○
小林(進)
委員 限られた時間でございますので、私は項目だけ挙げて御
答弁をいただきたいと思うのでございます。
一つは、
予算委員会における
中曽根総理の
発言に対する
外務大臣の御所見、これは後で言います。第二番目は、素朴な
質問ですが、
米ソは一体なぜ戦わなければならぬのか、これは
国民はちっともわからない。これをひとつ
国民にわかるようにお教えいただきたい。第三番目は、
日ソもそうなんです。
ソ連が何か
日本を今にも侵略してくるような危険性ありだとか、あるいは
膨張国家だとかいろいろ言うが、
日本国民の側から見ると、一体
日本と
ソ連の間に相戦わなければならない
理由はどこにあるかわからない。
四つ目は、去年の九月起こった
大韓航空のいわゆる
ソ連軍事機による撃墜の問題であります。これも
国民はわからない。何で入ってはならない
ソ連のいわゆる
航空路線に
民間航空機が入っていったのか、素朴な
国民の側から見れば、どうも落とした
ソ連が悪い、悪いと
日本の
政府も言っているけれども、人のうちへ土足でけって入ってきたものを撃墜するというのも
正当防衛の一環じゃないか。通っちゃならない
車道を通っていれば、ひかれたからといって
車道を通った者にもやはり落ち度があるだろう。しかし、これがいわゆる
大韓航空機の問題になると、当たり前の理屈が通っていない。これはどういうことなのか。それから五番目は、これもラングーンにおける
全斗煥大統領以下閣僚の
狙撃事件、これは北朝鮮がやったのだかどうかまだ結論も出ていない。こういうことについて。あとは
シーレーンのことも聞いて、
シーレーンというものが本当に
日本の
防衛力で防げるのか、ナンセンスだという声も随分ありますが、数え上げていけば切りがない。
第一問から問題を提起いたしていきますと、これは
予算委員会で、うちの代表の
質問で、今年度の
世界をこれほど動乱に陥れているものは
米ソなんだから、ここへ
日本が少し調停的な
役割を果たすような余地はないか、これは
人類が皆
考えていることなんだ、こんな恐ろしい
軍拡競争にだれかが軍配を入れる者はないかということで、どうですか
中曽根さん、その
役割はと言ったら、
中曽根さんは、いや
日米安保条約があるからそういうような
調停役は
中曽根総理大臣としてはできない、こういうことを言ってはっきり断っている。この見解に対して
安倍外務大臣は一体どうお
考えになるか。
これに対しては、ここにおられる我が党の
高沢委員が前の国会のこの
委員会で
園田さんに
質問をした。これに対して
園田外務大臣は、前
総理の
鈴木さんは
平和外交、終始これに一貫することを主張された。
園田さんは、これを全
方位外交という
言葉で表現された。そして帰するところは、
鈴木総理も私も同じであって、全
方位外交も
平和外交も同じなんですと答えている。それじゃ、
鈴木総理の言われる
世界の平和とは何だということに対して
園田さんは次のように言っているんです。すなわち、
言葉をかえて言えば、
米ソを戦わせない、戦わせてはならないことなんですと。今や
世界の平和は一に
米ソ二つの超
大国にかかっているんです。ここに問題があるんだから、これを戦わせないことに
平和外交、全
方位外交の
中心があるのだと言い、そのために
園田氏は、自分の国を小さい国と言って、
日本は小さい国であるけれども、軍備を縮小し、そして
両国が低い水準で均衡を保つという
方向へ行くよう
日本外交の全精力を注がなければならぬという
園田哲学を説明しているわけです。これは、
鈴木前
総理の哲学でもあるわけです。以上から見て、ニュアンスはみんな違うのですね、
中曽根外交と
園田外交、
鈴木外交。それぞれ違っている。
さて、ここで安倍
外交は一体どういう哲学を示してくれるか、私はお聞きしたい、こういう問題に対して。
私は、安倍さんは
外務大臣になって中東
外交と同時にどうも
ソ連外交に大変力を入れて、しばしば話をしよう、なるべく話をするチャンスを設けようということでやっていることを非常に立派だと思う。前進していると見ているのです。何か三月も最高事務
会議をおやりになるというが、この問題に関連して、
外交というものは、そんなに素直に話のできる国に話をしに行くのは
外交じゃない、一番難しい国、一番距離の離れている国に近づいてしばしば
話し合いをするというのが
外交の真髄でなければならぬと私は思うのだが、安倍
外交は、
アメリカなんか向かなくたって、むしろ一番難しい
ソ連へ一番力を注ぐべきだと思うのであって、最高
会議だのサミットへ行って話をするとか、葬式に行って話をするとかということのほかに、いわゆる
ソ連と
日本との間に定期の
会議を持たれる、それは事務レベルでもいいが、定期的に話があろうとなかろうと、一年に五回でも六回でもいい、定期にひとつ話をしようというグラウンドを設定されたらどうかというのが第一問です。
それから、第二間ですが、専門家はだれも言っているんだな。
米ソの間で戦う
理由は
政治的にも軍事的にも何にもないと
外交の専門家は言うんですよ。それを、なぜあれだけエキサイトして
軍拡競争を続けているか。そこには別の理論があるのではないか。その別の理論というのは何かというと軍産複合体、いわゆる軍需産業との結びつきでね、ここから圧力が来ているんだというのでありますが、私はこのことに対しましては、余りこれを言っていると時間がなくなりますけれども、これは
アメリカの民主党の、四十七年ニクソンと一緒に
大統領選挙を争ったマクガバン元上院議員が、レーガンは、
ソ連に対し軍事的優位を確立すれば
ソ連は劣勢に追い込まれるから
軍縮交渉を有利に進めることができるという発想に立っている、これはもう間違いありませんね、しかし実際はどうかと言えば、実際には
ソ連はいわゆる核軍備削減
交渉、INFをむしろおりてしまったじゃないか、STARTの
交渉からもおりてしまったじゃないか、これは全くレーガンの見込み違いであるということはこれで明らかになっている、こういうこと空言われているのでございます。
また、飛び飛びに言いますが、マクガバン氏はこういうことも言っている。今も民主党の大統領の予備
選挙に出ているようですね。彼は言っている。私が一番疑問に思っていることは、だれが
アメリカを攻撃してくるかということだ、
ソ連にしても、
アメリカを攻めて何の得があるだろうか、また西ヨーロッパを攻めてくるだろうか、アフガニスタンやポーランドの側を見れば、西側への攻撃が物理的にも不可能であることは明白だ、
東欧衛星
諸国との
連携を維持するだけで
ソ連は手いっぱいだというのが現実だと思う、
米ソ戦わなければならない
理由は
一つもない、こう言っている。これは
アメリカの最も良識ある
政治家。これはマクガバンだけではありません。例の元の国防長官のマクナマラも同じような発想です。これに対して
日本の外相安倍さんもどうも
ソ連はワル、危険なる国家であるという懸念を表明するとあなたは
演説で言っておられる。防衛庁は、潜在的な脅威がやはり
ソ連にある、こういう見解に立っておる。これは
国民はどうしても理解できない。
国民にわかるようにお聞かせを願いたい。これは第二問です。
第三問は、
日本と
ソ連との
関係だ。
ソ連が
日本を攻撃してくる根拠は一体何ですか。
外務大臣の御
意見は今私は聞いたんだが、同じく
アメリカのマクガバンもそうですが、どうしても理解できないのは、日米両
政府が
日本の防衛計画の強化を提唱しているのがわからぬと言っている。一体だれの脅威から
日本を守れというのか、攻めてくるのは
ソ連か
中国か、現実には
日本を攻撃してくるという根拠は何にもないではないかというんだね。北方領土とおっしゃるかもしれません。北方領土はサンフランシスコ
会議の後だから四十年も続いている問題で、今始まったことじゃない。あるいはアフガニスタンだ、ベトナムだというけれども、こんなものは
日本に
関係がない。これは、
日本を
ソ連が攻撃してくる原因にはなりもしない。これをひとつ
国民にわかりやすく教えてもらわなければならない。
ただ、私は、驚くべきことはこれなんですな。これは法眼元外務次官、これは今
外務省の顧問でしょう。
外務省は、事務次官をやった者は顧問にしているからね。これはやめたかどうか知らぬが。これは出たばかりなんで図書館にないから町に行って買ってきた。この中には「
アメリカが
日本付近を固めれば、
ソ連は
日本を攻めることはできなくなる。これに対して
ソ連は、
日本に反米
運動を起こそうとするかも知れない。さしあたり石橋社会党は、事実上その先発隊の
役割を担っているように見える。その非武装中立論という、
世界が不思議がる珍妙な議論でもって。」こう言って我が党の
委員長を誹謗しながら、そしてまた「わが国は
日米安保条約を強化して、自らを守る
努力をしなければ、
ソ連の餌食にならない保障はない。」と言っている。
それで、その次、これは資料要求するのですよ。「英国の国際戦略研究所は」、そんな研究所があるかどうかわからぬけれども、「最近
ソ連は、北海道北部に侵寇する危険ありと観測している。」と言う。これは資料を要求しますよ。つまり宗谷海峡の航行を遮断されぬために北海道の北部に
ソ連は侵寇をしてくる、攻めてくるという危険がある。「
ソ連から見れば、カムチャツカ南端のぺトロハバロフスクとウラジオの両軍港の連結が最も重要であり、これが
日本の支配下にあれば、
日本海の
ソ連艦隊は半分は袋のネズミと化する。」そこで「英戦略研究所の推論は正しいと思われる。」だから
ソ連が
日本の北、北海道北部に攻めてくるのは正しいと思われる。そして、今「
ソ連側はその時の準備を着々進めている」のである、こういうことを言っている。これに対して
日本の
外務省あるいは
日本政府はどういう見解をお持ちになっておるのか、これが三番目。
時間がありませんから急ぎますが、第四は、先ほども言いました
大韓航空機の撃墜事件、二百六十九名のいわゆる非武装の
民間航空機を落としたのはけしからぬ、私もそう思います。私も落としたのはけしからぬと思うが、その前に、通ってはならないところをなぜ通ったか、問題はやはりそこから解明していかなければならないと私は思うのでありますが、その点は少しも
日本政府も
外務省も問題を明らかにしていただけない。いただけないのみならず、これは賠償問題は一体どうなっているのか、落とされた二百六十九名のこの大きな被害者に対する賠償問題は一体どうなっているのか。
それに
関係いたしまして、これは私がとったニュースなんですが、KAL○○七便は、落とされた
大韓航空の飛行機ですよ、これは西独のルフトハンザ航空から中古の飛行機をKALが買い入れたものであって、耐用年数を超えている古物だというのだ。つまり、それをいつでもスクラップにしていい
状況にあったそのKALは、これに保険を掛けていた。すでにイギリスの保険会社から機体分として約六十五億円も保険金を取っている。なおかつ、貨物などで九百八十億円も保険金をもらうことが予定せられているというのだ。これはもう支払われているかもしれないのだ。
大韓航空はこれほどちゃんと手際よく保険を掛け、保険金も手に入れているというところだ、こういう中古の飛行機に。金は取ったが、一体被害者に対して保険金を払ったのか払わないのか。何かそんなところにも疑えば実に生臭い疑念がわいてくるのであって、これが
一つ大韓航空に対する私ども
国民の素朴な疑いです。
なおかつ、
大韓航空機が飛んではならないカムチャッカ、オホーツクから
ソ連領を飛んでいるときに、
日本の情報だけはうんととった。それで
日本は全部それを発表したが、
日本よりもっと精巧な情報網を持っている
アメリカがこの
大韓航空の侵犯事故に対する情報を今まで
一つも公開しないのは一体どういう
理由なんですか。
ソ連の方は、KALは
アメリカのスパイ機だ云々と言うけれども、もっと
日本より正確な情報をとっているべき
アメリカが我々の前にその情報を公開しないのは、これはいたずらに
アメリカが仕組んだ策謀ではないかと疑いを深めることになるが、この点はどうなっているか。
それから第五番目は、ラングーンのいわゆる爆破事件です。本当に北朝鮮がやったのか。やったのであるとすれば、これからの北、南、それから
中国を入れた三国の
交渉問題、これに対して
アメリカは、
アメリカと南北朝鮮の三国の
交渉を
中国も入れて四カ国でやれと言った、あなたは今度は
日本も
ソ連も入れて六カ国で南北朝鮮問題の
話し合いをしようと言っているけれども、こういう問題の進展
状況にはやはりこれがはっきりしなければ将来困難だと私は思いますので、この点もひとつ聞かせていただきたい。
もう時間が来ましたからやめますが、あわせて、
シーレーン、千海里などということも夢物語だ、あんなものはむだな浪費であって、そんなことで
日本の航海や物資の輸送が守られる道理がないじゃないか、そういう声もありますが、これについてもひとつお伺いをいたしたいと思います。