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1984-04-11 第101回国会 衆議院 交通安全対策特別委員会 第3号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十一日(水曜日)     午前十時三十二分開議 出席委員   委員長 坂井 弘一君    理事 石川 要三君 理事 浦野 烋興君    理事 近藤 元次君 理事 浜野  剛君    理事 竹内  猛君 理事 永井 孝信君    理事 木内 良明君 理事 玉置 一弥君       太田 誠一君    加藤 卓二君       高村 正彦君    中西 啓介君       林  大幹君    関山 信之君       松沢 俊昭君    村山 富市君       草野  威君    伊藤 英成君       辻  第一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (総理府総務長         官)      中西 一郎君         国 務 大 臣         (国家公安委員         会委員長)   田川 誠一君  出席政府委員         内閣総理大臣官         房交通安全対策         室長      波多 秀夫君         警察庁交通局長 久本 禮一君         運輸階自動車局         整備部長    丹羽 一夫君  委員外出席者         警備庁交通局交         通企画課長   広谷 干城君         警察庁交通局交         通指導課長   山崎  毅君         警察庁交通局交         通規制課長   矢部 昭治君         大蔵省主計局主         計官      吉本 修二君         文部省体育局学         校保健課長   青柳  徹君         通商産業省機械         情報産業局自動         車課長     堤  富男君         運輸省自動車局         業務部貨物課長 浅見 喜紀君         運輸省自動車局         整備部車両課長 松波 正壽君         建設省都市局街         路課長     依田 和夫君         建設省道路局企         画課長     鈴木 道雄君         建設省道路局高         速国道課長   高見 昌信君         自治省財政局交         付税課長    遠藤 安彦君         特別委員会第一         調査室長    長崎  寛君     ――――――――――――― 三月十九日  交通事故防止安全施設整備促進及び身体障  害者等安全輸送に関する請願外二件(愛知和  男君紹介)(第一三三四号)  同外四件(佐々木義武紹介)(第一三三五号  )  同(塩島大君紹介)(第一三三三六号)  同(野中広務紹介)(第一三三七号)  同(山本幸雄紹介)(第一三三八号) 同月二十二日  交通事故防止安全施設整備促進及び身体障  害者等安全輸送に関する請願大西正男君紹  介)(第一四六五号) 四月二日  交通事故防止安全施設整備促進及び身体障  害者等安全輸送に関する請願佐藤守良君紹  介)(第一八八三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月二十七日  交通安全対策等推進強化に関する陳情書  (第二〇一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  交通安全対策に関する件      ――――◇―――――
  2. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 これより会議を開きます。  交通安全対策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。浦野烋興君
  3. 浦野委員(浦野烋興)

    浦野委員 まず、本委員会におきまして総務長官お尋ねをしたいと思います。  過去におきますところの交通事故は、昭和四十五年に実に一万六千七百六十五名という死者を出しておるわけでありますが、この年に交通安全対策基本法が制定されたと聞いておるわけであります。以後、官民一体となって交通事故防止に取り組んでこられておるわけでありまして、昭和五十四年、ほぼ十年後に八千四百六十六名と半減をいたして大きな成果を上げておるわけでありますが、これが五十五年から増加傾向にございまして、五十七年あるいは五十八年に至りましては九千人の大台に上っておる。一刻の猶予もならぬというようなところであります。  これを踏まえられて、総務長官所信表明の中で、「国民交通事故の脅威から守り、国民日常生活における安全を確保することは、国民福祉の根幹であり、大きな政治課題であります。」そして、この認識に立たれて、「国民各位の御理解と御協力をいただき、関係省庁との緊密な連携を確保しながら、全国交通安全運動拡充強化等、総合的な交通安全対策を強力かつ着実に推進してまいる所存であります。」このように述べられておるわけでございますが、総理府交通安全に関する総合調整の立場にあるわけでございます。これを踏まえられまして、今後の交通事故防止対策の方向について長官はどのようなお考えを持っておられるか、お尋ねをしたいと思います。
  4. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 お話しのように、交通事故はここ数年増加傾向にございます。確かに四十五年から減ってはおるのでございますが、昨年は九千五百人を超えるといったようなことで大変遺憾に思っております。何とか歯どめをかけたい。そこで第三次交通安全基本計画に基づきまして、歩行者自転車を利用する人、幼児あるいは老人の方々、皆さんが安心して通行できる道路環境整備も図らなければなりませんし、交通安全思想の普及についても力を入れなければなりません。また、あわせて申しますと、迅速かつ効果的な救急、救助体制整備も要るといったようなことで、いろいろやっておるところでございます。  確かに、お話しのように官民一体といいますか、役所だけではできないことであり、国民運動的な盛り上がりが必要であると考えまして、特に二輪車事故防止、それから、いわゆる交通弱者と申しますか、老齢の方々あるいは幼児方々事故防止に万全を期する、シートベルトの着用といったようなことに重点を置きまして、全国交通安全運動推進する、そして民間方々交通安全活動をいろんな形でお願いをし、できる限りの御支援を申し上げるというようなことでまいりたい、国民の全体に関心を持ってもらって、自分自身の問題でもございますし、よく御理解を賜って運動推進してまいりたい、かように考えておるところでございます。
  5. 浦野委員(浦野烋興)

    浦野委員 総務長官所見をお伺い申し上げました。  次に、国家公安委員長からお答えいただければありがたいと思うわけでございます。  公安委員長はその所信の中で、また交通安全対策について、「交通安全施設等整備重点とする道路交通環境整備運転者教育の充実、効果的な交通指導取り締まり活動推進等の諸施策強化するとともに、長期的な視点に立って新たな施策検討についても積極的に取り組み、交通死亡事故抑止の実効を期してまいる」このように述べられておるわけでありますが、昨今の財政事情から、交通安全施設整備、これも必ずしも十分に進捗をしていない、あるいは交通指導取り締まり、こうしたものについても限界もあろうかと思うわけですね。そういう中できめ細かな対応をしていかなければならない、なかなか御苦労な面もあろうかと思うのでございますが、この点につきまして委員長から所見を述べていただければありがたいと思います。
  6. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 今の交通事故増加している傾向に何とか歯どめをかけていかなければなりませんが、そのためにはまず交通事故実態について、これを正確に把握することが一番大事なことではないかと思います。同時に、道路交通環境整備交通安全教育交通指導取り締まりなどの諸施策強化することであると思います。そして新しい角度から交通規制交通取り締まり運転者対策、こういう施策を見直していくことであって、私どもは乏しい予算の中、五十九年度の予算も御指摘のように十分ではなくむしろ非常に厳しい状態に置かれておりますが、このようなことを重点に置いて交通事故防止対策推進してまいりたいと思っております。  多少私見にわたりますけれども交通事故を防いでいくのは単に中央政府総理府とか私ども警察庁とか、こういうところだけではなかなか万全を期していくことができない、全国の各都道府県、市町村、自治体が警察とも連絡をとって、一体となって交通安全対策をやっていくということがこれもまた重要なことではないかと思うのです。交通安全対策というのはやればやるほど効果がありますから、そういうことを十分胸に置いて関係者が絶えず努力をしていくことが必要ではないか、このように思っております。
  7. 浦野委員(浦野烋興)

    浦野委員 ただいま総理府総務長官、そして田川国家公安委員長からお答えをいただいたわけでありますが、それぞれいろいろ御心労の中で御努力をされておられるわけであります。しかしながら、先ほど申し上げましたように一万六千の死者、これを十年かけて半減をした、これが今日増加傾向にある。この中にあっては四十五年に制定を見たところの交通安全対策基本法が根拠になって施策が進められてきておるわけであります。これが第一次、第二次そして第三次と計画策定してこられて、今回第四次交通安全基本計画策定をされると承っておるわけでありますが、これもこれまでの経験を踏まえて策定をされるわけでございます。  交通事故発生状況長期予測、この調査研究をまたされるということも聞いておるわけでありますが、これまでの成果を踏まえて今回の調査研究の実施にどのように当たっていかれるのか、担当局からお答えをいただきたいと思います。
  8. 波多政府委員(波多秀夫)

    波多政府委員 第一次交通安全基本計画及び第二次交通安全基本計画につきましては、それぞれその計画目標値をほぼ達成することができたわけでございます。第三次の基本計画につきましては、計画目標値である年間の死者数八千人以下を昭和六十年までに達成すべく現在努力をいたしておるところでございます。  昭和五十九年度に行います交通事故発生状況長期予測に関する調査研究でございますが、御指摘のように第三次基本計画に引き続きまして昭和六十一年度を初年度とする第四次交通安全基本計画を作成することといたしておるのでありますが、この際の基礎的な資料の一つといたしまして、道路交通事故の件数、死者数等、交通事故発生状況を予測するものでございます。この調査研究は、交通安全関係データ分析あるいはデータ相互間の関連性分析予測モデル開発等、高度の専門的知識を必要とされておりますので、民間調査研究機関に委託をいたしまして、そこに学識経験者あるいは関係省庁担当者等で構成いたします委員会を設けまして実施する予定にいたしております。具体的な調査研究手法等につきましては当該委員会において検討し決定することとなりますが、この調査研究の過程におきまして、これまでの基本計画成果を十分取り入れて調査研究を進めるよう努めてまいりたいと思います。
  9. 浦野委員(浦野烋興)

    浦野委員 どうかこの第四次の計画につきましては、先ほど来申し上げておりますように、大変な努力をされておられるにかかわらず死者はこの二年間増加をしておる、八千名以下に抑えるということもなかなか至難なことであろうと思うわけであります。これにつきましては、大変言い方は悪いのですがヘマンネリ化ではいけない、急激な社会環境の変化、あるいはまた車の急激な増加等に対応する立派な計画策定し、効果を上げていただきたいと思うわけであります。  実は、四月六日から始まりました春の交通安全運動、その初日に港区の算小学校にもお邪魔し、あの周辺を委員長とともに視察をしたわけでございます。先ほども両大臣おっしゃったように、民間方々も大変な神経を使っておられるところでありますが、きのうテレビを見ておりましたら、死者の二五%が二輪車事故、これが急激な増加を見ておるということでありまして、昼間は指導取り締まりをやる、夜はひとつしっかりと暴走族を中心として取り締まりをやるんだ、こういうようなことでありましたが、きのうきょうのことでありますから、どのような成果が上がったか、これはあるいはお答えいただけないかもしれませんけれども二輪車事故あるいは違反に対しまして、僕は警察庁にしっかりやっていただかなければならぬと思うのですが、その点のことにつきまして局長からお答えいただきたいと思います。
  10. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 先生指摘のとおり、二輪車の問題は、最近の交通事故の特に事故死者の増の大きな要因になっている問題でございまして、これに対する対策に私どもとしては重点を置いて対応していかなければならないと考えております。事故実態先生承知のとおり、特に五十八年の例で申し上げましても、二輪に乗車中の事故による死者が二千人を超えておりまして、前年に比べて一割以上増加しているという状況でございます。しかも、この二輪問題は主として若年者によって利用されるという面から、同時に若年者問題という側面も持っておるところでございます。  率直に申しまして、二輪に対する対策は四輪に対する対策に比べてかなり出おくれてまいった感は否めません。したがいまして、私どもといたしましては、御指摘のとおり二輪に対する街頭における指導取り締まり等につきましても、四輪と同じく、あるいはそれ以上に十分に意を用いていくということで現実の警察活動に取り組んでいるところでございまして、御着眼になったかと思いますけれども、昨日安全運動の中で全国一斉に二輪に対する街頭活動強化を命じましたのもそういった背景と意図に基づくものでございます。  なお、結果につきましては、とりあえず御報告申し上げますが、昨日一日間における全国二輪車等についての取り締まりでは、約五万九千件の検挙をいたしておる実情でございます。うち、ファミリーバイク等もございますが、二輪車検挙が一万三千件という形で約二〇%を超えるという状況でございます。  こういう形の中で、できるだけ今後も警察活動街頭における視点二輪車に向けるということを強化してまいりたいと思いますので、昨日の取り締まりはそのための一つのきっかけという意味に考えておるわけでございますが、御趣旨を踏まえまして今後もそのような推進努力をしてまいりたいと考えております。
  11. 浦野委員(浦野烋興)

    浦野委員 二輪車事故、これは注目をされておられる、今局長の答弁にもこれについて努力をされるという発言があったわけでありますが、各地域でこの二輪車事故防止についていろいろ頭をひねっておるということも聞いておるわけですね。昼間前照灯をつけて走った方が事故が少ないとか、あるいは停止線を二段にするとか、あるいはまた現在の自転車と同じように二段階右折方法とかいろいろ行われておるようでございますが、これについて警察庁としては効果あるものと踏んでおるのか、また実験段階ということで模索の段階であるのか、この点はどうなんでしょうか。
  12. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 御指摘のとおり二輪車問題は、今の道路を走る車の中の一部分であるという点からは混合交通の典型的な問題であると考えております。したがいまして、単に街頭における指導取り締まりを行うということだけでなく、二輪車と四輪車が安心して共存ができるような通行の方法あるいは相互関係考えていくということが大切なことは御指摘趣旨のとおりだろうと思います。  そういう点から、御指摘二輪車の昼間点灯というようなものが現在行われておるわけでございまして、いろいろの成果はございます。率直に申しまして一つ効果があることは確かでございますけれども、昼間点灯によって四輪車の運転者に対してどのような影響を与えるかとか、あるいは自転車事故に対する影響等、いろいろ道路交通のソフトの面で考えなければならない点が必ずしも十分に解明されているとは申せない状況でございます。また、事故防止効果につきましても、果たしてどのように持続するものであるかという点につきましては、まだ十分なデータがございません。したがいまして、一つ効果があることは十分に認めながらも、まだ検討段階であろうというふうに考えております。  二段停止線の問題につきましても、二輪の存在を四輪にはっきり意識させるという点では効果がございますが、これをどのようにほかの問題と兼ね合わしていくかという点につきましては、右側を、中央線近くを通行する場合のあり方の問題あるいは左折の問題等も関連いたしまして、まだこれを全国的に一斉に推進するというところまでは私どもとしては準備不足であるということで、御指摘のとおり現在試行錯誤の段階であるというふうに申し上げられるかと思います。
  13. 浦野委員(浦野烋興)

    浦野委員 時間が参りましたので質問を終わらせていただきますが、最後に一言だけ。  もう一問お尋ねしたがったのは、子供の事故というのは学校教育あるいは幼稚園、保育園での教育、あるいは親の家庭教育の浸透から減っておるようでありますが、一方、高齢者死亡事故というのが大幅にふえておる、こういう現象であるようでございます。これは総務長官発言の中にもございました。ぜひひとつこの交通弱者に対する徹底した教育というものに関係当局は力を入れていただきますことを最後お願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  14. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 次に、石川要三君。
  15. 石川委員(石川要三)

    石川委員 大きいことはいいことだというのは数年前のテレビのCMの言葉でございまして、あのころは、私なんか大きい方ですから、本当に何か自分自身のことを褒められているような気がしたのですが、わずかの間にもうすっかり見方が逆になりまして、今日ではスモール・イズ・ビューティフル、小さいことは美しいことである、随分世の中は変わったものだな、こういうふうに思うのです。そのせいではないでしょうけれども、最近小型化というものが非常に流行しておりまして、私は余り専門的知識がないからわかりませんが、特に飛行機なんかどんなふうなものになっているかわかりませんけれども、価格も二百五十万から三百万くらいで一人乗りの飛行機が買えるという話です。そして、どこを飛んでいるのかわかりませんけれども、こんなものがやたらに飛ばれては大変危険じゃないか、こんなふうに私は思うのです。それと同時に、最近自動車の方でもミニカーというものがマスコミに騒がれております。そこできょうは、そのミニカーについて二、三お伺いをしたい、こういうふうに思うわけであります。  まず、このミニカーの現況ですが、どんなふうになっているか、その点をお聞かせをいただきたいし、それからミニカーは性能的にスピードはどの程度まで出せるものか、それから法的にどこまで許されているか、それからそのミニカー運転するにはどんな種類の免許運転可能なのか、その点をお尋ねしたいと思います。
  16. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 お答え申し上げます。  まず、先生のおっしゃいましたミニカーの数でございますが、これは具体的な手がかりがございませんので、正確な数は率直に申し上げて把握できていない現状でございます。ただ、いろいろの要因から推測をいたしまして、日本国内でつくられたもの及び国外から輸入されたものを含めまして、現状では大体六、七千台ぐらいあるのではないかというふうに私どもとしては推測をいたしておる状況でございます。  次に、ミニカーの現在の運行する場合の速度の問題でございますが、これも私どもといたしましては正確に知るすべはございませんが、実験的に、いろいろ話を聞いたりした結果によりますれば事実上は四十キロぐらい出るものもある。ですから四十キロぐらいでは走れるというものが多いのではないかというふうに一応は想像しております。  ただ、法上の問題といたしましては、これは先生承知のとおり原付自転車範畴に入ります。これは道交法排気量が五十cc以下ということでございますので、その限界線でつくられたのがいわゆるミニカーであると承知しておりますので、その限りにおきましては、道交法上における速度は三十キロが限度であるというのが現状でございます。  また、免許の問題でございますが、現在の道路交通法令上、排気量が五十cc以下のものにつきましては、それが二輪であるとか三輪であるとか四輪であるかといった区別をしていない現状でございます。したがいまして、四輪でございましても排気量が五十cc以下のものは原動機付自転車と言われることになるわけでございます。したがいまして、免許上の問題といたしましては、原付免許で一応現状では運転ができることになっております。  以上でございます。
  17. 石川委員(石川要三)

    石川委員 今お話を聞きますと、車によっては四十キロぐらいまで出せる。しかし法的には三十キロ、こういうことであります。  私は最近、選挙などでぐるぐる細かく選挙区を歩いてみるとつくづく感じますことは、交通渋滞交通安全というものが非常に重大な関係にある。昔は、ずっと以前の話ですが、例えば交通安全協会などというのは、自家用車を持った人たちだけの趣味の集いみたいなものでございました。ところが今や全くそれが変わっております。このようにモータリゼーション時代になると、昔のように、ただ交通安全を確保するには車をとめておけばいいんだというような思想はもう古い。これからはどうやって秩序正しく車を運行させていくか、自動車をうまく流す、こういう発想もこれから考慮に入れないと、モータリゼーション時代交通安全というものは確保できないのじゃないか、こういうふうに私は思います。  そんなような考えから、選挙区なんかをぐるぐる回っていきますと、至るところ本当に、私は東京十一区といって都心から離れた西の方でありますけれども、八王子だとかニュータウンだとかああいう近郊都市がたくさんございます。こういうところはかえって二十三区よりもむしろひどい交通渋滞、しかも人口はどんどん急増しながら橋が少ないのですね。人口増加にマッチした南北の道、多摩川に橋がかかればいいのですが、それがおくれている。都市計画が非常にアンバランスでありますから、多摩ニュータウンという世界一のものをつくりながら、橋の方がおくれていますから近在が非常に渋滞する。  そういうことを考えますと、三十キロを限度とするミニカーがかなり大量にそういうところを走るということになると一体どうなるのだろうか。これはもう想像以上の渋滞が、今でも相当渋滞なものがますます渋滞を来す。渋滞になればドライバーはいらいらする。裏道を通ろう、早く行こう、そういうところで、裏道に思わぬ事故が生ずる。あらゆる角度から見て、渋滞というものが事故発生の原因になると言っても間違いじゃないと私は思うのです。ましてや、今お話しのように原付免許、これは御承知のとおり技能テストがないようですね。試験だけで取れると思います。こういうことを考えますとこれは重大な問題じゃないかと思うのですが、警察庁としての、今私が言ったような問題に対する一つの今後の方針といいますか、そういうものを今からどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたい。
  18. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 先生指摘になりましたように、最近の道路交通現状は、非常に多量の交通混合交通の形でひしめき合っているところにいろいろ問題があると考えております。したがいまして、現状におきまして事故をなくすことの大事なことは、やはり交通流れをできるだけ安定させて効果的にコントロールするということが肝要であろうというふうに考えております。  そういう点から申しますと、ミニカーというのは、社会経済的なニーズはさておきまして、交通の安全で円滑な流れを確保するという点から見ますとかなり問題があるというふうに考えております。例えば、いわゆるはみ出し追い越し禁止規制がかかっている片側一車の道路、特に中央部にはそういう道路が多いわけでございますが、こういうところではやはり後続車にいろいろフラストレーションを起こさせる、それで追い越し等を行う等の誘因にもなろうというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、道路交通を管理する責任のございます警察といたしましては、率直に申し上げて安全と円滑に支障を及ぼすおそれのあるミニカーが多量に道路に出てくるということにつきましては、大変問題だというふうに考えております。  特に、さっき申し上げましたように、この運転は一応現状では原付免許でできることになっております。ところが原付免許は、御承知のとおり適性検査と学科試験だけで、実技試験はございません。したがいまして、運転技能の未熟な者がミニカー運転する、それで四つ輪の仲間入りをして堂々と一車線に入ってくるということは、交通の安全と円滑の担保という点でこれは見逃しておくことができないのではないかというふうに考えております。  したがいまして、警察といたしましては、こういった状況を踏まえまして、このミニカー道路に出てまいりましても、自分自身も安全であると同時に、ほかの交通流れをできるだけ阻害しないで流れの中に溶け込んで、安全にかつ機能的に動いてもらうといったような方法をとるべく必要な施策を講じてまいることが肝要であろうというふうに思っておるわけでございます。  もちろん、警察だけでこれができるわけではございませんので、特に車の保安の面を担当される運輸省とも十分に相談をいたしまして対策を講ずる必要があると思っておりますが、私ども運転者という立場からのアプローチがございますので、ほかの車の中にまじって安全に機能的に、十分な知識と技能を持って運転できるように運転者の資格を定めてまいりたいというふうに考えておりまして、そのような方向での検討を現在進めておるという状況でございます。
  19. 石川委員(石川要三)

    石川委員 今後の方針についての考え方につきましては理解をいたします。しかし、先ほどお話しのように大体六千台あるだろう、これからますますマスコミなどにのってこのミニカーが普及されていくのじゃないか、また、普及させるように、これを生産する方の立場からすればいろいろなPRもするでしょう。そこで、こういうミニカーの普及のために原付免許でもいいのじゃないかという意見や、あるいはまた普通免許までに至らなくて、中間の何か軽免許というようなものでこれを新設してやらしたらどうだとか、こんないろいろな意見がちまたにございますけれども、これに対しては警察庁としてどういうふうな御見解か。
  20. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 ミニカーには、確かに先生がおっしゃったようなメリットがあることは事実でございます。また、そういったことをいろいろ主張される向きもございまして、そういう点につきましても私ども承知をいたしております。  しかし、先ほど申し上げましたように、ミニカー運転につきましては普通自動車と同じような注意力あるいは運転能力、流れの中において適応する能力というものが、自分あるいは他人のためにも必要であろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、ミニカーを普及させるために、本来必要とされる能力以下でもいいということはちょっと問題があるのではないかというふうに考えるわけでございます。これは、ミニカー運転者だけが道路を利用するわけではございません以上、道路利用者全般の交通の安全、円滑の確保ということの観点から判断していかなければならないだろうと考えておるわけでございます。したがいまして、ミニカーの普及は、交通の安全や円滑を犠牲にして行うのではなくて、ほかの面でお考えいただくのが適当ではあるまいかというふうに私どもとしては考えておる次第でございます。
  21. 石川委員(石川要三)

    石川委員 原付免許では大変危険性があるということでありますと、結局普通免許というような御意見だ、こういうふうに理解いたしますが、そうしますと、現在既に原付で乗っている方もいると思いますね。こういう方は一体どういうふうに対処するのか。それから身体障害者の方等については、これまたどういうふうに対処されるか、この点。それからさらに、時間がないですからあわせて聞きますが、もし、こういったような原付でなくて普通免許でやるとするならば、法改正でやるのか、じゃないかと思うのですけれども、そういう点はどうなのか。ほかの方法でやれるのかという点。そしてまた、今日既に六千台走っているとなれば、これは余り先に延ばしておくことはかえって、それがだんだんふえてきて一つの既得権というかそういうものも発生するでしょうし、いろいろな意味でうまくないのじゃないか。だから、やるならば決断をして早くこれを実施に移すべきだと思いますが、その点の御見解をいただきたいと思います。
  22. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 先ほど一つ先生お尋ねについてのお答えを落としました。失礼いたしました。  軽免許、新しい免許をつくるという議論も、確かに今までの議論の中にはございます。これは確かに一つ考えではあろうと思いますけれども、反面、先生承知のとおり、免許行政はできるだけ同じような注意力、能力を必要とするものであるならば、シンプルな単純な免許を与えて、できるだけ一般の利用の便宜をも図るという施策で進めてきた次第でございます。したがいまして、新しい免許を創設するという点につきましては、そういった今までとってまいりました政策との整合性等も十分慎重に考えるべきものであると考えております。  それから、既得権の問題についてでございますが、これは確かに現実に今まで運転をしてきたという実績がございますので、これらの人に対しましてはやはり酷にならないような経過措置を設けて、必要なそのステータスを保障してまいるということが必要であろうと考えます。これは具体的な進め方の中で、御指摘も踏まえて十分に考えてまいりたいと思っております。  それから障害者に対する問題でございますが、身体障害者に対しましては従前から例もございまして、他の自動車で代替ができない必要やむを得ない者に対しましては十分にその配慮をいたすということで考えておりますので、仮に普通免許云々という形になりましても、こういった障害者の方に酷になる、あるいは余計な負担をかけるということにはいたさないような方向で対応する必要があろうというふうに考えております。  なお、この点の改正の形式の問題でございますが、現在の制度は、道路交通法によりまして原動機付自転車の範囲は道路交通法施行規則の一条に定めることにされております。したがいまして、この規則を改正してやるというのが現在の法の趣旨からいって最も合理的ではあるまいかと考えますので、そのあたりで処理をするように現在検討いたしているところでございます。  なお、時期につきましても、御指摘のとおり、いたずらに日にちを延ばしますといろいろの関係者の方に御迷惑もかけると思いますので、御指摘を踏まえましてなるべく迅速に実現をしたいという構えで現在作業を進めている状況でございます。
  23. 石川委員(石川要三)

    石川委員 ありがとうございました。極めて明快な御見解を聞かせていただいたわけであります。  そこで、私は大体もうこれで質問を終わりますが、あと一分半ばかり残っておりますので、私の所見を一言申し上げまして質問を終わらせていただきたいと思います。  いろいろと今お答えいただいたわけでありますが、結論的に、やはり省エネという観点からすれば、このミニカーそのものを否定はできないと私は思います。しかしながら、それがために、省エネの車だからいいのだということだけで、やはりもっと大きな問題である交通安全ということを度外視して、これを急いで普及させることによって、交通安全という観点からすればかえって非常に大きな障害が生ずるということになるおそれがあります。したがいまして、この普及をさせるのにもつとほかの方法でというお話が先ほどございましたが、当然例えば税制の面などについて大いに考慮すべき点があろうかと思いますが、その普及のために、原付なのだから原付免許でいいやというような、技能的な面でサービスさせる、もっと技能が下でもよいというような意味のサービスは絶対避けるべきだ、こういうふうに思うわけでございますので、この点よく当局の方にひとつ御認識をいただきたい。  最後に私は、この車が実際どの程度のものか自分で運転してみました。そうすると、とてもじゃないけれども、まずさわってみたときに、これは周りが一見金属的に見えますけれども、ボール紙の厚いような、何といったらいいのか、材質はわかりませんが、ぽっとげんこつをくれると手が中に入ってしまうようなものでありますし、ああいうようなもので外見が装備されている車がもし追突されれば、前にぶつかっても後ろからぶつけられてもエンジンの中に入ってしまうのではないか、そんなような危険性を感じました。  それから実際運転してみても性能も余りよくない、それから車自体の音が大きい、だから後ろから来る車がよくわからない、見にくいし、いろいろな点で性能が余りよくない、こういう車で、私は非常に危険性を感じた。あれがもし前にバスがいて後ろからダンプに挟まれたら、本当に恐怖心に駆られると思います。そのときにどんなに技量がよくても、とっさの恐怖心というものはかえって不測の事故を招きかねない、こういうふうなこともございますので、重々運転技能ということについての配慮をお願いしたい。  そしてまた、きょうは運輸省の方もいらっしゃると思いますが、目下安全基準を検討されておるというようでございますが、こういう安全性それから機能性、そういったようなものを十二分にひとつ御検討いただいて、安全なものをつくってもらうように運輸省の皆さんにも御認識をいただきたい、かように要望いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  24. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 次に、永井孝信君。
  25. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 まず初めに、総理府総務長官にお伺いいたしたいと思います。  最前も質問の中で出ておりましたが、最近の交通事故死者数は、残念なことでありますけれども年ごとに増加をしてきているわけであります。五十六年度から第三次交通安全基本計画というものが策定されまして推進をされてきているわけでありますが、その中では交通弱者が安心をして通行できるような環境をつくっていこう、そして交通安全意識の高揚も図っていこう、あるいは被害者の救済対策推進ども、いろいろな面で総合的にかつ強力に実施をしていこうというふうにうたわれているわけですね。しかし、それでも五十七年にはそれだけでは足りないということから、基本的、恒常的対策のほかに緊急措置を講じてまで事故防止を進めるというふうに総理府の方もあるいは関係省庁も表明をし、対応してきているところであります。  しかし現実は交通事故死者数というのは年ごとにふえてきている。昨年は九千五百二十人ですね。昨年のこの交通委員会では一万人を超えるのではないかというふうに心配をしておったのでありますが、一万人の大台には幸いにして至りませんでしたけれども、九千五百二十人という大変な数字になっている。これについてまず初めに総務長官の御所見をいただきたいと思います。
  26. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 御承知のようなことで第三次交通安全基本計画が進んでおるわけでございます。お話しのように、交通弱者幼児、老人の方々が安心をして通行できるようにいたしたいと考えておりますし、そのほか自転車の利用者の問題もございますが、九千五百二十人ということで、八千人というふうな目標を立てながらなかなかそこまでいかない、甚だ遺憾に思っております。何とかここは官民一体といいますか、役所の仕事にも限度がございますから、先ほど来お話がありました地方自治体のみならず、民間のボランティア活動その他一般市民の方々の御協力をいただいて、目標達成のために総合的また積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておるところでございます。
  27. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 総理府は第三次交通安全基本計画策定するに当たりまして、その基礎資料とするために「交通事故発生状況長期予測に関する調査研究の概要」というものを、学者あるいは有識者を集めて検討した結果、一定のものを出しているわけですね。これによりますと、昭和五十五年に出されているわけでありますが、昭和五十五年の当時、いわゆるいろいろな交通安全施策を講じた場合に八千五百六十九人に抑えることができる、もしその措置を講じなかった場合はどうなっていくかということで、年次ごとに数値を出しているわけですね。どういうふうに検討されて、どのようにして数値が出されたのかわかりませんけれども、その数値でいきますと、昭和五十七年は八千四百十四名以下に抑えられなければいけない、五十八年は八千三百五十六人以下に抑え込まなければいけないという数値になっているわけです。ところが現実はそうなっていない。  例えば五十七年で言いますと、八千四百十四名という目標数値に対して九千七十三名、五十八年は御承知のように八千三百五十六名という数値に対して九千五百二十名の死者数を出したわけですね。これがもし提言されているように昭和五十五年当時のままで交通安全施策を進めていったとすると、いわゆる新たな施策を講じなかったとするとどういう数字になるかという調査研究の資料を見ますと、五十八年で例をとりますと、九千六百六十七名の事故死者数が出るだろうというふうに推定しているわけです。  五十五年以降の数値をずっと見ていきますと、残念ながら、せっかく立派な肩書を持った先生方を集めて調査研究をしてもらって、五十五年当時のままで交通安全施策を凍結したという想定をされる数字に等しい事故死者が出ているわけですね。いわばこの提言に基づいていろんな交通安全施策を講じてきたはずなのに、現実は講じなかった場合と想定された数値と同じになっている。これは一体総務長官、どういうことなのですか。
  28. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 確かに年次的にどうなっていくかということも検討した上で目標を定めてまいりました。残念なことに九千人台を割ることができなかったのでございますが、詳しいことをもし必要がございましたら政府委員の方から説明させます。
  29. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 政府委員の方からも専門的な御説明をいただきたいと思いますけれども、最近、行政の側がいろんな施策を進める場合に、いわゆる公的な諮問機関、私的な諮問機関を政府自体がたくさんつくっていますね。数え上げれば切りがないほどあるのです。交通事故をなくすための調査機関といいますか、あるいは交通事故がどういう傾向をたどっていくだろうかということを調査するのに、これだけの委員会が必要なんだろうか。  この委員会の提言に基づいて対応してきて、なるほどそのとおりの数値に抑え込むことができたというのならそれはまた価値があるのですけれども、せっかくこれだけ立派な方々をたくさん並べて、ちょっと肩書を言いますと東大の教授あるいは横浜国立大学の教授、そのほか民間の有力な企業のトップ、そういう人たちがずらっと並んでいるわけですね。この人たちにせっかく調査をしてもらって一定のこれからの推定値をはじき出してもらって、このままほうっておくと大変なことになるよ、このときの提言でいきますとどういう数値をはじいているかというと、昭和六十年を一応の目標にしているわけですけれども、積極的な交通安全対策を講じたとした場合八千二百十八名以下に抑えられる、こういうふうに言っているわけですね。  だから、この第三次基本計画では、昭和六十年度に八千人に抑え込みたいということを示しているわけですよ。そしてこれは貴重な提言だろうと思うのですけれども、この貴重な提言に基づいてそのための施策を講じてきたという現状のままでいきますと、五十五年以降そういう交通安全施策を全く凍結したとして推定される一万人を超える数値に結果的になっていくのではないか、こう思うのですが、この調査機関というのは一体どういうことなのですか、どういう権威づけを持って、これがどういうふうに行政の中に生かされてきたのですか。
  30. 波多政府委員(波多秀夫)

    波多政府委員 交通事故発生状況長期予測に関する調査研究についてでございますが、この研究は、第四次交通安全基本計画を作成する際の基礎資料を得るために、事故件数あるいは死者数等の予測をするということで行おうとするものでございます。  前回の研究につきましても、この調査研究につきましては、交通安全関係データを時系列別に分析するとか、データの間の相互関連性分析するとか、予測モデルの開発をするとか、そういった大変高度な専門的知識を必要とするものでございますので、そういったことにつきましてノーハウを持っておる民間の団体にこれを委託いたしまして、さらにその団体におきまして調査を進める際に御指導をいただくということで、学識者の各教授等に委員をお願いいたしておるわけでございます。  さらにまた、こういったことを検討する際におきましては、各省庁の行っております施策あるいはいろいろなデータ等を参考にし、あるいは各省庁の御意見も伺う必要があるということから各省庁の委員、または事務的にこれらを処理するということで幹事等も定めておるということで、大変メンバーが多くなっておるような感じがいたしますが、必要な方に参加をいただいておるというふうに認識をしておるところでございます。  前回の調査の結果等に基づきまして、第三次交通安全計画におきましては死者を八千人以下に抑えるという目標を立てまして、これに基づきまして総理府を初め各省庁努力をいたしたところでございますが、大変残念な結果が生じておるわけでございまして遺憾に思うところでございます。  なお、第四次計画策定に関しましては、こういった調査研究の結果を十分踏まえまして施策検討してまいりたいと考えております。
  31. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 私が申し上げたいことは、交通事故で死亡する方の数を減少させるということは、前年度の交通事故による死亡者数から、例えば努力目標を決めて何%以下に抑える、少なくしていくということは、一般常識的に一つの目標として掲げることができるわけですね。しかし、これだけの学者たちを集めていろいろな意見を聞いて、いろいろな提言を受けてはじいた数字どおりになっていかない。では何のためにこの調査機関を設けたのか、それだけの価値があるのかということを問いたいわけです。  行政の側は何かというと諮問委員会をつくって、そこに行政のやるべきことをある意味では肩がわりさせてしまっているのではないかという気がするわけですね。それよりもむしろ、現実に交通事故が起きてきた、その原因を取り除くために行政の側が責任を持って対策推進するということでなければいけないと思うのです。そういう面からいくと、昭和六十年には八千人以下の死亡者数に抑え込みたいということを第三次基本計画の中に示しているその数字というものは、今言った諮問機関でつくられた数字をもとにはじいているわけでありますが、現実は何の新たな措置も講じないでこのまま推移した場合に出てくるであろう死亡者数の数字とほとんど変わらない傾向でずっと交通事故死がふえていく、ここに私は非常に大きな問題、矛盾を感ずるわけです。だからむしろそういうものに積極的な対応をするよりも、具体的な一つ一つ交通安全施策の方に努力すべきではないか、こういう気がするのですが、これはどうですか、総理府総務長官
  32. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 お話しの点は非常によく理解できます。ともかく学識経験者の意見を聞くことが無意味だとは思いませんし、大変有意義な御提言をいただけるものだと思います。しかし、だからといって、現場での各省庁努力が十分に尽くされないということがあってはまたこれは大変なことでございます。  また加えて感じるのですけれども、いろいろな目標値をお示しをいただいて、厳密な計算をしていただいておると思います。これは初めての試みでもございました。これから末永くいろいろな予測値を持ちながら、目標値を持ちながら役所が努力していくという意味合いにおきましては、やはりそういった学識経験者、専門研究機関の御勉強の成果もいただきながら仕事をしていくということも、これはこれで続けていって、そしてその積み重ねの中で目標達成ができるようなノーハウを役所としては体得して実行していく、そのことによって目標を達成する努力を積み重ねていくことが一番大切であるというふうにお話を伺いながら感じたわけでございます。
  33. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 そこで、もう一つお伺いしますけれども、八千人に抑え込むという第三次基本計画の実施目標、あと残されたのは五十九年、六十年だけになっておるわけでありますが、この目標数値はそのままにしていろいろな施策を進められていくということですか。
  34. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 あと一年でございますので、その数値を変えないでできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  35. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 長官所信表明において触れられてきたことは、言葉の上で理解をいたしますと、従来と全く同じことが言われているわけですよ。所信表明で言われていることがそのとおりになっていけばもちろんそれでいいのですけれども、現実はなかなかそうなっていかない。いわゆる実効性というものがどこまで上がるかという問題だと思うのですね。したがって、総理府総務長官所信表明で言われました交通安全対策についての具体的な施策というものをどのようにこれから進められていくのか、そのことだけ最後長官お答えいただけますか。
  36. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 いろいろな御意見をいただきましてありがとうございます。第三次の計画を踏まえて、その目標達成のために努力いたしたいと思います。この春以降、いろいろな死者数の統計が出ていまして、安心をしたり心配をしたりしておるところでございますが、六十年に向けてはより一層の努力をいたしたい、かように思います。
  37. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 ひとつ長官の決意を具体的に実効力の上がるような方向に持っていっていただきますように関係者の皆さんの積極的な御努力を要望しておきたいと思います。  続いて公安委員長にお伺いするのですが、先ほども出ておりました、私も触れましたけれども、今質疑が交わされておりますように大変交通事故者がふえてきているわけですね。そこで、五十八年六月三十日に警察庁の次長通達が出ているのですが、この次長通達が実際にどこまで積極的に効果をもたらすことができただろうか、このことが私は問題だと思うのです。通達を幾ら出してみても、その通達がそのまま効果の上がるような施策につながっていかなかったら何にもならぬわけでありますから、この次長通達も含めて、国家公安委員長として、今も質疑が交わされておりますけれども交通事故死を本当は絶滅したいのでありますけれども、そういう立場に立っての所信をひとつお伺いしておきたいと思います。まず大臣の所信を……。
  38. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 大臣へのお尋ねでございますが、先生が次長通達の例をお引きになりましたので、この点につきましてのお答えを先んじて申し上げさせていただきたいと思います。  御指摘のとおり昨年、交通事故死の激増傾向に対応するため、警察庁といたしましては久しぶりでございますが、次長の名をもちまして各県に、現在の事故死増勢の傾向の中における最大の努力をするように私どもとしても腹を決めて通達をし、かつ、その指導につきましては、一線を直接指導し、あるいは必要に応じまして頻繁に担当者を招集して意思の徹底を図る等の手段をもちまして進めたところでございます。  それで、この次長通達は、基本的に交通安全対策がそうでございますように、目新しいものをたくさん盛るということではございませんが、今までの経験則を踏まえまして、有効な施策を密度高く、きめ細かに実施をして、交通安全の基本は個々の施策の有効な実現によって達成されるということを確立しようという意図で行ったものでございます。  したがいまして、その中心は、一線のとりあえずの施策としての執行力を効果的に集中をし運用するということに焦点を置いたものでございまして、十三年ぶりに全国一斉取り締まり等を復活して、同じやるならばその広範な効果の定着を図るということをいたしましたのもそのような意図に基づくものでございます。  また、もう一つの特色といたしましては、要するに先ほど公安委員長が答弁いたしましたように、警察努力もさることながら、民間のあらゆる努力を有機的に結合することによって交通事故抑止の体制というものを広範に定着させるということで、今まで例えば安全運動の際にいろいろ出てもらうといったような形の協力にとどまっておりました関係団体の活動等につきましても、日々のその組織の中における交通安全への働きかけの幅を広げ、かつ深めるという点で、日常の業務管理等の中に交通安全の問題を広範に吹き込んでいただくということを含めまして、かなり毛色の変わった指導等を深めてまいったという経緯がございます。  そういうことは、事の性質上必ずしもすぐに効果が出たかどうかということには疑問がございますけれども、最近の事故死の発生状況が各県においてばらばらである、あるいは今までの傾向と変わった点があるというような問題に着目いたしますと、それ相応の一つ影響力を及ぼしたのではないかという期待を持っております。これは今後いろいろな形で出てこようと思いますけれども、そういう点の自信と期待を持ちまして、これを強力に続けてまいりたいというのが私どもの姿勢でございまして、そういった点に次長通達の持つ意味があるということをあらかじめ御了解をいただきたいと思います。
  39. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 基本的な態度でございますが、先ほどもちょっと触れましたように、まず交通事故実態について的確に把握するとともに、道路交通環境整備交通安全教育交通指導取り締まり等の施策の充実を図る。同時に、新しい角度から交通規制交通指導取り締まり運転者対策等の諸施策の見直しを行って、総合的かつ効果的な交通事故取り締まり対策推進する、こういう基本方針でございます。  なお、私は、先ほどもちょっと触れましたように、警察庁とか総理府とかということだけでなく、全国の自治体が総力を挙げて個々にその地域の特殊性を踏まえて交通安全対策に取り組んでいくということが大事なことではないか、またボランティアの活動をもっと推進する、こういうことをやっていく必要があると思います。  それからもう一つ、私は先ほどちょっと言い落としましたけれども交通事故防止というのはやはりモラルの問題であると思うのです。交通道徳。しかし、交通事故防止を図るこのモラルというのは、単に交通だけで全うできるかというと私はなかなか難しいと思うので、モラルはあくまで政治的なモラル、あるいは社会的なモラル、人間としてのモラルというものをもっと国民ぐるみでやっていかないと、これはなかなか全うできるものではないと思うのです。  例えば警察取り締まりをやる。取り締まりをやっても、地方議員や国会議員が、何とかうまくやってくれというような話で警察へ来るわけですね。私はもう二十数年代議士生活をやっていますけれども、こういうことが行われていては幾ら交通取り締まりを厳正にやると言ったって、警察へ有力な政治家が来て何かもみ消しをやる、こういうことをやっていたんじゃだめだ。また、そういうことをやれば何とかなるんだという気持ちが自動車運転する人の中にあるとすれば、それは非常に恐ろしいことだと思うのです。  ですから、こういうことをもう政治の上で、交通事故のもみ消しというと言葉は大げさになるけれども、情状酌量の陳情なんというのは受け付けないということを地方地方の議会でやっていくようなことをしませんと、幾ら取り締まりをちゃんとやろうと思っても私はなかなかできないことではないかというふうに思っておるわけでございます。もちろん交通事故の中には、問題があって、政治の場で解決しなければならぬような問題もあるかもしれませんけれども、私は割合にこういうことが見逃されているというふうに思っているのでございまして、そういう意味から、単に交通のモラルということじゃなくて、全体のモラルを引き上げるということを心がけていくことが交通事故防止にとって緊要なことではないか、このように思っております。
  40. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 公安委員長所見を伺ったわけですが、なるほどモラルは非常に大切なことです。モラルを確立するという話になりますと、この委員会にそぐわないけれども、言いたいことは幾らでもあるのですよ。その大切なモラルの問題はそっちにのけておいて、この問題だけでモラル、モラルと言ってみても、これまた始まらぬ話でありますから、政治家のモラルを確立するための具体的な対応というものはもっと積極的に全体の場でやってもらいたい、私はそう思いますよ。今、政治倫理の協議会も始まっていますけれども、そのものは全然前に進まない、枝葉末梢のこういう問題だけのモラルを公安委員長に盛んに言ってもらっても、また逆にぴんときませんので、ひとつそこのところは私の方からも強く指摘をしておきたいと思います。  モラルの話が出ましたからあえて言うわけではありませんけれども警察庁交通取り締まりの方針です。私、前に伺ったことがあるのですが、交通安全を確保するためのものなのか検挙主義なのか、交通局長、これはどちらですか。私はあえて今話が出ましたから聞くのですよ。
  41. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 これは申し上げるまでもなく検挙のためのものであってはならないと考えております。取り締まりを通じて、それによって生じた交通流れが安全かつ円滑の確保に資していくということを目標とし、またそれにプラスすることを願って日々の公務を実施しているということでございます。
  42. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 そこで、このことがこの委員会で取り上げるにふさわしいことかどうかさておいて、私は申し上げるのですが、例えば交通量の非常に多いところ、そうして交通事故死亡事故につながるような集中した道路、そういう道路取り締まりと、そうではなくて比較的交通量の少ないところで人家も少ないところ、どちらを重点に現在はやっておられますか、例えばスピードの取り締まりなどは。
  43. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 例をスピード取り締まりに引いて御指摘でございますが、スピード取り締まりにつきましては、その取り締まりが全体の交通流れの改善にプラスになるような方法、場所、時期等を選んで実施するようにということが私どもの指導方針でございます。  この点につきまして、個々の選択につきましては各県のそういった点を踏まえての着意、努力を信頼して、これを絶えず改善、督励するように指導しているつもりでございますが、年間の取り締まりの結果を見ておりますと、例えばスピードにつきましては、高度のスピード違反に対する取り締まりの件数に顕著な増加傾向が見えるというようなことから、トータルとしてはそういう方向についての各県の努力は具体的になされておるというふうに私どもとしては考えておるところでございます。
  44. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 えらい論争を吹っかけて恐縮ですけれども、私自身が車を運転しますので、しょっちゅうそういう取り締まりの場所に出くわします。主としてスピード違反の取り締まりをするのは、むしろ田舎道が多いのですよ。例えば高速道路なんかでスピード違反を取り締まろうと思っても、その取り締まりのための隊員を配置する場所、あるいは摘発した車両を引っ張り込むところ、場所が限定されてきますので、パトカーは走っていますけれども、なかなか現実にスピード違反を取り締まることは難しい、だからつい田舎道に行くのですよ。  その田舎道に行くときに、私が検挙主義ではないかと思うのは、真っすぐの道路では余りやらないのです。よく考えていますよ。必ずカーブになったところで、こちらから取り締まりをやっている場所が全く見えない、巧みにそういう場所を選んで、言葉は悪いですけれども、選んでカメラを据えて、そしてカーブを曲がった途端に赤旗を振られるというケースが非常に多いのですよ。  だから、スピード違反を摘発されたドライバーからすると、またやられた、またはめ込まれたという感じが強いのです。これで本当に警察交通取り締まりに対する協力の思想が生まれるだろうか。あえてついでに申し上げるならば、本人が違反を起こしているのだからそれは摘発されてもしようがないんだけれども、人間ですからそういう感情を持つことが、交通だけでなくて刑事面においても警察への日ごろの協力体制が生まれるだろうか、こう思うのですが、これはどうですか。
  45. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 私も実は二十の代から車を運転しているのですよ。今警察の立場だから言うわけじゃありませんけれども、私は、交通のルールというのはどんなささいなことであっても取り締まっていかなければならぬという主義なんです。国家公安委員長になる前からもそういう気持ちでいる。今御指摘の話は随分いろいろなところから聞きます。私も、こういう立場になる前から聞いておりました。私自身も、そういうのにはめ込まれて交通違反を起こしたことがあるのですよ。  しかし、私はこういうふうに見ているのです。交通事故というのは基本を守らなければ必ず起こす、交通違反というのは必ず基本を守らないから起こるんだ。基本を守らないのは、人が見ていないところ、取り締まりのなさそうなところで基本を怠るわけですよ、一時停車、左右をよく見ない。そういう意味で、閑散なところでやるとか、あるいはちょっとはめ込みのように、取り締まりを受けた側から見ればはめ込まれたと思うのです。私もそう思いました。思いましたけれども、自分が取り締まりを受けて感ずることは、隠れたところで基本を犯してもいいんだという考えがあれば、やはりそれは将来事故のもとになる。そういう意味では、警察が違反を起こしやすいところをねらって、例えばよく見えないようなところで一時停車を、警察の車がわからないように隠れていて、ふっと押さえるというようなところがあると思うのですよ。取り締まる方から見れば、そういうことをむしろ厳格にやっていかなければ交通事故というのは絶えない、私はそういう立場で見ております。  永井さんや取り締まられる方々はそういう不満がある、それはよく承知しておりますが、取り締まられる者としてもそういうふうに見てやる、それでやられれば将来気をつける、そういう思想がやはり交通取り締まりには大事ではないかな、私はこういうふうに思っております。
  46. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 この問題でいつまでも議論を続けるつもりはないのですけれども交通安全対策ということについて、市民の側が警察に日常的に協力ができるような環境というものを醸成していかなくてはいけない、その醸成をするためには検挙主義であってはいけない、むしろ交通事故が起きないように警察官が最大限の努力をすることであって、検挙がまず優先をするということであってはならないと私は思っておるのですよ。  今までの公安委員長の中で、こういう質問があったときに、これからは警察官は隠れてやらしませんと私に答弁した人もあるわけだ。しかし、今の公安委員長は隠れてやってもということだが、そのどちらがいいか別ですよ。しかし、少なくとも市民の側が警察官に協力をする環境をつくるための努力というものは片方でやっていかなければいかぬ、こう思いますから私はあえて申し上げているのであって、ひとつそういう面で、これからも、市民との対話もそうだし、日常の業務を通して協力が得られるようなそういう警察官への指導も強めてもらいたい。これは論争するのじゃなくて要望しておきたいと思います。  そこで、この間も交通安全週間の第一日に、笄小学校というのですか、そこに視察に行きました。非常に立派な副読本で勉強させていくということがわかりまして私自身も非常に喜んでいるのでありますが、しかし例えば、例が悪いですけれども、よく家で猫を飼われますね。昔の猫と違って、このごろの猫は栄養が行き渡って丸々と太って常に家庭の中で育っているものですから、昔のように二階の窓からほうり投げたら、ぴゅっと地面の上に四つ足でうまく立つことができない猫も出てきたということを私はある本で読んだことがあるのです。私も実際に見たことありませんけれども想像できるのですよ。  この間行って、交通安全週間であったからだと思うのでありますが、信号が設置されている交差点で、緑のおばさんがおって警察官も出ている。私は、緑のおばさんはさておいても、これは毎日じゃないと思いますよ、そんなに警察官とか十分に人員が配置されておるわけじゃないのですから。しかし、私が一抹の不安を感ずるのは、子供の手を引き足を運んでやるようなやり方だけが優先されてしまうと、とっさの場合の人間の機敏性というものが欠除してくるんじゃないか、退化してくるんじゃないかという心配が片方にあるのですよ。ですから、そこら辺もある程度考慮した交通指導というものが望ましいのではないか。余り過保護過ぎますと猫と一緒で、二階からほうり出されたら四つ足で立てないということだって出てこないとも限りませんので、私がちょっと感じた点として申し上げておきたいと思います。これは私の一方的なあれでありますから答弁は要りません。  そこで次に入っていきたいのでありますが、交通事故一つの遠因として見られるものに自転車の激増がありますね。自転車に乗っていてはねられるという人が多いのですよ。逆に自転車運転するルールというものがわかっているようでなかなかわかってもらえないということもありまして、自動車なら道路の左を走るのですけれども自転車はえてして右側も平気で走ってくるということもありますので、非常に交通事故の遠因になっていると私は思いますので、この自転車運転者に対する交通知識の普及というものも、もちろんやられておりますけれども、もっともっと強化すべきじゃないか、こう思います。  それとの関連で、駅の周辺に依然として随分自転車の放置がされているわけです。当委員会におきましても、そういうこともありましてかなりの時間をかけて、議員立法でありましたけれども自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律をつくっていただきました。そうしてその第三条で、「国及び地方公共団体は、第一条の目的を達成するため、自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する全般的な施策が有効かつ適切に実施されるよう必要な配慮をしなければならない。」このように定めているわけです。努力義務を課するような形でつくられているわけであります。  先日総理府がまとめました「駅周辺における放置自転車等の実態調査」という資料があります。これで見ますと、まだまだ一つの駅に五千台を超えるような放置台数の箇所が随分残されていますね。ところが、この放置台数の多いところ第一位から第二十位までこの資料の中に出ているわけでありますが、この二十位までの放置台数の多い駅において、その駅の所在する自治体でいわゆる自転車駐車場の整備に関する、あるいは自転車の駐車についてのいろいろな条例をつくっているところ、これもこの資料に出ているのでありますが、その条例をつくっている自治体の数を見てみると、この駅の関係で言うと十三カ所しかない。あとの七カ所はそういう条例すらまだ現在つくられていないのですね。  しかもこの中には、一つの自治体の中に、放置台数の多い第二十位までの中に幾つかダブっているところもありますから、現実はもっと少ないということになってくるのですね。この自転車駐車場の整備に関する法律で定めているところによりますと、努力義務であって絶対的な義務条項ではありませんけれども、この法律がつくられた趣旨からいくと、積極的にそういう条例がつくられて、そうして対応してもらわなくてはいけないと思うのですが、総理府あるいは自治大臣でありますから公安委員長もそうでありますが、これについてどういうふうに見ておられますか。
  47. 波多政府委員(波多秀夫)

    波多政府委員 いわゆる自転車関係の条例の制定状況でございますが、総理府が把握いたしておりますところでは、昨年末で五十五の自治体が制定いたしておるところでございます。これは五十七年十月の時点の条例の二十五という数に比べますと相当ふえてきておると考えております。  総理府といたしましては、従来からこういった自転車関係の条例の制定を地方公共団体に促してきたところでございますが、条例の制定につきましては、やはりその前提といたしまして駐車場を整備する等、いろいろな政策が必要でございます。そういったことでなかなか進展をしない面もございますが、今後ともあらゆる機会を通じましてその促進を図ってまいりたいと思います。特に必要と思われる自治体等に対しましては指導をいたす等いたしまして促進を図ってまいりたいと考えております。
  48. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 この条例はどんどんつくってもらって対応してもらえるように、これは公安委員長、自治省の立場からも積極的に指導してもらいたいと思うのですが、どうですか。
  49. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 駅の周辺の自転車の問題は大変大きな事柄でございまして、自治体もできるだけ便宜を図って自転車の駐車場を設置するように今後も指導してまいります。  ただ、駅の前というのは土地も非常に高いし空き地もありませんで、私はどこかでも申したのですけれども、駅から少し離れたところに土地を見つけて、そして利用する方も、ちょっと二百メーターや五百メーターぐらい歩くような心構えでいていただかなければならぬ。そういう意味から、もう駅の真ん前は全然一台も置かせない、例外を置くとみんなそこへどんどん群集心理で置いていってしまいますから、決められたところ以外は絶対置かせないということで厳しくやっていくということも必要ではないかな、こういうふうに思っております。できるだけ指導をしてまいるように努力をいたします。
  50. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 私たちも随分この委員会から各地を視察に行きました。毎年行っておるのですよ。せっかく自治体が駐輪場をつくってくれても、人間の心理として少し離れておるとそこに置かずに、その設置された駐輪場ががらあきで、駅の近くの歩道上まで占拠されているという光景は随分見てまいりました。そこで、道交法の第四十四条、四十五条あるいは四十七条、五十一条などで定めている車両の停車、駐車などを取り締まる条文、これが有効に活用できないかと思うのですが、警察庁どうですか。
  51. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 自転車、特に駅前に遠方から乗ってくる自転車の扱いにつきましては、警察としてもいろいろ多角的な面からの検討が必要であるという構えで今までやってきた経緯がございます。特に自動車で駅までやってくるということは、駐車の面からはもちろんでございますが、都市内におけるほかにかわり得る輸送機関にかわってもらうことが望ましいという面からいいましても余り適当なものではない。したがいまして、駅前に来る自転車は、そういう自動車でなくて簡便な乗り物でその用にかえてもらうという考え方で、これをかなり慫慂してまいったという経緯もございます。そういったような都市交通の中における輸送手段としての地位という問題、それに対して適当な扱いをするということも自転車に対する対応にはございますので、その辺の兼ね合いも考えながらやってきたところでございますが、御指摘のようにせっかくの駐車施設が十分に利用されないといったような実態はまた一つの要素であろうと思っております。  建前から申しますと、自転車も車両でございますから駐車の対象になるわけでございます。ただ、今までそういう形で余り強くやるというよりはむしろ指導を中心にやってまいったという経緯もございますので、そこには相当の手順なりいろいろな議論を経なければいけないと思いますが、御指摘のような点も今後のあり方としては一つ検討すべき問題であろうとは考えております。
  52. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 駅前の再開発などするときにそういうことも十分優先的に配慮されなくてはいけないし、例えばタクシーの客待ちの駐車場などは十分に確保されるのですけれども、マイカーの駐車場はなかなか確保できない。近くに民間の経営する駐車場でもあればいいのですけれども、それもなかなか確保できないということになってくると、マイカー時代にそういう公共交通機関の対応もできていないというそしりを免れません。駐輪場も同じことでありまして、積極的に設置をしてもらうように要望しておきたいと思います。  そこで、きょうはミニカーデーでございまして最前からミニカーの話が出ておりますけれども、私もそれに関連して若干お伺いをしてみたいと思うのです。  私の知る限りでは、日本の国のようにどこへ行ってもこんなに多種多様な車が走っているところはないと思うのです。軽四輪から超大型トラックまで含めてまさに混合交通です。この混合交通の中に、今七千台程度だというふうに最前答弁されておりましたけれども、いわゆるミニカーが存在をして割り込んでくる。七千台程度だから今は目立ちませんけれども、これが非常に簡便さが買われてどんどんふえてきたときに、混合交通という立場からどういうふうにそれを見ておられるか、簡単にお答えいただけますか。
  53. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 御指摘の問題点は、まさにその懸念があると私ども考えております。したがいまして、数がふえてまいりますと今御指摘のような問題点が顕在化してくるおそれがあるという問題意識でございます。
  54. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 あくまでも交通安全を確保するという前提でこの対応は検討してもらいたいということをまず要望しておきます。  運輸省がお見えになっていると思うのでありますが、運輸省は現在この五十ccの原付ミニカーと言われているものについての技術基準を策定中というふうに聞いておるのですが、これはいつごろを目標に進められているのですか。
  55. 丹羽(一)政府委員(丹羽一夫)

    ○丹羽(一)政府委員 ミニカーに対する技術的な基準でございますが、ミニカー原付三、四輪と言っておりますが、これの安全基準といたしましては、その長さとか幅、高さとか、制動装置、前照灯、尾灯、制動灯などの灯火類と警音器、後写鏡、速度計というようなものが現在原付自転車として規定されておりますが、何分にも現行の規制というものはオープン型といいますか開放型の二輪車を主として想定して決めてあるものでございますので、車室を有する原付の三、四輪車というものにつきましてはそれにふさわしい基準、言うなればその安定性だとか乗車装置とか灯火装置についても決める必要があるわけでございます。  しかしながら、形態それから使用の実態というものは、一般の自動車と比べて多少軽量であり小型であるというようなことを配慮するとしても、全体的には自動車に近い形を持っておりますので、原則的には自動車に近い形で対応し、車が小さいとか速度が低いというようなことを加味しながら、また法定の最高速度、また走行する道路の対応というものも総合的に考えて決めてまいらなければならないというふうに考えております。事人命に関することでございますので、関係省庁との連携を保ちながら、できるだけ早期に対応してまいりたいというふうに考えております。
  56. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 中身はさておきまして、いつごろできるかと聞いておるのですよ。いつごろを目標に基準の策定をやろうとしておるのか、それにお答えがないわけですね。それをお答えしてもらうことと、運輸省が今進めている技術基準というもので果たして安全性が確保できるのだろうか、こういうふうに思いますので、それをひとつお答えください。
  57. 丹羽(一)政府委員(丹羽一夫)

    ○丹羽(一)政府委員 制定の時期について答弁が漏れておりますが、最後に申し上げましたようにできるだけ早くしたい。これは技術基準でございますが、ただ単に技術的な問題だけで対応するというのじゃなしに、いわゆる混合交通下における対応というものも十分配慮してまいらなければならぬということで、警察庁あたりとも協議を進めまして技術的な基準、車の最高速度をどの程度に想定するかによりまして、細かくなって申しわけありませんが、例えば速度によりまして、また走る道路によりまして前照灯の照射距離とかというような問題も変わってまいりますので、そういう点の詰めをいたしまして、できるだけ早くその方針を決めたいというふうに考えております。  それから安全の基準でございますが、決して小さいからやわらかくてもいいとか緩くてもいいというような基本的な概念じゃなしに、やはり混合交通下において事故を十分に防止して乗員の安全が保てるようなレベルになるべく持っていきたい。そうかといいまして、これはまた細かい話になりますが、何分にも小さなエンジンでございますので、付加装置を義務づけるのを幾つか多くしますと、結果的にはその車が自動車としてというか、移動交通機関として走ることができなくなるような荷物をしようというようなことにもなって、過重な基準になっても困るということで、その辺の兼ね合いというのが今後の課題になってくるかということで、今しばらく時間をいただきたいというふうに考えております。
  58. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 基準策定ができるまでにどんどんつくられつつあるわけだから、後追いになっているわけだから、基準ができた時分にはその基準に合致しないものがどんどん道路を走っているということになりかねないですからね。ひとつ手順前後にならぬように、やる場合はきちっとやってもらいたいということを申し上げておきたいと思います。  通産省が小型車両振興協会に委託しまして、二百五十ccのコミュニティービークルという試作車を完成したと聞いているのですが、この新しい車に対して今言ったように混合車両時代に社会的な位置づけをどういうようにされているのか、これをひとつ簡単にお答えいただきたい。  時間がありませんからついでにもう一つ聞いておきますが、今最低五百五十ccで軽自動車がつくられているわけでありますが、通産省の言う省エネルギー、省スペース、こういうことだけで見ていくのであれば今の軽乗用車で十分事足りると思うのです。これがまたどんどん人気を呼んでふえてきておるわけでありますから、そういうものとの兼ね合いで果たしてこの二百五十ccのコミュニティービークル、試作されているのですが、こういうものを量産する必要性が社会的にあるのだろうか。さらに、電気自動車の普及基本計画というものも五十九年度から六十五年度にかけて研究が行われているのですが、これについても一体どうお考えになっているのか。  もう一回申し上げますと、二百五十ccの車両を開発しなければならない、実用化しなければいけないという絶対的な必然性があるのだろうか、こういうふうに考えますので、通産省、時間がありませんので簡単によとめて要領よくお答えください。
  59. 堤説明員(堤富男)

    ○堤説明員 お答えさせていただきます。盛りだくさんなお答えになりますが、簡単にやらせていただきたいと思います。  二百五十ccについては、現在小型車両振興協会で開発しております。これは、この車が持つ省エネ、省スペースという考え方、日本にとってはエネルギーも場所も非常に必要なわけでございますが、この車は高速道路には乗らない、あるいは長距離は走らないという考え方の車でございまして、今までの軽自動車を含めました既存の自動車とは非常に概念の違った考え方でございます。  ただ、この二百五十ccについてはあくまでも現在まだ開発段階でございまして、五十ccのミニカー、きょう御議論いただいておるのが今日の問題だといたしますと、二百五十ccの問題はあしたの問題というふうに分けて考えていただくのが妥当ではないかと私は思います。二百五十ccの車もようやく一台できたわけでございますので、これから関係省庁あるいは関係識者の方々によく見ていただきまして、これが今後日本の交通の中に本当に必要かどうかということをむしろ判定していただく、その中でどういう制度がいいかということを五十ccのミニカー問題とは別に長期的問題として議論していただきたいと思っております。  五十ccのような車が必要かということでございますが、これは最近のユーザーの状況を見ますと、単に長距離の車で移動するということではなくて、非常に小さい範囲を、奥様方あるいは田舎の高年層の方たちがこれをかなり活用しておりまして、小さい範囲内で動き回る移動に使われておるようでございます。したがいまして、こういう車が日本にとって今後の新しい交通体系の中で一つの位置づけ、市民権を得る可能性はあると私たちは思います。ただ、これがむやみにふえて安全でないということ、この点については通産省としても大変懸念しておりまして、むしろ健全に発展する、安全な車で安全な交通体系の中に組み込まれていく、それを温かい目で見ていただくことが必要ではないかと思っております。  最後に電気自動車の件でございますが、電気自動車の件は、とりあえずは五十ccあるいは二百五十ccのミニカーとはやや違った考え方でやっておるわけでございまして、将来、もし石油がいろいろ問題があった場合に電気を活用した車というのも必ず必要になるのではないかということで、技術セキュリティーの問題あるいは公害の問題あるいは騒音の問題というような観点から検討しておるわけでございます。  簡単でございますが……
  60. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 このミニカーなどを現在利用されているユーザー側の実態をちょっと今通産省から触れられたわけでありますけれども、一番心配しますのは、ミニカーが例えば郊外を走るとかいわゆる農村地帯の限定されたところだけで走っている間は、まあ現実はそう問題はないと思うのです。ところが台数がふえてくる、利便性が買われるということになってまいりますと、勢い都会の方にも当然拡大をしてくる。そのことを想定しての対策でなければいけないと思いますので、これは警察庁もあるいは通産省も皆が力を合わせて、このミニカーに対する対応策に誤りのないようにひとつお願いをしておきたいと思います。  最後に、時間がなくなりましたが、いつも気になることでありますけれども道路工事が非常に多いわけですね。これは別の観点から言いますと、掘り起こして埋めたらまた掘り起こすという悪評があるほど道路工事は多いのですが、この道路工事を行うときには、必ず所管の警察署が道路占有の工事の許可を出すわけですね。そして、その道路の工事中は交通の安全を図るために、いわゆる交通監視員と言うのですか、正式の名前はどう言うのか知りません、一般的にはガードマンと呼んでおりますけれども、ビルの管理や警備に当たるガードマンとはまた別の意味で、私は交通整理員だと思うのですけれども、そういう人たちを配置することにしていますね。  これがどのような根拠でそのようにされておるのかわかりませんけれども、このいわゆるガードマンなのか交通整理員なのかわかりませんが、その人たちにどこまでの交通整理の実際上の権限を持たせているのだろうか、あるいは整理に当たる担当者がどこまで交通整理に対しての知識を持っているのだろうか、非常に気になるのですよ。通っておっても、どのようにすればいいのか全くわからぬような指示をされる場合もある。あるいはあえて言うなら、その指導に従ったために仮に交差点などで事故になった場合に、その整理員に責任があるのか。整理員に法的な権限を持たせていないとするならば、その整理に従って事故を起こしたドライバーに責任があるのか。いずれにしても、どちらも気の毒な話ですね。この点について警察庁はどういうふうにお考えになっていますか。
  61. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 御指摘のとおり、道路で工事等を行います場合の道路の一時使用の許可に際しましては、状況に応じて整理員を配置して、事故防止交通の処理を行わせるということはしばしば行われているところでございます。これは事実上工事が道路で行われるという現状にかんがみまして、工事の実施と交通の確保との調和を図るための必要な事実活動であると考えておるところでございます。  その担当をいたしますのは、最近多くの場合、御指摘のとおりいわゆるガードマンと言われる人が当たっているということは事実であろうと考えておりますが、これにつきましては警備業法及び同法施行規則で定めておりまして、道路工事現場におきまして車両等の誘導を行う警備員に対しては、当該警備員を雇用しておる警備業者が警備業務を適正に実施するために必要な法令、車両等の誘導方法等について指導教育を行わなければならないというように規定をされておるところでございます。  ただ、これが必ずしも実行が十分でないのではないかという懸念がございまして、五十七年に法改正をいたしまして、営業所ごとに指導教育責任者を選任するとともに、新任の警備員に対する教育につきまして具体的な強化を図っておりまして、その中で交通の整理についての具体的な技術、方法等の指導教育もいたすようにいたしております。したがいまして、これの実行を定着させることによりまして御指摘のような点につきましては改善が進むものというふうに考えているところでございます。  ただ、御指摘のとおり法上の権限はございませんが、これについて法上の権限を与えるということは、例えば駐車場の整理員とか、あるいはガソリンスタンドの事実上出ております誘導等をするような者も同じでございますが、かなりいろいろの問題がございますので、現在の私どものあらあらの考えといたしましては、ほかの交通影響のないような時期に工事関係の車その他を安全に誘導するということの見きわめの能力と、それについての具体的な方法の成熟化かつ習熟化ということを中心に置いて指導していくのが適当であろうというふうに考えておるところでございます。
  62. 永井委員(永井孝信)

    ○永井委員 整理員、ガードマンの指示に法的に言えば従う義務がないということになりますと混乱してしまう、あるいは整理に従わなくてはいけないということになって、その整理の仕方があいまいだったために事故を起こしてはこれまた問題が起きるということでありますから、そういうケースが果たしてどこまであるかどうかということを私は把握しておりませんけれども、非常に気になることであります。  今、いわゆる工事を請け負った側に対しても教育についてはそういう努力義務を課しているということでありますけれども、そういう工事場所に警察が全くタッチしない、もう全部任せておけばいいのだということではなくて、警察にも責任があるわけですから、むしろそういう交通整理に当たるガードマンの人たちに、企業を通してかどうか知りませんけれども、立つからには交通整理の仕方についても知識についてもきちっと十分に備わるように、一挙にできるというのは難しいかもしれませんが、これも大切な交通安全施策上の対応だと思いますから、ひとつ努力お願いいたしまして、時間が来ましたので、質問を終わります。  ありがとうございました。
  63. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十分休憩      ————◇—————     午後一時八分開議
  64. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。関山信之君。
  65. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 関山信之でございます。初めて当選をいたしまして初めての質問の機会でございまして、まことにふなれでございますが、なるべくルールを守って安全運転で参りたいと思いますので、よろしくお願いをしたいと思います。  最初に総理府総務長官お尋ねをいたしたいと思います。  先ほど来お話がございましたように、統計の数字は死亡事故が再び騰勢に転じたことを示しておるわけでありまして、いろいろ御議論がありましたようにさまざまな角度から安全対策というものが講じられながら、なおなかなかこの問題の基本的な解決の方途がつかみ切れないというような状況にあるのだろうと思います。  いろいろお話がございましたけれども、私もこの問題につきましては何といっても安全教育、安全思想の普及啓発というものが基本に据えられなければならないだろう。官民の協力の問題やら、ボランティアあるいはモラルの問題などいろいろお話がございましたけれども、何としても長期的な視野に立った安全教育というものの徹底が大事だと思うのであります。単に安全教育と申しましても、御案内のとおり、さまざまな分野におけるさまざまなレベルの教育があるように思うのでありますけれども長官は、この安全教育の徹底、安全思想の普及啓発ということについてどこに重点を置いて考えていくべきか、お考えをまずお尋ねいたしたいと思います。
  66. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 安全教育が大変重要であるというのはお話のとおりでございます。先ほど来のお話でもうかがえますが、何といっても運転しておる人あるいは歩行者関係者全部がいろいろなことについての理解をして、お互い思いやりも要りますし譲り合いの心もなければならない、かように思います。そんなことで、昨年十月ですか、総理府で主催いたしまして交通安全シンポジウムというものを開きました。そこでも、政府の間からはもちろんでございますが、お集まりの皆さん方からも安全教育の重要性が強く指摘されました。  そこで、私どもとしましては関係省庁と緊密に連絡をしながら、幼児、青少年、そして高齢者等を重点にして、生涯教育といいますか、生涯にわたって交通安全教育を充実さしていくことに重点を置いてまいりたい。また、いろいろな方面で交通安全運動が取り行われておりますが、そうした国民運動の活性化も図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  67. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 私があえて重点というふうにお尋ねをいたしましたのは、長官御答弁のように、生涯教育という部分では、幼児から老人までさまざまな施策が行われている、それは当然のことであります。また運転者教育の問題も、それぞれオーナードライバーあるいは職業的な運転者、職業運転手の教育あるいは交通、運輸にかかわるいわば業界の教育、いろいろなものがあるわけです。私があえて重点とお伺いいたしておりますのは、総理府の安全教育というものの重点がどこかへ焦点が絞られていかなければならないのじゃないだろうか、そういう観点で、もちろんほかのことはどうでもいいと申し上げているわけではないのですが、そういう意味でお尋ねしているわけなんです。  その点で、やはり幼児、小学生、この辺がポイントだと私は思いますし、また同時に、実は後ほど問題を別の観点から取り上げますけれども、特に大型の、いわばトラックでありますとかトレーラーでありますとか、いわゆる輸送労働にかかわる安全の規律が守られていない、そういう社会経済的な環境がある。  私は、死亡事故ということにかかわって言えば、かなり重点的にその二つをポイントに置いて安全教育、安全思想の普及啓発というものを進めていかなければならないのじゃないだろうかということでお尋ねしておるわけですけれども、よろしければもう一遍御答弁いただきたいと思います。
  68. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 お話、よく理解できるわけでございます。幼稚園でもやっておりますし保育所もやっておる、小学校でもいろいろなことで教育してくれております。しかしなお事故が減少しないということでございますから、そういった点についての関係者の特段の御努力お願いしなければいけません。また、お話しのようにいろいろな交通関係の教習所その他もございます、また会社もございます。そういったところも総ぐるみで、ドライバーの方々にも十分な注意を払ってもらうということに重点は当然置かなければならない。重点的にというお話、全くさようでございまして、私ども重点を絞って特段の努力をしてまいる所存でございます。
  69. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 御理解をいただいて大変ありがたいわけですが、そこで幼児、小学生の教育というのは、先般、お話が出ておりましたように、交通安全週間の現地視察で麻布の算小学校を拝見したわけでありますが、本当に地域でもって学校、それから父兄、PTAあるいは警察がそれぞれ安全教育の問題について力を合わせていることに敬服をしてまいったわけであります。もちろんお年寄りのことがどうでもいいと言っているわけではないのでありますが……。  そこで、文部省にもおいでをいただいておるわけでありますが、初等教育における安全教育というもの、これは全国的にはどういう統一的な指導がなされており、どの程度の取り組みというものが行われているのか。特に、先般の現場視察をいたしましても、PTAでありますとか地域の協力というもの、一体になっていわば子供たちの安全教育が進められておるわけでありますし、またそういうものでなければならない。  しかもこのことは、ただ単に要保護者としての子供たちが自分たちの身を守るために交通の知識を身につけるというだけではなくて、それが将来のドライバーの教育になっていくという側面を見逃すわけにはいかない、こう思っておりまして、私は、今までも随分と議論のあったところだろうとは思いますけれども、改めてこうした幼児、初等教育、小学生の教育というものについてお考えお尋ねしておきたいと思うわけです。
  70. 青柳説明員(青柳徹)

    ○青柳説明員 学校におきます交通安全教育につきましては、自他の生命の尊重という基本理念に立ちまして、心身の発達段階や地域の実態に即しまして安全に必要な基本的な行動様式を理解させるということと同時に、身近な交通環境におきますさまざまな危険に気づいて的確な判断のもとに安全に行動できるよう、そういった態度と能力を養うということをねらいといたしまして、特別活動の学級指導あるいはホームルーム、あるいは学校行事等を中心にいたしまして、各教科あるいは道徳、そういった学校の教育活動全体を通じまして計画的、組織的にこれを実施していく、そういうふうな形で実施をしていただきますように、私どもとしても指導を申し上げておるところでございます。  そこで、小学校及び中学校につきましては、先生指摘のように、これから交通社会に入っていくまず第一歩としてこの期間での安全教育、まことに重要であろうと思うわけでございます。そういった点で歩行者としての安全のみならず、自転車の安全な乗り方につきましても重点的な指導を進めております。  また高等学校におきましては、小中学校における指導を一層発展させ、よりよい社会人として必要な交通のマナーを身につけるということで、小中に続きまして交通安全指導の充実を期しておるところでございます。特に二輪車の安全に関する内容等、将来の運転者として必要な内容につきましても必要に応じて適宜取り上げ、安全に関する意識の高揚と実践力の向上を図っておるという状況でございます。  こういった学校におきます指導を効果的に実施をしていただくために、文部省におきましては「小学校安全指導の手びき」あるいは「中学校安全指導の手引」というような参考資料を編さんいたしまして活用いただいておるわけでございますが、それとあわせまして五十七年度からは「交通安全教育指導者養成講座」、中央地方を通じましてこういった講座の実施をいたしまして、関係先生方のこの面での指導力の向上を図っておるというような状況でございます。
  71. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 それなりに一つの体系をお持ちになりましていろいろと御苦労いただいておることはわかったわけであります。  ところで先般この委員会で、五十九年度陸上交通安全対策関係予算調書というのを私どもいただきまして拝見しておるのですが、この中に安全教育指導等で文部省の予算は幾らあるかおわかりですか。
  72. 青柳説明員(青柳徹)

    ○青柳説明員 今その資料が手元にございませんのではっきりした数字はわかりませんが、たしか私どもの実施をいたしております研修会の経費が八百万ぐらいではなかったかと思います。学校の仕事というのは、申し上げるまでもございませんが、各設置者におきまして必要な経費を計上してやっていただいておるわけでございます。そういった経費を合わせますとかなりの額には達すると思いますが、私どもの直に所管をいたしております事業の経費としてはその程度でございます。
  73. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 大変失礼な質問を申し上げて恐縮だったのですが、あえてお尋ねをしたのです。  確かに交付税対象になっている分が一校二十万円ぐらいずつあるんだそうですから、全国的には文部省の予算も決して少ないものではないと思います。しかし、こうして配られた資料によればわずかに八百万円ということです。交通安全思想の普及というもの全体をとりましても二億五千万円、何せ全体の予算が九千四百十八億一千五百万円という枠組みから見ますと、私らみたいに初めて国会に来たのは、なるほどお金の上ではこういう位置づけなのかねということになるのですね。いろいろ説明を聞きませんとわからぬ部分も、さっきの交付税対象になっている分なんかありますからもっと別な面で使っているところもあるのかもしれませんけれども交通安全室長、この辺いかがですか。この種のものの取りまとめはあなたのところでなさるんじゃないかと思うのですけれども、いわば安全教育プロパーで、統括的に一元的な教育というものを進めていくにはいささか数字がお粗末なんじゃないかな。何せ今四千九百万人のドライバーという時代になってきているわけでありますし、しかも先ほど来申し上げておりますように、多面的な安全教育というものはさまざまな課題を抱えておるわけでありますから、この辺の予算額についての御見解を伺っておきたいと思うのであります。
  74. 波多政府委員(波多秀夫)

    波多政府委員 交通安全教育関係予算でございますが、全体の枠から見れば確かに御指摘のように少ない部分でございますが、この予算を効率的に執行いたしまして十分安全教育成果が上がるよう努めてまいりたいと思います。
  75. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 答弁になってないわけですけれども、何でもお金をかければいいということにもならないでしょうし、またその中身が問題だということになるのでしょう。しかし、私どもここへ出てまいる前、県会なんかにおりますと、地方の末端の警察あたりでは、安全教育をもう少ししっかりやったらどうだと言うと、やはり銭がないという話になるわけですね。安全対策の特交金あたり、安全教育の方へも少し回すようなことを、先生今度国会へ行ったら聞いてみてくださいよということを言われるほどの事情も地域の末端に行きますとあるものであります。  そしてまた一方では、先ほど申し上げました算小学校などの例で見られますように、地域における一元的な立体的な安全教育というものを進める上にはそれなりの予算というものも必要だろう、そう考えますと、いささかこの数字が小さく見えたものですからお尋ねしたわけです。  そこで、長官最後お尋ねしておきたいのですけれども交通安全対策というのは、申し上げるまでもなく、きょうお見えの各省の顔ぶれを見ましても極めて多面的な行政の対処が必要とされる、国の行政はそれぞれみんなそういう側面を持っているのでありましょうが、効果的な施策を進めるということになりますと、何といってもそれぞれが縦でやっている行政の機能を強く一元化していく機能がどこかになければならないのじゃないだろうか、こう思うわけです。  今の教育の問題にいたしましても、幼児総理府、学生は文部省、母親は総理府、老人も総理府、あるいは運転者については警察庁とそれぞれ分担をしてやっていらっしゃることは、それはそれなりでいいのでありますけれども、一元的な体制の確立というのは教育の問題だけではなしに、後ほど触れるさまざまな政策についても言えるのでありますけれども、そういう意味では縦割り行政の弊を少しでも正していくための総理府の果たすべき役割というものがあってしかるべきじゃないか、もちろん権限の問題がありますからそれはおのずと限界があるにしても、ただ単なる連絡調整の機能だけではなしに、指導助言の機能を強めていただくことがそれなりに大事じゃないかな、私はこう思いまして、その辺のことについての長官のお考えをお聞かせいただければありがたい、こう思います。
  76. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 お話しのとおり縦割りでございまして、そこにどういう弊害があるのかということも、なかなか判定といいますか評価基準というのは難しいと思うのです。しかし、一般的に申し上げまして縦割りだけでは十分な効果は上げられないであろうということはよく理解できるところであります。そういった意味で、どういうふうに有機的な連携をとっていくか、これは毎日毎日の勉強に相なるわけでございますが、効果測定ということも含めて有機的な連携を一国会理的に積み上げていくという努力は惜しまないつもりでございます。
  77. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 ぜひひとつお願いしたいと思うのです。  これからちょっとお尋ねをいたします過積み防止対策、御案内のとおり昨年の四月二十一日に参議院の運輸委員会で、「貨物自動車に係る道路運送秩序の確立に関する決議」が行われたことは長官も御存じだと思うのですけれども、先ほど申し上げましたように、重大事故の発生は大型車両の無秩序な運転によるものが極めて多いわけでありまして、特にそういう側面から貨物自動車にかかわるさまざまな観点からの秩序、これは単なる交通安全の秩序というだけのテーマでございませんでいろいろな問題が含まれておるわけでありますけれども、特にその三項、四項で過積み、過労運転等についての問題の指摘交通安全にかかわって言えばあるわけであります。  そこで、これは国家公安委員長のお考えをお聞かせいただきたいと思うのですが、ここに八四年二月十八日付の朝日ですから少し古い話なんですが、いわば典型的な事故の事例でありますので御紹介を申し上げながらお考えを伺いたいと思うのであります。  これは三重県の四日市にあります堀江運輸という会社の車が、首都高速五号線を走りながら中央分離帯にぶつかって、積んでいた鉄板を反対車線に落としてハイヤーの運転手ら二人を死傷させた事故なんです。この事故の問題は、一つは十トン車に十五トンから二十四トンもの鉄板を積んでいたということであるわけです。  問題はなぜそんな過積みが行われたか。これは一々申し上げることもないのだと思うのですけれども、トン当たり四千五百円から六千円ぐらいに荷主から値切られたということなんですね。これは区域内の免許のものが区域外に出ているわけですからそれ自体違法なんですけれども、区域内の運賃の約六割、東京−名古屋の長距離の運賃などからいたしますと、これがトン当たり八千二、三百円という勘定だそうでありますから、半分から六、七割ぐらいのダンピングをやっている。運賃値上げを交渉したけれども荷主に断わられて、そして過積みを依頼した。荷主は運転手に指示をして、この間運転手十三人が、前年の十一月一日から十二月七日の事故まで六十二回この過積みをやっていたということが明らかになって、これは両罰規定が既に実施をされておりますから、この規定に従って荷主も輸送業者も処罰をされた。  警察庁は、こういう事故渋滞による経済的損失はどのくらいのものか、そういう御調査をして、車の時間損失、燃料損失を国民所得を基礎にして初めて試算をして、この一件の事故で約一億一千五百万円という大変な被害があったということをこの事件は明らかにしたのだそうであります。  私が今お尋ねをいたしたいのは、こういう状態に——こういう状態と申し上げますのは、こういう過積みが依然としてまかり通っているような状態にあっては、これは幾ら長期予測を立てて、それなりに三カ年計画、五カ年計画計画を立ててやっても、なかなか死亡事故はなくならないと思うのですね。ちなみに、八二年の死亡事故の千九百九十名のうち大型車両によるものが五百五十九という、こんなデータもございまして、私は、この問題について、過積みの違反取り締まりの件数はどうなっているのか、あるいはこうしたような積み荷落下事故なんという事件は一体どの程度あるものなのか、あるいはこうした事件をなくすための最大の手だてというのは、やはり背後責任の追及というものが厳しく行われない限り、いわばわかっちゃいるけどやめられないというのが実態としてあるわけであります。  先ほどの幼児教育の問題と同時に、こういう経済環境の中にあって、それこそトラックの運転手の人たちが、わかっちゃいるけどやめられない、こういう状況の中で心ならずも事故を起こしていくという事態は大変大きな問題じゃないかと思って今お尋ねをしておるわけでありますけれども公安委員長のこの種問題についての基本的なお考えなどをお聞かせいただければありがたいと思います。
  78. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 お尋ねの過程でいろいろ個別的なお話がございましたので、とりあえず私からお答えをいたしたいと思います。  過積載の取り締まりにつきましては、御指摘のとおり交通の安全、秩序維持に極めて大きな問題があると思いますので、過度の過積載等、悪質、危険なものを重点取り締まりをしているところでございまして、さらに御指摘のとおり、違反行為を下今、容認いたしました自動車の使用者、荷主等の責任違反も徹底的に行うという方針で一線都道府県警察を指導しているところでございます。  それで、五十八年中におきますところの過積載違反の取り締まり件数は、丸い数字で十一万六千と御承知おきいただければありがたいと思います。前年に比べまして、件数はコンマ以下ではございますが、ちょっと減少しております。ただし、超過割合別の違反では、最大積載量の二倍以上も積載している違反が一万九千件ということでございまして、この検挙が六%増加しておりますので、御指摘のような特に過積みの程度の悪いものに目をつけて、これの取り締まりに鋭意努力しているという現状でございます。  なお、御指摘の背後責任の追及につきましては、昭和五十八年中に四千六百四件の背後責任の追及をいたしております。この数字につきましては、見方によりまして多いという見方あるいは少ないという見方、いろいろあろうと思いますけれども、少なくともこれだけの件数の背後責任の追及の中でこの問題の核心に迫りたいという努力をしているということを御理解いただければありがたいというふうに思います。  なお、これに関連いたしまして、自動車の使用制限処分をいたしましたものは、五十五件、八十三台の数字に上っておるところでございます。  最後に、やはり御指摘の積み荷の転落に起因する交通事故でございますが、これは一般道路につきましては的確な資料がございませんので、申しわけありませんが数字を申し上げることはできません。高速道路におきましては、五十八年中に物損を含めて四十九件の積み荷転落に起因する交通事故の発生を見ているという状況でございます。  以上、過積みの違反と関連いたしますものにつきまして簡潔に御答弁申し上げた次第でございます。
  79. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 過積みの違反のことにつきましての関山さんの御意見は全くそのとおりでございまして、今後もこういうことが頻繁に起こって被害を大きくしないように、私どもも背後責任の追及、厳正な取り締まり、こういうことに特に留意をしてやっていくつもりでございます。
  80. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 大臣からの御答弁がございましたから重ねて申し上げることもないんだろうと思いますが、ちょっと気になりますのは、交通局長、過度の過積みについてはと、こういうように過度と言って済まされないんじゃないか。私は、はっきりこの際、過積みは過積みとして、さっきの田川国家公安委員長の御答弁じゃございませんけれども、過積みは過積みなんでありまして、過度も軽度もないんじゃないかと思うのですが、この辺はしっかり御答弁をいただいておきたいと思います。  それから十一万六千という取り締まり件数、倍以上のものが一万九千、背後責任四千六百四というこの数字がどういうウエートを占めるかはと、こうおっしゃっておるのですが、これは多かれ少なかれ背後責任がつきまとうと思うのですけれども、いかがなものですか。常識的に見て、白トラあたりが個人でやっている場合はそういうことはないと思いますけれども、企業絡みのものであれば、これは当然、立件するための条件が整うか整わないかは別にいたしましても、多かれ少なかれそういう問題があると私は思うので、その辺についても十分に目を配っていただきたいということも申し添えて、御答弁をいただきたいと思います。
  81. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 先生の御指摘、そのとおりでございまして一程度が多かろうと少なかろうと違反は違反であるということは、午前中委員長からもお話がございましたとおりでございます。したがいまして、程度の大きい小さいにかかわらず、過積みの解消に交通警察としては努力をしてまいるということは御指摘のとおりで、その点に変化はございません。ただ、取り締まり重点として、悪質なものについては特に目を光らせてやるという姿勢の一端を申し上げたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  82. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 そこで、この問題につきましては、先ほど申し上げました参議院の決議に基づいて、それぞれ各省庁が都道府県警察、陸運事務所の各地方レベルにおける三者の連絡会議というものを設けて、具体的にはひとつこの問題に積極的に取り組みなさいよ、こういうことになってきているわけですね。これは通達そのものがつい最近に出されているものでもありますから、今そうばたばたという状況にはなっていないのかもしれません。しかし、こういう通達あるいは参議院の決議が行われる前から自治体でそれなりの努力をしてきているところもあるかと思うのですけれども、その辺の状況はどうなっているかお聞かせをいただきたい。  それから、時間がだんだんあれですからもう一つ一緒に、これはどこが主管をするのか。さっき総理府長官にも伺ったのでありますが、私ども地方におりますと、それぞれ関係者関係省庁お願いに行く。警察へ行けばそれは県の交通安全対策室へ行ってくれや、交通安全対策室へ行くとそれはやはり陸運局へ行ってくれやという式に話が回って、なかなか今日までできなかったという実態もあるわけですね、率直に申し上げて。そういう意味で、せっかくつくった連絡会議はどこで主管をされていくのか、当面する対策は何を主眼とするのか、この機会にお聞かせをいただいておきたいと思います。
  83. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 御指摘の過積載防止対策連絡会議につきましては、警察と陸運当局と都道府県の三者で構成することになっているわけでございますが、昭和五十九年三月末現在で二十九の都道府県に設置をされているのが現状でございます。なお、四月中にさらに十一の府県で設置をされる予定でございますので、四月中には大部分の都道府県でこれが実際に動き出すことが可能であると考えております。  この点につきましては三者が共同で行うということでございまして、どれが主管ということはございませんが、事務的にはどちらかといえば陸運当局にお世話をいただくということが通常でございますけれども、それは別に陸運の方にこの問題を押しつけてしまうということでなく、三者のどこへ行っても話が円滑に進むように対応するのが筋であろうと思いますので、御指摘のような問題、いわば消極的な逃げ合いの生じませんように十分に一線を指導いたしまして、この趣旨の実現に努めたいと考えております。
  84. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 あとこの過積みの問題について、これも従来いろいろな場所で直接的にいろいろな御要望などが行っているのだと思うのですけれども、重量計の設置あるいは保有の状況一体どうなっているのか。持っている、あるというだけではだめなのであります。これもまた法律が二つあるものですから、道路運送車両法からいけば、陸運事務所もたまには国道のしかるべき場所で過積みに目を光らせなければならぬ。しかし道交法の問題もあるから、これは警察が主としてやるのだということでそれぞれ対応していただいてはおるのだと思うのですけれども、なかなかはかばかしくないという指摘もあるわけでございまして、この重量計の扱いについてはどんなふうになっているのか。  この際あわせてお尋ねしますが、これは運輸省の方でしょうか、自重計の開発が進んでおるようでありまして、これの装着の推進ということもこの問題にかかわって指摘があるわけでございますけれども、どんな状況になっているのか。私は、これが即刑罰のための、取り締まりのための手だてとして使われないまでも、それをつけることによって、運転者の自己規制という意味では非常に大きな意味を持つのではないかと思ったりもしておりまして、こういうものは積極的に義務化していくくらいのことが必要ではないかというふうにも考えるのですが、あわせてお答えをいただきたいと思います。
  85. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 まず重量計の状態でございますが、警察が保有しておりますところの重量計は、昨年末現在で八百四十二基保有しておる現状でございます。なお、道路管理者等が持っておられる重量計で私ども取り締まりに利用できるのがほぼ三百基程度で、これは警察がお借りをして運用し、取り締まりに当たっておるという状況がこれにつけ加えてございます。これらを駆使いたしまして先ほど申し上げましたような重量違反の取り締まり等がされている現状でございますが、これは今後とも鋭意活用推進してまいりたいと考えております。  それから、自重計につきましては直接私どもが設置をするというものではございませんが、先生指摘のとおり、これは取り締まりに使うということではいろいろ性能上その他の問題がございますので、現在これは取り締まりには使用していない現状でございます。ただ、御指摘のように、自主的に過積載を防ぎ、事故防止を図るということのためにこれが十分に活用され、結果として過積みの防止が図られることは私どもの大いに希望するところでございます。
  86. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 交通局長、重ねてお尋ねをいたしますが、今ここで重量計、自重計の問題を具体的な手段として取り上げたわけです。あとは過積みの具体的な取り締まりを積極的にやっていただくという以外にはないのですが、この過積み解消のための手だてとしての決め手は何だというふうにお考えになりますか。
  87. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 手がかりは、交通警察が行うところの取り締まりによって処理をするということは基本的に変わりはございません。ただ、先ほど背後責任の問題で先生がお触れになりましたように、こういったものを可能ならしめておる一つの社会経済的な背景が存在することも事実でございます。したがいまして、警察取り締まりと並行して、特にこれらトラックの積み荷に関与する関係者のこの問題についての理解と、それの協力によるところの背景の解消ということが行われませんと、取り締まりを行いましてもハエを追うような結果になることは、過去の実績がそういう点の懸念を証明していることでございます。この点につきまして、私ども取り締まりと並行して、関係の行政向きの御協力、御支援も切に期待をいたしたいということでございます。
  88. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 ハエを追うというお話がございましたが、この辺はまさにあえて検挙主義でもいい。検挙主義でいいというのは、運転手をとつ捕まえて縛れという意味ではないのでございまして、その辺は誤解がないように申し上げたいと思いますが、教育だとか安全思想の普及だと言っていては決まりがつかない。もちろんお話がありました社会経済的な背景というものは、それなりにまたいずれ運輸省なり労働省の方で対応してもらわなければならない問題でありましょうが、ぜひとも施策の前進のために頑張っていただきたいと思います。  次の問題に移らせていただきますが、これは過労の関係であります。過労運転がどれほど交通事故要因に結びついているかということは改めて申し上げるまでもないわけでありまして、これまたさまざまな手だてが講じられてきていると思うのです。  特にトラックの運転者に対しましては御案内の二七通達が出されて、労働時間の改善基準を示して、この面から安全対策が講じられているわけでありますけれども、率直なところ、この種のトラック運転に従事する労働者の皆さんのさまざまな調査活動などを見ましても、休みたくても休む場所がない、あるいは高速道のサービスエリアやパーキングエリアが非常に狭い、あるいはたまたま中に入っても、その区画は専ら普通乗用車のものであって、トラックのものにはなかなかそういうエリアの提供もない。ましてや一般の道路のドライブインなどでは大型お断りというケースがあったりして、アンケート調査などによりますと、休む場所はどこだという質問に対して、一般の国県道の場合は路肩の占める割合が五〇・八%という数字などもあるわけです。これは労働組合の抽出のアンケート調査でありますから、どれだけの根拠を持つかということは別にいたしまして、一つ調査の結果として見ておけばいいのだろうと思うのです。  そこで、最初に大臣の所信表明をざっと一わたり読ませていただいたのですけれども、これは公安委員長いかがでございましょうか。お四方の大臣の所信表明を読んでおりまして、一つだけ建設大臣の所信表明で、きょうは建設大臣お見えになっていないわけですが、交通安全施設等に十分配慮した道路整備というものに心がけたい、こう建設大臣はおっしゃっていらっしゃるわけです。私は、この休憩施設というものの中にはいろいろあると思うのですが、ただ単なる駐車施設であったり、もう少しサービスのある休憩のための施設であったり、最近では仮眠施設なども設けた施設もあるようでございますけれども、いずれにしてもこの休憩施設というものを安全施設の中に組み入れるということは非常に大事ではないか。  私もかつて何かの雑誌で読みましたが、大体三時間運転するとドライバーの注意力というものは非常に急速に散漫になっていって大きな交通事故につながりやすいということもあるわけでして、この辺のところは日ごろいろいろな指導もなされておるのだろうと思いますが、その受け皿がないということもこれまた実態としてあるようでありますので、この休憩施設を安全施設の中に組み入れておくべきだというふうに、これは法律的にとかなんとか難しいことは申し上げません、概念としてそういうふうに考えるべきじゃないかと思うのですが、きょうは公安委員長のお考えを承っておきたいと思うのであります。
  89. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 高速道路における長距離の区間における連続した運転で非常に疲労が強くなって事故を起こすというのは随分あることでございまして、今関山さんがおっしゃったような休憩施設をもっとふやす、あるいは整備をするという御意見には私も賛成でございまして、これはどうしてもやっていかなければならぬ。これを安全施設の中に入れるかどうかという制度上の問題はちょっと事務当局に聞いていただきたいのでございますが、いずれにしてもこういうようなことを整備していくには、関係省庁それから団体、業者、こういう方々の御協力を得ないとなかなかできない問題でございますので、私どもとしても御趣旨に沿ったような線でこういうものをもう少し整備拡充していったらいい、このように考えております。
  90. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 そこで、これは運輸省にちょっとお尋ねしておきますが、トラックに関してはトラックのターミナル建設、これは軽油引取税を原資とする運輸事業振興助成交付金制度というのがあって、それなりに全国的にも整備が進められておるようでありますが、五十九年度で軽油引取税の暫定税率が切れるのでこの制度はなくなってしまうのじゃないかという心配もあるわけですけれども、この際これの延長についてどうお考えになっているのか。  それから、高速道、一般道の休憩施設の設置については、いつも運輸省が窓口で恐らく責められている側にいるわけなんですが、建設省あたりに対してどのように対応していらっしゃるのか、簡単にちょっとお答えをいただきたいと思います。
  91. 浅見説明員(浅見喜紀)

    ○浅見説明員 お答えをいたします。  先生指摘のように、トラック運転者、特に長距離トラック運転者の過労運転防止を図るためには環境の整備を図るということが重要でございまして、このためトラック運送業界におきましては、運輸事業振興助成交付金によりまして、トラック運転者の休憩、仮眠、食事等のための総合施設でございますトラックステーションの整備に努めているところでございます。現在までに全国で七カ所のトラックステーションが供用を開始いたしておりまして、さらに十六カ所について整備を進めているところでございます。  この財源となっております運輸事業振興助成交付金制度でございますが、これはただいま先生指摘ございましたように、一応昭和五十九年度までの時限制度ということになっておるわけでございますが、運輸省といたしましては、今後ともトラックステーションの整備をさらに進めていく必要があると考えておりますし、またこの交付金制度は、ほかのいろいろな面におきましても公共輸送機関としてのトラック運送事業の発展に大変寄与しているところでございますので、軽油引取税との関係もあるわけでございますが、六十年度以降の継続についてできる限りの努力をいたしてまいりたいと考えております。  それからもう一点お尋ねの、高速道路あるいは一般道路等における駐車施設、休憩施設の整備の問題でございますが、トラック運転者の過労運転防止を図りますためには、ただいま申し上げましたトラック業界が整備を進めておりますトラックステーションと並びまして、高速道路や主要な一般道路における駐車施設、休憩施設等が一層整備されることがぜひとも必要であるというふうに考えておりまして、この点につきましては、建設省当局に対しまして特段の配慮をされますよう、機会をとらえて要請をしている次第でございます。
  92. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 どうも新米は時間の配分がうまくいきませんで、きょうは建設省もおいでいただいておるのですが、大臣もいらっしゃいませんし、この面では運輸省事務次官から建設省事務次官に対する正式の要望などもあるようでありまして、これに対して、第九次道路整備五カ年計画についてそれなりの対応をするという御返事もあるようでありますから、いずれ建設大臣お見えのときにはたお尋ねもしたいと思いますが、ぜひとも積極的に対応していただくことをこの機会にお願いをしておきたいと思います。  時間がなくなりましたので、少しまとめてお伺いをせざるを得なくなってしまいました。私にとりまして地元の問題みたいなものなんですが、ことしは大変な豪雪でございまして、自治大臣にはいろいろな面で大変御面倒をかけたわけでありますけれども、実は後遺症対策というのがなかなか大変なことなんです。  それはさまざまあるのです。例えば春先の雪崩の防止だとかいろいろあるのですが、何よりも交通安全というものにかかわって言えば、もう雪解けと同時に、新潟市あたり走っておりましても白線が全部消えてしまうわけです。まさに無秩序状態に置かれるということがありまして、これには例年苦しんでおるわけであります。大雪になりますとそれなりにまた大変なんですが、もう時間がありませんので結論から先にいけば、これに対する安定した財源措置というものがないわけです。もちろんそれは特交で見ていただいているということはあるわけですが、これはまさに御案内のとおりの性格のお金でありますから、何となく最後は面倒見てくれるだろうということになっておりますけれども、ではこの問題については十分自信を持ってやろうということにもなかなかなり切らぬ分もあるのです。  例えばこういうことがあるわけです。昨年あたりまで新潟では、いわゆる法定外の標識あるいは区画線というようなものがございまして、警察にかかわって言えば、ダブルはみ禁だとかクロスマークだとか、大変成果を上げている分もあったり、あるいは雪国ならではの停止標示板といいまして、雪が積もってもとまる場所がわかるような、そういうものにまでことしの春などはなかなか手が回らないという実態があるわけなんです。  私は、制度の難しさやその他十分承知をいたしておりますけれども、やはりこの面では少しずつ制度の改善が進んできていることもまた事実なんでありまして、建設省あたりも、道路の維持管理の費用は市町村各自おまえたちの持ち分だよと言いながら、除雪なんかも次第に補助対象にも取り入れているわけですし、あるいはガードレールや防護さく等についてもそういうものが取り入れられてきているわけでありまして、この辺についての財政的な対応というものについて、この機会にぜひ御理解ある御答弁をいただければ幸いだと思うのです。大臣の御答弁をいただければと思います。
  93. 遠藤説明員(遠藤安彦)

    ○遠藤説明員 お答え申し上げます。  御案内のように、交通安全施設の維持補修費につきましては、一般の雪国でない市町村におきましても傷むというようなことがございますので、その標準的な経費につきましては普通交付税の道路橋梁費というところで見ておるわけでありますが、先生指摘のように、雪寒地域においてはそれ以上に維持補修が必要ではないかという点がございますので、現在、普通交付税の算定におきましていわゆる寒冷補正というものを適用いたしておりますけれども、除雪経費の中に路面損傷等補修費ということで、区画線が消えてしまったりガードレールが壊れたりといったものも修理できる経費を算定いたしてございます。この経費につきましては年々充実を図ってきておりまして、五十八年度につきましては前年に対して九%ぐらい、これは道府県分も含めてでございますけれども増加経費を算入いたしております。  なお、交付税上の措置とは別に、交通安全対策特別交付金につきまして昨年の五月に政令改正をいたしまして、道路標示の補修あるいは道路反射鏡、区画線の補修といったものにもこの特別交付金が費用として適用できる、充当できるというように使途を拡大しているところでございますので、御了解を賜りたいと存じます。
  94. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 積雪地におけるいろいろな予期しない財政負担が随分ことしあたりは出てきていると思います。そういう面には今後も特別配慮をして、何とか御協力できるようにこれからも努力をしてまいりたいと思っております。  また、法定外の標識につきましては、これを何とかもう少し見直していかなければならないというようなことを今考えているようでございますので、今後もひとつ前向きに検討をしていきたい、このように考えております。
  95. 関山委員(関山信之)

    ○関山委員 ありがとうございました。  時間も参りましたので最後に、雪の問題はそれ自体が積み重ねの問題でございまして、もう少し細かな理屈をこね合おうかと思ったのですが、時間がなくなってしまいましたのでやめておきます。  特に交通安全にかかわって言えば、きのう質問を取りに見えられた警察庁の方に申し上げておいたのですが、反則金と罰金とどう違うんだ、これは違わないわけですね。例えば反則金は、裁判で争って罰金で払えば入っていくところは大蔵省で、反則金で払えば特交金で戻ってくるのではないかというようなことも申し上げたのですけれども、これは大蔵省の問題でしょうが、やはりこういう時代でありますから財政はますます厳しくなるわけです。どうも厳しくなればなるほどしわ寄せば弱いところへ加えられていくという主張がありますけれども交通安全対策にかかわる部分だけはそういうことのないようにそれぞれ頑張っていただきたいと思いまして、最後お願い申し上げて私の質問を終わらしていただきます。  ありがとうございました。
  96. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 次に、木内良明君。
  97. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 初めに、この四日でございますけれども、我が党は春の交通安全週間に向けて、増加する交通事故を抑制するために「交通安全教育安全運動に関する提言」というのを行いました。提言をさせていただきましたところ、新聞、テレビ等マスコミでこれを取り上げていただき、あわせて関係の皆さんあるいは一般市民の方々から大変な関心をお持ちいただくと同時に、また御評価もいただいた経緯もこれあり、こうした提言内容に盛り込まれた具体的諸施策の実現に向けてさらに鋭意私どもも皆さんと力を合わせて努力をしてまいりたい、このように思っているわけであります。  現状を申し上げるならば、交通事故現状というのは極めて憂慮される状態にあるわけであります。事故増加の原因としていろいろな要因があるわけでございますけれども混合交通の激化、さらに運転者の多様化という新しい交通事態というものがあるわけでございまして、こうした新しい展開の中で、旧来の交通安全対策というものがある部面では対応し切れなくなってきている。  特にこの交通安全施策というものは、概論的に申し上げれば、本日のこの委員会でもいろいろと議論がございましたように、交通安全施設等のいわゆるハード面の整備、これに加えてもう一方では交通安全教育あるいは安全運動といったソフト面での対応というものが考えられるわけであります。とりわけ今回私どもの党では、このソフト面の対策について種々重点的に提案を申し上げたわけであります。私どもは、この提言をきっかけにさらに交通事故の増勢にブレーキをかけ、事故防止し、新しい視点からの交通安全のあり方というものを考えていく必要があるのではないか、そのように決意をしているわけでございます。なお、この四日に記者会見をさせていただきました直後に、関係省庁には政府委員の方等を通じてこの提言を差し上げているわけであります。  柱だけ申し上げましても、内閣総理大臣が現在会長になっております中央交通安全対策会議交通安全教育プログラム作成委員会、こういったものを設置して交通安全教育の体系的プログラムを作成する必要がある、こうした点。  あるいはまた安全教育を行う指導者の養成について申し上げれば、いわゆる教員養成大学における教職課程の専門科目に交通安全科目を導入するよう検討すべきである。さらにまた、これは後ほど警察庁国家公安委員長の方にもお聞きしたいわけでございますけれども、地域の交通指導員、自動車教習所の指導員あるいは交通警察官など、交通安全教育に携わる者の質の向上と養成を図るため、いわゆる交通安全教育研修センターの設立を促進することが必要である。また、さらに一歩踏み込んで、専門知識を持った指導者養成のため、大学に交通も含めた安全教育の専門課程、博士課程を設けるべきである。特にこの問題につきましては、道路構造学でございますとか児童心理学、さらにまた老人行動学といったような、カリキュラムの中にかなり専門分野の科目というものを設定して、専門的に交通安全教育に対して取り組んでいくべきである、そうしたいわゆる学識経験の立場からこれを推進すべきであるということも申し上げております。  さらに、学校における交通安全教育の充実——時間等の関係がございますので全部について触れることは避けるわけでございますけれども、特に学校教育における交通安全教育につきましては、学校の教材、設備の整備充実を目的とした交通安全教育振興法を制定すべきだ、このようにも申し上げております。  さらに、これもぜひとも提案したいところでございますけれども、暫定免許制度の導入。これは、事故率の高い初心者あるいは青少年ドライバーの事故を抑止するため、免許取得後一年ないし二年間というものは、一定の制約をつけた暫定免許として、一般免許と区分するようにすべきである。また、申し上げたような初心者あるいは青少年ドライバー等につきましては、賠償能力が非常に弱いため種々の問題が社会的な課題となっているわけでありますけれども、この暫定免許所持者に対しては任意保険の加入を促進するような措置が講じられないものか、こうした点についても申し上げております。  さらにSSS運動、セーフティー・サマー・シーズンの展開、いろいろ発表させていただきました。  当委員会は決して私どものこういう提言を発表する場ではございませんけれども、現在交通安全週間が非常に国民の重大な関心の中に行われている。また後ほど触れるところでございますけれども交通安全運動の期間中に事故が非常に多発している傾向もあるわけでございまして、私どもは党を挙げてこの交通安全の問題に真剣に取り組んでまいりたい、このように考え、発表させていただきました。これについては既にごらんいただいていると思いますけれども、きょうは国家公安委員長また総務長官もお見えでございますので、率直に我が党のこの提案に対しますお気持ちといいますか御所見をまず伺いたいと思います。
  98. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 公明党の皆さん方が交通安全のことにつきまして大変熱心に検討をせられ、案をおつくりになられましたことは私どもも大変心強く思っております。今お挙げになりましたいろいろな点につきましては私どもも留意をしなければならないことがたくさんございまして、安全運転センターとか暫定免許制度とかというような問題につきましては、ぜひ取り上げていかなければならない点も幾つかございます。交通安全センターは、御承知のように茨城県水戸射爆場跡に建設を予定しております中央研修所、仮称でございますけれども、これは運転者、指導者等に対しまして高度な運転技能及び知識を修得させる施設として、交通事故防止上その果たす役割は非常に大きいものと考えておりまして、これをできるだけ早く完成させたいと思っております。  暫定免許制度につきましては、今木内さん御指摘のような点でございまして、事故防止一つの有力な方法だと思っておりまして、こういうことは私どもも勉強させていただいて今後方針を定めていきたい、このように思っております。
  99. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 事務当局はもちろんでございますが、私自身も熟読させていただきまして、貴党のこうしたソフト面に特に重点を置いての御提案については心から敬意を表したいと思います。私どもこれから一生懸命やってまいりますが、関係省庁にもよく理解してもらって、この趣旨に沿っての努力をしてまいりたい、かように考えます。
  100. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 今それぞれ大臣から御評価いただきました。さらに私どもも決意を新たにしているわけでありますけれども、私も今回交通安全対策特別委員会理事ということで、みずからの立場を踏まえ、いかにして交通安全という問題の解決を図っていくかということを、短時日ではございますけれども随分と勉強させていただきました。幾つかの結論を私なりに持ったわけでございます。  その一つは、先ほど申し上げました道路整備でございますとか、車社会を取り巻くいわゆる交通環境の整備を行うこともハード面では非常に重要でありますけれども、これが対症療法的になって事足れりとするような交通安全対策であってはならない。交通事故の抑止のためには、これを国家的な課題としてとらえて、三つ子の魂百までという言葉がありますけれども学校教育あるいは幼稚園教育段階から安全に対する物の考え方をしっかり植えつけて、そして国の将来を考えるならば五年、十年戦争の決意で取り組まなければならない、私はこのように思っているわけでございまして、特に今度はこれを行政の面でどう具体化していくかということが問題になるわけであります。  そこで、今も公安委員長の方から若干の御答弁をいただいたわけでございますけれども、こうしたいわば重要な施設の一つになるであろうと思われます、私どもでは交通安全教育研修センター(仮称)と呼んでいるわけでございますけれども、これが水戸の射爆場の跡地約百ヘクタールと聞いておりますが、昭和五十八、五十九年度でそれぞれ四百五十万の調査費でしょうか、ついております。これの実現の見通し並びに現在の進捗状況についてまずお聞きしたいと思います。特に五十七年十一月、国有財産審議会における審議等も踏まえて御答弁いただければと思います。
  101. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 御提案になりました「交通安全教育安全運動に関する提言」は十分に敬意と関心を持って拝見をしたところでございます。この中で御指摘交通安全教育研修センター(仮称)でございますが、これを設けて地域の交通の指導的立場にある者の質の向上と養成を図るということのために必要な対応をするようにという御提言は、私どももまさに同感でございまして、この趣旨は、先生も若干触れておられますが、自動車安全運転センターが現在水戸の射爆場跡に設置を予定しております中央研修所構想におきましてその御趣旨の実現ができるものではないかと基本的には考えているところでございます。  この研修所は、運転者交通安全指導者等に対しまして、高度な運転技能を中心とした交通安全の指導能力、知識を修得させる施設ということで、現今の過密化し、肥大化した車社会における交通事故防止上果たす役割が極めて大きいと考えまして、早期に実現を目指して努力をいたしたいというものでございます。  この手順につきましては、御指摘のとおり五十六年十二月に国有財産中央審議会におきまして茨城県水戸射爆場跡地内に百ヘクタールの利用が認められまして、現在までに研修施設の規模、配置等についての基本構想の作成をほぼ終了しているところでございます。御指摘のとおり本年も調査費が認められておりますので、これを活用いたしまして、今後現地において敷地内の事情等も含めまして所要の調査を行いまして、可能な限り早期に開設に向けて努力してまいりたいという所存でございます。
  102. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 今後の具体的なセンターが機能する時期等についてのスケジュールはまだだと思いますし、今局長からも御答弁いただきましたけれども、一日も早くこの完成を見るよう御努力を願いたい、このように思います。  それから、この提言の中でもう二点、質問の本題に入ります前にお聞きしたいと思います。  先ほども申し上げましたが、暫定免許制度の問題でございます。私どもはぜひとも必要である、こういう主張をいたします。警察庁の方でもこれについては今日まで大分プランを温められて、それなりに御準備もされているようでございまして、その内容について御報告をいただければと思います。
  103. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 ただいま先生指摘の暫定免許制度につきましては、現在警察庁の内部で検討を進めておるところでございまして、まだ公式に外にいろいろ問題を提示しているわけではございませんが、その一端について御認識いただいておりますように、現在の運転者階層の中で比較的問題が多いという印象の強い初心者、これと若干オーバーラップいたしますけれども若年者対策といたしまして、これは一つの試案ではないかと考えておるところでございます。暫定免許制度が唯一のものではございませんので、ほかにも幾つかのこういった種類の対策はあり得ると思いまして、同時並行的に検討いたしておりますが、私どもの現在の感触といたしましては、この暫定免許制度というのは比較的副作用が少なくてそのねらいに到達しやすいのではないかという心証は持っております。  ただ、これはまだあくまでも私どもの内部的な考えにとどまっておりますので、今後ほかの案との関係も冷ややかに検討いたしまして、さらに多くの周辺の御意見等も伺いまして、逐次今の車社会に対応する施策としての実現性につきまして詰めをしてまいりたいということでございます。  初心運転者事故率、違反率等が他の運転者に比べて高いということは事実でございまして、この点は当委員会でも従前からいろいろ御指摘があったところでございますし、またいろいろな対策についての御提言もございます。そういったようなものをできれば集約をして、こういった種類の案の中で、今まで御指摘いただきました各種の問題等の解決が図れればというのが私どものねらいでございます。  なお、現在、諸外国の制度の内容あるいは導入した場合の効果等につきましても検討を進めておるところでございまして、まだその結論等は得ておりませんが、これは逐次検討、議論の進む過程におきまして、しかるべき時期にまたいろいろ御意見等も伺ってまいりたいと考えております。
  104. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 交通局長、内部的検討を進めておられるということですが、時期的には結論はほぼいつごろ出ますか。
  105. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 内部的な関係で申し上げますと、実は先月の末に、交通局でいろいろ意見をお伺いいたしております免許制度研究会にこの考え方を申し上げまして、いろいろ批判をいただいたところでございます。この点でほかの案と比べまして現実性のある案ではないかという意見がかなり私どもとしては感じられたところでございますので、この問題のメリット、デメリットという点の議論を今後しばらくの間は続けていく必要があろうかというふうに考えております。  したがいまして、年内に早急に結論が出るという形でこの問題の決着がつく自信は今のところございませんが、安全問題というのは、きょうもいろいろ御指摘ございますように緊急の問題でもございますので、そういったことに対応する施策としての意味を失わないように、早く結論が出るように努めてまいりたいというところできょうのところはひとつ御理解をいただきたいと思います。
  106. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 年内はまずないというお話でございますけれども局長おっしゃるようにぜひとも検討を願いたいというふうに思います。  特にこの提言の中で最後の問題でありますけれども、実はこの提言については、今後本委員会におきまして私はそれぞれのテーマについて掘り下げて議論をさせていただくつもりでおりますので、きょうは項目別に御所見を伺うだけにとどめたいと思います。一つ交通安全運動の活性化という問題でございます。  「全国交通安全運動期間中の交通事故発生状況の推移」という資料が手元にあるのですけれども、例えば五十七年の春、この運動期間中に一万二千三十件交通事故の発生がありました。それから秋に一万二千六百二十六件、昨年の春に一万三千百九件、昨年の秋に一万三千三百二十六件。交通安全運動期間中における交通事故発生状況の推移を見ますと、実は減るどころか増加の一途をたどっておるわけです、少なくともここ数回の運動期間中の中身を見ますと。そうしたことで交通安全運動考え方というものにもう一度検討を加える必要があるのではないかと、こうした側面からも言えると思うのですけれども、現在のいわゆる官主導型から市民主体に改めるべきであるという提言を実はさせていただいているのです。  これとあわせて、もう一つはセーフティー・サマー・シーズン運動。今、春と秋に交通安全運動が行われておるわけですけれども、この季節の特性としまして、ちょうど学校等が夏休みであったり、お盆のシーズン等であります。レジャーや帰省などで車を利用することが非常に多くなるわけでありますし、また年間の月別事故発生データを見てみましても、七月、八月というのが異常に高くなっているわけですね。  私どもは、この時期をとらえて、親と子供、あるいは社会がこれに呼応して安全な夏といいますか、セーフティー・サマー・シーズン運動を展開したらどうかというふうに思うわけなんです。夏休みの登校日なんかを利用しまして母と子の安全教室を開いたり、あるいは施設を利用した二輪車ドライバーのための安全教室の開催でございますとか、あるいはマスコミ等の協力による安全キャンペーンの実施など、セーフティー・サマー・シーズン運動を実施して事故の抑制、防止を図ったらどうか。これは、本委員会でこのように今申し上げてすぐに結論というわけにはまいらないと思いますけれども、ぜひ検討をしていただきたい。これについてまず総務長官、簡単で結構です。お答えいただきたい。
  107. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 検討させていただきます。五十三年と五十五年にやったことがあるようでございますが、過去の経緯も踏まえて検討いたします。
  108. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 それではこの提言についての議論は以上にさせていただきます。  なお、先ほども若干申し上げましたけれども、この交通安全運動期間中に交通事故が多発している現状をどう認識されますでしょうか、またその原因は。
  109. 波多政府委員(波多秀夫)

    波多政府委員 御指摘のように、安全運動期間中における交通事故の件数を見ますと増加をいたしておるわけでございます。五十四年以降年間を通じての事故件数が増加する、そういった趨勢の中で、こういった運動期間中の事故件数も増加するということはまことに残念な結果だと考えております。  ただ、現在、自動車保有台数は、二輪車を含めますと五千九百万台に上り、国民の二人に一人が免許を保有するといったような本格的な車社会、国民免許時代を迎えておるわけでございまして、こういった中で、交通安全教育交通安全運動などの啓発活動に課せられた役割はますます重要だというふうに考えておるところでございまして、今後一層運動効果が上がりますよう努力をしてまいりたいと存じます。
  110. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 決して今の御答弁で私はよしとしませんけれども、これはともどもにひとつ考えさせていただきたい、私もこういう姿勢でおりますので、よろしくお願いいたします。  具体論に入りますけれども、本日は原付ミニカーの取り扱いについて種々お聞きします。  五十ccミニカー道路交通法における位置づけ、道路車両運送法における保安基準の取り扱い等の面で近年新たな問題が提起されております。法制上からいえば、これは道路運送車両法で定める第一種原付自転車であるため、少なくとも現状では原付免許で乗ることが可能で、さらに車検制度の適用もございませんし、届け出のみの実情となっております。また、こうした特性を反映してか、今後における需要の伸びが相当に予想されているわけでございます。  そこで、まず聞くわけでありますけれども、この原付ミニカーのこれまでの需要がどのように推移してきているのか。ちなみに、後ほど触れるわけですけれども、正確な届け出台数というものは実は掌握されない現状になっておりまして、国内の生産台数及び輸入台数の推移を一応の目安とするとどの程度とお考えになるのか、これをまず、きょうは通産省の自動車課長に来ていただいておりますので……。
  111. 堤説明員(堤富男)

    ○堤説明員 五十ccミニカーにつきましては、正確な統計はございません。私どもの方で、メーカー十一社それから輸入商社七社を調べまして、一応の推定をした数字でございます。現在私の方でつかんでいる総数では、五十八年までで六千三百七十二台ということになっております。そのうち、国内で生産したと思われるものが二千七百五十二台、輸入が三千六百二十台ということになっております。推移で見ますと、五十四年、五十五年ぐらいのときは、まだ生産、輸入を合わせましても千台に満たない時代がありましたけれども、五十六年になりまして千台を超え始めまして、五十七年、五十八年と千五百台から二千台、五十八年では二千七百台を超えるものが生産ないし輸入されております。  簡単でございますが……。
  112. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 小型車両振興協会の資料によりますと、今御報告があったわけでありますけれども、五十四年百九十四台に始まって、年次ごとに、二百八台、その翌年が七百十六台、五十七年八百三十七台。また、国内の生産台数でいえば、五十六年三百台に始まって、五十八年二千二百五十二台とすさまじい急激な伸びであります。五十六年から生産が始まっておりまして、五十八年には今申し上げた二千二百五十二台。実はこれは比較しますと、生産初年度に比較してわずか三年間に七倍以上の急激な伸びを示しているわけであります。  交通局長でも結構なんですけれども、まず、保有台数の掌握という問題ですね。我が国の混合交通実態を勘案して、総合的な運輸機能の安全性と道路交通行政の進展を図る上から、今後急激な増加が予想されるこの五十ccカーについては、現時点における保有台数、走行台数の掌握、並びに将来このまま放置しておいた場合にどのように伸びてしまうのかという近未来にわたっての掌握がどうしても必要であるとまず考えるわけです。後ほどこの五十ccミニカーの走行上の問題点等については細かく触れるつもりでおりますけれども、台数の掌握が必要か不必要か、それだけをまずお答え願いたいのです。
  113. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 確かに、現状ではこの五十ccカーの正確な利用台数を把握できるシステムはございません。したがいまして、私どもといたしましても正確にこの点の掌握をいたしていないわけでございますが、ただ、交通警察の立場で申し上げますと、私ども道路交通の安全と円滑のために道路交通を管理していくという立場でございますので、事故実態を正確に把握すると同時に、所要の運転者教育等を十分に実施する必要があると考えております。そういう意味から申しますと、この種類のミニカーの正確な利用台数を把握できるような制度の確立については必要があると考えております。
  114. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 これは非常に明確な答弁をいただきましたので、安堵いたしていますけれども、では具体的にどんな方法考えられるかという問題なんですね。今申し上げた五十ccミニカーというのは原付自転車の扱いですから、車検制度の適用はない。さらに各市町村単位、納税窓口に登録をして、これも本来車両の登録ということでなくて、ニュアンスとしては納税の形を当然とっているわけでありますから、ここでしか掌握ができない。それも原付二輪あるいは三輪か四輪かという区分は、市町村の納税窓口ではないわけでありますからできません。  それから自動車の場合でございますと、当然これはわかる。軽自動車についても協会がありますから、そちらの方でチェックできる。結局、通産省で掌握される生産台数面での掌握しか現状ではできないわけですね。今混合交通経済下におけるこうした施策を充実させるためにどうしても台数の掌握が必要かどうかをお聞きしたところ、必要だし、ぜひやってみるというお話しなんですが、これは交通局長、どんな形が考えられますか、確かにその御決意はよしなんですけれども
  115. 丹羽(一)政府委員(丹羽一夫)

    ○丹羽(一)政府委員 運輸省の整備部長でございます。  正確な利用台数の把握は、先生指摘のとおり、現在までは原付自転車範畴に入っておりますので区分できておりませんが、本年の四月一日現在で可能な限りその保有の実態を明らかにしたいということで、都道府県の担当部長に対しまして、従来は原付の第一種と第二種というような分け方だけで調査依頼していたのを、ことしの四月一日現在で、いわゆるミニカー、一種のシャシーつきの三、四輪というようなものも区分して分類していただきたいということで調査依頼を三月に出してございます。しかしながら、四月一日現在ですので、まだ市町村での作業、また都道府県での作業中でございますが、できる限り正確に把握できるように、地方の自治体の御協力を得て調査を実施してまいりたいと考えております。
  116. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 今、整備部長の方から各都道府県、市町村に指示を出されたということでありますけれども、これは制度としての指示ではないわけでありまして、自動車、軽自動車における正確な台数の掌握というものと比較した場合に、残念ながらそれではおよそというような結果が出てしまうのではないですか。全国市町村、都道府県で正確な台数の掌握が可能でしょうか。
  117. 丹羽(一)政府委員(丹羽一夫)

    ○丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  正確の度合いによっておよそというようなことになるかと思いますが、実際には従来はそういう区分で市町村の窓口が、先生指摘ありましたように、地方税法に基づいて番号標板を交付するということの作業の一環でやってきていましたので、従来はそういうふうにきちんと区分して統計をとってなかったのを、これからはそういうものをできるだけ区分し、またさかのぼれるものはできるだけさかのぼって調査して、正確度といいますか精度を上げていくように今後とも続けてまいりたいと考えております。
  118. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 これは何度お聞きしても同じ御答弁だと思うのです。できるだけ正確な台数を掌握したいという熱意はお持ちなのですけれども、現実の制度のもとでは実は不可能なんですね。  翻って考えますと、私はこの事態というのはまことに異常な形であると言わざるを得ないと思うのです。安全基準あるいは安全基準等の一覧表を見ましても、原付二輪だけ車輪制限なしなのですね。ですから、原付二輪のミニカーについては幾つのタイヤをつけても構わないわけですよ。後ほど触れますけれども、例えば一車線のところをこのミニカーが、原付ですから当然三十キロで渋滞のところを走っている。道路をふさぐわけですね。本来想定されていたいわゆる原付二輪の車幅のものではありませんから一車線分使うわけでしよう。そうすると、前はすいているけれども、後ろはいっぱい数珠つなぎになったというような現象が既に出ているわけです。  もっと極端に申し上げれば、そうした法律の網をくぐってこうした自動車並みの、あるいはそれに近い型式のものが今堂々と大手を振って走っているという実態があるわけでありまして、正確な台数の掌握もできないようなこうした物体——物体と言うと語弊があるかもしれないけれども原付ミニカーが今日までに六千台、七千台走っている。こうした需要の急激な伸びによって、あるメーカーによっては年産一万台を掲げて生産に乗り出しているところもある。こういうふうに聞きますと、このまま放置しておくと一体どのくらいこのミニカーというものが我が国の交通流れの中に流入してくるかわからない、こういうことになるわけであります。  そういったことで、交通局長は先ほど、あるいは何か具体的な方策を想定されてそうしたお答えをなさったのかどうかわかりませんけれども、ここではあえて聞きません。整備部長の方のそういう手法もあるようですけれども、正確な台数の掌握ができるような真剣な御検討をぜひ願いたいということをまず申し上げておきます。私も事情がわかっているだけに、ここでいろいろと申し上げることは差し控えさせていただきます。  通産省にもう一度お聞きしますけれども、今後の生産、販売見込みということについて一点。さらに、いわゆるコミュニティービークル構想は二百五十cc以下を中心に通産省は考えておられるわけであります。きょうは特に五十ccの方を議論させていただいておりますので、これは通産省としてのミニカーに対する思想の特徴だと思うのですけれども一つは、老人、女性、身障者などが運転できる、省エネ対策としては非常に有効である、ある程度の荷物が積める、販売価格が安いなど、こうした点を挙げられるわけですが、五十ccミニカーについてはいかがですか。
  119. 堤説明員(堤富男)

    ○堤説明員 五十ccミニカーにつきましてどんなユーザーが使っているかというサンプル調査をしたケースがございます。数は非常に少ないのでございますが、その結果によりますと、使っておりますのは四十歳以上が七五%ということで、中高年層が使っておるようでございますし、その中でも女性の使用率が非常に高い。それから普通免許を持っていない人の比率が八五%でございますから、先生のおっしゃるように、免許は必要ないということが一つのメリットになっているようでございます。それからもう一つ、公共交通機関の乏しい地区、郊外ですとか地方ですとかいうところで使われているのが六五%ということでございまして、都会内でのファッショナブルな使用というのは必ずしも数字は大きく出ていないようでございます。  これらの現在のユーザーの背景を考えますと、遠くまで乗る必要がない、あるいは高速に乗る必要がない、げた履きで近くを走るような車というものに対する需要が何か非常に根強いものがあるように感じております。現在の状況をすべて是としておるわけではございませんが、新しい社会のニーズに対して、この芽を健全に育てていくことが必要なのではないだろうかというふうに基本的には考えております。
  120. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 今の通産省の自動車課長のお答えを概括的に申し上げれば、最後におっしゃった新しい社会のニーズにこたえて健全にこれを育てていくという姿勢ですね。これははしなくも通産省の姿勢が浮き彫りになっているというふうに思うのです。  そこで、今度は警察庁交通局の方に聞くのですが、実は今いろいろな事故例が出ております。先ほど触れました三十キロ走行の問題、交通流れを阻害するという問題、それからカーブのときの横転事故、さらに安全基準の問題でも触れたいと思いますけれども、いわゆる前照灯、車幅あるいは走行機能の問題、これは交通環境の中で、特に都市部においては阻害要因になっている、こういうふうに警察庁はお考えになっておられるわけですよ。実際に、報道によりますと、警察庁はこの五十ccミニカーについて走行テストを行われたということになっておるわけですけれども、車社会の中で、交通を取り締まる側の警察庁から率直な見解をお聞かせ願いたいと思うのです。
  121. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 現在の車社会におきましては、自動車の利用という点では二つの側面があると考えております。  一つは、社会経済的なニーズに対応するという面でございますし、もう一つは、それが物理的な流れとしてどのような影響を安全と円滑という面から及ぼしていくかという二つの面がございまして、この二つの面は相互に関連しながら今の車社会を構築しているというふうに考えているわけでございます。したがいまして、そういう側面はそれぞれ適切なバランスを持たなければならないと考えております。  そういう点から考えますと、もちろん五十ccカーが全く無用のものだというふうに私どもは全然考えておりませんが、それと現実の交通流れに対する問題性とはおのずから別物だというのが私ども考えでございます。そういう立場に立ってこの五十ccミニカー考えますときに、現在の過密化した、しかも必ずしも交通環境が十分に整備されているとは言えない日本の道路交通の中におきましては、阻害要因になる可能性が大きいのではないかという懸念を多分に持っているということは事実でございます。したがいまして、そういった点を踏まえて、この車が今後どのように育てられていくかということにつきましてはいろいろな議論があろうと思いますけれども、少なくともそういうものであるという点を十分に踏まえて対応していただかなければぐあいが悪いということを私ども考えているところでございます。
  122. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 久本交通局長はそういうお人柄の方ですから、大分えんきょくに物をおっしゃいましたけれども、明らかに通産省のお立場とは違うわけであります。私どもがお聞きしておれば。  実は何枚も五十ccミニカーのチラシを集めてみました。「運動神経および年令制限はありません“実は運動神経に全く自信がなくて、”という方。まっすぐ歩ける能力があれば、心配ご無用。運転できます」、こういうチラシなんですね。相当のモラルの追求が行われ、モータリゼーションの発達する中で、個々の人格の問題も含めて、あるいは走行技術、ドライバーとしての資質の問題が今大変に問われつつある時代だと思うのです。  こういうときに、真っすぐ歩ける能力があれば、あるいは運動神経には全く自信がなくたって運転できますよというようなったい文句で売り、またこれに呼応して買う方も当然おられるわけでしょう。自動車免許は取れないけれども原付なら簡単にもらえるからこれでやってみよう、こういうふうなことになりますと、何度も申し上げるように、交通流れの阻害要因にならざるを得ない、なってくるんだというふうに思うのです。  そこで聞くのですけれども、昨年一年間で五十ccミニカーが起こした事故の内容について御報告を願いたいと思います。
  123. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 昭和五十八年中に五十ccミニカーが関連いたしました交通事故は、物損事故八件を含めまして十六件発生をしておりまして、九人軽傷を負っておるというところでございます。事故の特徴は、原付免許のみを所有した人によって四輪車とぶつかる事故が多かったということ、しかも約七割が第一原因者になったというのが発生した事故の内容でございます。  五十ccミニカーによる事故の発生原因につきましては、五十ccミニカーがほかの車に比べて性能が劣るということから、交通流れに乗り切れずに、車線を変更するときあるいは右折時等に事故を起こしたものというふうに考えているところでございます。また、運転技術が十分でないということにより、追突事故や駐車車両へ衝突するという事故を起こしたということでございまして、この辺の原因追求についてはいろいろあろうと思いますけれども、余り自動車運転に習熟してないという面の一つのあらわれかなという懸念も、こういった事故の結果から私どもとしては率直に言って持っている次第でございます。
  124. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 今、低性能によるもの、もう一つ運転技術の習熟度の問題がありました。私もまさにそのとおりだと思いますし、十六件という話でございましたけれども、恐らくは事故統計の吸い上げ方の方法の問題もあろうかと思うのですね。これが正確か正確でないかは別問題としまして、今後この事故は、今おっしゃったような要因によって相当多発してくることが考えられると思うのです。特に今局長指摘されました運転技術の習熟度の問題ということからしまして、少なくともこれまでの議論からおわかりのように原付免許運転できるということは相当に問題がある。むしろ何らかの形でこれに網をかけて、そして交通環境の中におけるそうした存在というものをもう一度洗い直す必要があるんじゃないか、そのように思うのです。  免許制度については既に警察庁の方ではいろいろと発表もなさっておられるようですが、その点についてお答えください。
  125. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 先ほどちょっとストレートに御答弁を申し上げませんでしたが、走行実態調査におきましては、そういう懸念を私どもが抱かざるを得ないような状態が出ておるということでございます。  それから、これを持っている人の感覚というものももちろん一つ要因でございますが、同時に、ほかの車を運転している人がこういった車に対してどういう目で見ているかということも、私どもが制度を考える上におきましては流れの中における位置づけとして重要だろうと考えております。  そういう意味で、私どもの更新時講習等の機会をとらえまして、この車を見たことの有無、見た場合に流れの中でどのように感じるかという点につきましてのアンケート調査をいたしておりますけれども、これは今後さらに整備をしていきたいと思っておりますが、率直に申しまして相当多くの人がこの車の走行に対して異物感を抱いておるという事実がございます。そういった感覚というものを前提にいたしまして、これが今後一般により広く出てまいりました場合に、そういう異物感覚を持たせないような形でどのようにしていったらいいかということが今後の制度を考え一つのポイントであろうというふうに考えるわけでございます。  そうした場合に、この辺のポイントは、確かに普通の車に比べて面積も小さい、比較的メカとしては運転しやすいという面もございますけれども、現在の過密化した車社会の中におきましては、四輪であるということから、車の大きい小さいということがさほど運転能力に大きな差をもたらすものではないというふうに私どもは最近考えております。そういう点から申しますと、ほかの類似をした車の運転者と同等か、場合によりましてはそれ以上に十分な警戒心、注意能力を持たせるということを主眼にして免許制度を考えるということが今の車社会の中では適当だと考えている次第でございまして、そういったことの一端として、ほかの普通乗用車と同じような能力を持たせるという意味で普通免許を持ってもらうことにしたらということを一つの対応策として現在検討しているというところでございます。
  126. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 実は、この報道がなされましてからいろいろな憶測が社会でありまして、免許制度への移行が恐らくあるであろう。ところが、既に持っている人、運転している人については、今の原付免許で今所有している車だけは乗れるようだから、今のうちに二台か三台買っておいて保有しておこうじゃないか、一台つぶしたら二台目、三台目くらいになれば何年間かはもつだろうからというようなことを考える人も現実にいるわけです。したがって、今交通局長が言われたような方向でできるだけ早期にこの結論を出しませんと、業者の中には、駆け込み販売といいますか駆け込み生産といいますか、それが明確に打ち出されるまでにできるだけつくっちゃおうじゃないか、できるだけ売っちゃおうじゃないかというような機運も実はあるのですね。したがって、免許制度あるいはそれに準ずる、少なくとも今の技術、裏づけとなる原付免許では乗れないという方向への議論の煮詰め、その結果の早期に出されることを私は強く要求するのです。  その点、時期については、いろいろな方面からの話もあるかもしれませんけれども、どういうふうにお考えですか。放置すればするほどこの危険なものが、危険なとあえて断定させていただければ、ふえ続けるわけです。五十九年度は幾何級数的に伸びるはずですよ。
  127. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 おっしゃるとおり、時日をいたずらに遷延いたしますと、そういった形の駆け込みがふえるという懸念は持っておるわけでございます。ただ、今まで曲がりなりにも現在の制度として乗れたという事実がございますので、これを新しい形で、まあ制約と考える向きも多いと思いますけれども、実現するためには、やはり必要な説明あるいは話し合い等はいたさざるを得ないというふうに考えております。しかし、この点につきましては私どもも、できるだけ早くと申しますか、新年度早々にでもできるならばという気持ちをかつては持っておりましたけれども、現在のところその点についての十分な納得と協力を得てということを考えて各方面にいろいろ協議をしているところでございます。  その結果を踏まえてということでございますが、私どもといたしましては可及的速やかにということで、いたずらに日にちを遷延させるつもりはございません。御趣旨を踏まえましてできるだけ速やかに実現をして、いわば不安定な形で一般の方に無用の誤解、憶測を与えたくないということは私どもも十分に踏まえて取り組んでいるつもりでございます。
  128. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 時期の問題をもう一回だけ聞かしていただくのですが、当初新年度から、すなわち四月から実施という意向もあったようですね。これが結果として延びてしまった。この場では恐らくはっきりおっしゃらないと思いますけれども、おっしゃるとおりの可及的速やかな判断と結論を出していただきたい、このことを要望さしていただきます。  それから、五十ccミニカーの特性といいますか問題について申し上げれば、今いろいろ議論さしていただいた他との関係性の上での問題点、交通流れということがあるわけであります。もう一つは、乗員といいますか運転者自身の生命の安全を図るという上から保安基準、安全基準というものが明確になっていないどころか、むしろこれが抜け道になって極めて安い値段で売られて安直に手に入るから、結局乗ろうということでウナギ登りの保有台数になっているわけです。  そこで、実は私、安全基準の施行規則というものをいろいろ調べてみました。これまでの議論からも結論が出ておりますように三輪、四輪ということで形態、走行状態というものはほぼ自動車と同じである、こういう扱いをしても一向に構わないと思う。むしろそれ以上に、車体が軽便にできておりますから安全基準については厳しくしなければいけないというふうに思うのです。  自動車の保安基準ということについて申し上げれば、安定性に始まって、制動装置、車枠及び車体、乗車装置、座席、座席ベルト等、頭部後傾抑止装置等、いわゆるバックレストですね。こうしたものですとか、最小回転半径であるとかあるいは前照灯の数だとか、それから車幅灯、番号灯、尾灯、駐車灯、制動灯、後退灯、補助方向指示器等々について極めて厳しい安全基準が自動車にはあるのです。ところが、今申し上げたものは、一、二を除いてほとんど原付自転車には設けられていないのが現状です。したがって、この五十ccミニカーについて、免許制度の整備もさることながら、安全基準の整備を早急に行う必要がある、私はこのようにこの場で訴えます。丹羽整備部長見えておりますけれども、いかがでしょうか。
  129. 丹羽(一)政府委員(丹羽一夫)

    ○丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、原付三、四輪車につきましては、その使用の形態、また走行の状態というようなものが極めて一般の自動車に近い状態にあるということもございます。そういう点から考えていきますと、従来考えておりました原付自転車、いわゆる自転車にエンジンがついたような二輪車タイプのものを想定した現行規定の中では対応が十分であるということは決して言い切れるものじゃございません。したがって、新しい原付三、四輪というものに対する技術的な基準を早急に決めてまいりたいということで検討を進めておるわけでございます。  先ほど交通局長からもそのお話がございましたように、事人命に関する問題、またハードに関する問題も含まれておりますので、早急に決めてまいりたいということで警察庁その他と連携を保ちながら、今技術的な問題とその他の問題でかかわりが出てまいりますのは、例えば乗車定員を一名にするか二名にするかとか、それから自動車専用道のようなところの走行を認めるような車にするか、それとも認めないか、ましてやエンジンの性格からいきまして高速道路を走るなどというのはまず常識的に考えられませんが、そういう使用道路またその使われ方の形態から見て、一人で考えるか二人で考えるかによってまた対応が変わってまいります。  しかしながら、今後こういうものが交通流れに乗りながら生きていくためには、もし共存できるとすれば、必要最小限度といいながらも相当な装置が必要ではないかということで、態様の実態に合わせながら今後の技術基準を想定して予測的に考える必要があるということで、早急に詰めてまいりたいと考えております。
  130. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 今自動車専用道についての走行を認めるか認めないかという議論も含めてというお話でした。裏返せば、あるいは自動車専用道の走行は不可能となる可能性もあるというふうに受けとめたい。それから、必要最小限とはいえ相当な装置が必要と考えられるという御答弁もありました。したがって、今運輸省がミニカーについて用意されておられる安全基準はかなり自動車に近いものにならざるを得ない、必要最小限ということは同時に相当な装置がなければ安全基準たり得ないわけでありますから、極めてはっきりした御答弁があったわけで、ぜひともその方向で御検討願いたいと私は思います。  それから、現行では五十ccミニカーに対してはいわゆる車検制度がございませんので、こうした経緯もいろいろ見てまいりましたけれども、相当改造車が出回っているわけです。構造上の欠陥等いろいろあるわけですけれども事故の際の事故責任がどこにあるのか、また改造メーカーに、特に弱小メーカーが多いわけですけれども、賠償能力がないと私は判断しているわけです。その二点について簡潔に一言ずつでいいですから、まず答えてください。
  131. 丹羽(一)政府委員(丹羽一夫)

    ○丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  現在の原付三、四輪については、製作段階で瑕疵があるということがあれば、一般則として製造物責任というようなことでメーカーが責任を負うことになるかと思いますが、先ほど先生が御指摘されました賠償責任に応じられるだけの資力があるかどうかというような点は直接的にはお答えするのは避けさせていただきますが、聞くところによりますと、製造物責任保険に加入しているメーカーもあると聞いておりますので、そちらの方から類推していただければと思っております。
  132. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 この問題についての質問の重複は避けますけれども、そうした保険に入っているメーカーはまだしも、ミニカー製造の問題といいますのは、実は本当の弱小メーカー、メーカー足り得ないような一人、二人の町工場で改造して売っているようなところもあるのです。その辺の実態関係者方々にぜひお聞き取りをいただいておきたいと思います。  それから、今運輸省の方からいろいろ話がありました。新しい保安基準がつくられた場合、既に発売されたものについてはどう対応されますか、これも簡単にお答え願います。
  133. 丹羽(一)政府委員(丹羽一夫)

    ○丹羽(一)政府委員 お答えいたします。  新しい基準を制定した場合には、過去の例を考えてみますと、一般的には遡及適用、さかのぼって適用するという例は少ないようでございます。なぜかと申しますと、新しい基準の範囲にもよりますが、既存車の構造、装置が大幅に変わるということで、新造するに近いような改造を伴う場合が今までも幾つかございます。そういう場合には遡及適用するということは実態上不可能に近いのじゃないかという例もございますので、新しい基準の設定に当たりまして、その辺を勘案しながら適用を考慮してまいりたいというふうに考えております。
  134. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 今おっしゃったのは、その適用を考慮してまいりたいということですか。——わかりました。  時間が参りましたので、最後総務長官に一問だけお聞きして、私の質問を終わります。  現在、交通問題に対する四省庁会議というのがあります。警察庁、運輸省、建設省、総理府、特に交通安全対策室長が旗を振って月一回集まっておられて、議題としては主に前月の事故発生状況等についての話し合いをなさっておられるということでありますけれども、今日の多様化する車社会、この複雑に絡み合った問題をさらに収れんして総合的な計画なり対応を進めていくためには今の状態では不完全であろう、私はこのように思います。  それは例えばきょうの議論にもありましたように、立場の違う通産省が自動車との関連も当然持っておりますし、あるいはまた先ほども申し上げました交通安全教育につきましては文部省のジョイントも当然必要になってくるわけでありまして、今後ぜひともこうした統合的な協議機関の設置を私は要望するものであります。当然これまでにも関係者によって大変な御努力が行われてきたことは承知しておりますけれども、こうした時代的ニーズにこたえる体制の創出といいますか整備が大事かと思います。この点について御答弁をいただきたいと思います。
  135. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 四省庁の課長会議というのを持っています。とりあえず四月からは文部省にも入っていただこうかということになっておりますが、通産当局ともよく相談をいたしたいと思います。
  136. 木内委員(木内良明)

    ○木内委員 では、ひとつ通産当局の方とも御相談いただいて、ぜひとも実現を図ってもらいたい、このことを要望しまして、質問を終わります。
  137. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 次に、伊藤英成君。
  138. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 質問いたします。  公安委員長所信表明の中で、「交通事故による死傷者数は増勢を強め、昨年は九千五百二十人に達するなど、交通事故情勢は極めて深刻な事態を迎えており、交通安全の確保は国の緊急な課題となっております。」こういうふうに述べておられます。また総務長官も、「車社会、国民免許時代の到来を迎えて、一時減少を続けていました交通事故は、近年一転して増勢に転じ、これは、昭和五十一年、五十二年ごろの状況に逆戻りしたことになり、まことに厳しい情勢にある」、こういうふうに述べておられますけれども、このような深刻な状況を踏まえて、事故防止の決意のほどを公安委員長並びに総務長官それぞれにまずお伺いいたします。
  139. 田川国務大臣(田川誠一)

    田川国務大臣 現在の交通事故の非常に増加していることに対しまして、これに歯どめをかけていくには交通事故実態について的確にこれを把握するとともに、道路交通環境整備交通安全教育交通指導取り締まり等の施策を充実強化いたしますとともに、新しい角度から交通規制交通指導の取り締まり、それから車を運転する者に対する対策、こうしたことに対する見直しを行って、総合的かつ効果的な交通事故防止対策推進する、このような気持ちで取り組んでおります。また、地方公共団体、ボランティアの皆さんの広い御協力をいただき、総合的にこのような交通事故の激増に対する措置をとっていきたい、このように考えております。
  140. 中西国務大臣(中西一郎)

    中西国務大臣 お話、先ほど来いろいろございました。五十八年中の交通事故による死者九千五百二十名ということで、まことに遺憾に思っております。過去の経緯を見ますと、昭和四十五年が車一万台当たり九人の死者でございまして、それが二人台に減ってきたのですが、五十四年からずっと見てみますと、現在では二・一人ということで随分減ってはおるのですけれども、それだけに対策が難しくなってきておるのだと思うのです。そこで、よほど知恵を出し、各方面の御協力をいただいて、今までと質の違った強力な有効な対策が必要ではないかと思います。  ともかく、現段階では第三次交通安全基本計画に基づいていろいろやっておりますが、その上にさらに全国民的な知恵を結集してまいりたいと思っております。
  141. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 安全で快適な交通社会をつくっていくためには、交通安全施設等整備も必要であるわけであります。現在、昭和六十年度を最終年度とする第三次交通安全施設等整備事業五カ年計画が実施されておりますけれども、まず最初に、本計画の現在の進捗状況及び昭和六十年度の最終達成見込みについて、建設省並びに警察庁にお伺いいたします。
  142. 鈴木説明員(鈴木道雄)

    ○鈴木説明員 お答えいたします。  第三次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画のうち、道路管理者分の事業につきましては、昭和五十六年から六十年の五カ年間で九千百億円の投資規模を見込み、主要な事業といたしましては歩道、自転車歩行者道等約一万六百キロを整備する計画になっております。  これに対しまして昭和五十九年度分も含めました昭和五十六年から五十九年度の四カ年の事業の進捗率は、事業費ベースで六九・一%、歩道等の主要事業で見ますと整備量で六〇・七%となっております。  それから今後の見通しがどうかということでございますが、この五カ年計画を完全達成をするためには、六十年度の予算の伸び率をことしに比べまして一・七五倍にしないとできないという状況でございますので、一〇〇%達成するということは極めて困難ではないかというふうに考えております。
  143. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 ただいまの建設省のお答えと合わせて申し上げますと、私ども公安委員会所管分の第三次交通安全施設等整備事業五カ年計画は、昭和五十六年度を初年度とする五年間で千九百億の事業ベースの枠を組んでいるところでございます。昭和五十九年度を含めました進捗率は五八・四%でございます。したがいまして、道路管理者分に比べますとさらに下回っておりますところは私どもとしても大変残念に思っているところでございまして、最終年度で一〇〇%に到達するということは極めて困難であるというふうに考えておるところでございます。
  144. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 今お二人ともに六十年度に達成することは極めて困難であるというふうに言われましたけれども、その困難な状況になっている理由はどういうことであるというふうに考えるか、お二方にお願いいたします。
  145. 鈴木説明員(鈴木道雄)

    ○鈴木説明員 特定交通安全施設等整備事業につきましては、その緊急性にかんがみまして重点的に予算配分をしてきたところでございまして、昭和五十九年度におきましても、他の道路事業が対前年度二%減となっておりますけれども、この事業に関しましては前年度と同額を確保しているところでございます。しかし、この第三次特定交通安全施設等整備事業五カ年計画が五十六年に発足したわけでございますが、そのときからずっと現在に至るまで、公共事業費関係につきましてはゼロまたはマイナスシーリングという厳しい財政上の制約がございましたので、その結果として、努力したわけでございますが、先ほども申し上げましたような達成率になったわけでございます。
  146. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 進捗率が低下している理由といたしましては、何と申しましても二年連続のマイナスシーリングといった厳しい財政事情にございましたため進捗率が低下したものでございまして、この点、私どもといたしましては大変申しわけなく考えているところでございます。ただ、当面緊急に交通安全を確保する必要がある場所につきましては、適切に事業量を重点を置いて配分することによりまして、この状況の中で安全対策に少しでも万全を期する努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。
  147. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 配分の面ではそれなりに努力もされているようでありますけれども、要は財源不足であるということであります。先ほど総務長官公安委員長もこの人命に関する問題についての決意を言われたわけでありますけれども、現在の財源不足の中でその財源確保のためにどういう努力をされているのか、お伺いをいたします。
  148. 鈴木説明員(鈴木道雄)

    ○鈴木説明員 建設省の担当しております交通安全施設等整備事業五カ年計画の事業は、道路整備五カ年計画に含まれている事業でございます。したがって、この財源確保につきましては、道路整備五カ年計画を実施するための財源を確保するという中で対応してまいる考えでございます。  具体的に申し上げますと、揮発油税、それから自動車重量税等のいわゆる道路特定財源を確保するということによって、この交通安全等の事業の財源も確保していきたいというふうに考えております。
  149. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 交通安全施設等整備事業に要する費用につきましては、公安委員会分といたしましては、都道府県の警察に要する経費でございます。したがいまして、原則として都道府県が支弁することになっておるわけでございますが、そのうち特定事業につきましては、所要額の十分の五を国が補助することになっておりまして、これは現在国の一般財源から補助をしていただいておるところでございます。  また、地方単独事業、これは標識、標示等の事業でございます。これに要する費用はその全額を都道府県が自己財源で負担をするものでございますが、その財源の中には交通安全対策特別交付金も含まれているところでございます。  交通安全施設整備安全対策の基盤であると考えておりますので、財政当局も含めまして関係機関に対しましては最近の厳しい交通情勢を説明して御理解をいただく努力をしているところでございますが、今後とも財源の問題につきましては鋭意努力をしてまいる考えでございます。
  150. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 一つの提案でありますけれども、御存じのとおりに自動車重量税が、昭和四十六年当時の道路建設の状況交通混雑に対応するために、道路その他の交通社会資本の充実のために創設をされました。しかるに現在は、その重量税の四分の三の国分のうち、八割相当分は道路特定財源として運用されておりますけれども、残り二割分は、一部は公健法に使われておりますけれども、その他は一般財源というふうになっております。この部分について、重量税創設の趣旨等もかんがみて交通安全施設等整備の財源に充当すべきではないか、そういうふうに考えますけれども、いかがでしょうか。これは警察庁の方の関係と大蔵省にそれぞれお伺いいたします。
  151. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 確かに先生のおっしゃることは一つの御意見として私どもも受けとめるわけでございます。  ただ、私どもの公安委員会予算といたしましては、交通安全施設整備につきまして制度的にすべて一般財源で措置をするということになっておりまして、財源につきまして多少そういった措置がございますのは、交通安全対策特別交付金が地方単独事業の財源の一部になっておるということのみでございます。したがいまして、これに特定財源をさらに加えて手当てができるかどうかということは、今の制度に対しては大きな課題でございますが、今後の検討課題であろうと考えております。
  152. 吉本説明員(吉本修二)

    ○吉本説明員 重量税の特定財源化を図れという御趣旨だと思いますが、一般論として申し上げますと、特定財源制度といいますのは、財政の目的といたします資源配分機能というのがございますけれども、そういう資源の適正な配分機能をゆがめまして財政の硬直化を招く傾向があるということで、その妥当性について常に既存の制度についても見直しが必要でございますし、新しいものを導入するかどうかというのは慎重に検討しなければならない課題だと考えております。  特に御承知のとおり、現下の膨大な国債発行下の厳しい財政事情のもとにおきましては、特定財源制度をさらにつくるというようなことは適切ではないというふうにお答え申し上げざるを得ないと思います。よろしく御了承のほどお願い申し上げます。
  153. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 財源がなくて五カ年計画も順調に進んでいない。しかもその一方で人命がどんどんと失われている。そういう状況の中で、やはりいろんな工夫をすることが必要だと思うのです。特に先ほどの道路管理者分あるいは公安委員会分それぞれ見ても、例えば公安委員会分を見ても、年々金額も実績が低下をしているというのは問題だと私は思うのです。しかも、先ほどの重量税の話からすれば、そもそも創設時の重量税の趣旨からしても、二割分のうちの一部はそういう形で使われていないという現状もあるわけであります。そういう意味でそうした工夫をすべきであるし、先ほど警察庁の方からは今後の検討課題だというふうに言われましたけれども、これは大蔵省も含めてそれぞれの関係者がその検討をしっかりやっていただきたい、私はこういうふうに強く要請をいたします。  次の質問に移りますが、先ほども触れましたように、交通事故死者が昨年九千五百二十名と再び一万人の大台に近づいてくるというような深刻な事態になっておりますけれども、状態別死者数についてお伺いいたします。五十四年に対して昨年はどういうふうになっているか。それから、二輪車乗用中の死者が特にふえているというふうに聞いておりますけれども、いかがでしょうか。
  154. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 昭和五十八年の状態別死者数を五十四年と比較をして申し上げたいと思います。  歩行者が九十六人、三・三%、自転車乗車中が四十七人、四・七%、それから道路外におって死亡したという人が十一名、二九・七%それぞれ減少をいたしております。反面、二輪車乗車中の死亡事故は七百十九名、四六・七%、それから自動車乗車中が四百八十九名、一六・三%、それぞれ増加しております。こういった増減の数字の中に、最近五年間の交通事故死者を中心にして見ました形態の推移をごらんいただけるかと思います。
  155. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 今二輪者乗用中の死者が四六・七%というふうに言われましたけれども、これの対策はどういうふうにされておりますか。
  156. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 最近、二輪車利用の増加が極めて目覚ましいことは先生理解のとおりでございます。しかも、そういった二輪車による死亡事故増の中には、年齢別に見ますと、特に自動二輪の場合におきまして、利用年齢を反映したと申しますか、十六歳から二十四歳の若年層が多いということで、若年層の利用が特に多い乗り物であるということは一つの側面であろうと思います。  もう一つは、自動二輪が非常に多いというのは日本の特有の交通事情だろうと思いますけれども、これはこういった現今の過密交通状況考えますときに、要するに混合交通一つの典型でもあろうと思うわけでございまして、こういった状況交通量がふえるに従いまして交通事故に関与する度合いを押し上げていくものだと考えておりまして、こういったことが二輪事故増加の構造的背景であろうと思うのでございます。  したがいまして、二輪車対策といいますものは、こういった点にメスを当てるということでございまして、いわゆる若年者、初心者対策といった運転免許取得あるいは安全教育における配意が一つ。それから混合交通という現状を踏まえまして、交通環境の面におきましても、二輪と通常の四輪をできるだけ分離あるいはその存在を明らかにしていくといった環境上の対策が必要であろうと思います。最近ぼちぼちあちこちで例が見えることでございますが、二輪車レーンの設定であるとか、昼間点灯運動であるとか、段違い停止線対策であるとかいったようなものは、そういった二輪と四輪の分離という混合交通の原型に着目した施策であると考えておりまして、今後の施策一つの方向を示すものであると考えております。  もう一つは、二輪が最近急速にふえたということで、二輪に対する関心が全般的に十分に盛り上がっていないという点もあるわけでございます。こういう点が交通警察の面に反映するとすればやはり問題でございまして、昨日、安全運動の最中に全国一斉の二輪を中心にした指導取り締まりをいたしましたのも、警察官の街頭活動の中で、特に二輪に対する着目を深めるということをねらいまして実施したものでございます。そういったようなことを系統的、総合的に進めることによってこの二輪対策を進めてまいりたいというのが私どもの基本的な構えでございます。
  157. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 自動車乗用中の死者もふえているわけでありますけれども、これに対する対策はどのようにされておりますか。
  158. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 二輪車対策は、先ほど申し上げましたように最近の現象に応じた施策という面がございますが、四輪はまさに交通安全対策というものが議論されましてから絶えずその対象であったものでございます。したがいまして、その増加という傾向は、従前の対策の頭打ちであるとか全般的なこの種の問題についての関心の変化であるとかいった形にその背景を求めざるを得ないと思うわけでございます。したがいまして、一般的な交通安全意識の不毛化と申しますか低下という現象があるのではないかという懸念もございます。そういう点につきましては、交通安全問題がもう既に過去の問題であるという認識に対しまして強力に警鐘を鳴らし、安全運動あるいは交通秩序維持のための努力を、これは方法としては古典的なものでございましても、その点につきまして改めて見直しをし、これを強力に進めることであろうと思うのでございます。  もう一つは、これは二輪と共通する面もございますが、交通量が非常にふえてきたことによりまして日本の道路交通の質がいろいろ変化してきた、これが道路環境その他に反映いたしまして以前ほどには事故が減らなくなったか、あるいは逆に事故がふえるようになってきたことの背景でもあろうと思うわけでございます。したがいまして、そういったあらゆる自動車社会における運転者、車を含めての肥大化現象というものに構造的な問題点をとらえまして、これをコントロールするために必要な環境整備、これは道路整備等を道路管理者がされるのと同じでございますが、こういう点を含めまして、良好な交通環境の中で道路交通を少しでもシステム的に構成していくことによって構造的に事故を減らすということが基本ではあるまいかと考えているわけでございます。  いろいろ方法としては、例えば同じ安全施設でございましても、ただ信号機をつけるよりは、さらにそれを高度化して流れとして合理的に安定化させるという方法で改善を求めていく、これは一つの例でございますけれども、そういう着意をあらゆる施策の面に持ちまして進めてまいりたいと考えております。
  159. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 今お話しになった点はぜひ積極的に展開していただきたいと思います。  次に、自動車乗用中の死亡者の損傷部位を調べますと、頭部損傷が約六〇%、さらに胸部、頸部、腹部を加えるとほとんどが上半身の損傷であると聞いております。こうした状況に対してシートベルトの着用は大変効果があると思いますけれども、その点はどういうふうに考えておられますか。
  160. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 昭和五十八年中の自動車乗車中の交通事故死者を見てまいりますと、車外に放り出されたものが約一割、ハンドルとかウインドーガラスに体をぶつけたものが約五割という数字が出ております。こういったような点にかんがみますと、これらの事故に対する被害の軽減にシートベルトの着用は常識的に言って確かに大きな効果があるだろうと考えてよろしいかと思います。  したがいまして、警察といたしましては、全国交通安全運動あるいはシートベルト着用推進月間等を中心にいたしまして、これを着用することは交通安全上みずからの身を守るという点に非常に効果があるのだということを強調しているわけでございまして、更新時講習あるいは各種の交通安全教育の場等におきましても、こういったものの実施に心がけておるところでございまして、例えばシートベルト着用モデル事業所であるとかモデル地区の指定といったようなことも、今後このような対策を進める上におきましては一つ方法であろうと考えまして、これを推進する所存でございます。
  161. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 シートベルトは車両法保安基準に基づき車両に装備をされているわけでありますけれども、ドライバーの着用についてはどういうふうになっておりますか。
  162. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 シートベルトの着用につきましては、道路交通法七十五条の十第二項に規定がございまして、高速自動車国道及び自動車専用道路におきましては、自動車運転者はみずから座席ベルトを装着し、同乗者には装着させるように努力をする義務が課せられているということでございまして、これは昭和四十六年の道交法の改正で新設をされたものでございます。ただ、このベルト着用ということの意味にかんがみまして、罰則、行政処分等の措置は法上とられていないという現状でございます。  ちなみに、高速自動車国道及び自動車専用道路におきましてシートベルトを着用していたにもかかわらず死亡した者に対しましては、昨年から任意保険におきまして特別保険金を支払うということで、いわば助長策としてシートベルトの着用を奨励するという施策はとられているところでもございますので、申し添えて申し上げます。
  163. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 今のような状況の中で現実の着用率を見てみますと、例えば昭和五十八年秋の全国交通安全運動期間中の状況を見ましても、高速道路で、運転者二八・七%、助手席同乗者二六・二%、それから一般道路では、運転者が二三・四%、助手席同乗者一六・七%といったような低い状況にあるわけです。シートベルトが事故の際の死傷防止に非常に有効であるとされながらも、現実には今申し上げたように低いわけでありますけれども、どこに問題があると考えておられますか。
  164. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 確かに先生おっしゃるとおり、シートベルトの着用率につきましては年々増加をしておりますけれども、現実の数字は決して好ましいものではございません。  その理由といたしましては、シートベルト着用の効果につきまして正しく十分に理解が及んでいないということであろうと思いますが、着用に手間がかかるということも、現在のドライバーかたぎに余りぴったりと結びつかないという点にも原因があろうかというふうに考えるところでございます。これは、ある調査によりますと、着用しない理由といたしましては、面倒だ、窮屈だというものが多いということでございまして、そういった懸念を裏づけるものではないかと考えております。もっともその反面、おれは全くつけるつもりはないといった着用の拒否派というものは実はかなり少数でございます。したがいまして、こういったことを踏まえて考えますと、やはり適切な動機づけをすることによりまして着用率の向上を図る余地はまだあるのではないか、その辺に今後の問題の展開の糸口を見つけるべきではないかというのが私ども考えでございます。
  165. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 諸外国におけるシートベルト着用の法制度がどういうふうになっているかお伺いいたします。
  166. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 これは私どもの不十分な調査であることをあらかじめ御了解いただきたいと思いますが、一九八三年六月現在で約三十カ国が法制化をされていると聞き及んでおります。その分布を見ますと、ソ連を含むヨーロッパ諸国で約二十カ国、他の主要な国といたしましてはオーストラリア、ニュージーランド、カナダ等となっているところでございます。  法制化の形態といたしましては、西ドイツなどの例外を除きましてほとんどのところで罰則がついていることは事実でございます。オーストラリアの一部におきましては点数制を課している場合もあるというふうに承知をいたしております。  それから、着用強制の対象といたしましては、前部座席のみを規定している国が多いわけでございますが、オーストラリアの一部では後部座席に乗っている者に対しても対象としているという例もございます。また、いろいろ医学上の理由あるいは業務上の理由、これは緊急自動車であるとか配達業務等であろうと思いますが、あるいはバック走行といったような特殊の場合に適用除外を定めている国も実はかなりございます。  各国とも、法制化後、着用率は大幅に上昇しておるというふうに聞いておりますし、また、その結果として交通事故死傷者数の減少にかなり効果があったというふうに言われておることは事実でございます。
  167. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 最近では、昨年の一月にイギリスにおいて乗用車及びバンについてシートベルト着用の法制化がなされたようでありますけれども、それについての評価はどういうふうに見ているのでしょうか。また、その法制化の結果、死者数が大幅に減少するなど大変効果が上がっているというふうに私は聞いているわけでありますけれども、その辺も含めてどういうふうに評価をしておりますでしょうか。
  168. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 まとめて申し上げます。  英国におきましては、御指摘のとおり一九八二年八月二十三日にシートベルト強制着用法令が成立をして、一九八三年一月三十一日に施行されたと聞いております。在英日本大使館からの情報によりますと、施行後におけるシートベルト着用強制の対象である前部座席乗車中の者の死傷者の数は、前年同期に比べまして死者数、重傷者数は約二五%、軽傷者数は約一一%減少したというふうに聞いております。  なお、着用率につきましては、法制化の前までは三〇%前後でございましたが、施行後は九〇%を超えたと聞いておるところでございまして、それなりの効用がやはりあったというふうに評価をしておるところでございます。
  169. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 私の聞いておるところですと、イギリスばかりじゃなくて、オーストラリアでもフランスでもスウェーデンでも、それぞれにおいてシートベルトを着用することの法制化によってイギリスと同じような効果を上げているようであります。そういう意味で日本もシートベルト着用の法制化を考える時期に来ているのではないか、こういうふうに言う専門家の意見も多いというふうに私は思いますけれども、どうでしょうか。
  170. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 シートベルトの着用を罰則ないし点数つきで法制化をすればその着用率が大幅に向上する、そして交通事故被害の軽減に大きな効果があることは、確かにおっしゃるとおり諸外国の例から見ましても実証はされるだろうと考えます。  ただ、我が国におきましては、これは我が国のいろいろドライバーの意識あるいは一般の考え方等もあるわけでございますが、罰則等によって一挙に着用を強制するということにつきましては、それが他人に被害を及ぼす問題だとストレートには言い切れないという面でかなりの抵抗があることもこれは事実でございます。もちろん、多くの方がそういう点を考えても強制化に踏み切るべきだという議論が最近とみに多いことは私どもも十分に承知をいたしておりますけれども、現在の状況といたしましては、そういうことにも十分な目を配りつつ、シートベルト着用の効果についての広報活動等による運動の中で、みずからを守るという意識が運転マナーを高める、そして国民の自発性に基づく着用率に努めてきたという今までの方策をさらに進めるということを、もうしばらくはやっていくべきではなかろうかというふうに考えているところでございます。  そういうことの中で、特に安全運動等におきましてもこの辺の強調はいたしておるところでございますが、将来の問題といたしましては、今お話ございましたような点も、私どもとしては十分に意識の中に持って検討を進めたいとは考えております。
  171. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 今一部触れられもいたしましたけれども総理府交通対策本部の決定で毎年八月にシートベルト着用推進運動を実施しておりますが、ドライバーのシートベルト着用の習慣化を徹底させるための啓発指導等についてどのように推進しているのかをお伺いいたします。  また、ドライバーはシートベルトの効用を知りながらも、先ほどお話もありましたけれども、面倒くさいとかあるいは窮屈だというようなところが率直な気持ちと思いますが、運転マナーも含めて、今後の交通安全思想の普及徹底についてどのような所見を持っているかお伺いいたします。
  172. 波多政府委員(波多秀夫)

    波多政府委員 総理府におきましては、毎年八月、推進月間といたしまして関係省庁、地方公共団体、民間団体の主催及び協賛のもとに幅広い運動として展開をいたしているところでございます。具体的にはテレビ、ラジオ等による広報活動重点的な実施、あるいは各種講習の機会を通じての運転者等に対する啓蒙指導、あるいはシートベルトモデル事業所、シートベルトモデル地区路線の設定、あるいは街頭における指導の重点的実施といったことを推進をいたしておるわけでございますが、今回の春の安全運動におきましてもシートベルトの着用推進重点目標として取り上げておるところでございますし、月間に限らず常時こういった啓蒙活動、啓発活動を活発に展開いたしまして、着用推進を図ってまいりたいと思います。  また、ドライバーのマナーを含めました安全意識の問題につきましては、やはり交通事故防止のためには、政府の努力と相まちまして国民一人一人の交通安全に対する心構えが極めて重要であると考えております。こういった見地に立ちまして、啓発活動の重要性といったことを十分認識いたしまして今後とも活動を進めてまいりたい、かように考えております。
  173. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 信号機についてお伺いしたいのですけれども、信号機は交差点や横断歩道において車両や歩行者交通をさばいて、交通の安全と円滑を保つために重要な施設でありますが、設置場所等が適切でないとかえって交通事故等の増加に拍車をかけるという結果にもなって、交通安全上逆効果にもなります。また、地域によっては相当数の信号機が乱立しているために、交通渋滞や騒音をまき散らす原因となって、市民に迷惑をかけていると言われてもおるわけであります。このような交通渋滞や騒音の防止のための対策として、信号機の系統化を全国的に広めていく考え方があるのかどうかをお伺いいたします。
  174. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 信号機は、日本特有の道路事情と交通事情を踏まえましたときに、極めて効果的な交通整理手段だと考えております。したがいまして、それが安全と円滑に資することは御指摘のとおりでございまして、その実を上げるために努力してきたところでございますけれども交通流れていくものでございますから、個々の信号機の相関関係をよくすることがぜひとも必要であるということは御指摘のとおりでございます。  したがいまして、当然の帰結といたしまして、信号機の数がふえるにつれましてこれを系統的にするということは、信号機を必要とする周辺の背景の事情を考えますときに、全国的に同じように進めていく必要があるというふうに考えているところでございます。特に交通の量がふえてまいりますと、交通流れを安定的にコントロールしてやることは円滑のためにもプラスであると同時に、最も今日的な安全対策でもあると考えておるところでございますので、系統化の推進は現今における極めて有効な安全対策として意識をして、全国的に広めたいということで現在推進しているところでございます。
  175. 伊藤(英)委員(伊藤英成)

    ○伊藤(英)委員 時間がなくなりましたので、ちょっとお願いだけしておきます。  最初に、総務長官並びに公安委員長からも交通事故防止に対する決意が述べられましたけれども、本当に現在の状況というのは大変な状況だと私は思うのです。そういう意味で、その決意がそのまま実行をされ、効果が上がるように万全の策をとって頑張ってやっていただきたいなということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  176. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 次に、辻第一君。
  177. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 交通事故が年々減少しておったのが一昨年から再び増勢に転じて、非常に憂慮すべき事態を迎えていると思うわけであります。近年の交通事故増加の特徴の一つ二輪車交通事故増加というふうにも考えているわけでありますが、それに関連をしていわゆる右直事故ですね、右折の四輪車と直進の二輪車事故についてお尋ねをしたいと思います。  これまで左折時の巻き込み事故が大きな問題となって、各方面からこれに対する検討、対応がされていましたが、今度は右直事故が新たな問題になってきたと言っていいのではないかと思うわけでございます。  さて、右直事故の近年の推移を含めて実態お尋ねしたいと思います。警察庁お願いします。
  178. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 直進の二輪車と右折の四輪車が交差点において衝突をするいわゆる右直事故とおっしゃった事故が、最近の一つの問題であることは御指摘のとおりでございます。  自転車が関連したものを除きます車両相互による死亡事故の中で、右折時の衝突事故というのは昭和五十五年から統計をとっておりますが、その発生状況は五十五年におきまして二百四十件で、全死亡事故の二・九%、五十六年で二百九十三件、同じく三・五%、五十七年で三百二十一件、同じく三・七%、五十八年で三百八十一件、同じく四・二%ということになっております。ただし、これは交差点における直進と右折のすべての事故でございます。  この中で、御質問趣旨にずばり当たります直進二輪車と四輪右折のいわゆる右直事故につきましての統計は、残念ながらございません。しかし、これに近い統計数値といたしまして東京都において個別的にとった数字がございますので、これによってかえて申し上げますと、東京都における交差点内の右直事故の発生の数字といたしましては、五十六年におきまして二十四件、これは全死亡事故件数の七・二%でございます。五十七年におきまして三十四件、同じく八・六%、五十八年で四十一件で、全死亡事故の一〇・四%に及んでおるという実態でございます。
  179. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 今のお話でも、確かに右直事故は大きな増加をしているというのが現状だと思うわけです。  この右直事故が発生する問題点の解明ということはいろいろやっていらっしゃると思うのですが、このように増加をしたということも含めて、解明されたことをお尋ねしたいと思います。
  180. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 いわゆる右直事故というのは、現在のような特に都市におきまして過密交通混合交通ということの中で生じる事故の典型的なものであるというふうに考えるわけでございまして、これが遠因であろうと考えます。ただ、その直接の原因といたしましては、右折の四輪車側から見ますと、要するに近づいてくる二輪車の接近速度を低く見る傾向があるということが一つでございます。もう一つは、対向してくる直進車に、乗用車の支柱等によりまして死角が生じて、これによって間近に入った直進二輪車を見落とすというようなことが一つ促進要因ではあるまいかというふうに現在分析をいたしております。  また、直進の二輪車側の方から見ますと、直進車優先という意識から交差点で速度を落とさないということが、四輪車の速度感覚のぶれとあわせて事故につながりやすいということの第一ではあるまいかと思います。  それから、二輪車運転者というものは、先生ごらんになると御承知のように、どちらかといいますと運転中、前かがみの乗車姿勢になります。したがいまして、近くの路面ばかり見る傾向がございますので、横方面あるいは前方方面への目配りに欠けるところの視覚特性があるのではないかということで、右折の四輪車を見落としやすいのではないかというように考えております。こういったような現象が、直接解析いたしますと両方のドライバーサイドから見た主な原因ではないか思うのでございますが、こういったことを踏まえて、いろいろ指導取り締まり等の中でそういった点についての注意を喚起するということの必要性を示しているものではないかと考えております。
  181. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 けさも国家公安委員長から交通マナーのお話があったわけですが、そういう問題も大切な問題だと思います。私も車だ乗るのですが、よく考えてみますと右折のときというのは大変難しいのですね。決意と勇断が要るみたいな、そういうときもあって、それが間違って事故が起こりかねないということもあると思うのです。  私は一遍、奈良の田舎に住んで、田舎と言うと奈良の人が怒るかもわかりませんが、大阪へ行きまして、大阪の過密な交差点で右折がうまくできなくて、取り残されてブーブー言われて、えらい目に遭ったことがあるのですが、その場所によって非常に難しいところがあります。何とか具体的な対策がないのかというふうに思うのですが、その点ではいかがでしょうか。
  182. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 警察といたしましては、このような右直事故防止するための直接のものといたしましては、やはりまだまだ何といいましても、二輪と一般四輪との混合交通というものについてどのように対応していくべきかという点の知識が十分でないというところに大きな問題があるというふうに考えております。  したがいまして、当面この問題は、いろいろ各種の講習会あるいは安全教育の機会に際しまして具体的に例として取り上げて注意を促し、いかに運転上注意力と問題意識が要るかということを示す一つの具体的な教材として活用したいということでございます。さらには、これを引用いたしまして、交差点におけるスピードの抑制あるいは一時停止の励行あるいは安全確認の徹底等につきまして、具体的な事例としてこれを強調する素材であろうというふうに考えておるところでございます。  もう一つは、四輪のサイドから見ましても、混合交通の形態の中では二輪車に対する特有の注意ということの指導が必要であろうと思っておりますので、単に二輪車サイドに対していろいろ言うだけではなく、四輪車サイドに対しましても、混合交通の中における注意すべき現象の一例としてこれを取り上げて教育をしていくという構えでございます。やはりそういった問題意識を持たして一線が活動するということは、一つの具体的な方策として定着し得るのではないかと考えております。  もとより右折の問題というのは一般的に非常に問題でございますので、最近は道路管理者等ともいろいろ協力をいたしましてそういう施策が進んでおりますが、例えば交差点において右折レーン等を設けまして、右折待ちの車が後続車に余り懸念をせずに安心をして信号の変わり目に右折をすることができるといったような環境をつくることも重要な右折対策の一環ではあるまいかと考えております。こういう点につきましては、今後も意を用いて推進いたしたいと考えております。
  183. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 ぜひ十分な解明と十分な対応をとっていただきたいと重ねて要望をしておきます。  次に道路標識の問題についてお尋ねをいたします。  警察庁の「昭和五十九年中における交通警察の運営」という中に、「歩行者等に係る道路標識及び道路標示については、歩行者等に分りやすいものとする」、このように述べられております。そして一方、道路標識や道路標示について、歩行者やあるいは運転者、このような道路利用者からわかりにくいなどの苦情が多いように聞いておるわけでありますが、どのような苦情や意見が出されているのか、お尋ねをいたします。
  184. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 御指摘のとおり、道路標識道路標示の設置につきまして歩行者とおっしゃいましたが、歩行者からも警察に寄せられておる意見や苦情はいろいろございます。  例を申し上げますと、例えばいろいろな広告や道路標識が乱立していてわかりにくいといったような指摘、それから歩道上に広告物、道路標識、電柱等がたくさんあって、これがかえって通行の邪魔になっておるといったような指摘、それから道路標識が木の枝等で見えにくくなっているといったような意見、それから道路標識や道路標示がさびたり摩耗したりして、はっきり意味がわかりにくいといったようなものがございまして、こういうものが、ほぼ歩行者から寄せられる標識等についての苦情の典型的なものではないかと考えております。
  185. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 恐れ入りますが、運転者はどうでしょうか。
  186. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 運転者につきましては、私ども今手元にその点につきましての明確な資料を持っておりませんが、ただ経験則上からいろいろ私ども承知をしておるところを申し上げますと、やはり標識の数が多くて瞬時にいろいろその点を見分けにくいといったような苦情、あるいは速度感覚から見て標識の大きさが十分でないので見落としやすいといったような苦情は、私ども運転者方々といろいろ懇談等をいたしますときに標識についてのいろいろ注文という形で接することはございます。したがいまして、こういう点は、ドライバーの人たちが標識に対して持っておる一つの注文ではなかろうかというふうに考えております。
  187. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 今いろいろ苦情や意見のお話を聞いたわけですけれども道路標識や標示については、やはりいろいろ問題点があるというふうに私も日々感じているところであります。この標識や標示については、昭和四十六年の道路標識、区画線及び道路標示に関する命令、いわゆる標識令が改正されて以来、一部の手直しを除いてほとんど変わっていないというのが実態だと思うのですね。これについては警察庁と建設省、両方に関係があると思うのですが、もっとわかりやすいものにする対策をお考えになっているのかどうか。その点、まず警察庁から……。
  188. 久本政府委員(久本禮一)

    久本政府委員 いわゆる標識令、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令でございますが、これは昭和五十三年に道路交通法の改正に伴いまして改正をいたしまして以降、現在まで改正をしていないことは事実でございます。ただ、その後現在までにいろいろ行使の関係で、標識、標示についての注文が運転者歩行者交通関係の団体等から寄せられておるところでございます。こういった意見を絶えず徴しながら、道路交通情勢の変化に応じて標識令のあり方を考えるということは私どもの日常の義務であろうとも思っておりますので、この点につきましての問題意識は当然持っております。また部内におきましても、この点の検討は傘下に絶えずこの辺の情報収集と検討を進めさせておるところでございます。  ただ当面の問題といたしまして、例えば先ほど申し上げましたように、標識の数が非常に多いという点につきましては、もちろんこれについての統合、見直し等の問題もございますけれども、当面の問題といたしましては、やはり場所の工夫とともに、可変標識を設置して、なるべくそのときそのときに見える情報量というものを集約するとか、あるいは標識の共架、要するに同じ柱に共同でつけるということとか、オーバーハング式あるいはオーバーヘッド式のものを設けるといったような、ドライバーから見た視認性を十分に高める設置方法をとるということも、実はその辺の注文の背景として大きな意味があることではないかというふうに考えているわけでございます。  したがいまして、施設整備の過程でこういう点につきましてはかなり努力をしてきたところではございますが、これは金が要りますのでなかなか思うようにいってないというハンディはございますが、この点については十分に私どもの当面の課題だというふうに考えております。  またもう一つ、標識の数が多いという点につきましては、いろいろ住民の多面的なニーズに対応しようと思いますと、規制そのものがどうしても細かくなる。したがって、それを具体的な標識で示すためには、その辺に細かな数字やあるいは標識の数が多くならざるを得ないという事情もございますが、方法といたしましては、なるべく規制は単純な方が、一見不便なように見えましても、ドライバーにとっても歩行者にとっても守りやすくわかりやすいということで、規制の実施等におきましても意を用いまして、間接的にそういう標識が多くなるという点につきましては抑制するように努力をいたしてまいりたいと考えております。
  189. 鈴木説明員(鈴木道雄)

    ○鈴木説明員 建設省といたしましても、道路管理者の立場から、利用者の便に供するために道路標識の整備について努力してまいったところでございますが、さらに見やすくわかりやすい道路標識の設置を今後図っていきたいということで、五十八年度から予算措置をいたしまして、道路利用者や学識経験者から成る道路標識の改善特別委員会というものをつくりまして、その中で文字等デザインの改善あるいは統一的な地名の標示、通称道路名の採用、あるいは道路地図と整合性のとれた案内標示などの課題について今検討を進めているところでございます。この検討の結果を踏まえまして、ただいま御指摘のありました見やすい、わかりやすい、利用者の立場に立った道路標識の整備をするように今後も努力してまいりたいと考えております。
  190. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 そのような改善をしていただく上では、先ほど申しましたように、利用者に本当にわかりやすい、そして案内標識は利用者のためのものとの視点が必要なことは言うまでもないのですが、中には方面とか方向とか距離など標識が不適切なものもあるのではないかと思うわけでございます。例えば地名の標示、あるいはA地点で○○まで十キロの標識があって、それから先へ行きますと今度は同じ○○というところまで十二キロになっているというようなところもあったようであります。そういうことも含めて、非常に正確な適切な標示にしていただきたいというふうに思います。  それからまた、先ほど警察庁も話がありましたように、余り丁寧にすると複雑過ぎて、かえってまた標示ばっかり見ていては前に走れない、絶えず横を見て走らねばならぬということにもなりかねないという問題もあるわけでありますが、今後そういう点も含めて、難しい問題があろうかと思いますけれども、十分な対応をしていただきたいということを要望して、次の質問に移りたいと思います。  次に、ミニバイクの放置対策についてお尋ねをいたします。  自転車の駐車対策については、昭和五十五年にいわゆる自転車駐車場法が制定をされました。まだまだ不十分ですが、一定の対策施策が行われてきているということであります。駅前の周辺など、いまだに放置自転車はたくさんあるわけでありますけれども、その中にミニバイクが相当見られるというのが今日の現状だと思います。その実態はどのようになっているのか、建設省にお尋ねをいたします。
  191. 依田説明員(依田和夫)

    ○依田説明員 お答えいたします。  いわゆるミニバイクにつきましては、最近大分普及が進みまして、鉄道駅の周辺に大量に放置されている状況がございます。街路課で五十七年の九月に地方公共団体を通じまして調査をいたした結果でございますが、全国の駅周辺に放置されておりますミニバイクは、五十台以上放置されている駅についてのみの集計でございますが、合計で約十五万台となっております。
  192. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 この点に関してちょっと総理府お願いをしておきたいのですが、この放置ミニバイクについても毎年調査をしていただけないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  193. 波多政府委員(波多秀夫)

    波多政府委員 総理府におきましては、放置自転車実態調査を二年置きに実施をいたしておるところでございます。その中におきましてミニバイクの数についても把握するようなことについて検討をしてみたいと思います。
  194. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 ぜひミニバイクのも調査をしていただきたい、できれば毎年していただきたい、重ねて要望いたします。  ミニバイクは、その手軽さやその便利さその他で、どんどん台数が増加をしているということですが、この増加状況から見てまいりますと、第二の放置自転車問題となるのはもう目に見えている状況だと思います。そこで、これまで行政的にどのような対策をとってこられたのか、建設省にお尋ねをいたします。
  195. 依田説明員(依田和夫)

    ○依田説明員 まず、自転車のみの駐車場についてでございますが、これは昭和五十三年度より国庫補助事業として、公共団体の実施する自転車駐車場整備推進を図ってまいったところでございます。ミニバイクにつきましては、昭和五十九年度より、ミニバイクをあわせて収容する自転車駐車場につきまして補助制度が始められたところでございます。本年度につきましては、全国で十三カ所のミニバイクを収容する自転車駐車場に補助をすることといたしております。また、同様の趣旨で直轄国道事業でも実施することといたしておりまして、本年度は全国で六カ所の整備を行うことといたしております。
  196. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 ところで、国のいわゆる自転車駐車場法では、ミニバイクについての規定はないのですね。もっぱら自転車に限っての法律ということだと思うのです。また、地方公共団体が制定をした自転車対策関係条例では、単に自転車だけのところと、またミニバイクも含めたところ、いろいろであるようであります。私は、全国的に統一した方針や方策が必要であると考えるのですが、その点、建設省いかがですか。
  197. 依田説明員(依田和夫)

    ○依田説明員 建設省で実施いたしております事業につきましては、いわゆる予算補助として開始されたものでございますが、補助基準に従いまして自転車駐車場、必要があればバイクもあわせて収容する駐車場の整備について、差別なく実施をいたすところでございます。
  198. 辻(第)委員(辻第一)

    ○辻(第)委員 余り明確ではなかったのですが、方向としては統一した方針や方策をとられるように重ねて要望をいたしまして、私の質問を終わります。
  199. 坂井委員長(坂井弘一)

    坂井委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十分散会