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1984-04-06 第101回国会 衆議院 環境委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月六日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 竹内 黎一君    理事 戸塚 進也君 理事 畑 英次郎君    理事 福島 譲二君 理事 岩垂寿喜男君    理事 中村  茂君 理事 春田 重昭君    理事 中井  洽君       榎本 和平君    金子原二郎君       林  義郎君    金子 みつ君       上坂  昇君    馬場  昇君       斉藤  節君    薮仲 義彦君       藤田 スミ君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 上田  稔君  出席政府委員         環境庁長官官房         長       加藤 陸美君         環境庁長官官房         審議官     大塩 敏樹君         環境庁企画調整         局長      正田 泰央君         環境庁企画調整         局環境保健部長 長谷川慧重君         環境庁水質保全         局長      佐竹 五六君  委員外出席者         議     員 福島 譲二君         通商産業省基礎         産業局基礎化学         品課長     高島  章君         環境委員会調査         室長      綿貫 敏行君     ————————————— 委員の異動 四月六日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     馬場  昇君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     山本 政弘君 本日の会議に付した案件     —————————————  水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の  一部を改正する法律案福島譲二君外三名提出  、衆法第三号)      ————◇—————
  2. 竹内黎一

    竹内委員長 これより会議を開きます。  福島譲二君外三名提出水俣病認定業務促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  3. 馬場昇

    馬場委員 私は、まず環境庁長官に対して質問を申し上げますが、上田長官とは初めてでございますので、ひとつ率直に簡潔に誠意のある御答弁お願いいたしたいと思います。  まず、言わずもがなのことですけれども世界公害原点と言われます水俣病について、それにかかわる問題を含めて、長官の認識なり、また水俣病対策をどういう姿勢でもって行政をなさろうとしておるのか、その点について最初に質問申し上げたいと思います。  長官も既に御承知のとおりでございまして、水俣病の被害の広さ、深さ、深刻さ、悲惨さ、まさに人類が初めて経験したような公害でございまして、そういう意味から公害原点と言われておるわけでございますが、これに対しまして行政、国とか県とか市とか、その前にチッソがあるわけですけれども、公式に発見されましてからもう二十八年たっているのですけれども、その間のそういうものたち姿勢というのは非常に責任を回避しておる。時には患者なんかを圧殺するというようなことさえやってきておったのが、チッソの会社あるいは行政姿勢じゃなかったかと私は思うのです。  そういうことは、例えばこれが最初に公になりましたのが昭和三十一年です。三十一年にチッソ附属病院が、奇病が発生したということを報告をしておるわけです。そのころいわゆる猫実験をやりまして、猫踊り病といって、猫が排水を飲んで結局中毒して踊るように狂い死にした、そういう実験もしているのです。それが昭和三十一年なんですよ。だから、排水原因があるんじゃないかと言って漁民なんかも騒ぎました。ところが、そのとき政府は、学者を派遣して、いやこれはチッソ排水原因じゃないんだ、これは戦争中爆弾をあそこに落としたんじゃないか、それが今ごろ、原因じゃなかろうか。いろいろと爆弾説とか何か言って、チッソ排水原因であるということを認めようとしなかったのですが、熊大研究班が、これは確かに排水に含まれておる有機水銀化合物原因だと統一見解を発表しましたのが、発見されてから実に七年目なんですよ。熊本大学が統一見解を発表してからも、今度はまだ政府、県は認めなかった。そして、ようやく政府が認めたのは四十二年です。それで、これがやはりチッソ排水中に含まれておる有機水銀原因だという統一見解を厚生省が発表したのが四十三年です。そして、その年にチッソ水俣工場はアセトアルデヒドの生産をやめている。何と公式に発見されてから十二年間、その排水の中に水銀垂れ流しをやっている。ここで何回も質問しましたけれども、本当に最初発見されたとき、行政の対応がうまくいっておればあるいは患者は百人で済んだかもしれぬ、あるいは五百人で済んだかもしれぬ、千人で済んだかもしれぬというのに、いまだもって全然解決されていない。これが実は経過なんですよね。  そういう状況がありまして現在二十八年たっていますけれども、まだ水俣病像さえはっきりしていない。遅発性水俣病が今どんどん出ておる。申請者もふえておる。こういう状況になっているのですけれども、そういうことにつきまして、長官水俣病に対する認識、行政姿勢についてお伺いしたいと思います。
  4. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  先生の御指摘のとおり、水俣病と申しますものは公害原点でございまして、これは私ども重要課題一つであるというふうに考えて、対処をしておるのでございます。一貫していろいろと努力をしておるのでございますけれども、随分日数がたってしまっておるということでございまして、大変申しわけないということでございます。  水俣病におかかりになっておる水俣病患者方々認定業務というものを早く進めて、そして、その救済に当たらしていただきたいと念願をいたしておるのでございますが、まだこれが相当日数がかかっておるのでございまして、一日も早くこの解決をいたしたいと考えております。また、水俣病公害にかんがみまして、今までわからなかったような公害というようなものが発生するおそれもあるのではないかということで、他の公害に対しましても気を払いまして、そして起こらないような対策をただいまも進めておるところでございます。
  5. 馬場昇

    馬場委員 なかなか長官も、まだ現地にも行っておられないわけでございますが、三木さんが環境庁長官のときはもうすぐ現地に行かれて、そして、あの悲惨な状況を見て、言葉がないと絶句されたわけですよ。そしてやはり、こういう状態を引き起こしたのは政治責任だ。そういう意味であすこに水俣病総合センターというものをつくって、研究から治療からリハビリから就職の世話からあるいは地域社会人たちの相談とか、世界に冠たるそういうものをつくって、今までの政治家の怠慢というものを償いたい、実はそういう約束三木さんはして、帰られました。  その次に、石原さんが長官のときには、また現地水俣に行って、そして、もう完全な水俣病対策を立てなければ、次の日本のあるいは世界の文明ということを語る資格はないんだ、こういう人類が犯した過ち、これに完全に対策を立てる、そういう約束をなさって、そしてまた患者なんかとよくお会いになって、精いっぱい頑張られました。  鯨岡さんが長官のときには、この水俣病の現実を踏まえて、もうこれから先は、環境問題というのは地球規模で、世界規模でやらなければならぬし、人間人間を殺すのではなしに、地球が死ぬから人間も死んでしまうのだ、そういう人類の未来をかけて一生懸命やらなければいかぬというようなこともここでも言われたのですけれども三木さんとか石原さんとかは長官になられたらすぐ水俣へ行っておられるのです。そして、本当に実態を知って行政をなさっているのですが、ここで言いたいのは、先ほどの御答弁を聞きますと、失礼ですけれども長官実態だとか深刻さ、悲惨さ、苦しさ、問題の深さをまだまだ十分御承知じゃないような気がしてなりません。  そこで長官水俣に行かれて現地人たちと、特に患者なんかと話し合いをする、その辺を原点にして水俣病行政を行うことが一番いいんじゃないかと思うのです。そういう意味で、ぜひ水俣に行かれて実態を把握し、患者と語り合うというようなことをやる必要があるんじゃないかと私は思うのですが、長官いかがですか。
  6. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  各前大臣、元大臣水俣においでをいただきまして、いろいろ事情をお聞きをし、対策を立てていただきまして、知事さんにもその対策を十分にお頼みをいただきまして、そして県も市も一緒になって水俣病対策を今立てて、そして知事さんにある程度一任をしておやりをいただいております。  私も参りますことにやぶさかではございませんけれども知事さんのいろいろな御意見を十分にお聞きをしていかなければいけないというふうに考えておりますので、そういうことを考えてやらしていただきたいと存じております。先生のお住まいが芦北でございますか、私も実は三太郎の方の国道の方もやらしていただきましたし、川の方も球磨川であるとか佐敷川であるとかというのはやらしていただきましたので現地の方もある程度は土地カンもございますので、ぜひともまた検討させていただきたい、こういうふうに考えております。
  7. 馬場昇

    馬場委員 上田長官、とにかく三木さんのときも石原さんのときも、ほかの長官も行かれましたけれども救済法補償法法律は変わっていないのです。例えば、認定業務についても国でやるわけですが、委任事務として熊本県に委任しているわけです。今あなたのお話を聞いておりますと、知事に任せてありますからと言って、本当の第一義的な責任は、特に発生主体にはあるのですけれども、国にもあるのですよ。直接責任は国ですよ。認定業務なんかは熊本県に機関委任事務として委任しているだけの話です。  そういう点で、任せているというのははなはだ無責任きわまるし、さっきくどいように言ったのですけれども行政責任あるいは国の責任というのを何かお感じになっていないから県に任せておく、もう県は機関委任事務を返上するとさえも言っているのですよ。そういうことで、あなたが積極的にこの問題をやらなければだれがやりますか。やはり消極的に見えます。水俣病行政は、本当に積極的に患者の心の上にやらなければあらゆることが行き詰まるのです。患者の心を知らずに水俣行政はできませんよ、あの悲惨な状況の中に苦しんでいる人たちですから。  そういう意味で、長官が、私は進んで行きます、責任を持って一生懸命積極的にやります、そういう姿勢が必要じゃないんですか、どうですか。
  8. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  何分知事さんにも非常に以前からお願いをいたしておりまして、知事さんの方にも責任を持ってもらっておるものでございますから、やはり知事さんの御意見は十分に聞かなければいけない。そういう御意見十分拝聴をして善処していきたいと考えております。
  9. 馬場昇

    馬場委員 これは水俣病行政全体じゃなしに、水俣行きのことについて知事意見を聞きたい、そういうことで今の答弁は理解していいのですか。
  10. 上田稔

    上田国務大臣 そのことも込めまして、知事さんといろいろお話し合いをしたい・……。
  11. 馬場昇

    馬場委員 時間がたつばかりですから、後でまた一つ一つは質問いたしますけれども、少なくとも積極姿勢を持っておるならば、自分から進んで行かれるのですよ、環境庁長官は。知事意見を聞かなければならぬというのは、知事が行けと言えば、はいと言って、どこか主客転倒のような感じが私はするのですね。私は行きます、その点についていろいろ準備をしてもらいます、それが当たり前じゃないですか、どうですか。
  12. 上田稔

    上田国務大臣 何分繰り返すようでございますが、知事さんに今までお任せをされておりますので、やはり知事さんというものを立てていかなければ、知事さんの立場はございませんので、私はその御意見十分拝聴してやりたいと考えております。
  13. 馬場昇

    馬場委員 三木さんが行かれたときも熊本県に知事はおったのですよ。石原さんが行かれたときも熊本県には知事がおったのです。今と少しも変わらないじゃないですか。あの人たち知事と相談して、そんなこと、こんなところで言わなくて、行くときにはどうしようかと相談して行かれたわけで、だから私も行きたい、そういうときにはここで言わぬでもいいから、知事とどういうぐあいに相談するかはあなたの勝手だ、あなたの姿勢を聞くんですよ。行ってやりたいのか、行きたくないのか、あなたの考えを聞きたい。
  14. 上田稔

    上田国務大臣 私は、行くことにやぶさかではございません。しかし、知事さんに相当お任せをずっとされておりますので、その知事さんの御意見は十分に拝聴していかなければいけない、こういうふうに考えております。
  15. 馬場昇

    馬場委員 行くにやぶさかではない、行くに当たっては知事意見も聞きたいということで理解しておきたいと思います。  次に移ります。水俣病申請者とか認定者あるいは棄却された人、保留された人、さらにその間に死亡した人、こういうことについて、お手数をかけましたけれども環境庁から一覧表をつくってもらいまして、実はここに私持ってきておるわけでございます。今日まで、二月現在ですけれども、一万四千七百十二名が申請をいたしておりまして、そのうち認定されましたのが二千六百五十九名、棄却されましたのが五千九百二十五名、現在保留中の者が五千九百二十一名、こういうぐあいになっておりまして、その間、水俣病患者の死亡した人が七百四十五人おるわけでございます。  そこで、私は最初から年度ごと申請者の数、認定された数、棄却された数、その間、死亡した数をずっと一覧表につくってもらったんですが、これを見ますと、非常に特徴的なことが出ております。  昭和四十六年に、否定し得ない者は認定という新しい次官通達が出たのですが、その前はやはりハンターラッセル症候群がそろわなければ認定しないというような姿勢でした。四十六年に、否定し得ない者は認定という次官通達が出たのですが、そのころからずっと申請者ももちろんふえましたが、認定者もふえてまいっております。昭和五十一年に不作為違法の判決が出まして、その後、判断条件が出て、新次官通達昭和五十三年に出ました。この新次官通達が出ましてから初めて、いわゆる認定者棄却者が逆転をいたしております。それから、それまでは百人、二百人規模認定されておったのが、ぐっと五、六十六規模認定者が下がってきておる、こういうような特徴も見られますし、そのほか例えば裁判に訴えた時点判決が出た時点、いろいろ考えまして、各年度ごと申請者数認定者数棄却者数というのは非常に特徴があります。これは行政姿勢というのがこういう結果の数字に実は出ている、こういうことを私はこれを見てとるわけでございますけれども、きょうはその一つ一つについては時間がございませんので質問いたしませんが、そういうことを踏まえながら、今後申請者はふえると見ておられるのですか、減ると見ておられるのですか、このことについてまず第一にお尋ねしたい。
  16. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話もございましたが、水俣病認定申請者は、五十九年二月末現在で全国計で一万四千二百八十九人という数になってございます。現在までの申請状況年次別に見ますと、昭和四十八年には一年間に最高の二千五百四十人の方が申請されたわけでございますが、その後は、五十二年まで毎年千人を超える方々申請を行っておる、そして五十四年以降は申請者が年々減少してまいっておりまして、五十七年度は五百三十三人になっております。五十八年におきましては、熊本県及び鹿児島県におきまして申請者が増加した時期があるわけでございますが、五十九年に入りましてまたおさまっておりまして、現在は申請者の著しい増加は見られていない、五十九年二月までのトータルでございますが、五十八年度は八百十六人という数になってございます。  このような全体の傾向から見ますと、申請者の数は年々減ってくるのじゃなかろうかなというような見方をいたしております。
  17. 馬場昇

    馬場委員 私はちょっと違う意見を持っているのです。この間、通称待たせ賃裁判判決が出たのですが、あの判決の中にも書いてあるわけです。私は現地ですからよく知っているのですけれども、これは社会的水俣病というものがあると言われているのです。これは、奇病と言われてからずっと地域差別の問題、いろいろあるわけですけれども、そういう中で、地域社会差別があって申請さえもできない状態があった、こういうことが判決の中にも出ております。あそこは不知火海沿岸で二十万人の人が住んでいる。二十万人の人が水銀の汚染に暴露されているわけですからね。  そういうことで私がずっと統計を見ますと、水俣申請者は今市民の八%にすぎません。芦北郡の三町合計の申請者は、町民の大体一〇%申請をしております。社会的水俣病と言われる差別とか金欲しさにやるんだとか、いろいろありまして、水俣の方が芦北郡よりひどいのです。だから、芦北は一〇%、水俣は八%です。  こういうものから見まして、あなた今言いましたけれども判決が五十八年、去年出ましたね、あれから申請者はふえているのですよ。五十九年度はふえておらぬというけれども、五十九年度はまだ今四月でしょう。そういうことで、患者はふえる、申請者はふえる可能性はある、そういう可能性を見ながら行政をしていかなければまた間違いを犯しますよという感じが私はするのです。そういう点について、ふえないと思いますと言われましたけれども実態をずっと調べてみたらふえる可能性があるのですよ。そういう分析はまだ不十分で、してないのですか、どうですか。
  18. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  この水俣病が発生いたしましてから現在までの申請者の数といいますか、その傾向を通算してみますと年々減少傾向にございますということで、私どもの方は、先生の方からただいまいろいろお話があったわけでございますが、そういう現地状況等は別にいたしまして、数字の上から判断いたしますと、全体的に減少傾向にあるのじゃなかろうかなという感じは持っておるわけでございます。しかしながら、先生からお話がございましたように、地域におけるいろいろな実情等もあるわけでございますので、仮に申請者の数がふえることになりましても、私ども、県とも十分連絡をとりながら、検診審査体制に支障を来さないように、そういう面での準備は十分に整えてまいりたいと考えております。
  19. 馬場昇

    馬場委員 例えば五十七年度は、熊本の場合、申請者が三百五十七名でしたけれども、五十八年度は倍近い六百三十五名になっているのです。こういうことを踏まえて、合ふえても精いっぱいやるというような御答弁でしたからこれ以上言いませんけれども、ぜひそういうことも分析していただきたいと思います。  さらに、部長、さっき言ったように、昭和四十四年ぐらいからずっと申請認定棄却保留一覧表をつくって、グラフでもつくってみなさい、必ず何かの行政の反省すべき点がそのグラフから出ております。それをひとつぜひ研究していただきたいということを要求しておきたいと思います。  そこで、次に、五十一年十二月に、認定業務のおくれておるのは行政の怠慢で違法だという不作為違法の判決が出たわけでございます。その後、認定をおくらせておるのは行政の怠慢だ、違法だ、その違法状態がとにかく現在まで続いておるわけですから、この判決が出た後、国や県はどういう認定業務促進のことをやったのかということについて熊本県の知事は、これは長官、あなたは知事知事と言いますけれども、あなたよく聞いてください、あなたにも質問しますから、当時の沢田知事は、認定制度は破綻しておる、こういうことを言っておるのです。次の待たせ賃裁判で国と県は、今は知事はかわっているのですけれども、五十二年に判断条件を出しました、五十三年に新次官通達を出しました、きょうここで延長を議論しております臨時審査会もつくりました、百五十人検診、百三十人審査体制もつくりました、こうやって不作為違法の状態解消に努力しておりますということを裁判所で主張したけれども、それらのことは違法の解消にはならないとして、国、県の主張は裁判所から全面的に今否定されておるわけです。  そういう意味におきますと、今日本作為違法の状態は続いておるわけでございますが、こういう点、知事は破綻しておると言っておるのですが、これに対して長官、どうですか。
  20. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 五十一年の不作為違法判決確定後におきまして、ただいま先生からお話がございましたような経緯があったわけでございますが、その後国と県と協力いたしまして、五十三年の閣議了解事項水俣病関係閣僚会議申し合わせ等に基づきましていろいろな施策を行っているところでございます。  そのような過程におきまして検診審査体制というものにつきましても一時かなり効果を上げてまいったわけでございますが、その後またいろいろな事情等がございまして、検診審査体制がなかなか思うように機能しておらないという状況にあるわけでございますので、そういう面で申請者方々の十分な理解を得ながら、さらに、現在持っております仕組みといいますか検診審査体制充実強化によりまして患者さんの速やかな救済に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
  21. 馬場昇

    馬場委員 今のようなことはしょっちゅう聞いているのですよ。そういうことをやって、しかも現在行き詰まって、熊本県知事は、現在の認定のシステムは破綻してしまっておりますということを患者さんたちにきちっとはっきり言明しているのです。そして、今言われたようなことをたくさんやったけれども裁判所は、そんなのは違法状態解消にはならないんだ、裁判所からそういうものは理屈になりませんと拒否されているのです。こういうことですが、あなたさっき知事に任せておると言ったけれども知事は破綻しておると言ったのですよ。これに対してどうですか。
  22. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  沢田知事さんからそういうふうなお話があったのではなかろうかと思うのでございますが、細川知事になられまして今懸命になって誠心誠意おやりをいただいておるところでございます。私ども現地の者も懸命になって、今お願いをされております法律に基づきましてやらせていただいておるところでございますので、第一審の結果がああいうふうになったということは大変遺憾に存じますが、懸命に今やっておりますので、私は必ず促進をしていただけるというふうに考えておるものでございます。
  23. 馬場昇

    馬場委員 長官、あなたのようなことで促進は絶対されませんよ、促進をされると思っておりますなんて。実際問題として沢田さんはそう言ったけれども細川さんが頑張っていると言うが、細川さんも頑張っていますよ、それ以上に沢田さんは頑張っていたのですよ。それは現地へ行って聞いてみなさいよ、調べてみなさいよ。沢田さんは頑張らなかったから破綻した、細川さんが頑張っていると言うが、一生懸命熊本県政の最も重要な施策として前の知事も今以上に頑張っていました。そして進んでおりました。今進んでいないでしょう。もちろん頑張っております。そういうことについて私は今から言いますけれども、全然長官実態をおわかりになっていませんね。水俣病についてやる気がないのじゃないですか、そう言わざるを得ないですよ、今のような答弁を聞いていますと。  そこで、抽象的なことで押し問答しておったってしょうがないわけですから具体的なことで質問しますけれども、問題は、長官、あなたに責任があるということを自覚しなさいよということですよ。この問題については、国に、環境庁長官に、おれの責任でこれはやらなければいかぬのだという自覚をあなたに持ってもらいたい、それを言って次に行きます。  これは今も出ましたけれども、とにかく五十八年の七月二十日に判決が出ましたね、いわゆる待たせ賃判決が出たわけでございます。これは訴えたのが五十二年十月ですから、四年半かかって判決が出ているわけでございますが、これについてはっきり申し上げておきたいのは、私も地元だからよく知っておりますけれども裁判の目的というのは待たせ賃、金を払えというのが目的じゃないのですよ。これは待たせ賃の金が欲しいのじゃなしに、不作為違法の状態を一日も早く解決をしたい、そうして患者救済を一日も早くしてもらいたい、これがこの待たせ賃裁判のねらいなんですよ。その辺をまずきちんと理解しておいていただきたいと思います。  次に、あの判決を読んでみますと、国、県はこれ以上の努力はありませんと、さっき言ったようなことを努力したと主張したけれども、これが全面的に裁判所から否定されまして、裁判所判決というのも認定制度の抜本的、根本的な解決をやりなさい、あれが待たせ賃裁判判決の趣旨だ、こういうことをまず環境庁長官はきちっととらえなければならぬと思うのですよ。  その次に、処分のおくれというのは故意、過失だ、こうあなた方は認定されているわけですよ。違法ということを知っておって進めていないのだから、これは故意だ、過失だ、そういうことでもってその損害を支払いなさい、こういう判決になっているわけでございまして、我が国の裁判史上こういう認定のおくれで賠償が認められたというのはこれが初めての判決ですよ。そういうことについて今までのここの答弁、あなた方が裁判所で言った国、県の主張はこの不作為を正当とする理由にはならないというのが裁判の結論です。もう行政にとってこれ以上不名誉な判決は私はないと思いますけれども、この判決環境庁長官はどう受けとめておられるのですか。私が今主張した点についての御意見も含めて言ってください。
  24. 上田稔

    上田国務大臣 先生からお待たせ賃訴訟の敗訴に対しての判決後の考え方はどうだ、こういうことでございまして、先ほど沢田知事さんのお言葉を引用されましたが、沢田知事さんも一生懸命やっておられたのに対してそれが認められなかったということでああいうお言葉があったのではなかろうかと思うのでございますが、根本的にこれは解決をしていかなければならないのでございますが、いろいろ施策を講じてきたのでございますけれども裁判ではそれが認められなかったということで大変残念に皆考えておるところでございます。それに対しまして、何か認定業務促進のために知事さんの考えておられるような最善策をひとつ私どもも考えていただき、私どもの方からも出して、そして、その促進を図るようにしていかなければいけないということで今も協議をさせていただいておるところでございます。
  25. 馬場昇

    馬場委員 聞いていますと、僕は委員長にも聞いていただきたいのですが、沢田さんが破綻したというのは裁判でああいう判決が出たからでしょうというようなことですが、知事さんも一生懸命やっているからと言って、ここの委員会では何回も行政責任、国の責任だということは皆各大臣認めているのですよ。あなたは全然自分の責任だという感じをしていないじゃないですか。知事さんが知事さんがと言って、これも全然おわかりになっていない。  一言だけ言っておく。この水俣病のこういう不作為違法の判決も出ていますし、今度もまた判決で敗れているのですから、そういう点からおくれておるのに対しては国の責任ということをあなたは感じておられるのですか。まずその点を……。
  26. 上田稔

    上田国務大臣 先生お話の点におきましては、これは国の責任もございますが、知事さん等にお任せをしてこの水俣病患者対策を立てさせていただいてきたのが今までの実態でございます。それに対しまして、今のように非常におくれてきておるということに対しましては、国といたしましても知事さんを招致して、そうして、その内容をよくお聞きをして何か対策を立てなくちゃいけないということで、これはお話し合いをしようとしておるところでございます。
  27. 馬場昇

    馬場委員 これも大変重大な問題ですよ。これを言うと時間がないけれども知事さんにお任せして知事さんにお任せしてと、これは国の責任でやれと言って、例えば今福島さんがおられますけれども、そういう点もみずからここで議員立法まで出して法律をつくっているじゃないですか。そうして、あなた方は知事にお任せ、判断条件もやった。次官通達を、いい悪いは別として出している。みんなここが主導的で、審査の機関事務の委任をしているだけですよ、あなた方は。すべてあなた方に責任があるのですよ。また、今までずっと実際にやってきたじゃないですか。それを今までずっと知事さんにお任せしてやってきました、こんな。うそのばかげた話はないですよ。あなた、ここのところがわからないと今後全部だめですよ。ですから、今までのは追及しませんから、国の責任認定促進のために全力を挙げますということをあなたもきっぱり答弁しておかぬとだめですよ。やってください。
  28. 上田稔

    上田国務大臣 認定促進につきましては、これはもう私ども責任を持ってやらしていただきます。
  29. 馬場昇

    馬場委員 そこで、この五十八年七月二十日の判決について実はおたくは控訴なさっているわけですよね。県もそれに追随して控訴いたしましたけれども、整理いたしますと、認定がおくれておるのは国の怠慢だ、不作為、だから違法状態にあるんだ、こういうことが五十一年の判決で出ております。そして、県がこれだけやったと言うけれども、それは違法を解消する理由には当たらない。裁判所から否定されております。そして、故意、過失があったのだから賠償金を払いなさいということになっている。そういう中で熊本県知事は、現在の認定の制度というのはもう破綻をしております、こういうことも言っておるわけでございますが、違法状態が続いてこれを控訴して、認定促進に役に立つと思われますか、立たないと思われますか。患者救済にこの控訴がどれだけプラスになりますか、どうですか。一言でいい、控訴が患者救済に対してプラスになるか、プラスにならないか。理由なんか要らない。
  30. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、五十一年の不作為違法判決におきましては、認定業務のおくれが違法であるということが示されているわけでございまして、私どもといたしましても、認定業務がおくれておったという事実を踏まえまして、しかも、この認定業務促進するということがこれから最も大切であるというような観点に立ちまして、認定業務申請者の理解と協力なしには推進し得ないんだ、そういう性格であるということにもかんがみまして、水俣病対策の今後の円滑な推進という見地に立ちまして控訴しなかったという経緯があるわけでございます。  昨年七月のいわゆるお待たせ賃訴訟につきましては、これまで国、県におきまして認定業務促進のためにいろいろ行ってまいっておるところでございますけれども、それらの施策につきましては裁判の場におきまして評価されずに、認定業務がおくれておるということにつきまして国家賠償法上の賠償責任があるというぐあいにされているわけでございまして、このことはまことに残念なことでございまして、国としても、さらに上級審の判断を仰ぎたいということで控訴いたしたわけでございます。いずれにしましても、今後とも国、県一体となりまして認定業務促進に最大限努力してまいる覚悟でございます。
  31. 馬場昇

    馬場委員 私の質問に答えてないのです。控訴なさったでしょう。控訴したということは、患者認定の業務促進にプラスになるのか、マイナスになるのか、そのことを聞いているのです。どうですか。
  32. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 患者救済という観点に立ちまして、私ども県と一体となりまして認定業務促進ということに努めておるわけでございます。また、裁判裁判ということで別な観点におきまして、ただいま御説明申し上げましたような観点も含めて裁判所で争われておるわけでございますので、直接にこれがどうこうということにはならないのじゃなかろうかなというぐあいに考えております。
  33. 馬場昇

    馬場委員 大臣にも聞いてもらいたいのは、第一審が大体四年半かかっているのです。控訴したら多分二年ぐらいかかると思うのですよ。あなた方が控訴した理由というのは、こんなことをいたしました、いたしました、それが裁判所から認められなかったから、不満だから控訴した。こんなのはまた福岡高裁で認められない。高裁は二年ぐらいかかるでしょう。そんなのは認めない、だめだからほかのことをして抜本的なことをやりなさいというのが一審の判決の理由でしょう。そして、そのことを正しいと主張して二年後にはこれはだめだと言われたら、その間二年間また抜本対策も考えずにおくれるじゃありませんか、救済がおくれるじゃありませんか。そしてまた、今あなたも言われましたように、この前の、不作為違法だ、あなた方が故意にサボっているんですよ、違法状態ですよと五十一年の判決が出たときには、あなた方はこれを控訴をしたら認定業務がおくれるから控訴をしないと言って一審に服している。違法状態でございます、済みませんと言って一審の判定に服したじゃありませんか。  今度またお待たせ賃判決が出た。患者が梶木さんのところに、長官のところに交渉に来た。控訴するなど言いにも来た。鉄のさくの門を張って中にも入れもしないでしょう。そして、控訴したでしょう。熊本県と控訴の相談しましたか。熊本県は国と一緒に被告になっているのだから、国が控訴したから合わせなければいかぬ、私たちも控訴しますということを県議会で答弁しているじゃないですか。あなた方が主張して控訴しているんですよ。そういうことで控訴したって、前とのつじつまも合わない、前の五十一年のは、おくれるから控訴しませんと言って控訴しなかったんだから。今度控訴したのは、ただ金を出さなければいかぬから、そのことだけでしょう。何にも患者認定促進に役立ちませんよ。救済がおくれるだけですよ。メンツだけですよ。これならば本当に患者の心を無視するし、そして、この裁判判決を全然まともに受けていない。  この裁判判決が出たときに、患者に対して済まないと一言くらい環境庁は言いましたか、どうですか。この判決を見て、長官認定がおくれているのは、判決に服する服さないで控訴していますけれども患者に対して申しわけないという気がありますか。——長官に聞いているんだよ。申しわけあるかないかの話だよ。
  34. 竹内黎一

    竹内委員長 長官答弁ありますか。
  35. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま、その判決のときの状況につきましては私わかりませんので、ちょっと理事の方に答弁をさせたいと思います。
  36. 馬場昇

    馬場委員 時間がありませんから、おくれているのは済むか済まないかだけでいいです。
  37. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 ただいま先生からお話しございましたように、五十八年、昨年の七月時点におきましては患者さんの方で裁判のことについて大臣にお会いしたいということでお話があったわけでございます。(馬場委員「会う会わないじゃない、済まないと思っているのかということだけでいいんですよ」と呼ぶ)私ども認定業務が現在のような形で、いろいろ努力いたしておりますけれども、おくれておるという実態に対しましては、これは患者さん方の救済という観点から見れば申しわけない、何とか患者さん方あるいは申請者方々の理解を得ながらこの認定業務促進のために努めてまいりたい。そのためには申請者の理解といいますか御協力を得て速やかに検診を受けていただき、そして早く審査会においてそれぞれ審査をしていただいて、患者さんの方々につきましては救済をしていこうということで、そういう面での今後の進め方といいますか、検診審査体制の強化ということにつきましては、県ともその後もさらに連絡をとりながら、一緒になってきめ細かな配慮をしてやっていこうというぐあいに今いろいろ計画中でございます。
  38. 馬場昇

    馬場委員 ここで大分やりましたけれども、あなた方二人の話を聞いておってみれば、お先真っ暗というか非常に心細い限りです。そこで、今度は具体的に質問いたしたいと思います。  結局認定制度が破綻しておるということ、それで裁判でこういう二つの判決違法状態が今続いておるということ、ここで抜本的な方策を考えなければだめなんですよ。今までの路線上で裁判所から否定された、これは努力に当たらない、否定されたものを守っておってはだめ。それと今患者検診拒否をしておるというようなことを言われました。そこには、後で申し上げますけれども、何で検診拒否になっているのかということは、またあなた方は原因を突きとめなければだめなんですよ。  そこで、一つずつ具体的に申し上げますけれども、一番おくれておる理由は五十三年の次官通達なんですよ。さっき一覧表を見せましたけれども、これからずっと切り捨てが進んでいます。だから、結論から申し上げますと、五十三年の次官通達を撤回をして、四十六年の次官通達でやります、こう言ってみなさい。そうしたら、検診拒否なんか終わりますよ。皆さん方と腹を割って患者は話しますよ。これが抜本的な認定促進の第一にやるべきことなんです。  そしてまた、このところでこの法律にかかわりました山田長官が、わざわざこの委員会で今の臨時措置法のときの審査に先立って政府統一見解を発表されました。それによりますと、五十三年通達というのは四十六年通達が原点で、原則を踏まえてやっているのです、変わらないのです、こうおっしゃったのですが、実は変わっているのです、患者さんから見ましても。それから中身を見ましても、これにはいろいろな症状の組み合わせとかなんとか書いてございまして、四十六年通達と変わっております。だから、少なくとも山田環境庁長官はこの法律を審査するときに四十六年通達の原点を踏まえて、原則でやっていきますと言ったのですから、まだいろいろ理屈はあると思いますけれども、五十三年のがネックになっているのですから、四十六年次官通達に返す、そのことをあなたに今ここで言ってもらいたいけれども、言わなければそのことを検討するということでもいいから、この提案に対してどうですか。
  39. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生からお話がございましたように、五十三年の次官通知につきましては、現在御審議いただいております措置法の審議の段階におきまして山田長官の方から統一見解ということで、四十六年次官通知あるいは五十二年の環境保健部長通知、五十三年の次官通知、全部同じ趣旨、同一のものでございますというぐあいにお答えしているところでございますし、そういう面で私どもも五十二年七月の環境保健部長通知あるいは五十三年の次官通知というものは同じものというような解釈をいたしているわけでございますので、五十三年の次官通知については、それを撤回するとか改正するというような考えは現在持っていないところでございます。
  40. 馬場昇

    馬場委員 同じならば、四十六年というのは否定し得ない者は認定、その原則で貫いていっているのですよ。五十三年はいろいろ症状を組み合わせして認定しなさいというぐあいになっているでしょう。違うじゃないですか。その辺は同じですか。
  41. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、四十六年次官通知にはそのような表現がなされているわけでございますが、その後、いろいろな機会にいろいろな形で明らかにしてまいりました水俣病の範囲に関します基本的な考え方を、医学的知見の進展を踏まえまして整理統合したものが五十二年の環境保健部長通知ということになっているわけでございまして、それらを踏まえまして、五十三年にそういうものを全部包括した形で再確認あるいは統合するという観点で出しているものでございますので、そういう面では四十六年、五十二年、五十三年、同じ線上にあるといいますか、同じ趣旨でまとめられたものというぐあいに解釈いたしておるところでございます。
  42. 馬場昇

    馬場委員 それは違うということを今言っているじゃないですか。  これは私の提案です。違法状態をなくするためには四十六年通達に返す、これがまず第一です。  第二の問題につきましては、長期の保留者が物すごくおりますね。これはさっき言った数だけ、長期の保留者が五千九百二十一名現在おりますね。それを見てみますと、十年以上待たされているのが二百九十六名おります。裁判で相当期間というのは二年だ、二年以上やらなければ故意、過失、賠償金を払え。二年以上待たされている者が四千四百十四名おります。この保留について、最近は合併症とかいろいろありまして、審査会は非常に困難をきわめておるのはわかる。しかし、十年以上も、あるいは違法とされる二年以上も保留される。やろうと思えば、大体こういうのは五、六十日でやらなければならぬとさえ言われておるのですけれども、そういう問題について沢田知事は、やはり審査会で判断がつかない長期保留者は認定する方向でいってはどうかということを言明いたしておりますが、それがまた実現されておりません。裁判も結局知事に対して、医学で、審査会でわからない、保留にしたものは行政が勇断を持って判断しなさい、こういうぐあいに言っておる。それで今の救済法から補償法も迅速に救済となっているわけですよね。それで、救済法補償法も審査会の議を経てとなっていますが、答申は尊重しなければならぬ、当然ですけれども、判断するのは行政、ここで言えば知事ですよね。だから、裁判でこういうぐあいに言っております。知事は答申保留が数回に及ぶに至っては、知事はみずからの行政判断に基づいて勇断を持って処分したらどうかというような意味のことを言っています。法の迅速な救済というのは、行政の主体的判断が問われたときにちゅうちょなくそれを判断することだ、だから医者が見てどうもわからぬ、保留はずっと続けば永遠にこれは救済されない、そういうときには、審査会がわからないというときには行政の、知事の判断で処分をしなさい、これが救済法の目的にある迅速な救済に当たるんだ、こう言っているのですから、ここで第二の抜本的対策は、この長期保留者については必ず認定処分をする、こういうことを打ち出せばこの違法状態解消というのは相当前進する、こういうぐあいに思います。  時間もまだたくさんありますので、その次にもう一つ、二十八年たっている今日まで水俣病像さえ明らかにしていないのですよ。これはもう行政の怠慢も甚だしい限りですけれども水銀の被曝を受けた人、暴露された者は二十万人おる。これについてここで何回か私も取り上げたのですけれども、まず不知火海沿岸の水銀の汚染に暴露された人たちに健康管理手帳を配って、そして毎年何回か一定ごとにそういう人たちは全部健康診断をして、そして、それで認定にも役立てるだろうし病像の研究にも役立つ、こういう意味であの水銀の汚染に暴露された人たち二十万人に対して、一定の要件をつけていいですから、健康管理手帳をやって、毎年定期的に健診をしていくとか健康管理をしていくとか、そういうことを法律でもつくってやらなければだめだ、抜本的な水俣病の解決にならぬ、これが次の私の提案でございます。  それで、そのためには、水俣病総合調査法という法律委員会に私が議員立法で出しております。今ちょっとおくれておりますけれどもそれを今度また出しますけれども、これは今やっております臨時措置法を審査するこの委員会で満場一致でこういう特別決議が上がっているのですよ。     水俣病問題総合調査に関する件   水俣病は事実判明後、その当時は二十二年でしたが、二十二年を経た今日においても医学的病像さえも、今なお未解明であり、被害の全体像及びそれが及ぼした影響等について、実態が明らかでない。  水俣病問題解決の遅滞をなくし、住民の健康が守られ、環境が改善され、豊かな社会生活がいとなまれるための、完全な水俣病対策を樹立するには、基礎となるべき水俣病問題の総合調査を行う必要がある。  世界最大の水汚染公害実態と影響を正しく総合的に把握するためには、総合調査のための行政措置、立法措置の検討が必要であると考える。  よって、左記事項を検討し、特別立法化を含め、速やかに成案を得るように努めるものとする。その第一番目に、水俣病の健康被害、漁業被害及び環境破壊等医学的、生物学的調査及び各分野への影響について調査をする、そして八項目、ずっと調査のやり方、このことが満場一致で、自民党も含めてこの委員会で特別決議がされている。  これが何ら今実行に移されていない。そういうところにも問題があるわけでございます。そういう点につきまして、との特別決議というのは国会の決議ですよ。環境庁はサボって、これは何にもしていない。国会の決議を無視しておる、国会を軽視しておる、一言に言えばそうですよ。そのことをまずやりなさいということでございます。  そういう意味で、この三点について、長期保留者は知事の権限で認定しなさい、健康管理手帳制度をつくりなさい、水俣病の総合調査を特別立法あるいは行政でやりなさい、これはどうですか。
  43. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  まず、第一点目でございますが、長期保留者に対する考え方でございますが、現行制度におきます水俣病認定に関する処分につきましては、県知事等が、水俣病に関しまして高度の学識と豊富な経験を有する方々で構成されております認定審査会の意見を聞いて行うことになっておる、ただいま先生お話の中にもあったわけでございますが、そういう形になっているわけでございます。したがいまして、審査会で結論が出される前に県知事等が何らかの処分を行うことは適当でないというぐあいに考えております。現在の患者さんの状況は、先生お話の中にございましたように、非常に判断困難な事例が多く、病状の推移をもう少し見守りたいというようなことで保留になっている方もおられるわけでございますので、そういうような状況にございますが、私どもといたしましては、この審査のための資料収集にさらに一層努力いたしまして、認定審査会においてできるだけ早く結論が出されるように努めてまいりたいというぐあいに考えているところでございます。  それから、第二点の健康管理手帳方式による患者救済という観点でございますが、水俣病患者救済の方策といたしましては、水俣病にかかったと思われる方々はだれでも認定申請をすることができるということになっているわけでございまして、この現行制度を着実に実施していくことが一番大切なことであろうというぐあいに考えておるわけでございます。  なお、先生よく御案内のことでございますが、このようにして申請された方々に対しましては、治療研究事業ということで認定申請から一年、重症の方々につきましては六カ月を経過した場合におきましては、水俣病認定申請者医療手帳といいますものを交付いたしまして、医療費の助成とか人通院時の手当、介護手当、はり、きゅう、マッサージ施術費等の支給を行っておるところでございます。  それから、第三点の総合調査に関する決議につきましては、特に先生からお話がございましたように、第一点でございますけれども、現在、水俣病の健康被害にかかわります医学的調査につきましては、今後どのような調査が必要か、また可能であるかというようなことにつきまして、引き続き調査研究を行っているところでございます。また、国立水俣病研究センターにおきましても、水俣病に関する医学的な調査研究を行っているということでございまして、なかなか形にはなっておりませんけれども環境庁としても、この決議の趣旨を踏まえまして鋭意努力をいたしているところでございます。
  44. 馬場昇

    馬場委員 本当にあなた方の話を聞いていると、むなしいの一言に尽きますね。言葉だけあって実体は何にもないじゃないですか。あなた方は違法ですよ、違法状態ですよ。普通ならあなた方は首を切られなければいかぬ。違法を犯しているのだから、故意、過失だから、行政は。今はそこを追及しませんが、抜本的な対策を立てるということで罪の償いをしなければだめなんですよ。何も抜本的対策を立てないじゃないですか。次官通達を四十六年に戻しなさいと言っても、これもなかなか。長期保留者というのは、十年も何で審査会がわからぬわからぬと保留しますか。それで今見てみますと、何と待たされておいて、自殺をして、解剖してみて水俣病だったと認定された人もおるじゃないですか。そして、棄却されておいて、死亡後解剖して水俣病だと認定された者が何と二十名ぐらいおるじゃないですか。保留者中で死亡した後、解剖してみて認定された者が百十四名おるんですよ。こういう状況の者を、また保留保留を続けてい一で、十年も続けられて——二年ですよ、相当期間というのは。それを審査会に任せるなんて、審査会はわからぬと言っているんじゃないですか。それならば、迅速な救済というのだったら、知事が判定する以外にないじゃないですか。法の精神はそうなんですよ。それにも何とも答えない。健康管理手帳なんというのは——焼け跡のくぎ拾いみたいなことをやっているんだ、あなたたちは。本当にここで水俣病対策を、きちんとした家をつくる、建物をつくる、それが健康管理手帳方式だ。あなた方、申請した者に何かやっているかというと、焼け跡のくぎ拾いみたいなことじゃないですか。全然お話にならない。  そしてそのほか、長官、こうしていじめておりながら、環境庁のところに患者が来たときには、鉄さくにして装甲車を置いて会わないじゃないですか。環境庁というのは被害者を守る役所でしょう。だから、そういう点で国の責任感じて、抜本的対策を講ずるように努力をして、患者とはそのために話し合うルールをつくってやったらいいじゃないですか。例えば、いろいろ混乱が起こるというなら、時間はこれだけです、人数はこれだけです、静粛にやりましょう、ルールが決まったら会っていいじゃないですか。そういうことを含めて抜本策を検討しろというようなことですね、国の責任感じながら国会決議を無視しておる。これを尊重する、そして患者とはルールをつくって話し合う、これについて長官意見はどうですか。
  45. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま先生から、抜本策につきまして御提案がございました。これは非常に深く水俣病を御研究になられてのお考えだと存じます。知事さんも、私はたびたび申し上げますけれども、やはり現地においてこの問題に取り組んでいただいておりますので、私は、これからの促進の抜本策というものをやはり知事さんと一緒に検討させていただきたい。先生の御提案も込めましてひとつやらしていただきたいと念願をいたしております。  また、患者のおいでになられたときに会わないのではないかということでございますが、六月でございましたか環境週間がございますが、そういうときにはおいでをいただいておって、たしかお会いをしていただいておったと私は記憶しておりますが、そんな患者さんお一人にも会わないというようなことは、環境庁としてはそう考えておりません。大挙しておいでになられて、これはどうもちょっとルールをつくらなければいかぬというようなときはありましたでしょうが、そういうことのように存じます。
  46. 馬場昇

    馬場委員 長官責任感じておられて、一生懸命やってもらいたいわけですが、今の答弁によりますと、知事さんと一緒に頑張るということでございますし、特に熊本県の知事も頑張っておりますから、知事が、私が言ったような抜本策を持ってきた場合には、ひとつ積極的に話し合って実現できるように努力していただきたいということをこの問題について申し上げておきたいと思います。  次の問題に移りますが、実は四年前の昭和五十五年に私は当委員会におきまして、我が日本の国は公害環境問題に関する貴重な体験を持つ先進国として、その知見が他の国よりもたくさんあるわけですから、知見の蓄積を生かして国際協力のもとに環境に関する総合的な学術の振興、国際協力に指導的な役割を果たすために国立の国際環境大学を設立してはどうかということを実は提案をいたしました。これにつきまして、当時は鯨岡さんが環境庁長官でございましたが、次のような答弁をなさっております。これは大臣に質問いたしますから、よく聞いていただきたいと思いますが、環境問題は人類のために学問として定着していかなければならぬ問題であって、それを専門とする学校が国の手によってできることは、時代の趨勢として当然起こり得る問題でございます、その国際環境大学構想を承った以上は前向きに文部省などと考えてみたい、設立するとすれば公害原点水俣芦北地域が有力だと思う、こういう答弁を鯨岡長官昭和五十五年になさいました。  そして、五十六年に再び私がこの問題を取り上げましたときに、鯨岡長官は次のように答えております。私が、我が国の経済進出に対して公害の輸出だとか環境破壊などと苦々しく思っている国も多い、国際環境大学は国際協力の一環として、特に開発途上国から数多くの留学生を受け入れる特色のある大学としてはどうか、特色のある大学とするためには、例えば外務省とも話さなければならぬし、通産省、文部省、自治省、国土庁とも話し合わなければなりませんので、ちょうど水俣病のことを考える水俣病関係閣僚会議があるわけですから、この関係閣僚会議に諮って、そして各省庁から専門家を集めて検討するための委員会をつくって検討してもらってはどうか、こういう提案をいたしましたところ、鯨岡長官は、開発途上国の志ある青年を招いて十分勉強してもらって、帰国して自分の国で活躍していただくという構想は非常によいことであります、馬場先生が関係閣僚会議で取り上げてやれということにつきましても心がけてやりたいと思います、実はこういう答弁をなさっておるわけでございます。  そこで、環境庁長官にお尋ねしたいのですが、この鯨岡長官の国際環境大学設立についての答弁約束、これは現上田長官も引き続いて守っていただくわけでしょうね。どうですか。
  47. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  この国際環境大学という構想でございますが、世界の環境を保全していかなければいけないという問題がだんだんと大きな声になってきておるところでございます。環境問題に対しては日本は先進国と言ったらいいのではなかろうかと思うのですが、そういう先進国の責任として、発展されようとしておる国々の方々を教育していくということは私としては非常に大事なことだと存じます。したがいまして、そういう環境大学というものを日本につくるかどうか、こういう問題になるわけでございます。環境庁としてはこれは非常に結構なことだと思うのでございますが、何分そういう大学ということになりますと、縦割り行政で文部省の担当ということになっておるものでございますから、文部省の方とよく御相談を申し上げなくてはいけないと存じます。また、これを水俣にということでございますが、これもまた知事さんの名前を出して大変申しわけございませんが、やはり地元の知事さん並びに市町村長さんの御意見を十分に拝聴して同意を得なければいけないと思うのでございます。そういったようなことをいろいろ配慮いたしまして文部省の方にもお話をさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  48. 馬場昇

    馬場委員 これは五十五年と五十六年から問題にしておるわけです。そして、鯨岡さんも一生懸命努力するとやっておられますが、現在まで私が聞くところによりますと、努力が不十分、こういうぐあいに思います。だからそういう点で、この問題については上田長官、今度はあなたが積極的にぜひ動いていただくし、進めてもらいたいということですが、その長官の、環境庁長官としてこの問題は積極的に進めますというような御決意のほどをまた聞いておきたいのです。
  49. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  環境問題につきまして、実は先日もアメリカから向こうの長官がおいでになられまして、いろいろアメリカの環境状況なんかをお聞きをいたしました。国際的にも大きな問題になっていた酸性雨の問題が向こうでは問題になっている、それから地下水にいろいろ入っておるものが問題になっておる、そういったようなことの内容をいろいろとお聞きをいたしておりますと、何と申しますか、日本より環境に対しての考え方が大分差があるように思えるのでございます。したがいまして、アメリカにおいてすらそういう状況でございますので、まだなかなか発展途上にある国々につきましては、その考えをお持ちになっておる幹部の方が非常に少ないというのが実態でございます。今まさに幹部の方々に対してそういう重要性というものを認識をしてもらわないと、環境大学、国際的なものをつくるということになりましても、なかなか大変な状態であるのでございます。こういう点につきまして認識をうんと植えつけていかなければいけない。先生も諸外国の方に御出張に相なるわけでございますが、その際にはぜひともそういう点でお願いを申し上げたいのでございます。  実は先日もイランの方へ山田元長官がおいでになられまして向こうの方とお話をしていただいたのでございますが、日本にぜひともそれは勉強したいというようなことを言っておられたということをお聞きをいたしております。まだそういう状況でございます。外務大臣ともよく相談をいたしまして、そういう面に私も極力促進をするようにいたしたいと考えております。
  50. 馬場昇

    馬場委員 具体的に言いますと、文部省では昭和六十一年から十八歳の高校を出る生徒の急増期になるのです。六十年から六十一年くらいには大体三十万人くらいふえる。ピークの六十七年には二百五万人くらいにふえまして、現在の進学率を保持していきますと、八万五、六千人入れ物がなくなって、急増対策として大学の設置とか学部、学科の増を考えているのです。今やっておるのです。  それからもう一つは、中曽根総理大臣が途上国へ行って帰られましてから、留学生、今日本は外国から受け入れている留学生は八千人なんですよ。ところがよその国は、西ドイツとかイギリスが五、六万人、それからフランスなんかはもう十何万人、アメリカは三十何万人、まさに日本は留学生に関する限り砂漠状態だと言ってもいい。これを一九九〇年までには西ドイツ、イギリス並みの五万人にする、二〇〇〇年までにはフランス並みの十万人にする、そういう答申が実は留学生懇談会では出ている。留学生もふやさなければならない。国土庁は高等教育機関のあり方として、地方に高等教育機関をつくりなさいという答申を出して、方針を打ち出して自治省なんかと今話し合いをしておるわけで、だから私は、こういうときに、動きようによってはこういう大学の設立というのは条件は熟しておると思います。  そこで、例えば長官、文部省とそういう話をする。それから、国土庁や自治省あるいは外務省と話をする。金は、例えば国際協力資金なんかから出してもらってもいいのですよ。金がなければ、それだけふやす。そういう関係各省庁があるわけでしょう、そういう省庁と、やはり環境庁長官が推進役となって、主になってこの設立に向かって積極的に話し合いを進めていただきたいと思うのですが、いかがですか。
  51. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま私も御答弁申し上げましたとおり、関係のところとよくお話をしたいというふうに考えております。外国の事情もよく踏まえて募集ができるかどうかということも考えなければなりませんし、大学設置の点は文部省もありますし、いろいろの関係のところと相談をいたします。
  52. 馬場昇

    馬場委員 なかなか長官は人物が温厚かもしれませんが、私はさっきの認定促進につきましても答弁に迫力を感じないのですね。大いにやりますよと言って一つぐらい環境のために、人類の未来のために、二十一世紀、二十一世紀と言う中曽根さんの閣僚だから、二十一世紀に向かって大いに頑張りますという積極姿勢を見せなければだめだと思うのです。  じゃ言いますけれども、少なくとも今水俣市は市議会で決議をして、超党派で、市民、商工会議所、商工団体とかでこれの設立の期成会をつくるという動きが出て、市を挙げて頑張っております。だから、そういう市の動きだとかあるいは熊本県もまたこれに呼応して動いてくる、そういうときには市や県の要望を受けて私も積極的にやりますという姿勢はどうですか。
  53. 上田稔

    上田国務大臣 地元からのそういうお話は残念ながら私全然まだ聞いておりませんので今までそういう答弁ができなかったわけでございますが、その意気込みをお聞きをいたしまして私も腹を決めさしていただくということでございます。その前に関係のところともよく話し合いをしておかなければいけない、こう思っております。根回しはやっておかないと、やります、やりますと言ってもできないことになりますので、やりたいと考えております。
  54. 馬場昇

    馬場委員 文部省なんかは臨調答申もあって案外腰が重いのですよ。そういうのはあなたの方が環境庁長官だから重い腰を上げるようにやらなれば、そういう意味も含めまして、今のでもやる気がわかったのですけれども、文部省の重い腰くらいは、例えばそういう点、水俣から、熊本県から来ると思います。そういうときには積極的にやる姿勢がこちらになければ、やろうという腹があれば向こうも積極的に動くわけですから、そういう意味において、水俣市とか熊本県から積極的に来れば私も積極的に文部省の重い腰でも上げるように努力しますという決意のほどを再度聞きます。
  55. 上田稔

    上田国務大臣 ただいま総理は、文部省というよりも学制の改革をやろうとしておられます。したがいまして、大学もそういういろんな新しい考え方のものをつくろうとしておられる時期でございます。その時期に環境問題の大学ももちろんつくっていただくということはやっていただかなくちゃいけない、私はこういうように考えておるのでございますが、文部省は重い腰と言われますが、文部省が総理に押されて今やろうとしておるわけでございますから、私も文部省のけつをたたいてひとつやらしていただきたい、こういうふうに考えております。
  56. 馬場昇

    馬場委員 これは具体的に提案しておきますけれども、今おたくの管轄で水俣病研究センターができていますね。あれは水俣の実にいいところに、坂田先生なんかもおられますけれども、お互い努力して環境庁の力で建ったわけです。あれは三木さんが約束した。ところが、今はあれは研究センターなものですからなかなか人が行かないし、これが例えば患者認定促進にどういうふうにプラスになっておるのかという成果もまだ出ておりません。ところが、三木さんはあれを約束したときにはこう約束したのです。私も一緒に行って隣におって聞いていたのですけれども、あの悲惨な状況を見て、研究から治療から教育から、世界に冠たるという意味を含めて国際協力からあるいはリハビリから患者の就職の世話から生活相談から全部含めた水俣病総合センターをつくりますということを水俣現地約束したのです。そうして、今あれができましたが、あれができるときに私はこの委員会であれば第一期工事でしょうと言った。石原長官はその当時、第一期工事です、今は研究だけれども、第二期というのは例えば治療とか教育とか、そういう将来の展望の中の第一期としてあれをやっております、こういう答弁も出ておる。  だから長官、今の大学と関係しますけれども、今研究でしょう、それから例えば医学的に言えば治療を広げる、あるいは教育を広げる、リハビリとか国際協力とかそういうものを広げて、あそこを母体にして環境大学に発展させていくというのも、段階的に踏むとするならばそういうのも一つの方法ではなかろうか、こう思っておるのです。こういう点につきましてもぜひ検討される中の一つに入れていただきたい、こういうぐあいに思います。特に人類水俣病のような悲惨な公害を本当に二度と起こさないという誓いを込めながら二十一世紀の地球の環境と人類を守っていく、そういうことで公害原点である水俣芦北地域にそういうものをつくろう、実に大切なことであると思います。そういう点について今言いました水俣病研究センターの拡充強化というものも含めながらぜひ検討してもらいたいと思います。いかがですか。
  57. 上田稔

    上田国務大臣 検討いたします。
  58. 馬場昇

    馬場委員 次に、認定申請者の医療費の問題についてお伺いしたいと思うのです。これは先ほどもちょっと出ましたように、五十一年から実施されておるわけでございます。これは具体的なことですけれども、五十八年度分、当初見込み予算が三億一千六百万組んでありまして、これは国と県が半額すつ負担しておるわけでございますが、何か県から聞いたところによりますと五十八年度分四千六百万円不足する見込みだ、これについて県はその半分を補てんしたいけれども、国があと半分は余り見たくないみたいなことを言っているというようなことを聞いて心配しておるのです。そうじゃないのじゃないかと思うのですが、この五十八年度の申請者医療の手当てにつきまして、不足分の半分は約束どおり国が見ますか。
  59. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  熊本県におきます治療研究事業につきましては、おしかりを受けるかもしれませんが、認定業務が予定どおり進んでいないというようなことによりまして五十八年度の医療費に不足を来すおそれがあるというような連絡を受けておりました。県におきましてもいろいろ努力をされまして、五十八年度の請求分については五十八年度予算で執行できた旨の報告を受けております。その分につきましては、先生からお話がございましたように、二分の一の国庫補助を行っておるということでございます。
  60. 馬場昇

    馬場委員 じゃ私が心配したことは起こらなくて執行できたということですから、これはそれでいいと思います。  そこで次の問題ですが、チッソの支援の県債の問題についてお伺いしたいのです。これは六十年度の六月で終わりですね、約束は。六十一年度以降はどうされるつもりですか。
  61. 正田泰央

    ○正田政府委員 チッソの県債の問題につきましては国会の先生、県会の先生、超党派で長いこといろいろ御指導と御協力をいただいておりましたが、その事情を背景にいたしましてでき上がっておりますこの発行制度、私どもいろいろ問題があろうかと思いますが、患者さんに対する支払いという点については問題がないのじゃないか、こう思っておりますので、事態の変化がない限り、今先生が御示唆されかけたような形、現行方式で継続させていただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  62. 馬場昇

    馬場委員 熊本県は現在までに既にチッソ県債を、六十年の六月までぐらいには三百億円を超えるのじゃないか、これだけ県債を出しておるわけです。今の局長答弁によりますと、六十一年度以降もこれを継続さしていただきたいということでありますと、熊本県の県債の額はウナギ登りに上っていくわけでございますね。  片一方、ヘドロ処理の問題について、今工事が始まっておりますけれども、これまた工期を六カ年延長いたしまして六十四年まで。最初工費が二百三億円ぐらいが四百六十億円ぐらいに上がる。チッソの負担が百二十六億円でしたが、これも二百七十億円ぐらいになる。こういう計画の変更があっているわけでございます。このヘドロ処理のチッソの負担が二百八十億円になっているのですが、これも実はチッソが返さなければならぬ金になるわけですね。だから、例えば熊本県債が三百億円ぐらいになる、ヘドロ処理のチッソの負担が二百七十億円ぐらいになる、こういう負担をチッソは背負うわけでございます。  通産省、来ておられますか。チッソの今日の経営状況をちょっとお聞きしたいのです。
  63. 高島章

    ○高島説明員 先生御高承のとおり、チッソの主要分野でございます石油化学、それから化学肥料全体、大変苦しい構造的不況に陥っております。したがいまして、チッソの経営状況もこの数年辛うじて均衡を維持しているという状況でございます。  五十八年度の収支決算につきましてはまだ出ておりませんけれども、最近アメリカの景気がよくなりましたこと、それから新しい分野にチッソが懸命に努力して出てきつつございますので、そういうことを背景にいたしまして、五十八年上期は二億円の赤字を出しておりますが、下期はこれを埋めて黒字に転換できるというぐあいに聞いております。
  64. 馬場昇

    馬場委員 チッソの今日までの累積赤字はどれぐらいになっていますか。私の聞いているところでは六百五十億から七百億円ぐらいの累積赤字を持っているということですが……。
  65. 高島章

    ○高島説明員 現在七百八十三億円の赤字でございます。
  66. 馬場昇

    馬場委員 そういたしますと、例えば県債とヘドロ処理の負担で五百七十億円ぐらい、今のが七百八十三億円ぐらいとしますと、今の段階で大体千三百億円ぐらいの負債になるわけですね。これ、チッソは返す見込みはありますか。返せますか。通産省、どう見ていますか。
  67. 高島章

    ○高島説明員 チッソの今後の経営見通しを立てますことは、通産省としても非常に困難な作業でございます。ただ、我々が今やっておりますことは、第一に、チッソの主要分野でございます石油化学及び肥料全体につきまして、法律に基づきます構造改善を進めておりまして、これによりまして当該産業が経済的に自立できる道を今努力して進んでいるところでございます。これにつきましてもいい結果を現在期待しているところでございます。  それからもう一点は、先ほどちょっと触れさせていただきましたが、新規の事業分野にチッソは今懸命に努力をしておりまして、これが今短期的にも収益増につながっているわけでございますが、我々といたしましては、この新規事業分野への進出につきましていろいろ支援をしてまいりたいというぐあいに思っております。
  68. 馬場昇

    馬場委員 通産省にさらにお聞きしますけれども、私も何回もこの委員会で質問して指導の約束を取りつけておるわけですけれども水俣病が公式に発見されました昭和三十一年、水俣市の人口は五万四千人ぐらいおりました。ところが、今日は水俣は三万七千人ですよ。何と一万七千人ぐらい水俣市の人口は減ってきております。そして、水俣チッソの工場の従業員は、同じ昭和三十一年には三千二百人おりました。ところが、今日は七百八十人です。四分の一なんです。私は、県債を発行しますときに、何のために熊本が県債を発行するのか、実は患者は今三十三都道府県に分かれておる、よその都道府県の住民も熊本県が県債を出して補償金を払っている、国がやるべきじゃないか、国債を出せというような話もいたしたことがあるのです。県債を出せるんだったら国債を出せるはずだという話をしたこともあるのですが、そのときにやはりチッソが倒産しますと困るということと、もう一つは、地域の発展に県債を出して援助しながら協力させていかなきゃいけないんだ、そのためにはあそこの水俣工場を撤収してしまったらもう何にもならぬわけですから、だんだんじり貧になってきておりましたから、少なくとも従業員千人体制というのは、これは熊本県に済まなかった、申しわけなかった、今後一生懸命頑張りますよ、県債を出してくださいというのだったら千名体制は維持しながら、今言われました新規事業というのはどんどん水俣に持ってきてくれ、そういうことでチッソ熊本に貢献をする、そうしたら熊本県の県債というのも出せるのじゃないかということで、実は新規事業あるいは一千人体制は崩さない、それ以上は減らさない、これが減るようだったら熊本に対してチッソ責任感じないから県債なんか出す必要はないということまで言いながらそういう約束をしてもらったのですけれども、その辺の新規事業と、ずっと減っていますけれども一千人体制、これについてぜひ今後ともチッソを指導していただきたいと思うのですが、いかがですか。
  69. 高島章

    ○高島説明員 チッソの経営改善を進めますのは、もう私が申し上げるまでもなく、一つは、不採算部門を縮小することでございます。もう一点は、もちろん採算部門の拡充、それから先ほど来申し上げております新規分野をいかにして広げるか、この三点に尽きるだろうと思います。したがいまして、その過程におきまして雇用数につきましてある程度の変動があるということはやむを得ないところもあろうかと思っております。ただ、先ほど来お話しになっております地域経済の重要性にかんがみまして、我々は水俣工場における雇用の安定を強く願っております。繰り返しになりますが、現在チッソの新規分野への進出はこの水俣工場が中心になっておりまして、そういう意味では先ほどの先生の考えに沿った動きが現にチッソ全体の中で行われているというふうに考えております。現に一昨年、五十七年度に為きましても新規分野につきまして私どもは開発銀行からの融資を積極的に応援しておるわけでございまして、こういう立場は今後とも維持してまいりたいと思っております。
  70. 馬場昇

    馬場委員 三千二百人から七百八十人ぐらいになるということはある程度の変動じゃないですよ。ぜひそういう点も含めて、これは一千人体制を割ったら県債は無理だぞ、熊本の雇用状態熊本県民の幸せに余り熱意がないのではないか、そう判断しますよということが大体コンセンサスになっておったんですよ。そういうことを頭に置いてぜひ指導していただきたいと思います。  それから、いよいよ今かかっております水俣病認定促進臨時措置法について御質問申し上げますが、部長、この臨時措置法で何名が申請をして、処分はどういう状況になっておりますか。
  71. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  臨時措置法が制定されまして以降現在までに、申請者方々は九十五名いらっしゃいます。そのうち昨年末までに、いわゆる臨時審査会におきまして審査を行われて処分が決められた方は七十二名でございます。差し引き二十三名の方々につきましてはこれから必要な検診等を行いまして、できるだけ早い機会に臨時審査会におきまして審査をしていただきたいというように考えております。
  72. 馬場昇

    馬場委員 旧法で、申請をしてよろしい該当者は大体何名おりますか。この臨時審査会申請していい該当者、何人おりますか。
  73. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 概略の数字で申し上げるわけでございますが、五十三年、この臨時措置法が制定されました時点におきましては、いわゆる旧法対象者の方々が大体千四百名でございます。それから、昨年末といいますか現在におきましては、旧法対象者の方々が大体四百名というぐあいに考えております。
  74. 馬場昇

    馬場委員 これが制定当時に私が質問いたしましたときには、千六百人おったという答弁でございましたが、これが九十五名しか申請をしていないということじゃ、これも開店休業ですね。これに対してなぜ申請をしないのか。  その前に、この法律ができて今日まで、これにかかりました所要経費は幾らかかっているのですか。
  75. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  先生お話の所要経費についてでございますが、臨時措置法の施行だけのために実際に要した費用といいますものと、それ以外の水俣病対策に使っております費用と、区別してその額を明らかにすることはなかなか困難なところでございます。この臨時措置法施行に要します主な費用といたしましては、臨時水俣病認定審査会の開催や検診を行うために必要な委員の手当、旅費等の諸経費でありますけれども、これを分別して出しますことは非常に困難でございます。  なお、予算計上額といたしましては、臨時措置法施行関係経費ということで、五十四年度以降五十八年度まで毎年度大体千七百万円程度が計上されているところでございますが、この中には水俣病対策全般の中で使用されたものも含まれておるという状況にございます。
  76. 馬場昇

    馬場委員 実は千六百人も該当者がおりながら九十五名しか申請をしない。ある程度の、相当の費用をかけておるわけです。私は、これをつくりますときに、こういうことになるだろうということの質問もいたしました。答弁もいただいておるわけでございますが、なぜこれが利用されないかということについては、当時こういう心配があるぞということで、その心配をなくするためにこの委員会で附帯決議ができているんですよね。その附帯決議が守られていないんですよ。だから、利用者がないんです。満場一致で本委員会で附帯決議が行われておる。「本法の施行に当たり、政府において特に措置すべきところを明らかにし、遺憾なきを期そうとするものであります。」と言って、この附帯決議を私が出した。そして、全党一致でこの附帯決議をしていただきました。  これはまず第一に、「臨時審査会は、水俣病患者が一人でも見落されることのないように、全部が正しく救われるような精神にのっとって審査を行うこと。」こういうぐあいに書いてございます。これはこの問題が起きましてからずっと大石環境庁長官が発言した言葉です。審査は一人も見落とされることのないようにするんだ、その精神にのっとって原点に返ってやりなさいよ、これが第一の附帯決議。  第二に、「臨時審査会委員の任命に当たっては、患者の信頼を失うことのないよう十分に配慮すること。」これが第二の附帯決議です。ところが、これが全然患者に相談もなく、患者が理解するような人でなしに、患者が拒否するような人が審査委員になっている。そういうところには申請しませんよ、切り捨てになるからと言って。この附帯決議の趣旨というのが守られていないから、申請が行われていない。  それから、その次の附帯決議の第五に、「認定業務の不作為違法状態を速やかに解消する措置を講ずるとともにこれを全然講じていない。「認定業務について、患者との信頼回復に努めること。」となっておる。全然患者との信頼回復に努めるようなことをしていない。  そして第七に、「認定業務について、各県・市認定審査会、当該地方公共団体の長こそしてわざわざ「患者代表の意見を十分に聴取し、今後とも一層改善に努めること。」こういうような附帯決議がついておる。  この附帯決議が全然守られておらぬから、切り捨て臨時審査会患者は呼んでおります。そして、交通ラッシュだからバイパスをつくったが、今のような人数ではそのバイパスにはペンペン草が生えているようなものじゃないですか。そういうことだから、この臨時審査会申請者がない。そして、不作為違法の判定は、千六百人もおったのにこっちには来ないという中で、まだ滞留者が五、六千人も残っている、こういう状態になっておるわけであります。  だから問題は、これを延長したって、認定促進の抜本的な姿勢というのが環境庁で変わらなければ、申請する人はいませんよ。ただ、延長するというのは、高等裁判所で控訴審について、わざわざ法律まで延長してバイパスをつくって認定促進を努力しておりますよという答弁書を書くためには延長も効果はあるかもしれないけれども、しかし、それも裁判所から否定されているんだから。しかし、実際問題としてはこれを申請する人はいない、私はそう思います。そういう意味で、これをここで延長したって何にもならないと私は思う。国費のむだ遣い。こういう臨調答申のときにこういうことをしては何にもならぬ、むだ遣いじゃないか、こういうことを思って、これに反対でありますけれども、それよりも認定促進の具体的な、私さっき提案しましたようなことをやはりやらなければいけない、私はこう思います。それについて長官、どうお考えですか。
  77. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  臨時措置法の制定のときに当たりまして、国会におきまして附帯決議がつけられましたということにつきまして、この附帯決議の中身につきまして、四点につきましては今お尋ねがあったわけでございますが、私ども基本的には、この附帯決議の趣旨を十分尊重いたしまして水俣病患者救済対策を行っておるところでございます。特に第一点におきます、水俣病患者が一人でも見落とされることのないように救済する精神にのっとって審査を行えという附帯決議の第一点目でございますが、これにつきましては、臨時審査会におきましては水俣病にかかわります医学に関しまして高度の学識と豊富な経験を有する審査委員から構成されておるところでございまして、附帯決議の趣旨に沿いまして公正な審議が行われておるというぐあいに考えておるところでございます。  それから、第二点におきまして患者の信頼を得るように十分審査委員の任命に当たっては配慮せよということでございますが、この点につきましても患者の信頼を得るという観点におきまして、実際の場におきまして研究なりあるいは認定審査等行っております水俣病にかかわる医学に関し高度の学識と豊富な経験を有する方々お願いしておるということでございますので、そういう面で患者の信頼を得るような審査委員の任命に当たっておるというぐあいに理解いたしております。  それから、第五点目でございますが、不作為違法状態の速やかな解消という点でございますが、認定業務促進を図りまして患者との信頼関係の回復に努めるという観点から、検診あるいは審査体制の充実や治療研究事業の充実に努めてまいっておりますほか、患者さんの方々の声を聞く機会をできるだけ設けるなど、国、県一体となりまして各般の施策を実施いたしておるというぐあいに承知いたしておるところでございます。今後とも患者さんの理解を一層得ながら認定業務促進に最大限努力してまいりたいというぐあいに考えております。  それから、七番目の審査会あるいは県、市の意見を十分に聞きなさいという附帯決議でございますが、これにつきましては、環境庁におきましてはこの検診、審査業務の積極的な推進を図るために、水俣病にかかわります三県一市連絡会議というものを開催いたしておりますほか、特に熊本県との間におきましては水俣病認定業務促進対策打合せ会といいますものを開催するなどいたしまして県、市と密接な連携を図り、認定業務促進に努めておるところでございます。また、審査会委員意見も、臨時審査会の場あるいは水俣病に関します研究会を開催するなどの機会を得まして機会あるごとに承っておるというところでございます。なお、患者さんの意見も、できるだけ機会があることに聞くようにいたしてまいっておるつもりでございます。  いずれにいたしましても、この附帯決議、八項目あるわけでございますが、この趣旨を十分尊重し、この趣旨に沿って患者救済に努力いたしておるところでございます。  なお、昭和五十三年にこの臨時措置法が制定されたことに伴いまして、国、県におきましても本法対象者、いわゆる旧法申請者に対しまして国への申請がえの呼びかけを行っているところでございますが、その結果、先ほど申し上げましたように、五十八年十二月末日までに七十二名の方々が既に所要の処分を終えておる。その後、本年になりましてから現在まで二十三名の方が国に申請されておるわけでございまして、今後とも申請される方がおられるのではないかなという期待を持っておるわけでございますが、一人でも多くの方ができるだけ早く処分を受けられるという観点から本法の延長を行うことが必要であり、患者救済にも役立つものというぐあいに理解いたしておるところでございます。
  78. 馬場昇

    馬場委員 あなたの答弁を聞いていると、本当にもう何か寒くなるような感じがするのです。患者の心なんかというのはあなたは全然知らないですね。それで水俣行政ができますかね、大体。今言ったところは何も守っていないじゃないですか。ひとりよがりですよ。例えば、大石さんの言った一人も逃さないように、そういう姿勢患者なんかに全然見えませんよ。あなたがとっておるものを、一人も落ちこぼれがないように環境庁やっておりますかと全部にアンケートをとってみなさいよ。だれ一人そうやっていると思いませんよ。ましていわんや認定審査会の委員ですよ。これにわざわざ書いて、患者の信頼を失うことのないよう十分に配慮しなさい。全部患者が、こういう人たちはだめですよという人がたくさんおるじゃないですか、名前を挙げると失礼に当たりますから言いませんけれども。そういうのは任命されるときにあなた方は——あなたはそのときいなかったかもしれぬけれども、知っているはずです。私も患者から聞いて知っているのだから。これはおかしいのですよ、これもおかしいのですよと、患者はみなそう言っているのですよ。だから、患者はおかしいと言っていますよということを私は知らせたこともある。それでも、拒否しているのを強行したじゃないですか。だから、患者の信頼を得ない人がやっているじゃないですか。  それから、さっき言いました、これはもう繰り返しになりますけれども、やはり抜本的な認定の業務のことをやらなければいかぬのに、裁判所から、あなた方がやっているのは努力のうちに入りませんよといって拒否されたことを、一生懸命やっているのだ、やっているのだと、それはみんなひとりよがりですよ。全部患者の心を知らずにおいて、あなた方の官僚的なひとりよがりの頭でやっているからだめですよ。本当に発想を変えなければ。あなた方は、悪く言えば、水俣病は早く終わらせて、そしてつぶしてしまえ、圧殺してしまえというような魂胆が後ろにあるのではないか。口先だけで一生懸命やります、一生懸命やりますと、こう言っているとしか思えませんよ。本当に頭を冷やして、患者の心になって、目をつぶって、どうすればいいのかという心の通った、血の通った行政をしなければだめですよ。  そういう意味において、例えばこれと合わせて、この前、あなた方——あなた知らぬから言いますけれども大臣、この法律を通すときに、水俣病問題総合調査法というのが、前の方に法律が提案してあったのだ。その次にこの法律が出てきたのだ。みんな理事さん方が夜を徹してでも何日も話し合って、これはやはり二つ一緒に通すべきだということ、しかし、やはりいろいろの事情があって、片一方は通す、けれども片一方については特別決議を上げましょう。だから、この特別決議は全党一致でやって、守っていきましょうという特別決議を上げてこの法律を片一方で通したのですよ。特別決議というのは、さっき言ったように、何にもしてないじゃないですか。  水俣病総合調査の特別決議、ここに書いてあるのは、私ども社会党が出している法律の内容を具体的に行政で実行しなさい、あるいは特別立法でもしなさいというあの内容をこの決議に書いてあるのですよ。ところが、ほとんど仕事を進めていない。こだわりますのは、何回でもこれを出しますのは、例えば水俣病が原爆に匹敵するような人類の本当に悲惨な初めての経験。そして、原爆病には二つの救済法が出ておる。やはり特別立法でも水俣病につくって救済しなければ救済にならない。特別に法律をつくるためには被害の実態というのが明らかになされなければ特別立法はできないのだ、そのためにこういう総合調査法をつくって、こんなに深く、広く、悲惨な、深刻な問題、それならば原爆のように特別立法ぐらいつくって、そして救済していくべきだ、そのことが過ちを再び繰り返さないことになるのだ、そういう形で出ているのですよ。それが委員会で決議になっているのですよ。それが全然守られていないわけですから、そういう点について本当にここで、もうあと時間もありませんけれども長官、さらに今のこの法律の延長に当たっての部長答弁なんか聞いておりまして、これじゃ水俣病認定促進にはなり得ない。そして私は、水俣病対策全体について環境庁姿勢に非常に不安を覚えます。  そういうことで、繰り返して言うようで恐縮でございますけれども、後ろの方から言いますが、この附帯決議は、我々はこの法律反対ですけれども、この附帯決議が行われることは、これが通ればひとり歩きするわけですから、歩かせる上においてはこういう条件が必要だといって附帯決議はやはりつけなければならぬと私は思いますけれども、この前の附帯決議、これは守っていただけますね。この並行して行われました国会決議、これは積極的に責任を持って守っていただけますね。どうですか。
  79. 上田稔

    上田国務大臣 前回におきましての臨時措置法に対する附帯決議につきまして、この成立のときに長官が申し上げましたとおり、尊重してまいります。
  80. 馬場昇

    馬場委員 それじゃ総合調査法に対する特別決議も同様ですか。
  81. 上田稔

    上田国務大臣 お答え申し上げます。  水俣病問題総合調査に関する件につきまして、衆議院の御決議につきまして、当時の環境庁長官がこの附帯決議を遵守することをお誓いを申し上げました。そのとおりにさせていただきます。
  82. 馬場昇

    馬場委員 時間も来たわけですが、上田長官とは初めて質疑応答したわけでございますけれども、何か非常に寂しい思いもないわけではありません。  それで、最後にもう一遍、長官、もう理屈は言わぬから、言いますよ。患者の心をもって行政をする、そういうために水俣に行きなさいと言ったら、行きたい、知事とも相談してみたい、これはいいですね。
  83. 上田稔

    上田国務大臣 もちろん、患者の心を旨とするように私どもはやらせていただきます。知事さんとよく相談をして、私の方も行かせていただくようにいろいろ御相談をしたいと思っております。
  84. 馬場昇

    馬場委員 それなら、細川知事が来てくださいと言ったら、行きますね。
  85. 上田稔

    上田国務大臣 細川知事さんと打ち合わせまして、行かせていただきます。来てくれということでございましたら、行かせていただきます。
  86. 馬場昇

    馬場委員 主体性がないですね。  それから、抜本的な対策を言いましたね。四十六年の通達に戻しなさいとか、保留者は知事の権限で認定しなさいとか、こういう抜本的なことについて検討するとおっしゃいましたが、いいですね。
  87. 上田稔

    上田国務大臣 抜本的な促進につきましては、これもまた知事さんでございますが、知事さんとよく相談をして、そして対策を立てていきたいと考えております。
  88. 馬場昇

    馬場委員 それから、環境大学の問題につきましても、これは地元等の要望を受けて積極的に文部省の重い腰でも起こすように頑張ると言われましたが、それでいいですね。
  89. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  学制改革に当たりまして、ちょうど今時期で……(馬場委員「学制改革じゃないのですよ。あなた、間違ってもらっちゃ困る」と呼ぶ)失礼いたしました。教育改革でございました。教育改革に当たりまして、ちょうどそういうお話が出ておりますから、ひとつやらせていただきます。
  90. 馬場昇

    馬場委員 今のは違うのですよ。教育臨調でやれと言っているのじゃないのですよ。環境庁長官姿勢として、こういうものは大切だから積極的に地元と一緒に頑張る、そのことでいいですかと言ったのです。いいと言ったでしょう。
  91. 上田稔

    上田国務大臣 環境庁といたしまして、環境大学の設立でございますが、それにつきまして文部省、外務省その他と打ち合わせをさせていただきたいと考えております。
  92. 馬場昇

    馬場委員 あなたは文部省の重い腰をたたいてやると言ったでしょう。それは言いましたね。
  93. 上田稔

    上田国務大臣 文部省、重いかどうかちょっとわかりませんが、よく相談をして、やる方向で私どもは進ませていただきます。
  94. 馬場昇

    馬場委員 そして最後は、あの環境庁の鉄さくは外しなさいよ。患者とはルールをつくって話し合いなさい。いいですね。
  95. 上田稔

    上田国務大臣 患者さんとの会見のお話ではなかったかと思いますが、これにつきましては、私どもやぶさかでございません。
  96. 馬場昇

    馬場委員 終わります。
  97. 竹内黎一

    竹内委員長 中井君。
  98. 中井洽

    ○中井委員 水俣病の諸問題について、いつも熱心にお取り組みをなさっておられます馬場議員から、大変長時間にわたって質疑がありました。本当に馬場議員は機会あるごとにこの問題を取り上 げて熱心にやられておりまして、水俣病の諸問題というのはほとんども馬場先生の質問で尽きるんだと私は思いますが、また、私自身も七年間この委員会に所属しながら一度も現地を訪れたことがございませんので、認識そのものも表面的なものがあろうか、こんなふうにも思いますが、一応現状を整理する、認識を新たにするという意味で幾つかの問題について質問をさせていただきたい、このように考えます。  まず、大臣水俣病に対してどういう御認識を持っておられるか、あるいはまた、特に国、県、こういった行政責任ということについてたびたび言及がなされるわけでありますが、大臣はその行政側の責任についてどういう御認識をお持ちか。また、そういう御認識からどういう対応をとろうとなさっておられるか、そういったことでお答えをいただきます。
  99. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  先ほども馬場先生お話に対しましてお答えを申し上げたところでございますが、水俣病公害原点でございますので、環境行政の重要な課題として私どもは認識をいたしております。そして、県、市と一緒になりまして、一体となって認定業務促進を図るなどやらせていただきまして、水俣病対策の推進を回らせていただこうと考えております。
  100. 中井洽

    ○中井委員 行政責任というのはどういうところにあるのか、答えてくれませんか。
  101. 上田稔

    上田国務大臣 認定の非常におくれておりますことにつきましては、国の責任でございます。
  102. 中井洽

    ○中井委員 現在までに認定されました患者さんというのは、いただきました資料で二千六百五十九人、こういうことになっておりますが、この認定をされました患者さんに対する補償、こういったものは金額的にどういう形で計算されて、どう出ておるのかということをお聞かせいただきたい。それと同時に、認定をされた患者さんに対する健康を取り戻すための処遇あるいは対策、そういったものがどのように実施をされているか、お尋ねをいたします。
  103. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  水俣病患者さんがそれぞれ認定されました後におきましては、汚染原因となっております企業と患者との間で結ばれております補償協定によって補償が行われているところでございます。したがいまして、熊本、鹿児島はチッソ株式会社になりますし、新潟県、市におきましては昭和電工株式会社との間の補償協定によって、各種の給付といいますか、補償が行われておるところでございます。  ちなみに慰謝料だけを申し上げますと、チッソ株式会社、いわゆる熊本、鹿児島のケースにおきましては、慰謝料として千六百万から千八百万の間、それ以外に終身特別調整手当あるいは治療、介護、葬祭料、患者医療生活保障基金というような形で各種の給付が行われているところでございます。  昭和電工におきましては、これは一時補償金ということでございますが、死者及び重症者に対しましては千五百万、一般患者は一千万という形で一時補償金が支払われておりまして、それ以外に継続補償金なり通院手当、入院手当、介護手当、治療費等が行われているところでございます。
  104. 中井洽

    ○中井委員 月々平均どのぐらいになりますか。そして、現在までにトータルどのぐらいのお金が支払われてきたか。熊本、新潟別々でも結構です。教えていただけますか。
  105. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  チッソ株式会社との間の契約によりまして、終身特別調整手当ということで月額の額が決まっておるわけでございますが、病状によりますランクによって違うわけでございます。一番軽いCランクにおきましては五万一千円、Bランクにおきまして六万九千円、Aランクにおきまして十三万五千円ということになっております。  それから、昭和電工株式会社におきます継続補償金でございますが、これは年額でございますが、五十七年四月より百九万八千五百円ということでございまして、それぞれの契約によりまして金額は多少変わっておるという状況にございます。  なお、先生お尋ねでございました今までに給付した総額につきましてはただいま資料を持ち合わせておりませんので、後で御提出いたしたいというふうに思っております。
  106. 中井洽

    ○中井委員 患者さんの健康の回復のリハビリ……。
  107. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 どうも失礼いたしました。それ以外に保健福祉事業ということでリハビリテーションあるいは転地療法等につきましての補助を行っているところでございます。
  108. 中井洽

    ○中井委員 二つあって、一つは、補助金の中身、金額を聞いたわけです。それからもう一つは、患者さんに対してのどういう健康救済のきめ細かい処遇が行われているのか、それを聞いているわけです。研究センターがあるんでしょう。そういうことも含めて説明をしてくださいと言っているのです。
  109. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 どうも失礼いたしました。具体的に直接患者さんの方に給付されます補償給付ということにつきましては、先ほど御説明申し上げましたし、それ以外に保健福祉事業というような形で、それぞれの地区で主宰しておりますリハビリテーションなり転地療法についての補助を行っておるところでございますが、それ以外にこの水俣病対策といいますか、水俣病に対します原因究明あるいは治療方法の研究というようなことで、国立水俣病研究センターにおきます研究、あるいは全国的に研究者にお願いいたしまして研究等いろいろ進めておるところでございます。
  110. 中井洽

    ○中井委員 海の水銀の処理、これについてはどんな対策がとられておりますか。
  111. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 チッソ株式会社から排出されました汚泥に含まれております水銀の除去に関する事業のお尋ねでございますが、水俣湾内にあります。そういう水銀の汚泥を排せつするために、現在県におきましてしゅんせつ事業というものを行っておるところでございまして、これはかなり長期間にわたりましてしゅんせつ事業を年次的な計画をもって進めておるという段階にございます。
  112. 中井洽

    ○中井委員 認定をされた患者さんに対しては一応金額的な補償あるいは健康管理、こういったものがある程度行われておる。また、原因となりました排水対策あるいは汚泥の処理、それも着実に行われてきておる、こういうことであろうかと思いますが、現状は残念なことに、先ほどからも御質疑がありましたように、五千数百人の人たちが未処理という形で置いておかれているわけであります。この五千数百人の未処理の人たちの中身について少しお尋ねをしたいと思いますが、この五千七百四人ですか、この中で一度も認定をお受けになっていらっしゃらない方、何人ぐらいおられるのですか。
  113. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 認定申請者の中で、現在いわゆる未処分となっておられる方々の数が五千七百名ほどいらっしゃるわけでございますが、このうち約三割に当たります千六百名の方々は、一度審査会に諮問いたしたところでございますけれども、医学的判断が困難であり、症状についてその推移を見る必要があるということなどから、再度検診を受けていただき、慎重な審査をすることにしたという、いわゆる保留者の方々が全体の三割を占めておるということでございます。  また、三割強の千九百五十名の方々が、一度棄却された後再び申請された方でございます。そういう面で、残りの四割ぐらいの方々が新しく申請され、審査会にはまだ審査を受けていないという方々になるというぐあいに思うわけでございます。  かなりの方々につきましては、少なくとも一回は審査をしているところでございますので、いずれにいたしましても、これらの未処分者の方々につきましては、引き続き国、県一体となりまして認定業務促進に努め、早急な処分といいますか、そういうようなこと等を行っていきたいと思います。
  114. 中井洽

    ○中井委員 人数だけちゃんと教えてください。聞いたことだけに答えてください。  そうすると、その五千七百人ぐらいおられる未処分者の方のうち、二千人の方は一遍も認定業務を受けておられない、こういうことであります。その二千人のうち、一番古い申請者といいますと、昭和何年ぐらいのお方ですか。
  115. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 一番古い方と申しますと、四十八年に申請された方が約八名いらっしゃいます。それから、四十九年に二百七十名余いらっしゃると思っております。その方々が一番古い、しかも旧法の申請者方々であるというぐあいに考えております。
  116. 中井洽

    ○中井委員 どうしてこんなにおくれているか。受けられないのですか。十年以上も順番が回ってこないというわけじゃないでしょうし、何かその診断をお受けにならない原因があるのですか。
  117. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 個々のケースごとに詳細把握いたしておるわけではございませんが、非常に古い方々につきましては、認定申請をされまして一度検診を受けられまして審査会で審査をいたしましたところ、もう少し病状の推移を見守る必要があるというようなことで保留になっているケースの方々が多いというぐあいに聞いております。
  118. 中井洽

    ○中井委員 僕の質問おかしいですか、あなた。あなた、二千人の方はだれひとり一度も認定を受けていないんだ、こういうことだったわけでしょう。だから、その二千人のうちの一番古い人はだれだと言ったら、昭和四十八年からいる、それは何でたと言ったら、一遍受けたけれども、こんなばかな答弁ないじゃないですか。ちょっと、ちゃんと聞いてくださいよ。
  119. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 大変失礼いたしました。  時点が少し古い数字で申しわけございませんが、五十八年十一月三十日現在の数でございますが、いわゆる旧法といいますか、非常に古い方々で未審査の方が、全体で四百三十九名いらっしゃるときの数字でございますけれども、その中におきまして、未審査の方々が全部で三十三名、保留になっていらっしゃる方が四百六名という形になっております。
  120. 中井洽

    ○中井委員 だから、その未審査の人はなぜ十年以上も未審査なんですかと聞いているのです。それがわからないのです。
  121. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  その三十三名の方々について個別に把握いたしておるわけではございませんけれども、例えば病状が悪くて寝たきりになっていらっしゃる方とか、あるいは水俣市にいらっしゃらなくて他の県におられまして、なかなか検診等を受ける機会がなかった方々であろうというぐあいに考えております。
  122. 中井洽

    ○中井委員 どうしてそのままでほうっておくのですか。先ほどお話を聞きますと、まだ毎年数百人の申請者の方がおられる。私どもも何回も何回も質疑をしていますから、どのぐらいのペースで審査が進んでおるのかも知っておりますから、たまってくるのはわかるのです。しかし、そんな古い人がどうして未審査のまま置いておかれて、二千人という数字になるのですかと申し上げているのです。新しい人に待っていただくのは、それは仕方がないことでしょう。しかし、古い人から順番に片づけていく、片づけるというのはおかしいですけれども、やっぱり一度は審査をしていくというのが筋じゃないでしょうか、順番じゃないでしょうか、こう申し上げている。家で寝たきりだったら、行ってやればいいじゃないですか、それじゃだめなんですかとお聞きしておるわけです。
  123. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 ただいま先生からお話ございましたように、非常に古い方々につきましては、県におきましても、古い方々から必要な検診を受けて審査をするという姿勢で取り組んでまいっておったわけでございますけれども申請者の数が非常に多いというようなことから、大ざっぱに申し上げますと、検診をどんどん受けていただいてどんどん審査を進めていくということにある程度ウエートをかけて業務を進めておったという経緯があろうかというぐあいに思うわけでございます。  しかしながら、私どもといたしましても、県とも十分相談をしながら、ただいま先生からお話ございましたように、寝たきり等の方々につきましてはお宅へお伺いして検診をやるなり、あるいは県外の方々につきましてはその状況等をよく調べた上で、できるだけ検診が受けられるような配慮をするというようなことで、特に古い方々、長期保留者の方々に対しましては、そういう面でのさらに細かな配慮をしていく必要があるだろうというようなことで、県ともいろいろ相談いたしておるところでございます。
  124. 中井洽

    ○中井委員 他の行政であるならば、特に大臣は建設省御出身だからおわかりだと思いますが、申請をして、あるいは何らかの書類を役所に出して、十年もほったらかされっ放しなんというのは絶対あり得ないと思うのですね。相手が例えば環境庁のやり方、県のやり方はけしからぬから検診を受けないんだとか拒否をなさっているなら、それはやむを得ない。あるいは一遍保留だと決められたり、あるいは棄却されたけれどももう一遍申請をされたという形でお待ちいただいているのもやむを得ない面があるかもしれない。しかし、一遍も審査されてない人が旧法の時代からまだ三十数人残っておるのだ、こんな現状というのは、御努力はいただいているのでしょうけれども、少しおかしいんじゃないでしょうか。大臣、どうですか。
  125. 上田稔

    上田国務大臣 先生の御指摘のとおりでございます。五十九年度の予算で、大変遅まきになったのでございますけれども、寝たきりでお動きになれない方、また、その検診を受けに出ていくということについて非常に困難な方に対しまして、御都合をお聞きいたしまして検診をする体制を組みます予算をちょうだいいたしました。それでやらしていただきます。また、県外からおいでになる方々に対しましても、御都合をよくお聞きをして、そして検診を進めるようにいたすようにいたします。
  126. 中井洽

    ○中井委員 先ほどの質疑でもちょっとお聞かせをいただいたと思うのですが、ここ数年間まだ数百人単位で申請者が出ているということでございます。これは私の認識不足なんであろうかと思いますが、対策もとられ、汚泥の処理も進んでおる中で、まだ自分は水俣病である、こういう形で申請者が続出をするというのはどういうところに原因があるのですか。対策がどこか抜けておるのか、あるいはこの病気自体がそういう形での潜伏期間が長いということであるのか、そこのところを御説明いただきたいと思います。
  127. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 現在もかなりの数の申請方々がいらっしゃる原因についてのお尋ねでございますが、いろいろの考え方があろうかと思います。先生からお話ございましたように、水俣病が微量の水銀中毒というようなことで、症状の発現がおくれていらっしゃる方々もおられるかもしれませんし、あるは従前ある程度症状があっても、その様子を見ながら待っておられて新しく申請される方々もおられるかもしれませんけれども、現在のところ、申請をされる方々のうちの六割から七割の方々は前に一度申請された方々で占めているということでございまして、そういう面では、全く新しく申請される方は全体の中で三割か四割という形になっておるわけでございます。
  128. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、その認定業務の中で、再申請の方と新規の申請の方と順番を変えて、配慮をして認定業務に当たられておるのか、それとも、申請時期で同じく認定業務に当たられておるのか、そこのところはどうですか。
  129. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 審査会におきます審査の進め方につきましては、県の方におきまして、審査会におきましていろいろの御意見があるわけでございますが、いわゆる新規という方を大体四割ぐらい、この新規の中におきましては、先生からお話ございましたように、いわゆる再申請の方もございますし、全く新しく申請をされた方もいらっしゃるわけでございますが、その方々につきましては大体受け付け順ということで整理をいたしまして、四割ぐらいの方々について審査会において審査をします。それから、あと四割につきましては保留方々、それから二割の方々については古い方々というような、全体の審査の進め方といいますか、やり方については、大体四、四、二の割合で審査を進めていこう、そういう形で考えておりますので、それに基づきまして検診の方もそんなような形で大体の目安といいますか目的を決めまして検診を進め、審査を進めておる。その中におきましては、検診を受けられる方の御都合等もございますので、必ずしもその比率が固まっておるわけではございませんけれども、大体そういう割合をめどとして検診あるいは審査をやっておるという状況にございます。
  130. 中井洽

    ○中井委員 熊本県の現地でも随分御努力をいただいていると思うのですが、一年間に大体どのくらい認定をする能力というのはおかしな聞き方でありますが、能力といいますか、認定機関があるのですか。
  131. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  五十三年の閣議了解に基づきまして、県におきましては月間百五十人の検診、百三十人の審査体制を整備しようということで、その時点、整備いたしたものでございます。そのようなことで、五十三年、四年ごろにおきましてはかなりの数の検診、審査が進んでおったわけでございますが、その後、一部団体の運動等もございまして、検診をなかなか受けていただけないというようなことから、現在、審査件数でございますが、月間大体四十人ぐらいが審査を行われておるという状況にございます。
  132. 中井洽

    ○中井委員 それはどういうことが原因で審査をお受けにならないわけですか。
  133. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 審査会におきまして、最近の傾向といたしましては、それぞれの申請者方々の病状が非常に判断の困難な事例であるというようなこともありまして、なかなか審査が進まないわけでございまして、いわゆる認定棄却かという判断をするケースが減っておるという要件もあるわけでございますけれども検診等をなかなか受けていただけないという事情が現在の県の検診審査体制の機能を大きく阻害しておるというぐあいに考えております。
  134. 中井洽

    ○中井委員 私、質問は端的に聞いているつもりなんです。どうして受けていただけないのですかと聞いたら、あなたは受けていただけないのですと言う。それじゃ答弁にならないじゃないですか。運動があって、そして、なかなか受けていただけないんだ、こういうことを言われたから、何が原因ですかと聞いているのです。どうしてそういう検診を拒否なさる運動なんというのが起こっているのですか、こう聞いているわけです。
  135. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 検診拒否の理由でございますが、いろいろのことが患者さんの方から言われたわけでございますけれども一つには、不作為の違法解消誠意が見られない、あるいは疫学が無視されておる、魚を食べておるという状況の疫学調査について無視されておるというようないろいろな言い方があるわけでございますが、いずれにしましても、検診をどんどんやることによって認定につながらない、むしろ棄却される割合が非常に高いということから、棄却されるような検診についてはなかなか受けるわけにいかないというような御意見も一部にはあるというぐあいに聞いております。全般的に、患者さんの方々から行政当局に対する不信等というものもあるわけでございますので、そういう面で、私ども患者さん等につきましてそういう不信がないように誠意を持って対応してまいりたいというぐあいに考えております。
  136. 中井洽

    ○中井委員 そうしますと、そういう中で月四十名ぐらいの認定業務を今おやりをいただいておる。この四十名ぐらいの検診を受けておられる人たちは、認定業務を受けておられる方々は、新しく申請を出されて一度も認定というものをされたことのない人ばかりであります。拒否されている人たちは、今までに保留になったり、あるいは一度棄却になってもう一度再申請して、順番が回ってきたときには、今のやり方には不信だからと言って検診を拒否されておる、そういうふうに大体理解していいですか。ちょっと言い方が違いますか。必ずしもそうでもないですか。
  137. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 個々のケースがいろいろ要因が絡み合っておりますので、ただいま先生が御整理されましたような形で割り切るといいますか、そういうぐあいにつかんでおるというわけにはいかないだろう。先生お話のようなこともあるのかもしれませんけれども、それは全体の中のどの程度を占めているかについては、私どもは詳細に把握いたしておりませんので、そういう面につきましては、その可能性もあるということにとどめさせていただきたいと思っております。
  138. 中井洽

    ○中井委員 僕は何もこんなものを理論で割り切ろうとかしていないのです、わからないものですから。  拒否が起こったのは五十五年ぐらいからですか。五十五年ぐらいから拒否運動が起こった。しかし、その後も申請者がどんどん出ているわけでしょう。だから、どんどんと順番を飛ばして、新しく申請してくれた人を検診していったらどうなんですか。そういうわけにいかぬのですか。それは言い過ぎですか。そういうふうに単純に割り切れないものでしょうか。あるいはまた、逆に言えば、そういう検診拒否の運動が起こっている中で新しく申請をされるという方々は、そういう検診拒否の運動に加わってない方であろうかと私は判断するのですが、それも違いますか、そういうことです。
  139. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 検診拒否の運動は、始まりの当時、五十五年ごろからでございますけれども、当初は一部団体でございましたが、その後、それぞれの患者さん、申請者方々が賛同しておるというような傾向で、そういう拒否運動が広く申請者方々に広がっている状況でございます。そのような中におきまして申請が行われているわけでございますので、一方におきましては、そういう運動の中におきましても、審査会において審査をし、認定なり棄却をしておるという状況もあるわけでございます。  先ほども申し上げましたように、新しく申請をされる方々の六割か七割は再申請であるというようなことから、棄却をされている方々の中でかなりの数が再申請をしてこられる、それからまた新しく申請せられる方もおられるというような状況にございまして、その中におきまして検診なり審査をやっておる。先ほど申し上げましたように、審査といいますのは当初四、四、二の割合で考えておったのでございますが、現状はそのような形になっておりますので、現在は先生お話のように、検診拒否をなさってない方々を優先的に検診にお呼びいたしまして審査を進めておるということで、大体四十名内外の審査が進められておるという状況にございます。
  140. 中井洽

    ○中井委員 先ほどの馬場先生お話に、何か差別みたいな空気もあるのだというのがございました。実は私どもの地元の四日市なんかでも、ある時期、公害患者認定された人たちが集団で返上なさったのです。治ったのか、こう言うと違うのです。子供さんの就職や結婚のときに何言われるかわからない、こういう格好で、もう嫌だからということで認定を返上なさった、そういうこともございます。したがって、この公害患者の皆さん方のお気持ち、あるいは認定をされた、されない人たちのいろいろな複雑な屈折したお気持ち、僕らではなかなか理解できないところがあると思うのです。  しかし、こういう問題は、起こった以上、国のあるいは県の機関というものを御信頼をいただいて、どこかで認定業務というものを進めて対策をとっていく以外に方法はないわけであります。その一番の基礎は、国や県の機関に対する信頼だろう、このように思います。信頼がある、ないということは片一方だけの責任ではないと私は思います。両方、いろいろな行きたがいもある、あるいはいろいろな誤解もあるだろう、こういう信頼関係を回復するために、行政側は、国は今までどんな手をお打ちになったか、どんな御努力を払われたか、そこのところをお尋ねいたします。
  141. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 この水俣病認定促進を図るために五十三年の閣議了解事項がございまして、それに基づいて私ども、県と一体となりまして各般の施策を進めている中におきまして、できるだけ患者さんの方々の信頼を得るというか、誤解を解く必要もあるだろうということで、県におきましても私どもにおきましても、いろいろな機会に患者さんとお会いをして、患者さんの意見を聞く、あるいは私どもの考え方を伝えるというようなことを行っているところでございます。そういう面で、患者さんの理解というか信頼を得ることは、現在におきましてもなかなか難しい問題ではあろうかと思いますけれども、私ども、体制の整備とあわせまして、できるだけお会いしていろいろな話し合いをすることによって、できるだけ信頼を確保していこうというぐあいに考えております。
  142. 中井洽

    ○中井委員 もう三年間もそういう御努力をいただいているわけでありますから、片一方でその御努力を続けていただくと同時に、二千人いらっしゃる一度も審査をお受けになってない人たちの審査を早めていく。百五十人ですか、検診をする能力があるのだったら、どんどん早めていただくということは当然のことだ。そして、片一方で、拒否をなさっている皆さん方に対しても信頼回復を図っていかれる、そういう御努力を当然されるべきだと思いますが、いかがですか。
  143. 長谷川慧重

    長谷川政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘いただきましたような配慮といいますか心遣いというものは当然必要であろうと考えているところでございます。そのような面におきまして、従来私どもの方であるいは県の方におきまして、いついつ検診に来てくださいというような通知の出し方ではなくて、個々の申請者方々の御都合に合わせて検診が受けられるように、いわゆる申請者方々の御都合を聞いた上で検診日をセットするというような検診のやり方について、あるいは寝たきり等におきましてなかなか検診センターに検診を受けに来られないような方々、御都合の悪い方々につきましては私どもの方で検診班というような形で家庭に訪問いたしまして検診を受けるというようなところの、それぞれの申請者方々の御事情に合わせまして検診が進められるような形のものをつくっていく必要があるだろうということで、現在県とも協議いたしているところでございます。そのような観点に立って今後とも認定促進のために努力してまいりたいと考えております。
  144. 中井洽

    ○中井委員 お話を聞いておりますと、この法案を五年前つくりましたときの理事会でのいろいろな議論を思い出さずにはいられないわけでございます。今回、この法案を延長という形で提案をなさいました福島先生も、あるいは私もその当時まだ新人議員でございまして、いろいろな議論をいたしました。ここにお見えの坂田先生も熱心に私どもにお教えをいただきました。そういう状態と今の現状と、御努力をいただいておるんだけれども余り変わっていない、非常に寂しい気がするわけであります。  そういう現状を提案者として福島先生、どのようにお考えになっておられますか、あるいはまた今のいろいろな現地での運動、そういうグループの皆さんの運動というものを地元の議員さんとしてもどういうふうに御判断をなさっておられるのか、ここのところを率直にお聞かせをいただきたいと思います。
  145. 福島譲二

    福島議員 先ほど来の御質問を承りながら、環境庁から御説明があったことの補足を兼ねて若干の御説明をさせていただきたいと思います。  つい先般、熊本の県庁で十年以上未処分の状態にある方、これが旧法申請者で約四百人ほどおられるわけでございますが、このうちの大部分の方々に、認定申請者について実は検診を受けられる御予定があるかどうか、その照会をいたしました。三月二日付で全体で三百三十七人ほど照会をいたしまして、最近の数字がまだちょっとわかってないのですが、それに対して回答者がわずかに九十二人でございました。回答率は二七%と非常に低い状態でございます。これが、日数がたっておりますので若干ふえておるかとも思いますけれども、こういうふうに回答が全然ないということが一つの大きな問題でございますし、直ちにこれが検診拒否運動につながった方々であるかどうかはこれまたつまびらかではございませんが、かなりの部分にそういう方もあるんではないかと思います。  この三百三十七人の中で積極的に近い将来検診を受けたいという明確な希望を表示された方がわずかに六十七人であったと伺っております。それから、明確に検診を受けたくないという方がやはり若干ございます。その理由の中に、検診、審査会の先生を信用できないという方が二人ございました。それから、検診に行く気にならないという方が一人、日程が立たないという方が一人、それから三次訴訟が決着してからという方が一人、県が待たせ賃訴訟控訴をやめたら受診するという方が一人、十年以上にもなり何度も保留になるという方が一人。明確に意識を持って拒否された方々も今申し上げたような形であるわけでございますが、この辺、問題の背景が非常に深刻であることを御理解いただけるかなと思って、先ほどちょっと補足して申し上げようかと思った点でございます。  特にこの検診拒否運動というものは何としても早急に解いて、できるだけ早くに、せっかく県でもまた今回お願いしておる国でもいわゆるバイパスをつくって、検診認定の仕事をできるだけ進めていきたい、こういうことでございますので、その方向に沿ってぜひとも検診の方に出てきていただきたい。そのためには、中井先生がおっしゃられたような意味での、患者さん方と県あるいは国との間における信頼関係というものをもっと本当につくり上げていくことが何よりも必要であり、私どももそういう意味でまだまだ努力をしなければならない面が多々あると感じておることでございます。  しかし、先ほど来るる中井先生御指摘のような本当に長い歴史、解決ができなかったということは非常に残念でもございます。しかし、それだけに非常に根深い問題が背景にあることもまた御理解いただきたいと思います。  この臨時措置法をつくってから格別多くの実績を上げていないということは当時の提案者の一人として私も大変残念なことでございますが、不作為違法の判決あるいはこの臨時措置法をつくりました後において出ましたいわゆる待たせ賃訴訟はまだ第一審の段階ではございますが、いずれにしても、水俣病認定申請者について早急に認定審査を進めていかなければならないという課題は依然として強く残されておることは御理解をいただけることかと思います。従来、これは国の認定審査会に対しても県の方についても、先ほどからお話がありましたような形で大きな動きがないことは大変残念でございますが、かといって、今この段階で自然消滅をさせてしまうということは、認定審査をこれから積極的に進めていかなければならない国あるいは県にとっての大きな課題がある以上、これは政治的にもいかないのではないか、そういう思いで今回改めて三年間の延長をお願いした次第でございまして、ぜひとも患者さん方の御理解をいただいて、できる限りこの二つの認定審査会を御利用いただいて、五千人以上に上るところの現在残っておられる申請者方々が最終的にすっきりした形で決着がつくような形でお互いに努力をしていきたい、このように考えております。
  146. 中井洽

    ○中井委員 提出者から行き届いた御答弁がありましたからもう何もつけ加えることはないわけでありますが、五年前にこの法案を本当に一週間ほとんど徹夜のようにしてつくり上げまして、議論をしましたときには、先ほど馬場議員からお話の出ました次官通達から何から何まで、一字一句残らず、これはどうだあれはどうだという議論をし合い、解釈を出し合い、そして各党で決議案をつくり、つくった法案であったように私は思います。そして、そのつくった時点で各人が、それぞれこの審査会を、バイパスをつくったことによって、別に患者さんの処理というものが必ずしも早くいくものじゃないんだ、しかし逆に県債を発行するという本当に非常な手段をとられようとした熊本県議会側が、国も目に見えて何かできることをやってくれ、こういうことで強い御要望があったから私どもは踏み切ってこの審査会をつくるという法案づくりに実は尽力をしたわけでございます。ところが、五年たってみたら逆に患者さんとの間が、いろいろなことが原因になって後退をしておる。そして、東京の審査会ということだけじゃなしに、地元の認定業務がそういう形で進んでいない。大変寂しい、残念な気持ちがいたします。大臣、ひとつ誠心誠意事に当たられ、一刻も早く障害が除かれるように御努力、お約束を賜りたい。  と同時に、もう一つは、こういう言い方をすると、患者の皆さん方からは私は実情を知らないと大変おしかりを受けるかもしれませんが、かつては建設省だって道路反対運動なんて起こるとほとんど道路は着工できなかった。しかし、現状では御賛成をいただいて立ち退きをしていただいたところから先にやっていく、反対のところは残しておいて最後まで話し合いをするという形で道路行政も進めておるというふうに私は理解をしております。新しく水俣病だという形で申請をされておる人たちを、そういうことで認定業務に余力があるなら、片一方ではどんどん御理解をいただいて認定も進めていく、こういう御努力も賜って当然じゃないか、このように思いますが、二つの点で御答弁を聞かせていただいて、質問を終わりたいと思います。
  147. 上田稔

    上田国務大臣 お答えを申し上げます。  ただいま先生からいろいろこの水俣認定の推進につきまして御意見をちょうだいいたしました。本当にどうもありがとうございます。  私どももこの認定業務を大いに促進しなくちゃいけないということで懸命になっていろいろの方策を今までやらせていただいてきたのでございますが、まだ不十分な点が山積をいたしております。その点につきまして今先生から道路の問題を例に挙げてお話がございましたが、そういうふうな考え方でひとつ私どもも取り組んでやらせていただきたいと念願をいたしております。どうぞよろしくお願いをいたします。
  148. 中井洽

    ○中井委員 終わります。
  149. 竹内黎一

    竹内委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十三分散会