○
河野(正)
委員 確かに今の
法律案が
予算関連であるということで非常にあれになっている、そういう手続等については私
どもは私
どもなりの
意見を持っているわけですね。ただ、
抜本改正抜本改正ともう三十年代から言ってきたじゃないか、それはそのとおりですよ。要するにその
抜本改正を一体どういう形でやるのか、それがより
憲法の
精神に沿っていくのか、あるいは
憲法の
精神から反していくのか、これは両論あるわけですよね、
抜本改正でも。ですから私
どもは、少なくとも従来は
憲法にのっとった
抜本改正をやりなさいと。それはいろいろありますよ。総論はそうですけれ
ども、各論がいろいろありますよ。しかし、それはやっぱり
憲法の
精神にのっとった
抜本改正をやろうじゃないかというのが私
どもの主張であったわけです。ところが今度は、九割
負担とかあるいは八割
負担とかやるのは、これはやっぱり従来なかったことですからもう
抜本改正であることは間違いない。そういう
憲法に反したような
抜本改正と、それから
憲法の
精神にのっとっていこうという、これはもう先ほど私が申し上げたように、
保障制度か
保険制度かという
議論ですよ。そういう
意味で私は、
抜本改正というのは三十年代の懸案じゃなかったかとおっしゃるけれ
ども、その当時の私
どもの言う
抜本改正の
精神と今
大臣がおっしゃっておる
抜本改正というのは、おのずから非常に大きな隔たりがあるのですよ。ですから、
大臣も、非常に財政状態の厳しい中の
厚生行政ということですから、自民党
政府の枠内のことですから非常に難しい点もあろうと思いますよ。しかし二十一
世紀を目指すとおっしゃるなら、私はやっぱり
後退でなくて少しずつでも前進するようなそういう手だてというものが非常に重大でなかろうか。これはやっぱり一遍
後退しますとそれを取り戻すのは不可能ですよ。それと、今から大して経済成長も
考えられぬですよ。ですからこれは大変なことだと思うのです。ですけれ
ども、与えられた時間が従来と違って短いですからそういうことで余り深入りもできませんが、この
審議会に対しまする見解も違っておるし、私はやっぱり率直に言って、有識者あるいは学者その他に諮問されるとするならば、その諮問というものをとにかくこんな
抜本改正に対して短期間にやるのはいささか問題じゃないか。言われておるようなクレームがつくようなことがないように、やっぱり今後ともひとつ
努力をしていただかなければならぬと思います。
そこで、私が思いますのは、この
日本の
社会保障というものは時の
財政事情によって非常に右、左へ揺れるわけですね。それは、その中身というのはいろいろ
議論はありますよ。
政府は
政府としての
議論がある。私は私としての
議論がある。例えば昭和四十八年に
老人医療の無料化ができた。そうしたら昨年から有料化になりましたね。それはもちろん
財政事情が厳しいから一部
負担という
制度が出てきたわけでしょう。どうも私は、
日本の
社会保障というものは、前進というよりも、そのときそのときの
財政事情によって右、左に揺れ動いておるというのが
日本の
社会福祉制度の実情じゃなかろうか、私はこう思います。ですからやはり一本ぴしゃんと筋が通った
社会福祉政策、まあ
財政事情が悪いときは悪いなりにそうたくさんな
福祉の
向上は望めぬでしょうけれ
ども、しかしそれが
後退するというようなことがあってはならぬわけです。ですから、
財政事情がよかったり悪かったりすることによって
福祉政策というものが右や左に揺れていく、こういうのが
日本の
福祉政策に対します現状ではなかろうかと思うのです。
そういう
意味で、例えば
医療保険についても長期構想を発表するとおっしゃっていますね、
委員会で。ですからそれも、長期構想を発表するのに、今の
政府が
考えておられることが決まってしまって、そして長期の構想を幾ら発表されましても
意味はないですね。ですから、一体長期構想というものはどういうふうにお
考えになっているのか、この際はっきり承っておきたいと思います。