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渡部国務大臣 ただいま議題となりました
戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する
法律案について、その提案
理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
戦傷病者、戦没者遺族等に対しましては、その置かれた状況にかんがみ、
年金の支給を初め各種の
援護措置を講じ、
福祉の増進に努めてきたところでありますが、今回、
年金等の支給額を引き上げるほか、国債の最終償還を終えた戦傷病者等の妻に対して引き続き特別給付金を支給することとし、
関係の法律を改正しようとするものであります。
以下、この
法律案の概要について御
説明申し上げます。
第一は、戦傷病者戦没者遺族等
援護法の一部改正であります。これは、障害
年金、遺族
年金等の額を恩給法の改正に準じて引き上げるとともに、併発死に係る遺族
年金等について遺族加算を行うものであります。
第二は、未帰還者留守家族等
援護法の一部改正であります。これは、未帰還者の留守家族に支給される留守家族手当の月額を遺族
年金に準じて引き上げるものであります。
第三は、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法の一部改正であります。これは、
昭和五十四年に特別給付金として交付された国債の最終償還を終えた戦傷病者等の妻に対し、引き続き特別給付金として、二万円、二年償還の無利子の国債か支給するものであります。以上が、この
法律案の提案
理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願いいたします。
次に、ただいま議題となりました
身体障害者福祉法の一部を改正する
法律案について、その提案の
理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
昭和五十六年の国際障害者年を契機として、
国民各層において障害者問題に対する関心と理解が深まり、身体障害者
福祉の理念が広く定着してまいりました。このような状況を踏まえ、身体障害者
福祉対策の一層の推進を図るため、身体障害者の範囲を拡大するとともに、身体障害者更生
援護施設に関する規定の整備等の所要の改正を行うこととし、この
法律案を提案した次第であります。
以下、この
法律案の内容の概略について御
説明申し上げます。
第一は、身体障害者
福祉の理念に関する規定の整備であります。近年高まりつつある「完全参加と平等」という国際障害者年の理念を
身体障害者福祉法に盛り込むことといたしました。すなわち、すべての身体障害者はあらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものであることを法律上明らかにすることといたしております。
第二は、身体障害者の範囲の拡大であります。すなわち、障害の多様化、複雑化等に的確に対処するため、身体障害者の範囲を従来法で定めているもののほか、新たに政令で定めることができるようにすることとしております。政令においては、人工肛門、人工膀胱の造設者等の排せつ機能障害を有する者で、日常生活に著しい制限を受けるものを定める予定にしております。
第三は、身体障害者更生
援護施設に関する規定の整備であります。まず、現在障害別に規定されている肢体不自由者更生施設、失明者更生施設、聾唖者更生施設、内部障害者更生施設を身体障害者更生施設として統合し、身体障害者のニーズに即応できるよう施設運営の弾力化を図ることとしております。
次に、身体障害者が、地域社会で自立した生活を営むことができるよう居室その他の設備に配慮するとともに、日常生活に必要な便宜を供与する小規模な生活施設として、新たに、身体障害者
福祉ホームを設けることとしております。
また、身体障害者の地域
福祉対策の中核である身体障害者
福祉センターを新たに法に規定することとしております。
第四は、身体障害者更生相談所の機能の
充実であります。身体障害者更生相談所は、地域リハビリーテーションの中枢機関として、その機能の強化と活性化が望まれているところであり、このため、専門的な相談に応ずること等をその業務に加えることとしております。
第五は、身体障害者更生
援護施設における費用徴収に関する規定の整備であります。すなわち、障害者の所得保障の
充実等を踏まえ、施設利用に関する費用徴収規定を設け、費用
負担の合理化か図ることとしております。
なお、この法律の
施行は、本年十月からとしておりますが、施設の利用に対する費用徴収に関する改正については、障害者の所得保障制度の確立する
昭和六十一年四月からとしております。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその内容の概要であります。何とぞ、慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題となりました
社会福祉・医療事業団法案について、その提案の
理由及び内容の概要を御
説明申し上げます。
政府といたしましては、
社会福祉の増進並びに
医療の普及及び向上を図るため、
昭和二十九年に
社会福祉事業振興会を、また、
昭和三十五年に
医療金融公庫を設立し、融資等の業務を行っているところであります。
両法人の果たしてきた役割は大変大きなものがありますが、近年、社会経済の状況は大幅に変化してきており、とりわけ
社会福祉、
医療を取り巻く環境の変化は極めて著しく、高齢化社会の到来を間近に控えて時代の変化に対応した新しい観点から
社会福祉の増進並びに
医療の普及及び向上を図っていくことが大きな課題となっております。
政府といたしましては、昨年三月の臨時行政調査会の最終答申を踏まえ、特殊法人の整理合理化を図るとともに、このような要請に適切に対応するため、
社会福祉事業振興会と
医療金融公庫を統合し、
社会福祉・
医療事業団とする必要があると考え、この
法律案を提案することとした次第であります。
以下、この
法律案の内容について、その概要を御
説明申し上げます。
第一に、
社会福祉・
医療事業団は、
社会福祉事業施設及び病院、診療所等の設置等に必要な資金の融通等を行い、もって
社会福祉の増進並びに
医療の普及及び向上を図ることを目的とするものであります。
第二に、
社会福祉・
医療事業団は、法人といたしますとともに、役員として、
理事長一人、副
理事長一人
理事四人以内及び監事二人以内並びに非常勤の
理事二人以内を置くものとしております。なお、役員数につきましては、行政改革の趣旨に沿って統合前より縮減しております。
また、法人運営の適正を期するため、
理事長の諮問機関として評議員会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項を調査
審議するほか、
理事長に
意見を述べることができるものとしております。
第三に
社会福祉・
医療事業団の業務につきましては、従前から、
社会福祉事業振興会が行っておりました
社会福祉事業施設の設置等に必要な資金の融通その他
社会福祉事業に関する必要な助成、
社会福祉施設職員退職手当共済制度の運営、心身障害者扶養保険事業の
実施に関する業務を行うほか、病院、診療所等の設置等に必要な資金の融通、
社会福祉事業施設及び病院、診療所等に関する経営指導等の業務を行うこととしております。
そのほか、
社会福祉・
医療事業団の財務、会計、
厚生大臣の監督等につきまして、所要の規定を設けることといたしております。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその内容の概要であります。
何とぞ、慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
次に、ただいま議題になりました
国民年金法等の一部を改正する
法律案につきまして、その提案の
理由及び内容の概要を御
説明いたします。
我が国の公的
年金制度は、
国民皆年全体制のもとで着実な発展を遂げ、社会保障の中心的な制度として
国民生活において重要な役割を占めるに至っております。しかしながら、近時、我が国の社会経済は、人口構造の高齢化の進行、産業構造就業構造の変化等により大きく変動しつつあります。これに伴い、
年金制度のよって立つ基盤そのものにも重大な変化が生じております。
年金制度は、
国民が安心して老後生活を営んでいく上で最も重要な柱であり、このような社会経済情勢の変化に的確に、対応しつつ、長期的に安定した制度運営が維持されなければなりません。とりわけ、我が国社会が高齢化のピークを迎える二十一世紀前半においても、健全で安定した
年金制度の運営が図られるよう長期的展望に立った制度全般にわたる見直しが迫られております。
今回
提出いたしました
改正案は、このような趣旨にかんがみ、
年金制度改革に関する各方面の御
意見をも踏まえつつ取りまとめたものであります。その主眼は、本格的な高齢化社会の到来に備え、公的
年金制度の長期的な安定と整合性ある発展を図るため、
国民共通の基礎
年金を導入するとともに、給付と
負担の均衡を長期的に確保するための措置を計画的に講ずることであります。
こうした見地に立って、今回の
改正案においては、まずその第一
段階として、
国民年金、厚生
年金保険及び船員保険の再編成を図る等所要の改正を行うこととしております。
また、基礎
年金の導入に伴い、障害者の所得保障の大幅な
改善を図ることとしております。具体的には、二十歳前に生じた障害につきましても基礎
年金を支給することとするとともに、成人障害者が自立生活を営む基盤を形成する観点から、特別児童扶養手当等の支給に関する法律を改正し、二十歳以上の在宅の重度障害者に対し、新たに特別障害者手当を支給することといたしております。
さらに、昨今の社会経済情勢にかんがみ、
昭和五十九
年度において
年金額等の改定を
実施することとし、そのための規定の整備を行うこととしております。
以上が
改正案の主な内容でございますが、以下、
改正案の具体的内容につきまして、順次御
説明申し上げます。
まず、基礎
年金の導入等
年金制度の基本的な改正の内容について申し上げます。
第一点は、制度体系の再編成であります。基本的には社会保険方式を維持し、現行制度の独自性を尊重しながら、一方で
国民共通の基礎
年金給付を導入することにより、公的
年金制度全体の整合性を確保することを目標としております。このために、
国民年金制度を基礎
年金を支給する制度として位置づけ
国民年金の適用を厚生
年金保険の被保険者及びその配偶者にも拡大することとしております。基礎
年金の給付は、老齢基礎
年金、障害基礎
年金及び遺族基礎
年金の三種類としております。
一方、厚生
年金保険制度は、原則として基礎
年金に上乗せする報酬比例の給付としての老齢厚生
年金、障害厚生
年金及び遺族厚生
年金を支給する制度に改めることとしており、この結果、いわゆる二階建ての
年金体系となるわけであります。また、厚生
年金保険においては、被用者独自に必要な給付として、三級障害についての障害厚生
年金及び子のない寡婦等、従来の遺族
年金の支給対象とされていた遺族に対する遺族厚生
年金を支給するほか、当分の間、六十歳から六十四歳までの老齢厚生
年金を支給することとし、全体として従来の給付要件は維持することとしております。
なお、外国在住の日
本人にも新たに任意加入の道を開くとともに、任意加入しなかった場合でも、いわゆる資格期間には算入することとし、無
年金者の発生を防止することとしております。
第二点は、将来に向けての給付水準の適正化であります。現行制度のままといたしますと、受給者の平均加入年数の伸びに応じて給付水準が上昇し続け、将来の保険料
負担が過大となり、世代間の公平が失われ、制度の円滑な運営が損なわれることが確実に予測されます。そこで、本格的な高齢化社会を迎える二十一世紀に向けて、今後発生する
年金給付については所要の見直しを行い、給付と
負担の均衡を図ることとしております。
すなわち、
年金水準につきましては、将来に向けて現在の水準を維持していくことといたしました。具体的には、今後生じる基礎
年金の水準を、
昭和五十九
年度価格で月額五万円の
定額としております。また、厚生
年金保険の報酬比例の
年金の乗率につきましては、
施行日における年齢別に、二十年の経過期間中
段階的に逓減することとしております。この結果、被用者につきましては、夫の報酬比例の
年金と夫婦の老齢基礎
年金とを合わせた
年金額は、ほぼ現行の厚生
年金保険のモデル
年金の水準を維持することになります。なお、
施行日において既に六十歳。に達している者及び既発生の給付については、原則として従来どおりといたしております。
第三点は、婦人の
年金権の確立であります。被用者の妻につきましても
国民年金を適用することといたしますので、改正後は、夫、妻それぞれに基礎
年金が支給されることとなります。これにより、従来からの課題であった単身世帯と夫婦世帯の給付水準の分化と妻の
年金権の確立を図ることができることとなるわけであります。なお、当面は、被用者の妻にあっては、
国民年金への加入期間が十分でないことを考慮し、経過的に加算を行い、一定の水準を確保することとしております。
第四点は、給付の
改善に関する事項であります。
物価スライド制につきましては、
実施時期を四月に繰り上げるほか、新たに、障害基礎
年金や遺族基礎
年金の加算及び厚生
年金保険の加給
年金もその対象とすることとしております。
障害者の所得保障については、大幅な
改善を図ることとしております。一つは、二十歳前の障害につきましても障害基礎
年金を支給することとし、拠出者の場合との給付水準の格差を解消することであります。その二は、資格期間でありますが、初診日前の被保険者期間中に三分の一以上の滞納がない限り
年金を支給することとしております。その三は、障害基礎
年金の受給権者に子がある場合に相当の額の加算を新たに行うこととしたことであります。その四は、厚生
年金保険の事後重症の制限期間を撤廃することとしたことであります。
遺族
年金につきましては、子のある妻、高齢の妻に手厚い給付となるよう重点化を図ることとしております。
なお、厚生
年金保険の各種の特例措置については今回見直すこととしております。第四種被保険者制度、いわゆる中高齢十五年加入の特例、第三種被保険者の期間計算の特例及び脱退手当金は、将来に向かって廃止するほか、女子の支給開始年齢につきましては、男子と同じ六十歳に引き上げることとしております。これらについては、例えば女子の支給開始年齢の引き上げについて、十五年かけて
段階的に行うなど、それぞれ所要の経過措置を講ずることとしております。
第五点は、費用
負担についてであります。
基礎
年金の給付に要する費用は、
国民年金の保険料、厚生
年金保険の拠出金及び
国庫負担で賄うこととしております。
すなわち、自営業者世帯等については、
国民年金の保険料及び
国庫負担がその財源になりますが、被用者世帯につきましては、被用者及びその被扶養配偶者に関して厚生
年金保険が拠出金としてまとめて
負担するという
考え方であります。したがって、厚生
年金保険の被保険者及びその被扶養配偶者は、
国民年金の保険料を
負担する必要はないという扱いになります。この拠出金の金額は、厚生
年金保険の被保険者数と被扶養配偶者数の合計数の
国民年金の総被保険者数に占める割合に応じて政令で定めるところにより計算することといたしており、いわば被保険者数の頭割りで両制度が公平に
負担するということになるわけであります。
国庫負担は、基礎
年金に要する費用に一元化するという
考え方であり、
負担率は三分の一であります。厚生
年金保険では、拠出金額の三分の一ということになります。なお、これとは別に、経過的な
国庫負担等が行われることとなっております。
保険料は、自営業者等については、これまでどおり
定額としておりますが、
昭和六十一年四月から
昭和五十九
年度価格で月額六千八百円とし、その後も毎
年度段階的に引き上げることといたしております。被用者については、
昭和六十年十月から保険料率を千分の十八引き上げることといたしておりますが、女子については、男子との格差を解消するため、引き上げ幅を千分の二十とし、その後も毎年千分の二ずつ引き上げることとしております。
第六点は、その他の事項についてであります。
まず、今回基礎
年金が導入されることに伴い、通算
年金通則法は廃止することとしております。
次に、厚生
年金保険については、常時従業員を使用する法人の事業所または
事務所について、
段階的にその適用事業所とすることとしております。さらに、標準報酬については、六万八千円から四十七万円までの三十一等級に改めることとしております。
また、厚生
年金基金については、
年金数理に係る業務等の受託機関の範囲を拡大する等の改正を行うこととしております。
第七点は、船員保険についてであります。
船員保険の職務外
年金部門については、
年金一元化の趣旨等にかんがみ、制度的に同一の内容を有する厚生
年金保険に統合することとしております。すなわち、船員は、厚生
年金保険の第三種被保険者として適用することとし、過去の被保険者期間についても第三種被保険者並みに扱うこととするほか、職務上の
年金について所要の改正をすることとしております。
以上の
年金制度の基本的な改正の
施行期日につきましては、業務処理面な
ども考慮し、
昭和六十一年四月一日としております。
ただし、障害
年金の事後重症制度の
改善につきましては、
昭和五十九年八月一日から
実施することとし、厚生
年金保険の標準報酬の上下限及び保険料率の改定については、前回改定時から五年目の
昭和六十年十月一日からとしております。
続きまして、第二の大
項目であります特別障害者手当の創設について申し上げます。
二十歳以上であって、精神または身体の重度の障害により日常生活において、常時特別の介護を必要とする
状態にある在宅の重度障害者に対し、月額二万円の特別障害者手当を支給することとしております。
また、特別障害者手当の支給は、重度障害者の住所を所管する
福祉事務所を管理する都道府県知事及び市町村長が行うこととし、特別障害者手当の支給に要する費用は、国がその十分の八を、都道府県または市町村がその十分の二を
負担することとしております。
その他、二十歳未満の重度障害児については、従来どおり
福祉手当を支給することとしております。また、二十歳以上の従来の
福祉手当受給資格者については、所要の経過措置を講ずることとしております。
以上の改正については、
昭和六十一年四月一日から
実施することといたしております。
最後に、
昭和五十九
年度におきます
年金額等の改定について申し上げます。
まず、拠出制
年金につきましては、公務員給与の改定及びこれに連動した共済
年金の額の改定等を考慮し、
昭和五十九
年度において、特例スライドを
実施することとしております。改
定率は、共済
年金と同じく二%であり、また、
実施時期は、厚生
年金保険、船員保険については四月、
国民年金については五月としております。なお、
昭和五十七、五十八両
年度の物価上昇率のうち、今回
実施の二%分を控除した部分については、次回スライドの際、あわせて引き上げる扱いとしております。
福祉年金につきましては、拠出制
年金の
改善にあわせて
年金額の改定をすることとしており、老齢
福祉年金で申し上げますと、月額二万五千百円を月額二万五千六百円に引き上げることとしております。
実施時期については、本年六月といたしております。
また、特別児童扶養手当の額につきましては、
福祉年金に準じて、本年六月から改定を行うこととしており、
福祉手当の額につきましても、本年六月より所要の改定を行うこととしております。
以上が、この
法律案の提案
理由及びその概要であります。何とぞ、慎重に御
審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。