○田中(美)
委員 まじめにという言葉は実にけしからぬ言葉です。今四十歳以前の人たち、これからの人たちはそういう言葉は使えると思います。これだけ
年金の制度のPRもできていますので。ですから、これから払えるのに払わなかったという場合は、まじめでないということも少しは言えると思います。しかし、もうすぐ
年金という人たち、私の年代の女性ですね、少なくとも今四十歳以上ですね、この人たちにしてみれば、若いときから
年金をもらって生活するという
考え方は
日本には定着していなかったのですね。ですから
厚生年金を脱退したということも、第一、
年金に入っているということさえも会社の中で知らない。会社もきちっと説明しない。
厚生省は最も怠慢だったのですよ。それをPRしなかったのです。だから、
国民年金に入ってないという人がたくさん出て、無
年金者が出るので大変だというので、何回も救済制度をとったというのも、
厚生省が怠慢であったということをある程度認めているからこれをやったんじゃないですか。今
局長はまじめに納めた人と言われるが、じゃ納めない人はまじめでなかったのか。納めていたけれ
ども脱退している人もいるわけでしょう。そういうことを考えれば、今の
局長の言葉は、
一つ一つ私は気に入らないのです。(発言する者あり)全部とは言いません、一部分ですけれ
ども。それから、私は今すぐ全部五万円にせよなんて言ってませんよ。そんなことは言ってないのに、言ったように言わないでください。あなたの方が言っているのですからね。ごまかしをしているわけです。さっきもそうです、拡大解釈している。
大臣が、あんな大きなことを言うようなのは、もっとちゃんと指導しておかなければいかぬ。
私が今言っているのは、そういう人たちを何らかの形で救済する、五万円にせよと言ってません、救済する道を開かなければいかぬ。例えば最低保障
年金というような形でそういうものをつくっておくとか、これはスウェーデンなんかでもやっているわけですから、こういうことだって考えられたのじゃないか。そうすれば無
年金者も救うことができるし、そういう形で落ちこぼれさせられた人たちを救うこともできる。これは女だけじゃないのですよ。男にだってあるわけですから。数は男は少ないというだけです。こういうことを考えてないということが、今度のこの
法案の最大の欠点の
一つだというふうに私は思うわけです。
確かに細かいところでは非常に心を配った、非常に縮めた枠組みの中の
努力を、元の
山口局長が頑張られたという痕跡は、うーんとうなるようなところがあります。しかしこういうところは全く触れていないというところが、自民党
与党のもとにある
政府の大きな欠陥であるというふうに思います。
年金というのは、憲法二十五条で保障されている生活権にかかわる問題ですから、つつましくても見苦しくない生活をしたい。そんなに大きく金をもらおうと庶民というのは余り思っていないのですよ。庶民は、あなたが言うようにまじめでないというのは本当に少ないのですよ。本当に庶民というのはまじめなんですよ。つつましくて見苦しくない生活をしたい。ですから、今の
日本ではやはり最低保障
年金というものを、それを幾らにするかということは今私は言いませんけれ
ども、何らかのそういう道をつくれば無
年金者が全くなくなる。その上に社会
保険制度というものが乗って、ここでは掛金を掛けた人がそれだけたくさんもらえるんだということになってこそ、初めて憲法二十五条がきちっと保障されている方向の第一歩を踏み出すのではないかと思うのですね。そこがすぱっと抜けている。そういう抜けているところは女が多い。それを知らぬ顔していて、サラリーマンの妻一それも今は七〇%くらいは任意加入で入っているんじゃないですか、実際には自分で入っているわけですね。そうすると、四十歳にならない人たちからの場合にはそういう五万円という人たちが出てくるでしょうけれ
ども、それまではそうではない。そうしますと今四十歳になっている人、これから
年金をもらう今生きている人たちというものは少しも考えない、この人たちに対する
考え方が非常に抜けている。今、
局長は、
年金というのは時間をかけて、こういうふうに言われますけれ
ども、やはり政治というものは今生きている人間をまず大事にしながら、将来にわたってこれをさらにいいものにしていくという
考え方を持たなければならないのに、今生きている人たちを犠牲にして(「犠牲……」と呼ぶ者あり)いや、ここが一番犠牲になっているのですね。犠牲になっていないとは言いません。公平という点ではあなた方が言うような面が出てきているけれ
ども。今生きている人たちの中には、落ちこぼれが非常にいっぱいあると思う。これを救おうという
努力がなされていないで、妻の
年金権だとか、婦人の
年金権だとか、
日本に住んでいるすべての御婦人だとか、こういう失言を
大臣がなさるというような状態、この点はもう一度十分に考えなければならない点だと思います。
大臣、失言であれば訂正してください。