○
新村(勝)
委員 私は、
日本社会党・護憲共同を代表して、
昭和五十五
年度決算につき、ただいま
委員長から提案された議決案に対し、反対の意思を表明するものであります。
議決案のうち、
予算の効率的使用等に関し、
政府が適切な措置をとり、報告をすることを求める第一項及び
会計検査院が指摘した不当事項について本院もこれを不当と認める第二項については賛成であります。
しかし、「
決算のうち、前記以外の事項については
異議がない。」とする第三項に反対するものであります。反対の
理由は、
昭和五十五
年度決算における不当事項、非効率的使用事項等が、この議決案の指摘のほかに多くあるものと認められること、さらに、同
決算が以下四点にわたり申し述べますように、重大な
問題点を持っていることがあるからであります。
第一は、
決算とその
審議結果が以後の
予算の編成と執行に十分生かされていないことであります。この点を改めるために、まず
決算の
審議を促進して、二年おくれというような
審議状況を一刻も早くなくすべきであります。加えて
決算検査の拡充が必要であります。現在、検査は主として事務や事業の実施、経理における不当事項等について行われていますが、この検査だけでは不十分であります。
予算の使用
目的が社会
経済の変化に伴って減少している事項、同じ
目的を達成するために他の方法を用いた方が効率的な事項等を科学的に調査分析し、これを
予算編成に反映させ、
財政の効果的、効率的運用を図り、もって
国民の厚生を向上させるべきであります。
第二は、第二次
石油危機後の
不況、高物価で苦しめられている
国民に対し、
昭和五十五
年度会計が
国民負担増、福祉切り捨てをもたらしたことであります。我が党は、
昭和五十五
年度予算審議に当たり、社会党独自の修正案において、福祉、年金の引き上げ、
雇用の安定、所得税の減税、不公平税制の是正、防衛費の削減、国債発行額の圧縮を行うことを主張し、社会、公明、民社三党共同修正大綱を
政府・自民党に提示し、
国民生活安定の
予算に改めるよう要求いたしました。しかし、自民党
政府はこれに応ぜず、そのため、福祉、教育の後退、
不況の長期深刻化、十四兆円を超える大量の国債発行に見られる
財政破綻を招いたのであります。この中で防衛費を六・五%も増額し、P3C十機、F15三十四機の取得など、軍備拡大、危険な軍事大国化を進めたのであります。このような
国民犠牲の
昭和五十五
年度会計に賛成することはできません。
第三は、我が党が
決算審議において明らかにした多くの
問題点に関して改善措置がなされていないことであります。自治体の
財政運営における資金繰りについての配慮、米軍艦載機の訓練場の問題、ODAの執行
状況の把握、航空交通管制における民間航空機の安全確保と我が国の主権の問題、中国からの引揚者の
雇用対策等々の問題であります。これらの緊要な課題が解決されないままに、五十五
年度決算を承認することはできません。
第四は、
予算のむだ遣いの多いことであります。
昭和五十五
年度決算検査報告は、不当事項が百八十件、額にして六十七億円、これに意見表示・処置要求事項を加えた
予算のむだ遣いが二百二件、総額二百九十一億円にもなると指摘しているのであります。しかも検査は、検査対象機関の八%について実施されたのでありますから、全体では三千六百億円の血税のむだ遣いが行われているものと推定されるのであります。
社会保障費、教育費を切り詰めながら、多額の
予算の浪費をしている自民党
政府による
財政運営を是認することはできません。
以上の
理由に基づき、私は本議決案に反対の意思を表明するものであります。
最後に、
国民の切望する清潔な政治を実現するための重要な制度改正の
一つである
会計検査院の権限の拡充強化を早急に図るよう強く要求して、私の反対討論を終わります。(拍手)