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1984-04-05 第101回国会 衆議院 社会労働委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月五日(木曜日)     午前九時三十五分開議 出席委員  委員長 有馬 元治君   理事  愛知 和男君 理事 稲垣 実男君   理事  今井  勇君 理事 丹羽 雄哉君   理事  池端 清一君 理事 村山 富市君   理事 平石磨作太郎君 理事 塩出  晋君       伊吹 文明君    古賀  誠君       斉藤滋与史君    自見庄三郎君       谷垣 禎一君    友納 武人君       中野 四郎君    長野 祐也君       西山敬次郎君    野呂 昭彦君       浜田卓二郎君    箕輸  登君       森下 元晴君    網岡  雄君       河野  正君    多賀谷眞稔君       竹村 泰子君    永井 孝信君       森井 忠良君    大橋 敏雄君       沼川 洋一君    橋本 文彦君       森本 晃司君    神田  厚君       塚田 延充君    浦井  洋君       田中美智子君    菅  直人君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 渡部 恒三君  出席政府委員         厚生政務次官  湯川  宏君         厚生大臣官房長 幸田 正孝君         厚生大臣官房審         議官      古賀 章介君         厚生大臣官房審         議官      新田 進治君         厚生大臣官房会         計課長     黒木 武弘君         厚生省公衆衛生         局長      大池 眞澄君         厚生省環境衛生         局長      竹中 浩治君         厚生省医務局長 吉崎 正義君         厚生省薬務局長 正木  馨君         厚生省社会局長 持永 和見君         厚生省児童家庭         局長      吉原 健二君         厚生省保険局長 吉村  仁君         社会保険庁年金         保険部長    朝本 信明君  委員外出席者         議    員  森井 忠良君         議    員 平石磨作太郎君         議    員  塩田  晋君         議    員  浦井  洋君         議    員  菅  直人君         警察庁刑事局捜         査第一課長   三上 和幸君         大蔵省銀行局中         小金融課長   朝比奈秀夫君         文部省体育局学         校保健課長   青柳  徹君         厚生省環境衛生         局水道環境部長 山村 勝美君         農林水産省農蚕         園芸局植物防疫         課長      管原 敏夫君         特許庁総務部工         業所有権制度改         正審議室長   福田 泰三君         社会労働委員会         調査室長    石黒 善一君     ――――――――――――― 委員の異動 四月五日  辞任         補欠選任   小渕 正義君     神田  厚君 同日  辞任         補欠選任   神田  厚君     小渕 正義君     ――――――――――――― 四月五日  原子爆弾被爆者等援護法案森井忠良君外六名  提出衆法第一二号)同月四日  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願阿部昭吾紹介)(第二  〇八四号)  同(市川雄一紹介)(第二〇八五号)  同(江田五月紹介)(第二〇八六号)  同外一件(大橋敏雄紹介)(第二〇八七号)  同(貝沼次郎紹介)(第二〇八八号)  同外三件(佐藤誼紹介)(第二〇八九号)  同外一件(斎藤実紹介)(第二〇九〇号)  同(坂井弘一紹介)(第二〇九一号)  同(沢田広紹介)(第二〇九二号)  同(柴田弘紹介)(第二〇九三号)  同(多賀谷眞稔紹介)(第二〇九四号)  同(高沢寅男紹介)(第二〇九五号)  同(玉城栄一紹介)(第二〇九六号)  同(橋本文彦紹介)(第二〇九七号)  同外一件(林百郎君紹介)(第二〇九八号)  同(日笠勝之紹介)(第二〇九九号)  同(伏屋修治紹介)(第二一〇〇号)  同外一件(簑輪幸代紹介)(第二一〇一号)  同外一件(森本晃司紹介)(第二一〇二号)  同外十三件(薮仲義彦紹介)(第二一〇三号  )  同(横江金夫紹介)(第二一〇四号)  同外一件(渡辺三郎紹介)(第二一〇五号)  中途失聴者難聴者救済等に関する請願(簑  輪幸代紹介)(第二一〇六号)  医療年金改悪反対充実改善に関する請願  (多賀谷眞稔紹介)(第二一〇七号)  国民に対する医療改善に関する請願武田一夫  君紹介)(第二一〇八号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願(林  百郎君紹介)(第二一〇九号)  同外一件(松本善明紹介)(第二一一〇号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願(  沼川洋一紹介)(第二一一一号)  同(藤田高敏紹介)(第二一一二号)  食品添加物規制強化に関する請願森田景一  君紹介)(第二一一三号)  医療保険改悪反対等に関する請願松沢俊昭  君紹介)(第二一一四号)  医療保険制度改悪反対等に関する請願近江  巳記夫紹介)(第二一一五号)  同(新村勝雄紹介)(第二一一六号)  同(富塚三夫紹介)(第二一一七号)  同(東中光雄紹介)(第二一一八号)  同(元信堯君紹介)(第二一一九号)  同(矢追秀彦紹介)(第二一二〇号)  同(山口鶴男紹介)(第二一二一号)  児童扶養手当制度改悪反対に関する請願近江  巳記夫紹介)(第二一二二号)  同外一件(多賀谷眞稔紹介)(第二一二三号  )  パート労働法早期制定に関する請願木内良  明君紹介)(第二一二四号)  同(吉浦忠治紹介)(第二一二五号)  医療保険制度改善に関する請願岩垂寿喜男  君紹介)(第二一二六号)  同(上田卓三紹介)(第二一二七号)  同(新村勝雄紹介)(第二一二八号)  同(田中美智子紹介)(第二一二九号)  同外二件(多賀谷眞稔紹介)(第二一三〇号  )  同(高沢寅男紹介)(第二一三一号)  同(正森成二君紹介)(第二一三二号)  同(矢追秀彦紹介)(第二一三二号)  同(吉浦忠治紹介)(第二一三四号)  社会保障制度改悪反対に関する請願外一件  (大橋敏雄紹介)(第二一三五号)  同外一件(斎藤実紹介)(第二一三六号)  同外一件(西中清紹介)(第二一三七号)  同外一件(横手文雄紹介)(第二一三八号)  同(渡辺三郎紹介)(第二一三九号)  被保険者本人の十割給付引き下げ反対等に関す  る請願戸田菊雄紹介)(第二一四〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  健康保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出第二二号)  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律  の一円を改正する法律案内閣提出第三九号)  保健所法の一部を改正する法律案内閣提出第  四〇号)  原子爆弾被爆者等援護法案森井忠良君外六名  提出 衆法第一二号)  厚生関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 有馬元治

    有馬委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。網岡雄君。
  3. 網岡雄

    網岡委員 まず、最初お尋ねをいたしますが、昭和四十七年に衆議院委員会において、食品衛生に関する運用についての附帯決議がなされております。たしか十一項目にわたって決議をされていると思いますが、この附帯決議が一体今の厚生省食品添加物に関する行政運営上どういう位置づけがなされているか、その点についてまずお答えをいただきたいと思います。
  4. 竹中浩治

    竹中政府委員 昭和四十七年の附帯決議でございますが、食品添加物についてはその使用を極力制限する方向で措置することという附帯決議でございます。  私どもといたしましては、この附帯決議の線に沿いながら、一方でまた、御承知のような食生活多様化加工食品の普及あるいは食品流通国際化、その他食生活をめぐる環境の大きな変化がございますので、そういった変化とそして先ほどの附帯決議両方を踏まえながら、食品添加物行政を進めておるところでございます。
  5. 網岡雄

    網岡委員 一応その附帯決議というものを頭に入れながら厚生行政が進められている、こういうふうに踏まえて次の質問に移りたいと思います。  昭和五十八年四月十一日に「食品添加物指定における当面の対応について」、こういう当面対応策についての対策食品衛生調査会毒性添加物都会において確認をされておりますが、この内容は、この文書にもありますように、「政府国際社会の一員として内外差別規格基準国際化等観点から我が国が市場開放を推進することを内外に表明した。その政府決定においては、食品添加物についても、各国からの要望を聴取し、各国衛生当局十分協議を行いつつ新たな指定等につき措置するものとする。」、こういう内容が骨子になっていると思いますが、要するに、市場開放アメリカを初めとするヨーロッパなどの要請にこたえて、内外差別規格基準国際化を目指していくための対応としてこの方針案が出されたと聞いておりますが、そのように踏まえていていいものでしょうか。
  6. 竹中浩治

    竹中政府委員 今お読みになりましたとおり、食品添加物だけではございませんで、政府全体としてそういった規格基準国際化をやっていこう、こういうことでございます。  ただ、食品添加物は、御承知のように食品衛生上非常に重要な問題でございますので、各国要望は聴取はいたしますが、さらに各国衛生専門当局協議をした上で、必要なものについて措置をする。その場合の考え方がその下の一、二等に書かれておるわけでございます。
  7. 網岡雄

    網岡委員 ここに私、朝日新聞の昨年十二月十五日の朝刊に出ております、前食品課長をやっておみえになりました藤井さんの食品添加物規制緩和に関する論文が掲載されているものを今持っておりますが、これによりますと藤井さんは、「私が課長になった当時、国内メーカーからは食品添加物指定要請が六十件も山積みになっている。昭和四十七年の衆議院における国会附帯決議に縛られて手をこまねいていたんです。私が秋まで課長をやっていたのならこれは当然続いて認可をしていたものだが、」こういう内容の談話といいますか、規制緩和に関する論文の一文として書かれておるのでございます。そして、藤井さんの持論だと思うのでございますが、「私は一つ添加物を集中して食べるよりも、多くの種類分散して食べた方が安全」である。ナトリウム塩の問題を例にとりながら、グルタミン酸ナトリウムだけではなくてカルシウムもほかのものもどんどん指定をしていけば、結局一つのものが分散消化していく、こういう効果をするんだということで言われておるわけでございますが、私はこの藤井さんの論文というのは、前文に書かれている、六十件山積みになっていた、国会決議に縛られてそれが思うようにいかなかった、こういう内容の見出しから始まったこの論文というものは、極めて今日の厚生省の行っている食品添加物に対する行政に逆行するものであるし、非常に問題になる記述であるというふうに私は思うわけでございますが、この点について厚生省はどういうお考えになっているか。特にこの人が、食品課長として食品添加物拡大に主要な役割を果たしたという点で極めてこの論文は重要であると思いますが、この論文と今日の厚生省添加物行政との間にとういうかかわりを持っているか、お答えをいただきたいと思います。
  8. 竹中浩治

    竹中政府委員 前の藤井課長が実際に、朝日新聞に対しましてどう話をしたか正確にはつかんでおらないわけでございますが、国内メーカーからいろいろ指定してほしいという話があったことは事実のようでございます。あるいはまた、グルタミン酸ナトリウムお話しがございましたが、ナトリウム塩というのは御承知のように高血圧の原因になると言われておりますので、同じものでカルシウム塩カリウム塩があればその方がいいという学者の先生方も相当おられることは事実でございます。  いずれにいたしましても、私どもといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、食生活変化対応しつつ、もちろん国会附帯決議を尊重しその線に沿いつつ、両方踏まえて食品添加物行政を進めていくという考え方には何ら変わりはございません。
  9. 網岡雄

    網岡委員 十二月十五日のこの藤井さんの論文を拝見をいたしまして、特に私は指摘をしなければならぬと思いますのは、実は食品添加物を十一品目、十四品目拡大をされたあの八月における添加物指定決定をしていくために、従来、四十七年の国会附帯決議によって、添加物指定に当たっては慎重を期しなさい、こういう内容附帯決議の重みがかかっている、それを外すために、貿易摩擦解消のあれとして、しかもアメリカ、ECを中心とする我が日本に対する貿易自由化要請に絡んで、この例の食品添加物指定における当面の対応、こういう形でその外国要請にこたえるような食品添加物対応策考えたのだ、こういうにしきの御旗をかざして、結局のところ食品添加物拡大をするためのにしきの御旗、それを隠れみのに使ったのだ、こういう嫌いがあるということを感ぜざるを得ないわけでございます。  例えば十一品日の新たな食品添加物指定をなさいましたけれども、実際に使われておりますのは、十一品日のうちでアメリカ指定したものは七つ、そして日本業者指定に基づくものが四つです。それで、アメリカ政府から要請があって指定をした七つのうちの大部分は、食品添加物使用状況を見ますとほとんど使用されていない、そういう状況が実はあるわけでございます。むしろ使われているのは、アスパルテームとか銅塩とか亜鉛塩といったような、日本国内企業がそれに便乗してと申しましょうか指定を受けていったものがたくさん使われているのです。その方が食品添加物としての使用はふえている。こういう現実の実態の姿を見まするときに、余計この感を強くするわけでございます。  特にもう一つ、私ども指摘をいたしたいと思いますことは、この四月十一日に出された当面の対応策四つの当面の対応策が示されているのですが、四つのうちの三つは、確かに外国要請にこたえて、A(1)ランクの問題とか、あるいはWHOの評価を受けて有用性必要性の乏しいものについては再検討を加えなければならないとか、これは多少はチェックを打つ項目がつくられているわけでございますが、さらにADIの問題とかこういうことが規定されているのですが、第三番目の項目に当面の対応とはほとんど無関係なものが一つ入っておるわけでございます。これが、藤井さんの論理と全く合致をすることがここに出されておるわけです。  読み上げますと、「添加物指定するに当たっては、天然に由来する添加物品質向上ナトリウム塩摂取分散化特定添加物集中使用防止などが図られるような品目公衆衛生上望ましい指定対象考える。」、つまりナトリウム塩分散、そして添加物使用集中防止する、こういうことが書かれておるわけでございます。これは藤井さんが細かく言っておるように、一つのものに集中するのではなくて、たくさん添加物を許していけばそれが薄まっていくのだ、こういう論理によって、むしろ、外国対応するということで掲げた当面の対応策は、実は三番目の規定によって姿を変えて、国内業者要請にこたえて、むしろ国内業者が申請している、彼自身が言っている六十件も山積みになっている懸案の食品添加物指定を急ぐための対策として、全然無関係の第三点が入ってきている。そして、実際に十一品目指定使用状況実態を眺めますと、先ほど言ったとおりだというところから見ますと、まさに食品衛生調査会における審議内容、あるいは食品添加物厚生省行政のあり方というものは、四十七年国会附帯決議を全くじゅうりんする、無視した行政が行われていると思うのでありますが、この点について、厚生省は一体どういうお考えをお持ちになっていますか。
  10. 竹中浩治

    竹中政府委員 まず最初に、お話しのございました貿易摩擦というような問題でございますが、私どもアメリカ側も、貿易障害あるいは貿易摩擦解消というふうな観点議論が行われておるのではございませんで、むしろ各種の基準、これは食品だけではございませんが、いろいろの国内基準について、やはり先進諸国は国際的なそういう基準の調和を図る必要があるのじゃないか、同じ学問に立脚して同じように考えてやるのであるから、人種の差とか習慣の差、そういうもので若干変わるにしても、やはり一国が非常にとっぴな規制をするのはおかしいというような議論中心になりまして、今回の食品添加物の問題になっておるわけでございます。したがいまして、ほかの貿易摩擦の問題につきましては、アメリカ側の相手方はUSTR貿易代表部でございます。ところが、私ども食品添加物につきましては、今申しましたような観点でございますので、USTRは後ろへ下がりまして、もつぱらFDAが私ども交渉相手になっておる。食品添加物につきましては、先ほどの基準認証問題についてはそういう特殊性があるということでございます。  それから、十一品目のうち米側要請のものについて輸入が必ずしもないではないかという御指摘でございます。現実問題といたしまして、恐らくは、国内要請品目につきましては対応が早いわけでございますし、それから米国要請のものにつきましては必ずしも対応が早くないわけで、若干のずれはございますけれども、現在時点におきましても、例えば二酸化チタンでございますとかあるいはEDTAといったようなものにつきましては、実際にそれを使ったものがすでに輸入をされておるという状況でございます。  それから、先ほどの調査会の部会の当面の対応についての三の部分でございます。先ほども若干申し上げましたが、添加物行政を進めるに当たって、科学的基盤に立って考えればどういうことになるかというようなことが、今のお話しの三番に出てまいるわけでございます。現在、食品衛生法におきましては、化学合成品である食品添加物をもっぱら規制をいたしておるわけでございまして、天然添加物につきましては、一般的な規制はいたしておりますが、具体的な基準等の作成はしていない。そこで、化学合成添加物につきまして規制を強めれば強めるほど、天然添加物に実際上業界が逃げていく。そうなりますと、天然添加物品質向上を図るということは非常に重要なごとになるわけでございますので、合成添加物規制とともに、天然添加物品質向上を図ることは非常に重要だということが一点。それからナトリウム塩につきましては、先ほど申し上げましたような高血圧との関係、それから特定添加物集中使用防止でございますが、これも、私ども使用基準をつくりまして、その使用基準に従ってやっていただくわけでございますけれども、私どもとしては、使用基準の中で、使う量の最高の量の一〇%、十分の一か二十分の一ぐらいにその添加物使用量が上がってまいりますと、私どもとしては非常に関心を寄せるわけでございます。その理届は、これは一般の食品でも、偏食をして特定のものばかり食ったのではいかぬ、やはり多様な食品、多種類食品をとることが、例えばがんの発生について防止するための食品のとり方というのは、一つ食品に偏らないでできるだけ広い食品をとるというようなことが言われておるわけでございまして、それと全く同じ理屈で使用基準を決めてやっておりますが、一つのものが非常にたくさんとられて、ほかの、例えば同じ効力のあるものでもほかの添加物が全く使われないというのは余り好ましい状態ではない、そういう意味でこの三が書かれているわけでございまして、食品添加物についての科学的な知見に基づいた意見であるというふうに理解をしておるわけでございます。
  11. 網岡雄

    網岡委員 私は、一つお尋ねをいたしたいのですが、それならば、食品衛生法の第六条で規定されている「人の健康を害う虞のない場合」に添加物指定をされることが原則ですね。であるとするならば、私は、これは化学合成品でございますから、いかに人体に害がないと言っても、異物であることには間違いないのであります。したがって、人が食べる食べ物の中に化学合成品を入れるということは、やはりその一番基礎的なものとなるべき判断の中に必要なものは、最小限度にとどめなければならぬということが原則だと思うのでございます。そうだとするならば、指定に関する基準の中にもありますように、藤井さんの論理とは逆のことを私は申し上げたいわけでございますが、甘味料として認められているものがすでに幾つかあるわけでございます。そうすれば、人工甘味料として我々がとるとするならば、今あるものをとればいいのでございまして、改めてそれを求める必要はどこにもない。有用性意味において私は非常にそれは論理が乏しいのじゃないだろうか。後で申し上げたいのでございますが、私は毒性を持っているという点からいきますと非常に問題があるのじゃないかというふうに思うのでございます。このことが、食品衛生法に基づく食品添加物指定原則からいきますと、極めて重大な、法律に適法でない取り扱いが行われているのじゃないかということを私は思うわけでございます。  具体的に申し上げたいのでございますが、それの端的なものとしてアスパルテームがございます。これは、厚生省毒性を実はお認めになっているわけでございます。八月二十七日に都道府県に向けて通達を出しておみえになりますが、概要を言いますと、まずアスパルテームフェニルケトン尿症の子供に対しては有害であるということをはっきりと厚生省はお認めになっておるわけでございます。そして、アスパルテームを用いた食品摂取についても注意する必要がある、アスパルテームが多くの食品使用されることになると思われるので、表示の有無を確認する習慣を身につけるように指導を必要とする、それから、アスパルテーム使用している食品であって含有量がわからないものについてはこれは行政指導上問題がある、こんなものが出てくるとなると問題だと思うのでございますが、そういう含有量がわからないものについては食べることを控えよということを、四点にわたって指示をなさっておるわけでございます。  食品添加物というものの原則は、これは今さら言うこともないと思いますけれども、どんな人がどんな条件のもとでもそれを人間の体に取り入れましても絶対に安全が保証される、こういうものでなければ食品添加物として指定できないはずでございます。これは食品衛生法の六条、七条、それから添加物指定を行う際の基準というものが厚生省でつくられているわけでございますが、その基準によりましても、食品添加物安全性が実証され、かつ、確認されたものでなければ厚生大臣は許さない、それから、その利用が消費者に何らかの意味の利点を与えるものでなければならない、つまり有用性必要性というものがなければいかぬ、こういうことがきちっと枠としてはめられているわけでございます。そういう点からいきますと、初めから――一部の消費ということは言えるかわかりませんが、いずれにいたしましても、一部の消費者であろうと何であろうと、食品添加物というものは、すべての人がどんな状態でも安心して食事をしていける、とり入れていくことができる、こういうものでなければならないということが食品衛生法の中で明確に決められているわけでございます。そうすると、初めから有害の指示がなされていくようなものに食品添加物としての資格があるのでございましょうか。こういうものを今まで添加物として指定をなさった例というものはあるのでございましょうか。お尋ねをいたします。
  12. 竹中浩治

    竹中政府委員 最初に先生がおっしゃいましたように、食品添加物化学合成品で、いずれにしろ異物であるから最小限度にとどめるべきである、これは全くお話しのとおりで、私どももそのように対処しているつもりでございます。  それからアスパルテームについて、例えばサッカリン等過去に人工甘味料指定されておるにもかかわらず、これを認めるのはどうかというお話してございますが、私どもやはり一般原則として、新たな有用性があるもの、それは値段の問題もございましょうしいろいろあると思いますが、新しい有用性があるものに限定をして認めていくということをできるだけやっていきたいと思っております。  アスパルテームにつきまして言われておりますのは、サッカリン等に比べまして砂糖に非常に近い甘みである、サッカリンは苦みがあるというふうなことが言われておりますが、非常に砂糖の甘みに近いものだということが特徴でございまして、それが有用性として言われておるということでございます。  それから、アスパルテームフェニルケトン尿症の子供さんに悪いということ、これは事実でございます。アスパルテームが分解をいたしますとフェニルアラニンができてまいる。フェニルアラニンと申しますのは必須アミノ酸でございまして、人間が生きていく上にどうしても必要なアミノ酸の一つがこのフェニルアラニンでございます。ただ、フェニルケトン尿症の赤ちゃんにとってはフェニルアラニンが非常に問題を生ずるということで、これは前から児童家庭局の方でそういう赤ちゃんの検査をして、大部分の九七%の赤ちゃんが、この子はフェニルケトン尿症であるということがわかっておるわけでございますが、そういう子供さんにつきましては、従来からフェニルアラニンをとっちゃいかぬ、できるだけ制限すべきである。フェニルアラニンというのは、およそたんぱく質のものにはほとんど含まれておりまして、御承知のようにイワシ、かつおぶし、かまぼこ、たらこ、ホタテガイ、イカ、鳥肉、豚肉、卵、チーズ、キャベツ、浅草ノリあるいは白米といったようなものにすべて含まれておる必須アミノ酸でございます。こういうものについてはできるだけ量を少なくするようにということがそういう赤ちゃんについて指導されておりますので、その一連のものといたしまして、このアスパルテームはフェニルアラニンを含んでおるのですよということを表示をいたしておるわけでございます。したがって、決して有毒というあるいは毒性ということではございませんで、むしろ必須アミノ酸であるということでございます。
  13. 網岡雄

    網岡委員 一面においては私もその点は認めますが、しかし、フェニルケトン尿症の子供には有害であるということには間違いないのでございます。それは厚生省もお認めになっているわけでございます。  それから、今魚やそういう食品の中にフェニルアラニンがたくさんある、こういうことをおっしゃって、必須アミノ酸の一つである、こういうことを言われましたが、それはそうでありますけれども、問題はやはり、それは量によるわけでございますね。毒性試験のデータの中にも出てきておりますけれども、量が多くなればフェニルアラニンは脳障害を起こすというようなことを初め、開眼不全などやいろいろな催奇性を持った毒性があるということがデータの中でも出ているわけでございます。一つは、味の素が出した資料の中にも、開眼不全の有意差が出ているというデータすらもが出ているわけでございまして、問題は量が問題なのでございます。天然の場合は、人間が五千年も一万年も二万年もずっと生きている中で、自然に物を摂取していく中で、自然と人間の体が解毒をしていく体系をちゃんとつくっております、天然にとっていくものについては。したがって、それだけに対応というのが自然に人間の体の中にできているわけでございますが、いわゆる合成化学物質である食品添加物というものは、そこが問題なんでございます。新しい化学物質を人間の体の中に入れていく、こういうことになれば、突然人間はそれを受けていくわけでございますから、したがってそこに幾つかの障害が出てくる。現に必須アミノ酸と言われているフェニルアラニンにしても、量がふえればやっぱり障害があるんだということは実験データの中でも出てきているわけでございますね。  最近、アメリカのワートマンという人が、これはFDAにも公聴会を開けということで申し入れをされているそうでございますが、ある八歳の子供が、夏の暑いときに飲料水を飲んで、アスパルテームの含まれた菓子を食べたとするならば、普通の水のときよりも三倍のフェニルアラニンを検出をした。これは〇・〇一で有意性があるということがデータの中ではっきり出てきていると指摘がなされているわけでございますが、こういう点からいきますと、フェニルアラニンとかトリプトファンとかいったようなアミノ酸が異常にふえていくということが、そのデータの中でも出てきているわけでございます。そうなると、やはりこのアスパルテームという食品添加物というものは非常に問題がある添加物ではないかということが指摘されると思うのでございますが、特に一部の人間であろうとも、その添加物をとることによってフェニルケトン尿症に有害であるということがはっきりわかるような食品添加物は、これはやめるべきだと思うのです。  重ねて、お答えがなかったのでございますが、一部の人間であろうとだれであろうと、そういう消費者に有害であるということがはっきり初めから、指定をされる前からわかっているようなものが食品添加物として指定された事実というものが今までにあったでしょうか。あれば具体名を挙げて出していただきたいと思うのです。
  14. 竹中浩治

    竹中政府委員 アスパルテームは、先生も御承知のように、胃の中へ入りますとアスパラギン酸とフェニルアラニンの二つのアミノ酸に分解をいたすわけでございまして、ここでできますフェニルアラニンは、先ほど例として申し上げましたいろいろの自然の食品に含まれておるフェニルアラニンと何ら真なるところはないわけでございます。  それから、米国のワートマンの話でございます。いろいろ議論はございましたが、最終的には問題はないという結論になっておると私ども聞いておるわけで、これはFDAからそういう連絡を受けておるわけでございます。  それから、どうも同じお答えで申しわけございませんが、荷であるということでは、私ども毒性という理解は全くいたしておりませんで、要するに自然の食品に含まれるフェニルアラニンと同じフェニルアラニンができる。したがって、自然の食品についてフェニルケトン尿症のお母さんが御注意なさると同じように、このものについても御注意を撒いたいということでございまして、毒性議論ではないというふうに理解をいたしております。  今申し上げましたようなこういうフェニルケトン尿症のような、あるいはアスパルテームフェニルケトン尿症との関係のような食品添加物がこれまであるかという御質問でございますが、今私の頭の中ではそういうものは今まではなかったように思っております。
  15. 網岡雄

    網岡委員 もう時間がどんどんたっていきますので、この辺で次に行きたいと思いますが、一つだけ申し上げたいのですけれども天然にとっていく物の量というものはやはり基本的に少ないのですね。食品添加物としてとる場合には、これは幾ら注意をいたしましても、子供でございますから、やはり暑いときには飲んでしまいますし、現にフェニルケトン尿症のチェックというものが完全にできるでございましょうか。五十七年でいくと百五十万の子供が生まれたということでございますが、その中には助産婦の手によって生まれた子供がございます。今いわゆる先天性代謝異常の検査によってほとんどの者は網にかかるようになっておるのでございますが、しかし、これは任意によるものでありますから全部とらえているということにはならないと思うのでございます。特に助産婦の場合には採血の場合に金を払っていかなければならぬわけでございますから、拒否をするところもありますし、助産婦の場合はそういうことまで指導しない場合もあります。そうするとその検査の網にかかっていない場合があるわけですが、そういう人たちはこの指示をどこからも聞かずに終わってしまうわけでございます。特に対象が子供であるということでは抑制力がないわけですね、大人の場合はあるかもわかりませんが。そういう点で極めてこれは危険であるというふうに思うわけでございますけれども、その点についてどうなんでしょうか。
  16. 竹中浩治

    竹中政府委員 食品添加物であるアスパルテームを大量にとる場合があるかどうかということでございますが、御承知のようにこれは砂糖の二百倍の甘さを有するものでございますから、実際にとるといたしましてもそんなに多くの量は自然ととれない。実際に日本人が使用いたしております砂糖を全部アスパルテームに切りかえたにいたしましても、ADI、一日最大計許容量のぐっと下、何分の一というぐっと下になるわけでございますから、そういう点でアスパルテームを多量にとることによる心配というのはないと私どもは思っております。  それからフェニルケトン尿症の子供さんの検査でございますが、先ほどちょっと申し上げましたのは、若干誤って申し上げたかもしれませんが、五十七年度で生まれてきた赤ちゃんのうちの九七%がこの検査を受けておるということでございます。そういたしまして、助産婦さんによる在宅出産児でございますが、これにつきましても、出生後一週間以内にその助産婦さんが登録しておる医療機関において検査を受けるという体制をこれは児童局の方でとっておりますので、助産婦さんによる出産児につきましても十分指導が行われておるというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  17. 網岡雄

    網岡委員 前に有害であったものが指定されたものは何だったかということは、お答えいただいたでしょうか。有害であるものが指定されたという点はお答えいただいたでしょうか。
  18. 竹中浩治

    竹中政府委員 先ほどちょっと申し上げましたが、もちろん一般的な意味での有毒なものにつきまして指定をするということはございません。  ただ、こういうアスパルテームフェニルケトン尿症というふうな、毒性ということじゃなしに、そういう代謝異常の子供さんに問題があるような食品添加物、そういうものについて指定をしたかという御質問でございますと、先ほど申しましたように、現在私の記憶する範囲では、こういうアスパルテームフェニルケトン尿症との関係のような食品添加物はなかったかと思っております。
  19. 網岡雄

    網岡委員 そうなると、これは厚生大臣、有害であるということが初めからわかっているものを食品添加物として、アスパルテームの場合指定をなさったわけでございます。  四月九日、間もなくですけれども、コカ・コーラが、コカコーラ・ライトといってコカコーラの中にアスパルテームが入った飲料水を、今度春から夏にかけていよいよこれはねらいどころへ来ておるわけでございますが、四月九日発売開始になるわけでございます。そうすると、WHOでは消されたというふうに言われておりますけれども、ワートマンの指摘によりまず仮説が全くぴったりはまっていく季節に入っていくわけでございます、特に夏にかかっていくわけでございますから。飲料水の中にアスパルテームが入っていくということでございます。これは実験のデータではWHOでも認めておるわけでございますが、とにかくフェニルアラニンやいわゆるアミノ酸が血液中にふえていくことだけは、これは認めているわけでございます。そういうことからいきますと、現にフェニルケトン尿症の人たちには有害であるということがはっきりしておるわけでございますし、今政府委員からの御答弁がありましたように、今までの食品添加物指定の中で、一部の人たちにいわゆる有害であるものを認めたという添加物というものはない、こういうことが明確に答弁に出ているわけでございますが、私は、四十七年の国会附帯決議の精神、そして食品添加物の六条、七条、それから指定基準に対する項目、これは人間にとって絶対に安全である、絶対ということかどうかわかりませんが、安全である、それから有用性必要性というものがなければいかぬというこの一連の基準から見ますと、明らかにこれは大きな問題があると思うのでございます。もし今後、こういう形で許しておいた中で事故が発生したとするならば、厚生大臣、一体いかなる責任をとられようとしますか。  薬の場合は許可でございます。しかし食品添加物指定でございます。だから国が全部調べて、いいですよということで指定するわけですね。だから事故が起きた場合は、やった方にも責任があるかわかりませんが、国が大半責任を負わなければならない。  時間がございませんでしたから私は指摘ができなかったのですが、データの検査にしても、味の素やサール社といったような企業の実験データによってやられているという点は、私は、指定行政というものから見ますと極めて問題だと思うのでございます。つまり政府指定するわけですから、自分の手の内で確認をしていくということが原則でございます。そうであれば公的機関で検査をする、あるいは権威あるところで調べよというふうに基準はなっているのでございますから、文字どおりそこでそういうものに足るような機関でやっていかなければならぬわけでございますが、今聞くところによりますと、厚生省はそういう明確な基準がないそうでございます。薬のときにはGLPという基準があるそうですが、これは自主規制のようでございますけれども、これも問題があります。しかし、ちゃんとした公の基準、データ検査機関として基準というものを厚生省がつくっていく必要があるのじゃないかという点を私は最後に指摘をしておきたいと思いますが、それらの点について厚生大臣、有害のものについて指定をするということについてどういう責任をお感じになっているか。やめる意思はないのか。先ほど言った二、三についての点ですが、御答弁願いたいと思います。
  20. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 これは言うまでもありませんが、食品添加物問題、今先生からも御指摘があり、政府側からも答弁しましたように、これはあくまでも安全第一でございます。ただ、国際化する流動的な時代の変化とか、また国民の食品に対するニーズの変化多様化、こういうものの中で、安全第一という前提で、これは私の前の大臣の時代でありますが、十一品目について行われたわけでありますが、私はこれらのものはすべて安全第一、これを前提にして行われたものと思っておりますし、また今後についても、いろいろな問題が起こってくるでありましょうが、私どもは、食品衛生行政に当たっては、まず安全第一ということを前提にしていくことは当然でございます。  今、専門的な問題で政府委員と先生との間で議論が交わされておりましたが、私が報告を聞いておるところでは、これらのものは、使用基準を明確にしていくことによって安全性は保たれるという前提の上でこういう処置をとったという報告を聞いております。それで、今先生との議論のやりとりの中で、安全性に問題があるのではないか、こういうことでございますが、これは先生の方では御心配がある、政府委員の専門的な答弁では使用基準を明確にして安全性は守れるというやりとりの中でございますから、私は、先生は非常な見識のある専門家でございますが、大臣としては政府委員の側の専門家の意見の報告を一応聞いて安心しておりましたので、これからも重々これは勉強をしてまいりまして、もちろん安全性に非常な危惧があるというようなことが客観的に明確にされた場合は政府の大きな責任になりますから、私ども新たなる対処をしていくことは当然のことと存じます。
  21. 有馬元治

  22. 大橋敏雄

    大橋委員 本日は、軽費老人ホーム並びに血友病患者対策に関しまして、若干質問したいと思います。  高齢化社会と老人ホーム、これは極めて重要な関係でつながっていくわけでございますが、特に施設の整備あるいは運営面にはきめ細かい行政指導が必要だと思うわけであります。  初めに、軽費老人ホームのA型が今どの程度施設されているのか、あるいは将来性等についてお伺いしたいと思います。
  23. 持永和見

    ○持永政府委員 お尋ねの軽費老人ホームの施設の数でございますけれどもお話しのように軽費老人ホームにはA型とB型というのがございまして、現在、五十七年の十月一日現在でございますが、A型というのは御案内のとおり食事のサービスを行う施設でございますけれども、全国で二百八カ所ございます。ちなみにB型が三十八カ所ございまして、軽費老人ホーム全体としては二百四十六カ所でございます。  今後の施設整備の方針でございますが、やはりこういった軽費老人ホームというのは、先生御案内のとおり契約によって入所できるという老人ホームでございまして、そういった意味で今後とも、高齢化がますます進んでまいりますし、また一方では年金中心とする所得保障制度も成熟してまいりますが、そういった中でニーズはふえていくというふうに私ども考えております。そういった意味におきまして、養護老人ホームだとかあるいは有料老人ホームだとかそういったものとの関連とか、あるいは地域の実情に応じて必要な施設整備については十分進めてまいりたいと考えております。
  24. 大橋敏雄

    大橋委員 我が国の老人ホームは、御承知のとおり救貧施設としてスタートしたわけですね。そういう状況の中で、今でも養護老人ホームは低所得者を対象にしているということから、老人ホームというのは何とはなく暗いイメージを持つ人が多いわけです。これは何としても、明るい気軽なホームだというイメージチェンジを図らねばならぬと思うのです。  実は、私は、老人ホームの運営の内容についていろいろと御質問を進めていくつもりだったのですけれども、大臣が参議院の予算委員会にお行きになるということもございますので、順番をちょっと入れかえまして、軽費老人ホームの運営費等に関する補助金交付について先にお尋ねしたいと思うのです。これはいかなる法律に基づいて、どのような手続、方法で交付されているか、まずお尋ねしたいと思います。
  25. 持永和見

    ○持永政府委員 軽費老人ホームにつきましては、御案内のとおり運営費についての補助が出ておりますが、これにつきましては、老人福祉法の二十六条だったと思いますが、補助できるという規定がございまして、実体法としてはその法律に基づいてやっておるものでございます。なお、その補助金の執行その他については、財政法なりあるいは補助金適正化法、そういった法律に基づいてやっておるということでございます。
  26. 大橋敏雄

    大橋委員 補助金の交付の目的は、地方公共団体が行う軽費老人ホームの利用料の減免、あるいは事務費の一部に要する経費の一部を補助することにより、居宅で生活が困難な低所得者層に属する老人が低額な料金で利用できるようにし、もって老人の福祉の増進を図るということにあると思うわけでございますが、実は私が大臣にぜひとも聞いていただいて改善措置をとっていただきたいことをここで申し上げるわけでございます。これは全国的な問題だと思うのでございますけれども、補助金交付の実情について、私は福岡県の例を一応申し上げます。  実は私は北九州市に住んでいるものですから、北九州市を見ていると、これは政令都市でございまして、ここは施設に毎月補助金の交付が行われているのですけれども、そうでない地域は違うのですね。年に四回になっております。四、五、六月の三カ月分を五月に交付、七、八、九の三カ月分は八月に、十、十一、十二月の三カ月分は十一月に、一、二、三月の三カ月分は二月に、このようになっているわけでございますが、実際の交付が非常に遅延しているようでございます。したがいまして、施設の運営上さまざまな支障を来しているようでございまして、ほとんどの施設が、運営費が不足するために、法人の保有金を借用するとか、あるいは銀行等からの借入金によってどうにかその運営をしている、非常に想像以上に苦労をしているわけです。その借入金の利子というものも大変な額になっているようでございまして、ばかにならぬと言っておりました。  そこで、私は、こういう三カ月に一度の交付というのはおかしいのじゃないかということで、さらに過去を調べてみたのです。例えば過去における補助金交付状況ですけれども、五十五年を見ると、四回にはなっておりますが、七月の十八日、八月の二十六日、十一月の十八日、三月二十七日。五十六年は六月十六日、八月の十三日、十一月三十日、三月三十一日。振り込みの関係で四月一日になったところもあるそうです。五十七年度は六月十八日、八月十七日、十一月十八日、三月八日。五十八年度は六月二十日、九月十九日、十二月五日と、一-三月分はまだ聞いておりませんが、恐らくこういう姿で、そのあらかじめ決められている月よりもかなりおくれて支給されている事実があるわけですね。そういうことで、職員の給料あるいは期末手当等の支給についても大変おくれる状況にあるということでありまして、これは何とか改善せねばならぬな、どこにこんなにおくれる原因があるんだろうかということを非常に疑問に思っているわけですが、これについて大臣のお気持ちを聞かせてください。
  27. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 軽費老人ホームに対するそれぞれの地域社会における要望が大変強くなっております。この運営費の補助金がおくれておるということで、私の聞いておりましたところでは、都道府県の申請によって行われるので、その申請がおくれるためにおくれておるというような報告を聞いておるのでありますけれども、今大橋先生のお話しを聞きますと、この補助金がおくれるということは、運営しておる皆さんにとっては大変なことだろうということを十分理解できますので、これから政府委員を督励いたしまして、先生の御指摘でもございますので、その期待にこたえられるように、運営費を一日も早く、せっかく出すものですから、交付できるような事務的な処理を検討させたいと思います。
  28. 大橋敏雄

    大橋委員 今、大臣の前向きな御答弁をいただいて力強く思うわけでございますが、しかし、御答弁の中に、申請がおくれるために交付がおくれているのだ、これは道理からいけばそうなるのじゃないかと思うのですけれども、では現に、その施設から恐らく県に申請し県が国に申請を出すわけですね、実態はどの程度おくれてどうなっているのですか。
  29. 持永和見

    ○持永政府委員 軽費老人ホームの運営費の補助金については、従来私どもとしては、五月の三十日までに各県から申請書を出してください、こういうようなことをしておったのでございますが、実は五十七年度を見てみますと、私どもの方で指示しておるとおり五月の末までに提出した県が二県しかございません。一番遅いのが十二月ということになっておりまして、したがって、五十七年度は国の補助金の決定が一月になってしまったというようなことになっております。そういったこともありまして、実際にお困りになるのは老人ホームの方々でございますので、五十八年度におきましては、特に全国ブロックで開きましたブロック会議におきまして、この交付申請書を早く出してくれということを言ったわけでございます。それによりまして、五十八年度におきましては十月に交付決定をしたということで、三カ月程度五十七年度より早めたという経緯になっております。  ただ問題は、果たして十月でいいかという問題がございまして、この点については私どもの方もいろいろと反省しなければならない問題もあろうかと思います。したがって、今大臣から御指摘ありましたように、今後ともこういった軽費老人ホームの運営費の補助金につきましてはできるだけ早くこれをやりたいということで、今対応策をいろいろ検討しておるところでございます。
  30. 大橋敏雄

    大橋委員 一応規定では五月の三十日までに申請書を出しなさいというのが、実態はかなりおくれているというのは、県の方からの申請がおくれているわけですね。そうしますと、その原因がどこにあるのかもっとよく調べた上で改善してもらいたいのですが、今の答弁の中に、前は提出の遅いのが十二月なので一月に決定していたけれども、今度は十月に早くできた、さらにもっと早くできるような方法を今考えつつあるのだと言われるけれども、では、ぎりぎり早くできるというのはどのくらいになるのですか。
  31. 持永和見

    ○持永政府委員 実は率直に申し上げまして、軽費老人ホームの補助金が先ほど申し上げたように予算補助的な性格を持っておるものですから、そういう意味合いにおきまして県の作業も多少おくれぎみであるというのは事実だろうと思います。したがって私どもとしては、今の五月末という提出期限を厳守してもらいたい、こういうことを言っておりますが、仮にこれが来年から四月末ということになりますと、さらに一月程度早くなるかというような感じを持っております。
  32. 大橋敏雄

    大橋委員 今大臣お聞きのとおりに、県の申請の段階でおくれている感じもありましたけれども、今までの五月を四月に繰り上げて申請を早める、そうすると作業も早くなって交付も早くなるということでございますが、一たん交付するときは一括して県に交付されるわけですから、県の方からの交付も、少なくとも北九州市、政令都市みたいに、ほかの地域も毎月交付をしていただきたい、このような行政指導をぜひともしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  33. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 これは、都道府県にはそれぞれの事情もあると思いますが、しかし、今の大橋先生の趣旨を踏まえて、私は政府委員を督励して、できるだけ早く交付するような措置を講じたいということを申し上げたのでありますから、これから都道府県によく連絡をとって、都道府県でもやはり、実際やっていらっしゃる老人ホームの皆さんの便宜に役立つようにできる限りのことをするように、これから都道府県と話し合ってみたいと思います。
  34. 大橋敏雄

    大橋委員 それでは老人ホーム関係、まだあったのですけれども、もう一つ大臣に聞いておきたいことがありますので、それを先にやらせていただきます。  血友病患者に関する問題なんですが、現在二十歳未満の患者の方に対しては、その方が医療を受けるときは健康保険が一応適用されて、自己負担分については国と県が二分の一ずつ公費負担している制度が確立していると思いますが、今回健康保険の改正案が提出されていますね。仮にこの改正案が実施されたとした場合に、この血友病患者の公費負担制度に何らかの影響が起こるのかどうかということをまず聞いておきたいと思います。
  35. 大池眞澄

    ○大池政府委員 ただいま御指摘の血友病患者の方は、出血をし始めるととまらないという疾病でございますが、その原因は、遺伝に基づきまして、血液を凝固させる大事な因子のうち、第Ⅷ因子あるいは第Ⅸ因子が欠如あるいは欠乏するということが原因になっております。それに対してひところはなかなか適確な治療法がなくて、健康な人の血液を置きかえるというようなことで大変困難を来しておったのですが、その後の医療の長足の進歩で、最近は不足している凝固因子自体を製剤として得て補給できるという治療方法が確立しております。
  36. 大橋敏雄

    大橋委員 ちょっと待ってください。私が今聞かんとしたのは、今度の健康保険法、今提案されていますが、仮にそれが実施されたとした場合に、現在の血友病患者の公費負担制度に何らかの変化が起こるのかどうかという話を聞いているのです。結論だけで結構です。
  37. 大池眞澄

    ○大池政府委員 その御説明の前置きを申し上げて恐縮でございましたが、現在二十歳以上の方でそれに対応できるかどうかという制度としては、特定疾患治療研究事業がございますけれども、この制度の……(大橋委員「二十歳未満の話を今しているのですよ、以上じゃないんですよ」と呼ぶ)
  38. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 これは厚生省の中でもそれぞれの局にまたがっているようで、二十歳までの者、これは児童局の方で担当しております。
  39. 吉原健二

    ○吉原政府委員 結論から申し上げますと、小児は健保の被扶養者でございますので、今度の健康保険法の改正によって、小児慢性特定疾患治療研究事業が影響を受けるということはないというふうに思います。
  40. 大橋敏雄

    大橋委員 それでいいのです。  それで、ここからいよいよ大臣にお尋ねしたいわけですけれども、現在、国あるいは県が二分の一ずつ公費負担している分は二十歳未満なんですよ。ところが、この病気は小児のときだけ起こる病気ではなくて、もう生涯病なんですよ。先天性なんですね。ですから、二十を越したから治るという病気じゃないから、何とか年齢制限等を撤廃して面倒を見てほしいというのが私の気持ちにあるわけですよ。事実、二十を越しますと公費負担医療制度が外されますから、自己負担の問題が起こってくるわけですね。そこで、東京都とか静岡あるいは神奈川等十四、五の県は、県独自で公費負担制度で救済をしているようでございます。だから、これはやはり国の立場で、従来どおりの二十未満の方と同じように、生涯病ですからこれは何としても国の方で面倒を見ていただきたい、こういう思いなんです。ここはやはり大臣の決断だと思うのですよ。もし大臣がそうだと決断されたら、患者の皆さん、家族の皆さんからは恐らく神様のように慕われますよ。
  41. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 私は余り病気のことに詳しくないのですが、この血友病、これは確かに大橋先生御心配いただくように大変なお金のかかる病気のようでございます。したがって、健保法が改正され、一割負担あるいは二割負担ということになればこれはもろに影響を受ける方々になろうかと思います。今、現在の制度の中では残念ながらこれらの人をお救いする道はないようでありますけれども、今後の健保法の御審議の中で皆さん方の御意見を十分お聞きしながら、私も幾たびも本会議や予算委員会でも答弁いたしましたように、この健保法の改正というものによって本当に病院にかかれない人が出てくるというようなことはないように努力してまいりたいという精神は常に言っておりますので、この精神によってあらゆる知恵を絞ってみたいと思います。
  42. 大橋敏雄

    大橋委員 さっき言いましたように、もう既に十四の県においては独自で救済をしているという事実がございます。そういう状況を踏まえた上で、できるだけ年齢を延長するか、あるいはむしろ年令制限を撤廃するかというところまでいけば問題ないわけですけれども、真剣に検討していただきたい。
  43. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 方法等についてはいろいろ、これからどういう方法で行われるものかということの勉強もこちらにお任せいただいて、とにかく大橋先生の趣旨は、この改正案によって一割負担になった場合、血友病のように非常にお金のかかる病気の方が大変お困りになるということでありますから、それをお困りにならないような方途を、とにかく貧弱な頭脳でありますが知恵を絞ってまたやってみたいと思いますから、これはもう少し時間をおかしいただきたい。
  44. 大橋敏雄

    大橋委員 じゃ、大臣の情熱あふれる真心を信頼して、どうぞ参議院の方に……。  続けて血友病患者の問題をいたしたいと思いますが、血友病患者は五十八年二月に自己注射が認められたわけでありまして、家族の方も患者の方も大喜びでございました。しかし、これはもろ刃の剣といいましょうか、専門医等の適切な指導のもとに行わないと危険な面もあるわけですから、そういう点で、指導も受けずに勝手に自己注射をやっていくために危険が生じ、あるいは安全性が損なわれるというようなことになったとすれば、せっかくの認可が取り消しになるのではないかという心配もありますので、決してそういうことがないように、これがますます普及できていくような行政指導をぜひお願いしたいと思うのですが、いかがでしょう。
  45. 吉村仁

    ○吉村政府委員 御指摘のように、昨年の二月に血友病の自己注射を保険に導入したわけでございますが、その際に私どもは、関係学会の御意見を十分聞きまして、管理マニュアルというものをつくりまして、これをお医者さん方に配付してその安全性についての周知徹底を図ったのでありますが、昨年の二月から今日に至るまで幸いなことに自己注射による事故の報告は一件もございません。したがって、ただいまのところ安全適切に実施されておるというふうに確信をしておりますが、なお今後十分注意を持って行政指導をしてまいりたいと思います。
  46. 大橋敏雄

    大橋委員 もう時間が迫ってまいりましたので、最後にまとめて二つほどお尋ねしますが、オランダで予備実験したと言われております経口投薬、飲み薬、これによる治療について我が国においては研究開発が行われているのかどうかということと、もう一つは、血友病の血漿治療薬とAIDSとの因果関係について一時大変心配された報道が出ていたわけでございますが、これは不安はなかったのかどうか、この二点についてお答えいただきたいと思います。
  47. 正木馨

    ○正木政府委員 第一点の血友病の治療薬の経口化の問題でございますが、先生おっしゃいますように、一九八〇年オランダで「血友病治療薬の経口化について」という研究報告がなされておりますが、現段階におきましてはまだ世界的に実用化されたという情報は得ておりません。しかし、現在、我が国におきましては、富山医科薬科大学教授の桜川先生のもとで研究がなされております。  この経口投薬につきましては、なかなか消化されやすいという面がありますので、その辺の研究が中心になっておるわけでございます。今動物実験をやっておりますが、吸収度合いがまだ十分出ていない、せっかく研究を続けられておるという状況でございます。  それから、第二点の血友病治療薬とAIDSとの関係でございますが、このAIDSの問題も大変御心配をいただいたわけでございます。このAIDSにつきまして若干申しますと、アメリカの防疫センターの報告で、外国におけるAIDS患者の統計をとってみますと、三千人ばかりの中で血友病患者が一%おられるということで、血友病患者の治療は血漿分画製剤で行われるわけで、この点の心配はないかということが世界的に問題になったわけでございます。この点につきまして、現在のところ、医学的にAIDSが血液製剤を介して伝播するという結論は得られておりません。しかし、念を入れまして、我が国では血漿分画製剤の輸入が多いわけでございますので、五十八年、昨年の六月以来AIDSの実態把握の研究班を設けまして研究をしていただいております。その研究の結果、我が国におきましてAIDSと診断される症例は一例も出ておりません。しかし、さらに血友病患者のより安全な治療法について、今申しました研究班の中に血液製剤小委員会を設けまして、その面での検討もお願いしているという状況でございます。
  48. 大橋敏雄

    大橋委員 時間が参りましたので、軽費老人ホームの問題は別の機会に譲りたいと思いますが、最後に、この血友病患者の数、全国的に男女別、地域別にもしわかれば、それだけお聞きして終わりたいと思います。
  49. 吉原健二

    ○吉原政府委員 小児慢性特定疾患治療研究事業の対象になった二十歳未満の血友病、それから血友病の類縁疾患患者の数は、昭和五十七年度におきまして四千九百九十二人でございます。男女別に見ますと、患者はほとんど男性でございます。それから、地域別に都道府県ごとに患者の数がございますが、例えば東京で言いいますと千五十三人、大阪で言いますと三百八十九人、以下県によって違いますが、もしなんでしたら後から資料をお渡ししたいと思います。
  50. 大橋敏雄

    大橋委員 終わります。
  51. 有馬元治

    有馬委員長 この際、暫時休憩いたします。     午前十時五十分休憩      ――――◇―――――     午後六時二十分開議
  52. 有馬元治

    有馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。塚田延充君。
  53. 塚田延充

    ○塚田委員 私は、民社党・国民連合を代表いたします塚田延充でございます。  今回の宇都宮病院の問題は、精神病院の閉鎖性とか、また厚生省側の監督指導体制の不備のもとで、患者の人権の侵害がいかに横行しているかということが事実をもって満天下に明らかになった事件だと思われます。  そこで、私は、患者の人権を擁護する観点から、精神衛生行政改善策について政府の対処、方針についてお尋ねしたいと思います。  まず第一に、精神病院内での傷害致死事件は過去にも何度か発生しているはずでございますけれども厚生省として三十一年以降に確認した事例を列挙していただきたいと思います。
  54. 大池眞澄

    ○大池政府委員 お答え申し上げます。  昭和三十一年以降の精神病院におきます暴行事件といたしましては、以下申し上げます三つの事例がございます。  その一つは、昭和四十三年に大阪におきます粟岡病院で発生いたしました暴行事件でございます。要点は、看護職員が、集団離院を企てました入院患者十数名に対しまして野球のバット等を用いまして暴行を加え、うち一名を死に至らしめたものでございます。  第二の事件は、昭和四十四年に、同じく大阪でございますが、安田病院におきまして暴行事件が発生しております。その内容は、看護職員が、無断離院を企てました入院患者に暴行を加えて死に至らしめたものでございます。  第三の事件は、昭和五十四年に発生しております大和川病院におきます暴行事件でございます。ちなみに、この病院は、第二の事例で申し上げました安田病院がその後名称が変わって大和川病院となっているものでございます。その事件の内容は、看護職員が、ベッドで喫煙した入院患者に暴行を加えて死に至らしめたというものでございます。
  55. 塚田延充

    ○塚田委員 ただいま御報告いただきました事例につきまして、厚生省としてはそれぞれどのような具体的な改善策を、また具体的な処置を県に対して行ったのか、その内容と、それからそれに対して県がどのようなことをやったかという結果報告、そしてまた、その結果をいただいたことについて厚生省としてはどのような確認の方法を講じたのか、お答えいただきたいと思います。
  56. 大池眞澄

    ○大池政府委員 第一の事件につきましては、国が大阪府に病院管理者の変更を行うように指示をいたしたところでございます。これに対しまして、府におきまして行政指導を強力に行った結果、管理者が変更されたところでございます。  第二の事件につきまして、同じく国は大阪に指示をいたしたわけでございますが、その病院の開設主体でございます医療法人の理事長並びに当該病院の管理者の変更を指示したところでございます。これに対しまして、大阪府は、行政指導によりまして理事長及び管理者が結果として変更されたということを確認しております。  このような事件が重なったこともございまして、「精神病院の運営管理に対する指導監督の徹底について」、各都道府県知事あてに通知を発したところでございます。その要点を申し上げますと、病状審査を実施すること。第二は患者の人格を尊重すること、第三は職員不足等の病院の運営の改善を行うこと、第四は作業療法の適正な運用を行うこと、第五は職員の資質向上のための講習の実施等の内容を織り込んでおります。  第三の事件につきましても、国が大阪府に指示をいたしまして、開設主体である医療法人の理事長並びに病院の管理者の変更を指示したところでございます。大阪府の指導によりまして理事長、管理者が変更されております。また、この際、精神衛生法の第三十七条に基づきます実地審査も行われたわけでございます。その結果、十数名について同法に基づきます退院命令が出されたところでございます。
  57. 塚田延充

    ○塚田委員 国は、医療法に基づいて医療監視の権限とか責務を持っているはずです。今の御答弁によりますと、確かに通達、こういうものは行い、またそれに基づき県が動いたことはありますが、厚生省自体が医療法に基づいて、立入検査などのような直接的な権限を精神病院に対して発動した例が三十一年以降それぞれ毎年何件ぐらいあるのか、お答えいただきたいと思います。
  58. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 医療機関に対しますところの医療監視でございますが、これは従来から直接的には各都道府県が行っておりまして、国が都道府県を指導監督することによりまして医療監視の実施に努めているところでございます。  そこで、精神病院だけではございませんで、国が直接医療監視を行った例は過去にございません。
  59. 塚田延充

    ○塚田委員 今回のこの宇都宮病院のケースですけれども、大変悪質といいましょうか世間を騒がしているケースでございますけれども、これだけの事件となりますと、やはり国自体も、医療行政について直接責任を持つという意味から、立入検査のような直接指導をやるべきではないかと思うのですけれども、それについて厚生大臣いかがお考えでしょう。
  60. 大池眞澄

    ○大池政府委員 今回の宇都宮の事件に当たりましては、まず真っ先に、栃木県が医療法に基づく医療監視並びに精神衛生担当職員は実地指導という観点から、十四月、報道された当日、直ちに病院に立ち入りを行っております。その後厚生省の指示を受けまして二十二、三、四と引き続き五十名、二十二名、四十名をいうような、関係部門を挙げての相当大規模な調査に乗り出したところでございます。厚生省におきましても、関係する部局が複数ございますので、チームをつくりまして八名の職員で現地に赴きまして、県と密接に協議、意見交換を行ったところでございます。
  61. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは、ただいま局長お答えになったのと同じだと思うのですが、三十一年に厚生省が各県あてに出した通知、「精神病院に対する実地指導強化徹底について」、これにつきまして質問したいと思います。  これは、県が常に厳重なる実地指導を行って、その結果を国に報告するようなシステムを通告したものだと思います。そしてさらに、四十三年ではそれを再通知という形で、毎年四月末までには、それまでの一年間分の実地指導の結果を年報として県から厚生省へ報告するように、このようになっているはずでございます。そこでお伺いいたしますけれども昭和四十四年以降栃木県から報告が毎年きちんと来ているのかどうか、お答えください。
  62. 大池眞澄

    ○大池政府委員 御指摘の実地指導につきましては、栃木県に関しまして、同通知に従いまして年一回、全精神病院を対象として実施している旨の報告を聴取しておるところでございます。また、入院患者の超過収容とか医療従事者の不足等、実地指導の際に改善の指示を病院それぞれに行ってきておるところでございます。そのような報告を受けております。
  63. 塚田延充

    ○塚田委員 それでは、その中に、宇都宮病院に関しての傷害事件についての記載が行われていた報告というのは、何年と何年にあったのか。それからまた、特に最新の報告書であるはずの、五十八年四月に提出されておるはずですね、それの中に、この宇都宮病院の実地指導状況が書かれておるはずですけれども、その状況を詳細に説明してほしいと思います。
  64. 大池眞澄

    ○大池政府委員 宇都宮病院に関しましては、現在私の手元の資料で承知しておるところで申し上げますと、五十八年七月に県が医療監視並びに実地指導を行ったわけでございます。この際に、医療従事者の極度の不足及び入院患者の超過収容というようなことが主要な所見として指摘され、また、改善計画を県の方に報告するように病院に指示をしたというような記載になっておるというふうに承知しているところでございます。
  65. 塚田延充

    ○塚田委員 この三十一年の通知によりますと、患者に対し暴行を加えたりまたは不当に拘束したりして、人権を侵害するなどの事実がないかどうか県が調査するよう、十九項目ほどの具体的な指示項目一つとしてそのことが掲げてあるわけですけれども、宇都宮病院の場合、ある退院者の証言によりますと、傷害致死事件は何も最近の例だけじゃなくて、過去にも何度か起きておって日常茶飯事である、このように言われているわけでございます。ところが、今の話によりますと、五十八年七月のレポートで初めて明るみに出てきた。ということは、五十八年四月にも報告書が出されたはずだし、五十七年四月にも定例の年報が出ているはずですけれども、その県の報告の中には、宇都宮病院の実地指導において、そのような傷害事件の可能性であるとか危険性ということは全然指摘がなかったわけでしょうか。
  66. 大池眞澄

    ○大池政府委員 御指摘のとおり、たくさんの項目につきましてチェックリストのような形でのチェックをしておるわけでございます。その一つに、「患者に対し暴行を加えたり又は不当に拘束したりして人権を侵害する等の事実はないか。」ということがございます。この点につきまして、その報告によりますと、そのような事実を認めたという記載はございません。
  67. 塚田延充

    ○塚田委員 この三十一年の通知による、実地指導を徹底してやるべきだというのは、例えば年に一回ずつやれというのか、それとも半年に一回ずつやれというのか。実地指導の具体的なインターバルについての指示は含まれているのでしょうか。それとも実地指導を三年に一回やってもいいのかどうか。これは県の自主性に任せているのでしょうか。
  68. 大池眞澄

    ○大池政府委員 基本的には年一回ということで各地域で対処しているわけでございますが、その地域地域の事情によりまして重点的な実施を図っておる、いちいろ工夫を凝らして必要な効果的な実地指導を行っていると承知しております。
  69. 塚田延充

    ○塚田委員 結局のところ、定期的に行っているはずの実地指導では、宇都宮病院のあのように不当なケースというのがチェックできなかった、見つけることができなかった、それだけ実地指導が形骸化していたということが言えるのじゃないかと思うのです。特に暴行とか傷害事件というのは、病院の管理者あたりに質問という形で問い合わせるとか、聞くとかいうようなことでは内容がつかめるはずがないと思うのです。そこで大臣にお伺いしたいのですけれども、このようないわゆる本当の実態を把握するためには、今県が行っている程度の聞き取り調査みたいなものでいいのかどうか。何かもっと別な本当の意味調査、検査ができるように、例えば精神衛生法をも変えるといいましょうか、その中に実施要綱を盛り込むとか、いわゆる実効性の上がる実地指導の仕方について何らかの措置をとるお考えがおありでしょうか。
  70. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 これは精神障害者の対策、今回の宇都宮病院の問題が起こりまして、私どもも今までの施策についていろいろ反省させられることもございました。大変厳しい今回の事件でございまして、こういうことは今後もあってはならないことでありますから、私は、今の精神衛生法で十分に間に合うものか、また、この精神衛生法の中でこういうことが二度と起こらないために何をやればいいのか、これから真剣に検討して、こういうことが起こらないための万全の施策を講ずる努力をしてまいりたいと思います。
  71. 塚田延充

    ○塚田委員 ただいま大臣からかなり前向きな御発言をいただいたわけでございますが、この宇都宮病院のケースでちょっと具体的に質問してみたいのです。  伝えられているところによりますと、九百四十四人の入院患者のほかに外来患者もあることですから、医療法に定める基準によりますと常勤のお医者さんは二十人要る、看護職員も百六十二名必要なはずだ。ところが、実際には常勤の医師は三人しかいないし、さらに、マスコミなどで伝えられております。ある退院者の証言などによりますと、三人じゃなくて、実際診察しておるのは院長一人じゃないかというようなことも伝えられております。それから、看護職員は六十四名しかいなかった。これは重大な医療法違反なわけでございますけれども、この事件が明るみに出てから、先ほど局長の方から、かなり大がかりな調査をやったそうですけれども、そのような医療法違反の事実をきちんと確認できたのかどうか、その違反事実の内容を御説明いただきたいと思います。
  72. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 ただいま御指摘のございましたように、宇都宮病院につきましては医師及び看護婦が大幅に不足をしております。それから、構造設備の状況につきまして、知事の許可を得ずに病棟内を改造して使用しておる、こういう状況認められました。また、病棟管理の状況といたしまして、入院患者を病室外に収容しておる、そういう状況認められました。それから、非常に重大なことは、無資格者による医療行為の状況でございますが、これは疑いのある事実が認められましたけれども、まだその事実の確認には至っておりません。なお、県において調査を進めておるところでございます。  私どもといたしましては、事実が明らかになりましてから厳正に対処をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  73. 塚田延充

    ○塚田委員 まだ調査が完全に終了していないようですけれども調査の結果、違反の事実というのはかなり明るみに出ているわけでございます。  それでは、厚生省としては、県に対しまして、この宇都宮病院のケースに対しどのような具体的な改善指導を行うつもりなのか。それから、もしその改善指導に従わない場合には指定病院としての指定を取り消す、このような厳正な措置を講ずる。これは、厚生省自身が三十一年の通知でもしているわけでございますけれども厚生大臣といたしまして、宇都宮病院に対してもし改善命令がうまく実行されなかった場合、どれだけ厳しい措置を講ずる御予定なのか、お聞きしたいと思います。
  74. 大池眞澄

    ○大池政府委員 先ほど医務局長の答弁にございましたように、まだ事実確認ということを完了しておらない段階でございますので、若干幅のある答えを申し上げざるを得ないと思いますが、その事実が、報道されているような内容である限りにおいては、極めて厳正な対応をする必要があろうか、かように考えておるところでございます。  指定を取り消すというような御指摘もございましたけれども、何分にも多数の患者を現に保護しておるという施設でございますし、また、地域あるいは周辺地域の医療事情等も総合的に勘案をして、患者さんの医療を確保し保護するということが一番大切な部分でございますので、そこに一番のウエートを置きながら最善の改善措置を講じてまいりたい、こういう基本姿勢で臨んでおるところでございます。  なお、事実確認をまつまでもなく現在確認できております事柄につきましては、先般こちらから精神衛生課長を初めとして参りました節に、改善を要する点については具体的にそれぞれ県に改善措置を講ずるよう指示をいたしました。  主要なものを申し上げますと、一つは、関係者、患者さんなり家族なりの方々に対する相談機能を強化すべく、相談窓口の機能強化ということを県の方に指示をしたところでございます。  それから第二に、現在既に相当極端な職員の不足という状況にかんがみまして、まず患者の方々の病状を確認の上、転院、退院等可能な者については、病院の管理者の責任においてそれを促進するようにというような指導を県に指示いたしまして、そのように強く指導を行っておるところでございます。現在のところ、既に百名を超える転退院が行われたという状況でございます。  それから、第三点といたしまして、精神衛生法に基づきます病状審査、実地審査という仕組みをその病院について行うように検討を指示したところでございますが、その後、県におきまして県内精神衛生鑑定医の方々と十分協議をいたしまして、県からの報告によりますと、四月十日から具体的に着手をする。それで計画といたしましては、閉鎖病棟に入っております措置入院患者からまず優先的に取り組む、次いで閉鎖病棟に入っておられる同意入院の方々、次いで開放病棟の同意入院の方々というような形で、計画的にこれを推し進める、既にこういう計画が固まったという報告を受けておるところでございます。
  75. 塚田延充

    ○塚田委員 ただいま、四月十日からですか、栃木県の方は宇都宮病院の全患者についていわゆる再鑑定といいましょうか、これを行う乙とになったそうでございますけれども、これは栃木県が精神衛生法第三十七条を発動したと解釈してよろしいでしょうか。  それから、この三十七条を発動するに当たって、あくまでも県知事がその「必要があると認める」ところによってやったのか、それとも別の精神衛生法上ですか、例えばこれの第十三条によりますと、地方精神衛生審議会の制度であるとか、また第十五条によりますと精神衛生診査協議会、こういうような制度があるわけですけれども、そのような会合を開いた上で今言ったような再審査というのを、すなわち三十七条の発動というのを決めたのか、その辺の事情を御説明ください。
  76. 大池眞澄

    ○大池政府委員 栃木県におきましては、三十七条を基礎に置きまして、県内の精神衛生鑑定医の大多数の方に緊急にお集まりいただいて、具体的に御相談を申し上げて、先ほど御説明申し上げましたような計画を定めておる、かように報告を受けておるところでございます。
  77. 塚田延充

    ○塚田委員 いかがでしょうか厚生大臣、栃木県が再鑑定、第三十七条を発動したというのは大変な英断であり、間違って収容されて苦しんでいる方々がこれによって救われる可能性が非常に大きくなったと思うのです。ですから、これは何も宇都宮病院のケースのみならず全国の精神病院、これについて、三十七条に基づくかどうかは別としても、一回全部見直すというような措置をやってみたらいかがかと思うのですが、その点いかがでございましょう。
  78. 大池眞澄

    ○大池政府委員 まだ私どもの事実調査の段階でございますが、宇都宮病院の実態が直ちに全国の精神病院とは到底私ども考えておりませんし、また決してそうあってはならないわけでございます。ただ、御指摘のようなチェックというものは、そういう実態があるなしにかかわらず、そういう配慮が必要だという趣旨は理解できるわけでございます。これまでにおきましても、知事が必要と認める場合に、三十七条を発動して再鑑定というのは推し進めてきておるわけでございます。私どもも、全国会議等の機会あるごとに、三十七条の実地指導というようなものについての趣旨を説明し、その励行を呼びかけておるわけでございますが、今回の事件の究明をある程度まとめた段階におきまして、先生の御趣旨も踏まえて検討してみたいと思っております。
  79. 塚田延充

    ○塚田委員 精神病院の作業療法についてお尋ねしたいと思います。  昭和三十六年十月の保険局長の通知及び四十五年三月の通知などによって、作業療法につきまして県を通じ各精神病院を指導しているわけでございますが、宇都宮病院におきましては、これらのガイドラインと申しましょうか、通知内容にかなり違反した事実があったというふうにマスコミを通じて報道されているわけでございますけれども、この作業療法についての宇都宮病院の状況、違反の事実を御説明ください。
  80. 大池眞澄

    ○大池政府委員 今回、宇都宮病院の事案につきまして、作業療法と称して患者を使役しているのではないかという問題が提起されていることは耳にしているわけでございますが、まだ結論としてそういう事実の確認が必ずしも終わってない段階でございます。この点、県とも一体となって詳細に調査を行っておるわけでございますし、今いろいろとその内容の詰めをして、さらに必要な補足の調べも行ったり、進行中でございます。このようなことを踏まえまして、この作業療法問題について、先生御指摘のような何か指針的なものを検討するというようなことは今後勉強してみたいと思っております。
  81. 塚田延充

    ○塚田委員 この作業療法なのですが、三十六年の通知では「作業を奨励する意味で、煙草銭程度のものを支給することもある。」と指摘したわけでございますけれども、このような報酬に対するあいまいな指導内容が、今回の宇都宮病院などでは悪用されてしまったというような感じがしてならないわけでございます。そういうわけで、こういうガイドラインについても考え直すということですけれども、どうも厚生省の場合通知はよく出しているけれども実行が伴わないということですから、いっそ作業療法に関するガイドラインみたいなものも精神衛生法の中に盛り込んできちんとさせたらいかがかと思うのですが、政府の方針をお伺いしたいと思います。
  82. 大池眞澄

    ○大池政府委員 精神医療におきます作業療法は、非常に専門的にもいろいろな御意見、御議論もあるところでございまして、ある一つのいわば役所的な線で、それ以外は認めない、それのみというようなことはなかなか難しい面もあるわけでございます。しかし、さりとて、ただいま御指摘のような問題も提起されておるわけでございますので、そういう意味で専門家のお知恵も場合によってはおかりしながら勉強してみたいと思っております。
  83. 塚田延充

    ○塚田委員 勉強されるということですが、その勉強の基礎資料を得るためにも、全国の精神病院の作業療法の実態について一斉調査をなさるお気持ちはございませんか。私はやるべきだと考えておるのですけれども
  84. 大池眞澄

    ○大池政府委員 医療監視あるいは精神衛生実地指導ということを精神病院については重点的に実施していく際に、その内容に今先生の御指摘のようなことを織り込めればということで検討してみたいと思っております。
  85. 塚田延充

    ○塚田委員 宇都宮病院の例についてのマスコミの報道からしますと、通信、面会の自由が大分侵されているのではないかと判断せざるを得ないわけでございますけれども、ある言葉遣いによりますと北関東医療刑務所という別名があるというようなマスコミの記載もあるわけでございます。  そこで、この通信、面会の自由を精神病院の中において保障するということは患者の人権を擁護する上で大変大切な問題だと思うのですけれども、これらの自由を保障する具体的な改善措置厚生省としては今後どのように考えて、また指導していくのか、お聞かせいただきたいと思います。
  86. 大池眞澄

    ○大池政府委員 私どもも、基本的に、患者さんの人権を擁護するという観点のみならず、患者さんの治療効果の向上、社会復帰の促進という観点からも、必要な面会が確保されるというようなことは重視しておるわけでございまして、これまで発しております通達の中におきましてもそのような点は述べられているところでございます。  今回、宇都宮病院を調査いたしました際にもその面会の状況等についても掌握しているところでございますが、病棟によりましては専用の面会室がないというようなことも所見としてはあるわけでございます。このような点について、今後の指導にこういう現実の出来事を十分反映させて、ただいま先生御指摘のような面会の確保というような点についてはさらに徹底を図るように指導を行ってまいりたいと思っております。ただ病状によりまして、これはあくまでも主治医が判断をされることでございますが、今進行中の症状に非常に悪い影響を与えるというようなことを主治医が判断される場合はまた別でございまして、この点につきましても、精神衛生法の定めによりまして、医療と保護にとって不可欠な限りにおいて云々というような定めもあることでございますので、御理解を賜りたいと思います。
  87. 塚田延充

    ○塚田委員 現在精神病院に入院している患者は約三十二万と言われておりますけれども、そのうち措置入院じゃなくて同意入院という形のものが約八割と言われておるそうでございます。この同意入院の方々が問題なのです。保護者の方が入れてくれと言われると、本人が了承しなくても、先ほど申し上げたように収容されてしまう。一たん収容されてしまうと、そこから抜け出す手だてというのがほとんどなくなってしまう。  そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、このような三十三条、三十四条に基づく同意入院の場合、入院するときもしくは入院した直後、例えば一カ月なら一カ月後に必ず三十七条と同じような精神衛生鑑定医による鑑定を受けなければいけないというようなことを義務づける、このようなシステムにすることがいいのじゃないかと思いますけれども、そのように精神衛生法を改定されることを検討される意向があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  88. 大池眞澄

    ○大池政府委員 私どもの立場といたしましては、現行の精神衛生法につきましては、これまでのいろいろな経緯を踏まえて組み立てられた法律として、その最善の運用ということで対処しておるところでございます。  御指摘の点につきましては貴重な御提案だと思いますけれども、この際、精神衛生法の改定を前提とする検討というのはまだちょっと距離があるように思うわけでございますが、御指摘の趣旨はよく踏まえて今後の指導、運用の面で十分そういったことを配慮してまいりたい。裏返して申しますと、現行の仕組みの中で指導によって趣旨が達成できるのではなかろうかということも考えておるところでございます。
  89. 塚田延充

    ○塚田委員 その三十七条の使われ方が余りよくないのじゃないか、だから宇都宮病院のようなケースが発生したのじゃないかと私は思うのです。  じゃお伺いいたしますけれども、五十七年に限っても結構ですけれども、三十七条を発動してほしいという申し出を本人から受け取ったことが何件あるのか、もしくは家族から受け取った件数が何件あるのか、またはその他第三者かもしれませんけれども、いずれにせよこれは知事に対する申請かと思うのですけれども、その申請件数が何件あり、そしてその件数に対して知事が何件を認め、何件を却下したのか、却下した場合その知事の却下の理由は何であるのかこれをお伺いしたいと思います。
  90. 大池眞澄

    ○大池政府委員 今、ちょっと手元の資料として持ち合わせておりません。また、今先生おっしゃったような細かいデータとして業務調べということは行っていないわけでございまして、トータルで三十七条関係が二百件前後と記憶しておるわけでございますが、年間行われているところでございます。その中には、御指摘のような家族からの申し出もございますし、また知事独自に判断をして行う場合も含まれているはずでございます。  なお、三十七条関係につきましては、件数は今申し上げたようなことでございますけれども措置入院患者、この方々については本人も家族も同意なしというようなことで措置をしておる患者さんでございますので、こちらに大いに力こぶを入れて、二十九条の五に基づく精神衛生鑑定医による病状審査、これは非常にたくさんやっておるわけでございまして、年間一万件にちょっと欠けておりますけれども九千数百件やっておるところでございます。その中には本人あるいは本人の保護義務者からの申し出の件数も含んでおるわけでございます。
  91. 塚田延充

    ○塚田委員 三十七条で、冒頭に知事が必要と認める場合という文言があるわけですけれども、私はこれがひっかかってくると思うのですよ。ですから、多分栃木県においてはこの三十七条の発動は昨年度一件もなかったと思うのです。ところが宇都宮病院のケースがこの前発覚した。もう既に百人ぐらい転退院しておる。それからほかのケースでも、三十七条をやると十数%の方々が退院命令を知事が出すようなことに追い込まれておる。とすると、宇都宮病院の患者の場合、申請するルートそのものがない、方法そのものがない。ですから、せっかくの同意入院者あたりに対する救済措置としての三十七条が、死文化してしまっておると私は判断せざるを得ないのです。  そこで、このように三十七条がきちんと生きるように、知事に対しての申請のルートとか何かを保障するような規定を精神衛生法上に盛り込むとか、三十七条を変えるとか、その意思はないでしょうか。
  92. 大池眞澄

    ○大池政府委員 三十七条、二十九条の五はいずれも再審査の道でございますが、最終的には知事が判断するわけでございまして、その知事の判断に結ぶ道としては、先ほど来申し上げておりますように家族との面会もございましょうし、それから、すべてが閉鎖病棟に入っているわけでもございませんので、現実にはいろいろな道が開かれておるということでございます。究極的には、精神病院の管理者なり直接の従事者なりの医の倫理というところに、我々としては信頼を置くしかない部分がどうしても最後に残るわけでございますが、現在はそのような仕組みの中で行われておるわけでございます。
  93. 塚田延充

    ○塚田委員 今の御説明はちょっと抽象的過ぎると思うのですが、私は、宇都宮病院のケースを取り上げて、あんなにも多くの方々が苦しんでおったのならば、必ずその中にも知事に対して申請をして救済を求める声が強かったと思うのです。ところが、結果的には病院の閉鎖性であるとか密室性によってそれができないでおった。やっと明るみに出て、厚生省も動いた、県も動いたから転院、退院することができるようになってきた。そういう意味においてこの三十七条、知事に対する申請のための保障措置を今後制度上としてもきちんと保障できるように考えていただきたい、このように私は質問したわけですが、それについてはいかがでしょう。
  94. 大池眞澄

    ○大池政府委員 御指摘の趣旨を踏まえまして研究させていただきます。
  95. 塚田延充

    ○塚田委員 今まで私が質問しましたことを通じてちょっと総括みたいなことをしてみたいのですけれども、まず、厚生省の精神病院に対する監督指導というのが、通知はよく出しておる、それで終わっておる、そしてすべて県任せになってしまっておる、本来の医療法に基づく厚生省としての責務権限が全然生かされておらない。別な言葉で言うと厚生省行政面において怠けているのじゃないか、このように言わざるを得ぬような気がするのですけれども厚生大臣としてはこの件についてどのようにお考えになり、今後どのように対処する御予定でしょうか。
  96. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 私は厚生大臣として、部下の職員が怠けておるとは思いませんけれども。ただ、宇都宮病院の問題が起こって、私も精神障害者対策いろいろ勉強をさせていただきましたが、世界の中で、精神障害者対策というものの歴史が、日本は出発点がおくれておることは間違いないようであります。そういうことから、そのほかの施策に比べて、先生から怠けているのではないかという御指摘をいただくような、決して怠けておるのではございませんけれども、まだ完全でない部門が幾つかあって、そういう中で今回の事件が起こっておることは率直に反省しなければならないと思います。  ですから、さっき私が申し上げたように、今病院に入院しておる患者の人権保護、これは何といったって一番大事なことでございますから、先生からも提案がありました、これも先ほど公衆衛生局長から答弁がありましたように、現行法の中で先生御提案のようなものができるように、これからできる限りの検討をしてまいります。またできなかったら、もう少し勉強させていただきまして、今御提案のありましたような患者の人権保護に対する施策というものを、通知だけではないかと言われないように、都道府県の自治体の責任者と十二分に今後連絡をとって対策を立ててまいりたいと思います。
  97. 塚田延充

    ○塚田委員 最後に大臣に確認をしておきたいのですけれども、私がしつこく追及しておりました同意入院者を救済するためじゃないかと思われる精神衛生法第三十七条、これが実際はうまく活用されていないのではないか、活用される道が開けてないのではないか。それのひっかかりの文言というのに、知事が認めるときというのがある。それじゃ、知事が認めるときというのはどういうような判断基準が具体的に裏にあるのか。それから、知事に対して申請をする方法なりルートが全然保障されてない。その保障の方法がなければ、やはり精神衛生法の体系全体が不備になっておる、そしてその中の最も根幹と言われる三十七条が死んでおる、こういうことで、ぜひその三十七条の件について、大臣には、改正といいましょうか改善について御検討いただきたいと思いますが、一言大臣の所見をお伺いしたいと思います。
  98. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 三十七条の問題を通じまして現行法で適切な処置ができるかどうか、そういうことを幅広く含めてこれから勉強し、検討してまいりたいと思います。
  99. 塚田延充

    ○塚田委員 ありがとうございました。  宇都宮病院問題を契機とする精神病院全体に対する実地指導のあり方、特に同意入院者の救済について私はいろいろ御質問したわけですけれども、さらに具体的な問題につきまして、神田議員の関連質問に譲りたいと思います。
  100. 有馬元治

    有馬委員長 神田厚君。
  101. 神田厚

    神田委員 ただいまの塚田委員の質疑に関連をいたしまして、大臣並びに関係者に御質問を申し上げます。  言うまでもなく、精神病院は、不幸にして精神をむしばまれた人たちにとりましてその診療と社会復帰の上で欠くべからざる存在でありますが、今回の報徳会宇都宮病院の問題は、このような精神病院に対する信頼性というものを著しく傷をつけているわけであります。そして、その問題は幾つかあるわけでありますが、ただいま塚田委員の方から指摘がありましたように、厚生省の実地指導の形骸化あるいは病院の閉鎖性、特に通信、面会等々の自由が保障されてないために、多くのこういう人権的な問題が惹起しているわけであります。  そこで厚生大臣にお伺いいたしますが、このような今回の事件を考えまして、これを一つの契機として、厚生省として、全国の精神病院さらには自治体に対しまして、病院の行政指導について具体的な新たな通達を出す考えをお持ちになっているかどうか、いかがでありますか。
  102. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 先ほどからもいろいろ御指摘をいただきました。今、宇都宮病院の問題は県と協力をしながら真相の究明に努めておるところでありますが、ほぼ全容をつかみつつあるとはいえ、まだ完全にこれらの調査が終わったわけではございません。しかしいずれにしても時間の問題でありますから、この真相を十二分に突きとめて、この宇都宮病院のようなことがまた全国にあってはならないことでありますから、今の先生の御指摘を踏まえて、この宇都宮病院の事件、問題をひとつ反省のきっかけとして、今後においてそういう問題が起こらないような処置を、どういうことをやれば一番適切な処置になるかということは、今も塚田先生からもいろいろ非常に貴重な御提言等をちょうだいいたしておりますが、また、我々のところにもそういう専門的なことをやっておる者がいっぱいおるわけでありますから、十分に検討をして先生の趣旨に沿うような方向に努めてまいりたいと思います。
  103. 神田厚

    神田委員 それから、関連しまして、警察庁の方にも来ていただいておると思うのでありますが、この問題が、栃木県警等の精力的な捜査によりまして、県警始まって以来の捜査陣を投入するというような形で、現在事件の解明が行われているわけでありますが、この事件が逮捕者を出す段階の以前に、実は昨年の六月にこの病院を退院した退院者が、この問題について、東京の警視庁目黒署に、石川院長ら関係者を逮捕監禁罪で昨年九月二十八日に告訴をしている、目黒署は十月三日に告訴を受理し、十月八、九、十の三日間その退院者から調書をとっている、こういうふうに聞いておりますが、この件はいかがでありますか。
  104. 三上和幸

    ○三上説明員 今お話しございましたように、昨年の十月三日に、告訴者本人に対します逮捕監禁罪ということに関します告訴が出まして、これを受理いたしたわけであります。その関連におきまして十月の五日、九日、十日と三日間にわたりまして、事情を聴取した事実がございます。
  105. 神田厚

    神田委員 調書をとる段階で、この退院者は、目黒署の係官に対しまして、昨年四月に病院内でリンチ殺人事件が発生をした、それから、従来から看護人による暴行が日常茶飯事であった等々の病院の荒廃ぶりを供述すると同時に、このまま放置をすれば近い将来必ずリンチ殺人事件が発生すると訴えて、捜査当局に対しまして宇都宮病院の捜査を懇請した、こういうふうに聞いておりますが、その辺のところはどうでありますか。
  106. 三上和幸

    ○三上説明員 当時入院をしている際に見聞をしました暴行等の事実、あるいは今回問題になっておりますような傷害致死事件等に関しましても話が出たようでありますけれども、警視庁の目黒警察署におきましては、栃木県警察に十分お話をされたらどうかということで指導をし、御本人から了解を得たというふうに私ども承知をいたしておるところでございます。
  107. 神田厚

    神田委員 私は、もしこの時点で捜査が適当に行われていれば、十二月には少なくともリンチ殺人事件というようなことがあるいは起こらなかったのではないか、そういう事件を重ねることがなかったのではないかということを考えているわけでありまして、この時点で、この供述の中に、具体的にリンチ殺人事件があったり、あるいはそういう病院の荒廃ということが供述をされていたのかどうか、その辺はいかがでありますか。
  108. 三上和幸

    ○三上説明員 ただいまも申し上げましたように、昨年の四月にございました傷害致死事件と申しましょうか、そういったことに関連する話が出ておるというように聞いております。
  109. 神田厚

    神田委員 精神病院に入院をして退院をした直後の人からの話だということで、あるいはこの訴えを受け入れた係官の方で、本当に話を信用していいんだろうか、そういうものがあったのだろうというふうに思うのでありますが、しかし結果的には、その退院者は、結局東大医学部の先生の、自分は入院当初から精神病者ではないという診断書を持って、再度目黒署にかけ合いに行ったというふうなことであります。  そういうことで、私は、精神病院に入院をしていたからといって、その人の話が、訴えが受け入れられなかったというようなことはやはり非常に問題があったのではないか、こういうふうに思っているわけでありまして、そういう意味におきましては、この事件をさらに深刻にしてしまったというふうなことで、こういう捜査の最初の着手の段階でやはり問題があったのではないかというふうに思っております。そういう意味で、こういう人の訴えにもう少し謙虚に耳を傾け、そこから捜査の芽を伸ばしていくというふうな努力がもう少しなされてもよかったのではないかと考えておりますが、その点はいかがでございますか。
  110. 三上和幸

    ○三上説明員 先ほどもお答えをいたしましたように、当時、目黒警察署におきましては、栃木県の方に訴え出ることを指導申し上げたわけでございますので、当時の判断としてはそちらに相談に行っておるものという判断をしておった、このために、栃木県の方には相談に行っておられないというようなこともございまして、結果的に十分な連絡がとれてない状況になったわけでございますが、私どもといたしましては、今後とも、都道府県警察が相互に十分な緊密な連絡をとりまして、スムーズな捜査ができますように指導もしてまいりたいというふうに考えております。  それから、今お話しありましたけれども、どういう方からの被害の申し出であれ、その被害の申し出等につきましては、十分その申し出の内容をしんしゃくをいたしまして、その実態を把握いたしまして、捜査を要するものであれば捜査を遂げていくということが必要であることはもちろんでございまして、私どもといたしましても今後ともそのような指導をしてまいりたいと考えております。
  111. 神田厚

    神田委員 時間が来ましたので、最後に厚生大臣に。  こういう入院患者さんの人権擁護といいますか、あるいは入院をして退院をした人たちの人権擁護という問題につきまして、厚生省としてもしっかりとその辺のところを行政の中で取り組んでいただきたい、こういうふうに思っているのですが、最後に一言お伺いいたします。
  112. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 たびたび私が申し上げておりますように、先生御指摘の人権というもの、これを我々は最も念頭に置いて対策に当たらなければならないのは当然でございます。ただ、精神障害者という特殊な病状の中で、やはり適切な保護というのも必要である。また、極めてこれは医学的なものでこういうものを前提に考えていかなければならない。非常にこの対策が専門的であり、これは非常に難しい問題であることは御理解いただかなければならないと思いますが、そういう前提の中で、やはり精神障害者の皆さん方ができるだけ早く治って、そして社会復帰できるように、そういう対策を立てていくために今後努力をしてまいりたいと思います。
  113. 神田厚

    神田委員 終わります。ありがとうございました。(拍手)
  114. 有馬元治

  115. 田中美智子

    ○田中(美)委員 アトピーについて質問させていただきます。文部省と厚生大臣に質問いたします。  アトピーというのは、御存じのように赤ちゃんから小学生、中学生までに、非常に多い皮膚の疾患です。私はよく主婦の集まりなどに行くのですけれども、例えば五人集まった集会でも一人は必ず子供にアトピーがいるとか、孫がアトピーで非常に苦しんでいるというのを聞きまして非常にびっくりしたわけです。それで、いろいろ専門の先生などを駆けずり回りましていろいろ伺いました。ところが、この病気は原因がはっきりしない、だから根本的な治療方法というものももちろん明らかになっていない。しかし死なないのだ。大体二十五歳ぐらいまでには治るのだということなわけですね。  例えば学会などで小児科の医者は、この原因はミルクの中にあるのではないかとか、お母さんの食べているものではないかというふうに、食品添加物が影響しているのじゃないかというようなことを言われますと、皮膚科のお医者の方は、これは全部じゃないのですけれども、これは体質的、遺伝的なものではないのだとかいうようなことで意見が対立する。またアメリカのお医者さんなども、この研究をして、どうもアトピーの子供は知能が高いようだというような、それもどうしてなんだろう、こういうような形で不可思議、不可思議できているわけです。しかし、死なないからといっても、しょっちゅうかゆいわけですから、特に布団に入ってから温かくなりますとあっちこっちかゆい。その皮膚疾患が体じゅうを回るわけですね。こっちがかゆくなったりこっちがかゆくなったりということですので、小さな子供は慢性的な不眠ということにもなって発育にも影響するかもしれませんし、また学校や幼稚園や保育園に行っている子供たちもやはり集中力が少なくなっていくとか、また受験期の子供がとてもかわいそうで、勉強できないと言って、お母さんたちが何とかならないものかという訴えをしているわけです。  私は、一番大きいことは、やはり牛や馬と違うおけですから、人間の人格形成の最も大事なときに、長期にわたって三年、五年、長い人は十年、十五年というふうにどこかがかゆいということですから、これは想像に絶するような苦しみではないかというふうに思うのですね。ですから、苦しみだけでなくて、第二の人格ができる時期に、やはりこれは厚生省としても考えなければいけないし、また文部省としても、子供の教育という観点からも考えていかなければならない問題ではないかというふうに思いました。  それで、一体どれぐらいいるのだろう。私が回って集まった数では非常に感覚的ですから、何か数字はないかと厚生省に伺いましたけれども、ちゃんとした調査はない。先生方のところを回っても余りない。結局あるものは受診だけなんですね。病院に来た子供がどれだけいるか。この病気というのは、軽いのも重いのもあるわけですけれども、死なないわけですから、つい医者へ行かない。ちょっと治れば行かない。ですから春休みになりますと、もう皮膚科は阿鼻叫喚というふうに、学童ですと休みのときにばあっと来て治療しよう、学校が始まればまたあれだ。小さい子供たちも、お母さんが働いておりますと、幼稚園や保育園に行っている子供でもつい後回しになるということで、受診率では、ちゃんと医者にかかっていない人が多いということです。  これは「皮膚臨床」という医学雑誌ですけれども、日大の先生や東松山市立病院の先生などの研究グループが雑誌に出された論文ですけれども、この中に伝染性の皮膚疾患、昔のようなかいせんだとかなんとかそういう皮膚疾患が非常に少なくなっている。「ところが現実には校医から皮膚病は非常に多いがどう指導すればよいか、」というふうな問い合わせがこの医者のところに来ているというんですね。結局、アトピーは伝染病の皮膚炎じゃないですからということです。それで、いろいろ先生を紹介していただいてお会いいたしました。  愛知県の保健衛生大学の教授で上田宏先生という方がいらっしゃるのです。この先生が最近、愛知県で三年間にわたって、一般の子供の中で何%ぐらいアトピーがいるかということで調査をなさったんですね。これは大ざっぱに申し上げますけれども、三歳から五歳の子供が四・五%、小学生が三・二%、中学生が一・九%いると。この数字がわかったものですから、非常に粗い推測ですけれども、全子供に当てはめて私が計算してみましたら、七十万八千という数字が出たわけです。これは粗っぽい数字ですけれども、これしかないということでは余りにもお粗末ではないか。そういう点で、厚生省と文部省に、どれくらいのアトピーがいるのかということをまずぜひ調べていただきたいというふうに思います。調査方法はどういうのでもいいですから、学校でしたら健康診断の中に入れるとか、入れる前の段階としてまず調査をしてみる。それで、本当にこういう数字になるかどうかはわかりませんけれども、ぜひ調査をしてみていただきたいと思うのですけれども厚生大臣とそれから文部省の方に伺いたい。御回答願います。
  116. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 アトピー性皮膚炎でございますけれども、詳しくお話しがございました。確かに私どもの方では、患者調査によりまして、病院に受診した者のデータしか持ち合わせておりません。これは一般の病気につきまして広く用いられておる数字なのでございます。全国の推計値でございます。またこの病気は、お話しにもございましたが、原因は確かに不明でございます。アレルギーという説もあるようでございますけれども、確かに不明である。また治療法は……
  117. 田中美智子

    ○田中(美)委員 質問に答えてください。調査をしていただきたいということです。
  118. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 今のところ、実態調査を行おうという考えはございませんけれども、今後とも患者の動向等については実態の把握に努めてまいりたいと思います。
  119. 青柳徹

    ○青柳説明員 文部省におきましては、毎年春の学校におきます健康診断の結果に基づきまして、学校保健統計調査というのを実施いたしておるわけでございます。御指摘のようなアトピー性皮膚炎のような疾患につきまして、個々具体的な数字は私どもはつかんでないわけでございます。主要な疾病や異常につきましての大まかな数字はとっておるわけでございますが、何分にも学校の児童生徒の疾病は非常に多様でございますし、生徒数も多うございますので、調査といたしましては全体の区分で実施をしておるというところであります。
  120. 田中美智子

    ○田中(美)委員 調査をしているということですか。今しつつあるということですか。
  121. 青柳徹

    ○青柳説明員 皮膚病も含めまして、例えば心臓疾患でございますとか、腎臓疾患でございますとか、虫歯、う歯でございますね、あるいは目の病気、そういった全体の区分での調査は、サンプル調査でございますが実施をいたしております。ただ、個々具体的な疾病のいろいろにつきまして調査をいたしますとこれは大変な作業になるものでございますので、そこまで踏み込んだ調査まではいたしてないわけでございます。
  122. 田中美智子

    ○田中(美)委員 厚生大臣、これほど子供たちを苦しめていることがわかっていながら、全く調査をする気もありませんということは一体どういうことですか。――これは大臣に聞いているのです、あなたはもうやらないと言ったのですから。
  123. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 医務局長は医学者でございますから今専門的な立場で答弁をしたのでありますけれども、私も病気の方は専門家でございませんが、今先生からお話しをお聞きしますと、子供が非常に苦しんでおるということで、この病気とは別と思いますが、私らも子供のころはかいかいで大変苦労しました。しかし、子供がかゆみに苦しんでいるというのは無関心でおれることではございません。今文部省のお話を聞きますと、文部省ではこれからいろいろ調査するという――そこもはっきりしないのかな。(青柳説明員「いいえ、全体の区分での調査はしておりますが、アトピー性そのものの調査までは実はまだ考えてないわけです。」と呼ぶ)  これはいろいろ事務的な問題やら専門的なことがありますから、幾ら大臣といえども政府委員に一切相談しないで――私自身にこれについての専門的な自信があれば、医務局長が何と言おうと、調査させますとここで言えば、先生から立派な大臣だと言われるところでありますけれども、そこまでの自信も私ございません。申しわけありませんが、もう少し勉強させていただけませんか。
  124. 田中美智子

    ○田中(美)委員 私は、そういう姿勢でいてほしいと思うのですね。どういうものであるかということは私自身もよくわからないわけです。しかし母親や子供たちが非常に苦しんでいる。実際に子供たちを見てみると本当に血がにじんでいるのですね、表がかさかさしていて。よくわからないけれども、私が見た子供でもこんなに苦しんでいるんだから、何とかならないかと言っているので、厚生省も文部省ももうちょっとその点は勉強していただきたい。頭から調査はしないんだと決めるのは間違いだと思うのですね。  これは新しい病気かもわからない。これは文明病とも言われていて、例えば、インドの空気のきれいなところで生まれた子供たちをロンドンに連れていったらアトピーになった。その子をまたきれいな空気のインドに連れてきたら治ったというような発表もされているのですね。ですから、一体原因はどこにあるのかということを調べるには、まずどれぐらいの数がいるのかということが必要だと思います。そういう意味で、いろいろな病気の調査をしていらっしゃるわけですから、学校でも保育園でも一応何とか数をとらえることができないかということをぜひ検討していただきたいというふうに思います。大臣が勉強して検討すると言っていらっしゃいますので、ぜひやってほしいと思うのです。  それと同時に、私は、この原因が何であるか、そして、どれがどういうふうな治療をしたらいいのかということの研究も当然それと一緒にやっていただきたいわけですけれども、まず数を調べるというところの検討はやっていただきたいというふうに思います。ほんのわずかな良心的な医者に任せておいていい問題ではないのじゃないか。余りにも子供がかわいそうだというふうに思います。  それで、文部省、厚生省にちょっとお願いしたいんですけれども、現在いるアトピーになっている子供たちをどうするかというので、これも研究していただきたいわけです。私も二、三の医者から聞いてきたという話ですので受け売りですけれども、これは「小児と皮膚の保健」という冊子ですが、これに国立小児病院の山本一哉先生という方の論文が載っています。これの一部を読んでみますと、「母親もその看護に疲れ、」、長いですからね。「疲れ、飽き、果ては幼稚園や学校の方が本症の治療より優先する」、保育園や幼稚園や学校の方がそれを治すよりも優先するんだ、そんな長い間休ませられないという論理考えられるようになる。「こうなると、到底専門医の指導を守っての治療などは望みえなくなるのである。」、こういうふうに言っていらっしゃるのですね。これは、結局もう親も子も疲れ果ててギブアップということなんですね。ですから、保育園の保母さんやまた学校の養護教員に、医者の指示に従って薬を塗るだとか、またアトピーの病気に対する懇切な指導とか、こういうものをぜひやっていただきたい。そうすると、医者は言っているんですけれども、きちっと医者の指示をあれしていれば、治らなくてもかゆいということは相当おさまるんだと言うんですね。そうすれば、治るのは先であっても、先ほど言いました人格形成の大切なときというそのときのかゆさが非常に軽減されるということになりますので、これをぜひ保育園や幼稚園、小学校、中学で何とかそういうことのお力をかしてもらえないだろうかというふうに思います。それぞれのところでお答え願いたい。
  125. 青柳徹

    ○青柳説明員 学校におきましては、先ほども申し上げましたように、年に一度、定期健診を春に実施をいたしておるわけでございます。そこにおきましては、皮膚疾患も当然健診内容の中に入っておりまして、御指摘のアトピー性皮膚炎なども、専門の先生に診ていただいて診断をしていただいておるわけでございます。それに基づきまして事後措置と申しておりますが、専門医による治療の指示その他の事後措置もやっておるわけでございます。  なお、御指摘のように、この疾病、学校の子供たちを悩ましておりまして、具体的に学校で養護に当たっております養護の先生方も大変心配をいたしております。先ほど先生のお話しにもございました山本先生などにも、私どもの養護教員の研修会にお出ましをいただいて、いろいろ保健指導の面での留意点等については御指導いただいたりもしておりまして、そういう研修会を通じまして、学校での保健指導の体制を徐々につくっていきたいと考えておるわけでございます。
  126. 吉崎正義

    ○吉崎政府委員 先ほどは、答えだけを申せとおっしゃいましたので、今のところそういう考えはないと申し上げたのでありますが、実態の解明につきましてもまた本体の解明につきましても、治療方法でありますけれども、ステロイド軟こうが一時的には効くんでございます、ですけれども、またしばらくたつと出てきてしまう、こういうことで、この治療方法の解明につきましても、厚生省としましては強い関心を持っておるところでございます。今後十分検討してまいりたいと考えております。
  127. 田中美智子

    ○田中(美)委員 この病気は、医者が指導をするとき、治らないわけですからなるたけかゆくならないように、ひどくならないようにという指導が要るわけですね。それは非常に長期的、計画的でなければならないし、ということになりますと、医者の指導の技術料というのですか、これはやはり十分にしないと、医者がきちっとした指導ができないのではないかと思うのですけれども、その点厚生大臣
  128. 吉村仁

    ○吉村政府委員 今年の三月の診療報酬の改定に当たりまして、このアトピー性皮膚炎につきましては、慢性疾患指導管理料の算定の対象になる疾病に指定をしたところでございます。したがって、その実施状況を見ましてまたその技術料などについては考えていきたい、こういうように考えております。
  129. 田中美智子

    ○田中(美)委員 厚生省もそこはわかっていらっしゃるわけですよね。だからそういうことをしょうというわけですから、その点をさらに進めて、早めていただきたいというふうに厚生大臣、ぜひお願いしたいと思います。よろしいですね。  それでは、次の質問に移ります。  厚生年金保険法四十一条、国民年金法二十四条では、年金証書を担保にとってお金を貸すということは禁じられているわけですね。これは御存じだと思いますけれども、やはり受給権というものは生活権だというふうに見ているから、たとえ本人がそれで金を貸してくれと言ってもそれはいけないんだということです。かつて生活保護手帳を担保にしてお金を貸すとか借りるとかということがあって、これは是正をされたというふうに思うのです。  今、非常に町ではうわさになっているわけですけれども年金証書をとられたというのは非常にたくさんあるという話を聞いていたんですね。ところが、つい最近の話ですけれども、ことしになりまして、私のところに泣き込んできたという人から、はっきり一つの事例が出てきたわけです。これは単なるうわさではないなということがわかったわけです。  これによりますと、ある七十四歳のお年寄りですけれども、この方が、サラ金から年金を担保にしてお金を借りていたわけですね。ところが、このお年寄りは、老人ホームに入りたいということで申し込みをしたところが、年金証書を持ってこいと言われたわけです。年金証書はサラ金に行っていてないんだということで、じゃそれをもらってきなさいというのでとりにいったわけですね。ところが、お金を返さなければこの証書は返せないということで、このお年寄りが非常に困って、私のところに泣き込んできたわけです。それで、私の事務所の人が、それは法律的に違うんじゃないかということで、そのサラ金に行ったわけですね。そうして言いましたら、国会議員の事務所から来たというので、一応そこは年金の証書を返したわけですね。それでそこのところは一応解決したわけですけれども、一体どういうところなのかということで調べてみたわけです。  ところが、こういうビラが新聞の折り込みに入っているのですね。「年金受給者融資」となって「東海年金保証」というふうになっているのですね。だれが見ても、これは年金を担保に金を貸してくれるのじゃないか、こう思ってしまうわけです。持ってくるものといいますと、ずっと印鑑証明から、年金の振り込み先の通帳だとか、年金改定通知書とか、振り込み通知書とか、こういうものまでもみんな持ってきているのですね。ですから、ただ年金証書を、私は年金受給者だから来月は三カ月分入るからちょっと貸してくれと言って、それを見せただけではないということが想定できるのですね。これが県ではきちっと登録されているのです。登録するときは東海企画という形で登録している。屋号は東海年金保証。これも県は知っているのですね。こういう形でこれを登録しているというところに、これは年金法に違反しているのではないかというふうに私は思うのです。  こういうことはどうお考えになるかということです。年金生活者の生活権がこれから奪われてしまう。本人が悪いということはありますけれども、知らないでいると、ついお金に困ればやっちゃうわけですね。サラ金ですからだあっといってしまうのです。そうすると一生生活権がなくなってしまうというので、大変なことになるわけです。それはどうでしょうか。
  130. 朝本信明

    ○朝本政府委員 先生からただいま事例の御紹介がございまして、先生の方でどのようになさったかというお話しがございましたが、私ども当然、年金はお受け取りになる方の生活の基盤という意味で大変大事なものということで、お話しがございましたように法律にも規定があるというわけでございます。  さらにまた、年金証書自体にも、この年金証書は大切に保管してくださいということは書いてございまして、それで、年金をお受け取りいただく銀行を御指定いただくときには、御本人の口座であるという銀行の証明までいただいているわけでございます。これを第三者が、通帳も皆預かるのだというような形で取り上げてしまうということは、あってはならないことではないかというふうに考えております。
  131. 田中美智子

    ○田中(美)委員 それはもうわかり切っていることですので、こういう行政指導をどうしているかと大臣に聞いているのです。県の方はそういうことをよく知らないのですね。何か年金証書があれば金が借りられるのではないかというような、法律をきちっと知らないのです。県に登録をしているわけですから、そこの指導をきちっとしていただきたいというふうに思います。
  132. 朝本信明

    ○朝本政府委員 県の方に対する指導はどうかということでございますが、私どもの方は、年金を正確に、迅速にお渡し申し上げるということを主体にいたしておりまして、それをお受け取りになった受給者の方が、お使いになる道筋の中でどういうことがあるかというのについて、指導をするということはなかなかできませんので、例えば金融業者のあり方というようなことについてお話しのような事例が生じておりますような場合には、関係当局に十分な指導をしていただきたいというお願いをするわけでございます。
  133. 田中美智子

    ○田中(美)委員 県の窓口がきちっと知らないということは、本人に、年金証書は大切なものだから大事にしまっておきなさいよ、これだけではだめなんですよ。金が借りられるから大事がなと思うわけですからね。そういうことだってあるわけですから、やはりこういうひっかかるようなものがなるたけないようにと、一〇〇%はできないにしても、そういう行政指導をきちっとそれぞれのところにしていただきたいというように思うのです。その点大臣から二言お願いします。
  134. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 これは先ほども答弁しましたように、年金というのは老後の命の綱でありますから、これを失えば生きていけないわけでありますから、これは他にかわり得るものでありません。そういう意味で、これは大事なものですから保管してください、そういうことは、もうこれがなくなれば年金が一生受けられませんと、こういう意味で大事なものだから、それで金が借りられるというのはちょっと見解とは違いますから、そういう解釈にはならないと思いますが、年金というものが老後の生活にとっていかにかけがえのないものであるかということの指導徹底を図るのは当然であろうと思います。
  135. 田中美智子

    ○田中(美)委員 大蔵省にちょっと伺いたいのですけれども、こういう明らかに年金法に違反しているにもかかわらず登録をしているということですね。ここで、いわゆるサラ金規制法ですね、この六条に、こうこうこういう人は登録できないというふうに書いてあるわけですね。ところが法律的な解釈でいきますと、厚生年金法や国民年金法に違反している人は登録できないとなってないんですね。ですから、この六条に非常に不備がある。なぜここにこんな不備があるのかというように思うのですけれども、この中に、他の法律に違反している者は登録できないというふうにこの法律を改正する必要があるのじゃないか。大蔵省にお聞きしたいと思います。
  136. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈説明員 先生の御指摘の点でございますが、私ども相当厳しい行政指導をいたしておりまして、そのための通達を出しております。その通達の中では、年金受給証を徴求する、担保としてであろうとなかろうと徴求することはしてはならない、こういう銀行局長通達でございまして、したがって、先生のおっしゃったような事例があれば、まさにこの通達違反になるわけでございますけれども、この業者につきまして、先生からのお知らせを受けて早速調べてみました。そうしたら、その業者はまだ登録をしておりません。届け出だけなんですね。従来からの届け出をやっております。従来の届け出は全く自由でございましたので、拒否も何も決まっておらなかった、ですから届け出はできたわけですが、現在の状況では未登録で、申請もしてきておりません。しかしながら、先生の御指摘のように、もし仮に登録の申請をしてくれば、これは六条で拒否できない、拒否要件に入っておりませんので、それだけでは拒否できません。しかしながら、その実態が非常に悪質な取り立てをやるというような業者であれば、その後でいろいろな検査や処分などができることに。なろうかと存じます。
  137. 田中美智子

    ○田中(美)委員 悪質な取り立てをやればできるということでは、やはり法律を改正しなければ――これはいろいろたくさん書いてありますね。禁治産者がいけないだとか、禁錮以上の刑に処せられたらいけないだとか、いろいろ言っていますね。それなのに、「他の法律に違反している者は」というふうに一言入れておけば年金法に違反した者は登録させないで済むわけですので、なぜそれが入れられないのか、大蔵省に法改正を強く要求したいというふうに思います。その点大蔵省、この法改正を検討していただきたいと思います。
  138. 朝比奈秀夫

    ○朝比奈説明員 御指摘の点は、行政府といたしましては、ここで法律改正云々という点に触れるのはいささか立場上申し上げかねるわけでございますけれども、今後いろいろな改正の機会も出てまいります、そういう際には、御指摘の点も含めて研究してみたいと思っております。
  139. 田中美智子

    ○田中(美)委員 次に、簡易専用水道の問題について質問したいと思います。  かつて私の住んでおりました名古慶市の公団住宅で、夕方のちょうど主婦たちがお米をとぐときに、下水の水が蛇口から出るという事件がありました。これは大変大騒ぎになって、国会でも取り上げて、どこに原因があるかということをしたところが、貯水タンクが下水と上水がくっついていたのですね。ここが古くなってトイレの下水の水が飲み水の方に入った。これが上に上がって集合住宅の蛇口に出てきたということがわかり、これは早速に調査をして徐々に直していただくという形で改善の方向に向いたわけですけれども、そのときに明らかになったことは、こういう簡易水道の貯水タンクの中に水道の水が入ってくるまでは水道法で厳しくやられているわけですが、これがタンクの中に入って上まで行って蛇口から出るまでというのは、だれも管理者がいないということなわけですね。そのときにこれが改善されたのは、これは私が国会で取り上げたわけですけれども、そのときには、公団とか県営とか市営とかいうところは、ちゃんと責任者が水の検査をする責任者ということになったわけです。しかし、そのときに私がやり残した仕事として、マンションが野放しになっているわけなんですね。ですから、一見非常にきれいなすばらしいマンションに住んでいても、水は何を飲んでいるかというと、大変危ないわけなんです。それできょうは、簡易専用水道を使っているところで言っているわけです。  テレビなども取り上げておりますけれども、ときどきここを調べたところが、中に地下足袋が入っていたとか、ネズミの死骸とか鳥の死骸が入っていたとか、それからさびがずっと出ていて、中を見たらとても飲めないようなどろどろのようなタンクになっていたというようなことも、テレビなどでも放映されているわけです。しかし、それが全く野放しになっている。ここのところは何としても直していただかないと、これから夏に向けて生水を飲むわけです。私たち日本人は、水道の水に対する信頼度というのは非常に高いわけですね、蛇口から出てくるのは高いわけです。ところが、こういう集合住宅がたくさん出てきて、今までと生活様式が変わってきたものですから、直接水道の供給のところから来ていないわけですね。そこのところが非常に盲点になっているのではないかと思います。日本は、今のところはまだ衛生的にいいので大きな事件が起きていないわけですけれども、下手すると、何かあった場合にはそれこそ大変な中毒を起こすということもあります。また、これは推理小説ですけれども、タンクの中に人を殺して入れた。そうしたら、殺された女の人の髪の毛が蛇口から出てきたなどというような小説があった。そこから探ってみたら、人間がその中に入っていた。これは小説の話です。これは極端な話ですけれども、これさえチェックできないじゃないか、そういうことがあった場合に。そうすると、悪く悪く解釈すると非常に恐ろしいことが起きかねないということで、ここに何とか歯どめをかけていただきたいというのがきょうの私のお願いなわけです。  それで、厚生省に伺いましたら、二十立方メートルのタンク、ここの水というのが四十世帯ぐらいだということで伺ったわけです。私が、これは建設省からいただいた資料ですけれども、四十戸以下ですね、これは分譲マンションなんですね。ですから、分譲ですとここらは一番危ないところだと思うのですけれども、ここを見ただけでも約四十五万戸というのが全く法の規制を受けていない。二十立方メートル以上はある程度検査をするということになっているわけですけれども、それ以下は全く野放しになっているということです。ここのところを何とかやっていただきたいというのが一つのお願いです。時間がありませんので、大急ぎでまずお願いを申し上げますけれども。  それともう一つは、二十立方メートル以上のところ、大きいところですね。これは検査を一年に一遍とか二遍とかしなさいということになっているわけですが、この検査を受けていないところがたくさんあると聞きましたけれども、受検率というのはどれぐらいになっていますか。
  140. 山村勝美

    ○山村説明員 御指摘の検査を受けた率、いわゆる受検率でございますが、五十七年度の調査では、法規制を受けております四万八千の貯水槽のうち、七一・四%ということでございます。法施行後四年ほどたっておるわけですが、三年前は四二・九%でございますから、徐々に上がってきておる、まだ不十分であるというふうに認識をいたしております。
  141. 田中美智子

    ○田中(美)委員 そうしますと、二十立方メートル以下のところは全く法の規制がなしに野放しですね。だからだれも検査をしない。そこの人たちがやっていれば別ですけれども、全く野放し。それから、検査をしなければならないところも、七〇%ということは三〇%は全く野放しということですね。それから、検査をしなさいと言っても言うことを聞いていないところが大分あるというふうに聞いておりますので、汚いと言っても検査をしていない。それは自分が住んでいれば、こういうふうに汚いと言われれば気になるでしょうけれども、全部人に貸している、結局その検査はそのオーナーのところに来るとなれば、自分に関係なければ、汚ないと言われても検査をしないという人が相当あるというふうに聞いているのですね。そうすると大臣、検査をしなければならないところだって半数近くが野放しになっている。それから、小さなところは全く法の規制がない。これではいつか大きな事件が、何か大きな食中毒が起きて、初めてこれの改善に手がつくということでは私は困ると思います。たまたま名古屋の東山の公団住宅でああいう事件があったということがきっかけで多少改善されていったわけですけれども、そういうことがないうちにもっと早くしていただきたいと思うのですけれども、この点の規制をどのように計画し、今後どういうふうな計画でやっていかれるのか、お伺いいたします。
  142. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今御指摘のように簡易専用水道の検査の受検率が低いこと、また小規模なビルの水道で管理の不適切なものが多いこと等が問題であることは、そのとおりでございます。今後、受検率の向上と小規模ビルの水道における管理の適正について検討してまいりたいと思います。
  143. 田中美智子

    ○田中(美)委員 大至急でやっていただきたいというふうに思います。  質問を終わります。
  144. 有馬元治

    有馬委員長 菅直人君。
  145. 菅直人

    ○菅委員 渡部厚生大臣に幾つかの御質問をする前に、私、五十五年の選挙で初めて衆議院に出て、社会労働委員会に属しまして最初の質問が園田厚生大臣でした。園田先生が亡くなられたことを私も本当に残念に思う一人ですけれども、まずそのことを申し上げたいと思います。  思い出してみますと、園田厚生大臣はなかなか思い切ったことをよく質問に対して返答されておりまして、ぜひ渡部厚生大臣も負けずに思い切ったことを言っていただきたいということをまずお願いして、大変な審議が今後始まろうといたしておりますけれども、一言大臣にお伺いをしたいのですが、今年度、五十九年度の予算は政府案としては衆議院を通過したわけですが、六十年度、六十一年度の厚生省予算をことしと同じようにマイナスシーリングで組んでいくことができるとお考えかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  146. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 先生の御指摘、まさに今後の私どもの一番大きな問題でございまして、これは御承知のように、厚生省の予算は、それから年金であるとか医療であるとかは、いわば金がないからことし一年待ってくれというようなわけにいかない性質のものが多いのであります。しかも、これらの問題は急速に今進んでいる老齢化というものに伴って年々自然増が出てまいりますから、私は、今五十九年度の予算をお認めいただくことに精いっぱいでございますが、来年六十年度の予算ということを考えると今よりまたなお頭の痛いことは当然でありまして、私もその辺まで深く考えないで、とにかく最初でありましたので喜んで大臣を引き受けましたけれども、今、これらのことを考えますと、大変なときに厚生大臣をお引き受けしたということで、日夜工夫を重ねておるところでございます。
  147. 菅直人

    ○菅委員 来年度以降のことを深く考えないでこの予算を出されたと言われたのでは、国民としても大変困るわけですけれども、本会議場の審議などを通して、医療費の伸びをGNPの伸び以内に抑えたいというのを一つの政策目標とされているようですが、そう理解していいのでしょうか。
  148. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 誤解があると困りますから。五十九年度予算を深く考えないでつくったなどということではありません、練りに練ってやったのであって、私が今申し上げたのは、大臣をお引き受けするとき、これほど今度の予算編成で苦労をしなければならないかというところまで思いをはせる余裕がないうちにお引き受けした、こういう意味で、これは誤解ないようにお願いをいたしたいと思います。  そこで、御承知のように今六・三人の働き手が一人の老人を支えておるわけでありますけれども、これはいずれ四・二人で、さらに将来は三・二人で一人の老人を支えなければならない時代がやってきます。こういうことを考えますと、年金は今いろいろな工夫をしておりますがどうしても保険料がかなり増額していく方向にいくことは、どんなに頭のいい人が工夫しても避けられない状態でないかと思います。そういう点から考えると、臨調で指摘されている、将来にわたって西欧の先進国の水準を下回る程度に社会保障の国民の皆さん方の負担率をとどめるという方向で政策を検討しますと、やはり医療に対する保険料率は現行の水準を上回らないように努力していくということが、二十一世紀のしっかりとした社会保障をつくる上で不可欠の前提になると思います。
  149. 菅直人

    ○菅委員 私は大変持ち時間が少ないものですからもう少し端的にお答えいただきたいのですが、医療費の伸びをGNPの伸び以内に抑えたいというのが政策目標というふうに、何度かの大臣の発言あるいは総理大臣の発言などから聞こえるのですが、そう理解してよろしいのですか。簡単にお願いします。
  150. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 今も申し上げましたように、今後の高齢化また所得水準の伸び、そういう中で現在の医療費に対する国民の皆さん方の負担を経済成長の伸びの範囲にとどめたい、保健料水準を現行程度にとどめたいという目標を持っております。
  151. 菅直人

    ○菅委員 そうしますと一つだけ御指摘をしたいのですが、今年度の見通しで、今回の改正の案がなければ七・二%の増だという見通しを厚生省は立てられておりますけれども、薬価改定をやるとそれから三千五百億円は少なくなる。それを計算してみますと医療費の伸びが四・八%に。とどまる。そうしますと、GNPの伸びが政府の見通しは五・九%ですから、薬価改定だけやれば五十九年度についてはGNPの伸び以内におさまることになる数字が出るわけですけれども、これはそう理解してよろしいのですか。
  152. 吉村仁

    ○吉村政府委員 先生おっしゃるように、何も制度改正等をしなければ七・二%伸びる、そして薬価改定に伴う医療費の減、それをパーセンテージに直しますと二・四%でございますので、薬価改定だけをすれば四・八%の伸び率になり、その四・八というのは国民所得の伸び以下の数値である、これは事実でございます。
  153. 菅直人

    ○菅委員 このあたりから本来は本論に入りたいのですが、これは今後の健康保険法改正の審議の中で、こういう点を含めて、それでは今回の改正が本当に必要なのかどうかということについて、本法の審議の中でまた繰り広げていきたいと思っております。  それでは、短い時間ですがあと二点御質問申し上げたいと思います。  薬の特許について一つ申し上げたいのですが、薬の認可を含めてこの数年間大変いろいろと不祥事が多い。密室性とか一人二役とかあるいは薬価基準のときの高値操作の問題等々たくさんあるわけですが、ある意味で、薬メーカーの言い分を聞きますと、新薬が認可になったときにはもう特許権がほとんど残っていない、そこで短期間に開発コストを回収したいからいろいろと無理が出るんだ、こういう点、本来特許権の期間は十五年あるいは出願から二十年あるわけですけれども、新薬開発に相当コストをかけて開発した場合は、例えば出願から十八年国に認可になった場合には特許権の期間を少し延ばしてくれないか、こんな要望もあるようですけれども厚生大臣として、薬事行政の面から、慎重に薬の認可に対して薬効や安全性を検討されることは絶対必要だと思いますが、このことと今言ったような問題における矛盾についてどのようにお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
  154. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 これは私も、厚生省に務めさせていただくようになりまして、この薬価の問題で考えておったことと、今先生からの御指摘は全く同じなのであります。確かに薬というものは研究開発が一番大きな前提になります。そしてまた、それによってすばらしい薬が研究されて国民の健康増進に役立ってきたわけでありますが、今先生御指摘のように、現行の状態ですと、新薬を開発してようやく軌道に乗ったところで他の人にただでこれをまねされるというようなことになると、これは研究開発の意欲、公平というようなもの、これはどうかなということを考えておったところでございます。今ここで、それならそのためにこういうことをやるというところまで残念ながら勉強しておらない、進んでおらないのでありますが、今御指摘の問題は今後の薬価行政にとって非常に重大な、重要な問題であるということで努力してまいりたいと思います。
  155. 菅直人

    ○菅委員 特許庁においでいただいておりますけれども、特許庁の方にもこういった問題についていろいろな働きかけなりあるいは議論があるかと思います。特許庁としてはこの問題をどのようにお考えですか。
  156. 福田泰三

    ○福田説明員 御指摘の特許期間の回復の問題につきまして、産業界から要望がございますことは承知いたしております。特許の存続期間につきましては、御指摘のように出願公告から十五年、出願から二十年と統一的に定められておるところでございますが、特定の分野におきましてこれに特例を設けることにつきましては、種々難しい問題がございます。  一つは、ほかの分野におきましても、安全面等の規制がございまして同様の事情もあるわけでございますし、また、分野によりまして権利の期間が異なってくる、あるいは中途で変更されるというようなことでございますと、社会的な混乱といった問題も起こりかねないわけでございます。  それからまた、特許制度は世界的に均一化の傾向にございまして、諸外国の特許制度の実情にも十分留意していかなければならない事情もございます。  御指摘のこの問題につきましては、特許の基本にかかわる問題でございますし、申し上げましたようないろいろな難しい問題がございますので、関係方面の御意見も聞きながら慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  157. 菅直人

    ○菅委員 大臣には御理解をいただきたいということなんですが、いろいろな問題点が多い薬ですが、ルールに乗せるべきものはちゃんとルールに乗せる、しかしちゃんとチェックすべきものは厳しくチェックする、そういう立場で、これは特許庁についてもそうですが、政府の同じ法律でもって特許権という権利を付与しながら、また政府の同じ法律でもって認可は許されないという時期がある、そうすると、これは幾ら開発しても使えないわけですから、そういうことも勘案をして、厚生省厚生省の立場なりでこの問題を御検討いただきたい、そのことを申し上げて、もう一つだけ別の問題を御質問したいと思います。  かんきつ類や小麦について、チチュウカイミバエの駆除のためにエチレン非ブロマイド、EDBという薫蒸剤が従来使われていたわけです。現在アメリカではこれが禁止になったということなんですけれども日本輸入されるものからこういう薬が検出されるというふうに聞いておりますが、この状態について、厚生省はどの時点でどういうことを知っていたのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  158. 竹中浩治

    竹中政府委員 EDBの問題でございますが、米国政府が二月に、穀類等へのガイドラインを決定いたしました。その前後、私どもそういう情報を得まして調査等の着手に入っておるわけでございます。
  159. 菅直人

    ○菅委員 余り要領を得ない御返答ですけれども、私が聞く限りは、小麦に関しては最近まで余り情報が入ってなかったというふうなことも聞いておりますので、情報収集等については、こういう非常に危険性の高いものですからもっと留意をされたいと思うのです。  かんきつ類について残留基準を決められておりますけれども、この基準はどういう基準であって、それはどういう考え方、つまりこの基準ならなぜ安全だと考えられたか、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  160. 竹中浩治

    竹中政府委員 かんきつ類につきましての暫定基準は、昭和五十六年に国立衛生試験所で経時変化に関する実験をいたしまして、残留量が〇・一三ppm以下であれば、つまり入港時点で〇・一三ppm以下であれば消費者が美食する、食べる時点ではその残留量が痕跡以下になる、そういう実験結果が得られましたので、これに基づきまして入港時〇・一三ppmという基準を設定いたしておるわけでございます。
  161. 菅直人

    ○菅委員 ちょっとこの資料をお渡ししたいのです。今お渡しした資料は、同じ国立衛生試験所の人が試験をした資料の一部なんですが、その左にパパイヤと横文字で書いてあるのがありますが、線が二本あります。今の御返答では、残留基準輸入の時点で〇・一三ppmであれば市場に出してもいいという判断を五十六年に決められたということなんですが、このパパイヤという右のグラフの中で点線の方を見ますと、これは三度から五度、つまり冷蔵した形でパパイヤが保存されたときに、〇・二〇ppmのものがどのように残留値が減っていくかという数値をあらわしているわけです。そうしますと、十日たっても〇・〇五、かなり高い数値を示しているわけですね。これでいきますと、例えば〇・一三ppmぎりぎりのものが輸入されて市場に流れたときに、常温であればもっと減るんでしょうが、三度から五度という冷蔵状態が続けば、一週間程度たっても大して減らないということがこれに出ているわけですね。こういう点から見ると、現在の基準値というのはちょっと甘いのではないか、検出されなくなるところまで基準を上げるべきじゃないかと思いますが、厚生省の見解をお尋ねしたいと思います。
  162. 竹中浩治

    竹中政府委員 お話しのように、低温の場合にはEDBが余り下がらないという実験結果については、私どもも十分承知をいたしております。輸入のかんきつ類につきまして、低温流通という実態はほとんどございませんで、常に常温流通でございますので、私どもとしては現在の基準で問題がないというふうに考えております。
  163. 菅直人

    ○菅委員 パパイヤがスーパーやデパートでどういう形で並んでいるか御存じですか。今大部分の場合低温の容器の中に入っている。そうじゃないですか。
  164. 竹中浩治

    竹中政府委員 一部にそういうものがあるかもしれませんが、大部分が常温流通だと私ども考えておるわけでございます。いずれにいたしましても、必要に応じまして実際に都道府県等において監視をしておりますし、場合によれば検査もいたしておりますので、全体としては問題がないというふうに考えておるわけでございます。
  165. 菅直人

    ○菅委員 きょうは農林省にも来ていただいたのですが、厚生省がそういう御返事だと農林省に聞くあれがないのですけれども、つまり厚生省が、こういう基準を設けた一つの理由になっているのかあるいは逆なのかわかりませんが、農林省が輸入のときに、チチュウカイミバエを駆除するためにこのエチレンディブロマイドを使った場合は輸入認めてよろしいというようなことを言って基準を出されているようですが、例えば厚生省がこの残留基準をさらに厳しい数字にしたときには、農林省としての輸入基準を変えることが可能かどうか、お尋ねしたいと思います。
  166. 管原敏夫

    ○管原説明員 EDBで薫蒸が行われておりますのは、これはもともと輸入禁止品でありますものを、相手国側の完全殺虫処理ができるという申し出に基づいてその成績を精査した上で、それならよかろうということでああいうEDBの処理をしておるわけでございますけれども、病害虫の侵入を阻止するという目的と同時に、人の安全は非常に重要な問題でございますので、関係省でそういう基準の変更があれば、当然私どもはそれに従って必要な対応を行わなければいけないというふうに思っております。
  167. 菅直人

    ○菅委員 この問題は、食品添加物でも似たような問題がありますけれども、今回のこのエチレンディブロマイドは食品添加物ではなくて農薬という形なんですが、結局のところ食べ物の表面に残留する、しないという意味では他の添加物によく似ているわけです。しかも、厚生大臣は、食品衛生法の中で、有害な物質が付着したものは禁止しなければいけないという責任を負っておられるわけで、そういう点もよく責任を考えていただいて、添加物でなくても、食品のそういった危険なものについてはぜひもう少し厳しい態度で臨んでいただきたいと思うわけでありますが、最後に大臣の所見を伺いたいと思います。
  168. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 国民の生命と健康をお預かりする厚生省食品行政が、国民の皆様が安心して食べ物を食べられるという安全第一に常に心がけなければならないことは当然でございます。御指摘の点を十分踏まえ、今後、安全第一になお一層力を込めてまいりたいと存じます。
  169. 菅直人

    ○菅委員 終わります。      ――――◇―――――
  170. 有馬元治

    有馬委員長 内閣提出健康保険法等の一部を改正する法律案原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案保健所法の一部を改正する法律案、及び森井忠良君外六名提出原子爆弾被爆者等援護法案の各案を議題とし、順次その趣旨の説明を聴取いたします。渡部厚生大臣。     ―――――――――――――  健康保険法等の一部を改正する法律案  原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律   の一部を改正する法律案  保健所法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  171. 渡部恒三

    ○渡部国務大臣 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  我が国の医療費は、人口の急速な高齢化、疾病構造の変化、医学医術の高度化等により、根強い増加傾向を示す一方、経済成長は鈍化し、今後、医療費と国民の負担能力との間の乖離が拡大していくおそれがあります。  また、厳しい国家財政の状況下で、国庫による各医療保険制度間の不均衡の調整機能を維持することが困難となってきております。このような状況に的確に対応し、本格的な高齢化社会に備え、中長期の観点に立った医療保険制度の改革を行うことは緊要の課題となっております。  今回の改正は、このような情勢を踏まえ、医療保険の揺るぎない基盤づくりを進め、すべての国民が適正な負担で公平によい医療を受けることができるよう、医療費の適正化、保険給付の見直し、負担の公平化を三本の柱とした制度全般にわたる改革を目指したものであります。  改正案の主要事項について、概略を御説明いたします。  第一は、医療費の適正化のための改正であります。  保険医療機関等の不正、不当を排除するため、診療内容が適切を欠くおそれがあるとして、重ねて厚生大臣等の指導を受けている保険医療機関等については、その再指定を行わないことができることとし、また、不正請求による処分を逃れるために保険医の登録を取り下げる等の場合については、再登録等を行わないことができることとしております。  さらに、社会保険診療報酬支払基金の主たる事務所に特別審査委員会を新設し、極めて高額の診療報酬請求書等について重点的な審査を行うこととしております。  第二は、医療保険における給付の見直しであります。  まず、被用者保険本人の給付率を改定することとしております。  現在、被用者保険本人の給付率は十割、その家族は入院八割・外来七割であり、また、国民健康保険の給付率は、世帯主・家族とも入院・外来七割となっております。このような給付率の格差を漸次縮小し、全国民を通じて公平化を図っていくとともに、かかった医療費の額がわかりやすくなること等により医療費の効率化が促進されるという見地から、被用者保険本人の給付率を昭和六十年度までは定率九割、昭和六十一年度からは定率八割に改めることとしております。なお、これに伴い、現行の初診時一部負担金及び入院時一部負担金は廃止することとしております。  また、受診時の自己負担額が過大とならないよう、被用者保険本人についてもその家族や国民健康保険の被保険者と同様の高額療養費支給制度を設けることとしております。  次に、療養費の支給に関する改正であります。  新しい医療技術の出現や患者の欲求の多様化等に対応し、高度医療や、特別のサービス等について保険給付との調整を図るため、療養費制度を改正するものであります。これは、高度の医療を提供すると認められる特定承認保険医療機関において療養を受けた場合や保険医療機関において特別の病室の提供等厚生大臣の定める療養を受けた場合に特定療養費を支給するものであります。なお、この療養費については、被保険者への支給にかえて、直接医療機関に支払いを行うことができることとしているほか、被保険者が支払った費用については、領収証の交付を義務づけることとしております。  第三は、医療保険制度の合理化等による負担の公平化であります。・まず、退職者医療制度を創設することとしております。  事業所の退職者は、退職後、国民健康保険の加入者となるため、給付水準が低下し、また、その医療費の負担は、主として国庫と自営業者や農業者等他の国民健康保険加入者に依存することとなるという不合理と不公平が生じておりますので、これを是正するため、退職者医療制度を創設することとしたものであります。  すなわち、これらの退職者及びその家族を対象に、市町村が国民健康保険事業の一部として事業を行い、給付率は、退職者本人は入院・外来八割、家族は入院八割・外来七割とし、また、高額療養費支給制度を適用することとしております。この医療給付に要する費用の負担は、退職者及びその家族の支払う国民健康保険の保険料と現役の被用者及び事業主が負担する拠出金により賄うこととしております。  次に、国民健康保険の国庫補助に関する改正であります。  退職者医療制度の創設等による市町村国民健康保険への財政影響等を考慮し、市町村に対する国庫補助を現行の医療費の百分の四十五から医療給付費の百分の五十へと変更するとともに、国庫補助の財政調整機能を強化することとしております。さらに、国民健康保険組合に対する国庫補助についても、補助対象を医療費から医療給付費に改める等所要の改正を行うこととしております。  第四に、日雇い労働者の健康保険の体系への取り入れに関する改正であります。  日雇労働者健康保険制度を廃止し、日雇い労働者を健康保険の日雇特例被保険者とするとともに、その給付内容及び保険料については、就労の特性を考慮し、一般の被保険者と実質的に均衡のとれたものとなるよう定めております。  また、国庫は、政府管掌健康保険の事業所の日雇特例被保険者に係る給付費等について一般の被保険者についてと同一の補助率により補助を行うこととしております。  なお、廃止前の日雇労働者健康保険事業に係る累積収支不足については、借り入れをすることができることとし、その償還を一般会計からの繰り入れにより行うことができることとしております。  以上のほか、保険料負担の適正を図るため、標準報酬等級について所要の調整を行うこと、船員保険法、国家公務員等共済組合法等の共済組合法についても、健康保険法に準じた改正を行うこと等の改正を行うこととしております。  なお、この法律の施行期日は、本年七月一日からとしておりますが、退職者医療の拠出金等に関する重要事項について社会保険審議会の意見を聴くこと等については公布の日から、また、標準報酬等級の改定については本年十月一日からとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  昭和二十年八月、広島市及び長崎市に投下された原子爆弾の被爆者については、原子爆弾被爆者医療等に関する法律により、健康診断及び医療の給付を行うとともに、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律により、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当、健康管理手当、保健手当等の支給を行い、被爆者の健康の保持増進と生活の安定を図ってまいったところであります。  本法律案は、被爆者の福祉の一層の向上を図るため、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律について改正を行おうとするものであります。  以下、その内容について御説明申し上げます。  まず第一は、医療特別手当の額の引き上げであります。医療特別手当は、原子爆弾被爆者医療等に関する法律の規定により、原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者であって、現に当該認定に係る負傷または疾病の状態にあるものに対して支給されるものでありますが、この医療特別手当の額を現行の月額十万二千四百円から十万四千四百円に引き上げるものであります。  第二は、特別手当の額の引き上げであります。特別手当は、原子爆弾被爆者医療等に関する法律の規定により、原子爆弾の傷害作用に起因する負傷または疾病の状態にある旨の厚生大臣の認定を受けた被爆者のうち、医療特別手当の支給を受けていないものに対して支給されるものでありますが、この特別手当の額を現行の月額三万七千七百円から三万八千四百円に引き上げるものであります。  第三は、原子爆弾小頭症手当の額の引き上げであります。原子爆弾小頭症手当は、原子爆弾の放射能の影響による小頭症の患者に対して支給されるものでありますが、この原子爆弾小頭症手当の額を現行の月額三万五千百円から三万五千八街円に引き上げるものであります。  第四は、健康管理手当の額の引き上げであります。健康管理手当は、造血機能障害等特定の障害を伴う疾病にかかっている被爆者であって、医療特別手当、特別手当または原子爆弾小頭症手当の支給を受けていないものに対して支給されるものでありますが、この健康管理手当の額を現行の月額二万五千百円から二万五千六百円に引き上げるものであります。  第五は、保健手当の額の引き上げであります。保健手当は、爆心地から二キロメートルの区域内において直接被爆した者であって、医療特別手当、特別手当、原子爆弾小頭症手当または健康管理手当の支給を受けていないものに対して支給されるものでありますが、この保健手当の額を、一定の範囲の身体上の障害のある者並びに配偶者、子及び孫のいないと十歳以上の者であってその者と同居している者がいないものについては、現行の月額二万五千百円から二万五千六百円に引き上げ、それ以外の者については、現行の月額一万二千六百円から一万二千八百円に引き上げるものであります。  また、これらの改正の実施時期は、昭和五十九年六月一日といたしております。  以上が、この法律案を提案する理由及びその内容であります。  何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました保健所法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  保健所は、地方における保健衛生行政のかなめとして、我が国の保健衛生水準の向上に大きく貢献してきたところであり、都道府県等がこれを設置、運営し、国は、その創設費、人件費等について昭和二十四年以来、定率の国庫負担を行っております。  今後、保健所においては、本格的な高齢化社会の到来に伴う地域ごとの多様な保健需要に十分対応することが必要でありますので、この際、保健所の自主的、弾力的な運営に資するため、保健所に対する国の財政援助の方式を、地方公共団体の創意と工夫が保健所の運営に反映しやすい方式に改めることとし、この法律案を提案することとした次第であります。  なお、このことは、臨時行政調査会の第三次答申において人件費補助の見直しが指摘されている趣旨にも沿うものであると考えております。  改正の内容は、保健所に関する経費のうち、人件費等の保健所の運営に要する経費については健所運営費交付金として交付し、保健所の施設または設備に要する経費については引き続き定率により負担することとすることであります。  また、保健所運営費交付金は、各地方公共団体の人口及び面積を基礎とし、地理的事情その他の地方公共団体における保健所の運営に関する特別の事情を考慮して政令で定める基準に従って交付することとしております。  なお、この改正は、昭和五十九年四月一日から施行することとしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
  172. 有馬元治

    有馬委員長 次に、森井忠良君。     ―――――――――――――  原子爆弾被爆者等援護法案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  173. 森井忠良

    森井議員 私は、ただいま議題になりました原子爆弾被爆者等援護法案につきまして、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合、日本共産党・革新共同及び社会民主連合を代表いたしまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  昭和二十年八月六日、続いて九日、広島、長崎に投下された人類史上最初の原爆投下は、一瞬にして三十万人余の生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。  この原子爆弾による被害は、普通の爆弾と異なり、放射能と熱線と爆風の複合的な効果により、大量無差別に、破壊、殺傷するものであるだけに、その威力ははかり知れないものがあります。  たとえ一命を取りとめた人たちも、この世の出来事とは思われない、焦熱地獄を身をもって体験し、生涯消えることのない傷痕と、原爆後遺症に苦しみ、病苦、貧困、孤独の三重苦にさいなまれながら、今日までようやく生き続けてきたのであります。  ところが、我が国の戦争犠牲者に対する援護は、軍人、公務員のほか、軍属、準軍属など国との雇用関係または、一部特別権力関係にあるものに限定されてきたのであります。しかし、原子爆弾が投下された昭和二十年八月当時の、いわゆる本土決戦一億総抵抗の状況下においては、非戦闘員と戦闘員を区別して処遇し、原子爆弾による被害について国家責任を放棄する根拠がどこにあるのでしょうか。  被爆後四十年近く生き続けてこられた三十七万人の被爆者と、死没者の遺族の、もうこれ以上待ち切れないという心情を思うにつけ、現行の医療法と特別措置法を乗り越え、国家補償の精神による被爆者援護法をつくることは、我々の当然の責務と言わなければなりません。  特に、一昨年六月に国連軍縮特別総会が開かれたニューヨークでは、百万人の反核集会が開かれましたし、我が係国内においても、反核・軍縮を求めて、草の根運動が発展し、その原点として被爆者援護を求める声が一段と高まっている折から、政治もこれにこたえるべきであります。  国家補償の原則に立つ、援護法が必要な第一の理由は、アメリカの原爆投下は国際法で禁止された毒ガス、生物化学兵器以上の非人道的兵器による無差別爆撃であって、国際法違反の犯罪行為であります。したがって、たとえサンフランシスコ条約で日本が対米請求権を放棄したものであっても、被爆者の立場からすれば、請求権を放棄した日本政府に対して国家補償を要求する当然の権利があるからであります。  しかも、原爆投下を誘発したのは、日本軍国主義政府が起こした戦争なのであります。我々がこの史上最初の核爆発の熱線と爆風、そして放射能によるはかり知れない人命と健康被害に目をつぶることは、被爆国としての日本が、恒久平和を口にする資格なしと言わなければなりません。  第二の理由は、この人類史上未曾有の惨禍をもたらした太平洋戦争を開始し、また終結することの権限と責任が日本政府にあったことは明白であるからであります。  特にサイパン、沖縄陥落後の本土空襲、本土決戦の段階では、旧国家総動員法は言うまでもなく、旧防空法や国民義勇隊による動員体制の強化に見られるように、六十五歳以下の男子、四十五歳以下の女子、すなわち、全国民は国家権力によってその任務につくことを強制されていたことは紛れもない事実であります。今日の世界平和が三十万人余の犠牲の上にあることからしても再びこの悲劇を繰り返さないとの決意を国の責任による援護法によって明らかにすることは当然のことと言わなければなりません。  第三の理由は、既に太平洋戦争を体験している年代も数少なくなり、ややもすれば戦争の悲惨さは忘れ去られようとしている現状であります。原爆が投下され、戦後既に四十年近く経た今日、被爆者にとってはその心身の傷跡は永久に消えないとしても、その方々にとっては援護法が制定されることによって初めて戦後が終わるのであります。  私たちは、以上のような理由から、全被爆者とその遺族に対し、放射能被害の特殊性を考慮しつつ、現行の軍属・準軍属に対する援護法に準じて、原爆被爆者等援護法を提案することといたしたのであります。  次に、この法律内容の概要を御説明申し上げます。  第一は、健康管理及び医療の給付であります。健康管理のため年間に定期二回、随時二回以上の健康診断や成人病検査、精密検査等を行うとともに、被爆者の負傷または疾病について医療の給付を行い、その医療費は、七十歳未満の被爆者については現行法どおりとするとともに、老人被爆者についても、老人保健法にかかわらず、本人一部負担、地方自治体負担を、国の負担といたしました。なお、治療並びに施術に際しては、放射能後遺症の特殊性考え、はり、きゅう、マッサージをもあわせて行い得るよう別途指針をつくることにいたしました。  第二は、医療手当及び介護手当の支給であります。被爆者の入院、通院、在宅療養を対象として月額三万円の範囲内で医療手当を支給する。また、被爆者が、安んじて医療を受けることができるよう月額十万円の範囲内で介護手当を支給し、家族介護についても給付するよう措置したのであります。  第三は、被爆二世または三世に対する措置であります。被爆者の子または孫で希望者には健展診断の機会を与え、さらに放射能の影響により生ずる疑いがある疾病にかかった者に対して、被爆者とみなし、健康診断、医療の給付及び医療手当、介護手当の支給を行うことにしたのであります。  第四は、被爆者年金の支給であります。全被爆者に対して、政令で定める障害の程度に応じて、年額最低三十万七千二百円から最高五百九十八万五千六百円までの範囲内で年金を支給することにいたしました。障害の程度を定めるに当たっては、被爆者が原爆の放射能を受けたことによる疾病の特殊性を特に考慮すべきものとしたのであります。第五は、被爆者年金等の年金額の自動的改定措置、すなわち賃金自動スライド制を採用いたしました。  第六は、特別給付金の支給であります。本来なら死没者の遺族に対して弔慰をあらわすため、弔慰金及び遺族年金を支給すべきでありますが、当面の措置として、それにかわるものとして百万円の特別給付金とし、五年以内に償還すべき記名国債をもって交付することにいたしました。  第七は、被爆者が死亡した場合は、十五万円の葬祭料を、その葬祭を行う者に対して支給することにしたのであります。  第八は、被爆者が健康診断や治療のため国鉄を利用する場合には、本人及びその介護者の国鉄運賃は無料とすることにいたしました。  第九は、原爆孤老、病弱者、小頭症その他保護、治療を必要とする者のために、国の責任で、収容・保護施設を設置すること、被爆者のための相談所を都道府県が設置し、国は施設の設置・運営の補助をすることにいたしました。  第十は、厚生大臣の諮問機関として、原爆被爆者等援護審議会を設け、その審議会に、被爆者の代表を委員に加えることにしたのであります。  第十一は、放射線影響研究所の法的な位置づけを明確にするとともに、必要な助成を行うことといたしました。第十二は、日本に居住する外国人被爆者に対しても本法を適用することにしたのであります。  第十三は、厚生大臣は速やかにこの法律に基づく援護を受けることのできる者の状況について調査しなければならないことにいたしました。  なお、この法律の施行は、昭和六十年一月一日であります。  以上が、この法律案の提案の理由及び内容であります。  被爆後三十九年を経過し、再び原爆による犠牲者を出すなという原水爆禁止の全国民の願いにこたえて、何とぞ、何とぞ、慎重御審議の上、速やかに可決されるようお願い申し上げます。(拍手)
  174. 有馬元治

    有馬委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後八時四十八分散会      ――――◇―――――