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1984-05-11 第101回国会 衆議院 環境委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年五月十一日(金曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 竹内 黎一君    理事 國場 幸昌君 理事 戸塚 進也君    理事 畑 英次郎君 理事 福島 譲二君    理事 岩垂寿喜男君 理事 中村  茂君    理事 春田 重昭君 理事 中井  洽君       榎本 和平君    金子原二郎君       金子 みつ君    上坂  昇君       山本 政弘君    斉藤  節君       竹内 勝彦君    薮仲 義彦君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         環境庁政務次官 柿澤 弘治君         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君  委員外出席者         環境庁長官官房         参事官     中島 良吾君         環境庁長官官房         総務課長    杉本 康人君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         厚生省環境衛生         局水道環境部計         画課長     楠本 欣史君         厚生省環境衛生         局水道環境部環         境整備課長   小林 康彦君         農林水産大臣官         房公害環境保全         対策室長    吉池 昭夫君         農林水産省構造         改善局建設部総         合整備事業推進         室長      藤野 欣一君         農林水産省畜産         局畜産経営課長 香川 荘一君         林野庁指導部森         林保全課長   原 喜一郎君         水産庁振興部振         興課長     守矢  哲君         通商産業省立地         公害局公害防止         指導課長    咲山 忠男君         建設省計画局環         境管理官    緒方 啓二君         建設省都市局下         水道部流域下水         道課長     辻  栄一君         建設省河川局水         政課長     青木 保之君         建設省河川局河         川計画課長   陣内 孝雄君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  湖沼水質保全特別措置法案内閣提出第四八号  )      ――――◇―――――
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  内閣提出湖沼水質保全特別措置法案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。中村茂君。
  3. 中村茂

    中村(茂)委員 まず、湖沼環境保全という問題については二つの流れがあると思うのです。一つは、水質保全をどういうふうに高めていくか。特に閉鎖水域においては、最近産業廃棄物生活関連汚水というものによって大変水質が汚染されてきています。これを保全し、より水質を高めていこう。それからもう一つは、湖沼周辺の特に産業活動が盛んになってくる、それから、それぞれの生活が高まってくる、そういう中で自然破壊というものが起きてきている。ですから、水質保全自然環境というものを一体にして湖沼環境保全を保っていかなければならない。こういう状況の中で環境庁が諮問して、御存じの「湖沼環境保全のための制度あり方について」答申をいただきました。  そこで、大臣にお伺いするのですけれども、この答申をどのように評価しているか、お伺いいたしたいと思います。
  4. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、中公審の御答申内容に盛り込まれておりますいろいろな諸施策につきましては、環境行政にとりまして非常に示唆に富んだ有益なものでございます。これはぜひとも実行をしていかなければならないものであると考えております。
  5. 中村茂

    中村(茂)委員 今大臣が言われましたように、非常に示唆に富んでいる、何とか実行していかなければいけない、こういう評価でございます。そういう評価だとすると、今度出ておりますいわゆる湖沼についての保全問題は、私ども聞くところによれば、当初環境庁が考えた湖沼に対しての法案湖沼環境保全についての法案ということで、水質ばかりではなしに自然的環境まで含めての保全という考え方に立っていたようでありますけれども、今回出された法案によりますと、湖沼水質保全ということで水質ということにおさめられております。自然的な環境、言いかえれば、名前すら変わってきてしまった。どうして水質保全のみに限定したのか、その経過と、そういうふうになった考え方についてお伺いいたしたいと思います。
  6. 上田稔

    上田国務大臣 湖沼を取り巻いております環境問題の中で最も深刻なものが、今先生からお話をいただきました水質汚濁進行でございます。この水質汚濁進行というものが非常に深刻でございますので、それを中心にひとつ緊急を要する湖沼対策といたしまして取り上げさせていただいたものでございます。この湖沼法を成立させていただきましたら、その運用と相まって、そうして今答申をいただきました中のほかの項目につきましては、いろいろ現在法律もございますので、それを十分に駆使いたしまして全力を挙げてやらせていただきたい、こういうふうに考えております。
  7. 中村茂

    中村(茂)委員 大臣、先ごろ答申をいただいた「湖沼環境保全のための制度あり方」の第一項に「湖沼環境の現状と問題点」というところがあるわけです。その一番後ろで、「湖沼環境保全を図る上では、湖沼水質及びその周辺自然的環境一体のものとして保全することが肝要である。」一体のものとしてやりなさい、そうでなければ湖沼全体の環境保全は保てませんよ、こういうふうに言っているわけですね。第二として、「新たな湖沼環境保全制度必要性」という項の後段でも、「しかしながら、無秩序な市街地化、湖岸の人工化等進行している湖沼も少なくないので、湖沼の総合的な環境保全の見地から、湖沼周辺自然的環境保全のための対策の一層の充実を図ることが必要である。」こういうふうに指摘しているわけなんです。  いろいろ経過はありますけれどもこういう答申が出て、これは示唆に富んでいる、できるだけ実施していこう、こういうことでありますから、この際湖沼保全に関しての法案提出するということなら、やはり水質と自然的な環境保全ということを一体的なものにした法案でなければ意味をなさない、私はこういうふうに思うのです。ところが、水質だけになってしまった。言いかえれば欠落した法案ではないかというふうに思うのですが、その点はいかがですか。
  8. 佐竹五六

    佐竹政府委員 確かに今先生が引用されましたようなそれぞれの趣旨中公審答申を私どもはいただいておりまして、そのこと自体については私どもも十分尊重してまいるつもりでございます。  ただ、この中公審答申の中でも、先生も既にお読みになっておられると思いますけれども、それでは湖沼周辺環境保全のためにどのような政策手法で対応すべきかという点については、まず、湖沼自然環境保全を図るに当たっては自然環境保全法自然公園法森林法等々、既存の諸制度を活用することが重要であり、なお必要に応じて、湖沼自然環境の持つ水質保全機能及び親水機能に着目した新たな指定制度を設けた、かようなことになっております。政府部内でいろいろ検討した過程におきまして、まず一次的に現在既にある各種制度を活用して対応すれば十分ではなかろうか、かような趣旨からこの湖沼法におきましては二十五条において、「国及び地方公共団体は、この章に定める他の施策と相まって指定湖沼水質保全に資するよう緑地の保全その他湖辺の自然環境の保護に努めなければならない。」こういうふうに規定するにとどまったわけでございます。このような規定を設けた場合には、やはり当面緊急に必要である水質保全ということを法案の名称とすることが適当であろう、かような法律技術的な理由もございまして、御指摘のような法案の姿になったわけでございます。  繰り返して申し上げますが、私ども答申趣旨は十分生かすつもりでございます。ただ、その手段といたしまして既往の制度を使ってやれば一応できるんではないか、その結果として法案の姿と申しますか、題名もやや限定されたような形になったわけでございまして、この間の事情をひとつ御理解いただきたいというふうに思うわけでございます。
  9. 中村茂

    中村(茂)委員 一体的なものとして、そういうベターな方法でいくというのが一番いいけれども、切り離して、自然的な保全についてはこの答申趣旨に基づいて精力的にやります、こういうことならそれなりに私どもも考えていきたいと思いますけれども、こんなものは分けてやったっていいんだという言い方だというと、私どもはなかなか納得できないのです。  水質保全じゃなくて、もともと皆さんの方で環境保全ということでつくった原案も私は見ました。一番先の原案に目を通させていただきました。それによると、この答申の中身がほとんど入っているのですよ、素直に。ところが、今度水質になって、他のところは答申で出ていますから尊重します、こういうふうに言われてもなかなか納得できないわけです。しかし、法案は出ていますから、他の点についてはまだ質問していきたいと思います。  そこで、湖沼閉鎖水域汚濁防止ということについては、冒頭にも申し上げましたけれども有機物による汚濁富栄養化の両面があるというふうに思うのです。この湖沼法をずっと検討してみますと、有機物による汚濁防止に重点が置かれていて、富栄養化の問題、それから、その原因となっている窒素、燐の規制、この点が非常にあいまいだというふうに思うのです。したがって、この富栄養化防止策についての皆さんの対応、それから、この法案との関連を、明確なお答えをいただきたいと思います。
  10. 佐竹五六

    佐竹政府委員 湖沼富栄養化現象につきましては、ただいまも御指摘もございましたけれども、要は湖周辺社会経済活動が活発化することによって産業系あるいは生活系汚水流入し、湖の中に栄養塩類が豊富になった結果、植物プランクトンが異常に発生する、その結果がアオコや淡水赤潮発生というように、さまざまな水利用上の障害をもたらす現象である、かように私どもは理解しているわけでございます。  私ども、従来湖沼につきましても水濁法に基づきまして一般にCOD物質でその流入規制をしてまいったわけでございますけれども窒素や燐が流入する結果、それが内部でいわば有機物質を内部生産するというようなことがあるので、従来の対策ではどうも不十分である、こういうような認識に立ったわけでございます。  さらにまた、その窒素、燐の流入する発生原因について見ますと、一つは、産業系と申しますか、工場事業場からの排水、もう一つは、生活系汚濁でございまして、特に湖沼周辺につきましては、先生も御指摘諏訪湖周辺等におきましても生活系汚濁負荷の割合がかなり高いという状況にございます。前者の産業系事業場あるいは工場等からの排水につきましては排水規制で対応できるわけでございますけれども生活系汚水からの窒素燐等の排出につきましては、これは下水道し尿浄化槽し尿処理施設等施設整備が必要になるわけでございます。  私ども、以上のような認識に立ちまして、まず第一次的には、窒素、燐につきましては水質汚濁防止法を適用することによって、広く、かなりの数の湖沼について窒素、燐の流入規制する必要があるということで、ただいま御審議いただいております湖沼法と並んで、現在、別途中公審窒素、燐の排水規制について諮問をしている段階でございまして、この答申を得まして水濁法に基づく窒素、燐の規制を考えているわけでございます。  一方、湖沼につきましては、先ほど申し上げましたように、産業系汚濁に加えて生活系汚濁もあるわけでございますから、排水規制生活系汚水対策である下水道等整備、この規制事業を車の両輪として進める必要があるわけでございまして、これについて湖沼法の中の水質保全計画に基づいてこれを計画的、総合的に進めていこう、かように考えているわけでございます。したがいまして、窒素、燐につきましても第一次的には、広く、湖沼法による指定湖沼だけでなくその他の湖沼についても、富栄養化しやすい湖沼については水濁法に基づいて規制を行うわけでございますが、さらに必要があればそれの上乗せといたしまして、湖沼法に基づきまして指定湖沼について負荷量規制を行う、かようなことも法律上できるようになっているわけでございます。  以上、るる申し上げましたけれども、要は、窒素、燐については指定湖沼に限らず広く水濁法で一般的に規制措置を講じていく、湖沼法につきましてはその規制措置に加えて事業を車の両輪として総合的、計画的に進めてまいる、かような関係になっているわけでございますので、ひとつ御理解いただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  11. 中村茂

    中村(茂)委員 今のお答えの中に、かなり湖沼について規制という、かなりという言い方があったのですけれども、私どもが承知している限りでは、今審議しておりますこの法案提出過程で、通産省との間に「湖沼について窒素、燐の規制を行う場合は地域を限って規制することの適否を検討する。」こういう覚書があるということを私どもお聞きしているのですけれども、これは何を意味しているのですか。
  12. 佐竹五六

    佐竹政府委員 これは、私ども政府部内の折衝過程でそのような議論が、昨年湖沼法の提案に際して行われたことは事実でございます。  その趣旨と申しますのは、先ほど申し上げましたように、窒素、燐の規制と申しますのは、単に規制措置のみでは目的を達成することができない、同時に生活汚水に対する対策が必要である、これを車の両輪として進めていくべきであるということ。さらに、もう一つ申し上げますと、我が国の湖沼というものについて広く取り上げれば、これはいわゆる沼まで含めれば相当数の、非常に多くの数がある。そのうち特に窒素、燐の規制を必要とする湖沼というのはある程度限定されているのではなかろうか。したがって、そういう特に緊急性の非常に高いところからやっていくべきではなかろうか。こういうようなところから、先生が今読み上げられましたように、ある程度重点的な湖沼について規制していくことがこの水濁法の体系上できるかどうかということから、今お話しのような了解事項が交換されている、かような次第でございます。
  13. 中村茂

    中村(茂)委員 環境問題について、水質をきれいなものにしていこうという問題の中で通産省が物を言って、それで環境庁窒素、燐について規制する場合に一部に絞っていこう。皆さんが本当に環境というものを中心に考えて、今あなたが言われたように、全部といったって一万もあるところは大変だから千三百ぐらいに絞っていこう、環境という立場で純粋に考えてみんなそういうふうになってきたら私は文句を言わないのですよ。ところが、環境の問題と別に関係ないというふうに私は思うのです。しかし、そのもとになる燐、窒素というところへいくと問題が通産省にあるわけです。業界との関係が出てくるわけです。だから、業界の代弁のような形で環境のところへ口を出してきて、皆さんのところでこういう問題が政策で決定されてくるというところに私は非常に不信感を持ちますし、いわば圧力というか、そういうものに環境庁は屈してはならない。そうでなければ環境行政というものは進んでいかない。私は一般質問のときにも申し上げましたけれども、そういう毅然たる態度で臨んでいただきたいということを申し上げておきます。  それから、滋賀県の琵琶湖富栄養化防止についての条例茨城県の霞ケ浦の富栄養化防止に関する条例、これはそれぞれ制定されて非常に水質保全に成果を上げているというふうにお聞きしているのですけれども、こういう条例については環境庁はどういうふうにお考えですか。
  14. 佐竹五六

    佐竹政府委員 ただいま御指摘のありました滋賀県の琵琶湖富栄養化防止に関する条例は五十五年七月一日から施行されております。同じく茨城県の霞ヶ浦富栄養化防止条例は五十七年九月から施行されておりまして、その内容については、工場事業場等に対する窒素、燐の規制、それから、それを排出する施設について届け出あるいはその変更命令、それから有機合成洗剤等の使用についての禁止の措置、それから農業、畜産業魚類養殖業等についての指導、さらに生活雑排水対策、こういうものがその内容になっておるわけでございます。  滋賀県、茨城県等がつとにこのような取り組みをなされたことには私ども大変深い敬意を払っている次第でございまして、この条例相当部分内容については私どもも今回の湖沼法案の中に取り込んでいるわけでございます。また、法律技術的に申しましても、その条例の大部分、特にその規制に関する部分については湖沼法あるいは水濁法上当然位置づけられることになるわけでございまして、その以降、湖沼法が施行されたことによってその条例が矛盾するようなところが出てくるということは特段にはないというふうに判断しておるわけでございます。
  15. 中村茂

    中村(茂)委員 次に進めさせていただきます。  現実にはこの法案が、それぞれの湖沼に対してどういうふうに適用されていくか、もう少し具体的に例を挙げて私は申し上げたいと思うのです。  諏訪湖浄化対策、この問題について説明を申し上げて、この湖沼法との関連についてお答えいただきたいと思います。  諏訪湖浄化対策については六点ぐらい挙げて対応しているわけであります。一点は、流域下水道の普及を行うことによって浄化対策の第一にしているわけであります。二番目には、しゅんせつ事業、三番目、水草除去、四番目は、指定に基づいて環境基準類型指定、これは皆さん指導で行われたわけであります。五番目として、排水規制の強化、これは四十八年三月三十日付の上乗せ排水基準を新設して、既存のものとあわせて実施している、こういう状況であります。六番目として、清掃衛生思想高揚、これはこの周域の町村で諏訪湖浄化対策連絡会議というものをつくってチラシなりポスターなりでそれぞれ宣伝して浄化思想高揚を図って、住民の協力を得て運動として展開している、こういう問題であります。  そこで、具体的にお聞きしたいわけですけれども諏訪湖については、この法案が通れば知事申請があれば指定湖沼になるわけでありますか。
  16. 佐竹五六

    佐竹政府委員 指定湖沼について諏訪湖が果たしてなるかということでございますけれども湖沼法の適用をするための指定につきましては、法律の第三条で、都道府県知事申請に基づきまして、水質汚濁に係る環境上の条件についての基準が現に確保されておらず、また確保されないこととなるおそれが著しい湖沼で、当該湖沼の水の利用状況水質汚濁状況推移等から見て特に水質保全に関する施策を総合的に講ずる必要があるものについて指定する、かようなことになっております。  諏訪湖につきましては、その湖沼の規模、流域の広がり、一般国民の観光としての利用というようなこと全般から考えまして、これはまさに指定に値するものである、かように私どもも判断しているわけでございまして、知事さんの申し出があればその手続をとりたい、かように考えております。
  17. 中村茂

    中村(茂)委員 それから、地域指定というのがありますね。これも諏訪湖に例をとってみますと、諏訪湖は盆地の底にあるような湖水でございますが、比較的浅い、そして川が七本入っていて、その中から出る方は一本で出ていく。今のところはその七本の川のうち二本の川については湖面に水質測定所二つ、それから二本の川についてはそれぞれ二カ所ずつ流域と下流の方に四つ、入り口の水のところで六カ所、出口のところに一カ所、それから湖水の中ではやはり六カ所、それぞれ測定しているわけでありますが、川が七本もあるというように、全体的に川がずっと流れ込んできている。それから湖水周辺温泉街がありまして非常に栄えている。片方、岡谷を中心にして工業地帯がある。それから、川の流域の方へ行くと茅野市というふうに、大きな市や町がある。  そういうふうに考えていきますと、この地域指定というのは、こういう諏訪湖みたいなところに当てはめるとどういう手続、どういう形になるわけでありますか。
  18. 佐竹五六

    佐竹政府委員 まず、地域指定についてでございますが、これにつきましては法律の三条二項で「内閣総理大臣は、指定湖沼水質汚濁関係があると認められる地域指定地域として指定するものとする。」かようになっているわけでございます。さらに、その三項で、特に指定地域の方についてでございますけれども内閣総理大臣は、指定湖沼または指定地域指定しようとするときは、都道府県知事意見を聞かなければいけない。それからまた、知事さんは、その意見を述べようとするときは、関係市町村長意見を聞かなければならない、かようなことになっているわけでございまして、私どもの理解するところでは、関係があると認められる地域と申しますのは、いわゆる集水区域と申しますか、そこに降った雨等の水が全部諏訪湖に流れ込む、その地域が、関係ある地域ということで原則的に指定を受けることになるわけでございまして、その指定をするに際しましては知事さん、市町村長さんの御意見が反映するようになっておりますので、その手続をとった上で、ただいま申し上げましたような集水区域指定地域として指定してまいりたい、かように考えているわけでございます。
  19. 中村茂

    中村(茂)委員 それから、今度の法律によりますと計画を立てることになっているわけでありますけれども、この計画を立てる場合の今申し上げた六項との関係、これはどういうことになるわけですか。
  20. 佐竹五六

    佐竹政府委員 法律の第四条に「湖沼水質保全計画」というのがございまして、指定湖沼及び指定地域が定められたときは、国の定めます水質保全基本方針に基づきまして、五年ごとに、当該指定湖沼につき湖沼水質保全に関し実施すべき施策に関する計画知事さんは定めなければならないことになっているわけでございます。その内容といたしましては「湖沼水質保全に関する方針」「下水道及びし尿処理施設整備しゅんせつその他の湖沼水質保全に資する事業に関すること。」「湖沼水質保全のための規制その他の措置に関すること。」それから、その他「湖沼水質保全のために必要な措置に関すること。」かようなことになっているわけでございまして、先ほど御指摘のございました流域下水道計画あるいはしゅんせつ事業、それから水草除去等水質保全に関する事業等、長野県におかれて現に講じられている対策につきましては、いずれもこの湖沼水質保全計画の柱になるわけでございまして、これにつきまして、この事業はそれぞれの法令に基づいて遂行することになるわけでございますが、湖沼法の二十七条では、この水質保全計画に基づく事業を円滑に実施することができるように、国は、地方公共団体に対し必要な援助を行うように努めなければならない旨の規定が入っているわけでございます。  環境庁といたしましては、この規定趣旨にのっとりまして、技術的な助言、資料の提供等の可能な限りの援助を行っていく所存でございますし、また関係省庁に対しましても、例えば事業実施の過程での事業の優先採択等の協力をしていただくように要請してまいる考えでございます。  この水質保全計画につきましては、知事さんがこれを決める際には内閣総理大臣が同意をすることになっておりまして、その同意に際しましては公害対策会議の議を経るということで関係各省間で十分詰めることになるわけでございますので、現に長野県でやっておられる施策につきましても、地方公共団体、国、それも環境庁だけでなく広く事業関係省庁も含めたコンセンサスに基づきまして、諏訪湖浄化対策が進められることになるのではないか、かように私ども考えている次第でございますし、また、そのように努力してまいりたい、かように覚悟している次第でございます。
  21. 中村茂

    中村(茂)委員 そうすると、この法律は、今やっていることをそのまま認めて、あと国の援助というのはチラシなりを配ったり指導したり、そういうことで、この法律ができて指定になり、計画ができて、それで皆さんの方でこの計画で行こうというふうになって、あとこの浄化対策に何がメリットがあるのですか。
  22. 佐竹五六

    佐竹政府委員 まず、水質保全計画を策定するに際しまして必要な都道府県の要する経費でございますけれども、これにつきましては、特に重要な湖沼につきましては今後の計画策定の一つの手法を開発するというような意味で、その調査費等について環境庁で予算措置いたしまして、これを都道府県に委託するということをまず一つ考えておるわけでございます。  それから、事業関係につきましては、ただいま御指摘もございましたし、先ほどお答えもいたしましたが、現在実施しております各法令等に基づく各省の事業にお願いするわけでございまして、その事業の補助体系に従って助成が行われることになる、かようなことになるわけでございまして、この水質保全計画をつくりましたことによる直接メリットと言えば、その湖沼水質保全のための諸事業について優先的に各省で採択していただく等の御配慮をお願いする、裁量していただける、さようなメリットがあるというふうに私ども考えているわけでございます。
  23. 中村茂

    中村(茂)委員 建設省来ていると思いますけれども、ちょっとお聞きいたします。  先ほど申し上げました諏訪湖流域下水道整備事業というのがあるわけですけれども、これは広域下水道、昭和四十六年から着工いたしまして、ことしでちょうど十三年たつわけであります。完成予定は七十年ですからこれからまだ十二年ある。二十五年計画で実施されているわけです。ちょうど十三年たった五十九年の三月、ことしでこの事業費に対しての進捗率、これは広域下水道の方が四九・二%、それに伴う関連公共下水道、これは三市一町で行っているわけですけれども、その合計の進捗率が二九・八%、両方合わせて進捗率は三八・八%、こういうことであります。なるほど流域下水道の方は、まあ半分ぐらい行っていますから半ば行っていますが、公共の方はまだ進んでいない。  そこで、具体的にお聞きするのですが、先ほど環境庁の方からもお答えがあったわけですけれども、優先的にやっていただける。しかし、補助体系は今の体系に従って、こういうことですが、この法律が通って、指定になり、計画ができてくると、建設省とすれば、この法律指定になったことによって優先的にやるとか、この計画が早まるとか、そういう対応をするお考えなんでしょうか。
  24. 辻栄一

    ○辻説明員 お答えします。  建設省といたしましては、従来から湖沼等につきましては、先ほど来お話がございますように、富栄養化問題とか水質汚濁関係が非常に問題でございますので、重点的に整備をしようという考え方で進んでまいっておりますが、何分全国的に見ましても、まだ五十七年度末で普及率が三二%というふうに全体的に低い状況でございます。そういう中で重点を置いてやっているわけでございますが、この法律指定されるとしましたならば、この法律趣旨にのっとりまして、なお一層重点的に整備を促進してまいりたいというふうに考えております。
  25. 中村茂

    中村(茂)委員 環境庁にも建設省にもですけれども、やはりせっかく法律ができて、指定になったらそれなりの成果が上がるよう、それぞれの関係省庁環境庁中心になって積極的な努力をひとつお願いしておきたいというふうに思います。  なお続いて、建設省と、これは環境庁も入りますが、この法案がそれぞれの省庁の調整過程環境庁水質保全局長と建設省の河川局長と都市局長折衝が行われた際に、建設省側が水辺環境保全条項に対して、湖沼周辺環境保全に関しては、都市計画法または河川法、こういう既存法律があるので、その対応で十分だ、こういうことで冒頭私が問題にした原案よりもこの条項が削られている。そして、確かに条項は入っているけれども訓示規定になって、努力規定だ、こういういきさつがあったということが事実かどうかということと、果たしてこれで対応できるかどうかということを環境庁、それから建設省の方は都市局の関係、河川局の関係、それぞれお答えいただきたいと思います。
  26. 佐竹五六

    佐竹政府委員 御指摘の点につきましては、先ほどもお答えして繰り返しになりまして恐縮でございますけれども中公審答申自体におきまして、まず都市計画法あるいは自然公園法既存法律を活用することが大事であり、さらに必要に応じて新たな地区指定制度を設けることを検討すべきである、こういう答申をいただいたわけでございまして、私ども政府部内では、この答申趣旨に即して建設省、それから農林水産省等と検討したわけでございまして、その限りでは、先生の御指摘は事実でございます。  次に、それでは果たして既存制度で十分やれるかどうかということでございますが、私どもも、実は主な湖沼について現在各種法律指定状況等を調べてみたわけでございますが、相当部分、何らかの形で従来の既存制度でカバーされているわけでございまして、これらの制度を的確に運用し、特に先ほどお話のございました、新しく設けられました湖沼法二十七条の精神も、これは訓示規定ではございますけれども、尊重いただいて運用するならば、十分目的が達せられるのではないか、かように考えたわけでございます。
  27. 緒方啓二

    ○緒方説明員 建設省の湖沼法に係ります水質、それから自然環境保全に関します考え方をちょっと御説明申し上げたいと思います。  湖沼水質の浄化が緊急かつ非常に重要な課題であるというようなことは私どもも重々承知してございます。また、先生指摘のとおり、湖沼をめぐります自然環境保全、これがまた重要なことであることも十分承知いたしておるわけでございます。  ただいま環境庁局長の方から御説明ありましたように、環境庁との折衝の過程におきましては、建設省としては、既存各種制度を活用することによってそのあたりの自然環境保全、これは十分確保していけるのではないかというようなことで折衝を重ねてまいったわけでございます。  具体的に申し上げますと、都市局関係につきましては、いわゆる都市計画法が柱になるわけでございますが、都市計画法に基づきます風致地区制度あるいは都市緑地保全法によります緑地保全地区の活用、あるいは御存じのとおり公園制度もございますし、あるいは河川局関係になりますと、いわゆる河川法に基づきます河川区域、これは湖辺が入る場合は湖辺も当然対象になってまいりますが、河川法によります適正な河川管理の実施、あるいはちょっと形は変わってまいりますが、面的な管理という意味で、公有水面埋め立てに関しましては、公有水面埋立法によります環境保全への配慮というようなことで指導したりしてまいっておるわけでございます。  このような制度を十分活用してまいりますれば、御指摘のような問題につきましては、私どもは私どもなりに十分対応していけるのではないかというように考えてまいっておるわけでございます。  以上のようなことでございます。
  28. 中村茂

    中村(茂)委員 いろいろ項目について質問してきましたけれども大臣にお伺いしたいのですが、先ほども言いました答申では、特に項目を設けて、「財政的措置」ということで取り上げているわけであります。非常に大事なところですから、そのまま読み上げてみたいというふうに思うのですが、「国は地方公共団体に対し、財政上できる限りの援助措置を講ずべきであり、また、国及び地方公共団体事業者等に対し、金融、税制上の助成措置を行うよう努める必要がある。特に、生活排水対策としては下水道整備等のより一層の促進が基本であるが、下水道整備又は未計画地域における家庭の雑排水を含めた生活排水処理対策に何らかの援助を与えることも考慮すべきである。」言いかえれば、国は地方公共団体に財政的な援助をできるだけしなさいよ、国、地方公共団体は、それを行うところの事業者に金融措置、税制措置を行いなさい、生活排水下水道、こういうものについても相当の援助を行ってやっていきなさい、援助規定を強く要求しているわけですね。  ところが、今度の法案では、国の援助という程度で、先ほどもお話ありました、せいぜい計画を立てるときの経費が、あとみんなに周知する宣伝ビラくらいなもので、こういう基本的なものについては先ほどからやりとりしていますように既存の補助または優先的に扱うということ以外には出ていないわけですね。  そこで、この法律が施行されていくということなら、それなりの環境保全が進むという実態が出てこなければ実質的に法律をつくった意味はないと思うのですね。ですから、そこら辺のところは、先ほども何回か繰り返していますけれども環境庁中心になり、それぞれの省庁が協力し合ってこの実効を上げていくという体制をつくっていただきたいというふうに思う。そういう意味を含めて、大臣にひとつお答えいただきたいと思います。
  29. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先生指摘のとおり、この計画でございますが、この計画に基づいて実施をされる事業に対して財政上の優遇措置を講じてもっと強力にやるようにすべきであるけれども、それができておらないということなので、それではどういうふうにしてそれを率先してやれるようにするか、こういう御質問であろうかと思うのでございますが、この優遇措置ができますとそれは非常に促進をするのでございますけれども、今回立てさせていただきましたこの計画は、五年ごとに知事さんが計画を立てて承認を受けていただく、こういうことになるわけでございます。そうして、河川管理者にはもちろんその内容を十分に承知していただき、また各省の方にもその計画につきまして承知をしていただく、こういうことになるわけでございますので、例えば五年間でしゅんせつはどの程度にやりますという数値が出てくるわけでございます。そうしてまた、この範囲のしゅんせつをやります、また水草につきましては、この程度の地域をいつまでに除去するようにいたしますとか、あるいは今の流域下水道は五年間にこの程度に進めます、そういう計画計画にのってくるわけでございます。したがいまして、それを各省の方も承知をしていただいておりますので、予算の重点配分をその点にひとつお願いをいたしたいということで、環境庁の方といたしましても関係省庁への要請をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  30. 中村茂

    中村(茂)委員 諏訪湖について東大の社会心理学の研究室、それから信大の諏訪湖についての実験所、この両者で世論調査、住民調査をしたわけであります。昨年の三月に行ったわけでありますけれども、それによりますと、諏訪湖の現状についてという問いに対して、非常に不満だ、これが四六・三%、やや不満だ、四二%、九〇%に近い人が諏訪湖の現状について不満の意を表明しておるのです。そのほか幾つかとってありますけれども、その一番大きな理由は、非常に湖水の水が汚れて汚くなってきている。それから、水辺について情緒がなくなってきて、湖水へ行って眺めてみるような気になかなかなれない、こういうのが非常に大きな理由で不満が出てきているわけですね。  こういうものに対してどういう努力をみんながしていくべきかということについては、やはり広域下水道の処理施設を完備して、整備して早くやってもらいたい。それから、合成洗剤の使用、こういうものについてもみんなで協力しなければなかなか湖水はきれいにならないじゃないか、こういう人が、前半の広域下水道の方が五三・一%、それから合成洗剤の方が二三・一%というふうに、相当住民意識についても関心を持ってきているわけなんです。ですから、これからの行政についてもこういう点を十分参照していただきたいというふうに思います。  最後に、前のときも質問したわけでありますけれども環境影響評価法、環境アセスについて大臣も何回か、この国会に再度提案します、こういうふうに言ってきたわけでありますけれども、二十三日でこの国会は終わるわけです。恐らく会期延長もないのじゃないかと思いますが、もう出す時期はなくなりました。今の心境はどうなんですか。
  31. 上田稔

    上田国務大臣 アセス法案につきましては、私ども、なおこれはぜひとも出さしていただきたいということで、各省の方に現在も折衝をいたしております。正式の回答はまだ来ておりませんが、いろいろ御議論もあるのでございます。また、与党の方の政調関係の方におきましてもいろいろ御議論がございます。そういう調整をとっていただきたいということで懸命になって、二十三日にはぜひとも審議を終えて成立をさしていただきたいと念願をいたしております。
  32. 中村茂

    中村(茂)委員 ここに五十九年版の環境六法があります。これは五十九年二月十五日発行というわけであります。今まで国会に出されていた環境影響評価法案が参考資料としてここの一番最後に載っているわけですね。ここに括弧して書いてありますように「昭和五六・四・二八内閣提出 第九十四回国会閣法第七一号」、これは廃案になったのです。国会に出ているのじゃないですよ。これを幾ら参考資料だといってもこういうところに載せておくということは私はどうしても納得できないですね。まあ通っていないけれども、今この委員会にこの法案があって、それで参考にこの法案が出ていますということで括弧書きのように「閣法第七一号」ということで案で載せてあるというならまだ――これは去年廃案になったのです。二月というのはことしですから、その後出たのです。私は正直に言って、大臣は責任感の強い人ですから、言っているとおりこの国会に恐らく出てくるだろう、出てくれば、国会にあれば参考ぐらいはいいんじゃないかと思って今まで黙認してきたわけですけれども、いよいよここまで来れば、これを削除してください。
  33. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  大変恐縮でございますが、実は、環境六法というこの冊子は主に環境関係の実務家を対象に市販されておる法令集でございます。役所ではございませんという点をまずお断りしなければなりません。  参考資料の点についてでございますが、これは国会に提出されていたということもあって登載をされたのであろうことは確かだと存じますけれども、廃案になったらもう載せないとかということでなしに、実務家の参考としてということでございますので、その辺は願望とか気持ちとかというのはまた別にいたしまして、ひとつ御理解賜りたいと思うわけでございます。これを削除というのはちょっと今私どもの方で直接またそうするわけにもまいりませんが、ひとつ御理解賜りたいと思います。
  34. 中村茂

    中村(茂)委員 私は削除と言ったけれども、別に削除する必要もないけれども、しかし廃案になったわけですよね。それで、監修はするわけでしょう。廃案になった法案を参考といって載せる、これは本当に国会をばかにしている話ですよ。だから、別に削除することはないけれども、やはり法案の扱いはもう少し厳粛に受けとめてやっていただきたいと私は思うのです。廃案になったものを幾ら参考だといってもこれに載せて、またそれが正しいような言い方をされちゃ、こっちがたまった話じゃない。忠告しておきます。  以上で終わります。
  35. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、岩垂寿喜男君。
  36. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 湖沼法とアセスメント法案というのは非常に深い関係がありまして、理事会、委員会でも大分議論をしてまいりまして、私ども政府原案に賛成をする立場ではございませんけれども環境庁長官やあるいは中曽根内閣の環境行政に対する一つの何か取り組みのバロメーターみたいな意味で、この国会にアセスメント法案環境影響評価法がどういう形で出てくるんだろうかというふうに私ども待ち受けていたわけでございますが、三月の長官とのやりとり、かなり時間が過ぎておりますが、その後実を結んでおりませんし、国会の会期は二十三日ということでございますので、もうあと十幾日しかございません。私なりに、自民党の諸先輩もおられますけれども、この衝にある、責任のある、あえてお名前を申し上げませんけれども皆さんともお話をしたことがございます。非常に難しい状況にあるということを私なりに受けとめざるを得ません。  率直に申しますけれども、今国会の会期、つまり五月二十三日までに出てくる可能性を私たちは難しいと判断いたしますが、長官、どのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  37. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  環境影響評価の問題でございますが、これは三年前に法律案として出させていただいたのでございますが、その以前から、またその後も各府県また大きな市におきましては、そういう法律がまだ通っておりませんので、決めていただいておりませんので、実際上アセスを大きな事業あるいはまた企画をやるときにはやらなくちゃいけないということから、条例または要綱というような形でこのアセスを実施しておられる、お決めをいただいておるのでございます。また、関係省におきましても手続をお決めいただいて、そしてアセスの実施ということをおやりいただいておるのでございまして、その数が今二十五県に及んでおるのでございます。そして、その内容を拝見いたしますと、その手続がいろいろばらばらになっております。したがいまして、このばらばらになっておりますものをやはり秩序のあるものにしなければいけないのではなかろうか、環境庁といたしましてはそういう考え方法案を実は出させていただいて、廃案になったのでございますが、これはああいうことで廃案になったわけでございますので、これはまたぜひとも出させていただきたい、こういうことで実はお願いをしておりますが、各省におきましてはまだ正式には御回答はいただいておりません。また、自民党の各部会の方におきましても今いろいろ御討議をいただいておりますが、まだ結論はいただいておりません。  こういうふうにして、先生の御指摘のとおりだんだんと期日が迫ってまいりますので、これはやはり政調の方で何か結論を出していただかなければいけないのではなかろうか、こういうことで今お願いをいたしておりますけれども、私は二十三日に対して成立の望みをまだ失っておりません。今国会には何とか成立をさしていただきたいと念願をいたしております。
  38. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 念願と実態とはかなり乖離がございまして、長官の御努力にもかかわらず、むしろ二十三日というのはもう無理だという判断を私は持たざるを得ません。  率直に言って、どうですか、ここまで来て、念願をいたしております、努力をいたしておりますと言われても、私どももこれに対する対応というものをそれなりに考えざるを得ませんし、我が党も実は提案をいたしておるわけでございますので、それらの扱いも含めて、今後の審議のあり方などに関連もございますので、長官、率直に言って、難しいとお考えになっていらっしゃるでしょう。その辺はどうですか。
  39. 上田稔

    上田国務大臣 まだ望みを失っておりません。
  40. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 政治家というのは大変無責任だと思うのですね。前向きに善処しますというような答弁と同じように、望みを失っておりません。それは、あなたにとってみれば、望みを失っていないでしょう。私が尋ねているのは、二十三日というのはもう物理的に日程がないわけですよ。私なりに政調の作業みたいなものについても、間接的ではございますが、承っております。それらも含めて、会期というものと我が党の提案との関係もございますので、くどいようですが、それじゃ、やれると思っていらっしゃいますか。その望みというのは、物理的可能性のことを前提にしておっしゃっておられますか。
  41. 上田稔

    上田国務大臣 今国会におきまして成立を期するべく、努力をいたしておるところでございます。
  42. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 今国会、延長なんて動きもございますから、問題は、今会期中に一体どのような御努力をなすって、どのような結論が得られたかということが一つのバロメーターだと私は思っていたわけです。ところが、今日に至るもいまだに三月の御答弁と余り変わらない、一つも進んでいない。党内情勢もさることながら、進んでいないという状態を私は受けとめざるを得ません。その点はその点で、私たちはこのアセスメント法案というものと湖沼法というのは一体のものだ、いわば本法と技法みたいな意味を持っているという表現を使った方もおられますが、そういうことで見詰めてまいりましたけれども、そういう事態にもかかわらず湖沼法の審議に入らざるを得ない。大変遺憾だと私は思うのです。  そういう点で、環境庁長官がどういう御努力を最後に二十三日までになさるおつもりがあるのか。例えば、政調会長に会ってどうするというようなやりとりをなさるおつもりがあるのかどうか。特に、総理を含めて、これは中曽根内閣の政治的な立場、責任の問題でもありますから。
  43. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  だんだんと期日が迫ってまいりますので、今お話しのとおり、そういう方面につきましては私の方も意見を申し上げて、御意見を承ろうということでいたしておりますが、まだ、国会で答弁をしております今までの状況のとおりでございます。
  44. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 いろいろやりとりしても仕方がありません。  ちょっとテーマは違いますけれども、実は日本政府が提案をいたしまして、今度国連に環境特別委員会が発足することになりました。大来先生委員になられることだそうですが、これは新自由クラブの河野洋平さんが本会議で提案をいたしまして、私ども自然保護議員連盟で、私自身も予算委員会で大臣にあるいは関係筋に働きかけてきた経過もございますので、質問をいたしておきたいと思うのですが、この環境委員会に日本としてどんな態度でお臨みになるのか。例えば、討論をなさる、あるいはそこで議論をするテーマみたいなものについて日本案のようなものをお持ちかどうか。お持ちであるならば、そのことを教えていただきたい。
  45. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 お答えいたします。  ただいまお話ございました国連の環境特別委員会、これは諸先生方のかねてからの御努力のおかげによりまして、幸い昨年の暮れに国連総会において設置が決まったものでございます。大変有意義なことだと思っております。  さて、今後の動きにつきましては、実はちょうど今月の明日、明後日あたりには開かれるはずでございますが、準備会合が開かれることになっておりまして、具体的な発足はそのあたりからになるかと思いますけれども、審議の開始は恐らく夏から秋にかけてから動き出すというような状況におかげさまでなっております。これは幸いにして我が国が――我が国だけではございませんけれども、リーダーのトップに立たせていただいて、晴れがましいことに相なったと非常にうれしく存じておるわけでございますし、御協力に感謝申し上げる次第でございます。  ただ、その中で、いかなるテーマかというのは、今ちょっと申し上げました準備会合において、国際機関でございますので、そういうところでいろいろ定められ、あるいは相談されていく。御承知と存じますが、我が国からは大来元外務大臣が御出席になられる、準備会合そのものにも御出席になられる予定と承っております。  テーマは、先生十分御承知でございますので、るる申し上げませんが、地球的規模のお話でございますので、具体的なものとしていろいろ言われておりますものは、砂漠化の問題でございますとか、あるいは熱帯林の現状及び将来並びにそれについてどういう手を打つべきであるかとか、さらに発展して、一酸化炭素問題の現状及び将来というようなテーマ等々があり得るかと思っております。  いずれにしましても、日本国は言い出し役でもございますので、非常に重大な決意を持って臨まなければならないとは考えておりますが、またそれだけに、当初からあれこれというふうに全部詰め切って臨むというのも国際機関の運営の円滑のためにはいかがかということもありまして、大来先生中心に、場合によりますと委員会の委員長、副委員長ともいろいろな諸準備もしまして、リード役を努めなければならないという立場でございますので、重大な関心及び熱意を持って臨むことは確かでございますけれども、具体的にあれこれというのは今ちょっと、全部詰め切っておるという状況ではございませんので、御勘弁いただきたいのでございます。先ほど二、三並べましたような話題は当然に出てくるであろうと想定いたしております。  事務的なお話で恐縮でございますが、よろしくお願いいたします。
  46. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これはお願いなんですけれども、日本が言い出しっぺで、いわば環境外交の非常に大きな役割りを果たそうとなさっていらっしゃるわけですから、環境庁だけでなしに政府部内、やはり大来先生をできるだけバックアップできるような、そういうシステム、体制をぜひ早急に整備していただきたいと私、思うのです。と申しますのは、自然保護議員連盟というのもございまして、超党派でございますけれども、今度再発足をしようと思っております。そこでもやはり大来先生の御活動をバックアップできるような超党派のある種の仕組みみたいなものも考えたいというお話し合いもしているところでございますので、大臣、ぜひその点は、せっかく日本が言い出して、しかもお金の面も負担をして、そして国際的な日本の環境政策のいわば反省と成果みたいなものを世界の人たちにも知ってもらいながら、これからも積極的に対応していく必要があろうと思いますので、大臣の御答弁を煩わせたいというふうに思います。
  47. 上田稔

    上田国務大臣 いろいろと御配慮をいただきまして、本当にどうもありがとうございます。そういう委員会、協議会と申しますか、それをぜひともおつくりいただきまして、バックアップをしていただきますようにお願い申し上げる次第でございます。
  48. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 お願いだけじゃなしに、環境庁内部の方のことも言ってもらわないと困る。
  49. 上田稔

    上田国務大臣 私どもの内部におきましても、そのバックアップ体制、これは内閣の方にも働きかけていろいろ考えさせていただきたい、検討させていただきたいと考えております。
  50. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 華々しい国際環境外交は大変結構でございますが、アセスに見られるように、足元の方がしっかりしていませんと、国際舞台で胸を張って物を言うこともなかなかできなくなりますので、そういう点での一層のお取り組みを、世界の模範になるような御努力を賜りたいものだというふうにお願いをしておきたいと思うのです。  湖沼法に入る前に、環境庁にとって中央公害対策審議会とは何かという問いを私は今改めてせざるを得ない感じがするのです。これは恐らくこれから御質問いただく野党の皆さん、みんな共通だと思うのです。中村先生も言われましたけれども、都合のいい部分については食い逃げをしてみたり、あるいは都合が悪くなると無視するというか、言いわけをしてその部分は地ならしをしてしまう。それから、これはかねてから問題になっている、例えば公害の被害者というか、公害病の認定を受けて苦しんでおられる方々やその代理人を中公審に入れてほしいというふうに何ぼお願いをしても、かたくなにこれを拒否しておきながら、一方で、どちらかと言えば加害者と言われる方々をいろいろな肩書きで入れていくというようなやり方というのはやはりどうかと思うのですが、一体環境庁にとって中央公害対策審議会とは何なのか。そして、その答申というものはどんな重みを持って受けとめておられるのか、極めてプリミティブな発言ですけれども、ぜひ誠意のある答弁をいただきたいと私は思います。
  51. 加藤陸美

    ○加藤(陸)政府委員 お答え申し上げます。  中央公害対策審議会の法律上の位置づけとかそういう点につきましては、もう先生十分御承知の上の御質問と存じますので、あえてその辺の御説明は省かせていただきますが、これは環境庁の附属機関ではございますけれども内閣総理大臣の諮問に応じ、または環境庁長官あるいは関係大臣の諮問に応じて、公害対策に関する重要事項を調査審議する、こう相なっております。そこで十分御審議、御検討をいただきまして、御答申ないしは御意見をいただくということになっておるわけでございまして、その御答申ないし御意見については、環境庁のみならず、総理大臣の諮問の場合には内閣全体になりますけれども、これは尊重していくべきことは当然のことでございます。  個々の事項につきまして今一、二例示を挙げられまして、そのとおりになっていないケースがあるではないかという御叱責と存じます。確かにそういう問題点がないとは申し上げられませんけれども、これは私どもの力不足の関係、あるいはそのほかの全体での調整という問題もまた環境庁としてはどうしても考えて実施に移していかなければならぬという立場でございますので、その辺のところの問題はあろうかとは存じますけれども、基本的に尊重をしていくべきであるという点につきましては先生指摘のとおりだと存じます。
  52. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 釈迦に説法ですけれども、公害対策基本法の位置づけの中にきちんとしているだけでなしに、会長は内閣総理大臣の任命なのですから、環境庁はその庶務を扱うわけですから、答申というのは内閣全体として謙虚に受けとめていく、これが当たり前のことだと思うのです。もうそんなことを申し上げませんけれども、どうも中公審答申というものが御都合主義的に取り扱われているという点をここずっと指摘せざるを得ないわけでして、今御答弁いただきましたけれども中公審答申の重さみたいなものを、国民にとって都合の悪い部分だけ一生懸命で押しつけるのではなしに、やはり政府や業界に対しても痛みを分かち合う配慮と努力というものは当然必要だと思うのです。だから、それ以上私は中公審のことを聞きませんけれども、その点でぜひ御反省を願いたい、こういうふうに思います。  五十六年一月に、中公審で「湖沼環境保全のための制度あり方について」という答申を得たわけですが、それと湖沼水質保全特別措置法との違いはどこが違うかはっきり教えてください。
  53. 佐竹五六

    佐竹政府委員 中公審答申法案内容でございますが、第一点といたしましては、法律の目的ないしそれを受けました法律の名称でございます。中公審答申では、すでに御指摘のございましたように、湖沼水質及びその周辺自然的環境一体のものとして保全する観点から、湖沼環境保全のための制度が提案されておるわけでございますが、これに対してこの法律では、第一条をごらんいただきますと、要するに水質に限って「特別の措置を講じ、もって国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。」ということで、目的が限定されている点が第一点として違っているわけでございます。  それから、第二点といたしましては、指定地域内の新増設の工場事業場に対する規制あり方でございますが、これについて中公審答申では、これらの施設等の設置については許可制を導入することが適当である旨の答申をいただいたわけでございますが、この法案では、汚濁負荷量の増大を抑制するために特定施設の新増設について汚濁負荷量の規制基準を設ける、それから、この規制基準を確保するために、現行の水濁法による新増設計画の届け出を前提にして、都道府県知事計画変更命令等を行い得るということで、届け出と変更命令という仕組みをとったところでございまして、この点が第二点として違うわけでございます。  それから、第三点でございますが、湖沼環境保全についてでございますけれども、これについては、答申におきましては既存制度をまず活用すべきである、なお必要に応じて新たな地区指定制度というようなものを設けることを検討すべきであるという御答申をいただいているわけでございますが、この点につきましては私ども検討した結果、現行諸制度の活用をもって対応すべきである、この点は必ずしも中公審答申と異なるというわけではございません。答申自身も「検討すべきである。」というわけでございますから、異なるというわけではございませんけれども、そのような姿になっているということをあわせて申し添えておきたいと思います。  以上三点について、法案内容答申との関係について御説明した次第でございます。
  54. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 佐竹さん一生懸命で既存法律という法律の名前を並べて、活用が重要であり、「なお必要に応じて、」以下云々というふうに言っていますが、それでいいならなお書きは要らないのですよ。そして、既存法律でいいならば、皆さん中公審に諮問なさる必要はないのですよ。しかし、それで不十分だから――それだけではないけれども、不十分だから御答申を願ったわけでしょう。そして、こういう言い方があるわけでしょう。しかも、一生懸命で、佐竹さんはお読みにならないけれども、「地区指定制度を設け、木竹の伐採、土石の採取、土地の形質の変更、工作物の新築等、一定の行為を制限できるものとすることも検討すべきである。」こうなっているわけでしょう。この検討というものはどっちでもいい検討じゃないのですよ。こんなことは百も承知で、あなたは一段とランクをつけて、こう言っているからこっちだけやったのだ、こっちの方は答申の中では余りウエートはかかっていないのだという見方というのは、余りにも三百代言的だというふうに私は言わざるを得ないのです。この部分だけでは不十分だから、つまり、環境庁長官もさっき言われたけれども既存法律を駆使してとおっしゃったけれども、そういうことではなくて、そういうことに十分な配慮をした法律の体系つまり制度という発想なんですから、ここは基本的に大きな問題があるというふうに私は言わざるを得ないのです。  それで伺いますが、環境庁は当初やはり中公審答申というものを生かす方向で、原案と言えるかどうかは別として、一つの素案をおつくりになったことは事実ですね。
  55. 佐竹五六

    佐竹政府委員 これは政府部内の検討の過程の問題でございますが、私ども率直に申し上げまして、この答申を受けまして、その答申どおりの案を作成した時期がかつてあったことは御指摘のとおりでございます。
  56. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 環境庁原案をおつくりになった、それで討議の過程でこういう形になってきたという経過を押さえておきたいものだというふうに思います。私ども環境庁原案を修正案、社会党案で出したいと思っていますから、そのときは環境庁皆さんの御協力をいただかないと話が筋道が通らなくなりますので、それは余談ですけれども申し上げておきたいというふうに思っているところです。  それで、大臣きょうおられますけれども、天野等議員がこの間本会議趣旨説明の際に質問したこと二点だけ、後ほど天野さんも御質問をする機会がございますから私余り触れませんけれども、きのう議事録を起こしてみましたら、このように湖沼水質汚濁が一刻の猶予もならない状況にあることにかんがみまして、緊急を要する湖沼水質保全特別措置法案提出した次第です、これは応急の対症療法だと言われるような御答弁になっているわけです。天野さんの、今言った中公審答申部分をなぜ入れてやらなかったという質問に対して、応急の、応急とは言っていませんけれども、一刻の猶予もならない状況にかんがみ、緊急を要するというふうに書いてあるわけです。  そうすると、緊急の対応と、それからやはり抜本的な対応というのを、この法律を直していくことを含めてお考えになっていらっしゃるということですか。それは大臣の答弁です。
  57. 佐竹五六

    佐竹政府委員 まず、事務的にちょっと……。
  58. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 事務的じゃない、大臣の答弁です。
  59. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  まず、今の現況におきまして、やはり水質汚濁ということが一番大きな問題であるということからこの法律を出させていただいたものでございまして、また、いろいろその後状況が変わってまいりますと、そのときにはまたいろいろ御検討をいただくというようなことになるのではなかろうかと私は考えております。
  60. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 その点は天野さんの御質問に、「例の五十六年の一月の中央公害対策審議会答申指摘されました自然環境を含む湖沼環境保全を図るためには、これは、このために自然環境保全法また自然公園法等の現在も行われております諸制度を積極的に活用を図ってやらせていただく、非常に重要であると考えております」と言って、天野提案を受けて、その上に「環境庁といたしましても、湖沼環境保全のために必要な措置が講ぜられるよう、今後ともまた努力をさせていただきます。」と申されています。ここは水質保全じゃないんですね。  だから、やはりこの法律というものが、率直なところ、いろいろいきさつがあってこういうことになったけれども、本音は環境庁原案と言われるものを含めて、中公審答申のところが理想的な姿であるということをお認めになっていらっしゃるからこういう御発言が出てくるのだろうと思うのです。特にさっき佐竹さんも、一応という言葉とかさしあたりという言葉が出てきました、私、メモしてありますけれども。そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  61. 佐竹五六

    佐竹政府委員 私どもは、中公審で「検討すべきである。」という御答申をいただいて検討したわけでございまして、率直に申し上げまして、各種土地利用制度、私も若干政府部内で、従来から国土庁等でも経験してまいりましたけれども制度の欠缺というよりもむしろその運用にある。結局縦割りで各種行政庁がそれぞれの所管分野だけで制度を運用しているところにいろいろ問題が生ずる根源があるわけでございまして、この上に制度を新しくふやすことは決して問題の解決に貸せるゆえんではないというふうに考えておるわけでございます。  極端なことを申し上げますと、実際に国土庁で私どもも各種線引きの実施状況を一枚の図面に集めてみたところが、都市計画区域でもあり農振地域でもあり自然公園地域でもあり森林地域でもあるというところが出てきているわけでございまして、その上にあえて湖沼周辺について新しい制度を設けることが果たして問題の解決に資するゆえんであるかどうかということについては、私は担当局長としては疑問を持っておるわけでございまして、そのような意味で、私どもは「検討すべきである。」ということについて、検討結果について、現在の案が最善である、かように考えているわけでございます。もちろんこれは各種制度について一般に言えることでございますけれども、実際にやってみましていろいろ問題が出ればそれはそのときに改正なり何なりをする必要があることについて検討することは当然のことでございます。大臣の御答弁もそのような趣旨での御答弁だというふうに私ども理解いたしまして、まずこの制度の的確な運用に努力いたしまして、その結果出てくる問題点についてはその時点でさらに検討してまいりたい、かように心得ている次第でございます。
  62. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうも環境庁水質保全局長として、中公審答申に対して疑問を持っているというような御発言をしたわけですけれども、ちょっと僣越じゃないですか。それは個人の考え方はいいですよ。しかし、あなたは環境庁水質保全局長なんですよ。中公審答申は、あなた、いろんなことを言っておりますけれども、「一定の行為を制限できるものとすることも検討すべきである。」と書いております。そういうふうなことを含めて言えば、土地利用の問題などというものも、後ほど申しますけれども、非常に重要な要素を持っているのです、湖沼中心に考えれば。縦割り行政全体で考えれば、あなたのおっしゃるのも理屈が合うでしょう。しかし、湖沼の、この法律が持っている目的から考えるならば、ここを中心にして考えるべきじゃないですか。その辺はどうなんですか。私は、あなたの経験を聞いているのじゃない。
  63. 佐竹五六

    佐竹政府委員 私は、「検討すべきである。」という御答申を受けているわけでございますから、その検討をした結果、検討をしてなぜそれを仕組まなかったかということについて御答弁申し上げているわけでございまして、その点をひとつ御理解いただきたいというふうに思います。決して中公審答申自身について、検討をする必要はないというふうに申し上げているつもりはございません。
  64. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 あなた国土庁におられたころに、縦割り行政でいろんな地域指定がダブっている、これは矛盾がある、だから適当でないとおっしゃった。これは湖沼を軸にして考えた発想じゃないんじゃないですか。今考えられているのは、湖沼をどうするかということで周辺を見れば、要するに円を描かなければならないんでしょう。その立場から見て、あなたが、私は検討したけれども必要ない、だから乗らなかった、これでは私は、環境庁水質保全局長としてこの法案を出しているあなたのお立場が貫かれているとは思いませんよ。国土庁の経験でそのことを律するということは正しいと思いますか。
  65. 佐竹五六

    佐竹政府委員 私どもは現在時点において、何か環境庁が本当に思っていることが各省折衝の結果できなかったということではないんで、現時点では環境庁も各省も含めて、政府全体として現在の案が最善である、かような趣旨で申し上げているわけでございまして、その他の発言につきましては行き過ぎがあった点は深くおわびいたします。  要は、現在出している案は政府全体として、環境庁も含めて最善の案である、かような点を強調したいがために、やや口が過ぎた点はひとつお許しをいただきたいと思うのです。
  66. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 佐竹さんをいじめるのが趣旨じゃないから。つまり、そういう形では困るのですよ。やはり私、あなた、環境庁の人間になり切っていただいて頑張ってほしいのです。私はそういうことを申し上げたわけですから、御理解いただきたいと思うのです。  通産省お見えですか。この法案を第百一国会へ再提出するに当たって、通産省が実は環境庁意見を述べておられますね。  第一には、先ほど中村さんも指摘をされたが、現在、中央公害対策審議会で検討中の窒素、燐の排水基準緊急性を要する湖沼だけに限定すべきだ。それから二番目は、規制工場を主な対象としているけれども工場以外の生活排水ども入れた総合的な対策にすべきだ、産業界にツケを回すような対応はしないように。三番目は、CODを指標にするだけではなくて、窒素、燐を含めて湖沼法で対応すべきだという三点を要請をされたというふうに伺っていますが、そのとおりですね。
  67. 咲山忠男

    ○咲山説明員 言葉の微妙なニュアンスの違いはありますけれども、ただいま先生のおっしゃられたような意見環境庁に申し上げて検討したということは事実でございます。
  68. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そして、それを環境庁との間でいろいろなやりとりをなさいました。そして、その覚書を交わされました。さっき水質保全局長も覚書を交わしたとおっしゃいましたが、その覚書の中身を教えていただけませんか。
  69. 咲山忠男

    ○咲山説明員 覚書の中身につきましては、私ども環境庁との事務的な打ち合わせのことでございますので、この席で読み上げたり、あるいはお持ちをするということは御勘弁いただけたらと思うのでございますが、途中の検討の経緯では、ただいま先生のおっしゃったようなことも俎上にのせて検討していたということで御勘弁いただけませんでしょうか。
  70. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 通産省がそういう意見を出して、環境庁がそれを受けとめて話し合いをしてきたわけです。そして、了解点ができたから、それが覚書という形でまとまったから国会に出したわけです。そして、先ほど佐竹水質保全局長は覚書は存在しているとおっしゃいました。通産省が、あなたのお立場でそれを全部出せと言っても無理だとすれば、佐竹さん、その覚書の全文をここで朗読してください。
  71. 佐竹五六

    佐竹政府委員 これは覚書の形式をとっておりませんで、環境庁がこの法案提出に際して、今後の窒素燐等規制に関する運用の考え方通産省に説明いたしまして、それを了解していただいた、こういう形をとっているわけでございます。  その要旨を申し上げますと、窒素、燐の排水規制を行い、その公共水域の富栄養化防止を図るには、各種汚濁源について均衡のある対策を総合的に講ずる必要がある、したがって排水規制をやる場合には、あわせて以下の措置を講ずるように環境庁関係省庁に協力を要請していくということでございまして、一つ、その規制以外の措置と申しますのは、下水道とか浄化槽とかそういう生活系汚濁施設整備等、それから家畜あるいは魚類養殖等、そういう湖沼に対して負荷を与える施設の適正管理の指導を行うよう、それぞれの関係省庁にお願いする、さらにまた、湖沼の浄化を図る対策として、しゅんせつとかあるいは生物浄化というような措置を講ずる、こういうことでございます。  さらに、これは現在私どもが検討しております窒素、燐の排水規制措置内容でございますけれども、おおむねいわゆる一般家庭下水とのバランスを考えて、一般家庭下水の中に含まれる窒素、燐の濃度程度には工場事業場等も浄化をした上で排水してほしいということをめどに窒素、燐の排水規制について現在検討しているわけでございます。  これについて、湖沼等についてはさらにそれ以上の厳しい措置も必要になる場合もあるわけでございますけれども、その場合には、やはり関係者が公平に湖沼浄化に努力をするという精神から、規制措置だけでこれを達成しようとするようなことのないように、これは湖沼法の文言の中にもうたわれておりますけれども、均衡のある各種対策をとるような指導を都道府県にする、こういうような趣旨が織り込まれているわけでございます。  以上、るる申し上げましたけれども、結局、これは通産省それから環境庁も一致した考え方でございます。湖沼水質保全のため窒素、燐の規制がやられるということは、当然両者とも一致して認める、それらについて、さしあたって緊急性のあるところからやっていく、これも両者一致しているわけでございまして、さらに、そのために規制措置というのは、やはり汚濁のもう一つの有力な原因である生活系汚濁対策と均衡をとって進めていく、こういうことが必要である、以上三点が、今回の法案提案にあたっての通産省との考え方の一致したポイント、こういうことになるわけでございます。
  72. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それを私に見せていただけますか。
  73. 佐竹五六

    佐竹政府委員 後刻政府部内で相談の上、お答えいたしたいと思います。
  74. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 それは、今あなた、長い長い話したけれども、ポイントを言えば、「①N、P排水基準は、湖沼法ではなく、現行の水質汚濁防止法で、「湖沼」と明示したうえで実施し、全国約四万に達するという湖沼のうち、約千三百ぐらい(湖沼法は約二十)に対象を絞って適用する。②すぐにもN、P規制に対応できない業種には暫定値を適用する(暫定業種)。③湖沼法の構造基準で対応する畜舎、規制がなじまない養殖漁業、下水道などの生活排水については、工場排水基準に対応する“定量化可能な”指針値を別途に環境庁がつくる。」こういう筋道のものだというふうに理解してよろしいでしょうか。
  75. 佐竹五六

    佐竹政府委員 先生のただいま御指摘のありました文言は、この湖沼法案の中にも一部そのような思想が織り込まれているわけでございまして、その限りでは、先生のお話はそのとおりであるというふうに申し上げたいと思います。
  76. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 私は三月の委員会でもあなたに質問したことがあるのですが、窒素と燐のナショナルミニマムというものを排水基準として決める、その作成作業というのを中央公害対策審議会に御諮問をお願いした、それは一昨年の暮れでしょう。本来ならば去年の夏ごろにでも答申があるとみんなに思われていた。だけれども、それが非常におくれている。それは、ナショナルミニマムとして抑えられたのではかなわぬからという、さっき私が読み上げた、そして通産省もお認めになった、そういうN、Pの規制に対する一つの歯どめみたいなものがあるから中公審の議論もなかなか進まないというふうに巷間言われている。真実かどうかは別だ。  しかし、考えてみると、今のような通産省とのやりとりの中で覚書ができたとすれば、やはりこれは談合が成立したのかな、そして環境庁が今まで中公審に諮問をなさった立場というものはかなり後退をするか、そうでなければ緩められるか、そういうことをのまざるを得なかったということを意味しやしないだろうかと思うのです。  それでは伺いますけれども答申はいつごろ行われて、その対策はいつごろをめどに進められているのか、はっきり答えてください、これはバロメーターだと思いますから。
  77. 佐竹五六

    佐竹政府委員 答申がおくれていることは事実でございまして、昨年一月に諮問が行われておりまして、昨年中に結論を得たいと思っていたわけでございますが、一つには、窒素、燐の排水規制の対象になります業種が全部で五百九十業種ございます。この五百九十業種について、先生は今ナショナルミニマムというふうにおっしゃられましたが、私どもも一般家庭下水に含まれる濃度程度には浄化して放出してほしいというような値を今検討しておるわけでございますが、その濃度で排出することについて可能性があるかどうか、もし直ちにやることが投資負担等との関係から非常に無理であると――御案内のように、窒素、燐の除去というのは技術的にもまだ完成してないことは先生もお認めいただけると思うわけでございますが、五百九十業種についてチェックする必要がございまして、そのチェックの過程では当然のことながら、通産省に限らず農林水産省、あるいは特定施設になりますと下水道も入るわけでございますので終末処理場を所管される建設省、こういうところとの協議に時間がかかっておくれてまいったわけでございますが、湖沼法とこれはまさに車の両輪でございますので、夏ごろまでにはその成案を得て実行に移したい、かように考えているわけでございます。
  78. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 覚書は出せない、政府部内で相談なさるとおっしゃいますから私はそれを期待していますけれども、ある種の密約みたいなものですよ。国会の審議にも素直に出せないというものだとすれば、国民から見たら何をやっているんだろうかと思いますよ。なかんずく、これも皆さんに申し上げることはないけれども湖沼の五〇%以上の汚濁寄与率を指摘されている生活排水の問題というのは、今のような通産省とのやりとりではこの法案ではなかなか網がかからなくなる危険性さえあるのです、ゼロとは言いませんけれども。そういうことを考えてみると、一生懸命御努力なさって国会へ出される、私もその努力は多とするが、その陰でそういうことがあるんでは、はっきり申し上げて素直に議論にならぬです。だから、私はぜひそれを出していただきたい、その上でこれからの質問なども考えていきたいというふうに思います。その部分だけは留保させていただきたいと思っています。  中村さんも質問なさったことでもございますし、大蔵省、もしおられたら大変恐縮ですけれども、質問しようと思っていましたが、時間がなくなってしまいましたので割愛をさせていただきたいと思います。申しわけございません。  それでは、指定湖沼の中で現に地方自治体が条例規制基準を設けているところがありますね、これと全く同じものとは言わないけれども。さっき中村さんも質問なさったけれども、またこれから取り組もうというところも出てくると思うのですが、規制基準上乗せあるいは横出しというか、そういう問題について、地方自治体の裁量権といいましょうか、自治の本旨に基づいてやる取り組みとこの法案との矛盾というものはどうなるのか。私は裁量権というものは十分保障されるべきだと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
  79. 佐竹五六

    佐竹政府委員 一番問題になります窒素、燐の規制でございますが、滋賀県あるいは茨城県、両県とも国の規制に先立って排水規制を設けたわけでございます。これにつきましては、現に滋賀県あるいは茨城県が行っている規制が水濁法上の規制に当然なってくるわけでございまして、湖沼法水質保全計画の中にも窒素、燐にかかわる部分は触れられてくるわけでございますが、この法律を施行したことによって特に矛盾して条例の改正等をしなければならない、かようなことにはならないわけでございます。
  80. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この法案指定湖沼と言われるのは、どんなところを今お考えになって、どんなところをお進めになっていらっしゃるか、ちょっと教えてください。
  81. 佐竹五六

    佐竹政府委員 湖沼指定要件につきましては、先ほどもお答えしたとおりでございますので読み上げることは省かせていただきますが、三条に要件が規定されておりまして、この法律手続が、湖沼指定について閣議決定が必要である、あるいはその湖沼についての知事水質保全計画について内閣で同意する、そういう国と地方公共団体とのコンセンサスをつくることを目的としておりますので、おのずからある程度限定されてきまして、当面十ないし二十程度の湖沼についてその指定の対象に考えていきたい、かように考えているわけでございます。
  82. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 主なところの名前を言ってください。
  83. 佐竹五六

    佐竹政府委員 特に考えておりますのは、まず琵琶湖、霞ヶ浦、諏訪湖、印旛沼、手賀沼、相模湖、児島湖、宍道湖、中海、釜房ダム、こういうようなところを考えているわけでございます。
  84. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 厚生省、いらっしゃいますでしょうか、水道のことをちょっと伺いたいのです。  私、素人で余りわからないのですけれども、日本の水というものは水道水を含めて世界で一番うまい水だというふうに言われてきました。しかし、最近ではだんだんとうまい水が飲めなくなっています。これは私が言うまでもなく、皆さんがお認めいただけると思うのです。  そこで、その原因がどこにあるかと言えば、水がめの富栄養化というものが人為的に加速している、これも一つ原因でしょう。そこではNとPの問題ももちろんですけれども、それだけでなしに、ある種の生態系全体を見詰めていかなければうまい水というものを確保することが不可能じゃないかという感じも私なりに勉強させていただきました。  それから、においです。カビ臭一つを見ても、言ってしまえばその対策というものは、せいぜい一週間ぐらい活性炭を使ってみて、臨床的な体制をとってみて、どうかなという程度のことしかやれない現実ですね。これは少し大げさかもしれませんけれども、淀川水系というふうにだけ申し上げておきましょう。ある大きな都市ですけれども、水割がまずくて飲めませんよ。それから、ふろへ入ったら、においが強くて物すごい。これはいつもではないようです。だけれども、これが実は淀川水系の水のベースだ、泥臭いカビ臭ですけれども。こういう状態を見ると、どういうふうにこういうことを考えていったらいいだろうか。その上に例のトリハロメタン、テトラクロロエチレンやトリクロロエチレンなどを含めて未知の有害物質というものがどんどんふえてきている。  こんなことを水道行政全般で考えてみますと、この間NHKで水道問題を考えるということで、おたくの森下さんが出ていましたが、私もちょっと聞きましたけれども、千葉で例えば塩素とオゾンの混合処理をやっているとか、あるいは主婦や研究者から前塩素と後塩素の関係などについてもいろいろな提言が行われていました。  そういうことが山積しているということを感じたわけですが、それに対してパートパートで取り組んでいっただけでは、世界に誇ることのできるうまい水や国民の健康や生命を守っていく水道水というものを確保することができないと思うので、国立の水道研究所みたいなものをつくって文字どおり総合的な研究体制をしかないと、水というものは毎日毎日飲んでいるのですから、そういう発想をぜひ考えてもらえないか。行革の時代と言われているけれども、これは人の生命や健康の問題ですから国民の支持を得られると私は思うのです。これは環境庁長官にも、後ほど御答弁を一言でいいですから、お尋ねしておきますが、ぜひ厚生省でも検討いただきたいと思うのです。これは提案ですけれどもお答えいただきたいと思います。
  85. 楠本欣史

    ○楠本説明員 お答えいたします。  御指摘のとおり、水道の水質の問題につきましては非常に複雑化、多様化しているという状況にあることは事実でございます。私どもこれに対して、あるいは水道につきましては基準というものがございますので、その水質基準というものを確保するというようなことで水質保全に十分な配慮をしてきておるところでございます。しかしながら、今ある機関というようなものをつくったらどうだという御指摘でございます。率直に申し上げまして、時節柄そういったことを考えるということは難しい状況にあるというふうに考えております。私ども貴重な、方向についての御示唆をいただいたというふうに受けとめさせていただいて、こういった複雑、多様化する水質問題によく対応できるように、私どもの方にはまさに水道事業体あるいは各種研究機関といったものがございますので、そういったところと十分連携をとり、また、それらの御協力を得まして調査研究、こういったことの充実に努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  86. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 長官、もし御答弁があれば……。
  87. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま、水道の研究所といいますか、そういう総合的な機関をつくったらどうか、こういうお考えでございますが、私も、水源のいろいろな水対策といいますか水の問題、このごろこれは非常に複雑になってきておると思うのでございます。これは水道だけではなくて農業用水に対してもあるいはまた工業用水に対しても問題がありますので、私は、水源の水対策、水の質というものの研究を始めていきたいというふうに実は申しておったのでございます。といいますのは、例えば、山間地帯で、お住みになっておる方が余りおいでにならない上流の方、例えば和歌山県の十津川の山の中の湖というか、ダム湖でございますけれども、そのダム湖に赤潮が発生するというようなことが起こっております。また、四国にもそういう例がございます。これは単にどこが汚染をするのかということになると、どうも窒素も燐も出てきそうなところが今のところはないのでございますけれども、そういう研究も込めまして、ひとつそういう水源の対策というものを考えていくべきではなかろうか。先生のおっしゃっておられますトリクロロエチレン、そういう問題も大きな問題でございますし、水源対策ということをひとつ大きく取り上げて研究をさせていただきたい、こういうように考えております。
  88. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 ありがとうございました。  時間がございませんので、はしょって質問します。  さっき相模湖が指定湖沼に入ると言われましたけれども、あそこは水質基準の類型は河川になっていますね。あれをどうやって湖沼に直すのですか。
  89. 佐竹五六

    佐竹政府委員 相模湖は二県以上にまたがるわけでございますので、環境庁自身が環境基準の当てはめをやることになるわけでございますが、ただいま御指摘ございましたように、現在河川当てはめでございます。今後、窒素、燐の規制等が行われるようなことになりますと、湖沼当てはめか河川当てはめか、非常に重要な違いがございますが、両県から湖沼当てはめの作業を進めてほしいという申し入れが出ております。したがいまして、現在私ども五十八年度で相模湖について神奈川県を主体に調査を行いまして、従来環境基準はBODで測定されておりますので、そのBODとCODの関係を求めまして、それを素材といたしまして、CODとしてどの程度の過去の水質汚濁の程度であるかということを判断いたしました上で湖沼としての当てはめ、つまりCOD値での当てはめを行いたいというふうに考えております。相模湖は横浜市、川崎市等の水道水源として非常に重要な役割を果たしておりますので、そのことを十分念頭に置きました当てはめを行いたい、かように考えておるわけでございます。
  90. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 この間見てきました。相模湖はアオコの大発生で、神奈川県民七百万と言われておりますが、六百万人の水道原水が非常に異常な事態が起こっているということを拝見をしました。いろいろ御説明もいただきました。例えば、アオコフェンスを張ったりエアレーションの実験をやったりしていろいろなことをやっているようですけれども、これは対症療法にすぎないわけですね。神奈川県の企業庁水道局というのですか、横浜、川崎、横須賀の水道局は、それぞれ取水量の制限やら、あるいは殺藻処理の強化だとか、あるいは凝集薬品の増強だとか、ろ過池使用時間の短縮だとか、上水濁度の上昇、排水処理障害等の被害とそれに対する対策というものを、並べて申し上げましたけれども、やらざるを得なくなっている。このまま続きますと、事態はかなり深刻で、水道原水になり得ない状態になっていくのじゃないかなと私は思うのです。そこで、どうしても対策は、アオコの発生防止するというか、つまり富栄養化対策を進めなければならぬだろうというふうに思うのです。  ところで、相模湖のアオコ発生の負荷量というのを、いただいた資料で見ますと、CODですけれども、神奈川県の七%に対して山梨県は九三%、それから窒素が、神奈川県が六%に対して山梨県が九四%。燐も同じなんです。神奈川県は六%ですが、山梨県は九四%。この法案はこの現実に対してどのような対策としての機能を持ち得るのか、ぼつぼつ時間が来ましたので、簡単にお答えいただきたい。
  91. 佐竹五六

    佐竹政府委員 相模湖を指定する場合には、当然のことながら山梨県知事にも意見をお伺いするわけでございます。それから、水質保全計画を作成するに際しても両県で御相談して作成されることになるわけでございまして、その計画について関係各省協力してその事業の推進方を図るわけでございます。山梨県も、この湖沼法に基づく指定湖沼になれば、当然のことながら従来の協力を一層強化していただけるようなそういう制度的な仕組みになっておりますので、その仕組みを活用して、私ども相模湖の水質改善にも努力してまいりたい、かように考えております。
  92. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 建設省、お待たせいたしまして済みません。  実は、相模湖の上流域下水道整備計画というのですか、見ますと、神奈川県側では相模湖、津久井湖周辺下水道については県の下水道課で調査中であります。山梨の方を見ますと、私もびっくりしたのです。富士山麓流域下水道というのは昭和五十年申請で完成は昭和七十年予定、桂川流域下水道というのは目下計画調査中、上野原公共下水道というのは昭和七十年完成予定、現在は用地を買収をしている段階だ。現在はもちろん、今後十年、十二年にわたって下水道普及率というのはゼロ、すべてたれ流し、こうなるわけです。この法案のねらいからすれば、当然ある種の予算の傾斜配分みたいなことが考えられなければいけないと思うのですが、その辺について建設省に御答弁をいただければありがたいと思いますし、そういうところを促進させるようなお取り組みをいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  93. 辻栄一

    ○辻説明員 お答えいたします。  相模湖に関しましては、お話のように山梨県側から流れてきておりまして、そちら側の下水道整備も非常に重要な要素になっております。ただいまおっしゃいましたように、山梨県側におきましても事業が、山麓で近いうちに供用開始できるという状況で、その下の桂川については今計画中という状況でございまして、私ども、非常に厳しい財政状況でございますけれども、この法案によりまして指定湖沼ということになりましたならば、この法案趣旨を踏まえまして重点的な整備に努めてまいりたいと考えております。
  94. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 これも実は神奈川県のことですが、五月一日付をもって生活系排水対策推進要綱、それから相模湾富栄養化対策指針というのを実施して、家庭などから出る生活系排水対策を県と市町村と県民と三位一体になって水質浄化をやろうということでその取り組みが始まったわけです。こういうことを各県でかなりやっている面もあるようですけれども、例えば浄化槽の問題一つとらえても全国的に推進する必要があると私は思うのです。私がそんなことを言うと山梨の皆さんに怒られるかもしれませんけれども、山梨県あたりも、百年河清ということがありますけれども、現代で十何年たれ流しという状態が続けば相模湖は本当にだめになります。  その意味ではそういう暫定的な措置、あるいは手軽にとは申しませんが、取り組んでいく必要があると思うのですが、そういう指導環境庁はなさるおつもりはございませんか。
  95. 佐竹五六

    佐竹政府委員 確かに御指摘のように生活排水が一番問題でございまして、基本的には下水道整備を図っていただくわけでございますが、ある程度時間を要することでございますので、その間に雑排水対策をいろいろ講じなければならない、これは御指摘のとおりでございまして、先進的な県でやられているわけでございまして、湖沼法の制定等を契機に、私どももできるだけそういう対策が広く各県で行われるように指導してまいりたい、かように考えております。
  96. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 最後になりますが、今の水質汚濁状況を見ていますと、今までみたいにどこの企業が発生源だということだけをつついていたのではどうにもならないという事態であることは私も率直に認めます。つまり、現代では国民が加害者になって、国民一人一人の生活自身が加害者みたいな位置づけを含めて湖沼とかかわっている、あるいは水質とかかわっている、自然環境とかかわっている、こういうことを実は私、しみじみ感ずるのです。だから、極端な言い方かもしれませんけれども、例えば今申し上げた浄化槽などの問題に関連をして言えば、浄化槽の開発なんかにかなり力を入れて、それを住宅コストみたいなことにも含めて考えていけるようなある種のモラルが育っていかなければならぬだろうと思うのです。そんなことを、私見ですけれども、そういう面での研究開発がまだまだ不十分だという感じがする。大きな施設をつくらなければどうにもならぬという感じになっている状態というのは、実は私のお願いで礫間接触酸化法というのを実用化させていただきましたけれども、余りお金がかからなくてこういうふうに川をきれいにすれば湖をきれいにすることもできるし、内湾を、閉鎖性の東京湾を初めとする湾をきれいにすることができるわけでして、そんなことに環境庁も、ソフトウエアといいましょうか、そういう面での御努力をぜひ願いたいと思うし、これは厚生省にもお願いをしておきたいと思うのです。  滋賀県でPやNの高度処理の浄化センターをかなり予算をかけてやっておられるようですが、実験の成果みたいなものは受けとめておられますか。
  97. 佐竹五六

    佐竹政府委員 これは建設省からお答えいただくのが適当かと思いますが、湖南終末処理場で実験施設をつくられて鋭意研究されている、そのほかにも、建設省におかれてもこれが最大の問題であるということで各地で研究を進められていることは承知しております。
  98. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 そういう成果を、これはプラスアルファのお金がかかるので大変ですけれども、やはり住民あるいは県民の理解をいただくようなことも含めてやっていかないと手おくれになってしまう、こんな感じがいたします。  いよいよ最後ですけれども、武村知事が今度風景条例みたいなものを制定したい、県議会に出したいと言っていますよ。それは琵琶湖ですけれども、湖岸から一定の距離内の建造物についての色だとか構造だとかデザイン、そういうものをきちんと規制していくようなことができないかどうか、あるいは広告などのあり方についてもきちんと協力を求めていく、協力をいただいたところにはインセンティブといいましょうか、奨励金みたいなものも考えていく。罰則も設けていく。欠落した部分というさっきから水質保全局長とやりとりしたことなどを含めて、もしこれがこういうことであるとすれば、そういう面にも湖沼というものが持っているいわば人間の文化の発祥とのかかわりなどを含めてみて考えていく必要があると私は思うのですが、この点についていかがお考えかということと、最後に、八月に滋賀県と総合研究開発機構ですか、協力をして世界湖沼環境会議をお開きになる予定であるわけで、これは地方自治体が国際的な意味での環境外交を進めていく上で特筆すべき行事だと思うのですが、環境庁もあるいは政府もそういうものにできるだけ協力をするというか、バックアップするという態度をおとりをいただきたい、このことをお願いをして、最後の御答弁をいただきたいと思います。
  99. 佐竹五六

    佐竹政府委員 滋賀県の風景条例でございますが、滋賀県を初め各地で、そのような地域環境をみずから守っていこうという住民の発想を行政ができるだけ助成する、そういう仕組みが自治体を中心に広く広がってきていることは私どももよく承知しておりますし、今後湖沼行政も当然でございますが、私どももそのような動きに関心を払っていかなければならないし、また、そのような動きをできるだけ取り入れていくようにしなければならないと考えておるわけでございます。  それからまた、湖沼会議につきましては、これは大臣から御答弁いただいた方がよろしいかと思いますが、私ども環境庁としても、いろいろな面でできるだけその大会がうまく、成功裏に終わるように助力に努めているところでございます。
  100. 上田稔

    上田国務大臣 それでは、補足して御答弁を申し上げます。  滋賀県の風景条例でございますが、滋賀県の知事のお話によりますと、湖の周辺にある部落というか町というか、そういうものを、湖になじんだ昔からの風景を残したい、あるいはまたそれになじんだような風景をつくっていきたい、こういうようなお考えでおつくりをいただけるようでございます。これは本当は建設省の方からお答えをいただければいいのですけれども、町並み保存という考え方から、建設省の方でも予算をおつけになっておやりになっていただいておりますので、こういうような考え方が漸次国内に広がってきておるのではなかろうか。私ども環境庁の方でもそういう考え方でアメニティータウンという考え方が出ておりますが、そういった考え方がだんだん大きく育ってくるのではなかろうかと思っております。非常に結構なことだと思っております。  また、湖沼会議につきましては、これは環境庁も御一緒になってやらしていただくようになっております。私も出席をさせていただいてやりたい、こういうふうに考えております。
  101. 岩垂寿喜男

    ○岩垂委員 どうもありがとうございました。
  102. 竹内黎一

    竹内委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時五分開議
  103. 竹内黎一

    竹内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 ただいま提案されております湖沼水質保全特別措置法につきまして何点か質問をさせていただきます。  まず、長官にお伺いしたいのでございますけれども、先ほど来同僚の委員の方から指摘がありましたように、湖沼環境保全ということは非常に大事である。特に自然環境というものは、一回破壊されますと二度ともとへ戻すことは不可能に近い。自然環境を大切にするということ、守っていくということ、そして後世にこれを残していくこと、これは当然環境行政の重要な責任でありますし、我々政治の場にある者がひとしく心して大切にしていかなければならない重要な事柄だと思うのです。  そこで、まず長官にお伺いしたいのでございますが、そういう環境を守るという、自然を守っていこう、そういう立場の長官として、この国会に提出されました湖沼法に対して、先ほどから言われておりますが、この法案を断じて成立させようという御決意は当然だと思うのですが、その御決意と、また、この法案にかける長官の熱意といいますか、その情熱の一端をまずお伺いしたいのでございます。
  105. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  この湖沼法の成立ということにつきましては、ぜひともこれはお願いを申し上げたい、環境庁といたしましても決意をいたしておるところでございます。  この環境という点について、汚されたものは二度ともとへ戻らないのではないか、こういう御質問がおったのでございますが、この湖沼法水質の方を実はお願いをいたしておるのでございますが、水質は、湖沼につきましては非常に水質が悪うございまして、緊急性を要するものでございますので、さしあたって水質をとにかくやらしていただかなくてはいけないということで出さしていただいたものでございます。  湖辺の環境でございますけれども、これにつきましては従来からいろいろ法律がございますので、その法律でまず環境保全ということを図っていく。このお願いをいたしております湖沼法とあわせて、これを駆使してやらしていただきたいというふうに考えておるものでございます。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 我が党は、長官も御承知のように、湖沼というものについては従来から非常に真剣に取り組んでまいりました。党独自として環境問題をずっと取り上げてまいりましたし、政府よりちょっと先んじて五十六年の三月には特定湖沼環境保全特別措置法案という法案を国会に提出させていただいている経緯がございます。  今長官がおっしゃられたように、とりわけ湖沼にというお話がございました。そこで私は、長官と同じレベルでお話をするために何点か確認をさせていただきたいのですが、現行法制で来ておりますと、先ほどの水質保全局長の話は、運用に問題がありますという話がございました。しかし、現実はどうかといいますと、長官も御承知のように、前々長官、その前からでしょうけれども、いわゆる湖沼サミットもおやりになったというが、公共用水域が、河川、湖沼、海域、この水域の環境基準がだんだん年々悪くなっているのは現実です。現行法制下の中で、だんだん悪くなっている。ただし、湖沼は横ばいであるという言い方があるかもしれません。しかし、横ばいであるということはよくはなっていないことです。そして、特に湖沼というのは閉鎖性ですから、そこに入ってきた水は非常に長時間滞留するわけです。また、循環にも時間がかかりますし、一たん入った汚濁物質はそこに蓄積されるわけです。というと、これは今長官おっしゃられたように、一日も早くやらなければそれだけ汚染が、汚濁が進むのは事実だと思うのですね。当然自然環境は、長官も御承知のように、自然の浄化作用があります。しかし、今はその自然の浄化作用を上回るような、生態系を破壊するような状態まで来ているわけですから、湖沼というもののいわゆる環境水質や浄化というのは、もう環境行政上待ったなしというのは、これは長官も同じお考えだろう、こう思うのです。  そこで、今も私は、我が党の法案を申し上げました。そこにはやはり特定湖沼環境をというふうにうたってあります。我々は、やはり水質ということは環境ということと切り離して考えられないのじゃないか、やはり環境保全が必要だということといわば表裏一体という認識に立っております。これは長官の湖沼法成立にかける今の御決意はわかりましたけれども、改めて確認をさせていただきたいのは、湖沼水質環境と、長官はどういう認識に立っていらっしゃるか、まず水質環境関係、どういう御認識ですか。
  107. 上田稔

    上田国務大臣 先生指摘のとおり、環境というものが水質に及ぼす影響、これは非常に大きいものはあると思うのでございます。  しかしながら、今現在、ワーストワンになっております手賀沼にいたしましても、また、その近くの印旛沼あるいは霞ヶ浦にいたしましても、また、関西の方では琵琶湖を取り上げましても、その周辺にはやはり多くの方々が生活を営んでいただいておるのでございますが、その方々の生活の様式といいますか、あるいは形態と申しますか、そういうものがやはり戦後非常に向上をいたしたといいますか、複雑になったというか、とにかく以前とは違った形でお住みをいただいてきておるということになって、お食事を一つ取り上げましても、それに要する材料というようなものも非常に豊富にお使いをいただくというようなことになり、したがって、それに端物というか、要らなくなったもの、そういったようなものが相当排出されてくる、下水とともに流されるというようなことも起こってまいっておりますので、そういうことによるバクテリアによる汚染ということも非常に大きなウエートになってきておりまして、今の汚濁といいますか、汚染の一番大きな原因生活排水というふうになってきておるのでございます。したがいまして、そういうことを考えますと、そういう問題を早く解決していかなければいけないのではなかろうかと思うのでございます。  また、先生の御指摘のように、環境の方も、これはなるほど、変化と申しますか、以前とは違う形態にされつつあるわけでございまして、これもやはり保全をすべきところは保全をしていかなければならないということで、これに力を入れてまいらなければならないと考えております。琵琶湖一つとりましても、北の方の非常に風光のいい地域、そういう地域については、これを十分に保全をしてやっていくような考え方を出さなくてはいけませんし、また南の方の近江八景と言われたような、いろいろな堅田の浮御堂であるとかそういったようなものも、これは十分考えて、そして環境保全というものを考えていかなければいけない、両方相まっていかなければいけないのであると私は考えておるものでございます。
  108. 薮仲義彦

    薮仲委員 簡単にお答えください。環境保全水質浄化ということは密接不可分、そう認識してよろしいですか。
  109. 上田稔

    上田国務大臣 密接不可分と申しますか、両々相まってやらなければならないものであると考えております。
  110. 薮仲義彦

    薮仲委員 環境庁長官としての行政の責任は、当然水質の確保、それから環境保全ということは重大な行政責任であると思いますけれども、よろしいですか。
  111. 上田稔

    上田国務大臣 そのとおりに考えております。
  112. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、先ほど来何回も言われておりますけれども環境庁が五十五年に中公審に諮問いたしました。五十六年に答申をいただきました。今度の湖沼法の中に、環境という字句が欠落しておりますよ、水質だけになりましたよと何回も指摘されております。環境はどうでもいい、そういうお考えはないと思うのですけれども環境という名称を水質保全というふうに変えられた理由は、長官、何ですか。簡単に答えてください。
  113. 佐竹五六

    佐竹政府委員 当面、湖沼水質汚濁がさまざまな利水者等に支障を及ぼしておりまして、やはりそれを当面一番急ぐべきである、かような観点から、水質に焦点を置きまして法律を仕組んだということだと思います。
  114. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は長官に聞いていますからね。最初、長官と同じベースで話をしないと、局長が話すとまた話がほかのことに飛びたくなるので、何を、と言いたくなりますからね。長官と同じレベルで最初はやりたい。  長官が中公審に諮問したのは何を諮問なさったか、もう一度確認しておきたいのです。「湖沼環境保全のための制度あり方」と諮問なさったのですよ。湖沼水質保全あり方じゃないのですよ。いいですか、湖沼環境保全のための制度あり方について諮問なさったのです。環境庁がそもそも諮問なさったのは何か。水質保全で諮問したのではないのですよ。さしあたって水質だったら、なぜ諮問するときに湖沼水質保全あり方と諮問なさらなかったのですか。そうでしょう。  それから、この答申について大臣にもう一度確認しておきたいのだ、こんなこと言いたくないけれども。ここに書いてあるのですよ。「湖沼環境保全を図る上では、湖沼水質及びその周辺自然的環境一体のものとして保全」しなさい。答申にはそう書いてある。一体のものとして保全しなさい、さしあたって水質だけと書いてないのですよ。いいですか。局長はそんなことを言っているけれども、これを読めば、さしあたって一体のものとしてこれを保全することが肝要であると言われているのだ。  では、その答申の中でどういうことを言っているか。新たに環境保全の必要がありますよ。これはいろいろと水質汚濁とか、さっきから言っている都市計画法、森林法自然公園法、これは後で局長にきっちり答えてもらいますけれども既存法律がありますというのです。でも、今長官がおっしゃったように、この発生源がいろいろですし、生活様式も変わってまいりました。現行法の対象となる特定事業所のほかに、多種多様にわたっております。そのほかに自然的、社会的諸条件が大きく異なってまいりました。ですから、ここに書いてあるでしょう。「従来の個別対策のみではその効果に限界があり、」例えば森林法でも都市計画法でも限界があります。ですから、特性に合わせた新たな保全措置を導入しなければいけませんよと、こう言われているのです。  しかも、答申の三番目の中に、こう書いてあるのですよ。「湖沼環境保全の基本的な考え方」、ここでは湖沼水質保全の基本的な考え方とは書いてないのですよ。先ほど来、答申を守るという、その中身を守るというのだったら、環境を守らなければだめですよ。ここにもまた同じように書いてある。「その水質周辺自然的環境一体として保全することは緊急かつ重要な課題」なんですよ。これだけ言われていて、局長さんは口をあけば緊急と言う。ここに、環境保全しなさい、一体でやりなさいと書いてある。ところが、ここから環境という字句が脱落したから、先ほど来、これは一番大事なことが欠落しているのじゃないですか、環境行政の一番大事なことを置き忘れているのじゃないですか、こう言っているのです。  長官、この辺の、答えにくいでしょうから簡単で結構ですよ、お気持ちを言ってください。環境は大事なのか、大事じゃないのか。どうでしょう。
  115. 上田稔

    上田国務大臣 環境につきましては、私も大変重要なものであると考えております。環境水質、これを相まって保全をし、また水質をよくしていきたいというふうに考えておるものでございます。
  116. 薮仲義彦

    薮仲委員 もうちょっと答申内容を読んでみますと、こう書いてあるのですよ。いわゆる「湖沼環境保全計画あり方」、これは湖沼環境をどう保全するかという答申なんですよ。ですから、ここでは「湖辺の自然的環境保全利用に関する措置に関すること」「その他湖沼環境保全のための措置に関すること」、我々読んでも、やはりこの中公審答申というのは、公害防除のために環境というものは非常に大事だ、こういうことを私はしみじみと実感として受けておるわけです。  そこで、長官、先ほどの質疑をずっと聞いておりまして、既存の法制の中で十分対応できるとおっしゃった。ワースト二十という環境が破壊されている湖沼を長官も御承知だと思う。でも、その中のすべてが今度指定湖沼にはならないと思うのです。  そこで、環境庁長官持っている法律自然公園法があるはずです。じゃ、今度指定しようとする十もしくは二十、あるいはワースト二十湖沼の中で、森林法周辺が守れる、湖沼周辺森林法の網がかぶっているという湖沼は幾つあるのですか。
  117. 佐竹五六

    佐竹政府委員 ただいま具体的な数字は持ち合わせておりませんけれども、御指摘のように、森林法自然公園法でその湖周辺に線引きがされているところは多数ございまして、もし必要であれば後刻資料として提出させていただきたいと思います。
  118. 薮仲義彦

    薮仲委員 本来ならこの法案を審議するときに、あなたは先ほど来力み返って森林法で守れるとずっとおっしゃっている、岩垂先生にも中村先生にも。それだったら出すべきですよ。後刻なんて失礼な話だ。今最も大事な湖沼法をやっているのでしょう。森林法で守れるのは、森林法で、例えば今度十もしくは二十、とりあえずは三つぐらいやろうかなといろんなことを言われておりますけれども、これは後で聞きます。でも、森林法で守られているのはこれだけです。はっきりしなさいよ。後ですぐ持っていらっしゃい。  それから、都市計画法とおっしゃった。ここにいらっしゃる中村先生だって私だって建設は長いのですよ。都市計画法を読んでごらんなさいよ。あの法制自体は何かというと、都市計画によっておおむね市街化あるいは調整区域分けて、市街化は十年間で促進しなさい、そこに住みやすい市街化区域をつくりなさいということなのです。確かにおっしゃるように、風致地区とか公園はあります。しかし、湖沼周辺指定地域といえば、後で聞きますけれども指定地域流入河川の線でいったら相当上流部分までいくはずですよ。都市計画法の網なんかかかっていない部分相当数だと思うのですよ。おっしゃるように、今指定しようとする湖沼が建設省で持っていらっしゃる都市計画法で規制できますというその地域湖沼別に色分けして今わかりますか。
  119. 佐竹五六

    佐竹政府委員 これは今お話にもございましたように、調整区域、それから市街化区域の線引きがなされているわけでございまして、それぞれ開発行為については規制がかけられるわけでございまして、その開発行為の規制基準といたしまして、周辺環境に対する影響は配慮事項の一つとして入っておるわけでございます。  それから、確かにおっしゃられるとおり、集水区域の中には都市計画区域外がかなり地域存在しているわけでございますが、そのような地域につきましては、森林法、それから農振法によりまして、特に農振法では農用地区域という地域の線引きがなされておりまして農地転用許可規制がかかっておるわけでございます。また、森林法につきましては、地域森林計画のあるところにつきましては森林法の開発許可がかかっておるわけでございますし、また保安林については保安林制度規制もあるわけでございまして、これらの制度を活用すれば私どもとしてはその目的を達成できるんではないか、かように判断したことを先ほど来申し上げておるわけでございます。
  120. 薮仲義彦

    薮仲委員 おっしゃいましたね、森林法とおっしゃいました。開発できるかできないかというのは、森林法もいかなる法制も、例えば都市計画法で開発がかかりますと、こうおっしゃった。知事に届け出しなければならない開発の面積というのはおのずと決まっているのです、千平米。それから、森林法では一ヘクタール以上なんです。もしも仮に一ヘクタール以下、〇・五ヘクタールを開発しよう、普通林とかおっしゃる。仮にやろうと思えば現行の法制ではできるのですよ。抑えられないのですよ、森林法とおっしゃったけれども。では、都市計画法で開発行為をいたします、届け出しなくていい、開発行為の許可を求めなくていい面積であれば、それは何ら規制の対象にならないのですよ。それがどんどん進んで、これだけ湖沼周辺が湖岸までいろいろな意味で乱開発されているのじゃないですかと先ほど来指摘されているのでしょう。だったら、運用だけの問題で、もう少し細かく条文を見てごらんなさいよ。おのずと法律というものはある一定基準から上しか網をかけていないのです。憲法で保障されている私有財産、私権というものをそんなに極端にゼロのところまで抑えられないはずですよ。だったら、現行法でできないから開発がどんどん進む。そうでしょう。その辺はどうなんですか。
  121. 佐竹五六

    佐竹政府委員 確かに御指摘のように、森林法それから都市計画法に基づく開発規制につきましては面積要件がございます。それは、それぞれその周辺に対する影響ということを考慮すれば、一定の面積以上のものを規制すれば足りるのではないか、かような観点からこのような措置がとられているわけでございます。  ただ、特に申し上げておきますのは、特に集水域内で広範に広がっております農業地帯、その中でも特に農振法、農用地区域の農地転用許可につきましては、面積規制は厳しくされておるわけでございます。それから、市街化調整区域につきましても一定の場合以外には開発行為は原則禁止になっておるわけでございまして、そういうようなところも御考慮いただきたいと思います。
  122. 薮仲義彦

    薮仲委員 あなた、農振法とかなんとか、ここで言わなくてもいいのよ、我々は土地の問題は少なくとも勉強しているのだから。農振法をかける前に調整区域になっているのですよ。調整区域の開発なんかできっこないじゃないの、あなた。私はそんなことを聞いているのじゃないのだ。農振法の下には調整区域があって、これは公共に利用する以外は開発できない。そんなこと言ったってだめなんだよ。  私たちがここで心配しているのは、環境委員だからここで環境庁をいじめる気はないのだが、しかし、今おっしゃったように、既存の法制でおやりになるけれども、いろいろと問題が多いのですよ。ですから、私は私なりに建設省にもいろいろ御意見を伺った、農林省にも伺った。現行法制の中でいかがでしょう、いろいろ問題点があるのです。でも、この法案を何とかやるためにできないかというのがこの委員会なんです。あなたみたいに、現行法でできます、できませんなんということを我々は論じているのではない。一緒になって、湖沼をどうやって守ったらいいかと真剣になっているのです。だから、我々はいろいろとやっているのです。現行法の中でそれはできるのかどうか。できれば湖沼はこんなに汚くならない。長官だってもとは河川局長ですよ。本来湖沼というのは河川法の中ではその一部です。いいですか。河川法の条文を読んでごらんなさいよ。河川法は治水、利水が書いてある。しかし、長官だって心の中では、ああそうだ、河川法の中に水質を守るとかあるいは環境保全とか、こういう部分でどうだろうかなと心痛んでいると思う。河川法というのは河道の中しかできないのだから、入ってくる水をどうやってはんらんを起こさないように流そうか、この堤防を守ろうかというのが河川法なんです。そこの水質や何かについて河川法は及ばないですよ。あなたは河川法、河川法とおっしゃるけれども、長官は河川局長だったからよく知っていると思うが、河川法というのはこうなっているのだ。湖沼だってその部分なんです。でも、入ってきた水を住民に被害を与えないで早く海へ流しましょうというのが河川法なんです。周辺まで河川法が及ぶなんて、そんなことはありませんよ。河川だって、自分の国有地の部分というのは提防からほんのちょっとの部分ですよ。しかし、それだけではやはり発生源を抑えないと、本当に水をきれいにしたい、この水を愛する、環境庁長官は河川局長だったから水を本当に愛していると思う。水をきれいにしようと思ったって、今できないのですよ。  だから我々は、では、この法制の中で、少なくとも指定地域にした中で、河川法が少しは役に立つように、あるいは森林法が役に立つように、あるいは都市計画法の中で何とか湖岸を守る方法はないだろうか、私たちはいろいろこうやって各省庁にお願いをして、知事保全計画をつくる中身の中でガードしてやってほしいというのが少なくとも我々の立場であり、環境庁の立場だと私は思うのです。できますよとおっしゃるのだったら、私は言いたいのだが、湖沼法なんか必要ないはずだ。でも、水濁法もあります。あなたは首をひねっているけれども、この中で長々書いてあるのですよ。一言で言えば何を言っているのか。これは水濁法に引っかかるのはみなし特定施設という、いわゆる病院で言えば三百床以下をどうするか、それから、し尿処理施設で言えば五百一人以下をどうするか、それを多少どこかの線まで環境庁が拡大しましょう、水濁法の網をかけましょう。これは水濁法の網を広くしただけの話だ。あとはいわゆる化学的酸素要求量のCODを水濁法と一緒にみなし特定施設へかけましょう。もちろん特定施設もかかりますけれども、ただ水質をかけましょうというだけでほんのごく一部水濁法の網が広がっただけの話なんです。環境自体はこの法制の中で何ら変わらないじゃないですか。そうでしょう。  じゃ、もう少し長官に聞いてみようか。長官、さっき私が質問しなくても言っておられた。ここでもう一度聞きますけれども湖沼汚濁発生原因別の負荷割合はどうなっていますか、簡単に言ってください。もうくだくだしゃべらなくたってわかっているんだから、パーセントだけぴしっと言いなさい。
  123. 佐竹五六

    佐竹政府委員 湖沼全体を合計したものはございませんが、代表的湖沼という意味で、琵琶湖につきましては、COD負荷の割合が産業系三四%、それから生活系負荷の割合が五七%、畜水産系が四%、その他五%。それから、霞ケ浦に例をとりますと、産業系七%、生活系五二%、畜水産系三五%、その他六%。それから、諏訪湖について申し上げますと、産業系四九%、生活系四二%、畜水産系六%、その他三%、かようなことになっております。
  124. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、今答弁を聞いていて大体おわかりになったと思う。これは答弁を聞かなくても大臣はもうおわかりだと思うのですが、いわゆる発生源別負荷の割合は何が一番大きいかというと、湖沼によって違うのです。例えば、真ん中に生活系を置きますと、霞ヶ浦みたいに畜水産系へ寄っているところ、それから長官の地元の琵琶湖のように多少事業所の方に寄っている湖沼湖沼はいろいろあるのです。でも、その根っこにあって一番負荷原因の率の高いのは、今お聞きになったように、六〇%、七〇%というような生活系の雑排水なんです。これが一番湖沼汚濁させているのですよ。富栄養化原因になっているのです。ところが、この湖沼法で、一番汚濁原因のその家庭用雑排水に網がかかりますか。かかるかかからないかだけ長官どうぞ。
  125. 上田稔

    上田国務大臣 網と申しますか、計画を立てて、そして、その計画に基づいてやっていくということになりますので、その中に下水道であるとかあるいは生活排水対策であるとか、そういうことが大きく入ってまいります。
  126. 薮仲義彦

    薮仲委員 各家庭の生活排水にかけにくいんですよ。それで今おっしゃったように、下水道を何とかやりましょう。ですから、関係省庁の中には、環境庁何言っているの、我々のことを規制する前にやるべきことをやって、なおかつ湖水が汚いのだったら言ってちょうだいという省庁もあると思うんです。これは私はわかるんだ。長官は建設省出身だからよくおわかりになる。きょう下水道、建設省来ていると思うのですけれども、後で伺います。今必要人口に対して処理できるのは全国的に三〇%ぐらいですよ。  じゃ、湖沼周辺下水道の全体のパーセント、簡単に何%と言ってください。パーセントだけでいいよ。
  127. 佐竹五六

    佐竹政府委員 湖沼全体を平均したものがちょっとございませんが、琵琶湖八%、霞ヶ浦一一%、諏訪湖三二%、こんなふうになっております。
  128. 薮仲義彦

    薮仲委員 いわゆるワースト二十の湖沼周辺下水道の達成率は、二十湖沼全体で平均は二〇%なんですよ。全国の平均より一〇%低いんです。特に今湖沼法で何とかしようかな、生活排水を処理しようとおっしゃるけれども、これは流域下水道にしても公共下水道にしてもマイナスシーリングの中で大変なんですよ。これは下水道は後で聞きますけれども、手賀沼だって二二%、印旛沼三〇%、霞ヶ浦一二%、鳥屋野潟三%、もう本当に低いんですよ。これは大臣が御承知だから余り言いたくないけれども下水道とおっしゃるけれども、処理施設から管渠から地方自治体で一生懸命やろうとしていますけれども、なかなか大変なんです。五十年、百年先の話なんです。ですから、湖沼法の中で本当は一番肝心な生活排水をどうやって規制するか、これは非常に大きな課題なんです。  そこで、今言ったように、事業所とか、ひっかかってくるのは特定の事業所にひっかかってくるわけです。生活排水部分でひっかからないわけです。長官、本来私は静岡なんですよ。佐鳴湖という物すごい汚い湖を持っているんです。私は湖沼法を断じて通せという立場なんですけれども、これは指定にはしてくれないと思うのですけれどもね。いわゆる湖沼の雑排水をどうするかになってきたときに、静岡なんかは、地震の対策のために財特法で国が県の立てた計画を重点的に採択してくれるということになっておったわけです。ですから、非常に事業が進んだんです。  この法案のもう一つ欠落しているのは、中公審答申にもありますが、財政的にどうするかという部分に非常に欠落している部分があるんです。ですから、長官にお願いしたいのは、いみじくもおっしゃった生活排水にどう対処するか。一つは、建設省の持っている下水道事業だと思うのです。これを湖沼周辺保全のために傾斜配分なり重点的にやるように環境庁関係省庁と協議をする必要があると思いますが、いかがでしょうか。
  129. 上田稔

    上田国務大臣 御指摘のとおり、関係各省と協議をするようになっております。計画知事さんがお立てをいただくのでございますが、それを内閣総理大臣の方へ持ってまいりますので、協議をいたします。
  130. 薮仲義彦

    薮仲委員 じゃ大臣、私はきょう各関係省庁来ていただいたんですよ。今おっしゃったように、環境保全であるとか、後でNとPの規制基準もお伺いしますけれども環境庁がやりたいと思うことを関係省庁がやってくれることはできないんです。でも、もうここで法案は成立する段階ですから、私は関係省庁は閣議で決定したことですから賛成してくれると思うのですよ。きょうは大賛成をしてくれると思う応援団に、応援してくれるかどうかをちょっと確認しますから聞いた方がいいと思うのですよ。あなたの出身の最も力強い応援団の建設省がこの法案に積極的に賛成か、消極的に賛成か、反対か聞いてみますから、建設省、通産省、農水省、厚生省とこの順番で答えてください。それだけ、積極的に賛成か、消極的か、反対か、このスタンスをまず各省庁……。
  131. 緒方啓二

    ○緒方説明員 建設省の立場を御説明申し上げます。  建設省としましては、湖沼水質の浄化並びに周辺環境保全、このあたりにつきましては非常に緊急かつ重大なことだと認識いたしておりまして、現在までもそれなりの努力を傾注してまいっております。今後ともそういった方向で努めてまいりたい、そのように考えております。(薮仲委員「積極的に賛成」と呼ぶ)非常に重要なことだという認識に立って事業を遂行してまいりたいと考えております。
  132. 咲山忠男

    ○咲山説明員 通産省といたしましても、ただいまの建設省からの御答弁と同様、湖沼汚濁防止というのは非常に重大なことというふうにとらえております。
  133. 吉池昭夫

    ○吉池説明員 お答えいたします。  湖沼水質保全を図ることは農林水産業にとっても重要なことだと考えておるわけでございます。御承知のように、農林水産業というのは食糧の安定供給とともに国土や自然環境保全を図るという働きもしているわけでございまして、そういう意味からしましても湖沼水質保全するということは極めて重要なことだ、こういうふうに考えておるわけでございます。  以上でございます。
  134. 楠本欣史

    ○楠本説明員 厚生省は水道水源という問題を抱えておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、湖沼につきましてその汚染防止対策が早急にとられる、講じられるということが肝要だというふうに考えております。
  135. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣、いろいろ大臣がこの法案を出す間に関係省庁と折衝なさったと思うのですけれども、その中で一番問題になるような省庁もあったようでございますが、皆さんそれぞれ重要であるという御認識でございますから、これはしかと私も心へとどめおきまして、五年後、十年後、湖沼がどうなるか、今おっしゃったことの結果が出てくるのはやはり五年、十年先だと思うのです。私は、それまでしっかとこの目の黒いうちじゃありませんけれども湖沼並びに河川がきれいになるように見ておきたいと思うのでございます。  あなたの後輩の建設省河川局長、この間僕がこの法案をやっていたら、河川局がポスターを一枚持ってきたのですよ。見たことありますか。僕は、これは環境庁がつくったポスターだとばかり思っていた。そうしたら、あなたの後輩ですよ。「多摩川八景」、これ、きれいでしょう。多摩川にこんなきれいなところがたくさんある、知っていますか。ちょっと委員長、これを皆さんに見せてあげてください。  これは建設省がおつくりになったポスターなんです。建設省も河川法の中で治水、利水という問題がありますけれども、やはりあなたの後輩は一生懸命河川をきれいにしようと努力しているんですよ。ですから、これは本当に力を合わせてどうしたらいいかということで環境保全ということを全力でやってもらいたい。  確かに私は、今申し上げたように、河川法の中ではできないかもしれない、でも関係省庁が力を合わせれば、川はきれいになれるし、湖沼はきれいにしてもらえると思う。きょうは建設省の環境保全の担当の方がお見えかもしれませんけれども、私は建設省にきれいにしてもらいたい、環境保全してもらいたい。  そういう意味で、法制がどうのこうのじゃなくて、いわゆる基本方針について、知事が基本計画を策定いたします、その中で湖沼と河川の環境を守り、水質をきれいにするように、建設省もいろいろと広報、公示の中で努力してもらいたいと思いますけれども、建設省のお考えはいかがでしょう。
  136. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 ただいま先生の御指摘のとおり、河川には従来治水、利水機能という重要な機能があったわけでございますが、最近社会のニーズも変わってまいりまして、河川に対する環境機能の要請というのは非常に高まってきておるわけでございます。そういう観点から、私ども、河川の水質浄化とかあるいは河川の空間の利用、こういう面について積極的に取り組んでおる段階でございます。
  137. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設省さん、湖沼法ができましたので、湖沼環境保全のために、建設省の持てる手法の中で最大限、水質環境保全に努力をいただきたいと思いますけれども、いかがでしょう、するかしないか。
  138. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 河川の水質保全のためには、流入負荷量の削減と、それから河川の中に堆積しておりますヘドロ等による内部負荷の増進を食いとめるということ、あるいはまた河川の水質を希釈、浄化するためのきれいな水の増水、こういういろいろな方法がございます。こういった方法をその河川の特性等に合わせながら、十分対応してまいりたいと思っております。
  139. 薮仲義彦

    薮仲委員 厚生省さん、今長官が一番心を痛めているのは生活排水なんです。上水道を湖沼からもとっていらっしゃる厚生省、水をきれいにする責任のある厚生省、やはりこの湖沼水質保全するということは厚生省の重要な役割だと思うのですね。  そこで、厚生省は、さきに、いわゆる生活排水を処理するために生活排水処理事業というものをお始めになる、こう伺っております。この事業は本年度からお始めになられるかもしれませんけれども湖沼法の重要性にかんがみて、特に指定湖沼等の湖沼周辺生活排水を処理する事業も十分心にとどめ、重点的傾斜配分といきたいところですけれども、十分心にとどめてこの湖沼環境保全のため、生活排水処理のために努力をしていただきたいと思いますが、厚生省のお考えは……。
  140. 小林康彦

    ○小林説明員 お答えいたします。  湖沼水質保全にとりまして生活排水の処理が極めて重要であるという認識に立ちまして、厚生省といたしましては、湖沼法に基づきます都道府県において策定される湖沼水質保全計画に配慮いたしまして、お話のございました新しい施策あるいは従来からの地域し尿処理施設あるいは浄化槽の指導等、生活排水対策を推進してまいりたいと考えております。
  141. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと厚生省、そこにいてください。  厚生省さん、もう一つ、厚生省がわざわざ浄化槽法をおつくりになったと思うのです。浄化槽法によって浄化槽がだんだんきれいになった。今までは浄化槽は野放しだった。しかし、今度は浄化槽法によって浄化槽がきちんと点検されて、保守されて排水がきれいに処理されるようになってくるということを聞いておりますけれども、浄化槽法をしっかり運用して湖沼周辺水質をよくするために努力していただきたいと思うのです。その辺、法律はなっていますね。
  142. 小林康彦

    ○小林説明員 昨年五月に浄化槽法が成立いたしまして、従来から浄化槽規制をしておったわけでございますが、不十分な点あるいは総合性、一貫性に欠ける点がございましたので、新たな法制度ができ、六十年十月から施行されることになっております。新しい浄化槽法の中の規定に従いまして浄化槽の管理徹底を期してまいりたいと考えております。
  143. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、農林水産省にお伺いしたいのですが、農林水産省の持っていらっしゃる事業の中で農業集落排水事業、簡単な処理施設でございますけれども、これをやはり積極的に進めていただくことが、特に最近、農村へのいろいろな混住もございますし、都市化もございますし、こういう集落の排水事業というのは水質保全の上で非常に大事だと思います。この事業を積極的に県のつくる保全計画の中に織り込んでいただきたいし、先ほど来私は水質保全局長ととやかく言っておりますけれども、とやかくなどと言ってもしょうがないので、林野庁が積極的に森林法を準用して、湖沼周辺の水源涵養や環境保全のために、現行の森林法の中で何とか環境が破壊されないように努力をしていただきたいと思うのですが、この二つについてお答えいただきたいのです。
  144. 藤野欣一

    ○藤野説明員 今質問なさいましたように、農村地域におきましても、生活排水中心に農業用水その他の水質汚濁が相当進んでおります。  これに対応しますために、農業用水の水質保全を第一義的な目的といたしまして、今お話のございました農業集落排水事業をやっておりますが、この事業汚濁水を集めまして処理してきれいな水に返して再び農業用水として利用することを第一の目的といたしておりますが、あわせましてその地域生活環境の改善、さらには下流流域における水質保全という意味で十分な効果も持っておるものでございます。  この事業につきましては、今申しましたように、第一義的には農業用水の水質保全ということを目的にいたしておりますので、直接湖沼水質保全するという目的でやっているものではございませんが、結果としてそういう効果も持っておりますので、今後とも精いっぱい推進してまいりたい、かように存じております。
  145. 原喜一郎

    ○原説明員 御案内のように、森林は国土の保全、水資源の涵養、自然環境保全等の公益的機能を本来持っておりまして、湖沼周辺環境保全に果たします森林の役割は極めて大きいと認識いたしております。したがいまして、林野庁といたしましては、森林計画制度、林地開発許可制度あるいはまた保安林制度等の適正な運用を通じまして湖沼周辺の健全な森林の維持造成に努めまして、湖沼周辺環境保全を図りまして、かつ湖沼水質保全計画の達成に資しますように都道府県知事に対しまして十分指導してまいりたい、かように考えております。
  146. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう一つ通産省にちょっとお伺いしたいのですけれども通産省はもろに規制がかかってくるところが多いかと思いますし、そういうときに、やはり中小企業、零細企業の公害防除施設をつくりなさいと言われたとき、非常に体質が弱いときには難儀するんじゃないか。当然金融面で十分な措置を配慮する、あるいは地方自治体にお願いをして、金利を多少なりとも地方自治体が負担してくれる。そうすると、改善は非常にスムーズに進む場合もあろうかと思います。そういう点を含めて、通産省として、やはりこの湖沼法によって影響が出てくるであろう事業所がもしも出たときには、きめ細かに応援をしてやっていただきたいと思うのですが、通産省いかがでしょう。
  147. 咲山忠男

    ○咲山説明員 ただいま先生御心配くださったように、いろいろ助成措置というものは、中小企業金融公庫でございますとか国民金融公庫その他中小企業事業団とか、そういうバックアップ措置というものがございます。何と申しましても、政令で定める規模の最低レベル、そのところに位置する方々というのはなかなかその対策に御苦心なさるものというふうに思われますので、私どもは、その対象になってしまっているところというのは、これはもう万難を排しても、その基準とかその規制に合致するようにひとつお願いするとしまして、それからあと規制の対象に規模の大きさからしてならないようなところというのが、これはまずそのボーダーを引くときには、その湖沼の浄化目的にこの辺でひとつ大丈夫だという線が当然引かれるものというふうに思いますので、そういう規制を若干下回るような規模のところというものは、湖水の浄化と直にリンクしたような問題でそういうところにもいきなりその規制手続をとってもらうとか、いろいろその努力をしてもらうかどうかという点は甚だ微妙なところではないかと思いますが、これとても万が一そのような事態が起こりましたならば、また環境庁とも十分御相談をいたしまして、適切な処置をとっていきたいというふうに思っております。
  148. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官、一通り関係する省庁の御意見を伺ってみました。長官も今お聞きになったとおり、湖沼法の重要性についてはそれぞれ認識を持っていらっしゃるようでございます。ここにいらっしゃる環境委員の諸先生はみんな長官と同じように湖沼を何とかしようという立場で物を申しているわけでございますから、この湖沼法を成立させて、法律の至らざる部分はいろいろと知恵を出し合って、湖沼環境保全、そして水質保全、精いっぱいその道をつけて、五年、十年先にこれだけきれいになったという成果へ私は努力をしていただきたいと思うのですが、先ほどの御決意と今の御決意、もう一回ちょっと聞かせてください。
  149. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま各省からの御答弁をお聞きをいたしておりまして、また各委員先生方のお考えを先生からお話をちょうだいをいたしまして、私も非常に心強い次第でございます。ぜひともこの湖沼法を成立をさせていただきまして、湖沼水質保全を図り、また各関係の省の御援助を得て、そうして環境保全の全きを期していきたいと考えております。
  150. 薮仲義彦

    薮仲委員 厚生省お見えでございますので、水道水をとっていらっしゃる関係で、湖沼の中で非常に汚染が進んでいる湖沼がございます。特に、有機性腐植物質と塩素との化合によって、トリハロメタンというものの危険性が最近指摘されております。発がん性の物質でございますが、これについては厚生省も十分注意を促して心配のないようにしていらっしゃると思うのでございますが、その対策、現在どうなっているか、ちょっとお伺いしたい。
  151. 楠本欣史

    ○楠本説明員 お答えいたします。  湖沼汚濁によりましていろいろなプランクトンあるいは藻類が発生する、かようなことが生じまして、藻類、こういったものが多くなりますと、水道の消毒と相まって、御指摘のトリハロメタンの生成が増加すると言われております。  それに対する対策でございますけれども、厚生省としては五十六年、トリハロメタンの制御目標値を〇・一〇ミリグラム・パー・リットル以下、こう定めまして、定期的な水質検査と、そして上水管理の適正化を図っております。そして、トリハロメタンの低減化に努めるよう、水道事業体に対して指導しております。そして、私どもとしては、このトリハロメタンについては相当の成果が上がっておるというふうに評価しております。とはいえ、基本は水道水源の保全ということが不可欠でございますので、やはり私どもは自衛策を講じておるわけでございますけれども、先ほど来ありました汚染防止のための有効な対策が講じられることが肝要だと考えております。
  152. 薮仲義彦

    薮仲委員 ちょっと重ねてお伺いしますけれども、今基準を設けられましたが、現在の水質の中で危険だなと思うような地域あるいは水道施設はございますか。あるかないかだけ。
  153. 楠本欣史

    ○楠本説明員 ないと考えております。
  154. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは健康にかかわる非常に重大な事柄でございますから、その辺はどうかくれぐれも監視を厳重にして、そういう危険を起こさないようによろしくお願いをしておきます。  法案を見てまいりまして何点か逐条的にお伺いしますから、これは簡単に明快にお答えいただければ結構でございます。  その前に、もっと大事な点があるわけでございますけれども一つは、この湖沼法の中で、特に中公審の方から指摘されました事柄で富栄養化対策の課題がございます、富栄養化対策を何とかしなさい。先ほど来お話がございましたように、現在、窒素と燐については答申をいただくように努力をいたしておる、こういうお話がございました。ですが、この具体的なNとPの規制をいつごろおやりになるのか、それから、これは湖沼法上乗せして規制をかけられるのかどうか、そのめどについてお答えいただきたいのです。
  155. 佐竹五六

    佐竹政府委員 N、P規制につきましては、夏ごろをめどに答申をいただきまして、実施に移したいというふうに考えておるわけでございます。  それから、湖沼法上乗せと申しますか、現在当面、湖沼法はCODを考えておりますけれども、さらに必要があればN、Pの負荷規制法律上できるようになっておりますので、そういう措置も講じてまいることも考えていきたいと思っております。
  156. 薮仲義彦

    薮仲委員 このかけ方ですけれども、今環境庁湖沼環境基準の中にNとPを入れているわけです。ただし、それは環境基準だけの話であって、今言った排出規制の中に入っているわけではありません。まず、かけようとなさると水濁法でおかけになるのか、それとも湖沼法の中で新たにやるのか。水濁法でのせるのか湖沼法でのせるのか、両方のせるのか、どちらですか。
  157. 佐竹五六

    佐竹政府委員 まず水濁法でやることを考えております。
  158. 薮仲義彦

    薮仲委員 この富栄養化という問題は非常に大事な課題でございます。逆に、栄養というのは大事でございまして、これは長官も篤と御承知のように、栄養化でなければ生物は生存できないわけでございますから、適正な栄養化というのは必要であって、富栄養化がいろいろと問題でございますが、適正な栄養化の中で湖沼という環境保全されるように十分御配慮をいただきたい、このことだけ。ちょっと時間がありませんから、それはそのぐらいにしておきます。  それから、条文別にちょっとお伺いいたしますけれども、まず湖沼指定するということになるわけでございますが、指定湖沼として当然これは知事申し出ますよということになっております。でも、法案を出された環境庁としては、大体この程度の湖沼指定したいなという腹づもりがあると思いますが、どの程度の湖沼を今指定しようとお考えなのか、数だけわかれば。
  159. 佐竹五六

    佐竹政府委員 当面、十ないし二十を考えております。
  160. 薮仲義彦

    薮仲委員 水質汚濁に関する地域を同じく指定することになっております。この指定はどのエリアまでおかけになるのか。いわゆる集水区域、線的には先ほど言ったように上流部分まで、水源の一番根っこまで指定地域になさるのか、その地域というのは、これから知事さんの御意見を伺わなければできないでしょうけれども、基本的には水源の根っこまでかけていただきたいと思うし、集水地域は当然湖沼水質に影響しますからかけるべきだと思いますけれども、その辺の基本的な考えがあったら聞かせてください。
  161. 佐竹五六

    佐竹政府委員 今御指摘のとおり、原則的に集水区域全体にかけます。
  162. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで大臣、大事なのは、今おっしゃった十の中には、恐らくここに出てまいります環境基準が全部だめなワースト湖がずらっと環境庁の資料にあるわけです。ここの中で指定される湖沼は幾つぐらいありますか。
  163. 佐竹五六

    佐竹政府委員 いわゆるワーストテンの環境基準の達成率の悪いところのうち、おおむね六つぐらいがこれに該当するというふうに考えております。
  164. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、私の方で名前を申し上げますと、手賀沼、印旛沼、霞ヶ浦、児島湖、諏訪湖、このほかにございますか。
  165. 佐竹五六

    佐竹政府委員 ただいま御指摘のとおりでございます。
  166. 薮仲義彦

    薮仲委員 そうすると大臣、ワースト湖二十の中で五つかかるのです。あと十五かからないのです。かからない湖沼はどうでもいいのかというと、これは大変なんですね。本当は悪い方がたくさんあるのです、十五残っているのですから。この悪い方について、かからないのですけれども、長官としてどういうお考えでしょうか。
  167. 上田稔

    上田国務大臣 今申しましたのは大きい湖沼でございまして、今水質が非常に悪くなってはおりますけれども、非常に小さい湖沼があるわけでございまして、それについて今ちょっと外れたようになっておるという考え方を持っておるのでございますけれども、これの対策もN、Pの規制はいたします。
  168. 薮仲義彦

    薮仲委員 長官、これも湖沼法に準じて県の保全計画の中で、具体的な形でできなくても県の行政の中で配慮するように環境庁としては指導すべきだと思うのですけれども、いかがですか。
  169. 上田稔

    上田国務大臣 そのとおりにさせていただきたいと思います。
  170. 薮仲義彦

    薮仲委員 そこで、これは大臣が最もお詳しいことでございますから河川法の問題についてちょっと触れたいと思うのでございます。  河川というのは河川法できっちり決められているわけでございますが、河川法の精神の一番大きいものは、御承知のように、治水と利水、洪水、はんらんを防止するために安全な水路を確保していこうということで河川法が現在あるわけでございます。湖沼は、先ほど申し上げましたように、河川の一部であることは厳然たる事実でございます。  そこで、環境庁が建設省との話し合いの中で、現行河川法の中で指定されない河川や湖沼にも環境庁として十分心して水質の浄化等に努力をなさっていただきたいと私は思うのです。そういう意味で、きょうはちょうど建設省がお見えでございますから、どういうお考えで取り組んでいただくか、私は建設省にも確認をしておきたいと思うのです。  河川法の中で、環境保全あるいは水質を守るという点は、私はこれからの河川の管理行政の中で非常に重要なことだと思うのです。ですから、今大臣は、いわゆる保全計画の中で十分配慮するようにお願いをすると申しておりました。  それで、直接はやはり建設省でございますから、今湖沼法のかからない湖沼あるいは非常に水質の汚れている河川等については、今後十分環境庁と協議の上できれいな水にしていただくように御努力いただきたいと思うのでございますが、建設省のお考えをちょっとお伺いしたい。
  171. 陣内孝雄

    ○陣内説明員 河川管理者といたしましては、河川及び湖沼水質汚濁は、流水の正常な機能を妨げるものでございます。良好な水質を確保し、河川が適切に利用されるように河川及び湖沼を管理することが大変重要であると考えておりまして、このような認識のもとに立ちまして、先ほど御説明申し上げましたけれども、河川及び湖沼水質の常時観測を行う一方、必要に応じて汚泥のしゅんせつ、浄化用水導入等の河川浄化事業を実施しているところでございます。  今回の湖沼法によりまして指定されない湖沼につきましても、その湖沼の実態等を十分調査いたしまして、河川管理者として対応するのが適当であり、また有効であるという場合には取り組んでまいるように考えていきたいと思っております。
  172. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか長官、長官は一番今建設省と話し合える立場だと思うのです、河川局とは。そういうことで、これから大臣がしょっちゅうかわるたびに、上の方でしょっちゅういがみ合ってけんかなさって話がついた、つかないという話じゃなくて、国民のために現場のサイドでは、環境庁の現場で水をきれいにしようとする人、建設省で河川の現場に携わっている人は、やはり水をきれいにしようと必死なんですから、河川週間とかいろいろやってみんな所長が川へ出て川のごみをさらって何とかきれいにしようと現場の所長、頑張っている、あなたが一番御存じだと思う。私は、こういう指定しなかった湖沼については、むしろ環境庁長官として建設省のそういう窓口をつくって、建設省と共管でも結構、両方で何とか水質をきれいにするためにはどうしたらいいんだというようなプロジェクトでもいいからつくって、法律がどうのこうのじゃなくて、お互いに現場では水を大事にするという情熱は持っているのですから、その現場の人が話し合って、上でどんなけんかしようと結構、水だけはきれいにしてみせるぞというような体制をつくっておいていただきたいと思うのですけれどもね。大臣がかわったってその決めたことはいつまでも続いて水がきれいになったという時代をつくってもらいたいと思うのです。大臣、いかがでしょう。
  173. 上田稔

    上田国務大臣 建設大臣とよくお話し合いをさせていただきまして、水質保全、改良に努めてまいります。建設省も私、代々の建設大臣、よく存じておりますが、そういう点については大いに力を入れておやりいただいております。
  174. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか大臣が今おっしゃったことを具体的に形の上であらわして、この湖沼法の成立と同時に、全国の河川をきれいにしようという運動が国民の意識の中に沸き上がるように何とか力を入れていただきたい、重ねてお願いいたします。  それから、これは大臣にお願いしておきたいのですが、下水道あるいはしゅんせつということが保全計画の中でやりなさいと書いてありますが、大事なのは財政的な裏打ちなんですね。これについて大臣は、所管の大臣として大蔵当局と鋭意努力なさる、この御決意、いかがですか。
  175. 上田稔

    上田国務大臣 直接、しゅんせつとか下水道につきましては、これは建設省が御担当でございますので、建設大臣の方にこの点をよくお話し申し上げ、また国務大臣といたしまして、環境庁として大蔵大臣の方にも申し入れをいたします。
  176. 薮仲義彦

    薮仲委員 この法案の中で、みなし特定施設というのがございます。このみなし特定施設というのは政令にゆだねる、こうなっているわけでございますけれども、例えば具体的に病院で言えばベッド数どのくらいとか、し尿浄化槽は、現在は水濁法は五百一人ですか、それから上にかかっておりますが、どの辺までかけるとか、その辺は具体的にもう数字は詰まっていますか。
  177. 佐竹五六

    佐竹政府委員 まだ詰まってはおりません。
  178. 薮仲義彦

    薮仲委員 大体どの程度を腹案として持っていらっしゃいますか。
  179. 佐竹五六

    佐竹政府委員 病院で申しますと、病床数三百未満でございます。下限はまだ関係省庁と相談しております。それから、浄化槽でございますが、五百人以下でございますが、これまた下限につきましては関係省庁と今後相談することになろうと思います。
  180. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、問題は特定施設、そういう施設でございますけれども、水濁法のかからない五十トン以下であっても、CODで言えば、濃度規制の中で、非常に高濃度の物質を排出するおそれがあるとか、あるいは有害物質は困りますけれども、等々水濁法にかからない下の部分、今言ったみなし特定施設でもない、それ以下で、レベルから下のところでこれは非常に困るというような問題が起きたとき、環境庁としてはそういうところにはどういう対処の仕方が考えられますか。
  181. 佐竹五六

    佐竹政府委員 湖沼法におきまして指定施設という制度がございますので、この指定施設を活用して対応したいと思います。例えば畜舎であるとかあるいは養魚施設等につきましては、その構造等を湖沼法に基づきまして決めまして、遺憾のないようにしてまいりたいと考えております。
  182. 薮仲義彦

    薮仲委員 今の湖沼法というのは、CODという水質だけで抑えているわけでございまして、それが新設される事業所に対してかかってきます。既存のところは水濁法の網がかかっているわけです。現在の水濁法に各地方自治体が上乗せしているからこれ以上CODをかけることはないだろうというようなお考えだと思うのですが、私はこれだけではおさまらないときには最終的には総量規制というものをかけなければならないと思うのです。この総量規制というのは、いずれはやろうと考えているのですか、余りにも汚染が進んだ場合に。
  183. 佐竹五六

    佐竹政府委員 当面総量規制の適用を直ちには考えておりませんけれども、実行いたしまして、必要があれば、法律上は手続も簡素化いたしましてできるようになっておりますので、そのような措置もとってまいりたいと考えております。
  184. 薮仲義彦

    薮仲委員 大臣に最後にお伺いしますけれども、今何点か伺いましたけれども、時間の関係でこれでやめますが、今まで私が何点か指摘しましたように、湖沼水質というものと環境保全というものは、私はやはり環境庁が責任を持って進めていただきたい行政であると思うのです。  そこで、問題は、生活排水をどうするかということです。その地域住民の意識の盛り上がりというのは非常に大事だと思うのです。これは、この辺の水をきれいにしようという盛り上がりを環境行政の中で環境庁としては主体的に積極的に取り組んでいきませんと、水はきれいにならないと思うのですね。それから、大事なことは、現在も富栄養化による淡水赤潮、アオコの発生のメカニズムは必ずしも正確ではございません。環境庁として必要なのは、そういう研究ということが非常に大事だと思うのです。その研究についてどうお考えか、お答えください。
  185. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  住民の意識の向上でございますが、最近私も手賀沼へ行かせていただきましたが、そういう意識が非常に向上しておられまして、皆、御家庭のいろいろな雑排水に対してもいろいろと工夫をしていただいてやっておりますが、これは全国的にひとつ広めていきたいと考えております。  その次に、研究に対する予算でございますが、これも私はひとつ極力環境庁は、新しい公害が起こらないように、また新しい方向に行けるように進めていく研究費を要求いたしたい、こういうふうに考えております。
  186. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは大臣、最後に、いわゆる自然というものは我々の考えているより不思議なメカニズムを持っております。いわゆる生態系の中で自然環境自然環境なりにきれいにしようという自然の浄化作用、メカニズムが当然あると思うのです。だから、この研究の中に、今言ったCODを規制する、N、Pを規制する、いろいろおやりになる、でも自然の持っている、例えばユスリカであるとかグッピーだとかいろいろなことを環境庁は研究なさっていると私は思うのです。自然の持っている浄化作用というものは、好ましいものは必ず私はあると思うのです。それを助成するような研究を、規制だけではなくて、自然の持っている力を生かしていこう、それがこれからの環境行政の中で私は非常に大事だと思うのです。特に緑の国勢調査なんかやられて、湖岸が傷んでいるのも知っていらっしゃると思う。また、非常に大事な群生があるのも御承知だと思う。そういうものを今度の湖沼周辺保全の中で守っていただくと同時に、湖沼水質保全法というこの法律、我々にはちょっと問題がありますけれども、何とか大臣がしっかりして、湖沼環境水質を守っていただきたいと重ねてお願いして、大臣の御答弁をいただいて、終わります。
  187. 上田稔

    上田国務大臣 湖沼周辺環境の保持でございますが、今先生、緑の国勢調査というお話も出たのでございますが、こういうことに対しまして住民の皆様方にも環境の重要性を御理解いただくとともに、私どもも、不足しておるといいますか、今欠けてきつつあるとか、そういったようなことに対しまして十分に注意をいたしまして、環境の破壊ということが起こらないようにしていきたい、こういうふうに処置していきたいと考えております。
  188. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  189. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、中井洽君。
  190. 中井洽

    ○中井委員 湖沼法につきましては、かねてからこの委員会で何年もにわたってその提出あるいは成立が待たれておったわけでございます。そういった意味で、この法案の実質的な審議に入れるということは大変喜ばしいことであるわけであります。しかし、既に社会党さん、公明党さんの御議論の中で出てまいりましたように、どうも余り私どもが期待しておったような形でもないし、ぱっとしないと言うと、大変御努力をいただいた環境庁さんには申しわけないんだけれども、そういう法案じゃないか、こういう感じがいたします。そういったところに至った経過、あるいはそういう形でしか法案を現在出せない環境庁の立場、いろいろわかるわけであります。しかし、わかりつつも、一つ二つそういったことについて確認なりあるいは再答弁を賜りながら審議を進めていきたいと思いますので、御協力をお願い申し上げます。  過般この法案が本会議に提案されましたときに、質疑応答が本会議でございました。その中で内閣総理大臣中曽根康弘先生は「花と緑で人の和を、これを実践しようとしているのが本湖沼法案提出するゆえんでもございます。」こう大上段に振りかざしたのであります。私、これ全然わからないのであります。どういう意味なのかわからない。環境庁長官からひとつきちっと脈絡がつくように御説明を賜りたい。
  191. 上田稔

    上田国務大臣 総理がお答えになられました「花と緑で人の和をこういうことと湖沼法、こういうものの関係をひとつということでございますが、総理は花と緑、こういう……(中井委員「これを実践するというのは、どうして湖沼法で花と緑になるのか、説明してください」と呼ぶ一ですから、花と緑ということによって人の心を和やかにして和を……(中井委員「そっちはよろしい、湖沼法の……」と呼ぶ)いや、そういうことから湖沼に対する、自然に対する理解と申しますか、関心と申しますか、そういうものを深めていきたいというお考えをお持ちになっておられると思うのでございます。したがいまして、湖沼の水をきれいにしてその周辺に住んでいただいておる方々に、また下流の方々に、水質がよくなることによって、利用していただく方々に自然の愛好もさらにふやしていただこうということ、それともう一つは、もう一つ法律の、これはちょっと何になりますけれども湖沼周辺環境につきましては他のいろいろ今あります法律を駆使するわけでございますけれども水質をよくするということと法律によって環境保全をしていくということと結び合わせてさらに人の和をつくっていこう、こういうことでございます。
  192. 中井洽

    ○中井委員 さっぱりわからぬのでありまして、大臣、せめて中公審答申の精神のとおり湖沼環境法案としてこの法案が出されて湖岸あるいは岸辺、こういったところも対策としてこの法案の中でとられるというなら総理のおっしゃるような花と緑という意味もわからなくはないわけです。しかし、残念なことにこの法案湖沼水質保全という形に絞られて提出をされているわけであります。ああいう言葉を聞きますと、総理自身の御理解のなさというのは私はよくわかる。そういったことをきちっと御訂正を賜りたい、このように思います。  同じくその趣旨の説明の中で、これまた先ほどから大臣からお話がございましたその周辺の問題については、現行法を十分活用していって環境というものを保全をしていく、こういうお答えでございました。また、先ほど建設省あるいは局長等の御答弁もそういう御答弁でございます。本当に大臣は現行法をうまく活用していけば湖沼環境というものが十分保全できる、あるいは改善できる、このようにお考えですか。     〔委員長退席、畑委員長代理着席〕
  193. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  これはいろいろ例を挙げていかないといけないのじゃなかろうかと思いますが、一例を簡単に挙げますと、琵琶湖の問題におきましては、あれは自然公園法琵琶湖に、湖の中でございますけれども、かかっておるのでございます。それから、その周辺の山には自然公園法がやはりかかっておりますし、そういったようなことから環境保全をしていくということを考えたいということでございます。そして、それをそのほかのいろいろな法律も使ってやっていただいて保全をしていくのでございますが、さしあたっては今水質の方が非常に悪いということで騒がれておりますし、また事実悪うございますので、水質の方を今重点を置いてやらしていただく、環境の方は今言ったような法律を使ってやっていくわけでございまして、もし、そこに不都合が起こってくるようなことでありましたら、その点においてまた検討をさしていただきたい、こういうふうに考えております。
  194. 中井洽

    ○中井委員 建設省も同様ですか。
  195. 緒方啓二

    ○緒方説明員 御説明いたします。  湖沼法につきましては先生特に御存じのとおり、当初案におきましては……(中井委員「説明はいいから、一緒ですかと言っているのです」と呼ぶ)基本的には一緒でございます。
  196. 中井洽

    ○中井委員 政府内でお話し合いをなさったものですからあえて私どもやかましく申しませんが、もし、そういうことで現行法をうまくやっていけばいいんだという発想に立つならば、先ほどの薮仲先生の質問と一緒になりますが、大臣環境庁要らなくなるのです。現行法制をいろいろと解釈され、また現場の方も御努力いただいて環境問題に当たっていただいてもなかなか難しくなってきたから環境庁は要ったのである、私どもはこういう理解をしていますし、この委員会だってあるわけであります。それをまあまあ現行法があるから、現行法があるからという形で何でもかんでも封じ込めるということであれば、それは本当に環境庁あるいは環境行政そのものが意味がなくなる、私はこのように考えるわけです。その点、大臣はどうですか。もう一度お尋ねをいたします。  この間、どこやらの新聞の夕刊を見ておりましたら、人物という欄に長官のお写真が載っておりました。国会の質問はうつむいてぼそぼそと答えたら野党は手心を加えるのだという意味のことが書いてありまして、なかなかテクニックにたけた御答弁をなさるな、私は、大臣は訥々とお答えになるのはお人柄かと思っておりましたら、テクニックだというのでちょっとびっくりいたしました。ひとつそういうことのないようにざっくばらんにお答えを賜りたいと思います。
  197. 上田稔

    上田国務大臣 別にそうぼそぼそと言っているわけじゃないのですが、あの新聞に書かれたのは、謡曲をやっているのならもっとでかい声を出してやったらどうだと言われるので、いや、そんな大きな声で言うものではないので、答弁というものは静かによくわかっていただけるようにお話しをするものである、こういう趣旨で申し上げたのでございまして、どうぞよろしくお願いを申し上げます。  それからもう一つの、肝心な方の答弁でございますけれども、余り上がってしまいまして御答弁を忘れかけておりましたが、今の湖沼におきましては、水の使用をしておられるところは非常に困っておる、非常に緊急を要する点がありますので、まずその点をひとつ法律につくらしていただいて、早く改善をしなければいけないのじゃなかろうか、環境保全も非常に重要でございますし、両輪のようなものでございますけれども、これについては今法律があるものですから、いろいろな法律をかけてもらっているものを駆使して、それでぐあいが悪いといいますか、この点はどうもだめだというところにおいてその対策をもう一回立てさせていただきたい、こういうように考えておるのでございまして、環境庁としては各省の縦割り行政というものを横に見て、そして全体を環境という面から検討をしていくことについては使命としてやらせていただきます。
  198. 中井洽

    ○中井委員 これまた先ほど岩垂議員からお話があったと思うのですが、私自身もこの委員会で何遍も何遍もいろいろな問題で質問をいたしまして、環境庁の一番多い答弁は中公審に諮問をしてから、あるいは答申をいただいてから、こういうことでありまして、法律にのっとってそういう手続がとられるわけでありますが、環境行政あるいは環境庁あるいはこの委員会にとっても中公審というのは大変な重みを持つものでありますし、また私は国民的信頼も得ておると思うのです。そういう中公審答申と、大変残念なことに違う形での法案、あるいはまた答申が出てから二年ぐらいかかって、その間、省庁間でまあまあ調整にばかり憂き身をやつしたと言えば言いぐさは悪うございますけれども、時期がおくれて出てきた今回の法案、こういったことに関してなかなか御意見は言いにくいでしょうけれども、本当に中公審答申とこれだけかけ離れた形でできたということについての長官の率直なお考え、御感想、あるいは逆に言えば、長官は長官になられる前は自民党の中において建設関係の大変力を持っておられた議員だったと思うのであります。  きょうの委員会には建設省しかお越しをいただいておりませんけれども、先ほどの湖岸の問題あるいは流域の問題あるいは埋め立ての許認可の問題、ありとあらゆることで建設省と環境庁との間で調整がなされた、そして大半が建設省の言い分のような形でこの法案がつくられた、そのことは結果的には中公審答申とほとんど違うものになってきた、こうなっているわけですが、その省庁間の調整のときには大臣環境部会にも環境庁にもおられなかったわけであります。逆に建設省の側として御声援をなすったと思うのであります。今ここへ座られて環境行政を預かってやられる立場とのギャップ、そういったものについてどうお考えになっていらっしゃるか、率直にお聞かせいただきたい。
  199. 上田稔

    上田国務大臣 先生から、前はおまえは建設関係の行政をやっておった、今度は環境行政をやっている、その考え方、見方がどう違うと考えているか、こういう御質問ではなかろうかと思うのでございますが、実は建設をやっておりましたときももちろん建設は環境保全を考えてやらせていただいておるのでございまして、例えば私が前に近畿圏整備本部の次長をやらせていただいておりましたが、そのときの計画というのは環境保全をしていかなければいけない、また一面、非常に大阪に人口が集中し、工場が集中し、環境が破壊されておってどうにもならぬようになってくる、あるいは周辺がスプロールされる、こういうことではいかぬということからああいう計画を立てさせていただいて保全を考えていった。また、琵琶湖の総合開発をやらせていただいた。この点においては、琵琶湖の水を何とかしてきれいにしていかなくてはいけない、また周辺保全を考えて計画をやらせていただいておったということでございますので、建設の面から見て環境を考えながらやっておった、今度は環境の面から建設を見ていく、そうしてガイドマップなんかをつくってやっていただいたらいいのじゃないかというような考え方を持ってやらせていただいておる。これは鏡の両面、一つのものをこっち側からとこっち側からと、こう見て、真ん中のところは同じところに到達するというように私は考えておるのでございますが、そういう意味におきまして目標とするところは一つであるということでやらせていただきたいと思っております。
  200. 中井洽

    ○中井委員 私も何も建設することが、あるいは物事をつくり直していくことが悪いということではなしに、大いに必要なことと思います。おっしゃるように、環境も含めて両面必要だ、このように思うわけであります。しかし、現実に河川の改修等、私どもは各地域で一生懸命努力して、また建設省にも働きかけてやっていただく。そうすると、大半の河川は蛇行が直されて直進になる。そして、まあまあ自然の護岸をそのまま残されるところもあるけれども、小さな川なんか、ほとんど三面をコンクリートでやっていく、あるいはブロックを積んでしまう。そうすると、かつて河川が持っておった自然の浄化力などというのは全部失われていくわけでございます。予算の関係、時間の関係、災害対策、いろいろなことはあるでしょうけれども、建設省の皆さん方が、現行法でやるのだ、現実にやっておるのだ、それさえうまくやっていけば湖沼環境というのは守られるのだ、あるいはこれからも続けるのだとおっしゃっても、そういう建築あるいは河川改修、いろいろな中で環境というものが残念なことに失われていく、あるいは自然の浄化力というのがなくされているのが現実でございます。  そういうことを心配して中公審がいろいろな形で提言をしたわけであります。それらがことごとく建設省サイドの問題について抜かれたということについて、長官、十分わきまえていただく。私は、調整がついたものをもう一遍やり直せなんてやぼなことは言いません。この法案を出すために環境庁がどれだけ御努力なすったか、よく承知いたしております。しかし、そういう情けない調整の結果になっておるということをわきまえられて、建設省がこの法案の中でまだまだやる部分がある、その部分環境庁長官が――この法案が現実に実施されるときには、大変失礼ですけれども、もう既に環境庁長官ではなくなっていると思うわけであります。そして、また再び建設省に対して影響を持たれるわけでありますから一時に下水道整備等で十分その穴埋めをするための働きをしていただきたい、このように思いますが、御決意をお聞かせください。
  201. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほど申しましたのをちょっと補足いたしますと、建設の面から環境を見ておりますとはいうものの、それはなるほど環境の面から見るものとはまた違ったものが特に今までは多いのであります。と申しますのは、環境ということには高度成長のときにおきましては国全体が余り力を入れてなかった。日本の国が今こういう状態になってそれで振り返ってこういうところが不足だということで環境庁ができ、そして環境に力を入れていただく先生方に集まっていただいてこういうふうに環境の面が大いに伸ばされてくるようになってきたと私は思うのでございます。そういう面において環境は非常に大切なものだと私は考えます。したがって、私は環境庁長官になったときに、実は環境庁の予算というのは今の四百三十億ぐらいなものではなくて、もっと、四千五百億あるいは四兆五千億ぐらいの予算があるのじゃなかろうかなと初めは思った。四兆五千億というのはちょっとオーバーだから、四千五百億ぐらいあるのでしょうと言ったところが、そうじゃありません、四百三十億ですということでがっくりきたわけでございますが、そういう点を考えますと環境面にはもっと力を入れなければいけないのではなかろうか、そういうふうにしてバランスをとっていくというところに最後の目的、先ほど言いました両面から見て同じ目的が達成される、こういうところへ行きつけるのではなかろうか、こういうふうに考えておるものでございます。したがいまして、今後も大いに力を入れてやらせていただきたいと念願をいたしております。
  202. 中井洽

    ○中井委員 この法案の中における生活排水の処理、すなわち下水道整備の重要性というのをどのように御認識なさってこれからの予算づけあるいは計画づくりに建設省として立ち向かおうとされておるのか、他の議員の質問と重なりますけれども、その点をお尋ねいたします。
  203. 辻栄一

    ○辻説明員 お答えします。  下水道整備に当たりましては、湖沼水質の問題の重要性ということにかんがみまして、従来から湖沼関係に重点を置いて整備をしているところでございますが、いまだ十分という状況ではございません。この湖沼法によりまして指定湖沼が決まりまして湖沼水質保全計画に定められました事業につきましては、財政事情、非常に厳しゅうございますけれども、今までよりも一層その整備に努めてまいりたいというふうに考えております。
  204. 中井洽

    ○中井委員 琵琶湖法案のときもそうでありましたし、瀬戸内海の特別法のときでもそうでありました。また、伊勢湾、東京湾、閉鎖性水域の水質規制の問題のときにも、この問題はいつでも最重要視されておる。建設省にそれぞれ聞いたけれども、今のような御答弁を大体いただくわけであります。  それでは、実際に東京湾や伊勢湾や瀬戸内海というところに面した地域で、あるいはまたその湾にそれぞれ注いでおる流域においては、下水道というのは他の地域よりかはるかに進んだ形で普及がなされておるのかどうか、それはどうですか。
  205. 辻栄一

    ○辻説明員 全国の下水道の普及率、五十七年度末で総人口に対しまして三二%と全体に低いわけでございますが、それの地域別の内訳で見てみますと、大体下水道をやりました歴史の非常に古い大都市と申しますか、大都市圏、これの普及率が非常に高こうございまして、その他の地域がまだ非常に低うございます。そういうことでございまして、重点的にやろうとはしておりますけれども、数字的にはまだ非常に低いという状況でございます。
  206. 中井洽

    ○中井委員 何も建設省だけ責めても仕方がないことであることは承知をいたしておりますが、しかし、いつでも国会でこれをやりますと、やります、やります、こう言うのだけれども、実際はやっていけない。にもかかわらず、また今度の法案でも、計画をやってやるんだと。しかも、河川あるいは海域に比べて生活排水汚濁負荷量というのは、湖沼に対してはかなり高いわけでしょう。それにもかかわらず、また同じことだということであるならば、一般の人は、そういう法律をつくって下水道も早くなるのか、こう思うのは当たり前でしょう。当たり前だけれども実際は違うのだ、そういうことであれば、先ほどから御質問がありましたように、何のためにこの法案をつくるのだ、こういうことになるわけでございます。  そういう意味で、実際どこにこの法案がつくられる効果があるのか、そして実際その中で下水の事業の進捗というのは本当に進むのかどうか、これについて環境庁お答えをいただきます。
  207. 佐竹五六

    佐竹政府委員 まさに御指摘のような点がこの法案の運用上の一番の問題かと思うわけでございますが、現在、国の財政事情全体も非常に厳しい状況にございます。その中で重点配分を図って現在よりさらにその進度アップをするためには、おのずから指定湖沼というのをある程度限定せざるを得ないのではないか、かようなところから十ないし二十の湖沼について指定していきたいというふうに申しておるわけでございまして、その程度のものであれば、これは関係省庁に御協議した際にも重点的な予算措置が可能になるのではないか、かように考えておるわけでございます。
  208. 中井洽

    ○中井委員 そういうできないことを御答弁なさっちゃだめだよ。例えば、私どもの伊勢湾だって、ちゃんと閉鎖性水域の中で優先的にやるなんという話をここで何遍も御答弁をいただいています。三重県なんか一〇%いっていませんよ。十や二十と言いますが、それに関係する流域だとかそこの下水の予算と比べて下さいよ。僕はそう思うんですね。そんな簡単にいかないですよ。お気持ちはわかりますけれども、僕らもそうしてほしいです。しかし、できないのです。これは長期的におやりいただく以外にないですけれども、そんな割り切った、子供に夢を与えるみたいな答弁はないと私は思います。今の答弁なしにして、どこが一体この法案の利点なんですか、説明して下さい。
  209. 佐竹五六

    佐竹政府委員 確かに、今大体実質的に公共下水道整備は一人百万円かかるわけでございますから、その流域の人口を見ますと、掛ければ必要投資量は出てくるわけでございます。それに対して当該県への予算の配分を見ていれば、かなりの時間を要するということが当然結論になってくるわけでございますが、それで、その間をつなぐために、一方では現在より悪化させないということで、新増設施設には負荷量規制をやり、またN、Pの規制を一般的にやり、それからさらに、これは下水道以外の公共投資等で水質保全に役立つ事業もあるわけでございますので、こういうものもできるだけ協力していただくということで、現在各省庁に配分されている予算を一つの目的のために集中して使っていくというようなことで対応してまいりたい。基本的には、おっしゃられるとおり非常に難しい問題でございまして、現在より悪化させないというところがまず最大の問題点でございまして、それを時間をかけて各省庁の予算の執行の可能な範囲内で漸次よくしていく、これが私どもの基本的考え方でございます。
  210. 中井洽

    ○中井委員 こだわるわけじゃないし、こじつけるわけでも何でもないのですが、現在よりも湖沼水質を悪化させないということであるなら、何もこんな法律は要らぬと思うのです、皆さん方、今御努力いただいているのですから。今の水濁法なりいろいろな規制で、琵琶湖だって霞ケ浦だって条例であるわけですから、悪化させないならおやりいただいたらいいのです。だから、私が言っているのは、こういう法案をつくって、そんなに一遍に下水が行くとも思わぬし、あれだけれども、どこに飛び抜けていい点があるのだ。各都道府県の皆さん方は、早く法案を審議せい、審議せいと言っているけれども、本当にそんなに飛びついてやるほどすばらしい法案なのか。ここまで言うと言い過ぎになりますけれども、あなたが変なことを言うから申し上げたわけであります。  それじゃ、違う形でお尋ねしますから、お答えください。第二条に、国は、基本方針を定める、こうなっているわけでございます。これはどんなことを定めるのですか。例えば瀬戸内海の環境保全。瀬戸内の法案なんかでは「基本計画」、こうなっているわけです。これは「基本計画」ではなしに「基本方針」、こういうふうになった理由とともに、現在のお考えをお聞かせください。
  211. 佐竹五六

    佐竹政府委員 国がまず湖沼水質保全基本方針を定めるわけでございます。これは指定湖沼指定手続に先立って決めるわけでございまして、当然のことながら我が国の湖沼全体についての方針、かようなことになるわけでございまして、したがって、計画と申しますよりもプログラムと申しますか、そのような性格のものでございます。  具体的な中身といたしましては、法律にも書いてございますように、「湖沼水質保全に関する基本構想」ということで、これはやや湖沼水質特性とか汚濁のメカニズムというようなものを踏まえて、要するに規制と、それから事業とバランスをとってやっていくというようなそういう構想を書くことになります。  それからさらに、次に「湖沼水質保全計画の策定その他指定湖沼水質保全のための施策に関。する基本的な事項」という条項がございまして、これは湖沼水質の浄化のためにどのような事業をやるか、その事業を列挙する。それからさらに、その各種対策について均衡をとってやっていくことが必要である、そのような内容のことがここで書いていかれることになろうかと思います。  それから、その他「湖沼水質保全に関する重要事項」ということでございまして、これにつきまして、一般湖沼についても指定湖沼に準じた施策を講ずること、それから湖沼保全に関する調査研究、それから技術開発の必要性、さらには湖沼環境保全意識の高揚、そういうものの普及を図るというようなプログラムをここで書くことになりました。  この基本方針を受けまして都道府県知事水質保全計画を策定することになるわけでございます。
  212. 中井洽

    ○中井委員 この法案が通って、そして、おっしゃるように幾つかの湖沼が限定をされて計画が出てまいります。この法案で、あるいは今のお話で、あるいは都道府県知事やらが事業計画をつくって出してまいります。しかし私は、どうも、聞いてもあるいはいろいろと読ましていただいても、現在あります琵琶湖あるいは霞ケ浦、こういったところの条例よりも緩やかというような形にならざるを得ないと思うのです。埋め立ての問題あるいは窒素、燐の問題、こういった問題も含めて全部そうなると思うのです。当然琵琶湖も霞ケ浦も指定されると思うのです。そのギャップをどういうふうにやっていくわけですか。
  213. 佐竹五六

    佐竹政府委員 琵琶湖、霞ケ浦につきましては、御指摘のように、条例によって施策が講ぜられているわけでございますが、そのかなめになります対策としての規制につきましては、これは水質汚濁防止法に先立ちまして窒素、燐の規制をやっているわけでございます。私どもは、この湖沼法と並行いたしまして、窒素、燐の排水規制基準について現在中公審で御検討いただいているわけでございますが、その結果、排水基準が決まりますれば、琵琶湖、霞ケ浦についての窒素、燐の規制は水濁法の規制上乗せとして位置づけられるわけでございまして、その両者の間に矛盾が生ずるということは法律の仕組みからいってもないわけでございます。  さらに、この湖沼法の最大の利点といたしましては、県の各部集まりましてこの条例に基づきまして対策を立てましても、結局、その裏打ちになる事業につきましては国の各種事業制度に依存せざるを得ない部分かなりあるわけでございますが、それらにつきまして、今後は、現在琵琶湖なり霞ケ浦について県が独自に立てました計画の主要部分水質保全計画の中に織り込まれることになりまして、それが内閣総理大臣の同意という手続が必要になります。同意を与える際には各省に御協議も申し上げるわけでございまして、いわば地方と中央、それから建設、農林水産、商工各部のコンセンサスの上に立って、中央、地方のコンセンサスの上に立って湖沼水質保全対策を進めることができるようになるのではないか。環境部局はいわばその場を提供し、各種対策の調整を図っていく、こういうところに私どもの役割があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  214. 中井洽

    ○中井委員 すみません、私が頭悪いのかどうかわかりませんが、佐竹さん、僕は余り細かい条例は入っていないのです。この法案をつくってどうするんだ、どこがいいんだとお聞きしているわけです。現実に一番湖沼の中で国民全部に関心があり、また生活に影響があり、しかも現実に汚れておる琵琶湖、霞ケ浦というのは、条例をつくって直そうということを必死に対策をやっておられるわけですね。これをつくるわけですね。この二つも入るわけでしょう。実際は、入ってやられるけれども、土の二つのところの条例の方がはるかに厳しい規制、あるいは埋め立ての許可制とかいろいろな形でやっておられて、国のこの法案の方がはるかにおくれたというか、平均的な対策になる。そんな法案で何がプラスになるんだ。それじゃ、そこへ指定されて、下水やら早くなるのかといったら、お金の関係があって、そう早くならない。今のあなたの話を聞いたら、農林省も建設省も相談するんだ、こうおっしゃるけれども、今の国の行政機構の中で下水道計画、河川改修一つとっても、地方と中央とが、特に中央の御意見を伺って、そして、その中でお認めをいただかなければ何もできない仕組みになっておるじゃないですか。十分連絡し合っていますよ。  そういうことを考えると、この法案をつくって、本当にセールスポイントというのは何なんだということを私は御説明いただきたいとさっきからずっと言っているのです。窒素や燐の何やかにやというのは後の問題であります。おわかりいただけますか。僕のところは、もう一つ言ったら、これは党内でやって、どうする、こうなっておるわけです。こんなものが出てきて、あるよりかない方がましと言ったら、本当にあなたらに失礼だけれども、そういう感じがあるわけですね。そういう気持ちもやはりわかってください。もう少しそういうことを考えて御説明ください。
  215. 佐竹五六

    佐竹政府委員 後刻大臣からお答えいたしますが、それでは先生の御質問に端的にお答えいたしますと、例えば琵琶湖にいたしましても霞ケ浦にいたしましても、県が例えば上乗せ条例規制をやろうとする、そうしますと、これはそれぞれ関係部局に協議しますが、それぞれ中央の省庁の意向というものをある程度考えていかなければならない。それから、例えば下水道整備計画一つつくりましても、それからさらに農村集落排水施設整備事業という農林省の事業がございますが、そういう事業でも、これは湖沼対策としてこれをやってほしいということをそれぞれの関係部局で申し入れましても、それは本省で事業予算を採択してもらわないとなかなかできないというふうな問題があるわけでございまして、結局湖沼対策で第一線で苦労している人たちが、こういう法律ができてこの水質保全計画というものを立てれば、それぞれの実際の行政手段を持っている部局に対して非常に話がしやすくなる。それが先ほど中央と地方、それから、それぞれの所管部局の間でコンセンサスをつくって進めるというふうに申し上げたことの意味でございまして、そのようなことがございますものですから、要は、この法律ができてこういう計画ができれば今よりはるかに仕事がやりやすくなるというのが、現実に都道府県で湖沼対策で苦労されている第一線の担当者の方々の御意見でございまして、私の御説明が不十分でございまして御理解いただけない点は大変申しわけないと思いますが、一番端的に申し上げますと大体そのようなことだというふうに御理解いただきたいと思います。
  216. 上田稔

    上田国務大臣 ちょっと補足をさせていただきます。  今局長の方から、仕事のしやすいということだけを申し上げましたけれども、実は、この計画を立てるということは、例えば琵琶湖をとってみますと、生活排水一つとりますと、その雑排水の処理はやはり下水道でございます。その下水道が、実際上五カ年計画を立てるその五カ年の間にどこができるのかということでございますと、やはり人口集中地区しかできない。そうすると、そのほかのところは一体どうするんだ。やはりふん尿が出てくる。そういうものに対してはどうするんだ。これがやはりこの計画の中に入ってくるわけでございまして、例えばし尿処理施設をつくるとかあるいは生活雑排水対策事業をやるとか、そういったようなこと、この地域に対してはこういうような仕事をやる、この地域に対してはこういう仕事をやるということを五カ年間の計画知事さんがお立てになる、そして、それを国の方の各省が認めるわけでございますから、それに対してはもう全力を挙げてそれに協力をするようにしていただく。きょうおいでをいただいておった各省もそういう話をしておりましたが、そういうことになってバランスのとれた計画ができていく、こういう点にメリットがあると私は思うのでございます。     〔畑委員長代理退席、委員長着席〕
  217. 中井洽

    ○中井委員 やむを得ず納得をいたしますが、それは上田長官、総理大臣で大蔵大臣みたいなことをおっしゃるけれども、そんなことを言って、計画をつくって予算がつくのじゃないでしょう。計画を認めたら全部予算をつけるようなことを言っていますが、そんな簡単なものなら、瀬戸内海だって琵琶湖だってとっくの間にみんないろいろなことができています。なかなか、こういう法案をつくっても、この法案のもとにそんな特別に予算がつかないじゃないか、そういう中で何のプラスがあるんだ、こういうことを聞いているのに、戻ったらみんな同じ答えになるのであります。基本的なことをお尋ねすればいいわけでありますから、今の御答弁で次の問題に移らしていただきます。  先ほど佐竹局長の御答弁にもありました窒素、燐の対策でございます。これまた社会党さん、公明党さんの議論の中で、通産省との話し合いが何か覚書という形であるとかないとかという話もございましたけれども一つは、前回、前々回の国会で、五十八年に出されましたこの法案が廃案になった。今回私どもはスムーズに出されてくるものだと思っておったら、大変時間がかかった。その時間がかかった裏には、通産省窒素、燐の規制問題で話し合いが行われたと働いております。通産省窒素、燐をやめておけと言っておるのじゃなしに、通産省はこの湖沼法の中へ窒素、燐の規制を盛り込むべきだということを言って調整がされた、結果、それでは法案は間に合わないということであるから法案としては窒素、燐の規制を含まずに出しておいて、それこそ中公審答申を待って、その答申を水濁法の中に織り込んで対応する、こういうことで話がついてこの法案がおくればせであるけれども出された、私どもはそのように聞いておりますけれども、それでいいわけですか。
  218. 佐竹五六

    佐竹政府委員 大筋、先生のおっしゃられるようなことでございます。要は、窒素、燐の規制必要性につきましては通産省も認めておられます。それをどういう広がりで、しかも、どういう手法で行政として推し進めるかという点について若干議論が闘わされたわけでございます。大筋としては、先生のおっしゃられるようなことで結構でございます。
  219. 中井洽

    ○中井委員 なぜ、前回出されるときには議論にならなかったのですか。
  220. 佐竹五六

    佐竹政府委員 実は前回も議論になりまして、それは今後の検討事項ということになっておったわけでございまして、それがたまたま法律が廃案になった、いわば全く新しい観点から法律の検討ができるということにおったわけでございまして、そのような観点から窒素、燐の規制湖沼法自身でやったらどうだという御意見があったことは事実でございます。さようなことでございます。
  221. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、先ほどからたびたび御確認もあったわけですけれども中公審から出てきたらこの湖沼法の中へ法案修正として入れるのではなしに水濁法へ入れるということですか。
  222. 佐竹五六

    佐竹政府委員 さようでございます。水濁法によって窒素、燐を政令指定して水濁法の体系で規制をやっていきたい、かようなことでございます。
  223. 中井洽

    ○中井委員 そうすると、既にやっておる琵琶湖あるいは霞ケ浦なんかは水濁法の上乗せという形になる、これもそういうことですね。
  224. 佐竹五六

    佐竹政府委員 先生の御指摘のとおりでございます。
  225. 中井洽

    ○中井委員 この問題が議論されておる一つの中に、この窒素、燐の排水基準量は湖沼に関して明確に申分審の方から答申ができるようになったということですか。そして、その答申されたものは湖沼に限るという形での水濁法での適用になるのですか。
  226. 佐竹五六

    佐竹政府委員 排水基準を定めます場合には、まずその前提といたしまして環境基準の策定が必要になるわけでございますが、五十七年十二月に窒素、燐の環境基準湖沼について策定されたわけでございます。したがいまして、窒素、燐の排水規制につきましては、その環境基準を前提として規制値を決める関係上、当然湖沼についての窒素、燐の排水規制である、かようなことになるわけでございます。
  227. 中井洽

    ○中井委員 きょうは通産省を呼んでおりませんので、私はまた次の機会の委員会で質疑もしたいと思うのですが、建設省の問題あるいは通産省の問題、それぞれ大変苦労してこの法案をまとめられたわけです。申しわけないが、またもとに戻るわけです。そして、戻った段階で、この法案でもって本当に目をみはるような効果が出てくるかどうかを考えると、私どもは寂しいような、じくじたる感じが正直に言ってございます。  大臣、それでも私どもはこの法案があった方が、例えば琵琶湖や霞ケ浦のようにきちっと条例ができて、計画もできて着々と浄化に向かって頑張っておられる湖沼だけではないわけであります。現状を維持するのに精いっぱいの湖沼がたくさんあるわけであります。それはこれらの法案のもとに計画設定がされて、時間はかかろうとも前進する、これはこれで結構なことかという判断にも立つわけでございますが、実際は運用だろう、どういう計画をつくってどういう予算配分をしていくかという運用だろうと思うのです。これを本当に環境庁としてやらしていく、こういう決意をお聞かせいただきたいと思います。
  228. 上田稔

    上田国務大臣 この湖沼法の成立を見ました上におきましては、指定湖沼について知事さんがお立ていただく計画の実行に当たりましては、その予算の要求並びに配賦に対しまして各省に対して私どもの方からも強力に申し入れをさせていただきます。
  229. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  230. 竹内黎一

    竹内委員長 次に、藤田スミ君。
  231. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大変限られた時間でございますので、基本的な問題だけしかお伺いできませんが、まず法案の基本的な問題点についてお伺いをしていきたいと思います。  湖沼が予想以上に汚れているのだ、それは霞ケ浦や諏訪湖琵琶湖だけではないのだ、全国ほとんどの湖沼が汚れてきて一刻も早く手を打たなければならないというふうに言われてから本当に絶えて久しいという思いがいたします。したがって、こうした湖沼の深刻な汚染の状況から考えますと、この法案は、一定の改善策は含まれているとは思いますけれども、同時に重大な弱点も抱えていると言わなければならないと思うわけであります。  何といってもその第一は、きょうは随分出ましたけれども、八一年一月に出されました中公審答申との比較、ここで見れば、諮問も答申も「湖沼環境保全のための制度あり方について」、そうありながら、出された法案が「水質保全」というふうに変わった。このことは大変遺憾であります。どうしてこういうことになったのか、私はきょうはそこのところを率直に聞かしていただきたい。御自身が「湖沼環境保全」というふうに出されながら「水質保全」という形に変えられたのは、これは話が合わなくなるのじゃないかと思いますが、大臣、率直なところをお聞かせいただきたいわけです。
  232. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  湖沼環境保全の考えから湖沼水質保全という名前、制度に変わってきたのではないかという御質問でございますが、実は中公審から答申をいただきました湖沼環境保全というものの中に、水質保全ということも実は入っておるのでございます。この湖沼水質が悪い、水質が悪くなって非常に困る、例えば手賀沼に行ったらもうにおいがして濁って、そして、ぶくぶく下から気泡が出てくる、こういうようなことで、早く水質をよくしてもらいたい、こういうお話が非常に切実に出ておるのでございます。同じようなことが印旛沼また霞ケ浦につきましてもお話が出ておる、諏訪湖あるいはまた琵琶湖においてもそういう話が出てくる、こういうことから環境保全という面、これはもちろん車の両輪で考えていかなければならないのでございますけれども、幸いにして環境保全の方はいろいろな、例えば琵琶湖におきましても、先ほど申し上げましたように、自然公園法というようなものが相当かかっておるし、そういう面を考えていけば、そう今すぐにこれも議論をしてやっていくということよりも、むしろ水質の方を先にとにかく何とかしなければいけないのではなかろうか、こういうことから、実は湖沼環境保全ということから湖沼水質保全法ということに名前を変えさせていただいて、そういう内容で、環境の方は他の今あります法律を駆使させていただいて保全を図っていただかせていただきたいと思っておるのですが、そういうことでそれがもしぐあいが悪いようになってくるようでございましたら、私どももまた検討をして、この水質保全法をやっております間に考えていきたい、こういうふうに考えておるのでございます。
  233. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 関係省庁との調整の中で何がネックになって水質保全になったのかという御答弁はいただいておりませんので、ちょっとそれは後ほどお願いをしたいわけです。  ただ、大臣の御答弁を聞かせていただいて、時間が少しずれているというふうに思うのですね。答申の方は、だから現行法を十分活用しなければならないけれども、それだけでは限界があるのだということを言っているのではないでしょうか。現行法を十分活用するというのは、言葉をかえれば当たり前のことなんですね。当たり前のことなんだけれども、現行法の十分な活用であっても、そういう個別対策ではその効果に限界がある、しかも湖沼水質及びその周辺自然的環境一体のものととらえて保全することが大事なんだ。大臣御自身もおっしゃいましたけれども水質環境保全は車の両輪なんだ、その車の両輪の片側がとれているから、だから諮問のときも環境保全というふうに出されたし、答申環境保全ということで出されて、いわば大臣は今この法律が成立して進めていく中で補足をしていきたいという意味のこともおっしゃったかと思いますが、そうではなしに、それはもう遅いのだということが答申の中にうたわれているのではないでしょうか。その点はいかがでしょうか。率直なところを教えていただきたいわけです。
  234. 佐竹五六

    佐竹政府委員 できるだけ簡単に御答弁申し上げますが、確かに中公審から既往の制度を活用して、それ以外に新しい地域、地区の制度を設けて開発を一般的に規制することを検討すべきである、こういう御答申をいただいたわけでございまして、政府部内でも種々検討したわけでございますが、一応一つ考え方といたしましては、今も御指摘のございました既往の制度を活用すれば十分ではないか、こういうことがございまして、これに対して私どもといたしましては、確かに制度的には整っているけれども、その運用をまさに湖沼環境保全なり、その環境保全を通じた水質保全にも配慮して運用してもらわなければ困るというような、こういう議論がもう一つあったわけでございまして、そのようなところから法律の二十五条に、これはいわゆる訓示規定ではございますけれども湖沼水質保全に資するよう緑地の保全その他湖辺の自然環境の保護に国及び地方公共団体は努めなければならないという規定が入りました。  それからもう一点、湖辺の自然環境保全につきましては、都道府県知事の策定いたします湖沼水質保全計画の中にうたわれるわけでございますので、その水質保全計画とこの二十五条の規定趣旨を生かすように、各省において制度を運用していただく、こういうことで、私どもとしては、現段階では一応目的は達成できるのではないか、かように考えている次第でございます。
  235. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ネックの問題は……。
  236. 佐竹五六

    佐竹政府委員 先ほど申し上げましたように、中公審答申で「検討すべきである。」ということについて政府部内で検討した際に、それぞれ既存制度を所管される省庁のお立場から、これらの制度を活用すれば一応目的は達せるのではないか、こういう議論があったことは事実でございまして、それに対して私どもとしては、それを湖沼環境保全あるいは環境保全を通ずる水質保全のために運用していただくような意味で、水質保全計画それから法律の二十五条というような規定を設けることで、政府部内で意見がまとめられた、一致した、かようなことでございます。
  237. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 そうすると、大臣、まともに環境保全というふうに打ち出せなくて、水質保全ということで法案を出した、しかし中身は答申の精神を尊重し、そして名は捨てても実はとっている、これからは湖沼環境は、先ほど大臣がおっしゃったように、これまでのような開発先行ではなしに、この法律によって環境も守られていくのだ、そういうふうに確信を持って言っていただくことはできますか。
  238. 上田稔

    上田国務大臣 そのように考えております。
  239. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 えらいあっさり……。  それでは、その中身のことでお尋ねをしていきたいのです。  湖沼水質保全基本方針についてですが、この法案を見ますと、「湖沼の有する治水、利水、水産その他の公益的機能に十分配慮しつつ、」基本方針を定める、こういうふうになっております。もちろん私は治水、利水、水産に配慮するということを一般的に否定するわけではないのですが、現実の問題としては、ここのところでまた環境保全の問題はぶつかるわけですね。河川でもそうですが、治水で水辺がつぶされるとかそういうふうなことで、ここのところで環境保全と競合するわけです。しかしながら、先ほど大臣がきっぱりおっしゃったようなお立場を貫くとすれば、基本理念としては当然環境保全を優先するということであらねばならないというふうに思いますし、そうでなければ法律が意味してこないというふうに考えるわけですが、大臣の御答弁をお願いいたします。
  240. 佐竹五六

    佐竹政府委員 私から一応、法律の解釈の問題でございますので、御答弁申し上げまして、さらに大臣からお答え申し上げます。  御指摘の点につきましては二条の三項でございますけれども、一番末尾に「水質保全対策を適切に講ずることを基本理念として定める」、その場合の配慮事項として「治水、利水、水産その他の公益的機能」というふうなことがうたわれているわけでございまして、一般的に言えば利水とか水産というのは水質保全を図る上ではまさに保護法益でございまして、水質保全と相反するものではございません。また、治水につきましては、水質保全と同様に極めて公共性の高い機能でございまして、これらが両々相まって初めて適切な水域の管理ができることになるわけでございまして、これはそのような思想をうたったわけでございます。一応法律の解釈としてはそのようなことになろうかと思います。
  241. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 甘いんですよね。きょうは時間がありませんから次の機会にしますが、利水なんというようなことになってきたら、これは環境保全と全くうまく整合しない問題というのはたくさんありますよ。まして基本理念の問題だから大事だと思って私はお尋ねをしているわけなんです。  あわせて後ほど大臣の御意見をお伺いしたいわけですが、その二条三項でもう一つ、「汚濁原因に応じた均衡ある水質保全対策」、こう言っているわけです。この均衡という場合、例えば一方では下水の建設が非常におくれている。工場の方は、何でうちばかりそんな厳しいことを言ってくれるんや、生活排水の方は垂れ流しやないか、こういうのはしょっちゅう出てくるわけですね。この「均衡ある」という言葉を使われると、そういうような工場排水規制がこの言葉で甘くされていくんじゃないかという懸念を抱かざるを得ないわけですが、この点はいかがですか。
  242. 佐竹五六

    佐竹政府委員 御指摘の点につきましては、今お話にもございましたように、汚濁原因としては産業系排水による汚濁生活系排水による汚濁と両方あるわけでございまして、その両方の対策が均衡をとることが必要である、かようなところからこの文言が入ったわけでございます。  私どもといたしましては、湖沼水質保全するという観点には、やはり広く関係者が公平に分担をしていくべきであろう、こういう考え方が基本にございまして、ここに「均衡ある」という文言が入るのは適切であろうと思うわけでございます。したがって、問題は、いかにして生活系汚濁負荷に対する対策の推進を図っていくかということでございまして、先ほど来その対象湖沼をある程度絞らざるを得ないというふうに申し上げたのもそのような観点からでございます。私どもとしては、まさに規制施設整備は車の両輪であるというふうに考えておりますので、若干時間的な前後その他の問題はございますけれども、基本的には両方の対策を均衡をとって進めていくことが水質保全対策を円滑に進めていくゆえんではないか、かように考えておる次第でございます。
  243. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 大臣の御意見をお伺いしたいわけです。  私は、今この二条三項の中での二つの問題を指摘しました。一つは、「公益的機能に十分配慮しつつこそのことが環。境保全ということと競合してきはしないか、もう一つは、「均衡ある水質保全対策」、その「均衡」が低きに合わすという足引っ張りの役割を果たしはしないか、こういうことでただしたわけですが、大臣の御意見をお伺いしたいわけです。
  244. 上田稔

    上田国務大臣 今二つの御質問がございました。  一つは、均衡のある計画ということでございますが、私が考えておりますのは、例えば琵琶湖をとってみますと、生活排水が非常に大きなウエートを占めておる。その生活排水の中でも一番集中しておるのはやはり人口集中地帯でございます大津、この大津の辺に対する下水道の推進というのが図られてまいります。また、彦根、米原――米原はちょっと小さいですが、長浜、この付近の下水道も推進をされる。ところが、そのほかの地域というのは何にもやられない。下水道の垂れ流しと言ったらいけませんが、そういう形に自然になっておる。そういうところのし尿をどうするのか。これに対して厚生省がし尿処理という考え方を出して、それを処理していただくというような計画を、これは知事さんが立てるのですが、それを認めてもらって推進をする。あるいはまた、生活排水の大きなため池みたいなものをつくってそれを処理するようなことを考えていただく。あるいは農村の集落地域等に対して、小さな下水道と言った方がいいかもしれませんが、そういうものを農林省がお考えをいただく。そういうような計画を県で立てていただいて、五カ年間でできるだけのことを進めていくというような形にバランスをとってやっていただく。一方においては、工場排水というものに対しても規制を行っていく。これもやはり工場状況を見ながら五カ年間にどれだけやるかということを、もちろん国の方に持ってきていただくわけでございますから、それを各省に了解をしてもらうということになりますので、そういうことになると順序よく進んでいけるのではなかろうか、こういうことをもって均衡のある計画ということが言えるのではなかろうかと思うのでございます。  それから、もう一つの御質問は、公益的機能に配慮しつつということでございます。これと環境とどういうかかわり合いがあるか、反対になるのじゃないかというような御質問じゃなかったかと思うのでございますが、公益的の問題、これは水産に一つ例をとらしていただきますと、例えばあそこのアユの問題がございます。アユが産卵をするところというのがだんだん消滅をするというようなことも起こる。それで実は人工河川をつくらしていただいたのでございます。上流に水をポンプアップしておいてだあっと流して、アユがそこへ上がっていって産卵をする、そういう産卵にふさわしい川をつくったのでございますが、そういうものが環境破壊と言われるとちょっと困るのです。また新しい一つ環境の創造というようなものにもなるのではなかろうかと思うのでございますが、そういうようなことをやります場合におきまして、これは人工河川でございますけれども環境を考えながらそういう施設をつくっていくという考え方、それは漁業という公益に対しての一つ施設でございますが、そういうものをバランスよく調和のとれたものをつくっていく、こういうようなことを考えておるのでございます。
  245. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 もう持ち時間が――大臣が余り熱心に話をしてくださって、気が弱いのでなかなか歯どめをかけられぬわけです。  いずれにしても、大臣のお話を聞いておりましたら、私は、この答申の中の八の「財政的措置」という文言を思い浮かべざるを得ないわけです。環境保全計画のもとに行われる各種の施策は、いずれもその実施に当たって多額の費用を要するものであり、財政上できる限り財政措置を講ずるべきである、まことにそのとおりでありまして、それが欠落をしているというのがもう一つの点であります。その問題は次回に譲りまして、もう時間が終わりましたので、最後に、もう一問だけお聞かせをいただいて、終わりたいと思います。  窒素、燐の規制の問題については、先ほどから出ておりました。そして、それがかなり限られた範囲を対象にそういう排水規制基準が出されてくるということも十分伺うことができたわけでありますけれども、夏をめどに実施――夏といいましても七月、八月、九月、あるいは六月も夏と人々は呼びます。一体、何月の夏を指しておられるのか、もうはっきりと時期を示していただきたい。  最後に、この法案によって指定しなければならないという湖沼は幾つあるのか。指定せねばならないなと思っている湖沼と、それから常識的に考えてこれはどうしても外すことなく指定すべきであると考えていらっしゃる湖沼と、二つ、違いがあると思うのですね。どうしてもという湖沼は、名称をはっきり挙げていただきたい。それから、指定をせねばならないと考えていらっしゃる方は、数で結構です。  三つお伺いしましたよ。これで終わります。
  246. 佐竹五六

    佐竹政府委員 夏といっても期間は広いという御指摘でございますが、六月ということはちょっと時間的に間に合わない、余裕がないと思います。いずれにしても、湖沼法が成立いたしまして、湖沼対策が発足する際には、窒素、燐の規制というのはまさに車の両輪と申しますか、一方の有力な手段でございますが、間に合うように措置してまいりたいというふうに考えております。  それから、湖沼でございますが、どうしても必要であるというふうに私どもが判断いたしておりますものは十湖沼でございまして、琵琶湖、霞ケ浦、諏訪湖、宍道湖、中海、印旛沼、手賀沼、児島湖、相模湖、釜房ダムというようなところを一応考えております。さらに検討の過程で若干の変動があるにしても、大体これらは変わりません。あと、さらにもう十湖沼程度は当面やってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  247. 藤田スミ

    ○藤田(ス)委員 ありがとうございました。
  248. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、来る十五日火曜日午前十時理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十三分散会