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黒田政府委員 まず、
設備の登録制という問題でございます。
これは、御
指摘のように
中小企業団体法の規定に基づきまして、既に三十年ぐらいにわたって
繊維の川中
段階を中心にいたしまして実施されている
制度でございます。私
どもが
関係の方々と
ビジョンづくりをいたします過程で、特にこの問題が
一つの大きなテーマになったことは事実でございます。そこでの結論は御案内のように先送りにいたしまして継続
審議、早急に結論をまとめようということで昨年の十月の
段階では実は御
答申をいただいているわけでございます。八年ほど前、五十一年に、この問題が議論されました際に、既に廃止の
方向というものが実は打ち出されておるわけでございまして、それをいかに実施に移すかという形で問題を私
どもいただいているわけでございます。
したがいまして、今回の討議におきましても、長期にわたったことに伴っていろいろ問題もあるのだから、これを
段階的に、
混乱を起こさないような形でどういうふうに解消していくか、その段取りを議論したらいいじゃないか、こういう形で議論したわけでありますが、いろいろ御議論もございまして、継続
審議にしたということでございます。
これはいろいろな
意見がございまして、例えば、現在団体法の
法律上の要件から見て、果たして継続するだけの
理由があるかというような議論も一方にはあるわけでございます。他方には、この際
繊維産業というのは非常に大きな転機にあるのだぞ。
先進国型と言われる新しい
産業を目指して
構造改善に取り組んでいかなければならないという非常に大きな転換期にあるこの時期に、登録制という非常に長く続いた
制度が、その登録制のもとにある
業界を守ってくれているかもしれないというような何か安易な気持ちを、事によると
繊維業者に与えているとすると、それは、非常に厳しい
対応を必要としているときに、
業界が何とかその厳しい
状況に
対応していきたいという決意を表明しておることとやや相入れないのではないだろうか。むしろこの際、非常に新しい決意で臨む以上は、過去から長く続いているある種の保護の手段というものを含めて見直してみるべきではないか、こういう形で問題が提起されてきているわけでございます。
したがいまして、そういう意識上の問題ということがその根源にあるわけでございますから、私
どもといたしましても、突然にその
制度をあしたからやめてしまうというようなことを
考えているわけではもちろんないわけでございまして、どのような段取りで軟着陸ができるだろうか、そしてその前提として、非常に厳しい
状況に立ち向かうだけの決意というものが
業界にしみ通っていく、でき上がっていくということを同時に期待する必要があるだろう、こういうようなプロセスを
考えているわけでございますので、今後とも各
業種、各
産地と議論を進めまして、それらの御理解を深めながら、その進展
状況に応じて、
審議会の結論をいただいた上で、私
どもはそれを守っていくということでございますので、非常な不安なり
混乱にすぐに陥るということは
考えられないわけでございます。
それから
輸入問題でございますが、これも非常に難しい問題でございます。
輸入の急増によって
構造改善努力というものが無効になってしまうではないかということは、確かに一部の
業界から非常に強く懸念される点でございます。しかしながら、私
どもも、
繊維産業の
発展の基本は、あくまでも
開放体制のもとで頑張っていくんだということを基本にしているわけでございますので、これは一たん制限が始まりますとなかなかやめられない、あるいは非常に広範に波及していくというようなことも
考えますと、容易には
輸入制限を実施するということも難しいのではないかということが皆さんの御
意見でございます。
しかしながら、しからば
輸入の急増を放置していいかということはないわけでございまして、できるだけ秩序のある
輸入というものを確保する必要があるということが要請されるわけでございまして、
ビジョンづくりの
観点でもいろいろな手段を討議して具体的に
考え出されております。
それは非常に思惑的な形で押し込み
輸出というようなものが起こって
混乱するということは避けなければならないということで、実需と結びついた形での
輸入ということになりますれば、おのずからそこに
一つの秩序も出てくると思いますし、また自分だけがやっているのかもしれないということで、抜け駆け的に
輸入をしようという
人たちが、結果を見てみると全員がそういうふうに走っていたということも過去にはあったわけでございますので、できるだけそういった情報というものを事前に把握をいたしまして適切にその情報を供給するというような形、あるいは
輸出国に対しましても
輸入制限を回避するためには
輸出国側の協力というものが基本的には必要なんだということを民間ベースあるいは
政府ベースで機会あるごとに話をするというような、現在までのところはそういったソフトな
対応によって何とか秩序ある
輸入を確保いたしまして、そのもとでの
構造改善の進展というものに不安なきを期したい、かように
考えている次第でございます。