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簑輪委員 分析はともかくとして、実態
調査そのもの、全体をやはりすべて明らかにした上で審議に参考にするという姿勢がなければならないと思いますが、先になってから、法案が通っちゃってからそういうものができる、後の祭りみたいにならないようにしていただきたいと思うのですね。その態度、姿勢が非常に問題であることを私は重ねて
指摘しておきたいと思います。
それから、
男女ともに深夜業が
人間の体によくないことは、
調査をしなくてもまあ明らかなことなんですけれども、こういう中で、たくさんの
婦人労働者あるいは
国民の皆さん方がこの深夜業の規制緩和に反対をしておられるということを私は強く申し上げたいと思います。それには、何としても
調査をはっきりさせて、特に
婦人の深夜
労働が
婦人の健康に与える影響というようなものをもっともっと科学的に明らかにすべきではないかというふうに思います。私は、深夜業問題を考えるに当たって、特に、まだ深夜業ではないけれども、現在の
法律のもとで既に二交代という形で事実上朝早くから、あるいは夜遅くまで働く二交代制の
労働者の実態をぜひ皆様にお聞きいただき、御理解を得たいと思います。
日本専売公社の関西工場では二交代制の勤務がしかれております。その
婦人から切実な訴えをいただいておりますので読ませていただきます。
早番は六時二十五分から二時十分まで、遅番は一時五十五分から九時四十分までです、早番固定の人、遅番固定の人もいますが、ほとんどの人は一週間交代で早番、遅番を繰り返しています。
早番の日は朝四時に起きて子ども、夫の弁当つくり、自分の朝食はそこそこに五時過ぎには家を出ます。通勤バスまで自転車で行く人、徒歩の人、国鉄やもよりの電車を利用する人様々ですが、早朝の一人歩きの心細さは、物騒な今の世ですから身にしみます。早番に浮浪者風の男につけられた人もいます。年老いた母が心配してついてくると言うとなげいていました。この頃の神足周辺は殺人事件なども起り、二交替の人も何人か職務じん問を受けたとのことです。
六時三十分から機械が動き出しますが、体はぽうっとして半分ねむっています。やっと慣れると九時の休憩、その時に食事をする人も多いです。昼食は十一時三十分から十二時まで、遠い機械のはしから二階の食堂まで、一階や三階の人は往復だけで十分近くかかり、正味食事時間は二十分、この昼食時間は日勤者もいっしょです。二十分で食事をするなんて
人間らしくありません。食べるだけ!この不満は大きいです。二時十分仕事が遅番の人とかわりやれやれと思った時は何をする気力もありません。夏は一番熱い時間帯にクーラーもついていない通勤バスに乗って家路を急ぎます。かえってゆっくりねられないのが主婦のつらさです。夕食の用意をして、テレビでもゆっくり見るなんて疲れて出きません。中高生をもつ人はせめて子どもの話し相手にもなってやりたいと思っても、明日の早番を思うと寝なければ体がもたないので、塾にいっている子どもを待たずにねてしまう。子どもはそんな母親を起すまいとして言いたいこともがまんして、手紙で枕元に置いて訴えるなんてみんなやっています。親としてとてもつらいと訴えています。
遅番でも主婦は早起きです。子どものため、夫のために寝てはいられません。夕食の用意をして、昼食もそこそこに家を出ます。くたびれて会社へ。六時三十分から七時までの夕食が終って仕事。そのころ窓を見ると町の明りが点々と見え、今頃一家団らんの時だなあと思うと、なんでこんな時間にタバコを作らねばならないのかと怒りとむなしさがこみ上げます。夫も遅い時は、子どもたちだけで食事をしている姿を想うとやり切れません。体はだるくぼうっとして何を考えることも出来ず、ほんとうにくたくたです。九時四十分に仕事を終え、家に帰りつく頃は十一時前後、通勤電車が遅延していたら、タクシーに走ったり他の電車にのりかえに走ったり、ほんとうにみじめです。夫に駅まで迎えにきてもらっている人もいます。ねるのは十二時過ぎになってしまいます。
二交替の人は睡眠不足がひどいです。全身けん怠感、思考力の低下、根気の低下を訴えています。
現在二交替者に妊婦が三人います。この人たちは機械従事者です。何とか日勤にできないかと思います。不規則な生活と過労な
労働は母体によくありません。健康な赤ちゃんを産んでほしい!二交替のために流産した人もいました。
ということで
二交替は、家族の健康や生活もおびやかしています。二交替者の健康も限界にきています。心身症、ノイローゼ、更年期障害と合ぺいして色々な症状もあらわれてきています。そのことは家族の健康までおびやかしていますし、夫や子どもとの対話不足は、ストレスの上に心配を助長させています。
もう
一つの手紙では
毎日の睡眠五時間、六時間の人が
婦人労働者の六〇%を越えています。視力が衰え(監視業務)思考力も低下し、胃腸をこわし、頚腕、腰痛、ノイローゼ、指を切断したり、足のお皿を割ったり、数知れない病人、けが人が後をたたない毎日です。
というようなことで、現在の労基法のもとで許されている二交代制の
労働に従事している
婦人が、このような
労働実態の中で、生活のリズム、
人間の生体のリズムが狂って大変な健康被害も生まれており、
家庭での困難も生まれているという実態があるわけです。この上深夜業が許されるということになっていったのならば、一体どういうことになるだろうかということは改めて申し上げるまでもありません。深夜業の問題で適用除外というのが定められておりますけれども、そのことについてはまた後ほどお尋ねしますが、時間外あるいは深夜業ともに規制が緩和される対象になっている部分について、まず最初にお尋ねをしておきたいと思います。
時間外・休日
労働及び深夜業の規制が全面的に適用除外になるケースとして「
労働者の業務の遂行を指揮命令する職務上の地位にある者又は専門的な知識若しくは技術を必要とする業務に従事する者」というふうに定められておりますが、一体これはどのような
労働者をいうのでしょうか。最小の単位のグループの長とか、いわゆる管理職の対象について、一体労基法上の管理、監督の地位にある者と解釈すべきなのか、あるいはまた既に婦少審の中で論議されたようですけれども、業務遂行の最小単位の長として、その属する
労働者に対して業務遂行上の指揮命令権限を有する者、係長などをいうものとするというようなことをお考えなのでしょうか。また「専門的な知識若しくは技術を必要とする」という業務は一体どのような職種であるのか、お考えをお聞かせいただきたいと思います。そして、それぞれに該当する
男女の
労働者数というのは一体どの程度のものになっているのか、
労働省はどの程度と見積もっているのかお聞かせをいただきたいと思います。