○岩垂
委員 国会が終わろうとしている
事態の中で、
環境庁が大きな目玉にした最大のものが今国会での成立は困難である、
提出さえ危ぶまれているという状態なんですね。私は、
環境庁自身のかなえの軽重を問われているように思うのです。私は、
政府の出してくることを予想してアセスについてはいろいろな意見を持っています。持っていますが、これは中曽根内閣の
環境行政に対するある種のバロメーターということで私は
質問も申し上げてきたつもりであります。
そういう
事態の中で今日を迎えていることを大変残念に思います。困難だということをあなた自身が初めて発言なさったわけですから、一層のあなたの御
努力を期待したいものだというふうに思います。
私は、実はきょうは沖縄の新しい石垣空港の問題に絞って、この一点に絞って
質問をさせていただきたいというふうに思います。
実は、私は別に沖縄が選挙区であるわけではないのですが、大変個人的なことを申し上げて恐縮ですけれ
ども、総評の政治部におりまして、一九五五年ごろから沖縄の運動にかかわってきました。本土では一番最初に運動にかかわった一人でございます。沖縄県民の祖国復帰への切なる願いをどうやって本土の人々に広げるか、そして連帯のきずなを確かなものにするか、及ばずながら微力を尽くしてきたつもりでございます。
沖縄県民と本土の心ある人々の、文字どおり血と汗の闘いの中から祖国の復帰が実現したわけでございます。復帰から十年たっています。沖縄の米軍基地は一体どれだけ縮小したのでしょうか。あるいは沖縄の豊かさというのは、復帰運動に心血を注いだ人々の期待にこたえ得ているでしょうか。残念ながら、いずれも期待外れに終わっているというふうに言わざるを得ません。特にこの問題は、沖縄では離島の
人たちのことをしまちゃびと言いますけれ
ども、その人々のプライドといいましょうか、気持ちを満足させるものになっていないことは言うまでもありません。
私は、実は海洋博のときに、その
計画が発表になって
工事が始まる前に
現地を見ました。それから、最近また
現地を視察をする機会を得ました。その後の本部の
状況というものを
考えてみて、率直に言って私は心が痛くなりました。確かに道路は立派になりました。しかし、あの累々たるサンゴの死骸やあるいは自然破壊、道路がよくなって確かに便利になったという一面はあるものの、その反面で、そう言っては申しわけないけれ
ども、重大な問題を提起しているように思うのです。
それは、過去、現在、未来というものを結ぶ沖縄の、あるいは我々人間の歴史の中で、ある種の政治的犯罪を犯したのじゃないかと思われるほどの自然破壊あるいはサンゴの状態というものがあるわけであります。今、実はそういう状態のもとで八重山の
人たち、特に石垣の人々が、
自然環境よりもあるいはサンゴ礁よりも、当面地元にお金が落ちる開発
行政というものに飛びつく心境をもって、新しい石垣空港の
建設という問題にかかわろうとしています。
実は私は、環境
委員会の前身の
公害対策特別
委員会のころから、例えばむつ小川原の問題あるいは新潟東の問題あるいは苫小牧の問題、いろいろな本土における開発の問題について問題提起もしたし、現実にその経過も検証してきましたけれ
ども、率直に言って開発の利益というのは中央に吸い取られてしまって、地元には人々の心の荒廃だけが残ったと言われても仕方がないような
事態というものが本土にあるわけです。私は、この本土の過ちというものを沖縄の人々に、あるいは八重山の
人たちに押しつけることは、文字どおり政治的な犯罪の再犯につながりかねない、こんなふうに思っています。
観光客の利用あるいは物資の輸送、この両面で石垣の市長さんを初め人々が新空港の
建設を推進されております。県もその方針に基づいてこの
計画を推進しようとしています。私のような本土の人間、やまとんちゅうと言われましたけれ
ども、本土の人間が沖縄の
人たちの、とりわけ離島の人々の心を理解することができるなどと言ったらおこがましい言葉だと思いますけれ
ども、また同時に、そんなことを言う勇気もありませんけれ
ども、しかし私は、本土における開発の現実というものを実際に見て、その過ちを二度と繰り返させてはいけないということについて私
どもが発言することは権利があるだろうというふうに思うのです。
私は、歴史や文化や伝統というものを抹殺する、そんな権利というものはお互いに持っていないと思うのです。そういう意味で、何とかこの新石垣空港の
建設というものを
考え直していただく、このことをお願いしたい気持ちでいっぱいなのです。あそこに残っているサンゴ礁の評価について、さまざまにあることも知っています。しかし、多くの専門家が、やはり東洋で残された唯一のと言ってもいいほどの貴重な、そしてスケールメリットを含めたサンゴ礁であるということを
指摘している
人たちがたくさんいるわけです。それを全部埋め立てちゃって、しかも石垣の山を、つまり石垣の人々にとってみれば信仰とも言えるような対象になっている山を切り崩して埋め立てて、そして二千五百メートルの滑走路をつくっていくというようなことをどこかでとめなければ、私は、開発優先、いっときでもお金が落ちればそれが県民の幸せだというふうに
考える
考え方というものは、私たちの歩いてきた道であることを少なくても発言し続けないと、えらいことになってしまうなという気持ちでいっぱいなのです。ですから、その
立場を踏まえて一点に絞って御
質問申し上げますので、ぜひ誠意のある御
答弁をいただきたいものだというふうに思います。
最初に、八二年の三月に運輸省が新空港の
設置を
許可されましたけれ
ども、
許可された経過と理由を明らかにしていただきたいと思います。