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1984-04-11 第101回国会 衆議院 建設委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月十一日(水曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 浜田 幸一君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 中島  衛君 理事 井上  泉君    理事 木間  章君 理事 新井 彬之君    理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    大島 理森君       唐沢俊二郎君    國場 幸昌君       東家 嘉幸君    野中 広務君       東   力君    松野 幸泰君       村岡 兼造君    森田  一君       保岡 興治君    上野 建一君       関  晴正君    竹内  猛君       前川  旦君    山中 末治君       古川 雅司君    伊藤 英成君       瀬崎 博義君    中島 武敏君  出席国務大臣         建 設 大 臣 水野  清君  出席政府委員         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 台   健君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省河川局次 中川 澄人君         長         建設省道路局長 沓掛 哲男君  委員外出席者         科学技術庁研究         調整局生活科学         技術課長    大橋 哲郎君         厚生省環境衛生         局水道環境部水         道整備課長   森下 忠幸君         林野庁指導部治         山課長     今村 清光君         気象庁総務部長 平井  清君         建設省国土地理         院長      田島  稔君         自治大臣官房参         事官      二橋 正弘君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ————————————— 委員の異動 四月十一日  辞任         補欠選任   金子原二郎君     大島 理森君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     金子原二郎君     ————————————— 四月四日  国民生活関連公共事業推進に関する請願外三件  (浅井美幸紹介)(第二一四五号)  同(石田幸四郎紹介)(第二一四六号)  同(工藤晃紹介)(第二一四七号)  同(沢田広紹介)(第二一四八号)  同(柴田弘紹介)(第二一四九号)  同(簑輪幸代紹介)(第二一五〇号)  同(山下八洲夫君紹介)(第二一五一号)  国民生活関連公共事業に関する請願河上民雄  君紹介)(第二一五二号)  同(林百郎君紹介)(第二一五三号)  同(簑輪幸代紹介)(第二一五四号)  同(宮崎角治紹介)(第二一五五号) 同月六日  脊髄損傷者に対する建設行政改善に関する請願  (上野建一紹介)(第二二一五号)  同(武部文紹介)(第二二一六号)  国民生活関連公共事業推進に関する請願(池端  清一君紹介)(第二二八三号)  国民生活関連公共事業に関する請願坂口力君  紹介)(第二二八四号)  同(馬場昇紹介)(第二二八五号) 同月九日  国民生活関連公共事業に関する請願木島喜兵  衞君紹介)(第二三二九号)  常磐自動車道東北横断自動車道建設促進等  に関する請願齋藤邦吉紹介)(第二三九八  号)  国民生活関連公共事業推進に関する請願(角屋  堅次郎紹介)(第二三九九号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部  を改正する法律案内閣提出第一七号)      ————◇—————
  2. 浜田幸一

    浜田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中末治君。
  3. 山中末治

    山中(末)委員 おはようございます。私は、ただいま委員長の御指名をいただきまして、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきまして若干の御質問を申し上げたい、このように存じます。  今回の公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきましては、せんだって大臣から説明がございましたように、新しい項目をこの災害復旧事業費国庫負担法の中に組み入れていただきまして、これは長年の懸案でございまして、非常にありがたいことだというふうに存じておるわけでございます。ところが、今度の負担法内容を拝見させていただきますと、まず、国庫負担採択限度額引き上げ等によりまして、地方公共団体負担増加が見込まれるように存ずるわけでありますが、その救済措置につきまして、また緊急の問題といたしましては、五十九年度豪雪対策につきまして、被害をこうむりました地方公共団体に対して救済措置がうまくとられるかどうか、この点について基本的にどうお考えか、まず所管建設大臣の御所信をお伺いいたしたい、このように存じます。
  4. 水野清

    水野国務大臣 御質問の御趣旨は、ことしの豪雪災害に対して、この負担法改正がどういうふうな関係になるか、こういうことでございますか。——御承知のとおり、ことしは大変な豪雪災害でございまして、約百億近い国の予備費を支出をいたしまして、各市町村豪雪対策費を配分したところでございますが、これから融雪期に入るわけでございます。各地で河川はんらんその他が非常に起こってくる。その意味におきましては、なるべくこの法案を早く成立をさせていただきまして、大体四月の下旬ぐらいからかなり豪雪地帯河川にははんらんその他が起こってくるわけでございますので、早速、改正後の法律適用させていただければと思っておる次第でございます。
  5. 山中末治

    山中(末)委員 今度の災害は、豪雪という災害が主でございまして、大臣の御所信の中にありましたように、融雪期一つの問題になります。この法案がいつごろから施行されるか、これによりまして非常に微妙な問題も出てこようかと思います。例えば四月中に融雪をする場所もありましょうし、あるいはまた、この法が施行された後において融雪して災害が現認をされるということもあろうかと思います。これは、この法案が提出されておらなければ、別に三月を越えても四月を越えても同じ法律適用されるわけでありますが、この改正案と現在の法律とでは内容に差があります。これについて、先ほど申し上げましたように、豪雪をこうむりました被害市町村が適切な御運用によりまして救済をされますことを、特に大臣お願いを申し上げておきたい、このように存ずるわけであります。  それから、具体的にこの国庫負担採択限度額引き上げ等によりまして、地方公共団体負担増加が見込まれるわけでございますが、この救済措置等について具体的にどのようにお考えをしておられるか、局長さんにお願いを申し上げたいと思います。
  6. 井上章平

    井上(章)政府委員 建設省所管施設にかかわる災害復旧事業につきましては、昭和五十三年災から昭和五十七年災の五カ年平均で見ました場合、この採択限度額引き上げによりまして、限度額未満となる工事は、都道府県、市町村とも一%未満であると見込まれます。その全体に占める割合は非常に小さく、採択限度額引き上げに伴います影響は極めて僅少であろうと考えております。  今回の法改正におきまして、国庫負担対象施設拡大、それから一箇所工事とみなす範囲の拡大が図られますので、地方負担がそれによって軽減されるわけであります。また採択限度額未満災害復旧事業費、これは県なり市町村単独で施行する災害復旧事業でございますが、これにつきましては、地方債発行及びその元利償還に要する経費の基準財政需要額への算入措置がとられておりまして、今回負担法対象とならなくなる災害復旧事業についても同様の措置がとられるわけでございます。このようなことによりまして、地方公共団体負担が軽減されるというふうに私どもは踏んでおるわけでございます。
  7. 山中末治

    山中(末)委員 トータル数字考えますと、今おっしゃったようなことになると思います。しかし、災害というのは、日本全国一斉に同時に起こるわけではございません。局地的に起こる場合が非常に多うございますし、また局地的でなくとも、地域が限定されて起こる場合が過去の例からいきますと非常に多いわけであります。そういうところの地方公共団体救済措置につきまして、トータル数字で言われたのではちょっと歯車がかみ合わないのじゃないかというふうに私は受けとめておりますので、今おっしゃったように、例えば採択限度額の問題につきましても、最低採択額以下のものにつきましては、これは三分の二の国庫負担が外れてくるわけでございますから、それで三分の二の補助金最低削られていくということがありますし、補助金がつけば補助起債が当然ついてくるわけでありますが、この補助起債につきましても、充当率が九〇ないし一〇〇%ということで、これは元利償還額の九五%が基準財政需要額算入をされて、交付税で後年度において処置をされていく。こういうことを考えていきますと、個々の面で地方公共団体の中で発生しました災害については、相当な負担というものが個々には出てくるのではないか、私はそのように思うわけであります。  それからもう一つは、市町村の場合を申し上げますが、一件三万円以上十万円未満採択限度額以下の災害復旧事業につきましては、御承知のように最低百万円以上の枠がありますけれども一般単独債適用がありまして、この充当率が一〇〇%で、元利償還の二八・五%から五七%くらいまでがこれも基準財政需要額算入をされまして、これが交付税処置されていくという問題につきましても、これが限度額採択基準引き上げによりまして、こういうものが外れてくるということが考えられます。  それから、激甚災害の場合も小災害債発行が許可をされるわけでございますけれども、これにつきましても、市町村の場合は現在までは五万から十万未満国庫負担対象にならない災害復旧工事事業に関しまして、これも充当率一〇〇%で最低額が八十万以上でございますか、これで起債が認められて、これも元利償還金基準財政需要額算入をされて交付税処置をされる。  こういう一つ一つの現在の法律内容を、被害をこうむった市町村から考えてみますと、以上のようなことが解決をされてこない、このように実は思うわけであります。したがいまして、先ほど説明いただきましたけれども、国の予算の総枠の中ではよくわかります。しかし、個々災害が起こった町については、何らかの形でこれは救済措置が必要ではなかろうか、このように私は思うわけであります。  そして、今さらこの採択限度額引き上げについては、物価の値上がりとかいうこともありますので、これについては妥当性を欠くとは思っておりませんけれども、それによって公共団体負担がふえてくるということについては、何らかの救済措置が必要じゃなかろうかというふうに存じまして、私の考えとしましては、この採択限度額以下の被害について市町村災害復旧事業を起こす場合に、今日まで認められておりました起債一般単独債ですね、これで全部救ってもらえるのかどうか、救い上げることができるのかどうか。それから一般単独債は、先ほど申し上げましたように、元利償還、これが二八・五から五七までの間で基準財政需要額算入されて交付税処置がされていくのかどうか。この辺のところになってくるのではなかろうかと思いますので、こういう点につきましての明解なお考え方をお示しいただきたい、このように存じます。
  8. 二橋正弘

    ○二橋説明員 お答えをいたします。  今回の改正に伴います国庫負担採択限度引き上げによりまして、ただいま御指摘のような地方財政に与える影響が出てくるわけでございますが、この採択限度引き上げによりまして、いわゆる限度落ちとなります災害復旧事業につきましては、今お話のございました単独災害復旧事業債充当により対処いたしたいというふうに考えております。そういたしますと、その元利償還につきまして、二八・五%から財政力に応じて最高五七%まで元利償還交付税算入するということになるわけでございます。  それから激甚災害指定を受けますと、その算入割合がさらに高くなりまして、六六・七%から財政力に応じて最高九五・二%までの元利償還が行われるわけでございまして、これらの単独災害復旧債活用等によりまして、個々地方団体財政運営に支障が生じないように適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
  9. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございます。  それで一つお聞きしておきたいのは、五十八年度地方債事業別運用方法があるわけでございますが、五十九年度につきましても、現在の五十八年度地方債事業別運用方法と変わらない方法処置をしていかれるか、その点、特に災害復旧に関してお伺いをいたしたい、このように思います。  その一つは、例を挙げますと、一般単独債の場合の最低起債の額でございますね、これはやはり市町村の場合百万でいかれるのか、府県の場合は政令都市を含めて二百万であるのか、この辺のところもお伺いしたい。できればもう少し下げていただきたいという気持ちがあるわけでございますが、そういうところをお伺いいたしたいと思います。
  10. 二橋正弘

    ○二橋説明員 五十九年度地方債運用につきまして、現在内部で検討いたしておりますが、お話のございました災害復旧関係につきましては、基本的に五十八年度と同様の取り扱いにするという予定でございまして、今御指摘がございました百万の金額につきましても、その金額のままで運用をいたしたいというふうに考えております。
  11. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。  これで最悪の場合は何とか被害をこうむった市町村救済というものができるというふうに考えております。しかしながら、先ほど申し上げましたように、採択限度額引き上げとかあるいはまた激甚地災害の小災害の問題とか、今まで市町村の場合に、一般単独債の場合は三万から十万までの中で、国庫補助採択されない部分での起債発行に対する補てんの問題がございます。  これはまだお聞きしていないのですけれども一般単独債の場合は、市町村は十万円の採択限度額が三十万になるわけですね。そうすると、最低取り上げられる額は、従来どおりの三万円以上なのかあるいはまたその三万円がもう少し上がっていくのか、その点等についてもお伺いいたしたいと思うのです。これは何も重箱の隅をほじくる気持ちはないのでございますが、基準でございますので、その基準が変わってきますと、採択されない、適債事業と認められない場合は、もろに公共団体負担にかかってまいりますので、その辺の変化がございますようでありましたら、お聞かせをいただきたい、このように存ずるわけであります。
  12. 二橋正弘

    ○二橋説明員 単独災害復旧債採択限度の問題でございますが、市町村の場合で申しますと、今御指摘がございましたように、従来三万円以上ということで扱っております。これを今回の改正に伴いまして、私どもでいろいろ検討いたしました結果、市町村の場合には三万円を十万円以上ということにいたしたいというふうに考えております。これは私ども今回の改正に際しまして、いろいろ最近災害を受けました市町村について実態の調査を行っております。その結果を見ますと、現実には小規模の災害工事というのは非常に減っておりまして、十万以上ということにいたしましても、地方団体団体当たり財政負担というのは非常に少ないというふうな結果になっておりまして、それらを踏まえまして、かつ先ほど来お話がございましたような、今回の改正に伴いまして対象施設拡大による別途の国庫による財政措置が行われるというようなことも全体考え合わせをいたしまして、単独災害復旧債採択限度につきましても、市町村の場合には三万円から十万円に引き上げをいたしたいというふうに考えております。
  13. 山中末治

    山中(末)委員 ついでに県の場合は……。
  14. 二橋正弘

    ○二橋説明員 県の場合は、従来五万円以上ということでございましたが、これにつきましては二十万円以上ということに引き上げをいたしたいと考えております。
  15. 山中末治

    山中(末)委員 そういたしますと、政令都市を除いて市町村の場合十万円以上しか適用がないということになりますと、大分災害をこうむった市町村単費負担というものが災害の状況によっては相当ふえてくる、このように私は思います。この点につきまして、大体わかりましたので、今後の対策にひとつもう少しお心遣いを賜りたい、このように思うわけです。  災害は願わないことでありますけれども、いつ私たちのもとへやってくるかもわかりません。これは国庫負担法でうたわれていますように、地方公共団体財政力に適応するように国庫負担をする、こういうことがこの法律の第一条の「目的」にうたわれておるわけであります。蛇足で非常に恐れ入るのですが、ことしの一月の中ごろに建設省の方から出された文書、これを見せてもらったわけですが、この法改正を予定しておられる段階での話だと思いますけれども、それの説明の中に、私が今申し上げたこの国庫負担法の中で地方としては一番大事に考えていますところの「地方公共団体財政力に適応するように国の負担を定めて、」という字句がすかっと抜けておるのです。そして「災害の速やかな復旧を図り、公共の福祉の確保に努めているところである。」こう書いてあるのです。ですから、私は、これは無理に抜けたわけじゃないと思うのですけれども、自然に抜けたのではないか、こういうふうに思いますけれども、この文書を見せてもらって、そしてこの内容を見ますと、半年や三、四カ月の期間のずれはありますけれども、何か災害国庫負担法の一番大事な部分の「地方公共団体財政力に適応するように国の負担を定めて、」という項が、そこが抜かれているのは非常に寂しいような感じがしてならないわけであります。したがいまして、それをどうこう言うわけじゃございませんけれども、今後災害をこうむりました地方公共団体につきましては、適切な御指導と、それから運用面とで何とかひとつカバーをしていただいて、救済措置の万全を期していただきたい、このように要望を申し上げておく次第でございます。  それからその次に、激甚地指定を受けました地方公共団体、その自治体は、私もしばらく自治体の担当をしましたので覚えがあるわけでございますが、災害が発生しますと査定用書類をつくるのに本当に昼夜兼行でやらなければなりません。いっとき高度成長の時代では、職員を何名か入れて、その職員災害査定用文書づくり設計等をやったわけですが、今ではそういうわけにいきません。職員を入れますと、後年度負担が非常にふえできますので、どうしても外注等に頼らざるを得ないというようなことになっていると思います。現に五十八年度災害の中でも、そういう外注をされて査定用書類をつくられた、設計概算要求等をつくられた。あるいはまた、それが査定を終わりますと、採択されますと、今度は実施設計をやらなくてはなりません。実施設計につきましても、なかなか弱小市町村ではそれだけの技術者が足りない。こういうことで勢い外注に出されております。ところが、その外注が非常にばかにならない価格でございまして、この価格は、先ほど申し上げました災害採択基準は切り上げられるわ、一般単独起債は十万円以下は適用されないわということで、単費がふえてくる中で設計費外注費用というものがばかにならない額で出てきておる、これが実情だということが私はわかったわけであります。  こういうことについて、激甚地指定公共団体についてのこの設計費補助をされているというふうに聞いていますが、これはどういう基準補助をされているのかということと、激甚地指定にならない場合、災害をこうむった市町村激甚地には近いけれども激甚地指定にはならなかったその市町村のこういう設計等、これは外注に出す場合、何とか激甚地指定に準ずるような形でこの設計費補助等を見るわけにはいかないだろうか、あるいはまた現にそういうことは見ておられるのかどうか、お尋ね申し上げたいと思います。
  16. 井上章平

    井上(章)政府委員 大規模な災害が発生いたしました市町村におきまして、査定申請業務は大変大きな負担であるということは承知いたしております。しかしながら、公共土木施設災害復旧は、その施設を維持管理する地方公共団体が行うべきものであるという観点から、この査定申請の際の設計書作成費用につきましては、国の負担とはしていないわけでございます。  しかしながら、ただいま先生指摘がありましたように、激甚な災害が発生した場合には、災害復旧を速やかにかつ適切な工法で行う必要がある等の理由から、特に設計委託に要する費用について、補助率二分の一でございますが、補助をする道がございます。この運用につきましては、本激あるいは局激指定された市町村ということになっておるわけでございますが、これにつきましては、先生の御見解をいただきましたので、今後それを十分に参考にして検討してまいりたいと思います。
  17. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございます。私はそういう面で、今出した話でございますので、今すぐにとは申し上げませんけれども、相当強く地方からも要望がありますし、現に話を聞きますと、町村ですけれども、ひどいところでは大体査定用申請業務費用とそれから実施設計の分も入りますけれども、五千万ぐらいかかっているところがあるのです。それで話を聞きましたら、いま局長がおっしゃったように、激甚地指定になったんで二分の一ほどいただいた、非常にありがたい、しかし二分の一は単費で持たなければならぬ。弱小町村の二千五百万というのは非常に大きい額でございますので、そのほかにもそれに似たようなところがあるというふうに聞いておりますので、ひとつ将来に向かって御検討いただき、救済措置が講ぜられますならば、速やかに何とか講じていただきたい、御要望を申し上げる次第でございます。  それでは災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案につきましての質問はこの程度にさせていただきまして、もう一つ、実は和しばらく自治体の長をしておりました経験上、今日まで河川のいわゆる雨の災害でございますが、河川災害で非常に苦労いたしてまいりました。二十数年同じ問題で苦労いたしてまいりまして、おかげさまで建設省の方が採択をしていただくということになりました箇所がございます。これは京都と大阪の境の宇治川、木津川、桂川、この三川の合流地点の付近であります。これは琵琶湖が上流にございまして、雨季に入りまして、琵琶湖周辺で数センチ水が上がりますと、琵琶湖周辺の農地が六千ヘクタールほど冠水をするということで、どうしても下流の方へ放流をされる。放流をされると、今度は下流内水湛水がありまして、内水排除の問題が大きな問題になってまいります。私は地建へも参りまして話をしたのですが、琵琶湖の方の六千ヘクタールを助けると思って下流の方はそれぞれ協力をしてくれという話が実は三十二、三年ころにありました。それから後、三十四年災害、三十六年災害等がございまして、その都度、内水排除のことで建設省を煩わしてきたわけでありますが、最近ようやく直轄木津川に一級河川の大谷川を放流をさせる、木津川の堤防を掘削して自然放流させるということで、ここ数年間全力を挙げてやっていただいておるわけであります。これが完成しますと、内水の問題は、平常時は直轄木津川放流をされまして、非常に良好な都市排水というものになるわけであります。しかしながら残念なことには、これは木津川、宇治川、桂川の三川合流地点でありますので、上流にダムが二つできています。桂川の方はまだ今ダムができていません。ダムができましても、どこかの川の上流に雨が降りますと、この三川合流地点は水かさが上がってくるわけであります。そうしますと、今度は直轄河川の方が水かさが上がりまして、そして内水の水位が低い、こういう状況になりますので、どうしても掘削をしたところは雨季等になりますと樋門を閉めるとか逆流を防止しなければなりません。そうすると、今度はそういう状況の中では内水の排除という問題が依然として残ってくるわけであります。今数年かかって直轄河川に排出をされるという大きな工事をしていただいておりますが、これと軌を一にして、今度は外水が高くなった場合に内水を強制排除する必要がございますので、この点についてもいろいろと御計画、御尽力を願っているところと思いますが、どのように御計画されておりますか、お伺いを申し上げたい、このように存じます。
  18. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生お話のございました淀川の三川合流点地帯一帯の内水問題というのは、この地域の都市化が進む中で非常に重要な課題となっております。この木津川の支川の大谷川でございますが、ただいまお話ございましたように樋門を着工いたしております。五十七年から建設に着手いたしまして、ただいま早期完成に向けて鋭意努力をいたしておるところでございます。  この河川の淀川本川の増水期における対策としては、ポンプ排水しかないわけでございますので、これにつきましては昭和四十一年に建設省がポンプ六トン設置いたしました。また土地改良区では昭和三十八年に七トンのポンプが設置されて、合計十三トンただいまございますが、周辺の状況あるいは内水湛水の実績等から勘案いたしますと、これでは到底足りないということで、私どもといたしましては、この樋門の完成を待って、早急にポンプの増設につきまして進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  19. 山中末治

    山中(末)委員 これはお礼を申し上げるのを忘れましたが、今まで随分長い間、二十数年ともにやってまいりまして、今はもう本省におられませんけれども、稲田河川局長さん、次官さんと一緒に私は、その大谷川水系とかを長靴を履いてさおを持って何年間も回ったことがありますが、その時分から御尽力願っております。まず大臣に厚くお礼を申し上げたい。そして今、局長おっしゃいましたように、できるだけ早く内水排除のポンプに着工していただいて、水害が二度と来ないような形で処理されますように要望をいたしておきたい、このように存じます。  もう少し難しい話をされると思って時間の余裕を持っておったのですが、先ほど自治省の参事官さんの方からも、今の一般単独債等の問題で、採択基準とかあるいはまた交付税で見ていく基準財政需要額算入の問題とか、従来どおりで極力運用をうまくやっていくという実にわかった話がありましたので、時間が十分ほど余りますけれども、これで質問を終わらしていただきたいと存じます。どうもありがとうございました。
  20. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  竹内猛君。
  21. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案に関連をして質問をしたいと思います。  まず最初に、本法案国庫負担対象として地すべり防止施設、急傾斜地の崩壊防止施設、下水道を新たに追加したけれども、なお本法案対象とすべき施設について、また今後の対象施設拡大を図ることについて建設省はどう考えておられるか。
  22. 井上章平

    井上(章)政府委員 この負担法対象となる施設につきましては、私どもとしては次の三つの要件に該当するものであるというふうに考えております。その第一は、その施設を総体として見れば土木施設であること、それからその一としましては、その施設復旧地方財政に与える影響が甚大であって、国庫による援助の必要性が大きいということ、それからその三としましては、その施設の被災については、国民経済ないし国民生活への影響も大きいので、国の援助による早急な復旧が必要であること、こういたしておるわけでございます。このために、これらの要件に該当する施設と認められます地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設及び下水道をこのたび負担法対象施設としたものでございまして、現在のところは、これらの施設以外には負担法に追加すべき施設はないというふうに考えております。
  23. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 続いて、従来の二十メートルを五十メートルにし、十万円以上十五万円を四十万円以上六十万円にし、五万円以上十万円を十五万円以上三十万円に改める、こういうようにいろいろと負担をふやすわけですが、それが地方財政あるいは地方自治体負担にどういうように影響し、その地方自治体におけるところの負担というものはどのようにカバーされるのか。そういう点についてはいかがでしょう。
  24. 井上章平

    井上(章)政府委員 負担法改正によりまして、採択限度額引き上げられるわけでございますが、これによる地方財政影響につきましては、まず建設省所管災害復旧事業につきまして、昭和五十三年災から昭和五十七年災の五カ年平均で見た場合、引き上げ採択限度額未満となる復旧事業は、都道府県、市町村とも金額にいたしましてその一%未満でございます。過去五カ年のこの実績から見ますと、年平均いたしましておよそ三十億円程度というふうに見込まれております。このように、採択限度額引き上げに伴います影響は、私どもは小さいというふうに見ておるわけでございます。  一方、今回の法改正におきまして、国庫負担対象施設拡大、一箇所の工事とみなす範囲の拡大が図られるわけでございますが、これによりまして地方負担が軽減されますが、これはちょっと取り方が違いますが、過去三カ年の実績で見ますと、その額はやはりおよそ三十億円程度というふうに見込んでおります。  また、採択限度額未満災害復旧事業費単独費で行います災害復旧事業につきましては、起債及びその元利償還に要する経費の一部の基準財政需要額への算入措置がとられることでございます。今回も負担法対象とならなくなる災害復旧事業につきましても、このような措置がとられるわけでございますから、これらの理由から、今回の採択限度額引き上げによって地方公共団体負担が特に増大するというふうには見ていないわけでございます。
  25. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 ひとつ前向きに取り扱っていただきたいということを要請して次に移ります。  災害というのは予約して起こるようなものではなくて、不意に発生をするものである。例えば橋が壊れて道路が通じなくなってしまった、そういうような場合等々においては緊急に手当てをしなければならない。予算の執行に間に合わないというようなことはしばしばあると思うのですが、そういう場合においても、緊急処置に対する手当てが法的にどういうような処置がされるのか。年度的にはなかなかうまくいかなくても、緊急に手当てをした場合のその処置はどうされるか。
  26. 井上章平

    井上(章)政府委員 災害直後の緊急措置に対してでございますが、これらの取り扱いについては、この負担法改正によって変わることはないわけでございます。  現在とられておりますのは、被災直後に緊急に実施する必要のある、例えば仮締め切り工事、欠壊防止工事、仮橋工事、仮道工事等の応急工事につきましては、負担法第三条の規定によりまして、災害復旧事業として国が負担することができるようになっております。またこれらの応急工事及び事業費の決定前に施工する必要のある緊急復旧工事につきましては、事前協議の運用等によりまして的確に実施することができるわけでございます。
  27. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、本年は大変不況だと言われているのですね。中小企業の倒産もかなり多いわけです。河本経済企画庁長官は公共工事の前倒しということを主張されておるし、またこれはぜひ必要だと思うのですが、今、労働組合が春闘で賃上げを要求しておりますけれども、ともかく内需を刺激して景気の回復をしなければならない、このことについて建設大臣の御所見を承りたいと思います。
  28. 水野清

    水野国務大臣 昨日予算を通していただきまして、前倒しの問題につきましては、当委員会でも各党から御質問があり、委員の各位にも大変御配慮をいただいております。  現在のところ、ただいま御質問のありましたように、建設省だけでできることでないのでございまして、各省間で協議をしていると申し上げることが今の時点では一番正確なお答えでございます。いずれその協議の結果が出てくると思いますが、ただいまの御質問にもありましたとおり、景気が浮揚してきているといいますが、地方経済その他にはまだまだ相当な跛行性が見られますし、でき得れば、むしろこの上半期に一思いに景気を浮揚させておいた方が今年度の財政の運用全体についても効果的であろうと私は思っているわけでございまして、積極的に他省庁との話し合いを今進めている最中でございますので、いずれただいま御質問のようなお答えができるだろうと思っております。
  29. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そのことをひとつ期待をしておりますので、よろしく主張していただきたいと思います。  さて、林野庁に今度お伺いをしたいのですが、今、農林水産委員会では保安林に関する法案が審議中であります。保安林というのはいろいろな内容を持っておりますが、確かに経済的には林野庁の経済を豊かにするというものではないかもしれません。しかし、社会的機能としては砂防の任務を果たしたり防風林となったり水源涵養林になったりあるいは風致林となったり、その他たくさんの社会的な役割を果たしていると思うのです。そういうものをどのようにされようとしているのか。今どういう方向で手をつけようとしているのか。この点についてまず説明を求めたいと思います。
  30. 今村清光

    ○今村説明員 お答えいたします。  現在保安林整備臨時措置法の改正延長につきまして御審議をいただいておるところでございますけれども、現行の保安林整備臨時措置法でございますが、これは昭和二十八年に西日本を中心にしまして大水害がございました。これを契機にしまして二十九年に成立いたしました法律でございます。そのねらいは保安林を緊急かつ計画的に配備をしていくということで災害防止を図っていくということでございますが、その後、水需要の増大あるいは都市化の進展、そういったことに伴いまして、昭和三十九年と四十九年と二回にわたりまして延長してございます。これは単純延長でございますが、二回そういった延長をいたしまして今日に至っているわけでございます。この間に保安林の配備につきましては、全体的にはほぼ計画どおり配備されているというふうに思っております。その法律制定当時二百五十万ヘクタールほどの保安林でございましたが、現在約八百万ヘクタール程度になっております。そういう点で量的には相当配備をされているというふうに思っているわけでございます。しかし、地域的に見てみますと、一昨年、昨年とも集中豪雨のこともございましたけれども、まだ山地災害が発生しておりまして、そういったようなこともございまして、地域的にもう少しきめ細かな配備をいたしたいというようなこともございます。それから都市化の進展等に伴いまして、山地山ろく地帯での開発が進んでいるというようなことで、新たな保全対象も出てきているというようなことがございます。  また、これは林業サイドの話でございますけれども、林業自体が最近停滞をしてございまして、山の手入れなどもどうしても落ちているわけでございます。そういう点でやはり保安林自体がどうも機能が発揮されないような保安林も見受けられる。そういう点で、山地災害の発生の危険性というものがどうしてもふえているというように我々は考えております。今回提出してございます保安林整備臨時措置法の改正でございますけれども、これは改正延長ということで、本法の有効期間を十年延長していただこう、それで必要な地域についてはなお引き続き、若干手直し的ではございますけれども、きめ細かな保安林の配備をしていきたいということと同時に、新たにそういった林業事情等によりまして、森林が手が入らないことによって悪くなっている、そういったものにつきましては、少し手を入れることによって保安林の機能の向上を図ってまいりたい。今までの法の趣旨が面的、量的な配備であったのに対しまして、今度は少し質の面でよくしていく。それを緊急に十年間で行っていくということによって保安林の質の向上を図る、そのために必要な施業等を行うということをねらいといたしまして、改正延長を今お願いをしているところでございます。
  31. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 今お聞きすると、かなり前向きの点もあるが、特に保安林というものを伐木したりなくさないようにしないと、林野庁の会計には経済的には確かに余り役に立たない面もあるかもしれないけれども、しかし国民のいろいろな生活の上からは大事なものだから、これは充実してしっかり配備をして、災害ども起こらないような方向でしてほしいということを要望をしておきたいと思います。  そこで、今度特にこの法案にかなり関係をしておるのですが、この法案の前提になる問題は、災害が起きてからの処置の問題が中心ですけれども、人間も病気になる前に予防して病気にならないようにするのが一番いいわけでありまして、いろいろお話を聞いておると、地震の問題がなかなか取り上げられていない。従来から地震、雷、火事、おやじといって、地震というのが災害の大きなもとになっていると思うのですね。そこで、この地震の問題にやや焦点を絞って、これから質問をしていきますが、その点について明確なお答えをしていただきたいと思うのです。  まず、国土庁は地震についての責任のある官庁になっていると思うのですけれども、国土庁はこの地震に対してどういう取り扱いをしているのですか。
  32. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 お答え申し上げます。  国土庁は地震対策に対します各般の施策を企画し立案し及び推進し並びに関係行政機関の震災対策に関する事務の調整を行うことを所掌事務としております。一口に申しますと、企画官庁であり調整官庁であるわけでございます。  組織といたしましては、官房のもとに三課一室がございまして、その中の震災対策課が主として地震を担当いたしておるわけでございます。
  33. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 科学技術庁はこれに対してどういう対応をされているのですか。
  34. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 古来より大きな地震によって被害を受けております我が国にとりまして、地震予知の推進は国民の生命と財産を守るためにも非常に重要であると考えております。我が国におきます地震予知観測研究の実施に当たりましては、測地学審議会が建議いたしました地震予知計画というのがございますけれども、その趣旨に沿いまして、内閣総理大臣が決定いたしました防災に関する研究開発基本計画に基づきまして、地震予知推進本部、これは科学技術庁長官が本部長でございますが、これを中心にいたしまして、政府関係機関及び国立大学の緊密な連携協力のもとに、地震発生機構に関する研究、それから新しい観測技術に関する研究開発などによりまして、地震予知の技術の向上を図るための観測研究を積極的に推進いたしております。昭和五十九年度の地震予知関係予算につきましては、総額約五十六億円でございます。約六億円の減額になっておりますけれども、これは国立防災科学技術センター及び気象庁におきまして、関東、東海地域の当初計画による観測基地がほぼ完了いたしまして、維持運営あるいは観測研究の態勢に入ったということなどが理由になっておるわけでございます。さらに科学技術庁には、科学技術振興調整費という予算がございまして、関係省庁の御協力によりまして、ただいまフィリピン海プレート北端部の地震テクトニクスに関する研究、これは東海地震の予知研究でございますけれども、そういったものなども実施いたしておるわけでございます。  科学技術庁におきます主な研究の内容は、国立防災科学技術センターにおきます首都圏直下型地震の予知の研究を強化するために、岩槻、それから下総、さらに府中に深井戸、深層観測井と申しておりますけれども、深い井戸を掘りまして、これによりまして観測研究を継続いたしますほか、神奈川東部におきまして、基盤の震度調査に五十九年度から着手するということでございます。  さらに、気象庁におきましては、前年度に引き続きまして房総沖海底地震計の整備を図るとともに、直下型地震予知の実用化に関する総合研究を開始する計画であります。  郵政省の電波研究所におきましては、VLBI、これは超長基線電波干渉計と申しますが、宇宙からの電波によりまして地球の距離をはかるというものでございますが、そういうものを用いまして、日米共同観測実験に本格的に着手するという計画でございます。  なお、地震予知関係の人員につきましては、気象庁に地震火山部を新設し、監視体制を強化するなどによりまして五十九年度で約千六百十人の体制になる計画であります。  今後とも関係機関の緊密な連携協力によりまして、地震予知観測研究の一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
  35. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 建設省はどういうのですか。
  36. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 建設省におきましては、昭和四十六年に中央防災会議で決定されました大都市震災対策推進要綱に基づきまして、建設省の地震対策推進本部というものを設けておりまして、この本部におきまして総合的な対策を実施しております。  昭和五十九年度におきます事業の概要を申し上げますと、まず一つは、地殻変動調査、二つには、地震に対する構造物のいろいろな復旧技術の開発とかあるいはまた耐震実験の研究、三つには、防災拠点あるいは避難地、避難路等都市防災対策施設の整備、なお四番目に、都市の防災構造化の推進、五番目に、官庁施設等の耐震診断、またそれの補強、整備、六つには、河川、道路等の構造物の点検、整備、そのほか、防災関係の情報の収集、伝達等のためのいろいろな情報網の整備、こういうような事業の推進を図っておるところでございます。
  37. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 気象庁。
  38. 平井清

    ○平井説明員 お答え申し上げます。  気象庁といたしましては、全国の気象官署、気象台、測候所等に地震計を配置いたしまして、常時地震の監視に当たっております。またこの地震によりまして津波等の発生することがございますが、これが発生するかどうか、いつどこに来るかということにつきましても、できるだけ迅速な予報を実施するように行っております。  それから、先ほども国土庁から御紹介がございましたように、東海地震につきましての常時監視ということも私どもでやっておりまして、またこれに絡みまして、房総沖での海底地震計の整備ということも目下進めておるところでございます。  また、さらに気象研究所におきまして、直下型地震の研究を今年度から総合的に開始することにいたしております。これも先ほど御紹介があったとおりでございます。  以上でございます。
  39. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 このほかに、文部省も北海道大学、東北大学、東京大学、それから名古屋大学、高知大学と京都大学、こういうところに地震の専門的な分野があります。それでそのほかに有名なと言われる学者を六人ほど集めて、ここで測地研究ですか、そういうこともやっておられるということを聞いておりますが、今ここでお尋ねしたいのは、各省庁ともにそれぞれの特徴のある研究を多元的にやられておる。私はこの研究は多元的に、多極的にやられることは結構だと思うけれども、その研究の成果なり一定のときに集まったものを一元的に集めて、これを分析をして、そして予知というものが行われて、それに防災処置ができないものかどうか。もう少しこれが一元化されないものか。つまり研究の多元化とそれから指導、防災の一元化というものは絶対に必要じゃないか、こう思っておるのですけれども、これは大臣に感想をお聞きした方がいいと思いますが、大臣、この辺はどうでしょうか。
  40. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私から一言事務的に従来の行政機関としてとってきたことにつきましてお答え申し上げたいと思います。  今お話しのように、確かに地震に関するいろいろな研究なり対策は各行政機関非常に広範にわたっております。しかしながら、また一面、それぞれの行政機関におきましては、それぞれの行政機関なり研究機関の目的に照らしましていろいろな幅の広い調査研究あるいは対策を講じておるところでございまして、その中の地震関係対策というものをさらにより効果的に実施していくというようなことで、例えば国土庁におきまして企画調整されるとか、あるいはまた地震予知の関係につきましては、科学技術庁あるいは気象庁等の方でいろいろお取りまとめになっておる。そういうような特定の部門ごとに、その目的に照らして的確に業務が遂行できるような横割りの組織体制というものを充実強化しながら、特にこれらの地震というものに取り組んでいくといったようなことが当面とられておりますし、これの充実強化ということで進めていくのがよろしいのじゃなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  41. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 五十三年の八月の決算委員会でこの地震問題が取り上げられておりますね。そのときにこういう答弁があります。これは地震予知連絡会の会長さんの萩原教授のお答えで、「地震予知事務は究極において一元化されなければならないと思っているが、今はそのような体制にはなっていない。地震予知連絡会が中心となって実際の仕事をしておる。」こういうふうに発言をされている。つまり一元化されなければならないが、今はそうじゃない、やがてはそういうふうにしなければならないという。それから六年たっています。この六年間その当時と同じようなことをしているのか。何らかの前進はないのか。六年間もぼうっとしているわけじゃないだろう、この科学技術が発展する中で。多くの予算を使って六年間もきたのだから、少しぐらいは前向きにはなっているはずなんだ。その辺はどうなんだ。
  42. 田島稔

    ○田島説明員 お答えいたします。  地震の予知は現在でもまだ実用化されておらない、研究段階であると申し上げるのが正しいかと思います。ただ、非常に巨大な地震が沿岸あるいは内陸で起きる場合に、その前兆現象をとらえて短期予知が可能になるかもしれない、可能であるかもしれない。これは現在も六年前もそうでございまして、昨年文部省の測地学審議会が出されました建議におきましても、地震の、特に短期予知、これは非常に厄介なものである、意外に難しいものであるということが非常にわかってきたというのが現状であろうかと思います。  そこで、先ほどの一元化のお話でございますけれども、大規模地震対策特別措置法におきましては、非常に大きな地震、これがわりかし前兆現象がとらまえやすいようなものにつきまして、これを制度化したというふうなものでございます。しかし、中規模あるいはそれ以下の地震につきましては、まだそういったまないたの上にのる段階ではない、研究段階というのが現状でございます。また地震予知連絡会と気象庁の判定会、これらの役割につきましては、地震予知連絡会は主として全国における長期予知を目的としておりまして、長期予知の主体となります情報、データといいますのは、全国の繰り返し測量、これによります全国的な地殻変動の解明が基本でございます。そのような理由が主で、また大学等の方々の参加も多く得まして、予知連というのは従来から行われております。  以上でございます。
  43. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 また、もう一つこういう問題があります、現在の気象庁長官の末廣長官は地震の専門家でいらっしゃるわけなんです。きょうはお見えになっていないし、またお呼びしていないのですけれども、末廣長官が国会で話をした中で「現在の予知ができるのはマグニチュード八以上であり、マグニチュード七の地震や直下型の地震はいつどこでも起こる可能性があるが、その前兆をつかむことはまだ学問技術上及んでいない。」こう答えられております。それから六年たっているわけだ。その六年間にこの分野はどのように前進をしたのかしないのか、難しくてできないのかできるのか。これはどうなんです。六年間依然として停滞をしているのか。ここら辺はどの程度進んでいるのか進まないのか。これははっきりしてもらわなければ困る。六年間も世の中は停滞しているわけではない。
  44. 大橋哲郎

    ○大橋説明員 東海地震のような海溝型と申しますけれども、こういった海溝型の地震は巨大型地震でございまして、マグニチュードは八またはそれ以上と想定されておりますけれども、こういった種類の大きな巨大地震につきましては、特に東海地震につきましては予知ができる段階に達しておる、このように考えられております。しかし、それ以外の地震につきましては、現在のところまだ予知できる段階ではない、こういうのが現状だと考えております。
  45. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 一体いつになったらこういう問題が——予算がないのか。研究が非常に困難なのか。国際的には一体どうなっているのか。その辺の問題からいかなければ、六年間同じようなやりとりをするのではどうも心もとないわけだけれども、この辺のことは一体どうなんです。
  46. 田島稔

    ○田島説明員 お答えいたします。  先ほど申しましたように、昨年出されました測地学審議会の建議によりましても、この数年間非常にいろいろなことがわかってまいってきたわけでございます。特に伊豆半島を中心といたします地震が活発に起きました地域につきまして、非常に地震の前兆現象としてこれは間違いないというようなはっきりした現象も幾つか観測することに成功しております。しかし、そういった前兆現象というのが必ず地震に結びつくのかどうかという点になりますと、意外に複雑多岐である、そういうふうなこともわかってまいってきたわけでございます。でございますので、我が国におきましてもあるいはアメリカ等におきましても、いよいよ前兆が観測されてきたという前進がございますが、それが必ず一対一で地震に結びつくあるいは結びつかないものもある、そういう意外に複雑なものであるということがわかってきたということが最近の進歩かと思います。
  47. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 非常に難しいことはわかるけれども、ではもう少し質問していきましょう。  私は、現地に起きている実態からまだ大変心配なことがあるんです。それは昨年の五月に秋田県に地震と津波がありましたね。五月二十六日の昼ごろマグニチュード七・七の強震が秋田に発生をした。東北、北海道の一帯を恐怖に覆い、続いて襲った津波によって遠足の子供たちがあるいは漁船がのみ込まれた事件がありました。これはちょうど一年前ですね。現状は、予防措置についても被害対応にしても一歩も進んでいない。すなわち、五十八年度の予算も、防衛費はふえたけれども、地震予知については年間六十二億で前年度に対して五%も減っている。そのために防災投資ができないのみならず、地震観測の第一線の気象庁の観測所では、地震プロパーの観測員でなしに気象観測をしている者がそこにおっただけだ、こう言う。  そこで、特定観測地域に指定されていながら、海底地震計を設置したり測地測量について繰り返し実施するなどのいま一歩の努力が払われたならば、大災害の発生が未然に防げたであろう。なお、この男鹿半島の異常隆起という問題についてはかなり前からわかっていたが、そういうものについて予算と人手がほとんど削られていたということは事実かどうか。これはどうですか。これは気象庁。
  48. 平井清

    ○平井説明員 気象庁といたしましては、地震につきましては、今年五十九年度の増員につきましても最重点事項に置いておりまして、かなりの増員も認められております。  また、御指摘のございました地震につきましては、津波による災害というものが大きかったわけでございますけれども、この津波の予報につきましても、予報を出しますまでの時間をできるだけ短縮するように今、努力中でございまして、規則では地震発生後二十分でございますが、今まで十五分ぐらいの平均所要時間があったわけでございますけれども、最近におきましては、それを数分短縮することに成功いたしております。なお、平均十分ぐらいに近づけたいというふうにさらに努力中でございます。このように地震及びそれに伴います津波につきまして努力をいたしておるところでございます。
  49. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 僕の要求に対する答えとしては非常にまずい答えたけれども、これは答えになってないですね。はっきり答えてないけれども、次のところに移っていきます。  というのは、私の茨城県のことをちょっと申し上げると、茨城県には各省庁の地震の研究機関もあります。それから鹿島のコンビナートもある、原子力の研究所もあります、日立の工場もみんな海岸にあるわけだ。そして地震の巣というものが、鹿島灘、筑波あるいは竜ケ崎そして霞ケ浦というように幾つかの発生地があって、水戸気象台が調査した昭和十三年、有感、無感の地震は合わせて一年に三千六百三十一回、一日に十回の頻度であったときがあるという。最近はちょっと減ったようですけれども、そういうようにかなり激しい地震の状態であります。にもかかわらず、隣の千葉県まではかなり重要な地震の調査指定地帯になっているが、茨城県を除いてしまった。それは地震の頻度が小さいからいいじゃないか。銚子までは重要な地域、利根川を越したらそれは外された。調査もしない。そんな情けないことじゃ困るじゃないか。外しても結構だが、地震が起こったらその後始末を国がしてくれればいいんだ。結局個人がしなければならないでしょう。人間が死んだって三百万以下の犬死にだ。そうでしょう。こういうことでは困るので、起こり得る可能性の問題についてはあらかじめちゃんと防衛する、あるいは研究させるというぐらいのことはしても親切じゃないのか、こう思うのだけれども、これはどうだろう。
  50. 田島稔

    ○田島説明員 お答えいたします。  地震予知連絡会は特定観測地域という地域を指定しておるわけでございますが、この特定観測地域の指定につきましては、四項目の選定基準がございまして、一つは、過去に大きな地震があって最近大地震が起きていない地域、つまり現在空白地域になっているという地域でございます。二番目が活構造地域、三番目が最近地殻活動の活発な地域、四番目として東京などの社会的に重要な地域、こういう四つの項目を選定方針といたしまして、昭和四十五年に地域指定が行われたわけでございます。次いで昭和五十三年、第四十三回地震予知連絡会で再度見直しが行われたわけでございます。  茨城県内につきましては、私どもの方といたしましても、精密な測地測量を繰り返して実施しているわけでございますが、過去から最近に至るまで茨城県内に蓄積されております地殻のひずみは非常に小さいものでございます。また活断層などの大きな活構造というものが調査の結果、見出されていないということが理由でございます。
  51. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 一方では極めて不安定な話が前の方にあって、このことだけはかなり断定をしているから、それならば、水戸の地震みたいな震度四ぐらいの地震があったときに、その補償は国土庁でやるかね。やってくれるならそういう答弁でいいけれども、そうでなかったらこれは納得しないよ。どうです。自信があるかな。
  52. 田島稔

    ○田島説明員 お答えいたします。  地震予知連絡会で定めております特定観測地域といいますのは、つまりもちろん全国を対象といたしまして精密な調査を行うわけでございますが、なかんずく多くの機関がそれぞれ各種の観測を特定な場所でやろうというふうな申し合わせで始めたものでこざいまして、そのような意味からこの四つの選定基準を設けまして行っているわけでございます。絶対安全かというふうに申されますと、これは現在の地震予知の現状ではそのようなことはないのでございますが、しかし、私どもわりかし申し上げたいことは、地殻のひずみが実際にないところでは、少なくともその付近では地震が起きていない、これはここ十数年来はっきりしている事実ではないか、こう思っておるわけでございます。そのような意味で、茨城県の特に中部地域につきましては、私どもの精密な調査を行いました結果でも、全国レベルに比べましてわりかし小さいのでございます。そのような意味で私どもは安全ではないか、こういうふうに判断している次第でございます。
  53. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そういう答弁をされるけれども、それならそういうことを茨城県の新聞記者にでも発表してテレビにでも出してもらわなければ困るのだよ。茨城県の新聞を切り抜いてみると、地震の記事がいっぱいあるんだ。「水戸に大型貯水槽、完成 百トン、飲料水OK 東海地方でも広く普及 地震に強い円筒形」こう出ているんです。あるいは日米の地震の合同研究というようなことが出ているし、例えば「筑波で日米専門家会議地震から生命、財産守る」こういうことが出ていて、あなたのようなそういうありがたい話は出ていないのです。だから、そういうことがもしあるなら、堂々と水戸に来て発表してもらいたいんです。茨城県の皆さん、心配ないんですよ、すごく揺れは小さいのだから、もし起こったら、そのことについて後の補償はしますくらいのことを言わなければこれはだめだ。話にならない。時間がなくなったようだから……。
  54. 浜田幸一

    浜田委員長 いや、いい質問ですからあと八分間許します。
  55. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 どうもありがとうございます。これから私は大事な話をしようと思った。  というのは、気象庁の仕事は自然現象としての天候の予報が主な任務だと思う。その天候の予報も最近はよく当たるようになったので、努力をされていると思いますけれども、今まで当たらないのは選挙の予報と天気くらいだった。このごろは大分当たるようになったので、一生懸命努力はされている。そこで災害についても大いに警戒をしてもらいたいし、資料を提供する重要な社会的任務を持っているわけです。特にこの地震というのは、生命と財産と生産を奪ってしまう極めて重要な災害の根源であるわけだから、これを何とか予知するということは大事なことだと思うのです。そこで秋田県の昨年の問題ではないけれども、特定測定地域に指定されていながら、海底地震計が設置されなかったり、測地測量の繰り返しを実施するなどの一歩の前進が図られなかったり、男鹿半島の隆起がわかっていながらこれに対して調査もされていない。こういうことは非常に残念だと思うのです。朝日新聞は当時論説で、「東海地域でともかく観測体制の整備が進んでいるだけで、その他の地域では海底地震計さえないというのが現状だ。政府は、防災にこそ予算と人をそそぎこんでもらいたい。」こういうことを述べておりました。私もそうだと思う。  そこで、予算を調べてみると、気象庁の予算は国の予算の〇・一一ですよ。一千億になってない。ことしは五百六十八億六千万円、こういう状態で、人員が六千四百五十六名という形になっていて、特に第六次の定員削減ですかそれを受けている。それは同じ役所だから受けなければならないだろうけれども、現在のようにやるべきところに人がいない、いるべきところにいない、やるべきことをやれない、これではおかしいじゃないか、私はそう思うのですよ。だから、どこだって不必要だとは言わないけれども、これだけ世間で問題になっていること、これについてもっとこれは考えるべきじゃないか。無防備であっていいというわけではないけれども、これは防衛庁の方の予算を見ると、四十五年というのを例にとってみると約五倍の予算になっていますね。だから国の予算の六%、五・八%になっている。ところが気象庁の場合には、当時から見ると四倍で五百六十八億、こういうような状態であるし、人間についても一方が二十七万二千百六十二人、こういうように毎年毎年ふえております。ふえておるけれども気象庁の方は減っている。こういうことになりますから、どうしても人と金をつぎ込まなければ問題は解決をしていかないのじゃないかということと、それから多元的な研究というものを一元化して、これを取り上げていくことが何としても大事だ。そうしないと、研究ばかり一生懸命やって縄張りばかりつくってみても、それで事が済むわけじゃない、こういうふうに考えるわけで、この点についてそれぞれからお答えをいただき、最後に閣僚であるところの水野建設大臣の今の問題に対する所見も聞きたいと思うのです。
  56. 水野清

    水野国務大臣 地震予知の問題について今いろいろなお話、御指示を得まして、確かに研究でございますから、これは文部省の大学でもやっておりますしあるいは気象庁でもやっている、国土庁でもやっている、各省でやっている、こういうことでございますが、御指摘のように、横の連絡がまだ十分でないなと私も率直に思ったわけでございます。私は国土庁長官でありませんので、すぐこれをというわけにはまいりませんが、一閣僚として、各省庁とよく連絡をとって、地震予知の研究の段階がまだ非常に多いわけでございますが、その研究の成果でも持ち寄って、予算が少ないなら少ないなりのひとつ技術の交流というようなことも、研究の交流というようなこともするべきだなと思っておったわけでございますが、今後関係機関でよく連絡をとるように指導させていきたい、かように思っております。
  57. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 終わります。
  58. 浜田幸一

    浜田委員長 午後零時三十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時二十九分休憩      ————◇—————     午後零時三十分開議
  59. 浜田幸一

    浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。伊藤英成君。
  60. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 私は、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部改正について質問をいたします。  まず、本負担法改正に当たっては、昭和五十七年七月三十日の臨調答申を契機としていると伺っておりますけれども改正の趣旨は何であるか。また事務の簡素化、合理化はこれによってどの程度図られるのかをお伺いいたします。
  61. 井上章平

    井上(章)政府委員 建設省といたしましては、従来より新たな行政需要に対応すべく国庫負担対象施設の追加等の検討を続けてきたところでございますが、昭和五十七年七月の臨時行政調査会第三次答申におきまして、災害復旧補助金についての改善の指摘がなされたこともあり、関係省庁間で総合的な検討を行いました。その結果を踏まえまして、災害復旧事業の充実強化及び災害復旧事業に関する助成事務の合理化を図るため、今回負担法の一部改正をしようとするものでございます。  また、この法改正によりまして、事務の簡素合理化はどうかという御質問でございますが、まず、一箇所工事とみなす範囲を二十メートルから五十メートルに拡大することによりまして、災害査定の箇所が減少することになります。また剰余金処分に関する主務大臣の認可を廃止することによりまして、手続の簡素化が図られることになります。  このほか、この法律に伴いまして二点の措置を講ずることといたしております。その第一は、市町村にかかわる設計単価、歩掛かりについての主務大臣の承認を省略できる特例を定めること。また他の一点は、都道府県知事が市町村災害復旧事業の成功認定を行う場合の主務大臣の承認を廃止すること。このような措置を講ずる予定でございます。
  62. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のは抽象的な事柄についていろいろ言われたのですけれども、具体的にどういう効果が上がるんだとかいう話はあるのでしょうか。
  63. 井上章平

    井上(章)政府委員 例えば一件工事を二十メートルから五十メートルにすることによりまして、箇所数につきまして二〇%くらい削減することになる見込みでございます。
  64. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のは例えばという例で言われましたけれども、じゃあそれによって、例えば建設省の業務がどのくらい節約できるんだとかいうような数量的なあれはないということでしょうか。
  65. 井上章平

    井上(章)政府委員 具体的な事務簡素化の数量把握はいたしておりませんが、今、一例として申し上げましたが、さらにもう一点申し上げますと、この剰余金処分の主務大臣の認可は年間三万件に及ぶわけでございますが、これらが認可を必要としなくなるわけでございますので、大幅な事務簡素化が図られるものと期待いたしております。
  66. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 次に移りますけれども公共土木施設災害復旧事業に対する国庫負担制度の経緯を調べてみますと、昭和三十年に一部を改正して、連年災害の特例制度の措置を加えて以来、約三十年間も改正しないで運用してきたことになりますけれども、その間の経済発展を考えますと、いろいろな問題があったんではないかというふうに予想もされます。昭和三十年以来改正されなかった理由、そしてその間に発生していたいろいろな問題についてお伺いをいたします。
  67. 井上章平

    井上(章)政府委員 御指摘のように、この法律昭和三十年以降実質的な改正は行われていないわけでございます。この間新たな行政需要に対応すべく、例えば昭和三十三年には地すべり等防止法が制定されました。また同年には下水道法の全面改正があり、昭和四十四年には急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律が制定され、それぞれ地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設の整備が進み、また下水道も格段に普及したわけでございます。これらの施設が近年被災事例として生ずるようになっております。このような状況から、これらの施設をこのたび負担法対象施設としようとするわけでございます。  また、最低限度額引き上げの問題につきましても、昭和三十年から五十七年に至る経済情勢の変化を土木総合物価で見ますと、約五・七倍となっておるわけでございます。これが五十七年の臨時行政調査会の答申に反映したわけでございまして、これらにつきましても、今回改定しようというわけでございますが、ただ、これらにつきましては、長年定着した措置でございまして、それによって災害復旧事業が現実に動いてきたということもございますので、やはりその改定につきましては慎重に行ったということでございます。
  68. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今回、国庫負担対象施設に地すべり防止施設、それから急傾斜地崩壊防止施設、下水道が追加をされました。追加されたこれらの施設は、本来、本国庫負担法の創設時に対象とすべき施設ではなかったかと思われます。今回追加対象となった経緯と理由についてお伺いいたします。
  69. 井上章平

    井上(章)政府委員 この負担法対象施設となりますためには、その施設復旧地方財政に与える影響が甚大であり、かつ施設の被災が国民経済、国民生活への影響が大きい公共土木施設対象とするという考え方に立っております。したがいまして、公共土木施設でございましても対象とならないものがあるわけでございまして、それにつきましては、それぞれの通常の補助制度等によりまして災害復旧措置をすることで十分であるというふうに考えているものでございます。  このたび対象施設といたしましたのは、いずれもこの負担法制定後にその整備が、先ほど来申し上げておりますように、各地方団体におきまして格段に進みまして、負担法によります助成措置が必要となったということで、今回新たに追加することといたしたものでございます。
  70. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今申し上げた追加対象となった施設のうちで、下水道の災害復旧については、現在下水道法の規定に基づいて都市災害復旧事業により行われております。これを今回あえて国庫負担法対象とする理由についてもお伺いいたします。
  71. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生指摘のように、現在下水道の災害復旧につきましては、都市災害復旧事業国庫補助に基づきまして三分の二の補助によって行われておるわけでございます。この負担法制定当時は、昭和二十六年でございますが、下水道の総人口普及率は四%前後でありましたものが、現在は普及率三二%まで拡大いたしております。また近年、地方中小都市においても積極的に下水道の整備が進められておるわ付でございます。したがいまして、下水道を国庫負担法対象とし、災害額と地方公共団体財政力を勘案した適切な国庫負担を行い、速やかに災害復旧を図ることが必要であるというふうな認識に立ったわけでございます。  なお、下水道法の国会審議の際に、下水道の災害復旧に関しましては、負担法適用を受けることができるよう速やかに財政上必要な措置を講ずべきであるという附帯決議がなされているものでございます。
  72. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 これからさらにこの対象施設拡大する考えがあるのかどうかについてお伺いいたします。
  73. 井上章平

    井上(章)政府委員 今回はいろいろ検討いたしまして、新たに対象とすべきものはすべて入れたという考え方でございます。したがいまして、現在のところこれら以外に対象施設拡大する考えはございません。
  74. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先ほど申し上げたように、本案によって国庫負担対象施設として地すべり防止施設、それから急傾斜地崩壊防止施設、それから下水道が追加されましたけれども、これら施設災害復旧事業について従来どのようになされて、その復旧進度は何年であったかお伺いいたします。
  75. 井上章平

    井上(章)政府委員 現行の災害復旧の状況でございますが、まず地すべり防止施設につきましては、これは緊急地すべり対策事業補助等によります地すべり防止工事の一環として措置されておったものでございます。なお、この補助要件に該当しないものについては地方単独費で措置されておりました。また急傾斜地崩壊防止施設につきましては、これは緊急急傾斜地崩壊防止対策事業補助によりまして、急傾斜地崩壊防止工事の一環として措置されておったものでございます。これも同じように、補助要件に該当しないものについては地方単独費で措置されておったものでございます。また下水道につきましては、先ほどお話しいたしましたように、都市災害復旧事業として措置されております。  なお、復旧進度でございますが、これらの施設は、この補助要件に該当するものにつきましては、いずれも災害発生年度内に完了する建前でございます。
  76. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 急傾斜地崩壊防止施設は、急傾斜地崩壊危険区域内の土地所有者が第一義的には防止工事を施工することを期待しているわけでありますけれども復旧工事について受益者負担を求めることになるのかどうかについてお伺いいたします。
  77. 井上章平

    井上(章)政府委員 急傾斜地崩壊防止施設災害復旧事業は、地方公共団体が維持管理している施設について行うものでございます。また被災施設の機能の復旧を限度として行います。このようなことから、受益者負担金を徴収することは考えておりません。
  78. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先ほどのお話にもちょっとありましたけれども、下水道の災害復旧事業については下水道法により補助が行われ、都市災害復旧事業として単年度復旧することにしておりますけれども、本法適用以降も単年度復旧が図られるというふうに考えていいかどうか、お伺いをいたします。
  79. 井上章平

    井上(章)政府委員 下水道という施設の性格からいたしまして、そのとおりでございます。
  80. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 国庫負担採択限度額引き上げられますけれども、その根拠について、先ほども若干は触れられましたけれども、お伺いいたします。
  81. 井上章平

    井上(章)政府委員 先ほども申し上げましたが、国庫負担対象となります最低限度額は、昭和二十七年に改正されまして以来現行のまま据え置かれてきたところでございます。    〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕 今回の法改正に当たりまして、経済情勢の変化、先ほど申し上げました臨調答申において指摘された最低額の見直しということを受けまして、今回引き上げを行うこととしたものでございます。  昭和二十七年から現在までの物価上昇を見ますと、これはいろいろな指標はございますが、おおむね六倍から七倍となっております。しかしながら、最低額が長年据え置かれて関係者間に定着しているということから考えまして、物価上昇率に合わせた率での引き上げは少なからず影響ありということから、地方公共団体等の負担能力を勘案いたしまして、三倍ないし四倍の引き上げにとどめることとしたものでございます。
  82. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 一箇所の工事とみなす範囲を二十メートルから五十メートルに拡大をされましたけれども、その根拠をお伺いいたします。
  83. 井上章平

    井上(章)政府委員 一箇所工事とみなす範囲を現行の二十メートルから五十メートルに拡大いたしました。これは採択限度額以下の被害箇所が点々として断続する小災害について救済する範囲を拡大しようとするものでございます。また負担法制定当時はおおむね人力による施工を標準といたしておりましたので、一箇所とみなす範囲を二十メートルと定めておったわけでございますが、その後、機械化施工に変わりまして、施工能率の観点から見ましても、一箇所とみなす範囲を五十メーターまで拡大しても適当であるというふうなことから、そのようにしたわけでございます。
  84. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 災害が発生した場合、速やかな復旧を図らなければなりません。そうした観点から見て、今回の採択限度額引き上げが今後の災害復旧の支障になることはないだろうかという心配もあります。それは、例えば単災となった場合に、現状の地方公共団体の財政状況から見て、被災箇所が放置されるおそれはないだろうかということでありますけれども、この点についてお伺いをいたします。
  85. 井上章平

    井上(章)政府委員 従来、国庫負担対象とされておりました施設の被災箇所の一部が、このたびの採択限度額引き上げによりまして国庫負担対象外となるわけであります。しかしながら、この採択限度額引き上げによりまして対象外となるものの割合は、箇所数では約八%になるわけでありますが、金額にいたしますと、一%未満と極めて僅少となる見込みであります。しかも一箇所のカウントが二十メーターから五十メーターに拡大することによって、そのうちのおよそ二〇%は救済されるというような考え方に立っております。  また、この採択限度額未満となります災害復旧事業については、別途起債等の措置が講ぜられることとなることから見ましても、地方単独費による災害復旧が支障なく図られるものと考えております。
  86. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 ちょっと申しわけありませんが、今のことをもう一度説明していただけますか。
  87. 井上章平

    井上(章)政府委員 どの箇所でございますか、全体でござい手か。——このたびの採択限度額引き上げによりまして国庫負担対象外となりますのは、割合にいたしまして箇所数では八%程度でございますが、金額では一%未満と極めて僅少となる見込みでございます。  さらに、一箇所のカウントが従来の二十メートルから五十メートルに拡大いたしますので、それによりまして、一たんは落ちることとなる小災害につきましても、そのうちおよそ二〇%程度は再び救済されるというふうに考えておるわけでございます。このように、この採択限度額引き上げによりまして対象外となるものは非常に少ない、地方財政に与える影響も僅少であるというふうな判断に立っております。  さらに、新たに採択限度額未満となる災害復旧事業につきましても、起債等の措置が別途講ぜられるわけでございます。したがいまして、地方単独費によってこれらの災害復旧が支障なく行われるであろうと私どもは見ておるわけでございます。
  88. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 次に移りますけれども、過年災の復旧工事の施行中に当該箇所が再度被災するものについて災害復旧事業費に占める比率はどの程度あるのかをお伺いします。そしてまた、それらの被害復旧進度を高めることで回避することができるのかどうかについてもお伺いいたします。
  89. 井上章平

    井上(章)政府委員 過年災箇所のうち再度被災した箇所の当年災害箇所に対する比率は、最近五カ年の平均では、箇所数では〇・六%、金額で〇・七%でございます。それらの箇所が増破等により再び被災した場合には、新たな被災原因に対応する復旧工法で増額した査定を行うことにより対処し、再度災害防止に努めておるところでございます。
  90. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 地方公共団体が本法律によって国庫負担の申請を行ったうちで失格または欠格により適用除外となった理由に関して伺います。失格または欠格により適用除外となる要因としてはどんなものがあって、その上位の件数と金額、そして申請総額に対する割合を教えていただきたいと思います。
  91. 井上章平

    井上(章)政府委員 災害復旧事業における現地査定により適用除外となりますものは、次のようなものがございます。  まず失格でありますが、これは査定によりまして復旧額が採択限度額未満となるものでございます。それから次に欠格でございますが、まず被害小というのがございます。これは被害が僅少で増破等により施設そのものの機能喪失のおそれがないというふうに認められたために欠格になったものでございます。それから対象施設というのがございます。これは負担法対象施設に該当しないとされたものでございます。  災害復旧の申請に対しまして、現地査定によって失格及び欠格となったものについての割合は、最近五カ年間の平均では、箇所についてはおよそ一・五%、金額につきましては〇・八%となっております。また事例といたしましては、被害小ということで欠格になったものが大部分でございます。
  92. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今、要因として見たときに、大部分被害小だというお話でありましたけれども、そういうことと今回の改正の目的の一つである申請事務の合理化推進というバランスで見た場合に、この実態と行政の方向は正しいのかどうか、この点についてお伺いいたします。
  93. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいま申し上げました災害査定により被害小として取り扱われるものにつきましては、これは被害の程度が僅少であって、施設の機能が残存し、直ちに増彼等によって機能喪失のおそれがないということで復旧を要しないという場合でございます。そのため被害小による箇所は、災害復旧事業としての資格要件を欠くものとして、負担法六条の規定に基づく適用除外と同様に欠格となり、国庫負担対象とならないものでございます。したがいまして、災害復旧事務の合理化ということと、この被害小による欠格とは直接関係はないものというふうに私ども考えております。
  94. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先ほどもちょっと触れた話ですけれども採択限度額引き上げによって地方公共団体負担が増すことも見込まれるというふうに思いますけれども、その場合の救済措置考える必要がないかどうかをお伺いいたします。例えば災害復旧事業費に占める国庫負担率は、離島分などを除けば、今、七〇%程度でありますけれども、この国庫負担率を改善する意思はないかどうかについてもお伺いします。
  95. 井上章平

    井上(章)政府委員 この法律国庫負担率算定方法でございますが、これにつきましては各地方公共団体財政力を客観的、具体的に示すものといたしまして、標準税収入額を用い、この額と災害復旧事業費総額との割合に応じて超過累進的に国庫負担率を算定することとなっておりまして、私どもといたしましては、最も合理的な方法であり、その算定を改めるという考えはないわけでございます。
  96. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 かつての補助災における箇所数の推移というのを、過去の実績をこう見てみますと、昭和二十年代以降増加傾向にはあっても減少傾向には必ずしもないんじゃないかというふうに、過去の数値から見ますと言えるのではないかというふうに思うのですけれども、その原因はどこにあるというふうにお考えでしょうか。
  97. 井上章平

    井上(章)政府委員 戦後の補助災害の箇所数の推移でございますが、昭和五十七年災害の十五万三千件が最高でございます。また昭和三十一年の一万三千件が最低でありまして、先生指摘のように、全般的には増加傾向にあると思われます。  このような傾向にある原因といたしましては、一つには昭和四十七年、五十一年、五十七年と近年において大きな災害が相次いで発生したことが挙げられると思います。また一方、道路、河川等の施設の整備が進んだことによりまして、補助災害となるべき対象施設が急速に増加したということも原因の一つにございます。また先ほど来申し上げております採択限度額が長年改定されませんでしたので、結果的にそのために補助災の申請箇所数が増加したということも考えられるわけでございます。
  98. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 私は実はこういう災害の状況を見ているときに、いろいろな要因はあるんでしょうけれども、何とも非常に残念なんですね。日本の経済力がどんどんよくなってきたり、いろいろな技術も進歩しているんだというふうに思うのですけれども、いろいろな災害が減っているという、あるいはそれを予防しているという感覚をなかなか持てないという意味で、やはり残念な気がしているわけなんです。そういう意味でいろいろ御質問をしているわけでありますけれども、今のいろいろな災害一つの大きな理由は、都市化の進展と流域の開発に伴う河川の治水安全度の低下が一つの大きな原因なんではないか、こういうふうに思うわけです。すなわち市街化及び宅地開発の進展に治水対策が追いついていないということが原因ではないかというふうに考えるわけですけれども、いかがでしょうか。
  99. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生指摘のとおり、都市化の進展あるいは流域の開発によりまして、河川の治水安全度が低下いたしまして、そのことが近年の都市水害の多発を招いている原因の一つであるというふうに私ども考えております。またこのような都市化や流域の開発に治水事業が追いついていないのではないか、それが災害の原因ではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましても同様な考えでございまして、現行の第六次治水事業五カ年計画では、都市河川対策の強化を最重点課題の一つとして取り上げております。今後とも、大変厳しい状況下にはございますが、その促進に努力してまいる所存でございます。
  100. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 災害は、発生したものについてはもちろんその対策をとらなければならないわけでありますけれども、やはり考えなければならぬのは、災害が再発をしないように措置をすることであると思うのです。今回のこの国庫負担法は、災害復旧について原形復旧を原則としておりますけれども、再度の災害を防止する観点から改良復旧を原則にすべきではないのだろうか、こういうふうに思います。あるいはその中で、一歩下がっても治水対策上大きなポイントとなる中小あるいは都市河川だけでも改良復旧を原則にすべきではないかと思います。特に、近年公共事業の整備の進捗がおくれている状況から見ても、再度の災害防止を目的とした制度に改めるべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
  101. 井上章平

    井上(章)政府委員 この負担法に基づきます災害復旧事業におきましては、原形復旧を原則といたしておりますが、原形復旧が著しく困難または不適当な場合には、これにかわるべき必要な施設を設置することができるとされておるわけであります。また必要な場合には、この災害復旧とあわせて災害関連事業等を活用して改良復旧を実施することといたしておりますので、再度災害防止については現行のこの災害復旧制度の運用によって十分可能であり、また今後配慮してまいりたいと思っておるところでございます。
  102. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 再度の災害防止という視点に立ってお願いをしたいわけでありますけれども、先ほど局長も若干触れられはいたしましたが、第六次治水事業五カ年計画等の総合的な治水対策はどのように進めておられるのかをお伺いいたします。
  103. 井上章平

    井上(章)政府委員 まず改良復旧の位置づけでございますが、第六次治水事業五カ年計画におきましては、再度災害防止という観点から、災害復旧費と改良費を合わせて実施いたします災害復旧助成事業災害関連事業費等といたしまして五千億円を計上いたしておるわけでございます。また本計画におきましては、特に被害の甚大な河川の再度災害防止の観点からは、激甚災害対策特別緊急事業の推進を図ることといたしておるわけでございます。
  104. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 本件は人命にもかかわる問題だけに、治水事業費の確保及びその拡大が大きなポイントになります。第六次治水事業五カ年計画では、三年目である五十九年度の累計進捗率が四六・三%と非常に不十分な状況にあると思います。こうした点にかんがみ、建設省事業費確保のためにどのような努力をされているのか、具体的なPR活動等をどのように行って、どのような手段で国民の理解を得ようとしておるのかについてお伺いいたします。
  105. 井上章平

    井上(章)政府委員 近年の財政制約のもとでは、第六次治水事業五カ年計画の達成の見通しは、ただいま先生から御指摘がありましたように、大変厳しいわけでございます。しかしながら、治水事業のその重要性にかんがみまして、事業費の確保に最善の努力を払ってまいりたいと思っております。また治水事業の積極的な推進を図るためには、この事業に対して一層広く国民の御理解と御協力を得ることが大変重要であると考えております。このため、あらゆる機会をとらえまして必要な広報、啓蒙活動を行っているところでありますが、さらに積極的に取り組んでまいる所存でございます。
  106. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 あらゆる機会をとらえて一生懸命でやっているというのは、具体的にはどういうことをやっているのか、一般の国民はわからないと私は思うのです。しかも災害を防ぐようにするために治水事業をやっている。先ほどの話で、いつも後々の処理じゃなくて、事前に起きないようにするために治水事業計画を立ててやっているわけですが、それが計画どおりに進まないということは、やはり大問題だと思うのです。もう少し具体的にどのような活動をされているのかをお伺いいたします。
  107. 井上章平

    井上(章)政府委員 近年特に激甚な災害が全国各地に発生いたしております。特にこの三カ年は相次いで大きな災害に見舞われたわけでございます。これらの事象に対しまして、私どもは治水事業に対して国民の一層の御理解と御協力をお願いすべくさまざまなPR活動を続けております。またこの治水事業を取り巻く環境の大変厳しいことにつきましても御理解を得たいということで努力をいたしておるわけでございますが、地域社会に対しまして、治水事業に対する正しい理解と認識を深めていただくために行っておりますことといたしましては、ふだんの行政活動の中で行うことはもちろんでございますが、テレビ、ラジオ、雑誌等のマスコミ媒体の活用あるいは映画、パンフレット、災害写真集等の広報資料の作成、各種シンポジュウム、施設見学会等の実施あるいは「国土建設週間」を初めいろいろな機会を通じまして積極的な広報活動を展開しておるところでございます。
  108. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 積極的にいろいろなことをやっているということでありましたけれども、私は必ずしも一般国民が理解できるような形になっていないのではないかなと思うのです。それは現在のいろいろな厳しさをわかってもらうことも一つあるかもしれませんし、どういうふうに本当に財源を調達するのかという問題はさらにさらに重要な問題だと私は思うのです。そういう意味で、先ほどPR活動等いろいろされている話をされましたけれども、これはまた別のところで結構ですが、一度とういうことを具体的にやっているのかを教えていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  また、今の問題になりますけれども、現在までの進捗率がとても満足すべき状況にはないわけでありますが、現在の長期の整備目標と実績、そしてその対応策について、大河川及び中小河川ごとにどういうふうになっているかについてお伺いをいたします。
  109. 井上章平

    井上(章)政府委員 第六次治水事業五カ年計画におきましては、大河川については、戦後最大洪水を対象といたしまして、この規模の洪水に対する再度災害を防止することを当面の整備目標といたしております。昭和五十六年度末、この五カ年計画発足時点での整備率は五八%でございます。これをこの五カ年の達成時点におきまして、昭和六十一年度末に六三%とすることを目標としたわけでございます。また中小河川につきましては、時間雨量五十ミリ相当の降雨による被害を防止することを当面の整備目標といたしております。これにつきましても同様に五カ年計画発足の昭和五十六年度末の整備率は一八%でありますが、これを六十一年度末には二三%とすることを目標にいたしておるわけでございます。昭和五十九年度末におけるこの目標に対する整備率は、大河川ではおよそ六〇%、中小河川では二〇%となる見込みでございます。近年の苦しい財政事情のもとで計画期間内における目標の達成は非常に困難な状況でございますが、しかし、近年の災害発生の状況等を十分配慮して計画的、効率的な治水事業の推進に努めてまいる所存でございます。
  110. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のに関連する問題で、私の少し見知ったところについてお伺いしたいのですけれども、愛知県に境川という川がございます。それが第六次治水事業五カ年計画の中で総合治水対策特定河川指定されておりますけれども、現在どのような対策が計画され、進められているかについてお伺いをいたします。
  111. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生から御指摘のありました境川についてでありますが、これは昭和五十七年度に総合治水対策特定河川指定されております。愛知県及び流域市町の関係者から成る流域総合治水対策協議会を同年七月に設置いたしたわけでございます。この協議会における調査検討の結果、昭和五十八年八月に流域整備計画の策定を見たわけでございます。またその年の九月には、適正な土地利用の誘導等に資するための浸水実績図の公表を行っております。  この流域整備計画では、時間雨量五十ミリに対応する治水安全度の確保を当面の目標として河川改修事業を促進するとともに、市街化調整区域の保持、新規開発地からの雨水の流出抑制等、流域での保水、遊水機能の確保対策を実施することといたしております。  この計画に基づきまして、昭和五十九年度事業といたしましては、境川本川並びに支川逢妻川及び猿渡川におきまして、総合治水対策特定河川事業により、五十九年度の予算は五億二千万でございますが、河川改修を進めることといたしております。また境川及び逢妻川におきましては、住宅宅地関連公共施設整備促進事業によりまして、十三億円をもちまして同じく河川改修を進めることといたしております。  また一方、流域における雨水流出抑制対策といたしましては、豊明市稲葉池におきまして流域貯留浸透事業に五十九年から着手いたします。また豊明市権池調整池におきまして、これも新しく事業化されました特定保水池整備事業を実施することといたしております。  今後とも各種流域対策関係者の協力のもとに進めるほか、河川改修のより一層の促進を図ってまいる所存でございます。
  112. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 今のを積極的に進めていただきたいというふうに思いますが、そのうちの一つの例で、保水、遊水機能というのは具体的にどういうものをあの地域に考えておられるのでしょうか。
  113. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいま申し上げましたように、一つは流域貯留浸透事業でございます。これにつきましては、いろいろな公的機関の持っております土地を利用いたしまして、雨水を貯留あるいは浸透させることによりまして、下流河川への流出を抑制しようというような制度でございます。  それから、豊明市の稚池調整池でございますが、この特定保水池整備事業といいますのは、開発に伴いまして暫定的に設置いたしましたいわゆる暫定調整池、これを市町村が管理いたしまして、さらに整備して下流への流出抑制に資そうという場合に、それに対する補助制度、これは五十九年度から新しく発足した事業でございますが、これをこの境川流域にも箇所として実施しようということでございます。
  114. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 河川の改修事業というのも、早く実施しなければ、また再び被災をする事態を招きかねないということでありますけれども、もう一つ、愛知県内の大河川であります矢作川の改修状況及び今後の計画についてお伺いをいたします。
  115. 井上章平

    井上(章)政府委員 矢作川でございますが、これは長野県、岐阜県、愛知県の三県にまたがる大河川でございます。流域が風化花崗岩から成っておりますために、いわゆる砂河川、砂質土の流出の多い、しかも天井川となっておる河川でございます。このために昔からたび重なる水害に苦しめられてきたわけでございますが、昭和八年から直轄事業として改修に着手いたしております。主に築堤を実施してきたわけでございます。  当面の目標といたしましては、戦後最大洪水であります昭和四十四年八月洪水を基準にいたしまして、岩津地点におきまして毎秒四千四百立方メートルを対象流量として事業を進めております。一部狭窄部の改修を残しまして、堤防につきましては大体概成をいたしておるわけでございます。したがいまして、従来天井河川であったために、護岸基礎の洗掘等が起きておりますことから、護岸の根継ぎ等を重点的に実施いたしておる次第でございます。またこの河川の河口ぜきの計画がございますが、これにつきましても、まだせき本体には着手いたしておりませんが、低水護岸工を引き続き実施するほか、漁業補償等についても交渉を進めてまいる所存でございます。
  116. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 実は先月になりますけれども、私どもの地元の方の新聞にこういう記事が出ておりました。矢作川流域治水対策連絡会が発表をしたものとして浸水実績図というのが出ております。矢作川流域の実績図というのを出して、「流域住民に、日ごろから洪水に対する警戒を深めてもらうための公表」をしたのだということが書いてあります。しかも、これは建設省が「「防災の日」を前に出先機関や各都道府県に、浸水被害の恐れのある河川流域の浸水実績図を作成、公表するよう指導」したというふうに出ているわけであります。そして「住民たちに浸水被害の状況を知ってもらい、豪雨、台風の時の心構えを日ごろから持つと同時に、浸水状況を頭に入れた土地利用を訴えている。」というふうに出ているわけです。これはいろいろな意味があると私は思うのです。住民からしますと、ある点ではいろいろ気構えもしなければいけませんけれども、ある意味では不安にもなることでもありましょうし、要は、住民の立場から見ても、本当にこういうことを出されますと、ますます早く工事はやってくださいよというふうに思うことは、これは大変なことだと思うのですね。  そういう意味で、実は矢作川の問題あるいは矢作川水系と言われる問題については、毎回毎回大変な状況だと私は思うのですけれども、先ほど説明もありましたけれども、もうちょっと具体的にどういうふうにそれぞれ工事計画を進めておられるか。それは現地の要望から見ても十分な状況がどうかということについて、どのように考えておられるかについてお伺いします。
  117. 井上章平

    井上(章)政府委員 先生からお話のございました総合治水対策連絡協議会でございますけれども、これにつきましては、先ほど境川でお話し申し上げましたような総合治水対策直轄河川版とでも申せましょうか、いろいろ矢作川の状況を知っていただいて、住民の皆さん方の洪水に対する心構えあるいはこの河川の改修について一層関心を持っていただいて、やはり洪水対策というのは官民一致した流域ぐるみでの対策になることが必要でこざいましょうから、そういうことからいろんな動きがあるわけでございます。  この矢作川の改修事業でございますが、先ほど申し上げましたように、この河川はいわゆる砂河川、しかも天井川であるということで、大変危険な河川だということが昔から言われておりました。昭和八年以来鋭意改修を進めまして、堤防は大体できております。あと河川の河床が低下するにしたがいまして、護岸の根があらわれるというような事態が起きておりますので、これら護岸の根継ぎを継続して進めておるわけでございます。また一部狭窄部がございますので、そこの河道の拡幅も行いますし、また支川家下川の本川への合流点につきましては、ただいまこの家下川の改修にあわせまして樋門の改築が行われておるわけでございます。  この矢作川の昭和五十九年度事業費、予算を見ますと、大変予算の厳しいときではございますが、前年度対比で六・三%増の四億九千万円が含まれております。もとよりこれだけの大河川でございますから、この程度の改修費では余り地元の方々の十分満足いただけるようなテンポで進めるということにはなりませんが、私どもといたしましても、一層事業の推進を図るべく努力してまいりたいと思っているところでございます。
  118. 伊藤英成

    ○伊藤(英)委員 先ほど来お話ししていますように、もちろん災害が起こった場合には、それに対する万全の策はとらなければいけないのですけれども、一番重要な話は、起こる前にどれだけその予防措置をするかということであるわけです。そういう意味で、今の矢作川の問題もそうですけれども、その予防のための策を最大限積極的に展開をしていただくことを切にお願いを申し上げまして、質問を終わります。どうもありがとうございました。
  119. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 中島武敏君。
  120. 中島武敏

    中島(武)委員 今回の公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部改正案では対象施設拡大措置がとられています。また一箇所工事とみなす工事の範囲の拡大措置がとられました。これらの措置によって災害復旧事業費はおよそどれだけふえますか。
  121. 井上章平

    井上(章)政府委員 国庫負担対象施設を今回拡大するわけでございますが、この拡大等に伴いまして災害復旧事業費増加見込み額は、建設省所管施設につきましてはおよそ三十一億円程度というふうに見込んでおります。
  122. 中島武敏

    中島(武)委員 ところが、国庫補助採択限度額市町村では十万円が三十万円に、都道府県では十五万円が六十万円に引き上げられました。この措置でどれだけ減額となりますか。またこういう措置をとった理由についてもお聞きしたいと思うのです。
  123. 井上章平

    井上(章)政府委員 採択限度額引き上げによりまして、負担法対象外となる災害復旧事業費の見込み額でございますが、昭和五十三年災から五十七年災までの五カ年平均で見ますと、およそ二十九億円程度と見込まれております。  採択限度額引き上げをなぜ行ったかということでございますが、これにつきましては、昭和二十七年以来この採択限度額は全くさわらないで今日まで来ておるわけでございますので、その間の物価上昇等に照らしまして、また臨調答申によります見直しということも受けまして、大体この二十七年から本年に至りますまでの間の上昇は、いろいろな指数はございますが、大体六倍から七倍程度と見込まれておるわけでございます。しかしながら、それを直ちに引き上げに反映させるのではなく、長年定着した数字であるということも勘案いたしまして、また地方公共団体負担の急増等も避ける意味からも三ないし四倍にとどめたということでございます。
  124. 中島武敏

    中島(武)委員 重ねてお尋ねしますが、二十九億円程度が切り捨てになる。このうち一箇所工事とみなす範囲の拡大救済できる、そういう部分があるかと思うのですけれども、これはどの程度ぐらいになりますか。
  125. 井上章平

    井上(章)政府委員 一箇所の工事の範囲を二十メートルから五十メートルに拡大することによりまして、およそ五億八千万程度救済できるというふうに考えております。
  126. 中島武敏

    中島(武)委員 この改正案では、一方で対象施設拡大、それから一箇所工事とみなす範囲の拡大を行っておる。ところが切り捨てられる部分のうち、今の答弁によりますと、一箇所工事の範囲の拡大で、わずかではあるが、しかし救済される、こうなっておるわけですね。  それで、仮定の問題なんですけれども財政力が弱い地方公共団体国庫補助採択限度額以下の小規模の災害が多発した。そのために切り捨てられるものが多くて、全体として従来の制度より負担がふえるという場合が考えられるのですが、これについてはどういう救済措置考えておられるのか。いろいろ今までも議論があったようですが、私も重ねてお尋ねしておきたいと思うのです。
  127. 井上章平

    井上(章)政府委員 新たに限度額未満となるためにこの負担法から落ちる小災害が多発する場合の措置ということであろうかと思います。これらの小災害につきましては、多発するということは、そういうことが起こるということは非常に少ないのではないかというふうに私ども見ておるわけでございます。激甚の災害が発生いたしました場合は、大きな災害が多発いたしまして、これらの小災害がそれに伴って多発するということにはならないであろうと考えますし、また単独で生じます場合も非常にまれではないかというふうなことから、そういうときの救済、特にそういう場合の特定の市町村に対する救済ということは特別に考えてはいないわけでございます。
  128. 中島武敏

    中島(武)委員 しかし、そういうことが起きたという場合にはどうするのですか。先ほどの議論からいいますと、やはり地方債発行だとかあるいはその元利償還地方交付税で見るというような措置をとるわけですか。
  129. 井上章平

    井上(章)政府委員 起債措置等がとられるわけでございます。
  130. 中島武敏

    中島(武)委員 今回の改正で下水道が公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法適用施設になりました。私は率直に言いますが、これに上水道を加えるべきではないかという考えを持っています。特に、会計が一般会計で賄われている簡易水道などはとりわけ対象となるべきだと考えておりますが、厚生省来ておられますか。——最初に厚生省にお尋ねしたいのですが、来ておられますね。水道法には災害復旧に関する法律条項がないように思うのですけれども、これはなぜないわけですか。
  131. 森下忠幸

    ○森下説明員 御説明いたします。  仰せのとおり、水道法には災害復旧に関しまして補助制度が法定されておらないわけでございますが、これは歴史的に見まして、本来水道事業は独立採算を原則ということで運営すべきものということで、今まで水道に関しまして、復旧に関します国庫補助が水道法上対象として明示されていなかったというふうに理解しております。一ただし、実際この水道施設災害を受けますと、住民の日常生活にとって大変緊急性が高いものでございますから、従来から予算措置ということで災害復旧に対しまして国庫補助を実施しておる次第でございます。
  132. 中島武敏

    中島(武)委員 予算措置国庫補助を行っている、そういう答弁ですね。これはどんな補助が行われているのですか。
  133. 森下忠幸

    ○森下説明員 従来から地震とか豪雨等の災害復旧に対しましては、予備費を確保いたしまして、確保できないような年次の場合には、施設整備費から流用いたしまして、一般の施設整備費は通常三分の一とか四分の一とかでございますけれども、これよりも高率、二分の一以上の予算補助を行っております。特に大きな災害の場合につきましては、災害の規模とかあるいはそれぞれの市町村財政力、それからその災害激甚災害特別法による指定があったとか、そういう状況を勘案しまして、一般の私どもの扱っております災害復旧事業よりも高率、例えば地震につきましては三分の二とか火山噴火の場合には十分の八、こういうふうな特別の措置を講じている次第でございます。
  134. 中島武敏

    中島(武)委員 もうちょっと具体的にお尋ねしたいのですけれども、例えば昭和五十四年から五十七年までの四年間をとったとしますと、年度別にどれくらいの水道施設災害復旧補助金額が出ているものですか。それからまた、今二分の一とか三分の二とか十分の八とかいう補助率の話がありましたが、これは実際にはどうなっているのか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
  135. 森下忠幸

    ○森下説明員 それでは数字を申し上げますが、五十四年度でございますが、二分の一の補助率で執行いたしましたものが七十七件、金額にいたしまして一億八千九百十一万一千円。それから三分の二のケースでございますが、これは二件でございまして、三千三百七十五万一千円。これは伊豆半島沖の地震でございました。それから同じく五十四年度に十分の八というのが一件ございまして、これは二億八千四百十三万二千円。北海道有珠山の噴火の関係でございます。合わせまして八十件、五億六百九十九万四千円でございます。それから五十五年でございますが、二分の一の補助を行いましたものが六十一件で、一億四千五百九十三万円。それから十分の八を補助いたしましたものが一件で、一億六百九十七万五千円。有珠山の噴火でございます。合わせまして六十二件、二億五千二百九十万五千円。それから五十六年は、二分の一の補助をいたしましたのが七十六件で、二億八千二百九十万八千円。それから五十七年、これは長崎水害が中心でございますけれども、二分の一の補助で件数が多うございます。二百八十二件、八億八千二百二十三万四千円ということでございます。昨年は三宅島等がございまして、また補助がふえております。
  136. 中島武敏

    中島(武)委員 例えば二分の一の補助ということになりますと、自治体の方では二分の一負担しなければならぬわけですね。その分については交付税で面倒を見るというような措置もとられているのですか。とられているとすればどれぐらいとられているものですか。
  137. 森下忠幸

    ○森下説明員 自治省の方で、この災害補助の裏の分につきましては、災害復旧債ということで起債対象になっております。それに対しまして一般会計から補助をいたすということもございますし、非常に財政状況が苦しい市町村に対しましては、一般会計から繰り出して、繰り出したものについて特別交付税措置するというふうに扱っていただいているというふうに伺っております。
  138. 中島武敏

    中島(武)委員 上水道は現在普及率九〇%を超えていると言われています。今もう九〇%を超えているわけですから、国民生活にとって非常になくてはならないものになっているわけであります。特に大都市地域では、もう水道がなければ生きていけないというふうになっておりまして、そういう意味では水道事業というのは極めて公共性が高い事業であることはもう間違いのない点であります。  この間、厚生大臣の諮問機関である生活環境審議会の答申が出されました。この中でも水道料金の高額化、それから水道事業所間の料金格差が十七倍にも及んでいる状況を改善しなければならない、そういう答申が出されておるわけであります。おいしい水を可能な限り安い料金で提供する。十七倍というようなむちゃくちゃな料金格差、これをなくして国民に供給するということは当然のことだというふうに私は思うのです。ところが、これは独算制が建前ですから、料金の中に施設整備費も入っておれば、それからまた、今の答弁でもわかるように、災害を受けた場合に災害復旧費がまたこれに加わって入ってくるということになるわけであって、ますますそれが料金にはね返って格差を大きくするというような事態が生まれます。  それで、今回の公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部改正に当たって下水道が新しく対象施設になったことでもありますし、上水道も当然加えるべきではないかということを思うのです。この点についての厚生省の考えをまず聞きたいと思うのです。
  139. 森下忠幸

    ○森下説明員 御指摘の点につきましては、仰せのとおり生活環境審議会の方からも御答申いただいております。ただ、先生、上下で十七倍ということを申されましたけれども、平均値にいたしますと、高いところが四倍開いているということで、この平均に対して四倍というのをできるだけ下げていくということを目標に示されておるわけでございます。  御指摘の今回の災害復旧事業費国庫負担法にこれを入れるべきだというふうなことにつきましては、私ども、国の財政事情を勘案いたしまして、今後十分検討したいと考えておるわけでございますけれども、まだ厚生省といたしまして、諸般の条件が整っておらないということがございまして、とりあえずと申しましょうか、当面これまでどおりの予算措置復旧に支障がないように対処してまいりたいと考えておりますが、目標といたしましては、これもぜひ対象事業として入れていただくように私どもも努力したいと考えております。
  140. 中島武敏

    中島(武)委員 大分遠慮した答弁でありますな。率直に言って遠慮した答弁だと私は思うのです。やはりこういう機会に厚生省としてはちゃんと要求するのが当然じゃないかなという気が私なんかするのです。それで、今のお話では検討したいということです。それから最後に言われたのは、ちょっと聞き取りにくい点もあったんだが、入れてもらえると一番いいんだが、国の財政事情もこれありで当面は予算措置でいきたい、こういうふうに聞こえました。私は別に厚生省の肩を持つとか建設省の肩を持つとかそういう話じゃないのです。そういう話じゃなくて、やはりこれだけ公共性の高いものでありますから、これは検討するべきじゃないかと思うのですね。さっき言いましたように、私の意見としては、今度の国庫負担法に入れるべきじゃないかというふうに考えているのですけれども建設省は既に法案を出していらっしゃるからなかなか答弁しにくいんじゃないかという気もまたするんだけれども、これはどう考えられますか。
  141. 井上章平

    井上(章)政府委員 広く公共土木施設という範疇でとらえますと、上水道もこれに含まれると私ども考えておりますが、今回の負担法対象施設とするかどうかにつきましては、厚生省のお考えによるというふうに私ども考えております。
  142. 中島武敏

    中島(武)委員 どうも煮えない答弁ですが、しかし、きょうはもう採決の日になってしまった。そういう点ではひとつ、今回は外されるとしても、これから建設省としても、この点は広い意味で言えば公共土木施設であることは認めていらっしゃるわけですから、ちゃんと検討してもらいたいと思うわけですね。大臣どうですか。
  143. 水野清

    水野国務大臣 今私ども河川局長から御答弁申し上げましたように、また先ほど厚生省からも御答弁がございましたように、今回の改正に上永道を入れるかどうかということもいろいろないきさつがあったようでございますが、結論としてこういうことに相なった。またこの問題については、先生お話もございますが、しばらく考えさせていただきたい、かように思っております。
  144. 中島武敏

    中島(武)委員 これはぜひ考えて、機会を見て上水道もちゃんと入れるようにしていただきたいということを申し上げて、次の問題にいきたいと思います。  災害復旧事業費の標準進度の問題、つまり三、五、二の問題なんです。災害を受けたところはなかなか大変なんですよ。ところが、初年度は三で次の年は五でその次は二、こうなっているのです。多くの場合、これは現実に即さないのです。なぜこんなふうにしておられるのか、ちょっと御答弁いただきたいと思うのです。
  145. 井上章平

    井上(章)政府委員 地方公共団体の行う災害復旧事業につきまして進度を三、五、二といたしましたのは、昭和四十四年発生災害昭和四十六年度において三カ年で復旧するように予算措置を講じたところから定着をいたしております。これ以前につきましては四カ年。例えば三十年発生災害から四十三年発生災害までは四カ年復旧。それから二十九年発生災害以前につきましては六カ年から八カ年で復旧をいたしておったわけでございますが、昭和二十五年十月に地方行政調査委員会議がございまして、これが「災害復旧事業は、災害発生の年を含めて三箇年度内に工事を完成することとし、工事施行の割合は原則として各年度それぞれ三十、五十、二十パーセントずっとし、復旧費の支出もこの割合に従うべきである。」旨の国会及び政府に対する勧告がなされておりまして、それを尊重して措置したものと考えております。
  146. 中島武敏

    中島(武)委員 五十七年度の場合は前倒しをやったのでしょう。これはどうなりましたか。
  147. 井上章平

    井上(章)政府委員 昭和五十七年度は、初年度七〇%、次年度九〇%、第三年度一〇〇%という割合でございます。
  148. 中島武敏

    中島(武)委員 こうしたのはやはり要望が強く、かっこうすることの方が実情に合ったからだと思うのです。以前はもっと長い年度をかけて災害復旧事業をやってきた。それは先ほど局長から答弁があったとおりです。しかし、だんだん短縮して、今は三年で、しかも三、五、二というところまで来ているのですけれども、現実は七〇%、九〇%、一〇〇%というふうにかなり初年度に多くの災害復旧事業費をつぎ込むというふうになってきている、これは実情に合っているからだと思うのです。私は、そういう意味で、この際、三、五、二という配分比率を再検討するべきじゃないか、そういうところに来ているんじゃないかというふうに考えるのですが、どうですか。
  149. 井上章平

    井上(章)政府委員 五十七年の発生災害につきましての初年度七〇%、二年度九〇%、三年度一〇〇%という復旧が行われるように措置されてきたことは、先ほど御説明したとおりでございまして、これはこの災害が非常に激甚なということもございまして、この激甚な規模に達した発生災害を早期に復旧するという方針のもとにとってきた措置でございます。  現在の三カ年復旧を二カ年復旧とすることにつきましては、地方公共団体事業執行体制、国及び地方公共団体財政措置に及ぼす影響等から見まして、現在の三カ年復旧が適切であるというふうに私ども考えております。  なお、緊要な事業につきましては、従来からその早期復旧を図っておりまして、そういうことで今後とも努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  150. 中島武敏

    中島(武)委員 再検討をなお要望して、次の問題に移ります。  これは東京の新河岸川の左岸防潮堤の建設促進の問題についてであります。  新河岸川の防潮堤の建設工事は、現在右岸側の工事が進められておりますが、これは昭和五十九年度で概成する、六十年度から左岸堤の工事にかかる計画だと聞いております。私はこの左岸堤の工事を大いに急ぐ必要があると考えているわけです。  理由を申し上げますと、昭和五十七年九月十二日に台風十八号がやってきました。このときに浮間橋付近で洪水の最高水位がAP四・〇五メートルだったのです。これが午後五時ごろのことです。この付近の現在の左岸堤の天端までの高さはAP四・一二〇メートルであります。したがって、あとわずか二十五センチで水が乗り越えられる、そういうところへ来たのです。このために住民はどうなることかということで大変おびえたわけであります。この日の満潮時間は実は午後一時三十五分でAPで一・六三メートル、干潮時間は午後六時二十一分でAPで一・四八メートル、たまたまこのときは水位が最高のときが小潮で、しかも引き潮、干潮時だった。だからこれは助かったのですけれども、大潮にぶつかったらこれは大変なことになるということであります。大潮だったらAPで満潮時幾らになるか、おわかりでしたらお答えいただきたいのです。
  151. 井上章平

    井上(章)政府委員 昭和五十七年九月十二日の台風十八号によります出水時の東京湾における天体潮位の推定値はAP約一メーター五十センチでございまして、これの大潮との差はおよそ六十センチと思われます。
  152. 中島武敏

    中島(武)委員 ちょっと済みません。聞き漏らしましたので、もう一度おっしゃってください。
  153. 井上章平

    井上(章)政府委員 五十七年九月十二日の台風十八号による出水時の東京湾における天体潮位の推定値はAP一メーター五十センチでございます。これは、大潮との差はおよそ六十センチ、つまり大潮は二メーター十センチでございます。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕
  154. 中島武敏

    中島(武)委員 そうすると、これは大潮にぶつかっておれば簡単に堤防が水によって乗り越えられたということを証明しているわけですね。さらに台風時における高潮がこれに重なるということになれば、もっと水位が高くなってきてしまうということは、河川局長はよく御存じのとおりだと思うのです。そういうことになったら、この地域は北区浮間地域と言いますけれども、世帯数で約五千世帯、それから人口にして一万五千人くらい住んでいるわけなんです。しかも、ここは荒川と新河岸川に挟まれた非常に低い地域でありまして、もし新河岸川の水があふれるということになれば、逃げ場を失って大変危険なことになってしまう、そういうところなんです。今、答弁ありましたように、やはり非常に危険だということは間違いのないことでありますので、北区の方でも満場一致で早く工事をやってもらいたいという意見書も採択しているのですが、ぜひこういう問題をきちんと解決をしてもらう、特別に措置してもらうということが必要だと思うのです。その点について建設省のお考えをお聞きしたい。
  155. 井上章平

    井上(章)政府委員 ただいまお話ししましたように、もし大潮であればさらに六十センチ水位が上がるということになるわけでございます。そうしますと、出水時の水位がAP四メーター〇五センチでございましたので、これに加算いたしますと、AP四メーター六十五というふうに考えられるわけでございます。しかし、ここの築堤高でございますが、五十七年のこの出水後、五十八年に至りましておよそ五十センチほどかさ上げいたしまして、ただいまは四メーター八十センチ程度に確保されております。したがいまして、何とかあふれずに済んだのではないかと考えられる次第でございます。  しかしながら、過去の東京湾の高潮の例等からも勘案いたしますと、確かにこの高潮堤の整備は促進する必要が痛感される次第でございます。東京都では昭和四十八年度より事業に着手いたしまして、荒川堤防の対岸の右岸堤の整備を進めてまいりました。現在浮間橋上流で施行中でございますが、この一連区間の整備とあわせまして、左岸につきましても両岸とのバランスに配慮しつつ整備を進めていく必要があるということで、これにつきましては、先生の御指摘もございますので、ぜひ五十九年には着手いたしたいと思っておる次第でございます。
  156. 中島武敏

    中島(武)委員 それでは別の問題ですが、関連して国土庁になりましょうか、激甚災の関係についてお尋ねします。  今回の公共土木国庫負担法改正によって、補助対象から除外する小規模事業限度額引き上げに伴って、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律で、復旧工事用のための起債元利償還金基準財政需要額算入するものとされている災害の範囲が改まりました。これによって激甚災が指定された地方公共団体に不利益が及ばないかどうか、お答えください。
  157. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 今回の負担法採択限度額引き上げに伴いまして、附則によりまして激甚法の方も二十四条一項の小災害債の上限額と下限額の引き上げを行うことにいたしておるわけでございます。上限額の引き上げは、負担法採択限度額との間にすき間を生じないようにするためにはいわば当然の措置でございますが、下限額につきましても、物価の上昇等を勘案いたしまして、同一の率によって引き上げることにいたしたわけでございます。もちろんこの下限額の引き上げによりまして、従来小災害債対象になったものの一部が対象から外れることにはなるわけでございますが、現実に少額の災害復旧事業工事はごく少のうございまして、地方負担増加は極めてわずかであると考えております。むしろ一方での対象施設拡大や一箇所工事対象区間の拡大等によるメリットの方が大きいのではないかと考えております。
  158. 中島武敏

    中島(武)委員 それはそうかもしれません。しかし、今言われた小規模災害が多発するという場合、さっきもこの激甚災ではなくてお尋ねしたのですが、ちょうど同じような問題が起きてくる。先ほどの御答弁では、起債等によって措置するという話がありましたが、これは国土庁としても同じふうに措置されるおつもりでありますか。
  159. 田中暁

    ○田中(暁)政府委員 御承知のように、採択限度額以下の規模の事業につきましては、単独債によりまして起債を認めまして、それを一定の率を交付税基準財政需要額算入するという措置を講じておるわけでございまして、この激甚法二十四条の場合は、さらにそのうちの一部を、激甚災害指定された場合に、元利償還の率を高めるという措置でございまして、この辺は以前と変わっていないわけでございます。
  160. 中島武敏

    中島(武)委員 次の問題についてお尋ねしようと思っているのです。  現在、社会問題になっている福島交通不動産ですね、この問題は、実は今、審議されている公共土木災害とも関連があるわけなんです。例えば、これはマスコミの報道でありますけれども、最初に非常にセンセーショナルに報道された、小針社長が巨利を得たと言われる那須高原の国有林の交換について、同社長が交換用地として提供し、国有林となった新潟県内の山林は、現在、植林がほとんどされないで、荒れ果てたままであるということも指摘をされております。こういうことが災害の原因ともなるわけで、黙過できない、看過できない問題であると思うわけです。  それから、これはまた今、社会問題になっているのですけれども、福島交通不動産は土地転がしなんかを行って巨利を得たというふうに言われております。となりますと、建設行政上も大いにかかわりがあるということになるわけであります。  それで、お尋ねしたいのですけれども、福島交通不動産が昭和五十六年四月三十日付で宅建業法に基づく免許更新の申請を行った際に、同社が、福島交通不動産が宅建業法に基づく免許更新手続により「決算書繰越損失金について」という文書建設大臣あてに出しておりますが、この文書内容、そしてなぜそういう文書建設省に提出したのか、その理由について、まず伺いたいと思うのです。
  161. 台健

    ○台政府委員 福島交通不動産株式会社は、宅地建物取引業法に基づいて建設大臣の免許を受けております宅地建物取引業者でございます。同法によりますと、宅地建物取引業の免許は三年ごとに更新しなければならないことになっているわけでございますが、御指摘の五十六年五月が免許の更新時に当たったわけでございまして、その免許の申請書には、宅地建物取引業法及びその附属法令によりますと、「直前三年の各事業年度の貸借対照表及び損益計算書」を添付しなければならないこととなっております。この財務諸表の内容によりまして、例えば経営が黒字であるかまたは赤字であるかということは、免許を与えるか否かの直接の基準にはされていないのでございますけれども、相当の欠損金がある場合におきましては、業務の適正な運営が確保できるかどうか、あるいは取引の関係者の利益の保護が図られるかどうか、宅建業の健全な発展を期することができるかどうかという観点から、申請者に今後の経営方針に関する計画書等の提出を求めているわけでございます。  福島交通不動産株式会社につきましては、五十五年三月末日の損益計算書によりますと、約七十九億円弱の繰越欠損金が計上されておりましたので、以上のような行政の実務処理の例によりまして、今後の事業計画書の提出を求めたものでございます。  その内容の概略を申し上げますと、欠損金が生じた理由といたしましては、二つ挙げてございまして、会社設立以来、福島県下の、特に福島市、白河市、郡山市、いわき市を中心に宅地見込み地を買収いたしまして、各地でのニュータウンの造成、販売を目途に事業を進めてまいったところ、四十八年以降の石油ショックによりまして、計画全体の見直しを余儀なくされまして、過大な不動産投資の負債を負う結果となったことということが大きな理由として挙げられております。  今後の処理方針あるいは見通しといたしましては、一つには、福島市の桜台ニュータウン造成工事が、これは当時の記載でございますので年次のずれがございますが、五十六年六月に竣工し、販売間近となったこと、それから二つ目に、新白河駅前の土地区画整理事業が六十年に完了する予定であり、当事業終了後には、保有不動産の活用が期待できること、三つ目に、いわき市の勿来の森ニュータウンに計画戸数九百六十二戸を予定しておりまして、六十年には分譲販売ができる見込みであること、四つ目に、白河市西三坂地区の開発について、漸次計画の進捗を図っていく予定であること、五つ目に、開発不適物件の早期売却による収益が見込めること、これらの営業活動を通じまして、特に大型ニュータウンの分譲地販売を中心としたデベロッパー事業を積極的に進めていく計画であり、損失金処理について大幅な改善が図られる見込みであるとした内容となっております。
  162. 中島武敏

    中島(武)委員 今、御答弁がありましたように、この福島不動産は、五十六年の更新時に七十九億円の繰越欠損金、非常に大きな欠損金なんですが、これを計上している会社なんですね。資本金は御存じのとおり四千万円ですから、その二百倍近い損失金を抱えているということになるわけなんです。そうしますと、普通の常識で言えば倒産寸前、こういうことになるわけで、だから建設省の方でもわざわざ報告書を出さしたんだと思うのですね。このときに更新するかどうかということをよく吟味するべきであったというふうに私は思っておりますが、しかし、それはそれとして、次の問題について伺いたいのです。  それは、この福島交通不動産は、本社、それから白河営業所、郡山営業所、福島営業所を置いていますが、それぞれの宅地建物取引主任者は一体だれになっておりますか。
  163. 台健

    ○台政府委員 東京の本社につきましては鈴木富義、新宿営業所高野正男、白河営業所市川孝夫、郡山営業所手塚康夫、福島営業所鹿又俊夫でございます。
  164. 中島武敏

    中島(武)委員 ところが、今、答弁があった、読み上げられたのは違うのです。事実と相違するということであります。実は本社の宅地建物取引主任者に鈴木富義氏の名が出ておりますが、実際には本社には存在しないのです。これは本人に確かめてみますと、本社には全然勤務していないということがわかりました。それで本人は東京都新宿区市谷八幡町にある美福ビルに勤務しております。その電話番号を教えてもらったものですから、電話帳から照合してみますと、福島交通観光サービスにどうも勤務しているのじゃないかと思われるわけであります。本社の宅地建物取引主任者に名が出ていますけれども、しかし、実際にはそこには存在しない、御本人も認めている、こういうことでありますが、私はこれは宅建業法十五条の違反ではないかというように思うのですが、いかがですか。
  165. 台健

    ○台政府委員 免許の更新に当たりましては、大臣免許の業者につきましては、都道府県知事を経て免許更新の申請をすることになっておりまして、事務所等につきまして、免許の要件を満たしているかどうかにつきましては、都道府県知事に大臣から調査を委託しているわけでございますが、五十六年の更新時におきますところの東京都の調査報告書によりますと、申請どおりに充足されているという報告を受けております。その後、仮にこの専任の主任者が東京の本店にいなくなったといたしますと、御指摘のように、宅建業法では、第十五条の規定によりまして、事務所ごとに専任の取引主任者を置かなければならないこととされておりますので、宅建業法の違反になるわけでございます。
  166. 中島武敏

    中島(武)委員 実は、御本人は五十年から美福ビルの方に勤務しているというふうに言っているのですね。どっちにしましても、今、答弁があったように、宅建業法違反ということは実ははっきりしていると思うのです。実は、当初は、当社に新宿営業所がありまして、その住所は、先ほど本人が言うたと言いました新宿区市谷八幡町十四番地となっていますが、ここは五十七年三月三十日付で廃止されております。鈴木氏は、仮に同ビルにいたとしても、実態のない事務所にいることになる。これは明らかに問題であります。  そこで、最後にちょっと大臣に伺いたいのですが、こういう法違反をやっていて、その上赤字欠損金を抱えて、しかも、今、問題となっている約五十億円に上ると言われる使途不明金を抱えているような会社に大臣免許を与えて果たしていいかどうか。実は、ことしの五月には更新時期を迎えるわけでありますから、その際、どういう態度で臨まれるか、この点について聞きたいということと、さらに、この間福島不動産が行ってきた宅建業法上の取引について全面的に調査をする必要があるように私は思います。そういう点で大臣の答弁を聞きたいのです。
  167. 台健

    ○台政府委員 ちょっと先ほどの答弁を修正させていただきたいわけでございますが、私は新宿営業所と申しましたが、これは御指摘のように、五十六年の更新時の資料でございまして、新宿営業所は五十七年の三月二十日に廃止されております。  それから、白河の営業所の取引主任者は市川さんと申し上げましたが、その後変更がありまして、小針さんという方にかわっております。(「小鉢何だね」と呼ぶ者あり)小針武彦でございます。  それから、御指摘のように、この会社につきましては、免許の期限がことしの五月三十日になっておりまして、免許の更新申請が出ることかと思いますが、現在のところまだ更新の申請は受け付けておりません。申請書を受け付けた段階で、宅建業法に照らしまして慎重に検討したいと思っております。
  168. 水野清

    水野国務大臣 ただいま局長が申し上げましたように、宅建業法という法律がございますから、その法律に照らしてみまして、適正公平に取り扱ってみたい、かように思っております。
  169. 中島武敏

    中島(武)委員 公平にというのはどういう意味になりましょうか、これはなかなか難しいのですけれども、私は二つ申し上げたのです。一つは免許の更新が出されてきたら、これに対してどういう態度をとるかということ。それからもう一つは、今の答弁でもわかりますように、いろいろ問題があるわけですね。答弁にあったとおりに問題がある。だから、この際、宅建業法上の全面的な調査というのは必要なんじゃないのか。やはり十分調べて適切な対処をするということが必要だと私は思うのです。その点で、もう一度大臣の答弁を求めたいと思います。
  170. 水野清

    水野国務大臣 先ほども局長からも申し上げましたように、まだ更新のための申請が出ておりません。ですから、出すかどうか、まだわからないわけでございます。出てまいりましたら、宅建業法という法律があるわけでございますから、その法律に照らしてみまして、適正公平にこれは処理をしていく、さように考えております。
  171. 浜田幸一

    浜田委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  172. 浜田幸一

    浜田委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  173. 浜田幸一

    浜田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     —————————————
  174. 浜田幸一

    浜田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、北口博君外四名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。北口博君。
  175. 北口博

    ○北口委員 ただいま議題となりました公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれでは十分御承知のとおりでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることと、いたします。     公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の事項について、適切な措置を推進し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 最近の災害の激発にかんがみ、公共施設の防災管理、防災連絡体制の強化、防災関係事業の推進に努めること。    また、引き続き被災者の救済措置の強化、地方公共団体負担軽減についても検討すること。  二 国庫負担採択限度額引き上げに伴う地方公共団体財政負担増に対しては、地方債活用等を図り、その財政運営に支障を生じることのないよう措置すること。    また、災害復旧にあたっては、再発防止のため改良復旧の推進を図るとともに、災害査定にあたっては、書類審査の活用等事務手続きの一層の簡素化に努めること。  三 災害発生時の被害の実状にかんがみ、道路附属物等に関する採択基準については、弾力的な運用をはかること。    また、交通安全施設、バス交通施設等の復旧についても適切な措置を講ずること。    右決議する。 以上であります。  委員各位の御賛同を何とぞよろしくお願い申し上げます。
  176. 浜田幸一

    浜田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  177. 浜田幸一

    浜田委員長 起立総員。よって、北口博君外四名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、水野建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。水野建設大臣
  178. 水野清

    水野国務大臣 本法案の御審議をお願いをいたしまして以来、当委員会におかれましては、熱心な御討議をいただきまして、ただいま全会一致をもって議決をしていただきましたことを深く感謝申し上げる次第でございます。  審議中におきます委員各位の御指摘、御高見につきましては、今後その趣旨を生かすように努めるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重し、今後の運用に万全を期してまいる所存でございます。  ここに本法案の審議を終わるに際しまして、委員長を初め委員各位の御指導、御協力に対しまして深く感謝の意を表して、ごあいさつを申し上げます。ありがとうございました。     —————————————
  179. 浜田幸一

    浜田委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  180. 浜田幸一

    浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  181. 浜田幸一

    浜田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時二十分散会