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1984-06-19 第101回国会 衆議院 社会労働委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月十九日(火曜日)     午前十時開議  出席委員   委員長 有馬 元治君   理事  愛知 和男君 理事 稲垣 実男君   理事  小沢 辰男君 理事 丹羽 雄哉君   理事  池端 清一君 理事 村山 富市君   理事 平石磨作太郎君 理事 塩田  晋君       伊吹 文明君    稲村 利幸君       古賀  誠君    斉藤滋与史君       自見庄三郎君    谷  洋一君       谷垣 禎一君    友納 武人君       中野 四郎君    長野 祐也君       二階 俊博君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    浜田卓二郎君       藤本 孝雄君    箕輪  登君       綿貫 民輔君    渡辺 秀央君       網岡  雄君    河野  正君       多賀谷真稔君    竹村 泰子君       永井 孝信君    森井 忠良君       大橋 敏雄君    沼川 洋一君       橋本 文彦君    森本 晃司君       小渕 正義君    塚田 延充君       浦井  洋君    田中美智子君       菅  直人君  出席国務大臣         労 働 大 臣 坂本三十次君  出席政府委員         労働大臣官房長 小粥 義朗君         労働大臣官房審         議官      野見山眞之君         労働省労働基準         局長      望月 三郎君         労働省職業安定         局長      加藤  孝君         労働省職業訓練         局長      宮川 知雄君  委員外出席者         行政管理庁行政         監察局監察官  長野 文昭君         文部省初等中等         教育局特殊教育         課長      山田 勝兵君         厚生省社会局保         護課長     清水 康之君         厚生省社会局更         生課長     池堂 政満君         労働省労働基準         局安全衛生部長 小田切博文君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   福渡  靖君         労働省職業安定         局障害者雇用対         策室長     藤原 正志君         社会労働委員会         調査室長    石黒 善一君     ————————————— 委員の異動 六月十九日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     二階 俊博君   今井  勇君     綿貫 民輔君   箕輪  登君     谷  洋一君 同日  辞任         補欠選任   谷  洋一君     箕輪  登君   二階 俊博君     稲村 利幸君   綿貫 民輔君     今井  勇君     ————————————— 六月十五日  医療保険改悪反対に関する請願塚本三郎君  紹介)(第六五二〇号)  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願外二件(角屋堅次郎紹介  )(第六五二一号)  同外一件(中井洽紹介)(第六五二二号)  同(野口幸一紹介)(第六五二三号)  中途失聴者難聴者救済等に関する請願(山  花貞夫君紹介)(第六五二四号)  国民に対する医療改善に関する請願角屋堅次  郎君紹介)(第六五二五号)  同(佐藤敬治紹介)(第六五七五号)  医療保険改悪反対等に関する請願外四件(城  地豊司紹介)(第六五二六号)  同(竹内猛紹介)(第六五二七号)  同(兒玉末男紹介)(第六五七八号)  同(清水勇紹介)(第六五七九号)  同(野口幸一紹介)(第六五八〇号)  同(安田修三紹介)(第六五八一号)  同(横山利秋紹介)(第六五八二号)  同外一件(小川仁一紹介)(第六六四五号)  同(木間章紹介)(第六六四六号)  同(嶋崎譲紹介)(第六六四七号)  医療保険制度改悪反対充実改善に関する請  願(湯山勇紹介)(第六五二八号)  同外四件(河野正紹介)(第六六四九号)  児童扶養手当制度改悪反対に関する請願外六件  (土井たか子紹介)(第六五二九号)  同(前川旦紹介)(第六五八五号)  同(森井忠良紹介)(第六五八六号)  医療保険抜本改悪反対に関する請願塚本三  郎君紹介)(第六五三〇号)  同(小川仁一紹介)(第六五八七号)  同(清水勇紹介)(第六五八八号)  医療保険制度改善に関する請願関晴正君紹  介)(第六五三一号)  同(伊藤茂紹介)(第六五八九号)  同外一件(岩垂寿喜男紹介)(第六五九〇号  )  同(田中恒利紹介)(第六五九一号)  同(細谷治嘉紹介)(第六六五〇号)  医療年金雇用保険抜本改悪反対等に関す  る請願外二件(串原義直紹介)(第六五三二  号)  同(清水勇紹介)(第六五三三号)  同(清水勇紹介)(第六五九八号)  同(中村茂紹介)(第六六七三号)  ベーチェット病調査研究班存続等に関する請  願(安田修三紹介)(第六五三四号)  同(今井勇紹介)(第六六一三号)  同(中馬弘毅紹介)(第六六一四号)  同(山口敏夫君紹介)(第六六一五号)  療術制度化阻止に関する請願伊藤正義君紹  介)(第六五七三号)  同(宮崎茂一紹介)(第六五七四号)  国立病院療養所統合等反対医療従事職員  の増員に関する請願外四件(大原亨紹介)(  第六五七六号)  同外二件(森井忠良紹介)(第六五七七号)  医療保険改悪反対充実に関する請願関晴  正君紹介)(第六五八三号)  同(河野正紹介)(第六六四八号)  医療保険制度改悪反対等に関する請願森井  忠良紹介)(第六五八四号)  年金医療雇用保険改悪反対充実改善に  関する請願田中恒利紹介)(第六五九二号  )  同(浦井洋紹介)(第六六五一号)  同(柴田睦夫紹介)(第六六五二号)  同(田中美智子紹介)(第六六五三号)  同(簑輪幸代紹介)(第六六五四号)  療術制度化促進に関する請願大島理森君紹  介)(第六五九三号)  同外六件(中村靖紹介)(第六五九四号)  国立腎センター設立に関する請願塩川正十郎  君紹介)(第六五九五号)  重度戦傷病者と妻の援護に関する請願石橋一  弥君紹介)(第六五九六号)  同外一件(斉藤滋与史君紹介)(第六五九七号  )  小規模障害者作業所助成に関する請願(甘利  明君紹介)(第六五九九号)  同(伊藤公介紹介)(第六六〇〇号)  同(石原健太郎紹介)(第六六〇一号)  同(今井勇紹介)(第六六〇二号)  同(小杉隆紹介)(第六六〇三号)  同(河野洋平紹介)(第六六〇四号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第六六〇五号)  同(中馬弘毅紹介)(第六六〇六号)  同(浜田卓二郎紹介)(第六六〇七号)  視覚障害者雇用促進に関する請願石橋一弥  君紹介)(第六六〇八号)  同(大原亨紹介)(第六六〇九号)  はり、きゆう治療患者救済に関する請願(斉  藤滋与史君紹介)(第六六一〇号)  同(今井勇紹介)(第六六七四号)  医療保険改悪反対医療保健制度拡充に  関する請願外一件(横江金夫紹介)(第六六  一号)  同外七件(横山利秋紹介)(第六六一二号)  同(佐藤観樹紹介)(第六六七五号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願外一  件(河野正紹介)(第六六四三号)  国民医療改善に関する請願外一件(小川仁一  君紹介)(第六六四四号)  医療保険年金制度改悪反対に関する請願外  三件(河野正紹介)(第六六五五号)  医療保険年金制度雇用保険改悪反対に関  する請願小沢和秋紹介)(第六六五六号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第六六五七号)  同(津川武一紹介)(第六六五八号)  同(中川利三郎紹介)(第六六五九号)  同(野間友一紹介)(第六六六〇号)  同(林百郎君紹介)(第六六六一号)  同(三浦久紹介)(第六六六二号)  同(山原健二郎紹介)(第六六六三号)  健康保険本人の十割給付堅持予防等給付の改  善に関する請願河野正紹介)(第六六六四  号)  政府管掌健康保険等改悪反対に関する請願  (梅田勝紹介)(第六六六五号)  同(経塚幸夫紹介)(第六六六六号)  同(辻第一君紹介)(第六六六七号)  同(中林佳子紹介)(第六六六八号)  同(東中光雄紹介)(第六六六九号)  同(藤田スミ紹介)(第六六七〇号)  同(正森成二君紹介)(第六六七一号)  被保険者本人の十割給付堅持等に関する請願  (河野正紹介)(第六六七二号)  健康保険本人十割給付堅持年金制度改悪反  対等に関する請願外一件(横江金夫紹介)(  第六六七六号)  同外十六件(横山利秋紹介)(第六六七七号  ) 同月十九日  男女雇用平等法法制化等に関する請願外一件  (串原義直紹介)(第六七三〇号)  同外二件(清水勇紹介)(第六七三一号)  同外一件(中村茂紹介)(第六七三二号)  健康保険制度改悪反対に関する請願津川武  一君紹介)(第六七三三号)  健康保険国民健康保険等医療保険制度改悪  反対に関する請願中島武敏紹介)(第六七  三四号)  医療保険医療供給体制改悪反対等に関する  請願瀬崎博義紹介)(第六七三五号)  国立病院療養所統合等反対医療従事職員  の増員に関する請願柴田睦夫紹介)(第六  七三六号)  同(藤木洋子紹介)(第六七三七号)  医療保険改悪反対等に関する請願瀬崎博義  君紹介)(第六七三八号)  同(竹内猛紹介)(第六七三九号)  医療保険改悪反対充実に関する請願外一件  (松本善明紹介)(第六七四〇号)  医療保険制度改悪反対等に関する請願柴田  睦夫君紹介)(第六七四一号)  医療保険制度改悪反対充実改善に関する請  願外一件(柴田睦夫紹介)(第六七四二号)  児童扶養手当制度改悪反対に関する請願梅田  勝君紹介)(第六七四三号)  同(梅田勝紹介)(第六八一六号)  医療保険抜本改悪反対に関する請願柴田睦  夫君紹介)(第六七四四号)  医療保険制度改善に関する請願外一件(稲葉  誠一君紹介)(第六七四五号)  同外五件(上野建一紹介)(第六七四六号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第六七四七号)  同(左近正男紹介)(第六七四八号)  同外十二件(柴田睦夫紹介)(第六七四九号  )  同(田並胤明君紹介)(第六七五〇号)  同外一件(津川武一紹介)(第六七五一号)  同外一件(中林佳子紹介)(第六七五二号)  同(東中光雄紹介)(第六七五三号)  同外一件(不破哲三紹介)(第六七五四号)  同(正森成二君紹介)(第六七五五号)  同(松本善明紹介)(第六七五六号)  同(簑輪幸代紹介)(第六七五七号)  同(柴田睦夫紹介)(第六八一七号)  同(新村勝雄紹介)(第六八一八号)  年金医療雇用保険改悪反対充実改善に  関する請願工藤晃紹介)(第六七五八号)  同(中島武敏紹介)(第六七五九号)  同(不破哲三紹介)(第六七六〇号)  医療保険年金制度改悪反対に関する請願  (柴田睦夫紹介)(第六七六一号)  同(瀬崎博義紹介)(第六七六二号)  国立腎センター設立に関する請願不破哲三君  紹介)(第六七六三号)  児童扶養手当法の一部を改正する法律案の撤回  に関する請願経塚幸夫紹介)(第六七六四  号)  同(藤田スミ紹介)(第六七六五号)  健康保険本人の十割給付堅持予防等給付の改  善に関する請願中島武敏紹介)(第六七六  六号)  政府管掌健康保険等改悪反対に関する請願  (柴田睦夫紹介)(第六七六七号)  同外一件(瀬崎博義紹介)(第六七六八号)  同(辻第一君紹介)(第六七六九号)  社会福祉充実等に関する請願梅田勝紹介  )(第六七七〇号)  小規模障害者作業所助成に関する請願大原  亨君紹介)(第六七七一号)  同(梅田勝紹介)(第六八一九号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第六八二〇号)  同(工藤晃紹介)(第六八二一号)  同(瀬崎博義紹介)(第六八二二号)  同(田中美智子紹介)(第六八二三号)  同(辻第一君紹介)(第六八二四号)  同(中島武敏紹介)(第六八二五号)  同(野間友一紹介)(第六八二六号)  同(不破哲三紹介)(第六八二七号)  同(簑輪幸代紹介)(第六八二八号)  はり、きゆう治療患者救済に関する請願(山  本幸雄君紹介)(第六七七二号)  労働基準法改悪反対男女雇用平等法制定促進  に関する請願梅田勝紹介)(第六七七三号  )  同(浦井洋紹介)(第六七七四号)  同(小沢和秋紹介)(第六七七五号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第六七七六号)  同(経塚幸夫紹介)(第六七七七号)  同(工藤晃紹介)(第六七七八号)  同(佐藤祐弘紹介)(第六七七九号)  同(柴田睦夫紹介)(第六七八〇号)  同(瀬崎博義紹介)(第六七八一号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第六七八二号)  同(田中美智子紹介)(第六七八三号)  同(津川武一紹介)(第六七八四号)  同(辻第一君紹介)(第六七八五号)  同(中川利三郎紹介)(第六七八六号)  同(中島武敏紹介)(第六七八七号)  同(中林佳子紹介)(第六七八八号)  同(野間友一紹介)(第六七八九号)  同(林百郎君紹介)(第六七九〇号)  同(東中光雄紹介)(第六七九一号)  同(不破哲三紹介)(第六七九二号)  同(藤木洋子紹介)(第六七九三号)  同(藤田スミ紹介)(第六七九四号)  同(正森成二君紹介)(第六七九五号)  同(松本善明紹介)(第六七九六号)  同(三浦久紹介)(第六七九七号)  同(簑輪幸代紹介)(第六七九八号)  同(山原健二郎紹介)(第六七九九号)  同(井上一成紹介)(第六八〇〇号)  同(小沢和秋紹介)(第六八三一号)  同外一件(経塚幸夫紹介)(第六八三二号)  同(佐藤祐弘紹介)(第六八三三号)  同(瀬長亀次郎紹介)(第六八三四号)  同(田中美智子紹介)(第六八三五号)  同(津川武一紹介)(第六八三六号)  同(辻第一君紹介)(第六八三七号)  同(中川利三郎紹介)(第六八三八号)  同(中林佳子紹介)(第六八三九号)  同(東中光雄紹介)(第六八四〇号)  同(藤田スミ紹介)(第六八四一号)  同(正森成二君紹介)(第六八四二号)  同(三浦久紹介)(第六八四三号)  同(山原健二郎紹介)(第六八四四号)  健康保険本人十割給付堅持年金制度改悪反  対等に関する請願横江金夫紹介)(第六八  〇一号)  同(横山利秋紹介)(第六八〇二号)  同(横江金夫紹介)(第六八四五号)  健康保険本人十割給付堅持医療保険給付  改善等に関する請願田中美智子紹介)(第  六八〇三号)  労働基準法改悪反対男女雇用平等法促進に関  する請願小沢和秋紹介)(第六八二九号)  同(松本善明紹介)(第六八三〇号) は本委員会に付託された。 六月十六日  社会福祉社会保障拡充に関する請願(第二  一八号)、中途失聴者難聴者救済等に関す  る請願(第九五七号)、食品添加物規制緩和  反対食品衛生行政充実強化に関する請願(  第一五一〇号)、同外三件(第二三七〇号)、  同(第二六三八号)、医療保険制度改善に関  する請願(第二七三一号)、同外一件(第四九  七〇号)、国立病院療養所統合等反対、医  療従事職員増員に関する請願外三件(第三三  一六号)、仲裁裁定完全実施に関する請願(第  三三三五号)、同(第三六三五号)、国立腎セ  ンター設立に関する請願(第五六三八号)、視  覚障害者雇用促進に関する請願(第五六五八  号)、医療保険制度改悪反対充実改善に関  する請願(第六五二八号)は、「湯山勇紹介  」を「山口鶴男君外一名紹介」に、それぞれ訂 正された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公聴会開会承認要求に関する件  身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四九号)(参議院送付)      ————◇—————
  2. 有馬元治

    有馬委員長 これより会議を開きます。  内閣提出身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河野正君。
  3. 河野正

    河野(正)委員 本案の審議に入るわけでございますが、やはり何といっても雇用促進法身体障害者福祉に通じていかなければならぬわけですから、そういった意味で私どもまだいろいろ内容的には問題があると考えておるわけですが、まず第一に大臣にお伺いをしておきたいと思いますのは、福祉に通ずるということであれば、やはりその法案のいわゆる基本姿勢というものが重大な要素になると私は思います。そこで、本論に入ります前に基本的な点について二、三お伺いをいたしたいと思うわけでございます。  我が国の身体障害者対策というものは、身体障害者福祉法が施行されまして約三十年余り精神薄弱者福祉法及び身体障害者雇用促進法、これが約二十年余り心身障害者対策基本法が七〇年に制定されまして、そしてこの基本法をもとにして各種の施策というものがだんだんと実施をされてきておるわけでございます。しかし考えてみますというと、障害種類あるいは程度によってニーズというものが広範多種にわたる、そういう意味で未解決の問題というものはまだかなり多く残っているわけでございます。特に八一年、国連の国際障害者年、これも終了したわけでございますが、こういうような障害者年が設定をされた、そのことがやはり障害者問題、特に未解決の部分の解決にそれぞれ今後努力しようじゃないか、そういう目標、目的を持ってこの障害者年というものも設定されたように私ども理解をいたしているわけでございます。でございますから、例えば身体障害者雇用促進法といえども障害者福祉に通じなければ意味がないんだ、単なる改正では意味がない、そういうことで、障害者に対する大臣基本的な理念姿勢といいますか、そういう方針についてまずひとつお伺いをいたしたいと思います。
  4. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま河野委員のおっしゃったように、一九八一年の国際障害者年、この基本理念として「完全参加と平等」がうたわれました。そういう観点に立ちまして、障害者雇用対策を進めるに当たりましては、働く意思と能力があれば障害者健常者と一緒になって一般の企業にごく自然に働ける、そういう社会を実現していく、いわゆるノーマライゼーション、この理念というものが障害者雇用対策を進める上の基本であろうかと思っております。  そこで、具体的には、今後の雇用対策重度障害者最大重点を置きまして、安定所に求職に来られる障害者方々の三〇%はこの重度方々であります。そういう意味で、重度障害者最大重点を置きまして、障害種類、それから特性に応じた雇用就職援護措置や、また第三セクター方式による重度障害者多数雇用事業所の育成など、きめの細かい対策を積極的に推進をしていきたいと思っております。従来民間でも二百以上の事業所で積極的に推進いたしておりますけれども、今後とも新しい第三セクター方式ども取り入れて積極的にやってまいりたいとは思っております。雇用率達成はもちろんのこと、今後とも重点を置いて指導していきたいと思っております。
  5. 河野正

    河野(正)委員 その点について、関連してでございますけれども、この雇用促進法は、身障者の生活安定のため、あるいはまた所得保障を初めとする障害者の基礎的な生活条件の整備、こういうことが当然必要になってくるわけでございます。しかし、いずれにしても身障者社会的ハンディというものが当然重視をされなければ、その条件を全うすることができないわけでございます。したがって、雇用促進法は結構なことでございます、身障者雇用促進してもらうわけですから。しかし、身障者に対する理解、それから身障者に対する認識、こういうものがやはり根底になければ、単に促進法を改正したからといって身障者雇用に対するいろいろな配慮をいただいたと言うわけにはいかぬわけですね。  そこで、基本理念を今お尋ねしたわけですが、やはり労働省雇用促進をいろいろと指導するという面におきましても、根底にやはり身障者に対する理解認識がなければ促進というものはなかなか思うようにはできないわけです。それは後で逐次申し述べてまいりますけれども、そういった意味でその点に対する御見解というものをまずお伺いをしたい。
  6. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 先生がただいまおっしゃいますように、私ども身体障害者雇用促進というものを進めておるわけでございますが、何と申しましても、おっしゃいますように身障者の問題についての理解というもの、あるいは認識というものが基本にないと進まないということでございまして、実はこの雇用率問題をめぐっていつも端的に出る問題でございますが、大企業などにおいて特に身障者雇用促進が進んでいない、特に大企業などでの身障者に対する理解なり認識なりというものが進んでいないというところが、実はやはり一つの大きな問題点であるわけでございます。  そういう意味で、毎年九月を心身障害者雇用促進月間というようなことで大いにPRもいたしておりますが、そういう行事的なものだけではなくて、やはり日常活動の中で心身障害者を実際に雇用していく、雇用する中から理解認識も深めていただくということがやはり基本的に重要であろう。そういうことで、公共職業安定所を通じまして、この心身障害者雇用率というものをてこにいたしまして、何とか雇用率一・五%というものを達成すべく努力をしてくださいということを、日常業務活動を展開する中で、この雇用促進立場からの心身障害者の問題の前進に私ども努力をしておる、こういう立場でございます。
  7. 河野正

    河野(正)委員 お答えのとおりだと思うわけですが、しかし現状はなかなかそういう方向へ行っていない。それは御承知のように、先ほどもちょっと申し上げましたが、八一年国際障害者年、それを契機としてお互いに障害者に対する諸問題あるいは諸懸案の解決努力していこうじゃないかということが、やはり障害者年において与えられた一つの大きな任務だったと私は思うわけです。しかし現状を見ますと、むしろ、雇用率が上がることは若干上がっておるけれども、そのテンポというものは非常に鈍化をしておる。昨年のごときは〇・〇一、それからその前が〇・〇四、その前年が〇・〇五ですから、伸び率が非常に鈍化をしておるという結果が出てまいっておるわけですね。しかも一方では、身障者の実数というものが増加をしておるという現状もございます。それから高齢化の問題が問題でございますことも御承知のとおりでございます。そしてまた、一方では医学医術の進歩もありますし、そういう諸政策の効用も出てまいっておるわけでもございます。しかし、今申し上げますように身障者はどんどんふえておる。それから高齢化もどんどん進んでおる。しかも雇用率というものは、若干であるけれども伸びておるけれども、その伸び率というものが毎年毎年低下をしておる、そういう現状を見てまいりますと、今局長がおっしゃったとおりであるけれども、果たしてそういう指導でさらに今後伸び率というものは上げ得るのかどうか、やったと言うけれども上がっていないわけですね。ですから、そういう心構えでよろしいのかどうか。この指導に当たりましても、もっと強力な指導というものが推進されなければいかぬのではなかろうか。ちょっと酷ではあると思いますけれども、そういった意味ではやはり政府の姿勢はまだなまぬるいぞというふうに言わなければならぬ点でもあろうと思います。  そういう意味で、重ねてということになりましょうが、雇用促進の実績を上げていくという意味において、さらにひとつ見解を承っておきたいと思います。
  8. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、そういうような考え方で雇用促進に懸命な努力はいたしておりますが、一方においては重度化がいよいよ進む、あるいはまた身障者の数もふえていくという中にありまして、雇用率がなかなか伸びていかないという現状にありまして、私どもも苦慮いたしておるわけでございます。  しかし、先生御指摘になりましたように、まだ行政の姿勢が甘いではないかという御指摘、私どもも率直にこれは受けとめなければならぬと思っております。  具体的には、そういう意味におきましても、なぜ雇用率がなかなか伸びないのかということについて分析を私どももいたしております。そういたしますと、まず一方では、身障者を何とか雇用してくださいということで進めておりますが、一方、最近ではやめる方が随分ふえてきておる。せっかく就職をしていただいても、その職場を定年等でおやめになるという方もだんだん多数出てきております。例えばかつての傷痕軍人と言われましたような方々がいずれも定年等でおやめになるような年齢等になってきておりまして、それでおやめになる方もございますが、もう一つは、比較的転職希望という形でおやめになってくる。しかもその転職希望というものが、私どもがもう少し行政的にそこの支えをしたならばそんな安易な転職をされなくてよかったんじゃないだろうかというような、例えば事業主の方にもその障害者を本当に十分に能力を発揮させるようなそれなりの配慮というものをしておったであろうかというような問題、それからまた、障害者の方も職業についての安易な取り組みといいますかそういったものもなかったであろうかというようなこと、そういう意味におきまして、やはり最近の雇用率が伸び悩んでおります大きな原因の一つが、そういう離転職がふえてきておる、言葉をかえますと定着が悪くなってきておるということが一つの大きな問題として私ども考えておるわけでございます。そういう意味で、実はことしの一月に通達を出しまして、これからは新規採用のためにいろいろ行政が努力すると同じぐらいの努力を、定着指導あるいはその職場での能力発揮というような点に指導の重点を向けてほしい、一度事業所へ就職させてしまえば後は知らぬということではいかぬぞというようなことでの、定着指導の問題を強く今進めつつあるわけでございます。  それからもう一つの問題は、これも先ほど先生がおっしゃいました、行政として甘くなかったのかという御批判に私ども率直におこたえしていかなければならぬのですが、今まで雇用率の特別悪いところにつきまして、これを特別指導対象企業というような形で選定をいたしまして、そして、特に安定所や都道府県庁の幹部を先頭に特別指導というものをやってまいりました。実際に、そういう特別指導対象企業については、集中的にやった成果も上がりまして、三年ぐらいの間に、今まで平均いたしまして〇・二%ぐらいのものが平均〇・八%を上回るぐらいのところまで伸びるという実績を上げておるわけでございますが、こういう特別指導対象企業の範囲を今までは雇用率が〇・五%以下というところに絞っておりましたが、これをやはりことしの一月の通達によりまして、今度五割アップの〇・七五%以下のところをこの特別指導対象企業に選定して、懸命に雇用率達成のために頑張るというようなことで現実に今それも進めておるわけでございます。  行政手段的な面で今先生の御批判におこたえしてどう進めようとしておるのか申し上げたわけでございますが、やはり問題としては、これからは、重度障害者がなかなか進まない、そういう中で、これは単なる身障者に対するハードの面での理解というだけでは進まなくて、具体的なノーバ久というものがどうしてもくっついていきませんとなかなか進まないということがございますので、そういった面でのノーハウの開発というものを、例えば第三セクター方式によるモデル企業を育成するというようなこと等を通じまして、そういうノーハウの開発というものもあわせて進めていかなければならぬということでの取り組みをいたしておるというのが現状でございます。
  9. 河野正

    河野(正)委員 局長の答弁は歩といたしまして、そういった雇用率が上がらなければ雇用促進法の意義はないわけですね。要するに身障者雇用というものを充実させよう、あるいは率というものを向上させようというところにねらいがあるわけですから、それが鈍化するという状況であるとすれば、これはよほど根本的に考え直さぬと法律の存在意義がなくなる。  そこで、局長からもお答えがございましたが、先ほど私も申し述べておるわけですが、やはり一つ身障者に対しまする理解認識、それから酷な言い方かもしらぬけれども、行政の指導力の欠如、これは再三再四局長からもお答えいただいておりますが、そういう問題があろうと思う。  それからまた特徴的なのは、離職者がふえるということですが、私も地元で身障者の団体にも若干関係しておるわけですが、やはり甘えがあるということも否定できないと思うんです。そうであっても、定着しないということは雇用率というものが上がらぬという理由にもなるわけですから、足を引くわけですから、これは定着してもらわなければならぬ。特に身障者の場合はハンディを抱えてのことですから、これが転々とするということは望ましいことではないと思うんですね。でございますから、そういった意味ではやはり定着するような指導というものが行われなければならぬ。  いろんな諸会合に出ましても、身障者に対する同情あるいは理解があるような発言が非常に多いが、それが本当に腹の底からそうであるかどうかは別問題としても、今申し上げますように結果的には必ずしもこの法案の実績というものは上がってないということでございます。  それからいま一つ重度の問題があるんですね。これは軽い人は、かえって軽い方がいいという職場もあるわけですね。でございますから、重度の場合が問題だと私は思うわけですが、これがなかなか進まないということで、あれもこれも考えてまいりますと、これは法律で、こうした方がいい、あるいはこうやった方がいわゆる身障者雇用のためによろしいということでお考えになり、またお考えになって努力されましてもなかなか進まない、今申し上げますようないろんな欠陥があることは御案内のとおりです。  ですから、そういった問題、特に私は、この認識あるいは行政指導力というような問題は、これはもう今までもいろいろやっていらっしゃると思うわけですが、離職者が多いために雇用率の足を引っ張る、こういう離職者に対して一体どういう今後の指導をするのか。それは企業側にもあると思うんですよ。行政にもあるけれども企業側にもあると思う。そういう点について若干御意見があればこの際承っておきたい。
  10. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 私ども、離職者が非常にふえてきておるということに対しては大変な危機感を持っておるわけでございまして、実際に数字的に身障者の離職理由を見てみますと、事業主都合による離職者というのは一六%程度でございます。あと定年退職というのが八%程度ございます。それから契約期間が満了というのが五%弱ございますが、六五%というものが自己都合退職、こういう形になっておるわけでございます。  この六五%の方が自己都合退職をされた理由というのは、事業所のそういう身障者に対する能力発揮のためのいろんな配慮というような面での問題、それからまた、先生もちょっとお触れになりましたけれども、何といいますか、もうおれは嫌になったからおまえも一緒にやめないかというので、そういう一緒になってやめるというようなケース等も割合ございまして、身障者自身の職業意識というような問題等にも一つ問題がある。  これに対して私どもは、一つは、やはり能力を本当に発揮させられるような職業なり職場なり、そういったものを身障者に提供していかなければならぬ。そのために、今全国の各都道府県に心身障害者職業センター、そういう職業能力の判定施設を雇用促進事業団の設置いたしましたものでやっておるわけでございます。そういう意味で、この身障センターとの密接な連携のもとに、より本人がその能力を生かし得るようなそういう職業に、そしてまた職場の中でもそういう職場への配置がえもしていくとか、そういうようなことでの指導が一つ必要であろう。        −  それからもう一つ、私どもそういうことを実際に進めていくための身障者とかあるいは精薄者に対する職場の巡回指導員、巡回相談員、こういうような人たちを確保いたしまして、実際に就職しておられる方々の相談なり、それからまた、そこの事業主との相談というものを深めていく必要があるだろうというような点を、一つ重点的にその定着指導問題でやっておるわけでございます。  そういう意味におきまして、一つには、そういう定着指導というものをよりきめ細かく、しかも濃密に実施していけるような体制整備ということも、この定着指導問題については大事なポイントではないだろうか、そのためのまた要員確保といいますか、そういった点も実はこういう身障対策の上では非常に大事なことではないだろうか、こんなことも考えておるところでございます。
  11. 河野正

    河野(正)委員 問題は自己都合の六五%、こんな膨大な数が離職する。せっかく雇用促進を図ったけれども、こんなにこぼれてしまう。しかもそれが六五%が自己都合。定年退職であるとか契約が切れるとか、それはやむを得ぬとしましても、そこがやはり大きな問題であろうと思うのですね。  そこで、今度雇用促進法が改正をされる。もちろんその一つの大きな柱というのは納付金制度、そういった業務を協会の方に移行させるということで、そういう業務の一部を協会の方に移す。そういうことだけで本当に雇用率というものが上がっていくのかという感じがいたします。そういうことを考えてまいりますと、なるほど人工肛門あるいは人工膀胱というようなそういう方々に対しましての約六千人の適用というような問題もないわけではないわけですけれども、ずらっと法案の流れから見て、改正のための改正といいますか、特に臨調の答申、臨調が答申したからこれはやらなければならぬというような形で今度の改正が行われたというような印象を持たざるを得ぬのですね。というのは、この改正をして、それならば雇用率というものが急速に上がるぞ、今まで非常に難しかったが、これから明るい展望が出てくるぞというような点が明らかであれば私どももいろいろ申し上げるわけはないわけですが、そういう状況で、改正しても大してメリットがあるのかどうか、ただ臨調が答申したから、臨調の答申に従ってやろうじゃないかというような形でやられたかのような印象を持たざるを得ないのですね。というのは、ちょっと流れを見てみても、これで雇用率がよくなるぞ、今までのいろいろな隘路というものがこれで切り開かれるぞというような点が余り見受けられないのですね。そういう意味で、今度の改正が一体どういうところにメリットがあるのか、その点についてひとつ明らかにしていただきたい。
  12. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 確かに今度の改正は、臨調の答申を受けまして、今まで身体障害者雇用促進協会とそれから雇用促進事業団というものが協力し合いながら、雇用促進事業団がやり、いわばその下請的な形で身障協会がやっておった、こういう納付金関係業務を身体障害者雇用促進協会一本で実施をする、こういう形での改正でございまして、先生御指摘のように、これで直ちに身障の雇用率がぐっと上がっていくとかというような直接的な効果が出るものではございません。  しかし、今雇用促進事業団と身障協会とこういう協力関係でやっておりますが、身障協会にこれを一本化していく、一元化していく、こういうことの中で、身障協会がこの納付金業務についてもう完全に責任団体であるという形でそこに一つの体制ができ上がる。何がお互いに両方で寄りかかるというような形ではなくて、まさに責任団体としてそういう形に出てくるということは決してマイナスになる話ではなくて、プラスにいろいろ作用していくのではないか。また身障協会そのものは、事業主に対して身障者雇用促進についてのいろいろな各一の啓発活動もやる団体でございます。そういう意味では、納付金関係業務を適正に実施していく そしてまた効率的に実施をしていくということだけではなくて、一つの納付金関係業務を通じて身障者雇用促進を図っていく唯一の責任団体であるというところなどは、一つのモラルの意味でも意味があるのではないかということも考えるわけでございます。  事務的には、確かに先生おっしゃるように、そういう雇用促進事業団のやっていた業務を移すというだけのことではございますが、内容的にそういった効果もあるではないか。また、さらに言えば、業務の簡素効率化という面も確かにあるわけでございまして、事業主がいろいろ届け出をする書類などについても、今度はずばり協会のみという形になるというような簡素化は図られるわけでございます。  そういったようなことを通じまして、この納付金関係業務というものを今までよりは事務的によりスピードアップし、よりすっきりした形でやっていくということは直接的には出てくることである、こう思っておるわけでございます。
  13. 河野正

    河野(正)委員 これは局長その他で衆知を集めて改善をされておるわけでしょうから何にもメリットがないというわけにはいかぬと思うわけですが、ただ現状というものが非常に厳しいわけですよね。それはもう御承知のように、昭和四十五年から五十五年、この十年間に身障者が六十六万人もふえておる。これは五割増しということですね。しかも先ほどから重度の場合が非常に問題だと言っておるわけですが、この重度障害者の場合も、十年前は二六・五%だったのが五十五年には三二・八%で、十年間で六・三%ふえている。それから高齢化が進んでくるということも先ほど申し述べたわけですが、これもこの十年間大体九%ぐらいふえている。こういったようにすべて条件が悪くなっていくのですね。  そういう中でこの雇用率をまた上げなければいかぬ、今までより上げていかなければならぬ、こういうことですから、かなり前向きの施策というものが行われなければ、これだけの悪条件を克服して、そして克服した上で雇用率を伸ばしていくということは非常に難しいのではないかというような意味で考えてみますと、どうも今度の法律案ぐらいでは、ただ事務作業が非常に能率的になるとか、あるいは一元化されたので今後いろいろとプラスに作用していくというような問題もありましょう。ありましょうけれども、そのぐらいのことでは、要するにこうした身障者条件というものがずっと毎年毎年悪くなっていくわけですから、身障者条件というものがそのままとまっていればいいけれども、そうすれば多少の改善をしてもらえば雇用率が少しずつ上がるかもわからぬ、こういうふうになりましょうけれども身障者そのものの条件というものがずっと悪くなっておるわけですから、これくらいの改善で果たして私どもが期待するような雇用率の伸びというものが期待されるかどうか。私ども、どうもそういう意味では、臨調の方針には従っていただいたが実際世論の期待には沿っておられないのじゃないかという感じがいたします。そこでやはりそういう点に対してひとつお答えをいただかぬと、ただこういう点がよくなりますよ、一元化されて、簡素化されてスピーディーになりますよ、そういうことだけで雇用率というものが期待できるのかという気持ちがいたします。  そこで、改めてひとつ御見解を承っておきたいと思いますのは、今申し上げますように、年々歳々身障者の状況というものは厳しくなるというのに、後ほどずっと触れていきますけれども、このくらいの改善で果たしてそれだけの成果というものが期待できるのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。
  14. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 確かに御指摘ございますように、今回の改正は、雇用促進事業団がやっておりました事務処理を身障協会に移す、こういうことでございまして、それに伴う関係が法律の一つの骨子になっておるわけでございます。  それで、これで身障者の御指摘ございますようないろいろな雇用率問題を初めとして雇用促進できるかという点は、これだけでこれからどんどん身障者雇用促進されることになるということを申し上げるようなわけにはいかないのでございます。これはどうしても、先ほどいろいろ申し上げましたようなもっと広範な行政体制、広範な行政努力というものがこれから展開されていかないと、こういう期待にこたえられる雇用促進というものができないというのは御指摘のとおりでございます。  しかし、一面におきまして、この雇用促進を図る本当の決め手といいますかそういったものが、ただ法律でずばっと何かやれば身障者雇用促進ができるのだ、そういうものでも必ずしもないということも御理解いただけるかと思うのでございます。そういう意味では、今先生の鋭い御指摘等もしっかり受けとめまして、今後いろいろ行政努力をさらにさっき申し上げましたような点を含めて進めていく、そしてまた、それについてさらに法律的なてこ入れといいますか、制度改正も含めてやっていかなければならぬ段階ではそれもやっていく。特に昭和六十一年度がこの雇用率制度見直しの時期に当たっておるわけでございます。そういう雇用率制度見直しに当たりましては、相当身障者の現在の全国的な状況についての広範な調査というものもやり、そして必要ならばその時点での現行制度の法律的な見直しというものもまた用意していかなければならぬだろう、こんな構えで今おるわけでございます。  そういう意味におきまして、今回の改正は、とりあえず臨調答申に基づきまして、こういう今やや二元的にやっております納付金関係業務というものを一元化し、そして、この納付金制度というものをしっかり一本化した組織で実施していくということのモラルアップといいますか、そういった面での効果ということであるわけでございまして、今先生御指摘のような広範な制度論的な問題については、私どもとしては六十一年度の見直しの際には十分私どももまたそれに合わせて検討を進めていかなければならぬだろう、今こんなスタンスでおるわけでございます。
  15. 河野正

    河野(正)委員 今回の法改正だけでいろいろ期待できない面もあるわけでしょうから、それに、局長が今おっしゃいましたように、六十一年見直しの段階で十分検討されて、そして、私どもの意見等も参酌すべきものは参酌するということでぜひ善処をお願いしたいと思います。  そこで、そういう周りのいろいろな情勢が厳しい中で、身障者福祉といいますか、そういう意味での雇用充実を図っていく。企業も自覚しなければならぬが、行政がやはりそういった指導力を強力に進めていただかなければいかぬ、企業はやはり利害を考えますからね。そういう意味では、参議院の議事録を読んでみましたら、大臣がハッスルして、けしからぬやつはとにかく罰金を取るんじゃというような御発言があって、そして、局長は能史だから、すかさず次の質問のときに、あの発言は訂正しますというようなことが議事録に載っておりをすが、しかし私は、罰金という言葉はいろいろ誤解はあっても、そのくらいの気持ちでやってほしいと思うのです。制度が違うのだと局長が訂正されていますが、なるほどそうです。罰金と納付金は制度は違うわけです。それはそのとおりですけれども、やはり気概としてはそのくらいの強力な気概を持って企業に対する指導というものはやってもらわぬといかぬ。それは私が申し上げましたように一つは行政に問題がある、一つ企業に問題があるわけですから。私どもが論議しておりますように、いろいろ政府には注文をつけておるわけですが、しかし、ここで私ども企業に対して注文をつけるわけにはまいりませんから、そういう意味で私は、大臣がおっしゃった言葉の中には今申し上げますようにちょっと問題点があると思うけれども、心構えとしてはそういう心構えがあった方がむしろ強力に指導というものが推進されるのじゃなかろうか。しかし、これは誤解を受けますと悪いからこれ以上申し上げませんが、そういった意味で、むしろ私は大臣の気概に対しては褒めておきたいと思うのですが、そういうことを一言、今後の強力な行政指導の推進という立場で、あえて意見の一部を申し上げておきたいと思います。  それから、続いて御質問を申し上げますが、高齢化の問題、あるいは重度化ですかね、重度障害者がふえておるわけですし、高齢者もふえておる。これは十年間の話ですけれども、総体的には五〇%も身障者がふえておる。そういう状態ですから、一つには雇用率が一体いかにあるべきかというような問題もあると思います。それからさっきちょっと触れましたが、納付金制度といいますか、今の納付金制度でよろしいのかどうかという問題があろうと思うのです。今回は示されておらぬけれども、六十一年に見直しの機会があるわけですから、そこまでになるのかあるいは来年になるのかわかりませんが、いずれにいたしましても、行政が非常に強力に指導を進めていただいても、あるいは企業に対しても理解認識というものを深めていただいても、なかなかこの問題が成果を上げないということになれば、今申し上げますように雇用率の問題、これは雇用率を下げるというわけにいきませんね、これは当然上げるということです。それから納付金の額を上げるのか、その他いろいろな方法があると思いますが、そういった制度の問題に対する改革ですね、こういった問題というものも当然図らなければならない。究極の目的というものは身障者雇用を伸ばしていくというのが目的ですから、伸ばすためにはどういう方法があるのかという方法の中の一部として今のような問題があると思うのですが、これらについてひとつ見解を承っておきたいと思います。
  16. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 今御指摘ございました雇用率の引き上げ問題、あるいはまたそれに関連いたしまして納付金の引き上げ問題、こういった問題は、六十一年の雇用率見直し問題の際に、さっき申し上げましたように全体の身障問題についての全国調査というものをその前に実施をいたしまして、そうした結果を踏まえてこういった問題も十分検討をしなければならぬ問題だということで今おりまして、現状におきましては、そういう六十一年制度検討へ向けての、いろいろ現在やっておりますことについての点検なり改善なりというようなことで、今は進めておるということでございまして、今御指摘の問題はいずれ六十一年制度検討では一つの大きな問題になろう、こう思っておるところでございます。
  17. 河野正

    河野(正)委員 これはここでどうということじゃないでしょうから、いずれにしてもそういった問題の解決を回らぬことにはなかなか所期の目的を達成することが難しかろうということですから、そういう点もぜひ御検討の材料にしてほしい、こういうように思います。  それから、その点に関連してでもございますが、納付金を納めればいいじゃないか、わざわざ身障者を雇っても企業に対しては一つもメリットがないというような、言葉は悪いけれども不届きな企業があることも事実でございますね。それから、指導の中で勧告したり指導したりなさるわけでしょうけれども、それに対してもあえて応じないというような企業があることも私ども承知をいたしております。そこで、その場合に公表措置というものが行われることになっておるわけですが、この公表措置というものはある意味においては伝家の宝刀でしょうから、そうむやみやたらと抜くべきものじゃなかろうと思いますけれども、どうしても監督するが、注意するが、指導するが不熱心で応じないということになれば、そういう制度がある以上はやはり実施をしなければならぬ、こういうように思うわけですが、しかしやるには慎重にやらなければならないという問題もあります。でございますが、今日までこの公表措置がどういうふうに取り扱われてきたのか、また今後どう取り扱われようとするのか。大臣も何か参議院ではお答えになっているようですが、一応私の方からもひとつ質問してお答えを願いたい、こう思います。
  18. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 身体障害者雇用促進の観点から法律で行政指導の手順というような形で定められておりますのは、一つは、まず雇用率の低いところに対しまして雇用率を達成するための計画をつくりなさい、そういう計画の作成命令制度というものがあるわけでございます。その計画作成命令を発しましてそして計画が出てまいります。出てまいりました計画は計画としてあるが、これが机上のプランで一向に実施をしない、計画をなかなかその計画どおり実施をしないというものに対しましては、今度は計画の適正実施勧告、こういうものがあるわけでございます。そして、この計画の適正実施勧告というものをいたしましてもなお金く改善に向けての努力をしないというところに対しては企業名を公表する、こういう三段構えといいますか、そんな仕組みが法律制度になっておるわけでございます。そういう意味におきまして、今までこの計画作成命令なりあるいはまた適正実施勧告なりというものまではいろいろやってまいりました。そういう中で、実は、もうこれでこういうふうにやらないと公表しますよ、最後の伝家の宝刀である企業名の公表をしますよ、そしてあなたの企業は要するに身障問題に全く理解のない企業だということでこのPRをされた場合に、一体そういうことであなたはいいですかというような公表制度の趣旨などを説明します中で、だんだん企業としても今までよりは相当に前向きの姿勢になってきておるというのが率直のところでございます。そういう意味におきまして、私どもできるだけこの公表制度というものを、本当に最後に抜いてしまいますと、そこでもう、おれの企業はそういうイメージになってしまったのでもう勝手にしてくれというような、一種の居直りといいますか、そうなっても、実はそんなことが制度の目的ではなくて、要は身障者雇用をふやしていくということに企業努力していただくことがこの制度の目的でございますので、そういう意味で、できるだけ、実際に企業名の公表ということまでに至らない前に、そういう企業改善姿勢というものを引き出すということで運営してきたのがこれまでの経緯でございます。しかし、そういう努力にもかかわらずどうしてももう誠意が見られないし、これはもうある程度社会的な一つのそういう制裁というものがかかってもしょうがないというようなところがございますれば、私どももやはりそのときには公表制度というものを残念だけれども使わなければならぬだろう、こういう構えでおるわけでございます。  そういう意味では、私どもも、公表制度きりぎりのところまで来ておる企業というものは、ごく少数でございますが実は持っております。しかし、それも、公表する前にできるだけ改善していただこうということで努力を今も続けておるということでございます。先生も今おっしゃいましたように、めったやたらに伝家の宝刀を振り回せばいいというものではない、十分制度の趣旨というものを踏まえた運用をして本当に雇用促進に役立つように使いたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  19. 河野正

    河野(正)委員 そこで、いよいよ追い込んで、これから先は公表をしますよという、そこまでいきましたらやっぱり公表しますか。そこまでやっと追い込んだけれども、実際に企業雇用しないということになるならば、やっぱり踏み切らざるを得ぬでしょうね。ところが今局長がおっしゃったように、追い込んだ、これから先はもうあなたがやっていただかなければ公表しますよ、そこまで追い込んだならば企業はやっぱり雇用するということになっていますか、現状は。それならばそれでいいと思うわけです。
  20. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 実際にそこまで追い込んだ企業で、実例で申し上げますと、では雇いましょうという姿勢は出てきております。出てきておりますが、問題は、比較的使いやすい身障者といいますか、そういう方を雇いましょう、こういうことで、そこのところは若干、実際どういう人を採用していただくかという具体的な職種なり具体的な人なり、そういったところに実は話し合いといいますかが来ておるというのが現状でございます。そういう意味で一応姿勢は出てきております。ただ、だからといってさっと雇用したかどうかということになりますと、問題は俗に言いますいわゆる玉の問題で若干いろいろまだやりとりをしておる、こういうようなところまでは来ておるということでございます。
  21. 河野正

    河野(正)委員 やっぱり伝家の宝刀ですからやたらに抜いちゃいかぬけれども、抜くべきときは抜かぬと、自然とやはり指導の威力というものがなくなりはせぬかという感じがいたしますね。  それから、この身障者を行政なら行政が雇用する。その場合に身障者だけ別枠で採用試験をするところがありますね。ですから、別枠ですから、これはもう身障者だけが競争するのであって、一般とは競合しない。これはいいと思うのですが、ところが中には、こういう職種については身障者はだめです、一般と同列で採用試験しますというのがある。そうしますと、今の局長の話ではないけれども、玉の問題という話がありましたけれどもね。こういう職種には採用試験をして特別の枠で身障者を採用します、こういう業種についてはやりません、そうしますと何のための雇用率か。確かに雇用率は達成しても、要するにつまみ食い、えり食い、こういうような実情があるわけですが、そういう実情については御存じでしょうか。
  22. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 民間企業の場合とそれから地方公共団体の場合とあろうかと思うわけでございます。  民間企業の場合でございますと、身障者というのがどの仕事は絶対だめだとかどの仕事ならできるとかというのじゃなくて、やはり一人一人の持っておられる能力というものをどう引き出していくかという中で、持っておられる力というものも発揮されるわけでございます。そういう意味で私どもとしては、できる限り一般的な形で身障者も採用していただく、実際にその仕事がやれるかやれないかで考えていただくということでございまして、何か身障者というのは初めからこういう仕事はだめなんだというような決めつけをして採用をしていくということは、身障問題についていま一つ突っ込んだ御理解がいただいてないんではないか、こういうような考え方を持っておるわけでございます。  ただ、地方公共団体の問題になってまいりますと、実は私ども一つ悩みがございます。先生も御承知のように、例の一般競争の原則、そして能力主義、成績主義による公平の原則というものが地方公務員法でぴたっとかかっております。そういう中で身障者だけ特枠を設けてやるということについて、これはやっておられる自治体もございます。ございますが、一方、そういう地方公務員の採用についての公務員法の規定との関係で、私ども立場から言えば、ぜひそうでもしてできるだけひとつ雇用促進してほしいという面がございますが、今度地方公務員法を所管する立場になりますと、これはやはり法律に書いてございますように、特定の職種については選考採用をすることができる、こういう形になっておりまして、そういう特定職種についての選考採用という形しか法律上できない話が一つくっついておりまして、その辺については私どもとしては政府部内でも今後もさらに十分詰めていかなければならぬ問題が残っておる、こんなような立場に今おるわけでございます。
  23. 河野正

    河野(正)委員 民間の場合と行政の場合とはおのずから異なる点があると思うのですね。民間の場合はやっぱり利潤を追求しなければならぬというような問題等もございますから、したがってこういう職種は困りますよ、こういう職種だけですよ、そういうことになろうと思いますが、行政の場合は、やっぱりこれはもう役所ですから、政府が雇用促進をやるために努力されておるわけですから、当然そういう点は十分配慮したから運営すべきだと私は思うのです。  そこで、民間の場合は、こういう身障者についてはこういう職種は適さないとか、いろいろな問題があろうと思いますよ。あろうと思いますが、行政の場合はいろんな職種があるわけですから、そういう中で、今のようにこういう職種は特別扱いしない、こういう職種はいわゆる特別扱いをする、そういうことはしない。やっぱり雇用率が示されておるということは、身障者はハンディを持っておるわけですから、当然特別扱いをせぬ限りはそう雇用率が達成できるわけはないと思うのですが、身障者はハンディを持っておるけれども、それはどこまでも身障者ということで特別に配慮するということがやっぱり雇用率に通じておると思うのですよ。だから、身障者であろうと何であろうと、ずらっと公平な試験でやるなら、別に雇用率なんか問題にならぬでしょう。ですから、そういう意味で行政が率先して、どういう業種でも——それはそういう仕事ができぬという条件を持っておる人は別ですよ。そうでなければ、当然この職種にも欠員が生ずれば身障者重点的に雇用する、そういう配慮というものがまず行政の中で行われぬと、民間はそれを見よるわけですから。ですから、行政でもそうじゃないか、民間のおれらは利潤を追求しなければならぬ企業だ、だからそんなことできるかという、そういう意味でのやっぱり抵抗もあろうと思いますよ。しかし、行政の場合、地方公共団体の場合は——政府関係機関はちょっと一覧表を見せてもらったが、かなりよろしい。特に福祉関係の機関ではかなり身障者雇用がよろしいですね。そういう点は私ども歩といたしますが、それをやはり地方自治体にも移していくということにならぬと、今言うように身障者として、これはちょっとオーバーな言い方ですけれども、法律のもとには平等でなければならぬというようなこともあるわけですから、そういう意味で、そういうつまみ食いをするというようなことを行政が行うことは私は適当でなかろうと思うのですね。そういう実例がございます。これについてひとつ今後どういうふうな御指導をなさるのか、承っておきたいと思います。
  24. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 身障者のこういう地方公務員等への採用の問題につきましては、だんだん身障者の適職範囲というものも広がってまいりましたし、またそれなりに理解も広まってきておりまして、例えば一般事務職でございますれば、身障者も地方公務員の試験を受けてそして合格し、そしてまたしかるべきところへ皆任用されるというような形がだんだん広がってきておりまして、何か特に特定の職種でないと受からないということではなくて、むしろ非常に広範に地方公務員にだんだんなってこられてきておるということは一つの流れとしてあるわけでございます。そういう意味では、何といいますか、何か特定職種というものに優先雇用という形でやらないと地方公務員としての採用が広がっていかないという形には必ずしもなってない。むしろ一般の公務員試験というのに受かって、その上でちゃんと、身障者だからといって採用しないなんということじゃなくて、採用していただくという形で雇用を進めていくという面でも相当進みつつあるという認識を私ども持っておりますが、問題は先生でございます。  地方公務員の場合、教員の免許試験というものに受かっていないとこれが先生として採用できないという関係、そして、現状においては残念ながら身障者の方で先生になりたいということで受験をされる方、あるいはまた合格される方というのがまだ比較的少ないということのために、結局教育委員会での身障の雇用率というものが相当に足を引っ張っておる、こういう問題が率直に言ってあるわけでございます。その辺のところに、実は私ども地方公務員の関係での一つ問題点がある、こう思っておるわけでございます。それで、この問題は、現状においてはまだ、したがって教育委員会の先生ということではなくてそこの職員といいますか、そういう形での採用で何とか雇用を伸ばしていただく方向を今懸命にお願いをしておるということをやっておるわけでございます。  それから、一般公務員での採用の問題につきましては、こういう身障の雇用促進の中でぜひとも身障者もできるだけこういう一般の公務員試験を受けられるように、またそれが可能なようないろいろな配慮をしてあげるとかいうようなことの中で、できるだけ広く門戸を開放して、そして身障者の公務員になっていく道をできるだけ広げるようにということで、私どもしばしば機会をつかまえて今関係行政機関にもお願いをしておるということでございます。やはり身障者の能力開発なり適職の開発というものが並行して進んでいく中で、着々といけるのではないかとい展望、期待を一つ持っております。しかし、これは相当に今申し上げましたような公務員の仕事の中で身障者がいろいろこなせるような適職の開発というものが並行していきませんとそうはいかないということで、こういう面での努力が今後の一つの大きな課題であろう、こんなふうに考えておるわけでございます。
  25. 河野正

    河野(正)委員 そういう採用試験を受ける門戸を広げてほしいということは結構です。ところが、やはり門戸を広げましても、一般の通常の人と同じような立場で公正無私に試験が行われれば、これは不利ですね。不利の場合が多いですね。だから、したがって要するに雇用率というものができておるのであろうと思うのですね。特別に配慮しなさい、そしてこれだけはひとつ何とか採用しなさいと。ですから、身障者でも公務員の場合どこでも受けられるわけですから、受けても、その際に身障者だから特別な配慮というものが必要なことだろうと思うのですよ。ところが、それは特例扱いしません。そうしたら、何のための雇用率になっておるのか。雇用率というものは、やはり優先的にこれだけは採用しなさい、これが雇用率だと思うのですね。ところが、全然配慮しませんということだったら、雇用率というのは問題にならないでしょう。だから、雇用率があるということは、やはり身障者身障者としていろいろなハンディがあるわけだから特例扱いしなさい、言葉を少しオーバーに言いますとそういうことだと思うのですね。それをやらないという行政があるのはいかがなものでしょうか。こういうように言っているわけです。
  26. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 中度あるいは軽度の身障者でございますれば、職業能力という面では特にハンディということで言い切れない、むしろ軽度、中度程度であれば立派に仕事をこなせるというような分野においては、これはむしろ一般競争ということで頑張るというような形で対応していってもいいのではないだろうか。問題は重度の方について、しかし重度ではあるけれどもある仕事についてはちゃんとこなせる、しかしそれを一般の競争試験にかけたのでは先生おっしゃるようにとてもだめだというような点について、これは国家公務員法上も地方公務員法上も選考採用という道があるわけでございますので、そういう面で特に重度の方などについてはそういう選考採用の幅を広げていく、そういう面で特に配慮していく。それからまた中軽度の方につきましても、何も地方公務員試験というのは受かったら全員採用じゃなくて、一つの資格試験みたいな面もございます。したがいまして、受かったらその採用の際に、ぜひこの身障者雇用促進法の趣旨を体して優先的にこういう方を採用していただくというような形での配慮を、地方公務員法と身障者雇用促進法との一つの調和的運用といいますか、そういう中で考えていくことではないだろうか、こんな考え方を持っておるわけでございます。
  27. 河野正

    河野(正)委員 時間の制約があるものですから、なかなか先に進まぬわけですが、そこでちょっと話がくるっと変わりますけれども、精神薄弱者の雇用促進についてひとつ伺っておきたいと思うわけです。  これは五十七年二月、審議会から薄弱者問題の解決についての提言が行われている。六つある。議事録で見たわけですから、非常に抽象的で私もよくわからぬのですが、六つの提言がなされておる。例えばアフターケア体制の強化とか生活指導面に対する援助措置とか、職業能力の評価・判定体制の充実、それから職域開発の促進、能力開発体制の充実社会啓発活動強化、原文を見ておりませんから私もわからぬのですが、局長、こういうことを参議院でお答えになっている。どれを見ましてもようわからぬのですね。こういうことで薄弱者問題の解決ができるのだろうかという感じを持っておるわけですが、一応この六つの提言が参議院の委員会で示されたが、これはようわかりませんね。これはどういうことでしょうか、六つの提言というのは。
  28. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 大変要約して申し上げましたのであるいはおわかりにくかったかと思いますが、提言として意見書において六項目の提言がされておりますのは、例えば「精神薄弱者が雇用された後についても、家庭との連携を含め企業、行政等による綿密なアフターケアを実施できる体制を強化すること。」、こういうような提言がなされておるわけでございます。あるいはまた「雇用の場における精神薄弱者の社会生活指導面に対する援助措置を拡充すること。」あるいはまた職業訓練の関係につきましても、「精神薄弱者の特性に応じた職業訓練を積極的に進められるようにその能力開発体制を充実するとともに、職場適応訓練制度、職場実習制度等の充実を図ること。」、こういうようなことで一応一つ一つ具体的な説明がついておりますが、ただ、これを具体的にどう実現していくかということについてはなお多くの問題があることは御指摘のとおりでございます。今後、。例えば今最初に申し上げましたように「家庭との連携を含め企業、行政等による綿密なアフターケアを実施できる体制を強化すること。」といった場合に、どうやってそういう仕組みなり体制をつくっていくのかというのはこれまたなかなか具体的には厄介な問題でございます。そういう意味で、先生がおっしゃるわかりにくいというのは、いま一つ、これからそういう基本的な考え方をどう展開していくかというところが、まだ実はそこまで来てないというところに一つ問題があるわけでございます。そういう意味におきまして、今、さらに、こういった提言を精神薄弱者の雇用促進という面に具体的にどうつなげていくかということを含めて、精神薄弱者の雇用対策研究会というものをこの五月からスタートさせまして、今研究を深めようという取り組みをしておる段階でございます。
  29. 河野正

    河野(正)委員 そこで、今局長からも精神薄弱者の特性というお言葉がございました。まさしくそのとおりですね。そこで六つの提言がなされたが、しからばその六つの提言を出したのは、一体どういう審議会の構成になっておるわけでしょうか。
  30. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この審議会の構成は、労働者代表、事業主代表、身体障害者代表、それから学識経験者、それぞれの各分野から出ておられまして、合計二十名の雇用審議会の方々による提言でございます。
  31. 河野正

    河野(正)委員 それで、学識経験者の中には精神薄弱者等に対しまする学識のある方が入っておられるわけでしょうか。
  32. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 身体障害者代表と学識経験者の中には、例えば日本肢体不自由児協会の常務理事さんであるとか、身障団体連合会の常務理事さんであるとか、あるいは心身障害福祉協議会の会長であるとかいうような方であるとか、あるいは学識経験者には特殊教育推進連盟の理事長さんとか、あるいは雇用促進事業団の副理事長とかそういうような方々、それから法政大学の教授とか日本女子大の教授というような方々が入っておられるというものでございます。
  33. 河野正

    河野(正)委員 精神薄弱者、これは特性がある、局長もお答えがあったとおりですよ。そういう意味では今の学識経験者というのは適格者じゃないでしょう。
  34. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この精薄問題につきましては、精薄者につきましてのいろいろ医学的な面での専門的知識というものが必要な場面もございますが、一方また、これを社会的にどう適応させていくかというようなこと、さらにはまた、そういう企業にどういう体制をつくらせていくかというようなことなど広い見地から進めていかなければならぬわけでございまして、そういう意味では、この精神薄弱者問題についての狭い意味での専門家というだけでは必ずしも十分ではないのではないか、やはり社会にどううまく迎え入れていくかというようなこと等も含めてのことになりますと、この学識経験者が精神薄弱者の問題についての狭い意味での特別の専門家という必要は必ずしもないのではないかということは考えるわけでございます。
  35. 河野正

    河野(正)委員 私は、学識経験者の中に運動家が入るとか、それぞれの関係団体が入ることについては異論はないですよ。しかし、やはりだれか専門家がおらなければ、全体を専門家にせいと言っているわけじゃない、少なくともそういった精神薄弱者に対する医学的な専門家が入っておらなければ、そういう基本的な理念というものを無視して、おれはこういう運動をしておるから、おれはこういう運動をしておるからということだけで今度の六つの提言がなされたことについては多少問題があるのじゃないか、こう思いますね。  精神薄弱問題というのは難しいのですよ。例えば日航の例の機長が羽田で墜落しましたね。あれは心身症なんてごまかしておったけれども、実際よく調べてみたら精神分裂症だった、こういう問題が一つあるわけですよ。だから、国のそういう方針を定めるのに、医学的な根拠を全然考慮に入れないでそういう施策ができることについては、私はちょっと納得できぬですね。ですから、学識経験者をお選びになるのに、今局長がお答えになったような方々が入ることは結構ですよ。しかし、だれか一人ぐらいは本当に専門家がおらなければ、精神薄弱者問題というのは非常に難しいですから、やはり専門家が一人なら一人入っておらなければ、それを無視してこういう提言がなされることについてはちょっと問題があると思うのですよ。そうじゃないでしょうか。
  36. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 先ほど申し上げましたように、この提言等を踏まえ、具体的に今後精神薄弱者の雇用対策をどう進めていくかという具体論ということで、実はこの五月から精神薄弱者雇用対策研究会というものをスタートさせ、その研究結果を踏まえてこの身障害議会でそれを論議していただく、今こういう流れといいますか、そんな手順でやっておるわけでございます。  この精神薄弱者雇用対策研究会のメンバーといたしましては、例えば千葉県立袖ケ浦福祉センターの更生園長さんとか、中野養護学校の先生であるとか、筑波大学の心身障害学の系長さんであるとか、あるいはまた国立精神衛生研究所精神薄弱部長さんとか、そんなような方にメンバーに入っていただきまして、いろいろ本当に専門的な立場からの御検討もいただいておるわけでございます。  それで、先生おっしゃいますように確かに本当に難しい問題でございます。例えば、昨日第二回目のこの研究会がございましたけれども、その精神薄弱者の定義そのものがいろいろの説がございまして、例えば精神薄弱者が何名だと言われた場合に、何名というその定義がそもそもいろいろ問題があってはっきりしないというところからやはり問題があるというような、非常に難しい問題であるということを私どもも痛切に感じておるわけでございます。そういう意味で、先生おっしゃいますように、すぐれてそういう精神薄弱者問題の専門家も十分この検討に加わっていただかなければならぬということで、今申し上げましたようなメンバーを研究会のメンバーに入れてお願いしているということでございます。
  37. 河野正

    河野(正)委員 ちょっと今のお答えには矛盾があるわけです。というのは、少なくとも六つの提言がなされるならば、その提言の中にはやはり本当の専門家の意見というものが当然入らなければならぬ、こう私は指摘しているわけですね。ところが研究会というのはきのう、きょう始まっているわけでしょう。二回目がまたあると言う。きのうは一回目か何かがあった。ところがこの提言というのは五十七年二月ですよ。だから、そういう研究会のいろんな意見が集約されて、そして審議会が提言をされる。これは結構です。ところが、今局長のお話しを聞いていると矛盾があるんです。この提言というのは五十七年二月ですよ。研究会というのは最近でしょう。だから、そういう研究会の意見を十分組み入れてこの提言がなされる、そういういろんな諸問題というものはどうするかということで審議会がいろいろ今後研究される、そういう意味での研究ですね。これは結構です。ところが研究会がついこのごろできておって、提言というのは五十七年ですよ。だから、少なくとも私は、提言する以上は、そういった専門家の意見というものが十分反映された、それを受けて審議会というものが提言をするということにならなければ、局長の答弁はそのとおりですけれども、非常に時間的に無理がありますね。矛盾がありますよ。
  38. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この提言の時点では、今までの行政経験を踏まえながらのこういう御提言をいただくということでございますが、しかしこの御提言をどうさらに具体的に展開するかになりますと、本当に専門家のお知恵をさらに借りなければならぬということで踏み出しを始めておる、こういうことでございます。
  39. 河野正

    河野(正)委員 その六つの提言をどう具体的に今後推進していくかということになるわけでしょう。そうすると、この六つの提言の中にそういう専門家、スペシャリストの意思、意見というものが既に入っておらなければならないわけですね。今後六つの提言の中で生かすということではなくて、六つの提言の中に既にそういった専門家の意見というものが入っておらなくてはいかぬというふうに私は指摘しているわけです。その辺の手順が違っているわけですよ。ですから、この障害者雇用促進というものが非常に難しい。薄弱者の場合はなお非常に難しい点があります。だから、やはりそういう難しい問題であればあるだけ専門家の意見というものを十分尊重されて、そして国の施策というもの、方針というものが出てくる、こういう手順にならぬとこれは正直言っておかしいと思いますよ。六つの提言は五十七年になされているのに、これを今から研究会の中で学者がいろいろ意見を言うのですでは、これはちょっとつじつまが合わぬですよ。時間がありませんから、今後そういうことのないように御注意願いたいと思う。これはもう少し時間をかけてやるつもりだったけれども余り時間が残されていませんので、この程度でとどめますが、今後そういう点は十分に尊重してやってほしいと思います。そこで、この薄弱者の問題は非常に難しいということを私どもは十分承知しておりますし、私にはやはり幾らかそういう問題に対します意見もあるわけですが、きょうはそれを展開することはできません。ですから、一部だけそういうことを申し上げておきたいと思います。  それで、あともう一人、多賀谷委員の方からありますので、まだ大分質問が残っておりますが、他省から厚生省、文部省の方がきょうは来ておりますので、そこで、せっかくおいでになっておるので無視できませんので、ここを簡単にやりますから簡単に答えてください、時間がございませんから。  もう既に新聞でも報道されていますが、きのうもいろいろお話しいたしましたが、例の生活保護者のワープロ、この問題について、地方自治体の運用が極めて役所的な処理ではなかろうかと思うわけです。私どもは多賀谷さんと一緒に古い時代からの国会を知っておるものですが、この生活保護の問題は実は自転車、その次はラジオだと思います。そういう自転車の時代からいろいろ社労で議論してきていますので、長い歴史があるわけです。今度ワープロが問題になっておるわけですけれども、当初、生活保護の適用の中で、今申し上げましたように自転車もいかぬのだ、自転車を持っておっても資産だから生活保護はだめだ。それからすぐ出てきましたのがラジオですよ。ラジオを持っておる家庭は生活保護はやめる。そういう問題で社労委員会でいろいろ議論してきた経過がございます。今度はいろいろな面で少し進歩いたしておりますから、一挙にカラーテレビを乗り越えてワープロになったわけです。身障者に自立を与えるということも、雇用促進とは直接関係がございませんけれども、間接的には非常に重要な意義を持っておると思うのです。そこで、時間がございません、あと五分ということでございますから、その点について、こういう生活保護者に対しまする法の運用というものを現実に即したような運用ができぬものかというふうに考えておりますので、その点について簡単にお答えいただきたいと思います。
  40. 清水康之

    清水説明員 御指摘のワープロの具体例につきましては、私どもも新聞を拝見いたしましたし、また東京都その他からも報告を受けまして、現在具体的な問題について調査、検討しておるわけでございますけれども、先生御案内のとおり、生活保護につきましては、法律上も最低生活の維持というだけではなくて自立の助長ということが法律の目的になっておりますので、私どももそのような運用を常々心がけているわけであります。  御案内のように、生活保護法における資産の取り扱いにつきましては、一定の要件により保有が認められておるものを除きまして、原則的にはその資産を処分して最低生活費に充てるというのが一応建前になっております。しかし先ほど御指摘がございましたように、保有を認められる資産の範囲といいますか、特に具体的な生活用品の範囲につきましては、国民生活の水準向上に合わせて少しずつ拡大をしてきているのが実情でございます。  一般的に申し上げますと、当該地域の普及率で大体七割ぐらい普及しておるものについては保有を認めて構わないという判断基準を示しているわけでありますが、特に重度身障者の使用する機器等につきましては、本人のためのリハビリテーション訓練であるとか、あるいは将来の自立計画等を勘案しまして個別に判断をするということにしておりまして、決して機械的、画一的に処分を進めるということは指導しておらないわけでございます。  お話しのワープロの件につきましても、現在福祉事務所あるいは東京都においてその使用状況について調査を行っております。本人の今後の自立助長を図る上で必要な事項ということで認められますならば、そういう方向で対応できるように現在具体的に協議中でございます。
  41. 河野正

    河野(正)委員 要するに生活用品としての普及率というものは一般家庭では七〇%以上、これにこだわりますとせっかく身障者が自立しようというのにも自立ができない。ですから、生活用品がどの範囲かという問題もありましょうが、いずれにしても身障者が自立をしたい、そのためにというものについては、しかも今問題になっております町田市の問題は、自分の金で云々じゃなくて、周囲の人が自立させようということで善意な支援からこの問題が起こっておるわけです。ですから、音は自転車を持ってもいかぬとかラジオを持ってもいかぬと言われたが、今はもうカラーテレビ、洗濯機はよろしくなったというのでありますが、やはりこういうワープロなんというものは新しい分野ですから、これが七割以上なんということはあろうはずがない。ですから、今の答えは大体適切だと思いますので、そういう役所的な、そういうことを申し上げては失礼になるかもしれませんが、そういう仕事はぜひこの際反省していただきたい、こういうように思います。時間がございませんから、これは希望だけ申し上げておきたいと思います。  それからいま一つは、文部省おいでですね。それでは、せっかく文部省もおいでですから一言だけお尋ねをしておきたいと思いますが、障害児の進学の問題です。やはり先ほどの行政機関でもお互いに身障者が一般の方々と競争してやっていくというようなことを加藤局長からもお話しがありましたが、そういう意味で、やはり家族としてぜひ普通学校に行かせたいというような問題があることは、今訴訟中ですから御存じのとおりです。そこで、障害児が普通学校に入ってくる、それは家族やら本人の希望を満たすこともそうだけれども、一般に及ぼす影響がいろいろあるというようなことから認めぬということだろうと思うのです。ですけれども、やはり障害児でも普通学校に行きたいというなら、教育の機会均等じゃないけれども、進学させてもいかがなものであろうかというような感じもするわけですが、これは訴訟も今行われておりますね。ですから、時間がございませんから、ひとつこれに対する見解を承っておきたいと思います。
  42. 山田勝兵

    ○山田説明員 今お話しがございましたように、心身に障害を有する児童生徒の教育につきましては、その障害種類と程度に応じて適切な教育を行うことが大切であると考えております。したがいまして、ただ、心身障害児の就学すべき学校の決定に当たっては各教育委員会が決定するわけでありますが、その決定に際しましては、各委員会が就学指導委員会を設ける、その就学指導委員会は医師、それから教育職員その他の専門家をもって構成されておりますが、そういうところで十分調査審議していただきたい、そういう結果を踏まえて学校を指定するということにいたしておるわけでございます。ただ、保護者の理解というものも必要でございますので、保護者とも十分話し合っていってほしいというふうに考えてございます。  訴訟等のお話しがございましたが、審査請求とか訴訟、こういうものは所定のルールに従ってやらなければならないわけでございますが、もうそれでいいということではなくて、やはり養護学校等の意義等について十分保護者に理解していただくということで、話し合いは並行してやっていただきたい、そういうことで教育委員会等を指導してまいりたいと考えております。
  43. 河野正

    河野(正)委員 最後になりましたが、就学する場合に、就学前の健康診断がありますね。その健康診断の事実に基づいて、あなたは普通学校、あなたは養護学校、こういう例になるそうですね。ところがこれは健診を受けていないらしいですね。だから、今文部省がお答えになったことはそのとおりでしょうけれども、やはり就学前の健康診断をやるというところの努力一つ欠けておるんじゃなかろうか。だから、結果的には結局障害者であるかないか何もわからぬですね。要するに、そういう話だけであなたは養護学校ですよと、こういう就学指導をしている。そこで問題は、就学前の健康診断の段階で一つ欠けておる点があるんじゃなかろうかと思うのですね。その辺についてはやはり、そういう手続が終わって、その指導に基づいて、あなたは普通学校では無理ですよ、こういうことであるならば問題は幾らか緩和されるでしょうけれどもね。それは、意図的に健診を受けられなかったのかどうかわかりませんが、とにかくその健診というのが実施されていない。だから、極端に言いますと全くのうわさで、あなたは養護学校ですよ、こういう指導をするという結果になっていると思うのですね。だからその辺の問題を、言われたようにいろいろな手だてがあるわけでしょうから、それなりにやはりもう少し懇切丁寧な指導というものが欲しかったんじゃなかろうかという感じがしますね。それに対して一言だけお答えください。
  44. 山田勝兵

    ○山田説明員 御指摘のように、就学時の健康診断を拒否しているような事例もございます。文部省といたしましては、教育委員会等に対して、できるだけ健康診断を受けるようにということで指導しているわけでございますが、その辺につきましては今後とも努力していきたいと思っております。
  45. 河野正

    河野(正)委員 では、終わります。
  46. 有馬元治

    有馬委員長 多賀谷員稔君。
  47. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 ただいま河野委員から、精神薄弱者の問題、殊に本法の雇用率から除外をされておりますから、今後の問題、あるいはまた身体障害者の訓練の問題、さらに、身障者を非常に多く使っている企業、あるいは助成金をもらって雇用している企業のいわば製品の受注に関する問題、これは中小企業の官公需受注の確保に関する法律というのがあるわけですから、身体障害者雇用にせっかく助成をしておるのですから、この膨大な官公需の中で何か特別な扱いをしたらどうかという考え方もあるわけです。ですから、それは助成金は出していますけれども後は自由競争ですよというについては、なかなか酷な面があるわけですね。例えば花をつくるとか、そういうのを身障者ばかり集めてやっているわけです。こういうのを何か官公需で特別に見てやれないだろうかという問題もありますが、きょうは時間がございませんから、これらの問題は後ほど質問をすることにいたします。  なかなか質問の機会がありませんから、私は、かねてから非常に懸案になっております、恐らく本委員会でも若干取り上げられたことがあるかと思いますが、重度心身障害者でいわば労災による一級や二級の障害等級の年金をもらっている人、傷病年金の場合もありますし、障害年金の場合もある、これらの人が亡くなった場合、その亡くなった原因、死因がいわばその障害の直接原因によらなかった場合、この場合には現在のところでは遺族年金の対象にならないという、こういう問題が起こっております。  これはかねてから非常に大きな問題でありまして、殊に、恐らく役所の方にも何度か陳情が来ておりますし、また私どもの手元にも長い間そういう要請があっております。あるいは脊損の方々、あるいは一級の重度方々、二十数年間奥さんは看病をしておる、全く看病疲れをしておる、しかし、自分が亡くなったら一体妻はどうなるだろうかという、こういう深刻な問題があるわけですね。直接死因でなければ遺族年金が来ないわけですからね。ですから、こういう問題についてどういうようにお考えであるか、これはまず基準局長から御答弁を願いたい。
  48. 望月三郎

    ○望月(三)政府委員 今の多賀谷先生の御指摘の件は、私どもも関係団体から陳情も受けておりますし、当委員会においてもお答えした経緯がございます。非常に重要な問題であろうかと受けとめております。  ただ、今まで私どもは、労災保険の給付につきましては、長期療養中の者が突然死亡した場合に、その死因がいかなる場合であろうと、これに対して遺族年金を支給するということは、ちょっと労災制度の建前から難しい問題があるということでお答えしてきたわけでございますが、しかし実情を考えてみますと、その未亡人なり今まで介護をしてきた未亡人が、業務外の死因によって死亡した場合には途端に年金がもらえなくなるというのは非常に気の毒なケースでございますので、私どもも、今労災補償審議会の中に三者構成で労災保険基本問題懇談会というのを設置しておりまして、ここはそういう従来ないような大きな問題とかそういったものを検討をしておる場でございますが、ここにこの問題を提起いたしまして現在議論をしていただいておる最中でございます。その結論を待ってこの問題に対処していきたい、こう考えております。
  49. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 重度障害になった人の場合は、正常の人よりも生理的にもあるいは生活能力もなくなっておるわけです。そして長期にわたりますと体も衰弱をする、そこで死期を早めるということは事実であります。そういう場合に、一体死因の病名によって左右するのか。もう少し因果関係を拡大してみて、そうして、言うならば天寿を全うすると言ったらちょっと言葉がオーバーかもしれませんけれども、少なくともそれで死期を早めたという病勢にあれば、やはりそこに因果関係ありと見て業務災害の対象にすべきではないか、こういうふうに私は思うのですが、どうでしょうか。
  50. 望月三郎

    ○望月(三)政府委員 今やっております労災基本問題懇談会で、先生の今おっしゃるような議論も当然出てくると思います。そういった議論等もよく聞かしていただきましてある程度のところで結論を出したい、こう思っておりますので、先生のおっしゃる意見もまた懇談会等で紹介させていただきたい、こう思っております。
  51. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 恩給時代には増加非公死扶助料というのがあるのですね。要するに、死因が直接公務による死因でなくても、公務障害を受けた人の場合恩給をもらっておる。しかし、その死因は直接公務障害が死因ではないという場合に非公死扶助料というのが増加恩給の中にあるということを考えると、やはりそういう方法がとれないだろうか、こういうふうに思います。殊に、大臣、厚生年金があるじゃないかという議論があるのですけれども、厚生年金というのは労働省と違いまして、厚生省もおられるだろうけれども、大変非情な法律でありまして、これは第一に五名未満は全部入れない。入れないのじゃない、強制加入じゃない。それから職種によっては除外をしている。これは、労働省はなかなか親切でして、一人でも、業種によっても、あるいは雇用保険でも労災でも入れていただけるのですけれども、厚生省はそういう点は国民年金があるではないかという考えです。ところが国民年金には遺族年金がないのですから、こういういわば零細やあるいは厚生年金対象外の業務で業務災害の起こった人がもらっている年金というものはそれっきりになってしまう。ましてや、長い間看病しておりますから、自分が勤めるわけにいきませんから、ゼロになってしまうのですよ。そういう状態がある。将来において厚生年金等が全職種、全規模に拡大されれば別ですけれども、そういう情勢になっていないのです。今度の法律の改正案も残念ながら法人に限る、業種は今までどおり、こういう形になっておるのでありまして、我々は、こういうような状態の中においては、ぜひひとつ労災の問題も、今局長がお話しになったように今度の基本問題懇談会ですか、そこではぜひ問題として取り上げてもらいたい。大臣にひとつ御所見を承りたいと思います。
  52. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま局長から答弁をいたしましたように、努力をいたしたいと思いますが、多賀谷委員のおっしゃるそういうお気持ちもよくわかるわけでありまして、この問題についてはひとつこの労災保険基本問題懇談会でおっしゃる気持ちも十分に反映させて論議をさせていただきたい、研究をさせていただきたい、こう思っております。
  53. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 それから、同じく労働能力を永久的に喪失した重度障害者の在宅療養の場合の例の介護料ですね。今二万三千六百円ですか、こういう状態ですが、これは余りに低いのではないでしょうか。今のように子育てが終わればみんな職場に出ていくという状態で、主人がそういう障害を受けなければ働きに行けたものをということで、何かこの介護料というものももう少し考え直してみたらどうか。どうも厚生省を横に見てやっておるという話ですけれども、第一労災の診療報酬は違うでしょう。健康保険じゃないですよ。健康保険の標準診療報酬と労災の診療報酬は違うでしょう。何でもかんでも厚生省並みというわけじゃないですよ。これはあなた方が実質区別をしているのだから。労災の場合は自由診療の料金でいっておるでしょう。まあある程度のなにがありますけれども、労災のお医者さんの方が診療報酬が高い、そういう状態になっておる。ですから、そういう点を見れば十分考慮できるはずじゃないですか。どうですか、これは業務災害ですからね。
  54. 望月三郎

    ○望月(三)政府委員 先生おっしゃるように、労災の介護料の額というものは、私ども従来から、公害健康被害補償法による障害補償費の介護加算額など他の社会保障制度における類似の制度の額の動向等を勘案して定めているところでございまして、確かに診療報酬について健保と労災は違うではないかという点がございますが、極力私ども理由のつく点についてはこれはやはり必要な経費は見なきゃいかぬということで、労災独自の単価等も定めておるわけでございますが、介護料につきましてはこれは非常に似ておりますので、先生おっしゃるように別個の体系で別個の高い介護料を出せとおっしゃる気持ちもわからぬではございませんが、なかなか難しいということを申し上げたいと存じます。
  55. 多賀谷真稔

    ○多賀谷委員 時間がございませんが、率直に言いますと労災行政は非常におくれている、公害が進んだからようやく労災がついていっておるというのが現状ですよ。僕はこんなばかげたことはないと思うのです。それは日本における組合のあり方にも問題がある。それは六価クロムのときでもそうでしょう、鼻の穴があくぐらいは当たり前だなんて労働者が言うんだから。あの問題だって公害が大きな世論にならなきゃ進まなかったんですよ。労災全体は、公害の方の行政が進んで、それにやっと追いついておるというのが今の現状ですよ。僕はそういう点は非常に労働省は怠慢だと思うのです。むしろ、これは同じ職場ですから、ですから最も被害を受けなきゃならぬはずです。それを黙っておいて、周辺が騒ぎ出したものですから初めて労働省が立ち上がる。これは私は労災全体が非常におくれておると思うのですよ。そういう点をひとつ考えておいていただきたい。  大臣、いろいろ問題があるのですよ。大臣、僕らがおもしろいと思うことは、共済の方は、公務災害が起こったら全部災害補償法で全額払うのです。公務の方は災害補償法として全額払う。そしてその調整金が一般の共済ですよ。労災は、基準法はそうでない。基準法の方は最初は経営者が全部払う。その調整を厚生年金がやったのですよ。今はそうでありません。今は厚生年金が全額払って、労災が引っ込んで調整をやっているのです。その厚生年金の資金というのは労働者が出しておるわけです。こういう形をとらしておるのです。政府も出しておるのです。ですから、厚生省は僕らから考えれば一体何しているのか、何で労働省は黙っておるのか。労働省というのは一体労働者の味方なのか経営者の味方なのか。経営者が全額払う分は引っ込めて、そうして労働者と国が払う分だけが前面に出ておる、こんな労働行政はないですよ。時間がありませんけれども、これは大きな問題ですよ。これは労働大臣としても大きな問題ですよ、労働者を扱っておるのですから。こういう問題があることだけを今お話しをして、介護料をひとつ頑張ってもらうように要請して終わりたいと思います。
  56. 有馬元治

    有馬委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十一時五十四分休憩      ————◇—————     午後三時五十四分開議
  57. 有馬元治

    有馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。森本晃司君。
  58. 森本晃司

    ○森本委員 まず、大臣にお伺い申し上げます。  昭和五十五年、身体障害者実態調査、厚生省の実態調査によるわけですが、この実態調査を見ますと、十八歳以上の身体障害者の総数は四十五年には百三十一万人、それから十年後の五十五年には百九十七万人に上っております。この十年間で六十六万人の増がございまして、十年間で五割アップしたというふうに言えるんじゃないか。また一千人当たりの人口比でございますが、出現率は五十五年で二三・八人となっております。  これらのデータからわかりますように、身体障害者は年を追って今増加しております。しかも大変重度化、高齢化が進んでおりまして、深刻な状況下にあるわけでございます。身体障害者雇用問題が今ほど重要な時期はないと思うんですが、一方では行革臨調の答申において組織の合理化を図らなければならないという状況、また人員を削減しなければならないという状況下にございますが、労働大臣として、こういう身体障害者雇用問題を預かる監督官庁の長として断じて後退をさせてはならないと思うんですが、その辺についてどのようにお考えなのか、お尋ね申し上げます。
  59. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま森本議員のおっしゃいましたように、この十年間で身体障害者の数が一・五倍ということは、これは非常に重大な事実でございます。それから重度障害者の割合も高くなってきて、昭和四十五年には二六%のものが昭和五十五年には三三%に近くなるという、これまた非常に憂うべき状態であることは御承知のとおりでございます。そういう現実を踏まえながら、また最近は内部障害などいろいろな障害も出てきております。それで労働省としては、これらの障害者、特に重度障害者方々雇用対策に対しては最大重点を置いて、きめの細かい対策を立てていきたいと思っております。  それで問題は、今は行革をやっているではないか、そんな厳しい枠内で、人員も予算も厳しいわけでありますが、その中でこれだけの増大した身体障害者の皆さんの面倒を見れるか、しかしやれ、こういうお話してございますが、私もあなたと同じつもりであります。労働省とすれば当然の務めでありまして、私もそういう日の当たらぬところにこそ力を入れて日を当てていかなければならぬという考えでございます。  労働省もできるだけ今までも相当努力をしておりまして、たとえば身体障害者関連の専門職の職員の数も、就職促進指導官というのをとってみますと、昭和五十七年には二百九十二人でありましたが、五十八年には三十九人ふやして三百三十一人、それから五十九年にはまた二十八人ふやして三百五十九人、以下、雇用指導官、職業の身障担当の相談員など、役所の中ではほかを削ってでもここに重点を置いてきたということだけは、努力してきたということだけはこれは事実でありまして、そして障害者のための専門的なエキスパートを集めて重点的に進めなければいかぬということで、身体障害者雇用対策室もつくりまして、今一生懸命鋭意努力をいたしております。この姿勢とこの努力だけは今後も一層続けていきたいと思っております。どうぞひとつ一緒になってやっていきたいと思います、よろしく。
  60. 森本晃司

    ○森本委員 今、大臣の決意のほどをお伺いいたしました。どうか行革という名のもとで、これだけ今ふえつつある身障者雇用問題が決して後退することがないようにお願いする次第でございます。  次に、現在における公共職業安定所における身体障害者の求職と、そしてその就業の状況はどうなっているのかという点についてお尋ねしたいと思います。
  61. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 現在公共職業安定所におきましては、きめ細かな職業指導あるいは紹介ということを継続してやっていきますために、身体障害者につきましては求職登録制度というものをとっておりまして、ことしの三月末現在で、求職登録しておられます身体障害者は約二十辺万五千人という数に上っておるわけでございます。このうち約二十万人の方は現在就職をしておられるということでございますが、なお約四万一千人の方が有効求職者ということで、この四万一千人の方が一応現在の就職のための活動の対象になっておるということでございます。この数字は、実は昨年の一年前の数字で見ますと約三万八千人でございまして、それが四万一千人にふえておる、こういうような状況で、約三千人この一年間で有効求職者がふえておる、こんな状況にございます。それからまた、この五十八年四月から五十九年三月までの一年間で就職をされた数字で見ますと、約二万二千人ということでございます。これは前年の数字で見ましてもほぼ同じような数字でございまして、この二万二千人という方を一年間で就職をさせた、こんなような結果になっておるわけでございます。
  62. 森本晃司

    ○森本委員 今お答えいただきましたように、昨年と比べまして三千人も求職者がふえている、しかし就職者は前年度並みである、こういう状況下の御答弁をいただいたわけでございますが、同様に民間においては、これも労働省の職業安定局集計によるものでございますが、雇用状況というものは年々非常に鈍化してきておるわけでございます。特に一昨々年の国際障害者年が過ぎますと急に鈍化いたしまして、五十七年と五十八年はわずかに〇・〇一ポイントしか伸びていないという状況下でございます。労働省としてこういう状況下を見てどのような対策を講じていかれるのか、御説明をお願いしたい。
  63. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように就職者数も鈍化しておる、あるいはまた雇用率の伸びも鈍化しておる、こういう現状にあることは事実でございます。そういう意味におきまして、まず私ども、集中的にきめ細かな雇用率指導というものをやっていかなければならぬ重点を絞りまして、そういったところにひとつある程度集中的な指導を進めていく、こういう観点で、これまで雇用率が一・五%に対して〇・五%以下のところに対しましてこの特別指導というものをやってきたわけでございますが、これでは今御指摘のような点の前進が図れないということで、ことしの一月からこれを〇・五%未満から五割増しの〇・七五%未満というところまで広げまして、こういう大企業あるいは中規模企業というものに焦点を当てての雇用率達成指導というものをことしの一月から開始しておるわけでございます。  それからいま一つは、やはり就職促進を図りますためにはどうしてもきめ細かな相談指導というものが要る。そのためには障害者担当の就職促進指導官というものの確保を図っていかなければならぬということでございまして、今大臣からも申し上げましたように、労働省の定員としては全体で百十九名が削減をされます中で、こういう就職促進指導官などの増員を図りまして、きめ細かなそういう相談指導というものができるような体制を一応今までより一歩前進をいたしまして整えたというふうなことで、こういう人たちをフルに活用いたしまして、雇用率の今落ちてきております大きな理由の一つが、離転職がふえてきておるというところが一つ大きな問題でございますので、そういう定着指導という面、これは単に身障者に対する指導だけではなくて、事業主に対する指導も含めましてそういう定着指導に重点を置いた指導体制というものもことしの一月から特に強調して進めつつある、こういうことでございまして、雇用率の問題、就職の問題が停滞しております中で、何とかこういう活動を通じて、今までのような横ばいペースということではなくて、ここで上昇に持っていきたい、こう今取り組んでおるところでございます。
  64. 森本晃司

    ○森本委員 今定着率のことを御答弁いただきましたが、せんだって訪問いたしました職業訓練校の卒業生の定着状況等々を見ますと、向こうで伺ったのですが、訓練校を卒業してもなおかつ大変定着が悪い。訓練校を卒業された方でもそのような状況ですから、いわんやまして一般の障害者の皆さんにおいては定着率が非常に厳しいのではないか。今後雇用率改善のためには定着率を強化していかなければならない。一月にこのことを強化する、またフォローアップするという方針を出されたようでございます。同時にまた、都道府県知事に障害者雇用改善強化する旨の通達を出されたと伺っておりますが、その内容とその実行のほどをお伺いしたいと思います。
  65. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 先ほど御説明いたしましたように、この一月に身障者雇用促進という観点から通達を出したところでございますが、その主な点は、  一つは、民間企業での雇入れ計画作成命令というものを出します範囲を、従来雇用率〇・五%未満ということでございましたのを雇用率〇・七五%未満、五割アップして対象を拡大した。それからまた、不足数が十人以上というところを命令対象にしておりましたが、これを不足数六人以上、こういうことでもう少し下のところまでも対象に入れる、こういうようなことを図ったことが一つでございます。  それから二番目は、市町村等に対しまして特に適正実施勧告というものを厳正にひとつ適用を行え、そして雇用状況の特に悪い市町村に対しては公表措置を講ずるということで指示をいたしております。  それから三番目といたしまして、ただいま申し上げました身体障害者の職場への定着促進ということに特に力を入れるようにということで、もしこれらの方が職場から転職、離職してこられたならば、結局そういう方たちについて新規求職者としてまた大変な努力が要る。ならば、離職をする前に、新規求職者に対していろいろ事業主にも本人にも御指導、御相談を申し上げるような、同じ密度の濃い相談、指導というものを定着指導に対してやるべきだ、こういうことでの通達をいたしたわけでございます。  この実施状況でございますが、一月での通達でございまして、現在雇入れ計画作成命令の発出状況につきましては今都道府県から報告を求めておる、こういう段階でございます。それから、この市町村に対する適正実施勧告の問題については、八十六の市町村に対しまして公表を前提とした指導というものを行いました結果、この八十六のうち五十一の機関が雇用率を達成したという結果が出ております。そのほかの残りのところにつきましても今懸命に努力をしていただいておりまして、そういう意味で今改善のための努力中でございますので、あえて公表という形にまだしなくてもいい、そこを見守りたいというようなことで現在状況を見守っておる、こんな現況にございます。
  66. 森本晃司

    ○森本委員 実効のほどはおいおい成果として上がってくるだろうと私は思いますし、まずそれを大きく今期待しておるわけでございますが、雇入れ計画作成の段階で〇・七五の雇用率にされた、また不足数を六人という状況にされましたが、今後この状況がまとまってまいりました段階で、こういったことが実施されていない企業等々についてはいかがに指導されるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
  67. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この雇入れ計画作成命令、そしてまたその命令に従いまして雇入れ計画を提出していただきまして、それが計画どおり適正に実施をされておるかどうか、こういう面からさらにそれをチェックいたしまして、その計画どおりになかなか進まない、あるいはまた進めようとする熱意がないということであればこの適正実施勧告というものをいたします。そして、適正実施勧告というものを繰り返す中で、どうもやる気がない、その気がない、あるいは努力の跡が見られないというようなことで、これはもうどうしようもないということであれば、私どもとしては企業名の公表措置という伝家の宝刀を抜いて対応せざるを得ない、こんな構えでおるところでございます。
  68. 森本晃司

    ○森本委員 実効率を上げるためにも、また同時に身障者雇用促進のためにも、ぜひ今おっしゃっていただきました内容で指導強化をお願いしたい、このように思う次第でございます。  先ほどもきめ細かな対策を講じていくという話がございました。現行の制度だけで一般雇用に就職するというのは非常に困難に思われる人たちに、どうかきめ細かな指導をお願いしたいと同時に、相談にも乗っていただきたいし、また、こういったことが非常に今急務ではないかと私は思うわけです。  例えば一つの例を挙げてみますと、私はせんだって、私の出身県でございます奈良県の腎臓患者でつくっている奈腎協の皆さんといろいろ懇談する機会がございまして、そのとき私は、奈腎協の皆さんを代表して切実たる手紙をいただいたわけでございます。内容を読みますと、透析に出かけていくのは週に三回以上、そして一回に大体五時間以上全身の血を入れかえ、生きるための闘いをしていらっしゃるわけでございます。そこで、この文章をそのまま読ましていただきますと、   さて週に三回というのは簡単ですが、社会生活から考えますと週三回会社に出勤できない訳です。一日おきの出勤はたとえ勤めさせてもらっても、給与の削減となり、自動的に昇給に見放され、賞与の大幅な減額につながります。又同僚同輩とて、隔日出勤に初めの内は同情の救けでいるとしても、長い年月白い目で見られ、仲間はづれとなり、勤めにくくなって来ます。また官公庁にあっては、出勤日数不足を理由に退職の止むない様に成る規則まであるといわれており、一たん退職してしまうといかに職業安定所に相談しても勤め先等絶対にありません。結局失職し心ならずも障害年金にたよる生活を余儀なくされ、細々と生活しているのが実情です。 こういうふうに、腎臓患者の方の苦境が手紙に書かれておるわけでございます。この患者の方で働く意欲を持っておられる患者の方、働ける人、こういう人は奈良県で今百二十人ほどいらっしゃるそうでございますが、そのほとんどが失業をなさっているという状況でございます。また、全腎協の方にも話を伺いましたけれども、まさにそのとおりだということでございまして、就職しようと思っても、年間に大体五百万円の費用がかかりますので、雇用者が了解いたしましても、健康保険組合等々の負担が大変大きくなるのでどうしてもなかなか就職できない。仮に就職したとしても国保でパートということになってしまうという状況だと、非常に切実に訴えておられました。また、夜間透析という手があって働けるじゃないかというふうなこともございますが、我が奈良県には夜間透析ができる病院は、あの広い奈良県てたった二つしかございませんし、公立病院は全くゼロでございます。全国で夜間透析のできる公立病院はたった一つでございます。夜間透析をする病院をつくらないというのは、これは厚生省の方の問題になるわけですが、そういう状況ですからどうしても退職をしていかなければならない、離職をしなければならないという状況になっていくわけです。この患者さんは、やはり栄養をとらなければなりませんので生活がだんだん苦しくなっていく。働きたいという意欲があるにもかかわらず働くことができないという状況下にございます。特に、状況を聞きますと、透析技術が非常によくなってきた。かつて多くの人が亡くなっていったわけでございますが、今は長生きをするようになってきた。そうなってきますと、その長い間、働く意欲がありながら働けないという状況下に悩んでおられますが、きめ細かな指導の中で、例えば今挙げましたような全腎協の皆さん、腎臓患者の皆さんが悩んでおられる例がございます。こういうことに対してどのように考えていらっしゃるか、お伺いしたいと思います。
  69. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 腎臓機能の障害によりまして人工透析を受けておられる方というのは、おっしゃいましたように週に二回あるいは三回そういう透析を受ける、その間就労できない、あるいはまた就労しておる間でも重い物を持ったりというようなこともなかなか難しいとか、あるいはまたそういう関係がありますから長期出張なんというものはとてもできない、いろいろ職業上のハンディがあるわけでございます。そういう意味で、やはりよほど事業主の方にその辺の御理解をいただかないと、なかなかこの就職という面では難しい事情のあることは事実でございます。あるいは、先生おっしゃいましたように、就職どころかやめていかざるを得ないとかいうようなこともいろいろケースを伺っておるわけでございます。  私どもとしては、一応こういう人工透析者というのは身障者福祉法の等級表の一級、こういう重度であるわけでございまして、そういう意味身障者雇用促進法上も重度ということで、例えばそういう方を一大使えば雇用率上は二人としてカウントするというような特別のそういう配慮もしておるわけでございますし、また、そういう方についての必要な雇用のための施設というようなものについてはいろいろな助成、援助措置というものも用意しておりますが、しかし率直に申しまして、そういったものでこういう人工透析者がどんどん就職ができるというふうにはなかなかいかないという厳しい現状にあることも率直に認めざるを得ないと思うわけでございます。私どもとしては、非常にこういう方については手づくりの就職といいますか、その方の働けるいろいろな条件なりそういったものを十分つかみまして、そして事業所と十分連携をとって、そして可能な仕事というものにつけていくということを、これはまさに十分な時間と人手をかけてやっていかないとなかなか難しい。そういうことで一遍にどうというわけにはいきませんが、安定所でもってまさにそういう方についての足で稼ぐそういう就職あっせんというものを進めていかなければならぬだろう、こんなふうに思っておるわけでございます。  また、現実に就職をするといってもなかなか難しゅうございますので、実は先生も今そういう事例の御紹介ございましたけれども、例えば神奈川県にニーレというのがございまして、そういう障害者だけで会社をつくりまして、そしてこれは例で申しますと、従業員が六人のうち五人が腎臓機能障害一級の方でございまして、そして一階が人工透析の治療室、そして二階が会社、こういうような形で治療を受けながら就業できる。仕事の内容といたしましては情報処理サービス業ということで、情報機器の販売とかソフトウエアの開発というような形でやっておられる一つの例もございます。しかし、これは一般に、こういう形でどうぞなんて簡単に言えるものではない。やっぱり大変ないろいろな条件がかみ合わないといけませんが、これなども一つの例だと思いますが、何かそういうような特別な配慮というものがないとなかなか進まない。  そういう意味で、人工透析者もふえてきておるような状況でございますので、私どもも、こういう重度障害者雇用促進の中の重要な一つのテーマということで、今後そういう面でも、こういうモデルなども参考にしながら何とか働ける場を広げていきたいということでの取り組みをいろいろさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。
  70. 森本晃司

    ○森本委員 今神奈川の例を挙げていただきましたが、ほんのまだまだ全国でわずかしかないと思われるわけでございます。  私の方の奈良県でも、橿原市にある私立の病院でございますが、腎臓患者の皆さんを治療されておられる病院でございますので、そういった患者さんの中から、看護士の資格を取ってそしてお互いがお互いをやっていくという形で、病院が温かい配慮で採用されている病院があるわけでございます。こういった事例をやはり数多く挙げて、また同時に労働省としても、こういうやり方があるんですというふうな指導、助成を私はしていっていただくことが非常に大事ではないかと思うのです。  同じようにこれも腎臓に関係があるわけでございまして、腎臓ネフローゼ児を守る会の全国大会が先般私の奈良県でございました。切々たるお子さんの訴えや体験発表等々を聞いたわけでございます。その後、御家族の方といろいろ話をいたしますと、何とか学校は行けたとしても、今度は卒業した後のこういう条件下における就職というのは大変困難だ、ですから就職に対して親御さんが大変な不安を持っておられますので、どうか今局長がお答えいただきましたそういった内容をさらに推し進めていっていただいて、また援助、助成をし、そういったいろいろな病院等々にも、そういった患者についてはよく配慮していくようにというふうに指導をお願いしたい、このように思うわけでございます。  同様に、きめ細かなという点でございますが、今度、新しい今回の法改正によりまして人工肛門、人血膀胱の造設者、オストメートの方々が今回新たな法の適用を受けられるととになりまして、私としてもまた公明党としても、今日まで諸先輩が努力してこられただけに、私は非常に感慨深いものもございますし、またこれについては私も大いに評価をしてまいりたいと思いますが、このオストメートの方々も同様に悩んでいらっしゃる問題は仕事の問題でございます。もう大半の方がやめさせられたり、残っても減給、降格であり、非常に厳しいという状況下でございます。今回新しい法改正で適用を受けるようになられた方々にも、どうか細かい御指導をしていっていただきたいと思うわけです。  オストメートの方々の、過去の経験を生かした新たな訓練を受けて社会復帰を望んでおられる声が非常に強いわけでございまして、私の方にも数多く寄せられております。またオストメートの方は今度は非常に高齢の方が多いわけで、平均的に高齢の方が多いわけでございますので、どうかそういった方々のこともよく考慮して適用し、就労の機会が与えられますようにお願いしたいと思いますが、この点はいかがでございましょう。
  71. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この改正案によりまして、政令で新しく人工肛門あるいは人工膀胱の造設者について身障者の範囲を広げようということでお願いをしておるわけでございますが、これらの方々につきましては、やはりいろいろ日常生活の面でも制限を受けやすい。さらにはまた、そういう手術との関係でいろいろ力仕事的なことは無理だというような問題。あるいはまた、いろいろ装具をときどき交換したり清掃したりしなければならぬ、こういうような時間的なロスというような問題もある。あるいはまた、他人に不快感を与えはしないだろうかということを本人が心配いたしまして、なかなか人と接触することについて本人がなるべく避けたがるというような問題等もあるわけでございます。さらにまた、こういう装具を常に腹に装着しておりますために活発な活動というのはもともと難しいという、いろんな難しいハンディがあるわけでございます。そういう意味では、私ども、今度適用範囲に入ってまいりました場合に、この方々をどう職場定着、そしてまた再就職というものに結びつけていくのか、率直に申しまして、これからまだ私どもも十分いろいろ本当に実地に勉強し、検討しして、経験を積まなければならぬ場面もいろいろあると思います。しかし、これがそういうことで決まりますれば、私どももぜひ御指摘の方向での努力をしていかなければならぬ、取り組みを始めなければならぬ、こういうことで私どもも構えておるわけでございますので、いろいろまた御指導を私どもにも賜りたい、こう思っておるわけでございます。
  72. 森本晃司

    ○森本委員 先日、私もオストメートの患者の皆さんとそれからそれを担当して指導しているお医者さんといろいろと話をさしていただきまして、もう本当に大変だなと思うことが、二時間ほど話を聞いているうちに、大変な生活を余儀なくされているなということを実感いたしました。特に、先ほど局長がおっしゃいましたようにメンタルな部分というのがあの患者さんにはあるわけでござしまして、どうかこれを機会に、一度、労働省のそういう指導に当たられる皆さんも、それを担当しておられる専門のお医者さんあるいは患者さんの意見を十分聞いて、今後の就労方向というのはどういうふうに考えればいいのかというのを、直接お会いしていただいてやっていただくことがより効果的ではないだろうか、このように思いますので、ひとつぜひそういう方向性でよろしくお願いしたいと思うわけでございます。  次に、去る十二日に愛知県の春日台の職業訓練校をちょうど視察させていただく機会がございまして、全国ただ一つの精薄者専門の訓練校でございます。公明党の社労委員全員そろってこの訓練校を先般視察してまいりました。四月に入校されてわずか二カ月の訓練でございますが、本当に健常者も見習わなければならないほどの成果を上げておられる姿に、私は大変深い感銘を受けたわけでございます。また、この訓練校というのは、単に職業訓練をするだけではなくして、生活訓練からきちっとなされていく。精薄者の皆さんが社会復帰するにはまず生活訓練から始まるわけでございまして、歯を磨くことから、それから部屋も見せていただきましたけれども、わずか二カ月できちんと自分たちで片づけて、洗濯したものもあって、私の宿舎の部屋よりもはるかにきれいな状況下で、非常に私は感銘を受けました。二カ月でこれほどの成長がなされるわけでございまして、障害者であれ精薄者の人であれ、環境に恵まれて訓練を受けるという機会を与えていただければすばらしい能力を開花することができるわけでございまして、こうした機会をできるだけ多くの身障者に広げるためにも、なお一層の努力をしていただくことがこういった方々雇用促進に役立ち、つながってくることは間違いない、私はこう思うわけでございます。  先ほども腎臓患者の親御さんの話をしましたけれども、私の近くにも障害児を持つ親御さんがいらっしゃいまして、よく話をします。養護学校へ入って一番心配しておられるのは、学校を卒業した後、その精薄者のお子さんを抱えたお母さん方がどこへ就職をさすべきなのか、このことで大変悩んでいらっしゃるわけです。小さいときならばお母さんが手を引っ張ってまだ何とかカバーできたけれども、いよいよ中学校、高校卒業になると体も大変でっかくなってくるし、また、何とか働かしてあげていきたいという声を絶えず私も聞いておるわけでございます。  精薄者の方の訓練校はごくわずかでございますね。今全国で本当にわずかしかございませんが、今後どのような計画をされているのか。私としては、この間感銘を受けた訓練校的なものをさらに各地につくっていっていただきたいと思いますが、これは大臣、ひとついかがでございましょうか、その訓練校について。
  73. 宮川知雄

    ○宮川政府委員 状況の御説明をちょっとさせていただきたいと思います。  愛知の精神薄弱者専門の職業訓練校についてある程度御評価いただきましたことは、関係者として大変ありがたいことでございます。  精神薄弱者につきましては、非常に多様化しておるということと、それから適職の開発が大変難しいというようなこと、まだまだこれからやらなければいけないことがたくさんございます。したがいまして、一般の身体障害者以上にきめ細かく、それぞれの人々につきまして、訓練科目は何がいいか、あるいは訓練方法はどうすればいいか、カリキュラムというのがございますが、カリキュラムにとらわれないで具体的にどうやったらいいかというような苦労を関係者は随分している。わけでございます。  それで、いずれにいたしましても職業的な自立を図る、これが一番大事なことだと思っております。したがいまして、今御指摘がございましたように愛知に専門校がございますが、そのほかにも京都府下あるいは静岡県等に精神薄弱者専門の訓練校がございます。またそれ以外でも、長崎・佐世保その他、一般の職業訓練校でも精神薄弱者の人々を特に一つの枠を設けまして専門に訓練するということをやっているわけでございます。  ただ、今申し上げましたように非常に多様化しておりまして、一人一人きめ細かくやらなければいけないということで、特定の地域につくるということ、もちろんこれも大変大事なことでございますが、それだけでなくて、きめ細かく、広くいろいろなことをしなくてはならない。したがいまして、このほかにも委託訓練あるいは職場適応訓練、これなんかもなかなか評判がよろしゅうございますが、そういうようなことをきめ細かく現在展開しているところでございますので、しばらくまたいろいろ検討する時間をいただきたい、かように考えております。
  74. 森本晃司

    ○森本委員 今お答えをいただきましたように、私も向こうできめ細かくということを実感いたしました。ですから、訓練校で定数の人数をふやせば、もっと多くの人を揺れば解決できるというものではないなということも実感したわけでございます。それだけに私は、そういったのを各地に何とか推し進めていっていただければきめ細かなことができてくるのじゃないかと思いますので、どうかそういった皆さん方の対策について、また訓練校等々の拡大について大臣、ひとつぜひお力を入れていただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
  75. 坂本三十次

    坂本国務大臣 愛知県の春日台ですか、この訓練校を視察していただいたということで、激励をしてもらった子供たちは非常に喜んでおると思います。私からも感謝を申し上げます。  今局長から話がございましたように、日本じゅうにこういう方々がずっと散在をしておるわけでありますので、局長の言いましたように、精薄者の職業訓練校というものは、それは数多くあればそれにこしたことはございませんでしょうけれども、それより先に、ずっと全国に散在しておる方々をまず教育をしなければならぬのですから、一般の職業訓練校でもそういう心がけをすればこれは全国的にお世話ができるわけでありますので、幅広くまず考えた方がいいのではないかということで、今局長が答弁をしたような次第でございます。  しかし、とにかくなかなか、聞きますところによりますと、専門の精薄の訓練校で一生懸命に教育をしても、ところが親御さんの願いのように、今度は訓練はしたけれどもすぐに就職ができぬ。結構一生懸命に訓練をしてあげたのだけれども、就職ができないというのがまた大変な悩みだそうでありまして、その面につきまして、これまた訓練と同時に就職のお世話をするということがやはり非常に大切ではなかろうかと思っておりますが、職場適応訓練というのなどは今非常に評判がいい。これは全国で千五百事業所ぐらいにあって、付きっ切りで訓練をしてくれている。そして、そこで気心がい、技術が相当進めば雇用してくれるというのですから、これはかえってアットホームで、身近で雇用に結びつくのではないかということで労働省努力をいたしておりますが、そういうつもりで今後ともやっていきたいと思っております。
  76. 森本晃司

    ○森本委員 次に、五十九年度心身障害者対策関係予算の概要の中で「重度障害者、精神薄弱者等障害の程度、種類に応じた対策強化」、そのために「第三セクター方式による重度障害者雇用企業、精神薄弱者能力開発センターの育成」というのが掲げられております。五十八年度からこの第三セクター方式企業を育成する計画を立てられておると伺っておりますが、本年は五県の予定でございますが、この辺現状はどうなっているのか。五県の候補県がもう決まったのかどうか、その辺の現況をお尋ね申し上げます。
  77. 藤原正志

    ○藤原説明員 先生お話しございましたとおり、昨年からこの制度を始めたわけでございますけれども、今年度につきましても、前年度と同じ五カ所を近く指定を見込んでおるところでございます。重度多数雇用事業所と、それから精神薄弱者に対します能力開発センターと二つあるわけでございますけれども、前者の方、いわゆる多数雇用事業所の方につきましては、まだ確定でございませんけれども、山形県、愛知県、熊本県といったようなところを現在予定をしているところでございます。また、精薄の能力開発センターにつきましては、今のところ北海道、大阪等につきまして予定をいたしております。
  78. 森本晃司

    ○森本委員 将来の問題もございますが、ぜひ各県にお願いしたいと思います。私の奈良県、なぜかこういった問題が、非常に設備あるいは施設等々がおくれているようでございまして、できれば早い時期に候補地に挙げていただければと思っておる次第でございます。  それから、第三セクターのマスタープランを策定する研究委員会というのがございますが、構成が、事業主団体、学識経験者、行政機関からの構成ということになっております。もう少し具体的に構成内容、それからマスタープランの策定はいつぐらいになるのかというふうな点、お答え願いたいと思います。
  79. 藤原正志

    ○藤原説明員 第三セクターの具体的なスケジュールといたしましては、初年度に委員会をつくりまして具体的にマスタープランづくりをする、二年度でそのプランに基づきましてハードな面の建設をする、こういうようなスケジュールで進めているわけでございますけれども、お話しの昨年、つまり五十八年度に指定いたしました府県につきましては出発が若干おくれまして、昨年は重度の多数雇用事業所の関係につきましては東京、それから京都、兵庫県を予定しておるわけでございますけれども、一番早いところで兵庫県ができておりますが、その他の県につきましては間もなくそのマスタープランができるというような段階でございます。また、精薄の関係の長崎、それから神奈川県につきましても間もなくマスタープランができ上がる、こんなような状況でございます。  それから、もう一点お尋ねの構成の関係でございますけれども、一応私ども考えておりますのは、都道府県の関係者、安定所の関係者、それから心身障害者職業センターというのがございますけれども、そこの関係者、それから学識経験者、専門家でございますけれどもそういう方、それから事業主の代表の方、学校の関係者等々をメンバーにいたしまして、その地域の実情に合った施設づくりを目指してマスタープランをつくっていきたい、こんなようなことを考えているわけでございます。
  80. 森本晃司

    ○森本委員 次に、ILO百五十九号の条約で、職業リハビリテーション及び雇用に関する条約がございます。ここで、「障害者による及び障害者のための小規模産業、協同組合その他の型態の生産作業施設の設立及び発展のために適当な政府援助を行うこと。」ということが掲げられておりまして、国際的にも小規模作業所へ政府援助を行っていく施策が必要だという時期にも入ってきたのではないかと思いますが、共同作業所全国連絡会の調査では、今全国に約一千カ所ほどの小規模作業所があるようでございます。しかし、この後の条文のただし書きのように、「ただし、このような作業施設は、所定の最低基準を満たすものであることを条件とする。」ということがあるために、最低条件に満たなかったり法人格がなかったりするために、公的助成がほとんど閉ざされているのが現状でございます。小さな作業所となりますと、これはやはり厚生省の方のいろいろな行政指導の面に入ってくるのかもわかりませんが、厚生省も一生懸命条件整備や行政指導をしておるようでございますけれども、いつもこういったところになってまいりますと厚生省と労働省の谷間にいるというのがこの小規模作業所の状況ではないかと思うのです。だけれども、その最低基準に満たないのには、一つは、その運営が障害者自身であったり、あるいはその家族であったり、地域のボランティアであったりしてまちまちで、非常に財力がないということと、それから大事なことは、この重度障害者の人たちが通える範囲というのは非常に限定されておりますので、どうしても少数にならざるを得ないわけでございます。したがって、現行法の小規模施設に見合うことは大変無理なことが数多くあるわけでございますが、こういった時期、またこれだけ多くの作業所ができ始めましたことについて、まず労働省は、これは厚生省との関係がございます、それだけに労働省はこの小規模作業所の社会的存在価値をまず認めていくことが必要ではないだろうか、そして積極的に助成措置を講じていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでございますか。
  81. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 御指摘ございましたように、この小規模作業所という形態で身障者方々がそこで就業の場を見つけておられるということ、そしてまた、それの発展が障害者雇用促進あるいは就業の促進というものにつながるという点は、確かに一つの大きな意味のあるものだと思っております。それで、私どももできるだけこういうところに対して援助、助成というものをしていくという基本的な考え方のもとに、現行のいろいろな要件の中で、そこに雇用関係というものが一応ある、あるいはまた雇用関係を一応明確にしていただくというような体制づくりを進めていただく中で、雇用関係があるものについてはこの納付金制度等の助成対象ということでできるだけ救うようにしてきておるところではございます。しかし、これが雇用関係がないということになってまいりますと、この制度上非常に無理があるわけでございます。そういう意味で、これが御指摘のようにそちらになると今度は厚生省ということで、労働、厚生の谷間という問題、私どもも御指摘の意味は非常によく踏んまえておるつもりでございまして、何かそういうのが谷間に落ちないように、労働、厚生、そういった点についてはさらに、そういう谷間ができないように両方から埋めていくというようなお互いの努力というものが今後必要であろうということを痛切に感じておるわけでございます。そういう意味でやはり厚生、労働、両方でこれからもさらに綿密な打ち合わせ、連携をいたしまして、こういうものについてもう少し労働なり厚生なりというものができる限りの援助をいたしまして、谷間に落ちないようなそんな面での両省の協力関係というものを一層十分とっていきたい、こう考えておるわけでございます。
  82. 森本晃司

    ○森本委員 こういった小規模作業所、これが認められて助成になっていくといたしますと、相当潤ってくる人たち、また皆さん希望がわいてまいりますので、押し合いにならないように、今加藤局長の方から御決意いただいたとおりにこれからも御推進をいただきたいと思います。  もう少し詳しく聞きたいのですが、ちょうど時間が参りまして、あと一問だけお願いしたいと思います。あと一問で終わらせていただきます。  障害者高齢化重度化に伴いまして、職業リハビリテーションの役割はますます重要になってまいりますが、新しい産業といたしまして、今マイクロエレクトロニクス化への流れが進んでおります。  先般、これは「中央能力開発情報」という機関誌を読ませていただきますと、ここの雇用問題政策会議というところから、大臣にいろいろと報告がなされております。この中の第三番目のところに、「中高年齢者、身体障害者等適応が比較的困難な労働者については、これらの労働者に適したME機器の開発と職務設計の改善により職域の拡大に努めるとともに、必要かつ十分な教育訓練を実施することが必要である。」、こういうふうな報告書が上がっておりますが、私も非常に、こういうME化と同時に、障害者の皆さんに適したものが逆に開発できるチャンスでもあるのではないだろうか、こういったME化によって障害者の職域拡大、開発がなされていくし、またそれを目指していかなければならないと思うわけでございます。先般「太陽の家」を視察させていただきましたときも、その補っている部分でME化されている部分があるというふうに実感してまいったわけでございます。数多くの報告がなされまして、これに対してこの後労働大臣談話がございますが、数多くの報告に対する回答でございますので、取り上げている趣旨は十分わかりながら、この中について回答は寄せていただいていないのだろう、こういうふうに私は思いますが、このME化、そしてまた、それを今度指導していく人材育成が非常に大事になってくるのではないかと思いますが、これの取り組み方について御質問申し上げまして、持ち時間でございますので質問を終わらせていただきたいと思います。
  83. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 このME化が進展してきております中で、MEを使って、今まで障害者がなかなかできなかったような仕事をMEを使って障害者もできるようにするというような形でのME機器の開発ということが、一つ障害者の職場を広げるという意味で大変大事なことであろう、こう思っております。また、いろいろの職場のいろいろな仕事の進め方というものも、これまたME化を進める形によりまして、障害者でもこなせるようにするというようなことも一つ大事な仕事であろう、こう思っておるわけでございまして、こういうMEを使っての障害者の職場の拡大という面について、私どもも現在、身障協会、それから職業リハビリテーションセンター、それから雇用職業総合研究所、こういうようなところと連携をとりながら懸命に進めておるところでございます。  また、こういう面での指導者の養成というのも大変大事な仕事でございまして、現在、職業訓練大学校に福祉工学科というものを新しくつくったわけでございます。福祉工学科におきまして、まさにこういう障害者の関係につきましての補助具の開発であるとか、また職域の開発であるとかというふうなことも取り組み、そしてまた、その卒業生というものがそういったものを使って障害者の実際の実務上の指導というものに当たっていただくというようなことを今やっておる段階でございます。  そういう意味で、ME化というものを何とか障害者雇用促進というものに大きな武器として役立てていくような、そういう使い方というものを進めていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  84. 森本晃司

    ○森本委員 時間が参りましたので、終了いたします。
  85. 有馬元治

    有馬委員長 塩田晋君。
  86. 塩田晋

    ○塩田委員 身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案につきまして、御質問申し上げます。  就職に当たりましてハンディキャップを持っておる心身障害者雇用対策につきまして、昭和五十六年の国際障害者年を契機にいたしまして、その雇用に対する一般国民の関心、理解が高まってまいりまして、その雇用状況も大幅に改善をしてきたと思うのでございます。そのことはまことに結構なことでございます。しかし、その後、特に重度障害者を中心にいたしまして、就職が困難なものも依然として相当多数おられるということが見られるわけでございます。今後の身障者雇用促進対策、これにつきましてどのような具体的な、積極的な対策をお持ちであるか、まずお伺いいたします。
  87. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 心身障害者雇用促進につきまして、社会あるいは企業認識も次第に浸透してまいりました。そういう意味で、例えば今まで身障者雇用について比較的消極的でございました大企業ども、現在なお雇用率はそれほど高くございませんが、しかし少なくとも雇用しようということで、ここのところ急速に大企業での雇用も率としてはふえてきておるというような状況にあるわけでございます。  しかし、今後これを一層、現在定められております一・五%の雇用率というものへ向けて雇用促進を図るためには、なお一層の努力が必要な段階にある、こんな認識を持っておるわけでございまして、そのために行政的には、一つは、この心身障害者雇用促進のための新規雇用というものについて、まず達成率の比較的低い企業というものに重点を置きまして、安定所なり県レベルの幹部等によります集中的な特別指導というような形での指導促進を図る、そしてまた、指導対象も今まで例えば〇・五%以下のところということで選んでおりましたものを、五割増しの〇・七五%未満のところまで広げてやっていく、あるいはまた、十人以上と言っておりましたところを六人以上というところまで広げるとかいうような形で、行政面での指導を強化していく。それからさらに、雇用率がはかばかしく伸展していきません。つの大きな要素としまして、離転職者が最近は比較的たくさんふえておるという問題がございますので、就職をしたらもう後はほうっておくというようなことがあっては相ならぬ、むしろそういうような方々について定着指導という面で、その就職者はもちろん事業主に対しても、身障者が十分能力を発揮できるような仕事につけていく、また力を発揮させていくような雇用管理をやっていただくという面での定着指導を強化するというような点について、行政的には進めていきたい、こう思っておるわけでございます。  それからまた、重度障害者というのが、今後就職の促進が非常に難しくなってきておるという問題があるわけでございますので、重度障害者は単に雇う気持ちがあるだけではなかなか難しい、具体的に雇用するためのいろいろなノーハウ、またいろいろな補助器具というようなものも要るわけでございます。そういう意味で、重度障害者雇用促進のために、例えば第三セクター方式によります重度障害者の多数雇用企業の育成というようなことをモデル的に進めていきます中で、重度障害者雇用促進のためのいろいろなノーハウ、また職域の開発というものを進めまして、この重度障害者雇用を進めていくというような形での取り組みを現在進めつつあるということでございます。
  88. 塩田晋

    ○塩田委員 この身体障害者雇用促進につきましては、もう国民的課題として、国を挙げてこの事業に全力を集中して取り組んでいただきたいと思います。もちろん公共職業安定所における職業紹介、あるいは職業指導体制、あるいは職業訓練、こういったものにつきまして、総合的に連携を密にして進めていただきたいと思います。とともに、現に雇用についている心身障害者につきましてもその雇用の安定を図る、就職後の定着指導等にもどうかひとつ積極的に、細心の注意をもってフォローアップをしていただきたい、このように思います。  そして、いよいよ身障者雇用促進法が定着をしてきておる中におきまして、どうしてもまだ雇用率を達成しないといったような事業主につきましては、かなり企業の抵抗もあろうかと思いますけれども企業名の公表制度といったものも今後考えていくべき事態になったのではないか、このように思いますが、いかがでございますか。
  89. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 現在、具体的に企業に対しまして身障者雇用促進を指導していきます手順といたしまして、まず雇用率の低い企業に対しまして、雇入れ計画作成命令というものを出すわけでございます。そうしまして、雇入れ計画というものが出てまいりまして、それが計画どおりなかなか進まない、あるいはまた計画実施、実現へ向けての努力余りされないというような企業につきましては、計画についての適正実施勧告というものをいたしておるわけでございます、しかし、そういう適正実施勧告というものを出しましても、企業としてなかなか誠実にその計画実現のために努力していただけないというようなところに対しましては、最後の伝家の宝刀であります企業名の公表措置というものをやりますよということで、いろいろ申し上げます中で、現状においては、次第にそういうところも、これはやはり何らかの取り組みをせにゃならぬなというようなことで、取り組みを開始していただいておるところもあるわけでございます。そういう意味で、そういう努力を重ねても、どうしてもまじめに雇用促進に取り組んでいただけないということになりますれば、私どももこの公表措置というものを最後には使っていかなければならぬ、こういう腹を固めておるわけでございます。  ただ、この公表制度というものが、実は公表すればいいというものではなくて、やはり雇用促進のためにやるわけてございますので、いたずらに公表して逆に企業がやる気を失ってしまう、言うならば居直ってしまうというような形があっては雇用促進の面でプラスになるわけではございませんので、そういう面は十分慎重な使い方というものが必要であろうという、その辺はその制度の趣旨というものを十分踏まえた上での公表措置の活用を考えていくということで対応をしていきたいと考えておるところでございます。
  90. 塩田晋

    ○塩田委員 伝家の宝刀と言われました公表制度につきましては、いろいろな側面がございますので、よく御検討をされまして、いよいよ実施すべきものは勇気を持ってこれをひとつ活用していただきたいと思います。  次に、障害者福祉というものは、究極的には障害者の職業自立にあると考えられますが、そのためには職業リハビリテーション対策が必要であると思います。昨年、ILOで障害者の職業リハビリテーション及び雇用に関する条約と勧告が採択されておりますが、その背景と内容についてお伺いいたします。
  91. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 昨年の六月にILO総会で採択されました職業リハビリテーション及び雇用に関する条約及び勧告というものは、その背景といたしまして、一つには、昭和三十年の身体障害者の職業更生勧告というものが採択をされたわけでございますが、その採択以後、各国におけるリハビリテーションに関するいろいろな施策が著しく発展をしてきたという基本的な事情、それから二つ目には、昭和五十六年が「完全参加と平等」ということを目的とする国際障害者年であった、こういう二つのことなどを背景といたしまして、今後の職業リハビリテーション対策の推進に関する新しい国際基準として採択されたものでございまして、すべての種類障害者雇用機会及び待遇の均等を確保し、障害者の地域社会への参加を促進するということを目的とするものでございます。  この条約の主たる内容は、一つは、すべての種類障害者に対して職業リハビリテーションサービスを提供すること、それから第二に、一般の労働市場における障害者雇用機会を確保すること、それから第三に、職業指導、職業訓練、職業紹介、そういった障害者雇用促進するための措置を講ずること、この三つの点が主な内容になっておる、こういうものでございます。
  92. 塩田晋

    ○塩田委員 現在、医療から職業訓練・指導まで一貫した総合的なリハビリテーション施設が所沢につくられております。また福岡県にも飯塚にあるわけでございますが、今計画し、設置が進められておりますのは岡山県と聞いております。このそれぞれにつきまして、厚生行政と労働行政が協力してやっているところと、労働行政だけで一貫してやっているところとあるようですね。これはどういうふうに割り切ったらいいのですか。それぞれの施設についての性格、どうしてそうなったかということを御説明いただきたいと思います。
  93. 藤原正志

    ○藤原説明員 先生お話しがございましたとおり、岡山県につくります総合的なリハビリ施設は、労働省だけで設置をするということが予定をされているわけでございますけれども、ここでいわゆる対象といたします障害者は、主として労災患者を中心にリハビリ対策をやっていこう、そういう意味で病院も職業リハ部門も労働省で担当しよう、こういう趣旨でございます。
  94. 塩田晋

    ○塩田委員 所沢でできている分は厚生行政と労働行政と協力してやっていますね。その区切りは、機能回復というリハビリ部分は厚生行政だ、機能が回復した者について職業の適応とか訓練するのは労働行政だ、こういうふうに大体割り切ってきたと思うのですね。どうしてそういうふうに違った性格のところも扱われるのか、今後の方針はどういうふうに考えておられるわけですか。
  95. 藤原正志

    ○藤原説明員 ただいまも申し上げましたとおり、所沢の場合につきましては、総合的なリハビリ施設として東日本と申しますか、そういう位置づけがあるわけでございますけれども、岡山県に今度予定をしております総合リハビリ施設につきましては、ただいま申し上げましたとおり、一般の方も対象といたしますけれども、主として大部分の方は労災患者のリハビリを中心に予定をしているわけでございます。そこで、所沢とちょっと違いますのは、労災患者が中心ということで、医療部門を含めまして労働省が担当をする、こういうようなことにいたしたわけでございます。
  96. 塩田晋

    ○塩田委員 今後の方針としまして、こういった施設は全国三カ所では済まぬと思いますね。今後どんどんふやしていっていただかなければならないし、ふやしていかれると思うのですが、どういう方式で今後は増設をしていかれますか。
  97. 藤原正志

    ○藤原説明員 先ほど私、所沢は東日本的な意味合いがあると申し上げましたのですけれども、岡山県については西日本的な意味合いもあるわけでございますけれども、このリハビリ施設につきましては全体的にはブロック単位にある程度考えておりまして、例えば基準関係の労災の審議会におきましても、各ブロック単位にある程度こういうのを将来考えたらどうかというような審議会の御答申をいただいておるわけでございまして、現在のところブロック単位にこういう総合的なリハビリ施設が設置されてないのは、たしか中国地区とそれから東北、北海道地区ぐらいだろうと思います。したがって将来につきましては、まだ決定はいたしておりませんけれども、つくるとするとそんなようなことが検討されるんじゃなかろうかと思います。
  98. 塩田晋

    ○塩田委員 職業リハビリテーションは今後非常に重要なことになると思います。特にその運営に当たる実際の第一線で働かれる専門職員の養成ですね。これにつきまして、ひとつ十分に養成、研修体制を固めて進めていただきたいと思います。これにつきましては、時間の関係上要望いたしておきます。  職業リハビリテーションを通じた国際協力ですが、わが国の技術協力のもとにタイ国に労災リハビリテーションセンターの設立が進められておるようであります。私は、これは外国の例を見たのですが、例えばイタリアへ行きますとミラノ、トリノ、トリノあたりではヨーロッパ産業博の跡地に大きな施設を持っていますね。これは何の施設がなと思うくらい大きな施設で、リハビリなり労災の関係の大きな施設を持っています。産業都市にそういった施設を持っておりますが、これから国際協力、特に南北問題の解決の一環として我が国の果たすべき海外技術協力の面で、こういった職業リハビリテーションという分野がかなりあるんじゃないかと思いますが、これについて今後の方針はいかがでございますか。
  99. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 御指摘のように、職業リハビリテーションの問題は、特に開発途上国におきまして各国ともこれからの大きな問題になってきておるわけであります。そういう意味で、開発途上国におきましてはそういうリハビリのための施設がまだない、あるいはまたその専門家がいないというような問題に悩んでおるわけでございます。そういう意味で、今後こういう開発途上国に対する我が国のこういう面での国際協力というものが大変重要になってくるということで基本的には考えておるわけでございます。  その第一号といたしまして、現在タイ国との労災リハビリテーションセンター施設の設置計画を進めておる、こういうことであります。
  100. 塩田晋

    ○塩田委員 次に、大企業が、障害者を多数雇用する事業所を地方公共団体の協力を得て、第三セクターとして設立をして障害者雇用促進に大きな業績を上げておる向きがあるようでございますが、これにつきまして具体的な例、例えば兵庫県に播磨三洋というのができておりますが、この状況、そして国としてどういう具体的援助をしておられるか、このことをお聞きしたいのと、雇用率の算定ですね、これにどのような配慮を加えてあるか、この二点をお伺いいたします。
  101. 藤原正志

    ○藤原説明員 お尋ねの播磨三洋でございますけれども、親会社が名前のとおり三洋電機でございまして、国の援助の関係でございますけれども、施設設備に対しましては、新たな雇用が五人以上で、従来雇用しています障害者を含めてトータルで十人以上の企業が新増設等をする場合、施設設備に対して一億円、特例の場合は二億円が限度でございますけれども、そういうお金が納付金制度によって出ることになっております。また、障害者雇用します企業に対しましては、特定求職者雇用開発助成金というようなことで、いわゆる賃金助成に相当する助成等もあわせて行われることになっております。  それから、二点目の雇用率のカウントの関係でございますけれども、これはいろいろな要件がございまして、親会社と子会社の関係が、商法上例えば決算が連結決算をするといったような要件がございますけれども、そういうことで親会社、子会社がはっきりするような場合は親会社の雇用率に子会社の分をカウントする、こんなような扱いをすることになっております。
  102. 塩田晋

    ○塩田委員 第三セクター方式の特に重度障害者雇用企業、これを全国的に設立を進めていくという方針をお持ちかどうか、また持っておられるとすればどういう進捗状況にあるか、お伺いします。
  103. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 昨年度の予算で、初めて第三セクター方式によります重度障害者の多数雇用事業所の設置計画というものが認められまして、五十八年、五十九年、この二カ年でまず三カ所をやろう、こういうことで現在進めており、また五十九年度予算でさらに三カ所予算づけが行われまして進めようということでおるわけでございまして、これは私ども、いずれは全国各都道府県に最低一つはこういう重度障害者の第三セクター方式による重度障害者雇用モデル工場的なものを設置をしていきたい、こういう全体的な展望の中で進めておるということでございます。
  104. 塩田晋

    ○塩田委員 今現在行われておる第三セクターによるものは三カ所ですか、それを各都道府県に一カ所以上はつくるようにしたい、こういうことですね。しかし、今現にあるところも二カ所にし、三カ所にすることも積極的に応援されますか、条件が整えば。
  105. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 もちろん最低一県に一つはということで申し上げておるわけでございまして、そういう条件が整えばそういったものは多々ますます弁ずということで対応していきたいと思っております。
  106. 塩田晋

    ○塩田委員 わかりました。  次に、今回の身障者雇用促進法は行革の一環として進められるものだという御説明がございました。今回の法改正によりまして、行革という観点からどういう効果が出るものか、御説明いただきます。
  107. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 一つは、今まで雇用促進事業団がこの納付金関係業務をやっておったわけでございますが、実際には身体障害者雇用促進協会というものがそれをお手伝いするというような形でやっておったわけでございます。そういう意味では、いわば両方の協力関係の中でこの業務をやっておったということが、今度雇用促進事業団から全面的に身障協会に移管されるということで、事務の流れというものが一本化される、一元化されるという意味での事務の簡素化という面が一つ出てくるわけでございます。それに伴いまして、ある程度の組織なり人員というような面での簡素化というものも図り得るということが、一つ直接の問題としてあると思います。  それからもう一つ大事なことは、この納付金関係業務というものを、これはまさに事業主が身障者雇用促進というものについていわば連帯の思想で協同して当たっていこう、こういうものであるわけでございまして、そういう意味で事業主の団体が集まってこの協会というものをつくっておるわけでございます。そこがこの納付金関係業務について全面的にその責任を負うという形で、雇用促進についていわば協会を中心としてのモラルアップという面でもまた一つ大きな意味があるのではないか。  そういうような観点から、そういう行政面での簡素化、それからまた、団体のいわばモラルアップというような意味での効果というものは一つ期待できるのではないか、こう考えておるわけでございます。
  108. 塩田晋

    ○塩田委員 納付金の関係業務を協会に全面的に行わせるというのが大きな柱になっている今回の改正でございますが、それに伴いまして、労働大臣の監督権限を強化するとか等々のいろいろの規定がございます。もちろんこの協会自身も、そういう権限を法律によって与えられるということで、それは通常の権限の与え方だと思うのですけれども、これは税制、財政の調達方法として、フランスあたりではかって、フランス大革命の発端になったと言われるいわゆるフィナンシエールという、納税徴収代理官というか、なかなか税金が役所で取れない、税務署なり税務官が取れないというので、そういう取ってくれる人を頼んでそして代行させるといったことがはやって、これがまた非常に恨みを買ったという面もありますね。そういうことにならないようには気をつけていただけると思うのですけれども、そういう権限を与えられてお金を徴収していくようなことを余り広げない方がいいと思うのです。その辺は十分に注意をしてこの業務に当たっていただきたい、管理監督に十分注意して当たっていただきたい、このことを要望するわけです。  これに関連しまして、私はなぜこういうことを申し上げるかといいますと、大臣、実は私の同僚の代議士から呼ばれまして、塩田君、こんな郵便物が届いたと、どさっとこれぐらい分厚い書類を示されたのです。それは二冊ありまして、片や雇用促進事業団あて、片や雇用促進協会あてで、そして雇用している各人の名前を書き、そこに何月何日就業したかと働いた日を書き、賃金は幾らかまで書いてある。これをどさっと、何十枚もとじたそういう書類を突然送られた。その事業所からの苦情、陳情なんですね。こんなことです。雇用促進協会と書いてあるがこれは一体何ですかと、びっくりしていろいろ聞いてみたら、何か法律があって納付金を納めなければいかぬ、それをこういうふうに書いて納めなければ大変なことになる、罰則まで受けるんだといってびっくりして駆け込んできたということのようで、以前に説明があったかなかったかなど聞きましたら、その事業主は、規模が三百人になりましたので突然その文書が送られてきた、そしてそれを書き込んですぐ納めなさい、こういうことを突然言われて面食らってしまったというのですね。  こういう事態が行われておることは、実は私自身も知らなかったのです。しかし、身障者雇用促進法があって、雇用率を達成しないところは納付金を納めなければいかぬ、これこれの計算をしてお金を納めなければいかぬということは説明をしたのですけれども、それならそれで説明をあらかじめしてもらえばよかったのだ、突如こういうものを送ってきて、さあ書いてこいというけれども、この書くのについても、一人一人賃金から就労した日からを書くということは大変なことだと、本当にびっくり仰天して駆け込んでこられたのですね。説明はしましたけれども、しかし納得できませんね、こういうやり方は。こう言われたのですが、こういうことが行われているわけですね。これに関連して私は申し上げたいわけですが、これについて、今後ともこういうことは続くのかどうか、やり方は改善されるのかどうか、お伺いいたします。
  109. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この納付金につきましては、今まですべて申告納付ということで実際にはやっておりまして、強制徴収というようなことをしたケースは一件もございません。そういう意味では、非常にこの納付金制度については一般的には御理解をいただきながら自主的な申告納付をしていただいている、こういう全体の流れの中で業務をやってきておるというのが今までの経緯でございます。  しかし、今先生が御指摘のケース、実は伺いまして私どもも大変驚いておるのですが、実際にこういう納付金を納めていただくような段階になりました場合には、これを説明に伺いましたり、あるいはまた来ていただきまして、今度納付金を納めていただくことになりましたというような形での説明をいたしましてやっておる。ただ手紙をぽんと送りつけて、はい、払ってくださいというようなことは業務の流れとしては全く考えていないものでございます。そういう意味で、今御指摘のそういうケースは、なぜそんなような形になったのか私どもも実はちょっと解しかねるのでございますが、一応また実情も調べさせていただきますが、少なくとも、今後のこの納付金業務の進め方といたしましては、十分納得していただけるような説明をしながらそういう納付をしていただく、こういうことでいきたい。今お示しのようなケースが常態として行われるような形には決してならないように、雇用促進事業団あるいはまた身障協会にもその趣旨をよく伝え指導をいたしたい、こう思うわけでございます。
  110. 塩田晋

    ○塩田委員 了解いたしました。ぜひともそのように取り計らっていただきたいと思います。また、先ほど言いましたように大部の資料、今までそうだったからだと思うのですが、同じようなものを二部つくって膨大な資料を出すというようなこと、これも必要だからそうされるのかわかりませんけれども、できるだけひとつ行革の線に沿って、一般民間の方々は本当に大変御苦労されておりますので、そう過重な業務がかからないように、申告文書はできるだけひとつ簡素化するようにお願いをいたします。  それから、最後に一点お伺いいたします。  今、御承知のとおり関西ではグリコ事件というのが大変な社会問題になっております。これにつきまして、もちろん身障者雇用促進法によって心身障害者が雇われているものと思います。こういう会社ですから恐らく雇用率は達成されているものと私は思っております。そのように聞いておりますけれども、関連の会社も百社ほどあるわけですね。それぞれ百人なり何十名の方が雇われておる。そして、地域も大阪を中心にして兵庫県はもとより、兵庫県では私の方にも八千代町というところにグリコの工場があるのです。滋賀県にもあるいは三重県にもあるいは福井県にも、各県に散らばっております。御承知のとおりああいう事件が起こりましてから、生産、販売がほとんどストップしているという状況で非常な雇用不安が起こっております。もちろん身障者方々もこれは解雇されるような状況の不安が起こっているわけですね。これについてどのように対処をしようとしておられるか。これはいわゆる不況業種ではないわけですね。また不況地域として特定されるようなところでもない。しかし、社会的なこういう事件から問題が起こって雇用の不安が起こっている。それが非常に全般的に広がっている。グリコ本社工場のみならず関連下請工場がありますから、非常に影響が大きいわけですね。これについては早急に対策を打っていただきたい。特に雇用調整助成金の適用につきまして、法令等の関係でいろいろ難しい面があると思うのですが、そこはひとつ工夫をしていただきまして早急に手を打っていただきたい。身障者を含めまして一般的な雇用不安が起こっておりますので、この点ひとつ大臣、ぜひとも早急に手を打っていただきたいと思いますが、いかがでございますか。     〔委員長退席、稲垣委員長代理着席〕
  111. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 私どもも、本社それから下請企業で休業に近い状態、非常に大幅な操業短縮というような事態が起きておる状況を聞いておりまして、これに対する対策という面でいろいろ検討しておるところでございます。  御指摘のように、グリコ本社も身障者は、これは最近の状況では雇用率一・五%を達成しておるわけで、三十六名の身障者がおられます。それからまた、下請企業におきましても身障者雇用しておられるところがいろいろございます。そういった方々を含めまして、下請関係が休業等に追い込まれるという中で何とか雇用というものを維持していかなければならぬ。そのために、私どもとしては雇用調整給付金制度というものを発動できないか。現在親会社的なものが大型倒産をいたしました場合には関連下請会社が雇用調整給付金の対象になる制度はございますが、ずばりこれを適用できる状況に今ございませんが、こういう事態に対して、何とかできるだけ早い機会に雇用調整給付金等の対象にしたいという方向で、今鋭意関係省庁とも詰めをいたしておるところでございます。
  112. 塩田晋

    ○塩田委員 先ほどの情報では、既にグリコ事件絡みで大阪市に本社がある大信工業というところが倒産したわけですね。こういった状況は各地に波及し始めておりまして、関係方面との折衝を早く詰めていただいてぜひとも雇用調整給付金の適用を早めていただきたい、このことを大臣、ひとつ特にこの席で御要請いたしますので、よろしくお願いいたします。
  113. 坂本三十次

    坂本国務大臣 まことに残念な事件で、大変な雇用不安が起こっておるということでございまして、労働省といたしましても、雇用不安の除去あるいはこれが対策につきましては、ただいまおっしゃったようなことも含めて早急に検討を進めてまいります。
  114. 塩田晋

    ○塩田委員 よろしくお願いします。  ありがとうございました。     〔稲垣委員長代理退席、愛知委員長代理     着席〕
  115. 愛知和男

    ○愛知委員長代理 田中美智子君。
  116. 田中美智子

    ○田中(美)委員 身体障害者雇用促進法の改正の中身ですけれども労働省が事業主の団体である身障者雇用促進協会に納付金の関係を行わせるという点で、この納付金が正しく使われるように、疑いを持たれたり何か不正が起きたりということをしないように、行政監察がきちっとなされる保証というのがあるのでしょうか。
  117. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 今度の改正法によりまして、身障協会に対します労働省の監督権限あるいはまたいろいろな計画についての認可というような点等もいろいろ入ってきておりまして、そういう意味で、私どもも、今先生御指摘のような点にいささかの危惧も抱かれることのないように、しっかりこういう制度によりまして監査はしていきたい、こう思っております。
  118. 田中美智子

    ○田中(美)委員 きちっと行政監察をしていただきたいと思います。これは障害者が雇われないという悲劇の中で生まれたまさに涙の結晶の金という感じがいたしますので、これが本当に障害者のために使われるように間違いない行政監察をしていただきたい、これをお約束していただきたいと思います。
  119. 長野文昭

    長野説明員 今御審議中の身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案によりますと、労働大臣は、身体障害者雇用促進協会に対しまして、身体障害者雇用調整金の支給等の納付金関係業務を行わせるということにしております。これは労働省が協会に対しまして、これら業務を国にかわって行わせるというふうな性格のものでございまして、国の事務を協会に委任することを意味しております。  ところが、私どもの方の行政管理庁の設置法の第二条第十二号によりますと、十一号が国の行政機関の業務の実施状況についての監察規定でございますけれども、これに関連いたしまして国の委任に係る業務も監察できるというようなことになっておりまして、このたび身体障害者雇用促進協会が行うこととなります納付金関係業務につきましては、国の委任に係る業務といたしまして当庁の行政管理庁の調査権限が及ぶというふうに解しておりますので、今後とも監察対象として見守ってまいりたいというふうに考えております。
  120. 田中美智子

    ○田中(美)委員 わかりました。  それでは、次に緊急の問題がありますので、ちょっと質問させていただきます。  最近、共産党の機関紙赤旗や、また一般新聞で大きく報道されておりますベリリウム汚染の調査結果が隠されていたという問題です。これは環境庁と愛知県、環境庁の依頼で愛知県が八〇年から八一年に調査をした、その調査結果が大変悪い調査が出ているにもかかわらず、これが隠されていたという問題が今明るみになっています。これによりますと、アメリカの基準の十五倍または二十四倍というふうな驚異的な危険な数字が出ているにもかかわらず、それから四年、五年もたっていながらやっと今になってこれがわかったということは大変な問題だ、一体管理はどのようにやられていたのか、非常にずさんではないかというふうに思います。それで労働省としては、これに対して必要な資料の収集とか調査とか、こういうことの手を至急に打っていただきたいと思いますが、今どのような対策をとっているか簡単にお答え願いたい。
  121. 望月三郎

    ○望月(三)政府委員 先生今御指摘の日本碍子の知多工場においてそういう報道がされたわけでございますが、私どもはそれを、その直後に、現地の局署におきまして直ちに実情を調査したわけでございます。現在までのところ、労働者の健康に影響を与えるような重大な問題は労働者にとってはなかったというように聞いておる次第でございます。
  122. 田中美智子

    ○田中(美)委員 なかったということは、それはあなた、はっきり言えないんじゃないですか。この隠していた調査によれば、十五倍、二十四倍というのが出ているわけですから、この病気はちょうど肺結核のような状態で出てくる、それも二十年も潜伏期間があるというのですから、そんなに簡単に影響がなかったなどということを政府として言うということは、非常に軽率ではないかと思うのです。これは非常に猛毒なわけですし、なかなか目に見えるものではありませんので、きちっとした基準をつくって、きちっとした管理をしてもらわなければ大変ではないかと思うのですね。それで、早急に環境基準をつくるということをやっていただきたい。今までのことを私は責めているわけではありませんけれども、一日も早く手を打っていただきたい。こういう調査結果が出ていながら、健康に関係ありませんなどということでは、これは許せないと思うのですね。環境基準を至急につくっていただきたいと思いますが、その手始めとしてまずそれに取りかかっていただくということをお約束していただきたいと思います。大臣、どうでしょうか。
  123. 小田切博文

    ○小田切説明員 ただいま御質問のベリリウムの問題でございますが、先生御指摘のようにベリリウムは有害性がございまして、私どもの方の労働安全衛生法の規定の上では、昭和五十二年から、製造に当たりましては労働大臣の許可を必要とするというような許可物質というようなことにいたしてございます。問題になっております日本碍子の知多工場につきましても、五十二年の四月に許可申請の手続をとりまして、私ども労働大臣の製造許可をとっております。  私ども、製造許可を与える際には許可基準がございまして、労働者にとって被曝のおそれのないような密閉装置で製造されるようになっているかとか、有害な粉じん等が出ます場合には局所排気装置が設けられていなければならないとか、そういう許可基準が設けてございまして、そういう許可基準に照らしてみまして充足しているということで、この点については許可したわけでございます。  そういう有害な物質でございますから、製造に当たっては許可が必要であるわけでございますが、許可が得られました後につきましても、有害な物質であるということにかんがみまして、従業員につきましては年二回特殊な健康診断を受けなければいけないとか、また年二回定期的に作業環境の測定をしなければいけないとか、そういうようなことを義務づけておるわけでございまして、私ども許可の際に厳重な審査をいたしまして、許可基準を充足しているということで許可したわけでございますし、その後の作業環境測定結果を見ましても、作業場内の従業員労働者に健康障害を及ぼすような状態にはなかったというふうに承知しているわけでございます。
  124. 田中美智子

    ○田中(美)委員 なかったということをあなた方は盛んに言われますけれども、これは二十年も潜伏するというふうに言われていますし、現に労災で八人ほどの患者さんも出ているわけですし、また疑わしい人たちも出ているわけです。ですから一人、二人、十人というのだったらどうでもいいということではないでしょう。一人の人間でもそういうことになっては大変なことですし、また今後、二十年潜伏期があればこれから出てくるかわからないじゃないですか。今おっしゃったように、確かに許可を出しているといったって七年前でしょう。それっきり何もしていないじゃないですか。それ以後工場を拡張したり、生産量がふえているのか、どのように生産過程が変わってきているのか、こういうふうなことというのは全く見ていないわけじゃないですか。一度検査すればそれっきりということがありますか。  大臣、ちゃんと聞いていてください。こんな猛毒のものを一度検査しただけで、その後生産量がふえていればどうなっているかというようなことは、そのたびに検査をし直すというわけでなくても、きちっともう一度見直していくという必要があるのじゃないですか。今まで何もやっていないということですよ。  ですから、今言われましたように、この愛知県が調査したものでは百五十三グラムとか二百四十五グラムというような調査が出ているのですね。これを隠すということ自体、これは大変なことだから隠していたわけでしょう。たまたま今になってこれが出ている。許可を出してから七年もたっているのですよ。その間に工場が移転したり、いろいろ設備をかえたり、それから生産過程というものも変わってきているじゃありませんか。そのたびにゃはりもう一度許可基準に合っているかということを見直す必要があるのじゃないかと思うのです。ですから、私は過去のことを今とやかく言いません。大至急これを見直すということをやってほしいと言っているのです。わかりますか、大臣。こんな危険なことを放置しておくということはとんでもないことだと思います、どうですか。すぐに基準を見直していただきたいと思います。
  125. 望月三郎

    ○望月(三)政府委員 何か許可しっ放しで後は何もやっていないというおしかりのようでございますが、私どもは五十二年の四月に製造許可をいたしまして、要件に合致しているということでこれを製造許可したわけでございますが、その年の五月、一カ月後に定期監督を実施しておりますし、その後半年ごとに定期監督を実施してその状況をずっとフォローしているわけでございまして、その監督に当たっては、もちろん環境の濃度の問題だとかあるいは基準どおりの設備で行われているかというのをフォローしてきておるわけでございます。したがいまして、そういう経緯に基づいて私どもは今のところは問題はなさそうだと申し上げているわけでございまして、報道された時点で改めて局署でまた調査をさせまして、今のところは問題はないというように判断をしているということでございます。
  126. 田中美智子

    ○田中(美)委員 それでは、環境基準はつくらなくてもいいということですか。つくらないということですか。
  127. 福渡靖

    ○福渡説明員 お答えをいたします。  労働安全衛生法で有害物を取り扱う場合の規制といいますのは、事業所の中で労働者がその有害物に暴露をしたときに影響が出てくるというものに対する規制を行うということにしております。ベリリウムにつきましてもそういう観点に立ちまして、先ほど部長が答弁をいたしましたように、許可物質として製造する場合には許可基準に合ったものということで規制をしておりますし、またベリリウムを含むその化合物を取り扱う事業所では、管理物質として局所排気装置の設置、そのようなものを義務づけております。したがいまして、局所排気装置の性能を担保するという意味で自主検査を義務づけておりますし、また、その結果がどのようになっているのかという作業環境中のベリリウム濃度の測定も義務づけておりまして、それに基づいて作業環境管理を適切に行うようにしているところでございまして、全く基準がないわけではございません。  労働安全衛生法に言う基準というのはございまして、労働安全衛生法の中では一般の事業所外の生活環境についての規制というものはできない仕組みになっておりますので、今お尋ねの点はむしろ事業所外の環境における問題ということであろうかと思います。そういう点で、私どもの方ではそういう基準は作成もいたしませんし、また取り組むような仕組みにはなっていないということでございます。
  128. 田中美智子

    ○田中(美)委員 環境庁と協力して、そういう基準をせめてアメリカ並みにつくっていくという努力をぜひしていただきたいと思うのです。こういう問題が明るみに出て、ベリリウムを使っているところが一体どれぐらいあるか、一体日本国じゅうにどれだけの社、どれだけの工場があるかということはわかっておりますでしょうか。
  129. 小田切博文

    ○小田切説明員 ベリリウムに関しましては、先ほども御説明しましたように、ベリリウムそのものを製造する、あるいはその化合物を製造する、あるいはベリリウムを一定パーセント以上含みます合金をつくるというような製造のプロセスにつきましては、労働安全衛生法上の許可にかかわらしめておりまして、それにつきましては許可申請が出てまいりますから私どもの方で把握しておりますが、一般の製造許可を今与えておりますのは全国で三カ所でございますが、それ以外にベリリウムあるいはベリリウム化合物等を取り扱います事業所は全国で現在四十ございます。
  130. 田中美智子

    ○田中(美)委員 では、この三カ所と四十カ所ですね。これももう一度許可基準に合っているかどうかということを早急に見ていただきたいというふうに思います。よろしいですか。
  131. 小田切博文

    ○小田切説明員 私ども全国の監督署に監督官等がいるわけでございますが、いろいろな制約条件がございまして、多方面にわたる監督指導活動をしなければならないわけでございますが、できるだけ早い機会、あるいは許可あるいは何らかの手続がとられた後、適当なタイミングを置いてそういう実情を調査するというような努力はしてまいりたいというふうに考えます。
  132. 田中美智子

    ○田中(美)委員 一九七九年に、共産党の前衆議院議員の安藤巖さんが、この問題を国会で初めて取り上げたことがあります。そのときに健康管理手帳を交付すべきだというのに対して前向きに検討するというふうなお答えがあったのですけれども、これがこのままになっていますけれども、これはどうするおつもりなんでしょうか。今労働者が非常に心配しておりますので、そういう職場にある年数働いていた人たちに対しては一日も早く健康管理手帳を交付すべきではないか。それからまた、退職した人たちにも健康手帳を渡して定期的に健康診断をするということが必要ではないかと思うのですけれども、この点はどうなっているのでしょうか。
  133. 福渡靖

    ○福渡説明員 前回の委員会でも御答弁を申し上げましたけれども、この健康管理手帳につきましては、ベリリウム取扱作業を離れてから後の健康管理をどのように進めればいいかというような趣旨で設けられておるわけでございます。この健康管理手帳の制度がベリリウムについてできたときには、その時点での医学的な知見に基づきまして交付要件を定めておるわけでございますが、それが現在の交付要件となっておるわけでございます。それで、その後も新しい知見に基づきまして検討を引き続き行うという考え方で対応しておりますが、現時点ではまだこの交付要件を変える必要のあるような知見が得られておりません。  そういうようなことで、今後も引き続きまして知見の収集に努めて、この交付要件を変更するような事態が出てくるようでございましたら、それはできるだけ積極的に検討してまいりたい、このように考えております。
  134. 田中美智子

    ○田中(美)委員 出てきたらと言ったって、こういう状態が出てきているのに、それにもう四年も五年も前に健康手帳の問題を前向きに検討すると言いながら、ほうりっ放しにしておくということはどういうことですか。国会軽視じゃないですか。これは大至急やるべきじゃないですか。その時期が来たらやるんだと言いますが、一体いつになったら時期が来るんだ。ずっと長い間潜伏している病気ですから非常に恐ろしい病気ですし、今労働者の中では大変に大きな心配が出ていますし、また周辺の住民の中からも大きな不安が出ているわけですから、早急に健康手帳を渡す準備をしていくということ、今すぐ渡せと言ってもそれはできないでしょうけれども、その準備をするということを私は今要求しているのです。それぐらいのことはできないことはないじゃないですか。
  135. 小田切博文

    ○小田切説明員 ベリリウムを製造するような事業所、あるいはベリリウムあるいはその化合物を取り扱う事業所につきましては特別な規制がございます。一つは、一年に二回特別な健康診断をするということになっているわけでございますが、この健康診断はベリリウムを扱うような作業に従事している間は当然でございますが、そういうような作業を配転等で離れましても、引き続き同一企業に雇われている限り、事業主には一年に二回特殊健診をするというような義務は課されておるわけでございまして、それの遵守は私ども監督機関を通じて見守っておるところでございます。  ただ、会社を退職しました労働者につきましては、先ほど労働衛生課長がお答えいたしましたように、これまでの医学的な知見に基づきまして一定の要件を定めまして、要件を満たした者に健康管理手帳を交付するということをやっておるわけでございますが、これも、ただいまお答えいたしましたように、新たな医学的知見によりまして要件を改める必要があるというような事態になりますれば、前向きに対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  136. 田中美智子

    ○田中(美)委員 何はともあれ、体に異常を感じたりという人たちが非常に多くなっておりますので、周辺の住民に対しても健診をするとか、特に退職者に対しての健診をぜひしていただきたいということを強く要求したいと思います。  もう一つ、先ほど三カ所、四十カ所ということを言われましたけれども、この名前を今でなくて結構ですから、後ほどどこであるかということを私のところに届けていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
  137. 小田切博文

    ○小田切説明員 後刻調べまして御説明に上がりたいと思います。
  138. 田中美智子

    ○田中(美)委員 もう一つ、最近愛知県が、五月十七日と十八日にこういうことになったのでもう一度検査をした。ところが非常に少なかったということですけれども、これは新聞報道などによりますと、それは雨の日であったということと、果たして工場が操業していたのかどうかということが非常に疑問だという疑いも出ているのですけれども、一体この調査をしたときに工場は操業をしていたのでしょうか。わざと操業をとめてやったのではないか、こういうふうな疑いさえも出ている。ということは、五十七年の調査のときには二百四十五グラムもあったものが五十九年には〇・四七になっている。これはよくなっていることですから、これが本当ならば大変いいことだと思います。ですけれども、これに対して県においては、一体その日はなぜ雨の日を選んだのか、その工場は操業していたのかということに対しては一切返答をしない、返答しないから大変疑問が出ているわけですね。悪い調査が出れば隠す、いい調査が出ればすぐに出すということでは、やはり疑いが出てくるわけです。操業をしていたのでしょうか。
  139. 望月三郎

    ○望月(三)政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、公害の問題でございますので、これは環境庁所管でございまして、環境庁と県でやっておることでございます。私どもは工場の中の労働者の問題を扱っているということでございまして、その調査した日が操業していたかどうかというのはちょっとつかんでおりません。
  140. 田中美智子

    ○田中(美)委員 それは労働省、環境庁と密接につながっているわけですから、一つの政府ですから、こういう疑問が出ているときには、労働省としては、環境庁に対して、一体そのときは操業していたのかどうかということを聞いてほしいと思うのですね。早速聞いてお返事をいただきたいと思います。——同じ政府じゃないですか。
  141. 望月三郎

    ○望月(三)政府委員 先生、直接環境庁へお尋ねになればすぐわかることでございますが、社労で御質問になられたわけですので、環境庁に聞いて御連絡をさせていただきたいと思っております。
  142. 田中美智子

    ○田中(美)委員 だけれども、あなたたちの方の基準が、きちんと調べてもいない、調査もきちんとしていない、ずさんなことをしていて、そしてこんな結果が出て、その結果によって、あなたたちは今のところ大丈夫でしょうと言っているが、大丈夫でしょうというのは環境庁の報告を聞いて言っているのでしょう。そんなことでは困ると思いますよ。
  143. 小田切博文

    ○小田切説明員 先ほどからいろいろ御説明しておりますように、私どもは事業場の内部におきます従業員、労働者の作業環境という点についていろいろな規制等を加えているわけでございますが、少なくともベリリウム合金を製造する事業場である、工場であるというようなことで許可の手続をとらせて許可をしたわけでございます。それで、許可を得ましても、先ほど御説明しましたように、作業環境測定というようなことで、労働者が働きます環境中の空気中にどの程度有害物質が含まれているかということを年二回測定することを義務づけているわけでございます。この測定は、当然のことでございますが操業中に、しかも理論的な観点から、一つの場所の中についても何点がで濃度を測定するというようなことをやらせているわけでございます。
  144. 田中美智子

    ○田中(美)委員 大臣、何もやらないような状態ですけれども、一言お答えいただきたいと思います。
  145. 坂本三十次

    坂本国務大臣 いや、今政府委員から専門的にお答えがありましたように、労働省とすれば、できるだけ忠実に基準を守って、そういう健康に影響の及ばないように、労働省は当然の所管ながら工場の中の労働者ですね、外の一般大衆は環境庁だという話がありましたけれども、私ども労働省の所管に関する限りは、それは忠実に基準を守らせるように監督指導しておる、私はそう思っております。
  146. 田中美智子

    ○田中(美)委員 質問を終わります。
  147. 愛知和男

    ○愛知委員長代理 菅直人君。
  148. 菅直人

    ○菅委員 身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案についての審議になるわけですけれども、今回のこの法案の中身を見ておりますと、これまでいわゆる事業団でやっていたこの納付金関係業務を身体障害者雇用促進協会へ移管をするということが大きな柱になっているわけです。そうしますと、身体障害者雇用促進協会というものがこれまで事業主を中心として運営されていたわけですけれども、その中に評議員会というのを設けて、学識経験者等も入れて、これからの運営についてのいろいろな意見を聞きたいというふうに。明を受けているわけですが、この評議員会の性格、この雇用促進協会にとっての性格というものはどういう性格になるのか、まずお尋ねをしたいと思います。
  149. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 この納付金関係の業務につきましては、これは雇用率未達成の事業主から納付金を徴収いたしまして、そうしてこれを調整金あるいは報奨金ということで、雇用率を達成しておる事業主あるいはまた多数の身障者雇用しておられるところに対して支給したり助成をしたり、こういうような業務になるわけでございます。非常に公共性の高い業務ということでございまして、これについては、事業主を初め広く国民の信頼を得て、公正かつ中立的に運営されることが必要不可欠でございます。そういう意味におきまして、今回の改正においては、この協会の予算あるいは事業計画等について、公正かつ中立的立場で審議をいただくための組織として、評議員会というものを新たに設けることにしたわけでございます。  この評議員会の構成員につきましては、第三者的な立場にあり、かつ、こういう協会の業務の適正な運営に必要な学識経験を有する方ということにいたしておるわけでございまして、具体的にはいわゆる学識経験者という方だけではなくて、障害者雇用問題に造詣の深い事業主、あるいは障害者、あるいは労働者の代表の方々の参加をいただくことを予定しているものでございます。
  150. 菅直人

    ○菅委員 今構成メンバーについても答弁をいただいたわけですが、障害者の代表も入れるという御答弁だったのでこれはぜひ実現をしていただきたいと思いますし、同時にこの評議員会が何といいましょうか、単なる御意見を聴取するというだけではなくて、そういった意見を生かした協会運営になるような重要な役目を担うような、そういうことが可能なメンバーをぜひ選んでいただきたいということを重ねて要望しておきたいと思います。  短い時間ですので次の問題に1移りますけれども、ここに昭和五十六年の十月ですかに出された「障害者雇用のアドバイス」という本があります。これは労働省の職業安定局と今回この法案の中心になっている身体障害者雇用促進協会が編集と発行を分担をして出されているわけですけれども、私も以前の数年前の審議で障害者の皆さんにもっと新しい職種開発というものができないか、あるいはそういうことについてのマニュアルを整備したらどうかということを申し上げたことがあるわけですが、ちょうどそのころにこれが準備されていて、その後これもいただいて読ましていただいております。  この本自体、かなりいろいろな参考になることが書いてあるわけですが、それからまだ二、三年しかたってはいませんけれども、最近大変にいわゆるOA化、オフィスオートメーションですとか、ファクトリーオートメーションですとか、私なんかの事務所にもワープロとかファクシミリとかいうものが入ったりして、こういったOA化の進展というのは大変に急激なものがあるように思うわけです。そういう点で、私も地元のこういう障害者の皆さんが働いておられるところに行きますと、かなりそういうものをうまく活用すれば肢体不自由な皆さんも新しい職種につける、あるいは視覚障害の皆さんもかなりこれまで可能でなかった仕事につけるというようなことがあるわけですが、これからそういうOA化といいましょうか、そういうことに伴っての新しい職種開発を積極的に進めていく必要があると思うわけですけれども、この点についてどのような努力を今後なさるつもりか御意見を伺いたいと思います。
  151. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 御指摘のように、最近におけるこういうME化あるいはOA化がいろいろ進んでいろいろなことができるようになった、そういうようなものをフルに活用いたしまして、ぜひこれを身障者の職域の拡大という面で役立てていくということは、私どもも極めて重要なことであると考えておるわけでございます。  そういう意味におきまして、労働省といたしましても、雇用職業総合研究所あるいは身体障害者雇用促進協会あるいは国立職業リハビリテーションセンターの研究部、こういったようなものと密接に連携をしながら、OA化あるいはME化を活用しての職域開発の研究というものを現在進めておるわけでございまして、最近におきましては、この国立職業リハビリテーションセンターで視覚障害者のためのコンピューター用の点字プリンターというようなもの、あるいはコンピューター用の点字ディスプレイというようなものの新しい開発も成功したところでございます。こういった研究をさらに進めまして、これの職域拡大に、何とか私どもも、研究関係の結集を図って職域開発のためにME化、OA化というものの導入を進めていきたい、こんなふうに考えているところでございます。     〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
  152. 菅直人

    ○菅委員 これは大臣にもぜひお聞きいただきたいのですが、私の地元に三鷹市というところがありまして、いわゆる電電公社のINSの実験がこの秋から始まるわけです。これまでINSといいますと、何か企業が、ホームショッピングだとかホームバンキングだとか、そういうものに使えるんじゃないかという面ばかりが強調されておりますけれども、見方を変えると、いろいろな家庭といいましょうか、あるいはそういう障害者の皆さんが集まるような施設をつくれば、かなり遠くから、そういうオンラインといいますか、いわゆる通信回線を使って仕事を持ってこれるような仕事も十分開発可能ではないか。実際地元では、障害者の皆さんが、自分たちにとってのINSを考える金なんというものを小さなグループですけれどもつくられていて、勉強されているという例も地元で聞いております。労働省も、こういう高度情報化社会という問題とは職場という意味では関係がないところか大変関係が深いと思いますので、こういう面についてもぜひ積極的に目を向けていただきたいと思うわけですが、一言大臣、いかがでしょうか。
  153. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 今御指摘のそういう機器を使いますと、例えば通勤困難な重度障害者などでも、いわゆる在宅就業というような形での雇用というものもまた可能になってくるわけでございます。そういう意味で、特にそういう重度障害者などの雇用の場を拡大する上に大変重要な一つのファクターだというふうな意味で、私どもも、そういう在宅就業問題というような形でのこのINSの利用というような点に大変注目をいたしておるわけでございます。
  154. 菅直人

    ○菅委員 もう一つだけ、これは厚生省になるかもしれませんけれども、今回のこの法案の改正に関連をして、いわゆる身体障害者福祉法に基づく障害者の範囲の拡大を政令事項としてやろうということが出ておりますけれども、その中でオストメートの皆さんの認定というものが進められるというふうに言われているわけですが、この認定がいつごろまでに、どのような手続でもって、いわゆる何級というふうな言い方をされているようですが、どういう程度の基準で決められるのか、その進捗状況についてお伺いしたいと思います。
  155. 池堂政満

    池堂説明員 お答えいたします。  実は私ども身体障害者福祉法の改正につきましては、現在国会に御審議をお願いしているところでございます。したがいまして、今先生の御指摘のございましたいわゆるオストメートの方々の程度、等級のあり方、あるいは認定基準等につきましては、今国会におきまして御審議いただいております身体障害者福祉法の成立をまちまして実は具体的にその措置をしようということで今考えております。したがいまして、その手順といたしましては、目下、身体障害者福祉審議会におきまして専門家の意見を聞きながらその具体化方策について御検討いただいているという状況でございます。もちろん、これから先のいわゆる時期等につきましては、この身体障害者福祉法の成立の後におきまして私どもこの審議会の御意見をいただいてその具体化を図りたい、かように考えておるところでございます。
  156. 菅直人

    ○菅委員 このオストメートの皆さんについては、今各自治体にもいろいろな請願が出て各自治体が対応しておる面もあるわけですが、やはり全国的にこれの障害者の認定をされて、十分な保護といいましょうか、それをお願いしたいということを申し上げて、またこの法案もこの委員会に出てくると思いますので、その審議を通してもそういったことについてさらに重ねて申し上げたいと思っておりますけれども、その点を申し上げまして私の質問を終わりにさせていただきます。  どうもありがとうございました。(拍手)
  157. 有馬元治

    有馬委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  158. 有馬元治

    有馬委員長 これより討論に入るのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決いたします。  身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  159. 有馬元治

    有馬委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  160. 有馬元治

    有馬委員長 この際、愛知和男君外五名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合六派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。池端清一君。
  161. 池端清一

    ○池端委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たり、障害者雇用促進と安定を図るため、次の事項について、その実現に努力すべきである。  一 身体障害者雇用率達成指導の強化に努め、身体障害者雇用に消極的な企業については、企業名の公表制度の活用についても十分に検討すること。  二 公共職業安定所における職業紹介及び職業指導体制の充実強化に努めるとともに、障害種類、特性に応じたきめ細かな諸対策の推進に努めること。  三 障害者雇用の安定と維持を図るため、就職後の定着指導等のフォローアップに努めること。  四 マイクロ・エレクトロニクス等産業構造の変化に対応した障害者の職域開発の推進を図るとともに、障害者の実情に即応した職業訓練体制の充実に努めること。  五 精神薄弱者の雇用促進と安定を図るための条件整備対策充実強化に努めるとともに、雇用率の適用問題の検討を進めること。  六 納付金関係業務が的確に遂行されるよう身体障害者雇用促進協会を十分指導するとともに、助成金については、所期の目的が達せられるよう審査及びフォローアップ体制の充実を図ること。  七 総合的なリハビリテーション施設の設置に努めるとともに、職業リハビリテーションに従事する専門職員の養成、研修体制の充実強化に努めること。 以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  162. 有馬元治

    有馬委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  愛知和男君外五名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  163. 有馬元治

    有馬委員長 起立総員。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂本労働大臣
  164. 坂本三十次

    坂本国務大臣 ただいま決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいります。     —————————————
  165. 有馬元治

    有馬委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  166. 有馬元治

    有馬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  167. 有馬元治

    有馬委員長 この際、休憩いたします。     午後六時二十五分休憩      ————◇—————     午後七時七分開議
  168. 有馬元治

    有馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  公聴会開会承認要求の件についてお諮りいたします。  ただいま当委員会において審査中の内閣提出健康保険法等の一部を改正する法律案について公聴会を開きたいと存じます。  つきましては、公聴会開会について議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  169. 有馬元治

    有馬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、公聴会の開会日時、公述人の選定その他の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 有馬元治

    有馬委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、明後二十一日木曜日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後七時八分散会