運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1984-04-27 第101回国会 衆議院 外務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和五十九年四月二十七日(金曜日)     午前十時十六分開議 出席委員   委員長 中島源太郎君    理事 石川 要三君 理事 野上  徹君    理事 浜田卓二郎君 理事 山下 元利君    理事 高沢 寅男君 理事 土井たか子君    理事 古川 雅司君 理事 河村  勝君       鍵田忠三郎君    鯨岡 兵輔君       近藤 元次君    佐藤 一郎君       谷垣 禎一君    仲村 正治君       西山敬次郎君    野中 広務君       町村 信孝君    与謝野 馨君       井上 普方君    岡田 春夫君       河上 民雄君    小林  進君       八木  昇君    渡部 一郎君       木下敬之助君    岡崎万寿秀君       野間 友一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 安倍晋太郎君  出席政府委員         外務大臣官房審         議官      山下新太郎君         外務大臣官房外         務参事官    斉藤 邦彦君         外務省北米局長 北村  汎君         外務省経済局次         長       恩田  宗君  委員外出席者         大蔵省関税局国         際第一課長   吉川 共治君         通商産業省機械         情報産業局航空         機武器課長   渡辺  修君         運輸省航空局監         理部国際課長  向山 秀昭君         運輸省航空局監         理部監督課長  土坂 泰敏君         外務委員会調査         室長      高橋 文雄君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十七日  辞任         補欠選任   宮澤 喜一君     谷垣 禎一君   瀬長亀次郎君     野間 友一君 同日  辞任         補欠選任   谷垣 禎一君     宮澤 喜一君   野間 友一君     瀬長亀次郎君     ――――――――――――― 四月二十六日  核巡航ミサイル・トマホーク米太平洋艦隊艦  船への配備、日本寄港反対等に関する請願(梅  田勝紹介)(第三八二八号)  同(藤田スミ紹介)(第三八二九号)  朝鮮民主主義人民共和国へ帰還した日本人妻の  里帰り促進等に関する請願塚原俊平紹介)  (第三八三〇号)  同(三ッ林弥太郎紹介)(第三八三一号)  同(武藤嘉文紹介)(第三八三二号)は本委  員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  民間航空機貿易に関する協定附属書改正の受  諾について承認を求めるの件(条約第一一号)      ――――◇―――――
  2. 中島源太郎

    中島委員長 これより会議を開きます。  民間航空機貿易に関する協定附属書改正の受諾について承認を求めるの件を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河上民雄君。
  3. 河上民雄

    河上委員 民間航空機貿易に関する協定附属書改正の問題で御質問をいたしたいと思います。  東京ラウンド交渉で新しい国際コード一つとして民間航空機貿易協定を成立させたわけでありますが、御承知のとおり、この協定以外にも十の新しい国際コードができているわけでございます。こうした新しいコードの成立によってガット体制法的枠組みが強化されたというふうに理解してよろしいのでしょうか。また、関税減免措置と並んで非関税障壁規制軽減措置ガット交渉の重要な対象となり、大きな比重を占めるようになってきたようにうかがわれるのですけれども、その辺はどういうふうに理解したらよいのか、まずお尋ねしたいと思います。
  4. 恩田宗

    恩田政府委員 今回御審議いただいておりますこの協定附属書改正によりまして免税対象の品目が広がるわけでございますので、これによりまして、東京ラウンドガット体制によって目指しているところの自由な貿易はより強化される、このように考えております。  それから、現在御審議いただいているこの協定自身は、ガット東京ラウンド関連でつくられました多くの協定の一部でございまして、これが強化されることによってその他の部分も強化される、かように考えております。
  5. 河上民雄

    河上委員 民間航空機貿易ということになっておりますけれども、例えばヨーロッパの場合、コンコルドなど国策的な会社が新しい機種の開発に努力しているわけでございます。その場合、当然助成金的なものはたくさんあるわけですが、そういうような傾向に対して、今回のこれを見ますと、そういうふうなものも多少慎まなければいかぬように書いてありますけれども、そういうようなコンコルドなどもこの新しい貿易協定は念頭に置いているものだというように考えてよろしいものでしょうか。
  6. 恩田宗

    恩田政府委員 今回御審議いただいている協定のもとになっております民間航空機貿易に関する協定の前文において、民間航空機開発生産及び販売に対する政府助成それ自体貿易をゆがめることではない、こういうことを認めた上で、しかし政府助成によって民間航空機貿易悪影響がもたらされることのないようにすることを希望する、こう書いてございます。したがいまして、各国、具体的にはコンコルドのように政府助成しながら開発している航空機については、それ自体貿易をゆがめるものではない、こういうことでございますが、しかし各国政府ともそのような助成によって貿易悪影響を及ぼすことのないように注意する、こういう仕組みになっております。
  7. 河上民雄

    河上委員 世界貿易の秩序を律するガット一般協定加盟国数国際通貨基金、IMFの加盟国数とかなり違いがございます。それから、民間航空機貿易協定加盟国締約国十六カ国とECというものとの間にも数字の大きなギャップがあるわけですけれども、ガット一般協定加盟国のうち民間航空機貿易協定を締結していない国、これは数字的に七十何カ国になると思うのですけれども、これとの関係がどうなるのでしょうか。これを見ますと、ガット一般協定の第一条では、貿易上のあらゆる面について互いに最恵国待遇を即時かつ無条件に与え合うことになっているわけですけれども、こういう精神からいいまして、これは単純な話ですけれども、それぞれ加盟国数が違う以上、そういう法的な不均衡というものが生じないかどうか。その点はどういうふうに理解したらよろしいですか。
  8. 斉藤邦彦

    斉藤(邦)政府委員 この民間航空機貿易協定に定められております義務が直接に発生いたしますのは、この協定締約国間のみでございます。しかしながら、ただいま御指摘のありましたとおり、ガット一般協定の一条で最恵国待遇原則が定められておりますので、例えば我が国がこの民間航空機貿易協定に基づきまして一定の産品に免税措置をとった場合、この民間航空機貿易協定締約国でない国に対しましても、ガット第一条の規定によりまして、我が国は同様の待遇をこれらの非締約国に与える義務を負うことになります。したがいまして、民間航空機貿易協定締約国でない国も、ガット締約国であれば一種の反射的な利益として日本免税措置を享受するという関係になります。
  9. 河上民雄

    河上委員 そういう法的不均衡の問題と実際上の取り扱いとの間には、今の話ですと締約国であることを必ずしも必要としないような感じを受けるのですが、その点はいかがですか。
  10. 斉藤邦彦

    斉藤(邦)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  11. 河上民雄

    河上委員 我が国民間航空機産業というのは、欧米の産業水準に比べましてかなり立ちおくれていると一般的に言われているのですけれども、今回この民間航空機貿易協定を締結することによってどのようなメリットがあるのか。締結する以上、今言ったように、締約国であってもなくてもガット一般協定に加盟している以上は実際上の取り扱いは変わりはないということになりますると、今度逆に我が国の立場として、この協定に加盟することの具体的なメリットというのはどういうところにありますか。
  12. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のとおり、我が国航空機産業、現在の生産規模で申しますと約四千数百億という金額になっておりますが、アメリカあるいはヨーロッパ等と比べますと水準が低うございまして、そういう意味では、おっしゃるように第三グループを走っておるといったようなところでございます。したがいまして、今回この民間航空機貿易協定が結ばれあるいはそれの部品拡大になりました場合には、当然のことながらアメリカとか、あるいは日本よりも先発国である国が受益することは事実でございます。  しかしながら、御承知のように我が国航空機産業、これは世界潮流の中で現在国際共同開発路線というのを走っておりまして、XYプロジェクトというのはボーイング767という形で既に世界の空を飛んでおりまして、日本にも入ってきておるわけでございますが、これも日本共同開発に参加いだしたという形をとっておりますし、次のYXX計画その他も、国際共同開発という潮流の中で日本の力を伸ばしていこう、こういう政策を今とってきておるわけでございます。  国際共同開発、共回生産ということになりますと、当然のことながらいい部品というのを輸入しあるいは輸出しという、航空機部品あるいは素材関係の自由な流通ということが不可欠でございまして、そういうことから考えますと、もちろん先進先発国も受益いたしますが、我が国国際共同開発路線という将来を考えていきますと、日本航空機産業自身も受益するところが極めて大きい、かように考えております。
  13. 河上民雄

    河上委員 通産省の方に伺いたいのですが、かつて、一九六〇年前後ですね、日本自動車産業というのはアメリカ自動車産業には到底及びもつかない、向こうは雲の上の存在のように見えた。私は今でも思い起こすのですけれども、一九六〇年前後でありましたか、たしかトヨタだと思いますが、トヨタ販売員アメリカに乗り込んだというので、蟷螂の斧のような感じを受けて大変驚いたことがあるのですけれども、御承知のとおり今や向こう自動車産業日本自動車産業技術提携を申し込むような状態になってきております。  さて、この民間航空機産業でも将来同じようなことが起こるというふうに通産省では見ておられますか。その点、いかがですか。
  14. 渡辺修

    渡辺説明員 先生指摘のとおり、昭和三十年代に日本自動車産業をどうするかという議論が相当ございまして、いろいろな議論があったのですが、今のような状況になっておるというのは全く御指摘のとおりでございます。それに比べまして飛行機が将来どうなるかという非常に難しい御質問でございます。  先ほど申し上げましたように、現在のレベルは世界全体の生産の三%程度というところでございます。現在このように日本航空機産業自動車その他に比べて低水準に低迷しておるというところは、基本的には戦後の航空再開までの七年間の空白というのが非常に大きゅうございまして、その間に世界全体がジェット化時代に突入した、ジェット化時代の波から相当取り残されだということが一つ。  それからもう一つは、自動車等と典型的に違いますのは、国内マーケットというのが非常に狭うございます。日本主要エアラインが持っております航空機機数というのは、世界全体の中の恐らく三、四%を占める程度であろうと思います。したがいまして、諸外国世界マーケットにいきなり飛び出していって、先進先発国と競争しなければいかぬ、こういう非常に苦しい状況になっておるわけでございます。しかしながら、YS11、それからその後のYXプロジェクト、これらを通じまして日本航空機産業の持っておるポテンシャルというのは着実に諸外国に評価されてきておりますし、現在我々考えておりますYXXプロジェクト、次のプロジェクトでございますが、これを通じまして、今世紀のYXXプロジェクトに全力投球していきますと、現在の水準というのを着実に伸ばしていける。しかしながら、世界全体のマーケットが非常に限られておりますし、かつ国際共同開発路線をとっておるものですから、自動車とかあるいはその他の産業のように単独で世界じゅうを制覇する、こういうような姿というのはそもそも航空機産業というのはないのではなかろうか。日本に限らず諸外国とも共同開発路線をとっておる、こういうのが将来の姿だろうと思います。
  15. 河上民雄

    河上委員 今こんなことを議論しておりますけれども、あと十年先に議事録がどういうふうに読まれるか、これはやってみないとわからぬことでございます。今自動車飛行機とは違う、確かにそうですが、自動車でも事実上、ある意味じゃ乗用車にはもう全くブランクが長く続いておったわけですよ、トラックだけだったわけですから。そういう点を考えますと、どうなるかわからないというのが私の感じでございますので、この辺でやめておきます。  ただその場合、政府共同開発、共回生産という方針の波に乗るということですが、そこで助成金などについて力を入れるつもりなのか。それともその辺は勝手にやれということなんでしょうか。
  16. 渡辺修

    渡辺説明員 先ほど例に挙げましたYXプロジェクト、これは昭和五十三年からアメリカ、イタリー、日本、三カ国で共同開発をいたしまして、ボーイング767という名前で現在約二百四十数機の受注をとって、日本でも九機ほど導入して、全日空で今飛んでおる飛行機でございます。  これを例にとりますと、これの航空機開発というものは非常に技術的な困難性を伴いますことと、それから長期に開発期間が要り、かつ莫大な資金が要るという開発リスクの非常に大きいものでございます。諸外国におきましても、いずれも強力な政府助成が行われておる、こういったような航空機産業の持つ特性にかんがみまして、国で全体のうちの半分強ぐらいの助成を行ってきたというのがYXプロジェクトの例でございます。  現在、その次の航空機ということで、YXXプロジェクトというつい最近ボーイングとの間で共同開発する了解覚書を交わしたわけでございますが、これにつきましてもできる限りの助成をしていきたいということで財政当局等の間でよく御相談申し上げておる、そういう状況でございます。
  17. 河上民雄

    河上委員 それでは大蔵省の方に伺いますが、その航空機国際共同開発生産につきましての助成金というのは、去年、ことしあたり予算でどのくらいになったのですか。
  18. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  YXXプロジェクト、先ほど申し上げました現在進展中のプロジェクトでございますが、昭和五十六年度から予算を充当いたし始めまして、五十八年度の予算で申し上げますと補助金額で二十二億五千万、助成率で六五%補助という形で各種の予備設計、それから要素試験等を行う形をとっておるわけでございます。
  19. 河上民雄

    河上委員 では、共回生産の方についても助成金を今後とも出すわけですか。
  20. 渡辺修

    渡辺説明員 現在のYXXプロジェクト状況を申し上げますと、ボーイングとの間で共同開発しようということを三月十六日に了解覚書を取り交わしまして、これから共同作業の細かい詰めを始めたところでございます。したがいまして、これを我々専門用語でゴーアヘッドと呼んでおりますけれども、具体的に航空機開発そのものに着手するというのはまだ先になるわけでございます。  先生指摘の御質問は、その開発が始まった後の助成をどうするか、こういう御質問だと思いますが、先ほど来の諸外国の情勢、航空機産業の持つ特性、そういったようなものを十分勘案いたしますとともに、御承知のように、財政は非常に現在苦しい状況にあるわけでございますので、その辺をよく御相談しながらその時点で対処してまいりたい、かように考えておりますが、基本的には、先生おっしゃる方向で諸外国に負けない形で頑張っていくのが基本であろう、かように考えております。
  21. 河上民雄

    河上委員 それでは、今、我が国民間航空機生産ということでございますが、我が国航空機産業の中でいわゆる軍用機民間機とどのような比率になっておるのか。それが他国との比較でどうなっているか。
  22. 渡辺修

    渡辺説明員 先ほど申し上げました四千数百億の総生産額のうちの八〇%弱は軍用軍用といいますか、防衛需要の方でございまして、したがいまして民間の方が二〇%強、このくらいの数字であろうと思います。諸外国に比べまして我が国の場合は軍用、つまり防衛用のための需要ウエートが高い形になっておると思います。
  23. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、航空機産業の全体の規模はまだ小さいけれども、その中では、軍用機比重他国に比べて非常に高いというのが我が国の特徴だというふうに結論は出るわけですね。  今、我が国航空機産業会社名前、またその中で軍用機の方を主としてやっている会社、そういうものについてちょっと教えていただきたいと思います。
  24. 渡辺修

    渡辺説明員 我が国航空機メーカーについてのお問い合わせでございます。  航空機メーカー、あるいは部品も含めますとかなりございますが、いわゆる機体を製造するメーカーといたしましては、御承知のように三菱重工、川崎重工、富士重工というこの三つがメーンでございます。あと日本飛行機とか新明和工業といったような飛行機メーカーがございますが、先ほど申し上げましたYXXその他のメーンの形であれしておるのは、先ほど申し上げました三社でございます。  それで、軍用飛行機の方はどうかということでございますが、今申し上げた航空機メーカーいずれも軍用比率が八〇%弱というウエートでございますので、それぞれそれに携わっておるということでございます。  それから先ほど先生おっしゃいました軍用比率でございますが、八〇%弱ではございますけれども、従来五十四年、五年、六年あたり数字ですと八五、六%という時期もございまして、もっとウエートが高かったのですが、YX生産が入りまして以降民間部門ウエートが高くなっておりまして、防衛需要水準がここに来て少し落ちてきておるというのが現況でございます。
  25. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、大体アメリカロッキードあるいはダグラス社が何しろお得意先がほとんど国防省であるというのと非常によく似てくるわけで、この問題、非常に重要ですけれども、きょうは協定の問題でございますので、これはまたいずれほかの問題との関連でもう少し詳しく伺いたいと思いますが、この程度にいたします。  次に、お伺いしたいのは、一九七九年、東京ラウンド交渉が終了いたしまして一応の体制ができた。それから約五年経過しているわけですけれども、八二年十一月のガット閣僚会議ガットに合致しない新たな保護主義的措置をとることを慎むことを盛り込んだ政治宣言を採択しているわけですが、保護貿易主義抑制にその後頭を悩ませているというのが現状ではないかと思うのです。我が国では保護貿易抑制に対してどのような措置をとろうとしているのか、この点をお伺いしたい。
  26. 恩田宗

    恩田政府委員 保護貿易措置抑制の問題につきましては、国際的な協力のもとにこれを行う必要があるということで、OECDあるいはいろいろな国際会議の場においてそのようなことを話し合ってきております。我が国自身がとった措置としては、累次の対外経済対策措置等ございます。また、今後ともOECDその他の国際的な枠組みのもとでこれを進めるということでございます。また、昨年十一月、中曽根総理ニューラウンドということの提唱もいたしておりますし、これの推進も我が国の努力として進めていかなければならないことだと考えております。
  27. 河上民雄

    河上委員 現行協定昭和四十八年に開始された東京ラウンドの一環として作成されまして、第九十一国会において関係承認案件として提出されまして、本協定に関してはっきり申しましてほとんど質疑もないまま承認されたという経緯であったように思います。翻って、民間航空機産業の分野にのみ限った協定が作成された背景は何であったのか、どこの国の提唱、主導、イニシアチブによって東京ラウンドの中に織り込まれるようになったのか、その点をお伺いしたいと思います。
  28. 恩田宗

    恩田政府委員 原則論といたしましては、あらゆる種類の貿易に関して制限的な措置関税引き下げということは国際貿易拡大のために役に立つわけでございますが、東京ラウンド交渉を進めている過程におきまして、航空機における貿易についての制限措置、特に関税引き下げが極めて重要である、こういうことが関係国の間で認識が高まりまして、かような貿易自由化に関する協定ができたと承知しております。
  29. 河上民雄

    河上委員 そういう一般的な関心からこれができたのか、それとも何かもっと非常に具体的なことが契機になったのか。  実は、民間航空機貿易に関する協定の第四条に「政府指示による調達、下請契約の強制及び誘引の禁止」というのがございまして、その二項を見ますと、「署名国は、いずれかの署名国供給者を差別することとなる場合には、航空会社民間航空機製造業者及び民間航空機購入に従事する者に対し、特定供給者から民間航空機購入するよう要求してはならず、また、不当な圧力を加えてはならない。」とあるのでございます。この第四条はどうもロッキード事件を前提として、頭に置いてつくられたような気がしてならないのであります。ロッキード事件コーチャン証言によって非常に大きく世に出ましたのは昭和五十一年といたしますと、これは五十四年にジュネーブで作成されておるのでありますが、ここに書いてあります「特定供給者から民間航空機購入するよう要求してはならず、また、不当な圧力を加えてはならない。」というのは、きょう十時に小佐野賢治氏に対する控訴審判決が出たようでありますけれども、これはまさに「よっしゃ。」と言う場合を指しているように思われるのです。ここの「署名国」というのは、主体は国だと思うのですけれども、この場合は、例えば通産大臣がこういうような文書による指示をした場合を指しておるのか、それとも通産大臣あるいはその上の総理大臣民間航空機購入に関してその決定に影響力のある人が非公式ないしは文書によらない指示を与えた場合もこの中に含まれておるのか、どういうふうにお考えでいらっしゃいますか。
  30. 斉藤邦彦

    斉藤(邦)政府委員 ここに書いてございます「署名国」の意味につきましては、民間航空機貿易協定自体規定がございまして、「注」という形で「この協定において「署名国」とは、この協定締約国をいう。」と書いてございます。条約の当事者というのは、国である場合、政府である場合、ございますけれども、条約の適用に当たりましては、これは通常の場合、実態上どちらであると考えてもよろしいわけでございまして、御指摘のこの規定につきまして一定の行為を行ってはいけないという義務を負っておりますのはこの協定締約国政府というふうに解釈してよろしいかと存じます。  それからもう一点、申しわけございませんが、先ほどの私の答弁でこの協定があってもなくても同じだというふうにとれるような答弁があったとすれば、それは私の舌足らずでございまして、私の申し上げました趣旨は、非締約国であってもこの協定に掲げられております免税措置には均てんするということを申し上げた次第でございまして、この協定にはほかの規定もございますし、当然のことながら、この協定に書いでございます権利義務というのはこの協定があって初めて発生するということでございます。
  31. 河上民雄

    河上委員 もう一度伺いますが、「署名国」というのは政府である、これははっきりしているのですが、政府が「特定供給者から民間航空機購入するよう要求してはならず、また、不当な圧力を加えてはならない。」というのは文書によることのみを指しておるのか、文書によらず、例えばイエスとかノーとかいう言葉で言うた場合でも実際的な影響力がある場合を指しておるのか。いわゆる政府と言った場合は閣議あるいは通産省の通達とかいうようなものを要件としておるのか、そうではなく実際的に政治的影響力を与える場合を指しておるのか、どういうふうに考えたらよろしいでしようか。
  32. 斉藤邦彦

    斉藤(邦)政府委員 この規定の解釈といたしましては、文書によらない行為も入るというふうに考えるべきだろうと思います。
  33. 河上民雄

    河上委員 そういたしますと、この前の田中元総理に対する判決、ここでいろいろ読んでも時間がかかりますからあれですけれども、総理大臣たる田中角榮に対し、全日空がL一〇一一型航空機を選定購入するよう同社に行政指導をなすべく運輸大臣を指揮し、また田中みずから直接同社に働きかけるなどの協力方を請託し、その協力に対する報酬の趣旨で現金五億円を供与することを約束し云々というふうになっておりますが、これはこの第四条に当たるというふうにお考えでしょうか。
  34. 斉藤邦彦

    斉藤(邦)政府委員 ただいまの御質問の件は、裁判にかかわることでございますので、私がこの場でそれについて云々するのは不適当だろうと存じますけれども、いずれにいたしましても、何がこの協定のもとで具体的な義務違反になるかということにつきましては、それぞれの具体的なケースにつきまして明らかにされていくべきものだと存じます。
  35. 河上民雄

    河上委員 当初例質問申し上げましたように、この第四条を作成する過程の中で、この第四条が加えられた背景として、ロッキード事件というのは日本だけじゃなくて世界各国で同じように起こったわけですから、あのロッキード事件のような形のものが再発することを防止するというねらいを持ってこれが加えられたというふうに解釈してよいでしょうか。
  36. 恩田宗

    恩田政府委員 航空機貿易というのは非常に大きな金額にわたることもございますし、また、いろいろな観点から政府関連してくる場合が多うございますので、政府の意思ないし政府が価格あるいは供給条件、品質等、純粋な商業上の観点以外の観点から民間航空機貿易を阻害してはならないという一般的な要請あるいは必要性、こういうことから第四条ができているものでございまして、四条の二項、三項、四項を続けてごらんいただきますと、民間航空機貿易の一般的な自由化、こういうことをねらったものであって、具体的な事件等々を頭に置いてできたものではない、かように私どもは考えております。
  37. 河上民雄

    河上委員 ロッキード事件が起きましたというか、発覚いたしました時点というのは、この協定が作成される以前のことでありますし、また、したがって効力が発する以前のことですから、過去にさかのぼってこれが適用されることはないですが、これは日本のことだけ言っているのじゃないですよ、世界各国で同じようなことが起きているわけですが、あれと同じようなうり二つの事件が起こった場合はやはり第四条に引っかかる疑いが起こるというようにお考えかどうか。
  38. 恩田宗

    恩田政府委員 類似の事件という御指摘でございましたが、やはりあの協定の文言自体がかなり抽象的で広い解釈の余地を残すものでございますので、具体的な事件、紛争が起こった時点において判断させていただきたい、かように考えております。
  39. 河上民雄

    河上委員 その時点で判断するということは、一応は検討対象になるということだと思うのであります。  それでは話を少し続けますけれども、今回は民間航空機貿易に関する協定附属書が討議されておるわけでありますが、将来他の分野、例えば鉄鋼、造船、自動車、コンピューターといった別な産業の分野にも新しい協定が作成される可能性があるとお考えでしょうか。
  40. 恩田宗

    恩田政府委員 他の分野における同様な協定の問題でございますが、理論的な可能性としてはあり得るかもしれませんが、現在のところ具体的に特定の品目を頭に置いた動きないし協議があるとは承知しておりません。
  41. 河上民雄

    河上委員 現在はないけれども、将来可能性があるかどうかということでございます。
  42. 恩田宗

    恩田政府委員 これは将来の予測の問題でございますが、現在のいろいろな動きを考えますと、現実的な可能性として近い将来に単一の商品ないし商品グループを対象とした特別の協定ができるというふうには考えられておりません。
  43. 河上民雄

    河上委員 今回の改正によりまして産品の追加、対象範囲の拡大がなされているわけでありますが、今後どういった種類の産品が追加または対象範囲の拡大として考えられるか、その点はいかがでありますか。
  44. 渡辺修

    渡辺説明員 今回の改正によりまして、民間航空機部品に関しますウエートでいきますと、恐らく九五%を超えるカバレージでほぼ無税化あるいは関税の免除という形になったのではなかろうかと我々理解しております。そういうことからいきますと、もちろん将来にわたって必要性が出てくればその場で議論していきますが、極めて細かい、例えば部品の中のその部品とかいったようなことになっていく分野があと残されておるということでございまして、そういうのもまた、この民間航空機貿易委員会の場で引き続き議論をする、こういうことになろうかと思います。したがいまして、例えばこの品目、この品目というのが今具体的にイメージされるという状況ではないと考えております。
  45. 河上民雄

    河上委員 それでは、そういうようなことが論議されます民間航空機貿易に関する委員会というものは、日本からは今どういう人が出て、また恒常的にはというか、どこで議論されるのか、お伺いしたい。
  46. 恩田宗

    恩田政府委員 委員会はジュネーブで開かれておりまして、ジュネーブ代表部の部員が出席しております。
  47. 河上民雄

    河上委員 我が国はこの協定締約国になっているわけでありますけれども、部品の問題が大きな役割を占めているようなんですが、これによって直接には大きな航空機産業が影響を受けるのでしょうけれども、関連の中小企業分野においてどういう影響があるのか。また、それが中小企業者にとってデメリットを生ずることはないのか、またそれが生ずるようであるならばどういうふうに通産省としては考えているのか、その点をお伺いします。
  48. 渡辺修

    渡辺説明員 部品関税を免除することによってどういう影響があるか、こういう御指摘でございますが、我が国航空機部品メー力ー、全部入れまして大体三十社ぐらいあろうかと思います。比較的規模の大きい会社でございまして、中堅企業ないし大企業といったような分野に属するのではなかろうかと思っております。こういった部品メーカーでございますが、私先ほど冒頭にも御説明申し上げましたように、輸入について免税化されると同時に我が国からの共同開発、共回生産に伴う輸出についてもこれは相手国で無税化されるわけでございまして、一例で申し上げますと、YXプロジェクトボーイング767でございますが、これのプロジェクトには日本から約十七、八の会社部品として納入することに成功いたした例がございます。最近で言えばフランスのエアバス・インダストリーから日本航空機部品メーカー水準が上がってきたということで調査団がやってまいりまして、いろいろ見て回っておるという状況でございます。そうなってまいりますと、そういう部品メーカーがこれから欧州で共同開発飛行機部品を供給していくという場合に、相手国で無税化されるわけでございますので、そういうトータルで、しかも長期的に考えますと、我が国部品メーカーその他の受益するところも非常に大きいのではなかろうか、かように考えております。
  49. 河上民雄

    河上委員 逆にまたそういうことで経済摩擦が起こるようなことはありますか。冒頭ちょっと言いましたように、自動車でも一九六〇年前後には考えられないような事態が現に起きているわけで、日本の場合今は全く後発国でどうしようもないというようなお話ですけれども、その辺は逆にそういう心配はありますか。
  50. 渡辺修

    渡辺説明員 航空機部品が将来外に出ていくことになった場合に摩擦の問題があるのではないかという御指摘でございますが、飛行機世界といいますか部品関係で申し上げますと、世界潮流共同開発路線に突き進んでおりますし、私は、マーケット規模開発資金の膨大さ、リスクの大きさといったことを考えますと、二十一世紀に入りますとますます国際共同開発路線というのが底流になっていくのだろう、このように思っておるわけです。そうなりましたときに、いい飛行機をつくるためには世界じゅうのあらゆるいい部品を集めてくる、それをできるだけ自由に入れ込んでいい飛行機をつくって、そのいい飛行機の機体の売り込みで勝負をするというのが航空機産業ビジネスの特性でございます。また、それであるからゆえにこういうガット民間航空機協定という東京ラウンドの中で特殊なセクションを設けてでき上がった分野でございますので、そういうことから言いますと、世界で自由に部品が流通して、それぞれのプライムメーカー、つまり機体をつくっておるメーカーがいい飛行機をつくりたいという願望はますます強くなるという形になると思いますので、通常の産業貿易摩擦ということとは少し観点の違った要素があるのではなかろうか、こういうふうに考えております。  それから、今先生非常に低水準でどうしようもないというお話で、これは私先ほど申し上げました御説明が舌足らずで非常に申しわけないと思っておるので、ございますが、YX路線、次のYXX路線を通じまして着実に力をつけてきておりますし、YXプロジェクトを通じましてアメリカボーイングと組みましたが、ボーイングの技術首脳その他は、日本航空機生産における正確さ、技術水準の高さというのを非常に注目して見ておる。それゆえにまた、今度YXXプロジェクトについても日本と、しかも今度は二五%という相当大きなシェアをもって日本と共同でやろう、こういう形になってきておるものですから、現状においては格差は大きいけれども、これからの十年あるいは十五年という今世紀の努力によって、二十一世紀においては国際共同開発の中に日本も入って、信頼すべきパートナーとして先進諸国間の産業協力の一端を担っていけるのではないか、かように考えております。
  51. 河上民雄

    河上委員 ちょっと最後に伺いますが、我が国航空機産業におきまして輸出ももう既にやっておるのじゃないかと思うのでありますけれども、その輸出先国ですね。さっきお話がありましたが、ある意味ではアメリカロッキード社やダグラス社以上に、以上ではないですが、ほぼ同じくらい防衛庁関係に依存しているような傾向がある。もしそういう軍用機を輸出しているなんということになったら大変な問題でありますが、二〇%強の民間航空機の輸出先というのはどういうところになっておりますか。また今後近い将来その傾向はどうなるというふうに見込んでおられますか。
  52. 渡辺修

    渡辺説明員 お答えを申し上げます。  我が国航空機関係の輸出入の実績でございますが、私、手元に五十七年の数字を持ってきておりますが、これで見ますと輸出は全部で約四百五十億くらいの輸出になっております。輸入が二千八百九十六億、約二千九百億くらいの輸入になっておりまして、そういう意味では圧倒的な輸入超過ということでございます。  輸出先国でございますが、アメリカが圧倒的に多うございまして、今の四百五十億のうちの約三百億強がアメリカということになっております。この数字は、先ほど申し上げましたように、YXボーイング767をやるときに日本は一五%ほど担当して物をつくるわけですが、つくりましたものをシアトルのボーイング本社でアセンブリーをいたしておりますものですから、そこにどんどん輸出するものが計上されてくるだろうと思いますし、そのほか先ほど申し上げました部品関係とかいったような分野で輸出実績がこういう形になっておる。トータルで見ますと圧倒的に輸入超過という姿でございます。
  53. 河上民雄

    河上委員 私ちょっと念頭にありましたのは、アジア諸国に日本飛行機がどの程度出ているかということも伺いたかったのでありますが、それを後でつけ加えて答弁していただきたいと思います。  もう余り時間もございませんので、最後に日米航空協定につきまして若干御質問させていただきます。  これは四月四日、我が党の高沢議員からスリランカ航空協定関連して御質問がありましたので、政府のお考えは大体わかっているように思うのであります。その意味ではやや補足的な質問になりますが、その中の一つとして、太平洋路線は現在航空路の中でドル箱路線とも言われているわけでありますけれども、その過当競争というものは大変なものでありまして、現在この太平洋路線に飛んでおります航空会社が何社あって、これらの航空会社の営業成績はどういうふうになっているのか。また新聞等に喧伝されておりますように、ユナイテッド航空それからノースウエスト航空の太平洋路線における運賃割引というのが日本航空会社にどういう影響を与えるのか、またパンアメリカン航空がこれに同調するような可能性があるのかどうか。ことしはロサンゼルスでオリンピックも行われることでございますので、私は今予想している以上に大きな影響が出てくるのじゃないかと思うのでありますが、余り時間がありませんので、今私が幾つかお尋ねしたことについてとりあえず回答いただきたいと思います。
  54. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 ただいま河上先生から太平洋路線につきましてどのくらいの飛行機が飛んでいるかという御質問をいただいたわけでございます。まことに申しわけございませんが、私、手元に持ってきておりますのは日米航空関係において運営されている範囲のものしかないわけで、それに従いましてちょっと御説明したいと思っておりますが、日本からは言うまでもなく日本航空が飛んでおります。これは行き先はいろいろございまして、アメリカの国内に九地点ほど入っております。旅客便だけをとりますと一週間で六十三便、これは広胴機でございますから、狭胴換算いたしますと百二十六になります。アメリカ側でございますが、これに関係しております会社は現在五社飛んでおりまして、便数は百十四便、狭胴換算いたしますと二百三便、こういうことになっております。  収支の状況でござますが、航空局が来ておらないと思いますが、私ども必ずしも詳細は承知していない次第でございますが、日本航空にとりましては、確かに御指摘のとおりゴールデンルートであるというふうに承っております。  それから、続いて御指摘ございました例のユナイテッド・エアライン、あるいはそれのまねと申しますかそれに追随いたしまして、ノースウエスト航空が四月一日からUAコンポとかビジットUSAといったような低廉な航空運賃を導入したわけでございます。四月一日からでございますから、現在既にこれを実施しているようでございます。  私どもといたしましては、この処置が一体どういうことを意味するのかいろいろ検討したわけでございますが、いろいろ考えましたところ、要するにユナイテッド航空にしろ、ノースウエストにしても、自分の社の太平洋路線に乗る本邦発のお客にのみ利用させるという点がまずございまして、これがある意味で差別的である。それから、価格がかなり安くなっておりまして、日米間の太平洋線を含めて考えますと約十一万円ほど安いといったようなことがあるわけでございます。そういう処置に対しまして、我が国の指定航空企業でございます日本航空が対抗し得る適当な処置がとれればよろしいのでございますが、日航もいろいろ検討したと聞いておりますけれども、適当な対抗処置が得られない、こういう状況でございまして、これは言うなれば、公平かつ均等な機会を与えるといったような規定協定にございますし、さらにまた相手方の企業に不当な影響を与えるということは避けるという趣旨の規定もございますので、そういう航空協定上の規定に抵触するのじやないかという疑問がなくはない。そういう趣旨から、三月の末でございますが、アメリカ政府に対しまして問題があるという趣旨の意思表示をした経緯がございます。なお、三月の末に日米間で航空協定に関する協議をやったわけでございますが、その際にも私どもの考え方を申し入れた次第でございます。  現状いかんと、こういうことなんでございますが、私どもが聞いておりますところでは、この処置をとりました結果、ユナイテッド・エアラインは、従前来、すなわち四月一日以前の段階におきましてはロードファクターが約三五%ぐらいであったようでごさいますが、これが約一〇%ぐらいふえたようでございます。ところが、他方同じ時期に、すなわち四月一日以降でございますが、日本航空の方も、従前来七〇%のロードファクターであったのが、一〇%ほどふえているようでございます。したがいまして、この辺がどういう理由によりましてそういう結果になったのか、詳細調査中と承っている次第でございます。
  55. 河上民雄

    河上委員 これで質問をやめたいと思いますけれども、今の日米運航会社の料金の競争につきましては、各会社ごとに本来やるということですが、航空協定にのっとって、子供のけんかに親が出るという形で政府もかかわるというふうに承ったのでありますが、航空協定の問題はしかるべき場で取り上げられるのかもしれませんけれども、この問題、子供のけんかに親が出るという形で外務大臣としては重要な問題とお考えになっておられますか。
  56. 山下新太郎

    山下(新)政府委員 今河上先生、子供のけんかに親が出るというふうにおっしゃったわけでございますが、実はUAコンポというユナイテッド・エアラインが創設しました廉価の運賃、これが協定との関係で、すなわち日米航空協定政府間の、国家間の協定がございまして、それとの関係で問題があるということで私ども意思表示したということでございます。そのことを申し述べさせていただきます。
  57. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 日米航空協定の交渉は、これまでも何回かやりましていろいろ問題が残っておりますし、非常に重要な交渉だと考えております。
  58. 河上民雄

    河上委員 それじゃ、これで終わります。
  59. 中島源太郎

    中島委員長 次に、土井たか子君。
  60. 土井たか子

    ○土井委員 私は、これから質問するに当たりまして、初めに少し気にかかることを二、三点聞きまして、あと基本的なことについて釈然としない問題がございますから、そのお尋ねを進めたいと思います。端的にひとつ外務省の方としてはお答えいただきたいと思います。  先ほどずっと御答弁なさることを聞いておりまして思うのですけれども、航空機生産という点からしますと、アメリカに比べて日本は何年ぐらいおくれているのですか。いかがです。
  61. 渡辺修

    渡辺説明員 金額的に申し上げますと、先ほども申し上げましたように、日本が約四千億強に対してアメリカが十兆弱、こういう数字でございますので、格段の格差があります。ただ、量の違いと質の違いというのは複雑にかみ合ってくるのでございますので、何年おくれておるかと言われますと、かなりおくれておるということでございます。
  62. 土井たか子

    ○土井委員 よくわかりません。何でも数字を示して金額で言えばそれでわかってもらえるという根性がどうも政府にあるので、本当に釈然としないのです。肝心のところがどうも答えられてない。かなりと言って何年なんです、一体。どれくらいなんです。こんなことをやっていったら時間が足りやしないです。何年ぐらい……。
  63. 渡辺修

    渡辺説明員 相当のおくれということで先ほど御答弁申し上げたわけでございますが、率直に申し上げまして、戦後の七年間の空白というときのジェット化の流れというのは相当加速度をつけておりますので、我々現在考えてみますと、かつボーイングあるいはダグラスその他といろいろ交渉しておりますと、戦後の七年間の空白、つまり七年のおくれで日本が出ていったというその年数よりもさらに現在開きが出ていることは間違いないと思います。
  64. 土井たか子

    ○土井委員 これは七年どころの差じゃないと思うのです。どんどん開いていく一方だというふうに申し上げなければならないと思うのですが、先ほど民間航空機ではない、軍用機についてのお尋ねもあって、むしろシェアという点からしたら、軍用機の方が抜群にパーセンテージが高いという格好になっているわけです。私は、軍用機を輸入するにしても国内生産するにしても、いずれにしても反対の立場の人間なんですけれども、それを前置きにしておいてお尋ねをしますが、軍用機についての取り扱いというのは、輸入のときに民間航空機と同じ取り扱いになっているのですか。いかがです。
  65. 吉川共治

    ○吉川説明員 お答え申し上げます。  ただいまの御質問は、輸入の際の関税面での取り扱いということかと存じますが、民間航空機協定民間用の航空機及びその部分品だけを対象としているということで、自衛隊の飛行機対象になっておりません。しかし、別に関税の暫定措置法がございまして、第五条でございますが、ここでは民間用か否かを問わず、航空機、その部分品及び素材で、国産困難なもので政令で定めるというものを免税することとしておりますので、この面では民間機も自衛隊の飛行機も同じ扱いでございます。
  66. 土井たか子

    ○土井委員 じゃ逆に言うと、生産が困難でなくなれば関税がゼロではなくなる、こういう格好になるのですか。
  67. 吉川共治

    ○吉川説明員 おっしゃるとおりでございます。
  68. 土井たか子

    ○土井委員 これはそれでいいのですか、外務省。ガットでこれに対する取り決めがあるのじゃないですか。外務省としては黙っているわけにもいかない問題ではないかと私は思いますよ。国内的措置として今おっしゃっているのであって、たしかただいまの御答弁では関税暫定措置法第五条によればという御答弁だったはずですが、そうでしょう。日本の国内的な措置なんです。ガットではこれに関係のあるところがあるはずですよ。どうです。
  69. 恩田宗

    恩田政府委員 航空機の問題につきましては、民間航空機及びその部品についてはこの協定がございますが、軍用機に関する特別な規定協定はございません。
  70. 土井たか子

    ○土井委員 そうですか。二十一条というところを見ると、国家安全保障上の問題が取り上げられておりますけれども、軍用機というのは国家安全保障上の問題には関係ない問題なんですか、どうです。
  71. 恩田宗

    恩田政府委員 ガットの二十一条によって「安全保障のための例外」という規定を設けておりまして、それによって軍用機は例外となっている、したがって軍用機については特に特段の規定がない、こういうふうなメカニズムだと思います。
  72. 土井たか子

    ○土井委員 だから、そこのところはっきり言っていただかないと、どうも先ほどのような御答弁をしていただいたんではわからない。  ガットの二十一条からすると、したがって、国内的措置としてどういうふうに取り決めるかというのはガット加盟国のそれぞれの国内的措置として問われるという格好になるわけなんですね。そうですか。それをはっきり言ってください。
  73. 恩田宗

    恩田政府委員 さようでございます。
  74. 土井たか子

    ○土井委員 そこで、日本では関税暫定措置法の第五条があるという格好なんだけれども、現状では軍用機に対する関税取り扱いは、それではどうなっているのですか、いかがです。もう一度言ってください。
  75. 吉川共治

    ○吉川説明員 お答えいたします。  関税暫定措置法の第五条でございますが、民間用か否かを問わずということでございますので、自衛隊機、民間飛行機、同じ扱いでございます。
  76. 土井たか子

    ○土井委員 またそれも不確かな答え方ですね。先ほど、生産困難なということが問題になってくるから、したがってという話があったわけです。生産が困難でなくなれば関税取り扱いが違ってくるんでしょう。そこのところで私はずっとお尋ねを進めていっているのですよ。こういう答弁の仕方ではかないませんね。日本では現状はどうなんです。
  77. 吉川共治

    ○吉川説明員 先ほどのお答え、舌足らずで申しわけございませんでした。  法律の規定でございますが、民間用か否かを問わず航空機、その部分品及び素材で国産困難なもので政令で定めるものを免税とするということでございます。
  78. 土井たか子

    ○土井委員 それで現在日本軍用機に対して輸入の際はどういう取り扱いをしているんですかということに対して、お答えは何もないじゃないですか。
  79. 渡辺修

    渡辺説明員 実態面のお話でございますので、通産省の方からお答えさせていただきます。  今大蔵省の方から御答弁があったように、暫定措置法で国産困難なものということで手当てをされておりますので、現在入ってきております部品等につきましては免税措置が講ぜられておる、かように考えております。
  80. 土井たか子

    ○土井委員 この問題一つでもこれぐらい答弁ではいろいろと時間がかかるということですからかなわないと私は思うのです。  さて、これも具体的なことで一つ気にかかることをお尋ねしたいと思うのです。現在中国に中国民航という民間航空の機関を持っておりますが、中国民航が使用している航空機は自国機なんですか、それとも外国から輸入している飛行機を中国は使用しているのですか、いかがですか。
  81. 渡辺修

    渡辺説明員 手元に資料がございませんので正確に御答弁いたしかねて恐縮でございますが、中国市場にはボーイングも一部売り込んでおったと思いますので、したがいまして、中国はもちろん国産機もつくっておりますから、恐らくその両方で対処しているのではなかろうかと推測いたします。
  82. 土井たか子

    ○土井委員 推測という御答弁では本当は困るのですがね。これぐらいはきちっと知っておいていただかないと困るなという気が私はいたします。  この三月十九日から二十一日まで北京で開かれました第四回米中合同経済委員会の席上で、中国をココムによる輸出規制の対象から除外するように中国側は米国側に申し入れたという事実がございます。今回のこの条約に定められている部品のうちでココムで規制されている部品はございますか、ございませんか、いかがでございますか。
  83. 恩田宗

    恩田政府委員 ココム参加国の間でココム対象商品及びココム対象国に関しては外に出さない、こういう約束がございますので、この場で申し上げることを差し控えさせていただきたいと思います。
  84. 土井たか子

    ○土井委員 どうもそれはおかしい話でして、ココムで規制されている部品があるということになってまいりますと、先ほど御答弁にもあったように、ボーイングを使用しているということになってくると、その輸入機の修理をする場合に、ココム規制がなされると事実上修理が不如意になるという問題が出てくるのですが、その辺はいかが考えればよろしゅうございますか。
  85. 渡辺修

    渡辺説明員 ココムに関しましては、今外務省の方から御答弁いただいたことに尽きると思うのでございますが、ここに掲げております部品というのは、いずれも民間航空機協定であり、民間航空機用の部品ということで整理されておるものでございますから、そういう意味でココムのリストその他について我々必ずしも十分承知いたしておりませんが、直にこれがそういう形でつながってくるということはなかろうかと考えております。
  86. 土井たか子

    ○土井委員 そうですか。その御答弁でいいのですか。そうすると、中国に民間航空会社並びに民間航空機というふうな概念に当てはまるものはない、こういう格好になるのですか。
  87. 渡辺修

    渡辺説明員 突然の御質問でございますので、あらかじめ中国の状況につきまして資料等で私の手元に今ございませんので正確な御答弁は勘弁していただきたいと思いますが、中国につきましてボーイング等が一部導入しておりますのは民間航空機である、かように私どもは承知いたしております。
  88. 土井たか子

    ○土井委員 釈然としませんね。それではどういう格好になるのですか。先ほど、対象とは考えられないという意味の御答弁をいただいたのですが、購入しているのは民間航空機、使用している中国民航が民間航空会社ではないということになるわけですか。どういうことなんですか。中国との間で結ぶところの航空協定というのを民間航空協定とは言えない、こうなるわけですか。この辺、はっきりしてもらいましょう。
  89. 恩田宗

    恩田政府委員 先生の御質問の趣旨を私ども十分理解しているかどうか、その点、必ずしも自信がございませんが、ココムの義務ガット関係義務というのは別でございまして、ココム参加国各国がそれぞれにおいて条約上の義務を果たすという形でございまして、ココムにおける輸出関係、こういうことはその案件に応じて各国が相談するという形になっております。
  90. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、ココム関係について関係各国同士で、二国間で話し合いを進めるということに対しては、どうぞ御自由にという格好になっているわけですか。そういうことになっているわけですか。それはそうじゃないと思いますよ。
  91. 恩田宗

    恩田政府委員 ココムは、参加国が集まってそれぞれの合意をつくって、その合意に基づいて行動をとる、こういうことでございます。もちろん一般的な原則というのはございますが、その原則が非常に抽象的である場合もございますので、具体的な案件が上がったときにそれぞれの国が集まって相談し、そこで新たな合意ないし了解ができればそれは実行できる、こういう形になっておるわけでごさいます。
  92. 土井たか子

    ○土井委員 そうすると、さっきお答えになったことを後の御答弁で修正されるということになりますね。関係二国間でこういう問題に対して――ボーイングを輸入しているということの事実を先ほど御答弁になったわけだから。そうすると、アメリカを相手にこれは具体的に話を決めなければならない格好になるわけですから、そういう意味での二国間ということの合意で話を決めていくという先ほどの御答弁ですから、その御答弁と、後の、ココムの加盟国が寄って合意をした上でというお話とではちょっとこれは違ってくるので、その辺、ちょっと整理をしてくださいよ。どういうことなのか、聞けば聞くほどわからない。
  93. 斉藤邦彦

    斉藤(邦)政府委員 先生の御質問に直接答えることになるかどうか自信がございませんが、ココムの内容、活動につきましては外へ出さないということになっておりますが、それを前提にした上で御質問にお答えをさせていただきたいと思います。  ココムの対象品目を輸出したいという国があった場合、これは当然関心を持つ国の間での協議というのがございます。先ほど恩田次長が二国間の協議という趣旨のことを申し上げたのはそのことを申し上げていたんだと思います。しかしながら、若干、より正式な手続といたしましては、ココムの定例の会議で具体的な案件を協議してそこで一応の結論を出すという慣習がございますので、この会議にはココムの加盟国全員が出てくるわけでございます。ただ、ただいま申し上げましたことはいずれも、ココムは紳士協定でございまして、その活動については外に説明しないという約束がございますので、その範囲内での御説明をしたものと了解していただきたいと思います。
  94. 土井たか子

    ○土井委員 しかし、そういうふうなことをおっしゃっている間に事情の方が大分先に進んでいるわけでありまして、外務省としてはそういうことについてのつじつま合わせの御答弁に終始されているような気がしてなりません。  大臣、これはやはりココム規制の撤廃ということが中国側から、友好的非同盟国というふうにアメリカとの間では認定をお互いがしている以上は、ココムの対象ということからすると技術、設備の移転については規制は取り除くべきだというふうな話し合いというのがあることは御承知おきになっていらっしゃると思いますが、こういう事情が今後どういうふうなぐあいに推移していくか、より具体的にこういう話し合いは進むんじゃないかというふうに私は考えておりますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  95. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 これまでシュルツ国務長官が中国を訪問したり、ボルドリッジ商務長官が中国を訪問いたしまして、そういう中でココムの問題も米中間で話が出たというふうには私たちも情報としては承知をいたしておりますし、米中間の関係改善ということを前提としましてココムの緩和といった問題も両国間で話し合われたのではないだろうか。今回レーガン大統領の訪中でどういうことになるのか、これは我々も予測できないわけですが、全体の空気としては、やはり米中間の関係改善とともにココムの緩和という方向でいろいろと論議が交わされているというふうには私も承知いたしております。
  96. 土井たか子

    ○土井委員 これについてはまだ具体的にお尋ねを進める機会を持ちたいと思いますが、原則的に少し私が疑義を持っている点についてお尋ねを進めてみたいと思います。  一九七九年四月に東京ラウンド交渉がございまして、当外務委員会でも東京ラウンドをめぐる各条約案件について大変集中的な審議もなされたことをきのうのように覚えているのですが、関税水準というのは比率では大きく下がることになっているのですけれども、東京ラウンド交渉が終了いたしまして五年も経過して今日ただいま、交渉の成果によって国際貿易が大幅に拡大をして、貿易自由化の方向に大きく前進したという主張を聞いていないのです。政府東京ラウンド交渉についてただいまどういうふうに評価をなすっていらっしゃるのか、この点はいかがですか。
  97. 恩田宗

    恩田政府委員 東京ラウンド交渉によりまして関税は大幅に引き下げられておりますし、また、そのほか非関税障壁、いろいろな措置をとって自由な貿易のための環境づくりというのに成功したわけでございまして、私どもは、これらの措置は必ず世界貿易の発展に寄与している、また今後とも寄与していくだろう、かように考えております。
  98. 土井たか子

    ○土井委員 大変楽観的でありまして、期待可能性というのは非常に強いわけですけれども、果たしてそのとおりにいくかどうかというのは余り予断を許さない問題だとも私は思っているのです。  一九八二年十一月に九年ぶりでガット閣僚会議が開かれまして、ガットに合致しない新たな保護主義的措置をとることは慎むということのための政治宣言を採択されたり、また、先ほども河上議員からの御質問の中にもちよっと出ましたけれども、昨年、一九八三年の九月にガットが発表いたしました「国際貿易の展望」では、保護主義の防止には景気回復を待つだけではなくて政策的な努力が必要であるという危機感を訴えております。これはお認めになるところだと思いますが、それなら、こういう状況について一体どういうふうに考えていらっしゃるのですか。
  99. 恩田宗

    恩田政府委員 確かに現在、米国等を中心に景気は回復しておりますが、依然としてヨーロッパ諸国の中には経済困難に直面している国がございます。したがって、それらの国々における保護貿易への圧力というのは非常に高うございます。そういう意味で、今後とも各国の相当な努力がないと自由貿易体制の維持ということについてはかなりの困難があると考えております。したがって、私どもとしては、新ラウンドヘの努力または関税前倒し等さまざまな措置をとって保護貿易に対する防圧のための努力を続けていかなければならない、かように考えております。
  100. 土井たか子

    ○土井委員 努力、努力としきりに努力をしておっしゃるわけですが、これは先の見通しからいうと本当に余り明るい話とは言いがたいと私も思っているのです。  ところで、ガット一般協定というのを見てまいりますと、現に活動している事務局、そのほか下部機関についての規定が全くないのです。ガット締約国会議が、ガット上明文化された規定で認められている唯一の機関だと申し上げなければならない。ガットが取り扱う問題の範囲がどんどん広くなる、極めて広範であるということにもかかわらず、そういう機構的な側面を見てまいりますとそれに関する規定がないというのは致命的欠陥ではないかと私は思うのですよ。いかがですか。
  101. 斉藤邦彦

    斉藤(邦)政府委員 ガットはそもそも発生の段階から異例の経緯をたどっておりまして、御承知のとおり、戦後構想されましたハバナ憲章というのが発効に至りませんでしたので、いわばその補足的な措置としてガットが発足して現在まで続いている次第でございます。したがいまして、幾つかの異例な点がございますが、御指摘の事務局に関する規定がこの協定に書かれていないというのもそのような特殊な経緯を反映した結果であろうと存じます。しかしながら、現実には締約国の合意によりまして実質的に事務局というのは存在しておりまして、この規定がないために実際上の支障が起こっているということはないと考えてよろしいかと思います。
  102. 土井たか子

    ○土井委員 ただ、実際上の支障があるかないかという問題もさることながら、ガット協定それ自身にとっては大変な欠陥だということを言わざるを得ない。事実関係は、ガットにそういう規定はないけれども、実際問題これは支障を来すので、関係国が寄って事務局なるものを形成してきたというにすぎないでしょう。そういうことからすると、当然のことながらガット締約国の中で協定そのものが持っている法的欠陥を何とか是正していこうという動きがあってしかるべきなんです。そういう動きはあったのですか、なかったのですか。あったとするならどういう動きがあったのですか。いかがですか。
  103. 恩田宗

    恩田政府委員 先生指摘のとおり、ガット協定においては事務局等の設置を含めた機構上の規定が欠けております。今までのところは、現実の問題として支障なく過ごしてきておりましたが、新ラウンドを含めまして今後ともガット機構を強化していこう、こういう動きがございますので、その一環としてそのような問題が取り上げられることはあり得るか、かように考えております。
  104. 土井たか子

    ○土井委員 それは答えになってないですね。かつてガット締約国の中でこの法的欠陥を是正しようということで努力をして、具体的に提案を作成をして、そうしてそれを俎上にのせたという例があるでしょう。
  105. 恩田宗

    恩田政府委員 ガット協定自体を、その方向での改正ということを具体的に協議をしたということはございません。もちろん、そのような方向での議論というのはあり得たかもしれません。
  106. 土井たか子

    ○土井委員 議論ではなくて具体的に出ている協定があるのですがね。ただ、それは発効し得なかったのです。なぜかという理由も私は聞こうと思っていた。調べてみてください。これはあるのですよ。――御答弁のありさまを見ておりますと、どうもその辺は手元に今おありにならないような感じがいたします。そうでしょう、正言に言って。もうお昼の休みの時間が来てしまいまして、私もこれでお昼休みの時間ということになりますけれども、こういうことじゃちょっと困るのです。これは現にあるのです。私は、質問の中で言ってしまえばそれは質問は進みますけれども、もうお昼休みの時間にずんずん食い込むということにもなります。これはまた少し時間をいただけませんか。これは今回のガットの附属書についても、これで大事な問題が後で出てくるのです。
  107. 恩田宗

    恩田政府委員 手持ちの資料をもうちょっと確認いたしたいと思いますので、調べまして午後にでもお答えいたします。
  108. 土井たか子

    ○土井委員 それじゃそのような措置をお願いいたします。
  109. 中島源太郎

    中島委員長 午後零時十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時四十七分休憩      ――――◇―――――     午後零時十一分開議
  110. 中島源太郎

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古川雅司君。
  111. 古川雅司

    ○古川委員 ただいま議題となっております民間航空機貿易協定附属書の改正について御質問を申し上げます。  最初に、関連をいたしまして次期民間航空機開発についてお伺いをしてまいります。  航空機開発製造には莫大な資金が必要とされますし、非常にリスクも多いし、またリスクの分散、需要拡大のために国際共同開発が一般化しつつある現状だと思いますが、いわゆるYX、日米伊三国共同開発ボーイング767に続いて、ボーイング社と三菱重工業、川崎重工業、富士重工業の我が国航空機メーカー二社と米ボーイング社との間で次期民間航空機YXX国際共同開発について了解覚書に署名をしたと報じられております。通産省おいでになっておりますか。――その点、事実かどうか、まずお伺いをいたします。
  112. 恩田宗

    恩田政府委員 ただいま通産省の方からすぐこちらに来る途中でございますので、そのときにお答えさせていただきたいと思います。
  113. 渡辺修

    渡辺説明員 YX計画は御承知のように五十七年度でもって終わりまして、現在YXXを進めておるところでございます。YXXにつきましては、昭和五十五年に航空機・機械工業審議会の答申を得まして、次期民間航空機の主流をなす百五十人クラスの中型航空機に的を絞って次期民間航空機開発を行う、国際共同開発を行うのが妥当である、こういう答申をいただきまして、それ以来五十六年、七年、八年と我が国独自で予備設計及び要素試験を繰り返してきたわけでございます。と同時に、国際共同開発の相手方を探してまいりまして、ボーイング、エアバスそれからダグラスの三社から日本共同開発の話がございまして、約二年にわたりまして詳細な議論を続けてきた結果、去る三月十六日にボーイングとの間で了解覚書を結んだ。了解覚書と申し上げますのは、これからボーイング日本との間で共同開発を進めていこうという、いわば共同開発をするに当たっての約束でございまして、これから新しい機体の技術あるいはどういう仕様にするのかといったことを細かく詰めまして、マーケットの環境を見ながらしかるべき時期に本格開発に着手する、専門用語で言えばゴーアヘッドをかける、そういう段階に入ってきておる、こういうことでございます。
  114. 古川雅司

    ○古川委員 そこで、日本が機体の開発、量産、販売、補修まで、いわゆるフルパートナーとして参加することになって我が国航空機産業を国際的な水準にまで引き上げるという観測がされているわけでございます。この計画の内容についてこれから進めていくことでありますけれども、既に日米間のいろいろな思惑の相違が表面化しているというふうに伝えられておりますが、通産省としてはその辺をどうおとらえになっていらっしゃいますか。
  115. 渡辺修

    渡辺説明員 今回、ボーイング日本との間で達しました了解覚書につきましては、中型サイズの中・短距離の飛行機、オールニューの飛行機を一九八〇年代末から一九九〇年代初頭にエアラインにサービスする、そのぐらいのめどで共同開発に着手しよう、こういう中身でございまして、あと基本骨子は、今先生お話しになられましたように、約二五%ということで販売及びプロダクトサポートまで含めた内容で処理する、こういうことでございまして、問題は、市場環境をどう見るか、それからあと革新技術の進歩というものをどう見ていくか、それからもう一つは、非常に重要な要素でございますのは、このYXXに積み込みますエンジンでございます。これは現在、日本アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリー、五カ国で共同開発しておるV二五〇〇というエンジンがございます。このエンジンの完成時期の見通し、これを搭載する予定でございますので、そういった諸般の情勢を見た上で、どの時期にゴーアヘッドをかけるかという、これから一連の作業を双方ですり合わせをしていこうという段階でございまして、既にボーイングとの間ですり合わせが始まっております。  私どもは、その点におきまして、ボーイング日本の業界代表とでやっておるわけですが、もちろんネゴでございますし、ビジネスですから、いろいろな細かい意見の対立はございますけれども、基本的方向についてはその間に相違はない、かように考えております。
  116. 古川雅司

    ○古川委員 その点は了解いたしました。  さきのいわゆるYX、三国共同開発によるボーイング767の開発費の分担は日本とイタリア双方が一五%、アメリカ七〇%と言われておりますが、これは金額に換算をすると大体どのくらいになるのか、そしてまた政府の資金援助はあったのかどうか、この点はいかがでございますか。
  117. 渡辺修

    渡辺説明員 YXプロジェクトにつきましては、我が国YS11に次ぎます非常に重要な航空機産業開発のための一つのステップであるということで国として助成しよう、こういうことになりまして、トータルで約百五十億円の国の補助を行っております。それで約半分ぐらいの助成になっておると思いますので、日本全体が担当いたしましたトータルの事業費ということでいきますと、その倍の約三百億円ぐらいを日本が担当した。それで、日本の担当いたしましたのは主として胴体が中心でございます。
  118. 古川雅司

    ○古川委員 現在いわゆる空の商戦というものは米欧対立の時代に入っておると言われておるわけでございますが、日本航空機産業は伝統的にアメリカとの結びつきが非常に強い。そういう状況の中で発展をしてきたと言っても言い過ぎではないわけでございますけれども、このたびのYXX共同開発については、業界を指導する立場としていろいろな思惑の相違点もあると思います。細かい点を挙げれば切りがないと思いますけれども、この計画を今後どういう姿勢で後押しをしていこうとなさっているのか。将来の我が国航空機産業の展望として、あくまでもアメリカとの共同開発を中心にして進めていくのか、あるいは西欧諸国との共同開発にも積極的に取り組んでいく道を開いていくというお考えなのかどうか、その辺のところをひとつ御答弁いただきたいと思います。
  119. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  今回のYXX計画ボーイング共同開発を決めました際には、エアバス、それから同じくアメリカのマクダネル・ダグラスといった会社からも共同開発の申し入れがあったわけでございます。約二年間にわたって交渉いたしましたが、恐らく基本的には、我が国航空機産業民間各社の首脳には、従来のYXを一緒にやってきたというそこでのビジネスアレンジメントで一つの経験を通じてきておるという要素がかなり強く働いておったのではなかろうか、こういうふうに考えております。  しかしながら、同時にエアバスの方につきましてもA320という、つまり我々のYXXにほぼ該当する大きさの飛行機でございますが、これを欧州連合で開発に既に現在着手しております。そのエアバスの方からも、それに搭載いたします航空機部品といったものについてはできれば日本と共同で開発をするなり、あるいは何らかの形で購入したいといったような形で話が参ってきておりまして、我が国航空機業界はそれについても大変歓迎をいたしておりまして、アメリカ及び欧州いずれともビジネスの機会があれば共同でやっていこうという基本姿勢に変わりはないと思います。  それからYXXでございますが、本件につきましては開発のみならず販売、それからもう一つ民間航空機で非常に重要なプロダクトサポートといいまして補給をしていくわけでございますが、こういった分野は日本民間航空機産業が初めて経験する分野でございまして、こういうところをしっかりと学ぶといいますか、経験をいたしました上で民間航空機のビジネスとしていわば一人前になるわけでございまして、そういう意味でこれは非常に重要なプロジェクトと我々は考えておりますので、諸外国の例を十分参考にいたしながら国としても最大限のサポートをしていきたい、かように考えております。
  120. 古川雅司

    ○古川委員 今エアバス320についてお触れになったわけでございますけれども、これは新聞にも既に報道されておりまして、エアバス・インダストリー社、これはフランス、西ドイツ、イギリス、スペインの四カ国の共同企業体ですが、具体的に島津製作所にA320の部品、尾翼の水平安定板駆動装置の委託生産を要請してきているということでございます。今御答弁でお触れになったわけでございますが、これは既に契約というところまで行っておるわけでございますか。
  121. 渡辺修

    渡辺説明員 先ほど申し上げましたように、エアバスの方からは我が国部品業界に対して大変関心を示してきておりまして、その一環として、今まさに先生指摘のとおり島津製作所をも訪問していろいろ勧誘しておる、こういうことでございます。  今御質問に出ました島津製作所の件で申し上げますと、A320の尾翼の水平安定板駆動装置というものについて、いかなるビジネスとしてそれをエアバスが新たに開発しようとするときに組み込むことが可能かどうか、もしそうであるとすれば正式のリクエスト・フォー・プロポーザルというものを出してくれないか、こういう要望がありまして、それに基づいて、たしか三月の宋と聞いておりますが、プロポーザルを出したというのが事実でございます。ただ、エアバスもその水平尾翼の駆動装置につきましては島津だけではございませんで、フランスの国内あるいはその他欧州、幾つかから正式のプロポーザルを受け付けておりますものですから、それを見ながらこれからエアバスがどうするか選定に入る、こういう段階でございます。
  122. 古川雅司

    ○古川委員 こういう委託生産要請という形態については、いわゆる日本市場への航空機の売り込みのためのパイプづくりという受けとめ方ができますでしょうか。その辺いかがでございますか。
  123. 渡辺修

    渡辺説明員 飛行機マーケットというのは、ある意味世界全体で非常にステディーに伸びてはおりますけれども、絶対量が爆発的に伸びるというものではございません。そういったマーケットの問題、それから航空機開発費が巨大になって非常にリスクが大きいビジネスになってきておるという問題、それから三つ目は、かつ収益の回収が非常に長期を要する、こういった関係から国際共同開発路線を今たどってきておるわけでございますが、その共同開発をするパートナーの選定ということになりますと、当然限られた市場をねらうというのも一つの重要な要素になっておるわけでございます。  今回のエアバスの部品調達につきましては、その真意がどこにあるかということはまだ必ずしも定かではございませんが、ただ昨年でございますか、エアバスがボーイング日本マーケットを争って敗れ去ったときに、エアバスが発表いたしましたステートメントで、ボーイング附にA310というエアバスの飛行機が敗れ去ったのは、性能その他で敗れたのではなくて、日本メーカーボーイング共同開発したものであった、そこをエアバスとしては留意するという声明を一言発表したこともございますものですから、そういうことから考えますと、これから広くマーケットを求める一環として日本にそういった部品面の話を持ってくることも十分推測し得ることだろうと思います。
  124. 古川雅司

    ○古川委員 将来こうした西欧からの部品の委託生産の要請があるいは増加をしてくるかもしれないというふうに予想されるわけでございますが、これによって日本の国内の航空機産業の形態の中で、大手のメーカーとかあるいは中小メーカーの間で部品供給関連メーカーのそれぞれの分野で混乱が起こったり、あるいは現在のそうした体制を動かすことにはならないかどうか。この辺はいかがでございますか。
  125. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  我が国航空機の特に部品メーカー部品のインダストリーでございますが、今までは比較的国内のビジネスが中心でございました。     〔委員長退席、野上委員長代理着席〕 国内のビジネスと申し上げますと、当然のことながら防衛庁需要に対してこたえるというのが圧倒的を占めておったわけでございますが、YX計画あたり一つの転機にいたしまして目を外に向け始めまして、防衛庁分野の仕事以外に民間航空機の分野というのに非常に興味を示し始めております。そういう形で、これから防衛庁需要のみならず民間航空機のビジネスの分野に日本部品メーカーが安定的に入っていく一つのきっかけとして、私どもとしてはボーイングとの関係あるいはエアバスとの関係といった形で、今先生質問のようなビジネスが始まって関係が強まっていくのは非常に結構なことではなかろうか、かように考えておりまして、そういう意味でむしろこれから発展的に拡大していく一つのステップではなかろうか、このように考えております。
  126. 古川雅司

    ○古川委員 これは大蔵省にお伺いすることになるかと思いますが、こうした委託生産方式による部品の輸出あるいは輸入につきましては、本協定関税措置との関連はどういうふうになっているか、この点いかがでございますか。
  127. 渡辺修

    渡辺説明員 関税の具体的な措置の方は大蔵省の方からお答えいただくとして、例えば今先生指摘の島津の例で申し上げますと、エアバスの方に幾つか複数のプロポーザルが出ておりますけれども、もし島津がこれに納めることになるとすれば、これは駆動装置ということでございますので現在このガット協定対象になっております部品でございますので、これをフランスあるいはエアバスのドイツの工場に輸出する場合には相手国で無税の扱いになる、こういうことになります。
  128. 吉川共治

    ○吉川説明員 先生お尋ねの点でございますが、輸入の場合には、関税暫定措置法なり関税定率法によりまして同じく免税の扱いになります。
  129. 古川雅司

    ○古川委員 民間航空の貿易の分野では、非関税措置の規制、それから関税及び課徴金が全廃されたことは注目すべきことでありますけれども、輸入品が民間航空機の製造、修理等に用いられるか否か、これを確認するために特定用途方式による税関行政の採用を認めております。その具体的な運用は各国それぞれの法制にゆだねられているわけでございますが、本改正に伴う国内措置についてその必要はないというふうに説明がされておりますけれども、本改正を受諾することについて、関税率表その他の取り扱い、運用措置をどうとっていくのか、その点御答弁をいただきたいと思います。
  130. 吉川共治

    ○吉川説明員 お答えいたします。  ただいま先生おっしゃいましたように、今回の附属書の改定に伴いまして国内法の手続は特に必要でございません。既に本協定の実施の受け皿といたしましては関税定率法十五条の一項十号で特定用途免税の制度を設けております。
  131. 古川雅司

    ○古川委員 この民間航空機貿易協定では、関税が撤廃される輸入品の使用は航空機の機体の一部を構成するものに限られている、当然でございますが、いわゆる用途外に使用した場合、転用、流用というような場合、そういうことが起こり得るかどうか、十分これは想定をする必要があるのかどうか、またそういう事態が起こった場合には協定違反としてどう取り扱うのか、そうしたことが起こらないようないわゆる歯どめの措置というものまでお考えになっているのかどうか、この点を全部含めて御答弁をいただきたいと思います。
  132. 吉川共治

    ○吉川説明員 特定用途免税でございますから、先生おっしゃいましたように、ほかの目的に使うということは許されないわけでございます。ただ、実際問題といたしまして、この航空機部品というのは非常に特殊なものでございますし高価なものでございますので、航空機以外のものに転用するということは余りないことではないかと考えております。ただ、そうは言うものの、実際にあっては困りますので、ほかのものに転用できないような制度を設けております。  具体的には、定率法の十五条の一項でございますけれども、輸入の航空機、その部品等を特定用途免税制度の対象貨物に指定するということにしておりまして、その輸入の許可の日から二年以内は航空機の目的に使用することを義務づけているということでございます。それで、もし本制度によりまして関税の免除を受けた物品が輸入許可の日から二年以内に他の用途に使用されるということがございますと、これは同じく関税定率法十五条の二項の規定によりまして免除された関税が追徴されるという形になっておりまして、こういう制度を通じて用途外に使われることを防いでおる次第でございます。
  133. 古川雅司

    ○古川委員 次に移ります。  現行協定締約国は、御説明によりますと十六カ国とECであるというふうに言われておりますが、締約国がそれ以上ふえないという原因は、どういうところにあるのでしょうか。
  134. 恩田宗

    恩田政府委員 民間航空機及びその部品生産でございますが、これは高度な技術を要するものでございますために、どうしても生産国の数が限られており、そのため締約国がふえにくい事情にあります。また、現在民間航空機生産を行っている諸国のすべてが本協定を締結しているわけではございませんが、世界航空機工業の生産額の大部分が現在の協定締約国によってカバーされている形になっておると思います。協定の未締約国であって航空機ないしその他の部品生産している国としては、韓国、ブラジルなどがございますが、この協定によって設置された委員会は、これらの国に対して参加の働きかけを行っておりますけれども、まだ参加が実現してない、こういう状況でございます。
  135. 古川雅司

    ○古川委員 いわゆる先進技術を持っているか、いないかということがかぎであるということでございますから、いわゆる中進国、途上国が加入をしていない理由はそれでわかるわけでございますが、今お挙げになりましたブラジルとか韓国というような国で、協定には入っていないけれどもガットには入っているというところで、航空機部品の輸出輸入に当たってはどういう操作をしているわけでございますか。
  136. 恩田宗

    恩田政府委員 これらの国々はガットの一般協定加盟国として現在の協定の利益を反射的に得ている、つまり、このような協定加盟国に対する輸出の場合は関税がかけられない、他方、自国については、自国の判断に基づく関税をかけている、かような形になっております。したがって、これらの国々は受益国であるわけでございますが、私どもとしては、航空機産業の広い発展という趣旨から、できるだけ多くの国が参加するように働きかけていくべきだろう、かように考えております。
  137. 古川雅司

    ○古川委員 次に、この附属書に産品の表がございますけれども、このCCC、いわゆる関税協力理事会というのは、どういう性格、任務を持っているものなのか。この産品の表が、CCCNとアメリカ、カナダというふうに三本立てになっているわけでございますが、これはどういう理由によるものなのか、このままの姿で今後とも推移をしていくのか、あるいはCCCNに一本化するという構想なり目標なりというものを持って進めているのか、この辺はいかがでございましょうか。
  138. 恩田宗

    恩田政府委員 CCC、関税協力理事会でございますが、この理事会は各国関税制度の「調和及び統一を確保する」、こういう目的のために一九五〇年十二月に条約により設立されたものでございまして、我が国は一九六四年これに参加いたしております。現在のところ本部はブラッセルにございまして、加盟国の数は後ほど申し上げますが、大体ブラッセルに集まりましてこの関税関係の国際的な統一調和の問題を討議しております。  現在の協定において関税率表が三つに分かれておりますのは、関税率表における物品の分類のための方法が国によって違うという事情にあるわけでございまして、日本及びEC加盟諸国の多数はこのCCC関税協力理事会の定める品目表によって採用しておりますのであれでございますが、アメリカとカナダはそれぞれ自国の分類表を使っておるものでございますから、協定上はどうしてもこの三つの表が必要だ、かようになっております。現在、この協定加盟国が協力いたしましてできるだけ複雑な方法を統一できないかということを協議し交渉しているという状況でございます。  CCCの加盟国は九十五カ国でございます。
  139. 古川雅司

    ○古川委員 この協定附属書改正につきまして外務省からいただいた説明書によりますと、「改正受諾の意義」として「民間航空機に関する貿易の一層の発展に寄与するとともにこの分野での国際協力を一段と推進するものである。」というふうに述べておられますし、また「この分野での世界貿易拡大及び我が国航空機産業の一層の発展に寄与する」というふうに説明しておられるわけですが、この改正によって一体どこがどのくらいの実利を得るのか、航空機産業あるいは航空会社、そういったところに及ぼす実利のできれば幅も含めてどれだけ得をするのか、その辺のお見通しがつきましたらお述べいただきたいと思います。
  140. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  協定加盟国相互がマルチの関係になるものでございますから、相互に今度拡大した品目もしくは新規に追加した品目に見合うものを関税を無税にし合うわけですから、したがってどこが一番受益するかというのを定量的に今ここで申し上げるのはなかなか難しゅうございますが、我が国について言えば、例えば先ほど一例を申し上げました先生指摘の島津の話でございますが、あれは駆動装置という一つ部品になっておりますが、及びその部品ということで今回免税の範囲を拡大した部分に該当するわけで、ございます。したがって、もしあれが具体的にフランスに出るということになりました場合に、それの部品をさらに取りかえるために輸出するという場合には、従来恐らく五ないし一〇%かかっておった関税が無税になる、こういう形になってまいりますものですから、具体的には日本の業者にとってみればこれから世界的展開を図る場合に、諸外国部品を輸出するその輸出についてかかっておった関税が無税になるという点で一番大きな受益があるのであろうと思います。
  141. 古川雅司

    ○古川委員 これは航空会社に直接関係があるかどうかわかりませんけれども、そうした波及効果によって、これが直接国民へのサービスに影響を及ぼすぐらいの規模であると考えてもいいのかどうか、免税措置によって部品購入が安くなる、そのことによって回り回って航空料金の引き下げというようなところまでいく規模のものなのかどうか、その辺の御観測はいかがでございますか。
  142. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  先ほど午前中にも申し上げましたが、現在までの、つまり改正前の航空機協定に基づくカバレージで見ますと、これは大体九割弱ぐらいはカバーしておりまして、今回で九五%強ぐらいのカバー率になるわけでございます。その限りで申し上げますと、根っこの九〇%近くは既に免税化されておったわけでございますから、それの今申し上げた比率を御勘案いただきますと、先生指摘の全体の航空料金に影響が及ぶといったような大きな形になるかどうかというのは、日本だけのことではなかなか難しゅうございましょう。今申し上げた協定十六カ国及びEC、それらの相互の累積効果が今後延々と続いていった場合にそういうふうな形で消費者に何らかの還元されるような形になってきてほしい、我々もさように考えておるわけでございます。
  143. 古川雅司

    ○古川委員 先ほど読み上げました外務省からいただいた「改正受諾の意義」の後段のところ、「この分野での世界貿易拡大及び我が国航空機産業の一層の発展に寄与する」というところでございますが、通産省、外務省がお出しになった参考資料によりますと、昭和五十二年以来五十七年までの「我が国航空機関係輸出入実績の推移」がございます。輸入の方はおおむね漸増という感じを受けます。ただ、五十六年から五十七年に移る場合に前年比三七%の減になっております。これは総トータルでございます。輸出の方は輸入に比べてかなり伸びが大きいのではないかと考えるわけでございますが、この五十七年の減額の事情と、そしてまた輸入輸出の今後の推移、その辺のお見通しについてひとつ御説明をいただきたいと思います。
  144. 渡辺修

    渡辺説明員 御指摘の輸出入の数字でございますが、五十七年トータルで三七%の減になっておりますが、それの中身をごらんになっていただきますと、お手元にある資料の上から四段目の数字でございますが、「航空機及びロートシュート」と書いでございますが、メーン航空機でございます。機体そのものの輸入が八二%減という数字に減っております。つまり、これは恐らく日本のJALとか全日空といったエアラインの機体の購入時期は、後継機を買う場合に順々に年度によってばらつきがございますから、それの関係でこの五十七年に大幅な減が立った。つまり、前年との対比でこの年には機体の購入が著しく減少した年である、こういうことであろうと思います。  それから、輸出輸入が今後どうなるかということでございますが、輸入につきましては今申し上げましたように、何と申しましても機体そのものの導入というときに増が立つわけでございますので、これはすべて今後の日本のエアラインの古い航空機を新しい航空機に買いかえていくペースによってこの数字は増減していくと思います。  逆に、今度は輸出の件でございます。輸出は、YX計画に基づきまして胴体その他をつくりましたものを、アセンブリーのためにシアトルに持っていきますけれども、これが漸増していっておりますので、そういうことも含めまして恐らく数字的には急増することはないと思いますが、ステディーに漸増していくことになるのではなかろうか、かように考えております。
  145. 古川雅司

    ○古川委員 最後に外務省にお伺いをいたします。  東京ラウンドの交渉の成果として本協定など新しい国際貿易秩序を目指すための指針がつくられているわけでございますが、しかし、現在の世界各国の経済の状況を眺めてまいりますときに、失業者の増大、インフレの高進、そうした環境もございます。その中で、国際貿易の面におきましても保護貿易主義の風潮というのは影を消していないわけでございまして、これが世界貿易の活性化の大きな阻害要因になっているのも指摘されているとおりでございます。外務省がお出しになった「改正受諾の意義」の中に「最近の世界貿易において依然として根強い保護主義的傾向を抑止し、自由貿易体制の維持及び強化を図ることにも資するものであり、」というふうに説明をしておられるわけでございますが、これは最後に大臣から御答弁をいただければ幸いでございますが、この保護貿易主義の風潮、そしてまたこの協定附属書改正もその風潮を破ることに一つの意義を見出しておられますが、この辺についてはどうお考えであるか、大臣の御所見を伺いまして、質問を終わらせていただきます。
  146. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 今世界は、おっしゃるようにアメリカやあるいはヨーロッパの一部の国、さらに日本、先進国の間には相当根強い景気の回復が行われておるわけでございますが、そういう中で我々心配しているのはやはり保護主義の動きでありまして、アメリカにおきましても、アメリカの議会におきましてローカルコンテント法が審議されるとか、あるいはまた州によってはユニタリータックスという、保護主義そのものともいうべき税制が行われているというようなこともあります。あるいはまたヨーロッパにおきましてもなかなか根強い保護主義的な傾向があるわけで、我々としては、これからの世界の経済を活性化していくあるいはまた世界の経済の拡大均衡を進めていくにはどうしてもやはり自由貿易体制を堅持していく以外にないわけでございます。そのためにガットであるとかOECDであるとか、あるいはまたサミットであるとか一連の会議が行われまして、そういう中で保護主義を排して自由貿易を守ろうという空気を盛り上げ、それなりに努力も進めている。また日本もそういう中でみずからの市場の開放を積極的に行っていかなければならぬということで、きょうも実は一連のパッケージにしました市場開放対策を発表したような次第でございます。  そういうことで、我々はやはり自由貿易体制を守っていかなければならぬ。そういう意味で、この改正民間航空機及びその部品等の分野における貿易の一層の自由化を目的として行われるものでありますし、この分野における貿易をさらに活発化することに貢献するものである、貿易関係の一層の改善をもたらすもの、こういうふうに考えておるわけでございます。
  147. 古川雅司

    ○古川委員 終わります。
  148. 野上徹

    ○野上委員長代理 次に、河村勝君。
  149. 河村勝

    ○河村委員 今度の民間航空機貿易に関する協定改正によって九品目が新しく追加をされて既存の五十品目の中の十三品目について対象範囲を拡大をするという内客でございますが、これで部品全体の中の免税措置をとられるウエートが九〇%から九五%に上がったという説明がありましたが、残された免税措置をとられないものというのは一体、大体どういうものがとられないことになっているのですか。
  150. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  民間航空機に使用はいたされますけれども、例えばICとかエレクトロニクス関係民間航空機のみならず他の産業にも十分に汎用的に使われておる、むしろそれが通常のケースだといったようなものについて、恐らくこれからどういう形でそれを特定化していって残りの五%程度を無税化の方に持っていくか、こういうことになるのだろうと思います。  したがいまして、非常に汎用の高い部分と、それからもう一つは今回の部品のさらに細部品、非常に細かいもので、それを各国それぞれ調整するのにテクニカルにこれから相当詰めなければいかぬ、そういった分野が残されておる、こういうふうに御理解いただければと思います。
  151. 河村勝

    ○河村委員 関税暫定措置法によって輸入に関しては国内で免税措置がとられているわけですが、これには航空機部品に対して全面的な免税になっておりますか、その中身はどうなっていますか。
  152. 渡辺修

    渡辺説明員 関税暫定措置法では国産が困難なものということでおっしゃるように現在免税になっておるわけでございますが、民間航空機分野におきますと、ちょっと数字を今手元に持っておりませんが、相当部分がこれでカバーされておる、こういうふうに考えられるのではなかろうかと思います。
  153. 河村勝

    ○河村委員 ですから具体的に言うと、今ICとかトランジスタとかエレクトロニクス関係、こういうものが残されているというふうな説明でしたね。一体、その種のものも関税暫定措置法では免税の方に含まれているのかどうかということです。
  154. 吉川共治

    ○吉川説明員 お答えいたします。  今先生お尋ねになった部品でございますが、そういうものも国産困難ということでございますればこの暫定法の対象になりまして免税になるわけでございます。
  155. 河村勝

    ○河村委員 国産困難といえば、エレクトロニクス関係は大体日本でできるのが多い、そういうものはどうせ買いやしない、輸入するものは日本ではできないものに決まっておるわけです。多分ICなどには一部あるでしょう。そういうものは一体含まれているのかどうかということです。
  156. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  御指摘のエレクトロニクス関係でございますが、一般的なICとかあるいは汎用的なエレクトロニクスという分野は日本産業は非常に強くなってきておりますけれども、航空機、特に民間航空機のジャイロを決めるところに入れ込まれるエレクトロニクスとかは非常に高度な先端部門でかつコンパクトにできておるという分野でございまして、これの技術水準は非常に高うございまして、例えばボーイング飛行機とかエアバスの飛行機とか、それに直接日本メーカーでつくり得るというのは、現在のところまだその域に達しておらないわけでございます。     〔野上委員長代理退席、委員長着席〕
  157. 河村勝

    ○河村委員 だから結論的に言うと、関税暫定措置法によって免税措置がとられている部分の方が、この協定によってカバーされているものよりも範囲が広いということになるわけですね。だから輸入に関する限りは別段この貿易協定がなくてもこの関税暫定措置法があれば間に合っておる、こういうことになるわけですか。
  158. 渡辺修

    渡辺説明員 細かいところを言いますと、双方で出し入れはごさいますけれども、大きく見れば、今先生の御指摘のとおりでございまして、民間航空機協定でまだカバーしていないエレクトロニクス関係、そういったもので、かつ日本のユーザーが使う場合に国産困難で外国から入れておるもの、それは暫定法で免税になっておるということですから、おっしゃるとおりでございます。
  159. 河村勝

    ○河村委員 双方で多少出入りがあるというのはちょっとぴんとこないところがあるのだけれども、そうだろうか。それはよろしいでしょう。いずれにせよ、この汎用品については、日本が逆に輸出の方が免税になれば有利なものが多いはずですね。ですから、この協定をつくる際にエレクトロニクス関係を含ませた方が日本にとって有利なはずだから、それはその議論の際でもって含めることはできなかったのか、それはどういうところで反対があってできなかったのか、その辺のところは、経過はどういうふうになっておりますか。
  160. 渡辺修

    渡辺説明員 航空機委員会での議論は実はそこまで議論がまいりませんで、これは将来の問題として、一体どういう形でその汎用的なものを民間航空機特定する形で識別していって民間航空協定のカバレージの中に入れ込んでいくかという作業を十六カ国の間でこれから議論していくことになろう、こう思います。
  161. 河村勝

    ○河村委員 これから日本でも航空機開発していこうというのですから、極力そういう面を配慮しながらやっていくべきだ、こう思うのです。  ところで、さっきも質問がございましたが、この輸出入の額、実績のばらつきですね。外務省からもらった、この通産省と共同の資料、これは自衛隊用の飛行機も入っているのですか。
  162. 渡辺修

    渡辺説明員 これは全部含めた数字でございます。
  163. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、さっき、JALや何かが航空機購入しないときにがたっと輸入の実績が落ちているということであったけれども、現実にはやはり自衛隊の軍用機購入のばらつきも当然入ってくる、そういうことなんでしょうね。
  164. 渡辺修

    渡辺説明員 御指摘のとおりでございます。
  165. 河村勝

    ○河村委員 それにしても、それと関係のない輸出の方で、さっき話の出た五十六年に対して五十七年が百億以上、百五十億ぐらい一遍に輸出がふえていますね。先ほどYX計画のボーイング767の部品の輸出がそれに貢献しているであろうという話であったけれども、ちょっと多過ぎるようですが、これは何かほかにも特殊な事情があるのじゃないですか。
  166. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  YX計画の完成に伴いまして、五十七年度のアメリカ向けの、つまりアセンブリー用の輸出というのが機数にしてこの五十七年度に相当大幅に出始めておりますので、それの寄与率というのが圧倒的に多いということになると思います。
  167. 河村勝

    ○河村委員 それは大変結構なことですが、さっきのお話で、飛行機販売そのものはYXXで初めて手をつけるのだという話でありましたが、そうすると、このボーイング767については、日本開発については分担をしているけれども、売る方については一切、アメリカと、もう一つはどこですか、どこかに任せてある、日本でやらない、そういうことになっているのですか。
  168. 渡辺修

    渡辺説明員 おっしゃるとおりでございまして、販売とその後のプロダクトサポート、この仕事は一〇〇%ボーイングが行う。したがいまして、日本とイタリア、共同開発に参加しましたこの両国は、開発のパートナーと、それから量産をするときにはこれを量産をいたしますけれども、それから後はボーイングがやる、こういうのがYXの全体でございます。
  169. 河村勝

    ○河村委員 それはこっちが遠慮したのではなくて、力関係でそういうふうになったという経過ですか。
  170. 渡辺修

    渡辺説明員 特に販売とプロダクトサポートというのは大変難しい、まさに民間航空機の商売の基本に関するところでございまして、五十三年の初めからのプロジェクトは、先生指摘のようなことで推移したということだと思います。
  171. 河村勝

    ○河村委員 さっきの御説明で、YXXボーイング767に対する国の助成は五十八年度で二十二億という話でしたね。これは全体では一体幾らになるのですか、この計画全体に対する助成は。
  172. 渡辺修

    渡辺説明員 御質問は、YXに関する御質問でございましょうか。(河村委員「ああ、YXです」と呼ぶ)YXにつきましては、昭和五十三年度から、たしか五十七年度まで続いたと思いますが、トータルで、正確に申し上げますと百四十七億という国の助成でございます。
  173. 河村勝

    ○河村委員 一体、これは幾ら売れれば採算がとれるのですか。実際今、オーダーがどのくらい来ておって、どのくらいデリバーされているのか、その辺の実績は一体どういうふうになっているのですか。
  174. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  この計画全体を動かしますときに、ボーイング日本の業界とイタリアとでいろいろ何度も何度も議論をしたときには、ブレークイーブンポイント、つまり、ある一定の時期で全部回収し終わって、それから利益が出ていくという、そのブレークイーブンポイントというのをどこに置くかというので議論されまして、もう随分古い話になりますが、四百とか五百とかいったようなところの議論があったことは事実でございます。その後五十七年度から販売が軌道に乗ってきておりますが、現在のところ、受注は二百四十二機とれております。本来、もう少し楽観的な見通しをしておったのでございますが、先生承知のとおり二、三年前からの航空不況の影響がございまして、エアラインの購入スピードが少し落ちておるというのが現状でございます。
  175. 河村勝

    ○河村委員 それで、実際デリバーできたのはどのくらいになっているのですか。
  176. 渡辺修

    渡辺説明員 現在デリバー済みのものが八十四機、これは三月末の数字だと思いますが、八十四機でございます。
  177. 河村勝

    ○河村委員 もし四百機、五百機売れないと採算がとれない、現在の段階でオーダーをもらったのは二百四十二機ということになると、まずこれは採算がとれる見込みはないということになりはしませんか。
  178. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  ボーイング767というのは二百二十人ぐらいのパッセンジャーの飛行機でございますが、それを少し大きくしまして三百人近くまで乗れるような型のものにさらに現在改良中でございます。この二つで約二百人から三百人強ぐらいまでのお客をとる飛行機としてこれからいくわけでございますが、ボーイング767というのは現在のエレクトロニクスの水準その他技術的な最先端のものを入れ込んだ飛行機でございまして、この寿命は二〇〇〇年まで当然いくというふうに我々考えております。これに対抗いたします機種がエアバスのA300もしくはA310といったものに非常に限られておりまして、かつこれから二百人から三百人ぐらいまでの需要層というのは二〇〇〇年までの間にまだ相当あるというふうに我々踏んでおりますので、現下の航空不況、一時的な航空不況がおさまりますと、767の需要というのはアメリカマーケットを中心に順調に伸びていくだろうというふうに考えております。
  179. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、これは百四十七億というような大きな国の金を出しているのですから、これが採算がとれないままに終わったのでは大損失ですから、お役所が頑張るわけではないが、頑張ってもらわなければ困りますが、現在開発を始めたYXX、これも開発費の分担が日本が二五%ですが、これはやや小さいようでありますが、二百から三百の大型なものは二〇〇〇年まで需要があるであろう、だけれども、もう少し小さいものは新たな需要分野というものが開拓できる、そういう見通しが、新しく始めるということについては成り立つわけですか。
  180. 渡辺修

    渡辺説明員 先生指摘のとおりでございまして、現在、二〇〇〇年までのマーケットを考えてみますと、先ほど申し上げました767クラスの分野も一つございますけれども、例えばアメリカマーケットでいいますと、メーンのところで一たんおりたお客さんが地方のローカルに移るときのエアラインというところの需要が非常に多くなっております。あるいは東南アジアもしくは中近東といったところが非常に多くなっておりまして、二〇〇〇年までの間にこの百五十人クラスの需要というのはかたく見積もって二千五百、それからエアバスなどが見積もっておりますのは三千を超すという需要を見積もっております。こういう重要分野を目指しまして、実はエアバスは三月一日でございますが、A320という百五十人乗り用の飛行機でございますが、既にこれの本格開発に着手いたしております。そういうことで、この分野の需要というのも、二〇〇〇年まであるいは二〇〇〇年を越えましてもこれからますます大きくなる分野であろうというのが我々の見通しでございますし、エアラインあるいは航空機の専門調査機関も大体同じような見通しをいたしております。
  181. 河村勝

    ○河村委員 A320が既にオーダーを取り始めたということであるならば、このYXXという方はちょっと立ちおくれで、気がついてみたらもう大体需要分野は取られてしまったということになりそうなタイミングでありますが、そうではないのですか。
  182. 渡辺修

    渡辺説明員 A320、既にゴーアヘッドをかけたわけでございますが、現在A320が考えておりますエンジン、どのエンジンを積み込むかということでございますが、A320が、今の開発スピードでいきますと、積み込むエンジンというのは、アメリカのGEとフランスのスネクマというエンジンの国策メーカーがございますが、この二つが共同で開発しているCFM56というエンジンがあるわけでございます。このエンジンを積み込む。これは現在既にあるエンジンを改良するものでございますが、それを積み込んで飛ばす、こういうことでございますが、別途、それとほぼ同じクラスでより燃料効率のいいV二五〇〇という新しいエンジンの開発が今進行中でございます。これはアメリカ日本それからイギリス、ドイツ、イタリアという五カ国で開発中のV二五〇〇というエンジン開発が今動いております。これは八八年の春にでき上がる予定でございますが、これができ上がりますと、エアバスはどこかの段階で今のGE、スネクマのエンジンを新しいエンジンに積みかえて、そこから再度商売を始める、こういうことになっておりますので、したがいまして、全体の燃費効率その他からのコンペティションを考えてみましたときには、新しいエンジンができ上がって、その後それを積み込むという段階で考えておけば、恐らく将来の競争というのは万遺漏ないのではないかというのが我々の見通しでございます。
  183. 河村勝

    ○河村委員 そうしますと、V二五〇〇は、これは五カ国ですか、共同開発をやっているようですが、八八年春というと、YXXのオーダーを取り始めようという時期とはこれで大体間に合う、そういう計算ですか。
  184. 渡辺修

    渡辺説明員 今の五カ国エンジンの開発スケジュールでございますが、八八年の春というのを今タイムテーブルにおいてやっておるわけでございますが、このエンジンがそこででき上がりますと、今度はこれを積み込む、つまり機体にこれを載っけまして、それで約一年間フライトをいたしまして、それで機体とエンジン込みの型式証明をとって初めてエアラインのサービスに供される、こういうことになるわけでございます。それからまいりますと、このエンジンが本当にエアラインに入り込み得る時期というのは恐らく八九年の春ないし夏場ということになってくるだろうと思います。その段階で新しい機体というのが出ておれば、物理的に一番早い新型航空機に新エンジンが積まれるというケースになるわけでございます。ただ、そのときに、それに見合うような主要な工アラインが代替機を欲しがっているかどうかという時期が、もう一つタイミングがございます。それがもしもう少し遅いのであれば、その間できるだけ新しい技術を蓄えたのを入れ込んだ方が、長い寿命の飛行機でございますから、はるかに競争力が強くなってくるわけでございます。したがいまして、その辺の要素、三つの要素、つまり、マーケット状況、エンジンの状況、それから新しい技術の進歩の状況、こういった三つを十分勘案しながらタイミングを失しない時期をねらっておるというのが現状でございます。
  185. 河村勝

    ○河村委員 このV二五〇〇は、さっきのA320に使うCFM56のエンジン、これに比べて燃費効率というのはどのくらいよくなるという計算なんですか。
  186. 渡辺修

    渡辺説明員 これは相互にコンペティターとの関係でございますので、余り明らかにしないで、むしろ宣伝合戦のようなことになるものでございますから、正確に申し上げるのはなかなか難しいのでございますが、現在ありますCFM56というのに比べると大幅にいいのは間違いありませんが、現在エアバスがA320に載せようとしているのは、CFM56をさらに改良したダッシュ4というエンジンにしようとしております。それが成功するかどうかというのがありますが、そのダッシュ4の水準に比べても現在のV二五〇〇は恐らく一〇%近くよくなるのではなかろうかというのが技術陣の大体のコンセンサスでございます。
  187. 河村勝

    ○河村委員 せっかく国でお金を出していることだし、近代産業の中で航空機産業日本の唯一の弱いところですから、遺漏のないようにやってほしいと思います。  これも午前中話が出ましたが、運輸省の航空局は来ておられますか。――例のユナイテッド・エアラインとノースウェスト、これが日米間の航路の中で、アメリカ国内運賃を値下げをして不当競争をやっておるということで、今、大問題になっておりますが、アメリカとの折衝をやっているようなお話であったが、その見通しは、アメリカ政府との交渉はどうなっておりますか。
  188. 向山秀昭

    ○向山説明員 ただいま先生指摘のとおり、ユナイテッド航空とノースウエスト航空がことしの四月一日から新しい運賃を導入したわけであります。これは米国内の区間に対する一種の均一料金でございまして、いわば米国訪問者に対する特別運賃という性格のものでございます。私どもこれを検討しまして、私どもから見て問題があるというふうに考えておりますのは、この運賃がそれぞれノースウエスト航空それからユナイテッド航空の太平洋線の利用者だけに適用になる運賃であるということでございます。それからもう一つ……(河村委員「中身は結構ですから、対外交渉のいきさつだけ」と呼ぶ)そういう点が差別的な運賃であるという点を問題だと考えておりまして、政府といたしまして、米国政府に対してその問題点を指摘し、善処を求めたところでございます。それと同時に、三月の末に日米航空交渉がございましたので、その機会にも我が方から問題点を指摘いたしております。米側としましては、これを速やかに検討して回答してくるというふうに申しております。
  189. 河村勝

    ○河村委員 これはぜひ解消してもらいたいのですが、きょうはもう時間がありませんので、それに関連をしまして改めて運輸委員会でお聞きをいたしますが、どうも全般的に国際競争はますます激烈になるので、国内の航空運輸事業ももう少しこの辺でもって生産性を上げることを考えないとやられてしまうであろうと思う。今度の場合でも一部聞くところによると、同じ飛行機でも、ユナイテッド・エアラインズやノースウエストに比べて日航の乗務員は同じシアトルまで飛ぶのに、片一方のアメリカの方では三人乗務でやっているのに日本では五人乗務でやっている。パイロットですが、それくらい差がある。それから生産性においてもうんと低いのだという話もあるようだが、一体そういう事実があるのですか。
  190. 土坂泰敏

    ○土坂説明員 アメリカは激しい合理化努力をしておるわけでありますが、日本航空もそれに対抗いたしまして経営基盤の強化を図るということを命題にしておりまして、今、全社を挙げて経営改善の努力をしておる。具体的には、人件費の水準であるとか人数であるとか一定の目標を定めまして、今、合理化努力を盛んにやっておるところでございます。  ただ、今御指摘になりました東京―シアトル線のことでございますけれども、これは乗員組合との間で議論がまだ分かれておりまして、乗員組合はおっしゃるようにマルチ編成、五人の乗り組みを要求している、会社の方はシングル編成、三人で行けるということで、現在はまだ対立しております。ただ、会社全体としましては、経営体質の強化ということで今いろいろな格好で努力しているところでございます。
  191. 河村勝

    ○河村委員 この問題はもう少しゆっくり別に聞きましょう。  時間がなくなりましたので、最後に外務大臣、今度の協定は、保護主義がだんだんとはびこりつつある中で貿易自由化を進めていこうということで意味がある協定ですが、昨今、アメリカとの間でもいろいろなトラブルがあって、おおむね鎮静しつつあるようですが、相変わらず対米輸出が多くて、ことしの経常収支の日本の黒は二百三十億ドルの目標がどうも三百億ドルぐらい、超えそうですね。基本的には内需をもうちょっとふやして輸入ができる環境をつくらなければこの問題は解消しっこないし、経済摩擦の火は消えないのですよ。一体その点、今あなたは重要なる閣僚の一人として、今の余りにも財政だけを考えて経済の安定成長を考えないような経済のかじのとり方をどう考え、外務大臣としてこういう大事な時期に一体どう対処する考えがおありか、それを伺って終わりにいたします。
  192. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 この日米経済摩擦だけではなくて日欧間にもいろいろと摩擦があります。もちろん、世界経済の中では米欧にも摩擦があるわけです。しかし、そういう状況の中で保護主義を排して自由貿易体制を守っていかなければならぬ。特に日本は、今お話しのように貿易の黒字がアメリカに対しても急激にふえておる、ECに対してもふえておる、こういうことで日本への輸入をふやしていく、同時にまた市場の自由化を進めていくということで、実はきょうも対外経済対策を一まとめにして決定して発表したわけでございますが、それはそれなりに欧米諸国の評価を得るものである、こういうふうに私は確信をいたしております。  しかし、これでもって今の黒字幅が急に縮小するということではありません。やはり相当時間がかかると思いますが、根本的には今おっしゃいましたように日本の経済、内需というものを基本的にはもう少し強くしなければならぬと思いますし、また円ドルの関係といいますか、そうした問題も相当大きな影響があるものだ、こういうふうに思うわけです。そうしたやはり内需の拡大あるいはまた資本市場の自由化、円の国際化といったものについてももっと積極的に取り組んでいくことがこれからの経済摩擦を防いで、日本世界における責任、国際的な貢献を果たし、そして自由貿易を守ることにつながっていくのだ、こういうふうに存じております。おっしゃるような内需の振興というものは大きな課題であろう、こういうふうに思います。
  193. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  194. 中島源太郎

    中島委員長 次に、岡崎万寿秀君。
  195. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 先ほどから日本航空機産業がかなり立ちおくれているという話なのですが、立ちおくれるという表現を使うと、いつか追い越すだろうということになって、何年ぐらいでというふうな議論になるわけですけれども、私の見るところ、これは単なる立ちおくれではない。  それでお伺いしますけれども、ではどの分野が立ちおくれているのか、お答え願いたいと思います。
  196. 渡辺修

    渡辺説明員 お答え申し上げます。  基本的には、航空機産業というのは最先端分野という技術の塊のような分野でございまして、具体的に申し上げますと、その基本的な機能であります空力設計技術、あるいは先ほども議論が出ました極めて高度のエレクトロニクスを使いましたジャイロとかあるいはその他の操縦安定装置とか、そういったようなものは過去に何度も研究投資を続けまして、そこで出てきた幾つかの研究試験結果というものを踏まえて徐々に改善して持っていく一つのノーハウになるわけでございます。それにつきましては、ボーイングあるいはダグラスといった会社は延々と、例えばボーイングで言えば、ボーイング707の時代からのファミリーをずっと持っております。それを続けてきておるものでございますから、そこの蓄積しておるノーハウと我が国とを比べてみた場合には相当の開きがあるのであろう、かように考えております。
  197. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 部分的な生産においては、あるいは技術においてはかなり到達点に来ているのではないかと思うのですけれども、航空機産業の総合的な到達点としての大型ジェット機、この生産はゼロですね。
  198. 渡辺修

    渡辺説明員 おっしゃるとおりでございます。
  199. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 輸入ですが、先ほどから輸入額には、年次によって違いがありますけれども、二千九百億円とか、あるいは三千五百五十一億円とかいろいろありますね。この中には軍用機は入っていますか。
  200. 渡辺修

    渡辺説明員 この数字の中には防衛庁が輸入する飛行機も入っております。
  201. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 それではお聞きしましょう。軍用機を除きまして民間機だけに限って、その中で大型ジェット機の占める比率はどのくらいでしょうか。
  202. 渡辺修

    渡辺説明員 大型、小型の仕分けの仕方が非常に難しいのでございますが、現在我が国のエアラインが保有しております民間のジェット機は、我々が承知いたしておりますだけで約二百七十機くらい保有いたしておるわけでございます。それのサイズでございますが、一番小さいのは御承知のようにYS11という日本開発した飛行機でございます。これが小さい方でございまして、その上にDC9、これは大体百五十人前後くらいの飛行機でございます。さらに上に順々に先ほど来申し上げておる大きな飛行機になっておる、こういう状況でございます。
  203. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 我が国航空機需要の中でそういう大型ジェット機への要望がますます強まっているわけでありますが、こういうような生産はゼロ。輸入は全部アメリカですか。
  204. 渡辺修

    渡辺説明員 今申し上げました二百七十のうちで、我々の手元にあります資料ですと、東亜国内航空がエアバスのA300というのを九機入れております。これは御承知のように欧州連合の飛行機でございます。ちょっと正確にはあれでございますが、恐らくそれ以外はほとんどアメリカであろうと思います。
  205. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 圧倒的な部分がアメリカの市場にされているというのが事実でございます。  先ほどから国際共同開発の話が出ていますけれども、これは部分品生産だけでございますね。一人前になる上で非常に重要だと言われましたけれども、これが発展していきますと日本の大型ジェット機の生産に向けて一人前になる見通しがありますか。
  206. 渡辺修

    渡辺説明員 我が国が将来大型ジェット機をみずからひとりでつくっていくことがあり得るかという御質問でございますが、先ほど来私どもが申し上げておりますように、特にここ五年くらいの間に世界の供給体制というのは極めて寡占化いたしておりまして、理由は先ほど申し上げましたように開発費が膨大であるというリスクヘッジの関係、それからマーケットをとるという意味の目的、そういった関係から完全に国際共同開発の路線に移ってきております。恐らく二十一世紀にいきましてもこの傾向は変わってこないのだろうと私思います。現に今欧州はエアバスで独、英、仏それにスペインという連合を組んでおりますし、ボーイング日本とやることになりましたし、ダグラスは新規機種の開発という計画を現在練っておりますが、どういう姿でこれを行うかというごとはまだ見通しがついておらないという状況でございます。したがいまして、二十一世紀の世界航空機産業というのはますます国際共同開発という傾向が強まっていくことになるのではなかろうか。そういうことになりますと、恐らくどの国も独自に一国でつくって、世界じゅうのマーケットに売り渡すというようなことはなかなかなくなってくるのではなかろうか。これは日本がやる、やらぬではなくて、世界全体がそういう傾向になるのだろうと思います。  そういった中で日本が一体どういう形を占めるかというのが課題でございますが、それにはステップがございまして、先ほども申し上げましたように六十人乗りでございますYS11で行ったのを今度は五年くらい前からの国際共同開発路線に乗っかって二百人強の767に取り組んで、今度は百五十人前後といったところで足腰を強くして、それで二十一世紀の大型航空機開発というときにはそれなりのパートナーとして国際共同開発の一角を占める、こういうのが恐らく今後の我が国航空機産業の姿ではないだろうか、かように考えております。
  207. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 足腰を強くするというのはまことに聞こえはいいのですが、現在国際共同開発をやっている国は、多くはアメリカとの関係のようです。圧倒的にアメリカでしょう。組み立てや販路の方もアメリカが握っていますね。日本と対等の関係になった共同開発ですか。
  208. 渡辺修

    渡辺説明員 YXの例で申し上げますと、先ほどもお答え申し上げましたが、開発段階で日本が参画した。それから後は量産をいたしまして、販売、プロダクトサポートというものは全部ボーイングが行ったということでございまして、これは恐らく従来からの経験の差以外の何物でもなかろうかと思います。  今度それを踏まえまして、YXX計画におきましては、民間航空機の非常に重要な四つの部門、開発、量産、販売、プロダクトサポート、この分野についてそれぞれ二五%のシェアで日本が入っていきたい、こういうのが今回の形でございます。ボーイングはミニマム五一%持つということになっておりますから、あと第三国の入り方いかんで数字が決まってくるわけでございますが、五一%以上をボーイングが持つということですから、ボーイングの主導権というのは事実でございます。しかしながら、現在の我々の航空機産業の現状と将来へのステップということを考えますと、どうしても販売とプロダクトサポートという点についてしっかりとした経験を踏まえなければなかなか次のステップには行きがたいのではなかろうかということで、大いに頑張っていって二五%という形で、しかし全部の分野に参画して一緒に共同開発したい、こういうのが現在の方針でございます。
  209. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 将来の方向としての国際共同開発は結構でございましょう。しかし、独自に大型ジェット機の生産能力を持っている国と持たない国との間では対等には論じられない状況だし、現実には今のところ、例えて言えばアメリカの大航空機メーカーの下請産業、部分品産業のような状態になっているように思うのです。輸入も圧倒的にアメリカ、そして国際共同開発と言いながら、その実態はアメリカの大航空機メーカーの下請になっておるというのが事実ですね。  大臣にお聞きしますが、国民経済の総合的な、自主的な発展という見地からしまして、戦後の立ちおくれの事情は承知しています。しかし、承知しているとはいえ、これだけ日本の工業が発達している段階で日本航空機産業、分けても大型ジェット機の生産がこういう状態にあるというのは、日本の国策の上から考えなくちゃいけないというふうに考えますけれども、大臣、いかがでございましょうか。
  210. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 大体初めから立ちおくれておりまして、最近では随分差が開いているようでありますが、やはり日本のこれからにとりましても重要な産業でもありますから、共同プロジェクト共同開発といった形で積極的に取り組む必要があるのではないか、そういうふうにも思いますし、今度の措置によりまして貿易自由化的な要素が一段と加わりまして、そういう意味でもこの産業の発展の一助になる、こういうふうに考えます。
  211. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 航空機産業の発展に寄与するというふうに外務省の説明書には書いてありますけれども、その中身は、日本が先進国並みに大型ジェット機を開発するような見通しはない、こういう中身であるというふうに先ほどの答弁から聞いていました。こういう問題を抜きにして本協定のようなのを論議されるだけでは安易であると思うのですよ。無策であるというふうに思うのです。そして日本が巨大な航空機市場になっていまして、アメリカロッキード、グラマン、ダグラス、こういうところから日本に盛んに売り込み合戦をやる。そこにわいろが流れるし、きょうありました小佐野判決もやはりこれに関連することですね。こういう航空機産業の実態につきまして私たちは考えなくちゃいけないのじゃないかというふうに思うわけですね。これにつきましては、自民党が戦後ほとんど日本の政治をリードしていますので、航空機産業政策上に過ちがなかったのかどうか、どこかで我々としては自主生産、自主開発をもっと積極的にやるべきじゃなかったか、その御反省はないのか。これはどなたでしょう。外務大臣でしょうか、通産省でしょうか。
  212. 渡辺修

    渡辺説明員 先生先ほど来御指摘いただいておる気持ちといいますかは、我々航空機行政に携わる者として非常に強く感じておる一つであることは間違いないのですけれども、しかしながら、現実に飛行機をつくることとそれを世界マーケットに売ることというのは別でございまして、YS11というのを戦後の空白期を脱皮いたしまして昭和三十年代に日本は手がけたわけでございます。六十人乗りの飛行機をつくったわけでございますが、これはそれなりに非常にいい飛行機だといまだに各国から評価をされております。しかしながら、残念ながら、いい飛行機をつくることはつくれたのですが、販売とその後の補修、プロダクトサポート、これがまた大変な基地を持って世界じゅうに飛び回らなければいかぬわけですけれども、そういうファシリティーその他の面において日本はいかんせん経験がなかった点が致命的でございまして、結局百八十機の生産で打ちどめたということになっております。  その後、先ほど申し上げましたように世界の趨勢というのは国際協同開発の方に動いておるわけでございます。したがいまして、今度のYXXを踏まえて共同開発、なかんずく販売、プロダクトサポートという、従来のYS11で我々が果たし得なかったその分野を日本航空機産業が経験したその後は、日本は、先ほど来もう一度使わせていただきますが、足腰を強くした形で大型ジェットについても――単独でやることは恐らく世界の趨勢としてあり得ないと私は思います。アメリカあるいは諸外国国際共同開発路線を組んでいく。しかし、それも今のような形ではなくて、信頼されるパートナーとしてほぼ肩を並べるような形で二十一世紀に行けるのではないか。  同時に、あとそれでは国内の小さな飛行機の分野というのは一体あるのかないのかというところがございますが、これも民間航空機のビジネスとして販売、プロダクトサポート両方を経験した暁には、国内の小さな飛行機その他についてもそれなりの指導力を日本は発揮できるのではなかろうか、こういう考え方で二十一世紀を長期的に考えておるところでございます。
  213. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 知っていますよ。気持ちはわかるという話なんですけれども、しかし航空機産業の分野に戦後の政治のひずみといいますかアメリカ依存が一番あらわれているように私は思うのです。ほかの先進国で日本のようなところがありますか。
  214. 渡辺修

    渡辺説明員 基本的には日本と同じような立場にありますのは、戦後の空白期といいますか第二次大戦後同じような状況で行ったのはドイツでございます。ドイツは、ルフトハンザにいたしましてもボーイング中心の開発が続いてきておりましたけれども、七〇年代の中ごろから欧州連合、先ほど申し上げましたエアバスの一翼に入ることになりまして、そういうことでドイツは今欧州のパートナーの一つになってきておる、こういうことでございまして、似たようなところがあるかと言われれば、ドイツが同じような戦後の状況であった。しかし、そのドイツも今国際共同開発路線に入っておる、こういう状況でございます。
  215. 岡崎万寿秀

    ○岡崎委員 と言いながら、西ドイツの場合は独自に生産能力を持っているわけですね。やはりそこには日本の戦後の政治の問題があると私は思うのです。時間が来たようでございますからこれで終わりますけれども、やはりここには考えなくてはいけない大きな問題があるということ、そういうことを抜きにしてこういう問題、この協定につきまして安易に見ることはできないということが私の結論でございます。  では、終わりましょう。
  216. 中島源太郎

    中島委員長 先ほどの土井君の質疑に関し、外務省より発言を求められておりますので、これを許します。恩田経済局次長。
  217. 恩田宗

    恩田政府委員 先ほどのガット事務局の問題でございますが、ガットはハバナ憲章ができるまでの暫定的なものとして一九四八年に発足いたしましたが、事務局は国際貿易機関暫定事務局が代行しております。一九五四年にガット規約の再検討を行った際に事務局に裏づけを与える等を目的とした協定が作成されましたが、同協定の発効要件が極めて厳しいこともございまして、我が国が一九五五年にガットに加入した際署名はしておりますが、米国等これらの協定の常設化に反対をした国もございまして受諾に至らなかったとの事情もあり、協定は発効しないまま現在まで推移しております。
  218. 土井たか子

    ○土井委員 そうなんです。アメリカ側が実は提案国であって、アメリカの国内の議会がそれに対して反対の声が強かったために今日まで発効せずに来たという事情もあることは私知っております。  そこでちょっと気になるのは、一問だけ聞かせてください。そうなってまいりますと、ガット協定の中では、本文には先ほど申し上げたとおり、事務局とか機構上の規定は何らないというままで今日まで推移してきておるわけですね。民間航空機貿易協定に基づいてガットの場に政府レベルの民間航空機委員会が設けられるということになると、この委員会は独立的な性格というのが強い。そして、独自の機能性も持つ。ガット一般協定は事実上棚上げになったような格好で、ガットの運用が複雑化していくということも懸念されるのですね。いかがですか、この辺は。
  219. 恩田宗

    恩田政府委員 民間航空機協定によって設立されました委員会は、同協定第八条に規定するように民間航空機貿易委員会。その活動に関して、毎年一回ガット締約国に報告する義務がございます。このように委員会の活動はガット一般協定と密接につながれているというふうに私どもは考えておりますし、また、その他個々の委員会活動もガット締約国の活動を補完するものであるというふうに私どもは考えております。ガット事務局は条約的裏づけの有無にかかわらず、現在有効に機能していると考えますが、しかしながら、ガットの機能をさらに強化するための必要性はございますので、今後例えば新ラウンドが行われることとなるような場合には、締約国全体としてこのような問題を討議することもあろうかと、このように考えております。
  220. 土井たか子

    ○土井委員 ちょっと今の御答弁では不十分であったと私は思います。そういうこともあろうかと思います、他人事のようにおっしゃっているというのは、どうも私は腑に落ちないのです。日本としてどうするかというところはちゃんと外務省としてはっきりおっしゃいよ。どうもいつもそれなんです。  そこで、もう時間のかげんがありますから、私は最後に外務大臣にあわせて聞いて終わりましょう。  それは、いよいよことしの六月にロンドン・サミットが控えているわけですが、それに先立って、外務大臣は連休明け十二日でございましたか、EC、OECDそれぞれにお出かけになるわけです。そこでのお話し合いの中でもこれは関係してくることで、つまり前回のウィリアムズバーグでサミットが行われたときに合意された経済回復に関する宣言を踏まえて新ラウンドをどう考えていくかという問題がございますが、日米間では八五年にこれに対しての交渉開始ということが合意されているやに私どもは理解をいたしますけれども、ECとの間でのいろいろな話し合いということが実は大変大きな課題であるとも聞かされているわけであります。その辺の見通しとか、今御答弁があったのはどうも他人事のような御答弁ですから、大臣からひとつ日本の立場としてはというところの意のあるところをお聞かせいただいて、私は質問を終了させていただきたいと思います。
  221. 安倍晋太郎

    ○安倍国務大臣 日本の立場としましては、自由貿易体制をこれから堅持していくためにもやはり新ラウンドは必要である、こういう基本的な姿勢で、日米間にはある程度の合意的なものがあるわけでございます。しかし、ECは御承知のように経済が非常に跛行的な状況でありまして、必ずしも域内がうまくいっていない。こういう点もありまして、この新ラウンドについては慎重な姿勢であります。先般イギリスのハウ外務大臣と会ったときも、慎重に準備をすべきだというような発言がございましたが、しかしEC諸国も新ラウンドの必要性は認めておるわけでございますので、今度国会のお許しを得てECとの経済閣僚会議を行い、さらにまたOECDの閣僚理事会に出席するに当たりましてはこの新ラウンドの必要性を、私自身も自由貿易体制を進めていく、保護主義を巻き返すためにも必要だということを強調して、EC諸国の共鳴を得たい、こういうふうに思うわけでございます。EC諸国だけではなくてやはり開発途上国の支持というものも得なければなりません。なかなか難しい問題もありますが、日本としては新ラウンドを行うためにこれからも最大の努力をささげてまいる考えてあります。
  222. 土井たか子

    ○土井委員 それでは、終わります。
  223. 中島源太郎

    中島委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  224. 中島源太郎

    中島委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  225. 中島源太郎

    中島委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。  ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  226. 中島源太郎

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  227. 中島源太郎

    中島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後一時五十二分散会