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長田議員 ただいま議題となりました公明党・国民
会議提出の
割賦販売法の一部を改正する
法律案につきまして、その提案理由及びその内容を御
説明申し上げます。
割賦販売法は、昭和三十六年に割賦販売の公正の確保、消費者の保護等を
目的として制定されましたが、最近の割賦取引形態の多様化及び取引量の拡大あるいは役務取引の急増といった事態に十分対応できず、消費者保護を図ることは著しく困難になっております。中でも、現行
割賦販売法の対象外になっている個別割賦
購入あっせんや役務取引をめぐる消費者紛争は拡大する一方であり、今や一日も放置できない
状態になっております。
個別割賦
購入あっせんは、
購入者が販売業者とは売買契約、信販会社とは立てかえ払い契約の二本立ての契約を締ぶため、
購入した商品等に瑕疵等がある場合、
購入者は売買契約を結んだ販売業者に対しては抗弁することができますが、信販会社に対しては、代金の立てかえ払い契約約款により支払いを枢絶することはできなくなっているのであります。したがって、商品に瑕疵があり販売業者が修糟、取りかえ等に応じない場合や商品の未到着の場合、または役務の提供が不完全である場合や、役務が提供されていない場合でも、信販会社に分割支払い金の支払いを続けなければならないという問題が発生しているのであります。
先進各国においては、消費者が信販会社に対し商品等の瑕疵等を理由に支払い停止の抗弁を主張できるようになっており、我が国においてもこうした抗弁の接続を求める声は著しく高まっております。このため、
割賦販売法に抗弁の接続の規定を設け、割賦取引における消費者利益の一層の保護を図るべきであります。
また、割賦形態による役務関連取引の増大にかんがみ、役務関連取引を法規制の対象に加えるとともにマンスリークリア支払い方式をとる取引についても法規制の対象とし、さらにはクーリングオフ期間を延長するなど消費者保護を充実する必要があるのであります。
以下、
割賦販売法の一部を改正する
法律案の主な内容について御
説明申し上げます。
第一に、政令で定める指定役務に関連する取引を法規制の対象に加えることとし、この役務には役務の提供を受ける権利をも含めることといたしました。
第二に、訪問販売形態の割賦取引における
購入者の一方的な契約の申し込みの撤回または契約の解除権、いわゆるクーリングオフについては、
購入意思が不安定なまま契約の申し込みまたは契約をしてしまった
購入者等の救済の充実を図るため、現行の四日間を七日間に延長することといたしました。
第三に、契約解除等に伴う損害賠償等の額の制限において、現行法では全期間にかかわる利息が取られていたものを解除等までの期間に限定し、それ以後は法定利息によるものといたしました。
第四に、
購入者等の信販会社等に対する抗弁の接続に関する規定を新設し、個別・総合ローン提携取引、信販会社の立てかえ払いを利用した割賦取引である個別・総合割賦
購入あっせんにおいて商品に瑕疵がある場合、もしくは商品の引き渡しが遅延している場合、または役務の提供が不完全である場合、もしくは役務の提供がおくれている場合等は、抗弁の接続を認め、分割返済金等の返済を拒絶することができることといたしました。
第五に、カードを発行する自社割賦取引業者たる総合割賦取引業者がカードを交付する場合には、賦払い金の各回の支払い時期及び方法、賦払い金の計算方法、手数料率等、カードに係る取引に関する
事項を記載した書面を交付するよう義務づけるとともに、指定商品または指定役務に係る総合割賦取引の契約を締結した場合には、契約内容を明らかにする書面を交付するよう義務づけました。また契約の解除等の制限、契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限の規定を設け、クーリングオフ期間を延長いたしました。
第六に、個別・総合ローン提携取引については、従来のローン提携販売を個別ローン提携取引とし、抗弁の接統、契約解除等の制限、契約解除等に伴う損害賠償等の額の制限の規定を設け、クーリングオフ期間を延長いたしました。またカードによる総合ローン提携取引については、販売業者たる総合ローン提携取引業者がカードを交付するときのカードに係る書面の交付及び指定商品または指定役務に係る総合ローン提携取引の契約を締結した場合の書面の交付を義務づけ、また個別ローン提携取引同様、抗弁の接続の規定を設けました。さらに契約の解除等の制限、契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限の規定を設け、クーリングオフ期間を延長いたしました。
第七に、個別割賦
購入あっせんの消費者保護規定を新設し、販売業者たる個別割賦
購入あっせん提携業者が指定商品または指定役務に係る個別割賦
購入あっせん提携取引をするときは、取引条件を表示するとともに、この取引に係る契約を結んだときは
購入者の支払い総額、商品の引き渡し時期、役務の提供の時期、契約解除に関する
事項等について契約内容を明らかにする書面を交付するよう、個別割賦
購入あっせん業者である信販会社等が
購入者等と個別割賦
購入あっせん契約を結んだときは分割支払い金の額、分割支払い金の各回の支払い時期等について契約内容を明らかにする書面を交付するよう義務づけました。またローン提携取引同様、抗弁の接続の規定を設けました。さらに契約の解除等の制限、契約解除等に伴う損害賠償等の額の制限の規定を設け、クーリングオフ期間を延長いたしました。
第八に、カードによる信販会社等の割賦
購入あっせんを総合割賦
購入あっせんと規定し、信販会社等にカードに係る書面を交付するよう、販売会社たる総合割賦
購入あっせん提携取引業者に、契約書面を交付するよう義務づけました。抗弁の接続、契約解除等の制限、契約の解除等に伴う損害賠償等の額の制限、クーリングオフについては個別割賦
購入あっせんの規制と同じように規制することといたしました。
第九に、マンスリークリア方式の支払い形態をとる取引を準総合割賦
購入あっせんとして契約書面の交付を義務づけるとともに、抗弁の接続を認めることにいたしました。
以上が、
割賦販売法の一部を改正する
法律案の提案の理由及びその内容の大要であります。
何とぞ慎重御
審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。