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林部政府委員 今、
先生が御
指摘になりました発表は、昨年秋に大気汚染学会が三重県四日市でございましたが、そのときに東京都
公害研究所の方の共同研究ということで「ごみ焼却炉からの水銀の連続測定結果について」という報告がございました。焼却場におきます水銀の連続測定は、方法論的にもまだいろいろな問題があるというふうにも伺っておりますが、いずれにいたしましても連続測定はなかなか簡単にいかないということで、過去においても連続測定の例はそう多くはないようでございます。その意味では、連続測定によるというものがある程度可能であったことを今回報告するものであるというふうに御報告なさっているわけでございます。
そういうようなことで東京都の
公害研究所の研究者たちが連続測定を行ったところ、通常ベースでは〇・〇五から〇・一五ミリグラム・パー・ノルマル立米程度のものであった、時々鋭いピークが出ることがある、特にピーク値について把握がなかなか難しかったので、確認する意味で実際に空き缶のようなものの中に電池をかなりまとめて入れるとピーク値が確認できる、一個ではよくわからなかったけれ
ども十個ぐらい同時に投入したら非常に瞬間的にピーク値が記録できた、こういうことでございます。
先生もうよく御承知のように、都市の廃棄物の焼却炉は歴史的な経緯がございまして、近代化したものからいろいろなものがございますから、すべてについてこういうことが当てはまるかどうかということは言えないわけでございますし、それから廃棄物処理施設の排煙処理がどういうプロセスになっているかということにつきましても、いろいろなレベルの差が出てくることがございます。たまたま東京都が調べられましたこの焼却炉は、ストーカ方式で百五十トン・パー・デー、塩化水素
対策としてはCaOH2の三十キログラム・パー・アワー噴霧方式、電気集じん機までの冷却方式は水噴射、こういうようなところでございます。したがいまして、こういう
構造であれば、かなりのものをまとめて焼けば、そっくりそのまま空気中に出ていくということもあると思います。そういう状態が連続してどんどん出るということになれば、周りのところがかなり汚染されるということになりますが、当該焼却炉の連続測定の結果
そのものは、かなり大量に投入したときにピークが出てくるというふうに受けとめております。
こういう例について私
どもどう
考えるかということでございますが、全国的に総点検的な形で水銀の一般
環境の
調査を私
ども行いまして、最近そのことについて発表をさせていただいたわけでございますが、その報告書の中では全国で百九十何地点ぐらいだったかと思いますが、そのうち六百メートルから四キロぐらいの間にこういう都市の廃棄物処理施設があるような地点がございまして、そういうところのデータな
ども、そのことが目的ではかったものではございませんけれ
ども、そういうものを調べますと、一般
環境とそう大きな違いがなかったというようなこともございますので、確かにピーク的にまとまって水銀電池が投入されればピークレベルは記録されるであろう。しかしながら、今の時点であれば、そのことによって著しい汚染が短期間に進むということは恐らくない。しかしながら、やはり少しでも投入される水銀を減らすという意味では、かってプラスチックの分別回収ということについて、自治体の清掃事業は非常に苦労しながらも分別回収をやってきたというような歴史もございますから、そういう意味ではそういう
努力も続け、また排煙の処理等についても十分意を用いればそれほど急速に
環境汚染が広がるということにはならないのではないか。しかしながら、そういう点について特に配慮すべきである、そういうことに注意を喚起したという点では、私はこの研究というものは評価すべきであるというふうに思っております。