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1984-07-11 第101回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月十一日(水曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 浜田 幸一君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 桜井  新君 理事 中島  衛君    理事 井上  泉君 理事 木間  章君    理事 新井 彬之君 理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    金子原二郎君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       東家 嘉幸君    野中 広務君       東   力君    松野 幸泰君       森田  一君    上野 建一君       関  晴正君    竹内  猛君       馬場  昇君    前川  旦君       山中 末治君    伏木 和雄君       古川 雅司君    伊藤 英成君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  出席国務大臣        建 設 大 臣  水野  清君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       永田 良雄君         国土庁長官官房         水資源部長   和気 三郎君         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁土地局長 鴻巣 健治君         国土庁大都市圏         整備局長    佐藤 和男君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         林野庁次長   田中 恒寿君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       松田  泰君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    松原 青美君         建設省建設経済         局長      高橋  進君         建設省都市局長 梶原  拓君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 田中淳七郎君         建設省住宅局長 吉沢 奎介君  委員外出席者         公正取引委員会         事務局審査部第         一審査長    河村  穰君         経済企画庁調整         局財政金融課長 服藤  収君         経済企画庁調査         局審議官    田原 昭四君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         厚生省社会局施         設課長     近藤純五郎君         中小企業庁小規         模企業部参事官 小川 忠夫君         運輸省地域交通         局海上交通課長 小幡 政人君         自治大臣官房参         事官      二橋 正弘君         自治省財政局準         公営企業室長  石田  淳君         会計検査院事務         総局第三局審議         官       島川 庸一君         北海道東北開発         公庫総裁    新保 實生君         北海道東北開発         公庫監事    花輪 千秋君         参  考  人         (水資源開発公         団総裁)    望月 邦夫君         参  考  人         (水資源開発公         団理事)    大嶋  孝君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         参  考  人         (日本原子力船         研究開発事業団         理事長)    井上啓次郎君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ――――――――――――― 委員の異動 六月二十七日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     上西 和郎君 同日  辞任         補欠選任   上西 和郎君     竹内  猛君 同月二十九日  辞任         補欠選任   瀬崎 博義君     東中 光雄君 同日  辞任         補欠選任   東中 光雄君     瀬崎 博義君 七月三日  辞任         補欠選任   関  晴正君     村山 喜一君   山中 末治君     五十嵐広三君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     山中 末治君   村山 喜一君     関  晴正君 同月十一日  辞任         補欠選任   前川  旦君     馬場  昇君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     前川  旦君     ――――――――――――― 六月二十五日  町村公共下水道整備促進に関する請願工藤  巖君紹介)(第七〇〇五号)  同(森田一紹介)(第七〇〇六号) 七月二日  二分脊椎症児者有料道路割引に関する請願  (池端清一紹介)(第七〇六五号)  町村公共下水道整備促進に関する請願池田  行彦紹介)(第七〇六六号)  同(大西正男紹介)(第七〇六七号)  同外二件(田澤吉郎紹介)(第七〇六八号)  同(高鳥修紹介)(第七〇六九号)  同(林大幹君外一名紹介)(第七〇九六号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第七〇九七号)  同(村上茂利紹介)(第七〇九八号)  同(坂田道太紹介)(第七二一八号)  同(瀬崎博義紹介)(第七二一九号) 同月六日  町村公共下水道整備促進に関する請願(伊東  正義君紹介)(第七三一八号)  同(野中広務紹介)(第七三一九号)  同(山下元利紹介)(第七三二〇号)  同(尾身幸次紹介)(第七三四九号)  同(奥野誠亮紹介)(第七三五〇号)  同(佐藤隆紹介)(第七三五一号)  同外一件(塚原俊平紹介)(第七三五二号)  同(野中広務紹介)(第七三五三号) 同月十日  町村公共下水道整備促進に関する請願(足立  篤郎君紹介)(第七四〇〇号)  同(奥野誠亮紹介)(第七四〇一号)  同(佐藤隆紹介)(第七四〇二号)  同(野田毅紹介)(第七四〇三号)  同外二件(野中広務紹介)(第七四〇四号)  同(羽田孜紹介)(第七四〇五号)  同(箕輪登紹介)(第七四〇六号)  同(奥野誠亮紹介)(第七四八一号)  同(北口博紹介)(第七四八二号)  同(谷垣禎一紹介)(第七四八三号)  同(中川昭一紹介)(第七四八四号)  同(林大幹君外一名紹介)(第七四八五号)  同(林義郎紹介)(第七四八六号)  同(小渕恵三紹介)(第七五八七号)  同(加藤紘一紹介)(第七五八八号)  同(小泉純一郎紹介)(第七五八九号)  同(丹羽兵助紹介)(第七五九〇号)  同(船田元紹介)(第七五九一号) 同月十一日  町村公共下水道整備促進に関する請願(稲村  利幸君紹介)(第七六六四号)  同(小渕恵三紹介)(第七六六五号)  同(加藤紘一紹介)(第七六六六号)  同(鹿野道彦紹介)(第七六六七号)  同(岸田文武紹介)(第七六六八号)  同(倉成正紹介)(第七六六九号)  同(中川昭一紹介)(第七六七〇号)  同(野中広務紹介)(第七六七一号)  同(山本幸雄紹介)(第七六七二号)  同(相沢英之紹介)(第七七二〇号)  同(石橋一弥紹介)(第七七二一号)  同(大村襄治紹介)(第七七二二号)  同(瓦力紹介)(第七七二三号)  同(岸田文武紹介)(第七七二四号)  同(工藤巖紹介)(第七七二五号)  同(倉成正紹介)(第七七二六号)  同(佐藤隆紹介)(第七七二七号)  同(中川昭一紹介)(第七七二八号)  同(浜田幸一紹介)(第七七二九号)  同(平泉渉紹介)(第七七三〇号)  同(平林鴻三君紹介)(第七七三一号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第七七三二号)  同(三原朝雄紹介)(第七七三三号) は本委員会に付託された。 六月十六日  国民生活関連公共事業に関する請願(第一三二  二号)は「湯山勇紹介」を「山口鶴男君外一  名紹介」に訂正された。     ――――――――――――― 七月三日  公共事業整備充実に関する陳情書外三件  (第三八八号)  未改修河川等整備に関する陳情書  (第三八  九号)  荒川架橋早期建設に関する陳情書  (第三九〇号)  水源地域対策充実強化に関する陳情書  (第三九一号)  高速自動車道通過市町村関連公共施設等整備助  成金制度の継続に関する陳情書  (第三九二号)  市街化調整区域内の開発許可制度に関する陳情  書(第  三九三号)  下水道整備事業充実強化に関する陳情書  (  第三九四号)  生活雑排水処理対策に関する陳情書  (第三九五号)  地震財特法期限延長に関する陳情書外三件  (第三九六号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 浜田幸一

    浜田委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として住宅都市整備公団理事武田晋治君、日本原子力船研究開発事業団理事長井上啓次郎君、水資源開発公団総裁望月邦夫君、理事大嶋孝君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 浜田幸一

    浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 浜田幸一

    浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。桜井新君。
  5. 桜井新

    桜井委員 このたびは発言の機会をいただいて大変ありがとうございます。  ことしの冬は、御承知のように、私の選挙区を初め北陸、東北地方では五十六年を上回る大豪雪であったわけでございますが、その際は、建設省国土庁ともども大変温かい御配慮をちょうだいいたしまして本当にありがとうございました。しかしこの中で、私はちょっとこの際、おくればせながら、そろそろ六十年度の制度の改正や予算要求の時期も迎えておりますので、二つほどただしておきたいことがあるわけでありますので、まずもってそのことを先にお聞きをしたいと思うわけであります。  道路局長にお尋ねをいたしますが、最近これだけ自動車社会になって、私どものところは、私の住んでいる町でも平均大体二メーター五十ぐらいの降雪があるわけでありますが、どんなに大変な豪雪のときでも、市町村道はほとんど各戸の前まで自動車が行くような時代になったわけであります。ことしの冬もそういうことで大変ありがたい御配慮をちょうだいしたわけでございますが、しかし、ことしの冬は近年にない大豪雪だったために、各町村が既にいただいております交付金あるいは自己財源等が枯渇をしてしまって、実際に除雪費が支払えるかどうかという問題になりまして、二月の末から三月の初めごろにかけて猛陳情をやられたわけであります。実は五十六年のときも同じようなことがございまして、特別交付金までちょうだいしてもどうにもならぬというときは、国の方から予備費の中から除雪費補助金をちょうだいする、過去二回そういう例があるわけですが、それで一番降る盛りの、住民との対応で本当に寝る暇もないほど追い回されている市町村長が、そのために地元をあけて東京に陳情に来なければならぬというようなことは、余りにも人情のない話だと思うので、せっかく開かれている道でありますから、積雪がある程度一定の量へいきましたら、自動的に建設省実態調査をして、この予備費要求をやるような制度を図れないものだろうかどうかということが第一点です。  それからいま一点は、ことしの場合もそういうことでやっていただいたのですが、平年積雪量の一・五倍を超える町村について多少の調整はやっていただいたようでありますが、補助金対象にして面倒を見よう、こういうことでやっていただいております。ところが、平均積雪量が三十センチのところも二メーターのところも同じに取り扱われたのでは大変なことなんで、しかも雪の降り方によっては、時間をかけて降られると、積雪量そのものはそんなに伸びなくても、除雪費というのは大変なんです。絶対量の多いところというのは一晩で一メーターぐらい降るのですから、これはもう市町村除雪費というのは大変な出費になるわけでありますから、ただ比率だけではなくて、絶対量を加味するという考え方がないとだめだと思うので、五六のときもこのことを要求したのですが、その当時検討するというお話だったけれども、今回また同じ結果になって、私の地元では、最大積雪町村が外されてしまった、こういう実態があるわけです。  過ぎたことはとやかく申しませんけれども、この二点だけはぜひ建設省としてある程度の基準を検討していただいて、次回もしこんなことがあったときに、町村長に本当に猫の手もかりたいほどの忙しい手間をかけさせることのないように温かい御配慮を賜るべきだ、こう思っているのですが、いかがなものでしょうか。
  6. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 市町村道除雪費につきましては、通常、普通交付税に算入されておりまして、それを超えるものにつきまして特別交付税により措置しております。これはもう先生御案内のとおりでございます。  しかし、異常豪雪となった五十一年度、それから五十五年度、さらに五十八年度におきましては、市町村道除雪費増高実情にかんがみまして、特に積雪が多い市町村に対しまして、幹線市町村道等除雪費につきまして、臨時に特別の助成措置を講じた次第でございます。今後、御指摘豪雪時におきます市町村道除雪費補助特例措置のあり方につきましては、関係省庁とさらによく相談いたしまして、できるだけ速やかに対策を講じたいと考えております。それが一点でございます。  先ほどおっしゃいました補助率基準平均値の一・五倍というのは、雪の多いところと雪の少ないところではおかしいのじゃないかという御質問でございますが、異常豪雪となりました五十一年度及び五十五年度、五十八年度におきまして、幹線市町村道除雪費について、臨時に特別の助成措置を講じてまいりました。五十一年度におきましては、豪雪地帯に指定されました積雪積算値累年平均積雪積算値のおおむね一・五倍以上の市町村対象とし、五十五年度におきましては、さらに一定期間内の最大積雪深が一メートルを超える市町村で、積雪積算値累年平均積雪積算値のおおむね一・五倍以上の市町村対象としたものでございます。今回も、前回二回と同様、積雪積算値がおおむね一・五倍という基準を採用したものでございますが、前回を上回る六百三十二市町村に対しまして補助を実施したものでございます。  しかし、御指摘のような問題につきましては、今後、特例措置を実施する場合、どのような基準とするのが適当であるか、関係各省と相談いたしまして、これも可及的速やかに何らかの結論を出したいと考えております。  以上でございます。
  7. 桜井新

    桜井委員 ありがとうございました。ぜひそういうことでひとつ検討していただきたいと思います。  さて、六十年度の概算要求の時期を前にして、しかも、四年連続横ばい予算の中で、マイナスシーリングのかけ声もこれあり、大変気になりますので、問題点を順次ただしてまいりたいと思うわけであります。一時間ちょうだいしているわけでありますが、私が駄弁を弄するせいもあるのですけれども、時間が少ないので、ひとつ各局長、要領よく御答弁いただければありがたいと思います。  最初に、道路局長にまた続いてお尋ねしたいのでありますが、ことしは第九次道路整備五カ年計画のまだ二年目でございます。したがって、今から結論づけるのは早いかとも思われますけれども公共事業のゼロまたはマイナスシーリングによって、進捗率がかなりおくれておると思うわけでございます。このままで、国民への公約とも言えるこの計画が果たして完全実施できるかどうか、非常に疑問でありますし、また国民もこのことについて強い関心を持っておるわけでありますが、当局のお考え方をお尋ねいたします。
  8. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 近年の厳しい財政事情のもとに道路予算抑制されておりまして、先生指摘のように、昭和五十八年度からスタートいたしました第九次道路整備五カ年計画進捗率は、本年度、昭和五十九年度末におきまして三四・二%でございます。実際の計画は三五・九%で約一・七%下回っております。お金にしますと、事業費で六千二百億ということでございます。  しかしながら、まだ四年間の計画期間がございますし、また道路整備必要性を要望する要請が非常に強うございますので、今後できるだけ計画目標達成を図るよう努めるつもりでございます。できるだけのことはやるつもりでございます。
  9. 桜井新

    桜井委員 そこで、第九次道路整備五カ年計画は、今も申し上げたとおり国民との約束でございます。建設省としては完全達成の義務がそういう意味ではあると思うわけであります。しかも、自動車重量税はおくれた道路整備に使わせていただきますといって税金をちょうだいしておるわけでございますが、政府の御都合で、これを全部道路整備に使わないで、ほかの借金返しに使っておるというのもまた実情であるわけであります。これはある意味では、言葉が過ぎるかもしれませんが、納税者に対しては詐欺行為みたいなものだと思うので、こんなことは絶対に許されてはならないことだと思うわけであります。今まで五十七年からの総計額が約四千百億ちょっとになっておるかと思うわけでありますが、このことについて当局は一体どういう対処をされるのか、御答弁願いたいと思います。
  10. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 先生指摘のように、揮発油税自動車重量税等のいわゆる道路特定財源は、受益者負担の考えのもとに道路利用者に特別の負担を求めているのが実情でございます。ただ、歳出予算抑制に伴いまして、道路予算抑制またはマイナス状況にございますために、昭和五十七年度以降の道路特定財源歳入予算額歳出予算額を上回りまして、いわゆる自動車重量税オーバーフローを生じているのも事実でございます。このため、昭和五十九年度の当初予算におきまして、自動車重量税の取り扱いにつきまして、大蔵建設両省におきまして折衝いたしました結果、昭和五十九年度当初予算におきまして、自動車重量税国費分の八割に相当する額のうち道路整備費以外に充てるものにつきましては、経済財政状況に応じ年度内に道路整備費に充当するものとする、さらに昭和五十七年度及び五十八年度分におきます同趣旨のものにつきましても、可及的速やかに道路整備費に充当するものとするということで両省了解しているところでございます。できるだけこの線に沿い、先生の御指摘の点もわかりましたので、建設省としましては、両省の話し合いで今後詰めてまいりたいと思っております。
  11. 桜井新

    桜井委員 今の御答弁、大変心強い限りでありますし、また今までのことはともかくとしても、ぜひ今あなたが御答弁されたように対処していただきたいと思うのです。  ここでちょっと言わずもがなのことでございますが、水野建設大臣にも、今お答えになったことが、今までも私どもが追及する限りでは、何とかするということでやってきたことが今までのような結果になったわけであります。ことしも大蔵はゼロシーリングだとかマイナスシーリングだとかいって頑張っておるようでございますが、大臣の決意のほどをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  12. 水野清

    水野国務大臣 ただいま道路局長が申し上げましたように、道路特定財源については過去のいきさつもございますし、既にオーバーフローしているものにつきましても、私どもはいずれお返しをいただいて、当初の目的のために使わせていただきたい、こういうふうに思っております。特に第九次道路整備五カ年計画において、現行の税制を前提としてこの五カ年計画が成り立っているわけでございますから、従来同様の方針によりまして、必要な財源相当部分特定財源によって確保いたしまして、道路整備を推進するつもりでございます。
  13. 桜井新

    桜井委員 まだあと三年あるわけでありますので、ひとつ全力を挙げて、この計画どおりの実現ができるように御努力をお願いしたいと思うわけであります。  続いて、今度は河川局長にお伺いをいたしますが、我が国は御承知のように災害列島などというありがたくない名前をいただいておるわけでありますが、昨年も秋田沖地震あるいは西日本の水害あるいは火山災害というように相次ぐ災害、そしてまた今申し上げたことしの豪雪に見舞われておって、その災害復旧はなかなか大変でございます。特に災害から治水事業に対する需要は年々増大しておるわけであります。そういう意味から、国民生命財産を守り、国土の保全を使命としておる第六次治水事業五カ年計画進捗状況が極めて心配されるところであります。公共事業の五カ年連続抑制の中で、果たしてこれまた道路整備五カ年計画と同じように達成が期待できるのかどうか。特に災害ということに対しては、生命財産の危険を感じながらでありますので、国民は非常に大きな期待をかけておるわけでありますが、いかがであるか、ひとつお答えを願いたいと思うのです。
  14. 井上章平

    井上(章)政府委員 第六次治水事業五カ年計画におきます治水事業進捗率は、第三年度であります昭和五十九年度当初予算を含めまして四六・三%であります。計画では五四・五%でありますから、三年にしておよそ八%おくれておるということになります。近年の財政制約のもとで、第六次治水事業五カ年計画達成の見通してありますが、これは極めて厳しいものと考えられておりますが、治水事業重要性にかんがみ、計画目標達成に向けて今後最善の努力をしてまいりたいと考えております。
  15. 桜井新

    桜井委員 最近の河川砂防事業の進め方を見ておりますと、公共事業抑制に加えて、全国各地での相次ぐ災害多発により、その事業対応に大きく振り回されているような感がございます。もちろん、災害でありますから万難を排して当たらなければならないことは当然でありますが、本来河川整備は、災害を未然に防ぐ建前から予防的に、計画的に進めるべきかと思います。しかるに、災害対応のために計画予算が食い込まれてしまって、実際の五カ年計画が今あなたもおくれていると申されたように、思うように進められないのではないかという心配が大変あるわけであります。ただ、このことはシーリングのためだけだということで言い逃れはできないような気が私はいたしますが、予算のことでありますからなかなか大変でありましょうけれども局長としてどんな対応をするつもりなのか、もう一度ひとつ御説明願いたいと思います。
  16. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生指摘のように、河川事業費昭和五十五年度以降五カ年連続して横ばいでございます。ところが、この間昭和五十六年、五十七年、五十八年と全国的に災害多発しまして、災害に対する緊急対策、例えば激特事業などがその典型でございますが、こういった事業に優先支出されることになりますので、計画的に推進すべき事業費がその分縮小されていることは事実でございます。このように、災害多発によって計画的事業が大幅に縮小されますのは、ほかの事業に比べまして河川事業の避けられない特徴とは考えられますが、まことに遺憾なことでございます。先生指摘のとおり、本来災害を未然に防ぐためには、河川事業を予防的、計画的に進めることこそ重要なことでございます。なお、効率的な事業の執行を今後図ってまいりますとともに、今後ともこの河川事業費の枠の拡大に努めることが肝要かと考えている次第でございます。
  17. 桜井新

    桜井委員 特に一般河川、治水課の担当もさることながら、砂防河川ですね、ここの急傾斜地についての災害というのは、ややもすると計画が思うように進まないと人工災害というそしりも受けかねないような状況が間々起きるわけでありますから、これは後ほどまとめて大臣にお伺いいたしますけれども、省を挙げて取り組んでいただきたい、こう思います。  それから、もう一点お伺いしたいのでありますが、水資源対策や洪水調整のために建設されておりますダムの工事でございますけれども、最近これまたマイナスシーリングなどに押されてしまって、結局工事が年間で一部分しかできないために中断しなければならない。しかし、大体ダムというのは山の中の仕事でありますから、実際飯場を張ってやらなければならぬ、そこに働く労務者も全部そこに住み込んでやっておるという関係で、工事を中断されるということは非常に非効率であり、迷惑至極な話であるわけでありますから、このことについてはどんな対策を立てていらっしゃるのか、ちょっとお伺いしたいと思うのです。
  18. 井上章平

    井上(章)政府委員 先ほど河川事業のお話を申し上げましたが、砂防事業についても同様な事情にあるわけでございます。  先生指摘のダム事業でございますが、ダム等の水資源開発施設の建設には十五年から二十年という非常に長い期間を要するわけでありますので、長期的な計画に基づき着実に事業を進めていくことが大切であるわけでございます。ところが昨今、これらの事業につきましては、財政上の理由で抑制されておりますために、ダム事業が年内いっぱいの工程を確保できないというような事情に立ち至っております。中には六カ月にも満たないような、つまり一年のうち半年以上も休工せざるを得ないようなダムも出てきておるわけでございまして、私どもとしては大変遺憾に思っておる次第でございます。これにつきましては、今後できるだけ事業費の獲得を通じまして、こういった中断あるいは仏工等の事態が生じないように最大限の努力をしてまいりたいと考えております。
  19. 桜井新

    桜井委員 今の工事屋の話もさることながら、あなたが御説明のように、ダムの問題は取り組んでから用地買収が決まって工事が完成するまでずいぶん長い時間がかかります。そしてまた、この用地の問題については、先祖伝来の地を離れるということもありまして、大変な覚悟で皆さん協力するわけですから、そういう皆さんからの反発も批判も買わないように最大努力をひとつお願いしたいと思うわけであります。  続いて、今度は都市局長さんに下水道のことについてちょっとお伺いしたいわけでありますが、下水道は国民の快適な生活環境を向上し、また全国の公共用水域の水質を改善するなど数多くの分野で大きな役割を果たしていることは、今さら私がここで申し上げるまでもないわけであります。まだこれからの我が国の社会資本投資としては最も重要であり、緊急性を要する分野かと思っております。  そこで、我が国の下水道事業状況は、下水道普及率が三三%でしかないわけでありますが、欧米先進国は早くからこのことに手をつけておりますので、その整備は非常に進んでおるわけであります。アメリカなどは七二%、イギリスで九七%、西ドイツでは八八%、どの先進国を見ても相当の開きがあるわけであります。また日本は先進国アメリカに次ぐ経済大国になったとは言われておるわけでありますが、その意味からは、欧米先進国と比較をして、下水道以外の、例えば電話機、テレビ、ラジオ、乗用車の保有台数などを比較してみますと、ほとんど先進国と肩を並べるようなことになったわけであります。こういう観点からしても、これから都会の学校を出て田舎へ帰る人も含んで、下水道整備もされていないようなところにはなかなか若い人たちが帰ってこないというような問題もあるわけであります。そういう意味で、これからのまさにリーダー的な公共事業になるのではないかと思っておるわけであります。  先日も新聞に日本下水道協会と建設省が全国二千二百五十五カ所の市町村長にアンケート調査を実施した結果が発表になっておりましたね。それを見ますと、下水道がやはり市町村長の需要としてはトップに載っておるわけであります。これからの時代はまさに下水道が市町村長は一番力を入れなければならない事業になる、こう発表されておったようであります。  このような状況で、建設省においては、この立ちおくれている下水道事業にさらに一層の重点を置いて整備の促進を図るべきであると考えるわけでございます。それにもかかわらず、現在下水道としては第五次下水道整備五カ年計画の四年目にあると思いますが、その進捗状況は極めておくれておる、ほかの五カ年計画をずっと並べてみますと進捗率は一番おくれておる。こんなことではどうにもならないと思うのです。これは過去に何か五年債務で投資をしたことの荷を今しょわされておるというような問題もあるようでございますが、いずれにしても、これはほかの公共事業と違った抜本的な対策を講じないと大変なことになってしまうと思うわけでございます。このことについて、五カ年計画がどの程度に進むと思っているのか、どうするつもりなのか、御答弁願います。
  20. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御指摘のように、下水道に対する熱望が大変強いわけでございます。そういう中で下水道の普及率を引き上げるため、目下鋭意第五次の下水道五カ年計画の進捗を図っておるわけでございます。五十八年度末でございますが、その進捗率は四五%程度でございます。五十九年度末でございますが、残るのは昭和六十年度一年だけでございますが、そういう状況昭和五十九年度末の進捗率が約五八%ということで、いろいろな五カ年計画がございますが、一番進捗率が悪いという状況でございます。御案内のとおり、特別の地方債等々過去にいろいろ問題もございまして、そういうものが尾を引いている面もございますが、今後、大変厳しい財政事情の中でございますが、いろいろな工夫をして努力してまいりたいと思っております。
  21. 桜井新

    桜井委員 そこで、下水道事業市町村、都道府県単位で箇所数が決まっておるわけでありますが、施工期間が二十年以上もかかるという非常に長い継続期間でございます。そのために箇所数が年々増加していると思われるわけでありますが、下水道事業の一カ所当たりの事業費が年々落ち込んでおるような気がしてならないわけであります。一体どのようになっておるのか、お聞かせを願いたいことが一点。  もう一点。もうすぐ下水道が使われるようになりますよ、こう言って住民から負担金まで徴収しておきながら、終末処理場はできても、財政多難の中でありますけれども、何とか終末処理場だけ片づけた、しかし管が敷設できないために使われないというようなことで大変な苦情を受け、町村長たちは突き上げにもうほとほと参っておるという話も聞いておるわけでありますが、いかがなものか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  22. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御指摘のとおり、下水道事業の一カ所当たりの事業費は、全体事業費抑制の中でどんどん低下してまいっております。公共下水道の一般都市分で申し上げますと、五十九年度一カ所当たり七億四千万円でございます。それから流域下水道で申し上げますと約二十八億一千万円ということでございます。五十四年度、五年前でございますが、五年前の一カ所当たりの事業費と比べますと、実質ベースにいたしまして公共下水道の場合が三八%の減、つまり実質六割方に低下している。それから流域下水道につきましては約四六%の減でございますので、ほぼ半分近くになっておる、こういう状況でございます。  それから、御指摘のとおり終末処理場と管渠の整備がアンバランスが出てまいりまして、処理場が進みましても管渠がつながらない、こういうような箇所が随所にございます。もう受益者負担金をいただいてしまった、しかしつながらない、使えない、こういうようなところがございまして、市町村の数にいたしまして二百八十市町村対象人口にいたしまして二百万人余の住民の方々がそれで大変不便を受けているというような実態にあるわけでございます。
  23. 桜井新

    桜井委員 今あなたお話しのとおりなんでしょうが、これは本当に先ほどの自動車重量税オーバーフロー以上に私は深刻な問題だと思っておりますので、これはひとつこれから十分対応していただきたいと思うのです。  そこで、一般の市町村のこともさることながら、最近は大型プロジェクトに対する下水道需要も非常に高まっておる。例えば、この間つくば科学博のことについては、ああいう国際的なことでございますので、特別予算をそこに集中して何とかしているという話も聞いておりますが、そのほか関西空港、関西文化学術研究都市、テクノポリス構想等々下水道事業を必要とする大規模プロジェクトが次々にメジロ押しにあるわけでありますが、一方ではゼロシーリングマイナスシーリングという厳しい公共予算の現況であります。そういう中でこの大型プロジェクトに対する下水道事業、これは一体対応できるのかどうか、お考えをお伺いしたいと思うのです。
  24. 梶原拓

    ○梶原政府委員 関西国際空港あるいはテクノポリス等々各地域における大規模なプロジェクトが企画されあるいは進行中でございますが、そのために新たに下水道を敷設しなければならないあるいは容量を大幅にふやさなければならない、こういう要請があるわけでございます。今後の予算の推移によりますが、現状のように予算横ばいということになりますと、特別のそういう財政需要に対しましては、端的に申し上げまして、ほかのところを削って回す、こういうことしかないわけでございますので、そういうことは果たしてできるかどうか非常に難しい問題だと思っております。
  25. 桜井新

    桜井委員 水野大臣、あなたはもうとうに十分勉強されていることなんでしょうけれども、今お聞きのとおりなんですよ。ほかを割いて、こういうことなんですが、もちろん都市汚染に対する下水道の必要性は先ほど申し上げたとおりでありますし、最近は田舎でも、子供をやっとお金を送って大学を出して教育して、さあうちに帰ってきてもらおうあるいは嫁さんをもらおうかといっても、都会なれした子供たちは、水洗便所のところでなければ嫁に来てくれないのですよ。これは大変深刻な問題になっているのです。そういうことでありますので、私が先ほど来いろいろ言ったこと、また今までの局長の答弁も踏まえて、この下水道事業推進に対する大臣の決意を聞かせていただきたいと思います。
  26. 水野清

    水野国務大臣 桜井先生の御指摘のとおりでございまして、下水道は公共用水域の水質保全あるいは公衆衛生の向上とかいったことを図るための基本的な生活環境の基盤施設でございまして、早急に整備を進めていかなければならない、これは御承知のとおりであります。しかも御指摘のとおり、その普及率が現在三三%と非常に欧米に比べても低い、また五カ年計画の中でも達成率が五十数%とまことに私どもも憂慮しております。そこで、来年度予算についてでございますが、私どもはそういうことも踏まえて目下全力を注いでやっていることでございます。  それから、先ほど都市局長から御答弁を申し上げましたように、私ども最も憂慮しておりますのは関西国際空港、この関連に下水道整備事業が非常に多い、あるいはテクノポリス、これはやはり先端産業でございましても工場でございますから、下水道事業というのが必ず付随してくる。そういたしますと、数字ではまだ概算をしておりませんが、関西空港関係あるいは全国のテクノポリスに関連する下水道事業、こういったものを累計いたしますと、非常に大きな数字になってくるであろう。それを別枠として考えるならいいわけでありますけれども、現在の公共事業の中で、国費の中でこれを賄うということになりますと、非常に大きな数字になってまいりまして、現在でさえも停滞をしている全国の各流域下水道あるいは公共下水道その他の地域から削ってくるしかないということになる。もちろん削れないわけでありますから、そうすれば、関西空港にしましても、テクノポリスにしましても、発足はしたものの下水道事業が追いついていけない。そういう中で一体どういうふうに対処するか。これは建設省だけの問題じゃございませんので、運輸省、国土庁、通産省、そういった他省庁にも、文書とかそういうことではございません、所あるごとに連絡会議その他で既にそういう御警告を申し上げているわけでございます。  以上、桜井先生の御心配もございますし、現況を申し上げた方が私はかえってよかろうと思って率直な御答弁を申し上げるわけでございます。
  27. 桜井新

    桜井委員 先ほどもちょっと申し上げたように、大臣、この下水道事業については何しろ大型予算が必要なこともあって、何か知恵をということで五年債務みたいなことを考えたんでしょうけれども、逆にそれが重荷になって実際の事業量が落ち込んでいるということもあるわけです。したがって、大型プロジェクトのために、これから相次ぐ中でほかを切ってなんというわけにとてもいきませんから、別の財政制度をこの際本気になって考えて立てていただかなければ解決しない問題だと思いますので、私ら自由民主党としても、このことについては積極的に努力をしていきたいと思っておりますが、建設省としてぜひ大蔵省と相談の上で対応していただきたい、こう思います。  それから、次は住宅局長にちょっとお伺いをしたいのでありますが、住宅局も今問題がたくさんあるわけでございますが、特に住宅局の場合は、住宅金融公庫の利子補給の問題が今度の予算の中では一番問題になるのだろうと思うのでありますが、今さらここで私が聞いたからどうなるということじゃありませんけれども、このことについてどういう対応をしようとしておるのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  28. 吉沢奎介

    ○吉沢政府委員 お答えいたします。  先生指摘のございましたように、最近住宅金融公庫の利子補給金というのが急増いたしております。それで昭和六十年度は五十九年度を大幅に上回る見込みでございまして、これを例えばゼロシーリングであるとかマイナスシーリングであるとかいうことが課せられまして、既存の住宅対策費の中で処理しろということになりますと、これは住宅対策全体に大きなひずみが生ずることになります。到底現実問題として不可能ではないかと考えておるわけでございます。一方、御案内のように、良質な住宅を求める国民のニーズというものは非常に強いわけでございまして、今後の住宅対策の推進を図るためには、金融公庫の補給金について財政上何か適切な配慮をやられないかということで、私ども努力をしている最中でございます。
  29. 桜井新

    桜井委員 努力をされていると言うのだから、まだ予算に入ったわけじゃありませんので、それでやむを得ないと思いますが、国民住宅に対する需要は今あなたがおっしゃったように非常に強いわけでございますので、ひとつ誠意を持って当たっていただきたい、要望を申し上げておきます。  さて、建設省関係はそういうことで、次に国土庁に移らせていただきますが、国土庁はきょう長官ちょっと体の調子が悪いというので先ほどお帰りになったわけでありますが、どなたが答弁されますか。——局長さんですか。  実は五十八年二月の委員会だったと思いますが、私は当時の加藤国土庁長官、今の建設事務次官でしょうか、当時の水資源局長さん等にいろいろ三全総のフォローアップの問題についてお伺いをしたわけです。あのときかなり時間をかけて聞かせていただいたので、内容を重複することは極力避けるようにいたしますが、昨年の六月に国土審議会の調査部会で「三全総フォローアップ作業報告」というのがなされたわけでありますが、この三全総のフォローアップを踏まえて、二十一世紀への国土づくりの指針を立てようということで、四全総に取り組もうとしておるわけでありますが、その基本的な考え方を今お伺いできればありがたいと思うのですが。
  30. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 お答えします。  先生も御指摘のように、三全総のフォローアップ作業ということを進めまして、その中で三全総策定以降の経済社会の情勢変化には非常に大きなものがある、そういうような変化に対応した新しい国土計画の体系が望まれるというのが先ほど先生のおっしゃいました「三全総フォローアップ作業報告」の結論でございまして、その結論を受けまして、私どもとしては四全総の策定作業に入っているわけでございますが、四全総の基本的な考え方といたしましては、三全総を発展的に継承しながら、いろいろな変化を踏まえて、今後進むでありましょう高齢化とか、あるいは都市化とか、技術革新あるいは国際化といったような課題に対応した国土づくりの指針を明らかにしたい、そのことを通じて地方の振興を図り、国土の均衡ある発展を図る、そういう計画にしたい、そういうことで今作業を進めているところでございます。
  31. 桜井新

    桜井委員 私もこれをずっと読ましていただいて感じておることが幾つかあるわけでありますが、三全総までの国の努力で今日の日本の社会ができたわけでありますから、それはそれなりに子といたします。そのフォローアップ作業の中にもあるように、地方との所得格差は余り縮まらなかったように思っております。それから人口の都市集中が続いておる、さらにこれが進むであろうというふうにフォローアップでは言っておるわけであります。  そこで、さらに部会の報告書を集約したのを読ましていただいて、そこにこういうことが書いてありますね。「人口の地方定住が進むなかで、今後なお二十〜三十年間持続するとみられる旺盛な都市化のエネルギーを適切に誘導し、地域の個性を尊重しつつ、都市の活力と田園のゆとりを調和的に結びつけた、安全で活力ある美しく快適な国土づくりを進めることが要請されている。」こういう言い方なんですが、私は今申し上げたように、所得の格差が余り縮まらないで、むしろ過疎と過密の対策としてやってきたはずなのに、人口が都市に集中化を進めてきたというのは、今私が読み上げたような考え方のところにまだるさがあると思うのですよ。決め手があると思うのです。これをもうちょっとぴしっと政策的に歯どめをかけるような何かをやったらこういうことにはならなかった、いわゆる三全総が目標としたような結果にかなり近づけられたのじゃないかと思うのですよ。これだけの変化があったのですから。  そこで、去年の二月にも同じようなことを言ったわけでありますが、今の部会の中にも明確に私のような考え方が報告されていますね。五十四ページの1の「定住構想の新たな展開」というところに、一番上段の真ん中辺から「自然環境、生活環境、生産環境が調和のとれた「人間居住の総合的環境の形成を図る」という理念は、三全総の計画期間を超えて二十一世紀に向っての国土づくりにも引き継がれるべきものであると考えられる。」つまり自然と人と経済、産業、これをどう調和をさせるか、そのことがきちっと整合性がなければ三全総の目標のような結果は生まれてこないということをはっきり認めておるわけであります。  そこで、この前のときは私は、いろんな自然条件を、自然の包容力といいましょうか、尺度を何か求めたいと思っていろいろ考えた結果、水しかないのじゃないかということで水のことをやかましく申し上げたわけでありますが、今これから四全総をするに当たって、自然や生態系との調和を図り、国土資源の容量に見合った地域づくりを進めるという建前から、今申し上げたように、地域の水資源の賦存量に見合った人口、産業の配置のあり方を、この際もっと明確に四全総の中に取り組むべきではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。
  32. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 今先生が御指摘いただきました、最初の方でおっしゃいました、格差が広がり、また人口の集中が進んでおるという結論になっているということでありますが、三全総のフォローアップ報告におきましては、人口の大都市集中への趨勢は鈍ってきている、あるいは……(桜井委員「それは三大都市圏だけだ、全体はそうじゃないのだ」と呼ぶ)ということでいっておるということをまず最初に申し上げさせていただきたいと思います。  それから、今先生がおっしゃいました生態系との調和を図り、水資源の賦存量に見合った人口、産業の配置のあり方を考えるべきではないか、それに対してきっちりした歯どめをつけるべきではないか、こういう御指摘でございます。  私がここで改めて申し上げるまでもございませんで、国土というのは長い歴史を通じて先人が築き上げてきたものでございますし、現在及び将来の国民のあらゆる活動の基盤でございますし、そういう意味からすれば、長きにわたって後の世代へ引き継いでいかなければならないかけがえのない資産である、そういう基本的な考え方に立って四全総も考えなければならないということでございまして、その場合には、人間と動植物も含めました生態系の共存空間として国土空間をとらえていくということが重要であるということは先生の御指摘のとおりでございますし、フォローアップ報告でも指摘しているとおりでございます。  そういう意味からいたしますと、水資源というものが土地とともに有限な国土資源でございまして、そういうことから国土の均衡ある発展を図るという意味では、水資源が地域に密着した国土資源であるということを踏まえて、基本的には水資源賦存量に相対的に余裕のある地域へ長期的観点に立って人口とか産業等の配置を誘導していくということが望ましいことであるという考え方に私どもも立っております。しかし、既に水利用が高位に達した地域につきましても、それなりの対応ということもまた考えざるを得ないということも実態でございますから、そういう意味で、そういう高位に達した地域について、地域の実情を勘案しながら計画的な水資源の開発とか有効利用といったこともあわせて進めていく必要があるのではないか。そういうような点を踏まえた上で、望ましい国土の均衡ある発展のあり方について四全総の中で考えてまいりたい、このように考えております。
  33. 桜井新

    桜井委員 きょうは時間がもう幾らもなくなったので、そのことはまた後日あなたと議論をさしてもらうことにして、要望だけ申し上げておきますが、くどいようだけれども、今飽和状態にあるところも、あなたのお話によれば、まだ潜在的な可能性があるようなことを言っているけれども、既に富士川を初め全国では、私らの目から見れば死んでしまった川がどれだけ多いことか。川というのはただ水がちょろちょろ流れていればいいというものではないのですから、このことをきちっとひとつ制度の中で尺度として踏まえていただきたい。御検討をお願いしておきます。  次に、やはりこの報告書の五十八ページにあるのでありますが、上から一行目のところから「全国土に広がる大小の都市圏に対して、全国民が必要に応じてアクセス可能となるような交通・通信ネットワーク化を図ること」ということが書いてあるのですが、実はこれからの時代はまさに交通・通信によって産業も社会構成もなされる時代だと思うわけであります。三全総でも高速交通ネットワークの推進を大きく図ってきたのですけれども、残念ながら予算の関係でそれが非常にちぐはぐになっておりますので、この高速交通体系の整備については、特に——高速自動車道は道路公団がやっておるわけでありますし、財源的にもかなりいい線が出ておりますからいいですけれども、新幹線に至っては、財源問題もこれあり、大変なことになっているわけでありますが、これは私どもの新潟県に新幹線が入ったから富山、石川はいいというわけにはまいらないのです。むしろ逆に、今ないところほど新しい時代のために積極的に投資をしてあげなければならぬと思うので、四全総の中にもそういったことを十分制度としてやはり訴えるべきだと思っておりますが、いかがなものでしょうか。
  34. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 先生の御指摘のとおり、国土の均衡ある発展を図るということでは、高速交通体系を長期的視点から整備を進めていくということが重要な課題でございまして、四全総におきましても、そういう観点に立って交通体系の整備のあり方ということを十分検討していかなければならない、このように考えております。
  35. 桜井新

    桜井委員 最後に、具体的な地方対策の中で、三全総のフォローアップでも言っておるわけでありますが、これからの時代はますます高齢化が進んでいき、一方ではハイテクによってロボット化がどんどん進んでいくわけです。そして職につけない人たち、特に地方ではそういう人たちが多くなるわけですから、やはり一次産業や文化産業と言われるようなレジャーやスポーツあるいは教育産業、そういったような分野をどんどん伸ばして、これはやはり自然活用型の産業でなければならぬと思うのです。  そういう中で、ずっと洗ってみた中で、戦後の日本は、農地ですね、田んぼや畑については数十兆円の金を投じて、今や米騒動が、余るなんということになって大騒ぎをするほどでき上がってきたわけで、これはありがたいことだと思うのですよ。ところが牛肉の自由化問題でもおわかりのように、緑ということの活用の視点から考えたら、あんな騒動を起こさずにもやれる方法がまだまだほかにもあるはずですね。  これも昨年二月、私、申し上げたのですが、そういう点では、山の活用ということについては、三全総の中ではほとんど手がついていないと言ってもいいような実情だったわけでありますが、この辺で視点を変えて、思い切って山の開発に投資をする。山というのは、単に木材資源を確保すればいいというようなものではないと思うのです。その一番いい例はニュージーランドでありますけれども、ヨーロッパでは大体放牧民族、放牧が彼らのスタートであるわけでありますから、そういう点ではこの活用を非常に上手にやっています。木材資源だけだと五十年、六十年たたないと金にならぬということもありまして、最近の世の中では、民間の手がなかなか伸びていかないというような問題もありますので、この辺で本格的に取り組んでいくべきだろうと私は思っております。  それから、林野庁の方でもこのことを、私どもいろいろ要求している中で、今度の計画の見直しの中で、そういった視点で検討すべきではないかというようなことも書いてあるわけでありますが、四全総の中で、そういう視点からもアプローチをすべきじゃないか、私はこう思っておりますが、いかがでしょう。
  36. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 先生指摘のとおり、森林というのは木材供給という経済的機能ばかりではございませんで、国土の保全から水源の涵養、自然環境の形成、保全あるいは保健、休養等々多様な機能を有しておりまして、地域の実情とか特性に応じた形での利用と管理ということが必要であるということだと思っておりますし、特に旧薪炭林等非常に利用が低位である森林地域につきましては、林業的利用とともに、畜産でありますとかあるいは高冷地野菜等の農業でありますとか、レクリエーションでありますとか、あるいは生活環境の保全空間としての活用でありますとか、そういうようなことで、その高度利用を図ることが大切ではないかというふうに私ども考えております。  なお、山村におきましては、そのほかに林業経営の悪化ということがございまして、さらにまた人口減少による過疎化の進行といったこともございまして、長期的に森林の維持管理に支障を来して、森林の持っているそういう多面的な機能の発揮にも悪影響を与えるおそれが出てきているということでございます。そういう意味では、林業経営基盤の強化とあわせまして、農業も含めた産業の振興による就業の場の確保でございますとか、生活環境の整備といったようなことにも意を用いる必要があるのじゃないか。したがいまして、四全総におきましても、こういう点を踏まえまして、森林の多面的な利用方策について十分検討させていただきたい、このように考えております。
  37. 桜井新

    桜井委員 長官がいないので残念でありますけれども、最後に御要望を申し上げておきます。  この報告書の中でも、国際問題の中で「我が国の国土開発のノウハウ、経験を活用しつつ、世界の居住環境の改善をめざした国際協力、開発途上国への技術協力、地球的規模の開発と保全のプロジェクトに協力することなど、世界への貢献を進めることが望まれる。」と極めて高邁な結論を言っておるわけでありますが、私も実はこのことを、三、四年前からそんなことを考えながら方々で言ってきたことでありますけれども、そのためには、先ほども申し上げましたように、自然と人と産業とをいかに調和させるか。ただでさえ狭い国だと言われている我が国であります。超過密の国であります。しかし、その超過密の国がまだ全く未利用地がたくさん残っておるわけでありますから、これを四全総の中できちっと調和をさせるような開発をすることができるとすれば、まさに今一億五千万人の人間が餓死しそうになっておるというアフリカだとかインド、中国、それぞれの地域に日本の手法を輸出していくならば、本当に平和外交の柱になるのではないか、こう思われますので、そういう点では予算は少ないかもわからないけれども国土庁の使命というのは極めて大きいと私は思うわけであります。またその正念場に差しかかっていると思います。明治百年以来今日の日本の隆盛を築いてきたわけでありますけれども、あの当時の視点から見れば、私はベターであったと思う。あるいは言いようによってはベストであったと言っても過言でないかもしらぬけれども、今の科学や技術を持った日本の立場から見た場合、これから百年の中であの手法を延長していっただけでは、私は決して正しかったとは言えない結果になるだろうと思っておりますので、従来の延長線という発想を思い切って払拭して、そういう意味で、私は財政の問題でも、交通整備の問題を公共投資でやるべきだとも思うし、また山林をただ木材資源の確保というような発想でなくて、思い切った経済展開をするような発想、そしてまた資源をよその地域まで持っていくような発想でなくて、それぞれの資源のあるところに人が出向いていって、調和をとるというような思い切った展開をさせなければ、そのことは実現できないと思いますので、長官にくれぐれもひとつ私からの伝言をお願いして、私の質問を終わらしていただきます。
  38. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  ただいまの質疑中、桜井新君の質疑に対して、建設省の答弁の中で一つだけ注意をしておきたいことがあります。  それは自動車重量税の目的財源でありますが、その財源の執行に当たっては、建設省大蔵省との折衝の中で、建設省が同意をして他に利用させたものでありまして、本来であれば、建設省は絶対に一歩も譲ってはならないものを譲って、公共事業の進捗をおくらしたという責任は建設省にあるということを確認しておきたいと思いますが、何かあったら御意見を承っておきます。  例えば六千二百億、公共事業が——私が言うのは大変失礼なんだけれども、時間が二分ありますから、質問の残りの時間だけやらしてもらうのだけれども、この点は六千二百億おくれているものを、四千百億妥協しなければ、それは二千億のおくれで済んだわけですから、その点はやはり人ごとのように答えられては困りますということだけを、委員長注意として申し上げておきます。  何かあれば——僕は、非常にそこのところ、議論がかみ合わないでおかしいと思うのは、大蔵大臣と建設大臣予算折衝するわけでしょう。そのときに譲ってはならないものを譲っておいて、足りないと言って、それで公共事業がおくれたと言って委員会で答弁されても、それは困りますよということだけは、ここにきちっとしておかなければいけませんので、ひとつせっかくのすばらしい質問だったものですから、明確にしておきたいと思う。  何か意見があれば承っておきます。官房長。
  39. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまの委員長道路予算に関します自動車重量税の収入のうち国分の八割相当額が従来から道路整備費に充てられているという事実上の特定財源的な扱いが、この数年来崩れておるということに対しての御発言であったわけでございますが、御案内のように、五十七年度以来非常に厳しい財政状況の中で、国全体といたしましてゼロまたはマイナスシーリングというようなことで、国費の減額というような措置をとらざるを得ない一般的な、客観的な状況の中で、道路整備費のみこれを特定財源であるということで全額充当するというわけにもまいらなかった総合的な事情等も御勘案いただきまして御配慮いただきたいと思います。  また、それにいたしましても、特定財源として扱われておる実情をこの際崩すことは非常につろうございますので、五十九年度以降なるべく早い機会にこれを道路整備に充てるということで、財政当局とも話し合い、了承を得ておりますし、私どももその確保に全力を尽くすつもりでございますので、御了承いただきたいと思います。
  40. 浜田幸一

    浜田委員長 上野建一君。
  41. 上野建一

    ○上野委員 既に公共事業費について水野建設大臣は、もうマイナスシーリングではだめだ、この際公共事業費を拡大しろという発言をなされております。これは現状の公共事業から適切な判断だと私は思います。既に議論もありましたように、もう公共事業費は削減ができない。特に生活関連道路、さらに治山治水、下水道、こういうものに加えて住宅問題、大変立ちおくれておるわけでありまして、もう公共事業費は削減はできないのだということであろうと思います。ところがけさの新聞で一斉に報じられておりますけれども臨時行政改革推進審議会の六十年度行財政改革小委員会は、水野建設大臣を先頭とするこの公共事業費の拡大をこの際やれという意見に対して真っ向から批判を加えておるわけであります。反論をいたしております。全面否定ともとれる内容でありますので、この内容については時間の関係上触れませんが、そこで建設大臣にお伺いいたしたいのは、現時点において、特に明年度予算において、これ以上公共事業の削減はできないと我々は考えるけれども、そういうことについては変わりはないかどうか。  二つ目は、この小委員会考え方の中に民間活力の導入ということがあります。しかし、公共事業、特に先ほど挙げました治山治水や住宅、下水道、そういうものについては民間活力の導入というのはなじまない、これは無理だ、全部ではないでしょうけれども、大部分なじまない、こう考えます。そういう意味で、建設大臣はどう考えられるか。  さらに三つ目は、この行革審の立場、しかも予算編成、シーリングをどうするかといろいろ議論する問題の直前に、しかも、これは挙げて予算は内閣の仕事であり、行政府、さらに国会の仕事であると思いますけれども、これに対して行革審は介入し過ぎるのじゃないか。現状の論議が始まっている最中に、それの機先を制するがごとき今度の考え方というのは明らかに行き過ぎだ、私はこう思いますけれども、どう思うか。  さらに、これとも関連しますが、この行革審は盛んに予算を削ることを、補助金その他削ることを言っているけれども、今まで軍事費については一言も言っていない。これも片手落ち。軍事費だけは突出をして毎年行われている。ところが国民生活にかかわる問題については削れと言いながら、軍事費についてはさっぱり触れない。これもおかしいと思うけれども、どう考えられるか。  そこで最後に、建設大臣は建設大臣として公共事業費について一定の見解を発表されたわけでありますから、この実現のためにまさに大きく言うなら政治生命をかけても頑張るべきだと思うけれども、お考えをお伺いしたいと思います。
  42. 水野清

    水野国務大臣 今上野委員の御指摘のように、公共事業費が過去五年間ゼロシーリング、それからマイナスシーリングに移行して非常に停滞をしております。それから先ほど桜井委員からも一部御指摘がございましたように、各種五カ年計画におきましても、これは当委員会の各位からもおしかりを受けましたが、達成率が極めて鈍いではないか、一体どうするのかということを再三御質問をいただいていることもよく承知をしております。その中で、いよいよこの七月の下旬ぐらいから来年度の予算編成にかかるわけでございますが、私どもはそれに対しまして、公共事業費の考え方ということについて、これまで再三いろいろな場所を拝借をしまして私どもの意思を公表してまいりました。それがただいま御承知のとおり、行革審のお考えなんかと相伴わないといいますか、真正面からぶつかっているといいますか、こういうことも十分承知をしております。  そこで、私ども考え方というのを簡単に申し上げますと、少なくとも昭和六十年度の予算からは公共事業費について五%から一〇%ぐらいの増額をひとつ考えていくしかない。これは過去において五年間にわたってゼロシーリングからマイナスシーリングへ移行しておりまして、事業量については、例えば道路にしましても河川にしましても、およそ二割ずつぐらい減少しております。五年前に比べて二割の減少を来しております。しかも、片っ方で例えば都市河川の問題であるとかあるいは都市周辺、これは大都市だけでなくて地方都市もそうでございますが、バイパスを早くつくってもらいたいというような御要望であるとか、各種の、下水の問題も先ほどの御質問にあったとおりでございます。そういった要望が、極めて幾つかの重点的な要望が強く建設省へ参っておりますし、地方自治体の長もそれぞれの住民から極めて厳しい批判を受けながら、それに受け答えをできないでおられるということも私どもも知悉をしております。そこで、来年度はどうしても公共事業費についてはマイナスシーリングあるいはゼロシーリングというものについて、これを枠外に考えていただくしかないというふうに私どもは考えております。  しからば、その際に財源はどうするのか、こういったようなことでございますが、御承知のとおり、今の中曽根内閣の方針としましては、公共事業費を、仕事をするために増税をするというようなことについては私どもは考えておりませんし、また各委員の方々についても、増税をするということでなくて何か方法がないか、こういうような御指摘が間々あることも御承知のとおりであります。そこで私どもは、やはり建設国債というものについてもう一度考え直しをしていただいて、いわゆる一般の赤字公債と建設公債とは別の問題であるということを申し上げているわけでありますが、その五%から一〇%公共事業費を増すについて建設国債を発行することによって賄っていきたい、さように考えているわけであります。  それについてけさ、これは事実かどうかわかりませんが、ある新聞社のこれは特だねになっているんだろうと思いますが、行革審小委員会の報告書の案の要旨が載っております。この中で私ども大変気になることは、「国債費の負担は数十年も続くことに十分留意すべきだ。公共投資の景気浮揚効果が低下傾向を示しているうえ、わが国の景気は目下、拡大過程にあり、景気刺激を必要とする状況とは考えられない。」こういうふうに簡単に決めつけておられますが、国債といいましても、建設国債の場合はいわゆる借金をするわけでございますけれども、片っ方では公共投資となって、しかも道路とかあるいは連続立体交差のような仕事であるとか河川であるとか下水であるとか、そういった社会資本として物が残り、しかもこれが数十年間の機能を持って、言ってみますと、社会資本の蓄積という形で日本経済に非常に役に立つといいますか、大きな経済効果をもたらしてくれるという算定を明確にできるものでありますでございますから、例えばこの文章の中に、後年度負担がけしからぬ、要するに子孫にしりぬぐいをさせるとおっしゃいますが、物になって残し、かつ経済効果が生まれてくるとすれば、これは私どもの子孫に対して、子供や孫に対して決して後ろめたいことはないではないか、私はさように確信を持っているわけであります。あるいはこの文章の中に、既に「わが国の景気は目下、拡大過程にあり、景気刺激を必要とする状況とは考えられない。」こういうふうに簡単に言っておられますが、地方経済実情、例えば東北、北海道あるいは四国、九州、山陰などにおきましては、御承知のとおり、公共投資に依存する経済性というものが極めて強いわけであります。いわゆる最近流行の軽薄短小の先端産業というようなもののない地域においては、公共事業にすべてを頼っておるという実情からいきまして、景気が浮揚してきているとは申しますけれども、これは地域格差、地域によって非常に状況が違うというふうに私どもも受けとめております。  それから、ついででございますから私の考え方を申し上げさせていただきますと、最近の輸出動向その他を見ましても、極めて構造的に輸出依存型の景気浮揚であります。これは必ずや下半期において日米間あるいは日欧間におきます貿易摩擦の激化を招くことは火を見るよりも明らかだ、私はかように思っているわけでございまして、いろいろなあらゆる方向から内需の拡大策、内需刺激をしていかなければいけないんじゃないか、かように思っていることも事実であります。その両面から私どもは確信を持って公共事業費のプラスシーリングということを、五%、一〇%というのは一つの試案でございますが、今提唱し、各方面の御理解を得ようと思っている最中でございます。  また、ついでに申し上げておきますが、公共事業費を例えばプラス五%のシーリングといいますと、国費の五%でございますから大体三千億前後の金になるわけであります。もちろん公共事業に相なりますと地方負担も加わりますから三千億以上の数字になってまいりますが、この仕事をやることによりまして、片っ方では税収もかなり上がってくるわけであります。いろいろな試算がございますが、例えばその三分の一の一千億ぐらい各種の税収として国庫財政にはね返ってくることも考えられる。でございますから、この三千億というのは、一つの例えばの数字でございますから固定してお考えいただいては困るわけでございますけれども、三千億支出いたしますが、片っ方で国家財政にもはね返ってくる。しかも片っ方で三千億の社会資本として数十年にわたる対応ができます。いろいろな財産として残すわけでございますし、経済効果も生まれてくる。いろいろな意味におきまして、私どもはこの行革審の考え方についてはどうも御同意を申しかねる。行革審のお考えも、一新聞社が取り上げたことでありまして、これがこのとおりかどうか、私どもまだ十分知悉をしておりませんが、大体こういう傾向でお考えではないだろうかという危惧の念を持っておりますので、あえてこういう席を拝借いたしまして申し上げさせていただいたわけでございます。
  43. 上野建一

    ○上野委員 時間が少ないので、私は大部分は賛成です。大臣のおっしゃるとおりで、問題は、それをどう実行するかということにかかっているわけですから、私どももその限りにおいては積極的に応援しますから、その行革審のいいかげんな方針に惑わされないでひとつ頑張っていただきたい、こう思います。  特に見ますと、行革審、臨時行政改革推進審議会、これは今日、何か内閣の上にあるような状態です。これはやはり内閣の一員である水野建設大臣も責任があるわけで、そういう存在にしておくこと自体が間違いだ、こう思います。もともと出してきたいわゆる行革案そのものが我々は賛成できませんが、それに加えて、今度さらに権限を委譲したような、総理大臣の権限を半分ぐらい委譲したような感じになっている。これは間違いなんで、しかも予算というのは政治の顔なんですよ。その顔が泥を塗られないように頑張っていただきたい、こう思います。なお議論したいのですけれども、時間がありませんので、次の問題に移させていただきます。  次は、実は建築基準法の中にある問題なんですけれども、エレベーターの保守をやらなければならぬ。これの点検をやることを義務づけております。ところがエレベーターについてはいろいろ問題がありまして、大きいところ、大体三社が独占的なエレベーター会社になっておりますけれども、その独占的なエレベーター会社が保守の小さいところを排除するためにエレベーターも入れる、それからずっと長い間保守も一貫してやる。そのために保守の子会社をつくって維持管理して、そして一貫してもうけをほかにやらないためにあらゆる手段をとっている。その端的なあらわれが、いわば部品を、保守管理をやるためには部品を取りかえたりなんかもしなければならぬ。ところが自分の子会社でない管理保守会社には部品を渡さない、売らない、こういうことをやりまして、これは問題になって公正取引委員会から警告と勧告を受けている。こういうことなんですけれども、その中で特に悪いのは東芝でありますけれども、この東芝は、この公正取引委員会の勧告、警告にもかかわらず、今なお部品を小さいところ、中小企業の保守管理会社に渡さない、そのために大変な状態が中小企業の場に起こっている。これについて公正取引委員会は勧告、警告の後にいかなる手段でこの問題を解決しようとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。
  44. 河村穰

    ○河村説明員 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、公正取引委員会といたしましては、ことしの三月九日にエレベーターの保守業者大手三社に対しまして、保守部品の供給に関しまして、他の保守業者に保守部品の供給を制限的に供給する、そういった事実に関しまして文書によりまして警告を行っております。その後の状況でございますが、警告をいたしましたエレベーターの保守業者大手三社に対しまして、私どもの方の警告の趣旨に沿って保守部品の供給方針を改善するように一般的な指導を行っておるところでございますが、さらに御指摘ございましたように、保守部品の供給に関しまして独立系の保守業者に対してどうも円滑に供給されておらないというふうな具体的な事実があるということでございますれば、ごく具体的な関係業者名等をお伺いした上で、さらにその事実関係につきまして調査するというふうな必要があるかどうか検討してまいりたいというふうに考えております。
  45. 上野建一

    ○上野委員 事実があればというのじゃなくて、既にそういう関係者に公正取引委員会は意見を聞いているわけでしょう。事情聴取もやっているでしょう。それをやっておるのだから、そのとおりもっと強力にやらなければいかぬと思うのです。  ただ、その三社の中で日立と三菱についてはそれを改める方向にあると聞いているのだけれども、東芝だけが頑として今やろうとしていない。しかも具体的に自分のところにやらせるなら部品を出しますよという、見積もりもここに持っています。その見積もりだと、専門家にただしますともう十分の一ぐらいで済むものを十倍も予算にかけている。これはどういうことかというと、エレベーターでもし損をしても、この保守管理でもうけていこうとする、そのことが露骨にあらわれている。まさにこれは独占禁止法に違反する行為であって、もうちょっと積極的に公正取引委員会はこの事情を調査をして、必要ならこの資料全部上げますから、それをやるべきだ。特にあなたの方では三月九日、三社に対して警告をちゃんと出しているのですね。これはやはり警告を出したら、それが実行されるようにもっと積極的な手を打つべきじゃないかと思うのですけれども、それについてどうお考えでしょうか。
  46. 河村穰

    ○河村説明員 御指摘の事実に関しましては、具体的な資料を後ほどちょうだいいたしまして、しかるべく対処したいというふうに考えております。
  47. 上野建一

    ○上野委員 公正取引委員会はもっと積極的に、資料も上げますから、それから事情ももっと詳しく説明します。きょうは時間がないからできませんけれども、さらに次の機会で、もし丁寧にやらなければ、ここで議論をしなければやってくれないというのなら、次の機会にまた丁寧にやりますが、とりあえずそれじゃ公正取引委員会の方は、これについて積極的に取り組む、こういうことでぜひこの問題を解決してもらいたい。そしてやはりもっと公正取引委員会は積極的に独占禁止法の法の建前で活動をしてもらいたい、このことを要望をしておきたいと思います。  次に、本来これが本題なんで時間が足りなくなりそうですけれども、東京都の下水道について。この下水道は私がここで言うまでもなく市町村または都道府県が管理責任者であって管理の主体になっているわけです。なぜ市町村または都道府県のみにこの管理というものを限定しているか。これは言うまでもなく公共性が非常に強いわけで、特に雨水の排除あるいは周辺環境の改善、便所の水洗化、公共用水域の水質保全、これらの問題について、これはもう公共的な立場でなければできない、地方自治体でなければできない、こういう建前からこの管理主体が市町村または都道府県になっている、限定されているわけですね。  そういうことを考えます場合に、今東京都で下水道の会社をつくって、その会社に、これはとりあえずだろうと思いますけれども、当面は汚泥処理を分割してこれに当たらせる、こういうことで今会社をつくりつつあるようでありますけれども、下水道公社と言うんでしょうか、あるいはサービス会社とも聞いておりますけれども、会社の名前はどうでもいいのですが、都が半分資本を出す、あとの半分はこの下水道に関連する企業が金を出し、あるいはもちろん銀行とか保険会社も出すようでありますけれども、そういうことでいわば第三セクター、こういうものをつくって、下水道法あるいはその前にある地方自治法にこれは明らかに反していると思われる行為をとろうとしておるけれども建設省はこの行政の監督官庁として、これに対してどう対処しようとしているのか。また今までのあなた方が考えてきた下水道に対する考え方の百八十度とまでは言いませんけれども、かなりの転換になっておる。例えばあなた方の下水道課にいた橋本祐弘さんという方が堂々と「水道公論」という雑誌に書いている文章などからも、もう全然方向が違う。この「水道公論」の五十五年二月号にはまさにこの下水道法、地方自治法にのっとった考え方が丁寧に出されている。ところが最近はそうではなくて、もう地方自治体の固有の仕事である下水道事業まで次々と渡していってしまう。そこからいろいろな問題点が出てくるだろうと思うのです。そういうことをどう考え、どう対処しようとしているのかをお聞きしたい。経過その他は要りませんから、わかっていますから、もうそのものずばり質問についてお答え願いたいと思うのです。
  48. 梶原拓

    ○梶原政府委員 下水道施設の維持管理の問題のお尋ねでございますが、まず一般論を申し上げますと、下水道整備の進捗に伴いまして、だんだん建設段階から維持管理段階へ移行する都市が増加いたしております。そういう状況の中で下水道整備の目的あるいは機能を十分に発揮させるためには適正な維持管理が不可欠でございます。これは御指摘のとおりでございます。また同時に、昨今の特に厳しい地方財政の状況のもとにおきましては、地方公共団体の実情に即した効率的な維持管理も要請されておる、こういう現状でございます。このため私どもといたしましては、今後の下水道の維持管理に当たってレベルの高い技術者の養成と維持管理体制の整備を図りますとともに、公権力の行使及び基本的な維持管理業務につきましては、下水道管理者である地方公共団体がみずから行い、その他の維持管理業務のうち委託可能なものについては民間業者等の活用を図っていくべきものというふうに考えております。  そういう基本的な考え方でまいっておりますが、お聞きいたしております東京都の例でございますが、別途第三セクターをおつくりになりまして汚泥処理をそこにお任せになるということでございます。全国二百九十一の処理場のうち汚泥処理の全部または一部を委託しているところが八八%程度になっております。そういうような現状でございまして、可能な面におきましては民間に委託するということも必要であろうというふうに考えておるわけでございます。  なお、公共下水道を民間委託することについての下水道法上の問題でございますが、御指摘のとおり、下水道法の第三条第一項では公共下水道の管理は市町村が行うということになっております。ただし第二項にございますように、二以上の市町村にまたがるといったような場合には都道府県がやってもいいということでございまして、この規定は公共下水道の管理というものの言うなれば公共団体における事務配分を決めた規正というふうに理解しております。また同法の第一十一条第二項におきましては、終末処理場の管理につきまして一定の政令の基準に基づきまして適正に管理すべきだ、こういう規定もございまして、それぞれの法律に基づきまして、市町村といたしましては適正に管理を行う必要がございますが、すべてを直営で行わなければならないものではないというふうに私どもは理解しているわけでございます。
  49. 上野建一

    ○上野委員 もっとはっきり答えてもらいたいのですよ。こういうことは好ましいやり方なのかそうでないのか。東京都があなた方の意向に反してこういうことをやり出したのか。まず第一点、そこのところを明確にやってください。時間がないので、あなたに長々とやられると困るから、ひとつ端的にお答えいただきたいのです。  そこで、地方自治法の第二百四十四条、それからその後続きますけれども、その中に、委託する場合、公共的団体だけに限っていますね。ところが今度の場合はそうではない。それからその委託についてさらに制限を加えているんですね。制限では民間会社としてはどうしても適応できないようになっているんだけれども、これはどう考えてそれに対処しておるのか。委託は「公共団体又は公共的団体」、こういうふうに明確に法律に明記されているのですね。ところが今度の場合は、これは会社ですよ。都が半分金を出すといいながら民間会社であることは間違いない。ほかの委託については大体一〇〇%地方自治体が金を出している公社その他にやらしている。ところが今度は違うのですよ。民間会社がやるというのです。  しかも、これはどういうことになるかといえば、下水の汚泥処理でもうかるはずがないのですよ。今のところもうかるはずがない。もうからないとすれば、汚泥処理はやるからほかの事業も全部やらしてくれということになる。しかも、この東京都の場合を見ますと、広い意味での下水道事業全体にかかわる会社を並べているわけですね。設備協会というのの中に全部それが入っている。だから、半分資本を出した会社がもう東京都の下水道の仕事を一手独占する、そういう事態にもなりかねない。大体仕事というのは、ここの仕事では損するけれども、ここではもうけさしてやるよというのを役所はよくやるでしょう。余りひどくなると談合となって怒られるけれども、大体暗黙のうちにそういうことも常にやっている。僕らもそういうことは知っていますよ。ましてや汚泥処理なんという明らかにもうからない問題でやるとすれば必ずそういうことになります。  それから、もっと大事なことは、あなたは技術者の養成と言いましたけれども、直営からそういう仕事を奪っておいて技術者の養成がどうしてできますか。訓練する場がなくてどうして技術者が養成できますか。  それから、水処理と汚泥処理とは事実上分離できないのです。しかも、今現場を私も見ましたけれども、例えば脱水機が故障したとかあるいは汚泥の運搬機が故障したとなると、これは全部の水処理をとめなければいかぬわけですから、そうなると一斉にみんなが総動員でその仕事にかかるのですよ。だから一つの終末処理場で、ここだけはおまえの会社、ここだけはこうだというわけにいかない。全部共同してやらなければならない仕事なんです。ところが片っ方は都の職員、片っ方は民間会社の社員、そういうやり方がこれからとられるわけですから、そういう矛盾をあなた方はどう考えておるのか。これを明確にしていただきたい。
  50. 梶原拓

    ○梶原政府委員 先ほどの地方自治法の問題でございますが、当該規定につきましては、いわゆる権限を任すということについての規定かと思いますが、下水道の管理につきましては、供用開始後中断が許されない施設でございます。その維持管理に当たりましては、高度の行政責任を負うということでございます。したがって、下水道の維持管理業務のうち、例えば工場等の水質規制に係る立入検査の実施あるいは区域外流入等の許可、それから工事等の承認、さらには改善命令、監督処分等の行政処分等の公権力に係る業務、こういった権限的なものにつきましては、当然そういう拘束を受けるというように思いますが、事実行為につきましては対象にならないというふうに私どもといたしましては理解しております。  なお、東京都の問題でございますが、そういう考え方でございますので、下水道管理者の責任の明確化を前提といたしまして、外部委託することは差し支えないというふうに考えておりまして、その場合に委託業務内容を十分に指導監督できる体制が確保されることが必要であろうということでございます。具体的には各地方団体いろいろ事情もございまして、一律に細かいところまで私ども関与できるものではございませんけれども、私どもが今までお聞きしている範囲内におきましては妥当ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  51. 上野建一

    ○上野委員 妥当だなんていいかげんなことをあなた言いなさんな。自治法の解釈が全然違うじゃないですか。あなた方の雑誌にちゃんと載っている橋本さんというのはどういう人ですか。あなたの言っていることはその人の考え方と全然違うよ。  それから、民間に委託する場合に、一社しかないんだから随契になるでしょう。公共的な団体なら随契というのはわかりますよ。しかし、これからずっと一つの会社に随契でやるんでしょう。そうすると、経済的に安くなるなんという保証は何もないじゃないですか。それに加えて、こういうことについて皆随契がいいんですか。一社だけ独占的な会社をつくらして、そこに全部やらせるということがいいんですか。もっと明確にはっきり答えてください。
  52. 梶原拓

    ○梶原政府委員 ただいま具体的な職員の名前が挙がりましたけれども、その論文私関知いたしておりませんが、いずれにいたしましても、建設省都市局の公式の見解とはまた別個のものであるというふうに理解しております。  それから、地方自治法におきまして契約の方法の規定が御案内のとおりございます。原則は競争入札でございます。しかしながら、その目的あるいは性格が競争入札契約に適当でないという場合には随契によることができるという規定がございまして、そういう条項を適用するかどうかということは、これはまさに地方自治の問題でございまして、公共団体が自主的に判断して適正な契約をやるべきだというふうに考える次第でございます。
  53. 上野建一

    ○上野委員 さっきの技術者の養成の問題、答弁が漏れています。  それから、先ほど言った水処理と汚泥との関係については実際仕事上分離できない。こういうことに対してどう考えますか。  それから具体的に、この間新聞に……
  54. 浜田幸一

    浜田委員長 答弁はいいんですか。
  55. 上野建一

    ○上野委員 二つ目の質問、安中市においてし尿の汚泥の中からカドミウムが検出されているのです。こういうことはやはりこれからどんどん出てきますよ。そういう場合に民間会社に任せてちゃんとした監督ができますか。あなたは管理というものをやれるというなら、それではどれだけの人間を配置すればそういうことができるのですか。そこら辺ももうちょっと明確にしなければあなたの言っていることは全然説得力がないよ。前の技術者の問題も含めて答弁してもらいたい。
  56. 梶原拓

    ○梶原政府委員 技術者の養成につきましては、かねてから東京都におきましても鋭意努力されておるわけでございますが、こういう委託業務をなされることによって、そういう支障が出ないように十分指導してまいりたいというふうに思います。  また、汚泥にいろいろ問題があるということでございますが、私ども伺っておる限りにおきましては、都のこの際の委託というものは、汚泥処理業務を全面的に委託するということではなくて、汚泥処理量の指示あるいは汚泥の品質管理等基本的業務については都みずから行うというふうに聞いておるところでございます。
  57. 上野建一

    ○上野委員 この地方自治法二百四十四条の二、これはその管理を委託する場合のことを明確に書いてあるのですね。今みたいにずっと詰めていくと、汚泥にどういうものが入っているかも含めてだけれども、まずこの委託するということが公共団体でなければだめだと言っているのです。これはそのことについては関係ないというのですか。それではあなたの解釈では、委託はもう公共団体や公共的団体でなくてもやれる、それであと監督だけ置けばいい、こういうことですか。あなたはいつ自治法を改正したのですか。  それから、さっき言った橋本の問題などは全然答えてないじゃないですか。
  58. 梶原拓

    ○梶原政府委員 先ほど具体的な名前が出ました件につきましては、先ほど申し上げましたとおり、どういう論文か私は関知いたしておりませんが、いずれにいたしましても、建設省都市局の有権解釈というものとはまた別個の問題であるというふうに考えております。  それから、地方自治法の委託の規定でございますが、私どもといたしましては、あくまでも事実行為の執行という問題、本件につきましてはそういう問題であろうというふうに考えておりますので、当該規定には抵触しないというふうに考えておるわけでございます。
  59. 上野建一

    ○上野委員 どういう形になればあなたの言う委託が正当になるのですか。もっと明確にしなさいよ。公共団体でなければだめだと自治法で言っているのですよ。あなたはこのやり方は好ましいと思っているのですか。
  60. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御指摘の地方自治法の規定につきましては、事実行為の執行の問題でございまして、権限的に委託するという問題ではないわけでございますので、本件につきましては、そのらち外の問題であるというふうに考えております。
  61. 上野建一

    ○上野委員 これはもう局長じゃどうにもなりませんから、大臣、これはやはり今までの下水道行政の抜本的な転換になりかねない問題を含んでいると思うのですよ。というのは、そういう形で下請あるいは委託というものがどんどん広がっていきますと、もう下水道法を変えなければだめですよ。そういうところまで来ている。それから地方自治法についても明らかに抵触していますよ。ひねくれた解釈をすれば別ですよ。それは勝手な解釈をすれば別ですけれども明らかに触れている。しかも一社だけ民間会社をつくって、それに全部仕事をやらせる。これは後で公正取引委員会にも聞きたいのですけれども、きょうはもう時間がないからやめますが、これはまさに独占ですよ。しかもこれは下水道事業をやっておる、いろいろな仕事をやっておるところから金を出させた会社です。そこから技術者が来るわけです。そうすると、もう民間に下水道事業を渡したと同じになってしまう。問題があっても責任とれませんよ。監督なんといったってそんな仕事に携わってないものが、事情を知らないのだから監督なんかできっこないですよ。我々がコンピューターの監督をやるようなものですよ。そういう意味では、やはりこれはもう抜本的な問題になるから、建設省としてももう一度検討してみる必要があると思うのです。そしてその上に立ってもなお好ましいというのか、それともこの点だけはちゃんとしなければならぬという幾つかの条件が当然出てくるはずです。今の東京都の知事みたいに勝手なことをやったら、もう公的権力を行使することもおかしくなりますよ。なぜ公共団体にこだわるかといえば、それは公的権力を行使する部分が出てくるから、特に下水道は下水道に入らなければ罰則を受けるのです。おれは下水道を使わないというわけにいかない、そういう公的なものがあるのです。そういうことから考えると、今の局長の答弁ではもう話にならないから、ぜひ建設省としてこの問題を本気になって検討していただきたい。私はきょうはこれで終わりますが、次の機会になお建設省の見解なども聞きながらさらに質問したい、こう思います。建設大臣そういうことで御検討いただけるかどうかだけお聞きしたいと思います。
  62. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの上野委員の御質問について、私は承っておりましたが、役所は役所で何か言い分があるようでございます。事務当局の説明もよく聞いてみまして、改めて御答弁申し上げたいと思います。
  63. 上野建一

    ○上野委員 終わります。
  64. 浜田幸一

    浜田委員長 馬場昇君。
  65. 馬場昇

    馬場委員 まず緊急に発言を許していただきました委員長並びに委員の皆さんに心から感謝を申し上げます。さらに水野建設大臣は六月の初句に熊本を視察されたわけでございますが、ありがとうございました。ひとつ今後ともよろしくお願い申し上げたいと思います。  聞くところによりますと、水野建設大臣は何か熊本にゆかりのあられる方だと聞いておるわけですが、「五木の子守唄」は御存じと思うのですけれども、「おどま盆ぎり盆ぎり盆からさきゃおらんど盆が早よ来りゃ早よ戻る」これは小学校に上がるか上がらないかの幼子が貧乏ゆえに子守に出されて、その契約がお盆からお盆までなんですよ。子供をおんぶしながら、お盆がきたら早く実家に帰りたい、こういう悲しい子守歌ですが、この間水害がありました五木は、この子守歌の里と言われておりますし、非常に清流ですし、渓谷の美しいところでございまして、五千年の歴史を持つ村でございます。これがこの間六月二十九日に竹ノ川地区というところが、危うく難を逃れた人たちの言葉を借りますと、雷が幾つも一遍に落ちた、山が真っ二つに割れた、恐怖におののきながらこう話っておるわけですけれども、一瞬にして山崩れ、土砂流出によりまして五戸が流され十四名のとうとい命が失われたわけでございます。  実は、去年は島根で、一昨年は長崎で、この梅雨末期に山崩れ、土砂流出によりまして二年連続被害が続いているわけです。私はこの被害を見て何でこれは予測できなかったのかというようなことをつくづく感ずるわけですけれども災害担当の国土庁長官は、まずこの災害を見られて、本当にどういうことをここから学ばれて、今後の行政にどういう決意をなさっているのか、時間が非常にございませんので、一言国土庁長官からお聞きしておきたいと思います。
  66. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 五木村の災害につきまして、亡くなられた方々に対して心から哀悼の意を表したいと思います。  五木村の災害の状態については、いろいろその後報告を聞いておるわけでありますが、最近は、風水害による災害でも、人命を災害から守る、こういったことは基本的な考え方でありますけれども、がけ崩れというのが相当大きな原因になっております。そういう意味で、五木村のかけ崩れ等々の問題については新聞紙上いろいろ言われておるわけでありますが、問題は極めて大事なことでありまして、災害になったその結果として、今後一日も早くそれを正常な姿で生活が回復できるように全力を挙げてまいりたい、こういうふうに思っております。
  67. 馬場昇

    馬場委員 これは建設大臣にお伺いいたしたいと思うのですけれども、この五木村に、がけ崩れ、山崩れが起こりました竹ノ川地区を含めて、実は長崎の大水害がありました後、急傾斜地崩壊危険地域として熊本県が四十七カ所リストアップして調査を始めておったのですが、実際、国、県から急傾斜地崩壊危険地域として指定されておるのは三カ所なんですね。こういう指定をして、防災工事を早くしていたら、こういうことは起こらなかったのじゃないかと思うのですが、そういうことを含めながら、建設大臣としてのこの災害に対する所見、何を学ぶか、どういう決意をなさっておるか、これまた簡単に決意をお聞かせいただきたいと思います。
  68. 水野清

    水野国務大臣 今回の災害で大勢の方々の人命が失われたことはまことに遺憾に思っております。今後ともこの急傾斜地崩壊危険区域の指定の促進並びに防止施策の計画的な整備を図って、災害の防止に全力を尽くしていきたい、かように思っております。
  69. 馬場昇

    馬場委員 次に、この災害の救援の問題並びに復旧に万全を期していただきたいということで二、三質問をいたしたいと思うのですが、実は、この五木村は昭和三十八年に大水害がありまして、百戸ぐらい流出いたしまして、十一名の人が亡くなっておるのです。そのとき下流の人吉市も大水害を受けました。そういうこともございまして、昭和四十年に建設省が多目的ダムとして川辺川ダムの建設を発表されまして、着々と仕事をやっておられるわけでございます。そういう点から、この五木村を、ダムに沈む秘境、ダムによって過疎が非常に進む村、こう今言われておるわけでございまして、事実、ダムに沈むところ五百世帯、そのうちの百七十世帯はもうこの村を去っているのです。昭和五十五年の国勢調査のときには三千人以上おった人口が、実は今は二千六百人しかこの村の人口はないわけでございまして、そういうぐあいで、ダムに沈む秘境、そしてだんだん過疎が進むという中で今度の水害なんですよ。まあ五木村の人たちは今は何と言っているかというと、この五木村というのは、孫子代々ここに住んでおれる土地だろうか、こういうぐあいに実は今非常に不安になっているわけです。そういうことですので、ぜひ災害の救援とかあるいは復旧、ここで国、県の指導で村づくりをしてやるんだというような態度で、実は救援なり復旧をしていただきたいと思うのです。  そういう中で第一点お伺いいたしたいのですが、災害救助法の適用を受けましたので、厚生省の方ですが、今は災害救助法適用によります施策というのはどういうことが行われておるのか、簡単にひとつ現状を説明してください。
  70. 近藤純五郎

    ○近藤説明員 お答えいたします。  災害救助法を六月二十九日に適用いたしまして、救助の内容といたしましては、避難所の設置、これは被災者だけでなく崩壊したがけ地の近くの方々が、まだ危ないというふうなことで避難いたしております。その避難所の方々に炊き出しを現在も行っております。  それから、死者がかなり出たわけでございますが、行方不明者もまだ残ってございまして、この行方不明者の捜索を一名やっておりまして、これにつきましては、消防団もやっていただいておりますが、アクアラングの専門家等も雇いまして捜索をやっているところでございます。  それから、仮設住宅を二戸建設の予定でございまして、建設の予定地がやっと決まりましたので、近々に着工する予定になってございます。  それから、災害救助法とはちょっと離れますけれども、死者につきまして災害弔慰金の早期支給を指導しておりまして、行方不明者など二名を除きまして、昨日までに支給済みでございます。一名につきましてはきょうじゅうに支給の予定でございます。  以上でございます。
  71. 馬場昇

    馬場委員 次に、林野庁にお尋ねしたいのですけれども災害の現場の災害緊急治山事業というのは今どう取り扱っておられますか。
  72. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 林野庁といたしましては、迅速な復旧を図るために、災害発生後直ちに治山それから林道の担当官を現地に派遣いたしまして、現地調査、指導等を行ったところであります。また山腹崩壊地をなるべく早く復旧するために、これは水路工、土どめ、緑化等を含みますが、それらの緊急治山事業を実施するということにいたしまして、既に七月四日付をもちまして一億二百万円の工事費を内示しているところでございます。
  73. 馬場昇

    馬場委員 非常に過疎の村、財政も困っている村ですけれども、この災害を受けてますます困るわけです。  自治省の方にお尋ねしますけれども特別交付税等村の財政援助対策、こういう点についてはどういうふうな措置を講じておられますか。
  74. 二橋正弘

    ○二橋説明員 五木村の災害に対します財政措置でございますが、災害復旧事業費につきましては、その村負担につきましては所要の地方債の措置を講じますとともに、それに対します交付税による元利償還措置を講ずることといたしております。  それから、特別交付税でございますが、これにつきましては、その被害の状況、倒壊戸数でございますとか被災面積でございますとか、そういった被害の状況あるいは村の財政状況等を考慮いたしまして算定を行うわけでございますが、十二月分の特別交付税の算定におきまして適切な措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  75. 馬場昇

    馬場委員 非常に時間がないものですから議論ができないわけですけれども、今幾つかの緊急対策等お聞きしたわけでございます。  これは国土庁長官にお尋ねしたいのですが、決意をお聞きしたいのですけれども、本当に村がこれで存廃にかかわるような状況に今なっているわけで、先ほど言いましたように、村民は非常に不安に駆られておるわけでございます。どうか国を挙げて、県等も指導しながら、一日も早い復旧と村興しという意味も含めまして、国の指導とか力強い対策をお願いしておきたいと思いますので、ひとつ長官の災害対策責任者としての御決意をお聞きしておきます。
  76. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 御指摘の点ですが、よく事務当局から御報告を受けております。そういう意味から、各省庁と連絡をとりまして、できるだけ速やかに、しかもまだ、今後過疎の過疎として存廃が問題となるようなことのないように、今後はそういった面も考えて全力を尽くしてまいりたい、こういうように思っております。
  77. 馬場昇

    馬場委員 そこで、二度と災害を起こしてはならないわけですから、そのためには災害の原因の究明というのが非常に必要だと思うのです。  そこで今地元では、林道ができて林道災害説いわゆる林道人災説、豪雨天災説、こういうようなことが村人の中で実は言われておるわけでございます。しかし、この五木村は村の九六%は山林です。一%しか耕地はないのです。そういうところの人たちの生活というのは、みんな山に頼っているわけでございまして、この林道が犯人だなんかということは絶対に言いたくないし、犯人に仕立て上げたくもないという村人の気持ちがあるのです。  ところが竹ノ川地区というのは、三十八年の水害のとき流された人が、ここならば安全だと言って移った。五、六百年もここには家があって、そして三十八年のとき非常に降った水害でも山は崩れなかったのです。一昨年の長崎の水害のときも山は崩れなかったのです。ところが林道ができてから山が今度崩れたわけですから、やはり林道が原因じゃなかろうかという人々もおるわけです。しかし、私はここでどちらだということを言う気はいたしませんし、今村人が心を合わせて復旧をしなければならぬときですから、そういう議論はしない方がいいと思うのですけれども、しかし二度と起こさないためには、原因ははっきりさせておかなければならぬということで私質問するのですけれども、やはりここで林道がつくられておるわけですが、これは林業構造改善事業でつくられておるのですけれども、これを経過とかなんとかきょうは聞きませんから、この林道をつくるときに県とか国が林道技術指針に基づいてどういうような指導をしたかということを私は知りたいのです。これについては林野庁にその資料を出していただきたいということをひとつ質問をいたしておきたいと思います。後でお答えください。  次の第二点目の質問は、実は林野庁が七月六日に現地に山口東大教授など三人の治山防災の専門家で現地調査をなさっているわけでございますが、これは国の公式な調査団で、この調査団の結論が原因の究明の国の結論になるのか、あるいはこの人たちはいつ結論を出すのか、どういう段取りで仕事をしておるのか、この二つについて林野庁に質問をします。
  78. 田中恒寿

    田中(恒)政府委員 林道の開設工事に当たりましての設計等の審査におきましては、林道規程もございます。それから林道の技術指針というものもございまして、都道府県がそれによりまして審査するように林野庁としては指導しているところでございます。それらの経緯につきましては、先生におわかりいただけますように御説明を申し上げたいと思います。  それから、今回の専門家による調査についてでございますが、やはり林野庁といたしましては、今回の崩壊の機序と申しますか機構といいますか、そういうものを調査することが今後の災害防止のために不可欠と考えまして、三名の専門家の方に調査をお願いしたところでございますが、明確にいつごろまでに結論を出すということは、専門家のいろいろな調査実験等も行われることでもありまして申しかねますが、林野庁が希望しております点は、年内には結論を出していただきたいというふうに調査団の方にはお願いをしておるところでございます。  なおまた、節々と申しますか、途中段階におきましても、それなりの説明をいただけるように、緊急なものにつきましては月内でも一応のお話を聞けるようにというようなことでお願いはしておるところでございます。
  79. 馬場昇

    馬場委員 林野庁は、この前の枯れ葉剤のダイオキシンなんか指針を示したけれども、現場ではそうなってなかったという罪悪を犯しているわけですから、そういう点についてはさっき言った資料はぜひ見せていただきたいと思います。  そこで、私ちょっとお願いをしておきたいのですが、林野庁から二十九日のこういう災害があった明くる日行かれているのです。行ってすぐそう時間もわずかな時間で、ああこれは林道が原因でないんだということを新聞発表されている。この間行かれた方々も、今から年内に結論を出そうというのに、行って林道が原因でないのだ、天災だというようなことを新聞に言われている。こういう軽はずみなことを、調べなければわからないために調べに行っておって、そういうことを言うのはおかしいと思います。  これは委員長もお聞きいただきたいのですが、実は熊本には昭和三十一年に水俣病が公式発見されたのですよ。そのとき排水が原因だというので、漁民は騒いで押しかけたり何かした。そのとき政府は東京工大の教授を調べにやったわけです。これは工場排水じゃありませんという報告をした。化学工業協会は理事を、専門官をやって、ああこれは戦争中爆弾をここに落とした、それが原因だなどといって、とにかく九年間原因究明を長引かせた。そして水銀をつくる施設をとめるのに十二年間かかった。その間流し続けてああいう悲惨な水俣病を実は起こしたのですよ。  そういう経験があるわけですから、熊本県の人は、一番原因が詳しいのは地元の漁民だと言われたのです。だから、地元に何百年住んでいるのですから、本当を言えば、どの学者よりも、どの研究者よりも、地元の人たちというのは原因が一番わかると思うのです。だから調査なさいますときには、ぜひ地元の住民の意見というものも聞いていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  時間がほとんどなくなりましたが、あと最後に一つだけ質問申し上げたいと思うのです。  実は、先ほど言いましたように、五木村の人口というのは二千六百人でございます。さっき言いましたように、九六%が山林で一%が耕地でございますが、四十七カ所を熊本県が急傾斜地崩壊危険箇所としてリストアップして調査を始めておったわけです。ところが四十七カ所といいますと、五木村の村落ほとんど全部なんです。はっきりいって五木村全体が急傾斜地崩壊危険地域と指定してもいいんじゃないかと私は思いますが、現在実は三カ所しか指定されていない。こういう状況もあるわけでございまして、熊本県全体を見ましても、指定を受けているのは三百三十四カ所です。そして指定待ちしておるところは二千五百十カ所もあって、毎年二十カ所くらいしか指定されていない。こういうのが早く指定されて、そして防災工事を施しておれば、こういうことはなかったのだなと思います。そういう意味で、五木村は村全体が急傾斜地崩壊危険地域、そういうぐあいに指定するような気持ちで、今後五木村の防災対策というのをまず考えていただきたいということでございます。  第二点の問題としては、その防災工事ができ上がるまで災害は今度のように待たないわけでございますが、熊本県全体もそうですけれども、九十八の市町村があるのですけれども、この役場と村落との無線連絡、緊急連絡の体制が整っておるのは四十四カ所で半分くらいしか実はない。この五木村も川は危ないといって全部川に対する防災対策はあったのですけれども、山は全然崩れたことが一回もないわけですから、山に対してはほとんどノーマークでした。今度も全然連絡がとれなかったわけです。もちろん警報も出ていなかった。  そういう意味におきまして、少なくともこの急傾斜地崩壊危険地域は全村だというような考え方で、本当に予報とか警報体制ができておれば、私はこんな悲惨は起こらなかったと思うのです。そういう意味で、五木村全体を急傾斜地崩壊危険地域として指定するような格好でここに対して防災対策をやるのだ、建設省は、五木村に今度の急傾斜地にかかわって四十七の村落みんなリストになっているのですから、ここを結ぶ予報、警報装置というのを今度取ります、そういう点に対する決意はどうですか。これはまず政府委員から、そして大臣からお答えいただきたい。
  80. 井上章平

    井上(章)政府委員 全国の急傾斜地崩壊危険箇所は、昭和五十七年調査によりますと七万二千カ所に及んでおります。このうち指定を受けておりますのは一万一千カ所という状況でございます。
  81. 馬場昇

    馬場委員 失礼ですけれども、五木に限っておっしゃっても結構です、全体を言いますと時間が過ぎますから。
  82. 井上章平

    井上(章)政府委員 そういう状況でございますが、都道府県知事が市町村長に意見を聞いて指定することになっておりますが、私権の制限が伴う等によりましてなかなか指定が進まないという状況にあるわけでございますので、今後とも地元の理解を得ながら指定の促進を図るように十分指導してまいりたいと考えております。  もう一点、警戒避難体制の件でございますが、ただいま土石流につきましては警戒避難体制の整備を図るべく、現在モデル地区におきまして機器の開発等を進めているところでございまして、急傾斜地につきましては、まだ具体的な動きはないわけでございますが、私どもは、この土石流につきましての警戒システムを、将来にはこの急傾斜地についても及ぼしていきたいというようなことで努力をしてまいりたいと考えております。
  83. 馬場昇

    馬場委員 最後に大臣、重ねて申し上げて恐縮ですけれども、さっき言いましたように、五木村全体で四十七カ所、県がリストアップしているわけですから、村全体が急傾斜地崩壊危険地域というような観点で、しかもこの四十七カ所はほとんどの村落です。これが予報、警報体制が行えるように県を指導していただきたいし、村も指導していただく。ぜひ国も積極的にそういうことを、こういう災害を受けたわけでございますので、決意を新たにして取り組んでいただきたいということで、最後に大臣の御決意をお聞きしておきたいと思います。
  84. 水野清

    水野国務大臣 急傾斜地崩壊防止事業の予定地というのは非常にたくさん全国にあるわけでございます。それがいろいろな財政的な事情から不十分であるということは私どもも感じておりますが、この五木村につきましては、今回の事故もありますので、熊本県ともよく打ち合わせをいたしまして、建設省としてもいかがな対策をするか検討をしていきたいと思っております。その上で警戒避難体制その他につきましても十分な措置をとりたい、かように思っております。
  85. 馬場昇

    馬場委員 終わります。
  86. 浜田幸一

    浜田委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十三分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  87. 浜田幸一

    浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。関晴正君。
  88. 関晴正

    ○関委員 まず第一に、建設大臣に少し尋ねておきたいと思います。  先般、私は郡山の駅を視察しました機会に、郡山の駅を通っておる新幹線の下に建設省がつくったという地下道を見てまいりました。この地下道は何のためにつくったのだろうか。しかも、この地下道が通行のできる地下道だというならばいいのだけれども、全然通行のできるような地下道ではありません。新幹線の建設工事の中において使わなければならないというものであるならば、当然これは国鉄あるいは運輸省の責任においてつくるべきものであったのではないだろうか。それを何で建設省があの場所にあの地下道を建設しなければならなかったのか。福島交通不動産の小針なる者の強い要請があって大臣がつくってやったんだという話が専らある。そういうことであるとするならば、建設行政というものは全く権威のないやり方で金が使われているということになる。私はこの地下道というものが那辺にあるのか探したけれどもなかなか見当たらなかった。四万を覆い隠しておって地下道の姿はどこにも見えませんでした。利用もされないものを巨額の金をかけて掘り上げた、つくり上げたということは大きな間違いであったのではないでしょうか。当時の建設大臣は渡海氏でありましたから、渡海氏の責任を今ここで追及するということも無理でありましょうが、行政の継続性というものもあるだけに、建設大臣はこの問題をどう位置づけておるのか、どうこれを見ておられるのか、この機会にお考えをいただきたいと思います。
  89. 水野清

    水野国務大臣 郡山駅付近の街路の地下化をめぐる疑惑がある、こういうことが先般某日刊紙に大きく出ました。私もびっくりして拝見をいたしました。そこでいろいろ事務当局から事情その他を聞いたのでございますが、この地下街路、本路線と東北新幹線との立体交差部の工事は新幹線直下の工事となるために、旅客輸送の安全を図る観点から新幹線の開業予定の前にやりたいということで、昭和五十六年までに完了する必要が生じた、そこで新幹線関連部分についてのみ昭和五十四年と五十五年度に実施したものである、本事業都市整備の観点から必要な事業であり、新聞等に報道されておるような事実と状況が違うというふうに説明も受けましたし、私もさように理解をいたしたわけでございます。
  90. 関晴正

    ○関委員 そんなおざなりの答弁を私は求めているのじゃないのです。必要性があり、緊急性があって新幹線の下に地下道を掘ろうじゃないかということで運輸省が決めてやったのでしょう。今その地下道は何にも利用されていないのでしょう。しかも、その予算を取ったときには都市計画さえできておらなかったでしょう。予算だけつくっておいて後で都市計画をつくって、それに当てはめて工事だけはした。たくさん都市計画事業があるのにもかかわらず、なかなか予算がつくというのは難しいでしょう。都市計画事業が決まらないうちに予算だけついて、そしてその後に都市計画を定めて工事をした。それに投じられた金が生きればいいですよ。またこの地下道の向こう二百メートル近くに既設の鉄道が走っているでしょう。その既設の鉄道の走っているところの穴あげは全然できてないでしょう。何の意味があるのです、ここに掘ってあげて。これだから福島交通不動産の社長のために、根抵当を高くするために掘ってあげたんだろう、こう言われるのももっともなんだ。ですから私は、大臣に聞いているのは、さきの大臣のやったこととはいえ、これが妥当なことであったと思っているかどうかなのです。正規の手続からいってもいろいろな疑問がある。数多くやらなければならない都市計画事業で、どんなに予算をつけてくれと言ってもつけられないままであるのが多いときに、これだけは計画も定まらないうちに年度の予算をつけて、予算をつけた後に計画を後追いさせて、そうしてしゃにむにやったということは建設行政上私はゆゆしき大事じゃないか、こう思っているのです。そういう意味で、事務当局のお話は要りません。もう聞きました。大臣、これはこうしてやるのが当然でやったのか。それともこれは運輸省で必要であるとするならば、運輸省の責任において、国鉄の責任でやらすべきものであったのではないだろうか。建設省がこれをやらなければならない当時の必然性、緊急性、少しもないではないか。計画性においてもしかり。こう思って私は尋ねておるわけですから、それについて当てはまるお答えがあるならばしてください。
  91. 水野清

    水野国務大臣 ただいまの事業の着手についてのいきさつについてはいろいろおしかりがございますが、先ほど申し上げたとおりの事情でございます。その際に、都市計画の決定がおくれたということは事実でありますが、事務当局から説明を聞きましたところ、さようなケースは間々あることであって、特にこの新聞で報じられたような誇張されたものではないというふうに私も理解をしております。
  92. 関晴正

    ○関委員 終わろうと思ったんだけれども、やったことが間々あるだなんていいかげんな返事されて一間々あるというのはどういう例がありますか。具体的にどこで、いつ、答えてください。
  93. 梶原拓

    ○梶原政府委員 一般的に申し上げまして、都市計画決定されてないものを新規事業採択をすることはあるわけでございますが、本路線のように、他事業等との関連で緊急に事業を行う必要があるものあるいは連続立体交差事業等の大規模なもので都市計画決定が行われることが確実と見込まれるものについては、都市計画決定以前に採択しております。なお、本事業につきましては、都市計画事業として福島県並びに郡山市、地元といたしましてぜひやりたいということで国鉄と協議し、国鉄もそれに応じて、言うならば都市計画事業サイド側の要請で新幹線開業前にその直下部分だけ、十八メートルでございますが、開業したら工事ができないということでございますので、かなり先行でございますけれども、あえて実施した、こういう事業でございます。
  94. 関晴正

    ○関委員 問うていることに答えてください。大臣が、間々あることだと、あなた方が説明したから、間々あるというのはどこにあったかと聞いているのですよ、具体的に。しかも確実性、そして長い間の懸案でしょう。確実性と長い間の懸案が同じように見られるものですか。そういう意味では、いつ、どこで、どういう仕事であったかを示してください。
  95. 梶原拓

    ○梶原政府委員 他事業関連いろいろございますが、たまたま今具体例を持ち合わせておりませんので、後ほど直ちに調べまして御通知したいと思います。
  96. 関晴正

    ○関委員 こんな情けないことで、間々あるなんという答弁で事を済まそうなんというから残念なんです。ですから、後でもいいですから、私は一時間質問しますから、その間に一番近い例を示してください。申し上げておきます。  次に、国土庁長官にはさきの建設委員会のときにもむつ小川原開発の問題でいろいろと申し上げておきました。今回、国土庁長官は青森においでになりまして、現地を視察されて、そしていろいろと現地においてお話をなされておられました。  そこで、国土庁長官は現地を訪ねて、むつ小川原開発というものは見込みのあるものであり、やれるものであり、また同時に、石油開発というものは、この開発計画のうちの一部の一部にすぎないんだ、こうお話しされ、さらにまた核燃料基地の場所としてもこれは適地である、こう見てきたという報道が実はなされているわけであります。この報道については間違いがないかどうか、まずお尋ねしておきたいと思います。
  97. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 核サイクルの基地でありますが、これはしょせんは受け入れ側の県と地元の関係で決められるわけであります。そこで、私の発言の問題、今お話がありましたが、そういうふうな状態がつくり出されれば、環境的には大変広大な土地であると同時に、また道路も港湾も整備しつつある、こういったことを踏まえた場合には、あくまでも地元が決定をするものであるけれども、考えてみれば大変適地である、こういうお答えをしたことは間違いありません。  それから、むつ小川原のここがどうかという問題でありますが、日本であれだけの膨大な中核団地と申しますか、工業立地の団地五千ヘクタール、これはないわけです。そういう意味から、将来に夢を託して、長い目で息長くこれを育てていくということは、あの半島のために、あの周辺のために必ず浮揚していくであろう、こういう信念で私はお答えをしているわけでございまして、あの種のものは息の長いものである、こういうふうに考えておりまして、関さんが今御質問されましたが、間違いはございません。
  98. 関晴正

    ○関委員 むつ小川原の開発について、豊富な水があり、広い土地があり、そうして海が広がっておって大変いい場所だ。これは何もあなたがいい場所だと言わなくても、今から十五年前に、時の経団連の植村甲午郎氏が参りまして、飛行機に乗って、ああいい場所があるな、土地も広いし水もあるようだな、こう言って取り組んだのですよ。取り組んでこのざまなんです。あなたが行っても十五年前と同じ話しかないのですね。広い土地がある、豊富な水がある——実際は豊富でもありませんよ。そんなお話をしてきて、あげくの果てにあなたは、このむつ小川原開発の石油コンビナートというのは計画の一部の一部にすぎない、こうおっしゃったのですね。では、一部の一部にすぎないことはやれないけれども、大部分のことはやりたい、その大部分のことというのは核燃料サイクル基地のことなんでしょうか。そこはどうなんですか。
  99. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 一部の一部ということについて、その真意は、県の計画が出ております。あくまでも民間の産業立地の張りつけということが主としたあそこの目的として了解をされておるわけであります。そういう意味から、一部の一部にすぎないということは、これからは、政府としても閣議了解を得て着工いたしておるわけでございますから、あらゆる角度からやはりあそこに産業の張りつけが当然なされていかなきゃならぬ。そういう意味で、そういった面から見ますと五千ヘクタール、面積だけのことを言っちゃ大変あれですが、等々のことを考えたならば、あの全体の構想の中の国家備蓄は一部のことであって、今後はやはり何としても精力的に積極的に民間の工業の張りつけというか立地の張りつけをしなきゃならぬ。そしてあの半島の経済浮揚あるいはまた雇用の拡大に努めなきゃならぬということを申し上げた、こういうことでございます。
  100. 関晴正

    ○関委員 あなたの一部の一部というのは備蓄タンクのことを指したのですか。
  101. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 いや、石油備蓄がなされておることは関さんも御承知のとおりであります。そういう意味から石油コンビナートが一部のものであるというふうに指しておるわけではありません。ただ、一部がそういうふうにして張りつけされておりますけれども、あくまでもここに計画をされたという問題は、やはり半島の経済浮揚というか雇用の拡大、こういったことが大変大きな目的としてなされたものであって、石油コンビナートがここで一部配置されたことが石油コンビナートということを指しておるわけじゃない。あくまでも私が指しておりますことは、一日も早く地元の期待にこたえられるように地域開発あるいはまた産業の張りつけとか、こういったことを指しておるわけでございまして、石油ということを前面に押し出しておる、こんなことはございません。
  102. 関晴正

    ○関委員 とんでもない大臣ですよね。この大臣はむつ小川原開発計画の内容をちっとも知らない。知らない大臣が行っていいかげんな話をされた日には県民は迷っちゃいますよ。今ここでその話を克明に私から申し上げるのは時間がもったいなくてできません。できませんけれども、教えておきますよ。むつ小川原開発というのは、ここに石油精製、石油化学、火力発電、この三つをつくり上げますという計画なんです。それを閣議決定されたんです、あなたの先輩たちが。国土庁長官がお先棒を担いで、そのときの長官は我が青森県から出ている田澤吉郎という長官だったよ。私はそんなことしたって無理だ無理だと随分言ったんだが、力のある自民党はいいんだと言ってしゃにむにやった。ところが、このむつ小川原開発計画の石油にかかわる開発計画は一歩も進まない。そうして小川原湖の淡水化事業をどうしたらいいだろうか、あるいはまた小川原湖を利用する上水道計画をどうしたらいいだろうか、こういうことについては若干仕事を始めでいっているが、これも目標とするところの工業人口三十万なんという都市づくりはとても不可能だろうということで仕事は停滞しているわけなんです。石油精製の問題といいあるいは石油化学の問題といい火力発電といい、我が国の政策の方向は今ダウンまたダウンでしょう。経済の姿もまたこの部面については操業短縮に次ぐ短縮でしょう。それをあなたが行って、長期的視点に立って時間をかければ成るんだと言う。そんな見通しに立てるものではないと我々は見ているのです。大臣は、この問題についでこれが仕事なんだ。そのあなたが青森へ来て、この石油開発、石油コンビナートという仕事は一部の一部にすぎないと。じゃ、この大臣は何をやるつもりだろうと我々は疑わざるを得ないんだ。そこで、ははあやっぱりこの大臣も、ここを原子力のメッカにしようという頭があって、ここを核燃料サイクル基地にしたらいいんしゃないだろうか、こうお考えになってお話しになったのだろうか、こう思って、そうなんですかということを実は今尋ねているわけなんです。そうしたらあなたは、先ほどそういう場所においては適地だと思う、こうさりげなく言った。大体国土庁長官がこれが適地だなんて、何を根拠としてあなたは適地だと言ってきたのですか。そこに空地があるから空地それ適地という概念であったとするならば、これは取り消していただきたい。あなたが適地と見た根拠があるなら、また示していただきたい。その点お尋ねしておきます。
  103. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 先ほど申し上げたように、あの周辺の地元の関係の方々らも、あるいは県の執行部の方々らも、あそこにできるだけそういった形で建設をしたいという陳情はよく承っております。そこで、先ほど申し上げましたように、これはあくまでも県当局地元関係、こういった受け入れ側の条件が極めて大事なことでありまして、そういう意味から地元関係者も大変熱意を示されておられます。私の場合、さっき申し上げたとおり、大変土地も広大な土地である、しかもまだ道路の問題も整備されつつある、また港湾等々もありますから、地元の関係の条件が整うとするならば極めていいところでないか、このように質問に答えておるわけであります。私は決して先走ってここは適地であるとか適地でないとかいうことを申し上げる立場ではない。そういう意味で、あくまでも地元の受け入れ側のそういった関係を配慮しながら、そういったことを考慮しますならば、今陳情されておるこの問題というのは、そういう可能な土地ではなかろうか、こういう答弁をさせていただいた、こういうように受けとめております。
  104. 関晴正

    ○関委員 あなたは大臣なんですからね。あなたはただの人じゃないのですよ。そして国土庁長官です。青森県民は国土庁長官が来たというので、国土庁長官がこの開発計画について何と言ってくれるかとかたずをのんでお話を待った。待ったら何というお話だ。石油コンビナートは一部の一部にすぎない、こう言ってみたり、また核燃料サイクル基地には適しているんじゃないかと思うと言ってみたり——あなたの守備範囲というものは、核燃料基地の問題についてはある程度研究された上で意見は出されなければなりません。  ところが、この場所というのは、さきには十勝沖地震、それから昨年もまた日本海中部地震、この影響だってここまで来ているのです。昭和四十三年の十勝沖地震で青森県でつくった「青森県大震災の記録」というのがあります。青森県が、時の知事が立派なものをつくった。青森県の関係の学者を全部集めてやったのです。そしてあの十勝沖地震という名前は間違っている、あれは下北東方沖地震というのが正しいとまで後で言われているのです。そしてこの地域というのは、長い歴史の中において五十年に一遍大地震発生の箇所である、地震の巣だと言っているのです。それがためには、それぞれの地層、海底、そういうようなものを全部調べて、何キロにわたって何度の温度があるとか、何キロの地点についてはどういう熱があるとか、どういう地層があるとか、活断層についても地形についてもいろいろと研究して、この場所は危ないということを言っているのです。ですから、そういうことをも踏まえないで軽々に、広がっている土地があるから適地だ、道路もできているし港もあるからなんということで言われた日にはかなわない。五十年に一遍地震が来るような場所だということと、活断層が走っている場所だということと、地理的条件においては非常によくない場所だということぐらいは認識しておいてください。まああなただって長く大臣する人でもないし、まだなって間もないだけだから。総理がかわればかわるのだから、歴代の大臣の在任年数というのはちゃんとある。そういう意味において、大臣の地位というもの、大臣の発言というものは重いものだということを考えながら、軽々に物を言って県民を惑わすようなことや国民を惑わすようなことはしないでいただきたい。お互い神様じゃないのだから間違いがあります。間違いがあるけれども、許し得る間違いと許すわけにいかない間違いがある。こういう点については、長官にはよほどしっかりしてもらって、私の話をよく耳に入れておいていただきたい。閣議口頭了解ということで進んでおるところのこのむつ小川原開発というものの重さ、そしてこれがやがて挫折して改めなければならないときは、地元住民の意思ではなくて、政府が責任を持って方針を定めなければならないのです。あなたは先ほど地元住民の要求があれば、また望んでもいるようだから核燃料サイクル基地の方に行けば行ってもいいようなお話をしているが、住民に責任を転嫁させるべき問題でもない、これはすぐれて我が国の科学政策の問題でもあります。  ですから、この問題については国土庁の長官というものの言動、それから、これはあなたの方で醸成して育ててきたむつ小川原開発株式会社というものがある。このむつ小川原開発株式会社というものが今日一千四百億を超える借金ですよ。普通であればもう破産です。何でこれが破産しないで生きているのだろうと不思議でたまらない。それを生かしているのが、今お隣に座っている北海道東北開発公庫の総裁なんです。きょうは特別総裁に来てもらったのもそこに理由があるわけです。大臣は総裁をどの程度まで管理監督する権限があるか。監督庁は国土庁だと思ったから大臣も相当に関与しているだろうと思うし、その意味においては責任があるし、よく聞いていただきたい。ただ、法律によると主務大臣は総理大臣であり、また大蔵大臣、こう定められております。ですから、私もこの点につきましては委員長に、できるのであるならば総理大臣もしくは大蔵大臣に主務大臣としてのまた見解も求めたいと思いますので、ひとつ御出席をお願いいたしたいと思います。  そこで、きょうは北東公庫の総裁にお尋ねしたいと思います。聞けば、総裁は腰を痛めているということですから座ったままでお答えいただいて結構であります。  総裁にお尋ねしたいのですが、総裁はこのむつ小川原開発株式会社にどれだけの責任を感じ、そしてこんなに多額の融資をし続けてきたことについて——千四百億円の借入金のうちの四割を超えてあなたの方の公庫がお貸ししているわけであります。しかも四十八年から今日まで十一年間も、何らの成算の見込みもないもの、何らの利益を上げ得る見通しの立たないものに根気よく金を貸し続けてきた。その金額があなたの方の資本金の二倍を超えているじゃありませんか。あなたの方の公庫の五十七年度の調べによると、貸し付けの総金額が八千億を超え、貸付件数は三千件近い。一件の平均を見ると三億足らずです。そういうような貸し付けの状態にありながら、自分の資本金の倍を超えるような金までとうとうこの会社に貸し付けするような状態に今ある。一緒に心中するつもりでおるのかもしれぬけれども、これはあなたが公庫の総裁として公庫の体に忠実でなければならない、運営は。その運営方法というものは、また業務方法書に従ってやらなければならない。定款に忠実にやらなければならない。しかし、私から分析すると、法律に忠実にやっているとは思われない。あなた方は貸付要項を手直しして特別にむつ小川原開発の港湾事業地元負担金まで貸し付けするようにしたでしょう。自治体が負担すべきものを会社が肩がわりして払ってやるということについて、その分までも貸し付けしたでしょう。貸付要項の手直しなら内部でできるかもしれませんけれども、法律を直さなければならない内容じゃありませんか。法律の中に何と書いていますか。これこれ、これこれに貸し付けすることになる。港湾等などというのはない。法律を改正して「港湾等」というのを入れるならばいいけれども、貸付要項の中にそれを入れて、内部通達というもので処理したでしょう。私が内部通達の要項を持ってこいと言ったらあなた方は持ってこない。私には要点だけ持ってきて見せようともしない。北海道東北開発公庫というのは政府全額出資の公庫でしょう。これは国民の税金でつくられている公庫でしょう。それが何です。公庫が出資をしておるむつ小川原開発株式会社というのは、今日資本金わずか二、三十億。あなたの方はその三分の一の十億を負担しておる。十億を負担しておりながら、出資金わずか三十億になっておらないこの会社に、他の銀行も合わせますと千四百億をも貸し付けされておる。そしてあなたの責任の範囲内においてその四割を貸しておる。毎年毎年、何らの利益をもたらす見通しがないのに貸し付けておる。あなた方の貸付条件、三つありますね。三つの条件の三番目には、「利益を見通し得る事業であること。」というのがある。貸した金の利子を払うのに困って、その利子まで貸してやらなければならないこの事業。幾ら国策であり、あるいはナショナルプロジェクトであるにしても、北東公庫の体の持つ、また北東公庫の持つ定款上の任務、定め、規制から外れてあなた方は運営しているのじゃないですか。背任行為になっているのじゃないですか。その責任は、国土庁長官の要請があるから貸してきたとするならば、罪は同罪ですよ。どうしてこういうようなことをしてかしたのですか。このことについてこの後もしようというのですか。  この多額の借金のために、今度はむつ小川原開発会社がしゃにむに売りたい。売りたいために出てきたのが、電事連が買おうかということなんです。そして位置づけられるものが核燃料サイクル基地、再処理工場。徳之島でも嫌だと言う、長崎県の島でも嫌だと言う、北海道の奥尻でも嫌だと言う。それを青森県の下北半島ならばいいだろうなんといって持ってきている。青森県民なら猿以下だと思っているのでしょう。私はそうしたやり方はとてもとても容認できるものではない。先ほど長官には、空地が適地だという考え方はやめなさい。また北東公庫はむつ小川原開発会社運営の責任者でもあるわけですね、出資者なんですから。貸した金を取りたいばかりに、借金を取りたいばかりに、早くここを核燃料サイクル基地にして売り払った方がいいなと思っておるのかもしれない。そのことが我が国の科学政策として正しいというなら別です。あなた方は財政のつじつまを合わせるために、間違って貸した金の取りづけのために公庫をそういう方向に持っていこうとすることしか考えていない。えらい目に遭うのは青森県民です。下北半島、島でもない。島でもだめだと言う。半分島でもいいと言うのでありましょうが、私はそうした考え方に立って行政をされては困ると実は思っておるのです。  十七日に科学委員会に出て物を申し上げますけれども、きょうは、国土庁という仕事、その責任において、また北東公庫のやってきた仕事のふしだらについて監事の諸君にも意見を求めたいと思いますし、また会計検査院も出席のはずですが、十何年もどうこの会計検査をしてきたのか、見逃しもいいところではないだろうか。ちょっとのことでも誤りは許さないという会計検査院が、これほどの大きな金の始末について何も言ってないのは何事であるかと言いたい。そういう意味において、ひとつお答えをいただければと思います。
  105. 新保實生

    ○新保説明員 午前の理事会におきまして、私のために座ったまま答弁できるというふうにさせていただきまして、まことにありがとうございます。まずそれを御礼申し上げます。  私は、このプロジェクトにつきましては、一つは長期的な視点から見るべき問題であるというふうに考えております。長期的に採算なり何なりを考える。その場合に、今度行政審議会で官民の役割分担というようなことも、ほかのところで出ておりますが、官は民間のできないことをやる、長期性の資金を供給するというところに一つ使命があるのではないか。決して逃げ口上を申し上げるわけではありませんけれども、選別融資の重点化ということ、何もかも融資の対象にするのではなくて、長くかかるものを優先的に官の方でお世話をするという思想があらわれておると思います。しかし、それだからといって採算の立たないものについて出してよろしいということではないと思うのでございます。しかし、私の考えが、おしかりを受けるかもしれませんが、一つは長期性の資金というので、公庫の場合は出資ということもありますし、貸付期間につきましても長年の貸し付けを設定することができるわけでございます。しかし、基本的な解決の方法としては、土地の原価に適正な利潤を加えた価格で分譲できるということが本来でございますから、その方面は大いに努力をしなければならぬと考えております。  それから、国土庁との関係でございますけれども、これは、どういう申し込みがあってどういう処置をしたいというふうに御報告に行っております。  それから、民間を含めました貸出残高は、千四百億円とおっしゃいましたが、千三百億円でございます。だからどうということではございませんけれども、その約四割を公庫はお貸ししておるということでございます。
  106. 関晴正

    ○関委員 監事の意見はまだ聞いていませんが、監事は来ておりませんか。
  107. 花輪千秋

    ○花輪説明員 北東公庫の監事でございます。お答えいたします。  公庫法では「監事は、公庫の業務を監査する。」ということになっております。したがいまして、これに基づきまして業務執行の適正を期するために公庫業務の全般にわたりまして監査いたしております。むつ小川原開発株式会社に対する融資につきましても以上のような観点から監査を行っておるわけでございますが、むつ小川原開発株式会社に対する融資につきましては、公庫法及び業務方法書等の諸法規に照らしまして、適正に執行しておるというふうに判断いたしております。
  108. 関晴正

    ○関委員 あなた、監事としてこれが適正に運営されているとおっしゃっているのですが、金の出し入れの数字的点についてはそうかもしれませんよ。しかし、あなたも主務大臣から任命されておる監事ですよね。ただの監事じゃない。監事がこの機関の運営において、金の貸し付けにおいて適正を欠くと思った場合に意見を言わなければならない。野方図に貸されている、この点について何の意見も出し得なかったのですか。それとも内部においてお述べになってきたのですか。お述べになってきたとすれば、どういうことをお述べになってきたのです。
  109. 花輪千秋

    ○花輪説明員 お答えいたします。  私ども公庫は、地域開発金融機関といたしまして、北海道及び東北地方におきまして産業の振興開発を促進するためには、例え相当長期に係る事業でございましても、必要な資金に対しましては支援いたしますのが使命と考えております。本事業につきましても、以上の使命に沿うものと理解しておるわけでございます。
  110. 関晴正

    ○関委員 そこで総裁、あなたは先ほど私が申し上げたことについてとにかく答えてないのがあります。公庫法の中に、第十九条、どういうところに金を貸すのかということについて一、二、三、四、五、穴とあります。それから二十条、業務方法書を直す場合には大臣の許可を受けなければならない、こうあります。  そこで、港湾等に金を貸すということは、この法律の中にはないでしょう、北海道東北開発公庫法の中に。港湾等に金を貸すというのは、この定款のどこにもないでしょう。しかも、港湾は自治体の責任においてつくる。その自治体の負担分をむつ小川原開発株式会社が背負ってあげる。利益者負担の分として自治体が持つべきものを八六%もこの会社が持つことになったでしょう。その八六%分、あなたの方からお貸しになったでしょう。とてもそんな貸し出しはできないものだから、内部で貸し出しの要項というものをあなた方は直した。直した中に「港湾」というものを入れた。しかし、それは内部でそう入れたからといってやり得るものではないと私は言っているのです。この法律の中の第十九条に一項入れなければならないはずじゃありませんか。その法律改正をしなくてもできるとお考えになったのですか。その点が一つ。  もう一つは、第二十一条には、「第四条に規定する資本金の額をこえることとなる場合には、新たに出資又は債務保証をしてはならない。」とこうあるのです。この二十一条はちっともこれには当てはまらないことだ、こういうふうにお考えになっておられるのか。この二つ、答えてください。
  111. 新保實生

    ○新保説明員 港湾というものを公共公益施設ということにしまして貸付事務要領を改ざんしたというお話でございますが、これはそういうことではないので、港湾に対して貸し出しをできるというのは以前からそうであったわけです。ところが、むつの場合に港湾のことが問題になりまして、そしてしかもこれをどうするかということで相当議論があったようでございますが、改正したのは五十四年の七月でございましたけれども、これは範囲を拡大したということでなくて、従来行われておったことについて体裁を整えたということでございます。公庫法の十九条は、長期資金の運転資金ということで、長期資金、それから業務方法書の分野はほかの公共事業と同じでございまして、土地の買収費、それから造成費、現地事務所費、これらに係る附帯利子というふうになっておりまして、何も特に特別なことをやったわけではございませんことを御了解願いたいと思います。
  112. 関晴正

    ○関委員 二十一条についてのお答えはどなたですか。
  113. 新保實生

    ○新保説明員 二十一条につきまして漏れましたけれども、これは出資の規定でございまして、貸し付けは該当しないのであります。
  114. 関晴正

    ○関委員 総裁が港湾等というのは、あなた方の方の貸し付けに当たっての内部規定において是正したことでしょう。土地造成事業融資要領をあなた方は改正したわけです。この土地造成事業ということが主体なんです、あなた方が貸し付けるその範囲は。その範囲で第十九条があるわけです。その十九条を受けて二十条があるわけです。ですから、土地造成以外のことで、港湾ということで、港湾の建設費の負担だとかそれから漁業補償、補償料なんかも込みにして払ってあげるような会社にあなた方の方が貸し付けをするということは、この定款からいけば定められていないことなんだ。それを、あなた方が苦しみに苦しみ、そうして強い要求に負けて、屈して、その方針を出したのでしょう。そういう面倒を見たために、今日だらだらと多額の金額を融資させられる羽目に陥ったのじゃないですか。  もっと具体的に申し上げますと、一番先に昭和四十八年には、百八十九億の長期借入金を会社が持っておるうちの七十五億が北東公庫、四十九年には二百八十六億のうち百十億が北東公庫、五十年には三百九十四億のうち百四十六億が北東公庫、翌年は百七十九億、さらに二百十九億、二百五十一億、五十四年には二百九十七億、五十五年には三百三十四億、五十六年には三百七十九億、五十七年は四百四十八億、五十八年には五百二十三億、そうして五十八年度末五百三十七億、これはあなた方の資本金二百六十六億に比べて倍を超える貸し付けですよ。こういうようなことを平気でやっておって、そうして監事たる者が適正に行われていますと答えて、どこの銀行に自分の金の貸し付けに当たって一企業に自分の資本金の倍、そうしてその相手の会社は資本金三十億ですよ。この三十億のところに五百三十七億ですよ。他の銀行を合わせて千三百億なんですから。こういっただらしのないことをいつまで続けるのかということを私は再々、この委員会ではないけれども、科学委員会で言ってきたんです。いつ反省するんだろうか。一向に反省がない。そうして国のやっている一つの仕事であるから、あるいはまた自分たちが関与している仕事であるから、こう言ってきているのです。  まだ大臣がお見えにならないようだけれども、これは大蔵大臣が来なければ——来ますか。
  115. 浜田幸一

    浜田委員長 来ません。
  116. 関晴正

    ○関委員 これは、来なければ仕方がないことだから。それはそれとして、でもこれを指導する責任は、国土庁が主務官庁になっていますから、この際、国土庁長官はこの実態をどうごらんになられますか。またどうお思いになられますか。
  117. 田中暁

    田中(暁)政府委員 国土庁設置法の規定によりまして、北東公庫に対します総理大臣の監督権限、その東北地方分につきましては国土庁長官が補佐をすることになっております。その見地からお答え申し上げたいと存じます。  御指摘のように、企業立地が大変厳しい状況になっております。しかし、長い目で見ますと、むつ小川原地区というものは全国でも数少ないかけがえのない大規模工業基地の適地でございます。むつ小川原開発というものは、国家的な事業といたしまして、依然長期的な観点から推進する必要があると考えておる次第でございます。したがいまして、むつ小川原開発の主体的役割を担いますむつ小川原開発株式会社に対します北東公庫の出資あるいは融資といった態度につきましては、国土庁といたしましても妥当であると考えておる次第でございます。
  118. 関晴正

    ○関委員 そんな話をあなた、何がこれは妥当です。これは何で妥当なんです。一銭の金も生み出さない会社に十五年も貸し付けを続けて、何が妥当です。よくそんなこと言えますね。何の反省もないのですか。大臣、答えてください。何が妥当です。これは一般常識から外れて余りあるものですよ。そういう意味では、もう会社の見通しというものはないのです。私はそういう点からいけば妥当じゃない。大臣も妥当だと思っていますか。どうです。
  119. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 先ほど総裁からお話がありましたように、これはいろいろ国家的な事業である、そういう意味からやはり貸し付けはやらなければならぬ、こういうふうにおっしゃっておられましたが、これはなかなかかけがえのない一つの大きなプロジェクトでございまして、今多少回収の問題でいろいろございましょうが、長い目で見て、これは必ず回収できるもの、そういう意味から、それでは妥当かどうかというと、やはりこれは妥当である、私はこういうふうにお答えをしなければならぬと思っています。
  120. 関晴正

    ○関委員 いずれまた決算でも取り上げようと思いますので、妥当論というものをあなた方はお持ちになっておるようだけれども、妥当論を打倒しようと思いますからね。  そこで、私はもう一つお尋ねしておきたいことは、国土利用計画法に違反する土地の買収の件、原子力船の「むつ」の問題で関根の浜の土地の買収価格一平米六百六十円、実際に売った諸君たちが一平米一千三百円、こうなっております。これは明らかに国土利用計画法に違反するものだと私は思うのです。  この際、あわせて聞いておきたいことは、泊原発の土地購入に当たって、泊原発における土地の購入は一平米幾らで届けられておりましたか。あの場所は累々たる山といったらなんでしょうが、大変な地形です。向こうの方が高い、こっちの方が安い。私は高い安いを論ずるのではない。国土利用計画法というもので定められた金を超えて金が支払われている、そういう点については明らかに法律違反だと私は思う。そこで、きょうは事業団の方も来ているんだが、事業団は五千四百七十万円という防風林の補償金はどんな算定に基づいて払ったのかということと、それはそれぞれ一平米当たりで金が払われているとすれば、もっと多額の金を払っていることになるわけだ。何が何だかわからないような始末がこの土地の買い上げの姿ではないだろうかと思いますので、この問題について本当の話をひとつ事業団の方では出してください。  また、国土庁の方においては、この問題については私は明らかに違法行為だと思うのです。税務署は、あなた方六百六十円ではなくて千三百円で売っただろう、押しなべて全部共有地権者も単有地権者も一平米千三百円で税金を取られております。税務署はこれで税金を取っています。これでもなおあなた方は、これは違法じゃないと言い張るつもりか。この点についてお答えをいただければと思います。
  121. 鴻巣健治

    ○鴻巣政府委員 お答えをいたします。  今のお尋ねの件は、国土利用計画法に基づきます土地取引の届け出に関する件でございますので、これは国土法上は都道府県知事が審査いたすことになっておりますので、その後、この問題につきまして所管をいたしました青森県の調査報告を得ました。調査報告の結論だけ時間がないので簡単に申し上げますが、県は問題がないと申しております。私どももその内容を子細に検討いたしました結果、青森県の調査結果も問題はない、つまりおおむね妥当であると考えました。といいますのは、今お尋ねの陸上の附帯施設のところは全体で約十ヘクタールばかりが今までに買収をされております。そのうち個人の土地がほぼ半分、それからあとは防風林があります共有地がほぼ半分と見られます。権利者全部で三十五人おりますが、土地はもちろんそれぞれの土地ごとに買われておりますが、防風林の権利者が二十六人おりますが、それに対しては、防風林の補償が行われております。それから個人の土地の上に立ち木、つまり立木があります。この立木については十五人に対して補償が行われております。いずれも公共用地の取得に伴う損失補償基準に準拠いたしております。したがいまして、私どもとしては、立木あるいは防風林の補償は、土地代あるいは土地代的なものとは考えられないというように思います。  なお、今お話しの中に一平方メートル当たり補償金はほぼ千三百円ではないかというお尋ねがございましたが、私どもが青森県から聴取いたしました補償価格を見ますと、もっとばらつきがございまして、二十六人の防風林を買収された人たちの中には、一平方メートル当たり千円未満が一人、千円から千三百円未満が一人、千三百円から二千円未満が十一人、さらに二千円以上三千円未満が十三人、合計二十六人で非常にばらついておりまして、千三百円で課税されたかどうかは私ども税務署のことはわかりませんけれども、千三百円という話が初めにあったとは考えられないと思っております。  以上でございます。
  122. 浜田幸一

    浜田委員長 続いて最後の答弁、日本原子力船研究開発事業団井上理事長。簡潔に答弁を願います。
  123. 井上啓次郎

    井上参考人 お答え申し上げます。  土地の買収につきましては、県の指導価格、これが山林原野で平米当たり六百六十円でございます。これで完全にその線に沿いまして売買契約をし登記をしております。  それから、今お話の出ました立ち木の補償につきましては、立ち木補償というのは当然土地代とはまるっきり違うものでございまして、公共用地の取得に伴う損失補償基準、このルールに従いまして算出したものでございまして、単有地につきましては八百四十六万円、それから共有地につきましては五千四百七十万円支払ったものでございます。さらに地権者の方々の交渉中におけるいろいろの問題をお聞きしまして、結論としては生活環境整備資金ということで、私どもとしましては、その根拠になるものが妥当であると判断したものだけを算出しまして三千万円支払っております。先ほど申しましたように、立ち木補償、生活環境資金は土地代とは全然別でございますので、その点は御理解願いたいと思います。
  124. 関晴正

    ○関委員 答弁漏れ、泊原発用地を一平米幾らで買ったかの答弁。
  125. 浜田幸一

    浜田委員長 答弁漏れについて答弁を求めます。鴻巣局長
  126. 鴻巣健治

    ○鴻巣政府委員 泊原発の買収の価格については、今手元に資料がありませんので、追って御報告いたします。
  127. 浜田幸一

    浜田委員長 時間です。
  128. 関晴正

    ○関委員 今のお答えは形式上のお答えとしては受けておきます。しかし、いずれも実情に沿わない答弁ばかりであります。特に……
  129. 浜田幸一

    浜田委員長 そうすると、答弁がうそだと言うのですか。
  130. 関晴正

    ○関委員 そうです。いずれも答弁は実情に沿っておりません。そのことだけは申し上げておいて、次の機会にまたこの問題を取り上げたいと思います。以上で終わります。
  131. 浜田幸一

    浜田委員長 新井彬之君。
  132. 新井彬之

    ○新井委員 では、若干の質問をさせていただきたいと思います。  初めに、大蔵省は十日に、財政再建を急ぐために、六十年度予算概算要求枠の緩和の要求を拒否して、二年連続で経常部門の一〇%減、投資部門、公共事業などは五%減という厳しいマイナスシーリングを設定するというような方針を打ち出しておるわけでございますけれども、六十年度予算について建設大臣の基本的な考え方についてお伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、桜井委員長代理着席〕
  133. 水野清

    水野国務大臣 六十年度の予算編成に対する私の考え方ということでございますが、御承知のとおり、公共事業費が過去五年にわたってゼロシーリング、さらに本年度はマイナスシーリングという形になっております。そこで、何度も当委員会で諸先生から御指摘を受けましたように、道路にしましても、河川にしましても、下水道にしましても、各種の五カ年計画が軒並みかなり目的達成には難しいという、私どもといたしましては非常に遺憾な事態に相なっていることもおわかりのとおりでございます。そこで、私どもは、今年度は六十年度の予算編成の内閣の方針が出る前に、公共事業のあり方について各方面に御理解をいただこうではないかということで、先般来いろいろな形で御注意を喚起をしたり、お願いをしたりあるいは説明をして歩いているというのが実情でございます。  その簡単なことを申し上げますと、公共事業費に対する考え方でございますが、いわゆる行革審その他の一般的な考え方は、要するに国債を発行して、いわゆる借金をして仕事をすることであるが、ここで赤字国債と建設国債が一緒にされて大変迷惑をしておるわけでありますが、言ってみますと、赤字国債は後年度に負担を残す、我々が借金して子供や孫の代にこれを払わせる、財政的に極めて不健全な形である、だからまかりならぬ、こういうような非常に一律的な考え方をしております。私どもはそれに対しまして、午前中も上野委員に申し上げたわけでございますが、建設国債による公共投資は、社会資本として数十年の長い間にわたって日本経済経済効果をもたらすということは明確に算定できるではないか、確かに支払いについては後年度負担ということもあるけれども、同時に、残された社会資本が機能を発揮して、日本経済に活力をもたらし経済効果をもたらすではないか、であるから一般の赤字国債と建設国債を別にして考えてもらいたい。これは来年度の予算編成の中で公共事業を伸ばすためにはどうしても建設国債によってその財源を賄わなければならないので、私どもはそういう提言をして各方面に注意を喚起している、こういうことでございます。
  134. 新井彬之

    ○新井委員 この公共事業というのは、確かにその事業をふやすことによって景気浮揚策の一端になる。特に建設業界におきましては、それによって潤うことが非常にあるということが一つあるわけでございますが、よしんばこれがそういうことでなくても、今も一生懸命に、全国知事会である、とかあるいはまた全国市長会、町長会、そういうところで要望が出ておりますのは、道路を見ましても、あの道路をこういうぐあいにしてほしい、直してほしい、そういう要望というのがもうたび重なるほどあります。また下水道にしても、公園にしても、河川の改修にいたしましても大変な要望がある。そういう中で、五十五年からゼロシーリングあるいはまたマイナスシーリングということで現在まで来たわけでございますけれども公共事業をもっとふやすべきであるという意見と、財政再建のためにはやはり我慢しなければいけない、今学者の方々にもこういう二つの分かれた見解がございますし、至るところでそういう見解の違いというのがあるわけでございますが、建設大臣としては、当然今の道路の状況を直さなければいけませんし、あるいはまた公園にしても、下水道にしても、河川にいたしましても、やはり戸を大にしてやってもらわなければ、もう国の中でやってもらう人はだれもいないわけでございます。したがって、これは閣議の問題にもなりますし、日本全体の経済からも論じなければいけない問題ではございますけれども、とにかく建設大臣としては、今の社会資本の整備というものが非常におくれている、そしてその中で五カ年計画というものを立てているけれども進捗率にしてもどうも悪い。なおもっと長期的に見れば、先進国に追いつくなんてことは今の状況ではとてもできない。これはもう毎日の国民生活にとっては非常にマイナスになるわけでございます。したがいまして、そういう意味におきましても、この六十年度予算については、いろいろの議論はあろうけれども、きちっとした一つの方針を出していただかなければいけない、このように思うわけでございます。  今までは一律削減方式ということが大体設けられてきたわけでございますが、前年度比で見るのではなくて、やはり一つ一つの必要度を見まして、その原点から洗い直したゼロオプションということを前提にして政策別のシーリングというものをやらなければいけないという意見もあるわけでございます。そういうことで、建設省建設省の中におきましても、そういうこともよく見ていただかなければいけない、こういうぐあいに考えます。とにかく国民の皆さん方が今まで五年も六年もこうして我慢をしているわけでございますから、こういう状況になった場合は、公共投資は伸びて、皆さん方の公園はこれだけふえます、あるいは河川はこういう状況になれば、また直す方向にいきますよ、もし今我慢をするならば、今後こういう形になったときには前進をいたしますよ、そういう希望と一つの方針というものをやはり明確にしなければいけない。ただ毎年毎年ゼロでございます、あるいはマイナスでございます、そういうことで、いつになったらどういう都市ができ上がるのか、あるいはまた防災的にもきちっとしたものが前進するのか、こういうことでありますので、そういう面についてより一層全力を挙げていただきたいと思いますが、もう一度お伺いしておきたいと思います。
  135. 水野清

    水野国務大臣 仰せのとおりでございまして、行革審のおっしゃっていることだけでなくて、これは大蔵省もどうもそういうような趣旨のことをおっしゃっておられるようでありますが、ともかく今御指摘のとおりに、過去五年にわたって公共事業が停滞をしている。しかも全国的には下水道であるとか道路であるとか河川であるとか、非常に強い要望が、自治体の長であるとか、あるいはお互いに諸先生もそうでございましょうが、出身地の要望が来ておるとか、建設省にもたくさんの要望が来ております。もちろんこの中で緊急度においてはいろいろと考えなければならない問題もあろうと私は思いますけれども、先ほど来申し上げましたように、日本経済にとって今日これをやるべきことが非常に急を要するのではないか。言ってみますと、今財政再建の途上にございますから、その手法の一つとして、各省一律にマイナスというシーリングをかけてやってきた。しかし、そういう一律的な削減ということで相済むであろうか。これはむしろ国家の組織、官僚組織に対してもやる気を失わせることであり、また日本経済にとっては、ただ全体がむだだから全体をマイナスの何%シーリングでやるということで一律にかぶせていくことが日本経済の活力をもたらすということにも相なりませんし、合理的にそれを進めるということにも相ならないと思います。ちょうど民間経済で申し上げますと、会社の経営が非常に悪い、そこで経費の節約をしろ、こういうことでありますが、経費の節約だけで会社というものが立ち直るわけではないわけでありまして、やはり必要な新商品を開発するとかあるいは新しい事業をやるためには機械を買わなくてはいけない。そういうことに対しては銀行から借金をしてでもそういう仕事をし、同時にそれは借金の返済をすることにめどがつく、私はこれと同じような状態だというふうに思っております。  また、一部には景気は浮揚してきたからもうやらなくていいんだ、こういうような御指摘もありますが、これも私は、地方経済実態を御存じない中央だけの概念であるというふうに思っているわけでございます。国際的にも御承知のとおり内需の拡大をしなくてはならないというような大きな使命を持っておりますし、最近の景気浮揚がただ輸出型の、構造的に輸出が伸びているというだけの景気浮揚でありまして、もしこのままいきますと、国際的にも経済摩擦も生じていくであろう、いろいろな角度から非常に重要なところにやってきたということを私は申し上げているわけでございます。
  136. 新井彬之

    ○新井委員 とにかく財政再建ということを大蔵省が表に出して、そこに大変大きな山があるわけでございますが、それとともにやはり景気がよくならないと財政再建もできないだろう。あるいはまた内需の拡大ということも、また貿易摩擦の問題についても今後大変な問題になろう。あるいはまた社会資本の充実ができないということになるとこれも大変な問題になる。こういう中で、国土庁と経企庁にお伺いするわけでございますが、今建設国債を出して公共投資を増加する、それと経済の浮揚策との効率というものについては、国土庁と経企庁はどのように見ておるのか、お伺いしておきたいと思います。
  137. 小谷善四郎

    ○小谷(善)政府委員 国土庁といたしましては、我が国の社会資本の整備水準がいまだに満足すべき状況にないということでございまして、そういうことからしますと、国土の総合的な利用と均衡ある発展を図るためには、今後とも長期的視点に立って着実に整備を進める必要がある、そういう基本的な考え方に立っております。  それから、先生の御指摘になりました景気浮揚効果との関係ということでございますが、国土庁といたしまして数量的にどうこうというところまでやってはおりませんけれども公共事業が景気の維持拡大に役立つものであるというふうには考えておりまして、その結果として地域経済の振興あるいは活性化のためにも着実な社会資本整備が必要である、望ましい、そういう考え方に立っております。
  138. 新井彬之

    ○新井委員 経企庁。     〔桜井委員長代理退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  139. 服藤収

    服藤説明員 お答えいたします。  公共事業と景気浮揚効果の関係という御質問の趣旨かと存じますが、公共投資が景気に及ぼす影響につきましては、それが実施されるときの経済状況等によりまして異なるものでございます。したがって、あらかじめ一義的にその効果を計量的に明らかにするというようなことは非常に難しいわけでございますが、一定の前提を置きまして計量モデルを作成して、それを操作してみて数字をはじき出すというようなことが行われているわけでございます。一応の目安といたしまして経済企画庁で開発いたしました世界経済モデル、これを動かしてみますと、ある年度に一兆円を追加して次年度以降もその追加した状態を継続した場合に、国民総生産、GNPは初年度約一兆四千七百億円、次年度二兆二千五百億円、三年度目に約二兆七千二百億円、それぞれそういう追加をしない場合に比べて増加するというような数字が出でございます。  こういうふうに公共投資の乗数効果というのは、よく言われておりますように、高度成長期の大きさに比べれば若干低下しているわけでございますけれども、しかし、先生指摘のように、景気刺激のために政府が用いる手段としての有効性、これは変わりはないというふうに考えております。ただ、その手段を行うに当たりましては、つまり時期とか規模の決定に当たりましては、当然のことながら景気動向とか財政バランス等への影響、あるいはもし財源を公債によるとすれば、それが金利上昇等に与える影響あるいは民間経済部門の活動に与える影響等、こういったものをも考慮に入れて吟味することが必要かと存じます。
  140. 新井彬之

    ○新井委員 六月二十五日の日本経済新聞に東大の岡野教授が、経済誌にもよく出しておりますが、公共事業の拡大というのは是か非か、賛成論の立場で、これはちょっと内容が景気浮揚策とは関係がないみたいな形ですが書かれております。また慶応大学の加藤教授、この方は断じて行革の立場において反対であるということで、これは何もお二方だけではなくていろいろ論争のあるところでございますが、これを見られまして、建設省としては、これについて一体どういう見解をとっておられますか。
  141. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいま御指摘がございましたように、岡野、加藤両教授とも我が国の社会資本整備水準がおくれているということにつきましては同じような認識をしておられると考えております。ただ、具体的な施策の遂行に当たりまして、公共事業費の取り扱いにつきまして一律歳出カットによる公共投資抑制というお立場と、また社会資本の整備充実を図って、そのことが日本の経済にいい結果をもたらすというようなお考えとそれぞれに分かれているように思われますが、私どもといたしましては、行政改革に関します政府の基本方針を踏まえながらも、社会資本の整備充実のため公共事業費の確保を図り、整備を進めていくべきであると考えております。
  142. 新井彬之

    ○新井委員 この論争というのはよく見ますと非常に反対の立場ですが、何か今は足して半分に割ったようなあれでございますけれども、なかなかそういうぐあいには論点というのはならないんじゃないか。言ってみれば、やはり岡野教授の方の方向性に向いておやりになりたいということだと思います。  それから、宮澤喜一先生が資産倍増論というのはどうかということで、これはたたき台のたたき台みたいなことも言われておりますし、これについての評価もいろいろあるわけですけれども、一つの建設行政なら建設行政というものを考えましたときに、新しい考え方というのをどんどん出していかないと、やはり説得力もないし、また実現できない。今までの考え方だけにこだわってやるようなことではならないと思いますが、この資産倍増論について、水野建設大臣、一体どのように考えられますか。
  143. 水野清

    水野国務大臣 宮澤喜一氏が「新しい経済政策(中間報告)」といういわゆる資産倍増論を発表しておられます。この内容は、二十一世紀を展望して我が国が今後十年間に欧米先進諸国に比べて立ちおくれた住宅、社会資本などの整備を推進すべきである、あわせて住宅や社会資本への投資を中心とした内需の振興をやって、輸出圧力を削減して経済摩擦を緩和すべきである、さらに社会資本の充実のためには、財政の積極的努力とともに民間活力の導入を図るべく法規制の見直しや発想の転換が必要である、こんなことを提示をしておられます。  これは実は偶然の結果になってしまったのでありますが、ちょうど来年度予算編成に臨む私ども建設省考え方と極めて似ているわけであります。もっとも、その実際において掘り下げた考え方をもう少し読んでみますと、例えば私どもは来年度の予算編成に対して財源をどうするかということに対して、例えば建設国債というものの考え方をもう一遍見直しをしていただいて、いわゆる赤字国債と一蓮托生にされないで、そこに財源を見出していこうということであり、宮澤氏の場合は、成長率を今日の成長率よりも一%くらい高くして日本経済を刺激していくべきだという考え方を持っておられるわけでありまして、財源その他についてはかなり違っております。しかし、大体において、一つの方向としては同じような考え方をしているわけでありまして、私はこの資産倍増論について大変結構なことであろうと思っております。ただ、これは一つの政治的な提言でありまして、いわゆる自民党の総裁選挙に向けての一つの提言であります。私ども建設省が言っておりますことはそういうことではないのでありまして、十年先より来年のことを言っているわけでありまして、来年一体どうするか。このままで公共事業が伸びなかったらいかようにすべきかというまさにせっぱ詰まった立場から申し上げていることでありまして、出発は違うのでありますが、言っていることは大変似ている、こういうことであります。
  144. 新井彬之

    ○新井委員 やはり来年のことも大事ですし国家百年の大計に基づいたこういうことも大事でございますし、いいか悪いかは今後いろいろ論議をする中でやっていかなければいかぬ問題だと思いますが、この中で年平均経済成長率が名目で七から八%、実質で五から五・五%、こういうような伸び率になっているわけでございます。やはり経済成長率というものがきちっと確保されないとなかなか五カ年計画もできなければ、それから建設省から出しております長期の一つの目標があるわけでございますけれども、長期見通しは二十一世紀初頭までやられているわけでございますが、なかなかこの手順がいかないのじゃないか、こういうぐあいに思うわけでございます。  そこで、今この経済成長率の内容につきまして経企庁にお伺いしたいと思うのでございますが、今まで経済成長率は非常に当たりが悪くて、いつもマイナスであったのですけれども、ことしは逆に〇・三%ですか、ふえているようですけれども、この経済成長率の内容は一体どうなっているのか、お伺いしておきたいと思います。
  145. 田原昭四

    ○田原説明員 お答えいたします。  日本経済全体として見ますと、昨年の春から回復に転じまして、現在までのところ拡大を続けておるわけでございます。五十八年度全体の経済成長率は、御案内のように実質で三・七%というふうになっておりますが、年度の前半と後半を分けて見ますと、前半は確かに輸出主導型、これもアメリカの急速な景気回復によるところが非常に大きいわけでございますが、後半に入りまして国内需要、特に設備投資でございますとかは中小企業を中心にかなり盛り上がってまいりまして、それから個人消費、住宅建設、足取りはまだ非常に緩やかでございますが、国内需要全体としては少しずつ伸び率が高まってきたということで、若干計数的に申し上げますと、五十八年度の上期が前期比で実質で申し上げますと二%ですが、このうち内需が〇・八%、それから外需、これは輸出から輸入を差し引いたものでございますが、これが一・二でございますので、やはり上期は輸出主導型の経済だ。これが下期に入りますと、GNP全体としては二・四%でございますが、このうち国内需要が一・七、それから外需が〇・七でございまして、その比率は国内需要七に対して外需が三ということで、まだ国内需要全体の伸びはそれほど力強いものではございませんけれども、次第に外需主導型から内需の方にウエートがかかってきている、かように考えております。
  146. 新井彬之

    ○新井委員 経企庁としては、外需主導型から内需主導型にしようと思う場合にどういう面について力を入れれば内需主導型になるのか、その辺についての基本的なところをお伺いしておきたいと思います。
  147. 服藤収

    服藤説明員 お答えいたします。  今お話にございましたように、五十八年度全体の経済の動きを見てみますと、前半は輸出主導型、後半はそれが内需にも波及しまして、どちらかというと内需のウエートの高い成長のパターンに変わってきているわけでございます。  振り返ってみますと、五十八年度上期中非常に輸出主導型のパターンがあらわれましたので、これではいけないというようなことで、下期になりまして総合的な経済対策を講じたわけでございます。その中に、金融政策の弾力的な運営とかあるいは公共投資の追加等が行われたわけでございまして、こういった金融財政面の措置を通じまして需要を刺激して、それで内需全体の拡大を図ろうというようなことをやって、これは時間的な前後の関係があろうかと思いますけれども、そういった総合経済対策の効果というようなものも出まして、ただいま申し上げましたような成長パターンに変わりつつあるということかと思います。今申し上げたようなことが手段としては考えられるということでございます。
  148. 新井彬之

    ○新井委員 今のまま行くとどうしてもやはり外需が出てくるのではないか。御承知のように、テレビ、ラジオ、クーラー、冷蔵庫とかはほとんど各家庭に行き渡っております。その上に給料もそんなに上がるわけじゃありませんし、減税も余りないわけでございますし、そういう中で消費者がどんどんお金を使ってくれることもありません。そして新しい先端産業、これから伸びる産業は、どうしてもあらゆる意味において外国との貿易の形をとってしまう。したがって、ことしもアメリカとの貿易黒字においても三百億ドルを上回るのじゃないかとか、あるいはまたECの関係においても非常な黒字になる、こういうことになるわけでございます。  したがいまして、当然経企庁といたしましても、内需を拡大するというときには、それだけの内需喚起を起こすようなものを考えなければいけない。それには公共投資におきましても、まあ土地なんかをたくさん買った場合というのは土地成金ができるだけでございますけれども、そういう一つの形の内需喚起というものを当然やらなければいけない、こういうぐあいに考えるわけでございます。したがいまして、そういうところも明確に、住宅設備であるとか、ほかのいろいろなそういう設備についても、当然重点的配分をして内需の効果を上げなければいかぬ、こういうぐあいに思いますけれども、いかがでございますか。
  149. 服藤収

    服藤説明員 お答えいたします。  景気浮揚策と申しますか総需要管理政策と申しますか、そういったものの手段といたしましては、先ほど申し上げましたようなこととか、あるいはそのほかに五十九年度予算において行いました設備投資促進のための減税でございますとかいったようなこともあろうかと思います。  いずれにいたしましても、内需中心の持続的な経済成長、これを持続せしめていくということが国際経済の中で生きる日本あるいは国民経済的福祉の向上のためにも必要でありますので、経済動向を注視しながら適時適切に有効な財政金融政策を行っていくということが必要であろうかと思います。
  150. 新井彬之

    ○新井委員 もう一つ経企庁にお伺いしておきます。  経済成長率というものが非常に大事になっております。何%程度の経済成長率を保たないと税収不足を来したりあるいはまた財政再建ができないのか。そういうようなことで、当然何%の経済成長率というのは保たなければいけない、あるいはまたそれを保つためにはこういう方策をやらなければいけない、そういう点についてちょっとお伺いしておきます。
  151. 服藤収

    服藤説明員 お答えいたします。  適正な経済成長率は一体どういうものであるかということが第一点かと思いますけれども、これを考えるときには、マクロの経済の立場から申し上げますと、一つは雇用の確保ということが大事かと思います。それからもう一つは物価の安定、さらには対外均衡の確保というようなことが大事な目標として考えられるわけでございます。こういったものを与えられた条件のもとでできるだけ達成していくためにどういうふうな成長率がいいのかという観点から、この適正成長率の問題は考える必要があろうかと思うわけでございます。  昨年定めましたいわゆる「展望と指針」におきましては、以上申し上げましたような観点から、一定の前提のもとに対象期間中六十五年度まで実質経済成長率を年平均四%程度というふうに見込んでおるわけでございます。しかし、この四%程度と申しますのは、あくまでこの期間中の平均的な成長率でございまして、やはり経済というのは変動が避けられないものでございますから、景気が回復して拡大しつつあるようなそういう基調にあるような場合には、我が国経済が持っております潜在的な活力を十分に発揮させていくことが必要であるというふうに考えておるわけでございます。これがまたひいては財政収支バランスの改善にも資する面があろうかと思うわけでございます。幸いにいたしまして、最近の景況というのは、先ほど来議論されているとおりでございまして、いろいろばらつきはございますけれども、全体として見れば拡大過程にあるということで、今後この拡大過程が持続するように、物価の安定基調を維持しながら、内需を中心とした持続的な経済成長の達成に向かって引き続き努力してまいりたいと考えております。
  152. 新井彬之

    ○新井委員 時間ですけれども、もう一つだけ質問いたします。  とにかく今建設業界の倒産というのが非常に多いわけでございます。建設省からいただいている資料におきましても年々増加をいたしておりますし、全産業比におきましては三〇・二%、本年もまた過去最高になるんじゃないか。そういう中で放漫経営とかあるいはまた経営計画の失敗というのが三二・四%もありますけれども、景気変動による販売不振であるとか、業界不振であるとかという不況型の倒産というのが六四・二%に五十八年度ではなっているわけでございます。したがいまして、この建設業界の倒産問題については、今度建設省では計画局を建設経済局、こういうものをつくっていろいろお考えになるようにも聞いておるわけでございますけれども、この倒産問題についての考え方とその解決策を基本的にどのように考えているのか、最後に質問をしておきたいと思います。
  153. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 お答えいたします。  今先生がおっしゃいましたように、建設業の倒産件数というのは非常に多くなっておるわけでございまして、その内訳自体も各企業の放漫経営といいますよりも景気の悪さに基づくものが非常に多くなっていることも事実でございます。これはことしに入りましてからもその比率というものが大きくなっている、こういう状況でございます。  今おっしゃいましたように、計画局がこの七月一日から建設経済局になりましたけれども、従来から建設産業の振興につきましていろいろ意を用いておりましたけれども、今後ともこの機会にさらに一層努力してまいりたいと思っております。  特に、この不況に基づきます具体的な中小建設業対策といたしましては、昨年末に建設業保証会社等の協力を得まして、経営が不安定になっている中小建設業者等に対しまして緊急融資を行いました。また本年六月、中小企業信用保険法に基づく倒産関連特例保証制度における不況業種の指定期間の延長を実施して債務保証の円滑化を図ったところでございます。しかし、基本的にはやはり事業量の確保ということが必要でございまして、今年度の公共事業等の事業執行につきましても、閣議決定によりまして、「内需の振興に資するような執行を行うこととし、景気の動向に応じて機動的・弾力的な施行を推進するもの」とされて、これに基づいて施行の促進に努めることとしております。  なお、今後の問題は、来年度以降の事業量の確保ということもございますが、さらに中長基的な対策としましては、体質改善の強化を図るために、中小企業近代化促進法等に基づく業種別の近代化の促進であるとかあるいは協同組合等の活用による中小業者の共同化等の施策を講じてまいる所存でございます。
  154. 新井彬之

    ○新井委員 終わります。
  155. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 古川雅司君。
  156. 古川雅司

    ○古川委員 私は河川環境の管理に関しまして若干の質問をいたします。  昭和五十六年三月に、建設大臣河川審議会に対しまして、治水と利水との調和のとれた望ましい河川環境のあり方の今後の方向について諮問をされました。同年十二月に同審議会から「河川環境管理のあり方について」という答申を得たわけでございます。  そこで、一級河川河川区域内の国有地占用状況建設省のお調べによりますと、公園緑地で三千八百二十二ヘクタール、一般の運動場が三千五ヘクタール、学校の運動場が百三十ヘクタール、採草地が一万三千三百六十六ヘクタール、田畑に一万二千五百九十七ヘクタール、ゴルフ場に千六百五十四ヘクタール、自動車練習場に九十九ヘクタール、その他六千六十三ヘクタール、合計、件数にいたしまして十万八子四百七十一、面積が四万六百七十ヘクタール、既にこういう実態があるわけでございますが、今回こうした諮問をされ、答申を得られたその経緯について、まず御答弁をいただきたいと思います。
  157. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、五十六年三月に建設省では河川審議会に対し今後の河川環境管理のあり方について諮問いたしました。これにつきまして同年十二月に答申を受けたところでございます。  近年、河川を取り巻く環境が都市化の進展あるいは土地利用の高度化等によりまして著しく変貌いたしており、このため地域住民から貴重な自然空間と水との触れ合いの場としての河川に対し、多種多様な要望がなされてきているところでございます。  この答申におきましてどのような答申がなされたかと申し上げますと、河川環境を総合的かつ計画的に保全するために河川環境管理基本計画を策定するように提言いたしております。なお、この河川環境管理基本計画は、水質あるいは水量を一体として適切に管理するための水環境管理計画河川空間を適正に管理するための河川空間管理計画とから成っておるわけでございます。また、この基本計画を策定した河川にありましては、その計画に基づいて、まだ策定されてない河川にありましても、河川及び流域の特性に応じ、河川環境管理に関する施策を総合的かつ計画的に実施して河川環境を適正に管理する必要があると述べられているわけでございます。さらに、これらを実現するためには、河川環境管理に関する協議会を設置するなど実施体制等の強化に努めるよう求められております。
  158. 古川雅司

    ○古川委員 局長御答弁のとおり、河川管理と申しますのは、治水、利水、それから河川環境、特に流域の土地利用の状況、それから生活、そしてまた自然環境との関連性において非常に重きがあると思うわけでございます。この答申では、今御説明がございましたとおり、水環境、そして空間環境の管理から成る河川環境管理基本計画を策定することになっております。この策定に当たりましては、流域の土地利用の動向あるいは将来の見通し、各種の施策との関連、こうしたことから協議会を設置して協議をするということ、この協議会の内容は、河川管理者、地方公共団体、それから学識経験者というように聞いております。  ここで二点ばかりお伺いしたいのは、一つは、既にそれぞれの地方公共団体におきまして河川整備事業計画を持っているはずであります。持ってないところもあるという先ほどの局長の御答弁もございましたが、この基本計画を策定するということは、そうした既定の計画について一つの変更を迫るものであるかどうか、大きく見直しを求めていくという性格のものであるのかどうか、その点が一点。  それからもう一つは、河川環境管理基本計画については既にどのくらい、どういう状況で作業が進んでいるのか。聞くところによりますと、重要な河川から順次策定作業を進めていく、建設省としてもそれを指導していくというふうに聞いているわけでありますが、順次ということになりますと、どういうランクで重要な河川からというふうに言えるか、その点御説明いただきたいと思います。
  159. 井上章平

    井上(章)政府委員 この答申を五十六年十二月にいただきましてから、河川環境管理基本計画に盛り込むべき内容について種々検討を進めてきたわけでございますが、それは昭和五十八年六月の「河川環境管理基本計画の策定について」という河川局長通達によって明らかになったわけでございます。これに基づきまして、ただいま各河川について原案を策定中でございます。今日までにそれができておりますのは、直轄河川の多摩川ほか数河川でございまして、今後主要な河川について鋭意基本計画の策定を推進してまいる所存でございます。  それから、この河川環境管理基本計画が策定されますと、現在既に占用されておる占用形態がどう変わるか、あるいはそれをどういうふうにこの環境管理計画の中で調整するかというお話でございますが、私どもといたしましては、ここでいろいろな、多角的な検討を進めまして、それに対応して、それぞれの河川について最も好ましい形での計画に仕上げていきたいというふうに考えております。しかし、既に占用されておるわけでございますから、それらの実態も無視できないわけでございまして、それらの調整につきましては、この環境管理計画の中でどのように進めていくかということを取り上げてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  160. 古川雅司

    ○古川委員 この河川環境管理基本計画を策定するようにという五十八年六月の通達でございますが、以後一年を経過しておるわけでございます。ただいまの局長の御答弁では、多摩川以下というふうにお答えになっておるわけでありますが、もう少し具体的に河川の名前を挙げていただいて、どの辺まで進んでいるのか、また今後どういった観点から、重要な河川から順次というふうに選定をしていかれるのか、その辺を明らかにしていただければ幸いです。
  161. 井上章平

    井上(章)政府委員 大変失礼申し上げました。多摩川につきましては、この答申が出る前に既に原案が策定されております。それからこの通達を受けて現在までに原案を策定いたしましたのは、淀川、旭川、江戸川等の数河川でございます。私どもといたしましては、直轄で管理しておる一級河川の主要区間につきましては、なるべく早くそれぞれすべての河川について策定されますよう現地を指導してまいる所存でございます。
  162. 古川雅司

    ○古川委員 河川の空間でございますが、いわゆる公共の財産でありまして、このオープンスペースにつきましては、住民の親しみやすい、また安らぎの場所として多くの市民に活用されなければならない。言うなれば、流域の人々の共有財産でもあるという考え方もあるかと思います。これは雨が降りますと、増水をするというような非常に不安定な環境ではありますけれども、この河川空間の機能に対する期待とか要請というのは次第に高まっているのじゃないか。これは震災とか大火に際しての避難場所という重要な意味も含めておりますし、そのほか市民の憩いの場所、レクリエーションの場所、いろいろな用途が増大をしておるわけでございます。なおかつ、多様化をしておりますし、さらに問題になるのは、それらが競合しているという現状、この点は対応が非常に難しい点ではないかと思うのでありますが、この点はいかがお考えでございましょうか。
  163. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生指摘のように、これは地域の貴重な公共空間でありまして、また貴重な財産という認識が広く社会に通用しているところでございます。したがいまして、この河川空間、特に高水敷の利用につきましては、地域住民等のニーズが非常に多様化いたしております。またその用途も、区々ではございますが、多岐にわたっておりまして、もちろん競合も当然いたしているわけでありまして、その調整には今日大変苦慮しておるところでございます。したがいまして、河川の空間管理計画の策定に当たりましては、河川管理者、学識経験者、関係地域の地方公共団体等から構成されます河川環境管理の協議会を組織することといたしております。まだ多くの河川ではこの協議会はできておりませんが、そういう協議会の中で、この河川空間の利用について、各種のニーズをまず把握し、また十分な調整を図りながら河川の空間管理計画を策定するという手順を踏みたいと考えております。
  164. 古川雅司

    ○古川委員 この河川空間の利用についてでありますが、このたびの河川審議会の答申を受けて、建設省としては河川敷地占用許可準則の見直しに手をつけられた、このように聞いております。この答申の趣旨からして、当然公共性、公益性ということに重きを置いていると思うのでありますが、さしあたって河岸等の植樹基準の変更をされたということでありまして、景観の保持であるとか自然環境の保全であるとかあるいは親水性であるとか、非常に多様な見直しもこれから必要になってくるのじゃないかと思いますが、この辺の作業はどのくらい進んでおりますか。
  165. 井上章平

    井上(章)政府委員 この答申を受けまして、五十八年十二月に河川敷地占用許可準則の一部改正を行ったわけでございます。これはただいま先生から御指摘がありましたように、公共性、公益性の問題、あるいは河川管理に支障のない範囲で、なるべく多様な要請にこたえたいというような趣旨から改正いたしたわけでありまして、その改正要点は次の三点でございます。  第一点は、高水敷のうち、占用できる場所の制限が河川管理上当然あるわけでございますが、その制限をできるだけ緩和したということが第一点でございます。  それから、ただいまお話がございましたように、樹木など植物について、一定の要件のもとで特則を設けて、なるべくこういった緑化といいますか、植物を植えられるようにしたというような点が第二点でございます。  それから第三点は、さくやその他工作物、これは河川敷を占用していろいろなものに利用いたします上で実は非常に重要な施設でございますので、これらの工作物についてもできるだけ基準の緩和を図ったということでございます。  こういうことで、一応この答申に盛り込まれた準則の見直しにつきましては措置されたというふうに考えております。したがいまして、当面、このほかに準則をさらに改正するということは予定していないわけでございます。しかし、今後河川の適正な管理を行う上で準則の改正が要請される状態となりました場合には、遅滞なくその段階で検討を行うことといたしております。
  166. 古川雅司

    ○古川委員 適切な管理につきましては、出先の地方建設局であるとか工事事務所の皆さんが非常に苦慮している面もあるわけでございます。当然そこには地域住民の深い理解も必要でありますし、創意工夫によってさらに望ましい河川管理の方向というものを目指していかなければならない。さらに、今回のこの答申に基づいて基本計画策定のための協議会が持たれ、そこで検討が進められてまいりますと、自治体を中心にいたしまして、河川敷の整備事業計画に何らかの変更なり見直し、構想の拡大というようなことが進められていくと思われるわけでございます。  そこで、非常に気になりますのは、河川敷地の占用の許可を建設省がお与えになるわけでありますが、ここで一つの既得権が生ずるわけです。今後、こうしたいろいろな見直しによって競合する需要を処理しながら、既に占用を許可して既得権の生じている面に対してはどう対応していかれるか。既に許可したものを簡単な理由で許可を取り消すということも非常に困難でありましょうし、さりとて広く市民の憩いの場所として、あるいは健康増進のために多くの市民に開放していくという方向も目指さなければなりませんし、既得権というものが非常に大きな障害になってくる場合もあるのではないか、その辺の調整をこれからどう考えていかれるか、その点についての御見解をお示しください。
  167. 井上章平

    井上(章)政府委員 河川は公共物でございますので、その敷地の占用の許可に当たりましては、河川敷地占用許可準則に基づきまして、公共性の高い事業のための占用にとどめておるわけでございます。しかしながら、この公共性につきましても、優先順位が当然その地域地域にはあろうかと思います。そういうことから考えまして、私どもといたしましては、さらに公共性の高い事業がそこに立地することが確定しているような場合につきましては、占用の許可の抑制あるいは許可期間の制限等、占用の既得権化を防止する措置を既に講じておりますので、公共性の高い事業との調整をこれによって調整してまいりたいというふうに考えております。今後ともこの方針のもとに、より公共性の高い事業の円滑な利用がさらに図られるように努力してまいる所存でございます。
  168. 古川雅司

    ○古川委員 これは河川空間の利用からちょっと離れるかと思いますが、一級河川の敷地内にある民有地の買い上げが進んでおりますけれども、この進みぐあいは今どういう状態でありましょうか。
  169. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生承知のように、現行河川法は、河川敷地に民有地が存在することを前提として構成されておるわけでございますが、いわゆる堤外地に民有地が存在することは河川管理上好ましいことではないわけであります。しかしながら、河川区域内の民有地は、これは全国百九水系の直轄管理区間でございますが、それだけでおよそ三万八千ヘクタール、河川区域面積の一〇・六%にも及んでおるわけでございまして、予算上の制約等からすべてを速やかに買収するということは大変困難な現状でございます。一般的には、これらの民有地のうち、築堤、掘削等の河川工事を施行するため直接必要なものはすべて買収することにいたしておりますし、当面河川工事を施行しない箇所につきましても、河川工事に関連して生じた流路の変遷及び洪水などのため、従来の土地利用の継続が困難であって、河川管理上も起業用地と一体として管理する必要のあるものにつきましては、予算上可能な限度で買収を進めておるところでございます。しかしながら、現下の財政状況あるいは河川改修の実態等を考慮すれば、これらの方針は今後とも維持せざるを得ないというふうに考えております。
  170. 古川雅司

    ○古川委員 最後に大臣にお伺いいたします。  河川環境の管理の重要性については大臣もよく御存じでございます。こうして諮問、答申を経て基本計画の策定が進んでいるわけでございますが、これからこの事業に積極的に取り組み、進めていく上については、また非常に御努力をいただかなければならないと思います。水環境の管理のための観測、監視体制の整備であるとか、水質の事故のときの連絡体制であるとか、そのための資材、機材の常備であるとか、いずれにいたしましても、この河川環境の管理については、それを維持管理していく体制を確立していく上で、財政上の具体的な措置も当然必要になってまいりますし、これはかなり多額を要するものと思われます。  先ほど来申し上げておりますとおり、いわゆる地域住民の協力、創意工夫ということから考えると、ここに民間活力の導入、創意工夫ということも非常に重きをなしてくるのではないかと思いますが、以上のことを含めまして、大臣の御所見を伺いまして、私の質問を終わらせていただきます。
  171. 水野清

    水野国務大臣 河川の管理及び改修という問題は、同じ公共事業でございますが、例えば道路とかと違いまして、景気の浮揚策とか、そういったことを中心にして考えるべきではない。これは営々として国土を守り、国民の財産を守るという意味で、河川は場合によっては災害の原因にもなるわけでありますから、そういう意味で、絶えずコンスタントな努力を続けていくべきだ、私どもはかように思って河川行政に臨んでいるわけでございます。  先ほど来いろいろな御提言をいただきました。大変ありがたい御提言でございますが、その内容につきまして、私どもは今後ともまじめに取り組んでいきたい、かように思っている次第でございます。
  172. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  173. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 小沢貞孝君。
  174. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 けさほど来質問がいろいろ出ておるようでありますが、簡単なことから最初に質問をさせていただきます。  下水道整備の財源についてですが、第五次下水道整備五カ年計画は、昭和五十六年度を初年度として総事業費十一兆八千億で事業が進められているが、同計画の四年目に当たる五十九年度予算における累計進捗率は五八・二%であります。計画の期間はあと一年となったが、計画達成を図ることは現在の厳しい財政下にあって極めて困難のようであります。これについては後で道路やその他みんなまとめてお尋ねしますが、下水道だけでは特に財源問題について少しくお尋ねをいたします。    〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕  一つは、下水道施設は、その建設及び維持管理について多額の費用を必要とするため、その財源確保が下水道財政にとって大きな課題である。下水道の財源については、建設財源は国費、地方費(地方債、一般市費、受益者負担金等)により、また維持管理費は地方費(使用料、一般市費)によって賄われております。  これまで下水道財政研究委員会の提言等により下水道財政についての改善が行われてきましたが、どのように改善されてきたか、その点。また、「国、地方公共団体及び利用者の適正な負担と協力により安全で快適な生活環境の確保を図る」ことが必要とされているが、これらについての政府の見解をお尋ねいたします。
  175. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御質問のとおり、財政研究委員会というものを昭和三十五年から設置いたしまして、これまで四次にわたりましていろいろ御提言をちょうだいいたしております。  提言について、それぞれどういうふうに措置したかということでございますが、一次から四次にわたりまして補助率の引き上げあるいは長期計画の策定、さらには補助対象の拡大等々御提言を得て今日に至っておるわけでございますが、国庫補助率につきましては 昭和四十九年度の引き上げによりまして現行の法体系が整備されたわけでございます。  それから、下水道整備は「国、地方公共団体及び利用者の適正な負担と協力」が必要であるということが第四次の研究会でも提言されておりますが、下水道は御案内のとおり、公共用水域の水質保全と生活環境の改善に必要不可欠な基盤施設でございまして、いわばナショナルミニマムとしてその早期整備を図るべきであると考えておるわけであります。このためにはやはり公的な責任ということで、国、地方公共団体の責任は大きいわけでございますが、同時に、使用者が特定できる、またその受益があるということでございまして、使用者側の適正な負担と協力が必要であるということでございます。そういうものを総合的に勘案いたしまして、現在までそれぞれ各種の財源を集めまして整備に努めてまいったわけでございますが、いろいろな問題点もございまして、ただいま別途研究会を持ちまして勉強もしていただいておる。具体的には公営企業金融公庫の総裁首藤さんを委員長にいたしましていろいろな勉強をしている、こういうような状況でございます。
  176. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 細かい点については後で時間があったらお尋ねしますが、先に進ませてもらいます。  特に、緊急に整備を必要とする公共下水道について、昭和五十年度から当分の間、特別の地方債制度及び国庫補助金の分割交付制度が採用されておりますが、特別の地方債制度の導入は、あくまで財政の緊急避難的措置であると称せられてまいりました。今後はその適用割合を段階的に減少させるなど財政状況と下水道事業費の確保を勘案しながら本制度の運用を慎重に検討する必要があると思われますが、これについてはどういうようにお考えでしょうか。
  177. 梶原拓

    ○梶原政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり、特別の地方債を五十年度から採用したわけでございますが、まさに緊急避難的な措置でございます。それなりに下水道の推進に大きな役割を果たしてきたわけでございますが、かなり未償還額の増高等の問題が出ましたので、昭和五十七年度より発行額を漸次逓減してまいっておるところでございます。  具体的に申し上げますと、五十六年度は二千七百六十二億八千八百万円特別の地方債で措置したわけでございますが、五十七年度はこれを二千百五十六億八千八百万円とかなり削りました。その後逐次削ってまいりまして、五十九年度は千九百九十九億四千八百万円と、二千億円を割るというオーダーまで努力してまいったわけでございます。未償還額のピークは五十七年度でございまして、五千九百二十九億七千三百万円でございました。逐次減ってまいりまして、五十九年度は五千二百九十二億四千三百万円ということでございます。今後、財政状況を勘案し、あるいは下水道の事業費の確保という要請も片やございます。両方をにらみながら、御趣旨に沿って弾力的に対応してまいりたいというふうに考えております。
  178. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 地方公共団体においては、建設事業の進展に伴って起債の残高が累積してきておりまして、その償還が大変負担となっているとともに、維持管理費に係る一般会計繰り出し金も増加しております。これらについての対策はどのようにお考えでしょうか。これは自治省ですか、特に起債条件、地方交付税措置の改善充実、適正な受益者負担金、使用料の徴収などなどを含めて御見解を承りたいと思います。
  179. 石田淳

    ○石田説明員 自治省の準公営企業室長の石田でございます。  御承知のとおり、下水道の事業につきましては、建設時においては補助金、起債、それから受益者負担金で賄うということになっておりまして、供用が始まりますと、維持管理費、それから元利償還金が出てまいりますが、この維持管理費と元利償還金につきましては、雨水公費、汚水私費の原則によりまして、雨水につきましては公費負担、それから汚水につきましては使用料で回収するということを原則にしているわけでございます。  お話のとおり、下水道事業の進展に伴いまして起債残高が累積しておりまして、元利償還金がふえる一方でございます。それと同時に使用料の水準が、取るべき汚水処理原価の約六割程度にしか満たないという現状のために、一般会計から下水道会計へ繰り出す繰り出し金が非常にふえておりまして、市町村財政への影響が非常に大きい、今後憂慮されるという事態になっております。  したがいまして、まず、今申しました使用料、それから建設時の受益者負担金もございますが、そういうような使用料とか受益者負担金の適正化が必要でございます。自治省としましても、起債についてはなるべく良質の資金を充てるように努力しております。それから下水道事業に対する一般会計からの今申しました繰り出し金につきましても、必要な交付税措置をするということを行っているわけでございます。  それから、これは今後の問題でございますが、今後下水道の普及が見込まれます地方中小都市等はどうしても財政力が弱いという状態でございますので、使用料もかなりの高水準になるということが考えられるわけでございますが、こうした高料金団体につきましては、交付税等の何らかの財政措置を講ずることが必要だと考えておりまして、今開かれています第五次下水道財政研究会において検討をお願いしているところでございます。  以上でございます。
  180. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 下水道に対する要望は大変強いわけですが、冒頭に申し上げたように、まだ五八、九%ということであります。そういうことで、先ほどの質問にあるように、緊急避難的にいろいろやってきたが、とどのつまりは国で十分な金を出さぬものだから地方の起債残がふえた、一般会計から繰り出しがふえた、大変なことで、これは要するに、国から出すものをもっと出してもらえば地方の方の負担は少なくて済む、簡単にそういうことだけじゃなかろうか、こう思うわけです。  それで、まだ五八、九%の進捗率ということや今の地方財政の困難な事情を踏まえて、これからどのように改善したり国の費用をふやしていくか、こういうことについて、その方針といいますか今後の予定といいますか、そういうものがありましたら、どうぞ。
  181. 梶原拓

    ○梶原政府委員 御指摘のとおり、国費をしかるべく増大していただくということは非常に大事でございます。基本的なことかと思いますが、同時に、私どもいろいろ工夫いたしておりますのは、コストの軽減ということでございまして、建設費あるいはメンテナンス、それぞれにつきましていろいろ努力いたしております。建設費のサイドでは、最も経済的な工法を選定するというようなこととか、段階的な建設を行うとかいろいろなことをいたしております。また維持管理費につきましては、効率的な処理施設の運転あるいは適正な人員配置等々各地方公共団体でそれなりの御苦労をされておるわけでございまして、全体としてなるべくコストを引き下げて効果を上げる。また最近では、なるべく小規模な、簡便な下水道施設で足りるように、特に小規模な市町村ではそういうことも実現の方向に向かっておるわけでございます。さらには受益者負担金あるいは使用料という形で使用者の負担を適正に求めていくという努力も進めていく必要があろうかと思います。先ほど自治省の方がおっしゃったように、中小の都市では過重な負担になりかねないということもございますが、適正な水準で応分の負担をしていただく等々多角的な努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  182. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 まだ後で質問したいことがありますが、先に進ませていただきたいと思います。  水資源関係で第一には、水源地域対策特別措置法、水特法は、ダムの建設により基礎条件が著しく変化する地域について、生活環境や産業基盤等を整備する等により関係住民の生活の安定と福祉の向上を図ることを目的としている。また下流の流域地方公共団体等の負担による財源を含めて、上流の水源地域に公共事業を実施するなどの地域間の利害の調整の役目もあわせ持つものであります。ダム建設に伴う貯水池周辺地域の過疎化を防ぐとともに、関係住民をできるだけ多く地元に残留させることを主たる目的にしているものであります。水特法に基づく指定ダムにかかわる水源地域整備事業は土地改良事業、治山治水、道路等二十二事業について水源地域内において実施する必要があると認められているが、近年の公共事業費が低い水準に推移しており、また各省庁の所管にかかわる公共事業であり、その整合性及び予算の確保について大変懸念が持たれてまいりました。したがって、ダム建設事業の進捗を図る上で何か総合的な特別の予算枠を設けるべきではないかというようにも考えるわけですが、これは大臣ですか、官房ですか。
  183. 和気三郎

    ○和気政府委員 お答えいたします。  水源地域対策特別措置法に基づく水源地域整備事業につきましては、先生おっしゃるとおり、各省庁の所管にかかわる多角的な事業を実施しているわけでございます。これにつきましては、私どもといたしましても、整備計画の決定並びに事業の実施に関しまして従来から関係する省庁で構成するところの水源地域対策関係省庁連絡協議会というものを設けておりまして、これにおきまして事業の内容等十分綿密に連絡協議を行い、そして事業の実施の円滑を図れるよう計画の決定並びに予算の確保等につきまして連絡をとってきているわけでございます。したがいまして、これによりまして連絡調整を一層密にすることによって、この整備計画の円滑な推進を図ってまいりたいと考えております。
  184. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ちょうど涌井主計官がいますから、また後で質問したいことがありますが、先に進ませていただきたいと思います。  二番目に、水源地域整備事業の実施後において財政力の弱い水源地域の自治体が各施設の維持管理に当たることになるが、財政負担の増加が問題となっております。今後の財政措置の対応策についてはどのようにお考えでしょうか。
  185. 和気三郎

    ○和気政府委員 水源地域の計画につきましては、基礎条件の異なる、著しく変化する水源地域につきましては、その影響を緩和するために必要と認められる事業につきましては実施しておるわけでございますが、これのそれぞれの事業につきましては、当該事業に関する法律の規定に従いまして、それぞれ「国、地方公共団体その他の者が実施する」ことになっております。これによりまして整備された各施設の関係の推進につきましても、維持管理を含めまして、それぞれの各事業主体が実施することになっております。私どもといたしましては、これらの事業の推進につきまして関係省庁とよく連絡をとり、その事業の推進が円滑に図れるように考えております。  なお、財政が非常に厳しいところがございますけれども、先ほど申しました連絡協議会を通じまして、それぞれの各ダムの事情に応じて適切なタイミングで実施されるよう関係省庁と連絡をとりながら実施してまいりたいと考えております。
  186. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 三番目に、水資源開発に当たって水源地域と受益地域が異なる場合に、上下流の関係地方公共団体が一体となって水源地域対策の円滑な推進を図る必要があるとして、地域流域及び上下流域の連帯意識を高めるための活動が行われているところでございます。下流の受益地方公共団体が費用の一部を負担するための方策として、水特法の適用対象ダムの要件の緩和を行い、もって水資源開発事業の円滑化を図るべきである、こういうように下流負担をやってはどうか。これは治山においてもこういう意見があって、下の方では幾らでも負担しますから、こう言っているのですが、その点についてはどうでしょうか。
  187. 和気三郎

    ○和気政府委員 お答えいたします。  水特法の適用対象ダムにつきましては、相当数の住宅または相当の面積の農地が水没するものにつきまして、政令で定めることによりまして実施されるところでございますが、このようなダムの建設は、地域の生活環境、生産基盤等の基礎条件に著しい影響を及ぼすものと考えるものでございます。これ以下のものにつきましては、通常の行政の対応においてできるのではないかと考えておりますが、しかし、御指摘のとおり県知事等からもこのような基準緩和の話がございます。そうした場合につきましては、個々のいろいろの特殊事情があるダムだと思いますので、具体的なケースにつきまして、その実態を踏まえて関係省庁等とも十分連絡調整を行いながら所要の措置を講じてまいりたいと考えております。
  188. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 今度は道路ですが、自動車重量税の関係についてけさから質問がありましたが、もう一回繰り返しますが、昭和四十六年に自動車重量税法並びに自動車重量譲与税法が制定され、国税として徴収された自動車重量税のうち二五%を市町村道路整備のための特定財源として譲与することが法定化されたが、国の道路整備費の財源としては、自動車重量税法の審査の際における大臣答弁、当時福田大蔵大臣等により地方に譲与する二五%の残り七五%の八〇%が充当されることとなったものの、法的規制のあるものではなかったために、昭和五十七年度においては国の道路財源となる重量税三千七百五十二億円中千四百十二億円、五十八年度においては三千七百五十二億円中千六百億円が、また五十九年度においては三千八百六十億円中千百億円がそれぞれ国の財政の都合により他に流用されることとなりました。このため五十九年度分の予算折衝に当たり、大蔵、建設、両大臣間において、一つ、五十九年度の千百億円については五十九年度中に返還する、こういうようになっているそうですが、大臣、いいわけですか。それから涌井主計官、そうなっておりますか。
  189. 水野清

    水野国務大臣 五十九年度における道路財源、いわゆる自動車重量税オーバーフローの分は、今年度内に何らかの形において返済をしていただく、こういうような大蔵大臣との話し合いができていることは事実でございます。
  190. 涌井洋治

    ○涌井説明員 自動車重量税につきましては、制度創設の趣旨、経緯等からかんがみまして、それは道路に充てるべきものであるということは、財政当局である我々もそういう認識であるわけでございます。ただ、厳しい財政事情の中で公共事業抑制せざるを得なかったということで、緊急避難的な措置としてオーバーフロー、つまりその財源分はお借りしているわけでございますけれども、そういうことをいつまでも続けるということは、これはやはり筋論としてもおかしいということで、六十年度予算編成でオーバーフローしないような形にしなくちゃいかぬということで、五十九年度の予算編成に当たって建設大臣大蔵大臣の間でそういうお約束をしたわけでございます。  ただ、五十九年度でお借りしております約千百億円につきましては、経済財政状況に応じて、そういう財政状況が許せば本来お返しすべきものだと思うのですけれども、一主計官の立場ですから、私から今この場でそういう答弁はちょっと申し上げられないわけでございます。
  191. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 貸してあるので返してもらう、こう言っている。今大蔵省の、これは大臣のかわりかどうか知りませんが、どうもはっきり答弁がないわけです。これは一体どうなるのでしょうか。ことしじゅうに返すという約束なら、ことしの当初予算にはこれは入っていますか。入っていないなら、これから追加補正で入れますか、もっと具体的に言うなら。
  192. 水野清

    水野国務大臣 当初予算には入っておりません。しかし、今後何らかの措置でこれは返していただく、こういうお約束ができておりますから、私どもは返していただくつもりでおります。
  193. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 建設大臣は返してもらうと、こう間違いなく言い切っているのです。大蔵省、そのとおりやりますと答弁するかどうか、もう一回。
  194. 浜田幸一

    浜田委員長 的確な答弁を求めます。
  195. 涌井洋治

    ○涌井説明員 返すということは、つまり補正予算を組むということでございますので、私の立場から現在の段階で補正予算を組むということは申し上げるわけにはまいりませんので……。
  196. 浜田幸一

    浜田委員長 それでは涌井主計官に申し上げます。  後日、大蔵大臣と協議の上、建設常任委員長に答申するようお願いをいたしておきます。
  197. 涌井洋治

    ○涌井説明員 はい、わかりました。
  198. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 委員長が救いの神みたいなことを言ったので、きょう答弁できなければ一それで私はこの前、大蔵大臣をこの委員会に呼んでこなければ進まない、こう委員長に申し上げたら、何か都合が悪い、忙しいということでだめだったから、今委員長の言われたように、明確に次回の委員会までに答弁をさせていただけますか。これは委員長
  199. 浜田幸一

    浜田委員長 この問題については、建設常任委員長の責任において、貸したものは必ず返してもらうようにいたしますので、御心配なく。そうでなければ、来年度予算の通過は非常に困難になりますので……。
  200. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それ、みんな議事録に残っておりますので、議事録をまたもう一回拝見させてもらって、明確な大蔵大臣の答弁を委員長を通じて求めることにして、先に進ませてもらいます。
  201. 浜田幸一

    浜田委員長 もちろんです。一たん口に出したことは絶対に後退いたしません。
  202. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 二番目には五十七年度、五十八年度分の三千十二億円について可及的速やかに返還する、こういうお約束になっておりますか。
  203. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 財政当局とも祖談したわけではございませんが、道路局としましては、少なくとも第九次五カ年計画が完成できるように、したがいまして、できるだけ早い範囲内で返していただきたい、さように考えております。
  204. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私の言っているのは、先ほど一項目を言っただけだが、その前座があるのです。五十九年度の予算折衝に当たり、大蔵、建設、両大臣間において、一つはさっきの五十九年度の千百億、二つ目は五十七年度、五十八年度分の、言うなら建設省大蔵省へ貸したものかな、三千十二億円については可及的速やかに返還する、こういうお約束になっている。だから、その約束の事・実があったかないかということだけです。
  205. 田中淳七郎

    田中(淳)政府委員 約束の事実はあったと聞いております。
  206. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 あったと聞いておるって……。大蔵省から返事をしてもらおう、約束したかどうか。
  207. 涌井洋治

    ○涌井説明員 五十九年度予算編成におきまして、そういう話し合いがあったことは事実でございます。
  208. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 もう一回繰り返しますが、今大蔵省から、五十七年度に貸した分、五十八年度に貸した分三千十二億円については可及的速やかに返還する、こういうことになっていますから、私たちはずっと、ことしも後半期に公共事業費の追加をと、こう主張してまいりましたが、建設大臣、あるいはこれは官房長か、他省庁との約束だ、さっきの一千百億とともに、ことしこの全額なり半額なりは返してもらえる見込みがあって、ことしの中で追加予算に組めるか、両省庁間の約束でそう考えているかどうか。
  209. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほど主計官からお答え申し上げましたように、いわゆる五十七年度、五十八年度におきましてオーバーフローいたした分につきましては、可及的速やかに道路整備に充てるというふうになっておりますので、これはいつということはまだはっきりわかりませんが、今後の予算折衝等を通じまして、私どもはなるべく道路財源に充当してもらえるように努力をしてまいりたいと思っております。
  210. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは大蔵大臣と建設大臣の折衝で一番大事なところだと思います。第一項の方は五十九年度中に千百億、五十七年度、五十八年度分は、これは三千億もあるのですよ。可及的速やかにとなっているのだから、第一項の五十九年度分については当然ことし返してもらって補正予算に組むべきもの。したがって、組むならば、五十七年度、五十八年度に三千十二億貸してあるものも、二千億か、三千億丸々ならばそれにこしたことはありませんが、これも含めてことしの追加予算に組まれるべきもの。私は、公の前にこの約束を見せられればそうなるのが当たり前だ、こう思うのです。大臣、どうでしょうか。
  211. 水野清

    水野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、今年度のオーバーフロー分の約千百億並びに五十八年度までのオーバーフロー分の三千億、この両者は返していただくという前提で先ほどの大蔵大臣との話し合いをしたわけでございます。そして五十九年度分の千百億は今年度じゅうに、五十八年度までのものは可及的速やかに、こういうお約束をいたしておりますので、私どもはそのお約束を信頼しております。
  212. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 追加予算の問題も近く出ると思いますから、今大臣の言明どおり、私たちはそれを注目させていただく、こういうようにさせていただきます。  もう一つ約束がある。ことしの当初予算の折衝で両大臣が、六十年度予算においては他への流用は行わないとの了解点に達したと言われておりますが、そうなっておるでしょうか。
  213. 水野清

    水野国務大臣 そのとおりでございます。
  214. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 これは私の解釈によれば、六十年度かっきり、一カ年だけは他へ流用しない、六十一年度以降はちょっとわからないみたいなような心配があるのですが、そういう心配はないでしょうか。
  215. 水野清

    水野国務大臣 六十年度以降も他への流用はしないというふうに私どもは理解をしております。
  216. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでわかりました。  なお、ことしの返済は、ことしの追加予算になるべきもの、こういうように私は理解しますので、先ほどの委員長の発言のように、大蔵大臣からの答弁をお待ちして、また論議を進めたい、こういうように考えます。
  217. 浜田幸一

    浜田委員長 ありがとうございました。
  218. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこで、全体的に私が文書質問で前に出したのは、大まかに言えばこういうことであります。「公共事業関係長期計画(五カ年計画)の進捗状況計画達成への政府責任に関する質問」であります。この前のときにも私申し上げましたが、道路整備五カ年計画とか、先ほど論議されましたが、下水道整備五カ年計画とか、都市公園五カ年計画とか、そういう計画がことごとく達成をしていない。住宅はおおむねその近くへいっているらしく見えるのですが、ことごとく達成をしていないわけであります。この計画をつくって国民に公表をしたという限りにおいては、政府の責任においてこれを達成すべきもの、こういうように私たちは理解をするわけであります。昭和五十六年度から六十年度というのは随分前だったから、そのころの財政事情というものは、あるいは今日のような厳しいことを予想されなかったかもしれませんが、いずれにいたしましても、今日の下水道、五八%や五九%という達成率で、あと一年しかないわけです。これを何とかならぬか、こういう質問に対して、答弁は一行、努力いたします、こういう答弁だけです。私たち、今見ていて、きょうも行革審の財政の答申の原案を見ていると、きょうのどこかの新聞、朝日新聞か何かの第一面にあったけれども、それは民間活力を利用しろとか、公共事業抑制しろとかいろいろあるわけですが、政府努力いかんによっては、何らかの手段で、一〇〇%とはいかぬが、それに近づけるような手段、方法、こういうものは知恵を絞れば出てくるのではないか、私はこう思うわけです。だから私の質問のように、来年度で本当に終わるものは来年一〇〇%、それから道路整備のようにまだ二年目、五十九年度で二年目ですから、二年目で三二%ということは、二年目は四〇%にならなければならないものがまだ三二%ですから、今言った道路財源等、人に貸してあるものは取ってでも、そういう手段もあると思います。水の関係だったら下流から負担を仰いでもやれる、こういうこともあると思います。あるいは何かダムあたりでは、用地取得については金を借り入れて取得を先行するというような手段もあると思いますが、これをどのようにして達成されようとしているか。これは建設関係だけでも各局にまたがるわけですから、総括的なお話を大臣から、それぞれの局長から決意のほどをお尋ねをしたいと思います。
  219. 浜田幸一

    浜田委員長 すべてを統括して水野建設大臣
  220. 水野清

    水野国務大臣 公共事業長期計画達成が非常に危ぶまれておる、立案した政府に重大な責任があると考える、こういうお申し出でございます。私どももさように考えております。建設省所管の五カ年計画につきましては、住宅建設五カ年計画のいわゆる公的資金住宅を別といたしまして、御指摘のとおり、この達成は非常に厳しい状態になっております。これは現下の厳しい経済情勢の中で、公共事業予算が本年度で五年連続抑制となったためが最大の原因でございます。建設省といたしましては、財政再建ということは念頭に置いておりますが、これからも必要な事業費の確保にあらゆる努力をしていきたい、かように思っております。確かに、残された期間が短い五カ年計画もございますが、ここでは最善の努力をするという言葉をなお申し上げて、私の答弁とさせていただきます。
  221. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それじゃ、時間ですからこれでやめますが、先ほど申し上げたように、五十九年度分の予算折衝に当たって大蔵、建設、両大臣間において交わされた一、二、三項目、これは今まで国会では論議していなかったのじゃないか。政府間だけの約束だったと思います。自民党の天野先生なんかは全国の道路整備何とか大会で広言をしておったわけだけれども、きょう初めてこの全貌というものが国会の前に明らかにされたわけですから、先ほど大臣の答弁にあったように、五十九年度分の千百億はことしの補正予算で、それから五十七年度、五十八年度分については三千十二億貸してあるんですから、可及的速やかだから、ことしの追加補正予算で、これは私の希望であります。それから六十年度については他へ流用しないというこの言明は、六十年度予算で必ずそのように編成をしていただく、そういうことをひとつ最後に念を押して、私の質問を終わらせていただきます。
  222. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  次に、瀬崎博義君。資料の配付。
  223. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず、琵琶湖総合開発事業による観光船補償について伺います。  まず、これまでの私の調査やあるいは政府、公団の答弁で現在の到達点がどうなっているか、これを建設省に確認しておきたいと思うのですが、支払われた補償額は、今お配りした資料の一枚目に載っておるように、琵琶湖汽船八隻二十六億五千三百三十六万円、オーミマリン四隻四億四千三百万円、橋本汽船一隻一億六千五百万円、岡田海運一隻九千四百万円、松屋高速船一隻一億四千万円、計十五隻三十四億九千五百三十六万円となっており、なお三隻が補償予定船として残っておる。これまで水資源公団や建設省は、こうした高額の補償を行った理由として、三月二十三日の本委員会、五月十五日の環境委員会、さらには四月十二日の建設省文書報告で大体次のことを挙げているわけであります。  第一は、今琵琶湖総合開発事業で下流に現在よりも毎秒四十トン水をたくさん送るんだ。そのために渇水期には最大二メートル水位を下げる場合がある、あるいは下がる場合がある。第二に、琵琶湖における船舶運航事業は相当の公共性を有するので、琵琶湖総合開発事業によって最大二メートル水位が下がったときでも、その機能を維持する必要があるんだ。第三に、ところが南湖は水深の平均が四・一メートルしかない。ここで水位が二メートル下がったら残り二・一メートル、少なくとも船の喫水深はその半分以下でないと危険だ。喫水深一・二五メートル以上の船の南湖における航行には支障を来すんだ。そこで第四、主として浅い水深の地域を航行する船を対象に、喫水深一メートルのいわゆる低喫水船に改造するための費用を補償するんだ。こう説明してきたと思うのです。まず、この点相違ないか、建設省に確認しておきたいと思います。
  224. 大嶋孝

    大嶋参考人 ただいまお話のありましたとおりに説明してまいっております。
  225. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私がこれまでにも述べたように、琵琶湖の旅客運航事業というのは、交通、観光上重要な機能を持っており、その機能を維持することの必要性は認めてきているわけであります。しかし、それにしても大正九年とか大正十五年、私が生まれる以前の老朽船ですね。法定償却を三回も四回も繰り返したであろう、だれが見ても現存価値はゼロに近いものに二億数千万という補償が出ている。また二十年以上もたっているわずか三十トンから五十トンのはしけの親玉みたいな木造船に一億数千万から二億数千万の補償が行われている、これは余りにも過剰だ、これは根拠のない補償ではないか、こういうことを我々は主張している。これは知る人はよく知っていることなので、関西の方では非常に社会的関心を呼んでいるわけであります。  そこで、会計検査院に伺いますが、こうした補償額が適正かどうか、これは当然調査してみなければいけないのじゃないかと思いますが、どうですか。
  226. 島川庸一

    ○島川会計検査院説明員 お答えいたします。  公共事業の執行に伴う各種の損失補償費の支払いにつきましては、日ごろ留意いたしまして検査をいたしておるところではございますが、ただいまお話のございました旅客船の補償につきましても、先般先生の御指摘もあり、補償額も多額に上っておりますので、琵琶湖総合開発事業の検査の一環といたしまして特に留意して調査検討いたしておるところでございます。
  227. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では、その上に立って、きょうさらに新たな具体的な問題について尋ねます。  二枚目の資料を見ながらお答えいただきたいのであります。  一つは、橋本汽船が所有しておりました「ちくぶじま」に対する補償であります。  橋本汽船は、昭和三十七年三月に進水した三〇二二トンの木造船「ちくぶじま」で一億六千五百万円の補償をもらい、その補償で新しく五十八年九月に三十五トンの軽合金船「なにわ一号」を建造した。それで旅客定期航路事業者は海上運送法によって運輸大臣の免許を受けなければならないし、また旅客不定期航路事業者の場合も同様の手続で運輸大臣の許可を得なければならないわけですね。橋本汽船というのは、その前身であります橋本産業の時代も含めて、こうした運航業者としての免許や許可を受けていないのです。結局、貸し船といいますか、船舶貸し渡し業者でやってきたわけですね。「ちくぶじま」は建造当初から橋本産業、橋本汽船から琵琶湖汽船——もとは琵琶湖汽船自動車と言っておりましたが、に貸し渡しし、琵琶湖汽船がずっと運航を行ってきた。まず、この事実に相違ないかということ、これが第一点。これは運輸省に聞いていることです。  第二点は、借り受けた琵琶湖汽船は、その「ちくぶじま」をレギュラーの使用船舶として運輸大臣の認可を受けたことがなく、常に予備船として認可を受けてきたのではないか、これが第二点。  それから第三点。「ちくぶじま」が予備船として就航することになっていた航路は、一つは定期航路、彦根−多量島−彦根、それから一つが不定期航路、彦根−多量島−竹生島、そして一つが湖東定期航路、これはA、B、C三コースあるのですが、いずれも竹生島と彦根あるいは長浜、あるいは今津を結ぶコースで、これはすべて北湖内に限られた航路ではなかったのか。  以上、事実に相違ないかだけお答えください。
  228. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  「ちくぶじま」関係の先生指摘の三点については、先生おっしゃるとおりでございます。
  229. 瀬崎博義

    瀬崎委員 「ちくぶじま」は、今申し上げましたように、常に予備船、つまりピンチランナーとして使われておった船で、しかもその航路は北湖、それも北湖の中でも比較的水深の深い地域に限られた航路に就航しておる。したがって、およそ補償対象は南湖の航路と言ってきたのですが、その南湖に予備船としても就航していた事実は全くないわけです。こんな船に一億六千五百万円もの補償を行うのは全く筋違いではないかと思うのですが、どうですか。
  230. 大嶋孝

    大嶋参考人 まず、航路でございますが、私ども調査しました時点では、「ちくぶじま」は大津−長命寺−宮ヶ浜回遊というところの船の予備船として一つは利用されておったというふうに理解をいたしております。  それから、「ちくぶじま」の代替船が「なにわ一号」ということになるわけでございますが、「ちくぶじま」は琵琶湖汽船に今お話しのように用船をされておりまして、浜大津港を母港にしておったというふうに思っております。したがいまして、旅客船対策は、公団によります琵琶湖開発事業が完了し、かつ水位が低下した場合におきましても、先生指摘のように、交通手段としての船舶の航行を可能ならしめるということを目的として講じておるものでございます。
  231. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今公団側は大津−竹生島の回遊航路に就航しておった、だから補償対象としたと言いましたが、そんな事実が運輸省の方に届けられていますか。
  232. 大嶋孝

    大嶋参考人 今私が申し上げましたのは、一つは航路のことでございますし、一つは浜大津港が母港であったということでございます。
  233. 瀬崎博義

    瀬崎委員 運輸省に。大津−竹生島のそういう航路に予備船として就航する、そういう事実がありますか。
  234. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  大津からの航路として許可なり認可をしてございません。
  235. 瀬崎博義

    瀬崎委員 お聞きのとおりで、もし別に認可もしていないのに大津から竹生島の間を走っておったとしたら、それは違法航行をやっておったということになるのですよ。あなた方が勝手に補償対象に入れるために、どうでもこうでも南湖に航路を持っていたことにしなければいけないから、そういうでっち上げをやった、そういうことが明らかになった。  今度は橋本汽船が補償をもらって「ちくぶじま」の代船として建造したのが「なにわ一号」であります。この船は建造後直ちに五十八年九月十八日付で大阪水上バスに貸し船契約されているわけであります。この大阪水上バスが「なにわ一号」を就航させている航路は、一つは定期航路、リバーサイド友渕−毛馬公園−天満橋−水晶橋、一つは不定期で、大阪城−天満橋−大阪城、こういう航路になっているのではないですか。これは運輸省に聞きます。
  236. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  大阪水上バスが「なにわ一号」を使用しまして運航しております航路は二つございまして、一つは毛馬−淀屋橋、これは定期航路でございます。それからもう一つは大阪城−天満橋−大阪城、これは不定期でございます。この二本でございます。
  237. 瀬崎博義

    瀬崎委員 この定期航路並びに不定期航路は、いずれもこれは大阪市ですよ。滋賀県とは縁もゆかりもないところです。水系も大阪湾にほど近い淀川あるいは堂島川、土佐堀川というようなところでしょう。あなた方はこれまでこの琵琶湖の観光船に対する補償は、水位が下がってもこの南湖の航路はどうしても公共性があって維持しなければならないのだ、だからその機能維持のために、喫水の浅い高くつく船をつくる必要があり、その費用を補償するのだ、こう言ってきたのでしょう。ところが、公団の補償を受けてつくられた「なにわ一号」の走っているところは、今説明がありましたとおり、大阪市内の淀川や土佐堀川、堂島川を走っているわけですね。一体それが琵琶湖の交通、観光利用上どうしても機能維持しなければならないという航路と何の関係があるんですか、全く無関係じゃないですか。いかがですか。
  238. 大嶋孝

    大嶋参考人 先ほども申し上げましたように、浜大津港を母港にしておったということで補償の対象にしたわけでございますが、現在は在来船から新造船への切りかえの過程にございますし、また水位低下の段階にも至っておりません。そういったことから、船舶の具体的な運航なり運用等につきましては、各社の自主性にゆだねられて差し支えないものというふうに思いますけれども事業が完了いたしまして、水位低下が生じた場合には、琵琶湖の湖上交通に支障がいささかも生じないように、補償対象船舶が適正に運航されることを私どもは望んでおります。
  239. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局あれですか、補償を出すときというかもらうときは、あくまで琵琶湖の航路を維持しなければならないということを理由にして金をもらってしまって、新しい船をつくってしまえば、そのつくった船はどこで運航しようと、それは企業の自由だ、あなたの言い分はそういうことなんですか。一体そんなことが通りますか。
  240. 大嶋孝

    大嶋参考人 今も申し上げましたように、琵琶湖の総合開発事業が完了いたしました節には、琵琶湖の交通手段として有効に活用されるということを私どもとしては望んでおるわけでございます。
  241. 瀬崎博義

    瀬崎委員 望んでいるということは、あなた方補償した側から言えば、そうしなくてもよいということか。
  242. 大嶋孝

    大嶋参考人 そうしてもよいのじゃなくて、ということは、要するに淀川で運航してもよいというのじゃなくて、最終的には琵琶湖の交通手段として十分役立っていただきたい、こういうことを言っておるわけでございます。
  243. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それなら何もわざわざ淀川へ持っていかなくたって、現在だって琵琶湖で次々と琵琶湖汽船もその他の船も新造船をつくって運航しているんですから、そこへ投入するのが筋でしょう。  この図面を見ていただいたらよくわかるように、橋本汽船というのは五十八年十月に大幅に増資して商号を近江舞子ホテルに変えた。社長に重松徳氏が就任。この重松氏は琵琶湖汽船の社長でもあり、また同時に京阪電鉄の常務取締役である。そして大阪水上バス、この大阪水上バスというのは琵琶湖総合開発事業の補償を受けて「なにわ一号」ができ上がった時点で旅客航路事業の免許を受けているのですよ。これは初めから計画的、意識的にやっている行為ですよ。総合開発に便乗して補償をもらって、できた船はもう大阪へ持っていって使うべしで会社の設立までやっているのです、別会社を。この大阪水上バスの社長もまた重松徳氏なんです。全部一つの京阪グループ、同一の会社と見ていいわけなんです。結局、京阪グループを構成するこれらの企業が琵琶湖総合開発事業に便乗して、本来補償の対象にならない「ちくぶじま」で補償を取って、その補償でつくった新しい軽合金製の低喫水船を、淀川とか堂島川は低喫水船じゃないと走らないのですよ。琵琶湖で使わずに、そういう全く縁もゆかりもないところで目的外使用している。これは明らかに不正であり不当な補償ですよ。建設大臣、そうお考えになりませんか。
  244. 水野清

    水野国務大臣 観光船に対します補償は、その公益性を勘案して、湖水位低下によっても観光船の機能が維持できるように行っており、私どもの聞いている範囲では、特に問題はないというふうに聞いております。
  245. 瀬崎博義

    瀬崎委員 おかしいじゃないか。大臣、今言われた、前段読まれたことは、琵琶湖の航路を維持することに公共性があり、こう言われたんでしょう。それじゃ、淀川の航路を維持していることが琵琶湖の航路の公共性の維持とどういう関係があるんです。それを説明してくださいよ。
  246. 水野清

    水野国務大臣 私は特に細かいことを申し上げているのではなくて、大局において違法性はないというふうに認識しております。
  247. 瀬崎博義

    瀬崎委員 全く論理合わないですよ。琵琶湖の航路を維持することに公共性があるんでしょう。それを全く縁もゆかりもない、京都を飛び越えて大阪の市内の川の航路を運航しているわけですね。どこをもって琵琶湖の航路の維持に役立っているというんですか。その理由を聞かしてくださいというんですよ。違法性があるとかないとかじゃないですよ。琵琶湖の航路に就航してもらうために補償金が出たわけですよ。その補償金でつくられた船は琵琶湖で就航せんと大阪へ行って就航しているのですよ。一体どこに琵琶湖の航路の維持にこれは役立っていますか。もう一遍、これは建設大臣の答弁でなくてはだめですよ。
  248. 大嶋孝

    大嶋参考人 先ほども申し上げましたように、現在の時点では、まだ在来船から新造船への切りかえの過程である、そして水位低下の段階に至っておりませんので、その間よそで運用しておる、在来船がまだ琵琶湖では活動できるということであろうと思います。私どもは、琵琶湖総合開発事業が完了した場合には琵琶湖に帰ってくるというふうに聞いておりますし、またぜひそうしていただきたいと思っております。したがいまして、格別問題はないだろうというふうに思っておるところでございます。
  249. 瀬崎博義

    瀬崎委員 あなた方のこの莫大な補償額を算定した算定方式をごらんなさいよ。ここには資金調達利子というのが入っているんですね。これは建設省の説明によれば、まだまだ在来船は使えるんだけれども、水位低下のために繰り上げて新造船につくりかえてもらわなくちゃいけない、そういう無理を頼むんだから、この資金調達が繰り上がってくる分に対してわざわざその利子まで面倒見たわけなんでしょう。これが百分比で見て、補償額一〇〇のうちの実に一二・三まで占めているわけですよ。すぐに琵琶湖で要らないんなら、何もこんな利子まで払って繰り上げてつくりかえてもらう必要はないじゃないですか。その理由を今度言ってごらんなさい。つじつま合いませんよ。完全に目的外使用ですよ、こんなものは。
  250. 大嶋孝

    大嶋参考人 こういった大きな事業の補償に当たりましては、莫大な予算が要りますし、また長い年月が必要になる場合もあるわけでございます。そこで少しずつ片づけていかなければならない、一気にすべてを片づけるというわけにはなかなかまいらないわけでございまして、そういったところから、まずといいますか、観光船の補償の問題を片づけてきたということでございます。
  251. 瀬崎博義

    瀬崎委員 おおよそそんなものは理屈になってないですよ。言いわけですよ。だから、琵琶湖で動く必要ない船だったら、出した補償金を返してもらうのが筋ですよ。  もう一つ、ここに挙げた岡田海運の例を見てください。同じようなことなんです。この岡田海運は昭和三十一年に進水したわずか十・一トンの木造船銀竜丸で九千四百万円の補償をもらっている。十トンの木造船で一億近い補償金が出ているのです。これも異常ですよ。そして新しく五十九年三月に二十七トンの軽合金船「第八わかあゆ」を建造している。  この岡田海運は、旅客不定期航路事業として昭和三十六年から坂本−堅田−長命寺、四十一年から琵琶湖大橋周遊航路の許可を運輸大臣から受けているわけです。その使用船舶名を答えてください。
  252. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  使用船舶は、先生おっしゃられました二航路とも同じでございまして、湖竜丸、銀竜丸、シルバースター、この三隻でございます。
  253. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そのうちの銀竜丸はいつまでその航路に就航し、いつから航路就航を廃止していますか。
  254. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  銀竜丸の就航は、最初の坂本−堅田浮御堂−長命寺線につきましては、三十六年の八月十九日に就航いたしまして、四十四年五月十四日に事業計画から除かれてございます。  それから琵琶湖大橋周遊不定期航路でございますが、これにつきましては四十一年一月十二日から四十四年五月十四日まででございます。
  255. 瀬崎博義

    瀬崎委員 もう一つ、じゃ、その四十四年に、今言われた二航路から除かれた、その後、琵琶湖でどこかの航路に就航したという事実はありますが。
  256. 小幡政人

    ○小幡説明員 海上運送事業として使用したということは、届け出が出たりあるいは認可申請が出たということはございません。
  257. 瀬崎博義

    瀬崎委員 公団に伺います。  この銀竜丸という船は、今聞かれたように昭和四十四年以来もう退役してしまっているわけですよ。使われていない船なんですよ。退役してから十五年もたった船に何で補償ができるのですか。その理由を明らかにしてもらいたいですね。およそ就航している航路が第一ないじゃないですか。
  258. 大嶋孝

    大嶋参考人 今お話がありましたように、銀竜丸は琵琶湖大橋周遊航路を運航しておったわけでございますが、四十四年に同航路の事業計画の変更によりまして使用船舶から除かれたことは事実でございます。しかし、その後この船は、随時顧客の需要に応じまして南湖を中心とする臨時的な運航に投入されていたものでございます。当公団といたしましては、この船が南湖の交通手段として機能しているというその実態にかんがみまして補償の対象としたものでございます。
  259. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これも無理やり補償の対象にするためのあなた方のでっち上げですよ。今運輸省が答えたように、正規の定期航路、不定期航路として認可された事実はない、あるいは予備船として届けられている事実もないというわけでしょう。もしあなたの言うように、随時動いておったとすれば、これは潜り航行ですよ。そんな船まで何で補償しなければならないのですか。
  260. 大嶋孝

    大嶋参考人 潜り航行であるかどうかはわかりませんが、私どもとしては、臨時的に交通手段に供されておったという事実がございますので、それによって補償したということでございます。
  261. 瀬崎博義

    瀬崎委員 事実があったら不法な事実であり、しかし現実には航行はないと言っているのをあったようにあなた方は何によって確認したのかも不明確なんですよ。でっち上げですよ。(「幽霊船だ」と呼ぶ者あり)そのとおりですね。  そこで、今度はその岡田海運が補償金でつくった新しい船、「第八わかあゆ」の方です。この船を使用船として船舶運航事業の認可をとっているのは、実は岡田海運ではなくてオーミマリンなんですね。定期航路飯浦−竹生島間です。この「第八わかあゆ」に関する岡田海運とオーミマリンの関係は一体どういうことになっているのですか、公団。岡田海運の船なのにオーミマリンが運航しているのですよ。
  262. 大嶋孝

    大嶋参考人 私どもは、岡田海運の銀竜丸が「第八わかあゆ」に新しくなっておると理解をしております。
  263. 瀬崎博義

    瀬崎委員 では運輸省に伺いましょう。  一体運航主体はどこですか。
  264. 小幡政人

    ○小幡説明員 お答え申し上げます。  所有者は岡田海運でございますが、岡田海運がオーミマリンに貸し渡しをしておる。それでオーミマリンの方が運航しておるという実態でございます。
  265. 瀬崎博義

    瀬崎委員 その貸し渡しの届けはいつです。あなた方の説明では、貸し渡しの事実はないと言っておったぞ。
  266. 小幡政人

    ○小幡説明員 そういうような事実行為、実態でございますけれども、岡田海運が海上運送法上の貸し渡し業の届けをしていないというおそれがございますので、今現地で調査させておるところでございます。
  267. 瀬崎博義

    瀬崎委員 これも解除運送法上の正規の手続を経ないまま、公団は本来岡田海運が運航しているものと思っていたら、結局いつの間にやらオーミマリンが運航しているのでしょう。そういうでたらめな内容がまずあるのですよ。そうなる理由は、この図面を見てもらったらすぐわかる。岡田海運は西武グループ傘下の企業として五十八年六月には本社の所在地を大津市から彦根市の、それも近江鉄道、オーミマリンと同じ場所、同じ建物の中に移しているわけですよ。全く同一会社になっているわけです。社長には近江鉄道、オーミマリンの社長である甲斐田保氏が就任、この甲斐田氏は西武鉄道の取締役でもある。つまるところ西武グループは岡田海運をグループ傘下に入れて、その所有する船舶で、しかし実際には使っていなかった船をまず補償対象船にでっち上げて、それで不正に補償を取って、その補償で新しい船をつくった。その新しい船は海上運送法上の手続も何も要らぬわけです、全く同一のグループですから。だから正確には法律違反で、オーミマリンが勝手に使えるということも起こるのですよ。しかも、現在運輸省の許可を得ている航路というのは、これまた南湖ではなくて、飯浦と竹生島の間の定期航路、北湖の中でも一番水深の深い部分を航行しているわけですよ。だから明らかにこれは補償対象にすべきではないんですよ。  こういう点で、一つは、会計検査院に、我々のこの指摘をどう考えているのか。当然のことながら調査して、不正不当に出された補償だということであるならば、これは是正させなければならないと思います。会計検査院の答弁を求めます。  それから二つ目は、建設大臣、三月二十三日の本委員会で、関係者を集めてよく実態を調べたいとおっしゃった。ところが、我々まだ納得のいくような調査結果を出されていないのですよ。その上に重ねて、より重大など言ってもいいでしょう、不正補償というかでっち上げ補償というか、こういう疑惑が生まれてきた。ですから、厳重に調査し、こういう不法不当な補償であるとすれば、当然これは返還させなければいけませんよ。一時的に琵琶湖で使うべき船を淀川で使っている。少しでも琵琶湖を走ってから淀川に行っていろんならまだ話はわかるけれども、つくった当初から淀川で動いているわけなんですよ。今こっちに指摘されて、いずれ帰ってくるだろう、何言っているんですか、そんなものは。これは建設大臣、会計検査院の指摘を待つまでもなく、自浄作用でそれこそやってくださいよ。  それから第三点、これは国土庁長官です。琵琶湖総合開発事業全体の所管大臣です。こんな不明朗な事業をこのままやられてはたまりません。ですから、これは国土庁長官としても、特に観光船補償については国土庁としてもきちっとした調査をやって、内容を明らかにしてもらいたい。  以上、お三方の答弁を求めて、終わりたいと思います。
  268. 島川庸一

    ○島川会計検査院説明員 ただいま新しく御指摘を受けました点につきましては、十分念頭に置きまして、これから調査検討いたしたい、かように思っております。
  269. 水野清

    水野国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、琵琶湖周辺の船舶の補償に対しては、私どもの聞いている範囲では、何ら違法性はないというふうに理解をしております。  ただ、今委員の御指摘のように、船舶の運用その他については若干不備な点もあろうか、委員の御質問のとおりであるならば、若干違法性もあろうかと思いますので、さらに調査をしてみたい、かように思っております。
  270. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 建設省を中心として調査は進められておりまして、国土庁長官としては、適正に運営をされておるものだ、こういうふうに判断しております。
  271. 浜田幸一

    浜田委員長 最後に、委員長から島川審議官に申し上げておきます。  本問題の質疑のやりとりをただいま聞いておりましたけれども、腑に落ちない点が数多くあります。議会の権威を守るため会計審議官の徹底的な審議を求めます。そして次期委員会までに適正な報告を下さるよう要請をいたしておきます。  本日は、これをもって終了します。     午後四時十九分散会