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1984-06-26 第101回国会 衆議院 環境委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年六月二十六日(火曜日)     午前十時十二分開議 出席委員   委員長 竹内 黎一君    理事 國場 幸昌君 理事 戸塚 進也君    理事 畑 英次郎君 理事 福島 譲二君    理事 岩垂寿喜男君 理事 中村  茂君    理事 春田 重昭君 理事 中井  洽君       榎本 和平君    金子原二郎君       網岡  雄君    上坂  昇君       山本 政弘君    斉藤  節君       薮仲 義彦君    近藤  豊君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         環境庁大気保全         局長      林部  弘君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君  委員外出席者         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         厚生省環境衛生         局水道環境部産         業廃棄物対策室         長       田島 邦宏君         通商産業省基礎         産業局化学製品         課長      蕨岡 達慈君         労働省労働基準         局安全衛生部労         働衛生課長   福渡  靖君         建設省道路局道         路防災対策室長 和田  惇君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 六月二十五日  辞任         補欠選任   金子 みつ君     串原 義直君 同日 辞任          補欠選任   串原 義直君     金子 みつ君 同月二十六日 辞任          補欠選任   山本 政弘君     網岡  雄君 同日  辞任         補欠選任   網岡  雄君     山本 政弘君     ————————————— 六月十五日  新宿御苑内子供プール再開に関する請願(藤原  哲太郎君紹介)(第六五五八号)同月十九日  新宿御苑内子供プール再開に関する請願(大塚  雄司君紹介)(第六八〇六号)  同(松本善明紹介)(第六八〇七号)  同(与謝野馨紹介)(第六八〇八号) 同月二十五日  新宿御苑内子供プール再開に関する請願(大久  保直彦紹介)(第六八五九号)は本委員会に  付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関  する件      ————◇—————
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  公害防止並びに自然環境保護及び整備に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。網岡雄君。
  3. 網岡雄

    網岡委員 お許しをいただきまして、今愛知県で問題になっていますベリリウム問題と産業廃棄物の問題につきまして若干の御質問を申し上げたいと思いますので、当局側におきましては、率直簡明な御答弁をいただきたいというふうに思うわけでございます。  まず最初に、ベリリウム問題についてでございますが、これは私の地元でございます愛知県で、日本碍子という会社がございますが、その会社で、今はやり先端技術産業に利用されるベリリウムと銅の合金を、ほとんどこれは全国の九〇%近くを生産をしているという唯一のメーカーでございますが、この工場が、経緯を若干申し上げますと、四十二年から半田市にあります同社の知多工場ベリリウム、銅の合金を生産し始めた、そして昭和三十三年から昭和五十年まで、これは本社工場とも言われています名古屋工場で、原石であります緑柱石からベリリウムを抽出いたしまして、そして二つ工程があるわけでございますが、一つは、先ほど申しましたベリリウムと銅の合金をつくり、もう一方では、ベリリウムに対して特殊な工程をいたしまして、今はやりのセラミックの前身とも言われるベリリア磁器をつくっていた時代があったわけでございます。それがベリリウム問題に関連をいたしまして、日本碍子会社ベリリウム合金をつくっている経緯でございますが、問題は、これが六月の初めになりまして、次の三つの点で大きな問題を起こしてまいりました。  一つは、昭和五十五年の十一月に、環境庁愛知県に対して調査を委託されまして、知多工場におきますベリリウム排出量調査、同時に、昭和五十七年九月におきます県独自による当工場ベリリウム排出量調査及び工場周辺調査で、大気中にベリリウムが相当量放出されているということが判明をいたしました。二つ目には、同会社名古屋工場での土壌河川の一部に今でも自然界より高いベリリウムが検出されているということが二つ目問題点でございます。それから、三つ目問題点は、名古屋工場で操業していた際に、先ほど申しましたベリリウム系特殊材料、一名これはベリリア磁器と言われているそうでございますが、それをつくる過程における一工程において作業をしておりました従業員から労災認定患者が数名出た。こういう三つ問題点関係住民にもわかってまいりまして、いわゆるベリリウム問題というものが発生をいたしたわけでございます。  由来、六月の初めから環境庁愛知県、名古屋市及び知多市において、大気排出土壌底質それぞれ調査工場周辺関係河川とか土地において行われているわけでございます。そして、今日に至っておるわけでございます。  そこで、まず第一にお尋ねをいたしたい点は、今日まで、ベリリウム問題が発生をいたしまして以来、愛知県、名古屋市で、先ほど言いましたように、大気排出土壌底質のそれぞれの調査が行われておるわけでございますが、この調査の結果についてわかったものも、進行中のものも、これからのものもございますけれども、一応現在の時点調査の結果がわかっているもの、これは大気排出それぞれに分けて要点をまとめて御報告をいただきたい、お聞かせいただきたいということをまずもって第一に御質問します。
  4. 林部弘

    林部政府委員 もう先生よく御存じと思いますが、昭和五十五年に私ども愛知県の方に調査の依頼をいたしまして、流れを申しますと、五十五年の時点ではアーク炉と申しますか溶解炉と申しますかを中心といたしました主要な発生源についての排出実態調査、それから工場敷地内において数ポイントの環境大気測定を行ったということが始まりでございます。昭和五十七年にその調査の結果を受けまして、愛知県単独発生源調査とそれから周辺環境調査、七百五十メートル地点と千五百メートル地点について調査をしていただいております。  その調査に基づきまして、五十八年に排出実態を改善するために、高性能のバッグフィルター設置等指導が行われておりまして、本年五月に、これも県単独でございますけれども周辺環境、七百五十メートル地点それから千五百メートル地点並びに工場からの排出総量についての試算した数値を表に出しているわけでございます。  数字はいろいろ交錯いたしますので、直近の五十九年の数字について申しますと、もう御案内のことかと思いますが、工場からの排出量につきましては、主要な排出源から出ているものは約〇・四七グラムパーデーということで、一日当たり〇・五グラム以下であるということでございます。それから、当然のことながら敷地の外の一般環境と申しましょうか、周辺環境調査につきましては、五十七年にも調査を行っております七百五十メートル地点では、数字が少し長うございますが、〇・〇〇〇〇六マイクログラムパー立米、それから千五百メートル地点、これも五十七年度にはかっておりますが、そこも今回五十九年にも測定いたしておりまして、こちらも〇・〇〇〇〇一二マイクログラムパー立米、現在わかっております測定実態というのはこういうことになっております。  いずれもこれは愛知県が測定をいたしました数値を私どもがいただいたものでございます。
  5. 網岡雄

    網岡委員 質問関係がありますから、今大気だけ御報告がございましたが、数字の羅列でございますので、簡単で結構ですから、排水底質関係も、これは県も名古屋市も調査は完了しているというふうに新聞でも伝えておりますが、その辺のところの数字も明らかにしてください。
  6. 佐竹五六

    佐竹政府委員 お答えいたします。  日本碍子知多工場排水につきまして五十九年六月愛知県が調査いたしましたところ、ベリリウムが〇・五ppb以下含まれている、それから排水口水質については、五十一年、これは茨城大学の浅見教授調査されておられまして、日本碍子知多工場北東側ベリリウム一・一一ppb、同じく南側の排水口ベリリウム二二九ppb検出されておるわけでございます。  土壌につきましては、五十九年六月に名古屋市が名古屋工場周辺調査をいたしましたところ、最高一八・五ppm、最低〇・八三ppm、平均二・〇七ppmという結果が出ております。
  7. 網岡雄

    網岡委員 これは私、新聞で見たものを言いながら若干質問をしていきたいというふうに思います。  まず最初に、環境庁お尋ねをいたしますけれども一つは、環境庁が県に委託をされて調査をされた昭和五十五年十一月時点でのこの発生源調査によりますと、五十五年では総量百五十三グラムパーデー、こういうことで、アメリカ基準によりますと、御案内のようにベリリウム日本では基準がございませんので、後でお聞きをいたしますけれども、私ども承知をしているところによりますとアメリカ基準というのがただ一つの物差したというふうに聞いておるわけでございますが、それによりますと総量グラムパーデー日量グラムということになっているわけでございますが、それに換算をいたしますと、当時五十五年では十五倍という量のベリリウムが出ていた、これを見た環境庁が再度県に行政指示をされたと思うのでございますが、このときの環境庁が県に対して指示をされたものは具体的に一体何であったかということを明らかにしていただきたいと思います。
  8. 林部弘

    林部政府委員 五十五年に調査をいたしました結果、先ほども申しましたように発生源調査とそれから工場敷地内の環境調査をしたわけでございます。それで、今先生から換算すれば百五十グラムぐらい出ているんじゃないかという数字がございましたが、その時点で私どもそういう数字は出していないのですが、発生源レベルがかなり高い、しかしながら、あそこは敷地が非常に広うございますので、敷地内の数ポイントでどういう形で濃度距離減衰しているかということを見ております。その結果では、工場敷地内の一番汚染が濃く起こっていると思われるところから二百五十メートルぐらい離れたところでかなり低いレベルのものになっているということがわかりましたので、周辺に対する影響はまずないであろう、しかしながら、発生源でのレベルが高いということで、それを受けて再度調査をしてもらうということで五十七年に追跡調査をしてもらうという指示指示と申しますか相談いたしましてそういうことを県の方にお願いしておる。つまり、五十七年の追跡調査をお願いした、こういうことになっています。
  9. 網岡雄

    網岡委員 今の御答弁ですが、私は率直に言いまして、今の御答弁を聞いていまして、今の日本公害行政実態の一端をかいま見た感じがいたしますけれども、これは私が愛知県の環境部からもらった資料なんです。  その資料で、五十五年十一月十日から十二日まで調査をした結果、排出総量百五十三グラムパーデー、そして五十七年九月八日から九日の二日間で調査をした結果、日量二百四十五グラム、これはあなたが指導監督をされている愛知県の環境部が発表している公式の文書ですよ。そういうものが出ているにもかかわらず、さっきあなたが答弁なさったのは一つ数字を言われないじゃないですか。私の言っていることはうそじゃないのです。百五十三グラムあるということは明確なんです。それをあなたはこの公式の場に立ちながら数字を明らかにしない。これは会社も認めているのですよ。こういうあなたのような姿勢をとることが、後でも私言いたいのですけれども会社側にもいろいろな迷惑がかかり、同時に住民にも不安を与える、こういう結果になるのでございまして、出てきた資料については、調査の結果、測量の結果というものは正確に物を言っていく、こういうことでなければ、公害行政というものは、その基本信頼度でしょう。今のような姿勢で一体住民が信頼することができるのですか。私はそういう姿勢に問題があると思うのです。もう一度答えてください。
  10. 林部弘

    林部政府委員 意識的に数字を申し上げなかったということではなくて、先生お手元に数字をお持ちのようだったので、私ども工場からの総排出量百五十三グラムという数字ではなくて、排出源における濃度として二百四十一ないし五百二十二マイクログラムパー立米というような数字原子吸光でつかまれているとか、その他のところでも〇・七から五十三マイクログラムパー立米というような発生源についての数字がつかまれているわけでございます。  それから、工場敷地内の距離減衰の問題にいたしましては、先ほど申しましたように二百五十メートル地点のところで〇・〇〇四から〇・〇三〇マイクログラムパー立米というような数字が出てきているわけでございまして、発生源に近いところと工場敷地内の濃度距離減衰というものが十分にあるということで周辺にはさらに薄い濃度になっているだろうというふうに推定をした、こういうことでございます。
  11. 網岡雄

    網岡委員 そこで、次の質問に移りたいと思いますが、県に指示なさったのは何をなさったのですか。五十五年の十一月に調査をした結果があなたの方に届いているわけですが、それに基づいて環境庁は県に対して指示をなさっていると思うのでございますが、その指示は具体的に何でございましょうか。
  12. 林部弘

    林部政府委員 先ほども申しましたように、追跡調査と私は申しましたが、当然のことながら発生源からかなり高い濃度で出ていたわけでございますから、発生源について調査をしてもらう。それから、敷地内はすでに調べておりましたから、周辺影響が及んでいるかどうかということで周辺環境調査をしていただいたわけでございます。
  13. 網岡雄

    網岡委員 その点について私は重ねて環境庁に御質問いたしたいのでございますが、今大気調査だけじゃなしに排水も汚泥も土壌も全部調査をなさっておりますね。このときには、五十五年の段階水面下で、姿勢としては問題がある、こういうことで進められたわけですから、その点については私は一定評価をしたいと思います。  でありますが、水面下状況のときに、今やられているような水質調査なり土壌調査なり、そういうものを県に指示なさって、そして、そのところで調査をした結果のデータに基づいて、例えば今行われているような公衆衛生のエキスパートとかいろいろな人たちを集めて専門家会議の中で一定の討議をして検討を加えて、そして、このものはいけないけれども、このものはいいということで整理がされているならば、今日のような問題が発生しなかったと思うのでございます。このやり方を見ますと、表に出てきたものだけはすぐ調査をせよということで、その項目についての調査はしますけれども、後にある幾つかの問題、これはそこで一つの問題が起きてこなければ少しも調査は進んでいかない。つまり、日本公害行政というものは表面化したことだけをやっていくという後追い行政になっているという感じを私は持たれてしょうがないのでございます。  なぜ環境庁が、これだけのものが出たときに、水面下状態であったわけでございますから、県にも指示をして水質排水についても調査をせよ、そして専門家による検討をして、いいものと悪いものとの整理をするようにというところまでの指示をその時点でされなかったかということを思うわけでございますが、この点についての環境庁反省と当時の判断はどういうものであったかということをお聞かせください。
  14. 林部弘

    林部政府委員 先生のただいまの御指摘の点、私の承りました限りでは、水質なり土壌なりを調べていないという御指摘かと思いますが、もうこれは御案内のようにベリリウム影響の中で、周辺に対して及ぼす影響、あみいは内部の問題も同じでございますけれども、一番問題になるのはフュームなり微粉じんが吸入されて、しかも、それがかなり低レベルであっても慢性ベリリウム肺を起こしてくることが一番懸念される問題かと思います。この日本碍子工場におきましても、昭和二十三年からずっと健康管理が行われているようでございまして、そのことについての詳しいデータも私ども拝見をいたしておりますし、御担当になった専門家からも伺っておりますが、やはり吸入されて肺に入ってくるものが問題である。  それで、それはそうかもしらぬけれども、もっとトータルでやるべきだったのではないか、その点については御指摘のとおりかと思いますが、当時の私ども判断としては、境界、限界のあたりが大体二百五十メートルで相当距離減衰しているということもございましたので、そういったフュームなり微粉じんがストレートに工場から周辺に及んでいっていないかということを調べて、それで慢性ベリリウム肺を起こす危険性がなければ、それでその時点においてよいのではないかという判断をいたしたということでございます。土壌とか水というのは当然操業の過程で流れていったものとか、あるいは空中から次第に距離減衰をしていってそこの土壌に落ちてそこにたまるということでございますけれども、当時の判断としては、慢性ベリリウム肺というものが周辺に起こらないという濃度であればそれで足りるのではないか。  もう一つは、先ほど指摘がございましたけれども、これはあくまで県と協力をして地元の問題があると思われる事業場協力を求めて立ち入って調べるわけでございますから、そういう事情もございまして、周辺に重大な影響を及ぼすということであれば、もう表ざたにしてもアクションを起こしたと思うのですが、そういう状況ではないというふうに当時判断をした、そのことについては御批判はあろうかと思いますが、当時の私どもの考え方はそういうことが基本にあったということでございます。
  15. 網岡雄

    網岡委員 私は、先ほど言いましたように水面下状況にあったわけでございますから、したがって、今調査をされているような各項目についての調査をした結果で、そして最終的にこうだという判断を持つならば、今回のような問題が起きたときには、こうこうかくかくしかじかだということで明確に答えが出されたわけでございますが、六月初めにおける問題発生に対しては、これは県も名古屋市も環境庁も慌てふためいたといいますか、その問題に振り回された格好になっている。それはやはり基礎的な調査がされずに整理がされていないために、したがって、そういう格好になったと思うのでございます。私は、これからの公害行政を進めていく上において、五十五年の時点のときにそういうことをやられていけば問題がなかったのじゃないか、今後の公害行政の取り組みの一つとしてそういうことを反省をしていってもらいたいということを思うわけでございます。  次の質問に移りたいと思うのでございますが、そこで私、率直に今ベリリウム問題を見ておりますと、殊さらに不安というものが先行しているような、ある面でいくとそういう感じを受けてならない点もございます。そこで、今日までに調査をした結果の中で、環境庁においてはっきりしているものについてはどうだという点でひとつ明らかにしていただきたいと思うのでございますが、その意味で私、質問をさせていただきたいと思います。  今日までの調査段階でいきますと、先ほども少しありましたけれども、例えば排水の点でいきますと、排水口のところで、半田工場では〇・五マイクログラムパー・リッターということでございまして、これはアメリカにあります指導基準だそうでございますが、飲料水指導基準によりますと百マイクログラムパー・リッターということだそうでございますから、これはアメリカ飲料水指導基準を完全にクリアしておることになるわけでございます。これは問題がない、こういうことが言えると思うのでございます。  次に、半田工場底質調査を見ますと、排水口付近では十五マイクログラムパーグラムということになりまして、換算をいたしますと一五ppmということになるそうでございますが、自然界は六ppmということだそうでございます。したがって、底質部分でいきますと、自然界状態から見るとこれはオーバーしているということになるわけでございます。  それから、名古屋工場土壌関係でいきますと、工場付近での土壌ベリリウムのあれは一四・四、そして硝酸分解法によりますと一八・五。前は硫酸分解法だそうでございます。それから、工場敷地の右岸では四・五、それから硝酸分解法で五・九二。前の四・五ppmは硫酸分解法でいった場合でございます。いずれもこれは非汚染地区ベリリウム濃度一・三二を十倍近くから物によると三倍ぐらいオーバーしているということになるようでございます。  それから、新堀川と堀川の地点を八点名古屋市が調査をやったようでございますが、七点は非汚染地区濃度と大体変わりがないということのようでございます。したがって、これは問題がない。あと一つ港新橋という橋がございますが、そこで硫酸分解法によって一二・五、それから硝酸分解法によりますと一六・一ということで、非汚染地区濃度からいきますと十倍ぐらいの濃度になる、こういうことが名古屋市の調査の結果として発表になっているところでございます。  大気の問題につきましては、先ほど御説明ございましたように完全にこれはクリアしている。そうなりますと、問題は特に土壌底質部分において自然界よりも若干オーバーしている、こういうことが調査の結果で出てくるわけでございますが、この点につきまして、その二十一日の愛知県におきます専門家会議において、私、新聞承知をいたしているところでございますが、この判断の根拠になりましたものはWHO評価をされている文献を基礎にし、かつ公衆衛生関係専門家の立場から検討を加えた結果、次のように判断をされるということで専門家会議で結論が出されたと聞いております。  まず一つは、大気関係におきますと、先ほど言いましたように〇・〇一ですから問題ないわけですが、肺や気管支障害の心配される状況というものは、〇・一ないし〇・〇一マイクログラムパー立方メーター、こういうことが長く続いておるような状況のときには肺や気管支障害が起きる心配がある。ですが、さっきも御確認をいただきましたようになっている、いいということになるわけですが、問題は経口毒性がどうなるか、こういうことが最後の残った点になるわけでございますけれども、この点については専門家会議の中では、不溶性のベリリウムについては、これは水に溶けないわけでございますから、それぞれそのまま自然排せつをされていくということであるから無害である、こういうことがWHOでも確認をされておると言われておるわけでございます。それから、水溶性の場合にどうなるかということでございますが、その場合はラットの実験によっても吸収率が〇・二%である。したがって、河川水土壌汚染によるベリリウムを含んだ植物や魚介類を摂取したとしても人体内ではほとんど吸収されない、こういうことになっているんだということで、さっき言いましたような土壌及びそのヘドロの中に自然界あるいは非汚染地区をオーバーしておるベリリウムが仮に含まれておるといたしましても、この二つWHO評価などから見て問題はないのではないか、こういうことが愛知専門家会議の中で確認をされたやに聞くわけでございますが、この専門家会議におきます二つ評価というものは、今日時点におきます環境庁としての判断というものは一体どんなものであるかということをこの際明らかにしていただきたいと思うのでございます。
  16. 佐竹五六

    佐竹政府委員 ただいま先生、現在の水及び土壌中の、底質中のベリリウムにつきまして詳細な知見の御発表がございましたので詳細は省略いたしますが、ベリリウムは一般に環境中では酸化ベリリウムとして存在しますが、水に非常に溶けにくい。そのようなところから経口摂取等も吸収されにくく非常に速やかに排せつされ、蓄積率が小さい、こういうことでWHOも飲用水のガイドラインとして特に決めていない、かように承知しているわけでございます。その他水溶性の硫酸ベリリウムあるいは塩化ベリリウム等につきましては、非常に毒性が低いということもございまして、私どももただいま先生に御紹介いただきましたのとほぼ同じような知見を持っております。なお今後ともさらに検討は進めてまいるにいたしましても、現在のところは大体そういう御紹介いただきましたようなことではないかと判断している次第でございます。
  17. 網岡雄

    網岡委員 そこで、まだ調査が実は続いておるわけでございます。一つは、半田市が県と相談の上で工場から半径千五百メーターぐらいの範囲内の関係住民についての健康調査を実施する、それは二十九日、三十日、七月一日の三日間で実施をする、こういうふうに言われておりまして、現在その手続がとられている最中だというふうに聞いておるわけでございますが、この点についての調査の結果がどう出るかということが私一つ問題点だと思います。  それからもう一つは、名古屋市がきょう環境調査委員会を開きます。それから、六月二十九日の日に健康調査委員会というのを開かれて、二つ委員会で次の三つのような点を検討されるやに聞いておるわけでございます。それは一つは、工場周辺土壌河川底質に残留が予想されるベリリウムの人体影響の有無、二つ目工場周辺一キロ以内に住む公害認定患者約七十名ぐらいの人のベリリウムとの因果関係についての有無、それから三つ目は、工場内に埋め立てられたベリリウム抽出残土の安全性について、こういう三つの点について検討を加えて、そして一定専門家会議としての結論を出すということになっているわけでございますが、今日の時点でいきますと、半田における健康調査の結果、それから名古屋市におきます二つ委員会のこの検討というものを見なければいかぬわけでございますが、それらを十分検討された上で、今まで判明してきている幾つかの事実がございますが、それらもあわせて環境庁においてはこれは適切な処置をしていただきたいということをお願いを申し上げておく次第でございます。  最後に、一つだけ御質問申し上げたいと思うのでございますが、これは冒頭申し上げましたように、ベリリウム基準が実は今日本にはないわけでございます。アメリカには基準があるわけですが、アメリカ以外の国で基準がもしあるとするならばどんなものがあるのか、この際その点についてもひとつお答えをいただきたいと思うのでございます。どうでしょうか。
  18. 林部弘

    林部政府委員 大気関係基準でございますが、まだ十分調査が行き届いておりませんけれども、私どもの調べました限りでは、まだアメリカだけにしか見出しておりません。
  19. 網岡雄

    網岡委員 そうすると、アメリカ基準というのが一つの物差しになると思うのでございますが、私はここで大臣にぜひひとつ最高の責任者としてのお考え方を明らかにしていただきたいと思うのでございますが、日本碍子の場合には、これは大気の場合もう完全にクリアをしまして問題がないわけでございますが、聞くところによりますと、ベリリウムの製造をしておったり、あるいは合金製造の会社が全国で四十三ぐらいあるということが言われておるわけでございます。  そこで、御案内のように日本の場合は先端産業が急速に発展をするという一つの傾向がございます。こういうことを踏まえますと、この種のベリリウム銅の合金というものはだんだん需要がふえていく、こういう傾向にございますから、今は四十三でございますが、これはふえていくのではないかということが想像されるわけでございます。  問題は、企業の中にもやはり大小がございまして、一流企業の場合には、これはきちっとした処置がとれるわけでございますけれども、しかし中小企業の場合にはなかなかうまくいかないというのが今日の実態でございます。  そこで、指導していく場合でも基準というものがなければ指導というものはなかなかしにくいわけでございますから、やはり規制の基準となるべき物差しをこの際もうベリリウムについてもはっきり定めていく必要があるのではないかというふうに思うのでございます。したがって、それはアメリカの言う〇・〇一マイクログラムパー立米というものが一つ基準にもなると思うのでございまして、総量規制と環境規制というものが二つあるそうでございますが、そういうことも考慮に入れながらこの際一つ基準をつくるべき時期に来ていると思うのでございます。この点について環境庁としてどのような御判断をお持ちになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
  20. 林部弘

    林部政府委員 ちょっと技術的な問題がございますので先に私から簡単に申し上げたいと思うのでございますが、先ほど先生指摘ございましたように、今愛知県の一つ調査とそれに基づく専門家の御結論がございました。これは私どもも全く同じような考え方でございます。それから、周辺住民に対する健康影響について半田市と名古屋市がこれからいろいろ調査をされるわけでございます。  御案内のように、慢性ベリリウム肺は全国でも症例報告がわずか十七例、十七でも多いという見方もございますけれども、非常に長年月の間に十七例の報告ということでございますから、そういったものが周辺からかなり出るおそれがあるということであれば、おっしゃるように規制を急がなければいかぬ。しかしながら、御案内のように酸化ベリリウムの粉末を使って製造するという工程はここしかないような状況でもございますので、いわゆるカドミウムとか鉛のように千数百カ所の事業所に対して排出規制をやっているような形のものが直ちに要るような情勢とは今私ども考えていないという背景がございます。  今の時点では、そういう意味では名古屋地区における健康影響調査が、県のレベルでは一応安全宣言のような形が出ましたけれども名古屋市あるいは半田市のレベルで慢性ベリリウムの問題についてどういう判断が出るかということを踏まえて判断をしていく必要があるのではないか、大体そういうことには余りならないのではないかというふうに過去の状況から判断しております。
  21. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先生に大変御心配をいただいておりますこのベリリウム、これは初めに報道されておるようにベリリウムによる慢性の病気というものがもし周辺に及んでおりましたら大変なことだ、また今先生指摘のように中小企業なんかにおいてそういうことがあるかもしれないと私どもも思いまして、ベリリウムというものを使っておる工場が一体どの程度になるんだろうか、そして、その量はどうだろうかというようなことについて心配をいたしまして、これを使っておる工場関係の省に連絡をして調べていただいたのでございますけれども、この日本碍子半田工場におけるほど使っておる工場はほとんどございません。ごく少量にしか使っておらないということでございます。しかし、その工場内における労働災害はないかと言われますと、これは労働省の方でいろいろとやっていただいておりますけれども、これは労働省の方で気をつけてやっていただくということでございます。周辺に及ぶいわゆる環境関係ということでございますので、私どももそういうところを考えていかなければいけないということから今いろいろやっておるのでございますけれども、やはり今答弁を申し上げましたように半田工場が一番大きなものである、この排出量がほかのところに比べて圧倒的であるということからこれに対しての心配をいたしたのでございます。ところが、これが今排出しております量におきましては、環境上問題がない程度になっておるということでございます。  これに対しての基準でございますが、これに類似したものがたくさんあるわけでございます。今申し上げましたようにアメリカにおいては基準をつくっておるのでございますが、一応その基準によりまして私ども検討していくことにしたらいいのではなかろうかと考えております。日本においてはやはり知見の量が少のうございましてちょっと日本基準として決めるほどには至っておりませんので、アメリカのものを使わしていただこうというふうに考えております。
  22. 網岡雄

    網岡委員 私ちょっときょう資料を持っておりませんが、労働災害認定患者十七名というのは、アメリカベリリウム産業に従事している労働者数約四万近くであったと思いますけれども、それに対して六百人くらいでございますが、これは率から言うとアメリカよりもむしろ高いくらいのところになるように私は記憶いたしております。そのことも一つでございますけれども、問題は今大臣が御答弁になりましたように日碍だけなら問題ないわけでございます。しかし、わずかであるにしても生産をしている工場がある、こういうことでございます。最初段階調査のところでも二百五十メーターで〇・〇三マイクログラムパー立米、こういうことが前にあるわけでございます。これは中小企業の場合ですと住家密集地域でこういうことが行われるわけでございます。したがって、二百メーターなり百メーターといったところでそういうことがしょっちゅう起きるということになりますと、WHOがいみじくも言ったように〇・一から〇・〇〇一の環境がずっと持続した場合には心配だ、こういうふうにWHO評価をしておる、この評価を踏まえますならば、いついかなる場合でもきちっとはまる豊かな環境を確保することができる、こういうことをやるのは環境庁の責務でございますから、WHO評価などを見ましても数の問題はともあれ、これからの先端産業の発展というものなどを考えていった場合に、産業がどんどんこれからもふえる可能性がございますので、これは転ばぬ先のつえということで、前もって一応努力をすれば守れる範囲内のものについての基準を示すことは必要じゃないかと思うのでございますが、あわせて大臣、その点についてもう一度御答弁をいただきたいと思います。
  23. 上田稔

    ○上田国務大臣 先ほどお答えを申し上げましたとおり、〇・〇一マイクログラムパー立米でございますが、その基準アメリカが決めておるのでございます。それ以下に持っていかなくてはいけない、こういうことで半田工場におきますろ過器をつけていただいたのもそういうところで指導をさせていただいたのでございますが、これからもそういうことで私どもはやらせていただきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  24. 網岡雄

    網岡委員 ぜひこれは重ねて要望しておきますが、かたくなにそんなことを言ってみえるのでございますが、後でしまったと思わないように、基準をつくることについてはもう一度検討されるように要望しておきまして、次の質問に移りたいと思います。  次は、産業廃棄物に対する問題についてお尋ねをしたいと思いますが、時間がもうございませんので急いでいきますから簡明率直な御答弁をひとつお願いしたいと思います。  それは昭和四十八年五月三十日に、日本チッソ水俣工場産業廃棄物、水銀の廃棄物の埋め立てをしていた、これが産廃法の制定される四十六年以前の問題について、熊本県庁としてはどういう処置をしたらいいのか、こういう廃棄物処理法の取り扱いについて若干の疑義があるからということで、当時厚生省の環境衛生局長あてに照会が出されてきているわけでございます。内容は、「昭和二十六年頃から昭和四十六年三月までの間に、逐次公有水面に護岸堤防を築き、そこに事業者がその活動から生じた廃棄物の投棄を行なっていた場合」、それは法律施行以前のものであったにしても産業廃棄物というふうに見ていいかどうかという問いと、もう一つは、そういう廃棄物について、法が施行された後においてもこの廃棄物を除去もしくは埋立地内または他の地区の埋め立てに利用するようなことをしたとするならば、これは一体どういう処置になるか、法的な基準というのはどこで物差しを当てるのだということの問い合わせがあったのに対して、厚生省は昭和四十八年八月一日厚生省環境衛生局環境整備課長の名前で、一つは、産業廃棄物である、ただし、法律制定の以前に埋められているものであるから、処理の責任を問うことはない。二つ目は、移動したり、埋め立てをしているところで、いわゆる産業廃棄物をなぶった場合、掘削をしたりした場合にはそれは処理法の適用を受ける、産業廃棄物としての法律の適用を受ける、実はこういう回答がなされておるわけでございます。  一つ確認をしておきたいわけでございますが、この回答は熊本県と厚生省の環境衛生局との間の限定されたものであるのか、あるいは、これは物が水銀であったわけでございますが、それは水銀ということではなくて、全くこの質問と同じような状況にあるとするならば、それはどんなものであっても、法律に定められるものであるならばそれはすべて右同じということになるのかどうか、その点をひとつ御答弁いただきたいと思います。
  25. 田島邦宏

    ○田島説明員 お答えいたします。  熊本県に対します私どもの回答は、いわゆる法施行前に埋め立てられました廃棄物が開発行為によって発掘されたような場合に、これを新たに排出されたものとして現行の廃棄物の処理法に従ってその性状に応じて適用を受ける旨、当該照会事例に答えたものでありまして、その意味では個別の事例に対する限定的なものと考えております。ただし、このような考え方につきましては、現行の運用上も、例えば建設業者等が掘削工事に伴いましてかつての処分場の跡地から何か出てきたといった場合に、そのときの性状に応じましてどういう廃棄物に該当するかということで判断することにいたしております。  それから、第二点の御質問でございますけれども、これにつきましては、今後ともそのように運用してまいりたいと思っております。
  26. 網岡雄

    網岡委員 もう一度そこで確認しておきたいのですが、個別のものということは、この熊本と厚生省との間に交わされた回答だけに限る、そういう意味ですか。
  27. 田島邦宏

    ○田島説明員 本件の熊本県の照会に対する回答は個別のものでございますが、その後私どもの方で、いろいろそれに類似する掘削工事等の事例が出てまいりましたので、その運用通知等も出しまして、先ほど申し上げましたように、開発行為あるいは掘削工事等によってそういうものが出てきたといった場合には、そのときの性状に応じて、それが現在の廃棄物処理法に照らしましてどういう廃棄物であるかということを判断するということにいたしております。
  28. 網岡雄

    網岡委員 よく考えてみると一緒のことなのか、よくわかりませんけれども、非常に難しい日本語になっているわけでございます。  重ねて御質問申し上げます。くどいようですが、もう一遍、私、頭悪いですから確認をしておきたいのですが、この質問をしたような同じような状況になった場合に、例えば水銀がカドミウムになったりほかの金属になったにしても、この設問と同じような状況であれば全く同じであると考えていいかどうか、それが一つ。  それからもう一つ、性状ということの意味ですが、きのう係の方を呼んでいろいろ聞いておりますと、例えば土、土砂ですか、土砂のようなものになった場合にはそれは廃棄物ではない、こういうようなお話があったのでございます。聞くところによりますと、農地の土壌汚染という場合には明確な法律があるわけでございますが、農地以外の土壌汚染については残念ながらベリリウムと同じで法律がない、規制がないということであると聞いておるわけでございます。  そこで、この回答の中にも性状、つまり性質の性という字を書いて状況の状、私初めて読むような言葉でございますが、この性状という意味は、単なる形ということではなくて、例えば一定の化学変化によってその捨てられた物質が土砂になったにしても、その土砂の中に基準を超える水銀なら水銀、カドミウムならカドミウム、有害物質なら有害物質というものが含まれておるとするならば、それは原因者は明確にどこどこのどういう事業所だ、それが何年何月にそこへ埋めたんだという因果関係については明確でございますから、そういう全体の入り口から出口までのすべての事実関係を洗っていったときに、この法律の基本となる事業所から発生した廃棄物、こういうことでいけば法律運用の基礎的な条件というものは適応しておると思うのでございますが、そういう第三番目の問題は、土砂のような問題になったときでもこの回答のとおり法律に照らして運用することができるかどうか、この点について御見解を賜りたいのです。
  29. 田島邦宏

    ○田島説明員 水銀以外にも同じように適用するのかという御質問でございますが、これについては同様でございます。  ただ、私申し上げるのをちょっとうっかりしておったのでございますけれども、廃棄物処理法の昭和五十一年改正の契機となりました例えば六価クロム問題などのように、いわゆる土壌汚染対策あるいは環境保全対策として汚染土壌の除去を行うべきではないかといったような議論が出る場合がございます。そういったような事例の場合には廃棄物処理法が後に退きまして、まずそのような土壌汚染対策あるいは例えば水俣湾の場合ですとヘドロ除去対策といったようなことで、暫定的な基準環境庁さんでおつくりになっておるとかいったようなことで個別に対応さしていただいておるという状況がございます。
  30. 網岡雄

    網岡委員 そこが実は問題なのでございます。この回答は法律に照らして非常に明確なのでございます。ところが、土壌対策というものは法律にないものをそこではめてやっていくということは、結局、産業廃棄物に対する法律の形骸化につながっていくと思うのですよ。具体的には、長くなりますから、時間が来ていますのであれですが、土壌対策でやっていく場合は、まず本法の法律でいくと、水銀なんかの場合は四万八万をコンクリートで囲って、そして底にもコンクリートで張って、そして地下水等を完全に遮断するわけですね。ところが、六価クロムの土壌対策のときには上だけ覆っておしまい、そうすると、地下汚染は全く手がつけられないわけですよ。そうすると、まず考えられることは、原因者の費用負担が安くなる、それからもう一つは、何よりも住民に地下汚染というものの危険性を与えるという点ではせっかくつくった法律が形骸化する、こういう点で大きな問題が残っているのでございます。それで、いつこんな土壌対策という方向で向かっていくのですか。  私は、今これは決算委員会の議事録を持ってきておるのですが、決算委員会で私ども社会党の新村勝雄さんが、国が東京都へ払い下げた例の高等学校の用地の点で、大蔵省は土壌対策費として六千何百万円を計上して、結局、東京都は後処理をやったら二百五十万欠損をした、こういう質問などがございましたが、私もう時間がないから後で資料を要求いたしますけれども、これをちょっと読んだ程度では問題ないようにありますけれども、金だけの問題のような感じがいたしますが、一番大事なことは、東京都もこれは土壌対策でやったというけれども、持っていった土というものが、土壌というものが一体どれだけの水銀の汚染をされていたのか、そして土壌対策としてどういう処置がされていたのか、いわゆる産廃法の法律に照らしてどういう処置がされてきたのか、この二つについて本委員会資料として私は提出していただきたい。これは幾ら国であろうと東京都であろうと、法律に照らしてざるになっているようなやり方は、そして金だけで始末していけばいい、こういう姿勢というものは公害行政基本を私は曲げるものだ、こういうふうに思うわけです。ですから、その点について一体どういうふうになっているか、御答弁いただきたいと思いますし、土壌対策についてもう一度……。
  31. 田島邦宏

    ○田島説明員 御案内のとおり、環境庁の設置法の方には、いわゆる土壌に関する環境基準の設定に関する事務というのがございます。したがいまして、それとの絡みで、先生確かにおっしゃいましたように、ただいまのところ、農用地に関する土壌汚染対策の法律しか制定されていないわけでございますが、大変しゃくし定規のような御答弁を申し上げるようで恐縮でございますけれども、やはり廃棄物処理法の意図するところ、廃棄物処理法が考えるところ、それと土壌汚染対策というのはやはり政策として一応別個のものであるというふうに我々は考えております。  それから、もう一点でございますけれども、例えば仮に廃棄物処理法の適用は、残念ながら今の法体系ではないといったような事例の場合でありましても、先ほど例に挙げられましたように、例えば水銀等が私どもが決めておりますいわゆる処分基準、これが例えば最もふさわしいといったようなことでございますならば、これを参考にしていただくといったようなことも我々、協力することにやぶさかではございません。そういうことで土壌汚染対策について私どもとしても協力してまいりたい、こういうふうに考えております。
  32. 佐竹五六

    佐竹政府委員 お答えいたします。  産廃法にはやはり法律制度としておのずから限界があろうかと思います。したがいまして、先生指摘の市街地の土壌汚染対策をどうするのだ、こういう点でございますが、土壌と健康の関係につきましては一般的に知見が乏しゅうございまして、現在勉強中でございますが、これは直ちに環境基準を決めるというわけにはまいりません。しかしながら、御指摘のような国または地方公共団体が払い下げをするような場合につきましては、これはいやしくも払い下げを受けた一般国民に不安を与えることは好ましくないというふうに判断いたしまして、これに必要な基準及びその処理方策につきまして環境庁検討を開始することにいたしまして、できるだけ早い機会に結論を得て、地方自治体を指導いたしたいと思います。その際に、それは汚染された濃度にもよるかと思いますけれども、当然産廃法の処理基準等も参酌してまいりたい、かように考えております。
  33. 網岡雄

    網岡委員 今の御答弁でございますが、私もやはり土壌汚染対策ということで考えていくならば、明確な、農地以外のところに法律の網がはまる、そういう法律をつくるべきで、そして産廃法でせっかくあれだけの厳しい基準を定めたわけですから、それはそのまま土壌汚染防止法のところへはめて、そしてやっていくというならば、これは公害対策全般の前進のためには役立つわけでございますが、そういうことで将来やるといたしましても、まだその法律はできていないわけでございますから、したがって、今の現状の対応というものが農地以外にはないわけでございますから、これはもとに返るならば原点の産廃法に戻る、これが正しい行政のとるべき態度だと私は思いますので、この点については、私、時間がありませんからこの程度にとどめておきますけれども、ぜひそういう対応についてやってもらいたいということをお願い申し上げます。答弁もひとつお願いします。  それから、四十八年度に、全国環境調査結果の評価というものが通産省立地公害局から出されておるわけでございますが、聞くところによりますと、これも水銀を扱っている工場の廃棄物がどうなっているのだということを産業立地の関係から当時四十八年、通産省立地公害局で調べられたと言われておるわけでございますが、それは一体どうなっておるか。この資料が非常に重要なんでございます。つまり、四十六年以前のものについて今全部ベールに隠れてしまっているわけですよ。せっかく通産省がそれだけの調査をなさったならば、その資料はぜひ環境庁に書類を渡してもらいたい、そして環境庁においてその資料を十分使って、産廃の行政が正しく運営されるように活用してもらいたいということについて、通産省としてはどう対処されるかという点について御答弁いただきたい。
  34. 竹内黎一

    竹内委員長 網岡君にちょっと申し上げますが、通産省は先生の出席要求がなかったので来ておりません。来ておるのは厚生省のみですが……。
  35. 網岡雄

    網岡委員 それでは委員長、今言いました通産省の立地公害局の四十八年調査資料を本委員会にぜひ提出をしていただきたいということが一つ。  それから、先ほど東京都が行いました土壌対策上の処置でございますが、これは幾らかかって、そしてもう一つは、対象の土壌の中に含まれた水銀が一体どの程度の濃度であったか、そして、その土壌はどこへ持っていって、どういう処理が行われたかということを本委員会資料として提出していただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わります。
  36. 竹内黎一

    竹内委員長 委員長から関係省庁に要望いたします。  ただいま網岡君要求の資料について、速やかに準備の上、当委員会に御提出を願います。  次に、斉藤節君。
  37. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 ただいま網岡委員質問しておられましたベリリウム問題につきまして、実は私は去る二十一日に知多半島にあります半田日本碍子工場を視察してまいりました。それにつきまして私の考えなどを述べ、そして各関係省庁の御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。  日本碍子半田工場でありますけれども、現在見たところは、あそこは非常に立派でございます。施設も、あの分ならばまず大丈夫であろうと私は思ったわけでありますけれども、あそこは五万五千立米パー・アワーという大きな集じん機をアーク炉の上に備えまして、現在アーク炉で銅ベリリウム合金のインゴットをつくっているところにこの集じん機を置いて集じんしておりまして、アーク炉から出てくるものは、一〇〇%とまでは言えないかもしれないけれども、まず九九・九九%くらいまでは集じんされているであろう、そういうことを見てまいりまして、私はこれならば外へ出ることはないだろうというようなことを感じてまいったわけであります。  時間の関係ベリリウム関係だけでありましたけれども、さらに施設を回りました。あそこでつくりましたベリリウムと銅の合金、これはアーク炉ベリリウムの酸化物、酸化ベリリウムと銅と炭素の粉でもって還元してつくった銅とベリリウム合金最初は四重量%のベリリウム合金をつくっているわけでありますけれども、そのインゴットを今度は圧延機にかけて圧延している、最終的には二十段圧延機でもって圧延しているわけです。どのくらいの厚さかといいますと、七十ミクロンくらいのホイルにして、そして、それを巻き取って最終生成物をつくっているわけでございます。そのロールにかける方の工場も非常にきれいで、しかも空気を一定方向に流して集じんしております。そのような関係でまず外に漏れることはないと思います。しかし、アーク炉の方は、さっき申しましたように五万五千立米パー・アワーの集じん機で集めたものをインゴットにするようにもう一回アーク炉の方に戻しておりますから、それはそれでよろしいのですけれども、私が圧延工場でやっておりますときに集められましたちりをどうしているかと尋ねましたところ、きれいに集めてはいるのですけれども、集めてドラム缶に詰めて敷地内に埋めているという話なんですね。敷地内ということでありますが、そこが永久に工場であれば問題はないかもしれませんけれども必ずしもそうとは限りませんので、私は埋めておく場合も単なるドラム缶に詰めて埋めておくだけではこれはもっと危険でありますというようなことを指摘しまして、これを何とかした方がいいですよというようなことを申し上げたわけでございます。  それから、これは現在まだやっておりませんでしたけれども、ロールにかけましたホイル、箔でありますけれども、七十ミクロンくらいの厚さのベリリウム鋼の合金であります。これは最終的には一・八%まで銅で薄めてそういうあれをつくっているわけでありますけれども、最後にはそのホイルを製品として出すために表面処理するわけですね。表面処理しますと、やはりこれは酸洗いなどしますので、そこで銅とベリリウム合金になっておりましても、どうしても溶けて出てくるわけです。それを今度は中和槽に入れましてベリリウムを水酸化ベリリウムの形で沈殿させて、それをろ過してペースト状にする。そして、それからどうするかということにつきまして私、質問したのでありますけれども、それからどうしていいか今のところわからないので、これから考えるのだというようなことを言っておりました。現在その装置はまだ動いておりませんから表面処理がどのようになされているのか私はわからないできたわけでありますが、そのようなことから、その辺を注意されれば今の段階ではあの工場からは問題は起こらないであろうということを私は確認してきたわけであります。  私、ちょうどそのときに、かつて昭和三十五年ごろ名古屋に試験工場をつくったころに実際に働いていたという人、この人は現在私ども公明党の半田市の市会議員の伊藤議員でありますけれども、三十五年ごろからずっと二十年間くらいこの会社に勤めておりまして、その当時のことについて話してくれたわけであります。先ほど網岡委員の話にもありましたように、当時は緑柱石という原石をそのまま粉砕しまして、酸処理あるいはアルカリ処理によってベリリウムを抽出しまして、それをベリリウム酸化物に直して、それで先ほどありましたようないろいろ特別な磁器をつくったりしておったというようなことで、当時はやはり試験工場でありましたので、大変むちゃなことをやっていたわけであります。それで伊藤議員も実は病気になりまして、そして胸が物すごく締められるようだ。後でまたこの症状については申し上げますけれども、すごい苦しい状態になりまして、息苦しくなってぶっ倒れるわけでありますが、医者はその治療法がわからぬものですから肺炎と間違えてクロロマイセチンを大量に飲ませたわけであります。また、コーチゾンなども使いまして、そのような非常に荒っぽい、わからない、もうむちゃくちゃな治療を行っていたようでありますけれども、現在彼は何とか治って市会議員を務めているわけであります。病気になりますと大変苦しい状況になるわけです。それから、皮膚の方もやはり彼は見せてくれましたけれども、ひざの後ろ側が常に湿疹状になってべとべとになっていて乾かない。これは酸化ベリリウムがつきますと、それによって浸潤された潰瘍ができちゃっている。そのようなことでもって非常に苦しい状況にあるのですけれども、彼自身は認定患者としての申請はしてないのだというようなことを言っておりました。  先ほどもお話がありましたように、私、調査しましたときに、半田市では住民健康診断をやるそうでありますけれども、今までも認定患者が何人か出ているようでありますが、それ以外にも、今申しましたような伊藤議員のような人もおるということは事実でございまして、何人かいるのじゃないか、そんなふうに私は思っているわけでございます。  そのようなことで、今申しましたように住民の健康診断、これは六月二十日に受診申し込みがありまして、そして六月二十三日の土曜日に受診日の通知をしております。そして、六月二十五日から六月二十七日にかけて行うそうでありますけれども、これについて向こうから環境庁の方へ何か通知があったかどうか、その辺ちょっと御質問したいのです。
  38. 林部弘

    林部政府委員 今先生のお話にございましたように、半田市が健康診断を予定しているというふうには聞いておりますけれども、私どもの方に、こういうことでやるということで特別に合い議はございません。ただ、当然のことながら、専門家と御相談の上で恐らくおやりになると見ております。
  39. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 この病状でありますけれどもベリリウムそのものは実際は天然にも相当あります。これは、ここでくどくどしく申し上げるまでもないわけでありますけれども、天然には、まず地球上のベリリウムの分布量に関しましては、火成岩中に二・八ppmあるのですね。それから、石炭の中には〇・一から三一・〇ppm、大体平均一・五から二・五ppm、海水中にも〇・〇〇〇六ppbというようなことで、これは地球上でございますから、日本に限ったわけじゃありません。このようにあるということで、河川及び大気ベリリウム量は年間どのくらいあるかと申しますと、河川水中の溶解量としては、年間ベリリウム量として四千トンぐらい、それから河川水中の浮遊粒子量としては五千六百トンぐらい、総計九千六百トンぐらい、自然現象としてこういったものが火成岩だとかあるいは石炭、そういったものから出てきているわけです。  また、人間の活動によって発生するものとしては、主に石炭の燃焼による生成量でありますけれども、年間四百十トンぐらい、あるいは石油の燃焼によって発生する量が〇・三トンぐらいで、総計四百十トンぐらいのベリリウムというものが人間活動によって出てくるわけです。  そういうことで、ベリリウムという元素はそう珍しい、また地球上にこのぐらいあるものであるということであります。  しかし、特にベリリウムというのは、原爆に使われておりますプルトニウムと同じように、金属あるいはその化合物が非常に毒性を持っておるわけであります。そういうことで、先ほどもちょっと症状を申し上げましたけれどもベリリウムによる人体障害というのは、まず呼吸器に対して刺激を与えるということ、それから発がん性があるということですね。それから、中毒性あるいは皮膚刺激性、そういったようなものがあって、非常に人体に対して大きな影響を持っているわけであります。  そのようなものでありますから、これは相当注意しなければならないわけでありますけれども、特に人体に対してそういう影響があるわけですけれども、実際にはどのような症状になるかと申しますと、もっと詳しく申し上げますと、ベリリウムの我々人間に対する症状というのは、急性の場合と慢性の場合がありますけれども、急性の場合はどうなるかと申しますと、高濃度ベリリウムを吸収して起こる急性中毒の場合には、まず呼吸気道及び肺の刺激症状が強くあらわれるわけです。特に、先ほども問題になっておりましたけれども、可溶性ベリリウム塩の吸入によっては致死的な障害もあらわれることがよく認められているわけであります。それから、急性呼吸器障害、軽いものではのどに違和感があって、何か何となくえへっとやりたくなるようなもの、それから、のどが痛い、せき、たんなどが大体出てくる。それから、上部気道炎あるいは気管、気管支炎の症状を呈するわけです。  それで先ほど申しましたように、伊藤議員もこのような症状が起こったときに、いわゆるクロロマイセチンを大量に投与されたのがこれでわかるかと思います。このようなことで大変苦しいわけですね。初期の場合には、乾性せきですね、乾いた空せきが出ます。それから、軽い息切れ、それから胸部が物すごく重苦しくなってくる、全身倦怠、のどの違和感などを訴える、そういうような状況になるわけでありますけれども、伊藤議員も言っておりましたけれども、非常に痛くて苦しい、これを何か測定するような、そういう機械がつくってあればわかるのだがというようなことを言っておりまして、この病気にかかりますと、大変苦しいわけでございます。  そのほか、長期にわたってベリリウムまたはベリリウム化合物を吸入したような場合にあらわれるいわゆる慢性中毒でありますけれども、これは体内に蓄積されるベリリウム量が増大することによって症状があらわれるわけです。短時間高濃度暴露の繰り返しによって起こるような障害先ほど申し上げたようなものでありますけれども、しかし軽い場合には、何となく胸が苦しい、そういうような状況が続いてくるというような状況であります。また、そのほか肝臓肥大とか脾臓肥大といったようなものも起こってくるということで、ベリリウムの中毒症状というのは非常に怖い問題であろうと私は思うわけであります。  疫学的な立場から、現在までどうなっているかと申しますと、アメリカでは、一九六六年まで、いわゆるベリリウム中毒の症例が登録されているものがあるわけでありますけれども、一般には、工場勤務者よりもむしろ工場勤務者以外の人がベリリウム中毒にかかった場合に死亡しやすいという疫学的な症例があるわけでございます。そのようなことから、ベリリウム汚染というのは余り軽くは見られないのではないかと私は思っておるわけであります。  そのようなことでございますので、先ほどもいろいろ質問がありましたから、私から質問することは実は余りなくなってきたわけでありますけれども、そのようなことで、工場に勤務している方々の健康というのがやはり一番問題だろうと思いまして、きょうは労働省の方が来ておられると思いますけれども日本碍子工場の管理につきまして、どのようなことをやっておられるか、その辺ちょっと詳しく御説明願いたいと思うわけでございます。
  40. 福渡靖

    ○福渡説明員 お答えをいたします。  先生承知のように、ベリリウムは、今先生がお話しになりましたような有害性を持っておるわけでございますので、その取り扱いについてもいろんな規制を行っております。  まず、一般的に申し上げますと、特定化学物質というものに指定をいたしまして、製造する場合には製造の許可、それから取り扱う場合にはいろんな管理を行うというようなことを事業者に義務づけております。その内容といたしましては、製造設備の密閉化、息所排気装置の設置、それから取り扱い作業主任者の選任、作業環境測定の実施、それから特殊健康診断の実施等を義務づけているということでございます。  それで、今御指摘になりました日本碍子知多工場でございますけれども、製造許可申請がございまして、今申し上げましたこのようなもの、特に製造設備の密閉化であるとか局所排気装置の設置等についてはきっちり審査をいたしまして、製造基準に合致をするということで製造許可を出しております。それから、その後の作業環境測定、それから特殊健康診断、これにつきましてはきっちり報告をいただいております。そのような状況でございます。
  41. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 私、先ほど申しましたように、工場調査しまして感じましたのは、先ほど何点か申し上げましたけれども、それ以外にも常に工場内の大気、集じん機から出てくる気体、排気ガスについては定期的に、年一回ですかチェックしているようでありますけれども、もっと別な敷地の中の何点かをチェックした方がいいんじゃないかと思うわけでありますけれども、その辺どうでしょうか。
  42. 福渡靖

    ○福渡説明員 私どもの方が事業者に義務づけておりますのは、作業環境いわゆる工場の内部の方でございまして、ここは労働大臣の定める作業環境測定基準というものがございます。通常ある一定の単位作業場所がありますと等間隔で五点以上の測定点をとって、そこで大気中のベリリウム濃度測定するというやり方を示しておりますが、これは六カ月に一回実施をするということになっております。それから、敷地の中であっても作業場以外のところにはそういう義務を課しておりませんので、これは労働安全衛生法の規制外ということになります。
  43. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そのようなチェックをしておられるのであれば安全かと思います。もっとさらに工場の中を私よく見ましたけれども、帰りには一人一人が自分の体についたものはよく洗い落としているようでありますけれどもアメリカの例もありますように疫学的な調査先ほど申し上げましたように家族がベリリウム中毒にかかる例が多いと書いてあるのです。そういう報告があるのです。それはどういうことかといいますと、いわゆる労働者が働いて自宅へ帰りまして、その汚れた衣類とかを洗濯する、そのことによって酸化ベリリウムといったものが奥さん、家族の皮膚につく、そういったようなことで皮膚炎を起こしたりあるいは吸い込んで肺炎症状のようなものを起こしたり、そういうような状況がある。ですから、むしろ家族が危険な状態があるんだという報告があるのですけれども、それをあそこの工場ではそういった衣類などどうしているのか、御存じありましたらお答え願いたいと思います。
  44. 福渡靖

    ○福渡説明員 ベリリウム作業従事者の健康管理につきましては、その基本に取り扱う作業規程というものを各工場でつくって、それに従って進めるということになっております。大変申しわけないのですが、そこまで細かく本省としては承知しておりませんが、当然、汚染されたものを工場外に持ち出すということを防ぐということもその中に通常は含めて規定をしておりますので、恐らく今では作業衣とそれからふだんの着がえというようなこともその中には組み入れられておるだろうと考えております。
  45. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 環境庁にお伺いいたしますけれども工場調査しましたときに排出についてどういう基準でやっておるのか。アメリカ基準としては一日十グラム以内というようなあれもありますし、それから〇・〇一マイクログラムパー立米、これは三十日間の平均値ですね。そういうことで聞きましたら、この後の方の〇・〇一マイクログラムパー立米、三十日間の平均値、この基準に従ってやっておるという話であったわけですけれども、一カ月間の平均値が〇・〇一マイクログラムパー立米でありますから、あるときはばあっと出てあるときは全然出さないということでやってもいいわけです、平均値さえそれ以下であれば。それでは問題があるんじゃないか。その辺さらにもっと詳しくした方がいいと思いますが、いかがでございますか。
  46. 林部弘

    林部政府委員 測定方法につきましては、確かにアメリカは三十日はかるように、それはできるだけ実態に近い形をつかまえるということでそういう形をやっておると思います。実は私ども五十五年当時、県に委託しました調査では実は三十日間はかっておらないわけですけれども、実際に気中濃度測定というのはたくさんはかった方が薄く出るのか濃く出るのかということにつきましては、私から作業環境のことを申し上げる立場ではないのでございますけれども、現実には職域の作業環境測定のような場合には、発生源がどこかに偏っておれば、現実にたくさんはかればその値は低くなる傾向があったように記憶いたしておりますから、そういう意味ではかなり広い敷地があって発生源がかなり限定されておるというような場合には、測定ポイントが多くなり、測定回数が多くなれば、平均的な濃度としては、レンジは先生おっしゃるとおりだと思いますけれども、平均的な濃度としては下がってくる可能性が多いんじゃないかというふうに感じます。  現在私ども基準を持っておるわけではございませんし、非常に限られた国内の知見に基づいて将来どう考えていくかという課題かと思いますけれども、今のところはアメリカの非常に古い時代のものでございますけれども周辺環境ベリリウムのようなものが出てくるというのは大体〇・一から〇・〇一ぐらいの間にあったのではないかということが、これもあくまでも実測というよりは推計のようでございますけれども、そういうことでアメリカがああいうのを定めたように私ども理解いたしております。今のところは国内的に指導ベースで自主的にやっていただくということになれば、一応ああいうようなものを参考にしながらやっていくということになるのでないか。測定は必ずしも三十日ということにこだわった実態ではございませんが、アメリカ基準というのは参考になる、非常に古いものではあるけれども、今のところは参考にせざるを得ないというのが現状であります。
  47. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 環境基準、まだ我が国の場合はベリリウムその他についてはないわけでありますけれども先ほど網岡委員が言っておられましたけれども環境基準ですね、こういうものもおつくりになった方がいいかなという気もするわけです。私、研究していた関係上、数字に必ずしもこだわらないで、ぴしりこのとおりになっているということは余り考えないわけなんですけれども、あの近辺なんだろう。だから、安全だろうという考え方だと私は思うわけでありますけれども、一応アメリカ基準というのは、非常に広いところに、ああいう工場をつくる場合には、民家なんか近くにないようなそういう非常に立地条件のいいところにつくるわけでありまして、我が国の場合には非常にすぐ民家という場合が多いわけでありますから、その辺やはり住民健康管理という意味からも十分注意された方がいいのじゃないかと思うわけであります。  これに関しましてはこれで質問を終わりますが、環境庁長官、どんなものでしょうか、こういうこと、日本の狭い地域と、広い地域にあるようなアメリカとは大分違うということを考慮された上で、もう少し環境基準のようなものも考えてはどうかなと思うわけですけれども……。
  48. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答えを申し上げます。  このベリリウムにつきましては、先ほどもお答えを申し上げたのでございますけれども、なかなか日本におきましては知見が少のうございますので、日本におけるものを早く決めるということが非常に難しいような状態に今あるわけでございます。したがいまして、一応アメリカ基準をとらしていただきまして、排出口におきましてそれに近いような値が出て、あるいはちょっと超えたぐらいのところが出ております分につきましては、これをもっと下げていただくように、ろ過器なんかをつけていただくようにお願いをして、そして、それの千分の一とかなんとかぐらいになるようにさせていただくということをとりあえずやっておるのでございます。これはまあしかし、そういってどうだということになるのでございますが、こういうものにつきましてはひとつ継続的にやらせていただきまして、そして事故の起こらないような基準というものを考えていかなくてはいけないというふうに考えております。
  49. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 そのように努力していただくことをお願いいたしまして、ベリリウム問題はこれで終わりまして、次に、簡単にスパイクタイヤ問題についてちょっと御質問申し上げたいと思います。  このスパイクタイヤに関しましては、三月二十七日の本委員会で中村委員が既にやっておられますけれども、実は私どもの有島議員と武田議員が四回にわたって今までスパイクタイヤに関する質問環境委員会並びに予算委員会の分科会でやってきているわけです。  五十八年三月四日には、有島委員でありますけれども、本委員会におきまして質問しましたのに対しまして、このとき自動車用タイヤによる粉じん等対策調査会というものを発足させ、検討中だというような御回答があったわけです。その後、五十八年三月十八日、まだ将来の問題だというようなお答えが返ってきているわけであります。それから、五十八年四月二十六日にやはり有島委員が、スパイクタイヤ問題について、スパイクタイヤ問題関係省庁連絡会議が三月二十八日に発足したのだ、そういうようなことを環境庁長官から御返事いただいているわけであります。それから、五十八年三月五日、これは前になりますけれども、予算委員会第三分科会で武田委員がいろいろ仙台市における実例を挙げまして質問していたわけであります。そして、この三月二十七日、五十九年四月上旬にこの省庁連絡会議が行われる予定であるという御返事がいただいてあるわけでありますけれども、四月上旬に実際に行われたかどうか、ちょっとそのことについて御回答願いたいのであります。
  50. 林部弘

    林部政府委員 正確な期日はちょっと記憶していないのですが、四月に、今先生から御指摘のありました会議を開いております。
  51. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 その結果、どんなふうになったのでございましょうか。スパイクタイヤに対してどうするかというようなことがあったのでございましょうか。そういうことはなかったのですか。
  52. 林部弘

    林部政府委員 お互い、情報交換が主だったように思います。と申しますのは、昨年の九月に私どもの方から関係道府県知事に対して、このスパイクタイヤの使用の自粛といったようなことを中心に当面の対策の要請をいたしておりまして、これがいわゆる積雪地域の各県に浸透してきておりますので、それを推進していく上で各省庁がそれぞれ努力していこうというようなことになっております。
  53. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 このスパイクタイヤは、私もこの間北海道へ行ってまいりましていろいろ見てきたのでありますけれども、北海道だとかあるいは東北の場合、雪国はスパイクタイヤがないと、経済活動が半減どころか、冬の期間ほとんどだめになる、だから、どうしてもなくてはならない。  しかし、また反面、冬の期間中は大変粉じんが多くて、けい肺の問題もありますし、それからまた、ちょっと後でお尋ねしようと思っていますけれども、いろいろの問題があるわけでございまして、その辺、通産省の方がおいでいただいていると思いますけれども、そういう研究はどんな状況にあるか、ちょっと簡単に御説明願いたいと思います。
  54. 蕨岡達慈

    ○蕨岡説明員 通産省におきましては、傘下の機械技術研究所を使いまして、新しいタイプのスパイクタイヤの研究を今年度から開始しております。四年間で二億三千万ほどの予算で研究に着手した、こういう状況でございます。
  55. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 このスパイクタイヤによって発生すると思われる粉じんでありますけれども、主に粉じんの中の成分として、スパイクの成分である鉄だとかあるいはチタンだとかそういうようなもの、あるいは粘土鉱物といいましょうか、砂のようなそういったようなものなどが問題だというようなことが言われておりますけれども、私はむしろあれは、石油ピッチでありますアスファルトの成分の方が削り取られて粉じんとなった場合が怖いのじゃないか、そんなふうに思っているわけであります。特にその中には、いわゆる多環式芳香化合物が含まれているだろうというふうに考えられるわけです。そういうことから、むしろその中に含まれるベンツピレンのような、そういったような発がん性物質の方が怖いのじゃないかなというふうに思っているのでありますけれども環境庁としては、その粉じんの分析などはどんなものをやっておられるでしょうか。
  56. 林部弘

    林部政府委員 お答えいたします。  先生は非常にこちらの方の御専門の方なので、お答えするのがなかなかあれなんですが、ハイボリとローボリと両方使って測定いたしております。ハイボリでやりました方は金属元素について原子吸光法で、それからローボリの方は放射化分析というようなことでいろいろなものを調べております。  それから、今アスファルト成分の問題の御指摘がございました。これも、アスファルト分というのは、いわゆるベンゼン抽出物という形で大ざっぱにはとらえておりまして、その中に入っているのじゃないか。それから、ベンツピレンのような問題につきまして、これは昔から測定されている物質でございますから試験的に計測をいたしておりますが、レベルとしては、先生資料をお届けいたしました全国の総点検でベンツピレンの全国の実態をごらんいただいたと思うのですが、おおむねそのレンジの中に入っている数値であるというふうに聞いております。
  57. 斉藤節

    ○斉藤(節)委員 もう時間がなくなりましたのでこれで終わりにしますけれども、いずれにしましてもスパイクタイヤは昭和三十八年に国産品が発売されてから使用が大変急増してきているわけであります。先ほど申し上げましたように、雪国ではこれがなければ経済活動が大変落ちてしまうといったような問題もありますが、やはり健康管理、外国の場合は健康管理よりも主に道路が破損する——きょう建設省の方もおいでいただいていると思います。破損状況などをお伺いしようと思ったのですけれども、もう時間がありませんのでお伺いしませんが、外国の場合はスパイクタイヤに関しては大抵道路の破損状況といった問題で主に取り上げておりますけれども、我が国の場合は健康問題がむしろ大きく問題になるのじゃないかなと私は思いますので、スパイクタイヤ、通産省では今年度から研究されるということでございますので、早くスパイクタイヤにかわる、こういう冬季間安全に交通機関が運転できるようなタイヤの開発をくれぐれもお願いいたしまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。
  58. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、藤田スミ君。
  59. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私は、日本碍子株式会社で起きましたベリリウム問題についてお聞きをしていきたいと思います。  ベリリウム環境関係の法規制というのは全くありません。労働衛生関係では作業環境基準が決められておりますけれども、カドミウムの二十五倍と聞きましては、これは相当の毒性の強いものだというふうに思います。ところが、日本碍子の熱田及び知多の両工場で二十年近くも、アメリカのこの基準の十倍から二十倍という大量のベリリウム環境中に排出していたということが判明いたしました。しかも、私がここで大変重大な問題だなと思いますのは、環境庁は四年前の昭和五十五年の愛知県への委託調査でそういう事実をつかみながら、その事実をひた隠しにしてこられた、こういうことであります。私は環境行政においてこうした秘密主義は絶対に許されるべきことではないと思うし、この点では今後の環境行政にとって極めて重大な問題であると思いますので、この点についてまず御見解をお伺いしたいと思います。
  60. 林部弘

    林部政府委員 お答えいたします。  ひた隠しにしていたのはけしからぬ、こういう御指摘のように承ったわけでございますが、もうこれは既に経過で御存じと思いますけれども、これは一種の未規制物質でございますから、そういうような物質のうちで、ある事業場で相当量使われており、それが周辺排出されている可能性があるという場合には、当然調査をしなければいけないということになるわけでございます。ただ、私どもの立場での権限には限界がございますから、どうしても協力してもらって実際に事業場の中に立ち入ってあちらこちらで測定をしなければいかぬ、こういうような問題もございます。  本件の場合には、そういうことで、県と相談をいたしまして県を通じて委託調査という形で当該事業場の御協力をいただいて調査をした、こういう代物でございます。こういう実態の把握、発生源における排出実態あるいは周辺環境問題というようなものを調べて将来における対策の必要性を判断する、こういうことで、基礎的な資料を得るということを目的としてあくまで工場側の協力を前提にして行っているという調査であることは御存じだと思います。そういう意味ではこれは行政上の内部資料ということで扱わざるを得ない性質のものでございますので、私どもは別にひた隠しにしたということではなくて、そういうような扱いのものとして取り扱ってきた。ただ、調査結果に応じまして、その都度ほっておけないような問題があれば必要な措置を講じていくということでございまして、本件の場合も調査の結果に基づきまして、愛知県の担当部局と相談をしながら追跡調査を行うとか発生源対策等の措置を講じながら現在までに至っている、こういうものでございまして、ひた隠しにしたというようには私ども意識はしておらないわけでございます。
  61. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 企業の協力を得て行ったからとかあるいはベリリウムが未規制であるから、こういうふうに言っても、これは現に国民の命と健康にかかわる問題でしょう。そうである以上、こうした調査協力するのは、逆に言えば私は企業側の当然の義務だというふうに思うわけです。だから、未規制物質をこれから新たに規制をしていこうとしたら、これは当然排出源である工場調査というのは必至ですよ。これはどうしてもやらなければならない必要なものなんです。しかし、そういう環境庁の言い分では、まさに今後未規制物質の規制はできていかないということになるのではないでしょうか。私はその考え方というのはまさに逆さまだと思うのです。どっちの方を向いているかということになると思うのです。いかがでしょうか。
  62. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま局長がいろいろ御答弁申し上げましたが、私は当時はちょっとおらなかったので詳細はわかりませんが、五十五年の調査をやりましたその結果がアメリカ基準に非常に近いものであり、拡散されるということを考えみとアメリカ基準以内ということになるのではなかろうかと思われるような状態であった。しかし、アメリカ基準では、先ほど質問がありましたが、やはり家が近いこともあるからもう少しこれは落とした方がいいのではなかろうか、こういうことからろ過器をさらに強化していただいてその結果を見よう、こういうことになったわけでございます。したがいまして、そういう結果について、被害を起こしておるというようなことがありとすれば、これはもう強行的に差しとめてやらなければなりませんが、そこまではまだないのではないかという判断を当時されたのではなかろうかと思うのでございます。
  63. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣、少し違うのですよ。五十五年に調査をされたときにはアメリカ基準の約十五倍、一日百五十三グラムベリリウム排出されていたのです。一日の排出基準は、アメリカのこの基準では十グラムだったのです。百五十三グラムも出ていたのです。アメリカ基準に近い値だという手合いのものと違うわけなんです。  私がここでお伺いしたのは、未規制の物質を規制していこうと思ったら企業の方の調査からまず始めなければならないのではないか、それを企業の協力を得て調査をしたのだから公表できないのだという言い方だったら、今後未規制物質は一切規制できなくなるのではないか、こんな姿勢では環境行政進むのかということをお伺いしているわけなんです。しかも、十五倍なんですよ。長官、いかがでしょうか。
  64. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答え申し上げます。  排出口におきましての量が〇・一五だったか、後で御報告申し上げますが、排出口における濃度が確かにアメリカ基準を上回っておったのでございます。しかし、それが排出口から構内を出ていくまでの間に大分距離がございますので、そういうことも考えて、これはしかしどうもアメリカのやつを超えているから早ぐる過器をつけてもらわなきゃいけない、こういうことでそういう指導をしたのでございます。したがって、それをつけた結果まだ悪いようでしたら、これはもういけないわけでございますが、そういうことから発表をしなかったということでございます。
  65. 林部弘

    林部政府委員 大臣がアメリカ基準値とのかかわりで発言をされたのは、敷地の中で測定を五十五年当時数点しているわけです。そして、一番高位のところから一番離れたところですね、大体二百五十メートルくらいのところの濃度等を勘案しますと、かなり濃度距離減衰が見られるということで、周辺には影響のあるようなレベルではないであろうと当時判断をした。  それから、大臣が後から申されましたように、しかしながら、先生指摘排出口からの十グラム云々ということから見れば、ハイレベルで出ている。つまり、私ども判断は、確かに敷地内の発生源として見た場合には高いレベルのものが出ていたけれども周辺地域への影響というものを考えた場合には、境界線のところまでの減衰状況から見て周辺には影響はないであろう。ただ、そういうようなことを踏まえて、さらに追跡調査をやってもらうように県の方に指示をした、こういうことでございます。
  66. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大体私の言っていることにちっともまともに答えてくれていませんよ。私、そんなことをいろいろ言っているんじゃないんですよ。もっと単純なことを聞いているのですよ。  未規制物質なのでいろいろと調査をした、企業の協力を得て調査をした、だから公表できない、こう言うけれども、そんなことを言っていたら、未規制物質をこれから規制していくということは物すごく難しくなる一方じゃないか。未規制物質であっても、それは企業の方が排出している以上、やはりその調査協力するのは企業の義務なんですよ。それを公表しないで今日まで来たということ、そういう環境行政姿勢の問題について聞いているのに、そのことにはちっとも答えられない、どういうことなんですか。しかも五十五年、アメリカ基準の十五倍もベリリウム排出されていた。そのことを環境庁が公表されなかったために、どうなんですか、五十七年度、今度は県の独自調査では、一日に実に二百四十五グラムアメリカの二十四倍もふやしたじゃありませんか。そういうことの痛みも感じないで、どうして私の質問をそらすのですか。基本的な姿勢の問題を聞いているわけなんです。はっきり答えてください。
  67. 林部弘

    林部政府委員 先ほどもちょっとお答えいたしましたけれども、私どもはあくまでこれは調査のプロセスの問題である。したがって、内部資料として扱っているということでございまして、ただし、そのプロセスの中で必要な措置はとってきたという考え方でございます。  つまり、五十七年におきましては、確かに先生指摘のように、排出源における濃度というものはかなりのレベルであったかもしれませんが、新たに周辺環境に対する影響というものは、新しい項目として調査をいたしているわけでございます。その限りにおいては、周辺住民に対する影響というものが問題になるようなレベルではないという判断でございましたけれども排出口に関しては、依然として高い濃度のものが排出されているおそれがあるということで、高性能のバッグフィルターをつけるようにという指導をいたしまして、その成果を見るということで、ことしの五月に調査をしている、こういうプロセスがあるわけでございます。
  68. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 本当に困ったものだと思います。ちゃんと私が質問することに答えてください。もう押し問答になりますので、これ以上言いませんけれども、私は、環境行政が今日非常に心もとない状態になっているその一番の根本の問題を申し上げているわけなんです。あくまでも国民の今、健康を守るのだ、公害をなくしていくのだというのが環境庁の仕事ですから、そういう立場で堂々と仕事をしてもらいたい。そして、はっきりと公表することによって国民の協力も得、企業の果たすべき責任を果たさせていく、これが大事な問題じゃないでしょうか。  次に、先ほどおっしゃいました愛知県が今月の十一日でしたか、発表されましたのは、大気調査結果なんですけれども、あの調査は、まず第一に、知多工場のどこの調査をしたのか、全く明らかにされておりません。県側から私も事情聴取をいたしましたけれども、五十五年度の環境庁調査と同じで、つまりベリリウムの銅合金製造工場の四カ所の排出口と述べているわけなんですが、これで間違いありませんか。
  69. 林部弘

    林部政府委員 五十五年と同じ四カ所でございます。
  70. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 県は、この四カ所の排出口からのベリリウムが一日当たり〇・四七グラムだったと述べているわけです。このベリリウム合金製造工場以外にも、この知多工場にはベリリウム排出する工場があると思いますが、この点は環境庁は御存じでしょうか。
  71. 林部弘

    林部政府委員 お答えいたします。  五十五年の調査は、本工場の極めて重要な部分と申しましょうか、主要な排出源となっていると思われる特に酸化ベリリウムを大量に使っているところということで、主要な排出源ということに着目をして調査をしているわけでございますから、当然ベリリウムを含んだものを取り扱う作業場所は、この製造工程以外のところにもあるというふうに考えております。
  72. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうですね。私ども調査では、ベリリウムの銅合金製造工場のほかに金型工場、溶解工場あるいは鉄系金型工場、圧延工場、少なくともベリリウム関係工場が四つあるのですね。そのうちの金型工場や溶解工場は、銅合金製造工場と同じ程度のベリリウム汚染状態であって、特に溶解工場というのには大気汚染防止法に基づいて届け出の必要なばい煙発生施設があるのに、こうしたところは全く測定されていない。私は、こんな一部の測定だけで〇・四七グラムだと言っても余り意味がないんじゃないかと思いますが、どうでしょうか。
  73. 林部弘

    林部政府委員 五十五年の調査のときの製造工程のフローシートを見ますと、溶解還元の一番重要なポイントでありますアーク炉関係は間違いなく測定をいたしておりますし、酸化ベリリウムの粉体にカーボンをまぜまして、それから溶解還元をし、さらに鋳込みをしてベリリウム合金、四%ベリリウム含有量のものに移行していく、そしてさらに銅その他を加えてインゴットをつくっていく、こういうプロセスに対して、それが本工場の一番メーンの排出をしているところということで調査をしたわけでございまして、その関係のところにつきましては、今日に至るまで追跡が行われているというふうに私どもは理解をいたしております。
  74. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 今の御答弁、溶解工場はばい煙発生施設の届け出をしているところなんですがね。そこは測定をしているというふうに解釈をしていいのですか、そこは測定をしていないというふうに聞いたらいいのですか。
  75. 林部弘

    林部政府委員 アーク炉を使って溶解還元をしているところは対象になっていると思います。
  76. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 なっているんですか。そうしたら、その四カ所以外にもあるということですか。そして、それは発表されていないということですか。
  77. 林部弘

    林部政府委員 私どもの理解しております限りでは、五十五年の調査でも五十七年の調査でも今回の調査でも、溶解炉関係については測定をしているというように理解いたしております。
  78. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ベリリウムの銅合金製造工場、そこの四カ所と先ほど答弁があって、そして溶解工場が今つけ加わりましたね。ちょっとそこのところが不明瞭なんです。御答弁は次の質問とあわせてお伺いをしたいのですが、この〇・四七グラムという数字ですね。私がもう一つ疑問を持つのは、そのときの工場の操業状態はどうだったのかな、これがはっきりしていないんです。そして、ベリリウム濃度すら明らかにされていない。濃度を明らかにされていないのですが……。
  79. 林部弘

    林部政府委員 どうも私のお答えしていることと先生のおっしゃっていることと重なっているんじゃないかと思って私はお答えをしていたのですが、操業の状況とか測定状況の問題につきましては、五十五年に調査を委託いたしました時点で、このときに三日間調査をいたしておりますけれども、そのときには測定施設について操業の状況とか集じん装置の場所等細かくきちんと確認をして、操業状態のことを確認した上で何時から何時にどこの集じん装置のどこで取るということを全部セットしてはかるというのが一般的な測定でございますから、操業云々については、普通測定をするときにはそういうことを全部きちんと計画を立てた上でやるというのが一般的に行われている方法なのですから、操業してないときにはかるというようなことは考えられないと思うのですが……。
  80. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 操業してないなんて一言も言っていませんよ。濃度はどうなんですか。
  81. 林部弘

    林部政府委員 先生のおっしゃる濃度というのは、県が今回調査をした結果〇・四七であったということのことでございますか。
  82. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 それはベリリウム排出量でしょう。環境濃度
  83. 林部弘

    林部政府委員 私どもが県から受けました報告では、工場からの排出量として〇・四七グラムパーデーである、それから環境濃度につきましては、周辺環境について七百五十メートル地点と千五百メートル地点につきまして、既に県の方で御報告のあった非常に低レベル数値が私どもの方に届けられているということでございます。
  84. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 私が問題にしているのは、二百五十メートル先、七百五十メートル先、千五百メートル先というのはもちろんよく知っているのです。その排出口の周辺濃度が全く明らかにされていないで、そしてベリリウム排出量だけが言われている。ここのところが大変不明瞭だということを申し上げているわけです。  加えて言いましたら、六月十一日に発表されました今度の県調査ですね。一面、安全宣言にも似た言われ方をしておりますけれども、天候なんかを調べてみますと、前日あるいは前々日に大変大きな雨が降っておりますね。そういうふうなことで、私は堺に住んでいますからよくわかるのですが、雨が降ったら随分大気がきれいになりまして向こうの見通しもよくなるのですね。そういうようなことで、こういう気象状況とのかかわりで見てみても私はいろいろ疑問を持っております。いろいろ過去にアメリカの十倍も二十四倍もベリリウム排出していたけれども、いよいよ集じん装置をつけてもうこれで本当に安全です、世間の皆さん、心配せぬでもよろしい、こういうような言い方は余りにも子供だましにも似た言い方じゃないか。その点で、今度の県の調査というのは私は大変多くの疑問を持っているわけであります。  押し問答になりますのであれですが、きょうは私はそのほか、労働省にお願いして日本碍子の許可申請ですね、プラントごとに許可申請が要る、この労働安全衛生法上の許可の問題についてお伺いをしたかったのですが、もう全く時間がなくなりましたので、これは次に譲ることにいたします。大変申しわけありませんが、次の委員会でぜひお願いをしたいわけです。  ただ、私が最後にもう一点お伺いをしたいことは、先ほどからも出ておりました環境面でもやはり大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法、さらに言えば廃棄物処理法の規制対象にベリリウムを取り入れていくべきじゃないか、このことが非常に大事なことだと思うのですね。例えば半田市なんかでも、日本碍子公害防止協定を結ぼうとしてもアメリカのような環境基準が全くありませんので、大臣、そこのところで大変困るわけなんです。そういうことで、少なくともそういうふうな環境基準アメリカと同じようにつくって、そして住民の健康を守るという責任を全うしてもらいたいと思うのです。  最後に、大臣の御意見をお伺いしておきたいと思います。
  85. 上田稔

    ○上田国務大臣 お答えを申し上げます。  ベリリウムというのを使っております工場は四十幾つありますけれども、多量に使っておりますのはこの日本碍子知多工場でございます。そのほかのところは量が圧倒的に少のうございますので、これが周辺に及ぼす影響というものは今のところないのではなかろうかと私は考えております。先ほどもちょっと中小企業が使われるのじゃないかというお話がございました。お使いになる場合におきましては、これは届け出がございますので直ちにわかってくると思うのでございますが、今のところそういうような状態でございますので、この工場以外にはそういう汚染を起こすところはないというふうに私どもは考えておるのでございます。しかも、この工場排出口から出ております量が今少のうございますので、この安全宣言をされたのでございますが、私どもはその点を考えまして安全であるというふうに考えておりますが、ベリリウムに対するいろいろな被害、アメリカにおいては大変被害が起こったのでございます。したがって、アメリカにおいては基準をお決めになられたのでございます。日本ではアメリカ基準を受けて、それをそのままというわけには、日本として検討しなければいけないのでございますので、基準を決める場合には、相当日本においての知見がないといけないんじゃなかろうかと思うのでございます。その知見が今のところ非常に少のうございますし、被害が今すぐに起こるおそれがないわけでございますので、他のまだ決めておりませんものが、有害物質等がたくさんあるわけでございますが、それと同様に今調査を進めていきたい、こういうふうに考えております。
  86. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 時間が参りましたので、この続きは次回に回します。  ありがとうございました。
  87. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、来る七月三日火曜日午前十時理事会、午前十時二十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会