○関
委員 あなたは
大臣なんですからね。あなたはただの人じゃないのですよ。そして
国土庁長官です。青森県民は
国土庁長官が来たというので、
国土庁長官がこの開発
計画について何と言ってくれるかとかたずをのんでお話を待った。待ったら何というお話だ。石油コンビナートは一部の一部にすぎない、こう言ってみたり、また核燃料サイクル基地には適しているんじゃないかと思うと言ってみたり——あなたの守備範囲というものは、核燃料基地の問題についてはある程度研究された上で意見は出されなければなりません。
ところが、この場所というのは、さきには十勝沖地震、それから昨年もまた日本海中部地震、この影響だってここまで来ているのです。
昭和四十三年の十勝沖地震で青森県でつくった「青森県大震災の記録」というのがあります。青森県が、時の知事が立派なものをつくった。青森県の関係の学者を全部集めてやったのです。そしてあの十勝沖地震という名前は間違っている、あれは下北東方沖地震というのが正しいとまで後で言われているのです。そしてこの地域というのは、長い歴史の中において五十年に一遍大地震発生の箇所である、地震の巣だと言っているのです。それがためには、それぞれの地層、海底、そういうようなものを全部調べて、何キロにわたって何度の温度があるとか、何キロの地点についてはどういう熱があるとか、どういう地層があるとか、活断層についても地形についてもいろいろと研究して、この場所は危ないということを言っているのです。ですから、そういうことをも踏まえないで軽々に、広がっている土地があるから適地だ、道路もできているし港もあるからなんということで言われた日にはかなわない。五十年に一遍地震が来るような場所だということと、活断層が走っている場所だということと、地理的条件においては非常によくない場所だということぐらいは認識しておいてください。まああなただって長く
大臣する人でもないし、まだなって間もないだけだから。総理がかわればかわるのだから、歴代の
大臣の在任年数というのはちゃんとある。そういう
意味において、
大臣の地位というもの、
大臣の発言というものは重いものだということを考えながら、軽々に物を言って県民を惑わすようなことや
国民を惑わすようなことはしないでいただきたい。お互い神様じゃないのだから間違いがあります。間違いがあるけれ
ども、許し得る間違いと許すわけにいかない間違いがある。こういう点については、長官にはよほどしっかりしてもらって、私の話をよく耳に入れておいていただきたい。閣議口頭了解ということで進んでおるところのこのむつ小川原開発というものの重さ、そしてこれがやがて挫折して改めなければならないときは、
地元住民の意思ではなくて、
政府が責任を持って方針を定めなければならないのです。あなたは先ほど
地元住民の
要求があれば、また望んでもいるようだから核燃料サイクル基地の方に行けば行ってもいいようなお話をしているが、住民に責任を転嫁させるべき問題でもない、これはすぐれて我が国の科学政策の問題でもあります。
ですから、この問題については
国土庁の長官というものの言動、それから、これはあなたの方で醸成して育ててきたむつ小川原開発株式会社というものがある。このむつ小川原開発株式会社というものが今日一千四百億を超える借金ですよ。普通であればもう破産です。何でこれが破産しないで生きているのだろうと不思議でたまらない。それを生かしているのが、今お隣に座っている
北海道東北開発公庫の総裁なんです。きょうは特別総裁に来てもらったのもそこに理由があるわけです。
大臣は総裁をどの程度まで管理監督する権限があるか。監督庁は
国土庁だと思ったから
大臣も相当に関与しているだろうと思うし、その
意味においては責任があるし、よく聞いていただきたい。ただ、法律によると主務
大臣は総理
大臣であり、また
大蔵大臣、こう定められております。ですから、私もこの点につきましては
委員長に、できるのであるならば総理
大臣もしくは
大蔵大臣に主務
大臣としてのまた見解も求めたいと思いますので、ひとつ御
出席をお願いいたしたいと思います。
そこで、きょうは北東公庫の総裁にお尋ねしたいと思います。聞けば、総裁は腰を痛めているということですから座ったままで
お答えいただいて結構であります。
総裁にお尋ねしたいのですが、総裁はこのむつ小川原開発株式会社にどれだけの責任を感じ、そしてこんなに多額の融資をし続けてきたことについて——千四百億円の借入金のうちの四割を超えてあなたの方の公庫がお貸ししているわけであります。しかも四十八年から今日まで十一年間も、何らの成算の見込みもないもの、何らの利益を上げ得る見通しの立たないものに根気よく金を貸し続けてきた。その金額があなたの方の資本金の二倍を超えているじゃありませんか。あなたの方の公庫の五十七年度の調べによると、貸し付けの総金額が八千億を超え、貸付件数は三千件近い。一件の
平均を見ると三億足らずです。そういうような貸し付けの状態にありながら、自分の資本金の倍を超えるような金までとうとうこの会社に貸し付けするような状態に今ある。一緒に心中するつもりでおるのかもしれぬけれ
ども、これはあなたが公庫の総裁として公庫の体に忠実でなければならない、運営は。その運営方法というものは、また業務方法書に従ってやらなければならない。定款に忠実にやらなければならない。しかし、私から分析すると、法律に忠実にやっているとは思われない。あなた方は貸付要項を手直しして特別にむつ小川原開発の港湾
事業の
地元負担金まで貸し付けするようにしたでしょう。自治体が
負担すべきものを会社が肩がわりして払ってやるということについて、その分までも貸し付けしたでしょう。貸付要項の手直しなら内部でできるかもしれませんけれ
ども、法律を直さなければならない内容じゃありませんか。法律の中に何と書いていますか。これこれ、これこれに貸し付けすることになる。港湾等などというのはない。法律を改正して「港湾等」というのを入れるならばいいけれ
ども、貸付要項の中にそれを入れて、内部通達というもので処理したでしょう。私が内部通達の要項を持ってこいと言ったらあなた方は持ってこない。私には要点だけ持ってきて見せようともしない。
北海道東北開発公庫というのは
政府全額出資の公庫でしょう。これは
国民の税金でつくられている公庫でしょう。それが何です。公庫が出資をしておるむつ小川原開発株式会社というのは、今日資本金わずか二、三十億。あなたの方はその三分の一の十億を
負担しておる。十億を
負担しておりながら、出資金わずか三十億になっておらないこの会社に、他の銀行も合わせますと千四百億をも貸し付けされておる。そしてあなたの責任の範囲内においてその四割を貸しておる。毎年毎年、何らの利益をもたらす見通しがないのに貸し付けておる。あなた方の貸付条件、三つありますね。三つの条件の三番目には、「利益を見通し得る
事業であること。」というのがある。貸した金の利子を払うのに困って、その利子まで貸してやらなければならないこの
事業。幾ら国策であり、あるいはナショナルプロジェクトであるにしても、北東公庫の体の持つ、また北東公庫の持つ定款上の任務、定め、規制から外れてあなた方は運営しているのじゃないですか。背任行為になっているのじゃないですか。その責任は、
国土庁長官の要請があるから貸してきたとするならば、罪は同罪ですよ。どうしてこういうようなことをしてかしたのですか。このことについてこの後もしようというのですか。
この多額の借金のために、今度はむつ小川原開発会社がしゃにむに売りたい。売りたいために出てきたのが、電事連が買おうかということなんです。そして位置づけられるものが核燃料サイクル基地、再処理工場。徳之島でも嫌だと言う、長崎県の島でも嫌だと言う、北海道の奥尻でも嫌だと言う。それを青森県の下北半島ならばいいだろうなんといって持ってきている。青森県民なら猿以下だと思っているのでしょう。私はそうしたやり方はとてもとても容認できるものではない。先ほど長官には、空地が適地だという
考え方はやめなさい。また北東公庫はむつ小川原開発会社運営の責任者でもあるわけですね、出資者なんですから。貸した金を取りたいばかりに、借金を取りたいばかりに、早くここを核燃料サイクル基地にして売り払った方がいいなと思っておるのかもしれない。そのことが我が国の科学政策として正しいというなら別です。あなた方は財政のつじつまを合わせるために、間違って貸した金の取りづけのために公庫をそういう方向に持っていこうとすることしか考えていない。えらい目に遭うのは青森県民です。下北半島、島でもない。島でもだめだと言う。半分島でもいいと言うのでありましょうが、私はそうした
考え方に立って行政をされては困ると実は思っておるのです。
十七日に科学
委員会に出て物を申し上げますけれ
ども、きょうは、
国土庁という仕事、その責任において、また北東公庫のやってきた仕事のふしだらについて監事の諸君にも意見を求めたいと思いますし、また会計検査院も
出席のはずですが、十何年もどうこの会計検査をしてきたのか、見逃しもいいところではないだろうか。ちょっとのことでも誤りは許さないという会計検査院が、これほどの大きな金の始末について何も言ってないのは何事であるかと言いたい。そういう
意味において、ひとつ
お答えをいただければと思います。