○大橋
説明員 古来より大きな地震によって
被害を受けております我が国にとりまして、地震予知の推進は国民の生命と財産を守るためにも非常に重要であると
考えております。我が国におきます地震予知観測研究の実施に当たりましては、測地学審議会が建議いたしました地震予知計画というのがございますけれ
ども、その趣旨に沿いまして、内閣総理
大臣が決定いたしました防災に関する研究開発基本計画に基づきまして、地震予知推進本部、これは科学技術庁長官が本部長でございますが、これを中心にいたしまして、政府
関係機関及び国立大学の緊密な連携協力のもとに、地震発生機構に関する研究、それから新しい観測技術に関する研究開発などによりまして、地震予知の技術の向上を図るための観測研究を積極的に推進いたしております。
昭和五十九
年度の地震予知
関係予算につきましては、総額約五十六億円でございます。約六億円の減額になっておりますけれ
ども、これは国立防災科学技術センター及び気象庁におきまして、関東、東海地域の当初計画による観測基地がほぼ完了いたしまして、維持運営あるいは観測研究の態勢に入ったということなどが理由になっておるわけでございます。さらに科学技術庁には、科学技術振興調整費という予算がございまして、
関係省庁の御協力によりまして、ただいまフィリピン海プレート北端部の地震テクトニクスに関する研究、これは東海地震の予知研究でございますけれ
ども、そういったものな
ども実施いたしておるわけでございます。
科学技術庁におきます主な研究の
内容は、国立防災科学技術センターにおきます首都圏直下型地震の予知の研究を強化するために、岩槻、それから下総、さらに府中に深井戸、深層観測井と申しておりますけれ
ども、深い井戸を掘りまして、これによりまして観測研究を継続いたしますほか、神奈川東部におきまして、基盤の震度
調査に五十九
年度から着手するということでございます。
さらに、気象庁におきましては、前
年度に引き続きまして房総沖海底地震計の整備を図るとともに、直下型地震予知の実用化に関する総合研究を開始する計画であります。
郵政省の電波研究所におきましては、VLBI、これは超長基線電波干渉計と申しますが、宇宙からの電波によりまして地球の距離をはかるというものでございますが、そういうものを用いまして、日米共同観測実験に本格的に着手するという計画でございます。
なお、地震予知
関係の人員につきましては、気象庁に地震火山部を新設し、監視体制を強化するなどによりまして五十九
年度で約千六百十人の体制になる計画であります。
今後とも
関係機関の緊密な連携協力によりまして、地震予知観測研究の一層の推進を図ってまいりたいと
考えております。