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1984-04-03 第101回国会 衆議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月三日(火曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       大島 理森君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    粕谷  茂君       木部 佳昭君    岸田 文武君       高村 正彦君    仲村 正治君       野上  徹君    野田  毅君       原田昇左右君    深谷 隆司君       古屋  亨君    綿貫 民輔君       伊藤 忠治君    奥野 一雄君       後藤  茂君    中村 重光君       横江 金夫君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    木内 良明君       中川 嘉美君    日笠 勝之君       福岡 康夫君    青山  丘君       伊藤 英成君    横手 文雄君       小沢 和秋君    野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局取引部長 奥村 栄一君         通商産業政務次         官       佐藤 信二君         通商産業大臣官         房長      福川 伸次君         通商産業大臣官         房審議官    棚橋 祐治君         通商産業省通商         政策局次長   村岡 茂生君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         通商産業省生活         産業局長    黒田  真君         中小企業庁長官 中澤 忠義君  委員外出席者         農林水産省農蚕         園芸局繭糸課長 高木  賢君         労働省労働基準         局賃金福祉部企         画官      藤井紀代子君         労働省職業安定         局雇用政策課長 佐藤 仁彦君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ————————————— 委員の異動 四月三日  辞任         補欠選任   辻  英雄君     大島 理森君   浜西 鉄雄君     伊藤 忠治君   青山  丘君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     辻  英雄君   伊藤 忠治君     浜西 鉄雄君   伊藤 英成君     青山  丘君     ————————————— 四月三日  中小企業等協同組合法及び中小企業団体の組織  に関する法律の一部を改正する法律案内閣提  出第六六号) 同月二日  企業管理士法の制定に関する請願(沼川洋一君  紹介)(第一八七七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第三〇号)  機械類信用保険法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三四号)      ————◇—————
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  3. 和田貞夫

    和田(貞)委員 繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正するこの法律案は、織工審なり産構審答申に基づくものによるところが大きいわけでありますが、まず、昨年の十月に出された答申の問題でございます。  御案内のとおり繊維産業というのは、大手の紡績会社から、中堅の企業があり、中小企業があり、末端に至りましたら、いわゆる賃機賃加工者が存在するわけでありまして、また雇用労働者も、条件に比較的恵まれた大企業に働いておる労働者もあれば、中小零細企業に働いておる労働者もあり、非常に多岐にわたっておるわけです。  そこで、大臣諮問に係る答申審議についてでございますが、確かに織工審なり産構審審議委員は、今指摘をいたしましたような各層あるいは専門家の学者の先生等々が網羅されておるわけです。この答申最初にも書かれておるように、確かに審議会委員には多岐にわたる各層が網羅されておるが、その結論をつけるに当たっては、主として合同政策小委員会あるいは専門委員会によって最終的な結論が出されて文書化されておるという気がしてならないわけでありますが、果たして、今指摘をいたしましたように、特に中小零細企業に働いておる雇用労働者代表あるいは賃機業者を中心としたそういう末端作業をやっておられる方々意見というものがこの中に反映しておるのかどうか。今後の繊維産業を問うに当たって非常に大事なことでございますから、その点についてきょうは大臣がおられたら大臣にその点を質問したいわけでありますが、大臣からの答弁は後に譲りまして中小企業庁長官から、ひとつ大臣にかわってお答え願いたい。
  4. 黒田真

    黒田政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、ただいま改正をお願いしております繊維工業構造改善臨時措置法の一部改正を立案する過程、前段階といたしまして、通商産業大臣から、実は一昨年の夏前でございましたか、繊維産業の今後のあり方をめぐって施策あり方はいかがすべきやという諮問をいたしまして、その諮問を受ける形で、繊維工業審議会それから私ども産業構造審議会の中に繊維部会というものがございますが、その合同会議というものを組織いたしまして、昨年の十月末まで非常に長期にわたりまして、いろいろな繊維産業をめぐる諸問題あるいは施策あり方について御議論をいただいたわけでございます。そして、その審議会には各般各層代表方々に御参加をいただいて議論をし、答申の形で取りまとめていただいた、こういうことでございます。  確かに、大変大人数の会合でございますので、実際には会議形式といたしましては、合同会議の全体会議というものの開催回数というものは限られたものにならざるを得ません。したがいまして、そのもとに合同政策小委員会というような、より議論がしやすい場をつくりましたし、さらには、その下に専門委員会とかワーキンググループというふうに、どんどん小さなグループというものをつくって、より専門的に掘り下げた討議をしていただいたということで、そういうところから逐次積み上げられてきて最終的な答申がつくられた、こういうことでございます。  したがいまして、その一番作業単位として小さいワーキンググループにすべての者が参加していたかということになりますと、そこはおのずからメンバーは絞り込まれておりますが、できるだけ広範な方々の御意見を伺うということに私どもも常々心がけてきているところでございまして、そういう小グループ作業におきましても、十分関係方々の御意見を聞くように努力いたしましたが、特に審議会委員との関係で申しますと、実は昨年の初めの段階中間取りまとめという基本的な方向を出して世に問うております。その段階で全体会議というものを一月三十日に開きまして、そこで御意見を伺うと同時に、その審議会の場で直ちに御発言がなければ意見を伺ったということではないわけでございまして、その中間取りまとめ文書というものは広く国内に配付をいたしまして、御意見を伺う機会というものを常に持つ、御意見はどうぞ文書でお持ちください、あるいは御意見のある方々とはお会いをしましょうという機会を多く持ってきたわけでございます。したがいまして、私ども、いろいろな方々とお会いする機会は幾つもつくってございますし、また、年央の七月十七日でございますけれども、大体の方向ということを専門委員会が出した際にも、これは合同会議を開催いたしまして皆さんにその要旨を御紹介すると同時に意見をまた伺う、そしてそれらの意見を全部集約した形で、最終的に十月三十一日に答申というふうにまとまったわけでございまして、御指摘のように合同会議というものは非常に広いものを含んでおって、会議回数は必ずしも多くなかったかもしれないけれども、しかし、それはすべてのもっと小さいグループで行われる議論を十分集約する形で、そしてそういう方々の御意見を伺う機会をつくる形で取りまとめをしている。  したがいまして私どもといたしましては、末端零細企業方々あるいはそこに働いておられる方々の御意見というものは十二分にこの答申の中には反映されている、かように考えております。
  5. 中澤忠義

    中澤政府委員 答申作成過程におきます繊維業界意見の反映という点につきましては、今、生活産業局長が御答弁したとおりでございますけれども中小企業政策の中におきます繊維問題、特に、すそ野の広い中小零細企業が幅広く繊維産業に展開しておりますので、中小企業庁といたしましても機会あるごとに、このような業界からの御意見も拝聴いたしますし、また中小企業政策の中にも繊維対策としての、もろもろの技術あるいは生産性向上等政策を織り込んでまいっておるつもりでございます。先生の御指摘のように、中小企業政策としても業界意見を十分承っていくという方針でございます。
  6. 和田貞夫

    和田(貞)委員 形式的なことを私は答えてくれと言っておるのじゃないのですよ。確かに御答弁のあったのは、それは形式的にはそうなっておるかもわからぬ。審議会委員には例えば消費者代表も入っておる。あるいは中小雇用労働者代表も入っておる。しかし、現実的にこの答申の表題の最初に書かれておるように、合同政策小委員会を七回開いたというのです。専門委員会は二十一回開いたというのでしょう。あるいはワーキンググループの三十六回を開いてトーキングしているということは書いておるわけですが、審議会自体が全く形式化されて、そこに入っておる今指摘をいたしました消費者代表やあるいは中小雇用労働者代表というのは、この合同政策小委員会の中にもあるいは専門委員会の中にも入っておらないわけでありますから、最終的に議論を進めて、そして作業を進めて文書化して結論づけるというのは、主として専門委員会が実質的にこの答申作業をやっているじゃないですか。そういうところに入っていないじゃないですか。やはり今後の繊維産業を考えるという場合には、今日まで置かれてきた繊維産業実態なり、なぜそういうような今日の繊維産業の混沌とした状態が存置されておるかということをきちっと把握して、その上に立ってかくあるべきだという答えを出さない限りは、文書化に終わってしまいますよ、実態というものをきちっとつかまない限り。その実態をきちっとつかむために私は言っておるのです。あなたの答弁のように、形式的に審議会委員があって、それは意見も聞くようにしておるとか、あるいは審議会委員に別段の御意見がなかったとか、そういうようなことをお答えになったが、私が質問しているのは零細業者意見あるいは零細に働く雇用労働者意見、あるいは強いて言うならば消費者代表意見というものは入っておらないということを私は言っておるのですが、それはどうですか。
  7. 黒田真

    黒田政府委員 審議会自体には各般各層方々代表に入っていただいておりますが、実際の作業をいたします専門委員会等段階に同じ方々をすべて網羅しようということになりますと、それは結局非常に大きな全体会議を数十回開くという実行上極めて難しいことになるわけでございまして、そこはある程度メンバーを絞り込んだ形で詰めた議論をしていただかざるを得ないというのが実際上の進め方としての制約でございます。  しかしながら、そのことが、その会合に参加しておられない方々の御意見を伺わないとか、形式的に大きな審議会での御発言だけで意見を伺ったことにするという意味では全くないわけでございまして、それはそれぞれヒアリングの機会を設ける、あるいは直接お会いしてお話をし、あるいは御意見を伺う機会を設ける。そして、さらにそれにつけ加えて、御意見があればそれを文書等の形で出していただくという機会は各会合ごとに呼びかけを行いまして、そういうものは多数私どもいただいておるわけでございますが、そういうものを全部勘案しながら専門委員会等段階で文章化していく、そして最終的に合同会議の場でそれを御確認いただく。そして、その際もできるだけ事前にごらんいただきまして、御意見のあるところはそれを取り入れるということでございまして、確かに、すべての会合にすべての方が参加しておられるというふうな形式を確保することはできないということはございますけれども、御意見だけは十二分に伺うというつもりでやってきたと思いますし、私ども可能な限りでは御意見を吸い上げさせていただいておる、かように考えております。
  8. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そういうつもりかもわからぬけれども、私の方の見る限りにおいては、そういうような作業が進められておらないために、この答申の内容を見てみましても、あるいはこれからあなた方が新しい時代の繊維産業を進めていく、しかも先進工業国型の繊維産業を進めていくということが、言葉ではあっても実態が伴っておらぬ。例えば、それがために零細二次加工業者やあるいは中小産地問屋保護育成政策というようなものについての提起というのは極めて不十分でありますし、あるいは消費者のニーズに応じた繊維産業進め方といったところで、消費者がどういうように考えておるかということが、具体的に専門委員会合同政策小委員会意見を聞く場というものを求めておらないわけでありますから、非常にその点は欠けておるというように私は思うのです。あるいは、特に末端賃機加工業者が、いわゆる雇用労働者最低賃金をも保障されないような加工賃で辛抱させられておるというところから、雇用労働者、特に繊維産業は他の産業に比べて極めて劣悪な労働条件の中に放置されておる。肝心かなめの働く労働者繊維産業に対して魅力を感じるという形がなければ、先進工業国型の繊維産業を目指してといったところで、肝心の働く者がそういう気にならなければこれはどうにもならないじゃないですか。そういう点がこの答申の中にも極めて欠落しておるし、あるいはあなた方の今後の繊維産業進め方についてもその点が極めて不十分であるし、余り力こぶしを入れた政策を出そうとしておらないということが如実にうかがわれるわけです。そういう点はどうですか。
  9. 黒田真

    黒田政府委員 確かに、繊維産業というものは極めてすそ野の広がりの広い産業でございますが、同時に発展途上国工業化発展段階の初期にどこの国でも発展をするということで、非常に発展途上国型の労働集約的な産業だ、従来そういう理解があったように思います。その結果、ややもすれば後ろから追いかけられていくのをどうやって逃げていくかというような形で、衰退の運命があるというふうに一般的には考えられていたかと思います。  しかしながら、確かにそういう要素がないわけではございませんし、現実発展途上国の追い上げによって置きかえられた部分は相当多いわけでございますけれども、ある部分置きかえられた後の現状を見ると、それはもう先進国が持っているポテンシャルを生かさなければ発展しないような産業だ。むしろそこには相当な飛躍の余地がある、再生の余地があるぞということで、非常に前向きの将来展望を打ち出したという意味におきまして、繊維産業がやはり発展可能な産業であるということを申すことが、そこへ働く労働者方々にとっても必要なことですし、また優秀な人材を集めることができるということでありまして、産業が将来ビジョンを持って、そこに大きな発展可能性があるということがまず一番基本的な条件ではないだろうかということで、今回のビジョンは、まずそういう前向きの方向を打ち出すということで、関係労働者方々からも基本的には御評価をいただいておる、かように考えております。
  10. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは議論が並行していくわけですけれども、私はやはりひとつ、これからの繊維産業をいかにあるべきかということを非常に真剣に心配をする限りにおいて、いろいろと私なりの考え方をこれから述べていきたいと思いますが、ひとつ私も真剣に考えるわけですから、あなたの方も取り入れるべき点は率直に認めて取り入れる、そういう姿勢を示してもらわないと、これは議論が前に進まないから、その点は特にひとつよろしくお願いしたいと思うのです。  私は先ほども少し申し上げましたように、今日の実態というものはやはりきちっと把握をして、その実態をどういうように発展さしていくかということが非常に必要であると思うのです。今日、下請加工賃が、申し上げましたように最低賃金にも満たない。そういう中で押しつけられ、買いたたかれ、しかも不公正な取引条件が存在しておるにもかかわらず、これを改善しようとしないで容認してきておるというところに、すそ野の問題が解決しないし、それがまた足引っ張りになって、雇用労働者が雇用不安と労働改善がなされないで、非常に繊維産業に働く労働者としては魅力がなくなってきておるというように思うわけであります。  したがいまして、そのような問題をやはりきちっと踏まえて、そして対策を立てていく、政策を進めていくということでなければならないと思うのです。中小企業庁なりあるいは通産省として、繊維産業の今日のそれぞれの分野にわたっての加工賃がどういうような実態にあるか、あるいは取引条件がどういうような取引条件に、現実の問題として置かれておるかというようなことについて調査をされて、そしてその実態把握されておりますか。
  11. 黒田真

    黒田政府委員 確かに買いただきの例あるいは非常に低廉な加工賃というような点については、いろいろお話を伺っておるわけでございます。ただ、これを私どももいろいろ調査をすべく考えてみたことがあるわけでございますけれども、極めて複雑に条件が入り組んでおりますので、なかなかそれらを比較可能な形で正確なデータというものがとりにくい。あるいは事業者の側にとっては、そういう報告をすること自体が非常に事業の秘密に属するとか、あるいは負担になるというようなことで協力を得にくいということでございますので、断片的な知識という形では一部持っておりますけれども、組織立った形での調査ということは、どうも残念ながら行い得ていない状況でございます。  しかしながら、このまま放置していいということではもちろんないわけでございまして、今後ともやはり先進国型という以上は、加工賃段階においても十分適正なものが支払われるような形が望ましいわけでございまして、そのためには、それぞれのそういった零細企業方々過当競争を排しながらできるだけ技術的な能力を高めて、賃加工を頼む側の親機なり座元なりとの立場を強化していくというようなことを通じて進めていかざるを得ないというふうに考えます。  他方、それが非常に目に余る不当な優越的地位の乱用、非常な不当な取引条件の押しつけというようなことがあれば、それは当然独占禁止法なり関係法律によって律せられるべきものだと思いますし、そういう際には、関係省庁とも十分御相談をしながら対処はしていくべきである。しかし、そこまで極端なケースになればそういう法の制裁はございますが、その途中の段階で、これを行政的な形で改善していくということについては、今後も努力はするつもりではございますけれども、実際上はなかなか容易でないというふうに考えております。
  12. 和田貞夫

    和田(貞)委員 実態把握をするために調査をこれからやるというつもりはありますか。
  13. 黒田真

    黒田政府委員 確かに実態把握をするということがいろいろな政策前提でございますが、先ほども申しましたような理由で、組織的に調査を行えば客観的なデータが直ちに入手できるというふうにも直ちには考えられませんので、いろいろな角度から情報というものを集める努力はぜひしたい、かように考えております。
  14. 和田貞夫

    和田(貞)委員 労働省来ておられますね。労働省の方では工賃実態というものを把握しておられるわけです。けれども取引条件とか、あるいは委託者が直接加工業者に委託する場合もあれば、中間的に代理委託をしたり、いわば真ん中に入って、そして悪い言葉で言うならば加工賃をピンはねする、そういうようなものも介在している、そういうシステムについては、これは労働省の方は専門的じゃないわけだから把握しておらない。だから、そういうものはあなたの方で、やはり所管の通産省がやらない限りはどうにもならぬわけですがね。そういう点を含めて調査をして、そして今日の繊維産業実態、特に末端におけるところの取引実態あるいは加工賃がどういう状況にあるか、そういう実態というものを把握して、それをいかにすべきか。改善していかなければ先進工業国型の繊維産業政策というのは進められないということになるわけですから、そういう点での調査をされるという意思はありますか。
  15. 黒田真

    黒田政府委員 繊維産業というものが非常にすそ野が広くて、そこに各加工段階がそれぞればらばらにと申しますか、分断されて存在しておりますし、その間にまた流通業者が介在をするということで、極めて特有の流通構造が形成されていることは御指摘のとおりでございます。しかも、その取引慣行と呼ばれる実態の中には、歴史的に非常に長い時間をかけて形成されてきたということのようでありますが、外から見ると相当不合理と思われるような、あるいは一方的な、力の強い人が押しつけているのではないかというような例が多く指摘されているところは私どもも十分認識しております。したがいまして、繊維産業におきます取引慣行をどういうふうに近代化するかという点は、私どもも非常に大きな課題だというふうに考えておりまして、実は関係業界挙げて繊維取引近代化推進協議会というようなものを組織していただいて、何とかその改善努力してほしいということで進められておるところでございます。  当然そういう作業前提といたしまして、取引慣行調査実態把握ということで、その推進協議会では大体定期的に毎年調査を行うということで現在まで来ておるわけでございまして、大きな方向としては極めて徐々にではありますが、少しずつではありますが、改善方向には向かっている、かように考える次第でございます。
  16. 和田貞夫

    和田(貞)委員 労働省来ておられますのでお尋ねします。繊維産業部分に限ってちょっとお答え願いたいのですが、家内労働法に基づきまして最低工賃が、現在多岐にわたっておりますけれども、どういうような実態にあるかということをひとつ報告してください。
  17. 藤井紀代子

    藤井説明員 工賃の低廉な家内労働者労働条件改善を図るため、都道府県の労働基準局長が、三者構成審議会意見を尊重しまして最低工賃を決定することとなっております。業種多岐にわたっておりますけれども、件数で見まして全国的に大体百八十件ちょっとでございまして、繊維産業が割合は多く占めております。
  18. 和田貞夫

    和田(貞)委員 最低工賃が決定されておりますが、例えばタオル製造業については五十五年四月二十五日に最低工賃が決められて、そしてことしの二月になってようやく改定された。三年間放置されているわけですね。男子の既製洋服製造業については五十四年十二月五日に最低工賃が決定されて、そして四年間も放置をされて今なおまた審議中ということでしょう。ほかの、ワイシャツの製造業だとか婦人既製洋服製造業だとか、よこ編みメリヤス製造業だとかいうような業種についての最低工賃というのは、改定しようというような審議さえもまだやられておらない、過去に決められてそのまま放置しておる、こういう実態ですね。
  19. 藤井紀代子

    藤井説明員 ただいま先生が御指摘なさった件は大阪の例かと思います。  タオルにつきましては五十五年に発効されまして、先生おっしゃったように二月に諮問いたしまして、現在答申をいただきましたので近く発効する予定でございます。  先生指摘のように、最低工賃は、決定してから少し日にちがたって実効性が失われていくのではないかというような御議論がございまして、私ども中央家内労働審議会という三者構成審議会がございますが、そこで最低工賃の新設、改正についてどうやって進めたらいいかということで御審議をいただきまして、五十七年の七月に報告をいただいております。それに基づきまして私ども鋭意新設、改正に努めているわけでございまして、今、長期的な計画も立てまして推進しておるところでございます。
  20. 和田貞夫

    和田(貞)委員 これは通産省に聞いてほしいのですが、私は大阪の例を挙げたのです。例えば、一つの例を挙げますと、手動編み機による作業の場合に、雇用労働者の一時間の平均賃金が八百十十四円四十六銭です。一日八時間で六千九百九十五円六十八銭、二十五日、一カ月働いたとして十七万四千九百二円、他の産業雇用労働者の平均賃金と比べましても極めて低いわけなんです。ところが、これが家内労働者の場合を見てみますと、一日当たりの作業時間数が、雇用労働者と違いまして平均十・九一時間働いているのです。そして一カ月平均の加工賃が十七万一千八百十七円、これしかならないのです。しかも手かがり作業工賃に至りましては、これは女性の方が主としておるわけですが、一カ月の平均二万九千二百八十六円という数字になってくるわけです。こういうのが末端作業をやっておられる方々実態でおるということを通産省把握をしてもらわないと、口先だけで先進国型の繊維産業を目指してと言ったところで、こんな実態が放置されておってそういうふうになっていきますか。私は、そういうような実態通産省自体把握しない限り、答申がいかにいいことを書き並べられたところで繊維産業全体が前向きになって政策を進めていくことは非常に難しいのじゃないかということを言いたいわけなんです。そういう実態把握するために通産省自体が、なぜそういうようになっておるかということを調査いただきたいということを言っておるわけです、いいですか。
  21. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のような実態があるということにつきまして、膨大な組織的な調査という形はとっておりませんが、私どもも産地の状況等聞き取り調査あるいは県の調査等を活用いたしまして、できるだけ正確に把握をし、末端では確かにそういう実態があるようでございますので、そういうものがどういう理由で起こっているか、非常に厳しい競争の中でそういう状況が発生しておるように思いますが、できるだけ適正な加工賃が出るような、そういった取引が可能になる、それが理想でございますので、そういう方向に向けて努力をしたい、かように考えます。
  22. 和田貞夫

    和田(貞)委員 労働省にもう一つお答え願いたいのですが、家内労働法によるところの家内労働手帳というのが今どのくらい発行されておるのですか。
  23. 藤井紀代子

    藤井説明員 家内労働法に基づきまして、委託者家内労働者に委託をする場合には家内労働手帳を交付しなければならないということになっております。現在、交付率といたしましては大体七割程度と考えております。
  24. 和田貞夫

    和田(貞)委員 どこから七〇%という数字が出てきたかわかりませんが、これは通産省聞いてほしいのです。労働省は家内労働手帳が末端の加工者に七〇%交付されていると言うのですけれども、大阪に泉大津市というところがあります。泉大津の市がこの実態調査しました。その結果、家内労働手帳が交付されておるのはゼロです。こういう実態があるということをひとつ指摘したいのです。したがいまして、そういうようなことでございますから、おのずから一体委託者が幾らの工賃で加工させておるのか、支払いがどうなっておるのか、その実態さえもつかめないのですよ。委託者末端の加工者との間にそういう取引がされておるというのが実態なんです。しかも直接メーカーなり製造者が委託するんじゃなくて、先ほど指摘をいたしましたように、請負的な仲介委託あるいは代理的な仲介委託というのがなされておりますから、全く加工に対するところの取引条件把握されておらない、把握できない、明確でないのです。本来、契約というのは文書、契約書によるところの契約を建前としなくてはならないわけですね。それがこういう実態なんですよ。こういう実態で、どうして先進国型の繊維産業に志向していけるのですか。あなたの方が調査をしようと思っても、調査のしょうがないですよ。私は末端のことを言っておるのです。そういう実態はやはりきちっとして、そして不公正な取引が行われないように、公正な取引ができるように、そのことをまず進めることによって適正な取引の中で適正な工賃が生まれてくるのです。そういう実態をあなたは知っていますか。
  25. 中澤忠義

    中澤政府委員 私から、下請取引の適正化という観点からお答え申し上げたいと思います。  下請取引が適正に行われることにつきましては、下請取引関係法令がございまして、公正取引委員会中小企業庁がその適正化に対する調査及び立入検査を行っておりまして、不当なものにつきましては措置請求等の措置を講じております。  先生指摘のように、下請の問題が中小企業者にとって非常に重要な問題でございますので、年々調査と立ち入り等の措置につきましては力を入れておりますけれども、五十九年度につきましては初めて親企業者すべてについて調査を行う、五十九年度の予定では五万八千件の書面調査をいたしまして、その実態把握に努めるとともに、不当なもの、不当な値引きあるいは適正でない代金の支払い等については、下請取引の適正化法の観点から、中小企業庁としても公正取引委員会と協力しながらその是正に努めていくという立場で、この関係是正に努めたいと思っております。
  26. 和田貞夫

    和田(貞)委員 時間の関係もありますから、またの機会もあると思いますが、しかし、この法案の審議に当たって、やはり言いたいことがあるわけです。  特に繊維産業というのは、あなた方の方も、今労働省言葉もあり、把握をしてもらったと思いますが、一つは末端賃加工者、そういう人たちがグループ化するための協業化、共同化、共同経営化というものを図っていくための措置を行政指導する。ただ協業化しなさい、共同経営しなさいと言ったところで、なかなかそういうようにはならないわけですから、答申に言われているように、自助とか自力でとかということを言うだけではなくして、もちろんそのことも必要でありますけれども末端のそういう加工業者については共同化をすることによって、協業化することによって何らかのメリットがあるというような助成措置を通産省として講じた上で、そういう協業化、共同化を図っていくという措置がなければ、なかなかそういうようにはならないし、またそういうようにして委託者との間に、あるいは製造者との間に、工賃について単に家内労働法によるところの審議会に任すということだけでなくして、工賃についてあるいはその取引条件について、直接共同して交渉するような、そういう道を開いていくことが私は必要ではないかと思うのですが、その点はどうですか。
  27. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のように、そういった零細企業者の方々が協業化等を通じて、その取引上の地位を強めていくということは当然あってしかるべきだと思いますし、また、そういう協業化を通じて技術力等が高まってくれば、そのこと自体がまた相手との取引上の相対的な地位が強まっていくという関係にあろうかと思っております。私どもといたしましては、特にそういった中小零細企業者のグルーピングに際しましては、中小企業事業団に対して特別の融資をお願いするというようなことで、そういったグループ化というものができる場合にはこれを支援するという道を用意しているわけでございます。
  28. 和田貞夫

    和田(貞)委員 今のはちょっと何の答弁だかわからないのだけれども……。  グループ化していく、共同化していく、協業化させていくのに、そうしなさいと言うことだけでは、なかなか実態として——今まで、そのことを行政指導してきたわけですよ、やってきたのでしょう。なかなかできないのですよ。それを自力でやれとか自助でやれとかと言うようなことじゃ、これはどうにも解決しておらないのですからね。そうすることによってこういうメリットがありますよ、そのためにやはり何分かの財政的な援助も含めてあなたの方が助力をするというような保護育成の措置というものを講じなければ、末端ではなかなか協業化、共同化というものははかどらないということを言っておるわけです。そのことによって、また委託者なり製造業者との間に工賃の決定なり、あるいはその取引条件改善なりを図っていくというようなことにさしていくという、そういう考え方があるのかどうかということを聞いているのです。
  29. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘の点はわかるわけでございますけれども、私ども政府の制度としては、結局グループをつくって零細方々が集まって、みずから共同施設をつくるというような事業を計画されましたならば、これに対して中小企業事業団から極めて低利の資金の融通を行う、そういう道を開くということによって、その協業化の促進を図るという一つの方向は打ち出しております。  ただ、さらにそれを一歩踏み込んでやるということになりますと、これはなかなか難しいことになろうかと思いますので、やはり私どもができます限度というのは、そういった協業化による設備、施設の共同化に対する特別の助成を行う道を開くという形で、そういう方向への誘因を用意し、世の中がそういう方向に動くことを期待する、こういうことになろうかと思います。
  30. 和田貞夫

    和田(貞)委員 私は、お答えが不十分で非常に不満でありますが、ついでに言ってしまいますと、そういう末端加工業者の水準を高めていく、不公正な取引を除去する、取引改善を図っていく、あるいはその加工賃については、今御指摘いたしましたように雇用労働者最低賃金にも満たないような、そういう実際の加工賃である、最低加工賃を決める段階でもいろいろ問題がある、最低加工賃を決めたところで支払い能力がないということで支払われない、こういう実態を、実態実態として把握をして、そしてそういう末端加工業者の水準を高めていく、そして繊維産業だけにはかかわらないわけでありますけれども、他の産業にも波及する問題でありますけれども、特にこの繊維産業先進国型にしていこうとするならば、技術の革新、技術の水準を高めていくということも必要であれば、今度は中小企業の定義が一億円の資本金以下あるいは三百人の雇用者以下ということになっておって、私たちの見るところでは実態中小企業実態であるけれども、その定義上はみ出ておる中堅企業というのがあるわけですから、そういう中堅企業も含めた繊維産業政策というものをやはり打ち出していくということにならないと、全体の水準というのは上がっていかないような気がしてならないわけであります。  私はもう既に五十五分経過いたしましたけれども大臣がおらないわけです。私は初めからしまいまで大臣に聞きたい。これは大臣がおらないのです。委員長、私はついでの機会に言いますけれども通産省の政府委員、けさ私のところに電話がかかってきまして、そして問い合わせがあったから、質問の要旨はこうだというようにお答えしておった。ところがつけ加えて、大臣にはどういう質問をされますか、こういうばかな質問をする。通産省はそうなんですか。これはやはりこれからの委員会の運営についてもきちっとしてもらいたい。私は五十五分の間、大臣の耳に入れたいことばかりしゃべっておるのです。政府委員なり説明員というのは大臣にかわって、大臣答弁にかわって答えるというんじゃなくて、大臣を補佐して専門的に、大臣答弁の補完的な答弁をしてもらうのが政府委員なり説明員の任務であり、立場でしょう。もともとの考え方がそんな考え方があるものだから、質問者はたまったものじゃないですよ。もう一問、もう五十五分間、大臣が来て同じ質問をさせてもらいたいと思う。そういう権利を留保いたしまして、大臣が参りましたらもう一度質問させてもらいます。
  31. 梶山静六

    梶山委員長 和田貞夫君の通商産業大臣に対する質疑は後刻に譲ることとし、次に、福岡康夫君。
  32. 福岡康夫

    ○福岡委員 大臣がおいでになりませんので、通産省事務当局、局長にお尋ねいたしたいのでございますが、今回繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案をお出しになっておりますが、これは時限立法でございますので、前にも制定され、一部改正される、こういうことと理解しておるわけでございますが、当然、産業政策と独禁政策との調整という形で通産省公正取引委員会と協議されておるはずだと思いますが、その主要部分、その協議の経過、過程について御説明願いたい、かように思うわけであります。
  33. 黒田真

    黒田政府委員 私ども法案を政府部内で取りまとめて国会に提出いたします際には、関係省庁と十分御相談をいたすわけでございまして、今回も公正取引委員会には御協議を申し上げております。特に独占禁止政策とのかかわり合いが非常に強いという法律ではございませんので、特段の御意見はなかったと承知しております。
  34. 福岡康夫

    ○福岡委員 特段の御意見はなかった、制定当時もございませんでしたでしょうか。
  35. 黒田真

    黒田政府委員 この現在の繊維工業構造改善臨時措置法は特に独占禁止政策と大きくかかわり合うような条項を含んでおりません。したがいまして、これは一番当初は四十二年になるわけでございますが、現在の形になりました四十九年当時も、特にこういった構造改善グループを進めるという法律案につきまして公正取引委員会から特段の御意見があったというふうには記憶はしておりません。
  36. 福岡康夫

    ○福岡委員 特段な御意見はなかった、こういうお話でございましたが、この臨時措置法というのは、御承知のように消費者行政、中小企業行政、産業行政との調和という重大な問題点を含んでおりますので、産業政策と独禁政策との問題点というのは生ずるのが当然だと思っておるわけでございますが、局長の御答弁は何ら問題点はなかった、こういう御意見でございますが、しかと間違いございませんか。
  37. 黒田真

    黒田政府委員 この法案を提出するに際しまして、公正取引委員会が特段の御意見を申し述べられたというふうには記憶しておりません。
  38. 福岡康夫

    ○福岡委員 では逐次御意見をお聞かせ願いたいのでございますが、昭和四十九年から施行されている新繊維法は異業種間のグループ化による繊維産業の知識集約化を目指した構造改善を目的としたものでありますが、この目的は、客観的に見てどの程度達成されたとお認めになっておられるのか、また、その中で繊維工業構造改善事業協会はどのような役割を果たしてきたのであるか、通産省当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  39. 黒田真

    黒田政府委員 この繊維工業構造改善臨時措置法が現在の形になりましてから、御指摘のようにちょうど十年間たったわけでございまして、その十年間の成果をいかに評価するかということでございます。その間、その十年間というのは内外の情勢は極めて厳しい状況でございまして、内には石油ショックの影響を受けて内需が低迷をいたしました。そして多くの事業者が困難な状況になっておりましたし、また対外的には、特に近隣の発展途上国が力をつけてまいりまして、特に繊維産業等につきましては大変その競争力を強化するというようなことで、我が国の繊維産業が置かれた状況というものは極めて厳しいものがあったと思います。  しかしながら、そういう中にありまして日本の繊維産業は知識集約化という旗印のもとに大変いろいろな努力をしてこられたところでございまして、国内的にも、消費者ニーズというものが極めて高度化していく中で、それらに対応するための努力がいろいろ払われてきておりますし、また、一時悲観的に見られておりました繊維の輸出等につきましても、日本でなければできないというような高級なものをつくり出すという努力が実を結んで、輸出においても健闘しておるということでございますので、総じて言えば、なかなか健闘しているではないかということだと思います。  この法律がどこまで具体的な形で貢献したかということを数字的に申し上げることは容易ではございませんけれども、私ども日本流の産業政策と申しますか、一つのビジョン方向を示して、その方向産業努力をされ、それに対して政府が支援措置を行うという観点からは、それなりの効果を果たしたというふうな評価をしているわけでございます。  そして、その中で繊維構造改善事業協会というものがどういう役割を果たしたかという御質問でございますけれども、それぞれの繊維工業者が構造改善計画というものをつくります際に、これに対する助言というようなことを行うわけでございますが、同時に、その資金的な面で債務保証の仕事を行う、あるいは新商品の開発、需要動向の調査等に対する助成を行うというような形を通じまして、また技術指導も行うというようなことで、この繊維構造改善事業協会というものが、そういう大きな繊維工業の構造改善へ向けての、知識集約化へ向けての努力の中で一つの役割を果たしてきた、かように考えております。
  40. 福岡康夫

    ○福岡委員 繊維工業審議会産業構造審議会で、昭和五十八年十月三十一日に、「新しい時代の繊維産業あり方について」という御答申が出ておるわけでございます。通産省当局は、昨年のこの答申に盛られた新繊維ビジョンを具体化するという観点から、多品種少量短サイクル化などに対応し得る技術開発に力点を置いた構造改善計画を進めるため業界を指導していく方針とのことでありますけれども、この構造改善事業を計画的かつ強力に推進するために中核的役割を果たすべき繊維工業構造改善事業協会が、その役割を果たすために十分な対応力を客観的に見て有していると認め得るか、また協会が行う技術指導員に対する研修事業等の内容とその効果をどのように期待しているのか、通産事務当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  41. 黒田真

    黒田政府委員 ただいま先生指摘こざいましたように、私ども、新しい繊維のビジョンの中では特に技術の問題という点に大変力点を置いております。技術的な対応力というものが今後の繊維産業の再生、生き残りにとって極めて重要な役割を果たすということをうたっておりますとともに、政府としてもそれに積極的な支援を行おうということで現在進めておるわけでございます。  こういった技術関連の施策と、この繊維工業構造改善事業協会とのかかわりでございますが、例えば中小企業者が多く関係をしてまいります自動縫製システムあるいは泡を用いる泡染色というような革新的な技術というものが、将来中小企業者にも大きな影響を与え得るだろうということで、実はこれのいわば中小企業代表というべき役割を、この織維工業構造改善事業協会に期待をいたしまして、事業協会自身が研究組合に参加をするというような手段を通じて、実は多くの中小企業者との接点の役割を果たそうというふうにも考えておるわけでございます。  また、御指摘ございましたように技術指導という点につきまして、従来から基礎的な技術というものを産地の中小零細事業者に対して指導するということで技術指導員というものを設けて、繊維構造改善事業協会を通じて産地の活動を助成してきたところでありますが、今回改正法でお願いしておりますように、さらにそれにつけ加えまして、特に新しい技術というものが繊維産業に導入されるところが、他産業に比べてやや立ちおくれているのではないかというような御指摘もございますので、最新の技術情報あるいは生産工程管理技術というようなものを十分持った技術指導員というものを新たに育てようじゃないかというような事業を、この繊維構造改善事業協会に行わしめるということで現在準備をしておるわけでございます。  いずれにしましても、この技術の問題というものが今後繊維産業にとり非常に重要性を増してくるわけでございまして、今申し上げましたようなかかわりを通じまして、この協会が大きな役割を、従来も果たしてきたと思っておりますし寸今後ますます役割を果たしてほしいというのが私どもの期待でもございます。
  42. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、この答申を読ましていただきましたが、答申によりますと、近年においては従来と異なって需要構造の高度化それから革新設備の急速な導入等の構造変化が見られる中で、これに対し十分な経営力等を持って対応できない場合に設備の過剰が顕在化してくる傾向にあり、転廃業対策の緊急性を勘案し、完全に事業から撤退する事業者に限り設備共同廃棄事業を実施することが検討されるべきであると指摘されております。この答申指摘が我が国繊維産業実態に即応した妥当なものであるか。また設備共同廃棄事業を推進していくためには転廃業の設備の買い上げや融資の推進等の施策が不可欠であると私は考えておりますが、通産当局のお考えをお聞きしたいと思います。
  43. 黒田真

    黒田政府委員 今後、我が国の繊維産業が新しい時代に対応して、いわゆる先進国型と申しておりますが、先進国の持つポテンシャルを十二分に生かしたような、そういう新しい産業として発展をしていかなければならない。そしてそのときに、現在繊維事業に従事しておられる方々が現状のままで、いわばその新しい繊維産業に参加し得るというわけにはいかないぞということが、実はビジョンの討議を行います過程で、繊維産業関係しておられる業者の方々すべてを含む、いわば一致した見解だったように思われるわけでございます。したがいまして今後、繊維産業自身が非常に急速に拡大をしていくことが期待できない以上、そこでは事業者は極めて厳しい対応を迫られるわけでございまして、その中からは繊維産業に残れないと申しますか、繊維産業から出ていかざるを得ないという事態が発生することが予想されるということでございます。  しかしながら、繊維産業の場合には、それぞれ産地を形成しているというような特殊の状況もございますので、私どもといたしましては、そういった転廃業者の発生が予想されるということであれば、これに対しては対策を講じておかなければならないだろうという考え方でございます。従来から政府におきましては、中小企業事業転換対策臨時措置法というものがございまして、税制、金融等各般にわたります支援措置が講ぜられているところではございます。しかしながら、繊維産業についての先ほど来申し上げましたような特別の事情というものを考慮いたしまして、私どもとしては、次のような二つのことを特別に考えているわけでございます。  一つは、やはり産地という形で現在の繊維産業ができ上がっているということでございますので、転廃業等に関するケースも、できれば産地に密着した形で行われるということが一番望ましいわけでございますので、産地組合が、そういった転廃業をしようとされる方々に対する助言、指導ということを現地に密着した形で行っていただくために、これを助成をしようということで予算をお願いしているということがまず第一でございます。  それから第二に、従来から設備共同廃棄融資制度というものがあるわけでございますが、これにつきましては、従来繰り返しそういうことが行われてきておるということから、どうも弊害が目立つではないかという大変厳しい御指摘が、この答申の中から出てきたわけでございますけれども、私どもといたしましては、そういう繊維産業における転廃業の発生の可能性という特別な事態というものを考慮いたしまして、転廃業者についてはこの設備共同廃棄事業というものを活用させていただきたい、かような考え方で現在進めているところでございます。
  44. 福岡康夫

    ○福岡委員 委員長大臣がおいでになりましたのですが、大臣の方に、高度なちょっと政策問題なので質問したいと思いますが、よろしゅうございますか。  通産大臣にお尋ねしたいと思いますが、御承知のように二度にわたる石油危機に伴う景気の後退及び輸入の急増による極度の業績不振のため短期的経営改善に追われ、前向きの構造改善への取り組みは十分していないと言える状態なんでございます。助成制度も十分に活用されなかったと思いますが、このたび昭和六十四年六月三十日まで五年間、この新繊維法を延長するとのことでありますが、今後かつての石油危機のような特別の事情が発生しない限り、今度こそ新繊維法の目的が達成することとなるのか、業界とその見通し、及び先進国型の産業に転換を図るといった基本的目的が達成できなかった場合は、さらに五年間延長することとなるのか、ひとつ御見解をお聞きしたいと思います。
  45. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 我が国の繊維産業は石油ショックなどによりまして深刻な不況に見舞われたのでございますが、最近は御承知のとおり回復の兆しが見えてきておりまして、業界といたしましても前向きの構造改善、これに取り組もうという機運が見えるわけでございます。  我が国の繊維産業は、自主的な構造改善努力によりまして五年間で、技術力、創造性を生かした先進国産業へと転換していくことも十分可能と思われますので、政府といたしましても今後この五年間に構造改善の実効が上がるように積極的に支援してまいる所存でございます。
  46. 福岡康夫

    ○福岡委員 重ねて大臣にお尋ねしたいのでございますが、繊維産業をよみがえらすためには、錯綜した流通構造改善することが必要であると思いますが、我が国の繊維取引においては返品、歩積みを初め非近代的な取引慣行が存在しておると思います。この弊害が繊維産業の近代化をおくらせていることはこれは公知の事実であります。この取引慣行改善対策について通産大臣はどうお考えでございましょうか。
  47. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のように繊維取引の近代化ということが、今後の繊維工業が構造改善を進めていくためには極めて重要な点でございまして、私どもといたしましては昨年の答申も踏まえまして、従来から進めております繊維取引近代化推進協議会というものに対します指導、支援ということをさらに強化をいたしまして、基本的には業界の自主的な取り組みが必要だと思いますが、これを積極的に支援をしていきたい、かように考えております。  また、特に経済的な優位性の乱用というような不公正な取引というものがある場合には、これは関係当局とも十分御連絡をいたしまして、独占禁止法あるいは下請代金支払遅延等防止法の厳正な運用をお願いするということになろうかと思っております。
  48. 福岡康夫

    ○福岡委員 私、これは高度な政策的な問題でございますので、通産大臣の御見解をお聞きしたいと思うのでございますが、ひとつお願いいたします。
  49. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 重ねて申し上げるようでございますけれども、昨年十月の審議会答申をも踏まえながら、今、黒田局長が申し上げましたように繊維取引近代化推進協議会に対する支援や指導によりまして、業界の自主的な取り組みを積極的に支援していく所存でございます。また、いわゆる下請いじめを乱用したような不公正な取引につきましては、関係当局と連絡をとりまして、このようなことがないように十分見きわめていく所存でございます。
  50. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、これに関連して労働省当局にお伺いいたしますが、転廃業に伴う離職者問題についていかに対処されるお考えなのか、お伺いしたいと思います。
  51. 佐藤仁彦

    佐藤説明員 御説明申し上げます。  先ほど来からの御質疑にもありましたように、繊維産業におきましては事業の縮小でありますとか転業、廃業等が出ているということでございますが、これに対しまして労働省といたしましては、そこに働いている方々の雇用の安定を図ることを第一としていろいろな施策を講じているところでございます。  先生も御承知のことと思いますが、特定不況業種・特定不況地域関係労働者の雇用の安定に関する特別措置法というのがございまして、そうした経済的な変動により、事業の縮小を図ること等により雇用に問題が生じた場合の特別な措置を講ずることといたしておるわけでございます。現在、同法に基づきまして繊維関係、例えば紡績業であるとか撚糸製造業であるとか織物業とか化学繊維製造業とか、その他合わせまして十業種ほどを特定不況業種と指定して特別な措置を講じているわけでございます。  そこにおきましては、まず離職者を出さないように当該事業所において休業するとか、あるいは教育訓練をするとかいうような措置を講じました場合に、事業主に対する特別な助成金を支給いたしておりますが、最近の状況を申し上げますと、中小企業を中心として約二億円の助成金を支給するという実態がございまして、こうした制度を活用してかなりの失業の予防が図られているのではないかと思います。また離職を余儀なくされる労働者が出ました場合には、当該事業主があっせんして離職後一日も早く就職できるようにするということで、そうした事業主があっせんして他の事業所に常用雇用として雇い入れる場合には、その雇い入れた事業主に対して賃金の一部を助成するなどの措置も講じているわけでございます。そうした措置を講じまして繊維産業における雇用の安定に最大限の努力をしているという状況でございます。
  52. 福岡康夫

    ○福岡委員 私ちょっと疑問を提起して恐縮でございますが、この「新しい時代の繊維産業あり方について」という繊維工業審議会産構審答申では、先進国型の産業への転換を図るに当たり、新しい変化への対応に十分対処できない企業については転廃業に至らざるを得ないとしております。  この点について私、疑問があるわけでございます。それというのは、特に川中分野においては地域経済に密着している中小零細企業が数多く存在しておることは御承知のはずだと思います。他の産業への転業に限界のある企業が多く、これを一方的に転廃業させることには問題があります。私は、新たな人材の育成を図り、繊維産業をよみがえらせる道を探ることが、むしろ先進国産業へ転換する繊維産業の基盤を形成することになるのではないかと期待しておるわけでございますが、この点について通産省当局の御見解をお伺いいたしたいと思います。
  53. 黒田真

    黒田政府委員 私どもも一方的に転廃業というものを求めているというわけではないわけでございまして、ビジョンで述べましたところは、極めて環境の厳しい中で対応が迫られている状況にありますよ、そうして、もしその対応が行えないとすれば、それはその繊維産業の中で生き残っていくことが難しくなるかもしれないというような形で述べておるわけでございまして、この点につきましては、実はだれかがお説教をしているというよりは、むしろ繊維業に従事しておられる業界方々挙げての一致した結論であるわけでございます。したがいまして、私どもの期待といたしましては、今、先生指摘のように川中におきましては産地を形成いたしておりますし、また非常に多数の事業者がそこに存在しているわけでございますから、私どもといたしましては、個々の産地が産地ごとに一番実情に合った形で、それぞれの産地の活性化ということに最大限の努力をしてほしい。そういうような見地から実は私ども、各産地ごとにひとつ産地ビジョンというものを検討されたらいかがでこざいましょうか、私どもも、それについてはいろいろ御相談もし応援もさせていただきましょうということで、現在実は各産地に呼びかけまして、各産地でそういう作業が行われております。  そうして、その各産地の将来ビジョンというものを各産地の実情に合った形でつくり上げていく、将来を何とか切り開いていこうという努力が行われているわけでございます。そういうビジョンの中の最大の事業は、今御指摘のようなまさに人材の育成といいますか、新しい人たちを育てながら活力のある産地を形成していこうということがもちろん基本でございまして、何かそこから離れていく人たちのことが前にあるということではなくて、そういう努力にもかかわらず、しかし離れていかれる方々があるとすれば、それに対しては何らかの措置を別途講じておく必要があるだろうということでありまして、あくまでも従の政策でありまして、主たる政策は産地の活性化、そしてそれは人材の育成というものが大きな柱になるべきもの、私はかように考えております。
  54. 梶山静六

    梶山委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時二十六分開議
  55. 梶山静六

    梶山委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。福岡康夫君。
  56. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、午前に続きまして御質問させていただきます。  答申を読んでみますと、設備登録制度というのは、経営責任のあいまい化と行政に対する過剰依存という弊害をもたらしていると批判されているようでありますが、私はこの問題については、繊維業界が主張しているように、企業零細過多性による過当競争の排除、安定経営の維持を果たしている設備登録制度の役割は、現在においても依然として大きいものと考えておるわけでございます。今後、これらのことに対する有効な解決策を施さないで設備登録制度を廃止することになりますと、大企業の進出などによる無用な過当競争が増大し、中小零細業者の経営が根底から覆されることになると思うわけでございます。  したがって、設備登録制度の存廃問題については、業界との間に十分な議論を得た上措置していくことが必要であると考えておる次第でございますが、通産省生活産業局長の御見解をお伺いしたいと思います。
  57. 黒田真

    黒田政府委員 お答えいたします。  繊維、特に川中段階につきましては、設備の登録制が既に非常に長い期間にわたって実施されているところでございます。これは、当時の非常な不況状況過当競争状況に対処して、設備の新増設を制限する、そしてそれをアウトサイダーにまで及ぼすということでスタートしてきておるわけてございまして、それなりにその効果を上げてきた要素はあるわけでございます。  しかしながら、今日まで大変長く続いてきているという点をめぐりまして、それが本来の趣旨から離れでいろいろな形で使われているということも事実でございますし、また、それに伴う問題点も指摘されたということでございます。  実は、昭和五十一年の段階審議会の御議論がございまして、このときには、関係業界方々にも入っていただいて、廃止という方向につきましては、これはもうはっきり打ち出されているわけでございまして、ただ、いろいろ問題が生じてはいけないということで、その解消に至る段取りを逐次よく考えて進めるように、こういう御指摘があったわけでございます。その後いろいろな事情で今日までそういう方向では余り進んでいないわけでございますものですから、昨年の答申審議過程ビジョンづくりの過程でいろいろ御議論がございました。  私どもといたしましては、今後これを解消していくための具体的な段取りにつきましては、業界の方でいろいろな不安を持っております。混乱が生ずるのではないかという懸念がございます。そういう点は十分に配慮しながら、他方、答申にも指摘されておりますように、この非常に難しい時期に、何かこういった登録制度というものによって業界が保護されている、守られているというような意識は、事によると非常に厳しい構造改善意欲と矛盾するかもしれないという問題もあるわけでございますので、ひとつ業界の不安というものにつきましては私どもも十分御相談をしながら、これの解消の具体的な段取りについてはよくお話をした上で進めるべきであるという点については、私どももそのように考えているところでございます。
  58. 福岡康夫

    ○福岡委員 私は、高付加価値品を中心に安定的な輸出の確保を図り、我が国中小繊維工業の構造改善を推し進めていくことが今日緊急課題であると思っておるわけでございます。これがためには繊維製品の秩序ある輸入対策の推進がぜひとも必要であると思うわけでございますが、ついては近隣の諸国、例えば中国、韓国、台湾等の製品の輸入対策をどうするのかというのが問題となると思うわけでございます。無秩序な輸入増加による中小繊維工業経営の安定を守る上から、MFAによる二国間協定の締結をすべきであると考えるものであり、また秩序ある輸入対策として、業界から関税率の不平等の是正が要望されておりますが、通産省当局はこの問題についてどういうような御見解をお持ちですか、お伺いしたいと思うわけでございます。
  59. 黒田真

    黒田政府委員 今後の日本の繊維産業発展していく過程で、高付加価値品につきまして輸出が期待できるということは既にその萌芽も出ておりますし、今後まさに期待し得る点であるという点につきましては、先生の御指摘のとおりだというふうに私どもも考えている点でございます。  それから、輸入面の問題でございます。輸入につきましてはいろいろな角度から従来も議論されてきたところでございまして、業界からは特に何とかこれに秩序ある形を導入してほしいという要請があることは十分私どもも承知しておるわけでございます。そして、世界の多くの国がといいますか、ほとんど例外なしに、繊維産業につきましては国境で何らかの規制措置を講じているということもこれまた事実でございます。しかしながら、私どもといたしましては、できるだけ今後の繊維産業発展を開放体制のもとで進めていきたい。輸入に関する輸入制限的な国境措置、保護的措置というものがどうしても産業の活力を弱めることになるのではないだろうかというような立場から、可能な限り開放体制のもとで、先進国型と呼んでおりますように、先進社会の持っているポテンシャルを生かした新しい繊維産業へと生まれ変わっていくということを強く期待しているというのが原則的な立場でございます。  しかしながら、そうは申しましても、輸入が急激に増加をいたしまして、無秩序な形で国内に混乱を生ずるというようなことが好ましくないことは当然でございまして、何とか秩序ある輸入を確保していきたいということで、従来から関係方々にもいろいろ御意見を伺いながら輸入に対しての施策というものを考えてきているわけでございます。その基本は、やはり輸入動向というものを十分監視をいたしまして、どちらかといえばソフトな関係者との協議あるいは相手輸出国に対しての事情の説明あるいは我々として開放体制を維持するためには輸出国側の協力も要るということを説得いたしまして、輸出国側における自粛と申しますか、自制的な態度を期待するということで今日まで来ているわけでございます。確かにMFAというガットの特則を活用した二国間取り決めを締結すべしという御意見はございますけれども、私ども現在までのところ、直ちにそこへ行くほどの状況に達しているというふうには必ずしも考えておらないわけでありますが、将来そういった枠組みの活用という必要まで否定しているわけでないことは当然でございます。  それから、関税率についてお尋ねがございました。確かに平均関税率というようなものにおきましても、それから個々の品目を見ましても、日本の繊維製品の関税率がヨーロッパあるいは特にアメリカと比べて低い、逆に言えばアメリカの関税率が非常に高いという状況があることは御指摘のとおりだと思います。この関税率というものは非常に歴史的な、戦後の長い歴史の中でいろいろ国際的な交渉等によって今日の姿があるわけでございますので、比較的戦後の早い時期において競争力の強かった産業というものはどうしても関税率が低いところに設定されている。低いところからスタートして逐次引き下げの努力がとられてきた。それから、比較的弱かった部分については高く設定されております。これはその当時に高かったからでございまして、例えば日本の自動車とアメリカの自動車の関税というようなものを比較してみますと、そういうことが顕著に見得るわけでございます。  繊維の場合にもやや似たような状況がございまして、そのスタートの差というものが今日の大きな格差の一つの原因になっているということでございまして、従来のあらゆる関税交渉等の場を通じまして、先方の関税の引き下げということには私ども努力をしてまいりました。東京ラウンド等の交渉においても、それぞれ十分ではないまでも、一定範囲内においてアメリカあるいはヨーロッパの繊維に対する関税の引き下げということに成功をしているわけでございます。しかしながら、現在それで十分だというふうに考えているわけではございませんで、今後新しい交渉の機会等をとらえまして、先方の関税を引き下げさせるということには努力をしたいと思っております。  不均衡是正の方法には、こちらが上げればいいではないかという御意見もあるいはあり得るかと思いますが、これは非常に長い交渉の結果、相手国との約束がございまして、これを勝手に上げるわけにはいかないというような厄介な事情もあるということを御了承いただきたいと思います。
  60. 福岡康夫

    ○福岡委員 私は、本案を審議する上においてやはり生糸の輸入問題を検討しなければいかぬと思うわけでございます。現在生糸の輸入というのは蚕糸砂糖類価格安定事業団によって一元化輸入となっております。価格安定制度のもとにおいて事業団が売買による市場操作をしているとのことでありますけれども、我が国の生糸というのは国際価格より割高で買い支えをしている、事業団も赤字を計上し、農林中央金庫からの借り入れは千八百八十億円に達しておると私は聞き及んでおるわけでございますが、我が国繊維製品が市場において価格競争力を持つためには、この際、輸入一元化と価格安定制度における問題点はないのか、検討すべきときではないかと考えるわけでございますが、農林水産省当局の御見解をお伺いしたいと思います。
  61. 高木賢

    ○高木説明員 お答えを申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございました生糸の一元輸入制度は、昭和四十六年に、私どもが発案したということではなく、国会の御発議によりまして、政令で定める期間内は一元輸入できる、こういうことで発足したものでございます。それがさらに昭和五十一年には、それでは不十分だということで、当分の間一元輸入できる、こういうふうに改められましたが、このときもまた国会の御発議によりまして成立いたした経緯がございます。  このような経緯から申し上げますと、私ども行政当局の側から制度を云々するというのは、いささか不適当な点があろうかと思っております。ただ、その立法の背景といたしましては、当時やはり輸入が無秩序に行われるということになりますと、我が国の蚕糸業は壊滅に瀕する、こういう御認識があったろうと思っております。そのような事情は今日におきましてもいささかも変わっておらないというふうに私どもは考えております。  それから国際価格に比べて云々という御指摘でございますが、やはり我が国の養蚕業、それなりに合理化に努めておりまして、かなり労働生産性も、例えば十年間で二倍というようなぐあいで上がってきておりますけれども、そのウエートを占める労働費、これが中国等と比べますとやはりどうしても相対的には高いという問題がございまして、なかなか中国産のものと競争するというにはまだ短時日では難しいかと思っております。そういう問題がございまして、にわかに価格を大幅に引き下げるという段階には立ち至っておらないというふうに考えております。  しかしながら、今御指摘のありましたように、事業団の在庫も相当たまっている、借入金も相当な金額に上るというように、繭糸価格安定制度全体につきまして問題が出ているということは、御指摘のとおりでございます。  そこで、現在省内に繭糸価格安定制度に関する研究会というのを設けまして、制度全体のあり方について検討を行っていただいているところでございます。できるだけ早く結論を出していただきまして、それに従いまして私どもも適切に対処いたしたいというふうに考えております。
  62. 福岡康夫

    ○福岡委員 ただいまの御説明をお聞きしておりますと、どうも農林水産省当局は消極姿勢だ、こういうように私認識したのでございますが、いかがでございましょうか。
  63. 高木賢

    ○高木説明員 ただいまは経緯なり実情を御説明申し上げたわけでございます。実際、制度問題というのは、今先生方にも御検討いただいておりますが、なかなか難しい問題であるということで現在認識が一致しているように私どもは承知いたしております。  いずれにいたしましても、その検討結果を待ちまして私どもは対処いたしたいと考えておりますが、積極的であるとか消極的であるとかいう点につきましては、目下どちらといいますか旗幟鮮明になっているという段階ではございません。
  64. 福岡康夫

    ○福岡委員 次に、業界団体からの陳情問題について通産当局の御見解をお聞きしたいわけでございます。  先日、日本ニット工業組合連合会から通産省に対して、ニット生産業界の実態に即した構造改善策について要望がなされたということでございますが、その中で、メカトロニクスに対する減税と、それに関するコンピューター機器、デザインシステムの償却への配慮及び核企業構想の実現等の要望があったと思いますが、これらの要望に対する通産省当局の対応策をお聞きしたいと思うわけです。
  65. 黒田真

    黒田政府委員 ニット業界から要望がございました製造機器に対する税制上の措置でございますが、今年からメカトロニクス関係機器につきまして、その導入の促進のために、中小企業新技術体化投資促進税制というものが施行されることになりました。これは中小企業者がメカトロニクス機器を取得いたしました場合に、初年度に取得価格の三〇%の特別償却または七%の税額控除という優遇措置を講じようということでございまして、ニット業界関連におきましては、コンピューター制御による編み立て機あるいはデザインから編みに関する編成と言っておりますが、編成情報を作成するような、そういったシステム関連機器というようなものをこの新しい制度の対象としてお願いをしております。そういう意味ではニット業界の要望が実現されたというふうに申し上げてよいかと思います。  また、確かに中核企業構想という御提案もございました。これは中核企業構想といいますのは、今度のビジョンでも言っております、この法律が対象にしております異業種連携あるいは知識集約化という構造改善事業を進めるに当たりまして、リーダー格となる企業というようなものを頭に置いた御議論だと思います。  私どもも実際に構造改善事業を進める際には、やはり中核的な企業がリーダーとしての機能を果たされるということがその成功のためのかぎであるというふうに考えているわけでございます。したがいまして、考え方としてはそういった中核企業構想というものは、今回のビジョンの中に十分に生かされているということだと思います。  ただ、制度的に若干申しますと、中小企業事業団の高度化融資を受けるという際には、制度上関係企業が一体となって協同組合等を組織をするということが必要になるわけでございまして、そのような際には、そういった組合組織というものの設立をしていただきまして、その中で中核企業という方々がリーダーシップを発揮していただくということになる、かように考える次第でございます。
  66. 福岡康夫

    ○福岡委員 私この産構審答申を読ましていただいたわけですが、これからは高付加価値品、差別化製品の重要性というものが指摘されております。現在繊維業界実態というのは、いまだに大部分が中、下と申しますか、定番品によって占められていると聞いておるわけでございますが、これらの低級定番品が昔のように振るわないのは、我が国の繊維大企業が安い労働力を求めて東南アジアなどに委託加工し、その製品を逆輸入しているからなどの見解があるわけでございますけれども、委託加工と逆輸入との実態をお伺いいたしたいと思います。  また、国内の中小の繊維業者をよみがえらせるためには、この分野においで真剣な対策を立てる必要があるんではないかと思いますが、通産省の御見解をお伺いいたします。
  67. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のように、海外から比較的中級品あるいは下級品の定番品とよばれるような繊維製品の輸入が増大しているという事実はございます。これは基本的には、特に近隣の発展途上国におきます繊維産業というものが日本市場に受け入れられるような製品をつくり得るまで成長してきた、そして、当然労働賃金等が安いわけでありますから競争力を持ってきているということで、漸次日本の国内のマーケットがそういったものに蚕食をされているということは御指摘のとおりでございます。  しからば、そういった定番品の輸入と日本企業のいわば介在というものの関係についてどうかというお尋ねでございますが、私ども、従来の繊維産業の海外への進出状況というようなものを調べてみますと、確かに四十年代の終わりから五十年代の初めにかけては相当の進出がございました。そして、特に四十八年ごろには大量の輸入が行われて、それが混乱を起こしたというようなことも言えたかと思います。しかしながら、その後の経過は、どちらかといいますとやや反省期に入ってきているというふうにも見えるわけでございまして、無秩序な形での輸入というものに対する反省の結果、委託加工というようなものも非常に厳選をされた形で入ってきているということがどうも一般的には言えるのではないだろうかと私ども考えるわけでございます。  これに対して真剣な対策を講ずべしという御指摘でございますが、近隣の発展途上国におきまして生産することがコスト面からもより合理的なものについては、国際分業と申しますか、そういう観点からこれを彼らに任せる、しかし、国内では高付加価値品、差別化品というようなもので対応していくという分業関係が今後の発展方向ではないだろうか。現在までのところ、これは従量ベースでございますが、日本のマーケットの二割ぐらいが輸入品によって賄われるというふうな事態になっておるわけでありますが、私どもの考え方としては、この比率が今後急速に高まっていくということには多分ならないのではないだろうか、やはり消費者の需要いたしますものが非常に目まぐるしく変わりますし、個性的な差別的な商品を求めるという状況にあることを考えますならば、やはりそういうものに対応し得る力というものは近くにある日本企業の方が有利な地位に立っているということもあると考えるわけでございます。
  68. 福岡康夫

    ○福岡委員 では、次には観点を変えまして、繊維産業における下請取引の公正化につきまして、公正取引委員会当局はいかに取り組んでおられるのか、ひとつ御説明願いたいと思うわけでございます。
  69. 奥村栄一

    ○奥村政府委員 お答えいたします。  繊維業界では、歩引き等の業界特有の慣行が存在しておりますが、当委員会におきましては、昭和四十五年ごろから、これらの行為が下請法及び独占禁止法上問題がある場合には、個別事案として処理してまいったわけでございます。しかし、歩引き等の慣行は繊維業界全般にわたっていることから、昭和五十二年度に繊維製品卸売業者を対象に特別調査を行いました結果、下請法及び独占禁止法に違反するおそれのある行為が見受けられましたために、関係団体に対しまして繊維製品の取引の公正化について要望を行っております。また、昭和五十六年度にはその後の状況につきまして追跡調査を実施いたしましたところ、前回要望事項のうち、一部改善が見られましたものの、依然として改善が満足すべき状況にないということでございましたので、改善のない場合には厳正な措置をとるということで再度要望を行っておるわけでございます。
  70. 福岡康夫

    ○福岡委員 下請取引の公正化については、従来から中小企業対策の一環といたしまして重視されておるところであります。特に中小企業の多い繊維業界にあっては、このことは重要であると思うわけでございます。  繊維業界の下請取引の公正化については、公正取引委員会としては勧告等の法的な措置を含め積極的に取り組むべきときではないかと思うわけでございますが、この問題について公正取引委員会当局は今後どのように取り組んでいくのか、お伺いしたいと思います。
  71. 奥村栄一

    ○奥村政府委員 お答えいたします。  繊維業界の下請取引の適正化につきましては、今後積極的に取り組んでまいりますために、昭和五十八年度の下期から繊維卸売業者を定期調査の対象にいたしております。この定期調査の結果、違反行為が認められました場合には勧告、値引き額の返還等の厳正な是正措置を講ずる、このように考えておるわけでございます。
  72. 福岡康夫

    ○福岡委員 時間が参りましたので、どうもありがとうございました。
  73. 梶山静六

    梶山委員長 横手文雄君。
  74. 横手文雄

    ○横手委員 我が国の繊維産業は、流通を含め二百五十万人の従業者数を擁し、地域経済を支える重要な産業であります。  近年発展途上国の追い上げや需要の停滞等により厳しい情勢のもとに置かれております。しかし、新繊維ビジョンが示したように、先進国産業への脱皮を目指し、知識集約化と構造改善を進めることによって、我が国の繊維産業は新たな発展の道を切り開くことが可能と信じます。  こうした状況のもとで繊維工業構造改善臨時措置法に基づく円滑な構造改善事業の推進が我が国繊維産業の再建に果たす役割は極めて大きなものであると考えます。今日まで、これら方針に基づいて御努力を積み重ねてこられました通産当局に対しまして心から敬意を表します。こういった見地から、我が党はこのたび繊構法を改正延長することに基本的に賛同するものでありますが、同時に、この際、これまで構造改善事業の反省を踏まえ、繊構法の適用に当たっては、産地の実情に即した弾力的な運用が行われるよう以下の諸点について要望を含めて御質問を申し上げます。  まず大臣にお伺いをいたします。ただいま申し述べてまいりましたように、この法律が今日まで果たしてきた役割は大変大きく、今後もこの法律の適切な運用によって、我が国繊維産業発展に大きく寄与する、いや、させなければならないという前提に立つものであると思いますが、この点について、まず大臣の決意をお伺い申し上げたいと存じます。
  75. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 我が国の繊維産業を取り巻く内外の環境は非常に厳しいものであることは、今さら申し上げるまでもございません。しかしながら、事業者の自主的な構造改善努力によりまして、この困難を克服しまして、技術力と創造性を生かした先進国産業として転換していくことが可能であると私たちは思っているのでございます。通産省といたしましても、これを今後大いに側面から支援してまいる所存でございます。
  76. 横手文雄

    ○横手委員 重ねてお伺いを申し上げますが、今、私が申し述べましたように、この法律の延長によってその効果あらしめるために、業界の皆様方の要望を十分に聞きながら、そしてその弾力的な運用を図る中で、この法律も最大限に生かしていくということがその基本にならなければならないと思いますが、大臣、この点についていかがでございましょう。
  77. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 側面から業界を支援していくことは、当然業界そのものの意見もよく聞くということでございまして、私どもは、これに対して弾力的かつ機動的に対処してまいる所存でございます。
  78. 横手文雄

    ○横手委員 まず大臣の決意をお聞かせをいただきました。  この法律の延長には業界の皆様方もまた賛成であります。先日五人の参考人の皆様に御意見をお伺いをいたしましたが、その内容を見ても明らかであります。期待も大きい、頼りにしている、それだけにまたいろいろと運用に対する注文も出てくる、これまた当然のことでございましょう。  私はこの質問を行うに当たり、先日福井県織物構造改善工業組合を訪ねてまいりました。そしてこの陳情書をいただいてきたのであります。既に中小企業庁あるいは通産省繊維製品課にもこの陳情書は届いていることでございますから、御案内のとおりでございます。現場で汗して働いておられる皆様、その御苦労の中から出てまいりました要望に全力を挙げてこたえていく、けだし当然のことであろうし、今大臣もそのことを強調していただいたのでございました。産業の活性化につながる道であります。まさにこの法律の目的であり使命でありましょう。  そこで、この陳情書に沿って若干の御質問を申し上げますが、まず第一は設備リース事業枠の拡大についてであります。  本問題についそは既に多くの方々から御質問がなされておるわけでございますけれども、この法律のねらいである商品企画力の向上等の観点、まさにこれはこの法律の柱であり命であります。現在、商品開発機構及び自己の保有する共同施設の時価評価額の二倍が限度枠となっておりますが、これを大幅に拡大すべきと考えますが、いかがでございますか。
  79. 黒田真

    黒田政府委員 御質問ございましたリース枠の問題でございますが、この繊維工業構造改善臨時措置法に基づく構造改善事業制度というものは、基本的に異業種企業の連携によります商品企画開発力といったような、ソフト部門を強化して高付加価値化を追求するという基本的な枠組みがございます。したがって、おのずから商品開発センター事業と設備関連事業との間に一定のバランスがあるべきだということが根本でございます。しかしながら、現在業界の方では多品種少量短サイクル化というような新しい課題に直面しているということでございますので、これに的確な対応を図るという見地から、ただいま御指摘の、私どもリースカウントと呼んでおりますが、商品開発センター設備等の価格の二倍を現在限度といたしております設備リース事業について、これを三倍まで拡充しようということを五十九年度から考えているということでございます。
  80. 横手文雄

    ○横手委員 この制度に対しては、今申し上げてまいりましたように、この運用がまさに柱であります。そして現地では、このリースに対する要望がほぼ集中しておるような状況の中にあります。したがって、現地のこの陳情書の中には、要望限度枠を共同施設等の時価評価額の五倍あるいは撤廃、このように大変大きな要望が出ているわけでございますけれども、現在の二倍を三倍に伸ばす、それは御努力の跡は歩といたしますけれども、しかし向こう五カ年間のうちにこれを案分して使わなければならないということになると、それは大変小さなものになってしまう。要望にすべて応じようとすれば、一年ないし一年半でこの限度枠に到達してしまうのではないかということが危惧されているわけであります。やってみなければわかりません。  しかし、先ほど来申し上げておりますように、弾力的運用の中で行うという大臣答弁からして、そして現場でこのように強い要望があるということにかんがみ、今三倍までは踏み切ったという御答弁でございますけれども、なおこの地元の要望に応じてこれを拡大、弾力運用するという姿勢はございませんか。
  81. 黒田真

    黒田政府委員 先ほど申しましたように、構造改善事業の中で、設備の近代化と並んでと申しますか、むしろ設備近代化はソフトな商品開発事業の成果を実現するという考え方で、いわば設備近代化だけでは新しい時代に対処し得ないという考え方があるわけでございます。したがいまして、その商品開発センターの評価額とのバランスが定められているわけでございまして、現在二倍というところでございますが、その二倍でありましても、各種の商品開発センター事業というものが行われておりますので、リース枠にはなお余裕があるというケースが多いようでございます。  また、ただいま三倍まで広げるということでございまして、これでは本当に不足することになるのかならないのか、現在各業界は産地ごとにビジョンを考えて、今後の五年間にどういう事業を期待するかということが検討されておるわけでございまして、今直ちにこれをもっと引き上げなければどうにもならないというふうには必ずしも考えないわけでございまして、とりあえずと申しますか、三倍という枠を有効に利用しながら構造改善事業を進めてもらいたいというのが現状における考え方でございます。
  82. 横手文雄

    ○横手委員 大変くどいようでございますけれども、私はこの三倍を今ここで四倍あるいは御要望にありますように撤廃ないしは五倍という回答をしてくださいということを申し上げているのではございません。三倍まで伸ばすという御努力には敬意を表します。しかし、現地ではこういう要望もございます。これは、今御指摘のとおり実際に構造改善事業をやってみなければわかりません。しかし、それ以上やればそのビジョンの中でかくのごとき我が産地の構造改善が描けます、しかし、何としてもそこへ到達するためにはこの三倍の枠では無理でございますというようなことがあり得るということが予想されるわけでございますが、その際に弾力的な運用を考えておられますか、このことでございます。
  83. 黒田真

    黒田政府委員 基本的に弾力的な対応を考え払いという点につきましては、大臣から御答弁もあったところでございます。私どもも当然そういうことで考えているわけでございます。  ただ、確かに設備リースと申しますか、設備のための資金需要というものに対する御要望が強いわけでございますが、それだけがソフトの関連を離れて突っ走るというようなことになってはいけないというような意味での歯どめもございますので、考え方としては弾力的であるという根本はもちろんそのおりでございますが、同時にそういった配慮、私が申し上げましたような、設備だけに重点を置くという点に対する反省という配慮もあるということもこの際申し上げさせていただきたいと思います、
  84. 横手文雄

    ○横手委員 お話のとおりであろうと私も理解をいたします。今御答弁の中で、前半、そこまででよかったわけでございますが、ただしという言葉がございましたが、それはやはり野放しの、そしてこの法律の目的から外れたようなことまでも、こんなことは現地の皆さんも言われませんし、私の要望の中にも入っていないわけでございます。ビジョンを描けということでございますからビジョンを描かなければならない、それは言われたからやるということではなくして、我が産地を守るためにいかにあるべきや、これは現地の皆様方は真剣に討論に入っておられるところであります。その際に、先ほど申し上げましたような事態が起こったときに、どうかその弾力的運用を通産省考えておいてくださいという御要望を申し上げたことでございました。それに対して、考えておるという御答弁であったと理解をさしていただき、そして次へ進めさせていただきたいと存じます。  中小企業事業団の融資の対象緩和についてであります。  現在の実施要綱では商品開発センターの運転資金以外は融資対象となっていないとか聞いておりますが、産地では開発を行おうとしている製品、つまり新ビジョンが示しておりますような先進国型製品、あるいは差別化製品、これらの問題について、これが開発に当たって実需直結、いわゆるアンテナショップ、共同受注、共同販売事業を融資対象に加えてもらいたいという要望が非常に強いのでございますが、これもまた当然のことだと思います。これら事業をその融資対象に加えることを検討すべきだと思いますが、通産省いかがでございます。
  85. 黒田真

    黒田政府委員 現在の繊維工業の構造改善事業というものの金融的な支援措置は、中小企業事業団の高度化融資という制度を実は利用させていただいているわけでございます。この高度化融資は設備資金を対象とするという原則があるようでございます。現在繊維法に基づく構造改善事業に関連いたしましては、商品の企画開発力の強化というソフト面の対策が特に重要だということで、商品開発センターの長期の運転資金、新商品の開発施策、デザインの開発、市場調査といったような開発センター絡みの長期の運転資金については融資の対象というふうに見ていただくことにしておりますけれども、これは知識集約型の繊維の構造改善の特例という例外中の例外ということのようでございまして、それ以外の通常の共同経済事業というふうにみなされるような事業について運転資金の対象とするということはなかなか難しいというのが現状でございます。
  86. 横手文雄

    ○横手委員 まだこの質問を続けさせてもらいますけれども大臣が二十分に御退場になるということをお聞きをいたしておりますので、大変質問が飛んでしまいますけれども、この点について大臣のお考えをちょっとお聞かせいただいて御退場いただきたいと思います。  これはまた後ほど順を追って触れなければならないのですが、ちょっとちぐはぐになりますけれども、輸入問題についてでございます。この問題についてまた大臣お帰りになりましてから通産当局の皆さんといろいろとやりとりもしてみたいと思いますけれども、基本的に我が国の輸入政策について二国間協定、つまりMFAの発動問題について大臣どう考えておられますか。
  87. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 我が国といたしましては、我が国繊維産業の創造性と活力を減退させる輸入規制等の保護的措置は可能な限り差し控えたいと思います。しかしながら、いかなる場合においてもMFAを発動しないということではございません。輸入の急増品目に対しましては、事態に即しまして実効ある適切な措置をとり得るように、引き続き輸入動向、国内需要の動向等を注視してまいる所存でございます。
  88. 横手文雄

    ○横手委員 それでは大臣確認をさせていただきますけれども、新繊維ビジョンの中にも「如何なる事態においても輸入を放置せよということではなく、輸入急増に伴う過度の影響を緩和するためには、事態に即して機動的に対応することも必要である。」と述べられて、さらに一定の枠をつけながらも「特定品目の輸入急増によって国内産業に重大な被害を生じるような場合にはMFA(国際繊維取極)を適用した措置をとること。ただし、」云々といったような歯どめがしてあるわけでございますが、この繊維ビジョンの中に示されておることについて、大臣もこれを肯定する、そのとおりであるというぐあいに理解をしてよろしゅうございましょうか。
  89. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 その考えでございます。
  90. 横手文雄

    ○横手委員 それでは大臣、参議院の予算委員会とかお聞きをいたしておりますので……。  それでは局長、先ほどの御答弁でちょっと合点がいかぬ点がございます。と申しますのは、私はそのような目的でもってこの中小企業事業団の融資が行われておるということは承知をいたしております。したがって、これがむやみやたらに拡大するものではないということも承知をいたしております。しかし、先ほども申し上げましたように、開発を行おうとする製品、差別化製品を開発していこうというときに、これが売れるものであるのか売れないものであるのか、このようなアンテナショップを上げてみるというのは、まさに開発とセットになったものであると私は理解をいたしておりますが、さすれば、セットであるとするならば、その融資枠をせめてここまででも引き伸ばしていくというのは当然のことではないかと思いますが、いかがでございましょう。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
  91. 黒田真

    黒田政府委員 私どもの考え方は、この商品開発センターによります新商品等の開発事業と適切な関連を有する施設というものが融資の対象に含まれるというところまでは申し上げられると思うのでありまして、しからば具体的にどういうものであるかということは、もう少し具体的な例に即して検討をさせていただく必要があろうかと思っております。  ただ、今御指摘のアンテナショップと申しますか、モデルショップというようなものにつきまして検討いたしますと、具体的にどういうことになりましょうか。そういうある種のお店の施設をつくる、取得するということになりますと、この制度の対象になるわけでございますけれども、なかなかそういうふうにはまいらない状況もあるようでございまして、具体的な事例に即して検討させていただきますが、あくまでもこの制度が商品開発センターによる新商品開発事業と適切な関連を有する施設に対する範囲ということで対象にできる、こういうことでございます。
  92. 横手文雄

    ○横手委員 こういうものは実際に当たってみなければ、この程度のものはどうかということは大変難しいことであろうし、一般論として述べるということには一定の抵抗があるということはわかりますが、先ほど申し上げましたように、何かを開発しなければならないということで一生懸命になっておる、それが消費者の皆さん方のニーズに合うのであろうか、あるいはどこやらの産業でこういったものを使ってもらえるのであろうか。こういう繊維製品を開発をしていく、こういうときに一定のアンテナショップを上げてみるということは、開発とそれらの行為とはまさにセットになっているという理解を私はしておりますが、この私の理解は間違いであると言われるのか、そのとおりであると言われるのか、その点について一言御答弁をいただけませんか。
  93. 黒田真

    黒田政府委員 ただいま先生おっしゃられましたように、開発をした新しい商品というものの成果がいかに消費者に受け入れられるか、ニーズにどう対応しているかということは、まさに新商品開発事業の一番大事な点であるという点については、全く同意見でございます。それをいかに具現していくか、そしてその手段に対してどこまでこれを応援していくかということになりますと、いろいろ制度的な枠組みもございますが、個別具体的に検討をする余地はある、かように考えます。
  94. 横手文雄

    ○横手委員 セットということについての御答弁はいただけませんでしたけれども、関連するものということで含まれるというぐあいに理解をさせてもらって、次に進んでまいりたいと思います。次は、産地組合の強化育成の問題についてであります。さきに示されました新繊維ビジョンにも指摘されておりますように、産地組合の強化育成、つまり組合員から頼りにされる産地組合への成長は大変重要なことであります。  設備の登録廃止問題の際にも、業界の皆さん方から、登録制廃止反対運動の柱の中で、産地組合の強化のためにはこの設備の登録というものは不可欠のものである、これがなくなったならば産地組合そのものが崩壊の危機に瀕する、このようなことが強く述べられました。私自身もそのことをこの委員会でくどく申し上げたことをよく覚えております。  しかし、繊維ビジョンの中で示しておりますように、だからといってそれだけに頼るということではなくて、申し上げてまいりましたように、組合員から頼りにされる産地組合の成長に対して多くのビジョンを掲げていかなければならないということ、このことのために、通産省としても産地ビジョンの確立のために積極的指導をしておられるところでございますが、なかなか今日までそのビジョンが描き得なかった。これからぜひ描いてもらわなければならないけれども、今後これを積極的に推進するためには何らかの具体的な支援が必要ではないか、こんな気がいたしますけれども、産地組合の強化育成に対して通産省の具体的な支援、施策のお考えはございますか。
  95. 黒田真

    黒田政府委員 先生指摘のように、まさに頼りにされるようなそういう産地組合というものができ上がるということが、それぞれの産地の力を強める働きをするというふうに私どもも考えるわけでございます。  したがいまして、産地組合を通ずる技術指導というようなものの重要性について、従来から私どももこれを支援してきたわけでございますけれども、それはどちらかといえば、基礎的な技術指導ということに従来は限られていた、今後はむしろ新しい技術というようなものについての繊維産業への展開、適用というものを可能にするような、そういった技術指導員というようなものを養成するということも考えているわけでございまして、そういった指導員というようなものの活用を通じて産地組合の成果が高まるということが期待できるわけでございます。  また、これは若干後ろ向きの要素でございますけれども、転廃業というような問題が起こったときに、各産地で実情に即しながら御相談をしていただこうというようなことで、まさに頼りになる産地組合という意味での活動をしていただくものに対して、若干ではございますが助成をするというようなことも考えているわけでございまして、私どもも、この産地ビジョンをつくる過程で、産地組合としていろんな活動が考えられると思うわけでございますが、これらに対しては可能な範囲での、今申し上げたような助成、それに加えてのいろいろな意味での応援、支援というものは今後ともしていきたい、かように考えております。
  96. 横手文雄

    ○横手委員 おっしゃいますように、その技術指導等について若干の予算を組んで、そして新しい法律の中に盛り込んでいく、そして、それはまさに産地組合が主導権を握って、産地組合の皆さん方の技術指導に当たる、あるいはそれのバックアップを通産省がする、そのことによって頼りがいのある産地組合として成長していく、その中に新しいビジョンを描いていく、そういった御努力に対しては大変敬意を表するものでありますが、私はそのことと、さらに今お話の中に出ましたように、転廃業対策等について十分に相談に乗っていく、こういうことも大変大事なことだと思います。  それは今日までやられてきた部分が多分にあるわけでございまして、そういった中でもなお産地ビジョンというものは描けなかったという実態でございますね。こういうことはやはり事実として見詰めていかなければならないのではないか、こう思うのであります。さすれば、もっと産地組合に対して権限と言ったらおかしいのですけれども、何かそれ以上の、例えば補助金の交付だとか、あるいはいろんな構造改善事業に対する認可の申請の窓口だとか、そういったものを、圧力をかけてまとめるというのは私は余り好きではございませんけれども、それのみにこだわるということではなくして、それに似たような何かのものを産地組合に付与する、こういったものもてこの一つにしながら新ビジョンを描きなさいということは大変大事なことだと思います。いかがでしょう。
  97. 黒田真

    黒田政府委員 実際にさてビジョンをつくろうということになると、決して容易なことではないということは私どもも理解はしているつもりです。しかし、逆にきれいに整ったビジョンという形式があるかどうかにかかわらず、その産地が将来どういう方向発展していくかというような点についての一つのコンセンサスのある産地というものはそれなりに活力を持ち、上昇していくということがあるわけでありますから、私は、産地の発展を願う立場からは、そういうビジョンづくりに格段の努力をしていただきたいというふうに考えるわけでございます。  従来、産地に対しましては、先ほど申しましたような繊維特有の応援のほかに、中小企業庁の方から産地法に基づきまして支援も、時間を限ってでございますが行われてきて、それらをうまく使いながら、産地における指導性を発揮している例も多く見るわけでございます。  できることならその産地組合というものに何か権限を与えるかどうかという問題でございますが、これは望むらくは、権限があるからそこを通さなければならない、通さなければならないから、組合員の方がやむを得ず来られるという姿は決して好ましい姿ではないのでありまして、やはり組合に知識が蓄積され、指導力が発揮されることによって、組合員の皆さんがそこへ相談に行かれるという形こそ望ましい姿だろうと思っております。  構造改善事業に関連いたしましては、特に私ども、これは五十四年の延長のときに、どうも十分に構造改善事業についての周知徹底が不足しているのではないかというような御指摘があったことにこたえてだと思いましたが、各地におります産地組合のリーダー格の方々に対しまして、構造改善事業についての登録指導員というような資格を持っていただきまして、こういう方々が構造改善事業を指導をするというふうなことは行っておるわけでございまして、こういうものを生かしながら、産地組合がその地位を高めていくということを期待しておるわけでございます。現実にいろいろ産地組合がそういった意味でのあっせんといいますか、窓口として機能しておられるというケースはあるようでございます。
  98. 横手文雄

    ○横手委員 質問のときにもお断りをいたしましたように、私は決して頼れる組合のために、権力をもってこれを抑えつけていく、このような指導をしなさいということを言っておるのではございません。これはもうお断りをしたとおりであります。しかし、今考えておられるこのようなことでいけるのであろうかということは、今日までやってこられた実績と、現実に私もその産地に住んでおる一人として、多くのおつき合いをさせてもらった一人として、現実の姿を見たときに、このままではなかなかという気がするわけでございます。しかし、だからといって放置するわけにいかないから、何かほかのものを付与して、そして頼れる産地組合をつくり上げるために、新しいビジョン描きのために何かを付与してあげる必要はありませんか、ぜひ御検討をいただきたいということにとどめさせていただきたいと存じます。  次に参ります。構造改善事業の計画、実施に当たっての労働者の参加問題についてであります。  さきに行われました本法に対する各界の意見聴取の際に、ゼンセン同盟の野口参考人から、「本法にかかわる構造改善事業の実施は、当該従業員の雇用と労働環境に少なからぬ影響をもたらす。個々の構造改善事業への労働者の参加を制度上明確に位置づけるべきである。」このような意見が述べられました。私はけだし当然の意見だと思っておりますが、これに対して、通産省の見解はいかがでございますか。
  99. 黒田真

    黒田政府委員 今日までも構造改善事業計画の承認に際しましては、地域、業種、業態に即した計画となるようにということで、それぞれの地域で構造改善指導援助委員会というものを設けております。これは一県の範囲内にとどまる場合には県に設けておりますし、数県にまたがるような場合には通産局に設けておるわけでございますが、そういった構造改善指導援助委員会というものが、事前に提出されます計画の審査、指導というものを行っているわけでございます。  そして、従来、これを調べてみますと、この指導援助委員会の中に委員として、労働者代表というものが参加をしておられるというケースが大変多いようでございまして、こういうことを通じて労働者意見が計画に十分反映されるということが担保されているというふうに考えるわけでございます。  しからば、これをもう少しさらに制度化したらどうだというお尋ねにつきましては、当然労働者意見が反映され、話し合いが行われるということの必要性について、毫も疑いを差し挟むものではございませんけれども、これを現在の段階でさらに制度化するということにつきましては、これを利用する方々中小企業方々が多いというようなこともあるわけでございまして、実際にどういうような担保をしていくことができるだろうかというような実行上の問題等を考慮いたしますと、先ほど申しましたような、指導援助委員会の中で労働者代表委員の方が参加をされるというようなあたりで当面よろしいのではないか、かように考える次第でございます。
  100. 横手文雄

    ○横手委員 私も本院に籍を持つまでは福井県におけるその指導員の一人でございました。そして県の中でもいろいろと御相談にも応じてきたわけでございますが、ただ、私は真っ正面から振りかぶって、労使対決だとか、そんなことを申し上げているのではございません。せめて、例えば設備廃棄の際に労働者が要らなくなってくる、当然のことでございますけれども、そういった申請の中には、そこに働く労働者意見も付してきなさい、こういったことは指導としてなされておりますし、私どもも現地でそういうことを繰り返し発言をしてきたところでございました。  今後も、これは飛躍のための構造改善でございますから、これは労働者にとっても大変いいことである、じり貧でいくよりも新たなものを開発をしていく、そこに高付加価値を求め、その中に初めて高い労働条件が得られる、こういうことでございますから、むしろ望むところでございますが、ただ、ゼンセンの野口参考人から述べられた、これらの問題についても十分に配慮すべきだ、こう思っております。  通産省としても、それらについて十分配慮いたします、そして今各県にあります構造改善の推進指導員、これらのものを活用しながら個々の構造改善組合についてもそれが行き届くように、県庁の中の会議に終わらないように、現地にもそういった心といいましょうか、そういったものが届くような、そういった指導をしていただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  101. 黒田真

    黒田政府委員 構造改善事業の推進に当たりまして、雇用者の協力というものが必要なことは全く申すまでもないところでございますので、ただいま先生指摘のような線に沿いまして、現実にあるいろいろな仕組みを活用する際に、雇用者の雇用の安定を図るという見地からいろいろな意味での配慮というものが行き届きますように、労働者意見が反映されますように私どもとしても指導をさせていただきたいと思っております。
  102. 横手文雄

    ○横手委員 ぜひお願いを申し上げます。  それではまた、この福井県織物構造改善工業組合の陳情書に戻りますけれども、この中に、   協同組合法に基づく組合事業は時代の変遷とともに需要の構造変化により生産品種の多様化、設備の革新化により適法に維持運営することが困難なものが生じているところから左記のとおり実施要領の承認基準の緩和を願いたい。  イ 法第九条の二の第三項において員外利用率は組合員の利用分量の総額の百分の二十をこえてはならないとあるを、協同組合設立後期間を経て事情止むを得ないと判断される場合は適用除外する。  ロ 法第十条の第三項において一組合員の出資口数は出資総額の百分の二十五をこえてはならないとあるを、事情止むを得ない場合は適用除外とする。 こういうぐあいな陳情が出ておりますけれども、これに対する御見解はいかがでございましょう。
  103. 中澤忠義

    中澤政府委員 お答えいたします。  経済環境の変化によりまして組合の原則を検討すべきだという状況にあるということは、私どももそのように考えております。  まず員外利用の制限緩和でございますけれども、組合はその組合員に直接奉仕をするということを目的といたしまして共同事業を行う事業体であるということでございますので、この制限を一律に緩和するということは、これは不適当であるというふうに考えております。しかしながら、いわゆる団地組合の場合におきますように、その立ち上がり期におきまして、すべての組合員が団地へ移転を完了するまでの間に、組合員のみでは共同施設の利用率が低くなってしまうという場合に、員外者の利用を行いまして、適切な稼働率を確保するというような場合には、員外利用制限を緩和するということが適当であるというふうに考えておりまして、この点は組合法の改正の原案に盛り込むことにしております。  また、第二の御質問の点でございます出資持ち口数の制限緩和でございますけれども、これにつきましても、組合員の相互扶助主義あるいは平等主義の原則ということから、一律にこれを制限緩和するということにつきましては、これまた不適当と考えておりますけれども、組合員同士で合併をする場合、結果的に出資持ち口数の制限に触れてしまうというような場合が間々出てまいりますので、このような場合につきましては、御指摘のように制限を緩和するということが妥当だと考えております。  以上、御指摘の二点の問題を含めまして、組合法の改正につきまして、改正原案にこの点を盛り込みまして、近く提出を予定しておるという次第でございます。
  104. 横手文雄

    ○横手委員 それでは念押しをさせていただきますけれども、この陳情書の中に掲げております、特に次の二点についてということで申し上げたとおりでございます。おっしゃるように、最初から員外利用を目的にしたようなものは、これはもう共同施設ではないわけでございまして、あるいは最初から大口の出資を持つということになってくれば、これはもうオーナーになるわけでございますから協同組合にならない、私はこれは当然わかっておるわけでございます。  ただその運営の中で、例えば福井県あたりに行きましても、このような撚糸機を共同で入れたけれども、小ロット多品種のこの時代、品物が変わってきた、ここの撚糸機が使えないということになってくると、よそへ行かなければならない、そうすると、ここの設備があきますからよそからの注文も入ってくる。つまり相互乗り入れみたいなことになっているという実態がございますし、あるいは口数の問題にいたしましても、その後合併をしたり、あるいは脱退者が出て一人に偏らざるを得ない、こういった経過については、その趣旨を踏まえて、この陳情書に沿って、このようにいたしますという答弁であったと理解してよろしゅうございますね。
  105. 中澤忠義

    中澤政府委員 この陳情書にございます第二点、「ロ」と書いてございます条項でございますけれども、「出資総額の百分の二十五をこえてはならないとあるを、事情止むを得ない場合は適用除外とする。」という、この「事情止むを得ない場合は」ということについて今先生が解説されまして、合併するとか、あるいは相互乗り入れというような場合で、結果的に百分の二十五を超えてしまうという点を御指摘になられましたけれども、そのような場合には、まさに私どもの今回の改正原案におきましては、そのような例外を百分の三十五までは認めるというふうに考えておるわけでございます。したがって、先生のただいまの御理解は当てはまるというふうに考えております。  ただ、第一点の員外利用制限の場合でございますけれども、これはやはり原則としては百分の二十を超えないということはそのまま維持いたしたいと思っておりまして、先ほど申しましたように、団地組合のような場合に、立ち上がり期におきまして、この共同施設等が員外利用を認めないと、その利用率が極端に低くなってしまって維持できないというときに、一定の期間を限りまして、その間におきましては百分の二十を超えても認めるというふうに考えております。また逆に、組合員の脱退者が出てくる。その場合に、その組合員が脱退した結果、員外利用の比率が百分の二十を超えてしまうというような場合につきましては、これまた一定の期間を限りまして、員外者の利用を認める、百分の二十以上の利用を認める、このような形での適用除外を考えております。  したがいまして、この陳情書にあります「設立後期間を経て事情止むを得ないと判断される場合は適用除外する。」という趣旨の陳情でございますけれども、ただいまお話し申し上げましたようなケースに限定して考えれば、まさにこの適用除外を認めるようにいたしたい、かように考えているわけでございます。
  106. 横手文雄

    ○横手委員 ぜひお願いを申し上げたいと存じます。  それでは輸入問題について御質問を申し上げます。  我が国の繊維産業が需要の停滞、途上国の追い上げ等による厳しい環境の中にあって、構造改善を今後円滑に推進していくためには、輸入問題は避けて通れない問題であります。ただ私は、先ほど申し上げましたように、我が国は貿易立国でございますから、不当な輸入規制を行うべきではない、このような観点に立つわけでございまして、先ほど大臣からもそのような御答弁をいただきました。  そこで、よく業界の皆さん方から聞きます不満の一つの中に、我が国も不当な規制をしようということではないけれども、ただ関税が安過ぎます。例えば一般綿織物等については日本が五・六、アメリカが一二・八、ECが一四、このように最初から差があります。この問題について通産省どう考えておられますか。
  107. 黒田真

    黒田政府委員 各国の関税率というものは、戦後ガットの場を通じまして何回となく交渉をされ、引き下げられて今日に至っているわけでございます。先刻行われました東京ラウンドと呼びます多国間貿易交渉というのが一番最近の交渉でございますけれども、その際にも、この繊維の関税については議論がなされたところでございます。  御指摘のように個々の品目についての上下はいろいろございますけれども、平均で見まして、アメリカはこの東京ラウンド前の平均が二三・三%であったということでございますが、それを東京ラウンドの結果一九八〇年から八七年にかけて一八・三%まで引き下げるというふうに合意がなされております。これに対して日本の水準というのは一一%というのが東京ラウンドの前後の水準でございます。これは若干事情がございまして、一九七二年東京ラウンドがちょうどスタートする時期に、二割一括の引き下げということを自発的に行ったものですから、その範囲で東京ラウンドの譲許を行うというようなことにしたことから、こういう短い期間を追っておりますと日本の関税率は動いておりませんけれども、今申し上げましたように、レベル自体としては日本が低くてアメリカが高いという点は御指摘のとおりです。  しかし、これは結局関税の仕組みというものが、戦後長い間かかって交渉されて逐次引き下げられてきたわけでありますが、特に戦後の初期の経済事情を反映いたしまして、当時比較的国際競争力の強いものにつきましては関税率というものが低目に設定をされた。それからその当時非常に輸入が多い、あるいは国際競争力の低いものについては高目に設定されたということが各国の事情にあるわけでございまして、日本の場合には、したがいまして綿製品、綿糸、綿織物というようなものにつきましては当時いわば輸出の花形でございますので、関税率が低く設定をされた。アメリカ等におきましては、当時からこれを保護しようという考え方があったために、高目に設定をされた。スタートラインにおきまして、そういう差がございましたものですから、その後の何度がにわたる引き下げ努力にもかかわりませずと申しましょうか、そういう過程を経てもなお今日、格差が存在しているということは事実でありますが、今申し上げましたような一つの歴史的な所産でございますので、これを直ちに変更するというわけにはなかなかいきがたい事情がございますので、今後、交渉の機会をとらえて、下げる方向では努力をしていきたい、かように考えておるところでございます。
  108. 横手文雄

    ○横手委員 そういった影響がどうかわかりませんけれども、先般の参考人の皆さん方からも特に強く言われておりましたのは、中国からの輸入の激増といいますか、これに悲鳴を上げております、このようなことが訴えられたのであります。これは、当然通産省にもこのような資料は出てきておると思いますけれども、五十九年の二月の中国からの輸入量はまさに新記録の状態であり、このまま推移するならばまさに脅威である、こういうことが強く訴えられておりました。  これに対して、業界の皆さん方は、中国へ渡って、かの国の皆さん方と、怒濤のごとき我が国に対する輸出をやめてもらいたい、こういったことで、十分話し合いもしております、しかし、民間の話し合いでは限度があります、ひとつ政府も腰を上げていただけませんか、こんな要望もあったと同時に、二国間協定の発動の問題について強く意見が述べられましたけれども、これらの問題について、通産省の見解をお伺い申し上げます。
  109. 黒田真

    黒田政府委員 二国間協定発動の問題につきましては、先ほど大臣からも御答弁を申し上げたところでございますけれども、我々としては、できるだけ慎重にこれには対応しなければならない。もちろん、あらゆる状況下において、国際繊維取り決めを発動しないというようなことを言うわけではございませんけれども、この発動については、いろいろな状況を考えると、慎重にいかざるを得ないということでございます。  確かに、今年二月の綿織物の輸入が史上最高に達している、このまま推移すれば非常に大変なことになるのではないかということは、せんだっても参考人からの御意見であったわけでございます。私どもも、現在、その状況をいろいろ調査をいたしております。  昨年、全般的に天然繊維というものが少し見直されてまいりまして、カジュアル化というような言葉が使われておるようでございますけれども、比較的太い綿糸を使いました綿織物というようなものが一つの流行ということで珍重をされておるということがあるようでございます。  そういったような国内の需要が強いということに加えて、先方の国内事情もあって、若干納期おくれがあったというようなものが二月に集中をしまして、非常に高い数字が出たということだというふうに私どもは理解をしているわけでございます。しかしながら、今後需要期というものも終わるわけでございますから、当然ある程度そういった輸入というものも鎮静化をしてくるのではないだろうかというふうに現在見通しておりますが、他方、ということは言葉をかえて申しますならば、非常に高い水準が続くというようなことになれば、それはそれで非常に問題をはらみ得るというふうには認識をしております。  従来から関係業界方々が中国側に行かれましていろいろ話し合いをされまして、集中豪雨的な対日輸出というものは差し控えてほしい、自分たちは構造改善努力をしているのだから、そこに混乱を生ぜしめないでほしいというような形で先方の理解を求め、中国側もいろいろそれに対しては理解を示しているというふうに聞いております。  政府といたしましても、国際取り決めに基づく二国間協定というような形ではございませんけれども、いろいろな機会を通じて先方の政府あるいは公司等と話をいたしまして、国内的には輸入についての懸念が非常に高まっているので、やはり秩序ある輸出ということに心がけてもらうことが、長い目で見て両国の貿易関係からいって、意味のあることであるというようなことをお話しをしているわけでございまして、現時点ではそういったソフトな対応、相手国に対してはソフトな対応、同時に国内的には関係業者の方々とのお話し合いによる事態の監視と申しますか、事態を見守るということで当面は対応していくというのが、私どもの考え方でございます。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  110. 横手文雄

    ○横手委員 あとアメリカの輸入規制の新基準あるいは日米繊維協定による輸入規制品目の追加問題あるいはアンフェアトレード問題、不公平輸入問題等について、若干質問を残しましたけれども、次の機会に譲りたいと思います。  きょう、どうしてもさわっておかなければならないのがございます。共同設備廃棄事業の問題についてであります。  述べてまいりましたように、我が国繊維産業実態は、内需不振、輸出不振、輸入の拡大、これらの谷間の中であえいでいる実態にあります。したがって、今後、業界からは設備の共同廃棄事業の実施の要望が高まってくることは予想されますし、いや、むしろその声が既に上がっております。繊維ビジョンの中でも示されたとおりであります。これに対する通産省の方針はいかがでございますか。
  111. 黒田真

    黒田政府委員 昨年いただきました繊維ビジョンに関します答申の中で、設備の共同廃棄制度につきましては、相当批判的な形で意見が述べられております。結局、過去、何度も繰り返し実施されてきたということが、将来においてもまた実施されるだろうという期待を生んでくる、そうすると、本来ならば廃棄すべきような設備も温存させることになる、あるいは投資に当たっての態度が甘くなるというような形で、弊害が指摘をされているわけでございます。  したがいまして、私どもとしましても、そういった答申の趣旨に沿って、この問題については慎重に対応しなければならないわけでございますけれども、現在、繊維産業が直面しております非常に厳しい状況下で、大きな転換をしていく、構造改善をしていく、先進国型に向けて脱皮していくという過程で、転廃業者の増大ということも考えられますので、これに対する対応措置の一部といたしまして、この共同廃棄事業というものにつきまして、先ほど申しましたような答申における非常に厳しい御批判はございますけれども、何とか転廃業者に限って活用をさせていただきたいということで、現在、その方向で案を練っている、こういうことでございます。
  112. 横手文雄

    ○横手委員 私は、これらについて、共同設備廃棄事業の問題についていろいろな意見があるというのは、よく承知をいたしております。しかし、繊維産業はもともとそういった産業であろうと私は思うのであります。何遍も繰り返して申し上げてまいりましたように、途上国から追い上げられてくる産業であります。したがって、新しい機械を入れて、新しい設備で、新しい品物を開発をしていかなければならない、それが近代化への道であります。そうしますと、そこには当然過剰設備という問題が起こってくる。その設備についてどうするか、こういったような問題はやはり繰り返し起こってくる産業である、このように思っておるわけでございますから、そういう前提に立って共同設備廃棄事業についても取り組んでいただかなければならないと思うのであります。  ただ、具体的な問題が起こってきたときにまた議論をすべき問題でございましょうけれども、一つは今おっしゃいました転廃業者ということになってくると、その人は再びもう繊維産業に手をつけない、今までのように一部縮小というものはその対象にしないということであるとするならば、これはいい、悪いはまた別の問題でございます。その問題にするならば、当然業界の皆さん方の要求としては、それに対する附属設備も同時に買い上げてくださいという要請が出てくるであろう、このように思います。  それからもう一つは、特に繊維の産地構成は日本海側にたくさん集中をいたしております。特にこれらの地域については、今まで多くの皆さん方が述べてこられましたように、いわゆる転業をする、新しい産業についてなかなかその見通しがつきにくい地域であります。そうなってまいりますと、そういった中で思い切ってやめるということになれば、この買い上げの価格という問題がやはり同時に出てくるわけであります。  いわゆる高く買ってください、どっちみち廃業するんですから、それらの附属設備についてもその対象にしてくださいということは当然のこととして、業界の皆さん方からは要求が出てくるであろう、このように考えておるわけでございますが、こういった問題、まだこれから先の話でございますけれども、このような問題が起こってきた場合には、わかりました、業界の皆さん方の御希望にできるだけ沿いながら、それらの問題について具体的に進めてまいりますというのが通産省の基本的な姿勢でなければならないと思いますが、いかがでございますか。
  113. 黒田真

    黒田政府委員 具体的な条件と申しますか、価格をどうするかということは、今後こうした事業を実施に移します際に具体的に詰めて決めるべき問題だというふうに考えております。しかしながら、と申し上げなければならないわけですが、従来からこの価格設定の基準というものは、従業員の方々がやめられていく、そのために必要な費用でありますとか、それまでの負債の整理の資金でありますとか、あるいは残存簿価というようなものを十分調査をいたしまして合理的に決定されているわけでございまして、従来からこれは主として転廃業者、そして一部の廃棄事業者も含んでおりましたけれども、従来も転廃業者にも適用するという形で実施をしてきておりますので、率直に申し上げまして、これらを引き上げるということは相当難しいということを申し上げざるを得ないと思います。
  114. 横手文雄

    ○横手委員 今申し上げましたように、まだ具体的にこの問題が起こってきておるわけではございませんが、起こってくることは予想されますし、それらの鳴動が既に起こっておることも御案内のとおりであります。したがって廃業者、転廃業者を中心にするということであれば、そのような新しい転業先、新しい産業に参入をしていく、大変難しい地域であるだけに、この買い上げの価格の問題と、それから廃業者に絞り込むということであれば、当然のこととして附属設備についても、こういうことは起こってくることが予想されるわけでございますから、これは最初に私が大臣に御質問を申し上げたのはまさにそのことでございまして、これは新繊維ビジョンが示した、世界の市場の中における我が国の繊維産業に力をつける、こういうことがこの法律の主たる目的の一つである、そのビジョンに示された方向に向かって進んでいく、そのことのためには業界の皆さん方の要望を、現場の声をできるだけ聞いていただくということの念押しを大臣にもしたのはまさにそのことでございますから、ぜひ積極的に取り組んでいただきたいと存じます。  なお、時間でございますから、最後に一つ御質問を申し上げますが、化合繊のジャカード織物、現在大変な不況でございます。私も先般福井県の地域の密集地の工場を見てまいりました。既に三月十三日には業界の皆さん方が決起大会を開いて、自主操短問題について決議をなされておるところでありますけれども、しかし現実に工場の中はとまっております。私が入りました工場でも、二世の若い方が学校を出て大変意欲的にこの繊維産業に取り組んでおられた。そしてあれはたしかスルーザーだったと思いますが、新しい織機を入れて、その製品について商社の皆さん方と打ち合わせに打ち合わせを重ねて、この織機を入れて製品を開発し、そしてこれをやっていきますということで合意がなされた。そして機械を入れた。ところが現在はたて待ちの状態であります。つまり空っぽであります。大変深刻な状態であります。大変気の毒に思いました。  その大会の決議の際にも、我々産地ジャカード織物組合は、本日ここに結集をしたということで、「安値工賃の自粛を決議し、低利長期の減産資金の融資並に利子補給等関係機関に要望し、併せて、コスト競争力の強化、商品開発力、需要の開拓、情報の収集等一層の企業努力により産地を死守していくことをここに宣言する。」このような決議をしておられるわけでございますが、この問題に対して通産省は積極的に支援をしていただきたいと思いますが、いかなる具体的な対策でございましょうか。
  115. 黒田真

    黒田政府委員 御指摘のように、合繊のジャカード織物というものは大変高級品のようでございますが、一時大変な活況を呈していた時期がございました。しかしながら、最近になりまして急速な引き合いの減少という事態に直面をして、生産量も工賃も急カーブで下落をしているという状況につきましては十分承知いたしております。これは繊維品のいわば宿命のようなものでございますけれども、輸出が極めて好調であったものが、輸出先市場における消費者指向と申しますか、ニーズの変化ということで、合繊からむしろ天然繊維あるいは長繊維から短繊維へというような変化もあったようでございます。他方、韓国のジャカード物が大変このごろ力をつけてきて、競合関係が厳しくなったということもまた指摘されているわけでございます。こういう時期でございますので、やはり生産側としては需給調整という形で対応をしていかざるを得ないというふうに考えるわけでございます。  しからば具体的な対策いかんという御指摘でございますが、私どもといたしましては、県と協力させていただきながら、中小企業体質強化資金融資制度というものを活用いたしまして、特別融資が実施できますよう検討いたしておりますし、また信用保険の特例措置のために不況業種の指定、これは従来指定してあったのでございますが、非常に好況の時期にこの指定を解除したという経緯もあるようでございますが、これを再び指定するという御希望がありますならば、これを検討するということで対処してまいりたい、かように考えております。
  116. 横手文雄

    ○横手委員 ぜひ十分な対処をしていただきまして、産地の皆さん方の御希望に沿っていただきたい。そして力づけていただきたいということを御要望申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  117. 梶山静六

    梶山委員長 野間友一君。
  118. 野間友一

    ○野間委員 それでは今同僚委員の方からも話がありましたが、私も福井県の織物構造改善工業組合から陳情を受けておるわけで、これに関して最初にお伺いしたいと思います。  この法の延長に係る産地一括型の構造改善事業、この実施要領の基準の緩和についてまず第一に、何度も論議されておりますように、設備リース事業枠の撤廃ないしは緩和の問題、これについて今、商品開発センター及び自己の保有する共同施設の時価評価額の二倍ということで抑えられておりますが、これについては通産省答弁の中でい弾力的にこれを運用したい、拡大したいという答えがあるわけですけれども、福井の方では、時価評価額の五倍にしてくれ、こういう強い要請があるわけであります。何でも、今のところ考えておられるのは三倍ですか、三倍と言わずに、これはもうぜひ弾力的にさらに検討してほしいということをまずお伺いしたいと思います。
  119. 黒田真

    黒田政府委員 業界の方からはいろいろな御要望が出ているということは承知をいたしております。私ども、いろいろ財政的にも厳しい状況下でもございますし、また、基本的にこの構造改善事業計画というものがソフトとバランスのとれた形でのハードの推進ということで、商品開発センターの事業と、こういった設備に関連いたします事業との間にはある種のバランスがあるべきだという基本的な考え方があるわけでございますけれども、特に、多品種少量短サイクル化というような新しいニーズを考慮いたしまして、従来二倍の範囲内で運用いたしておりましたリースカウントにつきまして、今回これを三倍まで拡大をしようということで対処しようと考えているところでございます。
  120. 野間友一

    ○野間委員 今三倍というお話ですが、時間がありませんから私は理由は言いませんけれども、産地としては非常に要望が強いわけです。ぜひ弾力的にさらに検討してほしいということをつけ加えておきます。  それから、員外利用率の緩和の問題であります。  これは先ほど局長の答弁で、立ち上がり期、この一定期間だけに限って適用除外と申しますか、緩和するのだというお話だったと思いますが、どのくらいの期間を考えておられるのか。少なくともこれは五年以上でなかったらいかぬと思うのですけれども、これはどのくらいを考えておられますか。
  121. 中澤忠義

    中澤政府委員 現在法案で考えておりますのは、立ち上がり期につきましては、三年以内で政令で定める期間と考えておりまして、一応現段階では三年というふうに考えております。
  122. 野間友一

    ○野間委員 これは大変現地の実態と合わないわけですけれども業界からもさらに強い要望をすると思いますが、ぜひ要望を聞いて善処していただきたいということを加えておきます。  それでは、この法の改正について質問を続けます。  現行法の繊維法ですが、いわゆる繊維産業における特徴としての零細性あるいは過多性の実態を踏まえて、主として中小零細企業、こういう業者の知識集約化、グルーピングを目的として四十八年に答申が出され、そして四十九年に成立をした、こういう経過があるわけですが、五十四年に、この知識集約化の構造改善事業が余り進展しない、こういう点についての現状分析をした上で、一部手直しをして現在の法に至っておるわけです。  ではこの間一体どうかといいますと、オイルショックとかあるいは構造的な不況のために、この法律に乗った構造改善事業は一定の成果は上げておりますけれども、数は大変少ないということですね。ですから、法律の延長というものは当然必要だと思いますが、問題は、五十八年の織工審産構審答申あるいは五十八年一月に出ました中間の取りまとめ、これを見ますと、繊維産業の現状認識とか、あるいは構造改善対策が従来の方向と異なる大きな問題があるのじゃないかというふうに私は思うわけであります。  そこで質問をいたしますが、この現行法の骨格となった四十八年の答申、それから去年の答申と比較しますと、中小零細業者についての位置づけが大きく変わっているというのが特徴ではなかろうかと思うのです。  といいますのは、四十八年の答申では、零細性と過多性が過小資本やあるいは信用力の不足というようなことによって近代化の投資を困難にしている、あるいは加工段階で言うと、賃加工形態が一般的にとられている、そのために経営の非自主性あるいは不安定性を強く残している、こういう指摘と同時に、賃加工形態とも関連して、返品とかあるいは一方的値引き尊前近代的な取引関係がこの繊維産業の場合に悪影響がかなり大きい、特に中小零細加工業者の経営の自主性を損ないがちだ、こういう指摘がされておりますね。  ところが、これは事実ですが、去年の中間取りまとめ、これを見ますと、賃加工による委託生産、これは従来その問題点ばかりが強調され過ぎる嫌いがあった、この形態が前近代的であり望ましくないものとして一方的にとらえることは妥当ではないということがこの中に書かれておりますね。すなわち、かつては中小零細業者の賃加工形態が自主性がない、あるいは不安定なものだという認識から出発をして体質の強化というようなことにつながっておったのですが、今度の答申はそれは変わっておると思うのですね。ですから、これは賃加工形態そのものは非常に評価して、そういうことでいいのだということがベースになっておると思うのです。  そこでまずお聞きしたいのは、政府は一体中小零細業者が賃加工形態にあることを望ましいものと考えているのか、それとも、こういう形態から脱して自主的に、あるいは独立した、そういう企業形態へ脱却しなければならぬというふうに思っているのか、その点についていかがでしょうか。
  123. 黒田真

    黒田政府委員 お答えいたします。  賃加工による生産形態というものが、経営の自主性を失わせると申しましょうか、弱めるということを通じて、経営の不安定性をもたらしているのではないかという問題点の指摘は従来から行われておりますし、また今日でも、基本的にそういう認識について変化があったというわけではございません。  しかしながら、過去十年間の経験等を踏まえて現状について考察をいたしました場合、その中小零細企業というものが賃加工形態から脱却をし、経営力を高めるということが一つの基本的に望ましい方向であるといたしましても、歴史的な発展の経緯もございますし、また、現実にすべての中小零細企業が経営力を高めて自前の、例えば糸を買って布を売るというような形で活躍し得るまでのすぐれた商品企画力、販売力あるいはリスク負担ということまで身につけるということは多分非常にむずかしいだろうという実態認識がございます。現実賃加工という形態をとることによりましてリスクを回避し得るということがあるわけでございますから、そのリスクを回避したエネルギーを専ら専門的な技術の向上というようなことに向けることができますならば、必ずしも賃加工形態にあるということをもってあらゆる面から非常に望ましからざる状態であるというふうに決めつけるのもいかがなものであろうか。むしろ賃加工という形で加工を委託する者との間の相互依存関係が上手にうまく形成されますならば、技術力、経営力をその中で強化していくということも考えられますので、またそういった賃加工形態というものについても現実的な意義づけをしている、こういうふうにお考えいただきたいと思います。
  124. 野間友一

    ○野間委員 大変あいまいな答弁が今あったのですが、四十八年当時の答申と比べたらこれは明らかに逆になっていますね。例えば四十八年の答申では、この零細性そのものについて、小回りがきくとか一定の評価をしながら、しかしながらとして、こういう企業零細性あるいは過多性、これが経営の非自主性やあるいは不安定性を残しておるのだということで、原則と例外が入れかわっておるわけですね。しかしながらとして、やはりこういう形はだめなんだというのが四十八年の答申の評価なんですね。ところが、五十八年のこの中間取りまとめを見ますと、これは逆転していまして、先ほど指摘しましたけれども、この賃加工形態は、先ほど申し上げたように、いろいろな問題点が指摘されてきた、しかしながら、原糸メーカーにとって、あるいは機屋にとっていろいろなメリットがあるのだ。この十九ページにもありますが、現実的にも現段階賃加工形態が適切な方策であろう、ここまで言い切っておるわけですね。これはまさに原則と例外というか、その評価の重点が全く変わっておる、こう言わざるを得ないと思うのですが、いかがですか。
  125. 黒田真

    黒田政府委員 確かに賃加工というものの基本的な弱点というものを指摘しつつも、その現実的な具体的な位置づけについては、先生がお読みになられたような読み方もあるいは可能かと思いますが、最近の答申がより現実的に現状を踏まえて皆さん方のコンセンサスとして書き上げられている、こういうことでございます。
  126. 野間友一

    ○野間委員 そうでしょう。ですから、この生産形態、賃加工形態の評価が四十八年に比べて全然変わっているわけですね。これは明らかです。それでは一体この賃加工の生産形態、これが果たしてこの答申に言うように商品企画力とか、あるいは技術の問題あるいは経営能力の涵養、経営の安定化、近代化、これに対して適切なものかどうかということが問われなければならぬというふうに私は思うわけであります。  そこで、新しいビジョン、この五十八年答申の中では、いわゆる垂直連携の理念は正しかったという評価をして、その中に、多様な垂直連携グループが形成されたのだ、こうあります。そして、原糸メーカーとかあるいは大手商社のもとに賃加工関係を軸とした垂直連携グルーブがたくさんできて、系列化が進んでおることを評価しておるわけです。特に先ほども引きました中間取りまとめ、これは非常に露骨だと思いますが、十九ページ、原糸メーカーにとって非常にメリットがある、あるいは合繊企業賃加工による織布業者等を系列化する中で売上高の増加と高収益をもたらしている、その他たくさん例示がしてありますが、大手メーカーとかあるいは商社のサイドに立ってみればメリットがある、このことは確かに大いに評価されておるわけですね。なるほど私が申し上げるまでもなしに、大手メーカー、原糸メーカー等の決算書等を最近見ますと、経常利益が非常にふえておる。五十八年度についても上向きと繊維新聞等の報道にもあるわけであります。  ところが、原糸メーカーとかあるいは大手の商社等の側に立ては確かにそうかもわからない。しかしながら、同じ繊維産業の中でも中小零細業者、賃加工形態をとるそういう業者、これは繊維の中では、特に合繊の中では非常に数、ウエートが多いわけですが、非常に深刻な状況にあることは、私が数字を挙げるまでもなしに、事実として通産省も認めると思うのです。果たしてこの新しいビジョンが言うような、賃加工形態生産が機屋にとっても高い技術力が養え、経営が安定化する、こういうメリットがあるのかどうかということなんですね。私はあちこち今実態も調べてきたわけですが、こういう評価は誤りである、こう言わざるを得ないと思うのです。  例えば福井の例でありますが、零細な機屋さんでは工賃がうんと上下変動する。これはそのままみずからの業者の収入の増減に直接来るわけでしょう。一つの例ですが、メーカーチョップのポリエステルの織物ですが、これはデシンです。五十七年の一月から三月期二千百円、これが翌四月から六月期には千六百円、五十八年の一月から三月期にこれは千九百円、もうとにかく大きく波を打っているわけですね。これが特徴です。これは一つの例ですが、こういう賃加工形態をとっているとこは皆そうなんですね。そしてジャカード、先ほども非常に危機だという話がありましたが、ここで私も聞いてびっくりしたのです。五十八年、昨年の十二月、一匹が七千五百円、これは工賃ですね。これがことしの一月には五千五百円、二月には二千五百円。採算分岐点は一体どのくらいかと聞いたら、大体五千五百円、こう言われておりました。しかも三月十五日から、先ほど言われたように五〇%の操短を今やっているわけでしょう。こういう一つの実態経過からして、こんな不安定な中でどうして高い技術力が涵養され、あるいは安定した経営が望まれるのか、私は不思議でしょうがない。そういう点で、この中間取りまとめの中での賃加工生産形態の評価はやはり誤りだと言わざるを得ないと私は思うのですが、その点についてはどうお考えでしょう。
  127. 黒田真

    黒田政府委員 先ほども申し上げましたように、賃加工というものによってリスクの回避ということが可能であるわけであります。御指摘のように、工賃の変動幅が極めて大きいということは事実のようでございます。これは消費者の嗜好の変化というものがまことに変転きわまりないものでございまして、好況のとき、そして不況のときと申しますか、あるいはそのものに対する需要が強いとき、弱いときの格差が非常に大きいということは事実でございます。しかし、それを賃加工形態をとらずして、みずからのリスクで糸を買って織物に仕上げて売るという事業者の方がよりリスクが小さいか、あるいは変動が小さいかということになりますと、これは多分そのリスクを負担する分だけさらに影響は大きくなってくるということも想定されるわけでございますから、七千五百円の工賃のものが二千五百円になってきているということは、それ自身まことに変化の大きい難しい商売だということでございますけれども、これをもしすべてのリスクを機屋さんがしょった形で糸を買って織物を売っていた場合のリスクに比べれば相対的にあるいは小さいのかもしれないということでございまして、どうも事柄はそういった相対的な比較の問題としてとらえざるを得ない。したがって、リスクが少ない分だけむしろ技術に特化することも可能であろうし、現実賃加工というものが必ずしも支配とか被支配という関係ではなくて、技術力の強い、高い機屋さんというものは大手の川上あるいは商社、流通業者というものがむしろ取り合いをしているというような相対的な地位の向上もあるわけでありますから、そこには相互依存関係というものが成立し得るのではないだろうか、かように考えるわけでございます。
  128. 野間友一

    ○野間委員 私がお聞きしておるのは、四十八年に比べて五十八年のビジョンが全然この生産形態についての評価が違う、私は、賃加工形態というものはどんなデメリットがあるのか、これは四十八年の答申の評価が正しいと思うのです。だからこそ、そこから脱却するためにどうしたらいいのかということが施策の中心でなければならない、こう思うのです。  ところが、今度の五十八年の答申のように、賃加工形態はいろいろな流れの中でも、あるいは現実的にもこれは高い技術力、すぐれた経営力を涵養して、経営の安定化や近代化を図っていくということが現段階での適切な方策であろう、こんなふうに決めつけられますと、賃加工形態そのものを温存しながらこれから繊維の構造改善を進めていくということになるわけで、そうなりましたら、実態的にはたくさんいろいろな問題があります。ありますが、その前提、たてりをどちらの方をベースにしてやっていくのかということで、全く施策政策が違ってくる、こう言わざるを得ないと思うのですね。  先ほども申し上げたように、そういうような実態の中で、こんなものが経営の安定とか何やらといったところで、そんなものはまさに夢物語なんです。しかも商品企画力あるいは技術力の涵養ということも五十八年度のビジョンの中でも評価されておりますが、これも私は非常に困難だと思うのです。  これもある福井の大きな繊維工場、私は行ってまいりましていろいろと説明も聞いてきたのです。ここでも染色あるいは織布ですが、行ったところはこれは大企業でありまして、しかしこれも原糸メーカー、大手の図柄等の指図によって染色等をやっておりましたけれども実態をいろいろ聞いたらやはり合繊メーカーの下請なんですね。自社で開発するのは非常に困難な仕組みになっておる。大手ですらそうですから、小零細業者にとってはなおさらなんで、結局、いろいろ私も調査した結果明らかになったのは、今のような状態で賃加工の生産形態を温存しながら連携を図っていくということは、原糸メーカー等の大手のもうけの踏み台にされるのではないかという非常に危惧をするわけです。やはり川中織布等の、あるいは染色もそうですが、こういう業者の独立性あるいは自主性、体質強化、こういうものを図ること、これが急務であって、今申し上げたビジョンのような評価、これでは到底私は、特に川中の織布とかあるいは染色等、こういうものは救われぬのじゃないかというふうに思うのです。大変時間がありませんので、この点について答弁をいただく時間がありません。  関連して続けますが、賃加工の委託取引改善について質問しますが、これの取引改善は、先ほどからも何度も論議があったと思いますが、ちっともこれは改善が見られないわけですね。  そこで、繊維取引近代化推進協議会、これはことしの二月にまとめた実態調査の結果がありますが、これを見ましたら、書面契約は二九・四%、加工の指図書が五八%、取引の伝票だけでやるのが一一・二%、何もないというのが一・四%、これは委託加工取引に関する調査の結果でしょう。不当値引きについても、前年より増加しておるというのが七・八、変わらないが八三・一、ちっとも変わらないわけですね。減少しておるというのがわずか九・一%、こういう実態であります。こういう賃加工を軸とした今度は取引の問題について言いましたが、ちっとも変わらない。こういう状況がこの協議会の調査の結果でも明らかであります。これについて通産省は一体どう考えますか。
  129. 黒田真

    黒田政府委員 繊維の取引形態というものは大変複雑でございますし、いろいろ長い歴史的な経緯に支えられまして、客観的にいろいろおかしな制度が残っているという点は、従来から指摘をされているところでございます。今、先生指摘になられました幾つかの要素というものも、その点を示しておるように思います。  しかしながら、これはなかなか行政の立場から手をつけるということは容易なことではございません。極端なケース、不公正な取引に当たるような場合あるいは優越的地位が乱用されているような場合、下請代金支払遅延等防止法の明らかな違反であるような場合につきましては、これはそれぞれの法律に基づいて正しく処置されるということだと思いますけれども、いわばそこへ至るまでのいろいろな形態のものということになりますと、どうしても業界としての自主的な努力、意識改革を背景とした努力というものが一方になければいけませんし、他方、経済力というものについての格差の是正ということも必要なことは申すまでもないわけでございます。  特にそれらの点につきましては、業界挙げてつくりました繊維取引近代化推進協議会というような場を活用いたしまして何とか後ずさりはしない、一歩でも二歩でも前進させていこうということで関係者は努力しておるところでございますが、率直に申し上げてまことにはかばかしくございません。しかし、事柄の実態自身がそういう非常に難しい要素をはらんでおるものでございますので、今後もうむことなく一歩でも二歩でも前進させるべく努力をさせていただきたい、かように考えております。
  130. 野間友一

    ○野間委員 質問を続けますが、先ほどからずっと指摘したように、私も前提としては垂直連携、インテグレーションそのものを否定するわけではないので、そういう方向でこれから近代産業へ脱皮するのは正しいことだと思いますし、やらなければならぬ。しかし、今のような下請とか賃加工の生産形態をそのまま温存して、それを評価した上でやるということは、ちっとも中小零細企業の利益にならない。そういうようなものの体質の強化、あるいは自主性や独立性、そういうものをどんどん施策としても強化して、そして初めて私は垂直統合というものに乗っかっていくことができるのじゃないかというふうに思うのです。  その点、私の意見に対してどういうふうに考えておられるのか答えをいただくのと、公取に、時間ありませんから聞きますが、先ほど挙げた福井のジャカードの例ですね、ここの場合には書面があるのですよ。ところが七千五百円から五千五百円、そして二千五百円とべらぼうに勝手に下げておる。これは私は下請法に違反すると思うのですけれども、こういう点についてもそれぞれお答えいただきたいと思います。
  131. 黒田真

    黒田政府委員 賃加工形態というものに関連する分析につきましては、先生指摘のようにいろいろな問題をはらんでおるわけでございまして、私も大変関心を持つわけでございますが、たまたま手元にある資料で見ますと、繊維の川中部門では、ほぼ六割が賃加工、賃織という形態をとっておりますが、品種によって非常にばらつきがございます。例えば絹につきましては賃加工が二割程度でございますし、綿織物では五割をちょっと切った程度、そして合成繊維ではそれが平均よヶ高い六六%、毛になりますとそれが八〇に近い、こういうような状況にございます。  したがいまして、賃加工であるということと技術力、開発力というものとの関係が果たして一義的に決まるのかどうか、他の多くの要因もあるように思いますが、御指摘でもございますので、なお検討させていただきたいと思いますし、正しい方向に向かうような形での施策を進めるということについては努力をしていきたいと思っております。
  132. 奥村栄一

    ○奥村政府委員 お答えいたします。  ただいま先生指摘の件が、下請法で申します下請取引に該当するかどうか、直ちには明らかでございませんので、現段階で具体的なお答えは差し控えさせていただきたいのでございますけれども、一般的に申しますと、先生おっしゃいますように、親事業者が下請事業者の責めに帰すべき理由がないのに値引きを行えば、下請法の四条一項三号の不当な値引きに該当し、下請法違反となるおそれがあるわけでございます。  先生おっしゃいますように、具体的な事案がございますれば、十分に検討させていただきたいと考えております。
  133. 野間友一

    ○野間委員 これは公取も通産省もよく御存じのとおり、個別の企業は出せないのですよ、実際に出したら仕事がずっと切られますから。ですから、こういう実態を地域なり産地なり、そういうところで全体を掌握するような方法をとる。例えば下代法の書面の交付を公取なり通産省に届け出をするとか、客観的にそういうものをチェックする機能を果たすような仕組みを考えていかなければならぬと思うのと、親と子だけでしょう、下請法で縛れるのは。そうでなくて、例えば今挙げた福井の例の場合は、これは、実は大阪の商社が指示をして産地のあれを動かしてやっておるわけですね。そういう場合にはこれはつかみようがない。こういういわばざる法的な条文なので、こういう点も踏まえまして、私たちもずっと以前から下請法の改正の問題で法案を本委員会に出したことがありますし、この点は常に問題にしてきたわけで、これは通産省や公取もそういう認識はお持ちなわけですから、この点は、運用の面と同時に法の改正の点でも、こういう不当な取引で弱い者がいじめられぬような形で行政の面でもやってもらうということが必要ではなかろうかと思うのです。  しかも、ひどいのは、ジャカードの例ですが、C反の返品、これが容赦なしに出てくるというわけです。一匹当たり既に支払い済みの工賃を返せということと、ペナルティーとして、糸代の弁償として五、六千円を支払えということで実はやられておる。ところが、これについても、クレームに対してはなかなか文句の言いようがない。言ったらずばっとやられますからね。これが実態なんです。これはどこでも同じようなことになっておるわけです。  そこで、私、ここでお願いと申しますか要求したいのは、これは何度も当委員会でも問題にされているわけですから、こういう点を踏まえて、取引改善について具体的実態調査と同時に、抜本的な具体策をぜひ講じる必要があると思いますが、この点について、どちらでも結構ですから、答えていただきたい。
  134. 黒田真

    黒田政府委員 繊維産業を所管する立場から申しますならば、それは川中としての力をつけることがやはり一番抜本的な対策になるということで構造改善努力を一層進めていくことが流通業者に対して対抗力を強めることにもひいてはなるのではないか、かように考える次第でございます。
  135. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので困るのですが、取引改善について、黒田局長は去年の十月の当委員会で京都の例、つまり、第三者機関を設けてこれらの是正をするという方式、これはいけるかどうか一遍検討してみたい、こういうふうに答弁されておりますね。これはその後検討されたのか、あるいは、ビジョンでは取引準則の策定とか指導の抜本強化、こう言っておられますが、具体的な方策を今お考えなのかどうか。  それから、これは全然別の問題で、いわゆる織機の登録制の問題ですが、五十一年あるいは五十八年のビジョンの中でもいろいろ言っております。これを温存することについては非常に消極的な意見が書かれておりますが、当委員会で参考人が述べたように、これは今の状況ではやめるというような状況にはないということは通産省もよくわかったと思うのです。黒田さんは、これまた去年の十月の当委員会で、廃止しても大資本は入らない、心配ないんだ、こういうことを言っておりますが、福井の大野というところでは、二年前に都築紡績というところが大工場を進出するという話があった。これを業界や県が反対してつぶした。こういう例は御存じだろうと思うのです。あるいは繊研新聞、これは五十七年一月三十日ですが、東レとか帝人等々大手の原糸メーカーがテキスタイル化、ほとんどがこういうものを計画しております。  こういうことで、今でもそういう計画ですから、その上登録制をなくしていくというようなビジョンが出れば、すぐにわっと、地元では零細業者は非常に不安な気持ちを持ちますし、あるいはこういう原糸メーカーがどんどん進出する、そういう計画を今持っておるわけです。そういう点から、こういう制度は今の時点でやめるのじゃなしに、ぜひそのまま温存して、中小零細企業の体質の強化をまず図るべし、こう思うのです。五十一年の提言の中でもこれは消極的な意見がありますが、それでも現行法による構造改善事業の成果を見きわめつつ検討する、今回は議論をする、こういうことになっていますね。ですから、構造改善事業がこれからという状態ですから、そういうような実態を踏まえた上で登録制はぜひそのまま存続すべしということを要求して、私の質問を終わりたいと思います。答えてください。
  136. 黒田真

    黒田政府委員 取引改善関連で何をするかという点については、とりあえず二つの点を申し上げたいと思います。  それは、基本的には業界の自主的な取り組みでございますけれども、第三者機関につきましては、これはできるだけ実現する方向で検討しております。  それから、登録制の問題につきましては、大企業の参入があるだろうという点がしばしば指摘されておりますが、私どもの考え方といたしましても、また実際問題としても、登録制が分野調整の機能を果たしているということは実はないわけでございますし、大企業といたしましては、例えば紡績の兼営織布というようなものの数字を調べてみますと、過去毎年むしろ減少傾向にあるというような事態でございますので、紡績が大型の織布工場の建設を計画したとしても、それは彼らが既に持っている登録の範囲内の話であるというのが原則のようでございますので、登録制それ自身がそれをチェックする手段ではないのではないだろうか。合繊の場合には、川上の合繊メーカーが、テキスタイル化と言っておりますが、自分自身で織布工場を持つというふうな計画については承知しておらないわけでございまして、しかし、登録制をめぐってはいろいろな議論もございますので、今後十分議論を尽くしながら、混乱の生じないような形でその解消に向けて段取りをつくっていきたい、かように考えております。
  137. 野間友一

    ○野間委員 残余の質問は次回にいたします。終わります。
  138. 梶山静六

    梶山委員長 速記をちょっととめてください。     〔速記中止〕
  139. 梶山静六

    梶山委員長 速記を起こしてください。  先刻保留いたしました和田貞夫君の通商産業大臣に対する質疑を許します。和田貞夫君。
  140. 和田貞夫

    和田(貞)委員 大臣、提案者はあなたですので、私は提案者に質問をしたいわけなんですよ。ところが、参議院の関係で今になったのですが、実は五十五分間大臣がおらぬので空鉄砲を撃っておった、それはあなたに聞いてほしいわけです。  改正法を実施をするに当たって、あるいはこれからの繊維産業政策をやってもらうために、現場の実態繊維産業実態、これを提案者の大臣みずからが頭に入れてもらって、その上に立ってそれぞれ指示をしてもらう、こういう建前に立って私は審議したいのです。非常に遺憾だと思うのです。しかし参議院の関係もこれあり、留保させていただいたのですが、ここでこれを繰り返すとまた五十五分かかるのです。そこで、委員長の方には五十五分の質問の権利を留保しているのですが、できるだけ大臣に聞いてほしいことだけを述べさせていただいて、大臣のお考え方をひとつただしたい、こういうように思うわけなんです。  御承知のとおり、繊維産業というのは非常に垂直型に構造改善をやっていくということで今までやってこられたわけですが、今までの繊維産業政策の中で解決をしておらない部分がたくさんあるわけなんです。これを解決するためには、先ほども局長にお願いしたわけなんですが、やはりまず現状の実態把握してもらうということから始まらないと、新しい政策を打ち出そうと思ってもどうにもならぬわけなんです。大企業もあれば中堅企業もあれば中小企業もあれば零細企業もあれば、あるいは下請賃加工者もある。そして中小企業中小企業に働いておる雇用者の実態あるいはその経営者の実態、中堅企業の経営者の実態、そこに働く雇用労働者実態というのがあるわけですが、そこの問題をずっと見てみますと、先進国型の繊維産業を目指してという答申が出ておりますけれども先進国型にほど遠い部分実態の中にあるわけです。まずこれをどうすれば改善することができるか、これをどういうようにこれから通産省実態に即した底上げをやっていくことができるかということが、これからの繊維産業を目指して非常に大事なことであると私は思うわけなんです。  そこで、まず何といいましても、最低の部分であります末端加工業者、この加工業者実態というのは、零細企業やあるいは中小企業や中堅企業に働いておる雇用労働者産業別最賃、あるいは地域の最低賃金すらも確保できないような加工賃で、甘んじておるというよりも甘んじざるを得ない、こういう実態にあるわけですね。そういう点をまず把握してもらって、それの改善策がいかにあるべきかということに力を注いでもらわないとなかなかいかないわけでありますから、そういうお考え方があるかどうかということをまずお聞かせ願いたい。
  141. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 一切弁解はいたしませんが、大変お待たせして相済みませんでした。  今のお話先進国産業を目指して繊維工業が一生懸命頑張る、通産省といたしましても、これに側面から協力していかなければならないことはもちろんでございます。そういう中で大企業があり中小企業があり、またさらに零細企業がある。零細企業が、言葉の表現はよくはございませんけれども、いわゆる下請いじめ的なことをやられる、こういうようなことはまことに不公正なことでございまして、このようなことを正常に行うということがやはり通産省の立場であると思うのでございます。  ようやく不況を脱した今日、私どもはそのようなことにも目をつけ、せっかく先進国産業として脱皮しなければならない繊維産業のために大いに援助をしてまいる所存でございます。
  142. 和田貞夫

    和田(貞)委員 例えば織機の問題にしても、織機の登録制をなくするということになると、これは大企業が非常に混乱をさすということも考えられますが、織機の登録制をなくすることによって、今の加工業者が無登録の織機によって今まで以上に加工賃が安くてもやろうというようなものがふえてくるような気もするのですが、そういう点はどうですか。
  143. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 この登録制の問題につきましては、恐らく論議があったことと思いますけれども、昨年十月の繊維ビジョン答申では結論が出されないで継続審議とされたところでございますけれども、今後このことは業界にも十分議論してもらいまして、審議会結論取りまとめた上で私どもは適切に対処していきたい、かように考えます。
  144. 和田貞夫

    和田(貞)委員 その登録制はいろいろ考え方がありますけれども、やはり実態というのは、登録制を堅持しない限りは構造改善事業もやっていけないし、小さな企業になればなるほど登録制によって企業の安定度というものがあるというところから、今後のいろいろな課題になると思いますけれども、登録制というものは小さな企業になればなるほど、これは大事な問題であるので、慎重に、ひとつ結論を出すに当たっては小さな企業あるいは零細企業、そういう意見というものを尊重してもらいたいと私は思います。  そこで、次に、これも大臣の方にこの実態をひとつ頭に入れてもらいたいわけでありますけれども、最低の加工業者、いわゆる家内労働者ですね、この家内労働者について朝も話したわけでありますけれども家内労働法があって、その家内労働法に規定されておる家内労働者手帳、労働省が朝から答弁しておるのは、大体七〇%程度しか家内労働者手帳を交付しておらないと言っておりますけれども、私は一つの例を挙げて、例えば大阪の泉大津なら泉大津という自治体の方でその実態調査させたわけです。その結果、この家内労働者に手帳が交付されておるのがゼロだ、こういうことがわかったわけなんです。そうすると一体幾らで加工させておるのか、その支払いがどうなっておるのか、どういう条件になっておるのか、こういうことさえも把握できない、こういう実態にあるわけであります。  そこで、そういうような中では結果的に幾らたっても、最低加工賃が決まったところでそれが守られない。ひいてはそれが中小零細企業に働いておる雇用労働者の賃金の足引っ張りをする、労働環境を改善することもできない。そうなってくると、幾ら経営の方が先進国型を目指して体質の改善を自助努力によってやろうと思いましても、肝心かなめ繊維産業に働いておる労働者自身がその気になって繊維産業魅力を感じて働かない限り、働く気を起こさない限り、幾ら旗を振ったところでそういうようにはなり切らないわけなんですね。そういうところの原因がここにあるんだということを、通産省としてはきちっと実態把握をしてもらって、それを改善していくというところから手をつけてもらいたいということを私は言いたいわけなんです。その点はどうですか。
  145. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 和田委員のおっしゃる、そのようなさまざまな実態把握に努めまして、私は今後努力してまいる所存でございます。
  146. 和田貞夫

    和田(貞)委員 そこで、そうなってまいりますと、まず底辺の零細企業あるいは加工業者、そういう方々にとっては、なかなか実態実態でありますから、自助の力がない。自力がない。そうすると、できるだけただグループをつくりなさい、協業化をしなさい、共同化をしなさいといって行政指導をしたところで、なかなかそういうことにはならないわけなんですから、そこで具体的に、そういうようなグループ化していき、協業化さしていくために、そのことによって何らかのメリットを与える、そのような援助を通産省として政策に打ち出して、そして協業化をすることによって底辺をまず上げていくというような考え方にお立ちになれないかどうかということですが、どうですか。
  147. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 和田委員のおっしゃる中小企業者のそのようないわば構造改善的な努力というものを、私たちは側面から大いに支援してまいる所存でございます。
  148. 和田貞夫

    和田(貞)委員 今同じ答弁があるわけですけれども、私は、何らかひとつ検討してもらって、どうすれば放置されがちになっておる協業化、共同化の道が開かれていくか、どうすればそれが促進できるかということをもっと真剣になって考えてもらいたい、そして、まず底辺を上げていく、そして今度は、中小企業の定義からいうと、実態中小企業でありますが、中堅企業が放置されているわけですね。その中堅企業の比較的進んだ経営の実態あるいは技術的な問題、そういうものの全体をこの中小企業繊維対策の中に取り入れられるような、そういう方途を考えてもらって、中堅企業に対する力の入れ方ということも考えてもらいたいと思うのですが、どうですか。
  149. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 和田委員のいろいろな御意見を踏まえまして、もちろん私ども努力いたしてまいる所存でございます。
  150. 和田貞夫

    和田(貞)委員 時間もありませんので余り長くしゃべりませんが、最後に申し上げたいのは、これからの改善事業を進めるに当たりまして、共同によるところの設備の廃棄あるいは転廃業という場合に、今までややもいたしますと雇用問題が抜きにされておる。雇用問題を落とした形で、いかにすれば企業が生き長らえるかということを通産省としてはまず前提に考えられておるような気がしてならないわけでありますが、転廃業の際にも、あるいは設備の共同廃棄の場合にも、それによって生ずる雇用問題、雇用確保の問題がどうなっていくのだということを処理するために、事前に労働組合のあるところは労働組合、労働組合のないところはその従業員の代表方々からいろいろな意見を、事前に協議をするというようなことをこれから行政指導をしてもらいたいと思うのですが、そういう点はいかがお考えですか。
  151. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 おくれてまいりましたにもかかわらず、たくさんの貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。通産省といたしましては、いろいろ難しい局面ではございますが、雇用の安定ということに十分努力してまいります。
  152. 和田貞夫

    和田(貞)委員 それでは最後に。下の方の弱い者から水準を高めていってもらうことを、今後の繊維産業政策を進めるに当たって、基本的に大事な問題であるということをぜひともお忘れなく、法の改正に当たって新しい決意のもとに、大臣を中心にやってもらいたいということを申し添えまして、終わりたいと思います。
  153. 梶山静六

    梶山委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  154. 梶山静六

    梶山委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  155. 梶山静六

    梶山委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 梶山静六

    梶山委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————〔報告書は附録に掲載〕      ————◇—————
  157. 梶山静六

    梶山委員長 次に、内閣提出機械類信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨の説明を聴取いたします。小此木通商産業大臣。     —————————————機械類信用保険法の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕      —————————————
  158. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 機械類信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  機械類信用保険制度は、中小企業の設備近代化及び機械工業の振興等を目的として、昭和三十六年に創設され、以来政府が特別会計のもとで運営してきた機械類に係る割賦販売契約、リース契約等の取引につき信用保険を行う制度であり、中小企業政策の観点からも極めて意義の大きい制度であります。  近年、機械類信用保険の規模は急激に拡大し、昭和五十八年度末における保険引受責任残高は約一兆円と五年前に比し三倍強にも達しております。また、今後におきましても中小企業のオフィスオートメーション化、コンピューター化の急速な進展等が予想され、これに伴い電子計算機及び事務用機器等を中心に本保険の利用の伸びが見込まれるとともに、昭和五十七年度に追加されたプログラム保険についても今後その利用が本格化するものと見込まれます。  このように機械類信用保険事業の業務量の増大が確実に見込まれる状況の中で、同事業の運営の一層の効率化及び円滑化が急務となってきております。このため、政府としては、従来特別会計のもとで政府みずから運営してまいりました機械類信用保険業務を中小企業信用保険公庫に移管することにより、機械類信用保険の事業規模の増大に的確に対応し得る体制の整備を図ることとし、同業務の移管を行うために本法律案を提出いたした次第であります。  次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。  第一に、従来政府が行ってまいりました機械類信用保険の業務を中小企業信用保険公庫が行うものとすることであります。  第二に、中小企業信用保険公庫に機械類信用保険運営基金を設け、特別会計の廃止に際し政府から出資があったものとされた金額をもってこれに充てるとともに、機械類信用保険業務に係る経理についてはその他の経理と区分するものとすることであります。  第三に、機械類信用保険特別会計法を廃止することとし、機械類信用保険業務に関し国が有する権利義務は、中小企業信用保険公庫が承継するものとすることであります。  以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  159. 梶山静六

    梶山委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  次回は、明四日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時四十一分散会      ————◇—————