット業界や中小クレジット団体に与える影響等への配慮を十分考えながら、慎重に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  154. 宮田早苗

    宮田委員 その辺は要望になると思いますが、慎重に対処していただきたいと思います。  次に申し上げますのは、クレジット産業が今後発展していくためには、優良な資金調達が不可欠であると思います。これを円滑に行うため、通産省としてどのような方策を考えておられるか、この点もお聞きいたします。
  155. 小長啓一

    小長政府委員 昨年七月の消費者信国産業懇談会報告におきましても、今後クレジット産業が一層発展していくためには、優良な資金調達が不可欠の条件である旨を指摘しておるところでございます。そのための課題といたしまして、特に指摘されておりますのが、現在業界あるいは個別企業ごとにばらばらになっております経理基準の標準化という問題があるわけでございまして、現在割賦販売審議会の場で検討を進めているところでございます。通産省といたしましては、その割賦販売審議会審議結果を待ちまして、経理基準の標準化について指導を行ってまいる所存でございます。
  156. 宮田早苗

    宮田委員 割賦販売は、法の目的規定にありますとおり、取引の公正化によって健全な発展が図られるわけです。経済発展に寄与するためには、これまで述べてまいりましたように、真の意味での消費者保護を図って、多重債務者の発生を未然に防止をする対策が確立されることが必要であると思います。そのための諸対策の確立と実行をぜひ推進願いたいと思います。  また、消費者教育の徹底なども重要であると考えますが、この点についてはどのような措置を講じておられるか、お聞きいたします。
  157. 小長啓一

    小長政府委員 通産省といたしましては、従来からテレビ、ラジオ、パンフレット等を活用いたしまして、消費者教育の徹底に努めてまいっておるわけでございますが、今後ともそれらを充実をいたしまして、消費者の啓発に努めてまいりたいと考えております。  また、消費者信用についての消費者啓発につきましては、学校教育の段階から積極的に取り組んでいくことが望ましいわけでございますので、関係省庁にも働きかけをいたしまして、そういう方向を具体的に模索してまいりたいと考えております。
  158. 宮田早苗

    宮田委員 最後でございますが、大臣もお見えになるわけでございますが、この割賦販売がただいまの質疑のとおり非常に範囲が広くなってまいりますし、また、そのことによって逆にトラブルもふえるんじゃないかと思います。  そこで、まず当局の方にお伺いいたしますのは、お客さんがお店に品物を買いに行くときに、クレジットカードを持っていく人と、持っていかなくてそのまま電気製品を買って、そこで店主によりまして月賦という方法がございますよと、そうして初めてそこでカードをつくってもらう、こういう面もあると思うわけでございます。恐らくその方が大きいんじゃないかと思います。そのときに商店主ないしはそこに勤めております人の何といいますか、宣伝いかんによって消費者は全部動かされるということでございますから、肝心な教育はそこが一番大切じゃないかというふうに思いますので、その辺は十分ひとつ当局といたしましては気をつけていただきたい。  その点の考え方を一つお聞きすると同時に、大臣、こういう状況でございますので、ますます消費者も複雑多岐になると思いますので、よほど消費者教育については小まめにしなければならぬ。しかも、さきの質問者の中に出ておりましたように、この法律ができた場合に、趣旨の徹底ということが案外におろそかになっておるわけでございますから、こういう法律ができ、クーリングオフも四日から五日になりましたよ、あるいは抗弁権の継続もこうなっておりますぞという小まめな宣伝ということを十分にひとつやっていただきたい。これは要望でございますけれども、ひとつお願い申し上げたいということです。そういう面についてひとつ大臣決意のほどを最後にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
  159. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のように、消費者に直接接触をいたします販売店あるいは販売店の店員が商品知識も十分知り、かつ割賦取引についての法律的な知識も持ちながら対応していくというのが極めて重要な課題であるわけでございます。  そういう点につきましては、私どもは業界団体等を通じまして、販売指導を充実してまいりたいと思っておりますし、特に訪問販売の領域につきましては、具体的なセールスマンにつきましての啓蒙、教育につきまして、私どもとしても力を入れておるところでございますし、また、これにつきましては訪問販売員の登録制度というのも設けておりまして、一定水準以上の販売員については登録をしておるというようなこともやっておるわけでございまして、そういう施策を今後とも充実をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  160. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 消費者保護ということが一番大事な問題でございますが、そのためには販売する関連業界というものも秩序正しく安定的でなければなりません。そのためにこの割賦販売取引というものの健全な発展ということをどうしても心がけていかなければならず、その点で今回の法改正をお願いしたわけでございます。消費者のためによりよくこれを使用していただくためにも、その啓蒙のためにあるいはその教育のために、通産省は大いに今後努力してまいる所存でございます。
  161. 宮田早苗

    ○富田委員 終わります。
  162. 田原隆

    田原委員長代理 横江金夫君。
  163. 横江金夫

    横江委員 これは定足数があるはずですが、委員長、若干私は見ますと、先の人が非常に歯が抜けておるような感じでございますが、どうなんでしょうか。進めさせてもらってよろしゅうございますか。
  164. 田原隆

    田原委員長代理 目下担当理事に督励しておりますので……。
  165. 横江金夫

    横江委員 大臣お尋ねいたしたいと思います。今回の法改正のねらいは大きく分けまして二つあるというふうに伺います。その一つは、この割賦販売法の体系を現実の割賦販売形態変化に合わせて是正をするのだということだと思います。もう一つは、今局長からも再三聞かしていただいていますように消費者保護の強化、このねらいが二つであるというふうに伺いますが、この二点の内容を具体的に、法の改正点のポイントにつきまして大臣からまずお答えいただきたいと思います。
  166. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 今回の法改正の主要な事項は、まず割賦購入あっせんに対して現行法の購入者保護規定を適用したことであります。次に、抗弁権の接続規定を追加いたしたことでございます。さらに、多重債務者の発生防止等のための規定を追加したことでありまして、いま一つが、定義規定を改正して消耗品についても指定し得ることとしたこと及びリボルビング方式取引についても法の対象となることを明確化したことなどであります。
  167. 横江金夫

    横江委員 趣旨説明で四点にわたりまして伺いました。今回の形態の変化に合わせるということでは、例えば自社割賦とかその他のローンの関係につきましても、今まで消費者保護の規定等がかぶっておりました。しかし、その保護がなかった総合とか個品の販売あっせんというものについて、今までは通達とか指導でカバーしておったわけでございましたけれども、これを今回、自社割賦と同じように法律でかぶせてきたのだ、これが一つであることはよく理解をするわけであります。また、かぶせなくてはいけない理由として、いかに消費者の皆さん方の苦情が多かったか、ここに大きな問題があるがゆえに法改正につながってきたというふうに思うわけであります。  そういう意味合いからまいりまして、特に消費者からの苦情全国的に広がってきておる、さきの質問者の方からも御指摘がありましたけれども、この苦情が最たる形であらわれますのは裁判の関係であると私は思います。裁判の関係等で、簡易裁判所での金銭の支払いを求める訴訟事件の数字と、そのうちにおけるクレジット訴訟事件内容と数について五十三年から五十七年の御指摘がございました。その数字たるや、例えば五十七年度の数字でいくならば、十一万四千という金銭請求に対して七万台という、簡易裁判所におけるこんなクレジットだけの訴訟事件は、これは普通じゃないと思うのです。まさに異常だと思うのです。  しかも、訴訟している方というのは、確かに消費者が払わないからといって企業が訴えている場合もあると思います。ところが、多くは消費者が裁判所の門をたたいて何とか助けてくれという数がべらぼうに多い。この最終的に七万二百十六人の中で、助けてくれといって裁判所へ駆け込んだ購入者の皆さん方の数がどれだけあるのか、異常さとその実態について、まずお尋ねしていきたいと思います。
  168. 小長啓一

    小長政府委員 通産省消費者相談室に参っております相談件数でチェックしてみますと、契約関係のトラブル昭和五十三年度に約千九百件であったものが昭和五十七年度には約三千九百件と倍増しておるわけでございまして、これらのうちでも割賦関連取引にかかわるトラブルが大きな割合を占めているわけでございます。このような動向は経済企画庁国民生活センターが行った調査結果からも認められるところでございます。
  169. 横江金夫

    横江委員 これは先ほどの答弁と全く同じ答弁であります。私の伺っている話はそうじゃないのです。現実に七万何がしという異常な数字がある、駆け込んでいる人の数字はどれぐらいの数字があるのかというのを掌握しているなら教えてください。また、倍になりましたという、これは通産省の数字でありますが、全国的な数字についてもこれからお尋ねしようと思うのでありますけれども、異常だということと、駆け込んだ数がどれだけあるのか。これから私は法改正の問題が出てきていると思うのですが、この数字をまず教えていただきたいのです。
  170. 小長啓一

    小長政府委員 今先生御質問の数字につきましては、私ども掌握しておりません。
  171. 横江金夫

    横江委員 十二年間にわたって問題を研究しておみえになりました。もちろん私は、それぞれの消費者センターを指示しながら苦情の集計をしておみえになることは承知をいたしております。そうして通産省にもその苦情の窓口がありまして、よってこういうような千九百件とか三千九百件の数字が出てきていることも承知いたしております。しかし、先ほどの議員の質問の中で裁判の判例等についても指摘がございました。その問題については承知をしてみえたのですね。にもかかわらず、全体的なトータルについては、消費者保護の面からいった場合に、その苦情が、このパーセンテージのシェアがどれだけなのかということがわかっていないということは、私は実際に、消費者保護と言うと同時に、消費者の裁判所へ行かなければいけない苦しい立場というものを理解をしておみえになればなるような法体系が出てくると思います。例えば役務についてもそうです、あるいはジョイントの問題についてもそうなんです。ここらあたりが、そういう消費者の悲しい実際の立場というものを知ってないということをいみじくも言われたわけでありますけれども、その上に立って質問をしてまいりたいと思うのです。  第一に、先ほどクーリングオフの話で御指摘があったときに、経済企画庁の方の御答弁としては、周知は六〇%徹底しているという話がありました。しかしその中身は余り知られていないということで、六〇%のどれくらいが知られていないかということについての数字の説明はなかったのです。  例えば割賦販売にいたしましても、いろいろな商売、取引等については、商いのスタートはまず訪問、あるいは取引を行う一番初めはそこの対面だと思うのです。その対面の一番大きな数は訪問販売。あるいはその他のキャッチャーセールというのですか、路上でつかまえて商売するとか通信販売、あるいはもちろん消費者が自分の意思で販売店へ行くという、これは自分の意思があるのです。しかし、多くはセールスマンが家庭を訪問してそこで商売が始まるというのが普通なんです。そうしますと、そこの家庭で対応される奥さんにしても、その家庭の方はまさに突然の訪問であります。あるいは路上において話をされる場合も、キャッチセールスにしても、突然の話でございますから用意はしておりません。そういう用意をしていないときに商売が始まって、もう嫌だという人もあるのです。あるいは上手に乗せられて、セールストークで乗せられて買う人もあるのです。そういう中における一番のもとは、何といったって書面の交付、一番初めの商行為のスタートは私はここだと思うのです。今回このことについては全然触れられていないのですね。  例えばこの商行為の書面の表示について私はお尋ねいたしたいと思いますが、購入者契約に当たってどのような契約を結ぶことになるかを十分に理解できるように、契約内容について図で示すようなサービスをする、そういう購入者に理解をさせるような表示をするということ。先ほどは、別の意味から書式についてあるいは書類についての指摘がありましたけれども、商売のスタートのこの時点消費者が理解できるような、そういう書面をまず考えなければいけないのではないか。  書類がわかりやすい大きな条件というのは、私は何といいましても大きな字だと思うのです。眼鏡をはめても見えないような、先ほどの六ミリで、米粒に書くような話では、これはわかりませんというおばあちゃんがあるかもわからない。今の食生活はいいと言っても、私のように眼鏡をはめなければ見えないのも随分あるのですよ。そういう中において字が小さい。しかも、字が小さい上に今使われているのは、書面の中が薄茶色とか紙に色を持たせて現実に読みにくいようにしている形というものがあると思うのです。そういう意味合いから、わかりやすい書面、文字を大きくして色をつけない、こういう面から商売のスタートにおいて当然配慮しなければいけないはずでありますけれども、この辺についてはどうでありましょう。
  172. 小長啓一

    小長政府委員 現行法上、それぞれの法律におきまして、販売業者契約を締結した場合には、消費者に対しましてその内容を記載した一定の書面を交付するよう義務づけておることは御承知のとおりでございます。特にクーリングオフにつきましては、正確に識別できるように赤字で赤枠により記載する旨、また、書面記載の文字等につきましては八ポイント以上の活字を使用するようにというようなことを省令で定めて指導しておるところでございます。特に今先生指摘の点につきましては、消費者契約の仕組み等を正確に理解できるような説明を加盟店が行い得るように、関係業界に対して要請しているところでもございます。  また、当省といたしましては、今後とも関連法の運用や具体的な指導によりまして、契約内容消費者にとって理解しやすいものとなるよう努めていきたいと考えております。その際にも、用語についてもわかりやすいものにすることが重要ではないかと考えております。特に、昨日参考人の御意見の中にもそういう御趣旨の御発言もございましたので、そういう点を踏まえまして私どもは対応を考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  173. 横江金夫

    横江委員 私は今、クーリングオフの一つの例を答弁がありましたから挙げただけで、やはりそれはもちろんクーリングオフもそうです。抗弁権の問題もそうなんです。だから、そういう消費者に利益になることは、例えば今JISの話がございましたけれども、八とかなんとかじゃなしに見出しだけ大きく——どうでしょう。こんなのわかるでしょうか。「割賦販売契約約款」、今御指摘の四条の書面の表示を持ってきたんです。これは自動販売機なんです。こんな細かく「契約の趣旨および成立時期」から始まりまして、今話がありました「期限の利益そう失」あるいは「契約の解除」そうして、よく書いてあると思うのですが「管轄裁判所」から、この契約に判を押しますと十七条で「公正証書の作成」までできてしまっているんですね。こんな公正証書の作成まで。一般の主婦の方はこれで契約するんですから、今あなたはわかりやすいようにすると言ってみえるのですけれども、今までやってきたのはここに一番初めのネックがあったと私は思うのです。これを見てください。これでわかるでしょうか。これで最終的にトラブルが起きると、あなたはこれに判を押したじゃありませんかとなるのでしょう。  かつらもそうなんです、またこれは比較的わかりやすいけれども裏側だけなんです。これはどうでしょう、レーダーインターナショナルP・C・ークラブ会員権、これはもう全然わからぬです。だから言葉だけでつられて判を押すということですよ。これを見てわかって判を押すという人は少ないのですよ。この上に立って考えてもらわなければいけないのですよ。通産省はこの上に立って考えてないのです。だから中身が小さくとも一番表題は利益になることをばんと大きく出す、こういうことは明確にしなければだめだと私は思うのです。宣伝の効果をもう少し、そういういろいろなことをやられていますけれども、こういう書類についても考えなくてはいけないと私は思うのです。  また、こんなのはどうなんです。これは色がありますからコピーをとってもうまく出ないのですよ。コピーの機械が悪いのじゃないのですよ。色がありますから出ないのですよ。色がついているのは読みにくくするのですよ。だから今あなたが言われますように、これから理解をしやすいようにするのだという言葉だけでは、これが基盤にあるのですから、ベースにこれがありまして、そして理解しやすくしますと言われましても、なかなかそうでございますかと言えませんけれども、今申し上げましたように消費者の利益になる、例えば抗弁権の接続、ジョイントの問題にしましても、あるいはまた今のクーリングオフの問題にいたしましても、そういうものについてはしっかりと、頭に大きな活字でこうだということを示して、そして中身はどうせこれは読まないのですから、読んだってわからないのですから、言うことだけは改正点として考えなくてはいけないし、今回の法律改正には出ておりませんけれども、こういうことについてはどういうお考えを持っておみえになるのか、まず御答弁をいただきたいと思います。
  174. 小長啓一

    小長政府委員 今先生指摘の点につきましては、これからの法運用の問題になるわけでございますが、消費者にとって理解しやすいものとなるように努めていくことを基本といたしまして、具体的に考えてまいりたいと思っております。
  175. 横江金夫

    横江委員 ぜひ期待いたします。  私は、今苦情が非常に多いという観点からそのスタートの話を御指摘申し上げました。ここに東京都の消費者センターが出していますこの件数を見てまいりますと、ちょっと読ませてもらいますが、「相談件数の推移」で五十七年の消費者相談受付件数は一万六千五百八十五件、開設以来最高だというのです。そしてこの数字は前年に比べて一〇・一%増加している。そして増加の相談の内容たるも、訪問販売で取り扱った商品、とにかく訪問販売にかかわるものが一番多い、これがまず言われているのです。そしてその訪問販売の中身から細かく書いてありますけれども省略させてもらうのですが、その中で例えば一万六千五百八十五件が五十七年でございますが、五十八年度にしても五%、若干伸びは緩んでいますけれども一万七千四百九件も相談を東京都センターにしている。区市町村の約一万件を足しますと約二万七千件、五十七年でいきますと二万六千件、先ほど局長からお話がありました全国国民生活センターでは五十七年では二十三万何がし、東京で約一割強の数字、この動向は東京の数字で全国的な数字を占うことができると私は思うのです。  こういう全国で二十三万何がしと出ているのは氷山の一角なんだ。だから、実際にはこの五十倍とも百倍とも言われている。五十倍にしても一千万件のトラブルがあったということを示すと思うのですね。これは大変な数字だと思うのですが、しかも、その中におきまして、中身の、部門別の相談の受け付け状況でありますけれども、何といったって多いのは、教材等々を含んだ雑貨関係が一番多いというように出ているのですね。そして、一番の問題の役務についても、五十七年度につきましては、三番目に位する。例えば、五十七年度、全体で一万六千五百八十五件のうちの、雑貨は五千七百十五件、その次が繊維でありますが、役務は二千三百六十九件、シェアにして一四・三%、しかも、伸び率からまいりますと、例えば雑貨については五千七百十五件というものの伸び率は、昨年から比べて四百五十一件、ところが役務については、二千三百六十九件で、五百七十八件もふえているのですね。もう傾向的には雑貨とかあるいは繊維とか電気とかいう形ではなしに、役務にも集中してきているわけなんですよ。  そういう役務に集中をしてきておる中で、今回、役務につきましては改正点から実は除外をされているわけでありますけれども、こういう実際の統計調査から見た場合には、この数字の上からいきまして、今回の改正点の一番の目玉にこの役務を当然入れるべきであり、当然であるというふうに私は理解をしておるわけでありますけれども、この辺につきましてはどうでありましょうか。
  176. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のように、役務自体に関するトラブル商品とそれに附帯した役務に関するトラブルが増加傾向にあることは十分私どもも承知をしておるところでございます。産業構造審議会消費経済部会における議論等におきましても、そういう観点から役務について何らかの規制をすべきではないかという答申がされたこともまた事実でございます。その後、具体的な法律の立案作業に私ども取りかかったわけでございますが、その過程におきまして、役務割賦販売法の体系の中に取り入れていくことについては問題があるということで、見送りということに結論的にはなったわけでございます。  私どもは、その役務関連いたしますいろんなトラブルが増加傾向にあることは十分承知をしておりますので、そういう役務についての規制のあり方は具体的にどうあるべきかという問題につきまして、当面まず役務の具体的な実態調査をいたしまして、それを踏まえて規制のあり方検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  177. 横江金夫

    横江委員 実態調査をしてから考えていきたいというお話、先ほども消産懇あるいは産業構造審議会でこの話も出まして、そういう中でも必要だということで検討をしてきたのだ、特に今御指摘のようにトラブルが急増しているのは、この役務関連あるいは役務オンリーの場合、これが相当のトラブルを急増させておる。ために商品と同じように規制の対象に加えるように、この二つの答申も、またその審議過程においても強く求められてきたわけであります。  役務が含まれて初めて今回の法律は、一人前という言葉は悪いわけでありますけれども、まあ評価される形だ。抗弁権のジョイントについては評価していますけれども、これが片一方の輪とするならば、もう一方の輪はこれではないか。片一方を忘れておる、そういう作業ではないかというふうにも言われておりますし、そして、そのことについては通産省、あなた自身もそういう言葉を使いながら、直前まで、両輪のごとくこれを一つでも欠けさせては大変だ、両輪のごとくこれを実行するという、そういう構えを見せてみえたのです。  今、実態調査をこれからするという話じゃないのですよ。あなた自身、通産省挙げて、そのことを承知してみえたのですよ。大臣のかわられる前がどうか知りませんよ。それが改正を提案されるその前になりましたら、突如として幻のごとく消えていくということはどういうことだということで、非常に信頼をする通産行政アメリカからMITIと言われて大変怖がられている通産行政ですね。貿易摩擦の一番の最たるものはMITIだ、あの知能にやられたのだといって随分言われている通産幹部の方が、直前まで実行するというのが、幻のごとく消えてしまったその実態と、そして全面的に除外をしたその真相をもう少し具体的にお聞かせをいただきたいと思うのです。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 小長啓一

    小長政府委員 ただいま先生の御指摘のように、私どもといたしましても、何とかその役務についての規制がこの法律の中で具体的に取り込めないかということで努力したことがあることは事実でございますけれども、結論的に見送りになったことはまことに残念なことだと思っておるわけでございます。  ただ、先ほどもその実態調査という点を申し上げたわけでございますが、私どもは何年もかかって取引実態調査をするということではございませんで、これは取引内容はある程度わかっておるわけでございますが、ただ、どういう形の規制をするのが適当かということについて、これはトラブル内容から見まして、割賦販売法対象としての規制ということではなくて、もっと別の形の規制というのがあり得るのではないかという点も問題として出てきておるわけでございまして、そういう問題も含めまして規制のあり方をもう少し時間をかけて検討をしたいということでございます。  ちなみに、幾つかの例をちょっと具体的に申し上げさしていただきたいわけでございますが、例えば取引の態様が複雑な役務ということでございまして、それは具体的に、その提供の媒介であるとか取り次ぎだとか、あるいは代理を行う業者が介在をしておるために取引の態様が複雑な役務というのがあるわけでございますが、これは例えば旅行であるとか、あるいはスポーツクラブなんというのが該当するわけでございます。  それから、対価概念というのが必ずしも明確でない役務というのがあるわけでございまして、これはゴルフ会員権であるとか、レジャークラブ会員権なんというのがこれに該当するわけでございますが、いわゆる預託金というのが対価の中に入るのかどうかということ、それからその場合の割賦手数料率はどのようにして算定するのかというようなことがまだ十分解明できてないポイントなわけでございます。  それから、提供の時期の概念が不明確な役務というのがあるわけでございまして、これは御承知のようにこの割賦販売法では業規制の体系をとります前払い式取引というのがあるわけでございますし、行為規制のみの後払いの規制をやっているわけでございますが、その辺の前払いなのか後払いなのかの区別が必ずしも役務によってまだ明確にされてないというのがあるわけでございまして、具体的には塾であるとかあるいは総合美容なんというのがこういう場合に該当するのではないかと思うわけでございます。  これはほんの一例でございますけれども、そういうように幾つか役務実態については私どもは掌握をしておるのでございますが、規制という観点から見ました場合に、どういう形の規制のあり方が適切かという問題につきまして、もう少し検討の時間が欲しいということでございます。
  179. 横江金夫

    横江委員 規制のあり方の問題だというお話、そして、細かく分けて言うならば、例えば役務が附帯する商品、全く役務だけの話、この分け方の中で議論をしてきたのだという御指摘だと思います。例えば、その規制のあり方というのが、きのうからきょうにかけまして、立法技術的にも問題があるのだ、今はその答えが出ませんでしたけれども、そういう御答弁もありました。あるいは、今のような対価の問題についてというお話もありました。  実際に一番大きなネックになっているのは何だろうか。前の質問者の方が言われましたように、外国でも役務を入れました規制をしているのですよ。外国でできて日本でできないなんということはあり得ないと思うのです。取引は、このようなクレジットにつきましてもほとんど外国から流れてきた、そういう形態であるとするならば、外国でできて日本でできないなんということはあり得ないと思うのです。何か、できない理由というのは、立法上のそういう技術の問題だと言われても、私どもは腑に落ちないと思う。そして、今のような、例えば役務の附帯、そして役務オンリーの問題も含めての話からいっても、局長の言われる話が一〇〇%、だから規制が難しいのだということにもとりにくいと思うのです。そうであるとするならば、何かほかの要因もあるのじゃないかという感じがするわけでありますけれども、そのほかの要因についてはここで触れようといたしません。  結局、消費者トラブルの結論は、現状からするならば、今できないということはまさに遺憾だということなんですね。この遺憾だという上に立って、今度は、いつまでにこの役務を入れた規制をされるのか。今言われたような、役務オンリーの、そのことまで加えて話を進めていかれる場合に遠のくというならば、商品役務との関連をした、そういう問題だけでも先に取り上げるという、そういう形をとって、両方とも、すべてかぶせれば一番いいと思いますけれども、そういう面からいって、いつを目途に、そう遠い時期じゃない、未来永劫ではないということは先ほどから伺っておりますけれども、また、大臣のお話からいった場合に、十二年前と今の情勢は違うから必要なんだということもそのとおりなんです。そういう意味からいって、いつまでにこれを法制化されようとするのか。もう審議会諮問する必要はないのですね、出ていますから。いつまでにされようとしているのか、これはひとつ積極的な姿勢を、消費者の立場から遺憾ですから、明確にしてもらいたい。
  180. 小長啓一

    小長政府委員 私どもといたしましては、役務及び商品関連いたしました役務に関するトラブルが急増しておる現状にかんがみまして、これの対策は早急に講ずる必要があるという点につきましては、先生の認識と全く同じでございます。  ただ、具体的な規制のあり方ということになりますと、先ほど、運輸省からの答弁もあったわけでございますが、例えば旅行業法的なものの中で、旅行役務については完全に規制ができるということかもしれないし、あるいはそこでまだ脱落があるかもしれないわけでございまして、そういう具体的な役務内容につきまして、規制のあり方との関連でクロスチェックをやりまして、具体的な対応を考えてまいりたいと思っておるわけでございます。
  181. 横江金夫

    横江委員 ちょっとくどいようですが、クロスチェックをしていつまでにやるのだということを僕は何遍も聞いているのです。そのことだけはぐらかして、クロスチェックで終わってしまっては困るのですが、その辺、どうなんですか。クロスチェックはわかりました。わかったけれども、いつまでにということぐらいの目安、めどぐらいは出さなければいかぬじゃないですか。
  182. 小長啓一

    小長政府委員 何月何日までというお約束はできませんが、できるだけ急いでやりたいと思います……(横江委員「例えば来年とか」と呼ぶ)そこまでも、ちょっと今ここで断言する自信はございませんが、誠心誠意前向きに対応してまいりたいと思います。
  183. 横江金夫

    横江委員 その間においては、答弁を伺ってみますと、附帯役務契約の際に記載するように政令で指導していくのだ、こう御答弁もございましたが、これをもう少し詳しく御説明いただきたいと思います。
  184. 小長啓一

    小長政府委員 役務関連する消費者トラブルといたしまして、例えば教材と塾といったような場合があるわけでございますが、こういう場合につきましては、附帯役務を明確に契約書面に記載をさせるというようなことによりまして、取引明確化を図ってまいりたいと思っておるわけでございますし、また同時に、関係業界に対しましても、取引適正化指導するということで、当面、対処してまいりたいと思っておるわけでございます。
  185. 横江金夫

    横江委員 抗弁権の書類の提出の中では、政令でもって、省令ですか、でもって、額を決める場合に一万円とか何万円というような少額の場合ですね、これは政令で決める、政令で載っているわけですね、この附帯役務の場合は法律からおろされているのですか。その辺は法律に書いてあるのでしょうか。それとも全然法律は受けないで、ただ政令だけでぼんと出していくのですか。
  186. 小長啓一

    小長政府委員 取引条件に関しては四条にその書面交付の規定があるわけでございますが、その四条書面の中で附帯役務についての記載をさせるということでございます。
  187. 横江金夫

    横江委員 そうしますと、政令で書いてありますから、契約に記載しないでもいいということにはなりませんか。附帯役務契約の中で明確にするということですが、契約に際して、業者が附帯役務契約に記載をしなかった場合に、どうなりますか。
  188. 小長啓一

    小長政府委員 指定商品に附帯した役務である限り、その書面の中ではっきり記載させるように指導してまいりたいと思っております。
  189. 横江金夫

    横江委員 私の言っているのは、ようにじゃなしに、されなかった場合にどうなるのだということを聞いているのです。
  190. 小長啓一

    小長政府委員 四条の書面に記載されなかった場合には、罰則の適用が起こる場合もあると思います。
  191. 横江金夫

    横江委員 消費者保護のために、あくまでも消費者保護という法の建前からいって、そういう厳しい姿勢も強く求めていきたいと思います。  次に、私は、今回の目玉であります抗弁権についてお尋ねをいたしたいと思うのです。  抗弁権の問題等につきましては、もう多くの議論もあったわけでありますが、書面の提出の問題等につきましても、随分議論もございました。私は、そこで、この抗弁権の接続の問題について、例えば、これまた、東京都の事例ではございますけれども、クレジット個品の割賦購入あっせん契約トラブルの問題につきまして、実は随分調査をしているわけなんです。私は、この東京都の消費者センターの関係等からひとつお尋ねをいたしたいと思います。これはどうせお持ちでございましょうね。ちょっと見えませんでしょうか。東京都消費者センター、これについてお尋ねいたしたいと思います。  去年の八月八日から九月七日の一カ月間で、個品割賦購入あっせん契約に関する相談について、相談者より次の事項を確認をした。どういうことを確認したかといいますと、調査項目は、購入品名及び購入金額、手数料率、割賦購入金の支払い回数、信販会社名、信販会社からの確認の有無とその方法、そして、三者契約及び抗弁権の切断に関する知識について。  今申し上げました、まさに抗弁権の問題の調査の中身をお尋ねをしていきたいと思いますけれども、その中で、調査期間中の相談受付件数がこの一月間で千四百八十三件。先ほど数字を申し上げました一万六千五百八十五件、これは去年の全体でありますが、そのうちの一月で千四百八十三件。そしてその中で、今問題になっております個品割賦購入あっせん契約に関する相談の件数はどれだけかといいますと、二百二十八件、一五・四%の方が相談に来てみえるわけなんです。  そこでまず第一に、購入契約の金額の状況でありますけれども、訪問販売に係る商品は年々高額化をしており、このような商品を分割支払いであるからといって収入のあるなしにかかわらず、病弱者や未成年者に売りつけるなど販売方法にも問題が多いと思われる。購入契約の金額は、主に数万円から百万円を超すものがある、分割支払いは十カ月から三十六カ月。ここで、二百二十八件のうちの例えば英語教材が八十六件、そして平均の支払い金額が五十一万九千円、最高で八十三万八千円だそうです。教材から化粧品からずっとこの数字が実は出ているわけなんです。また、手数料の関係についても出ておるわけでありますけれども、私はそこで、はしょってお尋ねをしたいわけであります。  この個品割賦購入あっせん契約に際して、信販会社からの確認の有無、その契約者、消費者にこういう契約をしたかどうかという確認の有無について、二百二十八件のうちに回答を得たものが百三十二件、そのうちで確認があったというのは九十件なんですね。しかもほとんど電話なんですね。書面はたった一通、ほとんど電話なんです。そして、なかったのは四十二件なんです。百三十二件中九十件があり、四十二件がなかった。そのパーセンテージでいきますと、六八・二%があって、三一・八%の方がないわけなんです。こういう実態がまず第一。  そしてもう一つは、クレジット契約について、クレジット契約の代金支払いを販売会社にしないで信販会社にするということについて、知っていた人は四六・九%、半数以下なんです。いわゆる三者契約の知識がないわけですね。また、抗弁権について、その知識があったという人は、百三十三件中五件だけなんですね。抗弁権の切断の問題で、今は抗弁権の接続の問題ですが、この時点においては抗弁権のジョイントがありませんでしたから、その切断について、いわゆる信販会社から請求される等々の関係についての知識があったのはたった五件だけなんです。百二十八件、九六・二%の方が知らないのですね、判を押していますけれども。こういう実態だということ、これは貴重な調査なんですね。  この事実から見て、まず、この実態というものをどのようにお考えになってみえるのか、全国的にもこういうような御調査をされたものがあるならば、そういうものも含めてひとつ教えていただきたいと思うのです。
  192. 小長啓一

    小長政府委員 今、先生の東京都の具体的な事例の御報告を聞いておりまして、全国的にも恐らく同じような傾向ではないかと私どもは推定をするわけでございます。  その点で考えますのは、結局、幾ら消費者保護的な制度をつくっても、それがうまくワークしないと消費者保護の成果を発揮しないということになるわけでございます。したがいまして私どもは、今回の法改正を契機といたしまして、消費者に対する啓蒙活動、それから、ある場合における消費者教育というものにつきまして、もっともっと徹底的にやっていく必要があるのではないかということを痛感しておる次第でございます。
  193. 横江金夫

    横江委員 まさに今の局長の御答弁のとおりだと思います。法律保護するにしても、保護される側が周知徹底をされていない、こうであるならば、この目玉も目玉でなくなってしまうと思うのです。  消費者教育、これは学校教育も含めて教育をされるということでございますが、ある程度工程をつくって、あるいは予定をつくってしていかないと、こんな状況ですから、これは追いつかないと私は思うのです。  だから、今から、そこらの抗弁権の接続、そのように保護されますよということを周知徹底を図るための何かプログラム的なものを−今のこの実態からいくならば、当然、普通尋常の手段では周知徹底ができないということを御理解いただいたと思うのです。消費者教育を含めて、文部省の関係の学校教育からもある程度のプログラムをつくった上で行動していかなければ徹底しないと思いますけれども、そのカリキュラムを含めました形のそういう計画もしておみえになるのかどうかも含めて、具体的に事実を私は指摘したから、具体的な、ジョイントの周知徹底について、学校教育を含めた御答弁を……。この話は、大臣、いかがでしょうか。
  194. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘消費者教育の問題に関しましては、諸外国の場合にはこれを具体的なカリキュラムの中に取り入れている例もあるようでございます。したがいまして私どもは、文部省初め関係省庁ともよく連絡をとりながら、具体的な対応を考えてまいりたいと思っております。  それから消費者啓蒙の問題でございますが、乏しいながらも通産省関係でPR予算も持っております。テレビ、パンフレット等の手段を通じまして、本法の改正の趣旨を消費者にも徹底できるように努力を続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
  195. 横江金夫

    横江委員 今申し上げました問題点の中から、販売会社のほかに第三者、信販会社が存在しているということを知らない人が多かったわけでありますが、こういう関係等についての周知徹底をするということがまず第一。  そしてもう一つは、例えば販売会社と契約した、そのことが信販会社から連絡がある、その連絡も先ほど話をしたような非常に数が少ない、しかも電話で一言で確認をする程度だ。私は、電話じゃなしにやはり何か残るようなもので、そういうもので確認をしていくという、そのことでトラブルが減ってくると思うのです。そういう考え方はおありかどうか、これが一つ。まずこれだけ伺います。
  196. 小長啓一

    小長政府委員 購入者契約意思を確認するために、書面という形を通じてやるのが適切ではないかという御指摘だと思うわけでございますが、確かにそれによってよりはっきりする面というのはあるわけでございますけれども、逆に言いますと、簡便な手続で信用を享受し得る便宜性というのも、これは消費者にとって大変魅力のある信用供与の手段ということになるわけでございまして、それが常に書面による確認を必要とするというようなことになりますと、かえって便宜性を損なう側面もあるのではないかというふうに考えまして、私どもは必ずしも書面による確認というのを絶対視すべきではないという考え方は持っておるわけでございます。  ただ、割賦購入あっせん契約なんかにおきまして具体的なトラブルが生じますゆえんは、販売業者と与信業者が異なっておるために、購入者にとって複雑な取引形態となっておるわけでございまして、その複雑さがトラブルの原因になっておるということでございまして、したがって当省といたしましては、今後とも業者購入者取引を行うに際しましては、購入者が当該取引の仕組みを正確に理解できるよう説明を行うよう、関係業界を指導してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  197. 横江金夫

    横江委員 ここできのう、うちの後藤先輩から、信販会社並びに販売店の加盟の関係について御質疑があったわけですね。これは法の大きな盲点だというように思うのです。  これは今私が申し上げましたように、信販会社さえわからないという消費者がたくさんお見えになる。こういう上に立って、しかも、その信販会社販売会社とが、加盟店に対しての契約というのが明確に消費者保護の立場からされてないという上からいきまして、この辺の整理もはっきりとしていかなくちゃいけないのじゃないかという感じを持つのですが、この辺につきましても昨日の後藤先輩の質問と続いて、いま一度整理の問題も含めて御答弁を賜っていきたいと思います。
  198. 小長啓一

    小長政府委員 今度の改正法では、抗弁権の接続ということで消費者保護規定が強化される形になるわけでございますが、その反射的効果といたしまして、信販会社の加盟店に対するある種の審査というのは、より厳重にならざるを得ないという面はあろうかと思うわけでございます。  信販会社販売店との関係は、まさに商人同士の商取引ということになるわけでございますので、その間の関係を法律的に規制をするのはいかがかと思うわけでございますけれども、今のような抗弁権接続の反射的効果として、信販会社の加盟店に対する審査の強化というような形を通じまして、加盟店の選別というのがだんだん行われていく格好になり、それがまた、ひいてはトラブルの減少にもつながっていくことになるのではないかというふうに考える次第でございます。
  199. 横江金夫

    横江委員 販売店が今非常に倒産が多い、ここに問題があるのですね。金払ったら倒産して物は来なかった。瑕疵ある品物じゃなしに、物そのものが来なかった。電話で聞いてみたら倒産をしておるのだ。この倒産が多いということですね。きょうは中小企業庁長官は来ていただいていないのでしょうか。訪問販売の関係の販売会社の倒産が多い、この実態というのはおつかみでございましょうか。
  200. 小長啓一

    小長政府委員 今手元にある資料では、その実態は掌握しておりません。
  201. 横江金夫

    横江委員 景気が回復をしてきた中で倒産が多いと小此木大臣よく言われますし、その中において訪問会社の倒産の占める位置というのも伺いたいと思うのです。  そうしますと、今書類がありませんからわからないのですね。わかりましたら教えてください。
  202. 藤咲浩二

    藤咲政府委員 ただいまちょっと数字は持っておりませんが、一般的な傾向としてお答えさせていただきますと、確かに倒産は全体として高水準でございまして、業種別に見ますと、建設業それから小売業、そういった分野が比較的高いということでございます。
  203. 横江金夫

    横江委員 私の質問とちょっとかみ合わないようでございますので、訪問販売の会社が倒産が多いということですね。いわゆる好不況にかかわる話じゃなしに、余りにも多過ぎますので、作為的な倒産が多いということを言いたいのです。作為的な倒産が多いと思うのです。その作為的な倒産が消費者トラブルを、消費者泣かせになっているということを僕は言いたいのです。中小企業庁の方ではこの数字は余りわからないということでございますが、作為的な倒産だということを私は、全部じゃありませんよ、そのことが問題だと言う。これはわかっているならば、それはちょっとわからぬかもわかりませんが、そういう問題について御意見があるならば聞かしていただきたいと思います。  そして、もう時間ありませんので、もう一つお尋ねしたいのですが、これも別な話でございますけれども、銀行系カードなどのマンスリークリアのカードについては、今回、法の対象から外されたわけでありますが、通産省として法的にここだけ陥没させておいたら、水は低いところへたまっちゃうわけですから、規制は今のような、例えば抗弁権の問題もジョイントした。しかし、この部分だけが法規制しなくて甘んじていきますと、いろいろな関係がここへまた集中をしてきて、そしてここで問題が出てくるという、通産省としてはまさにこの法律の体系からいって好ましくない、これだけ許していくことは考えられないという気持ちが私は随分あると思うのです。法体系からいってもどうしてこれだけ残すのかなと思うのですよ。  ただ、局長は問題が少ないのですという話だけで言ってみえるのです。問題が少ないじゃなしに、法体系そのものからいって、そこだけ陥没させると、そこだけこれから問題が生じてくるし、法律の上からいきましても、私は、後で禍根を残すんじゃないか、好まないところだという強い感じを持つのでございますけれども、この辺につきましてもひとつ御答弁を賜っていきたいと思います。
  204. 小長啓一

    小長政府委員 確かに先生指摘のように、マンスリークリア方式取引につきましては、抗弁権の接続の対象から除かれておるわけでございます。これは再々お答えさせていただいているわけでございますが、現実に消費者トラブルがほとんど起こっていないという実情にあるわけでございますし、しかもマンスリークリアという決済方式自体は割賦販売法になじまない面もあるのではないかということで、本法の抗弁権の接続の対象から除いたということになっておるわけでございますが、大勢観察をいたしますと、今先生のおっしゃったように、ここに抜け穴があるから、そこにいろいろなだれ込んでくるだろうという側面よりも、むしろ今度の改正法によります四つの改正点によって消費者保護が強化をされた、その側面の方を評価していただきたいという感じが強い次第でございます。
  205. 横江金夫

    横江委員 時間もありませんが、消費者保護の方を強調されました。法体系、求むべき姿よりか消費者保護の方が大事なんだという一貫した御答弁だということがわかりました。  最後に大臣お尋ねしますが、答申等からいきましたり、あるいは今質疑をしました中でも、まだまだ法体系の不備な点、消費者保護の関係について抜けている点等がたくさんあると思います。役務の問題もしかりです。今申し上げましたクリアの問題もそうなんです。まずこれから、役務の問題を含めて今回の審議を通じて出てまいりました不備な問題をいかに完結をしていくのか、これが大きな問題だと思いますけれども、その辺につきまして、割賦販売法をもっとより消費者に立った完璧なものにするための大臣決意をひとつお聞かせをいただきまして、質問を終わっていきたいと思います。
  206. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 我々の学生時代には考えられなかったような割賦販売の増大ということは、何と申しましても、これはその便利さというゆえでございましょう。しかし、それが増大すれば増大するほどさまざまなトラブルができ、そしてそのトラブルを何とか消費者保護の立場から法的に救わなければならないということで、緊急な対応も含めて今回の法改正にこぎつけたわけでございます。  委員の御指摘のようないろいろな問題もございますけれども、その問題はさらに実態を見きわめて、役務の問題等についても、今後この規制をどうするかということをたびたび小長局長たちが言っておるわけでございます。こういう中で、今後慎重な検討対象として、この割賦取引がさらに健全な発展をするよう私ども努力いたす所存でございます。
  207. 横江金夫

    横江委員 終わります。
  208. 梶山静六

  209. 小沢和秋

    小沢(和)委員 初めに大臣に二問ほどお尋ねをしたいと思います。  我が国の割賦販売昭和四十八年に年間取扱高が四兆三千六百二十二億円でありましたが、十年後の五十七年には十三兆五千八百七十八億円へと三倍以上に急成長を遂げ、民間最終消費支出の八・六%を占めるに至っておるわけであります。  我が国の経済がかつての高度成長力を失い、勤労者の収入が伸び悩む中で、多くの企業が市場を拡大するために割賦に力を入れた結果、こういうことになってあらわれたわけでありますけれども、私は、これはいわば将来の購買力を先食いをするということになるのであって、経済としてもこのような手段に頼って成長するということは健全な状態とは言えないんじゃないかと思うのです。言ってみれば、麻薬を打つ、すると麻薬を打ったときは確かに気持ちがいいらしいのですけれども、次にはもっと強く打たないとそれが効いてこないということでどんどん強くなって、ついに破滅をする、日本経済にとってこの割賦というのはそういう役割を果たす危険があるのじゃなかろうか。  また、そういう中で購買力を非常に刺激されている消費者一人一人にとっては、急激に債務が膨張して、結局のところ多重債務者になってこれまた破産をする。だから私は、今回の法改正を契機にして、こういう野放しに割賦をどんどん広げていくような傾向にブレーキをかけなければならぬ時期に来たのではなかろうかということを考えるのですが、大臣はいかがお考えでしょうか。
  210. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 委員の御指摘のようなことも絶対ないとは言えません。ないとは言えませんけれども、我々とすればそれなりに慎重に注意していかなければならないことはもちろんでございましょう。しかし一面、考えてみますと、文明文化の進歩というものは、裏を返せばこれは人間が不精になることだと僕は思うのです。不精になるということは、物を買うにもこれがたやすく買えるような制度というものは、これはやはり文明の一つの進歩した側面でございまして、この割賦販売取引というものがこれほど利用度が高いということは、それなりの便利さがあるわけでございまして、これがいい意味で健全な発展をして、その取引がさらに一層活発になるならば、政府の言うところの内需の拡大という意味にもつながってくるわけでございまして、私は、委員のおっしゃるようなことは絶対間違いとは言いませんけれども、私の考えの方を御理解願いたいと思う次第でございます。
  211. 小沢和秋

    小沢(和)委員 時間がありませんから、そのことはきょうは論争しないことにします。  私は、今のような状態の中で消費者を守るために今回の割賦販売法改正は緊急の課題であるし、今回の改正案も、内容検討してみますと、そういう要請にこたえる積極的な内容を持っておると考えます。しかし、そのほとんどが問題の後追いだということは先ほどからの議論のとおりでございまして、これでは今後さらに新しい便利な商品が開発をされるということになると、また後追いということになるのではなかろうかという危惧の念を禁じ得ません。  昨日、竹内東大教授は参考人として、すべての商品役務の割賦を対象とせよ、あるいは欧米各国でつくられている消費者信用を総合的、包括的に規制する法律を我が国でもつくるべきだというような、大変抜本的な提言をされたわけでありますが、大臣は、こういうような大きなスケールで今の消費者信用問題に取り組むべきだとお考えにならないかどうか、お尋ねをいたします。
  212. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 基本的にはそういうような方向に行くべきであるという議論は理解できます。理解できるにいたしましても、しかし具体的にこれを詰めていくとするならば、例えば、たびたび申し上げますように、役務の問題にしても、いかに規制していくか、一つ一つの具体的な問題になりますと、やはりさまざまな対応をしていかなければならない政府側の立場もございますので、この点は先ほどから再々答弁いたしております事情をひとつ御理解願いたいと思うのであります。
  213. 小沢和秋

    小沢(和)委員 以下は具体的な問題で質問をしたいと思います。  まず役務関連取引の問題でありますが、先ほどからの議論の中で、政府としてもこの役務関連取引を規制する必要は認めるけれども、しかし、いわば立法技術的な事情で今回は見送らざるを得なかった、だから今後引き続いて検討するし、さらに、それまでにも省令の改正などで役務内容をできるだけ契約に盛り込ませるような指導もしていきたい、こういうお話で、そのこと自体はわかりました。  それで、確認をする意味お尋ねをしておきたいと思うのですが、そうすると、そういう省令などで臨時的な対応をするにしても、やはり抜本的には法律改正しなければ私はできないだろうと思うので、ごく近い将来に割販法の一部改正をもう一度やらなければならないという状況になるのではないかと思うのですが、そういう認識をお持ちか。そうだとすれば、それはいつごろをめどにしてお考えになならておられるかということをお尋ねしたいと思います。
  214. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘役務一般の規制の問題に関しましては、御指摘のとおり私どもこれから個別の役務内容をよくチェックした上で具体的な規制のあり方を詰めてまいりたいと思っておるわけでございます。ただ、その詰めた結果といたしまして、割賦販売法のさらなる改正という形になるのか、個別役務ごとの業法的な扱いになっていくのか、あるいは何か別の包括的な法律対象にしていくのか、その辺がまだ具体的に詰まっておるわけではございません。これからの個別役務の規制のあり方検討する中で勉強してまいりたいと考えておるわけでございます。  それから、当面の措置といたしましては、先生指摘のとおり、役務関連する消費者トラブルは、例えば教材と塾というようなもので多発しておるわけでございますので、そういうものにつきましては、附帯役務を明確に契約書面に記載させるということを通じまして、取引明確化を図ってまいるとともに、業者に対しましては取引適正化のための指導を徹底してまいりたいと考えております。
  215. 小沢和秋

    小沢(和)委員 改正のめどは。
  216. 小長啓一

    小長政府委員 これはできるだけ急ぎますが、具体的な時期のメンションは差し控えさせていただきたいと思います。
  217. 小沢和秋

    小沢(和)委員 次にお尋ねしたいのは、この割賦販売契約で保証人を要するケースが多いわけであります。この保証人がしばしば被害者になる、この問題をどうするかということを一言お尋ねしたいのです。  今回の改正では、販売条件や取引条件などを書面で明示することが義務づけられるケースがさらに広がるわけで、これは結構だと思うのです。ところが、私のところに持ち込まれる相談などで案外多いのが保証人なんですよ。電話で知人などから、月賦やるから保証人になってくれと言われて気軽に引き受けたら、後になって自分のところに払えと言ってこられて慌てたけれども、今の法律などではどうにもならないということで、泣き寝入りせざるを得ないケースが多いわけです。  これは、我が国ではそうやって保証するということがどんなに重大な法律行為であるかということについての自覚が一般的にいって低い、そういう問題はありますけれども、しかしそれも現実なんですね。だからそういう被害を防止するために、本人に対しては契約条件などをこうやって明示をしなさいと言っているわけですけれども、保証も、そんな電話であなた名前を書いて三文判でも押しておきなさいというようなことじゃないように、本人にもちゃんとそれを見せて、本人に署名し判こをつかせるということにすれば、私はうんと被害が減るのじゃないかと思うのです。こういう指導をすべきじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  218. 小長啓一

    小長政府委員 保証人が主たる債務の内容を知った上で保証契約を締結すべきことはまさに御指摘のとおりでございます。したがいまして、今後問題点の所在を明らかにしながら、私どもといたしましても行政指導ベースで前向きに対応してまいりたいと思っております。
  219. 小沢和秋

    小沢(和)委員 では、今のは前向きに対応すると言うので、今後それが具体的な行動になってあらわれることを期待しておきたいと思います。  次に、クーリングオフの問題でお尋ねをしたいと思います。  今回はクーリングオフ期間はこれまでどおり四日間で据え置くという案になっておりますけれども、我が党もかねてからこの期間を延長する必要があるということを言ってまいりました。  去る十二日にも、衆議院の物価問題特別委員会で我が党の藤田スミ議員が、訪問販売法の改正の問題としてですけれども、現在四日間のクーリングオフ期間を七日に延長すべきだということを主張したことがございます。このときにも通産省としては、重要な課題として前向きに取り組んでいきたいという答えをいただいているわけでありますけれども、昨日からの質問でも、欧米各国では七日間程度のものの方がむしろ多いという状況も明らかになっておりますし、将来前向きにというのでなしに、ぜひ今回それを決断すべきではないかと思いますが、どうか。  それから、このクーリングオフの権利があることが消費者に明示されなければなりませんけれども、先ほどからも議論になっているように、大変読みにくいとか難解な言葉で書いてあってわからないとかいうことが多いわけです。この問題の一つの解決策として、先ほど引用いたしました藤田議員の質問の中で、クーリングオフ用の簡易はがきを契約に当たって添付するようにすれば容易にできるという問題提起をしたら、通産省は、そのはがき添付方式にするようにできる限り業界を指導したいというお答えをいただいたと承知しております。そうするとこれは訪問販売に限らず、先ほどから問題になっているような、こういう割賦販売全体にこれを広げていけば非常にスムーズにこの問題が解決できやせぬかと私は思うのですが、その点についていかがお考えですか。
  220. 小長啓一

    小長政府委員 クーリングオフの期間につきましては、昭和四十七年の割賦販売法改正時に、当時におきます諸外国の例も勘案をいたしまして四日というふうに定めたわけでございます。ただ、先生も御指摘のように、最近の諸外国の実例を見てまいりますと、アメリカには三日という例はございますが、諸先進国は大体七日ということでございますし、西ドイツ、イギリス等は十四日という例もございますので、四日間では短過ぎるではないかという御指摘については十分理解のできるところでございます。  ただ、一方において取引の安定、一方において消費者保護の観点、両々のファクターの中からどの辺を具体的に接点として見出していくかということがこれからの課題と思っておりますので、前向きに検討してまいりたいと考える次第でございます。  それからクーリングオフ権につきまして、購入者にとってもっとわかりやすく知らせるべきではないかという御質問でございますが、まさにそのとおりでございまして、用語が特に難しいのではないかという御指摘もあるわけでございまして、今後そういう面における改善も図ってまいりたいと思っておるわけでございます。  それから、さらに最後に御指摘になりました、いわゆる切り取り式書面を採用するということにつきましても、これは消費者が容易に権利を行使し得るような改善策の一つでもあると考えますので、私どもといたしましても前向きに取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  221. 小沢和秋

    小沢(和)委員 次に、多重債務の発生防止の問題で一、二、お尋ねをしたいと思います。  今回の改正では、返済が不能となるような多額の信用の供与を行わないように努めることになっておりまして、そのための具体的な方策の一つとして信用情報機関の強化が必要であるということになっておるわけです。昨日も、現在ある信用情報交換所あるいは日本信用情報センターなどを統合する方向が明らかにされましたし、これはこれで私は一歩前進だと思うのです。しかし、私が承知しているケースを思い出してみますと、破綻に追い込まれた人は割賦販売だけでなく、サラ金など借りられる限りのところから借りまくって破綻をしておるのです。だから、そうすると、この割賦販売関係だけの信用情報を一元化するということではなくて、サラ金などその他の関係も含めた一元化ということが本当の被害を防止する上で、私は、時の方向として、これは必然的に考えざるを得ないのではないかと思うのです。こういう点についてはどういうふうに今取り組んでおられるでしょうか。
  222. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のように、多重債務者の発生を防止していくためには、金融、物販の枠を超えて信用情報の蓄積、整備を進めていくことが基本的に重要ではないかと私どもも考えておる次第でございます。昨年七月に出されました消費者信国産業懇談会の報告でも、このような認識から、「個人信用情報の内容は、基本的には、クレジット消費者金融ともに同質であることから見れば、将来的には、双方の情報を総合的にとらえるべきであろう」という旨の提言がなされているわけでございます。  当省といたしましては、消費者金融の分野を含めた信用情報機関の連携の強化につきましては、今後の課題といたしまして、関係の省庁とも連絡をとりながら取り組んでまいりたいと考えておる次第でございます。
  223. 小沢和秋

    小沢(和)委員 そうすると、もう一遍端的にお尋ねしますが、各省と相談をしながら進めていきたいというのは、方向としては、私は、やはりそういう情報を全体として集中し、一元的にその情報をとれるようにしていくという方向だと思いますが、そう理解していいですか。
  224. 小長啓一

    小長政府委員 基本的にはそういうことでございますが、しかし、この分野におきましても、何よりも民間の動きがどういう動きになっていくかということをまず私どもとしては見届けたいというふうに考えております。
  225. 小沢和秋

    小沢(和)委員 ところで、そういうように全体として一元化の方向に行き着くであろうというふうに考えますと、いよいよ一方ではプライバシーを保護するということが重要になってくるわけであります。先ほどからその点についてはいろいろ議論がありましたので、私はあえて言いませんけれども、このプライバシーの保護を保障していくという点については、厳重な指導をひとつお願いしたい。  それとの関連で、私一言お尋ねをしておきたいと思いまのは、本人が、自分についてどのような情報がインプットされているかということについて開示を求めた場合には、これは私は、当然応ずべきであるし、誤った情報などが入っているというような場合、例えば私など考えてみますと、例の抗弁ですね。抗弁をしておるというような者を不良債務者だというようなことで、これはブラックリストに載るというようなこともないとは言えないのではないかと思うのです。そういうようなケースなどについて情報の開示を求めて、これは間違っているというようなことで、その訂正を求めたりするというようなことは、私は本人の権利として保障されなければならないのじゃないかと思うのですが、その点はどうお考えですか。
  226. 小長啓一

    小長政府委員 具体的な法の運用の中で、先生指摘のような情報の開示を求められたような場合には、これに積極的にこたえていくという方向で対処してまいりたいと考えております。
  227. 小沢和秋

    小沢(和)委員 文部省がお見えになっておると思いますので、この機会に文部省に一言お尋ねしたいと思います。  消費者が多重債務者に転落するのを防ぐ本当の保障は、今話に出ているような情報機関の強化などというようなことではなく、私は、やはり教育によって、一人一人の国民の自覚を高めるという以外にないと思います。これはもちろん社会人としての教育もありますけれども、業者が若い世代にねらいをつけ、大学生なども何枚ものカードを持って歩くというような昨今の状況を考えてみますと、アメリカなどにも学んで、高等学校など公教育の場でも割賦や消費者金融などに関する正しい知識を教育しなければならないのではないかと思います。この点、いかがお考えか。今文部省は、婦人差別撤廃条約批准との関係で、高校家庭科教育のあり方を見直すことにしているというふうに伺っておりますが、その中で男女とも消費者信用について教育を行うというようなことは、私はぜひ緊急に取り入れていただきたいと思いますが、いかがですか。
  228. 阿部憲司

    ○阿部説明員 お答え申し上げます。  学校における消費者教育につきましては、小中学校それぞれにおきまして社会科とか家庭科といった教科を中心に、児童生徒の発達段階に応じながら適切な指導を行っておるところでございます。  特に、今先生指摘ございました高等学校教育の段階におきましては、「現代社会」とか「政治経済」といった社会の科目あるいは「家庭一般」といった科目の中で、消費者保護とかあるいは正しい消費あり方などについて取り扱うこととなっておりまして、その中で具体的にクレジットカード等の問題についても、事例を挙げながら指導を行っておるところでございます。  こうした消費者に関する教育の問題につきましては、家庭における教育の問題とも関連があろうかと思いますけれども、学校教育におきましても、今後とも社会とか経済の変化に対応しながら適切な指導を一層行ってまいりたいというふうに考えております。
  229. 小沢和秋

    小沢(和)委員 では、この質問を私は最後にしたいと思いますが、中小小売商団体などがショッピングカード発行したり、あるいは割賦購入あっせんなどを行っているわけでありますが、衆議院商工委員会調査室などからいただいた資料を見ますと、その新規供与額が五十七年落ち込み、五十八年も落ち込み続けているというような状況だというふうに私、承知をしているわけです。これは中小企業の振興策としても非常に重要な問題を提起されているのではないかと思いますが、きょうは時間もありませんから、その原因などについてはお尋ねしませんから、そういう状態についてどういうふうに対策を講じていくべきだ、この分野でも大企業が本格的に進出していく中で結局中小企業が駆逐をされていくということでは、今後の中小企業にとって非常に重大な打撃になるのではなかろうかというふうにあの数字を見て私思うわけです。そういう立場から、ひとつ積極的な振興策ということでお聞かせ願いたい。
  230. 藤咲浩二

    藤咲政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、中小のクレジット団体の与信額は非常に競争が厳しくて伸び悩んでいるのは事実でございます。ただ、数字いろいろございまして、算定の仕方等がかなり複雑な関係もございまして、必ずしも明確にはわからないのでございますが、この一、二年急速に落ち込んでいるということはないと思います。若干は伸びております。いろいろ集計の定義や何かが年によって違ったりするものですから正確な比較は非常に困難でありますが、私どもが聞いておる限りでは、非常に伸び悩んではいるけれどもやや増加しているというような状況だと思います。  いずれにいたしましても、こういう中小企業のクレジット事業というのは、組合員である中小小売商販売促進に非常に役立っておりますし、それから組合の組織活動といいますか、そういうものの柱の一つにもなっているということで、私どもとしてはその振興が非常に重要だというふうに考えておりまして、従来は主として、当面、これらの団体にとって一番必要な助成策ということで金融面の支援を中心に支援措置を講じてきておりました。主として商工中金を通じまして、その運営をしている組合に資金を供給するというようなことをやっておりましたが、最近では一番問題になっておりますのはいわゆる情報化の進展でございまして、中小企業団体の方もやはりそういう情報化、新しい技術というものに対応していかなければならない時代になっているということで、この辺について五十九年度に新規に予算を確保いたしまして、その辺の動向をよく分析し、これから中小クレジット団体がどういう方向へ発展を図っていくべきかということを調査研究をしたいというふうに考えております。これらを踏まえまして、必要であればさらに一層の振興策を講じていくということを考えておる次第でございます。
  231. 小沢和秋

    小沢(和)委員 終わります。
  232. 梶山静六

  233. 野間友一

    野間委員 割賦販売、いわゆるクレジットの産業の成長ですが、これは既に議論でも出ておりますように、目をみはるものがある、これは事実だと思います。今では、約十四兆円弱、こういう産業にまで発展しておるわけですね。同時に、問題はこれにまつわる病理的な現象、これも数々発生して、深刻な事態が今現に到来しておることも事実であります。  私は、今から、日本のクレジット史上に残る、こういうふうに言われております、いわゆるコーキ出版、これは信販会社クレジットを使った学習用の教材あるいは備品の販売を続けてきた会社でありまして、資本金が二千万円、これに関する悪徳商法を取り上げていきたいと思います。これは本年の二月に事実上倒産をしたわけでありますが、そして、その後にこの悪徳の商法が明るみに出たわけであります。  この手口を見てみますと、きのうも若干論議があったやに聞いておりますが、特に、信販会社東京総合信用、これは住友銀行系で、いわゆる東総信というふうに省略しておりますが、あるいはライフ、これとの加盟店契約によるクレジット商法に関するものであります。  特に、東総信、この関係する場合を見てみますと、これは、五十七年の春ごろからでありますが、いわゆるインストラクター、塾の教師ですね、これを募集して、契約の意思の有無にかかわらず、応募者から履歴書を提出させて、その住所と氏名をほしいままに利用して、応募者を消費者に仕立て上げる。そして、勝手に印鑑、三文判を買ってきて、それを押して文書偽造をする。さらに、念が入っておることには、物品、これは教育セットですが、これをこの消費者に送ったかのように装って、運送会社の仕送り状、これすら偽造して、そして、東総信から金品を詐取した、こういう疑いであります。その総額は二十億円を超える、こう言われておりますね。この偽造文書は三千件、これは物すごいですね、三千件を超える、こう言われております。これは、五十八年の五月ですから、当初からちょうど一年後に発覚したわけであります。  先に法務省に聞きますが、こういう事実経過、実態、これは既に公知の事実で、新聞、マスコミにもずっと報道されておりますし、当然法務省も知っておると思いますが、それはそれとしても、今私が申し上げたようなこういう事実があるとするならば、これは一体どういう犯罪に該当するのか、その点から明確に答えていただきたい。
  234. 北島敬介

    ○北島説明員 御指摘のような報道がなされておるわけでございますが、刑事責任の有無というごとになりますと、なお具体的な事実関係がいまだ明らかでございませんので、何らかの犯罪が成立するかどうかという点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思っております。
  235. 野間友一

    野間委員 いや、私は、事実関係は別にして、仮にこういうことが事実であるとするならば、印鑑を買ってきて文書をつくって、クレジット契約を結んで、そして、信販会社から金品を詐取するという場合には私文書偽造、同行使、詐欺ですね、こういう一連の犯罪が成立することは法学上明らかだと思うのですが、一般論を聞いておるのです。
  236. 北島敬介

    ○北島説明員 ごく抽象的、一般的に申しますならば、ただいま御指摘のような犯罪が成立するかどうかということが、事実関係に照らして問題になろうかと思っております。
  237. 野間友一

    野間委員 警察庁に聞きますが、この事件について、事実を知っているはずなんですが、これは具体的に捜査が一体進んでいるのかどうか、その点について。
  238. 上野浩靖

    ○上野説明員 お答えいたします。  お尋ねの件につきましては、私どもも新聞報道等で承知しておるわけでございまして、現在、幅広く情報収集に努めているところでございます。  なお、当然のことではございますが、具体的な警察法令に触れる事実があるといたしますれば、その際には厳正に対処いたしたいと考えております。
  239. 野間友一

    野間委員 これを通産大臣お聞きになって、異常な事態なんですね。私、思うのは、東総信の信用調査ですね、これは加盟店契約をする際に、当初もそうだし、あるいは継続してやっておれば問題なかったと思うのですね。途中でわかれば、これは破棄すればいいわけですから、加盟店契約を。ところが、一年も続いた、こういう異常な事態が続いておる。これによって被偽造されたものは、たまったものではないわけですね。私は、きょうは、この点については別にいたしまして、このコーキの出版に関して、今まで問題になってなかった新たな事実を出しまして、これについての質疑を続けたいと思います。  それはクレジット会社が株式会社大信販、これに関する問題であります。これは三和銀行系統のクレジット会社であります。この関係での商法も大変な悪徳商法であります。この手口あるいは手法は、今申し上げたように、東総信の関連する、これと全く同じなんですね。塾の講師を募集するといって、応募者を募るわけですね。これも契約の意思の有無にかかわらず、履歴書を集める、その履歴書を全部集めて、その住所、氏名を書いて、これがクレジット契約の当事者として記載され、そしてこの会社の近くの印鑑屋に行きまして、それを買ってきてぽかぽか押して、株式会社大信販、クレジット会社にこれを渡す、こういうことを続けておるわけですね。  委員長、よろしいですか、資料を見せますが、大臣やら、皆さん関係者に見ていただきたいと思います。私はここに現物を持っておるのですが、これがコピーをお渡ししました「ショッピングクレジット」、これは大信販の印刷のある、大信販がつくった資料ですね、たくさんあるのです。二十九枚あります、写したのは一部でありますけれども。これをごらんいただきたいと思います。これは全部同一人が書いたものです。見ていただければよくわかると思うのですけれども、そこの会社の職場におる女性が全部書いたわけですけれども、全く同一人の筆跡だということは素人でもわかるわけです。これ、二十九枚、私は今持っております。それから保証人欄が全然空白です。今コピーをとりました分は、要するに消費者の控えというか、「お申込みの内容」というものでありまして、五通のつづりになっております。これはお客様が、消費者が控えとして持っておくというものであります。これは五枚のコピーですから、ノーカーボンで全部下まで通るわけですね。今申し上げたように、全部同一人の筆跡であるということ。それから連帯保証人のところを見てほしいと思います。全然空白でしょう。  この契約書の中身を見ますと、住所、氏名、電話番号あるいは生年月日、それから申し込み商品名、教室セット六十二万二千八百五十円、これの手数料を合わせますと、七十三万四千九百六十三円、支払い回数、初回の支払い金、これが書いてあるわけですね。これはひどいものです。これが、このコピーにもありますように、五十七年四月、五月、私が持っておるのはその分です。世田谷の分です。これは東京都の各区全部同じようにあるのです。関西のもみんなあるのです。こういう代物であります。  しかも、二つに区分けしておりますけれども、あとの「大信販振込明細(三月分)」と書いてあるものがありますね。これは銀行振り込みですね。これを勝手にコーキ出版がこういうふうに通帳をつくりまして、これもコピーをとっておりますけれども、ここで銀行振り込みをするという格好に実はしたのです。ところが、振り込ををしますと、要するに、契約者に通知が行きますね、これはやばいということでこれをやめて、今度は全部郵便の振りかえにやった。ですから、二区切りにしております。一つのセットは、これは支拡い方法は郵便振り込み、マルが入っていますね、こういう代物であります。しかも、いずれにしても全部一人の女子の職員に書かせたということであります。印鑑はどうしたかといいますと、先ほど申し上げたように、近くの印鑑屋へ行って全部買ってきたのです。これは皆三文判です。こういうでたらめなことをやって、そして大信販から立てかえ余名下に金を詐取しておるという疑いがあるわけであります。しかも問題は、この契約上の当事者、つまり偽造された人は全く知らないわけですね、こういう契約の当事者になっておるということを。というのは、電話の確認もしていないわけです。仕送り状もないわけです。こんなことがまかり通っておるわけですね。  私は、こういうことを見た場合に、先ほどからも論議がありましたけれども、要するに、販売業者、それから、それに対する特に信販会社クレジット会社、これが当初あるいは途中からもきっちり信用調査するということをやっておけば、こういうことは起こらなかったであろう、こういうわけであります。この件については今度の法改正でも——これは直接の問題ではない、これは偽造ですから支払い債務はないわけですが、しかし、これもいつ請求されるかわからない。今これは問題になっていますから大信販も控えておりますが、いつやられるかわからない。しかも、約款の中でも、裁判管轄は合意管轄の約定がありますね、全部不動文字で。それは裏ですからコピーはありませんが、ほとんどありますよね。つまり、大信販の営業所のあるところに裁判を起こせばいいんだという合意管轄ですね。これでやられたら一体どうなるかということであります。  私はこれを見た場合も、それはコーキ出版そのものが悪いのは当然でありますが、しかし、こういうずさんな、保証人もいない、同一人の筆跡であり、三文判を使い、確認もしない、こんなばかなことが一体今の取引上通用するかどうかということを言いたい。私は世田谷の資料しかきょうは持っておりませんけれども、これは東京都内あるいは関西一円にいっぱいあるわけです。これは一体どういうことなのかということであります。  大臣、私が今申し上げたことをお聞きになってどういう所見をお持ちになるか、一言お聞かせをいただきたいと思います。
  240. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 実態をよく調査させまして、必要とあれば、どのような手段を講ずることができるか検討させたいと思います。
  241. 野間友一

    野間委員 警察庁、先ほどは東総信の例を出しましたけれども、事は急ぐのです。私が入手した情報によりますと、十九日ですから明日です、残った、整理しておるここの従業員を集めていろいろな工作をするやに、そういう情報が入っておるのです。先ほどからいろいろ警察庁も抽象的な答弁がありましたけれども、事は急ぐのです。これを全部証拠を収集して、これが事実であるとするならば、先ほどの東総信と同じなんです。私文書偽造、同行使、詐欺、こういうものが成立するのはあたりまえなんです。これは疑いが十分濃いわけですね。私が持っておるのは犯罪組成物件なんですね。警察庁、これが事実であるとするなら東総信と同じですよ、どうでしょうか。
  242. 上野浩靖

    ○上野説明員 先ほど申し上げましたように、現在警察におきましても広く情報収集に当たっておるわけでございまして、先生指摘のようなことをも踏まえまして対処していきたいというふうに考えております。
  243. 野間友一

    野間委員 私は、大信販がコーキ出版とぐるかどうか、これはわかりません。仮にぐるでないとしても、こんなずさんな方法で加盟店契約を結ぶということはとんでもない話ですよ。通産省、どう思いますか。
  244. 小長啓一

    小長政府委員 今のお話を聞きまして、大変驚いておる次第でございます。  私どもといたしましては、従来から、信販会社を通じまして加盟店についてのある種の審査、指導等はやっておるわけでございますが、本件の場合は、信販会社が完全に加盟店にだまされておる、一言で言えばそういうケースではないかと思うわけでございまして、今後こういう問題についてどう対応していくか、私どもとしても十分勉強してまいりたいと思います。
  245. 野間友一

    野間委員 東総信、ライフ、これは既にマスコミで明らかになったから御存じだと思いますけれども、そういう事実は知っておるかどうかということと同時に、大信販の件について、これは全国的な広がりを持っておるという認識を持っておるのかどうか、あるいは持っていないとすれば一体どうするのか、答えてください。
  246. 小長啓一

    小長政府委員 本件につきましては、実態を調べまして、その上でまた対応を考えてまいりたいと思います。
  247. 野間友一

    野間委員 いや、私が聞いているのは、こういう事実を知っているのかどうかということを前提として聞いたのですが、これは知っているのですか。東総信あるいはライフの例もあるでしょう。
  248. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘の事実の一部は、私どもも承知はしております。
  249. 野間友一

    野間委員 大臣、私は、これはやはり信販会社クレジット会社のモラルの問題も非常に大きいと思うのです。先ほど申し上げたように、全く契約内容の一部しか書いてないわけでしょう。保証人欄は全く空白ですよ。同一人の筆跡でしょう。こんなずさんなものを、大信販は全部受け付けて代払いしておるわけですね。そして、これはことしの二月に倒産しましたから、一月まで会社が全部一括して払っておるわけですよ。  このコピーを見ていただきたいと思います。二くくり目の「大信販振込明細(三月分)」と書いたセットですが、これは「世田谷センター」とありますね。これはここにある分ですけれども、全部表に整理しまして、そして振込金額が書いてありますが、これを会社が払っておるわけです。これは銀行払いですから、この場合には恐らく会社の住所地に偽造したものの名前を書いてやっておるわけですね。こういうようなことをやって、そして、ことしの一月までずっと偽造した人間、被害者にかわってコーキ出版が払って、そのうちに手を上げて倒産した、こういうケースであります。  ですから、信販会社のモラルという心の問題だけでなくて、一体どういうようなことをしたらこういうものは是正されるのか。なるほどすべてのものが偽造でないかもわかりません。中には、数の中でありますから真正な取引もあるかもわかりません。しかし、こんな偽造の積み重ねの上部分的に真正な取引があったとしても、そういう人たちがさらに被害を受けるだけの話でしょう。これはモラルだけではなくて、一体こういうものについてどういうふうにすればなくなると考えるのか、消費者保護の立場からどうしたらいいのか、通産省の考え方を聞きたいと思います。
  250. 小長啓一

    小長政府委員 本件につきましては、もう少し実態を調べました上で具体的な対応を考えたいと思うわけでございますが、私どもといたしましては、今回の割賦販売法改正の趣旨に照らしましても、消費者利益の保護の観点、流通秩序の確立の観点を踏まえまして、本問題に対処してまいりたいと思っておる次第でございます。
  251. 野間友一

    野間委員 ぜひ調べて善処されたいと思いますが、私はきっちり調べて今申し上げているつもりですけれども、もしこれが事実であるなら、これがぐるかどうか別ですよ、しかし、大信販は信販会社としての通常の商取引と申しますか商道徳、こういうものに反しておると言わざるを得ないと思うのですが、そういう評価についてはいかがですか。
  252. 小長啓一

    小長政府委員 その点に関しましては、事実関係を調査した上で私どもの評価を確定したいと思います。
  253. 野間友一

    野間委員 通産省はそんなにかばう必要はないと私は思うのです。事実を事実として認めたらいいと思う。そこに通産行政の姿勢があると私は思うのです。(「調べなければわからない」と呼ぶ者あり)いや、私は仮定的に、これが事実であるとするならと聞いておる。  通産大臣、今度の法改正でこういうものが一体是正されるかどうか、でないとするならば一体どうしたらいいのか、お答えいただきたい。
  254. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 先ほども申し上げたとおり、何分にも今お聞きしたところでございますので、さらに一層実態調査いたしまして、必要とあらば、どんな手を打ったらよろしいか検討させることにいたします。  この法改正でいろいろの問題がございますが、そういうことにももちろん関連いたしますので、何回も申し上げるようでございますが、一層の実態の把握に努めたいと思います。
  255. 野間友一

    野間委員 時間がありませんのでなんですが、これはやはり私は信販会社クレジット会社クレジット産業のうんと成長の中でたくさんできて、そして、たしか産構審の中にも書いてあると思いますが、競争が激化して、これは実際に販売会社が立てかえて払えば手数料は皆消費者に入るわけですからね。そういうようなからくりというか、そこにも大きな問題があると思うのです。本来的に販売会社と消費者消費者信販会社信販会社販売会社、三面契約ですね、それぞれが独立した契約なんですね。これが販売会社とそして消費者と、こことの間に直接結ばれる契約の中で一括してやられるというところに問題があるわけですね。それぞれの契約が独立性を持って、それぞれが自分がやっておることの認識、どういうものかということと。同時に、特にこういう今成長する産業の中で、販売会社のいろんな病理的現象がこれからも起こらぬ保証は全くない。むしろ私はこれからもひどくなると思うのですね。  ですから、そういうものを踏まえまして、いわゆる三面的な法律関係、契約関係、こういうものが本当に真正にできたもの、こういうことが認識できるような形で、もっと私は考えていかなきゃならぬ、こう思うのですね。たくさんあります制度を変えなきゃならぬ問題、時間がありませんから一点に絞って私きょうはお聞きしておるわけでありますけれども、私が今申し上げたことについて、局長とういうふうに考えていますか。
  256. 小長啓一

    小長政府委員 先生指摘のように、割賦購入あっせんにかかわる取引というのは、まさに三者間の契約ということでございますし、販売業者と与信業者が異なっているために、購入者にとっても複雑な取引形態となっておる、それがまたトラブルの原因にもなっておるという点は、御指摘のとおりでございます。そういう中で、今回の法改正の中で、割賦購入あっせんに対する購入者保護規定の適用が認められ、また抗弁権の接続規定が追加をされたということは、消費者行政にとって画期的な前進につながる措置ではないかというふうに考えておるわけでございます。  また、当省といたしましても、今後とも業者購入者取引を行うに際しまして、購入者が当該取引の仕組みを正確に理解ができるように説明を行うよう、関連業界を指導していくつもりでございます。
  257. 野間友一

    野間委員 時間が参りましたので終わりますけれども、重ねて警察庁、私は事は急ぐと思うのです。そういう点で、きょう申し上げた大信販の例も含めまして、十分事態を掌握して、いやしくも証拠隠滅とか犯罪を隠滅することのないような適切な捜査権の発動、調査も含めてそれをぜひやってほしいということを私は要請したいと思いますが、それについての答弁をもらいまして、私の質問を終わりたいと思います。
  258. 上野浩靖

    ○上野説明員 先ほど申し上げたとおりでございまして、私どもも情報収集に当たっておりますので、それらを踏まえまして、今後適切に対処してまいりたいと考えております。
  259. 梶山静六

    梶山委員長 これにて内閣提出割賦販売法の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  260. 梶山静六

    梶山委員長 内閣提出割賦販売法の一部を改正する法律案に対する修正について、理事会等において協議をいたしてまいりましたが、私の手元で作成した案文について協議が調いましたので、この際、私から本案に対する修正案を提出をいたします。     —————————————  割賦販売法の一部を改正する法律案に対する修   正案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  261. 梶山静六

    梶山委員長 この際、修正案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案はお手元に配付してあるとおりでございます。その案文の朗読は省略して、以下修正の趣旨及びその内容を簡単に申し上げます。  この修正の趣旨は、申込者等の救済の充実を図り、消費者保護を徹底させようとするものであります。  その内容は、まず第一に、割賦販売について、申込者等が契約の申し込みの撤回等を行うことができる、いわゆるクーリングオフの期間を、四日から七日に改めるとともに、ローン提携販売、割賦購入あっせんについても同様に定めることであります。  第二に、経過措置として、いわゆる総合方式、個別方式の割賦販売、ローン提携販売について、この法律施行前に、契約が締結された場合、契約の申し込みが行われた場合及び法律施行前に契約の申し込みが行われ、法律施行後に契約が締結された場合には、従前の例によるものとすることであります。  第三に、訪問販売におけるクーリングオフの期間及び経過措置について、割賦販売の場合と同様に定めるものとすることであります。  以上が修正の趣旨及びその内容であります。  何とぞ委員各位の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。     —————————————
  262. 梶山静六

    梶山委員長 この際、法律案撤回についてお諮りいたします。  長田氏土君外四名から、提出者全員をもって割賦販売法の一部を改正する法律案について撤回の請求がありました。  本案は、既に委員会議題となっておりますので、これを撤回するには委員会許可を要することになっております。  本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  263. 梶山静六

    梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、撤回を許可することに決しました。     —————————————
  264. 梶山静六

    梶山委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  割賦販売法の一部を改正する法律案について採決いたします。  まず、委員長提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  265. 梶山静六

    梶山委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  266. 梶山静六

    梶山委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     —————————————
  267. 梶山静六

    梶山委員長 お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  268. 梶山静六

    梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  269. 梶山静六

    梶山委員長 この際、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  エネルギー基礎素材及び鉱物資源に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなるエネルギー基礎素材及び鉱物資源問題小委員会並びに  流通に関する諸問題を調査するため小委員二十名よりなる流通問題小委員会を、それぞれ設置したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  270. 梶山静六

    梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  両小委員会の小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異保護ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  271. 梶山静六

    梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  両小委員会の小委員及び小委員長委員長において指名し、追って公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長辞任補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  272. 梶山静六

    梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十九分散会      ————◇—————