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1984-03-02 第101回国会 衆議院 商工委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 梶山 静六君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 城地 豊司君 理事 水田  稔君    理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 幹生君    加藤 卓二君       粕谷  茂君    木部 佳昭君       高村 正彦君    辻  英雄君       仲村 正治君    野上  徹君       野田  毅君    原田昇左右君       深谷 隆司君    古屋  亨君       綿貫 民輔君    奥野 一雄君       横江 金夫君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    木内 良明君       中川 嘉美君    日笠 勝之君       福岡 康夫君    青山  丘君       小沢 和秋君    野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣 小此木彦三郎君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      河本 敏夫君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局長    妹尾  明君         公正取引委員会         事務局経済部長 佐藤徳太郎君         経済企画政務次         官       山崎武三郎君         経済企画庁長官         官房長     窪田  弘君         経済企画庁調整         局長      谷村 昭一君         経済企画庁調整         局審議官    丸茂 明則君         経済企画庁物価         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁総合         計画局長    大竹 宏繁君         経済企画庁調査         局長      廣江 運弘君         通商産業大臣官         房長      福川 伸次君         通商産業大臣官         房審議官    棚橋 祐治君         通商産業大臣官         房審議官    前田 典彦君         通商産業大臣官         房審議官    山田 勝久君         通商産業省通商         房会計課長   山本 雅司君         通商産業省通商         政策局長    柴田 益男君         通商産業省貿易         局長      杉山  弘君         通商産業省産業         政策局長    小長 啓一君         通商産業省立地         公害局長    石井 賢吾君         通商産業省基礎          産業局長    野々内 隆君         通商産業省機械         情報産業局長  志賀  学君         通商産業省生活         産業局長    黒田  真君         工業技術院長  川田 裕郎君         資源エネルギー         庁長官     豊島  格君         資源エネルギー         庁石油部長   松尾 邦彦君         中小企業庁長官 中澤 忠義君         中小企業庁小規         模企業部長   藤咲 浩二君  委員外出席者         警察庁刑事局捜         査第一課長   三上 和幸君         文化庁文化部著         作権課長    吉田  茂君         郵政省電気通信         政策局データ通         信課長     内海 善雄君         商工委員会調査         室長      朴木  正君     ————————————— 委員の異動 二月二十二日  辞任         補欠選任   日笠 勝之君     大久保直彦君 同日  辞任         補欠選任   大久保直彦君     日笠 勝之君 同月二十三日  辞任         補欠選任   甘利  明君     山口 敏夫君 同日  辞任         補欠選任   山口 敏夫君     甘利  明君 同月二十八日  辞任         補欠選任   甘利  明君     山口 敏夫君   加藤 卓二君     金子 一平君   岸田 文武君     田中 龍夫君 同日  辞任         補欠選任   金子 一平君     加藤 卓二君   田中 龍夫君     岸田 文武君   山口 敏夫君     甘利  明君 三月一日  辞任         補欠選任   甘利  明君     山口 敏夫君   加藤 卓二君     武藤 嘉文君   岸田 文武君     奥野 誠亮君   高村 正彦君     石原慎太郎君 同日  辞任         補欠選任   石原慎太郎君     高村 正彦君   奥野 誠亮君     岸田 文武君   武藤 嘉文君     加藤 卓二君   山口 敏夫君     甘利  明君     ————————————— 二月二十四日  輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第二一号) 同月二十九日  繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する  法律案内閣提出第三〇号) 三月一日  機械類信用保険法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三四号) 同月二日  官公需についての中小企業者の受注の確保に関  する法律の一部を改正する法律案長田武士君  外四名提出衆法第二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改  正する法律案内閣提出第二一号)  通商産業基本施策に関する件  経済計画及び総合調整に関する件  私的独占禁止及び公正取引に関する件      ————◇—————
  2. 梶山静六

    梶山委員長 これより会議を開きます。  通商産業基本施策に関する件、経済計画及び総合調整に関する件並びに私的独占禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。野田毅君。
  3. 野田毅

    野田委員 きょうは予算委員会一般質問の中、大変お忙しい中、河本長官、恐縮でございます。  特に、五十九年度予算編成及びそれに関連して政府経済運営見通し等について大変な御苦労をされたわけでありますけれども、その御苦労に対して深甚なる敬意をまず表したいと思うのです。  その中で、五十九年度予算経済成長、実質で四・一、こういうことになっておるのですが、経済成長への寄与について、財政の面からするならば、いわば寄与率からいえばゼロになった。この点については、かねての長官のお考えからすれば、財政政策活用の余地がもっとあったのではないか。あるいは特に公共事業あたりをもう少しふやすことによって、少しでも、〇・一ポイントであっても〇・二ポイントであっても高めることができるのではないかというような気持ちもおありではないかなという気がするのですが、一方では、非常にまれに見る今日の財政悪化状況の中において、まあまあそれなりのことがやれたのではないかという意見もあるわけでありますけれども、まずこの財政政策活用が、今度の予算編成の中でうまくなされたかどうかは、若干首をかしげることになるわけですが、この点について、長官の五十九年度経済運営見通しと、それに寄与すべき財政という角度からするところの評価、この点について所見をお伺いをいたしたいと思うのです。
  4. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十九年度予算が五十九年度経済成長に対しまして申立型であるという意味は、成長に及ぼす効果はゼロ、こういうことになるわけですが、五年ぶりで第二次石油危機から我が国経済が立ち直ろうとしておる矢先でありますから、こういう際には、財政がある程度の積極的な役割を果たすということは大変ありがたいと私は思うのですけれども、現在の財政事情から見ますと、万やむを得ない事情もございまして、御案内のような予算になったのでございます。  ただしかし、経済内外とも非常に激しく動いておりますので、予算編成最終段階で、大蔵大臣と自由民主党の政務調査会長、それと私との間で、五十九年度財政経済運営のこれからの進め方といたしまして若干の申し合わせをいたしましたが、その第一は、何としても物価の安定を図っていくということが経済運営の根本でありますから、物価の安定に全力を尽くそうということが第一。それから第二は、こういうときには金融政策をもう少し機動的に運用できますと大変効果があるのですけれども、金融政策が機動的に運営できるための内外の幾つかの制約がございますので、その制約を取り除くために努力をしよう。それから第三が、今後の財政運営については経済の実情に合わせて機動的に運営をしていきましょう。こういう三つのことを申し合わせをしたのでございます。  なお、その経済運営の基本的な方針といたしまして、総理からの御指示もございまして、自由貿易体制を守るために対外経済摩擦を早急に処理しよう、こういうことも経済運営基本方針に加えることになりましたが、以上のような財政経済金融運営によりまして、激動期に合わせた対策というものを今後考えていきたい、このように思っておるところでございます。
  5. 野田毅

    野田委員 今、長官指摘のとおり、現在の財政状況ではやむを得なかった、こういうお話であったわけでありますが、確かに、本来ならば、日本経済潜在成長率といいますか、そういうのはもう少しあるのではないかという感じもいたします。しかし、いかんせん、今日の財政状況考えると、そうもいかないというのが本当のところだと思うのです。そういう点で、野党皆さん予算修正案等々で大変バラ色修正案を出していただいて、夢をお与えいただいて、ありがたいと思うのでありますけれども、そういった点も、長官御苦労もお酌み取りをいただきたいなという気もするわけであります。  そこで、今日の財政がどうしてこういうことになっちゃったのかということを振り返ってみますと、ほぼ十年ほど前にさかのぼるだろうと思うのです。ちょうど昭和四十八年が福祉元年ということで、それまで日本福祉の水準が、ヨーロッパ福祉先進国に比べて制度面においてややおくれがあった。これを一刻も早く北欧並みのレベルにするんだということで、我が党も一生懸命頑張ってきたわけであります。当時は、人口構成にしても高齢化社会への過程がまだまだ初歩的段階であった。したがって、財政に対する負担の割合も当時はまださほどではなかった。しかし、そもそも構造的には、そのころから制度的に財政膨張という要素を仕組んでしまったということが一つあったと思います。それから同時に、石油ショックというものが起きて、世界全体がいわゆる三重苦の失業、高物価、低成長、こういった大変な三重苦になった中で、我が日本は、少なくとも企業家計を救うんだ、財政をしばらくの間犠牲にしてでも企業家計を救うんだ、こういう考え方で、本格的な公債政策の導入に実は踏み切ったわけであります。  だから、本来ならば、ある程度それを乗り越えた段階で、少なくとも経済パフォーマンス、あるいは福祉パフォーマンスという言葉があるのかどうかはわかりませんが、そういった点については一応世界の中でもいい姿を出したわけでありますから、一段落したところで財政パフォーマンスを回復すべく何らかのアクションを起こさなければならなかった。我が党も一生懸命そういう角度からやった経緯がございます。これが大平内閣のときのいわゆる一般消費税の論議でも実はあったわけであります。  そこで、来るべき高齢化社会あるいは世界経済の激動ということに対処して、いわば財政自身金融と並んで機動的な展開ができるように健全化をしなければならぬ、こういうある種の使命感に燃えてやったわけでありますけれども、残念ながら当時選挙ということもありまして、野党皆さんも大反対であった。マスコミも反対をした、与党の中からも反対が出た、国民の皆さんからもいろいろおしかりを受けた。いわばそういった意味で今日の財政悪化というものは、今からその当時にさかのぼってある種の複合汚染的な、みんながお互い責任を分かち合っておる。ある意味では大蔵省自身も、民主主義の政治のもとでやむを得ないかもしれないけれども、もう少し使命感があっておったならば、そういうようなもっと早い時点である種の財政正常化健全化への糸口がつくれたのではないかという気持ちもいたします。  当時、いずれにしても、河本長官も要職についておられましたし、私どもの記憶では、そのころ出ておりました一般消費税という考え方について必ずしも積極的なお考えをお持ちではなかったような印象も実は受けておるわけであります。その辺、非常にいろいろな角度からやらなければなりません。単なる税の問題だけではなくて、いろいろな角度からやらなければなりませんが、当時、古い話でありますけれども、長官が思い起こされまして懸念をされた材料といいますか、そういった点を少し振り返ってお聞かせいただければありがたい、こう思うわけであります。
  6. 河本敏夫

    河本国務大臣 今御指摘のように、第一次石油危機が起こりましてからちょうど十年になりますが、この第一次石油危機と第二次石油危機の十年の間に、百二十兆という公債の大部分がふえたわけでございます。これは全部の石油を外国に依存しておる日本といたしましては、世界で一番厳しい悪い影響を受けたわけでありますから、万やむを得なかったと私は思っております。  この公債政策を何か非常に評価しない人々も多いのですけれども、私はもう少しこれは客観的に見るべきではないか、こう思っておりますのは、なるほど百二十兆という公債の残高は累積をいたしましたけれども、その間我が国GNPは二倍強にふえておりますし、それからまた国税と地方税を見ますと、約十年の間に二倍半にふえております。それから経済基礎的な条件も、こういう厳しい過去十年の世界情勢の中にありまして、世界先進工業国の中では一番いい条件が続いておる。こういういい結果も出ておるわけでございますから、私は過去の公債政策をこういう面からも正当に評価しなければならぬ、このように思います。しかも、我が国は貯蓄過剰の国でありますから、この公債発行によりましてクラウディングアウトという現象は起こっておりませんで、先ほど申し上げましたような経済基礎的条件は維持されておる、こういうことだと思います。  それから、先ほど御指摘がございました一般消費税の問題は、昭和五十四年に政府自民党で決めました昭和五十年代後半の七カ年計画、それが正式に決定いたしましたのが昭和五十四年の夏でございますが、その中に一般消費税を実施するということが決められました。しかし、条件が熟さないまま実行に移そうとしたこと等が挫折をした原因でなかろうか、私はこのように思っておりますが、一般消費税はその後国会でやらないということが決まりましたけれども、臨調答申にもございますように、やはりこの際税制の抜本的な見直しをして財政基礎を固めていくという大きな課題がございますので、これは何らかの形で私は進めていかなければならぬ問題だ、このように考えております。
  7. 野田毅

    野田委員 当時、確かに若干唐突であった感もあります。党内でも随分各方面から異論があったことも事実であります。それだけにもう少し説明を十分して、そして理解を求め、コンセンサスを得ながらやった方がよかった、着手拙速であったという反省はしておるわけでありますけれども、いずれにしても、これからの長期展望をしますときに最大ポイントは、少なくとも人口構成が高齢化していけばいくほど、当然お医者さんにかかる割合が高くなっていくはずであります。GNP伸びよりも医療費あるいは年金の伸びの方が高くなっていく。だから将来はもっともっとそういう財政膨張の要因がある。一方で歳入の面はどうかというと、弾性値そのものも必ずしも音の高度成長の時期ほどの弾性値は見込めない。今でさえ大幅に収支のバランスが崩れておる中で、先行きますます構造的にそういう姿が展望される。こういったことが実は一番ポイントではないかな。  したがって、ヨーロッパのように、ある程度福祉系統中心として歳出伸びはやむを得ないのだ、歳入の面でこれを補てんしていくんだということになれば、いわゆるヨーロッパ病にかかってしまう可能性も実はあるわけであります。その点を恐らく臨調指摘をして、何とかしてその構造的な歳出膨張の圧力の頭をたたいて、カーブをある程度なだらかにしなければいかぬ、同時に歳入の方もそれに大体リンクさせるような構造に合わせなければならぬ、GNP伸びとそう大きな差があってはいかぬのだ、こういうことが基本的な発想としてあるわけであって、それがまた行財政改革と言われるものの基本的な精神だろうと思うわけでありますし、また「増税なき財政再建」の理念というのもそこから出ておるわけであります。特に野党皆さんは承知の上で修正案をお出しになったのでしょうけれども、私は、そういった長期的な、当面の財政難をどうするかというだけでなくて、構造的な問題をどうするかということが今我々がなすべき最大の仕事だろうと思うのです。  その点について長官はかねてから、こういった高齢化社会の進展と財政バランスをどうやってとっていくか、そしてまた、財政というものがいかに適宜適切なる機動的運営を果たして経済寄与し得るかという角度からいろいろ考えをいただいて、今申し上げました、第一には歳出見直し、第二には税体系見直し、そして同時に、第三には民間活力積極的活用、こういった点を主張しておられるように伺っておるわけでありますが、まさにこの点は御指摘のとおりだろうと思うのです。  そこで、この中で二番目の税体系見直しということで、どういうことを意味するかというと、これが直間比率見直しということにならざるを得ないであろう。第一には税収そのもの安定性、あるいはGNPとの関連、それからまた直接税の場合、特に所得税中心としましては、名目成長率に伴って課税がなされる。しかも累進構造ということもあって、恐らく何年かに一遍は本年度のように所得税減税の必要というのは必ず出てくるわけでありますし、法人税にしても国際バランスということもあります。それからまた第四には、同じ間接税の中でも課税対象間のバランス考えていかなくてはならない。今のような個別物品税体系でありますと、やや偏った物品にだけ集中して課税がなされるような嫌いがあるし、それからまた、第五番目には、最近の経済の姿から見て、かつてのような物流中心経済型からだんだん経済自身ソフト化、サービス化していく、そういう物の流れから、そういった別の姿が経済全体の中で占めるウエートがかなり高くなっていくということになれば、おのずから間接税体系そのものもそれにリンクしたような体系でなければうまく機能しないのではないか。そういう点からすれば、長官が御指摘なされました税体系見直し、その中で直間比率関係、こういったことからいえば、その中でも中心的になるのは現行の個別物品税体系というよりも、むしろサービスだとか、あるいは物品でも幅広くそれを取り込んでいくような広い間接税の方がすぐれているのだ、こういう議論があるわけであります。この点について長官のお考えをお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  8. 河本敏夫

    河本国務大臣 税の問題は、経済政策と非常に密接な関係がございまして、いわば表裏一体の関係になっておる。こういう観点に立ちまして、私も税体系のあり方に対して非常に関心を持っておるわけでございます。  そこで、一月予算編成の際に、政府与党連絡会議で、税体系の根本的な見直しということについて大蔵大臣自民党政策責任者に若干の提案をいたしまして、できるだけ早い機会に、五十九年度のような中途半端なことではなくして、もっと抜本的な税体系見直しを早急に結論を出すようにお願いをいたしまして、そして財政の力を回復して、財政経済政策寄与できるような力が持てるように検討を今お願いしておるところでございます。
  9. 野田毅

    野田委員 今確かに立場上なかなかおっしゃりにくい点が多々あろうかと思います。いずれにしてもこの問題は、我が党においても早急に結論を出すには至りませんが、コンセンサスをどういう形で得ていくのか、汗をかいていかなければならぬだろうと思うのです。  そこで、新聞なんかでもややはっきりしない点がありますのは、長官がかねてから四兆円減税論というものをおっしゃっておられるという話があるわけですが、このことと行財政改革の推進という問題は必ずしも矛盾する概念ではない。先ほど来御答弁いただいておりますように、長期と短期という側面もありましょうし、また財政経済関連において、少なくとも財政経済に対する寄与あるいは弾力的な活用の仕方というものをどうやって形づくっていくか、こういう側面からの発想だと思うのでありますけれども、この関係についてもう少し長官から御説明をいただければありがたいのです。
  10. 河本敏夫

    河本国務大臣 私が政府与党連絡会議税体系の根本的な見直し提案をいたしました際に、若干具体的なことも申し添えております。それは臨調答申にありますように、直間比率バランスが崩れておりますので、まず直間比率の均衡をある程度回復するためにどうすればよいか。その第一として、まず所得税大幅減税を断行する、そうしますと、いまの経済情勢ですと、その影響によりまして早急に景気は回復する、このように私は判断をいたしております。そして年度の終わりにでも間接税の増徴をする、そして直間比率バランスを回復する、そういうことを御検討いただいたらどうだろうか、こういう趣旨提案でございます。  その際は、所得税大幅減税という抽象的な表現にとどめた提案にしてあるのですけれども、他の機会に他の場所で、所得税大幅減税とはどういうことかという質問がございましたので、それに対しまして、昭和四十九年の所得税減税は一兆八千億やっておりますが、そのときの経済規模と現在の経済規模を比較しますと、二倍以上に大きくなっておりますので、現在の経済規模に直すと大体昭和四十九年の一兆八千億という数字はざっと四兆に該当します、四兆の所得税減税をやったと同じ効果があったはずです、これは一つの参考になるでしょう、こういう趣旨のことを言ったことはございますが、私自身から四兆の所得税減税をやれ、そういう提案ではないのです。大幅所得税減税、こういう趣旨提案をしておるということでございます。
  11. 野田毅

    野田委員 私もその発想、大変結構だと思うのですが、若干、技術的にうまくいくのかどうか、かねてからいわゆるやらずぶったくりじゃなくて所得税減税する、それの見返りとしての間接税増税をやる、これによって国全体としての税収そのものはふやさない、増減収ゼロである、こういう中で直間比率改善をしていく、これは必ずしも臨調の「増税なき財政再建」の精神に反するものでもない、こういう考え方長官考え方の中にある、私はこう感ずるわけでありますが、そう判断してよろしいでしょうか。
  12. 河本敏夫

    河本国務大臣 そのように理解していただいて結構でございます。
  13. 野田毅

    野田委員 まだまだ長官にお伺いしたいことたくさんありますけれども、予算委員会の方もあると思いますので結構であります。なかなか厳しい財政状況の中、しかも経済運営の総責任者であります長官には御苦労が多いことと思いますが、しっかりと期待にこたえて頑張っていただきたいと思います。きょうは、どうもありがとうございました。  次に、通産省に移るのですが、大臣がお見えでありませんが、その前に、一月の半ば過ぎに起きました三井三池有明鉱の災害があったわけであります。このときには、当初予想しました以上の大きな被害が出たわけでありまして、政府の方においても直ちに緊急措置を講ぜられて、対応策は的確に行われたと思います。また、我が党においてもいち早く倉成団長を現地に派遣をして、党本部の中にも田中幹事長を本部長として事故対策本部を設置いたしたわけであります。  そこで、現在、三池鉱には三つの山がある。四山、三川、有明、この中で直接関連性のない有明鉱以外の二つの山については、先般採炭が開始をされたわけであります。現在、まだ有明鉱自体は事故原因の究明であるとか、あるいは司法捜査、こういうような側面で再開というところまでは至っていないわけであります。そこで、今鋭意調査委員会の方でやっていただいておると思うのでありますが、担当の局長見えておられると思うし、これは豊島長官になるのでしょうか、あるいは石井局長になるかわかりませんが、この事故原因の調査についての結論は大体いつごろまとまる見通しなのかお聞かせをいただきたい、こう思います。
  14. 石井賢吾

    ○石井政府委員 三池有明鉱の事故調査に関しましては、学識経験者から成ります事故調査委員会が一月の三十、三十一日の両日現場に参りまして調査をいたしました。それで、さらに水抜き作業が進行する過程におきまして、二月十日以降九州在住の先生方にお願いをいたしまして、現場検証と並行いたしまして調査をお願いしておるわけでございます。それで、最近時点におきましては、一月の二十四日に全調査委員の方々によりまして火災現場、発火場所につきまして御調査を願ったわけでございます。  私どもとしましては、できるだけ早く事故原因の究明をお願いしたいということで先生方にお願いいたしておるわけでございますが、現段階ではまだ鋭意調査を進めている段階でございますので、的確にいつ結論が得られるかということをお答えするのは、まだ非常に難しい段階であるというふうに考えております。
  15. 野田毅

    野田委員 確かに御答弁のとおりだと思います。十分に、しかも慎重に調査をしてもらわなければなりませんが、しかし、余りいつまでもずるずる延びていると再開の問題にも影響してくるわけであります。  そこで、これから後そういったいろいろな調査をやらなければいかぬのですが、再開までの手順、これについて大体どういうものをお考えになっておるのか、あわせてお聞かせ願いたいと思います。
  16. 石井賢吾

    ○石井政府委員 再開までの手順という御質問でございますが、現在の調査委員会によります調査をできるだけ早期にお願いをして、徹底解明をお願いをいたすわけでございますが、この解明が果たして科学的にすべて一点に集約いたしまして完全解析ができるかどうか、この辺につきましては先生方御自身でお決めいただかなければいかぬわけでございますが、いずれにいたしましても、発火場所、発火原因及び避難誘導等の体制の問題点、こういったものにつきまして、今回の災害の大きな原因となるというような、調査委員会による原因の絞り込みがある程度なされなければならないと思っております。この絞り込みました原因に対応いたしまして会社側が適切な保安対策を講ずる、それを鉱務監督官によりまして保安点検をいたしまして再開ということになるかと思いますが、そういった手順が私どもは必要であるというふうに思っております。
  17. 野田毅

    野田委員 司法捜査のそれがまとまらなければ再開できないとか、そういったことはないのでしょうね。そこだけちょっと確認をさせてください。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
  18. 石井賢吾

    ○石井政府委員 司法捜査に関しましては、例えば私どもが行っております鉱務監督官によります特別司法捜査の目的は、鉱山保安法違反があったかどうかという問題でございます。私どもは鉱山の安全な稼働、稼行ということを確保するためには、今回多くの犠牲者を出したわけでございますから、その原因をはっきりさせ、その原因に対応する保安対策を十分にするということが必要であろうと思っておりますので、司法捜査とはおのずから観点が違ったものであるというふうに思っております。
  19. 野田毅

    野田委員 それを聞いて安心をしたと言うと語弊がありますけれども、司法捜査は司法捜査で、これはまたそういう刑事責任の問題にもつながっていくわけであります。しかし、こちらの問題もできるだけ、内容について今お伺いをするつもりもありませんし、国会でそういうことを、現在捜査中の事柄をお伺いするということはかえって不適切だ、こう思いますから、内容については私は聞きませんが、ただ、その司法捜査をやる上で現場保存だとかいろいろな関係が出てまいります。そういったことが再開の問題の障害にならないようにできるだけ慎重かつ入念に御捜査をいただくことは大変ありがたいと思うのですが、こういったものはできるだけ早期に結論を下して、少なくともこの問題が再開の問題についての足を引っ張らぬようにぜひしていただきたい、こう思うのですが、きょうは警察庁からもお見えでありますが、その点の捜査の迅速的な対応といいますか、これをさらにやっていただきたい、こう思うのですが、これについて決意表明と言うとなんだけれども、ひとつ大いに処理を促進するというか、捜査促進方を配慮願いたい、こう思うのです。ひとつこの点についてお考えを聞かせていただきたいと思います。
  20. 三上和幸

    ○三上説明員 現場検証につきましては、鉱山保安監督局と共同いたしまして、一月二十日以来運日実施しておりまして、これまでに出火場所を中心とした密閉箇所以外の地域につきましては一応終了をいたしております。現在、密閉区域についての検証を進めているところであります。現在検証を実施しております区域は落盤、落石等のおそれも強いために、会社側の落盤防止措置等の進展に合わせまして現場検証を実施しておるというところでございます。警察といたしましても、できるだけ早く検証を終了する方針で臨んでいるところであります。
  21. 野田毅

    野田委員 ぜひひとつ早くやってください。警察庁三上課長、どうぞ御退席いただいて結構であります。  次に、今いろいろ毎日のように新聞に出ておりまして、私どもも党内調整に頭を痛めておる問題でありますが、機情局長お見えでありますから、この際、せっかくの機会でありますから、これからの高度情報化社会の基盤整備に関連して、政府部内でも今調整を大変精力的にやっておられるわけでありますが、コンピュータープログラムの保護の問題あるいはVANの問題、そういった事柄の調整を早急にしなければならぬ。しかも、各省調整だけでなくて、いわばアメリカの方からも貿易摩擦の一環という形でいろいろと注文をつけてきておる大変頭の痛い問題でありますけれども、せっかくの機会でありますから、通産省としての基本的なスタンスをひとつお願いいたしたいと思います。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  22. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。コンピュータープログラムの問題とVANの問題についてお尋ねでございます。  まず、コンピュータープログラムの問題について通産省の基本的なスタンスについて御説明を申し上げたいと存じますが、現在日本におきまして非常に速い速度で情報化が進んでまいっております。コンピューターの設置台数もどんどん伸びておるわけであります。したがいまして、そういった動きに従いましてコンピュータープログラムの需要が急速に伸びてまいっているわけでございます。私どもといたしまして、そういった動きに対応いたしまして、コンピュータープログラムの権利を保護することによりまして開発を促進していかなければいけない、また、その流通を促進することによりまして利用の効率化を図っていかなければいけない、こういったようなことを考えたわけでございます。そういった開発の促進と利用の促進、流通の促進、そういったことを大きな目的としてこのコンピュータープログラムについてしかるべき適当な法律、制度、枠組みというものを早急につくることが必要だというふうに存じております。  そういう観点から、産業構造審議会の情報産業部会におきまして昨年一年間種々検討をしてまいりました。その結果といたしまして、このコンピュータープログラムの特質あるいは取引の実態、そういったものに即した形でその法制度を考えていくべきではないか、その場合に、同時にプログラムの急速な技術進歩に対応していく、対応し得る、そういうものでなければいけない。それから同時に、最近になりますと中小企業の方、そういった今まで余りコンピューターを使っておられない方もどんどん使い始める。そういう面から利用者の利益というものを考慮して枠組みを考えていくことが必要であろう。さらに、コンピュータープログラムということになりますと国際的な問題がございます。そういった面についても配慮しながら枠組みをつくっていくことが必要であろう。大きく申しまして、そういった方向で検討を進めるべきであるという答申をいただいたわけでございます。現在、私どもといたしましては、こういう方向に沿いながら省内において検討を鋭意進めているところでございます。  ただ、私どもといたしましては、コンピュータープログラムの権利の保護につきまして特別の法制を設けるべきであるという立場で考えているわけでありますけれども、他方におきまして、著作権法の改正で対応したらどうか、こういう意見がございます。現在私どもとしては、そういった意見と調整を進めながら作業をやっているというところでございます。またアメリカからもいろいろ意見が出てまいっております。先般、アメリカともハイテク・ワーク・グループの場などにおきまして意見交換をやっておるということでございまして、国内あるいは海外との意見調整、意見を十分すり合わせしながら作業を進めてまいりたいというふうに思っております。  また、VANの問題でございますけれども、私どもといたしまして、これからの日本経済を見渡してみますと、VANを含めまして、情報処理分野というものは最もその技術進歩も激しゅうございますし、民間の活力が発揮されるべき分野であるというふうに思っております。そういう観点から、この分野につきましてはできるだけ民間が自由に活動ができるように、民間の創意工夫が存分に発揮できるような、そういう体制というものをやはり整えていくことが必要であろうというふうに思っております。  そういう観点から申しまして、この通信回線の利用についての法制について、通信回線、VANサービスなどをやりたいという民間の人たちにできるだけ自由に開放していくということが必要であるというふうに思っているわけでございまして、そういう観点から、現在郵政省におかれまして通信法制についていろいろ検討を進められておりますけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたような立場に立って意見を申し上げておる、こういう状況でございます。
  23. 野田毅

    野田委員 大臣がお見えになりましたので大臣に質問を申し上げますが、大臣が就任に当たって中曽根総理から、特に通商摩擦の解消に力を入れてくれ、こういう特命があった、こう伺っておるわけですが、大臣も早速予算編成が終わった後アメリカに飛んでいかれて、四極貿易大臣会合、そしてまた、アメリカにおいてもブッシュ副大統領初め要路の方々といろいろと交渉をしてこられたわけであります。なかなか向こうも強硬なところがあって大変だったと思うのですけれども、しかし長い目で見て、今日の世界における日米関係の重要性、あるいは世界貿易を拡大をしていくという上で我々が汗をかかなければならぬ面がいろいろあろうかと思います。この点について大臣の、向こうの方々とお会いになったその手ごたえ、あるいは今日の通商問題等々を含めた摩擦関係についての取り組み、これについての自信のほどというか、決意のほどをお聞かせを願いたい、こう思います。
  24. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 対米訪問の成果があったかということの御質問でございますが、このたびの訪米ということは、物事の結論を出したわけではなく、自由な意見交換ということで行ったということでまず御認識いただきたいのでございますが、ワシントンにおきましてブッシュ副大統領以下数人の政府高官とお会いしたわけであります。そういう人たちの言うことは、総じて、ことしは選挙の年である、選挙の年であるがゆえに保護主義の台頭が大きくて非常に弱っている、対日貿易赤字の幅もだんだんとふくらんできて、日本に対する感情も非常に悪くなっているんだというような話を前提にみんながするわけでございます。  私も政治家として、選挙の年の難しさということはよくわかる、しかし、そのことによって保護主義が氏頭して、自由貿易体制というものが維持できなくなってしまっては大変なことではないか、やはり日米という世界的に見ても経済的な意味でトップあるいはそれに次ぐものが、自由貿易主義というものを放てきするような気持ちになってきたのでは、米国を中心として世界経済の回復基調にあるときに、これはゆゆしき大事である、やはり自由貿易体制の推進というものをお互いに頑張っていこうではないかと言ったところ、結論的にはそのような合意をすべての皆さんといたしたわけでございます。  しかしアメリカといたしましては、個々の問題、すなわち関税の引き下げであるとか、あるいはVANであるとか、ソフトウエアであるとか通信衛星であるとか、あるいはエネルギーであるとか投資の交流、資本市場の自由化あるいは農産物の問題にまでも、あるいは深くあるいは浅く、いろいろと議論したわけでございますが、二、三カ月中にこれはどうしても双方の話し合いで解決していかなければならぬということをこもごも語り合ったわけでございます。  私の方からは、例えばローカルコンテント法については日本では非常に強い懸念を持っておりますよとか、あるいは通商法二百一条によるところの鉄鋼の提訴あるいは拡大法によるところの工作機械の提訴等も成り行きを非常に心配しておる、したがって、これは節度ある、良識を持った解決をしていただきたい、また地方において行われているところのユニタリータックス、これは全く廃止してもらわなければ困るということを強く申し入れたわけでございます。  したがって、こういうようにお互いに言いたいことを言い合う、向こうがわかったと言った部分もあり、聞き流した部分もございましたけれども、お互いに言いたいことは言う、事務同士は事務同士で接触し合う、我々は我々でもって懇ろに話し合う機会というものを幾らでもこしらえるということが、対米経済あるいは対米通商摩擦を防ぐ最大の手段であるかなということを思いながら帰ってまいった次第でございます。
  25. 野田毅

    野田委員 なかなか御苦労、大変だと思います。今ローカルコンテント法案の話が出たわけでありますが、現在アメリカの議会で審議中である。私は、このローカルコンテント法案というものは全く言語道断である、よくもこんな法案自身がアメリカの議会で審議されておるなという感じがするわけであります。もともとこの法案は、御承知のとおりアメリカの自動車産業が大不況、大変な失業者を排出をしておる、それがまた地方財政にも大変な悪化をさせておる、こういうような背景の中でダンフォース議員なんかが中心になって、相互主義法案であるとか、あるいはローカルコンテント法案だとか、いろいろなことをやってきたわけです。しかし、先般の新聞報道によりましても、あの倒産の危機にあったクライスラーさえ空前の利益を出しておる。しかも、将来的に見ていくともっと利益が大きくなっていく。こういうような背景の中で、相も変わらずローカルコンテント法案を審議するというアメリカの議会の良識を疑わざるを得ないと思うのです。  自動車業界の人たちもこれは本当に腹立たしい思いをしておられるに違いない。しかも一方では、農産物についてかなり厳しい注文をつけてきておる。また一方で、今金融資本の自由化の問題にしでも、向こうの言い分もあるけれども、我々からすれば、何か日本はアメリカの五十一番目の州にでもなれと言わんばかりのむちゃくちゃなことを言ってきておる。まあ金融資本の問題でも、向こうはたくさんの金融機関があり、つぶれるのは日常茶飯事であって、それはつぶれるようなところに預金した人に先見の明がなかったので、弁護士さんに相談をしなさい。ところが日本で、もし金融機関が一つでもおかしくなったら、これは本当に大問題になっていく。全然背景が違う。しかし対日貿易摩擦という形でまとめてどんどんやられておる。  日本の国民の中には、日米関係ということも大事だが、余りにもそういった理不尽なやり方で、ある種の強迫的なやり方をしてくることについて、かなりまた対米感情というものに要影響を与える可能性がある。選挙前であるからよくわかるのですけれども、余りにもひど過ぎるのじゃないか。こういう感じがするわけですが、ひとつ大臣も対米交渉、対米折衝される場合には、これからもこういった点について日本の主張あるいは日本の国民の気持ちというものを率直に伝えていただく、そのことの方が長い目で見て日米の友好に寄与するんだ、こういう信念を持って対処していただきたい、こんなふうに思うのです。ぜひその点について大臣の決意、御所見をお述べいただきたい、こう思います。
  26. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 全く野田委員のおっしゃるとおりでございまして、例えば今おっしゃられたローカルコンテント法案などというものは、まさにガット違反でございまして、私といたしましても通産省といたしましても、あらゆる機会をとらえてこれはならぬということを言っている次第でございます。  御趣旨をよく踏まえまして今後もよろしく折衝いたす覚悟でございます。
  27. 野田毅

    野田委員 先般、石油のやみカルテル事件について最高裁の判決が出たわけであります。私もそれなりにいろいろ内容を見ておったのですが、最近の石油業界の不況というのは、恐らく業界始まって以来の大変なことだろうと思います。ただ、世上かつて十年ほど前にいろいろなことがあったものですから、何か知らぬけれども石油業界というのは悪いことをしてもうけているのではないかというある種の国民的な見方がある。全く石油業界もばかなことをしたものだ、こう思います。  しかし今日の状況そのものは、石油の消費量もどんどん下がってくる、一方で、設備は将来は六百三十万バレルだって処理できるようにしなければならぬということで大いに設備を増強させてきた。その結果大変な過剰投資に陥る、消費は減退する、こういった中でなかなかうまくいかない。石油税の値上げをやったわけでありますが、これとても私ども与党としても大変申しわけない気持ちではあるけれども、一方で、本来間接税というものは消費者に転嫁されることを前提にしておる。ところが転嫁し切れないだらしない状況にある。しかし、これは業界だけを責めるわけにもいかぬ、こういうことで現在通産省の石油審議会で大いに近代化、構造改善、元売の集約化等を含めていろいろと努力をしておられるわけであります。外資系の企業もあって、行政指導そのものもその有効性がなかなかむずかしいところもあろうと思うのです。  こういった厳しい環境の中で最高裁の判決が出た、こういう中で私は、ある意味では通産省の行政指導について逆に最高裁からお墨つきをもらったような判決であったような印象も受けておるわけでありますけれども、その点、ちょっと長くなりましたが、これからの石油業界の再編あるいは体質改善を進めていく上で、最高裁の判決との関連をお聞かせをいただきたい、こう思います。
  28. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 判決それ自体にとやこう言うことは差し控えるべきであると思いますが、これによってどうこうということではなしに、従来から今日に至るまで、さらに将来に向かって行政指導というものは必要にしてかつ有用なものであると考えております。その際、独禁法に当事者が触れるということは十分注意しなければならないことでございますし、通産省といたしましては、公取と十分これを調整していく考え方でございます。  さらに、石油産業あるいは石油業界を取り巻く環境というものは、おっしゃるとおりまことに厳しいものがございまして、構造改善というものは当然必要であると私どもは考えているわけでございます。業界自体が自主的に集約化云々というようなことがございますれば、これは通産省として指導というか援助もしていかなければならないと思います。こういうような効率を高めていく方向というものは、業界としてどうしてもやらねばならぬことでございますし、これが過当競争を防ぐ道にもなるかと思います。さらに、この石油の流通部門におきましても、これは完全な過当競争体質でございまして、この辺も将来においては検討していかなければならないことであるかなという考え方を私は持っております。
  29. 野田毅

    野田委員 だんだん時間が迫ってまいりましたので、先に入りますが、最近、中小企業と大企業の経営の状況をいろいろ見ておりますと、ちょうど今から三十年余り前ぐらいですか、日本経済の二重構造問題、こういったことが非常に大きくクローズアップされたことがあります。最近のいろいろな数値を見てまいりますと、特にまた大企業と中小企業の格差がやや拡大をしつつあるような数値が出てきておるわけであります。そのよって来る原因は、いろいろな要素があろうと思うのですが、その一つは、設備投資が中小企業についておくれてきた、そのことによって生産性の格差が拡大をしつつある、そこへもってきて既に今や情報化社会に我々は足を踏み入れておるわけでありまして、そういったところが影響しておるのではないかな、こう感じておるわけです。そういった面からいっても、製造工場におけるロボット化、これも大事でありますが、同時に中小企業のかなりの部分は流通販売部門にもあるわけであります。その流通販売部門の合理化というだけでなくて、そのOA化を進めることによって、また新たな付加価値を生んでいくという、また新たな事業機会を拡大をしていく、そういう要素が実はあるわけであります。  そういった点で、ことし行われました税制改正の中で中小企業の味方の税制ができたということは、大臣初め大変な御努力をいただき、また梶山委員長御苦労さんでありましたが、みんな協力をして一生懸命一つの目玉としてやってきたわけであります。これは税制だけでなくて、あるいはまだまだ予算の面においても、小売商業の分野においても、コミュニティーマートだとか、そういった新しい手法というものを取り入れてきておる、こういうことは私は大変結構なことだと思うし、さらに、大いにこういった側面を推進をしていくことがまた中小企業の、単なる大店法の改正の問題を論議するだけでなくて、こういった側面からもアプローチしていくということは大変重要なことだと思います。これについてひとつ大臣の、今後さらに中小企業問題についても積極的に取り組んでいっていただきたい、その決意のほどをお聞かせをいただきたいと思います。
  30. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 おっしゃるとおり、技術の革新といういい意味の要素が広がることによって、大企業と中小企業の格差が逆に拡大するという傾向はまことに悲観すべき状況でございます。しかし、そのような状況であるがゆえにお願いした中小企業新技術体化投資促進税制というものを今創設していただきましたし、また御審議いただくわけでございます。また、そういう中で、技術を中心として中小企業が大企業と格差をもたらさぬよう、御意見を踏まえて十分努力していく考えでございます。
  31. 野田毅

    野田委員 もう時間が参りましたので、では最後に簡単に申し上げますが、環境の問題についていろいろ論議がなされておるわけですが、十年前環境庁が誕生してから今日まで大分日がたってきたわけです。その当時は、確かに産業の分野からすれば公害問題というものは後ろ向きの、利益を生まない余分な経費であるという考え方がかなり強かった。しかしまた、政府あるいは野党皆さんも御協力をいただいて、環境庁も大いに頑張った。こういった中で、産業活動にとってそういった環境問題ということは、嫌々ながらやるべきことではなく、企業活動をやっていく上では当然やるべきものである、こういうような仕組みが今日ずっと定着をしてきた。したがって、各行政官庁においてもそれぞれ大規模プロジェクトごとにそういった手法というものをきちっとそれなりにつくり上げてきておるわけであります。  この点は十年前と全然違う。そういったことを考え、さらにまた、将来そういった環境と経済をどうやって調和させていくか、こういった問題も非常に大きな問題であって、どっちかが善玉でどっちかが悪玉であるという論議は好ましくない、不毛の論議に陥りかねない。そういった意味で私は、そういった前向きの、環境と経済の調和をどうやってやっていくか、これについて、ひとつ政府部内においてもこの問題については対立的概念でとらえるのでなくて、何か共同して前向きの勉強というか、あるいは討議を通じて理解を深め合っていくというようなことをぜひ継続的にやっていただきたい。こういったことについて大臣の御所見をお伺いいたしたい、こう思います。
  32. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 おっしゃることはまことに的確でございます。この問題につきましては、環境庁と十分協議いたしまして、御意見を踏まえて公害防止に万全を期してまいります。
  33. 野田毅

    野田委員 終わります。
  34. 梶山静六

    梶山委員長 水田稔君。
  35. 水田稔

    ○水田委員 大臣の所信を聞いておりますと、予算の内容を見ても同じでありますが、今の日本経済にとって内需の拡大というのが一つの大きな課題と、こういうぐあいに言われておるわけです。これは、予算上の問題なり内需拡大の問題については経済企画庁長官にお伺いしますが、その問題で一点だけ通産大臣にお伺いしておきたいと思うのです。  先ほど野田さんの方からもローカルコンテント法案の問題が出た。いわゆる貿易摩擦という問題、いろいろ起こってきておるわけですが、日本経済とアメリカの経済、非常に関係深い。例えば今日本基礎素材が少し操業率が上がったというのは、集中豪雨的にアメリカが景気が悪くて日本へ輸出してきておった石油化学の中間物等の輸出がとまる、で国内の操業率が上がる、そういう問題も起きておりますし、あるいは鉄鋼にしても一億トンを切っておったのが約一億トンにくるというのも輸出ができる、こういう関係にある。しかし、一面言えば、アメリカの高金利というのが日本経済を機動的に運用する場合大変足かせになっておるということも事実だろうと思うのですね。  これは、日本でいわゆる金利を下げて民間設備投資を起こしてこよう、こういう政策をとろうとしても、それをやるとアメリカは高金利ですから日本の金が資本流出でアメリカへ出ていく、そういうことで円安になるのではないか。そういう点ではなかなか機動的な対策は講じにくいという面があるわけですね。ですから、昨年十月に〇・五%公定歩合を下げる。これは恐る恐るやるという、これなどももっと早い時期にやれば民間設備投資についてもう少し違った形で国内の消費が拡大ということに返ってきておるんではないか、そういうぐあいに思うわけです。  そこで、いろいろ個々の貿易摩擦で言いたいほうだい、やりたいほうだいをやられるけれども、逆に、いわばアメリカの高金利というので日本経済は大変迷惑しておる。これは、サミット等でも日本の総理大臣は気兼ねして余り言われないのですが、フランスやイギリスの総理、大統領はこれを言うわけですね。ですから、その点について、日本経済との絡みで、アメリカの高金利が日本経済の内需拡大についても大変マイナスの要素を今与えておるというようなことについて大臣が、これは内需拡大につながるわけですから、そういう点でのお考えをまずお伺いしたいと思うわけです。
  36. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 アメリカの高金利というものがアメリカの赤字を増大いたしているということは、かなりの人のまとまった意見でございます。これを日本の方からなぜアメリカに対して言わないのであるかということでございますが、まず第一に、それは、私が訪米をしたときにも、これは人の国の政策のことでございますから私も余り言わなかったわけでございます。しかし、日本の景気を回復するについては、何と申しましても内需を拡大しなければならない。そのためには委員のおっしゃるような機動的な金融政策も行わなければならないし、また各種の規制の緩和あるいは各種の設備投資の促進ということも行わなければならないわけでございまして、通産省といたしましては、このような着実な施策の実行をもって内需を拡大していくという方針でございます。
  37. 水田稔

    ○水田委員 逆にいいますと、例えば財政的には内需拡大の要素というのは余りないわけですね。民間活力民間活力と言われておるわけですが、そういう点からいえば公定歩合をもっと下げたらどうかという意見もあるわけですね。その判断にアメリカの高金利は非常に影響しておるわけですね。ですから、今財政的にできないんなら金融的に、例えばそういうことをやるのに、よその国のことだから余り言えない。しかし現にそれをやろうとするとなかなかできない。だけれども、よその国のことだから、我が国我が国で内需拡大のために必要なら、例えば公定歩合を下げてでもいわゆる民間設備投資が起こるようなことを政策的に、じゃおやりになるお考えがあるのかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  38. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 今おっしゃるようなことは、通産省として機動的な金融政策というものを行うということで御答弁になるかどうか、そういうことでございますが、米国の高金利、高金利ということは、私は言わないだけのことでございまして、閣僚間では常にこの議論が闘わされておりますし、これも閣僚によっては向こうの政府高官に常に強く言っている方もいるわけであります。
  39. 水田稔

    ○水田委員 いや、そういう判断でそれはそれでいいと思うのですが、じゃ、国内のいわゆる民間設備投資を起こしていくために去年の十月に〇・五%下げておる。しかし、それはいわゆる円安になるんではないかと大変心配をしながらやった。現実には円安にならなかった。そしてなお財政的には多くの手だては今度はできない、あるいは若干のいわゆる政策的な減税というのがありますけれども。だけれども国内で予算を組まないでやれるのは、例えば金融政策としてやれば〇・五%ぐらいもっと下げたらどうかというあれがある。それは前例としては、アメリカの高金利で日本がいわゆる円安にどかっとなるんではないか、ますます貿易摩擦を拡大するんじゃないかと心配したのが、心配したほどのことに、去年の十月やってみたらならなかった。だから機動的にやるには、そういう点も含めて今後御検討になるのか、そういうお考えがあるのかどうかということをお伺いしておるわけです。
  40. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 機動的な金融政策措置を行うということは、通産省としてもちろん御指摘のように考えていることではございますが、これはただ単に通産省だけでもってそれを行うということもできないわけでございます。十分委員のおっしゃることを踏まえて、通産省としてはこれを行っていくことの参考にいたしたいと思います。
  41. 水田稔

    ○水田委員 それでは次は、これは先ほど野田委員の方からも御質問がありましたが、また大臣の所信の中にも、国際的に保護貿易主義の台頭は何としても抑えなければならない、日本は資源がない、貿易立国で生きていかなければならない、私は同感であります。そういう中でどうしても理解できないのが日米間の自動車の自主規制という問題なんです。 ですから、まずお伺いしたいのは、昭和五十五年から三カ年やったわけですが、そのときに百六十八万台という自主規制をなぜやらなければならなかったのか。アメリカの条件は一体どういうことだったのか。それと今の条件、今の状態、これはどういうぐあいにお考えになっておるか、まずお伺いしたいと思います。
  42. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  現在自主規制をやっているわけでございますけれども、これは昭和五十六年度から三年間ということで始まったわけでございます。当時アメリカの自動車に対する需要が、これはオイルショックによりますがソリン価格の高騰などを背景にいたしまして、小型車の方へ向かったわけでございます。そういったこともございまして、アメリカ産業、アメリカの自動車産業として非常に苦境に陥ったわけでございます。そこで、当時日本とアメリカとの間でいろいろな話があったようでございますけれども、いずれにいたしましても、アメリカ側から、アメリカの自動車産業として再建の努力をしていきたい、ついては、再建努力をしていくのだから、その間日本においてそういったアメリカにおける自動車産業の再建努力を前提として配慮をしてくれないか、こういったようなことがあったようでございます。  そこで、当時私どもといたしまして、アメリカの自動車産業の再建努力を前提といたしまして、自由貿易体制を守っていくという、むしろ大局的な立場に立って、臨時、異例の措置として三年間の自主規制の実施ということに入ったわけでございます。そういうことで現在三年目を実施しているわけでございますけれども、この現在行っております措置と申しますのは、むしろ自由貿易を守るという観点から行われているわけでございます。  そこで昨年、昭和五十九年度についての問題が議論されたわけでございます。私どもといたしまして、現在のこの自主規制につきましては三年限りということで始めたわけでございます。アメリカの自動車産業の再建努力を前提として、三年限りということで始めたわけでございまして、昨年におきましてアメリカ側といろいろな意見交換が行われたわけでございますけれども、いずれにいたしましても、アメリカ側といたしまして、アメリカ自動車産業として、例えば損益分岐点などかなり低下してきておる。これはアメリカの自動車産業の努力の反映だと思いますけれども、損益分岐点の低下ということも出てきておる。ただ、いずれにいたしましても、三年間の自主規制というものがここで打ち切られるということになった場合に、急激にもし輸出が伸びるということになりますと、またアメリカの自動車産業をめぐりましていろいろな問題が起こってくるのではないかという問題が出てまいりました。  そういう観点から申しまして、私どもといたしまして、現在の措置というものは予定どおり三年間で打ち切る、しかし、八四年度、五十九年度につきましては、自主規制が終わった後の一時的な混乱を防止するという観点から、経過的な措置として百八十五万台ということで自主規制を日本側において自主的に続けていこう、こういう決断をしたわけでございます。これもやはりアメリカ自動車産業をめぐる混乱が起こりまして、いろいろな問題が起こってくるということを防止するという観点から、そういう大局的な観点から出たものでございます。
  43. 水田稔

    ○水田委員 私は、これは昨年の十月に前の通産大臣にお伺いしたのです。しかし、ちょうどそのとき八四年度の交渉のさなかですから、余り詰めた話をしなかったのですが、既に昨年の段階でクライスラーもフォードも再建はできた状態にあったことは間違いない。今日明らかになっておるのは、アメリカの自動車産業が空前の利益を上げたのが一九七五年に全体で五十一億ドル、ところが一九八三年はそれを上回る六十三億ドルの利益を上げていますね。まさにこれは五十五年段階の話のときの状態、いわゆるクライスラーが倒れる、政府が援助しなければならぬ、失業者がどんどん出る、そういう危機的な様相のときにある程度やむを得ないということでやったにしても、今日の段階、一九八三年の時点ではその条件は全くない。それにもかかわらず八四年を百八十五万台で自主規制とするというのは、これは保護貿易の最たるもので、これはEC諸国から、アメリカがそうするなら我が国もというのは当たり前のことなんですね。ですから、そういう点については、今の御答弁で経過的な措置と言われるのですが、それではそういう保護貿易が蔓延することを防ぐために、少なくとも一九八五年、来年度はどんなことがあっても、これは筋が通らぬ話ですから、それはやらない、日本としては、日本政府としてはやらない、そういうお考えと受けとめていいかどうかをお答えいただきたいと思います。これは非常に重要な問題ですから、基本的なアメリカとの関係、自由貿易の原則を守るかどうか、これは大臣の所信にかかわる問題ですから、大臣からお答えいただきたいと思います。
  44. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 八五年以降のことにつきましては、日米双方とも、これは市場原理が最大限に機能するという考え方を双方ではっきりと合意いたしているというお答えにいたします。
  45. 水田稔

    ○水田委員 それでは、ぜひ自由貿易の原則を守るという立場で、今大臣がお答えになったようなことで対処いただきたい、こういうぐあいに思います。  それではその次に、石油の国家備蓄の問題について、これまた昨年詳しく聞いておるわけですが、本格的に備蓄の金が足らぬということで石油税の一・二%増税をやろう、こういうことで出てまいりましたものですから、改めてお伺いしたいと思うのです。  これは昨年も私は、本当にナショナルセキュリティーという立場から考えれば、大半の原油がホルムズ海峡を越してくるという形が一番不安な状態である、ですから、輸入先を多元化していくということ、これは金のかからぬことですから、そういうことも簡単にはできないけれども、ある程度年数をかけてやっていく。備蓄も年数をかけてやっているわけですからね。そういう考え方なり、あるいはことしの予算を見ますと、どうも石油の値段がちょっと五ドルほど下がると代替エネルギーについては少し後退ぎみの考え方になっておるのじゃないか、そういう疑いがあるのですが、例えばそういうこと等をやる。それからもう一つは、先ほど質問にありましたように、石油精製というのはいわゆる設備を過剰に抱えている、もちろんタンクも抱えている。需要量が少なくなったものですから、備蓄日数は九十日といっても九十七日もありながら、しかも一千万から一千五百万キロリットルの空のタンクを抱えている。これは新しくつくらぬでも、港もちゃんとあるわけですから、そういうものを有効に利用する、そういうことでやれば十分賄えるのではないかということで、昨年もお伺いしたのです。  それにもかかわらず一・二%の石油税を国民から余分の負担をかけて、結果的には消費者にかかるわけですから、一世帯当たり平年度に直せば四千円を超す負担をかけてまでやらなければならぬ、もちろん石油特会では、これは全部が全部備蓄に回るわけではないのですが、予算の半分はとにかく備蓄に回るわけですから、そういう点からいえば、まさにこういうことはとるべきではない、こう思うのですが、石油税を一・二%上げて、なおかつての石油国家備蓄を既定方針どおり三千万キロリットル進めるというのは一体なぜなのだ。何としても理解ができないのです。その点についてのお考えをまずお伺いしたいと思います。
  46. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 申し上げるまでもなく、我が国石油の供給構造というものは非常に脆弱であるわけでございます。多角的な供給源というものを求めざるを得ない宿命にもあるわけでございますけれども、しかし依然として中東への依存度は高い、その中東がいろいろな意味で非常に不安定であるということを考えますならば、国家経済の安定、国民生活の安定を期するためには、どうしても決定した三千万キロリットルの備蓄というものを目標にして、これを推進していかなければならないということが我々の考え方でございます。
  47. 水田稔

    ○水田委員 それでは、この三千万キロリットルの国家備蓄を決めたのは、昭和五十三年の総合エネルギー調査会の石油部会だと思うのです。そのときの何を基礎に、どういう条件で、この三千万キロリットルをお決めになったのか、お伺いしたいと思います。
  48. 豊島格

    ○豊島政府委員 昭和五十三年度当時の国家備蓄目標三千万キロリットルという考え方の根拠としては、民間備蓄九十日に加えまして、当時の長期見通しては大体六十年度に一日当たり百万キロリットルの需要があるということを予測しまして、それが三十日分に当たるわけでございますが、当時IEA加盟諸国の平均の備蓄というのが大体百二十日分あるということで、そのIEAの平均並みは、日本の脆弱なエネルギー構造、特に石油依存度が一番高いということでございますので、そういうことからせめてIEA並みの百二十日を達成するということで三千方キロリットル、今のような計算で決めたわけでございます。
  49. 水田稔

    ○水田委員 現在の一日の消費量は大体五十四万キロリットル、六十年あるいは六十五年を見通しても、石油の需要量は二億四千万から二億五千万キロリットル、横ばいということで考える。さらに日本経済考えれば、将来にわたって代替エネルギーであとふえるものは賄っていく、こういう考え方。この点間違いありませんか。
  50. 豊島格

    ○豊島政府委員 昨年、総合エネルギー調査会で長期需給見通しを検討していただいたわけでございますが、その数字によりますと、先生御指摘のように、今後の石油需要は大体二億四千万ないし五千万、大体横ばいないし微増ということでございまして、全体のエネルギーの増加については、石油でなくてそのほかのエネルギーに依存していく、頼っていくといいますか、それで賄っていく、先生がおっしゃるとおりでございます。
  51. 水田稔

    ○水田委員 そうしますと、この五十三年に決めたとき、三十日分というのは確かに六十年度で三千万キロリットル、今の需要量からいいますと、三千万キロリットルをやれば五十四日分になるわけですね。それは一体どういうことになるのですか。基本的に民間九十日、国備が三十日、そう考える、そして、これから石油の需要はどんどんふやさないという基本的な方針を決めていく、そこまでいけば五十四日分にもなる。ですから、今、中期の見通していくと大体一千六百万キロリットルぐらい備蓄すれば国備としては三十日分に当たる、こういう計算になるわけですね。それにもかかわらず五十三年のいわゆる一日百万キロリットル三十日分ということにこだわって、それへ向かってはく進するというのは、一体どういう考え方の違い、変わりようがそこに出てきたのか、御説明いただきたいと思います。
  52. 豊島格

    ○豊島政府委員 三千万キロリットルを一日五十四万キロリットルということで割りますと、先生のお示しになった五十三日とか五十四日分、そういう数字になろうかと思います。そこで五十三年当時三十日分でよかった、それにまだこだわっているのか、こういうのが御質問趣旨かと存じますけれども、世界石油需要といいますのは非常に一時的に緩和しておりますが、将来にわたっては非常にタイトになる可能性もありますし、最近御承知のように、中東情勢その他も非常に緊迫しておりまして、いつホルムズ海峡が封鎖されるかわからない、こういうような非常に不安定な状態にあるわけでございます。  それで、IEAにおきましては、いろいろ毎年会議をいたしておるわけでございますが、昨年の五月のときにおきましても、石油備蓄につきましては今後ますますやっていかなければいけない、こういう閣僚会議の決議も行われておるわけでございますが、諸外国の情勢等々を見ましても、備蓄については非常に力を入れておるわけでございまして、IEA加盟国の備蓄は当時百二十日であったのが大体百六十七日といいますか、百七十日近辺までいっておるわけでございまして、主要国で西独あたりは百三十日以上、あるいはアメリカは三百日ということをやっておるわけでありまして、日本としてもその後の情勢を考えますときに、確かに石油の需要は変わったけれども、最も石油依存度が高い、しかも中東依存度が高い日本として、IEA諸国の百六十七日分、そこまでいけるかどうかは別として、そういう十分な備蓄に対して日本としてもできるだけ増強しなければいけないということでございまして、仮に五十三日を九十日に加えますと百四十三日でございます。IEA方式で計算いたしますと百二十八日ということで、はるかに低い状況でございます。したがいまして、昨年の総合エネルギー調査会の再検討といいますか、総点検におきましても、石油の消費量というのは変わったけれども、国家備蓄三十日分というのはそういう世界の情勢、IEA諸国の動き等々を見ましても、この際変える必要はない、もっとやるべきである、こういう結論が出て、我々としては十分そういう審議を経てこういうことを進めておるわけでございます。  なお若干つけ加えさせていただきますと、八二年の対日審査におきましても、日本のエネルギーが高度に輸入に依存しているということからいいまして、もっともっと備蓄をすべきであるというような勧告といいますか、そういうものを受けておるわけでございまして、自由世界石油消費二位、輸入量でも二位、そういう日本の国際的立場を考えますときに、日本がちゃんと備蓄しないで世界に迷惑をかける、迷惑をかけるということが適当かどうかわかりませんが、日本としても十分そういう意味で緊急事態に対する責務を果たす必要がある。そういう意味から申しますと、いま申しました三千万キロリットルは決して多くはない、比較するとむしろ少ないと言えるわけでございまして、そういうことから変える必要はない、そういう考え方に従って進めておる、こういうことでございます。
  53. 水田稔

    ○水田委員 常にIEAの備蓄日数が出てくるのですが、これは計算の仕方が全く違いますから、日本は大半を輸入しておるということですが、この点はどうですか。それじゃ、ドイツ、フランス、アメリカでもいいですが、一日の需要に対する備蓄の量は一体それぞれ幾らになっているのか、御説明いただきたい。
  54. 豊島格

    ○豊島政府委員 先生おっしゃいましたのは、いわゆる消費量ベースという御指摘だと思いますが、西独は百二十七日でございます。それからアメリカは九十六日ということでございまして、日本はそれに対して、八三年十月現在で、いろいろ計算ございますが、大体九十一日という数字が出ております。
  55. 水田稔

    ○水田委員 それから、一年分ためようと二年分ためようと、多ければ多いにこしたことはないというのは当たり前のことなんですね。それは国民経済との絡みにおいて考えることだ。とすれば、それだけの負担は国民の懐へかかっていく。今の状態で、審議会でも期間を延ばしてやる、こういういわゆる国民の基地の建設を少し延ばしてやるというような御意見もあったようですね。今外国と比べてそれほどの遜色はないと私は思うのですね、実際に消費量と備蓄のあれから言えば。これはホルムズ海峡が通過できぬようになれば、簡単に三月とか半年で解決するようにはならぬと思うのです、あの海峡がもし封鎖されれば。三年も四年もということになれば、日本経済はどうにもならぬ。そういう危険性を持っているわけです。だから、ほかからの輸入もふやしていくということが大事じゃないかと言ったのですが、同時に、そういう不安は今この数日の間に起こってきたわけですね、カーグ島の攻撃によってホルムズ海峡封鎖とか。しかし、それはこの前のとき、五十三年、五十五年、そういったときを含めて、常に中東が不安であるということは、今もそれからその当時も変わりはないわけですね。だから、増税までしてこれを既定どおりやらなければならぬということにはならぬと思うのですね。それが一つ。  それから、今石油精製が大変苦境にある。構造改善をやっていこう、こういうことになっているのですね。一千五百万キロリットルのタンクが遊んでおるわけですね。港湾設備はしなくていいのですよ。全部それは船が着くのですよね。そして、それを使うことによって国が使用料をこの中で支払えばいいのですから、余分な金を出すわけじゃないのですね。そして、政府が補助をしなくても、そういう点でいわゆる構造改善には業界としては大変助かると思うのですね。そこに働いておる労働者もそうしてほしいという意向を持っているわけですね。  だれが考えても、タンクが一千五百万キロリットルあいておるのに、まだこれから三千万キロリットル国費で、国が別に——今幾らですか、一千三百五十方今やっていますね。その上にさらに一千六百五十万を新しくつくらなければいかぬ。だれがどう考えてもおかしい話なんですね。一石二鳥なんです、石油の今の民間のあいておるタンクを使うということは。これは政策的に、ほかのことは別ですよ、何か思惑があって、大型プロジェクトをどんどんどんどん立てることが何かいいということで、それが利益につながるというのに押されて、国の政策が変わっていくのでは大変なことだと思うのですね。  私は、これは政策的な判断の問題だと思うのですね。ですから大臣にお伺いしたいのです。民間タンクは一千五百万キロリットル分あいておる。そして、石油はこれから伸びないわけですから、設備を廃棄していこう、こう言っておる。それをほったらかしておいて、使わないで、まあ今一部は使っていますけれども、それよりも別につくるのが大事なんだ、こういう考え方。そのためにいわゆる一・二%の石油税を増税するという政策判断というのはどんなにしても理解できない。これは政策的な、基本的な問題ですから、大臣にお答えいただきたいと思うのです。
  56. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 エネルギーあるいは代替エネルギー政策というものにつきましては、何と申しましても、それを着実に推進するためには、中長期的に見て安定した財源が必要であるということは御承知のとおりでございます。しかしながら、その主要な財源であるところの石油税の収入というものが減るということは現在必至の情勢でもあるわけでございます。ですから、このことについて最大限の歳出カットを行いながらも、なおかつ石油税収によるところの石特会計繰入未済額、これを全額取り崩したとしても、中長期的に見てはやはりまだ財源が確保できないという情勢は委員も御承知のとおりでございます。  そこで、我が方といたしましては、一般会計の非常に厳しい中ではございますけれども、石特会計繰入未済額というものを最大限に取り崩すということを条件にしましても、なおかつ石油税の拡充というものをどうしてもお願いしなければならない。これは必要最小限の額をお願いしたということで御理解願いたいと思うのでございます。
  57. 水田稔

    ○水田委員 内需拡大についていわゆる財政的な手だではできない、これは経済企画庁長官も通産大臣もお認めになると思うのですね。そうすると、ここで一・二%の増税をするということは、これは平年度に直しての話ですが、一世帯当たり平均四人家族なら大体四千円の負担を国民から取る。ですから、それだけ消費は落ちるわけですね。そういうことまでして、片一方では民間のタンクがあいているのを使わないで、そして新しくつくるために金が要るからということで、備蓄が大事なことは、それはだれも否定できないのですね。だけれども、そういうことを政策的にやる必要があるのかどうかということなんです。そして政府方針は「増税なき財政再建」と言っておる。そういう中でここだけ増税をやってまでなおかつやらなければならぬというあれがある。時間がずれても、もっとずれても、今既に民間と両方で百二十日を超す備蓄はあるわけですね。それを増税までして緊急な問題としてやらなければならぬ、そういうことにはならぬ。しかも問題は、代替エネルギーとしてこれから使用量をふやしていこうというLNGまで新しい税目として一・二%税金をかけるというのですよ。これはまさに政府の言っておる「増税なき財政再建」に反する。そういうことをやってまでこれを既定方針どおりやるということは何としても理解できない。これは基本的な政策の問題ですから大臣にお答えいただきたい。
  58. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 何回も申し上げるようでございますが、OPEC諸国の原油の値下げというものは、結果として石油税の収入というものを少なくしていくということでございます。私は、結果としては、国民負担、日本経済の負担する額というものはそれほど大きなものに数字としてはならないと思うのでございます。したがって、このような観点も含めて、必要最小限の石油税の拡充をお願いしたということを御理解願いたいと思うのであります。
  59. 水田稔

    ○水田委員 お答えになってない。  LNGというのは代替エネルギーとしてこれからもっと使用をふやしていこう。だから政策としては、石油にかわる代替エネルギー、それにさえ石油の中へ取り込んで税金をかけるというのは本当に政策の整合性がない。  それからもう一つ聞いておきますが、こんなことをやるのだったら、石炭も代替エネルギーで、今どんどん発電所は石油から石炭にかえようとする。これにまでもまた、備蓄の金が必要だから、税金を取るのかという心配さえ出てくるわけですね。その点はいかがですか。もう時間がありませんから簡単に答えてください。
  60. 豊島格

    ○豊島政府委員 石油税を創設した当時におきましては、将来のエネルギーの安定供給という点で、脱石油ということも含めて、むしろ石油だけに限ったわけでございますが、本来エネルギーの長期的な安定ということからいいますと、広くエネルギーを消費するものから均等に全部に負担していただくということが一ついいことじゃないか、それが一番適切だと思います。しかも、石油につきましては、先生先ほど御指摘のございましたように、非常に今経営も悪い、それからまた石油自身がそう伸びないわけで、むしろ従来から減ってきておるわけで、今後もそう伸びないということになりますと、石油だけにこのエネルギー政策を依存するということは実際上なかなか現実的でない、こういうことでございます。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕  そこで例えば、LNGは代替エネルギーじゃないか、それにかけていいのか、こういうことでございますが、一応LNGの価格というのは石油にスライドしておりまして、石油が五ドル下がるとそれに応じてLNGも下がっておるわけでございまして、そういう意味の、ある意味の負担力はあるわけでございます。  それからなお、代替エネルギーということも考慮いたしまして、三・五%という石油税が従来あるわけで、石油についてはその上に一・二%というのをオンしたわけでございますが、LNGにつきましては一・二%だけということで、いわゆる代替エネルギーとして石油との格差というものは従来どおり保っておる。これによってLNGについて特に石油との関係で競争関係が変わる、こういうことではないわけでございまして、代替エネルギーということを前提としつつ、それを促進することを前提としつつ、かつ広く消費者一般に負担を、全体から取る、こういうことでございます。  なお、石炭についてどうかということでございますと、LNGと石炭と、そういう意味では石炭も下がっておるわけですし、余り変わりないと海外炭等について言えるわけでございますが、いずれにいたしましても、石炭については、国内の石炭というのは非常に経営が苦しいわけでございまして、これから取るということはどうか。それから、海外炭と国内炭を差別するというようなことも非常に問題がございまして、現状におきましてい来年度、五十九年度石油税の拡充の中で、石炭ということは、現実問題として、いろいろ理屈はあるかもわかりませんけれども、実際上取ることにはできない、こういうのが我々の考え方でございます。
  61. 水田稔

    ○水田委員 まさに、代替エネルギーで推進していくということがいいようにいきますと金を取る。こんなことを続けておれば、それは政府が代替エネルギーでやろう、こう言っても信用しなくなりますよ。  もう一つは、やはり国民経済ということを考えたやり方をすべきだということだけ申し上げまして、時間がありませんからこの点は終わりたい、改めてまたいつかの時点で質問をしたいと思います。  通産省関係で最後になりますが、大型店の問題について。  これは、五十七年二月からことしの一月まで「当面の措置」をやってきた、そして引き続いてこれを充実しながらやっていくということであります。時間がありませんからこちらから全部申し上げますが、確かに件数はだんだん減ってきておる。しかし、ほうっておいても、もうここへ出ていってももうからぬからと言って減ったのかもわからぬし、「当面の措置」が効果があったかどうかわからぬと思うのですが、しかし、全国で大体百カ所くらいは相当な紛争が残っておるわけです。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕  そういう点で、一つは商調協の委員の選出の仕方、あるいは実際の運営でいきますと、力の強い者が勝つという運営がされておる。ずばり申し上げますと、私の地元で言いますと、反対する人のところへ封筒に入れて二百万円をいわゆる建設業者が持ってきて、何とかしてくれ、こう言ったのです。本人は返したわけです。後でそれが公になると、あれは書類を持っていったんだ、こう言っておる。あるいはその地域の市会議員のところへ何百万円か持っていっておる。本人はとにかく、おれはもらったけれども返した、こういう弁解をしておる。今の二百万持ってきたというのは証人をここへ連れてきてもいい、そういうことが起こっておるわけですね。そして、その人が警察へ持っていったら、警察は今、商調協の委員とかそういうあれについては汚職になりませんから手がつけられぬ、こういう話。そういったことが現実に起こっておる。それでもなおかつ、私どもは、少なくとも大店法の改正をやって、今までの運営の誤りを正していくということが必要だ、こういうぐあいに思っておるわけです。  それは、通産大臣の所信表明では、「当面の措置」をさらに継続していく、そういう中で措置をしていきたいというお考えを述べられておるわけです。  その点について、私は今までの運営を見ておると、それから二年間で鎮静化へ向かったと言うけれども、紛争の残っておるところについでは深刻な問題がむしろまだ多く残っておる。そういう点では、問題点を整理をして、少なくとも法改正をやって対応すべきではないか、こういうぐあいに考えておるわけですが、これまでの御検討の中で、問題点は一体どういうところにあったと受け取られておるのか、あるいは法改正をやって対応をされるというお考えはないかどうか、時間がありませんからその点、要約してお伺いをいたしたいと存じます。
  62. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 先生御指摘のとおり、五十七年二月から通産省が実施しております犬型店の出店抑制措置、この効果と申しますか、五十七年度の三条届け出は百三十二件でございまして、これはピーク時の五百数十件に比べますと五分の一程度になってございます。それから、今年度に入りまして、四月からこの一月まで十カ月間でございますけれども、九十八件となっておりまして、これを年度間推計をいたしますと大体百十五件から百二十件ということで、さらに昨年度に比べて低い水準になっております。  また、五十七年度以降の届け出件数に関する処理につきましては、比較的順調にいっております。ただし、先生御指摘のような、いろいろ前からの案件というものが各地で調整中でございまして、それぞれの事情によりまして商調協あるいは大店審を通じまして適正かつ円滑に調整を進めているところでございます。いろいろ難しい面もございますけれども、商調協、大店審を通じまして、かつ都道府県あるいは市、それから通産局が指導体制をつくっているところでございます。  それから、先生最後に御指摘の、さて、こういった点を踏まえまして大店法というのを改正する必要があるかどうかという点でございますけれども、先般産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同部会で八〇年代の通産ビジョンというものをつくったわけでございます。この中でも指摘されておりますように、現在の小売業というものはいろいろな点で転換点に立っている、そういうこともございまして、中長期的な観点に立って、小売業全体の活力を維持していくという観点から慎重な検討が必要でございます。  いずれにせよ、この大店法改正問題も含めまして、この商業調整に関しましては引き続き事態の推移を見守り、監視を続け、事態の推移に適切に対処していく所存でございます。
  63. 水田稔

    ○水田委員 答弁にもありましたように、累積した、深刻になっている地域というのは決して減っていないわけです。そして、そういう中では自治体や、場合によったら商工会議所で凍結決議をしている地域等もあるわけですね。ですから、事態の推移を見守るだけでは困る。問題点は一体何か。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕  私は例を挙げたいのです。証人を連れてきてもいいのですからね。伝聞証拠じゃない。そういうえげつない形で進んで、紛争が済んだというのもあるわけですね。そんなことを続けさせていいのかどうか。そういうことにならない対応をするためには、問題点がどことどこで、どういうところにある、それをどういうぐあいに法律改正をやって、そういうことの起こらないようにするかということを検討するということでなければだめなんですね。それはどうなのかということをお答えいただきたい。
  64. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 各地の商業調整につきまして、第一線では御承知の商工会議所あるいは商工会による商調協というものがこれを行っているわけでございます。この件につきましては従前とも、そして今度二月十六日に大臣談話が発表されまして「当面の措置」を継続しつつ改善を図る、充実を図るということでございますが、その充実の中に、商工会議所あるいは商工会に、商調協の人選、人材の育成それからいろいろの行動規範と申しますか、選定、資質の向上を含めまして、その措置について実施をしていくように十分指導してまいる所存でございます。
  65. 水田稔

    ○水田委員 それでは法改正は検討しないということですか。それだけ答えてください。
  66. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 法改正につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、小売業をめぐる問題点が、いろいろ転換期にある、業種、業態がいろいろ動いておりますし、商業調整の問題につきましても二月十六日の大臣談話の方向で現在所要の措置を検討いたしておりますので、その事態の推移を監視しながら所要の措置を検討する、こういう状況でございます。
  67. 水田稔

    ○水田委員 毎回同じ答弁をしてもらっては困るのです。法改正を含めた検討をするのか、それはしない、「当面の措置」の内容を少し充実して継続をしていくというのか、それをずばり答えてください。
  68. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 現在ただいま現行の法律体制というものがございます。その運用をベストを尽くしてやらしていただきたいと思っておる次第でございます。  また法律というものは、もちろん期限というものが法律自体に区切ってはございませんけれども、事態の推移というものを見守りながら弾力的に対応するような性格のものだと存じております。まずは現行体制をやらしていただいて、その間事態の推移というものに適切に弾力的に対応していきたいと思っております。
  69. 水田稔

    ○水田委員 私は、時間がないから一つだけ例を申し上げたのです。そういうえげつないことがやられながら小売業者が押し切られていっておる、解決したというのは。そういうことを申し上げたのですからね。そういう事態が起こらないことが、いわゆる当面の措置を継続したってできっこないのです。当然法改正まで含めた検討をするということで二年間を経過したのではないのですか。それでなおかつ法改正については検討するというお考えでないのは、時間がありませんから、まことに遺憾だということだけ申し上げます。  委員長にお願いですが、そういうことで通産省側は、紛争はだんだん縮小の方向へ行っておる、こう言っておるのです。そうじゃないのです。根が残ったのがずっとあるわけですね。ですから、これは委員会として一遍問題点のあるところを現地視察をしてぜひ調査をして、その上で委員会としてももう一遍論議をする、そういうことにぜひしていただきたいと思います。要望しておきますが、いかがですか。
  70. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員長代理 理事会で検討させていただきます。
  71. 水田稔

    ○水田委員 そのようにお願いいたします。  経済企画庁長官、まことに申しわけないのです。時間がなくなりまして順番が狂ったものですから、そういうことになって申しわけないのですが、当面の経済政策についてお伺いしておきたいと思うのです。  経済企画庁長官、私は、いろいろとお話しになっておることと全く同感な点が多いわけです。例えば、減税増税を同時にやっても経済に与える効果はゼロ、こういうぐあいに答えておられるわけです。内需拡大というのは、経済企画庁長官も通産大臣も言われるわけですが、五十九年度予算を見ますと、内需拡大では大体個人消費ということが大きなファクターになるわけです。その点で考えますと、政策減税を含めて減税が一兆二千四百億円で、増税——増税ということを言わないのですが、私どもは増税と言うのです。増収と言われるのですが、一兆二千七百五十億、これはまさにマイナスに響く。あるいは公共料金の値上げ、そして健保の負担などもかかれば、これは調査の仕方によっていろいろ違うのですが、一世帯当たり大体三万円から四万円ぐらい各家庭の支出がふえるということなんですね。これは、GNPの一番大きな部分を占める個人消費がマイナスに働くということになる。それからもう一つは、公共投資はほとんど横ばいということになる。公庫の融資も三万戸減って、民間で一生懸命やってくれ、こういうことなんですね。これで内需拡大ということを言われるのですが、あとは、いわゆる金利の引き下げとか、あるいは総合経済対策の中でうたっておる、昨年行ったと同じようなことをやる。どう計算しても、言われる四・一%の伸びの中の内需三・六%というのは、この予算の数字を見る限り考えられない、こういうぐあいに思うのですが、河本長官の御見解を伺いたいと思います。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、田原委員長代理着席〕  それから、時間がありませんからまとめてお答えいただきたいのですが、経済政策で、いわゆる民間活力民間活力という言葉を使って民間に大変期待するような言い方がずっとされておるわけですね。しかし民間は非常に浮沈が激しいわけですから、非常に不安定な経済見通しになっておるんじゃないか。例えば、今日本経済が少し操業率が上がったというのは、アメリカからの集中豪雨的な輸入がとまったことによって国内の操業率が上がったという面もある。しかし、アメリカの経済も、いまの二千億ドルに近い赤字財政をずっと続けていけば、どうもこの夏あたりからおかしくなるのではないかという見方もある。そうすると、日本経済もこの秋あたりからおかしくなるのではないか。そうすると、民間活力だけに期待するということが一体いいのかどうか。それでこういう見通しが立てられるのかどうかという点で疑問に思いますので、時間がありませんから、その点だけお伺いしたいと思います。
  72. 河本敏夫

    河本国務大臣 ただいまの御質問は、昭和五十九年度経済成長四・一%のうち、内需による成長が三・六%、外需による成長が〇・五%、こういうようになっておるが、政府のいろいろな施策等を見ると、とても内需でそれだけの経済成長は難しいのではないかと、具体例を挙げての御質問でございました。  まず第一番に増減税の問題でございますが、確かに増税は景気に対してマイナスに働きますし、減税の方はプラスに働く。しかし今回の増減税の内容を見ますと、やはり総合的に見ますと経済成長に対しては若干のプラスになっておる、私はこのように判断をいたしております。  それから、内需のうち政府の方が相当大きく見ておりますのは、個人消費とそれから設備投資でございますが、個人消費につきましては、景気がある程度五年ぶりに回復しておりますので、時間外手当、ボーナス等も若干出ておるようでCざいます。そこで雇用者一人当たりの収入増は大体四・七と想定をしております。それから雇用者が一・四%ぐらい前年に比べてふえると見ておりますので、雇用者所得総額では六・八%ぐらいふえる、このように判断をしております。これが一つの背景になっておるわけでございます。  なお、設備投資につきましては、これもやはり数年ぶりに中小企業でこの際設備投資をある程度やってみようという機運が昨年の秋以降相当強くなってまいりました。そういうことを背景にいたしまして、設備投資も大企業よりもむしろ中小企業の方が五十九年度伸びるのではないか、昨年に比べまして五十九年度は大体五%強設備投資全体が伸びるであろう、こういう判断をいたしまして、先ほど申し上げましたような内容の経済見通しを発表したわけでございます。  しかし、何分世界経済はまだ激しく動いておりますし、それから日本経済も幾つかの難しい要因がございますので、これからの経済運営につきましては、特に物価の安定を図りながら、財政金融を実情に合ったように機動的に運用していくということが非常に大事だ、このように判断をいたしておるところでございます。
  73. 水田稔

    ○水田委員 もう一つ長官に聞いておきたいのですが、今回経済企画庁長官がいろいろ物を言われておる中で、財政が不如意の中での経済運営について昨年こういうことがあったと思うのです。     〔田原委員長代理退席、委員長着席〕  総合経済対策をつくる上で意見調整がおくれたので、関係省庁や学界、金融機関、産業界から参加を得て、当初景気調整再検討研究会、こういうものを発足させることにしておられたと思うのです。こういうところで、財政が非常に厳しい中でどういう財政運営経済を牽引するか、あるいは好ましいか、そういう検討、それができておれば、五十九年度予算でも違っただろう。だから、財政支出の効果的な需要創出について経済企画庁長官が言われたことがもっと生かされて、今の景気対策に非常にプラスになって働くのじゃないか、そういうぐあいに思うのですが、この委員会というのは一体どういうぐあいに進んでおるのか、それが経済企画庁長官が言われておるお考えが十分こういう中で生かされたものになっておるのかどうか、この点を最後にお伺いしたいと思います。
  74. 谷村昭一

    ○谷村政府委員 研究会のことだけ先にちょっとお答えさせていただきたいと思います。  昨年の暮れに、学者を中心にいたしまして、確かに今御指摘のように、財政が非常に苦しい中で日本経済政策をどういうふうに展開していくことが最もベターであるかという点について勉強する会を私の諮問機関という形で発足させていただいておるわけでございます。現在非常に熱心に御検討をいただいておりまして、六月ごろをめどに現在作業を進めておるという段階でございます。
  75. 水田稔

    ○水田委員 私申し上げましたように、当初は学者だけではなくて、いわゆる関係の方々が皆入って御検討なさる、こういう構想がなぜそういうぐあいになったのですかね。金融機関とかあるいは産業界、あるいは関係省庁等。これは、政府経済政策を決めるのに通産省や経済企画庁だけではいい形にならぬわけです。ですから経済企画庁長官があれだけのお考えを持ちながら、具体的には今度の政府案にはのっていない。そういう点を含めて、厳しい中でのいわゆる長期的な財政の対応というのを検討されるのですが、学者だけでいいのかどうか私は疑問に思うのですが、その点は長官に答えていただいた方がいいと思うのです。  長官は政治家ですから、政治家の立場で、経済運営についてはこういう考えを持っている、それをちゃんと、学者ももちろん入る、あるいは産業界も入る、金融機関も入る、あるいはまた、関係各省庁というのは大変大事ですから、そういう点が入った中でやられる方が誤りのない財政運営の施策というのが生み出されるのではないか、そういうぐあいに思うのですが、いかがですか。
  76. 河本敏夫

    河本国務大臣 経済企画庁ではいろいろな政策を立案するのは調整局が進めております。そういうことで、調整局長としましては、自分の私的諮問機関として御指摘のような会をつくりまして今研究しておるのだと思います。それなりに効果は上がっているとは思いますが、私も中身をよく知りませんので、さらに調整局長と相談をいたしまして、一層効果が上がるような、そういう運営の方向に指導していきたい、このように思います。
  77. 水田稔

    ○水田委員 私の関連で横江委員があとを質問いたしますが、私はこれで終わります。
  78. 梶山静六

    梶山委員長 次に、関連質疑の申し出がありますので、これを許します。横江金夫君。
  79. 横江金夫

    ○横江委員 私は、ワールド・インポート・フェア・ナゴヤ85につきまして御質問いたしたいと思います。  経済文化交流と友情の広場、また「ひろげよう国際交易の輪」、ワールド・インポート・フェア・ナゴヤ85の略称でありますけれども、輸入博の名古屋とかあるいは輸入博覧会が来年の三月二十一日から四月十四日までの二十五日間、名古屋市国際展示場、名古屋港の金城埠頭、前の中国展が行われた場所でありますが、ここで行われるわけであります。主催構成団体であります名古屋商工会議所や愛知県、名古屋市あるいは名古屋港管理組合が中心になりまして官民挙げて進められているところであります。  まず、この大きなねらいは、愛知、名古屋、それを取り巻く中部圏の地域経済の活性化はもちろんでありますが、積極的に輸入を拡大し、国際交流を促進することは論をまちません。今まとまった事業内容や構想を見てみますと、まさに多彩であるわけであります。一万三千平米を誇るドーム型の国際展示場や世界の町並み、世界の商品を即売する国際バザールや、あるいは民族舞踊や音楽、そしてこの会場周辺で新しい景観の新しい橋であります名港西大橋でのマラソン大会も計画をされておるわけであります。そして、この時期に合わせましてオーストラリア、シドニー市からコアラが国際親善として名古屋に贈られてくるわけであります。多彩にしてこんな大規模な総合博覧会は、私は他に例を見ないところであるというふうに感じます。  地域の活力活性化、そして貿易摩擦の解消、輸入拡大に努力を払っていただいております通産大臣として、この今計画が進められておるワールド・インポート・フェア・ナゴヤ85を大臣はどのように受けとめてみえるか、私は国策に合致した事業だと思いますけれども、まず第一にその見解を伺っていきたいと思います。
  80. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいま先生から御指摘のございましたワールド・インポート・フェア・ナゴヤ85が地元の非常に熱心な御協力によりまして着々計画が進められているということは十分存じております。特に、今先生からも御指摘のございましたように、貿易摩擦の解消、製品輸入の拡大ということを熱心に仕事として受けとめてやっております私ども通産省といたしましても、極めて時宜に適した計画だということで、できる限りの御支援をしてまいりたい、かように考えておるところでございます。
  81. 横江金夫

    ○横江委員 私は、このような熱意とそして情熱を持って、いわゆる愛知の、名古屋の活性化を含め、そうして輸入を拡大をする、こういう計画を持って努力している地域というのは、今のところこの私ども愛知県、名古屋しかないような気がするのです。  こうしてまいりましたときに、私は、五十九年度を初年度としたジェトロの大規模インポートフェアについてお尋ねしたいと思いますが、この初年度計画が進められておるわけでありますけれども、私はこの大規模インポートフェアの実施を、ぜひ名古屋の今のこのフェアの中で実施をしていただきたい。それは他にそのような手を挙げている地域があるとするならば競合するわけでありますけれども、まず第一に、現時点そのような希望を持ったり、あるいは手を挙げておる、そういう熱意のあるような地域というのはあるのかどうかも含めまして、今のジェトロの問題、この大規模の実施をぜひ名古屋でやっていただきたいことを含めて御質問をするわけであります。
  82. 杉山弘

    ○杉山政府委員 ただいま先生からお尋ねのございました、ジェトロが五十九年度に実施をいたします大規模インポートフェアでございますが、これはジェトロが実施をするということで来年度予算案の中に一億三千万円余りの経費を計上いたしておるところでございます。先ほど来お話のございました、名古屋のインポートフェアにこのジェトロの大規模インポートフェアを誘致をしたいという地元側の熱心なお誘いがあるということもジェトロを通じて私ども伺っております。ただ、何と申しましても、まだ五十九年度予算案、現在衆議院で御審議をいただいている段階でございますし、私ども、このジェトロの大規模インポートフェアは米国を対象国としてまず来年度は実施をしたいということを考えておりますので、現段階ではまだ米国とのすり合わせ等も始めていない状況でございます。したがいまして、地元からは熱心なお誘いはございますが、現時点でこれを名古屋で実施するということを決定するにはまだ時期尚早かというふうに考えております。  ただ、お尋ねのございましたように、それではほかに同じような希望があるのかということにつきましては、現時点では私どもまだ耳にはいたしておりませんで、名古屋からお誘いをいただいているのが唯一のものでございます。そういう意味におきまして、地元の熱意は私ども重々これを受けとめておりますが、もうしばらく決定までには時間をいただきたいというふうに考えております。
  83. 横江金夫

    ○横江委員 初年度のジェトロの計画、今確かに予算審議の最中でありまして、この決定する前に、予算的な上からいくならば、それは今局長の御答弁のとおりであると思うのです。しかし、私が申し上げましたように、この趣旨とかあるいは地元における熱意等々を考えていった場合に、できるだけ趣旨に沿うように努力をしていきたい、こういう御発言も実はいただいているわけでありますが、ジェトロの方の大規模インポートフェアについての中身を見てまいりましても、今回の場合にはその出品対象国はアメリカであるということで、まだアメリカとは相談をされてないというお話であるわけでありますけれども、アメリカと相談をされてないということは、場所を決める際にもアメリカと相談をしなければいけないのかどうか。アメリカと相談をするというのはいわゆる出品対象品目についての相談であって、場所の問題までアメリカさんからこうです、ああですと言われる、干渉という言葉は悪いかもしれませんけれども、私はそこまでは必要がないという気がするのです。どうして、アメリカとすり合わせがないからまだいけないというふうに言われるのか、この辺についてちょっと理解できないのです。ただ、予算の問題につきましてはしかりでございます。わかります。そして、ほかに手を挙げてない、地域がないということにつきましても今お話があったわけでありますから、アメリカとのすり合わせの関係等で、場所選定についてはまさにアメリカからのそのようなことについては、私としては、品目の選定であって場所の問題までは必要ないじゃないかという気が、それこそ越権じゃないかという気がするのですけれども、いかがでありましょうか。
  84. 杉山弘

    ○杉山政府委員 先生御指摘のとおりでございまして、開催地の決定はあくまで日本側が自主的に決定することでございます。  ただ、御理解いただきたい点がございますのは、先ほど御答弁を申し上げましたように、この大規模インポートフェアはジェトロが初めてやるわけでございます。そういう意味で、従来からやっておりましたことでございますと、かなり前例等もありましてスムーズに進むわけでございますが、初めてやるものにつきましては、やはり第一回目はぜひとも成功させなければいけませんので、いろいろと下打ち合わせ等もございます。予算案を御審議いただいておる中でございますので、こういった点につきましても今のところまだ手控えている状況でございます。ただ、時期が来年の三月から四月ということでございますし、かなり大規模なものを予定をいたしておりますので、なるべく早くこの準備に着手しなければいけないというのもまた事実でございます。その辺を兼ね合わせまして、今内部で慎重に検討しておるところでございます。
  85. 横江金夫

    ○横江委員 確かに、時期は来年三月だといいましても、大きなプロジェクトでございますから一日も早く決めなければいけない、当然であると思います。そうしてまいりますと、予算審議の関係等もあるわけでありますが、この大規模インポートフェアの実施場所等をいつまでにお決めになるのか、この見通しにつきましてもお聞かせいただきたいと思います。
  86. 杉山弘

    ○杉山政府委員 開催決定の日時を今ここで、かくと申し上げることにつきましては、残念ながらまだそこまで検討が進んでおりませんので御容赦をいただきたいと思いますが、先ほど御答弁申し上げましたように、来年の三月の開催ということになりますと、なるべく早く決めたいということは私どもも当然考えておりますので、そういう意味で、なるべく早くタイミングを見まして決定をさしていただきたいと思いますが、時期の点につきましては、今からいつまでということは申し上げられません点をちょっと御理解いただきたいと思います。
  87. 横江金夫

    ○横江委員 先ほどの質問の中で、手を挙げている地域はないというお話をいただきました。この二月の十四日に、ジェトロ理事長に対して、実行委員会でありますいわゆる四団体、商工会議所会頭あるいは愛知県知事、名古屋市長、そして名古屋港の管理者であります名古屋港管理組合から、開催に際しぜひ実施をしていただきたいというお願いが上がっていると思います。その文書の中で、一番核でありますが、「このワールド・インポート・フェア・ナゴヤ85はさきに当地開催をお願いしておりました貴会の」−ジェトロでございますが、「五十九年度事業、大規模インポートフェアを核として」——ここなんですね、「核として実施するものであります。」これがないと、刺身でいいますとワサビがないということだと思います。「つきましては、如上の次第を充分お汲みとりいただきまして、大規模インポートフェアを当地において是非実施していただきます」という、二月十四日に来ているわけであります。これはまさに、この計画そのものも大きな計画でありますけれども、ジェトロのこの実施がされないと核がなくなってしまうという、計画そのものに大きな変更が起きてくるという問題でございまして、ぜひこのお願いを聞き入れていただきたいということを強くお願いする次第でございます。  また、先般一月の二十六日に、名古屋財界、名友会の皆さん方が東京で会議をお開きになりました折に、中曽根総理も御出席をされまして、そしてそこで竹田商工会議所会頭から、このフェアは中部総ぐるみでぜひ成功させたい、そして愛知の活性化、中部の活性化を図っていきたい、そしてそのことと同時に、国策であるいわゆる輸入の拡大にも一助をしていきたい、どうぞ総理としてこの計画に、この事業に大きな協力をいただきたいという要請をされましたときに、総理は、まことに時宜を得たイベントであります、だから政府として積極的に協力をする、というお答えをそのときにいただいているわけであります。  今の答弁を聞いてまいりますと、まだ明確なお答えができないような時期ではありますけれども、しかし、こういうように総理自身から明確に、鮮明に協力をしていくというような態度表明がある以上は、予算関係は別にしても、いつごろまでに決めるかとか、あるいはこういう考え方を持っているとかということで、総理の協力態勢にあわせてこたえていかれるのは政府として当然しかるべきだと思うのです。その辺の、そういうにじみ出る気持ちが出てこないと思うのですね。  私は大臣に、総理がそのように協力をする−−理由は今申し上げましたとおりであります。そういう意味合いからまいりまして、ほかにも手を挙げていない関係等含めてもう一度お答えいただきたいと思いますが、ジェトロの大規模インポートフェアを名古屋で実施をされる、この考え方についてぜひ前向きの答弁をいただきたいと思います。
  88. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 このようなフェアは、今も政府委員からの答弁にありましたように、輸入の促進につきましても意義深いものがあると考えておりまして、特に名古屋地域の関係者の間で計画されましたことは私は非常に多といたしまして、通産省といたしましてもできる限りの支援を行う所存であるということを申し上げておきます。
  89. 横江金夫

    ○横江委員 今、大臣に多としていただきまして、そのように期待をしていきたいというふうに思っております。ぜひその点を強くお願いいたしまして、質問を終わっていきたいと思います。
  90. 梶山静六

    梶山委員長 奥野一雄君。
  91. 奥野一雄

    奥野(一)委員 最初に、通産行政の執行に当たっての基本的な態度について、ひとつお伺いしておきたいと思うわけであります。  私ども地方におりますと、通産省というイメージはどちらかというと、中小商工業者や消費者の立場から見ますとどうも大企業寄りではないか、こういうイメージが非常に強いわけであります。これは従来からの経過がございまして、例えば先ごろ判決のございました石油カルテルなどの行政指導の問題、あるいは大型店進出などに対する指導の問題、そういうようなことから、今言いましたように、どうも通産省というのは大企業寄りのような印象を深く持っているわけであります。たまたま与野党が伯仲という状況ができまして、新しく通産大臣に就任をされたわけでありますが、中小商工業者なり消費者という人たちは、大臣がかわるたびに、今度の大臣は一体どっちの方に寄って通産行政を進めるのだろうか、こういうことについて大変関心を持っているわけであります。新しく就任されました通産大臣として、これからの通産行政をどういう立場で進められようとするのか、その辺のところをぜひひとつお聞かせいただきたいと思うわけであります。
  92. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 我が国の社会的あるいは経済的な増進を図る上で、中小企業の果たす役割は言うまでもなく非常に大きいものがあるわけでございます。この中で、五十九年度予算におきましても、通産省は、一般会計の中で石特の繰入額を除けばあとの半分は中小企業対策費であるということをまず御理解願いたいのでございます。その中にも、例えば新しい環境づくりというか新しい事業を興してこれを予算化する、例えばコミュニティーマート構想であるとか村おこし事業であるとか、さらにはベンチャービジネスの振興とかという施策を施してまいる所存でございますし、また下請中小企業対策、さらには中小企業経営基盤の強化、あるいは政府系の中小企業金融機関の貸付額の確保であるとか、通産省といたしましては中小企業の振興に懸命に努力をいたす所存でございます。
  93. 奥野一雄

    奥野(一)委員 ただいま大臣の方からお答えいただきましたが、中小企業に対する保護制度あるいは育成、あるいは消費者行政などに対する保護育成、こういうようなものについてあるということは私も承知をしているわけであります。この問題につきましては、後ほど中小企業対策の中でさらに詳しくお伺いをしていくつもりでございますが、実際に今大臣が言われましたようないろいろな施策を行ってきているわけでありますけれども、それではどれほどそのことが我が国の中小企業政策の上で効果をあらわしてきているのか、ここが一つ問題だと思うのです。  御案内のとおり、最近、中小企業の倒産が大変ふえていっているわけです。そういう面から見ますと、大臣が今そういうふうにお答えをされておりますけれども、しかし、この問題についてはまだまだ積極的な政策をとる必要があると私は思っているわけであります。細部につきましては、後ほどその点について触れてお尋ねをしてまいりますので、今は基本的な問題だけで終わっておきたいと思っております。  次は、通産大臣それから経済企画庁長官にもちょっとお尋ねをしておきたいと思うのであります。  所信表明の中で、先ほど水田委員などからもそれぞれ御質問があったわけでございますが、第一に、内需中心経済運営と創造的発展基盤の形成、こういうことを通産大臣は取り上げておられるわけであります。また、河本経済企画庁長官も、国内民間需要を中心とした景気の持続的拡大を図る、こういうことを述べておられるわけでありますが、両大臣にお伺いをいたしたいのは、言っている言葉はわかるわけでありますけれども、しかし、それでは具体的にどういう施策をとられるのか、この辺のところが少し不明確な感じがするものでありますから、その点についてひとつ御見解をお示しいただきたいと私は思うわけです。
  94. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十九年度経済は民間中心経済、内需中心経済、こういうように私どもは考えておりますが、しばしば申し上げますように、財政の力が弱っておるものですから、五十九年度経済成長に対しまして財政の及ぼす力はゼロ、こういう状態でございます。そこで、どうしてもこういうときには金融政策が大きな役割を果たさなければならないのですけれども、その金融政策内外のいろいろな制約がございまして、機動力が失われておる、こういう状態でございます。したがって、財政の力が弱り、それから金融が機動力を失う、こういう中での経済政策でございますから、大変やりにくいと思っております。  ただしかし、幸いに第二次石油危機から五年ぶりで世界経済がようやく立ち直りの方向に向かっておりますし、その影響を受けまして我が国にもよい兆候が幾つか出てまいりました。そういう中におきまして、今後は物価の安定を図ることが経済政策の根本でございますから、物価の安定を図りながら、財政金融は機動力を失っておりますけれども、それでもなお工夫いかんによってはある程度のことができるのではないか、このように私は考えておりますが、財政金融の機動的な運営をできるだけ工夫する、同時に、我が国は貿易立国でございますが、ややもすると今、保護貿易的な傾向が世界にございますので、自由貿易を守っていくことが我が国の生存にとっての前提条件でございますから、対外経済摩擦を一刻も早く解消する、そういう方向で民間経済伸びやすいような、そういう客観的な情勢をつくり上げていきたい、このように考えております。
  95. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 悪い材料を抱えながらも、我が国の景気は緩やかなテンポながら確実に回復の基調を示しているわけでございます。かようなときに、適切かつ機動的な経済運営を行って、内需中心の景気拡大を目指していかなければならないことでございますが、通産省といたしましては、具体的には、民間活力を喚起しながら、各種の設備投資減税あるいは規制の緩和、さらには機動的な金融政策というものを行ってまいるという考え方でございます。
  96. 奥野一雄

    奥野(一)委員 通産大臣、予算委員会の方に御出席されるというような御予定のようでございますので——もう行かれましたか。  それでは、また経済企画庁長官の方にもう一点お伺いしていきますが、五十九年度政府経済見通しによりますと、経常収支は二百三十億ドル程度黒字になる、こういう見通しをしておるわけでありますが、民間の各機関の見通しては、ほとんどが政府見通しより上回る、こういう予測をしているわけでございます。そのことから判断をしてみますと、今、内需中心型で民間活力活用、こう言っておられますが、相変わらず外需中心経済状態ということになるのではないか、一つはこういうことが考えられるわけであります。  せんだって、NHKで百社に対する調査を行っておりますが、その中でも七十三社が貿易摩擦というものが起きるのではないか、こういうことを回答しているわけであります。仮に貿易収支が一層黒字になるということは、貿易摩擦がまた激化をするということになる。これを緩和しようということになれば、輸入を増大していかなければならない、こういう問題もまた出てくる可能性があるわけであります。そうなってきますと、そのはね返りは一体どこに行くのか。従来の例から見ますと、再びまた日本の農業あるいは水産業あるいは中小企業などにそういう影響が出てくるのではないだろうか、こう思われるわけでありますが、その辺の見解についてはいかがでしょう。
  97. 河本敏夫

    河本国務大臣 一月に発表いたしました政府経済見通しの中で、貿易収支は五十八年度に引き続いて五十九年度も同じ数字の三百四十億ドル、経常収支も同じ数字の二百三十億ドルのプラスが続く、こういう数字を発表いたしましたが、一月前後の動きから見ますと、大体その見当でないかと思うのです。ただしかし、ことしのアメリカの経済も相当いいように思いますし、それからヨーロッパ経済も急速に回復の方向に行っております。そういうことで、あるいは一部の民間の調査研究所等の見通しのように、政府見通しの黒字を上回る可能性も今後の経済動向いかんではあり得る、このように思います。  そこで、今御指摘がございました貿易摩擦、対外経済摩擦がさらに拡大をした場合に、国内で、輸入の、特に製品輸入の拡大によって対応を図っていかなければならぬが、その場合における中小企業影響、対策はどうか、こういうことでございます。通産省の中小企業庁からもお答えがあろうと思いますが、基本的に申し上げますと、中小企業影響が出る可能性ももちろんございましょう。そういう場合にはやはり政府としては格段の対応を考えていく必要がある、私はこのように思います。
  98. 奥野一雄

    奥野(一)委員 今通産大臣がおりませんので、この点は後でちょっとまたお尋ねしていくことにします。  そこで、もう一つ長官にお尋ねをしておきたいのでありますけれども、この経済見通し関係については、予算委員会武藤山治議員の方からも若干触れられております。過去の政府経済見通しというのは、見通しと実績、若干近いものもありますけれども、大体外れる方が多い、こういう状況のようでございます。経済見通しということについて、民間でもいろいろ見通しを出しておるわけでありますけれども、政府見通しというものと民間の見通しというものとは、質的にやはり違うものでなければならないのではないか、私はこういうふうに思っているわけであります。  それは、例えば政府経済見通しというのは、民間が単に目標として出すものではなくて、政府経済見通しというのは、日本経済状況というものが今見通してはこういう経済状況になりそうだ、それがもし悪い経済状況になるという見通しが仮に出るという場合には、そういうような経済状況から好ましい経済状況に、可能な限り政府の持っている金融なり財政なりその他のいろいろな手段というものを使って軌道修正をしていく、そういうものが加味されてこなければならないのではないか、こう思うのですね。  そういう点から一つ考えてみますというと、先ほど言いましたように、貿易収支が、一層黒字が増大をする可能性があって、そのことが逆に今度は輸入という形の中ではね返ってきて、国内の中小企業なり農業なり水産業に影響を与える可能性がありそうだ、例えばこういう判断が出てくる場合には、そういう事態にならないような手だてというものを政府の方でやはり講ずるという、そういう措置というものはとらなければならないのではないか、こういうふうに思うのですね。  ですから、その辺のところをもう一遍ひとつお尋ねをしたいし、それから政府経済見通しというのは、当たっても当たらなくてもどうってことはないという、そういう性格のものなのかどうか、その辺のところもひとつ教えていただきたいと思うのです。
  99. 河本敏夫

    河本国務大臣 経済見通しを立てます場合に、二つのやり方があろうと思うのです。そこに政策努力を加味するかどうか、あるいは自然の成り行きにあなた任せの見通しを立てるかどうか、こういう二つのやり方があろうと思いますが、実際は、政府としてはこういう経済に持っていきたい、政策を加味した経済見通しが立てられますと非常にいいと思うのですけれども、しかし、最近は、先ほども申し上げましたが、財政の力が大変弱っておりますし、金融政策は機動力を失っておる、こういう状態でございますので、なかなか政府の政策を加味しにくい、こういうこともございます。しかし、実際、そういうことでは何のために政府が存在しているんだ、こういう議論にも発展をいたしますので、やはり今後は財政経済を可能な限り機動的に運営していく。そして、幸いに数年ぶりで景気回復の条件が整いつつございますから、やはり日本経済が力を回復しますような、そういう積極的な政策の工夫というものをできるだけ加味していく、こういうことが先ほど申し上げました財政金融機動的運営、こういう趣旨でございます。
  100. 奥野一雄

    奥野(一)委員 今、長官の言われたことは私もそのとおりだと思うのです。そういうものでなければ政府経済見通しというものは余り役に立たない、という言葉を使いますと語弊がありますからあれですが、私はそういう感じを持つわけです。財政が豊かで景気もいいなんというときにはどういうようなことをやってもうまくいくだろうと思うのですが、苦しいときになればなるほど政府経済見通しというものと財政というものとが一体となって運営をされていかないと思うような状況にならないのじゃないか、そういう危惧を私は持っているわけです。ぜひ近い将来、そういう面についての実現ができますように御努力を賜りたいというふうに思っているわけであります。  もう一つお尋ねをしておきたいのです。これは通産大臣の方にもお尋ねしたかったわけでありますが、今、国内の景気は徐々に回復しつつある、こういうお見通しでありまして、一般論としてそのとおりでないかと私は思うのです。しかし、地域的にいろいろなアンバランスというのがまだ残っていると思うのです。特に沖縄とか北海道のように一次産業が中心になっている地帯におきましては、いまだに最悪の状態が続いております。日本経済政策というものをお立てになる場合に、マクロ的にやられるということもあるでしょうけれども、しかし、それぞれの地域によっては違うわけでありますから、そういう面に合致をするような経済政策というものもある程度示す必要があるのじゃないかと思うのです。そういう面では沖縄、北海道というものについて一体どういう指針をお持ちになっているのか、お考えがあったらひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
  101. 河本敏夫

    河本国務大臣 二月の初めに経済企画庁で全国十カ所の地方経済の動きを調査をいたしました。係員を派遣いたしまして、現地での経済界の代表の方々と懇談をいたしまして現地調査をしたわけでございますが、その結論として得ましたことは、大勢として日本経済は五年ぶりにようやく方向転換をして回復の方向に行きつつあることは事実だ、しかし、まだようやく回復の緒についたばかりでございまして、そういうことで地域によりまして非常に大きなばらつきがあるということを認識をいたしました。それからもう一つは、業種によりまして非常に大きなばらつきがある、こういうことでございます。大勢としてはいい方向には行っておりますけれども、厳しいばらつきがございますので、その点につきましてやはりきめの細かい具体的な対応策が必要だ、このように判断をいたしております。
  102. 奥野一雄

    奥野(一)委員 その具体的なきめの細かい対応策というものをお聞きをしたかったわけでありますけれども、その辺のところは何かお持ちですか。
  103. 河本敏夫

    河本国務大臣 実は、予算の目鼻がついた段階政府部内で具体的に相談をしよう、こう思っておるのですが、その一つといたしまして、例えば公共事業の進め方なども地域の情勢を考えて配分する必要があるんではないか、こういう感じもいたしますが、いずれにいたしましても、今は予算の成立に全力を挙げまして、そういう相談をするいとまもございませんので、もうしばらくたってから政府部内の意見を取りまとめたい、このように考えております。
  104. 奥野一雄

    奥野(一)委員 予算の面では、私ども主張しておりますように、今、長官が言われましたように、いろいろな施策をその中でやろうとすればことしの予算では一体どうなのかな、こういう点は大変心配があるわけですね。公共事業などについては横ばいという状態であるし、私どもは修正案というものを出しておりますけれども、ぜひその点についてもひとつ御吟味をお願いをしたいと思うわけであります。  長官につきましては以上で結構でございます。ありがとうございました。  次に、中小企業の育成強化の問題でありますが、この点も大臣おられませんが、通産大臣の所信表明の中で、我が国企業全体の九九%以上、従業者の八一%を占める中小企業が今日の経済大国としての我が国の礎を築いてきた、その健全な発展なくしては我が国経済の真の発展はない、こう述べておられるわけでありまして、私もその点については全く同感であるわけであります。  しかし、先ほどもちょっと申し上げましたように、こうした発展の中でも中小企業の倒産は最悪の状態を続けているわけであります。けさあたりの新聞を見ましても、大沢商会の倒産の連鎖倒産ということでマミヤ光機ですか、こういう倒産なども起きて、通産省あたりでも何らかの対応策をとるというようなことなども出ておりますけれども、今言いましたように、大臣がこの所信表明で述べておられるような姿にしなければ日本の真の経済の発展はないのだ。そういうことと裏腹に中小企業の倒産は戦後最悪の状態を続けている。この点についてどういう対応策をとられるつもりなのか、お尋ねをしたいと思うわけです。
  105. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 お答えいたします。  先生御指摘のとおり、昨年一年間、昭和五十八年の倒産件数を見ますと一万九千余件ということで、不況の結果とはいいますけれども、これまでの倒産件数の水準を上回ったということで、私ども非常に事態を深刻に考えております。内容を見ますと、主として建設業あるいは小売業という分野が非常に倒産の割合を占めておりまして、やはり公共事業あるいは住宅市況の悪化あるいは個人消費が伸びないというような事情がこの倒産のレベルを高めておるというふうに考えております。  したがいまして、私どもといたしましては、従来からもそうでございましたけれども、昨年あるいは五十九年度、今後の倒産に対します政策につきましては特段に力を入れていきたいというふうに考えておりまして、五十九年度予算におきましても、金融面あるいは保証面、あるいは具体的な中小企業の倒産を救うべき相談事業、あるいは共済事業、こういうような四つの柱の倒産対策を中心に特に力を入れていきたいというふうに考えております。  具体的には、金融面で、倒産を防止するために中小企業金融公庫などの政府金融機関におきます倒産対策貸し付け、これの枠を十分に確保するという点をしております。また、中小企業であるがために信用面で急場の金が借りられないということがあるといけませんので、倒産関連の特例保証という形で、各県におきます信用保証協会の保証につきまして、倒産の関連につきましては関連倒産が出ないように、その保証の制度につきまして特別の優遇的な制度を設けるということもやっております。また、倒産対策として非常に有効に働くと考えられております共済事業につきまして、中小企業事業団の事業でございますけれども、この共済事業も中小企業の方がなるべく入っていただく、あらかじめこの共済に入っていただいて倒産を防ぐということを考えております。また、非常に有効に働いておりますのは、各商工会議所あるいは商工会連合会に置かれております商工調停士の中小企業相談事業というものがございますけれども、これも来年度は二百一カ所というふうに増設をいたしまして、企業的に非常に苦しい状況にある中小企業者の御相談に乗るということにしております。これは昨年の例で申しましても、五十七年度でございますけれども、約三千七百件の御相談のうち三分の二以上がこの相談事業によって救われておるというのが実態でございます。  大沢商会の件につきましても、既に政府系の金融機関あるいは保証協会等に対しまして、大沢商会等の関係中小企業に対する信用補完、あるいは金融につきましては迅速にこれに対応するような指示を通産省から発しておりまして、万全の対策を講じていく方針でございます。
  106. 奥野一雄

    奥野(一)委員 中小企業の対策の中で、もちろん今言われましたようなこともそれぞれ大変必要だというふうに思うのですが、根本はやはり仕事をどう確保してやるか、ここが今日では一番の重大な問題だというふうに思っているわけです。しかし、現実に倒産をされた大沢商会などの連鎖倒産防止、これについてはぜひひとつ全力を挙げていただきたいというように思うわけです。  時間の関係もございますので、少し急ぎたいというふうに思います。  一つは大店法の関係、先ほど水田委員の方にもそれぞれお答えがありましたし、また水田委員の方からも指摘もございました。確かに大型店の進出に対するトラブルというものは、進出件数が減ってきたということもございまして一応下火になった、こういうふうに見えるわけでありますが、先ほど水田委員からも指摘されておりますように、まだくすぶっているところが相当数ある。こういう面については、ぜひ関係者の皆さん方の方でも積極的に地域の実態というものを把握をしておいていただきたいというふうに思うわけです。  そこでひとつ、指導の面でお尋ねをしておきたいのでありますが、これから別な形のトラブルが起きそうな予感というものを私は持っているわけであります。それはどういうことかといいますと、全部が全部ということではないと思うのでありますが、進出大型店の地元経済との協調性の問題であります。私の方に寄せられております苦情の中でも、地元の経済というものとの協調性が非常に少ない。大型店でありますから、例えば仕入れや何かにいたしましても、地元の問屋さんとか、そういうものを通さないで直接やられる、そのために地元の問屋さんの方が手を上げてしまう、こういう状態があったり、あるいは正月の初売りなんかの問題についても、地元の方では三日から初売り、こういうことを主張いたしましても、大型店の方はもう二日、こういうことでトラブルがあったり、あるいは都市部の場合は別でありますけれども、郡部なんかの場合には売上金をそこの銀行を通さない、こういうようなこととか、そのほか印刷物とか、そういう大型店などが使うものについても、地元の業者は余り利用しないとか、小さな問題かもしれませんが、そういうようなことが今出つつあるわけであります。  こういうことについても放置をしておきますと、トラブルがあって、地元に進出をしてきて何とかそれがおさまったような形になっているんだが、今言ったようなことでまたトラブルが起きる可能性というものもあるわけでありまして、そういう面についての指導ということについてはやられておるわけですか。あるいは全然手がつけられないという状態なのか、お聞かせをいただきたいと思うのです。
  107. 山田勝久

    ○山田(勝)政府委員 ただいま先生御指摘のとおり、これからの地域小売商業というものは、大型店も中小小売業も共存共栄で、それぞれの業種業態別にその機能を分担しながら進んでいくというのが、先般産業構造審議会と中小企業政策審議会の合同部会でございます、八〇年代の流通ビジョンにうたわれているところでございます。この合同部会の委員の方々は当然大型店の方も、また中小小売店の方も、あるいは地方自治体の代表者、あるいは消費者、学識経験者が審議を重ねたところでございまして、まさに地域社会において流通産業というものが共存共栄で進んでいくのが、これからの八〇年代の道ではないかということが指摘されているわけでございます。個々の状況を見ますと、仕入れでございますとか、あるいは金融機関の利用でございますとか、こういったのはそれぞれの民間の自主判断ということになりますけれども、通産省といたしましては先生の御指摘のように、まさに地方社会において共存共栄で進むのがいいという方向で指導をしてまいる所存でございます。
  108. 奥野一雄

    奥野(一)委員 今の点については、ぜひ指導を強めていただきたいと思うのです。  ちょっと項目が多いわけでありまして、急ぎたいと思いますから、お答えの方も的確にお答えをいただきたいと思うのです。  一つは、官公需の問題についてお尋ねをしておきたいと思うのですが、五十七年度の中小企業向け契約実績というのは三兆七千五百九十億ですか、三七%ということになっておりまして、五十八年度は五十八年七月の閣議決定によって三兆七千六百七十億円で、三七・三%という目標になっておるわけであります、実績、見通しということについておわかりだったら聞きたいというふうに思っているわけでありますが、過去の実績を見ますと、国全体では幾らか伸びているわけでありますが、肝心の通産省というのは落ち込んでいるような状況になっているわけであります。これはどんな理由でそうなっているのか、その点ひとつお尋ねをしておきたいと思うわけです。
  109. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 昭和五十八年度の中小企業向け契約目標は、御指摘のとおり三七・三%でございます。過去最高の目標を設定しております。この達成につきましては、関係各省と常時連絡をとりながら、ぜひこの目標額を達成するように御協力をお願いしておるわけでございますが、その到達目標につきましては、まだ年度途中でございまして、最終的にどの程度のレベルになるかということは、現段階では予測が困難な状況でございます。  なお、通産省の契約実績等につきましては、官房会計課長からお答え申し上げます。
  110. 山本雅司

    ○山本(雅)政府委員 通産省の官公需の中小企業向け比率につきましては、ただいま御指摘がございましたように、残念ながら五十七年度は五十六年度に比べまして四%ポイント下回っておる実情でございます。  この理由といたしましては、全体といたしまして通産省の官公需総額が、マイナスシーリングとか、あるいは年度途中で節約とかというのがかかりまして、全体として小さくなった中で、大企業向けには、例えばコンピューターの借用とか、あるいは特別の実験機器等どうしても大企業でしか調達できないもので、なおかつその額がふえざるを得ないというようなものがあったわけでございます。したがいまして、通産省といたしましては、御指摘のように、中小企業庁の、まさに官公需のおひざ元でございまして、何とかこの割合を下げないように、あるいはできればこれをふやしたいということで懸命に努力しておるのが実情でございますけれども、実績は残念ながら下がってしまっているというのが記録に出ておるわけでございます。
  111. 奥野一雄

    奥野(一)委員 これはひとつ要請をしておきたいのですけれども、今年度途中でことしの実績がどうなるかということについてはまだはっきりしない、各省庁に対して働きかけをしていると言うのですが、各省庁の方で発注をする場合には、官公需のものは最初から、発注する段階から大企業向けとか中小企業向けというのはわかっているはずですね。ですから、できれば年度途中で一遍くらい、今どのくらいまでいっているのか、そういうものをつかんでおかないと、あと残された半年なら半年の間にそれを達成するために可能な努力をしていく、そういう方策がとられないのじゃないかと思うのです。そういう面について私はぜひ頑張っていただきたいと思うのです、まだ国全体では相対としては非常に低い率ですから。今過去最高の三七・三%の目標を設定したと言っておりますが、本来ならそれは五〇%を超えていかなければならない、これも後でちょっと触れますが。北海道庁なんかの場合を例にとりますと、既に件数で九〇%、金額でも八三%を超えているという実態ですから、やればやれるということだと思いますので、そういう面についての努力をひとつお願いしたいと思うのです。  そこで、関連して、四十一年の国会でこの官公需法が成立をしたときに、当時の影山中小企業庁長官が、少なくとも五〇%程度まで持っていく努力をしたい、こういうふうに言われているわけであります。しかし、今の実績というものを見ますと、五〇%台に持っていくということは相当な努力が必要である。これはただ単に、通り一遍の働きかけをする程度ではそういう目標に到達をさせるということは非常に難しいと思うのですね。  そこで、今年度も恐らくまた閣議決定が七月ごろにされると思うわけでありますけれども、その際にはぜひひとつ官公需法ができた当時の初心に立ち返って、この五〇%目標ということが達成できるようにひとつやっていただきたいと思うのですが、そういう面についてはどうお考えですか。
  112. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 先ほど御質問の中にございました、年度中間におきましても実績をフォローすべきではないかという問題でございますけれども、私どもも、中間実績がどのようになっているかということは各省と連携をとりながらフォローしております。中間実績では、現在のところ四割近い三九・四%という相当高い実績になりつつあるわけでございます。ただ、例年大規模のプロジェクトが後半に出てまいります。したがいまして、年度として締めてみるとどういうレベルになるかということが予測困難であるということでお答えしたわけでございます。  なお、官公需の目標として五〇%の設定についてどう思うかということでございますが、私どもといたしましても、国の契約目標を極力高いレベルに持っていきたいということは同じ気持ちでございまして、例年各省にそういう姿勢で御協力をいただいておるわけでございますけれども、国の契約内容あるいは政府機関の契約内容には、やはり非常に大きなプロジェクト、中小企業者には受注できないようなプロジェクトが相当な割合で占めておりまして、この比率を一挙に国の機関として五〇%に持っていくということは、率直に申しまして非常に難しい状態でございます。  ただ、先生も北海道庁の例でお触れになりましたように、地方公共団体の発注は相対的に申しまして中小企業者に向きやすい内容になっておりまして、実績で申しましても五〇%をはるかに超えるレベルになっております。国と地方公共団体の発注とを合わせて考えますと、既に過去の例でも五七%というようなレベルに達しておるわけでございまして、私どもとしては当然地方公共団体にも、国と同じような姿勢で中小企業向けの発注をふやすように要請しているところでございますけれども、国の目標自体を一挙に五割にするということは非常に困難だという状況でございます。ただ我々としては、極力中小企業向けの目標比率を高めていきたい、そういう姿勢で今後も中小企業向けの契約設定をしていきたいというふうに考えております。
  113. 奥野一雄

    奥野(一)委員 一遍に五〇%に持っていくというのは、もう非常に無理だということは私自身も承知しておりますから、それに近づけるような努力というものは今後大いに進めていただきたい。  次に、中小企業は事業所全体で九九・四%を今占めているわけでありますが、そのうち小規模事業というのは、それの大体七、八割ぐらいを占めているのではないかというように思っておるわけです。この小規模企業というものが支えにならないと中小全体の発展というものはないし、それがなければまた日本経済の発展ということも考えられないわけでありますが、さてそれでは、この小規模企業に一体どれほど官公需の発注が行われているのか、そのことについてはつかんでおられますか。
  114. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 中小企業の中で小規模企業者、これが非常にすそ野の広い範囲を占めておりまして、中小企業の中でも小規模企業者が、各地方におきましては大多数の分野にわたっておるということは御指摘のとおりでございます。  ただ、官公需の目標の中におきまして、これがどのくらいの実績を占めているかということは、発注案件が国のベースで見ましても全体で千二百万件ございまして、この内容を、中小企業者の中で小企業者と通常の中小企業者という企業規模別に分類いたしまして、整理、集計するということは非常に膨大な経費と事務がかかるものでございますので、現在までのところ、そのような分類をいたしておりません。また、実際問題といたしましても、小企業者向けの分類を発注の段階で整理して、これを優先するということは事実上非常に難しいということを御説明しておきたいと思います。
  115. 奥野一雄

    奥野(一)委員 千二百万件もある中ですから、これはなかなか大変だと思うのです。しかし、閣議で決定してやるわけでありますが、その中にも大抵そういうものが出てくるのじゃないかと思うのですが、指導する場合に、小規模企業に対して可能な限り発注をしてほしい、こういう指導というものはやってもらわなければ困ると思うのです。大企業だとか、あるいは中小でも中堅以上になりますと、ほぼ自分の力で何とかなる。しかし、全く小規模企業の場合にはそういうことができないわけですから、本当にきめの細かい血の通った中小企業対策をやろうとすれば、私はそこに重点を置かなければならないと思うのです。  中小企業に関するいろいろな法律がたくさんあるわけなんですが、中小企業基本法なんかを見ましても、前文には非常にいいことが書いてあるわけです。そしてわざわざ第四章には「小規模企業」という章まで設けて、対策というものをやらなければならないんだということまで述べてあるわけですね。そういう法律精神というものを持ってやるならば、もっとこういう問題についても真剣に取り組んでほしいものだ、私はこういう点についてひとつ申し上げておきたいと思うのです。  時間の関係からちょっと急ぎます。  五十七年九月に行政管理庁の行政監察が行われたわけでありますが、その中で官公需法の趣旨が非常に不徹底だ、いろいろ間違った扱いがされているというふうに指摘をされているわけであります。大企業を中小企業に間違って計上したものが十七調査機関あるとか、あるいは契約額の誤りは四億九千万あるとか、そういうようなのがあるわけであります。報告で指摘をされている中で、資本金が十二億五千万円、従業員が一千五百八十二人あるのに中小企業の方に分類をしているとか、そういうふうなことがあるわけであります。これは恐らく抽出調査であろうというふうに思いますから、その中から全体を推計いたしますと、恐らく全省庁にわたって相当な誤りがあるのではないだろうか、こういうふうに思われるわけであります。そうしますと、国全体として幾らか官公需の実績が伸びてきたといっても、そういう誤りまで含まれているということを予想いたしますと、それは余り当てにならないということになるわけであります。官公需法ができてから十八年にもなるわけでありまして、そういうような状態では困るのではないか、こう思うわけでありますけれども、この点については今後どう対処されようとしているのか、見解を伺いたいと思います。
  116. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 先ほど御指摘のありました、中小企業向けの官公需施策につきましての行政管理庁の行政監察の指摘につきましては、昨年十月に改善事項を徹底いたしまして、各省にこれに盛られました事項の改善につきまして厳重に改善措置をとるように要請しております。  先ほど御指摘のような、大企業の契約が混在しておったというのは非常に遺憾な事態でございますので、より一層正確性の確保を図るということにつきまして周知徹底をするようにしております。  また、先ほどの御指摘の中にもありましたように、小規模企業者の契約について活用するということのためには、分割発注の推進、あるいは同一資格等級区分内におきまして競争を確保する、いわゆるなるべく同じクラスのものの中で競争をさせて、小規模企業者に対する契約機会を確保するというような形での推進も行っております。また、随意契約を少額のものにつきましては活用するという措置を推進するということもしておるわけでございますが、そのような措置を含めまして、行政管理庁の指摘事項につきましては、これを周知徹底と的確な実施をするというふうに既に措置をとったところでございます。
  117. 奥野一雄

    奥野(一)委員 あと時間がありませんので、もう一つこういう点、ちょっとお尋ねしておきたいのです。  これは私はどうも不思議に思っているのですが、今の中小企業というものの定義によりますと、資本金が何十億ありましても、従業員が三百人以下であれば中小企業、こういう分類になっているわけなんですが、これからの科学技術の発展というものを考えていきますと、従業員がどんどん減っていくということが予想されるわけですね。事業規模から見ると当然これは大企業なんだ、こういうふうに思われるところでも、従業員の数が三百人を切っておればこれは中小企業なんだ、こういう定義というものが果たして現在の実態に合うのかどうか、もう合わない時代になってくるのではないかというふうに思うわけですが、この辺、何かお考えはありますか。
  118. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 中小企業の定義の問題でございますけれども、これは業種あるいは業態によりまして非常に複雑な関係になっておりまして、一部の業界からは、この一億円という規模はもう古い、四十八年以来とられておるのでこれを引き上げるべきだ、中堅企業対策というようなことも含めて、上げるべきだという議論もございます。これは非常に公正に、慎重に対処しなければいけないということでございまして、定義問題自体につきまして、中小企業政策審議会に小委員会を設けまして、過去におきまして検討をしてきたところでございます。  その中間的な結論で申しますと、従業員規模の引き下げをしなければいけないという意見もある、あるいは定義改正をいろいろな角度から考えなければいけないという議論もあるけれども、仮にその範囲を下げるという場合には、中小企業政策が後退したというような印象を与えるということもあって、それも今後一つの問題点として残すべきことであるという結論が出ております。最終的には、いろいろな業種、業態に応じて各界の議論を十分聴取した上で、引き続き検討していくべきだという結論になっておりまして、私どもといたしましては、御指摘のような技術革新の結果、規模については従業員の数で考えるべきだということも一つの問題だと思いますけれども、業種別、企業別に今後とも研究課題として取り組んでいきたいというふうに考えております。
  119. 奥野一雄

    奥野(一)委員 私は、早晩こういう問題が出てくるような気がするわけですね。やはり検討というものは急いでいただかないと、実態としては当然大企業に分類されなければならないような企業が、中小企業ということで官公需の方の相当額が仮にそっちの方に行ってしまうということになれば、本来の意味の中小企業育成というのですか、それが少し違った方向に行くのではないかという心配を持つわけであります。ぜひそういう面についての検討を進めていただきたいというように思うわけであります。  もう時間も余りありませんから、ちょっと先を急ぎます。  小規模企業者は、現在の大企業とか中堅企業などの中で大変苦労しながら受注というものを確保するために努力をしているわけですが、そのためにいわゆる官公需適格組合というものをつくっているわけであります。この適格組合というものの組織状況、あるいはこの数年の発注状況はどうなっているか、これをひとつお聞きをしたいと思います。  それから、続けてやりますが、これは先ほどの行政監察との関連でありますけれども、各省庁においては、適格組合というものを知らない、あるいは官公需制度を知らない窓口もあるということが監察結果の中でも指摘をされているわけですね。これは要望だけにとどめておきますが、そういうことがないように、ぜひ各省庁の窓口の方にも指導していただきたいと思うわけであります。  それから、ただいまの答弁の中で、随意契約制度の活用についても大いに利用しながらというようなこともございました。これも毎年の閣議決定の中に盛り込まれているはずでありますから、ぜひこの随意契約制度なども活用されて、小規模企業とか適格組合とかいうものに対する発注を増加させる、そういうことについてもお考えをいただきたいのです。そのためには関係法令に関連規定を設ける必要があるのではないか、こういうことも言われているわけでありますが、その点についての考え方を、簡単で結構でございますので、大急ぎでひとつお願いしたいと思います。
  120. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 官公需適格組合の実績でございます。五十七年度末で組合数が四百四十二、受注金額が六百三十二億円ということで、これは過去の実績を逐年非常に伸びておるということでございます。  また、適格組合の活用につきましては、昨年度におきましても中小企業庁長官名で、各省の中小企業官公需担当宮あてにこの活用方を要請しております。それぞれ窓口まで周知徹底していただくようにお願いをしております。  また、その裏腹といたしまして官公需適格組合の活用につきましては、中小企業中央会等の組織を通じて、中小企業側にも、これを体制として充実するようにしております。  随意契約の活用は、先ほどお答えしたとおりでございます。  なお、関係法令でそのような制度を制度化すべきではないかということでございますけれども、先生御指摘のように、閣議決定におきまして、官公需適格組合あるいは指定品目というような制度につきましてすでに実行をしております。仮にこれを法定ということになりますと、やはり関係省といたしましては、その指定品目の決定あるいは官公需適格組合に対する発注等につきましてやや硬直的と申しますか、非常に慎重な態度になるということも予想されますので、むしろ現在の体制で、閣議決定等におきまして、行政レベルで実質的に振興を図っていくという方が適当ではないかというふうに我々としては考えております。
  121. 奥野一雄

    奥野(一)委員 もう時間ですので、最後に一つだけ聞いておきたいのですが、大企業が最近だんだん中小の分野にまで入り込んでおるという状態があるわけであって、競争率というのは非常に激しくなってきておるわけです。これは四十一年の官公需法制定のときにも、当時の長官からも答弁の中にあったわけでありますけれども、例えば同じ質のもので同じ価格のもの、こういうものについてはできる限り中小企業の方に渡す、こういうことについての努力をするということになっているわけでありまして、その面についてはぜひ努力をしてもらいたい。  最後に一つだけ、一分間だけお尋ねしたいと思うのでありますが、これは予算にちょっと関連しますので、中身についてはもちろん触れる気はさらさらございません。基本的な考え方だけぜひ聞いていただきたいと思うのでありますが、村おこし事業を今度やられるということになっているわけです。これは単に物産ということだけ考えておられるとは思いません。当然村おこし事業、いわゆる一村一品というものについては、その地域に根差した文化とか観光とか、そういうものも一緒に生かしていかなければだめだ。そのためには業界だけが頑張ってみてもだめなわけであって、自治体とか住民が一体となってやらないとこれは成功しないと思うのです。そういう面について当然自治体なり住民の協力体制を求めるという考え方をお持ちだと思うのでありますが、その点について一つだけ見解をお聞きしておきたいと思います。
  122. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 全く先生の御指摘のとおりでございます。この村おこし事業自体、国の予算とともに県の予算で半額助成するということでございますし、体制上もそうなっておりますし、自治体あるいはその地域の小規模企業者あるいは場合によりますと研究機関等々、幅広い地域の方々の協力を得て商工会が中心になって実施するというふうに考えております。
  123. 奥野一雄

    奥野(一)委員 終わるわけでありますけれども、通産大臣にお聞きすることはできなかったわけでありますが、中小企業の問題ではやらなければならないことがたくさんあるわけでありまして、そういう面につきましてはぜひひとつ大臣の方でも積極的に関係の向きに指導されますようにお願いを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  124. 梶山静六

  125. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 渡辺嘉藏でございます。どうぞよろしくお願いをいたします。  まず第一に、通産大臣に御質問いたしたいわけですが、先ほどから先輩並びに同志の議員から質疑が行われておりましたが、景気が緩やかな回復をしておる、これはもう再三聞かせていただいておるわけですが、私どもの実感からいくとそういう実感がない。だから、これは御案内のとおり、アメリカの景気の回復だとか原油の値下がりであるとか、アメリカの高金利の問題だとか、そういう諸条件によって大企業なり一部の企業には、そういう恩恵を受けて回復基調あるいはまた指数等が出ておるかもしれませんが、先ほどから話が出ております、企業数九九%、従業員数八一%という中小企業の実態からいくと、そういう実感は今のところ私どもは全く受けておらぬわけです。  先ほども答弁がありましたが、昨年の倒産件数が一万九千百十件、金額にいたしまして二兆五千八百四十一億、前年対比でいきますと、件数で二千三十三件、一二%の増加であるわけですが、先ほど中小企業庁長官は深刻にと、こうおっしゃいましたけれども、文章表現としてはそれでいいかもしれませんが、昨年のこういう倒産の増加、特に昨年の末に、十、十一、十二と非常に上がってきておるわけですが、この実態についてどのように認識をし、対策を講じておられるか、まずお伺いをしたいと思います。
  126. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 先ほども若干触れたわけでございますけれども、景気全体の回復の基調が主として輸出関連中心があるということでございまして、倒産の内容を見ました際にも、倒産件数が多い分野というのが建設業、それと中小小売業、これで七割前後の倒産になっております。したがいまして、やはりこの倒産に対する対応といたしましても、建設あるいは消費というような内需の喚起というものが基本的には倒産対策としても重要であるというふうに考えております。そういう意味で、昨年十月二十一日に決定いたしました総合経済対策というものが今後確実に展開するということが、私どもといたしましては倒産対策といたしましても基本的な対策であろうというふうに考えております。  しかし、倒産に対する対症療法と申しますか、関連倒産も含めまして、倒産の防止を中小企業対策としても全力を挙げなければならないことは当然でございますので、倒産対策としての緊急の金融制度、これは政府金融機関が中心でございますけれども、金融対策と、県の保証協会によります倒産関連の信用補完を迅速に行うということ、それと共済制度、さらには倒産防止の相談に各地区で商工会議所等が中心になりまして相談に応じていくということでの倒産防止の相談事業、このような四つの柱を中心に昨年来展開しているわけでございますけれども、五十九年度におきましても、これらの対策に十分な予算と体制をしいてまいりたいと考えております。
  127. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 長官のおっしゃったいろいろな対策につきましては、まだこれから聞くところですから、そこまでまだ質問しておらなかったわけですが、先日、倒産件数が非常にふえておるが、いいのか、こう質問したら、いや総理府の統計によれば企業数もふえておるから、だからこの程度ふえても企業数とのバランスからいくと余り心配はない、こういう説明があったのですが、この点はどうですか。
  128. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 中小企業基本法が制定されました昭和三十八年、約二十年前と比べますと、確かに企業数も、それから従業者数もそれぞれ倍増しておるというのが中小企業の実態だと思っております。ただ、五十八年一年の実績というのは、先ほど先生も御指摘のように、五十七年に比べても相当な高い水準になっておりますので、必ずしも企業数対応比で問題がないと言い切れる実態ではないと思っております。  ただ、民間の調査機関、二つばかり大手の調査機関ございますけれども、これらの調査機関が言っております倒産危機ラインというものがございます。これは逐次変わっておりますけれども、かつては月間で千五百件と言われておったものが、最近ではこれらの調査機関は月間レベルでは千八百件を危機ラインと申しますかアラームラインということで言っております。これはあくまでも民間の調査機関の判断でございますので、直ちに私ども引用するのはいかがかと思いますけれども、ただ、そういう調査機関の倒産の判断と申しますか、危機ラインの判断というものが逐次上がってきているというのも事実でございます。
  129. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 民間の調査機関ということはこれまた初めて聞いたのですが、先日は、総理府の統計によれば事業所数がこういうふうだ、こういうふうに説明を受けたのです。だから総理府に聞いてみたら、そうしたら、総理府としては五十三年と五十六年には事業所数を調べたことはあるがそれ以後は調べておらぬ、こういうことなんですね。  そうすると倒産件数の増加は、五十六、五十七、五十八とこう調べてみますと、企業数がふえた五十三年と五十六年の統計がありますので調べてみると、五十三年と五十六年は企業数は一・五しかふえておらないのです。ところが倒産数は非常な勢いでふえておるのですね。ちなみに五十六年度と五十八年度の倒産比率を見ますと八・七%、こう増加しているわけなんです。だから非常に深刻な事態にある、私どもはそう見ておるわけなんです。  ところが今おっしゃったように、中小企業庁、通産省としてはどういうふうにお考えなのか。今の民間のそういう指数で判断をされるのか、それとも総理府で出したその指数で考えられておるのか、この点ひとつ明らかにしていただいて、今はどの程度を危険ラインと判断しておられるか。
  130. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 私どもといたしましては、五十八年の倒産ラインが一万九千件をオーバーしておりますし、十三カ月連続して対前年比を上回っておるということでございますので、倒産の水準は深刻であるというふうにお答えしたのが私どもの見解でございます。  あくまでも倒産の内容あるいはレベルというものを冷静に見て判断すべきだというふうに考えております。先ほど引例いたしましたのは、お断りしましたように、民間の調査機関がそういうような倒産危機ラインのレベルを引いておるということをお話ししたわけでございますので、私どもが一定のレベルで、これ以上低ければ安全である、あるいはこれ以上高くなった場合のみが危険であるというふうな一定の水準を持っておるというわけではございません。
  131. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 ことしに入りましてから倒産件数がまた急増しておることは御案内のとおりだと思いますが、ことしの一月の倒産件数が千四百九十三件、前年度千二百五十一件ですから一九%増加しておるわけです。それから金額にいたしましても、昨年の千四百四十一億が二千四十六億、四一・九%と金額もふえておるわけですね。二月は、これは二十七日の時点を民間の調査機関で調べたのを聞いたときには、前年度が二月には千三百三十五件、この二月二十七日のときには千六百件というふうに私は聞いたのです。大変な増加ぶりだ、こう驚いたわけですが、そうすると、前年対比でいきますと二〇%近くこれもまたふえたわけなんです。そこへ二十八日に、先ほども質問が出た大沢商会の倒産が出たわけですが、これにまた関連をいたしまして二十九日に大沢カメラ販売、それから昨日がマミヤ光機、こういうふうに倒産がまた出てきたわけなんです。  こういう深刻な事態が一、二月と続いて今三月にのめり込んでおるわけなんですが、これを見ますると、中小下請関連が数百社あるとも千社近くあるとも言われておるわけですが、この倒産金額が大沢商会で約千百億、それからその他二社で約二百四十億。そういたしますと、これから何百社、こう言われるこの関連の業者のことを考えますと、これは大変深刻な問題が今まさに起きつつあるわけなんです。  まず、当面いたしますこの大沢、マミヤ関連の緊急対策について、大臣の方はどういうふうに今認識して手を打っていただいておるかということを聞くとともに、この倒産につきまして、先ほど商工中金、中小企業金融公庫あるいはまた共済の問題、いわゆる金融の問題から、あるいはまた保証の面から、相談の面から、いろいろな面から対応しますよ、こういうふうに答弁は聞いたわけですが、本当にそれが具体的に進めていける実態であるかどうか、これをお伺いしたいと思います。
  132. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 大臣の答弁の前に実態、指示の点を先に御説明申し上げます。  先ほど御指摘のように、大沢商会あるいは関連会社の倒産という問題は非常に深刻に受けとめなければいかぬというふうに考えておりますので、いやしくもこれに対応する措置が手おくれになってはいけないということで、私どもといたしましては、その実態把握を急ぐと同時に、その対応策といたしまして、先ほど御説明申し上げましたように、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫のような政府金融機関が、倒産対策としての特別な対策金融を実際上直ちに講ずるように指示したところでございます。  また、特に関連倒産という面では、つなぎ融資という意味で、信用補完の足りない中小企業者が信用保証がとれないという形で連鎖倒産に巻き込まれることが心配でございますので、東京と大阪のそれぞれの信用保証協会に対しまして、直接これらの信用補完面、信用保証面での措置が直ちに実行できるように、倒産関連の保証制度の事実上の発動をするように指示したところでございます。正式な手続はあるいは来週にずれ込むかもしれませんけれども、実態的には直ちにこれに応ずるようにということを指示しておるわけでございます。  細かいこれらの制度融資あるいは保証制度の内容は逐一側説明申し上げませんけれども、通常の金融あるいは保証に対しまして、保証率あるいは保証料等の面で非常に優遇された制度であるということをこの際申し添えておきます。
  133. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 景気が緩やかながら回復の兆しを見せているということは数字が示すとおりでございますが、また倒産件数が非常に多いということも数字の示すとおりでございます。このための施策は、先ほど中小企業庁長官から申し上げましたけれども、やはり金融であるとか、あるいは共済事業であるとか信用保証であるとか、きめ細かい相談等を行って、今後倒産防止を一生懸命やっていかなければなりませんけれども、五十九年度予算におきましては、さらにこれを充実して施策の遂行に努めてまいる次第でございます。  大沢商会の倒産につきましても、これが中小企業関連倒産ということを多く引き起こさないように、また、そのために仕事がなくなった中小企業をいかに救うかということにつきましても、最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  134. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 それでは一つお伺いいたすわけですが、今話が出ました信用保証等で保証の充実をしたい、金融の援助をしたい、いろいろな話が出たわけですが、今度の予算を背景にいたしまして、信用保証協会の基金が二十億から三十億に十億ふえております。これだけ見れば結構なんですけれども、お聞きいたしますと、そのほかの面で減っておる。一般融資基金として十五億減っておる、体質強化融資基金として十五億減っておる、保険準備基金として十五億減っておる、だからトータルすると四十五億減ったんだ。四十五億減ったから、だから信用保証協会に対する基金を十億ふやしたんだ、こういうことをおっしゃっておるわけなんですが、四十五億減って十億ふやしたって、これはむしろ逆に三十五億減ったわけなんですから、先ほどからお話がありましたように保証その他に力を入れてそういうことの心配がないようにするんだ、こうおっしゃっておるが、予算そのものを見ておると、この信用保証協会等の機関に対するこういう減少はどういうことなんですか。
  135. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 信用保証協会に対する基金補助というものは、信用保証協会の経営基盤の強化を図るということで、昨年対比で十億円、すなわち三十億円の基金補助を行ったことは御指摘のとおりでございます。  これに対応いたしまして、保険金の問題でございますけれども、中小企業信用保険公庫に対する出資金、この性格でございますが、これは保険金支払いと保険料の収入とのバランスで国庫がこれを補てんするという性格のものでございまして、保険公庫の保険収支は、昭和五十六年度、この年度が四百二十七億円ということで最大の赤字を出したわけでございますが、その後、逐年これが改善してまいりまして、昭和五十八年、これは本年度でございますけれども、三百十七億円の実績見込みに対しまして、五十九年度の保険収支のアンバランスは二百八億円というふうに大幅に収支が改善するという見通しが出ておるわけでございます。これは最近、逐年改善しておるということでございます。したがいまして、先生御指摘の保険金に対するいわゆる基金補助は減少したということでございます。  また、融資基金の方は、これは各保証協会に対する融資基金の累計でございまして、逐年、それが累増していくという形のものでございまして、五十八年度末の金額で三千三十五億円という残高になっております。これはさらに五十九年度現在の予算案の数字が追加されればこの金額が増加するということでございまして、政策の後退であるという性格のものではないわけでございます。
  136. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 私はそれぞれの現場の協会その他を当たってみたわけですが、いまおっしゃったようなそういうものじゃないです。実際、これの減少その他によって、それぞれの協会はいま大変なむしろ苦しい状態に追い込まれている。  それなら求償権回収貸付金を今度二百五十億から三百五十億にふやされた、これはいいと思うのですけれども、これはどういうものなんですか。
  137. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 求償権回収というのは、保証協会が保証いたしましたところの中小企業者が、不幸にして銀行等に対する支払いができなかったときに協会が代位弁済をいたしまして、その代位弁済の金額を中小企業者から求償する、その求償した結果が再保険されております保険公庫に返るという問題かと思います。  これはいろいろな要素がございますけれども、大きく申しまして、信用保険の保険支払いが累増してまいりましたので、当然その求償すべき金額も逐年ふえてきておりまして、その先行年度におきます求償金額を回収したものが五十九年度に入ってまいりますので、その求償金額がふえる。  それからもう一つは、回収につきましては、ある程度、各県あるいは国の保険金が相当大幅な赤字になっておりますので、その回収を中小企業者のサイドからも努力していただいて、保険公庫の収支を極力改善する方向で努力していただく、こういう改善努力の期待を持っておるということも事実でございます。
  138. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 これは聞くところによると、回収実績によってこの貸し付けを配分しようというふうに私は聞いておるわけですが、もちろん回収も大事なんです。正直者がばかを見ないように、まじめに回収する人があって、ふまじめ、ふまじめと言ったらおかしいですが、サボる人があってはいけませんから。しかし、どうしても回収できない場合もあるのです。ところが、回収実績に応じてこれを配分するのだ、こういうふうにも聞いておりますが、そういうことをすると、現場ではかなり無理な回収でもし、そうしてもう少し緩めてやれば生き延びるものまでも足を引っ張って締めつけてしまうような危険もないとは言えないわけなんです。こういう点は十分ひとつ配慮をして運用をやっていただきたいし、またその考え方は後でお聞かせいただきたいと思うのです。  それから、翻って、今緩やかにいろいろな指数は回復しつつある。しかし、先ほども先輩からの質問でもありましたように、アメリカの景気がもしも夏から秋口にかけて落ち込んだというようなことになりますと、一時的に上の方には雨が降ってお湿りがあったけれども、下の方までお湿りが来る間がなくてとまってしまうということだって、今の民需の状態から見てもちろんないとは言えないのです。そういうように考えますと、人によっては景気の回復期にはこういう倒産はふえるのだと言う人もあるのです。私は一概にそうだとは思わぬけれども、そういう人もあるのです。とすれば、もし百歩下がって、しからば中小企業がそういう上昇気流に乗り得るのはいつごろなのか。今日の日本経済は二重構造、常にこう言われておるわけですが、この下請の関係、そうして零細企業関係、これは先ほどから何回も言うように、とてもじゃないが今、上昇気流にそのうちに乗るだろうということで待っておれるような状態じゃないのです。それまで息が続かないというのが実情なんですね。  そういう中で、今度は中小企業予算全体が減少をした。前年度千七百六十三億、本年度は千六百五十八億、百四億の減少をした。しかし、その百四億の減少は、中小企業事業団の出資金が百七億減少したからである。しかしこれは、回収等によって百八十六億増収があるから実質的には減っておらない、こういう御説明なんです。しからば今日のこの不況の克服のためにも設備の増加、充実は大きな柱であることは言を待たないわけですが、それがために中小企業事業団が高度化資金、近代化資金、いろいろ貸し付けをいたしておるわけですが、それの回収に努力をしておられる、これは決して否定するものじゃないし、また必要だと考えておるわけですが、五十六年、五十七年を比較いたしますと回収率が非常にいいことは事実なんです。五十六年に比しまして五十七年は、三百八十四億のそれが四百五十四億、一八%の回収増加が行われております。設備近代化におきましても、三百十六億が、五十七年はそれが三百六十二億、一四・五%の回収実績を上げておられる。しかし、この回収をもうしばらく待ってもらうことによって生き長らえるという可能性のある企業が、こういう回収によって窮地に追い込まれるようなことはないかどうか。この回収とともに、百八十五億の回収等ということで、その中には事業団が自己資金ということで貸倒引当積立金から百六十二億を捻出しておられるということを承りましたが、そういうことをすれば、事業団が今約五百億と言われる引当金のうちで百六十二億もこっちへ持ってきてしまって、こういう状態の中で果たしていいのかどうか。とともに、こんなことは一回はできてもあとはできないわけなんですが、あともやられるつもりなのか、それともこれは一回限りのことなのか。そうすると、実質的にはこの中小企業対策ということは、この予算を見る限りにおいては決して中身が充実して拡大しておる状態にないわけですが、この点御答弁をいただきたいと思います。
  139. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 高度化事業を中心といたします予算、一般会計からの繰り入れと、それから自己資金の増加あるいは回収金の増加によって事業規模の拡大を維持しながら、一般会計からの繰り入れが約百億円減少をしておるということは事実でございます。  回収金の増加という問題は、これはいわゆる約定回収金でございますから、先ほどの信用補完の点で使われております回収とは性格が違うわけでございまして、十二年あるいは十六年という長期の返済が予定どおりに行われれば一〇〇%の回収が行われるわけでございまして、事業規模の拡大とともにこの回収金が拡大してくるということは当然の結果でございまして、特に無理をして事業団が回収を行っているというような実態は全くないわけでございます。これは御理解いただきたいと思います。  また、自己資金がふえましたのは、貸倒準備金等逐年積んでまいりました自己資金の準備金を、千分の五十を超える部分につきましてこの貸し付けの方の資金に投入したということでございまして、これも決して事業団の運営に実質的な障害になるというような問題ではございません。高度化事業の重要性あるいは必要性につきましては、従来以上に今後も重要であると考えておりますし、現に五十九年度におきましても、いろいろな事業につきまして高度化事業の貸し付け条件、運用の条件改善をしたところでございまして、五十九年度あるいは六十年度以降につきましても、事業内容の改善あるいは資金の確保、これにつきまして最大限の努力を払っていくという方針につきましては全く変更をする考えはないということを申し添えておきます。
  140. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 先ほど大臣も、中小企業の育成発展のために設備投資その他の増加のためにその対策を講じた、こういうふうにおっしゃっておるわけですが、しかし今申し上げましたように、高度化資金の場合でも近代化資金の場合でも、予算はそれぞれ実際に減っておるのですよ。近代化資金でも、ちなみに申し上げれば、昨年が五十四億、今年度が三十九億、総額においては五十七、五十八、五十九ともに三百九十億で、ふえておりません、物の値段が上がっておれば実質的には下がるわけですから。そういうように考えますと決してふえておらないのです。ふえた、ふえたとおっしゃるけれども、ふえておらない。  そして、事業団の中身から見ても、これが実質的にふえたと思えない。それから、倒産対策として信用保証協会の基金等についても心配ないとおっしゃるけれども、現場において、今申し上げたようにこういう四十五億実際減少しておる、こういう事実から、十億仮にふえてもこれは本当にスズメの涙ですよ、二階から目薬ですよということは、現場の者は皆言っておるのです。ところが、おたくは、そうじゃないとおっしゃる。どういうことか、ちょっと御説明いただきたいのと、それから、先ほど申し上げた百六十二億を積立金から一応自己資金ということで回されたわけですが、これは答弁はなかったですけれども、毎年これをやられるのかどうか。  それから、もう一つ関連して聞いておきますが、倒産防止共済事業資金につきましても万全を期す、こういうことですが、ことしの予算によりますと二十億、前年度は八十五億ですから、これまた六十五億減少しておるわけです。そうしたら、昨年度八十五億積んだのは積み過ぎて余裕が五十五億出たとおっしゃるのですが、そんなずさんなものかどうかということです。そうしたら、ことしは少ないと思ってこれだけでやったら、いま申し上げたように一月、二月も非常に激増しておる。そこへ今のようなものも出ておる。大沢商会のような倒産まで出た。こういう中で、果たしてこれでいいのかどうか。  もちろん、これは共済に加入しておる人が対象ですから、一般論ではございませんので、これは十分僕も承知しておりますが、あれも減った、これも減った、こういう中で万全だ、万全だとおっしゃるのか、それとも、こういうふうで足りません、しかしマイナスシーリングでこうなったのだということなら、それでわかるのです。この点、細かい点は長官で結構ですが、大まかなことは大臣の方から、本当はもっとふやしたいのだ、しかしこうなったのだということなら、そういうことまで一遍きちっとお聞きしたい、こう思うのです。
  141. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 先生御指摘の設備近代化資金あるいは高度化資金というものは、御承知のように補助金ではございませんで、毎年渡し切りではなくて、この資金をファンドにいたしまして、ある一定年数で還流してくるということは、先生御高承のとおりでございます。したがいまして、近代化資金あるいは高度化資金、非常に長年の実績が出てまいりまして事業規模も拡大はしてまいりますけれども、回収その他の資金が還流してくるという実態も御承知のとおりでございます。したがいまして、前年度額に対して本年度予算額が減少したと申しましても、融資額なり事業規模という問題は後退しているのではなくてむしろ前進しておる。補助金でございますると、渡し切りでございますから、直ちに後退したということになりますけれども、そういう実態にはないということをまず御了解いただきたいと思います。近代化資金も、そのような意味で、融資規模につきましては五十九年度は前進するという形になっております。  なお、共済制度でございますけれども、これも五十八年度におきまして八十五億円の出資をし、五十九年度が二十億円の出資だということは御指摘のとおりでございますけれども、五十九年度におきまして、五十八年度にとりましたいろいろな制度改善の結果、いわゆる契約件数あるいは事故の率というものが改善する結果、融資規模等のバランスがこのような形で改善するということでございまして、倒産共済制度が内容として後退するというものではございません。それぞれの制度につきまして、先生御指摘のように今後とも前進を図っていくという姿勢でございます。  なお、先ほど申し落としました自己資金の繰り入れというものを今後考えていくかという問題でございますけれども、これは六十年度の事業規模見通しがつくのはこの秋以降でございますので、その時点に立ちまして、全体の資金源の予算というものをにらみまして決定していきたいというふうに考えております。安易な取り崩しというものを考えておるわけではございません。
  142. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 現下の中小企業を取り巻く情勢というものは非常に厳しい環境にあることは、委員のおっしゃるとおりでございます。と同時に、国家財政も非常に厳しい中にあるということも言うまでもございません。そういう中で、中小企業対策費というものは要求額のほぼ満額近い予算を確保いたしたわけでございまして、これをもとに各般の施策を遂行してまいる所存でございます。  具体的に申し上げれば、従来の施策の継続でございます政府系の三金融機関の貸付枠の確保であるとか、新しい事業といたしましては、コミュニティーマート構想であるとか、ベンチャービジネスであるとか、そのような一層の支援体制を中小企業に対して通産省として行うという考え方をどうか御理解願いたいのでございます。
  143. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 それぞれ十分対応しておる、こういう御答弁ばかり出るわけなんですが、しかし近代化資金一つても、それは循環しておりますから、融資、回収そしてそれを上積みしてまた上積み、こういうことですから、予算が減ったところで貸し出し全体は減りませんよ、これはそのとおりなんです。ところが、近代化資金一つ取り上げても、先ほど申し上げたように五十七、五十八、五十九とともに三百九十八、九億です。変わっておりません。貸し出し計画だ、こう私は説明を受けたのですよ。そうすると、その近代化資金の一つの単価が上がっておれば、それだけ事業は下がるよりしょうがないじゃないですか。貸し出し計画そのものが三百九十何億で三年間連続だ、こうおっしゃっておるのですから。  それから、通産大臣は今それぞれ満額やった、こうおっしゃいますけれども、私はなぜこれを言うかというと、中小企業の振興が内需、民需の向上でこれが大きくは景気の回復と、そして税の自然増収にはね返って、財政再建にはね返ってくるんだ、こういう因果関係から、この中小企業並びに通産省予算について十分やったとおっしゃるのですが、この前僕が説明を聞いたときには、この通産省関係のその他の予算でもこれだけ減っておるじゃないですか、なぜですかと言ったら、これは特許庁の関係もあった勘定があるからだ、しかしそのほかの百億くらいは削られたんです、技術革新その他の予算が削られたんです、こういうふうにおっしゃったのです。大臣の答弁と大分違うのですが、その点はどうなんですか。
  144. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 中小企業対策のいわゆる事業規模と申しますか、金融とかあるいは税制の問題を一応おくといたしまして、一般会計予算におきます中小企業対策の事業規模、これは高度化事業等も含めましていわゆる予算を執行する規模といたしましては、私どもの試算では四%強事実上ふえておるということが言えるわけでございます。これはそれぞれの項目をそれぞれ慎重に積算いたしまして計算した結果でございます。  さらに、先ほど大臣が答弁申しましたように、予算の内容を見ますと、技術あるいは情報、あるいは新しい商業対策というような内容を中心に、新規の項目といたしまして、現在の中小企業が必要としておりますいわゆるソフトの経営資源を振興するという面について十分な配慮をしておるというのが実態でございます。  そのような意味におきまして、中小企業のみならず通産省全体の予算の中におきます中小企業対策の位置づけも決して後退しておるわけではなくて、前進をしておるということが申し上げられるわけだと考えております。
  145. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 具体的に後ほどまた逐次、減ってきたしわ寄せを申し上げますし、県内においても回収によって非常に苦しんだ製材業者だとか、いろいろな例を全部持っておるのですが、今もう時間がありませんから申し上げませんが、そういう事実は方々にあるということをこの際申し上げておきたい。回収のためにその企業は今大変な苦境に陥っておられる。それも林業との関係が絡まっておるわけですが。あるいはまた自動縫製システム等についても、こんなことで果たして本当にやれるような予算を組まれたのかどうか非常に疑問なんですけど、しかし、これは時間がありませんから、次の繊維の関係その他があるときにまた質問するといたしまして、河本企画庁長官にお伺いいたしたいわけです。  私も、長官のいろいろな談話あるいはまた新聞発表等を拝見いたしまして、その勇気と決断と構想に敬意を表したわけですが、これは私だけではないと思うのです。多くの人がいると思うのです。  そこで、今度の予算によって、私もアメリカのレーガンのやりましたあの政策をすべていいとは到底考えませんが、あの減税の一部分につきましては、経済企画庁が出された八三年版の世界経済白書によりますと、八一、八二、八三年度の三年間の減税効果として、アメリカのGNPを三・二%押し上げると判断した、こういうふうに載っておるわけですが、これはそのように判断をしておられるわけですか。
  146. 河本敏夫

    河本国務大臣 アメリカ経済が昨年来急速に回復をいたしておりますのは、いろいろ理由はあると思うのですが、やはり最大の理由はレーガン大統領の大規模所得減税にあると思います。たまたまレーガン大統領が就任をいたしました当時、二けたインフレであったものが、インフレもだんだんおさまってまいりまして、大規模減税が非常に大きく効果が上がった。それが契機になりまして五%成長を回復をし、あわせて失業者もだんだんと減ってきた、こういうことでなかろうかと思います。
  147. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 そういう評価をしておられて、そして河本長官は、だからということで、我々政治家として、行政だけでなくて政治家としての決断の時期だ、こういうふうに私どもは受け取っておるわけですが、そのことはアメリカのこの数字をいろいろ調べてみましても明らかで、減税効果を今度は税収の面においても、八一、八二、八三の減税効果が八四年度では六百七十八億、これは選挙のスローガンもある、こう言われておりますが、そういうふうに一〇%の税収増加を見込んでおる。  そこで今度は、日本減税が、御案内のとおり、もう論議尽くされておりまするが、約一兆一千八百億、これが直接的に国民の懐に影響いたしまするのはこれから一年先なんですが、この一年間に日本減税は景気にどのような経済効果を与えるか、これを一遍承りたい。
  148. 河本敏夫

    河本国務大臣 確かに減税は若干の経済効果はあろうかと思います。しかし、別に増税等もございますので、差し引きいたしまして、プラスはプラスだと思いますが、景気にはそんなに大きな影響はない。日本経済規模が約三百兆という規模でございますから、総合的には効果はあると思いますが、その効果規模は小さい、このように評価しております。
  149. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 その点は同感だと私も思うわけなんですが、そうすると、この際どういうふうにしたらいいかということなんですが、先ほどから申し上げておりますように、これから一年間中小企業を初めとして深刻な倒産現象が出ないとは言えないわけですが、むしろ出ると思うわけです。そうすると、経済効果が出てくる一年先の減税、これも増税によって帳消しなんだ、こういうことになると、何にすがるかということです。アメリカの景気にすがるか、こんなことはあり得ないわけですから。といたしますと自助努力だ、みずから頑張りなさい、政府も助けましょう。ところが、政府の中身を見てみると、いろいろおっしゃるけれども、実感として中小企業の方へその水がしみていっておる、恩恵がしみていっておるということはこれから考えられないわけなんです。  だから私は、この際こういう減税のやり方を、単年度でぽんと出すのではなくて、アメリカがやりましたのも、これも五年計画、六年計画減税をやって、そして経済効果の波及を自然増収で賄う、こういうことをやっておるわけなんですが、こういうような意味で、この際五年ぐらいの展望を持って、二年間なら二年間減税をして一年間据え置く、そして、あとの二年間でこの経済波及効果で一時的に出した公債を回収する、この際こういうような思い切ったことがなければ、先ほどから申し上げておるように、九九%の中小企業は助からぬのじゃないか、景気はむしろ落ち込んで民需は落ち込んでいくのじゃないか、こういう心配をするわけなんですが、それとともに、その財源捻出のためにもこの際思い切ったそういう国債を出す。その国債は大企業を初めとしてそういうところに持たせる、引き受けさせる、そしてその金利を下げてしまう。一%の金利を下げれば約一兆円ぐらいの財源は出てくるわけなんですが、そういう思い切った決断等はどういうふうにお考えになるか、お聞かせいただきたい。
  150. 河本敏夫

    河本国務大臣 今お述べになりましたが、アメリカの減税は、レーガンが大統領に就任をいたしまして、一九八一年に五%減税、八二年には一五%減税、昨年八三年には二五%減税、そして本年以降は物価スライド制を加味いたしまして、物価上昇分は減税を加算していく、こういうことでございますから、新年度減税幅は、最近、専門家に計算をしていただきますと、大体GNPの三・一%、千二百億ドルを超えております。ただし、別に社会保障関係増税がございますので、それはGNPの約O・五%になっております。別に投資減税をやっておる、こういう内容でございますが、私は、これはやはり大決断であったと思います。それが景気回復の起爆剤になったわけでございます。  そこで、我が国のことしの経済運営の方法といたしましては、財政の力も弱っておりますので、今回の予算は万やむを得なかったと思います。しかし、経済動向いかんではやはり金融政策財政政策を今後も経済の実情に合ったように機動的に運営していくということが必要だと思います。そして、今回の増減税は不十分でありますが、これもいろいろな経過から万やむを得ないと思いますが、しかし、本格的な税制の見直しをこの際検討いたしまして、その場合に、やはり一つの柱としてもう一回景気浮揚に効果があるような大規模な所得減税考えたらどうだろうかと私は考えまして、一月の政府と自由民主党の連絡会議がございますが、そこで大蔵大臣と自由民主党の政策責任者に、若干の具体案を含めまして税制改革につきまして提案をいたしておりまして、検討をお願いしておるところでございます。せっかく五年ぶりに景気が回復の方向に行っておりますから、いろいろ工夫をいたしまして、この景気回復を何とか定着をさせる、そして持続させるということが当面の政府の大きな責任でなかろうか、私はこのように考えております。
  151. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 せっかく期待しておる多くの人々を失望させないように、ひとつぜひ思い切った決断と、それからこの効果は来年しか出てきませんから、その間には当然私どもがお願いをしておる予算修正の問題、あるいはまた補正等々にひとつぜひ御理解をいただきたい。  そこで、時間がありませんので、もう数点用意しておりましたが、すべてはしょりまして、ひとつ企業組合、協業組合及び協同組合のことについて大臣にお伺いしたいと思います。  この各組織が中小企業の相互扶助組織として昭和二十四年の法律によって、根拠法として成立しておることは御案内のとおりです。協業組合は昭和四十二年の組織法ですが、現在これが中小企業庁調査でも三千三百六十二企業組合がでざいます。この中で中央会に加盟しておりますのが千二百三十七組合あります。そのうちで、中央会の調査によりますと、事業所数は約六千六百事業所中五千六百の事業所が分散型の企業組合で事業活動をいたしておるわけでございます。これは中小企業の、また零細企業者の知恵だと言われる特殊な経営の運営形態であるわけです。  そこで、この件につきましてまた後ほど別な機会にいろいろ質問するといたしまして、この中で、まずこの企業組合はこの三十有余年間、実に行政と政治の谷間で放置の状態にあったわけなんです。もちろんいろいろな制度融資その他の恩恵を受けておりますが、しかし抜本的な対策が講じられず、昭和二十二、三年当時の経済環境のままであったわけなんです。ですから、これの将来の拡大充実についての対策をひとつ承りたいことと、二つ目には、この中小企業の団体法が成立をいたしますときに、昭和二十四年五月十九日、修正案が出まして、これが採決で議決されたわけですが、そのときに、この企業組合は新しい経営形態として会社と協同組合との中間的な形態のものであるという考え方が述べられておるわけですが、今日、協業組合ができましたので、私どもの認識では、協同組合により近い立場に企業組合があり、そして、その中間的にできた協業組合は株式会社に近い状態にある、こういう理解をいたして運営をいたしておるわけですが、この点について二つ目にお聞きをしたい。  それから、それがために今度はこれら企業組合は、昭和二十四年の成立のときから常に問題になっておりました、税法上の取り扱いを特別法人扱いとすること、並びに従事分量配当を損金扱いにすること、並びに内部留保に対しては協同組合並みに損金扱いにすること、こういうことを今日まで主張してまいったわけですが、この点について当時の大臣は、大蔵省と交渉して努力いたします、あるいはまた中小企業庁長官もそのように議事録で述べていらっしゃるわけなんです。この点について三つ目にお伺いをいたしたい。  それから、協業組合につきましては組合員の生前相続ができないので、もう十七、八年たってきますると、その組合員のお父さんが今度は年によって働けなくなる、それで息子さんが働いておっても組合員になれない、そういう障害があるわけなんですが、これは当然生前においても相続して贈与できるような、そしてお父さんの跡を継いだ息子さんが協業組合の組合員になれるような法改正を一日も早くしていただくことが実態上必要ではないか、こういうことを四つ目に考えるとともに、これについては生前贈与ですから、贈与税をごぼっと取られたら意味ないわけですが、農業後継者のような扱いができないかどうか。  それから、地方税が今度この企業組合を含めて大幅に均等割がふえてくるわけですが、これが企業組合の場合には、分散型の企業組合でありますと、一営業所が一つの市町村にあっただけでもこの高額な均等割が、いままでの一万六千円が四万円になるとか四万八千円が十二万円になる、こういうことになるわけですが、これについて、こういう企業組合が中小企業相互扶助機関として生まれて進んでおるわけですから、当然ひとつ特別に扱って、そして実態に合わせた配分の仕方で均等割を徴収すべきではなかろうか、徴収した均等割を市町村に配分する、こういう事業所の実態に応じたやり方でいくべきではなかろうか。こういうふうにこの企業組合等の問題について質問いたしますが、まとめて御答弁いただきたい。
  152. 梶山静六

    梶山委員長 中澤中小企業庁長官。簡潔な答弁を願います。
  153. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 企業組合はいろいろな組合の中での重要な地位を占めておりますし、特に小規模事業者が経営規模の適正化のためにこういう企業組合を組織するわけでございますので、金融面を含めまして、従来中小企業者として重要な施策を積極的に展開しておるわけでございます。  先ほどお尋ねの税法上の問題等につきましては、企業組合の性格上、その参加される中小企業の方々が、それぞれその企業組合に資金なり個人の力を没入して参加するという特殊な性格から、税法工事業協同組合等と従来異なった扱いを受けておるわけでございまして、ただいま御提言のいろいろな点につきましては、今後ともこのような実態を踏まえながら慎重に検討をしてまいりたいと思っております。  また、協業組合につきまして生前贈与の実行を考えるようにという点でございます。現在、協同組合法あるいは団体法の改正につきまして私ども政府部内で検討しておりますが、この問題につきましては、協業組合の生前贈与の道を開くという点につきまして前向きな姿勢で現在検討しておるわけでございます。ただ、贈与税につきまして農業と同様の扱いをするという点でございますが、農業の生前贈与に関しますいろいろな特別の措置につきましては、農地の分割が図られないようにという意味で、特に一子相続という点の配慮からとられている措置でございますので、直ちにこれを組合に適用するということはなかなか容易でないというふうに考えておりますけれども、継続して検討してまいる課題だと考えております。  その他もろもろ御指摘の点につきましては、今後とも先生と十分御協議、御連絡を申し上げたいと思っております。
  154. 渡辺嘉藏

    渡辺(嘉)委員 終わります。ありがとうございました。
  155. 梶山静六

    梶山委員長 木内良明君
  156. 木内良明

    ○木内委員 私は、きょうは我が国経済政策上極めて重要な課題でございます中小企業問題、とりわけ今や国家的緊急課題となっている企業倒産の防止対策を中心に、小此木通産大臣並びに政府関係者の方々に質疑を行うものであります。大臣の時間が限定されておりますので、まず大臣にお伺いいたします。  中小企業は、その事業所の件数において全体の九九%、企業雇用者のうち、この分野での従業者数は全体の八割を超えている現状でありまして、同時に、この十年余り増加しました、いわゆる非農林業雇用者の中ではその九割以上を中小企業が吸収しているわけであります。さらに、民間設備投資の面でも中小企業のそれは四割前後にまで達しているのでありまして、そういった意味から、まことに中小企業こそは日本経済の屋台骨として大変重要な意味を持っているわけでございますし、今まさにこの中小企業の問題を直視して、そして同時に、健全な発展を促すための諸施策を講じていくことが私どもに課せられた大きな責務である、こういうふうに痛感しているわけであります。  しかるに今、不況の影響はもろに中小企業に集中しているわけでありまして、近年における倒産件数の推移を見るまでもなく、中小企業の置かれた状況は極めて厳しいと言わなければいけないわけであります。そうした状況の中で、五十九年度予算案の中で中小企業対策費は実は前年度比五・五%削減、こういう実態が一つあります。したがって、こうした面から考えても中小企業受難の様相がますます深刻になってきている、こういうふうに判断せざるを得ないわけであります。  そこで、大臣にお聞きするわけでありますが、先日の当委員会におきまして所信表明演説を聞いたわけであります。この中の「新時代に対応した中小企業政策の展開」という項目で、「中小企業は、今日、国民のニーズの多様化、技術革新の進展という環境変化の中で、機動性と旺盛な企業精神をもって、大きく活躍し得る機会を与えられております。」というぐあいに、強いて晴れやかな中小企業問題の部面だけを取り上げて強調されているかのような印象を実は受けたわけであります。またさらに大臣は所信表明の中で、「中小企業の経営基盤の充実を図るため、政府金融機関による資金調達の円滑化、下請中小企業対策、小規模企業対策等に努めることとしております。」と極めて平板的に述べておられて、現今の深刻な不況の状態の中での中小企業への取り組みの熱意がもう一つ感じられないわけであります。  実はまず初めに、この点について、今日の企業倒産の現実をよく踏まえられた上での所見を改めてお伺いしたい、こう思います。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
  157. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 中小企業を取り巻く環境の厳しさというものは私どももよく認識いたしておりますし、倒産の件数が非常に多いということもまことに憂慮にたえず、これを厳しく受けとめているわけでございます。  今、五十九年度予算のお話がございましたけれども、財政の厳しい中で通産省の一般会計予算の中での中小企業対策費は、石特会計への繰入額を除けば、あとの半分は中小企業対策費という要求額に対してほぼ満額を獲得したということはぜひ御理解いただきたいのでございます。  中小企業対策で新しい対策としてどういうことを行ったかといいますれば、この厳しい中で中小企業新技術体化投資促進税制を創設いたしましたり、あるいは細かい点で言えばさまざまな新事業、すなわちコミュニティーマート構想であるとか村おこし事業であるとか、さらには今委員おっしゃられました中小企業関係政府系三金融機関の貸付額の増大等、懸命な努力をいたした次第でございます。この予算をもとに、我々通産省といたしましては施策の充実を期して、これを推進してまいりたいと考えておるところでございます。
  158. 木内良明

    ○木内委員 今大臣から御答弁があったわけでありますけれども、新規事業あるいは各種制度についての取り組みの姿勢を列挙いただきました。それぞれに極めて不十分で、指摘したいところもございますが、時間の関係等でこの質疑はまた後日の本委員会での質問等に譲りたい、こういうふうに思います。  実は、今申し上げました企業倒産の問題に関連して、ここ数日来問題になっております大沢商会とマミヤ光機の大型連鎖倒産についての質疑を申し上げたいと思います。  大沢商会が融通手形を発行していたほか、連鎖倒産が必至だった取引先のマミヤ光機の株を虚偽の説明でコスモ・エイティに売り渡す一方、自分の保有株を高値で売り抜けていたというような報道が新聞であるわけであります。私はまだ事実の確認はしておりませんけれども、こうした経緯等これあり、大沢商会の倒産に至る経緯というものは、新聞報道等によれば極めて唐突であって、また不明朗な点が多い。計画倒産ではないかというようなコスモ・エイティの社長の記者会見での発言もあるわけでございまして、この大沢商会企業倒産関連の問題につきましては、後刻大臣が退席された後で中小企業庁長官中心にお聞きをしたい、こういうふうに思っております。  そこで、連鎖倒産の防止という点でまず申し上げれば、金融支援措置の機動的、弾力的な実効ある対策というものが企業倒産防止のためにはどうしても必要なわけであります。大沢商会の倒産の原因については今なお事態は流動的でございますし、今の段階計画倒産云々ということは確かも時期尚早ではあると思いますけれども、申し上げたような新聞報道によれば、計画倒産という推測もあるようであります。  そこで、仮に計画倒産ということになれば、被害者の立場ともなるコスモ・エイティと金融機関の関係について、常識的に見て少し不可解な問題が実はけさの読売新聞あるいは東京新聞等で指摘されているわけでありますけれども、コスモ・エイティの融資に際しまして大手都銀が無担保で融資していたということが言われております。私の理解では、これまで大蔵省は、ケースにもよるでしょうけれども、無担保融資については差し控えるよう指導してきているところであります。しかし、このコスモに対しましてはこれを行った。さらに、きのうの記者会見で、こうしたことをコスモの経営陣の方から実は認めておられる。大手都銀は、ベンチャービジネスという観点に立ってこれを行ったものと私ども好意的に受けとめたいところでありますけれども、特定の企業にのみこうした措置を行うことは、こうした中小企業問題等、融資を初めとする各種の要因が今問題として横たわっている中で、ほかとのバランスを欠くのではないかということが一点。  また、コスモ・エイティの資金調達についての点でありますけれども、ことしの一月ごろからさまざまな不透明さがマスコミの各紙を通じて言われてきております。また、一方で証券界では、昨年の春以降コスモ関連株とかあるいはオリムピック関連株、このオリムピックの筆頭株主はコスモであるわけですけれども、こういったいわゆる関連株等が一部グループにもてはやされて、こうした株は異常とも言えるような動きを示してきている。また、これはあくまでもうわさですけれども、コスモの役員陣がこうした株の動きに絡んでいるというような話もあるように聞いております。こうした不透明さが、ともすればうわさとなるようなコスモに対する無担保融資が現実にあったとすれば、そのよって来るゆえんをしっかりと解明しなくてはいかぬと思いますし、まずこの点についての大臣の率直な見解を伺いたいと思います。なお、この問題については通告が大変急になりましたことをおわびしますけれども、ぜひお願いします。
  159. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 現在掌握いたしておる部分だけを私から申し上げます。  大沢商会は二月二十九日午前、会社更生法に基づく会社更生の申し立てを行いまして、事実上倒産に至ったわけでございます。負債総額は五百四十億円、そのうち金融負債は三百四十四億円でございます。また一般負債は百九十六億円という状況であるわけでございます。  大沢商会は種々のブランド商品の輸出入を行っておりますが、ブランド志向の変化への対応がおくれまして経営状態が悪化したと聞いております。また、世界の景気低迷の中で、プロ用大阪カメラの海外への展開を過大に行ったことも経営悪化の一因と聞いておるわけでございます。  いずれにいたしましても、本件は突然のことでもございまして、今後さらに事態の把握に努めてまいりたいと存じます。
  160. 木内良明

    ○木内委員 大臣が退席されるということでございますが、いまの状況の把握は大臣としてなさっておるのは当然ですけれども、短時簡で結構ですから、いまの融資面における御答弁をおっしゃっていただいて、そうしていちしていただければと思います。
  161. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  コスモ・エイティと申しますのはいわゆるベンチャービジネスということで、昭和五十六年の五月に設立された会社でございます。  急速に伸びているわけでございまして、このコスモ・エイティに対する金融機関の融資がどうかというお尋ねでございますが、私どもといたしまして、一般論といたしまして、民間の金融機関がそれぞれの融資先に融資をしていくという場合に、これはやはり健全金融という立場でそれぞれの銀行の経営判断のもとに行われていると思っております。このコスモ・エイティに対する民間銀行の融資が妥当なものであるかどうかという点につきまして、問題があるかどうかという点につきましては、私どもとしては大蔵省等関係の機関の判断にお任せしたいと思っております。
  162. 木内良明

    ○木内委員 関係の各機関に判断をゆだねるというのは、今結論出ないということですよね。ということは、言いかえればレギュラーなケースではない、異常な融資の状態である、このように受けとめたいのですけれども、いいですか。
  163. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 現時点におきまして私どもとして、いかなる融資がいかなる形で行われていたかということにつきまして実態を把握しておりません。いずれにいたしましても、その点を含めまして関係の機関の判断、調査に任せなければならないのではないかと思っております。
  164. 木内良明

    ○木内委員 今申し上げた計画倒産云々の問題につきまして、実態の把握並びに公表の時期、見通しとしてはいつごろを予定されておられますか。
  165. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 けさの新聞におきましてコスモ・エイティの碓井社長が大沢商会の倒産について、計画倒産ではないかということを言っておられることは承知しております。ただ、私どもといたしまして、そういったことについて現時点において特に把握をしていることはございません。いずれにいたしましても、計画倒産がどうかという点については判断が恐らく難しい問題だろうと思います。したがいまして、こういった問題についての担当の機関がそれぞれあるわけでございますから、そういったところの御判断に任せていかなければならないと思っております。
  166. 木内良明

    ○木内委員 今私がその点について言及いたしましたのは、こういうことを申し上げたいわけであります。  こうした不況の中で中小企業の経営者の方々並びにそこに働く皆さんというのは必死な経営努力をしておられるわけであります。ところが、みずからのそうした経営努力にもかかわらず環境的要因、他律的要因によって連鎖的な倒産を余儀なくされるというケースが実は近年非常に多くなっているわけであります。そうした他律的要因の中に、かてて加えて仮にこのような計画倒産のにおいがあるとすればこれはゆゆしい問題でありますし、ぜひともこの点は、今後の中小企業の倒産を防止する、また、その中で占める割合が非常に高い連鎖倒産を防止する上からも厳重なチェックをお願いしたい、こういうふうに思うわけであります。いかがでしょうか。
  167. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 私どもといたしまして、いずれにいたしましても、こういった倒産によりまして中小企業影響を受け、関連倒産に陥っていくということにつきましては十分な配慮を払ってまいりたい。これは中小企業庁と連絡をとりながら十分な対応をとってまいりたいと思っております。
  168. 木内良明

    ○木内委員 現状では十分に調査も進んでいないと思いますけれども、この大沢商会並びにマミヤ光機関連のいわゆる連鎖倒産を防止する意味からも、まず実態の把握が必要になってくると思います。関連中小企業の実態は今どの程度まで掌握されておられるのか。また、その資本金別、従業員別規模、どのように把握されておられるのか。何かきょうの午前中の閣議後の大臣の記者会見では、四百九十七社ですか関連企業ありという発表があったようですけれども、その点についてお聞きします。
  169. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 ただいま御指摘のように、大沢商会自体の負債総額は五百四十億円ございますが、それら一般負債のうちで五十万円以上の債権を有しておる中小企業者、この数が四百九十七社ある。またそれが東京都に三百三十八社というふうに集中しておるという実態まで把握したところでございます。  これは大沢商会自体の関連する中小企業者でございまして、これが仮に他の関連する企業に波及するという場合あるいは大沢商会自体が持っております二十一といわれます関連子会社等に波及いたしますと、その子会社との取引を持っております中小企業者が、これはこの数のまた数倍あるというふうに見られておりますので、私どもといたしましても、関連中小企業者に対する影響は相当深刻なものがあるというふうに考えております。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  170. 木内良明

    ○木内委員 恐らく問題毒調査する段階で被害を受ける、あるいは倒産の危機に瀕するような中小零細企業がふえてくるんじゃないか、すそ野は相当に広がってくることが予想される、こういう話です。  そこで、中小企業信用保険法に基づくいわゆる大型倒産企業に指定する時期の問題ですけれども、これがいつごろか、まずお聞きしたいと思います。これは早急な対応が必要であると申し上げたいわけですけれども。
  171. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 大沢商会の信用保険法に基づきます指定につきましては緊急を要しますので、来週早々、時期的には五日または六日には正式に告示が行い得るように現在準備を進めております。ただ、正式指定前にも実質的には大沢商会関連中小企業者影響が出る場合には、実質的な意味での手を打つようにすでに関係方面に指示をしておるところでございます。
  172. 木内良明

    ○木内委員 関係方面への対応というものを早急に進めておられるということでありますし、また告示が来週の五日ないし六日ということ、この告示ないしはその後のフォローによって関連中小企業がどの程度救い得るか、こうした見通しについても早急に立てる必要がありますし、この救済策のネットにかかるものとそうでないケースも出てくる。しかしながら歴然と大沢商会の倒産によりその影響をもろに受ける中小企業というものはあるわけでありますし、一体どの程度まで救済し得るのか、その点お聞きします。
  173. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 私どもといたしましては、大沢商会に関連する中小企業者が、自己の事由ではなくて連鎖倒産に巻き込まれるということは極力避けなければいけませんので、個別のケースに応じまして緊急の融資あるいは信用補完という面で万全を期してまいりたいと思っております。  緊急融資につきましても、中小公庫で申しますと別枠の融資枠が設定できますし、また信用保証面におきましても、通常の保険枠と同額の別枠の保証をするという特例措置ができておりますので、相当有効にこれがワークするのではないかというふうに考えております。ただ、そのような一般的な制度を準備するだけではなくて、実態的には通産省以外にも関係各省あるいは関係各省の出先機関によります対応が必要でございますので、関係の通産局、特にこの場合は東京通産局が中心になるかと思いますけれども、関係各省の出先等々と協調いたしまして、倒産防止対策推進協議会というものを開催することを早急に検討していきたいと思っております。  また、現実にはそのようなつなぎ対策だけではなくて、仕事がなくなった場合、取引をあっせんするということが重要でございますので、下請取引のあっせん事業、これは通常のケースもございますけれども、特にこのような関連中小企業者に対しましては、下請取引のあっせんの体制を強化してまいりたいというふうに考えております。  なお、倒産防止事業につきましては、関連倒産につきまして商工会議所あるいは商工会の連合会で、その相談に乗ります相談室というのができておりますけれども、この民間の機関にも十分関連中小企業者の相談に乗っていくような措置を進めてまいりたいというふうに考えております。
  174. 木内良明

    ○木内委員 今中小企業庁長官の言われた、きめ細かな対策というものをここ一両日中に早急に手を打ってまいりませんと、十分に対応できないすそ野の広がりというものが今あるわけであります。  今言われた緊急融資の別枠、金額にしてどのくらい考えられますか。
  175. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 緊急融資ということで、政府機関といたしましては中小企業金融公庫と国民公庫がございますけれども、中小公庫につきましては三千万円、国民公庫につきましては七百万円の別枠での貸し付けを行う体制になっております。  なお、信用保証の面におきましては、普通保険で七千万円、無担保保険で一千万円、特別小口保険で三百万円という、これまた別枠の保証を行い得ることになっておりますが、この場合には保険料につきましては通常の保険料の三分の二に軽減するということ、さらにはてん補率、仮に事故が起きた場合におきますてん補率につきましては、普通保険が七〇%に対しまして、この場合には八〇%までカバーするというような特例的な制度になっております。
  176. 木内良明

    ○木内委員 ベンチャービジネス関連で一点お聞きします。  ベンチャービジネスの企業としては非常に評価が高かったコスモ・エイティということになるわけでありますけれども、この関連のマミヤ光機の倒産というものが今後このベンチャービジネス育成という場で大きな課題を投げかけてくると思うのです。投資家の保護あるいはベンチャービジネスの企業精神を阻害するような結果になることも当然予想されるわけでございまして、近年極めて新しいテーマであるこのベンチャービジネス対策として、今後、今回のこの事件に関連させてどのような対応をお考えになっておられるか、この点お聞きします。
  177. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 ベンチャービジネス自体につきましては、一般的に申しまして、産業あるいは企業経済の活性化を促すという意味で、日本だけではなくて、むしろ欧米で新しい中小企業の一つのタイプとして将来が期待されているということは申すことができると思います。  ただ、ベンチャービジネスと申しますと、まさにベンチャーというのはリスクが高いという意味でございますので、これ自体が非常にリスクの高い企業群であるということも肯定せざるを得ないというふうに考えておるわけでございまして、私どもといたしましては、個々のケースの問題は別にいたしまして、やはりこのような積極的な企業精神を持ったところの中小企業の一部に対しましては積極的な施策が必要であると思っております。  ただ、当然のことではございますけれども、それぞれの企業が妥当な経済的あるいは社会的判断を逸脱して行動するような場合には十分なテークケアが必要だというふうに考えております。
  178. 木内良明

    ○木内委員 それでは一般的な倒産の問題に入っていきたいと思います。  昨年の一月から十二月、さらにことしの一月にかけての企業倒産の実態をどのように認識しておられるか、その推移と傾向性も含めて簡単にお答えください。
  179. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 五十八年に入りましてから一般的には経済が回復基調に入ったというふうに見られておりますけれども、倒産件数に関します限り、五十八年一月以降本年の一月まで十三カ月連続いたしまして対前年の同期比を上回っておるということで、非常に高い倒産水準にあるというふうに見ております。  その中身でございますけれども、中小企業にとって非常に広範な分野を占めております建設業、それと小売業が内需の不振の影響を受けて倒産の三分の二を占めておるということで、この面での内需不振の影響が色濃く出ておるということが一つの特色でございます。  また、企業倒産の原因を見ますと、売上不振でございますとか債権回収困難というような形で、いわゆる不況型倒産というものがこれまた七割近くを占めておるということで、放漫経営とかいうような自己責任に帰すべきものではなくて、不況の影響を色濃く受けておるという点が特色だと思っております。
  180. 木内良明

    ○木内委員 昨年の総合経済対策を初めとしまして、倒産防止対策についてはかなりにいろいろな制度を整備され、同時に充実を期されていることと私は判断したいわけでありますけれども、この十三カ月間連続して前年同月の倒産件数を上回っておるという問題はしっかりと認識していかなくてはいけないというふうに思います。  この一月までの状況がそうであったわけでございますけれども、今後二月、三月にかけてのいわば倒産の増勢傾向というものも相当予想されるわけでございます。大半の企業の決算期と重なる三月にかけて、いわゆる季節的な資金不足というようなことになってくるわけでありまして、この増勢傾向についてのある程度のしっかりした見通しを持ち、同時に、これに対応できるいわゆる施策を今与えられたこの制度の中で考えていくということが大事じゃないか、こういうふうに思うのです。いかがでしょうか。
  181. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 御指摘のように二月の水準自体も、これは間もなく全体の数字が出ると思いますけれども、楽観を許さない状況でございますし、三月は決算期ということで、恐らく絶対数としては相当高い水準が出てくるのではないかというふうに憂慮しております。  また、今回の大沢商会の関連の倒産というものが、これは我々といたしましては極力防止するつもりでございますけれども、ある程度影響が出てくるとすればこの年度末、二月、三月の倒産レベるというものも憂慮すべきレベルになりかねないというふうに考えております。  先生御指摘のように、倒産対策につきましては、個別の対策もさることながら、倒産関連金融あるいは倒産の保証の体制あるいは倒産共済の貸し付けにつきまして、迅速な貸し付けができるというような措置を含めまして、倒産防止対策に万全を期してまいりたいと思っております。保ただ、やや明るい面といたしましては、年末来一月以降設備投資につきましての申し込みがふえておるというような点、あるいは個人消費に対しますもろもろの統計指標が上向きの数値が出ておるというような点、あるいは住宅戸数も一月につきましては初めて十万戸レベルに乗るというような点等々、いわゆる内需の落ち込みを示しておりました住宅建設あるいは個人消費というものにつきまして、先行きこれが回復してくるという指標が出てまいりました。  さらには、下請中小企業が大幅に依存しております輸出面につきましても、徐々にではございますけれども、この影響がいい方向に春以来出てくるということも期待しておりまして、倒産の対策につきまして万全を期しながら、全体の中小企業をめぐります景況が五十九年度におきましては上向きに転ずるということを期待しておるわけでございます。
  182. 木内良明

    ○木内委員 長官の方からいろいろ施策を講ずるとか景況効果がもうすぐ出てくるのではないかというふうなお話、また設備投資に関連しての話もございました。しかし、昨年あるいは一昨年のこの会議録等を見ても、あるいはまた河本経済企画庁長官経済演説の中で言われている、緩やかながら景気回復の過程にあるというような発言を見ても、その都度実は大変に楽観的な観測をされておられて、結果的には倒産件数の推移を見てもこれが減少のカーブをとっていないという事態があるわけであります。  例えば、昨年「総合経済対策」に中小企業対策を盛り込んでおりまして、この中には、政府系中小企業金融機関の貸出金利引き下げ等とあわせて、倒産防止対策の機動的運用ということを明示して積極的に取り組むということを言われてきたわけであります。しかし、その後の月別倒産状況を見ると、五十八年十月千七百八十六件、十一月千八百二十一件、十二月千八百十七件、こういうふうに推移してきているわけでありまして、さらに本年一月についても前年同月比、決して減ってはいないところか大変な増加を示している。倒産防止というのは、これは大変に厳しい取り組みが必要とされるわけでありますけれども、しかしながら「総合経済対策」に言われるような具体的な施策というものが機動的に運用されていないために効果的な結果というものがこの数字上出ていないわけであります。私は、そう判断せざるを得ないわけであります。  そこでお聞きするわけですけれども、昨年の「総合経済対策」の中に盛り込まれた中小企業対策、さらに倒産防止対策、いわばこうした内容がこれまでの倒産件数の推移にどのように反映して、どのように実効効果をもたらしているとお考えなのか、しっかりお答えいただきたいと思います。
  183. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 昨年十月二十一日の「総合経済対策」の中で、内需拡大による景気振興策ということで、公共事業対策等々の中で中小企業対策が盛り込まれたことは御指摘のとおりでございます。  実施状況といたしましては、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫等の貸し付けの基準金利を十月二十八日に〇・一%引き下げをするということ、あるいは五十八年度下期の貸付資金枠を前年同期に比べまして二割増という形で三兆二千六百七十四億円確保するという措置をとりましたという点、あるいは中小企業庁長官名で官公需の担当官に対しまして五十八年度目標のさらに確実な達成を要請したという点、あるいは倒産防止対策の各省協議会の幹事会を開きまして、倒産対策につきまして各省レベルにおきましてもさらに積極的な展開をお願いしたという点等々、枚挙をいたしますと数え切れないほどございますけれども、確かに結果的には倒産レベルは非常に高いレベルでその後も継続しておるということは言わざるを得ないわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、このような施策が中小企業の厳しい環境におきまして相当程度の防止効果があったというふうには考えておりまして、先ほどもるる申し上げましたように、内容について見ますと、建設業でございますとか一般小売業でございますとか、なかなか政策の効果だけでは浸透がしにくいような業種、すそ野の広い業種に多発しておるということが倒産のレベルの原因になっておるということでございますので、そうだからといって、もちろん対策の手を緩めるというわけではございませんけれども、やはり基本的には、内需全体の回復がしっかりとした足取りで中小企業分野にも定着してくるということが、この倒産件数を思い切った低レベルに引き下げていくことの根本原因ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  184. 木内良明

    ○木内委員 どうも、制度の運用でございますとか通産省の倒産防止に対する努力は十分やっているのだけれども、内需の拡大等の盛り上がりに欠けるために、やむを得ず倒産がふえているというふうなニュアンスに聞こえてならないわけです。本当に一〇〇%、制度の本来の趣旨、目的に沿った運用をされ、あるいはこれが効果的に、機動的に動いているのかどうかという問題を実は探ってみなくちゃいけない。今の中小企業庁長官の話は、私どもとしてはしっかりやっているのです、だけれども、どうも内需の拡大等に原因を持ってきたがっているような印象を私は受けるわけであります。長官、今ある制度等がすべて十分に機能しているというふうにお考えでしょうか、倒産防止に向けての各種制度。
  185. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 もとより私どもの制度、万能ではございませんし、また、いろいろな面で改善すべき余地があるかもしれないというふうには承知しております。  ただ、具体的な一例で申しますと、数年前、たしか三年ほど前から開始いたしました倒産防止対策事業ということで、全国に商工調停士という形で商工会議所あるいは商工会に相談室を設けまして、倒産の危機に陥りそうな、あるいは陥った中小企業の方々の相談事業を開始しております。これは五十八年の数字はまだそろっておりませんので、五十七年の数字で申しますと、三千七百件の中小業者の方々が相談に見えまして、その三分の二、七割近い方々は倒産の危機を免れて、さらに事業を継続されたという実績が数字として出ております。  金融のあっせんをした場合あるいは取引のあっせんをしたケース、いろいろございますけれども、結果といたしまして倒産の防止がそのような非常に明白な形で出ておるということは、私どもとしてはやはり政策努力をすればそれだけ顕著な実績が上がるというふうに思っておるわけでございまして、現在の制度が万全とは思っておりませんけれども、なお一層努力をしていきたいというふうに考えるわけでございます。
  186. 木内良明

    ○木内委員 政策努力によりまして相当件数の企業倒産を未然に防がれているという実績、私はよく認識しているつもりでありますし、また、この間に至る関係者の方のそうした御努力については十分理解もしていきたい、こういうふうに思うのです。  ところで長官、昨年の十一月行政管理庁行政監察局が行った「昭和五十七年度新規行政施策の定期調査」、ここにおける「中小企業倒産防止共済法及び中小企業倒産防止共済事業の施行状況に関する調査結果報告書」、これが出ているわけでありますけれども、実はきょう、この内容を中心にお聞きしたいと思っておりました。ただ、時間がないので極めて残念であります。今まさに言われた政策努力はされておられるわけでありますけれども、制度本来の趣旨に沿って機能していない例の一つとして、私は今この倒産防止共済制度というものを指摘させていただきたい、こういうふうに思います。この昨年十一月の行管庁からの指摘は、簡単で結構ですけれども、どういう内容だったでしょうか。
  187. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 要約して申しますと、制度発足前に急増した連鎖倒産の数が横ばいになっておるということ、共済制度自身、連鎖倒産に至る前の予防措置という面が強いので、実質的には取引先企業の倒産に伴う売掛金債権の保全のために、保険的に利用されていると見られておるということが指摘されております。  さらには、共済事業の資金の収支状況から見て、共済事由発生率の見込みが大幅に上回っておる、あるいは回収率が当初見込みよりも下回っておるということなので、五十五年度以降毎年多額の出資を余儀なくされておる。したがって、共済制度の維持継続が、今後の見通しについても出資がないと継続が困難であるというふうに見られるということでございます。  したがって、検討課題といたしまして、具体的には共済制度の本旨に従って相互扶助の精神運営されることを基本としていることなので、「国の財政に依存している現状を改善し、経営の自立化に向って見直しを行うこと。このため、精細な見通しの上に立って、共済事由発生率抑制のための方策、掛金の額、貸付額等について早急に検討を行うこと。」というのが指摘の内容でございます。
  188. 木内良明

    ○木内委員 確かに今言われた内容での指摘があったわけでありますね。実はこれ昭和五十五年の第九十一国会のときにちょうど改正案が出てまいりました。私は、その審議に当委員会で参加した経緯もこれありました。そうした現状を非常に遺憾に思っておりますし、また、今の商工委員長梶山委員長も当時通産省の政務次官でおられてこの審議には参加しておられる。そういうことで、今はさらりと行管庁の指摘については長官おっしゃいましたけれども、財政的な基盤が非常に脆弱になっている、その原因はいろいろあるわけでありますけれども、私から見れば、この制度というものは、このままほうっておいたら、まさに存立の危機さえ招くような、そういう厳しい見方をしなければならない。したがって、その意味から、実は少なくとも五年以内に制度の基本的事項についての見直しを行うという条項がこの法律にあるわけでありますけれども、来年を待たずに、こうしたいわゆる不況の状況下、この基本的事項の見直しに取り組んでいく必要があるのではないか、こういうふうに思います。    〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕  例えば、加入件数が非常に少ないということで、財政的基盤が非常に弱くなってきているわけでありますけれども、この原因について私は、例えばこの共済に加盟することによって生ずるいわゆるメリットがまだまだ弱いんだ、利用者にとっては。こうした点をまず指摘したいというふうに思います。時間があればたっぷりと、都道府県別の訪問等による事業の拡大による加入件数の促進、あるいはまた、そうしないところでのいわゆる顕著な減少等についても触れてみたかったわけでありますけれども、この財政的基盤をまずしっかりさせるための加入の問題については具体的にどのように対応されますか。
  189. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 倒産防止共済制度自体が倒産を防ぐために非常にすそ野の広い、数の多い中小企業者の加入が前提となるということが非常に大事な点でございまして、そういう意味で加入促進というのが基本的に重要であるということは私も十分承知しております。  そういうことで、具体的には五十八年度、昨年の四月以降、従来は中小企業団体を通じまして加入促進をしておったわけでございますが、五十八年度以降は、これに加えまして一般の金融機関、民間の金融機関も含めまして中小企業者に対する加入を進めていただく。金融機関対策といたしましては、百八十万部のパンフレットを刷りまして約二万の金融機関め支店にこれを配付いたしまして、金融機関に融資の申し込みに見える中小企業者の方に金融機関から転ばぬ先のつえという形でこの共済に入っていただくということを勧めております。その結果五十八年度以降は、大ざっぱに申しますと前年比三割以上の加入の増加を見ておるわけでございまして、私どもといたしましては、さらにこの加入促進に対する、きめ細かくかつ各地域の隅々まで浸透するような形での促進対策を進めてまいりたいというふうに考えております。
  190. 木内良明

    ○木内委員 加入促進ということをお聞きしますと、必ずPR効果という面から、ちらしであるとか、あるいは広告ということになってくるわけであります。実はこの行管庁の調査によりますと、各都道府県別に加入差が生じている。例えば経営指導員等が中小企業者を個別に訪問して積極的な努力を行っているところは加入率が非常に高くて、そうじゃないところは低いというような現実が確かにあるわけであります。ですからPR云々ということも大変前提条件として大切なことでありますけれども、同時に通産局単位でも結構ですし、あるいは委託団体別でも結構でございますし、さらにまた、都道府県別にでも加入目標というものを設定するなど、具体的な経営指導員等の訪問を促すような、こういう指導も必要ではないかというふうに思います。  時間が大変半端になってしまいました。最後に一点、この制度における保険制度についてお聞きします。  これは各委員会の答弁を見てみましても、保険制度についてはこれまで否定的でございました。しかし五十五年五月の当委員会における附帯決議、この中に「共済保険制度の導入その他共済制度に関する基本的事項について引き続き十分に検討を加えるとともに、」云々ということがございますし、また、たしか左近中小企業庁長官だったと思いますけれども、全くこの保険制度面での導入を行わないと決めたわけではない、今後必要が生じたときにはこれを検討するという意味の答弁をされておられるわけでありますし、この保険制度の問題、さらにまた、共済事由の緩和というような点について改正を行って、そうしてこの制度の充実、また基盤の拡充というものを行う必要がある、こういうふうに思います。  いま申し上げた二点をお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
  191. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 倒産防止共済制度につきましては、六十年度におきましてこの改正を行うべく現在抜本的な形で節度の見直しと申しますか、検討を行っておるところでございます。ただ、保険制度の導入というところまでいくかどうか、あるいは保険制度につきましてのメリット、デメリットにつきましては十分掘り下げて検討する必要がございまして、保険を導入した場合にはむしろ掛け捨てになるという形では保険額が少なくて済むわけでございますけれども、一方、保険金額ということで返済を前提としないわけでございますので、保険料率が非常に高い形になるというデメリットはございます。したがって、保険制度がそもそもこの制度になじむかどうかということは慎重に検討してまいりたいと思っております。  共済事由の拡大等につきましては、これまた実績を見ながら検討してまいる所存でございますけれども、事故率が当初予期したレベルよりも高いということなどを勘案いたしますと、保険事由、共済事由を無制限に広げるということはなかなか容易でないというふうに考えております。  いずれにいたしましても、過去の実績、特に五十八年度もろもろの制度改善を行っておりますので、その結果等も十分踏まえまして、六十年度におきましては法改正を含めまして制度の見直しを行いたいということでございます。
  192. 木内良明

    ○木内委員 以上で終わります。
  193. 渡辺秀央

    渡辺(秀)委員長代理 長岡武士君。
  194. 長田武士

    長田委員 経企庁長官予算委員会だそうですからお引き取りいただいて結構でございます、ちょっと時間がかかりますので。  初めにエネルギー政策に対する基本的な姿勢についてお尋ねをしたいと考えます。  総合エネルギー調査会によります長期エネルギー需給見通し、これはたしか最初が昭和四十二年の二月だったかと思いますが、その次は四十五年の七月であったわけであります。その後五十年の八月にも見通しを改定されたわけでありますが、五十二年の見通しの改定によりますと、六十年度におきますところの総エネルギー需要量は対策促進ケースで石油換算六億六千万キロリットルというふうになっております。そして五十四年八月の改定では六十年度五億八千二百万キロリットルに減りまして、次の五十七年四月の改定では六十五年度見通しで五億九千万キロリットル、そして昨年十一月の改定では六十五年度見通しが四億六千万キロリットル、そして七十年度では五億三千万キロリットル、七十五年度では六億キロリットル程度というふうに、当初、昭和四十五年ころの見通しに比べますと大体半分程度に減っておるわけであります。また、五十年代に入りましてからの見通しと比べてみましても、大体三割から四割近く減少いたしております。こう見てまいりますと、どうも今までの見通しが多分に厳し過ぎたようにも私は考えるわけであります。  私は、それは決して非難するつもりは全くないのでありますけれども、そういった厳しい見通しに立ってエネルギー対策を推進するために、どうしてもよって立つところは財源という問題に突き当たります。そういう意味で、昭和四十九年には電源開発促進税が設けられました。そして五十三年には石油税が新設されたわけであります。また、石油の備蓄を義務づけるための石油備蓄法も、昭和五十年だったと思うのですけれども、設立されました。こうした一連の処置によりまして我が国のエネルギー政策が現在まで構築されてまいったわけであります。  そこで、このような一連のエネルギー政策に必要な予算の財源といたしまして、電源開発健進税や石油税が大きな役割を果たしてきたわけでありますが、この間、電促税はすでにもう二回引き上げを行っております。現在、昨年の引き上げによりまして一千キロワットアワー当たり四百四十五円というふうな状況でございます。これは税を新設した翌年すなわち昭和五十年でありますけれども、税収額が二百九十九億円にしかすぎなかったものが、昭和五十九年度予算では二千百五十六億円と当初の実績の実に七・二倍にも膨れ上がっております。  また石油税にいたしましても、税を新設した昭和五十三年でありますけれども、この六月からですが、その収入は一千四十六億円にしかすぎなかったわけでありますが、五十九年度予算では、石油が値下がりして、輸入量が減りましたとはいえ、現行法のままでも税収は三千六十億円。これと石油税の引き上げ、今回は一・二%、金額にしまして六百七十億円、これを含めますと三千七百三十億円の税収が予定されておるわけであります。これは当初からいいますと三倍以上のいわゆる税収であります。  そこで、通産大臣にお尋ねしたいのでありますが、国のエネルギー政策や予算を見てまいりますと、だんだん際限なく膨らんできております。一体今回の石油税の値上げや昨年の電促税の引き上げにも見られますとおり、今後ともエネルギー政策の上でますますこの傾向が強まってまいりますけれども、こういう傾向でいいのかどうか。見直す時期が来ているのじゃないか、そういうことを私は危倶しているわけでありますが、ひとつ通産大臣の率直な意見を聞かせてください。
  195. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 我が国のエネルギーの状況というものは非常に脆弱な供給構造にあることは何回も私が申し上げたとおりでございます。しかしながら、このエネルギー問題の解決というものが経済の持続的な成長のためには欠くべからざるものであるということも御承知のとおりでございます。  そういう折に、現在、世界石油の供給というものは非常に緩和基調にございますけれども、我が国がその依存を中東に頼っている、その中東が非常に不安定な情勢であるということは、なお逼迫した情勢というものが当分続くわけでございます。したがって、今いろいろと委員が申し上げられたようなエネルギーコストの減少というような要請も配慮しながら、やはり私たちはこの油の供給というものの安全保障というものを基本にしながら、今までと同じような石油、いわゆるエネルギー対策というものを着実に推進していく、これが当面の私どもの考え方でございます。
  196. 長田武士

    長田委員 通産大臣、私申し上げておりますのは、国の財政の面から言いましても、どうしてもある程度予算を削らなくちゃならない、そういう事態に陥っているのですね。予算を見てもそうじゃありませんか。そういう意味で、代替エネルギーの開発とか、それは必要であります。必要でありますけれども、いま私が数字を示したように、際限なくどんどんどんどんふえていくということについて、これでいいのかという疑問を私は率直に言って持ちます。その点についてもう一度明確な答弁をしてください。
  197. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 OPEC諸国の原油の値下げというものが石油税の負担を非常に減少させた、それが今回の税の拡充ということにつながるわけでございまして、今回の拡充というものは中長期的な観点から必要最小限の措置をしたわけでございます。石油の値段が下がったということによりまして、税の負担というものはそれほど大きなものになるとは私どもには考えられないわけでございます。
  198. 長田武士

    長田委員 今通産大臣が言われましたとおり、去年の春でしたか、OPECが五ドル引き下げを行いました。その影響といいますか効果経済効果というのは我が国もようやく出てきたような感じを持っております。まだ跛行性は残っておりますけれども、企業の業績に明るさが見え始めてまいりました。景気も緩やかながら上昇を続けておる状況でございます。  この原油価格の値下がりは、輸入代金の支払いが約二兆円減ったわけであります。当時経企庁が世界経済モデルを使いまして計算したところによりますと、原油五ドルの値下がりは一年目には〇・三五%、二年目には〇・九三%実質経済成長率を押し上げる。このようにモデルを発表いたしております。また国内物価は、一年目には二・〇四、二年目には三・八九下がり、産業関連表によりまして計算いたしましても、卸売物価は二・一%、消費者物価は一・〇五%それぞれ引き下げるだけの効果が出てくるであろうというふうにモデルが示しております。  我々は第一次石油ショック以来十年にわたってインフレと不況に非常に泣かされてまいりました。ですから、この原油の値下がりによる経済効果を確実なものとして国民に還元するために種々の提案を私もしてまいりました。例えば電力会社が原油の値下がりによりまして受ける利益、九電力で五千億円については、料金の値下げが無理ならば、これは大蔵省も相当難色を示しましたけれども、無税の処置をとった上でガラス張りにして積み立てておいて、後に電気料金の引き上げが必要、例えば原油が上がったとか、あるいは為替レートが変動したというようなときに電気料金を上げるというようなことが随分ありましたけれども、そういうときに緊急避難的にそういう金を使うべきだ、このように私は提案をいたしました。前通産大臣もこれについては非常に賛成をいたしました。  ところがどうでしょう。去年の十月二十一日の政府の総合経済対策の一環といたしまして電力会社に一千百億円の前倒し、それから五千百億円の追加の公共投資をやれ。こういう経済対策が打ち出されまして、通産省が行政指導をやりました。この国民に還元すべき五千億円というお金は結局は公共投資に回してしまった、いわゆる設備投資に回してしまった、こういう事実があります。そういうことをしたのでは経済効果というのは非常に薄い、何にもならぬということを私はそのときも強く主張しました。そういう意味で今回のLPGやLNGの新規課税によって経済効果というのがまさになくなってしまうだろうということを危惧いたしておるわけであります。  こうした石油税の引き上げが今後物価の上昇とか、あるいは景気の回復ということについて相当足を引っ張られるであろうというように私は考えます。ですから私は、この石油税の問題については、昨年の二月ごろ当委員会及び物価問題等特別委員会におきまして、通産大臣にも経企庁長官にもこの点は重々申し入れました。そうして石油税の問題については、消費者ばかりではなくて財界あるいは言論界からもこぞって反対をいたしております。またOECDでも昨年の三月に、石油の値下がりがあっても、石油関税の導入等の措置をとると、経済成長どころか逆に低下するというような分析結果を発表いたしております。そうして先進各国に警鐘を鳴らしておるわけですね。  通産大臣、私はこの問題については率直な意見は今申し上げたとおりなんですよ。経済効果を失う、さらに景気の足を引っ張る、物価の上昇につながるという点において、これは余り得策な政策手段ではなかろう、このように考えておりますが、どうでしょうかの
  199. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 石油の値下がりによる経済効果ということは確かにございましょう。しかし、石油の値下がりによってエネルギー対策あるいは代替エネルギー対策というものの根源になるところの石油税収というものもまた減少してしまう。これは中長期的に見て我が国のエネルギー対策というものを行わなければならない財源を低くすることであります。したがって、今回の石油税の拡充というものは、歳出を極力抑えて必要最小限の措置を行わざるを得なかったということを御理解願いたいのでございます。
  200. 長田武士

    長田委員 石油税は現状は三・五%。これは従価税ですからね、原油が下がれば税収が減るのは当然の理だろうと私は考えます。それだけではありませんね。既に石油の輸入量や消費量が第一次石油ショック以来、その当時と比べてまいりますと大幅に減少いたしております。価格ばかりでなく量も減っております。これを輸入量で見てまいりますと、よく聞いてくださいよ、四十八年度が二億八千九百万キロリッター。ところが五十七年度は二億七百万キロリッター。実に八千二百万キロリッターも減少しておるのです。これはいいことなんですよ、日本にとっては。値段が下がる、輸入量が減るということは、経済効果にとってはまことにタイムリーであると私は考えております。  五十八年度の輸入量は第一次石油ショックのころの三分の二程度にまで減っているというのが現実です。一方、石油消費量のGNP原単位で見てまいりますと、一九七三年を一〇〇といたしまして、八二年には五七・一%にまで下がっております。そうして昨年の四−六月期では五四・七七とさらに減ってきておる現状であります。五十七年度のアメリカが七四・六六ですね。西ドイツが六六・三六となっておりますから、これらと比較いたしましても、我が国石油消費量というのは極めて着実に減ってきておるというのは実態でも明らかです。もちろんこれは節約もありますけれども、石炭とかLNGなどへのエネルギーの転換が進められた結果だろうと私は考えます。  すなわち四十八年から五十七年までに我が国GNPは実質で一・四一倍になっておりますけれども、エネルギー全体の需要量は、第一次石油ショックのころからほとんどふえていないのが実情です。数字、私きょう全部持ってきましたけれども、これは間違いないのです。エネルギーのGNP原単位が約三割方減っているためであろうかと考えます。  こうした国内事情の変化は、原油の値下がりという国際的なエネルギー情勢の変化とともに、当然我が国のエネルギー政策に反映されなければならないであろうと私は考えます。したがいまして、通産大臣は、こうしたエネルギー情勢の変化に対しまして、当然具体的なエネルギー政策の新しい方向を私は示すべきである、このように考えております。今後とも石油や電力の消費が減った場合、石減税や電力税の引き上げを続けていってしまうというような安易な考え方はぜひとらないでほしい、そういうふうに考えますが、どうでしょうか。
  201. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 エネルギー対策におきましては、何よりもそれは第一に国民の生活を安定させること、国民経済を安定させる供給ということをしていかなければならないことだと思うのです。もちろん多角的な供給ということが可能であるならば結構なことでございますが、それは非常に難しい日本のいわば悲願でございまして、現状では多角的な供給ということを大いに望みながらも、安定的な供給を確保するということが私はまず第一の問題だと思うのです。  二番目には、もちろんそのための備蓄を行うということ、さらにIEAを中心とした国際協力をしていくことが今我々の考える諸点だと思うのです。こういうことのために、新しい事態を迎えたと申しましても、やはり日本は、何回も申し上げることでございますが、中東における依存度というものが非常に高い、中東の情勢というものは依然として前よりも非常に不安定な状態であるということを考えれば、諸般の情勢を踏まえましても、エネルギー政策というものをこの場でどう改めていくかということは私は非常に難しい問題であると思います。  以上、私が申し上げたような観点に立ちまして政策を遂行していくということが現在の立場でございます。
  202. 長田武士

    長田委員 私は、通産大臣、第一次の石油ショック以来の状況と現状では大分違うということを言いたいのです。したがって、代替エネルギーの開発等々私は絶対必要だと思います。だけれども、これ、内容に触れますけれども、ひとつお聞きになってください。昨年の十一月十六日、総合エネルギー調査会が「長期エネルギー需給見通し」を発表いたしました。その中で、第二次石油ショック後におけるエネルギー情勢の変化に対応して新たなエネルギー政策の基本理念ともいうべきものをこの中で提言をいたしております。この提言は、第一次石油ショック後、エネルギーであれば何でも確保しよう、利用しようという政策は転換する必要があると言っています。そしてこれからはセキュリティー一本やりではなくて、エネルギーコストの上昇が国民生活に与える影響が甚大であるから、エネルギーコストの低減を図ることがセキュリティーの確保とともに重要な課題であるということを提言をいたしております。セキュリティーの確保を急ぎ過ぎると、どうしても国民に過重な負担を強いるようになることは当然であります。  今回の石油税の増税、三・五%から一・二%引き上げて四・七ということであります。さらにLPG、LNGへの新税、これも一・二%新税を課するということでありますから、こういう考え方はどうもこの提言とはそぐわないんじゃないか。ただ、輸入が減り、エネルギーが五ドル安くなった、したがって石油税が落ち込む、だから石油税を上げればいいんだというような安易なやり方は、私は政策判断としてはこの提言にも反するんじゃないかというふうに考えますが、どうでしょうか。
  203. 豊島格

    ○豊島政府委員 確かに石油情勢、需給が緩和しておるということも事実でございますし、エネルギーの消費ということが、先生最初に申されましたように、省エネ効果その他で非常に減ってきておるということも事実でございます。しかし、先ほど来大臣が申し上げておりますように、中長期的に見るとエネルギー問題は非常に大事でございまして、そういう意味で、基本的には石油の安定確保も必要だし、備蓄も必要だ、ある。いは省エネ、代エネも進めなければいけないいうことを再三申し上げておるところでございます。  ところで、昨年の総合エネ調の報告といいますか答申との絡みで、エネルギーコストを下げろと言っているときに一体どういうことか、こういうことでございますが、私どもといたしましても、その報告を受けるまでもなく、こういう情勢でございますので、できる限りエネルギー政策というのは効率的あるいは重点的にやっていくということでございまして、例えば代替エネルギーの開発、新エネルギーの開発につきましても、やはりある程度経済性を考えていかなくてはいけないということで、段階ごとに評価をしていくということをいたしております。  例えば太陽熱発電というものは既に初期の段階はやったわけでございますが、現在の日本の日照条件、気象条件考えると、なかなか当面の技術では日本で十分利用できないということで、その辺で打ち切る。あるいは石炭液化につきましても、三つの方式で実験的なプラントをやっておりまじたわけでございますが、五十九年度から二百トンないし二百五十トンのパイロットプラントをつくるという段階になりますと、従来の成果を十分考えて、これを一本に絞るということで、できるだけ効率的にやろう、こういうことでございまして、備蓄その他につきましても、できる限りコストの安くなるように、そういう努力を続けておるということでございます。  しかし、そうはいたしましても、やはり必要な対策ということは要るわけでございまして、それには一定の削減に限度が要るということでございまして、そういう意味で、中長期的に見て不足する財源について石油税の拡充をお願いしたわけでございますが、翻って、なぜこのようにGNP当たりのエネルギー消費が下がったか、あるいは代エネの導入が下がったかということにつきましては、これまでのエネルギー政策、省エネ、代エネ政策というのが日本だけの努力ではなくて世界的な努力ですが、そういうことを怠りなくやったためにこういう事態が生じて、望ましい状態ができているわけでございまして、これを一日たりとも緩めるということは結局またもとのもくあみになってしまうということでございます。  したがいまして、石油税の拡充につきましては、あらゆる経費を削減して必要最小限度、そのこと自身が中長期的に見るとエネルギーコストの上昇を抑える、あるいは低減、そういうふうにつながる、このように考えておるわけでございます。
  204. 長田武士

    長田委員 それではお尋ねしますけれども、LPG、LNG新税ですね。これは新税ですから、政府基本方針の「増税なき財政再建」、これに反しませんか。問題だよ、これは。
  205. 豊島格

    ○豊島政府委員 今御指摘石油税について拡充するということ、それから新しく対象を広げたことにつきましては、「増税なき財政再建」に反するのじゃないかということでございますが、政府方針あるいは臨調答申を我々よく読んでおるわけでございますが、その場合、歳出最大限カットするということが一つのことでございまして、それでもなお足らない場合においても、第一の条件を満たすわけですが、その次に、やはり税というものは国民の税負担率を上げるような新税のあれは困る、こういうことでございまして、私ども、石油税の拡充をいたしましても、過去における税の負担に比べましてむしろ今後は減っていく。石油の税の増収自身もそれほど大きなものではございませんし、GNP当たりの負担ということからいいますと、具体的数字を申しますと、過去大体 〇・二%弱というところでございましたが、今後もそれ以下の水準にとどまるということでございまして、そういう意味から「増税なき財政再建」、そういう点にも特に反しない、そういうふうにも考えられるというふうに思う次第でございます。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  206. 長田武士

    長田委員 「増税なき財政再建」に反しないということですね。反しないのですね。間違いないですか。はっきり言ってよ。
  207. 豊島格

    ○豊島政府委員 一応形式的には、税の拡充をし税率を上げるわけでございますが、臨調指摘しております意味での「増税なき財政再建」、すなわち国民の税負担率をこれによって上げるということには結果的にならない。したがって、私どもとしてはそのように理解しておるわけでございます。
  208. 長田武士

    長田委員 私にはちょっとわからない。こういうことでは、ちょっと次の質問に進めませんね。
  209. 梶山静六

    梶山委員長 豊島資源エネルギー庁長官、再答弁を願います。
  210. 豊島格

    ○豊島政府委員 臨時行政調査会の基本答申、五十七年七月ということでございますが、「「増税なき財政再建」という基本方針は断固堅持すべきである。ここで「増税なき財政再建」とは、当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率(対国民所得比)の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、ということを意味している。」ということでございます。したがいまして、国民所得に占める石油税収の割合というのは、過去大体〇・二%ぐらいでございましたが、五十九年度は〇・一六ぐらい、六十年度、これは予測の問題でございますが、一定の率でGNP伸びを見ておるわけですが、〇・一七ぐらい、これは計算によって若干の幅はあるかもわかりません。そういう意味で、基本的には税負担率の上昇をもたらすような新たな措置ということではないというふうに我々は理解しておるわけでございます。
  211. 長田武士

    長田委員 どうも、私たちの理解とちょっと違うようですね。頭の構造がやはりそちらの方がいいものですから、よくわからぬです。  それでは、徹底的な削減をすればいいんだということの理解でいいですか、新税は設けても。
  212. 豊島格

    ○豊島政府委員 先ほど来お答えいたしておりますが、まず歳出の徹底削減を行うべくということ、そういうことを努力して、それと同時に、「全体としての租税負担率(対国民所得比)の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらないこということでございますが、今回の石油税の拡充におきましては、税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置ということには当たらないというふうに考えております。したがって、臨調で言う「増税なき財政再建」の精神には反しておらない。税金は上げない方がそれはよろしいのかもしれませんけれども、反しておるわけではない、こういうことでございます。
  213. 長田武士

    長田委員 通産大臣、今の答弁でおわかりでしょうか。私、どうもわからないのですけれども、通産大臣、ちょっと簡単に言っていただけますか。
  214. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 何回も申し上げますとおり、今回の石油税の拡充は、原油価格の引き下げに伴う税収の減少見込み、このためにこれに対応しなければならないという措置は御理解いただけると思うのです。その拡充に当たりましては、いろいろな意味で施策の重点化、効率化によりまして最大限の歳出カットを行った、その上で、エネルギー対策というものを中長期的な面でとらえて着実に推進していかなければならないということも御理解いただけると思うのでございます。そして最後に、今回の措置によって石油税収は、今までの実績と比べてそれほど大幅に増加するものではない、したがって臨調答申には反しないという我々の考え方を御理解いただきたい、かようなことでございます。
  215. 長田武士

    長田委員 今回の石油税問題は、ようやく息を吹き返しておりますところの基礎素材産業にこれは新たな打撃を与えているのですね。それだけではありません。LNGへの課税は、国際的にも今後問題になるだろうというような感じを私は持っております。今、LNG価格は石油に連動いたしております。長期契約で硬直的になっておるわけでありますが、今産ガス国との取引関係を緩和するための交渉が行われております。LNGの新規課税は産ガス国に格好の口実を与えることになりかねないんじゃないかというふうに危惧している向きも非常にあるのですね。  物価の安定や景気回復の国民の願いや総合エネルギー調査会の意見、それにただいまも申し上げましたとおり、いろんな海外での要因というふうに考えますと、LNG、LPGへの新税というのは厳に戒めなくちゃいけない、私はこのように考えておるわけであります。むしろ、それよりも石油税の使い残りがありますね。一般会計の留保分というのが四千九百六十億円あります。それを使ってもらった方が私は筋としては立派に立つのじゃないかと思いますが、その点どうでしょうか。石油税が五十三年に新設されましたときの答弁だと、目的税的にこれを使うということになったと思いますよ。実際問題四千九百六十億円あるのですから、六百七十億円さらに石油税を上げるとか、LPG,LNGの新税を設けないで一般会計の留保分四千九百六十億円を使うべきだ、こう思いますが、どうでしょう。
  216. 豊島格

    ○豊島政府委員 先ほども大臣が答弁いたしましたように、石油対策あるいは石油代替エネルギー対策というものは中長期的な観点から進めなくちゃいけないということで、そういう意味での中長期的な安定的な財源が必要だということでございます。そこで、先ほど来議論になっておりますように、石油の値段が五ドル下がった、あるいは需要が減少したということもございまして、歳出最大限カットする、それから石油税の中で特別会計に繰り入れられておるような未済額、先ほどございました五千億弱でございますが、それを仮に全額取り崩すといたしましても、中長期的には依然として相当穴があくということははっきりしておるわけでございます。  そこで、私どもとしては一般会計が厳しい財政状況にあるということでございますが、そういう中で石油税収の繰入未済額を五十九年度最大限取り崩すとして、そこでもなお足りない分を必要な税の拡充ということでお願いしておる、こういうことでございまして、いずれにいたしましても、この未済額はいずれ全部返していただく、特別会計に繰り入れていただくということを前提にして、なおかつ足りない分をお願いしておる、こういうわけでございます。
  217. 長田武士

    長田委員 あれは目的税的なものに使うというふうになっていたのですよ。ちょっと話が違うじゃないですか。
  218. 豊島格

    ○豊島政府委員 石油税として収入で上がったものにつきましては、一たん一般会計を通じて特別会計に繰り入れられる、その年度に必要な額が繰り入れられるということになっておりまして、それまでの未済額も当然繰り入れの対象になるわけでございます。ただ、実際問題としてこれが一般会計に積み立てられておるわけではなくて、いろいろ財政が苦しい中で使われておるわけでございまして、実際それを積み立てておるわけでないからそう簡単ではないということでございますが、いずれにしましても、石油及び石油代替エネルギー政策に使うために最終的に特別会計へ入るということでは先生のおっしゃるとおりでございまして、今後も当然全部入る、その時期が若干ずれるということでございまして、全部入る、そういう趣旨においては全くおっしゃるとおりでございまして、変わりございません。
  219. 長田武士

    長田委員 石油税が繰り入れられている石特会計、この予算の使い方ももう一度考え直したらいいんじゃいかと私は思うのですよ。例えば石炭液化などのために五十八年度では二百三億円、ことしの予算では百九十六億円使うことになっているのです。間違いないですね。しかし、専門家の話によりますと、仮に石炭液化ができるようになったといたしましても、一バレル当たり大体八十ドル以上になると言っているのですよ。したがいまして、原油が八十ドル以上に値上がりするということになるならば話は別ですが、今二十九ドルでしょう。それを八十ドルになるような石炭液化を一生懸命に研究する。多少コストは下がると私は見るのでありますけれども、今そんなに急いで百九十六億円も使わなくてもいいのじゃないか。歳出削減、むだ削減とさっき言いましたね。もう徹底的に歳出カットしましたと言っておりましたけれども、百九十六億円は大金じゃないですか。しかも石炭液化をやっても八十ドルですよ。幾らコストを下げても七十ドルは無理だろうというふうに専門家は言っております。こういうものを一生懸命やれやれといって金を出しておるということになりますと、石油税は上げなくても済むのじゃないかというような感じも私は非常に強く持つわけであります。  しかも、この石炭液化は今後七年間に一千億を注ぎ込もうという計画なんでしょう。これは私だけではなくて一般国民の皆さんだってみんな疑問を持つと思いますよ。そして石特会計ではこうした石油代替エネルギー対策に毎年五百億円以上の予算が使われておりますね。また、電源開発特別会計を見ましても、太陽エネルギー発電等の開発導入のための五十八年度予算は百三十億円、五十九年度は百四十七億円という大金が注ぎ込まれようとしておるわけであります。四国の西条市に太陽光試験発電所というのがあります。これは一千キロワットですよ。パイロットプラントが建設されておるのでありますが、これらの研究開発は、私はやめろとは言いませんけれども、石油税や電促税の値上げをしてまでもやらなくちゃならないものかなというような疑問を持っております。こういう点はある程度スローダウンすべきじゃないかと思いますが、この二点についてどうでしょうか。
  220. 豊島格

    ○豊島政府委員 石炭液化が、現在の原油二十九ドルのときにすぐ要るのかという御議論でございますが、確かに今直ちに石炭液化プロジェクトがないと、液化ができないと、ということではないかもわかりません。ただ、現在の日本の石炭液化の研究開発段階と申しますのは、ようやく五十八年度で実験プラントの段階を経て五十九年度以降パイロットプラントの段階に入ろうということでございまして、その後にはさらに実用化するためには実証プラント、デモンストレーションプラントというものをつくらなくちゃいけないわけでございます。  いずれにしても、将来石油の需給がタイト化してくるということになりますと、この液化はどうしても必要になるわけでございまして、石炭をそのまま燃やしたのでは使えない分野がございますので、そのためにどうしても必要だ。諸外国の情勢を見ますと、アメリカあたりではもうパイロットプラントの段階を終わりまして、実用化段階はもう少し見合わせておるということでございまして、日本段階から見ますと、少なくとも実用化の必要が生じたときのために必要な基礎的な研究というのはどうしても続けていく必要がある。自分でも技術を持たないと外国から技術を入れるためにもそれだけの力が要るわけでございます。また、アメリカあたりで開発されておる水準もまだ必ずしも十分なものでないということで、非常に基礎的な段階でございまして、これは着実に時間をかけてやっていく、そういう意味で現時点から十分準備をしていかなければいけないと思います。  なお、今後一千億くらいかかるのじゃないかというお話でございますが、実は五十五年に石炭液化を考えたときには、もっと早く実用化の段階が要るの心やないかということで、たとえば実証段階六十五年くらいまでに一兆円くらいの金が要るのじゃないかということでございましたが、それを絞りまして、さらに先ほど申しましたように三プロジェクトを一プロジェクトに縮める、合理化するということで三千億以上かかるものを一千億に縮めた、節約した、効率化した、こういうことでございまして、必要なものにつきまして最大限の効率化を図ってやっておるというのが石炭液化の研究開発の現状で、どうしてもこれだけは必要であると考えておる次第でございます。  それから仁尾町の太陽熱発電でございましたか、これは私も先ほど触れたわけでございますが、一応やってみた結果それなりの成果は上がったわけでございます。ただ、現在の技術水準あるいは一般的なエネルギーの情勢、あるいは日本における気象の特殊条件といいますか、サウジアラビアその他における日照時間とか日照の強さの問題から見ると、どうも太陽熱発電についてはなかなか日本では経済化できないだろう。まあ、サウジとかそういうところへ持っていけばまた別ですが、そういう意味で太陽熱発電については一応の研究成果があったので、それ以上ステップアップするということはこの際やめるということで、だらだらいつまでもやることは決してしない、そういう意味で打ち切ったということでございます。
  221. 長田武士

    長田委員 今お話がありました石炭液化ですけれども、一千億使って実用化の見通しはありますか。
  222. 豊島格

    ○豊島政府委員 石油の需給ないし価格がどうなるかということにつきましては、いろいろと議論のあるところでございますが、IEAあるいはメジャーその他の研究機関の予測によりますと、共通して、大体一九九〇年からその後半にかけていろいろな節約とか代替エネルギーの開発が進んでも八百ないし四百万バレルの不足があるだろう、そうすると石油の価格もそれに応じて相当上がるということが基本的には一致した見解でございます。したがって、今すぐということではございませんが、一九九〇年代から後半にかけましてそういう情勢が出てくるということになりますと、当然のことながら従来石油で賄っていた分もそれ以外で賄わなければいけないということでございまして、特に流体燃料で賄わなければならない分野につきましては、液化ということがなければ十分それに対抗できないというのが一般的な見方でございますが、それがいつの時期になるかということについては、幅のある議論でございますし、今後のエネルギー情勢によります。  いずれにしても、今申し上げましたような石油情勢を踏まえて考えるとどうしても必要である、このように考える次第でございます。
  223. 長田武士

    長田委員 私は、石油国家備蓄の問題にいたしましてもちょっと疑問を持っているのです。もちろん中東情勢の問題、さっき通産大臣おっしゃいましたけれども、あることは私は十分承知をいたしております。この問題についてあとちょっと触れるわけでありますが、通産大臣よく御存じのとおりでありますが、石油の備蓄について、既に民間が国の援助を得まして常に九十日分は用意されております。それ以上備蓄を行っておるわけですね。国家備蓄は、当初の計画では、六十三年までに三千万キロリッターの備蓄を行うという計画をいたしました。これは昭和五十二年六月の長期エネルギー需給見通しが一日当たり石油の消費量が六十年度におきまして百万キロリッターとなっておりましたから、それを三十倍いたしまして三千万キロリッターに決めたという経緯があるのですね。ところが、先ほども申し上げましたように、エネルギー消費量はほとんどふえておりませんし、石油は逆に減り続けておるというのが現状であります。すなわち、石油は五十七年度で一日当たりの消費量が五十四万キロリッター、昨年十一月の長期エネルギー需給見通しては、六十五年度における一日当たりの石油の消費量を五十六万キロリッターとして計算をいたしております。  そこで、通産省は国家備蓄の目標年度を六十二年から二年間繰り下げたそうでありますけれども、一日当たりの石油消費量の見通しが五割以上も減っておるにもかかわらず、五十三年度当初一日当たり消費量百万キロリッターを基礎としてつくられた備蓄目標三千万キロリッターを見直そうという状況ではないようであります。しかも、国家備蓄は五十七年度の一日当たりの消費量五十四万キロリッターで割ってまいりますと約二十二日分に当たる一千百九十万キロリッターに達しております。そうして五十九年度にも二百五十万キロリッターを積み増しをしようというふうな計画でございますから、備蓄基地の建設も推進する計画で約千七百八十億円の予算が実は計上されております。  通産大臣、石油の消費量は、以上、私がるる申し上げましたとおり、大分下降ぎみなんです。これはいいことなんです。そういう意味で、私は備蓄をないがしろにしろとは決して言っていませんけれども、そこらの見直しがエネルギーコストにどうしても降りかかってくる。また石油税を上げるとか新税を設けるという結果になり、国民が負担をするということになります。こうなったのではうまくないのではないかという意味で、この備蓄の問題についても再検討する必要があるのではなかろうか、このように私は考えていますが、どうでしょうか。
  224. 豊島格

    ○豊島政府委員 民間備蓄のほかに国家備蓄三千万キロリットルを目標に推進するというのは、五十三年当時の状況といたしましては、IEAの加盟国の平均の備蓄が百二十日であった、日本はIEA加盟国の中でもエネルギーにおける石油依存度が非常に高い、しかも中東依存も高いということで、少なくともIEA並みまでは持っていかなくちゃいけないということでございまして、当時の一日当たり百万キロリットルということですと、九十日にプラス三十日分ということだと大体三千万キロリットルを三十日分として持たなくちゃいけない、こういうことで、それは先生の御指摘のとおりだと思います。  それでは、その三千万キロリットルは今日のように石油需要が減っている際、見直すべきではないかというのが御指摘かと思います。この点につきましては、私どもとしても当然いろいろ議論はいたしましたし、昨年の総合エネルギー調査会のエネルギー政策の再点検といいますか総点検におきましても、いろいろと審議を賜ったところでございますが、その後の情勢から見てどうもこの程度のものでは、この程度といいますか、百二十日分ぐらいでは非常に不足するといいますか、IEAの情勢を見ますと大体平均百六十七日ということでございまして、西独あたりは百三十日を超える、アメリカも三百日を超えるということでございまして、日本のエネルギーの脆弱なる供給構造を見ますとき、IEAの諸国の平均とまでいくかどうかは別として、そこまで、それに近づくようにできるだけ努力しなくちゃいけない、そういうことにいたしますと、この三千万キロリットルというのは大体五十三日分くらいでございまして、九十日に足して百四十三日にしかならない。しかも、IEAで百六十七日と申しますのは、デッドストックその他をとっておりますので、日本もその百四十三日というのをIEA並みにいたしますと大体百二十八日になるわけでございまして、そういう意味で、日本の置かれたる状態から見て、まだまだ十分ではないという感じがいたしたわけでございます。  なお、昨年の五月にございましたIEAの閣僚会議でも、備蓄の必要性は、今後引き続き強化していけということも決議されておりますし、それから八二年のIEAがいたしております対日審査の中でも、日本の輸入依存度の高さを考える。場合、備蓄についてはもっと充実しろということも言われております。  そんなことを考えて総合いたしますと、三千万キロリットルというのは決して多いとはいえない、むしろ国際的に見ると現状でも少ない、こういうことでございまして、そこで、見直す必要はない。ただ、それにつきましても効率的にやるということの必要性はございまして、それはそれとして進めていくということでございます。
  225. 長田武士

    長田委員 エネルギー庁長官、多ければ多いほどいいのですよ。私はそれに逆らおうなんて思っていないのです。ただ、当初の目標と現在では状況が違うでしょうということなんです。そういう点で、当初の目標についてはその成果は十分達成できておる。そして、備蓄するには金が相当かかるのです。それに対してまた石油税の値上げとか新税の創設ということを考えた上でやると、これはちょっと話が筋が違いはしませんかということを言っているのです。簡単に答えてよ。
  226. 豊島格

    ○豊島政府委員 確かに五十三年当時としては、とりあえず国際並みということで、百二十日ぐらいあれば何とか国際的なレベルに達するかということでございましたけれども、現状から見ますとそれではとても不十分でございまして、国際的な水準に届くかどうかは別として、それに向かって着実にふやしていく必要がある、そういう意味で言うと、現状を見ますと確かに一日当たりの消費量は減っておりますが、国際的な立場を考えますと、やはり三千万を変える必要はない、こういうことでございます。もちろんそのためにコストは要るわけですけれども、それだけの必要性があるということでございます。  日本は、御承知のように、石油の消費においてもあるいは輸入においても自由世界で二位ということで、日本がそれだけの石油を使っているということから考えますと、輸入しているということから考えますと、国際的な責務としても、そういう供給途絶のときにも日本がちゃんとそれだけの備えをしているということは、国際協力の観点からいっても当然必要である。むしろ、国際並みの備蓄ということはそういう観点からも要請されるのではないか。そういう意味で、この際変える必要はない。情勢は、需要が減ったということでは変わっておりますが、全体的な絡み、国際的な見方からいうと、やはりこの程度はどうしても必要だ、こういうふうに考えるわけでございます。
  227. 長田武士

    長田委員 去年の十二月十七日に外務省が資料を出しておりますね。これは、ホルムズ海峡が封鎖された場合石油の供給がとまっても、我が国は国内備蓄だけで二百十五日間持ちこたえることができるというような資料が出ています。御存じですね。外務省から出ている。
  228. 豊島格

    ○豊島政府委員 その資料は私ども見でおりません。
  229. 長田武士

    長田委員 では、私が見ておりますから御説明を申し上げます。  また、IEAの緊急融通制度が発動されれば、何と七百十六日間持ちこたえることができるという試算を外務省が発表いたしております。すなわち、ホルムズ海峡を通って我が国に供給される石油の量は、我が国の輸入量全体の約六割なんですね。その輸入が仮にとまったといたしましても、国民や産業界が冷静に対応すれば混乱が起きる心配のないことをこの表で示しております。  ですから、エネルギー政策の基本的考え方にいたしましても、石油ショックのころの考え方をいつまでも踏襲するのではなくて、情勢の変化に十分対応して、もっとエネルギーコストを引き下げるというコスト面からの重視を図る必要があるのではないか、そういうことを私は言いたい。そうすれば、石油税の引き上げなんというのはやらなくて済む。石油に対する税金は、石油税のほかに石油関税というのがありますね。それから、ガソリン税、石油ガス税、ジェット燃料税、軽油引取税など、数多く課税されておるわけであります。五十八年度で申しますと、所得税法人税に次いで第三位であります。国税収入の実に七・六%に達しております。ところが、その使い道の七九・一%は道路整備の財源であります。エネルギー対策に使われているのは、石炭対策、石油代替エネルギー対策、石油対策の三つを合計いたしましても、わずか一八・八%であります。一八・八%ですよ。  そこで、今後のエネルギー対策を考える上でもう一つ重要なことは、こうした石油関連の税金の使い道についても見直しを図っていく必要が当然出てきたのではないかというふうに私は考えております。そういう意味で、通産大臣、今御説明したとおりでありまして、外務省の資料というのは非常に楽観的です。そして、備蓄は大切です。しかし、産業界が、あるいは我々の国民生活が混乱する状況ではないということを外務省はこのように発表いたしております。一方においては、通産省は、それぞれというわけで税金を上げよう、足らない足らないと言ってやってきておる。そして、何と国税の七・六%も、第三位ですよ、石油関連税が。そして、使っているのはほとんど道路。石油対策なんてうまいことを言ったって、全然使っていない。こういう実態でいいんですかね。
  230. 豊島格

    ○豊島政府委員 外務省の資料、私もよく知りませんので、何とも申し上げられませんが、簡単に言いますと、現在大体百二十日の備蓄があるわけでございますが、そのうちランニングストックが四十五日あるとしますと、これは製油所に回るのもありましょうし、製品備蓄として、いろいろと製品の在庫として全国にディストリビュートするためにはどうしても必要なもので、これもゼロにするわけにはいかないと考えると、大体七十五日分ぐらいある。ホルムズ海峡の依存度は、六〇というのは六五でもいいのですが、仮に今八三年の平均が六五といたしますと、そうすると、それで割ると、百十五、六日という数字になるわけでございます。  もちろん、ホルムズ海峡が仮に封鎖されても、船が全部とまりましても、若干の供給余力のある国もございますから、そこが増産をする、あるいは節約をする、IEAということもございますが、先ほどのような大きな数字になるということは私どもとても予想できないわけでございまして、一度どういう資料があるのか見てみたいと思いますが、いずれにしましても、それはそれとして、エネルギーコストの低減を図るということは中長期的にも必要でございまして、備蓄は短期的な混乱を防ぐということでございますが、中長期的に見て、エネルギーコストを下げるといいますか、上げないためには、代エネ、省エネ対策を着実にやっていくということが、結局、産業、国民生活にとっても長い目で見て利するというわけでございます。そのこと自身は、石油ショック以来の今日の状況、代エネ、省エネを進めてきたということによってはっきりしているのではないかと思います。  それから第二の、先生御指摘の、石油関係の税が非常に多い、しかもその八割以上が道路財源であるということは御指摘のとおりでございますが、この現状につきまして、私ども所管外にわたるものもございますので、正式に今コメントするということはこの場で差し控えさせていただきたいと思いますが、先生のような御意見が非常に重要な意見としてあるということは我々も承知しておるわけでございまして、その辺は非常に大事な、非常に貴重な御意見だと思います。しかし、いずれにいたしましても、この問題につきましては、今後の道路整備の進め方がどうなるのか、あるいはエネルギー対策との関係をどうするのか、あるいは受益と負担との関係をどうするのかということで、いろいろな角度から総合的に検討さるべき問題であるということは、先生御指摘のとおりだと思います。我々も、そういうことでいろいろと勉強していく必要があると考えておる次第でございます。
  231. 長田武士

    長田委員 時間が参りましたので、最後なんですけれども、通産大臣、今申し上げましたとおり、私は、歳出の削減というのはまだまだできる余地があるように思います。そういう意味では、今回、石油税を引き上げる、さらにはLPG、LNGに対して一・二%の税を課するということは、こういう点をもう一度洗い直せば必要ないんじゃないか、僕はこのように考えますが、この石油税等についての撤回の考え方はありませんか、ありますか、最後にお尋ねをして終わります。
  232. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 御意見は十分承りましたけれども、当面この対策を見直すつもりはございません。
  233. 長田武士

    長田委員 終わります。
  234. 梶山静六

    梶山委員長 青山丘君。
  235. 青山丘

    ○青山委員 商工委員会における私の質問の最初ですので、できるだけ通産大臣に総括的に入り口の話でお尋ねをしていきたいと思います。  昭和五十六年、最初の対米自動車自主規制のときの通産大臣、田中通産大臣が、いかなる場合においても一九八四年三月を限度として終了する、こういうふうに自主規制について発表しておられますが、今回さらに一年間延長、こういう発表がなされました。その背景について、どのように受けとめておられてこのようなことになったのか、お尋ねいたします。
  236. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 対米自動車輸出の自主規制は八一年から八三年までのものでございますが、その翌年に自主規制が解除されるということは当然そこに混乱が生ずるであろうということによりまして、八四年は経過的な措置としてこれを行ったということで御理解願いたいのでございます。
  237. 青山丘

    ○青山委員 気持ちはわかりますが、実は今回の措置は、前回の三年間の措置もそうですが、ガットの精神には沿わない、全く二国間の任意のもので、日本の自発的なものだ、こういうことなんでしょうが、OECDあたりは、保護貿易主義を助長させる、そういう結果になっていくので好ましくないと表明しているのです。もし、こういう自主規制がさらに進められるということになってきますと、本来は国際ルールの中でやっていくのが一番好ましかったのではないかと思うのです。それを、アメリカとだけということになってくるとまずいのじゃないかと思うのですね。いかがでしょうか。
  238. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  まず、八一年度から三年間の輸出自主規制措置に入ったわけでございますけれども、現在が三年目の実施をしているわけでございますが、この現在行っております輸出の自主規制措置と申しますのは、これは先ほど大臣もお答え申し上げたわけでありますけれども、当時アメリカにおきまして自動車産業が大変な苦境に陥って、アメリカ政府の方から、アメリカの自動車産業としてその再建のために努力をしたいと思っておる、ただ、その努力をやっている間、日本サイドにおいて配慮をしてくれないか、こういうような趣旨のお話がございまして、そういったことを踏まえまして、私ども日本サイドといたしまして、アメリカ側がそういう努力をするということを前提にいたしまして、むしろ自由貿易体制を守っていく、そのために日本として、自主的な日本の判断として自主規制をやった方が、結局は自由貿易体制を守ることにつながっていくであろう、こういう大局的な立場に立ちまして行ったわけでございます。  それで、この八四年度の問題につきましては、これも先ほど大臣からお答え申し上げましたけれども、本来、八三年度で終わるわけでありますけれども、三年間横ばいで来ておるわけでございますから、その終わった後、そこで全く何らの対応もとらないということになりますと、場合によればアメリカに対して輸出がまた急激にふえて、それによってアメリカの自動車産業をめぐりましてまたいろいろな問題が起こってくる。そうしますと、また自由貿易体制にひびが入りかねない、悪影響を及ぼしかねないという観点から、四年目につきまして、これは延長ということではなく経過的な措置としてやると判断をしたわけでございます。
  239. 青山丘

    ○青山委員 自由貿易体制を維持したい、日米経済関係を一層発展していかなければいけない、そういう大局的な見地から自主的になされた自主規制ですね。三年間の間に非常に大きな成果を上げられたと私は思います。アメリカの自動車業界も大きく立ち直ってきていると思うのですね。けさもやりとりがありましたが、クライスラーあたりも大変大きな収益を上げてきておる。そういう見地から見てまいりますと、この三年間合理化も進んできた、損益分岐点も下がってきている、非常に大きな利益も上がってきている。その成果を踏まえて、普通なら最初に出されたように、いかなる場合においても一九八四年三月を限度として終了するであろうと一般的に見てきたわけです。  そこで、アメリカの自動車業界の今後の見通しについてはどのように受けとめておられますか。アメリカの自動車市場の動向をどんなふうにとらまえておられますか。
  240. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、一九八三年のアメリカの自動車メーカーの収益状況は大変好転しております。その背景といたしましては、一つには一九八三年のアメリカにおける自動車の需要がかなり回復してきたことがあったと思います。同時にもう一つは、この三年の間にアメリカの自動車メーカーが経営の合理化に努力をされた、それによって例えば損益分岐点もかなり下がってきております。そういったことを背景にいたしまして、一九八三年のアメリカのカーメーカーの経営状況は非常に好転したと思っております。  そこで、今後どうなるかでございますけれども、現在のアメリカ商務省の見通しによりますと、一九八四年のアメリカの乗用車の需要は大体千二十万台くらいになるのではないかというふうに現時点で言われておるわけでございます。
  241. 青山丘

    ○青山委員 千二十万台と言えば、損益分岐点が今恐らく八百万台ぐらいに下がってきておるんでしょう、相当な好況になってきておるはずですし、大型車需要も回復してきておる、状況は非常によろしい。にもかかわらずローカルコンテント法案が上院で通過するのではないかというような報道がなされますと、我々は誠意を持ってやってきた、そしてアメリカの業界も、かつて我々が自主規制をしたときのような米国自動車産業界が直面している困難、こういう困難は今や消失してきている状況であると思うのです。にもかかわらずローカルコンテント法案が出てきておる。もう一つは、アメリカの新聞でも、ニューヨーク・タイムズでもワシントン・ポストでもあるいはウォール・ストリート・ジャーナルでもその他の新聞でも、消費者保護の立場から日本車の自主規制は好ましくないという論調があるのですね。そういうような立場をいろいろ踏まえてみると、ローカルコンテント法案がなおかつまだ出てきているというのはまことに残念だと思うのです。その辺の御見解いかがでしょうか。
  242. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 ローカルコンテント法はまさにガットの違反でございまして、この法案がもしも成立するということになりますれば、自由貿易体制の崩壊にもつながりかねない問題であると私は認識いたしております。したがいまして、私たちは機会あるごとにこのローカルコンテント法案の成立に懸念を表明しておりますし、私が過日アメリカに行きましたときにも、ブッシュ副大統領あるいはボルドリッジ商務長官にこの懸念をはっきり表現いたしたのでございます。この法案はアメリカ政府自体も反対でございまして、レーガン大統領も種々の機会をとらえてその意思を表明いたしているということも御承知のとおりでございます。
  243. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつその態度で接していただきたいと思います。現在アメリカの自動車関連の失業者は、業績の急回復によってかなり減少したと言われておりますが、それでもなおかなりの失業者がいることは否めない事実であります。特に、本年は上院議員選挙、大統領選挙との絡みもあって、アメリカ業界の動きは実に注目すべきであると思いますが、今後の対米自動車輸出問題に対する政府の取り組み姿勢を伺っておきたいと思います。
  244. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 対米自動車輸出問題に関する我が国の業界の態度というものは、自由貿易体制というものを維持推進するのであるということは我々は強く主張し、日米の合意はもちろんあるわけでございます。さりとて選挙の年であると、さまざまな情勢によって、一方において保護主義の台頭というものも否定するわけにはまいりません。そういう中で、自動車の輸出というものが非常に難しい、あるいは市場そのものもある意味で成熟化しているということになりますれば、対米自動車輸出、自動車業界そのものが新しい時代を迎えつつあるということも言えると私は思うのです。とすれば、今後この面におきまして、やはり調和ある通商というものを考えていかなければならない。ということは、節度ある輸出であるとか、そういうものを円滑にするための条件側面からの産業協力というようなこともやはり行っていくべき時代がやってきたと私は考える次第であります。
  245. 青山丘

    ○青山委員 日本の自動車産業は輸出比率が非常に高い、そしてまた非常にすそ野の広い産業、順調に努力の成果が上がっているのですが、自動車産業に対する経済政策としてのビジョンはお持ちであるか、明らかにしていただきたいと思います。
  246. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 自動車輸出の問題でも業界は新しい時代を迎えたということは、一方において我が国の自動車市場そのものもやはりある意味で成熟化してきたということが言えるわけでございます。したがって、国内の市場のもとで流通販売、これもやはり新しい検討の時代に入ってくることは当然だと私は思います。
  247. 青山丘

    ○青山委員 いや、私がお尋ねしたのは、今後の我が国の自動車産業に対して、経済政策としてどのようなビジョンをお持ちなのかということをちょっと伺いたいと思いました。
  248. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 今私が申し上げたような環境の中で新しい時代に入った、したがって、それを検討していくということのもとに、経済政策あるいはビジョンを打ち立てていかなければならないということを申し上げたいと思います。
  249. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げたとおりでございますけれども、具体的には、大臣がお答え申し上げましたように、国内市場も成熟の段階に入ってきております。成長期と同じような考え方ではなかなかいかない面がございます。そういう観点から、具体的には流通委員会というようなものを設けまして、これは業界の方あるいは学識経験者の方、そういった第三者も入れての研究会でございますけれども、そういった場におきまして、これからの国内におきます流通販売のあり方というような問題について現在勉強をしている、こういう段階でございます。
  250. 青山丘

    ○青山委員 ぜひひとつ、非常にすそ野の広い自動車産業というものを育てていくという意味で、産業政策としてのビジョンを持って取り組んでいただきたいと思います。  高度情報技術問題について若干お尋ねします。  通産省は今後の高度情報化社会に対応するため、それにふさわしい制度の見直し、新たなルールづくり等の基盤整備に取り組もうとして、昨年十二月の産業構造審議会の答申を受けてプログラム権法、情報化基盤整備法、両法案の提出を検討していると聞いております。  そこで、まずプログラム権法についてお尋ねしたいのですが、ソフトウエアの法的保護について、その必要性と認識について御見解を伺っておきたいと思います。
  251. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、産業構造審議会情報産業部会におきまして、昨年一年かけましていろいろな問題を検討してまいりました。その一つといたしまして、コンピュータープログラム権法の問題がございます。このコンピュータープログラムに関します法制度の問題を大変重要な問題として私たち把握をいたしました背景といたしましては、御案内のように、非常に急速にコンピューターが普及してまいっております。それに伴いまして、コンピュータープログラムの需要というものが急速にふえてきている。そういう観点から申しますと、コンピュータープログラムの開発を促進していかなければいけない。そのためには、やはり開発のために投下した資本が確実に回収される、こういうことがはっきりいたしませんとなかなか開発が進まない。また、その利用の効率化という観点から申しますと、流通を促進していくということが大事でございますけれども、こういった点に立ちましても、権利の明確化ということが大変大切でございます。また、このコンピュータープログラムがいろいろな分野において使われるということになってまいりますと、使用者、利用者の利益の保護ということもやはり考えていかなければいけない。こういった権利の保護あるいは利用の促進、あるいは使用者の利益の保護、そういったものを一つのバランスのとれた形で法律的な枠組みをつくっていかないと、これからの情報化の進展に伴いまして、コンピュータープログラムの開発なり利用というものがうまくいかないだろう、こういうことで情報産業部会において一年間の御検討をお願いしたわけでございます。  そういうことから申しまして、これはいろいろな考え方があるわけでございますけれども、この情報産業部会の答申では、プログラム権法という一つの独立の法律として、先ほど申し上げましたようないろいろな観点を一つの体系の中に取り込んだ形で法律をつくることが適当であろうと思う、こういう答申をいただいたわけでありまして、現在そういう方向に沿っていろいろ検討をしている、こういう段階でございます。
  252. 青山丘

    ○青山委員 プログラムの法的保護が必要であるという考え方は、恐らく通産省も、今ちょっと問題になっておる著作権法、文化庁の方も、その辺では一致していると思うのです。ところが文化庁あたりは著作権法の一部改正で進めたいというようなことで、若干主張点が違うようですな。
  253. 吉田茂

    ○吉田説明員 文化庁といたしましては、昨年の二月から著作権審議会の第六小委員会で、コンピューターソフトウエアの法的保護についての御検討をお願いしていたわけでございますが、その審議結果が中間報告としてこの一月に公表され、取りまとめられたわけでございます。この中では、著作権法によるプログラムのより有効な保護を図るための提言が行われておるわけでございまして、私どもといたしましては、コンピューターソフトウエア、プログラムは著作物であるという考え方のもとに著作権法での保護、さらに具体的な必要性に応じて著作権法に手を加えながら保護の有効化を図っていくという考え方でいるわけでございます。
  254. 青山丘

    ○青山委員 この相違点をぎりぎりと煮詰めていってかえって溝を深めてしまってもよくないと思いますし、まだ時期が少し早いような気がするのです。きょうはさらっと入り口だけで、次に掘り下げてお尋ねする時期が必ず来るので、余り深く入るつもりはないのですが、郵政省から若干反対の意見書ですか、提出されておると聞いておるのですが、その辺の内容と考え方はどうですか。
  255. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 今の先生の御質問は、コンピュータープログラムの法的保護の問題についての郵政省の意見が出されているか、こういうお尋ねだと思いますけれども、私どもといたしまして、通産省に対して郵政省から正式に御意見をいただいているということはございませんので、そういう意味でコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
  256. 青山丘

    ○青山委員 それじゃ電気通信サービスの権利義務の関係について、郵政省から意見書が出されているのですね。その内容はどんなことですか。
  257. 内海善雄

    ○内海説明員 電気通信技術が高度化しておりますので、電話網だとかあるいはデータ通信、また最近話題になっておりますVANだとかビデオテックス、そういうような電気通信システムの中におきましては非常に多くのソフトウエアが使われております。ソフトウエアというのは電気通信のあり方そのものになっているわけでございますので、郵政省といたしましても、ソフトウエアの保護問題については非常に重大な関心を持っているところでございます。  今先生お尋ねの、意見書を出しているかということでございますが、私どもの方では意見書という形では別に出しているところではございません。ただ、考え方を少しまとめているところでございます。私ども考えておりますところは、ソフトウエアの法的保護というのは、そもそも開発者の権利を保護し、ソフトウエアの円滑な流通を確保することに目的があるわけでございますので、そういう趣旨に沿ったような保護制度になってほしいという意味で、電気通信に関連することについていろいろ調査研究している最中というところでございます。
  258. 青山丘

    ○青山委員 ソフトウエア、プログラムの法的保護の立場で文化庁との相違点、また電気通信サービスの権利義務の関係では郵政省との関係、さらにソフトウエアの法的保護についてアメリカからも若干懸念が示されておる。なかなか大変なことなのですけれども、しかし、これは今の高度情報化社会の中で何とか克服していかなければならない重要な課題です。  二月二十三日に日米ハイテック作業部会においてアメリカ側は、プログラム権法が成立するならソフトの輸入制限の可能性もあり得る、こんな発表がなされておるのですが、通産省としてはどのような考え方で対処していかれますか。
  259. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  その前に、文化庁との関係で一言申し上げますと、よりよくコンピュータープログラムを守っていきたい、その点におきまして、私どもも文化庁も同じ考えでございます。そういう意味におきまして、文化庁と私どもの間で共通な認識があるということで、そういう共通認識の上に立ってさらにお話し合いを進めていきたいというふうに私どもは思っております。  次に、アメリカとの関係でございますけれども、先生今お話がございましたように、先般日米ハイテック・ワーク・グループにおきまして、アメリカ側とこのコンピュータープログラムの法的保護の問題について意見交換をいたしました。私どもといたしましては、かなりお互いに理解が進んだというふうに思っております。  論点は、一つはコンピュータープログラムについての裁定制度の問題、それからもう一つが権利の存続期間、長さの問題、この二点というふうに私どもは了解をしております。  この二つの問題をめぐりまして、いろいろ意見交換をやったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、かなりお互いに理解が進んだ、先般のハイテック・ワーク・グループにおいて言った意見をお互い持ち帰っていろいろ検討して、またさらに議論を進めていきましょう、これが現在の状態でございます。  新聞に、ただいま先生がお話しになりましたような記事が出たわけでございますけれども、私ども、実際に会議に参加し、あるいはアメリカ側からいろいろ話を聞いている立場から申しますと、新聞のその取り上げ方というのはややオーバーではないのかなという感じを持っております。
  260. 青山丘

    ○青山委員 二正面作戦でなかなか大変だというような報道でしたが、共通の基盤に立って、例えば文化庁とでも、郵政省との間では共通の基盤とは言えないかもしれないが、しかし、共通の基盤に立って政府部内での調整をぜひひとつ進めていただきたいと思います。  それから、情報化基盤整備法案について、郵政省との間に、郵政省は高度化基盤整備法案というようなもので、立場の相違で若干主張点が違っているというようなことから、今回は見送られるというような新聞報道がなされましたが、そのとおりでしょうか。もしそうだったとしたら、どんな背景で見送られるのか。
  261. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 昨年一年かけました産業構造審議会の情報産業部会の中間答申の中に、この高度情報化社会を迎えるに当たって、いろいろな面で基盤を整備していくことが必要だろうということが言われているわけであります。先ほどのコンピュータープログラムの問題もその一つであるわけでありますけれども、そのほか、コンピューターセキュリティーの問題等々、いろいろな問題が指摘されているわけでございます。また、その一つといたしまして、情報処理の分野においてその民間活力が十分発揮できるような自由な基盤を整備することが必要である、そういう観点からいろいろな面での既存の制度というものを見直していくべきである、こういうことが指摘されているわけでございます。  私ども、その答申に基づきまして基盤整備法というようなことを考えていったらどうかということで検討を進めているわけでございます。ただ、いずれにいたしましても大変分野が広うございます。そういうことから、現在どのような問題について法案の内容にどのように取り入れていったらいいだろうかというようなことを現在中で勉強しておる、検討しておるということでございまして、郵政省の方とお話しを申し上げるというような段階にはまだなっていないわけでございます。
  262. 青山丘

    ○青山委員 そこでVANですけれども、高度情報化社会になってきまして、このVAN事業に対して非常に深い関心が寄せられているわけですが、このVANの事業を進めていく上でも通産省と郵政省では随分主張点が違っている。郵政の立場でちょっと意見を聞かせていただけませんか。
  263. 内海善雄

    ○内海説明員 昨年臨調答申が出まして、電電公社の改革を図らねばならないということ、それにあわせまして、電気通信分野の範囲に新規参入と申しますか、競争原理を導入しなければならないというような答申が出まして、それを受けまして、本年一月二十五日に「行政改革に関する当面の実施方針について」という閣議決定がされまして、それを受けて、現在郵政省の中でいろいろな法案を検討している最中でございます。  先生おっしゃられましたVANは、言ってみれば、いろいろなコンピューターあるいはいろいろな端末、これはそのままではなかなかうまくつながらない、電線でつないだだけではなかなかつながらないのですが、途中でそれを上手につないでくれる、そういう新しい通信事業が今非常に期待されているところでございまして、そのためにも、自由で、非常に発展するような電気通信制度を早くつくらなければならない、そういうふうに考えている次第でございます。
  264. 青山丘

    ○青山委員 通産省と郵政省のこの問題、後でまた改めて触れさせてもらいたいと思います。  大臣、石油産業界の再編集約化の問題で少しお尋ねしたいのですが、最近になって再編集約化の動きが非常に高まってきておりますが、政府としては、現状、石油産業界の今取り巻いております環境をどのように見ておられるか。  それから、私ちょっと先走っていくかもしれませんが、経営基盤が非常に弱い、そういう体質を何とか強めていかなければならない。実は、石油業法を中心として行政がかなり底支えしてきた時代と、その石油業法の中で、ちょっと言い過ぎるかもしれませんが、むしろ惰眠をむさぼってきた業界、そのためにかえって逆の意味での過当競争になってきて混乱を招いてきておる、こういうような認識に立っておるのですが、大臣の御見解はいかがでしょうか。石油産業の再編集約化に対する考え方を聞かせていただきたいと思います。
  265. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 おっしゃるとおり、石油産業を取り巻く環境というものは極めて厳しいことにあるのは事実でございます。このために構造改善ということの必要性もあると思います。現在いろいろな意味で集約化というような動きがあり、また、ありとすれば、通産省といたしましては、これを支援したりあるいは援助したりすることも必要でございましょう。そういうことによりまして業界の過当競争そのものを防ぎ、あるいは効率化を高めるということがあれば、石油業界にとりましてもむしろ喜ばしいことではないかと考えられるわけでございます。  また、流通の面におきましても、流通の面の方がむしろ過当競争的な体質を持っているわけでございますから、この面においても我々は検討していかなければならないものと考えております。
  266. 青山丘

    ○青山委員 さてそこで、業界の体質改善、そのために再編成集約化、これを行政指導のもとに進めてきたわけですが、本来、再編成集約化といった問題は、構造改善事業、これは本来事業者自体が努力をして再編成集約化に取り組んでいくべきものであろうと思うのですけれども、政府が余り入ってくるのはさてどうかという面もやっぱりあります。その辺の御見解はいかがでしょうか。
  267. 豊島格

    ○豊島政府委員 石油産業の構造改善というのは、本来自主的な努力といいますか、経営者自身考える問題であるということにおいては、今先生のおっしゃるとおりだと思います。しかし、石油産業の置かれている立場、あるいは石油産業の、何といいますか、特性といいますか、そういう点で、なかなか自分たちの努力だけでいくかどうか。下手をすると、完全に自由化してしまうと、さらに競争激化して経営体質が悪くなる。そういたしますと、日本のエネルギーを、当面最もウエートの高い石油の安定供給をつかさどるその石油産業自身が弱体化してしまうということは、国民経済的に見ましても好ましくないということでございます。したがって、自主的な努力を前提としつつ、それを促進するような方向での政府の誘導ということもやはり必要ではないか、このように考えておるわけでございます。
  268. 青山丘

    ○青山委員 石油産業の再編集約化を促進するための誘導政策として、ガソリンの増産分の優先配分だとか、あるいは第二次精製設備の高度化の認可を優先的にしていくとか、こういう誘導政策がとられていく。これは極めて重大なあめとむち、効きますよ、これ。随分効くそうですね。この誘導政策がとられるかのような報道がなされておりますが、実態はどうなんでしょうか。
  269. 豊島格

    ○豊島政府委員 先ほども申し上げましたけれども、石油産業の自主的な対応を基本とすべきであるということでございまして、行政介入というのも、五十六年の十二月に石油審議会の石油部会小委員会答申がございましたように、だんだんソフト化していくということも言われておるわけでございますが、しかしその中で、補助的な手段として、一層企業の自主的対応への自覚を促して、これを具体化させるためにいろいろなことを考えていかなければいけないというふうに考えておるわけです。  したがって、具体的にどこまでやるかということはこれからの問題でございますが、例えば政策投融資というものを使うということも考えられるわけでございます。それから設備許可等、これは必ずしもあめとかむちとかいうことじゃなくて、石油産業の効率化ということを考える場合において当然集約化していく、そういう設備投資の方法が当然効率化に役立つわけでございますから、そういう意味で、設備許可の運用等においては当然そういう配慮をする。これは必ずしも狭い意味でのあめとむちに入らないのじゃないかと私は思うわけです。しかし、さらに生産計画あるいは販売計画の合理性といいますか適正化というのを考えていかなくてはいけないということでございまして、今までのところガソリンの割り当てをこれに使うかどうかということを決めているわけではございませんが、いずれにしても有効な手段であることが必要だと思います。しかし、その中においてやはり合理性というのをとうとんでいく必要があるわけでございまして、その限りにおいては十分に慎重に検討していきたい、こう考えておるわけでございます。
  270. 青山丘

    ○青山委員 再編成集約化のためのいわゆる集約基準案なるものがあるのだそうですが、この中には販売提携が含まれていると理解してよろしいのでしょうか。もし、この販売提携が含まれていくということになってきますと、仕切り価格の調整が認められていくということになっていくのではないか。末端の消費者にとりますと価格に相当影響してくる、こういうことで懸念が示されておるところだと思うのです。集約基準案の中に販売提携が含まれているとすると、仕切り価格の調整がなされていくのではないか。その辺の資源エネルギー庁と公正取引委員会の御見解を伺いたいと思います。
  271. 豊島格

    ○豊島政府委員 元売集約化の形態につきましては、合併というのが一番わかりやすい方法であるわけですけれども、必ずしも合併でなくても、合併と同じ効果があるようなものであればそれはそれなりの意味がある、こういうことでございます。したがって、仮に販売面での業務提携、販売面を含めた業務提携ということでも、合併と同じような効果があればそれでいいという一つの考え方をとっておるわけでございます。その場合、合併してしまえば、当然のことながら仕切り価格というのは一本になるわけでございますし、当然取引条件も一本になるわけでございます。したがって、販売面での提携になると、そういうことも合併と同じように起こる。そういうこと自身は問題がないかと思いますが、ただその場合でも、ただ単に販売面でのそういう提携だけをするということでは効率化といいますか、そういう効果が十分でないわけでございますので、当然のことながら製品の相互融通あるいは輸送上の共同利用等、物流面での合理化、効率化を図る。いわゆるコストも下げて、しかも自律的な秩序も保つ、この両方相まっていくということになろうか、このように考えております。そういう提携でなければならないという考えでございます。
  272. 佐藤徳太郎

    ○佐藤(徳)政府委員 御説明申し上げます。  先生御存じのように、二月二十七日に石油審議会の石油部会の小委員会が中間報告を出しておりまして、その中に元売集約化の形態といたしまして合併あるいは共販会社あるいは業務提携について触れられておりますし、今エネ庁から御説明ありましたようなことが触れられておるわけでございます。  それで、そういう小委員会の御報告でございますので、私どもとしてその問題について直接意見を申し述べる立場にはございませんが、一般的に申し上げますと、このような集約化といいますものは、やはり業界全体の合理化、効率化を目指して、その効果が需要者を初めといたしまして国民経済全体に還元される、及ぶというようなものでなければならないというぐあいに私どもは考えております。したがいまして、そのためには、まず業界全体が競争体質を持って、個々の企業が創意工夫を発揮しながら合理化を進めていく、個々の企業が十分お考えになってお進めになるということが大切であろうかと思っておるわけでございます。  そのような意味でございまして、今御指摘ございました価格等の調整を内容としました業務提携、これは具体的にどんなものになるかはまだ具体化しておりませんが、そういうようなものが本当の合理化、効率化に資するのであろうかというようなことも考えられますし、したがいまして、業務提携の内容につきましては、需要者でございますとか国民全体の役に立つものである、そういう点から、我々としてもし具体的にお話が出ました場合には、十分検討していかなければならないというぐあいに考えておりまして、先生が今おっしゃいましたように、単に価格水準だけを高くするというようなことは余り適当ではないんではないかというぐあいに私どもは考えております。  いずれにしましても、集約化に当たりましては、具体的な問題が出ました段階で、独禁法の適正な運用という観点から十分慎重に検討させていただく、そういうことで考えておる次第でございます。
  273. 青山丘

    ○青山委員 あわせて公正取引委員会にお尋ねしたいのですが、今の問題は一枚の紙のようなもので、裏もあれば表もある。表のことばかりを見ていると裏のことを忘れるという意味で御理解いただきたいと思うのです。ただ、今政府が進めております石油業界の再編合理化、集約化、この一連の動きに対して公正取引委員会はどのように受けとめておられるのか、聞いておきたいと思います。
  274. 佐藤徳太郎

    ○佐藤(徳)政府委員 先生御指摘のように、最近、石油業界で集約化の動きが活発になっております。その点は新聞報道等で私どもも承知しておりますし、その集約化の動きにつきましては関心を持って見ておるところでございます。  私どもとしては、先ほど申し上げましたように、こういう集約化というような問題は国民経済的に見ても役立ち、企業そのものについても合理化、効率化というものに役立つもの、企業が自主的に判断しておやりになるもの、そういう考え方が基本であるというぐあいに考えております。したがいまして、集約化が、その具体的内容を私ども承知しておりませんが、その具体的内容なりあるいは集約化の程度等によりまして、仮に有効な競争単位が著しく減少するというようなことになりますと、これは競争面から好ましくない動きになりますので、石油業界の動向等について今後とも関心を持って見ていく、先ほど申し上げましたような一般的な考え方のもとに見ていく、こういうことでございます。
  275. 青山丘

    ○青山委員 今の点をぜひひとつ公取の委員長の方にも伝えていただきたいと思います。  それから、体質を強くしていかなければいけない、こういうことから再編成集約化が進められてまいりますと、どうしても雇用の問題が出てきますね、減量化、減員化。政府としては、これらの雇用の問題にどのように対処していかれるおつもりか、お尋ねしたいと思います。
  276. 豊島格

    ○豊島政府委員 合理化ということになりますと、いわゆる雇用問題というのはすぐ念頭に浮かぶわけでございます。私どもとしましては、これは企業が自主的に判断する問題でございますが、それはそれとして、やはり雇用に悪影響がないような、スムーズに円滑にいくような方法で企業がいくよう指導していきたいと思っております。
  277. 青山丘

    ○青山委員 スムーズに円滑に、それはぜひいっていただきたいが、具体的に何か考えておられたら、ひとつ発表していただきたいのですが。
  278. 豊島格

    ○豊島政府委員 これは一般的な場合もいろいろ同じようなことがあろうかと思いますが、自然に退職していく人もいるわけでございますし、関連事業というものもいろいろあるわけでございますが、そういう中を中心として、それ以上の問題については、また企業として当然進めていく場合に労働組合との話し合いということもあるわけでございまして、そういうことで、一挙にいくわけでもなし、時間をかけてやっていくわけでございますから、スムーズにいくことが現在期待されるわけでございます。
  279. 青山丘

    ○青山委員 石油環境を取り巻く状況が大きく変わってきております。もうやがて石油業法の見直し、今よく伝えられるところでは休眠化とか言われているのですけれども、石油業法あるいは揮発油販売業法への見直しが必ず出てくると思うのです。石油環境を取り巻く状況が非常に大きく変わってきたという中で、こういう問題が避けられないと思うのです。この両法の見直しという問題をどのように考えておられますか。
  280. 豊島格

    ○豊島政府委員 これまで石油審議会におきまして、構造改善の問題につきましては、過剰設備の処理とか、設備の高度化とか、あるいは今回の元売の集約化の問題ということを御提言いただいているわけですが、石油業法の問題につきましても、今日それなりの機能を果たしておるわけでございまして、当面漸進的にソフト化する、一時は生産計画というものを四半期ごとにつくっておったのですが、それをもう少し緩めるとか、いろいろとソフト化もしておるわけでございまして、そういう方向でさらに長期的観点からこの法律の取り扱いということは審議会で今後検討していただこう、このように私ども考えておるわけでございます。  なお、揮発油業法の問題につきましてもいろいろと意見がございまして、登録制の問題その他についてもいろいろございますし、諸外国の実情を見ましても、スタンドがだんだん減っているというときに、日本だけが減らないというような問題がございます。この問題につきましては、やはり日本のスタンドの七割はいわゆる零細、一スタンド一企業というようなことでございまして、そういう零細企業あるいは中小企業的な問題というものも大きくございます。この問題につきましては別途私といいますか、資源エネルギー庁長官の私的諮問機関として流通問題をさらに検討を始める、こういう手順にしております。  いずれにいたしましても、現在の石油情勢あるいはエネルギー情勢の変化に応じてどうあるべきかということは当然検討の課題だ、石油審議会その他で十分議論をしていただいて、それに沿って我々としても考えていく、このようにいたしたいと考えております。
  281. 青山丘

    ○青山委員 石油業法が制定された当時はそれなりに役割を果たしてきたし、今日までそれなりの成果は上がっておると思うのですね。ところが、しかし石油環境を取り巻く状況が大きく変わってきております今日の段階では、かえってそれがよくない結果を生んできているのじゃないか。例えば欧米の石油産業界では、状況の変化に機敏に対応して今日までいろいろな形で体質を強化してきた。ところが、日本石油業界ではそれができなかった。この原因には、やはり石油業法によるガードがあったことにも原因があると私は思うのですよ。  そこで、古くて新しい問題になってきておりますが、石油業界の再編成集約化を進めていかなければならないという機運が今ようやく盛り上がってきておりますが、これまでは円高による差益が上がってくると急にその熱が冷めてしまった、市況が回復して収益が上がってくるとその熱も冷めてしまった、今回は本気かどうかというような声も実は業界の中にあるわけで、その辺の考え方はどうなんでしょうか。
  282. 豊島格

    ○豊島政府委員 石油構造改善、それから元売の集約化の問題は非常に長い、昔から言われておったことで、なかなか進まなかったわけでございますが、しかし最近の石油楽界をめぐる環境は大変厳しいわけでございまして、先ほど来議論になっておりますが、石油の需要自身伸びないということが大体はっきりしておるわけでございますし、それから情勢が相当変わってきているということで、原油ソースはだんだん重質化していく、その中において需要はどんどん軽質あるいは中間留分がふえていくということで、それに対応したそれなりの体制もとらなければいけない。設備もそれに合わせてつくっていかなければならない。あるいは石油につきましては、やはり国民経済的にもあるいは産業にとっても、産業で言えばコストに非常に関係があるわけでございます。したがって、その要請も非常に強い。重油が高ければ石炭とか何かに転換してしまうということで、そういう情勢に対応していくためには、今までのような甘い考えてはいけないという認識は経営者の間にも非常に広まっておるわけでございます。そういうことから、もちろんいろいろな提言といいますか、石油審議会あるいは役所における考え方の披瀝ということも関係していようかと思いますが、経営者自身としてもそういう状況に何とか対応して生き残っていくといいますか、そのためには何としてでも構造改善をやらなければいけない、そういう考え方は非常に深く浸透しているといいますか、皆そういう考え方を持つに至っている、このように感じております。
  283. 青山丘

    ○青山委員 今回は本気だということですね。そこで、あとこの問題を一つだけ。  為替リスク対策が私は必要じゃないかと思うのです。今までのような、為替のリスクに対する体制ができておりませんと、何かもうばくち的な体質でして、じいっと辛抱しておって、円高になれば急に顔色がよくなってくる、円安になると急に顔色も失われるというようなことでなくて、為替リスク対策がそろそろ肝要ではないか。そのためには法的な措置が必要であろうと思いますが、その辺の御見解はいかがでしょうか。
  284. 豊島格

    ○豊島政府委員 石油産業は為替の変動によって相当影響を受けるわけでございまして、御指摘のように、為替が高くて円高になればそれだけもうかるということでございますから、それの利益を享受するということも非常にあったわけでございます。しかしそれではいかにも不安定である。経営的に見ても、経営基盤を揺るがすような状況に置いておいてはいけないということで、五十六年十二月に、先ほど来申し上げております石油審議会の石油部会の小委員会で、為替リスク対策を講ずるよう提言いたしました。その中身としては、為替の予約ということでございまして、もう一つは輸入金融の円転といいますか、円金融へのシフト、こういうことを提案したわけでございまして、これを進めるべきである。そこでガイドラインとして大体予約は三分の一ぐらいはすべきじゃないかということでございます。  そういうことで、最近の実情を見ますと、たしか五十五年ごろには一〇%ぐらい、それから一番低いときには四%ぐらいしか予約してなかったのが、現在では三割ぐらい、ちょっと月によってあるいは時期によって上下ございますが、大体その辺までは来ておるということで一応安定化しておる。それから円シフトの問題につきましては、これは金融機関との力関係とかいろいろございまして、必ずしも石油産業といいますか、企業の自律的な判断だけではなかなかいかない面もあると思いますが、その可能な範囲では相当円シフトも行われている、それによるリスクだけではなくて、場合によっては金利負担も減っておる、こういう実態でございます。  なお、こういう為替リスクを避けるために税法上その他の措置が要るのじゃないかということにつきまして、簡単に言いますと、為替変動のための準備金というのを免税にする措置ということもしばしば議論されておるわけでございますが、この点につきましては税法上のいろいろな、税理論上といいますか、問題もございまして実現しておらないわけでございますが、いずれにしましても、そういう為替リスクを回避する対策ということは今後とも真剣に検討し、また実行していかなければいけない、このように考えております。
  285. 青山丘

    ○青山委員 質問の時間がなくなってきましたので、エネルギー問題はまた尋ねさせていただきますから、せっかく来ていただいた方、申しわけなかったかもしれませんが、次の機会に延ばさしてください。  最後に、本当にわずかになってきましたが、中小企業問題についてざっと私がお尋ねしますので、総括して答えていただきたいと思います。  一つは、我が国産業の基盤ともいうべき中小企業は全事業所数の九九%、全従業者数の八一%を占めておりまして、その施策自体も世界に類を見ないほど充実してきているわけであります。しかしながら、それを利用する中小企業側から見ますと、例えば金融制度一つとってみても、どれをどう利用してよいのかわからない、利用しづらいという声を耳にします。中小企業者の側に立った利用しやすい、わかりやすい制度への見直しの必要性があるのではないかと思います。この点はいかがでしょうか。  それから、事業承継税制についてお尋ねをいたします。  五十八年度に同族会社の株式評価方法が改善されました。個人事業者の事業用土地の評価減額率が引き上げられましたが、事業承継の円滑化のためにこれがどの程度効果があったのか示していただきたいと思います。  それから、私どもがかねてから生前贈与の場合、相続税の納税を猶予すべきだと主張してまいりましたが、生前贈与の場合の納税猶予制度について御見解を示していただきたい。  それから第三点、中小企業大学校についてでありますが、現在は、東京校と関西校が開校され、直方校を初め旭川校、広島校、瀬戸校がその開校に向けて準備を進めております。中小企業大学校の地方校に対する基本的な考え方を示していただきたい。  なお、五十九年度予算で広島校、瀬戸校に建設等基本構想策定事業として二千万円が計上されておりますが、早期開校の望まれております両校に対して今後のスケジュールを伺っておきたいと思います。
  286. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 簡潔にお答えいたします。  第一点の、金融制度の利用について中小企業者の側に立ってわかりやすい制度、あるいは周知徹底を図るべきではないか、ごもっともでございます。私どもの場合、新しい制度をつくります場合には、極力前の制度との統合あるいはスクラップ・アンド・ビルドというような基本精神でやっておりますけれども、なお一層中小企業政府機関の窓口までその利用方法につきまして徹底いたしまして、中小企業者から見て使いやすい、わかりやすい制度にしてまいりたいと思っております。  第二点の承継税制でございますけれども、五十八年度にとられました改善につきましては、評価方法の改善等につきまして相当な効果があるということを確信しております。ただ、実際どのような形で実績としてあらわれてくるかということにつきましては、まだ年度途中でございますので、統計あるいは実績が出ておる状況ではございません。  さらに、生前贈与につきまして相続税の猶予の制度をとるべきではないか、これは恐らく農業に比較されての御質問かと思いますけれども、私どもは五十八年度にとりました承継税制の効果を十分見守るということと同時に、生前贈与の問題につきましては、中小企業者の場合には農業と違いまして、中小企業者の資産というものが農地のように一次生産手段ではないということと、これを分割しないということに農業の場合の生前贈与の趣旨がございますので、事情が若干異なります。しかし、継続的な検討課題としては今後も検討を続けてまいりたいという姿勢ております。  さらに、大学校につきましては、五十六年二月の中小企業近代化審議会の人間能力分科会の答申に基づきまして、全国的な展開を中小企業大学校は図るべきだという姿勢ております。ただ、このテンポにつきましては、財政事情もございますので、中長期的な観点から逐次これを充実してまいりたいということでございます。先生御指摘の広島、瀬戸校につきましては、五十九年度に基本構想策定費ということで二千万円がついたわけでございまして、先ほど述べましたように、長期的に大学校の建設をどのようにして進めていくかということにつきまして、広島市、瀬戸市を例にとりまして、今後の地方校の建設、運営に関します基本構想を作成してまいりたい、かように考えておる次第でございます。以上でございます。
  287. 青山丘

    ○青山委員 質問を終わります。
  288. 梶山静六

    梶山委員長 小沢和秋君。
  289. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 初めに、経済運営上の基本的な問題で長官に二、三の点をお尋ねしたいと思います。  長官は、今までの所信表明などの中で、日本経済が順調に回復しているという認識を示されております。むしろこの機会に大きく経済成長をさせれば財政危機なども打開するチャンスにすることもできる、そういう大変楽観的な認識を表明されているようでありますけれども、私は、景気が潤おっているのは輸出関連の大企業などを中心にしての話であって、中小企業や労働者などには相変わらず厳しいということについては、先ほどからいろいろと言われてきたとおりだと思うのです。特に、中小企業の倒産について言うなら、五十八年は年間史上最高ということでしたし、ことしの一月になってからも、一月としては過去最高という状態であります。こういうような中小企業などの今なお非常に深刻な状態を打開する上で決定的なことは、私は、やはり内需を振興することにあるのではないか、政治はそこに力を入れていかなければならないのじゃないかと考えております。  ところが、五十九年度の今度の予算を見ますと、減税と言いながら増税をやる、あるいは公共料金の引き上げ、さらには健康保険制度の改悪といったようなことで、ある試算によりますと、一世帯当たりで年間に三万四千円も新たな負担が加わるというようなことが言われておる。こういうような予算を組んだのでは、内需は振興するどころか、ますます落ち込んで、結局のところ中小企業などがこういう非常な苦境にあるという状態はいつになっても打開できないんじゃなかろうかというふうに、私は今度の予算を見て心配するわけですけれども、この点、長官、どのようにお考えでしょうか。
  290. 河本敏夫

    河本国務大臣 現在の経済情勢は、五年ぶりにようやく方向転換をして上向いてきた、こういう状態でございまして、長い間の不況が続いておりましたから、先月企画庁で全国の地方経済調査をいたしましたが、やはり地方、地方によりましては非常に厳しいところが相当ございます。つまり、地方によってばらつきがあるということであります。また業種によっても大きなばらつきがございます。そこで、これからの経済運営いかんによりましては、大勢は上向いてきたわけでありますから、私は日本経済はよくなるのではないかと思っております。
  291. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私が質問したことにそれではお答えをいただいていないことになると思うのです。五十九年度予算で、一世帯当たり新たに三万四千円もの負担がかぶさってくるような予算を組んだのでは、内需を大いに盛り立てて日本経済を確実に景気回復の軌道に乗せようと言っても、それはできないんじゃないですかということを、経済のかじ取りの責任者である長官にお尋ねしているわけですが、その点いかがですか。
  292. 河本敏夫

    河本国務大臣 そこで、これからの経済政策の進め方でありますが、経済の情勢を見ながら、金融政策あるいは財政政策経済の実情に合ったように機動的に運用していくということが大事だと思います。五十九年度予算そのものは、財政が非常に厳しいものですから、この予算で景気を刺激する、そういう内容のものではありません。下支えぐらいな効果はあるかと思いますけれども、経済成長に対してはゼロの効果しかない、こういうことでありますので、今後の経済動向を見ながら、先ほど申し上げましたような財政金融機動的運営が必要だ、このように思っております。     〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
  293. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 景気刺激としての効果は余り期待できないというふうに言われましたけれども、私は、これはマイナスの刺激にしかならないのではないかというふうに思っております。  そこで、長官はそういう認識の上に立って、いわゆる所得税の大型減税をということを主張されるわけであります。そういう大型の減税が個人消費を刺激をするという点では、我が党自身も今度の予算修正案の中で二兆円の減税をということを提起しているわけでありますけれども、問題は、本当にこの大型減税長期にわたって景気を支え、刺激をするような力になっていくためには、私は、それを保証する財源というのがはっきりなければいけないんじゃないかと思うのです。  長官の論文なども二、三読ましていただきましたけれども、そこのところが漠然としていると思うのですね。四兆円の大型減税をやれば、早速にも景気が上向いてきて自然増収が期待できるだろうというようなお話もありますけれども、自然増収というのは私はそんなに大きなものが期待できるとは考えられない。そうすると、赤字国債を一時期出しても、景気がよくなってきたら、後から関接税などによってカバーしていけばいいじゃないかというようなお話もありますけれども、しかし後で四兆円の減税に見合うような四兆円の大型間接税をやるということになったのでは、私は、長期的に見たらこれでは一つも景気の刺激にならないのじゃないのか、支える力がそこから生まれてこないのじゃないだろうかというふうに考えるのですが、その点はいかがでしょうか。
  294. 河本敏夫

    河本国務大臣 五十九年度予算減税増税をやっておるわけでありますが、これはこれでいろんな経過から見て万やむを得なかった、こう思っておりますが、これでは税制の抜本的な改革にもなりませんし、景気に対する効果も皆無とは言いませんが、非常に弱い、こういうことでありますので、税制の根本的な見直しをいたしまして、それによって経済効果が出るような、そういう対策を検討してもらいたいということを先般政府与党連絡会議で提唱をいたしまして、今大蔵大臣や自由民主党の政務調査会に研究してもらっておるわけでございますが、四兆円ということは言ってないのです。大型の所得税減税ということを言っておるわけでありまして、別の場所で大型減税とは何ぞや、こういう質問がありましたので、そこで、昭和四十九年に一兆八千億の所得税減税をしたことがあるわけでありますが、そのときの経済規模と今の経済規模は相当違いますので、今の経済規模に直すとそのときの減税はほぼ現在の四兆でしょう、こういうことを言いまして、それが一つの参考になりましょう、こういうことを言ったわけでありまして、四兆という数字にはこだわっておるわけではございません。  ただ、臨調答申には、直間比率見直しなさい、こういう趣旨のこともございますししますから、直間比率を見直すということになりますと、直接税である所得税大幅減税をして、そして適当な時期に間接税の増徴をする、こういうことでないと直間比率改善されませんから、まず所得税減税をして、そして景気のよくなった段階間接税の増徴をしたらどうでしょう、そういう点を研究してください、こういうことを言っているわけです。
  295. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、中曽根さんが今やられようとしていることと、河本長官がお考えになっていることと、どこがどう違うのかということがよくわからないんですよ。今出されている予算というのは、一兆円減税やるけれども、一兆円以上すぐ増税をするというのがセットになって出てきているわけですね。ところが、長官のは、大型減税をやって、景気がよくなったら間接税をということで、ずれるというだけであって、私は、結局のところは同じことを言われているのじゃないかと思うのですね。私は、長期的に見た場合には、本当に内需をそれて手がたく盛り立てていく効果というのは疑問ではないかと思うのです。やはり本当に国民の購買力を引き出していくためには、私たちが常々言っているように、大企業やあるいは大資産家などの今の優遇税制などを改めて、そこから財源を新たに取るというようなことがなければ裏づけがないのじゃないかというふうに考えます。  そこのところは、きょうは議論としてはもうこれ以上はしないことにしたいと思いますが、今長官が触れられたいわゆる直間比率見直しということも、私にしてみると大変気になることなんです。  先ほど直間比率バランスが崩れているというような表現を長官はされましたけれども、私は、崩れているというのは何を基準にして崩れているというのかよくわからないんですね。かつて六、四であったのが近ごろは七、三にまでなってきているということを崩れているというふうに言われるのかもしれませんけれども、私に言わせれば、間接税というのは、ぜいたく品などにかけられるような場合を除くと、大体大衆課税になってしまうのじゃないかと思うのです。しかも、これは直接税金を取られたという感じがしないような形でどんどん取られていくから、税金を取る側にすれば非常に取りやすいというので、大型の税金を取りやすい制度だということがいつも問題になるわけですね。だから、今の財政危機を打開していく上で大型間接税を早く入れたいということは、大蔵当局などの意図としてよく問題になるわけですけれども、結局河本長官も大型の減税をと言われて、その財源は大型間接税に求められていくということになるなら、私どもとしてはそういうような財源の求め方というのは賛成できません。大型間接税などは入れるべきではないというふうに私は考えるわけですが、その点いかがでしょうか。
  296. 河本敏夫

    河本国務大臣 私は、大型間接税というようなことは言ってないのです。ただ、所得税の大減税をやって、そうすれば今のような経済情勢ですとほぼ一年以内に景気は非常によくなる、こういう感じがいたします。そこで、景気がよくなった段階間接税の増徴を考えたらどうか、そういう点を研究してみてください、こういう提案をしておるわけでありまして、私は税の専門家でありませんので、税の専門家にその点をよく調べてください、こういう提案をしておるというのが現状でございます。
  297. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私の持ち時間は余りないので、それではこの問題についての議論はきょうは一応これぐらいでおいて、次に、通産大臣の方もお見えになりましたので、通産行政の問題で若干お尋ねをしたいと思います。  私が特にきょうお尋ねをしたいと思っているのは、通産行政が大企業に非常に手厚くて、中小企業対策の予算がどんどん削られていっているのではないかというふうに感じております。その点を若干議論をしてみたいと思うのですが、まず、ここ数年の国の一般会計予算総額の中に占める中小企業対策費の比率がどう推移しているかということについて、ここ数年分の数字、実績で挙げていただきたいと思います。
  298. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 お答えいたします。  ここ数年という前提で申しますと、五年前の昭和五十五年をとりますと〇・五七%でございます。それ以降逐次、〇・五三、〇・五〇、〇・四八でございます。五十九年度予算につきましては〇・四五という数値になっております。
  299. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今のお答えで明らかなとおり、ここのところ中小企業対策の予算比率は、予算総額の中で一貫してずっと下がっていっているわけです。そしてことしの〇・四五%というのは、中小企業基本法が施行されてからもう二十年以上になりますけれども、私が調べたのではこの期間で最低だというふうに思います。これは臨調財政審議会などで、中小企業対策は相当充実してきたので、今後は全体として抑えなさいという方向が指示されているが、私は、その方向を忠実に守った予算だというふうに言わざるを得ません。  ところが、先ほどから当事者である長官なども、これはほぼ要求どおりに予算をつけていただいたとか、前向きの予算になっているとかいうふうに、非常にこの予算を評価するような発言をしておられるわけですけれども、これは非常に違うのじゃないかと私は思うのですね。これでは、最初にも申し上げたような、倒産が続出しているような今の中小企業の苦境を救うことはできないのではないかというふうに私は考えますけれども、その点どうお考えですか。     〔渡辺(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  300. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 先ほどの御質問が、ここ数年の一般会計における中小企業予算のシェアという御質問でございましたので、数字を御説明したわけでございますけれども、中小企業基本法ができました昭和三十八年の比率をとりますと〇・四二%ということでございますので、過去の歴史において現在の水準が最低であるというふうには考えておりません。  また、中小企業対策全般ということで申しますと、金融予算、それから税制という三つの面で考えなければいけないわけでございます。けれども、一般会計につきましては〇・四五%というのは確かでございますけれども、財投の面について見ますと、中小企業向けの資金の割合昭和三十年度以降一貫して上がってまいりまして、当時八・一%であったものが現在約二〇%弱というものが中小企業に向けられた融資ということになっておりまして、金融面のもろもろの対策で見ますと、中小企業への配分は一貫して上がっておるということでございます。  また、税制面につきましても、中小企業の新技術体化投資促進税制に見られますように、減税規模から申しましても四百五十億円の効果を持ちますような新規の促進税制がとられておりまして、総合的に見た場合、かつ予算の中身を見た場合に、中小企業に対する新技術あるいは情報化等々の予算が格段に充実しておりますので、中小企業対策としては今回の予算は十分な配慮がなされておると考えております。
  301. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 また今度も、あなたは十分な配慮がなされているというふうに言われましたけれども、それならば長官に約束してもらいたいのですけれども、この五十九年度予算が通過した暁には、今のこの中小企業の倒産が史上最高で、ことしになってからも基調が変わってきていないと言われているけれども、それじゃあなた方は、この予算が通ったらがらっと状況が変わってくるというような確信でもおありなんですか。
  302. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 本日の委員会の討議を通じましても、私先ほどからるるお話ししておりますように、倒産は高い水準であって、この年度末に対しても、いろいろな要素を考えますと、その水準については早急な改善というものはなかなか期待は難しいということは申し上げております。  ただ、この原因を見ますと、住宅建設でございますとか個人消費を中心といたします小売商業でございますとか、内需の盛り上がりがもう一つそのテンポがおくれをとるというところに中心の課題がございまして、その点につきましては、昨年以降の景気対策の効果があらわれてくることによって、五十九年度以降倒産件数についても現在の水準がより低いものになってくるということを期待しておるわけでございます。ただ、予算上あるいは財政金融上、それに加えて中小企業の倒産防止につきましては万全の態勢をとっていく、そのための予算が計上されておるということを申し上げたわけでございます。
  303. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私は、もちろん中小企業対策の予算だけですべてが決まってくるなどとは考えていない。先ほども申し上げたように、一番根本の問題は、内需を大きく盛り上げていくことだというふうに考えていますが、そっちの方も最初に申し上げたように、むしろ国民の消費、購買力を減らしてしまうような予算が組まれて、しかも中小企業対策費もこの程度で、しかもあなた方はそういう極めて楽観的な、これで満足している、そういうような認識だったら、とても近い将来に好転は望めないであろう。しかし、これは将来の予見の問題ですから、数カ月したらどちらの認識が正しかったかということは私ははっきりしてくるだろうと思うのです。  さてそこで、きょう私特にお伺いしたいと思いますのは、この前総理に対して、予算委員会の総括質問で、我が党の不破委員長は、中小企業も最近は随分力がついてきた、これからは大企業に対抗していく上ではハードでなくてソフトに力を入れていきたいというふうな発言をしておられたのです。私は、ソフトの一番典型的なものとして、技術開発というものを挙げてみたいと思うのですが、中小企業の技術開発の予算というのは、ことしどれぐらい組まれておりますか。それが、日立のような大企業が一社で通産省から受けている技術開発の補助金などと比較をしてみた場合、この日立一社よりも多いか少ないか、その点もひとつお答えいただきたい。
  304. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 五十九年度におきます中小企業予算におきまして、技術開発予算がいかに組まれておるかということでございますが、総額では五十九億二千万円でございまして、五十八年度、対前年度対比で申しますと、一五%増の予算が計上されております。日立の技術開発費につきましては、ちょっと私、つまびらかにしておりませんので、それとの対比をすることはこの場では差し控えたいと思います。
  305. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今あなたが言われた金額というのは、中小企業の技術開発に関連する予算をいろいろまとめて言っておられると思うのです。いよいよ技術開発に直接便われる技術改善費の補助金というのは十三億何がしというところでしょう。これでいきますと、私どもの方が、日立が一社で受けている技術開発の補助金がどれぐらいあるかということで、通産省の方々にあちこち問い合わせをして集計してみたところでは、八四年度、日立だけで六十億あるんですよ。私は、この六十億に見合う数字というのが今言う十三億何がしだろうと思うのですが、これぐらい極端なんですね。一社でこんなに違うんですよ。これでソフト面で十分な配慮がなされている、今年度は非常に手厚いということが言えるのでしょうか。
  306. 中澤忠義

    ○中澤政府委員 技術改善費補助金という直接技術改善に対します補助金の面で申しますと十三億九千五百万円でございます。ただ、そのほかにも、技術開発研究費補助金のほかに地域技術の活性化事業費あるいは技術開発事業費のうちで事業団が担当するもの等々を加えますと、先ほどお話ししたような五十九億のレベルになるわけでございます。  しかし、これは中小企業の技術開発予算の対策の一部でございまして、先ほど申しましたように、中小企業金融面につきましては、先端技術開発のための融資を五十九年度から創設いたしました。また税制面につきましては、新技術体化投資の促進税制というものを五十九年度から新規にスタートいたしまして、この金額で申しますと、グロスで四百五十億円の減税効果が出てくるというものでございまして、こういうものをあわせて考えますと、中小企業の技術対策費というものも五十九年度につきまして格段の拡充がなされておるということが言えるかと思います。
  307. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今、日立の話をちょっとしたのですけれども、大企業の補助金というのは、全体としてマイナスシーリングだというふうに言われている中で、重点には集中的に配分して、ちゃんと大きく伸ばされている。特に日立とか東芝とか三菱など、ほんのわずかの大企業、とりわけ大手のコンピューターメーカーなどに集中していることが特徴だろうと私は思うのです。日立などのコンピューターメーカー六社に通産省所管の補助金、委託費がこの五年間にどれぐらい行っているか、その補助金あるいは委託費などがどういうふうに変化しているか、この点についても明らかにしていただきたいと思います。
  308. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  先生、ただいま、コンピューター六社に対しまして、コンピューター関係の補助金あるいは委託費が過去五年間におきましてどういうふうに出たかというような推移を聞きたいというお尋ねでございますけれども、コンピューターもそうでございますが、いずれにいたしましても、技術開発関係の補助金あるいは委託費と申しますのは、これは研究組合あるいは公益法人、そういったものに対しまして交付するというのが原則でございまして、したがいまして、日立について幾らとか東芝について幾らとか、そういった個別企業に対して幾ら交付したかということは申し上げることは困難でございます。
  309. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 だから私も、その六社の分をまとめて言ってくれというふうに言ったわけです。  それからまた、私は、コンピューターだけでなく、これらのコンピューターメーカーが、通産省所管の補助金、委託費を全部でどれぐらいもらっているのか、それを集計したものがあれば示してもらいたいというふうに言ったわけです。ありますか。
  310. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 これは完全な意味でお答えすることは、手元の資料との関係もございまして、困難でございます。ただ、手元にあります範囲でお答え申し上げますと、私の所管の関係でございますので、大体コンピューターの関係中心になりますので、それは御容赦いただきたいと思いますけれども、コンピューターの関係で過去において実施してまいりました補助金あるいは委託費でございますけれども、まず一つは、昭和四十七年度から五十一年度までの五年間に、電子計算機の自由化措置に関連いたしまして、新機種開発というふうな形で補助金を支出いたしました。これは、この五年間におきまして六百八十六億円の交付をしたわけでございます。もちろん、これに参画しておりますのは、お尋ねの六社以外にもいろいろございます。  それから、次に交付いたしましたのは、第四世代の電算機の開発のために、超LSIにつきまして、五十一年度から五十四年度までの四年間に二百九十一億円の超LSI開発費補助金を支出しております。  それから、同じく第四世代の関係でございますけれども、基本ソフトウエアの開発等につきまして、五十四年度から五十八年度にかけまして、いわゆるOS補助金というものを二百二十二億円交付をいたしております。  それから委託費の関係でございますけれども、一つは、大型プロジェクトの関係でございますが、パターン情報をコンピューターに直接入力する技術を開発するために、四十六年度から五十六年度にかけまして十年間に二百十九億円の委託費を支出いたしております。  それから同じく大型プロジェクトでございますけれども、スーパーコンピューターの関係で、現在、これは五十六年度から六十四年度までの九年計画ということで実施中でございます。五十八年度までに支出されました委託費は二十一億円ということでございます。  それからもう一つは、第五世代コンピューターの関係でございますが、これは五十七年度から六十六年度までの十年計画ということで現在実施中でございますけれども、現在までに支出いたしましたのが、五十七、五十八両年度におきまして約三十一億円でございます。  以上でございます。
  311. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 今あなたが言われたのは、私の方も資料をいただいておりますけれども、合計するとざっと千六百億円ぐらいになると思います。だからコンピューターの関係では補助金としてそれだけのものが過去に出ているわけですね。私が先ほどからお尋ねしている、このコンピューターメーカー六社への補助金がどうなったかということを私どもがあちこち問い合わせをして、不完全かもしれませんけれども集計をしてみたところでは、一九八〇年に百三十七億円であったものが一九八四年には百七十一億円と、この八四年の予算案も含めて一貫してこれらの六社への補助金、委託費などは増額を続けている。この五年間の合計額を計算してみると七百八十億ぐらいになるのですね。非常に巨大な額だと思います。こういうような補助や援助のおかげで、今では日本のコンピューターメーカーというのはIBMなども脅威に感ずるぐらいのところまで力をつけてきているということはどなたも否定をなさらないと思うのですね。  このように大きな力をつけてきたようなところに対しては、それこそ民間活力活用して、後はどんどん自主的にひとつ研究してくださいということでもういいんじゃないですか。我々は今までもこういうようなことを手厚くやるということについては疑問を提起してきたけれども、もうここまで来ているのですよ。今後の進め方についてどうするのか。今後は、こういうようなところに今まで向けられていたものを、それこそ先ほどから私が申し上げているような中小企業の技術力の開発などの予算に振り向けていくというようにすべきではないか。この辺はひとつ大臣にお尋ねしてみたいと思います。
  312. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 このような先端技術の開発というものは我が国経済長期的な安定のためにどうしても必要でございますし、また、世界経済の活性化のためにも欠くべからざるものであると思うのでございます。でございますから、このようなプロジェクトというものはあくまでも国家的な要請でもあり、さらには事業の効率性に基づくものでございまして、一企業の優遇などというようなことを目的としたものでは断じてないということを御理解願いたいのでございます。
  313. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 私も日本ですぐれた先端技術を開発してもらいたいということはもちろん思っておりますよ。しかし今申し上げたように、もう自分のところでどんどん開発できるような力を持っているようなところにも、さらに国がお金をつぎ込んだりする必要があるのかということを私は言っているわけです。  実際、コンピューターの大手五社がこの十年ぐらいの間にどれほど成長し、力をつけてきているかということをちょっと数字を挙げてみたいと思いますけれども、売上高で見ても、この十年間に二兆四千八百九十一億円から七兆八千六十六億円と三倍以上になっておるのですよ。利益金も一千四百十一億円から四千百十五億円と、これも約三倍にふやしておるのですよ。これだけの巨大な力を蓄積してきたところに対して今までと同じような政策を続ける、まだ断じて続けるような印象を私に与えたんですけれども、こういう変化をあなたは全然考慮しないで、今までと同じように補助していくんですか。
  314. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大臣からも申し上げましたけれども、私どもといたしまして、このコンピューターの関係について従来からいろいろな形で助成をしてまいっているわけでありますけれども、やはり日本経済の将来を背負っていくこの分野に依存いたします向きが大変多いという観点でしているわけでございます。このコンピューターメーカー各社の経営がいいではないか、利益率が高いではないかという御指摘でございますけれども、こういったメーカーは、御案内のように総合的な電子あるいは電機メーカーでございます。そういったことで、会社全体としては確かに比較的利益率が高いかもしれませんけれども、ただこの助成の対象になっております電子計算機関係、特に大型の汎用コンピューターの関係は、一般的に申しまして販売あるいは保守、そういう面でもコストが大変かかるわけでございまして、この汎用コンピューターの分野におけるこういった企業の利益率というのは決して高くないというふうに私は思っております。  また、片やIBMの状況を見ますと、IBMの企業規模と申しますのは、御案内のように日本のコンピューターメーカーをはるかに上回る規模を持っているわけでございまして、そういった財力あるいは技術力というものを背景にいたしまして、IBMは非常に矢継ぎ早に次々と新機種の発表をしているわけでございます。例えば一九八〇年には三〇八Xシリーズ、これは第四世代でございますけれども、その第四世代の機種の発表を既にやっているわけでございます。日本企業、確かにかなり力をつけてまいっているわけでございますけれども、現在のところこの第四世代に対応する機種を開発すべく努力をしている、これが実態でございます。
  315. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 諸外国もそういうような助成をやっているという話をよくされますので、私もちょっと調べてみたんですけれども、これは通産省の委託研究で財団法人産業研究所というところが出した報告書です。「主要先進国の産業政策に関する調査研究」この報告書を見ますと、アメリカなどでもこういう研究開発費というようなものは国防総省とかNASA、宇宙開発関係などの調達を除くと民間の大企業などに対しては出されておらない、補助金などは主として大学や非営利団体などによる基礎研究に向けられているということがこの報告の中に書かれているわけです。だから私は、日本がこういうような大企業に対して集中的に補助金を出したりするということが、よく国際的に日本がやり過ぎだというような非難を受けるのは当たっているのじゃないかということを一言申し上げておきたいと思うのです。  それから、もう一つこれに関連して申し上げたいのは、こういうような補助金を出したおかげでコンピューターが製品化されて軌道に乗るというような状態になった場合には、いわゆる補助金適正化法によって出した補助金の全部または一部を返還させることができるようになっているわけですね。私は、今のような財政危機の状況のときには、こういう巨大な力をつけてきたところに対して、まずもうかるようになったら、この出した補助金を優先的に返してもらうということで、全額返してもらうような仕組みをこの機会につくっていくべきじゃないか。私は、これは極めて控え目な問題提起のつもりなんですが、大臣、いかがですか。
  316. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 収益納付の点についてのお尋ねでございますが、私どもといたしまして、この適正化法に従いまして厳正に収益納付をさせていくという方針でやっているわけでございます。  具体的に申しますと……(小沢(和)委員「もう時間がないから、ひとつ簡単にやってください」と呼ぶ)現在、収益納付が既に始まっておりますのが新機種の関係だけでございまして、新機種の関係では、五十八年度までに約四十四億円の収益納付が行われております。
  317. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 先ほどあなたが六百八十六億円コンピューターの関係で補助金を出したというふうに言われたのに見合うものが、今の四十三億六千万ということになるわけでしょう。そうすると、これは一〇%も返ってきていないのですよ。補助金を出してやって、製品化して、それでもうけるようになったのだから、このもうけの中から優先的に返してもらっても、一つも無理はないのじゃないかと私は思うのですね。現在の制度では何か五年ぐらいだというふうに聞いておりますけれども、実際には、あなた方が一九七二年から六年にかけて出した補助金によってつくられたコンピューターは今でも現役で動いているわけですね。  この間、日本経済新聞を見ておったら、日立が二面ぶち抜きの広告を出しているのですよ。この広告の中にHITAC MI二八〇Hというのが出てきているのですが、これはまさにそれによって開発をされた機種でしょう。補助金が終了して八年たってもまだ、こういうことで現役でどんどん新聞の広告に使われる代表的な機種としてやられているわけでしょう。だから、五年でこの収益納付を打ち切ってしまう、あるいは七年に延ばしても、まだ八年目で現にこうしているわけですから、これが実際にどんどんこうやって売り出されて会社が利益を得ている限りは、六百八十六億も出したのだから、それを返してもらうようにできるだけ努力をするということが当然ではないでしょうか。  このことについては、去年の五月二十日の当委員会で、当時の山中通産大臣が「収益を生み出し、あるいはまた試作品処理等が始まったら、国民の税金ですから、私企業というものは国に対して直ちに返済をする義務があるのでありますから、それはきちっと納めさせるという立場は貫いていきたいと思います。」というように明快に答えられておる。だから、私はこの立場に立って、今のような財政危機のときですから、この補助金については最大限に返させるように、全額返させることを目指してあなた方が努力するのは当然じゃないですか。大臣、いかがですか。——大臣、答えてくださいよ。これはかっても大臣が答えておるのですよ。
  318. 志賀学

    ○志賀(学)政府委員 やや事務的な問題がございますので、私からお答えします。実質的な問題と法律的な問題と二点お答えをいたします。  まず実質的な問題でございますけれども、新機種でねらいましたのは、三・五世代の機種をねらってやったわけでございます。現在いろいろ、先生がただいまお話がございましたようなことはございましたけれども、実質的な技術という面について申しますと、その後の各社の追加研究開発によっている部分が非常に多くなっているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、既にIBMでは第四世代を発表しておるということでございまして、実質的に、当時補助の対象になりました機種は既に陳腐化をしておるというふうに私は理解をいたしております。  もう一つ、今度は法律的な問題を申し上げますと、この新機種の問題につきましては、五年間で収益納付をするという前提で、それを前提にいたしましてこの補助が既に行われておったわけでございます。したがいまして、遡及いたしましてそれを延ばすとかいうことになりますと、大変難しい問題が法律的には出てまいります。こういったことから、五年間で新機種については実施をする、収益納付を五年間でやる、こういうことになっているわけでございます。
  319. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 では、大臣に今の点について改めて、収益納付をもっと改善をして、できるだけ補助金を積極的に回収するという立場で努力をしていただきたいと思うが、どうかということをお尋ねします。  あわせて、委託金の問題についても、これは広い意味で補助金と同じような問題がある。この委託金に基づいて開発をされた技術については、国の特許となって実施料という形でお金が入ってくるのだけれども、これも非常に少ないのですよ。こっちの方も改善するように努力をしていただきたいというように考えるけれども、その二点お尋ねして、終わります。
  320. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 小沢委員のその御意見をまじめに拝聴いたしました。
  321. 小沢和秋

    ○小沢(和)委員 検討しないのですか。——終わります。      ————◇—————
  322. 梶山静六

    梶山委員長 次に、内閣提出輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより趣旨説明を聴取いたします。小此木通商産業大臣。     —————————————  輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改正する法律案    〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  323. 小此木彦三郎

    ○小此木国務大臣 輸出保険法及び輸出保険特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近、世界経済の停滞等を背景に、発展途上国等の累積債務が増大する等カントリーリスクが著しい高まりを見せております。とりわけ輸出代金の回収に伴うリスクの高まりは、プラント輸出、中小企業の輸出等に悪影響を及ぼしております。  発展途上国等へのこれらの輸出は、我が国貿易構造の高度化及び中小企業の健全な発展のため、極めて重要な役割を果たすとともに、我が国経済が対外取引を通じて、世界経済の安定的発展に貢献すべきであるという観点から見ても、発展途上国等の経済発展へ寄与するものとして大いに推進すべき分野であります。  こうした状況の中で、これらの対外取引を円滑に進める上でリスク回避の主要な手段となっている輸出保険に対する利用者の期待は、ますます高まっており、政府としてもこの期待にこたえていく必要があります。  また、発展途上国等の中には、債務返済の繰り延べを実施する国が増加しており、我が国もそれらの国の経済再建に協力するとの立場から、これに応じてきておりますが、この結果、輸出保険特別会計において、保険金支払いの急増、業務量の増大が顕著となってきております。  以上のような実情にかんがみ、カントリーリスクの増大に対応した輸出保険制度の機能充実を図ることが当面の急務となっており、所要の制度改正を行うために、本法律案提案した次第であります。  次に、改正案の内容を御説明申し上げます。  第一に、輸出代金保険及び輸出手形保険の付保率、てん補率の引き上げ等であります。  カントリーリスク増大によるプラント輸出、中小企業の輸出等への悪影響に対処するため、これらの輸出に関連の深い両保険について、外貨不足による支払い遅延等の非常危険に限り、付保率及びてん補率の引き上げを行い、これらの輸出に伴う危険を軽減するものであります。  第二に、委託販売輸出保険及び海外広告保険の廃止であります。一最近において利用実績がほとんどない両保険を廃止し、カントリーリスクの高まりにより増大している輸出保険業務の合理化を図るものであります。  第三に、輸出保険特別会計法の借入金規定の整備であります。  五十九年度以降において予想される資金不足に対処するため、当分の間の措置として、借入金に係る債務を弁済する場合に、一定の範囲内において借入金ができるようにするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその概要であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  324. 梶山静六

    梶山委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、来る六日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時二十二分散会      ————◇—————