○中川(利)
委員 つまり、先ほど前段私が申し上げましたように、これは地震だとか集中豪雨だとか、そういう
災害があれば初めて問題になるわけですが、確かにそういう軟弱地盤であるからこそ、集中的にそういう場合はどっと
被害が起こるわけでありまして、実態として見れば、そういう地盤そのもので
皆さん方が大変お困りになっていらっしゃる、持って行き場のない、泣き寝入りしなければならない、そういう実態は今の御
答弁の限りではほとんどつかまえていないということだと思うのです。これは御確認できますね。
それで、私がいろいろ調べてみたところによると、この東京近郊でさえも、例えば春日部、松戸、川崎、町田、さがみ野、流山、大宮、埼玉のぜんげん台、そんなところが全部そういう
被害で泣いている。そういう問題で実際裁判になったり紛争が起こったりして、大変な問題になっておるのです。
全国的にちょっと見ただけでも、宝塚市というところでは、大林組が造成してクラレ不動産が分譲した中山台団地というところで、五十戸が建て直したとか引っ越しの事態で裁判になって、業者責任が認められたのです。あるいは、宮城県の大河原町で町が造成した上谷団地で、地震もないのに宮城県沖地震並みの大
被害、百戸中五十戸が
被害を受けて、最高一・一メートル沈下して、町が補償しているという問題も出ているのですね。私が直接聞いた高知市の針木東団地では、最大一・五メートルも沈下して
道路が波打っている。浸水地帯に生ごみを埋めて造成したもので、業者が分譲の際に入れた断り書きが、そこへ重い庭石なんか置かないでくれという条件であったという、そういう
状態ですね。そういうものが許可され、販売されているということです。
まだまだ言えばたくさんありますけれども、私の秋田でも、横森というところで市の公社が造成した団地がほとんどそういう
被害を受けて、市役所がこっそりと住民に三千万円払って、だれにも言わないでくれなんということで解決するというような例がたくさんあるのですね。そういうことを全然皆さん掌握されておらない。したがって、民間の研究者やいろいろな
関係者の人方に自主的に自発的に任せられているところに、今のこの問題の深刻さが一層深くなっているということだと思うのですね。私の手元に宅地
災害問題連絡会という、まさに民間の方々が毎週こうしてはがきを、「宅地
災害問題ニュース」なんというものをずっと出していらっしゃるような動きすらもほとんどわからないと思うのですね。そういうことですから、この問題でいつまでもそういう投げやりな
状況の中で住民が泣いているということになろうかと思うのですね。
そこでお聞きするのでありますが、宅地造成というものは、
国土法や都市計画法によって開発行為の許可がないとやれないことになっていますね。許可さえ受ければ、きのうまで田んぼであったものの上にきょうの午前に泥をかぶせて、砂をかぶせて盛り土しても、それでちゃんと商品として流通することになっておるのです。そういう
現状だけれども、建築基準法の建物については確かにいろいろな安全率というものを数字ではっきりさせているのにかかわらず、肝心の構造物を支える宅地については何
一つ明確な基準が示されておらない。つまり、中身が全くわからない
状態になっていますね。
このことは、先ほど宅地とは何かということを私は言いましたけれども、その上に建物が建つわけですから、宅地というのは、大概の人は一生に一回しか買うことのできない生涯最大の買い物、商品ですね。そういう
状態の中にいることについて、そのような対応でいいのかどうかということを、これはひとつ
建設省のしかるべき責任ある方から
答弁していただきたい。