○坂本国務大臣 ただいま議題となりました
身体障害者雇用促進法の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
身体障害者の
雇用対策につきましては、昭和五十一年に
身体障害者雇用促進法を全面的に
改正し、
身体障害者の
雇用率制度による事業主の
雇用義務を法的義務とするとともに、
身体障害者雇用納付金制度を創設し、これらの制度を中心に、その
雇用の促進と安定に努めているところであります。
この
身体障害者雇用納付金制度は、
身体障害者の
雇用率未達成の事業主から一定額の納付金を徴収し、これを
雇用率を達成している事業主に調整金として支給する等により、
身体障害者の
雇用に伴う事業主の経済的負担を調整するとともに、
身体障害者の
雇用を全体的に引き上げることを目的とするものであります。
現在、この納付金制度に係る業務につきましては、特殊法人である
雇用促進事業団が実施しており、その業務の一都は、認可法人である
身体障害者雇用促進協会に委託されておりますが、先般の臨時行政調査会の答申におきましては、
雇用促進事業団の業務の整理合理化という観点から、この納付金関係業務を
身体障害者雇用促進協会に全面的に移管すべきである旨の指摘がなされているところであります。政府といたしましては、この答申の趣旨に沿うとともに納付金関係業務の効率的な運営を確保すべく、この業務を
身体障害者雇用促進協会に全面的に行わせるために必要な
改正を行うこととしたものであります。
また、近年においては、障害の種類が多くなり、かつ、その内容が複雑になってきていることにかんがみ、
身体障害者雇用促進法の対象となる身体障害の範囲を拡大し、その
雇用対策を的確に推進することが必要となっております。
これらの観点から、政府といたしましては、この
法律案を作成し、
身体障害者雇用審議会にお諮りした上、ここに提出した次第であります。
次に、その内容の概要を御説明申し上げます。
第一は、現在、
雇用促進事業団が実施している納付金関係業務を
身体障害者雇用促進協会に行わせることとしたことであります。
これに関連して、
身体障害者雇用促進協会の組織及び体制についての整備を図ることといたしております。具体的には、納付金関係業務を
身体障害者雇用促進協会に全面的に行わせるに当たっては、本業務の有する高い公共性にかんがみ、納付金関係業務が適正に運営されるよう
身体障害者雇用促進協会について、新たに、学識経験者によって構成される評議員会の設置や予算、事業計画、業務方法書に対する労働大臣の認可等所要の措置を講ずることといたしております。
第二は、身体障害の範囲を拡大することであります。
身体障害の範囲について、従来法律で定めているもののほか、新たに政令で定めることができるようにし、政令においては、人工肛門、人工膀胱の造設者等の排せつ機能障害で日常生活が著しい制限を受けるものを定める予定にしております。
なお、この法律の施行は、納付金関係業務に係る部分については昭和六十年四月一日から、身体障害の範囲の
改正に係る部分については本年十月一日からといたしております。
以上、この
法律案の提案理由及びその内容の概要につきまして御説明申し上げました。
何とぞ御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)