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1984-04-04 第101回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月四日(水曜日)     午前十時三分開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       大島 理森君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    粕谷  茂君       金子原二郎君    木部 佳昭君       岸田 文武君    高村 正彦君       谷垣 禎一君    仲村 正治君       野上  徹君    原田昇左右君       船田  元君    古屋  亨君       森田  一君    綿貫 民輔君       奥野 一雄君    後藤  茂君       中村 重光君    浜西 鉄雄君       横江 金夫君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    木内 良明君       中川 嘉美君    日笠 勝之君       福岡 康夫君    青山  丘君       永江 一仁君    小沢 和秋君       野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君  出席政府委員         通商産業大臣官         房長      福川 伸次君         通商産業大臣官         房審議官    棚橋 祐治君         通商産業大臣官         房審議官    山田 勝久君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         特許庁長官   若杉 和夫君         中小企業庁長官 中澤 忠義君  委員外出席者         文化庁文化部著         作権課長    吉田  茂君         中小企業信用保         険公庫総裁   谷敷  寛君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ――――――――――――― 委員の異動 四月四日  辞任         補欠選任   粕谷  茂君     森田  一君   辻  英雄君     大島 理森君   野田  毅君     船田  元君   原田昇左右君     谷垣 禎一君   深谷 隆司君     金子原二郎君   横手 文雄君     永江 一仁君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     辻  英雄君   金子原二郎君     深谷 隆司君   谷垣 禎一君     原田昇左右君   船田  元君     野田  毅君   森田  一君     粕谷  茂君   永江 一仁君     横手 文雄君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  機械類信用保険法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三四号)  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第六六号)      ――――◇―――――
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出機械類信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野一雄君。
  3. 奥野一雄

    奥野(一)委員 きのう大臣の方から提案についての趣旨説明をお伺いしたわけですが、その御説明によりますと、この法律案の改正の理由というのは、信用保険事業業務量増大が見込まれる現状であるので、これに的確に対処する体制の整備をするため、こうなっているわけでございます。そのことから考えますと、従来どおり通産省がこの仕事を担当していたのでは的確に対処をできない、こういうことのように受け取れるわけでございます。  そこで、どうして通産省が担当しておれば的確に対処することができないのか、そういう根拠というのですか理由、それから通産省が担当していればこういうネックがあるのだというようなものがあったらお示しをいただきたいと思うわけです。  それからもう一つは、現在事務量増大しているために事務処理をできおいでおくれている、こういうものがあったら一緒にお示しをいただきたいと思うわけです。
  4. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 近年、機械類信用保険制度事業規模は、リース契約普及等によりまして飛躍的に増大しております。さらに、今後ともこれが着実に増加する見込みでございます。今後予想される業務増大に対処するためには、事務処理の一層の効率化が欠くべからざるところでございます。このため、今般、機械類信用保険制度と同様に、中小企業信用力補完を目的といたしまして、同じく保険事業を営む中小企業信用保険公庫にこれを移管することによりまして、大型コンピューターシステム共同利用であるとか、既存組織有効活用等を通じまして、業務増大に円滑かつ弾力的に対応し得る体制を整備すること、そういうことにしたものでございます。
  5. 奥野一雄

    奥野(一)委員 内情というのですか、ある程度のことは私も聞いて承知をしているわけですが、私が端的に聞きたいのは、信用保険事業業務量増大する、確かに最近ふえてきているわけですね。そういうことは通産でやっておったのではできなくて、公庫の方に移管をすればできるのだという、その相違点というものが明らかにならないと、なぜ移管をするのかということがぴんとこないわけなんですね。そこのところをちょっとお尋ねしておきたかったわけなんですよ。
  6. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  基本的な考え方はただいま大臣お答え申し上げたとおりでございます。  いずれにいたしましても、最近非常に機械保険事務量増大しております。例えば包括保険契約数で申しますと過去五年で年九%くらいふえておりますし、あるいは引受保険金額で申しましてやはり過去五年で年二三%ぐらいふえているわけであります。そういうことで非常に事務量がふえてきているわけでありますけれども、いずれにいたしましても、それでは通産省ではやっていけないのかという点につきましては、これはやっていけないというわけではないと私は思っております。もちろんやっていけるわけでございます。ただ、問題は、よりよくやっていくにはどうしたちいいか、こういうことであろうかと思います。  私どもといたしまして、従来から業務量増大に対応いたしましてコンピューター利用であるとか、いろいろ努力はしてまいっているわけでありますけれども先ほど大臣からもお話がございましたように、この際同じような仕事をやっております中小企業信用保険公庫移管いたしまして、そういたしますとより大きなコンピューター利用できるわけであります、あるいはコンピューター要員保険公庫にはいろいろおられます、あるいはこういう信用保険の問題でございますといろいろな審査仕事もございますけれども、その審査のノーハウというようなものも保険公庫には蓄積されている、こういうようないろいろな要素考えてみますと、保険公庫移管をして、保険公庫の蓄積されておりますいろいろな長所というものを活用させていただいていけば、よりよくこの業務量の拡大に対応していけるであろう、こういう考え方のもとに今回保険公庫機械類信用保険仕事を移していったらどうか、こういうふうに考えた次第でございます。
  7. 奥野一雄

    奥野(一)委員 過去のデータを見ますと、確かに業務量は最近ふえてはきているのですが、最近の状況よりもむしろその前、この辺あたりの方がむしろ急激にふえてきているのですね。例えば、包括保険契約件数からいきますと、五十年とか五十一年あるいは五十二年あたりに相当大幅な伸び示している。あるいは付保件数の方からいっても、五十一年とかあるいは五十三、五十四、五十八はまた急激に伸びておりますが、むしろそういう過去の方が相当大きな伸び示しているわけですね。ですから、本来であればその時点で今のような考えが出てくるというのであれば話はわかる。しかし、過去そういう大きな伸びがあって、そして今日、私ども率直に言って、聞いている話の中では、特許特別会計が新たにできると、行革やなんかの趣旨からいって、特別会計をこれ以上ふやしてはだめだ、そういうことの方がむしろ真相だろう、こういうふうに受け取っているわけですね。そういう点考えてみますと、さてそれでは一体行革というのは何なんだ、余り安易過ぎるんじゃないかという印象を受けたわけですね。  そういう面から今あえてそういう点についてお尋ねをしたわけですけれども、大体私の方でもそういう事情でないかな、こう思っているのですが、そういう面についてもし率直に御返事をいただけるのであれば、それで私の方は理解をしたいと思うのですが、どんなものでしょう。
  8. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、過去においてより業務量がふえた時代があったではないか、こういうことでございますが、そういう時代も確かにございました。ただ、要するに規模という面から申しますと、その当時は伸び率としては大きかったけれども規模としては現在に比べましてまだかなり少ない時代であったと思います。いずれにいたしましても、従来、私どもそういう仕事増大に対応いたしまして、先ほども申し上げましたように、仕事合理化というような形で対応してまいったわけでございます。  ただ、ここまで仕事が大きくなってまいりますと、さらに一層の効率化ということによって対応しよう、よりよく対応しようということになりますと、先ほど申し上げましたように、この際中小企業信用保険公庫へと、こういうふうに私ども考えたわけでありますけれども、ただ同時に、特許の方におきまして、こちらの方も特許事務というもののコンピューター化がぜひとも必要、それをやってまいりませんと、なかなか特許事務がうまくいかない、こういう事情がございまして、そういう観点から、特許庁において特別会計をつくって、そういう特許業務効率化というものを図っていきたい、こういう考え方が出てまいりました。そういう考え方の中で、他方、臨調の方で特別会計の設置というものについて財政の膨張の抑制という観点から、できるだけ抑制すべきである、こういう方針が出ているわけでございまして、そういうことも考え合わせましてこういうようなことになっているわけでございます。
  9. 奥野一雄

    奥野(一)委員 趣旨について私もわかっているつもりでございます。  そこでちょっと、中小企業信用保険公庫の方にきょうわざわざおいでいただいていると思うのですが、今担当の方から、移管をしなければならないということの理由について説明があったわけであります。私ども、そういう面から考えますと、通産省から公庫移管になるということで、その移管理由である業務員増大に的確に対処していくための体制づくりが必要になってくる、こういうふうになるわけでありますが、もちろんまだ時間はございます。十月一日からでありますから、まだ期間はあるわけでありますが、公庫の方としては通産でできない、なかなかやらなかった、それを公庫移管することによって今日現在よりよりよくなるのだ、そういうことについての方針というのですか、公庫の方に移管をされてきたら、こういうふうに対応していこうというような点について御見解があったら、ひとつお示しをいただきたいと思うわけです。
  10. 谷敷寛

    谷敷説明員 お答え申し上げます。  私どもの方は、通産省の方からこの仕事を引き受けないかというお話がございましたので検討をしたわけでございますが、仕事内容は大体類似したような内容でございますし、また私どもは、昭和三十三年に創立されましてから二十六、七年の経験を積んでおりますし、職員の数も四百人近い職員を擁しておりますので、この程度仕事を、これも人員一緒に来ていただくことにもなっておりますし、これだけの人員に来ていただけますならば、十分にこの仕事をこなしますとともに、将来相当業務量がふえましても、円滑にこれを処理していく自信が大体ありますので、そういうことになりましたならば、お引き受けしてもよろしいんじゃないかというような御返事を申し上げた次第でございます。
  11. 奥野一雄

    奥野(一)委員 できれば本当はもうちょっと突っ込んでお答えをいただきたい、こう思ったのですが、まだ正式に移管されているわけではないし、十月からですから、これからいろいろな面で通産当局の方と打ち合わせをしながら、当然体制づくりというものをやっていかれると思うのです。ですから、現在の段階で具体的にどうのこうのということはなかなか出てはまいらない、こう思うわけです。しかし、先ほどから私申し上げておりますように、表面的な理由というのは、業務量増大をしてきている、いわゆるお役所仕事の中では対応できない部分が出てくるから、公庫の方に移管をするのだ、こうとれるわけですね。  そうすれば、通産当局いわゆるお役所ではできないものが公庫の方ならやれるのだというふうに考えられるわけなんですよ。ですから、そういう面で、よし公庫の方でこれを引き受けたら、通産当局ではできなかったことについても、我々はこういう面でやっていきますよ、そうするとよりベターな運営ができるんだ、こういう面について本来お考えがあればお伺いをしたかったわけなんです。しかし、時期的にまだ六カ月もある話ですから、その間までにこれは詰めるということであれば、私の方はそれでもいいわけなんですけれども、今そこまでお答えを求めるのは少し無理かなという感じもしているわけなんです。  私の方から通産当局なりあるいは公庫の方に要望として申し上げておきたいのですけれども、せっかくこういうふうにして今まで通産がずっとやられてきて、それをよりベターなものにするために移管をされるということなんですから、実際に移管をされた後、関係業者の方からも、公庫の方に来て業者自体としてもメリットがあった、あるいはより今までの事務的な処理や何かがスムーズにいった、こういうふうにして喜ばれるような体制というものはぜひつくっていただかないと、何か通産の方で余したと言うと語弊がありますけれども、そっちの方から来たというだけでは、これはちょっと移管をするということ自体に問題があるんじゃないか、こういうふうにも思いますので、ぜひそういう面については両者でこれからよく詰めていただきまして、移管をされた後もスムーズにいって、今までより以上に効果が上がる、そういう体制づくりというものは、ぜひこれは進めていただきたい、この点は特に御要望を申し上げておきたいというふうに思います。  以下、ちょっと細部になりますので、大臣、所用がおありでしたらどうぞひとつ……。  次に、お尋ねを申し上げたいのは、保険料率関係でございます。  五十八年四月からリース保険料率については一部改定をされて、その結果だろうと思うのですが、若干の黒字が出た。五十九年度においても五十八年度の約半分程度でございますが、黒字が見込まれる、こういう状況になっているわけです。しかし、考えてみますと、これは決して景気がよくなってきたから黒字という形になったのではなかろう、やはり保険料率改定黒字原因というものを生み出した要素ではないか、こう思われるのですね。ですから、このままの状態黒字ということになっていくのかどうか。これはもう一、二年ちょっと様子を見なければわからないということになりますが、しかし、五十八年と五十九年を一応それだけで考えてみますと、五十八年に三億二千万程度黒字であったものが、五十九年度の見込みでは約半分ということに一応なっているわけです。もしこのままの推移ということになると、来年度あたりはとんとんぐらいになるのかな、こういう考えも一つあるわけですね。  それから、現在の状態考えますと、確かに中小企業などにおける設備投資というものも幾らか上向いてはきております。上向いてはきておりますけれども、しかし、依然として中小企業を取り巻く情勢というものは厳しくて、倒産件数は相変わらず増大をする、そういう傾向をたどっておるように思われるわけであります。  また一面考えてみますと、これから特にソフト関係とか、そういうような面なんかにおいて中小企業としては競争が非常に激しくなってくる。競争が激しくなるということは、相手より有利な条件をつくるということになれば、ある程度無理をしても設備投資をしなければならないだろう。この設備投資というのは、当然自分で買い取るだけの力がなければリースということが非常にふえていくだろうというふうに思われるわけです。そういう状態を全体的に考えてみますと、現在のような状態の中で赤字にならないで進んでいけるという見通しが立てられるのかどうか、この辺のところについて、若干の見解をお示しいただきたいと思うわけです。
  12. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  機械保険料率の問題でございますけれども、この保険料率につきましては、機械類信用保険法の第六条というのがございまして、この第六条の規定におきまして、「保険事業の収入が支出を償うように」、収支相償と申しましょうか、そういう原則がうたわれているわけでありまして、そういう原則に基づいて政令で定めなければならないということになっているわけでございます。私どもといたしまして、従来からこの原則に基づきまして、適時適切な見直しというものに努めているところではございます。  ただ、そういう収支相償原則に立ちながら、他方、実際の動きを見てまいりますと、昭和五十二年度以降数年にわたって損失が続いたわけでございます。そういった数年損失が続いた中で、料率引き上げにつきましては、割賦ローン保険において五十六年度に三機種引き上げをいたしました。それから、五十七年度に、同じく割賦ローン保険につきまして三機種見直しを行いまして、引き上げたわけであります。さらに、先ほど先生からもお話しございましたように、五十七年度にリース保険保険料率を一四・四%引き上げたわけでございます。  五十二年度以来損失が続いているにもかかわらず、ただいま申し上げたような引き上げの仕方というのは若干遅いのじゃなかろうか、こういうような御質問もあるいはあろうかと思うわけでありますけれども、私どもといたしまして、いずれにいたしましても、機械類信用保険と申しますのは、景気が悪くなりますとどうしても保険事故が続発するということで赤字になってまいります。それから景気がよくなれば支出が減りますから黒字になるということで、単年度とかいう形ではなくて、ある期間ならして考えていくことが必要であるというふうに思っているわけでございまして、そういう意味合いから、五十二年度以来数年にわたって損失の計上が続いたわけでありますけれども先ほど申し上げましたような考え方に基づいて、先ほど申し上げたようなタイミングで引き上げを行ったわけでございます。  そこで、では今後どうかという点でございますが、ただいま先生から御指摘ございましたように、五十八年度におきまして三億二千万円ぐらいの黒字が見込まれる。ところで、五十九年度になりますと、一応現在の見込みでは一億七千万円ぐらいという黒字見通し、こういうことになっているわけでございますが、半減するではないか、こういうことでございます。実はこの中には、五十九年度に移管をするわけでございまして、移管に伴う特別な支出というようなものも五十九年度には含まれております。そういうこともございまして、黒字がやや減少する、こういうような要素もあると思っております。  いずれにいたしましても、この黒字基調がどうなるかという点でございますけれども、私どもといたしましては、このリース保険料率引き上げというものの効果、あるいは景気が最近中小企業についてもやや上向いておるというような状況を踏まえまして、さらに、できるだけ保険料率を安定すべく事務効率化合理化に努めていかなければいけない、そういう努力をしていく、こういうような幾つかの要素のもとに、私どもとしては、この黒字傾向というものはなおここしばらくは続け得ると思っております。
  13. 奥野一雄

    奥野(一)委員 その点についてはまだ後で触れますけれども、次に保険支払い準備率関係についてお尋ねをしたいのです。  現在まではこれは政府直営保険ですから、そういう面については、政府がやっているといえば心配ないだろう、こういうようなことがあるだろうと思うのですが、これが今度公庫の方ということになりますと、この辺は一体どうなるのかという疑問が一つ出てくるわけです。  最近の保険金支出状況を見ますと、五十二年度あたりから保険金支払いについて相当大幅なふえ方をしてきているわけです。この辺あたりではだんだんふえてきているわけです。そういうことになってくると、支払い準備金というものについても、今までのように通産がやるのではなくて、公庫の方に移るわけですから、そういうものについては今のような状態心配がないものかどうか、そういう面についてお尋ねしたいと思います。
  14. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  確かに先生から御指摘ございましたように、この引受保険金額増大しておりますし、保険金支払いも最近次第にふえてまいっているわけでございます。  私ども実績見込みでございますけれども、現在、昭和五十八年度末における保険引受責任残高、これは大体九千九百七十六億円ぐらいになるであろうと思っておりますが、これに対してどのくらい支払い準備金があるか、こういうことでございますけれども、この支払い準備金につきましていろいろな考え方があろうかと思いますけれども、その資本金から累積損失を差し引きました、言ってみますと純資本金と申しましょうか、そういったようなもの、あるいは支払い準備金、未経過保険料、そういった幾つかの要素を足し合わせまして、それを支払い準備金ということで考えてみますと、一応五十八年度末で八十九億一千八百万円ぐらいになるわけであります。そうなりますと、先ほど保険引受責任残高の九千九百七十六億円に対しまして支払い準備率が大体〇・八九%ということになるわけであります。したがいまして、この〇・八九%がどうなのだろうか、こういうことではないかというふうに思いますけれども、これについてはいろいろな評価があるだろうと思います。  最近の数年間について同じような計算をやってみますと、確かにここ数年支払い準備率が若干低下してきていることは事実でございます。ただ、先ほど申し上げました五十八年度末の見込みの〇・八九四%を、例えば輸出保険特別会計と比べてみますと、実は現在の輸出保険特別会計支払い準備率というのは、リスケジュールの関係支払いが急増しているということで、最近異常に低下しているという状況でございます。したがいまして、現在よりも少し前の時点輸出保険特別会計支払い準備率と比べてみないといけないわけでありますけれども輸出保険特別会計支払い準備率を見ますと、先ほど申し上げました〇・八九四%とほぼ同じ、あるいは若干下回るぐらいの感じではないかと思いますけれども、大体同じぐらいでございます。したがいまして、〇・八九四%というのはほかの保険に比べまして決して低いものではないのではないかと存じます。  さらに、五十九年度の傾向はどうなるであろうかということでございますけれども先ほど申し上げましたように、五十九年度は黒字が計上される予定でございます。そうなりますと、累積損が減少してまいります。そういうことから申しますと、例えば五十九年九月末で国の保険から公庫保険に切りかわるわけでありますけれども、九月末の時点で試算をしてみますと〇・九〇一ぐらいになります。したがいまして、傾向としてはこれから上向きに転ずるというふうに思っているわけでございまして、いろいろな要素から考えてこの支払い準備率で大丈夫であるというふうに私どもは判断をして差し支えないと思っております。
  15. 奥野一雄

    奥野(一)委員 次に、職員の出向の関係について少しお尋ねをしておきたいと思っておるのです。  五十九年十月一日で通産の方から公庫の方へ三十二名ですか、出向という形になるというふうに聞いているわけですが、お聞きをしておりますと、この方々は一たん通産を退職されて公庫の方へ出向という形になる。これはわからない点がいろいろ出てくるわけです。今一つ一つ申し上げますので、お答えをいただきたいと思うのです。  三十二名のうち六名は地方の通商産業局だというふうに聞いておりますが、この三十二名の方が公庫の方へ行かれる、通産は一たん退職という形になって退職金をもらわないで出向になる。一つは、出向する期間ははっきりしているのかどうか、出向の期間。それから今度は、出向されてある一定の期間があるのじゃないかと思うのですが、その期間の途中か、あるいは期間が満了したときにまた本省に戻ってくるという形になるのか。その場合に、通産の方は定員減になるんだろうと思うのですね。また戻ってきたときに定員増になるということなのかどうか、これが一つあります。  それから今度は公庫の方は、仮に三十二名が公庫へ行って実際の仕事をする。そうすると、三十二名全員が戻らないということであれば話がわかるのですが、仮に戻ってくるということになった場合、公庫の方ではそれにかわるべき人を養成をしておかなければならないと思うのですね。そうでないと、三十二名が引き揚げてきたのでは今度公庫では困るわけです。例えば三十二名行って、公庫の方でさらに三十二名出して六十四名でもって、仕事を教えてもらって、教え終わったら引き揚げるというのであれば問題はないわけです。しかし、そうではないようなんです。公庫の方にも三十二名の定員増でそのままそっちへ行くということですから、引き揚げてくるときに、せっかく仕事をやっている人が引き揚げてきた、公庫の方ではその仕事をやるべき人材が養成されていないということであればちょっと困るのではないかと思うのです。その辺のところがぴんとこないものですから、どういう措置をとろうとしているのか、それを聞きたいということです。  それから、戻ってくる場合に、通産の方はたしか定員減になると聞いておりますので、そのとき改めてまた定員増という措置をとるのかどうか。  三番目は、退職金についてはお話を聞いてある程度わかりました。通産では退職金をもらわないで行って、例えば向こうの方に継続するという場合に手続的にはどういうふうになるのですか。本省に戻ってきて、すぐ同日付でということになるのですか。その辺のところもぴんときませんし、年金なんかの通算というのはどういう仕組みになるのか。まずその辺をお尋ねをしておきたいと思うのです。
  16. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、三十二名、これは中央が二十六人、地方が六人でございますけれども、三十二名の職員公庫の方に当面出向していただく、こういうふうに考えているわけでございます。  そして出向の期間でございますが、これは特別の出向とは我々思っておりませんで、通常の出向と思っております。通常でございますと出向期間は大体二、三年でございます。もちろん本人の御希望その他があろうかと思いますけれども、大体二、三年になるのではないかと思っております。したがって、いずれこの職員通産省に帰ってくるわけですけれども通産省としては当然出向した職員がまた復帰してくるというふうに考えているわけでございます。  そのときに定員があるか、またふやすのかというお尋ねでございますが、これは定員をふやすというようなことはございません。当然、定員というのは常に実員はいろいろ動いているわけでございまして、定員のそのときどきのある程度のあきというのはあるわけでございます。そういったところの定員の中で復帰していただく、こういうことになるわけであります。  それから退職金はわかったけれども共済組合の手当ての方はどうかというお尋ねでございますけれども、こちらの方も、国家公務員共済組合法第百二十四条の二というのがございまして、これで年金についても、出向期間中も長期組合員として継続するということになっているわけでありまして、その辺の手当てはできているわけでございます。  それから、これはあるいは公庫の方でお答えいただく問題かもしれませんけれども、いずれにしても当面移管に伴いまして保険仕事がうまく円滑にいきますように、そういう観点から現在この仕事に携わっている職員を出向させよう、こういうふうに思っているわけでありますけれども、ただ同時に、やはりこの公庫職員の方に、プロパーの方にこの保険仕事を習熟していただきまして、逐次その保険公庫職員の方にかわっていくというのが基本的な、長期的な方向としてはそうだろうと思っております。  そういうことで三十二人が公庫の方に出向するわけでありますけれども、一つには例えばこの公庫の方たちとの融和を図っていくという面から、全部機械保険仕事ではなくて、あるいは一部の職員についてはほかの仕事をやっていただくとか、むしろ公庫職員との接触を深めていくということで、保険仕事には関係があるにしても若干違う仕事もやっていただくとか、そのかわりプロパーの方に入っていただいて、それで通産省から出向した職員一緒にこの保険仕事を覚えていただく、こういうような、一方においては職員の融和、一方においては保険業務の習熟という両方の観点から、いろいろ公庫の方と御相談をしながらやっていかなければいけない問題ではないかというふうに思っております。したがいまして、その三十二人一遍に引き揚げたら保険公庫の方が困らないかということでございますけれども、これは逐次、少し長い時間をかけて公庫の方とも御相談をしながら、そのような問題が起こらないようにやっていきたいというふうに思っているわけでございます。
  17. 奥野一雄

    奥野(一)委員 ちょっと今お答えを聞いた中でまだ釈然としない面があるのですが、三十二名通産の方では定員を減らして、公庫の方では三十二名定員がふえるわけですね。これはわかるわけですね。ところが、公庫の方ではその三十二名ふえた分については一部二課ですか、機構を新たにつくってそこに全員が配置になるという形になっているように思うわけですね。今お答えを聞いておりますと、いや公庫の方の人力にある程度期間をかけて仕事一緒に覚えてもらうんだ、こういう形になっているのです。  これは公庫の方にもお尋ねしなければならないのですが、一つは、これは勘定を別にしなければならないということになっていますね。そのために新しい機構をつくってそこに通産から行く人間が全員配置になるということで、それで移管されても業務が停滞しないでスムーズにいくという体制になっているわけです。    〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕 公庫の方としては、例えば仕事を覚えてもらうといったって一人や二人の人間を三十二名と一緒仕事をさせてやったって、これはなかなか全般の仕事を覚えるわけにはいかないと思うのですよ。少なくとも十人とか二十人くらい一緒仕事を覚えてもらわないとこれはできないわけですね。まず公庫の方にそれだけの人的な余裕があるのかどうかという心配が一つあるわけです。それから、勘定は別だけれども公庫の方で従来からやられている仕事の方のそちらの方からこっちへ持ってくる、そういうような状況というものができるのかどうか、これは公庫の方にひとつお尋ねをしたいと思います。  それから、今お答えのあった中でそういうようなことが実際上、もし今度は公庫のほかの仕事に影響するなんということになったら、これは大変なことになるわけですね。それで今お伺いしますと、この出向というのは通常の出向だから二、三年くらいだ、こういうことでございます。二、三年くらいで例えば戻ってくる、二、三年くらいまでの間に公庫が今度は仕事ができるだけの体制をとってやらなければならない。もちろん三十二名の方が全員戻ってこられるか、あるいはそのまま公庫の方におられるということになるか、これはその時点にならなければわからないと思いますけれども、そういう状況の中で、この人間のやりくりということで公庫の運営に支障がないということになるのか、この点をひとつお尋ねしたい。  それから今お答えになった中で、仮に三十二名がそっくり戻ってくるというときに、実際実在員というのは動いているんだから、いや、定員というものは直さなくてもいいんだ、そういう仕組みのものなのかどうかということなんですね。それだったら、今出ていく三十二名だって、これは定員減になるわけでしょう。三十二名出ていくのに定員減になって、仮に三十二名戻ってくるのに、いや、それは実在員は動いているんだから何とかその中に当てはめますよという、そんな簡単なことでこれはいける仕組みのものなのかどうかですね。  それとさっきお尋ねをした中で、退職金のことについては、これはお話を聞いて私もわかりました。それはわかりましたというのは、例えば三十二名の方がそのまま公庫の方に行かれるという場合には、一たん何か本省に戻ってきて、通産省としての、いわゆる国家公務員としてだと思うのですが、退職金をその時点でいただいて、今行くときには退職金はもらわないで行くということですから、今度は正式に公庫職員になる場合には一たん本省に戻られて、そして退職をして退職金をいただいて、それから新たに今度は公庫職員ということで、そこから公庫の方は退職の起算が始まる、それはわかったわけなんです。  私が聞きたかったのは、年金の場合に、今度はそういうふうにしてやめられていく場合、公庫の方も同じ年金の仕組みになっているのですか。その点もう一遍ちょっとお尋ねをしておきたいと思うのです。
  18. 谷敷寛

    谷敷説明員 それじゃお答えをいたします。  人員の件につきましては、私どもも定員の範囲内で仕事をしておりますので、そうたくさん余裕があるわけではございません。したがいまして、ただいまお話しの三十二名の出向で来られた方が一挙に交代されるとか、これが二、三年のうちに全部交代されるということでありますと問題だと思うのですけれども、これはもう少し時間をかけていただきまして、まあ一年に数名とかいうようなことでやっていただけますならば、これはやれるんじゃないかと思います。  と申しますのは、三十二名の方が来られましても、その中には純粋保険業務だけではなくて管理的な業務とか、あるいは経理の処理とか、こういうような仕事をされている方もあるわけですから、そういうようなところはまあ公庫職員と交代することもできますし、それに加えまして数名の公庫職員保険業務の中に、要するに一般管理の出向職員公庫の方に移しまして、公庫の方からはそれに見合う人数の人間を機械保険業務のところに入れまして業務の勉強をさせるというようなことをやりますならば、二、三年で全部交代きるかと言われますと、これはちょっと問題ですけれども、少し時間を見ていただけますならば十分やれるんじゃないかと思います。  それから会計を分離する問題につきましても、これは帳簿上の処理でいくわけでございますので、実際は公庫のほかの仕事と全部共通の処理をいたしまして、ただ決算帳簿をつくるときだけ、これは機械保険の部というふうに分けて処理することが比較的簡単にできますので、この点についても余り問題はないんじゃないか、こういうふうに考えております。
  19. 志賀学

    志賀(学)政府委員 若干私のお答えが言葉足らずであったかと思います。もう少し具体的に申し上げますと、これは三十二人出向させるわけでありますけれども、その出向した職員がまた通産省に復帰する場合に、これは一度に戻ってくるというわけではもちろんありません。本人の希望もございますでしょうし、いろいろな事情仕事事情を見ながら復帰してくるわけでありまして、そういう意味におきまして、帰ってきてもその既存の定員の中で十分吸収が可能であろうというふうに私は申し上げているわけであります。  それから、では二、三年たって三十二人引き揚げたら公庫の方が困らないか、こういう問題でございますけれども、これは長い間通産省といたしましてこの仕事をやってまいっているわけであります、したがいまして、現在いる三十二人のほかにこの仕事をよく知っている職員というのはたくさんいるわけでございます。したがいまして、これから出向させます。その三十二人の職員が逐次通産省に帰ってまいります場合に、その後またその仕事上必要であるということであれば適当な職員を出向させていく、こういうことでつないでいくということは当然私どもとして考えているわけであります。そういうような過程を通じながら逐次公庫職員の方にこの仕事について習熟をしていただく、こういうことになるのではないかというふうに思います。いずれにいたしましても、この辺については公庫の方ともよく御相談をしながらやっていかなければいけない問題であろうというふうに思っております。  それから年金の問題でございますけれども、年金の問題につきまして、先ほど申し上げましたように、国家公務員共済組合法の百二十四条の二というのがございまして、ここで、通産省から公庫の方に出向いたします、そういたしまして通産省へまた復帰をいたします、通産省を退職いたします、その場合に公庫に出向した期間というのは通算されるわけでございます。ここは退職金の場合と同じでございまして、通算されてやめた時点で年金が支給されていく、こういう仕掛けになっているわけでございます。
  20. 奥野一雄

    奥野(一)委員 今お尋ねしてちょっと心配なんですね。うまくやっていけるんだろうかという心配が非常にするわけなんですね。またこれは私の頭の中で釈然としないのですけれども、三十二名出向していく、その三十二名の方が今まで通産でやっておったと同じような仕事公庫でやられる。その三十二名の方々がそのまま公庫職員になってしまうのであれば、公庫としては何も困らないということになるわけですね。ところが、大体二、三年くらいの間に、それは一遍でなくても希望される以外の方は本省に戻ってくる。公庫の方だってそんなにたくさん余裕を持っているわけではないので、今公庫の総裁の方からお答えがあったように、それはもう三十二人全部ではない、直接保険仕事をする方が仮に二十名だとしても、二十名の人に一遍に仕事を覚えてもらうというわけにはなかなかまいらない、そうすれば二、三年という期間ではいかがかな、今こういう意味のお答えがあったわけなんです。  そうすると、公庫の方で仕事を覚えてもらわなければならないわけですから、これは相当長期間かかるのではないかという心配が一つあるわけですね。それである程度長くなってしまうと、何かまた支障が出るわけでしょう。期間はよくわかりませんけれども、たしか五年くらいか何かの制限があるのではないかと思うので、そうすると、それ以前に何らかの手だてを講じなければならない。そういうことを考えてみますと、三十二名せっかく出向されて同じような仕事をされるのだけれども、そのことが、公庫職員仕事を覚えてもらうということの方がおくれていって、その出向された職員の方々が逐次戻ってくる段階の中で混乱を来す、こういうことになれば大変困るという現象になるんでないか。まだ期間がありますけれども、そういう点については打ち合わせをきちっとしておいてもらわないと、その段階で混乱が起きるということでは困るのではないか、こういう感じがしてならないのです。  それから、年金の方で私お伺いしたのは、出向されますね、その年齢層はいろいろだと思うのですよ、例えば若い方が出向される、もちろんまだ年金の受給資格はついてない、そういう方が仮にあるとします。そして一たん通産を退職をされて公庫の方へ行く、行っている期間は年金の期間に通算される。しかし、戻ってきて、仕事状態から何から考えて、仮に本人が自発的な意思でなくてもいよいよ通産をやめなきゃならなくなる、そして公庫の方へ移るわけです。この辺あたりで年金の関係で不利になるとか、そういうようなことはありませんか。私は年金の面ではその辺がちょっと心配な点なんです。そういう面で、もしおわかりになっていたらお答えいただきたいと思います。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、田原委員長     代理着席〕
  21. 志賀学

    志賀(学)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、二、三年たちまして通産省の方へ通常の場合はまた復帰するわけでありますけれども、その場合にそのかわりの者を通産省としては出向させていくということでございます。そういうことで、公庫の方における仕事に支障を与えないような形で我々としては対応していく、こういうことを申し上げているわけであります。  ただ、すべて通産省の出向者だけで今後ずっとやっていくということになりますと、これはまた公庫のお立場としていろいろな問題もあろうかと思います。むしろそこのところは公庫と御相談をしながら、長期的な立場に立って、逐次公庫職員の方にも覚えていただいて、本当に公庫職員の方が習熟していただいた段階でプロパー化すると申しましょうか、そういう方向で対応していったらどうかというふうに考えているわけでございます。公庫の方でこの仕事をうまくやっていくという上において通産省からの出向が必要であるという御希望があれば、私どもとしては当然そういう方向で対応していかなければいけないというふうに思っておるわけでございます。  同時に、この定員の問題について大丈夫かというお話でございますけれども、例えば一人復帰してまいります、そのかわりに一人出向させれば、これは関係ないわけでございますね。そういうことで、先ほども申し上げましたように、私といたしまして、定員上の問題も御心配をいただくことはないのではないかというふうに思っておるわけでございます。  それから共済組合の長期給付の問題、年金の問題でございますけれども、これは先ほども申し上げましたように、出向いたします、その出向期間は通算されます。それで通産省へ戻ってまいります、それで通常のとおりまた勤務をいたします、そこで退職を仮にする。そういうのであれば、その時点で、出向していた期間も通算して、普通のとおり計算をして年金が支給される。こういうことでございまして、出向したことによりまして特段の不利というようなことはないような形で法律上手当てされているというふうに私は理解をしております。
  22. 奥野一雄

    奥野(一)委員 もう時間がなくなってきたのですが、これでは移管をするのにどこが変わるんだろうという面は余りすっきりしないんじゃないかという感じがしてならないわけですね、三十二名出向させて、仮に一名戻ってきたら、また一名出向させるということであれば。本来であれば、ある程度期間の中に公庫の方には事前に定員をふやしておいて、その方々が一生懸命覚えてもらって、その仕事をずっとやっていくというのが一番手っ取り早かったように思うのですね。何か公庫の方には移管されたけれども、実際仕事をしているのは通産から出向された人力がほとんど中心で、公庫の方には余り定員の余裕がないから、何人がずつは仕事を覚えてもらって、そのうちに公庫の方で新たに人を採用したり、あるいは通産からやめていく方々を入れながら、三十二名体制というものをとられる、こうなるのだろうと思うのですが、その辺のところは、公庫の方に移管をするということになっても、何か当分は通産職員の方々が同じような仕事をそのまま続けていって、余り変わらないのではないかという感じがしてならないわけです。  時間がありませんので、この辺のところはまた何かの機会のときにやらしていただくことにいたしまして、あとは簡単で結構ですが、二、三点ちょっとお尋ねしておきたいのです。  一つは、保険契約者からのてん補率、現行五〇%の引き上げについての要望が出ているというふうに聞いておりますが、これに対する考え方。  それからもう一つは、当然これから新しい機械というものがどんどんふえてくるだろうと思うのです。しかし、せっかく新しい機械を入れても、その使い方がうまくわからないとか、効果的に利用できないということでは、余り効果は上げられないのじゃないか、そういう面に対する指導の体制というものはどう考えているか。  それからもう一つは、中小企業対策というものはいろんな分野の中であるわけですね。それぞれの分野、分野で中小企業対策というものをやっておられるのですが、整合性を持たせるということがやはり必要でないか、こう思われるのですが、そういう面について、例えば組織的にも何か考えておられることがあったらお答えをいただきたいと思うわけです。
  23. 志賀学

    志賀(学)政府委員 それでは、私からそのてん補率の問題についてお答えを申し上げます。  この保険制度のてん補率と申しますのは五〇%ということになっておりまして、これは昭和三十六年の制度発足以来、この五〇%という原則を守っているわけでございます。これについて引き上げたらどうかという御希望も一部にあるやに伺っておりますけれども、ただ、私どもといたしまして、この五〇%のてん補率という考え方につきまして、もしこれを引き上げますと、例えば保険料率引き上げというようなことにもなってくる可能性がございます。そうなりますと、保険利用の減少を招くというようなことも考えられるのではないか。あるいはその五〇%をさらに引き上げるということになりますと、保険契約者の事故リスクが減少いたします。そうなりますと、回収金制度というのがこの機械保険の一つの制度的なポイントになっているわけでありますけれども保険契約者の回収金を回収していく努力というものが薄れていく可能性がある、あるいは安易な貸し出しというようなことも行われがちになります。そうなりますと事故率が上がってくる、そうなると結局また保険料率引き上げということになってくるのではないか、いろいろな問題があろうかと思います。  そういう意味合いにおきまして、このてん補率の引き上げの問題につきましては、慎重に考えていくことが必要ではないかというふうに思っているわけでございます。
  24. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 中小企業におきます技術指導の問題と、中小企業政策を展開するに当たりましての関係省との、あるいは関係原局との体制の問題について簡潔にお答えいたします。  中小企業の設備、これを技術面から有効に活用するということは非常に重要でございます。その意味で、技術指導の点につきましては特に近年力を入れておるわけでございます。  具体的な制度といたしましては、一つは、地方公共団体あるいは中小企業大学校におきまして技術研修を行っております。これは年々ふえておりますけれども、最近では一万名近い技術研修を中小企業の段階で行っておるということでございます。  第二に、具体的にそれぞれの生産工程におきます技術相談を行っておりますが、これは全国約二百カ所にございます公設試験研究機関、これが巡回技術指導を行っておりまして、個別の相談に応じておる。これは年間で約三千企業を巡回しております。  それから三つ目には、これは最近でございますけれども中小企業事業団で、中小企業コンピューター導入に関しまして相談、指導を行う機関といたしまして、中小企業のOAシステムセンター、オフィスオートメーション・システム・センターをつくりまして、中小企業者がオフィスオートメーション機器を十分有効に利用できるような指導を行っております。これも一カ月に三百人近い人が指導を受けておるという状況でございまして、以上もろもろの制度で中小企業におきます技術指導が十分に行われるように配慮しておるつもりでございます。  また、第二点の中小企業政策についての整合性の確保の問題でございますけれども、私ども中小企業庁が金融面、税制面その他もろもろの制度をつくります場合に、通産省内の関係原局あるいは建設省、農林省等々、いろいろな業種を持っておられます関係各省との間で十分御相談をしながら制度の確立につきまして連絡をしておりますけれども、その制度ができました以降の具体的な実施面につきましても、関係省と具体的な業種の指定あるいは機種の指定等々につきまして御相談をしながら進めておるわけでございまして、中小企業政策につきまして関係省あるいは省内の各局との連絡体制は常に緊密にとっておるというつもりで進めておるわけでございます。
  25. 奥野一雄

    奥野(一)委員 終わります。
  26. 田原隆

    ○田原委員長代理 城地豊司君。
  27. 城地豊司

    城地委員 機械類信用保険制度は、今日、中小企業の設備の近代化と経営管理の合理化、機械工業、ソフトウエア業の振興に大きな役割を果たしています。この制度の根幹である機械類信用保険法及び機械類信用保険特別会計法は、昭和三十六年に第三十八回国会で五年間の時限法として制定され、その後、昭和四十一年、第五十一回国会で本法を恒久法とし、次いで昭和四十五年、第六十三回国会では新たにローン保証販売を追加し、さらに昭和四十八年、第七十一回国会ではリース信用保険制度の創設、そして一昨年、昭和五十七年の第九十六回国会においては新たにプログラム信用保険制度の創設をして現在に至っています。  中小企業の各種のいろんな合理化や、それから設備の近代化に非常に大きな役割を果たしてきている、そしてこの運用実績も年ごとに増加をしてきている、昭和三十六年と比較をするとまさに隔世の感のある状況になっておるわけでありますが、近年の五年間ぐらいを見ましても、とにかく非常に大きな伸びを、三倍程度伸び示しているということでございますけれども、これらの運用実績全般についてどのように把握をし、判断をされているか、また今後の傾向の問題も含めてお答えをいただきたいと存じます。
  28. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から、この機械類信用保険制度が大変大きな役割を果たしてきたというお話がございました。私どもそういう評価をしていただいたということについて大変うれしく思うわけでございます。  ただいま先生からお話がございましたように、昭和三十六年に発足したこの制度は、当時と比べましてまさに隔世の感があるわけでございます。最近五年間の動向で見ましても、例えば包括保険の契約数の年平均の増加率、これは九%、それから引受金額の年平均の増加率を見ましても二三%というような形になっているわけでございまして、責任残高は五十八年度末には一兆円に達する、こういうことになっているわけでございます。このような機械類信用保険の動きと申しますのは、中小企業の方たちが近代化意欲あるいは経営の合理化意欲に非常に燃えておるということから申しまして、恐らく今後も引き続いてこのような傾向をたどっていくであろうというふうに思っているわけであります。  そこで幾つ内容的に見てみますと、最近における特徴といたしましては、割賦・ローン保証契約保険よりもリース保険伸びが顕著でございます。先ほど責任残高が五十八年度末には一兆円になるであろうということを申し上げたわけでございますけれども、この一兆円のほとんどはやはりリース保険の残高でございます。五十三年ぐらいと比べてみましても、リース保険の責任残高の伸びが大変急激でございます。片や割賦ローン保険の責任残高、これは比較的緩やかな伸びにとどまっているということでございまして、リース保険伸びが非常に顕著でございます。恐らくこのリースというものが中小企業の方たちの設備の近代化あるいは経営の合理化という面で非常に利用しやすい、そういうことを反映したものではないかというふうに思っております。  全体的に申しましても、ただいま申し上げましたようにリース保険伸びが顕著であるわけでありますけれども、若干機種別に動向を見てみますと、リース保険で最もウエートの高いものは電子計算機でございます。しかもその電子計算機の保険契約の金額は急速に伸びております。恐らくこれは中小企業の方たちの経営の合理化、そういったものについての非常に強い意欲を示すものというふうに思われます。また工作機械、これは従来割賦・ローン販売の保険契約で非常に大きなウエートを占めておった、現在も占めておるものでございますけれども、どちらかと申しますと最近の傾向は、工作機械につきましても割賦・ローンからリースに移行してきているということが見られるわけでございまして、こういう面におきましてもリース保険というものが特に中小企業の方たちの設備の近代化という面において非常に重要な役割を果たしているということが示されているのではないかというふうに思います。  またさらに、五十七年度からプログラム保険が創設されているわけでございますけれども、このプログラム保険利用も非常に急速に伸びているわけでございます。この面でも中小企業の方たちの経営の合理化意欲というものが示されているというふうに思うわけでございます。
  29. 城地豊司

    城地委員 今回この改正案を提出された背景については、先ほど同僚議員の質問に対して通産大臣お答えになったのでありますが、そのような観点と、もう一方ではやはり今回のこの特許特別会計の創設、それとの関連で臨調の答申では「特別会計の新設については、財政の膨張抑制等の見地から極力抑制する。」というような指摘がある。そういう関係でもちろん機械類信用保険業務の一層の効率化の促進を図るということとあわせて、臨調答申の趣旨を尊重して、今回これを中小企業信用保険公庫への移管を行うことになった、そのことが政府案提出の背景であるというように考えておりますが、そのように理解してよろしいかどうか。これは通産大臣お答えをいただきたいと思います。
  30. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 さように御理解いただいて結構であります。
  31. 城地豊司

    城地委員 私は、この臨調の答申と今回の特許特別会計の創設、そしてこの機械類信用保険移管という全体の問題を考える際に、臨調の答申がこういう形であるからといっても、特別会計の必要性といいますか、そのことは十分理解されるとすれば、現在日本の国が世界の各国と太刀打ちをしていくためには、特許特別会計をつくって特許をもっとスピーディーにいろいろな点で審査をしていく必要もある、そのことは日本の国全体のためだというふうに私自身理解をしております。そしてまた、中小企業関係だと機械類信用保険も、先ほど説明があったように非常に重要な役割を示してきている。にもかかわらず、特許特別会計を新たにやるから、機械類信用保険をいわゆる特別会計から外して公庫の方へ移管するというのは、私は考え方として間違っているのじゃないかと思うのです。  臨調答申は、それはもちろん臨調答申ですが、私自身、臨調が余り物事に深く突っ込まないで、ただ単に観念的に、とにかく全体として特別会計をふやすのはまずい、まずいから一つふやす場合には一つ削りなさいというような意味の、そういう答申をなされてくる。それをまた受けて、ああそうですか、では片方削りまして片方を生かしますというようなことであったのでは、これは臨調答申を尊重するのか、日本の国の産業をどうやっていくかということを尊重するのかということになれば、私はもちろん産業を優先すべきだというふうに考えているわけであります。それだけが理由ではないにしても、今回のようにそういうことで特許特別会計も必要です。私も民間の企業にいてそういう意味で特許の重要性、今、日本の国が置かれている特許制度、それから特許特別会計をつくってもなおかつそういうものを克服していかなければならない、そのことについては十分認識をしております。  しかし、この機械類信用保険法だって、公庫移管することがどうこうということよりも、一昨年、五十七年から新たにソフトウエアも入れて、その手もどんどん増加してきている。これから大変な時期が来るし、今一兆円という引受残高でありますけれども、早晩二兆円、三兆円という内容を持っている、非常に重要だ。そういうときに、それと引きかえに、特別会計の数を減らさないために一つ削って一つやる、そういう考え方は、私は、臨調答申の趣旨を尊重したと言いながらも、どこか間違っているというふうに考えますし、もう一つは、例えば特別会計の問題にしても同一省庁の中で考えるべきなのか、日本全体の立場でもって考えるべきなのかというような点で考えていきますと、これまた問題のあるところだと思うのです。  これは予算委員会の審議ですから、私は予算委員でないからこれ以上言いませんけれども、例えば何でもかんでも一〇%下げろ、そしてどれもこれも全部下げて、何か問題があれば言ってくるだろう、そして復活させて何とか地ならしをする。何でもかんでも総体的な数をそろえて、そして、問題があれば言ってくるだろう、言えばそのとおりにして、一つ削って一つふやすだろうというような物の考え方は合理的でないし、臨調の答申そのものからしても間違っている。臨調の答申を尊重するのか、日本の国の経済の活性化とか日本の国のことを考えるのかといったら、特許特別会計も必要だし、今回の機械類信用保険法も十分必要だと私は考えているのですが、その辺の考え方について、前段のいわゆる一層の効率化の促進を図るというのは、先ほど大臣から、同僚議員の質問にお答えをいただきましたが、そういう意味で、特許特別会計との関連もあり、移管するという問題については納得がいかないので、その辺の考え方について大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  32. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 城地委員のおっしゃることは、御意見として十分理解もできますし、尊重もいたします。しかし、国にとりまして、行政改革ということも、これは至上の命題であることは城地委員もまた御理解いただけると思うのでございます。とすれば、臨調答申というものを受けて、この処置をやったということはやむを得ざることでございますし、また、そういう中で、業務増大に備えてさまざまな効率化を図っていく、そのために努力していかなければならない、また、それを努力してやっていくということが我々の立場でございます。
  33. 城地豊司

    城地委員 きょうは、私は四十八分までということで、時間がありませんから、この問題は突っ込んだ論議はできませんが、考え方としては、必要なものを必要として生かすことが日本の国のためになるのだ、臨調はただ単に上っ面をなでただけで、一番言いやすいこととしては、とにかく数を抑えるとか、これは削減しろとか、どこを削減しろとか何に手をつけるということは踏み込んでいない、そういう意味でありますけれども、この問題は本委員会でこれ以上突っ込むあれがありませんので、次の課題に移りたいと思います。  中小企業信用保険公庫の総裁においでをいただいておりますので、その関係で若干お伺いをいたしたいと思いますが、中小企業信用保険公庫も、創立以来、信用保険制度やいわゆる信用保証制度について十分な役割を果たしてこられたわけでございますけれども、それらの運営実績を含め、業務内容について、概括的に、簡単で結構ですから、現状について御説明をいただきたいと思います。
  34. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 お答えいたします。  中小企業信用保険公庫業務は大きく分けまして二つに分かれますが、一つは、都道府県にございます信用保証協会が行っております中小企業者の債務保証につきまして保険を行うという保険業務と、もう一つは、信用保証協会に対しまして必要な資金を融通することによりまして、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑に行うという、いわゆる融資業務でございます。  最近のこの二つの業務につきましての実績でございますけれども、五十九年一月末におきまして、信用保証協会に対する保証債務残高は八兆一千八百二十億円ということで、中小企業者の五人に一人がこの保証業務、ひいては保険業務を活用しておるということでございますし、融資実績につきましては、五十八年度の残高で申しますと、約二千八百八十億円という額に達しております。
  35. 谷敷寛

    谷敷説明員 ただいま長官から御答弁がありましたので余りつけ加えることはございませんが、保険の残高は約二百万件の残高がございまして、一年間の保険の件数が約百万件、これが大体やはり八兆円近いあれになっております。  そのほかの点につきましては、大体追加することはないと思います。
  36. 城地豊司

    城地委員 今伺いましたように、この中小企業信用保険公庫の役割、これも日本の国の中小企業の育成それからいろいろな活動の助成という意味では非常に大きな役割を果たしている。しかも、そこへ今回のこの機械類信用保険を全部移すということでございますし、同僚議員の質問にありましたように、三十二名の人員も一応移すという形でいくわけだと理解しておるのです。  きょう何度も申し上げますように、時間がありませんからはしょって申し上げますが、先ほど同僚議員からの質問の受け答えを聞いておりますと、いわゆる通産省からの業務移管ですね、業務をそっくり移管する、そっくりこれをやってくださいと。業務移管というのは、普通は、業務と同時に人も全部そっくりつけて移管をするというのが、これは一般的な業務移管でございます。ただ、通産省のいろいろな機能、今後の運営というようなことを考えて、先ほどの答弁では、当面は移管するが、将来はその三十二名の人はいろいろな配置をするというふうに聞こえるわけでありますけれども、そういう意味で言いますと、民間の企業とか、いろいろな各種の企業の業務移管というのは、非常に厳正なものであります。厳正なものというのは、業務移管をするときには、業務移管後の五年間こういうふうになります、業務移管した将来はこうなります、そして人もつけて全部完全に移管する。そうでないと、移管というのは、そういう意味では軽々しく行うべきでないし、その人間の配置、人事問題等も含めて、十分な納得のいくような形にして移管させることが本筋だと思うのです。  先ほど伺っておりますと、どうもその辺があいまいなような感じに聞こえるのですが、業務移管をすると同時に、やはり人間も三十二人そっくり移管をする、そうしていくことが仕事の円滑な運営、そのことが中小企業の、現在利用しているそのことにこたえる、今後のいろいろなニーズにもこたえるということだと思うのですが、そのように理解してよろしいですか。
  37. 志賀学

    志賀(学)政府委員 先ほどお答え申し上げたわけでありますけれども、この機械類信用保険仕事公庫の方に移管をするに際しまして、現在、通産省につけられております三十二の定員を公庫の方へお渡しするわけであります。この定員をお渡しいたしますと同時に、実際の職員仕事をやっている方たちについて、当面、公庫の方に移管いたしました仕事が円滑にできませんと困るわけでございますから、現在この仕事に携わっている職員原則として公庫の方に出向してもらう、こういうことで考えているわけでございます。  そこで、出向の期間というものが、通常の場合、これは本人の希望その他でいろいろ変わります。変わりますが、通常の出向期間は二、三年でございます。ということで二、三年たてば、そのときの事情によりますけれども、本人の希望によりますけれども、通常の場合でございますと、通産省の方へ復帰していただく、こういうことになるわけであります。その時点でまだ公庫職員の方で十分な習熟というものが行われていないとすれば、恐らく引き続いて通産省の方から出向をさせていくということになると思います。  ただ、いずれにいたしましても、逐次やはり公庫職員の方にこの仕事を習熟していただいて、逐次そのプロパーの方にやっていただくという方向で、考えていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。その辺のタイミング、やり方などにつきましては、公庫の方とよく御相談をしながら、いずれにいたしましても、この保険利用している方たちに御迷惑をかけてはいけないわけでありますから、そういう点を十分考えながらやってまいりたいというふうに思っているわけでございます。
  38. 城地豊司

    城地委員 揚げ足をとるわけではないのですが、今後十分考えながらということなんですが、私の理解では、とにかく法案として出している。私どもも反対ではありませんから、賛成する。法案が通れば、十月一日から発足する。その間、準備期間が必要だという意味では、通ってからということではなくて、現在そういう点での相互の話し合いが行われて、例えば順次移管をする、当面三十二人移管をして仕事をする、軌道に乗るのは二年間なら二年間の計画だ、そしてその二年間の計画で円滑に受け渡しが進むような形になる、人事の関係についても全部がそうだということではなくて、そういう考え方で詰めていかなければ困るんじゃないかというように私は思うのですが、その辺の話し合いは詰められていないのですか。
  39. 志賀学

    志賀(学)政府委員 従来から公庫の方といろいろ御相談を申し上げております。ただ、いずれにいたしましても、まだなおいろいろ公庫の方と御相談を申し上げていかなければならないわけでございまして、できるだけ早い時期に公庫の方と十分な了解に達したいというふうに思っているわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、私ども方針といたしまして、公庫の方に仕事移管する、先ほども申し上げましたように、定員も移管いたします。そういうことで、仕事公庫にやっていただくということでやっていくわけでございます。ただ、現実に公庫がこの保険仕事をやっていっていただく上において支障が出ますと、これは利用者に御迷惑がかかるわけであります。そういう点を十分考えて、職員の出向あるいは公庫の方の仕事についての習熟のテンポなどについて十分お打ち合わせをして、問題がないようにやってまいりたい、こういうことを申し上げているわけでございます。
  40. 城地豊司

    城地委員 では公庫の総裁に伺いますけれども公庫としても今やっている信用保険制度の問題、信用保証制度の金融の関係の問題、そのほかに今度は新たに機械類信用保険制度を導入される。仕事のスタンスが今まで大きく二つの部門をやっていた。三百八十七名で運用されていた。今度もう一つの新たな機械類信用保険の部門も吸収する。そういう意味では、仕事規模が非常に膨らむということなので、一般的にはそれだけ仕事のスタンスが広くなりますと、例えば内部での人のやりくりとか、仕事のやり方とかというようなことについても非常に好ましい形態になるのですが、総裁としては、今度の移管についてはそのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  41. 谷敷寛

    谷敷説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のように、この仕事を引き受けるといたしますならば、公庫業務範囲も拡張いたしますし、私どもの責任もますます重要になるわけでございまして、重要な責任を担当するということは大変名誉なことだと思いまして、もしお引き受けするということになりますならば、全力を挙げて、この仕事が円滑にいくようにと考えておるわけでございます。  したがいまして、この仕事が来た場合の内部の人間の調和と申しますか、そういう点が一番大事だと思いますので、新しく受け入れる三十二名の方につきましては、できるだけ公庫に来られましても気持ちよく仕事ができるように、現在の職員には心から新しい方を歓迎するようにということを今から私は申しておるわけでございまして、私といたしましては、今度来られる方が公庫へ来て、非常に居心地がいいから役所へ帰らないで、ここでずっと仕事をやっていきましょうというようなことにでもなりますならば、これは非常に幸せだと思っておるわけでございます。
  42. 城地豊司

    城地委員 大臣にぜひ聞いていただきたいのですが、今言われましたように、移管する場合には移管がスムーズに行われなければならない。そのためには事前の十分な話し合いを行っていかなければならない。そしてその話し合いも一年後、二年後を踏まえてぴしっとしたものでなければならない。今の答弁の中で、これからやっていきますというので非常に前向きの御答弁をいただきました。まだ期間がありますから、そういう点ではいいのですけれども、ぜひとも利用者の不便にならないような形で、とかく業務移管というのは停滞がつきものなんです。停滞しないためにはよほど事前から相当にうまくやっていかないと業務のスムーズな移管はできない。  わけても人的な問題が、先ほどの同僚議員の質問の答弁の中でもありましたけれども、例えば通産省は三十二名の人を出す。当面は公庫仕事をやってもらう。しかし、もともと通産省からの出向だから何とかベテランの人をこっちへ戻したい、ある意味ではそういう気持ちもあるでしょう。しかし公庫の方としてはベテランの人だからいてほしいという問題も出てくると思うのです。そういう意味では、関係からしてどうしても通産省が強くて公庫の方が弱い。通産省が渡した方ですから、受け取った方よりは強くなるという意味で、通産省の方のお家の事情で人が抜かれて、もとへ戻すといいますか、それから、もともと出向していた人も、一概には言えませんが、そういう気持ちがありますから、トラブルが起こらないことが望ましいじゃないかと思うのです。そういう意味では双方の運営がうまくいくこと。そして余り通産省側が、そうはいっても大きな組織ですから、無理やり押しつけないように、具体的な問題が起こりましたら、ぜひともそういう点では御配慮いただきたい。  それから、今後のこの種の業務移管の問題については先ほど申し上げました。時間の関係でまだ十分意は尽くせませんけれども、事前の十分な調査、事後の計画、そしてお互いの信頼関係における相互の理解、話し合いを持たなければ必ずそごを来すので、その辺について大臣の御見解を伺いたいと思います。
  43. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 目的は利用者に御迷惑をかけないということだと思います。御意見を体して遺漏なきように指導いたします。
  44. 城地豊司

    城地委員 時間がありませんので、てん補率五〇%の問題については、先ほどの同僚議員に対する答弁がありましたが、私は二年前に、ソフトウエアを導入するときにも本委員会で、てん補率五〇%は少し低いんじゃないか。だからといって他の保険のように一遍に八〇%にしろ、一〇〇%にしろというようなことを、この保険の性格上私もそういう意見ではございません。しかし、先ほどの御答弁の中にあるように、五〇%だから、それはいろいろな危険負担もあるから、この問題の性格から半分の保険でいいのだということにならないと私は思うのです。  少なくとも、そういう意味では一歩前進して六%にするとか、六五%にするとかいうような努力はなされるべきだと思うのですが、今回公庫にこれを五〇%のまま、しかも昭和三十六年からてん補率五〇%のまま二十数年間推移しておる。その点で、ある意味で進歩性はないといいますか、まだまだということでここまで来たような感じがするのですが、てん補率の問題に対してもう一度お答えいただきたいと思うのです。
  45. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  てん補率の引き上げの問題につきまして、先ほど私、これを引き上げた場合のいろいろな問題点ということを御指摘申し上げたわけであります。ただ、私といたしまして、そういう問題があるから、今後この五〇%の引き上げというものが全く必要ないというふうに考えているかということであれば、私はそうではなくて、いろいろな今後の情勢というものは十分考えていかなければいけないというふうに思っております。  ただ、いずれにいたしましても、五〇%を引き上げますと、結局保険料率引き上げにはね返ってまいりまして、この保険制度をさらに普及させていくべきであるという目的に対しましてマイナスに働いてくる可能性もあるわけでございまして、そういった点については十分慎重に考えていかなければいけないというふうに思っているわけでございます。
  46. 城地豊司

    城地委員 それから確認をしたいのですが、公庫移管した後、利用が多ければ多いほど経営上の問題がいろいろ出てくると思うのです。多いことは結構なんですけれども、経理上若干損益というもので出る。その場合には結局国としてそういうものは面倒見るわけですね。
  47. 志賀学

    志賀(学)政府委員 いろいろな要素があろうかと思っております。ただ、いずれにいたしましても、公庫移管するに際しまして、現在特別会計が持っております資本金から累積損失を差し引きました金額、約八億円ぐらいになろうかと思いますけれども、これを公庫の方に一つの準備金といたしまして移管するわけでございます。それはこの保険制度の経営的な基盤を整備するという意味、そういう役割を持つものでございますけれども、そういう形の金を公庫の方に移管するわけでございます。その金につきまして今後それを増額することを考えるかどうか、こういう御質問ではないかというふうに思いますが、その点につきまして申し上げれば、今後公庫の方でこの仕事をやっていっていただく上において、経営の基盤整備という面からそういった必要が出てまいりますれば、私どもとしては公庫の方ともよく御相談をして検討してまいりたいというふうに思っております。
  48. 城地豊司

    城地委員 時間がありませんので、最後でございますけれども、今回の法律改正の提案について、いろいろ今後の問題点があるわけでありますが、問題点で一番大きいのは、やはり何といいましても保険業務処理体制合理化、これは公庫移管するわけでありますから具体的に指摘はいたしませんけれども、できるだけそういう処理体制合理化していただきたいということと、保険制度の運営基盤を強化をしていただきたいということをお願い申し上げます。  そしてさらに、技術革新の進展に対応した保険制度の機動的運営というようなものも必要になってくるのじゃないか。そして、これは本委員会の直接的な関係ではありませんが、今度五十九年度の税制でメカトロ減税が入れられました。減税規模も三百億円、非常に努力をして入れられたという経緯はわかりますけれども中小企業のME化、それから合理化、設備の近代化というものにはもっと力を入れなければ、やはり今の日本の経済全体として伸びていけないのじゃないかというような危惧を持っておりますが、これは要望として今後十分配慮していただきたいと思います。  なお、最後に、きょうは文化庁からもおいでをいただいておりますが、今後のこの種の保険の問題として、五十七年にプログラム信用保険制度が創設されました。コンピュータープログラムについていろいろな問題があるわけでありますけれども、今もプログラム権法等を通じて、法案が出る出ないということで非常に私どもは疑心暗鬼を持っていたのですが、通産省考え方と文化庁の考え方がどうも一致していないということでございますので、それらについては時間がありませんので簡単で結構ですから、双方の主張点の違いを中心にして双方から説明をいただきたいと思います。
  49. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕  お答え申し上げます前に、ちょっと一言だけ訂正をさせていただきますが、先ほど約八億円を準備金として公庫の方に移管されるということを申し上げましたけれども、これは機械類信用保険運営基金として充てるために出資されたものとして公庫の方へ承継される、こういうことでございますので訂正させていただきます。  そこで、プログラム権法の問題でございますが、私どもコンピュータープログラムにつきまして、このコンピュータープログラムというものが技術先端的な工場製品であるというふうな理解を持っているわけでありまして、そういう性格のものとして、このコンピュータープログラムについて権利の保護を通じて開発の促進をやる、あるいは流通の促進をやるということを考えていくことが必要ではないか。同時にまた、中小企業の方たちが最近コンピュータープログラムをどんどん使い始めております。そういう面からいって、ユーザー保護ということも考えながら、一つの法律、制度を考えたらどうか、こういうことでプログラム権法という考え方を出したわけでございます。  私どものそういう考え方に対しまして、文化庁の方では著作権法の改正という形で対応しようということで、いろいろお考えになっておられるわけでありますけれども、いずれにいたしましても、私どもといたしまして、文化庁と通産省との間ではよりよくコンピュータープログラムの保護をしよう、こういう点では一致をしているわけであります。そういう共通の認識の上に立って現在文化庁の方ともいろいろなお調整を進めているところでございますし、またアメリカの方ともいろいろ問題がございまして、アメリカの方ともいろいろ調整をやっておるというのが現状でございます。
  50. 吉田茂

    ○吉田説明員 コンピュータープログラムはコンピューターに特定の機能を果たさせることができる一連の命令であるというふうに言えると思うわけでございますが、これは学術的思想の創作的表現でございまして、従来ございます科学論文なり設計図あるいは建築物などと同様に著作物であるというふうに考えておるわけでございます。このことは最近の三つの判決によりまして肯定されているわけでございます。  また、コンピュータープログラムにつきまして、著作権法上保護されるものであるという前提のもとに、その特性に見合った措置を講じていくべきであるという趣旨の著作権審議会第六小委員会の報告を本年一月に私ども受けたところでございます。  また、プログラムは国際的に流通するものでございまして、国際的な相互保護が重要でございますが、アメリカあるいはヨーロッパ諸国において著作権法でプログラムが保護されているということで、これら諸国と同様、著作権法で保護することによりまして、国際的相互保護体制を形成していく必要があろうかというふうに私ども考えておるわけでございまして、以上申し上げましたように、プログラムはその性質からいっても、あるいは国際的な相互保護関係からいっても著作権法で保護すべきものだというふうに考えているわけでございますが、この点につきましては、先ほどの御答弁にもございましたように、さらに引き続きまして通産省との調整を鋭意図ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  51. 城地豊司

    城地委員 プログラム権法につきましては後日また十分審議をする機会がありますので、その場に譲りたいと思いますが、最後に、結びとして大臣要望を申し上げたいと思います。  先ほど中間で幾つかの要望を申し上げました。ですから、業務移管というようなものについては十分事前の調査、そして事後の体制についてもじっくりと見ていただくことが利用者の便に供することである、大臣の前向きな答弁をいただきましたので、まことにありがとうございました。  ただ、今度中小企業信用保険公庫業務としては、今までの業務のほかにそれが一つプラスになるということになります。とかく業務全体として新しいものが入って他の業務に支障があったのでは困りますので、そういう点も十分なる配慮をして、現在行っている公庫の、今までやってきた融資とか金融関係業務にいささかも支障のないように配慮もしていただきたい。また、公庫に対する政府の出資の問題がありますが、公庫そのものも今までの大きく分けて二つにもう一つ機械類信用保険がプラスになったわけでありますから、出資についてもその分は多く出資をするというのは当然の考え方だと思います、業務がそれだけふえたわけでありますから。そういう点についても十分配慮をしていただきたいというふうに要望を申し上げ、大臣の総括的な考え方をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  52. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 何回も申し上げますとおり、業務の拡大に従って利用者が迷惑するようなことになってしまっては仕方のないことでございまして、利用者に迷惑をかけないということが私は第一義的なものと考えるわけでございます。この点、城地委員の御意見を十分尊重いたしまして、遺漏なきを期してまいりたいと存じます。
  53. 城地豊司

    城地委員 以上で終わります。
  54. 梶山静六

    梶山委員長 長田武士君。
  55. 長田武士

    ○長田委員 今回審議しております機械類信用保険法の一部改正でありますけれども、この中小企業信用保険公庫移管されることになった理由といたしまして、通産省の所管でありますところの特許制度、これを新たに特別会計に創設するためであると私は認識をいたしております。この法案は大蔵委員会で審議されるそうでありまして、当委員会では審議されません。そういうことで、いい機会ですから二、三問質問をいたしたい、このように考えております。  これは第二臨調最終答申で、特別会計の設置については先ほど来論議されておりますとおり、特別会計の新設については、財政の膨張抑制の見地から極力これを抑制をするとされておるために、いわゆるスクラップ・アンド・ビルド、こういう方式にのっとって行われたものと考えております。  そこでお尋ねするわけでありますが、特許制度を特別会計として創設する理由、この点はどういう理由があるのか、まずお尋ねをいたします。
  56. 若杉和夫

    ○若杉政府委員 お答えいたします。  特許行政といいますか、工業所有権行政の大きな課題が今三つございます。  一つは、迅速的確な審査をモットーとしておりますけれども審査が大幅に遅延する傾向を持っております。これは出願の累増、それから審査資料の急増、それから出願内容の精緻化、いろいろな要因がございます。それで審査が非常に遅延してまいりました。十年先には七年とか八年になってしまうという大変な課題を抱えているわけでございます。  それから第二の課題は、特許情報というものに対して、中小企業を含めまして企業サイドから非常なニーズがございます。これに我々としては的確にまだ対応できてない。ところが、資料が膨大になってきますから、企業の方もなかなか的確に対応できない、こういう問題がございます。  第三に、国際化の問題でございまして、御承知のように、近来の日本の技術発展が目覚ましいわけでございますので、全世界の特許庁は、日本の特許技術資料をチェックしないと審査できない状況になりつつあるわけでございます。また、後進国の方からも援助ベースでやはりそういう審査資料の提供というような非常な要請もございます。先進国、後進国を通じまして非常な強い要請がございます。  以上、三つの課題に的確に対処してまいりませんと、工業所有権制度の円滑な運用が期せられないわけでございますが、これの基本的なかぎはコンピューター化にあると我々は判断をしております。コンピューター化、データ化ということでございます。ところが、これの構築は一言で言って容易なことではございませんで、長期にわたりまして非常な投資が必要でございます。  さような情勢が基本的にございまして、これの財源調達という問題もございました。同時に、そういう長期的なプランニングをし、実行していきますためには、やはり一つの財源というものも考えながら、長期的な見通しのもとにすべてを運用していきませんと、毎年毎年どうなるかわからないというやり方では、到底効率的な体制整備ができません、そういうこともございます。  それからまた、申しましたように、このコンピューター化につきましては、企業サイドとしては単に審査の迅速的確化だけではございませんで、情報提供という貴重なメリットがございます。そういう意味で、この問題につきましては膨大な資金も要るけれども、同時に受益という問題もかなりクローズアップされてまいりました。したがいまして、受益と負担ということも、この際明確化する必要があるのではないだろうかということも判断いたしました。  以上のようなことを総合的に判断いたしまして、この際、長期的ビジョンのもとに特許特別会計の創設が必要であろうと我々は判断した次第でございます。
  57. 長田武士

    ○長田委員 今長官が御答弁されたように、私もよく理解しておるのです。けさ実は、「特許行政の抜本的強化と財政基盤の整備について」これを出しておりますね。これをいただきました。たしか現在二年から三年かかるという、そういう非常に大変なお仕事をされておることはよく理解いたしております。  そこで、全電子ファイル化とかペーパーレス化とかいろいろな構築をしたい、こういうお考えのようであります。大体資金はこの十年計画で、ペーパーレス計画が千二百六十億円、新規事業といたしまして三百億円、それから特許庁の総合庁舎の建設で四百二十億円、合わせて二千億円くらいお金がかかる、こういうお考えのようであります。  私はその点はよく理解できるのでありますけれども、一方、現在の通産省所管の会計では手数料は一般会計に入ってしまう。そういう点で独立採算制という点では非常に明確化が欠いておる、そういう点はたしかあると思います。あると思いますけれども、どうも財政事情で一般会計からの資金の調達が非常に困難である。この際、独立採算制によって特許制度というものを特別会計移管したいという意向のようですね。こういう意向は間違いありませんか。
  58. 若杉和夫

    ○若杉政府委員 先ほど申しましたように、そういう以外にも、受益と負担の関係の明確化とか、あるいは長期的な弾力のある運用とか、そういう理由もございますが、今先生おっしゃったようなことが根底にあることは間違いございません。
  59. 長田武士

    ○長田委員 私は、特別会計の移行という点はわからなくありませんけれども、どうも結論から申し上げて、財政基盤の脆弱、この点を整備しなくちゃいけない。そういう意味で、今通産省の所管になっておりますけれども、これを特別会計移管をしたいということは、よくわかるのでありますけれども、財政的な面だけ考えれば、私はその問題とはちょっと違うんじゃないかなという感じがするのですが、どうでしょうか。
  60. 若杉和夫

    ○若杉政府委員 おっしゃるとおり財政、お金がないという理由だけでございますれば、一般会計でやりくりをしてでも、特許制度が必要ならば、一般会計の中でシーリングとかいろいろありますけれども、やれないことはないというのも一つの議論として当然あると思います。しかし、我々は同時に、その根底にあると申しましたのは、現実的な立場に立ちますと、二千億に近いお金を十年間に投入するということは、現実論として非常に難しかろうということも考えました。  同時に、これだけの事業をやりますれば、繰り返しになりますけれども、受益と負担の明確化もきちっと図らなければならないということも考えました。一般会計だけでどんどん特許、国全体として必要であるといいながら、かなり受益という関係もございます、この性格は。だから一般の庶民といいますか、関係のない方の税金までどんどんつぎ込むのにもある種の限界があるんではなかろうかということも考えざるを得ませんでした。  そしてまた、長期的な一つの見通しのもとにやっていく。要するに短期的な考え方ではなかなかできませんから、長期的な一つの見通しのもとにやっていきませんと、事業の執行がうまくいかないということも考えまして、それらを総合的に勘案いたしまして特別会計が是ではないか、かように考えたわけでございまして、単に財政、お金がない、シーリング逃れだけのためにこういう便法としてやったというわけではございません。
  61. 長田武士

    ○長田委員 この資料によりますと、財政基盤が脆弱だということで、これから十年計画といたしまして、昭和五十九年、ことしから手数料を五割引き上げようというお考えのようですね。商標については二割アップしよう、しかし、昭和六十二年ごろにはさらに五割アップしたい。十年間で大体倍になるということです、もちろん、財政的な基盤を強化するためにはやむを得ない措置かなという感じはするのでありますけれども、それならば、今までの会計でも十分できるんじゃないかなという感じがするのです。意味はわかりますよ、特別会計に移行するということは意味はわかりますけれども、そういう意味では、結論から申し上げますと、財政基盤を確立するためには値上げをすれば、倍にすればいいんですよというような短絡的になりますと、この移管するという意味合いは薄れてしまうし、まして日本は出願の数が四十四万件ありますね。そういう点ではほかの国とはちょっと数が違うようであります。  そういう点で特許庁の皆さんが大変御苦労されているのは私はよく理解できます。理解できますけれども、一方、出願する側からすれば、十年間で倍のお金になってしまう。今最低三十万円くらいですか、これが今度は六十万円になるわけですね。そういう点を考えますと、どうも出願の意欲といいますか研究開発の意欲が逆に損なわれるのではないか、そういう点を私は心配をするのです。何となく、移管と同時に値上げをしてしまいますよというような短絡的でいいのかどうか、この点はどうでしょうか。
  62. 若杉和夫

    ○若杉政府委員 値上げにつきましては我々も非常に胸を痛めたところでございます。ただ、救いというのが二つほどございまして、一つは、国際的に見まして日本の処理能率が非常によろしいということもございます。そしてその結果、料金水準を国際比較しますと、日本は相当安いという事情がございました。そしてまた第二の理由といたしましては、先ほど申しましたように、現在の出願人の皆さんの御希望をいろいろ聞いてみますると、とにかく審査を迅速的確に早くやってほしい、そして同時に、企業にとって貴重な必要性のできてきている特許情報についてコンピューター化して迅速に提供してほしいと、非常に強い要請がございまして、全部の出願人の方の御意向を聞いたわけではありませんけれども、かなり広範にわたって意見を聴取したところ、ある程度の負担はやむを得ない、むしろ我々としては、そういう体制といいますか特許庁の長期ビジョンのラインというものを支持するというかなり強い支持がございまして、そういう二点に支えられまして今度の決断をいたしたわけでございます。
  63. 長田武士

    ○長田委員 通産大臣、十年間で特許料金、手数料が倍になるわけでありますけれども、確かに大勢の皆さんの中には、金がかかっても、料金が上がっても早くしてほしいという方もたくさんいらっしゃると思います。常識的に考えて五割ぐらいなら我慢できるとは思いますが、十年間で二倍になってしまうのですね。そういう点で果たしてどうなのかなという懸念を私は持ちますが、通産大臣、どういうお考えでしょう。
  64. 若杉和夫

    ○若杉政府委員 中小企業の方のことを当然のことながら私どもは一番心配をいたしました。  中小企業の方の場合に典型的に利用なさるのが実用新案でございます。これが圧倒的に多いわけでございます。中小企業の実用新案の場合の今の料金はどういうことかといいますと、十年間フルに利用なさる場合に出願料及び年金部分を込みにいたしまして約九万余円でございます、全部の経費が。先ほど先生おっしゃった三十万余円というのは特許の場合でございます。今度九万余円が第一段階として十四万円程度になります。これは十年間でございますので、出願料も含めますと、実際問題としては十二年間ぐらいにわたるわけですけれども、四万五千円ぐらいというような幅でございます。  それから第二の点といたしましては、中小企業者はどういう方がどの程度出していらっしゃるかということも勘案いたしました。これは日本に製造業の中小企業が約七十万企業ございます。特許庁に常連といいますのが大体五、六万企業でございます。考え方としては比較的大きな製造業でございます。五、六万の企業が年間にどのくらい出すかといいますと、一企業平均が一・五件ということでございます。したがって、確かに値上げ幅につきましては五〇%、二度目のものはこれからまだいろいろローリングいたしましてできるだけぎりぎり絞ってまいりたいと思いますが、とりあえずは五〇%程度で、しかし、それでも幅はかなり大きいのでございますけれども、実額の関係その他いろいろ勘案いたしまして御勘弁願えるのではないかと我々は考えた次第でございます。
  65. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 中小企業のふところを考えれば、これは十分配慮しなければならない問題ではございますが、先ほども若杉長官が申し述べましたとおり、その処理能力の優秀さ、あるいは国際的にその値段がそれほど高くないという日本の事情、さらには、今後これをさらに高度なものにかえていくこと等を考えますれば応分のことと私は考えます。
  66. 長田武士

    ○長田委員 中小企業特許よりも実用新案が多いということで、実際問題、長官、数を見てみますと、四十四万件の内訳で特許は二十二万七千件あるのです。そして実用新案というのは二十万しかありません。そういう点では、どちらかというと特許の方が多いのでありますから、そこらがどうかなということで私は懸念を持っておるわけであります。どうかこの移管に伴って効率を上げていただいて、しっかりやっていただきたい。  次に、通産省お尋ねをするわけでありますが、先ほどもてん補率の問題が出ました。現在五〇%であります。しかし、リースの業者、契約者等々いろいろ話を伺ってまいりますと、保険料率を多少上げても結構です、そしててん補率を高くしてほしいという声が実はあります。そういう意味で、たしかてん補率を高めますと保険契約者、これは販売会社やリース会社でありますけれども、安易な割賦販売やリース販売に走ることも中には出てくるかなという懸念はございますけれども、私は、てん補率は五〇%よりもやや上げてもいいんじゃないかという感じがいたしますが、どうでしょうか。
  67. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話しございましたように、一部のリース業界の方などからこのてん補率を少し上げてもらいたい、こういう御希望があることは私どもも承知しているわけでございます。  ただ、これにつきまして、先ほども御答弁申し上げましたように、また、ただいま先生からお話しございましたように、安易なリースなどに走らないだろうか、それによって流通秩序が乱れるというようなことがないだろうかというような問題がございます。  私ども、そういった問題のほかに、このてん補率が上がりますと保険料率にはね返ってくる可能性があるのではないか。それから、これも結局保険契約者のオンリスクの減少というものに基づくわけでありますけれども、その回収金の回収にどうも保険契約者の方がそれほど努力をされなくなる可能性があるのではないか、そういった問題もいろいろあるのではないかという感じがしているわけであります。ただ、先ほども御答弁申し上げましたように、いろいろ問題があるわけでありますが、そういった問題を慎重に検討しなければならないわけでありますけれども、五〇%というてん補率を引き上げることが保険制度の普及などについてどのような影響を与える可能性があるかということを十分考えながら、今後私どもといたしまして、業界の一部にそういう御要望もあるということを踏まえて検討をしていかなければならない、そういう課題であると思っているわけでございます。
  68. 長田武士

    ○長田委員 次に通産大臣、法案の審査のときに、採決の後によく附帯決議を付する場合がありますね。附帯決議の持つ意味合いというのは通産大臣どうお考えでしょうか。
  69. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 これは委員会あるいは理事会でもってお決めになることでございまして、これは意味合いがどうかと言われましても、私も委員長のときもございましたし、理事のときもございましたけれども、その意味合いはどうかということになれば非常に難しいことだと思います。
  70. 長田武士

    ○長田委員 私が伺いましたのは、通産大臣、附帯決議の旨を外しまして、十分それに対応してまいりますという答弁をよくしませんか。これは全然関係ありませんというのですか。
  71. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 それは委員の皆さん、理事の皆さんがつけた附帯決議でございますから、私の立場として尊重するのは当たり前のことでございます。
  72. 長田武士

    ○長田委員 初めからそう答えていただければ質問は次に進んだのであります。  次に、保険の対象機種についてでありますが、現在割賦・ローン保証販売関係では、今回四月一日から食料・飲料加工機械が除かれまして二十五機種になりましたね。それからリース関係では、新たに電子式構内電話交換機が加わりまして三十二機種になりました。この保険対象機種について本法律の第三次改正、昭和四十八年三月七日でありますけれども、当委員会でもって次のような附帯決議がついております。すなわち、「輸入機械の中で中小企業の設備近代化に特に必要なものについては、これを保険制度の対象に加えるよう考慮すること。」  そこでお尋ねしたいのでありますけれども、四十八年以降輸入機械についてどのような改善処置が行われておるのか、また現在中小企業にとって有効と思われておりますところの外国製品はどのくらい入っておるのか。さらに、国際経済情勢が厳しくなっている中で、外国製品について保険実績がどの程度あるのか。この二点についてお尋ねをいたします。
  73. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、昭和四十八年の改正に際しまして衆議院の商工委員会において「輸入機械の中で中小企業の設備近代化に特に必要なものについては、これを保険制度の対象に加えるよう考慮すること。」こういう附帯決議をいただいたわけでございます。その後、この附帯決議の趣旨にのっとりまして、個別に審査の上対象として認めるという対応をとったわけでありますが、さらにその後五十六年度からは、リース保険についてはすべて国産の機械と全く同じに扱うという方針をとっております。また割賦ローン保険につきましても、五十七年度から同じように、すべて国産機械と輸入機械と全く同じに扱うということで対応しているわけでございまして、この附帯決議の御趣旨に沿って私どもとしては対応しておると思っております。  では、どのくらい実績があるかということでありますけれども、これは率直に申しまして、先ほども申し上げましたように、現在輸入機械も国産機械も全く同一に扱うという対応をとっているわけでございまして、そういうことから、保険契約者の事務手続の簡素化という観点もございまして、輸入機械であるかどうかという記載を実は行わせていないわけであります。そういうことから申しまして、輸入機械が実際どのくらいこの保険の対象になっているかということを統計的に把握することはちょっと困難であるという状態でございます。  ただ、私どもといたしまして、大手の保険契約者などに若干事情を聞いたわけでありますけれども、そういたしますと、例えば大型コンピューターであるとか高級な工作機械、例えば放電加工機といった機種などについて輸入機械が入ってきておるというふうな回答を得ているわけであります。私どもといたしまして、そういうことで実態がなかなか把握しがたいわけでありますけれども、輸入機械もかなりこの保険の対象になりつつあると考えて差し支えないのではないかと思っております。  いずれにしても、現在国際的に日本が置かれた立場ということから申しますと、こういった制度を通じまして機械の輸入が進むということは私どもとしても歓迎すべきことではないかと思っているわけであります。
  74. 長田武士

    ○長田委員 私、きょう附帯決議にこだわるわけではありませんけれども、あと二つばかり附帯決議をやりたいと思います。  同じく第三次改正の際、リース業者の問題に対しても附帯決議がついております。これは「リース業者の実態把握等に努めるとともに、その事業の健全な発展を期し、就中アフターサービス体制の整備を図るための指導を進めること。」このようにうたわれております。  そこで、割賦・ローン保証販売に比べましてリース契約利用が実は急速に伸びております。そういう現状から考えますと、中小企業者にとりましてはリース契約におけるアフターサービス体制の整備が非常に重要なポイントでございます。この点について、四十八年以降どのような適切な処置を講じたのか。また万一故障などが起きた場合、どのような処置をしておるのか。さらに保守費用、修理費用をどのように処置をされておるのかあわせてお尋ねをいたします。
  75. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 ただいま先生指摘のように、リース産業は近年非常に伸びております。五十七年と四十六年の約十年間を調べてみますと、企業数も、十九社であったものが百八十六社、それからリース契約額が二千八百億円であったものが二兆四千億円と九倍近く伸びております。その間、中小企業の活用の度合いも高まっているところでございます。  そこで、ユーザーのアフターサービスという附帯決議の趣旨でございますが、その後でございますけれども、そもそもリース物件のメンテナンスについてはユーザーが直接メーカーと保守契約を締結するというのが通例でございます。しかし、この物件の保守に関してユーザーとメーカーとの間でトラブルが生じます場合には、あるいはユーザーからリース会社に対して直接苦情が持ち込まれるという場合においては、リース会社としても、物件の所有者という立場からユーザーに十分協力するよう業界団体を通じて私ども指導をしてきたところでございます。
  76. 長田武士

    ○長田委員 次に、中小企業近代化促進の見地から、機械類にかかわる割賦販売、リース契約に関しまして、保険利用者からはもう少し高価な機械もこの保険対象に加えてほしいという要望も私、随分耳にいたしました。このことについては価格面あるいは普及面、そういうことが検討されておるわけでありますが、保険対象となっております機械の選定基準が非常にわかりにくいというのですね。そういう、もっとわかりやすくしてほしいという要望もたくさん耳にいたしました。例えば、金属工作機械は「一台あたりの販売価格が八千万円以上のものを除く。」というふうになっております。あるいは土木建設機械のトラッククレーンは「一台あたりの販売価格が五千万円以上のものを除く。」というふうになっております。それから装軟式トラクターは逆に「一台あたりの販売価格が五百万円未満のものを除く。」こういうふうな規定があるのですね。つまり価格面における上限、下限についても、上限はどの程度、下限はどこまで、そういう点ではもうちょっとはっきりしませんと保険契約者がどうもわかりにくい、そういう苦情もたくさん聞いたわけですけれども、その点どうでしょうか。
  77. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  保険対象機械の選定基準でございますけれども、選定に当たりましては、まず一つは法律の要件に当たるかどうか、すなわち中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興、それから中小企業の経営管理の合理化及びソフトウエア業の振興に資するかどうか、後者はソフトウェアの問題でございますけれども、いずれにいたしましても、そういう法律の要件に当たるかどうかという観点から審査をいたしているわけでございます。  もう少し具体的に申しますと、例えば省エネルギー、省力化、安全化というような時代の要請に合致している、それで中小企業の近代化あるいは経営合理化に資するかどうか、そういうような点。さらにまた中小企業の購入利用比率がかなり高いもの、大体これはおおむね七〇%前後というものを頭に置いてそういったような機種を選定していく。それから、割賦・ローン方式あるいはリース方式による取引になじむかどうか。さらに一定の生産規模原則として例えば百億円程度でございますけれども、その一定の生産規模が見込まれるものであるかどうか。それから、契約者等の要望が強いかどうか。そういった幾つかの要件に照らして検討をしているわけでございます。  そこで、先ほど上限を切り、あるいは下限を切っているのはどういう考え方かという御質問でございますが、これは先ほど申しました中小企業の購入利用比率がどうか、こういう観点から余り高額のものということになりますと、中小企業よりもどちらかというと大企業がよくお使いになる、そういう機械ということになりますし、あるいは安いということになりますと、また非常にロットがまとまってこない。これはある程度の生産規模がございませんと大数の法則が働かなくなってまいります。そういうことでなかなか保険になじみにくいという問題が出てまいります。  そういうようなことで上限を切り、あるいは下限を切っているというふうに理解をいたしておりますけれども、ただ、いずれにいたしましても、先生から御指摘ございましたように、大変わかりにくいという御批判があるとすれば、私どもとしてさらにいろいろ、その御理解をいただけるような、そういう工夫が必要ではないかと思いますし、あるいは時代の流れに従いまして中小企業の方もどんどんより高額のもの、よりいいものをお使いになる、こういう方向が出てくる。そうだとすれば、私どもとしてそういう実態の流れ、変化に即応してこれに十分弾力的に対応していかなければならないというふうに思います。御指摘の点を踏まえて私どもとして、この指定の考え方というものについて、さらに考えてまいりたいというふうに存ずるわけでございます。     〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
  78. 長田武士

    ○長田委員 中小企業の近代化を重視していく場合、本保険制度における割賦・ローン保証販売に比ベリーズ契約の利用者が非常に伸びておるということを見逃すわけにはいかないと思います。  ところが反面、リース利用したことがないという企業もまだまだ多く残されておるわけですね。例えば社団法人リース事業協会が去年の二月調査した結果、それによりますと、リース利用したことがないという企業が全体の約七二%あった、こういう報告をまとめております。そこでこれらの企業についてその実態を調べてまいりますと、リースについては理解していなかったとか、あるいは聞いたことがないとか、あるいはリース会社を知らなかったというような答えが返ってまいりましたのが二二・八%もあったわけであります。このようにリースに関する認識というのは中小企業の中でもまだまだ低いのではないかという感じが私はいたしております。  そこでまた附帯決議でありますけれども、「割賦販売、ローン保証販売及びリースのそれぞれの特色、利点等について、中小企業者が周知できるよう、積極的な広報活動を行なうこと。」このように附帯決議が付されております。中小企業者の周知は、実際この点どうなっておるか。七二%も全然知らない、こういう実態ですから、この点どういうふうにやっていらっしゃるんでしょうか。
  79. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 先生指摘のとおり、また私先ほど数字を申し上げましたように、リースの契約額あるいは利用率が非常に高まっております。中小企業について言いますと、五十年度には全リース契約額の四九%が中小企業でございましたけれども、五十七年度には五七%が中小企業利用でございます。まさにこれは資金調達力の補完とか事務管理の合理化とかいったリースの持つメリットが高く評価されて、その利用が増加しているんだろうと思います。  しかし、その認識はある程度高いとも思いますけれども、今先生指摘のように、これからの中小企業の高度化、近代化という観点から見ますと、ますますこれを利用していただくことが大切かと思います。リース会社自体あるいは先生今御指摘リース事業協会というものがございますけれども、あるいは私どもがそのPRに努めております、例えばリース事業協会ではいろんなパンフレット等を商工会議所、商工会の相談室に置いてあるとか、あるいは中小企業事業団の情報センターにおいても相談にあずかるとかというところでございます。また今回創設されました中小企業新技術体化投資促進税制、こういうようなものもリースを取り上げていただきましたので、当然のことではございますけれども、積極的にこの制度の活用の広報を行ってまいりたいと思います。
  80. 長田武士

    ○長田委員 どうかひとつPRをしっかりやっていただきたいと思います。  次に、リース業に関連いたしまして、去年の一月静岡県沼津市で不正リース事件があったことは御承知のとおりであります。このような多額の背信、詐欺事件の背景には、機械信用保険制度そのものが悪用されたといういきさつがあるわけでありますが、この問題について通産省はどう認識してこられたのか、さらにリース業界として今後こうした問題を起こさぬようどのような改善策を講じてきたのか、この点について明確にお答えをいただきたいと思います。
  81. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 ただいま御指摘の案件でございますけれども、現在東京地方裁判所において係争中でございますので、具体的な見解をただいま申し述べることは差し控えさせていただきたいと思います。  しかしながら本事件の発生後、通産省といたしましても、このような事件が二度と起こらないよう、先ほど来出てまいります社団法人リース事業協会を通じまして注意を喚起しております。その後幸いにして同種の事件は起こっておりませんけれども、今後とも同協会を通じて十分監視を行ってまいりたいと思います。
  82. 長田武士

    ○長田委員 ところで、昭和五十七年の法改正の際プログラム信用保険制度が創設されました。これによってプログラム使用権という概念が導入されたわけでありますが、ユーザーの権利保護などプログラム取引の法律関係は従来より明確になったわけであります。しかしプログラム開発者の権利保護につきましては何ら触れていない。これは従来どおりということですね。すなわち、プログラム開発者の権利保護につきましては、特許権や著作権といたしまして保護される部分はあるわけでありますけれども、それは一定の領域に限定されて、それ以上どうも保護されていない、限界があるということでございます。したがいまして、プログラム開発者の権利保護の整備を図ることが早急に望まれておる、このように私は考えるわけであります。こうしたことから、通産省も今国会にプログラム権法案の提出を予定しておるわけでありますけれども、いつごろどういう形で提出されるのか、簡単にひとつお答えをいただきたいと思います。
  83. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話ございましたように、通産省といたしまして、コンピュータープログラムの権利保護につきまして、これは実際裁判所では著作権法を適用し判決をおろしたりいろいろやっておりますけれども、このコンピュータープログラムの特質から申しますと、著作権法の適用あるいは契約関係等では十分でないというふうに私ども考えているわけでございまして、そういうことを踏まえてこの使用権、これは機械類信用保険法で申します使用権とはやや性格が違う物権的な性格のものでございますけれども、この使用権というものを基本としたコンピュータープログラム権というものを構成し、それを保護していく、こういう法制を考えているわけでございます。  ただ、これにつきまして、御案内のように文化庁におきましては、著作権法の一部改正という形で対応をしていきたい、こういうお考えをお持ちでございます。また、アメリカの方におきまして、私どもコンピュータープログラム権法の中に考えておりました裁定制度あるいは権利の期間などにつきましていろいろ意見がございます。  そういったアメリカあるいは文化庁との意見調整ということをいたしませんとなかなか法案としてまとめがたい、こういう状況でございます。現在私どもといたしまして、これは大変遅くなっているわけでありますけれども、なお鋭意アメリカと、あるいは文化庁と意見を調整して何とかまとめるようなことで努力をしているところでございます。
  84. 長田武士

    ○長田委員 そうすると、今国会は提出されそうもありませんか、間に合いませんか。
  85. 志賀学

    志賀(学)政府委員 私どもといたしましては何とか今国会に提出したいという方向で鋭意努力をやっておる、ただなかなか成案が得られない、こういうことでございます。
  86. 長田武士

    ○長田委員 それでは最後にお尋ねをいたします。  現在、本保険制度を含めて中小企業施策の積極的な展開が求められておるわけでありますが、政府は今国会の税制改正において中小企業の投資減税、これを計画をいたしております。その中で中小企業の新技術体化投資促進税、メカトロ減税というわけでありますけれども、これを創設して約三百億円くらいの減税をしよう、こういう考え方であるようであります。これによりまして、MEなど関連機器への中小企業設備投資は相当増加されるのではないかと期待をされております。さらに、今回の税制改正によりましてリース取引についても減税対象の範囲内に加えられておりまして、減税の一歩前進ということが図られております。しかし、大企業に比べまして生産や技術に格差のある中小企業に対しましては、なお一層の手厚い減税が必要であろう、私はこのように考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
  87. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 お答え申し上げます。  中小企業者におきまして、いわゆるME機器あるいはメカトロ機器の導入が非常に急がれておりますし、また景気対策としてもこれが大きな効果を持っておるということは先生が御指摘になられたとおりでございます。  五十九年度からいわゆるメカトロ税制が導入されたわけでございますけれども先生指摘になりました三百億円程度の減税規模というのは、要求段階で試算したものでございまして、その後、財政当局等と詰めてみましたところ、この減税規模は四百五十億円程度まで伸びるというふうに見直されております。そのように非常に大きな効果が期待されておるわけでございまして、中小企業段階におきますメカトロ機器等の設備投資も、この税制の導入によりまして三割程度伸びるという効果も見られております。その結果、設備投資規模も六千六百億円程度まで伸びてくるというふうに見られております。リースの導入その他非常に画期的な効果を持つ税制として期待しておりますし、今回のメカトロ税制が中小企業に限って導入されたということにつきましても、大企業との情報格差あるいは技術革新の格差の是正という面でも大きな効果があると思っております。  なお一層の減税措置をという御指摘でございますけれども、従来とられておりますいわゆる投資促進税制の効果あるいは省エネルギー設備に対する促進税制の効果等々とあわせまして、今回のメカトロ税制の導入によりまして、中小企業におきます設備投資が非常に大きなテンポで進むということを期待しておるわけでございますが、現段階では厳しい財政事情もございますので、さらにこれに上乗せをするということは困難なことであるというふうに認識しております。
  88. 長田武士

    ○長田委員 終わります。
  89. 森清

    ○森(清)委員長代理 青山丘君。
  90. 青山丘

    ○青山委員 私の方からは、中小企業における設備近代化等経営基盤の拡充強化対策について若干お尋ねをいたします。  石油危機以降、需要構造の変化と技術革新の進展が進み、中小企業を取り巻く環境は大きく変化してきました。その対応は経営上の重要な課題となっております。中小製造業においては、最近のマイクロエレクトロニクス技術を中心とする技術革新に対応することが、生産と製品開発の両面において強く要請されるものであって、MEを中心とする技術革新を有効に活用することが、従来の技術からは生まれ得なかった新しい分野への展開の道を切り開く可能性をも含むことになるわけです。  さてそこで、現行の機械類信用保険制度中小企業の設備の近代化に一体具体的にどれくらい貢献してきたのか、まず明らかにしていただきたいと思います。
  91. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  この保険制度と申しますのは、中小企業の設備近代化あるいは経営の合理化というものを図っていこうということ、と同時に、機械工業の振興あるいはプログラム産業の振興というものを図っていこう、こういうようなことでつくられ運営されてまいっているわけでございます。  中小企業の設備近代化にどのくらい貢献したかということについて、定量的に申し上げるのはなかなか難しいわけでありますけれども、ちなみに、例えば五十八年度に中小企業がこの制度によりまして購入、リースを受けた機械、これは大体一兆円でございます。それで、中小企業設備投資が五十七年度にどのくらいあったかということでございますけれども、五十七年度の中小企業の設備役資額というのは十一兆六千億円でございます。先ほど申し上げましたように、この制度によって購入、リースを受けた機械が五十八年度が約一兆円でございます。五十七年度でございますと、恐らくそれをやや下回るということだろうと思っております。そういうことで、目の子で計算いたしますと、中小企業設備投資額のうちの恐らく八%くらいがこの制度によって行われたというふうに見ても差し支えないのではないかというように考えられるわけでございます。  それから、やや細かく、品目別に見てまいりますと、例えば金属工作機械、これは割賦・ローンの中で最もウエートの高い機械の品種でございますけれども、この金属工作機械で見てみますと、金属工作機械のこの保険制度の契約者の売上高の中で、この制度によって給付をいたしましたもののウエートというのが大体六%ぐらいでございます。また、リースで申しますと、これは電子計算機が一番ウエートが高いわけでありますけれども、この電子計算機について申しますと、約三割ぐらいがこの制度によって供給されておるというふうに見て差し支えないというふうに思っております。そういうことで、品目別に見ましても、この制度というものはかなり中小企業の設備近代化あるいは経営の合理化というものに貢献しているというふうに見て差し支えないというふうに思っております。
  92. 青山丘

    ○青山委員 引受保険の件数も金額も相当上がってきているように思います。この制度によって中小企業の設備の近代化がかなり進んできていると私も実は思っていますが、この機械類信用保険制度の対象となっている機種が政令で定められている。現行政令で定められている機種についてどう考えておられるのか、これからどんな考え方で進めようとされているのか、まずちょっとお聞かせいただきたい。
  93. 志賀学

    志賀(学)政府委員 この保険制度の対象機種でございますけれども、どのような考え方で対象機種を選んでいくかということにつきましては、先ほども御答弁申し上げたところでございますけれども中小企業の方が多く使うそういう機械、例えば七〇%ぐらいは中小企業の方が使っておられるそういう機械を選んでいく、あるいは生産ロットがある程度規模、例えば百億円ぐらい、ある程度そういった規模のそういう機械を選んでいく。これはある程度規模がございませんと、なかなか保険という制度、大数法則のもとに機能いたします。そういう制度に乗りにくい、こういう観点から出るものでありますけれども、そういった基準、あるいは需要者の方の希望がどのくらい強いか、そういったもろもろの要素を考慮しながら、この対象機種を選定してまいっているわけでございます。  ただ同時に、既に指定した機械でございましても、時代の流れとともに余り中小企業の方が利用しなくなってくるということもございます。そういった機種については削除をしていく。また同時に、今まで中小企業の方が余り使っていなかった、そういう、例えば高価な機械も次第に中小企業の方が使われるようになってくるとすれば、従来指定しなかった機械も追加して指定していくということで、私どもといたしまして、随時この実態をにらみながら追加あるいは削除という形で、中小企業の方々の設備近代化あるいは経営の合理化、そういった観点からの機械あるいはプログラムに対するニーズに十分こたえられるような形でこの制度を運用してまいっておりますし、これからもそういう形で運用してまいりたいというふうに存ずるわけでございます。
  94. 青山丘

    ○青山委員 この機種の選定については、技術革新が非常に目覚ましいという背景から、機種の追加などは相当弾力的にやっていくべきではないか。また、その追加に伴って削除の問題もきっと出てくるのでしょう。その辺の対応は相当幅広くなされていってもいいのではないか。そして中にはそれほど利用もされなかったというようなものが出てきても、その辺の弾力的な取り扱いが必要ではないかと思うのですけれども、機種の選定に当たってもう少し御説明がいただきたい。
  95. 志賀学

    志賀(学)政府委員 機種の選定についての基本的な考え方先ほど申し上げたとおりでございます。例えば、そういう考え方に基づきまして、五十九年度について言えば、電子式構内電話交換機をリース保険の対象として新しく追加するということにいたしております。ただ同時に、食料・飲料加工機械、これは最近中小企業の方々の需要が余りなくなっております。そういう観点から割賦ローン保険についてこの食料・飲料加工機械を削除する、こういうことで実態に合わせた形で指定を見直しているわけでございます。  いずれにいたしましても、昭和三十六年にこの制度が発足したわけでございますけれども、三十六年当時で申しますと、割賦ローン保険として五機種が指定されたわけでございます。その後、割賦ローン保険は逐次追加が行われまして、同時に他方において、使われなくなったものについては削除も行われたわけでございますけれども、五十九年度におきましては、先ほど申し上げたようなことで二十五機種というような形になっているわけでございます。  また、リースにつきましても、これは四十八年度から発足したわけでございますけれども、これは当初十七機種から始まりまして、これは追加だけ行われてまいっておりまして、五十九年度では先ほど申し上げましたように一機種追加ということで三十二機種ということで、この制度発足当時に比べますと大幅な増加ということになっているわけでございます。  私どもといたしまして、先ほども申し上げましたように、この実態の動き、中小企業の方々の実際のニーズの動きを十分踏まえて対応をしてまいりたいというふうに思っております。
  96. 青山丘

    ○青山委員 かつてME工作機がコンピューターの分野に入るのか工作機の分野に入るのかということで判定に困難な時期があったと聞くのですね。そういう中間的な立場にある、今まで出てきたのでしょうが、将来例えば省力化機械だとか、あるいは安全設備だとかいった中間的な機種についての幅をこれから考えていっていただかなければならぬのではないかと思うのですね。  それから、中小企業におけるME機器の導入状況、これと中小企業におけるME機器を使いたいという潜在的な意欲を顕在化させていく施策、お考えでありましたら述べていただきたいと思います。
  97. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 お答えいたします。  中小企業におきますME機器の導入状況でございますけれども、私どもの調査によりますと、三年前の時点では中小企業はメカトロニクスの機器を導入しております割合が二割弱にすぎなかったわけでありますけれども、現在では既に三割に達しておるという状況でございます。ただ、大企業に比べますと、大企業は既に七割を超える導入状況でございますので、中小企業段階ではまだまだME機器の導入が非常におくれておるということが言えるかと思います。  さらに、将来にわたります導入意欲という点を見ますと、三年先までにぜひ入れたいというのが五割以上の比率を占めておるわけでございまして、中小企業におきますME機器の導入意欲と、それから導入の必要性ということは非常に高まりを見せておるというふうに見ております。そういうような背景を踏まえまして、私どもといたしましては、五十九年度からいわゆるメカトロニクス税制を導入いたしまして、八十八の設備の機器につきましては三〇%の特別償却あるいは七%の税額控除、いずれかを選択できるという税制を導入することに踏み切ったわけでございますけれども、これによりまし工中小企業のM正機器の導入というのは非常に大きなメリットを与えられることになりますので、五十九年度、六十年度におきましてME機械の導入が大幅に前進するというふうに期待しておるわけでございます。
  98. 青山丘

    ○青山委員 今メカトロ減税の話が出ましたが、この租税特別措置によって相当な設備投資が促されるのではないかと期待しています。そこで、このメカトロ減税の措置によって機械類信用保険制度利用への関連はどのようになっていくのか。
  99. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  この中小企業新技術体化投資促進税制の対象設備でございますけれども、これは八十八機種ございます。そのうちこの機械類信用保険制度の対象機種になっておりますのが約七割でございます。そういうことでございますので、恐らくこの投資促進税制によって投資が促進されるであろう、同時に、この保険制度によっても同じように中小企業の方々が設備投資しやすくなるわけでありますから、そういう意味において投資促進効果があるわけでございまして、この両制度が相まって中小企業のメカトロ導入によります設備近代化というものが大きく進むのではないかというふうに私どもも大変期待をしているわけでございます。
  100. 青山丘

    ○青山委員 大臣、今メカトロ減税によって中小企業の設備の近代化が相当促進される、これは多くの人たちが期待しております。ただ本保険制度ではまだ七割が対象機種になっているにすぎないということで、今後ぜひ拡充していっていただきたいし、今回の減税規模が約三百億円、こういうことですが、大臣が就任のときに私は大変期待しておりまして、記者会見の模様などを新聞で読ましていただきましたが、中小企業の近代化のために、振興のために大いに取り組んでいく、そのためには設備投資減税をやっていく、非常に心強い御発言がありました。これからの決意をひとつメカトロ減税についてもっと積極的に取り組むということで、ぜひ一言お述べをいただきたいと思います。
  101. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 通産省は、私の就任以前の五十八年度におきましても、中小企業の投資促進措置を行ってきたわけでございます。それに加えまして、ロボットあるいはコンピューターの急速な発展、そういうこともまた中小企業に導入いたしまして、生産性の向上あるいは設備の近代化を行わなければならない、そのためには設備投資減税をしなければならないということはかねてからの私の考え方でございました。     〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕 しかしながら、現実の問題として、非常に財政の厳しい事情の中でこれを創設するということはかなりな困難をきわめたのでございます。しかしながら、通産省挙げてこの税制を創設いたしたわけでございます。今後のいろいろな技術進展の世の中に対応いたしまして、この措置を私どもは全力を挙げて今後拡充していく、そういうことの中に中小企業の近代化というものをますます推進していきたいという一致した考え方を持ってやってまいる所存でございます。
  102. 青山丘

    ○青山委員 技術革新がどんどん進んでいく中で中小企業の設備の近代化というのはなかなか大変なことです。ぜひひとつメカトロ減税拡充のために取り組んでいただきたいと思います。  それからリースの取引における取引の硬直性が私は問題だと思っているのです。実は私自身もこの問題で少し携わったことがあるのですが、法的には三年以上使用ということが義務づけられているのです。また中途の解約ができない。ところが事務機器社会では非常に進歩が早い。日進月歩という言葉があるけれども、最近では秒追分歩と言われるくらいこの事務機器社会の進歩というのが早い。そうなってくると、三年以上の法的な期間あるいは途中で解約が不能、こういう締めつけがありますとなかなか設備を新しくかえる、これはリースですから、所有ではなくて使用するということに意味があるわけであって、古い機種をなお使っていかなければいけない、こういうことなんです。ですから、例えば二年以上に短縮していくという方向は検討されているのかどうか、どうですか。
  103. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  リース契約の要件というものは、機械類信用保険法によって実は要件が決められているわけでございます。この使用期間について申しますと「三年以上において政令で定める期間」ということに法律でなっているわけでございまして、現在三年以上ということで決まっているわけでございます。  この法律におきましてリース契約についていろいろ要件を決めているわけでございますけれども、この要件の決め方というのは、リース業界の実際の取引の実態というものを踏まえて決めているというふうに理解をしているわけでございます。したがいまして、もちろん中小企業のニーズの実情というものも踏まえながら、同時にリース業界の取引の実態ということをいろいろ考えながら考えていかなければならない問題ではないかというふうに思いますけれども、いずれにいたしましても、現在法文上三年以上ということになっているわけでございまして、現時点においてこの三年以上という点について法律を改正することを検討しているという段階ではまだ私どもとしてございません。
  104. 青山丘

    ○青山委員 税務上の問題もあると聞いておるのですけれども、これは今後の課題としてひとつぜひ受けとめておいていただきたい。  それから機械類信用保険制度の運用について少しお尋ねいたします。  本保険制度は昭和三十六年の発足以来中小企業の設備の近代化と経営管理の合理化、機械工業、ソフトウエア業の振興に大きな役割を果たしてきました。これまで数度にわたる改正で制度の改善が行われてきておりますが、前回の昭和五十七年の改正においてプログラム信用保険制度が創設されております。これはコンピューターのプログラムにかかわる割賦・ローン販売、リースによる取引を信用保険の対象に追加したものです。これは中小企業のプログラムの入手を円滑にしてほしい、またプログラムの流通を促進することによってソフトウエア産業の基盤を強化していかなければいけない、こういった社会的な要請に対処したものでありますが、従来、ハードウエアの附属品的にプログラムが受けとめられておりましたけれどもコンピュータープログラムがだんだん認められてきて、そのプログラムの流通取引における使用権という概念が出てきました。  プログラムの信用保険制度は、プログラムの使用権の流通を公式に認知したものであります。このことは、その後のプログラム保険利用状況から見て、時宜にかなった改正であったと評価する向きがあります。そこで、プログラム信用保険利用状況はどうか、運用実績はどうか、今後の見通しについてお考えを聞かしていただきたいと思います。
  105. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  五十七年の七月から、コンピュータープログラムにつきまして、この保険の対象にするということで、制度が、引き受けを開始したわけでございます。五十七年度の実績で申しますと、これは当初、保険引受金額は十億円ぐらいであろうというふうに見ておったわけでございますけれども、それが実績は二十一億六千五百万円ということで、約倍以上の実績を上げたわけでございます。さらに、五十八年度になりますと、保険引受金額は六十三億円に達するということでございまして、非常に急速な伸び示しているわけでございます。  このようなコンピュータープログラムの保険引受金額が急速に伸びているということは、これはやはり中小企業の方々の経営合理化への意欲が大変強いことの反映というふうに思っているわけでございます。同時に、このような中小企業の方々の意欲というものは今後さらに強まっていくだろうと思いますし、情報化社会へこれからさらに進んでいくわけでございまして、そういう面から申しまして、このプログラム信用保険というものはさらに伸びていくだろうと思っております。  同時にまた、コンピュータープログラムの業界という立場から、コンピュータープログラムの産業振興という面から申しましても、この日本のコンピュータープログラムの業界の問題点といたしましてよく言われますのは、汎用プログラムの開発、流通の点で、諸外国に比べておくれておるということが指摘されるわけでありますけれども、こういった汎用プログラムの開発を促進し、流通を促進していく、それによってプログラム業界の振興を図っていくという面から申しまして、この制度は大変意義が大きいというふうに理解をいたしております。
  106. 青山丘

    ○青山委員 予想を上回る利用の実績があって、それなりの評価を受けているものだと思います。  そこで、時間の関係で質問をすべきかせざるべきかと迷っておりますが、これはまた改めて質問させていただきます。中小ソフトウエアハウスの育成の問題も改めてまた質問をいたします。  そこで、ソフトウエア産業の振興と経営基盤強化のためには、プログラム開発者の権利関係を明確にして、その法的保護を確立していく必要があります。この点については、通産省も文化庁も大体同じ考えでしょう。聞きましたら、相当な人数でプログラムを組んで、例えば一千万ぐらい、あるいはそれ以上の費用をプログラムにかけても、それがコピーされるときは一分とか五分とか十分とかで、いともたやすくコピーできるんだそうですね。そうしてできますと、プログラムをつくってきた人たち、プログラマーの養成のためによくない、また、ソフト産業のためにも、それでは権利が保障されておらないということで、プログラム権法なるものが検討されている。  先ほどもやりとりされておりましたが、少し私の立場からもお聞きいたしたいが、三月二十七日がプログラム権法の一応の提出期限であったと聞いておりました。これは過ぎましたが、現行、どのあたりまで進んでいるのか、また、どのような考え方でこれから取り組まれていくのか、法的な作業、これからの取り組みについて、お聞かせいただきたい。
  107. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしまして、コンピュータープログラムの権利を保護していくということは、コンピュータープログラムの開発を促進していくためにも、あるいは流通を促進していくためにも、大変必要なことだというふうに思っているわけでございます。  そこで、そういったコンピュータープログラムの権利をどういう形で守っていくのが適当かということで、私どもといたしましては、コンピュータープログラムというものが経済財であり、そして使用されて初めて経済的な意味を持つものであり、また、技術先端的な工場製品であると観念すべきものではないかということから、著作権法とはやはり別の、独自の法律というものを考えることが適当ではないかというふうに考えているわけでございます。実は、昨年一年かけまして、私どもにございます産業構造審議会の情報産業部会というところで検討していただきまして、その結果を踏まえて、ただいま私が申し上げたような方向で、法案を考えているわけでございます。  ただ、これにつきまして、文化庁におかれては、著作権法の一部改正で対応をしていくのが適当である、こういう御意見でいろいろ作業を進められております。また、アメリカからも、この私ども考えておりますプログラム権法につきまして、その権利の期間が短か過ぎる、あるいはその裁定制度というものについては問題がある等、幾つかの問題点の指摘があるわけでございまして、私どもといたしまして、このアメリカあるいは文化庁との意見調整を現在、鋭意進めているところでございまして、三月二十七日も過ぎて大変おくれているわけでありますけれども、何とか意見調整を早く進めて成案を得たいということで、現在、鋭意努力しているのが現状でございます。  なお、よく言われるわけでありますけれども、このコンピュータープログラムの保護について、これを国際的に、例えばベルヌ条約という著作権に関する条約があるわけでありますけれども、そのベルヌ条約の枠内で保護をしていくということが、国際的なコンセンサスであるということがよく言われるわけでありますけれども、私どもの理解は、そのような国際的なコンセンサスはないという理解でございまして、私どもといたしましては、国際的にこのコンピュータープログラムの実態に即した権利保護制度というものを確立していくべきではないかということで、国際的にむしろ働きかけていくことが適当ではないかというふうに思っているわけでございます。
  108. 青山丘

    ○青山委員 国内調整、国際調整、多事多難、なかなか困難ですが、しかし、私は、コンピュータープログラムの法的な保護について、ぜひひとつしっかりと取り組んでいただきたい。また、これは将来に禍根を残さない形でぜひやっていただきたいという意味では、必ずしも急いでという気持ちではありません。慎重に、じっくりと将来に禍根を残さない形で、プログラム権法と言っては言い過ぎですけれども、プログラムの法的な保護にひとつ取り組んでいただきたいと思います。  そこで、私、もう時間がありませんので、ずっと先へ進みますが、今回の機械類信用保険制度の改正、公庫に移されるというこの移管、問題は行政改革の実行の立場からその成果を上げていただけるのかどうか、その辺の取り組みをぜひ聞かしていただきたい。例えばこれから必要でない書類は整理していくんだとか、また、移管だけが今問題で、そこまではいかん-冗談にもなりませんが、公庫に移ってなるほどよかったと思われる業務運営がなされていくのかどうか。お願いします。
  109. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしまして、この機械類信用保険制度が普及するに伴いまして事務量増大してきたというようなことを踏まえまして、この際中小企業信用保険公庫移管した方がむしろ公庫の大型電子計算機を利用できるとか、あるいは公庫の方たちが持っておられる審査に関するノーハウが利用できるとか、そういったいろいろな観点から申しまして、公庫移管をした方がよりよく対応ができるのではないか、こういう観点でこのたび公庫移管するということで、法律改正をお願いを申し上げているところであるわけでございます。  ただ、たまたま他方におきまして、特許庁の方において特別会計の設置をしなければいけないという事情もあったわけでございますけれども、それに関連いたしまして、臨調の答申という面から申しましても、公庫移管するということが臨調答申の趣旨にも合う、こういうことで私どもは思っているわけでございまして、いずれにいたしましても、私どもとしては、この公庫への移管というものはまず何よりも業務のより効率的な利用のために公庫に移した方がこの際適当ではないか、こういう判断がまずあって、それで実施するものであるということで御理解をいただきたいと思います。  私どもといたしましては、この移管に伴いまして、仮にも利用者の方々に御迷惑をかけるということがないように、これは大臣からも先ほど申し上げましたように、公庫の方と十分お打ち合わせをして、御迷惑をおかけすることがないように十分な配慮を払ってまいりたいというふうに思いますし、さらに公庫の方々の御努力によって、従来よりもさらに効率的な業務が行われるように、私どもとしても公庫の方々に御協力を申し上げてまいりたいというふうに存じているわけでございます。
  110. 青山丘

    ○青山委員 公庫移管に伴う利用者に対する周知徹底の手順というのはできておるのかどうか。それから公庫移管の後に将来展望としては民営化の考え方があるのかどうか、お尋ねします。
  111. 志賀学

    志賀(学)政府委員 私どもといたしまして、二月から三月にかけまして、この移管に関連いたします説明を、保険契約者の方々に対しまして十分各地を巡業いたしまして説明をいたしてまいったところであります。さらにこれから十月一日から移管が行われるわけでありますけれども、これからも必要に応じまして十分な説明をしてまいりたい、利用者の方々に不安を与えないということに十分な配慮を払ってまいりたいというふうに考えているわけであります。  また、第二の御質問でございますが、民営が考えられないかということでございますけれども、私どもといたしまして、民営ということになりますと、国営あるいは中小企業信用保険公庫という公的な機関が行うような形では恐らくまとまったニーズということも出てまいりませんでしょうし、あるいは信用という面におきましてもいろいろな問題があるであろうというふうに思うわけでありまして、恐らく民営ということになりますと、現在よりも料率が上がるとか、いろいろな面で利用者の方々にむしろ不便を与えるというおそれがあるというふうに考えております。こういった保険制度というものは国あるいは公的な機関、特殊法人によって実施していくということが適当ではないかというふうに私は思っております。
  112. 青山丘

    ○青山委員 質問を終わります。
  113. 梶山静六

    梶山委員長 小沢和秋君。
  114. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 初めに大臣に二、三点お伺いをしたいと思うのです。  提案理由では、機械類信用保険事業の今後の事業量の増加などに備えて、体制を強化するために今回の中小企業信用保険公庫への移管を行うということになっておるようですけれども、それならば国の直営のままで強化をするということも考えられるわけであります。しかも移管先が全国に支店も出張所もない中小企業信用保険公庫で、これからそういう体制をつくっていくのだということになると、なおさら何でそういうことをやってまで移管をしなければならないかという疑問に突き当たらざるを得ませんし、だから先ほどから議論されておるように、臨調で特別会計の新設を抑制されているので、特許特会を認めさせるためにこれは廃止するのだというふうにずばり言っていただいた方がわかりやすいのじゃないかと思うのですが、この点いかがですか。
  115. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 このたびの業務移管は、たびたび申し上げましたとおり、これから着実な増加が見込まれます機械類信用保険業務増大に円滑かつ弾力的に対処し得る体制の整備を図ること、これが目的であるわけでございます。そして、いまおっしゃられたように、この措置は特許特別会計の新設との関連において第二次臨調最終答申の趣旨にも合わせなければならない、また合致したものと考えております。
  116. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 臨調の方にも合わせなければならないというけれども特許特会をつくるということが先にあって、そしてそれを認めるためにこれを廃止しなければ認めてもらえないということで、その事情があったからこういう法案になったのじゃないですか。そういう意味じゃこれは臨調絡みの法案だというふうにみなさざるを得ないと思うのです。  もう一つ、お尋ねしたいと思うのは、いわゆる行政改革ということが言われるようになってからの幾つかの法案審議に参加したわけですけれども、臨調絡みというのは小手先で、基本的には国民が願うような、国民にはサービスを充実しながら行政機構は簡素化していくようなものとして、なるほどと国民の胸に落ちるようなものはほとんどないんじゃないかという気がするのです。その点大臣の立場でどうお考えになるかもずばりこの機会にお尋ねしておきたいと思うのです。
  117. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 この措置はこの措置として、議論はいろいろあると思うのです。しかしながら、行政改革そのものも委員のおっしゃるような簡単なものではなく、国家として非常に大きな命題であると思うのでございます。それを受けた臨調答申というものと合致させなければならないということが我々の立場であり、合致したものに対する措置というものを最大限にこれから効果を発揮していかなければならない。そういう考えのもとに我々は努力いたしてまいるということであります。
  118. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 時間もありませんから、そのことはその程度にしますけれども、この法案どおりになると、急増する業務量をどう処理するのか、それから、全国的なサービス体制をどう早急につくっていくのか、さらに、出向する通産省職員の待遇や将来に不安はないか、こういうようなことが問題になると思いますが、先ほどからいろいろやりとりもありました。私が伺っておったところでは、そういう点についてはもう万全を期しているから心配をしてくれるなという立場であったと思いますが、その点を私の立場からももう一度確認をしておきたいと思うのです。  それからもう一つお尋ねをしておきますが、業務移管時に抱えておる赤字約十九億円は資本を減らして清算するということになっておるようですが、昭和五十二年からずっと赤字続きの中で、昭和五十八年だけわずかに三億二千万円ほどの黒字が見込まれておるというけれども、こういうふうに資本を大幅に減らしたというような中で、今後の業務の運営に不安はないのか。私は、この機会に保険料を上げて将来の運営を安定させておくということも一つのきっかけになるのではないかと思うのですけれども、そういうようなことは必要がないのか。こういうようなことについて、大臣の責任のある立場から一言ずばっと総括的にお答えください。
  119. 志賀学

    志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  先般来多くの先生から、業務移管に伴って不安がないかという御質問がございました。私どもといたしましては、業務移管によりまして利用者の方々にかりそめにも御迷惑をかけるということがないように、十分な対策を公庫の方と十分協議しながら進めてまいりたいというふうに思っております。  また、出向いたします当省の職員に対しまして、私どもとして当然のことながら、職員に対しましても不安を与えてはいけないわけでございまして、この点についても、先ほど来申し上げておりますように、十分な配慮というものをやって進めてまいりたいと思っております。  次の累積赤字の問題でございますが、これはこの法案の附則にあるわけでありますけれども、現在の資本金二十五億七千万円から累積赤字移管時に差し引きまして残った、純資本と申しましょうか、そういった金額が約八億円になると思っております。その八億円を公庫の方に運営基盤整備基金への出資という形で承継をすることにさせていただいているわけでありますが、この八億という数字が十分なものであるかどうか、こういう御質問であろうかと思います。  この八億という数字について、私どもといたしましては、昨年リース保険保険料を一四・四%引き上げたわけであります。そういった効果というものもなお引き続きまして出てまいると存じますし、あるいは保険公庫の方々によります経営の努力というようなこと、あるいは景気の動向などを踏まえて考えていきますと、当面、現在の、五十八年度から出てまいっておりますこの保険制度におきます黒字の基調というものはなおここしばらく続け得るというふうに思っているわけでありまして、そういう意味から申しますと、とりあえずこの八億という資本で特別の心配はないと思っております。  ただ、今後さらにもう少し長い目で見てみまして、公庫における業務の推移いかんによりましては、もちろん必要に応じてこの基金の増額ということも当然考えていかなければならないというふうに思っているわけでございます。
  120. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 この機会でありますから、この機械類信用保険の運営とそれに関連する幾つかの問題もお尋ねをしてみたいと思うのです。  この保険の実績を見ますと、最近では件数、金額ともリース伸びが圧倒的なんです。先日も生命保険関係の大手五社が一斉にリースに進出をするというようなことが伝えられるなど、リース業の急成長ぶりが社会的な関心を集めておりますが、まず、ここ十年ぐらいの間にリースの契約高がどれぐらい伸びたか、これが我が国の設備投資総額の中でどれくらいの比重を持つに至っているかということをお尋ねしておきたい。
  121. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 昭和四十六年度と昭和五十七年度、ちょうど十一年間でございますが、その間比較いたしますと、リース産業の企業数が、十一年前に十九社であったものが百八十六社と、約十倍に増加しております。  先生お尋ねリース契約額でございますが、四十六年度には二千八百億円でございましたのが、五十七年度には二兆三千九百七十億円、約二兆四千億円と八・六倍に増加しております。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕  それから、民間設備投資に占めるリースの契約額の比率でございますけれども、やはり十一年前の昭和四十六年度には一・八%にすぎませんでしたけれども、五十七年度にはこれが六・〇%と大幅に増加してございます。
  122. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 とりわけ、リース業者の上位の企業の伸びというのはすさまじいように聞いておるのです。それで、あなた方の方が扱っていらっしゃるのは保険の引き受けですから、その保険引受額という面で見て、上位五社と十社という二つの数字をお願いしたいのですが、最近二年間で結構ですから、この保険引受額がどのようにこの五社、十社でウエートとして変化したか、これもちょっと教えてください。
  123. 志賀学

    志賀(学)政府委員 まずリース保険の上位五社で申しますと、引受保険金額のシェアで申し上げますが、五十五年度では二二・〇%でございます。五十七年度では三一・六%ということでございます。それから、次に上位十社でございますけれども、同じように五十五年度では三六・一、五十七年度では四九・三、こういうことになっております。
  124. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今言われたとおり、このわずか二年の間で、上位五社でも九・六%ウエートが伸びている、それから、上位十社の場合には一三・二%もウエートが伸びているということで、このリースの大手各社がどんなに物すごい勢いで伸びているかということは明らかだと思うのですが、これらのリースの大手というのは、ほとんど例外なしに大企業の資本系列下にあるわけでしょう。その点も念のためにお尋ねしておきたいと思うのです。
  125. 志賀学

    志賀(学)政府委員 ちょっと手元に資料がございませんけれども、多分そうではないかというふうに思います。
  126. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 例えばこのリース業者の中で最大手のオリエント・リースなどという会社も、私がさっき調べてみたら、三和銀行とかニチメン、太陽神戸、興銀、こういうようなところが出資してやっているようですし、みんなこういうような大手の業者とつながりを持ってやっているわけですね。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕  そうすると、お尋ねしたいのは、この保険法律で、中小企業の設備の近代化及び機械工業の振興が目的というふうに言われているわけですけれども、実際には、中小企業の設備近代化よりも、こういうリース業者、そのまたバックにいる大手の資本などがどんなに機械類などをどんどん売っても絶対損をしないということを保障する仕組みがあって、それがいわば心配ないから、中小業者でもどんどん売ったら結果として中小業者の設備近代化に役に立っておる、こういう仕組みなんだというふうに私は理解したのですが、そうでしょうか。
  127. 志賀学

    志賀(学)政府委員 この制度はまさに中小企業の近代化を図るということを一つの大きな目的として行われている制度でございます。そこで問題は、したがいましてこの機械をだれが使っているかということでございます。すなわち、ユーザーの中で中小企業がどのくらいの比率を占めているかということが問題であるわけでありまして、そういう面で申しますと、割賦保険で申しますと九〇%、リース保険で申しますと七〇%、平均しますと七三%、この七三%が中小企業の方々が使っているウエートでございます。そういう意味におきまして、この制度というものはまさに中小企業の設備近代化のための制度であるというふうに私ども考えているわけでございます。  むしろそういう保険契約者としては、リース業者も確かに大手のリース会社もおられます。おられますけれども、そういう方々、そういうリース会社が中小企業に対しまして普通ではなかなかリースしにくい場合でもリースできるように、それによって中小企業の近代化を進めていこうということで保険をしているわけでございまして、決して大企業のための制度ではないというふうに私は思っております。
  128. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そのことについては時間がないから論争しません。  それで、もちろん私もリースということの意義そのものを否定しているわけではないのですよ。リースがあるために経費で落とせるとか、最新鋭の設備が導入できるとか、手軽に利用できるとか、いろいろメリットを数え上げる声は私どもの耳にも入っております。しかし一方では、リース料が高いとか、先ほども問題になりましたが、中途解約ができないとかいうような不満もいろいろ聞いてもいるわけです。リース料が高いという意見については、私も調べてみたのですけれども、例えばある病院で医療用の電子機器とか分析機器などを六十カ月払い、つまり五年間でリースをした場合、一回あたり二・〇六%から二・一五%ぐらい払わされているのですね。一千万円の機械だった場合には二十万六千円から二十一万五千円、だから六十カ月払うと千二百三十六万円から千二百九十万円払うわけです。だから、一千万円の機械について、この契約期間が解除されたら、またさらに業者は再リースなどということでうんと稼いでいくのでしょうけれども、この五年間だけでもう二割から三割原価よりもがっちりもうける。だから、みんな高いと感じているのじゃないかと思うのですが、この辺もっと引き下げるように指導をすることができないかということはいかがですか。
  129. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 リース料と申しますのは、まず最初に物件の取得価格という、今先生の御指摘の一千万円というのがございます。それに金利、税、固定資産税でございますね、それから保険料、リース会社の管理費、利益などを加算したものでございます。これにユーザーの信用力とか、あるいは金融情勢によって異なってくると思いますから一概には高低を判断することはできませんし、またその水準自体が基本的には市場経済のメカニズムというものにゆだねるべきものだと思います。昨今リース業界、先ほど先生指摘のように参入が大分多くなっておりますので、そういう意味では競争が非常に激しく厳しいということでございます。これは結局はリース料が適正な水準に設定されている力になっているのではないかと思います。  それから、第二段の中途解約の問題でございますけれども、今リースの主流をなしておりますファイナンスリースというものになりますと、リースが特定のユーザーになっておりますので、その回収システムという性格上、中途解約というものはある程度制限せざるを得ないと思います。しかし、昨今の御要望というものがございますので、リース業界の方でもオペレーティングリース制度というものを使いまして中途解約ができるような新商品というのでしょうか、そういうものを開発しておりますし、また特定のユーザーではない場合にはいわゆるレンタルというものがございます。これも中途解約ができることになっておりますので、時流に応じまして対応をいたしておる次第でございます。
  130. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 とにかくリース業界というのは今最大の成長産業の一つになっている。だから、物すごい勢いで伸び、そしてもうけも大きいわけですね。五十六年度の売上総利益率を業界の発表によって見ると、九・八六%、粗利益は約一〇%なんですね。これは前年比プラス二九%、三割近くも相もうけは伸びているのですよ。そして経常利益でいつでも二・二%、これも二七%伸びているのですよ。お客さんである中小企業はみんな青息吐息でしょう。そういう中でリース業界は大もうけというのでは、これは中小業者としてはなかなか理解しがたいと思うし、価格が高いか安いかみたいな話もさっきちょっとどこかで声が聞こえてきましたけれども、私は、こういう業者が相手なんだということも考えてひとつ指導を強めていただきたいと思います。  時間もありませんから先へ進みますけれども中小企業の倒産が戦後最高を続けているということは、この前も私、別の質問でここで問題にしたわけですけれども、そういう中で、多くの中小業者は設備投資をやりたくて、自分のところが老朽化したなど感じておってもなかなかできないというのが実態ではないかと思うのです。白書によると、そういうことを感じながら投資を見送り続けている人が七七%もいるというようなことが書いてあるのですが、これが実情ではないのでしょうか。そのことをまず確認する意味でお尋ねをしておきたい。
  131. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 中小企業設備投資動向は、景気の動向にもよりますし、また資金力等にも依存するわけでございますが、最近数年におきましては、中小企業設備投資について、意欲はありながらなかなか市況あるいは金利の動向等によりましてこれに踏み切れなかったという点がございます。ただ、最近におきましては、中小企業の設備意欲も盛り上がりを見せておりまして、ことしに入りましてから中小公庫等の設備投資の申し込み状況を見ますと、対前年比二割以上の水準になってきておるという状況でございます。
  132. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 そのように苦しい中で投資をする人たちがどういうような目的でやるかということについても、中小企業白書にいろいろ書いてあります。私はこれを見て本当に胸を締めつけられるような思いをしたのですけれども、「コストダウンを図るための省力化・合理化設備の増加」これが六〇・八%、「多品種少量生産に適した設備の増加」これが四〇・三%、「高品質・高精度の製品を生産するための設備の増加」これが三六・七%、納期が短くなっていますから、「短納期に対応できる設備の増加」一九・五%、こういうような数字が並んでいるのですね。だから、調子がよくて生産設備を増強する必要があるからなんというのはもうほとんど影を潜めているのですよ。みんな必死になって、生き残ろうと思ったら親企業などの要求にもこたえざるを得ないという中で設備投資をやらざるを得ないわけですね。だから、私はそういう意味で、政府としても、こういう今非常に厳しい中で設備投資を進める業者に対して、もっともっと援助を強めていただきたいと思うのです。特に小規模企業への援助として重要な意義を持っているのは中小企業設備近代化資金ではないかと思うのですが、これが五十九年度予算でどうなっておりましょうか。
  133. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 お答えいたします。  五十九年度におきます中小企業設備近代化資金の予算でございますけれども、貸し付けの計画で申しますと、設備近代化資金の項目につきましては約四百億円の貸し付けを予定しております。また、設備貸与事業の方につきましては、貸付規模は対前年八・五%アップの四百三十四億円を予定しております。
  134. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今都道府県の方なども含めての金額が出されておりますけれども、国の今年度どれだけ出すかという金額で見た場合には、貸し付けの方の金額など相当大幅に減っている。それから、設備貸与の方は横滑りというような状態じゃないですか。だから、私はもっとこういうような関係については施策を充実していただきたいと思うのです。  私が地元の福岡県に問い合わせしてみたら、福岡県では五十八年度の予算は、貸与協会では一月に枠を使ってしまったというのですね。そのころ相談に見えた方には、五十九年度になるまで待ってくれということでストップをかけているというのが実態だというような話も聞いておるのです。  そういう点で、施策の充実をというふうに言うわけですが、ところが、ちょっと聞いているところでは、最近大蔵省などが県に国の方から出す金は利子つきにせよとか、あるいは業者への貸し付けの利子、今五%ですけれども、これを上げろとかいうふうに言っているというような話も聞くのですけれども、充実してもらいたいというときに、こういうような後退をさせられたのでは、これは話にならぬと思うのです。その点で、さらに私は充実をすべきだという立場から、少なくとも後退は許されないと思うかどうか。  それからもっと充実をしていくために、例えばNC工作機械などは千五百万円も一台でするというわけですね。だから中小企業にとって非常に負担が大きいので、今これは五年以内でしょう、それを七年くらいに延ばしてほしいというような要求もあるけれども、こういうような点についてどうか。  さらに、時間が来たという紙が来たからこれでやめますけれども中小企業近代化資金等助成法によると、貸与協会の事業としてリースにも手を出せるようになっているんじゃないですか。この助成法の第三条一項の二号には、「中小企業者の事業の用に供する設備で中小企業の近代化に著しく寄与すると認められるものを譲り渡しこれは今やっているわけですね、「又は貸し付ける事業」というふうになっておって、貸し付けることもできるようになっているはずなんです。だから、今都道府県の貸与協会というのは、名前は貸与なんだけれども、実際には譲り渡ししかやってないのですね。これだけリースに対する要求が強いというのであれば、都道府県の協会としてもリースに手を出すということも考えていくべきじゃないか。あるいはまた、機械類ということにこだわって、今非常に人気があるパソコンとかマイコン、こういうようなものは対象にならないというようなこともちょっと聞いたのですが、これなども対象にすべきじゃないだろうか。  まだいろいろ改善すべき点、指摘したい点もありますけれども、とりあえずそれだけ質問して、終わりたいと思います。
  135. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 御指摘のように、中小企業設備貸与事業あるいは近代化資金の貸付事業につきましては、中小企業政策の中でも特に小規模零細企業対策でございますので、その内容の充実等につきましては、厳しい財政事情でございますけれども、極力これを確保することとしております。  御指摘の貸与損料、いわゆる利子に相当する損料でございますけれども、現行の五%をさらに引き上げるべきだという意見があることは事実でございます。ただ、これにつきましても、五十九年度につきましては、これを据え置くということで予算に組ませていただいております。  また、貸与期間の延長問題でございますけれども、これは現行五年ということでございまして、これをさらに延ばすということについて一部に御希望があることは事実でございますけれども、これも法定されておる事項でございますし、また都道府県の実態を見ますと、なかなかこれを一概に、県の予算等の関係もありまして、延ばすということは難しい現状であるということを御理解いただきたいと思います。  また、リースの問題でございますが、これは現行の形は割賦の形で行われておりまして、小規模企業の取引の実態を見ますと、またニーズの動向を見ますと、必ずしもリースの導入に踏み切ることがいいかどうか、私どもとしては検討すべき案件ではございますけれども、踏み切るには至っておらないということでございます。パソコンの導入につきましては、現在これを対象設備の一部に追加する方向で検討中でございます。これは毎年対象企業あるいは設備を検討いたしますので、現在追加する方向で検討しておるということでございます。  以上、極力小規模企業者の利用しやすい制度して充実してまいる所存でございます。
  136. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 終わります。
  137. 梶山静六

    梶山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  138. 梶山静六

    梶山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  機械類信用保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  139. 梶山静六

    梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  140. 梶山静六

    梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  141. 梶山静六

    梶山委員長 次に、内閣提出中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。小此木通商産業大臣。     ―――――――――――――  中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕
  142. 小此木彦三郎

    小此木国務大臣 中小企業等協同組合法及び中小企業団体組織に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  事業協同組合、商工組合等、中小企業者の組合は、集団化、共同化によって中小企業が地位の向上を図っていく上で、従来から重要な役割を果たしてきております。  しかしながら、近年、安定成長の定着、消費者需要の多様化、経営者の世代交代等中小企業者の組合を取り巻く経済的、社会的環境は大きく変化してきております。  このような環境の変化に適切に対応する組合事業活動の展開及び組合員の世代交代の円滑化が必要になっていることから、組合機能を充実強化し、あわせて組合制度の改善を図るため、所要の改正を行うものであります。  次に、この法律案の要旨を御説明申し上げます。  第一は、組合の行うことができる債務保証事業の範囲の拡大であります。現在、組合は、組合員が金融機関に対して負担する債務についての保証しか行えないこととなっておりますが、組合員の事業活動に係る債務についての保証も行えるよう範囲を拡大することとしております。  第二は、出資持ち口数の制限の緩和であります。一組合員当たりの出資持ち口数は、現在、出資総口数の百分の二十五が限度とされておりますが、脱退した組合員の持ち分を他の組合員が譲り受けようとする場合等においては、この限度を百分の三十五に緩和することとしております。  第三は、組合事業の利用者に対する制限の緩和であります。現在、組合の共同事業については、組合員以外の者の利用は、組合員の利用分量の百分の二十までと制限されておりますが、工場等を集団して設置する組合で、一部組合員の移転に、相当の期間を要する場合等においては、この制限を一時的に、一定限度まで緩和し、また、組合の体育施設等を一般公衆に利用させる場合には、この制限を適用しないこととすることとしております。  第四は、企業組合制度の改善であります。設立後五年を経過した企業組合であって、従事組合員が心身の故障で従事できなくなるような場合にあっては、組合員のうち従事組合員の占めるべき割合等を緩和し、また、企業組合に員外監事を認めることとしております。  第五は、協業組合制度の改善であります。協業組合の組合員の推定相続人が、組合員の生前においてもその持ち分を譲り受けることができることとすることとしております。  第六は、火災共済協同組合の改善であります。火災共済協同組合の共済契約対象者の範囲を拡大し、また、共済金額の制限方法の変更を行うこととしております。  第七は、中小企業団体中央会の事業の例示の追加であります。中小企業団体中央会の事業として、展示会等の開催等の例示を追加することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  143. 梶山静六

    梶山委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、来る十一日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十二分散会      ――――◇―――――