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1984-07-03 第101回国会 衆議院 環境委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年七月三日(火曜日)     午前十時二十分開議 出席委員   委員長 竹内 黎一君    理事 戸塚 進也君 理事 畑 英次郎君    理事 福島 譲二君 理事 岩垂寿喜男君    理事 中村  茂君 理事 春田 重昭君    理事 中井  洽君       榎本 和平君    金子原二郎君       林  義郎君    上坂  昇君       広瀬 秀吉君    斉藤  節君       竹内 勝彦君    薮仲 義彦君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁自然保護         局長      山崎  圭君         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君         建設大臣官房会         計課長     望月 薫雄君  委員外出席者         沖縄開発庁振興         局振興第三課長 藤森 研一君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         厚生省生活衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         厚生省生活衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       田島 邦宏君         林野庁指導部森         林保全課長   原 喜一郎君         林野庁業務部業         務第一課長   塚本 隆久君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    廣瀬 定康君         通商産業省機械         情報産業局電気         機器課長    広野 允士君         運輸省航空局飛         行場部管理課長 西村 泰彦君         運輸省航空局飛         行場部計画課長 坂井 順行君         運輸省航空局技         術部検査課長  加藤  晋君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   福渡  靖君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 七月三日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     広瀬 秀吉君 同日  辞任         補欠選任   広瀬 秀吉君     山本 政弘君 六月二十七日  湖沼環境保全特別措置法案丸谷金保君外二名  提出参法第一三号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ————◇—————
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。広瀬秀吉君。
  3. 広瀬秀吉

    広瀬委員 私は、委員外ではございますけれども、きょうは特別お許しをいただきまして、産業廃棄物処理場建設をめぐる問題で、現在、栃木県の塩谷町というところがあるわけですが、この塩谷町の産業廃棄物処理場建設をめぐって、反対をする住民業者との間に大変な対立トラブル状況が起きている問題に関連して、いささか環境庁長官関係各省庁の見解をただしていきたい、こういうように考えておるわけでございます。  この塩谷産業廃棄物処理場建設の問題は随分古いところから始まっておるわけであります。大体五十四年ごろから、業者がそこの建設予定地に近接する住民同意を五十四年に得るというようなことから始まっておるわけでありますが、その同意をとる際にも、その近辺の四人の人から同意をとった。そのときには何か管理型の最終処分場というようなことではなくて、塩谷町の宇都宮寄りの、ちょうど宇都宮塩谷町の中間ぐらいのところに篠井というところがあるのですけれども、これは宇都宮市内でありますが、合併町村篠井、そこにある一般廃棄物処理場と同じ程度のものをつくるのだ、本来、同意なんというものは必要ないのだけれどもというようなことで、それならばまあ書いておこうか、それだけ熱心に何回も来るのだからというようなことで書いた。こういう人たちも、後で事態の重大さに気がついて、これを取り消し、撤回をするというようなことがあったり、安定型といわゆる管理型ということも必ずしもはっきりしなかったというようなことで同意を得た。それから羽谷久保という部落でありますが、そこの代表と一応の協定をしたというようなことも当時行われた。  そういうようなことから業者がいろいろな手続段階を経て県にこれを持ってきた、届け出をした。県がこれを五十七年に受理をする。そういうような状態になってきたわけですが、県はそれをその後の事情の変化、特に住民が徹底的に反対に立ち上がっているというような状況などを勘案して、この同意撤回をするということがありました。それから業者が、今度は県のそのような同意受理撤回申請書届け出を出した者に対する受理を県が今度は撤回したのはけしからぬ、こういうことで厚生省行政不服審査申し立てをする、こういうようなことがありました。  そういうことで、その後、厚生省からそういう行政不服審査申し立てに対する裁決が出た以上、我々はもう断固やっていけるのだというような強硬な姿勢に業者が転換をして、次々に工事を強行する。住民がこれに対して立ち向かって反対実力行動に出る、こういうような状況になって、ブルドーザーで押し倒されて二メートルぐらい転落をして、三名ばかりけが人が出るというような事態などがありました。  それからまた、その工事の進捗というような状況の中で、さらにその建設現場まで国道、県道から行くのには、小さな細い町道を通っていかなければならぬというようなこともありまして、そこに住民皆さんが車で来て監視をするというような態勢になって、コンクリートなどを運ぶ大型トラクターがこれによって通行ができなくなるというようなことが起きたりしておるわけであります。  そういう中で、また問題は、その当該地の一番重要な、工作物をつくるに当たって非常に重要な地点国有地が約四百六十平米ぐらい存在をしている、これは水路と林道の形で今まであったわけでありますが、この問題についても、また用途廃止をその地権者申請をする。これは建設省公共用財産であったわけですが、その用途廃止を町も認めたというような経過もあるわけでありますが、その後、さらに住民運動の高まりとともに、これは用途廃止はできない、重要な水源地である、こういうようなことで、この点についても、大蔵省財務部に一たん用途廃止申請を認めたわけでありますが、それを町の撤回届によってさらに再処理をして、現在は建設省公共用財産になっている。そこへまた、工事をどんどん進めようとしている。我々には占有権があるのだと業者側は言う。こういうような対立がありまして、住民との間に大変な対立状況が続いておるわけであります。  そういうような問題、非常に問題のあるところでありますが、こういう状況環境庁長官も御承知になっておられるだろうと思うのです。住民がなぜそういう反対をするか、これは言わずと知れておるわけであります。産業廃棄物の中には有害な物質が必ず含まれているに違いない、その点を、できてしまったら住民はもうチェックすることもできないし、あとはもうお役所に任せるか、業者のなすがままである、そういうことになったら、塩谷町のその建設場地点から下流の水も飲めなくなる。井戸水も、地下浸透によって有害物質を含むことになるのじゃないか。あるいはまた、農業用かんがいというようなものについても、例えばカドミウム等が含まれるというようなことになったら、かつて塩谷町というのは高山鉱山というのがありまして、そこから流出したカドミが米の中に含まれるというようなことで、売ってはならぬというような経験もあるところでありますから、そういう点では、そういう実例もあったものですから、非常にそういうことを恐れている。  こういう立場ですから、住民立場としては、当然の安全な生活を保障してもらいたい、公害のない、有毒物資などで汚染されることのないきれいな水を使いたい、それから土地の産業である農業、米のかんがい、こういうようなものに害が出てはならない、こういう立場から反対をしていることは間違いないわけでありますが、このような住民との対立状況、そういうようなものに対して、公害防止の徹底を期するために環境庁設置されていると思うのです。そういう立場から、環境行政を預かる環境庁長官としてはこの問題についてどのような御見解をお持ちか、まずそこから伺いたいと思います。
  4. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  産業廃棄物埋立処分につきましては、埋め立てられます廃棄物種類によりまして、先生指摘のとおり、いろんな種類別処理する方法を決めておるのでございます。その基準に従いまして処分地が造成をされるということになっておりまして、環境汚染が起こらないようにということで決めておるわけでございます。  御指摘処分地建設に当たりましては、そのような基準が守られますように私どもは承知いたしておるのでございますけれども、今後とも廃棄物処理を主管をしていただいております厚生省の方とよく連絡をいたしまして、私どもの方といたしましても適切に処理ができるようにしていきたい、こういうふうに考えておるものでございます。
  5. 広瀬秀吉

    広瀬委員 大変抽象的なお答えですけれども住民との間にそのようなトラブルがずっともう四年、五年にわたって続いているということについて、環境庁長官としていささか今のお答えでは、まあそういうように聞いているというようなことではなしに、環境庁自身が、そういうトラブルが起こっている、実際はどうなのかというようなことを現地に行って詳細に調査する、本当に住民心配ないんだ、そういう不安はないですよというようなことを、みずからも国の立場で、これは厚生省の分野になるかもしれぬけれども両方から答えていただきたいのだけれども現地について調査をする。なるほど都道府県設置届け出を法十五条によって受理するということになっている。そして今度は逆に十四条で処理業を扱う業者許可をするという。どうも私はその辺のところも、これは両方とも少なくとも許可というような厳しい審査を経た後においてやる、業者が一定の基準に従って書類だけうまくつくって持ってくればもうそれでいいのだ、こういうようなことでは、法それ自体が不備だと思うわけなんです。  そして県が一たん受理をしたんだから、それはもう有効である、これは県のいわゆる公権力の行使としての処分に該当しないんだという裁決で、門前払いのような形で、その段階において厚生省としても何らの実態的な——国立場厚生行政住民の安全をつかさどる厚生省としても、また公害防止観点からの環境庁としても、お互いに合い議ぐらいはあっただろうと思うのです、どういう裁決をなすかということについても。その段階で何らの調査も、実態の検討ということもなされなかったのですか。その辺のところを、ひとつ確かめておきたいと思います。
  6. 佐竹五六

    佐竹政府委員 お答えいたします。  先生ただいま御指摘もございましたが、この廃棄物処理法に基づく届け出処理業務というのは、一義的には厚生省所管になっておりまして、環境庁といたしましては、この廃棄物処理場構造基準、それから維持管理基準について定めるというのが私どもの一応の仕事の範囲に今なっているわけでございます。  したがいまして、本件、今お話しのございました行政不服申し立てに対する裁決につきましても、これは厚生省が専ら最終処分場建設を進めるというような観点から裁決をなさったわけで、その段階では特段の御相談は私どもいただいていないわけですけれども、私どもといたしましても、もちろん最終処分場構造基準あるいは維持管理基準を決めているわけでございますので、そのような観点から、本件についても現在の構造基準皆さんの不安が解消されるのかどうか、そういう点については十分関心を持って、私どもは、現在の基準が的確に守られれば一応問題はないというふうに考えておりますけれども、なお今後、地元の皆さん方からいろいろ御意見もあれば、十分それもお聞きしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
  7. 田島邦宏

    田島説明員 お答えいたします。  問題地域最終処分場について現地調査する考えはないかという御質問でございますけれども、これにつきましては、栃木県知事から環境庁ともどもども事情を聴取しておりまして、それによりますと、所要の遮水工ですとか集水設備あるいは浸出液処理設備などを設けて、またこれらの設備を適正に維持管理する等の措置を講じ、ということになっているというふうに承知しております。したがいまして問題のないものと考えておるわけでございますけれども、なお今後ともこういう構造維持管理上の問題が生じないよう十分知事指導してまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  8. 広瀬秀吉

    広瀬委員 大変おざなりの答弁で私がっかりしているわけですが、住民の不安が高じて、今ここへつくらせては子々孫々に至るまで累を及ぼすという立場住民皆さんはとっている。処理場構造基準安全基準管理基準、いろいろあるだろうと思うのですが、そういうようなものが住民にとって大丈夫なんだ、そういう皆さん心配はないんですよということは、業者だって説明の義務もあるだろうし、地域住民同意なり了解なりが得られるというような努力は一応なさっただろうと思うけれども、そのことについて、そういう説明では全く納得できないというものがあるわけです。  ですから、県知事から言ってきたものを信用する以外に国の立場はないんだ、そういうことならば、これはもう住民運動なんか起きるはずはないんですよ。住民はそれだけ大変な不安を抱いている。将来我々は塩谷町に住めなくなってしまうのじゃないかというおそれすら抱いている。米を収穫しても、それが売れない米になってしまうのじゃないかとか、あるいは人体に直接的に影響を受けるようなシアン化合物であるとか水銀であるとか、あるいはカドミとかというようなものなんかが飲用水に含まれたら一体どうなるんだ、それが米に残留して米が売れなくなる、そういう不安というものを深刻に抱いている。業者説明どもあったけれども、そういうものにも納得できない。  それはなるほど管理型ですから、水をきれいにして放出するというような施設もつくるでしょう。それで、厚生省が一応基準値を設けられておる。それに対して県も若干上積みの基準値も設けている。そういうようなものを完全にクリアした水しか出さないという。これは、住民が直接そういうことを調べる技術も持たないということでありますから、あとはもう信頼せよというだけのものに——今米の問題でも臭素五〇ppmとかなんとか言っていますけれども、そういうppmなどというものをどういう器械を使って、どういう技術を駆使してやれるか、住民が知り得るかということなんかについては、やはり今日の行政の中でも、それは県を信用する以外にない、あるいは保健所を信用する以外にない、こういうことにならざるを得ないんですね。したがって、そういうところに不安材料が極めて累積しておるわけですね。  そういう問題について住民の不安というものが当然つきまとうし、したがって、その住民の不安をどう解消できるのかというようなことについて、これは県も努力をしたけれども産業廃棄物というのは次から次へ出てきてなかなか処分し切れない、第一次的には事業主がみずからの責任処分をせよ、それから先は最終処分場管理型のものをつくってそういうところへ捨てていく、埋め立てていく、こういうようなことになるわけですけれども、そういうものがどんどんふえてくるということで、それへの対応に追われて、少しぐらいの反対運動なんかが起きても、ある程度押し切ってしまえということになる。地方自治体だって、そういう仕事をなさっておる環境衛生関係人たちなんかには、そういうものがまず先立ってしまう。あと業者の方を安易に信頼してしまうというようなことになりかねないものがあるんだと思うのです。  そういうような点で、これは経塚議員からも質問主意書が出されて、政府答弁をされている。この答弁を見ますと、「公共の水域及び地下水を汚染するおそれはないものと考えている。」それは構造及び維持管理基準が適用されているから、そして知事から聞いたところによればそう思うというだけなんですね。こんなことで住民が納得できるだろうか、今申し上げたような理由でそういう点でも疑問がある。  しかし、このコンクリート打ち現地でやったというようなところで、五月十九日の新聞ですが、早速、そういう仕事をやってコンクリートを流し込んだというようなことになりましたら、下流の井戸が、井戸水を使っているところがざあっとみんな白濁してしまった。それから小さな川ですけれども、富沢川の水が真っ白になって流れている。そしてその河床には白い粉末がずっと残っている、真っ白になっているというようなことが、こんなに大きく報道されているんですね。  そういうようなことで、安全だ安全だと言ったって、住民が納得できる、安心できる状況にはないじゃないかと言わざるを得ないんですね。遮水工も設けている、集水設備も設けている、浸出液処理施設も設けている、適正に維持管理すれば問題はないというふうに言っているんですけれども、そういう点で非常に問題だということです。そういう点、業者構造をきちんとやって、これは今までの例等に比較してその設計上、構造上疑問がないというようなことを、県だけではなしに環境庁としてあるいは厚生省としてそういう点をきちんと確認をして、これは一般的な概念ではなくて、あの塩谷町の産業廃棄物処理施設現地立地状況、レイアウトの状況から見て、どういう状況になるかということも加味しながら、こういうことで本当に安心できるのかということについて、どこまで国が立ち入って確信を持てる立場にあるのか、どれだけの努力をなさったのか、この辺のところをひとつ聞かしてください。
  9. 佐竹五六

    佐竹政府委員 構造基準につきましては、先ほど先生からもお話のございましたように、要するに有害物質が外に出ないように遮水工をつくるとか、集水設備をつくるとか、あるいは浸出液処理施設をつくるということでございます。  本件につきましては、この遮水工妥当性については、表面の遮水工については凝灰岩層の不透水性を利用している、それから擁壁については鉄筋コンクリート製で、基礎部にはセメントミルクを注入し不透水性を高めている、また岩盤の割れ目については表面割れ目特殊ゴムを吹きつける等、技術的に見ます限り、先ほどお話のございましたような浸出液防止をできる設備として一応十分である、こういう判断に立ったわけでございますけれども、なお具体的な事実として先ほどのような問題があるとするならば、これについては所管省である厚生省とも御相談して、今私どもの判断していることが正しいかどうか、さらに検討することにはやぶさかではございません。  いずれにいたしましても、地域住民の方々の不安を解消することが必要であるということについては、私どもも全く異論のないことでございまして、今申し上げましたようなところを直接所管省であられる厚生省とも十分協議いたしまして、さらにその適正さについては検討していくことといたしたいというふうに考えているわけであります。
  10. 広瀬秀吉

    広瀬委員 今、疑問があるというならばさらにそこまで立ち入ってもう一回調査をしてみたいというように理解してよろしゅうございますね。——それではぜひひとつそういう形で一歩踏み込んだことを、県だけに任じておくのではなくて、国の立場においても、これは大丈夫なんだというならば、そういうものをよく調査をしていってもらいたい。欠陥があるならばこれはもうやめなければいけないというような的確な国の立場からの指導もひとつしてもらう。県に任せたんだからもうあとは知らぬ存ぜぬでいってもらっては、これは国の責任を怠るものだと言わざるを得ないと思うのでありまして、その辺のところはそういうようにひとつやっていただきたいと思うわけでございます。  次に、林野庁関係、来ていますな。——処分場建設現場森林法に基づく森林開発行為規制を受ける場所でございますから、最初に計画として出されたものは埋立地として二万六百九十五平米ということでありますから、これは当然二ヘクタールを超えるわけであります。森林開発規制許可という段階は一ヘクタールということになっておる。産業廃棄物処理場建設ということは、その森林開発行為に当然なるわけですけれども、それで二ヘクタールを超えているというようなことで出されてきておった。その段階で、それでは規制の本旨からいってこれは許可事項になるというようなことで、資料の提出を求めたというようなことを聞いているのですが、どういう見地に立って県の当該関係者はそれを認める立場に立ったのか、その辺のいきさつをきちんとしてもらわないと、そういうことは、いまだに二ヘクタール以上に及ぶということを変更しないで計画としてちゃんと持っている。そして一ヘクタールに当たらない〇・九五ヘクタールとか〇・八七ヘクタールとかというようなことで、その部分だけかえて森林法からの開発規制の枠を逃れる、こういうようなことを業者として、言うならば悪知恵を働かしたというか脱法的な手段できたのか、その辺のところも非常に問題である。  この答弁書は「本件最終処分場設置の届出の受理は、廃棄物処理及び清掃に関する法律に基づき行われたものであり、問題はない」のだ、こういうことを言っているのですが、恐らく〇・八七ヘクタールで出しかえて、森林法からの開発規制による許可というものを受けないで済むようなやりくりをして、数字だけごまかして〇・八七で出してきた。現地調査もやったようだけれども、大体それは誤りないということになっているのだけれども、将来さらに第二期工事でわずかでも積み上げれば、これは恐らく第二期工事が倍くらいにはなるだろうということになれば、森林法に違反をするということにならざるを得ない。その開発規制にひっかかるということについて、森林法所管する林野庁としての立場においてどのような考えを持たれるのか、業者不誠実性というようなものを感じないかどうか、そういう点を含めてお答えをいただきたい。
  11. 原喜一郎

    原説明員 塩谷町の関係につきましての森林法上の関連のお尋ねでございますけれども先生御案内のように、森林法におきましては、都道府県知事が樹立いたしております地域森林計画の対象となっている民有林、これは五条森林と申しているわけでありますけれども、このうち保安林を除いたもの、保安林は明治三十年以来そういう規制を行っておりますので、除いたいわゆる普通林と言っておりますが、そういうようなものにつきましても、国または地方公共団体以外の者が一ヘクタールを超える開発行為を行おうとする場合には都道府県知事許可を受けなければならない、こういうふうなことで昭和四十九年度以来運用しているわけであります。  栃木塩谷町に建設中のこの事案につきましては、林野庁としましては、このことがはっきりわかりましてから栃木県の林務担当部局に対しまして、まず現に行われている開発行為が一ヘクタールを超えていないのかどうかを含めまして、事実関係をひとつ早急に調査して、森林法の趣旨に照らしまして適正に措置をするように指導しているわけでありまして、栃木県からは、六月五日に現地調査を行ったところでは、当該林地の開発行為は一ヘクタールを超えていないと判断される、こういうふうな連絡を受けているわけであります。  しかしながら、森林法におきます林地開発許可制度におきましては、開発行為計画が大規模でありかつ長期にわたるものの一部であると思われる場合につきましては、全体計画との関連がまず明らかになることが必要でありますから、林野庁といたしましては、この観点からもさらに今後調査しまして、森林法の趣旨に照らして適正に措置するように栃木県林務担当部局に対しまして指導しているわけでありますが、今後もさらに十分指導してまいりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  12. 広瀬秀吉

    広瀬委員 森林法にひっかかる。そうすると、許可をしてもらわなければならぬ。その許可のためには、水源地であるかどうかとかあるいは下流に対してどういう影響があるというような、大体三項目くらいだと聞いておりますけれども、かなり慎重な手続、事前協議あるいはその他いろんな審査があるだろうと思うのですが、そういうことで、それをやっていると長引くからというので、〇・八七にしておけばそっちは全然問題はないのだから、そういうような業者の態度というようなものについて環境庁としては、業者の利益を生み出していこうというその利潤動機というものだけが先走って、法律には触れないけれどもあらゆる脱法的な行為によって当面をしのいでいく、そういうようなものなんかに対して、そういう業者許可の法律の主管省である厚生省両方聞きたいけれども、そういう点について一体どういうような所見を持っておられますか。
  13. 佐竹五六

    佐竹政府委員 もちろん、森林法を初めといたしまして各種開発規制の法令があるわけでございますので、これを遵守して適正にその最終処分場建設を進めていただかなければならないのは当然でございます。本件につきましては、私どもも具体的に脱法的な意図があって措置したかどうかつまびらかにしておりませんけれども、一般論としてそのような脱法的な行為が行われることは好ましくないことは当然でございます。
  14. 田島邦宏

    田島説明員 廃棄物処理法十五条の設置届け出関係でございますけれども、この設置届け出の制度は、御案内のとおり、産業廃棄物処理施設構造産業廃棄物処理するに当たりまして環境汚染を未然に防止するものとなっているものかどうかといったような点につきまして着工前に判断するためのものでございますので、直接といいますか、私ども関係のない法律に基づいて云々といったような審査をする建前にはなっておりません。  ただ、私どもといたしましても、通常、こういうような計画が出た場合にはいろいろ地法に絡んでくるといったようなことがございますので、都道府県に対しまして、よく関係部局と協議をして、問題がないかどうか、連絡協議会のようなものをつくって連絡を密にせいというような指導をしておりまして、私どもの聞いておる範囲では、栃木県におきましても設置届け出受理をしました段階ではこのような措置をとっておる、このように承知しておるところでございます。
  15. 広瀬秀吉

    広瀬委員 林野庁にもう一度聞きますが、規模縮小の理由で当初の計画を取り下げた、こういうことなんで、次にまた同じような、例えば〇・九五ヘクタール追加で第二期工事として森林開発行為をやるんだということになった場合はどういう措置をとられますか。
  16. 原喜一郎

    原説明員 先ほども答弁申し上げましたように、林地開発許可制度におきましては全体計画との関連が一つの重要な事案でございます。したがいまして、現に行われている開発行為が一ヘクタールを超えない場合におきましても、全体計画が一ヘクタールを超える、こういうふうになった場合につきましては、これは森林法上の許可が要る、こういうふうに判断します。
  17. 広瀬秀吉

    広瀬委員 当該地方を私も現地調査をしてきたわけですけれども、この下流塩谷町の反対意見を出しているところは、船生地区宿下、羽谷久保区、これは現地そのものでありますが、船生土地改良区、鬼怒川漁業組合、上沢地区、佐貫地区、塩谷公害対策審議会というようなところがすべて反対の態度を表明しておって、賛成だというようなところは今は一つもない。冒頭に申し上げたような事情同意書を書いた人たちも皆撤回をしておる、それから羽谷久保の部落も協定をしたけれども、それも撤回をしているというようなことで、反対一色に塗りつぶされている。  そういう地区の人たちというのは、ちょうど産業廃棄物処理場をつくろうというその森林、そのちょっと奥の森林、そういうようなところがすべて水源地になっているわけですよ。その森林から流れてくる小さな流れによってかんがい水も賄われている、それからまたその地下浸透等によって井戸水もスタンダードにくみ上げられて生活を潤しておる、そういうようなことなんですから、森林開発行為規制立場からも、これは水源としてどうだというようなことは非常に重要な要素になっているようでありますから、その辺のところをきちんと踏まえて抜かりのないようにすべきであろう、こういうように思います。よろしいですね。
  18. 原喜一郎

    原説明員 お答えいたします。  林地開発の申請があった場合に知事許可する場合の要件といたしましては、御案内のように、森林法によりまして、災害防止観点から、それから次に水源涵養の機能というふうなことから、それからまた周辺の環境保全の機能から問題がないというふうに判断をした場合に許可する、こうなっておりますので、開発行為許可を行います場合には、知事としましては当然そういうふうな問題につきまして審査の対象になると思っております。
  19. 広瀬秀吉

    広瀬委員 きちんとその辺のところを踏まえて開発許可をするように、林野庁としても知事に対してしっかりした指導をしておいてください。確認をしておきます。  それから今度は建設省にお伺いします。  処理場建設のところはちょうど、一人の地権者でありますが、山持ちのこういう谷合いを全面的に使おうというわけで、その谷に相当する部分四百八十六平米ですか、水路部分と道路部分の国有地、これは用途廃止とか、それを認めたとか、それからそれを撤回して、取り下げでまた申請し直す、用途廃止はしないということになって、現状では建設省所管公共用財産になっていて、今そういうトラブル住民との激しい対立の中で住民が毎日監視に出向いている。時にはみずからの権利を守るために実力行使に出るような場面などもあって、逮捕者まで出るという状況になっていることは先ほど申し上げたとおりですけれども国有地部分が今そういう状況だ。これは払い下げしたわけでもない、公共用財産から普通財産にして払い下げがいつでもできるという状況でもない。そういう状況の中で現実にそこに勝手に工作物をつくったりあるいはそのための作業が加えられている。  これは建設省の財産の末端の責任者として県に委任をされ、さらにまた町村に委任されて管理責任者になっているわけですが、そういうものが、これは建設省所管国有財産部局長という大変難しい名前がついて立入禁止というような、工事も当然でありますけれども、そういう禁止の立て札があったのを業者が勝手に引っこ抜いてしまっている。そしてそれをまた県が注意をする、辛うじてその後またもとに戻して立てたというようなことで、今現に工事がそこに進められているということに対して、国有財産を保全する立場というものが建設省にももっと積極的にあっていいのじゃないかと思うのですが、建設省は手をこまねいて何もしない。  例えば、その末端の管理責任者である町長は不動産侵奪罪ということで警察に告発もしている。そしてそれは書類送検にもなっているということに対して、建設省は国有財産保全の立場でどういう措置をする気なのか。これは本来ならばそういうことに対して立入禁止の仮処分をかけるなりというようなことなんかは、これは法務当局が担当することになるのかもしれないけれども、そういう国有財産の処分について、これを抑える法的手続を法務当局に要請をするというようなことを当然やらなきゃならぬだろうと思うのですね。国有財産を安易に——現況がちゃんと建設省所管公共用財産である、そういう状況になっているにもかかわらず、それに対して占有権を、どういうところから占有権などという言葉が出てくるかわからぬけれども、我々には占有権があるんだというようなことで勝手に工事をしようというような業者に対して、何らかの手だてというものがないのですか。そういう点についてお伺いしたいと思います。
  20. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 御指摘いただきましたように、本件処分予定地には建設省所管の国有財産としまして四百数十平米の水路、里道がございます。これにつきましては、今先生お話あったように、建設省所管の国有財産部局長としての栃木県知事がその管理に当たっているわけでございますが、本件につきましては、処分建設をめぐっての地元での、お話ございましたような趣旨の問題、あるいはまたその一方で、国有地の払い下げ手続が終わってない段階工事に着手した、こういったような問題の中で、これまで県知事から工事の中止勧告あるいは境界ぐいの復元等々の行為がなされていることは御承知のとおりだと思います。  建設省としましては、今後、何分ともこの問題は処分建設そのものにかかわる問題がまず基本にあるものでございますので、この辺の動向を十分見守りながら、保全あるいは処分について適切に対処してまいりたい、このように考えております。
  21. 広瀬秀吉

    広瀬委員 なかなか難しい問題ではあるでしょうが、少なくとも建設省所管公共用財産として存在するものに対して侵奪が現に行われているというようなことに対して、やはり建設省立場でもっときちんとした処理をして、問題が円満に解決するならば、それはそれで正規な手続を通じて国有財産から売り渡すなり処分をする、業者に対してあるいは地権者に対して払い下げをするというような措置が講ぜられた後ならば、手をこまぬいていることもあれですけれども、現にそういう立場にある国有財産を保全するという点では、建設省も、それはまあ本体の問題との絡みがあるものですからというだけでは、少しなまぬる過ぎるというか、すべて行政業者寄りという形にならざるを得ないのではないかという感を持たざるを得ないわけですね。その辺のところ、どうです。法務省に対して少しはきちんとしたけじめをつけなければ、住民が毎日行って、国有地にどれだけ切り込んで工事をやっていくかということを見ているのですよ。そういう行政のあり方に対してやはり国民、住民の目が注がれている。行政に対する不信というようなものにもなりかねない要素だってあるわけです。いわゆる国有財産保全という国の責任、そういう見地でもう少し賢明な措置がとれないのかどうか。
  22. 望月薫雄

    ○望月(薫)政府委員 何分とも本件につきましては、先ほど先生からもお話ございましたように、一たんは用途廃止をしたとか後で取り消したとか等々のいろいろの経緯が積み上がって今日に至っているわけでございまして、そういった中で私どもとしては、やはりこの問題は慎重に取り組まなければいかぬというふうに考えているところでございます。先ほど申しましたように、特に本件について地元栃木県知事を中心にいろいろと協議の場等も持たれていると聞いておりますので、そういった場を通じてのもろもろの動向を慎重に見ながら考えさせていただきたいと思っております。
  23. 広瀬秀吉

    広瀬委員 私が指摘した問題点はシビアに受けとめておいていただきたい、こういうように思うわけであります。  さらに、この答弁書によりますと、「受理撤回処分には該当しないので、却下の裁決を行つた」ということが最後の方に出ているわけです。これは先ほども申し上げたように、業者が不服申し立てを行ったということに対して、県の側からの弁明書が出ておるわけですが、あそこで述べられている理由の方が正しいような気がするのです。いわゆる単に受理をしたという行為が行政処分に当たらぬという見解は必ずしも当たってない。その間に、受理しても、これを受理するに当たっての行政庁における裁量の反映というようなものがあってしかるべき性質の問題であろう、このように思うのです。この種のものは単純に受理をした、受け付けたというものではないだろう。十四条の問題と十五条の問題というのは相互に極めて密接に関係している。そういうような立場から、そういう段階において厚生省としても単にあのような形で、これは処分に該当しないんだという裁決だけで事は済まないような気がするわけです。これは法自体にもやや問題があるのではないかという気もしないではないのですけれども、そういう問題を含めてお考えになる余地はありませんか。
  24. 田島邦宏

    田島説明員 法十五条第一項の規定に基づく届け出受理の法的効果ということになろうかと思いますけれども、私ども裁決をする際には、行政不服審査法のもとに準司法的な立場から判断させていただいたわけでございまして、その過程におきましては、行政不服審査法を所掌しております行政管理庁とも相談をいたしております。  その結果、私どもの今の法十五条の届け出受理の法的効果と申しますのは、この法に基づく届け出が適法になされたことを確認することと、それから法十五条の二項の方で着工の制限がございます。最終処分場の場合には御案内のとおり六十日間でございますけれども、その六十日間という始期を確定すること、この二点の意味であるということでございまして、栃木県知事の方からは弁明書の中で、許可と同様のものではないかというような御趣旨のものがございましたけれども、残念ながら私どもの解釈といたしましては、そのようなものではなくて、今申し上げましたような解釈をとらざるを得なかったということでございます。
  25. 広瀬秀吉

    広瀬委員 これは法律論争になりますから……。また私は、廃棄物処理及び清掃に関する法律というのはそろそろ見直しの段階に来ているのではないか。しかも産業廃棄物処理の問題をめぐって住民サイドからの反対が非常に盛り上がるというような状況等も見まして、単に利益本位の業者にこれをゆだねるというようなことではなくて、行政責任における、あるいはせめて第三セクターぐらいのところでこれを責任を持って処理するというような、そういう体制への移行というものも必要ではないかと思うのですが、長官どうですか。
  26. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  先生いろいろ御指摘をしていただいておるのでございますが、これは厚生省の方において御担当をいただいておるものでございまして、環境庁は、この処置が悪くて環境の方へ出ていかないような、そういう基準を決めさせていただいて、その基準が守られていくかどうかということを見させていただくという性格のものであると思うのでございます。したがいまして、厚生省の方で、塩谷町においておつくりいただく構造がどうであるか、またそこの場所が適当であるかというようなことについて、県を指導しておやりいただくということでございます。したがいまして、地元にいろいろ納得のいくような御説明をしていただくとかそういうことにつきましては、これは県がまずおやりいただくということが筋であろうと思うのでございます。  そういうことでございますので、環境庁としても、厚生省の方にもよく御相談を申し上げまして、円滑にいくように私ども厚生省の方へ申し入れをしたいと思っております。
  27. 広瀬秀吉

    広瀬委員 塩谷町の産業廃棄物処分場の問題は、今現地においては与党の県議団の政調会が中に入って何とか二カ月ぐらい休戦をして、その間に突き詰めた話をしようというような状況まで来ておるわけであります。  いずれにいたしましても、今環境庁長官、これは厚生省所管だと言ってやや逃げの答弁をされておるわけなんだけれども厚生省だって、通産関係所管の事業場から産廃がどんどん放出をされる、それに対してしりぬぐいだけはすべて厚生省が引き受けさせられるという点で大変だろうと思いますが、厚生省もそれなりに国民の幸福、生活の安定あるいは健康の増進というようなことを担当する省でありますから、それはそれなりに当然だろうと思いますが、環境庁長官、事は公害の問題です。そして、この問題はすぐれて環境保全の問題なんです。単に住民にそういう影響がいくだろうという点で、厚生省が第一義的には所管庁になっているかもしれぬけれども環境庁としても例えば今度の問題なんかについても、産業廃棄物処理場建設に当たってはどれだけの環境アセスをやらなきゃいけないのか、どういうところにポイントを置いた環境アセスをやるんだというようなことなんかについては、すぐれてあなたのところじゃないですか。そういうようなものが、アセス法も前に出して、横やりがむしろ与党の方から入って、あるいは通産省の方から入って、いまだに調整ができぬという状況でここに出てない。我々が何ぼ環境アセス法を出しなさいと言っても出てこない、こういうような状況にあるわけです。  したがって今度の場合なんかでも、私が今取り上げている問題なんかにしても、産業廃棄物処理場建設の場合にはこれだけの環境影響評価をやるんだというようなことがきちんと示される、これはやはりあなたのところでしょう。そうだとすれば、この問題は受動的にもう厚生省にお任せしてあるというような立場ではなくて、もっと積極的な立場で、問題がここまでこじれるような場面というのは、環境影響評価というものが行われて、住民が、そこまで評価をして大丈夫だ、安全だという確信が持てるならば、これはもう公害も発生しないであろう、拡散しないであろうというようなことにもなるわけでありますから、そういう立場での環境アセスを現地でもやったというのですね。しかし、それは法律に基づいてやったのじゃない。これはもういいかげんなものをやったって、やったといえばやったと県は認めるということにならざるを得ない。それはそれなりの評価はしたでしょうけれども、本当に法的根拠を持ってこれだけのアセスをやったんだから大丈夫だというものがないじゃありませんか。そういう点についてどうお考えですか。環境アセス問題についていつ国会に出してきますか。七十七日も延長されて、延長前に何とか出したいということを官房長官も言っておられたのですけれども、あなたは主管大臣としてその点はいかがでしょうか。  それから、私が具体的に取り上げている今度の問題等につきましても、単に受動的な立場ではなくして、もう少し現地について、レイアウトは適地にあるのかどうか、本来不適地ではないのか。栃木県知事も、あの場所は不適地だということを反対住民にも我々にも明言しているのです。そういうようなものについても、環境庁としても厚生省としても、もう一歩踏み込んだ積極的なアプローチ、指導、そういう体制を強化していただかなければならぬと思うのです。  厚生省環境庁両方からお答えをいただいて、時間も来たようですからおおよその質問を終わりたいと思います。
  28. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  環境アセスにつきまして先生から御指摘をいただいたのでございますが、アセス法につきましては、環境庁も法的に認めていただくように今法案をお願いしようとしておるところでございまして、今関係のところにおいて折衝をしていただいておるのでございます。環境庁としてはぜひとも出させていただきたいということでお願いを申し上げておるところでございます。  したがいまして、環境アセスを産業廃棄物においてもやるべきではないか、そういうことをあらかじめ考えて当然指導をすべきでないか、こういうお言葉でございます。これにつきましては、県の方にもアセスについていろいろ検討をしていただきたいということを言っておりますが、私どもも法律がないとそういう指導も非常にしにくいわけでございますので、今、案の状態に置いてあるわけでございますので、これを推し進めていきたいと考えております。先生から大変にありがたいお言葉をいただきましてありがとうございます。
  29. 田島邦宏

    田島説明員 厚生省といたしましても、今環境庁におきまして環境アセスメント法案の国会提出に向けて準備をしておられるということに期待をいたしているところでございます。したがいまして、この法案の動向を見守りつつ、私どもの方といたしましても何らかの対処を考えてまいりたい、このように思っておる次第でございます。
  30. 広瀬秀吉

    広瀬委員 せっかく通産省にもおいでをいただいておりますので、最後の質問をいたします。  今日の高度な技術、ハイテクの時代に、住民皆さん心配のもとになる産業廃棄物、特に金属関係カドミだとか水銀だとかシアンだとか、いろいろな有害物質、あるいは汚泥なんかの中に含まれるえたいの知れない有害物質、化学物質、そういうものを排出するのはほとんど通産省所管の事業所ですね。そういう立場で、第一義的には事業者責任において処分をせよ、それから余ったところは業者に任す、こういうことになっているわけですけれども、そういう見地から見て、今日塩谷産業廃棄物処理場住民業者の間にあれだけの対立が出てくる、業者を通じて産業廃棄物を収集する、最終処分をする、埋め立てをするというようなことに対して、至るところでああいうトラブルが起こっている、この産業廃棄物処理の問題について通産省としてどういう責任と所見を持っておられるか、それだけ伺って私の質問を終わりたいと思います。
  31. 廣瀬定康

    ○廣瀬説明員 通産省といたしましても、産業廃棄物の増大あるいは昨今の最終処分場の確保が難しいという現状は、重要な問題と把握しております。このため私どもといたしましても、廃棄物による環境への負荷を軽減することあるいは環境保全を図っていくために、廃棄物の量そのものの減少を図る等、再資源化政策を積極的に推進することが基本であると考えております。また、それは同時に私どもの省資源、省エネルギーの観点からも重要なことでございます。  具体的に申し上げますれば、産業廃棄物処理、再資源化の促進のために設立されました私ども所管の財団法人クリーン・ジャパン・センターが行う再資源化事業に対する補助、助成、あるいは再資源化の技術、再利用技術システムの開発または業種別廃棄物の再資源化対策の促進等の諸施策に努めているところでございます。  一方、産業廃棄物を排出する事業者に対しましては、今有害物質お話もございましたが、その量を極力減らすということ、さらに御指摘のありました廃棄物の自己処理あるいは委託処理に当たりましては、厚生省その他の省庁所管の法律を遵守するよう、私どもとしては強力に指導してまいりたいと思います。
  32. 広瀬秀吉

    広瀬委員 質問はもう終わりますが、委員長に御要請を申し上げるのですが、私は冒頭に経過等についても大分申し上げたわけですけれども、このような産業廃棄物処理場がああいうところに立地された、それがどういう影響を地域住民に及ぼすだろうかというようなことについては、そういう住民の不安というものについては無理からぬ点も相当あると思うし、産業廃棄物処理場建設は将来至るところで問題になるだろうと思うのです。そういう点で一つのモデルケースとして本委員会において御検討をいただいて、衆議院環境委員会として現地調査などをいたされてはいかがか、こういうことをぜひ御考慮いただきたいということを委員長に要請をいたします。これは理事会等で御相談をいただければ結構ですが、ぜひお願いいたしたいと思います。
  33. 竹内黎一

    竹内委員長 ただいまの御要望の件につきましては理事会において検討いたすこととします。  次に、岩垂寿喜男君。
  34. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 質問に入る前に、今やりとりがございましたアセスのことを、私も質問する以上は伺っておかなければならないと思っているのですが、長官、今それはどんな状態になっているのですか。
  35. 上田稔

    上田国務大臣 ただいまアセスの法案につきましては与党の内部におきまして意見調整を図っていただいておるのでございます。政調会長のもとにおきまして、まず第一回は各部会長の意見をお聞きになられまして、そして第二回目は実際にいろいろ事業をやってアセスをやっていただいておるところにおきまして、問題がいろいろあるので困っておるというようなことから、主要なる地方庁の関係者をお呼びになられましてその意見をお聞きになられたのであります。次に、産業関係と申しますか、今度は実際に工事をおやりになっておられる方々を呼ぼうということで、日にちを今決めておられるところであるというふうに聞いております。
  36. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は、この国会が始まったときに長官から施政方針みたいなごあいさつをいただきました。アセスはこの国会で成立させたいというふうにおっしゃっておられましたね。会期延長になった国会がもう余り時間がなくなっていますけれども、あなたがおっしゃったこの国会で成立をさせるという決意は、もはや困難になっているという事態は率直にお認めになりますか。
  37. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  私は、今なおまだ、与党の方において早く意見を一致をしていただいてこの法案の重要性を認めていただきたい、そして早く国会にかけていただきたい、そしていろいろな問題点について国会の諸先生の御検討をいただき、法案を成立させていただきたいと念願をいたしております。
  38. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 三月から念願、念願を何回聞いたことか、思い起こすだけでも皆さんもう結構だという感じがすると思うのです。これは今出してきてもこの国会で成立することは困難でしょう。そのことはお認めになりますね。
  39. 上田稔

    上田国務大臣 非常に難しいということは私どもも感じております。
  40. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私も質問し、今入ってこられた中村理事質問をしているのですが、あなたは政治責任を賭してアセスをやると御答弁になっていらっしゃるわけですよ。その後の動きは遅々として進まない。非常に難しい条件をあなたも認めざるを得なかった。一体どこに難点があるのですか、率直に語っていただけませんか。
  41. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  アセスについて、非常に切実にアセスは必要であるというふうにお考えをいただく方と、それからアセスは今要らないのじゃないかというような極端な方と、それから今各府県においてまた地方庁において条例をどんどんおつくりをいただいておる、それからまた要綱をおつくりをいただいておる、そういうふうにしてアセスを実際にやっておられるではないか、だからいいんじゃないかという御意見もあるわけでございます。  それに対して私どもは、そういうふうにアセスというものを確かにおつくりをいただいておる、しかし、その内容、手続がいろいろと違うために担当者の方は非常にお困りになっておる、そしてまた時間もかかる、だからこれを統一してやるべきものであるということを御説明を申し上げておるのでございます。このアセスに対するいろいろな考え方が全然違うところに問題があるのでございます。
  42. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 自民党の内部で意見の違いがあって党の調整が困難だというふうに理解してよろしいですか。
  43. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  与党の中においてもそういう意見の違いが相当あるということでございます。外部にも確かにございます。
  44. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 外部とおっしゃったのは、各省庁間の対立といいましょうか、お役所レベルの意見の食い違いというものはクリアなすったのですか。
  45. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  役所間の問題にいきますと、前に提出をさせていただいておりますので、そういう点については意見の差は少ないのでございますけれども提出して日にちがたっておるということから事情が幾分変わっておる、こういう点において少しは意見はございますけれども、与党の中で早く意見を一致をしてもらいたい、こういう状態でございます。
  46. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 産業界などの調整は、大臣御自身今日までなすってきたのですか。産業界の中ではこの問題についてどのような受けとめを持っているか、お聞かせください。
  47. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  産業界の方におきましても、いろいろと折衝をして御説明を申し上げてきたのでございます。これもいろいろな問題をお抱えになっておられますのでなかなか意見の一致はできておりませんけれども、今のところはそう大きく、どうしても反対と言われる方は、話しておりますとだんだんとなくなってきておると私は思っておるのでございます。話しているときはいいのだけれども、後になってやはりまだどうも反対かなというところもたくさんございます。
  48. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 産業界あるいはお役所はクリアしたけれども、与党の中での意見の対立というものが際立っているという判断を今長官はお述べになったわけですけれども、党内の調整なら、やる気があるならば環境庁長官が積極的に各部会に出向いていっておやりにならないと、どこか任せじゃどうもならぬと私は思うのです。あなたは少なくとも政治責任という言葉まで中村理事質問に対してお答えになっている経過を含めて言えば、今日までの経過をどのようにお考えになっていますか。法案提出がこんなにおくれてしまって、この国会で成立することは難しいということを言わざるを得ない。そういう事態に対して、あなたの政治責任というのはいわば役所の責任にもなるわけです、お役人の皆さん責任にもなるわけです。こういう事態をどうお考えになっていらっしゃいますか。御答弁を煩わしたいと思います。
  49. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  確かに不徳のいたすところで、なかなか御理解がいただけないのは大変残念でございます。しかし、困難になりつつあるというところでございますので、さらに最後の努力をしておるところでございます。御理解をいただきたいと存じます。
  50. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 国会が終わろうとしている事態の中で、環境庁が大きな目玉にした最大のものが今国会での成立は困難である、提出さえ危ぶまれているという状態なんですね。私は、環境庁自身のかなえの軽重を問われているように思うのです。私は、政府の出してくることを予想してアセスについてはいろいろな意見を持っています。持っていますが、これは中曽根内閣の環境行政に対するある種のバロメーターということで私は質問も申し上げてきたつもりであります。  そういう事態の中で今日を迎えていることを大変残念に思います。困難だということをあなた自身が初めて発言なさったわけですから、一層のあなたの御努力を期待したいものだというふうに思います。  私は、実はきょうは沖縄の新しい石垣空港の問題に絞って、この一点に絞って質問をさせていただきたいというふうに思います。  実は、私は別に沖縄が選挙区であるわけではないのですが、大変個人的なことを申し上げて恐縮ですけれども、総評の政治部におりまして、一九五五年ごろから沖縄の運動にかかわってきました。本土では一番最初に運動にかかわった一人でございます。沖縄県民の祖国復帰への切なる願いをどうやって本土の人々に広げるか、そして連帯のきずなを確かなものにするか、及ばずながら微力を尽くしてきたつもりでございます。  沖縄県民と本土の心ある人々の、文字どおり血と汗の闘いの中から祖国の復帰が実現したわけでございます。復帰から十年たっています。沖縄の米軍基地は一体どれだけ縮小したのでしょうか。あるいは沖縄の豊かさというのは、復帰運動に心血を注いだ人々の期待にこたえ得ているでしょうか。残念ながら、いずれも期待外れに終わっているというふうに言わざるを得ません。特にこの問題は、沖縄では離島の人たちのことをしまちゃびと言いますけれども、その人々のプライドといいましょうか、気持ちを満足させるものになっていないことは言うまでもありません。  私は、実は海洋博のときに、その計画が発表になって工事が始まる前に現地を見ました。それから、最近また現地を視察をする機会を得ました。その後の本部の状況というものを考えてみて、率直に言って私は心が痛くなりました。確かに道路は立派になりました。しかし、あの累々たるサンゴの死骸やあるいは自然破壊、道路がよくなって確かに便利になったという一面はあるものの、その反面で、そう言っては申しわけないけれども、重大な問題を提起しているように思うのです。  それは、過去、現在、未来というものを結ぶ沖縄の、あるいは我々人間の歴史の中で、ある種の政治的犯罪を犯したのじゃないかと思われるほどの自然破壊あるいはサンゴの状態というものがあるわけであります。今、実はそういう状態のもとで八重山の人たち、特に石垣の人々が、自然環境よりもあるいはサンゴ礁よりも、当面地元にお金が落ちる開発行政というものに飛びつく心境をもって、新しい石垣空港の建設という問題にかかわろうとしています。  実は私は、環境委員会の前身の公害対策特別委員会のころから、例えばむつ小川原の問題あるいは新潟東の問題あるいは苫小牧の問題、いろいろな本土における開発の問題について問題提起もしたし、現実にその経過も検証してきましたけれども、率直に言って開発の利益というのは中央に吸い取られてしまって、地元には人々の心の荒廃だけが残ったと言われても仕方がないような事態というものが本土にあるわけです。私は、この本土の過ちというものを沖縄の人々に、あるいは八重山の人たちに押しつけることは、文字どおり政治的な犯罪の再犯につながりかねない、こんなふうに思っています。  観光客の利用あるいは物資の輸送、この両面で石垣の市長さんを初め人々が新空港の建設を推進されております。県もその方針に基づいてこの計画を推進しようとしています。私のような本土の人間、やまとんちゅうと言われましたけれども、本土の人間が沖縄の人たちの、とりわけ離島の人々の心を理解することができるなどと言ったらおこがましい言葉だと思いますけれども、また同時に、そんなことを言う勇気もありませんけれども、しかし私は、本土における開発の現実というものを実際に見て、その過ちを二度と繰り返させてはいけないということについて私どもが発言することは権利があるだろうというふうに思うのです。  私は、歴史や文化や伝統というものを抹殺する、そんな権利というものはお互いに持っていないと思うのです。そういう意味で、何とかこの新石垣空港の建設というものを考え直していただく、このことをお願いしたい気持ちでいっぱいなのです。あそこに残っているサンゴ礁の評価について、さまざまにあることも知っています。しかし、多くの専門家が、やはり東洋で残された唯一のと言ってもいいほどの貴重な、そしてスケールメリットを含めたサンゴ礁であるということを指摘している人たちがたくさんいるわけです。それを全部埋め立てちゃって、しかも石垣の山を、つまり石垣の人々にとってみれば信仰とも言えるような対象になっている山を切り崩して埋め立てて、そして二千五百メートルの滑走路をつくっていくというようなことをどこかでとめなければ、私は、開発優先、いっときでもお金が落ちればそれが県民の幸せだというふうに考え考え方というものは、私たちの歩いてきた道であることを少なくても発言し続けないと、えらいことになってしまうなという気持ちでいっぱいなのです。ですから、その立場を踏まえて一点に絞って御質問申し上げますので、ぜひ誠意のある御答弁をいただきたいものだというふうに思います。  最初に、八二年の三月に運輸省が新空港の設置許可されましたけれども許可された経過と理由を明らかにしていただきたいと思います。
  51. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えいたします。  御承知のように石垣島は、現在の空港は第三種空港でございまして、これは当然県が設置管理をするものでございまして、全体で約五つぐらいの候補地の中から選んだわけでございますが、現在定期航路が五線ございまして、約六十五万人の乗客が利用しておるわけでございますが、特にその中でも那覇の路線につきましては、ジェット機が十往復しておるということでございまして、そのうち約五十四万人に達しておるということで、特に全国的に見ましても、定期路線の中でも大体二十位ぐらいに入るようなロードファクターにもなっておるわけでございます。  そういう状況の中で、現在の滑走路が千五百メートルだということでございますので、ジェット化しておるわけでございますけれども、そのジェット機の中でもボーイング737というような一番小型機のものでございます。座席数にして約百三十程度でございます。したがいまして、地元といたしましては、中型のジェット機の就航というようなこともできない状況にあるわけでございますから、ぜひもう少し大型のものを入れたいということ、それから現空港は市街地に非常に近いということから騒音の問題がありまして、現空港の移転の問題が以前から出ておったわけでございます。こういう状況の中で、現空港を切りかえて、より大型のジェット機の就航可能な新しい空港を建設するというのが一つの課題であったわけでございますが、そのような背景に基づきましてこの計画計画されておるわけでございます。  以上でございます。
  52. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今おっしゃいましたけれども、空港利用客の見込みというのがございますね。八五年に九十万人、九十年には百六十万へ現在が、昨年ですか、往復で、入る人と出る人トータルして六十六万五千九百三十七人。この見込みというのは過大であるということは運輸省もお認めになっていらっしゃいますが、どんな数字を想定しておられますか。
  53. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えします。  先生の御指摘は、現空港の計画そのものの数字が過大ではないか、こういう御指摘かと思いますが、ただいまの新空港の計画は五十五年に策定いたしました第三次の長計のもとにつくられたもので、その計画の基礎となっている旅客輸送でございますが、五十四年までの実情といいますか、過去約一〇%の成長率で全国的に需要が伸びてきたわけでございます。しかし五十年以降、我が国の航空需要というのは、景気の低迷とかあるいはいろいろな諸般の事情がございまして、五十四年度を境に、先生がおっしゃいますように、従来は一〇%であったものがほぼ横ばいの状態、最近ようやくここ四、五月ごろになってまたもとに戻りつつある気配が見えておる、こういう状況でございます。一言で言いますと、全国的に横ばいの状況を続けておるわけでございます。  石垣空港の場合も例外ではございませんで、五十四年の実績六十一万人をベースに、六十年が九十万、それから六十五年が百六十万というふうに想定をいたしております。それに対して実績の方は、先ほども言いましたように五十六年で六十五万人、五十七年六十五万人、五十八年が六十六万人というふうな状況になっておるわけでございます。
  54. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どんなに伸びていくかということは、あなた方考えたことがあるのでしょう。過大であると言っただけでは困るじゃないですか。
  55. 坂井順行

    ○坂井説明員 したがいまして相当な乖離を見ておるわけでございますが、今後の需要の推移については、確かに構造的な問題、特に産業構造の変化とか第二次のオイルショックのその後の変化、いろいろございまして、我が国全体の中長期的な経済の動向というのが、御承知のように非常に不透明な状況になっておりまして、需要構造自体が一つの曲がり角に差しかかっているというふうに考えておるわけでございます。したがって、いろいろ見方の分かれるところでございますが、いずれにしましても、先ほど私が御説明いたしました従来の予測値を下方修正する必要があるというふうに考えております。
  56. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ボーイング737というのは、今あなたもおっしゃったけれども大体百二、三十人でしょう。例えばDC10、これが、エアバスが導入されるとしますね。九百人以上でしょう。八往復というようなことになったら二百万人も運ぶことになるのです。八往復でなくても、半分にしたって百万人なんですよ。そんな予測が出てきますか。年々一%ぐらいしか伸びてないじゃないですか、過去の歴史を振り返ってみれば。それを、過大に過ぎますとか下方修正しなければなりませんという程度のことで自然破壊をやっていく、政治的な犯罪をやっていくことについて、アセスと言えますか。そんなずさんな計画を前提にして許可をして、それを強引にやっていこうというようなことができますか。
  57. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えいたします。  確かに言葉足らずでございましたが、現段階で正確な答えといいますか、下方修正すべき数字を持っておりませんが、石垣の新しい空港の計画につきましては、現空港の滑走路延長が千五百メーターしかないということでございまして、現状の需要に対しても十分には対応ができない状況にあるということと、それから周辺の状況から見まして現空港の拡張が不可能に近い、あるいは騒音問題もいろいろ起こっておるということから、先生の御指摘にございましたように、今後の需要増加というのがかなり少ない場合でありましても、新空港の早期実現の必要性というような問題については何ら変わるものではないというふうに思っております。
  58. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 見込みが全く違っているんですよ。ジェット化する、大型機を入れるという前提条件が数字の上で崩れているんですよ。それも五%とか二%とかという違いなら別ですよ。年々一%ぐらいしか伸びていないのですよ。何で急にそんなにふえるのですか。そんなことを前提にして新しい空港をつくることを推し進めていくという考え方は間違いだと私は思うのです。下方修正をしなければならぬというならば、下方修正をした上で、さていかがなものかというようなことを考える余地があると私は思うのです。  しかも、あなた今おっしゃったけれども、現空港を拡張することは困難だと断定をしておられますね。その理由を聞かせてください。
  59. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えします。  先生の御指摘でございますが、先ほども説明しましたように、空港の設置管理者は沖縄県知事でございますが、石垣の空港整備計画の検討に際して、当然現空港の拡張も含めて検討をしておりますし、先ほど申し上げましたように五つの代替案の中には、当然現空港の拡張というものもその一つに入っておるわけでございます。  その沖縄県の結果によりますと、現空港の拡張の整備は、非常に市街地に隣接をしておる、あるいは騒音問題から現空港の移転の要望も出ておるというようなこと、あるいは騒音問題も含めて、そういう中で周辺の住民同意を得るというようなことは不可能に近いということ、それからもう一点、農地がつぶされるというようなことも挙げております。それから滑走路の延長上に国が指定しております文化財といいますか、フルストラの例の貝塚、そういうものがなくなってしまうといいますか、それを埋め立ててしまうということから、極めて困難であるというふうに判断をいたしまして、現空港の拡張の整備計画を断念したわけでございます。
  60. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そのいずれもの障害というものをクリアする努力と、今白保の人たち反対をし、しかもそれはアジアに残された唯一のというふうな評価を持っているサンゴ礁を埋めてしまうということとのバランスの上でどっちが重要か、そしてどっちがクリアすることが可能かということについて、あなた方は判断をしたことがございますか。そして、判断をなすったというならその根拠をきちっと示してください。
  61. 坂井順行

    ○坂井説明員 御指摘のように、先ほどの新しい空港の近くには世界に類を見ない非常に貴重なサンゴの資源があるということは聞いておりますし、そういう報告書も見ておるわけでございますが、八重山の沿岸のサンゴの豊かな海というのは西表の国立公園に当然指定されておる石西礁湖だとかあるいは川平湾あたりであるというふうに聞いておりますし、設置者である沖縄県のいろいろな調査によりますと、現空港の建設予定地の造礁サンゴといいますか、まだ生きているそういう生息の状態というのは、石垣島の周辺海域の平均的な生息状況というものに比べますとやや劣っておる、そういう判断をしまして、このことについては私どももかように理解をしておるわけでございます。
  62. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 騒音だから飛行場を移してくれというようなことを言ったって、あなた方さっぱりで、全国の飛行場への対応というのは物わかりは決してよくないんですよ。それを取ってつけたように、騒音が激しい、移転してくれという陳情があるから移しますと言う。それじゃ、悪いけれども、白保に住んでいる人たちとほかの現空港の周辺の拡張にかかわるさまざまな問題とのバランスというようなものを考えないとどうにもならぬと私は思うのですよ。地元が言ったから何でもやりますと、なかなか話のわかるようなことをおっしゃるけれども、よそでそういうふうになさっているのならいざ知らず、ここだけそうおっしゃったのでは私はようわからぬのです。  質問は続けていきますけれども、野菜のことでもそうなんですね。現地農業を発展させて野菜を産地直売で東京に運びたい、だから貨物が欲しいんだ、こういうふうにおっしゃっています、これは市長さんの言い方ですけれども。  実はこれも私ずっと調べて、時間がございませんので細かく言えませんけれども、野菜の本土送りの実績で最大のものは、最近では一九八〇年の年間三千四百五十五トンですよ。そのうち飛行機で運ばれるものはオクラ、里芋、スイートコーンだけです。今私が言った三千四百五十五トンというものの中にはスイカもカボチャも入っています。これは飛行機で運ばれていません。今私が言った飛行機で運ばれる種類の野菜は、三千四百五十五トンのうちの何と六百六十八トンですよ。こういう航空需要、貨物需要ですよね。  ところが、これはもう皆さんわかるように、今、例えばエアバス、トライスターでもジャンボSRでもDC10でもいいですが、十四トンから二十トンの貨物積載を可能にするわけでしょう。それに対して今のボーイング737、それは六トンでしょう。今の四倍ですよ、可能になる条件として。一日四便というふうに計算をした人がいまして、四便だというふうに計算をすると、これは八十トン。それで、今の飛行場を利用している南西航空のボーイング737を合わせれば百トン、一日ですよ。一日百トンなんですよ。それだけの輸送量というものが必要なんですか。年間に六百六十八トンですよ。それを、農作物を産地直送したいからジャンボだ、そういうふうにおっしゃっているけれども、今のボーイング737でさえ余っているじゃないですか。あり余っているじゃないですか。これも私は理屈にならぬと思う。こういう理屈をどのようにお考えになりますか。石垣にそんなに早くたくさんの貨物がふえるのですか。
  63. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えします。  先生から今野菜の話がございましたが、野菜以外にも、今そこで扱っております貨物は、五十六年で年間に四千四百トン、五十七年に四千五百トン、五十八年に四千八百トンということで、お客が微増といいますか、ほとんど動いていない状況にあるにもかかわらず、貨物の方はやや漸増の状況となっておりまして、今先生から御指摘のございました大型の一つの理由に、現地の生鮮野菜を東京あるいは大阪に直行して持ってくる、こういう構想が地元でいろいろなされていることも事実でございますが、どんと貨物を運ぶために大型化するということではなくて、やはり石垣の産業の中心は御承知のように農業と観光というこの二つでございまして、現在の小型のジェット機を少し中型といいますか大型といいますか、もうワンランク上のものが入れる状態にしたい、それによって観光と農業の二つの開発を進めていきたい、こういう地元の念願ではないかというふうに思っておるわけでございます。
  64. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 観光と農業とおっしゃったから、私、数字を言ったんですよ。観光客も下方修正しなければいかぬ。そんなにふえるわけないですよ。それもあなたは認めた。貨物だってそうでしょう。例えば今の飛行機で六トンで八便だとすれば、六、八、四十八トンでしょう、一日に。ジャンボで入ってきて四便でも、八便じゃなくて四便でも、回数が半分でも百トンでしょう。倍もふえるのですか。あなた、そんな自信があるのですか。  率直に言って、貨物がふえるというのはそれなりの産業基盤が背景になければだめなんです。あっちこっちの飛行場も貨物がふえるケースがある。それは例えば先端技術などを含めた利用というものがふえているところもありますよ。だけれども、石垣で何でそんなに倍もふえるのですか。その見通しは、あなた確信を持って言えますか。
  65. 坂井順行

    ○坂井説明員 先ほど、貨物と旅客の両方といいますか、農業と観光、こういうふうに申し上げましたが、現在の新空港の計画のメーンは、やはり先ほども言いましたように、中型のジェット機を入れて、現在、運航規制とか何かやっておるわけでございますが、例えば五十七年の実績でいきますと、ロードファクターが非常に高くて七五%近くあるわけでございますが、それがピーク時といいますか、八月とか九月になりますともう九〇%を超すというような状況で、なかなかお客さんがスムーズに運べないというような状況が一方で現に出ておるわけでございます。そういうものに対応するというのが一義的なものでございまして、大型ジャンボを入れてそれに貨物をいっぱい張りつけるということではございませんで、新空港の移設の一番の動機といいますか、切実な問題は、今のネックを解消する、今の運航制限状況をできるだけ緩和する、こういうことにあるというふうに理解をしております。
  66. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私、昭和五十八年の石垣空港の出入機の数を持っていますよ、一月から十二月までの。あなたは七月、八月はうんとふえると言っている。確かにふえる傾向はある。だが、年間を通してみてそれほどのものではないですよ。この数字、私ここで言いません、あなた知っているだろうから。これもどだい根拠がおかしいのです。あなたは見込みの数字を示さないで下方修正する必要がありますということだけ言っておいて、やはりジェットが欲しいんだという議論で新しい空港を運輸省として進めていくというのでは、理屈にも何にもならぬじゃないですか。言えるならもっと説得力のあることを言いなさいよ。観光客が幾らで、どれくらい足りなくてどういう形にすればどうなるということを言いなさいよ。貨物がこうなって農産物がこうなってこうだから、この部分が不足するから新しいものが必要なんだという、説得力のあることを言いなさいよ。言えないでしょう。  沖縄開発庁に聞きますけれども、こういう経済アセスをやったことがありますか。
  67. 藤森研一

    ○藤森説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃるようなアセスにつきましてはやったことはございません。
  68. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 沖縄開発庁でさえアセスをやっていないのです。そういうことを前提にして飛行場だけが走っているのです。  しかも、これは余談ですけれども、空輸している野菜が運賃が高くつくものですから、手取り率というのは本土での市場価格の五割だというのですね。最近は冷凍コンテナでさっき申し上げたオクラとか里芋なんかが海運で運ばれる。これだと本土での市場価格の七割、つまり手取りが多くなる。つまり、空輸というのは運賃が高いから採算が悪くなるので、コンテナで運ぶ比重がだんだん多くなってきているのですよ。だから、さっき貨物のことをおっしゃったけれども、貨物だってそういう傾向があるのです。そういう条件を全然考えないで、そして経済アセスもやらないで飛行場だけが突っ走るというのは、何とも変な話ではないだろうかというふうに私は思うのです。  新しい空港の建設費というのは幾らですか。そしてそれは全額国庫負担ですか。その辺のところを教えてください。
  69. 坂井順行

    ○坂井説明員 おおよそ三百億で、全額国庫でございます。
  70. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どういうスケジュールで、何カ年計画くらいでお進めになるおつもりですか。
  71. 坂井順行

    ○坂井説明員 今後の具体的なスケジュールでございますが、私どもが現在考えておることは、これは五十五年から始まっておるわけでございますが、五十九年度の予算といたしましては、埋立免許を取得しました後、護岸を建設するといいますか、護岸工事に着手するための予算を三億五千万予定をいたしております。  したがいまして、今後の手続といたしましては、埋立免許の申請等の手続をする、こういうことになろうかと思いますが、先ほども先生いろいろ御指摘ございましたように、あるいは現地状況というようなものにつきまして先ほど少しはしょって説明をいたしましたけれども、五十七年に告示して以来、運輸省といたしましては従来から基本的な考え方に立ってこの設置管理者でございます沖縄県当局を指導してきたところでございますが、現地自然環境の問題に対する危惧の念というようなものがかなり出ていることももちろん事実でございますので、これからの手続というようなことに対しては、やはり住民のコンセンサスといいますか、そういうものについて一層の努力をお願いするよう、県を通じまして、市を含めてお願いをしておるわけでございます。
  72. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 地元の同意が前提条件だというふうに今おっしゃったわけですから、それはそれで私はきちんと受けとめておきたいと思うのですが、肝心の新空港予定地の白保の住民反対が非常に強いということは皆さんも御存じのとおりです。この理解というか協力が得られない限りは、地元の同意という前提条件はクリアされないというふうに理解してよろしゅうございますか。
  73. 坂井順行

    ○坂井説明員 この問題につきましては、先ほど御説明しましたように公有水面の埋め立ての手続というものの前提といたしまして、アセスメントの実施それから権利者の同意あるいは告示、縦覧というようなことをやりますので、当然そういう関係者のコンセンサスというのが大前提になろうかと思います。
  74. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 肝心な地元の白保の住民のコンセンサスを得られない限りは強行着工はしないとはっきり言えますか。
  75. 坂井順行

    ○坂井説明員 既に私どもがこの告示をいたしました前提としまして、三回にわたる地元の議会の全員の同意を得ているという事実も実はございまして、最終的には、埋立免許の手続等につきまして、あるいは告示、縦覧等の手続の過程で空港の設置管理者でございます沖縄県がお決めになることだろうと思います。
  76. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっきあなたがコンセンサスを得なければやらないとおっしゃった言葉を私は担保しておきたいと思います。あなたのところだって、例えばSTOLというんですか、技術革新の可能性というものを長期的な視野で検討していらっしゃると思うのですよ。STOLというのは、科学技術庁がYS11の後がまで国産するといって開発を今やっているんですよ、かなり長期的展望で。滑走路がそんなに長くなくてもいい飛行機を開発している一方で、足らないから延ばすのだという議論では、行政も決して一本でないのですよ。そんなことを含めて、私はこういう強行着工なんか絶対しないということを強調して要求しておきたいと思うのです。  実は、環境庁に伺うのですけれども、白保のサンゴ礁の実態調査をなさったことはございますか。
  77. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 白保地区特定の場所についてということではございませんが、四十八年度自然環境保全基礎調査、いわゆる緑の国勢調査におきまして、当然沖縄を含めて全国のこういう海中自然環境というものを調査したわけであります。
  78. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今これだけ問題になっているのですから、白保のサンゴ礁を調査してくださいよ。県に任せておくのじゃなしに、環境庁自身として、社会的な問題になっていることに対して対応するという姿勢をぜひ示していただきたい。
  79. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 いろいろおっしゃることはよくわかるのでございますが、公有水面埋立免許手続の中におけるアセスメント調査の一環という過程がまず先行すべきである、こういうふうに考えておりまして、これは先生御案内のように、事業者である県がその調査を行う、こういうことでございます。  今の問題の白保につきましては、沖縄県におきましてこれまでいろいろ行ってきた調査に加えまして、さらに専門家なり学識経験者の意見を聞いて、その調査の補強といいますか、そういうものを現在準備中である、こういうふうに聞いておるところでございます。
  80. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私もよく知っているのですけれども、沖縄県の場合、海中公園にしても国立公園にしても、県が指定したものを復帰に際してそのまま環境庁が引き続いて指定しているという感じがあるのですよ。復帰をしてしばらく時間がたっているわけですから、もう一遍沖縄を、公園指定などを含めて全体的な視野で検討する必要があると私は思うのです。非常に関係自治体との関係もございましょうけれども、そういう態度で環境庁はぜひもう一遍沖縄を見直していただきたい、このように思いますが、いかがでしょう。
  81. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 沖縄の国立公園につきましては、先生の御指摘の向き、確かにあると思いますが、ただ、四十七年復帰後、五十二年に海中公園地区を指定しました。また五十八年には崎山湾でアザミサンゴの巨大なのが見つかったというようなこともございまして、その海域を自然環境保全地域に指定した、こういう経緯もございますので、その都度といいますか、そういうことには手を出してきているつもりでございます。  ただ、先生指摘のように、この公園実態といいますか、これはいろいろな状況で変わってくることは当然でございますし、適宜公園計画の全体的な見直しを進めていく、これについては異論のない、むしろ当然の任務であると考えております。
  82. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 さっき三省庁協議の話が出ましたけれども環境庁は、当然のことながら自然保護を前提にして毅然とした態度を貫いていただきたいと思いますが、御答弁をいただきたいと思います。
  83. 山崎圭

    ○山崎(圭)政府委員 いろいろ開発との調整という大変困難な問題が幾らもあると思います。ただ私どもは、公園区域について厳正な保全を図る、これは当然の任務である、かように考えておりますし、またその他の自然の、公園指定のないようなところではございましても、事情の許す限りできるだけそういう自然が保全されるべきであると考えております。
  84. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 大蔵省お見えいただいているのでお尋ねしなければならぬのですけれども、マイナスシーリングの時代で、そう言ってはなんだけれども、これは二重投資もいいところなんですよ。今飛行場がある、それを廃港になさるのかどうか知りませんけれども、新しくつくる。三百億、そんなお金があるなら沖縄のために使い方はいろいろあると私は思うのです。沖縄の経済的自立というのは飛行場をつくることだけによって達成できるものではないと私は思うのです。そういう意味では、大蔵省も最近のマイナスシーリングの時代、財政危機の状態ということを前提にして、予算をつける際にはこれらの問題についてはきちっとよく調べて、果たしてそういうものが予算のむだ遣いでないのかどうかということなども含めて御検討をいただきたいと思いますが、御答弁をいただきたい。
  85. 涌井洋治

    ○涌井説明員 財政事情先生御承知のとおりに大変厳しいわけでございます。予算査定に当たっては、当然のことながら我々は財政資金の効率的使用ということを基本原則にして関係省庁と議論して、予算査定に当たっております。
  86. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 少なくともこれだけの開発をやる場合には、事業主体の県が、この貴重な白保の自然を壊してしまうということを前提にした空港の建設計画なんですから、県民や国民が納得できるような、飛行場がこれだけ必要なんだという、さっき経済アセスと申しましたけれども計画というか、そうなるという確信に満ちたものを示さないと、こんな議論をしてみたところでバランスがとれないと私は思うのです。だから、この辺は特に沖縄開発庁に、あなたのところのお役所の仕事があるわけですから、そういう点は十分見詰めてほしいものだ、このことをお願い申し上げたいと思います。  もう時間が来てしまいましたけれども、運輸省は、新しい空港ができると現在の飛行場はどうするのですか。
  87. 坂井順行

    ○坂井説明員 お答えします。  現空港が廃止された場合の仮定の話でございますが、跡地利用につきましては、基本的には空港の設置管理者である沖縄県がまず判断なさることになろうと思います。県の方からは今検討中というふうに聞いておりまして、まだ具体的な成案は得ておられないということでございます。  なお、現空港の中の所有者等につきましては、全体の面積の約六割に当たる二十八ヘクタールが国有地になっておりまして、これが現在沖縄県に無償貸与されておるものでございますが、廃止ということになりますれば、国に返還されるということになろうかと思います。
  88. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 例えば観光客を誘致するといったって、きょうは質問しませんけれども、これからホテルの計画があるようです。ホテルができて、お客さんが来たとしましても、最近ではほとんど割引で、ホテルの利用を含めた、運賃とホテル代というものをパックにした旅行が多いんですね。そうなると、地元へ金が落ちるということなどについても、いろいろな意味でハンディキャップ、マイナスのことを考えなければならぬと私は思うのです。そんなことも地元の皆さんにはぜひわかってほしいなという気持ちを強く持ちます。  先ほどから申し上げましたように、新しい空港計画というのは、利用客の面から見ても、あるいは貨物輸送の面から考えても、今の飛行場を広げれば十分だと、率直に言って私は申し上げたいのですよ。観光客を呼ぶというのですが、呼ぶには観光資源がなければなりません。こう言っては申しわけないけれども、その観光資源の唯一と言われているようなサンゴ礁を壊してしまうというのでしょう。ある人がうまいことを言ったですよ。金の卵を産む鶏を殺すようなものだと。そういう状態というのはやはりだれが考えたって無理だろうと思うのです。ましていわんや、先ほど大蔵省の方から御答弁をいただきましたけれども、財政危機、行革の時代と言われているときに三百億。しかもまだ十分使える飛行場を廃港にして新しい投資をするということは、二重投資であることは言うまでもなく、予算のむだ遣いだと言われても仕方がないと思うのです。  それで、その施設をつくるときに、例えば空港建設を請け負う能力を持っているのは本土の大きな建設会社だけですよ。これは先ほど申し上げた経験に照らして明らかです。現地の土建業者というのは、言ってしまえば孫請以下の仕事を請け負えるかどうか、そこが精いっぱいじゃないかと私は思うのです。その意味でも、地元に金が落ちる割合というのは決して大きくない。それだけじゃないのです。建設ブームが起こったとしても、これは二、三年とか四、五年です。その後の保証がないのです。本土の開発の経験というものを振り返ってみて、余りにも明白だし、言っては申しわけないけれども、経済的自立とは全く逆な方向へ県民の生活が追い込まれるということも認識すべきじゃないだろうか、こんなふうに私は思うのです。私は余り言いたくないのですけれども、今問題になっているシーレーンの戦略的要衝としての軍事基地利用というものだって明確に否定することは私はできないと思うのです。  そんな意味で私は、新空港建設というのは暴挙だとあえて言わざるを得ません。県民の人たちの、三百億全額国庫負担だから、銭が地元へ落ちるから何とかひとつこれに飛びつこうという気持ちはわからぬではない。わからぬではないが、それではその道を歩いたら石垣の人たちは一体どうなるかということなどを、もうちょっと長い見通し、長期的な見通しを持って考えていただきたい。  そういう意味で、運輸省にお尋ねしますけれども、一たん許可をしたから何が何でもやっていくということではないように、現空港の拡張というようなことも含めて再検討を煩わしたいと思います。なかなか答弁しにくいことだと思うけれども、そういう立場をもこの計画を進めるに当たって考慮に置くということを御答弁いただけますか。
  89. 坂井順行

    ○坂井説明員 先ほども説明しましたように、今後の具体的な取り組み方については、一義的にはやはり空港管理者、設置管理者でございます県がお決めになることだろう、かように思います。その中で、現空港の拡張も含めて五つの代替案の中から現在の計画が選ばれ、それが石垣の議会あるいはそのほかの議会を含めまして、過去三回に及ぶ建設促進決議もあるという事実も一方でございます。  しかしながら、今先生がおっしゃいましたように、第三者にあるいは国民全般に対してまだ十二分な御説明といいますか、埋立申請等の問題が出てくる際には、計画の必要性なりあるいは数字の問題等々につきましても納得のいく手続が当然なされるはずでございますので、住民に対するコンセンサスも含めまして地元で十分な調整がなされるように、今までも私どもとしてはお願いをしてまいりましたし、今後もそういう方向で考えてまいりたい、かように思います。
  90. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最後に環境庁長官、今、私は長い長いお話をしてきました。もう時間ですからやめますけれども、やはり自然保護、沖縄の貴重なサンゴ礁を守っていくということなどを含めて、それこそ毅然とした態度を環境庁長官にとっていただきたいと思いますが、いかがでしょう。
  91. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  先ほど局長の方から御答弁を申し上げましたが、環境庁といたしましては、この実情をよく見まして、そして県の方ともよく御相談をいたし、沖縄開発庁ともあるいはまた運輸省ともよく御相談を申し上げたいと考えております。
  92. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いや、相談を申し上げるのじゃなくて、自然を守っていく立場で御相談を……。
  93. 上田稔

    上田国務大臣 もちろん環境庁立場として、先ほど局長が御答弁申し上げましたが、そういう立場において御相談を申し上げます。
  94. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございました。
  95. 竹内黎一

    竹内委員長 午後一時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時三十五分休憩      ————◇—————     午後一時三十二分開議
  96. 竹内黎一

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。春田重昭君。
  97. 春田重昭

    ○春田委員 私は、水銀入りの乾電池の対策についてお伺いいたしたいと思います。私はこの問題につきましては昨年の十月六日決算委員会で、またことしの三月二十七日、当環境委員会質問したわけでございます。今回は第三弾ということで再びお伺いしたいと思うわけでございますが、若干重複する点、また確認の点もございますので、その点はどうか各省の御理解をいただきたいと思うわけでございます。  さて、水銀入りのボタン型乾電池が業界によりまして回収されておりますが、その概況につきまして簡単にひとつお述べいただきたいと思います。
  98. 広野允士

    ○広野説明員 お答えいたします。  乾電池に使われております水銀につきましては、現在のところそれにかかわります公害発生事例というのは私ども承知していないわけでございますけれども、未然防止観点から、ことしの初め乾電池工業会に対して厚生省とともに要請をいたしまして、その結果、業界といたしましては、水銀電池を含むボタン型の電池につきまして回収をするということでございます。  現在二十二万個の回収ボックスというものをつくりまして、家電の小売店あるいはカメラ店、補聴器店等のところに置きまして、そこへ消費者の皆様が持ってきていただけますれば、流通ルートを逆にたどりましてそれを回収してまいるということで、最終的には専門処理業者のところで水銀電池が回収されているということでございます。  そのほか、アルカリ電池につきましては、水銀使用量を三年の間に三分の一に減らすということで研究をスタートさせておるところでございます。
  99. 春田重昭

    ○春田委員 回収率がどれくらいになるか非常に注目されているわけでございますが、こうした利用者の協力による回収はせいぜい五〇%前後じゃないかとも言われておりますけれども、現時点で通産省の感触がわかればお伺いしたいと思うのです。
  100. 広野允士

    ○広野説明員 お答えいたします。  業界といたしましてはことしの三月から、先ほど申しましたボックス型の回収箱というのを二十二万個つくりまして小売店等に置いて、消費者また関係者の皆さんの協力を得て回収を実施に移したわけでございます。それの回収状況につきましては大々的な調査をこの九月に行うことにしておりまして、現在につきましては回収状況をどういうふうな方法で調査をすればいいのかというような点を検討しているところでございます。
  101. 春田重昭

    ○春田委員 まだ回収の途中ということで、回収率はまだわからないということでございましょう。  そこで、回収率の算出方法でございますけれども、分母、分子になる数字というのは何を根拠にしているのかお伺いしたいと思います。  また、実際の回収では、ボタン型乾電池以外に単三、単四の小さなそうした電池も混合されて回収されているやに伺っておりますけれども、これは当然回収量の中には入らない、こう思いますけれども、この点も確認しておきたいと思います。
  102. 広野允士

    ○広野説明員 まず回収率に関します考え方でございますけれども、現在、この六月に回収状況につきましての点検会議というのを業界が開きまして、回収率等をどういうふうな考え方のもとに計算をしたらいいのか、算定方法をどうしたらいいのかというようなことを検討している最中でございます。  また、水銀ボタン電池の回収をやるということでございますが、そこに入ってきておりますボタン型のアルカリ電池等も、入っておればそれも回収していくということでございますので、それもあわせてやっておるわけでございますが、それをどういうふうにカウントするのか、そういう点も現在検討中であるというふうに聞いております。
  103. 春田重昭

    ○春田委員 厚生省の方にお伺いしたいと思いますけれども、この乾電池の製造メーカーは、筒型乾電池につきましては、回収、処理を求める地方自治体や国民の要望に対しましては拒否の回答をしております。私は、水銀の含有量の半分以上を占めているこの筒型乾電池を回収しないのは片手落ちだと思うのですね。ボタン型電池だけ回収しただけで事を済ませようという業界の姿勢はいかがなものか、こう思うわけでございますけれども厚生省はどうお考えになっておりますか。
  104. 小林康彦

    ○小林説明員 お答えいたします。  現時点では、廃棄物処理に伴いまして環境を汚染する状況にはなっていないという理解をしておりますが、乾電池が非常にふえておる状況あるいは廃棄物処理に円滑を欠くという懸念が出てまいりましたために、先ほど通商産業省の方からお答えがございましたような形で業界に要請し、業界の対応を見守っておるという状況でございます。このレベルでございますので、現時点で全国一律に筒型乾電池の回収を行う必要というのは私ども感じておりませんで、しばらく今の努力を見守っていきたいというのが基本的態度でございます。  ただ、今後とも乾電池がふえる傾向にございますし、廃棄物処理の上でこの乾電池の扱いは非常に大きな問題でございますので、長期的にどのようにするかにつきましては、基本的考え方につきましては生活環境審議会の場で検討に着手をしていただき、それから将来の広域的な回収あるいは処理のあり方につきましては私ども本年度より調査にかかるということで、長期的な問題として検討していきたいというふうに考えております。
  105. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、現在厚生省では、今御答弁ございましたように生活環境審議会の適正処理専門委員会の中で、この使用済み乾電池の回収、処理につきまして検討されているやに伺っているのでありますが、答申といいますか報告といいますか、これがなされるのは大体いつごろなのか、お伺いしたいと思います。
  106. 小林康彦

    ○小林説明員 昨年厚生大臣が生活環境審議会から、今後の廃棄物行政のあり方につきましての答申をいただきまして、その中で適正処理が困難な廃棄物につきましての基本的方向をいただいたわけでございます。ただ、その分野につきましてはまだ具体的に検討すべき点も多いということで、適正処理専門委員会を引き続き設置をし、具体的なあり方について検討するようにということで、専門委員会が引き続き開かれておるわけでございます。  この場所で私ども、乾電池のあり方につきましても検討をお願いをしておるわけでございますが、これらの問題につきましては、性状が多様であること、あるいはその処理の困難性に対する認識が関係者の間でかなり異なっていること、あるいは関係をいたします方々が分野からいいましても非常に多いというような状況がございまして、これらの方から広く意見を聞きながら専門的に検討しようということで、おおむね適正処理専門委員会の結論としましては二年後ぐらいをめどにしております。ただ、乾電池につきましては私ども非常に早く方向をいただきたいということがございまして、基本的な物の考え方の整理を来年の夏くらいまでにはいただけないかということで審議スケジュールを組んでいただいている、こういう状況でございます。
  107. 春田重昭

    ○春田委員 乾電池に関しましては来年の夏ということでございますが、一年以上かかるわけです。業界や地方自治体の素早い対応に対しましては、余りにもちょっと時間がかかり過ぎるのではなかろうかという感じを持っているわけでございます。  既に全国都市清掃会議や全国市長会でも、国の早急な対策を望んでいるわけでございます。現に大都市の東京二十三区、また大阪、京都、神戸市等の地方自治体では、責任がうやむやになるのではないかということで分別収集を控えている自治体もあるわけです。国として、乾電池全体の問題として私は明確な責任体制を早急にとるべきであろう、こう思っているわけでございます。  ところで、東京の昭島や町田市ではデポジット方式を既に採用したり、これから検討していこうという市町村が出て注目されておりますけれども、国としてのお考えをお伺いしたいと思います。
  108. 小林康彦

    ○小林説明員 一部の地域でデポジットないしそれに近い考え方の検討をされておるところがあることは私ども承知をしておるところでございます。これらの考え方につきましても、先ほど申し上げました専門委員会の場、あるいは私ども調査の過程で一つの手段ということで検討の対象にして全体の構成を考えていきたいというふうに考えております。
  109. 春田重昭

    ○春田委員 ところで、通産省にお伺いしますけれども、業界によって回収されたボタン型電池はどういう処理処分がされていくのか、お答えいただきたいと思います。
  110. 広野允士

    ○広野説明員 お答えいたします。  小売店に置かれております回収箱に回収されました水銀電池を、流通ルートを逆にたどりまして最終的にはメーカーの方がそれを集めまして、それを専門処理業者、これは北海道に一社あるわけでございますけれども、そこへ持っていって最終処理を行っているということでございます。
  111. 春田重昭

    ○春田委員 厚生省にお伺いしますけれども、地方自治体によって分別収集された乾電池、この処理処分はどうしているんですか。
  112. 小林康彦

    ○小林説明員 使用済み乾電池のみを集めた場合につきましては、これを水銀回収工場に送りまして処理をしているケース、コンクリート固化をいたしまして埋め立てているケース、それから当面保管をしているケース、この三つでございます。
  113. 春田重昭

    ○春田委員 今水銀回収工場という話が出ましたけれども、これは全国で何カ所ぐらいあるのですか。
  114. 小林康彦

    ○小林説明員 現在産業廃棄物処理施設として設置をし、業として行っておりますのは一社でございます。
  115. 春田重昭

    ○春田委員 分別収集によって回収された乾電池は、先ほど北海道の水銀回収工場ということでございますが、この水銀回収工場で処理するものとコンクリート固化して埋め立てて処分するものとあるわけでございますけれども厚生省としてはどちらの方を推し進めていこうとお考えになっているのですか。
  116. 小林康彦

    ○小林説明員 現在の段階では、いずれの方法でも差し支えないというふうに考えております。ただ、長期的な構想の中では、水銀を回収をするあるいは水銀を回収して処理をする方を本筋ということで、そちらを目指そうということにしておりますが、現段階では、いずれの方法でありましても、環境に対する負荷というのは心配ございませんので、いずれでもという立場をとっております。
  117. 春田重昭

    ○春田委員 水銀回収は、現在一カ所しかございませんから北海道へ持ち運ばれているわけですね。せっかく回収しても輸送コストが非常に高い。これは正確な数字じゃないかもしれませんけれども、例えば大阪で回収したものを北海道の水銀回収工場へ持っていった場合、処理コストがトン当たり大体五万円前後ですか。輸送コストが数十万かかって、大体四十万前後になるのではなかろうかということも言われておるわけでございまして、こういった結果になります。  そこで、全国的に北海道に一カ所しかないわけでありますから、これは私たちの同僚議員が予算委員会でも質問したわけでございますが、第三セクター方式で新しい工場をつくるとか、また既存の企業等でそうした技術を持っているところがあれば厚生省としてアタックして、水銀回収工場をもっとふやすべきじゃなかろうかと思うわけでございますけれども、どんなものでしょう。
  118. 小林康彦

    ○小林説明員 乾電池のみ分けるという動きが今後一層強まるといたしますと、それを北海道にということになりますと、お話しのように非常に輸送費がかかることになります。このため、長期的な問題といたしまして処理体制の整備についての検討を始めておるわけでございますが、その中で、全国で一カ所ということではなしに、地域ごとに処理の体制が整えられないかということで調査検討を行うということにしております。
  119. 春田重昭

    ○春田委員 調査検討して、要するに厚生省としては何カ所かふやしたい、そういう希望ですか。
  120. 小林康彦

    ○小林説明員 そういう気持ちでございます。
  121. 春田重昭

    ○春田委員 次に、厚生省にお伺いいたしますけれども、この水銀入りの乾電池の処理は、今お話があったように業界によって自主回収する方法、自治体によって分別収集する方法、いわゆる回収をするわけです。これともう一つ、残りのものは焼却場に持ち込まれまして一般ごみと一緒に混合焼却されるわけでございますが、回収と混合焼却と大きく分けた場合、比率は大体どれくらいになるのか。正確な数字はわからないとしても、大体の想定でどれくらい混合焼却の方に持ち込まれるのか、その辺の感触はわかりませんか。
  122. 小林康彦

    ○小林説明員 正確な数字は調査をしておりませんが、現在、乾電池のみ分別をしております市町村は、数にいたしまして全国の約二割近くになっていると承知しております。そのほかのところは普通のごみと一緒に、ごみの中に入った状態で収集し、それを焼却し、ないしは直接埋め立てるという方法をとっております。
  123. 春田重昭

    ○春田委員 そういった観点からしても、現時点では一般のごみ清掃工場の焼却炉で混合焼却される率が非常に高いということでございます。  そこで、環境庁の方にお伺いいたします。  この水銀入り乾電池の処理対策として最も有効な対策は、今言ったように乾電池を業界で回収することが第一案、第二として地方自治体が分別収集を行う。しかし、これらの回収、収集につきましては利用者の協力という限界があるわけでございまして、よくいっても五〇%前後の乾電池は一般ごみとともに焼却されているわけでございます。したがって、焼却場での安全対策が非常に重要になってくる、前から私が言っている主張どおりでございます。  前回もこの問題につきまして若干論議したわけでございますが、市町村のごみ清掃工場にあります焼却施設は、大きく分けて乾式の洗煙方式と湿式の洗煙方式がございます。乾式は水銀を初め重金属の除去はほとんどできません。また、現在大気汚染防止法で規制しております塩化水素も、ppmでいけば国の基準の四三〇ppmはクリアできるけれども、二けた以内の数字に抑えることは非常に難しい。それに比べれば、湿式の方式は水銀を初め重金属の除去はできますし、塩化水素のppmを二けた以内に抑えるという利点があるわけであります。したがって、乾式法によりますと、水銀は煙突から大気中に放散されるわけです。重金属は焼却灰や電気集じん灰、EP灰と言いますが、ここに多量に含まれて、これが一般の廃棄物処分地の方へ放棄されるわけです。そして、二次、三次公害が起こるおそれがある、こういう警鐘、警告がされているのです。  これらのことを考えると、大気汚染防止上、湿式洗煙方式が最も適切であると私は考えているわけでございますが、ここで環境庁の御見解を伺いたいと思うのです。
  124. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  前回もこの問題について先生から御質問ございました。確かにおっしゃるように湿式がいいのか乾式がいいのかということに関しましては、前回私御答弁申し上げておりますが、住宅地に近いところあるいは人口の密集しているような地域の場合には、できるだけ効率のよい処理のプロセスを採用することが望ましいわけでございます。そういう点から考えますと、処理の方式につきましては、それぞれの自治体の焼却炉は、歴史的な経緯はございますが、塩化水素あるいは水銀、それからばいじんといったようなものを除去するという面から考えますれば、湿式処理方式が極めて有効であろうというように考えております。
  125. 春田重昭

    ○春田委員 通産省の方、これから技術の問題に入りますから結構です。  現在の規制基準をクリアすればそれでよいという考えではなく、将来起こるかもしれないという防止のためにも、未然の対策が必要であろうと私は思います。環境庁厚生省もそうした考えに立つべきであろうと私は思っております。先日の新聞でも、東西の環境会議が行われまして、大気中の硫黄酸化物を九三年まで十年で三〇%減らす決議がされたと報道されております。今、世界はこうした環境汚染から人類を守るためあらゆる努力がされているのであります。  そこで、厚生省の方にお伺いいたします。  厚生省は、洗煙方式は環境基準さえ超えなければ乾式、湿式どちらでもいい、また炉の選定は地方自治体が各地域の状況規制に応じて決めることで、何ら国が口を挟むところではないという従来の見解があるわけでございますが、国の基準をクリアすればいい、また経済面も地方自治体の財政面によって考えればいいといった底流があるからこうした厚生省考え方があるのだろうと私は思うのです。  非常に筋が通っているみたいに思いますが、しかし、私が従来から言っておるように、国の基準は非常に甘い。現に、都市部の地方自治体では厳しい規制をしておるわけでございます。塩化水素は国の基準では四三〇ppmでございますけれども、東京、大阪またはその他の大都市では五〇ppmや三〇ppmまたは二五ppm等と、住民のそうした要望に対し善して、住民合意といいますか、条例ではないとしても非常に厳しい規制をしておるわけであります。現にそうした規制をしておるわけでございますので、こういった面を国も考えるべきだろう。また、経済面が安全面より優先して考えられれば将来に大きな禍根を残すであろう。確かに乾式は湿式よりは安いという面がありますけれども、そういった面で安全面よりも経済面が優先されたならば、非常に大変な問題になる。  こういう点で、従来から湿式洗煙方式を選定すべきであると私は主張しているわけでございますが、厚生省としても、直接そういうことは指導できなくても、いろいろな炉の選定で、これは補助金がつきますから、地方自治体から相談があった場合には助言なりアドバイスといったものも、経済効果だけで考えないで安全面も十分に注意して選ぶようにと一言言っても、決してむだではないと私は思うわけでございますけれども、この問題につきましての厚生省の御見解を再度お伺いしたいと思うのです。
  126. 小林康彦

    ○小林説明員 私ども、二つの面でかかわりがあるわけでございます。一つは焼却炉の構造基準構造の指針を示す部分、もう一つは施設整備に対します補助金を交付するという立場がございます。構造基準を示す立場の方につきましては、大気汚染防止法で決められました基準をクリアするにはどういう技術があるか、それについての特質を示すということで、地方自治体が適切な判断ができるようにその材料を提供することを目的としております。  厚生省の基本的考えと申しますと、国で定めました基準に合致するような施設管理を行う、これが最低レベルでございます。これに付加いたしまして、それぞれの地域の実情に応じまして、条例による規制のあるところはそれに合致するように、地域の住民協定等で協定が成り立っております場合にはその協定に従って施設整備する、これは私ども当然のこととして受けとめております。  施設整備の補助につきましても、客観的にその必要性がある場合には、国の基準にとらわれることなく、その地域の実情に応じた施設整備ができるように努力しておるわけでございますが、全国一律にかなり高いレベルに引き上げることは、財政的な制約等もございまして現在そこまではできないわけでございますが、地域の実情は最大限尊重していきたいと考えております。
  127. 春田重昭

    ○春田委員 そこで、若干技術的な問題に入りますけれども、湿式の洗煙方式にも簡易型と完全型がございます。この湿式の簡易型では水銀の除去が三〇から五〇%しかできないと言われているのです。完全型では水銀の除去が九〇%できると言われております。もちろん、有害重金属の除去も同程度であろうと言われております。  その完全型湿式洗煙方式の中にも、硫化ナトリウムを使用し、硫化水銀として凝沈させ回収する方法がございます。実はこの方式は、水銀の除去はできますけれども、別の問題があるのですね。私は二つ指摘したいと思います。  その一つは、この硫化ナトリウムは、労働安全衛生法、特定化学物質等障害予防規則、また酸素欠乏症等防止規則等で、その取り扱いや保管等については厳しい規制がされております。いわゆるそういった有害な物質でございます。労働省としてこの点を具体的に説明をいただきたいと思います。
  128. 福渡靖

    ○福渡説明員 お答えいたします。  御質問の趣旨は、どういうような規則で規制をしているのかというように受けとめてお答えをいたしますが、まず第一点は、お話にございましたように、労働安全衛生法の体系の中で特定化学物質等障害予防規則で規制をしております。これは、どのような工程であれ、室内で行われている作業で硫化水素の発生する場所について規制を行うという考えでございます。そして、どのような規制を行っているのかと言いますと、硫化水素の発生する個所を密閉する、あるいは密閉できない場合には局所排気装置等である一定の濃度以下に抑えるというような規制を事業者に義務づけているということでございます。  それからもう一点の酸素欠乏症等防止規則の方でございますが、これはむしろ、有機物等がございまして、そこで腐敗が起こったときに硫化水素の発生する危険がある場所、そういうようなことで、これは一般的には、腐敗現象が起こりますので、その前に酸素が消費されてしまいますから酸素欠乏症が起こる危険性のある場所ということで、実は、硫化水素中毒の防止と二重にこれは規制がかかることになります。そういうことで、そのような場所で作業をするときには、酸素濃度あるいは硫化水素濃度の測定、それから必要な保護具の使用、それから換気というようなことで規制をしておりまして、そこには作業主任者の資格を有する者を配置して中毒の防止を図るというようにしております。
  129. 春田重昭

    ○春田委員 今労働省の方から御説明があったように、この硫化ナトリウムというのは化学反応でいわゆる硫化水素という有毒ガスを発生するのです。すなわち、硫化水素ガスは七〇〇ppmで即死、一〇〇ppmで不快の状態になると言われる非常に危険な物質でございます。過去、この硫化水素ガスの発生で、ごみ及びし尿処理施設で死傷者を出した何件もの事故が起きておるわけです。先月の六月二十二日、兵庫県の川西市でも、皮革の工場から通ずる下水処理場でこのガスが発生し、三人が重体であるということがマスコミで報道されております。  しかし、地方自治体では、ごみの中に乾電池を初め水銀の量が非常にふえてきた。そこで、危険であることを知りながら、従来のキレート樹脂の除去では水銀が十分取れないということで、この硫化ナトリウムを使用して水銀除去をしようとしておるのであります。  御存じのように、水銀は排出基準で○・○〇五ppmという規制がされておりますけれども、先ほど言ったように水銀の量があらゆるものに非常にふえてきたということで、入り口では高濃度で五ないし三〇ppmぐらいあると言われておるのですね。この五ないし三〇ppmを抑えて○・○〇五ppmの排出基準にしていこうとするならば、従来の方法では取れないということで、あえてここに硫化ナトリウムを使っているわけですね。しかも、多量に使っている。こうした危険性が伴うということで、この硫化ナトリウムを使用していた地方自治体の焼却施設でも、使用を制限したり、また、使用を中止している状態があると私は聞いているわけでございますけれども、この点、厚生省はこうした実態を把握されているかどうかお伺いしたいと思います。
  130. 小林康彦

    ○小林説明員 お答えいたします。  まず、全国的にどの程度の湿式処理が行われているかという点につきましては、十一大都市について調べておりますが、全部で六十一施設ございまして、このうち湿式処理をしておりますのは二十二施設、乾式施設が三十七施設、その他が二施設ということでございます。  塩化水素の規制対策ということで硫化ソーダ法を比較的採用しておると思われます大阪府について調査をしましたところ、大阪府下で湿式の洗煙設備を設けておりますのが三十五施設ございまして、この中で硫化ソーダ法を採用しておりますのが三施設ございます。いずれも現在稼働中ということで、現在稼働を中止している硫化ソーダ法の施設はないという報告を受けております。
  131. 春田重昭

    ○春田委員 私の調査によりますと、東京が使用を制限しておるのですね。杉並と光ヶ丘の焼却炉はこの硫化ナトリウムを使っておるわけでございますけれども、こういうような形で制限しておる。すなわちph八から一〇のアルカリサイドでは硫化水素ガスが発生しにくいということで、この範囲で使用している。しかし、ph八から一〇のサイドでは水銀の除去率が低く、重金属が溶出しやすいということで、最終的にはコンクリート固化の必要があり、コスト的に非常に高くなる欠点があるのです。ph七以下の酸性サイドであれば水銀の除去は高くなりますけれども、今言ったように化学反応で硫化水素ガスが発生いたします。危険であるということで、これ以下では使用しないという、そういうph調整をやっているわけでございます。  大阪市でございますけれども厚生省から、現在使用停止はないということでございますが、私の調査では七工場のうち大工場が使用中止をしている、こう伺っておるわけでございます。大阪府からの回答であろうかと思いますが、私の場合は、これは大阪市なんです。その辺のところをもう一回、できましたならば大阪市の方にも聞いていただければいいのじゃないか、こう思いますので、調査して御報告をいただきたいと思うわけでございます。  こういったいわゆる硫化ナトリウムを使うことによって、せっかくある施設が使われていない、また、使用制限されているという問題がある。それは硫化水素ガスが発生するからである、こういうことでございます。これが第一の問題。  さらに第二の問題としては、この硫化水銀のメチル化によって第三の水俣病の発生等の危険がある、こういうことです。私は、昨年十月、決算委員会でこの問題につきまして警告を発してきたわけでありますが、その後専門家の御意見を聴取したり詳細に文献を調査した結果、次のことが大体判明をしております。  いわゆる都市ごみ焼却場の凝集沈殿汚泥はほどんどが特定の埋立地へ投棄されている状況なんですね。この硫化水銀というのは無機水銀でございます。これを紫外線や酸素、アミノ酸等で化学反応していけば、いわゆるメチル水銀化する条件が整っているということです。したがって、これらの土壌が上水道や地下水等に通じた場合、将来大きな問題を引き起こす危険性をはらんでいる。厚生省とすれば、処分地は遮水工等で流出がされないように十分防止をしております、こういう御見解だろうと思いますが、専門家の先生から言えば、本当に将来にわたっての危険性を警告されているわけでございます。この問題について厚生省の御見解をお伺いしたいと思うのです。
  132. 小林康彦

    ○小林説明員 無機水銀が一部有機水銀に変化するという報告が二、三あることは私どもも承知をし、読んでおるところでございます。しかし、市町村が実施をしております一般廃棄物最終処分場での埋立処分につきましては、そこから出てまいります排水について、廃棄物処理及び清掃に関する法律によりまして無機水銀及び有機水銀につきましての規制をしておるところでございます。基準値は水質汚濁防止法で定めております基準値をそのまま使っておるところでございまして、有機水銀につきましても、生活環境保全上支障の生ずるおそれのないよう、その適切な措置をするということになっております。  実際の測定例からいたしましても、この基準に十分余裕を持って合致をしておりますので、使用済み乾電池を含みます現在のごみの埋立処分状況のもとで環境汚染を生ずる心配はないというふうに考えております。
  133. 春田重昭

    ○春田委員 既にNHK等では、都内の処分地の四カ所のうち三カ所からメチル水銀が出てきている、こういう報道もされているわけでございます。この値が基準以下であるから当面心配はないということでございますが、こういったいわゆる水銀問題が大きな社会的な不安となっている状況からして、全国には二千五百カ所くらいですか、市町村のごみ清掃工場の処分地があるやに聞いているわけでございますが、私はこの際、土壌検査等もやるべきじゃなかろうかと思っておるわけでございます。どうでしょうか。
  134. 小林康彦

    ○小林説明員 御指摘の点につきましては、私どもも今後の課題の一つということで受けとめております。
  135. 春田重昭

    ○春田委員 環境庁はどう考えていますか。
  136. 佐竹五六

    佐竹政府委員 ただいま御指摘のように、無機水銀が微生物あるいは光エネルギー等によって有機化するという文献につきましては、私どもも多少の知見を得ております。環境庁といたしましては、現在その条件の確定、そのメカニズム等を文献等を通じて究明しているところでございます。  さらに一般廃棄物処理場の土壌中についても、無機水銀あるいは有機水銀について二千何百カ所すべてについてチェックすべきではないかという御提案でございますが、この点につきましては、ただいま厚生省からもお答えいたしましたように、一つの課題であるというように私ども認識いたしまして、その具体的な方法等について厚生省と協議しているところでございます。
  137. 春田重昭

    ○春田委員 さて、こうして論議して言えることは、何回も繰り返すことになりますけれども、焼却施設には湿式の洗煙方式がいい、いいけれども、硫化ナトリウムを使用する凝沈法では、一歩間違えば危険な状態になるおそれがある。これを使用しないで水銀や重金属を除去する方法があれば一番いいのであります。  ここに「水処理技術」という、これは月刊誌だと思いますが、六月号がございます。この中に工学博士のI先生の論文が掲載されております。この中では硫化ナトリウム凝沈法とフェライト法とが対比されております。そして、実験の結果、水銀の除去や回収につきましては、安全の面、性能の面で明らかにフェライト法がまさっておる、こう判断されておるわけでございます。厚生省等も、また環境庁もこの辺は御勉強なさっていると思いますれども、こうした専門家の先生の御意見も大いに参考にしていけばいいのじゃなかろうかと思っております。両省から御見解を伺いたいと思うのです。
  138. 小林康彦

    ○小林説明員 ごみの焼却場から出ます排水の処理廃棄物処理の上でも非常に重要な問題でございます。安定した、あるいは経済的な、あるいは安全な処理方法というのは私ども常に求めておるところでございまして、お話しのような論文も十分勉強させていただきながら、今後適切な処理方法の確立に努めていきたいと考えております。
  139. 佐竹五六

    佐竹政府委員 厚生省から御答弁申し上げたとおりであり、私どもとしても厚生省と今後協議してまいりたいと考えております。
  140. 春田重昭

    ○春田委員 いずれにいたしましても、この水銀入り乾電池、水銀入りの蛍光灯や体温計がふえている今日、厚生省としても、そうした業界回収や分別回収だけの一時しのぎの対策でなくて、二重、三重の抜本的な対策を立てることを強く望むものであります。  また、環境庁はこれらの問題の根幹をなす強力な水銀対策を立てるべきだろうと思っているわけであります。環境庁としては、厚生省や通産省両省の顔色だけを見て政策を立てるのではなくて、今日の社会的な不安を払拭して、起こるであろう公害を未然に防いでいく、そうした積極的な環境行政であってほしい。そういった面で、環境庁公害という面のみを考える独自の水銀対策をこの際講ずべきではなかろうかと私は思っておるわけでございますけれども、どうでしょうか。
  141. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  この乾電池、ボタン型の方は今一応業界の方で回収をやっていただいておるのでございますが、筒型の乾電池は現在あちらこちらで分別収集を実は始めておりまして、各都市に大分集まってきつつあるわけでございます。  なるほど現在におきましては、公共用水域におきましても、また居住地域における大気中の水銀の濃度というものも大したことはない、今のところは害はございませんけれども先生の御指摘のように、だんだんふえてくると非常に困る。通産省の方では、業界でも非常に心配して、今そういう乾電池中の水銀を少なくするということを研究はしていただいておりますけれども、とにかく今のままでいきましたら、水銀がたくさん出てくるようになるおそれがある。これは非常に心配だ。  といって、今分別収集を各都市でやっていただいておりますけれども、それもだんだんふえてくる。今分別収集が都市においては三年ぐらいしかもたないのじゃないかというような勢いでとにかく収集されておる。したがって、今ここで対策を立てなければ大変なことになるおそれもあるということから、厚生大臣の方も非常に心配をいたしまして、私の方へひとつ一緒に頼みますということで、一緒にやりましょう、こういうことで関係のおのおのの局の方に、また課の方に言いまして、その対策を今立てていただいているところでございます。やはりどうしてもこれを資源化するようなことを考えていかなくちゃいけないのじゃなかろうかということもありますので、今そのやり方について検討をしてもらっておるところでございます。  またもう一つの、なるほど水銀が減ったということでも、また今先生の御指摘のように別の公害が出てきてもこれは大変でございますので、この点もあわせてお互いに検討してもらうということでやっておるところでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
  142. 春田重昭

    ○春田委員 どうも大臣のお話を聞いておると、あなた任せみたいな感じがするわけですね。やってもらっている、いわゆる業界で回収してもらっておりますと言いますけれども、大臣、ボタン型乾電池は半分ぐらいが回収できないのです。分別収集も、市町村が多くなってきているといっても、現時点では二割なんですよ。大都市ではほとんどやってないのです。なれば、どうなるかというと、あとは混合焼却されているわけですから、そうしたらおたくの管轄になるわけですよ。焼却炉にぼんぼん水銀の電池が入って、野放しに大気に放散されているのですから。  どうも、やってもらってますというような考え方では環境がよくならないと私は思うのですよ。よく現実を見通していただいて、環境庁環境庁としての、両省に任せるのじゃなくして、環境行政の上からどうしたらいいのか、こういう形の厳しい規制をしていかなくてはいけない、私はこう言っているのですよ。どうも私の期待する答弁じゃないですね。もう一回お願いします。
  143. 上田稔

    上田国務大臣 お言葉でございますが、乾電池、筒型ももちろんボタン型も込めてでございますけれども、ボタン型は一応業界の方でその対策を立てておりますので、したがって筒型の方になるわけでございますが、これの処理対策については、厚生省の方も先ほど御答弁を申し上げたとおりで、一年を目標に今盛んに対策を立てておるということでございますし、私どもの方も一緒になって今やっておるのでございます。  また、ごみ処理ということについては厚生省がおやりになって、責任を持っていただいておるのでございますので、やはり一緒になってやらないとこれは十分な対策が立てられないということでございます。したがいまして、環境庁厚生省が一緒になってやらしていただく、こういうことでございます。
  144. 春田重昭

    ○春田委員 だから、当然相談しなきゃいけませんよ。しかし私は、環境庁環境庁として、やはり業界はこうあるべきである、こういう姿勢であるべきである、また地方自治体はこうあるべきであるということの、両省に遠慮しての対策でなくして、環境行政の上からこうすべきであると、両省に環境行政の上から強いインパクトを与えるべきであろう、こういうことで言っているのです。よろしいですか。  いずれにいたしましても、この問題、大事な問題でございますから、ひとつ環境庁が積極的にこの問題については取り組んでいただきたい、こう思っているわけでございます。  一応この問題につきましては終わりたいと思います。  時間がなくなってまいりましたけれども、最後に、先ほども質問がございましたが、例の環境アセスメント法案でございます。  聞くところによりますと、今国会に提出するということでかなり御努力なさっているみたいでございますが、しかしまだ結果として出てきていない、こういうことでございます。正直言ってどうなんですか、この国会に出てくる可能性というのは何%くらいなんですか、大臣。
  145. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  私は、もう一〇〇%出す覚悟で今やっておるところでございます。
  146. 春田重昭

    ○春田委員 それは努力するのはわかりますよ。けれども、結果としては一〇〇%絶対出てきますか。本当に自信ありますか。
  147. 上田稔

    上田国務大臣 これはもう私の考え方はそういう考え方で、今極力やっておるところでございます。
  148. 春田重昭

    ○春田委員 一生懸命やったけれども結果としてはだめだった、そんなことにならないように、ひとつ大臣お願いしますよ。過去には出されてきて、上田環境庁長官の時代に出てこないでオジャンになったということになったら、やはり大臣のメンツもあると思いますし、一〇〇%とおっしゃったんですから、ひとつ絶対出してください。もうこれは委員会で明確に答弁されたのですから、出てこなかったらちょっといろいろな問題に波及しますよ、本当に。  そういうことで、環境アセスメントの早期提出を強く望んで、時間があとちょっと残りましたけれども、以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  149. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、藤田スミ君。
  150. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この間の委員会で若干残しておりますベリリウムの問題につきまして、一言だけ最初にお聞きをしておきたいと思います。  ベリリウムにつきましては、労働安全衛生法上「ベリリウム及びその化合物」ということで一定の規制が行われているわけです。すなわち、ベリリウム及び一%以上のベリリウムを含む化合物、合金の場合は三%以上ということになっておりますけれども、これを取り扱う場合には、特定化学物質等障害予防規則、いわゆる特化則の対象になりまして各種規制が行われるとともに、さらにこれを製造する場合には、プラントごとに労働大臣の許可を得なければならない、こういうことになっております。  そこでお伺いをいたしますが、問題になった日本碍子では、何年何月、どういう内容でベリリウムに関する製造の許可が出されているのか、労働省。
  151. 福渡靖

    ○福渡説明員 お答えをいたします。  日本碍子知多工場に対しましては、昭和五十二年四月にベリリウム銅母合金の製造プラントについて製造の許可をしております。  この製造許可申請を事業者の方がするわけでございますけれども、一定の許可基準を設けておりまして、その基準に適合しているかどうか、そういう内容をよくこちらの方でチェックをいたしておるわけでございますが、その許可基準は、例えば製造設備の密閉化、当該物質の遠隔操作による取り扱い、それから特殊健康診断の実施、必要な作業規程を定めること、それから労働者に作業衣及び保護手袋を着用させることなどの内容になっております。
  152. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 要するに、五十二年四月にベリリウムを四%含有するベリリウム銅母合金を製造するということで許可が出されていたということですね。  もう一度重ねてお伺いしますが、このベリリウムの製造に関する許可、日本碍子はそれ以外はありませんね。
  153. 福渡靖

    ○福渡説明員 日本碍子知多工場に対しては五十二年四月に許可をしております。
  154. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私、ここに「非鉄金属工業の概況」という本を持っています。これは昭和五十四年に発行された本でして、非鉄金属工業の概況編集委員会というところが編集したものなんです。これは通産省も認めておられますが、通産省の非鉄金属課が実質的に書いたものであります。ところが、この中にこのように書かれているわけです。  「現在我が国において金属ベリリウム及びベリリウム銅母合金を製造しているメーカーは日本碍子の一社のみでありこそういうふうに書いております。そしてさらに、「ベリリウムの製造は、水酸化ベリリウムを弗化物にしてマグネシウムで還元する方法と塩化物を溶融電解還元する方法」大変難しい文字があるわけですが、「溶融電解還元する方法とがある。前者はアメリカ、後者はフランスおよび日本で採用されている。」こういうふうに書かれているわけです。要するに、日本碍子では塩化物の電解還元法で金属ベリリウムを製造しているということなんです。  さらに、五十二年に発行されました「新金属データブック」というのがありまして、これは当の日本碍子の社員が執筆をしておられるわけです。この中を見ますと、金属ベリリウムの製造方法として「塩化物の電解還元法(日本碍子で行なわれている)」というふうに書かれてありまして、知多工場で年間三千六百キログラムの生産能力を持っている、こういうふうに書いているわけです。  さらに言えば、この「非鉄金属工業の概況」というところの広告の欄に、原子力用金属ベリリウム反射体というコマーシャルを、広告を出して、金属ベリリウムがその製品として載せられているわけなんです。これは明らかに日本碍子で無許可のままに金属ベリリウムが製造されていたということを示すものではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。
  155. 福渡靖

    ○福渡説明員 御指摘のように、日本碍子知多工場ではベリリウム銅母合金以外にも幾種類かのベリリウムを含んだ合金を製造しているというように聞いております。ただ、私どもの方で承知をしておりますのは、製造許可の対象になるものは銅母合金製造工程だけでございまして、それ以外のものは、例えばベリリウム含有率が規定以下であるというようなことで許可を必要としない、こういうように承知をしております。
  156. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 しかし、納得できませんね。金属ベリリウムというのはベリリウム一〇〇%そのものなんですからね。労働安全衛生法の対象となることはもう議論の余地はないと言えるのじゃないでしょうか。  また、その塩化物の電解還元法というのは、これも製造過程からいえば、塩化物や水酸化物のベリリウム化合物から金属ベリリウムをつくる方法でして、そういうことなんだということになりましたら、これは労働安全衛生法上で言う「製造の許可」の「製造」に該当することもまた議論の余地はないというふうに考えます。その点、三%以上というふうに書かれている、それからしてもおかしいんじゃないでしょうか。
  157. 福渡靖

    ○福渡説明員 製造許可の対象になるものというのは、一つは、製品として出てくるもののベリリウムの含有率が三%を超えること、それからその製造工程で、原料であるベリリウムが何らかの化学変化を起こす、そういう工程を対象として考えておるわけでございます。  今御指摘がございましたものは、金属ベリリウムを使用するということでございますが、これが変化をしないでベリリウムのままで混合される場合には製造許可の対象にならない。それから同時に、でき上がってまいります製品の含有量で規定をするということでございますので、対象にはならないというように承知をしております。
  158. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ちょっと納得できないのですがね。これは金属ベリリウム一〇〇%なんです。紛れもなく全部なんです。それを、製造の許可対象にならないというような言い方は私は納得できません。これはもう少しよくわかるように説明をしていただきたい。  それから環境庁の方なんですが、そういうふうな銅合金製造工場だけではなく、その他の工場も含めて、やはりさらに調査をすべきじゃないか。私はこの前、ベリリウムの排出の問題について申し上げましたが、そういう点では改めて調査検討を求めたい、この二点でこの質問を終わります。
  159. 福渡靖

    ○福渡説明員 私たちが労働安全衛生法を運用する際に、ベリリウム含有率三%を超えるものという場合には、でき上がった製品におけるベリリウムの含有率でございまして、原料としてそのベリリウムを使うというときには、ベリリウムそのものが例えば酸化ベリリウムからベリリウム単体に変化をするというようなときを除いて、ベリリウムが単体のままでずっと製造工程の中で使われるというときには許可の対象とはしないというふうに考えております。
  160. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えをいたします。  私どもは、五十五年に調査をいたしておるわけでございます。もちろん調査そのものは県に委託をいたしておりますが、その調査をいたしましたときの製造工程のフローシートを見ますと、一〇〇%ベリリウムということを今先生が言っておられたのですが、実はそうではなくて、前回も御答弁申し上げましたけれども、アーク炉の中でまぜるときというのは、初めに銅を入れて溶かして、その中に酸化ベリリウムとカーボン等の粉末の混合したものを溶かし込んでいって、それでベリリウムと銅の母合金をつくるという工程であるというふうに私どもは理解をいたしております。したがって、アーク炉によって溶解還元をして、私どもこれを溶解過程というふうに見ているわけでございますけれども、その結果出てくるものは、銅が母体となっておりまして、含まれているベリリウムが四%、そして、それにさらに銅を加えたりほかの金属を加えてインゴットをつくるということになれば、当然それらの製品は全部ベリリウムの濃度は四%よりも少なくなる、こういうふうに理解をいたしております。
  161. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 銅母合金のことを言っているのじゃないのです。金属ベリリウムのことを言っています。きょうは残念ながら次の問題が非常に大事であれしませんが、今お答えになったのは銅母合金のことで、金属ベリリウムのことじゃないのです。それだけははっきり申し上げておきたいと思います。  それから、労働省のおっしゃることは私はまだ納得できません。きょうはこれで終わりますけれども、製品になって三%以上ベリリウムが含有されているもので、製品になってもベリリウムが一〇〇%含有——一〇〇%金属ベリリウムというのはベリリウム一〇〇%ですからね、その点では納得できません。ただ時間がありませんから、きょうは次の問題に移らせていただきます。労働省、ありがとうございました。  愛媛県今治市の織田が浜の埋め立て問題についてお聞きをしたいわけです。この織田が浜がどういうところであるかということは環境庁もよく御存じのことだと思いますので、余り多くを申しませんけれども、小学校五年生の子供が作文を書いておりまして、それを私がかわって読みたいと思います。「こわさないで」という織田が浜を思う子供の作文です。  「わたしは、織田が浜がつぶれるときいてがっくりしました。だって、みんなの思い出がこわれていく。学校での仲よしえんそく、夏の海水浴。仲よしえんそくは、みんなではんごうすいさん、いっしょうけんめいごはんをたいたりカレーをつくったりたのしかった思い出です。」「来年からおよげないと、かなしくなる。わたしは、来年から、どこへ、泳ぎにいったらいいのですか。どうかこわさないでください。」「おねがいします。おねがいします。」と、この作文は大変短いですが、四回も「おねがいします。」という言葉を使ってこの子供は訴えております。  この織田が浜は市街地に隣接をして、延長一・三キロメートル。私も参りましたけれども、白砂の海岸で、夏には二十万人も泳ぎに来ると言われるかけがえのない海水浴場になっておりまして、瀬戸内海では数の限られた中での大変貴重な一カ所であります。  ここが今、今治港の港湾計画による埋め立てでつぶれようとしているわけなんですが、御承知のように、この計画は、先月二十五日に愛媛県の地方港湾審議会での審議が終わって、間もなく運輸省へ上がって、環境庁もまた見解を問われることになるわけですが、環境庁としてはどういう姿勢で臨むのか、見解をお伺いしたいわけです。
  162. 正田泰央

    ○正田政府委員 いろいろまたがりますので、便宜私の方からお答え申し上げます。  本計画については報道等で伺っておりますが、まだ運輸省から正式に伺っておりませんので、現在の時点におきましてはコメントをすることは差し控えたいと存じますので、御了承いただければありがたいと思っております。  しかしながら、予想される状況といたしまして、今後港湾審議会におきまして今治港の港湾計画が審議されることとなりますれば、瀬戸内海環境保全特別措置法の趣旨等を踏まえまして、環境保全の観点から慎重に審査してまいりたいと存じております。
  163. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 この織田が浜の海域は、おっしゃったように瀬戸内海保全法に基づいて、埋め立てについての基本方針にある、いわゆる指定海域に含まれているわけなんです。だから、瀬戸内海での埋め立て一般についての条件、例えば「海水浴場等の利用に与える影響が軽微であること。」などという条件のほかに、その埋め立てが「公害防止・環境保全に資するもの」という留意事項にも合致しなければならない、そういう海域だというふうに思うわけですが、この基本方針ができて以降、環境庁が公有水面埋立法で意見を求められた中で、この留意事項の一番目「公害防止・環境保全に資するもの」に該当しないものを認めた例はほとんどなかったというふうに私は聞いておりますけれども、どうでしょうか。
  164. 佐竹五六

    佐竹政府委員 瀬戸内法施行以来、この指定海域、今先生指摘の「留意事項に適合しない埋立てはできるだけさけるように」というふうに決められております海域内での埋め立て件数は十一件あるわけでございますが、その中で「公害防止・環境保全に資するもの」、この条項に当てはまらないものがあったかというお尋ねでございますけれども、私どもは、この「公害防止・環境保全に資するもの」というのは、例えば下水道の終末処理場のごとく、比較的限定的に理解しているわけでございます。  そのような観点からいたしますと、十一件の大部分のものについてはこの要件を満たしているわけでございますが、数件につきましては、形式的にはこの要件には該当いたしませんけれども、しかしその計画を全体的に見て、実質的にこの趣旨に合致するというふうに判断いたして処理した次第でございます。  以上のような状況になっております。
  165. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 その御説明によりますと、十一件には一の留意事項に該当しないものはなかったということになるかと思いますが、そういう点からすれば、この織田が浜の埋め立てというのはとても認められるものではないのではないかと思うわけなんです。  この織田が浜の埋め立てというのは、もちろん海水浴場を半分以上つぶすことになります。そういう点では軽微な影響どころの騒ぎじゃなくなるわけです。この海水浴場をつぶす上に、この埋め立てが「公害防止・環境保全に資するもの」という意味があるかどうかということが次に問題になるわけですが、その点ではそんな意味はほとんどないに等しい、私は現地に行って改めてそのことを思いました。     〔委員長退席、福島委員長代理着席〕 織田が浜を埋め立てることが公害防止、環境保全に役立つことはほとんど狂い、まして海水浴場をつぶす以上の価値などということになりますと、これは全くない。  といいますのは、ここに今治市がつくった資料がございます。「今治港第三次港湾計画資料」、この資料の中に、地元企業の拡張用地を確保して既成市街地の環境の向上を図るということと、産業廃棄物の最終処理場を確保する、この二点を挙げているわけなんです。  一点目の問題なんですが、既成市街地の工場を埋立地に持ってきて既成市街地の環境の向上を図るという問題で見ましたら、今治市が移転を希望している企業の調査をやっている一覧表を見ましても、三十八の業種がなるほど希望しているんだと言いますが、その中の一番多いのが卸売業であります。その卸売業というのは通常は余り公害問題を起こすような業種ではもともとないわけであります。  そういう点では、もう一つの今治市がまとめております「市政概要いまばり」というのを見ましても、「当市は中小企業の軽工業都市であるため、公害発生の程度は比較的軽度であり、断片的なものが多い。」というふうにまとめております。そうすると、そもそもここに埋立地をつくって工場を移転するほどの公害は存在しないということに一つはなるわけであります。  もう一つの廃棄物の問題についてですが、これは現在のフェリー港の方の廃棄物処理用地というのがありまして、そこの問題はともかくとしまして、織田が浜の埋め立てはこの点ではまた全く意味がないわけなんです。  どうしてこういうことを言うかといいますと、今治市は確かにここに廃棄物を入れるとは言っておりますけれども、しかし市の説明でも、ここに建設残土を入れるんだ、こう言っているのです。しかしながら、その建設残土はこの埋め立てに必要な土の二割程度だ、あとはみんな山土を使うんだ、こう言っているのです。その二割の建設残土についても、今治市のこの資料を見ますとこう書いてあるのです。廃棄物は社会経済の変化などによって発生量に差異を生ずるのは当然である、もしその差異が生じたときには、富田地区については、つまりこの織田が浜については、埋立容量の大半を占める山土によって調整を図る、そのために何ら支障はない。これはひっくり返して言ったら、ほとんど埋め立ては山土でいくんだ、こういうことを言っているわけです。要するに、廃棄物処理のために埋め立てなければならないというようなことには全くならないわけでして、全く説得力がないわけです。  既成市街地の公害ということもない、廃棄物のためにどうしても必要だということもない、そういうことを当の今治市が資料で明らかにしている。そうしますと、こうした留意事項に合致しない埋め立てを指定海域で認めるなどということは当然ないというふうに考えるわけですが、どうでしょうか。
  166. 佐竹五六

    佐竹政府委員 埋め立て基本方針の指定海域における扱いでございますが、先ほどお話もございましたが、一応ちょっと整理させていただきますと、「次に示している留意事項に適合しない埋立てはできるだけさけるように配慮すること。」ということで、その留意事項に合致すればある程度認めてもいい、しかしそれに合致しない場合にはできるだけ避けるように配慮せよということで、若干裁量の余地が与えられているわけでございます。  その留意事項を見てまいりますと、一つは「公害防止・環境保全に資するもの」、それから「水質汚濁防止法による特定施設設置しないもの又は、汚濁負荷量の小さいもの。」こういうことでございまして、いずれにいたしましても瀬戸内の海域に対する水質の汚濁負荷がどうであるかということが判断のポイントになるわけでございます。  先生が今読み上げられました市の計画書につきましては、私ども、今後審査の対象としていくわけでございますが、この留意事項にまず形式的に該当するかどうかというのが審査の第一のポイントでございます。  第二は、仮に形式的に該当しないにせよ、例えば今お話もございましたように、廃棄物処理上やむを得ない——例えば先生もよく御承知かと思いますが、大阪市あるいは大阪府等では、ごみ焼却場の焼却灰あるいは生ごみを埋め立てるべき場所が内陸部に得られないというところから、どうしても埋め立てざるを得ないというような場合もあるわけでございまして、そのような場合には、形式的にこの留意事項に該当しないにしても、私どもはある程度認めているわけでございます。そのような意味で、今治市の今回の計画が、認められるだけの実質的理由があるかどうかというのが第二のポイントになるわけでございます。  それから、先ほど来御指摘になりましたように、特にこの瀬戸内の埋め立てについては、指定海域であるか否かを問わず、全般を通じまして、埋め立てそのものによる海水浴場等の利用に与える影響が軽微であることが要求されているわけでございますので、その影響がどうであるかということも当然判断の一つの材料になってくる、かようなわけでございまして、要は、まず原則的にはできるだけ避けろと言われているその海域で埋め立てるだけの実質的な理由があるかどうかということが判断のポイントで、その判断の際の基準としては、当然のことながら留意事項が大きな要素になってくるということになろうかと考えておるわけでございます。このような方針で、運輸省を通じて市の説明を十分聴取して慎重に対応してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  167. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、瀬戸内海の現状についてはもういろいろ言う必要もないと思いますけれども、瀬戸内海の環境保全特別措置法がつくられて、環境悪化の最大の元凶である埋め立てについての基本方針ができた。環境悪化の最大の原因がやはり埋め立てたということでこの基本方針ができて、極力これを抑制していこうということになったわけなんです。しかしながら、環境庁の資料を見ましても、この十年間で千九百六十六ヘクタール、こんなにたくさんの埋め立てが認められて、ますます瀬戸内海は悪くなっていっているわけなんです。  こうした中で千三百メートルに及ぶ美しいこの海水浴場織田が浜がつぶされるということは、これは瀬戸内海全体がつぶされることになるのじゃないか、こういうふうに多くの人々は胸を痛めています。今治市というのは人口がわずか十二万五千です。その中で八万八千人の人々が織田が浜をつぶさないでという署名をしておられるわけです。大変切実に訴えておられるわけなんです。そういう点では私は、環境庁長官として、ぜひともこの織田が浜の埋め立てについては住民の切なる願いと同じ立場に立っていただきたい、このことを特にお訴えをしておきたいと思います。  私のところにきょう織田が浜の一人の主婦の方からお手紙が来ました。私は、これを後で大臣に差し上げまして全文読んでいただきたいと思います。「今治市に住む一主婦でございます」、こういうふうに書きまして、「昨年市民の何の要求もない中にふって湧いた様に出た新々港湾建設」、新々というのは、新港湾建設があったからです。「今治市には昭和五十五年に立派な新港湾が十数年の歳月と巨大な費用」百億円ですが、「をかけて完成した許りです。私は新港湾の近くに住んで居りますが、閑散としてろくに利用されていないのが新港湾の現状です。それなのに、新々港湾建設の理由は、新港湾の輻輳を緩和する為というのです。不思議と云うより他ありません。」こういうふうに言って、そして今治市のこの問題を取り巻く実情が書かれております。最後に「日本の大切な宝と思っております。どうか皆様のお力で織田ヶ浜を守ってやって下さい。」こういうふうに言っているわけなんです。  私も現地を見て、きょうは詳しく言うことはできませんが、この間できたばかりの港湾がまことに閑散とした状態の中で、どうして貴重な、かけがえのない織田が浜を半分埋めて、また新たに港湾計画を進めなければならないのか、この点では、行政改革云々と言われている中で、まさにそんな話と逆行するのじゃないかというふうにも思いました。  大臣、大臣は瀬戸内海の近くから選出されておられるわけですし、瀬戸内海を愛する気持ちはこの奥さんとまさに同じお気持ちだろうと私は思います。この問題については慎重の上にも慎重を重ねて対応していただき、環境庁としてはあくまでも瀬戸内海を守っていくんだという立場に立ち切っていただきたい、そういう点で御決意を最後にお伺いしたいわけです。
  168. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほど局長の方からいろいろとこの問題についてお答えを申し上げたのでございますが、何分現在の計画というものは運輸省の方から私どもの方へまだ参っておりませんので、この点については具体的にどうこうということは今申し上げられないと思うのでございます。しかし、参りましたら、やはり私ども立場に立ってひとつこれを検討させていただきたい。必要のある場合におきましては、現地の方にも担当官を派遣いたしましてよく調査させていただきたい、こういうふうに考えております。
  169. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 最後に一言だけ申し上げておきますが、こういう問題はえてして、計画を聞いて、ちゃんとそういう形式が整ったときにはもう遅過ぎるわけなんです。だから私は、今こそ環境庁が積極的に対応の姿勢を示していただきたい、そのことを重ねて申し上げておきたいと思います。どうぞ瀬戸内海を守る立場で、環境庁は今こそきっぱりとした姿勢を貫いていただくように要望しまして、私の質問を終わります。大臣に手紙を渡させていただきます。
  170. 福島譲二

    ○福島委員長代理 中井洽君。
  171. 中井洽

    ○中井委員 一般質問の時間ということで私どもの党も割り当てをいただきまして、簡単に二、三関心のある問題で御質問を申し上げたいと思います。  最初に、過般の委員会でも議論になりまして、私自身も質問をいたしました林野庁の2・4・5T除草剤の問題について伺います。  林野庁の方では鋭意調査を急いでいただく、こういうお約束をいただいたわけですが、現在もうすべて調査が終わりましたか、終わったとしたら結果を簡単に御報告いただきたいと思います。
  172. 塚本隆久

    ○塚本説明員 2・4・5T除草剤の廃棄処分に関する調査結果につきまして概要を御報告申し上げます。  まず、2・4・5T剤の廃棄処分の総量でございますが、乳剤が七・○キロリットル、有効成分にして約四トン、粒剤が六十六トン、有効成分にして約〇・九トンとなっております。  次に処分の方法でございますが、乳剤につきましては、大半の営林局におきましてメーカーに返還をいたしておりまして、埋没の方法をとりましたものは全体の約三割、二・一キロリットルとなっております。また、埋没方法をとったところはそのほとんどが四国でございまして、また、四国のほとんどで通達で示した方法と異なる方法で処理をいたしておりました。  次に、粒剤につきましては、やはりメーカーに返還したものが多く、約三分の二がメーカーに返還されております。それで、埋没方法をとりましたものが三六%の二十四トンとなっております。埋没方法をとったもののうち、通達と異なる処分を行っておりましたもの、これが約十六トンでございます。ただし、このうちコンクリートで固めるなどをしていない、いわゆる通達と異なった処理方法を行っていたものは一部でございまして、多くはコンクリートで固めるといった処理方法は通達どおりでございますが、一カ所の埋没数量が通達で示した数量を上回って処分している、こういったものがございます。  以上でございます。
  173. 中井洽

    ○中井委員 通達と異なった埋め立てをした、しないにかかわらず、全量どのように処分したかわかったわけでありますから、それぞれの地域で土壌に対するあるいは付近の水質に対する影響等を調査なさったと思います。それの結果もあわせて御報告ください。
  174. 塚本隆久

    ○塚本説明員 ただいま申し上げました調査結果を踏まえまして、去る六月一日に各営林局に対しまして今後の対処方針を通達いたしました。  その内容といたしましては、まず、通達と異なる処分を行った乳剤につきましては、埋没箇所を発掘するとともにその周辺の水質及び土壌調査を行う。二つ目は、通達と異なる処分を行った粒剤については、埋没箇所周辺の水質及び土壌調査を行う。三番目は、発掘した乳剤等及び未処理の2・4・5T剤については厳重に保管する等でございます。  これらをもとにしまして水質及び土壌調査等を実施してまいったわけでございますが、六月二十九日の時点で調査結果が明らかにされておるものについて簡単に御報告をいたします。  まず、水質調査につきましては、三十二カ所中二十七カ所の調査結果が明らかになっておりますが、いずれにおきましても2・4・5Tは検出されておりません。また、土壌調査につきましては、十五カ所において調査結果が判明いたしておりますが、このうち乳剤を埋没した箇所で五カ所2・4・5Tが検出されております。また、そのうち一カ所につきましてはダイオキシンが検出をされております。その他の箇所につきましては2・4・5T、ダイオキシンは検出されておりません。  なお、今後の対応といたしましては、これら調査結果等を踏まえまして、関係省庁、専門家等の意見をよく聞いた上で適切に対処してまいりたいと考えております。
  175. 中井洽

    ○中井委員 そのダイオキシンが検出された地域でも、人里離れたというようなところであって、別に人間の生活あるいは自然環境、そういったものに影響はない、そういう調査もいただいておりますか。
  176. 塚本隆久

    ○塚本説明員 現在のところダイオキシンによる影響につきましては特に出ておりません。したがって、今後ほかの調査等の結果も踏まえまして、専門家等の意見を聞いて対応したいと思っております。     〔福島委員長代理退席、委員長着席〕
  177. 中井洽

    ○中井委員 私ども調査途中でいろいろと林野庁の御報告等を聞かせていただいてびっくりいたしましたことは、通達どおり物事が行われていないということでございます。しかも林野庁というお仕事柄、大変いろいろな薬等をお使いになります。四十六年のこの次官通達当時でも、2・4・5Tの除草剤の処理方法だけを通達したのじゃなしに、他の物質処理方法等についても通達をなさっていると私どもは聞いております。また、その後もいろいろと科学的知見が発達して、使っておるいろいろな薬が有害あるいは使わない方がいいという形で処分をされているのじゃないか、このように思うわけでございます。それが林野庁の下部できちっと処理をされていないということ、どういうことが原因でそのようになったとお考えか。あるいはまた今後そういったことを起こさない、こういったことに対する信頼、信用というものを林野庁はどのように確保していこうとお考えになっているのか。そのような点でお答えをいただきます。
  178. 塚本隆久

    ○塚本説明員 この2・4・5Tが通達どおりに処分されていなかったところは特に高知営林局において多いわけでございますが、その後いろいろ調査をしてみた結果、まず一つといたしましては、当時厳重に保管するように通達いたしておったわけでございますが、倉庫に保管していた2・4・5T剤の缶が腐食し、内容物が流れるおそれが出てきたということ、それから、倉庫に保管しておくと過って使われることもあるのではないか、そんなこともありまして、林野庁から処分通達が出る以前に高知営林局独自の方法で処分をした、こういう節がございます。また他の営林局におきましても、それまで除草剤として自由に使っておりましたものでありますがゆえに、余り気を使わずに、例えば埋没数量をオーバーして処理するといったことが行われたのではないかというふうに推察いたしております。  いずれにしてもまことに遺憾に思っておりますので、今後ともそのようなことがないように下部営林局署を指導してまいりたいと思います。
  179. 中井洽

    ○中井委員 お話は了解をいたしますけれども、通達以前に処分をしたとか、通達後にはそんなに間違って処分をしていないとおっしゃるけれども、通達前には、厳重に保管をしておけと、こう書いてあるわけでございます。勝手に処分するなということであろうと思います。また通達後にも、今回の御調査で随分違った処分がなされておる箇所が多いと判明をしているわけであります。  結果として何もなかったわけでありますから、それはそれで私どもも安心をいたしておりますけれども、これからもこういう問題が起こってもらっては困るわけであります。たくさんの職員をお抱えになって、しかもそれぞれの場所がへんぴなところにあることも十分承知しておりますし、現業を抱えて組合対策という面で非常に難しい林野庁であるということも承知をいたしておりますけれども、事人命にかかわる、あるいはまた自然界の環境保全ということにかかわる大事な問題でありますから、十分心して、このような問題を起こさないようにお取り組みいただくことをお願いしておきます。林野庁、終わります。  環境庁にお尋ねをいたします。過般から社会党さん、公明党さん、それぞれ御質疑がございました愛知県の日本碍子という会社のベリリウムの排出問題でございます。先週の質疑以降、何かわかった事実あるいは調査結果、こういったものがありましたら御報告願います。
  180. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  先週各党の先生方から御質問がございまして、私ども従来入手いたしておりました情報の範囲では不明の点も若干ございましたので、県と工場から実情について若干ヒアリングをいたしました。
  181. 中井洽

    ○中井委員 つい最近、付近の土壌あるいは水質の調査を愛知県に委託して始めたという話を漏れ聞いているのですが、事実ですか。
  182. 林部弘

    ○林部政府委員 そのような事実は承知しておりません。  本年六月名古屋市が名古屋工場周辺の土壌について調査を行った、その結果は私ども承知しております。
  183. 中井洽

    ○中井委員 こんなことで言い合う気は全然ないのですけれども、きのう田舎の方でラジオのニュースを聞いておりましたら、愛知県がやるということを言っておりました。ちょっとそんなことで、環境庁もまた調査に乗り出されたかと思いましてお尋ねをしたわけでございます。  この問題、ベリリウムという物質を私も直接知っているわけではありませんし、詳しくはないわけでありますが、他党の議員さんとの議論を聞かしていただいておりますと、どうも調査をなすった時点できちっと発表するあるいは処理をなさる、こういったことに少し環境庁あるいは名古屋市ですかが手抜かりがあったんではないかという感を持つわけでございます。法的に当時、今もそうでありますが、ベリリウムに対する規制というものが決められていない。したがって、工場に対して協力を要請したという形での調査であった、こういう答弁でありますが、その点について環境庁どうですか。
  184. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  経緯につきましては、前回の審議の際に私の方からお答えしている経緯を先生お聞きになっていたかと思いますが、簡単に経過を申し上げますと、五十一年に、実はベリリウムの測定方法につきましてきちっとしたものを確定したいということで調査研究を行っているのが始まりでございます。その調査研究のプロセスで、現実に幾つかの場所でその測定方法がうまくいくかどうかということの確認をいたしております。  その後、五十五年に愛知県の方に委託をいたしまして、国内で製造量もずば抜けて多いし、ベリリウムの排出について問題があるのではないかと考えられる工場を選んで調査ということになったわけでございまして、私どもは直接ではございませんが、愛知県の方に委託をしまして調査をいたしました。ただ、これはもう先生御承知のように、日本碍子は非常に敷地が広うございますし、私どもの権限に基づいて中を勝手に歩くというわけにはいきませんので、県を通じまして調整をいたしまして、発生源と敷地内の環境濃度ということで調査をさせていただきました。  その結果を一言で申しますと、発生源からつながっております集じん装置の出口と申しましょうか、俗に申します排出口、そこのところではかなり高いレベルのものが出ている。しかしながら敷地内について環境測定をいたしますと、距離に基づきまして濃度が距離減衰をいたしておりまして、二百五十メートル地点でかなり低くなっておりまして、周辺の一般環境には影響がないということを確認をいたしました。  それで、もう一度排出源の状況を確認するということで、五十七年に県が調査を実施をいたしました。その際には、排出源の調査のほかに一般環境を調べてもらうということで、七百五十メートル地点と千五百メートル地点で一般環境の測定をいたしております。その結果、排出源から出ております排出口での濃度が五十五年当時とおおむね同じレベルであるということがわかりました。一般環境の方は非常に低いレベルでございまして、これは先生方御案内のアメリカが定めております限度よりは、はるかに低いということを確認をいたしました。しかしながら排出源の濃度が高いということで、当然バッグフィルターの性能を上げてもらわなければいけないということで、外部に出さないようにしてもらうということでそういう装置をつけてもらったわけでございます。  その成果を見るということで、五十八年に設置をいたしましたので、五十九年、ことしの五月にその結果を報告してもらう、実はそういう手はずになっておりましたところ、率直に申し上げましてこれは内部資料でございますので私どもは外部に公表はいたしておりません。しかしながら府県の方には当然のことながら部内資料ということでお送りをいたします。実はその資料を同じ県の研究所の方がお使いになって試算をされた。その試算によるとかなりたくさん出ているのじゃないかというようなことが研究所の研究報告書に載ったということがございます。そういうことがございまして、私ども処理の仕方にも反省しなければいかぬ点があろうかと思いますが、私どもとしては結果を見ながら必要な措置はしてきたという理解でございましたけれども、もっと早い時期に公表すべきであったのではないか、あるいはもっと早い時期に手を打つべきではなかったかというような御批判も出てきたわけでございまして、それが今回のような形になったということでございます。
  185. 中井洽

    ○中井委員 大体の経過はよくわかるわけでありますが、詳しくお尋ねをいたします。  五十五年に依頼をして調査して、排出源のところでかなり高い濃度のものを検出した。しかし、工場の敷地内については異常はなかった。それでは、排出源について対策をどうとりなさいというようなことを名古屋市なり愛知県なりを通じて環境庁は日本碍子という会社に、命じるわけにはいかぬですけれども、忠告なさった、これは事実ですか。
  186. 林部弘

    ○林部政府委員 そういう形の指導を行うまでにもう一回、五十七年に調査をして確認した上で指導したという形になっておりますので、五十五年の調査結果を見て直ちに指導したということにはなっておりません。
  187. 中井洽

    ○中井委員 それはなぜですか。
  188. 林部弘

    ○林部政府委員 私どもの当時の考え方としては、敷地内で十分に距離減衰が認められるということで、周辺には影響が及んでいない、十分一般環境の濃度に等しいレベルであるから周辺住民には影響がないということで、さらに経過を見たいということで調査を行ったということでございます。
  189. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、当然その敷地内で働いている勤労者の人たちの健康調査、あるいはその時点での影響調査というのをおやりになるかあるいは取り寄せられたか、何らかの対策はとられたわけですか。
  190. 林部弘

    ○林部政府委員 お答えいたします。  工場の敷地内の労働者の健康管理につきましては、御案内のように労働安全衛生法に基づきましていろいろな定めがございますので、そういう職域での健康管理の枠組みの中で十分健康管理が行われているというように私ども理解をいたしているわけでございます。
  191. 中井洽

    ○中井委員 そういうふうに理解をしたもとは何なんですか。それは相手の会社を信用したということですか。あるいは発生源のところでベリリウムがかなり多く検出された、それは依頼をして調査したということもあって、次の年が、もう一回やるまで待ちましょうということになったのか。待つのは結構でありますが、やはり従業員の方の健康について、一番近くにいるわけですから、真っ先に会社が調べるなり名古屋市が調べるのが当然であり、また、それを環境庁が言われるのは人道上からも当たり前だと、今になって僕ら聞いて思うのですが、それがされなかったからには、何か確信があって、よかったということでおやりになったんだという今のお話ですが、それは何がもとになっているわけですか。
  192. 林部弘

    ○林部政府委員 確信があってそういうふうにしたのかというお尋ねでございますが、職域の中の職員の健康管理の問題は、私どもが直接所管している立場にないというようなこともございまして、労働安全衛生法の枠組みの中で健康管理が行われていて、しかもその健康管理が、今まで報告をされておりますデータ等を見ますと、近年はかなりレベルの高い健康管理が行われているというように理解をしていたということでございます。
  193. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、その当時の発生源の濃度というのは、労働基準局で決められております管理濃度を下回る濃度であったということですか。ベリリウムに対しては、たった一つ法的に管理濃度というのがあるのでしょう。それを下回る濃度であったということで何も言わなかったということですか。
  194. 林部弘

    ○林部政府委員 当時必ずしもそういう認識がはっきりあったかどうかはわかりませんが、職域での定めによりますと、作業環境での望ましい濃度としては、現在職域ではいわゆる濃度規制はされておらないわけでございますけれども産業衛生学会その他の許容濃度についての一つのガイドラインみたいなものがございます。それによると、二マイクログラム・パー・立米というようなことが定められているわけでございますから、その二マイクログラム・パー・立米と発生源からつながっております排出口の濃度と比べれば、当然高いではないかということにはなるわけでございますが、御承知かと思いますが、私も現場は見ていないのでございますけれども、五十五年当時の調査資料を見ますと、集じん装置の排出口というのはかなり位置が高いようでございます。七メートルか八メートルぐらいあるんじゃないかと思いますが、そこから出る濃度をはかっているわけでございますので、当時の認識としては敷地内で十分な距離減衰が起こってきているというデータが示されておりますので、そういうことも考え、当然、どのぐらいのものが敷地内に出ているかということは職域内で把握した上で健康管理もしておられるんではないかというようなことで、そこまで確認はしていないかとは思いますけれども、当時の環境庁の理解するところではそういうような考え方で、先ほど申しましたけれども、職域については職域の定めによってきちんとやっているであろう、周辺の住民に影響が及んでいないということでああいう形の措置をとったというふうに現在の時点では考えております。
  195. 中井洽

    ○中井委員 今のお話もそれからこの間の議論も、聞かしていただいておりますと、何か昭和四十四、五年の四日市の大気汚染のときの議論を聞いているみたいなものでございまして、煙突を高うして薄めたらいいとか、何かそんな感じがします。今現在、本当に地域住民に何も影響なしに、従業員の人も別に健康を損ねていないということであるなら、それはそれで結構なことでございますが、何かお考えが少し違いやしないかなという気が払いたします。  環境庁が、ベリリウムを使っているところはめったにないから、お願いして、はからしてくれと言って、行ったらたまたま高かった、だから少し気をつけられた方がいいですよ、また二年後ぐらいにもう一遍はかりましょうかと言って帰って、二年後ぐらいにはかったら今度はもう直っておったから、それでしまいにした。それはわからぬことはないですけれども環境庁の姿勢としてどうなのかという疑問を持つわけであります。その点もう一度答えてください。
  196. 林部弘

    ○林部政府委員 先ほどの私の御説明の中で若干不十分な点がございましたのでつけ加えさせていただきますと、五十五年の調査で、いわゆる集じん装置の部分、つまり発生源のところではかった数値といたしましては二百四十から五百二十ぐらいのレベルであった。しかし、工場敷地内での測定をいたしますと、一番薄まっているところが〇・〇〇四から〇・〇三レベル、その他のところが〇・〇一から〇・三でございまして、いずれも単位がマイクログラム・パー・立米でございますから、この数値を見ますと、先ほど私が申し上げました希釈、拡散された形になると二マイクログラム以下になっているという数字がございます。そういうようなことでございますので、職域での健康管理が十分行われていれば、このレベルであれば大丈夫であるというふうに考えたということでございます。
  197. 中井洽

    ○中井委員 何人かのベリリウムによる患者さんが従業員の中から出ていることも事実でありましょう。たびたび繰り返すようですが、今何も問題ない、結果がわかればそれはそれで結構でありますが、その過程の中で少し環境庁の対応は疑惑を招いた、このことをやはり反省していただかなきゃならないと思います。  もう一つお尋ねしたいことは、五十一年にベリリウムの測定の法則というのですか、装置というものをつくり上げた。それで、五十五年にこれをお願いをして測定したということでありますが、五十一年にそういう方法をつくり上げながら、五十一年から五十五年の間実質的に測定はされなかったというのはどういうことか。これはどうです。
  198. 林部弘

    ○林部政府委員 特別、当時理由があったということではないようでございます。
  199. 中井洽

    ○中井委員 当時、環境問題は、いろいろ次から次へと有害だと思われるような物質がマスコミなんかでもどんどん発表される、あるいはいろいろな学会でも、これは危ないとかこれはどうだとか、科学的な知見が十分積み上がってなくても発表されて、随分いろいろな不安を来したものでございます。環境庁もおいおいと整備を進めながら、いろいろな物質に対して研究体制あるいは科学的知見を積み上げる体制をとりつつあった時期ではないか、このように思うのです。その中で、ベリリウムという物質は有毒ではないか、こういうことについてはアメリカからの資料に基づいてお知りになって、それについておいおいと体制をおとりになった、このように考えるわけですが、それが五十一年当時だと理解していいわけですか。
  200. 林部弘

    ○林部政府委員 ベリリウムの有害性についてはもっと前からわかっていたと思います。これは私の記憶なのでございますが、環境庁発足前の厚生省公害部時代かと思いますが、一般大気の測定をやっている国設の測定局がございます。これは少しずつふえてきているわけでございますけれども、国設の測定局が、初め東京、大阪、尼崎の三カ所から始まったと思うのですが、それが設置されました初めの三、四年ぐらいベリリウムをはかっているのです。ところが三、四年でやめてしまっているのですね。  なぜやめたのかというのは、当時のことをよく知っている人間が今余りおりません。私も昔は公害部にいたこともあるのですが、どうも当時のやめた理由というのは、つまり、ベリリウムはアメリカで非常に有名になった事件ものでございますから、当然関心はあって、一般環境で、しかも割合に工場があるようなところで一般環境をはかっておく必要はないかということではかったのだと思うのですが、非常にレベルが低くて、とても評価できるような状況でなかったというようなこともあってやめた。ただ、そのほかのものに非常に追われまして、五十一年に測定法を考えもしたのだけれども、実際に一番問題のありそうなところに着手したのは五十五年であった、こういうことでございます。
  201. 中井洽

    ○中井委員 こういう尋ね方は大変失礼なことで、御不快に思われるかもしれませんが、五十一年に測定の方法をきちっと確立をされて、日本で圧倒的にたくさん使っているのはこの日本碍子しかないわけですから、僕らから見ればこの日本碍子にすぐはかりに行けばいいわけです。それを五十五年まで行かなかったというのは、この間待っておった、あるいは猶予したとか、そういうことではないでしょうね。
  202. 林部弘

    ○林部政府委員 そのようなことは全くございません。先生環境庁公害行政の歴史を御存じかと思いますが、五十年代の初めごろには、そのほかの問題で私ども非常に追われておりまして、そこまで手が回らなかったということも一方ではあろうかと思います。
  203. 中井洽

    ○中井委員 先ほど林野庁の方にも申し上げたわけですけれども、これからもまた、私どもの思いもかけないような有害な物質もどんどん出てこようかと思います。そのときに、何といいましても環境庁の研究体制あるいは科学的知見の積み重ね、これを信用していく以外にないわけであります。法的問題あるいは相手の感情、いろいろとありましょうけれども、とにかく環境庁が毅然たる態度で、出たものは出たものとして率直に公表していく、そして対応策を早く見つけていく、こういう姿勢を常にとり続けていただくように強く要望を申し上げておきます。  最後に、過般、新聞やテレビで、土壌汚染について政府が研究会みたいなものをつくって概念あるいは対策等に取り組む、こういったことが報ぜられたわけでございます。市街地土壌汚染問題検討会、この検討会をお始めになった根本的な理由あるいはどういったことを検討課題とされるのか、あるいは大体いつごろに答申等をいただくような状況でスタートなさったのか、そういったことについてお聞かせをいただきます。
  204. 佐竹五六

    佐竹政府委員 土壌につきましては、公害対策基本法九条に基づきまして、まず環境基準を定める旨規定があるわけでございます。環境庁も発足以来、土壌汚染問題に取り組んでまいったわけでございますけれども、市街地土壌汚染につきましては、土壌の汚染度合いと人間の健康に関する因果関係が極めて不明確でございまして、学問的にも非常におくれている部面でございます。そのようなところから、まことに遺憾ながら、今日までその土壌の環境基準が策定されないままできたわけでございます。  しかるに最近、主として大都会を中心でございますが、工場跡地あるいは試験場跡地等の土地利用転換がかなり大きく行われるようになりました。工場を公共団体等が買収して、そこに住宅団地あるいは学校等を建てる、あるいはまた逆に、国または地方公共団体の試験場等の跡地を民間に払い下げ、そこで住宅団地等をつくる、こういう土地利用転換がかなり進んでまいりました。そうなりますと、かつて有害物質を使われ、それが埋め立てられているような、いわゆる汚染された土壌について利用が転換されていることになるわけでございまして、卑近な例で申し上げますと、小平の家畜衛生試験場跡地の高校への転用、あるいは最近問題になっております通産省の試験所跡地のごみ焼却場への転用、このような際に周辺住民の方々に大変な不安を巻き起こし、そのような利用転換に対する反対の運動等も行われているわけでございます。  当委員会でも、これらにつきましてはしばしば御指摘もいただいたわけでございまして、私どもといたしましても、いやしくも国ないし地方公共団体が関与するこれらの土地利用転換に際して、周辺の住民の方々が不安や懸念を持ったままで転換が行われることは好ましくない、かようなところから、これらの汚染された土壌について、どの程度になれば一応安心できるか、それからまた、そのためにはどのような処理をすればいいか、これらについての一応基準を定めようではないか、こういうことになったわけでございます。  この点、大臣からも当委員会の御議論を踏まえまして強い御指示がございまして、学者の先生方、御専門の方々も非常に少ないわけでございますが、お集まりいただきまして、今申し上げましたような点について検討していただこう、かようなことになったわけでございまして、幸い環境庁といたしましては、五十二年度から五十六年度まで、市街地の土壌について重金属等の動きの基礎的な調査もやってまいっておりましたので、それらの成果も活用して判定基準それから処理基準のようなものをつくってまいりたい、かように考えておりまして、できるだけ本年度中に一応それらの基準について報告をいただきたいということで、先生方にお願い申し上げているところでございます。
  205. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、土壌汚染の問題の諮問機関みたいな会であるけれども、とりあえずは、国あるいは地方公共団体の使っておった土地で、汚染がわかっておって、しかも汚染物質がわかっておる土地の転用に際して、どういう基準までいけば安心が、あるいはどうすればいいかというようなことを学問的にお考えをいただく会だ、まだ一般の土壌だとかあるいは市街地でない地域だとか、そういったところやら、あるいは他の物質だとかいうようなところまでは手を広げるところにはいかない、こういうふうに理解してよろしいですか。
  206. 佐竹五六

    佐竹政府委員 将来の課題といたしましては、当然先生が今御指摘になったようなところに進めてまいらなければならないと思いますが、当面は、先ほど申し上げましたように、国または地方公共団体が利用転換をするに際しての処理基準という形で国の関係機関あるいは地方公共団体にお示ししたいと思っておるわけでございますが、もちろん大規模な利用転換は民間のデベロッパー等もやっておられるわけでございますので、私ども強制はできませんけれども、これらも国あるいは地方公共団体基準に準じた処理をすることを期待してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  207. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  208. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会