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1984-03-09 第101回国会 衆議院 建設委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年三月九日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 浜田 幸一君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 桜井  新君 理事 中島  衛君    理事 井上  泉君 理事 新井 彬之君    理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    金子原二郎君       唐沢俊二郎君    東家 嘉幸君       野中 広務君    東   力君       松野 幸泰君    村岡 兼造君       森田  一君    保岡 興治君       上野 建一君    関  晴正君       竹内  猛君    前川  旦君       山中 末治君    古川 雅司君       伊藤 英成君    瀬崎 博義君  出席国務大臣        建 設 大 臣  水野  清君        国 務 大 臣        (国土庁長官) 稻村佐近四郎君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       石川  周君         国土庁長官官房         審議官     田中  暁君         国土庁長官官房         整局長     安達 五郎君         国土庁計画・調         整局長     小谷善四郎君         国土庁土地局長 永田 良雄君         国土庁水資源局         長       堀  和夫君         国土庁大都市圏         整備局長    杉岡  浩君         国土庁地方振興         局長      川俣 芳郎君         建設大臣官房長 豊蔵  一君         建設大臣官房総         務審議官    吉田 公二君         建設大臣官房会         計課長     牧野  徹君         建設省計画局長 台   健君         建設省都市局長 松原 青美君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省河川局次         長       中川 澄人君         建設省道路局長 沓掛 哲男君         建設省住宅局長 松谷蒼一郎君  委員外出席者         内閣審議官   照井 利明君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         林野庁指導部長 高野 國夫君         林野庁業務部業         務課長     小澤 普照君         建設省国土地理         院院長     田島  稔君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     加瀬 正蔵君         参  考  人        (水資源開発公         団理事)    島崎 晴夫君         参  考  人        (住宅都市整         備公団総裁)  大塩洋一郎君         参  考  人        (住宅都市整         備公団理事)  名本 公洲君         参  考  人        (住宅都市整         備公団理事)  武田 晋治君         建設委員会調査         室長      升本 達夫君     ――――――――――――― 三月六日  天王川、神花川の改修等に関する請願中島武  敏君紹介)(第七七二号)  国民生活関連公共事業推進に関する請願瀬崎  博義紹介)(第七七三号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月五日  九州縦貫自動車道早期完成に関する陳情書  (第四六号)  束九州縦貫自動車道早期実現に関する陳情書  (第四七号)  南九州西回り自動車道建設促進に関する陳情  書  (第四八号)  近畿南部地域高速自動車道路網整備促進に  関する陳情書  (第四九号)  都市における中小河川対策充実強化に関する  陳情書  (第五〇号)  公共事業整備充実に関する陳情書  (第五一号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振  興特別措置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一六号)  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 浜田幸一

    浜田委員長 これより会議を開きます。  建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、建設大臣より発言を求められておりますので、これを許します。水野建設大臣
  3. 水野清

    水野国務大臣 去る三月二日の本委員会委員長から指示のございました建設省所管事業の五カ年計画変更等の問題につきまして、建設省考え方を申し上げます。  建設省所管事業の五カ年計画につきましては、公共事業予算が来年度で五カ年連続の抑制となりますために、その進捗ははかばかしくございません。特に、昭和五十六年度から六十年度を計画期間といたします下水道都市公園等、海岸、特定交通安全施設等及び住宅の各五カ年計画につきましては、住宅建設五カ年計画公的資金住宅を別といたしまして、その達成はまことに厳しい状態となっております。  しかしながら、次のような理由によりまして、現段階で計画改定して新計画策定することは困難と考えており、なお残された期間において最善の努力をする所存でございます。   一、現下の財政状態には厳しいものがあるとともに、内外の経済情勢は流動的であり、こういう時点で計画改定を急ぐよりは、むしろ事態の変化をできるだけ見きわめて新計画策定する方が適切であると考えること。  なお、各五カ年計画実施については、計画策定後の経済財政事情等を勘案しつつ弾力的に行うこととされており、計画実施の乖離が直ちに計画改定を必要とするものではないこと。   二、五カ年計画策定に当たっては、経済社会国民ニーズ動向地方公共団体意向等について十分な調査を行い、また、多くのものは関係審議会の議を経ることとしており、策定にはおおむね一年半ないし二年の時間が必要である。このため、住宅下水道等については、既に六十一年度を初年度とする新計画策定準備作業に着手している状況であること。  計画変更等の問題については以上のとおりでありますが、なお、昭和五十八年度から計画がスタートいたしました道路整備及び急傾斜地崩壊対策事業並びに五十七年度からスタートいたしました治水事業については、まだ四年ないし三年の計画期間を残しており、できる限り計画目標達成を図るよう努める所存でございます。  以上、御報告を申し上げます。     —————————————
  4. 浜田幸一

    浜田委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  両件調査のため、本日、参考人として、住宅都市整備公団総裁大塩洋一郎君、理事名公洲君、理事武田晋治君、日本道路公団理事加瀬正蔵君、水資源開発公団理事島崎晴夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 浜田幸一

    浜田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  6. 浜田幸一

    浜田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上野建一君。
  7. 上野建一

    上野委員 建設行政基本施策に関する所信表明建設大臣からございましたが、その中で「建設行政基本的課題は、社会資本整備を通じて活力ある経済社会充実した国民生活を実現することにあります。」こう述べておられます。大変言葉としては立派だと思いますけれども、問題は建設行政が本当の意味国民のために推進をされるかどうか、ここにあるわけであります。その点では、私はかねてから地方議会立場から眺めている建設省というもの、建設行政というものは、どちらかといえば上からやってやる、したがって建設省のやることはすべていいことだから反対するな、こういう姿勢が見えがちだと思います。  そういう意味で、まず質問の冒頭に建設大臣質問をいたしたいのは、建設大臣就任早々東京湾横断道視察をなさいました。私はここに建設大臣一つ政治姿勢があらわれていると思います。というのは、今この建設行政に求められている国民立場からする問題点は、例えば都市水害の問題とかあるいは都市開発の問題とか国民が直接困っている問題が大変山積をしておるわけであります。そうだとするなら、冒頭申し上げたような立場からするならば、建設大臣は、まず現実国民が被害を受けておる問題、そういう問題を最初に取り上げて、これを積極的に推進する、その対策推進する立場をとるべきではなかったのか、こう考えるものでありますけれども、そういう立場から水野建設大臣に第一にお伺いしたいのは、今後の建設行政について、弱い者の立場、そして金のある者よりもない者の立場に立った建設行政あるいは公共事業推進をやる考えがあるかどうか、その政治姿勢についてまずお伺いしたいと思います。
  8. 水野清

    水野国務大臣 建設行政というのは、御承知のとおりいろいろな仕事がございますが、まず一番重要なものは、国の公共事業費の七割五分を建設省でお預かりをしております。これは今先生お話がございましたように、社会資本充実、特に欧米諸国に比べますと、下水などは御承知のとおり三割程度しかまだ達成をしておりません。そういう社会資本が非常に立ちおくれておりますから、それを充実して国民生活の利便に供するということは、私は弱者とか強者といいますよりも、我々の持っております社会の基本的な要件を満たすということで建設省はやってきたと思いますし、その基本的なことについていささかも私は方針に間違いがあったというふうには思っておりません。  ただ、恐らく先生が御指摘なのは、例えば大変部分的でございますが、身体障害者に対する道路などをつくる際に、例えば車いす横断歩道を渡る方に対する配慮というようなものが最近は大変充実してまいりましたが、十年ぐらい前まではそういうものに対してどちらかといえば疎遠であったというようなことであったと思います。そういう点につきましては、例えば老人対策とか身体障害者であるとか、そういったことについてはきめ細かく配慮をしているつもりでございます。例えば、住宅につきましては、低所得者層のために公営住宅建設促進しております。先般来当委員会でも他委員から御質問があったとおりでございます。あるいは老人、母子、障害者等の世帯についても配慮をしておりまして、公的資金による住宅供給には十分配慮をしております。あるいは道路につきましても、この十年来歩道の段差の切り下げなどをいたしまして、いわゆる車いす横断歩道をお渡りになるような方々に対する交通安全対策というようなものもやっているわけでございます。あるいは官公庁の建築物に対しましても、昔は確かに階段を上らないとお役所に上がっていけないというような構造になっておりましたが、最近は車いすの方でも出入りができるような設計を特に留意してやらしております。あるいは、例えば都市居住者の最近の問題は、都市河川が非常に全国各地で、人口の急増といいますか宅地の増大といいますか、そういうところではんらんをするような事態が多いわけでございますが、これは全国各地都市河川に対する予算配分などは一般河川よりも非常に金もかかる事業でございますが、特に留意をしてやっております。  それから、ついででございますが、私が就任当初、非常に関心事でもございますが、千葉県の東京湾横断道路について視察をいたしましたのは、実は御承知のとおり、過去四、五年間公共事業費が非常に横ばいになっております。これは私の建設行政にタッチしました一つ考え方でございますが、今民間活力の導入ということが中曽根内閣で非常に叫ばれておりますし、これに努力をしておりますが、公共事業費横ばいであるということは、民間活力もさることながら、一つ建設省自身の目的、大きな将来を見通すような仕事というものが、今本四架橋をやっておりますが、プロジェクトも、次に何をやるかというプロジェクトについても余り持っていない。着工の時期その他について横断道路がなかなかいろんな難しい問題がございますが、ともかく一つの夢でも与えてこの問題を取り上げてみたい、こう思って視察をしたわけでございます。その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  9. 上野建一

    上野委員 建設行政の問題では、今大臣の言われた点まだいろいろ議論もありますけれども、特に問題なのは、例えば今一つの例として都市排水の問題を取り上げてみますと、例えば一つの市でちょっと雨が降るともう水浸しになる。これはもう国民の財産を守るという立場からいえば最優先をさせなければならぬ問題だと思うのです。雨が降ったらいつ家の中に水が入ってくるかわからないという状態都市部ほとんど全部あります。これはもう今までの開発計画失敗であり、あるいはそのしわ寄せでもあると思いますけれども、そういう現実があって、今積極的にやっているというお話がございましたけれども、実際問題としては、一つの市で水害対策を、中小河川改修をやるのに大体十カ年計画です。しかも、金からいえば二百億とか三百億、五百億ぐらいのものが十年かからなければ実現しない、こういう現実にございます。  したがって、後でまた質問いたしますけれども、東京湾横断道も大事かもしれませんが、その前に、今緊急の課題である、国民生活にとって欠いてならない課題が山積しているんだ、やはりその認識をまず大臣には持ってもらいたい。それが私のまず申し上げたい第一の問題です。  そして、その上に立って、いろんな経過もあるのでしょうけれども、建設行政はどうもまんべんなく予算を配るというやり方になっている。重点がないといいますか、公共事業でも。それで大きいものになるとなかなか積極的にやるようですけれども、そういう国民生活に直接かかわる問題については、例えば中小河川改修に対する補助金なんというのは、本当にまんべんなく少ない金が渡っているという状態ですから、これではまさに百年河清を待つような状態が至るところにある。したがって、そこら辺のところを水野建設大臣は積極的に取り組む姿勢があるのかどうか。夢のかけ橋も重要でしょうけれども、その前にやるべきことがあるという立場からもう一度質問をして、答弁をいただきたいと思います。
  10. 水野清

    水野国務大臣 先生のおっしゃる御趣旨はよく理解をしております。問題は、やはり公共事業費が四年間横ばいであったということが大きな原因でございまして、今、日本だけではございません、西欧でもそうでありますが、御承知のとおり、全国各地都市人口が集中をしております。これは、国土計画全体として見誤ったとか失敗であったという言い方もあると思いますが、私は、一つの傾向として、近代社会としてある程度やむを得ない一つの現象であったと思います。  そうなりますと、首都圏であるとか近畿圏であるとか中部圏であるとか、そういったようなところを中心にしまして、どうしても今おっしゃるような都市河川の問題とかいろんな問題が出てきて、人口増に追いつかないというようなことが起こってきていることも事実でございます。ですから、先ほど申し上げましたように、都市河川とかそういう都市部につきましては、公共事業費が大変たくさんかかるわけでございますが、これは重点的に配分をしていきたいと思っておりますし、建設省自体が、私が考える以前から、そういう努力はしているわけでございます。  ただ、一方では、それでは過疎地はいいのか、こう言いますと、これはまたこれでひとついろんな問題がございまして、先般来ほかの委員先生方からも御指摘がありましたように、それぞれの地区で新しく国道と指定をされながら舗装ができてないというようなところもあるじゃないか、早くトンネルを掘ってもらいたい、早く舗装してもらいたいというところもございます。そういうところにも事業費配分をしていかなければならないという問題が同時にございます。どちらかといえば、御指摘のとおり、公共事業費横ばいにもかかわらず新規採択であるとか新しい地域配分をしなければならぬということで、薄く広くというような予算の使い方をせざるを得ないという点については、これは反省もしているわけでございます。  私は、就任以来考えておりましたのは、こういう時期でございますから、なるべくならば経済効率というものを中心にして、例えばトンネルでございましたら、九割できておったらあとの一割を三年でやらないで、一年でも二年でも予算をつけて、まずトンネルを通して、九割の投資の効率を今日上げていった方がいいかもしれない。そういうものについては、来年度予算が通りましたら重点的に予算配分をしてもらいたいというようなことについては事務当局指示をしているわけでございます。先生のおっしゃるような大規模事業偏重で、一般の庶民に対する配慮が欠けているというような行政は決してやっておりませんので、どうかひとつ御理解をいただきたいと思います。
  11. 上野建一

    上野委員 それでは具体的な問題に入りたいと思いますが、今まで申し上げたように、建設省のこれからの建設行政大臣中心にしてひとつ積極的に国民のためになる、そういう角度でひとつお願いしたい、こう思います。  それとも関連いたしますが、東京湾横断道の問題についてお尋ねをいたします。  この東京湾横断道については、水野建設大臣就任早々視察をされた、こういうことなども含めて、あたかもあしたにでももう工事に着手できるような印象を特に千葉県民には与えています。ところがこの問題は大変大きな問題で、そう簡単にやれるとは思わない。昨年の閣議決定で、第九次五カ年計画中に調査を完了して着手する、こういうことのようでありますけれども、まず、そういうことができるのかどうか、端的にお伺いをいたします。  さらに、東京湾横断道というのは本当に今急いでやらなければならぬ仕事なのかどうか、この点にも私は多くの疑問を持っております。特にこれは、今財政再建の途上にあって、今建設大臣も言われたように、他の、国民にとって重要な課題についても、仕事をやらなければならぬことについても予算がなかなか回らない、こういう現状の中で、一兆円以上の大変お金を要する東京湾横断道をそんなに慌ててやる必要がどこにあるのか、この点の疑問にお答えをまずいただきたい。  それから三つ目には、百歩譲って必要だといたしましても、この事業はやはり先ほどから申し上げている点も含めて考えますと、その利益は一部の者に偏るのではないだろうか。例えば仕事の面では鉄とセメント、さらに大建設業界仕事を与えるためのものになる、あるいは政治家立場から言うと、先ほど夢を与えるというお話がありましたが、何か夢を与えて身近ないろんな問題については目をつぶらせるようなやり方も少しあったのではないだろうか、こういう意味で多くの疑問点がありますが、とりあえずその三点についてお伺いいたします。
  12. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 御説明させていただきます。  まず第一点の東京湾横断道路は、第九次道路整備五カ年計画期間内に着工するということで建設省考えているようだけれども、そのとおりいくのかどうかという御質問でございますが、建設省といたしましては、今後、日本道路公団によって現在行っております調査をさらに推進して、船舶航行の安全の確保、東京湾の環境の保全、横断道路に関連する道路網整備などについて関係機関と調整の上、現行の第九次道路整備五カ年計画期間内に建設に着手していきたいと考えております。着工の具体的な時期等につきましては、今後の調査進捗状況、国の財政事情動向関係自治体コンセンサス等を総合的に勘案しながら検討をしたいというふうに考えております。  それから第二番目の、東京湾横断道路建設をそんなに急ぐ必要があるのかという御質問でございますが、東京湾岸道路も現在いろいろ整備しているので、そういう面でも賄えるのではないかというようなお考えであろうかと思いますが、東京湾岸道路は、主として横浜−東京千葉間の交通需要増大に対処するとともに、湾岸地域都市機能を高めるものであり、東京湾横断道路千葉県と神奈川県を直結いたします。湾岸道路で行きますと、現在、この東京湾横断道路起終点考えております川崎市と木更津間は約八十キロございますが、これを直線で結びますと十五キロしかございません。仮に時速六十キロで参りますと、湾岸道路で行きますと一時間二十分、東京湾横断道路で行きますと十五分というふうに大変大きな時間便益が生じ、それによってその両地域交通、人や物が活動しやすくなることによりまして、両県を初めとする首都圏都市機能の再編成や産業活力の向上など地域整備促進に非常に大きな役割を果たすものであると考えております。将来の首都圏の均衡ある発展を図るためには、東京湾岸道路とともに、この東京湾横断道路整備し、広域的な幹線道路網を形成する必要があると考えております。  それから、中小河川等大変緊急を要する事業があるのに、こういう大規模事業をやっても利益が一部に偏り、またその利用される資材等も鉄、セメント実施する企業も大企業というようなことに偏るのではないかという御質問でございますが、東京湾横断道路は大規模事業で多額の費用を要すること、またそれによる便益が大変大きいということから、私たちこの実施に当たっては有料道路制度を活用していきたいというふうに考えております。したがって、使う資金は大部分は民間資金でございます。もちろん財投資金等ございますが、その原資等民間から供給されるものでございまして、民間資金を大いに活用するということを考えておりまして、中小河川対策費というようなものと特に競合するものではないというふうに考えております。先ほど大臣の御発言にもありましたように、民間活力を導入していく上において非常に適したプロジェクトではないかというふうに考えておるわけでございますが、この架橋によって利益を得る人たちは、直接的にはまず千葉県、神奈川県、それから東京都等でございますが、この交通問題の解決等によりまして得られる利益首都圏全般、ひいては我が国全般にも及ぶような非常に波及効果の大きいものというふうに考えております。  また、先生今使用する資材は鉄、セメント中心だということでございますが、建設事業一般に鉄、セメントを使用する度合いが多いわけでございまして、私も過去において公共事業費と一番相関する資材は何かということでいろいろ検討したところ、セメント相関係数が一番高かったわけでございます。しかし、この工事では、そのほか築堤等もいたしますので、土工工事等もかなり出てくるようになろうかと思いますが、そのほかいろんな資材を使用するわけでございまして、それらによって我が国産業活動が非常に活性化されるというふうなことが期待されるのではなかろうかと思っております。  受注する企業が大企業ではないかということでございますが、確かにここは大規模な大変難しい工事でございますので、本体工事等については大企業実施する可能性が非常に高いと思いますが、その取りつけ道路等についてはできるだけ地元中小企業等もこれに参加できるように実施することによって、そういう点について、先生が今御指摘になられたような点についても十分配慮することによって、そういう問題の解決が図られていくのではなかろうかというふうに考えております。
  13. 水野清

    水野国務大臣 私からつけ加えて申し上げますが、ただいま道路局長が申し上げましたような、いろんなことで道路公団で今調査をしておりますが、いろいろな条件が整えば、この第九次道路五カ年計画の中で着工いたしたいという気持ちは持っております。  ただ問題は、私がつけ加えたいのは、今道路局長が申し上げましたとおり、千葉県の木更津地区から川崎まで十五分で行ける道路横断道路であり橋であるわけでございますが、できましても、川崎市に着いた自動車がそこで大きな渋滞を来しまして、例えば東京都内に入るとかあるいは川崎市の奥地へ入るために三十分なり一時間なりかかってしまうのでは、せっかくの横断道路経済効果というのは出てこないわけでありますから、どうしても川崎市並びに神奈川県のいろんな道路整備について配慮をしていかなければいけない。そういう点については、むしろ神奈川県あるいは川崎市の意向というものも十分聞いてからでないと私はできないと思っております。そういうことにつきまして、でき得れば神奈川県の知事あるいは川崎の市長とお目にかかって腹蔵なくお考えを聞き、あるいは建設省でそれについてできることがありましたら努力をしていくということが、非常に遠回りなようだと思いますが、私はこの横断道路着工への近道だというふうに思って視察をしたわけでございます。
  14. 上野建一

    上野委員 道路局長の話を聞いているといいことばかりなので、その話だけだとどうもまゆにつばをつけて聞かなければいかぬなという感じがするのです。  そこで、もうちょっと具体的にお伺いしますと、財政的なものとしては、私は着手の時期になれば一兆数千億になるだろう、そう思いますけれども、その内訳、どこに幾らくらい出させるのか、それでその採算性というのは一体どういうふうになるのか、これをお伺いしたい。  何かまだわからぬことが随分あるようでありますけれども、既に五十一年から始まった調査は、新年度分も入れてですけれども八十億に近いお金を使って進められる。このぐらい金をかけてやれば、調査することはすべて終わっておるはずだと思うのです。どうもその調査やり方も、金をかけている割合には余りすっきりしたものが出てきていないのじゃないか。私も事前に資料をいただきましたが、この資料を見ただけではどうも問題点が明らかにならない、こう思いますので、そこら辺との関連で、今後の調査については、特に新年度は何をどのように調査するのか、この点を時間もありませんからなるべく簡潔にひとつ御答弁をいただきたい、こう思います。  それから、これからの問題として、今大臣も挙げられましたが神奈川県側の道路網の問題がございます。これは今おっしゃったとおりなんですけれども、それは必ずしも神奈川だけではなくて千葉県側も、道路網について、例えば東京湾の海の上は十五分で突っ走っても着いた途端に渋滞する。今だって渋滞は大変なものですからね。しかも湾岸道路はある程度できて動いている、その区間だけでも大変な渋滞になっている。それを東京湾の上だけ十五分で走らせても、後のところはもう行き詰まっているという状態がございます。そういう意味で、特に川崎の側の道路網についての打開策というのは第九次五カ年計画に間に合うのかどうか、これがございます。それから、千葉県側の道路にいたしましても、東京湾横断道路網が完成をされた時点を考えてみましても、東京湾道路網は、千葉県を通過して公害だけが残されるという地域もかなり残るのじゃないだろうか、特に木更津などではその心配をしている人がかなりいる。したがって、そこら辺のところを、まず道路網として見通しを明確にしていただきたい。  それから、第九次五カ年計画の中でやるというのだけれども、いつにその辺の判断をするのか。大臣の話などを聞きますと、必ずしも第九次五カ年計画中には着手でき得ない場合もあり得る、こう受け取っていいのかどうか。これは今後の調査というのですけれども、調査はもう大体終わっているはずなので、そうすると、そこら辺の残された問題点解決するしかない、こういうことだと思います。  それから、次に問題点の中に、私は東京湾の環境の問題が非常に大きいと思うのです。東京湾の水は一年間かけてゆっくり入ってきて出ていくという流れになっているようですけれども、これが橋をかけることによって流れが変わってくる。調査では、この私のいただいた資料では、ほとんど関係ない、こういう判断のようですけれども、しかし漁業やその他を考えますと、いろいろな大きな影響がある。それから今でもこの東京湾の流れというのは、流れの中で汚濁が進んでおるわけですね。そこら辺の問題等を含めて漁業に対する影響をどのようにとらえているか。それから今の環境の問題、海流の流れ、こういうものについてはどのようにとらえているのか、その点をお伺いします。
  15. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 御説明いたします。  第一点の東京湾横断道路建設資金についてはどのように考えているのかというようなお話でございますが、先ほど御説明いたしましたように、東京湾横断道路建設には多額の資金を要すること、またその利用者には大きな便益をもたらすことなどから有料道路として建設すべきであるというふうに考えております。  なお、その整備手法については現在検討中でございますので、その財源の構成、例えば先生おっしゃられておりますような国費がどうであるとかあるいは地方公共団体の負担がどうであるというようなことについては、整備手法とも密接な関係がございますので、現時点でその建設資金の構成についてはまだ申し上げる段階には至っていないと思っておりますので……(上野委員「大筋のあれはあるでしょう、大筋の方向みたいなものは」と呼ぶ)採算性がとれるかどうかを検討する場合にはいろいろなことを仮定いたして実施しておるわけでございます。したがって、幾つか考えておりますものも、いずれも仮定でございますので、本会場で申し上げるまでに至っておりませんので、差し控えさせていただきたいと思います。  それから、今までいろいろな調査をやってきた、特に昭和五十一年度から道路公団調査をし、既に七十億ほどでございますか、程度の調査費を使ってきているが、まだ何が残っているのか、これから何を調査するのかという御質問でございますが、これまでの調査内容といたしましては、経済調査、環境調査、地質調査、設計調査船舶航行調査実施されてきております。経済調査では地域社会に及ぼす影響や経済効果などを、それから環境調査では東京湾の水質や海洋生態に及ぼす影響などを、地質調査ではボーリングによる地質の把握を、設計調査では橋梁、人工島、沈埋トンネルの構造検討を、船舶航行調査では海上交通に及ぼす影響とその対策についての検討などを実施してきております。  これらの調査のうち、経済及び環境調査についてはほぼ取りまとめの段階に入っております用地質及び設計調査につきましては、技術的な可能性は確認されておりますが、本計画が軟弱な地盤上に大規模な構造物を建設するものであることから、耐震性、施工方法の検討などについてさらに詳細な調査を行っておるところでございます。船舶航行調査につきましては、日本海難防止協会に専門家による調査委員会を設け、調査検討を行っておりますが、さらに船舶航行の安全対策に関する具体的な検討を進めていく必要があると考えております。また漁業関係につきましても、その実態を踏まえ、それへの影響についてさらに調査する必要があると考えております。  それから、この道路ができても、海上部だけが早く行けて、陸上部へ来た場合、前後道路、取りつけ道路が非常に悪いので、そこで渋滞してしまうのではないかということでございますが、この東京湾横断道路ができるまでには、神奈川県で申し上げれば東京湾岸道路ができていなければなりません。そのために、現在大井埠頭から浮島間は既に事業化をしておりますし、浮島からベイブリッジ間については現在調査を進めております。ベイブリッジについては既に工事に着手しておるわけでございまして、こういう東京湾岸道路整備が必要でございます。さらに千葉県側も、神奈川県側につきましても、内陸部に行く道路網整備も、この東京湾横断道路ができるまでにはある程度できて、取りつけ道路等において渋滞が生じないような対策は講じていかなければなりませんし、そのための諸調査を現在実施し、事業に着手できるものは一部事業化しておる段階でございます。  それから、いつ着工するのかということでございますが、この着工に至るまでには、今申しましたような諸調査、さらには両県等のコンセンサスというようなものが必要でございますので、そういうものがある程度進んだ段階で、考えなければならない財政事情その他そういうようなものを総合的に勘案しながら進めてまいらなければならないと思っております。それが九次中に確実にできるのかどうかということでございますが、私たちとしては、九次五計期間中に事業化することに最大の努力をしていきたいと考えております。  それから、東京湾の環境の問題とか漁業の問題、汚濁等の問題につきましては、最初私が御説明申し上げましたように、従来からも実施しておりますし、さらに今後もこういう問題の解明、解決のための調査を進めていく必要があると考えております。しかし、汚濁等について、また海流等について、今までの調査結果から、それに及ぼす影響は、漁業等については一時的には工事期間中等はあると思いますが、海の中につくるものはピアと一部築島があるわけでございますが、そういうものの影響は、今までの調査では、この事業実施していくことによってそんなに大きくなるというようなことはない。ただ、これから非常に重要な問題ですから、引き続き調査させていただきたいと思っております。汚濁についても、今申し上げたとおり、東京湾の汚濁がこの工事によって環境基準を超えていくようなことはないという見通しが立っておりますが、なお、その対策等については、これから十分調査してまいりたいと考えております。
  16. 上野建一

    上野委員 時間の関係上、聞きたいことがまだいろいろありますが、少しその横断道の問題について要望をしておきたいと思います。  私は、この道路計画について、まだ調査が不十分だといういろいろな問題点がありますが、その中で、今言われておる点は、この横断道路ができることによって一部心配されるのは、土地の値上がりが急激に行われる、そしてこの横断道をつくるには住宅地が安くできるとか、いろいろないい点があると言われているのだけれども、でき上がったときにはもう庶民はうちを建てるなんということはできない、そういう事態が心配をされるわけでありますけれども、次の機会にまた細かく質問したいと思いますが、一部にやはりその周辺土地を買い占めている者がいると伝えられている。そこら辺のことも、国土庁の方でも一定の調査をやって、先ほど申し上げたように、横断道がつくられることによって一部の人間だけの利益になるようなことのないように、その点をまず今から注文をつけておきたい、こう思います。  それから二つ目は、この計画を見ると、とにかく自動車を通すことだけしか考えていない。どうせやるなら、鉄道なんかも、簡便鉄道でもいい、いわゆる高い金を払わなくてもできるような、例えばモノレールでも結構ですけれども、そういうものを橋の中に通すとか、あるいは、これは神奈川千葉では事情が違いますが、ある程度共通しているのは水の問題がございます。その水について、その橋の下に水を、千葉県で水が余っているときは神奈川に持っていく、あるいは神奈川で余っているときには千葉県に持ってくるぐらいの、そういうことも考慮されてもいいのじゃないか、こう思うのですけれども、そういう意味では、自動車を通すというだけのまことに単純な、しかも総合的なものになっておらない、こう思いますから、そこら辺のところを今後の中でひとつ考慮すべきではないか、こう思います。  いずれにせよ、その次の問題としては、財政的には地方自治体に負担をかけてはならないと私は思います。したがって、これは国家的な仕事ですから、関係市町村あるいは県に負担がかかることはないだろうと思いますけれども、断じてあってはならない、この点も注文をつけておきたい、こう思います。  それでは次に、住宅公団の公団住宅の問題について質問をいたします。  公団住宅家賃は、五十三年それから五十八年と二回にわたって、大幅の値上げがなされました。そしてその結果、入居者との争いが生じております。これが未解決になっておる、こういう状態でありますが、これについて昨年の衆参の建設委員会で要望事項ができております。これによりますと、第八項に「建設大臣は、公団と入居者との間の係争中の問題について、早期に解決を図るよう努力すること。」この一項目がございます。したがって、大臣に早期解決するように努力義務を課しておる。これはまさに各党一致して決めた要望書でありますので、その点を特に私は問題にしたいと思いますが、一部既に、私ども社会党も及ばずながら建設省あるいは公団と一緒になって非公式な協議その他を通じまして、一定の前進はあるわけであります。その点は、入居者の団体である全国公団自治協と公団との関係その他も含めて、一定の前進があったことを認めます。いずれにせよ、まだこの係争は解決しておらない。しかし、一方では話し合いの機運が非常に大きく盛り上がっている。しかし、大臣はもう既に前の大臣からかわっている、水野建設大臣になった、こういうことでありますので、この話し合いの機運の盛り上がっているチャンスに、まず大臣として、新大臣として、この係争の解決に積極的にかかわる決意があるかどうか、努力をされる決意があるかどうか、この点をお伺いをいたしたいわけであります。  しかも、公団の入居者の自治協などの努力などもあって、五十八年の値上げについては暫定払いにも応じている、こういうことでありますので、なおさら入居者の方も、さらに公団も、この点の話し合いの機運は認めざるを得ないと思いますので、その盛り上がりの上に大臣努力をしてもらいたい、そう思いますが、大臣はどう考えておられるか、お伺いしたいと思います。
  17. 水野清

    水野国務大臣 昨年の公団家賃の改定に際しまして、建設委員長からいただいた御要望につきましては、誠意を持って対処しているつもりでございます。  そこで、公団と入居者との係争中の問題については、昨年の五月、両者に対しまして、十分話し合いをするように、建設省としまして、建設大臣という立場も含めてあっせんをしたところでございますが、これに基づきまして、公団と入居者との間で、現在精力的に話し合いを続けておられます。聞くところによりますと、既に延べ三十七回もその話し合いをしたという報告も受けております。私といたしましては、この問題が早期に解決をするように期待をしておりますが、なお、公団と入居者との間の話し合いについて、公団に誠意を持って対応するように指導していくつもりでございます。
  18. 上野建一

    上野委員 この係争中の問題は、今法廷で争われておりますけれども、しかし、これは民事の問題でありますから、双方の和解ということが十分考えられるわけであります。五十三年の裁判に限って考えてみますと、要望の第三項にありますように、「公団は、今後の家賃の改定について、適切な手続きに基づく必要なルール作りを行い、改定が公正かつ円滑に行われるよう配慮すること。」という委員会の要望があります。そういう立場から考えましても、この五十三年、五十八年の値上げについては、いわばルールがなかった、そういうことが大きな問題だったというふうに思います。もう一方的に値上げをする、理由が納得いかない、こういう形で進められてまいりました。したがって、そういう意味では、今後の適切なルールづくり、その根底には公団と自治協両方の協議体制を中心にしたものがあっていいのではないか。もちろん値上げについては、これは第三者機関も含めて公平な形でこれらの問題が決定をされる、協議をされる、こういうものでなければならぬと思いますけれども、そういうものがつくられる、これについては自治協の方でも一定の提案を行っている、こういうことでありますけれども、この第三項に関してどのように公団は対処してきているのか、この点もお伺いします。
  19. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 ただいま大臣からも御答弁がありましたように、家賃改定のあり方につきましては、公団の基本問題懇談会という場を活用いたしまして、この場で各界、各層の意見を聞きながら家賃改定のルールづくりを行ってきた。先生は、これだけでは足りないのじゃないか、もう少しいわゆる自治協の意見等も入れる場をつくり、その協議においてそれを反映するようにしたらどうかということでございます。私どもも従来定例懇談会というようなものを、非公式でありますけれども、一つのルールとして大体二カ月に一回ぐらいは開いてまいっておったのでございますが、五十三年の改定の際に、あのような訴訟というようなことがありましたので、中断いたして今日にまいっております。しかしながら、このような状態は決して好ましくないのでありますし、またいわゆる基本問題懇談会におきましても、私ども席を設けて、代表の方々が入っていただくことを希望し、またそれが当然だと考えておりますけれども、現状におきましては、民事とはいえその中におきまして、公団の家賃改定の問題のみならず家賃政策の問題等々について相互に相当の意見の開きがあるような状態のまま推移しておりますので、このような状態では話し合いは続けられないということで中断して今日まいっておる。その間、いろいろ折衝を重ねて努力して、早く正常化に戻したいというふうに考えておるのでございますけれども、今日に至っておるわけでございます。私どももそういう状態を早く正常化いたしたいということで今後努力してまいる所存でございます。(上野委員「ルールの問題はどうなのか」と呼ぶ)
  20. 浜田幸一

    浜田委員長 大塩参考人、ルールの問題についてお答え願います。
  21. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 やはりそこで正式の家賃改定のルールということになりますと、現在持っておりますところのこの基本問題懇談会という場において、必要ならば部会等を設けて、そこでただいま申しましたような審議を各界、各層からいただいて、家賃改定をすべきかどうか、その判断の基準であるとかあるいは改定の方法とか算定の基準等々につきまして、ルールづくりを従来もいたしたのでございますけれども、今後もさらにその経験にかんがみ、これを深めてルールをつくってまいることが現状においては最も適当な方法ではないかというふうに考えておる次第でございます。
  22. 上野建一

    上野委員 総裁のお話ではどうも積極性に欠けておるように思うのです。もともと入っておる者と入れておる側の立場というのは違うわけで、その違いの上に成り立っておるわけですから、これは当然のことです。ただ問題は、今までのようなやり方で今後も対処すれば何回も係争が起こる。前進しないということになるわけなんです。だから、例えばこの公団の基本問題懇談会などにも一部代表が入っていますけれども、これもバランスを持たして、入っておる者が十分発言できるような、意見を述べられるような場にすべきじゃないのか。あるいはもっと積極的に入居者に、この根拠を示していく。なぜ上げなければならぬのか、あるいはなぜ改定しなければならぬのか、それに対してどういう処置をするのかということも十分説明されなければならぬはずなんです。ところが、今までのやり方だと、決めて入居者に通告、後チラシをまいて終わり。後は納得しろ、金を出せというような形になっています。そういうことではだめなんで、公団というのは公的な立場にあるわけですから、しかも公団住宅というのは、良好で保全と管理が立派でなければならぬ、こういうことでありますから、そこに私は共通の問題点があると思うのです。したがって、そこら辺のところをもっと積極的に総裁は考えて、せっかく自治協の方でも提案をしておるのだから、これに対してこたえて、話し合いのベースをつくったらどうだ、こう思うのですけれども、その点をまず聞いておきたい。  それから、裁判になりますと、双方メンツがあります。立場もある。だからこの問題は、それを和解させるというのは、前に向かって前進する中でやらなければいかぬと思うのです。五十三年のあの時点で、公団のやり方は、もう端的に言って悪い、まずかった、こう思うわけで、それがあるから昨年の集中審議の中で当委員会でも要望書が出ておるわけで、しかも、その要望書の中にちゃんとルールをつくれと書いてある。それについて公団は誠意を持ってやる必要があるんじゃないか、こう思うのです。その点をもう一度、総裁もうちょっと明確に答えていただきたい。  それから、大臣にこの際お聞きしておきたいのは、大臣政治家であり、官僚を統轄する立場にございますから、そういう意味で、両方が争っておるわけですから、これを和解させる努力というのは大臣仕事だと思うわけです、公団は当事者ですから、自治協も訴えておる側ですから。そうだとすれば、その中に入って大臣は和解のために努力していく。しかも、その和解の問題点は、入っておる者、入居者の立場に立ったいろいろな問題点をつくって、それをルール化していく、そのことが重要だと思います。そういう意味で、入居者との合意が得られるように努力をするつもりはないかどうか、この点は大臣にお伺いします。
  23. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 先ほど申し上げましたように、この改定につきましては極めて大事な問題でありますので、我々も従来から慎重にルールをいかにしてつくるかということについて配慮してきたところでございまして、ルールというのは、手続においては正式にはということを先ほど申しましたけれども、現在基本問題懇談会というのを設けておりますが、これを活用するということが一つの手続として妥当ではなかろうかというふうに現在も思っておるわけでございます。さらに必要ならば部会等を設けて、その手続の過程で審議をしていただく。中身につきましては、先生指摘のような周知の方法も含めて、改定の基準だとかあるいは算定の根拠等々について審議をいただき、かつ、PRの方法につきましても、その中において審議していただくのは当然であろうというふうに考えております。  それから、自治協等の代表の方々の御意見につきましては、これは特に先回も、正式のメンバーとして入っていただくことができなかったので、意見をその場で述べていただいて、私どももその意見を十分拝聴しておる、そういう手続も踏まえておるわけでございます。  今後とも、こういったやり方は万全とは申せませんから、この方法をさらに検討しつつ、しかしながら、現在の段階におきましては、他にいい方法というものが見当たりませんので、現在はこの基本問題懇談会の場を使うということが、この手続、ルールを決める場として最も現実的であり、妥当ではなかろうかというふうに考えた次第でございます。  なお、その周知の方法等についての配慮につきましては、担当の理事から答えさせます。
  24. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  先ほど総裁がお答えいたしましたとおりでございますが、周知の方法等につきましても、基本問題懇談会の場におきましていろいろな御意見をいただきながら、その中で検討してまいるのが妥当ではないだろうかというように思います。  なお、言葉をつけ足させていただきますと、基本問題懇談会の部会に、ぜひひとつ現在係争中の問題を解決していただきまして、御参加いただきまして、そしてその中で御議論をしていただければというように考えているわけでございます。
  25. 水野清

    水野国務大臣 ただいま公団の総裁が申し上げましたように、基本問題懇談会というものを設けて、そこに自治会といいますか、入居者のお立場発言をなさる方も入れてということでございますが、なお精力的に、単に対立するだけでなくて十分な話し合いをするように督励をしていきたい、かように思っております。
  26. 上野建一

    上野委員 それから、今後の問題についてまだ申し上げたいことがありますが、次の機会にさせてもらって、次に具体的な問題を聞きます。  特に修繕の問題ですけれども、今度の値上げの中には修繕が非常に重要なウエートがあるのだ、こう言っているのですけれども、その点についても一定の前進があることはわかっていますが、まだまだ修理、修繕について入居者の希望が入れられていない、まだきめの細かい、それぞれ営業所単位ぐらいに、どこをどうしろというような問題を十分に聞くという体制になっておらない、この点がございますが、これは積極的に改善するつもりがあるのかどうか、これをお伺いしておきます。  それから、今度の家賃の値上げの中で、値上げによって大変困っている人たちがいる。特別減免措置が適用されておりますけれども、これはもう役に立っていない。特に、お年寄りの問題、母子家庭、身障者の家庭、こういう場合には、家庭によっては保護されておりますけれども、保護されているのは何かと言えば、やはり生活保護を受けているところはまあまあの状態にございますが、それ以外の年金生活者や、それからもうお年寄りだけになったというような人たち、それから母子家庭の中でも一定の収入のある人たち、こういう人たちはそういう減免措置というものが適用から外されている。この点は、基準が大変高いものですからそういうようになっていますが、現実に困っているそういう人たちに対する特別な措置を具体的に考えていくべきではないか、こう思います。  それで、この特別減免措置適用は、生活保護を受けている人たちを重点にして考えられたものであって、それ以外にそのぎりぎりのところにあるような人たちには全然適用されていない、こういうふうに考えられますが、この点についてどのようにこれから措置をされようとするのか。特に、それは厚生省の責任だとかなんかという話も前にあったようでありますけれども、私は、それだけじゃなくて、やはり今日は各方面にわたってそれぞれの立場から福祉というものを考えていく状態じゃなかろうか、こう思いますので、この非常に困っている人たちのためにこれからどうしようとするのか、その点をお伺いしておきたいと思います。
  27. 大塩洋一郎

    ○大塩参考人 先生指摘老人とか母子あるいは身体障害者等で生活に困っている方々に対しましては、必ずしも生活保護世帯に該当する人だけでなくて、一定の期間減額するというような特別措置の道を講じておるところでございまして、今回の改定に当たりましても、そういう措置を講じております。
  28. 浜田幸一

    浜田委員長 答弁は簡単に。時間が参っております。
  29. 武田晋治

    武田参考人 お答え申し上げます。  修繕の件についてでございますが、公団といたしましては、修繕等を含みます現地の管理に当たりましては、常日ごろから巡回点検を行いますとか、あるいはまた居住者の方々や自治会の方々の御要望やクレームなど修繕等に関しますところの種々な問題をお伺いいたしまして、住宅の管理業務の執行に反映させておりまして、その点は十分配慮をして実施しているつもりでございます。
  30. 浜田幸一

    浜田委員長 上野委員、時間が参っておりますので、簡単にお願いします。
  31. 上野建一

    上野委員 それでは時間の関係上終わりますが、答弁はまだ極めて不十分でありまして、引き続いてやらなければなりませんが、特に、この特別減免措置の場合に、三万一千百円というのが高過ぎるのですね。高過ぎますから、該当者はほとんどないでしょう、これはあなたが調べたって。これに当てはまる人は幾らもないのですよ。どうせやるなら、それをもっと額を下げたらどうですか。もう思い切って二万円ぐらいまで下げなさい。それをやらなければ、これは適用を実際やっていると言っても問題にならない。そういうことをまず申し上げておきます。  それから修繕の方も、何か巡回その他でやっていると言うけれども、もっと問題点がいっぱいあるんだから、下からいろいろな意見を出したらそれにこたえるべきじゃないのか、営業所ごとぐらいに。そのことを言っているので、その点も早急に着手するように要望して、私の質問を終わります。
  32. 浜田幸一

    浜田委員長 山中末治君。
  33. 山中末治

    ○山中(末)委員 山中でございます。  本委員会で私は初めて質問をさせていただきますので、質問に入ります前に、委員の皆様方、それから非常に著名な浜田委員長のもとで委員会活動をさせていただきますことを光栄に存じております。よろしくお願い申し上げます。  水野建設大臣また稻村国土庁長官には、このたびの御就任おめでとうございます。心からお祝いを申し上げます。どうぞ後世に語り継がれるような立派なよい仕事をしていただきますようにお願いを申し上げたいと存じます。  ごあいさつを終わらせていただきまして、ここに私は、過日建設大臣から所信の御表明がございましたが、その中で、住宅道路等について二、三御質問を申し上げたい、このように存じます。  最近の住宅建設の落ち込みのもとで、既存住宅の増築、改築、修理、内外装、その他いわゆるリフォームまたリフレッシュの問題が大きな課題とされているようであります。これは住宅産業が景気回復の内需拡大に非常に大きな役割を果たす、こういうことを考えられてのことだと存じますが、これには少なくとも二つの要素を満たしていくべきではないかと考えております。その一つは、大工さん、工務店等を初めとするいわゆる工作をする側と材料等を提供する生産販売をする側とに仕事を安定的に供給させることであります。その二つ目は、老朽住宅や狭い住宅等に不本意ながら居住している人々の住生活の改善充実を目指した国民の住居水準の向上にあると私は存じております。そして既存住宅のリフォームは、伝えられるところによりますと、年間五兆円の市場だ、このように期待をされているところでございます。  そこで、お尋ね申し上げたいのでございますが、政府におかれては、税制面におかれましても融資面におかれましても、依然として新築家屋だけを対象とするかのような態度に私には見えるわけでありますが、この際、こういうリフレッシュの問題が大きく考えられているときに、増改築や修理、改装等にもそういう面での光をどうしてお当てにならないのですか。先ほど申し上げましたように、五兆円市場という大きな市場の施主がそれらの人々であります。例えば、もう申し上げますまでもなく、住宅金融公庫融資につきましても、貸付限度枠は通常三百五十万円に抑えられました。また一部外壁を耐火構造にする分については二十万円の増になりましたけれども、通常の場合は三百五十万円、これがまだ上がっておりません。また施行中の中間払いも実施されていない。加えて五十九年度に導入をされる予定の生前贈与の租税特別措置五百万円、親または祖父母から自己の居住に要する住宅の取得の費用に関しての税制の軽減問題でありますが、これも増改築等には適用されておらない、こういうことでございます。また従来からございますところの住宅取得に係る非課税の特例措置や住宅取得控除制度の適用もなされないのでございまして、これを考えますと、せっかく御尽力をなさっているようには思いますけれども、片手落ちではないでしょうか。これではリフォームがスムーズにいかないのではないでしょうか。新築住宅取得のみでなく、中古住宅取得とともに増改築等も対象にすべきであると考えますが、いかがお考えでございますか、お聞かせ願いたいのであります。  ここで一応質問をとめておきまして、また次に進めさせていただきます。
  34. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘がございましたように、新設住宅着工推進を図ることも重要でございますが、既存住宅の質を向上させることによって、全体的に住宅の居住水準の向上を図るということが極めて重要であると考えております。このために金融、税制等の面におきまして、既存住宅推進のための施策を種々実施しておりますが、特にただいま御指摘のございました増改築につきましては、御指摘のように、昭和五十七年の十月に住宅金融公庫融資の住宅改良資金につきまして貸付限度額を三百万円から三百五十万円に引き上げたわけでございます。さらに昭和五十九年度の予算案におきましては、防火地域等で外壁の不燃化工事を行うケースが非常に多うございますので、そういったものにつきましては、さらに三百五十万円を二十万円引き上げまして、三百七十万円に貸付限度額を引き上げるという措置をとるようにしているところでございます。今後とも住宅の増改築につきましては非常に重要な位置づけを私どもとしても考えておりますので、公庫融資の積極的な活用を図るとともに、地方公共団体におきまして独自にリフォームにつきまして融資制度を行っているところがございますので、そういった面での拡充等を回らせてまいりたいと考えておるところでございます。
  35. 水野清

    水野国務大臣 ただいま住宅局長が申し上げましたように、住宅対策としましては、新築も力を入れております。しかし、既に大体現在のストックとしての戸数というのは三千五百万戸があると見られておりますし、空き家も全国で二百七十万戸の空き家がある、こういう状態であります。問題は、既に建てられた住宅が量の上で、いわゆる戸数の上では充足をしておりますけれども、質の点では必ずしも充足をしていない、恐らくそういう御指摘だろうと思いますので、建設省としてはこの数年来、先ほど住宅局長が申し上げましたように、積極的にリフォームといいますか増改築といいますか、そういう点で力を入れているわけでございます。  そのために、例えば中古住宅の流通をさせようあるいは住みかえをさせようあるいは増改築をやらせよう、そんなことをば主に重点を入れておりまして、実は最近でありますが、去る二月二十四日に日本住宅リォームセンターという財団法人をつくりまして、ここでこの法人の事業としてコストダウンのための技術開発をやるあるいは消費者に対してリフォーム情報の提供をやるあるいはリフォームにかかわる専門家の養成あるいは地域におけるリフォーム供給体制の整備、こういったようなことをこの財団法人でやらせていこう、こういう積極的な対策もやっている最中でございます。どうぞひとつ御理解をいただきたいと思います。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  36. 山中末治

    ○山中(末)委員 確かに二百七十万戸の空き家があるということでございます。私もそのように聞いております。これはやはり距離が遠いとかあるいはまた家賃が高いとか住環境が悪いとか、そういうものも大分入っているのではないかというふうに思いますので、今大臣のおっしゃったようなことでひとつ積極的にお進めいただきたい、このように思うわけであります。  その前に御答弁いただいたのでありますが、外壁を耐火構造にする場合、二十万円増額をした、こういうことでありますが、これは昭和五十八年の四月ごろ建設省から発表された五十九年度予算に向かっての概算要求の住宅に関する主だったものですね。四つほど出ていますが、それを見させていただきますと、もう少し意欲的に取り組んでおられた、このように私はその文書を読ませていただいて感じたわけでありますが、その結果は、今おっしゃったようにたった二十万円——これも貸し付けですから、渡し切りじゃないですから、これしか結果が出ておらないということで、非常に残念に実は思っております。  その次に、今大臣が申されました財団法人の住宅リフォームセンターのことでございますが、これは私はまず基本的には建設行政民間に肩がわりをさせたのではないかという感じを非常に強く受けているのです。これはみずから行政が担当すべき重要な施策の一つではないかというふうに考えておりまして、これは施策を放棄されたのではないか。これは本当に有効にこのリフォームセンターが機能してくれればいいんだが、このように考えておるわけでありますが、このリフォームセンターを設立された基本的な考え方をこの機会にひとつお聞かせいただきたい、このように存ずるわけでありますが、このリフォームセンターにつきまして、私も実は過去にしばらくの間市長、町長等をやっておりまして、その当時にこのリフォームセンター的な、こんな立派なものじゃないのですが、そういう考え方を持って市の中で考えを進めていった経過がございます。そのときに非常に難しい問題にいろいろぶつかった経験があるわけでありますけれども、このリフォームセンターをおつくりになるときに、建設省のある局の方から、「財団法人日本住宅リフォームセンターの活用によるリフォームの推進について」こういう依頼文書が出されております。また別の局からもそれに似たような依頼文ですが、出されておりまして、これが都道府県とか特定の都市に出されているわけです。これは御存じだと思いますが、その当時の新聞で、二元行政じゃないか、これはうまく指導すべきじゃないかというふうなことも載っておったのを読んだ覚えがございます。そういうことのないようにしていただきたいのでありますが、問題は、その文書の中に、特定の民間団体の団体名等を書き入れて、あたかもその団体がリフォーム推進の中核的な存在だと思わせるような表現が実はございます。これは本当にそれだけを読みますと、その書簡を建設省の二つの局から日は違いますがいただかれた地方の公共団体等は、二つから来たので、対応をどうしたらいいのかということと同時に、この中に書かれている、名前は言うのをよしますが、特定の団体名があたかもこのリフォーム推進の中核的な存在だという印象を受けておられるのではないか、私自身はそのように思いますので、こういう内容についてひとつここで若干の説明も聞いておきたいと思うわけでございます。  そしてちょうど大臣がおっしゃっていただきましたので、質問を大分省がしていただくことができるわけでございますが、このリフォームセンターを推進をしていくという中で、本当に質問申し上げたいのは、御存じのように、各市町村に多くの中小零細企業があります。その業者はそれぞれの市町村や近隣市町村の中でこのリフォームということをなりわいとしてまいりました、それで生活をしているわけでございます。またこの業者を信頼をして施主は、施工主はリフォームを進めてきた長い歴史がございます。こういう信頼関係がある中で、もしもこのリフォームセンターが今後活動をされていくとしまして、その中で地方において特定の業者や団体のみが利益を受けることのないような方策を十分考えていっていただきませんと、従来から随分長い間関係市町村の中あるいはまた近隣市町村の中で仕事をしてきた中小の大工さん、屋根屋さん、左官さん、そういう工務店の方、こういう方が仕事がなくなっていく可能性もあるのではなかろうかということを非常に心配をしているわけであります。  したがいまして、先ほど大臣のおっしゃったリフォームセンタiの少し記憶しておりますことを御質問いたしたのでありますが、その中の特定団体とそれから地域の中小業者、この関係をひとつ聞かせていただきたい、このように思いましたので、ちょっと蛇足になりましたが、質問を申し上げたわけでありますが、そういうことのないようにするためには、私の考えてありますが、地域におけるいろいろな住宅リフォームの相談所等の開設につきましては、地方公共団体がこの相談所を設置をされるということが望ましいのではないかと思いますし、地元の業者の方々も、この地方公共団体が設置をされるところの業務に対して協力支援をなさる、こういうことが望ましいのではないか、このように存じておりますが、いかがなものでございましょうか、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
  37. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  財団法人の日本住宅リフォームセンターにつきましては、さきに建設大臣から説明がございましたように、この法人の主要な事業といたしましてリフォーム、すなわち増改築のコストが新築の場合のコストに比べまして相当に高いわけでございます。それからまた一般的に使用いたします材料、設備、部品といったようなものが、通常の新築住宅の使用のためにつくられておりまして、なかなか増改築ということを主な目的とした部品というのが少ない。したがいまして、そういった新しい増改築事業に対応する技術の開発を行いながら、最初に申し上げました価格を引き下げていきたい、コストダウンをやっていきたいということ、これが一つでございます。それからもう一つは、地域に住んでいる消費者の方が増改築をやろうと思いましても、新築住宅建設の場合には、主な工務店とかいろいろな建て売り業者とかいろいろございますが、増改築、修理といったような比較的工事の高が小さいものにつきましては、工務店に頼んでも断られるとか、なかなか適当な工務店、どこに頼んだらいいのかというところがわかりにくい点がございます。それがかねがね消費者団体等から意見として出されてきていたわけでございます。そういうようなこともございまして、こういったことを一括的に国と地方公共団体あるいは消費者団体、関連団体の協力を得ながら解決をしていく団体として、この財団法人日本住宅リフォームセンターが設立されたものでございます。  そういうような趣旨でございますが、ただリフォームセンターは財団法人でございまして、全国に次第に業務拡充するといたしましても、当面は東京に本部を置きながらいろいろな技術開発を行っていく、こういうことになります。そういった事業をできるだけ全国的に周知させていくためには、いろいろな業界、団体の協力を得ながら実施をしていく必要があるわけでございます。そういうようなために、特に重要なものが工務店の団体の関係であろうかと思います。したがいまして、リフォームセンターとしては、いろいろな技術開発の成果等を情報として一般に提供いたしまして、工務店の方の協力を得ながらコストダウン等の効果を上げていくことにしておりますが、特定の団体のみを対象として、その団体に情報を提供するあるいはその特定の団体の工務店だけを増改築業者として一般に公表していく、そういうことは全く考えておりませんで、こういった情報の成果というものは広くオープンに一般に普及をしていくことを考えております。  なお、先生が御指摘の両局から通達が出たというようなお話は、計画局の関係と住宅局の関係かと思いますが、これにつきましても十分連携をとりながら、まずは一番大きな団体の御協力を得ながら、こういった成果を周知させていく。しかしながら、できるだけ早い機会に一般的なあらゆる団体と連携をとりながら、これを全国的に周知させていきたいというように考えておりまして、リフォームセンターは全くのオープンでいくという方針に間違いはございません。  それから、地方公共団体との協力の関係でございますが、先生指摘のように、増改築、修繕といったようなものは、まさに地域レベルの問題でございますから、これはきめ細かく実施をしていく必要がある。そのためにはいろいろな団体との協力も必要でございますが、やはり地方公共団体の協力を得ることが大変重要でございますので、今後ともこういった成果を、地方公共団体にも十分連絡をとりながら成果の効果を上げていきたいというように考えております。
  38. 水野清

    水野国務大臣 私からもつけ加えさせていただきますが、リフォームセンターはまだ設立されたばかりでございますので、御懸念の点もあろうかと思います。しかし、地域の小さな工務店とか不動産屋さんだけでできない仕事をもっと公益で運営をして、その中で先ほどのような流通とか買いかえとか、そういったようなものを促進したいというのが主な目的でございます。しかし、先生お話のような御懸念もまたあろうかと思いますので、今後の運営については十分よく指導をしていきたい、かように思っております。
  39. 山中末治

    ○山中(末)委員 ありがとうございました。  ついでにちょっとお聞きしておきますが、今度の予算案の中でリフォームセンターに対する予算が三千万円計上されているようであります。これの使途をひとつ簡単にお聞かせいただきたい、このように思います。それと、先ほど御答弁の中にもございましたが、消費者が安心をしてリフォームを相談できる人材の養成等も必要じゃないか、このようにも思いますし、これも答弁の中にございましたが、資材の適正価格表、こういうものもやはりリフォームを考えている国民のために適当な方法で、今の資材、こういうものは幾らぐらいですということも提供していくべきではなかろうか、このように思いますので、これらの点についてはもう少し詳しく、御計画があるようでしたらお聞かせいただきたい、このように存じます。
  40. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 来年度予算案におきまして、財団法人日本住宅リフォームセンターに三千万円の委託費で委託することとしております。その中身の主なものは、技術開発による増改築工事のコストダウン、その方法がいかにあったらいいか、こういうことでございます。なお、この委託の中で、現在行われております増改築の実態等も十分に調査をしていきたいというように考えております。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕  それから、ただいまお話のございましたリフォームにかかわります建築材料とか設備とか資材とか、そういうものの価格について消費者にできるだけわかりやすくその価格帯を表示したらどうかということでございますが、これにつきましても、このリフォームセンターが設立になりまして、いよいよ四月から本格的な事業活動に入るわけでございますが、その中で十分調査をいたしたいと考えております。ただ、価格につきましては、やはりある程度幅のある形で一般に示さざるを得ないと思いますが、そういったことで、価格についても十分増改築の工事の参考になるように一般に周知をしていきたいと考えております。
  41. 山中末治

    ○山中(末)委員 この問題については、これで質問を終わらせていただきたいと思いますが、この中で私が一番問題と考えておりますのは、年間五兆円産業と言われておりますし、新聞でも数度書かれておりますが、市町村の中にある従来からの業者、工務店、左官さん、屋根屋さん、こういう方々の仕事が圧迫されないような行政の進め方というものを特に気をつけてやっていただきたい。それと、特定の方の利益にならないように運用を十分にお考えいただきたい、このように考えます。  次に、国有地の有効利用についての問題で御質問を申し上げたいと思います。  これも大臣所信表明の中で書かれてございますが、昭和五十八年の十月二十一日に、中曽根総理を本部長とされまして、水野建設大臣、竹下大蔵大臣、細田運輸大臣の各実力大臣が副本部長になっておられますところの国有地等有効活用推進本部が設置をされました。以来数カ月経過いたしたわけでございますが、有効活用の内容、発足以来のその後の内容等につきましてお伺いを申し上げたいと存じております。  それから、最近いろいろな場所で民間活力の導入という言葉をお聞かせいただくわけでございます。この民間活力の導入ということが、この推進本部におきますところの民間活力の導入問題とどのような関係があるのか、この点につきましてもお聞かせをいただきたい、このように存じます。  私は、国民の財産であるところの国有地、これはできる限り努力を傾けていただきまして、公共の住宅用地とか公社とか公団住宅用地とか学校用地等に活用すべきだと思うからでございます。この点につきまして、まず事務局と建設省のお考え方をお聞かせいただきたい、このように存じます。
  42. 照井利明

    ○照井説明員 それでは内閣官房で国有地等有効活用推進本部の庶務をお預かりしておりますので、その活動状況につきまして、私の方から御説明させていただきます。  先生おっしゃいましたように、十月二十一日の閣議で推進本部の設置が決定されたわけでございますが、昨年の十月二十八日に第一回の会合を開いております。そこで本部長でございます総理から訓示をいただきまして、その訓示の中身といたしましては、一つには国有地等につきまして、行政財産も含めて幅広い総点検をするように、その結果、有効活用の可能性があると判断される土地につきましては、特に民間活力の導入といいましょうか、活用に重点を置いて、その事業化の具体的方策を検討するように、そういう二点について御指示を受けたわけでございます。それ以来、関係省庁にまずその国有地、国鉄用地についての幅広い総点検をお願いいたしますとともに、それにつきましてどのような形でその有効活用を図っていく進め方をしたらいいのかということにつきまして、御検討をお願いいたしまして、それらを受けまして、去る二月三日でございますが、第二回の会合を開いております。その第二回の会合におきましては、その総点検の結果、それぞれ民間活力の導入による効率的利用の可能性があると判断する土地を、それぞれ大蔵省、運輸省から御報告を受けますとともに、これらの土地につきまして、どのような進め方でこの有効活用を図っていくかという進め方についての申し合わせをいたしております。そこで「民間活力の導入による国有地等の有効活用の推進について」という形でその申し合わせをしたわけでございますが、その後、関係省庁におきまして、現在それに基づく作業の準備をお願いしている段階でございます。
  43. 吉田公二

    ○吉田(公)政府委員 民間活力の活用の問題と国有地の問題との関連でございますが、御存じのとおり、昨年の四月の経済対策におきましても、内需を中心といたしまして経済の活性化を図っていくという意味から、できるだけ民間の活力を活用していく、そのための施策を講じるということが柱になっておったわけでございます。そういった意味から、民間活力活用につきまして、行政施策の運営の面、いろいろ検討しているわけでございますけれども、国有地の活用につきましても、その一環ということで、国有地等の中で有効に民間活力を使う場として活用できるものについて考えていくことも一つの方向だというふうに理解しているわけでございまして、そのために、先ほど内閣の方からお答えありましたような線も進んでいるわけでございます。  ただ、国有地等につきましては、その位置でございますとか、その持っている何と申しますか、地理的な問題等非常に大事な空間資源でございますので、こういったものの中で公共的に使うことが望ましいということがはっきりするものももちろんあるわけでございまして、そういうものについてはそうした方向で使うことはもちろんでございますが、民間活力活用という観点から有効に使い得るものにつきましては、関係者協力しながらやっていこうという方向でございます。
  44. 山中末治

    ○山中(末)委員 今民間活力の導入の考え方はお聞かせ願えましたが、私が質問申し上げていますのは、民間活力の導入というのは具体的に何だということを御質問申し上げているわけです。ですから、民間資金を活用するという方法もあると思うのですね。それから民間の知恵を活用するという方法もあると思うのですね。それから民間に任せるという方法もあるのですね。そのうちのこの部分での民間活力の導入というのはどういうものですか、こういう御質問を申し上げているのです。
  45. 水野清

    水野国務大臣 ただいまお話がありましたように、この民間活力の導入というのは、先生の御指摘があったその三者ともに私は当てはまると思います。例えば、資金については御承知のように、日本では今国内で金融資産というものはかなり余っているわけでありまして、むしろ海外投資へ向けて、日本の金融資産は海外へ流れ出ている傾向もあります。そういうものをある程度の適正な利潤を与えて国内で投資をしてもらう、それが内需の拡大につながる、こういう面もあろうと思います。あるいは再開発等において、役所だけで設計をして、机の上だけで考えているよりは、あるいは専門のそういう業者の人たちのアイデアというようなものも入れて、しかし国公有地を利用するような場合には、特定の人たちが、特定の企業利益を独占するというやり方では、これは公平を欠くわけでありますから、そういうものは多くの人たちが参加をしてやらせる、その中で民間の知恵をひとつ拝借をする、こういう問題もあろうかと思います。  いずれもそういうものを総合的に利用してやっていくというのが民間活力の利用だと私は思いますし、今まで高度成長時代には国で税金を上げて、その税金を公共事業費として配分をして仕事をしていくということであったわけでありますが、これから日本経済の成長というのは、それほどの高度成長時代のようなものは望めないわけでありまして、どうしても西欧型の開発、再開発、私はそういったものが必要な時期に来ているのではないかと思います。例えば建設省の所管ではございませんが、このたび発足をすることになりました関西空港株式会社などは一種空港でありますけれども、そういう手法を導入した、そういうふうに考えでいいのではないか、私はかように思っております。
  46. 山中末治

    ○山中(末)委員 ただいまの御答弁をいただきまして、大臣所信表明の中での部分を引用いたしますと、「宅地対策につきましては、地価の安定に留意しつつ、良好な宅地の計画的な供給を促進するため、大都市地域中心として、公的宅地開発計画的な推進、政策金融の充実等による優良な民間宅地開発推進」、こういうふうに申し述べておられます。この趣旨のとおりに施策を進めていこうとしますと、むやみやたらに市街地の中、これも私もうお聞きしたのですが、例えば大蔵省の持っておられる候補地でございますね、これは一種、二種の住専地区が比較的多いのです。ここに高層住宅などを建てよう、これを民間の手で建てようというようなことになりますと、ここに書いていますところの良好な宅地の計画的な供給を、地価の安定に留意しつつ、大都市地域中心として、公的宅地開発等の計画推進というものにちょっと外れていくんじゃないかというふうな気が実はいたします。  それで特に、今もう大臣承知だと思いますが、大都市の中の方は宅地等が非常に高こうございますので、どうしても自分の力量に合った場所へ移転をしまして、そこから通勤等をしておられます。しかし、よく見ますと、市街地の中で比較的便利のいいところで公的住宅等が建てられますと、非常に多くの方が入居をされる、申し込みの倍率も非常に多いという現象が最近非常に出てきておるわけです。こういうことを考えていきますと、国有地等の活用については、市街地の中でも十分御配慮をしていただかなくちゃならないんじゃないか、このように実は思うわけです。  もう一つは、気にかかっておりますのは、この国有地等の有効利用の面と、それから建設省の方が、新聞等の報道によりますと、宅地開発指導要綱の是正、見直し、こういうもの、あるいはまた日照権の住民同意制度の問題の見直し、あるいはまた用途地域の変更、こういうことも見直していかなくてはならないという意向が報道をされるわけです。それとこの国有地の有効利用の問題とあわせていくと、これはちょっと心配が出てくるなというふうに思っているのは私だけじゃないと思うのです。  それともう一つ、そういう状況があるのと、民間の活力を導入するということは、全部が悪いとは申しませんけれども、逆に全方位的にいいとも考えられない。この取捨選択というものを十分お考えになってこの施策というものを進めていただかなくては、特に大都市の市民等はさらに郊外の方へ追いやられることになりはせぬか、このように心配するのであります。  そこで、先ほど申し上げましたように、公営住宅、公共住宅あるいは住宅都市整備公団の建設されるような住宅、そういうものの建設中心になってこの土地を活用していかれるべきではないか。先ほどの大臣の御答弁はよくわかるわけですけれども、その中で特に留意をしていただいて、見識の高い大臣のことですから、慎重な今後の御検討を賜りたいと存じますが、この辺の御見解はいかがでございましょうか、再度お尋ね申し上げたいと思います。
  47. 水野清

    水野国務大臣 先ほど申し上げました国有地あるいは公有地の再開発に対して民間活力を導入するということは、一企業に何か土地を払い下げて、そこで、例えば大変大きな、最近言われているような一億円もするようなマンションを建てて売ろう、そういう計画ではないわけであります。建設省が今考えておりますのは、そういうところであっても、民間企業にしましても適正な利潤は与えてやらなければ投資をしてくれませんが、過度の利潤を追求することは避けさせたい。あるいは建築する住宅にしましても、適正なものを、そんなぜいたくなものでなくて、中産階級あるいは低所得者階級の者に対しましても、そういったものをやっていきたい。しかも環境整備その他については建設省が、例えば下水の整備であるとか周辺の公園、街路の整備、そういったものに国の事業の中でお手伝いをさせていただきたい。そういったものを総合してやっていこう、こういうことでありますので、確かに先生の御懸念の点はよく理解をしておりますが、そういうふうにならないようにやっていくのが今内閣で提唱しております民間活力を導入して都市の再開発をやろう、こういうことでございますので、ひとつどうか御理解をいただきたいと思います。
  48. 山中末治

    ○山中(末)委員 ありがとうございました。今申されたような趣旨で、今後も積極的に御検討を賜りたい、このように存じます。  なお、土地のことでございまして、これはまともにやっていましてもいろいろなうわさ等が世間には出てこぬとも限りません。したがいまして、国有地の御処分、御処分先、目的等につきましては、適当な方法で国民に周知する方法もおとりいただきたいと思いますが、これは後の質問時間が少し足らなくなるように思いますので、御要望申し上げておきます。よろしくお願い申し上げたいと思います。  次に、最近私どもがお聞かせいただきました中で、中央自動車道の西宮線のうちで京都のいわゆる南インターから吹田インターまで改築をされるというお話があるわけでございます。その目的は、予想を上回る交通量の増加に加えまして、車両の大型化により区間及び時間帯によっては交通渋滞が多発をいたしまして、高速道路本来の機能である高速性、定時性等を確保することが困難になっているからだ、このように聞いております。この事業は、交通停滞の解消を図り、高速道路本来の機能を回復し、あわせて沿線の環境改善を図るため、特に交通渋滞等の著しい京都南インターチェンジから吹田インターチェンジまでの間の改築を行うと聞いておるわけでございます。  お伺いいたしたいのでございますが、この四年線の高速道路改修をされる予定の中で、最も通行車両の多い箇所で一日八万五千台の通行量だ、このように聞き及んでおります。改築の箇所の中でその次に多い箇所が一日七万四千台の交通量がある、このように聞いております。これは後で見ましたら、道路公団の大阪建設局の資料でもその数字が書かれておりますので間違いのないところだと思います。この高速道路が改築をされますと、後交通がスムーズになると私は考えておるのですが、専門家の方に聞きましても、これは建設省の方でありますが、そのようにおっしゃっています。そうすると、京都の南インターそれから吹田のインターへ来る車が多くなってくるのではないか。いわゆる名神高速の通行がうまく流れるようになればもっとインターに入ってくる車がふえてくるのではないか、このように考えるわけであります。この京都の南インターへのアプローチが、これが御存じのように、京都−大阪間の大動脈であります国道一級一号線でありますが、これが今も南インターへ通じていますが、改修をされた後も、この一級一号国道が南インターへのアプローチ道路として活用されていく、そしてなおかつ京都−大阪の交通量も非常に多い。これは今資料によりますと一日六万六千台の通行量があります。そうすると、先ほど申し上げたように、四車線の名神高速道路で一日八万五千台ないしは七万四千台の通行量で、非常に停滞を来して、もう一車線ずつ二車線をふやさなければならないという工事を着手されようとしている。そこへ行くうち一級一号国道の交通量が一日六万六千台であって、そしてその改修に伴って通行量も減ることはないだろう、ふえてくるだろう、このように予測をするわけですが、この部分がまだ全面改修されておりません。二車線のところもあるわけです。そうしますと、平日はうんと込んでいますけれども、京都競馬場の開設になりますと、ここは今でも大変なんです。そうなりますと、この名神高速道路改修をされるのはいいのですけれども、そこへ入っていくまでの道路である一級一号国道、これを何とか手をつけなければならないと思わざるを得ないわけであります。この一級一号国道の未改修部分等の改修、これはどうしても名神高速の京都から吹田までの改修に合わせて手をつけられるべきではないか。あるいはまた現状から考えますと、予算は別ですから、それよりも早く手をつけていかなければならない国道の部分ではなかろうか、このように存じますので、建設省のお考え方、これをお聞かせいただきたいのがまず第一点であります。  それからもう一つ。これは御承知のように、一級一号国道は大阪の部分の淀川の堤の上あるいは近く等を走っておるところは比較的人家もそうないのですけれども、大阪へ行き、またそれより京都へ行きしますと、人家が櫛比いたしております。これの大改修ということになりますと、今の二車線を四車線に改修をすることもなかなかできにくい、進捗しにくい場所だと思いますが、これの一つの解消方法として、主要地方道の京都守口線、そこから桂川がありますが、桂川に架橋して国道の一七一——一七一は今通行量が一日三万四千台ありますが、そこに連絡することも可能ではないか、私はこのように考えまして少し地域を調べてまいりました。  淀川の右岸側に会社がありますが、その会社の立地されている真ん中に適当な道路幅員ほどの土地が手をつけずに残されていまして、その両サイドにフェンスがつくられております用地元へ行って聞きますと、随分昔から主要地方道の守口京都線のいわゆる桂川の左岸から右岸に向かって何とか架橋をしていただきたいということで、地元の市町村がその工場が立地されるときに話をして、今その道になる部分をよけている、保存をされているということを聞かしてもらいました。これなら先ほど申し上げましたように、名神高速の大改修、もう二車線ふやされますが、その開始と合わせてひとつ建設省の方へ御提案を申し上げてもいいんじゃないか、このように存じまして、改めてそういうネックを解消するという問題もございますということをここで提案を申し上げておきたい、このように存じているわけであります。  これらの問題二点につきまして御研究を賜っていると存じますが、ひとつ御見解をお聞かせいただきたい、このように存ずる次第でございます。
  49. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 御説明いたします。  名神高速道路の京都南から吹田間を四車線から六車線に拡幅するに伴って、京都南インターチェンジの国道一号線との接続部においては非常に交通が混雑するのではないか、それに対してどういうふうに考えているのかという第一点の御質問にお答えしたいと思います。  現在この地点における一般国道一号の沿道の土地利用状況から見て、これを拡幅するというようなことは非常に困難でございます。したがって、これに対するバイパスを計画いたしまして、そのバイパスといたしましては、草津市から京都府の久御山町に至る間のバイパスで通称京滋バイパスと言っておりますが、この京滋バイパスの事業化を図っておるところでございまして、この供用はおおむね昭和六十三年を予定いたしております。これの供用によりまして一般国道の交通が相当部分これに転換していくということで、このインターチェンジの部分の交通渋滞が相当緩和されるのではなかろうかというふうに考えております。  それから、先生第二点の京都守口線を一般国道百七十一号線に接続してというお話でございますが、私、今ここで初めてこのお話を聞きましたので、持ってきました図面等で眺めてはみたのでございますが、私たち京都から大阪への交通問題を解決するために、別途第二京阪道路というのを計画し一部事業化をしておるわけでございまして、この第二京阪道路、それと名神高速道路の拡幅等によって対処していきたいというふうに考えております。
  50. 山中末治

    ○山中(末)委員 草津と京都府の久御山町とを結ぶ京滋バイパスの話は私も存じております。私は地元で、ちょうど横の町でございますのでよく存じておるわけですが、大分離れておりまして、今の一級一号より相当東の方になりますので、あれには私も協力をしておるわけですが、この一級一号の京都南インターに入る間を緩和していくとすれば、京滋バイパスヘ車を回すわけですね。今一級一号を通っている車を京滋バイパスが六十三年に完了すればそこへ回していくわけですね。必ずしも通過交通ばかりじゃない、通勤者とか商売関係とか、そういう車が非常に多うございます。今おっしゃるように、それではければこれはいいのですけれども、必ずしもそうはいかない。京滋バイパスの沿線を考えますと、ちょっとやはり宇治市の方は外れていますから、京都−大阪間の交通としては一七一と一級一号とバイパスがございますが、これに頼らざるを得ないのではないか、こう思いますと、京滋バイパスももう一本要りますけれども、今ある一級一号を何とか手をつけなければならないんじゃないかと私は強く考えているようなわけでございます。できればそういう問題、名神高速の改修とあわせてひとつ考えてみるわけにはいかないだろうか。非常に混雑しています。私ども家から東京へ出てきますのに汽車に乗りおくれることはたびたびなんです。本来なら四十五分くらいで行けるんですが、これが一時間半、二時間くらいかかる場合がざらにあります。伏見の方を回ったり迂回をして行かなければならぬということがたびたびありますので、ひとつ御研究をいただきたい、このように存ずるわけであります。  それから、橋の問題でございますが、これは第二京阪国道とおっしゃいましたが、第二京阪国道は、これも国道一級一号線よりさらに東側になりますので、これに車が殺到していくような状況にはないんじゃないかというふうに、私自身そこで生まれてそこで生きてきたわけですので、そういうふうに思うわけです。建設省としても、そういう問題で、一級一号国道の交通の停滞の問題で、京都−大阪間を走る車、それから名神のインターに入る車等が非常にふくそうして困っているということをひとつ胸の中に入れていただきまして、何らかの方法でこれの解消策をなるべく早く出していただきますようにお願いを申し上げておきたい、このように存じます。  資料がもう少しありましたら、もう少し具体的なことを申し上げることができたわけですが、質問をさしてもらえることになったのがつい最近のことでして非常に不十分でございますので、この次にはもう少し詳しく地元の事情等も申し上げて、ひとつ促進方を図ってもらわなければならぬ、このように存じますので、よろしくお願い申し上げます。  時間が二分ほど余っておりますけれども、これで終わらしていただきます。
  51. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでした。  古川雅司君。
  52. 古川雅司

    ○古川委員 去る二月二十二日の本委員会におきまして、両大臣の大変御立派な御所信をお伺いしたわけでございますが、若干御質問を申し上げたいと思うわけでございます。  殊に建設大臣の御所信では、冒頭から、最近の我が国経済課題を、物価の安定、国内需要を中心とした景気の拡大あるいは持続的な安定成長、雇用の安定確保、行財政改革の着実な推進というふうにおとらえになりまして、一方、現状としては、昭和五十九年度予算の編成に当たって経費の徹底した節減合理化を行うこと、あるいは歳出規模を厳しく抑制することというふうにお述べになりまして、非常に厳しいこれからの建設行政の運用ということの御覚悟がそこからうかがわれるわけでございますが、その中で特に、「限られた財源の中で質的な充実」ということに言及をしておられます。これはどういうことなのか。大臣一つの希望的な観測としてあるいは努力目標としてあるいは本気になってこの点にお取り組みになるのか。その辺の御所信からまずお伺いしていきたいと思います。
  53. 水野清

    水野国務大臣 今おっしゃいましたように、今年度の予算でも、公共事業費は御承知のとおり横ばい予算をようやく確保して、今、国会で予算の審議をお願いをしている最中でございます。  さてそういう中で、しかし、社会資本充実ということは非常に大事な仕事でございますし、同時に、これにまた頼って、日本経済全体として内需の拡大あるいは刺激というようなことも考えていかなくちゃいけない、そういうようなことから、この前も申し上げましたが、国の予算で、いわゆる国費で貯えないところは財政投融資資金で、あるいはそれでなおかつ貯えないところは政府保証債であるとかあるいは一部は外債によりまして資金を確保して、ともかく前年度並みという公共事業費全体としては金を確保した、こういうことでございます。  そこで、それじゃ建設省としてはどういうことをやっていくかということでございますが、やはりこういう限られた中でございますから、ある意味では制度の改善をやっていこう、あるいは拡充をやっていこう、こういうことでございます。その中では、既に当委員会で議論をされましたが、税制の改正というようなこともございますし、あるいは諸制度の見直し、例えば宅地開発その他における諸制度の見直しあるいは行き過ぎを是正させるというようなことも入っているわけでございます。  ここで一応申し上げてみますことは、住宅金融公庫の貸付条件をまず改善していこう、それから民間の優良な再開発、先ほど来山中委員からもいろいろ御議論をいただきましたが、そういったものに対しまして、適正と認められるものには、国の公共事業の中で、下水であるとか街区開発であるとか、そういったことに対する補助制度もあわせてやってやろう、あるいは都市河川の問題、これは全国的に、最近のいろんな風水害の際に各地で起こっております大きな問題として出ておりますが、こういうものに対しましても、予算を重点的に配分をしていこう、あるいは補助制度の新しい創設もしていこう、こういうことでございます。あるいは通行空間といいますか、歩道なんかも含めまして、そういう空間を地上だけでなくて、総合的に利用するような方法がないであろうか、共同溝の再認識といいますか、こういったようなものも考えていこうじゃないか、あるいは急傾斜地の崩壊対策というのが、意外にこれはどちらかといいますと都市だけでなくて地方にもございますが、こういったものに対する予算もやっていこうじゃないか、こういったようなものをそれぞれ拾い上げて、単に平面的な前年度並みというような予算配分でなくて、そこに重点を決めて施策をやっていこう、こういうことでございます。
  54. 古川雅司

    ○古川委員 この「質的な充実配慮」をしていくということについては、今大臣がお述べになったとおり、制度の中身を改革をしていく、あるいは従来行ってきた制度そのものに大きな発想の転換を求めていくという点では私も全く同感でございます。  その「質的な充実」という意味一つお伺いをしておきたいのでありますが、去る十二月二十一日に会計検査院から五十七年度の決算検査の報告が内閣に提出をされました。これは例年のことでございますが、相も変わらずここで建設省につきましても、不当事項あるいは要望事項が指摘をされているわけでございます。大きい見出しだけを見ましても、「道路や河川などの補助工事で積算過大や施工不良」あるいは「高額所得者を入居させていた公営住宅」、「安易に貸し付けられていた住宅資金」、「整備されても利用されていない宅地」あるいは「住宅用融資で建てたマンションを事務所などに転用」、こういう指摘がございまして、中に処置済みのものもございますけれども、近年の処置要求事項等が付されておりまして、こういったことを見ましても、大臣のおっしゃっている、事業の「質的な充実」を期す意味においては、こうした指摘が全く皆無になるというところまでは求めないわけでございますが、大臣としては、これまで以上に相当の御決意でこうした指摘を受けない方向に努力をされるべきではないか、これは従来と全く違った相当厳しい御決意が必要ではないかと思うのでございますが、大臣の御所信をお伺いしたいと思います。
  55. 水野清

    水野国務大臣 建設省ではかねてから所管事項の適正な執行ということについては大変努力をしてきたつもりでございます。しかし、会計検査院から少からずいろいろな御指摘を受けました。これはまことに遺憾だと思っております。  指摘のあった不当事項については、事業の目的を達成いたしますように、早期に手直し工事を施工させたりあるいは国庫補助金の相当額を返還させるという処置を講じております。また関係機関に通達を発しまして、事態の改善処置を行うなど、事業の適正かつ効率的な執行を図るように指導をしたところでございます。  公共事業に対する国民の期待というものは非常に大でございますので、今後ともに一層指導を徹底していきたい、かように思っております。
  56. 古川雅司

    ○古川委員 この会計検査院の指摘につきましては、即座に処置できるもの、あるいはまたある程度の時間をかけて処置しなければならないもの等いろいろ内容によって性格が異なると思うのでありますが、同じ指摘を年々繰り返されないように、その点をひとつ十分に御留意をいただきたいということを申し上げまして、次の質問に移らしていただきます。  以下、当面の諸施策につきまして、大臣は六つの柱に分けてそれぞれ所信をお述べになっていらっしゃいます。  第一の都市対策についてでございますが、いろいろおっしゃっております中で、最後に都市の防災構造化を積極的に推進していくということをお述べになっております。これは、この構想そのものがとてつもない膨大な構想、そしてまた時間と費用を要する性質のものであると思いますが、特に地震対策につきましては、先日来地震も多発しておりますし、昨年の日本海中部地震の被害の教訓もございます。特に、建設省につきましては、五十二年七月に文部省の測地学審議会の建設省への建議がございます。これを受けてどう対処していらっしゃるか。きょうははるばる国土地理院の院長においでをいただいております。院長に御所感を伺って、その上で大臣の御決意を伺いたいと思うのでございます。  特に、この測地事業につきましては、地震の予知に対する事業の拡充ということが叫ばれているわけでございますが、本年度予算につきまして言いますと、十六億八千百七十一万円、前年度より約五千九百万円の減になっております。この辺の取り組みについていささか疑問に思うわけでございますが、この点お述べいただきたいと思います。
  57. 田島稔

    ○田島説明員 初めに、昭和五十三年に文部省の測地学審議会が建議を出したことについての取り組みについてお答えいたします。  国土地理院は、第四次の地震予知計画の建議の趣旨に沿いまして、第三次地震予知計画に引き続き、全国における各種測量の拡充を図るとともに、短周期で土地の上下変動を精密に観測する精密基盤傾動測量が観測強化地域に追加されることになりました。また短周期で土地の伸び縮みを観測する一次基準点測量が観測強化地域と特定観測地域に新たに追加されることになりました。さらに地殻変動の連続観測が御前崎の二カ所で開始され、関東、東海地域の験潮場のレーダーとともにテレメーター化が図られたわけでございます。  次に、来年度の測地事業予算が減額になっているがということについてお答えいたしたいと思います。  測地事業は、精密測地網測量、特定地域観測、強化地域観測等から構成されておりますが、先生指摘のとおり、昭和五十九年度予算につきましては対前年度比九七%ということになっております。しかし、特に地震予知上重要な南関東、東海等の特定及び強化地域観測並びに全国を対象といたしました精密測地網測量の事業量は、前年度とほぼ同じであります。また五十九年度におきましては、験潮場における験潮自動化集中管理システムを新たに発足させる計画であります。また地震予知データ整理解析システムを五十九年度じゅうに完成させるなど事業効率化を図ることとしております。さらに五十九年度には大陸間の距離もはかれるという非常に長い距離をはかれる超長基線電波干渉計が完成することになっておりまして、これらを用いまして地震予知事業推進に万全を期する所存であります。
  58. 水野清

    水野国務大臣 先ほど来震災から都市住民の生命財産をどういうふうに守るか、建設省としてはどういう対策を立てているか、こういう御質問でございましたが、従来から首都圏あるいは近畿圏中部圏のような三大都市圏あるいは地震防災対策強化地域というのがございますが、そういうところにつきましては、都市ごとに計画期間十カ年の防災対策緊急事業計画というものを策定させまして、これを指導していろいろな計画を実行しております。  その中には、例えば公園事業、街路事業などを利用いたしまして、震災の際の避難地を設ける、また避難地へ至る避難路というものを整備する、現在相当に各地とも不十分でございますが、こういうことを十カ年計画でやらしておる最中でございます。また東京都かでもそうでございますが、関東大震災でも罹災を受けたところあるいはそれがちょうど太平洋戦争中に東京の江東地区のように大火災のあったようなところがございますが、こういうところでは再開発事業を興こしまして、都市の防災不燃化促進事業とかあるいは建築物の不燃化というようなことをやり、平屋のたくさんあるようなところを高層化して、それが同時に防火壁となって、同時に緑地をつくって大ぜいの方々が避難できる、そういうようなものを設定して、今各地で計画を続けてやっておる最中でございます。
  59. 古川雅司

    ○古川委員 これはいずれにいたしましても、非常に重大な問題でございます。ただ、こうした財政的な非常に厳しい制約を受けてまいりますと、こうした構想の進捗にも非常に支障が出てくるのではないか。それだけに建設省とされましてはひとつ大変御苦労でございますけれども、この都市の防災構造化の事業についてはさらに重点的に力を入れていただきたいということを付言いたします。  第二番目に、住宅宅地対策についてでございますが、中でも住宅金融公庫の無抽せん体制の維持及び貸付条件の改善あるいは公共賃貸住宅の的確な供給あるいは宅地対策等について言及をしておられます。先ほどの会計検査院の決算検査報告の指摘の中でも、項目だけ触れましたけれども、ここにもまたいろいろな支障が出てくると思うのであります。  最初に、住宅局長にお伺いをいたしますけれども、この住宅金融公庫の融資をふやしていくということが住宅建設を進め、景気を回復させるというふうに当然御認識だと思うのでありますけれども、この投資額が関連業種に及ぼす波及効果というものを考えますと、そういうとらえ方が当然出てくると思います。そこで今後もこの公庫融資を拡大していけば住宅建設が進むとお考えになっていらっしゃるのか。その点からまずお伺いをしたいと思います。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  60. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 住宅金融公庫の低利の資金の融資によりまして、国民に対して住宅を安定的に供給する効果は御指摘のとおり大きいものがあると考えております。したがいまして、今後とも住宅金融公庫の融資条件の改善等を図りながら住宅建設促進、特に持ち家住宅建設促進を行っていきたいと考えておるところであります。
  61. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、この住宅金融公庫についての問題点、既に広く知られているところでございますが、財政投融資の投入ということも大臣の所信の中でお述べになっておりますが、いわゆる年七・一%の財投を五・五ないし六・五という低利の融資で貸し付ける。当然その逆ざや分を国の一般会計で補てんをしているわけでございますが、財政事情が非常に逼迫をしている中で、住宅金融公庫特別損失の増大ということが住宅政策の根幹を揺るがしているということが指摘をされております。今後のこの特別損失の見通しと、その対処の仕方、この点について局長からまずお伺いいたします。
  62. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 お答え申し上げます。  住宅金融公庫は、ただいま申し上げましたように、持ち家住宅建設を行うという一般国民に対し、低利の融資をもってその住宅建設を図っているところであります。したがいまして、一般的には個人住宅建設に際しまして五・五%の低金利で融資を行っております。しかしながら、資金といたしましては、現行七・一%の財投資金を借りまして、それで五・五%の融資を行っておりますので、御指摘のとおり逆ざやの現象があるわけであります。この分が利子補給金の増大となっておりまして、昭和五十九年度の予算におきましては、本来補給金として三千七百七十六億円の補給金を必要としております。こういった状況は、今後とも事業の拡大あるいは近年における金利水準の高度化等によりまして、この本来の補給金の増大は続くものと考えております。
  63. 古川雅司

    ○古川委員 この住宅金融公庫だけではなくて、他の特別会計など九機関で五十九年度の赤字が三兆円に達するということは既に指摘をされているとおりでございますが、この公庫融資の存続という立場考えてまいりますと、この補給金の確保ということについては、今局長が御答弁になったようなそういう見通しで確かなのか、大丈夫なのかということが一つ懸念をされます。  あわせて、繰り上げ償還の奨励といいますか推奨であるとか、あるいは補給金の減額に対する対策について検討をすべきではないか、あるいは既に検討していらっしゃると思うのでありますが、その辺をもう少ししっかりと御答弁をいただきたいと思います。  局長の御答弁の後に、これは大臣にお伺いしておきたいのでありますが、この金融公庫につきまして、公庫内部あるいは大蔵省の方から金利の引き上げも必要だという声が上がってきていると伺っておりますけれども、建設省として、また大臣としては、これをどう受けとめていらっしゃるのか、これにどう応じていらっしゃるお考えであるか、その点をお伺いしたいと思います。
  64. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 住宅金融公庫の補給金は、ただいま申し上げましたように、近年の借入金利の高水準化あるいは事業の拡大等によりまして次第に増大はしておりますが、昭和五十七年度に段階金利制あるいは規模別金利制の導入を行いまして、これによりまして、当面補給金は増大はいたしますが、中長期的には安定するものと見込んでおります。しかしながら、当面の補給金の増大に対処していくために、私ども、住宅金融公庫と一緒になって、例えばただいま先生の御指摘のございましたような繰り上げ償還の促進を図る方策でありますとか、その他いろいろの方策につきまして勉強をしているところでございます。  なお、公庫の貸付金利について、逆ざや解消のために金利の引き上げを図ったらどうかというような御質問でございますが、これにつきましては、ただいま申し上げましたように、既に五十七年度、段階金利制の導入で、十一年目以降は政令で定める金利ということで、ほぼ財投金利並みにその金利を引き上げるという措置を導入いたしております。したがいまして、現在の情勢から見て、逆ざやの解消のため直ちに金利を引き上げることが妥当かどうか。これは国民一般に持ち家住宅建設のために非常にすぐれた効果を発揮している政策でございますので、この点につきましては、諸般の検討が必要であると考えております。
  65. 古川雅司

    ○古川委員 大臣にお答えいただく前に、誤解があるといけません。金利を引き上げたらどうかと私は伺ったのではなくて、そういう声が公庫の内部にあるいは大蔵省筋から非常に強く働きかけられている、それに対してどう対処するのか。この制度の趣旨については、先ほども大臣が繰り返しお答えになったとおりでございますから、そのためにも、これに対する金利を引き上げてはどうかという周囲の圧力といいますか、そういう意向に対して、大臣のしかとした御所感を伺っておきたい、こういう意味でお尋ねをしたわけでございます。大臣、ひとつよろしく。
  66. 水野清

    水野国務大臣 今財投金利に対して利子補給をして、五・五%という金利は非常に安い金利でありますが、しかし、国民に多くの住宅を提供しているという社会的な意義というのは非常に大きいと私は思います。建設省の、特に住宅政策の柱としてこれをやっているわけでありまして、若干段階的な金利制度を、十一年目から上げていただくというようなそういう制度も併用しているわけでありますので、いろいろな御議論はあろうと思いますが、この基本的な政策というものは続けていかなければいかぬ。これが国民の多くの方々に家を持たせ、平和な家庭をつくらせるという基本になっていると思いますので、続けてやっていきたい、かように思っております。
  67. 古川雅司

    ○古川委員 先へ進ましていただきますが、宅地対策につきまして「地価の安定に留意しつつ、良好な宅地の計画的な供給を促進する」という点でございますが、住宅都市整備公団に、宅地のいわゆる賃貸をしてはどうかということについて、ひとつお伺いをしたいと思います。  先ほど来お話がございましたとおり、国民の持ち家志向というのは非常に強いわけでございます。その最大のネックは、やはり高い用地費でございます。そこで住宅都市整備公団が長期の賃貸方式によって宅地の供給を行ってはどうか。これは現行法である住宅都市整備公団法では、造成宅地を賃貸できることになっておりますし、法律的には何ら問題もないというふうに私は認識をいたしておりますが、この点について御検討であれば、ひとつその点をお示しをいただきたいと思います。この点を申し上げるメリットがたくさんあるわけでございますけれども、それについてはあえて私、ここでは触れませんので、簡単に御答弁をお願いいたします。
  68. 台健

    ○台政府委員 公団公社等の公的主体による分譲宅地の供給は、良質かつ低廉な宅地を供給する上で、非常に重要な役割を果たしておりますので、私たちとしましては、今後ともその円滑な供給を推進してまいりたいと考えておるわけでございます。  御指摘の賃貸方式につきましては、公団自身が買収して分譲する方式と比べますと、投下資本が寝てしまいまして、同じ事業費では供給量が大分減ってしまうということ、それから賃貸料が相当高額になるのではないかということ、それからもう一つ、宅地を賃貸方式で取得したいという需要動向がまだひとつはっきりしないというデメリットもございますので、実行するまでにはいろいろ検討すべき問題が多いと思います。ただし、公団。自身が借地権を取得して、それを転貸するという借地方式につきましては、信託方式とあわせまして、既に民間でも一部実施されている方式でもございますので、鋭意検討中でございます。
  69. 古川雅司

    ○古川委員 この点につきましては、また後日詳細にお伺いをし、御検討をお願いしていきたいと思っております。  付随した質問になりますが、最近、いわゆる住まいのモラルに一つの新しい問題を提起しているものとして、ワンルームマンションの問題がございます。いろいろ状況等の説明をいたしますと、長くなりますので、結論だけをお伺いいたしますが、これは建設反対の同盟も結成されておりまして、一部社会問題にもなっておりますし、そうした働きかけが自治体に対して行われておるわけでございますが、現状では建築基準法に適合しているということ、あるいは小規模であるというために、非常に規制にかかりにくいということが指摘をされております。建設省としては、この問題についてどう受けとめ、これから善処をしていくお考えであるか、御答弁をお願いいたします。
  70. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 御指摘のいわゆるワンルームマンションに関しましては、問題とされている事項が多様にわたっております。例えばその建設の態様が、建設されている地域によりましていろいろ多様であるということ、それから供給されている住宅規模が非常に小さいものもございますし、あるいは比較的規模が大きいものもございます。また地域周辺の住民との関係が非常にトラブルを起こしているところとそうでないところといろいろございますが、その入居者がどこから入ってきたのかという原因を調べてみますと、全体の半分近くがいわゆる木賃アパートに居住していた若い人たちが入ってきておるというようなデータも見られます。そういうようなことから、住宅政策上必ずしもこれが全く否定されるべきものでもない。しかしながら、地域住民とのトラブルが非常に多いことは事実でございますし、また第一種住居専用地域等通常二階建て以下の低層住宅地として考えられている地域に、三階建てないし四階建てというようなアパートを建設しているという状況もございますので、こういうような実態の把握に今後十分努めながら、地方自治体による対応を見守っていきたいと考えております。やはり周辺住民との調和が図られること、それから維持管理、特に管理の面を十分に行うことというようなことが重要ではないかというように考えております。
  71. 古川雅司

    ○古川委員 大変意地の悪い聞き方になりますが、自治体の対応を見守っていくということは、建設省としては何ら直接手をおつけにならないという意味でございましょうか。
  72. 松谷蒼一郎

    ○松谷政府委員 ただいま申し上げましたように、住宅供給のあり方としては、木賃アパートの居住水準に比べれば、やはり一定の居住水準を確保しておるというように考えられます。それとその周辺住民との対応の仕方が地域によって非常に異なっておる、多様な実情にあるということ、それから現行の建築基準法等の法規には一応適合をしているということ、こういうようなことで、これにつきまして早急な措置を図ることは適切でなく、実態を十分に把握をいたしまして、適切な措置をとっていきたいと考えておるところでございます。
  73. 古川雅司

    ○古川委員 この点につきましては、ひとつその実態を掌握されて、これに対する対応について十分御検討いただいた上で、またぜひ御報告をいただきたいと思うのであります。  第三番目、国土の保全と水資源の開発についての項目でございますが、ここで一つお伺いをいたしたいのは、本年一月二十六日最高裁は大東水害の訴訟についての判決を下しました。その中で、河川災害に対する行政の公的管理責任を極めて限定的に解釈をしながら、最近の財政状況による河川整備事業の投資額の推移から、目標の大幅な低下が予測されているわけでございますが、この大東水害訴訟の判決がいわゆる他の水害訴訟にどのように影響をしていくか、その点の御認識、特に公共事業における治水事業の比重がこのことによって非常に重くなってくるのではないかというふうに考えるわけでございますが、そのこととあわせて、水害の被災者救済制度、いわゆる水害保険の検討についてさらに強力にお進めになるお考えはないかどうか。  この二点をお伺いしたいと思います。
  74. 水野清

    水野国務大臣 大東水害の訴訟の最高裁判決がほかのこういう種類の裁判にどう影響していくか、これは司法の問題でございまして、私が申し上げる立場にございませんし、これはまた別の機会に、ひとつその関係者からお聞きいただきたいと思いますが、今回の大東水害訴訟判決について、建設省考えておりますことを少し申し上げてみたいと思います。  これは判決文にもございますとおり、河川というのは、公共事業費配分については河川、道路、こうやっておりますが本質的に非常に違うものがある。それはなぜかといいますと、道路は人為的なものであって、河川は自然発生的な、しかし、公共物であることは間違いないが、自然的なものである。洪水というものも大昔からあったものでありまして、もちろん最近人為的なものもありますが、ある程度の危険性というものを内包しておるということは裁判の判決文でも認めているわけであります。そこで治水事業実施するに当たっては、あの判決文にもございますが、財政的な問題、技術的な問題、さらに社会的な制約というものもあるということを認めているわけであります。また道路と違って一時的に閉鎖をしてほかに迂回をしていけといっても、これは水でありますから、それもできない。こういったような河川管理の特質といったものを認めておるということについては、建設省としても主張が通った、こういうふうに思っておるわけでございます。  しかし一方では、それで建設省は胸を張って我々は勝訴したということだけでいいということか、こういうことになりますと、これはまた別の問題でありまして、河川管理の本質を裁判所で認めていただいた。また治水事業を進めていくに当たってはいろいろな制約があるということも認めていただいた。これは大変ありがたいことでありますが、治水事業が現状でいいのかということとは別問題でありまして、これを無原則に追認したとも思っておりません。判決文は判決文として、治水事業というものをもっと伸ばして、国民生活を危険から守るということについては、今後とも建設省を挙げて努力をしていかなければいかぬ。一種の自戒でありますが、私はそういうふうに裁判の判決を受けとめておる次第でございます。
  75. 古川雅司

    ○古川委員 ただいまの大臣の御答弁は非常に重大な意味を含んでおると私は思います。伺っておきます。  この河川の整備事業と並んでいわゆるダムの建設についても、これは大前提になってしまいますが、いわゆる財政上の制約がこれから非常に厳しくなっていく。そういうことの中で、ダム建設の需要に対して建設を進めていくスピードがこれからどうなっていくか。たまたま私の地元に長期間の住民との対応でさまざまな経緯のありました江の川水系の灰塚ダムの建設がございます。地元、県といたしましても、また建設省においても非常に御苦心を重ねてこられたわけであります。ようやくめどがつきかけてまいりました。この建設促進につきまして、なおまた住民との対応に問題が残されておりますし、工事進捗については、先ほど申し上げた財政的な制約ということが大いに心配になるわけでありますが、これを一例に挙げて、今後のダム建設についての概要をお示しいただきたいと思います。
  76. 井上章平

    井上(章)政府委員 先ほど先生から御質問のございました水害保険につきまして補足説明をさせていただきたいと思います。  水害が発生した場合の被害者救済につきましても、私どもは非常に重要なところであるというふうに認識いたしております。したがいまして、建設省としましては、従来から洪水等による住宅、家財等の個人の財産上の損害を補てんするための水害保険制度につきましていろいろ調査検討してまいってきております。ここでいろいろ出てまいりました問題点は、一つには水害発生地域に相当な隔たりがあるということでございます。そのために危険度の高い者のみが保険に加入するという可能性が高いわけでございます。また一たび水害が起きますと、その被害が非常に広範にわたりまして、被害額が巨額になるということが考えられるということでございます。これらのために、民間ベースの水害保険制度にはにわかになじみにくいという問題がございます。ただ現在、風水害に関しましては、昭和三十四年の伊勢湾台風を契機として、昭和三十六年から民間の損保会社によります住宅総合保険等が発売されておりまして、その内容も逐次改善はされてまいってきておりますが、なお被災者の立場から見ますと、十分な補てんとはなっていない現状でございます。これらの状況を踏まえまして、水害保険制度についてさらに一層検討を進めてまいる所存でございます。  それから、次に御質問のございましたダムの建設でございますが、治水事業あるいは水資源開発という立場から見まして、ダムの建設は非常に重要な問題でございます。ただ、ダムが山間の山合いに、狭隘な地域に築造されるということから、水没家屋が非常に多いということ、あるいはその地域にダムが建設されることによりまして非常に大きな社会的な影響をこうむるといったような問題があります。そのために、その地元の御理解を得、御協力を得ますためには相当の年月を要するのが通例となっております。現在、私どもで進めておりますダムについて見ますと、直轄あるいは公団で施行しておりますダムで見ますと、全体で九十ダム着手いたしておりますが、そのうち十三ダムがそういったことで地元の御協力が得られないままに停滞しておるというところでございます。また都道府県の実施しております補助ダムにつきましても、全国で二百三ダムございますが、そのうち十二ダムが同じような事情にございます。  灰塚ダムでございますが、これにつきましては、昭和四十九年に建設省の直轄事業として実施計画調査に着手したものでございますが、現在のところ、まだ地元関係者の理解が得られないために、現地の立入調査には至っておりません。ただ、昭和五十八年七月に島根県西部に大水害がございまして、それを契機に本ダムの促進の要望が非常に高まってきております。こういう状態をとらえまして、建設省といたしましても、広島県等の御協力を得て、関係者の御理解を得るとともに、水没関係者への生活再建対策あるいは地域整備計画について検討を一層進めまして、早期に地域関係者の理解と協力を得て、事業促進を図ってまいる所存でございます。
  77. 古川雅司

    ○古川委員 これは次の第四項目の道路整備と非常にいろいろな関連があるので、道路の問題についてもあわせてお伺いをしていきたいわけでございます。  道路事業においては、公共投資の抑制が続く中で、前年度並みの実質事業量を確保するために非常に御苦労をしていらっしゃる、いろいろ手段を講じていらっしゃるわけでございますが、まず第一点は、有料道路事業への傾斜がそうした状況の中で目立ってきているのではないかという点。そういたしますと、日本道路公団昭和五十九年度の予算の内訳を見てまいりますと、非常に問題があるのではないか。支出では、建設費が三四・二%、維持管理費が一〇%、借入金の元利払い、業務外支出が五五・八%となっておりまして、元利払いの金額が建設費をはるかに上回るという状況になってきている。こういった点につきまして、これからの対応が非常に大事になってくると思うのでございますが、それをどうお考えになっていらっしゃるか、その点が一つ。  それから第二点は、一方、一般道路事業においても、用地取得済みの箇所を優先的に着工するとかあるいは小規模の改良事業をふやしていわゆる数をこなしていく、そして事業量を確保していく、そういうことをずっとお進めになってまいりましたけれども、これも限界が見えてまいりました。そうした状況の中で、道路整備を強力にお進めになって以来二十年ないし三十年という歳月が経過をしているわけでございまして、道路の傷み、老朽化が目立ってきたわけで、それだけ維持修繕費というのが急激に増加をしつつあります。そうした中で、極端に申し上げれば、いわゆる新規採択事業箇所がだんだん減っていくのではないか、将来それをゼロということも想定をして考えなければならない時代に入ってきているのではないかということが一つ指摘をされるわけでございます。先ほどの水資源の確保、いわゆるダム建設についても、住民の意見にどう対応していくかということが一つの問題になりましたが、道路事業におきましても同じことが言えるのではないかと思います。  これも例えを一般国道二号線の三原バイパスにとってみますと、これも昭和四十六年以来非常にたくさんの経緯がございます。今日に至りましてもまだ一本年の初頭におきまして、ルートの発表をして縦覧をいたしまして、住民の意見書が寄せられて、今地元の三原市また県において鋭意これを検討しているところでございますが、こうして既に長年を経てきているにもかかわらず、一面からは非常に慎重を期すということも評価はできるわけでございますが、こうした住民の意思というものも非常に多様化をいたしてきております。  しかも、そうした財政事情の中で、新規採択事業量が次第に減っていくという傾向の中で、こうした住民の意思が述べられる、住民の意思が表明されるということが、ますますその事業の採択をおくらせる一つの口実になるのではないか。これは財務当局においても、表面的にはそういう言い方はできないでありましょうけれども、そうした傾向をたどっていくのではないかということが一つ懸念をされるわけでございます。平たく言えば、住民の皆さんがルートやあるいは環境問題を心配して意見を述べ、あるいは一部にそうした反対の強力な意見が出れば、それを一つのてこにして、ますます道路整備、渋滞、ネックの解消にブレーキがかかり、結局はこれは取り残されていくということになるのではないか、こういう心配があるわけでございます。  長々と質問を続けてまいりましたけれども、この三原バイパスの現状を一つの例におとりいただいて、今後の道路行政について、その辺の問題点について確たる御答弁をいただきたいと思うのでございます。
  78. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 第一点の、日本道路公団の支出内訳の中で金利等の支払いがふえているようだが、こういうことが有料道路を大幅に今まで延ばして道路事業全体の事業量を確保してきたものの隘路となっていくのではないかという御指摘でございますが、日本道路公団実施しております有料道路事業は、借入金等により建設し、利用者からの通行料金により建設費、維持管理費及び利息などを償還することといたしておりまして、現在のところ、建設中の道路も多いので、借入金が多額となり、金利の支払いが増加しておりますが、これらの道路が逐次供用されていくことにより、長期的に見れば十分償還可能であると考えております。なお、今後とも高速自動車国道及び一般有料道路整備等、採算性の確保についての道路審議会答申などを踏まえ、一般道路事業との調整及び暫定施行による建設費の節減等により、有料道路事業の採算性の確保に努めていきたいと考えております。  それから二番目の、道路の維持修繕費がふえる傾向にあり、全体の予算がふえないとすれば、新規には制約がかかってくるのではないかという御指摘でございますが、道路を良好な状態に保全し、安全かつ円滑な道路交通の確保と沿道の生活環境の保全に資するための維持補修は、道路整備の中でも最も重要な課題だと考えております。このため、昭和五十九年度におきましては、維持補修にかかわる施策に関しては優先的に必要経費を確保することとし、一般道路の場合対前年比一・〇一の二千九百七十七億円の事業費を計上しております。一般道路事業費全体で対前年比〇・九八と二%減しているその中で、維持補修費が対前年比を上回るおけで、それを先取りする結果、一般道路の改築費等は対前年比をかなり下回ることとなります。しかし、この中でも継続事業の完成はできるだけ遅延しないよう、先ほど大臣からもお話のありましたところでございますので、どうしても今後一般道路事業の新規着工は抑制をせざるを得ないことになると思います。しかし、財投あるいは民間資金建設資金とできます有料道路の活用によりまして、この制約をカバーしていきたいと考えております。  それから、三原バイパスの件でございますが、これにつきましては、一般国道二号三原バイパスは、三原市街地における現国道の交通混雑の緩和と交通安全の確保を目的として計画された三原市糸崎町から三原市新倉町に至る延長九・九キロメートルの道路でありまして、本バイパスは昭和四十六年度に事業化されましたが、沿道地域において環境問題に起因する反対運動が起こり、その後ルート及び環境対策について一部見直しを行い、昭和五十七年に三原市と協議の上、新しい計画を確定し、以来広島県三原市において都市計画決定のための手続を進めており、現在までに地元説明会、都市計画案の縦覧が完了いたしております。一方、環境問題に関して広島県都市計画審議会に設けられました三原バイパス環境影響評価調査専門部会で審議が行われております。道路整備に当たりましては、道路の現況、交通状況等に加えて事業進捗状況、地元情勢等を総合的に判断して事業実施しているところであります。三原バイパスについては一般国道二号のバイパスという大変重要な道路でございますので、地元の方々の同意を得つつ、今後都市計画の決定を待って事業の進展を図ってまいりたいと考えております。
  79. 古川雅司

    ○古川委員 局長の御答弁に対していろいろ申し上げたいことはたくさんございますが、きょうは時間の関係で後日に譲らせていただきます。  ただ、私の今御質問申し上げた最後の段で、住民のいろいろな非常に多様なそうした意思に対応していく仕方が非常に難しくなっていくのじゃないか、さらにそうした住民の声が出ることがいわゆる事業をおくらせる一つの口実にならないかという心配の点、その点についてだけひとつ一言御答弁をいただいておきたいと思います。
  80. 水野清

    水野国務大臣 今道路局長からいろいろ申し上げましたが、まず道路公団の問題につきましては、私も、先生の仰せのとおり、着任以来道路公団全体としての企業採算性といいますか、もうけることの必要はございませんけれども、少なくとも将来道路公団という企業体が大きな赤字をつくってしまうというおそれはないだろうかというようなことについて関係者と話し合ってみたわけであります。その中で、確かにそういう危惧もございますが、現在は非常に投資の多い段階であります。それからまた、これから新しい路線を設定して着工命令を出して高速道路をつくっていくわけでございますが、そういう場合に、やはり採算性というものもあわせて、単に高速道路の延長を、延ばせばいいというだけでなくて、一つの総合的な判断というものも必要ではなかろうかということで関係者に私は指導をしている最中でございます。  それから、地方道につきましては、今道路局長から申し上げましたように、来年度の予算につきましても五十八年度よりは若干下回った。しかも維持補修費が非常にかさんできて、だんだん新しい事業着工がしにくくなってきたというのは全体の傾向でございますが、さりとて、やはり地方道の中で国道、県道から派生的に非常に渋滞しているものがあったりするような場合には、それは重点的に予算をつけさせて住民の要望にはこたえていきたい、かように思っておりますので、総合的にひとつやってまいりますので、その点は長い目でひとつ御理解をいただきたいと思っている次第でございます。
  81. 古川雅司

    ○古川委員 第五の柱の建設産業、不動産業の振興等に関連をいたしまして、今日まで大変たくさんの議論がございました。去る二月二十一日に公表されました公正取引委員会の「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」いわゆるガイドラインについてでありますが、先日来の建設省の御答弁を伺っておりますと、どうももう一つはっきりしない感じを受けるわけでございます。これは既に述べられておりますとおり、建設業団体の活動に対して一定の理解を示したというふうに受け取られておりますし、なおかつ大事なことは、業者の談合という行為に対して公正取引委員会の厳しい姿勢を求めた国民の期待に反するというとらえ方も非常に強いわけでございます。その点、建設省としてはこの受けとめ方についてもう少しはっきりと態度をお示しいただかなければならないのではないか。今後議論も多々あると思いますけれども、この件に関して、従来建設省が行ってこられた通達であるとか指導であるとか、そういったものをこの際撤回あるいは変更をしていくというところまで受けとめていらっしゃるのか、ただ単にこのガイドラインを示されたということで、当分見守っていくという御姿勢なのか、その辺をひとつ明確にしておいていただきたいと思います。
  82. 台健

    ○台政府委員 事業者団体の活動に関します独禁法上の指針といたしましては、五十四年に企業種を対象といたします一般的なガイドラインが出されているわけでございますが、このたびのガイドラインは、建設業における事業者団体の活動につきまして、現行独禁法の枠内で適法と認められる範囲を示したものでございまして、公共工事に係る建設業の特殊性を勘案いたしまして、計画的な事業実施あるいは経営の合理化等のために必要な事業者団体の諸活動につきまして、原則として独禁法違反とならないものを明示いたしておりますので、公正取引委員会が従来から行っております事前相談制度と相まって、今後事業者団体の適正な活動に資するものとして私たちは受けとめております。  また、建設省といたしましては、かねてから刑法を初め関係法令を遵守し、適正な活動を行うように建設業者団体を指導してきたところでございますが、今般公表されたガイドラインは、独禁法上適法な行為の範囲を明らかにしたものでございまして、建設省の従来の指導方針に影響を及ぼすものではございません。建設省といたしましては、建設業界において、このガイドラインを正しく理解し、国民理解と信頼のもとに適正な活動を展開するように、さらに指導いたしてまいる所存でございます。
  83. 古川雅司

    ○古川委員 大臣から。
  84. 水野清

    水野国務大臣 ただいま事務当局から申し上げましたように、このガイドラインにつきまして、今までの建設省の指導方針と大きく変わるところはございません。しかし、このガイドラインを非常に正しく理解をしてもらって、何かこのガイドラインが先生の御指摘のように、業界が談合をやっていいとかなんとかという甘えた理解をされては大変困るわけでありまして、談合といいますか、情報交換をするということの範囲が非常に問題でありますので、そういうことを正しく理解をして、やはり業界全体の発展のために調和のとれた活動をしてもらうように指導していきたい、かように思っております。
  85. 古川雅司

    ○古川委員 お約束の時間が過ぎてしまいまして大変恐縮でございますが、もう一問だけ少々時間をオーバーすることをお許しをいただきたいと思います。  建設省建設大臣にいろいろ御所見を伺ってきたわけでございますが、大臣の所信は国土庁長官にも伺っているわけでございまして、国土庁にも一つだけお伺いをしたいと思うのであります。  第五番目の柱に立てていらっしゃる地方振興の推進について、その中で大臣は、いわゆるテクノポリス構想と、もう一つ「新産業都市、工業整備特別地域などの建設整備を引き続き進めてまいります。」というふうに述べていらっしゃいます。この点に関連をいたしまして、若干お伺いをしたいのでございますが、一つは、これも私の方の地元に関連をいたします備後の工業整備特別地域に関連をしてひとつ御答弁をいただきたいと思うのでございます。  第三次の基本計画、これを完全に進めていかなければならないということが一つございますが、この点に対する御所見。  二番目に、財政上の特別措置を六十年以降も引き続いて実施していくお考え、これには備後にかかわらず各地から非常に強い要請がありますが、この点についてのお考え。  さらに、新しい四全総の策定に当たって、いわゆる定住構想の中核となる地方都市整備方策の一環として、ここに大臣の述べていらっしゃるように、新産業都市あるいは工業整備特別地域を明確に打ち出していくお考えをどのように持っていらっしゃるか、この点についてお伺いしたいと思うのでございます。  さらには、この備後の工業整備特別地域、いわゆる備後工特につきまして、一部には一定の役割を終わったんだという声も聞かれております。その点に地元は非常に不安を感じておりますし、またそれぞれが非常に構造的な不況産業の中に組み込まれておりまして、これまでの一定の評価は評価として、さらにこの活性化のためには、引き続き政府の非常に強力な事業促進が要求されるのではないか、このように思うわけでございますが、この点についてもお伺いしてまいりたいと思います。  非常に短時間で御答弁をいただくので恐縮でございますが、また後日機会を改めて詳細にお伺いしていきたいと思っております。  以上でございます。
  86. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 細部については振興局長の方から御報告いたします。  ただ、問題の点として、国土庁は御承知のように、この狭い国土をやはり豊かでしかも住みやすい環境づくりをする、こういう基本的な方針でございまして、そういう意味からテクノポリス、これは地方の経済の活性化を図っていく、こういったことでテクノポリスという新しい制度をつくり上げたわけであります。  それから、地域工業の問題でございますが、これは精力的にやっていく必要がある。今申し上げましたように、何としてもやはり過疎の対策過疎地域を振興させていくという基本的なものがございまして、三全総等々の問題も多少時間がたっておりまして、そういう意味から新しく四全総をつくりまして、それは引き続きやっていかなければならぬ、こういうふうに考えております。  あと細かい問題については振興局長からお答えをさせます。
  87. 川俣芳郎

    ○川俣政府委員 補足して答弁をさせていただきます。  備後工特地区の評価と課題というお話でございますが、これは実は新産地区も工特地区も共通でございまして、現在五十六年から六十年までの第三次の計画に基づきまして、生産基盤あるいは生活基盤の整備に努めておるという状況でございます。他の地区にも共通の課題なんでございますけれども、主として臨海部にあります工特、新産地区の場合、素材産業型の企業が張りついておりまして、構造的な不況に見舞われておるという状態があるわけでございます。したがいまして、これらの地域につきましては、既に第二次、第三次の基本計画の段階から、加工組み立てでございますとかあるいはエネルギー型の企業を導入をするといった目標を立てて鋭意努力をしておるわけでございます。備後地区につきましても、そういった目標が立てられておりまして、最近ではLSIを製造いたしますシャープの工場が来ているといったようなことは、そういった新しい展開への第一歩じゃないかというふうに考えておるわけであります。  財政上の特例措置につきましては、これは昭和六十年度末で期限が参ります。新産地区も工特地区も同様でございます。これらにつきましては、六十一年度以降の新産地区、工特地区の全体のあり方についてどのようにしたらいいか、実は私どものところで有識者の方に集まっていただきまして、懇談会も開いておるところでございまして、そのような懇談会の御意見なども踏まえながら検討をしてまいらなければならない課題であると考えておるところでございます。
  88. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  89. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 午後二時十分より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後一時十七分休憩      ————◇—————     午後三時三十一分開議
  90. 浜田幸一

    浜田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。井上泉君。
  91. 井上泉

    井上(泉)委員 国土庁長官にお尋ねをしたいと思います。  国土庁長官は二度の務めで、自民党の中でも二度大臣をやられるということはよほどの手腕、力量、識見のある方でないとなかなかならぬと思うので、その点も、いろいろマスコミで話題になる方ですけれども、確かに政治の場ではベテランではないか、かように思うわけです。そうでありますならばなおさらのこと、国土庁というものが何かいつでもやめてもよい役所のような位置づけ、これは私が数年前に建設委員会におったときからもそういうことが大分論議をされておったわけですが、国土庁長官となられて、国土行政基本施策に関する国土庁長官所信表明というのが立派に書かれてあるわけですが、これは大臣がかなり筆を加えたものか、それとも官僚が書いたものを大臣はああよかろうよかろうということでおさめたものか、大臣としてはどういう特色を出したのか、その点をちょっと伺いたいと思います。
  92. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 一番嫌なところを聞かれたですね。そこで、この場ですから、ほとんど私が筆を入れて書き上げたものでございます。
  93. 井上泉

    井上(泉)委員 それで、筆を入れた以上は、特に力点を置いた——全部力点を置いた、こう言っておるわけですけれども、しかし、この限られた予算の中、そしてまた一つの与えられた役所の縄張りの中で、これを一番やりたい、これを稻村長官としては、国土庁長官としての在任中にこうしたい、そういうものがあったのではないかと思うわけですが、その点はどうですか。
  94. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 私、就任に当たりましてどうしてもなさなければならぬという問題、国土庁としての一番大きな目玉というのは、どうしても地域の格差をなくしていく、住みよい国づくりをしていくということでございまして、できるだけ過疎過密の調整をやっていきたい、そのために必要という問題になってまいりますと、まず国土庁では、昭和四十九年発足したわけでございますが、そのときに第三次全国総合開発計画策定推進、それから地価の安定と適正な土地の利用の確保、それから水資源対策推進、大都市地域整備、過疎、離島地域対策など地方の振興、災害対策推進などの各般の施策を、今申し上げたこの六つの柱を精力的に進めていく必要があるのではないか、こういうふうに思っております。
  95. 井上泉

    井上(泉)委員 僕のところは高知県ですから過疎の地域ですが、この国土庁が発足をして、全国総合開発構想、三全総、そうしてまた田園都市構想とかいうようなことで、国土庁に期待をする地方自治体の関心というものはかなり強いものがあるわけですけれども、しかし肝心かなめのそれを裏づけするような過密過疎に対する対策というものが、確かに私は国土の均衡ある発展上不可欠な問題だと思うわけですが、それを裏づけするような、過疎地に対してどういうふうな仕事をするのか、持ち込んでいくのかということについての具体的なものが何一つない、こう言っても過言でないわけでございます。高知県だけが落ちこぼれをしておるとは私は思わない。どこの地域へ行っても過疎地域のところは、大半のところが過疎を嘆いておるし、地域開発を訴えておるわけですから、これは私はどこの地域もそうだと思うわけです。そういう現状というものを大臣は認識をしておられるでしょうか。
  96. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 それはよく承知をしております。今お説の問題でありますが、国土庁には外郭団体、特に地域振興整備公団がございまして、できるだけ過疎過密のこういったことを図るという意味から、やはり立地という問題が大事でございまして、そういったものをその公団によって推進をしておるわけであります。  そういう意味から具体的に申し上げますと、これが一番具体的に、まず過疎に対して立地の張りつけをやっていく、こういうことから考えていかなければなりませんし、特に今度テクノポリスですね、産学住というか。特に過疎地域の問題において一番大きな問題は、やはり教育、産業、これが私は一番大きいだろうと見ておるのです。そういう意味から、産業におきましては、新しい一つの先進的なそういうものを含むところの工業の立地等々を考えていく。おのずからそこに必要になってくるものは水でございましょうし、また住宅でございましょうし、そして一つ一つできる部分から過疎対策ということに全力を注いでまいりたいと思います。  これは将来、各党にもお願いするということになると思いますが、過去においては離島振興あるいは沖縄開発あるいは北海道開発、今度は国土軸から離れておるところの半島、こういったところは社会経済的にも遠く離れておりまして、道路整備等々も大変おくれておる。こういうような関係から、きょうは自民党の総務会で、調査会をつくるという提案がされたようでございまして、国土庁としても、この党の調査会に我々も協力をさせていただきまして、全力を挙げて過疎対策のために努力しなければならぬな、こういう感じを持っておるわけであります。
  97. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣所信表明も文章としては非常に美しい言葉でずっとつづられておるわけで、これを大臣が書かれたとすれば、大臣は文学者的な要素もあるな、私はこういうふうに思うわけです。「地域の花と緑、自然や伝統を生かした魅力ある町づくり、」本当に立派な言葉です。この立派な言葉を具体的に実行するためにはどうするのかということが、やはり大臣としての任務だと私は思うわけです。  そこで、国土庁の官房長にお尋ねするわけですが、大臣がかわって何か変わったあれがあるんですか。
  98. 石川周

    ○石川(周)政府委員 大臣におなりになる方々は大変な識見と力量をお持ちの方々ばかりでございますし、そのときどきの大臣の個性によりまして、役所というものは非常に大きな変化がございます。稻村大臣がおつきになりまして、国土庁、稻村大臣の御指導のもとに、新しい国土行政への意気込み、活性化、各部局とも一生懸命働いておるところでございまして、一つ一つの具体的な施策は五十九年度の施策ということでいろいろお願いしてございますが、国土庁、稻村大臣のもとに一致結束して国土行政に取り組んでいるところでございます。
  99. 井上泉

    井上(泉)委員 まことに忠実なる官僚であるわけですが、大臣就任されたのは十二月の選挙が終わってからですから、既に国土庁の予算の骨格というものはでき上がっておったでしょう。だから、でき上がっておった、それを今度大臣が来られて、これは例えばどういう点を大臣は個性を出されたのですか、予算面で、事業面で。
  100. 石川周

    ○石川(周)政府委員 国土庁の概算要求は、八月末の時点で大蔵省に提出をし、また組織面につきましては、行政管理庁の方に提出をし、お願いをしているところでございますが、その折衝の大詰めの過程で何をとり、何をどの程度におさめという最後の判断は、これはそのときの大臣の御判断による感触を得、御指示をいただきながら、事務当局として取りまとめていったところでございまして、例えば防災局の新設というようなことは絶対一歩も引いてはならないということで、この行革の世の中、大変な御無理をお願いしながら、防災局の新設を実現いたしまして、これは大臣の御指導のたまものでございますし、また防災行政についての国土庁の予算、少額ではございますけれども、前年を下回る予算が、マイナスシーリングの枠の中で、この防災行政予算の枠は、前年を上回る額を確保しなければいけない、あるいはマイナスシーリングの中で、金だけでなくて知恵を出せというような大臣の御指示、御判断のもとに、御指摘のような、「花と緑」等の新しい施策を何とか知恵を出して、国土行政の活性化に努力をしたというような点、これらはすべて大臣の御判断と御指示に従ってのものでございまして、そういう御判断のもとに予算の最終決着をさせていただいたということでございます。
  101. 井上泉

    井上(泉)委員 今の官房長の話の中で、防災局の設置が決まったというような話ですが、私、不勉強で恐縮ですが、これはそういうことになっておるのですか。
  102. 石川周

    ○石川(周)政府委員 予算折衝の結果、行政の組織をどうするかということの最後の取りまとめを閣議決定でいたしておりますが、その中で国土庁は防災局を設置するということがうたわれております。
  103. 井上泉

    井上(泉)委員 防災局ということになると、その内容等について、これはかなり突っ込んだ質疑をしなければならぬわけですが、大体どういうふうな構想、これは大臣所信表明にそんなことをびちっと書いておいたらどうなんですか、せっかくそういうものをやっておられるのですから。
  104. 石川周

    ○石川(周)政府委員 防災局の設置につきましては、第六、災害対策についての最初のパラグラフで、災害につきまして一般的な所信を表明された。それの最後のところに、「この課題にこたえて、国土庁に新たに防災局を設置することといたします。」というふうに申し上げでございます。  それから、防災局の仕事の中身の御質問でございますが、これは現在の国土庁の設置法で課されております防災行政の基本を受け継ぐということでございまして、組織といたしまして、新しい局長のもとに防災行政の専念体制を確保するということが一番の基本になっております。
  105. 井上泉

    井上(泉)委員 防災局を設けるということは、その防災局の業務内容については、法律でどうこうせぬでも構わぬような、法律に触れないような範囲の、法律でやらないような防災体制をつくるということですか、あるいは法的に取り決めなければならぬようなことも含めて、この防災局としての仕事をされるというのですか、どっちですか。
  106. 石川周

    ○石川(周)政府委員 国家行政組織法は、先般の臨時国会におきまして改正されまして、役所の設置法に基づきます官房あるいは局は、設置法ではなくて、それぞれの組織令で決めるというふうに変わったわけでございます。したがいまして、その改正法が施行されます七月一日から、そういう体制に整備されることになるわけでございますが、防災局はその機会に発足をさせたいということで予定させていただいております。  そういう関係で、現在法律事項になっております局の設置が政令事項としてスタートするということではございますが、権限関係の問題といたしましては、現在の国土庁設置法の中にございます防災関係の業務をそのまま引き継ぐということでございまして、その限りにおきましては、特別な法的な改正措置は今のところ予定いたしておりません。もっとも各省にはお願いをしているいろんな問題がございますけれども、現在のところ、国会に正式に提案申し上げるようなところまでの調整を経たものはございません。  ちなみに、現在の国土庁設置法の防災関係の所掌事務と申しますと、第四条に国土庁の所掌事務が一号からたくさんずらずらと並べてございますが、その中で十四号に「災害に関する施策を企画し、立案し、及び推進し、並びに関係行政機関の災害に関する事務について必要な調整を行なうこと。」ということで、非常に幅広い権限が与えられております。それから二十二号に「次に掲げる法律に基づく内閣総理大臣の権限に属する事項について内閣総理大臣を補佐すること。」ということがございまして、その掲げられている法律の中に災害対策基本法、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律等、災害に関する特別立法の法律が並んでございます。これらの現在の国土庁設置法におきます災害に関する権限、所掌事務という範囲は非常に広範なものでございまして、その限りにおきましては法律手当ては要らないと考えております。
  107. 井上泉

    井上(泉)委員 法律で要らないと言ったって、その防災局としての業務をするという中で、これはこういう災害どきになりますと、いわゆる個人的な人権を抑えつけてでもやらなければいかぬようなことがたくさん出てくるわけでしょう。そういうような問題、あるいは物資の調達にし一でも、強制徴用、強制的に物資を調達しなければいかぬというような、現行の法律でそういうものを強制的に調達のできるようなことになっておるのですか。それとも本当に防災局としての仕事をするならば、そういう人とか物とかあるいは個人の権利に属するもの、いわゆる私有権に属するもの、そういうようなものも全部、言葉としてはどうかわからぬけれども、戦時中によく使われた徴用ということが当てはまるようなことをしなければ真の防災局としての活動というものができぬじゃないか。それは別に法律的なものをつくらないでもできるような今の法の内容でしょうか。
  108. 石川周

    ○石川(周)政府委員 現在の災害対策基本法は、先生指摘のような点を含めまして、かなり広範かつ強力な権限が与えられております。その災害対策基本法に基づきまして、そういう緊急な権限が発動されるような場合がございます。ただし、それは平時の場合には使われませんで、そういう非常災害対策事態になりまして、閣議決定されますと、そういうような権限が動き出すという仕組みに相なっております。  その場合に、その権限を実際に行使するのは市町村長でありあるいは各省でありということでございまして、国土庁は、そうした国全体、市町村、地方公共団体を含めまして国全体が災害に向かって円滑に動くように調整をし、その全体をバランスをとっていくということが任務と相なっているわけでございます。
  109. 井上泉

    井上(泉)委員 私はこの問題、もっと非常に重大な、つまり民権を制限をする行為というものがどうしても伴うことになるわけだから、そういうようなもので為政者が民権を侵害しても構わないというようなことになると、戦時中の地域的な総動員体制がその地域でとられるということになるわけなので、そういう点について、災害だからそんなことはこらえなければいかぬということだけれども、災害に名をかりていろいろなことが行われるようなことがありはしないか、そういうようなことを危惧するものであります。  この防災局の設置、そしてまた防災局の業務内容等については、また時を改めて、私自身ももっと勉強して、本当に国民のために災害のとき、いわゆる台風、豪雨、豪雪、地震、こういうときに国民のためにどういう措置がとられ、それに対して国民の権利を一時いわば没収するというか権利を停止さすようなことがあるが、それに対する補償とかいろいろなものがどうしても込み合ってくると思うので、防災局の設置内容については、これはまた時を変えて質疑をいたしたい、かように思うわけであります。これは大臣としても、法のもとにこのことを決定されたと思うわけでありますが、私はその中身についてはもっと議論をしたいと思いますので、次の機会に譲りたいと思います。きょうはこれであなたの分は終わっておきます。  この委員会は、千葉委員会のように言われるほど千葉県の方が主要なポストを占めておられるわけですが、私はそれはそれで結構だと思うわけです。それはそれぞれの地域から出られた優秀な方が大臣になり委員長になられてやるわけですから、それは結構なことだと思うわけです。  そこで水野大臣、昨年あたりも非常に話題になりました談合問題について、この前、関君が卓越した識見をもって質問をされたわけでありますが、私は、その公正取引委員会から出された指針といいますか、これについて大臣はどういうふうな受けとめ方をしておるのか、まず伺いたいと思います。
  110. 水野清

    水野国務大臣 私は、御承知のとおり稻村長官と違いましてまことに浅学非才でございまして、建設業界というものについて余り知識がないのでございますが、やはり建設業というのは大変特殊な産業でありまして、特に地方における零細企業あるいは中小企業、ともかく五十一万という建設を業とする企業のほとんどが中小零細企業でございます。そういうものに適当に、均等に工事の機会を与えたり何かするという特殊な産業であるということを考えれば、今回の公取のガイドラインというものは、建設業の実態を御理解いただいておつくりいただいて、私は建設業の秩序のある振興に役に立つ、こういうふうに理解をしております。ただ、このガイドラインを余り都合よく理解をして、行儀の悪いような行動をとらないようにということは、これはまた大事なことでございますから、行政上そういうふうに指導していきたい、かように思っております。
  111. 井上泉

    井上(泉)委員 公取でこういうふうな「公共工事に係る建設業における事業者団体の諸活動に関する独占禁止法上の指針」というものをちょうだいするまでもなく、建設省自体が談合問題ではあれだけ世論を沸かした問題であるので、それをいつの間にかなし崩しに既成事実を追認をするような形に問題を運ばせていくのではなしに、やはり建設省としては、公正取引委員会とも話し合いをされ、独禁法の中身も十分勉強され、これは本当にみんな優秀な頭脳を持った官僚群でありますので、そういう点からも、むしろ公正取引委員会が出されてくる以前に、それくらいのことは建設省がやるべきだと私は思うわけですけれども、それがやれずに、公正取引委員会からこういう指針が出された。そうすると、新聞では公正取引委員会は従来の談合を追認したものだというような世論からたたき方をされておる。そこでこれに基づいて直接業務を執行しておる、これは建設省計画局ですか、これは談合問題についてどういうふうな対策を立てておるのですか。
  112. 台健

    ○台政府委員 談合問題を含めまして、入札制度の合理化対策につきまして御報告申し上げます。  昭和五十六年九月の静岡事件を契機といたしまして、公共工事の入札制度のあり方とかあるいは建設業と独禁法とのかかわり合いにつきまして種々意見が提起されたことでございますが、こういう状況に対処いたしますために、建設省といたしましては、中央建設業審議会の建議に基づきまして、入札結果と積算資料の公表、指名業者数の適正化、指名審査の厳正化等の合理化対策を講じますとともに、地方公共団体等に対し、その建議の趣旨の周知徹底に努めてきたところでございます。一方、公正取引委員会におきまして、建設業に関する独禁法運用上の指針となるガイドラインが二月の二十一日に示されたところでございます。
  113. 井上泉

    井上(泉)委員 これは建設省としては地方の公共団体等に対してはどういう措置をとられておるのですか。
  114. 台健

    ○台政府委員 先ほど申しましたような中央建設業審議会の建議に基づく入札結果の公表等の合理化対策につきましては、地方公共団体におきましても同様な措置をとるように指導しておるところでございます。
  115. 井上泉

    井上(泉)委員 きょう午前中、上野君の質問の中でも中小企業者に対する受注の問題等について論議をされたわけですが、大臣は、今こういう建設業の中で中小企業十分配慮されておる、そういう認識をしておるのかどうか、ひとつ大臣の見解を聞きたいと思います。
  116. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 失礼でございますが、事務的に建設省が現在とっております中小企業関係に対します発注状況をちょっと御報告申し上げたいと思います。  閣議におきまして中小企業に対します国の契約の目標率というものが定められておりまして、建設省といたしましては、五十八年度は三三・六%ということに相なっておりまして、上半期の実施状況等を見ますと、この目標を上回っている実情でございます。また建設省の直轄の事業工事で見ますと、特に五十八年の実績といたしましては、上半期は約半分程度の五〇・九%程度中小企業に発注しておる、そういう状況でございます。
  117. 井上泉

    井上(泉)委員 いや大臣、官房長の報告を聞いて実際とどうですか。大臣政治家ですから、選挙区の実情なんかもよく承知をしておると思いますから、実際の気持ちはどうですか。
  118. 水野清

    水野国務大臣 今官房長から御報告申し上げましたように、従来も諸先生の御指摘などを入れて、中小企業になるべく発注の機会を与えるようにしてきたわけでございますけれども、特に公共事業費横ばいという中で、また地方の産業ほど中央で言うほどなかなか景気が浮揚していかない、中央では下期は景気がいいとかいろいろ言っておりますが、地方経済というのはそれほどでもないというのは井上委員の御承知のとおりであります。そういうことを踏まえて、来るべき五十九年度予算が成立いたしましたら、そういう地方の建設業になるべく工事をやる機会を与えていくように私は指示をしているつもりでございます。
  119. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣も、これから二年、三年と長期に建設大臣をやられればこれにこしたことはない、こう思うわけですけれども、日本の内閣はすぐかわるわけなので、これは建設省のそれぞれの優秀な事務当局においても、今国土庁の官房長が言われたように、これは大臣そのものは優秀で、大臣そのものによっていろいろカラーも変わってくるところがあろうかと思うわけですけれども、長うて二年、水野大臣になると、ひょっとすると長うにおられるかもしれませんけれども、やはり自分の短期におる間に、私は、大臣としてはこういうことはしてもらいたい、こういうことは、大臣になるのが目的でなしに、大臣になることによって、建設行政に対してはおれはこうするのだという気迫があってこそ、将来あるいは二度目の大臣にもなり、あるいはまた総理をねらうだけの若さを持っておるので、頑張ると思うわけですが、そういう点から考えましても、大臣には何かこうがめつさというか、そういうふうなものが、余り上品過ぎたような感じがしてならぬわけです。そういう上品な社会建設業というものは、これは上品な社会だと、こう言うたら悪いですけれども、私も土方の出身だから、私が上品だとは言えないわけですが、やはり本当に苦労しておる者に対する行政上の配慮というものは当然なければならぬ。  そこで、中小建設業についても、官房長が、かなり発注をさせた、いわゆる受注をしておる、こういうような説明をされたわけですけれども、上野君の言われるように、金額によると、あるときに私がその問題で、道路公団の関係で質問したのは、道路公団で発注した件数のうちの九割までは中小企業者にやらしておりますとこう言う。ところが九割はそうだけれども、そのあとの一割にやらした金額と九割にやらした金額とはもう一と九の違いぐらい出ておる、逆さまである。そういうことが今日の建設業の実際の受注の内容だと思うわけですが、それは件数が何十万、五十万業者もあるのですから、中小企業者の件数で言うたらかなり多い。これは常識でわかるわけですが、官房長、金額で言うたらこれは大変な違いだということだけは認識しておるのですか。
  120. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 先ほどお答え申し上げました五十八年度の上半期の実績でございますが、直轄事業について申し上げましたが、これは金額でございます。  ちなみに金額を申し上げますと、上半期に発注いたしました建設省直轄の工事事業費は四千六百八十二億円余でございますが、そのうち中小企業に発注いたしました金額は二千三百八十一億円余でございまして、それを率に直しますと五〇・九%、このように相なっております。こう御報告申し上げた次第でございます。
  121. 井上泉

    井上(泉)委員 これも雇用の人員とかいうようなものからずっと、それから業者の数、そういうようなものから対比をして適正であるのかどうか、また資料を持って検討していきたいと思うのです。  そこで、私は公共事業の受注については、みんな神経をとがらしておる問題だと思うし、特に中小建設業は地方に行けば行くほど難儀をしておるのが実情であるわけなので、そういう点からも中小企業の育成について、大臣も積極的な姿勢を持って臨んでいただきたいということを要望しておきたいと思うわけです。  今度建設省の所管の中で、不動産適正取り扱いの機構が新しゅうにつくられることになっておるわけですが、この機構をつくることについて、私は今賛成するという気持ちにはにわかになれないわけで、私ども党としても、これに賛成とか反対とかいうことを、まだ意思表示をしているわけではないのですけれども、不動産の適正な取り扱いをするための一つの機構を別個に財団法人としてつくられるというわけですが、このことについて大臣は、この機構の運営についてどういう考え方で対処されようとなさっておるのか、お聞かせを願いたいと思うのです。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕
  122. 台健

    ○台政府委員 細かい点にわたりますので、私から御説明させていただきます。  御指摘の不動産公正取引の推進機構でございますが、これは財団法人として設立が予定されているわけでございます。不動産取引に関します苦情紛争の処理につきましては、かねてから建設本省あるいは各地方公共団体におきましても、積極的に対応しているところでございますけれども、これらの苦情紛争件数が、現在で年間約三万件にも達しております。中古取引がこれから激増することを考えますと、紛争の数も激増が予想されますので、早期にその対策を立てる必要があることは、既に住宅宅地審議会あるいは五十五年の宅地建物取引業法の改正の際の衆参両建設委員会の附帯決議においても指摘されているところでございます。  その対策といたしまして、私たちは都道府県におきましては、不動産行政の所管部局、それから消費者行政の所管部局、それから業界団体の窓口等がそれぞれの立場におきまして、いわばばらばらに紛争の相談に当たっている現状にかんがみますと、何らか中央にその支援機関を設立いたしまして、紛争事例の収集でございますとか、あるいは処理基準、マニュアルの作成等によりまして、現在の処理能力を強化していくのが一番いいのではないかと考えるわけでございます。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕  そこで、具体策といたしましては、計画局長の諮問機関といたしまして、不動産取引紛争処理機構検討委員会を設けまして、その提言を基礎にいたしまして、新しい財団法人の設立の構想をまとめまして、その推進に当たっているところでございます。  業務内容から申しますと、新しい財団法人は……(井上(泉)委員「内容はわかっておるから、検討委員会の答申に基づいてつくったこともわかっておるから、そういうことの説明には及ばぬです。要するに、機構の推進委員会について、機構について、大臣としての所信を聞いておるのですから」と呼ぶ)  では、業務内容だけ、簡単に御説明……(井上(泉)委員「業務内容は聞かぬでも、これ、書いておるから」と呼ぶ)
  123. 浜田幸一

    浜田委員長 勝手な討論はやめてください。
  124. 台健

    ○台政府委員 それでは業務内容だけ簡単に御説明いたしますと、新しい機構は、地方公共団体あるいは消費者団体等の相談機関の能力の向上、それから処理の迅速化を図るために、実務的な助言等の支援業務を行うことを主たる目的とするものでございます。さらに、これらの現行の相談機関の支援業務の一環といたしまして、それぞれの相談機関の活動について、将来重要な参考となるような特定の案件については、紛争の処理を行うことにしておりますが、その公正中立の確保等につきましては、特段の意を用いたいというふうに考えております。
  125. 井上泉

    井上(泉)委員 答弁者がいろんな機構の寄附行為というものを——機構については資料もいただいておるし、そこでそれをずらずら説明をされたら一時間ぐらいかかりますよ、ずっと読まれたら。だから、私は時間の節約という意味からも、この不動産適正取引推進機構というものを新たにつくって、そうして今度は年間に約一億五千万か何ほかの経費で機構の運営を図っていこうというようなことでできておるわけだが、こういうものは本来は、私は建設省なりあるいは地方公共団体の中で宅地建物の紛争については窓口業務で相談に応ずる。例えば交通事故の相談を受ける機関を構えであるように、市町村の窓口あるいは建設省にそういうものがあってしかるべきだと思うわけですけれども、行政機構改革という鳴り物入りの宣伝をする真っただ中に、ここに建設大臣の認可法人が生まれようとしておるわけだから、これについては大臣もかなり勉強されて判をつくであろうから、だから私は大臣のこれに対する考え方をお聞きをしたい、こう言っておるんで、それに答えていただけば、これは三分で済む問題です。それを計画局長のように詳しく説明を受けると、幾ら委員会の時間があっても足らないわけなので、その点はひとつこれからのこの委員会の活動の中でも心得て答弁をしていただきたいと思うのです。ひとつ大臣の見解を承りたいと思います。
  126. 浜田幸一

    浜田委員長 答弁の前に申し上げますが、明瞭にお答えください。
  127. 水野清

    水野国務大臣 大変練達な井上先生事務当局がくどくどと申し上げて申し訳ない次第でございます。  不動産取引公平審査機構の設立の趣旨その他は十分御承知だと思います。確かに不動産取引が不況の中で、また非常な流通がふえる中でいろいろな問題がたくさん出ております。これをどうして処理するか。今建設省の中であるいは地方自治体の中でという御指摘でございましたが、これはやはり行革といいますか、いまなるべく金のかからない政府をつくろうという時代に、私はなかなか難しいことであろうと思います。しかし、ある指導的なやはり方針を出してやるためには、こういう法人をつくってやるしか方法がなかったというふうに私は理解をして、この認可をするつもりでございます。  ところで問題の一つは、多分先生もお聞き及びだと思いますが、弁護士連合会の方から、こういうようなものをつくることは司法制度の秩序を混乱させるのではないかというような申し入れといいますか陳情というのがございまして、これも事務当局から別に御説明を申し上げたことだと思いますが、必ずしもそういう弁護士会のお仕事を侵食するというようなことでないように運営をしていきたい、かように思っている次第でございます。
  128. 井上泉

    井上(泉)委員 これは別にこの機構についても、これは当委員会に諮ってどうこうする、賛否を問うという機構ではないわけだから、問題ではないから、私は大臣が適当に判断をされて処理をされるであろうと思うわけですけれども、今大臣が言われた弁護士会の意見とかあるいは消費者の意見とかというようなものが十分反映をされて、そしてこれは強制力のない機構ですから、だから強制力のない機構であるということによって余計に運用というものが紛争当事者に親切丁寧でなければならぬと思うのです。これがいわば役人の、これくらいの機構に高級官僚の天下り先というほどのことはないかもしれぬけれども、必ずだれか建設省の部長、局長が行くほどのことはないじゃないかと思うけれども、しかるべき者が行くようなことになりはせんかと思うわけです。そういうための機構になってはならないわけなんで、その点は大臣にしかと申しておきたいと思うわけであります。  そこで、これはローカルの問題のようでありますけれども、本四架橋建設省の大きな仕事としてどんどん進められておるわけで、それが六十二年には瀬戸の大橋が完成をするということを聞くわけでございますが、それと相結ぶところの四国島内の道路事情というもの、これは全く行き詰まりの状態の中にある。例えば四国横断自動車道の建設についても、これは道路公団で聞いてみますと、橋が仕上がるときよりも数年先でなければ横断自動車道も完成せぬ。そういうことになりますと、国土庁の長官もいないわけですけれども、過疎地のいわゆる高知県という僻地がますます僻地化してしまう。つまり本四架橋ができて、それで高松から愛媛県、香川県、その地域の方はできても、高知県の方には全然その道が通じてないということになると、高知県の方は、本州から疎外をされた、本四公団から疎外をされた地域にますますなっていく。そこでは企業の進出の余地もなければあるいは地域の過疎化を解消するためのいろいろな事業の道も閉ざされるわけだが、こういうふうなやり方ではなしに、せっかく本四架橋に莫大な投資をしておるわけですから、それと並行して四国横断自動車道、縦貫自動車道が完成をするような段取りにできないのですか。
  129. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 お答えいたします。  本四架橋に接続する道路については、本四連絡橋の供用により増大する交通需要などに対処するため建設省、関係地方公共団体等がこの橋の完成予定の昭和六十二年度に合わせて整備を進めているところでございます。  先生お尋ねの四国内の高速道路についてでございますが、四国縦貫自動車道の川之江市−土居町間十一キロメートルを昭和五十九年度中に供用するほか、昭和六十二年度までには四国横断自動車道の善通寺市−川之江市間三十九キロメートル及び大豊市−南国市間二十三キロメートルの供用を図ることといたしております。残る区間につきましても、早期供用を図るべく、昭和五十八年度に新たに四国に建設所を設け事業の一層の促進を図っておるところであります。
  130. 井上泉

    井上(泉)委員 あなたの言われるような状態であるかどうかということについて、私も疑問を持つものですけれども、これは実際そういうふうになると、例えば大豊−南国間におきましても用地買収も済んでしまっておる。ところが工事進捗率で言ったら二〇%しかないというような状態を見ますと、まだ用地買収も全然済んでない地域もあるので、とても道路局長の言われるような状態に四国横断自動車道ができ上がるとは思わない。つまり六十年に本四架橋ができて、それから四、五年の間、いわばますます取り残された地域として高知県が位置づけられる、こういうことになる。これは高知県だけではなしに、こういうところはたくさんあると思うわけですけれども、やはり大きなプロジェクトに対してはたくさんのお金を注入する、小さいところには金を削ってやらない、こういうふうなやり方ではないように、大臣就任のときに何か専門ではないけれどもというような話をされたわけですけれども、大臣になられた以上は、建設行政についてはしかとした指針を持っていただいて、僕の要求が間違った要求なら要求として指摘をしていただいて、そして対処してもらったらいいのですけれども、僕の要求が間違っていないとするなら、促進をするように建設省としては頑張ってもらいたい、こういうように思うが、大臣、どうですか。
  131. 水野清

    水野国務大臣 ただいま道路局長から申し上げましたように、確かに四国の中における高速道路建設は、ほかに比べておくれております。しかし、本四架橋が完成をいたしますと、道路を通じて本土からの交通が非常に激増する傾向もございますし、その周辺のアクセスの問題であるとかあるいは四国全島内を一巡する高速道路網が必要であるということは、十分勉強させていただいております。先生の御趣旨のとおり、ただいま道路局長が申し上げましたが、所期の目的に向かって予算を獲得して建設促進したい、かように思っておる次第でございます。
  132. 井上泉

    井上(泉)委員 私はダムの問題で、きょうは木間君を初めとして我が党の調査団が、木曽川のダムによる被害状況調査に行かれておるわけですが、河川局長はダム問題については、四国におられたのでああいうダムにおける災害というものは十分承知をしておると思うわけで、この点についても質問をしたいと思うわけですけれども、時間がありませんので、ダム問題については後日に譲り、そしてまたきょうの我が党の調査団の結果を踏まえて質問をすることにいたしたいと思います。  それから、林野庁の小澤業務課長においでを願っておるわけでありますけれども、これは要するに、今日緑化運動というのが非常に盛んである。建設省においても、街路樹の問題、いわゆる公園緑地化で都市の緑化運動というものを非常にやっておる。国土庁においても緑の町づくりということをやっておる。そういうふうな構想の中で、これはこの前も、大臣にも国土庁長官にも陳情したわけですが、林野庁が持ついわゆる苗畑とあるいは林野庁が持つ山地を利用して、建設省、国が使う、国が行う緑化事業の苗木をそこで育てるようなことにすれば、その地域の労務者に雇用の場を与えることにもなるし、やはり国土の有効利用ということになるわけなので、この点について建設、国土両大臣は検討していただくことができるかどうか、その点お尋ねしておきたいと思います。
  133. 水野清

    水野国務大臣 建設省で行う公共事業に、街路とかいろいろなところで仕事をするわけでございますが、この苗木などを林野庁の苗畑といいますか、苗圃といいますか、そういうところでつくらしたらどうかという御質問なんでありますが、問題はいろいろむずかしゅうございまして、現在これは農林水産省の行政の中のことでありますから、農林水産省が本来お考えになることでありますが、しかし、林野行政というのも、特別会計で大変困惑をしておる最中でありますから、でき得ればそういう、たとえ省庁が違ってもつないでいくという努力はすべきだと思っております。  ただ問題は、林野庁でおつくりになる苗木とか植樹というようなものは、どちらかというと街路その他では使いづらいものが多い。街路で使うものは、どちらかといいますと、公害に強いような植物であるとかいったようなものでありまして、しかもこういうものは、先ほど御指摘がありましたように、地方の中小の造園業者が主としてかなりたくさんのストックを持っておりまして、そこへ林野庁に仕事をされますと、今度はその地方の造園業者を圧迫する、こういう問題もありますので、非常に痛しかゆしでございます。しかし、せっかくの先生お話でございますから、事務当局に、林野庁とも連絡をとって、縦割り行政だから知らぬということでなくて、勉強してみるという話はしたところでございます。
  134. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 国土を緑化するということは、これは国土庁の基本的な姿勢であります。特に総理が、国土を花と緑で満たそう、こういう提唱をされまして、国土庁といたしましても、各省庁と連絡をとりまして、その線に沿ってまいりたい、こういうように考えております。
  135. 小澤普照

    ○小澤説明員 せっかくの先生の御質問でございますので、お答えさせていただきます。  私どもの方も、環境緑化木の生産につきましては、国有林の山にはいろいろな木がございまして、非常に都市住民等にも好まれております、独特のアセビでございますとかクスノキとかツツジの類とかいろいろございますので、こういうものを国有林の苗畑等を利用しまして供給いたしているところでございます。  ただ、国有林につきましては、最近造林の方も最盛期を過ぎまして、独自の苗木の生産というのは減っておりますので、苗畑等につきましては、余地等もある程度出てきているところでございますが、ただし、私どもが直接その苗木を生産するということになりますと、これは民間の方でも相当生産体制が整備されておりますので、私どもといたしましては、民間の方々が緑化木の栽培のために私どもの土地をある程度お使いになっておやりになるというような御要請がございますれば、できる限りの御協力を申し上げてまいりたい、かように思っております。
  136. 井上泉

    井上(泉)委員 一時間の時間があっという間に過ぎてしまって、私が質問下手なために、十分な質問を取りまとめてようできなかったのを非常に残念に思うわけですけれども、これは自業自得ですからいたし方ないです。  そこで、私は委員長に、大体建設行政、あるいは建設省行政あるいは国土庁の行政にお互い委員が追随するような形で委員会審議を進める、委員会としての活動をするというようなことではなしに、やはり委員会として、いわゆるお互い建設委員会としてもっと行政をリードするような、これは私は浜田委員長の正念場としての態度じゃないか、こういうふうに思うわけです。  そこで当面、私は、数年前にもあったわけですが、この委員会の中に中小企業建設業の振興に関する小委員会とか、あるいは今度土地、建物の苦情処理の機構なんかも建設省の中につくるというようなことを言っておるわけですが、そういう住宅、宅地、土地、こういうような問題についても、これは建設省仕事の中で最も大事な位置づけをしなければいかぬと思う。それで、そういうようなものについてもお互い委員が自由な意見を出し合って、それを行政へ反映さすような、あるいは公共事業やり方についてもお互いが検討し合って、つまり政治家としてのとらえ方の中に、建設省、国土庁にその意見が反映のできるような、そういう何らか建設委員会の中に小委員会なり何なりの対応のものをつくっていただいたらどうだろう、こういうことを考えるわけですが、ひとつ委員長の御見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  137. 浜田幸一

    浜田委員長 着席のままお答えすることをお許しいただきたいと思います。  まず第一点の質問については、御説ごもっともでございますので、検討させていただきます。  ただ、ここで一言だけ申し上げたいことがございますが、私は、今日まで委員長の勉強をさせていただいておりますが、今のような議員対政府のやりとりは、決して建設行政を前進させることにはならないと思います。開かれた議会のあり方としては、政党対政党の議員同士の議論、そういうものが伯仲化されまして、その中で長所を取り入れて、行政に対して院が決定をして、これを行わせる、そのような形をとらなければ発展はないと思います。  それならなぜおまえはそのようにやっているのだという御意見があると思いますが、その提案は、今の政党の非近代的な政党の集まりの中では非常に困難だと思いますので、御遠慮を申し上げておるところでございますが、幸いにして井上先生からそういう発議がありましたので、次期理事会等を踏まえまして、これからのあるべき新しい近代的な建設行政のあり方、委員会のあり方等について一つ一つ皆様方とともに議論をして前向きな処理をしていきたいと考えております。  これで結論といたします。
  138. 井上泉

    井上(泉)委員 期待します。
  139. 浜田幸一

    浜田委員長 小沢貞孝君。
  140. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 昨晩夜中の話でありますので、政府の方へはどういうように伝わっておるかわかりませんが、それについて若干の質問をいたしたいと思います。  昨夜遅く自民党の幹事長が一私が質問をせんとするのは、何項目かの回答の中の公共投資についてであります。遅くの回答で、三番、これは毎日新聞によるわけですが、「「公共投資問題」については、景気動向、公債残高、災害の状況等を勘案して弾力的に対処する」こういう回答で、これを野党が了承をしたというわけではなくて、国対の方からの話によると、今後の委員会の中でこれは継続して、回答全部そうなんですが、例えば健保等については社会労働委員会等において論議して結論を出せ、こういうことのようですから、野党の予算修正はまだ継続中だと我々は理解をするわけで、そういう意味において両大臣に御質問をしたいと思います。  端的に言って、公共事業の追加にどういうように対処するか、その御答弁をいただきたいわけですが、これは実は経過があるわけであります。野党の共同予算修正という中で、これは公共事業をどうしても追加させなければならない、こういうことで大変な骨を折って私が提起をして、それが要求の項目になったわけで、財源の裏づけは何かというと、建設国債でやれ、こういうことまで考えて提起したわけです。最初は新聞の向きもまことにこれだけはいいような報道をされておったし、折衝に当たった者からもそれを聞いておったわけであります。しかし、最終的には夕べのような回答になってしまったわけです。  そこで、私は特にどうしてこういうのに力を入れなければならないかと言えば、例えば治山何カ年計画、治水何カ年計画道路整備何カ年計画、これは政府で決定したものであり、これについては本委員会において多数の人から質問があって、異例とも思われる委員長発言もあって、それに対する政府の答弁もあったようですが、これは政府が決めた何カ年計画であります。政府が決めた何カ年計画を、政府が予算を編成する中でもう公然とそれを踏みにじるようなことが平気で行われているということは、これはまだ各野党なり何なりが取り上げないでいいけれども、これは取り上げたら私は政治的な重要な問題だ、こう考えます。したがって、それを応援する意味においても、私は野党提起の一兆円の公共投資、これは今の予算の中で修正をしてやれとは言わぬわけで、これはテクニック、技術がありますから、それは補正予算で必ず組む、こういうように与野党の折衝の経過を踏まえたり、政府みずからが何カ年計画をつくってきた、こういう経過にかんがみて、これは両大臣、政府を動かし、大蔵省を動かして追加補正をやるか、こういう質問であります。
  141. 水野清

    水野国務大臣 五十九年度予算案につきまして公共事業費が非常に足りないと御心配をいただいていることは大変ありがたいことでございます。それで、御承知のとおり、国費については前年度より下回っていることも事実でございますが、建設省としては、予算編成に当たって足りない分を財投資金であるとかあるいは民間資金を活用しまして何とか前年度並みにこぎつけた、この辺の事情も御承知のとおりだと思っております。しかし、問題は今後のことでございまして、建設省としては、現在はともかくお願いしております予算案の成立、成立をいたしましたら事業の的確な執行ということが当面の目標でございますが、今後内外の経済動向十分配慮しながら、公共事業の執行についてあるいは下半期の問題については適時適切に措置を講じていく、これは内閣全体としてひとつ考えるべきこととして、私も国務大臣として考えておる次第でございます。
  142. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 国土庁といたしましては、当然国土の均衡ある発展、そのためにはどうしてもやはり公共投資というものが大変大きな役割を果たすわけであります。しかしながら、今仰せの問題でございますが、これはいろいろ経済情勢の変化等々もございましょうし、各省庁連絡の上にいろいろ対応してまいりたい、こういうふうに思っております。ただいま建設大臣の話がありましたように、これは内閣全体のものでございますから、ここで国土庁長官として申し上げるのは、思想としては今申し上げたように、均衡ある発展、特に地域の振興を図らねばならぬ、そのためには公共投資がどうしても必要であるけれども、こういうことで御説明を申し上げたいと思います。
  143. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 そこでちょっと事務的なことで、大蔵省主計局はお見えでしょうか。
  144. 浜田幸一

    浜田委員長 参っております。
  145. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 国庫債務負担行為、ことし契約をして来年以降の支払い、こういうのがあるわけです。これには何か格別な法則、規則、何かあってやられておるか、それは各省庁から要求のあったものをそのまま認めておるのか、その二つの点。
  146. 涌井洋治

    ○涌井説明員 国庫債務負担行為は財政法で決められておりまして、事業の性格上、年度をまたがるようなものについて国庫債務負担行為が認められるということでございます。
  147. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 今ちょっとここで調べたところによると、治水関係は災害を含めて本予算が一兆三百十八億、来年以降支払うという国庫債務負担行為、これは二六%に当たる二千七百五億、道路関係では本予算が一兆七千三百六十一億、国庫債務負担行為は二千二百四十九億、これはことしの予算の一二%に当たる。これは建設省ではありませんが、治山については本予算が一千四百七十九億、国庫債務負担は昨年は五十九億でありました。ことしはまだ提案になっておりません。昨年と同様にやるならば、これは四%に相当する。こういうように見ると、工事の内容その他によって、こう今御答弁がありましたが、例えば林野庁なんかは補正予算のときに来年以降の国庫債務負担行為は提起されてやっている。それから建設省関係は当初予算に国庫債務負担行為は提案されて、年度内に一割は払う、こういうルールになっているんだそうです、今までのしきたりは。これを見ると、国庫債務負担行為というのは、今の御答弁にもかかわらず、私は大変弾力的に対処できるように予算の上からは見えるわけであります。そういうことになると、例えば治水ならもうことしの予算の二六%も来年以降の国庫債務負担行為を提案されているわけです。だから、私の言う公共事業というものをもう少しやろうという政府の腹があるならば、国庫債務負担行為を利用することによってできるんではないか、こう思います。林野庁のごときはいつでもそれは補正予算のときにやっておりますみたいなことを聞いておるわけですから、これは柔軟性を持って対処できると思う。  いま一つこれを私が提案するのは、大いに民間活力を活用しよう、これは政府のテーマじゃないか、こう思います。民間ではそれをやりたくて困っておられる。それからそれを待つ公共事業は山のごとくあって、政府が責任をとらなければならないほど何カ年計画というのは計画どおり実施できていないわけであります。そういうことを含めて、どうですか、私の提案をひとつ前向きに検討していただけるかどうか。
  148. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 ただいまの国庫債務負担行為の件につきまして、私から経緯等につきまして事務的に御説明をさせていただきたいと思います。  今先生指摘のように、五十九年度、私どもの建設省関係でお願いいたしております国庫債務負担行為の額は、一兆九百三十四億円余お願いしておるわけでございますが、過去数年間の傾向を見ますと、ほぼ大体一兆円台、一兆円程度で横ばいになっております。このことが予算の中における比率としてかなり高いじゃないかという御指摘でもあろうかと思いますが、全体の予算がほぼ横ばいである中におきまして、この国庫債務負担行為そのものも大体横ばいになっておりまして、その比率は変わっておらないところでございます。  ところで、また景気あるいは経済対策のためにこういったようなものを活用してはどうかという御指摘でもあったかと思いますが、せんだって成立さしていただきました補正予算におきまして、昨年の十月に政府が総合経済対策を決めまして約一兆八千八百億円の公共投資を行うという中で、国庫債務負担行為につきまして四千五百億円程度事業費として考えまして、建設省分といたしましては、事業費では約三千億円、そのうち国費として国庫債務負担行為——これはいわゆるゼロ国債と称しておりますが、これが千九百九十七億円お願いをいたしまして、議決をいただいたわけでございますので、関係の公共団体等に早急に配賦して、年度内にこれを実施に移すように、そのことによりまして年度後半の落ち込みを何とかカバーしようということで、現在各公共団体との間で作業を進めさしていただいているところであります。  御報告さしていただきます。
  149. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 事務当局の御答弁もわからぬではないわけですが、私の言うのは、公共事業をふやせ、それには、すぐはできぬが、それじゃこの次の補正予算で必ずやる、こう言われるのか、それすら困難ならこういう便法もあるじゃないか、これは私は政治家の腹だと思う。その辺を聞きたいのです。
  150. 水野清

    水野国務大臣 ただいま官房長から債務負担行為の話を申し上げましたが、先生の仰せは、景気浮揚策の一つとして債務負担行為を利用して事業促進する、あるいは恐らく来年度予算の執行についても弾力的にやれ。弾力的というのは、この前も他委員から御質問がございましたが、例えば前倒しをやれとか、またさらに補正予算をどうだ、こういうような次々といろいろな御構想をおっしゃっておられるんだと思います。それは一つのお考えでございますが、先般も申し上げましたように、ともかく現在内閣としては、五十九年度予算案を早く成立させていただくということがまず先決でございます。また経済情勢もこれからいろいろあるわけでございますし、成立した予算をどういうふうに執行するかということについてもいろいろ議論が出てくるだろうと思います。ともかく現在のところは、私どもは予算の成立をお願いする、その先のことについてどうしようというようなことを申し上げるのは、こういう席では、私はちょっと議論は差し控えさせていただきたい、かように思っているわけでございます。  ただ、先生のお考えにつきましては、私も十分理解をしておりますが、現在のところは、私が申し上げる時期ではない、申し上げる資格もない、こういうことでございます。
  151. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 どうも資格がないと言われれば、これは質問のしょうがないので、そんな答弁あるものかどうかよくわかりませんが……。いや、予算を通すのが政府としては精いっぱいのことだ、それは意味はわかっている。意味はわかっているが、今までの私が申し上げたいきさつから考えて、公共事業をふやすように努力する意思があるか、こういうことを申し上げているわけです。
  152. 浜田幸一

  153. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 ちょっとまだ。もし答弁いかんによれば、私は委員長がこの間御発言があったように、今まで何カ年計画、何カ年計画と、こういうことをやってきているわけです。予算が提案をされているものは、それを踏みにじるようなことを政府みずからやっている、こういう格好だと思うのです。だからこの問題については、せっかくこの間委員長発言もあるし、これはそれこそ小委員会でもつくって、政府の対応の仕方について委員会としても何らかの意見をまとめて提起する、こういうように持っていかなければ、これは政府みずから五カ年計画、何カ年計画をやっておいて、それをみずから踏みにじっている、こういうことでは私は納得できないので、それはまた委員会で御相談をいただくこととします。
  154. 浜田幸一

    浜田委員長 今のそれは小沢先生委員長に対する御意見だと思いますが、その問題、実はちょっと私から意見を申させていただきます。  実はきょう建設大臣から、過般の五カ年計画の問題について御意見が出ました問題については、建設大臣一つ考え方を午前中に御提示申し上げて、御報告だけをさせていただきました。今後の問題としては、当然検討しなければならないところでございますので、配慮をいたします。建設大臣
  155. 水野清

    水野国務大臣 ただいま私が答弁申し上げましたのが、まだちょっと不十分であったと思いますが、先ほど申し上げました私の言葉をもう一度繰り返して申し上げますと、建設省としましては、現在予算案の成立をまず第一として、成立をいたしましたら事業の的確な執行に努めるということを考えております。  しかし、今後とも内外の情勢、経済動向十分配慮をしながら、公共事業については適時適切な措置を講ぜられるように対処していきたい。これは申し上げておりますことは大変抽象的なことでございますが、先生の先ほど来御質問いただいたそういう精神を実は酌んで、私どもが今予算成立前に申し上げられる最大限の表現でお答えをしている、こういうふうに御理解をいただければありがたいと思います。
  156. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 最大限の努力をする、こういうことを言ったって、今審議中の予算について別にクレームがつくわけじゃないので、歯切れよくどうしてそういう答弁ができないのですか。
  157. 水野清

    水野国務大臣 大変申しわけないのでございますが、予算成立前に補正の話をするあるいは前倒しの話をするということは、私の現在のこの与えられた使命とすれば、やはり私はやや不謹慎なことになると思いますし、閣内におきましても議論の不統一を招くということにもなりますので、どうぞひとつ御勘弁をいただきたいと思います。
  158. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 どうも歯切れが悪い。それで私は今度は委員長に提案しますが、治水五カ年計画あるいは道路整備五カ年計画、これは政府みずから出してつくったもの、それを私はどうしても政府のとおりにやらしていきたい、やらせたい、こういうわけで提案をしているわけです。だから、政府が約束をしたことを政府みずから踏みにじらざるを得ないような予算事情であることはわかっているんだけれども、これは私は委員会として、この問題はそれこそ小委員会なり何なり設けて、これに対して委員会として結論をつけて政府に意見を言うなり何なりする、そういう機会をぜひつくっていただきたい。また理事会等その他に相談をされて委員長から善処をしていただきたい、こう思います。
  159. 浜田幸一

    浜田委員長 お答えいたします。  国土の開発、生活基盤整備、同時に守るにふさわしい国土をつくるために必要な財政は投下いたさなければなりません。しかし、国家財政の緊迫している折に、完全な基盤整備を行えという要求と財政負担、財政の投下によって、その金利補てんその他によって国家財政の破綻をもたらすようなことがある場合、どちらの選択をするかは政治上の大きな課題であります。しかし、我々は建設常任委員会として小沢先生の提言を取り入れまして、委員会自体として、公共事業の資本投下は、仮に先行投資をいたしましても、本年実行いたしました予算投下が、十年後金利をプラスいたしましても損失にはつながらないと考えておりまするので、この問題の取り上げ方については、委員長が取り上げさしていただいて、後日理事会において具体的な計画等について議論をさしていただきたいと思います。  ただし、その場合はお願いがございますが、建設常任委員会の議論は政府対議会の対決的な姿勢ではなく、あくまでも政党と政党、議員同士による基盤整備事業の前進のためにお互いが議論し合い助け合い建設し合う形で行うよう、この際御要請を申し上げておきます。  以上です。
  160. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 委員長ありがとうございました。そのようにぜひ進めさせていただきたいと思います。  今の問題と関係がありますが、国土庁長官にまずお尋ねをいたします。  国土の安全性の向上、こういう問題であります。我が国は山地が国土の約七割を占め、地形が急峻で地質的にも弱く、さらには世界有数の多雨地帯であって、毎年のように台風や前線性の豪雨に襲われて、山地災害が多発している。加えて近年の経済社会の進展に伴って、治山施設の整備水準を大幅に超えて国土の開発が急速に山地に及び、山地に起因する災害発生の危険性が増大している。昨年我が長野県に大被害をもたらしました水害の状況からして、治山事業の重要性を改めて痛感させられました。  被害の後、長野県全体の町村長が陳情に参りましたときに、その代表たちが異口同音に言ったことは、災害復旧や治水の方はまあまあ割合に進んでいて感謝にたえないが、集中的に雨が降る、こういうようなときに土砂流などを初めとして山のもとの方に力点を置いてくれないか、私は率直な意見だと思います。そうでないと、下流を治めてもさいの河原みたいなものだから、同じ資金を使うならば、山の方を治めることに重点をぜひ置いてもらえないか、これは私全く同感でありました。治山施設の整備水準は依然として非常に低くて、毎年甚大な山地災害が発生しておって、加えて最近の国土開発が山地にまで及ぶなど災害発生の危険はますます増大している。昭和五十二年に第三次全国総合開発計画、私も拝見さしていただきました。それから五十四年に新経済社会七カ年計画策定され、この中において国土保全部門の重要性が強調されて、その拡充強化が重要な政策課題となっていることは御案内のとおりであります。  そこでお尋ねをしたいことは、今四全総、第四次総合開発五カ年計画ですか、四全総では、この国土の安全、治山治水等についてどのような方向で検討をされているか。伝えられるところによると、三全総のフォローアップ、こういうものがなされているようであります。その反省だと思います。反省に基づいて、この国土の安全ということについてこれからどのようになされようとしているか。これは国土庁が作業をしておりますので、国土庁長官の方からお答えをいただきたいと思います。
  161. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 日本の国土は災害を大変受けやすい自然的な条件下にあるわけであります。そういう意味で、国土庁におきましては、総合的に治山治水対策などを推進し、国土の安全性を確保するということは、国土政策上の極めて重要なことであります。こういう観点から、三全総フォローアップ作業報告におきましても、長期的な国土基盤の整備の方向として、安全な国土づくりを重視する必要があると指摘されているところであります。国土庁におきましては、このほど二十一世紀の国土づくりの指針を示すために、四全総の策定作業に着手をしたところであります。こうした三全総のフォローアップ作業報告の指摘を踏まえまして、幅広い検討を行い、四全総策定に入っておる。三全総等々をつくりましたときと現在とは相当大きな変化がございまして、今四全総の作業に着手をしておる、こういう状態でございます。
  162. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 私の聞いているのは、国土の安全ということについて、三全総の反省の上に立ってどういうようにこれからなさらんとするか、こういう端的なことであります。  その前に私、事務的なことでお尋ねをいたします。全国のダムの堆砂ワースト二十、五十三年の十一月、朝日新聞だと思いますが、それを手に入れました。これは我が長野県がトップに二つ三つあるようですが、平岡ダム、堆砂率八割八分、あと一二%しか残ってない。泰阜ダム約八三%、大井ダム八二%、小原ダム七五%、以下略しておきます。これは電力会社が発表する義務があるかなんか知りませんが、関係のダムであります。  そこで、私お尋ねをしますが、水源地域対策特別措置法に基づく指定ダム等の堆砂率はどうなっているか。悪い方の三つ四つでも四つ五つでも御発表いただきたい。それと同時に、それがそのダムを計画したときよりも堆砂率の方が進んでいるのではないかと思います。その辺をひとつ時間を短く。
  163. 井上章平

    井上(章)政府委員 昭和五十六年現在の調査でございますが、建設省所管ダム百九十七施設の堆砂量の合計は約二・四億立方メーターでございます。これは総貯水容量に対する比率としては四%、それからダムの計画堆砂量に対する比率で申し上げますと約三〇%となっております。これは全般的にはそれほどの問題は生じていないわけでございますが、先生指摘のように、天竜川水系の美和ダム等二、三のダムにおいては、地形地質等のダムの立地条件及びダム設置後の洪水の発生状況から計画堆砂量を上回っているものがございます。
  164. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 今お聞きのように、計画堆砂量を上回って要するに堆砂している、こういうわけです。このことは、せっかくダムをつくっても、上の山の方をちゃんと治めないからこういう現象になっているということを数字で歴然と物語っているわけです。  そこで、林野庁にお尋ねしますが、第六次治山事業五カ年計画、さっきからいろいろ申し上げているが、その実態はどうでしょう。進度あるいは現状はどうですか。  ついでにお尋ねしますが、昭和五十三年だか五十四年度に調査したと聞いておりますが、山地災害危険地が全国十三万カ所ある、こういうように発表されておりますが、予防治山といいますか、予防対策はどのように進んでいるか。  その二つを林野庁にお尋ねします。
  165. 高野國夫

    ○高野説明員 ただいまお尋ねのございました二点につきまして、御説明申し上げます。  治山事業につきましては、第六次治山事業五カ年計画に基づきまして実施をいたしておるところでございますが、進捗率について申し上げますと、昭和五十八年度末で約三〇%ということでございます。なお、現在国会で御審議をいただいております五十九年度予算が執行できるようになりますれば、五十九年度末には約四四%という達成率になる見込みでございます。  それから、二点目にお尋ねのございました山地災害危険地のことでございますが、昭和五十三年、五十四年、二年度にわたりまして調査をいたしました結果、全国に十三万カ所という把握をいたしておりまして、昭和五十七年度末までに、その三割に当たります約三万九千カ所につきまして整備に着手をしたところでございます。それで、ただいま申し上げました第六次治山事業五カ年計画の終了時には、これを四三%まで着手できるようなところまで持ってまいりたい、こういう考え方によりまして現在事業を進めておるところでございます。  以上でございます。
  166. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 大臣の方からは後で答弁をいただくとして、時間の関係があるようですから大蔵省の主計局にお尋ねをしますが、この公共事業、私はどこも少ないと思う。道路も、これはさっきの話じゃないがとても足りない、治山治水も足りない、何も足りない。わかっているわけですが、そういう中にありながら、必要性のあるところに重点的に傾斜配分をする、こういうようなポリシーはどこで出すわけでしょうか。主計局は何か基準があるのでしょうか。世論の動向によるのでしょうか。そういうことをどうしてお尋ねをするかというと、公共事業のパーセントなんというもの、これは一%動かすのも容易なことではありません、こういう話を各省庁からよく聞くわけです。もう主計局の判断にかかっているわけですか。それともどういうようにやるわけですか。
  167. 涌井洋治

    ○涌井説明員 予算編成は、当然のことながら内閣全体で一体となって行っているわけでございます。そういうことでございまして、それぞれの事業に対する需要だとか緊要性等につきまして、関係省庁と十分相談しながら、この事業配分を行っております。
  168. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 お時間がないようですから、どうぞお帰りいただいていいのですが、これからまだ質問は続くわけですが、私は、やはりもとを治めること、によって、投資の効率は大変よくなる、こう信じておりますので、どうぞその辺を御考慮いただきながら、来年度の予算編成には当たっていただく、要望だけ申し上げて、どうぞお帰りいただいていいと思います。
  169. 浜田幸一

    浜田委員長 涌井主計官、お帰りいただいて結構です。
  170. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 この問題でどうして私がまだこういうように言うかというと、先ほどの長野県の災害があったときに、これは町村長が異口同音に言うわけです。我々下流の者が負担してよろしいとこう言う、もし国家財政が少ないならば。下流の者がその受益を受けているのだから、負担してよろしい。長野県議会においては、議会で決議をしてまできているわけで、昨年の二月の決議です。「水供給に果たす森林の役割りは、極めて重要である。しかるに、上流水源地帯における森林、林業の現状は、生産基盤整備の立ち遅れ、諸経費の高騰による林業収益の低下等により、森林造成を担う山村住民の森林維持に対する意欲は減退し、森林の荒廃は、極めて憂慮にたえない。ついては、水源地域における森林の維持及び造成機能強化を図るため、下流域受益者の応益分担制度を早期に確立されたい。」こういう県議会の議決まで経ているわけです。  この陳情に来たときに、与党から各党の、野党の先生まで、いや、その道を開かなければ、とてもいかぬわな、こういう声まで全部上がってきたわけです。だから、第三次から反省の上に立って第四次、これは大いにひとつ国土庁がしっかりその辺を考えてもらわなければならないことではないか、こういうことが一つであります。  もう一つは、林野庁にお尋ねをするけれども、下流の応益負担をやってよろしい、こういうことまで言っているのだから、それについてはどういうようなお考えでいるか。  その二点についてお尋ねします。
  171. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 大変重要な発言でございますので、いま四全総に着手したところでございますから、必ず四全総の中に入れまして、重要な課題として取り組んでまいりたい、こういうふうに思っています。
  172. 高野國夫

    ○高野説明員 ただいま小沢先生からお尋ねのございました二点目の応益負担の問題でございますが、林野庁におきましても、この問題は重要な検討事項の一つということで認識をいたしているところでございます。現在でも、全国あちらこちらで例があるわけでございまして、例えば福岡県でございますとか広島県でございますとか、ある時期に水不足などが生じまして、大変問題になったことがあるわけでございますが、そういったことを契機にいたしまして、上流と下流の皆さん方が御相談になりまして、下流の皆さんが森林造成に必要なお金の一部を拠出をする、こういうような仕掛けができ上がっているところがございます。  そこで、これを普遍的な事柄として推進するにつきましては、なおいろいろ問題があると考えておりまして、例えば受益者をどのように特定をするかとか、あるいはまた受益の程度を定量的に把握するにはどうしたらいいかとか、さらには下流の皆さん方の理解をいかにして高めていくか、こういったようないろいろ難しい問題がございますので、私どもといたしましては、今後ともさらに検討を続けてまいりたい、このように考えているところでございます。
  173. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それでは要望だけ申し上げておきます。  これは総理府でやった世論調査ですが、国土の将来像に関する世論調査、こういうものがあります。今後の国土づくりでどのようなことに力を入れるべきか聞いたところ、食糧や資源の安定供給の確保四七%、災害に対する安全性の確保四二%、これが一位、二位であります。以下、自然環境の保護二八%。やはり安全性の確保、食糧についても同じなんですが、安全な国土ということについて、国民は圧倒的にこれを求めているわけです。だから、私が今言うように、下流がもう財政困難なら負担してもよろしい、こういう声まで出るのはその反映だと思うのです。どうぞひとつこれは政府全体の問題として、公共投資の配分あるいはこれの増額ということについて熱意を持って対処をしていただくように要望をして、次の質問に入りたいと思います。  私は、今申し上げたような点もあって、建設業者の社会的責任、これはもうけんかなだけではなくて、社会的責任もだんだん加わってくると思う。政府の工事をやる、地方自治団体の工事もやる、こういう中にあって、全国方々から聞くわけですが、その一例として調査をしていただきたい、こう思います。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕  特定候補の政治活動について、これは明らかに違法とか選挙違反とかそういうわけにはならぬと思いますけれども、昭和五十八年七月二十二日付の長野建発百三十四号、各支部長あての文書を私は入手いたしました。社団法人長野県建設業協会長名による明らかな政治行動だ、こう思います。私は、個々の人が政治活動をやることを否定するわけではありませんが、社団法人の性格からいって、これは明らかに建設業倫理と申しますか、こういうことに抵触をしているのではないかと思いますので、これは調査だけの要求ですから、調査をしてほしい。いいでしょうか。
  174. 台健

    ○台政府委員 公益法人も、その目的の範囲内においては一定の政治活動を行うことは法律上許されるものと考えますが、せっかくの御指摘でもございますので、社団法人長野県建設業協会を所管する長野県を通じまして調査することといたしたいと思います。
  175. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 公共事業の競争参加の資格審査についてお尋ねいたしたいと思います。  恐らく国会で初めて取り上げられる問題かと思いますけれども、建設業法では三年ごとに更新を受けることになっております。有資格業者名簿は二年ごとに更新、昔は何か毎年毎年やったそうですが、それでも、臨調のあれか行管庁から言われたか知りませんが、これは二年に一遍、こういうように幾らか改善をされたようであります。私は、これはやはり建設業法で三年ごとと言うのだから、有資格者名簿に登録するか何かのことも三年ごとにやるのが適切ではないか、第一点はそれであります。業者は大変この問題で、事務量で困っているのじゃないか、こう思いますので、まずその点からお尋ねをいたします。
  176. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 建設省におきます直轄工事に対します競争参加者の資格審査についての御質問と思いますが、これらの関係の業者の施工能力あるいは経営状況といったようなものを、私どもといたしましても、的確に把握する必要があるということでございます。そういうことで、昭和五十一年度までは実は毎年審査を行っておったわけでございますが、発注者側の方の事務的な簡素化ということもありますし、また業者側の方の申請手続の面の簡素化、その両面から昭和五十二年度から二年ごとに行っているわけでございます。  ところで、やはり発注者といたしましては、これらの業者のなるべく最近における実態というものを十分把握した上で資格審査をさせていただくというのが望ましいという点もございますものですから、今までのところ、総合的に勘案いたしまして、やはり二年ごとぐらいにやらせていただくのがちょうどいいところではなかろうか、こういうふうに考えております。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 建設業法からは三年許可をもらっておるものが、おたくの方からは有資格の場合に途中でやまってしまう、こういうことがあり得るわけですか。そうすると、そのもとの建設業の方もこれはだめだ、こういうことに当然なると私は思うのです。だから私は、端的に言って、後の質問がありますから、それを聞いていただけばわかると思いますけれども、建設業法上の三年間、これは資格を得る場合にも三年間が合理的ではないか、こう思うわけです。  これは私の方の長野県の例ばかり申し上げて申しわけございませんが、ああここの川は北陸地建だぞ、そっちへ行って有資格の何かをやってこい。ああそうか、ここは関東地建だ、関東地建へ行ってこい。ここは中部地建だ、川もそうだし、道路の半分ばかりもそうなんだ、中部地建だ。そうしたら、中部地建のAクラスだかBクラスだかCクラスを取ったものだから、今度は同じ道路だから、関東地建の道路だってその資格でやらせてもらえるかと思ったら、これはまた違います、こういうことです。道路公団で中央道をおかげさまで皆さん方から推進していただいてやれるようになったが、今度はまた、道路公団へ行くには、建設省のその資格じゃだめです、道路公団特有の資格にしなければいかぬ。これは実際業者が私に訴えたのはそれなんです。それがまた申請が大変むずかしいわけです。道路公団は違う。中部地建、関東地建、北陸地建。これは皆さん、業者の立場になってお考えいただいたら、大変矛盾をしているとお考えではないでしょうか。  それで、建設省の直轄工事の中には、これは大臣、私は建設省一本で評価していると思ったら、土工工事、Aクラス、Bクラス、Cクラスとある。そうしたら各地建がそれをやっている。中部地建がやっている。関東地建がやっている。北陸地建がやっている。それで申請の中にあることは、地域別、こういうように分けなければならない必然性はどこにあるか。これもまた建設省の直轄工事で言うと八建設局だ。八建設局それぞれみんな違うわけです。日本道路公団へ行くと地域が九つ、また違うわけです。水資源開発公団は五つの本社及び支社で多分扱っているのではないか。  ここで、せっかくお越してありますから、住宅都市整備公団、日本下水道事業団、これは地域別だけでいいですから、地域別はどういうふうになっていますか。
  178. 名本公洲

    ○名本参考人 住宅都市整備公団でございますが、競争参加資格の申請書は私どもの方では一カ所で、申請者の企業の本店がございますところを所轄します支社等の窓口で一括して受け付けることにいたしております。もちろん登録は、おのおの支社が私ども四つございますので、その四カ所に登録ができるということでございます。(小沢(貞)委員「一括しているのですか」と呼ぶ)受付は一括でございます。
  179. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 下水道公団はいないか、きょう呼んじゃないか。
  180. 浜田幸一

    浜田委員長 あと道路公団が来ています。
  181. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 道路公団は私の方で調べてあるのでいいです。  建設局は八建設局、道路公団は九地区、水資源公団は多分五つの本社、支社でやっていると思います。  今、住宅都市整備公団は一括で受付だけは別々とこう言う。これはだめですかね。住宅都市整備公団は一本でやっておる、こう言うのです。建設省はそれはできないわけですか。道路公団にお尋ねするが、道路公団はそれはできないわけですか。
  182. 加瀬正蔵

    加瀬参考人 お答え申し上げます。  道路公団の場合には、公団機関で、希望する他の機関も含めまして、最寄りの窓口で一括して受け付けております。ただ、地域は九つに分けておりますが、地域に分けておりますのは、地域ごとの実績というものを審査の際に加味することによりまして、当該地域における受注機会がふえるように、むしろ中小の業者の受注機会確保のために私どもとしては地域を分け、そういう審査をしているわけでございます。
  183. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 建設省にはそれぞれ局へ申請さして、審査の中身に主観的要素、客観的要素と、これは審査の基準があるんですよ。道路公団の方へ行くと、一般的要素、それから特定的要素、地域的要素と、こういうのが加わっているのです。地域的の点数を別々につけるぞ、こういうことが加わっているんじゃないか。それだから地域ごとに出さしている。
  184. 加瀬正蔵

    加瀬参考人 地域ごとの実績を加味しませんと、東京の大手の業者がみんな有利になってしまうわけです。私どもの地域の資格審査の結果をごらんいただければわかると思いますが、むしろ地元の業者が異常に高位に入りまして、東京の業者が低い方にいく、地域によってはそういう傾向も出ておるわけでございます。
  185. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 実はそういうものがあるので、私たちは入れないと、こう言って不平を言っているわけですよ。我が長野県に道路公団が初めて工事をやる、地域的要素でここの経験がないということになれば、点数が下がってしまって入っていけない、そういう動機から私この質問をし出したわけですから、あなたの答弁は実情とは違うことを言っている。  建設大臣どうです。建設省の直轄工事の資格の審査といいますかランクづけのものが、何で道路公団も、その他建設関係のところにみんな適用するようにできないんでしょうか。これが大臣、林野庁になればまた違うんですよ。電電公社になれば国鉄になればまたみんな違う。ほかのところへ行けばみんな違う。我が長野県の県庁へ行くと、またこれと違う。こうなると、これは大変なことだ。建設業法は二十八種類がな、土木一式工事から始まって清掃施設工事まで二十八種類について資格を与えているわけです。ところが工事の種別のあれも、建設省は、本省官庁営繕部は九種類、これについて資格審査している。地方建設局は二十一種類。これはちょっと手引によって二十二種類、要領によれば二十二種類にもとれるわけです。日本道路公団は幾つだか、あるいは下水道事業団は幾つだか、水資源開発公団は幾つだか、そういうふうにやっていくと、工事が二十八種類で建設業法は審査をして登録をしてあるわけです。それを今度は建設省関係のそれぞれのところは、あるところは二十一種類、あるところは何種類、建設省の本庁の営繕は八種類だか九種類ですね。こういうようにどうしてまちまちの種類によって審査をしなければならないか。
  186. 豊蔵一

    ○豊蔵政府委員 私どもの建設省におきましては、直轄工事の発注の権限を地方建設局長に委任しておりますため、地域的にある程度区分をして審査させていただいているという点が一つございます。  もう一つは、いろいろな経営の実態等を調査させていただくために、二年ごとに資料を出していただくわけでございますが、一定の基準に従いまして点数を与えまして、それによりましてA、B、Cといったようなランクづけをするわけですが、その際、やはりこちらの方で発注いたします予定の事業等、分布率をも勘案させていただいてバランスをなるべくとるようにしたい、また現にしておるわけでございます。  そういうことによりまして、なるべく偏らないようにしよう。これがまた、今の各公団あるいは建設省との間で事業工事の種別等が、それぞれの公団によっても性格が非常に違いますので、そういう違う性格でまた大量に発注されるこういったような工事を、できるだけ技術的には分割可能な範囲で分割いたしまして、分類することの方がより中小建設業者等に対しましても配慮できるんじゃなかろうかということで、若干の地建と公団等におきます差があるんじゃなかろうかと思っております。  ただ、合理的な範囲でなるべく統一した方がいいという点もあろうかと思いますので、建設省、それから関係公団等につきましての問題点は、私どももさらに勉強をさせていただきたいと思っております。
  187. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 道路局長には質問する予定がなかったが、眠そうなのでちょっと一言。  建設省の直轄工事の有資格審査、ランクづけ、これでもって日本道路公団もやっては特別いけない点があるか。同じことを道路公団に私はお尋ねするが、道路公団どう思いますか。
  188. 沓掛哲男

    沓掛政府委員 地方建設局の場合は、道路公団に比べてもう少し小さい工事が多うございますので、地元中小建設業等、あるいはこれが協同組合あるいはジョイントベンチャー等を生かしてできるようにいたしておりまして、相当地元中小企業配分率が高くなっていると思います。  ただ、道路公団の場合は、高速道路という全国画一的な非常に高い基準のもので建設する関係上、地方建設局で実施しておる一般道路とはやはり基準等において異なる面も出てまいりますので、それぞれの地域性を加味した、また道路公団であれば、全国的な画一性を加味したそういうようなものがある程度必要ではないかというふうに思います。
  189. 加瀬正蔵

    加瀬参考人 私どもの仕事は全国的に展開しておりますので、地域を分けることは、むしろ地域の業者になるべく受注の機会を与えるというような意味で必要かと思っております。殊にジョイントベンチャーを組む等によりまして、公団の仕事は割に高規格のものが多いわけですが、中小に、私どもから言いますと、B、Cのクラスの業者にもジョイントに加えることによって受注機会を確保するような配慮は、今のようなやり方の方がむしろいいのではないかと思います。ただ、事柄によりまして、建設業法に基づくようないろいろな経営事項につきまして、共通のものがあれば、その点のとり方等については勉強いかんでは統一して考えられるものはないわけでもないかと思いますので、引き続き勉強させていただきたいと思います。
  190. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 官房長は検討する余地もありそうな答弁だし、また道路局長ときたらもうはしにもねじにもならぬ、断じていかぬみたいな返事なんだな。  大臣、政治的に見て我が県は、ここの河川の工事をやるときには北陸地建まで行って、点数はどうだ、地域的要素だか何だか加味されてやる。こっちをやるときは今度は中部地建でなきゃいかぬ。それはまた全然申請し直しだ。同じ道路をやるにもそう、建設省道路をやるにもそう、中部地建だ、関東地建だとこうある。今度は道路公団がやれるというから、やれるかなといったら、いいじゃないか、やらしてもらえば。違うんだ。道路公団にはまた別の資格審査がある。これは業者から言ったら、ここらは行革をしてもらって、もう少し権威あるランクづけだか資格、こういうものをつくってもらわなければならぬと思うのです。研究してもらえますか。
  191. 水野清

    水野国務大臣 先ほど来先生大変よくお調べになって、各公団とか直轄事業のランクづけの話をなさいました。これはもろ刃のやいばだと思うのでございまして、各事務当局から説明いたしましたように、それぞれのランクづけがあったり事業所ごとに登録をさせたりするというやり方は、確かに中央の大手業者が一括して仕事を全国的にとってしまって、中小業者にチャンスを与えないというものを防ぐために必要な面もあろうと思います。しかし、また同時に先生の御指摘のように、それが逆に大変煩瑣な仕事をそういう登録のために業者に強いるわけでありまして、もろ刃のやいばといいますか非常に難しい面があろうと思います。先ほど官房長が申しておりましたが、その辺をできるだけ寄せてみたい。それを全部統一してやるということは、私はなかなか難しいと思いますが、相互間に、A公団で通じるものは、せめて似たようなものはB公団でもある程度通用するようにするとか、そういう別の事業団体ごとにあるいは事業区ごとにある程度の融通性を持たせるような事務的な検討をやらしてみたい、かように思っております。
  192. 小沢貞孝

    ○小沢(貞)委員 それで結構です。ただ、大臣誤解をしているんだけれども、道路公団が初めてここへ来たものだから、建設省の直轄工事の資格を持っているのが申請に行くと、地域的要素で経験がないからだめだといって入れてもらえない、こう言うんだ。逆のことなんですよ。だから、この地域的要素というのは、地域の特性などに密着していて、ある特定の業者だけが指名の中に入って、それを談合によって順繰り順繰りにやる、そういう温床をなしているという面もある。そういうことで、せっかく検討していただくというようなのでよろしくお願いいたします。終わります。
  193. 浜田幸一

    浜田委員長 御苦労さまでございました。      ————◇—————
  194. 浜田幸一

    浜田委員長 次に、内閣提出、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  趣旨の説明を聴取いたします。稻村国土庁長官。     —————————————  奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  195. 稻村佐近四郎

    ○稻村国務大臣 ただいま議題となりました奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨について御説明申し上げます。  奄美群島につきましては、昭和二十八年の本土復帰以来、特別措置法のもと、各般の事業実施し、これにより奄美群島の基礎条件の改善とその振興開発を図ってまいったところであります。  しかしながら、奄美群島をめぐる諸条件は依然として厳しく、なお本土との間に格差が存すると考えられます。今後、その格差の是正を図り、国土の均衡ある利用を推進するためにも、奄美群島の特性とその発展可能性を生かし、積極的に社会基盤の整備地域産業の振興を進める必要があります。  このような見地から、現行の振興開発特別措置法の有効期限を五カ年延長することにより、新たに総合的な振興開発計画策定し、これに基づく事業推進する等特別措置を引き続き講ずる必要があると存ずるのであります。  また、小笠原諸島につきましては、昭和四十三年の本土復帰以来、特別措置法のもと、各般の事業実施し、その成果を上げてまいったところでありますが、本土から極めて隔絶した外海離島であるといつ自然的条件等のため、人口の定着、産業の育成等が十分には達成されていないと考えられます。  このような見地から、現行の振興特別措置法の有効期限を五カ年延長することにより振興計画改定し、これに基づく事業推進する等特別の措置を引き続き講ずる必要があると存ずるのであります。  以上が、この法律案を提出する理由であります。  次に、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。  まず、奄美群島振興開発特別措置法の一部改正につきましては、第一に、この法律の有効期限を昭和六十四年三月三十一日まで五カ年間延長し、新たに昭和五十九年度を初年度とする五カ年の奄美群島振興開発計画策定することとしております。  第二に、奄美群島振興開発基金について、役員の任期を二年とするとともに、内閣総理大臣及び大蔵大臣に提出する事業報告書に監事の意見をつけることとしております。  次に、小笠原諸島振興特別措置法の一部改正につきましては、法律の有効期限を昭和六十四年三月三十一日まで五カ年間延長し、小笠原諸島振興計画計画期間も現行法の五カ年から十カ年に延長しております。  以上が、奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興特別措置法の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  196. 浜田幸一

    浜田委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十八分散会      ————◇—————