○
小林(進)
委員 どうもあなたは
レーガンさんばかりに
期待していられるようでありまするけれども、我々
国民側から見ますると、
日本の
歴代外交はいずれも右顧左べんなんだな。
アメリカの時の
大統領の方だけ眺めていたり、あるいはこっちの方を見ると、どうも
韓国政府の朴さんの顔を見たり
全斗煥さんの顔を見たり、一体どこに
日本の
外交の主体性があるのかということを常に私どもは疑って見ている。今もあなたは
レーガンさん、
レーガンさんとおっしゃるけれども、
レーガンさんばかり
期待している御
答弁。そんな
レーガンに
期待する
答弁を私はあなたに求めているのではない。
安倍外交の哲学といわゆる信念がどこにあるかということを私はお聞きしているのであります。
繰り返して申し上げまするけれども、あなたの二年間の
外交の
実績とおっしゃったが、あなたの
外交の
実績を私はそれほど高く評価しているわけではないのだ。ただその中で、今年の六月あなたは、ジュネーブのあの
軍縮会議の中で演説をせられ、終わった後で
新聞会見をおやりになった。僕は、あれは非常に高く評価しているのです。今や
世界の
危機を招来しているのは
米ソ超
大国にあるのだ、この超
大国は
人類に対する特別の
責任があるのだから、その
責任を感じて率先して
軍縮、平和のために進むべきである、これはあなたにしては実にいい話だ。それからなお、その後の
新聞記者との談話の中にあらわれた、まさに
世界の平和、
軍縮あるいは
戦争の
危機は、
米ソ超
大国の
政治指導者の
手のひらに握られているじゃないか、あの
人たちの
手のひらにあるのだ、あの
政治指導者は
責任を持って問題の処理に当たらなければならぬということを言われた。これは
安倍さんにしては立派だ。私はそれを高く評価している。ただしかし、法華の太鼓じゃないけれども、音だけ立てたのでは
政治にならないのです。もし言われたならば、それを事実の面において具体的に進めてもらわなければならない。
限られた時間ですからしゃべっている暇がないので、本当に私は残念でしようがないのでありまするけれども、昔はよかった。
外務委員会なんというものは一日かかってやったものです。時間の制限がなかった。立法府でだんだん言論の圧迫が出てきて、私なんか三十年も
政治家をやっているのにたった四十五分だ。時間が来たらやめろというのだ。こんな審議の仕方なんてあるものじゃないけれども、しゃべっていると時間が
たちますからやめますが、ともかくあなたは、この問題を具体的にどう進めるかということを私は知りたいわけです。
同時にあわせて、あなたは、
日本の
外交は
一つの
西側に属すると同時に、
アジアの
一員なんだ、
アジアのいわゆる
指導国とはおっしゃらぬけれども、
アジアの
一員として
アジアの
外交を進めたい。この
前半は別だ。
前半の
西側なんというのは
中曽根君に任せておけばよろしいよ。あれは
西側強化論者である。
西側だけの力を強めて、そして
ソ連にいわゆる圧力を加えて、力で屈服させた上で
米ソの
話し合いに入ろうというのが
中曽根の
基本的な物の考え方だ。こんなことは
国民は支持しておりませんよ。そこへくると、あなたのニュアンスは少し違うのじゃないかという
期待を兼ねて今私は質問している。
アジアの
国々の中で、
西側の陣営に属して
西側を強化しなければならぬという国は一体どこにありますか。お隣の
韓国さえも、八八年のオリンピックもありましょうけれども、いずれの国とも仲よくしていく。
西側一辺倒であるということは、
全斗煥大統領も決して言っておりません。
アジアには、
西側に属して
西側の団結を強化するという国がどこにありますか。あなたが本当に
アジア外交に中心を置かれるというならば、そこに
中曽根首相と
安倍外交との違いがきちっと出てこなくてはいかぬ、私はそれを要望いたしておきます。
そこで、
駆け足で
一つ一つ言いますけれども、
レーガンさんに
期待をしないで、
世界の平和と
軍縮が
米ソ両国の
指導者の腕にあるというならば、早くこの
問題解決のために話を進めたらどうだ。あなたもそれをおやりになったらどうですか。おやりになりませんか。
全斗煥さんにそれを忠告したらどうですか。
期待なんかしないであなたが
指導力を握ればいいのです。
もっと言いましょうか。あなたはことし
軍縮会議に行かれて、
ニューヨークで
グロムイコとお会いになった。会われぬよりはいいです。それから
中曽根さんはインドヘ行かれて、いわば人の葬式に便乗して
ソ連の
首相とお会いになった。
弔間外交、
弔い外交でしょう。これもやってむだではなかったと思いますが、しかしそんな人の場所を借りなくたって、本当に
ソ連に対して平和のために闘ってくれという言い分があるならば、一番難しいのが
ソ連外交なら何で飛んでいかないのです。あなた方は口を開くと、
グロムイコが来る番だ、来る番だ。我々の方では全く子供の
ままごと遊びみたいなもので、こっちが行ったんだから今度はあなたが
いらっしゃい。
外交は呼び込みじゃありませんよ。この問題が本当に
人類の平和に通じ、
アジアの平和に通じ、
日本の平和に通ずるというならば、飛んでいったらいいじゃないですか。あなたがもし
アメリカの
外交の
まねをするとなるならば、
ニクソンさんの
まねをしなさい、
フォードさんの
まねをしなさい、
キッシンジャーの
まねをしなさい。四十七年、
米ソの問題が重大なときには、ブレジネフさん、あなた
いらっしゃいなんて言わないで、ちゃんと
ニクソンさんは
モスクワまで飛んでいって
米ソの
外交を続けている。その二年後の四十九年には、やはり
フォードさんが
ウラジオストクまで飛んでいって、そして
ソ連との
首脳外交をやっている。
あなた方は、
ニクソンさんに頭の上の
中国外交をやられて、びっくりして飛び上がったという恥ずかしむべき
日本の
外交の汚点もあるけれども、あのときには
キッシンジャーさんは二回も北京へ飛んでいって、そして米中の
国交回復のために死力を尽くして活動しているのです。これが
外交ですよ。
外交は呼び屋じゃありません。
いらっしゃい、
いらっしゃいじゃだめです。あなたが飛んでいけばいいのです。
中曽根さんも飛んでいけばいいのです。
そして、
モスクワであろうと
ウラジオストクであろうとレニングラードであろうと、言わんとすることの誠実を尽くして
会談をするのが、
日本国民を代表するあるいは
人類の平和を祈念する
外交の
姿勢ではないか。
経済大国になった
日本でありまするから何も遠慮は要りません。ひとつ、
自信を持っておやりになったらどうですか。これが再出発の
安倍外交に対する私の注文です。いかがですか。