○
島田委員 私の指摘は少し厳し過ぎるかもしれません。ただ、まことに私は遺憾だと思いますのは、当時保安林としての視点からこの受け
財産を検討されておれば、あるいはあれほど小針暦二氏をしてここに自信を得さしめるようなことは起こらなかったのではないかという思いが私にあるからであります。しかし、これは時間の関係で、今の御答弁を了解できないけれども、やむを得ざるものとして受けとめざるを得ないと思います。
しかし、この際、渡し
財産の方について当時の
検査院が御指摘になった点は極めて高く評価していいと思います。ただ、残念なことに、これも当事者であった国有林の管理者である林野庁が、あなた方の御指摘の点について強い反省があってしかるべきだと僕は思うのですが、どうしてもこの点について、今までの資料の提出や
説明によっても私がいま
一つ納得しがたいところである。
この点を少し再現してみましょう。当時の会計
検査院の指摘であります。「渡
財産の評価についてみると、」という題になっております。大事な点ですから、ここは読み上げていきたいと思います。
三十九年三月の交換契約分については、同年一月、同営林局において山林として各種課税標準価格を基とした価格等により三・三平方メートル当たり六十四円と評価しているが、本件土地の周辺は近年別荘分譲地等として開発されつつあり、評価時においては、土地会社が別荘分譲予定地として地元民等から購入したものが相当あり、位置環境等からみて本件土地よりも品位が劣ると認められるもので三・三平方メートル当り平均三百五十円で購入されている例もあったのであるから、評価にあたりこれら売買実例価格を十分に
調査したとすれば相当有利になるように相手方と交渉できたものと認められる。
つまり、なぜこんな大損をして売ったのかという厳しい指摘であります。
続いてレポートは、
現に、本件土地のうち五十九・七ヘクタールは、湯本温泉市街地に近いなど良好な箇所ではあるが、三十九年七月、三・三平方メートル当り二千二百円程度で転売されている状況である。
驚くべき価格で売られているという実例があるということを指摘しているのであります。驚くべきというのは、決してこの価格を不当と言っているんじゃないのです。こういう実例があるにもかかわらず、驚くべき安い値段で国有林を手放しているという指摘に通ずるのです。
さらに、第二回目の分についても触れています。これは四十年七月の交換契約分についてでありますが、
三十九年十一月、同営林局において山林として各種課税標準価格を基とした価格、売買実例価格および民間精通者の鑑定評価格を平均して三・三平方メートル当り五十六円と評価しているが、売買実例として採用している価格は、地元民が山林
経営のため購入した場合のものであり、現地の状況からみてこれを採用したのは適切とは認められず、また、鑑定評価格についても十分
調査をしないで採用したのは適切とは認められない。さらに、前記三十九年七月の転売の事実も登記簿等について十分
調査を行なっていれば判明したものと認められ、その後さらに土地会社が別荘分譲予定地として地元民等から購入したものが相当判明していた状況であり、評価にあたりこれを十分
調査したとすれば、相当有利になるように相手方と交渉できたものと認められる。
現に、本件土地のうち六十六・七ヘクタールは前回同様良好な箇所ではあるが、四十年八月および十二月、三・三平方メートル当り三千円程度で転売されている状況である。
この点は私が前の
決算委員会で指摘をいたしました。なぜこんな売買実例も近くにあり――林野庁は手放すときの
理由に、那須の国有林は極めて劣悪な土地である、評価に値しない土地に近い答弁をなされているのであります。ところが、その当時会計
検査院は、それは全くうそであると指摘をされている。厳正に地元を足で稼いで
調査をされた結果であるとも言われております。これだけの指摘をしておきながら八千八百万円で交換された土地、まことに国家的大損を犯した、そういう意味において、罪万死に値すると私は厳しい口調でこれを指摘をしたのでございます。三千円でも、それは一番高い場所かもしれませんが、現に近くに三千円という売買実例がありながら、なぜ六十五円などという低い値段で評価したのでしょうか。私でなくたって疑問が残るのは当たり前です。
そこで、私はこの際、問題の人小針暦二氏について
法務省に若干お尋ねをしたいと思います。
小針暦二さんという人は、私の表現で言えば大変したたかな人のようでございます。彼の経歴を少し
調査させていただきました。
昭和十一年に詐欺で懲役一年に処せられております。
昭和十三年には公文書不正事実記載でこれまた懲役一年六カ月に処せられております。
昭和十六年、住居侵入でこれまた懲役六カ月であります。
昭和十八年、有価証券偽造で懲役三年。戦後になりますが、
昭和二十一年、食管法違反で、これは
罰金刑ですが千円の刑に処せられております。そしてその後、白河の鉱山を買収いたしまして、光鑛業を資本金百万円で興しました。亜鉛採掘をしていた会社でございますが、
銀行から不正融資を受けていたことがばれまして、奥さんや子供さんを置いて逐電をいたしました。その後、どういうつてでか兼松江商に食い込んで大阪市で材木商美福を興した、これが美福の始まりであります。
そして、最近といいますか、今話題にしております国有林の交換が行われるちょっと前、
昭和三十三年の十二月ですか、福島県の開発課係長を巻き込みまして、村有林の払い下げに、これはまんまと成功いたしました。かわりに村長に対して百万円の通帳を贈りました。これはやはり
法務省もねらいました。全国に指名手配をいたしました。翌三十四年、福島地検から
罰金刑に処せられるという、そういう経歴を繰り返してきたわけであります。
しかも、四十二年になりまして、福島交通の三十万株のうち二十万株を買い占めまして、当時の織田大蔵社長から小針氏背任の告訴を受けたのでありますが、しかし、これをはねのけまして翌年福島交通の社長となった。そして、福島交通二百五十万株のうち小針社長が百三十万株を保有し、その三カ月後には福島交通不動産をつくられた。こういう経歴を持っているわけであります。今申し上げました一連の彼の経歴の中で、国有林の不正交換
事件を彼は画策をし、政界を巻き込み官僚を押さえ込んでこれをまんまとせしめたのであります。
私は、以上申し上げました点について、
法務省にいわゆる事実についての確認を求めたいと思います。