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1984-03-27 第101回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月二十七日(火曜日)     午前十時十二分開議  出席委員   委員長 有馬 元治君   理事  愛知 和男君 理事 稲垣 実男君   理事  今井  勇君 理事 丹羽 雄哉君   理事  池端 清一君 理事 村山 富市君   理事 平石磨作太郎君 理事 塩田  晋君       伊吹 文明君    稲村 利幸君       古賀  誠君    斉藤滋与史君       自見庄三郎君    谷垣 禎一君       友納 武人君    長野 祐也君       西山敬次郎君    野呂 昭彦君       浜田卓二郎君    藤本 孝雄君       網岡  雄君    河野  正君       多賀谷眞稔君    竹村 泰子君       永井 孝信君    森井 忠良君       大橋 敏雄君    沼川 洋一君       橋本 文彦君    森本 晃司君       小渕 正義君    浦井  洋君       田中美智子君    菅  直人君  出席国務大臣         労 働 大 臣 坂本三十次君  出席政府委員         労働大臣官房長 小粥 義朗君         労働大臣官房審         議官      平賀 俊行君         労働省労政局長 谷口 隆志君         労働省労働基準         局長      望月 三郎君         労働省婦人少年 赤松 良子君         局長         労働省職業安定         局長      加藤  孝君         労働省職業安定         局高齢者対策部         長       守屋 孝一君         労働省職業訓練         局長      宮川 知雄君  委員外の出席者         厚生省年金局企         画課長     渡辺  修君         林野庁林政部森         林組合課長   山本  徹君         労働省労働基準         局監督課長   野崎 和昭君         労働省労働基準         局補償課長   佐藤 正人君         社会労働委員会         調査室長    石黒 善一君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   河野  正君     武藤 山治君   沼川 洋一君     大久保直彦君 同日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     河野  正君   大久保直彦君     沼川 洋一君 同月二十九日  辞任         補欠選任   古賀  誠君     山口 敏夫君   谷垣 禎一君     相沢 英之君   西山敬次郎君     宇野 宗佑君   浜田卓二郎君     海部 俊樹君 同日  辞任         補欠選任   相沢 英之君     谷垣 禎一君   宇野 宗佑君     西山敬次郎君   海部 俊樹君     浜田卓二郎君   山口 敏夫君     古賀  誠君 三月九日  辞任         補欠選任   河野  正君     武藤 山治君   沼川 洋一君     正木 良明君 同日  辞任         補欠選任   武藤 山治君     河野  正君 同月十日  辞任         補欠選任   河野  正君     川俣健二郎君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     河野  正君 同月十二日  辞任         補欠選任   河野  正君     湯山  勇君 同日  辞任         補欠選任   湯山  勇君     河野  正君 同月十三日  辞任         補欠選任   正木 良明君     沼川 洋一君     ――――――――――――― 三月九日  雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提  出第二三号)  林業労働法案(目黒今朝次郎君外一名提出、参  法第一号)(予)  公衆浴場法の一部を改正する法律案(糸久八重  子君外五名提出、参法第二号)(予)  戦時災害援護法案片山甚市君外五名提出、参  法第三号)(予) 同月二十七日  身体障害者雇用促進法の一部を改正する法律案  (内閣提出第四九号)(予) 二月二十三日  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(小川新一郎君紹介)(第  三〇四号)  同外一件(大原亨君紹介)(第三〇五号)  同(長田武士君紹介)(第三〇六号)  同(沢田広君紹介)(第三〇七号)  同(渋沢利久君紹介)(第三〇八号)  同(新村勝雄君紹介)(第三〇九号)  同(竹内勝彦君紹介)(第三一〇号)  同(松前仰君紹介)(第三一一号)  同外一件(宮地正介君紹介)(第三一二号)  同(山田英介君紹介)(第三一三号)  同(渡辺嘉藏君紹介)(第三一四号)  同(五十嵐広三君紹介)(第三三一号)  同(岩垂寿喜男君紹介)(第三三二号)  同(梅田勝君紹介)(第三三三号)  同(小川泰君紹介)(第三三四号)  同(大橋敏雄君紹介)(第三三五号)  同(岡田正勝君紹介)(第三三六号)  同(川俣健二郎君紹介)(第三三七号)  同(近藤豊君紹介)(第三三八号)  同(田中克彦君紹介)(第三三九号)  同外三件(田並胤明君紹介)(第三四〇号)  同(土井たか子君紹介)(第三四一号)  同(中川利三郎君外一名紹介)(第三四二号)  同(中島武敏君紹介)(第三四三号)  同外三件(中村正男君紹介)(第三四四号)  同(不破哲三君紹介)(第三四五号)  同(正森成二君紹介)(第三四六号)  同外二件(和田貞夫君紹介)(第三四七号)  同(石橋政嗣君紹介)(第三九二号)  同外一件(上田卓三君紹介)(第三九三号)  同(岡崎万寿秀君紹介)(第三九四号)  同(工藤晃君紹介)(第三九五号)  同(佐藤誼君紹介)(第三九六号)  同外二件(玉置一弥君紹介)(第三九七号)  同(中村重光君紹介)(第三九八号)  同(春田重昭君紹介)(第三九九号)  同外四件(東中光雄君紹介)(第四〇〇号)  同(平石磨作太郎君紹介)(第四〇一号)  同(不破哲三君紹介)(第四〇二号)  同(藤田スミ君紹介)(第四〇三号)  同(正森成二君紹介)(第四〇四号)  同(松本善明君紹介)(第四〇五号)  同(山中末治君紹介)(第四〇六号)  同外二件(伊藤茂君紹介)(第四二四号)  同(上野建一君紹介)(第四二五号)  同(経塚幸夫君紹介)(第四二六号)  同(沢田広君紹介)(第四二七号)  同(高沢寅男君紹介)(第四二八号)  同(辻一彦君紹介)(第四二九号)  同(中村巖君紹介)(第四三〇号)  同(福岡康夫君紹介)(第四三一号)  同(矢追秀彦君紹介)(第四三二号)  同(山下八洲夫君紹介)(第四三三号)  同(山花貞夫君紹介)(第四三四号)  民間保育事業振興に関する請願(船田元君紹介  )(第三一五号)  同(石田幸四郎君紹介)(第三五二号)  同(小杉隆君紹介)(第三五三号)  同(柴田弘君紹介)(第三五四号)  同(中島武敏君紹介)(第三五五号)  同(渡辺美智雄君紹介)(第四一一号)  同(高沢寅男君紹介)(第四三七号)  国民医療改善に関する請願(上野建一君紹介)  (第三一六号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(大原  亨君紹介)(第三一七号)  同(島田安夫君紹介)(第三一八号)  同(嶋崎譲君紹介)(第三一九号)  同(塚田延充君紹介)(第三二〇号)  同(沼川洋一君紹介)(第三二一号)  同(梅田勝君紹介)(第三六五号)  同(越智伊平君紹介)(第三六六号)  同(大橋敏雄君紹介)(第三六七号)  同(塩崎潤君紹介)(第三六八号)  同外一件(網岡雄君紹介)(第四一二号)  同(瓦力君紹介)(第四一三号)  同(矢山有作君紹介)(第四一四号)  同(亀岡高夫君紹介)(第四三九号)  同(高村正彦君紹介)(第四四〇号)  同(平石磨作太郎君紹介)(第四四一号)  同(山口鶴男君紹介)(第四四二号)  保育所制度の充実に関する請願(相沢英之君紹  介)(第三二二号)  同(葉梨信行君紹介)(第四一五号)  難病対策の拡充等に関する請願(稲葉誠一君紹  介)(第三二八号)  国民医療充実改善に関する請願(藤田スミ君  紹介)(第三二九号)  医療保険改悪反対に関する請願(大橋敏雄君  紹介)(第三三〇号)  同外一件(網岡雄君紹介)(第三九一号)  中途失聴者・難聴者の救済等に関する請願(大  橋敏雄君紹介)(第三四八号)  同(田中恒利君紹介)(第三四九号)  同(土井たか子君紹介)(第三五〇号)  同(玉置一弥君紹介)(第四〇七号)  同(矢山有作君紹介)(第四〇八号)  同(山中末治君紹介)(第四〇九号)  同(野口幸一君紹介)(第四三五号)  同(福岡康夫君紹介)(第四三六号)  国民に対する医療改善に関する請願(藤田スミ  君紹介)(第三五一号)  同(中林佳子君紹介)(第四一〇号)  医療保険医療供給体制改悪反対等に関する  請願(浦井洋君紹介)(第三五六号)  同(柴田睦夫君紹介)(第三五七号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第三五八号)  同(田中美智子君紹介)(第三五九号)  同(津川武一君紹介)(第三六〇号)  同(辻第一君紹介)(第三六一号)  同(林百郎君紹介)(第三六二号)  同(三浦久君紹介)(第三六三号)  同(簑輪幸代君紹介)(第三六四号)  社会福祉社会保障の拡充に関する請願(大橋  敏雄君紹介)(第三六九号)  同(工藤晃君紹介)(第三七〇号)  同(藤田スミ君紹介)(第三七一号)  同外四件(網岡雄君紹介)(第四一六号)  同(清水勇君紹介)(第四一七号)  同(岡田利春君紹介)(第四四三号)  老人医療無料制度復活等に関する請願(中川  利三郎君紹介)(第三七二号)  食品添加物規制強化に関する請願(新村勝雄  君紹介)(第三九〇号)  障害者福祉法の制定に関する請願外一件(網岡  雄君紹介)(第四一八号)  国民医療の改善に関する請願(中林佳子君紹介  )(第四一九号)  医療保険制度改悪反対国民医療改善に関す  る請願(上田卓三君紹介)(第四三八号) 三月二日  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(上田哲君紹介)(第四七  六号)  同外五件(小川国彦君紹介)(第四七七号)  同(菅直人君紹介)(第四七八号)  同(木内良明君紹介)(第四七九号)  同(小谷輝二君紹介)(第四八〇号)  同(柴田睦夫君紹介)(第四八一号)  同(鳥居一雄君紹介)(第四八二号)  同(春田重昭君紹介)(第四八三号)  同外一件(水田稔君紹介)(第四八四号)  同外八件(小川国彦君紹介)(第四九六号)  同(沢田広君紹介)(第四九七号)  同(滝沢幸助君紹介)(第四九八号)  同(西中清君紹介)(第四九九号)  同外一件(森中守義君紹介)(第五〇〇号)  同(山下八洲夫君紹介)(第五〇一号)  同(山本政弘君紹介)(第五〇二号)  同(吉田之久君紹介)(第五〇三号)  同(和田一仁君紹介)(第五〇四号)  同外二件(小川国彦君紹介)(第五一七号)  同(上西和郎君紹介)(第五一八号)  同(木島喜兵衞君紹介)(第五一九号)  同(草野威君紹介)(第五二〇号)  同(上坂昇君紹介)(第五二一号)  同外一件(山下八洲夫君紹介)(第五二二号)  同外六件(小川国彦君紹介)(第五六一号)  同(鈴木強君紹介)(第五六二号)  同(鈴切康雄君紹介)(第五六三号)  同(武田一夫君紹介)(第五六四号)  同(村山喜一君紹介)(第五六五号)  同(川崎寛治君紹介)(第五八一号)  同(沼川洋一君紹介)(第五八二号)  同(山下八洲夫君紹介)(第五八三号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(川崎  寛治君紹介)(第四八五号)  同(鳥居一雄君紹介)(第四八六号)  同(増岡博之君紹介)(第四八七号)  同(小山長規君紹介)(第五二五号)  同(箕輪登君紹介)(第五二六号)  同(簑輪幸代君紹介)(第五二七号)  同(田邊誠君紹介)(第五八七号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第五八八号)  社会福祉社会保障の拡充に関する請願(上田  哲君紹介)(第四八八号)  公衆浴場法の一部改正に関する請願(土井たか  子君紹介)(第四九五号)  中途失聴者・難聴者の救済等に関する請願(竹  内勝彦君紹介)(第五〇五号)  同(上原康助君紹介)(第五二三号)  同(石原健太郎君紹介)(第五六六号)  同(大原亨君紹介)(第五六七号)  同(葉梨信行君紹介)(第五六八号)  同(山下元利君紹介)(第五六九号)  同(梶山静六君紹介)(第五八四号)  同(亀井静香君紹介)(第五八五号)  同(橋本龍太郎君紹介)(第五八六号)  民間保育事業振興に関する請願(西中清君紹介  )(第五〇六号)  同(山本政弘君紹介)(第五〇七号)  障害者福祉法の制定に関する請願(多賀谷眞稔  君紹介)(第五〇八号)  同(木島喜兵衞君紹介)(第五二八号)  保育予算の増額等に関する請願(多賀谷眞稔君  紹介)(第五〇九号)  使用済み乾電池の処理に関する請願(斉藤節君  紹介)(第五一五号)  建設国民健康保険組合の改善に関する請願(上  原康助君紹介)(第五一六号)  国民に対する医療改善に関する請願(井上一成  君紹介)(第五二四号)  医療保険改悪反対に関する請願(鈴切康雄君  紹介)(第五六〇号)  保育所制度の充実に関する請願(古屋亨君紹介  )(第五七〇号)  同(山下徳夫君紹介)(第五七一号)  同(梶山静六君紹介)(第五八九号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第五九〇号)  身体障害者福祉法改正に関する請願外二件(伊  藤茂君紹介)(第五七九号)  同(加藤万吉君紹介)(第五八〇号) 同月六日  医療保険改悪反対等に関する請願(伊藤英成  君紹介)(第六一一号)  同(柴田弘君紹介)(第六一二号)  同(水谷弘君紹介)(第六一三号)  同(春日一幸君紹介)(第七六九号)  同(野間友一君紹介)(第七七〇号)  同(不破哲三君紹介)(第七七一号)  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(浅井美幸君紹介)(第六  一四号)  同(中川嘉美君紹介)(第六一五号)  同(森田景一君紹介)(第六一六号)  同(野間友一君紹介)(第七二四号)  同(簑輪幸代君紹介)(第七二五号)  医療保険制度改悪反対国民医療改善に関す  る請願(浅井美幸君紹介)(第六一七号)  同(辻第一君紹介)(第七三〇号)  同(藤田スミ君紹介)(第七三一号)  健康保険法改正反対等に関する請願(西中清君  紹介)(第六一八号)  同(梅田勝君紹介)(第七三九号)  同(浦井洋君紹介)(第七四〇号)  同(小沢和秋君紹介)(第七四一号)  同(岡崎万寿秀君紹介)(第七四二号)  同(工藤晃君紹介)(第七四三号)  同(柴田睦夫君紹介)(第七四四号)  同(田中美智子君紹介)(第七四五号)  同(野間友一君紹介)(第七四六号)  同(林百郎君紹介)(第七四七号)  同(東中光雄君紹介)(第七四八号)  同(藤田スミ君紹介)(第七四九号)  同(正森成二君紹介)(第七五〇号)  同(松本善明君紹介)(第七五一号)  医療保険改悪反対、充実に関する請願(浦井  洋君紹介)(第七一〇号)  同(田中美智子君紹介)(第七一一号)  同(松本善明君紹介)(第七一二号)  医療・年金・雇用保険制度改悪反対等に関す  る請願(岡崎万寿秀君紹介)(第七一三号)  同(柴田睦夫君紹介)(第七一四号)  医療保険制度改悪反対等に関する請願(経塚  幸夫君紹介)(第七一五号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第七一六号)  同(田中美智子君紹介)(第七一七号)  同(辻第一君紹介)(第七一八号)  同(中川利三郎君紹介)(第七一九号)  同(不破哲三君紹介)(第七二〇号)  医療保険抜本改悪反対充実改善に関する請  願(津川武一君紹介)(第七二一号)  同(中川利三郎君紹介)(第七二二号)  医療保険制度改悪反対充実改善に関する請  願(林百郎君紹介)(第七二三号)  中途失聴者・難聴者の救済等に関する請願(梅  田勝君紹介)(第七二六号)  同(工藤晃君紹介)(第七二七号)  同(瀬崎博義君紹介)(第七二八号)  同(中林佳子君紹介)(第七二九号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願(中  林桂子君紹介)(第七三二号)  同(松本善明君紹介)(第七三三号)  同(山原健二郎君紹介)(第七三四号)  医療保険医療供給体制改悪反対等に関する  請願(藤田スミ君紹介)(第七三五号)  国民医療改善に関する請願(柴田睦夫君紹介)  (第七三六号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(瀬崎  博義君紹介)(第七三七号)  同(林義郎君紹介)(第七三八号)  社会福祉社会保障の拡充に関する請願(梅田  勝君紹介)(第七五二号)  同(小沢和秋君紹介)(第七五三号)  同(岡崎万寿秀君紹介)(第七五四号)  同(工藤晃君紹介)(第七五五号)  同(佐藤祐弘君紹介)(第七五六号)  同(瀬崎博義君紹介)(第七五七号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第七五八号)  同(中島武敏君紹介)(第七五九号)  同(不破哲三君紹介)(第七六〇号)  同(松本善明君紹介)(第七六一号)  老人医療無料制度復活等に関する請願(辻第  一君紹介)(第七六二号)  老人医療無料制度復活、拡充に関する請願  (工藤晃君紹介)(第七六三号)  同(柴田睦夫君紹介)(第七六四号)  同(瀬崎博義君紹介)(第七六五号)  同(津川武一君紹介)(第七六六号)  同(中川利三郎君紹介)(第七六七号)  同(三浦久君紹介)(第七六八号) 同月八日  医療保険改悪反対に関する請願(河野正君紹  介)(第八〇七号)  同(多賀谷眞稔君紹介)(第八〇八号)  同(村山富市君紹介)(第八〇九号)  同(浦井洋君紹介)(第八九七号)  同(田中美智子君紹介)(第八九八号)  同(中林佳子君紹介)(第八九九号)  同(永井孝信君紹介)(第九〇〇号)  同(不破哲三君紹介)(第九〇一号)  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(上田卓三君紹介)(第八  一〇号)  同(岡本冨夫君紹介)(第八一一号)  同外一件(上坂昇君紹介)(第八一二号)  同(戸田菊雄君紹介)(第八一三号)  同(日野市朗君紹介)(第八一四号)  同(馬場昇君紹介)(第九〇二号)  同(山中末治君紹介)(第九〇三号)  国民に対する医療改善に関する請願外一件(小  川国彦君紹介)(第八一五号)  同(小林進君紹介)(第八一六号)  同(上坂昇君紹介)(第八一七号)  同(馬場昇君紹介)(第八一八号)  同(森中守義君紹介)(第八一九号)  同(渡部行雄君紹介)(第八二〇号)  同(上野建一君紹介)(第九〇八号)  国民医療改善に関する請願(新村勝雄君紹介)  (第八二一号)  同(柴田睦夫君紹介)(第八六八号)  同外二件(上野建一君紹介)(第九一〇号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(臼井  日出男君紹介)(第八二二号)  同(川俣健二郎君紹介)(第八二三号)  同(浦井洋君紹介)(第九一一号)  保育所制度の充実に関する請願(臼井日出男君  紹介)(第八二四号)  健康保険法改正反対等に関する請願(井上一成  君紹介)(第八二五号)  同(大出俊君紹介)(第八二六号)  同(上西和郎君紹介)(第八二七号)  同(小谷輝二君紹介)(第八二八号)  同(渋沢利久君紹介)(第八二九号)  同(新村源雄君紹介)(第八三〇号)  同(田並胤明君紹介)(第八三一号)  同(高沢寅男君紹介)(第八三二号)  同(戸田菊雄君紹介)(第八三三号)  同(橋本文彦君紹介)(第八三四号)  同(藤田高敏君紹介)(第八三五号)  同(前川旦君紹介)(第八三六号)  同(松浦利尚君紹介)(第八三七号)  同(松前仰君紹介)(第八三八号)  同(宮地正介君紹介)(第八三九号)  同(有島重武君紹介)(第八六九号)  同(森田景一君紹介)(第八七〇号)  同(玉置一弥君紹介)(第九一二号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願 (森本晃司君紹介)(第八四〇号)  同(橋本文彦君紹介)(第八七一号)  同(山田英介君紹介)(第八七二号)  老人医療無料制度復活等に関する請願(池端  清一君紹介)(第八四一号)  国民医療の改善に関する請願外一件(日野市朗  君紹介)(第八四二号)  同(上野建一君紹介)(第九二〇号)  食品添加物規制強化に関する請願(森田景一  君紹介)(第八四三号)  身体障害者福祉法改正に関する請願外二件(岩  垂寿喜男君紹介)(第八四四号)  同外二件(大出俊君紹介)(第八四五号)  同(加藤万吉君紹介)(第八四六号)  医療保険改悪反対等に関する請願(佐藤観樹  君紹介)(第八四七号)  同(多賀谷眞稔君紹介)(第八四八号)  同(高沢寅男君紹介)(第八四九号)  同(横江金夫君紹介)(第八五〇号)  同(網岡雄君紹介)(第八七四号)  同(関山信之君紹介)(第八七五号)  同(中村重光君紹介)(第八七六号)  同外一件(横山利秋君紹介)(第八七七号)  同(塚本三郎君紹介)(第九二一号)  児童扶養手当制度改悪反対に関する請願(竹村  泰子君紹介)(第八六四号)  高齢者の福祉充実等に関する請願(塚田延充君  紹介)(第八六五号)  同外一件(池端清一君紹介)(第九二八号)  中途失聴者・難聴者の救済等に関する請願(村  田敬次郎君紹介)(第八六六号)  同(今井勇君紹介)(第九〇四号)  同(上村千一郎君紹介)(第九〇五号)  同(浦井洋君紹介)(第九〇六号)  同(藤田高敏君紹介)(第九〇七号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願(池  端清一君紹介)(第八六七号)  同(林百郎君紹介)(第九〇九号)  障害者福祉法の制定に関する請願(有島重武君  紹介)(第八七三号)  同(浦井洋君紹介)(第九一五号)  国民、患者の負担をふやす医療保険改悪反対  に関する請願(藤木洋子君紹介)(第八九六号  )  社会福祉社会保障の拡充に関する請願外一件  (梅田勝君紹介)(第九一三号)  同(浦井洋君紹介)(第九一四号)  保育予算の増額等に関する請願(梅田勝君紹介  )(第九一六号)  同(浦井洋君紹介)(第九一七号)  同(柴田睦夫君紹介)(第九一八号)  同(藤田スミ君紹介)(第九一九号)  医療保険制度改悪反対等に関する請願(浦井  洋君紹介)(第九二二号)  同(工藤晃君紹介)(第九二三号)  同(田中美智子君紹介)(第九二四号)  同(野間友一君紹介)(第九二五号)  同(林百郎君紹介)(第九二六号)  同(松本善明君紹介)(第九二七号) 同月十四日  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(木内良明君紹介)(第九  三四号)  同外二件(浜西鉄雄君紹介)(第九三五号)  同(吉井光照君紹介)(第九三六号)  同(松本善明君紹介)(第九九二号)  中途失聴者・難聴者の救済等に関する請願(藤  田高敏君紹介)(第九三七号)  同(藤田高敏君紹介)(第九五六号)  同(湯山勇君紹介)(第九五七号)  同(野間友一君紹介)(第九九三号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(三塚  博君紹介)(第九三八号)  同(中西啓介君紹介)(第一〇〇〇号)  社会保障・福祉の充実等に関する請願(池田克  也君紹介)(第九五三号)  医療保険改悪反対に関する請願(大橋敏雄君  紹介)(第九五四号)  同(竹村泰子君紹介)(第九五五号)  国民に対する医療改善に関する請願(佐藤徳雄  君紹介)(第九五八号)  同(工藤晃君紹介)(第九九五号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願(河  野正君紹介)(第九五九号)  同外一件(村山富市君紹介)(第九六〇号)  同(井上一成君紹介)(第九九六号)  同(小沢和秋君紹介)(第九九七号)  同外二件(小澤克介君紹介)(第九九八号)  同(木間章君紹介)(第九九九号)  健康保険法改正反対等に関する請願(正木良明  君紹介)(第九六一号)  同(網岡雄君紹介)(第一〇〇一号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願  (大橋敏雄君紹介)(第九六二号)  国民医療の改善に関する請願(木島喜兵衞君紹  介)(第九六三号)  医療保険改悪反対等に関する請願(大橋敏雄  君紹介)(第九六四号)  同(青山丘君紹介)(第一〇〇三号)  同(伊藤昌弘君紹介)(第一〇〇四号)  同(近藤豊君紹介)(第一〇〇五号)  高齢者の福祉充実等に関する請願(池端清一君  紹介)(第九六五号)  同(丹羽雄哉君紹介)(第一〇一四号)  医療保険抜本改悪反対に関する請願(網岡雄  君紹介)(第九八六号)  ハイヤー・タクシー等労働者の労働条件改善等  に関する請願(梅田勝君紹介)(第九八七号)  カイロプラクティックの立法化阻止等に関する  請願(岡本富夫君紹介)(第九八八号)  同(佐々木良作君紹介)(第九八九号)  同(塩田晋君紹介)(第九九〇号)  男女雇用平等法の制定に関する請願(藤木洋子  君紹介)(第九九一号)  医療・年金の改悪反対充実改善に関する請願  (左近正男君紹介)(第九九四号)  身体障害者福祉法改正に関する請願外一件(富  塚三夫君紹介)(第一〇〇二号)  医療保険制度改悪反対等に関する請願(藤木  洋子君紹介)(第一〇〇六号)  医療保険制度改悪反対充実改善に関する請  願(網岡雄君紹介)(第一〇〇七号)  児童扶養手当制度改悪反対に関する請願(池端  清一君紹介)(第一〇〇八号)  同(工藤晃君紹介)(第一〇〇九号)  同(新村勝雄君紹介)(第一〇一〇号)  同(土井たか子君紹介)(第一〇一一号)  同(永井孝信君紹介)(第一〇一二号)  同(森井忠良君紹介)(第一〇一三号) 同月十五日  障害福祉年金の引き上げに関する請願(有馬元  治君紹介)(第一〇四七号)  同(伊吹文明君紹介)(第一〇四八号)  同(石橋一弥君紹介)(第一〇四九号)  同(加藤紘一君紹介)(第一〇五〇号)  同(北口博君紹介)(第一〇五一号)  同(古賀誠君紹介)(第一〇五二号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第一〇五三号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一〇五四号)  同(島田安夫君紹介)(第一〇五五号)  同(竹内黎一君紹介)(第一〇五六号)  同(谷垣禎一君紹介)(第一〇五七号)  同(戸井田三郎君紹介)(第一〇五八号)  同(友納武人君紹介)(第一〇五九号)  同(丹羽雄哉君紹介)(第一〇六〇号)  同(西山敬次郎君紹介)(第一〇六一号)  同(野田毅君紹介)(第一〇六二号)  同(野呂昭彦君紹介)(第一〇六三号)  同(羽田孜君紹介)(第一〇六四号)  同(橋本龍太郎君紹介)(第一〇六五号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第一〇六六号)  同(林義郎君紹介)(第一〇六七号)  同(箕輪登君紹介)(第一〇六八号)  聴覚言語障害者の一級格付に関する請願(有馬  元治君紹介)(第一〇六九号)  同(伊吹文明君紹介)(第一〇七〇号)  同(石橋一弥君紹介)(第一〇七一号)  同(加藤紘一君紹介)(第一〇七二号)  同(北口博君紹介)(第一〇七三号)  同(古賀誠君紹介)(第一〇七四号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第一〇七五号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一〇七六号)  同(島田安夫君紹介)(第一〇七七号)  同(竹内黎一君紹介)(第一〇七八号)  同(谷垣禎一君紹介)(第一〇七九号)  同(戸井田三郎君紹介)(第一〇八〇号)  同(友納武人君紹介)(第一〇八一号)  同(丹羽雄哉君紹介)(第一〇八二号)  同(西山敬次郎君紹介)(第一〇八三号)  同(野田毅君紹介)(第一〇八四号)  同(野呂昭彦君紹介)(第一〇八五号)  同(羽田孜君紹介)(第一〇八六号)  同(橋本龍太郎君紹介)(第一〇八七号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第一〇八八号)  同(林義郎君紹介)(第一〇八九号)  同(箕輪登君紹介)(第一〇九〇号)  福祉手当の引き上げに関する請願(有馬元治君  紹介)(第一〇九一号)  同(伊吹文明君紹介)(第一〇九二号)  同(石橋一弥君紹介)(第一〇九三号)  同(加藤紘一君紹介)(第一〇九四号)  同(北口博君紹介)(第一〇九五号)  同(古賀誠君紹介)(第一〇九六号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第一〇九七号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一〇九八号)  同(島田安夫君紹介)(第一〇九九号)  同(竹内黎一君紹介)(第一一〇〇号)  同(谷垣禎一君紹介)(第一一〇一号)  同(戸井田三郎君紹介)(第一一〇二号)  同(友納武人君紹介)(第一一〇三号)  同(丹羽雄哉君紹介)(第一一〇四号)  同(西山敬次郎君紹介)(第一一〇五号)  同(野田毅君紹介)(第一一〇六号)  同(野呂昭彦君紹介)(第一一〇七号)  同(羽田孜君紹介)(第一一〇八号)  同(橋本龍太郎君紹介)(第一一〇九号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第一一一〇号)  同(林義郎君紹介)(第一一一一号)  同(箕輪登君紹介)(第一一一二号)  聴覚言語障害者情報文化センター設置等に関す  る請願(有馬元治君紹介)(第一一一三号)  同(伊吹文明君紹介)(第一一一四号)  同(石橋一弥君紹介)(第一一一五号)  同(加藤紘一君紹介)(第一一一六号)  同(北口博君紹介)(第一一一七号)  同(古賀誠君紹介)(第一一一八号)  同(斉藤滋与史君紹介)(第一一一九号)  同(自見庄三郎君紹介)(第一一二〇号)  同(島田安夫君紹介)(第一一二一号)  同(竹内黎一君紹介)(第一一二二号)  同(谷垣禎一君紹介)(第一一二三号)  同(戸井田三郎君紹介)(第一一二四号)  同(友納武人君紹介)(第一一二五号)  同(丹羽雄哉君紹介)(第一一二六号)  同(西山敬次郎君紹介)(第一一二七号)  同(野田毅君紹介)(第一一二八号)  同(野呂昭彦君紹介)(第一一二九号)  同(羽田孜君紹介)(第一一三〇号)  同(橋本龍太郎君紹介)(第一一三一号)  同(浜田卓二郎君紹介)(第一二三二号)  同(林義郎君紹介)(第一一三三号)  同(箕輪登君紹介)(第一一三四号)  医療・年金制度の改悪反対に関する請願(佐藤  観樹君紹介)(第一一三五号)  同(竹内猛君紹介)(第一一三六号)  国民健康保険に傷病手当、出産手当の実現に関  する請願(瀬長亀次郎君紹介)(第一一三七号  )  障害者対策に関する長期計画具体化等促進に関  する請願(橋本龍太郎君紹介)(第一一三八号  )  健康保険の本人十割給付継続等に関する請願  (東中光雄君紹介)(第一一三九号)  国民年金法改正促進に関する請願外一件(宮崎  茂一君紹介)(第一一四〇号)  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(瀬長亀次郎君紹介)(第  一一四一号)  中途失聴者・難聴者の救済等に関する請願(越  智伊平君紹介)(第一一四二号)  医療・年金の改悪反対充実改善に関する請願  (左近正男君紹介)(第一一四三号)  同(林百郎君紹介)(第一一四四号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願外二  件(天野等君紹介)(第一一四五号)  同外一件(大橋敏雄君紹介)(第一一四六号)  同(野間友一君紹介)(第一一四七号)  同外一件(安田修三君紹介)(第一一四八号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(小澤  克介君紹介)(第一一四九号)  同(小沢辰男君紹介)(第一一五〇号)  同(松浦利尚君紹介)(第一一五一号)  同(森下元晴君紹介)(第一一五二号)  医療保険改悪反対等に関する請願(小沢和秋  君紹介)(第一一五三号)  同(三浦久君紹介)(第一一五四号)  カイロプラクティックの立法化阻止等に関する  請願(砂田重民君紹介)(第一一五五号)  同(西山敬次郎君紹介)(第一一五六号)  同(藤木洋子君紹介)(第一一五七号) 同月十九日  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(大野潔君紹介)(第一一  九一号)  同(梅田勝君紹介)(第一二五六号)  同(浦井洋君紹介)(第一二五七号)  同(小沢和秋君紹介)(第一二五八号)  同(岡崎万寿秀君紹介)(第一二五九号)  同(経塚幸夫君紹介)(第一二六〇号)  同(工藤晃君紹介)(第一二六一号)  同(佐藤祐弘君紹介)(第一二六二号)  同(柴田睦夫君紹介)(第一二六三号)  同(瀬崎博義君紹介)(第一二六四号)  同(瀬長亀次郎君紹介)(第一二六五号)  同(田中美智子君紹介)(第一二六六号)  同(津川武一君紹介)(第一二六七号)  同(辻第一君紹介)(第一二六八号)  同(中川利三郎君紹介)(第一二六九号)  同(中島武敏君紹介)(第一二七〇号)  同(中林佳子君紹介)(第一二七一号)  同(野間友一君紹介)(第一二七二号)  同(林百郎君紹介)(第一二七三号)  同(東中光雄君紹介)(第一二七四号)  同(不破哲三君紹介)(第一二七五号)  同(藤木洋子君紹介)(第一二七六号)  同(藤田スミ君紹介)(第一二七七号)  同(正森成二君紹介)(第一二七八号)  同(松本善明君紹介)(第一二七九号)  同(三浦久君紹介)(第一二八〇号)  同(簑輪幸代君紹介)(第一二八一号)  同(山原健二郎君紹介)(第一二八二号)  同(草川昭三君紹介)(第一二八三号)  同(佐藤徳雄君紹介)(第一二八四号)  同(吉原米治君紹介)(第一二八五号)  医療・年金の改悪反対充実改善に関する請願  (田中恒利君紹介)(第一一九二号)  同(田並胤明君紹介)(第一一九三号)  同(中村茂君紹介)(第一一九四号)  同(渡部行雄君紹介)(第一一九五号)  同(左近正男君紹介)(第一二八七号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願(新  村源雄君紹介)(第一一九六号)  同外一件(佐藤徳雄君紹介)(第一二八八号)  同外一件(多賀谷眞稔君紹介)(第一二八九号  )  同(堀昌雄君紹介)(第一二九〇号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(中村  茂君紹介)(第一一九七号)  同(橋本文彦君紹介)(第一一九八号)  同(草川昭三君紹介)(第一二九一号)  同(戸田菊雄君紹介)(第一二九二号)  同(野中広務君紹介)(第一二九三号)  医療保険改悪反対等に関する請願(石田幸四  郎君紹介)(第一一九九号)  同(稲富稜人君紹介)(第一二〇〇号)  同外一件(中村巖君紹介)(第一二〇一号)  同(三浦久君紹介)(第一二〇二号)  同(草川昭三君紹介)(第一二九四号)  同(三浦久君紹介)(第一二九五号)  児童扶養手当制度改悪反対に関する請願(菅直  人君紹介)(第一二〇三号)  同(沼川洋一君紹介)(第一二〇四号)  同(大橋敏雄君紹介)(第一二九六号)  同(新村勝雄君紹介)(第一二九七号)  同(橋本文彦君紹介)(第一二九八号)  同(春田重昭君紹介)(第一二九九号)  カイロプラクティックの立法化阻止等に関する  請願(永江一仁君紹介)(第一二〇五号)  障害福祉年金の引き上げに関する請願(稲垣実  男君紹介)(第一二〇六号)  同(今井勇君紹介)(第一二〇七号)  聴覚言語障害者の一級格付に関する請願(稲垣  実男君紹介)(第一二〇八号)  同(今井勇君紹介)(第一二〇九号)  福祉手当の引き上げに関する請願(稲垣実男君  紹介)(第一二一〇号)  同(今井勇君紹介)(第一二一一号)  聴覚言語障害者情報文化センター設置等に関す  る請願(稲垣実男君紹介)(第一二一二号)  同(今井勇君紹介)(第一二一三号)  パート労働法の早期制定に関する請願外一件  (遠藤和良君紹介)(第一二五三号)  医療保険制度改悪反対に関する請願(左近正男  君紹介)(第一二五四号)  医療保険制度の改善に関する請願外一件(渡部  行雄君紹介)(第一二五五号)  中途失聴者・難聴者の救済等に関する請願(田  中恒利君紹介)(第一二八六号)  国民年金法改正促進に関する請願(江藤隆美君  紹介)(第一三〇〇号)  同(平林鴻三君紹介)(第一三〇一号) 同月二十二日  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(竹入義勝君紹介)(第一  三四六号)  同(天野等君紹介)(第一三九〇号)  同(井上一成君紹介)(第一三九一号)  同(上田卓三君紹介)(第一三九二号)  同(上野建一君紹介)(第一三九三号)  同(小川省吾君紹介)(第一三九四号)  同(小川仁一君紹介)(第一三九五号)  同(加藤万吉君紹介)(第一三九六号)  同外一件(金子みつ君紹介)(第一三九七号)  同(川崎寛治君紹介)(第一三九八号)  同(河上民雄君紹介)(第一三九九号)  同(小林恒人君紹介)(第一四〇〇号)  同(上坂昇君紹介)(第一四〇一号)  同(新村源雄君紹介)(第一四〇二号)  同(田中恒利君紹介)(第一四〇三号)  同(中村重光君紹介)(第一四〇四号)  同(中村正男君紹介)(第一四〇五号)  同(永井孝信君紹介)(第一四〇六号)  同(松前仰君紹介)(第一四〇七号)  同(山下八洲夫君紹介)(第一四〇八号)  同(山中末治君紹介)(第一四〇九号)  同(横江金夫君紹介)(第一四一〇号)  同(和田貞夫君紹介)(第一四一一号)  同(渡部行雄君紹介)(第一四一二号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願(小  川仁一君紹介)(第一三四七号)  同外二件(奥野一雄君紹介)(第一四一五号)  同外一件(永井孝信君紹介)(第一四一六号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(安田  修三君紹介)(第一三四八号)  同(野上徹君紹介)(第一四一七号)  医療保険改悪反対等に関する請願(大出俊君  紹介)(第一三四九号)  同外一件(河野正君紹介)(第一三五〇号)  同(橋本文彦君紹介)(第一三五一号)  同(加藤万吉君紹介)(第一四一九号)  同(宮崎角治君紹介)(第一四二〇号)  児童扶養手当制度改悪反対に関する請願(沼川  洋一君紹介)(第一三五二号)  同外一件(福岡康夫君紹介)(第一三五三号)  同(森本晃司君紹介)(第一三五四号)  同(金子みつ君紹介)(第一四二一号)  同(斉藤節君紹介)(第一四二二号)  同(武田一夫君紹介)(第一四二三号)  パート労働法の早期制定に関する請願(有島重  武君紹介)(第一三五五号)  同(草野威君紹介)(第一三五六号)  同(竹入義勝君紹介)(第一三五七号)  同(中村巖君紹介)(第一三五八号)  同(山田英介君紹介)(第一三五九号)  同(池田克也君紹介)(第一四二七号)  同(斉藤節君紹介)(第一四二八号)  同(沼川洋一君紹介)(第一四二九号)  医療・年金の改悪反対充実改善に関する請願  (天野等君紹介)(第一四二二号)  同(山中末治君紹介)(第一四一四号)  健康保険法改正反対等に関する請願(加藤万吉  君紹介)(第一四一八号)  カイロプラクティックの立法化阻止等に関する  請願(後藤茂君紹介)(第一四二四号)  同(堀昌雄君紹介)(第一四二五号)  国民年金法改正促進に関する請願(三原朝雄君  紹介)(第一四二六号)  医療保険制度改悪反対に関する請願(井上一成  君紹介)(第一四三〇号)  同(上田卓三君紹介)(第一四三一号)  同(中村正男君紹介)(第一四三二号)  同(野口幸一君紹介)(第一四三三号)  同(山中末治君紹介)(第一四三四号)  同(和田貞夫君紹介)(第一四三五号)  医療保険制度の改善に関する請願外一件(渡部  行雄君紹介)(第一四三六号) 同月二十六日  医療保険制度抜本改悪反対に関する請願(伊  藤茂君紹介)(第一四九三号)  同(大出俊君紹介)(第一六二四号)  健康保険法の改悪反対等に関する請願(工藤晃  君紹介)(第一四九四号)  年金・医療・雇用保険の改悪反対充実改善に  関する請願(小澤克介君紹介)(第一四九五号  )  同(武部文君紹介)(第一四九六号)  医療保険改悪反対に関する請願(山原健二郎  君紹介)(第一四九七号)  同(田並胤明君紹介)(第一五七六号)  同(松浦利尚君紹介)(第一五七七号)  食品添加物規制緩和反対食品衛生行政の充  実強化に関する請願(伊藤茂君紹介)(第一四  九八号)  同(稲葉誠一君紹介)(第一四九九号)  同(串原義直君紹介)(第一五〇〇号)  同(兒玉末男君紹介)(第一五〇一号)  同(佐藤祐弘君紹介)(第一五〇二号)  同(佐藤徳雄君紹介)(第一五〇三号)  同(清水勇君紹介)(第一五〇四号)  同(瀬崎博義君紹介)(第一五〇五号)  同(田中克彦君紹介)(第一五〇六号)  同外一件(野口幸一君紹介)(第一五〇七号)  同(細谷昭雄君紹介)(第一五〇八号)  同(松浦利尚君紹介)(第一五〇九号)  同(湯山勇君紹介)(第一五一〇号)  同(網岡雄君紹介)(第一五七八号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一五七九号)  同(岩垂寿喜男君紹介)(第一五八〇号)  同(小川国彦君紹介)(第一五八一号)  同(小澤克介君紹介)(第一五八二号)  同(大出俊君紹介)(第一五八三号)  同(川俣健二郎君紹介)(第一五八四号)  同(小林進君紹介)(第一五八五号)  同(左近正男君紹介)(第一五八六号)  同(佐藤観樹君紹介)(第一五八七号)  同(島田琢郎君紹介)(第一五八八号)  同(新村勝雄君紹介)(第一五八九号)  同(田並胤明君紹介)(第一五九〇号)  同(武部文君紹介)(第一五九一号)  同(馬場昇君紹介)(第一五九二号)  同(浜西鉄雄君紹介)(第一五九三号)  同(日野市朗君紹介)(第一五九四号)  同(細谷治嘉君紹介)(第一五九五号)  同(堀昌雄君紹介)(第一五九六号)  同(前川旦君紹介)(第一五九七号)  同(松沢俊昭君紹介)(第一五九八号)  同外一件(森井忠良君紹介)(第一五九九号)  同(八木昇君紹介)(第一六〇〇号)  同(矢山有作君紹介)(第一六〇一号)  同(山口鶴男君紹介)(第一六〇二号)  同(山花貞夫君紹介)(第一六〇三号)  中途失聴者・難聴者の救済等に関する請願(森  井忠良君紹介)(第一五一一号)  医療・年金の改悪反対充実改善に関する請願  (伊藤茂君紹介)(第一五一二号)  同(中島武敏君紹介)(第一五一三号)  同(島田琢郎君紹介)(第一六〇四号)  同(新村勝雄君紹介)(第一六〇五号)  同(新村源雄君紹介)(第一六〇六号)  同(八木昇君紹介)(第一六〇七号)  医療保険改悪反対充実改善に関する請願(中  林佳子君紹介)(第一五一四号)  同外一件(森井忠良君紹介)(第一五一五号)  同外一件(山下八洲夫君紹介)(第一五一六号  )  同(上野建一君紹介)(第一六〇八号)  同(野口幸一君紹介)(第一六〇九号)  同(矢山有作君紹介)(第一六一〇号)  健康保険法改正反対等に関する請願(薮仲義彦  君紹介)(第一五一七号)  社会福祉社会保障の拡充に関する請願(佐藤  祐弘君紹介)(第一五一八号)  障害者福祉法の制定に関する請願(佐藤祐弘君  紹介)(第一五一九号)  老人医療無料制度復活等に関する請願(三浦  久君紹介)(第一五二〇号)  同(上野建一君紹介)(第一六一二号)  同(矢山有作君紹介)(第一六一三号)  医療保険改悪反対等に関する請願(伊藤茂君  紹介)(第一五二一号)  同外一件(佐藤祐弘君紹介)(第一五二二号)  同(三浦久君外一名紹介)(第一五二三号)  同(岩垂寿喜男君紹介)(第一六一四号)  医療保険改悪反対、充実に関する請願(中島  武敏君紹介)(第一五二四号)  同(横江金夫君紹介)(第一六一五号)  医療・年金・雇用保険制度改悪反対等に関す  る請願(岡崎万寿秀君紹介)(第一五二五号)  医療保険制度改悪反対等に関する請願(野間  友一君紹介)(第一五二六号)  同(不破哲三君紹介)(第一六一六号)  医療保険制度改悪反対充実改善に関する請  願(津川武一君紹介)(第一五二七号)  同(横江金夫君紹介)(第一六一七号)  児童扶養手当制度改悪反対に関する請願(新村  勝雄君紹介)(第一五二八号)  社会保障・福祉の充実等に関する請願(柴田睦  夫君紹介)(第一五二九号)  医療保険抜本改悪反対に関する請願(佐藤祐  弘君紹介)(第一五三〇号)  同(津川武一君紹介)(第一五三一号)  同(東中光雄君紹介)(第一五三二号)  国民年金法改正促進に関する請願(今井勇君紹  介)(第一五三三号)  同(倉成正君紹介)(第一五三四号)  同(島田安夫君紹介)(第一六一八号)  同(森下元晴君紹介)(第一六一九号)  パート労働法の早期制定に関する請願(小川新  一郎君紹介)(第一五三五号)  同(大野潔君紹介)(第一五三六号)  同(薮仲義彦君紹介)(第一五三七号)  同(大橋敏雄君紹介)(第一六二〇号)  同(鈴切康雄君紹介)(第一六二一号)  同(中川嘉美君紹介)(第一六二二号)  医療保険制度改悪反対に関する請願(瀬崎博義  君紹介)(第一五三八号)  同(東中光雄君紹介)(第一五三九号)  同(正森成二君紹介)(第一五四〇号)  社会保障制度の改悪反対に関する請願(森本晃  司君紹介)(第一五七五号)  腎疾患総合対策早期確立に関する請願(小沢  和秋君紹介)(第一六一一号)  医療保険制度の改善に関する請願(渡部行雄君  紹介)(第一六二三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  医療保険制度等の改正に関する陳情書外四件  (第二二号  )  健康保険制度改悪反対に関する陳情書外四件  (第二三号  )  年金制度改悪反対に関する陳情書  (第二四号)  社会福祉対策の充実強化に関する陳情書外一件  (第二五号  )  国立病院・療養所の整理統廃合等反対に関する  陳情書外四件  (第二六号)  国立病院・療養所の充実強化に関する陳情書外  二件  (第二七号)  国立病院・療養所の存続等に関する陳情書外五  件  (第二八号)  食品添加物の規制に関する陳情書外二十一件  (第  二九号)  離島における特別養護老人ホームに関する陳情  書(第三〇号)  民間における林業労働者の雇用安定対策等に関  する陳情書(第三  一号)  興行場法の改正に関する陳情書  (第三二  号)  廃棄物処理施設整備事業に関する陳情書  (第三三号) 同月二十七日  民間における林業労働者の雇用安定対策等に関  する陳情書外二件  (第一〇七号)  国民年金制度の運営に関する陳情書外一件  (第一〇八号)  国民健康保険事業に対する国庫負担等の改善強  化に関する陳情書外一件  (第一〇九号  )  日雇健康保険制度の廃止反対等に関する陳情書  外一件  (第一一〇号)  医療保険制度の改革に関する陳情書外二十五件  (第  一一一号)  国立病院・療養所の廃止反対等に関する陳情書  (第一一二号)  国立病院・療養所の存続等に関する陳情書  (第一一三号)  優生保護法改正反対に関する陳情書  (第一一四号)  高額療養費国庫負担の制度化に関する陳情書外  一件  (第一一五号)  高齢者対策の強化に関する陳情書  (第一一六号)  父子家庭に対する福祉施策の充実強化に関する  陳情書  (第一一七号)  小児慢性特定疾患対策の拡充に関する陳情書  (第一一八号)  飲料水の有害化学物質による汚染防止等に関す  る陳情書(第一一  九号)  厚生年金第三種被保険者に対する特例措置の存  続に関する陳情書  (第一二〇号)  老人医療無料制度復活等に関する陳情書  (第一二  一号)  カネミ油症被害者救済に関する陳情書  (第一二二号)  食品衛生行政の充実に関する陳情書  (第一二三号)  全国ハンセン氏病療養所に関する陳情書  (第一二四号)  覚せい剤対策の充実強化に関する陳情書  (第一二五号)  風俗を害する環境衛生関係営業の規制強化に関  する陳情書外一件  (第一二六号)  健康保険制度の改定反対に関する陳情書外五件  (第一二七  号)  痴呆性老人対策の充実強化に関する陳情書外一  件(第一二  八号)  精神障害者福祉法の制定に関する陳情書  (第一二九号)  公的病院の経営健全化に関する陳情書  (第一三〇号)  廃棄物処理施設整備事業に関する陳情書  (第一三一号)  保育所保育の施策に関する陳情書  (第一三二号  )  保育所措置費等の改善に関する陳情書  (  第一三三号)  愛知県に大型技能開発センター設置に関する陳  情書(第一三四号  )  パートタイマーの労働条件改善に関する陳情書  (第一三五号)  失業対策事業の就労日数削減等に関する陳情書  (第一三六号)  労働基準法改悪反対等に関する陳情書  (第一三七号)  下水道終末処理場高度処理施設に関する陳情書  (第一三八号)  硫黄島の遺骨収集促進に関する陳情書外一件  (第一三九号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提  出第二三号)  労働関係の基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 有馬元治

    ○有馬委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。池端清一君。
  3. 池端清一

    池端委員 私は、まず最初に、坂本労働大臣に対して、労働行政の基本姿勢についてお尋ねをしたいと思います。  労働大臣は、二月二十三日の本委員会における所信表明で、「勤労者の雇用の安定と福祉の向上を願う国民の皆様の労働行政に対する期待と信頼にこたえ、国民の心をみずからの心としつつ、全力を挙げてまいる決意であります。」このように述べられたのであります。その言やまさによしやであります。しかし、現実に進められている労働行政は、果たして大臣の言われるように国民の期待と信頼にこたえているものになっているでありましょうか。私は、残念ながらノーと言わざるを得ないのであります。例えば、今国会に提案をされている雇用保険法の改正の問題にしても、あるいはまた失対事業にかかわる就労日数の削減の問題にしても、労働行政に求める国民の期待と信頼にこたえるものになっていないと言わざるを得ません。  大臣は、一体今我が国の勤労国民がどのような状況に置かれているのか、その暮らしや雇用の現状をどのように把握し理解されておられるのか、また、大臣が言う「国民の心」とはどのようなものであるのか、その認識を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  4. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 私は、別に労働大臣になってから国民の心を心としてというわけではございませんので、政治家としてスタートしたときから、国民の心を心として、その信頼なくんば政治は成り立たぬ、信なくんば立たず、これは私の政治信条でありまして、労働大臣になりましても、いろいろなあなたの御指摘になるような大変な懸案がたくさんございますので、この懸案解決のためにも、やはり信頼にこたえて、そして国民の心を心として一生懸命やらなければならぬという、私の政治の原点、それから労働行政を預かる覚悟というような意味で、みずからを励まし、戒めるというような意味で申し上げたわけであります。  そこで、いろいろ具体的な問題が、池端さんのおっしゃるように、それはなかなかこれでよしというようなそういう甘いものではございませんでしょう。いろいろな問題がございます。  世界第二の経済大国になりまして、そしてこの原因はと言われると、私はいつも申し上げるのでありまするが、これは、私は、世界の中でもこれほど教育の水準も高いし、勤勉の精神も勤労の精神も持っておる、この質の高い勤労者というものが資源のない我が国では大変な原動力になったのだ、世界第二の経済大国になった原動力はこの質の高い勤労者諸君だ、そして労使関係も世界的にうまくいっている方だ、そういうところは大切にしていかなければならぬとこう思っております。  しかし、いろいろ見ますと、これは、賃金の面などは西欧並みというところまでだんだんやってまいりました。それはイタリア、フランスも追い越したでありましょうが、しかし労働時間というようなことになりますると、やはりまだ二、三百時間も隔たりがあるというようなことでありまして、この点などは、今後ともやはり労働行政の重点になるべきものだとこう思っております。もちろん生産性向上の配分の仕方が労使でどういうふうになるかということでもございましょうが、賃金ばかりに傾斜しないで、労働時間短縮という面もこれからの重要な課題であるし、私どもも大いに指導をしていかなければならぬ、こう思っております。  国内でも御承知のとおりの高齢者対策、特に六十歳から過ぎた六十五歳まで、ここらはまだまだ意欲もございまするし、この人たちは、青年期は戦中戦後の本当の荒波にもまれできた方々であります。本当に御苦労をされた方々でありまするが、そういう特に六十歳台前半層などを中心としたこの対策というもの、この方々がふえておるわけでありますから、そういう点にうんと重点を志向しなければならぬ。また、身体障害者だとか、一部職種、一部地域の不況対策、あるいは労働災害などもまだ依然として続いておりますが、こういうところにも一段と気を配らなければいかぬし、特に、大企業関係の勤労者よりは中小零細企業の勤労者の労働条件、これは格差がありますので、こういう点についても、日の当たらぬところには日を当てていくというような、これは原点でありましょう。また労働行政の大事なところでもございましょうので、そういういろいろな問題について一生懸命取り組んでいかなければならぬ。現状は厳しいけれども全力を挙げて取り組んでいきたい、こういうことであります。
  5. 池端清一

    池端委員 現状は厳しい、懸案は山積している、こう大臣は今述べられたわけであります。私も、確かにそうだと思うのであります。  例えば、雇用失業情勢について言えば、総理府が五十八年平均の労働力調査をさきに明らかにいたしましたけれども、完全失業率は二・六%、総理府がこの統計をとり始めて以来最悪の数字を示しております。ことしに入ってもその状況は依然として引き続き、本年一月のそれは二・九%、こういう失業率であります。企業の倒産件数はどうかと言えば、昨年は史上最高の一万九千百五十五件、しかもこの状態はこれまた本年に入っても変わりません。一月は千四百九十二件、とりわけ中小企業等構造不況業種を中心に、倒産と失業の不安が高まっております。一般の国民の家計の消費支出はどうかといいますと、昨年一年間の実質消費支出は〇・六%の低い伸びにとどまっております。まさに台所は火の車、こういう状況であります。最近よくマスコミをにぎわしますサラ金苦に伴う犯罪や自殺、そして自己破産申請の激増、これはまさに今日の国民生活の実態をあらわしているのではないか、こう思います。  私の地元室蘭は、企業城下町と言われております。鉄鋼と造船の町であります。今深刻な不況であります。有効求人倍率が大体全国平均〇・六倍程度と言われているにもかかわらず、室蘭では本年二月の有効求人倍率は〇・一六倍でございます。大変な状況でありまして、まさに国民は青息吐息、こういう状況であります。  こういうような状況の中で、大臣は、さきの所信表明の中で「来るべき二十一世紀において」云々というふうに言われました。二十一世紀まであと十六年しかございません。二十一世紀を展望して労働行政を論ずる、これは極めて重要なことであります。しかし、二十一世紀を待たずとも、あすの暮らしをどうするか、あすの雇用をどうするか、あすの経営をどうするかというのが、今国民が思い悩んでいる実態でございます。  そういう状況を労働省は深刻に、そして真剣に受けとめるべきではないか。こういう現実打開のために労働行政はいかに立ち向かおうとしているのか、その点改めてお聞かせを願いたいと思うのであります。
  6. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 ただいま池端さんおっしゃったように厳しい、難問は山積をいたしております。だけれども、私が二十一世紀と申し上げたのは、私どもが急速に戦後築き上げてきた経済社会、これはやはり国際的に見れば、ほかの国々から見れば、奇跡の成長とまで言われておる点もあるわけであります。そういうふうに急速な成長をいたしますると、それはそれなりに過熱した部分も、あるいはまた日の当たる反面日の当たらぬところも、それはいろいろな問題が出てきておるだろうと思っております。先ほど私も一応列挙をいたしましたけれども、いろいろな問題について確かにきしみなり、あるいは反面の陰なり、それは出ておることは事実だろうと思っております。室蘭に限らず、私どもの石川県でも、景気が回復したといったって一体どこの話だ、こう言っておりますよ。非常に地域的なばらつきがあるわけです。中小企業を中心にしたら、非常に格差があるわけであります。そういうような点において、特に雇用を預かる私どもといたしましては、非常にその点は細心の注意ときめの細かい配慮をしていかなければならぬことはあなたのおっしゃるとおりだと思っております。  私もこの間北海道へ参りまして、地域の方々のお話を聞きましたけれども、一刻も早く冬の公共事業を何とかしてやってくれ、それてきようが助かるのだ、あすのことなど景気のマクロの話はもうわかった、きょうの仕事をやってくれ、こういうふうな切実な声を随分聞かされてまいりました。そういうような面におきまして、ひとつ私どもも、二十一世紀は、私どもの今までのこの大きな実績というものを踏まえてやはり大きな明るい目標にしていかなければならぬ、希望は持たなければいかぬ、しかし、その現実は一歩一歩足元から、脚下照覧でやっていかなければならぬという気持ちはあなたのおっしゃるとおりだと思って、いろいろな施策に努めたいと思っております。
  7. 池端清一

    池端委員 ここに労働省広報室編の「労働時報」一月号がございます。ここで坂本労働大臣は新春のごあいさつというのを述べておられます。大変すばらしいことを言われておるのです。   「眼は遠山を望むが如く」常に大局を忘れず  に、「手の内は、生卵を握るが如く」社会経済の  変化に機敏に対処してまいりたいと考えており  ます。さすがに剣道の達人、言うことが違う、こう感心をしております。しかし、実際にやっておることは、今申し上げたように就労日数を削ったり、雇用保険法の改悪を企図したり、それは「生卵を握るが如く」ではなくて、生卵をつぶすごときやり方ではないだろうか、私にはそう思えてならないのであります。  大臣の言う生卵を握るがごとき労働行政とは一体具体的にはどういうことを言うのですか、明らかにしてください。
  8. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 なかなか具体的なところに至りますと、非常にそれは難しい点がたくさんございます。それは率直に認めます。  例えば、雇用保険制度というものをどう変えていくか、改正するかという点につきましては、やはり雇用保険制度は、もらっておられる方々、今失業中の方々で手当をもらっておられる方々だけを見るわけにはまいりませんので、たくさんの勤労者の皆さんに、万一不幸なときにはちゃんとある程度の応援はできるよというような制度をつくっておかなければならぬ、そしてその財政を確立しておかなければならぬ、今の失業された方々だけを見るのではなしに、その制度というものはたくさんの勤労者の皆さんに十分お役に立つ大事な制度だというようなことを考える、それが一つの大局観であろうと思います、小さな例になるかもしれませんけれども。その場合に、やはり早く変化に対応せなければいけません。雇用保険だって随分昔のものでありますから、今なかなか時代におくれておりますので、その変化に対応していろいろと苦心をしてやった。池端さんから見れば、まだまだどうも変化への対応が下手だとおっしゃるかもしれませんが、もちろん名人の域には達しておりませんけれども、できるだけ変化に対応して、そして大局を見てできるだけの努力をしたという、一例を挙げればそういう感じでございます。
  9. 池端清一

    池端委員 きょうは時間がございませんので、生卵論はまた改めてやりたいと思っておりますが、具体的な問題について幾つかお尋ねをしたいと思います。  その第一は、仲裁裁定と人事院勧告の問題でございます。  政府は、ここ数年来、御承知のように財源難を理由にして、仲裁裁定の抑制や人勧の凍結あるいは無視、こういう態度をとり続けてまいりました。まことに理不尽な行為と言わざるを得ません。この制度の根幹を否定する暴挙である、こう言わなければならないと思うのであります。  そこで、坂本労働大臣としては、今日までのこのような制度の根幹を否定する人勧や仲裁の抑制あるいは凍結、無視、こういう措置に対してあなたはどのような見解をお持ちになっておられるのか、それをお尋ねをしたいと思います。
  10. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 人事院勧告とか仲裁裁定、これはやはり労働基本権の制約の代償措置であります。そこが一番肝心なところであります。しかし結果論でありますが、去年、おととしの凍結ないし制約というものは、非常に財政状態はそれは厳しかったと思います、あるいはまた、いろいろそういう厳しい風潮が世論の中にもあったことも事実でありましょう、しかしこれは、もしあったということは、弁解するとすれば、一つのやむを得ざるそのときの臨時の緊急避難行為である、異例の措置である、私はそう思っております。しかるがゆえに、ことしになりますと三年目ということになる、世の中の人も、仏の顔も三度と言いますから、ことしあたりはやはり、去年やおととしに比べて今までのおくれを相当取り返すというような、できれば完全実施、これが一番いいわけであります。完全実施に向けてひとつ旧に倍した努力がなされてしかるべきである、私はそう思っております。
  11. 池端清一

    池端委員 やむを得ざる緊急避難的な措置であったということは、私はこれは言いわけにすぎないと思うのであります。そういうことでは制度の根幹を否定することはできないと私は思う。少なくとも今日まで、私の乏しい経験でも、藤尾元労働大臣にしても初村元労働大臣にしても、この問題については毅然とした態度で、労働行政の長として、閣議においてもあるいは給与関係閣僚協議会においても大変な努力をされた、私はそういう記憶を持っておるわけであります。  そういう意味から、今坂本労働大臣は、相当取り返す、この相当取り返すというのは一体どういうことですか。この二年来のその分を相当取り返すなんというような姿勢であるから問題だ、私はこう思うのです。大臣、あなたはやはり率直に、五十九年度、仲裁なり人勧、この問題については完全に実施をする、この場で明確にひとつお答えをいただきたい、それが労働大臣としての責務であるから私はあえて申し上げるのであります。
  12. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 これは予算委員会でも、それからまた政府の、中曽根総理初め全閣僚、口をそろえて、完全実施に向けて最大限の努力をいたしますと言っております。私もそれと同じであります。  しかし、これはなかなか言うはやすくして行うは難しいということも、過去の例においてはこれは事実でありますから、だから旧に倍して努力が要るなということを申し上げておるので、最大限努力をいたしますという、それは統一答弁みたいなことだけでは私はことしは済まぬのではないかな、もっと頑張らなくちゃいかぬなという意味でいろいろなことを、私の気持ちを申し上げたというわけでありまして、あなたのおっしゃるとおり、完全実施に向けて最大限の努力をするということはこれは間違いはございません。
  13. 池端清一

    池端委員 言うはやすく行うは難しいとか相当取り返すとか、まさに予断と偏見を持ってこの問題に対処しようとしている、それが私は労働大臣としてはおかしいのではないか、このことを申し上げているのです。どうですか大臣、重ねてお聞きします。文字どおり完全実施のために最大限努力をする、このことをお約束できますか。
  14. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 完全実施のために最大限に努力をいたします、これは申し上げておるのです。ただ、池端さんがごらんになってもわかるように、理想と現実というのがあって、それを橋渡しするのが政治家の責任でありまするから、その責任に照らせば非常に重大な責任があるということを申し上げておるのです。
  15. 池端清一

    池端委員 大臣、あなたは先ほど石川県の不況の問題にもお触れになりました。この仲裁や人勧の問題というのは、単に官公労働者の生活の問題だけではないのです。年金生活者、あるいは民間の労働者、あるいはまた商工業者、中小企業の皆さん方にも大きく影響する問題なんです。かつては、町場の商店街の皆さんも、官公労働者の賃金の問題になると親方日の丸だというような批判の声が上がっておった、それは事実です。しかし最近は違いますよ。やはり人勧や仲裁を完全にやってもらわなければこの不況はもうとどまるところを知らないものになってしまう、地域の経済の活性化のためにも人勧や仲裁は実施をしてもらいたい、これは経営者、商店街の皆さん方もみんな同じようなことを言っておられるわけであります。そういう意味で、この問題は内需拡大、地域経済活性化のためにも極めて重大な問題なんです。そのことをきちっと認識をして対処していただきたい、このことを強くお願いをしておきます。よろしくお願いいたします。  次に、大臣の所信表明で私は極めて遺憾だったと思うのは、労働時間短縮の問題が全く触れられておらないのであります。いろいろ聞きますと、週休二日制等と、「等」という中に労働時間短縮という言葉があるのだ、こう言うのでありますが、しかし、ともかく労働時間短縮の問題があの所信表明の中にはございません。今日労働時間短縮の問題は極めて重要でありますが、むしろ造船業界等に特徴的に見られるのでありますが、労働時間短縮よりも労働時間延長という、そういう方向の内容が経営者側から提案をされて、各地で労使紛争が起きておるわけです。短縮どころかそれに逆行する、こういう状況が各地で起こっていることは御案内のとおりだと思うのであります。この問題は単に労使交渉の問題だ、そういう消極的な姿勢ではなしに、むしろもっと積極的に労働省が対処すべき重要な課題である、緊急な課題であると思いますが、いかがでしょうか。
  16. 望月三郎

    ○望月政府委員 先生おっしゃるように、労働時間の短縮の問題は労働行政の中で非常に重要な課題であるというように私どもは受けとめておりまして、これは、週休二日制の実施あるいは年次有給休暇の計画的消化あるいは恒常的な時間外労働の是正という三点を柱にして、従来強力な行政指導をやってきたわけでございます。長い目で見ると大分労働時間も短縮傾向にあるわけでございますが、最近において、経済状況を反映しましてその短縮のテンポがやや鈍化しておるということは事実でございます。しかしながら、私どもはさらにこれについて粘り強く時間短縮という方向をとっていきたいというように思っております。  それから、先生御指摘のように、造船業等における不況産業におきましては、一部において労働時間の延長という傾向が見られることも確かでございまして、私どもも昨年の秋に全国の造船業関係の労働時間の実態について調査を行ったわけでございますが、その中には、短くなったものも相当ございますけれども、一部において長くなっているという企業も相当ございますので、それらについては地方の基準局、監督署を通じまして強力な行政指導をしているというのが現状でございます。
  17. 池端清一

    池端委員 時間がございませんので次の問題に移らしていただきますが、次に、民間林業労働者の労働条件等の問題について幾つかお尋ねをしたいと思うのであります。  今日、森林の公共的、公益的機能というものに対する国民世論が非常な高まりを示しておりますことは、大変喜ばしいと思うのであります。しかし、このような森林の公益的機能を高め、造成していく上で極めて重要なことは、民間林業労働者の処遇なり労働条件の改善の問題だ、私はこう思うわけであります。  そこでお尋ねをしたいのでありますが、これは林野庁にまずお尋ねをいたしますが、民間林業労働者の労働条件、処遇の問題は現在どういうような実情にございますか、その実態を明らかにしていただきたいと思うのであります。
  18. 山本徹

    山本説明員 先生お尋ねの民間の林業労働者の労働条件でございますが、これにつきましては、労働省でお調べになっております賃金調査、あるいは農林水産省で調査いたしております物価賃金統計等で見ますと、一日当たりの平均賃金が木材伐出業で八千六百八円となっております。これを比較のために、林業に類似いたします屋外労働者について見ますと、男子の農業労賃で五千五百四十三円、それから建設屋外作業で八千三百十円となっておりまして、ただいま申し上げました木材伐出業の八千六百八円、これは必ずしも他産業に比較して低いとは言えない実態にあると考えております。しかしながら、林業労働につきましては、自然条件の制約による作業の季節性、また林業経営規模が我が国では大変小さいために就労が間断的でございます。そういった条件がございますために、林業労働者の年間就労日数というものは、私ども一般的に百五十日から二百日程度であると推定いたしております。
  19. 池端清一

    池端委員 賃金は一般の建設労働者に比較すると多少高いようでありますが、就労日数が季節性、間断性でありますから非常に少ない、したがって年間の総収入も非常に低いという状況であります。  ここに、林野庁監修の「森と木の質問箱 小学生のための森林教室」という、これは副読本でありますが、その副読本の六十一ページにもこう書いてあります。   山で働く人たちは、だんだん少なくなり、しかも、年をとった人のわりあいがふえています。林業労働が、つらい仕事であることもその原因のひとつですが、もっと深く考えると、山村のくらしが、なりたちにくくなったことと、つながりがあります。   山の緑を守るために、わたしたち一人ひとりが、森林をたいせつにする気持を持つことはもちろんですが、もっとたいせつなのは、山で働いて、森林を守り育ててくれる人たちのくらしが、なりたちやすいようにすることです。 こう書いてあるのですね。私は、まことに明確なことを小学生にも教えている、大変立派なことだと思うのです。しかし、現実にそれでは林野庁はこれらの人たちの処遇改善や労働条件の改善にどれだけ取り組んできたのか、そう思うと甚だ疑問なしとせざるを得ないのであります。そこで、今日までどのような林野庁としてこの生活条件の整備に努力をされ、どのような成果が上がっているのか、その状況をお答えいただきたいと思います。
  20. 山本徹

    山本説明員 先生御指摘のように、林業労働者の労働条件の改善という課題につきましては、林野庁の行政の面でも最も重要な分野の一つとして考えております。  このために、林野庁といたしましては、従来から造林、林道、林業構造改善事業等の各種の林業振興施策を通じまして林業生産活動の活発化を図り、これを通して林業労働者の雇用の安定、長期化を図るといったことを基本としながら、林業労働者の定住化促進、就労条件の改善、また若年林業労働者の確保等の施策を総合的に推進してまいってきているところでございます。  こういった施策を推進した結果、森林組合の作業班の林業労働者について見てみますと、五十一年から五十六年にかけて、過去五年間の統計で見ますと、就業日数が百五十日以上の者が一八%増加しておりますのを初め、健康保険の加入者が約五割増加し、また退職金共済の加入者が約五倍に増加する等、私どもの林業労働力対策はその効果が一応上がっているものと考えております。
  21. 池端清一

    池端委員 逐次改善されている、逐次効果が上っている、こういうお話しのようでございますが、実はことし、去る三月三日に、林業労働者生活実態調査結果というものが、群馬大学の教授であります星野貞一郎先生を初め、七人の学者グループによって構成されております林業労働者生活実態調査研究会の調査結果が発表され、これは新聞各紙にも載りましたので御承知かと思うのでありますが、その結果によりますと、この内容は極めてショッキングな内容になっておるわけであります。  一つは、林業労働者世帯の収入が、生活保護世帯に相当する世帯が実に二三・四%を占めている、こういう数字が出ております。二つ目の問題は、年齢別構成の上では二十九歳以下の林業労働者、若手の労働者がわずかに〇・八%にすぎない、非常に高齢化が進んでいる、こういう状況が二つ目の問題として提起をされております。三つ目の問題は、雇用労働条件が極めて劣悪であり、不安定だ、しかも前近代的な労働形態である、したがって社会保険等への加入が少ないというようなことも、この調査結果は明らかにしているわけであります。  今逐次改善されているというお話してございましたが、林野庁、この調査結果についてどういう御所見をお持ちか、また今後の改善に対する決意もあわせてお伺いしたいし、あわせて労働省の見解も承りたいと思います。
  22. 山本徹

    山本説明員 ただいま先生から御紹介がございました調査につきましては、私どもその調査方法なり内容を必ずしも詳細に承知はいたしておりませんが、いずれにいたしましても、林業労働者の労働改善対策というのは林野庁としても大変重要な課題でございます。このために、先ほど御説明申し上げ旅したような、林業生産活動を活発化するための各種の林業振興施策の実施を初めといたしまして、林業労働者の定住化促進、また労務改善、若年労働者の確保等の施策を今後とも強力に推進してまいりたいと考えております。しかしながら、林業労働につきましては季節性、間断性等の特徴がございまして、林業労働のみによる通年雇用には限界がございますので、山村における地場資源を活用して付加価値を高めて販売する事業、あるいは農林複合経営の推進といったような施策を内容といたします林業地域活性化総合対策事業というものを、五十九年度の予算案で新たに十五億円計上させていただいております。これとともに、林業労働者を雇用する林業事業体がまだまだ零細、脆弱でございますので、林業事業体の経営基盤の確立、また健全な育成を通じて雇用の安定、改善を図るための林業事業体雇用体制整備振興対策事業というものを、これも新たに五十九年度に一億六千七百万円をもって実施させていただきたいと考えております。  以上申し上げましたような施策を総合的にかつ強力に推進することによって、林業労働者の労働条件の改善にこれからも一層私ども努力してまいりたいと考えております。
  23. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 先生御指摘のこの調査研究の発表、これは大変ショッキングな内容でございます。私ども数字的には若干違った数字を持っておりますが、傾向としては御指摘のように高齢化が大変に進んでおる、特に学校を卒業しまして林業へ就労、就職する方というのは全国でもう二百何十名というそんな数しかないというような状況にあるとか、あるいはまた収入の面でも、非常に季節性が強いために年間の収入という面で見ますと大変に少ない額しかないというようなことで、一般の雇用労働者に比べまして非常に厳しい条件の事情にあることは承知をしておるわけでございます。  しかし、林業労働そのものは、基本的に、作業の季節性という問題、あるいはまた山村地域での業務であるというような問題、そしてまた民間林業の経営規模が非常に零細性が強いというようなことで、雇用面でもいろいろ問題が少なくないし、またその改善については難しい問題がいろいろあるわけでございます。そういう意味で、私どもも民有林労働者の雇用安定のための改善指導というのは今後も力を入れていかなければならないと考えておりますが、やはり基本的には林業の経営基盤の整備ということが先決でございまして、こういう意味で、農水省の実施いたしております林業労務改善に関する事業とよく連携をいたしまして、林業労働問題の前進のために努力をしていきたい、こう思っておるわけでございます。
  24. 池端清一

    池端委員 それでは、失対事業に関連して一つだけお尋ねをしたいと思うのであります。  冒頭触れましたように、五十九年度は、失対事業の就労日数の削減という極めて納得のできない措置がとられようとしておるわけであります。この問題に関連をして私もいろいろ調べてみましたところ、失対事業の雇用保険の未適用地というのがかなりの地域についてある。北海道を初め沖縄に至るまで、四十数市町村で雇用保険が適用されない地域があるということを知るに至りました。こういう状況が現在あるのは一体どういう理由によるものでありましょうか。
  25. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 日雇い労働者に対します職業紹介あるいは失業の認定というのは、一日ごとに行うことを原則としておるわけでございます。したがいまして、原則として毎日安定所に出頭できるような地域に居住しておられる日雇い労働者について日雇労働被保険者にしておる、こういうことでございまして、その地域指定におきましては、原則として安定所まで三時間以上かかるというような地域等につきましてはそういう地域の指定外になっておる、こういうことでございます。
  26. 池端清一

    池端委員 三時間以上と言いますが、例えば北海道で木古内町、上富良野町、美深町。木古内町は函館から四十一・二キロですよ。三時間もかかりません。上富良野町は三十九・七キロ、決して遠隔の地でも何でもないのです。それが未適用地ということで放置をされている。法のもとの平等に反する大変な問題ではないか、私はこう思うのですが、これについてこれを改善する考えはないかどうか、お尋ねをしたい。
  27. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 もう少し基準を明確に申し上げますと、三時間以上であるとか、積雪地等のために距離は短くてもなかなかそこへ通うのに時間がかかるとか、そういうような基準等によりまして地域指定をしておるわけでございます。  この問題につきましては、いろいろ地域の実情によりましての見直しをやっております。こういう適用地域の調整は従来も行ってきたわけでございまして、特に昭和四十五年には全面的な見直しを行いまして、一応適用すべき地域については適用したところでございます。したがいまして、現在適用区域にされてないところの大部分は、交通事情あるいはまたそういう積雪等の事情等によりまして、適用区域にすることは非常に困難な地域であると考えておるわけでございます。しかし、先生のせっかくの御意見でございますので、いま一度それぞれの地域の実態等につきまして把握をいたしまして検討をさせていただきたい、こう思っております。
  28. 池端清一

    池端委員 私は、これは公平の原則からいっても本当に問題があると思います。その地域の実情を十分に検討されまして、公平、公正な措置をとられるように強く要望しておきたいと思います。  最後に、男女雇用平等法についてお尋ねをいたします。  昨日、婦人少年問題審議会で報告書がまとまりまして、提出をされました。六年間の審議であったにもかかわらず両論併記、いや三論併記という格好になったことはまことに残念な状態だと思うのであります。  そこで、これからいよいよ労働省はこの報告書を受けて法案作成の作業に入ると思うのでありますが、どうもその内容に私ども非常に心配な点がございます。  この報告書の基調からいって、法案の中身は、募集、採用の面では平等というものを企業の努力義務にする、あるいは昇進・昇格などの雇用管理面の差別は禁止規定にするけれども罰則は設けない、あるいは労働基準法の女子保護規定が、母性保護の規定を除いては廃止または緩和されるのではないかということがいろいろ言われておりますが、そういう方向で法案の作成に当たられるのかどうか、基本的な姿勢をお尋ねしたいと思います。
  29. 赤松良子

    ○赤松政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたように、昨日、雇用における男女の機会の均等及び待遇の平等の確保のための法的整備について、建議をいただいたところでございます。今先生御指摘のように、この建議は一致した点もかなりできたわけでございますが、かなり重要な点で両論併記あるいは三論併記という形になっておりまして、労働省といたしましては、この建議をお受けして、どのように法案に取りまとめたらよいか、きのういただきまして直ちに検討に入ったところでございます。  この建議の中に「審議の経過及び報告の内容を十分尊重して、婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の批准のための条件整備として必要な法的整備を速やかに行うよう建議する。」このように書かれておりますことから、この建議あるいは部会の報告自体は議論が分かれておりますが、この分かれたゆえんをよく検討いたしまして、今までの御討議の内容を盛り込んだ法案にいたしたい、このように考えております。
  30. 池端清一

    池端委員 どうも要領を得ないのでありますが、今百一特別国会は五月二十三日が会期末ですね。一体いつこの法案を国会に出すおつもりなのか、具体的な日程を明らかにしていただきたいと思います。
  31. 赤松良子

    ○赤松政府委員 昨日いただきまして直ちに検討に入ったわけでございますが、法案提出までにはまだ各省の折衝、あるいは法制局の審議等いろいろ必要な手続がございます。この手続をできるだけ速やかに終えまして、法案の提出を今国会にぜひ出したいと思っております。
  32. 池端清一

    池端委員 今国会にぜひ提出をしたい、こう言っておりますけれども、審議会でも六年かかって三論併記になったような重要な問題を、あと会期もわずかしかないというときに国会に出して審議せよというのは、一体我々国会議員をどういうふうにお考えなのですか。それはちょっと無責任ではないか、こう私は思うのですよ。そういうことを今婦人少年局長に申し上げてもなんでございますが、これはひとつ十分審議できる、そういう時間的余裕をやはり持って国会に提出する、そういうことで、できるだけ速やかに法案を国会に提出してもらいたい。しかし、その中身であります。平等とは名ばかりのざる法であってはなりません。全く実効のないものであっては困るわけでありますので、十分この点も踏まえた法案作成の作業を進めていただきたいということを強く要望しておきたいと思います。  時間でございますので、最後に労働大臣、労働行政には先ほどからいろいろお話しがありますように懸案が山積しております。まさに重大な正念場を迎えているのが労働省の今の立場ではないか、こう私は思うのであります。大臣が言われたように、国民の心を心とし、名もなき庶民の心を心として労働行政をこれから積極的に進めていただきたい、このことを強く強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
  33. 有馬元治

    ○有馬委員長 永井孝信君。
  34. 永井孝信

    永井委員 ただいま私の同僚である池端議員から、労働行政全般について大臣にお尋ねがされました。私も同じような視点から、若干の具体的な問題を含めてお聞きをしてみたいと思うわけであります。  まず、今のこの未曽有の不況下において、今も指摘されておりましたように失業率が極めて高い、そういう状況の中で不当労働行為も頻発をする、いわば労働者にとってはまさに受難の時代だと言っても過言ではないと思うのでありますが、その時に当たって、地方における出先機関、いわゆる労働基準監督局あるいは職業安定所など出先機関を通して労働行政が十分に機能していると大臣は認識をされているかどうか、初めにお答えをいただきたいと思います。
  35. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 労働基準関係を監督、督励して成果を上げておるのかというお話してございます。  労働省といたしましては、全力を挙げて、監督官を機能的にあるいは能率的に督励をいたしまして、現場を監督し、督励をし、そして不当労働行為のないように全力を挙げておるところでございます。しかし、監督官の数などということになりますると、行政改革、この厳しい定員削減の枠の中でございまして思うに任じておりませんが、それでも三十名程度は増員をしてやっておる、ここに重点を置いておるというところでございまして、そうたくさんはふえませんけれども、ひとつ効率的、機能的に運営をして御期待にこたえていきたいなと思っております。
  36. 永井孝信

    永井委員 三十名ほど増員をされて地方の機能強化を図っているという趣旨の御答弁でありますけれども、私は決してそう思ってないのですね。今たまたま大臣から、そういう定員をふやしたというお話しもございましたからあえて触れるわけでありますが、例えば定員の推移を資料で見ますと、確かに労働基準監督署の監督官は五十七年度に比べて五十八年度は三十一名ふえているわけですね。ところが基準局の監督官がマイナス二十一名、労働基準監督署の定員がマイナス十名、何のことはない、三十一名減らして三十一名置きかえただけの話なんですよ。だから、そういう意味では全く出先機関の機能を強化するための施策はとられていないと言ってもいいのではないか。労働基準局全体では百十二名も減員になっているわけですね。これで、今の多様な労働状況、労働者のニーズの非常に多様化された中でそれに対応し切れるのかというと、私は決して対応できるものではないというふうに断定せざるを得ないと思うのであります。  例えば不当労働行為の問題でありますけれども、この不当労働行為の件数にしてみたって、これだけの複雑な社会でありますから、年ごとに不当労働行為はふえてきているわけですね。現在でも、不当労働行為の係属案件は二千百三十五件もそれぞれの労働委員会に提訴されている。それが具体的に解決になっていない。これは「労働委員会における不当労働行為事件の審査の迅速化等に関する報告」という労使関係法研究会がまとめたものでありますけれども、私が五十七年にこの社会労働委員会で質問したときに、この労使関係法研究会の取りまとめが間もなくされるので、それに基づいて積極的にこの不当労働行為などの根絶、あるいはこの係争事件の解決に当たりたいというふうな答弁を当時の吉本労政局長からしているわけですね。ところが、現実はなかなかそのとおりになっていない。例えば労働委員会における不当労働行為事件の平均処理日数について見ても、年ごとにふえてきているわけですね。五十七年の実績で言うと平均九百八十八日もかかっている。これは平均でありまして、長いものでありますともっともっと期間が長くかかっておるのですよ。長くかかっている原因は何かというと、例えば地方労働委員会において一定の裁定が出される、それを不服として中央労働委員会に上げられる、中央労働委員会で一定の裁定が出ると、その次は、片方がそれを不服として今度は法廷に持ち出す、そして地裁、高裁、最高裁といくわけですね。今の現実は五審制度なのですよ。五審制度のもとでそれだけの長期間をかけて不当労働行為問題を取り扱っているうちに、労働者は、悪い言葉でありますけれども野たれ死にしてしまうのですよ。こういうことで果たして労働行政がいいのかどうなのか、労政局長どうですか。
  37. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 不当労働行為につきましては、ただいま御指摘のとおり年によって若干増減はございますけれども、傾向として申し立て件数がふえておりますし、同時に、件数の増加とまた事件の内容が複雑になっておりますために、処理日数が残念ながら非常に延びているという状況でございます。  この点につきましては、私ども労働省といたしましても非常に大きな問題意識を持っておりますし、また同時に、中労委、地労委の各委員会におきましてもそういう実情を踏まえて問題意識を持っておられるところでございまして、先生御案内のことと存じますけれども、中労委、地労委で構成いたしております全国労働委員会連絡協議会におきましては、既に五十六年の十一月に、中労委で実行委員会を設けて審査の迅速化ということについての取りまとめを行われましたし、また、先ほど御指摘がありましたとおり、労働省におきましては、労使関係法研究会から五十七年の五月に審査の迅速化のための報告をいただいております。これらに基づきまして、例えば、今挙げられました審査が地労委、中労委、裁判が地裁、高裁、最高裁と五審制になっているというような点が簡略化できないかというような制度的な問題もございますが、実際に具体的にできる問題はすぐ取り上げて実行する必要があるというような観点から、まず例えば、中労委におかれましては、五十八年十一月に、全国労働委員会連絡協議会におきまして、労働委員会の事件処理を改善するための手引を作成されて、その中で、例えば調査の充実とか、あるいは審査指揮を審査委員が主導的にやるとか、その他いろいろな審査の迅速化のための処理について手続や留意点を取りまとめられまして、それを関係の委員会に配付してそれに基づいて努力されるとか、またもう一つは、これは先ほど言いました労使関係法研究会報告の中でも、また全国労働委員会連絡協議会で取りまとめられました内容の中におきましても、非常に大きな問題になっております事務局体制の強化につきましては、最重点の一つといたしまして、地労委の問題につきましては大臣から都道府県知事にお願いをいたしておりますけれども、中労委におきましては、定員管理の非常に厳しい中でございますけれども、中でいろいろな調整を図りながら、例えば審査三課を増設するとかあるいは五十年代に入りましてから審査官を二名増員するとか、必要な事務局体制の整備等も図っておるところでございまして、できるだけ審査の迅速化について努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  38. 永井孝信

    永井委員 不当労働行為が続発をして、後で具体的な問題で少しは触れてみたいと思うのでありますが、労働者の権利権益を守ることができないままに終わってしまうケースが最近極めて多い。それは経営側にとって、労組法がどうあれ、労働基準法がどうあれ、不当労働行為はやはり得だという概念がかなり持たれているのではないかという気がするのですね。それを根本的に改めるためには、労組法で罰則規定を適用するのが一番法律の上では適切ではないかと私は思うのでありますが、罰則規定がない現在の法律上の解釈からいきますと、いわばやり得ということになってくるのではないか、こういう気がいたします。したがって、そういう面も含めて労組法の改正をする意思がおありかどうか、ひとつお聞かせいただけませんか。
  39. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 法律で禁止されております不当労働行為が発生することは非常に残念なことでございまして、そういうことのないようにすることがまず基本的に重要だと存じます。  そのために、労働行政におきましては、労使関係法の周知徹底のための教育、啓発というようなことはいろいろな形を通じて進めておるところでございます。しかし、残念ながらそういう事案として発生をし、申し立てられた事件につきましては、各労働委員会においてできるだけ速やかに結論を出して、労働者の権利の保護に欠けることのないようにするということが基本的に重要な問題でございます。  そういうことのために、審査の処理の充実あるいは迅速化ということにつきましては、先ほど述べました審級省略の問題とか制度的に問題になる点もございますし、それらの問題については法務省等とも協議をいたしておりますが、いずれ、こういう全体の研究というものは今後も続け、適当な時期に必要な対策をとらなければならぬというふうに考えておるところでございます。  ただ、御指摘ございました不当労働行為であるという判定をされた使用者に対する刑罰を科するかどうかというような点につきましては、不当労働行為の救済とあわせてそういう制裁を科することが、例えば労使関係の対立を一層激化するとか、あるいはまたせっかく和解で円満に解決するというような機会を失わせることにもなりかねないとか、いろいろ問題もございますし、そういう点についてはさらに十分慎重に検討していかなければならぬ問題だろうと思っております。  しかし、今御指摘のございましたような点は、私どもといたしましても十分問題意識として持っておりますので、そういう点を踏まえまして今後十分検討してまいりたいと思っております。
  40. 永井孝信

    永井委員 できるだけやり得にならないようなことを労働行政の側で措置していくのは当たり前のことでありまして、そのために労働省が存在すると思っておりますから、ひとつそこは積極的な姿勢で取り組んでもらいたいことをまず要望しておきたいと思います。  そこで、監督官が非常に不足しておるという問題、大臣も同じような認識を持っていらっしゃるようでありますけれども、もっともっと監督官を増員させるなどして多様な今の状況に対応できるようにしてもらいたい、こう思うのであります。  例えば、監督署におきます監督実施状況あるいは司法処分の件数を見ましても、監督したその対象件数に対して違反率は六一・三%にも上っているのですね。年々これはふえてきている。そして、司法処分の件数だけでも五十七年度一年間で千四百四十三件にも上がっている。この千四百四十三件の司法処分、実効が上がっていますかどうですか。——非常に短い時間ですから余り答弁を長くせぬように、簡単にしてください。
  41. 望月三郎

    ○望月政府委員 私どもは、全国で労働基準法違反について是正を求めておるわけでございますが、その中で非常に悪質であるというものに限って送検、司法処分をしておるわけでございます。それは検察庁を通じまして起訴を、訴えを提起するわけでございますが、その持ち込まれた以後の裁判所の扱いというのは若干時間がかかるわけでございますが、それぞれ何がしかの結論というものがその年のうちにおりるものもございますし、翌年に持ち越される場合もございますが、基準法違反事件については大方、まあまあ裁判所としては普通なスピードで処理をされておるというように感じております。
  42. 永井孝信

    永井委員 具体的な問題で一つ、二つお聞きしてみたいと思うのですが、司法権を発動して不当労働行為の根絶を図る、こういうことをやってみても、私が最前から指摘しておりますように、やり得ということがかなり横行しておる事実は、どう言ってみてもこれは否定できないのですよ。  例えば、この社会労働委員会あるいは農水委員会、いろいろな委員会で一つの企業の労使関係について異常なほどまで取り上げられた問題の中に、神戸精糖問題があります。私もこの委員会で何回か取り上げました。大臣に、大臣の職権にかけてこの問題は善処したいという答弁もしてもらったことがあるのですが、この神戸精糖事件は依然として解決を見ていないのですね。  そこで具体的に大臣にお聞きいたしますけれども、昨年の九月二十八日に、私どもの同僚の河上民雄議員から、神戸精糖株式会社の労使紛争に関する質問主意書というものが内閣に出されました。これに対して内閣から、同じく昨年の十月二十一日に答弁書をいただいているわけであります。この答弁書は、恐らく所管の労働省が十分に精査されてこれをつくるのにタッチをされたと思うのでありますが、その答弁書が事実に反しているということがあるのですね。これを具体的に申し上げてみたいと私は思うわけであります。  例えばこの答弁書の中にどういうことが言われているかというと、いわゆる退職金の未払いの問題について聞いているわけでありますが、その問題についてはもう既に処理済みであるというふうに回答書が出ているわけですね。これは本当に処理済みだと思っていらっしゃるのですか。大臣あるいは担当の局長はどうですか。質問書は出ているから中身はわかっているでしょう。
  43. 望月三郎

    ○望月政府委員 先生の御質問の点は、恐らく労働基準法二十三条、退職金の支払いの条項の違反の点だと思いますが、私どもの方は、神戸東労働基準監督署がこの事件を扱いまして、神戸地方検察庁に送致をしたということで、刑事事件としては司法処理済みであるという趣旨だったかと思います。
  44. 永井孝信

    永井委員 この答弁書を読みますと、どういう書き方をしているかというと「こういうふうに今されていると聞いている」とかいうように、第三者的にこの問題をとらえて答弁書が貫かれているのです。「具体的にこのように処理をしている」という具体的な問題が何も回答されていない。例えばこの坂崎という組合員の退職金の未払い問題についても、「七月二十八日にいずれも処理済みとなっている」とこう回答されているのですけれども、事実いまだに退職金が払われていないじゃないですか。そうして、例えばこの神戸精糖問題の後ろに暗躍していると言われている丸紅、この丸紅の当事者能力の問題についても質問書の中で触れているのですが、これについては回答の中で具体的に何ら触れられていない。これでは回答になっていないんじゃないですか。どうですか。
  45. 野崎和昭

    ○野崎説明員 先生お尋ねの坂崎さんに係ります退職金未払い事件につきましては、私どもといたしましても、再三再四にわたり会社を説得いたしまして、何とか争いのない部分を支払わせたいと努力したわけでございますけれども、会社側の御同意が得られませんので、やむを得ず昨年、先ほど局長が申し上げましたように、検察庁に労働基準法違反被疑事件として送致をしたわけでございます。
  46. 永井孝信

    永井委員 検察庁に書類送検されて、神戸精糖の会社側も事情聴取されているのですよ。事情聴取をされても何ら態度は変わってこない。時間がたってそのままずっと引っ張っていけば、自然にこの問題は処理ができると考えているような節が非常に濃い。  労働省が、私どもの再三にわたる要請なりあるいは質問に対して、何とかこれを円満に解決するという立場から、労働省もこの問題を積極的に解決するための対応をしてもらった部分もあるわけですね。それは私どもも非常に多としているわけでありますが、例えば会社側は、話し合いの場に労働省の代表をそこに入れた、地労委やあるいは神戸市の担当者の方々もそういう話し合いの場に立ち会っている、そのときにどういうふうに言われているかというと、これはそのときの会社側の議事録でありますけれども、どういうふうに言っておるかというと、労働省が労使のトップ交渉に同席したことも、通常の感覚ならば事態解決を促す行政の意思とみなすべきだが、労働省の立ち会いは意味がなかったと思う、別に労働省が立ち会ってこのようにしろとかああいうふうにしろという具体的な指導はなかった、何のために立ち会ったのかわからない、私たちは立ち会ってもらったことを別に何ら、特別に示唆を受けるものがあるとは思っていない、こういう報告書を出しているのですね。いわば、労働省が立ち会おうと検事が事情聴取をしようとそんなことはお構いなし、どうしてもこの問題で言うなら、一方的な全員解雇という会社側の提案に対して、それに同意することが前提でない限り一銭の退職金も支払わない、この態度については一切変更する必要がないということを現在の時点でもなお貫いておるのです。しかも、その退職金は御承知のように労使協定のうちの三分の二だけ払うと言うのですね。労使協定があるのに、全員解雇を自動的に認めるなら団体交渉にも応じましょう、退職金も三分の二を払いましょうというところから紛争が起きておるわけでしょう。ところが、いかに労働省が司法権を発動して検察庁に書類送検して事情聴取されても、何らそれに対してこたえようとしない。この状態を見るときに、一体労働省は何のために存在しているのかと言われてもやむを得ないと思うのでありますが、これは労働大臣どうですか。歴代の労働大臣はこの問題に大変苦労してきておるのです。引き継ぎなんかで十分お聞きになっていらっしゃると思いますが、もうまれに見る不当労働行為なんだから、この種の問題は、歴代の労働大臣が、労働大臣の職権にかけてでも解決したいという決意を述べてきておるのだから、今の労働大臣は、これは端的な例として、ひとつ対応する決意を言ってもらいたいと思うのです。
  47. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 労働省としては——今私は態度をと言われても、正直に言ってこれは今初めて聞いたのです。どうも申しわけないけれども、正直に言うとそうです。だけれども、今お話し合いがされましたから大体の感触はわかっております。労働省は何のためにあったなどと言われたらこれはこけんにかかわりますから、労働省とすればできるだけ話し合いで解決したいと思って努力をしたのだけれども、どうにも応ぜぬから伝家の宝刀を抜いて送検をしたというわけでありまするから、労働省のこの姿勢は、何とかしてこれをひとつ解決をしたいというこの基本姿勢は少しも変わらぬと思っておりますが、その後の司法の状況というものについて私はまだつまびらかにいたしておりませんが、あくまでも初志を貫いて問題の解決に当たっていきたい、こう思っております。
  48. 永井孝信

    永井委員 労働大臣が、それは幅の広い労働行政を指揮監督するのですから、すべての問題を承知してない部分があっても私はやむを得ないと思いますよ。しかし、この神戸精糖問題というのは、もうこれは何年間にもわたって国会で取り上げられて。きた典型的な不当労働行為の問題なんですよ。衆議院だけじゃなくて参議院も押しなべてこの問題を取り上げてきた経緯があるのですね。それを労働大臣が、労働行政のトップにありながらそういう問題を承知してなかったというのは、私は事務局ちょっと怠慢だと思いますよ。労働行政でこういう事件をずっと扱ってきて、国会で取り上げてきて、結果的にどうにもなっていないという現実から、非常に私はむなしさを感じるのですよ、正直に申し上げて。そして現行の労働法では、最前私が指摘しましたけれども、不当労働行為はやり得だというそういう感覚を、企業者に対してこの種の事件がさらに拡幅をしていくのではないか、そういうことを私は非常に恐れるのです。だから労働委員会で幾ら扱っても具体的な解決になっていかない、裁決に従わないのだから。それで裁判所へ持っていく、裁判所で争っていくうちに年数がたつ、その間に労働組合の方は対応し切れないほど生活が困窮していくのですよ。これは大臣わかるでしょう、一方的な解雇通告を受けて仕事がないのだから。アルバイトなんかでみんなが助け合って何とかやりくりをやっておるのが現状なんですよ。そしてこの神戸精糖で言えば、企業存続のための申請はちゃんと農水省に出しているのですよ、産構法の運用に基づいて。企業としては存続する手当てを講じながら、労働者は一切要らない。この裏を返せば、今の労働組合は目の上のたんこぶだから、労働組合をつぶしてしまって、もし操業再開するならば別のところから新たな労働者を入れようという魂胆なんですよ。こんなことがまかり通っておったのではどうにもならぬ。これは担当局長、ちょっとこれからの対応を一言で言ってください、どのようにしていくのか。
  49. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 この問題につきましては、工場閉鎖に伴います全員解雇に関する紛争の問題、それから御指摘になりました関連して退職金の不払いの問題と両方あると思いますけれども、労使紛争の問題につきまして労働委員会に申し立てをされ係属しておる内容については、私どもが行政当局として意見を述べるべきでもないし、それは差し控えたいと思いますが、問題は、御指摘ありましたように、当委員会でも議論になり、また関係の組合からも私どもたびたび陳情、要請も受けておりますので、すでに労使から数次にわたって事情聴取をしたり、あるいは可能なところから解決のための努力をするようにということで、労使、特に使用者の方にいろいろ申し上げておるところでございますが、現在まで解決に至ってないのは非常に残念に思っております。  しかし、何といいましても、これは、労使紛争の場合は関係当事者が一番その事情は詳しいわけでございますし、やはり労使の紛争でございますから、労使でよく話し合って解決されるというのが基本でございまして、私どもの立場としましてはそれをお手伝いするという立場にあろうかと思いますが、今まで非常に長い時間をかけてもただいま御指摘ありましたような形で解決をしていないだけに、非常に難しい問題でございますし、一方また、精糖業界が業界として非常に深刻な情勢になっておる、特にそういう中でこの会社が極めて深刻な状況にあるというような実態もございますし、そういうことを踏まえながら、やはり関係の農水省等とも連絡をとりながら対応をしていかなければならぬというふうに考えているところでございます。
  50. 永井孝信

    永井委員 いずれにいたしましても、この問題は何回も国会で議論されてきた問題でありますから、経過の中身についてはきょうは時間もありませんし詳しく触れません、わかってもらっているという前提で私は申し上げておりますから。しかし、今の会社側の対応を見てみますと、労基法の想定してない部分で巧みに不当労働行為を働いてきているといいますか、そういう典型的なケースだと思うんですよ。それだけに労基法の想定しない部分への手厚い行政指導というものがあってしかるべきだ。法には、すべてがそこで網羅されているわけじゃないのですから、いわゆるその盲点と言われている部分についてこそ、労働行政というものが手厚いものでなければいかぬ。そういう立場で、この問題についてはきょうはもう時間がありませんから詳しいことは触れませんけれども、いまだに解決していないこの厳然たる事実、そうして、この内閣の答弁書に盛り込まれているように、退職金の問題についての具体的な質問に対しては処理済みであるという回答が出てきていることは大きな間違いであって、処理がされていない、答弁書が間違っている、このことをもう一回再精査してもらって、問題の早期処理ということを改めて取り扱ってもらいたい、こう思うのですが、どうでございますか。
  51. 望月三郎

    ○望月政府委員 先ほども御答弁申し上げましたように、検察庁へ送ったということで、基準法違反としては私どもは処理したつもりでございます。したがいまして、それが裁判所の段階でどうなるかということも含めて重大な関心を持って追ってみたい、こう思っております。
  52. 永井孝信

    永井委員 これから努力をしていただくのですが、だから私は最初に言っておるんですよ。司法処分が千四百四十三件もされている。しかし実効が上がっておるかどうかが問題なんであって、司法処分はしたけれども、そのままずるずると具体的な解決に至らず済んでしまうということがあったのでは、労働行政の看板が泣くということを私は指摘しているのでありますから、そういうことを再度ここで重ねて申し上げておきたいと私は思います。  そこで、時間の関係もありますから次の問題に入っていきたいと思うのですが、大臣、最前池端議員から仲裁、人勧の問題の質問があったのですが、例えば仲裁裁定に絡む問題、あるいは仲裁裁定に盛り込まれていなくても、期末手当の問題などで労使紛争が起きていますね。現実に今起きているんですね。期末手当を切り下げるとかいろいろな問題があります。このときに、きょうはその中身について具体的に触れようという気持ちはありませんけれども、よく言われるように官邸筋が内面指導をしたとか、いろいろなことが毎年問題になってくるんですよ。質問をすると、政府は、そういう労使の賃金関係に介入はしてない、介入するつもりはないと言うのだけれども、現実的には介入している形跡が極めて濃い。それと同じことが他の省庁でも地方に対して介入されている事実がある。そのことを私は具体的にちょっと申し上げてみたいと思うのであります。  例えば競馬場、競輪場など公営で行なっている競走場が全国にありますね。ここの競走場に働いている人たちの雇用、身分は極めて不安定なんですよ。それはもう先刻御承知だと思うのでありますが、同じ労働者が同じ職場で三十年も勤めておっても、その雇用関係は日雇いであり、身分は臨時職員である、これが実態なんですね。そうして、その人たちが労働組合を二十数年前に結成をして、それぞれの場ごとに、競馬場とか競輪場の場ごとに労働条件を決めてきた歴史的な経緯がある。  ところが、最近は、この公営企業の収益が余り思わしくないということもあるのでありましょう、開催権の認可権限を持っている自治省が、各自治体に対して事務連絡という形で事実上の通達をおろした。これは昨年の十二月五日のことであります。きょうは自治省を呼んでおりません。あえて自治省を呼びませんでした。労働省の立場からこれに答えてもらおうと思って呼んでないのでありますが、昨年の十二月五日に事務連絡という書面が出ているのです。その書面で見ますと、財務調査官が経営改善計画について説明を聴取することにしたので、準備して持ってきなさい、こういう通達なんですね。その通達の中に、具体的な経営改善措置としてどういうふうに言っているかというと「経費削減、抑制のための措置」を具体的に持ってきなさい、それは「基本賃金及び一時金(夏期、年末)その他手当」こういうふうに注釈が加えてあります。「退職金に類するもの等」、「臨時従事員等の人員」について、こういう具体的な問題で事務連絡を出しているのです。  これでは具体的なことは、中身としてはどれをどうしろという細かいことは触れているわけじゃないのです。ところが各自治体にすれば、これの事情を聴取されるわけですから、それに対して答えていかにゃいかぬということで、全国的にそれぞれの対応する労働組合に賃金の切り下げなどの提案がされてきたのです。そこには、労使が自主的に賃金を決めるという本来の姿がどこかへ飛んでしまって、自治省がこういう通達をおろしてきたからこれは賃金を引き下げざるを得ないという形が全体としてとられていったのです。  大臣、こんなことが許されていいのですか。労働大臣の立場から一言で答えてくれますか。
  53. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 御指摘になりました競走事業に従事する労働者の労働条件の問題でございますが、これはあくまで基本的に労使が話し合いで自主的に決められる内容のものと存じております。
  54. 永井孝信

    永井委員 そうすると、たとえ自治省が開催権を認可する立場にあったとしても、そういう賃金の問題にまで不当に介入をして、言うことを聞かなければ開催権は認めないという圧力をかけるとしたら、これは大変なことですね。そういうことが具体的にわかってきたときに、労働省はどう対応されますか。労働大臣はどう対応されますか。——大臣からちょっと答えてください、大臣は最高責任者なんだから。
  55. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 御指摘ございました自治省の指導の問題につきましては、私どもまだ具体的な事情をよく承知をいたしておりません。経営についての指導というのはあるいは自治省としてあり得るのかもしれませんけれども、賃金を含む労働条件につきましては、やはり基本的に労使で自主的に話し合いで決められるものだというふうに考えております。
  56. 永井孝信

    永井委員 その不当なことをもう少し詳しく申し上げてみたい。これは非常に大切なことですからね。  例えば今申し上げました事務連絡という事実上の通達ですね。この通達を受けて、それぞれの自治体はびっくりをして、中身についてどういうことかというので問い合わせがあったと思うのですよ。その問い合わせに対して、十二月五日に自治省の方から、具体的な中身について電話で指示している。指示された自治体は、それの対応をするために、上司にそのことを書類としてまとめて提出をしたというものがあります。  その中身で言いますと、どういうふうに言っているかというと、もう具体的な、だれが電話したかということまでちゃんと書類の中に書いているのです。ここでは名前を申し上げませんけれども、自治省のある幹部からそのことについて電話連絡をしておるのです。それは、この事務連絡に基づいて事情聴取を財務調査官が行う、そのときのヒヤリングの趣旨というものは、「公営競技の開催権を取消すか、そのまま更新すべきかを総合的に判断する点にある。」そうして「報告内容及び留意すべき点」としてどういうふうに言っているかというと、「改善計画を……」、改善計画というのはその賃金抑制などのことですよ。「改善計画を実施しない場合の、昭和五十八年度から昭和六十二年度までの決算状況見込」を持ってこい、これがまず一つ。そうして、具体的には「改善計画——必ず賃金問題に触れること、最終目標は一時間当たり単価を民間パートタイムと同額にする点にあり、目標達成までの間は以下の策を講じられたい。」まず一つは「基本給を毎年五%カットすること。夏、冬、年度末一時金を毎年一〇%カットすること。その他手当の整理・廃止を行うこと。退職金を昭和六十二年までに削減すること。特に、退職勧奨制度に伴い割増の退職金を支払っている場合は、これをすみやかに廃止すること。」ここまで具体的に指示しておるのです。  労使で決めるべき問題を、開催権を握っているからといってこんなことが許されていいのですか。これは、労働者を保護する立場にある労働省としてこれをどう受けとめますか。
  57. 谷口隆志

    ○谷口(隆)政府委員 ただいま御指摘のありました点につきましては、私どもまだ自治省の方から具体的な事情聴取をいたしておりませんので、御指摘のありました点につきましては、また、十分自治省とも連絡をとりまして、その上で必要に応じた対応をいたしたいというふうに考えております。
  58. 永井孝信

    永井委員 私は、ここまで具体的に、名前は挙げておりません、名前は挙げておりませんけれども、具体的なことを指摘しているわけでありますから、自治省から報告を受けてない、それはそれとして、こういうことに対して労働省としてはこのまま黙過できないと思うのですね。だから私は、大臣に、こういうことは具体的に明らかになってきたら労働大臣は黙っておられる立場じゃないと思うのだけれども、労働大臣はどうされますか。
  59. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 先ほどからお話しのあるように、こういう賃金、手当の問題は労使の自主的な決定で決められる、それが筋でありますから、労働省といたしましては、今労政局長から、事実はまだ聞いてないけれどもひとつ向こうの方にも照会をしてみる、こう言っておりますから、先ほど申し上げました労使の賃金決定というようなことが行政指導という名のもとで違法にゆがめられておるという事実があるとすれば、これはやはり自治省に、その方針は間違いである、取り消しなさいとか直しなさいとか、これはやはり申すべきだろうと思っております。とにかく事実関係を一遍聞いてみて、その上でこちらも適正に判断をしたい、こう思います。
  60. 永井孝信

    永井委員 最前私が取り上げました神戸精糖問題、これは一つの民間のサンプルですね。いわば悪い方の見本ですよ。今度の私が今指摘しておりますのは、政府が直接介入した問題でありますだけに事は非常に重要だと思うのですよ。だから、そういう立場でひとつ事実をきちっと把握してもらって適切な対応をしてもらう。その対応については、後ほどどのように対応したかということをひとつ報告していただくように、ここで求めておきたいと思います。  その次に、今度は労働省の問題であります。これは労働省の、私にすればあってはならないことだと思うのでありますけれども、「賃金不払い等に係る法違反の遡及是正について」という問題で、昭和五十七年の二月十六日付で、基発第百十号ということで書面が出されています。これは基準局長、御承知ですか。
  61. 望月三郎

    ○望月政府委員 はい、承知しております。
  62. 永井孝信

    永井委員 私は、これは大変な問題だと思うのです。なぜ大変かというと、この中身というのは、明らかに労基法をある程度無視することを指導した文書になっているからであります。  全部ここで御紹介する時間はありませんけれども、例えば「基本的な考え方」の中に、「金銭債権の確保については、本来、監督機関の権限に属する事項ではなく、労使間の自主的な協議等民事的な手段により解決されるべきものである。」こう述べて、「監督機関が行う法違反に対する是正の勧告は、最終的には司法処分に対することもあり得ることを背景とするものであるから、遡及是正の勧告の対象とする事案は、賃金等不払事件として立件するに足りる客観的な確証が得られたものに限られるべきであり、」したがって「そのすべてについて遡及是正の勧告を行うべきものでないことはいうまでもない。」こう触れているのですね。  これは一体どういうことなんですか。私どもが考える場合に、労働省は、労働者の保護をまず念頭に置いて行政を進めていかなくてはいけないと思うのであります。そうして、労働者の保護をうたった労働省設置法そのものにもこれは抵触するのではないかと思うのですが、どうですか。
  63. 野崎和昭

    ○野崎説明員 先生御指摘の通達は、私ども第一線の監督機関が、機関としても非常に多うございますし、監督官も多数おりますので、労働基準法違反事件につきまして各地の扱いがばらばらにならないように、こういうことで出しております事務処理の統一を図るための通達のことかと存じます。  一応、そこでの考え方でございますけれども、私ども、まず基本的な監督の趣旨というのは、やはり行政上のものでございますので、違反があればまずそれを将来に向かって是正せしめる、これが基本だと思います。しかし、それと同時に、司法警察権を私ども持っておりますので、過去の違反につきましても、悪質重大なものは司法処分に付するということになるわけでございます。その場合に、過去の違反事件につきまして非常に事実の確認の難しいものがあるわけでございます。それにつきまして各地の取り扱いが従来ばらばらでございましたので、それを統一するために出しましたのがその通達でございます。しかしながら、確認できないものについては司法処分はもちろんできないわけでございますけれども、それにつきましても民事上の支払いの義務は使用者はあるわけでございますので、そういうことは監督に当たって使用者に対して十分教示はする、しかし監督機関として処理するのは確認のできる範囲のもので処理をする、そういう取り扱いにいたしているわけでございます。
  64. 永井孝信

    永井委員 では具体的にもう一つ聞きますけれども、この基発第百十号の中に「遡及是正の勧告を行わない事案」ということがありまして、均等待遇、いわゆる労働基準法第三条に違反する場合、あるいは男女同一賃金の原則、これも法第四条に違反する場合、あるいは管理監督者の範囲を誤った場合、事実上の変形労働時間制を実施しているが、就業規則その他の定め等について法定要件を欠いている場合、これらについては遡及是正の勧告を行わなくてもいいということまで触れているわけですね。  さらにどういうものがあるかというと、割り増し賃金で例をとりますと、「三カ月を限度として遡及是正の勧告を行うもの」として指示をしているわけですね。  これは一体どういうことなんですか。今申し上げたように、遡及是正の勧告を行わない事業として、本来法違反であるけれども、これは遡及是正をしなくてもいいんだ、勧告しなくてもいいんだということまで具体的に項目を挙げて指示を与え、あるいは割り増し賃金について言えば、三カ月を限度としなさいという勧告になっている。これでいくと、労基法の第百十五条との関係は一体どうなるのですか。労基法の第百十五条では、二年間にさかのぼって遡及することができる、二年間を過ぎるとそれが時効になるということは、裏返して言えば、二年間までは遡及させなくてはいけない責任と義務があるのではないですか。これをなぜ三カ月というふうに限定をするのですか。
  65. 野崎和昭

    ○野崎説明員 先生御指摘のとおり、民事上の義務としては、確かに時効にかかるまで二年間支払いの義務があるわけでございます。ただ、これを刑事事件として処理するということになりますと、いろいろ立証上の問題もございまして、例えば今御指摘の割り増し賃金の場合でございますと、通常の場合は、時間管理が非常に不適切であって結果的に割り増し賃金の不払いが発生しているというケースが通常でございますけれども、その場合に、従来の取り扱いにおきましては、そういう場合は事実の確認が難しいということで、遡及払いの勧告をしない取り扱いもございました。それから、一定期間を限ってそこまでは努力をして、とにかく事実を確定して遡及払いをさせるという取り扱いをしている局もございました。それから、全くケース・バイ・ケースで処理しているところもあったわけでございます。そういうものに対しまして、その通達の趣旨は、少なくとも三カ月までは努力をすれば確認はできるはずだということで、三カ月までは確認をして遡及是正の勧告をする、そして支払わなければ刑事責任の問題とするというふうにしたわけでございます。ただ、それはあくまでも原則でございまして、そこには書いてございませんけれども、悪質なものあるいは過去に法違反の指摘を受けましてそれにもかかわらず払っていなかったというようなものについては、もちろんケース・バイ・ケースで処理するということにいたしております。
  66. 永井孝信

    永井委員 私は、仮にこの割り増し賃金で三カ月遡及という通達からいきますと、使用者側は当然それでもって免罪されるものと理解すると思うのですよ。具体的に言えば、百十五条を死文化させるに等しい通達になっている。大体この法律違反を許すこと自体が問題なのであって、監督官の手が足りないから、十分に実情を把握できないから、なかなか検証できないからということで、あえて縮小再生産じゃありませんけれども、現状の労働省の持っている要員の関係の能力の限界からその枠内に監督行政を縮めていく、縮小していくということが私はこの文書の基本に流れていると思うのですね。これでは労働行政は推進できないのではないですか。ここで言っている文書はすべてそうです。全部これを洗いざらい言えばこれだけでも二時間もかかると思うのでありますけれども、一つ一つこの百十号の出している通達の中身というのは、各箇条ごとの法律の条文のいわば否定につながるもの、あるいは死文化させるものにつながっていくのですよ。これが労働省の通達だからなおさら問題なんですね。時間がありませんから、これについて労働大臣はどう思われますか。
  67. 望月三郎

    ○望月政府委員 先生おっしゃる点も非常によくわかるわけでございますが、私どもこれを内部通達ということで設定した趣旨は、そういう悪い方向で決めたということではなくて、今まで全国的に非常に個々の監督官にばらばらに任せられておったということで、ケースによって事件の処理が非常に遅くなったり早くなったりするということが非常にあったものでございますので、私どもとしては、労基法違反事件というのはやはりもたもたせずにできるだけスピーディーに処理をするというのが、一番出先の士気の高揚にもなるしまたいいことではないかということで、一般の賃金だとかそれから退職金、そういうものについてはもちろんこれは遡及についても別に期限はつけておりません、そういうことでやるわけですが、先生御指摘のような若干のケースについては、とりあえず三カ月ということで早く事件をまとめよ、それから同時に、それ以上の時効の問題があるわけでございますので、そういう点については事業主に、監督署としては三カ月までとりあえず刑事罰をということで臨むけれども、それ以上のものについても民事責任は免れないのですよ、こういうことをちゃんと口頭でよく指示をしろということを補いとしてやっておるわけでございまして、私どもとしては、こういう形で全国が斉一的にスピーディーに事件を処理するという、いわば善意なつもりでこの通牒を出したというように理解しておるわけでございます。
  68. 永井孝信

    永井委員 これはどう私がひっくり返して見てみても、善意で出したとどこから言えるんですか。これは、本来労働省が責任を持ってやらなくてはいけない業務の中の責任分野を縮小するようなことを通達で出しておいて、どこから善意と言えるのですか。二年間にさかのぼって遡及させるようにしなさい、しかしこうこうこういうケースの場合は三カ月ということがあってもやむを得ないという文書じゃないんですよ。「遡及是正の勧告を行う事案」と「行わない事案」というように二つに分けて、明確に「遡及是正の勧告を行わない事案」あるいは「三カ月を限度として遡及是正の勧告を行うもの」、三カ月を限度なんですよ。これで労働者を守られますか。  では、あなたが言われるように善意で出すのなら、労働基準法の各条文を完全に適用できるようにやりなさい、足らなかったら人員をふやすように要求していきなさい、その処置をしますというのが本来の筋じゃないですか。だから私は、冒頭に、労働行政は今十分に機能しているかと大臣に聞いたんですよ。監督官は三十名程度ふやしました。何のことはない、監督官はふやしたけれども基準局の監督官は減っている。一般の事務職員が減っている。三十一名減らして三十一名ふやしているんだから、これはふえたとは言わないんですよ。だから、これだけ多様化した労働社会の実態の中で対応し切れないでいる分をどうやって対応していくのかという、そこに労働省の持つべき視点があっていいのではないか、こう思うのですね。これを私は申し上げているのでありますから、この通達は今もなおこのとおりでやっていく意思なのかどうなのか、お答えいただけますか。
  69. 望月三郎

    ○望月政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、全国が斉一的に処理が行われるという発想からこういう中身をつくったわけでございますが、先生御指摘のような点も確かに悪くとればとれるわけでございますので、私どもとしては、考え方としては統一化して斉一的にやりたいという趣旨を生かせるような形で、御指摘の点もよく頭に入れて今後のこの通達の検討を考えてみたい、こう思っております。
  70. 永井孝信

    永井委員 本会議の関係で時間がなくなったようでありますから、最後に大臣に。  今私は幾つかの具体的な例を申し上げました。これはすべて、神戸精糖の問題にしたって氷山の一角でありますし、まして自治省の問題のように政府が労使の賃金決定という機構に介入をしていく、それがなかったらペナルティーを加える、いわばこれは中央集権主義そのものですね。政府の言うことを聞かなかったらペナルティーを与えるよということなんだから。そういう労働行政がこれから進められていったら大変なのでありまして、今春闘の山場を目前にしているときでありますから、春闘のときに集中的に不当労働行為が起きる、これは従来の例から全部指摘されてきていることでありまして、働く人々の暮らしを守る立場で展開されていく春闘についてそういう不当な介入はされないように、こういうときだからこそ労働省が労組法あるいは労働基準法を的確に守らせるように対応をしてもらいたいし、そういうための月間があってもいいと私は思うのですね。労働基準法を遵守するための月間があってもいいと思うのです。安全衛生法に基づいて、いろいろなことが月間で指定されて運動を行われますね。逆にそういうことぐらいのキャンペーンを張って、それでなお労働省が、大臣を先頭にして具体的な改善を図っていくということがあってもいいと私は思うのでありますが、今私が申し上げました一連の問題について、一つ一つはもう時間がありませんからお答えいただきません、しかし、大臣としてその種の問題についてこれからどのように対応されるか、決意だけ最後に伺って終わりたいと思うのですが、どうでございますか。
  71. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 今具体的に言われた、春闘などを機会にして不当労働行為がふえる傾向にあったというようなことは断じてあってはならぬことでありまして、特に今春闘も近づいておりまするから、かかることのないようにこれは厳重に指導するという覚悟であります。  それから、今おっしゃったように、こういう不当労働行為は、労働省といたしましても——労働省だけではない、これは各省が、裁判所から外務省から各省みんな人手不足で困っておる、しかし臨調のこういう趣旨から頑張っておる、労働省だけは特別待遇をしろと言われてもなかなか難しい点もあるでありましょうが、やや認めていただいて、重要性は非常に認識をせられておるということでございまするので、私どもその期待にこたえて、そして人一倍働いて、かかる不当労働行為のないようにひとつ全力を挙げて、効率的に、足並みをそろえて御期待にこたえていきたいな、こう思っております。
  72. 有馬元治

    ○有馬委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時三十分開議
  73. 有馬元治

    ○有馬委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。大橋敏雄君。
  74. 大橋敏雄

    大橋委員 大臣、二、三日前NHKが報道いたしておりましたけれども、我が国も六十五歳以上の高齢者が総人口の九・八%になった、約一割を占めるようになったわけですね。また、二十一世紀に向けまして急テンポで本格的な高齢化社会になっていくわけでございます。労働大臣の所信表明を拝見しておりましても、高齢化社会に対する対応といいますか、相当熱心なものがあったように見受けられますが、適切な対応を誤ればこれはまた問題だと思います。我々は、とにかく生きがいと活力にあふれる福祉社会を建設するのだ、これが政治の要請であり、また責務でないかと思っているわけです。きょうはそういうことで、特に高齢者の雇用確保という問題に関しまして、若干質問してみたいと思うのです。  まず初めに、労働能力あるいは労働意思、能力と意思がありながら定年制というものがあるばっかりに退職をせざるを得ない、働きたくとも働けない、勤労者にとってこれほどの悲哀はないと思うわけでありますが、我が国の定年制の現状、また定年制を企業が持っているか持ってないか、そういう実態が現状どうなっているか。  実は、労働省の雇用管理調査ということで、昭和五十七年の一月現在の資料を見ましたら、定年制の実施状況として、定めている企業が八五・六%である、また定めていない企業が一四・四%もある、これは五十七年の調査です。五十八年はどうなっているのかということをまずお尋ねしたいと思います。
  75. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 五十八年の一月の調査では、今先生おっしゃいました数字が八七%、これは定年制を定めている企業でございます。ただ、定年制を定めていないという場合は、いつでも首を切るというよりも、現在の日本の雇用慣行から見まして、これはある意味では青天井で就業できるという可能性を持っている場合が非常に多いということを一言申し添えておきます。
  76. 大橋敏雄

    大橋委員 それではお尋ねしますが、労働省は昭和六十年六十歳定年を推進してきていると思うのですが、実際の労働省で描いている計画と現実はどうなってきているか。
  77. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 私どもは、六十年六十歳定年制の一般化というのをスローガンにいたしまして、定年延長の促進に努めておるところでございます。この定年延長を進めていきます場合には、労使の御努力が非常に重要でございます。そういう意味合いで、私どもの指導と労使の御努力と相まちまして、五十八年一月の状況を見てまいりますと、もう既に六十歳以上の定年制を採用している企業の割合が四九・四%、ほぼ五〇%に近づいております。その際、五十五歳以下の定年制を決めているところを見ますと三一・三%、三割ぐらいでございます。四九・四%という数字は既に実施しておるところでございまして、近い将来に実施を予定している企業も含めますとこれは六割を超えております。  この定年延長を進めます場合に、やはり何といいましても賃金カーブをどうするかということ、あるいは退職金、年金についてどのように考えていくかということが非常に重要でございまして、そういう意味合いで、私どもは、五十八年度からこの定年延長に関するアドバイザー制度というのを導入いたしました。また、それとあわせて賃金、退職金の関係のコスト計算をサービスするとか、あるいは年金計算をサービスするという体制も組んでおります。  このようにいたしまして定年の延長の推進に努めますとともに、また、三百人以上の企業につきましては直接個別に私どもが当たり、また三百人未満の企業につきましては集団指導という形で定年延長の推進に努めております。  先ほど数字を挙げましたように、一応もう既に六十歳定年制は主流になっておるというように考えておりますが、今後ともにこの一般化につきましては全力を挙げて対応してまいりたい、かように考えております。
  78. 大橋敏雄

    大橋委員 では、五十五歳から五十九歳まではどのくらいありますか。
  79. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 五十八年一月の数字では、その時点で実施しておるのが一九%でございます。しかし、これは将来どうなるかというのを見ましたところ、近くこれを改定するというのを含めますとほぼ一五%を割る状況に近々なってまいろうと思います。
  80. 大橋敏雄

    大橋委員 私が今手にしている資料は五十七年の労働省の調査資料でございますけれども、そのとき、五十五歳が三五・五%、それから五十六−五十九歳が一八・二%と、かなり高い数字がまだ示されている。これは一年でもそんなに急上昇したのでしょうか。
  81. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 これはサンプル調査でございますから若干のばらつきがあるかもしれませんが、しかし傾向といたしましては、五十七年から五十八年にかけて、今先生のおっしゃいました五十五歳以下の定年制のところは約五ポイント落ちております。それから五十六−五十九歳のところはほぼ横ばいの状況でございます。しかし、将来の見込みをとりますと、今申し上げましたように急速に落ちてくるという感じを私は持っております。
  82. 大橋敏雄

    大橋委員 大臣、今お聞きになってわかるように、とにかく人生五十歳と言われた時代ならば定年が五十歳だとか、五十五歳だとか言っても不思議ではない。しかし今の高齢者、お年寄りの平均寿命が七十五あるいはもう八十近くになってきておるわけです。そうなりますと、今労働省が昭和六十年に六十歳というめどで進めている定年制も、今の答弁を伺いますとまだ五〇%程度ですね。なるであろうというのを入れても今年度で六〇%です。とてもとても遅いわけです。  そこで大臣にお尋ねしたいことは、定年年齢で退職していく人たちが一体どのくらいまで働きたいと実際は思っているのだろうか。これも労働省の調査がありましたね。私はこの点は非常に感心したのですよ。ここまできめ細かく労働省が調査しているのだなと思って感心したのです。それは昭和四十七年度と五十年度と五十三年度の三つの定年到達年齢の合計でございますけれども、それでいきますと、六十歳くらいまで働きたいなと言っているのが一〇・六、六十一歳から六十五歳が五一・八、六十六から七十歳までくらいというのが二八・一、七十歳以上までというのが七・二、こうあるわけです。とにかく六十一歳以上まで働きたいんだという人たちが八割五分以上なのですよ。私が最初に言ったように、働きたくとも働けない、能力もある、そして意思もある、そういう者が定年制のために働けないという実態ですね。しかも、今六十歳がやっとだという目標で進んでいるわけですよ。私は、もっともっと定年制を積極的に推進していく工夫、改善はないものだろうか、こう思うのですけれども、大臣の御見解を承りたいと思います。
  83. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 今おっしゃるとおりでございまして、まさに人生五十から人生八十でございまして、それだけ寿命が延びてきて、生活もそれは諸外国に比べて急速によくなったこともございましょうし、確かにおっしゃるとおり日本人の勤労意欲というものは相当なものでございます。私はまことにその点は結構なことだと思います。諸外国での年金をもらって悠々と遊ぶということよりも、それは物の考え方でございましょうけれども、日本ではそれだけの勤労意欲というものがある、これに対してやはり対応をしなければならぬということはこれは当然のことでございまして、特に定年の六十歳までの延長はもちろん、六十歳から六十五歳ぐらいまでのところにいよいよ重点が移ってきておりますので、これらの人々に対しましては、労働省を挙げて、全力を挙げて頑張っていきたい、こう思っております。  それで、六十歳までのところは定年延長のスピードが遅いではないかとおっしゃられますが、なるほど歯がゆい点もございますが、これは私ども全力を挙げて延長に頑張っていきたいというふうに思っております。それから、六十歳から六十五歳までの方々でございますけれども、ここがまた今度労働省の最重点志向ゾーンでございます。しかし、いろいろ統計など見ますと、ずっと会社で縛られてやっていこうという人もいますけれども、そうでなくて自分の趣味とか個性、体力に応じたり、いろいろバラエティーに富んでおりますので、そういうニーズにおこたえをしていくこともまた新しい時代の高齢者対策の大きな特徴ではないだろうか、そういうふうに思っております。  六十歳を超える雇用延長を促進するため事業主に対する助成制度を今やっておりますが、積極的にこれを活用するとか、それから任意就業を希望する者はシルバー人材センター、なかなか結構歓迎されて人気があるようでありますが、これを援助、助成するとか、それから五十九年度の新規の助成制度といたしまして、予算折衝は大臣折衝まで残りましたけれども、今申し上げましたような六十歳台前半層の方々のニーズというものは、一定の雇用労働だけではなしに、もっとそれ以外の余裕のある、個性に合った、そういうところを希望されております。特に、年齢も進んでおりますから、経験と知識と技術はあっても体力が続かぬということもありますから、いわゆる半日労働だとか一日置きとか、短時間労働、これがなかなか最近は希望が多うございまして、短時間労働の期待にこたえるように、六十歳を超えても引き続き雇用延長を行う事業は、短時間勤務の形であってもこれを助成するとか、雇い入れに対する助成をするとか、これを大臣折衝に持ち込みまして、こういうことをことしから始めたわけであります。
  84. 大橋敏雄

    大橋委員 時間が限られておりますので、要点だけ答えてもらうて結構です。  実際、五十五歳なんていう定年制はまだたくさんあるわけですよ。そういう定年延長に対する具体的な行政指導というのは一体どういうふうになされているのだろうかと思うわけですね。  実は、私の友人が四国の高知県におりまして、そこから二、三日前に手紙が届いたわけなんです。これがそうなんですけれども、その中にこういうことが言ってあります。  農林共済年金は、五十五年の法改正で五十五歳支給を六十歳にした。ただし、三年に一歳ずつ引き上げて十五年間で六十歳に到達するのだという前提のもとに、高知県の中村市の農業共済組合に勤務している人の言い分だというのですけれども、五十九年度、ことしからいよいよ農林年金の支給年齢が一歳引き上げられて五十六歳になる。しかし、定年の方は相変わらず五十五歳の据え置きだというのですよ。そうしますと、ことしの三月三十一日以降に退職する人は一年間年金は受給できないという結果になるわけですけれども、非常に不満だという手紙だったわけです。  これは、国の方針として年金の受給年齢を三年に一歳ずつ引き上げていっているわけですから、やはり定年の方もこれに合わせて接続させていくべきではないか、こういう点は労働省の方は指導してないのだろうかな、私はこう思うのですが、どんなものですか。
  85. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 定年延長につきましては、先ほども申し上げましたように、これは単に号令をかけるだけではなかなか進みませんで、やはり労使一体となってその気になってやっていただかぬといかぬという面があるわけでございます。そのときに、先ほど申し上げましたように、賃金カーブの問題等いろいろ、それぞれの労使の間で十分お話し合いをしていただく必要がある問題もございます。また、実際に企業の雇用の状況を見ますと、一応五十五歳で定年は切っておるが、その後再雇用するという企業も相当数あることはございます。しかし、私どもは、何はともあれ六十歳の定年延長、六十歳といいましても、六十歳以上の定年延長に全力を向けて今やっておるわけでございまして、私もつい最近、ある業界の方に集まっていただきまして、この定年延長について強力な推進方をお願いいたしましたし、これは各県におきましても、直接県の労働部長なりあるいは職業安定課長あるいは安定所長が、三百人以上の企業には出向いていきまして具体的な指導をやるという、足で稼ぐ行政をやっております。  六十年まであとわずかではございますが、我々は最善の努力をいたしますので、いましばらくの間、温かい目でお見守りいただきたいと思います。
  86. 大橋敏雄

    大橋委員 その努力は私も認めますけれども、例えば今のような具体的な問題、国の方針として農林年金の支給開始年齢が三年に一歳ずつ引き上げられていって、十五年後には六十歳になるわけですね。せめてこの定年の方もそれに合わせていくべきだ。大臣、これはおかしな考えではないと思うのです。年金の支給年齢と定年を接続させるという考え方は当然だと私は思うのですけれども、大臣、その点はどうお考えですか。
  87. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 今おっしゃるように、定年と年金とがスムーズに接続するということはまことに望ましいことだと思っております。そこで、私どもの方としましても、定年の問題などはこれはやはり労使の話し合いで、特に企業を説得しなければならぬ話でございますので、その点にひとつ全力を挙げて頑張っていきたい、こう思っております。
  88. 大橋敏雄

    大橋委員 要するにきめ細かく見て指導していってもらいたいですね。今の共済組合の問題などは余りにも顕著な例ですからね。  それから、いよいよ厚生省は、基礎年金構想ということで年金の大改革をやろうとしていますね。厚生年金も今度の改正の中で出てくるわけでございますが、その本法といいますか本則といいますか、そこに昭和六十一年六十五歳支給、こう書いてあるのですよ、もう既に。六十歳から六十四歳までは特例支給として「当分の間」、こう書いてあるわけですね。その「当分の間」というのはいろんな意味を含んでいると思いますけれども、やはり高齢者の雇用確保といいますか、労働環境を整備していく、これがきちっと対応していかなければ六十五歳には引き上げられない。ですから、六十五歳までに年金の支給と退職を一致させるためには、労働省としては、年次計画といいますか、いつまでにはこういうふうに持っていくんだということをもう既につくり上げていかねばならぬ、いわゆる策定をやらねばならぬ、こう思うのですが、いかがですか。
  89. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 年金と今の雇用の問題につきましては、私どもも厚生省と定期的に話し合いを進めておりますし、今後ともに、この年金制度と雇用政策との間にそごがこないように、十分話を進めながらスムーズな進展を見ていくように努力していきたいというふうに考えております。  また、今先生のお話しのありました年次別の計画につきましては、私どもは、雇用基本計画に基づきまして、さらにそれを年次別に展開した雇用計画を持って、こういう定年延長問題についても対応を進めておるところでございます。
  90. 大橋敏雄

    大橋委員 とにかく今度の年金の大改革は、二十一世紀に向けての長期的、安定的な、抜本的な改革ですよ。これは非常に画期的な改革だと私は思っておりますし、支給年齢は現在の国民年金に合わせて、基礎年金の方は六十五歳ということで将来統一されるわけですから、その経過的措置としては、労働省のそうした高齢者雇用確保あるいは労働環境整備、これが非常に重要な役割を果たすと思いますから、特段の御配慮を願いたい。  次に、身体障害者の雇用率に対する企業等の雇用実態はどうなっているのだろうかということなんですが、納付金と未達成企業、納付金で責任逃がれをしている傾向が非常に強いということが前々から言われているわけでございますが、この点はどうかということです。
  91. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 身体障害者の雇用につきましては、雇用率というものを設けまして、しかもまたそれを経済的に裏打ちをするものとして、納付金制度というもので調整をしながら進めておるわけでございます。  現在、この一・五%の法定雇用率に対しまして、昨年の六月一日現在におきまして一・二三%ということでございまして、前年の一・二二%から〇・〇一ポイントという非常に伸びが鈍化してきておる。伸びてはおりますが、その伸びが鈍化してきているということに私ども大変問題意識を感じまして、この取り組みについて新たな取り組みの強化を考えなければならぬ状態にある、こう考えておるわけでございます。  特に問題でございますのは、大企業におきましてのやはり雇用率が低いということでございます。大企業におきましては、雇用率の伸び率そのものは伸びておりますが、しかし水準が非常に低いというところに大企業の問題があるわけでございます。そういう意味で、大企業などに特に重点的な指導が必要だというような状況にあるわけでございます。  それからまた、業種別に見ましても、やはり大企業性の金融・保険であるとかというようなところにおいては雇用率が低いわけでございますが、こういった業種におきましても、今申し上げましたように、ほかの業種に比べては伸び率は高いというようなことで鋭意努力は今していただいている、こんなような状況にあるわけでございます。  雇用納付金の関係につきましては、そういうような雇用率の現状におきまして約百八十億程度の納付金の徴収、こんなような状態でございます。
  92. 大橋敏雄

    大橋委員 先ほども申しましたように、大企業になればなるほど障害者を雇用するよりもむしろ納付金を納めておけという安易な考えがあるんではないかな、こう思われるのですね。だから、この納付金制度のいいところと悪いところとがあるような気がするわけでございます。  実はきのう、おとついでしたか、ある重度の障害者の方なんですね。もし重度の方を雇用すれば二人分とみなされるのでしょう。その方がたまたま私の部屋に参りまして訴えたことなんです。名前は上村徳寛と言います。五十三歳の両足義足をつけた大田区の本羽田の二の四の三の二〇四の方でした。この方が、大森職業安定所の紹介で品川のある会社、Oとしておきましょう、O会社に紹介されて、これは一月十五日に紹介を受けたそうです。そうしましたら、一月二十三日に現場見学をさしていただいて、所長の面接を受けて、そこで採用決定されるわけですよ。いよいよ一月三十日に就業といいますか就労するのですね。ところが二月三日目には、要するに三十日、三十一、一、二、三の五日間で、あなたもう結構です、解雇だというわけですよ。それで本人の上村さんは、どういうわけなんだろうか、何にも理由を言わぬから、また安定所の方に戻って、紹介してくれた人にいろいろと相談しましたら、紹介所の方から会社に問い合わせてくれたそうです。結局、解雇決定しましたということだものだから、職業紹介所の方は、それでは今まで働いたいわゆる実働賃金といいますか、それと交通費、それから解雇予告手当を出しなさい、このように指示したというわけですよ。そして上村さんに、O会社にこういうふうに指示しているからあなた直接話し合いなさい、こういうことで御指導いただいたそうですよ。ところがO会社からは何の連絡もないので、今度は二月二十日ごろ、品川の労働基準局に連絡をしたそうです。早速基準局の方からその会社に連絡を入れてくれまして、とにかく誠心誠意そういうものを支払ってくれという趣旨の勧告をしたというのです。ところが、二月二十三日にO会社から本人のところに電話が入りまして、実働手当と交通費と予告手当の支払いをします、約束します、こうでしたけれども、その後さっぱり連絡がなくて、何にもないから、三月九日にまた、本人から会社の方に支払い日を確認するために電話を入れた。そうしたら来週の月曜日、三月十二日には払い込みいたしますという話だったというのです。それでも何の連絡もないので、三月十六日にまた基準局に電話をした。そこで基準局からO会社に電話で確認しましたら、まだ準備中だということだったというのですね。そして三月二十二日にやっと振り込みがあったんだけれども、解雇手当だけだったというようなことなんです。  これは、私もきのう、おとつい聞いたばかりですから中身を詳しく調査したわけじゃございませんが、この事例は特殊な事例だとは思いますけれども、職業安定所の紹介ですから、事前にいろいろな調査をされた上で、書類も向こうの会社に渡されているはずだ、こういう状況の人ですよ。そして本人と面接して採用決定したのですから、それをたった五日間ぐらいで首にするなんということは何だろうか、こう思うのです。しかも職業紹介所の方は、紹介まではするけれどもあとは基準局ですよというような感じになってくると思うのですが、そういう点の絡みといいますか、こういう例はめったにないと思いますけれども、こういう事実がありますから、こういう点はどうお感じになるか、お答え願いたいと思います。
  93. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 身体障害者を事業所へあっせんいたします場合には、安定所も、まさに一人一人の障害者のいろいろな障害の態様、そしてまたそれに関連します障害者の能力、どんな仕事ができるのかというようなところも十分いろいろ相談をしたり、あるいは能力判定をいたしまして、そしてそれに見合うような事業所を一生懸命探しまして、そしてまた事業主の十分な理解も得ながら、協力も得ながら雇い入れをしていただくというような努力を一般的にしておるわけでございます。特にお話しによりますと重度の障害の方でございますので、そういう方であれば一層そういう面での特別な配慮なり、努力なり、事業所の特別の理解なりを求める形でやっておるはずでございますが、にもかかわらずこういう五日程度で離職、いわゆる解雇というような場面というのは、一般的なケースとしてはちょっと理解しがたい場面でございまして、特に私ども、そういう就職した方がそこで本当に定着していただけるように、事業主の格別の理解、そしてまた、身障者のそれの取り組みへの意欲をいろいろ守り立てるための激励とかいうようなことを一生懸命今やらせておるところでございまして、ちょっとそういう一般的には想像、理解できないケースになっておりまして、一度また私もよくその辺の事情を、どんな事情があってそうなったのか、調べさせていただきます。しかもこれは身障者の方でございまして、監督署への連絡も全部、身障者自身のいろいろな働きでそうなったという点も私はちょっと問題だと思いまして、当然安定所の方がいろいろやってあげてよかった場面ではないかと思うわけでございます。よくまた一度調査さしていただきたいと思います。
  94. 大橋敏雄

    大橋委員 私も聞いたばかりですから、実態を調べられて報告をしていただきたいと思います。  それでは次の問題に移りますが、失業対策の就労問題なんです。今回もまた大幅に就労日数が削減されるというような予算内容になっておりますが、失対事業につきましては、昭和四十六年でしたか、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法の制定の際に、もう失対事業には雇い入れませんと門戸を閉ざしましたね、確かに。ですから、失対事業の皆さんが年々高齢者になっていくのは当然のことです。そしてまた、五十五年度の失対事業制度の検討の際に、失業対策制度調査研究報告というものが出されておりまして、これも非常に厳しい見直しが要求されていたと思うのです。  しかしながら、私もその失対の見直しに関する経緯は私なりに理解し承知しているつもりでございますが、就労者の生活実態を軽視したりあるいは無視するような措置は、理由のいかんを問わずに慎まなければならない、こう思うわけですね。したがいまして、歴代の労働大臣も、その辺を十分配慮されていろいろ改革はしてきたけれども、俗に言う生首は切らないという態度で実際に行政指導をなさってこられたと思うわけですね。その一例が、昨年の就労日数を一カ月間二十・五日分に縮減しましたですね、その縮減した分については雇用保険で賄っていきます、補いましょう、したがって実質的に就労者の収入は変わりませんよ、むしろ一部の人には多くなる人もいる、というのは等級が上がって増収になるということだったと思うのですけれども、そういう事情だったから、去年までは就労者の皆さんは、それならやむを得ぬなということで、納得したわけじゃないけれどもそれをのまれた。  しかし、今回の改正内容を見てまいりますと、二十・五日がさらに十五日に縮減されるわけですね。しかも、前回並みにその縮減分については雇用保険でカバーいたしましょう、こういうふうにはなっておりますけれども、今回の縮減の仕方は私は非常に疑問を感ずるのです。  ですから、この点についてお尋ねするわけでございますが、まず現在の就労実態はどうなっておるのか、そこから聞いてみたいと思います。
  95. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 現在の失対に就労されておる方々の状況を見てまいりますと、大体六十五歳未満の方が五割弱で、六十五歳以上の方が五割強いらっしゃる。さらに言いますと、七十歳以上の方が全体の三割を占めるという状況でございます。そういうことを前提にして、今回は一つの運営の見直しを行ったのだということでございます。
  96. 大橋敏雄

    大橋委員 六十五歳以上が五〇%ですか。
  97. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 正確には六十五歳未満は四六%でございます。約五〇%でございます。
  98. 大橋敏雄

    大橋委員 先ほど申しましたように、失対の就労者というのは、新しい人は入ってこないわけですからもう年とっていくばかりです。しかしながら、これまでの経緯があって、いろいろな事情があってそれなりに特別の配慮で対処されてきたのも事実です。確かに七十歳なんということになると労働政策の上からいくと非常に問題の年齢ではございますけれども、失対就労者の実際の生活状態といいますか家庭状況といいますか、これは非常にお気の毒な状況の方が多いわけですよね。だから私は、先ほど言いましたように、こういう状況を無視し、一方的に切っていくようなことはだめだということを主張し続けてきたわけですが、今回就労日数を十五日に減らしますね。そして不足分は雇用保険を上げましょうということになっておりますけれども、雇用保険を受給する資格というのは、一月間に、収入印紙で証明されますけれども十四枚要りますね。二月間で二十八枚要るわけですよ。そうしますと、一月間十五日しか働けないわけですから、もし風邪でも引いて休んだとするならば、これはもう十四枚はまずだめですから、雇用保険の受給資格がなくなるわけですよ。だから、理論的には縮減分は雇用保険で前年並みにカバーしますよときても、実態的には雇用保険ではカバーされない。これは非常に苦しい状況になるのではないか、こう思うわけですよ。  したがいまして、私は、七十歳以上の方については就労日数を減らす分はやむを得ないとしても、そのカバーする分、雇用保険から出される分において実質収入がそんなに落ちないような状況にしてほしい。そのためには、今言ったように一カ月十四日の収入印紙という従前の規格どおりでは、条件ではこれはだめだと思います。むしろその点を大幅に改めるべきではないか。一月間十日、せいぜい十二日程度で、二カ月で二十日ないし二十四日というくらいで認めていくようにすべきではないか。どうなんでしょう。
  99. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 私どもが今回七十歳以上につきまして就労日数の削減を行いましたのは、この失対事業に就労される方がそもそもどういう方かというところから始まるわけでございます。といいますのは、この失対事業というのは、未来永劫にこの場に雇用いたすということではございませんで、本来は民間雇用につかれるということを大前提にして、それまでの間、臨時的、一時的に就労の機会を提供するという性格のものでございます。そういたしますと、しからば今の雇用情勢はどうか、将来にわたってどうかということになってまいりますと、いろいろな労働関係の指標を見ますと、大体六十歳台というのが引退過程期でございまして、六十五歳というのがその中で一つの大きな節目になっております。ここで労働力率も四〇%に落ちてくる。七十歳になってまいりますとこれはもうほとんど引退されております。もっとも、私が申し上げているのは、政治的な活動あるいは経済的に経営者として活動されることまで七十歳が引退と申し上げておるのではございませんで、屋外作業、屋外労働ということで、しかも人に使われるという雇用の形でこういう就労をされるというのは、もうほとんど引退され切っているということでございます。  ですから、本来なら七十歳以上の方については就労を御遠慮願いたいところでございますが、先ほども先生おっしゃいましたように、この事業ができて三十数年、またそこに就労されている方々も二十五年を超えるという状況でございまして、ここに一つの生活の場をお求めになっておる。それを一時に切るということは非常に激変が起こるということでございます。そこで、現在民間で一般的に就労されている方はどうかというのを見ましたところ、建設関係、民間の屋外軽作業で十五日程度という状況も勘案いたしまして、これは激変緩和の意味を込めて十五日ということにした次第でございまして、全くの自由就労にしていっても出ていらっしゃいという形は、失対事業としてはこれはとれるわけのものではございません。それは結果論として雇用保険がもらえるということになったわけでございまして、雇用保険を前提にいたしまして就労日数を十五日としたわけではございませんので、その辺は十分御理解を賜りたいと思います。
  100. 大橋敏雄

    大橋委員 あなたに労働政策の原則論を聞きたいと思っているわけじゃないのですよ。それは経過はおっしゃるとおり、また内容はそのとおりですよ。だけれども、この失対事業のこれまでの経緯を振り返ったときに、一概にそういう原則論で片づけられるものじゃないのですよ。だから歴代の労働大臣が、特別に配慮して今のような形をつくっていってくれたわけですね。だからこれは、やっぱり事務的な立場で物を見るのじゃなくて、労働大臣の政治的な判断でここは切りかえてもらわなければならぬと思うのですね。  去年は二十・五日に削減し、削減した分については雇用保険で補った。しかも等級が上がる人もおって、むしろ実質収入は従来よりも上がった人がいるというような状況のもとだったから、皆さんもまあまあそれなりに納得された。今回は、先ほど言ったように雇用保険の対応が一応考えられているのだけれども、今言うように、就労した収入印紙の数が一カ月に十四枚要るというのですよ。就労日数が十五日になったわけですから、この辺は何とかやっぱり、労働大臣の特段の配慮で変えてもらいたいところですね。
  101. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 大臣がお答えになります前にちょっと事務的に申し上げますが、先ほども申し上げましたように、働かさぬ、そのかわり雇用保険で食っていけというわけには労働政策としてはまいりませんで、先ほど十五日はなぜこうなったかということをるる申し上げましたように、そこから激変緩和の意味を含めてこの十五日が出てきたわけでございます。  なお、この運用につきましてはさらに若干の激変緩和はしておりますが、今回の措置は、七十歳以上について本来労働政策としてどうあるべきかということを前提にしながら、なおかつ激変緩和をしたということをひとつ十分御理解いただきまして、その点は、ある意味では行政的といいますか政治的といいますか、そういう配慮も、単に理屈一本でやったのではございませんで、したということをひとつ先生にも十分御理解、御納得をいただきたいというように考えております。
  102. 大橋敏雄

    大橋委員 大臣、その辺やっぱりこれまでの経過がありますので、もう温かい特段の配慮で、検討されることだけでいいですから、ここで結論を出せと言うんじゃないですよ、検討していただけないでしょうか。
  103. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 なるほどおっしゃるとおりに、七十歳以上は月十五日、一カ月に十五日ですけれども、そうすると二カ月だと三十日ですか。そうすると二日までは何とかぎりぎり、三日かぜ引くと一日切れる、こういうことになるわけですね。失対事業の性格その他は、建前からいえば今部長の言うたようなことだと思いますが、まあまあそれにしても、一日のことでということになりますと、その辺はひとつ弾力的に考えてみるように検討いたします。
  104. 大橋敏雄

    大橋委員 大臣のそのお気持ちを信頼して、次の質問に移ります。  実は、企業倒産の失業者への対応という問題でお尋ねしたいんですが、炭鉱閉山など集団的に大量失業が予測されたりする場合は、あるいはまた産業経済の変化等から来る不況業種や地域に対しては、特別措置法等までが制定されて救済措置が図られていくわけですね。それなりにもう国を挙げて救済措置が考えられるわけですよ。ところが、長期的な経済不況の中から一般的に、散発的に倒産していく会社がたくさんあるわけですね。特に中小企業等に従事していた労働者に対して、これはもう倒産した、やむを得ない、じゃどうぞ職安へいらっしゃいという程度のものなのか。それとも、そういう深刻な状況にある会社には、職安の方あるいは基準局の方から、どうなんだというふうに温かい手が差し伸べられるものかどうかというようなことをちょっとお尋ねしたいわけです。  というのは、私のおひざ死なんですけれども、これは北九州市内の各職安の調べでは、昨年一カ月の平均の求人数は男子一・七〇八人、求職者が六・二九二人、こうなっているわけですね。本年の二月の有効求人倍率は〇・二五の低さです。つまり四人に一人の就職ですね。全国平均〇・六ですから、有効求人倍率はその半分にもいってないわけですよ。特に二十五歳−二十九歳の求人はまあまああるとしても、四十歳以上になるともう急激に少なくなる。  実は明治乳業という大手乳業メーカーがありますが、そこの一〇〇%の子会社で八幡乳業というのが北九州の八幡西区にあるわけですよ。今月の末に工場が閉鎖されるというのです。六月には会社も解散するそうです。そこの従業員はわずか、わずかと言うわけにいかぬかもしらぬが三十七人ですけれども、三十一日付で退職となる。そのうちごく何人かの人は次の仕事がまあまあ見つかっているようでございますが、その大半は全く目標がなくて不安な毎日を過ごしておるわけです。組合員の皆さんも、ボーナス等も投げ出していいからとにかく経営を続けようじゃないかということで協力を申し出たんですけれども、とにかく無理してやってもあと一、二年しかもたぬ、そのときは退職金も出せないような事態に陥るから、今なら支払われるのでというような話し合いになって、もうやむを得ぬかなということでとうとう了解したということです。退職金の上積みあるいは就職支度金、再就職あっせん、こういう条件を会社にのませた上で了解したということでありますけれども、労働者は弱い立場にありますし、だから、こうした企業倒産がはっきりしたようなときの労働省としての対応というものはどういうものなのか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  105. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 経営努力をいたします中でも、全般に景気は回復基調にあるとはいいましても、やはり業種とか地域によりましては倒産というような事態、いろいろ出ておるわけでございます。  安定所としましては、そういう場合は経営そのものへのお手伝いというわけにもなかなかまいりません。結局、そういう離職者の出ますところにつきまして、今後の再就職につきまして、ある程度規模の大きい場合などには特別にその相談をまとめてやりまして、再就職の希望等もいろいろ、希望職種とか希望の業種を伺いながら再就職へのあっせんをするということでございます。それで、実際にまだそういう離職に至らないというような場合には、不況業種に該当しておりますような場合には、雇用調整給付金というようなもので、ある期間休業手当を援助するというような制度の適用もあるわけでございますが、そういったような手段を尽くしながら、できるだけ離職者が出ないよう、また離職者が出た場合にはできるだけ早く再就職ができるようなというようなことでのあっせんに努力をいたす、こういうような対応をしているわけでございます。
  106. 大橋敏雄

    大橋委員 先ほども申しましたように、北九州は非常に有効求人倍率が低いところですから、やはりこういうところには、ただ本人の相談をじっと待つような形ではなくて、むしろ皆さんの方から働きをかけていただきたい、再就職のための指導をぜひお願いしたいと思います。  時間がございませんので次に移ります。  パート労働法を制定する気はないかということになるのですけれども、たしか昭和五十七年の五月、行政管理庁がパートタイム労働者の実態調査をいたしましたね。そのときにいろいろな問題が指摘されたわけでございますけれども、その後に労働省は、五十七年の十二月十七日でしたか、パートタイマーにかかわる雇入通知書というのを交付する方針を立てて実施していると思うんですよ。また、ついこの前の新聞ですけれども、パートタイム労働対策要綱というものをつくって、そして四月からこの要綱に従って実施していくのだということが新聞等に報道されていたわけでございますけれども、ここまでパートタイム労働者に対して配慮してきているわけですから、この際パート労働法という、これは仮称ですけれども、そういう法律をつくった方がいいのではないか、つくるべきではないか、こう私は思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  107. 望月三郎

    ○望月政府委員 パートタイマーが非常にふえてきておることは先生御指摘のとおりでございまして、四百何十万という、三十五時間未満をとってみてもそういう数に上っておりまして、主として主婦の方が就労しているというのが実態でございます。  そして、今まで私どもも、このパート労働につきましてはトラブルが非常に多いという点が指摘されておりますものですから、やはり雇い入れに当たっての労働条件というものをはっきりさせておかなきゃならぬということで、先ほど先生御指摘になりました雇入通知書というのを普及させて、できるだけ行政指導で雇入通知書を取り交わすということをやっておるわけでございます。また、パートの職業紹介を専門に行いますパートバンクを設置しまして、新年度もこれを二十二カ所から二十七カ所に増加するというようなこと。それから、パートタイマー就労についての相談、啓発指導を実施してきておるわけでございますが、新しい年度に向かいまして、私ども、こういう指導を通じまして、労使のそういうパートに対する労働条件の維持確保という点から認識を深めていただくという観点に立ちまして、当面は、もちろん法律をつくれば一番いいのかもしれませんが、しかし、パートの実態についてもうちょっと労使のコンセンサスを積み重ねながら行政指導を続けて、しかる後にまた法整備の問題も次の段階として考えていきたいということで、対策要綱をつくって、これによって斉一的な指導をやって積み上げていこうというのが私どもの考え方でございます。
  108. 大橋敏雄

    大橋委員 大臣、今の答弁でそれなりに理解はいたしますが、これも非常に重要な法案になるのじゃないか。今いろいろと積み上げながらその段階で法制化も検討してみたいというような答弁だったと思うのですけれども、これは是が非でもつくり上げたい。実は我が党はきょう国会に具体的な法案を提案しましたので、大いに参考にしていただきたいと思います。  時間ももう参りましたので、次に参ります。家内労働法の問題も聞きたかったし、男女雇用平等法案の問題も聞きたかったのですけれども、これはもう時間がないですな。  最後に、とにかく労働者派遣事業が大きな社会問題となりまして、今労働省の方でその法案作成に取り組んだみたいな話も聞くわけですが、労働界の中でも意見が真っ二つに分かれているようですね。それから、確かに野放し状態では派遣労働者の保護にはならぬということで、派遣労働者の保護という立場から法制化すべきだという意見、しかし逆にピンはね会社を制度化させるのじゃないかという意見等々があるわけでございますが、労働省としてはこの問題について一体どういう考えで今進んでいっているのか、お伺いします。
  109. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 昭和五十五年から、労使・公益関係者の方々をメンバーにいたしまして労働者派遣事業問題調査会、石川吉右衛門先生を会長ということで、調査会で検討をお願いしてきておりましたところ、ことしの二月にこの報告書が提出をされたわけでございます。この報告書をまとめる過程におきまして、いろいろ、今先生からもお話しがございましたように、特に労働者供給事業をやっております労働組合の代表の方からは、こういう職業紹介充実であるとかあるいは既存の労働力システムの見直しというようなことで派遣事業問題には対応すべきであって、こういう新しく派遣事業というものを認めるようなやり方は問題であるというような御意見も相当出たわけでございますが、公益あるいは労使の委員の大勢としては、やはり労働者保護の観点から何らかのルールづくり、必要な規制措置を講ずることが必要じゃないか、そのための労働者派遣事業についての制度化もしていくべきではないか、こういうのが大勢的な意見であるわけでございます。  そういうような情勢を受けまして、労働省も、この報告書を受けて実際に法案化に取り組みたいということで、現在中央職業安定審議会にそのための具体的な検討をお願いをいたしております。現在、職安審議会では、やはりこの問題が相当難しい問題をはらんでおる、そういう基本的な立場からの意見もございますが、具体的な例えば業種を一体どういうふうに限定をするのか、あるいはまたそういう限定から外れた業種についてどういうような規制をしていくのかというような問題等いろいろ、それからまた派遣先の使用者責任の問題と雇用しておる派遣事業者との使用者責任のダブルの問題、その辺をどうするのかというようなことでいろいろ法理論的にも難しい問題がございます。もう一つ言えば、労働者派遣契約というものを労働法的にどう概念的に規定するのか等々の問題がございまして、今職安審議会でも非常に難しい問題もはらんでおるからということで、小委員会を設置いたしましてそこで鋭意検討を進めていただいておりまして、既に二回やっていただいておりまして、検討の結果何とか成案化ができれば私どももその法案化を図りたい、こんな考え方でおるわけでございます。
  110. 大橋敏雄

    大橋委員 もう時間が参りましたので、最後に、労働大臣のお気持ちを聞いて終わりたいと思うのです。  先ほど私が申しましたパート労働法といいますか、これは是が非でも制定していただきたいということと、それから今の労働者派遣事業の法制化というものは非常に問題が含まれていると私は思いますので、これは慎重に、確かに派遣労働者の保護の立場からは当然何とかしなければならぬ問題ではありますが、法制化に当たっては慎重に検討を進めていただいて決断していただきたいということ、その二つについてお気持ちを聞いて終わりたいと思います。
  111. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 ただいま派遣事業につきましては局長の答弁したような問題がございまして、新しい社会的ニーズがあることは確かでありますが、その内容につきましてはいろいろの問題があって、今慎重に検討して、でき得べくんば法案にまでこぎつけたいという気持ちはありますが、今のところはひとつ研究会で十分に検討をさせていただきたいと思っております。  それから、パート労働法のことは公明党さん初め皆さん各野党の方から、御熱心な法案に対するお勧めもございました。ひとつよき参考として勉強をさせていただきたい。しかし、今まだ労使関係係におきましても実態の把握におきましてもやや未熟なところがあるものですから、いましばらく勉強をさせていただきたい。その間は実質的に要綱でもって進めさせていただいて、そしていろいろ皆様方の法案と私どものこれからの研究、それを両者勘案をいたしまして、法案にするか否かということにつきましてもひとつ検討させていただきたいと思っております。
  112. 大橋敏雄

    大橋委員 終わります。
  113. 有馬元治

    ○有馬委員長 小渕正義君。
  114. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 私は、まず最初に、午前中も質疑の中で出ておりましたが、昨日答申がされました男女雇用平等法の今後の取り扱いの問題についてお尋ねいたします。  先ほど婦人少年局長の方から、何としてでもこの答申を受けて今国会中には法制化して法案として提出したい、こういうふうな見解が示されたわけでありますが、今国会中といいましても、いよいよ四月に入ろうとしているわけでありますが、これからの作業として、国会に法案として提出されるめどを大体どこらあたりに置いて作業を進められようとしておるのか、その点についてのもっと具体的なものをお示しいただきたいと思います。
  115. 赤松良子

    ○赤松政府委員 お答え申し上げます。  昨日の婦人少年問題審議会で、長い間の懸案でございました男女の雇用における機会の均等と待遇の平等を確保するための立法措置に関しましての建議をいただいたわけでございますが、この建議をいただくまでには随分と時間がかかっております。そこで私どもといたしましても、どのような建議が出るかということについてはいろいろと考えてまいったわけでございまして、それに関しましては、建議が出た暁にはできるだけ早く法案作業に取りかかれるようにという心の準備、あるいは資料等の整備も進めてきたわけでございます。  したがいまして、建議をちょうだいいたしましたので、早速に法案作業に取りかかりまして詰めてい岩だいというふうに考えておりますが、この後のスケジュールといたしましては、各省との調整と申しますか、各省折衝と私ども呼びますが、それがございます。それから、法制局の審査が条文ごとに細かくあるわけでございます。そのようなものを通りまして、今度は、法案要綱を作成いたしまして、関係審議会に法案要綱で諮問をする運びになると存じます。そういたしますと、この関係審議会はきのう建議をいただきました婦人少年問題審議会だけではございませんで、ほかの関係審議会が複数あるものと予想されます。そこで、その審議会にも同じ法案要綱を諮問いたしますので、多少の時間がここで費やされるものと考えます。  しかし、最初に申し上げましたように、いろいろと準備期間もあったわけでございますから、このような所要の手続をできる限り早くこなしまして、今月末からもう既に出発しているわけでございますが、来月できるだけ早く手続を終えまして国会に提案いたしたい、このように考えているわけでございます。
  116. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今のお話しをお伺いしますと、かなりいろいろな議を経て最終的にでき上がるということでありますので、まだまだかなり時間が経過するような感じもいたしますが、端的に言いまして何とか四月中にはまとめて国会に法案として提出する、このように受けとめておっていいかどうか、その点いかがですか。
  117. 赤松良子

    ○赤松政府委員 ただいま申し上げましたような手続は普通は一カ月はかかるというふうに言われているようでございますが、先ほど申し上げましたようにできる限り早くこれを終えまして、国会に提案させていただきたいと考えております。
  118. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 労働省の作業を進めるだけじゃなしにそれぞれの関係機関とのいろいろな問題がございますから、そういう意味ではめども明らかにできないという面は理解はできますが、しかし、労働省として、主管省庁としてこの作業を進めるからには、当然一つのきちっとした目標を持ってそれに対して努力すべきじゃないかと思います。そういう意味でも少なくとも労働省としての何らかの一つのめどというものははっきりあるべきじゃないかと思いますが、それらについてはいかがですか。
  119. 赤松良子

    ○赤松政府委員 一カ月と申しますと大体来月の終わりということになろうかと思いますが、その後になりますと連休という事情にもございますので、できる限り早くというふうに考えております。
  120. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それで、そういう作業を進められる上において、労働省として一つのものを持ちながらそれぞれ関係機関といろいろ協議して法制化へ入っていくと思うわけでありますが、労働省として、今回のこの問題の取りまとめについては何をベースにしてやろうとなさっているのか。きのう建議、答申された中身では、かなりの大事な問題がそれぞれ並列的にいろいろ出されておるわけでありますが、労働省としてこれからいよいよ法案づくりにかかるその基本となるベース、考え方というものは一体どこに置かれてやろうとなさっておるのか。そこの点についてはいかがでしょうか。
  121. 赤松良子

    ○赤松政府委員 昨日のいただきました建議は、先生御指摘のようにいろいろと、内容は必ずしも一本に絞られておりませんで、分かれている点がございます。しかし、この審議を審議会にお願いいたしましたときに、私どもとしてお願いいたしましたことが二つございます。  一つは、婦人に対する差別撤廃条約、正式には婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、この中に雇用に関する部分がございます。この条約を批准をするということが一つの大きな目標になっているわけでございまして、しかもその条約の批准を国連婦人の十年に終わるまでにいたしたい、こういうことが婦人問題企画推進本部の申し合わせ事項となっておりまして、これを満たすための必要な条件として、雇用における男女の機会均等、待遇の平等の法的整備をするということがあるわけでございますので、この条約の批准が可能になるような内容にすること、これが一つの大きな基礎でございます。  それからもう一つは、この審議会が審議を進めるに当たりまして前提になるような条件づくりといいますか、土俵づくりというものを専門家の方々にお願いをしたわけでございまして、これは男女平等問題専門家会議というふうに呼ばれておりましたが、二年半かかりまして報告書をまとめてくださいました。この報告書は「雇用における男女平等の判断基準の考え方について」という名前の報告書になって、昭和五十七年の五月に提出していただいたわけでございます。この専門家会議でこの問題を考えるということ自体が審議会の婦人労働部会からのお願いでございましたので、当然その報告書の中に盛られております考え方というものは、審議会が審議を進める上の重要なベースになったわけでございます。  そこで、先ほど申し上げました条約の批准ができるようにするということとこの男女平等問題専門家会議の結論と、この二つを踏まえて審議をお願いしたわけでございますが、この二つを今後の法案作成の過程におきましても当然に参考にすることになろうかと思います。  また、審議会の過程でいろいろと何度も御審議を重ねていただいたわけでございますから、その間に労使双方から多くの意見が出されたわけでございます。項目ごとに幾つも論点があったわけでございますから、これを整理集約をいたしまして、労働省の法案づくりの内容に十分と反映をさせるというのも当然だと考えております。
  122. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今、条約批准に必要なものと、それからあわせて具体的な専門家会議等で出されたものを中心にして、結果的にはそれをベースにして行うということでしたが、そういうものを中心にしてこの審議会で審議された結果が、それぞれ労使双方からいろいろと非常に異なった見解が、それぞれ相反するものが示されておるわけでありまして、そういう形の中で、このたびの答申案の中にはそういう大事な問題のところについでは並列的なものが示された、こういうふうに私どもは理解をしておるわけでありますが、そういう点からいきますならば、やはり今度のここで取りまとめるために、作業を進められる上において一つの大きな基礎になったのが、公益側委員のたたき台というもの、たたき台という言葉は悪いですが、公益側委員の一つの素案が出されて、それが一つのベースになりながら検討され、審議され、そしてこのたびの取りまとめになったというふうにも理解するわけであります。もちろんそれがそのままという形ではありませんが、そういう点からいきますならば、やはり今度法案づくりの中でそのベースとなるのは公益側委員が作成した素案、これが一つの大きな今回の法案のベースになっていくというふうに理解していいのかどうか、そこらあたりどのような御見解をお持ちですか。その点いかがですか。
  123. 赤松良子

    ○赤松政府委員 御指摘の公益委員のたたき台につきましては、今後の法案づくりの大きな参考になると存じます。中でも、公益委員のたたき台に沿って労使双方が一致していただいた項目が幾つかございます。この点につきましては両方とも賛成していただいたわけでございますので、その線で法案化をいたしましても差し支えないのではないかというふうに思っております。  問題は、公益委員のたたき台に示された考え方と異なった考え方が労働側、あるいは使用者側から、あるいは両方から出された部分がございます。その点をどうするかということが、まさに今後の私どもの法案作業の過程で非常に難しい問題として残されたわけになると思います。この場合は、公益案のたたき台そのものでよろしいのか、あるいは別途これまでの審議過程などを考えながら公益委員のたたき台そのものではないものを考えなければならないのか、今後慎重に検討いたしたい、このように考えております。
  124. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 労使双方がいろいろの意見があったにしても、何とか一致を見た点についてはもう問題ないわけですね。先ほどから言われているように、労使それぞれが異なったような見解を出され、それがまた雇用平等法の中で非常に問題になるようなところがいろいろありますが、そういう点で、そういう作業を今からどのようにまとめられていくのか、そういう点では、残されたあと一月間の間にそういう考え方をどう整理してまとめていくのかということは、これは確かに一つの大きな仕事だと思います。その上に立って、今度はそれぞれ各省庁また関係筋との調整をしていくということになりますと、先ほど私から質問いたしましたように、これが今国会に果たして法案として出てくるのかなという疑問を持たざるを得ないような感じも私なりにしたわけであります。  そういう点で、労働省として、この法案を取りまとめてそして国際条約批准との裏腹の問題としてこれをはっきりしていこうというからには、やはり何らかの労働省なりの一つの見識といいますかリーダーシップといいますか、労働行政を預かる側としての立場から一つのものを持ちながらやらぬと、ただ労はこういうことを言っている、使はこういうことを言っているということの中でどうしようかということで、ただ間に入って調整するということだけではちょっと私は労働行政としては困るのではないかという気がするわけです。そういう意味で、今度のこの大事ないろいろ意見が相反しているような問題のところでは、労働省としては一つの思い切ったリーダーシップ的なものを持ちながら、こういうものを取りまとめていこうというふうになさっておるのかどうか。そこらあたりの、これは局長としてのはっきりしたそういうものに対する御見解があればお聞きしたいわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
  125. 赤松良子

    ○赤松政府委員 労働省といたしましては、審議会の御意見を尊重するというのが正しいあり方でございまして、それから余りに離れたことをするということは適当でないように思うわけでございます。しかし、どのように考えているかということをあえて申し上げるならば、やはりあるべき姿を見失わず、しかも現状から余りに遊離することのないようにということに尽きるのではないかと思います。
  126. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 あるべき姿を見失わずに現状から遊離しないようにということでありますが、そういうことだけでは済まされない、具体的にはもうそれぞれの項目別に実は出されておるわけですね。特に今回のこの男女平等が、きのうの答申案を見て、それぞれマスコミその他で論評しておりますが、一番不安になっているのは、結果的には骨抜けといいますか骨抜きにされた、形だけのでき上がった平等の中で、労働基準法その他で今日まで女子に対する一つの保護規定その他が設けられておったわけでありますが、結果的にはそういうものだけが取っ払われてしまうということになって、しり抜け的なものになってしまいはしないかという意味での、これは法の運用にもよりますけれども、そういう不安が非常にあるということで、きのうのこの答申案の発表された後でのそれぞれ関係者の人たちの中には、やはりこの問題がかなり大きな関心になっているというふうに私は思います。  そういう点では、これは初めての我が国における法案作成でありますから、それなりに御苦労はわかりますけれども、少なくとも今日まで築き上げてきたそういういい意味でのものは残しながら、そうして男女平等という法をいかに我が国の社会事情の中で適応させるようにするかということについては、もう少し労働省としての先見性的なリーダーシップを持ってひとつぜひこの問題の取りまとめをやっていただきたい、こういうふうに期待しているわけであります。もちろん個々の中身については、労働省として法案を取りまとめられて提案された中でまたいろいろ議論をすることになろうかと思いますが、ぜひひとつこれは大臣、せっかくつくったものが単なる形だけの見せかけのもので中身は空っぽというようなことの批判、もちろん批判というのはいろいろありますけれども、少なくともそういうことだけはさせないぞというような、やはり労働省として、労働行政を担当する中央の一つの役所として、ひとつぜひそういう意味で自信を持って国会に提案できるような内容のものをつくり上げてほしいと思うわけでありますが、その点いかがでしょうか。
  127. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 私どもといたしましたら、やはりリーダーシップを持ってやれ、大変ありがたい激励だと思います。とにかく私どもは、少なくとも私どもの英知を集めて、広く審議会の論議、内容を踏まえまして、私どもは、これでひとつお願いいたしますという責任のある案をできるだけ早く法案化いたしまして、来月中にも御審議に供したい、こう思っておるようなわけでございます。  確かに、歴史的実験とも言えるようなものでございますから、理想と現実とそのかけ橋をやるわけでありますから、しかも単なる足して二で割るようなそういう流派ではなかなかこれは割り切れるような問題でもございませんので、富士山に登るにもこっちから登ろう、あっちから登ろう、たくさんの論が出ておるようなわけでございますので、その辺の決断は、確かに私は、何と申しましょうか、国民的な観点からひとつ私どもが全力を絞って考えてみたい、つくり上げてみたい、世界の中の日本でもありまするから、そういう要素もありますから、ひとつ責任のあるものを全力を挙げてつくりたいと思いますので、よろしく御指導を願います。
  128. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 この問題では財界を挙げて時期尚早というような大体傾向、雰囲気であるようでありますし、非常に難しい問題とは思いますが、何といいましても、労働省というのは戦後真っ先に新しくできた省庁でありますし、そういう意味では、絶えず我が国の社会の中でそういった新しい時代に適応するような体制をつくっていくということでの労働省の大きな意義があるわけですから、ぜひひとつ、大変でございましょうけれども、その点よろしくお願いしておきたいと思います。  次に、先ほどちょっとお話しが出たようでありましたが、お尋ねいたしますが、現在炭鉱離職者対策としてのいろいろな就労事業が行われておりますね。各種産業の中での離職者対策として特別に臨時的にいろいろなことが行われてきたわけでありますが、そういうのが今日まで残存しながらいまだにそういった就労対策をしているものは、どういう種類のものがあるのか、その実態について、人員その他の状況についてひとつ御説明いただきたいと思います。
  129. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 現在就労事業といたしましては、一つは一般的な失業対策事業というのがございます。この失業対策事業は、五十九年度の予算で申し上げますと、一日当たり吸収人員は四万六千七百人、年間総予算は五百二十七億でございます。  次に、特定地域開発就労事業というのがございます。これは特定地域の開発、地域開発とあわせて就労を目的にした事業でございまして、これは吸収人員が一日当たり三千百人、年間総予算が約六十三億でございます。  次に、これはいわゆる石炭の就労事業でございまして、緊急就労対策事業というのがございます。これは一日当たり就労人員が千九百人、年間総予算が五十二億でございます。  そのほかに、石炭につきましては産炭地域開発就労事業というのがございます。これは就労とあわせて地域開発を目的にした事業でございまして、吸収人員は三千百人、年間総予算が百八億でございます。
  130. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 そうしますと、一般的に言われている失対事業の関係が全国的に四万六千七百人。それから、特定開発事業という事業に就労されている対象の人たちは大体どのような離職者の人たちなのか。あとの二つは、何か炭鉱離職者を中心にした就労事業だと理解いたしますが、この二番目の特定開発という形で三千百人ですか、この離職者はどういった人たちが対象なのか。その点どうなんですか。
  131. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 これは地域を限りまして、雇用失業状況が非常に悪い地域であって、なおかつ、その地域の開発事業が行われておる、そこに労働省といたしましてもその一翼を担って、開発事業を進めていく際に、開発とあわせて就労の機会をつくろうという事業でございます。地域的には福岡県を中心にいたしまして数県で行われておりますが、今も申し上げましたように、事業内容は、雇用失業状態が非常に悪い地域であって、なおかつ、開発の可能性を持っている地域ということでございます。
  132. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 それで、この対象にやられている人たちは、年齢からいくともうかなり高齢化されてきているのじゃないかという推測でありますが、大体平均的にどの程度の年齢になられるのか。高齢の方で大体何歳ぐらいの人たちになられるのか。それからあわせて、こういう対策について労働省としては、今日段階では今後どのようになさろうという方針は何もないのかどうか。その点はいかがですか。
  133. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 先ほども答弁申し上げましたが、失業対策事業につきましては大体全体の約三割が七十歳を超える方でございまして、六十五歳以上をとりますと大体五十数%という状況でございます。それから、特定地域開発就労事業といいますのは、六十五歳未満の方に限り就労の機会を提供しておりますので、六十五歳を超える高齢者の方はお入りになっておりません。緊就、開就につきましては先生御承知のとおりでございます。  そこで、今後この就労事業についてどうするかということでございます。私ども、失業対策に関する基本的方針といたしましては、昭和四十六年のいわゆる中高年法が制定されましたときまでの失業対策としては、失業者を就労事業に吸収するいわゆる事業吸収方式を主たる手段としておりました。しかしそれ以降、私どもは、企業に対して雇用奨励のための各種助成金を支給する、そういう形によって直接民間の雇用事業を拡大する方式に、大きく政策を転換したわけでございます。これによりまして、私どもは、今後は基本的には、失業対策としては就労事業を拡大するということは考えておりません。しかし現在、現に実施しております就労事業につきましては、政策の転換ということでこれを直ちに廃止するということになりますと、例えば失対事業のように三十数年実施しておりまして、そこに就労されている方々も二十数年という長い期間そこに就労されております。そういうことで、こういう方々について生活問題が非常に大きく出てくるということもございますので、この事業の存否につきましては、私どもは慎重に対応する必要があるというように考えております。  しかし、いずれにしましても、こういう就労事業というのは、財政上非常に多くの費用を投じまして特別の措置を講ずるということでございますので、その対象者の範囲は、いろいろな労働力指標等から見ましても六十五歳未満が基本であろうというように考えております。しかし、それぞれの事業につきまして、例えば失業対策事業につきましては、五十五年に失対制度研究会報告というのが出ております。私どもは、この報告の線に沿いまして、この報告では六十歳未満の方々に限ってこの事業を今後継続するということが指摘されておりますし、そういう方針に沿って事業運営を改めていきたいというように考えております。  緊就事業につきましても、失対事業同様の就労事業でございますので、失対事業とほぼ同様の方針で今後対処したいと考えております。  特定地域開発就労事業につきましては、先ほども申し上げましたように、六十五歳未満の方々がここに入っておられますし、地域開発の必要性等を十分考慮しながらこの事業の継続を図っていきたいという考えでございます。  また、産炭地域の開発就労事業につきましても、就労とあわせて産炭地域の開発ということが一つの大きな目的になっております。こういう意味で、いわゆる産炭地域の振興の一環としてこれをやっております関係上、産炭地域の振興とあわせてこの事業を進めていく考えでございます。
  134. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 今のお話しからいきますと就労事業の拡大はもう当然考えられない問題である、じゃ今すぐ政策の転換ということになると、これは現実的にそれぞれの地域の状況の中で発生した長いいろいろの問題がありますから、これもまた非常に困難だ、こういうことのようでありますので、いずれにいたしましても、これは現在の対象者の人たちがおられる間はこれからもずっと引き続き続いていくというふうに理解せざるを得ないわけでありますが、その点どうでしょうか。
  135. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 現在対象者の方がいらっしゃるからそのまま続けていくといいましても、先ほども言いましたように、六十五歳というのが特別な対策を打つ上での一つの大きな節目になっておるということは、どういう対策を打ちます場合でも、労働政策として打つ以上、これは一つの基本になりますので、その点を無視していつまでもというわけにはまいらぬと思います。ただ、その必要性その他に応じてそれぞれの事業、それぞれ異なった目的、同一の目的も、重なる部分、共通の部分もございますが異なった部分もございますので、その点を十分念頭に置きながら事業の当面の継続を図っていきたいというふうに考えております。
  136. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 しかし、一部を除けばほとんど六十五歳以上なのでしょう。そういうことでありますから、先ほどの御説明の中で一部六十五歳以下の人たちがおられるというところがありましたが、全体的に六十五歳以上の人たちが対象になった事業がほとんどだと思います。そういう点からいくと、今の御説明は若干相矛盾することがあるのじゃないかという気がするのですが、その点いかがですか。
  137. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 六十五歳云々という問題は、実は失対事業と緊就事業について出てくる問題かと思います。といいますのは、失対事業と緊就事業は就労者が特定しております。我々俗に背番号と言っておりますが、就労者が特定しておりまして、年齢構成も明確になっておりますし、そういう場合に六十五歳問題が出てくるというわけでございます。  しかし、特開事業と開発就労事業はいわゆる背番号がついておりません。就労者が特定しているのでなくて、その事業の実施にあわせて、安定所に求職の申し込みをしている人の中から、体力、能力等を十分勘案してこの事業に就労の機会を提供しておる。特に特開事業につきましては六十五歳未満ということでやっておりますので、その点、失対事業と今申し上げました特開事業、開発就労事業とは若干趣を異にするわけでございます。  ほとんど六十五歳以上かとおっしゃいましたのは、多分失対事業というところで御指摘かと思いますが、これは先ほども言いましたように、約五割弱の人が六十五歳未満であるという状況でございます。
  138. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いろいろ難しい要素をはらんでいるようでありますが、しかし、四十六年以来、一つのけじめをつけて新しい方向でスタートしたわけでありますから、将来的にはもう少し、こういった事業はばらばらじゃなしに、やはり労働省の労働行政の一環として、全体的な統一の中でまとめられて何らかの解決の方向を見出していただきたいと思うわけであります。個々の事業だけ見ると別に問題点はないような感じがいたしますが、全体の社会の中においてそれぞれ就業されて五十八歳とか六十歳でやめられていった人たちとの兼ね合い、同じ生い立ちの中でそういういろいろな人たちと比較対照して見ました場合に必ずしも問題なしとしない面がいろいろございますので、その点を特に御質問しお聞きした次第でありますから、その点、これからもよろしく御検討のほどお願いしておきます。  次に船員関係でありますが、船員に関する限り、船に乗っている船員、漁船員の人たちは、労働行政のあらゆるものがみんな運輸省管轄なのですね。これは労働省ができた戦後すぐの時代は、いろいろな事情、船員という特殊性といいますか、そういう特殊な要素を持ったためにそういった形になっておったと思いますが、少なくとも我が国における労働行政全般を一元化してみるという立場から見ますならば、ただ旧態依然としてこのまま船員は運輸省だということだけで放置しておっていいのかどうか、私はそういった点でいろいろな問題点を感じているわけでありますが、この問題に対して労働省としてはどのような御見解をお持ちか、まずそれをお尋ねいたします。
  139. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 船員行政とそれから一般の労働行政を一緒にしたらどうかという御意見なりはかねがね伺ってもおります。また現実に、例えば船員保険の中の失業保険制度が保険集団として非常に小さいので、雇用保険制度でありますようないわゆる雇用保険の四事業といったものもなかなか構成しにくい、ついては、船員の失業保険部分を雇用保険制度の中に一緒にできないかといったような御意見をいただいたこともございます。関係の労働組合の方からもそういうような御意見をいただいたこともございます。  ただ、これは、船員行政が運輸省でまとめて所管されておりますことのいきさつは先生も御承知かと思いますけれども、今もお話しございましたように、船員労働の特殊性といったことが基本にあるわけでございまして、労働省ができます際のいろんないきさつもございましたが、船員労働行政については運輸省という形でそれぞれの所管が定められた経緯もございます。したがって、その後における今申し上げたようないろんな意見等私ども承ってはおりますけれども、一方、これは労働組合のサイドだけではなく、事業主サイドの意見等は必ずしも一元化ということでもないようにも耳にいたしております。  そんなようなことで、さらに加えて運輸省自身の考え方もございましょうし、そうしたことから、私どもとしては、昨年三月に出ました臨調答申の中でこの一元化問題が触れられております。そこでありますような船員労働の特殊性の変化等を見守りつつ、今後、運輸省とも十分協議をしながら慎重に検討していきたいという姿勢でございます。
  140. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 船員というのは、ある意味では特殊な環境条件の中に置かれているわけでありますが、今もお話しがありましたように、特に海上労働者の人たちの雇用問題というのは非常に大きな問題になりつつあるわけであります。あわせて、今お話しありました失業保険関係につきましても、今回労働省所管の部分の一部改正が出されておるわけでありますが、それとの関連の中で、船員保険についてもまた改正が行われるように出されております。そういった雇用対策の面、失業保険、雇用保険等の面、労働行政の面から見ます場合に、一元的な視野の中で物を見ながら、そういうバランスを考えながらやっていかないことにはうまくいかないのじゃないか。特にそういう意味では、今日の船員の特殊性というものが昔のままのような状況の中に果たして置かれているのかどうか、やはりここらあたりは、船員行政を全体的な我が国の労働行政の一元化という方向でぜひこれをとらえて、もっと問題を整理していただきたいという非常に強い希望があるわけです。  今回、臨調答申が出され、いろいろこういった、それぞれの所管官庁の持つお仕事の関係についても改めて見直されながら整理統合されるといういい機会ですから、運輸省側が持ってこられないことにはちょっと労働省は動きにくいということじゃなしに、この問題は今回労働行政の一元化という形で労働省から積極的に考える、こういう立場でひとつアタックしていくということについて、労働省としていかがでしょうか。その点どうですか。
  141. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 実は、臨調答申の審議が行われております過程でも、その両行政の一元化についての労働省の考え方を尋ねられたことがございます。その際に、労働省としてお答えしましたのは、例えば先ほど申し上げたような失業保険部分だけであるとか、あるいは船員の労使関係の部分だけであるとかといったような部分部分だけを取り上げてのことではなくて、一元化するとすれば全体を一元化するということで関係者のコンセンサスが得られるならば、労働省としてはこれを受けとめる姿勢はございますということもお答えをしたわけでございます。  今先生の御指摘は、むしろ労働省の方から先に乗り出していかないか、こういうようなお尋ねかと思いますが、これはそれぞれ関係者のあることでございますので、いたずらに労働省が突出する筋合いのものでもないかと思いますから、関係者とよく協議を進めながら対処してまいりたいというふうに考えております。
  142. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 午前中の質問の中で、付加して質問をする問題を感じたのですが、通告してなかったので。基準局長はお見えになっておりますか。  一つだけ。最後になりましたけれども、これは通告質問の中に入っておりませんでしたけれども、労働時間短縮の午前中の質疑の中で、労働基準局長としてのお立場でお話しをなさったわけでありますけれども、一部造船産業関係において労働時間が延長されつつある、確かにそういう点で強力な行政指導をやっているんだという意味の御答弁をなさったと思います。残念ながら造船産業の中で、会社倒産、再建という立場から、賃金は据え置いておって労働時間だけを延ばしていくような、そういう意味での再建方式を一部の経営者がとっていることは事実です。それで、一部のところだけそういう形が出ておりますが、これは非常に好ましくない現象で、極力私たちも機会あるたびにいろいろなところで働きかけをしておるわけでありますが、そういった意味においての強力なる行政指導をなさったというのは、言葉じゃなしに具体的にどういうことをなさったのか。私どもが承知しておる範囲では、労働基準局はこの問題に対して果たしてどのような立ち入りができたのか、そういったものはできなかったんじゃないかというような見方をしておるのですが、強力な指導をやっておりますということを言われたので、ひとつ具体的な中身をお聞かせいただきたいと思います。
  143. 望月三郎

    ○望月政府委員 私どもは、昨年の秋に造船業を中心に調査をいたしまして、その結果につきましては先ほどの答弁で申し上げたわけでございますが、造船業に対する問題は、特に私どもは安全衛生の関係に相当重点を置いております。そういう意味で、安全衛生の監督の際に基準法違反の問題をあわせてチェックしているということで、これは相当各署で私どもやっておるつもりでございます。
  144. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 いや、労働時間を今の時代に逆行するような延長するような傾向についての質問に対して、強力な指導をやっておりますという御答弁をなさったから、果たしてどういう点でそういったものをやられたのかなという意味で私は質問したのですが、そういう安全衛生対策についての指導を行った、こういう意味ですか。
  145. 望月三郎

    ○望月政府委員 安全衛生をやるのが一番今まで造船についてはやっておりましたが、そういう御指摘もございましたので、この点、労働時間その他についてもあわせて監督を強化しているということでございます。
  146. 小渕正義

    ○小渕(正)委員 先ほど申しましたように非常に時代逆行的な好ましくない傾向ですが、会社再建のためという名分の中で、一部の経営者だけがこういう方式を採用して、賃金だけ据え置いて労働時間だけ延長する。我が国の全体にこういう方式が広がるということは絶対好ましいことではないので、労働基準監督署として、こういった労働時間が逆行するような方向にいくことについての指導が適切に行われるならばこれにこしたことはないわけですから、ひとつ単なる言葉だけじゃなしに具体的にもっともっと指導していただきたい、こういうことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  147. 有馬元治

    ○有馬委員長 浦井洋君。
  148. 浦井洋

    浦井委員 坂本大臣と、それから赤松さんにまず最初にお伺いをしたいのです。  きのう男女雇用平等法に関する婦少審の建議が出されて、今朝来、法案がいつつくられるかということが論議をされておるわけでありますけれども、率直に申し上げて、先日出ました公益側のたたき台というようなところを一つのメルクマールにして、労働省は男女雇用平等法のようなものを出してこられるんだろうというふうに私は想像、予測をいたしておるわけであります。これについては御意見は聞きません。  そこで、この建議を見てみますと、やはり婦人の保護規定の削除というところが非常に大きな問題であって、そのほかにも問題点はありますけれども、例えばけさの朝刊などを見ましても、私はここに朝日新聞を持ってきましたけれども、明治大学の松岡三郎という先生は、「公益委員にきちんとした思想がないからだ。その思想の一つは、国際的な法感覚だ。日本は、工業的業種の労働時間を週四十八時間以下としたり、年休を三週間以上とするILO条約を批准していない。それだけ労働条件が低い。」こういうふうに言われておる。その下の朝日新聞の解説なんかを見ますと、やはりこの点を指摘しておりまして「女子保護規定の撤廃、緩和により、女子の時間外労働や深夜業は確実に増えるだろう。国際的に悪評の高い男性の長時間労働に、女子も近づけることになる。」云々ということで、「日本弁護士連合会などが指摘するように、家事・育児との両立が困難になった婦人は、退職や、条件の悪いパートタイマーへの転職を余儀なくされよう。女性パートタイマーの増加は、男性を含めた労働条件全体の切り下げにつながりかねない。」こういう解説をしておるわけであります。私はこの考え方というのは非常に正鵠だと思っております。  大臣にも赤松局長にもお尋ねしたいのですが、先ほどから話題になっております定年延長の問題であるとか、あるいは時間短縮の問題というのは、まさに今資本主義国の大きな趨勢になってきておる。だから、こういう形でもし労働省が法案なるものをつくられて出されてきた場合、この点においてもやはり世界の趨勢に逆行するのではないか、私はこう思うわけです。  そこで、お聞きしたいところによりますと、そのころ赤松さんが局長をやっておられるかどうかわかりませんが、来年の国際婦人年の最終年に当たって、ナイロビですか、世界会議があるのでしょう。そこへ行って、日本で男女雇用平等法ができ上がりました、これは世界に誇れるものでありますというようなことで、自信を持ってナイロビで演説することができますか。そのとき局長をやっておられるかどうかわかりませんが、もしやっておられたとして。  それで、大臣にもこの点をお尋ねしたいのですが、雇用失業情勢に、こういう格好で出てくるとやはり大きな悪影響が私は必ず出現すると思うわけで、こうなると、閣議決定である「八〇年代の展望と指針」の趣旨であるとか、あるいは第五次雇用対策基本計画の趣旨にもこういうことは反することになるのではないか。具体的に申し上げますと、これができて、どんどん女性だけでなしに男性でも長時間労働が今よりももっと野放しになると、必ず国際的にも日本商品のボイコットというようなことで貿易摩擦、経済摩擦が起こるのではないか、こういうふうなことを私は危惧するのでありますが、ひとつ中曽根内閣の一人の閣員として大臣、並びに赤松さんの所見をお伺いしておきたいと思う。
  149. 赤松良子

    ○赤松政府委員 昨日審議会の建議をいただきまして、その建議についてのいろいろなコメントがいろいろな新聞に出ておりまして、けさ国会の関係で余り時間がございませんでしたので一つ一つ検討する時間がございませんでしたが、ただいま先生の御指摘の朝日新聞のコメントは読ませていただきましたが、公益委員の先生にきちんとした思想がないからだという御指摘は、あれだけ一生懸命していただいた公益委員の先生に対しまして私は十分評価をし、感謝をしておるものでございますので、その点は必ずしも松岡先生の御見解と一致するものではございません。  それから、労働時間が長くなるだろうという指摘につきましては、今後、労働基準法の改正の部分につきましては、これまでの審議過程、あるいは日本の女子労働の実態、あるいは女子労働のみならず男子をも含めた労働時間の実態などを十分に考慮いたしまして、法案の作成に臨みたいと思っておりますので、そのような悪評をこうむらないものにいたしたい、こういうふうに考えております。(浦井委員「そんなことじゃなく、ナイロビで……」と呼ぶ)ナイロビに私が行くかどうかは全くわかりませんが、ナイロビにもし行くといたしましたらば、そのときは日本は批准国として行ければ、大変うれしいことだというふうに存じております。またそのときに、単に批准をしただけではなくて、批准するにふさわしい内容の雇用における法的な整備を整えていくことができれば、大変幸せだと存じております。
  150. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 やはり私は、男女の雇用の機会均等、その結果起こる平等の待遇、こういう法制は必要だ、ちょっとオーバーに言えば、これは歴史的な大きな実験になる、失敗してはならぬ、それぐらいに思っておるわけでございます。そしてやはり、審議会の皆さんにおかれても、労便とか、労の中でもそれはいろいろありましょうし、使の中でもいろいろありましょうし、それから公益の中の意見もまたありましょうし、一論、二論、三論というように分かれるところもございますが、しかし、今申し上げたように女性の活力と申しましょうか、また学歴も非常に高学歴化してまいりますし、それから昔の趣味の範囲を超えて自分で一生懸命働きたい、そのためには勉強したいというような、そういう意欲もあって女性の進出が多いですね。そういう趨勢をつかまえれば、やはりここで、それはおのおのの立場からの意見はたくさんあっても、何らかのこういう法案をつくらなければいかぬという大きな意味の総論では皆さんの御意見はほぼコンセンサスを得ておる。ですから、これからいろいろ具体的に細かい点で、そのときは我が国の実情を踏まえて、現状とそれから将来のあるべき姿を踏まえて、いろいろきめの細かい工夫の要るところだろうと思っておりまするが、浦井さんのおっしゃるように、なるほど日本は日本としてもっともな案を持ってきたと、ナイロビですか、そこへ行って言えるように、これからひとついろいろ勉強して仕上げていきたい、こう思っております。
  151. 浦井洋

    浦井委員 大臣の方にはちょっと国際経済摩擦みたいなことをお伺いしたかったわけでありますが、これは労働大臣として所管外のことかもわかりませんが、ただちょっと今の大臣のお話しで気にかかるのは、何とかつくり上げるということがコンセンサスになっておるということはちょっとひっかかると思うのです。やはり実効性のある男女雇用平等法と、それから労働基準法の改悪といいますか、皆さん方から見たら改正だと言われるかもわかりませんが、そういう改悪をやめて、実効ある男女雇用平等法をつくれ、その二本柱がやはりぐっといつまでも一緒にあるわけですからね。そこのところをお忘れにならないようにして、できるだけ労働組合であるとか婦人団体であるとか国民大衆の望むような男女雇用平等法をつくり、労働基準法の改悪をやめておくということのためにやはり頑張ってほしいということを要求しておきたいと思います。  そこで、今度は個別の案件を先にお聞きをしたいと思うのですが、今もそのお友達が傍聴に来ておられるわけでありますけれども、昨年の三月にかなり大量の労災の打ち切りがございました。その中で出てきておるのは、症状固定で治癒だということで打ち切られたのに、就業したところが症状が悪化したというケースがかなりふえてきておるという報告を私は聞いておるわけであります。  例えば、東京都大田区の久ケ原共同保育園の保母の田口貞子さんと言われる方、背腰痛症で業務上として治療をしてきたが、昨年の三月、治癒ということに判定をされて、昨年の四月から出勤をした。ところが昨年の七月末に悪化をし、本年一月にさらに悪化をして再休業。一例を挙げるとこういうことであります。また、浜松の三和銀行の浜松支店の杉山朱実さんといわれる方で、この方も昭和五十二年の四月に業務上認定、頸肩腕症候群として認定をされた。五十八年、去年の四月一日から労使の協定によって職場復帰訓練に入って、仕事の時間が二時間ぐらいから今五時間までいっておる。ところが五十八年の九月、去年の九月になって、会社側から、あなたは三月三十一日付で治癒をしておるから職場復帰訓練は認めない、完全就労にしなさい、そしてことしの三月三十一日、もうすぐです、それまでに完全就労をしなければ解雇すると、解雇予告を出してきたわけであります。これはきのう連絡をしておきましたから、事情を調べていただいたと思いますけれども。  それで、ここで問題が三つありまして、一つはやはり、去年の三月の全国一斉、まあ首都圏ですか、首都圏を中心とした労災職業病の打ち切りというのはかなり乱暴なやり方であった、こういうことを労働省としては反省しなければならぬのではないかというのが第一点であります。  それから第二の問題は、このケースの場合でありますけれども、同じ監督署が、一方で職場復帰訓練を指導しておるわけです。そして、一方で治癒だというようなことを言っておるものですから、企業の方から、治癒だから完全就労しなさい、やれなければ首だというような言い渡しをやってきた原因を、これは同じ監督署がつくっておる。こういう矛盾したことをやってはならぬということであります。  それから三番目は、この田口さんの例にしても杉山さんの例にしても、症状固定で治癒だということの仲に乱暴な治癒認定をやったものですから、その後就業して悪化をしている例が、私は二例を挙げましたけれども、それが一例は解雇につながっておる。やはりこれはちょっと基準局なり労働省のやり方が乱雑であったのではないか。やはり企業に対してもっと適切な指導をやって、労働者保護を貫徹をしなければならぬのではないかというふうに私は思うのであります。  一応、その三点についてお聞きをしておきたい。
  152. 望月三郎

    ○望月政府委員 昨年の四月に労災を一律に打ち切った、こういう御指摘でございますが、私どもは、労災保険におきましては、傷病の状態が固定して療養の効果が期待し得ないと認められるに至ったときには、たとえしびれなどが残っていたとしても治癒とすることとしておるわけでございます。  はり、きゅうの施術につきましては、従来健康保険に準拠いたしまして、一般医療終了後、はり、きゅう施術を最長六カ月間認めてきたところでありますが、労災の特殊性を考慮いたしまして、はり、きゅうについて造詣の深い専門家の御意見等十分に参酌の上で、一般医療とばり、きゅう施術との併施を認めたという点、それから第二は、施術期間の延長を認めたことによりまして療養の給付の範囲の拡大を図ったというのが私どもの行ったことでございます。  保険給付を行うに当たりましては、傷病労働者の療養の経過あるいは主治医の診断及び意見、それから地方の労働基準局ごとに地方労災委員というのがございますが、この委員の意見などを参考にするとともに、必要に応じまして傷病労働者に対して受診命令を行う等によって症状を的確に把握をしまして、適正な給付に努めてきたわけでございまして、一律に乱雑にやったというのは、ちょっと私どもとしてはそうは思っていないわけでございます。
  153. 浦井洋

    浦井委員 労働省の方針なるものは私はよくわかっているんですが、それならこのケースについて一体とないするつもりなんですか。
  154. 佐藤正人

    佐藤説明員 お答えいたします。  先生御指摘の杉山さんの件でございますが、実は症状が固定したという行政判断に基づきまして、先生御指摘のとおり五十八年の三月三十一日付をもって治癒したということを決定しております。  しかし、治癒後の職場復帰につきましては、昭和四十八年十一月五日付の私どもの方の職場復帰に関します通達がございます。五九三号通達といいますけれども、この通達に基づきまして、自主的な就労が困難な場合には、その諸条件の改善に努め、円滑な就労ができるようにという趣旨で、現在労使協議のあっせん等を行っている段階でございます。  先生から先ほど御指摘ありましたように、解雇通告があったやにお聞きしたのでございますけれども、私どもが現在までに調べました結果ではそういった情報をつかんでおりませんので、早急に把握次第、先生に御報告申し上げたいと思います。  なお、私どもが調べました情報によりますと、ことしの三月六日に事業所より職場復帰計画というようなものが出されておるようでございます。そういう職場復帰計画に基づきまして、現在、事業所それから被災労働者に対しまして社会復帰に対する指導を行っておるというような情報を現在つかんでおります。
  155. 浦井洋

    浦井委員 だから、せっかくよくなってきて、そしてスムーズに職場復帰訓練についておるわけですから、それを今言われた企業の復帰計画に基づいて、それこそきめ細かくやらなければいかぬところを、ざっと一律にやってしまうと、この本人さんの症状が悪化することは目に見えておるわけですから、そこらを企業に対して十分指導してほしい、こういうことを申し上げているわけです。よろしいですか。一言だけ……。
  156. 佐藤正人

    佐藤説明員 お答えいたします。  治癒後の職場復帰とか労働条件の問題といいますのは、基本的には労使の問題でございますので、私ども行政が積極的に介入するというのにも限界があるわけでございます。しかし、そうはいいましても、通達の趣旨にのっとりまして、できるだけの行政努力を図っていきたい、このように考えております。
  157. 浦井洋

    浦井委員 それからもう一つの問題は、三菱重工神戸造船所でこういうことが起こっておるわけであります。これは年の初めの最初の出勤の日に所長訓辞がある。全従業員を集めて行われる。ことしもやられたわけです。普通始業時間というのは八時十分でありますけれども、この日は事前に課長名で指示があって、作業服に着かえて七時五十分に工場前に集まって、そして所長の訓辞を聞くために行進をして会場に行く。これであれば、やはり会社の指揮命令によって二十分始業を早めたのであるから、当然賃金支払いの対象となるわけであります。私はそう思うわけです。現に、そこで働いておる三名の労働者の連名で神戸西監督署に申告したわけです。これに対して監督署の方は、現在調査中だということでまだ返事がないわけてありますが、まず、やはり二十分間賃金支払いの対象になると思うわけでありますが、これはどうですか。
  158. 望月三郎

    ○望月政府委員 先生御指摘の三菱重工神戸造船所における今の労働時間がどうかの点でございますが、本年の二月二十五日に、今先生おっしゃる一月五日の仕事始めの日における所長訓辞が行われる場所に行くために要する時間について、賃金が未払いであるという旨の申告が数名の労働者からなされたと報告を受けております。  本件につきまして、所轄署におきまして調査したところ、この所長訓辞は通常の始業時刻と同時刻に始められ、これに要した時間については賃金が支払われているなど、法違反は認められなかったというように報告を受けております。
  159. 浦井洋

    浦井委員 それはちょっと調査不足といいますか、同時刻ではなしに、七時五十分に作業服に着かえて工場前に集合して、八時十分から所長の訓辞が行われた。普通の始業時間は八時十分である。だから二十分間早く拘束をされておるわけでありますから、これはもう明らかに賃金支払いの対象になる、こういうことでしょう。
  160. 望月三郎

    ○望月政府委員 今私がお答えしたのは、所長訓辞の行われた時間についてのお答えだったわけですが、そこに行くまでの点につきましては、現場に行くまでの若干の時間がかかっておるわけですが、私どもの受けている報告では、訓辞があったわけですが、訓辞への参加自体が自由参加であって、不参加者に対する不利益取り扱いも行われていないということで、労働時間とは認められないというような報告が入っております。
  161. 浦井洋

    浦井委員 参加が自由であったということではないのです。私はきょう持ってきておりませんけれども、課長の指示が職場長を通じて労働者一人一人に事前に行われておった。そこでもう自由ではなしに、ある程度拘束されるわけですよ。もしそれに出ていかなかったら、直接的にはいろいろな罰則の対象にならないかもしらぬけれども、結局半年に一回の人物なり能力査定の対象には点数制ですからなる、こういうことは決まり切っておるわけなんですよ。だからこれは調査不足ですよ。
  162. 望月三郎

    ○望月政府委員 非常に短時間に問い合わせをしたものですから若干聞き取れなかった点もあるかと思いますので、もう一度調べてみたいと思います。また結果を報告させていただきます。
  163. 浦井洋

    浦井委員 ひとつよく調査をしてください。ここにもこういうものがあるんですよ。課長の判入りの「年頭の所長安全訓辞実施の件」ということで、これに基づいて事前に年末に徹底されて、一月四日に初出のときにそういうことが行われておる。二十分間ではあるけれども、やはりこれは賃金をそれだけ払わなければならぬのではないかということを私は言っておるわけなんで、よく調べて、ぜひ報告をしていただきたいと思います。  そこで、時間が短いので、高齢者雇用の問題でありますが、要するに私の言いたいことは、労働大臣は今度の所信表明の中で、「高年齢者の方々につきましては、高齢化社会を迎え、その高い就業意欲を生かし、安定した雇用就業機会を確保することが重要となってきております。」というふうに言われておるわけで、この「安定した雇用就業機会を確保することが重要」であるのに、今朝来問題になっておる、雇用保険法で六十五歳以降就労した場合は対象にしないとか、あるいは七十歳以上の失業対策事業の労働者の方々の就労日を十五日に減らすとか、こういう逆行するようなことをやっておられるのはなぜなのか。何か生卵をつぶすとかつぶさぬとかいうような話がありましたけれども、果たして剣道の極意から言ってこういうことを坂本労働大臣は許されるのか。  先ほども守屋部長がちょっと言っておりましたけれども、屋外であろうと屋内であろうとやはり六十五歳で線引きすべきではない。坂本大臣、国会議員で六十五歳以上は一体どれくらいおられるか知っておられますか。私、ちょっと参考のために調べてみましたら、六十五歳が衆議院で二一・一%、参議院で三〇・九%、トータルで二四・三%、坂本大臣のおられる中曽根内閣の閣僚ではどれくらいでしょう。二十一人中九人が六十五歳以上ですよ。四二・八%が六十五歳以上。だから、高齢者対策部長は屋外労働のことを言っておりますというようなことを言うが、我々もある意味で屋外労働ですよ、ある側面を持っていますよ。だから、六十五歳で機械的に線を引くというようなことが果たしてよいのか。また、それに伴う年金の問題とかいろいろなことがありますから、六十五歳でぴしっと線を引くというようなことはやめておくべきではないかと私は思う。  例えば、昭和四十六年の例の中高年法ができたときの附帯決議でも「中高年齢者等の年齢の範囲については、雇用失業情勢の変動に応じ弾力的に運用できるよう配慮すること。」だから、このときにも、六十五歳以上は福祉の対象だ、労働政策の対象ではないんだというような、そういう観点では必ずしもないわけですね。それから、ILOの百六十二号勧告というのですか高齢労働者に関する勧告でも、少しわかりにくい文章でありますが、高齢労働者が年齢を理由に雇用で差別待遇を受けることのないよう防止する措置をとること、特に特定年齢で強制的に雇用を終了させるような法令その他の規定を検討し直して、労働生活からの引退は任意であるようにするよう勧告をしておる、こういうことであります。「任意」だから働く必要のある人、働く意欲のある人、体力のある人、これはやはり、六十五歳だからもうあとは福祉対策の対象だという格好で決めてしまうことに災いの淵源があるわけです。これを見直す気はないですか。
  164. 守屋孝一

    ○守屋政府委員 私が先ほど屋外労働云々と申しましたのは、実は政治的活動、経済的活動、いわゆる政治家とか経営者とか社会活動家は別だというように申し上げまして、雇われるという形で屋外で働く場合に七十歳以上についてはいかがなものかというふうに申し上げたつもりでございます。  六十五歳問題につきましては、私どもは、何も六十五歳以上の方が働いてはいかぬとかなんとか申し上げているのではなくて、特段の財政措置、特段の対策を講ずるということになってくると、六十歳台というのは大体引退過程期であって、例えば六十五歳を一つの節目として労働力率も四〇%になる、そういう状況のところで、特段の対策を打つ年齢の区分としては六十五歳というのが一つの節目である、それが基本であるというように申し上げておるわけでございまして、六十五歳でもってすべての労働政策を打ち切るということではございません。  例えば、この失対のようなこういう多額の国家資金を投じて就労の場をつくるというような施策につきましては、過半数の人が引退しているというような場合には、どういうところまで果たしてそういう特段の対策を打つべきかどうかということにつきましては、六十五歳が政策の一つの分岐点であるというつもりで申し上げたわけでございまして、その点ひとつ十分御認識、御理解を賜れればというふうに考えております。
  165. 浦井洋

    浦井委員 大臣、どうですか。
  166. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 六十五歳以上の方々に薄情に当たりたいとは少しも思ってはおらぬのでありますけれども、今政府委員の申し上げましたように、国民の大変な高負担の中から税金をたくさんちょうだいして、それを集中的にどの部門に投じた方が全体として効果が上がるであろうかというようなことを考えますると、六十五歳以下という方に重点を当てた方が最小の経費で効果がそれ以上に上がるのではないか、こういう意味で申し上げておるのでございます。また、六十五歳以上の方々に対しましてはそれなりに、いろいろな面でできるだけのお世話をするようにいたしております。
  167. 浦井洋

    浦井委員 六十五歳以上の方が今どれくらいおるのですか。人口の中の九・何%ですか。昭和八十五年ぐらいには一五%ぐらいにはなるだろうという、急速に高齢化社会が来ているわけです。しかもその中で、これから六十歳台の前半の方がふえるころと、六十五歳台がふえるころと、七十歳台がふえるころと、政府の好きな統計でいけば予測ができるわけですから、それに対して社会福祉的な、就労をお手伝いするような事業をちょっとまねごとでやってみるというようなことでは、私はいずれ社会的な混乱が起こるのではないかというふうに思うわけです。だからそういう意味では、単にこれは労働省一つだけでは無理かもわかりませんけれども、六十五歳で線引きをするのではなしに、それ以上の方に対しても労働対策の対象としてもっときちんとした方途を打ち出す、このことが今必要ではないかということを私は強調しておるわけでありまして、その辺、大臣の言われることと高齢者対策部長の言われることと、ニュアンスはちょっと違いますけれども結論だけはきちんと合うておるわけで、一遍よく相談して、そんな安易な格好でやるのではなしにきちんとした就労対策を持ちなさい。失対事業をアウフヘーベンしたような公的就労事業をやりなさい。全日自労というような労働組合では高齢者事業団というようなものをやっておるし、皆様方がやっておるシルバー人材センターというのは有閑老人対策になっているのですよね。やる事業の数だけはふえておっても、これはもう一種の遊びみたいな格好になっているわけです、オーバーに言えば。そういうものでなしに、本格的な就労対策を打ち出しなさいということを最後に強調をしておきたいと思います。  それから、失対事業の七十歳はもうもってのほかである。これはぜひやめるべきだ。私、きょういろいろ資料は用意してきたけれども、持ち時間が終了しましたということですからやめますけれども、七十歳になると就労日が十五日に減る、五・五日減るというようなことはもってのほかである。これはもう絶対にやめておくべきだということを強調して、私の質問を終わりたいと思います。
  168. 有馬元治

    ○有馬委員長 長野祐也君。
  169. 長野祐也

    ○長野委員 坂本労働大臣には、昨年の暮れの就任以来、行政の先頭に立って、現在、労働行政が抱える困難な諸問題に積極果敢に取り組まれ、大きな成果を上げてこられたことに敬意を表するものであります。  大臣が常々おっしゃっておられる剣道の極意にありますように、遠山の構えによって常に大局をとらえて、来るべき二十一世紀に向かって労働行政を進めていかれることを望むものでございます。  また、大臣は、世界の平和と繁栄のため積極的な活動をしてこられたことも、世によく知られているところであります。私は、中曽根総理が施政方針演説において述べられたように、深い相互依存関係にある今日の国際社会においては、世界の平和と繁栄なくして日本の平和と繁栄はない、また、国際社会における我が国の地位向上に伴いまして、各国の我が国に寄せる期待と要請は極めて大きいものがあると考えております。このことは労働の分野においても当然考慮すべきことでありまして、特に貿易摩擦が激化する背景には、各国が我が国の労働事情を正しく理解をしていない面もありますし、労働省も我が国の労働事情を諸外国に正しく伝えるよう、理解をさせるよう努力すべきであります。  このような観点から、大臣は、外交のベテランとして今後の労働外交をどのようにお進めになるおつもりか、まずお伺いをいたしたいと思います。
  170. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 我が国の労働行政にも、世界の中の日本ということで、我々の自覚も国民の自覚も相当高まりつつありますので、労働外交という発想が、皆さんからいろいろな提言を交えて最近非常に盛り上がってきたことはまことに結構なことだと思っております。  ルックイーストなどと言われて余りいい気になっては困るわけでありますけれども、我が国だって、たかだか数十年前はいわゆる今の発展途上国なんでありました。そういう苦労をなめて、世界が平和に恵まれたせいもあり、あるいはまた我が国の勤勉な国民性にもよるところがあって、今日ここまでやってきたというわけでございます。これは特にアジアの近隣諸国の方々に対して、我々が苦労してここまで来たのならば、この今苦労しておられる皆さん方に少しなりともいろいろな面で貢献をしていくということが、ひいては我が国の平和と繁栄にもつながることであろう、労働の分野におきましてもいささかなりとも貢献をいたさなければならぬ、こう思っておるところであります。  最近は、物の援助ということよりも技術の援助が欲しい、その技術援助も直接生活にお役に立つ、生活向上に役に立つような職業的な技能、知識、これが欲しい、こういうような技術協力の形もだんだん変わってまいりまして、そういうような面で、職業訓練などあるいはまたいろいろな技術協力のあり方なども含めて、やはり積極的に進めてまいらなければならぬと思っております。  それから他方、先進国の方から、日本人は働き中毒であって、あんまりむちゃくちゃに働くから、貿易が伸びてそして日本は失業の輸出をするのだなどと言われておりましたけれども、これは最近は大分誤解が解消をされたようであります。製品の質のいいのが、単なる労働時間だけではなしに、大変なやはり日本の技術水準の高さというものが評価をせられておりまして、特にまた労使関係が、最近は一部ではルックイーストと言われるくらい非常に評価をされておる点もあるやに聞いております。企業内組合でそして終身雇用でそして年功序列で安心して勤められるというような、こういう特別の日本の形態というもののよさをもまねをしようというようなことが言われておるようになりまして、先進国の間でも相互理解が進んできておる。先進国の有名なリーダーたちをよくお迎えしたものでありますが、これからはもっと中堅、若手、それからまた地方の労働組合指導者、こういう方々にも来ていただいて、そしてお互いの相互理解を深め、勉強をし合っていきたいものだと思っております。  とにかく先進国ないし発展途上国を問わず、やはりあらゆる機会にお互いに交流をし、技術を分かち合い、お互いに教え合って、そして労働外交を進めるということが、物の面だけではなしに、やはり技術の面で職業訓練などを通じて、特に生活を豊かにするというような面で非常に私は効果がある点ではなかろうかな、こう思って労働外交の推進にも努力をいたしたい、こう思っております。
  171. 長野祐也

    ○長野委員 御答弁どおりの積極的な、かつまた、具体的な坂本労働外交を進めていただくことを期待をいたしたいと思います。  さて、現在、我が国は経済、社会のあらゆる分野におきまして大きな変化の局面に直面をしております。すなわち、安定成長が持続をする中で、欧米各国に類例を見ない速度で人口の高齢化が進んでおりますし、また一方では、マイクロエレクトロニクス等新たな形の技術革新というものが、広範かつ急速に進展をいたしております。いわゆるサービス経済化の進展や婦人の職場進出の著しい増大等、産業構造、就業構造が大きく変化をしておることは御案内のとおりであります。このように、我が国の勤労者を取り巻く環境というものが従来とは非常に異なってきておるわけでありますが、私は、この勤労者の雇用の安定と福祉の向上を実現するために、労働行政もそういう社会の流れに沿って新しい視点でいろいろな施策を進めていかなければならない、そういう立場から、今後の労働行政の取り組むべき幾つかの課題について見解をお尋ねをいたしたいと思います。  まず第一は、勤労者が、高齢化社会の到来あるいは技術革新の進展、そういう変化の中で安定した雇用につくために、みずからの職業能力を開発、向上させることが大変大事であります。この意味で、私は職業訓練の果たすべき役割は今後ますます大きくなっていくと考えますが、こういう観点から、職業訓練を今後どのように進めていかれるお考えなのか、大臣の基本的な御見解を承りたいと思います。
  172. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 我が国におきましては、おっしゃるとおり高齢化社会への移行、それから産業構造の変化、五十年代ごろから第二次産業よりは第三次産業の方が急速に大きくなってまいったり、あるいはまた技術革新、MEなどの技術革新が急速に進んでおります。労働者に求められる職業能力も大きく変化をしようとしておるわけでございます。  こういうような中にありまして、労働者が経済、社会の変化に対応していくためには、生涯の全期間を通じて必要な時期に適切な職業訓練を行うということが非常に大事でございまして、生涯職業能力開発体制を広く社会に確立することが必要であると思うわけでございます。
  173. 長野祐也

    ○長野委員 今の職業訓練に関連をいたしまして、職業訓練短期大学校についてお尋ねをいたしたいと思います。  国においては、昭和五十三年の職業訓練法の一部改正を受けて、全国に十五校の職業訓練短期大学校の設置を計画し、既に九校が開校し、さらに二校が転換中であると聞いております。残る四校のうち、南九州ブロックについては鹿児島県にある川内総合高等職業訓練校を職業訓練短期大学校に転換をするということで、昭和六十年度開校を目標に計画を進めていると聞いておるところでありますが、国並びに雇用促進事業団において、この短期大学校の内容について今種々検討されておられることと思います。  御案内のように、マイクロエレクトロニクス技術の利用を中心としました技術革新が急速に進展をしている中で、これら技術革新に対応していくためには、高度な技術、技能者の養成が極めて重要であります。特に南九州地域は、既にファインセラミックス、IC等先端技術産業が多数立地をしておりまして、シリコンアイランド九州の中の拠点をなしていることは周知のところであります。この地域では、鹿児島県を初め各県とも、先端技術産業の導入、展開と、技術の高度化による地域産業の振興を図るため、テクノポリス構想を強力に推し進めて、第一次指定を受けたところであります。  こういうところから、現在検討が進められております南九州ブロックの職業訓練短期大学校については、高度な技能を持った中堅技能者の養成のために、こういう時勢に適合した専門訓練の実施が望まれておりまして、このことに関しましては、既に地元の鹿児島県知事から、電子科の設置の要望が出されております。これをぜひ実現をしていただきたいと思うわけでありますが、大臣の御見解、見通しをお聞かせをいただきたいと思います。
  174. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 職業訓練短期大学校、最近私の耳に入りましたところでは、非常に各地からその期待の声が上がっておるのが実情でございます。これは計画的に設置をいたしておりまして、南九州ブロックでは川内総合高等職業訓練校を短大に昇格させることとし、昭和六十年四月開校を目途に準備をいたしております。  御指摘の件につきましては、従来から、鹿児島県を初め地元関係機関より、南九州地域においてIC等の先端技術産業が多数立地していることから、それらを考慮した科目を設定するよう要望されておりまするので、地元のニーズに沿って、御指摘の電子科を設置するよう措置するつもりであります。
  175. 長野祐也

    ○長野委員 電子科の設置について大変明快な御答弁をいただきまして、鹿児島県にとりましては大変大きな喜びであります。まことにありがとうございました。  次に、技術革新の問題でありますが、技術革新は社会、経済の発展にとって不可欠なものでありまして、今日の我が国の繁栄の基礎を築いたものだと思います。しかしながら、このような技術革新というものが、勤労者の雇用の場を奪ったりあるいは生命、健康に悪影響を与えるものであってはならないことも当然なことであります。労働省は、この技術革新と雇用の問題についてどのように取り組もうとされておられるのか。また、新たな技術革新が進む中で、勤労者が安心して働けるような安全衛生面での対策にどのように取り組んでいかれようとしておるのか。この点をお聞かせいただきたいと思います。
  176. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 技術革新の雇用への影響につきましては、私どもにもいろいろと御指示があったり、それからこういう問題があるぞという御指摘を受けておるところでございます。先日も、産労懇に出ましたら、労働側の代表の方々から、MEだとかロボットだとか、この問題については今はさしたる支障は出ていないけれども、やはりしっかりした対策を立てるようにしっかり勉強をしてもらわなければいかぬというような、非常に強い御要望もありました。  そういうふうに、我が国の産業界では、マイクロエレクトロニクスを中心とした技術革新が非常に急速に進んでおります。今は深刻な雇用問題は生じてはおりませんけれども、しかし、これは将来雇用に大きな影響、特にマイナスの影響を起こしては大変なことになりますので、今から篤と勉強をいたさなければならぬと思っております。  新しい技術への労働者の適応や配置転換に当たって、しかしなお問題が残されておりまして、また、導入された分野では新規採用の抑制傾向があらわれてきております。そして仕事の内容にも変化が出てきているなど、さまざまな影響もあらわれてきておるところでございます。  そこで、このため、新しい技術に対して労働者が円滑に対応できるよう、職業訓練等による能力開発の促進、高年齢者の適応の促進、さらに自主的な労使間の意思疎通の促進に努めておるところでございます。  今後の取り組みといたしましては、技術革新と雇用の問題に関しては、職業総合研究所に設置された調査研究委員会から近く最終報告が出される予定でありまして、これらの報告をもとに、この春には、公労使の代表からなる雇用問題政策会議の場において、技術革新への対応のあり方についての提言を取りまとめていただくことに相なっております。労働省としても、これらの報告や提言を十分に踏まえて対応してまいりたいと思っております。
  177. 長野祐也

    ○長野委員 安全面はいかがですか。
  178. 望月三郎

    ○望月政府委員 技術革新に伴いまして、いろいろな生産手段、生産方法、あるいは生産素材が産業の場に導入されるわけでございますが、これらは、一方では作業環境の改善など労働者の安全衛生の向上に寄与する反面がございますが、一方でまた新しい労働災害やあるいは職業性疾病をもたらすという側面を有するわけでございます。したがいまして、労働省といたしましては、こうした技術革新の産業の場への導入に当たっては、安全衛生面の問題について十分に事前の評価をした上で導入することが必要だと考えておりまして、こうした方針で努力をしている最中でございます。  ところで、最近は、生産の合理化等に伴って産業用ロボットの導入による生産ラインの自動化、無人化が一部の生産部門において急速に進められております。この自動化、無人化は従来の危険・有害作業を排除することとなる場合がある反面、機械等の調整・保守・点検作業についてより高度の知識、技術を必要とするなどの安全上の問題がございますので、労働省としては、昨年、産業用ロボットを用いる作業の安全化を図るために、労働安全衛生規則の一部を改正いたしまして、産業用ロボットの使用等の安全基準に関する技術上の指針というものを公示したところでございまして、これに基づきまして、今ロボットに関する安全対策の徹底を図っております。  以上は生産部門の面でございますが、マイクロエレクトロニクスを中心とした技術革新によりまして、オフィスオートメーションというオートメーション化が各産業分野で進められておりまして、この中で、ビジュアルディスプレー装置を用いる作業につきまして労働衛生上の配慮を欠くことになりますと、手腕系への影響として、頸肩腕症候群だとかあるいは視覚への過度の負担に伴う目の疲労というような問題が生じてくるおそれがあるということが指摘されております。そこで、このビジュアルディスプレー装置の急速な導入に対応した当面の対策を講ずることが急務でございますので、私ども専門家の意見を踏まえまして、自主的な健康管理を進める上で参考となるガイドライン、指標というものを先般策定をいたしまして、これを当面の暫定対策ということでやっていこうということを先日公表もし、各地方の出先機関に対して指示を与えたところでございます。  なお今後とも、産業用ロボットの導入あるいはオフィスオートメーション化が急速に進展することが予想されるわけでございますので、本格的な安全衛生問題に関する調査研究を、今産業医科大学と産業医学総合研究所に本格的な調査研究ということをお願いしている最中でございます。
  179. 長野祐也

    ○長野委員 年金問題について若干お尋ねをいたしたいと思います。  今回の年金改正によりますと、年金水準は四十年加入のモデルケースで直近の平均標準報酬月額の六九%となっておりますけれども、これを欧米の年金水準と比較をしやすいようにボーナスを含むいわゆる総報酬、年収との割合で見るとどれくらいの数字になりますか、お示しをいただきたいと思います。
  180. 渡辺修

    渡辺説明員 ボーナスを除きました平均標準報酬とボーナスを含む総年収との比率は、統計によりますと大体一対一・三程度でございます。したがいまして、これをもとに、先生御指摘の平均標準報酬の六九%という水準を総年収ベースに換算いたしますと、五三%程度になろうかと思います。
  181. 長野祐也

    ○長野委員 五三%程度になるということなんですが、その老後の所得保障というものは、現役時代の年収の六〇%程度というのが欧米ではコンセンサスになっていると聞いておりますが、我が国の場合この五三%というのをどういうふうに受けとめるべきなのか。少なくとも六〇%ないと老後の生活には不十分であると思うのですが、その点についてはどういう見解をお持ちですか。
  182. 渡辺修

    渡辺説明員 欧米の実情につきましては必ずしも正確な情報がございませんけれども、私どもが把握しておりますところでは、古くから企業年金の発達しております諸国におきましては、従前報酬の四、五〇%を公的年金、これを基盤にいたしまして、これに企業年金で年収の一割ないし二割程度をつけ加えている。公的年金と企業年金を合わせますと、国によっていろいろ差はございますけれども、私ども承知しておりますところでは六、七割ぐらいの水準にあろうかと思います。ただ、こういった古くから企業年金が発達している国におきましても、この企業年金の普及の状況、これでカバーされております民間のサラリーマンの方々というのは五、六割というふうに聞いているところでございます。  第二点の、日本において五三%程度という公的年金水準との関係をどう考えるかということでございますが、私どもとしましても、老後の生活設計のあり方としましては、公的年金を基盤とし、これを中心にしまして、これに企業年金ですとかあるいは貯蓄などの自助努力を組み合わせていくことが適当ではないかというふうに考えております。そして、この公的年金を基盤として、自助努力などでどの程度の水準を付加していくべきかという点につきましては、個々人のニーズに応じて考えられるべきものではないか。企業年金について申しますと、企業年金を設ける、設けない、あるいはどの程度の厚みの企業年金にするかということは、個別企業の実情に即応しまして、当該企業の労使の協議によって決めていかれるものであろうというふうに考えておりまして、なかなか一概に申し上げるわけにいかないんじゃないかと考えております。
  183. 長野祐也

    ○長野委員 確かに個々人のニーズによるべきものであると基本的には思うのですが、いずれにしても、かなり高い水準ではありますけれども、これだけでは十分だと言えないことは確かだと思うのです。欧米では答弁のとおり、企業年金というものが発達をして公的年金にその部分をプラスして、六割なり七割の水準を維持しておるわけであります。日本の企業年金制度というものも、厚生年金基金あるいは税制適格年金の両制度を中心としまして、最近の普及は非常に目覚ましいものがあるわけでありますが、この厚生年金基金を所管する厚生省として、今後補足的な役割としての、補完的な役割としての企業年金をどういうふうに育成をしようとされておられるのか、基本的なお考え方を示していただきたいと思います。
  184. 渡辺修

    渡辺説明員 私どもが所管をしております厚生年金基金制度の普及育成の問題につきましては、昨年の七月に、厚生年金保険制度に関する社会保険審議会厚生年金保険部会の意見書が出ております。この意見書におきましては、いわゆる上乗せあるいはつなぎ的な給付を行うことを通じまして、厚生年金保険を補足するものとして厚生年金基金の役割が大きく期待されている、したがって、広くその普及育成を図るべきであるというふうに指摘をされたところでございます。  また、本年一月、私どもの年金改正法案を諮問して御審議をいただきました社会保険審議会の御答申におきましても、同じ趣旨の御意見が述べられたところでございます。  私ども厚生省といたしましては、こうした御意見等を踏まえまして、厚生年金基金の設立条件を整備していきますとか、あるいはその給付設計の弾力化を図りますとか、業務運営の改善合理化を行うといったような可能な段取り、措置というものに努力をする一方で、今後における厚生年金基金制度のあり方について鋭意検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  185. 長野祐也

    ○長野委員 審議会のそういう答申とか意見書を踏まえてと、今大変注目される御答弁をいただいたのです。厚生年金基金の設立条件の整備とか給付設計の弾力化、業務運営の改善というようなことを言われたわけですけれども、こういうことが具体的に何を意味するのかということをちょっとお尋ねしたいし、いつから検討されるかということをちょっとお聞かせをいただきたいのです。  その設立条件の整備ということが何を意味するのか。例えば今は、一会社が単独でやる場合は従業員千人以上でなければなりませんし、中小企業は同種同業で五千人で総合基金というものをやっているわけで、そういう意味では大企業に比べると中小企業は非常につくりにくいわけでありますが、そういう状況を改善するお考えがあるのか。あるいはまた何かそれ以外に考えられるのか。この設立条件の整備というのはどういう意味なのでしょうか、もう少し具体的にお聞かせをいただきたい。
  186. 渡辺修

    渡辺説明員 先生御指摘のとおり、設立の基準といたしまして、人員に関しましては一千人というのがございます。それから総合基金の場合には五千人、こういった基準がございますが、これをもう少し弾力化できないかということは従来からの課題となっているわけでございますし、それから、同種同業の企業が集まって基金を設立するという場合に、地域単位で、一定の地域内の企業が集まって基金を設立する道を開いてはどうか、こういうことも検討の課題として私ども認識をしているところでございます。  その他、先ほど申しました給付設計の弾力化につきましても、つなぎの機能をもう少し持たせやすくしてはどうか。あるいは業務運営の改善合理化ということを申し上げましたけれども、例えば計算事務のような事務について、委託先を現行以上に拡大してはどうか。細かなことでございますが、厚生年金基金には代議員というものを選挙して置くことになっておりますけれども、この代議員の任期を二年から三年にする。これは、今回の年金制度改正の中で具体化を図ろうとしているところでございます。  概略以上のような検討課題、あるいは具体的に一歩踏み出したものもございますが、まとめて申し上げさせていただきました。
  187. 長野祐也

    ○長野委員 設立条件の整備が何を意味するかはわかりました。  給付設計の弾力化でつなぎということを言われたわけですけれども、従来は終身年金義務づけが行われていたものが、今は五年ですか、有期の年金につなぎとしてしてあるわけです。これは、今後は例えば十年、十五年というように企業が選択できるような幅を持たせるというふうに理解をしていいのかどうかが第一点。それから、業務運営の改善合理化ということは、計算を中心にした事務的な委託を拡大をするのだということで、今国会の改正案の中にもそれが出ているわけですが、実は生保、信託の側からすると、それを突破口にして、今後これがいわゆる資産運用の受託機関の拡大にまで発展をしていくのじゃないかということを大変心配をされておられるようですけれども、受託機関の拡大ということも今後検討の対象になり得るのかどうか、この点。あわせて二点を明確にしていただきたいと思います。
  188. 渡辺修

    渡辺説明員 厚生年金基金は、公的年金でございます厚生年金の一部を代行しますとともに、それに付加してプラスアルファの企業独自の年金を加えて設計をされているわけでございまして、このプラスアルファ部分の設計につきましては、できる限り弾力化をしていきたい。先ほど私が申し上げましたのは、比較的若い六十歳台前半あるいは六十歳台の間は比較的厚目にプラスアルファの給付をつけ、その後はこれを薄くしてつける。単純に有期年金に踏み切ることができるかどうか、この辺はまた検討課題でございますけれども、それに近い効果を持ったような弾力化は図りたいというふうに思っております。  それから、業務運営の改善合理化の中で申し上げました計算事務の委託先の拡大と、それから先生御指摘の生保、信託が非常に心配をしておるという資産運用の委託先の問題とは、質の違った問題であって、これは別の次元で考えていかなければいけない。今度の改正の中で手をつけておりますのは、事務の委託先の拡大にあくまでも限定をしているという点を御理解いただきたいと思います。
  189. 長野祐也

    ○長野委員 今回の年金改正法では今のお答えのとおりなんですが、やはり受託機関の拡大ということも、年金基金制度というものを抜本的に見直す中で将来の課題になり得るものであるのかどうか、その点をお答えいただきたい。
  190. 渡辺修

    渡辺説明員 厚生年金基金の制度は、高齢化社会の到来を間近に控えまして、先ほども申し上げましたように、公的年金を補足する機能を持つものとして、その重要性は年々高まってきていると私ども認識しているところでございます。  厚生省といたしましては、こうした諸情勢の変化に的確に対応するために、現在国会に御提出申し上げております公的年金制度本体の抜本的な改正を踏まえまして、厚生年金基金の資産運用のあり方につきましても、基金の資産に対する税制の問題ですとか、より基本的に厚生年金基金制度そのもののあり方も含めまして、長期的な展望に立った検討をこれから続けていかなければいけないのではないか。先生の御質問に対しますお答えとしては、資産運用のあり方も今後の検討課題の一つであるというふうに理解をしております。
  191. 長野祐也

    ○長野委員 では、今言われたような検討はいつごろなさるおつもりなのか、それを年金問題の最後にお聞きしたいと思います。
  192. 渡辺修

    渡辺説明員 当面は、私ども、現在国会に御提出申し上げております年金改正法、この一日も早い成立をぜひともお願いをしたいと思っておりますし、この公的年金本体の改革が軌道に乗るまではいろいろとなすべきことが多かろうと思っております。そういったものが一段落しました後に、基金制度の本格的な見直しというものに入っていってはどうかというふうに考えております。
  193. 長野祐也

    ○長野委員 つまり、次の財政再計算の時期だというふうに理解をしてよろしいですか。
  194. 渡辺修

    渡辺説明員 次期財政再計算、そして通常それに伴って行われます制度の基本的な見直しというのは、有力な時期であろうというふうに考えております。
  195. 長野祐也

    ○長野委員 時間がありませんので、あと数点まとめてお尋ねをしたいと思いますが、労働基準法の問題についてお尋ねをしたいと思います。  労働基準法は、社会、経済の変化に対応し切れない面が随分出てきておりますし、そのあり方については幅広く検討が加えられるべきであると思います。この問題に関する労働省の考え方並びに労働基準法研究会の今日までの検討状況及び今後のスケジュールがどういうふうになっているのか、第一点であります。  それから、雇用失業情勢は景気が着実に上向きをする中で改善をされることが望まれておるわけでありますが、今後の雇用失業情勢の見通し及び雇用対策について伺いたいと思います。  それから、パートタイムの問題でありますが、今日いろいろ問題になっておりますし、今後この問題にどういうふうに取り組んでいかれるのか。また、野党でパートタイム労働法のような立法措置も主張しておられるようでありますが、これをどのように考えておられるのか。  それから、雇用職業情報の迅速な提供という意味で、一方で人を求めている企業があるのに対して、一方では失業者がいる、こういった実態が随所に見られるわけであります。こういうことは何が原因がというと、結局情報の不足によるミスマッチではないかと思うのですが、これに対する職業情報の提供体制の充実ということについて、どのように考えておられるのか。 最後に、きょういろいろ指摘をした当面の労働行政の課題に労働省が対応していくためには、やはりそういう時代の変化に対応でき得る行政機構の再編整備ということが不可欠の問題であると思いますが、この問題についての労働省の今後の取り組み方。  以上四点、まとめてお答えをいただきたいと思います。
  196. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 第一点の労働基準法、これが時代の進運にマッチしておるか、おくれておるのではないかというようなことについて私から答弁をいたしまして、あとは政府委員から答弁いたします。  労働基準法研究会というのがありまして、この研究会において調査研究をやっておるところでございます。  労働基準法については、最近の社会経済情勢の変化、特に雇用形態、就業形態の複雑多様化に伴いまして、その施行上種々の問題が生じてきております。産業界、労働界からも多くの意見、要望が出されております。このような情勢にかんがみ、労働省としては、昭和五十七年五月、労働基準法研究会を再開いたしまして、労働契約の問題、労働時間の問題及び賃金の問題について、学識経験者から、専門的立場から実情及び問題点を明らかにしていただくよう調査研究をお願いいたしております。この調査研究については、一応昭和六十年を目標に結論を取りまとめていただくようお願いをいたしております。  労働省としては、同研究会の検討結果や各界の要望、意見等を踏まえて、法改正の要否を含め所要の施策を検討してまいりたいと思っております。
  197. 望月三郎

    ○望月政府委員 パートタイマーの雇用の安定、労働条件の確保につきましては、雇い入れに際して労働条件が不明確であることなどが種々の問題を起こしておることが指摘されておりますので、これまで就業規則の整備あるいは主要な労働条件を書面で明示する雇入通知書等を交付するように、労働条件の明確化・指導等を第一にやっております。  それから第二点といたしましては、パートタイマーの職業紹介を専門に取り扱うパートバンクの設置による職業紹介体制の充実。  第三は、パートタイマーの就労についての相談、啓発指導の実施ということをやってきたわけでございますが、五十九年度、新しい年度におきましても、雇入通知書の今まで都市部でやっていたものを全国的に本格的に普及をさせるというような点。  それから、パートバンクの増設というような従来の施策をさらに充実を図るほか、パートタイマーの労働に関する指針というものをつくりまして、政府の施策等を盛り込んだ総合的なパートタイム労働対策要綱を策定しまして、これによって労使に啓発指導をするということでございます。  なお、野党の各党から法案が提出されておるわけでございますが、私どもとしては、この対策要綱を当面行政指導の基準として労使に浸透させながら、逐次コンセンサスを得て、漸進的にパートタイマーの保護ということを逐次進めていきたいというように考えております。
  198. 加藤孝

    加藤(孝)政府委員 まず雇用失業情勢についてでございますが、昨年の夏ごろぐらいから、輸出関連業種を中心にいたしまして求人が増加をしてまいりました。秋以降逐次その波及効果が出てまいりまして、企業種的に求人が前年よりも増加する、こういうような傾向が出てまいりました。  一方また、求職者の方がややふえどまっておるというようなこともございまして、求人倍率も、昨年の七月を底にいたしまして、当時の〇・五七を底にいたしまして逐次改善されまして、今〇・六四、ことしの一月の数字でそんなところまで回復をいたしてきておるわけでございます。  一方また、完全失業者の方でございますが、ことしの一月には対前年比で三万人増の百六十五万、こんなようなことで、厳しい中ではございますが増加幅はやや縮小をしてきておる、こういうことでございまして、昨年の八月に二・八〇、こういう記録をいたした後、現在は一応二・七三、こういうような状況になってきておるわけでございます。  また、雇用者数そのものは前年に比べまして大分増加をいたしてきておりまして、ことしの一月には対前年五十七万人の雇用者増、こんなような状況になっておるわけでございます。  今後でございますが、いずれにいたしましても、まず経済の適切な運営というものが基本でございまして、これによりまして景気の持続的な発展拡大、こういうことが期待をされるわけでございますが、今後高齢化が進展をする、あるいはまた素材産業等に見られますように産業構造の転換、こういったような問題があるわけでございまして、こういうような変化に対応いたしました機動的な対策を進めることによりまして、失業の未然防止、あるいはまた離職者の早期再就職というようなものの促進を図っていくということを基本にしながら、機動的、弾力的な雇用失業対策を進めていかなければならぬ。特に、全体的なこういう雇用の改善の中で、地域あるいは業種によりましていろいろ跛行的といいますか、まだら現象といいますか、そういったようなものも見られますので、そういった点を十分ひとつにらみながら機動的、弾力的な対応をしなければならぬ、こう思っておるわけでございまして、そんなような対策を進める中で、完全失業率につきましては、五十八年度が約百五十五万ということでございまして、二・六%の失業率が予定をされておりますが、新年度におきましては、政府目標どおり二・五%の百五十万というような線へいくことを期待をいたしておるというところでございます。  次に、総合的な雇用情報の関係でございますが、まさに御指摘のように、いろいろ今後高齢化の問題、あるいはまた女子の職場進出の問題、さらにはサービス経済化の進展、こういったような問題が進みます中で、地域間のミスマッチ、あるいはまた業種間のミスマッチ、それから職業間のミスマッチというようなものが広がっていくことが懸念されるわけでございます。なかなか製造業の離職者はサービス業に行かない、しかし、これからは雇用が伸びるのはサービス業というのが多いというような問題、あるいはまた御指摘ございましたように、マイクロエレクトロニクス関係の技術者の求人は出るけれども、一方離職者の方はそういった技能がないというような、そういういろいろなミスマッチがふえてくるわけでございます。そういう意味で私ども、こういう求人なり求職なりの情報というものを迅速にかつ正確に分析をいたしまして、雇用求人者あるいは求職者に提供していくような体制整備というものがぜひ必要であるということで、五十九年度から総合的雇用情報システムの着手にかかりたい、そうして六十一年度完成を目指しまして、全国の安定所をネットワークで結びまして、そういう総合的な求人求職情報が迅速に伝達されると同時に、また民間にもそれが適切に提供されていくというようなシステムをつくり上げていきたい、こんなことで取り組んでおるところでございます。
  199. 小粥義朗

    ○小粥政府委員 労働行政組織の問題でございますが、ポイントが二つございまして、考え方としてはいわゆる雇用、賃金、労働時間といったものは相互に密接な関連がある。同時にそれは、周囲の経済社会情勢の変化に非常な影響を受けやすい。したがってそういう変化を読み取っていくことと同時に、三者の相互関連がございますので、そういうものを総合的に進めるということを本旨として、本省の内部部局と労働省の出先機関と、両面についての体制の再編を考えております。  内部部局につきましては三点ございまして、いわゆる政策の企画立案機能を充実させるという意味で、現在の統計情報部を政策調査部に再編するということが第一点でございます。  第二点は、きょうの委員会の御論議でも特に質問が多うございましたいわゆる婦人問題、これに力を入れまして現在の婦人少年局を婦人局に改める。  第三点が、現在の職業訓練局を、いわゆる職業訓練校行政にとどまることなく、もっと幅広い能力開発行政を進められるように、職業能力開発局に改めるという三点でございます。  いま一つの地方支分部局の関係では、これは地方事務官制度の廃止とも関連いたしまして、都道府県段階にございます都道府県労働基準局と婦人少年室を統合し、さらに、地方事務官制度の廃止に伴って国の機関の所掌となります職業安定行政の関係、それを三つ一緒にした都道府県労働局をつくり総合的な労働行政が進められる体制を整えていきたい、こういうように考えております。
  200. 長野祐也

    ○長野委員 どうもありがとうございました。      ————◇—————
  201. 有馬元治

    ○有馬委員長 内閣提出雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。坂本労働大臣。     —————————————   雇用保険法等の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  202. 坂本三十次

    ○坂本国務大臣 ただいま議題となりました雇用保険法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  ここ数年、雇用問題をめぐる環境は大きく変わりつつあります。すなわち、高齢化社会の進展に伴い、労働力人口の高齢化が急速に進んでおり、また、婦人の職場進出も着実に増加しております。また、雇用の場が第二次産業よりもサービス業において拡大するなどのいわゆるサービス経済化が進んできております。さらに、マイクロエレクトロニクスを中心とする技術革新、素材産業などに見られるような産業構造の転換等が進みつつあります。しかも、このような構造的な変化は今後とも一層進展することが見込まれる情勢となってきております。  政府といたしましては、このような変化に的確に対応し、雇用の安定が図られるよう各般の施策を積極的に推進していくことを基本方針としており、特に雇用保険制度において、その効率的な運営を確保して、失業の未然防止と離職者の再就職の促進を図ることが極めて重要であると考えております。  ところで、このような情勢の変化を背景として、最近における雇用保険の受給者数は年ごとに大幅な増加傾向を示すとともに、高年齢者を中心として再就職をする受給者の割合も著しく減少しており、これに伴い雇用保険財政も急速に悪化しつつあります。このような情勢にかんがみ、雇用保険制度が創設されて十年を経た今日において、これらの構造的な変化に的確に対応し得るものとするようその見直しが必要となってまいりました。  このため、中央職業安定審議会の雇用保険部会に検討をお願いしておりましたところ、昨年末に、今後における産業構造や雇用構造の変化に対応しながら失業者の生活の安定を図り、再就職を促進すると同時に、労使の負担をできる限りふやさないことにも配慮した現行制度の改善の方向が示されたところであります。  政府といたしましては、この報告書において示された方向及び中央職業安定審議会における論議を踏まえつつ、この法律案を作成し、関係審議会にお諮りした上、提出した次第であります。  次にその内容の概要を御説明申し上げます。  第一は、雇用保険法の一部改正であります。  その一は、失業給付の額の算定の基礎を変更することであります。現行の失業給付の額は、受給者が失業する前の毎月の賃金に加えて、いわゆる賞与等をも含んだ総賃金を基礎として算定されております。そのため給付の額が毎月の手取り賃金や再就職時の賃金に比べて割高になっていること、さらに、賞与等の額は、業種、規模による格差が大きく、また、企業の業績によっても変動があることなどの問題があります。これらの点を総合的に考慮して、賞与等を除いて毎月の賃金を基礎として失業給付の額を算定するよう改めることといたしております。  ただし、賃金の低い受給者層を中心に給付額の最低保障額と給付率の引き上げを図ることにより、この改正による影響を少なくするよう配慮しているところであります。  その二は、給付日数を変更することであります。現行の失業給付の給付日数は、主として受給者の年齢に応じて定められており、比較的短期間で離職する高年齢者を中心として、給付と負担の不均衡が拡大しております。この点を考慮して、給付日数を年齢に応じて定めるという現行の原則は維持しつつも、離職前の勤続期間にも応じて定めることといたしております。  その三は、給付制限期間を変更することであります。現在、雇用保険の受給者のうち自分の都合によって離職した人達がかなりの割合に上っております。これらの人たちに離職を決意する際の慎重な判断を期待し、また、離職後の再就職意欲を高めることにも配慮して、給付制限期間を延長することといたしております。  その四は、高年齢の被保険者の取り扱いを変更することであります。六十五歳以上の高年齢者は一般に労働市場からの引退過程にあり、その就業希望も多様化しているほか、これらの人達が通常雇用につく機会も極端に少なくなっております。このような事情にかんがみ、六十五歳以上で離職した人たちに対しては、基本手当を支給するかわりに一時金を支給する制度を創設するとともに、六十五歳以降に新たに就職した人たちは、被保険者としないことといたしております。  その五は、受給者ができる限り早く就職することを積極的に奨励しようとすることであります。このため、早期に再就職した受給者には、一定の手当を支給する制度を創設することといたしております。  その六は、日雇い労働者に対する給付の改善を図ることであります。一般被保険者についての失業給付の額を引き上げることに伴い、日雇い労働者の給付金を、現行の三段階の上にさらに一段階を設け、四段階制とすることといたしております。  第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であります。  日雇い労働者の給付金を四段階制にすることに伴い、印紙保険料の額を現行の三段階制から四段階制とすることといたしております。  第三は、船員保険法の一部改正であります。  その一は、船員保険についても、雇用保険と同様の趣旨から、給付日数を離職前の勤続期間にも応じて定めること、六十歳以上で離職した人たちに対して一時金を支給する制度を創設すること、早期に再就職した受給者に一定の手当を支給する制度を創設することなどであります。  その二は、最近における船員保険財政の状況等にかんがみ、失業部門の保険料率を千分の万引き上げるとともに、千分の二を増減した率の範囲内において、厚生大臣がこれを変更することができることとすることなどであります。  以上、雇用保険法等の一部を改正する法律案の提案理由及びその内容の概要について御説明申し上げました。  何とぞ、御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  203. 有馬元治

    ○有馬委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、明後二十九日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十六分散会      ————◇—————