○浜田(卓)
委員 私は、自由民主党・新自由
国民連合を代表して、
内閣提出の
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための労働省
関係法律の整備等に関する
法律案について、自由民主党・新自由
国民連合提出の修正案及びその修正部分を除く原案に賛成するとともに、日本共産党・革新共同提出の
内閣提出法案に対する修正案に反対の意を表するものであります。・御承知のとおり、近年の我が国における女子労働者の増加は目覚ましく、全
雇用労働者に占める割合は三分の一を超えるに至っております。今や、女子労働者はすべての産業、職業に進出し我が国の経済社会において重要な役割を担っており、今後ともその活躍が期待されるところであります。
一方、女子自身についても、近年、高学歴化、平均寿命の伸長等ライフサイクルが大きく変化するとともに、女子自身の職業に対する意識も向上しています。
国際的にも
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保は世界的な潮流となっており、また我が国も、昭和五十五年に署名した婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約につきましては、昭和六十年までに関係国内法を整備し、その批准に備えることが要請されております。
これらの情勢を考慮に入れますと、我が国においても、
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇を確保するための立法措置を講ずることが必要であると考えます。
今回の政府案の主要な柱である
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の促進のための措置については、募集等に関しては努力
規定にし、定年、退職、解雇等に関しては禁止
規定とするとともに、その実効を図るため、事業主による自主的解決の促進、都道府県婦人少年室長の助言、指導または勧告、都道府県ごとの機会均等調停
委員会の調停を措置しております。
これらは、婦人少年問題審議会の法律の制定、改廃を行う場合には、その内容は将来を見通しつつも現状から遊離したものであってはならず、女子労働者の就業実態・職業意識、我が国の
雇用慣行、女子就業に関する社会的意識等の我が国の社会、経済の現状を踏まえたものとすることが必要であるとの建議を踏まえて措置されたものであり、我が国の現状に照らし適切なものと考えます。
また、
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇を実質的に確保するために、出産や育児等で一時期家庭に入り、子育てが一段落してから再び働くという女子が多くいることを踏まえて、政府案では、再
雇用特別措置の普及等を図るとともに、生児を有する女子の就業の継続が可能となるような育児休業の一層の普及促進のための援助措置を新設することとしているのは、まことに時宜を得たものであります。
労働基準法の女子保護
規定につきましては、今回の政府案は、妊娠及び出産に係る母性保護措置を拡充し、それ以外の女子保護
規定については廃止または緩和しております。
女子に対する特別の保護措置は、女子の能力発揮や職業選択の幅を狭める結果をもたらす場合があり、母性保護措置は別として、男女の均等取り扱いとは相入れないものであり、婦人の差別撤廃条約の趣旨に照らせば本来廃止すべきものと考えますが、政府案においては、婦人少年問題審議会の建議を踏まえて女子保護
規定の部分的改廃を行ったものであり、適切な保措置がとられたと考えます。
一方、日本共産党・革新共同提出の修正案については、現実的でなく賛成しかねるものであります。
なお、修正案の形をとりながら実質的な新法律の提出を行っていることにつきましては、予算を伴う内容でもあり、
国会法上手続的な疑義があるということもあえて申し添えさせていただきます。
以上の理由により、私は、自由民主党・新自由
国民連合の修正部分を除く政府案に賛成するとともに、日本共産党・革新共同提出の修正案に反対するものであります。
なお、政府案に対する自由民主党・新自由
国民連合の修正案は、労働基準法第百条の二に
規定する権限の主体の名称を「婦人少年主管
局長」から「婦人主管
局長」に改正する部分の施行期日について、当初昭和五十九年七月一日とされていたところ、同日までに法案が成立しなかったので「公布の日」と改めるものであり、妥当であると考えます。
最後に、
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための施策を今後とも講じられていくに当たって、ぜひとも配慮すべき点を要望したいと存じます。
雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保は、
雇用の分野のみならず、広範に社会、家庭のあり方、ひいては国のあり方にも深く関連する問題であるということは事実であります。この問題に関するスウェーデンを初めとする北欧諸国、アメリカ等における実験はまことに貴重なものであり、これを他山の石とすべきであります。
最近、アメリカでは、機械的に男女を同一にするのではなく、それぞれのよさを再認識しつつ、実質的に男女の均等な取り扱いを推進するというセカンドステージに入ったと言われております。男女の均等な取り扱いは我が国の憲法第十四条でも明定され、また国際人権規約、婦人差別撤廃条約等の国際条約にも明言されている基本的人権でありますが、同時に、それぞれの国において長い歴史的背景を持つ社会的、文化的事情とも密接不可分に絡み合っております。
したがって、西欧文化の直訳という形でこれを推進するのではなく、我が国の歴史、文化、社会意識等の国情を十分踏まえた日本的な味つけを行うことが何より肝要かと存じます。この点を踏まえて男女の均等な取り扱いを推進するよう強く要望して、私の討論を終わります。(拍手)