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石原(慎)
委員 局長の言われる建前はわかるのですけれ
ども、しかし、
日本は別に自民党が代表しているわけでもないし
中曽根さんが代表しているわけでもないけれ
ども、
フィリピンの場合には、
フィリピンという国が実際にあるのかないのかわかりませんが、それぐらい非常に不思議な構造の社会ですけれ
ども、ともかく
フィリピンと称している国家というものを
マルコス氏が代表しているわけですが、それは本当にルイ十四世みたいなところがある。それ以上のものですよ。ですから、
日本政府はそういう公式的な眺め方をしても、あの体制あの社会に不安を感じ
不満を感じている多くの大衆というものは決して
日本政府と同じ見解を持たないということは、これは別にカルチャラルギャップでも何でもなくて当然のことだと私は思うのですが、そこら辺はやはり相当慎重にしんしゃくされませんと、
政府に全く
関係のない
日本の一般市民が
フィリピンでとんでもない目に遭うということにならなければいいなと私は思うわけでございます。
最後に、この間もアグラバ
委員長以下、
委員会が
日本にやってきまして、アキノ元上院議員の暗殺
真相究明に努力をしております。
日本の
外務省も警察庁、警視庁も協力をして、こちらの委嘱尋問というのですけれ
ども、やっておられました。アグラバ
委員長にも私会いましたけれ
ども、彼女がわざわざ持参した、あの
委員会で
自分の名前を述べて宣誓し、
委員会の尋問に答えて証言した、当時機内に出向いた五人の兵士の声を
日本の技術で声紋分析してほしいということだったんですが、どういうわけか持参したノートバーバル、口上書の中にアイテムとしてそれが入ってなかったために、
日本のお役所もそういうところはしゃくし定規なんで、入ってないからだめだと言った。きょう御出席の
橋本局長が非常に苦労されて、ドラフトをアグラバさん、あなた書いて、そして
日本の大使館で大使がサインしたらそれでいいんだから早く出しなさいと言ったのに、何か知らぬけれ
ども、後になっていろいろ理由が挙げられておりましたが、アグラバさんと当地の高官が言うことは全く百八十度違って、結果として口上書なるものが追加されなかった。私は個人的にそれを引き受けてあげてもいいからと言ったら、とにかく帰ってすぐに口上書を送りますと言って帰ったんだけれ
ども、テープも口上書もいまだに来ないわけです。これは世界が注目し、
アメリカの下院が
条件の
一つにうたって、また
日本も、ことしは別にしても来年度の分はこれに近い、これ以上の
条件をつけなきゃならぬと思っておりますけれ
ども、当然その中に入ってくる、あの次期の指導者と目されていたアキノ元上院議員の暗殺の究明は、これは単に事件の解明だけしゃなくて、国家対国家の
関係を左右する非常に大きなモメントだと思うのですが、それが
日本の科学技術で究明されかかっていたのに、どういうわけか知らぬけれ
どもとにかく口上書がとまってしまっている。
マルコス政権が、みずからが主張しているように清廉潔白ならば、ほかの問題については委嘱してきたんですから、
日本の科学技術にこの問題もゆだねて声紋の分析をし、彼らがシロであるかクロであるか、あるいは結果とすれば、予測がつくことですけれ
ども、
政府の言っていることが少なくとも全くうそである、そして委嘱を受けているテープの中にある兵士たちがあそこで
現地の言葉で、やつがやってきたとか、おれに殺させるとか、連れ出せとか言っている言葉が符合するならば、
政府が発表した、同時に殺されたあの犯人なるものが実はにせものでしかないということだけは判明するわけですから、私はやはり
フィリピン政府は速やかに、
日本の協力を仰いできたならば、この問題についても口上書を送って世界にみずからの潔白を証明するための要するに依頼を
日本の
政府にすべきだと思うのですけれ
ども、世界じゅうが見守る中で、どういうわけか知らぬけれ
ども口上書がとまってしまった。
外務省もいらいらしている、
政府もいらいらしている、
アメリカもいらいらしている。私は、やはりここまでの行きがかりからいって、あの口上書はどうしましたか、できるだけ早く送りなさい、あなたのお国のためにも世界のためにも
フィリピンの
日本なり
アメリカなりあるいはほかの外国との信用
関係のためにもこういう究明を急ぐことがおためですよということで、ひとつ
外務大臣、
外務省から口上書はどうしたという催促といいましょうか、それぐらいの勧告をされたらいかがでしょうか。私は、これは決して内政干渉にならないと思うし、世界じゅうが納得する、しかも部分的にはその依頼を受けた、要するに既に協力を果たしてきている
日本の
政府のとっておかしくない態度だと思いますけれ
ども、いかがでしょうか。