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1984-06-28 第101回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十八日(木曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 天野 光晴君 理事 高鳥  修君    理事 田中 恒利君 理事 薮仲 義彦君       越智 伊平君    鹿野 道彦君       菊池福治郎君    佐藤  隆君       桜井  新君    笹山 登生君       田中 直紀君    近岡理一郎君       長野 祐也君    西山敬次郎君      三ッ林弥太郎君    若林 正俊君       小澤 克介君    上西 和郎君       川崎 寛治君    細谷 昭雄君       山中 末治君    遠藤 和良君       武田 一夫君    森本 晃司君       安倍 基雄君    菅原喜重郎君       中川利三郎君    山原健二郎君  出席国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         農林水産大臣官         房審議官    田中 宏尚君 委員外出席者         人事院事務総局         給与局給与第三 三上 元章君         課長         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         国税庁直税部所         得税課長    岡本 吉司君         文部省大学局大         学課長     坂元 弘直君         文部省社会教育         局社会教育課長 藤村 和男君         文部省体育局学         校保健課長   青柳  徹君         文部省体育局学         校給食課長   玉木 正男君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       吉田  茂君         厚生省公衆衛生         局保健情報課長 野崎 貞彦君         厚生省社会局保         護課長     清水 康之君         厚生省社会局施         設課長     近藤純五郎君         厚生省社会局老         人福祉課長   古瀬  徹君         水産庁研究部漁         場保全課長   山添 健一君         気象庁観測部地         震課長     山川 宜男君         建設大臣官房建         設機械課長   渡辺 和夫君         建設省都市局街         路課長     依田 和夫君         建設省河川局防         災課長     狩野  昇君         建設省河川局砂         防部砂防課長  設楽 武久君         建設省道路局国         道第一課長   岡田 哲夫君         建設省道路局道         路防災対策室長 和田  惇君         建設省住宅局住         宅建設課長   蓑原  敬君         自治省財政局公         営企業第一課長 紀内 隆宏君         消防庁防災課長 清野 圭造君         特別委員会第三         調査室長    桂  俊夫君     ————————————— 委員の異動 六月二十八日  辞任         補欠選任   山岡 謙蔵君     長野 祐也君   池端 清一君     川崎 寛治君 同日  辞任         補欠選任   長野 祐也君     山岡 謙蔵君   川崎 寛治君     池端 清一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  災害対策に関する件(桜島火山対策)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について調査を進めます。  この際、去る六月二十一日及び六月二十二日の二日間、桜島火山活動に伴う被害状況調査のため鹿児島県に委員派遣を行いましたので、派遣委員から報告を聴取いたします。高鳥修君。
  3. 高鳥修

    高鳥委員 派遣委員を代表いたしまして、私から調査の概要を申し上げます。  去る六月二十一日及び六月二十二日の二日間、桜島火山活動に伴う被害状況調査のため、鹿児島県に派遣された委員は、佐藤観樹委員長を団長として、自由民主党・新自由国民連合天野光晴君、日本社会党護憲共同田中恒利君、公明党・国民会議遠藤和良君、民社党・国民連合安倍基雄君、日本共産党革新共同中川利三郎君及び私、自由民主党・新自由国民連合高鳥修の以上七名でありましたが、このほか現地においては、上西和郎委員長野祐也議員宮崎茂一議員川崎寛治議員及び村山喜一議員、以上五名の参加を得まして、現地の実情を調査してまいりました。  御案内のとおり、桜島南岳昭和三十年以来現在に至るまで断続的な活動を続けておりまして、今年に入ってから六月二十六日現在で爆発回数は既に百八十三回の多きに達しております。特にこの六月四日には、いわゆるとか灰と称される降灰に見舞われ、鹿児島地方気象台構内において一日に一平方メートル当たり千八十グラムという降灰観測開始以来の記録的な量に達したのであります。この火山活動に伴い、住民日常生活生産活動にはかり知れない支障を及ぼしたばかりでなく、農作物魚類養殖業等に大きな被害を与え、さらに土石流による災害を生ずるに至りました。  以下、派遣日程に従い御報告いたしたいと存じます。  第一日目の六月二十一日は、空路鹿児島に入り、県庁において知事及び県当局から、桜島火山対策に関する要望並びに被害状況等について説明を聴取した後、懇談に入り、その後火山爆発に関するビデオテープを見せていただきました。  次いで桜島に渡り、赤水における防災営農施設視察いたしました。赤水地区におけるビワ栽培面積は三ヘクタールありますが、ほとんど壊滅に近い状況でありました。  次に、野尻川土石流対策事業現場に向かい、山頂付近から流れ出る土石流のエネルギーを減殺する砂防ダム建設流路工施設について視察いたしました。  続いて、第二古里川に向かい、土石流の押し寄せる情景につきましてビデオテープを見ながら説明を受けたのでありますが、巨岩が木の葉のように舞いながら時速約七十キロメートルのスピードで流れ落ちるありさまに、私ども一回思わずかたずをのむ思いをいたしました。  次いで、通称地獄河原と言われております黒神川に向かい、砂防ダム工事等について説明を受けました。黒神川は特にボラ、これは軽石のことでありますが、このボラ流出が多発するところでありまして、これが海に流れ養殖業に大きな被害をもたらす根源となっているところであります。  桜島地区には十八渓流があり、現在十四渓流について建設省所管砂防事業を国及び県で実施いたしております。通常は水の流れでいない河川でありますが、頻発する火山活動により上流域荒廃が著しく、少量の降雨でも土石流発生し、昨年は九十九回、本年に入って既に二十七回発生いたしております。特に第二古里川につきましては、本年の四月十九日と六月八日、連続して温泉街土石流が直撃し、また黒神川におきましても同じ口にそれぞれ土石流県道流出し、長時間にわたり通行どめを強いられたのであります。  次いで、黒神中学校に赴き、降灰防除施設視察いたしました。この黒神地区は、昨年におきまして降灰が最も激しく、一平方メートル当たり年間七十キログラムに及ぶ降灰がありました。児童生徒は噴石の危険を避けるため、登下校の際は必ずヘルメットを着用し、また、年二回防災訓練をしているとのことでありました。  引き続き、もうもうたる降灰のほこりの県道を走り、宇都に向かい、赤水同様ビワ生育状況視察してまいりました。これまた降灰被害を受け、どす黒い灰がべっとりと葉に付着し、果実に品質低下を来し、惨たんたる状況でありました。宇都地区ビワ栽培面積は二十ヘクタールありまして、六月四日から五日にかけての火山性ガスと小雨まじりのどか灰によりほとんど壊滅状態でありました。  次いで、金床川において治山事業及び砂防事業について視察いたしました。治山事業につきましては、昭和五十一年度から民有林についてこれを国の直轄事業として鹿児喝営林署が実施しております。また、昭和五十六年度より砂防事業を国の直轄事業として開始し、導流堤あるいは流路工の一部を実施し、現在砂防ダムを施行しているところであります。  次いで、桜島港ターミナルにおいて、鹿児島市、垂水市、桜島町、福山町及び輝北町から成る二市三町の代表者から、砂防治山事業道路整備事業降灰除去事業、軽、石対策降灰防除施設整備事業防災営農対策事業及び火山ガス降灰対策等七項目にわたる要望書が提出され、その内容の説明とともに、住民火山爆発に対する不安感日常生活いら立ちがいかに切実なものであるかを私どもに訴えておられました。二市三町の、要望を聞きました後記者会見を行い、第一日目の日程を終えた次第であります。  次いで、第二日目の六月二十二日は、宿舎から前日同様再度フェリーボートで桜高に渡り、赤水に向かい捨て土の現場視察いたしました。ほとんどが野尻川土石流となって流出した土石と、桜島町全体から除去された降灰が捨てられているところであります。  次に、牛根に向かい、漁業協同組合会議室において、関係者から軽石養殖漁業へ及ぼす影響について説明を聴取いたしました。海面に流れ軽石は、年間六万立方メートルとも言われ、多いときには一日に一万立方メートルの軽石が海に押し出されてくる日もあると聞いてまいりました。浮遊している軽石養殖魚がこれを飲み込んで死んだり、あるいは定置網等の漁具並びに漁船に対し相当な被害をもたらしているところであります。  引き続いて、私ども関係当局との懇談に入り、主としてボラを防除する方法について討議してまいりました。  次いで福山町に入り、ミカン園被害状況視察いたしました。福山町のかんきつ類の栽培面積百二ヘクタールのうち、ほとんど全域について、六月七日から八日にわたって火山ガスを含むいわゆる赤灰が小雨にまじって降り、約一億六千万円に上る被害が生じたとの説明を受けた次第であります。  以上、日程に従って概略御報告申し上げましたが、今回の六月上旬の降灰による農作物被害はまことに甚大なものであり、詳細は調査中でありますが、既に県の報告によりますれば二億五千二百万円に及んでいるのであります。このほかに、火山爆発に伴う住民に与えた直接的あるいは間接的な被害ははかり知れないものがあると思われるのであります。  桜島火山活動に伴う被害に関しまして、鹿児島県の要望は、住民避難対策としての国県道事業費枠拡大情報通信システム整備に対する特別な財政措置土石流対策については治山砂防事業費の枠の拡大降灰除去事業費については補助率の見直し、防除事業については既設公民館降灰防除施設助成措置防災営農対策については事業費枠拡大共同施設として設置されるトンネルハウス事業対象とし、また、ビニールハウス施設設置後のビニールの張りかえについてはこれを補助対象とし、被覆資材耐久性向上のための調査研究軽石流出対策として河口域流出軽石拡散防止施設設置する等必要な助成措置、また火山ガス対策につきましては、その人体に及ぼす影響に関する調査研究監視体制を確立すること、また農作物被害実態調査被害防止対策確立のための調査研究を推進されたい、以上の要望が出されました。  最後に、私ども調査当たりまして御協力を賜りました知事を初め地元関係者の方々に深く謝意を表し、報告といたす次第であります。  以上であります。  なお、鹿児島県及び関係市町からの要望事項等の詳細につきましては、これを本日の会議録末尾に参照掲載されんことを委員長にお願いいたしたいと存じます。  終わります。(拍手)
  4. 佐藤観樹

    佐藤委員長 以上で派遣委員報告は終わりました。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでした。  この際、お諮りいたします。  ただいまの報告に係る派遣地からの要望事項につきましては、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。〔要望事項本号末尾に掲載〕
  6. 佐藤観樹

    佐藤委員長 本日は、特に桜島火山対策について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長野祐也君。
  7. 長野祐也

    長野委員 質問に入ります前に、先般、公務御多用の中を桜島を御視察いただきました稻村大臣、そして佐藤委員長以下当委員会のメンバーの先生方、そして御同行いただきました政府関係者の皆様に、一鹿児島県民として心から御礼を申し上げたいと思います。  あの視察が今後どのような形で実を結ぶのか、鹿児島県民は熱い目で本日の委員会審議を注目をいたしております。  さて、アメリカの宇宙飛行士にインタビューをしました立花隆氏の著書「宇宙からの帰還」にこんな一節があります。自然による環境汚染はすさまじい、記憶に鮮明に残っているものに桜島噴火中国黄河の汚泥などがある、火山爆発による汚染ぶり宇宙から肉眼で観察できた。宇宙から見ますと、鹿児島の町は白いべールに覆われ、廃墟と化して映ることでありましょう。見方によっては、桜島爆発宇宙的規模なのかもしれません。降灰影響を直接常時受けます。その周囲で、約七十万から八十万人もの人間が日々暮らしております。降灰に対して傘を差し、タオルなどで口を押さえ、積もったものをせっせと掃除をする以外にない関係住民の不安といら立ちは、日増しにエスカレートいたしております。  お手元の資料にありますように、記録的な降灰をもたらしました去る六月二日から八日の七日間で、降灰による交通事故十四件、体育授業支障、小中学校二十五校、また降灰一降りで約二万トンという水の消費量から、かさむ水道料に主婦は悲鳴を上げております。また商店街は、客足が途絶見るばかりでなく、商品が傷み、まさに開店休業パニック状態となりました。停電の不安あるいは市電が一時とまるなど、市民生活への降灰影響は極めて深刻なものがあります。また、この一週間だけの農作物被害は約二億五千万円にも上っております。これらの被害に加えて最も大きいものは、金に換算できない不快感、この不快感が与える市民生活への影響でございます。昨年一年間桜島降灰量は千六百万トンであります。これを十トンのダンプで換算をしますと、何と百六十万台に当たるわけであります。  このように、一年を通しての降灰に悩まされます関係住民の苦しさは、北国の豪雪と何ら変わりがないと私は思うのであります。あえて言わせていただければ、雪は一度降れば枝もるだけでありますが、灰は文字どおり乱舞をする、降灰苦以外の何物でもないわけであります。今、関係住民行政に保護を求めております。この関係住民の声は極めて切実であり、政治はまずこの切実な叫びにこたえなければならない責任があると痛感をいたします。桜島にふたをしたい、これが住民の切なる本音ではありますが、火山活動人間の力によっていかんともしがたいものである以上、降灰土石流、農業、漁業等被害などの損害最小限度に防止するための活動火山対策特別推置法の前向きな、しかも積極的な運用とあわせて、同法の対象外各種損害に対する救済、防止措置が行われるように対応されることが、当面の急務と確信をいたします。  以下、具体的に私の所見を述べつつ政府考え方をただしてまいりたいと思いますが、まず初めに国土庁長官に、このたびの桜島視察の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
  8. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 去る十九日に桜島視察をいたしました。上空からとそれから自動車で島を一周したわけでありますが、やはり聞いておりましたより以上にこれはすごい被害だなという感じを持ちました。特に山のあの緑というもの、その緑が色が変わっておる。また土石というか、こういったものも、これはすごいなと。特にそういうところに住んでおられる人々は、何としてもここが先祖伝来の定住したところであるし、将来においてもやはり定住ということに対して大変愛着を持っておられる。こういった等々を考えまして、これは何とかやはり、過去においても大変皆さん御協力されてきたわけでありますけれども、ここで何かこの方法で新しいものを見出すことができないか、いろいろ研究をしてまいったわけでございます。  そういう意味から、これは大変だな、これはどうにも人間の力ではやむを得ないということでなく、大きく進んで、それではどうしなければならぬかということが痛切に感じられたわけでございまして、特に治山治水、こういったことは過去においてもやってこられたわけでございますが、特に治山の問題については思い切った方法を講ずべきところがあるのではないか、こういう感じを持ってまいりました。  特に、実際の落ちてくるところ等々をビデオで拝見をしたわけでございますが、相当の勢いで流れてくるわけでありますから、これをどういうふうにして、この川の流れが大体わかっているわけでありますから、この堰堤をどういうふうにつくっていって、ここで一つの食いとめができるかどうかということで技術者ともよく話をしてまいりまして、私は私なりの指示を、こういう形をとってみたらいかがですか、それはやっております。しかし、やっておりますというのじゃなく、それではもう一つ堰堤をどこでつくればそれが緩くなっていくか、そういう具体的に研究指示をしてまいったわけでございます。  特に古里川は、上空から見たときに相当曲がりくねっておる、こういうような関係から、これはいざというときには大きな被害をもたらすぞということでございますから、この川のつけかえ等々、具体的に指示をしてまいりました。特にあのところで、古里川の上に古里ホテルというのですか、何か大きなホテルがありました。もし、この川が大きな災害等に遭ったとするならば、恐らくシーズンのときには相当の宿泊者がおるのではないか、そのときにはやはり人命を大きく失わなければならぬということになるから、これはいかなることがあっても早急にこの川のつけかえを真っすぐにやるべきであるということで、具体的にその後は進んでおるはずであります。  以上、一遍に申し上げるとあれですから、次のお答えはまたすることにいたします。
  9. 長野祐也

    長野委員 聞いていた以上にひどい、どうするか思い切った措置をとるべきだ、古里川への具体的な御指示もいただくなど、大臣の大変心強い御答弁をいただきました。ただいまの答弁を、今後大臣政治力によりまして具体的な予算措置にまで生かしてくださるように強く御要望を申し上げる次第でございます。  次に、住民避難対策について二点お尋ねをいたします。  避難対策といたしまして、桜島爆発等緊急時には、安全にしかも速やかに住民避難を図らなければならないわけでありますが、その基本となりますものは国道県道整備の問題でございます。また、桜島周辺道路については、現在建設省直轄国道であります二百二十四号の局部改良が進められているほか、県管理県道桜島黒神線における補助事業、県単事業組み合わせて整備を進められているところでありますが、未整備区間が相当残されておる状況でありますので、これらについて道路事業費枠拡大整備期間を短縮するなど、さらに整備促進を図る必要があるのではないかと思いますが、どのような計画を持っておられるか、具体的に一般国道二百二十四号線の今後の整備計画をお示しをいただきたいと思います。  次に、住民避難対策としてのもう一つは、防災情報システム整備を図る必要があると考えます。現在、噴火土石流災害の予知のために、地震計土石流警報装置火山ガス観測雨量レーダーシステムなどが設置をされております。このほか市町村防災行政無線設置につきましては、戸別受信機設置が不十分であること、また、鹿児島市側に防災行政無線設置がないことなど不十分な体制でありますので、将来計画としては潮位、風向風測計、浮遊塵計をも含めた観測装置オンライン化を図るとともに、平常時における火山活動等に関する情報や異常時の避難情報等を提供する情報システム整備を図ろ必要があるわけでありますが、当面の措置として、情報通信システムの一環として特に夜間の異常時における対策として、桜島の全戸に戸別受信機設置やまだ不十分であります集落ごと拡声放送装置設置急務であると考えますが、これらについて財政上の援助をすることはお考えにならないか、お伺いをいたします。
  10. 岡田哲夫

    岡田説明員 第一番目の御質問に対してお答え申し上げます。  一般国道の二百二十四号線の整備につきましては、昭和四十八年制定の活動火山対策特別措置法に基づき、知事の作成した避難施設緊急整備計画に挙げられた区間、この区間については昭和五十一年に整備を完了させたところでございます。現在、桜島火山にかかわる避難路としての重要性にかんがみまして、土石流対策としての河川改修に関連する持木地区及び有村地区で鋭意事業促進を図っているところでございます。昭和五十九年度は、引き続き持木地区及び有村地区での事業促進するため、五十八年度を大幅に上回る二億八千万円の事業費を計上しているところでございます。古里野尻地区につきましては、河川改修の問題、いろいろございます。そういうことに関連する区間でございますので、河川事業進捗状況を勘案しながら、これとあわせて事業を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。  以上でございます。
  11. 清野圭造

    清野説明員 桜島の地域のうち、桜島町につきましては既に国庫補助事業によりまして基本施設整備されておりますので、再度採択ということになりますと困難な問題もございますけれども鹿児島市分につきましては防災行政無線としての基本施設が未整備でございますので、今後市の当局意向を把握した上で、補助事業としての要望があるのであれば、私どもとしてもできるだけ御意向に沿うように検討いたしたいというふうに考えております。
  12. 長野祐也

    長野委員 ただいまの鹿児島市側の防災行政無線について、市の当局意向を把握した上でということでありますが、つまり、鹿児島市側が予算措置をしてこの計画を立てた時点で補助対象となり得るというふうに理解をしてよろしいですか。
  13. 清野圭造

    清野説明員 そのように努力したいと思います。
  14. 長野祐也

    長野委員 ぜひ、そのように御努力をお願いを申し上げたいと思います。  次に、住民の生命と財産の安全を確保するための土石流対策について伺いたいと思います。  桜島河川は、頻発する火山活動によりまして荒廃が進み、少量の降雨でも土石流発生をし、昨年は百四回、本年も既に二十八回発生をしており、野尻川では毎年およそ五十万立方メートルの土砂流出があり、河道ダム等に堆積した土砂の搬出に追われ、本来の施設整備計画がおくれております。また第二古里川につきましては、昨年二月に続き、本年四月十九日及び六月六日と連続して温泉街土石流が直撃をしており、黒神川については県道付近での災害発生が著しいなど、これに対しての早急な抜本的対策を講じ、実施に移すべきであると考えます。このように、桜島の各河川は早急な対策が必要であるにもかかわりませず、現在の進捗状況は全体計画に対し直轄砂防事業二一%、補助砂防事業二二%、治山事業三三%にすぎず、これらの事業費の枠を大幅に拡大をする必要があると考えますが、どのようにお考えになっておられるか、お伺いをいたしたいと思います。  また、今一番問題なのは第二古里川をどうするかということでありますが、この点についての計画もお示しをいただきたいと思います。
  15. 設楽武久

    ○設楽説明員 お答え申し上げます。  桜島土石流対策につきましては、従来から頻発する土石流に対処すべく、直轄及び補助砂防事業として鋭意推進しているところでございますが、特に第二古里川につきましては非常に河川が湾曲しておりますので、これを是正すべく今計画を立てております。抜本的な対策には相当時間がかかりますので、応急的な対策も含めて検討しておるところでございますが、若干用地面で地元に御理解を得られない面もありましておくれているわけでございますが、鋭意そういったことも含めて進めるように努力してまいりたいと思っております。  それから、設備の整備という面での対応とともに、今年度から総合土石流対策モデル事業として土石流発生監視施設設置して警戒、避難に当たるということもつけ加えまして、土石流による被害の防除に最大限の努力をしてまいる所存でございます。
  16. 長野祐也

    長野委員 次に、活動火山対策特別措置法の見直しについて三点お伺いをいたしたいと思います。  第一点は、市町村道及び被害地の降灰除去事業は、地域住民の民生安定と交通の安全を確保するため、降灰関係なく、降灰の都度除去作業を実施をしているのが実情でございます。年々除去費用は増加の傾向にありまして、このため、年間降灰量一平方メートル当たり千グラム以上の場合であっても補助率を一律に三分の二とすることは考えられないのか、第一点お伺いをいたします。  第二点は、路面清掃車の購入につきましては、広域な地域の多量の降灰を速やかに除去するために路面清掃車等を増車する必要があるわけでありますが、この清掃にはロードスイーパー、ダンプカー、散水車のいわゆる三点セットが必要でありますが、これらの価格は三千五百万程度の高額であるのに対し、現行の制度では取得価格の実質四分の一の補助率であり、地方自治体の負担が極めて大きいわけであります。したがって、この取得価格の全額を補助対象とし、しかも補助率を三分の二に引き上げるとともに、県事業につきましても活動火山対策特別措置法による補助制度を適用すべきだと考えますが、いかがでしょうか。  第三に、公共下水道及び都市排水路の降灰除去事業でありますが、現行制度では公共下水道等の水路断面の三割以上に降灰が堆積をし、かつ堆積量の七割しか補助対象になっておりません。しかしながら、公共下水道等は都市部の平地にありますために、水路の勾配が緩やかで降灰が堆積しやすいことから、常時この降灰の除去を行い、二次災害の防止に努めなければならないことから、三割未満の堆積量の公共下水道等であっても補助対象とするとともに、全量を補助対象とすべきであると考えるのでありますが、この点についての御見解をお示しいただきたいと思います。
  17. 狩野昇

    ○狩野説明員 ただいまの先生の御質問、第一点、二点をお答えいたします。  まず、活火山法における市町村道の補助率の問題でございますが、先生御指摘のように、現在の規定は千グラム以上が二分の一、二千五百グラム以上が三分の二となっております。しかしながら、この法律が制定以来、補助実績を見てみますと、鹿児島市、垂水市、桜島町でございますが、実績の補助率は、五十三年度以降、一部を除きましていずれも三分の二という結果になっております。現状の降灰状況から見ますと、本年も当然三分の二ということが考えられますので、当面この補助率について見直しする考えはございません。  それから、路面清掃車等の機械の補助率の問題でございますが、降灰除去事業の施行に必要な機械器具の購入につきましては、先生御指摘のように、現在はその取得価格の四分の一または三分の一——三分の一と申しますのは、年間降灰量が二千五百グラム以上になりまして一般の補助率が三分の二となった場合に三分の一となるわけでございますが、この補助率は他の補助事業、例えば建設機械整備費における補助事業補助率四分の一ということと均衡をとって定められているというぐあいに考えておりまして、これと同等あるいは若干高いということで定められております。したがって、そういった均衡上、この補助率を引き上げることは極めて困難であるというぐあいに考えております。しかしながら、今回のどか灰によりまして地元市町村が新規に購入の希望ということがございますれば、本年度における予算措置等につきましては努力してまいりたいというぐあいに考えております。
  18. 依田和夫

    ○依田説明員 第一点の、市街地関係におきます公園、都市排水路または宅地に係る降灰除去に要する補助率についてまずお答え申し上げます。  活動火山対策特別措置法の規定によりますこれら公園、都市排水路、宅地に係ります補助率につきましては二分の一でございますが、この補助率につきましては都市災害復旧事業におきます公園、都市排水路及び宅地に係る補助率と同じでございまして、現下の国の財政状況から見まして、降灰除去事業のみ補助率を引き上げることは困難であると考えておるところでございます。  次に、第三点の公共下水道及び都市排水路の三割未満の堆積量に対しての補助の点でございますが、この公共下水道及び都市排水路の降灰除去事業については、御指摘のとおり堆積量の七割を除去する費用を補助対象としているところでございます。残されます三割相当は、本来堆積したであろう泥土及び自然流下等で流出する部分を勘案いたしまして、通用の維持管理の範囲としたものでございまして、一方現行の災害復旧制度においても同様の取り扱いをしているところから見ましても、これを見直すことは現段階では困難であると考えておるところでございます。
  19. 長野祐也

    長野委員 今日の厳しい財政事情から見まして、今御答弁にありましたようないわゆる横並び論あるいは均衡上の議論というのは、行政側の立場に立てば答弁として私どもも理解できない面もないわけではありませんけれども桜島と横並びするような火山はほかにはないわけでありまして、その辺の大変特殊な今日の事情をぜひ御理解をいただきたいと思いますし、今後桜島火山対策懇談会の席で実りある具体的な協議がなされることを希望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。  次は、軽石流出対策についてであります。  軽石は、長期の火山活動により、大雨等の際大量に海面に流出をして、建設省の推計では年間六万平方メートルとも言われておりまして、これが魚類養殖の生けすに侵入をし、養殖業への悪影響定置網等漁具の破損、漁船の航行障害等、漁業に深刻な影響を与えておりますので、これに対する軽石拡散防止施設整備についての助成措置考えられないか、お伺いをいたします。
  20. 山添健一

    ○山添説明員 先生御指摘のとおり桜島黒神川でございますが、ここの軽石が周辺海域に流出しまして漁業被害を生じているところでございます。これの対策を立てるために、五十七年度以来軽石の挙動等について調査をしてまいったわけでございますが、軽石の挙動は非常に複雑なものがございまして、海面において流出軽石の漁場への流入阻止をやるということはなかなか困難でございまして、陸上で対策を立てるというのが基本的ではないかというように考えております。しかし、当面の措置としましては、漁業被害を軽減するために流出軽石拡散防止施設ということが一つ考えられておりますので、現在これにつきましては技術的な面を詰めておるわけでございます。先生お尋ねの助成措置についてでございますが、これにつきましては沿岸漁場整備開発事業というような事業等におきまして補助の対象にするということで、先生の御要望に沿いたいというように考えている次第でございます。
  21. 長野祐也

    長野委員 さきの現地調査のときにも陳情がありましたように、河口域にオイルフェンスのようなものを張って、どの程度の硬度のものならば耐えられ得るのかというようなことについて試験的な実施をお願いを申し上げたいと思いますが、いかがでしょうか。
  22. 山添健一

    ○山添説明員 御説明申し上げます。  先生、試験的な実施という御指摘でございましたが、御指摘のとおりこれは非常に大きなものといいますか、大量に流れ出ます軽石を一応受けとめるということでございますので、そこら辺強度の弱いものなどをつくりましてそれがそのまま浮遊したりする、壊れたりすると非常に大きな二次災害を起こすという心配もございますので、先生の御指摘にありました試験実施も含めて、いろいろ専門家の御意見を聞いて対処したいというふうに考えております。
  23. 長野祐也

    長野委員 ぜひ、専門家の御意見を聞かれて、早急な対策をお願いを申し上げたいと思います。  次に、所得税の減免措置についてお伺いをいたします。  桜島火山活動の活発化に伴い、降灰のもたらす影響は、先ほど申し上げましたように周辺住民に不安を与えているだけでなくて、日常生活の中でも、降り続ける灰の除去のための水道使用料の増加でありますとか、あるいは真夏時のクーラー使用に伴う電気料の増加等、生活費の中にも降灰による間接的な経費が増加をしていることにかんがみまして、豪雪地帯と同様な所得税の雑損控除として考えることはできないのか、お考えをお示しいただきたいと思います。
  24. 岡本吉司

    ○岡本説明員 雑損控除の規定でございますが、御案内のとおり雑損控除と申しますのは、基本的には現実に損害発生したことを前提にできている規定でございます。ただ、所得税法施行令の二百六条一項三号によりまして、災害による住宅家財等に係る被害の「発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出」、いわば被害発生防止費用を雑損控除の対象にするという規定がございます。したがいまして、この要件に該当いたしますれば、豪雪の場合だけでなくて、今回のような降灰あるいはその他の災害においても当然適用されるわけでございます。  ところが、御質問のございますような桜島降灰の除去費用につきましては、果たしてこの被害の「発生を防止するため緊急に必要な措置」に当たるかどうかというところが非常に問題だと思います。現在までの状況を伺うところによりますと、必ずしもそうとは言えない面もあるのではないかというふうに考えておりまして、現行法の枠内ということになりますと、こういった事前措置の費用を被害発生防止費用として直ちに雑損控除を認めるというのは、なかなか難しいのではないかというふうに考えております。ただ、相当の降灰量もあるというふうに伺っておりますので、さらによく実態を踏まえた上で適正に対処させていただきたい、こう思っております。
  25. 長野祐也

    長野委員 「緊急に必要な措置」に値する要件であるかどうか、必ずしも今はそう言えないのではないかという御認識であります。その要件に出たるかどうかということを今実態を調査してという表現がありましたが、そういうケースに当てはまるかどうかということをぜひ実際に現場に行って調査をしていただきたいということをお願いを申し上げたいのですが、その点についてはどうでしょうか。
  26. 岡本吉司

    ○岡本説明員 おっしゃるような方法も確かに有効な措置だと思いますので、そういった措置も含めましたところで十分検討させていただきたい、こう思っております。
  27. 長野祐也

    長野委員 次に、防災営農対策について伺います。時間がありませんので、まとめて御質問をいたしますので、答弁も簡潔に、結論だけよろしくお願いを申し上げたいと思います。  桜島爆発による農作物降灰被害の軽減、防止対策といたしましては、従来から措置法による防災営農対策が講じられておりまして、政府のこの一連の御努力には感謝をするものであります。しかしながら、最近、桜島火山活動が特に活発化をし、農作物降灰等の被害が急激に増大をしていることにかんがみまして、第一に、活動火山周辺地域防災営農対策事業事業費枠拡大する必要があると思うのでありますが、この点についてお尋ねをいたします。  第二に、火山活動周辺地域防災営農対策事業で、降灰被害を軽減、防止するために、野菜、果樹等の被覆施設としてビニールハウスの導入がなされております。降灰地域においては、これら被覆資材のフレームのさびつきやビニールの破れの進行が著しく急激でありまして、通常一年に一回のビニールの、張りかえで済むところが一年に二回以上張りかえる必要が出てきたり、このことが降灰地域の農家経常を強く圧迫をいたしております。したがって、次のような制度の充実を速やかに行うことが必要であると思います。  一つは、降灰等によりビニールハウスの耐久性が著しく損なわれている現状にかんがみ、ビニール被覆資材耐久性向上のための調査研究、開発を実施し、その上で、ハウスの施設設置後の張りかえを防災営農対策事業補助対象とすることについてはいかがでしょうか。  第二に、降灰による被害を防止、軽減するという目的であれば、ビニールハウスより小型ではありますが、トンネルハウスでも同じ効果が得られると思いますので、本事業補助対象とすることについてはどうでしょうか。  第三に、さらに農道についても、降灰害によりその用をなさなくなり、結果としてその農道のみならず、これに通ずる農地も使えなくなる場合があります。このような状態を放置しておきますと、農家はその最大の資産を失うことになりますので、このような農道の復旧も農地の災害復旧の一部として暫定法の補助対象とすることについてはどうでしょうか。  最後に、桜島周辺地域においては、降灰による農作物被害のみならず、火山ガスによる農作物被害が多発し、農家の人々を苦しめております。このような状況にかんがみ、野菜、果樹等に対する火山ガス被害防止対策の確立に向けて、引き続き火山ガス農作物に及ぼす被害実態調査及び耐ガス性の研究を強力に推進する必要があると思うのでありますが、いかがでしょうか。まとめて御質問いたします。
  28. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 一括して私からお答えいたします。  第一に、活動火山周辺地域防災営農対策事業につきましての事業費枠拡大でございますけれども、先生御承知のとおり、昭和四十八年から五十八年にかけまして三次にわたって営農計画を立てまして各種の助成をしてきたわけでございますが、五十九年から六十一年にかけての三年間の第四次計画を先般樹立したばかりでございます。この三年間事業といたしましては、非公共事業として四十五億円、それから畑作振興深層地下水調査事業でございますとか、あるいは土地改良総合整備事業というようなものを組み入れまして、先般、四月二十日にようやく計画の承認をいたしまして、今年度を初年度として事業実施をする気構えでいるわけでございます。初年度におきましては、こういうマイナスシーリングという厳しい財政事情ではございましたけれども、五十九年度予算といたしましては前年度と同額の予算を確保できた次第でございます。これからも財政事情が厳しくなろうかと思いますけれども、地域の事情というものも我々十分承知しておりますので、何とか適切な財政処置に今後とも努力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  それから、ビニールハウスにつきましての調査なり補助対象化でございますけれども農作物被害の防となり軽減を図るために耐久性の強い被覆資材が待望されておりますことは、地元の方々の要望としても十分理解できますし、我々としても、ぜひそういうものが開発されることを望んでいるわけでございますので、そういうものにつきまして、農作物等への被害等の調査研究というものを通じて新しい資材についての調査を進めてまいりたいと思っているわけでございます。それで、こういう調査結果を踏まえまして、優良な資材の実用化見通しがつきますれば、その段階で、共同施設として設置されてまいりました降灰防止施設について新資材が用いられる場合につきましては、何とかこの事業対象として補助を考えてみたいというふうに思っているわけでございます。  それから同様に、トンネルハウスについて補助対象にできないかということでございますけれども、先生御承知のとおり、トンネルハウスにつきましては至って個人施設的な色彩が強うございまして、こういうものについては最近の財政塩情でございまして、補助対象にすることはなかなか難しゅうございますけれども、事情が事情でございますので、降灰による被害の防となり軽減を図るという目的で共同施設として設置されます場合には、地元鹿児島県とも十分相談いたしまして、全体計画との関連も十分配慮して一定の基準に適合するもの、団地化でございますとか、若干の基準は考えざるを得ないと思っておりますけれども、そういうものに適合するものについては、補助対象にできないかどうかということを真剣に検討してみたいというふうに思っているわけでございます。  それから、農道についての災害復旧でございますけれども、農道としての機能が確保できなくなりました場合には、暫定法に基づきまして災害復旧事業の対象にするということは仕組み上は可能なわけでございますが、従来秘島につきましては、そういう現地からの動きなり、実際にそういう事業をしたという経験を持ってないわけでございます。しかし、ここのところの激しい降灰ということもございますので、桜島火山の異常噴火によります農道の埋没につきましては、現地において調査をいろいろ行いまして、鹿児島県とも十分相談の上、被害の実情に応じまして適切な処置を講じてまいりたいと思っておるわけでございます。  それから最後に、これからの火山ガスによる農作物被害等についての調査でございますけれども、先生御承知のとおり、従来から鹿児島県とも協力いたしましていろんな調査をやってきておりまして、鹿児島県がやってまいりました調査について、農林水産省からの助成ということもやってきたわけでございます。これらの従来からやってきました成果を踏まえまして、五十九年度から新しく総合助成試験事業ということで、試験の題名といたしましては野菜の露地栽培における桜島火山ガス被害防止技術の確立ということで、五十九年から六十一年の三年間にわたります総合助成試験というものを開始いたしまして、ガス被害が周辺地域に及ぼすのを回避するための作型の確立でございますとか、いろいろそういう研究をこれからやってまいりますので、今後ともこういう研究を拡充してまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
  29. 長野祐也

    長野委員 先ほど、耐久性のあるビニール等の被覆資材研究実施をした後に、これは何とか補助の対象としたい、何とか考えたい、それからトンネルハウス補助対象も一定の基準を満たせば、適合すれば真剣に検討したいという大変ありがたい御答弁でしたが、これはやっていただけるというふうに理解をしてよろしいですか。
  30. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 そういうふうに理解していただいて結構でございます。
  31. 長野祐也

    長野委員 ありがとうございました。  それでは最後に、以上の質疑をお聞きになったところで大臣に、今後の桜島火山対策に取り組む新たな決意と、桜魁火山対策懇談会の今後のスケジュールについて御説明をいただき、そして最後に一分だけ御要望をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
  32. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほども申し上げましたように、これは大変な被害だなという受けとめ方をいたしました。そこで、毎年毎年、さいの河原と言うとおかしいですが、大変大きな国費を積みながらも、なかなかその効果というものがあらわれていないなという感じを持ちました。今のいろんな科学技術等々から考えて、これを何か予知する方法はないんだろうか。そして、こういう情報化時代に備えて、学校の子供が通学する場合でも鉄かぶとをかぶって歩くとか、あるいはまた不安とかそういったことが相当募っておる、こういう環境から、やはり防災に対する認識が嫌になるほどしみついておりますけれども、これに対する防災連絡等々の完備、こういったものもどういうふうにするか、あるいはまた防災対策というものをもう少し進んで、立入禁止区域以下のところにおいてどうかできないかということから、懇談会を設置をしたわけです。  それでこの懇談会は、ただ単なる顔合わせ会でなく、今度十七日に第一回会合を開く予定でありますが、そのときに各先生方にはよく調査というか経験、いろんなことを生かしていただいて、ここで相当の意見が出るように御要望申し上げております。特に机上のことだけでなく、必要とあらばというのでなく、見てくることが必要だと私は思います。そういう意味で現地にも入っていただいて、そして何か新しいいい施策をここに打ち立てることはできないものかどうかということで、第一回会合が来月の十七日に相当いろんな資料を集めてお集まりを願う、こういうことにしております。
  33. 長野祐也

    長野委員 最後に、御要望を申し上げて終わりたいと思います。  本日の質疑を通じまして、防災営農対策関係につきまして、トンネルハウス補助対象化を初め多くの前進が見られましたことは、県民にとって大変明るいニュースであります。しかし、その他の法の見直し等などにつきましては、若干ニュアンスとしての前進は底見られましたものの、残念ながらいわゆる横並び論によりまして、行政の壁の厚さを痛感をさせられました。しかしながら、日本の活火山七十七のうち、A級火山と称せられます火山桜島、阿蘇、浅間、伊豆大島などがあると聞きますが、中でもこの桜島火山の実態は、先ほどから申し上げておるように、横並びするような火山はほかにあり得ないということをぜひ御理解を賜りたいと思うのであります。  そして、八千八百六十六名の桜島住民の大半は、この桜島で生まれ、ここで育ち、代々祖先から引き継いだ土地を守り、いかなる災害があっても、その災害によって桜島を立ち去ろうとする者はいないのであります。この桜島住民のみならず、降灰影響される約七十万から八十万の人々の生命及び身体の安全、生活の安定等を図るという立場から、政治は今その責任を問われております。この降灰災害の嫌らしさというものは、実際にその体験をしないとなかなか理解できないのが実情であります。桜島を東京湾の中に持っていきたい、もしこの降灰が東京ならとっくに対策はとられていたはずだという思いは、鹿児島県民共通の思いであります。どうかこの県民の切なる思いに対して、大臣初め政府関係者の皆様の一層の御理解を心から切望をいたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  34. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、川崎寛治君。
  35. 川崎寛治

    川崎委員 まず最初に、お礼を申し上げたいと思います。  大変お忙しい中を、稻村長官御一行また当委員会佐藤委員長初め委員の皆さんが現地視察いただきましたことに、県民にかわりまして心からお礼を申し上げたい。また、関係省庁の皆さん方も大変御苦労さまでした。心からお礼を申し上げたいと思います。  ただ、残念ながら、桜島はコノハナサクヤ姫にかかわります島でございまして、どうも、美男子であります稻村長官や佐藤委員長が参りましたものですから、遠慮をしまして灰を噴き上げませんでした。百聞は一見にしかず、体で体験をいただけなかったことは大変に残念でございますが、高鳥委員長の大変立派な御報告にもありますように、十分問題を踏まえていただいておりますことに感謝をし、当委員会が、そしてまた政府、各省庁が前向きに取り組んでいただきますことをお願いいたしたい、こう思います。  まず、税の関係の問題をお尋ねいたしたいと思います。  事業所得の場合は経費、つまり降灰除去などの経費、これは当然経費として差し引ける、こういうふうに思いますが、いかがですか。それと、所得税法施行令の百三十条、こういうものからいたしますと、耐用年数は当該の国税局長ということになっておりますが、実際、現実には税務署長ということになろうと思いますが、耐用年数の短縮という問題。この点について、事業所得関係でお伺いしたいと思います。
  36. 岡本吉司

    ○岡本説明員 お答え申し上げます。  事業を営む人が降灰のためにいろいろな費用を支出するといった場合には、それは事業収入を得るために必要な費用だということで、経費に当然なるわけでございます。  耐用年数でございますが、耐用年数につきましては、青色申告者である個人の有するものでございますけれども降灰によりまして著しく腐食したゆえあったことのために、法定の耐用年数、これは決まっておりますが、それを現在、運用ではおおむね一〇%程度短くなったような場合には、所定の事項を記載しました申請書を、署長を経由して局長に出していただくということでございます。したがいまして、本件の場合にも、そういった事業用の資産につきまして耐用年数の短いものが出ました場合には、その申請を出していただきたい、こう思っております。
  37. 川崎寛治

    川崎委員 公共施設関係はいろいろあるのですね。ところが、そうなりますと、事業所得の場合は今減免がある。個人がないわけです。先ほども議論がございました。個人がない。そうすると、所得税法の七十二条は要するに担税力の減殺を補うという形で緊急、こうなりますね。あるいは復元。ところが、この灰がしょっちゅう降っている。そうしますと、水道料だとか電気代とか、さらには灰を除去する費用であるとか、大変な費用がかかっておる。それから、女性の場合ですとパーマにしょっちゅうかからなければいかぬということで、パーマ屋が大繁盛している。今こういうふうな状況でもあるわけです。そうしますと、豪雪地帯の雪とこの灰というのは明らかに違う。その点については、現行の制度の中でだけ見ることには非常な無理があるわけですね。  そこで、実態を調査したい、こういう答弁でございましたが、その点については、つまり一億の国民の中で百万近くの特定の人だけがこうむつておる被害、それは担税力の減殺を補うのだという形だけのものではこれはなかなか補えないと思うのです。そういう意味では、個人の雑損控除の問題については抜本的な検討が必要だと思いますので、改めて伺いたいと思います。
  38. 岡本吉司

    ○岡本説明員 今先生から御指摘ございましたのは、まさに現行の雑損控除の制度を改めよ、しろ、こういう御指摘でございますが、大変恐縮でございますけれども私、国税庁の者でございまして、執行をあずかる者でございます。先生の御趣旨は十分、税制を担当しております主税局の方にお伝えしておきます。  ただ、今先生のお話の中でちょっと私が思いましたのは、いろいろな費用が出る、それはおっしゃるとおりだと思います。ただ、執行の立場からそういったものが果たして雑損控除、あるいは改正、検討した後の雑損控除になるかもしれませんが、雑損控除の対象になるかどうかというのを判断する場合に、果たして通豊かかる費用なのか、あるいはまさに災害によってかかる費用であるのか、また降灰地域だけに認めたらいいのか、あるいはまた降灰じゃなくて塩害の地域もありましょうし、あるいは一般の公害の地域もありましょうし、そういったところが場合によってはかかるかもしれない。そういったバランス論もやはり必要ではないかと考えておりますが、趣旨は主税局の方に十分お伝えしたいと思います。
  39. 川崎寛治

    川崎委員 だから、きょうは大蔵省の主税局も当然出席しておると思ったのですが、つまり執行論と制度論があるわけですから、その点でいきますと私はいささか不満に思います。しかし、要するに緊急性という現行の雑損控除のそこだけでは今読めない問題がある。そこにぶつかっているわけですから、とするとそこをどう破っていくというか、ひとつ前進させていくということが、私は今日問われておる問題だと思うのです。そういう意味で私は、執行論をここであなたと議論しておったらこれは後退してしまいますから、それを後退させちゃいかぬ、こう思いますので、その点については主税局と十分検討していただいて、まず実態を調査してもらう、そして要望にこたえてもらうように検討してもらうという点についての調査といいますか、それをお願いいたしたいと思いますが、いかがですか。
  40. 岡本吉司

    ○岡本説明員 御指摘を踏まえまして適切に対処してまいりたい、こう思います。
  41. 川崎寛治

    川崎委員 では、次に厚生省に伺います。私のところは今家内と二人なのですが、これでもなかなか灰を取り除くというのは苦労しておるわけですね。独居老人であるとか、あるいは寝たきり老人であるとか母子家庭であるとか老人世帯であるとか介護を必要とするそうした人たちは、私は大変苦しんでおられると思います。そうしますと、この人たちに対して降灰除去その他灰からまいりますいろいろな苦しみ、そういうものを取り除いていただきますために、ひとつぜひこれを、一番端的には降灰除去になるでありましょうが、それを進めるということについてぜひ積極的に推し進めていただきたい、こう思います。厚生省、いかがですか。
  42. 古瀬徹

    ○古瀬説明員 たまたま六月二日、私、鹿児島の老人ホームの方々の会合で現地におりましたところ、一夜にいたしまして大変多くの灰が降っておりまして、その後一月余りたちますので、先ほど来お話のありましたような現地では大変な状態であろうかと思います。  昭和五十六年でございますが、総理府が社会生活基本調査というのを行いましたときに、全国で鹿児島が一番いわゆるボランティア活動ですとか、そういう地域活動の参加をする率の高い地域として結果が出ておりますように、私ども鹿児島県が、福祉活動は制度だけでありませんで、地域全体で今お話しのような方々を支えるということが基盤だというふうに日ごろ思っておりますので、そういう観点から評価をしている地域でございますので、県の方にもいろいろ連絡をとって進めてまいりたいというふうに思っております。
  43. 川崎寛治

    川崎委員 県の方とはひとつ十分進めて、ボランティア活動等もあるでしょうし、そういういろいろな面でもまた行政的にもよろしくお願いしたいと思います。  それから次には自治省に。これから夏に向かいますとなおさらなんですが、どか灰が降りますと、電車、バスは窓を閉めざるを得ぬわけです。蒸しぶろですね。民間のバス等は完全に冷房化しておるわけです。赤字団体であるというか非常に苦しい財政の問題もございますが、ぜひひとつ電車、バスの冷房化というものを促進してほしいと思うのです。現在、鹿児島の電車、バスの冷房化されておる実情と、今後のそれらを推し進めていく施策というものについての自治省のお考え伺いたいと思います。
  44. 紀内隆宏

    ○紀内説明員 現在、鹿児廃市の路面電車とバス両方につきましての冷房化の状況を申し上げますと、本年の三月三十一日現在でございますけれども、電車につきましては、六十七両のうち九両が冷房化されております。それからバスにつきましては、百九十八両のうち百二十両が冷悟化されています。今年度につきましても、今まで聞き及んでいるところによりますと、電車、バスそれぞれに冷房化をさらに促進する予定であるというふうに伺っております。  お話にございました経営状況の苦しい中でという点につきましては、その仕組みから申し上げますと、市電につきましても市バスにつきましても交通事業は公営企業でございますので、企業債を起こしましてそれを料金で回収していく、こういう仕組みになろうかと思います。実際に、民間においてもそのような仕組みで行われているわけでございます。ただ、市当局の判断が、こういうふうな降灰現象のもとで多少のかかります経費がありましても、市民の便益を確保するという観点から必要があると考えれば、一般会計との間に調整する道があろうか、こういうように考えております。
  45. 川崎寛治

    川崎委員 促進化をお願いしたいと思います。  次に文部省ですが、委員の皆さんが桜島黒神に行かれて、現場をごらんになって、校庭に降灰が大変たまっておる状況というのを実際にごらんになったわけでありますが、この校庭の降灰除去について、五十三年には一度災害として除去したことがあるわけでありますが、ぜひ今回もこの校庭の降灰除去を早急に進めていただきたい、こう思います。文部省、いかがですか。
  46. 吉田茂

    ○吉田説明員 公立学校施設降灰の除去に要する経費については、降灰が一時的に多量にあるなど、被害の程度が著しく大きいものにあっては、先生御指摘のように、公立学校施設災害復旧費国庫負担法上の災害として、過去において国庫補助の対象となったケースがございます。今回のケースにつきましては、市町村からの申請に基づきまして、この法律の適用が可能かどうか検討してまいりたい、このように思っております。
  47. 川崎寛治

    川崎委員 五十三年の法律によりまして、窓枠がサッシになり、さらに桜島地域等においては冷房化が行われました。その点については大変感謝をいたしているのでありますが、その電気代に当該の長としては非常に参っておるわけであります。嘉手納等、あの基地周辺の学校では電気代も国が見ている、こういうふうに私は思うのですが、この電気代をぜひひとつ国で見てほしい、こういう要望があるのですが、いかがですか。
  48. 吉田茂

    ○吉田説明員 活動火山対策特別措置法に基づきまして、学校の降灰防除施設として窓に設けられた戸、これは防じんのためのものでございますが、及び窓枠、それから空気調和設備の補助は、先生御指摘のように行われているわけでございますが、空気調和設備の電気料金については補助対象にはなっていないわけであります。この空気調和設備については、例えば騒音等に係る公害防止対策としても補助がなされているわけでございますが、この場合も電気料金については特別の補助がないわけでございまして、そのような事例から見まして、この場合について電気料金を補助することについては、これは困難であるというふうに考えておるわけでございます。
  49. 川崎寛治

    川崎委員 嘉手納はありますね。
  50. 吉田茂

    ○吉田説明員 それは御指摘のとおりでございます。
  51. 川崎寛治

    川崎委員 それじゃ、これはここで議論しておる時間がありませんので、ひとつ今後の検討課題として、また小委員会でぜひ御議論を願いたい、こういうふうに思っております。  それからロードスイーパーの問題ですが、これは購入価格の半分に対する補助ということになりますので四分の一、こうなるわけです。先ほどの答弁にもございましたように、建設省の中の今の基準というものからすればそうなると思うのです。しかし、今回のどか灰等の場合には、とにかく早急に取り除いてほしい、ロードスイーパーへの期待というのは大変大きいわけです。そういたしますと、県が購入していくということのためには、これは購入価格の半分に対する補助ではなくて購入価格に対する補助、ぜひこういう形に改めてもらわなければいかぬ。つまり、それは建設省の枠を超える問題として、特異な降灰地域であるということでございますから、この点の見直しというのがぜひ必要ではないか、こういうふうに思います。建設省にお尋ねをしたいと思います。
  52. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先ほどお答え申し上げましたとおり、また先生御指摘のように、建設省全体の補助制度の中でのいわゆる横並び議論という立場に、私どもとしては立たざるを得ないというのが実情でございまして、四分の一または降灰状況によりましては三分の一というのが実態でございます。当面のところ、現下の財政事情もございまして、これを改正するということは極めて難しいことではなかろうかというぐあいに考えております。
  53. 川崎寛治

    川崎委員 大変困難な問題だとは思いますが、なおひとつ御検討をお願いいたしたい、こういうふうに思います。  第二古里川の問題ですが、これは当面の緊急対策——河川はおりますか。僕はちょっと要求してなかったのだけれども、さっきの質問ちょっと不満があったものですから。いいですか、防災課長やってくれますか。じゃ、いなければこれ伝えてほしいと思うのですが、今、下の方の緊急対策というのを進めておられますが、ひとつそれはぜひ急いでほしい。それから、抜本対策として監視施設の問題がございましたが、これだけで済まぬ問題で、問題は、非常に急なところを大変短い時間に土石流流れるわけですから、抜本的な改修。ただ、河口から二キロの間が立入禁止になっておるので、一番基本的な現地調査ができないという非常に難しい問題もございますが、現在モデル実験をやっておるというふうに聞いておるわけですね。  そこで、このモデル実験が早急に進められて抜本対策というのが、これは雨が降れば必ず土石流、こうなりますので、つまり監視せいというんじゃなくて、第二古里川全体の抜本改修についてのモデル実験也急ぐこと、そして早急にこれをひとつ着工してもらうという方向についての促進をお願いをしたい、こういうふうに思います。
  54. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  担当の砂防課長の方に先生のただいまの御趣旨、十分お伝えいたしたいと思います。  第二古里川の土石流対策、技術上も非常に困難な点があるというふうに私も聞いておりますが、建設省としても全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
  55. 川崎寛治

    川崎委員 ビニールハウスとトンネルハウスについては先ほど答弁があったわけでありますが、このビニールハウスは新しい、何というか強いやつができるまでは張りかえというのはできないのかどうか、検討ができないのかどうか。今、確かに非常に傷みが早い。だから、年に二回ぐらい張りかえなければいかぬという状況に追い込まれておるわけです。しかし、先ほどの高鳥委員長の御報告にもありましたように、野っ原のビワビニールハウスのビワというのは明らかに違うわけです。そうしますと、これはどうしても緊急に張りかえてもらいたい、それを補助対象にしてほしいということは切実な要求であるわけです。その点の試験研究による、つまりより強いそういうものへ行く過程の、その前段の緊急対策として張りかえというものをひとつぜひ補助対象にしてほしい、こう思うのですが、いかがですか。
  56. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 現地要望としては十分わかるわけでございますけれども、既存と同じ質のビニールで張りかえるということになりますれば何ら技術的にも新しい点がございませんし、それから全く個人的な施設の張りかえというようなことで、現下の財政事情からはなかなか補助にはしがたい、そういうことでございますし、それから長期的に見ますと、既存のビニールじゃなくてもう少し強度の防災的なビニールというものを開発し、それを積極的に営農の中に取り入れていくということが必要かと思いますので、補助としてはその段階のものから考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
  57. 川崎寛治

    川崎委員 その強度の強いやつは県でやりますか、それとも農水省の技術会議の方でやりますか。
  58. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 これは民間でもいろいろ研究しているようでございますので、そういう研究素材というものを県とうちと一緒になりまして調べてみたいというふうに考えております。
  59. 川崎寛治

    川崎委員 早急に結論を出して希望にこたえていただきますように、促進方をお願いいたしたいと思います。  トンネルハウスは、これは私の郷里がレタスそれからカボチャ、スイカ、そういうものを産地として大変トンネルハウスをやっておるわけです。ですから、非常に桜島、その地域が要望しておるわけでありますが、その集団化ということについてはどの程度の基準を考えるのか。農事組合として、これはそれぞれ県とも話し合ってもらって、できる方向で具体的に進めていただくことをお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  60. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 共同でやります要件とか、あるいは団地の要件をどうするかということは、全くこれからの我々の検討にさせていただきたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、地元でございます県とは今後その辺を十分打ち合わせて取り進めてまいりたいというふうに考えております。
  61. 川崎寛治

    川崎委員 そこで、高鳥委員長がお見えになりましたので、小委員長と、それから稻村長官にもお願いしたいのですが、現地をごらんになりまして、先ほど来担当大臣としての大変強い御決意を伺いまして心強く思っておるわけです。そこで、桜島噴火対策懇談会が来月の十七日に第一回会合ということになりますが、これは大体いつごろまでにということで答申を期待しておるのか。さらに、予算の概算要求の時期に入ってきておりますので、そういたしますと、この懇談会の結論を見なければ次に進まないのか、概算要求に対してどういう姿勢でいくのか。それからさらに、この対策懇談会には関係省庁の実務者の皆さん方に当然御参加をいただいて、ここでの議論が具体的に各省庁で実行される、こういうことを期待をするわけでありますが、その点についての長官のお考え伺いたいと思います。
  62. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 先ほども長野さんの御質問にお答えしたとおりでありますが、できるだけ早い機会に、六カ月先に結論を出すようなスケジュールを組んでいただきたいということで申し上げてあるわけです。そうして、当然これには予算も絡みますことですから、各省庁も担当実務者には御参加を願うということであります。  それで、概算要求の問題については、それはそれとして、国土庁としましては別個の形で各省庁に調整の役割と申しますか、私も現地に入って見てきたわけですからよく承知をいたしております。そういう意味から、概算要求等々の問題については各省庁と緊密な連絡をとり、また地元関係各市町村、県等の意見もよくそんたくをして、できるだけ効果あらしめる。特にまた、衆議院災害対策委員会の皆さんも現地を見ておられるわけでありますから、そういう意味で双方よく連絡をとり合って、概算要求にはこの懇談会とは別に完璧を期していきたい、こういうように思っております。
  63. 川崎寛治

    川崎委員 最後に、委員長並びに小委員長にお願いしたいと思うのですが、実は四十八年に立法して、それから五十三年に抜本改正をしていただきました。たまたまそのとき私が、当委員会委員長の大役を仰せつかっておりましたので、高鳥委員長などには大変お世話になりました。そのことを思い起こします。  そこで、災害対策基本問題小委員会というのが当委員会にあるわけでございますので、高鳥委員長を中心にこの小委員会における抜本的な法の見直しというものを、これまでの四十八年、五十三年という法の経過を踏まえて、ぜひひとつ御検討を小委員長にお願いをしたいと思うのです。  そこで佐藤委員長に、当委員会として小委員長を中心にそういう御検討を願うことに相なるのだろうと思いますが、委員長として今度の災害調査になり、実態をお踏まえいただいたわけでございますので、今後のこの活動火山法の見直し、そういうことについての委員長の御見解を伺って終わりたいと思います。
  64. 佐藤観樹

    佐藤委員長 よく小委員会で検討させていただきまして、必要があればひとつ改正をするという努力をしていきたいと思います。
  65. 川崎寛治

    川崎委員 終わります。ありがとうございました。
  66. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、遠藤和良君。
  67. 遠藤和良

    遠藤委員 先日、降灰被害が打ち続きます桜島を長官みずからが御視察されました。まことに御苦労さまでございましたと申し上げたいのでございます。私も、長官が行かれました翌日、委員会視察団の一員といたしまして現地に参りました。まことに百聞は一見にしかずでございまして、初めて現地の人々の御苦労に接し、まことに頭の下がる思いをしたものでございます。  ところで、今回の長官の迅速な行動を通して思いますことは、何事につきましても最高責任者が時を移さず現地に赴くということの重要性でございます。殊に、災害というような国民の生命と財産に直接影響を及ぼす事態に対しましては、不安をそれ以上拡大させないためにも、行政の最高責任者がまず現地に飛びまして、現地の人々と直接話し合いをし、適切な方策を講じていくことが何よりも大切でございます。今回をぜひよき先例といたしまして、今後の災害救助並びに復旧作業には長官みずからが体を運ばれますよう、心からお願い申し上げたい次第でございます。  ところで、現地に参りまして、長官はまずここ当面の対策といたしまして四つ約束をされました。一つは、降灰除去は住民生活を維持する上でも最も重要と認識しており、除去事業の補助は現在の予算枠にとらわれず十分確保する。二つ目が、土石流対策では六十年度予算要求に向けて砂防治山事業費の拡大に努める。三つ目は、今年度の国土庁予算で、酸性の降灰に強い農業用ビニール等の開発のための原因調査、大爆発に伴う溶岩の流れを想定した避難体制のあり方についての調査に着手する。四つ目が、桜島火山対策懇談会で総合的な火山対策を検討していく。この四点を明らかにされたわけでございます。そして今回の視察を踏まえて、私の任期中に必ず形のあるものを出したい、こういうふうに約束をされたと伺っております。私どもも、現地の人々から多方面にわたる陳情をお受けしたわけでございますが、まず当面の対策として長官の述べられましたこの四項目、具体的に実現への見通し並びに実現への御決意を最初に長官みずからにお伺いをいたしたいと存じます。
  68. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 最初の降灰除去事業に要する予算の確保でございますが、これは当然だ、こういうふうに考えております。これは必ず確保しなければならぬ。それから第二番目の予算概算要求に向けて治山砂防事業費拡大、これは当然やってまいります。それから第三番目に、爆発に伴う溶岩の流れを想定した避難体制のあり方についてということでありますが、先ほど来も申し上げましたように、あれだけ爆発が数多いわけでありますから、やはりその大小というものが予知できるような体制づくりをしなければいかぬ。そして、地域住民にいち早くこれを伝える義務がある。そのためには、いろんな関係があるでしょうが、それは各省庁と連絡をとってやはり完璧な体制をつくってまいりたい。  それからビニールの問題ですが、これはよく地元で聞きました。張りかえの量、予算の問題について、これはやってもらえないし、それからまたビニール降灰関係で傷み率が大変多いので、降らないときは一回で済むものが二回やらなければいかぬ。そうすると農業の収益ということを考えた場合、とてもじゃないがこれはやっていけないので、何とか考えてもらいたいということでありました。この問題は、先ほど来農林省からも、田中さんの方から検討してみます、何というか、大変前向きの発言でありましたが、国土庁としては民間に、降灰に耐え得る強いビニールをどう開発をするかという形で、やはり開発をするのは役所というわけにもまいりませんし、民間でそれに耐え得るというか、降灰に勝てるようなそういう強力な開発をしていただきたいということで、それに役立つ原因調査を国土庁の予算でやることにいたしております。  総合的な一番最後の御質問火山対策懇談会の問題ですが、あれもこれも全部含めて総合的に、毎年毎年の災害でございますから、この辺で完全なものといかなくとも、やはりその島に住んでおられる皆さんが将来安心をして定住ができるようにするにはどうすればいいか。そこで、何か一つというのじゃなく全部できればいいのですが、そんなうまいわけにもいかぬので何か一つの柱を打ち立ててみたい。そのためにこの懇談会を設置をしたわけです。そして、この懇談会は単なる顔合わせであってはいけない。そういう意味で期間も六カ月というふうに限定をいたしまして、各省庁参加の上で予算等々含めながら抜本的な一つ研究をしてみたい、こういうふうに思っております。
  69. 遠藤和良

    遠藤委員 私は、防災の第一義というものはどこにあるかということを考えました場合に、やはり人命、人の命を守るというところに尽きるのではないかと思うわけでございます。河川道路は復旧ができるわけでございますが、失われてしまった命というものは取り返すことはできません。したがいまして、命を守るといった観点からお伺いしたいわけでございますが、これまで新活火山法の施行以来、桜嵩では住民避難体制避難対策につきまして、特にハードな側面ではどのような施策がとられてまいりましたか、お伺いしたいと思います。
  70. 田中暁

    田中(暁)政府委員 いわゆる活火山法に基づきます避難施設整備でございますが、昭和四十八年に桜島の島内を避難施設の緊急整備地域に指定いたしまして、さらに五十三年に垂水市の一部、あのつけ根の部分でございますが、これを追加いたしまして、県が避難施設の緊急整備計画をつくったわけでございます。これに基づきまして、昭和五十七年までの十年の間に退避ごうが三十七カ所、避難港が十八カ所、避難広場十七カ所等々の整備を行ったところでございまして、その大部分は五十四年度までに完成いたしましたが、一部避難路等さらに続けまして、昭和五十七年度に計画によります事業は完了いたしておるわけでございます。
  71. 遠藤和良

    遠藤委員 私も現地に参りまして、大変心配に思えたことがございます。  その一つは、島の中にあります、いわゆる陸上避難道路でございますね。これが大変に曲がりくねっておるような印象を受けたわけでございますが、こうした点にかんがみまして、いざ緩急があった場合に遅滞なく避難できるという状態をつくるために、もう少し国道県道については事業費の枠を拡大して整備促進を図る必要があるのではないか、こういうふうに思ったわけでございます。特に国道二百二十四号線につきましては、どの橋を見ましても土石流で川が埋まっておりまして、いざというときには橋が冠水して通行ができないのではないかという心配を持ったわけでございます。こうなりますと、道路としては避難道路の用をなさないのではないか、こういう心配を感じたわけでございます。この国道二百二十四号線並びにこの橋梁部分ですね、これをいざというときにも避難道路として確保できるといった観点から、整備をさらに進めていく必要があるのではないかというふうに思ったわけでございますが、いかがでございましょうか。
  72. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 全くお説のとおりであります。建設省の方へも強く要請をいたしております。それは特別枠じゃなくてもいいのですからね。ですから、国道の中の予算をそこに持っていくということですから、そんなに顔色を変えるような難しいことではない、こういう判断をいたしておりますので、建設省道路局の方には強くこれはやるべきであるというふうにお願いをしてあります。
  73. 和田惇

    ○和田説明員 お答えを申し上げたいと思います。  昭和四十八年度に制定いたしました活動火山対策特別措置法というのがあるわけでございますが、それに基づきまして作成いたしました避難施設緊急整備計画というものがございます。この区間につきましては、既に昭和五十七年度までに完了させておるわけでございます。そのほかの区間につきましても、現在円滑な交通を図るためにいろいろな整備をやっておるわけでございまして、特に、今ほどお話がございましたように、土石流に対する災害防止といったようなことにも配慮しながら、道路拡幅でありますとか線形改良、それから橋梁の整備といったようなことを行っておるわけでございます。  ちなみに、五十九年度の予算を見てみたいと思いますけれども一般国道の二百二十四号線、それと主要地方道の桜島黒神線というのがございますけれども、それについて見てみますと、御存じのとおり公共事業がマイナスシーリングという状況ではございますけれども、これに対しまして重点的な予算の配分をいたしております。両路線に対しましては、五十八年度の予算が一億六千五百万でございました。五十九年度は、これを大幅に上回る三億五千万といった予算をつけておるわけでございまして、今後とも災害防止といったような観点から道路整備を鋭意推進してまいりたい、かように考えております。
  74. 遠藤和良

    遠藤委員 ただいま、長官並びに建設省の皆さんから大変に前進的な御答弁をいただいたわけでございますが、私も桜島の町長さんからお話を聞きまして、町長さんが行政の最高責任者としてできることは、住民の命をどうして守っていくかだ、これ以外にありません、そのためには、どんな災忠のときにも住民の皆さんが十分に避難のできる道路を確保したいんです、こういうふうに涙ながらに訴えられておりまして、心を動かされるものがございました。ぜひ、格段のお取り計らいをお願いをしたいと思うわけでございます。  次に、噴火土石流災害発生を予知し住民に伝える、いわゆる情報通信システムについてお伺いしたいわけでございますが、まず、消防防災無線の桜島地域の設置状況はどのようになっておるでしょうか。
  75. 清野圭造

    清野説明員 桜島地区のうちの桜島町につきましては、同報無線及び移動無線の両方式を具備した基本施設を有しておりますけれども鹿児島市分につきましては移動系のみでございます。災害時の情報伝達におきましては、同報無線あるいは同報無線の戸別受信方式が機能的でございます。こういうことから、昭和五十九年度から補助枠を拡大しまして、その整備強化を図っているところでございます。しかしながら、どのような方式あるいはその組み合わせが効率的かつ効果的であるかということにつきましては、地域によっても異なりますので、地元において整備計画があるような場合には、必要に応じて相談や助言等に応じていきたいと考えております。
  76. 遠藤和良

    遠藤委員 先ほど長野議員の質問にもお答えがございましたけれども、特に鹿児島市側の方の防災無線は、地元の要望を受けてぜひ実現に向かいますように、お取り計らいをお願いしたいと思うわけでございます。また、島の中全戸に防災無線というのは甚だ難しいと思いますが、特に危険な災害が予知できる地域については、局部的にやはり戸別無線というものを考えていかなければならないと思いますが、この点はいかがでございましょうか。
  77. 清野圭造

    清野説明員 ただいま申し上げましたとおり、戸別方式それから同報系による屋外方式をどういうふうな形で組み合わせるか、地域によっても異なりますので、その地域に応じて最も効率的な方法というものを考えるべきではないかと思います。御指摘の鹿児島市分につきましては、先ほども答弁申し上げたとおりでございますが、この同報方式ができておりませんので、これにつきましては地元で計画がございますれば、私どもとしても十分に対応したいと考えております。
  78. 遠藤和良

    遠藤委員 鹿児島県では、降灰の観測データをただいま県下五十八カ所から採取しているようでございます。また、現地に京都大学の防災研究所もございまして、データを持っているわけでございます。こうしたデータと気象庁の持つデータをオンライン化いたしまして、より精密で信頼性の高い情報を少しでも早く住民の皆さんに知らせるシステムを開発する、これは大変重要な課題ではないか、こう思うわけでございます。現地でもそういう計画があるやに伺いましたけれども、気象庁はこういった計画を承知しておりますか。
  79. 山川宜男

    ○山川説明員 御説明申し上げます。  ただいまの先生の御指摘のような計画が自治体の方で進められているということを聞いておりまして、私ども降灰のデータをオンラインで収集しますことは、民生上も大変有益ではないかと思っております。気象庁といたしましても、鹿児島気象台における降灰データとか高層風のデータを提供することも含めまして、できるだけ協力していきたいと思っております。なお、昨年九月からでございますけれども降灰予測のために、風の風向とか風速を毎日早朝に発表させていただいております。
  80. 遠藤和良

    遠藤委員 気象庁にお伺いしたいのですが、私、先日「宇宙からの帰還」という本を読んでおりますと、ある宇宙飛行士の述懐でこういうふうなことを言っておりました。自然災害被害というものが今地球を大きく覆っておる、特に黄河の汚泥と鹿児島火山被害宇宙からも肉眼ではっきり見れる、これほどの規模であるということを言っておりましたけれども、今後桜島火山活動の予知という面から、気象庁としましてはどういうふうな予測体制研究しておるのか、特に、こういう観測衛星等を使った予知まで研究をいたしておるのか、この辺をお伺いしたいと思います。
  81. 山川宜男

    ○山川説明員 ただいま先生御指摘の、最近の宇宙科学と申しますか、宇宙技術を取り入れるという方法も、これからの火山噴火予知技術の開発には大変有効ではないかと思っております。私どもも現在気象研究所で、そういう人工衛星のデータの解析も含めますリモートセンシング手法を噴火予知に生かしていきたいと思って、積極的に取り組んでいるところでございます。
  82. 遠藤和良

    遠藤委員 そういう予知体制、観測予知技術の研究、さらに各自治体とか大学の研究機関が持っておるデータをオンライン化する、こういったいわゆるニューメディアを活用した観測システムといいますか、予知システムに対しまして、国はどの程度特別の財政措置を講ずることができるのか、こういったことをお伺いしたいわけでございます。新しい技術でございますし、相当金銭もかさむわけでございますので、国として財政的な援助はどういうふうに考えていけるか。あるいは、財政ばかりではなくてノーハウの助成、この辺、ソフトの部分の助成も国土庁としてお考えになってもらいたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  83. 田中暁

    田中(暁)政府委員 先生御指摘の点は、御趣旨はよくわかるわけでございますが、鹿児島県等の要望を見てまいりましても、その内容がまだはっきりしないというのが正直な段階であろうと思うわけでございます。もちろん理想といたしましては、ニューメディアを十分に駆使して、いろいろなデータをオンラインで結びまして予測並びに避難ができる、こういう総合的なシステムをつくるということであろうと思うわけでございます。今の全戸の防災無線の設置でございますとか、あるいは建設省の総合土石流対策のモデル事業としての監視装置等は、いわばそれに至ります一里塚であろうと考えておるわけでございます。  そういうことでございますから、そういったシステムが構築されました後、それに対する国としての助成ということは検討の俎上に上るものかと考えておるわけでございますが、国土庁といたしましても、とりあえず今年度、桜島をモデルケースといたしまして、噴火の位置や態様、気象条件等に応じた溶岩や噴石等の到達範囲の予測を行いまして、これを踏まえた防災システムのあり方を検討するという内容の調査を実施することにいたしておりますので、こういったことを含めて今後の検討課題としてまいりたいと考えておる次第でございます。
  84. 遠藤和良

    遠藤委員 県とよく連携をとって、ぜひ形あるものにしていただきたいと考えるところでございます。  次に、降灰除去についてお伺いしたいわけでございますが、路面清掃車、いわゆるロードスイーパーの絶対数が大変足らないような感じを受けたわけでございます。現地では一台大体二千五百万円ぐらいいたしまして、国の補助は実質四分の一である。しかも、県が購入するときは補助対象とならない。これでは、財政力の弱い地方公共団体ではなかなか簡単に買えない実情にある、こういうことでございます。  それで、これは私の提案でございますけれども、こういう方法はどうかと思うのです。この際、国が一括購入をいたしまして例えば市町に貸与する制度や、あるいは国県、市町村等の共同出資で購入をいたしまして、関係市町村が共同利用組合をつくって運営する方法ども考えてはどうかと思うわけでございます。特に降灰は、風の向きによりまして全域に一度に降るということはないようでございまして、関係市町村が購入してそれを降灰のあった地域に振り向けて持っていく、こういうふうな活用の仕方をすれば合理的であるし、かなり有効な手段になるのではないかというふうに思いますが、いかがでございましょうか。
  85. 渡辺和夫

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  時期を異にして降る局所的などか灰の除去については、降灰区間で機械を融通し合うということは有効なことと考えられ、地元市町村で機械の共同使用について現在検討しているところであるというふうに聞いております。その結果を待って、対処してまいりたいというふうに思っております。  なお、活動火山対策特別措置法に基づく市町村等において、降灰を緊急に除去する応急復旧事業に国の機械を無償で貸与する制度がございますので、国の機械の利用を勘案しながら、降灰状況に応じて適用してまいりたいと思っております。また市町村に対しては、活動火山対策特別措置法に基づき、降灰除去事業の施行に直接必要な機械の購入につきましては補助することは可能でありますが、市町村が共同で利用する意向がある場合には、市町村の考え方を十分にお聞きして検討してまいりたいと思っております。
  86. 遠藤和良

    遠藤委員 長官は、今私の提案申し上げた二点につきましてどういう印象をお持ちでしょうか、ちょっと感想をお伺いしたいと思います。一つは、ロードスイーパーを国が一括して購入をして市町村に貸与する制度、あるいは関係市町村が協同組合をつくりまして運営していく方法、こういうことでございます。
  87. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 御趣旨は大変結構なことではないかと思います。ただし、その面についてはいろいろまた連絡調整をいたしまして、そういう方がいいとするならばその方がいいでしょうし、何といってもやはり地元のことですから地元とよく話し合ってみたい、こういうふうに思っております。
  88. 遠藤和良

    遠藤委員 地元でもそういう声があるように私も承知いたしましたので、質問させていただいたわけでございます。どうかよろしくお願いをいたします。  それから防災の対策でございますけれども、いわゆるトンネルハウス補助対象とならない、その理由は先ほど伺いましたら個人であるからというふうなことでございましたが、これを補助対象としない理由を明快に今のところの措置を教えていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
  89. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 ことしの四月二十日付で承認いたしました第四次防災営農計画、これにおきましても地元からの計画への織り込みの段階でも、トンネルにつきましては具体的要望がございませんで、この計画にも実は織り込んでいないわけでございます。その際にも若干議論があったようでございますけれども、とこのところのいろんな補助体系というものからいいまして、個人営農施設的なものについてはやはり限られた予算をどういうふうに重点的に配分するかということでございまして、できるだけ有志であるとか自分だけとかいう場面で対応していただくということで、ごく限られたもので先進技術的なものでございますとか、まだ普及度が薄いものでございますとか、そういうものについては最近でも若干補助している事例はあるわけでございますけれども、一般的な技術でしかも個人で持っているもの、こういうものについては残念ながら、現下の財政事情の中では優先度合いからいうと後になってしまうというのが現状でございます。
  90. 遠藤和良

    遠藤委員 共同使用というのは、二人以上というふうに理解してよろしいですか。
  91. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 これは、一般論としましては二人以上で共同でございますけれども、これは施設の性格によりまして、例えばサイロなら何人以上であるとか、そういうそれぞれの施設について補助要件として個々具体的に決めておるのが通例になっております。
  92. 遠藤和良

    遠藤委員 先ほども長野議員の質問に答えまして大変前向きの御答弁がありました。私も、現地の皆さんの御要望がそういう方向でございますので、できるだけ実現をされますように心からお願いをしたいわけでございます。  それから水産庁にお伺いしたいわけでございますが、いわゆる軽石流出対策につきまして、水産庁は軽石除去事業を水産庁管轄の沿岸漁場整備開発事業並びに国土庁管轄の災害対策総合推進調整費、この二つの補助事業で対応できる、こういうふうに現地の皆さんに提示されたそうでございますが、間違いありませんか。
  93. 山添健一

    ○山添説明員 私どもといたしましては、対策事業を実施するに当たりましては沿岸漁場整備開発事業などの既存の補助事業、こういう中へ取り上げてやりたい、そういう方向で考えるというように提示してございます。
  94. 遠藤和良

    遠藤委員 これは具体的には、黒神川の河口流域にオイルフェンスのようなものをつくって流出を食いとめるという形になるのでしょうか。
  95. 山添健一

    ○山添説明員 私どもいろいろ従来調査もいたしまして、対策を地元の方と一緒に検討してきたわけでございますが、根本的な解決策というのはちょっと技術的に困難でございますけれども、一応漁業に大きな影響がないだろうというような当面の措置としましては、やはりいわゆる養殖生けすという側で対応するよりは、もう少し先の、流れ出してくるもとに近いところで漁場への軽石の流入防止施設、こういうのをつくるのが妥当じゃないかということで、この案を現在詰めている段階でございます。
  96. 遠藤和良

    遠藤委員 いろいろお伺いしたわけでございますが、きょうは幸い大変前向きな御答弁もいただきましてうれしく思います。特に避難道路の確保については、長官みずから道路局の方に徹底をしてくださる、こういうことでございますし、また、ニューメディアを使った観測システムの計画並びに今後の実施についてもよく検討していただけるようでございます。  何はともあれ、現地の皆さんが、本当に長官に来ていただいてよかった、こういうふうに心から喜んでいただけるような施策を具体的におとりくださいますように心から切望いたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  97. 佐藤観樹

    佐藤委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時五十九分休憩      ————◇—————     午後一時二分開議
  98. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。安倍基雄君。
  99. 安倍基雄

    安倍(基)委員 民社党の安倍でございます。  本件につきまして、実は私どもの党といたしましては、佐々木委員長が先に現地に入り、その後横手委員現地視察するということでございまして、この問題につきましては、党としては非常に前向きに取り組んできた案件でございます。私も、視察委員の一人といたしまして現地に赴きまして、さっき高鳥委員から御報告ございましたけれども、本当に百聞は一見にしかずということでございまして、行く前は灰だけの話かなという程度の気持ちでおったのでございますけれども土石流とかいろんな問題がある。いささかびつくりした、認識を新たにしたわけでございます。  また特に降灰は、黒神地区などに行きますと、本当に学校の地面に随分厚くたまっている。そこを子供たちが歩いている、あるいは危なっかしい道路を歩いている。よくこういうところに住んでいるんだな、本当に気の損な気がしたわけでございます。たまたま私ども行っておりましたときに灰が降ってきたり、土石流のビデオなど見ますと、本当に大変なところだと思わざるを得ない。したがいまして、こういった問題につきまして私どもは超党派、むしろ民社党は積極的にこの問題を推進するという立場にございます。  この点につきまして、国土庁長官にお聞きしたいんでございますけれども現地からいろいろな要望が出てきておる。これに対してどういう順位で、一体何を一番大切と申しますか、どういった順番でこの要望を見ていくかということについての御意見を承りたいと思います。
  100. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 向こうの視察に入りまして、それは聞いておったというか、実際この目で見たということで、大変驚いておりました。現地からも大変細かい要望が出ておりますし、また市町村あるいは県等々からも細かい要望が出ております。  その中で、幾つか出されたのですが、どれもこれも皆重要な問題であります。ただ問題は、やはり災害が起きる。これは常に三百六十五日、むしろ三百六十五日以上に災害が多いわけでございますから、そのたびごとに大変不安だ。生活不安である。しかしながら、その中で永住をされようとするわけでございますから、これはいかにして災害から人命を守るか、こういったことを基本的に置いて、まず重要な問題から一つ一つ解決をしていきたい。  その中で、四つの問題を向こうにおりまして御要望がございまして、四つの問題を極めて明確にお答えをしてまいったわけであります。その問題については責任が持てる、私が申し上げたことについてはほとんど責任が持てる、こういう感じを持っております。そんな意味から、各省庁とよく連絡をとり合って、現在の枠にこだわるごとなく、現在降灰の問題等々については枠がございますが、その枠を超えてもできるだけ対応していく必要がある、こういう強い感じを持っておるわけであります。そういう意味で、衆議院の災害対策現地視察をされておりますし、各省庁連絡を密にしながらこの対策に万全を期していきたい、こういうように思っております。
  101. 安倍基雄

    安倍(基)委員 長官がまず第一に挙げられた降灰対策でございますが、この問題非常に深刻な問題でございまして、これからまたどのくらい続くかわからないということでございます。さきに公明党の遠藤委員からもお話ございましたけれども、まず第一のロードスイーパーの問題、これは私、確かに問題は非常に広域的な問題である。ある場所に降る。それが風によって、東風、西風、どの場所に降るかわからぬ。と申しますと、やはり広域的な単位で物を考えていくことがいいのではないか。さきに遠藤委員も指摘されておりましたけれども、私もまさに同感でございまして、地元からもそういう要望がある。各市町村では持てないというようなものはひとつ共同して持って、それで灰の降るたびにあちらへ動き、こちらへ動きということが最も効率的ではないか。これにつきまして、国が買って貸すのか、あるいはそういった自治体が連合して持つようにするのか、この点について建設省の御意見をもう一度承りたいと思います。
  102. 渡辺和夫

    ○渡辺説明員 お答えします。  時期を異にして降る局所的などか灰の除去につきましては、降灰区間で機械を融通し合うことが有効であるということは御指摘のとおりでございまして、現在地元市町村で機械の共同使用について検討しているところと聞いております。それを踏まえまして、その結果を待って対処してまいりたいと思っております。
  103. 安倍基雄

    安倍(基)委員 と申しますのは、国が買ってやるとかあるいは共同で買ったものに対して相当の補助を、通常以上の補助を与えるとか、そういう意味でございますか。
  104. 渡辺和夫

    ○渡辺説明員 現在保有している機械の有効活用ということでございまして、補助等の機械につきましては、また別途活動火山対策特別措置法等で地元が共同で購入するという意思がある場合には、その意向を踏まえまして検討してまいりたいということでございます。
  105. 安倍基雄

    安倍(基)委員 次は、やはりこの問題も取り上げた問題でございますけれども、いわゆる雑損控除の問題でございます。なかなか雑損控除というのは横並びの問題もあり、いろいろ難しい問題もあることは、私も大蔵省におりましたからよく知っておりますけれども、この灰の問題と申しますのは非常に特殊な問題でございまして、余り今まで例がなかったという意味合いにおきまして、しかもこの規模が非常に大きいということをいろいろ考えますならば、今まで法が余り十分想定してなかったようなものではないかなという感じもいたします。この点につきまして、社会党の委員からも御質問がございました。これについての大蔵省当局の御答弁をお聞きしたいと思います。
  106. 岡本吉司

    ○岡本説明員 雑損控除につきまして、例えば住宅とか家財等の生活資産に現実に損害が生じた場合、これは降灰の場合におきましても当然所得税法上の雑損控除が適用になるわけでございますが、恐らく今の御指摘の方は、そういった現実にまだ損害というものではなくて、灰降ろし費用とかこういった費用の話であろうと思っております。いわゆる災害関連支出と我々呼んでおりますものに該当させよというような御質問ではないかと思います。  御案内のとおり、所得税法施行令の二百六条一項三号に、災害による住宅家財等に係る被害発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出、これが雑損控除の対象になるわけでございますが、この要件に果たして今回の桜島のような降灰の場合が該当するかどうかというところがポイントだと思っております。現在までのところ、我々といたしましては、ただそこに灰が降るということにおきましては緊急性——まさに雪のような場合には、ほっておきますと家が壊れてしまうといった緊急性があるわけでございますが、灰の場合にそういった緊急性があるのかないのかというところが問題だろうというふうに考えております。ただ昨今、非常に異常噴火と害われるほどの降灰があるというふうに聞いておりますので、よく実態を見ました上で適切に対処していただきたい、こう思っております。
  107. 安倍基雄

    安倍(基)委員 ひとつよく事情を調査の上、いろいろ御判断願いたいと思うわけでございます。  第三番目の問題でございますが、農作物に対する被害が頻々と起こっておる。私も島で、ビワが灰でやられているところを見たりいたしております。なかなか覆いをしてみても、覆いをした場合はいいのでございますけれども、本当にせっかくの収穫が台なしになっているということでございますけれども、現在ビニール被覆と申しますか、そういったことは行われているのはあの周辺の、いわば被害地域の何%ぐらいでございますか。
  108. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 残念ながら必要面積がどの程度で、それから被覆を完了いたしました面積がどの程度というような数字を把握できておりません。ただ、四十八年から五十八年までの防災の計画で実施してまいりました事業で、ビニール被覆を終えた事業費で申し上げますと、三十億一千万円というものが過去十年間事業費としてビニール被覆に使われているようでございます。
  109. 安倍基雄

    安倍(基)委員 もちろん、降灰の地域がいろいろ変わってきますから、その中で何%というのもなかなか難しいかと思いますけれども、相当灰が降ってひどいという今回の大きな降灰、その降灰があった地域において通常大体どのぐらいの割合で被覆されているかということはおわかりでございますか。
  110. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 正確には把握しておりませんけれども、一番激甚なあの周辺二市二町村ですか、ああいうところでこれから全部被覆するとしたらどの程度事業費がかかるかというようなことを地元に若干電話での問い合わせをいたしたわけでございますけれども、これによりますと、二、三百億はかかるんじゃないかというような反応があるようでございます。
  111. 安倍基雄

    安倍(基)委員 長期的にどうするかという問題は後回しにいたしまして、一応降灰につきましてはいろいろ施策をやられているということでございますので、この問題はひとまずおきまして、二番目の問題といたしまして、これからの問題としてどうなるか。どういうことかと申しますと、危険を防止するために、いわば爆発したときの危険と日ごろの危険と二種類我々は考えることができる。これからの方法基本的に考えるときに、さっき公明党の遠藤委員がお話しし、かつ私も実際聞いた桜島町長のお話で、いざというときにみんなが逃げられるようにしなくちゃいけないということはそのとおりでございまして、そのための道路整備ということも、遠藤委員が御質問なさったと同じことを言わねばならぬのでございますけれども、その前に、私の聞いておりますところは、あの火山が大正に大爆発をしたわけでございますけれども、相当以前からその兆候があった。その際に島民が逃げようかと、お上にどうなんだと何度も言うたら、お上を信じろということで何も手を打たなかった。そのときに大爆発が起こってしまった。ですから、お上を信じてはならないというような言い伝えと申しますか、碑が立っていると聞いておりますけれども、現在のいわば科学の発達した現状において、これは気象庁にお聞きしたいのでございますが、学術的に言ってどのぐらい前に予知できるのか、これについてどうお考えになっておるかをお聞きしたいと思います。
  112. 山川宜男

    ○山川説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生が御指摘になりましたような悲しい事実がありましたことは、私も十分承知しておりまして、噴火予知を目指して一生懸命努力しておるところでございます。  現在の火山噴火予知技術のレベルでは、まだ確実な噴火予知は大変難しいとされているわけでございます。しかし、経験的には噴火活動の前に火山性地震とか火山性微動等の異状があらわれることが多うございますので、現在でもそのような異状が認められました場合には、気象官署では臨時火山情報を発表いたしまして防災に役立てていただいているわけでございます。特に、今御指摘のような大正の山腹大噴火のような場合には、二、三日前か一両日前かという時間の特定はまだ難しゅうございますけれども、ただいま申しました火山性地震とか火山性微動のようなもの以外にも、地盤変動等の前兆現象があらわれる可能性が非常に高いと予想されますので、何らかの予告を行って防災に役立てていただけるものと信じております。  現在のところ、桜島につきましては、年数回開かれます噴火予知連で必ず慎重に審議いたしておりまして、現在のところでは地盤変動等の異状も出ておりませんし、またマグマの生成場所とされております地下深部の地震活動等にも異常がございませんので、大正年間の山腹大噴火のような前兆と申しますか兆候は、現在はあらわれていないというのが噴火予知連絡会の見解でございます。
  113. 安倍基雄

    安倍(基)委員 地震のこと、あるいは噴火のことでございますから、そう正確には予知できないのでございましょうけれども、通常の地震なんかと比べますと噴火の場合には、学術的に例えば二十四時間以前とか、いわばタイムスパンと申しますか、その程度の予知はできるかと聞いておりますけれども、その辺はどうでございましょう。
  114. 山川宜男

    ○山川説明員 前例的に考えまして大正大噴火の前には、先生今御指摘のように、二十数時間前から何か異状があったというふうに聞いておりますので、そういう場合には、必ず臨時火山情報その他の予告をいたしたいと思っております。先生も先ほど御指摘になったかと存じますけれども、現在は当時と違いまして、気象庁でも桜島につきましては最も高度な観測体制をしいておりますし、京都大学の方でも桜島観測所で世界有数の観測体制をしいておられますし、私ども、京都大学の桜島観測所とは常日ごろ綿密に連絡をとり合っておりますので、そういう事態がございましたら、必ず何らかの形で予告申し上げまして、防災に役立てていただけると信じております。
  115. 安倍基雄

    安倍(基)委員 緊急時の防災は、やはり先にどのくらい早くわかるかということでございます。これは、関東大震災とかああいう地震の場合にはなかなか難しいのかもしれませんけれども火山爆発の場合にはそれ相応の予知ができるかと思います。でございますから、緊急時に対する予防といたしましては、まず第一に、こういった予知に全力を注いでいただきたい。これは国土庁、同じ予算を配分するならば、まず第一に予知に予算を配分すべきじゃないかと思っておりますけれども、いかがでございますか。
  116. 田中暁

    田中(暁)政府委員 御指摘のように、火山噴火が予知できるということになりますと、すべての対策をより効果的に行うことができるということでございますから、大変重要であるということは我々も認識いたしております。国土庁といたしましては、予算の取りまとめ等につきまして、そういった観点から予知の推進に資するように努めてまいりたいと考えております。
  117. 安倍基雄

    安倍(基)委員 また、緊急避難道路につきましては、これから整備していくということにつきましても、建設省の御意見はいかがでございますか。
  118. 狩野昇

    ○狩野説明員 避難道路につきましては、直轄国道並びに府県道路合わせまして、現在計画を立てまして推進しているところでございます。五十九年度は、五十八年度に比べまして大幅に予算を増加しまして取り組んでいるところでございます。明年度以降も、できるだけといいますか、全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えております。
  119. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私の現地の支援者の中にも、道路その他について離島振興法並みのいろいろな扱いをしてほしいという意見もございますけれども、この点について国土庁のお答えを承りたいと思います。
  120. 田中暁

    田中(暁)政府委員 地元の気持ちはわかるわけでございますが、御承知のように離島に対します補助率は、離島振興法の規定によりまして、いわば沖縄とか奄美とか、そういった地域を除きましては最も高い補助率になっていることは御承知のとおりでございます。そういった意味で、例えば去年噴火いたしました三宅島というような地域におきましては、避難港に相当します漁港の整備等につきましても桜島の場合よりは高い補助率になっているわけでございます。ただ、桜島につきましても、活動火山対策特別措置法の規定によりまして、降灰除去事業におきます一部の補助率のかき上げ等も行っておりますし、また避難施設整備やあるいは降灰防除施設整備事業のように、ほかではない補助制度を採用いたしたりいたしまして、他の地域に比べますと相当に手厚い助成をやっておるわけでございます。いわば活火山法というのは、極言いたしますと桜島のために設けられたような法律でございますから、当然ではございますが、相応の努力をしていると我々は思っておるわけでございます。今回の異常降灰を契機に、桜島火山対策懇談会の設置等も決めていただいたわけでございますが、今後こういった場におきまして今までの火山対策の見直しというものを進めてまいりたいと思いますので、その場面等におきまして、その補助率の他とのバランス等の問題は検討していただきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  121. 安倍基雄

    安倍(基)委員 続きまして、いわば緊急時以外の災害と申しますか、これが非常な問題でございまして、私も現地を見たのでございますが、大爆発のときもさることながら、通常のときの土石流とかいろいろなものがございます。この点につきまして、随分いろいろの施設をつくったわけでございますけれども、率直に申しますと、いろいろつくってはそれがまた土砂で埋まり、またそれを要するに取り除いてもとに戻すというので、非常に長い間時間がかかって、相当の費用がかかっているということでございますが、この法施行後の事業の累計額、国費、そしてこれからどのくらいかかっていくのかということについての見込み額、これはどうごらんになっているか。これは懇談会で抜本的に考えていかれると思いますけれども、また降灰のいわゆる農業被害をも考えますと、さっきビニールハウスを全部すれば二、三百億かかるという話がございましたけれども、こういった治山治水砂防、そういうところにこれまでかかってきた経費、これからかかる費用、それをどのようにお見積もりになっておられるか、それを聞きたいと思います。
  122. 田中暁

    田中(暁)政府委員 まず、今までにどのくらいの経費を桜島火山対策に費やしてきたかという御質問でございますが、四十八年の七月に活動火山周辺地域における避難施設等の整備等に関する法律が制定されまして、その後五十三年の四月に降灰除去及び降灰防除事業等に対します国庫補助を盛り込みました大改正が行われて、法律名も現在の活動火山対策特別措置法に変わっておるわけでございますが、法律に基づく事業費につきましては、旧法の時代、つまり昭和四十八年度から五十二年度までには約四十三億円でございます。そのうち国費が二十二億円でございますので、年度平均この間では事業費ベースで九億、国費ベースで四億となっております。それから、改正後の五十三年度から五十八年度までの事業費の総額は約三百八十四億円でございまして、そのうち国費が二百四十七億円でございます。したがいまして、年度平均に直しますと、事業費ベースで六十四億、国費ベースで四十一億、こういうように相なるわけでございます。  今後、治山砂防事業あるいは防災営農事業等にどのくらいの経費がかかるかという御質問に対しましては、実は今後桜島火山活動の態様がどういうように変化し、かつどのくらい持続するかという点は、今の科学ではまず見通しが困難でございますので、例えば治山砂防事業等につきましては、現在非常に降灰がひどくなっております山腹からいわば無限に土石流のもとになる岩石が生産されている、こういうことでもございますので、ある程度近い期間にそういった土石流防除事業が不必要になるというようなことは考えられないと思っておる次第でございます。
  123. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私ども視察に行って知事さんとお会いしたときに、幾つかの質問が出ました。私は、これからどのくらいかかるだろうという質問。それはなかなか難しい。優先順位をどうするかという質問が公明党の遠藤委員から出ました。これもなかなかつけづらい。そうすると社会党の田中委員から、この火山活動はどのくらい続くか。これはなかなかそう答えられるわけじゃございませんけれども、しかしこれは非常にある意味からいうとポイントをついた問いでございまして、これから我々は本当に恒久的に物を考えるときに、ただ個々の要望を取り上げていくということだけでいいのかどうか。私が今ここで考えておりますのは、いろいろの要望に対し優先順位をある程度つけていく機能をどこかで持たねばならないのではないか。例えば今のビニール被覆にいたしましても、これは他の地区とのバランスというような形でもって考えていくかどうか。それよりはむしろ、鹿児島地区全体としてそういった方に、農業の方に重点を置くのかあるいはいわば治山治水の方に重点を置くのか、ある程度の選択ということを考えていかないと、まあ要望はするけれどもどのくらいかかるかわからない、要望だけはしてみる。それが縦割りで、農業は農業、建設建設、林野は林野という形で縦割りでいっていいんだろうかという気がするわけでございます。  その意味合いにおきまして、私の一つ考えは、現地鹿児島県、鹿児島市、桜島町、その他周辺の市町村、結局県がまとめると思いますけれども、それがそれぞれの事業に対してある程度の優先順位をつけて、それを国土庁が調整し、その結果を大蔵省と折衝するというような一つのシステムも考えられないのかどうか。これは全く私個人の私見でございますが、この点について、国土庁と大蔵省の御意見を承りたいと思うのでございます。
  124. 田中暁

    田中(暁)政府委員 経費をできるだけ効率的に使用するという意味で、優先の度合いというものを予算等に反映していくという必要性については、今御指摘のとおりであろうと考えるわけでございます。ただ現在でも、活火山法の規定に基づきまして、避難施設防災営農施設等、長期の整備計画をつくって、計画的な予算化に努めておるわけでございますが、この計画づくりに当たりましては、数量的に一番、二番というような明確な順位をつけておるわけではございませんが、その事業費等を盛り込みます場合に、どのくらいの優先度があるかということは、その背景に考えながらやってきておるわけでございます。また、毎年度の予算編成時におきまして、国土庁といたしましても関係各省庁の御協力を得まして、桜島火山対策全般につきまして概算要求の状況等について把握をいたして、いろいろ御助言等をさせていただいておるわけでございますが、この際におきましても、我々の頭の中にはその優先の度合いということを当然考えておるわけでございます。  先生の御指摘は、こういった現在やっていることのほかに、さらに強化してもっと明確な優先の順位をつけるように、さらに言いますと、国土庁のその調整機能というものをさらに強化するようにという御趣旨であろうかと承ったわけでございますが、今後とも御趣旨に沿いまして、まあ明確にその順位をつけるということはなかなか難しい面もございますけれども、御趣旨を生かすような方向で今後努力してまいりたいと思います。
  125. 涌井洋治

    ○涌井説明員 予算査定あるいは執行に当たっては、各箇所ごとの緊要度を勘案して配分査定するのが基本でございまして、まさに先生のおっしゃるとおりでございます。  先生の御提案につきましては、これは各省庁の権限に絡む問題でございまして、財政当局としてそのお答えをするのはなかなか難しいのですけれども、ただ基本的には、まさにやはり優先順位というのを設定していくことは大事でございます。そういうことで、これからもそういう趣旨に沿いまして、国土庁あるいは関係省庁と協議して、効率的な予算執行ができるように努めてまいります。
  126. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私が感じましたのは、例えばあれは金床川ですかな、あそこへ行きましたときに、林野庁と建設省でそれぞれのダムや水路をつくっておる。これはどのくらいかかるのかと言ったら、十数億かかるというような答えでございました。その下流の方に民家が大分あるということでございまして、もちろん人命は大切でございますけれども、そういった経費とほかのいわゆる農業関係の経費、そういったのをある程度どれに重点を置くかというようなものを考えていきませんと、これからもしこれが五年も十年も続くということになりますと、現在でこそ被害を見た我々は同情しておるわけでございますけれども、先々になって何のためこれだけの金を——いわゆる砂防と申しますか、灰が降ってくるとダムをつくる、そしてまたそれを取りのける、そういうことを繰り返す。最後には、大爆発が起こったらそれは全部パアになるというようなことについて、長い目で見た場合には非難が起こってくるかもしれない。  私、こういったことを言うことは、選挙民に対しても気の毒なんでございますけれども、しかしこれはどうしても我々は、これだけの財政困難の状況のときに心しなければならないのではないか。その意味合いにおきまして私は、私の全くの個人的な考えでございますけれども、やはり現地がある程度その優先順位を考える。それを国土庁で調整して、この地域全体として何が一番大切か、何が住民の一番の要求であるかということを考えていかないことには、恒久的な対策が立てられないんじゃないかという気がするのでございます。この点についての国土庁長官の御意見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。
  127. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 優先順位の問題ですが、これは一番理想的なのは、その方が一番予算を組む場合においても効率的ではなかろうかと思いますが、しかしながらあの災害状況からいきまして、なかなか順位という問題になりますと、土石流の問題にしてもこれは極めて大事なことですし、また降灰の問題にいたしましてもこれは大変、安倍さん見てこられてあのとおりでありますし、それからやはり災害から人命を守るという面におきましても、避難港であるとかあるいは道路問題、その他いろいろ考えましても、優先順位ということについてその方が一番いいだろうと思いますけれども、なかなか難しいと思います。  そこで総合的に、これを抜本的にひとつ解決をしていきたいということで、懇談会の設置をいたしました。この懇談会は、ただ単に顔合わせだけでなく、ひとつ御意見をちょうだいをしたいという形で、第一回目が十七日、そしてその期間も半年のうちに結論を出してもらいたい、こういう一つの注文をつけて懇談会が開かれていくわけでございますから、やはり抜本的に解決をする必要がある、こういう認識を強く深めておりまして、学識経験者と申しますか、そういう方々に御依頼を申し上げ、特に机上の話だけでなく現地にも赴いていただきたい、またいただいてもらう、こういうような考え方でやっておりますので、どうかひとつその結論が地元の皆さん方の要望に合った、各市町村、県等々の今までの要望に合った、そういった結論が出ることを楽しみにして待っております。
  128. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私の申しておりますのは、その優先順位、非常につけづらいにしても、現地意向を酌みながら、現地はどう選択するか、これはいろいろの人々がおりましょうから、自分が一番大切だというような主張がございましょうけれども、それを大局的に見たときにどうであるかということで、現地意向を酌みながら現地で決めてくる、国土庁はそれをよく検討する、そして全体として大蔵省と折衝するという意味でございますので、誤解のないようにしていただきたいと思います。これは全く私の個人的な意見でございまして、私としては、これが長い目で見た一つ方法であろうかと思うのでございます。  時間も参りましたから、私の質問を終わらせていただきます。
  129. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、中川利三郎君。
  130. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 六月九日付の南日本新聞によりますと、この前日の八日の午前、国会内で鎌田鹿児島知事桜島噴火対策陳情を受けた稻村さんのいろいろなお話が出ておるわけであります。例えて申しますと、「鎌田知事噴火被害のひどさを説明すると、いちいち大きくうなずき「今回はひどい。政府も本腰を入れないと。地震が予知できる時代に、噴火が予知出来ないはずはあるまい。予知体制等も含めて、被害を最小限にとどめる策を考える」と、歯切れのよい発言がポンポン。」と、大変結構であります。「揚げ句は「国土庁は予算を持たないといって、小さくなっていてはいかん。な一に、国土庁は、大蔵とか建設とか農水省とか、金持ちの下請け会社をいっぱい持っているんだよ。こういう時こそ、各省庁の調整役という機能を発揮して、金持ち下請け会社を動かし(被害対策の)事を起こさなくちゃ」と、ボルテージは上がりっぱなし。」と、大変心強い、すばらしい発言を私、拝見いたしましたわけでありまして、同時に、図らずも国土庁の位置づけが大蔵、農水、こういうものを下請にしている元請だという関係まで、私、勉強させていただいたわけでありますが、これが六月八日の話でありまして、その十日後、現地に入りました稻村さんは、予算が足りなければこれから考える、これも大変力強い御発言であったと私は思うわけであります。  そこでお聞きしたいことは、長官から、たくさんある国土庁の金持ち下請会社の中でも特に御指名になった大蔵、建設、農水があるわけでありますが、きょうは大蔵省いませんが、建設、農水に、被害対策の金がなくても事を起こす、その被害対策の事を起こすために今までの対応をやってきていらっしゃると思いますが、特にあの後長官から発注——下請ですから発注になるのでしょうね、発注があったようなことがありましたら、どういうことがあったのか、お聞かせいただきたいと思います。簡単に。
  131. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 その先にお答えをしておきます。  国土庁ができたというその意味は、調整機能の役割を果たす、これが国土庁ができた設立の趣旨であります。この手狭な日本の国、住みやすい環境づくり、潤いの、安らぎのあるそういう均衡ある土地をつくるということが、これがそもそもの国土庁が設立をされた大きな意味であります。(中川(利)委員「そんなことを聞いていないのです、質問に答えていただきたいのですよ」と呼ぶ)多少申し上げておいた方が質問もやりやすい、こういう意味で今申し上げているわけです。  そこで下請、それはどういう意味かわかりませんが、各省庁の調整機能の役割を果たすわけでございますから、これは十分に果たして、そして災害対策に万遺憾なきを期したい、こういうところから発言申し上げておるわけでございまして、国土庁は土建屋じゃないのです。大蔵省には大蔵省としての立場があり、あるいは建設省には建設省としての立場があり、あるいはその他の申し上げておらないところでも、農水あるいはまた気象庁その他数多くの省庁にまたがる災害でございますので、そういう意味から調整機能の役割を果たすということを申し上げておりまして、一つの現象をとらえてそういうふうに、あなたのところで何の下請の指示がありましたか、こう聞かれましても、各省庁はこれに答えることはできません。できるわけがない。  ただ、今ここで調整機能の役割を果たしておりまして、それでは避難道路にはどうするか、あるいは避難対策にはどうするか、これは、災害からとうとい人命を守るというのは第一の災害に対する心構えでございまして、それにはどうするか。これは気象庁その他いろいろなところにかかわりがございまして、その具体的な指示については、これから各省庁話し合いつつ事務当局が今詰めておるさなかでありまして、国土庁長官がこのことについては、このことについてはと、そういう具体的な指示はいたしておりませんし、またそういう具体的な指示をしようとも思っておりません。
  132. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、あなたを元請だとか下請だとか、あなたが言った言葉で今言っているのですよ。南日本新聞がそういうようにあなたの発言を書いているのですよ。それを、あたかも私が握造したかのように言われるということは、大変心外でございます。  同時に、そういうことは答えられるはずがないと、各省庁、あなた勝手に断定しましたが、そういうことでは私だって、国土庁のあり方やその他のことはよくわかっておって質問しているわけでありますから、答えることができない程度のものであるかどうかということも、今はっきりわかったということにして次に質問を移しますけれども、それならば各項目にわたってお聞きしたいと思うのです。  あなたは、予算がなければこれから考える、大変力強い。私、このことを高く評価しておるわけでありますが、特に降灰問題、現地視察の中では降灰除去予算につきまして、あなたは「現行の補助枠にとらわれず、十分に確保する。」現行の補助枠にとらわれず、先ほどの答弁にもそういう意味の発言がございましたね。  それならお聞きしますが、現行の枠にとらわれずに十分に確保するとあなたはおっしゃっているわけですが、ここに鹿児島県の要望書があります。ここには各市町村の要望書がありますが、降灰問題でありますから具体的にお聞きしますと、この県の要望書の中には、例えば降灰除去・防除事業について「市町村道の道路降灰除去及び市街地降灰除去事業補助率を一律に三分の二とされたい。」これはそのとおりになるんですね。建設省、答えてください。
  133. 狩野昇

    ○狩野説明員 ただいまの御質問でございますが、先ほど御答弁を申し上げましたような、補助率の枠につきましては、建設省として現在のところこれを見直す予定はございません。  以上でございます。
  134. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 じゃ、個々で聞きましょう。今あなたは、補助率の枠にとらわれず十分に確保する、こうおっしゃっていましたが、今、例えば降灰除去のこの市町村道の問題についても、それを変えるつもりはないのだということでありますね。違うじゃありませんか。あるいは住民避難対策土石流対策降灰除去・防除、防災営農、軽石流出対策火山ガス対策、いろいろありますが、今回私も現地視察に参加して感じた一番の特徴は、現行の補助枠の改定です。その見直しをしてください。それさえずれば、これはほとんどできることなんです。それが現地要望なんですよ。どの問題もほとんど皆そういうことなんですね。ところが今お話を聞きますと、降灰除去についても各省庁は、各省庁というか今は建設省でありますが、これを見直すつもりはないとおっしゃっていますね。あるいは同じ降灰でも、「県世理の国・県道及び臨港道路についても市町村道の降灰除去事業と同じく補助対象とされたい。」これはどうでしょう、建設省補助対象になるわけですか。
  135. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  道路の維持管理業務につきましては、当該管理者である府県、市町村がこれを実施するという基本でございまして、県管理国道もしくは県道に対する今回の降灰の除去につきましても維持的な業務というふうにみなしておりまして、これを変更するといいますか、補助の対象にするということは考えておりません。
  136. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まずそれが実態なんですね。それで、私なぜこういうことを聞くかというと、稻村さん、あなたは今回現地に行かれて、大変な住民の期待を一身に集めた。言うことも立派でしたからね。私は、それを評価するということを先ほど言いました。ですから、地域の新聞を拝見いたしますと、南日本新聞の六月二十日号ではあなたの来たことについて、あなたの御返事ですよ、実のある返事だった、あなたのいろいろな発言は実のある、心のある返事だった、これは桜島の町長さんの発言です。それから、長官のやる気を感じた、これは福山町長さんの発言。みんながあなたの発言をちゃんとそういうふうに受けとめているわけですね。ところが、今ちょっとした問題を聞くだけでも、これは時間がかかりますから、全部一つ一つ聞くことはできませんけれども、今のようなお答えでは、つまり長官は歌舞伎で言えば六万で花道を踏んだ、見えを切った、しかし実際は中身は何もなかったということであれば、そういう住民の願いや期待を本当に満たすことができないんじゃないだろうか、その心配があるから私はいろいろお聞きしているのであります。  そこで、やはり長官がああいうふうに言明した以上、こうした問題についていろいろな困難はあるけれどもちゃんとやるんだ、また国土庁の役割は調整という役割だということも踏まえて、実際予算を出すのは各省ですからね、余りいい格好だけするのが問題じゃないわけですから、そこら辺も踏まえて、しかし本格的に住民のために手だてを尽くしていただきたい、私はこう思いますので、長官からお願いします。
  137. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 中川さんの質問ですが、私は現地におっても、きょうも申し上げておることは、補助率の枠の問題でなく降灰に対する予算枠の問題であります。それから道路の問題でも、あそこは離島でもありませんし、ただ特別措置法に基づく補助率だけのことでございまして、道路の問題についても補助率をどうするかというのではなく、やはり今緊急に皆さんがお困りの問題は、災害のときに危険を感ずる。それならば道路の問題というのは、なるほどこの目で見てもおくれておる。だから私が申し上げておるのは、決して補助枠問題をとやかく言っているのじゃなく事業量の問題、そういうことから、道路の問題は責任を持って来年度は事業量を拡大をいたします。また、降灰の予算等々の問題についてもこの枠にこだわることなく、補助率の問題等々は法律に決められておることでございますから、私がここでとやかく言う——あなたもこういう点はよく御承知のはずですから、私が申し上げておるのはその予算の枠の問題を申し上げておるわけでございますから、その点でひとつ御理解を賜っておきたい。私は、日の浅いことですから、この前行ってあそこでお約束申し上げたことについては責任を持って解決をする、こういう自信で今各省庁との調整を進めておるわけでございますから、ぜひ中川さん、安心をしてください。
  138. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まあ、それなりにわかりますけれどもね。決して私が、現行の補助枠にとらわれずに十分に確保すると言っているのじゃなく、新聞にあなたの談話として出ているということを言っているのですよ。だから申し上げたわけでありまして、多分それが当たり前の話だと私は思うのですよ。ですから、御安心なさいという話でありますが、でき得べくんば、やはりこの問題の性質によっては補助枠そのものの改定まで本当は熱意を示してやっていただきたいが、そういう念願が皆さんあるからこそこういう表現になったかと思うのですね。その辺も酌んであげていただければありがたいと思うのです。  それでは次に移りまして、降灰対策についてお伺いいたしたいと思います。  その一つは、降灰による水の問題です。特に水道料、下水道料金の問題ですが、もうもうと立ち込める灰を静めるためにはもう水をまくしか自衛手段はないわけでありまして、六月十二日の南日本新聞によりますと、水に困っている住民の声が出ているのですね。例えば小園隆夫さん、三十九歳、ガソリンスタンド経常。「営業中は蛇口を開けっぱなし。灰神楽の中では逆効果だが、洗車を望む客が殺到し、かねての四、五倍の量を連日使った。国の助成で水道料だけでも安くならないだろうか。」田辺隆雄さん、三十七歳、眼鏡店。「付着した灰をふけば眼鏡のレンズに傷がつく。商品を守るため店の前へホースで水をまきっぱなしだった。ふだん水の要らない商売だけに、ドカ灰が面繋した三日間でいつもの三カ月分ほど使うク”水商売”。夏だけでも料金値下げに踏み切ってほしい。」藤崎朋子さん、二十八歳、主婦。「灰まみれで帰る営業マンの主人と二歳の長女に毎日ふろが欠かせなかった。玄関の水まき、洗濯、ふき掃除も増え、水道料にどれだけはね返るか心配。九月からの料金値上げがいよいよ家計を圧迫しそう。」こう言っているわけでありまして、今もあるとおり、この九月になれば新聞の報道では鹿児島市は水道料金三五%、下水道料金四二%、これが上がるというのですね。私は大変ゆゆしい問題だと思いますが、こういう住民の悲痛な叫びに対しまして何らかの手だてをお考えになっているかどうか、お聞きしたいと思います。
  139. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 水道料金の話でございますけれども、ちょっと担当がいませんのでお答えできないわけでございますけれども水道料金は自治体の関係の話でございますので、私ども厚生省として直接お答えできる問題ではないというふうにしか申し上げられないと思います。
  140. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私、きのう、水の問題をやるからと、ちゃんと厚生省の皆さんの代理に来た人にしゃべっておきました。同時に、水の問題は市町村の問題だとおっしゃるけれども、だれも市町村にかわって国がやってくれということを言っているのではないのですよ。国が、何ぼか値段が上がっている分を措置する手だてを尽くすことは当然考えてもいいではないか、そこら辺について保障してもいいではないか、こういうことでお伺いしているわけですね。どうですか。
  141. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 それでは、はっきりお答えをするということは無理かもしれませんが、まず、国務大臣という立場からお答えを申し上げたい。  大体、そもそも離島というのは水が不足しておる、道路が悪い、半島も同じことでございますが、そういう意味で、やはりおいしい水、良質な水を供給するということで、相当困難をしておられるということはよくわかっております。  今、料金問題ですから、これは公益の関係でございますから、よく県当局と連絡、打ち合わせをいたしまして、特にああいう大変災害の多い、不幸な地に住んでおられるわけでございますから、そこだけ何とか、また中川さんに言質をとられるとまずいですが、何とかひとつ特別な方法でサービスができないものだろうか、こういうふうにして調整をしてみたいというふうに思っております。
  142. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 別に言質はとりませんよ。心配しないでお答えください。意のあるところを率直に今そういうことを承って、私は非常に力強いものを感じた。  特に私は、低所得者、生活保護者はこの水道料、下水道料、これは相当の痛手になると思うのですね。かかり増しになると思うのですね。では、生活保護費の中の住宅維持費というものがございまして、それで雪囲いの費用、雪おろしができるようになっているのですよ。これは、生活保護基準からいってもそれはできるのですよ。ですから、今長官のそういう御答弁もありましたからあれですけれども、この問題は、ただ一般的に、例えばA級、B級とかいうものが生活保護基準の中にございますけれども、その中に水道料が一定のものが含まれているということではなくて、これは災害によるかかり増しの分でございますから、また、雪は一年に一回災害を起こすとしても、こっちは、風向きによって違うかもわかりませんが、三百六十五日それに苦しめられている。ある人に言わせますと、これは緩慢なる殺人だとさえ言う人がいるのですが、そういう点では当然保護基準で、そういう雪の場合もやられているわけでありますから、当然生活保護者、低所得者に対するお考えをいただけると思うのですけれども、この点、いかがでございましょうか。
  143. 清水康之

    ○清水説明員 お答えをいたします。  先生御案内のとおり、現在の生活保護行政において保障しております最低生活保障水準といいますのは、かつてのように個々の経費を積み上げて、いわるゆるマーケットバスケット方式でつくっておるわけではございませんで、一般国民の消費水準との比較において相対的なものとして算定をしているわけでございまして、個々具体的に、水道料金が大変余計かかったからその分を積み増しをするというふうなことは、それを生活保護行政の中でやっていくということは大変困難であろうというふうに思っております。  現在の鹿児島市における標準四人世帯の基準生活費、大体十四万円ぐらいになっておりますので、私どもは、その中である程度弾力的に対応できるのではないかと思っております。ただ、先ほど雪おろし費用との関係が御指摘がございましたけれども、これは先生御案内のとおり住宅維持費として、雪おろしをしませんと家がつぶれるおそれがある、損壊するというようなこともありまして、いわば事前の住宅維持補修費的な考え方でこれの支給を認めているわけでございまして、御指摘の降灰の場合とはちょっと事情が異なるのではないかというふうに考えております。もちろん、もし雨どい等が非常に詰まりまして、その雨どい等をいわば入れかえなければいかぬというようなことでございますれば、それは個々の事情によって対応できるのではないかというふうに考えております。
  144. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 桜島降灰のあの被害の実態というのは、水の問題も含めてですが、やはり特殊なんですね。特殊なものは特殊な対応をするのがやはり政治だと思うのですね。それを、豪雪では当然それは生活保護基準の中に該当しているけれども、これはそれに当たらないというようなことは、一つの特殊的な要件として認める、そういう積極的な考え方がなければいけないと思うのですよ。そういう点で、先ほどの長官の御答弁もありましたから、私はいずれしかるべく検討していただけるものだと思いまして、次の方に移らしていただきます。  これは提案でございますけれども、長官に聞いていただきたいのですが、全戸が灰に覆われているわけですね、桜島の場合は。いっときも放置できないで、降灰除去対策を必死にやっているわけであります。こういうひどい状況のときは、災害救助法の適用を考えてはどうかということなんです。なぜかといいますと、例えば救助法では床上浸水あるいは堆積土砂とか豪雪、そういう場合に適用できるようになっているわけですね。そこで、例えば、お聞きになっていただきたいのですが、水害の場合、三戸以上の床上浸水があった場合一月は滅失扱い、これはもう流れたという扱いになるのですよ、今の法では。それで、何戸以上滅失したからといって救助法の対象にさせているのが現行のやり方なんですよ。桜島の場合、全戸やられているのです。これは当然、災害救助法のしかるべき運用を強化してやるべきだと私は考えますが、いかがですか。
  145. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 厚生省の関係でございますので、私の方からお答えさせていただきます。  御承知のように災害救助法は、災害発生いたしまして社会的な混乱が起きまして、その結果、個人の基本的な生活が侵されるというふうなときに適用されるわけでございます。したがいまして、その適用の基準といたしましては、通常の場合、先生先ほどお話ありましたように、人口と住家の滅失の戸数、この辺をメルクマールといたしまして基準を定めているわけでございます。しかし、住家の被害がなくても、直接多数の生命、身体に影響を与えるというふうな場合もございますので、一つの適用の基準といたしまして、一般条項でございますけれども、多数の者が生命または身体に危害を受け、または危害を受けるおそれがある、こういう場合につきましても災害救助法の適用ができるというふうにしているわけでございます。  先ほどお話がございましたように、豪雪の場合は、家屋が豪雪によりまして倒れて、その結果、人の命とか、体に危険があるというふうな場合につきまして災害救助法を適用してきているわけでございます。この基準を桜島噴火による降灰に当てはめて考えてみますと、まだそのような人命とか体に直接の影響があるというふうな事態ではないというふうに判断しておりまして、現段階では災害救助法の適用というのは無理ではないかというふうに私ども考えておりますし、鹿児島県とも連絡をとっておりますが、鹿児島県庁も同じような考え方をとっているわけでございます。今後とも県庁ともよく連絡をとりまして、万一の場合には適切な対応がとれますように十分配意してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  146. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、本当は詰めたいのですけれども、詰める時間がなくて残念でございます。  いずれにしても、災害を受けて個人生活が侵される、そういう場合に適用されるのが今の災害救助法なんですね。しかも、さっきも私言いましたように、実際床上浸水であっても家が流れたのではないのですよ。滅失したわけではないのですよ。しかし、三戸以上床上浸水があったときは一戸が滅失したという応用問題でちゃんと勘定してくれるのですよ。この桜島の場合、機械的、画一的にこうだからだめなんだということは、やはり法の運用としてはいかがかと思うのですね。そういう点で、私は当然この点は検討してしかるべきものだ、こういうことを重ねて申し上げまして、次に進ませていただきたいと思うのです。  次はクーラーの問題でありますが、灰のため各家庭は窓を閉め切るために、クーラーは今や市民の必需品になっていると思うのです。しかし、生活保護ではぜいたく品としてまだ認められておらないわけであります。現地の特殊な状況からいたしまして、実態に見合った考え方で対処する必要があるのではないかということですね。全国生活と健康を守る会連合会、全生連などでは、中古品でもいいからクーラーを認めてくれるよう何とかできないかということは切実な要望になっているのですね。こういう点についていかにお考えいただいているか、お答えいただきたいと思うのです。
  147. 清水康之

    ○清水説明員 お答えをいたします。  生活保護において保有を認められております生活用品といいます。その範囲は、先生御案内のとおり、時代の推移とともに少しずつ拡大をしてきているわけでございますけれども、現在保有を認めるかどうかという判断の基準は、あくまでも当該地域の一般世帯との間で均衡を失することにならないかどうかということを判断の基準にしているわけでございます。残念ながら、鹿児島県下あるいは降灰防除地域として指定されている二市三町におけるルームクーラーの普及状況ということの詳しいデータはないわけでございますけれども、経済企画庁が過去にやりました消費動向調査等によると、大体三〇—四〇%くらいというのが沖縄、九州各県の状況ではないかという数字がございます。私ども鹿児島市内においてはこれよりは多少高いかとは推計をしておりますけれども、まだ完全にこれが一般世帯に行き渡っているというふうに断定することはできないのではないかというふうに考えております。したがって、現在の段階では一般世帯との均衡上、保護世帯に積極的にクーラーの保有を認めることはやはり難しいと考えております。
  148. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 確かに、普及率が七〇%以上という一定の、要件があるはずですね。そのことは私はわかっているのですが、普及率で見るのか、生きるために、暮らすためにこれが絶対に必要な要件なんだ、こういう形で認識するのかの違いだけだと思うのですね。それがなければ実際生活できないのですよ。それをいつも普及率の方で考えていらっしゃるということは、こういうことであればいつまでたってもそういう状況にならない。特に私が申し上げたいのは、現在ぜいたく品だということで、例えばどうしても困るからあるお宅では生活保護を受けながらクーラーを無理して買ったのです。ところがそのクーラーを売りなさい、その売ったお金でさしあたっての暮らしをしなさい、これが今の指導なんですよ。こういうことは余りにも実態を見ないやり方であり、これ自体政府考え方の反映だと思うのです。  そういうことで、市民感情があるから、決して全部新しいクーラーを皆さんやるようにということを私言っているんじゃないんですよ。やはり実態に即して、せめて中古品でも何とかやるような配慮ができないだろうかということなんですね。そういう点で、全生連という大衆団体では何回か厚生省交渉をしたそうでありますが、県と市が認めてくれさえずればいいのだ、問題は県と市だというふうに私お伺いしているわけでありますが、この点はいかがですか。
  149. 清水康之

    ○清水説明員 お答えをいたします。  先生御案内のとおり、今鹿児島県あるいは鹿児島市の保護率というのは保護人員にして大体千分の二十、二%程度ということでございますので、この二%程度の保護世帯に全員クーラーがついて、ほかの一般の世帯の方につかないという形にもしなりますといろいろな問題も出てくると思いますので、なかなか難しい問題だと思っておりますが、ただ七〇%という目安の判断につきましては、必ずしも市町村単位というふうなことを画一的に言っているわけではございませんで、降灰量自体も同じ降灰防除地域におきましても、地区によって相当の差があるというふうなことも聞いております。したがいまして、判断基準の適用に当たりましては、多様な地区の実態が反映されるように関係の県、市町村とも十分相談しながら、個別、具体の運用に当たっては誤りのないようにしていきたいと思います。  せっかく中古品でもという御指摘もございましたので、県、市とも実情を伺いながらよく相談し、指導してまいりたいというように考えております。
  150. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 どうかひとつ、前向きにやっていただきたいと思うのです。  それから五十三年施行の特別措置法、ちょっとそれは省略します。  公営住宅関係の窓枠サッシのことでお伺いしたいのでありますが、現在公立の学校だとか福祉施設の窓枠のサッシ化が降灰対策の中へ組み入れられているわけでありますけれども、公営住宅のサッシ化、この点はぜひやっていただきたいということは、私がお聞きした現地からの切なる願いでありました。これはいかがでしょうか。簡単にお答えいただければありがたいと思います。
  151. 蓑原敬

    ○蓑原説明員 お答えをいたします。  桜島噴火によります灰の被害を受けております区域の中にある公営住宅のうち、木製サッシのものは約六千百戸ほどございましたが、既に千八百戸ほどはアルミサッシにかわっております。残りの約四千三百戸につきましても、逐次、一部建てかえを予定しておりますものは建てかえ時に、その他のものにつきましてもできるだけ早く計画的にアルミサッシヘの取りかえを行うよう、現に事業主体でも行っておりますし、私ども関係の地方公共団体を指導してまいりたい、こんなふうに思っております。
  152. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 それから一番大事なことですが、健康対策についてお伺いしたいと思います。  政府は、火山灰による健康の影響について、被害を及ぼさないとかあるいは特異な疾病は現在発生しておらないとか、国会でもこういう答弁をしているわけでありますが、五十七年十一月、国土庁がまとめました火山ガス等に関する調査報告書、これに対してどのような認識と評価を持っているのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
  153. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 桜島火山ガス等による健康に対する影響につきましては、その従来の調査研究結果を踏まえまして、現地における健康影響監視事業整備に努めておりまして、地域住民の健康状態等を継続的に観察いたしております。現段階において、火山ガスによる顕著な健康被害発生は起こってはおりませんが、火山活動が活発化していることにもかんがみまして県と一層緊密に連絡をとってまいりたい、かように考えております。
  154. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 監視事業、そんなことでいいのかどうかということですね。監視じゃどうにもならないことは、この報告書にはっきり書いてある。もともとこの報告書は、十分な準備の中でなされたものじゃない。そういうものでありながら何を書いているかといいますと、例えば学童の疾病です。学童の有病率は、「喘息について桜島より遠くへ行くにつれて漸減傾向を示している。」と書いてあるのですね。あるいは呼吸器疾患による死亡率、これには「喘息、気管支炎、急性気管支炎、肺気腫、肺炎の五疾患を含む非特異的な呼吸器疾患による死因については、年次別死亡率と桜島からの距離、爆発回数とに正相関がみられた。」正しい相関関係が見られたと書いてある。あなた方は大したことはないと言っておきながら、こう書いてある。  それから胸部エックス線による異常所見、胸のエックス線による異常所見ですね。これによりますと、「異常所見について四地区の比較を行うと降灰地区と対照地区に有意差が認められ、降灰地区にはX線異常所見者が多いことを疑わせた。」この四地区というのは桜島、溝辺、垂水、それと例えば大浦という灰の降らない地域、そういう比較の中での検討ですね。それから呼吸器自覚症状調査、これによりますと、「慢性気管支炎等の主症状である持続性の「せき」「たん」の有症率は各地域とも」云々と書いてありまして、症状に関する項目全体を通じて応答率は、串良町、これは微粒子が拡散されておる。桜島町、これは降灰のところです。大浦町、これは灰が降らないところですね。その順に高い傾向が見られた。  ずっとこういうものを書いてありまして、全然まだ何にもないんだ、そういうことではないし、同時に、総括の中でさえも、あなたは先ほど何か大したことはないというような、総括の前段の方でちょっとお話しになりましたけれども、その中でさえもこう言っているのですよ。「今後解明されるべき緊急課題として火山灰中のミクロン粒径粒子の粒度分布が早く明らかにされるべきである。」「もっと広範囲にわたって桜島噴出物の移流・拡散状況について把握することは重要かつ緊急課題である。」こういうことがはっきり書いてあるのですね。あるいは疫学的な方法論の検討、また桜島以外の要素に基づいた、要素を取り除いた統計的な処理に耐える検査が必要だともここに書いてあるのですよ。ですから、あなた方はこのような重大な問題についてほとんど対応がなされておらない、単なる監視だ、その監視ということで今どういうことが起こっているかということを申し上げたいのです。  例えば鹿児島県では、五十三年度から五年間、総額一千四百六十万円かけて健康診断事業をやったんですよ。ところが、五十八年度は約百三十八万円で自覚症状を自分で記入させる、そういう監視事業事業を縮小しているということなんです。全く国土庁調査そのものとも相反するような、そういうことがいいのかどうかということよりも、国の責任としてこれだけのことが内容的に書かれてありながら、今のような対応で済むと思うのかどうかということ、同時に、これはやはり直していかなければならないと思いますので、その辺についてのお答えをいただきたいと思うのです。
  155. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 今御指摘の種々の調査についての結果が検討されておるわけでございますが、それらの総括として結論が出されておりまして、その結論といたしましては、火山ガス等による重篤な急性影響というものはないが、軽微な急性影響、先ほど先生が御指摘の点等があるわけでございますが、これらにつきまして継続的な健康診断でありますとか微粒子の測定でありますとか、こういうようなモニタリングを進める、そして、それらの結果について県と十分連絡をとりながら内容を検討していくというようなことでございます。
  156. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そんな答弁にならないような答弁をしていつも済ませているところに、今問題が起こっているということですよ。この点を重ねて申し上げまして、私の質問を終わります。
  157. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、上西和郎君。
  158. 上西和郎

    上西委員 まず質問の冒頭に、私は大臣初め関係委員の皆さん方、各省庁の皆さん方に、心から御礼を申し上げたいと思います。  それは、過ぐる四月十二日、本委員会で新人として初めて質問に立った私が、桜島の窮状を訴え、ぜひ現地を見ていただきたい、このことを心からお願いをいたしまして、結果として、このような一新人にすぎない私の御要望を受け入れていただき、大臣みずから現地に飛び、本委員会も全党を挙げて現地調査を行っていただいて、関係住民はすがりつくような目で私たちを迎えてくれましたが、あのまなざしを思い起こしながら、この場をかりて心から厚く御礼を申し上げたいと思います。そうして、改めまして現地の皆さん方の御要望、現に私が、長年居住しておった体験等を踏まえ、短い時間でありますが若干の御質問を申し上げ、一層の善処、対策の迅速なる処理、こうしたことをお願いを申し上げたいと思うのであります。  そういった前提で、まず、せっかく足を運んでいただきました大臣御自身、どのような決意、姿勢で今後桜島降灰対策に対処されようとするか、このことをまず基本的にお野ねをしたいと思います。
  159. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 上西さんからよく聞いておりましたが、まあ行かないさきは、さほどというわけじゃありませんが、これはやはり大変なんだろうなという感じを持っておりました。そこであの噴火ですね。最近にない大噴火ということで被害が大きいという形で、上西さんの意見等々もあり、現地にお伺いさせていただきました。やはり想像以上というか、言葉で言いあらわせない惨事である、私はこういうふうに受けとめております。  そんな意味から、何かやることあるだろう、何かないか、こういうふうに、現地の所長であるとかいろいろな担当者について、いかなる協力でも私は惜しまないから、こういうことをやってくれ、ああいうことをやってくれということでもっと具体的に話をしてくれないか、こういうことで随分お願いを申し上げたわけでございますが、一番重要な地点の、噴火のおそれがある、そういう関係から入ってはならぬという地域が指定されております。そういう意味で、なかなか対策は難しいと思いますけれども、難しい難しい、こういうことでいきますと、やはり島民の皆さん方の不安が募るばかりである、こういった関係から、とりあえずは予算で処置できるものは予算で、しかしながら、恒久的にこれを予知する方法研究する必要がある。例えば、いつの何時何十分に今までと違った噴火でありますから注意をしてください、その注意の情報の機能というか、こういったものもやはり各省庁分けて、防災に対するそういった非常的な問題はどういう形か各家庭に——あの災害状況を見まして、私は、各家庭にどういう形で伝えるかというこの研究というか情報システムというか、この問題をやはり研究していく必要がある。  特に、あの強烈な勢いで流れてくる流石の問題についてどういう防災というか、これをとめる対策堰堤等々をどういうふうな形でつくり上げていった方がいいのか、こういった問題も考えなければなりませんし、特にああいうふうにして起きるわけですから、いつ何時人命が失われないとも限らない。そういう人命尊重の意味から、避難道路であるとかあるいはまた避難港であるとか、そういった問題等々も早急に考えなければいかぬという形で、先ほど来も申し上げました予算等々の問題につきましては、今補助率とか何かになりますと法律がありまして、まあ、あそこは離島でもなければ、ただ火山対策の特別措置法に守られているということだけでありまして、そうすればどういう形でこの対策考えなければならぬかという形から、この前も現地で発表いたしましたが懇談会をつくる、学識経験者による懇談会。  そこで、この懇談会もただ単なる顔合わせ興行でなく、具体的にひとつテーマを決めて、それも大体懇談会とかあるいは審議会というものは相当長時間かけるものでございますが、これは長時間をかけない、最大限六カ月以内に結論を出してもらう。そんな意味から、机上のお話も討論も大事であるけれども、やはり各先生方現地に入ってもらって現地で見てもらうと、これがまた考え方が一変するだろう。それで、その期間内に現地にも一堂に会するか、あるいは二回に分けた方がいいのか、こういったことはこれから決めていただくわけでありますが、現地にもお入り願う、こういう形で結論を出していきたい。その結論はどういう結論が出るか、これは私は想像もしておりませんが、何はともあれ災害から人命を守る、しかもそういったことが先に予知される、それについての対策をどう考えるか、あるいはまた現在、きょうまでの被害状況についてどういう対策をしたならばいいのか。現地で申し上げたように、一歩でも前進をしたものを打ち立てたいというのは、ここに真意があるわけでございます。
  160. 上西和郎

    上西委員 大変力弧い大臣のお答えをいただきました。その精神をしっかりと踏まえながら、以下具体的なことについて若干の質問を申し上げたいと思うのです。  ただいま大臣も強調されましたが、桜島国県道は一朝事あれば当然避難道路に変わるわけであります。しかし、現地をごらんになった方々もお気づきのように、とりわけ鹿児島市東桜島地区の有村部落のところのカーブ、これは大変な難所でして、終戦後一貫してここは改良拡幅が行われておりません。一方大隅半島に入りますと、大変有力な政治家の方がおられまして、道路は非常によくなるのであります。なぜ鹿児島一区が悪いのかというのが常々住民の声となっておりますが、この辺に重点的な改良拡幅の予算をつける、こうしたことについて建設省いかがお考えなのか。これが一つ。  もう一つは、持木、野尻、古里、相次いで土石流発生しております。土石流発生しますと橋梁を越えるときもある。だから避難道路の機能を喪失する。こうしたことについて現地では桜島の町長が特に橋のかけかえ、道路の別なバイパスといいますか、そうしたことが考えられぬか、首長として住民の生命を預かる者として切々たる訴えもあったのでありますが、この二点について建設省のお考えをお聞きしたいと思うのであります。
  161. 岡田哲夫

    岡田説明員 第一番目の鹿児島市の道路網の問題でございますが、これについても今後いろいろ調査検討をしてまいりまして、促進に努力したいと存じます。  二番目の具体的な野尻地区等の問題でございますが、二百二十四号につきましては、桜島町の横山から赤水、この区間につきましては、活動火山対策特別措置法に基づく知事の作成した避難施設緊急整備計画としてもう既に整備済みでございます。さらに持木地区有村地区についても、河川改修と関連するということで事業を鋭意進めているわけでございますが、野尻の地区につきましてはこれまで土砂流が流れてきておったわけですけれども、この一、二年急激にその量がふえてまいった、こういうことがございまして、これまで砂防土石也除くとかいろいろな砂防計画をやってまいったわけでございますが、最近の火山活動とその土石流出回数等にかんがみまして、もう一度計画を見直す必要があるのじゃないか、こういうことになったわけでございます。  それで、現在橋がかかっておりますけれども、この橋は高さがやや低うございます。ただ、野尻川も天井川でございますので、橋を高く上げますと今度それの取りつけの道路の勾配が非常にきつくなって、車の運行上にも問題が出る。こういう天井川であるということで、土石流を流すために橋を上げるということと取りつけ勾配をなるべく抑えたい、こういう兼ね合いの問題がございまして、現在どのぐらいの高さにするかということをまだ決めかねております。そういう調査を今鋭意やっております。そういうことで、私ども現地を督励しましてそういう橋梁計画を早急に策定する、その後で事業にかかってまいりたい、そういうふうに考えております。
  162. 上西和郎

    上西委員 早急にということが大臣がおっしゃった六カ月程度に短縮されて、やはり建設省も事を急いでいただくようにお願いをし、次に移らしていただきます。  次は、降灰の除去対策です。もうお手元に差し上げております地元の新聞のスクラップでおわかりと思いますけれども、ロードスイーパーが本当にもう何キロか走ったら満タンになって灰を捨てに行かなければならぬ、こういう異常どか灰というのがことしの二月垂水市を襲いまして、六月には鹿児島市を襲った。こういう現状の中で、現在のロードスイーパーを集中管理、効率運用ということはできないのか、これが基本的にあるのであります。先ほど来、補助率その他はあります、国がどんどん買ってやってほしいということもありますが、当面それがマイナスシーリングその他で難しければ、手持ちの機材を有効に集中管理をし、そして効率利用する。  というのは、私、実は二十五日に鹿児島にまだおりまして、ちょっと鹿児島市に用事があって行きました。流しのタクシーに乗りましたら運転手さんが、いや、あなた方見てくれたそうだが、三号線は灰除いてませんよと言われた。一発でした。国道三号線の伊敷、昔の四十五連隊の演習地があったあたりの方の灰が除去されていない、こういうふうにタクシーの運転手さんが言うわけです。鹿児島市のメーンの道路が、降灰除去が進んでいない。一体、建設省は何をしているんだと責めたくはありません、持っている機能をフル回転されても不可能などか灰だと私理解するから。しかし、それならそれでもっと対策の立てようがあるのじゃないでしょうか。  そうしたことについて、先ほど貸与制度とかというお言葉もあったようでありますが、この貸与制度は緊急事態に対応できるのかどうか、その内容を含めてのお考え対策について一点お尋ねをしたいし、あわせまして、県その他に管理を委任している国県道等の除去について、助成対象、補助金の対象になっていない。こういうことは、私たち行政の素人から見ると納得できぬことなんです。この点についてのどうしてもできないのか、このことについて御見解をお示しいただきたい。  あわせまして、これは農水省の関係でありますが、四月十二日にお願いした農道の降灰除去、これを一刻も早くやはり対象にしていただきたいと思いますが、その辺のお考え、これら三点についてお答えいただきたいと思います。
  163. 渡辺和夫

    ○渡辺説明員 お答え申し上げます。  第一点目の機械の有効活用ということでございますが、御指摘のとおりシーズンによって灰の降り方が違うということで、それを機械を回して有効に使ったらどうかという御指摘だと思います。これにつきましては、現在地元でそういう話し合いが持たれておるということを聞いております。また現に垂水市の機械を、夏場に鹿児島市に持ってきて運用していると聞いております。  それから二番目の御指摘の、活動火山対策特別措置法によってどうして県に補助ができないかということにつきましては、対象が市町村ということに法律がなっておりますので、県には補助が難しいということでございます。
  164. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 農道の降灰除去につきましては、第一次から第三次までの防災営農施設整備計画等の中には入っておりませんで、これは過去、農道の降灰については致命的な問題がなかったということと、それから緊要度においてほかの事業の方がより高いというようなことで、今まで入っておりませんでした。それから、先般四月にうちで承認いたしました第四次の新しい三年の計画におきましても、農道の降灰の除去については入っていないわけでございます。しかし、先ほど来指摘がありますように、今回といいますか、ことしの降灰状況というのは非常に深刻なようでございますので、地元からの御意見もいろいろと聞いてみまして、これから鹿児島県とも十分相談をいたしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  165. 上西和郎

    上西委員 お願いしておきます。せっかく本省のすばらしい情報能力を持っておられるのに、聞いておりますじゃ合点がいかぬです。やっております、やっておりません、いかに新人であってもこういうことを明確にお答えいただきたい、このことを強く要望しておきます。  農道の降灰の除去については強い要望があるのです。ところが、今度要望書をなぜ出さないのかと県当局に聞いたら、過去にやっていないものだから、どの市町も、農道のことについては実績を確認していないので、恐れ多くてお上にお願いできなかった、こうなるのです。ですから、農水省はそのことをしっかりと踏まえて一刻も早く実現していただきたい、このことをお願いしておきます。  引き続き、防災営農について三点にわたってお尋ねいたします。  事業費の枠拡大、これは既に諸先輩の方々からも御質問がありましたが、これはどうしても不可能なのか。第二点は、ビニールの張りかえはどうしても認められないのか。硬質その他研究とかいろいろおっしゃいますが、それが実現するまで農家は目をつぶって泣けと言うのかと僕は訴えたいのです。農家は苦しんでいる。文字どおり、農業は壊滅的打撃を受けている。それなのに補助金の支給要項は云々ということで、農林水産省は補助金の支給要項を守るのか、農業を守るのか、私は農水省の基本的な姿勢を問いたいのであります。トンネルハウスしかり、このことについて明確にお答えいただきたいと思います。
  166. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 まず、防災営農対策事業事業費の枠でございますけれども、これは先般来お答えいたしておりますように、四月二十日に県とも相談いたしまして、三年間の枠をスタートさせたばかりでございます。そういう中で、マイナスシーリングというような厳しい予算ではございましたけれども、五十九年度予算につきましては前年同のものを確保できましたし、それから、そろそろ六十年度の予算要求という形になっておるわけでございますけれども、あるいは前年以上に厳しい予算編成環境かもわかりませんけれども、我々といたしましては、最大限の努力はしてみたいと考えておるわけでございます。  それから、ビニールについてでございますが、これにつきましては、どれを優先し、どれを補助対象にするかということの議論を従来からうちも内部で重ねてきておるわけでございますけれども、残念ながら個人施設で、しかも一般の被覆適性しかないビニールを、今直ちに補助対象にするということはなかなか難しかろう。できるだけ営農の安定ということも考えまして、より強い、より良質のビニールフィルムができればそれにこしたことはございませんし、そういう新しいものが入る段でございますれば、いろいろ補助に取り組むということも可能と思いますので、一日も早くそういうことが到来することを我々としてもこいねがっておるわけでございます。  それから、トンネルにつきましては、これも従来は個人的な施設であるというようなことで補助対象にしてきませんでしたけれども、地域の実情に応じて、共同でそういうものをつくって営農の確立をするというような動きも若干あるようでございます。補助金でございますから、団地化要件でございますとか、こういうことはこれから若干検討させていただきたいと思いますけれども、前向きに検討させていただきたいと思います。
  167. 上西和郎

    上西委員 審議官、念を押しますが、ただいまのお答えは、山村新治郎農林水産大臣も含めて協議の結果のお答えでありますか。
  168. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 もちろん、農林水産省審議官としての答弁でございます。
  169. 上西和郎

    上西委員 私の方は質問の内容を事前に予告しておりますから、その今のお答えは、大臣も承知の上のお答えかと念を押しているのです。
  170. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 農林水産省としての答弁として聞いていただきたいと思います。
  171. 上西和郎

    上西委員 それじゃ、念を押しておきます。  二十日の夜九時前に九段の宿舎に、私はいつも電車ですから、歩いて帰りましたら、ちょうど私が着いたところに黒塗りの車が着きました。おりてこられたのが有名なる、男山村新治郎農林大臣。秘書官、SP同行でありました。米で大変でしようと、私は農林水産委員ですから、御同情申し上げました。そしていろいろ話しておって、私、あしたから桜島へ行きますと言ったら、大臣が、新人の私の手をしっかり向こうから握られて、私は桜島をよく知っております、大変です、ぜひよく見てきて、御要望があればどんどんおっしゃってください、できるだけのことをすると明確におっしゃったのであります。私は、当選したばかりの新人でございますが、大臣の持つ力とその威力というものは十二分に承知しております。その山村大臣があれだけおっしゃったにもかかわらず、余り前向きに進んでいないお答えなので、念を押したのであります。いやしくも農林水産大臣と、いかに新人とはいえ一代議士とが、約束したと言ってはおかしいですが、確約をした。私は、そのことを非常に力強く思って、現地に参りましたから、このことを申し上げ、今のお答えがもっと具体的に一日も早く実現をするように審議官、特にお願いをしておきたいと思います。  次は、軽石対策。水産庁と建設省内で微妙な食い違いがあるというのが、現地砲見ての私の印象でありました。牛根の漁協に行った。漁協長が訴えた。建設省がダムをつくって軽石をとめてくれたのはいいけれども、天日でかんかん照りで水分がなくなったところへ、だっと来て流れ込む。そうすると、普通なら一週間か十日で沈んでしまうのに水分がゼロになっているから一カ月間浮遊するんだということで、建設省の出先の責任者の方が色をなしてやりとりをするという一場面がありました。私は、縦割り行政の欠陥云々とおこがましいことは申し上げません。しかし、軽石で苦しんでいるのは漁民の方々であります。水産庁もせっかく二年間軽石の漂流の追跡調査をされているようでありますが、この辺の処理は建設省の責任なのか、水産庁がやらなければならぬのかということを含めて、具体的な対策についてお答えいただきたいと思います。
  172. 山添健一

    ○山添説明員 海に流れ出しました軽石を、海上でもって完全に処理することは非常に困難でございます。ただ、漁業に影響が出ている、漁民が困っているということでございますので、当面の措置としましては私どもの方で対応するというように考えております。
  173. 上西和郎

    上西委員 限られた時間でありますから、先ほど来お答えがあった、当面オイルフェンス的なものでも何でもいい、何かやってほしいという切なる漁民の要望にこたえて、水産庁が早急な応急措置をされることをお願いをして、次は健康管理の問題です。  先ほど来お話が出ておりますが、桜島周辺地区の住民の中に今出てきているのは、このままこんな異常どか灰が続けば、じん肺患者が出てくるのではないか。けい肺病ですね。こういう非常に深刻な悩みを持っていることは、厳たる事実であります。したがいまして、これらについて周辺住民の健康診断、がんだとか肺結核だとかいろいろなことをよくやりますが、それとはやや角度の違った、視点の異なった健康診断が必要ではないか、このように考えますが、これらについて関係の厚生省がどのようなお考え対策をお持ちか。あわせまして、次代の日本を背負う児童生徒、学童についてはどうなのか。これは文部省の所管になると思いますが、この二つ、健康管理の問題でお尋ねしたいと思います。
  174. 野崎貞彦

    ○野崎説明員 先ほどお答えしましたところでございますが、従来の調査研究結果に基づきまして、住民もしくは学童の健康診断等を含めましてモニタリングを続けておるところでございます。  なお、今御指摘のじん肺の問題でございますが、従前されました調査研究の中ではじん肺が数例見つかっておりますが、これは明らかな原因があるじん肺であるということで、この火山灰等によるじん肺ではないということが明確にされておりますが、引き続きこれらについては、健康影響監視調査ということで続けてまいりたいと考えております。
  175. 青柳徹

    ○青柳説明員 児童生徒の健康診断の問題につきましては、桜島周辺の地域におきましても、御指摘のとおりそのための特別な健康診断は実施をいたしておりません。ただ、先ほど厚生省の方からお話がございましたように、県の民生部が五十三年度から児童生徒も含めました一般を対象とした桜島降灰健康検診事業、さらに五十八年からは健康影響監視事業というようなものを続けておられるわけでございます。私どもとしましても、こういった民生部門での事業、さらにそれを学校の健康管理の中に生かしていくというような形で地元当局がやっておられる事業につきまして、さらにそれが推進されるように期待すると同時に、今後とも地元との連絡をとりながら、どんなふうな対応が必要なのか、さらに検討をしていきたいと思っております。
  176. 上西和郎

    上西委員 引き続きまして、教育関係で三点お尋ねしたいのです。  一つは、小中高校は窓枠サッシの取りかえなどを認められておりますね。ところが、垂水市や福山町に独立してできている学校給食センターはその対象外になっておる。こんなばかな話はないでしょう。子供たちが食べる学校給食をつくる施設補助対象でない。まさにお役所仕事の典型ではないか。このことは直ちに改善をし、対象にしていただきたいと思いますが、これをまず第一にお尋ねします。  第二は、既設の地区公民館も対象外なんですね。新しくつくるものは皆認めていこう、前からあるやつはだめだ。これなんかも、私みたいに民間から出てきた者から見ると、まさにお役所仕事を絵にかいているとしか言いようがない。これについての見解。  第三点は、これは鹿児島県の有識層の中から私のところに寄せられた声でありますが、せっかく目の前に桜島という生きた教材があるわけですから、鹿児島大学に活火山並びに離島問題を専門にやる講座を新設できないか。そうしたことについて文部省当局、どのようにお考えか。  以上、三つについてお答えいただきたいと思います。
  177. 玉木正男

    ○玉木説明員 お答え申し上げます。  学校給食センターにつきましては、活動火山対策特別措置法第十三条に規定します「教育施設」としての指定はされていないわけであります。したがいまして、同法に基づく補助は行っておりません。  なお、当該地域内におきまして学校給食センターが新増築または改築をするような場合につきましては、現予算の範囲におきまして降灰防除施設についても補助対象としているというのが現状でございます。
  178. 藤村和男

    ○藤村説明員 お尋ねがございました公民館についてお答え申し上げます。  現在、活動火山対策特別措置法の中では、公民館はその対象になってないわけでございます。考え方といたしましては、先ほど説明がございましたように、学校と社会福祉施設のうち基幹的なもので、言ってみれば国の負担金的な性格を持って義務的に支出しなければならないようなものについて、その対象にしているという形になっております。公民館の場合にはそういった施設ではなくて、地方公共団体がその自発的な意思に基づいて設置をする施設でございまして、その補助も奨励的な補助になっておりまして、補助率の定めはまずございません。それから、補助金の方も定率の定めがございませんで、面積に応じて一定の金額を補助しているようなわけでございます。しかも、それは新設の場合でございまして、実質の補助率が五分の一程度でございますが、ことしの予算の執行などは、こういった状況を受けて予鎌の執行が大変苦しくなっておりますので、また実質的な補助率を下げて執行しているというような現状にございます。そういった厳しい財政状況等にございますし、既にでき上がりましたものについて後から何らかの補助をするということを現在までしたことがございません。そういった点等を総合的に勘案しまして、現在の段階ではお話のありました点につきまして補助の対象とするということは考えておりません。
  179. 坂元弘直

    ○坂元説明員 お答えいたします。  全国の国立大学で行っております地震学あるいは火山学の教育研究というのは、大体理学部の地球物理学科あるいは地球科学科あるいは地学科などでやっております。その中にどういうような講座を置くか、そしてその置かれた口座の中で地震学、火山学を教育研究するかというのは、それぞれの大学の過去の沿革がありまして、必ずしも同じような一律的な講座名になっておりません。大学によりますと、地震学及び火山学という講座名を持っておる大学もございますし、それから岩石鉱物学あるいは地殻物理学という講座名を持っておってその中で地震学、火山学を教えておる、教育研究しておるという例もございます。  鹿児島大学の場合で申し上げますと、理学部の中に地学科という学科が置かれていまして、その中の講座に地球物理学というのがございます。その地球物理学の中の授業科目の中に、火山学、地震学、地球物理学という三つの授業科目が置かれております。したがって私どもとしましては、今の段階ではこの地球物理学の中で火山学、地震学の教育研究は一応行われるのではないかというふうに理解いたしております。ちなみに、この地球物理学が中心になりまして、鹿児島大学の理学部に桜島火山観測所という特別施設を設けておりまして、そこに私ども所要の予算上の措置は講じているところでございます。  それから第二点の離島の問題でございますが、これは大変難しい問題でございます。言いかえれば、離島の問題というのはかなり大きな問題でございまして、まず第一に、離島が抱えておる物的条件の中で学問的な研究対象とする分野として考えられるのは、本土と離島間あるいは離島相互間の交通を確保するための施設等をどう整備していく必要があるのか、あるいは離島における資源の開発あるいは産業の振興をどう図っていく必要があるのか、あるいは離島という条件、その気象条件の中で風水害その他の災害の防除をどう講じていく必要があるのか、それから離島が置かれておりますやや恵まれてない条件の中で、住民の福祉向上のための教育、厚生、文化に関する条件をどう整備していくのか、大まかに申し上げますとそのぐらいの四つの問題があろうかと思います。  御承知のとおりに、講座というのは教育研究の最小単位でございます。したがって、講座制という最小単位の中でこれをフォローするのは非常に難しいのではないか。むしろ私どもとしましては、例えば経済学部とか工学部とか教育学部、医学部、文学部などの関係の講座が一つのプロジェクトを組んで、そしてそのプロジェクトが離島問題について研究を進めていくという方法の方がより実際的であり、ベターなんじゃないかと考えているところでございます。
  180. 上西和郎

    上西委員 時間が参っておりますが、一つだけお尋ねをし、最後に簡単に要望申し上げて終わらしていただきたいと思うのです。それは、先ほど来諸先輩の質問の中で、雑損の問題とか降灰費用の問題とか水道料の問題、いろいろ出てきています。私は率直に言いたいのです。大臣以下各省庁からひとつお選びをいただいて、一カ月間鹿児島桜島に住んでほしい。そうすると、幾ら電気料が上がり水道料が上がるか。ということになりますと、全部だめだという、今のところ難しいというお答えですから、私は率直に降灰手当のようなものは新設できないか、このこと一点についてお尋ねしたいと思います。
  181. 三上元章

    ○三上説明員 お答え申し上げます。  公務員の給与につきましては、民間の状況を見ながら給与水準並びに配分を決めておるところでございますが、御質問火山活動に伴う降灰、その影響によって民間がどのような取り扱いをしているかというようなこともございますので、この点につきましては今後勉強してまいりたい、かように考えております。
  182. 上西和郎

    上西委員 それぞれのお答えをいただいてありがとうございました。  きょうは限られた時間でありまして、私は最後に心から、重ねて御礼とお願いを申し上げたいと思うのです。本当に見ていただいた結果、それぞれの部門でまだまだ不十分でありますが、相当程度の前向きのお答えがあったことを高く評価をし、お礼を申し上げたい。  と同時に、私は、当選したときにある先輩が言われたのです。代議士一人の力が一とすれば、委員長になると大体三十人力になる。大臣になると百人力になる。現に稻村大臣現地に行かれますと、六カ月間で結論を出せという似島の懇談会が、それこそ直ちに設けられる。改めてその言葉を裏づけられた気が私はするのであります。言葉を悪くすれば、泥棒を見てから縄をなったのではないかという感なきにしもあらずでありますが、異常どか灰、ことしの二月、六月、こうした現状を見ますときに、大臣がこれだけの御認識と御理解と御努力をいただいておりますので、関係省庁の皆さん方挙げて桜島降灰対策について何らかの具体策を示し、そのことによって関係住民の苦悩を幾分なりとも薄めていただくように重ねてお願いを申し上げ、終わらせていただきます。  ありがとうございました。      ————◇—————
  183. 佐藤観樹

    佐藤委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  災害対策に関する件、特に異常気象に伴う災害対策について調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  184. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、参考人の人選、出席日時及びその手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  185. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決定いたしました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三分散会      ————◇—————