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1984-03-01 第101回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月一日(木曜日)委員会において 、次のとおり小委員及び小委員長選任した。  災害対策基本問題に関する小委員       今井  勇君    桜井  新君       田原  隆君    高鳥  修君       西山敬次郎君    若林 正俊君       渡辺 秀央君    佐藤 観樹君       田中 恒利君    中村  茂君       薮仲 義彦君    横手 文雄君       中川利三郎君  災害対策基本問題に関する小委員長                 高鳥  修君 ————————————————————— 昭和五十九年三月一日(木曜日)     午前九時三十二分開議 出席委員   委員長 佐藤 観樹君    理事 天野 光晴君 理事 今井  勇君    理事 高鳥  修君 理事 渡辺 秀央君    理事 田中 恒利君 理事 中村  茂君    理事 薮仲 義彦君 理事 横手 文雄君       越智 伊平君    佐藤  隆君       桜井  新君    塩島  大君       田中 直紀君    近岡理一郎君       東家 嘉幸君    西山敬次郎君       山岡 謙蔵君    若林 正俊君       渡辺 栄一君    小澤 克介君       木間  章君    田並 胤明君       細谷 昭雄君    山中 末治君       遠藤 和良君    武田 一夫君       水谷  弘君    森本 晃司君       安倍 基雄君    中川利三郎君       山原健二郎君  出席国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       石川  周君         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         農林水産大臣官         房審議官    田中 宏尚君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   矢部 昭治君         科学技術庁計画         局資源課長   桜場 久功君         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    大橋 哲郎君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊藤 博行君         文部省学術国際         局学術課長   重藤 学二君         文部省管理局教         育施設部助成課         長       逸見 博昌君         厚生省社会局施         設課長     近藤純五郎君         農林水産省経済         局金融課長   眞鍋 武紀君         農林水産省農蚕         園芸局果樹花き         課長      武政 邦夫君         林野庁指導部造         林課長     依田 和夫君         林野庁業務部業         務課長     小澤 普照君         中小企業庁小規         模企業部参事官 小川 忠夫君         運輸省鉄道監督         局国有鉄道部日         本鉄道建設公         団・本州四国連         絡橋公団監理官 梅崎  壽君         気象庁予報部長         期予報課長   渡辺 正雄君         建設大臣官房建         設機械課長   渡辺 和夫君         建設省河川局水         政課長     青木 保之君         建設省河川局開         発課長     志水 茂明君         建設省河川局防         災課長     狩野  昇君         建設省道路局道         路防災対策室長 和田  惇君         自治大臣官房参         事官      二橋 正弘君         日本国有鉄道建         設局線増課長  大石  理君         日本国有鉄道施         設局保線課長  高原 清介君     ————————————— 委員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   上西 和郎君     木間  章君 同日  辞任         補欠選任   木間  章君     上西 和郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員会設置並びに小委員及び小委員長選任の  件  昭和五十九年度における災害対策施策等につ  いて説明聴取  災害対策に関する件(豪雪対策)  派遣委員からの報告聴取      ————◇—————
  2. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  災害対策基本問題について調査を行い、必要な対策を樹立するため、本委員会に小委員十三名よりなる災害対策基本問題に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  次に、お諮りいたします。  小委員及び小委員長選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  それでは、災害対策基本問題に関する小委員に       今井  勇君    桜井  新君       田原  隆君    高鳥  修君       西山敬次郎君    若林 正俊君       渡辺 秀央君    佐藤 観樹君       田中 恒利君    中村  茂君       薮仲 義彦君    横手 文雄君       中川利三郎君 以上十三名を指名し、小委員長高鳥修君を指名いたしたいと存じます。  なお、小委員及び小委員長辞任の許可並びに補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。      ————◇—————
  6. 佐藤観樹

    佐藤委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。  昭和五十九年度における災害対策施策について、国土庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。稻村国土庁長官
  7. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 昭和五十九年度における災害対策に関する私の所信を申し上げます。  我が国は、その自然的条件から、台風、豪雨豪雪地震噴火などによる災害を受けやすく、また、社会経済の発展に伴い災害の態様も複雑多様化してきており、これらの変化に即応して、強力な施策推進する必要があります。  災害から国土を保全し、国民の安全を守ることは、国政の基本であり、政府といたしましては、防災基本計画に基づき、防災に関する科学技術研究推進災害予防強化国土保全推進、迅速適切な災害復旧の実施などに重点を置いて災害対策推進を図っているところであります。  特に、各般にわたる災害対策総合性統一性確保を図るとともに、大規模地震などの緊急時において迅速かつ的確に対応し得る体制整備することは緊急の課題であり、臨時行政調査会最終答申においてもその必要性が強調されたところであります。この課題にこたえ、今年七月一日を期して、国土庁に新たに防災局設置することといたしております。  昨年は、日本海中部地震、七月豪雨三宅噴火など多様な災害が相次ぎ、多大の被害が発生いたしました。  政府といたしましては、これらの災害に対処するため、非常災害対策本部設置などを通じ、災害応急対策に努めてきたところでありますが、これら災害に係る復旧事業についてその促進を図ってまいります。  直面するこの冬の豪雪問題に関しましては、政府として豪雪対策本部設置するとともに、政府調査団調査結果などを踏まえ、交通生活物資確保を図り、民生の安定に努めることを主眼とする当面の重点事項を決定したほか、除排雪経費の増大に対する財源措置被災農林漁業者中小企業者などに対する金融措置などの適切な救済策を講ずるよう各省庁に要請したところであります。今後とも各省庁との密接な連絡のもとに、迅速かつ適切な対策を講じてまいります。  次に震災対策につきましては、大都市震災対策の一層の推進を図るため、南関東地域を対象とした震災応急対策活動システムに関する調査を実施するとともに、広域的な防災活動態勢整備に関する計画の作成に着手いたします。また、昭和五十九年度が最終年度となる東海地震対策のための緊急整備事業の一層の推進を図ってまいります。  火山災害対策につきましては、昨年の三宅噴火を契機に、関係省庁による連絡会議設置し、全国の活動的な火山における観測体制避難体制などについて総点検を進めることといたしております。  さらに、災害時における情報の収集伝達などの重要性にかんがみ、防災無線網充実強化を図ってまいります。  昭和五十九年度においては、これらの災害対策の総合的な推進を図るため、科学技術研究災害予防国土保全災害復旧などに要する経費総額二兆二百九十四億円を予算計上いたしております。  また、公社公庫などの政府関係機関におきましても、それぞれ所要の予算措置を講じているところであります。  以上、災害対策に関する所信を申し述べましたが、今後とも各省庁の協力のもとに防災対策に万全を期してまいる所存でありますので、よろしくお願いを申し上げます。(拍手)
  8. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、昭和五十九年度における防災関係予算概要につきまして、政府から説明を聴取いたします。田中審議官
  9. 田中暁

    田中(暁)政府委員 お手元に配付いたしております縦長の資料、「昭和五十九年度における防災関係予算概要」、これにつきまして御説明を申し上げます。  この資料は、昭和五十九年度の災害対策関係予算につきまして各省庁から御提出をいただき、国土庁において取りまとめたものでございまして、科学技術研究災害予防国土保全災害復旧等四つの柱に分類いたしております。第一ページ総括表、第二ページ以下の四つ柱ごとに、省庁ごと予算額事業内容を掲げてございます。  第一ページでございます。昭和五十九年度の防災関係予算総額は一番右の欄でございますが、二兆二百九十四億三千二百万円でございまして、前年度に比較いたしまして約四%の減となっております。その内訳は、左から科学技術研究が二百七十四億四千三百万円、災害予防が三千七百八十一億九千八百万円、国土保全が一兆二千百八十七億六千二百万円、災害復旧等が四千五十億二千九百万円となっております。  災害復旧事業費につきましては、五十八年度の補正予算措置によりまして、五十八年発生災害の今年度における進捗率はおおむね七五%となっており、また、五十九年度にはおおむね八五%の進捗確保することといたしておるわけでございます。  以下、主な予算につきまして御説明を申し上げます。  まず二ページ科学技術研究でございますが、地震予知関係経費が含まれております。コメ印をつけておりますが、これが地震予知関係経費でございまして、まず科学技術庁関係では、首都圏南部におきます直下型の地震活動に関する研究東海沖及び平塚沖等海溝型巨大地震予知に関する研究などがございます。  次のページへ参りまして、文部省地震予知の基礎的な研究十七億円余がございます。  四ページにございますように、地震予知関係経費は、災害予防に計上されている地震観測施設整備費を含めますと、五十六億千七百万円になるわけでございます。  このほか、内訳概要の欄に掲げてございますように、各省庁におきまして、各種災害につきましてさまざまな研究が実施されることになっております。  五ページをお開きいただきまして、以下九ページまでが災害予防関係予算でございますが、これは職員の教育訓練あるいは防災意識の高揚あるいは各種観測施設整備通信施設整備、その他都市防災構造化推進等を図るための経費中心でございます。  まず国土庁関係では、災害対策総合的推進といたしまして調査調整費一億四千六百万円、中央防災無線網整備あるいは南関東地域震災応急対策に関する調査防災集団移転促進事業等々でございます。  文部省では、東海地震強化地域におきます公立学校の改築及び補強整備のための経費百六十七億円余がございます。  めくっていただきまして、厚生省におきましては、国立病院療養所の建物の補強等で十六億円余、農林水産省では、活動火山周辺地域農林水産業防災施設整備あるいは食糧、木材等の備蓄、林野火災予防のための経費など三十一億円余が計上されております。  通商産業省につきましては、鉱山災害予防のための各種教育保安機器等整備あるいは原子力施設等に係る緊急時連絡体制あるいは保安監督指導に要する経費でございます。  運輸省につきましては、空港あるいは鉄道その他の防災対策でございます。  海上保安庁につきましては、海上防災対策といたしまして巡視船整備等でございます。  気象庁につきましては、気象観測施設あるいは地震観測施設火山観測施設等各種観測施設整備に要する経費などでございまして、合計百九十三億九百万円でございます。  労働省につきましては、労働災害防止でございます。  建設省につきましては、都市防災構造整備防災道路整備幹線道路構造物等整備等々でございます。さらに、雪に対する対策といたしまして、雪に強い町づくり推進道路雪害防止等に要する経費等も計上してございます。  消防庁でございますが、消防防災無線通信施設あるいはコミュニティー防災センター大震火災対策施設整備消防施設等整備などに要する経費でございます。  次に十ページへ参りまして、国土保全に要する経費でございます。  農林水産省では、治山、海岸保全農地防災事業地盤沈下対策事業等々の経費二千五百六十億円余でございます。  建設省では、河川、ダム、砂防、急傾斜地崩壊対策海岸保全等に要する経費九千百五十七億円余でございまして、総額では一兆二千百八十七億六千二百万円でございます。  十一ページでございますが、災害復旧等でございまして、農林水産省あるいは運輸省建設省等により、まず各種災害復旧事業、さらには災害関係融資あるいは厚生省災害救助弔慰金等に要する経費でございます。  一番最後のページでございますが、参考資料といたしまして公社公庫等予算概要について触れております。  日本国有鉄道日本電信電話公社等についてそれぞれ計上させていただいておりますが、注にございますとおり、このほか中小企業金融公庫国民金融公庫環境衛生金融公庫等による融資等も予定されております。  以上でございますが、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  10. 佐藤観樹

    佐藤委員長 以上で説明は終わりました。  次に、豪雪による被害状況について政府から説明を聴取いたします。国土庁田中審議官
  11. 田中暁

    田中(暁)政府委員 今冬の豪雪による被害状況対策概要につきまして御説明申し上げます。お手元に「昭和五十九年豪雪災害について」という資料を差し上げてございますので、ごらんいただきたいと存じます。  まず、今冬の降雪状況でございますが、初雪は全国的に一週間から三週間ぐらい早く観測されまして、十一月下旬からは山間部中心に本格的な降雪が始まったわけでございます。  十二月中旬からは強い降雪が断続いたしまして、特に十二月下旬には山陰地方に記録的な降雪がございました。  一月に入りましてからも、短い周期で強い降雪が続きまして、一月下旬と二月上旬には北陸地方中心として大雪が降りまして、さらに一月中旬から二月下旬にかけましては太平洋側でも顕著な降雪が数回記録されております。  二月二十九日現在の被害状況でございますが、死者六十二名、負傷者三百六十六人、家屋の全半壊五十九棟等と相なっております。特に二月九日、新潟県の中里村におきまして、雪崩によりまして五人の痛ましい犠牲者が発生いたしております。  また、今冬の豪雪に伴います道路鉄道状況につきましては、国鉄は二十九日現在、信越線など八線区で運転規制を行っておりまして、今冬の雪害による列車の連休は、二十日までに延べ約一万本にも上っております。  道路につきましては、二十九日現在、直轄国道一カ所、補助国道等四十カ所で、それぞれ通行どめとなっております。  今冬のこうした災害に対しまして、現在、四県及び百五十八の市町村災害対策本部設置いたしまして、応急対策活動に全力を挙げているところでございます。  なお、災害救助法が適用されました市町村は、新潟長野両県下の合計四十八市町村に上っております。  政府といたしましては、二月十日、国土庁長官本部長といたします昭和五十九年豪雪対策本部設置いたしまして、道路交通国鉄輸送確保等、当面重点的に取り組むべき事項を決定いたしますとともに、二月十一日及び十二日には、国土庁長官団長とする第一次政府調査団新潟等北陸四県に派遣いたしました。  さらに、二月二十七日及び二十八日には、国土政務次官団長とする第二次の調査団を青森県等東北三県に派遣いたしました。  以上が概況でございますが、今後とも関係省庁が緊密な連携をとりまして、豪雪対策に万全を期してまいる所存でございます。  なお、お手元被害状況等に関する資料をお配りいたしておりますので、御参照くださいますようお願い申し上げます。
  12. 佐藤観樹

    佐藤委員長 これにて説明は終わりました。      ————◇—————
  13. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、去る二月二十三日及び二月二十四日の二日間、豪雪による被害状況調査のため、新潟県、富山県及び石川県に委員派遣を行いましたので、私が派遣委員を代表いたしまして、便宜、この席から調査概要について御報告申し上げます。  派遣委員は、自由民主党・新自由国民連合高鳥修君及び田中直紀君、日本社会党護憲共同細谷昭雄君、公明党・国民会議薮仲義彦君、民社党・国民連合菅原喜重郎君、日本共産党革新共同中川利三郎君、そして私、日本社会党護憲共同佐藤観樹の七名でありましたが、このほかに新潟県におきましては委員桜井新君の、また富山県におきましては地元選出議員木間章君及び安田修三君の参加を得まして、現地の実情を調査いたしてまいりました。  新潟県、富山県、石川県の各県におきましても、一月中旬から断続的な降雪異常低温に見舞われ、特に二月三日から十日にかけまして、各地に連日四十センチから八十センチの降雪が続き、地域によりましては三八豪雪、五六豪雪にもまさる積雪量となり、このため、新潟県及び長野県内の四十八市町村災害救助法が適用されました。  この豪雪による全般的な被害状況政府対応等につきましては、ただいま政府から説明がありましたので省略させていただき、今回の派遣日程に従いまして御報告いたしたいと存じます。  我々調査団は、まず第一日目に、雪に強い上越新幹線の威力に感心しながら越後湯沢駅に着き、除排雪により上下二車線が確保されている国道十七号線及び二百五十三号線を経由して十日町市に向かいました。十日町市におきまして、知事周辺市町村長等から、被害状況対応策につきまして説明を聴取いたしました。  新潟県では、二月二十日現在、除排雪作業中の転落事故雪崩により、死者十九名、重軽傷者六十六名の人的被害のほか、公共土木施設被害で二十八億八千万円、農林水産業商工業文教施設関係被害等新潟鉄道管理局減収見込み額を加えると、被害総額は約三十五億円と推定され、雪解けとともに、さらに被害が増加するとのことでした。道路除雪経費につきましては、二月二十日現在で県におきまして四十五億四千万円、市町村では六十億九千二百万円を費やすとともに、今後の降雪状況により、さらに県で一億二千万円、市町村で一億九千五百万円が見込まれ、県並びに市町村財政に深刻な影響を及ぼしているとのことでありました。  次に、調査団は、十日町市内幹線道路沿い設置されております流雪溝を視察しながら、清津峡温泉のある中里村を訪れました。  清津峡温泉では、去る二月九日、清津川右岸の山の斜面から長さ五百三十メートル、幅八十メートル、深さ三メートル、推定流出雪量約七万立方メートルにもなる全層雪崩が発生し、清津川を越えて対岸の山の雪をも巻き込んで清津峡温泉を襲い、一歳と四歳の幼児を含む一家五人を死亡させるというまことに痛ましい惨事が発生しました。当時、積雪は四メートルを超えていたため、道路を除雪しながらの救助活動は困難をきわめたとのことでした。調査団は、ここで心から哀悼の意を表し、次の目的地上越地方に向かいました。  ここは全国でも有数の豪雪地帯で、松代町へ行く国道二百五十三号線は、右は切り立ったがけ、左は谷底という険しい地形の中を通っており、がけの途中に設置された雪崩防止さくも多量の積雪に埋没しているありさまで、いつ雪崩に巻き込まれるかと恐怖感を抱きながらの通行であり、地元の皆さんの御苦労がしのばれる思いであり、改めてトンネル、スノーシェッドの威力を感じました。  松代町は、積雪量が四メートルを超えており、幹線道路は除雪されておりましたが、両側は雪の壁がそそり立っている状態で、周辺一帯がすべて雪に覆い尽くされた、まさに豪雪地帯中心地であるのが実感させられました。ここでは、特に雪崩地すべり防止対策強化が要望されるとともに、屋根雪除雪の実態と問題点が指摘されました。  引き続き、上越市から新井市へと向かい、車中から豪雪地帯中心地域での道路除排雪状況交通状況等を視察してまいりました。途中、各地における除雪費用の増高問題その他について、関係者から陳情がありました。  第二日目は、まず富山県庁におきまして、知事から被害状況等を聴取いたしました。  富山県では、二月十一日までに平野部で一・二メートル、山間部で三・六メートルもの積雪量を記録し、五六豪雪以来の積雪となり、特に山間部での除排雪が困難で、小中学校の休校や授業の打ち切りが相次ぎ、また異常低温下での降雪であったため、除排雪に著しい困難が伴ったとのことでありました。県では、五六豪雪の経験から総合雪対策推進し、無雪害町づくりに意欲的に取り組んでいるとの説明がありました。しかし、二月二十一日現在、除雪作業中の転落事故屋根雪の下敷きなどで、死者十九名、重軽傷者七十八名を数え、公共土木施設商工業、農産物、教育施設等に受けた直接被害額は三十二億二千四百万円余になっているとのことで、今後融雪期を迎え、さらに被害が増加する見込みとのことであります。  次に、調査団は、北陸自動車道を通り、砺波市に入りました。砺波市におきましても積雪量は最高で一・二メートルに達しましたが、地区除雪センター中心とした地域ぐるみ除排雪威力を発揮しているそうで、我々も東野尻地区除雪センターを視察いたしましたが、ブルドーザー等が完備いたしておるものの、長期間の断続的かつ異常低温下積雪のため、除雪機械稼働率が悪く、市財政に重大な支障を来しているとの説明がありました。また、地下水利用による消雪パイプも、市街地では大いに有効に除雪効果を上げておりました。  次に、砺波市から金沢に入りました。同市内の主要道路には、消雪パイプが敷設されており、雪はほとんど消滅している状態でありました。石川県におきましても、奥能登地方では五六豪雪を上回る積雪量を記録し、また、山間部の白峰村は、二月九日には積雪量が二・九メートルにも達したそうであります。被害状況は、二月二十日現在、死者一名、重軽傷者六十二名を数え、農林関係被害が約十五億円、土木関係被害が約四十億円にも達しておりますが、農林関係被害は、今後雪解けとともにさらにふえる見込みであります。また、除雪費につきましては、県で約九億六百万円、市町村で約二十六億二千九百万円とのことであります。  次に、調査団は、金沢市内から加賀山間部の尾口村、次いで白峰村を訪れました。これらの地域は、石川県でも有数の豪雪地帯であり、途中の道路は除雪されているものの、雪崩の危険があり、至るところで雪崩防除用のスノーシェッドが設けられ、交通確保威力を発揮しておりました。また、ロータリー除雪車が実際に激しい勢いで除排雪する作業現場を視察して、除雪機械威力とそれらの充実の必要性を痛感した次第であります。  以上をもちまして現地調査の日程を終えました。  視察いたしました各県市町村におきまして共通した要望は、道路除雪費に対する国庫補助金の大幅増額と市町村道除雪費に対する特別補助措置を中心とするものでございました。また、消雪パイプの多くが地下水を利用している現状にかんがみ、地盤沈下を防止するため、利用後の水を地下に戻す方法の研究、多目的ダムの水を利用して排雪する方法の一層の研究、スパイクタイヤによる粉じん公害に対する対策、雪そのものを資源として利用する研究など、中長期にわたる幅広い研究体制を早急に整備する必要を感じたところであります。  最後に、今回の豪雪により亡くなられた方々の御冥福を心からお祈り申し上げ、負傷されました方々の一日も早い全快をお祈りいたしますとともに、調査に御協力を賜りました新潟県、富山県及び石川県の関係各位に感謝いたしまして、派遣報告を終わります。  派遣委員各位にはまことに御苦労さまでございました。  この際、お諮りいたします。  新潟県、富山県、石川県及び関係市町村からの要望事項等につきましては、これを本日の委員会議録の末尾に参照掲載いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 佐藤観樹

    佐藤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————     〔要望事項は本号末尾に掲載〕     —————————————
  15. 佐藤観樹

    佐藤委員長 本日は、特に豪雪対策について質疑を行います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高鳥修君。
  16. 高鳥修

    高鳥委員 先ほど、ことしの豪雪状況につきまして詳細な御報告があり、かつまた、ただいま委員長からは調査の御報告もいただいたわけでありますが、ことしは、昨年の十二月非常に早い時期から降雪があり、特に今年に入りまして一月の中旬、二月の初旬ないし半ばまで、大変激しい寒気と豪雪に見舞われたわけであります。その結果といたしまして、全国的に大変な雪害を受けておるわけでありますが、特にことしの冬のこの豪雪によりまして実に六十二名の死者が出ておりまして、さらにまた、重軽傷者は三百六十六名に上るという大変な災害であります。この中には、先ほども御報告がございましたが、二月九日清津峡温泉で桑原さん一家が七名、雪崩のために生き埋めとなりまして、そのうち五名が亡くなられるというまことに悲惨な事故もございました。ここにお亡くなりになりました皆様方に対しまして、委員御一同とともに心から御冥福をお祈り申し上げたい、このように思う次第でございます。  ところで、こうした豪雪の際に、国土庁長官はまさに北陸の御出身であります。特にまた御出身地の能登地方は、ことしは格別雪が多い、こういう状況であります。この豪雪対策に対して、防災の責任を負っておる長官がそういう方でありますから、我々はこういう機会に、一歩でも二歩でもひとつ豪雪対策を前進させてもらいたい、こういう気持ちを強く持っておるわけであります。  そこで、国土庁豪雪に対する姿勢と申しましょうか、認識と申しましょうか、基本的な取り組みについて若干私の意見も申し述べ、また長官の御意見も承りたい、このように思うわけであります。  私は、かつて委員会において、このようなことを申し上げたことがあります。それは、住民の生活様式が変われば災害というものが、やはりかつては災害でなかったかもしれないものでも災害になってくるということであります。例えば、かつて教育というものが寺子屋教育だけであった時分には、部落の中の寺子屋に通えばいいということであれば、子供たちにとりましてもちろん雪が降ることはつらいことではありますけれども、直ちに災害というほどのことではなかったかもしれない。しかしながら、今日義務教育が中学まで行われるようになり、そして中学は学校統合で非常に数が少なくなってきておる。また、高等学校の進学率というものが非常に高まって、ほとんど大部分の子供が高等学校に通うということになりますと、子供たちにとりましては、かつて雪が降るということは苦痛ではありましても災害というほどのものでなかったかもしれない。しかしながら、今日、いわば雪が降るということ自体が、これは児童生徒にとりましては大変災害になってくるわけであります。  あるいはまた、今やマイカー時代であります。そういうマイカー時代の中で車を奪われた場合の苦痛と申しましょうか、今回も豪雪の中で、みんな二時間も三時間もかかってなおかつ職場へ歩いて通わなければならぬ、そういう人たちも非常に多かったわけであります。  さらにまた、医療の面でも、昔なら雪が降れば、これはどこにも医者がいないわけでありますから、雪の中で死んでいくよりしようがなかった。日本一の豪雪地域であります松之山にはこういう話があるのであります。ことしの冬、どうもうちの年寄りはもちそうもないなということになりますと、あらかじめ、昔は土葬でありましたから、土葬をする予定のところに竹のさおを立てておく。そして、その竹のさおが埋まってしまうとだんだん上に継ぎ足す、後で死んだときに埋める場所がわからなくならぬように。そういうふうな工夫までしておったということであります。  しかしながら、今日医療制度が発達をし、まさに国民皆保険である。そういう中において、豪雪のためにお医者さんに診てもらえないということになれば、これはやはり豪雪というものは、医療の面においても非常な災害になってくるわけであります。住民の生活態様が変われば、かつて雪が降るということは、それは天地創造の初めから降っているではないか、一拳口われるのでありますけれども、しかしながら、住民生活の態様の変化に従って災害になってくるということであります。  そういう中で、私は、先ほど昭和五十九年度における防災関係予算概要の御説明を承りながらちょっと計算してみたのですが、二兆一千億ほど総額ではなるようであります。ところが、そのうち雪という名前を冠して書いてあるのは何と十一億四千六百万、もちろんこれだけだとは申しませんけれども、日本の国土の全体のうちの半分以上が降雪地域である、その大部分がかなりの豪雪地域である。そういう中で国土庁が所管をしておられる雪に対する予算、これは各省にまたがっておるものを集計されたわけでありますが、いずれにいたしましても、いかにも貧弱だという感を免れないわけであります。  そこで、長官の基本的な雪に対する取り組みの熱意と申しましょうか、認識と申しましょうか、そういう点をまず伺いたいと思います。
  17. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 今、高鳥さんの御指摘というか質問の問題ですが、私も雪国ですから、それはやはり雪国に育ってみないと、雪国の恐ろしさということは私はなかなか理解ができないんじゃないかと思うのですね。そういう意味で、ことし東京にあれだけ降ったこと、本当はもっと降ってくれればよかったなとは思わないけれども、大分雪に対する理解が国民の中でも根強くというまでもいかないけれども、大体雪というのは恐ろしいんだなと、こういう理解を深めたのではないかと思うのです。  そういう意味で、先ほどの予算の問題ですが、これは各省庁にまたがっておりまして、ただし私としては、この前の五六の雪から見れば降雪量が多い、こういうような形から、いろいろな情報をとりまして、これは三八、五二、五六、それを下回ることはないなと、こういう感じから、政府雪害対策本部を設置いたしました。その翌日、国会の方からもお出ましを願ったわけでありますが、新潟富山それから石川、福井と回ったのですが、やはりこれはすごいですね。雪の量が想像しておるより以上に、特に新潟の直江津、高田、これは高鳥さんの選挙区ですが、これはひどい。  そこで、これは私考えてみまして、あそこの市長さんともいろいろお話をしておったのですが、稻村さん、北陸自動車道は生活圏を確保することができた、もしあれがなかったら大変なことであった。と同時に、またバイパスが十一月供用開始した、これが大変大きく雪害に役立ってきた。こういうことを聞きまして、それではこれからの問題というのは、基本的に雪の降る国、特に豪雪地帯の我々として、テンポが速いですから、三十八年、五十二年、五十六年と今度ですから、豪雪の時期が早まっておるというわけじゃないですけれども、十年も二十年もというわけにいかぬこの問題を、果たして現在の豪雪対策の措置法というか、基本法だけでいっていいのかどうかなということを実はこの前から考えさせております。なかなか難しい点もありますけれども、何かこれは考える必要があるのではないかなという、こういう感じがいたしております。  特に、回ったその結果で一番大きな問題は、やはり除雪費の問題でありました。特に建設省の関係、管理する道路、これはいいのですが、言うなれば県道、こういったところも除雪がうまくいっているけれども、一番大きな問題はやはり市町村道の問題であったと受けとめてまいりました。その問題は、これから先の問題として皆さん方にひとつぜひ考えていただいて、また、政府としても考えるべきところは考えていかなければならぬと思いますが、当面の問題としては、やはり除雪費の問題であったと思うのです。除雪費の問題は、五六という例もありますから、あの五六のときには予備費を崩すということに災害対策の皆さん方は大変努力されたのですね。しかし、あの例より降雪量は上回っておるという判断を私はしておるのです。だから、あの例を例として、これは皆さんの御協力をちょうだいして、五六のあの例を生かしていく、そして地域住民の皆さん方にできるだけ御迷惑をかけないように全力を挙げていく必要がある、こういうように考えております。
  18. 高鳥修

    高鳥委員 今、長官からいろいろお話がございましたが、その中で、豪雪基本法の見直しといいますか、そういうことを考えてみたいというふうに述べておられます。これは私どもも、ひとつ小委員会なり何なりで大いにまた勉強してみたい、このように思います。  それから、雪が降るという状態は、もちろん通常の降雪も大変でありますが、いわゆる集中豪雪、異常豪雪というのがあるわけであります。ここに書いてあるのは床上浸水三十八戸、床下浸水三百八十戸、これだとちょっとした水害ならざらにある数字でありますから大したことないじゃないか、こう言われるかもしれませんが、実は雪というのは水でありますから、私はかつてこれも申し上げたわけでありますが、いわば全戸屋根上浸水状態にあるというのが異常降雪時の状態なんであります。そういうことを踏まえてきちっと対処をしてもらわなければならぬ、このように思うわけであります。  なお市町村道除雪費の問題、後で建設省に伺おうかと思ったのでありますが、先ほどの資料を拝見しますと、国土庁からもそれぞれ施策を申し入れておるということであります。これは、予備費を出すか出さぬかというようなことがしばしば論議をされておるわけでありますが、大蔵省の方は、何とか建設省で残金かき集められるだけ集めて足らなかったら考えようみたいなことを言うのが大体大蔵省の癖であります。予算の執行というものは常に国民の血税を使うわけでありますから、不要なものを使うということは慎まなければならぬ、できるだけ節減して使わなければならぬわけでありますが、今の段階で、それぞれ既決予算があって、それぞれの目的に応じて使用しなければならないものをかき集めて使えと言うよりは、できるだけきちっと使うものは使いなさい、そしてまた、当初予想されなかった事態に対して対処をするためにあるのが予備費でありますから、予備費からちゃんと出しなさいということをはっきりと明言された方が私はいいと思うのであります。それが国民の信頼にこたえるゆえんである。いつまでも出すような出さないようなことを言ってないで、長官はここで、せめて市町村道の今回の異常豪雪に対する除雪費の補助はきちっと出すよう確保をいたしますというくらいのことを、ひとつ胸を張ってお答えをいただきたいと思うのでございます。
  19. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 高鳥さんの質問、大変当を得た質問です。しかしながら、ここで五六の例をとっておるということを言っただけでも、これは私は大変大きく前に出過ぎておるというくらいに発言をしておるつもりです。そんな意味から、それは何ぼ言われても、五六の例と言っただけで大分大きく前進——事務当局は、はっきり言って五六の例も出さずにおいてくれと言っておるのですから。だけれども、私は今長官として、特に雪国の長官として、私のときにおいて多少の前進をしたというこういった形だけはとりたい。そういう意味から、五六の例をとってと言うだけでも大きく前進をしておる、こういうことで受けとめていただきたいと思います。
  20. 高鳥修

    高鳥委員 五六の例をとってということでありますが、今回の豪雪の降り方の特徴というのは、むしろ平場に非常にたくさん降っておるのです。例えば、能登がそうでありますしあるいは新潟市がそうでありますし、その他のところいろいろ例をとってみればはっきり出てくるので、後で気象庁にそのことを申し上げようと思ったのでありますが、したがってそういうところは、地方交付税でも日ごろ算定要素に余り入れてないわけです。したがって、それだけに五六の例と同じではいかぬので、五六の例よりも二倍も三倍も金を出さなければ、市町村は間に合わぬのであります。そのことをしっかり踏まえて対処してもらいたい、このように思います。  なお、せっかく長官いらっしゃいますから、今回の豪雪の中で私どもが一番痛感しましたのは、上越新幹線の強さであります。これは、在来線の待ち合わせのために数分間おくれたということはありますけれども、いわゆる雪のために一分たりともおくれたことはない。全く順調に走り続けて、地域の生活の大きな柱になっておったわけであります。確かに、上越新幹線そのものはあるいは一時的には赤字かもしれないけれども、これが地域住民に与えた利益と申しましょうか、あるいは大きな支えになったということは、これはもう無限のはかり知れないものがあると思うのです。  今日、日本国土の均衡ある発展を図るということが国土庁の重大な使命である限り、雪の中に取り残された北陸地方なり何なりにとって一体何が必要なのであるか、上越新幹線に匹敵するものは私は北陸新幹線だと思うのです。これはぜひ速やかに着工すべきものである、国土庁長官としてのお立場からも、北陸選出の立場を離れて国土庁長官としても、これは豪雪対策のためにも、国土の均衡ある発展を図るためにも、ぜひ速やかにやるべきものである、こういうふうに強く御主張にならなければならぬと思うのでありますが、御所見を承りたいと思います。
  21. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 幾ら北陸を離せと言ってみたところで、やはり北陸から出ている国会議員であります。しかしながら現在は国土庁長官、こういうことでありますから、均衡ある国土の発展ということで一日も早く北陸新幹線は着工すべきである。ただし、臨調それから国鉄再建、こういう問題がございまして、特に財源等々の問題がございますから、ひとつ綿密に連絡を取り合って、一日も早く、財源措置の見通しがつき次第にやはり着工してもらわなければならぬ。特に、上越の問題が出まして雪に対する足腰の強さ——大体新幹線というのは、雪に足腰が弱いことになっておった。ところが、今度の上越新幹線の雪に対するこの強さ、そういうことを考えた場合に、雪の多い北陸地方におけるところの交通体系を考えた場合においても、一日も早く着工してもらうということが好ましい、こういうふうに考えております。
  22. 高鳥修

    高鳥委員 きょう現在でも何か大分あちこちで雪が降っておりまして、東海道新幹線が大分遅延をしておるというような状況であります。私の郷里の方は激しく雪が降っておる、そういう状況であります。例えば東海大地震というようなものを想定した場合にも、これは東海道新幹線がずたずたになることは間違いがない。そういうときに、かつての中山道のごとくにバイパスというものは当然必要である。したがって、これは石川とか福井とかでとめるのではなくて、大阪まで早く通してしまう、北陸新幹線は全部通してしまう、ひいては関西新空港をつくるというのですから、そこまで直結するぐらいのことを考えなければいかぬと思うのでありまして、これは国土庁長官が大いに主唱されてしかるべきだと思いますので、あえて申し上げておきます。  それから、気象庁お見えになっていると思いますが、ことしの冬の降雪の特徴は何かということを承りたいと思ったのですが、これは大体私心得ておりますのでやめまして、春が来るのがずいぶん遅いではないかということであります。今度は、異常残雪という問題がこれは問題になってくるのであります。みんな非常に気にしておるわけでありますが、三月三日ごろから暖かくなるなんというようなことも気象庁は言っておられるようでありますが、今後の見通しはいかがなものであるかということが一つ。  それから、なるべく簡潔にお願いしますが、私どもは、豪雪の十八年周期説というものを一応考えております。昭和二年の豪雪昭和二十年の豪雪昭和三十八年の豪雪、そして五六豪雪、十八年周期というものを一応考えておったわけでありますが、わずか三年にしてまた、五六豪雪にまさる豪雪であります。一体、今後このような豪雪というものが今のように頻発するのであるか、それならばそれなりの対応をやはりさらに強化して対処をしていかなければならぬと思いますので、そういう面について気象庁、御見解があれば承りたいと思います。
  23. 渡辺正雄

    渡辺(正)説明員 ただいま先生より二つの質問がありました。一点ずつお答えいたします。  最初の第一点の御質問は、春の来るのが二週間ほどおくれているようだが、今後の見通しはどうかということにつきまして、次のように考えております。  今冬は、平年の経過と比べますとほぼ二週間季節の進みがおくれております。今後の見通しといたしましては、ここ数日、現在も冬型が続いておりまして、日本海側では一時大雪のおそれがあります。その後天候が回復いたしまして、三月の半ばを中心に寒さが緩みますが、月の後半ごろからまた寒さの戻りがあるのではないかと見込んでおります。またこのときに、一時まとまった雪が降ることも考えております。そういうわけで、三月は寒暖の変動が大きいと考えております。平年に比べて暖かくなってくるのは四月になってからと見ております。  それから次の、二番目の御質問でございますが、それについてお答えいたします。  豪雪の十八年周期説があるが、今冬は昭和五十六年に次いで三年目の豪雪である、今後の趨勢はどうかということでございますが、これにつきましては次のように考えております。  昭和に入ってから豪雪を見ますと、昭和二年、十一年、二十年、三十六年、三十八年、四十九年、五十二年、五十六年、五十九年の各年に起きております。先生の御指摘のように十八年の周期もございますが、数字に見られますように、そのほかにも二年から十六年程度の長短の周期が混在しておりまして、豪雪年の出現は不規則になっております。したがいまして、今後もこのように不規則に豪雪が起きるものと考えております。  以上でございます。
  24. 高鳥修

    高鳥委員 気象庁説明はわかったようなわからぬような話なんですが、いずれにしてもことしは春の来るのが大分遅いようでありますから、したがってこれは、きょう私は農林省の質問は省いておりますけれども、いわば残雪あるいは非常に遅い雪解け、そういうものに対する対応の仕方というものをやはりそれぞれ御指導なり、あるいはまた援助をする方法を考えておかなければならない、消雪対策を考えなければならない時期が来ると思いますので、その点を指摘をいたしておきます。  次いで自治省にお伺いいたします。余り時間がありませんので、簡潔に承りたいと思います。  まず一つは特別交付税、これがどうも総額において三百億ほど減っておる、こういう状況であります。そういう中で、本来ならば三八豪雪、五六豪雪よりも市町村は当然除雪経費がたくさんかかっておる、そういう中で一体特交はそれにどの程度対応できるのか。これは五六豪雪のときと比較してどうかということをまず承りたいと思います。
  25. 二橋正弘

    ○二橋説明員 本年度の特別交付税の総額は、ただいまお話にもございましたように、昨年度を約三百億円下回っております。また御案内のように、日本海の中部地震、山陰の集中豪雨三宅噴火、冷害等いろいろな災害が本年度は相次いでおりまして、特別交付税による対応にはおのずから限界があるというふうに考えております。  現在、関係地方公共団体から普通交付税の措置顧を上回る所要額につきまして報告をいただいておりまして、今後その数値をもとに普通交付税措置額、それから降雪積雪量等を勘案いたしながら、特別交付税の配分をしてまいりたいというふうに考えております。
  26. 高鳥修

    高鳥委員 市町村からの要望をお取りまとめになった結果は、特別交付税では、なかなかその要望の全額を満たすなどというわけにはいかぬというのが今のお答えのようであります。いかぬというだけでほうり出されたのでは、これは市町村は泣くに泣けないので、庭まあ、交付税の仕組みというものは私も承知をしておるつもりでありますから、特別交付税ないし交付税制度というものを認める限りにおいては、今の自治省のやっておられることについて全く否定するものではありませんが、しかし、銭がない、ないが意見の総じまいということで自治省が投げられたんでは困るわけであります。もしそれがなければ、何かの方法を講ずることができないのか。例えば臨時特例交付金でありますとか、あるいはその他の面で、例えば起債を認めるとかいろいろなやり方もあろうかと思うわけであります。さらにはまた、自治省からそういう実情を建設省に話をいたしまして、建設省の方でもっと市町村道除雪費をきちっと面倒を見るとかいろいろな方法があると思うのですが、自治省は、ないは意見の総じまいですか、もう一回答えてください。
  27. 二橋正弘

    ○二橋説明員 特別交付税の総額は、ただいまお話にもございましたように、交付税総額の六%というふうに法定をされておりますので、その総額を超えることはできないというような制度上の制約がございます。しかしながら、除排雪に要します財源措置につきましては、通常分につきましては普通交付税の算入も行っておりまして、私どもといたしましては、普通交付税の措置額と特別交付税による措置額とを合わせて、除排雪経費についてできる限りの措置をしていきたいというのが基本的な立場でございます。  お話のございました市町村道除雪費に対します国庫補助の問題につきましては、関係各省と相談をしていきたいというふうに考えております。
  28. 高鳥修

    高鳥委員 そこで今の積雪の補正の問題ですが、これは時間がありませんから御答弁はよろしゅうございますが、例えば級地別での加算率というものにいろいろと問題もないわけじゃないと思うのです。一メーターの雪を除雪するのと二メーターの雪を除雪するのでは、必ずしもそれは倍ではない。二メーターの雪を除雪するときには三倍も四倍も金がかかるというようなことがありまして、それらについて果たして的確に見てもらっているだろうかということについて非常な疑念を持っている向きも多いわけであります。その辺については、時々実態をよく御調査になられまして的確な対応をしてもらいたい。これは要望だけしておきます。  次に厚生省でありますが、今回の豪雪に対して四十八市町村豪雪に伴う災害救助法の適用がなされました。私の選挙区は全市町村災害救助法の適用を受けておる、こういう状況であります。たまたま新潟県に参りましたら、災害救助法の迅速な適用をしてほしい。これは迅速なというところにちょっと意味があるので、どうも厚生省は今回余り迅速ではなかったんではないかと思うのであります。厚生省は、新潟県の出してきた書類が不備であったとおっしゃるんだろうと思うのでありますが、いずれにいたしましても、厚生省豪雪に対して果たして本当に前向きであったんだろうか、私は多少疑念を持っております。したがいまして、迅速な適用という点について厚生省の態度を聞きたいと思います。  それから、今回の災害でお亡くなりになられた方々に対しましては、市町村、県の申請を経て当然弔慰金の支給が行われるものと思いますが、その点について厚生省の対応を承りたいと思います。
  29. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答えいたします。  災害救助法の発動の関係でございますが、私どもは災害救助法の発動の関係につきましては、迅速的確な適用ということを心がけているわけでございます。豪雪の場合の法の適用の条文でございますけれども、「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じたこと。」というふうな条項を使っております。したがいまして、豪雪によります集落の孤立とか大きな雪崩が発生するおそれがある、こういったようなときには即適用ということはよくわかるわけでございますけれども、雪の重みで住宅が倒壊をするというふうなときの判断と申しますか、この辺は非常に難しいわけでございます。これは、平年に比べまして異常な降雪とか積雪があったということだけでは、ちょっと私どもとしてもわかりかねるということがございまして、自力で除雪できない低所得の老人世帯とか母子世帯、こういった方々の住宅倒壊のおそれといったものをもっと調べてほしいというふうなことをお願いいたしまして、ちょっとおくれたわけでございます。  このような適用基準でございますので、国と県と市町村の意思疎通、情報連絡がうまくいかないと的確な適用ができないわけでございまして、その面に若干欠けた面があったということを反省しておりまして、私ども、今後ともそういうことを配慮いたしまして、迅速的確な適用に心がけたいというふうに考えております。  それから、弔慰金の関係でございますが、今回新潟長野県につきましては救助法の適用がございましたので、この県内におきます豪雪による死亡者につきましては、法律上当然弔慰金が支給されるわけでございます。その他の県につきましても、異常豪雪によります場合には、一連の災害として弔慰金の支給対象ということに考えておりましたので、従前の例に従いまして対処をいたしたいというふうに考えております。  現在、雪害と死亡との因果関係の認定等につきまして、地方公共団体において所要の手続を進めていただいているところでございまして、新潟県の中里村の雪崩事故によります五名の死亡者につきましては既に支給されたという報告を受けておりますが、その他のものにつきましては、今後そういうふうな手続を早急に図っていきたいというふうに考えております。
  30. 高鳥修

    高鳥委員 厚生省、今いろいろと救助の要件等についてお話がありましたが、先ほど申し上げましたように、豪雪というのは全戸屋根上浸水というような状況と同じであるということをあなたも雪の中へ住んでみればよくわかると思うのでありまして、松之山か松代で一冬過ごしてみたら十分味がわかると思いますから、もっと速やかに対応するように心がけてください。  時間が限られておりますので、いろいろと承りたいことはたくさんあったのですが、林野庁、清津峡温泉雪崩の発生をしたところは資料によりますと国有林でありまして、第百三林班土砂流出防備保安林になっておって、上信越高原国立公園、国の指定の名勝天然記念物になっておるということであります。前にも雪崩が発生いたしまして、下の苗場館一軒が被害を受けたことがあるという、現にそういう危険のあった場所で、本来ならば当然もっと早い時期に何らかの対策を講ずべきものであったと思いますが、今回このような悲惨な事故がありましただけに、速やかな雪崩発生防止対策を講じなければならないと思います。そのためには、今の環境庁等との調整も必要だとは思いますが、調整に手間取られたら困るので、現在の対応の仕方を御説明願います。
  31. 小澤普照

    小澤説明員 お答えいたします。  清津峡における雪崩の防止対策でございますけれども、先生ただいま御質問のとおりでございますが、災害後直ちに私どもといたしましては、担当官それから国立の林業試験場の専門家を現地に派遣いたしまして、現地の調査に当たりました。  なお、その後林野庁国立試験場及び関係営林局から成ります雪崩防止対策連絡会議を開催いたしまして、当該地の地形、積雪量それから景観等に配慮した防止工法等につきまして、検討を行っているところでございます。  そこで、林野庁といたしましては、今後の防災対策を講ずる必要がございますのでこの検討を急いでおりますが、先生がただいま御指摘されましたように当該地が名勝天然記念物でございますし、また国立公園の特別地域であるということでございますので、私どもといたしましては関係省庁それから地方自治体と十分な連携をとりながら、雪崩防止上の観点から適切な防災工事を行うようにこれに取り組んでいくという考えで、進んでまいりたいと思っております。
  32. 高鳥修

    高鳥委員 現地の人たちは、ともかく先祖代々あそこに住みならわしてきたのであるから、何とかして復興して住みたいという希望を持っておりますので、林野庁の的確な早急な対応を要望いたしておきます。  あと二分ばかりしかなくなりましたので、理事が自分で延ばしちゃいけませんから、あと要望だけにとどめておきたいと思います。  まず一つ、文部省に申し上げておきますが、公共施設の除雪について特別の補助金を出す法律というのがありまして、これで補助金を出す方法があるのですが、ほとんど活用されておりません。今回は、特に平場に相当の降雪があったので、これを活用される方法があり得ると思います。それなりの対応をしていただくことが、先ほどの市町村の除雪費に対する援助にもなろうかと思いますので、申し上げておきます。  それから国鉄ですが、信越本線というのは日本でも最も早くできた鉄道の一つでありまして、日本の中央を横断しておる重要な幹線であります。ところが、直江津−長野間の複線化については、国鉄財政の現況からいってさっぱり進みませんで、そのためについこの間も「能登」が妙高高原で一晩とまっているというような状況であります。この雪害対策強化や複線化についてはやはりやるべきだと思いますので、御要望を申し上げておきます。  それから、これは運輸省の所管になりますが、豪雪地域を通過をして建設中の北越北線、半分つくってとまっておりますが、第三セクターで引き受けてやろうという話が進んでおりますので、そうなりました場合にはしかるべき対応をしていただきたいということを御要望を申し上げておきます。  それから、最後になりましたが建設省、直轄の除雪費が底をついておるということでありますから、これはやはりきちっと対応してもらわなければならぬと思います。  それから、市町村道の除雪費の特例措置は先ほど来お話があったとおりでありますので、これは所管は建設省でありますからしっかり対応してください。  それからスノーシェッド。この間石川県へ行ったら、石川県の知事が七億円出して、地元の人が三億一千万出して自分たちでつくった、国庫補助をもらわぬでつくったという話がありまして、これはひどい話だなと思ったわけであります。そういうものに対しては、できるだけ地元の熱意にこたえることが至当であろうと思われますので、よく御協議をいただいて進めていただきたい。  さらに、除雪機械流雪溝などについても整備を進めていただきたい。富山県に参りましたら、北陸自動車道上越富山間が開通しないからひどい目に遭っておる、こう言っておしかりを受けましたので、これは私の地元でありますが、速やかに開通するように、私も一生懸命やりたいと思いますが、御努力をお願いいたします。  以上で大体時間になりましたので、御答弁は要りません。どうもありがとうございました。終わります。
  33. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、細谷昭雄君。
  34. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 社会党・護憲共同を代表いたしまして、国土庁長官並びに各省庁に対しまして、今次豪雪に関する若干の質問をいたしたいと思います。  先ほど、今次豪雪につきましては、長官を初め委員長からも現地調査の結果が報告をされました。我が党でも、二月二十日に北陸二県に対しまして二班にわたる調査団を派遣をいたし、親しく現地状況を視察をし、県当局並びに各市町村の皆さん方からもいろんな陳情をお受けしてまいりました。大変に現地の皆さん方が御苦労なさっておるということに対しましても、私どもいたく豪雪地帯の皆さん方に対する御同情をしてまいった次第でございます。  さらには、今回この豪雪被害によりまして、六十二名のとうとい犠牲者、そして三百六十六名にわたる皆さん方が負傷なさっておるということに対しまして、亡くなった方々に深い哀悼の意を表しながら、負傷した皆さん方の一日も早い全快をお祈りする次第でございます。  私ども委員調査団としまして、今高鳥委員等からいろいろお話がございましたが、私も参加をいたし、特に北陸へ参りましたら、今回稻村長官を初めいち早く北陸四県に政府調査団が参りまして、私たちよりも前にいろいろ視察をされた、このことに関しまして非常に期待をしておったわけでございます。稻村長官は北陸石川の出身ということで、各地知事さんや市町村長はこんなことを言っておりました。稻村長官は私どもに、私が歩いた足跡をはっきりお見せをしますから、ひとつ期待をしておってください、こんなふうに言われたので、大いに期待しておるということであったわけでございます。  私は秋田の出身でございますので、雪につきましては本当に生まれたときから雪の中で育っておるということでありますが、今回非常に勉強になりました。その勉強の第一は、委員調査団の中には、委員長は愛知出身、薮仲さんは静岡出身と、雪に余り縁のない方々も同行されたわけでございます。私自身は新潟に参りましても富山に参りましても石川に参りましても、確かに雪は多い、秋田も四八豪雪経験いたしました。私は、当時県会議員という形で地域のいろんな雪害対策に駆け回ったことをきのうのように思い出しましたけれども、同じく調査されております豪雪地帯以外の皆さん方は、大変奇異な感じを持たれたそうでございます。それは何かと申しますと、屋根の雪おろしをして亡くなったとか、屋根の雪が滑ってその圧雪によって亡くなったとか、こんなことはちょっと想像できない。そんなふうな豪雪地帯であったならば、なぜ屋根の構造なりそういったものを変えないのかという疑問であったわけでございます。  実は屋根の雪という点、それから屋根の雪おろしとか、新潟なんかでは掘り上げというふうに言っておるそうでありますけれども、こういうふうな問題については、雪国の我々はずっと耐えてきたという生活をしておったわけでございます。言うなれば「おしん」みたいなものでありまして、雪に対してのそういう環境に人間の生活が入り込んでいる、つまり耐雪といいますか共存といいますか、そんな生活がずっと続いておったわけでございます。しかし、先ほど高鳥委員も指摘されておりますように、生活の様式、時代の進展とともに今や地域の格差という点でも、豪雪であるからその中で耐えておらなくちゃいけない、こういう時代はもう終わらなければならぬと思うのでございます。耐雪から克雪へ、今はその時代でないかというふうに思うわけでございます。  そこで、稻村長官にお聞きしたいのですが、今次豪雪を体験いたしまして、緊急対策の点でも先ほど取り上げられました特交、これは現在の地方交付税制度からいいますと、先ほど自治省がお答えになったとおり、もうどうしようもありませんというので終わりということになりかねないわけでございます。ここはひとつ長官、あなたの地域石川県の問題もさることながら、このような雪に耐えるという暮らしから今や克雪の時代に入らなければならない。今回のこの緊急対策につきまして、今の特交の限度の問題、さらにそれにかわる財源をどうするか、まさにこれは国土庁の長官の責任じゃないかと思うわけでございます。したがって、この緊急対策につきまして、最初に長官のいわば所見をお聞きいたしたいというふうに思います。
  35. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 細谷さんの最初にお話のありました亡くなられた人、あるいはまた被傷者の人に対して、私も御同感であります。一日も早い回復または御冥福を心からお祈りをいたしたいと思います。  そこで、先ほど自治省の話を聞いておったのですが、これでないぞ、そういうふうに味気ないものではなかったと思います。そういう意味で、やはり一番身近な問題として困っておられる問題は除雪費の問題、特に市町村道の問題であります。そういう意味から、先ほど来も高鳥さんの質問にお答えをしたわけでありますが、五六の豪雪のときに対策として講じたその例は必ず貫いていきたいということでございますから、もう一歩進めとおっしゃると大変なところまで進んでしまいますから、この辺でちょうど私の働きやすいところでとめておいた方がいいのではないか、こういうふうに思っております。
  36. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 現地の皆さん方は、久しぶりで雪県から国土庁の長官が生まれた、しかも長官は、私が歩いた足跡をきちっとお見せしますからというふうに胸を張られたというふうに私たちも聞いて、大変心強く思ったわけでございますが、少なくともこの緊急対策、各町村の皆さん方が除雪費の問題について一つだけ考えましても、このままではどうにもならぬと言っておるわけでございます。これは、自治省に私お聞きしたいと思ったのですけれども、もう恐らく先ほどと同じ答えしか出てこないと思うのですが、ここはひとつ長官、何としてもこの緊急対策については、大蔵省にお百度参りをしましても何らかの措置を講じていただきたい、このことを強く要望いたしたいと思うわけでございます。  私は、建設省にお聞きしたいと思うのです。  自治体では、特に国県道の除雪費の大幅な不足、これを招来するということで大変困っておるわけであります。今長官が言われましたように、五六のときに対応したというふうなことをお聞きしておるのですが、自治体によって行われた国県道の除雪費の大幅な不足に対してどんな措置をおとりになるおつもりであるか、御所見を伺いたいと思います。
  37. 和田惇

    ○和田説明員 お答えいたしたいと思いますが、ことしは大変早くから降雪がございまして、全国的にも広範囲にわたりまして豪雪があったわけでございます。そういう中で私ども、道路交通確保に全力を尽くしてまいったつもりでございます。  今ほど御質問の、一般国道、道府県道の除雪費につきまして補助を行っておるわけでございますが、最終の所要額は五十八年度の予算をかなり上回る見込みでございます。そういったようなことでございますので、今やむを得ず執行ができない予算等、それから道路整備特別会計予備費等もございますので、そういうものの中から使用を検討しておりまして、今後とも除雪費の確保につきましては適切な対応を図ってまいりたい、こう考えております。
  38. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 五十八年度の予算では対応できない、予備費の支出というふうになっておるようでありますが、ぜひともひとつこれは切実な問題でございますし、恐らく皆さん方に対しても多くの陳情が参っておるのじゃないかというふうに思います。  私は、今緊急の対策につきまして、我が党に寄せられましたいろいろな陳情、こういったものを取り上げてまいりたいと思います。  同じく建設省にお伺いしたいのですが、市町村道の除排雪はより深刻なわけでございます。この市町村道の除排雪につきまして、五六豪雪と同様の措置をするつもりがおありなのかどうか、これについてお尋ねしたいと思います。
  39. 和田惇

    ○和田説明員 市町村道の除雪につきましては、建設省といたしまして除雪機械の購入の補助を行っておるわけでございまして、その稼働に要する費用につきましては、交付税等で措置がなされているということでございます。五十一年豪雪、五十六年豪雪の際には、御存じのように市町村道除雪費の補助の臨時特例措置がなされたわけでございまして、現在国土庁と共同で、各市町村における積雪状況等につきまして調査を実施しているところでございます。この結果を検討いたしまして適切な対応を図ってまいりたい、かように考えております。
  40. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 もう一度。今調査は、もう恐らくかなり進んでいると思うのですよ。それで、この結果がいつわかって、いつから対応できるのか、重ねてお聞きしたいと思います。
  41. 和田惇

    ○和田説明員 先ほど申し上げましたように調査を現在やっておるわけでございまして、現在のところそれを集計している段階でございます。今急いでおりますが、ちょっと最終的な見通しはわかりませんが、前回の例を見てみますと、昭和五十五年の例でございますが、三月の中ぐらいに閣議決定がなされております。そういったような日程がございますので、もしこれが発動されるということになりましたら、そういったような日程を参考にしながら作業を進めなければならない、かように考えております。
  42. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 同じく建設省にお聞きしたいのですが、今のと関連しまして、私が聞いているのは、五十六年豪雪と同様の措置をとられるのかどうか。結果は恐らく同じだと思うのですよ。現地からのいろいろな点を見ますと五六豪雪に迫るということでありますので、おおよその感じ、こういったものは既にわかっておると思うのです。つまり、結果がそういうふうに出るのだろうというふうに私は予想するのですが、とるつもりがあるのかどうか。  それから次の問題は、市町村道の道路附属物、附属施設のうちガードレールについてでございますが、損傷が非常にひどい。したがいまして、これは公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の適用をすべきと考えますが、この点の措置をどういうふうにお考えでしょうか。  これを二つあわせまして……。
  43. 和田惇

    ○和田説明員 今ほどの市町村道除雪に関してのお話でございますが、先ほど御説明いたしましたように現在調査中でございまして、それを集計している段階でございます。したがいまして、どうなりますか、ちょっと今のところは何とも申し上げられないわけでございますけれども、ともかく集計を急いで、その結果を早く出していきたいと考えております。
  44. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  ガードレールの負担法の適用の問題でございます。御承知のようにガードレールは道路附属物でございまして、現在公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の対象になっておりますが、条件がございまして、道路本体とともに被災した場合に限られておりまして、いわゆるのみ災は採択できないということが原則になっております。しかし、昭和五十六年の異常な豪雪に際しましては、その被害が非常に激甚であったという実態がございまして、特例として負担法の対象として採択してございます。  今回も降雪状況等を見ますと、五十六年を所によっては上回る豪雪になっておりまして、その被害も激甚であろうと予想されますが、今後その被害の実態が判明し次第適切に対処してまいりたい、かように考えております。
  45. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 災害弔慰金の問題について若干の質問をいたします。  災害弔慰金の支給対象は、原則としてすべての災害地における死者または負傷者に対してこれは支給されるべきだと私は思うのですが、この点についてどうか。  それから弔慰金の金額、現在三百万円、こうなっておりますが、ほかのいろんな、例えば通り魔殺人の国家賠償法といいますか肩がわりといいますか、ああいうのは八百万円というふうになっておるわけでございます。この弔慰金につきましても、お聞きしますと、議員立法という形でようやく三百万円に上げたという経緯もございますけれども、この三百万円という金額を若干引き上げるべきじゃないかというふうに私は考えておるわけですが、厚生省のこの点についての所見を賜りたいと思います。
  46. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 弔慰金の関係につきましてお答え申し上げます。  災害弔慰金の支給の関係でございますが、豪雪という自然災害による死亡者の遺族に支給されるものでございますが、今回の豪雪の場合には、新潟県、長野県は災害救助法の適用がございますので、これは法律上当然出るわけでございます。それから他の豪雪地につきましても、一連の災害として、前例に従いまして対処いたしたいというふうに考えております。現在、雪害と死亡との因果関係等につきまして、地方公共団体におきまして認定作業を急いでいるところでございます。  それから支給額の関係でございますが、五十六年度に引き上げたところでございまして、その後の物価上昇等を考えますと、遺族に対する弔慰を目的とする金額としては妥当な水準ではないかというふうに考えているわけでございまして、犯罪被害者に対する給付金は、これは一種の損害賠償の代行というふうな性格を持っているものでございますので、これとは性格が異なるものではないかというふうに考えている次第でございます。
  47. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 この新潟長野という災害救助法の適用以外の死亡者、そういった問題につきましても因果関係ということもあると思うのですが、最大限にそういう点で対象範囲というものもぜひ考えていただきたい、こういうふうに考えています。金額につきましては、私はお金でどうするということではないのですが、三百万は適当じゃないと思う。できればもうちょっと上げたいというふうに思っておるわけでありまして、我が党の要望としてひとつ受けとめていただきたい、こう思います。  それから次に、農林水産省にお伺いしたいと思います。  農林業の被害というのはこれから大きくなるのではないか。例えば融雪災害、それから雪崩、こういったもので農林業の被害というのは今後大きくなる可能性を残しておるわけであります。一つには被害に対する長期低利資金の融資の枠の確保、一つには果樹倒伏木の復旧の助成、これについてどういうふうに対処されるつもりなのか、その点のお考えをお聞きしたいと思います。
  48. 眞鍋武紀

    眞鍋説明員 私から、金融対策、資金対策についてお答えいたしたいと思います。  現在降雪被害につきましては、農作物の被害状況をいろいろ把握に努めておるところでございますが、何分雪が解けないと最終的な把握は困難でございます。いずれにいたしましても、農林漁業金融公庫の資金にいろいろ災害関係の資金がございますので、これらを活用いたしまして被害の実情に応じた適切な資金対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  49. 武政邦夫

    ○武政説明員 私の方は、果樹関係の被害関係についてお答え申し上げたいと考えております。  率直に申しまして、雪による果樹の被害につきましては、現在関係機関とも十分打ち合わせまして、その詳細を調べているところでございます。先生も御存じのように、果樹関係の雪害はやはり折損であるとか倒伏であるとかいうのが出るわけですが、これは融雪時に一番起こりやすいわけでございまして、ことしの雪の状況を拝見いたしますと、秋田や毛馬内の方のいわゆるリンゴ地帯にございましては大体五十二年豪雪のときと同じ程度でございまして、ただ若干湯沢の方面では一メーター五十七、さらにそれを超えるような状況にございます。ということは、融雪時の被害がかなり懸念されるわけでございまして、私どもは二月に通達を発しまして県とも御連絡をして、できるだけ融雪時の被害を最小限にするという意味で、融雪時もできるだけ雪を早く解かしていく融雪促進、除雪、そういった面についての技術指導の徹底を期するよう今努力をいたしておるところでございます。
  50. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 最後に緊急対策についてですが、中小商工業者に対する特別措置が考えられないかどうか。例えば、五六豪雪につきましては措置された災害融資の特別措置、こういったのが今度もひとつ実施できないのかどうか、この点を通産省にお聞きしたいと思います。
  51. 小川忠夫

    ○小川説明員 今回の豪雪による中小企業関係の被害につきましては、各通産局及び県等を通じまして現在調査中でございますが、現在までの県からの報告によりますと、直接的な被害が約三億円、間接被害が約四百五十二億円に上っておるという報告を受けております。五十六年の豪雪による中小企業の被害は、当時直接被害がおよそ百四十億円、それから間接被害が二千億円を超えるというような激甚な被害でございました。今次豪雪による被害は、今のところは中小企業関係について見ますと、五十六年豪雪による被害をかなり下回っている状況にございます。しかしながら、被災各県等から被災中小企業者に対する融資枠の確保等、金融面における緊急対策の要望もございますので、関係各県とも相談しながら中小企業体質強化資金助成制度を活用いたしまして、低利資金の融資を順次実施してきたところでございます。またさらに、二月二十三日付で政府系の中小企業金融三機関に対しまして、災害復旧貸し付けの発動を指示したところでございます。  先生の御指摘の五六豪雪並みの特例措置の点につきましては、目下のところ先ほど申し上げましたように、中小企業関係の被害につきましては五六豪雪をやや下回っておりますが、今後の調査が進むにつれまして中小企業被害が増加するおそれもございますので、その状態等を見きわめつつ、必要に応じまして関係省庁ともよく相談しながら、適切に対応してまいる考えでございます。
  52. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 次に、基本的な恒久対策といいますか基本対策について、若干の質問をしたいと思います。  時間がありませんので、ひとつ私も手短に質問しますが、手短な回答をお願いしたいと思います。  最初に長官に対して。先ほどもお話ししましたが、今や克雪の時代に入った。例えば無雪害町づくり、こういった問題を目指しながら各県、各町村とも、それぞれの創意工夫をなされておるわけであります。今回の豪雪に対する緊急な対応という点からしましても、例えば先ほど長官は、豪雪基本法の見直しという問題を一つ取り上げました。私はやはり何といいましても今の体制ではなくて、もう国土の五二%以上にわたる、人口の二千万以上にわたるといわれておりますこの毎年雪の降る地域に対して、今もって雪にじっと耐えなければならない、そういうあり方というのは根本的に改めなくてはいけない、こう思うわけでございます。したがって、国土庁中心とした今の調整機関でいいのかどうか。東海地震という問題に関しましてあの特別措置法があり、そしてそれに対応する省庁といいますか、しっかりしたセクションが置かれておるという実情からしましても、この克雪時代に向けた根本的な対応策がこれは必要じゃないかというふうに私は考えるわけであります。したがって、国土庁長官のこれらの取り組みに対する抱負、こういったものをお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  53. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 これは私も雪国に育ってまいりまして、実際はなかなか難しいですよ。(「難しくないよ、やる気の問題だ」と呼ぶ者あり)そこでやる気と言ってみたところが、やる気は満々で雪国ですから、私のときに何か一つ新しい芽を出すことがないものかな。さっき高鳥さんのあれにもお答えしておったのですが、そういう意味で先ほど来から出されておる問題はほとんど緊急対策、これは当然のことでしょう。緊急対策の問題、除雪費をどうするとかいろいろな問題ですが、私はこの前回ってまいりまして、高田、直江津において大きなヒントを一つ得たわけです。  それは何かというと、十一月に供用したバイパスの問題、これが大変大きく地域住民の役に立っておる。それからまた北陸自動車道等は、経済の動脈としてもしあれがなかった場合においてはという発言等々がしばしば出されておりました。そういケ意味で、今度ここの災害対策で小委員会ができたわけでありますが、ここの方にも相当の議論をしていただきまして、何かひとつ当面の問題あるいは中期的、長期的に——この苦しみというものは、雪のところでないとわからないのですよ。若い世代の人たちにも、ひとつ大きな希望、夢を持っていただける。それにはどうするかというと、先ほど来の委員長の小委員会の提案がありまして、これは私は、援軍ができたな、協力者ができたなと、実は大変喜んでおるわけです。  まあ、そんな意味で、一緒になってこの雪国の苦しみというか、雪国で育つ者しかわからない、理解できないこの問題にどう対応していくか、こういう問題も、私は私なりに今度はこの立場においていろいろ研究もしておりますし、また肌に感じたこともありますから、ひとつ一緒になって何かいいものをつくり上げていきたい、こういうふうに思っておりますので、御協力のほどをよろしくお願いいたします。
  54. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 長官、私は今のような対応じゃなくて、先ほど長官いみじくもお話ししました、ここら辺が限界でしょう、これ以上言うと今の私の立場から逸脱をするからという、まことに、この豪雪対策につきましても一つの限界を感じておられる。ですから、先ほど高鳥委員がお話しのとおり、社会が進展すると、それに対応もどうしても変わってこなければいけない、そういう時代にまさに入ったと私は思いますし、長官の在任中これをやったという足跡を何とか残していただきたいと思いますし、私どもも小委員会の皆さん方を中心にしまして、新機軸を出していきたいと考えています。  次に、この恒久対策として急がなければならないのは、何といっても科学技術の力をかりまして、もっと何とかならないのかということを痛切に感じております。これは、地域住民の皆さん方の思いでございます。  科学技術庁の皆さん方にお聞きするのですが、この科学技術の飛躍的な発達進歩、これを望んでおるわけですが、雪害対策研究の現状と今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。
  55. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 科学技術庁におきます雪害対策研究の取り組みにつきまして、お答えいたします。  この冬の豪雪は、東北地方や日本海側におきまして大きな被害をもたらしておりまして、雪害の防止ということについての研究重要性が改めて認識されておるわけでございます。  科学技術庁といたしましては、かねてからこの雪害防止の研究重要性というものは認識いたしておりまして、これは科学技術会議によりまして、昭和五十六年度に防災に関する研究開発基本計画というものが定められておりますけれども、そういったものの中でも方向づけがなされております。それに基づきまして、国立防災科学技術センターを中核といたしまして、いろいろ関係試験研究機関及び大学との協力連携を図りながら、雪害の防止の研究を進めておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、国立防災科学技術センターの雪害実験研究所、これは新潟県の長岡市にございます。それから新庄支所、これは山形県の新庄市にございますが、ここの二つの研究所におきまして、道路とか鉄道に降りました大量の雪を除雪するための、河川の水を有効に利用いたしました、簡単に申し上げますと、雪と水の混合体をパイプラインで強制的に輸送するというような研究開発もいたしております。この成果は、この冬から国鉄の福井駅み構内におきまして設置されて、活用されておるということでございます。  また、家屋の周辺の除雪ということが大変問題でございますけれども、これにつきましても、例えば研究の一つの例といたしまして、冬季に遊んでおります農業用のトラクターを利用いたしまして、安価な除雪車をつくるというような研究もいたしております。これにつきましても、この成果をもとにいたしまして、例えば建設省等で実用化のテストが行われているというのが現状でございます。  また、太陽熱の利用によります屋根雪の処理の技術あるいは屋根雪によります家屋の倒壊の防止のための技術というようなことにつきまして、特にこういったものは日常生活と非常に関連が深いわけでありますけれども、そういうものにつきましても、研究をいたしております。  また、地下水の問題があるわけでありますけれども、これは新庄支所におきまして、地下水がどのように地下の中に涵養されているかというようなことを解明いたしておりまして、こういうことがわかりますと、この融雪用の地下水を適正に利用するための道が開かれるというように考えておるわけでございます。  また、関係各省とも一致協力して研究を進める必要があります。こういう面におきましては、科学技術振興調整費というものを活用いたしまして、国立防災科学技術センターのほかに、農林水産省の農業土木試験場でありますとか気象庁などの御協力を得まして、五十七年度がら五カ年計画で、豪雪地帯における雪害対策技術の開発に関する研究というようなものを総合的に取り組んでおるわけでございます。今後とも、雪害対策研究の一層の充実に努めてまいる所存でございます。
  56. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 時間が大変なくなってしまいましたので、きのう見せていただきましたけれども、科学技術庁の豪雪に対する研究分野というのは、ほかの地震とか火山とかそういうのに比べまして、実は予算的には非常に少のうございます。こちらの方にも、ぜひ多くの予算をつけるように要望したいと思うわけでございます。  それから、時間がありませんので一つだけ。歩道の問題でございますが、歩道除雪というのは非常に重要になってまいりました。これは私自身、五十年ですか五十一年ですか四八豪雪のときに、学童の通学路の確保という点で、特に秋田県議会からこちらの方にもお願いいたしまして、実験事業をやったわけでございますが、現在、建設省で実験事業をずっと続けておるわけであります。現状どこまで実験をされ、そして今後これは飛躍的にひとつ成果を期待したいというふうに思うわけでありますが、これのことについて簡単にお願いしたい。  それから、時間がありませんので、取り残した問題について、要望だけ申し上げたいと思います。  雪寒道路の指定の問題でございますが、これの延長、拡大について特に要望しておきたい。それから雪寒地の住民の負担軽減につきまして、家屋の固定資産税の評価、ぜひこれの見直し、それに対するいわば減収分の補てんを自治省にお願いしたい。大蔵省に対しましては、雪寒地の住民の負担軽減のために、所得税の雪寒控除を認めてほしいということ。それから、豪雪地から他府県に出ております出稼ぎの皆さん方がおられるわけであります。ことしもSOSで帰った方々が多いわけでありますが、防災休暇というのをひとつ考えていただけないか。最後に、豪雪地帯の自治体職員、それから建設省の職員の皆さん方、特にオペレーターの皆さん方は、大変過酷な条件の中で日夜頑張っておられるわけであります。これらの健康管理、待遇、勤務条件、安全対策について万全を期されておるのかどうか。そして、これらの皆さん方に対して、国土庁でも結構です、建設省でも結構ですが、ひとつ偉い方々から、大変御苦労であった、万全を期しなさいという、関係都道府県や市町村に対しましてそういうふうな何らかの慰労の言葉があってほしい、これは要望いたしたいと存じます。  以上です。最後の御答弁をお願いします。
  57. 和田惇

    ○和田説明員 積雪地域におきます冬季の歩行者の安全な通行確保するということでございまして、五十二年度から歩道除雪の試験的施行というものを行っておるわけでございます。昭和五十八年度におきましては、二千二百五十キロにあたりまして国県道について延長を行っているわけでございまして、さらに五十九年度は二百五十キロ延長する予定でございまして、そうしますと合計二千五百キロということになる予定でございます。  御存じのように、歩道は車道に比べまして非常に幅員が狭うございまして、またいろいろな障害物もあるわけでございます。そういったことで、除雪がしづらい環境にあるわけでございます。歩道除雪の試験施行を通じまして、歩道用の除雪機械の改良といったものもやっておりますし、また技術の向上等も図っております。そういうことで、また続けてまいりたいと思っております。
  58. 細谷昭雄

    細谷(昭)委員 終わります。
  59. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、薮仲義彦君。
  60. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、このたびの豪雪で、先ほど御報告ございましたように亡くなられた方が六十二名、そして負傷なさった方が三百六十六名の多きにわたっておるわけでございますが、亡くなられた方の御冥福を心からお祈り申し上げ、また負傷なさった方の一日も早い回復、そして被災なさった方がまた元気に立ち直られることを心からお祈りしながら、この質問をさせていただきたいと思います。質問の時間が非常に限られておりますので、御答弁は、できる限り要点を簡潔にお願いをいたしたいと心から思うわけでございます。  今回の豪雪に際しましては、長官が真っ先に現地を視察なさった。われわれも調査団として行ってまいりまして、現地の方は長官がすぐ来てくれた、このことを非常に心強く思っておられます。これは非常に大事なことであり、その県民の皆様の期待に長官は自信を持ってこたえていただきたい。先ほど来御答弁を伺っておりますと、大変慎重な御答弁でございますけれども、この委員会というのは、長官、もっと自信を持っていただきたい。そこにいらっしゃる天野先生を初め、災害についてはいつどこで起きるかわかりませんので、党派を超えて全員で国土災害を守ろう、人命を守ろう、これは党派を超えての、我々ここにいる委員一人一人の熱意であり決意であります。  本会議において中曽根総理も、国土の保全は国の最も緊急な事態である、今回わざわざ国土庁防災局設置したと、本会議のあの発言もございました。ただいま長官の御発言の中にも、災害から国土を保全し国民の安全を守ることは国政の基本である、しかも国土庁中心となって災害対策総合性統一性確保を図る、こうおっしゃった。私はこの雪害も、御自分が石川の出身だからといって気おくれする必要はさらさらない。国会議員として堂々と、雪国に住んでいらっしゃる方のある意味では代表なんですから、自分は雪国のことを一番知っているんだ、責任を持ってこの豪雪対策に積極的に汗を流して、先ほど来言われたように、長官が長官時代に立派に豪雪に対する一つの明るい将来の、五十年あるいは百年先まで展望が開けた、おやりになって結構だ。何もそれは地域のエゴではない。災害から国民を守ろう、雪から国民を守ろうとする長官の熱意は、ここにいるすべての委員は賛同するわけですから、先ほど来多少消極的な御発言でありますけれども、当委員会においては災害から生命を守るときにはどうか自信を持ってやっていただきたい、これはまずもって長官にお願いをしておくわけでございます。  具体的な問題をお伺いします。まとめて聞きますが、長官、最近国土庁の責任を明確にしようとということで、いわゆる災害対策基本法に定められた中央防災会議、この防災会議における国土庁の立場を明確にしよう、あるいはまた大規模地震対策特別措置法における国土庁長官の立場を明確にしよう、いわゆる災害対策基本法あるいは大規模地震対策特別措置法の改正を図るべきである、こういう御趣旨の発言が一部マスコミに伝わっております。  私は、防災の見地から長官がそのような決意で責任を持って取り組もう、特にこの中では各省庁がいろいろなことを言いますけれども、この災害対策特別委員会の主たる任務は自然災害です。自然災害がほとんどであります。その中で国土庁長官が責任を持ってやろう、大いに結構だと思います。そういう意味において、私は、こういうことが一部のマスコミに流れておりますけれども、長官は本気になって、この災害対策の責任、大規模地震対策特別措置法に対する国土庁の責任を明確にするために法案改正の用意があるのかどうか。先ほどの点と二点、最初にお伺いしたいと思います。
  61. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 薮仲さんの御質問でございますが、一番最初に、この災害で亡くなられた人に対して、心から御冥福をお祈りしなければならぬと思います。また、けがをされた被傷者の方に対しては、一日も早い回復を心からお祈りを申し上げたいと思います。  そこで、基本の問題に入ってきたわけですが、今雪のことばかりですけれども、実は災害対策というのは、もちろん日本は災害の国ですからたくさんございます。例えば一番大きな地震の問題、あるいはまた水害の問題、あるいは噴火の問題、豪雪の問題、日本の国は多種というか多様というか、大変災害が多い国でございますから、そこから人命を守る、これは基本的な考え方でなければならぬと思います。そういう意味で、その指揮命令系統というものは一本化すべきである。そういうような形から、国土庁には防災局設置して七月一日からいよいよ旗上げをする、こういうことの準備を今進めておるところであります。  そういう意味から、ここで豪雪の問題ですが、この豪雪の問題というのは、災害も同じですけれども、ずっとそれに耐えてきたやはり地域でありますから、消えてしまうとなくなってしまう。降っておるうちは災害の全容をなかなかつかみづらいというような問題がございますけれども、雪が大変邪魔をしております。地域格差により一層の拍車をかけておる。そういう意味から、先ほど来高鳥さんの話ではないのですが、上越新幹線は役立っておりますね。ほかの新幹線は皆途絶をしておるけれども、上越新幹線だけは足腰が強いから、これによって一分たりともおくれたことがない、こういう状態は高鳥さんの話でなく、私もよくそれは掌握しております。  そういう意味から、短期的な当面の問題としてはどうしても除雪費の問題、特に市町村長が困り果てておる。ただ、県道であるとか国道については、そう心配したこともなくうまくいっておる。こういうような形から当面の問題と、それから本当は雪を降らせないようにするのが一番いい。とてもじゃないが、それはできるものじゃない。先ほど来の科学技術庁の話を聞いておっても、それはできるものではない。自然に打ちかちながら、将来において若い人たちが、またここに住む人たちが希望を持てるようにするのには、当面の問題も大事ですが、これから中期、長期にかけて、先ほど来も小委員会が発足いたしました。私は大変感謝をしております。  そういう意味から、私の時代には、仮にそれが完成しなくても何か一つの方向を出したということだけをつくってまいりたいということで、毎日期待にこたえるように、例えば新潟に行きましても富山に行きましても福井に参りましても、やはり雪国の稻村であるから、何か今までと一味変えてくれるのではないかというこの期待にこたえよう、全力を注いで、当委員会の皆さん方の御協力もちょうだいをしながら、特に先ほど来小委員会ができまして、我々の豪雪地帯としては百万の味方を得たような心強さを感じておりますので、ここと一緒になってひとつ頑張ることをここでまず決意として最初に申し上げておきたい、こういうように思います。
  62. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣のその御決意をさらに力強く実現の方向に頑張っていただきたい。我々も、その大臣の決意と熱意にはあくまでも力強く応援する姿勢でこの災害対策には取り組んでまいりますので、頑張っていただきたいと思いますし、我々もさらに努力します。  きょうは、時間がございませんからまとめて質問させていただきますけれども、要点をお答えいただきたいと思うのです。  先ほど来、いわゆる特別交付税、特交の話がございます。これはもう先刻大臣も御承知のように、普通交付税の六%をどのように使うか。特交の性格からいって、災害復旧のために使うのは当然でございます。先ほど来御報告ございましたように、本年は中部日本海地震あるいは三宅島の噴火あるいは豪雨という立て続けに災害がございますので、自治省としても豪雪だけにという考えは無理かもしれない。でも、今残された手段というのは、特交の中で、あの雪に埋もれている方々、特に今回の雪は先ほど来御説明があったように、私は五六豪雪新潟から福井まで行ってきました。その中でわかったのは、五六豪雪はある期間集中的に大量の雪が降りました。ですから、折損木等倒木がひどい山林被害がございました。今回の雪はだらだらと降っているのです。これは、今まで集中的に降れば一回で済んだ除雪費が、二回、三回、四回、五回と重ねなければならない。今回の雪は、回数を多く除雪したということによって除雪費が増高しているのです。  いわゆる災害というのは、予測してできたものじゃないのです。平年の除雪費のとおり、確かに普通交付税で交付しておきました。そのとおり各市町村はやったと思います。でも、予測しなかっただらだらと長いこの寒波、きょう長官もテレビのニュースをごらんになったと思います。東京初め日本の国は、まだマイナス四十度の寒波の中にありますよ。非常に長い寒波の中で過ごさなければならなかった。だから除雪費が高騰した。これはやはり異常事態でございますから、きちんと、遠慮しないで、この特交の配分については、自治省も自信を持って傾斜配分をして結構だと思います。それはある意味では、災害に対しては特交によって何とかしましょうというのは国民的な合意です。普通交付税の六%は特交としてとっておくのはそのためにあるわけですから、この点は自治省も自信を持ってやっていただきたいし、長官も実態を踏まえて、この特交の配分については雪国の皆さんの期待にこたえられるように、どうか十分配慮をお願いしたいと思うのです。  また二点目に、先ほど来予備費の取り崩しの話がございました。長官は五六豪雪の例に倣って、五六豪雪ではなくさらに五二豪雪のときもこれは前例がございます。そのときは二十億です。五六豪雪では四十一億です。そのようにして、今回は、確かにいわゆる特交の枠自体が三百一億小さくなっているのはわかります。でも、この予備費の取り崩しの発議は国土庁長官の責任であります。当然、予算建設省道路局が持っておりますけれども、閣議にて発議して強力に推進なさるのは長官の働きであります。  国土庁長官が雪国の稻村長官ではなく、さらには災害の稻村長官であり、日本の稻村長官であり、防災の稻村長官、世界に冠たる長官になるためには、こういう予備費の取り崩しも一つのステップとして、長官の時代に、あの五九豪雪のときにしっかりやった、これは何年たっても残っています。自信を持って、この災害対策のための予備費の取り崩しは、五六豪雪が四十一億ならば、たとえ特交が三百一億減っておっても、それを上回る十分な国道の特例措置を講じたな、さすが長官、これでこそ私は立派な足跡だと思います。先ほどどなたか足跡と言ったけれども、実績を残していただいて結構です。やってください。  それから、農林水産省来ていますね。  今、確かに雪の中に埋もれておって、被害の実態がわからないかもしれません。現在三百六十四億、先ほど御報告いだだきました。しかし、このうちの大半は熊本の被害でございます。この被害のうち二百億を超える部分、二百五十億は熊本の被害総額であった。また実際の北陸の被害は、これから融雪期になるとはっきりしてまいります。こうなったとき、農林水産省が、天災融資法を含めて、農家の皆さんの営農意欲をなくさないようにしっかりとした対策を、法的な措置を講じていただきたいし、また自作農維持資金の融資枠の拡大あるいは償還をもう少し延期してあげるとか、あるいは各制度資金、農林漁業金融公庫災害復旧資金であるとか農業近代化資金であるとか、あるいは森林災害に対しては造林補助事業の実施あるいは林業改善資金の融資対策を十分に弾力的に発動して、あの雪の中に埋もれておる皆さんを守ってあげてほしい。  これは、農林水産省がしっかり責任を持ってやっていただきたいし、さっきの予備費の取り崩しにつきましては、建設省国土庁と力を合わせて、建設省がしっかりしなければいけませんので、特に市町村道の補助に助成を非常に期待しておりますから、建設省、取り崩しはしっかりと頑張っていただきたい。弱虫じゃしようがないですよ、しっかり災害復旧をやっていただきたい。  最後に、長官にもう一つお伺いしたいのは、さっきからいろいろなことを言われておりますけれども、長官、雪国というのは総合対策をつくらなければだめです。都市構造、道路構造、家並み、除排雪をどうすべきか。それは一年、二年じゃできません。三十年、五十年あるいはもっとかかるかもしれません。しかし、さっき長官は、若者に希望の持てるとおっしゃった。おっしゃるとおりです。これは国土庁だけではできません。建設省だけが確かに雪に強い町づくりをやっていますけれども、家並みや道路構造だけではございません。通産省の持っているスパイクタイヤをどうするんだ、気象庁の持っている気象予報あるいはまた科学技術庁の雪害に対する研究、屋根の雪のおろし方をどうしたらいいのか、林野庁の持っている、今度は国有林野の雪崩ですけれども、雪崩研究等々、あらゆる省庁を統合して、雪に強い町づくりは、国土庁が調整官庁となってしっかりプロジェクトを組んでおやりになって結構だと思うのです。そういうお考えがあるかどうか。  以上、取りまとめて質問させていただきましたけれども、それぞれ御答弁いただいて終わりたいと思います。
  63. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 その中で一番中心は、当面の除雪費の問題であったと思います。私は、あの中でじっと耐えてやっておる人々のことを考えますと、具体的に、それでは五十六年についてはどうであった、三八にどうであったから、今ここでそれから上乗せして答えろ、これは当然質問者としては、その泣きどころを言わせなければ質問にならぬことはよくわかりますけれども、これは私も相当の決意を持って臨むつもりです。  それからまた、雪国において足腰の強い町づくりという問題も、実は検討させております。国土庁というのは知恵を出すところでありまして、知恵者がよくおります。そういう意味で、雪を利用しながら、この雪を逆手にとりながら、どうして将来において雪に強い町をつくっていくか、こういうことについて今衆知を集めておりますので、ぜひひとつ御期待のほどをお願い申し上げたいと思います。
  64. 二橋正弘

    ○二橋説明員 除排雪に要します経費につきましての特別交付税の算定につきましては、先ほども御答弁をいたしましたけれども、現在、関係地方団体から普通交付税で措置した額を上回った所要額の報告を求めておりまして、その報告にはもちろん御指摘ございましたように、今冬の除雪回数が多くなっているという要素も当然織り込まれた数値の報告が来るわけでございまして、その所要額と普通交付税の措置額等を勘案しながら特別交付税の算定をしてまいりたいというふうに考えております。
  65. 田中宏尚

    田中(宏)政府委員 農林省関係のこういう災害の場合の融資につきましては、先ほど先生いろいろ例示されましたようにいろいろな資金制度がございますので、そういう資金制度を十分に活用いたしまして、地元の意向等に的確に対応できるように万全の対策を講じてまいりたいと思っております。
  66. 和田惇

    ○和田説明員 市町村道の除雪の補助でございますが、先ほど先生の御指摘にもありましたように、五十一年豪雪、五十六年豪雪の際に臨時の特別措置がなされたわけでございます。これを踏まえまして、現在国土庁と共同で各市町村におきます積雪状況調査をいたしております。この調査結果を踏まえまして、適切に対応してまいりたいと考えております。
  67. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  68. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、水谷弘君。
  69. 水谷弘

    ○水谷委員 ただい京我が党の薮仲委員が、総合的な災害対策について触れられました。私は、個別的な問題を少し取り上げて、今回の災害に対する万全の方策を講じていくべく、何点かにわたって御質問をさせていただきたいと思います。  初めに、先輩各位の前で、私、初めて本委員会において発言をさせていただきます水谷弘でございます。今後とも、先輩の御指導、御助言を心からお願い申し上げます。  公明党の私どもは、五九豪雪雪害対策本部調査団といたしまして、過日の二月二十七、二十八の両日、新潟県の五市町村に行ってまいりました。先ほど御報告がございましたように、全国では六十二名のとうといお命が奪われ、さらにまた三百六十六名という負傷者がおいでになられ、その御遺族また御家族の皆様のお悲しみは想像に絶するものがあるわけであります。ここに心からお見舞いを申し上げる次第でございますが、政府は、この五九豪雪によって被害を受けられている豪雪地域の住民の皆様方、そして毎日、昼夜の別なく豪雪と闘っておられる関係者の皆様の切なる御要望に対して、可能な限り誠意を持って対処するものでなければならないと考えます。  緊急に講ずべきものはもちろんでありますが、先ほど来長官がおっしゃっておりますように、雪国でなければ存在しないような各種の困難な生活条件がございます。恒久的な防災措置を含めた地域の生活環境の確保と生命財産を守るための積極的な諸施策こそ、私は実行が必要であると考えます。そのような観点に立ちますと、既成の概念をかなり打ち破って、風水害等の災害と多くの面で相違が見られる雪害を恒久的に克服する必要があろうと考えます。  具体的な事例をもって御質問いたしますが、新潟県中魚沼郡中里村の雪崩による大惨事は孤立した集落で発生したわけでございます。まことに痛ましい災害でございますが、今なおこのような孤立集落が各地にございます。同じ中魚沼郡の川西町の小脇集落では、現在二十四世帯八十人の方々が孤立をし、不安と苦痛の生活を送られております。このような孤立集落の解消を図るため、国県道及び市町村道の整備が急務であります。そして、さらに抜本的には、積雪寒冷特別地域における道路交通確保特別措置法に基づく路線の指定を積極的に行うなどして、いわゆる除排雪をして急場を切り抜けるのではなくて、いつでも安心できるような恒久措置としてその整備を早急に対処すべきであると考えますが、建設省のお考えをお伺いしたいと思います。
  70. 和田惇

    ○和田説明員 お答えいたしたいと思います。  先生今ほど御指摘ございましたように、雪に強い道路づくりといったような整備も進めておるわけでございますが、雪寒法に基づきます雪害防止といったような事業もやっておるわけでございます。この事業につきましては、雪寒指定路線というものを一定の基準に従いまして選びまして、その路線を対象にいたしまして雪寒事業を実施しているわけでございます。五十八年度を初年度といたします第八次の雪寒五カ年計画というものがございますけれども、これによりまして国県道、市町村道の指定をやっておるわけでございます。  国県道につきましては、既に指定されたものがございますが、それにこの五カ年で三千七百八十キロを追加するということになっておりまして、合計六万九千四百八十四キロといった指定路線になるわけでございます。それから市町村道につきましては、五年の間に五千キロを追加するというようなことで考えておりまして、五十八年度分といたしまして千百七十四キロを既に追加をいたしております。その結果、合計いたしますと三万五千百八十五キロといった延長が指定されておるわけでございます。こうしたような雪寒指定路線を延ばしてまいるわけでございますけれども、これにあわせまして雪寒事業の拡充を図りまして、冬季道路交通確保に努めてまいりたいと考えております。
  71. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 今建設省の方に、孤立しておる部落に対する道路整備を急速に、こういう御指摘であります。この委員会は幸いにして各党も大変実力者ぞろいですが、特に自民党の方で、ここに天野さんおられまして今のお話よく聞いておられますから、特に今度は正式機関の道路調査会会長もやっておられますし、今途絶されておるその道路は、あなたの御指摘のとおりこれは至急に……。  大体、災害は百年に一回、しかしあす来るとも知れないですから、そういう意味で災害対策をやっておるわけです。ところが、雪の場合は百年じゃないですから、毎年来ることに決まっておるわけでございますから、今御指摘のその問題については全力を挙げてまいる、このお約束をいたしておきます。
  72. 水谷弘

    ○水谷委員 先ほども薮仲委員が触れられましたが、都市の総合的な整備という問題に関しまして、若干個別的な問題について御質問いたします。  現在行われている豪雪地帯における除雪方法は、大別いたしますと機械除雪、消雪パイプ流雪溝等の三つの方法、それらが総合的に行われておるようであります。それでかなりの除雪が成功しているわけであります。しかし、これらが行われておるところは、ほとんどが国県道、そしてまた幹線の市町村道の一部でございます。その行われております機械除雪につきましても、何点かの問題点がございます。第一番目に、排雪場所の確保が非常に困難である。第二番目に、路面の破損が非常に大きい。第三番目に、コストが安くても除雪可能地域、これが限定をされる。さらに第四番目には、歩行の安全を確保する歩道の確保ができないという、これらの問題が機械除雪にはあるわけであります。  さらにまた、消雪パイプによる除雪、融雪についても、第一に地下水の枯渇、これは自然水位では八年間で十一メートルも下がるという、こういう現象が見られるわけであります。第二に、このパイプの機能が非常に低下を起こして、使えなくなってきているパイプがかなりある。第三に、消雪パイプは非常にコストが高い。このような理由で、現状においては各市町村等においても、流雪溝による除雪方法を非常に大きく期待をされております。  この流雪溝整備事業について私はお伺いをしたいのでありますが、この事業の最大の課題は、水量の不足によって計画的な流雪ができないという問題が起きております。水源の確保が今本当に急務であります。そのためには現行の補助基準、いわゆる流雪溝そのものだけではなくて、水源の確保、取水施設、排水施設等を含めた事業費総額に対する助成措置を図るべきであると考えますが、いかがでしょうか。  続いて質問をさしていただきますが、さらにこの水源確保には河川管理者の対応が非常に重要になってまいります。河川の表流水の利用については、現状では各種の制約があり困難はあろうと思いますけれども、十分な検討を加えて、そして水源確保の緊急必要性から積極的に対応すべきではないかと考えますが、いかがでありますか、お尋ねいたします。
  73. 和田惇

    ○和田説明員 流雪溝のお尋ねでございますけれども、流雪溝は適当な勾配がありましたり水量が確保されますと、積雪地域では大変有効な除雪施設になっておるわけでございます。建設省では、凍雪害防止事業というものの中でこの事業を重点的にやっておるわけでございます。流雪溝は、非常に地元から希望の強い、要望の強い施設でございまして、そういったことでできるだけ多くの地域にその設置延長を延ばすということを主眼にして、努力をしてきているものでございます。  ちなみに、五十八年度の予算を見てみますと二十三億の予算でございますが、実に二十九・三キロの延長を実施いたしておるわけでございます。こういった状況でございますので、当面は、大型の取水施設といったものは、ちょっと面倒かと思いますけれども、できるだけ地方の状況等を勘案いたしまして適切に対応してまいりたい、かように考えております。
  74. 青木保之

    ○青木説明員 水利権の関係のおただしにお答え申し上げますが、流雪溝につきましては、用水が使用されました後に河川に還元されるように設計されるのが一般でございます。このような場合には、取水されましたところから流水が還元される地点まで、これを減水区間というふうに申し上げるわけでございますが、この減水区間の河川状況が問題になるわけでございまして、他の利水でございますとか、あるいは流水の正常な機能の維持に支障がないというように判断される場合には、現に水利使用の許可を流雪溝用水に対しても行っておるところでございます。取水地点に十分な流量がない場合がございますが、このような場合には、ダム等に水源を求めていただきまして処理していただく必要がございます。私ども河川管理者といたしましては、このような事情を踏まえまして、流雪溝の用水の確保の問題に適切に対処してまいりたいと考えておる次第でございます。
  75. 水谷弘

    ○水谷委員 時間が制限されておりますので、大蔵省に私、これもまた緊急措置ではございませんが、所得税に対する控除措置についてお伺いいたします。  過日、私どもが小千谷市を訪れました際に、小千谷市の五十七年度の雪害調査結果が私どもに提出されました。一つの参考資料でございますけれども、これによりますと、五十七年度の被害額総額で三十五億三千九百八十八万一千円、そのうち一般世帯関係の被害額すなわち各家庭ごとの被害額合計が二十一億六千七百八万五千円、これは被害総額全体の六一・二二%にまで及んでおります。いわゆる公的な公共施設等にかかわる災害に対する手当て、これは生命財産に及ぶ重大な問題でありますから、緊急かつ積極的に取り組まなければなりませんが、私は同時に、これらの個別的な各家庭が受けております被害をできる限り救済していかなければ、災害の手当てとは言えないと考えるわけであります。  今申し上げました金額を‘世帯当たりに直しますと、約十九万七千円ということになります。五十七年度は五九豪雪に比べますと、いろいろ調査の結果が報告されましたように、降雪量、積雪量ともに少なく、また五九豪雪の場合は、降雪日数が非常に多いために、雪おろしの回数も二倍から二・五倍となっております。除雪のための各種経費等合計すれば、地元の皆さんのお声では、二十五万から三十五万ぐらいの経費がかかっておりますよというお話がございます。  勤労者や低所得者層の家計を著しく圧迫をしておりますこの家計の支出に対して、現行では雑損控除の制度がございます。しかし、これについてはまことに私は不十分であると考えます。今申し上げましたような観点から、寒冷豪雪地域の特殊事情をよく配慮した上で、所得税における雪寒控除制度の創設を行うべきであると考えますが、大蔵省の見解をお伺いしたいと思います。
  76. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  雪おろし費用等の災害に直接関連いたしました費用につきましては、先生御案内のように雑損控除の制度がございます。これは、年間支出額のうちで五万円を超える部分を控除の対象にするということでございます。先生御提言の別途雪寒控除、いわば豪雪地帯地域的な事情を勘案してのそういう特別な控除を設けろという御提言かと思いますけれども、税制土地域的な事情を考慮いたしまして特別控除を設けるといたしますと、言うなれば課税最低限を地域ごとに異なるものにするということに相なろうかと思います。そういたしますと、地域が異なるごとに所得税の課税最低限を異にするというやり方になりますと、なかなか理論的にも実務的にも難しい。税制調査会でもいろいろ御議論ございますが、やはり個別的な事情を税制においてしんしゃくするにも、おのずから限界があるというような答申をいただいておりますけれども、そういったもろもろの難しい点を考えますと、なかなか容易な話ではないという点につきましては、御理解をいただきたいというふうに思います。
  77. 水谷弘

    ○水谷委員 冒頭にも申し上げましたように、豪雪地域に苦しんでおられる皆さんの御苦労を思う場合には、でき得る限りの対応が必要になってまいります。現状ではできないという現在の答弁でありますが、これについても積極的な対応を望みまして、次に移らしていただきます。  中小企業者等の具体的に計量不可能な間接的な損失、これらを含め生産、流通、販売等の各段階における今回の豪雪によって受けた被害はかなり厳しい実情でございます。これを的確に把握し、そしてきめ細かな対応を急がねばならないと考えますが、政府は、これらの中小企業者及び医療関係施設の開設者が受けている被害の実態をどう把握しておられるか、伺います。
  78. 小川忠夫

    ○小川説明員 今回の豪雪によります中小企業関係の被害につきましては、各県等を通じまして現在調査中でございます。現在までの報告によりますと、直接的な被害が約三億円程度、それから間接的な被害が約四百五十二億円に上っているという報告を受けております。  そういう報告を受けまして、中小企業者の経営安定を図るために、私どもといたしましては関係各県とも相談をしながら、緊急対策といたしまして中小企業体質強化資金助成制度を活用いたしまして、低利資金の融資を順次実施してまいったところでございます。またさらに、二月の二十三日には、政府系の中小企業金融三機関に対しまして災害復旧貸付制度の発動を指示したところでございまして、これによりまして今回の豪雪で影響を受けた中小企業者は、一般の融資枠を超えて融資が受けられるようになるほか、担保の評価とかあるいは手続等の面でできる限り便宜を図る、さらに、既往の貸付金の返済猶予につきましても、個々の企業の被災の実情に応じまして弾力的な取り扱いをするよう、金融機関に対して指導いたしておるところでございます。
  79. 水谷弘

    ○水谷委員 ただいま積極的な対応をするとの答弁がございましたが、ここでお聞きしておきたいのでございますが、昭和五十七年度の豪雪地域の小規模企業に対する中小企業設備近代化資金貸付制度及び設備貸与制度の利用実績はどの程度になっているか、お伺いしたいと思います。答弁は、ちょっと最後にしていただきます。  以上御質問をいたしましたが、どうか今後も積極的な対応をいただきまして、御苦労されている方々に少しでもおこたえできるような災害対策が行われますことをお願いいたしまして、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。
  80. 小川忠夫

    ○小川説明員 私ども五十六年豪雪の教訓を生かしまして、何よりもまず防災施設の普及を図り、災害を未然に防止するということが重要と考えまして、五十七年度より幾つかの豪雪に対する防災面での施策を充実しております。  一つは、政府系の中小企業金融機関の産業安全衛生施設等貸付制度の活用、それから今先生御指摘ございました中小企業の設備近代化資金貸付制度及び設備貸与制度でありますが、これの貸付対象設備として消雪設備とか融雪設備あるいは除雪設備等を追加するというような措置、さらには中小企業事業団が行っております災害関係の高度化事業の中に、五十七年度から共同防災施設事業を創設するとともに、安全衛生設備リース事業の対象に豪雪関係の防災設備を追加しているところでございます。  利用の実績でございますが、五十七年度に設けた制度でございまして、現在までのところ残念ながら利用が比較的少のうございます。御指摘の設備近代化資金につきましては、五十七年度には一企業ということでございまして、今後こういった設備の普及を図るために各関係機関を指導してまいりたい、こう思っております。
  81. 佐藤観樹

    佐藤委員長 午後一時から委員会を再開するここととし、この際、休憩いたします。     午後零時五分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  82. 佐藤観樹

    佐藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。横手文雄君。
  83. 横手文雄

    横手委員 五九豪雪と呼ばれておりますことしの雪は、五六豪雪を上回る地帯も相次ぎ、各地で大きな被害をもたらし、また、屋根の雪おろし等の作業中に転落あるいは雪崩による人身災害を引き起こしております。被災者の皆さん方に心からお悔やみを申し上げると同時に、被災地の皆さん方にお見舞いを申し上げる次第であります。  けさのテレビで天気予報を見ておりましても、きょうもまた、北陸から東北、北海道、雪だるまの絵が並んでおりました。それぞれの地域で雪との闘いに精を出しておられることでございましょう。私も、また週末には福井に帰りまして、ことし三回目の屋根の雪おろしをやってまいります。  豪雪地帯の皆さんから、多くの御陳情をいただいているところでございます。全力を挙げてこれら御要望におこたえし、早期に適切な処置を行うことはまさに行政の任務であります。大臣もいち早く現地を御視察になり、皆さんと対話を交わされ、そして激励をしてこられたところであります。福井県にもおいでいただきました。大変な強行軍であったとお聞きをいたしております。大変御苦労さまでございました。  以下、幾つかの問題について御質問申し上げますが、さきの質問者の皆さん方と重複する部分もございますけれども、確認の意味もございますから御答弁をお願い申し上げたいと思います。  なおまた、質問の多くは、災害復旧に係るそれぞれの国の助成措置等がほとんどであります。したがいまして、これに対応するためにはいわゆる激甚指定、そして多くの法律を動員し、これら被災地の皆さん方の御要望に沿い、そして災害復旧に全力を挙げることが大変有効であると思いますけれども、現時点における激甚指定の方向について、まず大臣にお伺いを申し上げます。
  84. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 今御質問の激甚指定の問題でありますが、雪というのは解けてみないとわかりません。しかしながら、五十六年のときの豪雪を上回っておる、降雪を上回っている、こういう関係でありまして、その当時は天災融資法だとかいろいろなことを発動しております。そういう意味で、今度の場合の全容を、今申し上げたようにつかんではおりませんので、今各省庁とも一生懸命になりまして、そして、その中でも一体農薬の被害がどう出ておるか、その他公共施設等々の問題は、被害は大体掌握はできるわけですが、そういう意味で全容をつかみ次第、結論を出していかなければならぬのではないか、こういうふうに考えております。
  85. 横手文雄

    横手委員 御指摘のとおり、これは災害の金額、被害の金額等によって、この激甚法は発動されるものと承知をいたしております。しかし、大臣、今おっしゃいましたように、これは解けてみなければわかりませんけれども、しかし、ことし初めて降ったことでもございませんので、私どもは多くの経験を持っているのであります。おっしゃいましたように、五六豪雪ではまさにあのような処置をとっていただきました。そして、中小企業、農業者の皆さん方が、そのことによって大変喜ばれたことは事実であります。また、今回も、五六豪雪を上回る積雪であったということも事実であります。ならば、その被害はどういうことに及ぼされるであろう、そうすればこの激甚法の発動、これまた当然のことではありますまいか。やってみなければならないけれども、しかし、今日までの多くの経験を踏まえて、その道は開かなければならないであろう、こういった予測等については、事務局の方はいかがなんですか。
  86. 田中暁

    田中(暁)政府委員 大臣からお答え申し上げましたように、五十六年の豪雪時におきましては、農林水産業の共同利用施設、それから例の天災融資法関係、森林の災害復旧事業、この三つについて激甚の指定になったわけでございます。今度の豪雪につきましては、今判明いたしております被害額等におきましては、まだいずれもそういった額に達する程度には至っておりません。  ただ、これから融雪時に被害が出ることもございますし、また大臣の申し上げましたように、雪が解けて被害が判明するという要素もございますので、できるだけ早急に被害額の把握に努めまして適切な措置を講じてまいりたい、かように考えております。
  87. 横手文雄

    横手委員 ぜひ、積極的姿勢でこの被災地の皆さん方の要望にこたえていただきたい、このことを強く要望申し上げておきます。  まず、市町村道の除排雪費の問題であります。これは先ほど来述べられておりますように、今回の雪は長期にわたって降り続いております。したがいまして各自治体は、きょうも除雪あしたも除雪、こんなことで繰り返し繰り返し除排雪を行っておりますので、その費用は大変なものであります。あらかじめそれぞれ各自治体では、ことしの除雪費はこんなものであろうということを予定いたします。そして、雪が降ってくると、これでは足らぬということでこれにまた追加をいたします。しかし、どの市町村でも、その追加した分も既にかなりオーバーしてしまったということは事実であります。しかし、除排雪の手を緩めるわけにはまいりません。さらに、ことしの雪の場合にはいわゆる里雪、平野部においてたくさんの降雪がございます。さすれば、豪雪地帯除排雪費を含めた自治省からの一般交付税、これらの問題については比較的そういった見込みの少ないところであろうと思われるのであります。したがいまして、このためには、どうしてもいわゆる特別交付金の手当てを十分にしてもらわなければなりませんけれども、その点についての自治省のお考えはいかがでございますか。
  88. 二橋正弘

    ○二橋説明員 除排雪に要します経費に対します特別交付税でございますが、午前中もお答えいたしましたように、本年度の特別交付税は前年度に比べまして総額で約三百億円という減少になっております。加えて、いろいろな災害が多発をいたしておりまして、特別交付税による対応にはおのずから限度があるというふうに考えておりますが、現在、関係地方団体からの所要経費の報告を求めておりまして、普通交付税によりました措置額、これを上回った団体につきましての報告数値を取りまとめまして、普通交付税の措置額、降雪量等を勘案しながら、特別交付税の配分をしてまいりたいというふうに考えております。
  89. 横手文雄

    横手委員 今自治省の御答弁の中にもございましたように、特別交付税の総枠が減ってきておる、したがってその枠、つまり限度もある、こういうことでございます。申し上げてまいりましたように、しかし、今回の除排雪費というものが莫大なものであることは、大臣御案内のとおりであります。先ほど来議論になっておりますけれども、五六豪雪の際にもこのようなことが起こって、予備費から特別補助を行ったという前例がございます。今回も当然この処置は講ずべきであろう、このように考えるわけでございますが、これは後で建設省あるいは大蔵省等にも答弁を求めたいと思いますけれども、まずは大臣の御決意をお願いいたします。
  90. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 午前中の答弁の中でも申し上げたように、今度の降雪は過去と違っておる。それはどういうところが違っておるかと申し上げますと、長かったということですね。十一月の末ごろからずっと断続的に降り続いておる、しかもまた寒さが厳しい、そのため下が凍っておる等々の関係から、除雪の機械が破損をするとかいろいろな形で、幹線の問題と違って市町村道はやはり除雪費の問題について大変苦労しておられる。それで、底をついてしまっておるのをさあどうしてくれるかという、これが大変意見として強かった、希望として強かったわけであります。そういう意味から、今度の問題は相当の決断をせざるを得ない問題があるのではないかな、また、あるのではないかなではなくて、私はあると思っております。  そういう意味から、できるだけ五六の例をとりながら、五六の例というと、今言われたところのその財源を崩しておる、こういう関係がございますから、特別交付税で賄っていけるといういろいろな枠もございますから、これは予備費の中から必ず切り崩されていくものであろうし、切り崩さなければとてもじゃない、災害を受けた人々に対して私はこれは申し上げることができないのではないか、こういうような気持ちでおりますから、ぜひひとつ皆さん方の御支援をちょうだいして決断をもってこの問題に対応してまいりたい、こういうふうに思っております。
  91. 横手文雄

    横手委員 大変力強い大臣の御答弁を賜りました。  同じ質問でございます。所管をしておられる建設省、いかがでございますか。
  92. 和田惇

    ○和田説明員 市町村道の除雪の補助の問題でございますけれども、五十一年豪雪、五十六年豪雪の際には、臨時の特例措置ということでなされたわけでございます。今回の豪雪に際しましても、各地から大変強い要望をいただいております。前回やりましたそういったものを踏まえまして、国土庁と共同で各市町村におきます積雪状況等につきまして調査を実施しているところでございまして、現在集計を急いでおる段階でございます。その調査結果を検討いたしまして、適切な対応を図ってまいりたいと考えております。
  93. 横手文雄

    横手委員 冒頭に申し上げましたように、まだ雪が降っております。今それぞれの市町村では除雪をして道の両側に積んでおりますが、これ以上降ってくるということになると、これは排雪をしなければなりません。排雪は、約三倍ほどの費用がかかってまいります。大臣もあのような答弁でございました。そして、今建設省からもこのようなことが言われたのですが、その財源を持っておられる大蔵省、これに十分対応していきますという答えだけで、一言でいいですが、いかがでございますか。
  94. 涌井洋治

    ○涌井説明員 現在、関係省庁において調査中でございます。その調査結果を検討した上で、適切に対処したいと考えております。
  95. 横手文雄

    横手委員 ちょっとくどいようでございますけれども、今まで大変いい答弁をいただいているのですが、ちょっとつまずいたような気がいたしますけれども、既に大臣の御答弁の中でございましたですね。各市町村回ってきました、一般交付税の中で除排雪の措置費も見ておりますが、これはとても足りません、そして一般交付税、特別交付税にもおのずから限度があります、こういうことであります。これからは排雪にかかります。ウナギ登りにその経費は上がってまいります。今調査を進めておる、そして調査の結果によって適切に対処するというところまで来ておるわけでございますから、大蔵省としても、これらの調査に基づいて必要があればこれに乗り出してまいりますということでよろしゅうございますか。確認をいたします。
  96. 涌井洋治

    ○涌井説明員 調査の結果を見まして、所要の措置を講じたいと思います。
  97. 横手文雄

    横手委員 今調査中だということでございますから、調査の結果を見て適切に措置するということについては、十分にこたえるということの意味であろう、このように思っております。ベテランの議員先生もおられまして、そうだとうなずいておられますから、それではそういうことで御期待を申し上げたいと存じます。  次に、この豪雪のために、これもまた最終的に調査をしなければならないことでございましょうけれども、公共土木施設、つまりガードレールあるいはポール、こういったものが大変傷んでおります。普通の年ですと、これは県単で補修が行われておりますけれども、とてもことしはこれでは県単事業だけでは手がつくまい、このように考えております。このことも五六豪雪の際に、国庫災害復旧事業が行われた実例がございます。ことしもこれらのことにしなければ、とても県単事業では追っつかないことだろうと思いますが、建設省いかがでございますか。
  98. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  ガードレールの国庫負担法の適用の問題でございます。先生御存じのように、通常の場合は、ガードレールのみが被災した場合には、災害復旧の対象としておりません。しかし、昭和五十六年の異常な豪雪に際しまして、その被害が非常に激甚でございました。そういった実態を踏まえまして、特例措置として負担法の対象にした事例がございます。  本年の豪雪状況を見ておりますと、五六を超えるような豪雪ということにもなっておりますし、これから融雪期になりまして被害の実態がわかるわけでございますので、その実態が判明次第、適切に対処してまいりたいというぐあいに考えております。  なお、先生御指摘のうちのポールでございますが、ポールにつきましてはガードレールとやや異なりまして、これにつきましては五十六年の特例においても対象とはされておりません。ポールにつきましては、道路管理者が設置した施設の被災といった事例は比較的少ないんじゃないかというぐあいに考えておりますのと、また、一件一件の金額も少額であろうという実態もございまして、五十六年にも実施しておりませんので、負担法の対象とするということは非常に難しいというぐあいに考えております。
  99. 横手文雄

    横手委員 私が申し上げましたのは、質問の仕方が悪かったかもわかりませんが、公共土木施設、とりわけガードレール等においてこういうことを申し上げたわけでございまして、ガードレールが何本いかれました、ポールはこうでございましたという議論を今しようとしておるのではございません。したがって、本年の豪雪の場合にも、これも雪が全部解けてみなければその総額はわかりませんけれども、しかしその状態は目で見えるわけでございますから、相当傷んでいるということは事実、そして、五六豪雪のときにも同じぐらいに傷んだであろうということも今予想をされるということであります。そのときには、いわゆる特別措置としてあのようなことをしていただきました。今回も、このようなことを期待をしてよろしゅうございますね、建設省よろしゅうございますかと、こういうことでございますから、いいですか。
  100. 狩野昇

    ○狩野説明員 お答えいたします。  先生御指摘のように、五六の非常に大きな災害に対しました特例措置、我々としましても、地方公共団体の実態を見ましても適切な措置であったというぐあいに考えております。本年も実態の判明次第、適切な措置をとりたいというぐあいに考えております。
  101. 横手文雄

    横手委員 ちょっとくどくなりますけれども、きちっと聞いておいた方がいいと思いますから。つまり、五六豪雪のときには大変いい処置であったという評価をして、今回もまた調査の段階だからはっきりしたことは言えないけれども、そういった五六豪雪のときにとった処置が適切であったということを踏まえて、その適切な処置をことしも発動する用意がある、こういうことでございますね。
  102. 狩野昇

    ○狩野説明員 先生御指摘のとおりでございます。
  103. 横手文雄

    横手委員 それでは、警察庁お見えになりますね。  これは公共土木施設と違った形で復旧が行われておりますけれども、交通信号あるいは交通安全標識等大変たくさん壊れております。これも雪が済んでから修理しなければなりませんけれども、これの対応についてはどう考えておられますか。
  104. 矢部昭治

    ○矢部説明員 お答えいたします。  交通信号機等の交通安全施設の維持管理につきましては、それぞれの県で対応する仕組みになっているところでございまして、今回の豪雪による被害につきましては、実態を把握の上、各県の警察において、県当局と必要な措置について検討いたしておる、こういうところでございます。
  105. 横手文雄

    横手委員 また、もう一遍確認をしなければならないのでございますけれども、壊れておることは事実なんですよ、直さなければなりません。これについて警察庁として適当な措置を講じたいと存じますでは、ちょっとわからぬのですが、各県警本部等とも今十分に連絡をとられて、おおよその今日までの被害状況等についても報告が来ておることだと思いますね。それは公共施設とは扱いが違うから、それぞれの県単位において特交の中に十分組み入れてもらうように、そういうことを地元と十分相談をしながら自治省にお願いをして、そしてしかるべき処置がとれる補助が各県に行くように今やってもらっておることだと思います。そうしますと、警察庁としてはそれで十分でございます、いけますと、こういうことなんですか。
  106. 矢部昭治

    ○矢部説明員 お答えいたします。  先ほどの件につきましては、県当局を通じまして適切な措置をということで、補修費等についてはお願いをするという形でございます。なお、いわゆる公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法等につきましては、信号機等につきましては適用の対象となっていない、こういうことでございます。
  107. 横手文雄

    横手委員 それでは余り時間もございませんので、次の機会にでも、また直接話を聞かさせてもらいたいと思いますが、いずれにしても大変な被害を受けておりますから、県警あるいは県そしてお金を出す自治省あるいは大蔵省、こういったところと十分に連絡をとりながら、それが壊れたままになっていないように、信号機が用をなさないようなことになっては、これはまた大変なことでございますから、万全な対策をとっていただきますように強く要望を申し上げておきます。  それから、雪から住民の生活を守るということは、その第一は自治体が行う交通網の確保であります。これは、いわゆる除排雪に入っていくわけでございますけれども、初動体制が確立し、機動力が勝負であります。機動力の増強つまり除雪機械の充実であります。この機械に対しては一定の補助基準がつくられておりますけれども、これではとても間に合わないというのは、もう皆さん方御案内のとおりであります。  そこで、各市町村は、民間の機械を買い上げて総動員をしておるところでございますけれども、それでもなお住民の要望には十分こたえ切れていない実態にあります。したがいまして、除雪機械の新規あるいは更新のための助成措置をこの際高めるべきだと思いますけれども、いかがでございましょうか。
  108. 渡辺和夫

    渡辺(和)説明員 お答えします。  積雪寒冷特別地域における冬季の道路交通確保を図るため、建設省、道府県並びに市町村が行う除雪に必要な機械につきましては、その整備拡充に鋭意努力しているところであります。今後とも、第九次道路整備五カ年計画に基づきまして、地方公共団体等の意向を配慮しながら、除雪機械の一層の整備拡充を図ってまいりたいと思います。
  109. 横手文雄

    横手委員 これももう一遍それなら念を押しますが、つまり今私が申し上げたのは、各自治体において道路の長さに対する助成措置の一定の基準がありますね、これによって助成が行われていること、これは承知しております。これではとても足らないということは、専門家である皆さん方十分御承知であります。したがって、民間の機械を買い上げてこれをフル動員しておる。それでもなかなか地元の要望にこたえられない。だから、除排雪機械に対する国の助成をもっと強めてもらいたいという住民の、あるいは自治体の意向でございますということで御質問を申し上げました。御答弁は、自治体や住民の意向に沿ってその方向でやってまいりますということでございますからこの要望はかなえられた、こういうぐあいに判断してよろしゅうございますね。
  110. 渡辺和夫

    渡辺(和)説明員 第九次道路整備五カ年計画に基づきまして、整備拡充を図っていきたいと思っております。
  111. 横手文雄

    横手委員 先ほどの答弁の中に、いわゆる地域住民、自治体の要望にかなうように今後ともに努力いたしますという答弁がございました。だから私はそれを踏まえて、今私が申し上げたのは地域住民、自治体の要望でございます。おたくの方にもたくさんの陳情書が行っておると思います。ですから、そういうことでかなえてもらえるということでよろしゅうございますねという念押しなんですよ。
  112. 渡辺和夫

    渡辺(和)説明員 除雪機械の補助につきましては地方公共団体より御要望書をちょうだいしまして、それにつきまして御相談をさせていただいているところでございます。
  113. 横手文雄

    横手委員 まだたくさん聞かなければならぬのに余り時間がありません。  それでは、この国会の委員会の答弁の中で、自治体、地域の皆さん方の御要望を踏まえて、建設省、これら助成の強化のために努力をいたします、できるだけの御要望におこたえいたしますという答弁であったというぐあいに私は理解してよろしゅうございますね。一言でいいです。
  114. 渡辺和夫

    渡辺(和)説明員 自治体の要望を十分配慮しながら進めてまいりたいと思っております。
  115. 横手文雄

    横手委員 次に、これは先ほど来議論が出ておりますように、雪が降ってくるというのは自然現象でございます。これはどうしようもないだろう。しかし、降った雪に負けない町づくりをする、これは人間の知恵であり力であります。国においても、このような雪に強い町づくりということがいろいろと検討、研究、そして実行へと努力をしておられるのでございますけれども、この問題について二、三お伺いを申し上げたいと存じます。  この積もった雪をどう処分するか、それには除雪もあり、そして除雪でどうしようもなくなったら排雪をする、あるいは降ってきた雪を順番に解かしていくという消雪装置あるいは降った雪を大量の水を出して流してしまうという流雪装置、いろいろのことがございますけれども、いずれにしてもこれは大量の水を使うわけでございます。先ほどの議論の中にもございましたように、この水を使うということになりますと水利権その他の問題もいろいろ絡んでまいります。あるいはこのごろつくられております多目的ダム、こういったところからも冬季における除排雪用の水について、十分に確保するというようなことが大変大事なことだと思いますけれども、現状どうなっておるのか、今後それらの方向についていかなる指針でありましょうか、お伺いを申し上げます。
  116. 志水茂明

    ○志水説明員 先生御指摘の件につきましては、富山県におきまして補助ダムの境川ダムというところで既に実施いたしております。このダムは、洪水調節それから上水道用水の供給とか発電などの目的と合わせまして、井波町というところの消流雪用水の供給を目的といたしたものでございます。井波町では冬季の渇水のために消流雪用水の確保が非常に困難でございますので、この境川ダムに応分の費用負担をいたしましてその水源を依存したものでございます。  冬季降雪量の多い地域におきましては、次第にこのような要望がふえてきておりますので、省といたしましては、多目的ダムの目的の一環といたしまして応分の費用負担を行うことによりまして、消流雪用水の確保ができるように積極的に対応してまいりたいと考えております。
  117. 横手文雄

    横手委員 それぞれの地元で、水の確保のために、せっかくの設備があっても水がないというようなことで宝の持ちぐされが起こっているようなところもございますから、今御答弁いただきましたように多目的ダムのその一つに、冬季における降雪地帯の融雪のための水を十分に確保するとか、あるいは河川からの水をできるだけそちらの方に回すとか、こういった積極的な施策をぜひお願いを申し上げておきたいと存じます。  それから、繁華街等で降ってきた雪を積もらないうちに解かすために、道路にパイプを設置してここから水を噴いてやっております。これは大変威力がございます。少量の水を使うためには地下水を使わなければなりません。表流水では、温度が同じぐらいだと解けませんから、大量の水を必要といたします。ところが繁華街では、そんな大量の水を出すわけにはまいりません。これは橋だとか坂道あたりでは、それこそ両わきにパイプを入れてだあっと水を出して流しておりますけれども、繁華街ではそういうわけにはまいりません。どうしても地下水に頼ります。  そうしますと地下水は、今全国的に非常に規制が強められております用地下水の水位がどんどん下がってくる、これ以上下げてはいかぬということになるとバルブを締めてしまう、せっかくの兵器がそのままになってしまう、こういうような現象があるわけでございまして、どこでも大変悩みの種でございますが、私はそういった事態に備えていくために、おのずから限度のある地下水をみんながくみ上げれば、これはもう枯渇することは当然のことでございますから、人間の知恵はもう一つ進んでいって、一方ではその地下水をつくっていく、こういったことの研究開発も大変大事なことであろうと思います。  かつて福井市でそのような試みが行われました。その成果については十分承知いたしておりませんけれども、これは冬季における融雪のための地下水の確保ということだけでなくして、我が国の地下水対策の一環として大変重要なことだと思いますけれども、科学技術庁あたりでこれらの研究が進んでおりましょうかどうか、今後の見通し等についてお伺いを申し上げたいと存じます。  それからもう一つ、降り積もった雪を嘆いているばかりでは能がございませんから、せっかく降った雪、これをまさに天の恵みであるということで、資源としてこれを利用していくというような研究開発はいかがでございますか。現在は山に降った雪は、天然のダムとしてこれを水源利用いたしております。あるいはスキー場、雪祭り、こういったことで観光やレジャーの資源としては大変有効に生かされておりますが、平野部にもたっぷりございますから、こういったものを天が与えた資源であるというぐあいに、人間がついに克服をした、逆にこれを利用していった、こんな方途があっていいと思いますけれども、科学庁いかがでございますか。
  118. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 御質問のうちの前段につきまして、地下水につきまして私の方からお答えいたします。御指摘のとおり、地下水の大量くみ上げによります水位の低下や地盤沈下の障害というのは避けなければなりません。このための有望な方法といたしまして、今科学技術庁の方が中心となりまして開発しておりますものに、地下水の循環利用に関する研究というのがございます。これは、地下の亀裂部分に長い間にわたりまして貯留されました地下水、これは新たな地下水資源でありますけれども、そういうものを探索し、それからそれを融雪に利用する、かつそれをさらに使った後地下に還元する、そういう意味で地下水の枯渇を避ける、そういうことでございまして、これは科学技術庁の振興調整費によりまして五十七年度から六十一年度までの計画で、国立防災科学技術センター、それから農林水産省の農業土木試験場、通産省の地質調査所の御協力によりまして、現在進めておるわけでございます。
  119. 桜場久功

    桜場説明員 お答えいたします。  雪は、水資源を涵養するという意味で重要な働きをいたしておるわけでございますが、最近、雪の特性に着目いたしました研究が起こりつつあるわけでございます。  具体的に申し上げますと、秋田県におきまして雪を冷熱源、これは物を冷やす力でございますが、それから太陽熱を高熱源にいたしまして、フロンという物質を液化または気化いたします際の圧力差を使ったいわゆる温度差発電というものの可能性に着目いたしまして、実験室的規模ではございますが、地元の大学にその可能性の検討を委託調査しておると聞いておるところでございます。こういった雪利用の研究といたしましては、先駆的なものではないかと私どもお見受けしておるところでございます。他方、外国の状況はつまびらかではございませんが、風力等の他の自然エネルギーの利用の研究に比べますと、ほとんど手がついていないのではないかというふうに見られるわけでございまして、情報にも接しておりません。  いずれにいたしましても、その雪の利用は、その季節性なり、それからどうやって集めていくかといったような技術的または経済的にどういうふうに対応していくかということで、息の長い問題になろうかと思いますが、私どもとしても、十分情勢の進展を見守りつつ勉強させていただきたいと考えておる次第でございます。
  120. 横手文雄

    横手委員 ぜひそういった研究開発を進めて、雪から逃げていくのではなくて、雪を待ってました、さあ来いというところまで人間の知恵が発達をしてきた、このようなことにひとつ取り組んでいただきたいと要望を申し上げておきます。  あと五分という紙が回ってまいりましたので、以下自治省、中小企業庁、林野庁、国土庁に、一括して御質問を申し上げます。  まず自治省でございます。特別豪雪地帯に特別豪雪対策事業債の枠を認めてもらっております。この地方債の元利償還を過疎対策事業債と同じような形で交付税の対象にしてほしいという要望が大変強いのでございますけれども、これに対する自治省の対応はどうでございましょうか。あるいは一気にここまでいかないにしても、それに利子補給だとか、あるいはそういった要望にできるだけこたえていく、このような方策をぜひとってもらいたいと思いますが、いかがでございましょう。  次に中小企業庁。今回の豪雪によって中小企業がこうむった直接間接の被害は大変大きなものであります。これが救済のために政府関係三機関から受けております融資の償還期限の延期、または新規融資のための枠拡大あるいは低利融資、これらを動員をして中小企業の苦境にこたえるべきだと思いますが、いかがでございましょうか。  次に林野庁でございます。今回の豪雪、山林にまた大きな被害が出ております。これはまだ雪が解けてみなければどの程度の被害かわかりませんけれども、やはり山を守る人たちは雪解けと同時に入っていきまして、折損木の後処理あるいは倒伏木の起こし、こういったことでまた大変な汗を流してもらわなければなりません。これらの御努力に報いるために、今日までもいろいろの施策、助成等が行われてきたところでございますけれども、今回の豪雪に対しても万全を期すべきだと存じますが、その体制はいかがでございましょうか。  最後に国土庁国土庁は、五十一年に基礎集落圏防雪体制というものをつくられて、先ほど話題になりました富山県の井波地方等にいろいろのことを行ってこられましたけれども、ことしでこれが終了した、こういうように聞いております。その成果はいかがでございましたか、あるいはこれから新たな事業としてどういうことを計画しておられるのでありましょうか。これらの点について、それぞれ御答弁をいただきたいと存じます。
  121. 二橋正弘

    ○二橋説明員 特別豪雪地帯市町村積雪寒冷地帯であるための財政需要につきましては、普通交付税におきまして寒冷補正によりまして、通常の増加行政経費について所要の財源措置を講じておるところでございます。  お尋ねの特別豪雪債は、昭和四十七年度以来、一般単独事業債のうちの特別豪雪対策事業分ということで特別枠を設けたものでございますが、これは市町村道あるいは除雪機械、関連防雪施設の整備等の資金措置として対処しておるものでございまして、その元利償還について新たな措置を講ずるということは考えておらないところでございます。  ただ、これらの地域は大部分過疎地域あるいは辺地を有する地域と重複いたしておりますので、過疎債、辺地債の弾力的、総合的な運用により対処していきたいというふうに考えております。
  122. 小川忠夫

    ○小川説明員 今回の豪雪によります中小企業関係の被害につきましては、午前中も御答弁申し上げましたが、各通産局あるいは県等を通じまして調査を進めておるところでございます。現在までの報告によりますと、直接被害で約三億円、それから間接被害が約四百五十二億円との報告を受けております。  私どもといたしましては、被災中小企業者に対する融資枠の確保と金融面における緊急対策が重要と考えておりまして、既に関係各県とも相談をしながら、中小企業体質強化資金助成制度を活用いたしまして、低利資金の融資を順次実施いたしておりまして、さらに二月二十三日付で政府系の中小企業金融三機関に対しまして、災害復旧貸し付けの発動を指示したところでございます。これによりまして、貸付枠の拡大あるいは既往貸付金の返済猶予とか担保徴求について弾力的な配慮というようなことが行われることになっておりまして、引き続き金融機関等に対してそういう方向で指導してまいる所存でございます。
  123. 依田和夫

    ○依田説明員 お答えいたします。  先生お尋ねの今冬豪雪にかかわります林木の折損、倒伏などの森林被害につきましては、先ほどもお話にございましたように、現地がまだほとんど雪に埋もれておるという状況でございまして、林野庁といたしましては関係都道府県等の協力を得まして、現在鋭意この実態の把握に努めておるところでございます。この調査の結果によりまして、その被害態様をよく分析した上、現在造林補助事業とか林業改善資金といったような制度もございますので、既存制度を十分活用いたしまして、被害の復旧対策に万全を期してまいりたいと考えております。
  124. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 基礎集落圏防雪体制整備事業についてのお尋ねでございますが、この事業はお話ございましたように、五十一年度から五十八年度まで七年度間、豪雪地帯市町村のうち五十一カ所につきまして実施をしてまいっておる事業であります。  内容は、基礎集落圏におきます主要道路交通確保といった見地からの除雪用機械、管理棟などの施設整備についての補助事業であります。五十八年度で終了いたしますが、基礎集落圏の防雪体制づくりのモデル事業として相当の効果を上げてきたものと考えております。五十八年度からはこの事業にかえまして、克雪生活圏整備事業を発足させております。けさほど来いろいろお話もございますように、豪雪に対します対応も耐雪、雪に耐えることでございますが、あるいは防雪といった段階から、地域ぐるみで雪を克服する克雪の段階になりつつあると思われるわけでございますけれども、このような観点からこの事業を取り上げたわけでございます。  住民と行政とが緊密な連携のもとに日常生活圏域におきます克雪活動のシステム化を図り、地域の実情に合わせて克雪活動の推進を図りたいということでありまして、具体的には各種除排雪施設あるいは克雪センターあるいは冬季における屋内のスポーツ施設等をこの事業で整備をいたしますけれども、その前提といたしまして、降雪時における雪おろしの対策あるいは流雪溝等の利用のスケジュール等、住民参加を中心とした圏域内の克雪活動計画というものの策定を要件といたしておりまして、従来からのハード対策にソフト対策を含めた事業であることがこの事業の特徴でないかと思っております。  いずれにいたしましても、このモデル事業が契機となりまして、豪雪地帯市町村の克雪対策が少しでも前進することができればと期待をいたしておるところであります。
  125. 横手文雄

    横手委員 時間が参りました。大臣を先頭にして各省庁一丸となって、豪雪に苦しんでおられる皆さん方の要望に全力を挙げてこたえていただきますように重ねてお願いを申し上げ、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  126. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、中川利三郎君。
  127. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 豪雪地帯というのは押しなべて過疎地帯でありまして、集落の防雪体制が極端に弱まっているわけであります。したがって、豪雪そのものが災害であるという認識があらゆる問題の前提に立たなければならないと存じます。この点につきまして、昭和五十六年二月二十三日にわが党の近藤忠孝参議院議員の質問に対しまして、当時の原健三郎国務大臣がこういう答弁をしているのですね。「その被害の結果だけでなく、その豪雪の中に住んでおる、現に住んでおるんですからね、それは大変なことで、それ自体が災害である、」つまり豪雪災害だという認識をはっきりさせたわけでありまして、そういう立場から、あらゆる対策が現行法の中においても全部できるようにいま進めてやっておるところだ、こういう御答弁があったわけでありますね。  私、お伺いしたいのは、長官に対してでありますが、こういう基本的な土台の認識ですね、これは今もそうなのかということですね。大臣は、石川県の豪雪の本山にいるわけでありますから、当然そうだと思いますが、改めてお伺いしたいと思います。
  128. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 原長官の豪雪災害なりと。これは、雪の降るところは日本で半分、五〇%雪の降る面積を有しておるわけです。そういう意味から、災害であるかないか、こういう問題は、やはり被害の状態によってあらゆる措置が講じられていくわけであります。そういう意味から、豪雪ということになりますと、これは災害ということになりますけれども、雪そのもの、降雪そのものが災害という考え方には、ちょっと私はなじむことはできないのではないか。もう一回繰り返しますと、豪雪、これは災害である。ここから発生した被害の状態によって、激甚災害の指定を行うなりあるいはあらゆる施策が講じられることであって、降雪そのものということとその辺の違いが多少あるのではないか、こういうふうに申し上げておきたいと思います。
  129. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、この時点での国土長官の御答弁といまの長官の御答弁では、ニュアンスが大分違うような感じがするのですね。当時の国土庁長官、このときの答弁に、私は雪のないところに生まれ育って——兵庫県の淡路島の育ちだ、しかしこの問題に対してはこうなんだということをはっきり認めていらっしゃるわけなんですね。ですから、雪の真ん中に育ったあなたが、その一番前提になる、基本になる認識について、何かそこら辺が違うということはどういうことなのか、いつからそのように変更になったのか、この辺をお伺いしたいと思うのです。
  130. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 違わないと思うのですが、それはとり方、受け方の問題で……。  それは間接被害を絶対救済しなければならぬ、こういう考え方には何ら変わりはないわけです。ただ、降雪そのものということになりますと、その辺の受けとめ方と多少違うわけでありますが、豪雪であるとか間接の被害であるとか、こういった問題は当然救済すべきものである、こういう認識に立っております。
  131. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 先ほど高鳥議員の発言の中に、屋根にたくさん雪が積もっておる、これは尾上浸水だという発言があったようでありますが、まさにその認識がなければ本当の豪雪対策はできないのは当然でありまして、ニュアンスが違うというのでは、長官の場合はそういう認識をより一層深めていただかなければ事態に的確に対応できないのではないか。時間の関係もありますから次へ進みますが、そのことだけは申し上げておきたいと思います。  いずれにいたしましても、そういう前提に立って今回の災害救助法新潟県その他たくさん発動されましたが、先般私ども視察いたしました新潟県の実態について見てみますならば、新潟県は一月二十六日、県下九町村が災害救助法の適用基準に達した、こういうことで、新潟県に設けられました豪雪対策本部厚生省に出向きまして、法適用の協議をしたのですね。ところが厚生省は、人命被害などの急迫状況説明がなされておらないということを理由に、適用を拒否したという事実がございます。  このことは二月十三日の県議会でも問題になりまして、新潟日報という新聞、私は地元の新聞を持ってまいっておりますが、この中で県議会の総務部長さんが答弁なさっておるのですが、「初期の段階で国が適用を渋ったのは遺憾だ」こう明言しているわけでありますね。  ここで厚生省が、新潟県に災害救助法を初めて適用したのは二月七日で、適用基準を超えて、もはやその時点では死に物狂いで除雪が展開されましてから十三日目になっておったという事実がございます。このことが、被害を一層深く大きくした一つの要因でもあろうと私は思いますが、なぜそのように救助法の発動を渋ったのか、この点については所管である厚生省から御答弁いただきたいと思うのです。
  132. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答え申し上げます。  災害救助法の発動にはいろいろ条件があるわけでございますけれども、豪雪の場合の法令に使います適用条文といたしましては、「多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じたこと。」というふうな条項になっているわけでございます。したがいまして、豪雪による集落の孤立あるいは大きな雪崩の発生のおそれがある、こういった場合には即適用ということで判断がしやすいわけでございますけれども、雪の重みで住宅が倒壊するおそれがあるというふうなことにつきましては、この辺につきましてはいろいろの事情があるわけでございますし、さらに、自力で雪おろしができる方々はもちろん対象にならないということでございますので、自力で除雪できない低所得の老人でございますとか母子世帯の方々の雪おろしをする、そういうふうなことで救助法を適用するわけでございます。  その辺の実情把握というのができているのかどうかということをお尋ねいたしたところ、新潟県の方ではそこまでまだいっていない、今のところまだ危険でないというふうな御判断であったわけでございまして、それを私ども信用したのが悪いのかわかりませんけれども、そういうお話であったものですから、もうちょっと調べてくれということで適用がおくれたということでございます。この適用の決定につきましては、国と県と市町村、こういったものの意思疎通あるいは情報連絡が十分でなかったという面もあるわけでございますので、今後はこういうことを十分配慮しながら、迅速的確な適用ということに心がけたいというふうに考えております。
  133. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 今の答弁聞きますと、大分反省しておる、反省の情が認められる、そういうふうに理解できるわけでありますが、やはり県から言ってきたとき、県はかりそめに協議に来たわけではなくて県の適用基準を満たしておる、だから来たわけでありまして、この適用に対しては県が災害救助法、条例の判断基準というものをつくっているわけですね。この場合は、当然事前に厚生大臣と協議を要するものであるとしながら、判定基準について四つの項目、例えば指定観測所平均積雪深がおおむね二メートルを超え、かつ累年平均最大積雪深の一・三倍程度に達した、こういうことを含めて四つの基準を出して、手引をつくっていらっしゃるということは皆さん御存じだと思いますし、また、この手引そのものが厚生省と十分協議して皆さんの了解のもとに出された、こういう経緯もあるわけです。  ですから、同じような基準に達していながら、五六豪雪あるいはその前の五二豪雪には、ちゃんと三日目で法が発動しているわけであります。今回だけはこのようにおくれたということ、私は裏話として聞いたんですけれども、県の関係者も、やれと言ったって、厚生省には金がなくて、それで渋ったんだ、そういうお話さえも出ているわけであります。何だかんだ言って皆さん方が渋ったということが、後々いろんな影響を及ぼしていることについて、やはりこの際厳重な反省が必要だと思うのです。  ですから、今あなたがその理由にあれこれ挙げましたけれども、災害が発生したというのに、倒壊危険住宅がどれだけあるのかとか災害の進行状況がどうなっているとかそういうものを一々調査説明し、厚生省と議論して、事によったらまた出直して、そういうことで一体いいのかどうかという事態の緊急性ですね、そういうものを含めますとやはり県から出たその当座にやるべきものであることは当然である一こういうことを私、再度申し上げたいと思うのです。いろいろ実例なんかも持ってきておりますが、はっきりと手落ちであった、こういうふうなことを言っている者に対してさらに追い打ちをかけるということも、私の非常に忍びないところでありますが、いずれそこの点をもう一回確認したいと思います、その反省の言葉を。
  134. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 先ほど、県の方の基準で私どもの方に協議があったということでございますけれども、これは私ども全く存じません基準でございまして、厚生省と協議して定めた基準という理解ではないわけでございます。私どもも、そういうふうなお話をよそから聞いたわけでございますけれども、私どもは今回初めてそういう基準があったと知った。その前にあった基準は、私ども承知していたわけでございますけれども、その変えた基準につきましては私どもには全く協議がなかったということでございまして、その点でも意思疎通を欠いたということでございますので、その点は十分反省いたしまして、県と十分協議して、迅速的確な救助法の適用というものをやりたいというふうに考えております。
  135. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 同時に申し上げたいことは、適用対象を非常に狭めているということですね。災害救助法を発動なさったことはいいわけでありますが、本来救助対象世帯として国が認めておる一定の水準があるわけでありますね。これは大まかに言いますと、自力で除雪できない、排雪できない、そういう弱者といいますか、その平均値として税金の均等割の段階だ、こういうことは何回か政府答弁にも出ているわけであります。  具体的に言いますと新潟県の松之山町、ここの実例を見ましたら、町民税の均等割までが四百八十五世帯あるんです。その中でわずか五十三世帯しか救助の手を差し伸べておらないという事実がございます。これも詳しい資料を私持っておりまして、一々お名前までずっと書いて、この人は非課税だ、この人は非課税だ、この人は均等割と、全部あります。つまり、自力でそういうことができない、しかも年齢の関係からいってもいろいろ問題があるということはだれもわかるんですが、それに対する個々の町の見解まで書いてあるんです。これはいや実際は資力があるんだとか、そういうふうに主体的に町が勝手に選剔出しまして、これを仕分けしているということです。  自治体がこういうことを一体許されるのかどうか。同時に、このことが今の国の臨調行革の反映、国の方針なり県の方針なりが、ずっと下の方まで行って、そしてそういう格好になっているんじゃないかということにも勘ぐられるわけでありまして、この点についてお答えいただきたいと思います。
  136. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答え申し上げます。  災害救助法が適用された場合の雪おろしの対象になる世帯でございますけれども、これは自力で、自分の労力とか資力をもちまして除雪できない、そのために家屋倒壊のおそれがあるというふうな老人世帯とか母子世帯あるいは身障者世帯が対象になるわけでございまして、具体的に申し上げれば、自分の労力では除雪困難な市町村民税の均等割の非課税世帯以下というものをおおむねの判断基準にいたしておりまして、これに従いまして除雪を行っているわけでございます。  先ほど松之山町の例が出ましたが、確かに当初の予定では五十三世帯であったようでございますが、今までの実績では九十九世帯までなっておりまして、私どもこういったことで必ずしも市町村を締めつけるというふうなことはやっておりませんで、この辺は市町村、県を御信頼申し上げまして、いま言ったような基準の範囲内でおやりくださいということでお願いしているわけでございます。
  137. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 しかも、そういう豪雪でそういったくさんの困った人方が出ていらっしゃる。国の制度にこういうものがあるよ、一般に税金を納めている人はそれなりにがかった費用の雑損控除があるとか、それ以外のそういう均等割を納めている人あるいは町民税を納めなくてもいい人、こういう人には人や機械を頼んだときには六万二千七百円までは補助があるんだよというようなことは、当然町が主体的に住民に通知し、教えなければならない、PRしなければならない、こういうことが一切なされておらないという状況もあわせてあるわけでございます。しかも、後日この点の追及を受けてこの町のある課長さんは、まあほかの町もそうなっているからこの枠を狭める問題について、おれの方の町だけが拡大するわけにはいかないんだ、役所のメンツもあるということを雑談的に話していたという事実もあるのであります。いずれにいたしましても、これは非常にまずいことではございまして、そういう国の指導もやはりそういう点の不徹底というか不的確というか、末端には十分入っておらないということの反映でもあろうと思いますので、ひとつ今後厳重に指導していただきたいと思うのです。  今のようなお話に関連いたしまして、私非常に遺憾だと思うのは、大臣は、自分が大臣になった以上はこの問題について、今回の豪雪についても必ず後に残るような立派なひとつ実績を残したいというような話を新聞か何かで私耳にしておるわけでありますけれども、国の予算を見ますと、災害救助費、五十二年以降ずっとこれを調べてまいりましたら、五十二年から五十六年までは三億円でしたね。ところが五十七年、五十八年は二億円です、一億円減らしておるのです。そうすると今度の予算は幾らかかっているか見ましたら、五十九年二億円が今提案されているわけでございますが一こういう災害の実態を見てこういうことでいいのかどうか、これはまさに大臣のこけんにかかわることではなかろうかと私は拝察するわけであります。とりわけ五十八年度は、二億円などもう既に夏ごろには使い終わっているはずなのです。五十八年度の災害総額を調べてみましても、一兆一千億円ぐらいかかっておる災害が起こっているのですね。そういう事態の中で、新年度は予算を二億円しか計上しておらないということ、このことについては私は甚だ遺憾に思うのですけれども、これはやはり大臣に一言お答えいただかなければならないことだと思うのです。
  138. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 やはり昨年は災害がたくさんあったわけです。山陰の水害あるいはまた日本海中部の地震、それから三宅島の噴火と、昨年は災害の大変多い年であったわけであります。  そこで、先ほど来の厚生省とのやりとりを聞いておりましたら、災害から人命を守る、命を大事にする、これが基本的な考え方でなければならぬと思います。そういう意味から、それは土地によって大分違うのじゃないかなと思うのですが、もちろん予算の問題は極めて大事なことでありますけれども、まず豪雪地帯というのが家族ぐるみあるいは地域ぐるみ、県ぐるみでそういう老人に対するというか、丈夫な人がいない家庭に対する除雪という問題は、やはりそういった予算を越えて大変協力し合っておられるという、この美しい姿があるわけです。  そういう意味から、今御指摘の予算の問題というのは、災害が起きてからというと大変あれでございますけれども、先ほど来横手さんのあれでお答え申し上げたように、今の問題とこれから先の問題とまた長期的な問題と当然考えていかなければならぬわけでありますから、今この問題については災害救助法の関係に予備費を使用して対応する、事務当局からこういう問題が出てきた。これは当然私もそういうふうに考えておりますけれども、今このたびの災害予算が減っておるじゃないか、こういう問題でありましたので、多少連動してお話を申し上げたわけでございます。今度救助法の問題については、これは予備費の中から充てていくということは当然なことであるということをお答えしておきます。
  139. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 救助費の関係でございますので、厚生省の方から答えさせていただきます。  先ほど先生の方で、五十七年度になるときに一億円落としているというお話があったわけでございますが、実はこれにはいきさつがございまして、五十三年度から五十六年度までは三億円であったわけでございますが、当時は余り災害がないということもございまして、大体一億円から二億円の不用額を出していたというふうな実情がございまして、災害の救助費につきましてはこれは予備費の対応ができるということでございましたので、五十七年度に二億円にしたということでございます。たまたま五十七年度には長崎の災害がございましたし、五十八年度はいろいろな災害が多発いたしましたので、予備費で対応しておりまして五十七年度は一億二千万の予備費。それから五十八年度は、今までで五億四千万円の予備費を追加いたしまして使用させていただいている次第でございます。
  140. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私もわからないわけじゃありませんけれども、五十六年までは三億円。五十六年というのはどういう年であったかということをちょっと見てみますと、五十六年の七月には例の臨調答申が出ているのです。だからがくっとその次の年には一億円減った、五十七年は二億円になったのです。これを削った途端に、二億円のものが実際の実績を見ますと三億五千七百万円になっているのです。それで、今大臣は予備費があるから、あるいは厚生省も同じような言い方をしたわけでありますが、何でもかんでもそういう場合は予備費だ予備費だということになるならば、予算を組む必要も何もないということになります。やはり一喜一憂しないできちっと予算を組んでこそ、救助の構えも決まっていくだろうと私は思うのです。一概に皆さんの方を無体だとかわからないというのじゃなしに、やはりそこら辺は予備費にもたれかかるということでなしに余裕を持ってやっていくというのが一つの構えであろうかと思いますが、再度この点についてお伺いしたいと思います。
  141. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 先ほどもお答えいたしましたように、災害救助費の関係は予備費を絡めて支出しているわけでございますが、災害救助費は義務費でございまして後で精算交付をするという形をとっているわけでございます。したがいまして、年度末までに予備費を食えば間に合うという形でございまして途中までは、毎年県におきまして災害がないときに災害救助基金というものを積み立てておりまして、その積立金でその年度まで賄っていただきまして、年末までには精算をするという形をとっておりますので、普通の年でありますれば現在の二億円で足りるのではないかというふうに考えております。  なお、こういうふうな状況が恒常的になるというふうなことになりますれば、その際はまた考えたいというふうに考えております。
  142. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 次に問題を移らせていただきまして、先般の豪雪の視察にもいろいろな地域、いろいろな町から要請をいただきましたが、その中に非常に多い問題の一つとして消雪施設、消雪パイプ流雪溝、先ほども質問の中にあったようでありますが、この電力に対する料金、これを何とかしてくれないかというのが相当あったわけですね。  そこでちょっと調べてみましたら、富山県では電気料金が五十七年度二億三千万、五十八年度は三億四千万円でほぼ一・五倍を予想しているというわけです。例えば県管理の分では、五十七年度一億三千万円のうち降雪期に国の三分の二補助があり、県の負担は七千六百万円だ。その役割が非常に評判がいいだけに施設がふえる、すると電気料金も相当なものになるわけです。ところが、総額一億三千万円のうち四月から十一月の雪が降らないときの基本料金が四千八百万円で、四五%も占めるというのですね。この点、何とかひとつ電気料金については、平時も何らかの格好で補助していただくような措置ができないだろうか、こういう御要望が非常に強いということを私感じてまいったわけでありますが、これについて建設省から御意見をいただきたいと思うのです。
  143. 和田惇

    ○和田説明員 消雪パイプでございますけれども、狭い道路でありますとか排雪が非常に困難な場所では、大変有効な除雪施設になっているわけでございます。そういうことで消雪パイプにつきましては、その設置の補助、それから運転に要します電気料金を補助の対象としているところでございます。  補助の対象となっていない運転しない期間のことでございますけれども、これにつきましては、基本料金は二分の一ということになっておるわけでございまして、こういったような状況でございますが、消雪パイプといいますのは道路交通確保に欠かせない大変公共性の高いものでございますし、関係機関にも実情を説明いたしまして基本料金の軽減方につきましても協力を求めてまいりたい、こういうように考えております。
  144. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 関係機関に説明して協力を求める、この意味はよくわかるようでわからないわけでありますが、そういう方向で持っていくということだろうと思うのです。  そこで、私、これはいつかの国会の通産省の答弁みたいなもの、考え方をちょっと拝見させていただいたのですが、使わないときでも供給余力は持っていなければならないんだ、公共でも何でも同じようにいただかなければだめなんだ、消雪パイプにそういう値段を下げたりなんかしますと、ああ今度は福祉の方の電力はどうだとかいろいろなことがあっておさまりがつかないという言いわけをしているというか、そういう答弁があるわけです。  そこで、私は一つ提案でありますが、これからどんどんそういう消雪パイプだとか流雪溝だとかロードヒーティングなんというものが発展していくわけでありますので、それなりに道路の維持管理費が高くつくわけです。そこで、国の補助もさることながら、電力会社の電柱がございますね。あれは道路の附属物になっているわけでありますから、当然道路維持費が高くなっていく。そういう事態に、あれは地方の市になるのかわかりませんが、それに見合うようにして電柱料金の値上げをしていく、こういうことも一つの方便であろうと思うので、そういう考え方も一つの方法として地方を指導する、あるいは考えてみるというようなことにならないかどうか、ちょっと御答弁いただきたいと思うのです。
  145. 和田惇

    ○和田説明員 今、先生の大変ユニークな御提案がございましたが、今後の研究課題の一つかと思います。
  146. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ぜひひとつ、お考えいただきたいと思うのです。  そこで、次は、先ほども横手議員が質問しておったわけでありますが、消雪パイプなんかの水資源対策ですね。私は、これは確かに大変なことだと思うのです。特に私の秋田県でも、十文字町だとか六郷町という町がございまして、消雪パイプの地下水が枯渇して、今それなりに大変だという状況がございます。  そこで、秋田大学の先生がこの水枯れの原因調査、例えば田に水を張って、水資源の確保をするために浸透さす方法、こういうことで非常に頑張っている状況も私は知っておるわけであります。特に、二月十七日の朝日新聞の「論壇」に大島戌さんという人、財団法人日本システム開発研究所常務理事、この方が「消雪用水を確保せよ 貯水池など流域単位の対策必要」、こういうことで一つの提言をしているのです。例えば「地下水を養うため池などの施設を造成し、地下水脈へ水を浸透させる地域では、宅地開発を規制する」とか「発電用等ダムの建設費の一部を負担し、その見返りに下流が克雪用水の取水権を獲得する」こととか幾つかの提言をして、非常に貴重な提言だ、私はこう思っているわけであります。  先ほども、国は独自にそれなりの対応なり研究なりを考えていらっしゃる、こういうことでございましたが、今言ったようなことに対しましても、検討に値するものだというふうに私は思っているわけでありますし、そうであるならば、それに見合うような国からの補助なり援助なりの手を差し伸べるべきじゃないかと思うのですが、いかがでございましょうか。
  147. 和田惇

    ○和田説明員 お答えをしたいと思います。  雪国での除雪の方法といたしますと、機械でやるもの、それから水でやるものなどがあるわけでございますけれども、特に地下水を利用した消雪パイプは、大変狭い道路などでは威力を発揮しているわけでございます。しかし、消雪パイプにつきましてもちょっと問題があるわけでございまして、道路といたしましては舗装が傷むとか水はねがあるといったような問題がありまして、水が比較的安いところに設置をするといったようなことを今やっているわけでございます。  先生御指摘のように、消雪パイプが普及してまいりますと地下水位が低下してまいります。また、枯渇の問題も大きな問題になってきているわけでございまして、今後私どものところといたしましては、節水を考えましたきめ細かな消雪パイプの運用といったようなことも考えてまいりますし、また、一度利用しました水をもう一度地下に還元するといったような方法も有効ではないだろうか、そういった研究も考えてまいりたいと思います。
  148. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ぜひひとつ、積極的に前向きにやっていただきたいと思います。  あわせて建設省にお伺いしますが、これも一つの提言というよりも実際にやられていることでありますが、例の防雪さくですね。これは秋田県の建設省の能代工事事務所というところでありますが、おたくの出先であります。ここでは、「無用な杉の間伐材を活用して防雪サク」、こういうことで、「東北では初めて能代市浅内の国道七号線能代バイパスに間伐材の防雪サクを試験的に設置し、その効果を見守っている。」こういうことで、新聞に写真入りで、関係者も非常に注目しているというわけです。  御承知のとおり秋田県というのは、木材関連の産業が今非常に困り、特に間伐材については、無用の長物とは言わないけれども、何とかならないかということがみんなの頭にあるわけであります。それで私、こういうのは全国ほかにないのかということを見てみましたら、国道八号線の石川県内ではよほど早くから間伐材を利用した防雪さくがあって、これも大変好評だというのですね。ですから、そういう木材資源を生かして使うことを含めまして考えたら大変いいことじゃないかというふうに思いますので、この点についてお伺いしたいと思うのです。
  149. 和田惇

    ○和田説明員 道路をつくる場合に資源の有効的な利用は非常に重要なことであるわけでございまして、従来から諸資材につきまして実情を配慮いたしまして、技術的または経済的な検討を加えて効果的にその利用を図ってまいっておるところでございます。  今御指摘の間伐材でございますけれども、これを防雪さくに使えないだろうかということで、昭和五十八年に一般国道七号の能代バイパス、ここにおきまして試験的に利用して防雪さくを設置したわけでございます。今その効果や経済性、施工性、耐久性といったようないろいろな問題がございますので、そういったような調査をしている段階でございまして、これらの調査結果を踏まえまして今後の活用方策について検討してまいりたい、かように考えております。
  150. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私、あと時間がございませんので、最後にまとめてお伺いしたいと思うのです。  特に雪崩その他の研究問題でありますが、例の新潟の大変気の毒な清津峡の問題がございまして、これについては、よく調べてみましたらあそこの現地の方が、何年か前にもそういう同じような雪崩があって人家が倒壊した、あれ以来何度か国や県に防護さくをつくってほしいと再三要望したがナシのつぶてであった、また、あそこに六日町の営林署というところがございますが、そこにも防雪施設を何回か陳情してきたと言うのです。あのような大変傾斜度も厳しいところでありますけれども、それが全然そういう県の指定の場所にも入っておらなかったという問題、また、何度か実際はあそこへ陳情を要請したにもかかわらず、ほとんど見るべき手を打ってくれなかったということについて、私やはり国も若干の責任があるんじゃないかと思うのです。この点が一つ。  それから研究費、自然災害特別研究による雪崩研究。この雪崩については、いろいろな学会その他に毎年文部省研究課題を設けまして金を出してやらせておったのですが、五十二、五十三、五十四、五十五、五十六年度、ずっと何人かの先生方にやってもらっておったら、五十七年、五十八年になったら採択課題はないんだというごとで、これは何も研究しておらないのです。これはどうしてやらなくなったのか、まさに私はおかしいなと思っているわけであります。この点についての文部省の御見解。  文部省に聞いたついででありますので一言申し上げますと、私の故郷の秋田県の男鹿の脇本第一小学校が、先般テレビにもありましたように雪の重みで体育館が倒壊した、そういう事態が発生しております。これは今緊急にやっていらっしゃると思いますが状況についてどうだろうかということ、このことをお伺いして私の質問を終わりますので、お願いしたいと思います。
  151. 小澤普照

    小澤説明員 過去にも災害が発生していたこともあるじゃないかということでございますけれども、私どもも調べてみましたところ、五十三年の二月に旅館の一部が損壊するという災害が発生したという事実はございます。その際、防護さくでございますとかその他の防護対策につきまして検討はいたしたわけでございますけれども、この当該地域が景勝の地であるというようなことから、景観保全との兼ね合いの問題もございました。それから当時の旅館の損傷でございますけれども、雪崩とこれに伴う風圧によるものだ、そういうふうに考えられたということもあったようでございます。そういうことから、なかなか適切な工法というものが見出しにくかったように私ども考えておりますが、今後につきましては、私ども関係省庁でございますとか地方自治体と十分連携をとりまして、雪崩の防止の観点から適切な防災工事に努めてまいりたい、かように考えております。
  152. 重藤学二

    ○重藤説明員 お答えいたします。  文部省では、災害の防止あるいはそのための基礎研究ということが極めて重要であるということで、昭和四十七年度から文部省の科学研究費補助金の中に自然災害の特別研究という特別の枠を設けまして、ずっと研究促進に努力してきているところでございます。特に、災害がどうして起こるかというその生起過程の研究、あるいは地域の特性に即した防災に関する研究というものを重点に置きまして、研究を続けております。  御指摘のように五十七年度、五十八年度につきましては、直接雪崩の現象の解明研究という課題についての研究プロジェクトは採択にはなっておりません。これは学術審議会におきまして、研究者、学者による厳重な公平な審査という手続を経ておりますし、それから五十七年度、五十八年度にいろいろな災害が出まして、それに関連するいろいろな研究課題の提案がたくさんございましたので、そういう結果かと思います。しかし、この特別災害研究以外にも、例えば大学独自の研究のための経費も措置をいたしておりますし、それから科学研究補助金の中でもその他の例えば一般研究あるいは試験研究という他の費目につきましても、雪崩に関連するようないろいろな研究を進めていけるように努力をいたしておりますので、その点特に、例えば北海道大学の低温科学研究所あるいは新潟大学、秋田大学、その他の事業費として研究ができるような措置をいたしておりますし、今後もそういう点に重点を置いて配慮してまいりたいと考えております。  以上でございます。
  153. 逸見博昌

    ○逸見説明員 お答えいたします。  男鹿市の脇本第一小学校でございますが、実はあした二日でございますが、現地調査をいたすことにしております。地元では、九月には完成させたいという御希望のようでございますので、それに間に合うように補助手続を進めたいと思っております。
  154. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 終わります。
  155. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、木間章君。
  156. 木間章

    ○木間委員 質問に入る前に、今次五九豪雪に際しまして、国会開会中のさなかでございましたが、佐藤委員長を初め各党代表の災害委員の方々、そして稻村国土庁長官を初め各省庁の皆さんには被災現地を見舞っていただきまして、調査をいただきまして、亡くなられた方には丁重なるお見舞いを、そして被災住民の方々には温かい励ましを賜りまして、心から雪国出身の一人として敬意と感謝を申し上げたいのであります。  同時に、けさほどから集中審議をお聞きいたしました。皆さん方の何とか災害を防ごう、意欲に満ちた討論が展開をされておりまして、災害が起こればきちっと手だてをする、そして予防対策にも万全を期す、こういう熱意も見受けられたのでありまして、ぜひそのようにお互いに取り組むことをお願い申し上げたいのであります。ただ、認識のずれがあるように受けとめましたので、通告はしておりませんけれども、長官に一、二点、今の御決意をお聞きしたいのであります。  その第一点は、先ほどの答弁の中で、雪は本来災害ではないのだ、私と完全に一致をしておるのであります。今、もし日本海側からの季節風が雪を持ってこなかったら日本列島はどうなっておるだろうか、あるいは大東京圏は今日このような形で発展を続けるだろうか、あるいは大大阪圏は琵琶湖の水資源を活用して今日大発展を来しておるところでありますが、ともにサハラ砂漠のように水飢饉がすぐ訪れるのではないだろうか、こう考えてまいりますと、まさに私ども国民生活にとってかけがえのない大事な財産であります。ですから、稻村長官の、災害ではないのだ、私は同感でありますし、いま少し食い足りない面がありますから、今の心境を率直にお尋ねしたいのであります。
  157. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 今、まあ雪国の木間さんの質問でありまして、私も木間さんも全く環境が同じであります。また同時に、環境が同じですからこれに対するところの考え方も皆同じだと、私はそういうふうに思っております。今御指摘の、この雪のために亡くなられました方に御冥福をお祈り申し上げなければなりませんし、また、けがをされた方々にも一日も早く回復をしていただきたいということを心からお祈りを申し上げなければならぬと思います。  そこで、雪に対する問題でありますが、これは雪というのは日本の国の水資源の大変大事な宝である、こういうふうに私は考えております。今後はどうしても水の問題があらゆるところでやはり必要性に迫られております。そういう意味から緑のダム、山でも木のあるところには必らず雪が積もっておるわけであります。木のないところは吹きざらしになってしまう、こういうような意味から、やはり雪というものは我々の生活において欠くべからざる大変大事な問題でなかろうか、この点はまた私は一致をするわけであります。  しかしながら、これにおけるところの災害の問題、これはやはり災害と見ていく必要があると思いますが、雪全体が災害である、こういう認識にはどうしても多少のずれがある。先ほど来答弁を申し上げたような次第であります。そういう意味から、あらゆる問題についてこの雪の利用度というものをこれからやはり考えていく必要があるのではないか。そして、雪国に住んでおればこそ、雪国であればこそ、これが日本国のあらゆる国民生活の中に大きく役立っておるのだ、こういう一つの考え方も雪国の人たちに自信をつけていく必要がありますし、また、ここから恩恵を受ける国民の皆さん方にも雪に対するいい意味の理解を深めていただく、こういうことも大変大事なことでなかろうか、私はこういうふうに考えております。  そういう意味で、先ほど来いろいろ御指摘がありましたが、私が長官時代において、そのときに解決をしなくてもその方向づけだけは何とかやっていきたい、何とかやらねばならぬというかたい決意であります。そういう意味から、先ほども小委員長のもとに小委員会がつくられましたし、これをつくり上げていくという場合において、ちょうど雪国の小委員長、これは高鳥さんということでありますし、また委員の皆さん方もほとんど雪国ということでございますから、お互いに知恵を出し合って、このままでいいのかどうかという問題は、私はいいとは申し上げたいのでございますが、やはり雪国の私としてはこの辺を多少直していく必要があるんじゃないかな、こういうふうに考える節がたくさんございますので、また木間さんにも御協力をちょうだいしてその方向づけだけを——今度の豪雪は、三八あるいは五六に見れない降雪であったということだけは、これは事実でございます。やはりこういった問題に将来対応するためにも何かしらその方向づけをやる必要がある、こういうふうに考えておりますので、よろしく御協力のほどをお願い申し上げたいと思います。
  158. 木間章

    ○木間委員 長官の御決意も、私ども雪国の一人としてよく合っておると私も意を強くしておるのでありまして、よろしくお願いいたします。  同時に、私どもこの豪雪は、十八年あるいは二十年周期で来るんじゃなかろうか、来たんだぞと思っておりましたが、よくひもといてみますと二、三年周期で訪れておるわけであります。したがいまして、国は今日まで災害対策基本法を制定されまして取り組んでおいでるのでありますが、その中身は災害に対してどう措置をしていくのか、つまり後追いを中心にした内容になっておるようにうかがわれて仕方がないのであります。ですから、同時に予防をしなければなりません。災害は忘れたころにやってくるのではなくて、二年、三年後にまた来るわけでありますから、近年の例をとってでも、今こそきちっとしておかなければなりません。  したがいまして、私は災害基本法もさることながら、雪を利用、活用していくという積極的な面も生かしていただいて、そして事前に被害を最小限に食いとめるんだ、こういう気持ちからも雪対策基本法などをつくってみてはどうだろうか。稻村大臣は長官就任早々、半島振興法を提起されております。今それぞれ鋭意検討中のようでございますけれども、私たち建国土の五二%、そして人口の二千万を超える皆さんがそこに日々生活をしておられるわけでありますから、そういう考え方に立っていくことが基本ではないだろうか。これはぜひ検討を前向きでお願いを申し上げておきたいと思います。  いま一点でございますが、けさほどの論議を聞いておりまして、大臣のお気持ちがやや後退をしておるぞと実は私は受けとめたのであります。それは臨調、行政改革が念頭にあったからでしょうか。もちろん、行政改革はやらなければなりません。しかし、行政改革中といえども、国民が求めておいでる、あるいはこれらの災害に関係する、さらに資源を確保しなければならない、そういった問題については、総理のおっしゃっておいでる新世紀を迎えるためにも、ぜひここでやっておかなければならないのでありまして、そういった臨調のお考えが頭をよぎったとすれば、私は理解しかねるということであります。具体的には先般の参議院予算委員会で、五九豪雪の対応は五六並みですか五六以上ですかという問いに対しまして、大臣は、五六以上のことをやりますときっぱり明言をされておるのであります。ですから私は、けさからその答弁が出てくるんではなかろうかと期待をしておった一人であります。重ねてその点をお尋ねしておきたいと思います。
  159. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 今度の雪というのは、積雪降雪量は五六並みあるいはまた以上、こう言われておりますから、私は以上であるというふうに考えておるわけであります。例えば、今まで降らなかったところでもどか雪がばたっと降っておるところがたくさんございますし、全体を見た場合には五六以上であろうな。しかし、その条件も悪いですね、五六の事態から見れば。五六の事態のときには一遍にどかどかっと来ておりましたが、今度の場合は十一月というか十二月の初めごろからどかどかやってきた。どかどかじゃなく、ずっと降り続いておる。しかも寒い。全く冷寒である。こういうような関係から氷が張りついておって、除雪に対しても大変苦労をされておられるわけです。  そういう意味から、以上ということはこれからの調査結果、今大変急いで各省庁調査をされておられます。そういう意味から、以上ということは、さてそれは適切な言葉になるのかどうかということでありますが、しかし五六並みのことは、これは災害地域の、雪国の地域住民の方々の要望を踏まえた場合においては、当然五六に対応したところの施策は実行すべきである、こういう認識に立っております。
  160. 木間章

    ○木間委員 大臣、もっとしっかりしてくださいよ。この五九豪雪の機会こそ唯一のチャンスじゃないだろうか、私は実はこう受けとめてきたのであります。大臣は、けさほどもどなたかの質問にお答えになったように、もっと降れというのが心情でありましたと。私も、初めて東京に積雪のあった一月十九日に大臣をお訪ねいたしまして、お互いに言葉を交わした経験があるわけであります。しかし、国民生活を雪という難物によって阻害したり後退をさせたり、寸刻もそういったことは許されないのでありますが、結果的には大東京にも大大阪にも委員長の大名古屋にも、実は降雪積雪を見たのであります。四国、九州にも降りました。ですから、きょうお集まりの委員の皆さんを初め各省庁の皆さんも、嫌というほど雪を経験されたわけであります。  したがいまして、雪対策というのは雪国の人たちの気持ちを酌んでやるということにはほかなりませんが、みずからの経験を生かして今次豪雪に対応していく、そしてあすの日本を築いていく、そういうものでなければならないと私は思っておりますし、唯一のそういった機会じゃなかったろうか、こう思うところでありまして、今お見えになっておりませんけれども、私どもの大先輩の天野先生にもぜひその陣頭に立っていただきたいのであります。そういったことで、ぜひこの機会にきちっと処理をしながら、次に来るであろう——これは毎年来るわけでありますから、対応をやっていただかなければなりません。それは、あるいは台風も大変な災害であります。しかし、これはどの道を通ってくるのかわからぬわけでありますが、五二%の国土は毎年雪に埋もれるわけでありますから、そういう理解をお互いにしていこうじゃありませんか。ぜひお願いをいたします。  この機会に、幾つかの問題についてお尋ねをしておきますが、中小企業も今度の豪雪で大変悩んでまいりました。三八の時代ならいざ知らず、昨今は私どもの社会も進歩をしておりますと同時に、中小企業も、減量経営をしながらも知恵を出し合って努力をされております。あの雪のさなかに、例えば納期がおくれる、まさに致命的な打撃を受けたのです。電話のたびに経営者はびくびく、取引中止になりゃせぬかという心配がよぎったのでありまして、そういった点では、今、激甚の指定要件の中に直接被害は含まれておるけれども、間接被害は含まれていない。けさほどからの議論を見ておりましても、間接被害というのはなかなか把握が困難だ、そういうことも申されておるのでありますが、しかし、これからの時代にはそう悠長なことは許されないのであります。したがいまして、把握困難な問題ではありましょうが、皆さんの英知でぜひ前向きに見きわめていただきまして、この激甚指定の要素に間接被害を加える努力をしていただきたいと思いますが、お尋ねしておきたいと思います。
  161. 小川忠夫

    ○小川説明員 激甚災害法の解釈の問題あるいは指定基準の問題につきましては、あるいは国土庁の方からお答え申し上げるのが適当かとも存じますが、現行の激甚災害法につきましては、中小企業関係を含めまして公共土木施設農林水産業関係等におきましても、当該災害による物的な損害の、つまり直接被害でございますが、復旧を図ることを趣旨といたしておりまして、間接被害を含めて運用するのは法律上なかなか難しいではないかと考えております。また先生御指摘のございましたように、実際上も間接被害を客観的に把握するのはなかなか困難であるということで、その点について御理解いただきたいと思います。  ただ中小企業庁といたしましては、こういう災害による中小企業者の間接被害に対しまして、必要に応じまして金融上の緊急措置、特別措置を講ずるということは従前からきわめて大切であると考えておりまして、今回の豪雪により被害を受けた中小企業者に対しましても、被害実態の迅速な把握に努めるとともに、既に中小企業体質強化資金助成制度の活用による低利融資とか政府系の中小企業金融三機関の災害復旧貸付制度の発動とか、こういった措置を講じておりまして、そういうことによりできる限りの対策を引き続き講じてまいりたいと考えておるところでございます。
  162. 木間章

    ○木間委員 最後に、税の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。  五本豪雪の経験の結果、雪の除雪、排雪に要する個人の出費が大変だ、費用負担が大変だということで、大蔵省は所得税法の一部改正を実現されたのであります。私たちは、渋々と言ってはなんでありますけれども、五万円の足切りを当時の状況として認めたわけでありますが、この年々襲いかかってくる雪に対して、除雪、排雪の出費はそれぞれの家庭で余儀なくされておるところであります。先ほどの答弁を聞いておりますと、課税標準は地域ごとにつくることになるから困難なんだということでありますが、いまのお考えをもう一遍お聞かぜいただきたいと思います。
  163. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答えを申し上げます。  先ほども申し上げましたように現在の雑損控除、これは先生御指摘ありましたように、五十六年の改正で雪おろし費用等その災害に直接関連する費用につきましては、五万円を超える部分について所得控除の対象にするという改正が行われております。  雑損控除の税における位置づけの問題でございますけれども、通常どの家計におきましても何らかの、災害と言えるかどうかは別といたしまして、それに準じたようなものがございます。そういった通常の生活に伴うようなものというのは、一般的には課税最低限の中で排除されておるというのが税の方での考え方でございます。しかし、非常に大きな支出を伴った場合、これはいわゆる経費性という点からいきますとその範疇には入りませんけれども、言うなれば担税力を減殺する要因であるということで、大きな災害に伴う支出、いまの設例で申しますならば、雪の被害といった場合の通常生ずる部分を超えるようなものについて、特別に考慮しようというのが雑損控除の制度でございます。  したがいまして、先生のお説が、五万円が低過ぎるあるいは五万円の根っこからという御議論であるといたしますならば、そもそも雑損控除というものの所得税制の中における位置づけといったような点から見て、五万円というのは言うなれば必要最小限の足切り限度額であると考えております。
  164. 木間章

    ○木間委員 東京都に積もったあの雪の中で私も一日過ごしたのでありますが、東京の交通機関は、特に乗用車は完全に麻痺をしてしまいました。チェーンをつけた車しか走れなかったのでありまして、逆に考えてみますと、雪国の皆さんはスノータイヤをつけ、あるいはチェーンを巻いて、この雪の中も物ともせず、生産活動あるいは市民生活に邁進をしておるところであります。したがいまして雪国の皆さんは、あるいは雪つりにいたしましても雪囲いにいたしましても、物見遊山的に眺めれば格好よく映るでありましょうけれども、日々の、年々の負担出費というのは大変なものがあるわけです。  五万円の足切りの問題でございますが、例えば私どもの地域にこういうことがあります。比較的裕福な家庭で、屋根上りも好まない、勢い人を雇い入れて除雪、排雪を行うわけでありますが、しょせんそれは大金持ちしか実はできないことであります。ほとんどの皆さんは、日中は事業所で働きながら、夜間おばあちゃん、おじいちゃんを総動員して除雪、排雪を行っておるところでありまして、本来税制度というのはそういったところに光を当てる、焦点を持っていくというのも一つの要素ではないでしょうか。ですから私は、上限を決めてもいいだろう、むしろそういう庶民の実生活に見合った制度をつくっていかなければならないと思います。  今、雑損失控除でとらえるとすれば、あるいは火災に遭ったとか泥棒に遭ったとか、一定の歯どめをするということもわからないではありませんけれども、しかしそういう範疇に入れるところに、雪国の私どもから見ると今日的な徴収制度の問題があるんじゃないだろうか。ですから、雪害控除としての一つの制度をつくるということを考えたらどうだろう、おのずからそういう区分けをすべきじゃないだろうか、こう考えるものですが、いかがでしょう。
  165. 伊藤博行

    ○伊藤説明員 お答え申し上げます。  雪害控除という御提案の御趣旨が、実際にかかる経費の有無にかかわらず、当該地域に住むという事実に基づいて特別の控除を設けるべきであるという御趣旨であるといたしますならば、先ほども申し上げましたように、住む場所によって結果として所得税の中における課税最低限を異にするという制度を仕組むという御提案になろうかと思います。  雪害というのも生活環境の一つでございます。例えば、東京に住む場合に物価が高いからどうだ、あるいはどこそこに住むからこういう経費がかかるがどうだ、こういうふうな議論は当然出てこようかと思います。そういたしますと、住んでおる場所ごとに所得税における課税最低限を変えるというのが一体所得税制としてもっかどうか、理論として成り立つかどうか。私どもといたしましては、現在の所得税制という基本的な枠組みの中では、そういう控除というのはなかなかなじみにくいのじゃないだろうかということで、そういう生活環境あるいは生活態様の差というものは、基本的には課税最低限等の、いわば基礎控除を中心とした課税最低限の中で普遍的に見ていく中でしんしゃくされておるというふうに理解して、制度を立てていくのがよろしいのじゃないだろうかというふうに考えております。
  166. 木間章

    ○木間委員 大都市では物価が高い、特に東京では土地が高い、私も存じ上げております。しかし、これは皆さん方の施策のまずさでなってきた、人為的になってきた、私はこう思っております。国土庁長官もおいでますけれども、都市政策があったのかどうか、これは人為的なものじゃないだろうか、こう考えるのです。  冒頭申し上げましたけれども、雪というのは自然現象でございまして、人為的には防げ得ないものです。もっとも、私どもの地域で除雪、排雪をやっておりますと、木間君、君は建設委員会におるんだが、トラクターを持ってきて、あるいはいろいろ建設機械を持ってきて立山連峰を崩してもらえぬか、こういう率直な、投げやり的なとも言い切れない話をよく耳にするわけです。ですから私は、この自然が恵んでくれた財産は一体だれの所有なのか、財産じゃないだろうか、このことを冒頭申し上げたところであります。  ですから、皆さんも五九豪雪で大変貴重な経験をされましたから、今ここでなかなかそういう答弁は出てこないと思いますけれども、あすからと言わずきょうから、そういう考え方でこの雪問題に対応していただかなければならないのです。もし間違えますと、長官もおっしゃっておいでるように、残念な災害になるわけでありまして、ぜひ災害にしないように、まさに耐えるんではなくて、耐雪ではなくて克雪の時代が二十一世紀じゃないだろうか、私はこう申し上げまして、私の発言を終えさしていただきます。  ありがとうございました。
  167. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次に、森本晃司君。
  168. 森本晃司

    ○森本委員 まず最初に、今回の五九豪雪で数多くの方がお亡くなりになり、またけがをされ、大変な中であるという状況をつぶさに知りまして、お亡くなりになられました方々に心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方々、一日も早くそのけがを回復され、また被災地の皆さん方が元気で立ち直られますことを心からお祈り申し上げる次第でございます。  私、せんだって新潟豪雪地帯を生まれて初めて訪れさしていただきました。私の出身県でございます奈良県、決して雪はないというわけではございませんが、日常生活の中で、豪雪の中で何カ月も生活を送るということはほとんどない地域でございます。そんな私が初めてあの地帯へ行って、ただ驚きと、そして大変な中で雪国の人々が生活を日夜雪と闘いながらしていらっしゃるんだということを痛感いたしました。また、その雪国の皆さんの恩恵で、平たん部の電力がありまた水があるんだということも、改めて認識した思いでございます。  そこで、国土庁長官に再度私が、雪国でない者からお尋ね申し上げたいわけでございます。  私、向こうの雪国で実感いたしましたのは、そうだ、今度の長官は雪国出身である、今度開かれる災害対策委員会では恐らくその事情を最もよく知っておられる長官が胸を張って、これはこうすべきだ、こうある、極端に申し上げますと、私に任せなさいというぐらいの御発言を、朝から期待しておったわけでございますが、私が予想していた以上に長官のトーンが落ちているのではないだろうかというふうな感を持ちました。雪国出身の長官としてのこういった豪雪に対する今の決意を、またこれからの毎年起こり得るこうした雪国の問題に対する対策等々の胸の内をお聞かせいただきたいと思います。
  169. 稻村佐近四郎

    稻村国務大臣 雪国に育った者しかというわけでもないでしょうが、雪国に育つということは実に大変なことであります。そういう意味で私は、今のところ長官という立場で表面に出ておりませんが、内には烈々として、この機に何かしら方向づけをしなければならぬな、大変気の毒な状態であることは御指摘のとおりであります。そういう意味から、今度の雪は大変今までと違うなというところで、政府としましても先月十日に豪雪対策本部設置をいたしました。  そこで、その中でも大変東北も多いのでありますけれども、やはり北陸を中心として降雪量が多いというこういう判断から、北陸を中心として新潟富山石川、福井と、この地帯の調査をいたしました。まあ思ったよりこれはひどいな、こういう感じをいたしました。その中で自分で肌に感じましたのは、これは当面の問題も大変大事だ、当面は特に大事であるけれども、この雪の災害というものは、大変期間を短く最近は豪雪に見舞われるわけであります。そういう意味から、中期的、長期的にこれは考える必要があるということで、新潟県の高田と直江津で大変大きなヒントを得たのです。  それは何かというと道路網の整備である。そこで一番困っておるのは、除雪費にいたしましてもあらゆる生活の環境にいたしましても市町村道が一番悪い、そういう意味からこの市町村道、指定されておるところの豪雪地帯に対して道路網の整備というものを、豪雪対策上、雪の対策上やらねばならぬ、こういうことを切実に考えたわけであります。あらゆるところにバイパスの必要があるとか、バイパスを政府施策によって除雪対策あるいは豪雪対策として考える必要があるな、これは、その他細かいことはございますけれども、この第一点だけ申し上げておかなきゃならぬと思います。  特に中小企業等々は、特交であるとか、交付税であるとか、その他のものというのは、これは行政上で地域住民には大変大事でありますけれども、中小企業なんかは肌で、これは即座に効き目があるものであります。効き目というとおかしいのですが、対策上必要なものでありますから、中小企業、特に製造、商店等々の問題は、先ほど来中小企業庁がいろいろな形で答弁をしておりますが、過去の例もございますし、あるいはまた現在の状態として要求等々もございますから、やはり一番肌で感じておる、知っておるわけでございます。  ただ、力が多少足りないということで、大変御迷惑をかけるかもしれませんが、この点は皆さん一方に後押しをしていただいて、先ほど来の質問で、あなたは雪国の人である、あなたに期待をかけ過ぎておるのかもしれぬけれども、みんな期待をかけておるということでございますから、私も大変タイミングのいいときにというとおかしいのですが、豪雪対策本部長という大変重要な位置についたというこの時期において、今後の豪雪に対する、雪国に対する方向づげを、このときばかりはやらねばならぬというこういうかたい決意でおることを、まず御報告申し上げなければならぬと思います。
  170. 森本晃司

    ○森本委員 長官の決意を伺いまして、大変うれしく思っております。私も改めて認識をいたした次第でございまして、これからもさらにそういった雪国の皆さんの方に一生懸命力を寄せていきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。  そこで私は、その中でも十日町市等々も御訪問させていただきましたが、中里村をも訪問させていただきました。この中里村、先ほどから何度も出ております清津峡温泉雪崩のあったところでございます。村長さん初め村民の皆さん方が大変な、不眠不休の闘いで救済活動を行われまして、またその後の対策を講じておられるようでございます。五名の犠牲者が出たことは私も非常に残念に思ったわけでございますが、この中里村のその後の対策はどうなっているか、雪崩の現場のことにつきましてお伺いしたいわけでございます。
  171. 小澤普照

    小澤説明員 お答えいたします。  清津峡の雪崩災害でございますけれども、この対策につきましては、私どもといたしましては現地に専門家を派遣いたしまして調査をいたし、その後林野庁、それから筑波にございます国立林業試験場、これは防災部というのがございます、それから関係の営林局、こういう構成で雪崩の防止対策連絡会議を行っております。  そして当該地の対策でございますけれども、地形でございますとかあるいは積雪量の条件、それから景勝地でございますので景観等、こういうものに配慮した防止工法その他対策につきまして現在検討を行っております。私どもは、この検討を急ぎまして今後の防災対策を行う必要があるわけでございますけれども、この当該地が名勝天然記念物でございますし、また国立公園の特別地域であるということから、関係省庁それからまた地方の自治体、こういうところと十分連携をとりまして、雪崩防止上の観点から適切な防災工事に今後取り組んでまいりたい、かように思っております。
  172. 森本晃司

    ○森本委員 現地へ行きまして雪崩の起きたことについて伺いましたら、五十三年にも雪崩があった。しかし、今お答えいただきましたように、名勝天然記念物の国指定になっているとかあるいは上信越高原国立公園であるとか、こういったいろいろなネットがかかっているので、前回の雪崩が起きて、今回も起きるであろうと予測されたことに対する対策ができなかったのではないだろうか、このように思われますし、現実に現地の方もそのようにおっしゃっておられました。  私はやはり、これは非常にむずかしい問題で、景観を保つのと人の命を守るのとどちらなのかという問題になってくるわけでございますが、これからもさらに、それぞれの技術あるいはさらにそれ以上の熱意の粋を集められまして、特にここだけではなしに、そういった名勝と言われる地域の方がやはり非常に災害が起きやすい地域であると言っても過言ではございませんので、今後の対策をどうか推し進めていただきますことをよろしくお願い申し上げる次第でございます。  さらに、ついせんだってその中里村を訪れまして、帰るときにちょうどまた吹雪に遭いまして、そのとき思ったのは、この後雪崩が出なければいいのになというような思いでございました。翌日新聞を見ますと、「雪崩が二棟つぶす新潟で三人けが」湯沢町で表層雪崩が起きて、幸いこのときは脱出されて命を取りとめられたようでございますが、今後こういった雪崩各地に起きてくる、そしてとうとい人命が失われて、財産が失われていくのではないかと思います。  今、いろいろな技術が発展していると思うわけでございますが、地震に対する予知とか、いろいろな研究開発が今行われておるようでございます。きょういただきました本年度の予算概要を見ますと、雪崩研究科学技術庁で行っておられるように伺いましたが、この科学技術庁の「国立防災科学技術センターにおける自然災害一般防災科学技術研究」というのがございますが、雪崩研究はこの九億五千六百万円の中に含まれているものなんでしょうか。特別にまた雪崩という問題で、その雪崩予知研究の対応をしておられるのか、この中にあるのかということを伺いたいのと、雪崩はもうずっと昔からあるわけでございまして、科学技術庁としていつからこの研究に取り組まれたのか、現在どれぐらいの状況であるのか、伺いたいと思います。  済みません。ちょっと時間がございませんので、簡単にお願いしたいと思います。
  173. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 お答えいたします。  科学技術庁といたしましては、国立防災科学技術センターの中に雪害実験研究所といいますのと新庄支所という二つの雪の研究をする研究所がございます。そこにおきまして、過去からいろいろと雪崩につきましても基礎的な面の研究をいたしてきております。  そこで、わかっておりますことは、雪崩というものは地形、植生、気象条件など非常にいろいろな発生要因が複雑に絡み合っておるわけでございまして、こういうものをもとにいたしまして、さらに雪崩予知研究を発展させるために昭和五十七年度から五カ年計画をもちまして科学技術振興調整費を活用いたしまして、関係省庁の連携、御協力のもとに雪崩とその発生要因の関連を明らかにするための総合的な研究を進めておるわけでございます。その中で雪崩関係の予算につきましては五十八年度に一千六百万円、全体の中で一千六百万円ということでございます。  さらにこの研究とは別個に、先ほど申し上げました二つの研究所になりまして雪崩の発生に先立ちます積雪の滑動、滑りでございますが、そういったものを検出するためのグライドメーター、これは滑り計と申しましょうか、そういった基礎的な発生の前兆をとらまえるような要素の研究もいたしまして、実際に斜面に設置していろいろと観測研究を進めておるわけでございます。  今後とも雪崩予知のための研究につきましては、研究の蓄積を図っていくということが大事だと思われますので、そういう面で一層努力をしてまいりたいと考えております。
  174. 森本晃司

    ○森本委員 ますますその科学技術雪崩に対する研究をよろしくお願いしたいと思います。  最後に、今豪雪地帯中心のいろいろな質問等々が行われてまいりましたが、今回の五九豪雪というのは、ふだん雪のない地域も大変な被害をこうむっているのは事実でございます。特に、私たちの生活に大変関係のある農林関係の被害が数多く出ているまうでございまして、これはまた今後も融雪とともに相当の被害が予想されるわけでございます。朝からの被害状況の報告の中にその状況がつぶさにあらわれておったように思いますが、今後も、熊本県のビニールハウス倒壊の問題等々に関しましても、さらなる対策を講じていただきたいと思います。  私はあと一点、林業の問題について触れさせていただきたいと思います。  この雪解けとともに、目に見えない被害が数多くあらわれてくるに違いございません。私の選挙区の方の奈良県は非常に吉野杉の林業で有名なところでございますが、この吉野山がことしの雪で幼年林、まだ五年から十年ほどしかたっていない、そして高さ一メートルから二メートルぐらい、これが雪で大変な被害を受けている状況でございます。今も、所によっては一メートルほどの積雪のもとにその幼齢林が横たわっている。そして、山を守る人たちは雪解けを待っておるわけでございますが、この四月の雪解けとともに山に入っていくわけでございます。これに対しては労賃、それからそれに伴うビニール、縄等々で大変な費用がかかります。そして、その杉を一本一本起こしていかなければならない、杉起こしということをやらなければならないわけでございますが、今日の林業の不況状況、それから労働者が非常に少ない、また賃金が非常に高いということで、今このままほっておきますと植林意欲が失われてしまうような状況下にあります。そういたしますと、もうあとは山が荒れほうだいになってしまいまして、そしてまたその地域から地すべりを起こしていく。また水を供給することができなくなっていく。今のこういった林業の皆さんに、治山治水の立場から何とかもう一度植林意欲をわき起こさせる再建への助成を、政府としていろいろと講じていかなければならないわけでございますが、その辺に対する考え方をお尋ね申し上げたいと思います。
  175. 依田和夫

    ○依田説明員 先生お尋ねの森林被害の問題でございますが、御承知のように現在、現地の大半がまだ雪に埋もれておる状況でございます。私ども林野庁といたしましては、関係県の協力を得ながら、現在その被害の実態状況等について鋭意調査を進めておるところでございますが、この調査結果を待ちまして被害の態様に応じまして、私ども現在造林補助事業とかいろいろな制度を持っておりますが、これらの制度を有効に活用いたしまして、先生御指摘の被害復旧等につきまして万全を期する所存でございます。
  176. 森本晃司

    ○森本委員 本当に、山を守る人たちの意欲がわくような施策をこれからも講じていっていただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  177. 佐藤観樹

    佐藤委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十七分散会      ————◇—————