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岩動国務大臣 まず、
原子力船「
むつ」につきまして当
委員会でこのように御熱心に御
審議をちょうだいをいたしておりますことに心から感謝をいたし、またその御
審議の経過、
内容等につきましては、十分に私どもは今後の政策決定に反映をさせてまいりたいと
考えております。
最初に、
原子力船「
むつ」について大変経費がかかった、そしてアメリカあるいはドイツの例をお引きになって御比較をなさったわけでございますが、この点につきましては、
日本の場合には
原子力そのものの平和
利用についてのいろいろな
日本の国情と申しますか
原子力に対する国民の
考え方、受け取り方というものが非常に特異性があるということ、つまり広島、長崎の被爆国である、そういうようなことから
原子力に対する非常な敏感な受け取り方、また対応の仕方、これも
日本の国情としてやむを得ないものがあり、そのような環境の中で
日本が
原子力の平和
利用を進めるということでございますので、したがいましていろいろな、諸外国とは違った土壌の中で
原子力の平和
利用を進めなければならない。そのために大変多くの経費がかかってまいった。特にまた水産国家であり、内よりも魚を食って
日本民族は生きてまいりました。これからもそういう
日本民族の食糧事情であろうと思います。そういうようなことを
考えますと、
原子力の問題が海産物、水産に対しては非常に大きな影響がある、こういうことも念頭に置いていかなければならない。そういったような特殊事情等も
考えますと、私どもは最小限度の費用で最大の効果を上げるという国民に対する責務を持っていなければなりませんし、一銭のむだ遣いがあってもならない。これを心に強く受けとめながら進めてまいったところでございます。具体的な数字の
内容等については御必要とあれば担当の局長から申し上げますが、基本的にはそういうことであることをまず御理解いただきたいと思います。
今後の進め方につきましてはまだ
最終の対応が決まっておらないわけでありますが、進めるにいたしましてもこれは最小限度のものでなければならない。今、一千億円という言葉がひとり歩いておりますが、これは事業団がいろいろなことを
考えて、
研究技術者としてはこれだけのことはしてみたい、こういう願望のある、そういう
計画がおおむね一千億円、こういう数字になっているわけでございますが、これは私どもが了承している数字でもございませんし、今後国会の御
審議、各方面の御議論をちょうだいをいたしまして、そしてまた私ども自身も今日まで寄せられたいろいろな批判、御意見については十分に戒心をして、そしてこれらの経費につきましても
研究開発の進め方につきましても十分な対応をして、国民の納得のいく経費を念査していかなければならないと
考えておるわけでございます。
さて、自民党の科学
技術部会で廃船という決定が出たわけでございますが、これにつきましては予算編成の
段階におきまして私どもはいろいろ議論をいたしました。そして政治折衝の
段階におきましても私は強く従来の主張を通してまいりましたが、
最終的には改めて専門家を中心とした
検討委員会で党としては結論を出していきたい、こういうことでございますので、私どもは政府・与党の立場においては党の
検討委員会の結論というものは十分に注視していかなければなりません。しかし、冒頭に申し上げましたように、このような国会での大きな御論議、御
審議がございますので、それを最も重要な我々の
考え方に反映させていかなければならない、かように
考えておるわけでございます。まずもって、そのことを申し上げて、御理解をいただきたいと思います。